0003◎仏説0245無量寿経 巻上
*曹魏*天竺*三蔵*康僧鎧訳
一 序分
Ⅰ 証信序
ⅰ 聞信成就【六事成就】
【1】 ◎^▼われ聞きたてまつりき、 かくのごとく。
◎○我0015聞キタテマツリキ如ク↠是クノ。
一 ⅰ ⅱ 時主処成就
^ひと時、 仏、 *王舎城*耆闍崛山のうちに住したまひき。
○一時、○仏住シタマヒテ↢王舎城耆闍崛山ノ中ニ↡、
一 ⅰ ⅲ 衆成就
a 声聞衆
イ 略して数を標し徳を嘆ず
^*大比丘の衆、 万二千人と倶なりき。 ^一切は大聖にして、 神通すでに達せり 。
○与↢大比丘ノ衆万二千人↡倶ナリキ。一切ハ大聖ニシテ、○神通已ニ達セリ。
一 Ⅰ ⅲ a ロ 別して上首の名を列ぬ
^その名をば、 尊者*了本際・尊者*正願・尊者*正語・尊者*大号・尊者*仁賢・尊者*離垢・尊者*名聞・尊者*善実・尊者*具足・尊者*牛王・尊者*優楼頻蠃迦葉・尊者*伽耶迦葉・尊者*那提迦葉・尊者*摩訶迦葉・尊者*舎利弗・尊者*大目犍連・尊者*劫賓那・尊者*大住・尊者*大浄志・尊者*摩訶周那・尊者*満願子・尊者*離障・尊者*流潅・尊者*堅伏・尊者*面王・尊者*異乗・尊者*仁性・尊者*嘉楽・尊者*善来・尊者*羅云・尊者*阿難といひき。 みなこれらのごとき*上首たるものなり。
○其ノ名ヲバ曰フ↢尊者了本際・尊者正願・尊者正語・尊者大号・尊者仁賢・尊者離垢・尊者名聞・尊者善実・尊者具足・尊者牛王・尊者優楼頻*蠃迦葉・尊者伽耶迦葉・尊者那提迦葉・尊者摩訶迦葉・尊者舎利弗・尊者大目*犍連・尊者劫賓那・尊者大住・尊者大浄志・尊者摩訶周那・尊者満願子・尊者離*障・尊者流潅・尊者堅伏・尊者面王・尊者*異乗・尊者仁性・尊者*嘉楽・尊者善来・尊者羅云・尊者阿難ト↡。皆如キ↠斯クノ等ノ↡上首ノ者也。
一 Ⅰ ⅲ b 菩薩衆
イ 標列
(一)標
^▼また大乗のもろもろの菩薩と倶なりき。
○又与↢大乗ノ衆ノ菩薩↡倶ナリキ。
一 Ⅰ ⅲ b イ (二)列名
(Ⅰ)出家菩薩
^*普賢菩薩・*妙徳菩薩・慈氏菩薩 (*弥勒) 等の、 この*賢劫のなかの一切の菩薩、
○普賢菩薩・妙徳菩薩・慈氏菩薩等ノ此ノ賢劫ノ中ノ一切ノ菩薩、
一 Ⅰ ⅲ b イ (二)(Ⅱ)居家菩薩
^また賢護等の十六*正士、 善思議菩薩0246・信慧菩薩・空無菩薩・神通華菩薩・光英菩薩・慧上菩薩・智幢菩ぼ薩さつ・寂じゃく根こん菩ぼ0004薩さつ・願がん慧ね菩ぼ薩さつ・香象こうぞう菩ぼ薩さつ・宝英ほうよう菩ぼ薩さつ・中住ちゅうじゅう菩ぼ薩さつ・制せい行ぎょう菩ぼ薩さつ・解げ脱だつ菩ぼ薩さつなり。
○又賢護等ノ十六正士、善思議菩薩・信慧菩薩・空無菩薩・神0016通華菩薩・光英菩薩・慧上菩薩・智幢菩薩・寂根菩薩・願慧菩薩・香象菩薩・宝英菩薩・中住菩薩・制行菩薩・解脱菩薩ナリ。
一 Ⅰ ⅲ b ロ 嘆徳
(一)略嘆
【2】 ^みな*普ふ賢げん大だい士じの徳とくに遵したがへり。 もろもろの菩ぼ薩さつの無む量りょうの*行ぎょう願がんを具ぐし、 一切いっさい功く徳どくの法ほうに安あん住じゅうす。 十方じっぽうに遊歩ゆぶして権方便ごんほうべんを行ぎょうじ、
○皆*遵ヒテ↢普賢大士之徳ニ↡、具シ↢諸ノ菩薩ノ無量ノ行願ヲ↡、安↢住ス一切功徳之法ニ↡。遊↢歩シテ十方ニ↡行ジ↢権方便ヲ↡、
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)広嘆
(Ⅰ)八相応化の徳を明す【八相化儀】
(ⅰ)通標
^*仏法蔵ぶっぽうぞうに入いりて彼ひ岸がんを究く竟きょうし、 無む量りょうの世せ界かいにおいて *等覚とうがくを成じょうずることを現げんじたまふ。
○入リテ↢仏法蔵ニ↡究↢竟シ彼岸ヲ↡、於テ↢無量ノ世界ニ↡現ズ↠成ズルコトヲ↢等覚ヲ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)正しく八相を叙す
(a)正しく叙列す
(イ)処天相
^兜と率そつ天てんに処しょして正しょう法ぼうを弘ぐ宣せんし、
○処シテ↢兜*率天ニ↡弘↢宣シ正法ヲ↡、
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)下生相
^かの天てん宮ぐを捨すてて*神じんをタマシヒ 母も胎たいにハヽノハラニ降くだす。
●捨テテ↢彼ノ天宮ヲ↡降ス↢神ヲ母胎ニ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ハ)出生相
^右う脇きょうより生しょうじて 七しち歩ぶを行ゆくことを現げんず。 光こう明みょうは顕耀けんようにして、 あまねく十方じっぽうを照てらし、 無む量りょうの仏ぶつ土どは、 *六種ろくしゅに震動しんどうす。 声こえを挙あげてみづから称となふ、 「われまさに世よにおいて無む上じょう尊そんとなるべし」 と 。 *釈しゃく・梵ぼんは奉侍ぶじし、 天てん・人にんは帰き仰ごうす。
○従リ↢右脇↡生ジテ現ジテ↠行クコトヲ↢七歩ヲ↡、光明ハ顕曜ニシテ普ク照シ↢十方ヲ↡、無量ノ仏土ハ六種ニ*震動ス。挙ゲテ↠声ヲ自ラ称フ、吾当ニシト↣於↠世ニ為ル↢無上尊ト↡。釈・梵ハ奉侍シ、天・人ハ帰仰ス。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ニ)在家相
^算さん計げ・文芸もんげい・射しゃ御ごを示じ現げんして、 博ひろく道どう術じゅつを綜ならひ、 群ぐん籍じゃくを貫練かんれんしたまふ。 後ご園おんに遊あそびて武ぶを講こうじ芸げいを試こころみる。 宮く中ちゅう*色しき味みのあひだに処しょすることを現げんじ、
○示↢現シテ算計・文芸・射御ヲ↡博↢綜シ道術ヲ↡、貫↢練シタマフ群籍ヲ↡、遊ビテ↢於後園ニ↡講ジ↠武ヲ試ミ↠芸ヲ、現ズ↠処スルコトヲ↢宮中ノ色味之間ニ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ホ)出家相
^老ろう病びょう死しを見みて世よの*非ひ常じょうを悟さとる。 ^国くにと財ざいと位くらいを棄すてて山やまに入いりて道どうを学がくす。 服ぶく乗じょうの白びゃく馬め・宝冠ほうかん・瓔珞ようらく、 これを遣つかはして還かえさしむ。 珍ちん妙みょうの衣ころもを捨すてて法服ほうぶくを着ちゃくし、 鬚髪しゅほつを剃たい除じょし 、 樹じゅ下げに端たん坐ざし、 勤ごん苦くすること六年ろくねん、 行ぎょう、 所応しょおうのごとくまします。
○見テ↢老・病・死ヲ↡悟リ↢世ノ非常ヲ↡、棄テテ↢国ト財ト位ヲ↡入リテ↠ニ山学ス↠道ヲ。服乗ノ白馬、宝冠・瓔珞、遣シテ↠之ヲ令ム↠還ラ。捨テテ↢珍妙ノ衣ヲ↡而著シ↢法服ヲ↡、剃↢除シ*鬚髪ヲ↡、端↢坐シ樹下ニ↡、*勤苦スルコト六年、行如シ↢所応ノ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ヘ)成道相
^五ご濁じょくの*刹せつに現げんじて群ぐん生じょうに随ずい順じゅんす。 塵じん垢くありと示しめして*金こん流るに沐浴もくよくす。 天てんは樹きの枝えだを按おさへて池いけより攀よぢ出いづることを得えしむ。 *霊りょう禽きん、 *翼よく従じゅうして道どう場じょうに往詣おうげいす0247。 *吉きっ祥しょう、 *感かん徴ちょうして*功こう祚そを表章ひょうしょうす0005。 哀あわれんで施せ草そうを受うけて仏樹ぶつじゅの下もとに敷しき、 *跏趺かふして坐ざす。 大だい光こう明みょうを奮ふるつて、 魔まをしてこれを知しらしむ。 魔ま、 *官属かんぞくを率ひきゐて、 来きたりて逼せめ試こころみる。 制せいするに智ち力りきをもつてして、 みな降伏ごうぶくせしむ。 微み妙みょうの法ほうを得えて最さい正しょう覚がくを成なる。
○現ジテ↢五濁ノ刹ニ↡随↢順シ群生ニ↡、示シテ↠有リト↢塵垢↡沐↢浴ス金流ニ↡。天ハ*按ジテ↢樹ノ枝ヲ↡、得シム↣攀ヨヂ↢出ズルコトヲ池ヨリ↡。霊禽ハ翼従シテ往↢詣ス道場ニ↡。吉祥感徴シテ表↢章ス功祚ヲ↡。哀ミテ受ケテ↢施草ヲ↡敷キ↢仏樹ノ下ニ↡、*跏趺シテ而坐シ、奮ヒテ↢大光明ヲ↡、使ム↢魔ヲシテ知ラ↟之ヲ。魔率ヰテ↢官属ヲ↡而来リテ逼リ試ミルモ、制スルニ以テシテ↢智力ヲ↡、皆令ム↢降伏セ↡。得テ↢微妙ノ法ヲ↡成ズ↢最正覚ヲ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ト)転法輪相
^釈しゃく・梵ぼん、 祈き勧かんして*転てん法輪ぼうりんを請しょうず。 ˆ成じょう道どうせられし菩ぼ薩さつはˇ ▼仏ぶつの遊歩ゆぶをもつてし、 仏ぶつの吼くをもつて吼くす。 法ほう鼓くを扣たたき、 法ほう螺らを吹ふき、 法剣ほうけんを執とり、 法幢ほうどうを建たて、 法雷ほうらいを震ふるひ、 法電ほうでんを曜かがやかし、 法ほう雨うを澍そそぎ、 法ほう施せを演のぶ。 つねに法音ほうおんをもつて、 もろもろの世せ間けんを覚かくせしむ。
○釈・梵祈勧シテ請ズルニ↢転法輪ヲ↡、以テシ↢仏ノ遊歩ヲ↡、仏ノ吼ヲモテ而吼ス。扣キ↢法鼓ヲ↡、吹キ↢法*蠃ヲ↡、執リ↢法剣ヲ↡、建テ↢法幢0017ヲ↡、震ヒ↢法雷ヲ↡、曜カシ↢法電ヲ↡、*澍ギ↢法雨ヲ↡、演ベ↢法施ヲ↡、常ニ以テ↢法音ヲ↡覚セシム↢諸ノ世間ヲ↡。
^光こう明みょう、 あまねく無む量りょうの仏ぶつ土どを照てらし、 一切いっさい世せ界かい、 六種ろくしゅに震動しんどうす。 総そうじて魔ま界かいを摂せっし、 魔まの宮く殿でんを動どうず。 衆しゅ魔ま、 慴しょう怖ふして帰き伏ぶくせざるはなし。 邪網じゃもうを掴裂かくれつし、 *諸見しょけんを消しょう滅めつし、 もろもろの*塵労じんろうを散さんじ、 もろもろの欲塹よくぜんを壊やぶる。 *法ほう城じょうを厳ごん護ごして法門ほうもんを開闡かいせんす。 垢汚くおを洗せん濯じょくして清白しょうびゃくを顕けん明みょうす。 仏法ぶっぽうを光こう融ゆし、 正しょう化けを宣せん流るす。
○光明ハ普ク照シ↢無量ノ仏土ヲ↡、一切世界ハ六種ニ震動ス。総ジテ摂シ↢魔界ヲ↡、動シ↢魔ノ宮殿ヲ↡、衆魔*慴怖シテ莫シ↠不ルハ↢帰伏セ↡。掴↢裂シ邪網ヲ↡、消↢滅シ諸見ヲ↡、散ジ↢諸ノ塵労ヲ↡、壊ヤブル↢諸ノ欲塹ヲ↡。厳↢護シテ法城ヲ↡開↢闡シ法門ヲ↡、洗↢濯シテ垢汚ヲ↡顕↢明ス清白ヲ↡。光↢融シ仏法ヲ↡、宣↢流ス正化ヲ↡。
^国くにに入いりて*分ぶん衛えして、 もろもろの豊ぶ膳ぜんを獲え、 功く徳どくを貯たくわへしめ、 *福田ふくでんを示しめす。 法ほうを宣のべんと欲ほっして欣ごん笑しょうを現げんず。 もろもろの法薬ほうやくをもつて三さん苦くを救く療りょうし、 *道どう意い無む量りょうの功く徳どくを顕現けんげんす。 菩ぼ薩さつに記きを授さずけ、 *等とう正しょう覚がくを成ならしむ。
○入リテ↠国ニ分衛シテ、*獲↢諸ノ豊膳ヲ↡、貯ヘシメ↢功徳ヲ↡、示シ↢福田ヲ↡、欲シテ↠宣ベムト↠法ヲ現ジ↢欣笑ヲ↡、以テ↢諸ノ法薬ヲ↡救↢療ス三苦ヲ↡。顕↢現シ道意無量ノ功徳ヲ↡、授ケ↢菩薩ニ記ヲ↡、成ゼシム↢等正覚ヲ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(チ)涅槃相
^滅めつ度どを示じ現げんすれども、 拯じょう済さいすること極きわまりなし。 *諸しょ漏ろを消しょう除じょして、 もろもろの徳本とくほんを植うゑ、 功く徳どくを具ぐ足そくせしむること、 微み妙みょうにして量はかりがたし0006。
○示↢現スレドモ滅度ヲ↡、拯済スルコト無シ↠極リ。消↢除シテ諸漏ヲ↡、*植ヱ↢衆ノ徳本ヲ↡、具↢足スルコト功徳ヲ↡微妙ニシテ難シ↠量リ。
^諸仏しょぶつの国くにに遊あそびてあまね0248く*道どう教きょうを現げんず。 その修しゅ行ぎょうするところ、 清浄しょうじょうにして穢えなし。
○遊ビテ↢諸仏ノ国ニ↡普ク現ズ↢道教ヲ↡。其ノ所↢修ノ行↡、清浄ニシテ無シ↠穢。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)譬を設けて神徳を示す
^たとへば*幻げん師しのもろもろの異い像ぞうを現げんじて、 男おとことなし、 女おんなとなして、 変へんぜざるところなく、 *本学ほんがく明了みょうりょうにして*意こころの所しょ為いにあるがごとし。
○譬ヘバ如シ↧幻師ノ現ズルニ↢衆ノ異像ヲ↡、為シ↠男ト為シテ↠女ト、無ク↠所↠不ル↠変ゼ、本学明了ニシテ在ルガ↦意ノ所為ニ↥。
^このもろもろの菩ぼ薩さつ、 またまたかくのごとし。 一切いっさいの法ほうを学がくして*貫綜かんそう縷る練れんす。 *所しょ住じゅう安諦あんたいにして化けを致いたさざることなし。 無む数しゅの仏ぶつ土どにみなことごとくあまねく現げんず。 いまだかつて慢まん恣しせず。 衆しゅ生じょうを愍みん傷しょうす。
○此ノ諸ノ菩薩モ亦復如シ↠是クノ。学シテ↢一切ノ法ヲ↡貫綜縷練シ、所住安諦ニシテ靡シ↠不ルハ↠*致サ↠化ヲ。無数ノ仏土ニ皆悉ク普ク現ジ、未ダ↢曽テ慢恣セ↡、愍↢傷ス衆生ヲ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)総結
^かくのごときの法ほう、 一切いっさい具ぐ足そくせり。
○如キ↠是クノ之法、一切具足シ、
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)重ねて諸徳を列ね広嘆す
・遊化諸仏国
^菩ぼ薩さつの経きょう典てん、 要よう妙みょうを究く暢ちょうし、 名称みょうしょうあまねく至いたりて十方じっぽうを導どう御ごす。 無む量りょうの諸仏しょぶつ、 ことごとくともに護ご念ねんしたまふ。 *仏ぶつの所しょ住じゅう は、 みなすでに住じゅうすることを得えたり。 *大だい聖しょうの所しょ立りゅう は、 しかもみなすでに立りゅうす。 如来にょらいの導どう化けは、 おのおのよく宣せん布ぷして、 もろもろの菩ぼ薩さつのために、 しかも大だい師しとなる。 甚深じんじんの*禅ぜん・慧えをもつて衆人しゅにんを開導かいどうす。 *諸法しょほうの性しょうを通さとり、 衆しゅ生じょうの相そうに達たっせり。 あきらかに諸国しょこくを了さとりて諸仏しょぶつを供く養ようしたてまつる。 その身みを化け現げんすること、 なほ電光でんこうのごとし。
○菩薩ノ経典究↢暢シテ要妙ヲ↡、名称普ク至リテ導↢御ス十方ヲ↡。無量ノ諸仏、咸ク共ニ護念シタマフ。仏ノ所住者皆已ニ得タリ↠住スルコトヲ、大聖ノ所立ハ、而モ皆已ニ立ス。如来ノ導化ハ各ノ能ク宣布シテ、為ニ↢諸ノ菩薩ノ↡、而モ作リ↢大師ト↡、以テ↢甚深ノ禅・慧ヲ↡開↢導ス衆*人ヲ↡。通ジ↢諸法ノ性ニ↡、達シ↢衆生ノ相ニ↡、明ニ了サトリテ↢諸国ヲ↡供↢養シタテマツル諸仏ヲ↡。化↢現スルコト其ノ身ヲ↡猶如シ↢電光ノ↡。
・菩薩自利
^よく*無畏むいの網もうを学がくして、 あきらかに*幻げん化けの法ほうを了りょうす。 魔ま網もうを壊え裂れつし、 もろもろの*纏縛てんばくを解とく。 声しょう聞もん・縁覚えんがくの地じを超ちょう越おつして、 *空くう・無む相そう・無む願がん三昧ざんまいを得えたり。 よく方便ほうべんを立りゅうして三さん乗じょうを顕けん示じす。 この*中ちゅう下げにおいて、 しかも滅めつ度どを現げんずれども、 また0007所しょ作さなく、 また所しょ有うなし。 不起ふき・不ふ滅めつにして平びょう等どう0249の法ほうを得えたり。 無む量りょうの総そう持じ、 百ひゃく千せんの三昧さんまいを具ぐ足そくし成じょう就じゅす。 *諸根しょこん智慧ちえ、 *広こう普ふ寂定じゃくじょうにして、 深ふかく菩ぼ薩さつの法蔵ほうぞうに入いり、 *仏ぶつ華け厳ごん三昧ざんまいを得えて一切いっさいの経きょう典てんを宣せん暢ちょうし演説えんぜつす。
○善ク学シテ↢無畏*之網ヲ↡、暁ニ了サトリ↢幻*化之法0018ヲ↡、壊↢裂シ魔*網ヲ↡、解ク↢諸ノ纏縛ヲ↡。超↢越シテ声聞・縁覚之地ヲ↡、得タリ↢空・無相・無願三昧ヲ↡、善ク立シテ↢方便ヲ↡顕↢示ス三乗ヲ↡。於テ↢此ノ*中下ニ↡而モ現ズレドモ↢滅度ヲ↡、亦無ク↢所作↡、亦無シ↢所有↡。不起・不滅ニシテ得タリ↢平等ノ法ヲ↡、具↢足シ成↣就ス無量ノ総持、百千ノ三昧、諸根ノ「智*慧ヲ↡。広普寂定ニシテ深ク入リ↢菩薩ノ法蔵ニ↡、得テ↢仏ノ華厳三昧ヲ↡宣↢*暢シ演↣説ス一切ノ経典ヲ↡。
・菩薩利他
^深じん定じょう門もんに住じゅうして、 ことごとく現在げんざいの無む量りょうの諸仏しょぶつを覩みたてまつること、 一念いちねんのあひだに周しゅう遍へんせざることなし。 もろもろの*劇ぎゃく難なんと、 もろもろの閑げんと*不ふ閑げんとを済すくひて、 真実しんじつの際さいを分別ふんべつし顕けん示じす。 もろもろの如来にょらいの*弁才べんざいの智ちを得え、 もろもろの言音ごんのんを入さとりて一切いっさいを開かい化けす。 世せ間けんのもろもろの*所しょ有うの法ほうに超ちょう過かして、 心こころつねにあきらかに度世どせの道どうに住じゅうす。 一切いっさいの万物まんもつにおいて、 しかも随ずい意い自じ在ざいなり。 もろもろの*庶類しょるいのために*不ふ請しょうの友ともとなる。 群ぐん生じょうを荷負かぶしてこれを重じゅうオモキ担たんニ とす。
○住シテ↢深定門ニ↡、悉ク覩タテマツルコト↢現在ノ無量ノ諸仏ヲ↡、一念之*頃ニ無シ↠不ルハ↢周徧セ↡。済ヒテ↢諸ノ劇難ト諸ノ閑ト不閑トヲ↡、分↢別シ顕↣示ス真実之際ヲ↡。得↢諸ノ如来ノ*弁才之智ヲ↡、入サトリテ↢衆ノ言音ヲ↡開↢化ス一切ヲ↡。超↢過シテ世間ノ諸ノ所有ノ法ニ↡、心常ニ諦ニ住ス↢度世之道ニ↡。於テ↢一切ノ万物ニ↡*而モ随ヒ↠意ニ自在ニ。為ニ↢*諸ノ庶類ノ↡作リテ↢不請之友ト↡、荷↢負シテ群生ヲ↡為ス↢之ヲ重*担ト↡。
^如来にょらいの甚深じんじんの法蔵ほうぞうを受じゅ持じし、 *仏種ぶっしゅ性しょうを護まもりて、 つねに絶たえざらしむ。 大だい悲ひを興おこして衆しゅ生じょうを愍あわれみ、 慈じ弁べんを演のべ、 法眼ほうげんを授さずく。 三趣さんしゅを杜ふさぎ、 善門ぜんもんを開ひらく。 不ふ請しょうの法ほうをもつてもろもろの*黎庶れいしょに施ほどこすこと、 純孝じゅんきょうの子この父母ぶもを愛あい敬きょうするがごとし。 もろもろの衆しゅ生じょうにおいて視みそなはすこと、 自己じこのごとし。
○受↢持シ如来ノ甚深ノ法蔵ヲ↡、護リテ↢仏種性ヲ↡常ニ使メ↠不ラ↠絶ヱ、興シテ↢大悲ヲ↡愍ミ↢衆生ヲ↡、演ベ↢慈*弁ヲ↡、授ケ↢法眼ヲ↡、杜フサギ↢三趣ヲ↡、開ク↢善門ヲ↡。以テ↢不請之法ヲ↡施スコト↢諸ノ黎庶ニ↡、*如シ↣純孝*之子ノ*愛↢敬スルガ父母ヲ↡。於テ↢諸ノ衆生ニ↡視ルコト*若シ↢自己ノ↡。
一 Ⅰ ⅲ b ロ (二)(Ⅲ)結嘆
^一切いっさいの善本ぜんぽんみな彼ひ岸がんに度どす。 ことごとく諸仏しょぶつの無む量りょうの功く徳どくを獲う。 智慧ちえ聖明しょうみょうなること不可ふか思議しぎなり。
○一切ノ善本ヲモテ皆度シ↢彼岸ニ↡、悉ク獲シム↢諸仏ノ無量ノ功徳ヲ↡。智*慧聖明ナルコト不可思議ナリ。
一 Ⅰ ⅲ b ハ 総結
^かくのごときらの菩ぼ薩さつ大だい士じ、 称しょう計げすべからず、 一いち時じに来らい会えす。
○如キ↠是クノ*之等ノ菩薩*大士、不シテ↠可カラ↢称計ス↡一時ニ来会ス。
一 Ⅱ 発起序
ⅰ 如来現相
【00083】 ^▼その時ときに、 ↓世せ尊そん、 *諸根しょこん悦えつ予よし、 姿し色しき清浄しょうじょうにして*光顔こうげん巍々ぎぎとまします。
○爾ノ時ニ世尊、諸根悦予シ、姿色清浄ニシテ光顔巍巍トマシマス。
一 Ⅱ ⅱ 阿難請問
a 進問威徳
^▼尊者そんじゃ阿あ難なん0250、 仏ぶつの聖しょう旨しを承うけてすなはち座ざより起たちて、 *ひとへに右みぎの肩かたを袒かたぬぎ、 *長じょう跪き合がっ掌しょうして、 仏ぶつにまうしてまうさく、
○尊者阿難承ケテ↢仏ノ聖旨ヲ↡即チ従リ↠座起チテ、偏ニ袒ギ↢右ノ肩ヲ↡、長跪合掌シテ而白シテ↠仏ニ言ク、
一 Ⅱ ⅱ b 正問
イ 清見を述ぶ
^▼「今日こんにち↑世せ尊そん、 諸根しょこん悦えつ予よし、 姿し色しき清浄しょうじょうにして光顔こうげん巍々ぎぎとましますこと、 *明浄みょうじょうなる鏡かがみの影かげ、 表ひょう裏りに暢とおるがごとし。 *威い容よう顕曜けんようにして超ちょう絶ぜつしたまへること無む量りょうなり。 いまだかつて*瞻せん覩とせず、 殊しゅ妙みょうなること今きょうのごとくましますをば。
○今日世尊、諸根悦予シ姿色清0019浄ニシテ光顔巍巍トマシマスコト、如シ↣明*浄ナル鏡ノ影暢ルガ↢表裏ニ↡。威容顕曜ニシテ超絶シタマヘルコト無量ナリ。未ダ↢*曽テ瞻覩セ↡、殊妙ナルコト如クマシマスヲバ↠今ノ。
一 Ⅱ ⅱ b ロ 心念を申す
(一)標
^◆*やや、 しかなり。 大だい聖しょう、 われ心こころに念言ねんごんすらく、
○唯然ナリ。大聖、我心ニ念言スラク、
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)正申
(Ⅰ)其の所在を推す【五徳瑞現】
^◆今日こんにち世せ尊そん、 ▼*奇き特どくの法ほうに住じゅうしたまへり。 今日こんにち世せ雄おう、 *仏ぶつの所しょ住じゅうに住じゅうしたまへり。 今日こんにち世せ眼げん、 *導どう師しの行ぎょうに住じゅうしたまへり。 今日こんにち世せ英よう、 *最さい勝しょうの道どうに住じゅうしたまへり。 今日こんにち天尊てんそん、 *如来にょらいの徳とくを行ぎょうじたまへり。
○今日世尊住シタマヘリ↢奇*特ノ法ニ↡。今日世雄住シタマヘリ↢*仏ノ所住ニ↡。今日世眼住シタマヘリ↢導*師ノ行ニ↡。今日世英住シタマヘリ↢最*勝ノ道ニ↡。今日天尊行ジタマヘリ↢如*来ノ徳ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)其の所念を推す〔仏仏相念〕
^▼去こ来現らいげんの仏ぶつ、 仏ぶつと仏ぶつとあひ念ねんじたまふ。 いまの仏ぶつも諸仏しょぶつを念ねんじたまふことなきことを得えんや。
