0014

標挙

0140諸仏しょぶつ称名しょうみょうがん **じょう真実しんじつぎょう せんじゃく*本願ほんがんぎょう

 

題目

0141けんじょう真実しんじつぎょう文類もんるい 

禿とくしゃく*親鸞しんらんしゅう

正説
  正しく大行を顕す【大行釈】
    通じて行信を標す

【1】 ^つつしんで往相おうそう*こうあんずるに、 だいぎょうあり、 大信だいしんあり。

0015ズルニ↢往相廻向↡、有↢大行↡、有↢大信↡。

一 Ⅰ 別して大行を釈す
      直釈【出体出願】
        出体

^だいぎょうとはすなはち無礙むげこう如来にょらいみなしょうするなり。

大行スルナリ↢无光如来ミナ↡。

一 Ⅰ ⅱ a 弁徳

^このぎょうはすなはちこれ*もろもろの善法ぜんぽうせっし、 もろもろの徳本とくほんせり。 *極速ごくそく円満えんまん*真如しんにょ一実いちじつどく宝海ほうかいなりゆゑにだいぎょうづく。

是摂↢諸善法↡、具セリ↢諸徳本↡。極速円満、真如一実功徳宝海ナリ。故↢大行↡。

一 Ⅰ ⅱ a 正しく出願を明かす

^しかるにこのぎょうだいがん (第十七願) よりでたり

タリ↢大悲願↡。

一 Ⅰ ⅱ a 願の異名を挙ぐ

^すなはちこれ諸仏しょぶつ*しょうようがんづく、 また諸仏しょぶつ称名しょうみょうがんづく、 また諸仏しょぶつ*しゃがんづく、 また往相おうそうこうがんづくべし、 またせんじゃく称名しょうみょうがんづくべきなり

是名↢諸仏称揚之願↡、復名↢諸仏称名之願↡、復名↢諸仏咨嗟之願↡、亦可↠名↢往相廻向之願↡、亦可↠名↢選択称名之願↡也。

一 Ⅰ ⅱ 引証【引文】
        正引
          (一)経説
            (Ⅰ)引文
              (ⅰ)本経
                (a)正依
                  (イ)因願
                    [一]¬大経¼二文

1.第十七願文

【2】 ^諸仏しょぶつ称名しょうみょうがん、 ¬*だいきょう¼ (上) にのたまはく、

諸仏称名願 第十七願 ¬大経¼言ハク

^たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうかいりょう諸仏しょぶつ、 ことごとくしゃして、 わがしょうせずは、 しょうがくらじ」 と。

我得タラムニ↠仏、十方世界无量諸仏、↣悉咨嗟シテ、称↢我↠取↢正覚↡。」

2.重誓(名号摂化)

【3】 ^またのたまはく (大経・上)

又言

^われ仏道ぶつどうらんにいたりて、 名声みょうしょう十方じっぽう0142ん。 きょうしてきこゆるところなくは、 ちかふ、 しょうがくらじと。

「我至↠成ラム↢仏道名声超↢十方
究竟シテクハ↠所↠聞ユルチカ↠成↢正覚

^しゅうのために宝蔵ほうぞうひらきて、 ひろどくほうせん。 つねに大衆だいしゅのなかにして、 説法せっぽう獅子吼ししくせん」 と。

↠衆↢宝蔵セム↢功徳ホウ
↢大衆説法師子吼セムコト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ロ)成就
                    [一]¬大経¼三文

1.第十七願成就文

【4】 ^がん (第十七願) じょうじゅもん、 ¬きょう¼ (大経・下) にのたまはく、

願成就文、¬経¼言

^十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともにりょう寿じゅぶつじんどく不可ふか思議しぎなるを讃嘆さんだんしたまふ」 と。

「十方恒砂諸仏如来、皆共讃↢嘆シタマフ无量寿仏威神功徳不可思議ナルヲ↡。」

2.諸仏称嘆

【5】 ^またのたまはく (大経・下)

0016

^りょう寿じゅぶつじんきわまりなし。 十方じっぽうかいりょうへん不可ふか思議しぎ諸仏しょぶつ如来にょらいかれをしょうたんせざるはなし」 と。

「无量寿仏威神无↠極。十方世界无量无辺不可思議諸仏如来、シト↠不ルハ↣称↢嘆カレ。」

3.聞名往生

【6】 ^またのたまはく (大経・下)

又言

^そのぶつ本願ほんがんりきみなきておうじょうせんとおもへば、 みなことごとくかのくにいたりて、 おのづから退転たいてんいたる」 と。

「其本願力↠名オモヘバ↢往生セムト
皆悉↢彼オノヅカルト↢不退転↡」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)異訳
                  (イ)¬如来会¼二文

1.万徳回施(重誓偈)

【7】 ^¬*りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、

¬无量寿如来会¼言

^いま如来にょらいたいしてぜいおこせり。 *まさにじょうだいいんしょう (しょうげんなり) すべし。 もしもろもろの*じょうがん満足まんぞくせずは、 *じゅうりきとうそんらじと。

「今対シテ↢如来↡発セリ↢弘誓↠証ソウ字 験也 无上菩提
↣満↢足上願↠取↢十力无等尊

^*こころ、 あるいは*常行じょうぎょうへざらんものにせん。 ひろびんすくひてもろもろのまぬかれしめ、 けんやくして安楽あんらくならしめんと。

心或ラムモノ↠堪↢常行↡施セム↢貧窮↡免シメ↢諸
利↢益シテ世間使メムト↢安楽ナラ↡。

 ^*さいしょうじょうしゅぎょうしをはりて、 かのびんにおいて*伏蔵ぶくぞうとならん。 善法ぜんぽう円満えんまんして0143*等倫とうりんなけん。 大衆だいしゅのなかにして獅子吼ししくせん」 と。 以上抄出

最勝丈夫修行

↢彼貧窮ラム↢伏蔵
円↢満シテ善法↡无ケム↢等リン↢大衆↡師子吼セムト已上抄出

2.諸仏称讃(成就文)

【8】 ^またのたまはく (如来会・下)

又言

^なん、 この*義利ぎりをもつてのゆゑにりょうしゅ不可ふか思議しぎ無有むう等等とうどうへんかい諸仏しょぶつ如来にょらい、 みなともにりょう寿じゅぶつしょどくしょうさんしたまふ」 と。

「阿難、以↢此義利↡故无量无数不可思議无有等等无辺世界諸仏如来、皆共称↢讃シタマフト无量寿仏所有功徳↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)¬大阿弥陀経¼

【9】 ^¬*仏説ぶっせつ*諸仏しょぶつ弥陀みださんさんぶつ薩楼さるぶつだん過度かど人道にんどうきょう¼ (上) ¬だい弥陀みだきょう¼ といふ、 ¬じゅうがんきょう¼ といふ にのたまはく、

¬仏説諸仏阿弥陀三那三仏楼仏檀過度人道経¼ ¬大阿弥陀経¼云¬廿四願経¼ト云

^だいがんずらく、 ªそれがしぶつせしめんとき、 わがみょうをもつてみな、 八方はっぽうじょう*おうしゅ仏国ぶっこくかしめん。 みな諸仏しょぶつおのおの比丘びくそう大衆だいしゅのなかにして、 わがどくこくぜんかしめん。 諸天しょてん人民にんみん*けん*蠕動ねんどうたぐいわがみょうきてしんせざるはなけんかんやくせんもの、 みなわがくにらいしょうせしめ、 このがんていましぶつせん。 このがんずは、 つひにぶつせじº」 と。

「第四ズラク、使↢某作仏↡時、令メム↣我ヲモテ皆聞↢八方上下无央数仏国↡。皆メム↧諸仏各↢比丘僧大衆↡、説↦我功徳・国土之善↥。諸天・人民、ケン反ムクメクネンムクメク動之類、聞↢我名字↡莫ケム↠不ルハ↢慈心↡。歓喜踊躍セム者、皆令↣来↢生↡、得↢是作仏セム↠得↢是↡、終↢作仏↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)¬平等覚経¼四文

1.称名信楽願(第十七・十八願意)

【10】^¬*りょう清浄しょうじょうびょうどうがくきょう¼ のかんじょうにのたまはく、

¬0017量清浄平等覚¼巻上

^ªわれぶつせんときわがをして八方はっぽうじょうしゅ仏国ぶっこくかしめん。 諸仏しょぶつおのおの弟子でししゅのなかにして、 わがどくこくぜんたんぜん。 諸天しょてん人民にんみん蠕動ねんどうたぐい、 わがみょうきてみなことごとくやくせんもの、 わがくにらいしょうせしめん。 しからずはわれぶつ0144せじº と。

作仏セム時、令メム↣我ヲシテ↢八方上下无数仏国↡。諸仏各↢弟子衆↡、嘆ゼム↢我功徳・国土之善↡。諸天・人民ネン反動之類、聞↢我名字↡皆悉踊躍セムモノ、来↢生セシメム↡。↠爾↢作仏↡。

2.聞名果遂願(第二十願意)

^ªわれぶつせんときほう仏国ぶっこく人民にんみんぜん*あくのためにわがみょう、 およびまさしくどうのためにわがくにらいしょうせんとおもはん。 寿いのちへてみなまたさん悪道まくどうかえらざらしめて、 すなはちわがくにうまれんこと、 こころ所願しょがんにあらん。 しからずはわれぶつせじº と。

我作仏セム時、他方仏国人民、前世↠悪↢我名字↡、及シク↠道オモハム↣来↢生セムト↡。寿ヘテ皆令メテ↠不マタカヘ↢三悪道↡、則レムコト↢我↡、在ラム↢心所願↡。↠爾↢作仏↡。

3.聞経宿縁

^*じゃおうたいおよびひゃくちょうじゃ*りょう清浄しょうじょうぶつじゅうがんきて、 みなおおきにかんやくして、 しんちゅうにともにがんじていはまく、 ªわれらまたぶつせんとき、 みなりょう清浄しょうじょうぶつのごとくならしめんº と。

阿闍世王太子及五百長者子、聞↢无量清浄仏二十四願↡、皆大歓喜踊躍シテ、心中ジテメムト↣我作仏セム時、皆如クナラ↢无量清浄仏↡。

^ぶつすなはちこれをろしめして、 もろもろの比丘びくそうげたまはく、 ªこのじゃおうたいおよびひゃくちょうじゃのちおうしゅこうりて、 みなまさにぶつしてりょう清浄しょうじょうぶつのごとくなるべしº と。

仏則シロシメシテ↠之、告ゲタマハク↢諸比丘僧↡、是阿闍世王太子及五百長者子、リテ↢後无央数劫↡、皆当ニ シト↣作仏シテクナル↢无量清浄仏↡。

^ぶつののたまはく、 ªこのじゃおうたいひゃくちょうじゃさつどうをなしてこのかたおうしゅこうに、 みなおのおのひゃくおくぶつようしをはりて、 いままたきたりてわれをようせり。 このじゃおうたいおよびひゃくにんとう、 みなぜん*しょうぶつとき、 わがために弟子でしとなれりき。 いまみなまたしてこれともにあひへるなりº と。

ノタマハク、是阿闍世王太子・五百長者子、シテ↢菩薩↡以来央数劫、皆各供↢養四百億仏↡已、今復来供↢セリ↡。是阿闍世王太子及五百人等、皆前世迦葉仏時、為↠我レリキ↢弟子↡。今皆復シテ是共ヘル

^すなはちもろもろの比丘びくそうぶつみこときて、 みなこころやくしてかんせざるものなけんと。

比丘僧、聞↢仏ミコト↡、皆心踊躍シテケムト↧不↢歓喜↥。

4.聞名利益

^ªかくのごときのひとぶつみなきて、 こころよ安穏あんのんにしてだいん。 われらがたぐいこの0145とくん。 もろもろのこの*くにきところをん。

↠是クノ人聞↢仏安穏ニシテ↢大利
0018類得↢是↠所

^*りょうかくその*けつさずけん。 «われぜん本願ほんがんあり。 一切いっさいひとほうくをかば、 みなことごとくわがくにらいしょうせん。

无量覚ケム↢其前世↢本願↡
一切人聞カバ↠説クヲ↠法皆悉来↢生セム

^わががんずるところみなそくせん。 もろもろのくによりらいしょうせんもの、 みなことごとくこのけん来到らいとうして、 いっしょう退転たいてんん» と。

所↠願ズル皆具足セム↢衆国↡来生セム
皆悉来↢到シテ一生↢不退転

^すみやかにえて、 すなはち安楽あんらくこくかいいたるべし。 りょうこうみょういたりて、 しゅぶつようせん。

カニ便スナハ↠到安楽国之世界
↢无量光明土供↢養セム於无数

^このどくあるにあらざるひとは、 このきょうくことをず。 ただ清浄しょうじょうかいたもてるもの、 いましかえりてこのしょうぼうく。

↠有↢是功徳↡人↠聞コトヲ↢是
タモテル↢清浄↢斯正法

^あくきょうまん*へいだいのものは、 もつて*このほうしんずることかたし。 *宿しゅくときぶつたてまつれるものこのんでそんきょうちょうもんせん。

驕慢懈怠ノモノハ↣以ズルコト↢於此
宿シウ時見タテマツレル↠仏コノムデ聴↢ユルサレテキクセムシンジテキク世尊

^ひといのちまれべし。 ぶつにましませどもはなはだもうあひがたし。 *しんありていたるべからず。 もし聞見もんけんせば*しょうじんしてもとめよ。

人之命希仏在セドモ↠世マウア
↢信慧↡↠可カラ↠致聞見セバ精進シテコノミススムナリメヨ

^このほうきてわすれず、 すなはち*うやまおおきによろこばば、 すなはちわが*親厚しんこうなり。 これをもつてのゆゑに*どうほっせよ。

↢是↠忘便ヨロコバヾ
0019ナリ↠是セヨ↢道意

^たとひかいてらんにも、 このなかをぎてほうくことをば、 かならずまさにそんとなりて、 まさに一切いっさいしょうろうせんとすべしº」 と。

設令 タトヒ ラム↢世界↡火ニモ↢此↠聞コトヲ↠法
カナラニ シト↧作↢世尊セムト↢一切生老死↡」

一 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅰ)(ⅱ)末教
                (a)¬悲華経¼

【11】^¬*悲華ひけきょう¼ の 「*だいぼん」 のかんにのたまはく、 *どんしん三蔵さんぞうやく

¬悲華経¼「大施品」之二巻 曇無讖三蔵

^ねがはくは0146、 われのく多羅たらさんみゃくさんだいりをはらんに、 りょうへんそうぶつかいしょしゅじょう、 わがかんもの、 もろもろの善本ぜんぽんしゅしてわがかいしょうぜんとおもはん。 ねがはくは、 それいのちててののちひつじょうしてしょうしめん。 ただぎゃくしょうにん*ほうせんと、 しょうぼうはいせんとをのぞかん」 と。

