0452かんぎょう0538正宗しょうしゅうぶん散善さんぜん かんだい

沙門しゃもん*善導ぜんどうしゅう

正宗分
  総明大綱
    総標【総説】
      総標大宗

【1】 ^これより以下いげは、 つぎ三輩さんぱい散善さんぜん一門いちもんす。

0759已下↢三輩散善一門之義↡。

一 Ⅰ ⅰ 別弁因行

^こののなかにつきてすなはちそのあり。 いちには三福さんぷくかしてもつてしょういんとなす。 にはぼんかしてもつて正行しょうぎょうとなす。

[キ]テ↢此↡即[チ]↢其[ノ]二↡。一[ニハ]シテ↢三福↡以↢正因↡。二[ニハ]シテ↢九品↡以↢正行↡。

一 Ⅰ 別釈
      広明三福正因【三福】
       

^いま三福さんぷくといふは、

今言↢三福

一 Ⅰ ⅱ a
          (一)明行体不同

・世福

^第一だいいちふくはすなはちこれぞく善根ぜんごんなり。 むかしよりこのかたいまだ仏法ぶっぽうかず、 ただおのづから*きょうよう*じんれいしんぎょうず。 ゆゑにぞくぜんづく。

第一[チ]是世俗ゴムナリムカシヨリコノカ↢仏法↡、但自↢孝養・仁・義・礼・智・信↡。故↢世俗↡也。

・戒福

^だいふくはこれを戒善かいぜんづく。 このかいのなかにつきてすなはちにんてんしょうもんさつとうかいあり。 そのなかにあるいは*じゅ不具ふぐじゅあり、 あるいは*具持ぐじ具持ぐじあり。 ただよくこうすればことごとくおうじょう

第二者此↢戒善↡。キテ↢此[ノ]↡即[チ]↢人・天・声聞・菩薩等戒↡。其[イ]ハジユ・不具受↡、或[イ]ハ具持グジ・不具持↡。但能廻向スレバコトゴト↢往生↡。

・行福

^第三だいさんふくづけてぎょうぜんとなす。 これはこれ*だいじょうしんおこせるぼん、 みづからよくぎょうぎょうじ、 ねてえんすすめてあくしんたもたしめて、 *してじょうしょうず。

第三者名[ケ]テ↢行善↡。此セル↢大乗心↡凡夫、自↠行ネテスヽメテ↢有縁↠悪タモタシメテ↠心シテ↢浄土↡。

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)弁受法単複

^またこの三福さんぷくのなかにつきて、 あるいは一人いちにんひとへにふくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。 あるいは一人いちにんひとへ0453戒福かいふくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。 あるいは一人いちにんひとへにぎょうふくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。

又就[キ]テ↢此[ノ]三福之中↡、或[イハ]↧一人タンヒトヘジテ↢世福シテ↞生[ズルコト]ヲ。或[イ]ハ[リ]↧一人ジテ↢戒福↡廻シテ亦得↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ][リ]↧一人単ジテ↢行福↡廻シテ亦得↞生[ズルコト]ヲ

^あるいは一人いちにんかみふくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。 あるいは一人いちにんしもふくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。

[イハ][リ]↧一人行ジテ↢上二福↡廻シテ亦得↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ][リ]↧一人行ジテ↢下二福↡廻シテ亦得↞生[ズルコト]ヲ

^あるいは一人いちにんつぶさに三福さんぷくぎょうじて、 してまたしょうずることをるあり。 あるいは人等にんとうありて、 三福さんぷくともにぎょうぜざるものをすなはちじゅうあく邪見じゃけんせん0539だいひとづく。

[イハ][リ]↧一人ツブサジテ↢三福↡廻シテ亦得↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ][リテ]トウ↡、三福倶↠行[チ]↢十悪・ジヤ0760見・セン[ノ]↡也。

一 Ⅰ ⅱ 略指九品正行

^ぼんといふは、 もんいたりてまさにべんずべし、 るべし。 いまりゃくして三福さんぷく差別しゃべつ*りょうけんしをはりぬ。

↢九品、至[リ]テ↠文ベン、応[シ]↠知。今略シテレウ↢簡三福差別↡竟[リ]ヌ

別釈文義
    【上輩観】
      総料簡【文前料簡】
       

【2】 ^じゅうじょうはいかんぎょうぜん文前もんぜんにつきて、 そうじてりょうけんしてすなはちじゅう一門いちもんとなす。

十四[キ]テ↢上輩観[ノ]行善↡、総ジテレウシテ[チ]↢十一門↡。

一 Ⅱ ⅰ a
          (一)列科目

・告命

^いちにはそうじて*ごうみょうかす。

ジテ↢告命↡。

・弁定其位

^にはそのくらいべんじょうす。

ベン↢定クラヰ↡。

・総挙有縁

^さんにはそうじてえんたぐいぐ。

[ニ]ジテ↢有縁↡。

・三心正因

^には三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんとなす。

[ニ]弁↢定シテ三心↡以↢正因↡。

・簡機堪不

^にはまさしく*かんかんとをえらぶことをかす。

[ニ][シク]エラブコトヲカン↢不堪↡。

・受法不同

^ろくにはまさしく受法じゅほうどうかす。

[ニ]者正[シク]ジユ不同↡。

・時節延促

^しちにはまさしく修業しゅごうせつ*延促えんそくことなることあることをかす。

[ニ][シク]シユ時節[ニ]延促エンソクルコトヲナルコト

・回行願生

^はちには所修しょしゅぎょうして、 弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとがんずることをかす。

[ニ]者明[ス]↧廻シテ所修シヨシユ↡願ズルコトヲゼムト↢弥陀仏国↡。

・迎接去時

^には命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりて*こうしょうしたまふどうと、 *去時こじしつとをかす。

[ニ][ス]ノゾミテ↢命終↡聖キタ[リ]テ迎接カウセウシタマフ不同[ト]サルシツ[ト]ヲ↥。

・華開遅疾

^じゅうにはかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

[ニ][ス]イタ[リ]テカシコ華開[ク]ル遅疾不同↡。

・開後得益

^じゅういちにはかい以後いご得益とくやくことなることあることを0454す。

十一[ニ]華開已後イゴ得益[ル]コトヲナルコト

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)例結余品
            (Ⅰ)正例結

^いまこのじゅういちもんは、 ぼんもん約対やくたいするに、 一々いちいちほんのなかにつきてみなこのじゅういちあり。 すなはち*いっぴゃくばんとなす。 またこのじゅういちもんは、 じょうはいもんぜんにつきて、 そうじてりょうけんするもまたたり。 あるいはちゅうはいもんぜんにつきて、 おのおのりょうけんするもまたたり。

今此十一門ヤクヨソヘタイムカヘスルニ九品↡、就[キ]テ↢一一↢此十一↡。即[チ]↢一百バン↡也。又此十一門、就[キ]テ↢上ハイ↡、総ジテ料簡スルタリ。或[イハ][キ]テ↢中・下輩↡、各[ノ]料簡スル亦得[タ]リ

一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)弁具欠

^また*このもしもんをもつてきたかんがふれば、 すなはち不具ふぐあり。 *隠顕おんけんありといへども、 もしそのどうによらばことごとくみなあるべし。 この因縁いんねんのためのゆゑに、 すべからく広開こうかいしてけんしゅつすべし。 ぎょうするものをしてさとりやすくりやすからしめんとほっす。

又此義若↠文キタカムガフレバ者、即[チ]↢具・不↡。イヱド↠有リトオン顕↡、若ラバ↢其↡悉↠有。為↢此因縁↡故スベカラベ  広開シテ顕出↡。メムト↢依行スルヲシテヤスサトカラ也。

一 Ⅱ ⅰ a

^じょうらいじゅういちもんどうありといへども、 ひろじょうはい三品さんぼんりょうけんしをはりぬ。

上来↠有リト↢十一門不同↡、広料↢簡上輩三品↡竟[リ]ヌ

一 Ⅱ ⅰ 別解釈
        正釈
          (一)上上品【上品上生釈】
            (Ⅰ)総標

【3】 ^次下つぎしもじょうぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 また*げ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうあり。

シモ[キ]テ↢上品上生↡、亦先、次ベンノチケツ。即[リ]↢其[ノ]十二↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)告命

^いちぶつ0540ごうなん」 より以下いげはすなはちならべてこころひょうす。

[ニ]↢「仏0761告阿難」↡已下[ハ]ナラベテヘウアラハス↢二↡。

^いちにはごうみょうかす。

[ニハ]↢告命↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)弁成其位

^にはそのくらいべんじょうすることをかす。 これすなはちだいじょう修学しゅがくするじょうぜんぼんにんなり。

[ニハ]ベン↢定スルコトヲ↡。[チ]シユ↢学スル大乗↡上善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅲ)総挙有縁

^さんにゃくしゅじょう」 よりしも即便そくべんおうじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじて*しょうたぐいぐることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ]↢「若有衆生」↡下至↢「即便往生」↡已来[タハ][シク]↣総ジテグルコトヲ↢有生之↡。即[チ]↢其[ノ]四↡。

・能信人

^いちには能信のうしんひとかす。

[ニ]ハ↢能信↡。

・求願往生

^にはおうじょうがんすることをかす。

[ニハ]↢願スルコトヲ往生↡。

・発心

^さんには*発心ほっしんしょうかす。

[ニハ]↢発心多少↡。

・得生益

^にはとくしょうやくかす。

[ニハ]↢得生之益↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)三心正因
                (a)牒文総科

^ とう0455さん」 よりしもひっしょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんとなすことをかす。 すなはちそのあり。

[ニ]↢「何等為三」↡下至↢「必生彼国」↡已来[タ]ハ[シク][ス]ベン↢定シテ三心↡以スコトヲ↦正因↥。即[チ][リ]↢其[ノ]二↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)別釈文句
                  (イ)釈自徴

^いちにはそんしたがひてやくあらわしたまふこと*みつにしてりがたし、 ぶつのみづからひみづからあらわしたまふにあらずは、 るによしなきことをかす。

[ニハ][ス]↧世尊随[ヒ]テ↠機[シ]タマフコト↠益ミチニシテガタ、非ズハ↢仏[ノ]テウセメシタマフニ↡、キコトヲヨシ↠得ルニ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)釈如来答数
                    [一]総示

^には如来にょらい (釈尊) かえりてみづからさき三心さんしんかずこたへたまふことをかす。

[ニハ]↣如来カヘ[リ]テ[ヘ]タマフコトヲ↢前三心カズ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]別釈
                      [Ⅰ]広釈三心体相
                        [ⅰ]【至誠心釈】
                          [a]牒文

【4】 ^¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 「いちにはじょうしん」 と。

¬経¼云ハク、「一[ニ]者至誠心[ト]」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]釈義
                            [イ]釈名

^」 とはしんなり、 「じょう」 とはじつなり。

」者真ナリ、「誠」者実ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]解義
                              ª一º就利他直釈
                                ªⅠº略示勧誡
                                  ªⅰº勧他力

^一切いっさいしゅじょうしん口意くいごう所修しょしゅ*ぎょう真実しんじつしんのうちになすべきことをかさんとほっす。

↠明[サム]ト↣一切衆生身口意業所修行、必キコトヲ↢真実心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅠºªⅱº誡自力

^ほか賢善けんぜんしょうじんそうげんじ、 うち虚仮こけいだくことをざれ。

↠得↧外↢賢善精進ウチクコトヲ虚仮コケ↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡº広弁機法
                                  ªⅰº明機不実
                                    ªaº正明機相

^*貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにして、 あくしょうめがたく、 こと*蛇蝎じゃかつおなじきは、 三業さんごうおこすといへどもづけて雑毒ぞうどくぜんとなし、 また虚仮こけぎょうづく。 真実しんじつごうづけず。

貪瞋トムジン邪偽ジヤグヰカンタンニシテ、悪性ガタ事同ジキハ蛇蝎ジヤカチ↡、オコスト↢三業↡名[ケ]テ↢雑毒↡、亦名↢虚仮不↠名↢真実↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº重斥自力

^もしかくのごとき安心あんじんぎょうをなすものは、 たとひ身心しんしんれいして、 *にちじゅうきゅう*はしきゅうになすこと、 *ねんはらふがごとくするものも、 すべて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうして、 かのぶつじょうしょうずることをもとめんとほっせば、 これかならず不可ふかなり。

↢如↠此[ク]ノ安心・↡者縦使 タトヒ レイシテ身心↡、日夜十二時キウスコト、如スルハラフガネン[モ]スベ↢雑毒↡。セバ↧廻シテ↢此雑毒↡求メムト↞生ズルコトヲ↢彼浄土↡者、不可ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº顕法真実

^なにをもつてのゆゑに。 まさしくかの弥陀みだぶつ*いんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしとき、 すなはち一念いちねん0456いちせついたるまでも、 三業さんごう所修しょしゅ、 みなこれ真実しんじつしんのうちになしたまひ、 *おほよそ*施為せいしゅしたまふところ、 またみな真実しんじつなるによりてなり。

[テ]ノ。正[シク][リ]テナリ↧彼阿弥陀仏因中ジタマヒシ↢菩薩↡時、ルマデモ↢一念一セチ↡、三業所修、皆真実心シタマヒオヨ所↢施為趣求シタマフ↡、亦皆真実ナルニ↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二º分二利重弁
                                ªⅠº標列

^また真実しんじつしゅあり。 いち0541には*自利じり真実しんじつには*利他りた真実しんじつなり。

又真実↢二種↡。一[ニ]者自利0762真実、二[ニ]者利他真実ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡº随釈
                                  ªⅰº明自利真実
                                    ªaº明厭離真実

^自利じり真実しんじつといふは、 またしゅあり。

[フ]↢自利真実、復有↢二種↡。

・聖道厭離

^ いちには真実しんじつしんのうちに、 自他じた諸悪しょあくおよび*こくとう*制捨せいしゃして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが一切いっさいさつ諸悪しょあく制捨せいしゃしたまふにおなじく、 われもまたかくのごとくならんとおもふなり。

[ニ]者真実心セイシヤシ[テ]自他諸悪及国等↡、行住坐臥オモ↧同[ジ]ク↣一切菩薩セイシヤシタマフニ諸悪↡、我亦如クナラムト↞是ナリ

・聖道欣求

^には真実しんじつしんのうちに、 自他じたぼんしょうとうぜん勤修ごんしゅす。

[ニ]真実心ゴンシユ自他凡聖等↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅰºªbº明欣求真実

・口業

^真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほう讃歎さんだんす。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 三界さんがい六道ろくどうとう自他じたしょうほうあく*えんす。 また一切いっさいしゅじょう三業さんごうしょぜん讃歎さんだんす。 もし善業ぜんごうにあらずは、 つつしみてこれをとおざかれ、 また*ずいせざれ。

真実心口業サンダン阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心口業クヰエン三界・六道等[ノ]自他依正二報[ノ]苦悪↡。亦讃↢歎一切衆生三業シヨ↡。若ズハ↢善業↡者、ミテトオザカレ↠之、亦不ズイ↡也。

・身業

^また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 がっしょうらいきょうして、 *四事しじとうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうよう。 また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほう軽慢きょうまん厭捨えんしゃす。

又真実心身業、合掌[シ]ライキヤウシテ四事シジヲ[モテ]↢養阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心身業[ニ]キヤウマン[シ]エンシヤ生死三界等自他依正二報↡。

・意業

^また真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほうそう観察かんざつ憶念おくねんして、 まえげんずるがごとくす。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうせん厭捨えんしゃす。

又真実心意業サウ[シ]観↣ザチ[シ]オク↤念シテ阿弥陀仏及[ビ]依正二報↡、如クス↠現ズルガ↡。又真実心意業キヤウセン[シ]エンシヤ生死三界等自他依正二報↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱº明利他真実
                                  ªaº別明

^*ぜんさんごう0457は、 かならずすべからく真実しんじつしんのうちにつべし。 *またもしぜん三業さんごうおこさば、 かならずすべからく真実しんじつしんのうちになすべし。

不善[ノ]三業、必↢真実心↡。又若オコサバ↢善三業↡者、必↢真実心↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱºªbº総結

^*ないみょうあんえらばず、 みなすべからく真実しんじつなるべし。

↠簡↢内外明アン↡、↢真実ナル↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][c]結名

^ゆゑにじょうしんづく。

↢「至誠心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]深心釈
                          [a]牒文

【5】 ^には深心じんしん」 と。

「二[ニ]者深心[ト]」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]釈義
                            [イ]釈名義
                            [ロ]明信相
                              ª一º深信機法【二種深信】
                                ªⅠº標数

^深心じんしん」 といふはすなはちこれふかしんずるしんなり。 またしゅあり。

「深心」↡[チ]ズル之心也。亦有↢二種↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡº列釈
                                  ªⅰº明信機

^いちにはけつじょうしてふかく、 しんげんにこれ*罪悪ざいあくしょうぼん*曠劫こうごうよりこのかたつねにもっしつねにてんして、 *しゅつえんあることなしとしんず。

[ニ]決定シテフカ↢自身罪悪生死凡夫、曠劫ヨリコノ[タ]流転シテシト↟有[ル]コト↢出離縁↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº明信法

^にはけつじょうしてふかく、 かの弥陀みだぶつの、 じゅうはちがんしゅじょうしょうじゅ0542したまふこと、 うたがいなくおもんぱかりなくかの願力がんりきじょうじてさだめておうじょうしんず。

[ニ]決定シテ↧彼阿弥陀仏四十八願摂↢受シタマフコト衆生↡、オモンパカリ0763、乗ジテ↢彼願力↡定メテ↦往生↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª二º深信観経

【6】 ^またけつじょうしてふかく、 しゃぶつ、 この ¬*かんぎょう¼ の三福さんぷくぼんじょうさんぜんきて、 かのぶつしょうほうしょうさんして、 ひとをしてごんせしめたまふとしんず。

又決定シテ↧釈迦仏説[キ]テ↢此¬観経¼三福・九品・定散二善↡、証↢サンシテ依正二報↡、使メタマフ↦人ヲシテゴンネガヒネガフ↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª三º深信小経

^またけつじょうしてふかく、 ¬*弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼんけつじょうしてしょうずることをしょうかんしたまふとしんず。

又決定シテ↣¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏証↢勧シタマフト一切凡夫決定シテ↟生[ズル]コトヲ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª四º唯信仏語

^また深信じんしんとは、 あおねがはくは、 一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんにただぶつしんじて身命しんみょうかえりみず、 けつじょうしてぎょうし、 ぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうじ、 ぶつらしめたまふところをばすなはちる。 これをぶっきょう随順ずいじゅんし、 ぶつ随順ずいじゅんすとづけ、 これを仏願ぶつがん随順ずいじゅんすとづく。 これをしんぶつ弟子でしづく。

又深信アオハク[ハ]、一切行者等、一心唯信ジテ↢仏語カヘリミ↢身命↡、決定シテ依行、仏メタマフヲ、仏[メ]タマフヲ↠行[チ]、仏[ノ][メ]タマフトコロヲバ。是↧随↢順仏教↡随↦順スト仏意↥、是↣随↢順スト仏願↡。是↢真仏弟子↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五º依観経信
                                ªⅠº総標信得

^また一切いっさいぎょうじゃただ0458よくこの ¬きょう¼ (観経) によりてふかしんじてぎょうずるものは、 かならずしゅじょうあやまたず。

又一切行者タヾ[リ]テ↢此[ノ]¬経¼↡深ジテズル、必アヤマ↢衆生↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡº別顕可信
                                  ªⅰº略示

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつはこれだい満足まんぞくしたまへるにんなるがゆゑなり、 *じつしたまふがゆゑなり。

[ヲ][テ]ノ。仏満↢足シタマヘル大悲↡人ナルガナリ、実シタマフガナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱº広顕
                                    ªaº挍説人分満

^ぶつのぞきてげんは、 *ぎょういまだたず。 その*がくにありて、 *正習しょうじゅうしょうありていまだのぞこらざるによりて、 *がんいまだまどかならず。

キテ↠仏グヱン、智行未[リ]テ↢其↡、リテ↧有リテ↢正ジフ[ノ]二障↡未ルニ↞除コラ、果願未↠円カナラ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbº挍教語虚実
                                      ªイº明因説必要果証

^これらのぼんしょうはたとひ諸仏しょぶつきょうしきりょうすれども、 いまだけつりょうすることあたはず。 *平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶつしょうしょうじてじょうとなすべし。 もしぶつかなへばすなはち*いんして、 「*にょにょ」 とのたまふ。 もしぶつかなはざれば、 すなはち 「なんぢらが所説しょせつこのにょ」 とのたまふ。

此等凡聖縦使 タトヒ シキリヤウスレドモ諸仏[ノ]↡、未↠能クヱツレウスルコト↡。↠有[リ]ト↢平シヤウアキラムル[スルコト]↡、カナラスベカラベ  シヤウジテ↢仏証↡為↞定也。若カナヘバ↢仏意↡、即インシテノ下↢如是如是↡。若レバカナ↢仏意↡者、即[チ]ノ下汝等所説是不如是↡。

^いんせざるはすなはち*無記むき無利むりやくどうず。 ぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅんす。 もしぶつのあらゆる言説ごんせつなれば、 すなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。

イン[チ]↢無・無利・無益↡。仏インシタマフ[チ]随↢順仏之正教↡。若所有ゴムナレバ、即[チ]正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbºªロº明果説必不要因証

^もしは、 もしはしょう、 すべてさつにんてんとうひて、 その是非ぜひさだめざれ。 もしぶつ所説しょせつなれば、 すなはちこれ*了教りょうきょうなり。 さつとうせつはことごとく了教りょうきょうづく、 るべし。

[シ]ハ[シ]ハ少、スベ↧問ヒテ↢菩薩・人・天等↡、定↦其是非ゼヒ↥也。若[シ]所説ナレバ[チ]レウナリ。菩薩等コトゴト↢不了教↡也、

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅢº結示勧誡

^このゆゑにいまのときあおぎて一切いっさいえんおうじょうとうすすむ。 ただ0543ふかぶつしんじて*せんちゅうぎょうすべし。 さつとう*相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 わくいだきてみ0459づからまよひ、 おうじょう大益だいやく廃失はいしつすべからず。

時、アオギテスヽ↢一切有縁往生人等↡。タヾ↧深ジテ↢仏0764専注センチユ↥。↠可カラ↧信↢ヨウシテ菩薩等相応↡、以疑礙ギゲ↡、イダキ[テ]ワクマドハイシツ往生之大益↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六º建立自心
                                ªⅠº略示

【7】 ^また深心じんしんは 「ふかしんなり」 といふは、 けつじょうしてしんこんりゅうして、 きょうじゅんじてしゅぎょうし、 ながさくのぞきて、 一切いっさい*べつべつぎょう*がくけんしゅうのために、 退失たいしつ*きょうどうせられざるなり。

又深心ナリトイフ者、決定シテコンリウシ[テ]自心↡、ジユンジ[テ]↠教修行ナガノゾキテシヤク↡、↧為↢一切ベチ・別行・学・異見・シフ↡之退失タイシチクヰヤウドウ↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡº広説
                                  ªⅰº

 ^ひていはく、 ぼんあさく、 *わくしょうしょすることふかし。 もしぎょうどうひとおおきょうろんきてきたりてあひぼうなんし、 しょうして 「一切いっさいざいしょうぼんおうじょうず」 といふにはば、 いかんがかのなん*たいして、 信心しんじんじょうじゅして、 けつじょうしてただちにすすみて、 *怯退こうたいしょうぜざらんや。

[ヒテ][ク]、凡夫[ハ]アサワクシヤウスルコトフカ。若ハバ↧解行不同人多キテ↢経論リテ妨難、証シテフニ↦一切シヤウ[ノ]凡夫↞得↢往生[ヲ]↡者、云何 イカ タイシテナン↡、成↢就シテ信心↡、決定シテタヾチスヽミテラム↠生怯退カウタイ↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱº
                                    ªaº明就人立信【四重破人
                                      ªイº正明
                                        ˆ一ˇ凡夫

^こたへていはく、 もしひとありておおきょうろんきてしょうして 「しょうぜず」 といはば、 ぎょうじゃすなはちこたへていへ。 「なんぢきょうろんをもつてきたしょうして ªしょうぜずº といふといへども、 わがこころのごときはけつじょうしてなんぢがけず。

[ヘ]テ、若[リ]テ↠人多[キ]テ↢経論↡証シテハバ者、行者即[チ]コタヘテ仁者 ナムヂ ↢経論↡来シテフト、如↢我[ガ]コヽロ決定シテナムヂ↡。

^なにをもつてのゆゑに。 しかるにわれまた、 これかのもろもろのきょうろんしんぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信ごうしん

[テ]ノシカルニ亦、アラルニハ↟信↢彼[ノ]経論↡。コトゴト仰信

^しかるにぶつかのきょうきたまふときは、 処別しょべつべつたいべつやくべつなり。 またかのきょうきたまふときは、 すなはち ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とうきたまふときにあらず。 しかるにぶつせっきょう*そなふ、 ときまたどうなり。