○去・来・現ノ*仏、仏ト仏ト相念ジタマフ。得ム↠無キコトヲ↣今ノ仏モ念ジタマフコト↢諸仏ヲ↡耶。
一 Ⅱ ⅱ b ハ 結問
^◆なんがゆゑぞ、 威い神じん光々こうこうたることいまし、 しかるや」 と。
○何ガ故ゾ威神光光タルコト乃チ爾ルヤト。
一 Ⅱ ⅲ 世尊開示
a 所問を嘆ず
イ 先づ問の所由を訂す
(一)検問
^▼ここにおいて世せ尊そん、 阿あ難なんに告つげてのたまはく、 「いかんぞ阿あ難なん、 諸天しょてんのなんぢを教おしへて仏ぶつに来きたし問とはしむるか。 みづから慧え見けんをもつて威い顔げんを問とへるか」 と。
○於テ↠是ニ世尊告ゲテ↢阿難ニ↡曰ク、云何ガ阿難、諸天ノ教ヘテ↠汝ヲ来リテ問ハシムル↠仏ニ耶、自ラ以テ↢*慧見ヲ↡問ヘリ↢威顔ヲ↡乎ト。
一 Ⅱ ⅲ a イ (二)実答
^◆阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「諸天しょてんの来きたりてわれを教おしふるものあることなし。 みづから所見しょけんをもつてこの義ぎを問とひたてまつる のみ」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、無シ↠有ルコト↢諸天ノ来リテ教フル↠我ヲ者↡。自ラ以テ↢所見ヲ↡問ヒタテマツル↢斯ノ義ヲ↡耳ト。
一 Ⅱ ⅲ a ロ 正嘆
(一)総嘆
^▼仏ぶつのたまはく、 「善よいかな阿あ難なん、 問とへるところはなはだ快こころよし。
○仏言ク、善哉阿難、所ハ↠問ヘル甚ダ快シ。
一 Ⅱ ⅲ a ロ (二)別嘆
(Ⅰ)問者の徳を嘆ず
^▼深ふかき智慧ちえ、 真しん妙みょうの弁べん0009才ざいを発おこし、 衆しゅ生じょうを愍念みんねんせんとしてこの*慧義えぎを問とへり。
○発シ↢深キ智*慧、真妙ノ*弁才ヲ↡、愍↢念セムトシテ衆生ヲ↡問ヘリ↢斯ノ*慧義ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)深き聖心に叶ふを嘆ず
(ⅰ)出世の本意を明す【出世本懐】
^▼如来にょらい、 *無む蓋がいの大だい悲ひをもつて三界さんがいを矜哀こうあいしたまふ。 世よに出しゅっ興こうするゆ0251ゑは、 道どう教きょうを*光闡こうせんして、 ▼群萌ぐんもうを拯すくひ▼恵めぐむに▼*真実しんじつの利りをもつてせんと欲おぼしてなり。
○如来以テ↢無*蓋ノ大悲ヲ↡矜↢哀シタマフ三界ヲ↡。所↣以ハ出↢興スル於世ニ↡、光↢闡シテ道教ヲ↡*欲スレバナリ↧*拯ヒ↢群萌ヲ↡*恵ムニ以テセムト↦真実之利ヲ↥。
一 Ⅱ ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)譬に約して希有を示す
^▼無む量りょう億おく劫こうにも値あひがたく見みたてまつりがたきこと、 なほ*霊瑞れいずい華けの、 時ときありて、 時ときにいまし出いづるがごとし、
○無量億劫ニモ難ク↠値ヒ難キコト↠見マミエ、猶シ↢霊瑞華ノ、時アリテ時ニ乃チ出ヅルガ↡。
一 Ⅱ ⅲ a ロ (三)結嘆
^◆いま問とへるところは、 *饒にょう益やくするところ多おおし。 一切いっさいの諸天しょてん・人民にんみんを開かい化けす。
○今所↠問ヘル者多ク↠所↢饒益スル↡、開↢化ス一切ノ諸天・人民ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ b 正開示
イ 其の念言を許し仏の所住を述す
^◆阿あ難なん、 まさに知しるべし、 如来にょらいの正しょう覚がくは、 その智ち量はかりがたくして、 ˆ衆しゅ生じょうをˇ 導どう御ごするところ多おおし。 *慧え見けん無礙むげにして、 よく*遏あつ絶ぜつすることなし。
○阿難、当ニシ↠知ル、如来ノ正覚ハ、其ノ智難クシテ↠量リ、多シ↠所↢導御スル↡。慧見無礙ニシテ無シ↢能ク遏絶スルコト↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ 其の所見に応じて仏身の勝れたるを述す
(一)正に勝相を明す
^*一餐いちざんの力ちからをもつて、 よく寿じゅ命みょうを住とどめたまふこと、 億おく百ひゃく千劫せんごう無む数しゅ無む量りょうにして、 またこれよりも過すぎたまへり。 諸根しょこん悦えつ予よしてもつて毀き損そんせず。 姿し色しき変へんぜず、 光顔こうげん異ことなることなし。
○以テ↢一*餐之力ヲ↡、能ク住メタマフコト↢寿命ヲ↡、億百千劫無数無量ニシテ復過ギタマヘリ↢於此ニ↡。諸根悦予シテ不↢以テ毀損セ↡。姿色不↠変ゼ、光顔無シ↠異ルコト。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)其の所以を明す
^ゆゑはいかん。 如来にょらいは、 定じょうと慧えと究く暢ちょうしたまへること極きわまりなし。 一切いっさいの法ほうにおいて自じ在ざいを得えたまへり。
○所以者何ン。如来ハ定ト慧ト究暢シタマヘルコト無ク↠極リ、於テ↢一切ノ法ニ↡而得タマヘリ↢自在ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ 正説を許開す
^阿あ難なん、 あきらかに聴きけ、 いまなんぢがために説とかん」 と。
○阿難、諦ニ聴ケ、今為ニ↠汝ガ説カムト。
一 Ⅱ ⅳ 正衆会楽聞
^▼対こたへてまうさく、 「やや、 しかなり。 *願がん楽ぎょうして聞ききたてまつらんと欲おもふ」 と。▼
○対へテ曰ク唯然ナリ。願楽シテ欲スト↠聞キタテマツラムト。
二 正宗分
Ⅰ 法蔵因位の願行を明す
ⅰ 発願の生起を明す【法蔵発願】
a 所値の仏を明す
イ 過去の仏を挙ぐ【五十三仏】
(一)最初の仏を標す
【4】 ^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼*乃往ないおう過去かこ久く遠おん無む量りょう不可ふか思議しぎ*無む央数おうしゅ劫こうに、 1*錠じょう光こう如来にょらい、 世よに興こう出しゅつして無む量りょうの衆しゅ生じょうを教きょう化けし*度ど脱だつして、 みな道どうを得えしめてすなはち滅めつ度どを取とりたまひき。
○仏0020告ゲタマハク↢阿難ニ↡、乃往過去久遠無量不可思議無*央数劫ニ、錠光如来興↢出シテ於世ニ↡、教↢化シ度↣脱シテ無量ノ衆生ヲ↡、皆令メテ↠得↠道ヲ乃チ取リタマヘリ↢滅度ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ a イ (二)中間出世仏
^◆次つぎに如来にょらいましましき、 名なをば2光遠こうおんといふ。 次つぎをば3月がっ光こう0010と名なづく。 次つぎをば4栴檀せんだん香こうと名なづく。 次つぎをば5善山ぜんせん王のうと名なづく。
○次ニ有シテ↢如来↡、名ケテ曰フ↢光遠ト↡。次ヲバ名ク↢月光ト↡。次ヲバ名ク↢*栴檀香ト↡。次ヲバ名ク↢善山王ト↡。
^次つぎをば6須しゅ弥み天冠てんがんと名な0252づく。 次つぎをば7須しゅ弥み等曜とうようと名なづく。 次つぎをば8月色がっしきと名なづく。 次つぎをば9正しょう念ねんと名なづく。 次つぎをば10離垢りくと名なづく。
~次ヲバ名ク↢須弥天冠ト↡。次ヲバ名ク↢須弥等曜ト↡。次ヲバ名ク↢月色ト↡。次ヲバ名ク↢正念ト↡。次ヲバ名ク↢離垢ト↡。
^次つぎをば11無む著じゃくと名なづく。 次つぎをば12龍りゅう天てんと名なづく。 次つぎをば13夜や光こうと名なづく。 次つぎをば14安あん明頂みょうちょうと名なづく。 次つぎをば15不ふ動どう地じと名なづく。
~次ヲバ名ク↢無著ト↡。次ヲバ名ク↢龍天ト↡。次ヲバ名ク↢夜光ト↡。次ヲバ名ク↢安明頂ト↡。次ヲバ名ク↢不動地ト↡。
^次つぎをば16瑠璃るり妙みょう華けと名なづく。 次つぎをば17瑠璃るり金色こんじきと名なづく。 次つぎをば18金蔵こんぞうと名なづく。 次つぎをば19焔光えんこうと名なづく。 次つぎをば20焔根えんこんと名なづく。
~次ヲバ名ク↢*瑠璃妙華ト↡。次ヲバ名ク↢*瑠璃金色ト↡。次ヲバ名ク↢金蔵ト↡。次ヲバ名ク↢焔光ト↡。次ヲバ名ク↢焔根ト↡。
^次つぎをば21地じ動どうと名なづく。 次つぎをば22月像がつぞうと名なづく。 次つぎをば23日音にっとんと名なづく。 次つぎをば24解げ脱だつ華けと名なづく。 次つぎをば25荘しょう厳ごん光こう明みょうと名なづく。
~次ヲバ名ク↢地*動ト↡。次ヲバ名ク↢月像ト↡。次ヲバ名ク↢日音ト↡。次ヲバ名ク↢解脱華ト↡。次ヲバ名ク↢荘厳光明ト↡。
^次つぎをば26海覚かいかく神通じんずうと名なづく。 次つぎをば27水光すいこうと名なづく。 次つぎをば28大香だいこうと名なづく。 次つぎをば29離り塵じん垢くと名なづく。 次つぎをば30捨厭しゃえん意にと名なづく。
~次ヲバ名ク↢海覚神通ト↡。次ヲバ名ク↢水光ト↡。次ヲバ名ク↢大香ト↡。次ヲバ名ク↢離塵垢ト↡。次ヲバ名ク↢捨厭意ト↡。
^次つぎをば31宝焔ほうえんと名なづく。 次つぎをば32妙頂みょうちょうと名なづく。 次つぎをば33勇ゆう立りゅうと名なづく。 次つぎをば34功く徳どく持慧じえと名なづく。 次つぎをば35蔽日へいにち月光がっこうと名なづく。
~次ヲバ名ク↢宝焔ト↡。次ヲバ名ク↢妙頂ト↡。次ヲバ名ク↢勇立ト↡。次ヲバ名ク↢功徳持慧ト↡。次ヲバ名ク↢蔽日月光ト↡。
^次つぎをば36日月にちがつ瑠璃るり光こうと名なづく。 次つぎをば37無む上じょう瑠璃るり光こうと名なづく。 次つぎをば38最さい上じょう首しゅと名なづく。 次つぎをば39菩ぼ提だい華けと名なづく。 次つぎをば40月がつ明みょうと名なづく。
~次ヲバ名ク↢日月*瑠璃光ト↡。次ヲバ名ク↢無上*瑠璃光ト↡。次ヲバ名ク↢最上首ト↡。次ヲバ名ク↢菩提華ト↡。次ヲバ名ク↢月明ト↡。
^次つぎをば41日光にっこうと名なづく。 次つぎをば42華け色王しきおうと名なづく。 次つぎをば43水月すいがっ光こうと名なづく。 次つぎをば44除じょ痴ち瞑みょうと名なづく。 次つぎをば45度ど蓋がい行ぎょうと名なづく。
~次ヲバ名ク↢日光ト↡。次ヲバ名ク↢華色王ト↡。次ヲバ名ク↢水月光ト↡。次ヲバ名ク↢除痴*瞑ト↡。次ヲバ名ク↢度蓋行ト↡。
^次つぎをば46浄じょう信しんと名なづく。 次つぎをば47善ぜん宿しゅくと名なづく。 次つぎをば48威い神じんと名なづく。 次つぎをば49法ほう慧えと名なづく。 次つぎをば50鸞音らんのんと名なづく。
~次ヲバ名ク↢浄信ト↡。次ヲバ名ク↢善宿ト↡。次ヲバ名ク↢威神ト↡。次ヲバ名ク↢法慧ト↡。次ヲバ名ク↢鸞音ト↡。
^次つぎをば51師子しし音おんと0011名なづく0253。 次つぎをば52龍りゅう音おんと名なづく。 ▼次つぎをば53処しょ世せと名なづく。
~次ヲバ名ク↢師子音ト↡。次ヲバ名ク↢龍音トト↡。次ヲバ名ク↢処世ト↡。
二 Ⅰ ⅰ a イ (三)総結
^◆かくのごときの諸仏しょぶつ、 みなことごとくすでに過すぎたまへり。
○如キノ↠此クノ諸仏、皆悉ク已ニ過ギタマヘリ。
二 Ⅰ ⅰ a ロ 正しく所値の仏を明す
【5】 ^◆その時ときに、 次つぎに仏ぶつましましき。 *世せ自じ在ざい王おう*如来にょらい・1応おう供ぐ・2等とう正しょう覚がく・3明行みょうぎょう足そく・4善逝ぜんぜい・5世せ間けん解げ・6無む上じょう士じ・7調じょう御ご丈じょう夫ぶ・8天人てんにん師し・9仏ぶつ・10世せ尊そんと名なづけたてまつる。
○爾ノ時ニ次ニ有シテ↠仏、名ケタテマツル↢世自在王如来・応供・等正覚・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊ト↡。
二 Ⅰ ⅰ b 発願の主を明す
^▼時ときに国王こくおうありき。 仏ぶつ (世自在王仏) の説法せっぽうを聞ききて、 心こころに悦えつ予よを懐いだく。 すなはち*無む上じょう正しょう真しん道どうの意こころを発おこす。 ▼国くにを棄すて王おうを捐すてて、 行ぎょうじて沙門しゃもんとなる。 号ごうして*法蔵ほうぞうといふ。 高才こうざい勇哲ゆうてつにして、 世よと超ちょう異いす。
○時ニ有リキ↢国王↡。聞キテ↢仏ノ説法ヲ↡、心ニ懐ク↢悦予ヲ↡。尋スナハ0021チ発ス↢無上正真道ノ意ヲ↡。棄テ↠国ヲ捐テテ↠王ヲ行ジテ作リ↢沙門ト↡、号シテ曰フ↢法蔵ト↡。高才勇哲ニシテ、与↠世超異ス。
二 Ⅰ ⅰ c 讃偈発願【讃仏偈】
イ 説偈敬儀
^▼世せ自じ在ざい王おう如来にょらいの所みもとに詣もうでて仏足ぶっそくを稽首けいしゅし、 右みぎに繞めぐること*三帀さんぞうして、 長じょう跪き合がっ掌しょうして、 *頌じゅをもつて讃ほめてまうさく、
○詣デテ↢世自在王如来ノ所ニ↡稽↢首シ仏足ヲ↡、右ニ繞ルコト三帀シテ、長跪合掌シテ、以テ↠頌ヲ讃ジテ曰ク、
二 Ⅰ ⅰ c ロ 正頌文
(一)仏徳を嘆ず
(Ⅰ)別して三業の徳を嘆ず
(ⅰ)身業を嘆ず
^ª光顔こうげん巍々ぎぎとして、 威い神じん極きわまりなし。
^かくのごときの*焔えん明みょう、 ともに等ひとしきものなし。
^日にち・月がつ・摩尼まに珠光しゅこうの焔耀えんようも、
^みなことごとく隠蔽おんぺいせられて、 なほ*聚墨じゅもくのごとし。
^如来にょらいの容顔ようげんは、 世よに超こえて倫たぐいなし。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)口業を嘆ず
^正しょう覚がくの大音だいおん、 響ひびき十方じっぽうに流ながる。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (一)(Ⅰ)(ⅲ)意業を嘆ず
^*戒かいと聞もんと精しょう進じんと三昧さんまいと智慧ちえとの
^威い徳とくは、 侶ともがらなくして、 殊しゅ勝しょうにして希有けうなり。
^0012深ふかくあきらかに、 よく諸仏しょぶつの法海ほうかいを念ねんじて、
^深ふかきを窮きわめ奥おくを尽つくして、 その0254涯底がいたいを究きわむ。
^*無む明みょうと欲よくと怒いかりとは、 世せ尊そんに永ながくましまさず。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (一)(Ⅱ)総じて諸徳を嘆ず
^*人雄にんのう獅子ししにして*神徳じんとく無む量りょうなり。
^功く勲くん広大こうだいにして、 智慧ちえ深じん妙みょうなり。
^光こう明みょうの威い相そうは、 大千だいせんを震動しんどうす。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)志願を述ぶ
(Ⅰ)総じて願心を立つ
(ⅰ)成仏を願ず
^願ねがはくは、 われ仏ぶつとならんに、 *聖しょう法王ほうおうに斉ひとしく、
^生しょう死じを過度かどして、 解げ脱だつせざることなからしめん。
○過↢度シテ生死ヲ↡ | 靡カラシメム↠不ルハ↢解脱セ↡ |
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)功徳を願求す
^布施ふせ・*調じょう意い・戒かい・忍にん・精しょう進じん、
^かくのごときの三昧さんまい、 智慧ちえ上すぐれたりとせん。
○如キノ↠是クノ三昧ト | 智慧トハ為サム↠上スグレタリト |
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅱ)果を期し誓を立つ
(ⅰ)正誓
^われ誓ちかふ、 仏ぶつを得えたらんに、 あまねくこの願がんを行ぎょうじて、
^一切いっさいの恐懼くく ˆの衆しゅ生じょうˇ に、 ために大安だいあんをなさん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)徳を述べ其の心を励ます
^たとひ仏ぶつましまして、 百ひゃく千せん億万おくまんの
^無む量りょうの*大だい聖しょう、 数かず恒沙ごうじゃのごとくならんに、
^一切いっさいのこれらの諸仏しょぶつを供く養ようしたてまつらんよりは、
○0022供↢養シタテマツルヨリハ一切ノ | 斯等ノ諸仏ヲ↡ |
^道どうを求もとめて、 堅けん正しょうにして却しりぞかざらんにはしかじ。
○不↠如カ↢求ムルコト↠道ヲ | 堅正ニシテ不ルニハ↟却カ |
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅲ)重ねて果上の身土を願ず
(ⅰ)法身功徳を願ず
^たとへば恒沙ごうじゃのごときの諸仏しょぶつの世せ界かい、
^また計かぞふべからざる無む数しゅの刹せつ土どあらんに、
^光こう明みょうことごとく照てらして、 このもろもろの国くにに遍へんし、
^かくのごとく0013精しょう進じんにして、 威い神じん量はかりがたからん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)国土荘厳を願ず
^われ仏ぶつとならんに、 国こく土どをして◗第一だいいちならしめん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅲ)(ⅲ)摂衆生を願ず
(a)自国を摂す
^その衆しゅう奇き妙みょうにして、 道どう場じょう超ちょう絶ぜつなら0255ん。
^国くに*泥洹ないおんのごとくして、 しかも等ひとしく双ならぶものなからしめん。
○国如クシテ↢泥洹ノ↡ | 而モ無カラシメム↢等シク双ブモノ↡ |
二 Ⅰ ⅰ c ロ (二)(Ⅲ)(ⅲ)(b)他土を摂す
^われまさに哀愍あいみんして、 一切いっさいを度ど脱だつすべし。
^十方じっぽうより来らい生しょうせんもの、 心悦しんえつ清浄しょうじょうにして、
^すでにわが国くにに到いたらば、 快け楽らく安穏あんのんならん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (三)証明を請ず
(Ⅰ)別して現在仏に請ず
^幸ねがはくは仏ぶつ (世自在王仏)、 *信しん明みょうしたまへ、 これわが*真証しんしょうなり。
^願がんを発おこして、 かしこにして所欲しょよくを*力りき精しょうせん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (三)(Ⅱ)広く諸仏に請ず
^十方じっぽうの世せ尊そん、 智慧ちえ無礙むげにまします。
^つねにこの尊そんをしてわが*心しん行ぎょうを知しらしめん。
二 Ⅰ ⅰ c ロ (四)誓を結して心を立つ
^たとひ身みをもろもろの苦く毒どくのうちに止おくとも、
^わが行ぎょう、 精しょう進じんにして、 忍しのびてつひに悔くいじº」 と。
二 Ⅰ ⅰ d 選択摂取の相を明す【思惟摂取】
イ 菩薩求請
【6】 ^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「法蔵ほうぞう比丘びく、 この頌じゅを説ときをはりて、 仏ぶつ (世自在王仏) にまうしてまうさく、〈やや、 しかなり。 世せ尊そん、 ▼われ*無む上じょう正しょう覚がくの心しんを発おこ0014せり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、法蔵比丘説キ↢此ノ頌ヲ↡已リテ而白シテ↠仏ニ言ク、唯然ナリ。世尊、我発セリ↢無上正覚之心ヲ↡。
^◆願ねがはくは仏ぶつ、 わがために広ひろく経きょう法ぼうを宣のべたまへ。 われまさに修しゅ行ぎょうして仏国ぶっこくを*摂取せっしゅし、 清浄しょうじょうに無む量りょうの妙みょう土どを荘しょう厳ごんすべし。 われをして世よにおいてすみやかに正しょう覚がくを成なりて、 もろもろの0256生しょう死じ勤ごん苦くの本もとを抜ぬかしめたまへº」 と。
○願クハ仏為ニ↠我ガ広ク宣ベタマヘ↢経法ヲ↡。我当ニシ↧修行シテ摂↢取シ仏国ヲ↡、清浄ニ荘↦厳ス無量ノ妙土ヲ↥。令メタマヘト↧我ヲシテ於テ↠世ニ速ニ成ジ↢正覚ヲ↡、抜カ↦諸ノ生死*勤苦之本ヲ↥。
二 Ⅰ ⅰ d ロ 仏其れをして自知せしむ
^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 「時ときに*世せ饒にょう王仏おうぶつ、 法蔵ほうぞう比丘びくに告つげたまはく、〈修しゅ行ぎょうせんところのごときの荘しょう厳ごんの仏ぶつ土ど、 なんぢみづからまさに知しるべしº と。
○仏*語リタマハク↢阿難ニ↡、時ニ世*饒王仏*告ゲタマハク↢法蔵比丘ニ↡、*如キノ↠所ノ↢修行スル↡荘厳ノ仏土、汝自ラ当ニシト↠知ル。
二 Ⅰ ⅰ d ハ 菩薩重請
^比丘びく、 仏ぶつにまうさく、〈この義ぎ、 弘ぐ深じんにしてわが*境きょう界がいにあらず。 やや、 願ねがはくは世せ尊そん、 広ひろくために*諸仏しょぶつ如来にょらいの浄じょう土どの行ぎょうを*敷ふ演えんしたまへ。 われこれを聞ききをはりて、 まさに説せつのごとく修しゅ行ぎょうして、 所願しょがんを成じょう満まんすべしº と。
○比丘白サク↠仏ニ、斯ノ義弘深ニシテ非ズ↢我ガ境界ニ↡。唯願クハ世尊、広ク為ニ敷↢演シタマヘ諸仏如来ノ浄土之行ヲ↡。我聞キ↠此0023ヲ已リテ当ニシト↣如ク↠説キタマフガ修行シテ、成↢満ス所願ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ d ニ 仏応請
(一)其の器を許す
^その時ときに、 世せ自じ在ざい王おう仏ぶつ、 その高こう明みょうの志し願がんの深広じんこうなるを知しろしめして、 すなはち法蔵ほうぞう比丘びくのために、 しかも経きょうを説ときてのたまはく、
○爾ノ時ニ世自在王仏知リタマヒテ↢其ノ高明ノ志願ノ深広ナルコトヲ↡即チ為ニ↢法蔵比丘ノ↡、而モ説キテ↠経ヲ言ク、
二 Ⅰ ⅰ d ニ (二)経を説きて其の心を励ます