「願↢阿耨多羅三藐三菩提↡已ラムニ、无量无辺阿僧祇余仏世界所有衆生、聞↢我、修シテ↢諸善本↡欲↠生ゼム↢我↡。願クハ命之後、必定シテシメム↠生。唯除カムト↧五逆誹↢謗セムト聖人↡、ハイセムトヲ正法↥。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)述成【称名破満】

【12】^しかれば、 みなしょうするに、 よくしゅじょう一切いっさいみょうし、 よくしゅじょう*一切いっさいがん*てたまふ。 称名しょうみょうすなはちこれさいしょうしんみょうしょうごうなり。 しょうごうはすなはちこれ念仏ねんぶつなり。 念仏ねんぶつはすなはちこれ南無なも弥陀みだぶつなり。 南無なも弥陀みだぶつはすなはちこれしょうねんなりと、 るべしと。

スルニ↠名↢衆生一切无明↡、能テタマフ↢衆生一切志願↡。称名是最勝真妙正業ナリ。正業是念仏ナリ。念仏是南无阿弥陀仏ナリ。南无阿弥陀仏是正念也、可シト↠知

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)師釈
            (Ⅰ)引文
              (ⅰ)南天引意(¬十住毘婆娑論¼九文)
                (a)「入初地品」

1.入初地相

【13】(註:この段は 「とくじゅうりき にゅうひつじょうじゅ そくしょう如来にょらい 無有むうしょ過咎かぐ そくてんけんどう にゅうしゅっじょうどう 是以ぜいとくしょ 無有むうしょ過咎かく」 の釈。)

^¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃろん¼ (*入初地品) にいはく、

¬十住毘婆沙論¼曰

^「あるひとのいはく、 *般舟はんじゅ三昧ざんまいおよびだい諸仏しょぶついえづく。 このほうよりもろもろの如来にょらいしょうず。 このなかに般舟はんじゅ三昧ざんまいちちとす、 まただいははとす。 またつぎ般舟はんじゅ三昧ざんまいはこれちちなり、 しょうぼうにんはこれははなり。

「有、般舟三昧及大悲↢諸仏↡。従↢此二法↡生↢諸如来↡。此般舟三昧↠父、又大悲為↠母。復次般舟三昧是父ナリ、无生法忍是母ナリ

^¬*じょだい¼ のなかにくがごとし。 ª^般舟はんじゅ三昧ざんまいちちだいしょうはは一切いっさいのもろもろの如来にょらい、 このほうよりしょうずº と。

↢¬助菩提¼中↡。

般舟三昧大悲无生
一切如来↢是二法↡生

1.入初地相 ・無有過咎

^いえ過咎かぐなければいえ清浄しょうじょうなり。 ゆゑに清浄しょうじょうとはろっ波羅ぱらみつどくしょなり。 方便ほうべん般若はんにゃ波羅はらみつぜんなり。 般舟はんじゅ三昧ざんまいだい諸忍しょにん、 この諸法しょほう清浄しょうじょうにしてとがあることなし。 ゆ0147ゑにいえ清浄しょうじょうづく。 このさつ、 この諸法しょほうをもつていえとするがゆゑに、 過咎かぐあることなし。

家清浄ナリ。故清浄六波羅蜜0020・四功徳処ナリ。方便・般若波羅蜜善慧ナリ。般舟三昧・大悲・諸忍、是諸法清浄ニシテ↠有コト↠過。故↢家清浄↡。是菩薩、以↢此諸法↡為ルガ↠家、无ケム↠有コト↢過咎↡。

1.入初地相 ・転凡入聖

^けんどうてんじてしゅっじょうどうるものなり。

ジテ↢於世間道↡入↢出世上道ナリ

^けんどうをすなはちこれぼんしょぎょうどうづく。 *てんじてそくづく。 ぼんどうきょうしてはんいたることあたはず、 つねにしょう往来おうらいす。 これをぼんどうづく。 しゅっけんは、 このどうによりて三界さんがいづることをるがゆゑに、 しゅっけんどうづく。 じょうみょうなるがゆゑにづけてじょうとす。 にゅうはまさしくどうぎょうずるがゆゑにづけてにゅうとす。 このこころをもつてしょるをかんづくと。

世間道↢即是凡夫所行↡。転ジテ休息↡。凡夫道↠能↣究竟シテコト↢涅槃↡、常往↢来生死↡。是↢凡夫道↡。出世間、因↢是↡得ルガ↠出ヅルコトヲ↢三界↡故↢出世間道↡。上ナルガ↠上。入シクルガ↠道↠入。以↢是↡入↢初地↡名クト↢歓喜地↡。

2.名歓喜地

 ^うていはく、 しょなんがゆゑぞづけてかんとするやと。

ウテ、初地何ルヤ↢歓喜↡。

 ^こたへていはく、 ª*しょきょうしてはんいたることをるがごとし。 さつこのれば、 こころつねにかんおおし。

ヘテ

↠得ルガ↣於初果究竟シテコトヲ↢涅槃
菩薩得レバ↢是心常↢歓喜↡

^ねん諸仏しょぶつ如来にょらいしゅぞうじょうすることを。 このゆゑにかくのごときのひとを、 賢善けんぜんしゃづくることをº と。

自然↠増↢長スルコトヲ諸仏如来
キノ↠此↣名クルコトヲ↢賢善者

^ªしょるがごとしº といふは、 ひとしゅおんどうるがごとし。 よくさん悪道まくどうもんづ。 ほうほうり、 ほう堅牢けんろうほうじゅうしてきょうどうすべからず、 きょうしてはんいたる。 *見諦けんたい所断しょだんほうだんずるがゆゑに、 こころおおいにかんす。 たとひ睡眠すいめん*らんなれどもじゅういたらず。

シトイフ↠得↢初果、如↣人ルガ↢須陀洹道↡。善↢三悪道↡。見↠法↠法↠法シテ堅牢↡不↠可カラ↢傾動↡、究竟シテ↢涅槃↡。断ズルガ↢見諦所断↡故、心大歓喜設使 タトヒ 睡眠懶堕ナレドモ↠至↢二十九有↡。

^一毛いちもうをもつてひゃくぶんとなして、 *一分いちぶんもう0148もつて大海だいかいみずわかるがごときは、 さんたいすでにめっせんがごとし。 大海だいかいみずのいまだめっせざるもののごとし。 さんたいのごときこころおおきにかんせん。

キハ↧以↢一毛シテ↢百分↡、以↢一分↡分↦取大海↥、ゴト↢二三渧苦已ムガ↡。如↢大海↠滅↡。如↢二三渧↡心大キニ歓喜セム

^さつもかくのごとし、 ^しょをはるを如来にょらいいえしょうずとづく。 一切いっさい*てんりゅうしゃ乾闥けんだつ しょうもんびゃくとう、 ともによう*ぎょうするところなり。 なにをもつてのゆゑに、 このいえ過咎かぐあることなし。 ゆゑにけんどうてんじてしゅっけんどうる。 ただぶつ*楽敬ぎょうきょうすれば、 どくしょろっ波羅ぱらみつほうん。

菩薩↠是↢初地↡已ルヲ↠生↢如来↡。一切天・竜・夜叉・乾闥婆、 声聞・辟支等、所ナリ↢共供養恭敬スル↡。何家无↠有コト↢過咎↡。故ジテ↢世間道↡入↢出世間道↡。但ゲウ↢敬レバ↡、↢四功0021徳処↡、得↢六波羅蜜果報↡。

^滋味じみもろもろの*仏種ぶっしゅたざるがゆゑにこころおおきにかんす。 *このさつしょさん水渧すいたいのごとし。 ひゃくせんおくこうのく多羅たらさんみゃくさんだいといへども、 *無始むししょうにおいてはさん水渧すいたいのごとし。 めっすべきところの大海だいかいみずのごとし。 このゆゑにこのづけてかんとす」 と。

コキアヂワイルガ↠断↢諸仏種↡故心大歓喜。是菩薩所有↢二三水渧↡。雖↣百千億劫↢阿耨多羅三藐三菩提↡、於テハ↢无始生死↡如↢二三水渧↡。所↠可↠滅↢大海↡。是↢歓喜↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)「地相品」

1.歓喜所由

 (*地相品) ^うていはく、 しょかんさつ、 こののなかにありてかんづく。 もろもろのどくることをなすがゆゑにかんとす。 ほうかんすべし。 なにをもつてかんするやと。

ウテ、初歓喜地菩薩、在↢此↡名↢多歓喜スガ↠得コトヲ↢諸功徳↡故歓喜↠地。法↢歓喜↡。以↠何而歓喜スルヤ

 ^こたへていはく、 ª*つねに諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつ大法だいほうねんずれば、 ひつじょうして希有けうぎょうなり。 このゆゑにかんおおしº と。

ヘテ

ズレバ↢於諸仏諸仏
必定シテ希有ナリシト↢歓喜↡

^かくのごときらのかん因縁いんねんのゆゑに、 さつ0149しょのなかにありてこころかんおおし。

↠是歓喜因縁菩薩在↢初地↡心↢歓喜↡。

^ª諸仏しょぶつねんずº といふは、 *燃灯ねんとうとう過去かこ諸仏しょぶつ弥陀みだとう現在げんざい諸仏しょぶつ*ろくとうしょうらい諸仏しょぶつねんずるなり。 つねにかくのごときの諸仏しょぶつそんねんずれば、 げんまえにましますがごとし。 三界さんがい第一だいいちにしてよくすぐれたるひとましまさず。 このゆゑにかんおおし。

ズトイフ↢諸仏、念ズルナリ↢然灯等過去諸仏、阿弥陀等現在諸仏、弥勒等将来諸仏↡。常レバ↢如↠是諸仏世尊↡、如↢現スガ↟前。三界第一ニシテマサズ↢能タルヒト↡。是↢歓喜↡。

^ª諸仏しょぶつ大法だいほうねんぜばº、 りゃくして諸仏しょぶつ*じゅう不共ふぐほうかんと。 ひとつにはざいぎょうこころしたがふ、 ふたつにはざいへんほとりなし、 つにはざい所聞しょもん無礙むげなり、 つにはざいりょうしゅもんをもつて一切いっさいしゅじょうしんろしめすと。

↢諸仏大法、略シテカムト↢諸仏四十不共法↡。一ニハ自在飛行随↠意、二自在変化无↠辺、三自在所聞无サワルナリ、四自在↢无量種門↡知シメスト↢一切衆生↡。

^ª*ねんひつじょうのもろもろのさつº は、 もしさつのく多羅たらさんみゃくさんだいつれば、 *ほうしょうにんるなり千万せんまんおくしゅ軍衆ぐんしゅらんすることあたはず。 だいしん*大人だいにんぽうじょうず。 これをねんひつじょうさつづく。

念必定菩薩、若菩薩得ツレバ↢阿耨多羅三藐三菩提↡、入↢法位↡得ルナリ↢无生忍↡。千万億数魔之軍衆↠能ヤブルミダルスルコト↡。得↢大悲心↡成↢大人法↡。 ↢念必定菩薩↡。

^ª希有けうぎょうねんずº といふは、 ひつじょうさつ*第一だいいち希有けうぎょうねんずるなりこころかんせしむ。 一切いっさいぼんおよぶことあたはざるところなり。 一切いっさいしょうもんびゃくぶつぎょうずることあたはざるところなり。 仏法ぶっぽう*無礙むげだつおよび*薩婆さはにゃかいす。 またじゅうのもろもろのしょぎょうほうねんずれば、 づけてしんかんとす。 このゆゑにさつしょることをれば、 づけてかんとすと。

ズトイフ↢希有↡者、念ズルナリ↢必定菩薩、第一希有0022↡。令↢心歓喜↡。一切凡夫ナリ↠不↠能↠及コト。一切声聞・辟支仏ナリ↠不↠能↠行ズルコト。開↢示仏法无解脱及薩婆若智↡。レバ↢十地所行↡、名↢心多歓喜↡。是菩薩得レバ↠入コトヲ↢初地↡、名↢歓喜↡。

2.歓喜差別

 ^0150うていはく、 ぼんにんのいまだ*じょう道心どうしんほっせざるあり、 あるいは発心ほっしんするものあり、 いまだかんざらん、 このひと諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつ大法だいほうねんぜんと、 ひつじょうさつおよび希有けうぎょうねんじて、 またかんんと。 しょさつかんとこのひとと、 なんの差別しゃべつかあるやと。

ウテ、有↢凡夫人↟発↢无上道心↡、或↢発心スル↡、未ダ ラム↢歓喜地↡、是人念ゼムト↢諸仏及諸仏大法↡、念ジテ↢必定菩薩及希有↡、亦得ムト↢歓喜↡。得↢初地↡菩薩歓喜↢此人↡、有ルヤ↢何差別↡。

 ^こたへていはく、 ªさつしょば、 そのこころかんおおし。 諸仏しょぶつりょうとく、 われまたさだめてまさにべしº と。

ヘテ

菩薩↢初地心多↢歓喜↡
諸仏无量我亦定ニ 

^しょひつじょうさつは、 諸仏しょぶつねんずるにりょうどくいます。 われまさにかならずかくのごときのべし。 なにをもつてのゆゑに。 われすでにこのしょひつじょうのなかにれり。 はこのこころあることなけん。 このゆゑにしょさつおおかんしょうず。 はしからず。 なにをもつてのゆゑに。 諸仏しょぶつねんずといへども、 このねんをなすことあたはず、 われかならずまさにぶつすべしと。

↢初地↡必定菩薩、念ズルニ↢諸仏イマ↢无量功徳↡。我当↣必↢如↠是クノ之事↡。何。我已↢此初地↡、入レリ↢必定↡。余ケム↠有コト↢是心↡。是初地菩薩多↢歓喜↡。余↠爾。何。余↠念↢諸仏↠能↠作コト↢是↡、我必ニ シト↢作仏↡。

^たとへば転輪てんりんじょうの、 転輪てんりんのういえうまれて、 転輪てんりんのうそうじょうじゅして、 過去かこ転輪てんりんのうどくそんねんじて、 このねんをなさん。 われいままたこのそうあり。 またまさにこのごうそんべし。 こころおおきにかんせん。 もし転輪てんりんのうそうなければ、 かくのごときのよろこびなからんがごとし。

↧転輪聖子、生↢転輪王↡、成↢就シテ転輪王↡、念ジテ↢過去転輪王功徳尊↡、作サム↢是我今亦有↢是相↡亦当↠得↢是ガウ尊貴心大歓喜セムケレ↢転輪王相↡、无ラムガ↦如↠是↥。

^ひつじょうさつ、 もし諸仏しょぶつおよび諸仏しょぶつだいどく威儀いぎそんねんずれば、 われこのそう0151り。 かならずまさにぶつすべし、 すなはちおおきにかんせん。 はこのあることなけん。