ルニ仏説キタマ↢彼↡時処別シヨベチ・時別・タイ別・利益別ナリ。又説キタマ↢彼↡時、即[チ]↧説[キ]タマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等↡時↥。然ルニ[ノ]説教ソナ↠機、時亦不同ナリ

^かれすなはちつうじてにんてんさつぎょうく。 い0460ま ¬かんぎょう¼ のじょうさんぜんきたまふことは、 ただだいおよびぶつめつじょく五苦ごくとう一切いっさいぼんのために、 しょうして ªしょうずることをº とのたまふ。

[チ]ジテ↢人・天・菩薩之解行↡。今説[キ]タマフコトハ↢¬観経¼定散二善↡、タヾ↢韋提及滅後五濁・五苦等一切凡夫↡、証シテノ下↠得↠生[ズル]コトヲ

^この因縁いんねんのために、 われいま一心いっしんにこのぶっきょうによりてけつじょうしてぎょうす。 たとひなんぢらひゃく千万せんまんおくありて ªしょうぜずº といふとも、 ただわがおうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん」 と。

↢此[ノ]因縁↡、今一心[リ]テ↢此仏教↡決定シテ縦使 タトヒ 汝等百千万億[アリテ]フトモ↠生者、唯ゾウ↢長成↣就セム[ト][ガ]往生信心↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ二ˇ賢聖

^またぎょうじゃさらにかひてきていへ。 「なんぢよくけ、 われいまなんぢがためにさらにけつじょうしんそうかん。

又行者更ムカヒテキテ仁者 ナムヂ 、我カム↢決定↡。

^たとひ*ぜんさつかん*びゃくとう、 もし0544いち、 もしはない十方じっぽう*遍満へんまんして、 みなきょうろんきてしょうして ªしょうぜずº といふとも、 われまたいまだ一念いちねんしんおこさず。 ただわが清浄しょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

縦使 タトヒ 地前菩薩・カンビヤク等、若[シ]ハ一若[シ]ハ多、乃至0765遍↢満シテ十方↡、皆引[キ]テ↢経論↡証シテフトモ↠不↠生[ゼ]者、我亦オコ↢一念[ノ]疑心↡。唯増↢長成↣就セム[ガ]清浄[ノ]信心↡。

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつけつじょうじょうじゅりょうにして、 一切いっさいのために破壊はえせられざるによるがゆゑなり」 と。

[ヲ][テ]ノルガ↫仏語決定成就[ノ]了義ニシテ、不ルニ↪為↢一切↡所↩破壊↨故ナリト

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ三ˇ地上

^またぎょうじゃよくけ。 たとひ*しょじょうじゅうらい、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 異口いく同音どうおんにみないはく、 「しゃぶつ弥陀みださんし、 三界さんがい六道ろくどう*毀呰きしし、 しゅじょう勧励かんれいし、 ª専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅすれば、 この一身いっしんへてのちひつじょうしてかのくにしょうずº といふは、 これかならずもうなり、 しんすべからず」 と。

又行者善縦使 タトヒ シヨ地已上十地已来、若[シ]ハ一若[シ]ハ多、乃至遍↢満シテ十方↡、口同音、釈迦仏サン弥陀↡、三界・六道↡、勧↢レイ衆生↡、専心念仏、及[ビ]スレバ↢余善↡、ヘテ↢此一身↡後ヒツシテズトイフ↢彼↡者、此必[ズ]マウナリ、不[ト]↠可[カラ]↡也。

^われこれらの所説しょせつくといへども、 また一念いちねんしんしょうぜず。 ただわがけつじょう上上じょうじょう信心しんじんぞう0461じょうじょうじゅせん。

↠聞クト↢此等所説↡、亦↠生[ゼ]↢一念[ノ]疑心↡。唯増↢長成↣就セム[ガ]決定上上信心↡。

^なにをもつてのゆゑに。 すなはちぶつ真実しんじつ*けつりょうなるによるがゆゑなり。 ぶつはこれじっじつ実見じっけんじっしょうにして、 これわくしんちゅうにあらざるがゆゑなり。 また一切いっさいさつけん異解いげのために破壊はえせられず。 もしじつにこれさつならば、 すべてぶっきょうせじ。

[ヲ][テ]ノ。乃[チ]ルガ↢仏語真実ケツナルニ↡故ナリ。仏是実知・実解・実見・実証ニシテアラザルガワフ↡故ナリ。又↧為↢一切菩薩[ノ]異見・異解↡之破壊ハヱ↥。若[シ]菩薩ナラバ者、スベ↢仏教↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ四ˇ報化
                                          ˆⅠˇ

^またこのく、 ぎょうじゃまさにるべし。

↢此↡、行者当↠知

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇ
        ˆⅰˇ出離破

^たとひぶつ*報仏ほうぶつ、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 おのおのひかりかがやかし、 したきてあまねく十方じっぽうおおひて、 一々いちいちきてのたまはく、 「しゃ所説しょせつに、 あひめて一切いっさいぼん勧発かんぽつして、 ª専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅして、 *がんすればかのじょうしょうずることをº といふは、 これはこれもうなり、 さだめてこのなし」 と。

縦使 タトヒ 化仏・報仏、若[シ]ハ一若[シハ]多、乃至遍↢満[シテ]十方↡、各各カヾヤカシ↠光[ヲ]キテ↠舌ヒテ↢十方↡、一一[キ]テ、釈迦所説メテ勧↢発シテ一切凡夫↡、専心念仏、及シテ↡廻願スレバトイフ↠生[ズル]コトヲ↢彼浄土↡者、此虚妄ナリ、定[メ]テシト↢此事↡也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇ明不受
          ˆaˇ総示

^われこれらの諸仏しょぶつ所説しょせつくといへども、 *ひっきょうじて、 一念いちねん退たいしんおこしてかのぶっこくしょうずることをざることをおそ

↠聞クト↢此等諸仏所説↡、ヒツジテオコシテ↢一念退タイ之心オソ↞不ルコトヲ↠得↠生[ズル]コト[ヲ]↢彼↡也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇ別明
           ˆイˇ
           ˆロˇ
             (一)立理
               (Ⅰ)明仏々平等

^なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつ一切いっさいぶつなり、 あらゆるけんぎょうしょう果位かいだい等同とうどうにしてすこしき差別しゃべつもなし。

[ヲ][テノ]。一仏一切仏ナリ所有知見・解行・証悟・クワ・大悲、等同ニシテスコシキ差別[モ]↡。

^このゆゑに一仏いちぶつせい0545したまふところは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくせいしたまふ。 前仏ぜんぶつせっしょうじゅうあくとうつみ制断せいだんしたまひ、 ひっきょうじておかさずぎょうぜざるをば、 すなはち*じゅうぜん*じゅうぎょうにして*ろくずいじゅんすとづけたまふがごとき、 もしぶつしゅっしたまふことあらんに、 あ0462さきじゅうぜんあらためてじゅうあくぎょうぜしめたまふべけんや。

[ノ][ニ]一仏セイシタマフ、即[チ]一切0766仏同[ジ]クシタマフ如↫似 ゴト 前仏制↢断シタマヒセチ生・十悪等↡、ヒチジテルヲ↠行、即[チ]ケタマフ↪十善・十行ニシテ随↩順スト六度之義↨、若[シ]ラムニ↢後仏出世シタマフコト↡、アニケムアラタメテ↢前十善↡令メタマフ↞行↢十悪

^このどうをもつて*推験すいげんするに、 あきらかにりぬ、 諸仏しょぶつごんぎょうはあひしつせざることを。

↢此[ノ]スイヲシゲムアキラスルニ、明[カ]ニ[リ]ヌ、諸仏言行[ハ][ルコトヲ]シツ↡。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(一)(Ⅱ)示二仏同勧

^たとひしゃ一切いっさいぼんかんして、 「この一身いっしんつくすまで専念せんねん専修せんじゅすれば、 しゃみょう以後いごさだめてかのくにしょうず」 とのたまはば、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまはん。 なにをもつてのゆゑに。 *同体どうたいだいなるがゆゑなり。 一仏いちぶつ*しょは、 すなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつは、 すなはちこれ一仏いちぶつしょなり。

縦令 タトヒ 釈迦指↢勧シテ一切凡夫↡、尽スマデ↢此一身↡専念専修スレバ捨命已後定[メ]テズトノタマハバ↢彼↡者、即[チ]十方諸仏悉[ク]皆同[ジ]ク、同[ジ]ク、同[ジ]クシタマハム。何[ヲ][テノ]。同体大悲ナルガナリ。一仏所化[チ]一切仏ナリ。一切仏[チ]是一仏所化ナリ

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)引証
                (Ⅰ)正引
                  (ⅰ)依正荘厳分

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにきたまふ。 しゃ極楽ごくらく種々しゅじゅしょうごん讃歎さんだんし、

[チ]¬弥陀経¼中キタマフ。釈迦サムダン極楽種種[ノ]荘厳↡、

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅱ)往生行相分

^また 「一切いっさいぼん一日いちにち七日しちにち一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんずれば、 さだめておうじょう(意)すすめたまひ、

又勧メタマヒ↧一切凡夫一日七日一心[ラ]スレバ↢弥陀名号↡、定メテ↦往生↥、

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅲ)互相讃徳分

^次下つぎしももん(小経・意)、 「十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃよくじょくあくあくかいあくしゅじょう悪見あくけんあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんして、 ªしゅじょうしょうねんすればかならずおうじょうº と勧励かんれいしたまふをさんじたまふ」 とのたまふは、 すなはちそのしょうなり。

次下フハ↱十方[ノ]シテ↢恒河沙等諸仏↡、同[ジ]クジタマフト↫釈迦能[ク]↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪見・悪煩悩・悪ジヤ・無信[ノ]サカムナル↡、指↢讃シ[テ]弥陀名号↡、勧↪励シタマフヲ衆生称念スレバ↩往生↨、即[チ][ノ]証也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅳ)諸仏証誠分

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざることを恐畏おそれて、 すなはちともに同心どうしんどうに、 おのおの*舌相ぜっそういだしてあまねく*三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんきたまふ。 「なんぢらしゅじょう0463、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょう*せつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんずれば、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなし」 と。

又十方[ノ]仏等、恐↢畏 オソ レテ衆生ルコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即[チ]トモ同心同時[ニ][ノ]シテ↢舌相↡遍[ヒ]テ↢三千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。汝等衆生皆応↠信↢是釈迦所説・所讃シヨサム・所証↡。一切凡夫↢罪福多少、時節久近↡、但能ツク↢百年↡下至ルマデ↢一日七日↡、一心[ズ]レバ↢弥陀名号↡、定[メ]テ[ルコト]↢往生↡必[ズ]シ[ト]也。

  ~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)結証

^このゆゑに一仏いちぶつ所説しょせつは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくその*証誠しょうじょうしたまふ。

一仏所説、即[チ]一切仏同[ジ]ク証↢誠シタマフ0767↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªロº結名【就人立信】

^これ0546*にんきてしんつとづく。

キテ↠人ツト↟信也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbº【就行立信】
                                      ªイº標目
                                      ªロº正明【正雑二行】
                                        ˆ一ˇ標列

【8】 ^つぎ*ぎょうきてしんつといふは、 しかるにぎょうしゅあり。 いちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり

[キ]テ↠行[ツ]トイフ↠信者、然ルニ↢二種↡。一[ニ]者正行、二[ニ]ザウナリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbºªロºˆ二ˇ随釈

  ~   ˆⅠˇ明行相
        ˆⅰˇ正行
          ˆaˇ総示

^正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*おうじょうきょうぎょうによりてぎょうずるは、 これを正行しょうぎょうづく。

[フ]↢正行↡者、専[リ]テ往生経↡行ズル者、是↢正行↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇ別顕
            ˆイˇ

^何者なにものかこれなるや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬*りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅし、 一心いっしんせんちゅうしてかのくに*ほうしょうごんそう観察かんざつ憶念おくねんし、 もしらいするにはすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつらいし、 もしくちしょうするにはすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうし、 もし讃歎さんだんようするにはすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす、 これをづけてしょうとなす。

モノ[ナル]。一心[ラ]ドクジユ[ノ]¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼等↡、一心シユシテソヽグ↢想観↣ザチ憶↤念二報荘厳↡、若[シ]スルニ[ハ][チ]一心↢彼[ノ]↡、若[シ][ス]ルニハ[チ]一心[ニ]↢彼[ノ]↡、若[シ]讃歎サムダン供養スルニハ[チ]一心讃歎供養、是[ケ]テ↠正[ト]

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ合【正助二業】
              (一)

^またこのしょうのなかにつきてまたしゅあり。

又就[キ]テ↢此↡復有[リ]↢二種↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)
                (Ⅰ)明正業

^いちには一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがせつごんはず念々ねんねんてざるは、 これを正定しょうじょうごうづく、 かのぶつがんじゅんずるがゆゑなり。

[ニ]一心ジテ↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠問[ハ]↢時節久近↡念念[ル]↠捨者、是↢正定之業↡、ジユムズルガ↢彼↡故ナリ

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)指助業

^もし*礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて助業じょごうとなす。

[シ]ルヲ↢礼ジユ↡即[チ][ケ]テ↢助業↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅱˇ雑行

^0464しょうじょぎょうのぞきて以外いげ自余じよ諸善しょぜんはことごとくぞうぎょうづく。

ノゾキテ↢此[ノ]正助二行↡已外自余諸善↢雑行↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅡˇ判得失

^もしさきしょうじょぎょうしゅすれば、 しんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごんして憶念おくねんえず、 づけて*けんとなす。 もしのちぞうぎょうぎょうずれば、 すなはちしんつねに*間断けんだんす、 こうしてしょうずることをべしといへども、 すべてぞうぎょうづく。

[シ]スレバ↢前正助二行↡、心常親近シムゴムシ[テ]憶念、名[ケ]テ↢無間↡也。若[シ]ズレバ↢後雑行↡、即[チ]心常間断シト↢廻向シテ得↟生[ズル]コトヲスベザウ之行↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][c]結名

^ゆゑに深心じんしんづく。

↢「深心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]【回向発願心釈】
                          [a]牒文

【9】 ^さんにはこう発願ほつがんしん」 と。

「三[ニ]者廻向発願心[ト]」。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]釈義
                            [イ]明自利廻願

^こう発願ほつがんしん」 といふは、 過去かこおよびこんじょうしん口意くいごう所修しょしゅ*しゅっ善根ぜんごんと、 および一切いっさい*ぼんしょうしん口意くいごう所修しょしゅしゅっ善根ぜんごんずいせると、 この自他じた所修しょしゅ善根ぜんごんをもつて、 ことごとくみな真実しんじつ深信じんしんしんちゅうこうして、 かのくにしょうぜんとがんず。 ゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

↢「廻向発願心」↡者、過去及以 オヨ 今生身口意業所修世・出世善根[ト]、及随↢セルト一切凡聖身口意業所修世・出世善根↡、以↢此自他所修[ノ]善根↡悉皆真実深信心中廻向シテ↠生[ゼムト]↢彼[ノ]↡。故↢「廻向発願心」↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]明利他廻願
                              ª一º約往相
                                ªⅠº略示

^またこう発願ほつがんしてしょうぜんとがんずるものは、 *かならずすべからくけつじょう真実しんじつしんのうちにこうがんじて、 *とくしょうおもいをなすべし。

廻向発願シテズル↠生ゼムト[ズ]↣決定真実心廻向ジテ↢得生↡。

^このしん深信じんしんせること金剛こんごうのごとくなるによりて、 一切いっさい0547けんがくべつべつぎょうにんとうのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんりて、 しょうじきすすみ、 かのひときて、 すなはち進退しんたいあり、 しん*こうにゃくしょうずることをざれ。 *回顧えこすれば*どうよりちて、 すなはちおうじょう大益だいやくしっするなり。

[ノ]深信セルコト0768[リ]テゴトクナルニ↢金剛↡、↧為↢一切見・異学・別解・別行[ノ]人等↡之動乱ドウラン破壊ハヱ↥。唯是決定シテ一心[リ]テ正直[ニ]スヽ得↧聞[キ]テ↢彼↡即[チ][リ]進退シムタイ↡、心ズルコトヲカウニヤク↥。メグリメグルスレバチ[テ]ヨリ、即[チ]スル↢往生之大益↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡº広説
                                  ªⅰº法説
                                    ªaº

【10】^ひていはく、 もしぎょうどう邪雑じゃぞうにんとうありて、 きたりてあひ惑乱わくらんし、 ある0465いは種々しゅじゅなんきて、 「おうじょうず」 といひ、 あるいはいはく、 「なんぢらしゅじょう曠劫こうごうよりこのかたおよびこんじょうしん口意くいごうに、 一切いっさいぼんしょううえにおいてつぶさにじゅうあくぎゃくじゅう謗法ほうぼう闡提せんだいかいけんとうつみつくりて、 いまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかるにこれらのつみ三界さんがい悪道あくどう*ぞくす。 いかんぞいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつをもつてすなはちかの無漏むろしょうくにりて、 なが退たいくらいしょうすることをんや」 と。

[ヒテ][ク]、若[シ][リ]テ↢解行不同邪雑ジヤザウサダマラズ等↡、[リ]テ惑乱ワクラム、或[イ]ハ[キ]テ↢種種ナム↡、↠得↢往生↡、或[イハ]、汝等衆生曠劫ヨリ已来[タ]及以 オヨ 今生身口意業、於↢一切凡聖ツブサツク[リ]テ↢十悪・五逆・四重・謗法・セン提・破戒・破見等↡、未↠能除尽ヂヨジムスルコト↡。然ルニゾク三界[ノ]悪道↡。云何一生修福[ノ]念仏ヲモテ[チ][リ]テ↢彼無生之国[ニ]↡、ナガ↣証↢スルコト[ヲ]不退[ノ]↡也

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº
                                      ªイº明教行非一

^こたへていはく、 諸仏しょぶつ教行きょうぎょうかず*塵沙じんじゃえたり。 *稟識ほんじきえんこころしたがひていちにあらず。

[ヘテ][ク]、諸仏教行、カズエタリジム↡。稟識ホムジキ縁随[ヒ]テコヽロ↠一

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªロº明教益多門

^たとへばけんひとまなこるべくしんずべきがごときは、 みょうよくあんし、 くうよくふくみ、 よく*載養さいようし、 みずよく*しょうにんし、 よく*じょうするがごときなり。 かくのごときをことごとく*待対たいたいほうづく。 すなはちるべし、 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや仏法ぶっぽう思議しぎちから、 あに種々しゅじゅやくなからんや。

タトヘバ↢世間↠見キガ↟信、如[キナリ]↢明アム、空能フク↠有、地能載養サイヤウ、水能[ク]ニム、火能[ク]スルガ↡。如↠此[クノ]待対タイタイ之法↡。即[チ]↠見、千差シナ万別ナリイカ仏法不思議之力、アニカラム↢種種[ノ]益↡也。

^したがひて一門いちもんづれば、 すなはちいち煩悩ぼんのうもんづ。 したがひて一門いちもんれば、 すなはちいちだつ智慧ちえもんる。

[ヒ]テヅレバ↢一門↡者、即[チ][ヅ]↢一煩悩↡也。随[ヒ]テレバ↢一門↡者、即[チ]↢一解脱智慧↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªハº明随縁起行

^これがためにえんしたがひてぎょうおこして、 おのおのだつもとめよ。

[ヒ]テ↠縁オコシテ↠行、各[ノ]メヨ↢解脱↡。

^なんぢ、 なにをもつてかすなはち*えんようぎょうにあらざるをもつてわれをしょうわくするや。 しかるにわが所愛しょあいは、 すなはちこれわがえんぎょうなり。 すなはちなんぢがしょにあらず。 なんぢ0466所愛しょあいは、 すなはちこれなんぢがえんぎょうなり。 またわがしょにあらず。 このゆゑにおのおの*しょぎょうしたがひてそのぎょうしゅすれば、 かならずだつ

汝何[テ]カ↠非ザルヲ↢有縁之要行シヤウワクスル[ヤ]於我↡。然ルニ之所アイ、即[チ][ガ]有縁之行ナリ。即[チ]↢汝↡。汝之所愛、即[チ]是汝有縁之行ナリ。亦非[ズ]↢我[ガ]所求↡。是[ノ][ノ]ヒテ↢所ゲウ↡而修スレバ↢其[ノ]↡者、必[ズ]0769得↢解脱↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªニº明解行旨異

^ぎょう0548じゃまさにるべし。 もし*がくせんとほっせば、 *ぼんより*しょういたり、 すなはちぶっいたるまで、 一切いっさいさわりなくみながくすることをん。 もしぎょうがくせんとほっせば、 かならずえんほうによれ。 すこしきろうもちゐるにおおやくればなり。

行者当↠知[ル]。若[シ]セバ↠学セムト↠解、従↠凡至↠聖[ニ]ルマデ↢仏果↡、一切↠礙皆↠学[ス]ルコトヲ也。若[シ]セバ↠学[セム]ト↠行者、必[ズ]↢有縁之法↡。スコシキモチヰルニラウ↡多レバ↠益也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº譬説【二河譬】
                                    ªaº正説
                                      ªイº標意

【11】^また一切いっさいおうじょうにんとうにまうさく、 いまさらにぎょうじゃのためにいち譬喩ひゆきて、 信心しんじんしゅして、 もつてじゃけんなんふせがん。 何者なにものかこれなるや。

又白サク↢一切往生人等↡、今更↢行者↡説[キ]テ↢一譬喩↡、守↢シテ信心↡以フセガム↢外ジヤ異見之ナム↡。何[ナル]也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロº立譬
                                        ˆ一ˇ略喩機法

^たとへば、 ひとありて西にしかひてひゃくせんかんとほっするがごとし。 忽然こつねんとして*ちゅうかわあるをる。 いちにはこれかわみなみにあり。 にはこれみずかわきたにあり。 二河にがおのおのひろひゃく、 おのおのふかくしてそこなし。 南北なんぼくほとりなし。

[ヘ]バ[シ]↤有[リ]テ↠人欲スルガ↣向[ヒ]テ↠西[カ]ムト↢百千之里↡。コツトシテ中路↠有ルヲ↢二河↡。一ニハ是火[ノ]河、↠南[ニ]。二ニハ是水[ノ]河、在↠北。二河各[ノ]ヒロ百歩、各[ノ][ク]シテソコ。南北ホトリ

^まさしくすいちゅうげんいちびゃくどうあり。 ひろ四五しごすんばかりなるべし。 このみちひがしきしより西にしきしいたるに、 またながひゃくそのみずろうまじはりぎてみち湿うるおし、 そのえんまたきたりてみちく。 すいあひまじはりて、 つねにしてそくすることなし。

[シク]水火中間↢一白道↡。ヒロ四五寸バカリナル↡。此道従↢東岸↡至ルニ↢西↡、亦長[サ]百歩、其[ノ]ラウギテ湿ウルヲ↠道、其火焔亦来[リ]テ↠道。水火マジハ[リ]テニ[シテ]ソクスルコト↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ二ˇ広喩信相

  ~   ˆⅠˇ喩願生心発

^このひとすでに*空曠くうこうのはるかなるところいたるに、 さらに人物にんもつなし。 おお群賊ぐんぞくあくじゅうありて、 このひと単独たんどくなるをて、 きおきたりてころさんとほっす。 このひとおそれて0467ただちにはしりて西にしかふに、

人既ルニ↢空クワウハルカナル↡、更↢人モチ↡。多リ[テ]群賊グムゾク・悪ジユ↡、見↢此単独タンドクナルヲ↡、キヲ[リ]テコロサムト。此オソレテ↠死ハシ[リ]テ[フ]ニ↠西

  ~ ˆ二ˇˆⅡˇ喩顧機疑法

^忽然こつねんとしてこのたいて、 すなはちみづから念言ねんごんす。 「このかわ南北なんぼく*辺畔へんぱんず。 ちゅうげんいちびゃくどうるも、 きはめてこれ狭小きょうしょうなり。 きしあひることちかしといへども、 なにによりてかくべき。 今日こんにちさだめてすることうたがはず。

コツ[ト]シテ↢此大河↡、即[チ]念言。此南北↠見↢辺畔ヘンパム↡。中間ルモ↢一[ノ]白道↡、極メテケツナリ。二[ル]コトチカシト、何[リ]テカ↠行[ク]。今日定[メ]テスルコト↠疑

  ~ ˆ二ˇˆⅢˇ喩苦慮出要

^まさしくいたかえらんとほっすれば、 群賊ぐんぞくあくじゅう*漸々ぜんぜんきたむ。 まさしく南北なんぼくはしらんとほっすれば、 あくじゅうどくちゅうきおきたりてわれにかふ。 まさしく西にしかひてみちたずねてかんとほっすれば、 またおそらくはこのすい二河にがせん」 と。 ときあたりて*こうすることまたいふべからず。

[シ]ク[ス]レバイタカヘラムト↡、群賊グムゾク・悪ジユ漸漸。正[シ]ク[ス]レバ↢南北ハシラムト↡、悪ジユ・毒チウキヲ[リ]テ↠我。正[シク][ス]レバ↢向[ヒ]テ↠西タヅネテ↠道カムト↡、復恐クハセムト↢此[ノ]水火二河↡。リテ↠時ワウオソレオソル[スルコト]↢復可カラ↟言