^ªたとへば大海だいかいを一人いちにん*升量しょうりょうせんに、 劫数こうしゅを経歴きょうりゃくせば、 なほ底そこを窮きわめてその妙みょう宝ほうを得うべきがごとし。 人ひと、 至し心しんに精しょう進じんして道どうを求もとめて止やまざることあらば、 みなまさに*剋こっ果かすべし。 いづれの願がんをか得えざらんº と。
○譬ヘバ如シ↫大海アリテ、一人*升量セムニ経↢歴セバ劫数ヲ↡、尚可キガ↪窮メテ↠底ヲ得↩其ノ妙宝ヲ↨。人有ラバ↢至シテ↠心ヲ精進シテ求メテ↠道ヲ不ルコト↟止マ、会ズ当ニシ↢剋果ス↡。何ノ願ヲカ不ラムヤト↠得。
二 Ⅰ ⅰ d ニ (三)説法現土
^▼ここにおいて世せ自じ在ざい王おう仏ぶつ、 すなはちために広ひろく二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの刹せつ土どの天てん・人にんの善悪ぜんあく、 国こく土どの粗そ妙みょうを説ときて、 その心願しんがんに応おうじてことごとく現げんじてこれを与あたへたまふ。
○於テ↠是ニ世自在王仏、即チ為ニ広ク説キテ↢二百一十億ノ諸仏ノ刹土ノ天人之善悪、国土之*麁妙ヲ↡、応ジテ↢其ノ心願ニ↡悉ク現ジテ与ヘタマフ↠之ヲ。
二 Ⅰ ⅰ d ホ 正しく選択摂取の相を明す
(一)聞法見土
^▼時ときにかの比丘びく、 仏ぶつの所説しょせつを聞ききて、 *厳ごん浄じょうの国こく土どみな0015ことごとく*覩と見けんして
○時ニ彼ノ比丘聞キテ↢仏ノ所説ヲ↡、厳浄ノ国土皆悉ク覩見シテ
二 Ⅰ ⅰ d ホ (二)正しく勝願を発す
(Ⅰ)総じて願体を標ず
^▼*無む上じょう殊しゅ勝しょうの願がんを超ちょう発ほつせり。
○*超↢発ス無上殊勝之願ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ d ホ (二)(Ⅱ)別して結願の相を明す
(ⅰ)其の心念を明す
^▼その心しん寂静じゃくじょうにして志こころざし、 所しょ着じゃくなし。 一切いっさいの世せ間けんによく及およぶものなけん。
○其ノ心寂静ニシテ志無シ↢所著↡。一切ノ世間ニ無シ↢能ク及ブ者↡。
二 Ⅰ ⅰ d ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)其の時量を明す
(a)直明
^▼五ご劫こうを具ぐ足そくし、 思し惟ゆいして荘しょう厳ごん仏国ぶっこくの清浄しょうじょうの行ぎょうを摂取せっしゅす」 と。
○具↢足シ五劫ヲ↡、思惟シテ摂↢取スト荘厳仏国ノ清浄之行ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ d ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)問答決疑
^◆阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「かの仏国ぶっこく土どの ˆ世せ自じ在ざい王仏おうぶつのˇ 寿じゅ量りょういくばくぞや」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、彼ノ仏国土ノ寿量幾何ゾヤト。
^◆仏ぶつ0257のたまはく、 「その仏ぶつの寿じゅ命みょうは四し十じゅう二に劫こうなりき。
○仏言ク、其ノ仏ノ寿命ハ四十二劫ナリキ。
二 Ⅰ ⅱ 正しく誓願を陳説す
a 説願威儀
イ 菩薩敬白
^◆時ときに法蔵ほうぞう比丘びく、 二に百ひゃく一いち十じゅう億おくの諸仏しょぶつの妙みょう土どの清浄しょうじょうの行ぎょうを摂取せっしゅしき。 かくのごとく修しゅしをはりて、 かの仏ぶつの所みもとに詣もうで、 稽首けいしゅし足みあしを礼らいし、 仏ぶつを繞めぐること三帀さんぞうし、 合がっ掌しょうして住じゅうして、 仏ぶつにまうしてまうさく、〈世せ尊そん、 われすでに仏ぶつ土どを荘しょう厳ごんすべき清浄しょうじょうの行ぎょうを摂取せっしゅしつº と。
○時ニ法蔵比丘摂↢取ス二百一十億ノ諸仏ノ妙土ノ清浄之行ヲ↡。如ク↠是クノ修シ已リテ、詣デ↢彼ノ仏ノ所ニ↡、稽首シ礼シ↠足ヲ繞ルコト↠仏ヲ三帀シ、合掌シテ而住シテ、白シテ↠*仏ニ言ク、世尊、我已ニ摂↢取セリト荘↢厳仏土ノ↡清浄之行ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ a ロ 如来勧説
^仏ぶつ、 比丘びくに告つげたまはく、〈なんぢいま説とくべし。 よろしく知しるべし、 *これ時ときなり。 一切いっさいの大衆だいしゅを*発ほっ起きし悦えっ可かせしめよ。 菩ぼ薩さつ聞ききをはりて、 この法ほうを修しゅ行ぎょうし 縁えんとして、 無む量りょうの大願だいがんを満足まんぞくすることを致いたさんº と。
○仏告ゲタマハク↢比丘ニ↡、汝、今可シ↠説ク。宜シクシ ↠知ル、是時ナリト。発↢起シ悦↣可セシメヨ一切ノ大衆ヲ↡。菩薩聞キ已リテ修↢行シ此ノ法ヲ↡、縁リテ致サムト↣満↢足スルコトヲ無量ノ大願ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ a ハ 菩薩命に応ず
^比丘びく、 仏ぶつにまうさく、〈やや、 *聴ちょう察ざつを垂たれたまへ。 わが所願しょがんのごとくまさにつぶさにこれを説とくべし。
○比丘白サク↠仏ニ、唯垂レタマヘ↢聴察ヲ↡。如ク↢我ガ所願ノ↡当ニシ↢具ニ説ク↟之ヲ。
二 Ⅰ ⅱ b 正しく四十八願を陳説す【四十八願】
1. 無む三悪趣さんまくしゅの願
【7】 ^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国くにに地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょうあらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国ニ有ラバ↢地獄・餓鬼・畜生↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
2. 不ふ更きょう悪趣あくしゅの願
^0016▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 寿いのち終おわりての後のちに、 また三さん悪道まくどうに更かえらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設0024ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、寿終リテ之後ニ、復更カヘラバ↢三悪道ニ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
3. 悉皆金色しっかいこんじきの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 ことごとく真しん金色こんじきならずは、 正しょう覚がくを取と0258らじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不ハ↢悉ク真金色ナラ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
4. 無有むう好醜こうしゅの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 形ぎょう色しき不ふ同どうにして、 好醜こうしゅあらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、形色不同ニシテ有ラバ↢好醜↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
5. 令りょう識しき宿命しゅくみょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *宿命しゅくみょうを識さとらずして、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆたの諸劫しょこうの事じを▼知しらざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、*不シテ↠識サトラ↢宿命ヲ↡、下至ラバ↠*不ルニ↠知ラ↢百千億那由他ノ諸劫ノ事ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
6. 令りょう得天眼とくてんげんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *天眼てんげんを得えずして、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆたの諸仏しょぶつの国くにを▼見みざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不シテ↠得↢天眼ヲ↡、下至ラバ↠*不ルニ↠見↢百千億那由他ノ諸仏ノ国ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
7. 天てん耳に遥聞ようもんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *天てん耳にを得えずして、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆたの諸仏しょぶつの説とくところを聞ききて、 ことごとく受じゅ持じせざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不シテ↠得↢天耳ヲ↡、下至ラバ↧聞キタテマツリテ↢百千億那由他ノ諸仏ノ所↠説ヲ↡、不ルニ↦悉ク受持セ↥者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
8. 他た心しん悉しっ知ちの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *他た心しんを見みる智ちを得えずして、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく0259那な由他ゆたの諸仏国中しょぶっこくちゅうの衆しゅ生じょうの心念しんねんを▼知しらざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不シテ↠得↧見ル↢他心ヲ↡智ヲ↥、下至ラバ↠*不ルニ↠知ラ↢百千億那由他ノ諸仏ノ国中ノ衆生ノ心念ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
9. 神足じんそく如にょ意いの願
^0017▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *神足じんそくを得えずして、 一念いちねんのあひだにおいて、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆたの諸仏しょぶつの国くにを▼超ちょう過かすることあたはざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不シテ↠得↢神足ヲ↡、於テ↢一念ノ*頃ニ↡、下至ラバ↠不ルニ↠能ハ↣超↢過スルコト百千億那由他ノ諸仏ノ国ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
10. 不ふ貪とん計げ心しんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 もし想念そうねんを起おこして、 身みを*貪とん計げせば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、若シ起シテ↢想念ヲ↡、貪↢計セバ身ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
11. 必ひっ至し滅めつ度どの願(住正定聚の願、 証大涅槃の願、 往相証果の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 *定じょう聚じゅに住じゅうし、 かならず*滅めつ度どに至いたらずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設0025ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不ハ↧住シ↢定聚ニ↡、必ズ至ラ↦滅度ニ↥者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
12. 光こう明みょう無む量りょうの願*
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 光こう明みょうよく限げん量りょうありて、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆたの諸仏しょぶつの国くにを▼照てらさざるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、光明有リテ↢*能ク限量↡、下至ラバ↠不ルニ↠照サ↢百千億那由他ノ諸仏ノ国ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
13.0260 寿じゅ命みょう無む量りょうの願*
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 寿じゅ命みょうよく限げん量りょうありて、 ▼下しも百ひゃく千億せんおく那な由他ゆた劫こうに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、寿命有リテ↢*能ク限量↡、下至ラバ↢百千億那由他劫ニ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
14. 声しょう聞もん無む量りょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの声しょう聞もん、 よく計け量りょうありて、 ▼*下しも三千大千さんぜんだいせん世せ界かいの声しょう聞もん・縁覚えんがく、 百ひゃく千劫せんごうにおいて、 ことごとくともに*計け校きょうして、 その数かずを知しるに至いたらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ声聞有リテ↢能ク計量↡、*下至ラバ↧三千大千世界ノ*声聞・縁覚、於テ↢百千劫ニ↡、悉ク共ニ計挍シテ、知ルニ↦其ノ数ヲ↥者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
15. 眷属けんぞく長ちょう寿じゅの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 寿じゅ命みょうよく限げん量りょうなからん。 その0018本願ほんがんの*修短しゅたん自じ在ざいならんをば除のぞく。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、寿命無カラム↢能ク限量↡。除ク↢其ノ本願アリテ修短自在ナルヲバ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
16. 離り諸しょ不ふ善ぜんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 乃ない至し*不ふ善ぜんの名なありと聞きかば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、乃至聞カバ↠有リト↢不善ノ名↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
17. 諸仏しょぶつ称名しょうみょうの願(諸仏称揚の願 諸仏咨嗟の願 大悲の願 往相回向の願 往相正業の願 選択称名の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 ▼十方じっぽう世せ界かいの無む量りょうの諸仏しょぶつ、 ▼ことごとく*咨し嗟しゃして、 ▼わが名な0261を*称しょうせずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方世界ノ無量ノ諸仏、不ハ↣悉ク咨嗟シテ、称セ↢我ガ名ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
18. 至し心しん信しん楽ぎょうの願(王本願 選択本願 本願三心の願 念仏往生の願 往相信心の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 ▼十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 ▼*至し心しん▼*信しん楽ぎょうして▼わが国くにに*生しょうぜんと欲おもひて、 ▼乃ない至し▼十じゅう念ねんせん。 ▼もし生しょうぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ。 ▼*ただ 五ご逆ぎゃくと誹ひ謗ほう正しょう法ぼうとをば除のぞく。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、至シ↠心ヲ信楽シテ、欲シテ↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡、乃チ至ルマデセム↢十念ニ↡。若シ不ハ↠生ゼ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。唯除ク↢五逆ト誹謗正法トヲバ↡。
19. 至し心しん発願ほつがんの願(臨終現前の願 現前導生の願 来迎引接の願 修諸功徳の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 菩ぼ提だい心しんを発おこし、 *もろもろの功く徳どくを修しゅして、 至し心しん発願ほつがんしてわが国くにに生しょうぜんと欲ほっせん。 寿いのち終おわるときに臨のぞんで、 たとひ▼大衆だいしゅと*囲い繞にょうしてその人ひとの前まえに現げんぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、発シ↢菩提心ヲ↡、修シテ↢諸ノ功徳ヲ↡、至シ↠心ヲ発願シテ、欲セム↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡。臨ミテ↢寿終ル時ニ↡、仮令 タトヒ 不ハ↧与↢大衆↡囲繞セラレテ現ゼ↦其ノ人ノ前ニ↥者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
20. 至し心しん回え向こうの願(係念定生の願 不果遂者の願 植諸徳本の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを聞ききて、 念ねんをわが国くにに▼係かけ、 *もろもろの徳本とくほんを植うゑて、 至し心しん回え向こうしてわが国くにに生しょうぜんと欲ほっせん。 果か遂すいハタシトせずゲズハ は、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設0026ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、聞キテ↢我ガ名号ヲ↡、*係ケ↢念ヲ我ガ国ニ↡、*植ヱテ↢*諸ノ徳本ヲ↡、至シ↠心ヲ廻向シテ、欲セム↠生ゼムト↢我ガ国ニ↡。不ハ↢果遂セ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
21. 具ぐ足そく諸相しょそうの願(具三十二相の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 ことごとく*三さん十じゅう二に大人相だいにんそうを成じょう0019満まんせずは0262、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、不ハ↣悉ク成↢満セ三十二大人相ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
22. 還相げんそう回え向こうの願(一生補処の願 必至補処の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう仏ぶつ土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが国くにに来らい生しょうして、 究く竟きょうしてかならず一いっ生しょう補ふ処しょに至いたらん。 その本願ほんがんの自じ在ざいの所しょ化け、 衆しゅ生じょうのためのゆゑに、 *弘ぐ誓ぜいの鎧よろいを被きて、 徳本とくほんを積しゃく累るいし、 一切いっさいを度ど脱だつし、 諸仏しょぶつの国くにに遊あそんで、 菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅし、 十方じっぽうの諸仏しょぶつ如来にょらいを供く養ようし、 恒沙ごうじゃ無む量りょうの衆しゅ生じょうを開かい化けして*無む上じょう正しょう真しんの道どうを立りゅうせしめんをば除のぞく。 *常じょう倫りんに超出ちょうしゅつし、 *諸しょ地じの行ぎょう現前げんぜんし、 普ふ賢げんの徳とくを修しゅ習じゅうせん 。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方仏土ノ諸ノ菩薩衆、来↢生シテ我ガ国ニ↡、究竟シテ必ズ至ラム↢一生補処ニ↡。除ク↧其ノ本願アリテ、自在ニ所↠化スル、為ノ↢衆生ノ↡故ニ、被テ↢弘誓ノ鎧ヲ↡、積↢累シ徳本ヲ↡、度↢脱シ一切ヲ↡、遊ビテ↢諸仏ノ国ニ↡、修シ↢菩薩ノ行ヲ↡、供↢養シタテマツリ十方ノ諸仏如来ヲ↡、開↢化シテ恒沙無量ノ衆生ヲ↡使メ↠立セ↢無上正真之道ヲ↡、超↢出シ常倫諸地之行ヲ↡、現前ニ修↦習スルヲ普賢之徳ヲ↥。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