必定菩薩、若ズレバ↢諸仏及諸仏大功徳・威儀・尊貴↡、我有↢是相↡。必↢作仏↡、即歓喜セム。余者无ケム↠有コト↢是事↡。

^じょうしんふか仏法ぶっぽうりてしんどうずべからず」 と。

定心↢仏法↡心不↠可カラ↠動。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(c)「浄地品」

1.信力増上

【14】(註:この段は 「信力しんりきてんぞうじょう じんぎょうだいしん みんしゅじょうるい しゅ善心ぜんしんけん」 の釈。)

^またいはく (*浄地品)

0023

^「ª信力しんりきぞうじょうº はいかん。 *聞見もんけんするところありてかならずけてうたがいなければぞうじょうづく、 しゅしょうづくと。

「信力増上。名↧有↠所↢聞見スル↡、必受レバ↠疑増上↥、名クト↢殊勝↡。

 ^うていはく、 しゅぞうじょうあり。 ひとつにはふたつにはしょうなり。 いまのせつなにものぞやと。

ウテ、有↢二種増上↡。一者多、二者勝ナリ。今モノ

 ^こたへていはく、 このなかの二事にじともにかん。 さつしょればもろもろのどくあじはひをるがゆゑに、 信力しんりき転増てんぞうす。 この信力しんりきをもつて諸仏しょぶつどくりょうじんみょうなるを*籌量ちゅうりょうしてよく信受しんじゅす。 このゆゑにこのしんまたなり、 またしょうなり。

ヘテ、此二事倶カム。菩薩入レバ↢初地↡得ルガ↢諸功徳↡故信力転増。以↢是信力チウハカラフシテ諸仏功徳无量深妙ナルヲ↡能信受。是心亦多ナリ亦勝ナリ

2.深行大悲

^ªふかだいぎょうじº とは、 しゅじょう*愍念みんねんすること*骨体こったいてつにゅうするがゆゑにづけてじんとす。 一切いっさいしゅじょうのために仏道ぶつどうもとむるがゆゑにづけてだいとす。

↢大悲、愍↢念スルコト衆生徹↢入スルガタイ↡故↠深。為↢一切衆生↡求ルガ↢仏道↡故↠大。慈心↢利事↡安↢穏衆生↡。

^しんはつねに*利事りじもとめてしゅじょう安穏あんのんす。 *三種さんしゅあり」 と。

リト↢三種↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(d)「易行品」

1.難易二道

【15】^またいはく (*易行品)

又曰

^仏法ぶっぽうりょうもんあり。 けんどうなんあり、 あり。 陸道ろくどうぎょうはすなはちくるしく、 水道すいどうじょうせんはすなはちたのしきがごとし。 さつどうもまたかくのごとし。 あるいはごんぎょうしょうじんのものあり、 あるいはしん0152方便ほうべんぎょうをもつてゆいおっいたるものあり。

「仏法↢无量門↡。如↢世間↠難有↠易陸道歩行シク、水道乗船シキガ↡。菩薩亦如↠是。或懃行精進ノモノ↡、或↧以↢信方便易行ユイヲチフタイノクライナリ↥。

2.弥陀易行 ・十仏章

^ªもしひと退転たいてんいたらんとおもはば、 *ぎょうしんをもつてしゅうしてみょうごうしょうすべしº。

人疾オモ↠至ラムト不退転地
↧以↢恭敬執持シテ↦名号

2.弥陀易行 ・十仏章 ・十方仏

^もしさつ、 このにおいてゆいおっいたることをのく多羅たらさんみゃくさんだいらんとおもはば、 まさにこの*十方じっぽう諸仏しょぶつねんずべし。 みょうごうしょうすること ¬*宝月ほうがつどう所問しょもんぎょう¼ の ªゆいおっぼんº のなかにくがごとしと。

菩薩オモ↧於↢此↠至ルコトヲ↢阿惟越致地↡、成ラムト↦阿耨多羅三藐三菩提、応↢是十方諸仏↡。称スルコト↢名号↡如シト↢¬宝月童子所問経¼阿惟越致品↡。

2.弥陀易行 ・十仏章 ・西方無量明

^ª西方さいほうぜんかいぶつりょうみょうごうす。 身光しんこう智慧ちえあきらかにして、 らすところ辺際へんざいなし。 それみなくことあるものは、 すなはち退転たいてんと。

西方善世界↢无量明
身光智慧ニシテ↠照↢辺際↡
↠聞コト↠名↢不退転

2.弥陀易行 ・十仏章 ・過去海徳仏

^過去かこしゅこうぶつまします。 *海徳かいとくごうす。 このもろもろの現在げんざいぶつ、 みなかれにしたがつてがんおこせり。

過去无数劫↠仏 号↢海徳
現在シタガセリ↠願

^寿じゅみょうはかりあることなし。 こうみょうらしてきわまりなし。 こくはなはだ清浄しょうじょうなり。 みなきてさだめてぶつにならんº と。

寿命无↠有コト↠量光明照シテ
国土甚清浄ナリ↠名ムト↠仏0024

2.弥陀易行 ・百七仏章(与門)

 ^うていはく、 ただこのじゅうぶつみょうごうきてしゅうしてこころけば、 すなはちのく多羅たらさんみゃくさんだい退たいせざることを。 またぶつさつみなましまして、 ゆいおっいたることをとやせんと。

ウテ、但聞↢是十仏名号↡執持シテケバ↠心、便↠不ルコトヲ↠退↢阿耨多羅三藐三菩提↡。マタシテ↢余仏・余菩薩名↡、↠至コトヲ↢阿惟越致↥。

 ^こたへていはく、 ª弥陀みだとうぶつおよびしょだいさつみなしょう一心いっしんねんずれば、 また退転たいてんることかくのごとしº と。

ヘテ

阿弥陀等諸大菩薩
↠名一心ズレバ亦得コト↢不退転↡ 如↠是

^弥陀みだとう諸仏しょぶつ、 またぎょう礼拝らいはいし、 そ0153みょうごうしょうすべし。

阿弥陀等諸仏、亦応↣恭敬礼拝↢其名号↡。

2.弥陀易行 ・弥陀章(奪門)

^*いままさにつぶさにりょう寿じゅぶつくべし^*ざいおうぶつ ないそのぶつまします この諸仏しょぶつそん現在げんざい十方じっぽう清浄しょうじょうかいに、 みなみなしょう弥陀みだぶつ本願ほんがん憶念おくねんすることかくのごとし。 ª^もしひとわれをねんしょうしておのづからすれば、 すなはちひつじょうりてのく多羅たらさんみゃくさんだい^このゆゑにつねに憶念おくねんすべしº と。

今当↣具↢无量寿仏↡。世自在王仏 乃至有余仏諸仏世尊、現在十方清浄世界、皆称↠名憶↢念スルコト阿弥陀仏本願↡如↠是。若人念↠我シテ↠名オノヅカスレバ、即↢必定↢阿耨多羅三藐三菩提↡、是シト↢憶念↡。

3.偈讃 ・無量光明慧

^をもつてしょうさんせん。

↠偈称讃セム

^ªりょうこうみょう*真金しんこんやまのごとし。 われいましん口意くいをして、 がっしょう稽首けいしゅらいしたてまつると。

无量光明慧↢真金
我今身口意ヲシテ合掌稽首シタテマツルト

3.偈讃 ・即時入必定

^ひとよくこのぶつりょうりきどくねんずれば、 そくときひつじょうる。 このゆゑにわれつねにねんじたてまつる。

人能ズレバ↢是无量力功徳
↢必定我常ジタテマツル

3.偈讃 ・帰命本願力

^もしひとぶつにならんとがんじて、 こころ弥陀みだねんじたてまつれば、 ときおうじてためにげんじたまはん。 このゆゑにわれ、

人願ジテ↠作ラム↠仏ジタテマツレバ↢阿弥陀
ジテ↠時ジタマハム↠身我帰↢

^かのぶつ本願ほんがんりきみょうす。 十方じっぽうのもろもろのさつも、 きたりてようほうく。 このゆゑにわれ稽首けいしゅしたてまつると。

本願力十方菩薩
供養↠法稽首シタテマツルト

3.偈讃 ・信心清浄華開

^もしひと善根ぜんごんゑてうたがへば、 すなはちはなひらけず。 信心しんじん清浄しょうじょうなるものは、 はなひらけてすなはちぶつたてまつる。

エテ↢善根ヘバ↠開
信心清浄ナル華開タテマツル↠仏

^十方じっぽう現在げんざいぶつ種々しゅじゅ因縁いんねんをもつて、 かのぶつどくたんじたまふ。 われいまみょうらいしたてまつると。

十方現在↢種種因縁
タマフ↢彼功徳我今帰命シタテマツルト

3.偈讃 ・乗船度海

^かの八道はちどうふねじょうじて、 よくなんかいす。 みづからし、 またかれをせん。 われざいにんらいしたてまつる。

ジテ↢彼八道↢難度海
亦度セム我礼シタテマツル↢自在人

^諸仏しょぶつりょうこうにその0154どく讃揚さんようせんに、 なほつくすことあたはじ。 清浄しょうじょうにんみょうしたてまつる。

0025諸仏无量劫讃↢ヤウアグセムニ功徳
猶尚 ナホ ↠能↠尽コト帰↢命シタテマツル清浄人

^われいままたかくのごとし。 りょうとくしょうさんす。 このふく因縁いんねんをもつて、 ねがはくはぶつ、 つねにわれをねんじたまへº」 と。

我今亦如↠是称↢无量
↢是因縁仏常ジタマヘト↠我

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)北天引意(¬浄土論¼三文)
                (a)成上起下の偈

【16】^¬*じょうろん¼ にいはく、

¬浄土論¼曰

・如実修行

^われ*しゅ多羅たら真実しんじつどくそうによりて、 *がんそうきてぶっきょう相応そうおうせりと。

「我依↢修多羅真実功徳相
↢願偈総持↢仏教↡相応セリト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)不虚作住持功徳の偈

・速満宝海

^ぶつ本願ほんがんりき*かんずるに、 *もうおうてむなしくぐるものなし。 よくすみやかにどくだい宝海ほうかい満足まんぞくせしむ」 と。

ズルニ↢仏本願力↢空シクグル
ムトスミヤカ満↢足功徳大宝海↡」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)利行満足章の終文

【17】^またいはく (浄土論)

又曰

・自利利他

^さつ*しゅもんりて自利じりぎょうじょうじゅ*たまへりとるべし。 さつ*だいもんでて*こうやくぎょうじょうじゅしたまへりとるべし。

「菩薩↢四種↡自利行成就シタマヘリト、応↠知。菩薩↢第五門↡回向利益他行成就シタマヘリト、応↠知

^さつはかくのごとくもんぎょうしゅして自利じり利他りたしてすみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅすることをたまへるがゆゑに」 と。

菩薩↠是シテ↢五門↡自利利他シテタマヘルガ↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提↡故ニト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)雁門引意(¬論註¼四文)
                (a)序題興由

【18】^¬*ろんちゅう¼ (上) にいはく、

¬チユ¼曰

・二祖一致 ・龍樹論判

^つつしんでりゅうじゅさつの ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ をあんずるにいはく、 ªさつ阿毘あびばっもとむるにしゅどうあり。 ひとつにはなんぎょうどうふたつにはぎょうどうなり。

ツ シズルニ↢龍樹菩薩¬十住毘婆沙¼↡云、菩薩求ムル↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一難行道、二易行道ナリ

・二祖一致 ・龍樹論判 ・難行道(五難)

^なんぎょうどうとは、 いはく、 じょくぶつときにおいて、 阿毘あびばっもとむるをなんとす。 このなんにいましおおくのみちあり。 ほぼさんをいひてもつてこころしめさん。 ^ひとつにはどうしょうぜんさつほうみだる。 ふた0155つにはしょうもん自利じりにしてだい慈悲じひふ。 つには無顧むこ悪人あくにんしょうとくす。 つには顛倒てんどうぜんよくぼんぎょうす。 いつつにはただこれりきにしてりきたもつなし^これらのごときのるるにみなこれなり。 たとへばろくぎょうはすなはちくるしきがごとし。

難行道、謂↢五濁之世无仏↡、求ルヲ↢阿毘跋致↠難。此↢多ミチ↡。ホヾ↢五三↡以シメサム↢義↡。一外道シヤウ 修醤反ミダ↢菩薩↡。二者声聞自利ニシテ↢大慈悲↡。三者無カヘリミル悪人破↢他勝徳↡。四テン善果能↢梵行↡。五者唯是自力ニシテ↢他力↡。如キノ↢斯↡事、ルヽニ↠目皆是ナリ。譬↢陸路シキガ↡。

・二祖一致 ・龍樹論判 ・易行道

^ぎょうどうとは、 いはく、 ただ信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんず。 仏願ぶつがんりきじょうじてすなはちかの清浄しょうじょうおうじょうしむ。 仏力ぶつりきじゅうしてすなはちだいじょう正定しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいふねじょうじてすなはちたのしきがごとしº と。

易行道者、謂但以↢信仏因縁↡願↠生ゼム↢浄土↡。乗ジテ↢仏願力↡便シム↣往↢生清浄↡。仏力住持シテ↢大乗正0026定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬↢水路ジテ↠船シキガ↡。

・二祖一致 ・本論分斉

^この ¬りょう寿じゅきょう優婆うば提舎だいしゃ¼ は、 けだしじょうえんごく退たい風航ふうこうなるものなり。

¬无量寿経婆提舎¼、ケダエン反 衍字カン反 口且反楽也 之極ムネ、不退之風カウ反ナル カウ反フナワタシ ホナリ 也。

・二祖一致 ・随順仏教

^ªりょう寿じゅº はこれ安楽あんらくじょう如来にょらい別号べつごうなり。 しゃ牟尼むにぶつ王舎おうしゃじょうおよびしゃこくにましまして、 大衆だいしゅのなかにしてりょう寿じゅぶつしょうごんどくきたまふ。 すなはちぶつみょうごうをもつてきょうたいとす。

无量寿是安楽浄土如来別号ナリ。釈迦牟尼仏、マシマシテ↢王舎城及舎衛国↡、↢大衆之中↡説キタマフ↢无量寿仏荘厳功徳↡。即↢仏名号↢経↡。

^のちしょうじゃ婆藪ばそばんさつ (天親)如来にょらいだいきょう服膺ぶくようして、 きょうへてがんしょうつくれり」 と。

聖者菩薩、ブクシタガイヰヨウモチヰルシテ 一升反 如来大悲之教↡、エテ↠経レリト↢願生↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(b)建章偈註

【19】^またいはく (論註・上)

又云

・易行修相

^また所願しょがんかろからず。 もし如来にょらいじんせずは、 まさになにをもつてかたっせん。 神力じんりきこつす。 このゆゑにあおいでげたまへり。

「又所願↠軽カラ。若如来クワウ↢威神↡、将テカセムサトル コチコウ↢加神力↡。所以コノユヘゲタマヘリ

・易行修相 ・我一心

^ª一心いっしんº とは天親てんじんさつとく (とくかんなり、 そつなり、 しょうなり)ことば0156なり。 いふこころは無礙むげこうにょらいねんじて安楽あんらくしょうぜんとがんず。 *心々しんしん相続そうぞくしてそう間雑けんぞうすることなし