  ~ ˆ二ˇˆⅣˇ喩機熟分位

^すなはちみづからねんす。 「われいまかえらばまたせん。 とどまらばまたせん。 かばまたせん。 一しゅとしてまぬかれずは、 われ*むしろこのみちたずねてさきかひてかん。 すでにこのみちあり。 かならずわたるべし」 と。

[チ]。我今カヘラバ亦死セムマラバ亦死セムカバ亦死セム。一種トシテ不↠マヌカ↠死者、我ムシ[ネ]テ↢此[ノ]↡向[ヒ]テ↠前而去カム。既↢此[ノ]道↡。必応↢可[シト]↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇ喩聞名信喜
        ˆⅰˇ喩釈迦教命

^このねんをなすときひがしきしにたちまち0549ひとすすむるこえく。 「なんぢ、 ただけつじょうしてこのみちたずねてけ、 かならずなんなからん。 もしとどまらば、 すなはちせん」 と。

↢此[ノ][ヲ]↡時、0770↢人ムル↡。仁者 ナンヂ タヾ決定シテ[ネ]テ↢此[ノ]↡行、必[ズ][カ]ラム↢死ナム↡。若[シ]マラバ、即セム[ト]

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅱˇ喩弥陀願意

^また西にしきしうえひとありてばひていはく、 「なんぢ一心いっしんしょうねんにしてただちにきたれ。 われよくなんぢをまもらん。 すべてすいなんすることをおそれざれ」 と。

西[リ]テ↠人バヒテ、汝一心正念[ニ]シテマボラム↠汝[ヲ]スベレトオソ↠堕[スル]コトヲ↢於水火之ナム↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅲˇ喩行者聞信

^このひとすでにここにつかはし、 かしこにばふをきて、 すなは0468ちみづから身心しんしん正当しょうとうにして、 けつじょうしてみちたずねてただちにすすみて、 *こう退心たいしんしょうぜず。

[ノ]人既[キ]テコヽ[バ]フヲ↡、即[チ]正↢当ニシテ身心↡、決定シテ[ネ]テ↠道スヽミテ↠生カウ退タイ↡。

  ~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅳˇ喩不受他破

^あるいはくこと一分いちぶんぶんするに、 ひがしきし群賊ぐんぞくばひていはく、 「なんぢ、 かえきたれ。 このみち嶮悪けんあくにしてぐることをず。 かならずすることうたがはず。 われらすべて悪心あくしんをもつてあひかふことなし」 と。 このひとばふこえくといへどもまた回顧えこせず。 一心いっしんにただちにすすみてみちねんじてけば、

[イ]ハクコト一分二分[ス]ルニグン賊等喚[バヒ]テ仁者 ナンヂ カヘ。此[ノ]ケンサカシクニシテ↠得↠グルコトヲ。必スルコト↠疑。我等スベシト↢悪心ヲモテフコト↡。此人雖↠聞[ク]ト↢喚[バ]フ↡亦廻顧↡。一心スヽミテ[ジ]テ↠道而行ケバ

  ~ ˆ二ˇˆⅥˇ喩即得往生

^しゅにすなはち西にしきしいたりて、 ながくもろもろのなんはなる。 ぜんあひまみえてきょうらくすることむことなし。

須臾[チ]イタ[リ]テ↢西[ノ]↡、ナガハナ↢諸[ノ]ナン↡。善マミエテキヤウスルコトムコト

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ三ˇ結喩

^これはこれたとへなり。

是喩也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハº合法
                                        ˆ一ˇ

 ^つぎたとへをがっせば、

セバ↠喩者、

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇ
                                          ˆⅠˇ

・東岸

^ひがしきし」 といふは、 すなはちこのしゃたくたとふ。

[フ]↢東[ノ]、即[チ]↢此娑婆之火宅↡也。

・西岸

^西にしきし」 といふは、 すなはち極楽ごくらく宝国ほうこくたとふ。

[フ]↢西[ノ][ト]↡者、即[チ]↢極楽宝国↡也。

・賊獣

^群賊ぐんぞくあくじゅういつわしたしむ」 といふは、 すなはちしゅじょう六根ろっこん六識ろくしき六塵ろくじんおんだいたとふ。

グン賊・悪ジユイツワシタシムト、即[チ]↢衆生[ノ]六根・六識・六ヂン・五オム・四大↡也。

・空沢

^にん*くうきょうさわ」 といふは、 すなはちつねにあくしたがひてしんぜんしきはざるにたとふ。

[フ]↢無人クヰヤウハルカノサハ、即[チ]↧常[ヒ]テ↢悪友ルニ↢真善知識↡也。

・二河

^すい二河にが」 といふは、 すなはちしゅじょう*貪愛とんないみずのごとく、 *瞋憎しんぞうのごとくなるにたとふ。

[フ]↢水火二河↡者、即[チ]↢衆生貪愛トムアヒ↠水瞋憎シムゾウソネム[クナ]ルニ↟火也。

・白道

^ちゅうげんびゃくどう四五しごすん」 といふは、 すなはちしゅじょう貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかに、 よく清浄しょうじょうがんおうじょうしんしょうずるにたと。 すなはち貪瞋とんじんこわきによるがゆゑに、 すなはちすいのごとしとたとふ。 善心ぜんしん*なるがゆゑに、 びゃくどうのごとしとたとふ。

[フ]↢中間白道四五寸↡者、即[チ]↣衆生貪瞋煩悩[ズ]ルニ↢清浄願往生↡也。乃[チ]ルガ↢貪瞋コハキニ↡故[チ]↠如シト↢水火↡。善心微スクナシナルガ[フ]↠如シト↢白道↡。

・水波

^また0469すいつねにみち湿うるおす」 といふは、 すなはち*愛心あいしんつねにおこりて、 よく善心ぜんしんぜんするにたとふ。

水波常湿ウルヲトイフ↠道者、即[チ]愛心アイシムオコ[リ]テゼンスルニ善心↡也。

・火炎

^また 「えんつねにみちく」 といふは、 すなはち*瞋嫌しんけんしんよくどく法財ほうざいくにたとふ。

又火エムトイフ↠道者、即[チ]瞋嫌シムケン之心能クニ↢功徳之法財↡也。

・向西

^ひとみちうえきてただちに西にしかふ」 といふは、 すなはちもろもろのぎょうごうしてただちに西方さいほうかふにたとふ。

[フ]↧人行[キ]テ↢道↡直フト↞西者、即[チ]シテ↢諸行業↡直フニ↦西方↥也。

・勧遣

^ひがし0550きしひとこえすすつかはすをきて、 みちたずねてただちに西にしすすむ」 といふは、 すなはちしゃすでにめっしたまひて、 のちひとたてまつらざれども、 なほきょうぼうありてたずぬべきにたとふ。 すなはちこれをこえのごとしとたとふ。

[フ]↧東[ノ]0771キテ↢人[ノ]スヽスヲ↡、タヅネテ↠道西スヽムト↥者、即[チ]↧釈迦已シタマヒテ、後レドモタテマツラナヲ[リ]テ↢教法↡キニタヅ。即[チ]↢之[シ]ト↟声也。

・喚回

^あるいはくこと一分ぶんぶんするに群賊ぐんぞくばひかえす」 といふは、 すなはちべつべつぎょう悪見あくけんにんとう*みだりに*けんきてたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづからつみつくりて退失たいしつするにたとふ。

↢或[イ]ハクコト一分二分スルニグム賊等バヒカヘスト↡者、即[チ]↧別解・別行・悪見人等ミダリニキテ↢見解タガヒワク、及[リ]テ↠罪退失スルニ↥也。

・喚言

^西にしきしうえひとありてばふ」 といふは、 すなはち弥陀みだがんたとふ。

[フ]↢西[ノ][ノ][リ]テ↠人喚[バフ]ト↡者、即[チ]↢弥陀↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇˆⅡˇ

^しゅ西にしきしいたりてぜんあひまみえてよろこぶ」 といふは、 すなはちしゅじょうひさしくしょうしずみて、 曠劫こうごうよりりんし、 迷倒めいとうして*みづからまとひて、 だつするによしなし。 あおぎてしゃ*発遣はっけんしてゆびさして西方さいほうかはしめたまふことをこうむり、 また弥陀みだしんをもつて*しょうかんしたまふによりて、 いまそん (釈尊・阿弥陀仏)みこころしんじゅんして、 すい二河にがかえりみず、 念々ねんねんわするることなく、 かの願力がんりきどうじょうじて、 しゃみょう0470かのくにしょうずることをて、 ぶつとあひまみえてきょうすることなんぞきわまらんといふにたとふ。

[フ]↧須臾[リ]テ↢西[ノ]↡善友マミエテヨロコブト↥者、即[チ][フ]↧衆生久[シ]クシヅミテ↢生死↡、曠劫ヨリリムシズム迷倒メイタウシテマツヒテ、無ヨシ↢解脱スルニ[ギ]テカブ↣釈迦ヤリケンヤルシテシテハシメタマフコトヲ↢西方↡、又リテ↢弥陀悲心ヲモテセウクワンマネキヨブシタマフニ↡、今信↢ジユンシテ二尊之意↡、カヘリミ↢水火二河↡、念念ワスルルコト、乗ジテ↢彼願力之道↡、捨命已後得↠生[ズル]コトヲ↢彼↡、↠仏相マミエテキヤウスルコトラムトイフニ↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªbº結勧

【12】^また一切いっさいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが三業さんごう所修しょしゅちゅうせつふことなく、 つねにこのをなしつねにこのおもいをなすがゆゑに、 こう発願ほつがんしんづく。

又一切行者、行住坐臥[ニ]三業[ノ]所修、無↠問[フ]コト↢昼夜時節↡、常↢此[ノ]↡常ス[ガ]↢此↡故、名↢「廻向発願心」↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª二º約還相

^また 「こう」 といふは、 かのくにしょうじをはりて、 かえりてだいおこして、しょう*にゅうしてしゅじょうきょうするをまたこうづく。

又言[フ]↢廻向↡者、生[ジ]↢彼[ノ]↡已[リ]テカヘ[リ]テオコシテ↢大悲↡、廻↢入シテ生死↡教↢化[ス]ルヲ衆生↡亦↢廻向↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]略解必生彼国【三心結釈】

【13】^三心さんしんすでにすれば、 *ぎょうとしてじょうぜざるはなし。 *がんぎょうすでにじょうじて、 もししょうぜずは、 このことわりあることなからん。 またこの三心さんしんはまたつうじてじょうぜんせっす、 るべし。

三心既[ニ][ス]レバ、無↢行トシテ↟成。願行既ジテ、若[シ]↠生者、無カラム↠有[ル]コト↢是コトワリ↡也。又此三心亦通ジテセフ↢定善之義↡、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅴ)簡機堪不

【14】^復有ぶう三種さんしゅしゅじょう」より以下いげは、 まさしくのよくほうけ、 きょうによりてしゅぎょうするにへたるを*えらぶことをかす。

[ニ]↢「有三種衆生」↡已下[ハ][シク]↠簡ブコトヲ↣機ヘタルヲ↢能↠法、依[リ]テ↠教修行スルニ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)受法不同
                (a)総標

^ろくとうさん」 よりしも六念ろくねん」 にいたるこのかたは、 まさしく受法じゅほうどうかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ]↢「何等為三」↡下至↢「六念」↡已来[タ]ハ[シク]↢受法[ノ]不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)別釈
                  (イ)明不殺具戒
                    [一]明慈心不殺
                      [Ⅰ]

^いちにはしんせつかす。

[ニハ]慈心不殺↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]明殺業
                          [a]
                          [b]

^しかるに殺業せつごうしゅあり。 あるいはせつあり、 あるいは身殺しんせつあり、 あるいは心殺しんせつあり。

ルニ殺業[ニ][リ]↢多種↡。或[イハ]↢口セツ↡、或[イハ][リ]↢身殺↡、或[イハ][リ]↢心殺↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][c]

^0551せつ」 といふは、 処分しょぶん許可こかするをづけてせつとなす。 「身殺しんせつ」 といふは、 身手しんしゅとううごかしじゅするをづけて身殺しんせつとな0471す。 「心殺しんせつ」 といふは、 方便ほうべんねんして*きょうするとうづけて心殺しんせつとなす。

[フ]↢口殺[ト]↡者0772、処分許可コカスルヲ[ケ]テ↢口殺[ト]↡。言[フ]↢身殺[ト]↡者、動↢身シユジユスルヲ[ケ]テ↢身殺↡。言[フ]↢心殺↡者、思↢念シテ方便↡計校[スル][ケテ][ス]↢心殺[ト]↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][d]

^もし殺業せつごうろんぜばしょうえらばず、 みなよくつみまねきてじょうしょうずることをふ。

[シ]ゼバ↢殺業エラ↢四生↡、皆能マネキテ↠罪↠生[ズルコトヲ]↢浄土↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]明不殺
                          [a]総標

^ただ一切いっさい生命しょうみょうにおいてしんおこすは、 すなはちこれ一切いっさいしゅじょう寿じゅみょう安楽あんらくほどこす。

但於↢一切生命↢於慈心、即[チ]ホドコ↢一切衆生寿命安楽↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別釈

^またこれさいじょう勝妙しょうみょうかいなり。 これすなはちかみしょふく (世福)第三だいさんに 「しんせつ」 といへるにがっす。 すなはちぎょうぜんあり。 みづからせっせざるがゆゑにぜんづく。 おしへてせっせざらしむるがゆゑにぎょうぜんづく。 自他じたはじめてだんずるをぜんづけ、 ひっきょうじてながのぞくをぎょうぜんづく。

亦是サイ上勝妙ナリ。此即[チ]↣上初福第三ヘルニ↢「慈心不殺」↡也。即[チ][リ]・行二善↡。自ルガ↠殺↢止善↡。ヘテ↠他ラシムルガ↠殺↢行善↡。自他初ダンズルヲ↡、畢竟ジテナガクヲ↢行善↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][c]結示

^*ぜんありといへども、 そうじて*慈下じげぎょうけつじょうす。

↠有[リト]二善↡、ソウジテケツ↢成↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二]釈具足戒行
                      [Ⅰ]標牒
                      [Ⅱ]解釈
                        [ⅰ]標示

^しょかいぎょう」 といふは、 もしにんてんじょうやくすればすなはち*しょうかいづけ、 もし*大心だいしんだいぎょうひとやくすれば、 すなはちさつかいづく。

[フ]↢「諸戒行」↡者、若[シ]ヤクスレバ↢人・天・二乗之↡、即[チ]↢小戒↡、若[シ]スレバ↢大心大行之人↡、即[チ]↢菩薩戒↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別指

^このかいもしくらいをもつてやくすれば、 これじょうはいさんのものにあたれり、 すなはちさつかいづく。 まさしくにんさだまれるによるがゆゑにねんてんじょうす。 すなはちかみだいふく (戒福)戒分かいぶん善根ぜんごんがっす。

[ノ]戒若[シ]↠位スレバ者、アタレリ此上輩三↡、即[チ][ク]↢菩薩戒↡。正[シ]クルガ↢人位定[レ]ルニ↡故テン。即[チ][ス]↢上第二福戒分善根↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)明読誦大乗
                    [一]標牒

^には読誦どくじゅだいじょうかす。

[ニ]サバ↢「読誦大乗」↡者

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]解釈
                      [Ⅰ]総標

^これしゅじょう*性習しょうじゅうどうにして、 ほうることおのおのことなることをかす。

此明[ス]↢衆生ジフ不同[ニ]シテルコト↠法[ノ]コトナルコトヲ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]別釈

^さき第一だいいちひとは、 ただしゅし、 かいたもつをもつてのうとなす。 つぎだいひとは、 ただ読誦どくじゅだいじょうをもつてとなす。 しかるにかいはすな0472はちよくじょう*三仏さんぶつたもち、 ほうはすなはち三賢さんげんじゅうまんぎょう智慧ちえ*くんじょうす。

第一、但↢修↠慈ツヲ↟戒ノウ第二、唯↢読誦大乗[ヲ]↡為↠是。然ルニ[チ][ク]↢五乗・三仏之機↡、法[チ]クン↢成三賢・十地万行之智慧↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]結示

^もし徳用とくゆうをもつてきたきょうせば、 おのおのいちのうあり。

[シ]↢徳ユウ[ヲ]↡来ケウセバ者、各[ノ][リ]↢一ノウ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[三]結貼

^すなはちかみ第三だいさんぷく (行福)第三だいさんに 「読誦どくじゅだいじょう」 といへるにがっす。

[チ]↣上第三[ノ]第三ヘルニ↢「読誦大乗」↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)釈修行六念
                    [一]標牒

^さんには*しゅぎょう六念ろくねんかす。

[ニ]サバ↢「修行六念」↡者

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]解釈
                      [Ⅰ]総明

^いはゆるぶつほうそうねんじ、 かいしゃてんとうねんず。 これまたつうじてかみ第三だいさんぷくだいじょう意義いぎがっす。

所謂 イハユ ↢仏・法・僧↡、念↢戒・捨・天等↡。此亦通ジテ[ス]↢上第三大乗之↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]別釈
                        [ⅰ]釈念仏

^念仏ねんぶつ」 といふ0552は、 すなはちもつぱら弥陀みだぶつごうどく身業しんごうどくごうどくねん一切いっさい諸仏しょぶつもまたかくのごとし。

[フ]↢念0773↡者、即[チ]↢阿弥陀仏口業功徳・身業功徳・意業功徳↡。一切[ノ]諸仏亦如↠是[クノ]

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]釈念法僧

^また一心いっしんにもつぱら諸仏しょぶつしょしょうほうならびにもろもろの眷属けんぞくさつそうねんじ、

又一心[ラ]↢諸仏所証之法眷属菩薩僧↡、

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅲ]釈念戒捨

^また諸仏しょぶつかいねんじ、 および過去かこ諸仏しょぶつ現在げんざいさつとうの、 なしがたきをよくなし、 てがたきをよくて、 うちほかて、 ないつるをねんず。 これらのさつただほうねんぜんとほっして*身財しんざいしまず。 ぎょうじゃとうすでにこのねんせば、 すなはちすべからくつねにあおぎて*前賢ぜんけんしょうがくし、 しんみょうつるこころをなすべし。

又念↢諸仏之戒↡、及[ビ]↢過去諸仏、現在菩薩等ガタキヲ、難キヲ[テ]、内外ツルヲ↡。菩薩但欲シテ↠念ゼムト↠法オシ↢身ザイ↡。行者等既念↢セバ[ノ]↡、即[チ]↧常↦仰ギテ↢前賢・後聖↡、ツル↢身命↡意↥也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ]釈念天
                          [a]明所念境

^また 「念天ねんてん」 とはすなはちこれ*さいしんじゅうさつなり。 これらはなんぎょうぎょうすでにぎ、 *さんこうすでにえ、 万徳まんどくぎょうすでにじょうじ、 *かんじょうくらいすでにしょうせり。

又念天者、即[チ]サイ後身十地之菩薩ナリ。此等ナム行之行已、三コウ、万徳之行已潅頂クワンヂヤウ之位已セリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ][b]示能念意

^ぎょうじゃとうすでにねんしをはりなば、 すなはちみづからねんすべし。 わが*さいよりこのかた、 とともにどうがんおこしてあくだんじ、 さつどうぎょう0473き。 はことごとくしんみょうしまず。 どうぎょうくらいすすみて、 いんまどかにじゅくして、 しょうしょうせるもの*だいじんえたり。 しかるにわれらぼん、 すなはち今日こんにちいたるまで、 *ねんとしてろうす。 煩悩ぼんのうあくしょう転々てんでんしてますますおおく、 *ふく微微みみたること、 *じゅうこんたいして明鏡みょうきょうのぞむがごとし。 たちまちにこの*そんするに、 しんおどろきてたんするにへざるものをや。

行者等既[ニ]念知[リ]ナバ、即[チ]思念スベシ。我[ガ][ハ]サイヨリ已来[タ]トモ同時シテ↠願ダム↠悪、行ジキ↢菩薩↡。コトゴトオシ↢身命↡。行↠道スヽミテ↠位イム[カ]ニジユクシテ、証セル↠聖エタリ↢於大地ヂム↡。然ルニ凡夫、ルマデ↢今日↡、虚然キヨゼントシテラウ。煩悩悪障テンシテマス、福ナルコトゴトタイシテ↢重コン↡之ノゾムガ↦明↥也。 マチシユンスルニ↡、↢心驚キテ悲歎スルニ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅶ)廻行願生

^しちこう発願ほつがん」 より以下いげは、 まさしくおのおのさき所修しょしゅごうして、 しょところかふことをかす。

[ニ][リ]↢「廻向発願」↡已下[ハ][シク][ス]↧各各シテ↢前所修之業↡、向フコトヲ↦所↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)修時延促
                (a)標科目

^はち具此ぐしどく」 より以下いげは、 まさしくしゅぎょう*せつ延促えんそくかす。

[ニ][リ]↢「具此グシ功徳」↡已下[ハ][シク][ス]↢修行時節エンノベソクツヾマリ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)釈文句
                  (イ)正明修時延促

^かみ*いちぎょうつくし、 しも一日いちにちいち一念いちねんとういた。 あるいは一念いちねんじゅうねんよりいち一日いちにちいちぎょういたる。 たいは、 ひとたび*発心ほっしんして以後いごちかひてこのしょうおわるまで退転たいてんあることなし。 ただじょうをもつてとなす。

↢一形↡下至↢一日・一時・一念等↡。或[イハ][リ]↢一念・十念↡至↢一時・一日・一形↡。大意、一[タ]ビ発心シテ已後、チカ[ヒ]テオハルマデ↢此↡無↠有[ル]コト退転タイテン↡。唯以↢浄土↡為

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)(ロ)釈具此功徳

^また 「具此ぐし0553どく」 といふは、 あるいは一人いちにんにして*かみし、 あるいは一人いちにんにして*しもし、 あるいは一人いちにんにして三種さんしゅことごとくす。 あるいはひとありて三種さんしゅぶんなきを、 づけて*ひとかわたるちくしょうとなす、 ひとづくるにあらず。

又言[フ]↢「具此グシ功徳」↡0774、或[イハ]一人[ニシテ]↢上↡、或[イハ]一人[ニシテ][シ]↢下↡、或[イハ]一人[ニシテ]三種コトゴト。或[イハ][リテ]↠人三種無キヲ↠分者、名[ケ]テタル↢人↡畜生↥、非↠名[ク]ルニ↠人也。

^またさん不具ふぐさんはず、 すればことごとくおうじょうるべし。

又不↠問[ハ]↢具三・不具三↡、廻スレバ得↢往生↡、応↠知

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)迎接不同
                (a)総標大科
                (b)別分文句
                  (イ)標数

^に 「しょうこく」 よりしもおうじょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりてこうしょうしたまふどうと、 去時こじ0474しつとをかす。 すなはちそのじゅういちあり。

[ニ]↢「生彼国時」↡下至[ル]↢「往生彼国」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧臨[ミ]テ↢命終↡聖来[リテ]セウシタマフ不同[ト]、去時[ノ]シツ[ト]ヲ↥。即[チ]↢其[ノ]十一↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)(b)(ロ)別列

・標所帰国

^いちには*しょくに標定ひょうじょうすることをかす。

[ニハ][ス]ヘウ↢定スルコトヲ所帰之国↡。

・重顕其行

^にはかさねてそのぎょうあらわして、 けつじょう*しょうごんのものをいだすことをかす。 またこれどくごうにゃく*校量きょうりょうす。

[ニハ][ス]↧重シテ↢其[ノ]↡、指↦出スコトヲ決定シヤウマコトゴムネムゴロニ↥。亦是ケウリヤウ功徳ガウニヤク↡。

・弥陀自来

^さんには弥陀みだ*しゅしんみづかららいしたまふことをかす。

[ニハ]↢弥陀化主[ノ]身自ライシタマフコトヲ↡。

・大衆皆従

^には 「観音かんのん」 より以下いげは、 さらにしゅ大衆だいしゅとうみな弥陀みだしたがひてぎょうじゃ来迎らいこうすることをあらわすことをかす。

[ニハ]↫「観音[ヨリ]」已下、更[ス]コトヲ↪無数大衆等皆シタガヒテ↢弥陀↡来↩迎スル[コト]ヲ行者↨。

・宝宮随衆

^にはほうしゅうしたがふことをかす。

[ニハ][ス]↢宝グウ[フ]コトヲ↟衆

・観音勢志

^ろくにはかさねて観音かんのんせいともに金台こんだいりて、 ぎょうじゃまえいたることをかす。

[ニハ][ス]↧重観音・勢トモ[リ]テ↢金台↡、至ルコトヲ↦行者↥。

・光照行者

^しちには弥陀みだひかりはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↣弥陀放[チ]テ↠光[シ]タマフコトヲ↢行者之身↡。