23. 供く養よう諸仏しょぶつの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 仏ぶつの*神力じんりきを承うけて、 諸仏しょぶつを供く養ようし、 *一食いちじきのあひだにあまねく無む数しゅ無む量りょう那な由他ゆたの諸仏しょぶつの国くにに至いたることあたはずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、承ケテ↢仏ノ神力ヲ↡、供↢養シタテマツリ諸仏ヲ↡、一食之*頃ニ不ハ↠能ハ↣徧ク至ルコト↢無*数無*量那由他ノ諸仏ノ国ニ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
24. 供く養よう如にょ意いの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 諸仏しょぶつの前みまえにありて、 その徳本とくほんを現げんじ、 もろもろの欲よく求ぐせんところの供く養ようの具ぐ、 もし意こころのごとくならずは、 正しょう覚がく0263を取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、在リテ↢諸仏ノ*前ニ↡、現ジ↢其ノ徳本ヲ↡、諸ノ所ノ↢*欲求スル↡供養之具、若シ不ハ↠如クナラ↠意ノ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
25. 説せつ一切いっさい智ちの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 *一切いっさい智ちを演説えんぜつすることあたはずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、不ハ↠能ハ↣演↢説スルコト一切智ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
26. 得金剛身とくこんごうしんの願
^0020▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 *金剛こんごう那羅なら延えんの身しんを得えずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、不ハ↠得↢金剛那羅延ノ身ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
27. 万物まんもつ厳ごん浄じょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 一切いっさい万物まんもつ、 厳ごん浄じょう光麗こうらいにして、 形ぎょう色しき殊特しゅどくにして、 窮微ぐみ極ごく妙みょうなること、 よく*称しょう量りょうすることなけん。 そのもろもろの衆しゅ生じょう、 乃ない至し天眼てんげんを*逮得たいとくせん。 よく明了みょうりょうにその名みょう数しゅを弁わきまふることあらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設0027ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、一切万物ノ厳浄光麗ニシテ、形色殊特ニシテ、窮微極妙ナルコト、無カラム↢能ク称量スルコト↡。其ノ諸ノ衆生、乃チ至リ↣逮↢得スルニ天眼ヲ↡、有ラバ↣能ク明了ニ*弁ズルコト↢其ノ名数ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
28. 道場樹どうじょうじゅの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 乃ない至し少しょう功く徳どくのもの、 その道どう場じょう樹じゅの無む量りょうの光色こうしきありて、 高たかさ四し百ひゃく万まん里りなるを知ち見けんすることあたはずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、乃チ至ルマデ↢少功徳ノ者ニ↡、不ハ↠能ハ↣知↢見スルコト其ノ道場樹ノ、無量ノ光色アリテ高サ四百万里ナルヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
29.0264 得弁才とくべんざい智ちの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 もし経きょう法ぼうを受読じゅどくし諷ふ誦じゅ持じ説せつして、 *弁才べんざい智慧ちえを得えずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、若シ受↢読シ経法ヲ↡諷誦持説シテ而不ハ↠得↢*弁才智慧ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
30. 弁才べんざい無む尽じんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 智慧ちえ弁才べんざいもし限げん量りょうすべくは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、智慧*弁才若シ可クハ↢限量ス↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
31. 国こく土ど清浄しょうじょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく土ど清浄しょうじょうにして、 みなことごとく十方じっぽう一切いっさいの無む量りょう無む数しゅ不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ界かいを照しょう見けんすること、 なほ明鏡みょうきょうにその面像めんぞうを覩みる0021がごとくならん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国土清浄ニシテ、皆悉ク照↢見スルコト十方一切ノ無量無数不可思議ノ諸仏世界ヲ↡、猶如クナラム↣明鏡ニ覩ルガ↢其ノ面像ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
32. 妙みょう香こう合ごう成じょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 地じより以上いじょう、 虚こ空くうに至いたるまで、 宮く殿でん・楼観ろうかん・池流ちる・華け樹じゅ、 国こく中ちゅうのあらゆる一切いっさい万物まんもつ、 みな無む量りょうの雑宝ざっぽう、 百ひゃく千種せんじゅの香こうをもつてともに合ごう成じょうし、 厳飾ごんじき奇き妙みょうにしてもろもろの人天にんでんに超こえん。 その香こうあまねく十方じっぽう世せ界かいに熏くんじて、 菩ぼ薩さつ聞かがんもの、 みな仏ぶつ行ぎょうを修しゅせん。 もしかくのごとくならずは、 正しょう0265覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、自リ↠地已上至ルマデ↢于虚空ニ↡、宮殿・楼観・池流・華樹、国*中ノ所有ル一切万物、皆以テ↢無量ノ雑宝・百千種ノ香ヲ↡而共ニ合成シ、厳飾奇妙ニシテ超エム↢諸ノ人天ニ↡、其ノ香普ク熏ジテ↢十方世界ニ↡、菩薩聞カガム者、皆修セム↢仏行ヲ↡。若シ不ハ↠*如クナラ↠是クノ*者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
33. 触光そくこう柔にゅう軟なんの願(身心柔軟の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう無む量りょう不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ界かいの衆しゅ生じょうの類るい、 わが光こう明みょうを蒙こうぶりてその身みに触ふれんもの、 *身心しんしん柔にゅう軟なんにして人天にんでんに超ちょう過かせん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方無量不可思議ノ諸仏世界ノ衆生之類、蒙リテ↢我ガ光明ヲ↡触レム↢其0028ノ*身ニ↡者、身心柔軟ニシテ超↢過セム人天ニ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
34. 聞もん名みょう得忍とくにんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう無む量りょう不可ふか思議しぎの▼諸仏しょぶつ世せ界かいの衆しゅ生じょうの類るい、 わが名みょう字じを聞ききて、 菩ぼ薩さつの無む生しょう法忍ぼうにん、 もろもろの*深じん総そう持じを得えずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方無量不可思議ノ諸仏世界ノ衆生之類、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、不ハ↠得↢菩薩ノ無生法忍、諸ノ深総持ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
35. 女人にょにん往おう生じょうの願(変成男子の願 転女成男の願 聞名転女の願)
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう無む量りょう不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ界かいに、 それ女人にょにんありて、 わが名みょう字じを聞ききて、 歓かん喜ぎ信しん楽ぎょうし、 菩ぼ提だい心しんを発おこして、 女身にょしんを厭えん悪おせんイトヒニクマン 。 寿いのち終おわりての後のちに、 また女像にょぞうとならば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方無量不可思議ノ諸仏世界ニ、其レ有リテ↢女人↡、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、歓喜信楽シ、発シテ↢菩提心ヲ↡、厭↢悪セムニ女身ヲ↡、寿終リテ之後ニ、復為ラバ↢女像ト↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
36. 聞もん名みょう梵ぼん行ぎょうの願
^0022▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう無む量りょう不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ界かいの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 寿いのち終おわりての後のちに、 つねに*梵ぼん行ぎょうを修しゅして仏道ぶつどうを成なるに至いたらん。 もししから0266ずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方無量不可思議ノ諸仏世界ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、寿終リテ之後ニ、常ニ修シテ↢梵行ヲ↡至ラム↠成ズルニ↢仏道ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
37. 作さ礼らい致ち敬きょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう無む量りょう不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ界かいの▼諸天しょてん・人民にんみん、 わが名みょう字じを聞ききて、 五ご体たいを地じに投なげて、 稽けい首しゅ作さ礼らいし、 歓かん喜ぎ信しん楽ぎょうして、 菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅせんに、 諸天しょてん・世せ人にん、 敬うやまひを致いたさずといふことなけん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、十方無量不可思議ノ諸仏世界ノ諸天・人民、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、五体ヲ投ゲテ↠地ニ、稽首シテ作シ↠礼ヲ歓喜信楽シテ、修セムニ↢菩薩ノ行ヲ↡、諸天・世人、莫カラム↠不ルハ↠致サ↠敬ヲ。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
38. 衣え服ぶく随念ずいねんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 衣え服ぶくを得えんと欲おもはば、 念ねんに随したがひてすなはち至いたらん。 仏ぶつの所讃しょさんの*応法おうほうの妙みょう服ぶくのごとく、 自じ然ねんに身みにあらん。 もし裁ざいタチ縫ぶヌイ・*擣とうソメ染ぜんヲサメ・浣かんアラヒ濯じょくスヽグすることあらば、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、欲セバ↠得ムト↢衣服ヲ↡、随ヒテ↠念ニ即チ至ラム。如キ↢仏ノ所讃ノ↡応法ノ妙服、自然ニ在ラム↠身ニ。*若シ有ラバ↢裁縫・*擣染・浣濯スルコト↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
39. 常じょう受じゅ快け楽らくの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの人天にんでん、 受うけんところの快け楽らく、 *漏ろ尽じん比丘びくのごとくならずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ人天、所ノ↠受ケル快楽、不ハ↠如クナラ↢漏尽比丘ノ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
40. 見諸仏けんしょぶつ土どの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 意こころに随したがひて十方じっぽう無む量りょうの厳ごん浄じょうの仏ぶつ土どを見みんと欲おもはん。 時ときに応おうじて願がんのごとく、 宝樹ほうじゅのなかにして、 みなこと0267ごとく照しょう見けんせんこと、 なほ明鏡みょうきょうにその面像めんぞうを覩みるがごとくならん。 もししから0023ずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、随ヒテ↠意ニ欲セバ↠見ムト↢十方無量ノ厳浄ノ仏土ヲ↡、応ジテ↠時ニ如ク↠願ノ於テ↢宝0029樹ノ中ニ↡、皆悉ク照見スルコト、猶如クナラム↣明鏡ニ*覩ルガ↢其ノ面像ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
41. 聞もん名みょう具ぐ根こんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 仏ぶつを得うるに至いたるまで、 *諸根しょこん闕けつ陋るして具ぐ足そくせずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、至ルマデ↢于得ルニ↟仏ヲ、諸根*闕陋シテ不ハ↢具足セ↡者、不取正覚。
42. 聞もん名みょう得とく定じょうの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 みなことごとく*清浄しょうじょう解げ脱だつ三昧ざんまいを逮得たいとくせん。 この三昧さんまいに住じゅうして、 一ひとたび意こころを発おこさんあひだに、 無む量りょう不可ふか思議しぎの諸仏しょぶつ世せ尊そんを供く養ようしたてまつりて、 *定じょう意いを失しっせじ。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、皆悉ク逮↢得セム清浄解脱三昧ヲ↡。住シテ↢是ノ三昧ニ↡、一タビ発ス↠意ヲ*頃ニ、供↢養シタテマツリテ無量不可思議ノ諸仏世尊ヲ↡而不ラム↠失セ↢定意ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
43. 聞もん名生みょうしょう貴きの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 寿いのち終おわりての後のちに、 尊そん貴きの家いえに生しょうぜん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、寿終リテ之後ニ生ゼム↢尊貴ノ家ニ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
44. 聞もん名みょう具ぐ徳とくの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくし0268て菩ぼ薩さつの行ぎょうを修しゅし徳本とくほんを具ぐ足そくせん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、歓喜踊躍シテ修シ↢菩薩ノ行ヲ↡具↢足セム徳本ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
45. 聞もん名みょう見仏けんぶつの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 みなことごとく*普ふ等とう三昧ざんまいを逮得たいとくせん。 この三昧さんまいに住じゅうして成じょう仏ぶつに至いたるまで、 つねに無む量りょう不可ふか思議しぎの一切いっさいの諸仏しょぶつを見みたてまつらん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、皆悉ク逮↢得セム普等三昧ヲ↡。住シテ↢是ノ三昧ニ↡、至ルマデ↢于成仏ニ↡、常ニ見タテマツラム↢無量不可思議ノ一切ノ*諸仏ヲ↡。若シ不ハ↠爾ラ者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
46. 随ずい意い聞法もんぼうの願
^0024▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 国こく中ちゅうの菩ぼ薩さつ、 その志し願がんに随したがひて、 聞きかんと欲おもはんところの法ほう、 自じ然ねんに聞きくことを得えん。 もししからずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、国中ノ菩薩、随ヒテ↢其ノ志願ニ↡、所ノ↠欲スル↠聞カムト法、自然ニ得ム↠聞クコトヲ。若シ不ハ↠爾ラ者、不0030↠取ラ↢正覚ヲ↡。
47. 聞もん名みょう不ふ退たいの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 ▼他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 すなはち不ふ退転たいてんに至いたることを得えずは、 正しょう覚がくを取とらじ。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、不ハ↢即チ得↟至ルコトヲ↢不退転ニ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
48. 得三法忍とくさんぼうにんの願
^▼たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 他た方ほう国こく土どの諸しょ菩ぼ薩さつ衆しゅ、 わが名みょう字じを聞ききて、 すなはち*第だい一いち、 第だい二に、 第三だいさん法忍ぼうにんに至いたることを得えず、 *諸仏しょぶつの法ほうにおいて、 すなはち不ふ退たい転てんを得うることあたはずは、 正しょう覚がくを取とらじº」 と。
○設ヒ我得タラムニ↠仏ヲ、他方国土ノ諸ノ菩薩衆、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡、不↢即チ得↟至ルコトヲ↢第*一・第二・第三法忍ニ↡、於テ↢諸仏ノ法ニ↡、不ハ↠能ハ↣即チ得ルコト↢不退転ヲ↡者、不↠取ラ↢正覚ヲ↡。
0269
二 Ⅰ ⅱ c 偈を説きて重誓し証を請ふ【重誓偈】