我一心天親菩薩トク反 トク反アキラカナリ 勧也 ヒク也 正也 俗作ナリイフココロジテ↢无光如来↡願↠生ムト↢安楽↡。心心相続シテ他想間雑スルコト↡。

・仏教相応

^ªみょうじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらいº とは、 ªみょうº はすなはちこれ礼拝らいはいもんなり、 ªじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらいº はすなはちこれ讃嘆さんだんもんなり。

帰命尽十方无光如来、帰是礼拝門ナリ尽十方无光如来是讃嘆門ナリ

・仏教相応 ・礼拝門

^なにをもつてからん、 みょうはこれ礼拝らいはいなりとは。

テカラム帰命礼拝ナリトハ

^りゅうじゅさつ弥陀みだ如来にょらいさんつくれるなかに、 あるいは ª稽首けいしゅらいº といひ、 あるいは ªみょうº といひ、 あるいは ªみょうらいº といへり。 この ¬ろん¼ (浄土論)じょうごうのなかにまた ªねんもんしゅすº といへり。 ねんもんのなかに礼拝らいはいはこれひとつなり。 天親てんじんさつすでにおうじょうがんず、 あにらいせざるべけんや。 ゆゑにんぬ、 みょうはすなはちこれ礼拝らいはいなりと。

龍樹菩薩造レル↢阿弥陀如来↡中、或↢稽首礼↡、或↢我帰命↡、或ヘリ↢帰命礼↡。此¬論¼長行亦言ヘリ↠修スト↢五念門↡。五念門礼拝ナリ。天親菩薩スデ↢往生↡、アニケムヤ↠不↠礼。故帰命是礼拝ナリト

^しかるに礼拝らいはいはただこれぎょうにして、 かならずしもみょうならず。 みょうはこれ礼拝らいはいなり。 もしこれをもつてすいするに、 みょうじゅうとす。 しんぶ、 よろしくみょう (みょう使なり、 きょうなり、 どうなり、 しんなり、 けいなり、 しょうなり) といふべし。 ¬ろん¼ に偈義げぎするに、 ひろ礼拝らいはいだんず。 *彼此ひしあひじょうず、 においていよいよあらわれたり。

礼拝但是恭ニシテ↢必シモ帰命ナラ↡。帰命是礼拝ナリ。若↠此スイヲススルニ、帰命↠重。偈シンオノレ↡、ヨロシベ ↢帰命命字 マユ病反 使也 教也 道也 信也 計也 召也。¬論¼スルニ↢偈義↡、ヒロハンダン↢礼拝↡。彼此相成、於↠義イヨイヨ0027レタリ

・仏教相応 ・讃嘆門

^なにをもつてからん、 ªじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらいº はこれ讃嘆さんだんもんなりとは。

テカラム尽十方无光如来賛嘆門ナリトハ

^しもじょうごうのなかにいはく、 ª^いかんが讃嘆さんだんする。 いはく、 かの如来にょらいみなしょう (しょう軽重きょうじゅうるなり。 ¬*説文せつもん¼ にいはく、 せんなり、 なり、 とう0157なり、 ぞくはかりつくる、 きんりょうただすをいふなり) す。 かの如来にょらいこうみょうそう*のごとく、 かのみょうのごとく、 じつのごとくしゅぎょう相応そうおうせんとおもふがゆゑにº と。

ハク、云何讃嘆スル。謂称字 処リヨウ反 知↢軽重↡也 ¬説文¼曰ハカリコレ也 等也 ハカリ 云正ハカリシヤウヨウ反 昌リヨウ如来↡。如↢彼如来光明智相↡、如↢彼名義↡、欲フガ↢如↠実修行相応セムト↡故ニト

^天親てんじん、 いま ªじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらいº とのたまへり。 すなはちこれかの如来にょらいみなによりて、 かの如来にょらいこうみょうそうのごとく讃嘆さんだんするがゆゑに、 んぬ、 このはこれ讃嘆さんだんもんなりとは。

天親今ノタマヘリ↢尽十方无光如来↡。即是依↢彼如来↡、如↢彼如来光明智相↡讃嘆スルガ、此是賛嘆門ナリトハ

・仏教相応 ・作願門

^ªがんしょう安楽あんらくこくº とは、 このいっはこれがんもんなり、 天親てんじんさつみょうこころなり。

願生安楽国、此一句是作願門ナリ、天親菩薩帰命之意也。

・仏教相応 ・願生問答

 ^うていはく、 だいじょうきょうろんのなかに、 処々しょしょに ªしゅじょうひっきょうしょうにしてくうのごとしº ときたまへり。 いかんぞ天親てんじんさつ ªがんしょうº とのたまふやと。

ウテ、大乗経論、処処キタマヘ↣衆生畢竟无生ニシテシト↢虚空↡。云何天親菩薩言↢願生

 ^こたへていはく、 ªしゅじょうしょうにしてくうのごとしº とくにしゅあり。

ヘテ、説クニ↣衆生无生ニシテシト↢虚空↡有↢二種↡。

^ひとつには、 ぼんじつしゅじょうおもふところのごとく、 ぼん所見しょけんじつしょうのごとし。 この所見しょけんひっきょうじて*所有あらゆることなけん、 もうのごとし、 くうのごとしと。

者如↢凡夫オモ↢実衆生↡、如↢凡夫所見生死↡。此所見事、ヲワルジテケムユルコト、如クヰ↡、如シト↢虚空↡。

^ふたつには、 いはく、 *諸法しょほう因縁いんねんしょうのゆゑに、 すなはちこれしょうにして、 所有あらゆることなきことくうのごとしと。 ^天親てんじんさつがんしょうするところはこれ因縁いんねんなり。 因縁いんねんなるがゆゑにかりしょうづく。 ぼんじつしゅじょうじつしょうありとおもふがごときにはあらざるなりと。

者謂諸法因縁生、即是不生ニシテ、无キコト↠所有如シト↢虚空↡。天親菩薩所↢願生スル是因縁ナリ。因縁ナルガカリ↠生。非↠如キニハ↢凡夫フガ↟有↢実衆生実生死↡也

・仏教相応 ・往生問答

 ^0158うていはく、 なんのによりておうじょうくぞやと。

ウテ、依↢何↡説クゾヤ↢往生↡。

 ^こたへていはく、 このけんみょうにんのなかにおいてねんもんしゅせしむ。 *前念ぜんねんねんいんとなる。 穢土えどみょうにんじょうみょうにんけつじょうしていちず、 けつじょうしてず。 前心ぜんしんしんまたかくのごとし。 なにをもつてのゆゑに。 もしいちならばすなはちいんなけん、 もしならばすなはち相続そうぞくにあらず。 この*いちかんずるもんなり、 ろんのなかにきょくなり。

ヘテ、於↢此仮名↡修セシム↢五念門↡。前念↢後念↡↠因。穢土仮名人、浄土仮名人、↠得↢決定シテ↡、↠得↢決定シテ↡。前心・後心亦如↠是。何。若ナラバケム↢因果↡、若ナラバ↢相続↡。是義観ズル↢一異↡門ナリ、論クワシナリ

^第一だいいちぎょう三念さんねんもんしゃくしをはんぬと。

↢第一ゴウ三念門↡竟ヌト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(c)成上起下偈註

・依

 ^ª^しゅ多羅たら 真実しんじつどくそう せつがんそう ぶっきょう相応そうおうº とのたまへりと。

我依修多羅真実功徳相説願0028偈総持与仏教相応トノタマヘリト

^いづれのところにかる、 なんのゆゑにかる、 いかんがると。 いづれのところにかるとならば、 しゅ多羅たらるなり。 なんのゆゑにかるとならば、 如来にょらいすなはち真実しんじつどくそうなるをもつてのゆゑに。 いかんがるとならば、 ねんもんしゅして相応そうおうせるがゆゑにと。

レノニカ、何ニカ、云何ルト。何、依ルナリ↢修多羅↡。何、以↢如来即真実功徳ナルヲ↡故云何、修シテ↢五念門↡相応セルガニト

・修多羅

^ªしゅ多羅たらº はじゅう二部にぶきょうのなかの直説じきせつのものをしゅ多羅たらづく。 いはく、 ごん三蔵さんぞうとうのほかのだいじょうしょきょうをまたしゅ多羅たらづく。 このなかに ªしゅ多羅たらº といふは、 これ三蔵さんぞうのほかのだいじょうしゅ多羅たらなり、 ごんとうきょうにはあらざるなり。

修多羅十二部経直説↢修多羅↡。謂四阿フウム・三蔵等大乗諸経亦名↢修多羅↡。此↢依修多羅、是三蔵大乗修多羅ナリ、非↢阿含等ニハ↡也。

・真実功徳

^ª真実しんじつどくそうº とは、 しゅどくあり。 ひとつには有漏うろしんよりしょうじてほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜんにん0159でんほう、 もしはいん、 もしは、 みなこれ顛倒てんどうす、 みなこれ虚偽こぎなり。 このゆゑにじつどくづく。

真実功徳相↢二種功徳↡。一者従↢有漏心↡生ジテ↠順↢法性↡。所↠謂凡夫、人天諸善、人天果報、若因若果、皆是顛倒、皆是虚グヰナリイツワル 。是↢不実功徳↡。

^ふたつにはさつ智慧ちえ清浄しょうじょうごうよりおこりてぶつしょうごんす。 ほっしょうによりて清浄しょうじょうそうれり。 このほう顛倒てんどうせず、 虚偽こぎならず、 真実しんじつどくづく。 いかんが顛倒てんどうせざる。 ほっしょうにより*たいじゅんずるがゆゑに。 いかんが虚偽こぎならざる。 しゅじょうせっしてひっきょうじょうるるがゆゑなり。

者従↢菩薩智慧清浄業↡起荘↢厳仏事↡。依↢法性↡入レリ↢清浄↡。是↢顛倒↡、↢虚偽ナラ↡、名↢真実功徳↡。云何↢顛倒↡。依↢法性↡順ルガ↢二諦↡故。云何↢虚偽ナラ↡。摂シテ↢衆生↡入ルガ↢畢竟浄↡故ナリ

・総持

^ªせつがんそうぶっきょう相応そうおうº とは、 ªº はさんしつづく、 ªそうº はしょうをもつてせっするにづく。 ªがんº はよくぎょうおうじょうづく。 ªぶっきょう相応そうおうº とは、 たとへば函蓋かんがいそうしょうするがごとしと。

説願偈総持与仏教相応、持↢不散不↡、総↢以↠少スルニ↟多↢欲楽往生↡。 与仏教相応タトヘバシトカン蓋相称スルガ↡也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅲ)(d)起観生信章

・他力回向

 (論註・下) ^ªいかんが*こうする。 一切いっさいのうしゅじょうてずして、 こころにつねに*がんすらく、 こうしゅとしてだいしんじょうじゅすることを*たまへるがゆゑにº とのたまへり。

云何廻向スルシテ↠捨↢一切苦悩衆生↡、心作願スラク、廻向↠首タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ大悲心ニトノタマヘリ

^こうしゅそうあり。 ひとつには往相おうそうふたつには還相げんそうなり。 往相おうそうとは、 おのれがどくをもつて一切いっさいしゅじょう回施えせして、 *がんしてともに弥陀みだ如来にょらい安楽あんらくじょうおうじょうせしめたまへるなり」 と。

廻向↢二種相↡。一者往相、二者還相ナリ。往相、以功徳↡廻↢施シテ一切衆生↡、作願シテ往↢生セシメタマヘルナリト阿弥陀如来安楽浄土↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)西河引意(¬安楽集¼四文)
                (a)正しく念仏三昧の徳を明かす
                  (イ)第一大門中宗旨不同

・念仏功能

【20】^¬*安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、

¬0029楽集¼云

^「¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にいはく、 ª^*ちちおうすすめて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしめたまふ。

「¬観仏三昧経¼云、令メタマフ↧勧↢父↡行↦念仏三昧↥。

^ちちおうぶつにまうさく、 «ぶつとくしん0160にょ実相じっそう第一だいいちくう、 なにによりてか弟子でしをしてこれをぎょうぜしめざる» と。

王白サク↠仏、仏地果徳、真如実相第一義空、何テカルトケン↢弟子ヲシテ↟之

^ぶつちちおうげたまはく、 «諸仏しょぶつとくりょうじんみょうきょうがい神通じんずうだつまします。 これぼんしょぎょうきょうがいにあらざるがゆゑに、 ちちおうすすめて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしめたてまつる» と。

仏告ゲタマハク↢父、諸仏果徳、マシマ↢无量深妙境界、神通解脱↡。非ザルガ↢是凡夫所行境界↡故↢父↡行ゼシメタテマツルト↢念仏三昧↡。

^ちちおうぶつにまうさく、 «念仏ねんぶつこう、 そのかたちいかんぞ» と。

王白↠仏、念仏之功、其カタチ云何ゾト

^ぶつちちおうげたまはく、 «らんりんほうじゅうじゅんならんに、 いっ牛頭ごず栴檀せんだんあり。 こんありといへどもなほいまだつちでざるに、 そのらんりんただくさくしてこうばしきことなし。 もしその華菓けか*だんすることあらば、 きょうほっしてせん。 のちとき栴檀せんだんこんやうやく生長しょうちょうして、 わづかににならんとす。 こう昌盛しょうじょうにして、 つひによくこのはやし改変かいへんしてあまねくみなこうならしむ。 しゅじょうるものみな希有けうしんしょうぜんがごとし» と。

仏告ゲタマハク↡、如↧伊ランワル方四十由旬ナラムニ、有↢一クワ牛頭栴檀↡↠有クキ↡猶未ダ ルニ↠出↠土、其伊蘭林唯クサシユクシテ↠香バシキキコトラバダンスルコトナムル クラフ ↢其華菓↡、発↠クルウシテセム栴檀根芽漸漸生長シテワヅカ↠成ムト香気シヤウニシテツイカイアラタムシテ↡普皆香ナラシム衆生見皆生ゼムガ↦希有↥。

^ぶつちちおうげたまはく、 «一切いっさいしゅじょうしょうのなかにありて念仏ねんぶつしんもまたかくのごとし。 ただよくねんけてまざれば、 さだめて仏前ぶつぜんしょうぜん。 ひとたびおうじょうれば、 すなはちよく一切いっさい諸悪しょあく改変かいへんしてだい慈悲じひじょうぜんこと、 かの香樹こうじゅらんりんあらたむるがごとし»º と。

仏告ゲタマハク↢父↡、一切衆生、在↢生死↡念仏之心亦復 マタ ↠是。但能↠念レバ、定ゼム↢仏前↡。一タビレバ↢往生↡、即改↢変シテ一切諸悪↡成ゼムコト↢大慈悲↡、如↣彼香樹ムルガ↢伊蘭林↡。