・同時接手

^はちにはぶつすでにひかりべてらし、 およびすなはちぶつとうどうみてせっしたまふことをかす。

[ニハ]↧仏既ベテ↠光、及[チ]↢化仏等↡同時セウシタマフコトヲ↞手

・同声讃勧

^にはすでにせっしてだいのぼらしめて、 観音かんのんとうどうしょうぎょうじゃしん讃勧さんかんしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↣既シテノボラシメテ↠台、観音等同声サムクワンシタマフ[コトヲ]行者之心↡。

・自見乗台

^じゅうにはみづからればだいじょうじ、 ぶつしたがふことをかす。

[ニハ]↢自[ラ]レバ↠台フコトヲ↟仏

・去時遅疾

^じゅういちにはまさしく去時こじしつかす。

十一[ニハ][シク][ス]↢去時[ノ]↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅹ)無華合障

^じゅうしょうこく」 より以下いげは、 まさしく金台こんだいかしこにいたりて、 さらにごうさわりなきことをかす。

[ニ][リ]↢「生彼国」↡已下[ハ][シク][ス]↣金台到[リ]テ↠彼、更[キ]コトヲ↢華合之サハリ↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)到彼得益
                (a)標大科

^じゅういちけんぶつ色身しきしん」 よりしも*陀羅尼だらにもん」 にいたるこのかたは、 まさしく金台こんだいいたりてのち得益とくやくどうかす。 すなはちそのさんあり。

十一[ニ][リ]↢「見仏色身」↡下至↢「陀羅尼門」↡已来[タハ][シク][ス]↢金台イタ[リ]テ[ノ]得益不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)(b)釈文句

・得無生忍

^いちにははじめてみょうほうきてすなはちしょうさとる。

[ニ] ジメ[キ]テ↢妙法↡即[チ]サト↢無生↡。

・次第授記

^にはしゅりゃくしてだいじゅせらる。

[ニ]者須臾リヤクシテジユセラル

・更証聞持

^さんには*本国ほんごく*ほう0475してさらにもん*やくしょう

[ニ]者本国他方[ニ]シテ↢聞持[ノ]二益↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅻ)総結

^じゅうみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

十二[リ]↢「是名」↡已下[ハ][ジ]テ

一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅲ)結示

^じょうらいじゅうどうありといへども、 ひろじょうぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢十二句不同↡、広[ク]↢上品上生↡竟0775[リヌ]

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)上中品【上品中生釈】
            (Ⅰ)総標

【15】^つぎ0554じょうぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

[ニ][キテ]↢上品中生[ノ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ]。即[チ][リ]↢其[ノ]八↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)総標位名

^いちじょうぼん中生ちゅうしょうしゃ」 より以下いげは、 そうじてくらいぐ。 すなはちこれだいじょうぜんぼんにんなり。

[ニ][リ]↢「上品中生者」↡已下ジテ[グ]↢位[ノ][ヲ]↡。即[チ]是大乗[ノ]凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)廻業指西

^ひつじゅ」 よりしもしょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしく第六だいろく第七だいしち第八だいはちもんのなかの、 所修しょしゅごうして、 西方さいほうさだすことをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「不ヒチ受持」↡下至[ル]↢「生彼国[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↧第六・第七・第八門シテ↢所修↡、定スコトヲ西方↥。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・受法不定

^いちには受法じゅほうじょうにして、 あるいは読誦どくじゅ読誦どくじゅざることをかす。

[ニハ]↧受法不定ニシテ、或[イ]ハ得↢読誦↡、不ルコトヲ↞得↢読誦↡。

・善解空義

^にはよくだいじょうくうすることをかす。 あるいは諸法しょほう一切いっさいみなくうにしてしょう無為むいもまたくうなり。 *ぼんしょうみょうあんもまたくうなり。 けん六道ろくどうしゅっけん三賢さんげんじっしょうとう、 もしその*たいしょうのぞむればひっきょうじて不二ふになりとちょうもんす。 このせつくといへども、 そのしん坦然たんねんとしてたいしょうぜず。

[ニハ][ス]↣善スルコトヲ↢大乗↡。或[イハ]聴↧聞諸法一切皆空ニシテ生死無為亦空ナリ凡聖明闇亦空ナリ世間六道、出世間三賢・十聖等、若[シ]ノゾムレバ↢其体性↡畢竟ジテ不二ナリト↥。雖[モ]↠聞[ク]ト↢此[ノ]↡、其[ノ]タムトシテアキラカナリ 不↠生タイ↡也。

・深信因果

^さんにはふか*しゅっらくしゅいんしんじ、 これらのいんおよびもろもろのどう*ほうしょうぜざることをかす。 もしほうしょうずれば、 すなはちふくぎょうじょうぜず。 けんほうすらなほべからず、 いかにいはんやじょうしょうずることをんや。 これすなはち第三だいさんぷく (行福)だいだいさん0476がっす。

[ニハ]↧深↢世・出世苦楽二種因果↡、此等因果及[ビ]ルコトヲ↞生↢疑謗↡。若[シ][ズ]レバ↢疑謗↡、即[チ]不↠成[ゼ]↢福行[ヲ]↡。世間[ノ]果報[スラ]尚不↠可[カラ]↠得、イカ[ム]ヤ↠生[ズル]コトヲ↢浄土↡。此即[チ]↢第三[ノ]第二・第三↡也。

・標指所帰

^にはさき所業しょごうして、 *しょひょうすることをかす。

[ニハ][ス]↧廻シテ↢前所業↡、ヘウスルコトヲ所帰↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)主伴来応

^さんぎょうぎょうじゃ」 よりしもこうしょうにょ」 にいたるこのかたは、 まさしく弥陀みだ、 もろもろのしょうじゅだいして来応らいおうしたまふことをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「行此行者」↡下至↢「迎接汝」↡已来タハ[シク][ス]↧弥陀与↢諸[ノ]聖衆↡、シテダイ来応シタマフコトヲ↥。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・命延不久

^いちにはぎょうじゃ*みょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢行者命延ルコトヲ↟久シカラ

・主伴自来

^には弥陀みだしゅうとみづからきたりたまふことをかす。

[ニハ][ス]↢弥陀与↠衆自[リタマフ]コトヲ↡。

・持台至前

^さんにはしゃだいしてぎょうじゃまえいたることをかす。

[ニハ][ス]者持[シテ]↠台[ルコト]ヲ↢行者↡。

・同声讃歎

^にはぶつしょうじゅどうしょう讃歎さんだんして、 ˆぎょうじゃのˇ *ほん所修しょしゅごうべたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏与↢聖衆↡同声讃歎サムダンシテベタマフコトヲ↦本所修之業↥。

・我来迎汝

^にはぶつぎょうじゃうたがいいだくことをおそれたまふがゆゑに、 「われきたりてなんぢをむかふ」 とのたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏オソタマフガ↢行者イダクコトヲ↟疑、言[フコト]ヲ↦我来[リ]テフト↞汝

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅳ)去時遅速

^せんぶつ」 よりしも七宝しっぽうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 しゅしょう授手じゅしゅと、 去時こじしつとをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「千化仏0776」↡下至[ル]↢「七宝池中」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢第九門[ノ]衆聖授手、去時遅疾[ト]ヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・報化授手

^いちには0555せんぶつどう授手じゅしゅしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧弥陀↢千化仏↡同時授手シタマフコトヲ↥。

・自見坐台

^にはぎょうじゃすでに授手じゅしゅこうむりてすなはちみづかられば、 すでにこんだいすることをかす。

[ニハ][ス]↧行者既[ニ]カウム[リ]テ授手ジユシユ↡即[チ][ラ]レバ↠身身坐[スルコト]ヲ↦紫金之台↥。

・合掌仰讃

^さんにはすでにみづからだいすることをて、 がっしょうしてあおぎて弥陀みだとうしゅうさんずることをかす。

[ニハ][ス]↣既↠坐[スルコト]ヲ↠台、合掌シテ[ギ]テサンズルコト[ヲ]↢弥陀等↡。

・去時遅疾

^にはまさしく去時こじしつかす。

[ニハ][ス]↢正[シ]ク去時遅疾↡。

・住宝池内

^にはかしこにいたりてほうのうちにじゅうすることをかす。

[ニハ][ス]↣到[リ]テ↠彼↢住[スルコト]ヲ宝池之内↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅴ)華開時節

^此紫しし金台こんだい」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくる0477せつどうかす。

[ニ][リ]↢「此紫金台」↡已下[ハ][シク][ス]↢第十門[リ]テ↠彼華開[ク]ル時節不同↡。

^ぎょうこわきによるがゆゑに、 上上じょうじょうはすなはち金剛こんごうだいぎょうれつなるによるがゆゑに、 上中じょうちゅうはすなはち金台こんだいˆじょうにˇ しょうじてほうにありて宿しゅくひらくるがごとし。

[ル]ガ↢行コハキニ↡故、上上[チ]得↢金剛台↡。由[ルガ]↢行レチナルニ↡故、上中[チ]↢紫金台↡。生[ジ]テ[リ]テ↢宝池宿シウ↠開[ク]ルガ也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益

^ろくぶつぎゅうさつ倶時くじ放光ほうこう」 よりしもとく退転たいてん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「仏及菩薩倶時放光」↡下至↢「得不退転[ニ]」↡已来[タ]ハ[シ]ク[ス]↢第十一門華開已後[ノ]得益不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・仏光照身

^いちには仏光ぶっこうらすことをかす。

[ニハ][ス]↢仏光照[スコトヲ]↟身[ヲ]

・目即開明

^にはぎょうじゃすでにたいらすことをこうむりて、 すなはちかいみょうなることをかす。

[ニハ][ス]↢行者既[ニ][リ]テ↠照[ス]コトヲ↠体、目即[チ]開明[ナルコト]ヲ↡。

・所習還聞

^さんにはにんちゅうにしてならへるところ、 かしこにいたりてしゅしょうあらわすところとなり、 またそのほうくことをかす。

[ニハ][ス]↣人中ニシテナラヘル、到[リ]テ↠彼衆声[トナリ]アラハ[ク]コトヲ↢其[ノ]↡。

・開眼聞法

^にはすでにまなこひらけてほうくことをて、 すなはち金台こんだいよりり、 したしく仏辺ぶっぺんいたりて、 ようしてとくさんずることをかす。

[ニハ][ス]↧既↢眼開ケテクコトヲ↟法、即[チ][リ]↢金台ヨリ↡、親シク[リ]テ↢仏辺↡、ヤウシテサンズルコトヲ↞徳

・逕時得忍

^にはときること七日しちにちにして、 すなはちしょうることをかす。

[ニハ]↣逕ルコト↠時七日ニシテ、即ルコトヲ↢無生↡。

^七日しちにち」 といふは、 おそらくはこのけん七日しちにちなり、 かのくに七日しちにちすにあらず。 このけん七日しちにちるは、 かのところにはすなはちこれ一念いちねんしゅのあひだなり、 るべし。

[フ]↢「七日」↡、恐クハ[ノ]七日ナリ↠指スニ↢彼[ノ]七日↡也。此↢於七日、彼[ノ]トコロニハ[チ]是一念須臾間也、応[シ]↠知[ル]

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益

^しちおう即能そくのう飛至ひし十方じっぽう」 よりしも現前げんぜんじゅ」 にいたるこのかたは、 まさしく*ほう得益とくやくかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「応時即能飛至ヒシ十方」↡下至↢「現前授記」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢他方得益↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・身至十方

^いちには十方じっぽういたることをかす。

[ニハ][ス]↣身至[ルコトヲ]↢十方↡。

・歴供諸仏

^には一々いちいち諸仏しょぶつ*りゃくすることをかす。

[ニハ][ス]↣一一歴↢供スルコトヲ諸仏↡。

・修多三昧

^さんにはおおくの三昧さんまいしゅすることを0478かす。

[ニハ][ス]↠修[スルコト]ヲ↢多[ク]ノ三昧↡。

・延時得忍

^には*えん得忍とくにんかす。

[ニハ][ス]延時得忍↡。

・現蒙授記

^には一々いちいち仏辺ぶっぺんにしてげんじゅこうむることをかす。

[ニハ][ス]↣一一0777[ニ]シテ[ルコト]ヲ↢授記↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅷ)総結

^はちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニハ][リ]↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅲ)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろじょうぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リ]ト↢八句不同↡、広↢上品中生↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)上下品【上品下生釈】
            (Ⅰ)総標

【16】^つぎじょうぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

[ニ][キテ]↢上品下生↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ]。即[チ][リ]↢其[ノ]八↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)別釈
              (ⅰ)総挙位名

^いちじょうぼんしょうしゃ」 より以下いげは、 そうじてくらいぐ。 すなはちこれだいじょうぜんぼんにんなり。

[ニ][リ]↢「上品下生者」↡已下ジテ↢位↡。即[チ]是大乗下善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)受法不同

^亦信やくしんいん」 よりしもじょう道心どうしん」 にいたるこのかたは、 まさしく第六だいろくもんのなかの、 受法じゅほうどうかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「亦信因果」↡下至[ル]↢「無上道心」↡已来[タハ][シク][ス]↢第六門受法不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・因果不定

^いちには所信しょしんいんじょうなることをかす。

[ニハ][ス]↢所信因果不定[ナルコト]ヲ↡。

^あるいはしんしんぜず。 ゆゑにづけて 「やく」 となす。 あるいはまたさきˆじょうぼん中生ちゅうしょうのˇ 深信じんしんおなじかるべし。

[イハ][ジ]↠信[ゼ]。故[ニ][ケ]テ[ス]↠亦。或[イハ]↣亦同[ジ]カル↢前深信↡也。

^またしんずといへどもふかからず。 善心ぜんしんしばしば退たいし、 悪法あくほうしばしばおこる。 これすなはちふからくいんしんぜざるによりてなり。 もしふかしょうしんずるものは、 罪業ざいごうひっきょうじてかさねておかさず。 もしふかじょう無為むいらくしんずるものは、 善心ぜんしんひとたびおこりてなが退失たいしつすることなし。

又雖↠信ズトフカカラ。善心シバシバ退、悪法シバシバオコ。此乃[チ][リ]テ↠不ルニ↣深↢苦楽因果↡也。若[シ]ズル↢生死、罪業ヒツジテ↢重↡。若[シ]ズル↢浄土無為、善心一[タ]ビオコ[リ]テ[シ]↢退失スルコト↡也。

・不謗大乗

^にはしん間断けんだんすといへども、 一切いっさいだいじょうにおいてほうすることをざることをかす。 もしほうおこさば、 たとひ千仏せんぶつめぐりたまふとも、 すくふべきによしなし。

[ニハ][ス]↧信雖↢間ダムスト↡、於↢一切大乗↡不[ルコト]ヲ↞得↢疑ハウスルコトヲ↡。若[シ]サバ↢疑謗↡者、縦使 タトヒ 千仏遶リタマフトモ↠身[ヲ]、無↠可キニスク也。

・諸善無功

^さんにはじょう諸善しょぜんまたこう0479きにたることをかす。 ただ一念いちねんおこしていとひ、 諸仏しょぶつきょうがいしょうじ、 すみやかにさつだいがんぎょうてて、 しょうかえりて、 あまねくしゅじょうせんとねがふ。 ゆゑに*ほつだいしんづく。 この第三だいさんぷく (行福) のなかにすでにかしをはりぬ。

[ニハ][ス]↣已上諸善タルコトヲ↢亦無キニ↟功。唯シテ↢一念↡厭↠苦、楽↧生↢諸仏境界↡、スミヤカソク テテ↢菩薩大悲[ノ]願行↡、↢入リテ生死↡、普セムト↦衆生↥。故↢発菩提心↡也。此[ノ]義第三[リ]ヌ

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅲ)廻行願生

^さんに 「以此いしどく」 より以下いげは、 まさしくだい八門はちもんのなかの、 さき正行しょうぎょうして、 しょところかふことをかす。

[ニ][リ]↢「以此功徳」↡已下[ハ][シク][ス]↧第八門シテ↢前正行↡向[フ]コトヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅳ)聖来迎接

^ぎょうじゃみょうよくしゅう」 よりしも七宝しっぽうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 りんじゅうしょうきたりてこうしょうしたまふと、 去時こじしつとをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「行者命欲終時」↡↢「七宝池中」↡已来タ[ハ][シク][ス]↢第九門[ノ]リム聖来[リ]テ迎接シタマフト、去時遅疾[ト]ヲ↡。即0778[チ][リ]↢其[ノ]九↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢命延ルコトヲ↟久シカラ

・主伴来応

^には、 もろもろのしょうじゅ*こんして来応らいおうしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧弥陀与↢諸[ノ]聖衆↡シテ↢金華↡来応[シタマフ]コトヲ↥。

・報化授手

^さんにはぶつどう授手じゅしゅしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↢化仏同時授手シタマフコトヲ↡。

・同声等讃

^にはしょうじゅどうしょうひとしくさんずることをかす。

[ニハ][ス]↢聖衆同声[シ]ク[ズル]コトヲ↡。

・罪滅発心

^にはぎょうじゃつみめっするがゆゑに 「清浄しょうじょう」 といひ、 ˆぎょうじゃのˇ *ほん所修しょしゅぶるがゆゑに0557ほつじょう道心どうしん」 といふことをかす。

[ニハ][ス]↧行者[ノ]罪滅[ス]ルガ↢清浄↡、ブルガ↢本所修↡故[フ]コトヲ↦発無上道心↥。

・我来迎汝

^ろくにはぎょうじゃ*りょうるといへども、 しんありておうじょうざことをおそる。 このゆゑにしょうじゅどうしょうげて、 「われきたりてなんぢをむかふ」 といふことをかす。

[ニハ][ス]↧行者雖↠覩[ル]トレイ↡、疑心ア[リ]テ↠不ルコトヲ↠得↢往生↡、是[ノ]聖衆同声ゲテ、言フコトヲ↦我来[リ]テムカフト↞汝[ヲ]

・自見坐台

^しちにはすでにげをこうむり、 およびすなはちしんるに、 すでにこんうえして、 *篭々ろうろうとしてがっすることをかす。

[ニハ][ス]↧既[ニ]↠告、及[ビ][チ]ル[ニ]↢自身↡、已シテ↢金華之上↡、篭コモリコモルトシテ而合[スル]コトヲ↥。

・一念即生

^はちには仏身ぶっしんあとしたがひて0480一念いちねんにすなはちしょうずることをかす。

[ニハ][ス]↧随[ヒ]テ↢仏身↡、一念[チ][ズルコト]ヲ↥。

・在宝池中

^にはかしこにいたりてほうのなかにあることをかす。

[ニハ][ス]↣到[リ]テ↠彼[ニ][ル]コトヲ↢宝池↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅴ)華開不同

^一日いちにちいち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるせつどうかす。

[ニ][リ]↢「一日一夜」↡已下[ハ][シ]ク[ス]↢第十門[リ]テ↠彼[ニ]華開ク[ル]時節不同↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益

^ろく七日しちにちちゅう」 よりしも皆演かいえんみょうほう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。

[ニ][リ]↢「七日之中」↡下至[ル]↢「皆演妙法」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門華開已後得益不同↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益

^しちりゃく十方じっぽう」 よりしもじゅうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくほう得益とくやくかす、 また*やくづく。

[ニ][リ]↢「遊歴十方」↡下至[ル]↢「住歓喜地[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢他方[ノ]得益[ヲ]↡、亦名[ク]↢後益[ト]↡也。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅷ)総結

^はちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅲ)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろじょうぼんしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢八句不同↡、広[ク]↢上品下生↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅰ b 結讃【上輩総讃】
          (一)正讃

【17】^¬讃¼ にいはく (*礼讃)

¬サム¼云ハク

^じょうはい*上行じょうぎょうじょうこんひとなり。 じょうしょうずることをもとめて*貪瞋とんじんだんず。
ぎょう差別しゃべつにつきて三品さんぼんわかつ。 *もん相続そうぞくして*三因さんいんたすく。

「上輩[ハ]上行上根[ナリ][メ]テズルコトヲ↢浄土↡断↢貪瞋
[キ]テ↢行差別↡分↢三品五門相続シテ↢三因

^一日いちにち七日しちにちもつぱらしょうじんして、 *ひつみょうだいじょうじて*六塵ろくじんづ。
よろこばしきかな、 ひがたくしていまふことをたり。 なが*無為むいほっしょうしんしょうせん」 と。

一日七日マコトシテスヽム 畢命ジテ↠台↢六塵
ヨロコバシキカナクシテ今得タリフコトヲセム[ト]↢無為法性[ノ]↡」

一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)総結

^じょうらいさんどうありといへどもそうじてじょうはいもんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総ジテ↢上輩一門之義↡竟[リヌ]

一 Ⅱ 【中輩観】
      【文前料簡】

【18】^じゅうちゅうはいかんぎょうぜんもんぜんにつきて、 そうじてりょうけんしてすなはちじゅういちもんとな0481す。

0779[キ]テ↢中輩観[ノ]行善↡、総ジテ料簡シテ[チ]↢十一門↡。

・告命

^いちにはそうじてごうみょうかす。

[ニ]者総ジテ[ス]↢告命↡。

・弁定其位

^にはまさしくそのくらいべんじょうすることをかす。

[ニ]者正[シク][ス]↣弁↢定[スル]コトヲ↡。

・総挙有縁

^さんにはまさしくそうじてえんたぐいぐることをかす。

者正[シク]↣総ジテ[グル]コトヲ↢有縁之類↡。

・弁定三心

^にはまさしく三心さんしんべんじょうしてもつて0558しょういんとなすことをかす。

[ニ]者正[シク][ス]↧弁↢定シテ三心↡以[ス]コトヲ↦正因↥。

・簡機堪不

^にはまさしくかんかんとをえらぶことをかす。

[ニ]者正[シク]エラブコトヲ↣機カン[ヲ]↢不堪↡。

・受法不同

^ろくにはまさしく受法じゅほうどうかす。

[ニ]者正[シク][ス]受法不同↡。

・時節延促

^しちにはまさしく修業しゅごうせつ延促えんそくことなることあることをかす。

[ニ]者正[シク]↢修業時節[ニ]ソク[ル]コトヲナルコト

・廻行願生

^はちにはまさしく所修しょしゅぎょうして、 弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとがんずることをかす。

[ニ]者正[シク]↧廻シテヒルガヘシ↢所修↡、願[ズル]コトヲ↞生[ゼ]ムト↢弥陀仏国↡。

・迎接去時

^にはまさしく命終みょうじゅうときのぞみてしょうきたりてこうしょうしたまふどうと、 去時こじしつとをかす。

[ニ]者正[シク]↧臨[ミ]テ↢命終↡聖来[リ]テ迎接シタマフ不同[ト]、去時遅疾[ト]ヲ↥。

・華開遅疾

^じゅうにはまさしくかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

[ニ]者正[シク][ス]↢到[リ]テ↠彼華開クル遅疾不同↡。

・開後得益

^じゅういちにはまさしくかい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。

十一[ニ]者正[シク][ス]↢華開已後得益[ル]コトヲナルコト

^じょうらいじゅういちもんどうありといへども、 ひろちゅうはい三品さんぼんりょうけんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢十一門不同↡、広料↢簡中輩三品↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅱ 正釈
        中上品【中品上生釈】
          (一)総標

【19】^つぎちゅうぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのはちあり。

[ニ][キ]テ↢中品上生↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ]。即[チ]↢其[ノ]八↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡已下ジテ↢告命↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)弁定其位

^ちゅうぼん上生じょうしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれ小乗しょうじょうこんじょうじょうぜんぼんにんなり。

[ニ][リハ]↢「中品上生者」↡、[シク][ス]↣弁↢定[スル]コトヲ[ノ]↡。即[チ]是小乗根性[ノ]上善凡夫人也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)受法不同

^さんにゃくしゅじょう」 よりしもしゅげん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい五・第六だいろくもんのなかの、 受法じゅほうどうかす。 す0482なはちそのあり。

[ニ][リ]↢「若有衆生」↡↢「無衆過患」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢第五・第六門受法不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・簡機堪不

^いちにはかんかんとをえらぶことをかす。

[ニハ]↠簡[ブ]コトヲ↣機カン↢不堪↡。

・受持小乗

^には小乗しょうじょう斎戒さいかいとうじゅすることをかす。

[ニハ][ス]↣受↢持スルコトヲ小乗[ノ]斎戒等↡。

・小戒不消

^さんにはしょうかいりきにしてぎゃくつみさざることをかす。

[ニハ]↧小戒[ノ]ニシテルコトヲ↢五逆之罪↡。

・余改悔

^にはしょうかいとうたもちておかすことあることをずといへども、 もし*けんあらば、 つねにすべからく*がいしてかならず清浄しょうじょうならしむべきことをかす。

[ニハ][ス]↧持[チ]テ↢小戒等↞得↠有[ル]コトヲスコトモシ[ラ]バ↢余ケントガ↡、恒キコトヲガイクヰヱシテ↩清浄ナラ↨。

^これすなはちかみだい二の戒善かいぜんふくがっす。 しかるに修戒しゅかいときは、 あるいはこれしゅうしん、 あるいは一年いちねん一月いちがつ一日いちにちいちいちとうなり。 このまたじょうなり。 たいはみなひつみょうとなしてぼんすることをず。