イ 結前生後
【8】 ^仏ぶつ0270、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「その時ときに、 法蔵ほうぞう比丘びく、 この願がんを説ときをはりて、 *頌じゅを説ときていはく、
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、爾ノ時ニ法蔵比丘説キ↢此ノ願ヲ↡已リテ*而説キテ↠*頌ヲ曰ク、
二 Ⅰ ⅱ c ロ 正しく偈を説く
(一)重誓
(Ⅰ)三誓を立つ
^ª▼われ超ちょう世せの願がんを建たつ、 かならず無む上じょう道どうに至いたらん。
^この願がん満足まんぞくせずは、 誓ちかひて正しょう覚がくを成ならじ。
^われ無む量りょう劫こうにおいて、 大だい施せ主しゅとなりて、
^あまねくもろもろの*貧びん苦ぐを済すくはずは、 誓ちかひて正しょう覚がくを成ならじ。
^▼われ仏道ぶつどうを成なるに至いたりて、 ▼*名声みょうしょう十方じっぽうに超こえん。
○我至リテ↠成ズルニ↢仏道ヲ↡ | 名声超エム↢十方ニ↡ |
^▼究く竟きょうして*聞きこゆるところなくは、 誓ちかひて正しょう覚がくを成ならじ。
究竟シテ靡クハ↠*所↠聞ユル | 誓ヒテ不↠成ゼ↢*正覚ヲ↡ |
二 Ⅰ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)総じて果上の徳を誓ふ
(ⅰ)因を挙げ果を求む
^0025離り欲よくと*深じん正しょう念ねんと、 浄じょう慧えとをもつて梵ぼん行ぎょうを修しゅし、
^無む上じょう道どうを志求しぐして、 諸しょ天人てんにんの師しとならん。
二 Ⅰ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)正しく果徳を誓ふ
(a)慈悲徳
^神力じんりき、 大光だいこうを演のべて、 あまねく*無む際さいの土どを照てらし、
^三さん垢くの冥みょうを消しょう除じょして、 広ひろくもろもろの厄難やくなんを済すくはん。
^か0271の▼智慧ちえの眼まなこを開ひらきて、 この*昏盲こんもうの闇あんを滅めっし、
○開キテ↢彼ノ智慧ノ眼ヲ↡ | 滅シ↢此ノ昏盲ノ*闇ヲ↡ |
^もろもろの悪道あくどうを閉塞へいそくして、 善趣ぜんしゅの門もんを通達つうだつせん。
二 Ⅰ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)智慧徳
^功こう祚そ、 成じょう満足まんぞくして、 *威い曜よう十方じっぽうに朗ほがらかならん。
^日月にちがつ、 *重じゅう暉きを戢おさめて、 天てんの光ひかりも隠かくれて現げんぜじ。
・万徳回施
^▼衆しゅうのために*法蔵ほうぞうを開ひらきて、 広ひろく*功く徳どくの宝ほうを施せせん。
○為ニ↠衆ノ開キテ↢法蔵ヲ↡ | 広ク施サム↢功徳ノ宝ヲ↡ |
^つねに大衆だいしゅのなかにして、 法ほうを説ときて*獅子吼ししくせん。
二 Ⅰ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)願を結し師に帰す
^▼一切いっさいの仏ぶつを供く養ようしたてまつりて、 ▼もろもろの徳本とくほんを具ぐ足そくし、
○0031供↢養シマツリテ一切ノ仏ヲ↡ | 具↢足シ衆ノ徳本ヲ↡ |
^願がんと慧えことごとく成じょう満まんして、 三界さんがいの雄おうたることを得えん。
願ト慧ト悉ク成満シテ | 得ム↠為ルコトヲ↢三界ノ雄ト↡ |
^仏ぶつ (世自在王仏) の無礙むげ智ちのごとく、 通達つうだつして照てらさざることなけん。
○如ク↢仏ノ無*礙智ノ↡ | 通達シテ靡カラム↠不ルハ↠*照サ |
^願ねがはくはわが功慧くえの力ちから、 この最さい勝しょう尊そん (世自在王仏) に等ひとしからん。
二 Ⅰ ⅱ c ロ (二)請証
^▼この願がんもし剋こっ果かせば、 大千だいせんまさに感動かんどうすべし。
^0026虚こ空くうの諸天人しょてんにん、 まさに珍ちん妙みょうの華はなを雨あめふらすべしº」 と。
二 Ⅰ ⅲ 現瑞証誠
a 結前生後
【9】 ^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「法蔵ほうぞう比丘びく、 この頌じゅを説ときをはるに、
●仏*告ゲタマハク↢阿難ニ↡、法蔵比丘説キ↢此ノ頌ヲ↡已ルニ、
二 Ⅰ ⅲ b 正明
^▼時ときに応おうじてあまねく地じ、 *六種ろくしゅに震動しんどうす。 天てんより妙みょう華けを雨あめふらして、 もつてその上うえに散さんず。 自じ然ねんの音楽おんがく、 ▼空くう中ちゅうに讃ほめていはく、〈決けつ定じょうしてかならず無む上じょう正しょう覚がくを成なるべしº と。
○応ジテ↠時ニ普ク地、六種ニ震動ス。天ヨリ雨ラシテ↢妙華ヲ↡、以テ散ズ↢其ノ上ニ↡。自然ノ音楽、空中ニ讃ジテ言ク、決定シテ必ズ成ズベシト↢無上正覚ヲ↡。
二 Ⅰ ⅲ c 総じて誓願を結し修因の志を決定す
^ここにおいて法蔵ほうぞう比び0272丘く、 かくのごときの大願だいがんを具ぐ足そくし修満しゅまんして、 *誠じょう諦たいにして虚むなしからず。 世せ間けんに超出ちょうしゅつして深ふかく寂じゃく滅めつを楽ねがふ。
●於テ↠是ニ法蔵比丘、具↢足シ修↣満シテ如キノ↠是クノ大願ヲ↡、誠諦ニシテ不↠虚カラ。超↢出シテ世間ニ↡深ク楽フ↢寂滅ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ 願に依り勝行を起す【法蔵修行】
a 結前生後
^阿あ難なん、 時ときにかの比丘びく、 その仏ぶつの所みもと、 諸天しょてん・魔ま・梵ぼん・竜りゅう神じん八はち部ぶ・大衆だいしゅのなかにして、 この弘ぐ誓ぜいを発おこす。 この願がんを建たてをはりて、 一向いっこうに専せん志しして妙みょう土どを荘しょう厳ごんす。
○阿難、*時ニ彼ノ比丘於テ↢*其ノ仏ノ所、諸天・魔・梵・龍神八部・大衆之中ニ↡発ス↢斯ノ弘誓ヲ↡。建テ↢此ノ願ヲ↡已リテ、一向ニ専ニシテ↠志ヲ荘↢厳ス妙土ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ b 正明
イ 所修の浄土を讃ず
^▼所修しょしゅの仏国ぶっこく、 *恢廓かいかく広大こうだいにして超勝ちょうしょう独どく妙みょうなり。 ▼建こん立りゅう ˆせられし仏国ぶっこくはˇ 常じょう然ねんにして、 衰すいなく変へんなし。
○所修ノ仏国、*恢廓広大ニシテ超勝独妙ナリ。建立常然ニシテ、無ク↠衰無シ↠変。
二 Ⅰ ⅳ b ロ 能修の徳行を讃ず
(一)挙時総標〔兆載永劫〕
^▼不可ふか思議しぎの兆ちょう載さい永劫ようごうにおいて、 菩ぼ薩さつの無む量りょうの徳とく行ぎょうを積しゃく植じきして、
○於テ↢不可思議ノ兆載永劫ニ↡、積↢*植シテ菩薩ノ無量ノ徳行ヲ↡、
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)別明
(Ⅰ)勝行を明す
(ⅰ)別して六度の行を挙ぐ
^▼*欲覚よくかく・瞋覚しんかく・害覚がいかくを生しょうぜず。 *欲想よくそう・瞋想しんそう・害想がいそうを起おこさず。 *色しき・声しょう・香こう・味み・触そく・法ほうに着じゃくせず。 忍力にんりき成じょう就じゅして衆しゅ苦くを計はからず。 少しょう欲よく知ち足そくにして*染ぜん・恚い・痴ちなし。 三昧さんまい常寂じょうじゃくにして智慧ちえ無礙むげなり。
○不↠生ゼ↢欲覚・瞋覚・害覚ヲ↡、不↠起サ↢欲想・瞋想・害想ヲ↡、不↠著セ↢色・声・香・味・*触・法ニ↡、忍力成就シテ不↠計ラ↢衆苦ヲ↡、少欲知足ニシテ無シ↢*染・恚・痴↡。三昧常寂ニシテ智慧無礙ナリ。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)総じて広く浄土の行を明す
(a)直心相
^◆*虚偽こぎ諂曲てんごくの心しんあることなし。 ^*和わ顔げん愛あい語ごにして、 *意こころを先さきにして承じょう問もんす。
○無シ↠有ルコト↢虚偽・諂曲之心↡。和顔*愛語ニシテ先ンジテ↠意ニ承問ス。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)深心相
^◆勇ゆう猛みょう精しょう進じんにして志し願がん倦うむことなし。
○勇猛精進ニシテ志願無シ↠倦ムコト。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)大乗心相
^◆もつぱら*清白しょうびゃくの法ほうを求もとめて、 もつて群ぐん生じょうを恵利えりす。
○専ラ求メテ↢清白之法ヲ↡、以テ*恵↢利ス群生ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(d)回向心相
^▼三宝さんぼうを恭く敬ぎょうし、 師し長ちょうに奉事ぶじす。 *大だい荘しょう厳ごんをもつて衆しゅ0027行ぎょうを具ぐ足そくし、 ▼もろもろの衆しゅ生じょうをして功く徳どくを成じょう就じゅせしむ。
○恭↢敬シ三宝ヲ↡、奉↢事ス師長ニ↡。以テ↢大荘厳ヲ↡具↢足シ衆ノ行ヲ↡、令ム↢諸ノ衆生ヲシテ功徳ヲ成就セ↡。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(e)方便心相
^▼*空くう・無む相そう・無む願がんの法ほうに住じゅうして、 *作さなく起きなく、 *法ほうは化けのごとしと観かんじて、 粗そ言ごんの自じ害がいと害がい彼ひと、 彼此ひしともに害がいするを遠おん離りし、 善ぜん語ごの自利じりと利り人にんと、 人にん我が兼かねて利りするを修しゅ習じゅうす。
○住シテ↢空・無相・無願之法ニ↡、無ク↠作無ク↠起、観ズ↢法ハ如シト↟化ノ。遠↢離シ麁言ノ自ラ害シ害シ↠彼0032ヲ彼此倶ニ害スルヲ↡、修↢習ス善語ノ自ラ利シ利シ↠人ヲ*人我兼ネテ利スルヲ↡。
^国くにを棄すて王おうを捐すてて*財色ざいしきを絶たち去さけ、 みづから六ろっ波羅ぱら蜜みつを行ぎょうじ、 人ひとを教おしへて行ぎょうぜしむ。
○棄テ↠国ヲ捐テテ↠王ヲ絶チ↢去シ財色ヲ↡、自ラ行ジ↢六波羅蜜ヲ↡、教ヘテ↠人ヲ令ム↠行ゼ。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅱ)勝徳を明す
(ⅰ)総標
^▼無む央数おうしゅ劫こうに功こうを積つみ徳とくを累かさぬるに、
○無*央数劫ニ積ミ↠功ヲ累ヌルニ↠徳ヲ、
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別明
(a)生所勝
^その*生しょう処じょに随したがひて意こころの0273所欲しょよくにあり。 無む量りょうの宝蔵ほうぞう、 自じ然ねんに発応ほっとうし、 無む数しゅの衆しゅ生じょうを教きょう化けし安あん立りゅうして、 無む上じょう正しょう真しんの道どうに住じゅうせしむ。
○随ヒテ↢其ノ生処ニ↡在リ↢意ノ所欲ニ↡。無量ノ宝蔵、自然ニ発応シ、教↢化シ安↣立シテ無数ノ衆生ヲ↡、住セシム↢於無上正真之道ニ↡。
^△あるいは長ちょう者じゃ・*居士こじ・*豪ごう姓しょう・尊そん貴きとなり、 あるいは*刹せつ利り国君こくくん・*転輪てんりん聖じょう帝たいとなり、 あるいは*六欲ろくよく天主てんじゅ乃ない至し*梵王ぼんのうとなりて、 つねに四事しじをもつて一切いっさいの諸仏しょぶつを供く養ようし恭く敬ぎょうしたてまつる。 かくのごときの功く徳どく、 *称しょう説せつすべからず。
○或イハ為リ↢長者・居士・豪姓・尊貴ト↡、或イハ為リ↢刹利国君・転輪聖帝ト↡、或イハ為リテ↢六欲天主、乃至梵王ト↡、○常ニ以テ↢四事ヲ↡供↢養シ恭↣敬シタテマツル一切ノ諸仏ヲ↡。如キノ↠是クノ功徳、不↠可カラ↢称説ス↡。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)受身勝
^口気くけは香潔こうけつにして、 *優う鉢羅はら華けのごとし。 身みのもろもろの毛もう孔くより*栴檀せんだん香こうを出いだす。 その香こうは、 あまねく無む量りょうの世せ界かいに熏くんず。 容色ようしき端たん正じょうにして相好そうごう殊しゅ妙みょうなり。 その手てよりつねに無む尽じんの宝たから・衣え服ぶく・飲食おんじき・珍ちん妙みょうの華け香こう・*繒蓋ぞうがい・*幢幡どうばん、 荘しょう厳ごんの具ぐを出いだす。 かくのごときらの事じ、 もろもろの天人てんにんに超こえたり。
○口気ハ香潔ニシテ、如シ↢優鉢羅華ノ↡。身ノ諸ノ毛孔ヨリ出シ↢*栴檀香ヲ↡、其ノ香ハ普ク熏ズ↢無量ノ世界ニ↡。○容色端*正ニシテ相好殊妙ナリ。其ノ手ヨリ常ニ出ス↢無尽之宝・衣服・飲食・珍妙ノ華香・*繒蓋・幢旛、荘厳之具ヲ↡。如キ↠是クノ等ノ事、超エタリ↢諸ノ*天人ニ↡、
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)(Ⅲ)総結
^一切いっさいの法ほうにおいて自じ在ざいを得えたりき」 と。
○於テ↢一切ノ法ニ↡而得タリキト↢自在ヲ↡。
二 Ⅱ 広く本願成就相を明す【弥陀果徳】
ⅰ 権に問答を設け建立浄土の相を明す
a 正問答
イ 時処名を定む
(一)問
【10】^▼阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ、 すでに成じょう仏ぶつして滅めつ度どを取とりたまへりと0028やせん、 いまだ成じょう仏ぶつしたまはずとやせん、 いま現げんにましますとやせん」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、法蔵菩薩為ム↣已ニ成仏シテ而取リタマヘリトヤ↢滅度ヲ↡、為ム↠未ダトヤ↢成仏シタマハ↡、為ムト↢今現ニ在ストヤ↡。
二 Ⅱ ⅰ a イ (二)仏答
^◆仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼法蔵ほうぞう菩ぼ薩さつ、 いますでに成じょう仏ぶつして、 現げんに西方さいほうにまします。 ▼*ここを去さること十じゅう万億まんおく刹せつなり。 その仏ぶつの世せ界かいをば名なづけて安楽あんらくといふ」 と。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、法蔵菩薩、今已ニ成仏シテ現ニ在ス↢西方ニ↡。去ルコト↠此ヲ十万億刹ナリ。其ノ仏ノ世界ヲバ名ケテ曰フト↢安楽ト↡。
二 Ⅱ ⅰ a ロ 成道の久近を定む【十劫成道】
(一)問
^阿あ難なん、 また問とひたてまつる、 「その仏ぶつ、 成じょう道どうしたまひしよりこのかた、 いくばくの時ときを経へたまへりとやせん」 と。
○阿難、又問ヒタテマツル、其ノ仏成道タマヒシヨリ已来タ為ムト↠*逕タマヘリトヤ↢幾ノ時ヲ↡。
二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)仏答
(Ⅰ)正しく久近を定む
^仏ぶつのたまはく、 「▼成じょう仏ぶつよりこのかた、 おほよそ▼十劫じっこうを歴へたまへり。
○仏言ク、成仏ヨリ已来タ凡ソ歴タマヘリ↢十劫ヲ↡。
二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)略して仏土の相を明す〔第32願成就〕
(ⅰ)総じて体量の相を明す
^△その仏国ぶっこく土どは、 自じ然ねんの七宝しっぽう、 金こん・銀ごん・瑠璃るり・珊さん0274瑚ご・琥こ珀はく・硨しゃ磲こ・碼め碯のう、 合ごう成じょうして地じとせり。 ▼*恢廓かいかく曠蕩こうとうにして、 限極げんごくすべからず。
○其ノ仏国土ハ、自然ノ七宝、金・銀・*瑠璃・珊瑚・*琥*珀・*硨磲・*碼*碯合成シテ為ス↠地ト。恢廓*曠蕩ニシテ不↠可カラ↢限極ス↡。
^ことごとくあひ*雑ざっ廁しし、 うたたあひ*入にゅう間けんせり。 *光こう赫かく焜耀こんようにして微み妙みょう奇き麗らいなり。 清浄しょうじょうに荘しょう厳ごんして▼十方じっぽう一切いっさいの世せ界かいに超ちょう踰ゆせり。 衆宝しゅほうのなかの精しょうなり。 その宝たから、 なほ*第だい六天ろくてんの宝たからのごとし。
○悉ク相雑廁シ、転タ相*入間セリ。光赫*焜耀ニシテ微妙奇麗ナリ。清浄ニ荘厳シテ超↢踰セリ十方一切ノ世界ニ↡。衆宝ノ中ノ精ナリ。其ノ宝猶如シ↢第六0033天ノ宝ノ↡。
二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)離穢の相を明す
(a)無高下相〔第31願成就〕
^△またその国こく土どには、 須しゅ弥み山せんおよび*金剛こんごう鉄てっ囲ち、 一切いっさいの諸山しょせんなし。 また大海だいかい・小しょう海かい・*谿けい渠ご・井しょう谷こくなし。 仏ぶつ神力じんりきのゆゑに、 見みんと欲おもへばすなはち現げんず。
○又其ノ国土ニハ無シ↢須弥山及ビ金剛*鉄囲、一切ノ諸山↡。亦無シ↢大海・小海・谿渠・井谷↡。仏ノ神力ノ故ニ、欲セバ↠見ムト則チ*現ズ。
二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)無苦難〔第1願成就〕
^△また地じ獄ごく・餓鬼がき・畜ちく生しょう、 *諸難しょなんの趣しゅなし。
○亦無シ↢地獄・餓鬼・畜生、諸難之趣↡。
二 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)無寒熱
^▼また四時しじの春秋しゅんじゅう冬とう夏げなし。 寒さむからず、 熱あつからず。 つねに和やわらかにして*調適じょうちゃくなり」 と。
○亦無シ↢四時ノ春・秋・冬・夏↡。不↠寒カラ不↠熱カラ、常ニ和ラカニシテ調適ナリト。
二 Ⅱ ⅰ a ハ 其の所依を定む
(一)問
^その時ときに、 阿あ難なん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 「世せ尊そん、 もしかの国こく土どに須しゅ弥み山せんなくは、 その四し天王てんのうおよび忉とう利り天てん、 なにによりてか住じゅうする」 と。
○爾ノ時ニ阿難白シテ↠仏ニ言ク、世尊、若シ彼ノ国土ニ無クハ↢須弥山↡、其ノ四天王及ビ*忉利天、依リテカ↠何ニ而住スルト。
二 Ⅱ ⅰ a ハ (二)仏答
(Ⅰ)反質
(ⅰ)仏問
^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたま0029はく、 「第三だいさんの焔天えんてん乃ない至し色しき究く竟きょう天てん、 みななにによりてか住じゅうする」 と。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、第三ノ焔天ヨリ乃チ至ルマデ↢色究竟天ニ↡、皆依リテカ↠何ニ住スルト。
二 Ⅱ ⅰ a ハ (一)(Ⅰ)(ⅱ)阿難答
^阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「行ぎょう業ごうの果か報ほう、 不可ふか思議しぎなればなり」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、行業ノ果報不可思議ナレバナリト。
二 Ⅱ ⅰ a ハ (一)(Ⅱ)正答
^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 「行ぎょう業ごうの果か報ほう不可ふか思議しぎならば、 諸仏しょぶつ世せ界かいもまた不可ふか思議しぎなり。 その*もろもろの衆しゅ生じょう、 功く徳どく善力ぜんりきをもつて行ぎょう業ごうの地じに住じゅうす。 ◗ゆゑによくしかる のみ」 と。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、行業ノ果報不可思議ナレバ、諸仏ノ世界モ亦不可思議ナリ。其ノ諸ノ衆生、功徳善力ヲモテ住ス↢行業之地ニ↡。故ニ能ク爾ル耳ト。
二 Ⅱ ⅰ b 疑問の所以を述ぶ
^阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「われこの法ほうを疑うたがはず。 ただ将しょう来らいの衆しゅ生じょうのために、 その疑ぎ惑わくを除のぞかんと欲ほっするがゆゑに、 この義ぎを問とひたてまつる」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、我不↠疑ハ↢此ノ法ヲ↡。○但為ニ↢将来ノ衆生ノ↡、欲シテ↠除カムト↢其ノ疑惑ヲ↡、故ラニ問ヒタテマツルト↢斯ノ義ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ 正しく本願成就の相を明す
a 摂法身
イ 光明無量徳【光明無量】〔第12願成就〕
(一)総標
【11】^△仏ぶつ0275、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつの威い神じん光こう明みょうは、 最尊さいそん第一だいいちなり。 諸仏しょぶつの光こう明みょう、 及およぶことあたはざるところなり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、無量寿仏ノ威神光明ハ、最尊第一ニシテ、諸仏ノ光明ノ所ナリ↠不ル↠能ハ↠及ブコト。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)広明其徳
(Ⅰ)比挍顕勝
(ⅰ)諸仏の有量光明を挙ぐ
^▼あるいは仏光ぶっこうありて、 百ひゃく仏ぶつ世せ界かい あるいは千仏せんぶつ世せ界かいを照てらす。 要ようを取とりてこれをいはば、 ▼すなはち東方とうぼう恒沙ごうじゃの仏刹ぶっせつを照てらす。 南西なんざい北方ほっぽう・*四し維ゆい・上じょう下げもまたまたかくのごとし。