^いふところの ªらんりんº とは、 しゅじょううち三毒さんどくさんしょうへんじゅうざいたとふ。 ª栴檀せんだんº といふは、 しゅじょう念仏ねんぶつしんたとふ。 ªわづかに0161ならんとすº といふは、 いはく、 一切いっさいしゅじょうただよくねんみてえざれば業道ごうどうじょうべんするなり。

伊蘭林、喩↢衆生毒・三障无辺重罪↡。言↢栴檀、喩↢衆生念仏之心↡。ワヅカトイフ↠成ムト、謂一切衆生但能ミテ↠念レバ↠断業道成スル也。

 ^うていはく、 いちしゅじょう念仏ねんぶつこうはかりてまた一切いっさいるべしなにによりてか一念いちねんりきよく一切いっさいしょしょうだんずることひとつの香樹こうじゅの、 じゅうじゅんらんりんあらためて、 ことごとくこうならしむるがごとくならんやと。

ウテハカリテ一衆生念仏之功↡亦応↢一切↡。何リテ一念之功力能ズルコト↢一切諸障↡、如クナラム↧一香樹アラタメテ↢四十由旬伊蘭林↡、悉使ムルガ↦香美ナラ

 ^こたへていはく、 しょだいじょうによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまいのう不可ふか思議しぎなるをあらわさんとなり。

ヘテ、依↢諸大乗↡顕サムト↢念仏三昧功能不可思議ナルヲ↡也。

^いかんとならば ¬*ごんぎょう¼ にいふがごとし。 ª^たとへばひとありて、 獅子ししすじもちゐて、 もつてこととせんに、 おんじょうひとたびそうするに一切いっさいことごとくみなだんするがごとし。 もしひとだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさい煩悩ぼんのう一切いっさいしょしょう、 ことごとくみな断滅だんめつすと。

何者イカントナラバ0030↢¬華厳経¼云↡。譬↧有↠人、↢師子スヂ↡以ムニコト↡、音声一タビソウスルニ一切絃悉皆断壊スルガ↥。若人菩提心ズレ↢念仏三昧、一切煩悩、一切諸障、悉皆断滅スト

^またひとありて、 よう驢馬ろめ一切いっさいのもろもろのちち*しぼりていっのなかにかんに、 もし獅子ししちち一渧いったいをもつてこれをぐるに、 ただちにぎてはばかりなし、 一切いっさいしょにゅうことごとくみな破壊はえしてへんじてしょうすいとなるがごとし。 もしひとただよくだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさいあくしょしょうただちにぐるにはばかりなしº と。

亦如↧有リテ↠人シボ↢取牛・羊・馬一切カムニ↢一器↡、若マサニ↢師子乳一渧トウナグルニ↠之、直ギテハヾカリ、一切諸乳悉皆破壊シテヤブル ジテルガ↦清水↥。若人但能菩提心ズレ↢念仏三昧、一切悪魔諸障直グルニハヾカリ

^またかの ¬きょう¼ (華厳経) にいはく、 ª^たとへばひとありて、 翳身えいしんやくをもつて処々しょしょ0162ぎょうするに一切いっさいぎょうこのひとざるがごとし。 もしよくだいしんのなかに念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 一切いっさい悪神あくじん一切いっさいしょしょう、 このひとず、 もろもろの処々しょしょしたがひてよくしゃしょうすることなきなり

又彼¬経¼云、譬ヘバ↧有↠人エイカクス身薬↡処処遊行スルニ、一切余行不ルガ↞見↢是↡。若菩提心ズレ↢念仏三昧、一切悪神、一切諸障、不↠見↢是↡、随↢諸処処↡无↢能シヤサイギルルコト↡也。

^なんがゆゑぞとならば、 よくこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいねんずるは、 すなはちこれ一切いっさい三昧さんまいのなかのおうなるがゆゑなりº」 と。

ゾトナラバズルハ↢此念仏三昧↡、即是一切三昧ナルガ。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(a)(ロ)第四大門中第三問答解釈

【21】^またいはく (安楽集・下)

又云

・諸障皆除

^¬摩訶まかえん¼ のなかにきていふがごとし。 ª^しょ三昧さんまい三昧さんまいならざるにはあらず。

「如↢¬摩訶カン反エン反¼中↡。諸余三昧↠不ルニハ↢三昧ナラ↡。

^なにをもつてのゆゑに、 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくとんのぞいてしんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくしんのぞいてとんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくのぞいてしんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく現在げんざいさわりのぞいて過去かこらい一切いっさいしょしょうのぞくことあたはず。

。或↢三昧↡、但能イテ↠貪不↠能↠除コト↢瞋↡。或↢三昧↡、但能↠瞋不↠能↠除コト↢痴貪↡。或イハ↢三昧↡、但能↠痴不↠能↠除コト↠瞋。或↢三昧↡、但能↢現在↡不↠能↠除コト↢過去・未来一切諸障↡。

^もしよくつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすれば、 現在げんざい過去かこらい一切いっさいしょしょうふことなくみなのぞくなりº」 と。

スレバ↢念仏三昧↡、无↠問コト↢現在・過去・未来一切諸障↡皆除。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(a)(ハ)第五大門中修道延促

【22】^またいはく (安楽集・下)

又云

・具足功徳

^¬だいきょうさん¼ (*讃弥陀偈) にいはく、

「¬大経¼賛

^ªもし弥陀みだ徳号とくごうきてかん讃仰さんごうしん帰依きえすれば、 しも一念いちねんいたるまでだい。 すなはちどくほうそくすとす。

↢阿弥陀ガウ歓喜賛仰 心帰依スレバ
マデ↢一念0031↡得↢大利↣具↢足スト功徳

^たとひ大千だいせんかいてらんをも、 またただちにぎてぶつみなくべし。 弥陀みだかばまた退たいせず。 このゆゑにしん0163いたして稽首けいしゅらいしたてまつるº」 と。

ラム↢大千世界↡火ヲモ亦応↣直↢仏
カバ↢阿弥陀↢復退シテ↠心シウシタテマツルト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅳ)(b)易行を結勧す(第三大門中第四引教勧信)

【23】^またいはく (安楽集・上)

・証誠勧信

^また ¬*目連もくれん所問しょもんぎょう¼ のごとし。 ª^ぶつ目連もくれんげたまはく、 «たとへば万川ばんせん長流ちょうりゅう草木そうもくありて、 まえうしろをかえりみず、 うしろはまえかえりみず、 すべて大海だいかいするがごとし。 けんもまたしかなり。 ごうらくざいなることありといへども、 ことごとくしょうろうびょうまぬかるることをず。 ただぶっきょうしんぜざるによりて、 後世ごせひととなつて、 さらにはなはだこんぎゃくしてせんぶつこくしょうずることをることあたはず。

「又如↢¬目連所問経¼↡。仏告ゲタマハク↢目連↡、譬↧万川長流↢草木↡、前不↠カヘリミ↠後、後不↠顧↠前スベスルガ↦大海↥。世間亦爾ナリ。雖↠有↢豪貴楽自在ナルコト↡、悉↠得↠マヌカルヽコトヲ↢生老病死↡。只由↠不ルニ↠信↢仏経↡、後世↠人サラコンギヤクハゲシシテ不↠能↠得コト↠生ズルコトヲ↢千仏国土↡。

^このゆゑにわれかく、 "りょう寿じゅ仏国ぶっこくやすやすくして、 ひとしゅぎょうしておうじょうすることあたはず、 かへつてじゅうしゅ邪道じゃどうつかふ" と。 われこのひときてまなこなきひとづく、 みみなきひとづく»º と。

カク、无量寿仏国↠往↠取シテ↠能↢修行シテ往生スルコト↡、カヘツカ↢九十五種邪道↡。我説↢是↡名↢无↠眼人↡、名クト↢无↠耳人↡。

^経教きょうきょうすでにしかなり。 なんぞなんててぎょうどうによらざらん」 と。

経教スデナリ。何ムト↣捨テヽ↠難↢易行道↡矣。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)終南引意
                (a)正しく宗師を挙ぐ
                  (イ)引文
                    [一]¬礼讃¼五文

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・不簡機類

【24】^*こうみょうしょう (*善導) のいはく (*礼讃)

光明寺和尚

^また ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃ¼ にいふがごとし。 ª^いちぎょう三昧ざんまいかさんとおもふ。 ただすすめて、 ひと空閑くうげんしょしてもろもろのらんてて、 こころ一仏いちぶつけてそうみょうかんぜず、 もつぱらみょうしょうすれば、 すなはちねんのなかにおいて、 かの弥陀みだぶつおよび一切いっさいぶつとうるこ0164とをº といへり。

又如↢¬文殊般若¼云↡。欲↠明サム↢一行三昧↡。唯勧、独シテ↢空シヅカナリ↢諸乱意↡、ケテ↢心一仏↠観↢相メウカタチ↡、専スレバ↢名字↡、即↢念トイヘリ↠見ルコト↢彼阿弥陀仏及一切仏等↡。

 ^うていはく、 なんがゆゑぞかんをなさしめずして、 ただちにもつぱらみょうしょうせしむるは、 なんのこころかあるやと。

ウテ、何シテ↠令↠作↠観、直ケンムル↣専↢名字、有↢何

 ^こたへていはく、 いまししゅじょうさわりおもくして、 きょうさいなり、 しんなりしきあがり、 じんびて、 かんじょうじゅしがたきによりてなり。 ここをもつてだいしょう (釈尊) れんして、 ただちにすすめてもつぱらみょうしょうせしむ。 まさしく称名しょうみょうやすきに (ぎょうなり、 きょうなり、 じゅうなり、 ゆうなり) るがゆゑに、 相続そうぞくしてすなはちしょうずと。

ヘテ、乃↣衆生障クシテ、境サイナリコマカニ アラシナリシキタマシイアガジン、観難キニ↢成就↡也。是大聖悲レンシテアワレム 、直メテセシム↢名字↡。正シク 由字 以周反 行也 経也 ジユヨル也 用也 称名易↡故、相続シテ

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・不問多少

 ^うていはく、 すでにもつぱらいちぶつしょうせしむるに、 なんがゆゑぞきょうげんずることすなはちおおき。 これあにじゃしょうあひまじはり、 いっ雑現ぞうげんするにあらずやと。

ウテ、既ムルニ↣専↢一仏↡、何サカイズルコト↢邪正マジ、一多雑0032スルニ

 ^こたへていはく、 ぶつぶつひとしくしょうしてかたちべつなし。 たとひいちねんじてること、 なんのだいどうにかそむかんや。

ヘテ、仏ヒトシクナル フタヽビシテ形无↢二別↡。縦使 タトヒ ジテ↠一コト↠多ソムカ↢何大道理ニカ

^また ¬かんぎょう¼ にいふがごとし。 ^すすめてかん礼念らいねんとうぎょうぜしむ。 みなすべからくおもて西方さいほうかふはさいしょうなるべし。 さきよりかたぶけるがたおるるに、 かならずまがれるにしたがふがごとし。 ゆゑにかならずことさわりありて西方さいほうかふにおよばずは、 ただ西にしかふおもいをなす、 またたりと。

又如¬観経¼云↡。行ゼシム↢勧座観礼念等↡。皆スベカラ↧面↢西方最勝ナル↥。如ヨリカタブケルガタフルヽニマガレルニ。故↢事サワリ↠及↠向↢西方、但作↢向↠西↡、亦得タリ

1.前序(一行三昧) ・称名易行 ・別願因縁

 ^うていはく、 一切いっさい諸仏しょぶつ三身さんしんおなじくしょうし、 悲智ひち*えんにしてまた無二むになるべし0165ほうしたがひていちぶつ礼念らいねんしょうせんに、 またしょうずることをべし。 なんがゆゑぞひとへに西方さいほうたんじてもつぱら礼念らいねんとうすすむる、 なんのかあるやと。

ウテ、一切諸仏、三身同ジク、悲智果円ニシテ↢无二ナル↡。随↠方礼↢念クワオホセセムニ一仏↡、亦応↠得↠生ズルコト。何ジテ↢西方↡勧↢専礼念等↡、有↢何

 ^こたへていはく、 諸仏しょぶつしょしょうびょうどうにしてこれいちなれども、 もしがんぎょうをもつてきたおさむるに因縁いんねんなきにあらず。

ヘテ、諸仏所証平等ニシテ是一ナレドモ、若↢願行ルニ↠无キニ↢因縁↡。

^しかるに弥陀みだそんもとじんじゅう誓願せいがんおこして、 こうみょうみょうごうをもつて十方じっぽうせっしたまふただ信心しんじんをしてねんせしむれば、 かみいちぎょうつくし、 しもじっしょういっしょうとういたるまで、 仏願ぶつがんりきをもつておうじょうやす。 このゆゑにしゃおよび諸仏しょぶつすすめて西方さいほうかふるをべつとすならくのみ。 またこれぶつしょうねんしてさわりのぞき、 つみめっすることあたはざるにはあらざるなりと、 るべし。

弥陀世尊、シテ↢深重誓願↡、以↢光明・名号↡摂↢化シタマフ十方↡。但使レバ↢信心ヲシテ求念↡、↢一形↡、下至マデ↢十声一声等↡、以↢仏願力↡易↠得↢往生↡。是釈迦及以 オヨビ 諸仏、勧ルヲ↢西方↢別異ナラクノミ。亦非↧是称↢念シテ余仏↡不ルニハ↞能↢除↠障スルコト↟罪、応↠知

1.前序(一行三昧) ・専修勝徳

^もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくして、 ひつみょうとするものは、 *じっそくじっしょうひゃくそくひゃくしょうなり。 なにをもつてのゆゑに、 ぞうえんなし、 *しょうねんたるがゆゑに、 ぶつ本願ほんがん相応そうおうすることをるがゆゑに、 きょうせざるがゆゑに、 ぶつずいじゅんするがゆゑなり」 と。

↠上念念相続シテ畢命↠期、十即十生、百即百生ナリ。何。無↢外雑縁↡得タルガ↢正念↡故↢仏本願↡得ルガ↢相応スルコト↡故、不ルガ↠違↠教、随↢順スルガ仏語ナリト。」

2.日没讃(摂取不捨)

【25】^またいはく (礼讃)

^ただ念仏ねんぶつしゅじょうそなはして、 摂取せっしゅしててざるがゆゑに、 弥陀みだづく」 と。

「唯ミソナハシテ↢念衆生↡、摂取シテルガ↠捨クト↢阿弥陀↡。」

3.初夜讃(名号摂化)

【26】^またいはく (礼讃)