此即[チ]↢上第二戒善之福↡也。然ルニ修戒、或[イ]ハシユウ身、或[イ]ハ一年・一月・一日・一夜・一時等0780ナリ。此亦不定ナリ。大意皆畢命シテ↠得↢毀犯クヰボンスルコトヲ↡也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)廻行願生

^以此いし善根ぜんごんこう」 より以下いげは、 まさしくだい八門はちもんのなかの、 所修しょしゅごうしてしょところかふことをかす。

[ニ][リ]↢「以此善根廻向」↡已下[シク][ス]↧第八門[ノ]シテ↢所修↡、向[フコト]ヲ↦所求↥。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅴ)迎接去時

^りん命終みょうしゅう」 よりしも0559極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 じゅうしょうきたりてこうしょうしたまふどうと、 去時こじしつとをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][リ]↢「リム命終時」↡下至↢「極楽世界」↡已来[タハ][シク][ス]↢第九門終時聖来[リ]テ迎接シタマフ不同[ト]、去時遅疾[ト]ヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢命延ルコトヲ↟久シカラ

・無有菩薩

^には弥陀みだ比丘びくしゅきたりて、 さつあることなきことをかす。 これ小乗しょうじょうこんじょうなるによりて、 またしょうこんしゅうかんぜり。

[ニハ][ス]↧弥陀↢比丘衆↡来[リ]テ、無[キコト]ヲ↞有[ル]コト↢菩薩↡。由[リ]テ↢是小乗[ノ]根性[ナ]ルニ↡、ゼリ↢小根之衆↡也。

・光照行者

^さんにはぶつ金光こんこうはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏放[チ]テ↢金光↡照[シタマフコト]ヲ↦行者↥。

・讃離衆苦

^にはぶつ、 ためにほうき、 またしゅっしゅ種々しゅじゅ俗縁ぞくえんごう王官おうかん*長征じょうしょう*遠防おんぼうとうはなるることをさんずることをかす。 「0483んぢいましゅっして*はいあおがれまんうれへず。 *ぎょうねんとしてざいにして、 *じゅうさわりなし。 これがために*道業どうごうしゅすることを」 と。 このゆゑにさんじて 「しゅはなる」 とのたまふ。

[ニハ][ス]↤仏為↠法、又讃[ズルコト]ヲ↣出家ルルコトヲ多衆苦、種種ゾク縁・業・王クワンセイシエタグ エントオクバウフセグ↡。出家シテガレ↢於四輩↡、万事ウレクヰヤウゼンカルカナリ トシテザイニシテサハリ。為↠此[ト]↠修[スル]コトヲ↢道業↡。是[ノ][ニ]ジテ↠離ルト↢衆苦↡也。

・自見坐台

^にはぎょうじゃすでに見聞けんもんしをはりてごんへず。 すなはちみづからればすでに*だいし、 こうべれてぶつらいすることをかす。

[ニハ][ス]↧行者既[ニ]見聞[リ]テゴム[チ]レバ↠身↢華台↡、テイレテ↠頭ツブ[スル]コトヲ↞仏

・挙頭在彼

^ろくにはぎょうじゃこうべるることここにありて、 こうべげをはればかのくににあることをかす。

[ニハ][ス]↧行者ルルコト↠頭[リ]テコヽ、挙[ゲ]↠頭レバルコトヲ↦彼[ノ]↥也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅵ)華開遅速

^ろくれん尋開じんかい」 よりは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

[ニ]↢「蓮華ジン」↡[シク][ス]↢第十門[リ]テ↠彼華開クルトシ不同↡。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅶ)開後得益

^しちとう敷時ふじ」 よりしもはちだつ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「当華時」↡下至↢「八解脱」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ]華開已後得益不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・華開

^いちにはほうたちまちひらくることをかす。 これ戒行かいぎょうしょうごうなるによるがゆゑなり。

[ニハ][ス]↢宝華タチマヒラクルコトヲ↡。此由ルガ↢戒行精強セイガウナルニ↡故也。

・聞法

^には法音ほうおんおなじくたいとくさんずることをかす。

[ニハ][ス]↣法音同[ジ]ク[ズル]コトヲ↢四タイ之徳↡。

・獲果

^さんにはかしこにいたりてたいくをきて、 すなはちかんることをかす。

[ニハ][ス]↧到[リ]テ↠彼[ニ][キ]テ↠説クヲ↢四諦↡、即[チ]ルコトヲ↦羅漢之果↥。

・釈義

^かん」 といふは、 ここにはしょうといひ、 またじゃくといふ。 いんもうずるがゆゑにしょうなり。 そうするがゆゑにじゃくなり。

↢「羅漢」↡、此ニハ↢無生↡、亦云[フ]↢無ヂヤク↡。インマウズルガ無生ナリ。果サウホロブスルガ無著ナリ

^さんみょう」 といふは、 宿命しゅくみょうみょう天眼てんげんみょうじんみょうなり。

[フ]↢「三明」↡者、宿シユク0781明・天眼明・ジン明也。

^はちだつ」 といふは、 *ないしき観色かんしきいちだつなり。 *ないしき観色かんしきだつなり。 *じょうそうさんだつなり。 *くうとおよび*滅尽めつじんそうじて0484はちじょうず。

[フ]↢「八解脱」↡者、内有色外観色[ハ]解脱ナリ。内無色外観色[ハ]解脱ナリ。不浄相[ハ]解脱ナリ。四空滅尽ジテ↠八也。

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅷ)総結

^はち0560みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下[ハ][ジテ]

一 Ⅱ ⅱ b イ(三)結示

^じょうらいはっどうありといへども、 ひろちゅうぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢八句[ノ]不同↡、広↢中品上生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅱ b 中中品【中品中生釈】
          (一)総標

【20】^つぎちゅうぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][キ]テ↢中品中生↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ]。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)弁位

^いちちゅうぼん中生ちゅうしょうしゃ」 よりは、 そうじてぎょうげてそのくらいべんじょうす。 すなはちこれ小乗しょうじょうぜんぼんにんなり。

[ニ]リハ↢「中品中生者」↡、ジテ[ゲ]テ↢行↡弁↢定[ノ][ヲ]↡。即[チ]是小乗下善凡夫人ナリ

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)機法

^にゃくしゅじょう」 よりしも威儀いぎけつ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいろく七門しちもんのなかの、 けんぶん受法じゅほうとうどうかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「若有衆生」↡下至↢「威儀無クヱツ」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢第五・六・七門簡機・分・受法等不同↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・持八戒斎

^いちにははっ戒斎かいさいじゅすることをかす。

[ニハ][ス]↣受↢持[スルコト]ヲ八戒斎↡。

・持沙弥戒

^にはしゃかいじゅすることをかす。

[ニハ][ス]↣受↢持[スルコト]ヲ沙弥戒↡。

・持具足戒

^さんにはそくかいじゅすることをかす。

[ニハ][ス]↣受↢持[スルコト]ヲ具足戒↡。

^この三品さんぼんかいはみなおなじく一日いちにちいちなり。 清浄しょうじょうにしておかすことなく、 すなはちきょうざいいたるまでも、 ごくじゅうとがおかすがごとくし、 三業さんごう*威儀いぎしつあらしめず。 これすなはちかみだいふく (戒福)がっす、 るべし。

[ノ]三品皆同[ジ]ク一日一夜[ナリ]。清浄ニシテスコトルマデモ↢軽罪↡、如ク[シ]スガ↢極重之トガ↡、三業威儀↠令↠有失也。此即[チ]↢上第二↡、応[シ]↠知[ル]

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)廻向

^さん以此いしどく」 より以下いげは、 まさしく所修しょしゅごうして、 しょところかふことをかす。

[ニ][リ]↢「以此功徳」↡已下[シク][ス]↧廻シテ↢所修↡、向[フコト]ヲ↦所求[ノ]↥。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)迎接

^戒香かいこう熏修くんじゅ」 よりしも七宝しっぽうちゅういたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 ぎょうじゃじゅうしょうきたりてこうしょうしたまふと、 去時こじしつとをかす。 すなはちそのはちあり。

[ニ][リ]↢「戒香クン修」↡下至↢「七宝池中[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第九門行者[ノ]終時聖来[リ]テ迎接シタマフト、去時遅疾トキ[ト]ヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]八↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢命延ルコトヲ↟久シカラ

・与諸比丘

^には0485、 もろもろの比丘びくしゅきたりたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧弥陀↢諸[ノ]比丘衆↡来[リタマフコト]ヲ↥。

・光照行者

^さんにはぶつ金光こんこうはなちてぎょうじゃらしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏放[チ]テ↢金光↡照[シタマフコト]ヲ↦行者[ノ]↥。

・持華来現

^には比丘びくはなして来現らいげんすることをかす。

[ニハ][ス]↢比丘シテ↠華来現[スル]コトヲ↡。

・行者聞讃

^にはぎょうじゃみづからくうしょうとうさん見聞けんもんすることをかす。

[ニハ][ス]↣行者自[ラ]見↢聞[スル]コトヲ空声等↡。

・深信仏語

^ろくにはぶつさんじて、 「なんぢふかぶつしんじ、 ずいじゅんしてうたがふことなし。 ゆゑにきたりてなんぢをむかふ」 とのたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏讃[ジ]テ、言フ[コト]ヲ↦汝深↢仏語↡、随順シテフコト[リ]テ[フト]↞汝[ヲ]

・坐華華合

^しちにはすでに仏讃ぶっさんこうむりてすなはちるに、 みづから*華座けざす。 しをはれば、 はながっすることをかす。

[ニハ][ス]↧既[ニ][リ]テ↢仏0782↡即[チ]ルニ、自↢華座[ニ]レバ、華合[スルコトヲ]↥。

・入西宝池

^はちにははなすでにがっしをはりて、 すなはち西方さいほうほうのうちにることをかす。

[ニハ][ス]↣華既[シ]リテ、即[チ][ルコトヲ]↢西方宝池之内↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)華開

^きょう七日しちにち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるせつどうかす。

[ニ][リ]↢「経於七日」↡已下[ハ][シク][ス]↢第十門[ノ][ノ][リテ]↠彼[ニ]華開クル時節不同↡。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)得益

^ろく華既けき敷已ふい」 よりしも0561じょうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「華既敷キフ已」↡下至↢「成羅漢[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ][ノ]華開已後[ノ]得益[ノ]不同[ヲ]↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・華開見仏

^いちにははなひらけてぶつたてまつることをかす。

ニハ[ス]↢華開[ケ]テ[タテマツルコトヲ]↟仏[ヲ]

・合掌讃仏

^にはがっしょうしてぶつさんずることをかす。

[ニハ][ス]↢合掌[シテ][ズルコトヲ]↟仏[ヲ]

・聞法得果

^さんにはほうきて*しょることをかす。

[ニハ][ス]↣聞[キテ]↠法[ヲ][ルコトヲ]↢於初果[ヲ]↡。

・逕時得成

^には半劫はんこうをはりてまさにかんとなることをかす。

[ニハ][ス]↧経↢ハム↡已[リテ]マサルコトヲ↦羅漢[ト]↥。

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)総結

^しちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下[ハ]ジテ

一 Ⅱ ⅱ b ロ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろちゅうぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]↢中品中生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅱ b 中下品【中品下生釈】
          (一)総標

【21】^つぎちゅうぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 す0486なはちそのしちあり。

キテ↢中品下生[ノ][ノ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ]。即[チ]↢其[ノ]七↡。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)別釈
            (Ⅰ)弁位

^いちちゅうぼんしょう」 より以下いげは、 まさしくそうじてぎょうげて、 そのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれぜんじょうふくぼんにんなり。

↢「中品下生」↡已下[ハ][シク][ス]↧総ジテ[ゲ]テ↢行[ノ][ヲ]ベム↦定スルコトヲ[ノ][ヲ]↥。即[チ]是世善上福凡夫人也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)機法

^にゃく善男ぜんなん」 よりしもぎょうにん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん受法じゅほうどうかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「若有善男子」↡下至[ル]↢「行世ニン[ニ]」↡已来タハ[シク][ス]↢第五・第六門[ノ][ノ]ケンジユ不同[ヲ]↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・簡機

^いちにはけんかす。

[ニハ][ス]↢簡機[ヲ]↡。

・孝養奉順

^には父母ぶもきょうようし、 *六親ろくしんじゅんすることをかす。 すなはちかみ初福しょふく (世福)第一だいいちだいがっす。

[ニハ][ス]↧孝↢養[シ]父母↡、ジユンスルコトヲシム↥。即[チ][ス]↢上[ノ]初福[ノ]第一・第二[ノ]↡。

・性調柔善

^さんにはこのひとしょう調ととのほりにゅうぜんにして自他じたえらばず、 *ものへるをきょうおこすことをかす。

[ニハ][ス]↧此[ノ]セイ調ホリ柔善ニシテ↠簡↢自他↡、見[テ]モノヘルヲ↟苦オコスコトヲ↦於キヤウ↥。

・不聞仏法

^にはまさしくこのほんひとかつて仏法ぶっぽう見聞けんもんせず、 また*することをさとらず、 ただみづからきょうようぎょうずることをかす、 るべし。

[ニハ][シク][ス]↧此[ノ]品之人カツ見↢聞仏法↡、亦不↠サト悕求ケグ[スルコト]ヲ↡、但自[ズル]コトヲ↦孝養↥也、応[シ]↠知

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)遇法

^さんにんみょうよくじゅう」 よりしもじゅうはちがん」 にいたるこのかたは、 まさしくだい八門はちもんのなかの、 りんじゅう仏法ぶっぽう遇逢せつ*分斉ぶんざいかす。

[ニ][リ]↢「此人命欲終時」↡下至↢「四十八願[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↧第八門[ノ][ノ]リム遇↢逢仏法分斉ブンザイ↥。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)得生

^もん此事しじ」 よりしも極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 とくしょうやく去時こじしつとをかす。

[ニ][ニ]↢「聞此事」↡下至[ル]↢「極楽世0783」↡已来[タハ][シク][ス]↢第九門[ノ][ノ]得生之益[ト]、去時[ノ]遅疾[ト]ヲ↡也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)開不

^生経しょうきょう七日しちにち」 よりは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなかいかいとをとなすことをかす。

[ニ]↢「生経七日[ト]」↡者、[シク][ス]↢第十門[ノ][リテ]↠彼[ニ][ノ]カイ不開[トヲ]スコトヲ

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅵ)得益

^ろくぐうかんおん」 よりしも0562じょうかん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくどうかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「観世音」↡下至[ル]↢「成羅漢[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ][ノ]華開已後[ノ]得益不同[ヲ]↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・逕時得遇

^いち0487にはとき以後いご観音かんのん大勢だいせいひたてまつることをることをかす。

[ニハ][ス]↠時後、得ルコトヲヒタテマツルコトヲ↢観音・大勢↡。

・逢聖聞法

^にはすでにしょう (観音・勢至)ひたてまつりて、 みょうほうくことをることをかす。

[ニハ][ス]↧既ヒ[タテマツリ]テ↢二聖↡、得[ルコト]ヲ↞聞[クコトヲ]↢妙法↡。

・逕時得成

^さんにはいちしょうこう以後いご、 はじめてかんさとることをかす。

[ニハ][ス]↢一小劫↡已後、ハジメサトルコトヲ↦羅漢↥也。

一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅶ)総結

^しちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下ジテ

一 Ⅱ ⅱ b ハ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろちゅうぼんしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リ]ト↢七句[ノ]不同↡、広[ク]↢中品下生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅱ 結讃【中輩総讃】

【22】^¬さん¼ にいはく (礼讃)

¬サム¼云[ク]

^ちゅうはい*中行ちゅうぎょうちゅうこんひとなり。 一日いちにち斎戒さいかいをもつて金蓮こんれんしょす。
父母ぶもきょうようせるをおしへてこうせしめ、 ために西方さいほうらくいんく。

「中輩[ハ]中行中根[ナリ]一日斎戒ヲモテシヨ↢金蓮
孝↢養セルヲ父母↡教ヘテ廻向セシ↢西方快楽[ノ]イン

^ぶつしょうもんしゅきたりて、 ただちに弥陀みだ華座けざほとりいたる。
ひゃっぽうはなこもりて七日しちにち三品さんぼんはちすひらけて*しょうしんしょうす」 と。

↢声聞衆↡来[リ][リ]テタヾチ↢弥陀[ノ]華座
百宝コモ[リ]テ↢七日三品蓮開[ケ]テス[ト]↢小真↡」

一 Ⅱ ⅱ 総結

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてちゅうはい一門いちもんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総[ジテ]↢中輩一門之義[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ 【下輩観】
      【文前料簡】

【23】^じゅうろくはいかん善悪ぜんあくぎょうもんぜんにつきて、 りょうけんしてすなはちじゅういちもんとなす。

十六[キ]テ↢下輩観善悪二行↡、料簡シテ[チ]↢十一門↡。

・告命

^いちにはそうじてごうみょうかす。

[ニ]者総ジテ[ス]↢告命↡。

・弁定其位

^にはそのくらいべんじょうす。

[ニ]者弁↢定[ノ][ヲ]↡。

・総挙有縁

^さんにはそうじてえんしょうるいぐ。

[ニ]者総[ジテ]↢有縁[ノ]生類↡。

・弁定三心

^には三心さんしんべんじょうしてもつてしょういんとなす。

[ニ]者弁↢定[シテ]三心[ヲ]↡以[ス]↢正因[ト]↡。

・簡機堪不

^にはかんかんとをえらぶ。

[ニ]者簡カン[ヲ]↢不堪↡。

・受法不同

^ろくにはらくほうくるどうかす。

[ニ]者明[ス]クル↢苦楽[ノ]二法↡不同↥。

・時節延促

^しちには修業しゅごうせつ延促えんそくこと0488ることあることをかす。

[ニ]者明[ス]↢修業[ノ]時節[ニ]延促エンソク[ル]コトヲナルコト

・廻行願生

^はちには所修しょしゅぎょうして、 しょところかふことをかす。

[ニ]者明[ス]シテ↢所修[ノ][ヲ]↡向フコトヲ↦所求[ノ]↥。

・迎接去時

^にはりんじゅうときしょうきたりてこうしょうしたまふどうと、 去時こじしつとをかす。

[ニ]者明[ス]リム時聖来[リテ]セフシタマフ不同0784[ト]、去時[ノ]遅疾[トヲ]↡。

・華開遅疾

^じゅうにはかしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

[ニ]者明[ス]↢到[リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。

・開後得益

^じゅういちにはかい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。

十一[ニ]者明[ス]↢華開已後[ノ]得益[ル]コトヲナルコト

^じょうらいじゅういちもんどうありといへども、 そうじてはいさんりょうけんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢十一門[ノ]不同↡、総[ジテ]レウ↢簡下輩[ノ]三位↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅲ 正釈
        下上品【下品上生釈】
          (一)総標

【24】^つぎ0563ぼん上生じょうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのあり。

[ニ][キテ]↢下品上生[ノ][ノ][ニ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ][ス]。即[チ][リ]↢其[ノ]九↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 まさしくごうみょうかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ][シク][ス]↢告命↡[ヲ]

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅱ)弁位

^ぼん上生じょうしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれじゅうあくつくきょうざいぼんにんなり。

[ニ]リハ↢「下品上生者」↡、[シク][ス]↣弁↢定[スルコトヲ][ノ][ヲ]↡。即[チ]ツク↢十悪キヤウ凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅲ)簡機

^さんわくしゅじょう」 よりしも無有むうざん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 けんに、 いっしょうらい造悪ぞうあく軽重きょうじゅうそうすいすることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「或有衆生」↡下至[ル]↢「無有慚愧[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↣第五門[ノ][ノ]簡機挙↢出スルコトヲ一生已来造悪[ノ]軽重之相↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・総挙悪機

^いちにはそうじて造悪ぞうあくぐることをかす。

[ニハ][ス]↣総[ジテ][グル]コトヲ↢造悪之機[ヲ]↡。

・造作衆悪

^には衆悪しゅあくぞうすることをかす。

[ニハ][ス]↣造↢スルコトヲ衆悪[ヲ]↡。

・不謗大乗

^さんには衆罪しゅざいつくるといへども、 だいじょうにおいてほうしょうぜざることをかす。

[ニハ][ス] ドツクルト↢衆罪[ヲ]↡、於[テ]↢諸[ノ]大乗[ニ]ルコトヲ↞生ハウ↡。

・重牒悪人

^にはかさねて造悪ぞうあくひと*でつして、 しゃたぐいにあらざることをかす。

[ニハ][ス]シテ↢造悪之人↡、アラザルコトヲ↦智者之タグヒ↥也。

・造悪無愧

^にはこれらのにん衆罪しゅざいつくるといへども、 そうじて*しんしょうぜざることをかす。

[ニハ][ス]↧此等[ノ]人雖[モ]ツクルト↢衆罪[ヲ]↡、総[ジテ]ルコトヲ↠生[ゼ]クヰ↥。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅳ)遇法

^みょう0489よくじゅう」 よりしもしょうざい」 にいたるこのかたは、 まさしく造悪ぞうあくにんとうりんじゅうぜんひてほうくことをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][リ]↢「命欲終時」↡下至↢「生死之罪[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢造悪等臨終ヒテ↠善[ク]コトヲ↟法[ヲ]。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・命延不久

^いちにはみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢命延ルコトヲ↟久シカラ

・忽遇知識

^にはたちまちに*おうじょうぜんしきふことをかす。

[ニハ][ス] マチフコトヲ↢往生善知識↡。

・為讃衆経

^さんには善人ぜんにん、 ために衆経しゅきょうさんずることをかす。

[ニハ][ス]↣善人、為[ズルコトヲ]↢衆経[ヲ]↡。

・聞経功力

^にはすでにきょうりきつみのぞくこと千劫せんごうなることをかす。

[ニハ][ス]↢已[ク]↠経[ヲ]、除[ク]コト↠罪千劫ナルコトヲ↡。

・教称名号

^にはしゃきょうてんじて、 弥陀みだみな称念しょうねんせしむることをかす。

[ニハ][ス]↣智者テンジテ↠教、称↢念セシムルコトヲ弥陀之ミナ↡。

・称名除罪

^ろくには弥陀みだみなしょうするをもつてのゆゑに、 つみのぞくことひゃく万劫まんごうなることをかす。

[ニハ][ス]↧以[テ]ノ↠称[スルヲ]↢弥陀[ノ][ヲ]↡故、除[ク]コト↠罪五百万劫ナルコトヲ↥。

・料簡

【25】^ひていはく、 なんがゆゑぞ、 きょうくこと*じゅうなるには、 ただつみのぞくこと千劫せんごこうぶつしょうすることいっしょうするには、 すなはちつみのぞくことひゃく万劫まんごうなるは、 なんのこころぞや。

[ヒテ][ク]、何[ガ][ゾ]、聞[ク]コト↠経[ヲ]十二ナルニハ、但除[クコト]↠罪[ヲ]千劫、称[スル]コト↠仏[ヲ]一声スルニハ、即[チ][クコト]↠罪[ヲ]五百万劫ナル者、ナニ[ノ]也。

^こたへていはく、 造罪ぞうざいひとさわりおもくして、 くわふるに死苦しくきたむるをもつてす。 善人ぜんにんきょうくといへども、 *餐受さんじゅしんさんす。 しんさんずるによるがゆゑに、 つみのぞくことややかろし。 またぶつみょうはこれいちなれば、 すなはちよくさんせっしてもつてしんとどむ。 またおしへてしょうねんしょうせしむ。 *しんおもきによるがゆゑに、 すなはちよくつみのぞくことこうなり。

[ヘテ][ク]、造罪サハリ[ク]シテクワフルニ[テス]死苦シクムルヲ↡。善人雖[モ]↠説[ク]ト多経↡、サンアヂハウ0785ジユサンルガ↢心散[ズ]ルニ↡故、除[クコト]↠罪[ヲ]ヤヤカロ。又仏名[ハ]是一ナレバ、即[チ][ク]セフシテ↠散↠心[ヲ]。復教ヘテ↢正念↟名。由[ル]ガ↢心重キニ↡故、即[チ][ク][クコト]↠罪[ヲ]多劫也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅴ)来迎

【26】^爾時にじぶつ」 よりしも0564しょうほうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもん0490のなかの、 じゅう*しゅ来迎らいこうと、 去時こじしつとをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ]↢「爾時彼仏」↡下至↢「生宝池中[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第九門[ノ][ノ]終時化衆[ノ]来迎、去時[ノ]遅疾[トヲ]↡。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・遣化来現

^いちにはぎょうじゃまさしくみなしょうするとき、 かの弥陀みだすなはちしゅつかはしてこえおうじて来現らいげんせしめたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧行者正[シク][スル]↠名[ヲ]時、彼弥陀即[チ]ツカハシテ↢化衆↡応[ジテ]↠声来現[セシメタマフコトヲ]↥。