○或イハ*有リテ↢仏光↡照ス↢百仏ノ世界、或イハ千仏ノ世界ヲ↡。取リテ↠要ヲ言ハバ↠之ヲ、乃チ照シ↢東方恒沙ノ仏刹ヲ↡、南西北方・四維・上下モ亦復如シ↠是クノ。
^◆あるいは仏光ぶっこうありて七しち尺しゃくを照てらし、 あるいは一いち由ゆ旬じゅん、 二に・三さん・四し・五ご由ゆ旬じゅんを照てらす。 かくのごとく*うたた倍ばいして、 乃ない至し一いち仏ぶっ刹せつ土どを照てらす。
○或イハ有リテ↢仏光↡、照シ↢*于七*尺ヲ↡、或イハ*照ス↢一由旬、二・三・四・五由旬ヲ↡。如ク↠是クノ転タ倍シテ、乃チ至ル↠照スニ↢*於一仏刹*土ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)顕勝して徳号を列ぬ【十二光】
^▼このゆゑに無む量りょう寿じゅ仏ぶつをば、 *▼1無む量りょう光こう仏ぶつ・▼2無む辺へん光こう仏ぶつ・▼3無礙むげ光こう仏ぶつ・▼4無む対たい光こう仏ぶつ・▼5焔王えんのう光こう仏ぶつ・▼6清浄しょうじょう光こう仏ぶつ・▼7歓かん喜ぎ光こう仏ぶつ・▼8智慧ちえ光こう仏ぶつ・▼9不ふ断だん光こう仏ぶつ・▼10難なん思じ光こう仏ぶつ・▼11無む称しょう光こう仏ぶつ・▼12超ちょう日にち月光がっこう仏ぶつと号ごうす。
○是ノ故ニ無量寿仏ヲバ、号ス↢無量光仏・無辺光仏・無礙光仏・無対光仏・*焔王光仏・清浄光仏・歓喜光仏・智慧光仏・不断光仏・難思光仏・無称光仏・超日月光仏ト↡。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)其の徳用を明す
(ⅰ)光照益
(a)転悪成善益〔第33願成就〕
^△それ衆しゅ生じょうありて、 ▼この光ひかりに遇もうあふものは、 三さん垢く消しょう滅めつし、 身しん意い*柔にゅう軟なんなり。 ▼歓かん喜ぎ踊ゆ躍やくして善心ぜんしん生しょうず。
○其レ有0034リテ↢衆生↡、遇フ↢斯ノ光ニ↡者ハ、三垢消滅シ、身意柔軟ナリ。歓喜踊躍シテ善心生ズ焉。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)脱苦与楽益【三塗見光】
^0030▼もし三さん塗ず勤ごん苦くの処ところにありて 、 この光こう明みょうを見みたてまつれば、 みな休く息そくを得えてまた苦く悩のうなし。 寿いのち終おわりての後のちに、 みな解げ脱だつを蒙こうぶる。▼
○若シ在リテ↢三塗ノ*勤苦之処ニ↡、見マツレバ↢此ノ光明ヲ↡、皆得テ↢休息ヲ↡無シ↢復苦悩↡。寿終リテ之後ニ、皆蒙ル↢解脱ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)名称益〔第17願成就〕
(a)聖衆称嘆益
^△無む量りょう寿じゅ仏ぶつの光こう明みょうは*顕赫けんかくにして、 十方じっぽう 諸仏しょぶつの国こく土どを*照しょう耀ようしたまふに、 *聞きこえざることなし。
○無量寿仏ノ光明ハ顕赫ニシテ、照↢燿スルニ十方諸仏ノ国土ヲ↡、莫シ↠不ルハ↠聞エ*焉。
^▼ただわれのみいまその光こう明みょうを称しょうするにあらず。 一切いっさいの諸仏しょぶつ・声しょう聞もん・縁覚えんがく・もろもろの菩ぼ薩さつ衆しゅ、 ことごとくともに歎たん誉よすること、 またまたかくのごとし。
○不ズ↣但我ノミ今称ルニ↢其ノ光明ヲ↡。一切ノ諸仏・声聞・縁覚・諸ノ菩薩衆、咸ク共ニ歎誉スルコト、亦復如シ↠是クノ。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)能度衆生益
(イ)聞名往生益〔第37願成就〕
^△もし衆しゅ生じょうありて、 その光こう明みょうの威い神じん功く徳どくを聞ききて、 日にち夜やに称しょう説せつして至し心しん不ふ断だんなれば、 意こころの所願しょがんに随したがひて、 その国くにに生しょうずること0276を得えて、 もろもろの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もんの大衆だいしゅのために、 ともに歎たん誉よしてその功く徳どくを称しょうせられん。
○若シ有リテ↢衆生↡、聞キテ↢其ノ光明ノ威神功徳ヲ↡、日夜ニ称説シテ至シテ↠心ヲ不レバ↠断ゼ、随ヒテ↢意ノ所願ニ↡得テ↠生ズルコトヲ↢其ノ国ニ↡、為ニ↢諸ノ菩薩・声聞ノ*大衆ノ↡、所ル↣共ニ歎誉シテ称セ↢其ノ功徳ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)因光成仏益
^▼それしかうして後のち、 ▼仏道ぶつどうを得うる時ときに至いたりて、 あまねく十方じっぽうの諸仏しょぶつ・菩ぼ薩さつのために、 その光こう明みょうを歎ほめられんこと、 またいまのごとくならん」 と。
○至リテ↧其レ然シテ後、得ル↢仏道ヲ↡時ニ↥、普ク為ニ↢十方ノ諸仏・菩薩ノ↡、歎セラルルコト↢其ノ光明ヲ↡、亦如クナラムト↠今ノ也。
二 Ⅱ ⅱ a イ (三)結嘆
^▼仏ぶつのたまはく、 「▼われ、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつの光こう明みょうの威い神じん、 巍々ぎぎ殊しゅ妙みょうなるを説とかんに、 昼ちゅう夜や一劫いっこうすとも、 なほいまだ尽つくすことあたはじ」 と。
○仏言ク、我説カムニ↢無量寿仏ノ光明ノ威神ノ巍巍殊妙ナルヲ↡、昼夜一劫ストモ、尚*未ダト↠能ハ↠尽スコト。
二 Ⅱ ⅱ a ロ 寿命無量徳【寿命無量】〔第13願成就〕
(一)総標
【12】^△仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 「無む量りょう寿じゅ仏ぶつは寿じゅ命みょう長じょう久くにして*称しょう計げすべからず。 なんぢむしろ知しれりや。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、*無量寿仏ハ寿命長久ニシテ不↠可カラ↢*称計ス↡。○汝寧ンゾ知ラム*乎。
二 Ⅱ ⅱ a ロ (二)譬を設けて示す
^◆たとひ十方じっぽう世せ界かいの無む量りょうの衆しゅ生じょう、 みな人身にんじんを得えて、 ことごとく声しょう聞もん・縁覚えんがくを成じょう就じゅせしめて、 すべてともに集しゅう会えし、 *禅ぜん思し一心いっしんにその智ち力りきを竭つくし 、 百ひゃく千万せんまん劫ごうにおいてことごとくともに推算すいさんしてその寿じゅ命みょうの長じょう遠おんの0031数かずを計はからんに、 窮ぐ尽じんしてその限極げんごくを知しることあたはじ。
○仮使 タトヒ 十方世界ノ無量ノ衆生、皆得テ↢人身ヲ↡、悉ク令メテ↣成↢就セ声聞・縁覚ヲ↡、都テ共ニ集会シ、禅思一心ニ竭ツクシ↢其ノ智力ヲ↡、於テ↢百千万劫ニ↡悉ク共ニ推算シテ計ヘムニ↢其ノ寿命ノ長遠*之数ヲ↡、不↠能ハ↣窮尽シテ知ルコト↢其ノ限極ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a ロ (三)主に因りて眷属長寿なるを明す〔第15願成就〕
^△声しょう聞もん・菩ぼ薩さつ・天てん・人にんの衆しゅうの寿じゅ命みょうの長ちょう短たんも、 またまたかくのごとし。 算数さんじゅ・譬喩ひゆのよく知しるところにあらざるなり。
○声聞・菩薩・天・人之衆ノ寿命ノ長短モ亦復如シ↠是クノ。非ズ↣算数・譬喩ノ所ニ↢能ク知ル↡也。
二 Ⅱ ⅱ a ハ 聖衆無量徳【聖衆無量】〔第14願成就〕
(一)総じて数多を標す
^△また声しょう聞もん・菩ぼ薩さつ、 その数かず量はかりがたし。 称しょう説せつすべからず。
○又声聞・菩薩ノ其ノ数モ難ク↠量リ、不↠可カラ↢称説ス↡。
二 Ⅱ ⅱ a ハ (二)其の徳を嘆ず〔第26願成就?〕
^*神じん智ち洞達どうだつして、 威い力りき自じ在ざいなり。 △よく掌たなごころのうちにおいて、 一切いっさい世せ界かいを持じせり」 と。
●神智洞達シテ、威力自在ナリ。能ク於テ↢掌ノ中ニ↡、持セリト↢一切世界ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a ハ (三)譬を設けて示す
(Ⅰ)標起
【13】^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 「▼かの仏ぶつの*初しょ会えの声しょう聞もん衆しゅの数かず、 称しょう計げすべからず。 菩ぼ0277薩さつもまたしかなり。 いまの大目だいもく犍連けんれんのごとき、 百ひゃく千万せんまん億おく無む量りょう無む数しゅにして、 阿あ僧そう祇ぎ那な由他ゆた劫こうにおいて、 乃ない至し滅めつ度どまでことごとくともに計け校きょうすとも、 多た少しょうの数かずを究く了りょうすることあたはじ。
○仏0035語リタマハク↢阿難ニ↡、彼ノ仏ノ初会ノ声聞衆ノ数、不↠可カラ↢称計ス↡。菩薩モ亦然ナリ。*如キ↢*今ノ大目*犍連ノ↡、百千万億無量無数ニシテ、於テ↢阿僧祇那由他劫ニ↡、乃チ至ルマデ↢滅度ニ↡悉ク共ニ計挍ストモ、不↠能ハ↣究↢了スルコト多少之数ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ a ハ (三)(Ⅱ)正譬
(ⅰ)問答し譬を設く
^たとへば大海だいかいの深広じんこうにして無む量りょうなるを、 たとひ人ひとありて、 その一毛いちもうを析くだきてもつて百ひゃく分ぶんとなして、 一分いちぶんの毛もうをもつて*一渧いったいをヒトシタヾリ*沾取てんしゅせシホシトランんがごとし。 意こころにおいていかん、 その渧しただるところのものは、 かの大海だいかいにおいていづれをか多おおしとする」 と。
○譬ヘバ如シ↧大海ノ深広ニシテ無量ナルニ、仮使 タトヒ 有リテ↠人析クダキテ↢其ノ一毛ヲ↡以テ為シテ↢百分ト↡、以テ↢一分ノ毛ヲ↡*沾↦取ルガ一渧ヲ↥。於テ↠意ニ云何。其ノ所ノ↠渧シタタル者ハ於テ↢彼ノ大海ニ↡何所 イヅレ ヲカ為スト↠多シト。
^阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「かの渧しただるところの水みずを大海だいかいに比ひするに、 多た少しょうの量りょう、 *巧暦きょうりゃく・算数さんじゅ・言ごん辞じ・譬ひ類るいのよく知しるところにあらざるなり」 と。
○阿難白サク↠仏ニ、彼ノ所ノ↠渧シタタル水ヲ、比スルニ↢於大海ニ↡、多少之量、非ズト↣巧*暦・算数・言辞・譬類ノ所ニ↢能ク知ル↡也。
二 Ⅱ ⅱ a ハ (Ⅰ)(Ⅱ)(ⅱ)合譬結嘆
^仏ぶつ、 阿あ難なんに語かたりたまはく、 「目連もくれん等とうのごとき、 百ひゃく千万せんまん億おく那な由他ゆた劫こうにおいて、 かの初しょ会えの声しょう聞もん・菩ぼ薩さつを計かぞへて、 知しらんところの数かずはなほ一渧いったいのごとし。 その知しらざるところは大海だいかいの水みずのごとし。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、如キ↢目連等ノ↡、於テ↢百千万億那由他劫ニ↡、計ヘムニ↢彼ノ初会ノ声聞・菩薩ヲ↡、所ノ↠知ル数者猶如クシテ↢一渧ノ↡。其ノ所ハ↠不ル↠知ラ如シ↢大海ノ水ノ↡。
二 Ⅱ ⅱ b 摂浄土
イ 宝樹荘厳を明す【宝樹荘厳】〔第32(・40)願成就〕
(一)総じて諸樹を列ぬ
(Ⅰ)総標
【003214】^△また、 その国こく土どに七宝しっぽうのもろもろの樹き、 世せ界かいに周しゅう満まんせり。 金樹こんじゅ・銀樹ごんじゅ・瑠璃るり樹じゅ・玻瓈はり樹じゅ・珊さん瑚ご樹じゅ・碼め碯のう樹じゅ・硨しゃ磲こ樹じゅなり。
○又其ノ国土ハ七宝ノ諸ノ樹、周↢満セリ世界ニ↡。金樹・銀樹・*瑠璃樹・*玻瓈樹・珊瑚樹・*碼*碯樹・硨*磲樹ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)別列
(ⅰ)二宝三宝等合成
^あるいは二に宝ほう・三宝さんぼう、 乃ない至し七宝しっぽう、 うたたともに合ごう成じょうせるあり。
○或イハ有リ↢二宝・三宝、乃至七宝ノ転タ共ニ合成セル↡。
^あるいは金樹こんじゅに銀しろがねの葉は・華はな・果このみなるあり。 あるいは銀樹ごんじゅに金こがねの葉は・華はな・果このみなるあり。
○或イハ有リ↢金樹ニ銀ノ葉・華・果ナル↡。或イハ有リ↢銀樹ニ金ノ葉・華・果ナル↡。
^あるいは瑠璃るり樹じゅに玻瓈はりを葉はとす、 華はな・果このみまたしかなり。 あるいは水すい精しょう樹じゅに瑠璃るりを葉はとす、 華はな・果このみまたしかなり。 あるいは珊さん瑚ご樹じゅに碼め0278碯のうを葉はとす、 華はな・果このみまたしかなり。 あるいは碼め碯のう樹じゅに瑠璃るりを葉はとす、 華はな・果このみまたしかなり。 あるいは硨しゃ磲こ樹じゅに衆宝しゅぼうを葉はとす、 華はな・果このみまたしかなり。
○或イハ*瑠璃樹アリ、*玻瓈ヲ為リ↠葉ト、華・果モ亦然ナリ。或イハ水精樹アリ、*瑠璃ヲ為リ↠葉ト、華・果モ亦然ナリ。或イハ珊瑚樹アリ、*碼*碯ヲ為リ↠葉ト、華・果モ亦然ナリ。或イハ*碼*碯樹アリ、*瑠璃ヲ為リ↠葉ト、華・果モ亦然ナリ。或イハ硨磲樹アリ、衆宝ヲ為リ↠葉ト、華・果モ亦然ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)七宝合成
^ある*いは宝樹ほうじゅあり、 *紫し金こんを*本もととし、 白びゃく銀ごんを*茎くきとし、 瑠璃るりを枝えだとし、 水すい精しょうを条こえだとし、 珊さん瑚ごを葉はとし、 碼め碯のうを華はなとし、 硨しゃ磲こを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、紫金ヲ為リ↠本ト、白銀ヲ為リ↠茎ト、*瑠璃ヲ為リ↠枝ト、水精ヲ為リ↠条ト、珊瑚ヲ為リ↠葉ト、*碼*碯ヲ為リ↠華ト、硨磲ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 白びゃく銀ごんを本もととし、 瑠璃るりを茎くきとし、 水すい精しょうを枝えだとし、 珊さん瑚ごを条こえだとし、 碼め碯のうを葉はとし、 硨しゃ磲こを華はなとし、 紫し金こんを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、白銀ヲ為リ↠本ト、*瑠璃ヲ為リ↠茎ト、水精ヲ為リ↠枝ト、珊瑚ヲ為リ↠条ト、*碼*碯ヲ為0036リ↠葉ト、硨磲ヲ為リ↠華ト、紫金ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 瑠璃るりを本もととし、 水すい精しょうを茎くきとし、 珊さん瑚ごを枝えだとし、 碼め碯のうを条こえだとし、 硨しゃ磲こを葉はとし、 紫し金こんを華はなとし、 白びゃく銀ごんを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、*瑠璃ヲ為リ↠本ト、水精ヲ為リ↠茎ト、珊瑚ヲ為リ↠枝ト、*碼*碯ヲ為リ↠条ト、硨磲ヲ為リ↠葉ト、紫金ヲ為リ↠華ト、白銀ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 水すい精しょうを本もととし、 珊さん瑚ごを茎くきとし、 碼め碯のうを枝えだとし、 硨しゃ磲こを条こえだとし、 紫し金こんを葉はとし、 白びゃく銀ごんを華はなとし、 瑠璃るりを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、水精ヲ為リ↠本ト、珊瑚ヲ為リ↠茎ト、*碼*碯ヲ為リ↠枝ト、硨磲ヲ為リ↠条ト、紫金ヲ為リ↠葉ト、白銀ヲ為リ↠華ト、*瑠璃ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 珊さん瑚ごを本もととし、 碼め碯のうを茎くきとし、 硨しゃ磲こを枝えだとし、 紫し金こんを条こえだとし、 白びゃく銀ごん0033を葉はとし、 瑠る璃りを華はなとし、 水すい精しょうを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、珊瑚ヲ為リ↠本ト、*碼*碯ヲ為リ↠茎ト、硨磲ヲ為リ↠枝ト、紫金ヲ為リ↠条ト、白銀ヲ為リ↠葉ト、*瑠璃ヲ為リ↠華ト、水精ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 碼め碯のうを本もととし、 硨しゃ磲こを茎くきとし、 紫し金こんを枝えだとし、 白びゃく銀ごんを条こえだとし、 瑠璃るりを葉はとし、 水すい精しょうを華はなとし、 珊さん瑚ごを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、*碼*碯ヲ為リ↠本ト、硨磲ヲ為リ↠茎ト、紫金ヲ為リ↠枝ト、白銀ヲ為リ↠条ト、*瑠璃ヲ為リ↠葉ト、水精ヲ為リ↠華ト、珊瑚ヲ為ル↠実ト。
^あるいは宝樹ほうじゅあり、 硨しゃ磲こを本もととし、 紫し金こんを茎くきとし、 白びゃく△銀ごんを枝えだとし、 瑠璃るりを条こえだとし、 水すい精しょうを葉はとし、 珊さん瑚ごを華はなとし、 碼め碯のうを実みとす。
○或イハ有リ↢宝樹↡、硨磲ヲ為リ↠本ト、紫金ヲ為リ↠茎ト、白銀ヲ為リ↠枝ト、*瑠璃ヲ為リ↠条ト、水精ヲ為リ↠葉ト、珊瑚ヲ為リ↠華ト、*碼*碯ヲ為ル↠実ト。
二 Ⅱ ⅱ b イ (一)(Ⅲ)略して徳を嘆ず
(ⅰ)樹相殊異
^このもろもろの宝樹ほうじゅ、 *行々ごうごうあひ値あひ、 茎々きょうきょうあひ望のぞみ、 枝々ししあひ準したがひ、 葉々ようようあひ向むかひ、 華々けけあひ順したがひ、 実々じつじつあひ当あたれり。 栄色ようしきの光耀こうようたること、 *勝あげて視みるべからず。
○*此ノ諸ノ宝樹、行行相値ヒ、茎茎相望ミ、枝枝相*準ヒ、葉葉相向ヒ、華華相順ヒ、実実相当レリ。栄色ノ光燿タルコト不↠可カラ↢勝ゲテ視ル↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (一)(Ⅲ)(ⅱ)樹声微妙
^▼清しょう風ふう、 時ときに発おこりて*五いつつの音おん声じょうを出いだす。 微み妙みょうにして宮商きゅうしょう、 自じ然ねんにあひ和わす。
○清風時ニ発リテ出シ↢五ノ音声ヲ↡、微妙ニシテ宮・商、自然ニ相和ス。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)別して道場樹を嘆ず【道樹楽音荘厳】
(Ⅰ)体量荘厳〔第28願成就〕
【15】^△また、 ▼無む量りょう寿じゅ仏ぶつのその道どう場じょう樹じゅは、 高たかさ四し百ひゃく万まん里り、 その本もとの周しゅう囲い五ご十じゅう由ゆ旬じゅんなり。 枝し葉よう四よもに布しけること二に十じゅう万まん里りなり。 一切いっさいの衆宝しゅぼう自じ然ねんに合ごう成じょうせり。 *月光がっこう摩尼まに・*持じ海かい輪宝りんぼうの衆宝しゅぼうの王おうたるをもつて、 これを荘しょう厳ごんせり。
○又無量寿仏ノ其ノ道場樹ハ、高サ四百万里ナリ。其ノ本ノ周囲五*十由旬ナリ。枝葉四モニ布クコト二十万里ナリ。一切ノ衆宝自然ニ合成シ、以テ↢月光摩尼・持海輪宝ノ衆宝之王タルヲ↡而荘シ↢厳之ヲ↡、
^◆条こえだのあひだに*周しゅう帀そうして、 宝たからの瓔珞ようらくを垂たれたり。 百ひゃく千万せんまん色じきにして種々しゅじゅに異い変へんす。 無む量りょうの光焔こうえん、 照しょう耀よう極きわまりなし。 珍ちん妙みょうの宝網ほうもうその上うえに*羅覆らふせり。 一切いっさいの荘しょう厳ごん、 応おうに随したがひて現げんず。
○周↢帀シテ条ノ間ニ↡、垂レタリ↢宝ノ瓔珞ヲ↡。百千万ノ色ニシテ、種種ニ異変シ、無量ノ光焔、照燿無シ↠極リ。珍妙ノ宝網羅↢覆セリ*其ノ上ニ↡。一切ノ荘厳随ヒテ↠応ニ而現ズ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)其の徳用を明す
(ⅰ)別して妙音益を挙ぐ〔第34願成就〕
^▼微み風ふう*やうやく動うごきてもろもろの枝し葉ようを吹ふくに、 無む量りょうの妙みょう法ほうの音おん声じょうを演出えんすいす。 その声こえ流布るふして諸仏しょぶつの国くにに遍へんす。 △その音こえを聞きくものは、 *深じん法忍ぼうにんを得えて不ふ退たい転てんに住じゅうす。 仏道ぶつどうを成なるに至いたるまで、 耳に根こん清しょう徹てつにして苦く患げんに遭あはず。
○微風徐ヤウヤク動キテ*吹クニ↢諸ノ*枝葉ヲ↡、演↢出ス*無量ノ妙法ノ音*声ヲ↡。其ノ声流布シテ徧ス↢諸仏ノ国ニ↡。*其ノ聞ク↠音ヲ者ハ得テ↢深法0037忍ヲ↡住シ↢不退転ニ↡、至ルマデ↠成ズルニ↢仏道ヲ↡*耳根清徹ニシテ不↠遭ハ↢苦患ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)通じて六根益を挙ぐ〔第47願成就〕
^▼目めにそ0034の色いろを覩み、 耳みみに0279その音こえを聞きき、 鼻はなにその香かを知しり、 舌したにその味あじはひを嘗なめ、 身みにその光ひかりを触ふれ、 心こころに法ほうをもつて*縁えんずるに、 △一切いっさいみな甚深じんじんの法忍ほうにんを得えて不ふ退たい転てんに住じゅうす。 ▼仏道ぶつどうを成なるに至いたるまで、 六根ろっこんは清しょう徹てつにしてもろもろの悩患のうげんなし。▼
○目ニ覩↢其ノ色ヲ↡、*耳ニ聞キ↢其ノ音ヲ↡、鼻ニ知リ↢其ノ香ヲ↡、*舌ニ嘗ナメ↢其ノ味ヲ↡、身ニ触レ↢其ノ光ヲ↡、心ニ以テ↠法ヲ縁ズルニ、*一切皆得テ↢甚深ノ法忍ヲ↡住シ↢不退転ニ↡、至ルマデ↠成ズルニ↢仏道ヲ↡六根ハ清徹ニシテ無シ↢諸ノ悩患↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)別して得忍益を挙ぐ〔第48願成就〕