又云

^弥陀みだがんかいは、 深広じんこうにして涯底がいたいなし。 みな0166きておうじょうせんとおもへば、 みなことごとくかのくにいたる。

「弥陀智願海深広ニシテガイテイ
↠名ヘバ↢往生ムト皆悉↢彼

^たとひ大千だいせんてらんにも、 ただちにぎてぶつみなけ。 みなきてかんさんずれば、 みなまさにかしこにしょうずることをべし。

ラム↢大千↡火ニモ↢仏
↠名歓喜ズレバ皆当↠生ズルコト

^万年まんねん三宝さんぼうめっせんに、 このきょうじゅうすることひゃくねんせん。 そのとききて一念いちねんせん。 みなまさにかしこにしょうずることをべし」 と。

万年三宝滅セムニ経住0033スルコト百年セム
時聞一念セム皆当シト↠得↠生ズルコトヲ↠彼

4.後序(求願往生)

【27】^またいはく (礼讃)

又云

^げんにこれしょうぼんざいしょうじんじゅうにして六道ろくどうりんせり。 くるしみいふべからず。 いまぜんしきひて弥陀みだ本願ほんがんみょうごうくことをたり。 一心いっしんしょうねんしておうじょうがんせよ。 ねがはくはぶつ慈悲じひほんぜいがんてたまはざれば、 弟子でし*しょうじゅしたまへり」 と。

「現是生死凡夫、罪障深重ニシテ輪↢回セリ六道↡。苦シミ不↠可カラ↠言。今遇↢善知識↡得タリ↠聞クコト↢弥陀本願名号↡。一心称念シテ求↢願セヨ往生↡。願慈悲、不レバ↠捨テタマハ↢本弘誓願↡、摂↢受シタマフベシ弟子↡。」

5.後序(四種増上縁)

【28】^またいはく (礼讃)

又云

^うていはく、 弥陀みだぶつしょうねん礼観らいかんして、 げんにいかなるどくやくかあるやと。

「問ウテ、称↢念礼↣観シテ阿弥陀仏↡、現世ルヤ↢何ナル功徳利益↡。

5.後序(四種増上縁) ・滅罪縁

 ^こたへていはく、 もし弥陀みだぶつしょうすることいっしょうするに、 すなはちよくはちじゅうおくこうしょうじゅうざい除滅じょめつす。 礼念らいねん以下いげもまたかくのごとし。

ヘテ、若スルコト↢阿弥陀仏↡一声スルニ、即除↢滅八十億劫生死重罪↡。礼念已下亦如↠是

5.後序(四種増上縁) ・護念縁 一

^¬*じゅうおうじょうきょう¼ にいはく、 ª^もししゅじょうありて、 弥陀みだぶつねんじておうじょうがんずれば、 かのぶつすなはちじゅうさつつかはして、 ぎょうじゃようして、 もしはぎょうもしは、 もしはじゅうもし0167、 もしはちゅうもしは一切いっさい一切いっさいしょに、 あく悪神あくじんをしてその便たよりをしめざるなりº と。

¬十往生経¼云、若↢衆生↡、念ジテ↢阿弥陀仏↡願ズレ↢往生、彼仏即ツカハシテ↢二十五菩薩オウ↢護シテ行者↡、若行若座、若住若臥、若昼若夜、一切時・一切処、不↠令↣悪鬼・悪神ヲシテ得↢其便↡也

5.後序(四種増上縁) ・護念縁 二

^また ¬かんぎょう¼ にいふがごとし。 ª^もし弥陀みだぶつしょう礼念らいねんしてかのくにおうじょうせんとねがへば、 かのぶつすなはちしゅぶつしゅ観音かんのんせいさつつかはして、 ぎょうじゃねんしたまふ。 またさきじゅうさつとう百重ひゃくじゅうせんじゅうぎょうじゃにょうして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが一切いっさいしょ、 もしはちゅうもしははず、 つねにぎょうじゃはなれたまはずº と。

又如↢¬観経¼云↡。若↢礼↣念シテ阿弥陀仏↡願↣往↢生セムト、彼仏即シテ↢无数化仏、无数化観音・勢至菩薩↡、護↢念シタマフ行者↡。復↢前二十五菩薩等↡百重千重囲↢繞シテ行者↡、↠問↢行住坐臥、一切時処、若シハ昼若シハ↡、常↠離タマハ↢行者↡。

^いますでにこのしょうやくまします。 たのむべし。 ねがはくはもろもろのぎょうじゃおのおの*しんもちゐてくことをもとめよ

今既マシマ↢斯勝益↡。可タノヘウ。願行者、モチヰ↢至心↡求メヨ↠往ズルコト

5.後序(四種増上縁) ・摂生縁

^また ¬りょう寿じゅきょう¼ にいふがごとし。 ª^もしわれじょうぶつせんに、 十方じっぽうしゅじょうわがみょうごうしょうせん。 しもじっしょういたるまで、 もしうまれずは、 しょうがくらじº と。

又如↢¬无量寿経¼云↡。若我成仏セムニ、十方衆生、称セム↢我名号↡。下至マデ↢十声↡、若↠生↠取↢正覚↡。

^かのぶついまげんにましましてじょうぶつしたまへり。 まさにるべし、 本誓ほんぜいじゅうがんむなしからずしゅじょうしょうねんすればかならずおうじょうと。

仏今現マシマシテ成仏シタマヘリ。当↠知、本誓重願↠虚カラ、衆0034生称念スレバ↢往生↡。

5.後序(四種増上縁) ・証生縁

^また ¬弥陀みだきょう¼ にいふがごとし。 ª^«もししゅじょうありて、 弥陀みだぶつくをきて、 すなはちみょうごうしゅうすべし。 もしは一日いちにち、 もしはにちない七日しちにち一心いっしんぶつしょうしてみだれざれ。 いのちおわらんとするとき弥陀みだぶつ、 もろもろのしょうじゅげんじてそのまえにましまさん。 このひとおわらんときしん顛倒てんどうせず、 すなはちかのくにおうじょうすることをん» と。 ^ぶつしゃ0168ほつげたまはく、 «われこのるがゆゑにこのごんく。 もししゅじょうありて、 このせつかんものは、 まさにがんおこし、 かのくにしょうぜんとがんずべし»º と。

又如¬弥陀経¼云↡。若↢衆生↡、聞↠説↢阿弥陀仏↡、即↣執↢持名号↡。若一日若二日乃至七日、一心シテ↠仏↠乱。命↠終ラム時、阿弥陀仏↢諸聖衆↡現ジテマシマサム↢其↡。此人終ラム、心↢顛倒↡、即↣往↢生スルコト↡。仏告ゲタマハク↢舎利弗↡、我見↢是↡故↢是↡。若↢衆生↡聞カム↢是、応↢当↠願↟生ゼム↢彼↡。

^次下つぎしもきていはく、 ª^東方とうぼうにょごうしゃとう諸仏しょぶつ南西なんざい北方ほっぽうおよびじょう一々いちいちほうごうしゃとう諸仏しょぶつのごとき、 おのおの本国ほんごくにしてその舌相ぜっそういだして、 あまねく三千さんぜん大千だいせんかいおおひてじょうじつごんきたまはく、 «なんだちしゅじょう、 みなこの一切いっさい諸仏しょぶつねんしたまふところのきょうしんずべし» と。

次下、東方如恒河沙等諸仏、南西北方及上下一一↢恒河沙等諸仏↡、各↢本国↡出↢其舌相↡、徧↢三千大千世界↡説キタマハク↢誠実↡、汝等ナンダチ衆生、皆応↠信↧是一切諸仏↢護念シタマフ↡経↥。

^いかんが «ねん» とづくると。 もししゅじょうありて、 弥陀みだぶつしょうねんせんこと、 もしは七日しちにち一日いちにち下至げしいっしょうないじっしょう一念いちねんとうおよぶまで、 かならずおうじょうと。 この証誠しょうじょうせるがゆゑにねんぎょうづくº と。

云何 イカン クルト↢護↡。若↢衆生↡、称↢念セムコト阿弥陀仏↡、若七日、及マデ↢一日下至一声乃至十声一念等↡、必↢往生↡。証↢成セルガ↡故↢護念経↡。

^次下つぎしももんにいはく、 ª^もしぶつしょうしておうじょうするものは、 つねに六方ろっぽうごうしゃとう諸仏しょぶつのためにねんせらる。 ゆゑにねんぎょうづくº と。

次下、若シテ↠仏往生スル、常↢六方恒河沙等諸仏之↡↢護念↡。故↢護念経↡。

^いますでにこのぞうじょう誓願せいがんいます、 たのむべし。 もろもろのぶっとう、 なんぞこころはげましてかざらんや」 と。

今既イマ↢此増上誓願↡、可タノ。諸仏子等、何ハゲマシテ↠意ユ カ。」

*しょうほっの ¬*しゅうしょきょう礼懴らいさん¼ のかん善導ぜんどうしょうの ¬礼讃らいさん¼ なり。 これによる。

智昇法師¬集諸経礼懴儀¼下巻者善導和尚¬礼懴¼也。依

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[二]「玄義分」二文

【29】^またいはく (*玄義分)

又云

1.弘願釈(全託法体)

^がんといふは ¬だいきょう¼ のせつのごとし。 一切いっさい善悪ぜんあくぼんしょうずることをるは、 みな弥陀みだぶつ大願だいがん業力ごうりきじょう (じょう0169なり、 しょうなり、 とうなり、 しゅなり、 ふくなり) じてぞうじょうえんとせざるはなし」 と。

「言↢弘願↢¬大経¼説↡。一切善悪凡夫得↠生ズルコト↠不ルハ↧皆乗ジテ 乗字 食陵反 又宝証反 ノル也 勝也 トウノボル  守也マモル  フクオヽフ  阿弥陀仏大願業力↦増上縁↥也。」

2.六字釈(願行具足)

【30】^またいはく (玄義分)

又云

^南無なもといふは、 すなはちこれみょうなり、 またこれ発願ほつがんこうなり。 弥陀みだぶつといふは、 すなはちこれそのぎょうなり。 このをもつてのゆゑにかならずおうじょう」 と。

「言↢南无、即是帰命ナリ、亦是発願回向之義ナリ。言↢阿弥陀仏、即0035是其ナリ。以↢斯↡故↢往生↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[三]¬観念法門¼二文

【31】^またいはく (*観念法門)

又云

1.摂生増上縁

^せっしょうぞうじょうえんといふは、 ¬りょう寿じゅきょう¼ のじゅうはちがんのなかにくがごとし。 ªぶつののたまはく、 «もしわれじょうぶつせんに、 十方じっぽうしゅじょう、 わがくにしょうぜんとがんじて、 わがみょうしょうすること、 しもじっしょういたるまで、 わが願力がんりきじょうじて、 もしうまれずはしょうがくらじ»º と。 これすなはちこれおうじょうがんずるぎょうにんいのちおわらんとするとき願力がんりきせっしておうじょうしむ。 ゆゑにせっしょうぞうじょうえんづく」 と。

↢摂生増上縁↡者、如↢¬无量寿経¼四十八願↡。仏ハク、若我成仏セムニ、十方衆生、願ジテ↠生ゼム↢我↡、称スルコト↢我名字↡、マデ↢十声↡、乗ジテ↢我願力↡、若↠生↠取↢正覚↡。此是願ズル↢往生↡行人、命↠終ムト時、願力摂シテシム↢往生↡。故↢摂生増上縁↡。」

2.証生増上縁

【32】^またいはく (観念法門)

又云

^善悪ぜんあくぼんしんぎょうして、 ことごとくおうじょうしめんとほっす。 これまたこれ証生しょうしょうぞうじょうえんなり」 と。

「欲使メムト↣善悪凡夫、回起行シテ、尽↢往生↡。コレ亦是証生増上縁ナリト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(イ)[四]¬般舟讃¼

【33】^またいはく (*般舟讃)

又云

・念仏真宗

^門々もんもんどうにして*八万はちまんなり。 みょう業因ごういんとをめっせんためのけんは、 すなはちこれ弥陀みだみななり。 いっしょうしょうねんするにつみみなのぞこると。

「門門不同ニシテ八万四ナリ↠滅セム↢无明業因トヲ
利剣是弥陀ミナナリ一声称念スルニ罪皆除コルト

^じんごう*ずいめっす。 おしへざるに真如しんにょもんてんにゅうす。

微塵故業随智ルニオシ 覚字 教音 転↢入真如

^しゃ0170じょうごうなんまぬかるることをることは、 ことにしきしゃおんかぶれり。 種々しゅじゅ*りょうぎょう方便ほうべんをもつて、 えらびて弥陀みだぜいもんしめたまへり」 と。 以上抄要

ルコトハ↠免ルコトヲ↢娑婆長劫コトレリ↢知識釈迦
種種思量巧方便ヲモテシメタマヘリ↢弥陀弘誓↡」 已上抄要

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ロ)解釈【六字釈

【34】^しかれば、 南無なも」 のごんみょうなり。 「」 のごんは、 なり、 また*えつなり、 せつは、 えつこえなり。 また*さいなり、 せつは、 さいこえなり。 えつさいふたつのこえつぐるなり、 のぶるなり、 ひとこころせんじゅつするなり。 みょう」 のごんは、 ごうなり、 しょういんなり、 使なり、 きょうなり、 どうなり、 しんなり、 はからうなり、 めすなり。 ここをもつて みょう」 は*本願ほんがんしょうかんちょくめいなり

南无之言帰命ナリ。帰 至也エチヨリタノムナリセチ エチヨロコブナリ 又帰サイヨリカヽルナリ、説 サイナリ エチサイツグルノブ宣↢ノブル↡也 業也 マネキ メス ヒク也 使也 教也 道也 信也 ハカラフメス帰命本願マネク ヨバウ オホセ命也。

^発願ほつがんこう」 といふは、 如来にょらいすでに発願ほつがんしてしゅじょうぎょう回施えせしたまふのしんなり

↢発願回向、如来已発願シテ回↢施シタマフ衆生↡之心也。

^そくぎょう」 といふは、 すなはち*せんじゃく本願ほんがんこれなり

↢即是其0036、即選択本願是也。

^必得ひっとくおうじょう」 といふは、 退たいくらいいたることをることをあらわすなり。 ¬きょう¼ (大経) には 「即得そくとく」 といへり、 しゃく (易行品) には 「ひつじょう」 といへり。そく」 のごん願力がんりきくによりてほう真因しんいんけつじょうする*こく極促ごくそく*光闡こうせんするなり。 「ひつ」 のごんつまびらかなり、 しからしむるなり、 わかちきわむるなり、 金剛こんごうしんじょうじゅかおばせなり。

↢必得往生↡者、アラハルコトヲ↠至コトヲ↢不退↡也。¬経ニハ¼言ヘリ↢「即得」↡、釈ニハヘリ↢「必定」↡。即↠聞↢願力↡光↢闡報土真因決定スルキワムソク↡也。必 ツマビラカ アキラカシカラシムル分極也 金剛心成就之カヲバセ也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(b)衝州を引く
                  (イ)法照¬五会法事讃¼八文

・長行 1.序分(念仏最勝)