・同讃行人

^にはしゅすでにげんじてすなはちおなじくぎょうにんさんじたまふことをかす。

[ニハ][ス]↣化衆既已 スデ 身現ジテ[チ][ジ]ク[ジタマフ]コトヲ↢行人[ヲ]↡。

・但述称功

^さんには所聞しょもん*さん、 ただしょうぶつこうべて、 「われきたりてなんぢをむかふ」 とのたまひて*もんきょうろんぜざることをかす。

[ニハ][ス]↧所聞[ノ]化讃但ベテ↢称仏之功↡、「我来[リテ]フトノタマヒテ↠汝[ヲ]ルコトヲ↞論[ゼ]↢聞経之事↡。

^しかるにぶつがんのぞむれば、 ただすすめてしょうねんみなしょうせしむ。 おうじょうきこと*雑散ぞうさんごうおなじからず。 この ¬きょう¼ (観経) および*しょのなかのごとき、 処々しょしょひろたんじて、 すすめてみなしょうせしむ。 まさに*要益ようやくとなすなり、 るべし。

ルニノゾムレバ↢仏願意↡者、タヾスヽメテ正念[ニ][セ]シム↠名。往生[ノ]キコト不↠ジカラザフ↡。如↢此¬経¼及[ビ]↡、処処[ク]タンジテスヽメテ↠称[セ]↠名[ヲ]。将エウ↡也、応[シ]↠知[ル]

・光明遍室

^にはすでにしゅげをこうむり、 およびすなはちこうみょうしつへんするをることをかす。

[ニハ][ス]↧既カウム↢化衆ツゲ↡、及[ビ][チ][ル]コトヲ↦光明[ノ]スルヲシチ

・報命尋終

^にはすでにこうしょうこうむりて、 *ほうみょうすなはちおわることをかす。

[ニハ][ス]↧既[リ]テ↢光照↡、報命スナハオハルコトヲ↥。

・乗華生池

^ろくにははなじょうじ、 ぶつしたがひてほうのなかにしょうずることをかす。

[ニハ][ス]↣乗↠華シタガ[ヒ]テ↠仏[ズル]コトヲ↢宝池[ノ][ニ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅵ)華開

^ろくきょう七日しちにち」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるしつどうかす。

[ニ][リ]↢「経七日」↡已下[ハ][シク][ス]↢第十門[ノ][リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅶ)得益

^しちとう敷時ふじ」 よりしもとくにゅうしょ」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「当華時」↡下至[ル]↢「得入初地」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ][ノ]華開已後[ノ]得益[ニ][ルコトヲ]ナルコト。即[チ]↢其[ノ]五↡。

・二尊放光

^いちには観音かんのんとう*神光じんこうはなつことをかす。

[ニハ][ス]↣観音等先ハナツコトヲ↢神光[ヲ]↡。

・聖赴華側

^には ˆ観音かんのんとうのˇ ぎょうじゃ0491ほうほとりおもむくことをかす。

[ニハ][ス]↣身オモムクコトヲ↢行者[ノ]宝華之ホトリ↡。

・為説宿教

^さんにはためにぜんしょう所聞しょもんきょうくことをかす。

[ニハ][ス]↣為[ク]コトヲ↢前生所聞之教↡。

・領解発心

^にはぎょうじゃきをはりてりょう発心ほっしんすることをかす。

[ニハ][ス]↢行者[リ]テリヤウ発心スルコトヲ↡。

・逕時得証

^にはとおこうて、 *ひゃっぽうくらいしょうりんすることをかす。

[ニハ][ス]トオ↢多劫↡、証↦リムスルコトヲ百法之位↥也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅷ)総結

^はちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下[ハ][ジテ]

一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅸ)挙益

^得聞とくもんぶつみょう」 より以下いげは、 かさねてぎょうじゃやくぐ。 ただ念仏ねんぶつのみひとおうじょうるにあらず。 ほうそう通念つうねんするもまたくことを

[ニ][リ]↢「得聞仏名」↡已下[ハ]↢行者0786之益[ヲ]↡。非↣但念仏ノミルニ↢往生↡。法・僧通念スルモ亦得↠クコトヲ也。

一 Ⅱ ⅲ b イ (三)結示

^じょうらい九句くくどうありといへども、 ひろぼん上生じょうしょうしをはりぬ。

上来↠有[リ]ト↢九句[ノ]不同↡、広[ク][シ]↢下品上生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅲ b 下中品【下品中生釈】
          (一)総標

【27】^つぎ0565ぼん中生ちゅうしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][キテ]↢下品中生[ノ][ノ][ニ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ][ジ]、後[ニ][ス]。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)総明告命

^いち仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

[ニ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ][ジテ][ス]↢告命[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)弁定其位

^ぼん中生ちゅうしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれかいざいぼんにんなり。

[ニ]リ[ハ]↢「下品中生シヤ」↡、[シク][ス]↣弁↢定スルコトヲ[ノ][ヲ]↡。即[チ]ザイ凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅲ)簡機

^さんわくしゅじょう」 よりしもおうごく」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん造業ぞうごうとをかす。 すなはちそのしちあり。

[ニ]↢「或有衆生」↡下至↢「応堕地獄」↡已来[タハ][シク][ス]↢第五・第六門[ノ][ノ]ケン[ト]ザウ[ト]ヲ↡。即[チ]↢其[ノ]七↡。

・総挙悪機

^いちにはそうじて造悪ぞうあくぐることをかす。

[ニハ][ス]↣総ジテ[グルコトヲ]↢造悪之機↡。

・多犯諸戒

^にはおお諸戒しょかいおかすことをかす。

[ニハ][ス]↣多オカスコトヲ↢諸戒↡。

・偸盗僧物

^さんには*僧物そうもつ*ちゅうとうすることをかす。

[ニハ][ス]チウタウスルコトヲ僧物↡。

・邪命説法

^には*じゃみょう説法せっぽうかす。

[ニハ][ス]ジヤミヤウ説法[ヲ]↡。

・総無愧心

^にはそうじてしんなきことをかす。

[ニハ][ス]↣総[ジテ][キ]コトヲ↢愧心↡。

・兼造衆罪

^ろくには衆罪しゅざいつくり、 うちにはしんあくおこし、 ほかにはすなはちしんあくをなすことをかす。 すでにしんぜん0492れば、 またるものみなにくむ。 ゆゑに 「もろもろの悪心あくしんをもつてみづからしょうごんす」 といふ。

[ニハ][ス]↢造衆罪↡、内[ニ]ハ↠悪、外[ニ]ハ[チ]身口[ニ]スコトヲ↞悪[ヲ]。既[ニ]身不善ナレバ、又見[ル]者皆ニク。故悪心ヲモテ荘厳スト↡也。

・定入地獄

^しちにはこのざいじょうあきらむるに、 さだめてごくるべきことをかす。

[ニハ][ス]アキラムルニザイジヤウ↡、定メテルベキコトヲ↦地獄↥。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅳ)善悪来迎

^みょうよくじゅう」 よりしも即得そくとくおうじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいもんのなかの、 じゅう*善悪ぜんあく来迎らいこうすることをかす。 すなはちその九あり。

[ニ][リ]↢「命欲終時」↡下至↢「即得往生[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第九門[ノ][ノ]終時善悪来迎スルコトヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]九↡。

・命延不久

^いちには罪人ざいにんみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢罪人エンルコトヲ↟久シカラ

・獄火来現

^にはごく来現らいげんすることをかす。

[ニハ][ス]ゴク来現[スルコト]ヲ↡。

・遇善知識

^さんにはまさしくげんずるときぜんしきふことをかす。

[ニハ][ス]↣正[シク]火現[ズ]ル時、フコトヲ↢善知識↡。

・為説弥陀

^には善人ぜんにん、 ために弥陀みだどくくことをかす。

[ニハ][ス]↣善人為[ニ][ク]コトヲ↢弥陀[ノ]功徳↡。

・除罪多劫

^には罪人ざいにんすでに弥陀みだみょうごうきて、 すなはちつみのぞくことこうなることをかす。

[ニハ][ス]↧罪人既[ニ][キ]テ↢弥陀[ノ]名号[ヲ]↡、即[チ][ク]コトツミ[ヲ]多劫[ナル]コトヲ↥。

・火変為風

^ろくにはすでに罪滅ざいめつこうむりて、 へんじてかぜとなることをかす。

[ニハ][ス]↧既[ニ][リテ]↢罪滅↡、火ヘンジテルコトヲ↞風

・天華来応

^しちにはてんかぜしたがひて来応らいおうして、 まえれつすることをかす。

[ニハ][ス]↣天華随[ヒテ]↠風[ニ]来応シテレツスルコトヲ↡。

・化衆来迎

^はちにはしゅ来迎らいこうすることをかす。

[ニハ][ス]↢化衆来迎スルコトヲ↡。

・去時遅疾

^には去時こじしつかす。

[ニハ][ス]↢去時[ノ]遅疾トシ[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅴ)華開不同

^七宝しっぽうちゅう」 よりしも六劫ろっこう」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるせつどうかす。

[ニ][リ]↢「七宝池中」↡下至↢「六劫」↡已来[タハ]0787[シク][ス]↢第十門[ノ][ノ][リテ]↠彼[ニ]華開[クル]時節[ノ]不同[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅵ)開後得益

^ろくれんない」 よりしもほつじょう道心どうしん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「蓮華ナイ」↡下至[ル]↢「ホチ無上道心[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ][ノ]華開已後[ノ]得益[ニ][ル]コトヲナルコト。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・華開安慰

^いちにははなすでに0566ひらけをはりて、 観音かんのんとう*ぼんしょうをもつてあんすることをかす。

[ニハ][ス]↢華既[ニ][ケ][リテ]、観音等ボンヲモテスルコトヲ↡。

・為説妙典

^にはために甚深じんじんみょうでん0493くことをかす。

[ニハ][ス]↣為[ニ][クコトヲ]甚深ジンジムデン↡。

・領解発心

^さんにはぎょうじゃりょうし、 発心ほっしんすることをかす。

[ニハ][ス]↢行者リヤウ発心スルコトヲ↡。

一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅶ)総結

^しちみょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下[ハ]ジテ

一 Ⅱ ⅲ b ロ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろぼん中生ちゅうしょうしをはりぬ。

上来↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]↢下品中生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅲ b 下下品【下品下生釈】
          (一)総標

【28】^つぎぼんしょうくらいのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][キテ]↢下品下生[ノ][ノ][ニ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ジ]、後[ニ]。即[チ]↢其七↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)別釈
            (Ⅰ)告命

^いち仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 そうじてごうみょうかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ][ジテ][ス]↢告命[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)弁位

^ぼんしょうしゃ」 よりは、 まさしくそのくらいべんじょうすることをかす。 すなはちこれつぶさにぎゃくとうつくれる重罪じゅうざいぼんにんなり。

[ニ]リハ↢「下品下生者」↡、[シク][ス]↣弁↢定[スルコトヲ][ノ]↡。即[チ]ツブサツクレル↢五逆等↡重罪凡夫人也。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅲ)簡機造悪

^さんわくしゅじょう」 よりしもじゅぐう」 にいたるこのかたは、 まさしくだい第六だいろくもんのなかの、 けん造悪ぞうあく軽重きょうじゅうそうとをかす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][リ]↢「或有衆生」↡下至↢「受苦無グウ」↡已来[タハ][シク][ス]↢第五・第六門[ノ][ノ]ケン造悪[ノ]軽重[ト]ヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

・明造悪機

^いちには造悪ぞうあくかす。

[ニハ][ス]↢造悪之機[ヲ]↡。

・挙不善名

^にはそうじてぜんぐることをかす。

[ニハ][ス]↣総[ジテ]グルコトヲ↢不善之名↡。

・簡罪軽重

^さんにはつみ軽重きょうじゅうえらぶことをかす。

[ニハ][ス]エラブコトヲ↢罪キヤウ↡。

・総結衆悪

^にはそうじて衆悪しゅあくけっして、 にんごうにあらずといふことをかす。

[ニハ][ス]ジテシテ↢衆悪↡、アラズトイフコトヲ↦智人之業↥。

・造悪既多

^にはあくつくることすでにおおければ、 つみまたかろきにあらざることをかす。

[ニハ][ス]↢造ルコト↠悪[ヲ][ニ]ケレバ、罪亦非ザルコトヲカロキニ

・果報必苦

^ろくにはごうとしてそのほうけざるはあらず、 いんとしてそのけざるはあらず。 因業いんごうすでにこれらくにあらず、 ほういづくんぞよくならざらんといふことをかす。

[ニハ][ス]↧非↢業トシテ↢其[ノ]↡、↢因トシテルハ↟受↢其因業既↡、果報イヅクンゾ[ク]ラムトイフコトヲ↞苦ナラ也。

・酬報未窮

^しちには造悪ぞうあくいんすでにして、 *しゅうほうこういまだきわまらざることをかす。

[ニハ][ス]↢造悪之イン[ニ]シテ酬報之劫未ルコトヲキハマ

料簡

049429】^ひていはく、 じゅうはちがんのなかの ˆだいじゅうはちがんのˇ ごときは、 ただぎゃくほうしょうぼうとをのぞきて、 おうじょうしめず。 いまこの ¬かんぎょう¼ のぼんしょうのなかには、 謗法ほうぼうえらびてぎゃくせっせるは、 なんのこころかあるや。

[ヒテ][ク]、如キハ↢四十八願[ノ]↡、唯除キテ↢五逆[ト]ソシリハウソシル正法トヲ↡、不↠得シメ↢往生[ヲ]↡。今此[ノ]¬観経[ノ]¼下品下生[ノ][ニハ]エラビテ↢謗法[ヲ]↡摂セル↢五逆[ヲ]↡者、有[ル]ナニ[ノ]

【抑止門釈】

^こたへていはく、 このあおぎて*おくもんのなかにつきてせん。

[ヘテ][ク]、此0788[ノ]義仰[ギ]テ[キ]テオクセム

・抑止門釈 ・本願

^じゅうはちがんのなかの ˆだいじゅうはちがんのˇ ごとき、 謗法ほうぼうぎゃくとをのぞくことは、 しかるにこのごうそのさわりごくじゅうなり。 しゅじょうもしつくればただちに*阿鼻あびり、 *りゃくこう周慞しゅうしょうしてづべきによしなし。 ただ如来にょらいそれ0567このとがつくることをおそれて、 方便ほうべんしてとどめて 「おうじょうず」 とのたまへり。 またこれせっせざるにはあらず。

[キ]↢四十八願[ノ]↡、除クコト↢謗法五逆トヲ、然ルニ之二業其[ノ]サハリ極重ナリ。衆生若[シ]ツクレバタヾチ[リ]↢阿↡、歴劫シユシヤウ アハツ シテヨシキニ↠出[ヅ]。但如来オソレテ↣其ルコトヲ[ノ]トガ↡、方便シテメテヘリ↠不↠得↢往生↡。亦アラルニハ↟摂也。

・抑止門釈 ・今経

^またぼんしょうのなかに、 ぎゃくりて謗法ほうぼうのぞくは、 それぎゃくはすでにつくれり、 てててんせしむべからず。 かえりてだいおこして摂取せっしゅしておうじょうせしむ。 しかるに謗法ほうぼうつみはいまだつくらず。 またとどめて 「もし謗法ほうぼうおこさば、 すなはちしょうずることをず」 とのたまふ。 これは造業ぞうごうにつきてす。 もしつくらば、 かえりてせっしてしょうずることをしめん。

又下品下生[ノ][リ]テ↢五逆[ヲ]↡除↢謗法、其五逆ツクレリカラテテテン↡。カヘ[リ]テシテ↢大摂取セフシユシテ往生セシム。然ルニ謗法之罪ツク。又メテ↧若[シ]サバハウ↡、即[チ]↠生[ズル]コトヲ[キ]テザウゴフ↡而也。若[シ]ツクラバカヘリテセフシテシメム↠生[ズル]コトヲ

^かしこにしょうずることをといへども、 はながっしてこう。 これらの罪人ざいにんはなのうちにあるとき三種さんしゅさわりあり。 いちにはぶつおよびもろもろのしょうじゅることをず。 にはしょうぼうちょうもんすることをず。 さんには*りゃくようすることをず。

↠生[ズル]コトヲ↠彼、華合[シテ]↢於多劫↡。罪人↢華[ノ][ニ]トキ、有↢三種[ノ]サハリ↡。一[ニ]↠得↠見[ル]コトヲ↢仏及[ビ][ノ]聖衆[ヲ]↡。二[ニ]↠得↣チヤウモンスルコトヲ正法↡。三[ニ]↠得↢リヤクスルコトヲ↡。

^これをのぞきて以外いげはさらにもろ0495もろのなし。 *きょうにのたまはく、 「なほ比丘びく*三禅さんぜんれるらくのごとし」 と、 るべし。 はなのなかにありてこうひらけずといへども、 阿鼻あびごくのなかにして、 長時じょうじ永劫ようごうにもろもろのつうくるにすぐれざるべけんや。 このおくもんにつきてしをはりぬ。

[キ]テ↠此[ヲ][ハ]↢諸苦↡。¬経[ニ]¼云、「ナホシ[ト]↧比丘レル↢三ゼン↡之楽↥也、」応[シ]↠知[ル]。雖[リ]テ↢華[ノ][ニ]↡多劫不↞開ケム↠勝↣阿地獄之中ニシテ、長時ヰヤウクルニ↢諸ツウ。此[ノ]義就キテオク↡解[リ]ヌ

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅳ)念仏利益

【30】^にょにん」 よりしも*しょうざい」 にいたるこのかたは、 まさしくほうぶつねんじて、 *現益げんやくこうむることをることをかす。 すなはちそのじゅうあり。

[ニ]↢「如此愚シグ人」↡下至↢「生死之罪[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢聞[キ]↠法[ヲ][ジテ]↠仏[ヲ][ル]コトヲカウムルコトヲ↢現益↡。即[チ]↢其[ノ]十↡。

・重牒悪人

^いちにはかさねて造悪ぞうあくひとでつすることをかす。

[ニハ][ス]↣重[テ]デツスルコトヲザウ悪之人[ヲ]↡。

・命延不久

^にはみょうえんひさしからざることをかす。

[ニハ][ス]↢命延ルコトヲ↟久シカラ

・遇善知識

^さんにはりんじゅうぜんしきふことをかす。

[ニハ][ス]リムフコトヲ↢善知識↡。

・教令念仏

^には善人ぜんにんあんしておしへてぶつねんぜしむることをかす。

[ニハ][ス]↢善人安コシラフシテヘテムルコトヲ↟念↠仏[ヲ]

・死苦来逼

^には罪人ざいにん死苦しくきためて、 ぶつみょうねんずることをるによしなきことをかす。

[ニハ][ス]↢罪人苦来メテ、無[キ]コトヲヨシ↠得ルニ↠念[ズル]コト[ヲ]↢仏名↡。

【転教口称】

^ろくにはぜんくるしみて*失念しつねんすとりて、 きょうてんじてくち弥陀みだみょうごうしょうせしむることをかす。

[ニハ][ス]↧善[リ]テ↢苦[シミテ]失念スト↡、ジテ↠教[セシムル]コトヲ↦弥陀[ノ]名号[ヲ]↥。

・称名無間

^しちには念数ねんじゅしょう声々しょうしょうひまなきことをかす。

[ニハ][ス]↢念ジユオホクモ 少、スクナクモ声声無[キコトヲ]ヒマ

・除罪多劫

^はちにはつみのぞくことこうなることをかす。

[ニハ][ス]↢除[ク]コト↠罪[ヲ]0789ナルコトヲ↡。

・臨終正念

^にはりんじゅうしょうねんにしてすなはちこん来応らいおうすることあることをかす。

[ニハ][ス]↣臨終正念[ニ]シテ[チ][ル]コトヲ↢金華来応スルコト↡。

・直到極楽

^じゅうには去時こじしつ、 ただちにしょくにいたることをかす。

[ニハ][ス]↣去時遅疾、直ルコトヲ↢所クヰ之国↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅴ)華開不同

^れんちゅうまんじゅうこう」 より以下いげは、 まさしくだいじゅうもんのなかの、 かしこにいたりてはなひらくるしつ0568どうかす。

[ニ]↢「於蓮華中満十二劫」↡已下[ハ][シク][ス]↢第十門[ノ][リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅵ)開後得益

^ろく0496観音かんのん大勢だいせい」 よりしもほつだいしん」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじゅういちもんのなかの、 かい以後いご得益とくやくことなることあることをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「観音大勢」↡下至↢「発菩提心[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢第十一門[ノ][ノ]華開已後[ノ]得益[ニ][ル]コトヲナルコト。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・為宣妙法

^いちにはしょう (観音・勢至)、 ために甚深じんじんみょうほうべたまふことをかす。

[ニハ][ス]↣二聖、為ベタマフコトヲ↢甚深[ノ]妙法[ヲ]↡。

・除罪歓喜

^にはつみのぞきてかんすることをかす。

[ニハ][ス]↢除キ[テ]↠罪[ヲ]歓喜スルコトヲ↡。

・後発勝心

^さんにはのち*しょうしんおこすことをかす。

[ニハ][ス]オコスコトヲ↢勝心[ヲ]↡。

一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅶ)総結

^しちに 「みょう」 より以下いげは、 そうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是名」↡已下[ハ][ジテ][ス]

一 Ⅱ ⅲ b ハ (三)結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろぼんしょうしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]↢下品下生[ヲ]↡竟[リヌ]

一 Ⅱ ⅲ 結讃【下輩総讃】

【31】^¬さん¼ にいはく (礼讃)

¬サン¼云

^はい*ぎょうこんひとなり。 じゅうあくぎゃくとう貪瞋とんじんと、
じゅう*ちゅうそう*ほうしょうぼうと、 いまだかつてざんしてさきとがいず。

「下輩[ハ]下行下根[ノ]ヒト[ナリ]十悪・五逆等貪瞋トムジム[ト]
四重チウ謗正法カツ慚愧ザングヰシテサキトガツミ

^じゅうそうくものごとくにあつまり、 ごくみょう罪人ざいにんまえにあり。
たちまちにおうじょうぜんしきの、 きゅうすすめてもつぱらかのぶつみなしょうせしむるにふ。

終時相如クニクモアツマ地獄ミヤウ火罪人マヘニアリ
タチマチ↣往生善知識キフスヽメテモハセシムルニ↢彼[ノ]

^ぶつさつこえたずねていたりたまふ。 一念いちねんしんかたむくれば宝蓮ほうれんる。
*さんさわりおもくしてこうひらく。 ときにはじめてだいいんおこす」 と。

化仏・菩薩タヅネテリタマフ一念カタブクレバ↠心[ヲ]↢宝蓮[ニ]
三華サハリ[ク]シテ↢多劫↠時ハジメオコス[ト]↢菩提[ノ]↡」

一 Ⅱ ⅲ 総結

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてはい一門いちもんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総ジテ↢下輩一門之義[ヲ]↡竟[リヌ]

並結二善

049732】^さきにはじゅうさんがんかしてもつて 「じょうぜん」 となす。 すなはちこれ*だいしょうにして、 如来にょらい (釈尊) すでにこたへたまふ。 のちには三福さんぷくぼんかして、 づけて 「散善さんぜん」 となす。 これぶつ (釈尊)せつなり。 じょうさんりょうもんありてことなることありといへども、 そうじて正宗しょうしゅうぶんしをはりぬ。

ニハシテ↢十三観↡以[テ][ス]↢定善[ト]↡。即[チ]是韋提[ノ]致請ニシテ、如来已ヘタマフ。後ニハシテ↢三福・九品[ヲ]↡、名[ケ]テ[ス]↢散善[ト]↡。是仏ナリ↧有リテ↢定散両門↡有リト↞異ナルコト、総ジテ↢正宗分[ヲ]↡竟[リヌ]

【得益分】
  総標
  別釈
    標数

【33】^さん得益とくやくぶんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんず。 すなはちそのしちあり。

[ニ][キ]テ↢得益分[ノ]↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ニ]。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

二 Ⅱ 随釈
      牒前文

^はじめに 「せつ是語ぜご」 といふは、 まさしくそうじてさきもんでつしてのち得益とくやくそうしょうずることをかす。

↢「説是語」↡者、[シク][ス]↧総0790ジテデツタヽムシテ↡生[ズル]コトヲ↦後得益之相↥。

二 Ⅱ ⅱ 明能聞人

^だい」 より以下いげは、 まさしくよくほうひとかす。

[ニ][リ]↢「韋提」↡已下[ハ][シク][ス]↢能[ク]↠法[ヲ]↡。

二 Ⅱ ⅱ 光台見土

^さんおう即見そくけん極楽ごくらく」 より以下いげは、 まさしくにんとうかみ光台こうだいのなかにおいて極楽ごくらくそうることをかす。

[ニ][リ]↢「応時即見極楽」↡已下[ハ][シク][ス]↧夫人等↢上光台[ノ]↡見[ル]コトヲ↦極楽↥。

二 Ⅱ ⅱ 七観得益

^0569得見とくけん仏身ぶっしんぎゅうさつ」 より以下いげは、 まさしくにん第七だいしちかん (華座観)はじめにおいてりょう寿じゅぶつたてまつりしとき、 すなはち*しょうやくることをかす。