^△阿あ難なん、 もしかの国くにの人天にんでん、 この樹きを見みるものは三さん法忍ぼうにんを得う。 ▼一ひとつには音響おんこう忍にん、 二ふたつには柔順にゅうじゅん忍にん、 三みつには無む生しょう法忍ぼうにんなり。
○阿難、若シ彼ノ*国ノ人天、見ル↢此ノ樹ヲ↡者ハ得↢三法忍ヲ↡。一ニ者音響忍、二ニ者柔順忍、三ニ者無生法忍ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)徳を結して願力に帰す
^▼これみな無む量りょう寿じゅ仏ぶつの▼威い神じん力りきのゆゑに、 ▼本願ほんがん力りきのゆゑに、 ▼満足まんぞく願がんのゆゑに、 ▼明了みょうりょう願がんのゆゑに、 ▼堅けん固ご願がんのゆゑに、 ▼究く竟きょう願がんのゆゑなり」 と。
○此皆無量寿仏ノ威神力ノ故ニ、本願力ノ故ニ、満足願ノ故ニ、明了願ノ故ニ、堅固願ノ故ニ、究竟願ノ故ナリト。
二 Ⅱ ⅱ b ロ 楽音殊妙
(一)顕勝を比挍す
^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「世せ間けんの帝王たいおうに百ひゃく千せんの音楽おんがくあり。 転輪てんりん聖じょう王おうより、 乃ない至し第だい六天ろくてん上じょうの*伎ぎ楽がくの音おん声じょう、 *展転てんでんしてあひ勝すぐれたること、 千億せんおく万倍まんばいなり。 第だい六天ろくてん上じょうの万種まんじゅの楽音がくおん、 無む量りょう寿じゅ国こくのもろもろの七宝しっぽう樹じゅの一種いっしゅの音おん声じょうにしかざること、 千億せんおく倍ばいなり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、世間ノ帝王ニ有リ↢百千ノ音楽↡。自リ↢転輪聖王↡乃チ至ルマデ↢第六天上ニ↡、伎楽ノ音声、展転シテ相勝ルルコト千*億万倍ナルモ、第六天上ノ万種ノ楽音、不ルコト↠如カ↢無量寿国ノ諸ノ七宝樹ノ一種ノ音声ニ↡千億倍也。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)正明
^▼また自じ然ねんの万種まんじゅの伎ぎ楽がくあり。 またその楽がくの声こえ、 法音ほうおんにあらざることなし。 *清しょう揚よう哀あい亮りょうにして微み妙みょう和雅わげなり。 十方じっぽう世せ界かいの音おん声じょうのなかに、 もつとも第一だいいち とす。▼
○亦有リ↢自然ノ万種ノ伎楽↡。又其ノ楽ノ声無シ↠非ザルハ↢法音ニ↡。清*揚哀亮ニシテ微妙和雅ナリ。十方世界ノ音声之中ニ最モ為ス↢第一ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b ハ 宝楼荘厳【講堂宝池荘厳】〔第32願成就〕
【16】^△また講堂こうどう・精しょう舎じゃ・宮く殿でん・楼観ろうかん、 みな七宝しっぽう荘しょう厳ごんして自じ然ねんに化け成じょうす。 また真珠しんじゅ・*明みょう月がつ摩尼まにの衆宝しゅぼうをもつて、 もつて*交きょう露ろとしてその上うえに覆ふ蓋がいせり。
○*又講堂・精舎・宮殿・楼観、皆七宝荘厳シテ自然ニ化成ス。○復以テ↢真珠・明月摩尼ノ衆宝ヲ↡、以テ為シテ↢交*露ト↡覆↢蓋セリ其ノ上ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ニ 宝池荘厳
(一)池相量
^▼内ない外げ左右さうにもろもろの浴よく池ちあり。 ˆ大おおきさˇ あるいは十じゅう由ゆ旬じゅん、 あるいは二に十じゅう・三さん十じゅう、 乃ない0035至し百ひゃく千せん由ゆ旬じゅんなり。 縦じゅう広こう0280深浅じんせん、 おのおのみな*一等いっとうなり。
○内外左右ニ有リ↢諸ノ浴池↡。○或イハ十由旬、或イハ二十・三十、乃至百千由旬ニシテ、○縦広・深浅、*各ノ皆一等ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (二)池水相
^▼八はっ功く徳どく水すい、 湛然たんねんとして盈満ようまんせり。 ▼清浄しょうじょう香潔こうけつにして、 味あじはひ甘かん露ろのごとし。
○八功徳水、湛然トシテ盈満シ、清浄香潔ニシテ味如シ↢甘露ノ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (三)池中荘厳
^▼黄金おうごんの池いけには、 底そこに白びゃく銀ごんの沙いさごあり。 白びゃく銀ごんの池いけには、 底そこに黄金おうごんの沙いさごあり。 水すい精しょうの池いけには、 底そこに瑠璃るりの沙いさごあり。 瑠璃るりの池いけには、 底そこに水すい精しょうの沙いさごあり。 珊さん瑚ごの池いけには、 底そこに琥こ珀はくの沙いさごあり。 琥こ珀はくの池いけには、 底そこに珊さん瑚ごの沙いさごあり。 硨しゃ磲この池いけには、 底そこに碼め碯のうの沙いさごあり。 碼め碯のうの池いけには、 底そこに硨しゃ磲この沙いさごあり。 白びゃく玉ごくの池いけには、 底そこに紫し金こんの沙いさごあり。 紫し金こんの池いけには、 底そこに白びゃく玉ごくの沙いさごあり。
○黄金ノ池ニ者、底ニ白銀ノ沙アリ。白銀ノ池ニ者、底ニ黄金ノ沙アリ。水精ノ池ニ者、底ニ*瑠璃ノ沙アリ。*瑠璃ノ池ニ者、底ニ水精ノ沙アリ。珊瑚ノ池ニ者、底ニ*琥珀ノ沙アリ。*琥珀ノ池0038ニ者、底ニ珊瑚ノ沙アリ。硨磲ノ池ニ者、底ニ*碼碯ノ沙アリ。*碼碯ノ池ニ者、底ニ硨磲ノ沙アリ。白玉ノ池ニ者、底ニ紫金ノ沙アリ。紫金ノ池ニ者、底ニ白玉ノ沙アリ。
^あるいは二に宝ほう・三宝さんぼう、 乃ない至し七宝しっぽう、 うたたともに合ごう成じょうせり。
○*或イハ二宝・○三宝、乃至○七宝、転タ共ニ合成セリ。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (四)池上荘厳
^▼その池いけの岸きしの上うえに栴檀せんだん樹じゅあり。 華け葉よう垂たれ布しきて、 香こう気けあまねく熏くんず。 ▼天てんの*優う鉢羅はら華け・*鉢は曇どん摩ま華け・*拘く物頭もず華け・*分ふん陀利だり華け、 *雑色ざっしき光こう茂もにして、 弥ひろく水みずの上うえに覆おおへり。
○其ノ池ノ岸ノ上ニ有リ↢*栴檀樹↡。華葉垂レ布キテ、香気普ク熏ズ。○天ノ優鉢羅華・鉢曇摩華・拘*物頭華・分陀利華、雑色光茂ニシテ、弥ク↢覆セリ水ノ上ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (五)池水功徳
(Ⅰ)浅深称意
^▼かの諸しょ菩ぼ薩さつおよび声しょう聞もん衆しゅ、 もし宝ほう池ちに入いりて、 意こころに水みずをして足あしを没ひたさしめんと欲おもへば、 水みずすなはち足あしを没ひたす。 膝ひざに至いたらしめんと欲おもへば、 すなはち膝ひざに至いたる。 腰こしに至いたらしめんと欲おもへば、 水みずすなはち腰こしに至いたる。 頚くびに至いたらしめんと欲おもへば、 水みずすなはち頚くびに至いたる。 身みに潅そそがしめんと欲おもへば、 自じ然ねんに身みに潅そそぐ。 還復げんぶくせしめんと欲おもへば、 水みずすなはち還げん0281復ぶくす。
○彼ノ諸菩薩及ビ声聞衆、若シ入リテ↢宝池ニ↡、意ニ欲スレバ↠令メムト↢水ヲシテ没セ↟足ヲ、水即チ没ス↠足ヲ。欲スレバ↠令メムト↠至ラ↠膝ニ、即チ至ル↢于膝ニ↡。欲スレバ↠令メムト↠至ラ↠腰ニ、水即チ至ル↠腰ニ。欲スレバ↠令メムト↠至ラ↠頚ニ、水即チ至ル↠頚ニ。欲スレバ↠令メムト↠潅ガ↠身ニ、自然ニ潅グ↠身ニ。欲スレバ↠令メムト↢還復セ↡、水輒スナハチ還復ス。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (五)(Ⅱ)適悦身心
^▼冷りょう煖なんを調じょう和わするに、 自じ然ねんに意こころに随したがふ。 ^ˆ水浴すいよくせばˇ ▼神たましいを開ひらき、 体みを悦よろこばしめて、 *心しん垢くを蕩除とうじょす。
○調↢和スルニ冷煖ヲ↡、自然ニ随ヒ↠意ニ、開キ↠神タマシヒヲ、悦バシメテ↠体ヲ、蕩↢除ス心垢ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (五)(Ⅲ)水性澄潔
^▼ˆ水みずはˇ 清しょう明みょう0036澄ちょう潔けつにして、 浄きよきこと形かたちなきがごとし。 ˆ池ち底ていのˇ 宝沙ほうしゃ、 *映徹ようてつして、 深ふかきをも照てらさざることなし。
●清明澄潔ニシテ、浄キコト若シ↠無キガ↠形。宝沙映徹シテ無シ↢深キヲモ不ルハ↟照サ。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (五)(Ⅳ)水声演法〔第46願成就〕
^▼*微み瀾らん回流えるしてうたたあひ*潅かん注ちゅうす。 *安あん詳じょうとしてやうやく逝ゆきて、 遅おそからず、 疾とからず。
●微瀾廻流シテ転タ相潅注ス。安詳トシテ徐ヤウヤク逝キテ、不↠遅カラ不↠疾カラ。
^△波なみ揚あがりて無む量りょうなり。 自じ然ねんの妙声みょうしょう、 その*所応しょおうに随したがひて聞きこえざるものなし。 あるいは仏ぶっ声しょうを聞きき、 あるいは法ほう声しょうを聞きき、 あるいは僧そう声しょうを聞きく。 あるいは寂静じゃくじょうの声こえ、 空くう無我むがの声こえ、 大だい慈悲じひの声こえ、 波羅はら蜜みつの声こえ、 あるいは十じゅう力りき・無畏むい・不共ふぐ法ほうの声こえ、 もろもろの*通つう慧えの声こえ、 *無む所しょ作さの声こえ、 *不起ふき滅めつの声こえ、 無む生しょう忍にんの声こえ、 乃ない至し、 *甘かん露ろ潅かん頂じょう、 もろもろの妙みょう法ほうの声こえ、 かくのごときらの声こえ、 その聞きくところに称かなひて、 歓かん喜ぎすること無む量りょうなり。
●波揚リテ無量ナリ。○自然ノ妙声随ヒテ↢其ノ所応ニ↡莫シ↢不ル↠聞エ者↡。或イハ聞キ↢仏ノ声ヲ↡、或イハ聞キ↢法ノ声ヲ↡、或イハ聞ク↢僧ノ声ヲ↡。或イハ寂静ノ声、空・無我ノ声、大慈悲ノ声、波羅蜜ノ声、或イハ十力・無畏・不共法ノ声、諸ノ通慧ノ声、無所作ノ声、不起滅ノ声、無生忍ノ声、乃至甘露潅頂ノ衆ノ妙法ノ声、如キ↠是クノ等ノ声、称ヒテ↢其ノ所ニ↟聞ク、歓喜スルコト無量ナリ。
^◆ˆ聞きくひとはˇ 清浄しょうじょう・離り欲よく・寂じゃく滅めつ・真実しんじつの義ぎに随ずい順じゅんし、 *三宝さんぼう・ ˆ十じゅうˇ 力りき・無む所しょ畏い・不共ふぐの法ほうに随ずい順じゅんし、 通つう慧え、 菩ぼ薩さつ・声しょう聞もんの所しょ行ぎょうの道どうに随ずい順じゅんす。
○随↢順シ清浄・離欲・寂滅・真実之義ニ↡、随↢順シ三宝・力・無所畏・不共之法ニ↡、随↢順ス通慧ト菩薩・声聞ノ所行之道ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ニ (六)因みに処名を解す〔第16願成就〕
^△三さん塗ず苦く難なんの名なあることなく、 ただ自じ然ねん快け楽らくの音こえのみあり。 このゆゑに、 その国くにを名なづけて安楽あんらくといふ。
○無ク↠有ルコト↢三塗苦難之名↡、但有リ↢自然快楽之音ノミ↡。是ノ故ニ其ノ国ヲ名ケテ曰0039フ↢*安楽ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b ホ 双べて依正を嘆ず【眷属荘厳】〔第27・38願成就〕
(一)総標
【17】^△阿あ難なん、 かの仏国ぶっこく土どにもろもろの往おう生じょうするものは、 かくのごときの清浄しょうじょうの色身しきしん、 もろもろの妙みょう音おん声じょう、 神通じんずう功く徳どくを具ぐ足そくす。 処しょするところの宮く殿でん・衣え服ぶく・飲食おんじき・衆しゅ妙みょう華け香こう・荘しょう厳ごんの具ぐは、 なほ第だい六天ろくてんの自じ然ねんの物もののごとし。
○阿難、彼ノ仏国土ニ諸ノ往生スル者ハ具↢足ス如キノ↠是クノ清浄ノ色身、諸ノ妙音声、神通功徳ヲ↡。○所ノ↠処スル宮殿・衣服・飲食・衆ノ妙華香・荘厳之具ハ、猶シ↢第六天ノ自然之物ノ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)別嘆
(Ⅰ)飲食自然を嘆ず
^▼もし食じきせんと欲おもふ時ときは、 七宝しっぽうの*鉢はっ器き、 自じ0282然ねんに前まえにあり。 金こん・銀ごん・瑠璃るり・硨しゃ磲こ・碼め碯のう・珊さん瑚ご0037・琥こ珀はく・明みょう月がつ真珠しんじゅ、 かくのごときの諸鉢しょはつ、 意こころに随したがひて至いたる。 *百ひゃく味みの飲食おんじき、 自じ然ねんに盈満ようまんす。
○若シ欲スル↠食セムト時ハ、七宝ノ*鉢器、自然ニ在リ↠前ニ。金・銀・*瑠璃・硨磲・*碼碯・珊瑚・*琥珀・明月真珠、如キノ↠是クノ*諸ノ鉢、随ヒテ↠意而至リ、○百味ノ*飲食、自然ニ盈満ス。
^▼この食じきありといへども、 実じつに食じきするものなし。 ただ色いろを見み、 香かを聞かぐに、 意こころに食じきをなすと以おもへり。 自じ然ねんに*飽足ほうそくして身心しんしん柔にゅう軟なんなり。 *味み着じゃくするところなし。 事こと已おわれば化けして去さり、 時とき至いたればまた現げんず。
○雖モ↠有リト↢此ノ食↡、実ニ無シ↢食スル者↡。但見↠色ヲ、聞カグニ↠香ヲ、意ニ以ヘバ↠為スト↠食ヲ。自然ニ飽足シテ、身心柔軟ニシテ。無シ↠所↢味著スル↡。事已レバ化シテ去リ、時至レバ復現ズ。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)広く聖衆の徳を嘆ず
(ⅰ)略して所居を嘆ず〔第11願成就〕
^△かの仏国ぶっこく土どは、 清浄しょうじょう安穏あんのんにして微み妙みょう快け楽らくなり。 無為むい泥洹ないおんの道どうに次ちかし。
○彼ノ仏国土ハ清浄安*穏ニシテ微妙快楽ナリ。次チカシ↢於無為泥洹之道ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)正しく聖衆を嘆ず
(a)直嘆〔第3・4・35願成就〕
^△そのもろもろの声しょう聞もん・菩ぼ薩さつ・天てん・人にんは、 智慧ちえ高こう明みょうにして神通じんずう洞達どうだつせり。
○其ノ諸ノ声聞・菩薩・*天・人ハ、智慧高明ニシテ神通洞達セリ。
^◆ことごとく同おなじく一類いちるいにして、 形かたちに異い状じょうなし。▼*ただ余よ方ほうに因いん順じゅんするがゆゑに、 天人てんにんの名なあり。
○咸ク同ジク一類ニシテ、形ニ無シ↢異状↡。●但因↢順ズルガ余方ニ↡故ニ、有リ↢*天・人之名↡。
^▼顔げん貌みょう端たん正じょうにして超ちょう世せ希有けうなり。 容色ようしき微み妙みょうにして、 天てんにあらず人にんにあらず。▼みな*自じ然ねん虚無こむの身しん、 無む極ごくの体たいを受うけたり」 と。
○顔貌端正ニシテ超エテ↠世ニ希有ナリ。容色微妙ニシテ、非ズ↠天ニ非ズ↠人ニ。皆受ケタリト↢自然虚無之身、無極之体ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)顕勝を比挍す
(イ)譬を設けて勝劣を定む
[一]仏問
【18】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「*たとへば世せ間けんの貧びん窮ぐ・乞人こつにんの、 帝王たいおうの辺ほとりにあらんがごとし。 形ぎょう貌みょう・容よう状じょう、 むしろ類るいすべけんや」 と。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、譬ヘバ如シ↣世間ノ貧窮・乞人ノ在ルガ↢帝王ノ辺ニ↡。形貌・容状、寧ンゾ可ケム↠類ス*乎ト。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]阿難答
[Ⅰ]略答
^阿あ難なん、 仏ぶつにまうさく、 「たとひこの人ひと、 帝王たいおうの辺ほとりにあらんに、 *羸るい陋る醜しゅう悪あくにして、 もつて喩たとへとすることなきこと、 百ひゃく千万せんまん億おく*不可計ふかけ倍ばいなり。
○阿難白サク↠仏ニ、仮令 タトヒ 此ノ人在ラムニ↢帝王ノ辺ニ↡、羸陋醜悪ニシテ、無キコト↢以テ為スコト↟喩ト、百千万億不可計倍ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]広く其の所以を弁ず
[ⅰ]貧苦相
^しかるゆゑは、 貧びん窮ぐ・乞人こつにんは*底極たいごく廝下しげにして、 衣ころも形かたちを蔽かくさず。 食じき趣わずかに命いのちを支ささふ。 飢き寒かん困こん苦くして*人にん理りほとほと尽つきなんとす。
○所↢以然ル↡者、貧窮・乞人ハ底極*廝下ニシテ、衣不↠蔽サ↠形ヲ、食趣ワヅカニ支フ↠命ヲ。飢寒困苦シテ、人理殆ド尽キナムトス。
^みな前ぜん世せに徳本とくほんを植うゑず、 財ざいを積つみて施ほどこさず、 富有ふう0283にしてますます慳おし0038み、 ただいたづらに得えんと欲おもひて、 貪とん求ぐして厭いとふことなく、 *あへて善ぜんを修しゅせず、 悪あくを犯おかすこと山やまのごとくに積つもるによりてなり。
○皆坐ヨリテナリ↢前世ニ不ルニ↟*植エ↢徳本ヲ↡。積ミテ↠財ヲ不↠施サ、富有ニシテ益マス慳ヲシミ、但欲シ↢唐イタヅラニ得ムト↡、貪0040求シテ無ク↠厭フコト、不↢*肯テ修セ↟善ヲ、犯スコト↠悪ヲ山ノゴトクニ積ル。
^かくのごとくして、 寿いのち終おわりて、 財宝ざいほう消しょう散さんす。 身みを苦くるしめ、 *聚じゅ積しゃくしてこれがために憂う悩のうすれども、 おのれにおいて益やくなし。 いたづらに*他たの有うとなる。 善ぜんとして怙たのむべきなし、 徳とくとして恃たのむべきなし。 このゆゑに、 死しして悪趣あくしゅに堕だしてこの長じょう苦くを受うく。 罪つみ畢おわり出いづることを得えて、 生うまれて下げ賎せんとなり、 *愚鄙ぐひ廝し極ごくにして*人類にんるいに示じ同どうす。
○如クシテ↠是クノ寿終リテ財宝消散シ、苦メ↠身ヲ*聚積シテ、為ニ↠之ガ*憂悩スレドモ、於テ↠己ニ無ク↠益、徒ニ為ル↢他ノ有ト↡。無ク↢善トシテ可キ↟怙ム、無シ↢徳トシテ可キ↟恃ム。是ノ故ニ、死シテ堕シテ↢悪趣ニ↡、受ク↢此ノ長苦ヲ↡。罪畢リテ得テ↠出ヅルコトヲ、生ジテ為リ↢下賎ト↡、愚鄙*廝極ニシテ示↢同ス人類ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]帝王相
^世せ間けんの帝王たいおう 、 人にん中ちゅうに独尊どくそんなるゆゑは、 みな*宿しゅく世せに徳とくを積つめるによりて致いたすところなり。 慈恵じえ博ひろく施ほどこし、 仁愛にんあい兼かねて済すくふ。 信しんを履ふみ善ぜんを修しゅして、 *違い諍じょうするところなし。
○所↢以ハ世間ノ帝王ノ人中ニ独尊ナル↡、皆由リテ↢宿世ニ積メルニ↟徳ヲ所ナリ↠致ス。慈*恵ヲモテ博ク施シ、仁愛ヲモテ兼ネテ済ヒ、履ミ↠信ヲ修シテ↠善ヲ、無シ↠所↢違*諍スル↡。
^ここをもつて寿いのち終おわれば、 福ふく応おうじて善道ぜんどうに昇のぼることを得え、 天てん上じょうに上生じょうしょうしてこの福楽ふくらくを享うく。 *積しゃく善ぜんの余よ慶きょうに、 いま人ひととなることを得えて、 たまたま王おう家けに生うまれて、 自じ然ねんに尊そん貴きなり。 *儀ぎ容よう端たん正じょうにして衆しゅうの敬きょう事じするところなり。 妙みょう衣え・珍饍ちんぜん、 心こころに随したがひて*服ぶく御ごす。 *宿しゅく福ふくの追おふところなるがゆゑに、 よくこれを致いたす」 と。
○是ヲ以テ寿終レバ、福応ジテ得↠*昇ルコトヲ↢善道ニ↡、上↢生シテ天上ニ↡*享ウク↢茲ノ福楽ヲ↡。積善ノ余慶ニ、今得テ↠為ルコトヲ↠人ト、*適マ生ジ↢王家ニ↡、自然ニ尊貴ナリ。儀容端正ニシテ衆ノ所ナリ↢敬事スル↡。妙衣・珍饍随ヒテ↠心ニ服御ス。宿福ノ所ナルガ↠追フ故ニ、能ク致スト↠此ヲ。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)合譬正明
【19】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「なんぢが言ことば是ぜなり。 たとひ帝王たいおうのごとき、 人にん中ちゅうの尊そん貴きにして形ぎょう色しき端たん正じょうなりといへども、 これを転輪てんりん聖じょう王おうに比ならぶるに、 はなはだ*鄙ひ0284陋るなりとす。 なほかの乞人こつにんの帝王たいおうの辺ほとりにあらんがごときなり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝ガ言是也。*仮ヒ如キ↢帝王ノ↡雖モ↢人中ノ尊貴ニシテ形色端正ナリト↡、比スルニ↢之ヲ転輪聖王ニ↡、甚ダ為ス↢鄙陋ナリト↡。猶シ↣彼ノ乞人ノ在ルガ↢帝王ノ辺ニ↡*也。
^転輪てんりん聖じょう0039王おうは、 威い相そう殊しゅ妙みょうにして天てん下げ 第一だいいちなれども、 これを*忉とう利り天王てんのうに比ならぶるに、 また醜しゅう悪あくにしてあひ喩たとふるを得えざること万億まんおく倍ばいなり。
○転輪聖王ハ、威相殊妙ニシテ天下第一ナレドモ、比スルニ↢*之ヲ忉利天王ニ↡、又復醜悪ニシテ不ルコト↠得↢相喩フルコトヲ↡万億倍也。
^たとひ天帝てんたいを*第六だいろく天王てんのうに比ならぶるに、 百ひゃく千億せんおく倍ばいあひ類るいせざるなり。
○仮令 タトヒ 天帝ナレドモ、比スルニ↢第六天王ニ↡、百千億倍ニシテ不ル↢相類セ↡也。
^たとひ第六だいろく天王てんのうを無む量りょう寿じゅ仏国ぶっこくの菩ぼ薩さつ・声しょう聞もんに比ならぶるに、 光顔こんげん・容色ようしきあひ及逮およばざること百ひゃく千万せんまん億おく不可ふか計け倍ばいなり」 と。