【35】^¬*じょう五会ごえ念仏ねんぶつりゃくほうさん¼ にいはく、

¬浄土五会念仏略法事儀讃¼云

^それ如来にょらいきょうもうけたまふに、 *こうりゃくこんしたがふ。 つひに実相じっそうせしめんとなり。 しんしょうんものに0171は、 たれかよくこれをあたへんや。 しかるに念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 これしんじょうじんみょうもんなり。 弥陀みだ法王ほうおうじゅうはちがんみょうごうをもつて、 *ここほとけ願力がんりきこととしてしゅじょうしたまふ。

「夫如来マウケタマフニ↠教、広リヤク↠根。終セシメムトナリ↢実相↡。得↢真无生ニハタレアタヘム↢於此。然念仏三昧、是真无上深妙ナリ矣。以↢弥陀法王四十八願名号↡、コヽホトケトシテ↢願力↡度シタマフ↢衆生↡。

・長行 2.五会念仏釈(極成其義)

^如来にょらいつねに三昧さんまいかいのなかにして、 *網綿もうめんげたまひて、 *ちちおうにいうてのたまはく、 ª^おういまぜんしてただまさに念仏ねんぶつすべし。 *あにねんどうじてねんもとめんや。 しょうはなれてしょうもとめんや。 相好そうごうはなれて法身ほっしんもとめんや。 もんはなれてだつもとめんやº と。

如来常↢三昧海↡、ゲタマヘルヲクハシ綿メン↢父↡曰、王今座禅シテ但当ニ ↢念仏↡。アニジテ↡求ムヤ↢无念↡。離↠生↢於无生。離↢相好↡求ムヤ↢法身↡。離↠文ムヤ↢解脱↡。

・長行 3.荘厳文(易修易証)

^それおおいなるかな、 至理しり真法しんぽう一如いちにょにしてものし、 ひとす。 ぜい各別かくべつなるがゆゑに、 わがしゃ*じょくおうしょうし、 弥陀みだじょうしゅつげんしたまふ。 ほうじょうりょうしゅなりといへどもやく斉一さいいちなり。 もししゅやすしょうやすきは、 まことにただじょうきょうもんなり。 しかるにかの西方さいほうしゅみょうにしてそのこくならびがたし。 またかざるにひゃっぽうはちすをもつてす。 ぼんひらいてもつてひとおさむること、 それぶつみょうごうなりと。

ナルカナ、至コトワリ真法、一如ニシテ↠物↠人。弘誓各別ナルガ、我釈迦応↢生於濁世↡、阿弥陀出↢現シタマフ於浄土↡。方↢穢浄両シユコトナリナリト↡利益サイヒトシナリ。若↠修キハ↠証唯浄土教門ナリ。然西方殊妙ニシテナラ↢其国土↡。マタカザルニテス↢百宝↡。ヒライテ↢九品↡以ヲサムルコト↠人ソレ名号也

・偈頌 1.浄土楽讃(念仏最勝)

 ^¬*しょうさんじょうきょう¼ による。 しゃく*ほっしょう

↢¬称讃浄土経¼↡。 釈法セウ

^ª如来にょらい尊号そんごうは、 はなはだぶんみょうなり。 十方じっぽうかいにあまねくぎょうせしむ。 ただみなしょうするのみありて、 みなくことを観音かんのんせいおのづからきたむかへたまふ。

如来尊号分明ナリ十方世界流行セシム
0037但有↠称スルノミ↠名↠往コトヲ観音・勢至オノヅカヘタマフ

^弥陀みだ本願ほんがんことにちょうしゅせり。 慈悲じひ方便ほうべんしてぼんく。 一切いっさいしゅじょうみな*だつす。 みなしょうすれば、 すなはちつみしょうじょ0172ることを

弥陀本願コトタツ ヲコス シユスグレセリ慈悲方便シテ↢凡夫
一切衆生皆度脱スレバ↠名消除スルコトヲ

^ぼんもし西方さいほういたることをれば、 曠劫こうごう塵沙じんじゃつみしょうもうす。 ろく神通じんずうざいながろうびょうのぞじょうはなるº。

凡夫若レバ↠到コトヲ↢西方曠劫塵沙罪消亡 ホロブ
↢六神通↢自在↢老病↡離↢无常

・偈頌 2.正法楽讃(決真宗義)

 ^¬*ぶつほんぎょうきょう¼ による。 ほっしょう

↢¬仏本行経¼↡。 法照

^ªなにものをかこれをづけて*しょうぼうとする。 もし*どうによらばこれ*しんしゅうなり。 好悪こうあくいまときすべからく*けっちゃくすべし。 一々いちいちさい*もうりょうすることなかれ。 しょうぼうよくけん超出ちょうしゅつす。

ヲカ↠之↢正法ラバ↢道理↡是真マコトムネナリ
好悪今スベカラ ベ  ↢決チヤクエラブ一一子細ナカモウクラシリヨウコモルスルコト
正法超↢出世間

^かいぜんしょうぼうづく。 念仏ねんぶつじょうぶつはこれしんしゅうなり。 仏言ぶつごんらざるをばどうづく。 いん*はつするけん*くうとす。 しょうぼうよくけん超出ちょうしゅつす。

持戒・座禅↢正法念仏成仏真宗ナリ
ルヲバ↠取↢仏言↡名↢外道ハチスツスル因果↠空
正法能超↢出

^ぜんりついかんぞこれしょうぼうならん。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいこれしんしゅうなり。 しょうしんさとるはすなはちこれぶつなり。 いかんがどう相応そうおうせざらんº。

ゼンリチ如何 イカン 是正法ナラム念仏三昧是真宗ナリ
↠性ルハ↠心便是仏ナリ如何 イカン 道理不ラム↢相応

・偈頌 3.西方楽讃(西方易証)

 ^¬*弥陀みだきょう¼ による。

↢¬阿弥陀経¼↡。

^ª西方さいほうどうすすむことしゃすぐれたり。 よくおよびじゃなきによつてなり。 じょうぶつにもろもろの善業ぜんごう*いたわしくせず。 だいたんして弥陀みだねんじたてまつる。

0038西方ムコト↠道タリ↢娑婆テナリ↠无キニ↢五欲及邪魔↡
成仏イタハシクセ↢諸善業華台ウルワシシテジタテマツル↢弥陀

^じょくしゅぎょうおお退転たいてんす。 念仏ねんぶつして西方さいほうくにはしかず。 かしこにいたればねんしょうがくる。 かい還来かえりて*しんりょうとならん。

五濁修行退転↣念仏シテニハ↢西方
レバ↠彼自然↢正覚還↢来 カヘ リテ苦界ラムシンリヤウヤナ

^まんぎょうのなかにきゅうようとす。 迅速じんそくなることじょうもんぎたるはなし。 ただほんこんせつのみにあらず。 十方じっぽう諸仏しょぶつともにつたしょうしたまふ。

万行之中為↢キウイソガハシジントシソクナルコトスミヤカ也 ↠過タルハ↢浄土門
アラ↢但本師金口ノミニ十方諸仏共シタマフ

^このかい一人いちにんぶつみなねん0173ずれば、 西方さいほうにすなはちひとつのはちすありてしょうず。 ただいっしょうつねにして退たいならしむれば、 ひとつのはなこのけんかえいたつてむかへたまふとº。

一人念レバ↢仏ミナ西方便↢一蓮↡生
使レバ↢一生常ニシテ不退ナラカヘイタ此間↡迎ヘタマ

・偈頌 4.般舟三昧楽讃(勧発)

 ^¬*般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ による。 *みんしょう

↢¬般舟三昧経¼↡。 慈愍和尚

^ª今日こんにちどうじょう諸衆しょしゅとう恒沙ごうじゃ曠劫こうごうよりすべてかえれり。 この人身にんじんはかるにぐうしがたし。 たとへばどんのはじめてひらくがごとし。

今日道場諸衆恒沙曠劫ヨリスベカヘレリ
ハカルニ↢此人身↡難ゴト↢優曇華ハジメクガ

^まさしくまれにじょうきょうくにもうあへり。 まさしく念仏ねんぶつ法門ほうもんひらけるにもうあへり。 まさしく弥陀みだぜい*ばひたまふにもうあへり。 まさしく大衆だいしゅ信心しんじんありてするにもうあへり。

シクヘリ↢浄土シクマウアヘリ↢念仏法門ヒラケルニ
シクマウアヘリ↢弥陀弘誓ヨバクワンイタマフニシクヘリ↢大衆信心スルニ

^まさしく今日こんにちきょうによりてさんずるにもうあへり。 まさしくちぎり*じょうだいむすぶにもうあへり。 まさしくどうじょう魔事まじなきにもうあへり。 まさしくびょうにしてすべてよくかえれるにもうあへり。

シクヘリ↢今日依↠経ズルニシクヘリムスブニチギリ上華台
0039シクヘリ↣道場キニ↢魔事↡シクヘリ↢无病ニシテレルニ

^まさしく七日しちにちこうじょうじゅするにもうあへり。 じゅうはちがんかならずあひたずさふ。 あまねくどうじょうどうぎょうのひとをすすむ。 *ゆめゆめしんして*帰去来いざいなん

シクヘリ↢七日功成就スルニ四十八願カナラタヅサセイ ケイ
↢道場同行ヒト努力ユメユメ回心シテ帰去来 イザイナム

^借問ふ。 *きょうはいづれのところにかある。 極楽ごくらくいけのうち七宝しっぽううてななり。 かのぶついんちゅうぜいてたまへり。 みなきてわれをねんぜばすべてむかかえらしめん。

借問カル  ニカ極楽中七宝 テナナリ
因中テタマヘリ↢弘誓ゼバ↠我スベラシメム

^びん富貴ふきとをえらばず、 下智げち高才こうざいとをえらばず、 もんじょうかいたもてるとをえらばず、 かい罪根ざいこんふかきとをえらばず。

不↠エラ↣貧窮マサ↢富貴トヲ不↠簡↣下智↢高才↡
不↠簡↣多聞テルトヲ↢浄戒不↠簡↢破戒罪根深

^ただしんしておお念仏ねんぶつせしむれば、 よくりゃくをしてへんじてこがねさんがごとくせしむ。 ことば現前げんぜん大衆だいしゅとう0174す。 同縁どうえんらんひとはやくあひたずねん。

但使レバ↢回心シテ念仏↢瓦礫ヲシテジテサムガゴトクセ↟金
コトバ現前大衆等同縁去スツラムヒトタヅネム

^借問ふ。 いづれのところをあひたずねてかかんと。 こたへていはく、 弥陀みだじょうのうちへ。 借問ふ。 なにによりてかかしこにしょうずることをん。 こたへていはく、 念仏ねんぶつおのづからこうじょうず。

借問タヅネテカカムトコタヘテハク弥陀浄土ウチ
借問テカ↠生ズルコトコタヘテハク念仏オノヅカ↠功

^借問ふ。 こんじょうざいしょうおおし、 いかんぞじょうにあへてあひらんや。 こたへていはく、 みなしょうすればつみしょうめつす、 たとへばみょうとうあんちゅうるがごとし。

借問今生↢罪障↡如何 イカン 浄土アヘラムヤ
スレバ↠名消滅ヘバゴト↣明トウ↢闇中

^借問ふ。 ぼんしょうずることをやいなや、 いかんぞ一念いちねんあんちゅうあきらかならんや。 こたへていはく、 うたがいのぞきておお念仏ねんぶつすれば、 弥陀みだけつじょうしておのづから親近しんごんしたまふº と。

借問凡夫↠生ズルコトイナ如何 イカン 一念闇中アキラカナラムヤ
0040↠疑念仏スレバ弥陀決定シテオノヅカシンゴンシタマフト

・偈頌 5.観経楽讃(追釈勝易)

 ^¬*しんりょう寿じゅかんぎょう¼ による。 ほっしょう

↢¬新无量寿観経¼↡。 法照

^ªじゅうあくぎゃくいたれるにん永劫ようごう沈淪ちんりんして*じんにあり。 一念いちねん弥陀みだみなしょうとくして、 かしこにいたれば、 かえりてほっしょうしんどうずº」 と。

十悪・五逆至レル愚人永劫沈淪シテ↢久塵
一念称↢得シテ弥陀レバ↠彼ズト↢法性身↡」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ロ)憬興¬述文賛¼十文

1.二種因果

【36】^*きょうごうのいはく (*述文賛)

キヤウゴウ

^*如来にょらい広説こうせつふたつあり。 はじめにはひろ如来にょらいじょういん、 すなはち*しょぎょうしょじょうきたまへり。 のちにはひろしゅじょうおうじょういん、 すなはち*しょしょう所益しょやくあらわしたまへるなり」 と。

「如来広説↠二。初メニハキタマヘリ↢如来浄果、即所行・所成↡也。後ニハシタマヘル↢衆生往生因果、即所摂・所益↡也。」

2.弥陀因果

【37】^*またいはく、

^¬*悲華ひけきょう¼ の ªしょさつほんじゅぼんº にいはく、 ª^そのときに、 *宝蔵ほうぞう如来にょらい*転輪てんりんのうめていはく、 «いかないかな、 大王だいおう、 なんぢ西さいほう0175るにひゃくせんまんおくぶつぎてかいあり、 尊善そんぜん無垢むくづく。 かのかいぶつまします、 尊音そんのんおう如来にょらいづく。

「¬悲華経¼諸菩薩本ジユ記品、爾宝蔵如来、讃↢転輪王↡言ハク、善哉善哉、 大王、汝見↢西方↡過ギテ↢百千万億仏土↡有↢世界↡、名↢尊善无垢↡。彼マシマ↠仏、名↢尊音王如来↡。

^いま現在げんざいにもろもろのさつのためにしょうぼうく。 じゅんいつだいじょう清浄しょうじょうにしてまじはることなし。 そのなかのしゅじょう等一とういつしょうす。 また女人にょにんおよびそのみょうなし。 かのぶつかいしょどく清浄しょうじょうしょうごんなり。 ことごとく大王だいおう所願しょがんのごとくしてなけん。 いまなんぢがあざなをあらためてりょう清浄しょうじょうとす»º と。

今現在↢諸菩薩↡説↢於正法↡。 ジユン一大乗清浄ニシテマジワルコト。其衆生、等一化生。亦无↢女人及名字↡。彼仏世界所有功徳、清浄荘厳ナリ。悉クシテ↢大王所願↡无ケム↠異。 アラタメ↢汝↢无量清浄↡。

 ^¬りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にいはく、 ª^ひろくかくのごときだいぜいがんおこして、 みなすでにじょうじゅしたまへり。 けん希有けうなり。 このがんおこしをはりて、 じつのごとくあんじゅうして種々しゅじゅどくそくして、 とく広大こうだい清浄しょうじょうぶつしょうごんしたまへりº」 と。

¬无量寿如来会¼云、広シテ↢如↠是大弘誓願↡、皆已成就シタマヘリ。世間希有ナリ。発↢是↡已、如↠実安住シテ種種功徳具足シテ、荘↢厳シタマヘリト威徳広大清浄仏土↡。」

3.回施功徳

【38】^またいはく (述文賛)