[ニ][リ]↢「得見仏身及二菩薩」↡已下[ハ][シク][ス]↧夫人於↢第七観↡見タテマツリシ↢無量寿仏、即[チ]ルコトヲ↦無生之益↥。

二 Ⅱ ⅱ 侍女発心

^にょ」 より以下いげは、 まさしくこのしょうそうて、 おのおの*じょうしんおこしてじょうしょうぜんともとむることをかす。

[ニ][リ]↢「女」↡已下[ハ][シク][ス]勝相↡、各シテ↢無上之心↡求ムルコトヲゼムト↢浄土↡。

二 Ⅱ ⅱ 蒙記獲定

^ろくそんしっ」 より以下いげは、 まさしくにょ*そんこうむることをて、 みなかのくにしょうじてすなはち現前げんぜん三昧ざんまいることをかす。

[ニ][リ]↢「世尊シチ」↡已下[ハ][シク][ス]↧侍女得↠蒙[ル]コトヲソン↡、皆ジテ↢彼[ノ]↡即[チ]ルコトヲ↦現ゼン三昧↥。

二 Ⅱ ⅱ 諸天発心
        総標

^しちりょう諸天しょてん」 より以下いげは、 まさしくさき*えんえんのなかに、 *しゃくぼん*護世ごせ諸天しょてんとうぶつ (釈尊)したが0498おうにしてくうのぞみてほうくことをかす。

[ニ][リ]↢「無量諸天」↡已下[ハ][シク][ス]エン、釈・梵・諸天等シタガ[ヒ]テ↠仏[ニ]王宮ニシテノゾミテクコトヲ↟法

二 Ⅱ ⅱ g 別釈
          (一)挙例見聞

^あるいはしゃ*毫光ごうこう転変てんぺん、 あるいは弥陀みだ金色こんじきりょう、 あるいはぼんおうじょうしゅき、 あるいは*じょうさんりょうもんともにせっすることをき、 あるいは善悪ぜんあくぎょうひとしくすることをき、 あるいは西方さいほうじょうたいしてとおきにあらざることをき、 あるいはいっしょうせんしょうこころざしけっすればながしょうながれわかつことをく。

[イ]ハ↢釈迦ガウ転変テンペン↡、或[イ]ハ↢弥陀金色レイ↡、或[イハ]↢九品往生シユ↡、或[イハ]↢定散両門トモセウスルコトヲ↡、或[イハ]↢善悪之行ヒトシククヰスルコトヲ↡、或[イハ]↢西方浄土タイシテアラザルコトヲトオキニ、或[イハ]↧一生センシヤウスレバ↠志ナガ↢生死↡ワカツコトヲナガレ

二 Ⅱ ⅱ g ロ (二)結示得益

^これらの諸天しょてんすでに如来にょらい (釈尊)ひろ*希奇けきやくきたまふきて、 おのおのじょうしんおこす。 これすなはちぶつはこれ聖中しょうちゅうごくなり。 ことばおこしたまへばきょうとなり、 *凡惑ぼんわくたぐい*さんこうむる。 よくこれをくものをしてやくしむ。

此等諸天既[ニ]キ[テ]↣如来[キ]タマフヲ希奇ケキ之益↡、各[ノ]↢無上之心↡。コレ[チ]是聖中之ゴクナリ。発シタマヘバコトバ↠経、凡ワクタグヒサン。能[ク]使↢聞クモノヲシテ↠之↟益

結示

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろ得益とくやくぶんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広↢得益分[ヲ]↡竟[リヌ]

【流通分】
  弁二分開合

【34】^つぎ通分ずうぶんかす。 なかにあり。 いちには*おうずうかす。 には*しゃずうかす。

[ニ][ニ]↢流通分[ヲ]↡。於[ニ][リ]↠二。一[ニハ]↢王宮[ノ]流通↡。二[ニハ]↢耆闍[ノ]流通↡。

約開釈文

^いまおう通分ずうぶんのなかにつきてすなはちそのしちあり。

今先キテ↢王宮[ノ]流通分↡、即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

三 Ⅱ 請発由

^いち爾時にじなん」 より以下いげは、 まさしくしょうほつよしかす。

[ニ][リ]↢「爾時阿難」↡已下[ハ]、正[シク][ス]シヤウ発之0791↡。

三 Ⅱ 経名得益

^仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 まさしく如来にょらい*しょうならひょうし、 もつてきょうて、 またよくきょうによりてぎょうおこせば、 さんしょうくもおのづからくことをかして、 さきはじめのといの 「うんみょうきょう」 のいっこたふ。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、正[シク][シテ]↧如来[ノ]↢標依正[ヲ]↡、以↢経↡、又能[ク][リ]テ↠経[ニ]セバ↠行、三シヤウクモオノヅカクコトヲ↥、答[フ]↢前ウン名此経」一句↡。

三 Ⅱ 答前後問

^さんにょ0570とうじゅ」 より以下いげは、 さき0499のちといの 「うんじゅ」 のいっこたふ。

[ニ][リ]↢「汝当受持」↡已下[ハ]、答[フ]↢前「云何受持[ノ]」一句↡。

三 Ⅱ 比挍顕勝

^ぎょう三昧さんまいしゃ」 よりしもきょう憶念おくねん」 にいたるこのかたは、 まさしく*きょう*けんしょうして、 ひとすすめてぎょうせしむることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「行此三昧シヤ」↡下至[ル]↢「キヤウオク」↡已来[タハ]、正[シク][ス]キヤウ顕勝シテスヽメテ↠人奉行セシムルコトヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・標定善

^いちにはそうじてじょうぜんひょうしてもつて三昧さんまいつることをかす。

[ニハ][ス]↧総[ジテ]ヘウシテ↢定善[ヲ]↡以ツルコトヲ↦三昧↥。

・見三身

^にはかんによりてしゅぎょうして、 すなはち三身さんしんやくかす。

[ニハ][ス][リ]テ↠観[ニ]修行シテ、即[チ]↢三身↡之益↥。

・能行機

^さんにはかさねてよくきょうぎょうずるぐることをかす。

[ニハ][ス]↣重グルコトヲ↢能[ク]ズル↠教之機↡。

・勧帰依

^にはまさしくきょうけんしょうして、 ただ三身さんしんみなくすらなほこう*罪ざいけんめっす、 いかにいはんやしょうねん帰依きえしてしょうざらんやといふことをかす。

[ニハ][シク]↧比校顕勝シテ、但聞クスラ↢三身之号ナヲメ[チ]↢多劫[ノ]ケントガ↡、何正念[ニ]シテ而不ラムヤトイフコトヲ↞獲↠証也。

三 Ⅱ 念仏超絶

^にゃく念仏ねんぶつしゃ」 よりしもしょう諸仏しょぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしく念仏ねんぶつ三昧ざんまい*のうちょうぜつして、 じつ*雑善ぞうぜんをもつてるいとなすことをるにあらざることをあらわす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「若念仏シヤ」↡下至[ル]↢「生諸仏」↡已来[タハ][シク]↣念仏三昧功能超絶テウゼツシテジチアラザルコトヲザフヲ[モテ]ルニスコトヲルイ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・専念弥陀

^いちにはもつぱら弥陀みだぶつみなねんずることをかす。

[ニハ][ス]↣専[ラ][ズルコトヲ]↢弥陀仏[ノ][ヲ]↡。

・讃能念人

^には能念のうねんひとさんすることをかす。

[ニハ][ス]指↢讃スルコトヲノウ念之人↡。

・喩分陀利

^さんにはもしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつするものは、 このひとはなはだ*希有けうなりとなす、 さらにものとしてもつてこれにならぶべきなし。 ゆゑに*ふん陀利だりきてたとへとなすことをかす。

[ニハ][ス]↧若[シ][ク]相続シテ念仏スル、此[ノ]ハナハナリト↡、更[ニ]モノトシテ↢以ナラコレキテ↢分陀スコトヲタトヒ

・喩分陀利 【五種嘉誉】

^ふん陀利だり」 といふは、 にんちゅうこうづけ、 また希有けうづけ、 またにんちゅう上上じょうじょうづけ、 またにんちゅうみょうこうづく。 このはな相伝そうでんして*さいづくるこれなり。 もし念仏ねんぶつするものは、 すなは0500ちこれにんちゅう好人こうにんなり、 にんちゅうみょう好人こうにんなり、 にんちゅう上上じょうじょうにんなり、 にんちゅう希有けうにんなり、 にんちゅうさいしょうにんなり。

[フ]↢「分陀利[ト]」↡者、名↢人中[ノ]好華↡、亦有華↡、亦名[ケ]↢人中[ノ]上上華↡、亦名[ク]↢人中[ノ]妙好華[ト]↡。此華相デンシテ[クル]サイアラヒシキミ↡是[ナリ]。若[シ]念仏スル、即[チ]是人中[ノ]好人ナリ、人中[ノ]妙好人ナリ、人中[ノ]上上人ナリ、人中[ノ]希有人ナリ、人中[ノ]サイ勝人也。

・二尊常随

^にはもつぱら弥陀みだみなねんずるものは、 すなはち観音かんのんせいつねにしたがひて*ようしたまふこと、 またしん*しきのごとくなることをかす。

[ニハ][ス]↧専[ズ]ル↢弥陀[ノ]↡者、即[チ]観音・勢至常ヒ[テ]ヤウシタマフコト、亦如クナルコトヲシム知識↥也。

・当益

^にはこんじょうにすでにこのやくこうむりて、 しゃみょうしてすなはち*諸仏しょぶついえることをかす。 すなはちじょうこれなり。 かしこにいたりて、 じょうほうき、 りゃくようして、 *いんまどかにまんず。 どうじょう、 あにはるかならんや。

[ニハ][ス]↧今生リテ↢此↡、捨命シテ0792[チ][ル]コトヲ↦諸仏之イヘ↥。即[チ]浄土也。到[リ]テ↠彼[ニ]、長時↠法[ヲ]リヤク供養シテイン[カ]ニマン。道場座、ハルカナラムヤ

三 Ⅱ 付属流通【付属釈】

^ろく仏告ぶつごうなん汝好にょこう是語ぜご」 より以下いげは、 まさしく弥陀みだ0571みょうごうぞくして、 *だいずうせしめたまふことをかす。 じょうらいじょうさんりょうもんやくくといへども、 *ぶつ本願ほんがんのぞむるに、 こころしゅじょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり。

[ニ][リ]↢「仏告阿難汝好持是語」↡已下[ハ][シク][ス]↢属シテ弥陀[ノ]名号[ヲ]↡、流↦通セシメタマフコトヲダイ[ニ]↥。上来雖[モ]↠説[ク]ト↢定散両門之益[ヲ]↡、ノゾムルニ↢仏[ノ]本願↡、意↣衆生ヲシテ一向[ラ]セシムルニ↢弥陀仏[ノ][ヲ]↡。

三 Ⅱ 遇餐意躍

^しち仏説ぶっせつ此語しご」 より以下いげは、 まさしく*のうしょう能伝のうでんとうの、 いまだかざるところをき、 いまだざるところを、 たまたまかんさんして、 *やくしてもつてみづからふることなきことをかす。

[ニ][リ]↢「仏説此語シゴ時」↡已下[ハ][シク][ス]↧能請能デン[ノ]↠所↠未↠聞、見↠所↠未シテ↢甘露↡、オドロキヤクオドルシテ[キ]コトヲ↦以フルコト↥也。

結王宮流通分

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろおう通分ずうぶんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク][シ]↢王宮[ノ]流通分[ヲ]↡竟[リヌ]

耆闍分【耆闍会】

【35】^*しゃのなかにつきて、 またそのさんあり。

[ニ][キテ]↢耆闍↡、亦有[リ]↢其[ノ]三↡。

序分

^いち爾時にじそん」 より以下いげは、 しゃ序分じょぶんかす。

[ニ][リ]↢「爾時世尊」↡已下[ハ][ス]↢耆闍[ノ]ジヨ[ヲ]↡。

正宗分

^爾時にじなん」 より以下いげは、 しゃ正宗しょうしゅうぶん0501かす。

[ニ][リ]↢「爾時阿難」↡已下[ハ][ス]↢耆闍[ノ]正宗分[ヲ]↡。

流通分

^さんりょう諸天しょてん」 より以下いげは、 しゃ通分ずうぶんかす。

[ニ][リ]↢「無量諸天」↡已下[ハ][ス]↢耆闍[ノ]流通分[ヲ]↡。

^じょうらいさんどうありといへども、 そうじてしゃぶんかしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢三義[ノ]不同↡、総[ジテ]↢耆闍分[ヲ]↡竟[リヌ]

結科【総結】

・序分

【36】^はじめに にょもん」 よりしもうんけん極楽ごくらくかいいたるこのかたは、 序分じょぶんかす。

[ニ][リ]↢「如是我聞」↡下至[ル]↢「ウン見極楽世界[ニ]」↡已来[タハ]、明[ス]↢序分[ヲ]↡。

・正宗分

^日観にっかんよりしもぼんしょういたるこのかたは、 正宗しょうしゅう分をかす。

[ニ][リ]↢日観↡下至[ル]↢下品下生[ニ]↡已来[タハ]、明[ス]↢正宗分[ヲ]↡。

・得益分

^さんせつ是語ぜご」 よりしも諸天しょてん発心ほっしんいたるこのかたは、 得益とくやくぶんかす。

[ニ][リ]↢「説是語時」↡下至[ル]↢「諸天発心[ニ]」↡已来[タハ]、明[ス]↢得益分[ヲ]↡。

・流通分

^爾時にじなん」 よりしもだいとうかんいたるこのかたは、 おう通分ずうぶんかす。

[ニ][リ]↢「爾時阿難」↡下至[ル]↢韋提等歓喜[ニ]↡已来[タハ]、明[ス]↢王宮[ノ]流通分[ヲ]↡。

・耆闍分

^爾時にじそん」 よりしもらい退たいいたるこのかたは、 そうじてしゃぶんかす。

[ニ][リ]↢「爾時世尊」↡下至[ル]↢「ライ退タイ」↡已来[タハ]、総ジテ[ス]↢耆闍分[ヲ]↡。

^じょうらいぶんどうありといへども、 そうじて ¬かんぎょう¼ いちもんしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢五分[ノ]不同↡、総ジテ↢¬観経¼一文義[ヲ]↡竟[リヌ]

【結嘆】

【37】^ひそかにおもんみれば、 しんしゅうひがたくじょうようひがたし。

ヒソカ0793オモンミレバ、真シユガタ、浄土之エウ

^ˆしゃくそんはˇ *しゅをしてひとしくしょうぜしめんとほっす。 ここをもつてすすめて後代こうだいかしむ。 ただ如来にょらい*神力じんりき*転変てんぺんほうなり。 *隠顕おんけんしたがひておうにひそかにす。 ここにおいてしゃしょうじゅしょう0572うたがいいだく。 ぶつ (釈尊)のちやま (*耆闍崛山)かえりたまふに、 きょううかがはず。

使メムト↢五シユヲシテヒトシク↡。是メテカシム↢於ダイ↡。但如来神力転変テンペン無方ナリ隠顕オンケン[ヒ]テヒソカコヽ耆闍聖衆、小智イダ。仏後カヘリタマフニ↠山クヰヤウクワシカラズ↡。

^ときなん、 ためにおうじょうさんりょうもんぶ。 しゅこれによりておなじくきて、 ぎょうしてちょうだいせざるはなし。

↠時阿難、為↢王宮之化、定散両門↡。[リ]テ[ジ]ク[キ]テルハシテウケタマハリチヤウイタヾキダイイタヾク

後序【後跋】

050238】^うやまひて一切いっさいえん*しきとうにまうす。 はすでにこれしょうぼんなり。 智慧ちえ浅短せんたんなり。 しかるにぶっきょう*ゆうなれば、 あへてたやすく異解いげしょうぜず。 つひにすなはちしんひょうがんけっして、 *霊験れいげんしょうす。 まさにしんいたすべし。*じんくうへん法界ほうかい一切いっさい三宝さんぽうしゃ牟尼むにぶつ弥陀みだぶつ観音かんのんせい、 かののもろもろのさつだい海衆かいしゅおよび一切いっさいしょうごんそうとう南無なもみょうしたてまつる。

[ヒ]テ↢一切有縁知識等↡。[ハ]是生死凡夫ナリ。智慧浅短センタンナリ。然ルニ仏教イウナレバアエタヤス異解イゲ↡。ツイ[チ]ヘウ↠心シテ↠願、請↢霊験レイゲン↡。マサイタ↠心南↢無帰↣命シタテマツルジンフン法界[ノ]一切[ノ]三宝、釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・観音・勢至、彼[ノ][ノ]菩薩大海衆及[ビ]一切荘厳相等↡。

^それがし、 いまこの ¬かんぎょう¼ のよういだして、 *こんかいじょうせんとほっす。 もしさん諸仏しょぶつしゃぶつ弥陀みだぶつとうだいがんかなはば、 ねがはくはゆめのうちにおいて、 かみ所願しょがんのごとき一切いっさいきょうがい諸相しょそうることをしめたまへ。 仏像ぶつぞうまえにおいてがんけっしをはりて、 *日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ をじゅすること三遍さんべん弥陀みだぶつねんずることさん万遍まんべんしんいたして発願ほつがんす。

ソレガシ↧出シテ↢此¬観経¼エウ↡、カイ↦定 アキラメ セムトコム↥。若カナハバ↢三世[ノ]諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等[ノ]大悲[ノ]願意↡者、願[ク]ハユメ↡、シメタマヘ↠見[ル]コトヲ↧如↢上所願↡一切境界[ノ]諸相↥。↢仏像↠願オハリテ、日ベチジユスルコト↢¬阿弥陀経¼↡三遍、ズルコト↢阿弥陀仏↡三万遍、至シ[テ]↠心ホチ

^すなはちとうにおいて西方さいほうくうちゅうに、 かみのごとき諸相しょそうきょうがいことごとくみな顕現けんげんするをる。 雑色ざっしき宝山ほうせん百重ひゃくじゅうせんじゅうなり。 種々しゅじゅこうみょうしもらすに、 金色こんじきのごとし。 なかに諸仏しょぶつさつましまして、 あるいはし、 あるいはりゅうし、 あるいはし、 あるいはもくす。 あるいは身手しんしゅどうじ、 あるいはじゅうしてどうぜざるものあり。 すでにこのそうて、 がっしょうしてちてかんず。 ややひさしくしてすなはちめぬ。 めをはりて*ごんへず。

[チ]タウ↡、↢西方空中、如↠上諸相[ノ]境界コトゴト顕現スルヲ↡。雑色ザフシキセンヂウ千重ナリ。種種[ノ]光明、、照スニ↢於地↡、地如↢金色↡。中[ニ][シ]テ↢諸仏・菩薩↡、或[イハ][イハ]、或[イハ][イハ]モク。或[イハ]↢身手↡、或[イハ]シテ↠動アリ。既[ニ][テ]↢此[ノ][ヲ]↡合掌シテ[チ]テヤヽシクシテメヌ[リ]テ不↠ゴン↡。

^すなはち ˆこ0503かんぎょうのˇ *もんじょうろくす。 これより以後いごまいゆめのうちにつねにいちそうありて、 きたりて*げんもんじゅす。 すでにおわりて、 さらにまたえず。

ココデフロク義門0794↡。已後、マイ[ノ]ユメ[リ]テ僧↡而来[リ]テジユ玄義科文↡。既オハリテ、更↢復

^のちとき*脱本だっぽんしをはりて、 またさらにしんいたして七日しちにちようして、 日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ をじゅすること十遍じっぺん0573弥陀みだぶつねんずることさん万遍まんべん*しょ後夜ごやにかのぶつこくしょうごんとうそう観想かんそうして、 じょうしんみょうすることもつぱらかみほうのごとくす。

脱本竟已 ヲハ リテ、復更シ[テ]↠心エウシテ七日↡、日別ジユスルコト↢¬阿弥陀経[ヲ]¼↡十遍、念[ズル]コト↢阿弥陀仏[ヲ]↡三万遍、初夜・後夜シ[テ][ノ][ノ]国土荘厳等[ヲ]↡、誠心帰命スルコトモハクス↢上↡。

^とうにすなはちらく、 *さん磑輪がいりんみちほとりひとてんず。 たちまちに一人いちにんありて、 しろらくりてまえきたりてまみえてすすむ。 「まさにつとめてけつじょうしておうじょうすべし、 退転たいてんをなすことなかれ。 このさかいあくにしておおし。 いたわしく*とんぎょうせざれ」 と。 こたへていはく、 「おおきに賢者けんじゃ*好心こうしん視誨じげこうむれり。 それがしひつみょうとなして、 あへて*まんしんしょうぜず」 と。

タウ[チ]ラク、三磑輪ガイリン、道ホトリ[ニ]ヒトテン マチ[リ]テ↢一人↡、[リ]テ↢白ラクロダトイフ↡来[リ]テマミエテスヽ努力ツトメ決定シテ往生↡、ナカスコト退転タイテン↡。此穢悪ニシテレ[ト]イタハシク貪楽トムゲウ↡。答[ヘ]テ、大レリ賢者ケンジヤカウクヱ↡。ソレガシヒチシテアヘ↢於マン之心↡。

^だい二夜にやらく、 弥陀みだぶつしんしんこんじきにして、 七宝しっぽうじゅもとこんれんうえにましましてしたまへり。 十僧じっそうにょうして、 またおのおのいち宝樹ほうじゅもとせり。 仏樹ぶつじゅうえにすなはちてんありて、 かかめぐれり。 おもてただしくし西にしかへて、 がっしょうしてしてかんず。

第二夜ラク、阿弥陀仏[ハ]真金ニシテマシマシテ↢七宝、金蓮華[ノ][ニ]↡坐シタマヘリ。十ソウネウシテ、亦各[ノ]セリ↢一宝樹[ノ]↡。仏樹[チ][リ]テ↢天↡、カヽメグレリタヾシクシ↠面[ヘ]テ↠西、合掌シテシテ

^第三だいさんらく、 ふたつ*幢杆どうかんきはめておおきにたかあらわれて、 はたかかりてしきなり。 どうじゅうおうにして、 ひとることさわりなし。

第三夜ラクフタツ幢杆ドウカンメテタカレテハタカヽ[リ]テ五色ナリ。道ジユウワウニシテ、人ルコトサハリ

^すでにこのそうをはりて、 すなはち休止くしして七日しちにちいた0504ず。

↢此↡已[リ]テ、即便[チ]休止クシシテ↠至↢七日[ニ]↡。

^じょうらいのあらゆる*霊相れいそうは、 本心ほんしんもののためにしてしんのためにせず。 すでにこのそうこうむれり。 あへて*隠蔵おんぞうせず、 *つつしみてもつてのちあらわして、 くことを末代まつだいこうむらしむ。 ねがはくは*含霊がんれいのこれをくものをしてしんしょうぜしめ*しきるものをして西にしせしめん。

上来[ノ]所有レイ、本心為[ニ]シテ↠物↠為ニセ↡。既[ニ]レリ↢此[ノ]↡。アヘ隠蔵オムザウ↡、ツヽシミテ↢呈シテ↡、被ラシム↢聞クコトヲ末代↡。願[ク]ハ使メム↢含霊クモノヲシテ↠之ゼシメ↠信、有識[ノ]ヲシテ西↡。

^このどくをもつてしゅじょう*回施えせす。 ことごとくだいしんおこして、 しんをもつてあひかひ、 仏眼ぶつげんをもつてあひだいまで眷属けんぞくとしてしんぜんしきとなりて、 おなじくじょうこくし、 ともに仏道ぶつどうじょうぜん。

↢此功徳衆生↡。コトゴトシテ↢菩提心↡、[ヲ]モテムカ、仏眼ヲモテ、菩提マデクヱンゾクトシテリ[テ]↢真善知識↡、同[ジ]ク↢浄国↡、トモゼム↢仏道↡。

^このすでにしょうひてさだめをはりぬ。 いっいちげんすべからず。 うつさんとほっするものは、 もつぱらきょうぼうのごとくすべし、 るべし。

義已ヒテ↠証[リ]ヌ。一句一カラゲン↡。スルウツサムトモハクスベシ↢経法↡、応[シ]↠知[ル]

かん0574ぎょう正宗しょうしゅうぶん散善さんぜん かんだい

 