○設ヒ第六天王ナレドモ、比スルニ↢無量寿仏国ノ菩薩・声聞ニ↡、光顔・容色不ルコト↢相及逮 オヨ バ↡百千万億不可計倍ナリト。
二 Ⅱ ⅱ b ホ (二)(Ⅲ)総じて所須の厳浄を嘆ず
【20】^▼仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 「無む量りょう寿じゅ国こくの、 そのもろもろの天てん・人にんの衣え服ぶく・飲食おんじき・華け香こう・瓔珞ようらく・繒蓋ぞうがい・幢幡どうばん、 微み妙みょうの音おん声じょう、 所しょ居ごの舎宅しゃたく・宮く殿でん・楼閣ろうかくは、 その*形ぎょう色しきに称かなひて高こう下げ大だい小しょうあり。 あるいは一宝いっぽう・二に宝ほう、 乃ない至し無む量りょうの衆宝しゅぼう、 意こころの所欲しょよくに随したがひて、 念ねんに応おうじてすなはち至いたる。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、無量寿国ノ、其ノ諸ノ天人ノ衣服・飲食・華香・瓔珞・*繒蓋・幢旛、微妙ノ音声、所居ノ舎宅・宮殿・楼閣ハ、称カナヒテ↢其ノ形色ニ↡高下大小アリ。或イハ一宝・二宝、乃至0041無量ノ衆宝、随ヒテ↢意ノ所欲ニ↡、応ジテ↠念ニ即チ至ル。
^また衆宝しゅぼうの妙みょう衣えをもつてあまねくその地じに布しけり。 一切いっさいの天てん・人にんこれを践ふみて行ゆく。
●又以テ↢衆宝ノ妙衣ヲ↡徧ク布キ↢其ノ地ニ↡、一切ノ*天人践ミテ↠之ヲ而行ク。
二 Ⅱ ⅱ b ヘ 虚空荘厳
(一)宝網
^▼無む量りょうの宝網ほうもう、 仏ぶつ土どに弥覆みふせり。 みな*金こん縷る・真珠しんじゅ、 百ひゃく千せんの雑宝ざっぽうの奇き妙みょう珍ちん異いなるをもつて荘しょう厳ごん*校きょう飾じきせり。 ▼四し面めんに周しゅう帀そうして、 垂たるるに宝ほう鈴りょうをもつてす。 光色こうしき晃耀こうようにして、 ことごとく厳麗ごんらいを極きわむ。
○無量ノ宝網弥↢覆シ仏*土ニ↡、皆以テ↢金縷・真珠ノ百千ノ雑宝ノ奇妙珍異ナルヲ↡荘厳*校飾セリ。周↢帀シテ四面ニ↡、*垂ルルニ以テス↢宝鈴ヲ↡。光色晃燿ニシテ、尽ク極ム↢厳麗ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)徳風
(Ⅰ)風質調和
^▼自じ然ねんの徳風とくふうやうやく起おこりて微み動どうす。 その風かぜ、 調じょう和わにして寒さむからず、 暑あつからず。 温おん涼りょう柔にゅう軟なんにして、 遅おそからず、 疾とからず。
○自然ノ*徳風徐ヤウヤク起リテ微動スルニ、其ノ風調和ニシテ、不↠寒カラ不↠暑カラ。温涼柔軟ニシテ、不↠遅カラ不↠疾カラ。
二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)風吹利益
(ⅰ)妙声流香
^▼もろもろの羅ら網もうおよびもろもろの宝樹ほうじゅを吹ふくに、 無む量りょう微み妙みょうの法音ほうおんを演発えんぽつし、 万種まんじゅ温おん雅げの徳香とくこうを流布るふす。 ^それ聞かぐことあるものは、 *塵じん0285労ろう垢く習じゅう、 自じ然ねんに起おこらず。
○吹クニ↢諸ノ羅網及ビ衆ノ宝樹ヲ↡、演↢発シ無量ノ微妙ノ法音ヲ↡、流↢布ス万種ノ温雅ノ徳香ヲ↡。其レ有レバ↢聞カグコト者ハ↡、塵労垢習、自然ニ不↠起ラ、
二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅱ)触身生楽〔第39願成就〕
^△風かぜ、 その身みに触ふるるに、 み0040な快け楽らくを得う。 たとへば比丘びくの*滅尽めつじん三昧ざんまいを得うるがごとし。
○風触ルルニ↢其ノ身ニ↡、皆得ルコト↢快楽ヲ↡、譬ヘバ如シ↣比丘ノ得ルガ↢滅尽三昧ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ヘ (二)(Ⅱ)(ⅲ)散華厳土〔第32願成就〕
【21】^△また風かぜ 吹ふきて華はなを 散ちらし 、 仏ぶつ土どに遍満へんまんす。 色いろの次し第だいに随したがひて雑乱ぞうらんせず。 柔にゅう軟なん光沢こうたくにして*馨きょう香こう芬烈ふんれつなり。 ▼足あしその上うえを履ふむに、 陥くぼみ下くだること四し寸すん、 足あしを挙あげをはるに随したがひて、 還復げんぶくすること故もとのごとし。
○又風吹キテ散ジ↠華ヲ、徧↢満ス仏土ニ↡。随ヒテ↢色ノ次第ニ↡而不↢雑乱セ↡、柔軟光沢ニシテ馨香芬烈ナリ。足履ムニ↢其ノ上ヲ↡、*陥クボミ下ルコト四寸、随ヒテ↢挙ゲ↠足ヲ已ルニ↡、還復スルコト如シ↠故モトノ。
^◆華はな、 用もちゐることすでに訖おわれば、 地じすなはち開ひらき裂さけ、 次ついでをもつて化け没もつす。 清浄しょうじょうにして遺のこりなし。 その時じ節せつに随したがひて、 風かぜ吹ふきて華はなを散ちらす。 かくのごとく*六返ろっぺんす。
○華用ヰルコト已訖 ヲハ レバ地輒スナハチ開キ裂シ、以テ↠次デヲ化没ス。清浄ニシテ無シ↠遺リ。随ヒテ↢其ノ時節ニ↡、風吹キテ散ズルコト↠華ヲ、如ク↠是クノ六*返ス。
二 Ⅱ ⅱ b ト 依正互融徳【華光出仏】〔第45願成就?〕
^△また衆宝しゅぼうの蓮れん華げ、 世せ界かいに周しゅう満まんせり。 一々いちいちの宝ほう華けに百ひゃく千億せんおくの葉はなびらあり。 その華はなの光こう明みょうに無む量りょう種しゅの色いろあり。 青しょう色しきに青しょう光こう、 白びゃく色しきに白びゃく光こうあり、 玄げん・黄おう・朱しゅ・紫しの光色こうしきもまたしかなり。 *暐い曄よう煥爛かんらんとして日月にちがつよりも明みょう曜ようなり。
○又衆宝ノ蓮華周↢満シ世界ニ↡、一一ノ宝華ニ百千億ノ葉ハナビラアリ。其ノ*華ノ光明ニ無量種ノ色アリ。青色ニ青光、白色ニ白光アリ。玄・黄・朱・紫ノ光色モ*亦然ナリ。*暐曄煥爛トシテ明↢曜ナリ日月ヨリモ↡。
^▼一々いちいちの華はなのなかより*三さん十じゅう六ろっ百ぴゃく千億せんおくの光ひかりを出いだす。 一々いちいちの光ひかりのなかより三さん十じゅう六ろっ百ぴゃく千億せんおくの仏ぶつを出いだす。 身色しんじき紫し金こんにして相好そうごう殊特しゅどくなり。 一々いちいちの諸仏しょぶつ、 また百ひゃく千せんの光こう明みょうを放はなちて、 あまねく十方じっぽうのために微み妙みょうの法ほうを説ときたまふ。 かくのごときの諸仏しょぶつ、 各々かくかくに無む量りょうの衆しゅ生じょうを仏ぶつの正しょう道どうに安あん立りゅうせしめたまふ」 と。
○一一ノ華ノ中ヨリ出シ↢三十六百千億ノ光ヲ↡、一一ノ光ノ中ヨリ出ス↢三十六百千億ノ仏ヲ↡。身色紫金ニシテ相好殊特ナリ。一一ノ諸仏又放チテ↢百千ノ光明ヲ↡、普ク為ニ↢十方ノ↡説タマヒ↢微妙ノ法ヲ↡、如キノ↠是クノ諸仏、各各ニ安↢立セシメタマフト無量ノ衆生ヲ於仏ノ正道ニ↡。
仏説ぶっせつ無む量りょう寿じゅ経きょう 巻かん上じょう
延書の底本は兵庫県毫摂寺蔵本。 なお、 宗祖加点本を元にした延書と対校し、 相違箇所を赤の点下線(クリックで内容表示)、 減語句を青の点下線で示している。 ただし、 功こう祚そ:功祚くそなどの音の違いは割愛した。
曹魏 三国時代の魏 (220-265) の別称。 王室の姓をとって曹魏と呼ぶ。
大比丘の衆 大いなる比丘の集まり。 後に列挙する菩薩衆に対すれば声しょう聞衆もんしゅである。
普賢大士の徳に遵へり 普賢菩薩のように、 慈悲行を実践するという意。
神 神識じんしき。 こころ。
色味 五欲 (色しき・声しょう・香こう・味み・触そくを対象とする欲) の中の二つを挙げて、 欲望を代表的に示す。
金流 清流。 釈尊の場合では、 ブッダガヤー(Buddha-gayā)に近いナイランジャナー(Nairañjanā)河を指す。
感徴 仏が成道するという奇き端ずいを感得すること。
官属 一族の者。 配下の者。
分衛 梵語ピンダ・パータ(piṇḍa-pāta)の音写。 乞こつ食じき・托鉢の意。
本学 幻師 (幻術者) の学問を指す。
貫綜縷練 徹底的に学び通達すること。
所住安諦 学んだ教えの上に心を落ち着かせて、 安らかになること。
仏の所住 仏の具そなえる功く徳どく。
大聖の所立 大聖は仏のこと。 仏の清浄しょうじょうな行い。
諸法の性 あらゆる存在の本性。
幻化の法 すべての事物は因縁いんねんによって生起したもので、 それ自身に固有な本性がないから幻のようである、 という道理。
中下 縁覚えんがくと声しょう聞もん。
諸根智慧 一切衆しゅ生じょうの素質能力を知りわける智慧。
所有の法 有為うい法ほう。 迷いによって現れたあらゆる世間の事柄。
諸根悦予 全身によろこびがあふれているさま。
光顔巍巍 光り暉く顔が気高くすぐれているさま。
明浄なる鏡…ごとし 底本延書には「あきらかなる鏡、 浄き影表裏に暢るがごとし」とある。
威容顕曜 姿がおごそかで、 光り輝いているさま 。
希特の法 とくにすぐれた禅ぜん定じょう。
導師の行 人々を真実の世界へ導く師としての行。
最勝の道 最もすぐれた智ち慧えの境地。
如来の徳 自利利他を円満した徳。
慧見無碍 仏の智慧ちえが自在であること。
一餐 一度の食事。
聖法王 ここでは世せ自じ在ざい王おう仏ぶつを指す。
大聖 仏のこと。
信明 信は誠信、 明は証明。 まことにして偽りなきことを証明すること。
真証 真実の証明。
諸仏如来の浄土の行 諸仏がそれぞれの浄土を建立するための行。
無上殊勝の願 この上なくすぐれた本願。 →
補註17
これ時なり 今が本願を説くべき時であるという意。
発起し悦可せしめよ 浄土願生の心を起さしめ、 よろこびの心を起さしめなさい。
下三千…知るに至らば 底本延書には「乃至三千…知らば」とある。
不善の名 このましくない言葉。
称 称揚の意で、 名みょう号ごうをほめたたえること。
ただ 底本延書には「ただし」とある。
もろもろの徳本を植ゑて 名号を称えるという意。
常倫に…現前し 通常は 「常倫諸地の行を超出し、 現前に」 と読む。 常倫はつねなみ、 普通一般の意。
一食のあひだ 一度食事をするほどの短い時間。
金剛那羅延の身 堅固で
那羅なら延えんのように何者にも破壊されることのない力強い身体。
身心柔軟 摂取せっしゅの光こう明みょうにつつまれた者は、 貪とん・瞋しん・痴ちの三毒の煩悩ぼんのうが消えて、 身も心もやわらぐこと。 我執がしゅうがなくなること。
擣染 底本延書には、「染治」とある。
定意 禅定のこころ。
諸仏の法 仏のさとりのこと。 「もろもろの仏法」 と読み、 第一、 第二、 第三法忍の法を指すとする説もある。
頌を説きていはく 底本延書には、 「偈をもって頌していはく」とある。
聞ゆるところなくは 聞えないところがあるならという意。
深正念 深い禅定ぜんじょう (精神統一) の境地。
無際の土 果てしのない世界。
昏盲の闇 昏盲とは智慧ちえのない暗い状態で、 その暗さを闇に喩える。
重暉 日と月の光による二重の輝き。
恢廓広大 限りなく広く大きいさま。
欲覚瞋覚害覚 むさぼり、 いかり、 害を加えようとする分別作用。 →
三覚
欲想瞋想害想 想は外界の対象を知覚表象するはたらきで、 欲覚・瞋覚・害覚を生ぜしめる原因となる。 →
三想
虚偽諂曲の心 うそいつわりの心、 相手にこびへつらう心。
意を先にして承問す 相手の意思を先んじて知り、 よく受け入れて教え導くこと。
大荘厳 三法さんぽうを恭敬くぎょうし、 師長を奉事することによって得られた福徳ふくとくと智慧ちえの二つの荘厳。 また、 誓願せいがんを指すという説もある。
作なく起なく はからいがないという意。
法は化のごとし もろもろの現象 (法) は、 仮に相すがたをとって現れた存在にすぎない。
恢廓曠蕩 果てしなく広々とし、 大きいさま。
光赫焜耀 光り輝くこと。
谿渠井谷 谿は谷、 渠は溝、井は井戸、 谷は水のない谷。
諸難の趣 もろもろの苦しみの世界。
もろもろの衆生 浄土の聖しょう者じゃ。
聞え 聞は光こう明みょうの利り益やくがそのまま名みょう号ごうの功く徳どくであることを示す。
禅思一心に 思いを静め、 心を一つにして。
神智洞達 神通じんずう・智慧ちえ弁才べんざいに通達していること。 あるいは、 不可思議の智慧に深く熟達していること。
一渧 ひとしずく。
本 根ねのこと。
茎 幹みきのこと。
行々 列と列。
勝げて視るべからず ことごとく見尽すことができない。
縁ずる 対象を認識する。
清揚哀亮 音がきよらかであり、 あわれにしてさえわたること。「清揚」は底本延書には「清暢」とある。
一等 平等。 ひとしいこと。
雑色光茂 色とりどりに咲き乱れるさま。
所応 ねがい。 望み。
無所作 とらわれのない修行。
不起滅 不ふ生しょう不ふ滅めつの真理。 消滅を超えた真理。
ただ余方に… 浄土の聖者しょうじゃを他方世界に順じて天とか人とか呼ぶのみで実の天でも人でもないという意。
不可計倍 はかることができないほどの倍数。
底極廝下 最低の暮しをしていること。
人理ほとほと… 人間らしい生活をほとんどしていないという意。
あへて善を修せず 底本延書には、「善を修することを信ぜず」とある。
他の有 他人の所有。
愚鄙廝極 最低の生活をしていること。
人類に示同す どうにか人間として暮しているというほどの意。
積善の余慶 過去に積んだ善の報いとして受ける幸福。
形色 (浄土の聖者しょうじゃの) すがたかたち。
校飾 宝を交えて飾りたてること。
馨香芬烈 香気が強いこと。
六返 昼夜六時 (晨朝じんじょう・日中にっちゅう・日没にちもつ・初しょ夜や・中夜ちゅうや・後夜ごや) に行うこと。
三十六百千億 浄土の蓮れん華げには百千億の花びらがあり、 その花びらに青・白・玄・黄・朱・紫の六光があって相互に照らし合うから、 六六三十六の百千億の光になる。 一即一切、 一切即一という無礙むげの相をあらわしている。
底本は◎本派本願寺蔵版本。 Ⓐ高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(普寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ京都府清浄華院蔵平安時代書写本、 Ⓕ本派本願寺蔵正平六年書写本、 Ⓖ愛知県祐誓寺蔵建仁四年刊本 と対校。 ª全部対校º 人天→ⒷⒸⒹ天人、 硨磲→ⒶⒺⒻⒼ車
勤→Ⓖ懃
瑠→Ⓐ琉
碼碯→Ⓐ瑪瑙→ⒺⒻⒼ馬瑙
蠃→ⒶⒺⒻⒼ蠡→ⒷⒸⒹ螺
犍→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ揵
障→Ⓐ障[閡]
異→Ⓐ果
嘉→Ⓐ喜
遵→ⒷⒸⒹ導
率→ⒷⒸⒹ術
震→Ⓐ振
鬚→ⒺⒼ鬢
按→ⒷⒸⒹ案
跏→Ⓐ加
蠃→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ螺
澍→Ⓔ樹
慴→Ⓐ懾
獲→Ⓑ護
植→ⒶⒼ殖
致→ⒶⒷⒸⒹ感
人→ⒷⒸⒹ生
之網 Ⓐになし
化之 Ⓐになし
網→Ⓕ納
中下→Ⓓ化終
慧→Ⓕ恵
暢→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ揚
頃→Ⓖ項
弁→ⒺⒻⒼ辦
而 Ⓐになし
諸庶→Ⓐ衆生
担→Ⓐ任
如純→Ⓐ猶如
之 Ⓐになし
愛→Ⓓ受
若自己→Ⓐ之若己
慧→Ⓕ恵
之等 Ⓐになし
大→Ⓐ[無量]大
浄鏡→ⒶⒷⒸⒹ鏡浄
曽→ⒷⒸ嘗→Ⓓ常
特→ⒷⒸⒹ特[之]
仏→ⒷⒸⒹⒺⒻ[諸]仏
師→ⒷⒸⒹ師[之]
勝→ⒷⒸⒹ勝[之]
来→ⒷⒸⒹ来[之]
仏→ⒶⒷⒸⒹ在
慧→Ⓕ恵
弁→ⒺⒻⒼ辦
蓋→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ尽
欲拯→Ⓐ普令
拯→ⒷⒸⒹ拯[済]
恵以真実之→Ⓐ獲真法
餐→Ⓐ喰
央→ⒺⒻⒼ鞅
栴→Ⓓ旃
瑠→ⒶⒷⒸⒹ琉
動→ⒶⒷⒸⒹⒼ種
瞑→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ冥
若→ⒶⒷⒸⒹ如
容顔→ⒷⒸⒹ顔容
涯→Ⓐ崖
勲→Ⓐ徳
使→ⒶⒷⒸⒹ令
哀愍→ⒶⒷⒸⒹ愍哀
到→ⒷⒸⒹ至
穏→ⒶⒷⒸⒹ隠
信明→ⒷⒸⒹ明信
方→Ⓐ力
令→ⒷⒸⒹ使
勤→ⒺⒻⒼ懃
語→ⒷⒸⒹ告
饒→ⒶⒷⒸⒹ自在
告→ⒷⒸⒹ語
如→ⒺⒻⒼ汝
升→ⒶⒷⒸⒹ斗
麁→ⒶⒷⒸⒹ粗
超→ⒷⒸⒹ起
仏 Ⓐになし
不→Ⓐ不[悉]
不 ⒶⒷⒸⒹになし
頃→Ⓐ項
能 ⒷⒸⒹになし
下→ⒶⒷⒸⒹ乃
声聞→Ⓐ衆生→ⒷⒸⒹ衆生悉成
係→ⒸⒹ繋
植→ⒶⒷⒸⒺⒻⒼ殖
諸→ⒷⒸⒹ衆
頃→Ⓐ項
数→Ⓐ量
量→Ⓐ数億→ⒷⒸⒹ量[億]
前→Ⓕ示
欲求→ⒶⒷⒸⒹ求欲
弁→ⒶⒺ辨→ⒻⒼ辦
弁→Ⓔ辨→ⒻⒼ辦
中→ⒶⒷⒸⒹ土
如是→Ⓐ爾
者 ⒷⒸⒹになし
身→Ⓐ体
若有→ⒷⒸⒹ有求
擣染→Ⓐ染治
覩→ⒷⒸⒹ覩[見]
闕→ⒶⒸⒹ欠
頃→Ⓐ項
諸仏→Ⓐ如来
一→ⒷⒸⒹ一[忍]
而説→ⒷⒸⒹ以偈
頌→Ⓕ偈イと右傍註記
至→ⒷⒸ志
足→ⒷⒸ具
正→ⒶⒷⒸⒹ等
所→ⒶⒹ不
道→ⒷⒸⒹ尊
広→ⒶⒷⒸⒹ明
闇→ⒷⒸⒹ暗
暉→Ⓔ耀
吼→Ⓔ孔
礙→Ⓐ量
照→Ⓐ遍
慧→ⒶⒷⒸⒹ徳
人→ⒷⒸⒹ神
告→ⒶⒷⒸⒹ語
時彼→ⒶⒷⒸⒹ法蔵
其→Ⓐ彼
恢→ⒶⒷⒸⒹⒼ開
植→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ殖
触→Ⓐ触[之]
染→Ⓖ深
愛→Ⓐ軟
恵→Ⓐ慧
人→Ⓐ彼
央→ⒺⒻⒼ鞅
栴→Ⓓ旃
正→Ⓕ改
繒→ⒶⒷⒸⒺⒻⒼ諸
天人→Ⓐ人天
逕→ⒶⒷⒸⒹ経
瑠璃→Ⓕ璃瑠
瑠→Ⓐ琉
琥珀→ⒺⒼ虎魄
琥→Ⓑ虎
珀→Ⓕ魄
硨→Ⓑ車
碼碯→Ⓐ瑪瑙→ⒷⒺⒻⒼ馬瑙
碯→Ⓒ瑙
曠→ⒷⒸⒹ広
入間→Ⓓ間入
焜耀→ⒷⒸⒹ煜爍
焜→ⒺⒻⒼ尡
鉄 ⒶⒷⒸⒹになし
現→ⒶⒷⒸⒹ見
忉→Ⓖ切
有仏光 ⒷⒸⒹになし
于→Ⓔ十→Ⓖ千
尺→ⒷⒸ赤
照 ⒷⒸⒹになし
於 ⒶⒷⒸⒹになし
於 ⒶⒷⒸⒹになし
焔王光→ⒷⒸ光炎王
勤→Ⓓ極→Ⓖ懃
焉→Ⓐ知
大→ⒷⒸⒹ之
未→Ⓐ不
無→ⒷⒸⒹ[又]無
称→ⒺⒻⒼ勝
乎→Ⓔ宇
之→Ⓐ劫
如→Ⓐ[能]如
今 ⒶⒷⒸⒹになし
犍→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ揵
沾→ⒺⒻⒼ沽
暦→ⒶⒺⒻⒼ歴
瑠→ⒶⒷⒸ琉
玻瓈→ⒶⒺⒻⒼ頗梨
玻→ⒷⒸ頗
碼→Ⓐ瑪→ⒺⒻⒼ馬
碯→ⒶⒷⒸ瑙→ⒺⒻⒼ脳
磲→ⒷⒸⒹ磲[之]
碯→ⒶⒷ瑙→ⒺⒻⒼ脳
碯→ⒷⒸ瑙
碼→ⒶⒺⒻⒼ馬
碯→ⒶⒸⒺⒻⒼ瑙
此諸宝樹 ⒶⒷⒸⒹになし
準→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ准
十→ⒶⒷⒸⒹ千
其→Ⓒ真
吹諸枝葉演 Ⓐになし
枝葉→ⒷⒸⒹ宝樹
無量 Ⓐになし
声其声流布徧諸→Ⓐ普流十方一切
其聞→ⒸⒸⒹ聞其
耳根清徹 Ⓐになし
耳聞其音 ⒷⒸⒹになし
舌→ⒷⒸⒹ口
一切 ⒷⒸⒹになし
国→ⒷⒸⒹ国[土]
億→Ⓔ倍
揚→ⒶⒷⒸⒹⒻ暢
又→ⒷⒸⒹ其
露→Ⓓ路
各皆→ⒷⒸⒹ皆各
琥珀→ⒺⒻⒼ虎魄
碼碯→Ⓐ瑪瑙→ⒺⒻⒼ馬脳
或→ⒷⒸⒹ或[有]
栴→Ⓓ旃
物→ⒷⒸⒹ牟
安→Ⓐ極
鉢→Ⓐ応
琥珀→ⒺⒻⒼ虎魄
琥→ⒶⒷ虎
諸→Ⓐ衆
飲→ⒺⒻⒼ飯
穏→ⒶⒷⒸⒹ隠
天人→Ⓐ人天
乎→Ⓔ宇
廝→ⒷⒸⒹⒼ斯
植→ⒶⒷⒸⒺⒻⒼ殖
肯→ⒶⒷⒸⒹ信
聚積→Ⓐ積聚
憂→Ⓑ優
廝→ⒶⒷⒸⒸⒼ斯
恵→Ⓐ慧
諍→ⒷⒸⒹⒺⒻⒼ争
昇→ⒷⒸⒹ升
享→Ⓑ𧬰
適→ⒶⒷⒸⒻ遇→Ⓓ乃
仮→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ計
也 Ⓐになし
之 Ⓐになし
繒→ⒶⒷⒸⒺⒻⒼ諸
天人→Ⓐ人天
土→Ⓐ上
校→Ⓐ絞
垂→Ⓔ乗
徳→ⒷⒸⒹ得
陥→ⒷⒸⒹ蹈
返→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻⒼ反
華→Ⓐ葉
亦→ⒷⒸⒹ赫
暐曄→ⒶⒷⒸⒹⒺⒼ煒燁
たまへ
き
なり。
蠡ら
揵けん
喜き
ありき。
に
す。
現げんじて
なる
行ぎやうず
称しやうす
こう
えん
す
して
、
ゐ
てい
て
し
し、
れい
く
く。
し。
しかうして
を
なをし
。
しむ
せらるゝ
ざる
たく
なん
によ
偏袒へんだん右う肩けん
けふ
あきらかなるかゞみ、 きよきかげ
ふ
のひかり、 ひかり
まく
したまふ
すらくをきかん
種しゆ
右う繞ねう
無む極ごくなり
ともがら
・
深じむ
あう
怒ぬ
作さ仏ぶちして
からん。
せ
不可計ふかけの
諸国しよこく
わが作さ仏ぶちの
等双とうさうなけん
りて
なか
ん
如説によせちに
く、
仏所ぶちしよ
詣けいして
礼足らいそく
繞仏ねうぶち
荘しやう厳ごむ仏ぶち土どの
て、
よて
寿終じゆじゆ之後しご
所説しよせち
乃ない至し
臨りん寿終じゆじゆ時じに
わがくにを係け念ねむして
あそび
、
をばのぞく
せん。
求ぐ欲よくする
にして
弁べんず
諸しよ
致ち敬きやうせざることなからん
所受しよじゆ
偈げをもて頌じゆして
成じやう仏道ぶちだうにいたらんに
修しゆ梵ぼむ行ぎやうとをして
天てん光くわう
説法せちぽふ
たまへる
から
ふり
にさいだて
兼けん利り
積しやく功く累徳るいとくす
か
をいだす。
現在げんざいしたまふ
問もんす
已い来らい
と
色しき
ぼう
この
、 かるがゆへに
は
をてらすあり、
の
すあり
転倍てんばい
も
を照耀せうえうす。
くこと
また
おもひをもはらにし心しんをひとつにし
ず
无む量りやうなり
け
てい
うへき
銀葉ごむえふ
くゑ
くわ
金葉こむえふ
きて
のいろ
しゆち
成じやう仏道ぶちだう
れば
暢ちやう
なり
はく
ぎよく
調でう和わ冷りやう煖なんにして、 自じ然ねん随ずい意いなり
所聞しよもん
る
咸同げんどう
へん
けん
ざるによりてなり。
たから
あるにとみ
善ぜんを修しゆすることを信しんぜ
をへ
ましめて
をへて
る。
けい
こと
ふき
開裂かいれちして
えふ