延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。 じょうのこと。
具受不具受 五戒のすべてを受けることと、 その一部分を受けること。
具持不具持 戒のすべてをたもつことと、 その一部分をたもつこと。
この義… 十一門の義は、 九品それぞれの文についてみると、 すべてそろっているものと、 そろっていないものとがあるということ。
隠顕 文の表に顕れたものと裏に隠れたもの。 善導ぜんどう大師の隠顕は、 ともに真実の説意で、 親鸞聖人が 「化身土文類」 でいわれるような真仮 (真実・方便) を分別する意味ではない。
先づ挙げ… まず九品各位の名を挙げ、 次にその相を述べ、 終りに文を結ぶ。善導大師は九品のすべてにこの三科があるとする。
有生の類 往生を得る機類。
発心 じょうしん深心じんしんこう発願心ほつがんしんの三心をおこすこと。
かならず…得ざれ 親鸞聖人は 「かならず真実心のうちになしたまへるをもちゐんことを明かさんとおもふ。外に賢善精進の相を現ずることを得ざれ、 内に虚仮を懐いて」 (信文類訓) と読まれた。
貪瞋邪偽奸詐百端 むさぼり、 いかり、 よこしまな心、 いつわりの心が無数にあり、 絶えず起ること。
走り 親鸞聖人は 「もとめ」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…真実なるに 親鸞聖人は 「おほよそ施したまふところ趣求をなす。 またみな真実なり」 (信文類訓) と読み、 如来の回施えせされた真実をもちい (受領し) て、 浄土を趣求 (願生) するという意味に転じられた。
施為趣求 しゅじょうに施しを行う利他 (施為) と、 さとりを求める自利 (趣求) のこと。
不善の…捨つべし 親鸞聖人は 「不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるをもちゐよ」 (信文類訓) と読まれた。
またもし善の…名づく 親鸞聖人は 「またもし善の三業を起さば、 かならず真実心のうちになしたまへるを須ゐて、 内外明闇を簡ばず、 みな真実を須ゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (信文類訓) と読まれた。
正習の二障 しょう使じっのさわり。
如是如是 そのとおりそのとおり。
専注奉行 心を専一にして行 (念仏) を修すること。
不相応の教 仏の意にかなわない教え。
処別 場所が異なっていること。
対機別 教えの対象となる人の資質や能力が異なっていること。
機に備ふ 教えの対象となる人の資質や能力にあわせる。
地前の菩薩 しょの位以前の菩薩。 菩薩五十二位の修道階位のうち十地じゅうじの階位以前の十信じっしん十住じゅうじゅう十行じゅうぎょうじゅうこうの四十位を指していう。 →さつ
初地以上十地以来 第一かん喜地ぎじから第十法雲ほううんまでの十地の菩薩。 →さつ
十行 ここでは十善じゅうぜんを修し行うことを指して十行という。
舌相を出して 仏の説くところがもうでないというしょうじょうの意を示す。
人に就きて… →就人じゅにん立信りっしん
行に就きて… →じゅぎょう立信りっしん
往生経 ¬大経¼ ¬観経¼ ¬小経¼ を指す。
礼誦等 五正行ごしょうぎょうのうちの称名以外のぎょうごう読誦どくじゅかんざつ礼拝らいはい讃嘆さんだんよう助業じょごうをいう。
世出世の善根 世間の善 (世福せふく) と出世間の善 (かいふく行福ぎょうふく) のこと。 →三福さんぷく
かならず…想をなすべし 親鸞聖人は 「かならず決定して真実心のうちに回向したまへる願をもちゐて得生の想をなせ」 (信文類訓) と読まれた。
得生の想 かならず浄土に往生できるという想い。
道より落ちて 白道より退転して。 「道に落ちて」 と読めば、 悪道に落ちるという意になる。
有縁の要行 自分の素質能力にかなった肝要な方法。
凡・聖 ぼん、 聖者。
空曠のはるかなる処 なにもなくてどこまでも広がっている場所。
むしろ 原漢文は 「寧」 の字。 親鸞聖人は 「やすく」 (信文類訓) と読まれた。
空迥の沢 広々とした野原のこと。
 かすか。
妄りに…喩ふ 親鸞聖人は 「妄りに見解をもってたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失すと説くに喩ふるなり」 (信文類訓) と読まれた。
行として… ぎょうじょう
簡ぶ 区別する。
 行善のこと。
慈下の行 しもを慈しむ行為。
大心大行 大乗の心、 大乗の行。
修行六念 六念ろくねんの行を修習すること。
前賢後聖 前世 (過去) の賢者や後世 (未来) の尊い聖者・菩薩たち。
最後身十地の菩薩 とうしょうがくの位の菩薩。
三祇の劫 三大阿僧祇劫のこと。 菩薩が修行して仏になるまでに経なければならないというきわめて長い時間をいう。
潅頂の位 菩薩の第十地の位。 菩薩が第十地に入るとき、 諸仏がその頂にかん (香水) を潅いで法王の職を授けるしるしとするところから潅頂という。
大地微塵 大地を微塵 (物質の最小単位) にくだいたほどの数という意。
時節の延促 時間の長短。
上の二 しん不殺ふせつ読誦どくじゅだいじょう
下の二 読誦大乗と修行六念。
人の皮を着たる畜生 →補註8
所帰の国を… 帰するところの浄土を定めること。
凡聖明闇 ぼんと聖者、 智者と愚者のこと。
所帰 西方の浄土のこと。
本所修の業 往生する以前に修めた善根ぜんごんどく
他方の得益 極楽以外の世界で得るやくのこと。
延時の得忍 後の時にしょう法忍ぼうにんを得ることを指す。
本所修 本所修の業のこと。 往生する以前に修めた善根ぜんごんどく
霊儀 (仏聖者来迎の) 尊いありさま。
後益 往生後に得る利益。
上行上根の人 高度の行を修めるこんのすぐれた人。
五門 念門ねんもんのこと。
六塵を出づ 迷いの境界を離れ出る。 →六塵ろくじん
無為法性の身 すべての限定を超えたさとりの身。
去住 ゆくもとどまるもの意。
内有色外観色 内身のむさぼりを除くために、 外界の不浄を観じ内身の貪りの心を離れる禅定ぜんじょうはちだつの第一。
内無色外観色 内身への貪りはないが、 さらに外界の不浄を観じて、 貪りの心を捨てることを一層堅固にする禅定。 八解脱の第二。
不浄相 不浄相を除いて浄色を観じ、 貪りの心を離れる禅定で、 普通は浄解脱という。 八解脱の第三。
四空 しきかいの四種の禅定。 くう辺処へんしょじょうしき辺処へんしょじょうしょしょじょうそう非非ひひ想処そうしょじょうのこと。
滅尽 滅尽定。 心のはたらきをすべて滅し尽したぜんじょう
中行中根の人 中度の行を修めるこんの中程度の人。
小真 小乗のさとり。
往生の善知識 往生浄土を勧めるぜんしき。 以下の善人・智者もこれに同じ。
十二部 →じゅう二部にぶきょう
心重きによるがゆゑに 心が落ち着き、 統一されているので。
諸部 ¬大経¼ ¬小経¼ およびその他諸々の大乗経を指す。
百法の位 ひゃっぽうみょうもんの位。
僧物 →そうもつ
善悪来迎 下品中生者は臨終に地獄の苦相が現れ、 次いで聖者の来迎があるので、 善 (楽) 悪 (苦) 来迎という。
酬報の劫… 悪業の報いを受ける時がきわまりないこと。
抑止門 抑止はおさえとどめること。 謗法・五逆は重罪であるから、 しゅじょうがこれを犯さないようにおさえとどめて説かれた法門。
歴劫周慞 幾劫にもわたって苦しみうろたえること。
経にのたまはく ¬悲華ひけきょう¼ ¬はんぎょう¼ ¬報恩ほうおんぎょう¼ および ¬観仏かんぶつきょう¼ からの取意の文とみられる。
三禅に… 三禅の楽
生死之罪 実際にはもう二文あとの「極楽世界」。
現益 現前に受けるやく
勝心 だいしんのこと。
下行下根の人 悪を行う根機の劣った人。 →こん
偸僧 そうもつを盗むこと。
謗正法 →ほうしょうぼう
韋提の致請 だい懇請こんせいのこと。
無生の益 無生法忍むしょうぼうにんの利益。
無上の心 じょうだいしん
尊記 釈尊による往生の保証。
厭苦の縁 序文じょぶんほっじょの一段。 韋提希が苦悩の穢土えどを厭う因縁いんねん
希奇の益 すぐれたやく
餐を蒙る (教えを) 受け入れる。
王宮の流通 仏が王舎おうしゃじょうなんだいのために説法した会座での付属のこと。
耆闍の流通 阿難が耆闍崛ぎしゃくっせんの大衆のために再説した会座での付属のこと。
因円かに果満ず 成仏のいんが満足する。
仏の本願に望むるに意 「仏の本願の意を望まんには」 と読む説もある。 この場合の 「意」 は本願に属すが、 本文の場合は釈尊の意となる。
能請能伝 法を請うものと、 法を伝えるもの。 ここでは、 能請はだい、 能伝はなんを指す。
耆闍会 耆闍分。 なん闍崛山しゃくっせんの大衆のために王宮での説法を再説した会座。
転変無方 自由自在で定まりのないこと。
隠顕 ここでは、 人に応じて仏のすがたが隠れたり現れたりするという意。
知識 ここでは同行、 法友の意。
義門 ¬観経¼ の法義を明らかにりょうするための教義の分類のこと。
玄義の科文 奥深い教義についての科文、 科段のこと。 また 「玄義・科文」 と読んで、 「玄義分」 と 「文義分」 (序分義・定善義・散善義) のこととする説もある。
初夜後夜 初夜は午後八時頃、 後夜は午前四時頃。 両者をあわせて、夜を通じてというほどの意。
三具の磑輪 三つの石臼。 釈尊の転法輪てんぽうりんの相 (三転法輪)、 じょうさん・念仏・来迎らいこうさん、 弥陀の身口意しんくい三業さんごう至誠しじょうしん深心じんしんこう発願心ほつがんしんの三心などに当てる説がある。
好心の視誨 好意のこもった教え。 好意ある教訓。
つつしみて… (上の霊相のことは) 謹んで ¬観経疏¼ の末尾に書き添えて、 末代の者にまで聞かせたい。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓒ
→◎
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
→○
スルコト
→○
→○メグラ
リテ人等↡、三福倶↠行→○有↢トウ三福トモ↠行↡、
→○ルイ
ナルコト→○
ナルコト→○
→○
華開→○華開ケテ
→○
フレバ→○ウレ
広開シテ顕出→○シテ
スル→○セム
ト云
→○
→○オボ
所修→○シユスル
キコトヲ↢…作→○モチヰムコトヲ↢…シ下シヲ
↠得↧…現↢…↡…懐クコトヲ↦…↥→○↣…現ズルコトヲ↢…↡、…イダケレバナリ↢…↡
→○
ジキハ…、→○…。
→○
→○
不…也→○ナリ
…者→○
→○モト
スコト→○シテ
スル→○ナル
セバ↧…求メムト↞生ズルコトヲ↢…↡者→○セム↧…求↦生セント…↥
不可→○カナ
リテナリ…作シタマヒ、…真実ナルニ→○[リ]テナリシ下シニ↥。…真実ナリ
ルマデモ↢…→○乃至…
所修→○シユスル
所↢施為趣求シタマフ→○シ玉シユ
シタマフ→○スル
…。→○…、
ベシ
ズハ…者→○ザル
ミテ→○ウヤマ[ヒ]テ
…也→○ナリ
→○
シテ→○スルコト
↢…捨↡。→○モチ↢…テ下ヘルヲ↡、
サバ…者→○
↢…作↡。→○モチヰテ↢…シ下ヘルヲ↡、
↢真実ナル↡。→○モチヰルガ↢真実
ズル→○ジム
ナリ
流転シテ→○モチシテ
→○ヲモテ
→○コトヲ
↣…証↢勧シタマフト…凡夫…↟…→○↧…証↢勧シタマフ…凡夫↡、…↞…
→○イデ
依行→○ジテ
→○
ズル→○ズレ
満↢足シタマヘル大悲→○マン足大
ナリ→○
リテ↧有リテ↢…↡未ルニ↞除コラ、果願未[ズ]↠円カナラ→○リテ↠有ルニ↢…↡未↠除コラ↢果願↡。未ルコト↠円[カ]ナラ
スレドモ→○ストモ
→○ヒヌレ
レバ…者→○
汝等→○汝等 ナムヂ
↢…不如是→○↣…如是カクノゴトクナラ
→○
所有→○所有
ナレバ→○
↧問ヒテ↢…↡、定↦…↥→○↢…↡、定↢…↡
→○ヲバ
トイフ→○イハ
シテ
スルコト→○トコロ
ハバ…者→○[ハ]
リテ→○
妨難、証シテ→○コノムデナンシテ
→○ハム
ハバ…者→○
ルニ→○
→○ヒシ
説教→○[キ]下コト↠教
不同ナリ→○↠同[ジカラ]
汝等→○汝等ナムダチラ
フトモ…者→○
[ズ]→○
ルガ↫…了義ニシテ、不ルニ↪…破壊↨故ナリト→○↢…了義ナルニ↡、不ルガ↧…破壊ハヱ↥故
、…生ズトイフ↢…↡者→○ノ下コト↧、…生ルト↧…↥
スレバ→○シテ
ニシテ→○ナリ
↡之→○
ナラバ→○ナラ
トイフ…者→○イハ
ルコトヲ→○ラムト
如↫似 ゴト 前仏制↢断シタマヒ…↡、…名ケタマフ↪十善・十行ニシテ随↩順スト…↨、→○如↣似 ゴト 前仏セイダンシ下ガ…↡、…名[ク]↢十善・十行↡、随↢順…↡。
→○ボム
ラムニ↢後仏出世シタマフコト→○[マシマ]シテ↢後仏↡出[デ]テ↠世
メタマフ→○
指↢勧→○スヽ
スマデ→○[シ]テ
捨命→○テヽ↠命
→○
ハバ…者→○
キタマフ。…/…勧メタマヒ↧一切凡夫…往生↥、→○↧…/…勧メテ↢一切凡夫↡…往生↥。
フハ↱…讃ジタマフト↫…、勧↪励シタマフヲ衆生称念スレバ往生→○、…メ下フ↧…クワムレイシテ衆生称念スレバ往生
→○ラム
キタマフ…。→○[キ]テ…、
ルマデ→○[リ]テ
→○ヲバ
トイフ…者→○
リテ↢往生経↡行ズル→○[リ]テ↢往生↡行ズル↠行
…、→○…。
↢…↡→○専↢礼…↡
ジテ↢…↡→○専↢念シテ↢…↡
[ハ]→○
→○
→○ヲバ
スレバ→○[ス]ルハ
ズレバ→○[ズ]ルハ
イハ
セルト→○シテ
深信心中→○深信心
廻向発願シテズル↠生ゼムト→○廻向発願願生イハ
深信セル→○[ズル]
→○ムデ
得↧…生ズルコトヲ↦…↥。…失スル↢…↡→○得↧…生↢…↡、…ウシナウコトヲ↦…↥
スレバ→○シテ
ヨリ→○
→○
ヲモテ→○シテ
→○ルヤ
→○
ヅレバ…者→○[ヅ]ル
レバ…者→○ルト[ハ]
メヨ→○[ム]ベシ
→○イマシ
↠非ザルヲ↢有縁之要行→○ザル↢有縁之エウ↡行
<
ヒテ…而→○
スレバ…者→○スル[ハ]
→○オモ
ルマデ↢仏果→○乃至仏果
↠礙→○
→○ベシ
セバ…者→○[オモ][ハ][バ]
→○ルベシ
レバ…也→○…也
サク→○
譬喩→○譬喩タトヒ
↠有ルヲ↢…↡→○レバ↢…↡
ルニ→○[リ]テ
→○ケウマジハルクワ
火焔→○ホノヲ
ノミ
セムコト
→○ヂキ
→○ラク
ルモ→○
スル→○セム
漸漸→○漸漸ヤウヤク
[ユ]カム→○[サ]ラム
セムト→○チムコトヲ
リテ↠時→○当時
ラバ→○ルトモ
セム→○ナム
マラバ→○ヂユストモ
カバ→○[ク]トモ
不…者→○
カム→○[キ]ナム
→○ガム
仁者 ナンヂ →○仁者ナンダチ
マラ→○
西→○西岸
→○
正↢当ニシテ→○[シ]ク↢…
→○東岸
ニシテ→○ナリ
…。→○シテ…、
スル→○セム
廻顧→○メグカヘリカヘリミ
…。→○レテ…、
セバ…者→○
水波→○ナミ
→○メグラ
→○
↧…説キテ↢…見解↡…退失スルニ→○↣…クニ↢…↡。…退失スト
ヨリ→○
↣…指シテハシメタマフコトヲ↢…↡→○↣…[ハ]シメタマフコトヲ…↡
リテ→○
→○[ケ]レバ
所修→○所↠修スル
廻↢入シテ…↡→○カヘ[リ]テ[リ]テ↢…↡
↢廻向→○[ケテ]廻向ト云
→○コト
…者→○
カラム→○ケム
↠簡ブコトヲ↣機ヘタルヲ↢能…修行スルニ→○[ス]エラ堪能カンノウ↡…修行[ス]ルコトヲ
慈心不殺→○慈心シテルコトヲセチ
思↢念シテ方便→○念方便
キテ→○…、
→○ハジメ
→○
ヘテ↠他ラシムルガ↠殺→○[フル]ガ不殺
…、→○…。
スレバ→○
レリ→○[リ]テ
→○
ルコト→○シフシテ
ツヲ↟戒→○持戒
セバ→○
サバ…者→○
↢阿弥陀仏口業功徳・身業功徳・意業功徳→○ズルナリ↢阿弥陀仏↡。…アリ
→○ナイ
→○
→○シナ
↧…↦仰ギテ↢前賢・後聖↡、…→○↫…ガウスルコトヲ前賢ゼムケン・後聖、…コヽロ
ルマデ↢今日→○乃至今日マデ
→○
マス→○ゾウ
↢心驚キテ悲歎スルニ→○シテ↠心オドロキテタンスル
フコト→○フル
…。→○…、
→○
スレ→○
スコト→○スル
↢…見レバ↠台フコトヲ↟…→○↧…見↢乗台シタガフコトヲ↞…
得益不同→○ルコト↠益[ヲ]不同ナルコト
→○
→○[ス]コト
↧受法不定ニシテ、…不ルコトヲ↞…→○[ス]↢受法不定↡、…[ズ]↠…
聴↧聞…皆空ニシテ…不二ナリト→○チヤウ↢聞…皆空↡。…不二ナリ
↧…信↢…因果↡、…不ルコトヲ↞生↢…↡→○[ス]↣…信[ズルコト]ヲ↢…因果↡、…不↠生↢…↡
→○[チ]
シタマフ→○スル
ルコトヲ↟久シカラ→○
ベタマフ→○ブル
タマフガ…故→○コトサラ
→○カン
授手→○サヅ↠手
↧…授手シタマフコトヲ→○↧…授[ケタマフコ]トヲ↞手
→○
去時→○
得益→○[ル]コト↠益
→○[リ]テ
眼開ケテクコトヲ↟法→○眼開↠法[ヲ]
↣逕ルコト↠時七日ニシテ、…ルコトヲ↢…↡→○↢時七日↡、…[ルコト]ヲ↦…↥
↠指スニ→○
歴↢供スル…↡→○スル…↡
↢延時得忍→○ベテ↠時[ルコトヲ]↟忍
サバ…者→○
リタマフ→○
シテ↢一念↡…、楽↧…セムト衆生→○↫一念…、楽フコト[ヲ]↪…[セ]ムト衆生
↢入リテ…↡→○カへ[リ]テ[リ]テ↢…↡
シタマフ→○シタマフ
授手シタマフコトヲ→○サヅクルコトヲ↟手
ブル→○ジユツスル
→○[ラ]クハ
→○ラム
→○[ヒ]下[フ]
ズルコトヲ→○レムト
スコト→○ボン
モシ→○タトヒ
終時→○
ゼリ→○
→○
多衆苦、…等→○衆苦↡、…等ナリ
ガレ→○ガウシテ
ニシテ→○ナリ
→○
↠離ルト↢衆苦→○↢離衆苦
レバ↠身→○レバ
→○セリ
↧…ルルコト↠頭ルコトヲ↦…↥→○[ス]↣…テイスルコトハルコトヲ↢…↡
タチマ→○イデ
→○
→○
→○
→○
リハ↢「…者」↡→○↢「…」↡[ハ]
スコト→○ボム
ルマデモ↢軽罪→○乃至軽ザイマデ
→○スル
→○トガ
終時→○
シタマフト→○
フコト→○
ルニ、…坐↢…↡→○[ル]↣…坐[ス]コトヲ↢…↡
レバ→○[リ]テ
リテ→○レバ
「華既敷已」↡下→○「華既敷キフ」↡已下
調ホリ柔善ニシテ→○調テウトヽノヲリ ニウヤハラカナリニシテ
遇↢逢→○
→○
ヲモテ→○
→○
→○リ下
→○
→○ウル
リハ↢「…者」↡→○[リ]↢「…」↡[ハ]
簡機→○ブニ
挙↢出スル→○↢出
シテ→○重↢テウシテタヽム 
ジテ↠教→○テンジテヘテ
ナル→○スル
スルニハ→○スレバ
→○
→○クノ
ナレバ→○ナリ
→○ヂユセシム
終時→○
→○
→○ジユツ
フトノタマヒテ→○[フ]ト云…、
ムレバ↢仏願意↡者→○ノゾマムニ↢仏願
ジカラ→○
…。将→○ルヲ
スナハ→○イデスナハチ
↣…念仏ノミ…↢…↡→○↧…念[ジ]テ↢仏ヒトリ↡…↦…↥
スルモ→○シテ
→○
↢造→○ネテツク[リ]テ
悪心ヲモテ荘厳スト→○諸悪心荘厳
終時→○
リハ↢「…者」↡→○[リ]↢「…」↡[ハ]
→○
ジテシテ→○総↢結シテ
ズトイフ→○ザル
→○
…非トシテルハ↟…、…不ラムトイフコトヲナラ→○[ス]アラザルコトヲトシテルニ↞…。…ラムナラ
酬報→○コタウル↠報
セル→○スル
セム→○
クコト→○ケル
極重ナリ→○メテ
歴劫→○
シテ→○
→○ラム
[トド]→○
ヘリ→○
→○ケル
→○
[トド]→○
→○
シメム→○シム
→○シム
失念スト→○シツスト
ジテ↠教→○テンジテヘテ
↣去時遅疾、直ルコトヲ↢…↡→○[ス]↤去時遅↣オソキトキ[ヲ]タヾチイタ↢…↡
ベタマフ→○ブル
終時→○オハ
→○
↣…善知識…称セシムルニ↢…↡→○ハン↢…善知識↡ …称スルニ↢…↡
致請ニシテ→○イタシテ↠請
↧有リテ↢定散両門↡有リト↞異ナルコト→○↠有[リト]↢定散両門↡有[ル]コト↟異
→○
…聴クコトヲ↟…。/…。/…発↢…↡→○[ス]…聴↠…、/…、/…発スコトヲ↩…↨
→○ソラ
スレバ↠志→○クヱチシテ
シタマヘバ→○スニ
↠経→○ズレバ↠経
…。→○リテ…、
クモノヲシテ→○[キ]テ
…。→○サバ…、
[ヨシ]→○ユヘ
↢標→○ナラベテシテ
→○モン
→○
顕勝シテ→○シテ↠勝
セシムル→○スル
↣…挙グルコトヲ↢…行ズル↠教之機→○[ス]↧…挙グル↢…行[ズ]ルコトヲ↟教之機
↧比校顕勝シテ、但聞クスラ↢三身之号↡…不ラムヤトイフコトヲ…也→○[ス]ケウシテスコトヲ↟勝。但クニ↢三身之↡…ラム
指↢讃スル→○サンズル
念仏スル→○[ズ]ル[ヲ]
念仏スル→○ズル[ヲ]
リテ→○レバ
捨命シテ→○テヽ
セシメタマフ→○セム
ムルニ→○マムニハ
本願↡、意→○本願
シテ→○ウテサンナムスルニ
フル→○ユル
→○マウア
↡。是→○↟是
↠是→○コヽ
→○
↠時→○↠時
ルハ→○ト云コト
ナレバ→○ナリ
→○…。
…。→○シテ
イタ↠心→○ザウ
南↢無帰↣命シタテマツル→○南無[シテ]帰↢命シ上ル
→○オモ
→○
シメタマヘ→○
→○ムス
リテ→○[リ]ヌ
スルコト↢¬阿弥陀経¼↡三遍→○ジユ↢¬阿弥陀経¼三遍
ズルコト↢阿弥陀仏↡三万遍→○↢阿弥陀仏三万遍
↢…空中、…顕現スルヲ→○ルニ↢…空中↡、…顕現
→○
ココ→○於則[スナハ][チ]
→○
玄義科文↡。→○グヱン↡。科文クワモム
リテ→○ルニ
脱本竟已 ヲハ リテ→○ダ[ツ]セムコトヲ竟已 ツイ
誠心…如クス↢…↡→○ジヤウ↣心…如↢…↡
→○マタ
マミ→○
ラク
努力ツトメ→○努力ユメユメ
レリ→○[リ]ヌ
[ズ]→○
↢呈シテ↡、被ラシム↢聞クコトヲ…↡→○アラハ、義ヲモテ↢…↡
使メム↢含霊クモノヲシテ↠之ゼシメ↠…覩ヲシテ…帰→○使メム↢含霊ヲシテキテ↠之↟…[ル]…帰セシメム
ゼム→○ラム
スル→○オモハム