0041

^*ふくごんじょうじゅしたまへるがゆゑに、 *つぶさにひとしくしゅじょうぎょうほどこしたまへるなり。 おのれが所修しょしゅをもつて、 しゅじょうしたまふがゆゑに、 どくじょうぜしめたまへり」 と。

「福智二厳カザリ成就シタマヘルガ、備ツブサニシタマヘルヒトシク衆生↡也。以オノレ所修↡利シタマフガ↢衆生↡故メタマヘリト↢功徳成↡。」

4.宿因聞法

【39】^またいはく (述文賛)

又云

^おんいんによりて、 ぶつもうあひ、 ほうきてきょうすべきがゆゑに」 と。

ジヤクリテ↢久遠↡、マウア↠仏↠法キガ↢慶喜ニト。」

5.正勧往生

017640】^またいはく (述文賛)

又云

^にんしょうに、 くにたえなり。 たれかちからつくさざらん。 ぜんをなしてしょうがんぜよ、 *ぜんによりてすでにじょうじたまへる、 おのづからざらんや。 ゆゑにねんといふ。 せんえらばず、 みなおうじょうしむ。 ゆゑに ªちょじょうº といふ」 と。

「人聖、国ナリタレラム↠尽↠力。作シテ↠善ゼヨ↠生、因↠善ジタマヘル、不ラムヤオノヅカ↟果。故↢自然↡。↠簡↢貴 賎トフトクイヤシ↡、皆シム↢往生↡。故フト↢著无上下↡。」

6.傷嘆重勧

【41】^またいはく (述文賛)

又云

^「ªおうにん こくぎゃく ねん所牽しょけんº と。 ^いんしゅすればすなはちく、 しゅすることなければしょうずることすくなし。 いんしゅしてらいしょうするに、 つひにぎゃくせず。 すなはちおうなり」 と。

「易往而无人其国不逆違自然之所ケンヒク。修レバ↠因、无レバ↠修スルコトズルコトスクナ。修シテ↠因来生スルニ、終↢違逆↡。即易往也。」

7.願力釈

【42】^またいはく (述文賛)

又云

^「ª本願ほんがんりきº といふは、 すなはち*くこと誓願せいがんちからなり。 ª満足まんぞくがんº といふは、 がんとしてくることなきがゆゑに。 ª明了みょうりょうがんº といふは、 これをもとむるにむなしからざるがゆゑに。 ªけんがんº といふは、 えんとしてやぶることあたはざるがゆゑに。 ªきょうがんº といふは、 かならずはたぐるがゆゑに」 と。

「本願力トイコト誓願之力ナリ 満足願故トイトシテキガクルコト 明了願故トイムルニ↠之↠虚カラ 堅固願故トイトシテルガ↠能ヤブルコト 究竟願故トイハタグルガ

8.勝聖共生釈

【43】^またいはく (述文賛)

又云

^そうじてこれをいはば、 *ぼんしょうをしてよくおうじょうこころさしめんとおもふがゆゑに、 すべからくかのすぐれたることをあらわすべし」 と。

総而 スベ ハヾ↠之、欲↠令メムト↣凡小ヲシテスヽム↢欲往生之意↡故、須ク シト↠顕↢彼レタルコトヲ↡。」

9.此土修行釈

【44】^またいはく (述文賛)

又云

^「すでに ª*このにしてさつぎょうしゅすº とのたまへり。 すなはちんぬ、 *じょうおうこのほうにましますことを。 *宝海ほうかいもまたしかなり」 と。

「既ヘリ↢此↡修スト↦菩薩↥。即、无諍王スコトヲ↢於此↡。宝海亦然ナリト。」

10.聞名不退

017745】^またいはく (述文賛)

又云

^ぶつとく広大こうだいくがゆゑに、 退転たいてんるなり」 と。

「聞クガ↢仏威徳広大↡故、得↢不退転↡也。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ハ)宗暁¬楽邦文類¼

・易行捷径

【46】^¬*楽邦らくほう文類もんるい¼ にいはく、

¬ハウ¼云

^総官そうかん*ちょうりんいはく、 ª^仏号ぶつごうはなはだたもやすし、 じょうはなはだやすし。 *八万はちまんせん法門ほうもん、 この*捷径せつけいにしくなし。 ただよく*しょうじん俛仰めんごういとまめて、 つひに永劫ようごう不壊ふえたすけをなすべし。 これすなはちちからもちゐることは、 はなはだにして、 こうおさむることいましくることあることなけん。 しゅじょうまたなんのくるしみあればか、 みづからててせざらんや。

ソウリン反、仏号甚↠持、浄土甚↠往。八万四千0042門、無セフ トキ ケイスヽチ↡。但能メテ↢清ジムアシタ メンノケフス仰之イトマ↡、ツイ↢永劫不壊ヤブルタスケ↡。是ルコトハ↠力シテオサムルコト↠功ケム↠有コト↠尽クルコト。衆生亦何クルシミアレバカミヅカララム

^ああ、 げんにしてしんにあらず。 *寿じゅようにしてたもちがたし。 きゅうのあひだにすなはちこれらいしょうなり。 ひとたび人身にんじんうしなひつれば万劫まんごうにもふくせず。 このときさとらずは、 ぶつもししゅじょうをいかがしたまはん。 ねがはくは、 ふかじょうねんじて、 いたづらに後悔こうかいのこすことなかれと。 じょうらく居士こじちょうりんえんすすむº」 と。

アヽユメグヱンニシテマボロシ  ↠真。寿エウモロシシテタモキウアイダクヰヤウ是来生ナリ。一タビウシナヒツレバ↢人身↡万劫ニモ↠復カヘル。此サト、仏モシ衆生イカガシタマハム。願ジテ↢於无常↡、ナカレトイタヅラノコスコト↢於後悔↡。浄楽居士 オトコ也 ヰルヒト張掄スヽムト↠縁。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ニ)慶文

・念仏勝徳

【47】^*たいきょう (天台)祖師そし山陰さんいん *慶文けいぶんほっ のいはく、

タイ祖師山イン 慶文法師

^「まことにぶつみょう*真応しんおうしんよりしてこんりゅうせるがゆゑに、 慈悲じひかいよりしてこんりゅうせるがゆゑに、 誓願せいがんかいよりしてこんりゅうせるがゆゑに、 智慧ちえかいよりしてこんりゅうせるがゆゑに、 法門ほうもんかいよりしてこんりゅうせるによるがゆゑに、 もしただもつぱらいちぶつみょうごうしょうするは、 す0178なはちこれつぶさに諸仏しょぶつみょうごうしょうするなり。 どくりょうなればよくざいしょうめっす。 よくじょうしょうず。 なんぞかならずうたがいしょうぜんや」 と。

マコトルガ↧仏名↢真応身↡シテ建立セルガ、従↢慈悲海↡シテ建立セルガ、従↢誓願海↡シテ建立セルガ、従↢智慧海↡シテ建立セルガ、従↢法門海↡シテ建立セルニ↥故、若但専スルハ↢一仏名号↡、則是具スルナリ↢諸仏名号↡。功徳无量ナレバ↢罪障↡。能↢浄土↡。何ゼム↠疑。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ホ)元照¬観経義疏¼¬阿弥陀経義疏¼計七文

1.信心正因

【48】^りっしゅう祖師そし*がんじょうのいはく (*観経義疏)

律宗祖師元照

^「いはんやわがほとけだいじょうかいして慇懃おんごんにあまねく*しょだいじょう勧嘱かんぞくしたまへり。 みみきてことにほうしょうじて、 みづからあまちんにゃくして*超昇ちょうしょうねがはず。 如来にょらいきて*憐憫れんびんすべきもののためにしたまへり。 まことにこのほうひと*じょうことなることをらざるによりてなり。

イハン大慈、開↢示シテ浄土オンゴン勧↢スヽメ ツゲテシタマヘリ諸大乗↡。目コトジテ↢疑謗↡、ミヅカアマニヤクオボルシテネガ↢超昇↡。如来説ニシタマヘリ↧可レンアワレミ ビンアワレム↥。マコトテナリ↠不ルニ↠知↣此ヒトコトニナルコトヲ↢常途ミチ↡。

^けんえらばず、 *緇素しそえらばず、 しゅぎょうごんろんぜず、 造罪ぞうざい重軽じゅうきょうはず、 ただけつじょう信心しんじんすなはちこれおうじょう因種いんしゅならしむ」 と。

不↠エラ↢賢カシコシ↡、不↠簡ソウナリ オトコナリ、不↠論↢修行久近↡、↠問↢造罪重軽↡、但ムト↢決定信心即往生因種ナラ↡。

2.此法無魔

【49】^またいはく (観経義疏)

又云

^「いまじょう諸経しょきょうにならびにをいはず。 すなはちんぬ、 このほうなきことあきらけしと。 山陰さんいん*慶文けいぶんほっの ª*しょうしん法門ほうもんº にこれをべんずること、 はなはだつまびらかなり。 いまためにつぶさにかのといきていはく、

「今浄土諸経ナラビ↠言↠魔。即コト↠魔明ケシト矣。山陰慶文法0043正信法門ワキマウズルコト↠之ツマビラカナリ。今為↢彼↡曰

^ªあるいはひとありていはく、 «りんじゅうぶつさつひかりはなち、 うてなしたまへるをたてまつり、 天楽てんがくきょう来迎らいこうおうじょうす。 ならびにこれ魔事まじなり» と。 このせついかんぞや。

イハ↠人云、臨終タテマツリ↢仏・菩薩↠光、持シタマヘルヲ↟台、天楽異香来迎往生。並是魔事ナリト。此説如何ゾヤ

^こたへていはく、 ¬*しゅりょうごん¼ によりて三昧さんまいしゅじゅうすることあり。 あるいは*おん発動ほつどうす。 ¬*摩訶まかえんろん¼ によりて三昧さんまいしゅじゅうすることあり0179、 あるいは*外魔げま (てんをいふなり)発動ほつどうす。 ¬*かんろん¼ によりて三昧さんまいしゅじゅうすることあり、 あるいは*時魅じみ発動ほつどうす。

ヘテ、有↧依↢¬首楞厳¼↡修↦ジウスルコト三昧発↢動陰魔↡。有↧依リテ↢¬摩訶衍論¼↡修↦習スルコト三昧↥、或イハ発↢動外魔↡。↢天魔↡也↧依↢¬止観論¼↡修↦習スルコト三昧↥、或イハ発↢動ガクヰ↡。

^これらならびにこれぜんじょうしゅするひと、 そのりきやくしてまづしゅあり、 さだめてぎゃくほつかぶるがゆゑにこのげんず。 もしよくあきらかにりておのおのたいもちゐれば、 すなはちよく除遣じょけんせしむ。 もし*しょうさとりをなせば、 みなしょうかぶるなりと。 かみにこのほうにゅうどうかす、 すなはち魔事まじほっす。

是修スル↢禅定↡人、ヤクヨルシテ↢其自力↡先↢魔種↡、カブルガ↢定ギヤク ウツ ↡故↢此↡。リテレバ↢対治↡、即ノゾク ケンツカハスセシム。若セバ↢聖サトリ↡、皆カブルナリト↢魔障↡。↢此入道↡則↢魔事↡。

^いま所修しょしゅ念仏ねんぶつ三昧ざんまいやくするに、 いまし仏力ぶつりきたのむ。 帝王たいおうちかづけばあへて干犯おかすものなきがごとし。 けだし弥陀みだぶつだい慈悲じひりきだい誓願せいがんりきだい智慧ちえりきだい三昧さんまいりきだいじんりき*だい摧邪さいじゃりき*だいごうりき*天眼てんげん遠見おんけんりき*てん遥聞ようもんりき*しん徹鑑てっかんりきこうみょうへんじょう摂取せっしゅしゅじょうりきましますによりてなり。

ヤクツクスルニ↢所修念仏三昧↡、乃タノ↢仏力↡。如↧近ケバ↢帝王↡無キガアエ干犯 ヲカ スモノ↥。ケダテナリ↣阿弥陀仏マシマスニ↢大慈悲力・大誓願力・大智慧力・大三昧力・大威神力・大サイクダク邪力・大降魔力・天眼オン見力・天耳エウ聞力・他心テチトヲリ カンカガム力・光明徧照摂取衆生力↡。

^かくのごときらの不可ふか思議しぎどくちからまします。 あに念仏ねんぶつひと護持ごじして、 りんじゅうときいたるまでしょうなからしむることあたはざらんや。

マシマ↢如↠是クノ不可思議功徳之力↡。アニラム↠能↧護↢持シテ念仏之人↡、至マデ↢臨終↡令ルコト↞無↢障サワル

^もし護持ごじをなさずは、 すなはち慈悲じひりきなんぞましまさん。 もししょうのぞくことあたはずは、 智慧ちえりき三昧さんまいりきじんりき摧邪さいじゃりきごうりき、 またなんぞましまさんや。 もし鑑察かんざつすることあたはずして、 さわりをなすことをかぶらば、 天眼てんげん遠見おんけんりきてん遥聞ようもんりきしん徹鑑てっかんりき、 またなんぞましまさんや。

↢護持、則慈悲力何マシマサム。若↠能↠除コト↢魔障、智慧力・三昧力・威神力・摧邪力・降魔力、復何サム。若シテ↠能カンカヾム ザチカヾムスルコト↡、カブ↢魔スコトヲ↟障、天眼遠見力・天耳遥聞力・他心徹鑑力、復何サム

^¬きょう¼ (観経) にいはく、 «^弥陀みだぶつ0180相好そうごうこうみょうあまねく十方じっぽうかいらす。 念仏ねんぶつしゅじょうをば摂取せっしゅしててたまはず» (意) と。 ^もし念仏ねんぶつしてりんじゅうしょうかぶるといはば、 こうみょうへんじょう摂取せっしゅしゅじょうりき、 またなんぞましまさんや。 いはんや念仏ねんぶつひとりんじゅう感相かんそうしゅきょうよりでたり。 みなこれぶつみことなり。 なんぞへんしてきょうとすることをんや。 いまためにじゃけっす。 まさにしょうしんしょうずべしº」 と。 以上彼文

¬経¼云、阿弥陀仏相好光明徧↢十方世界↡。念仏衆生ヲバ摂取シテ↠捨タマハ。若↣念仏シテ0044ブルト↢魔障、光明徧照摂取衆生力、復何イハン念仏臨終カムカヾム相、出タリ↠自↢衆経↡。皆是仏ミコトナリ。何ヘンオトシムシテルコトヲ↢魔境サカイ。今為決↢破邪疑↡。当シト↠生↢正信↡。」 已上彼文

3.法体円成

【50】^また がんじょうりっの ¬*弥陀みだきょう¼ のもん いはく、

昭律師¬弥陀経義¼文

^*いちじょうごくしょう*しゅうことごとく*楽邦らくほうす。 まんぎょう円修えんしゅさいしょうひと*ごうゆずる。 まことにもつていんよりがんつ。 こころざしぎょうきわめ、 *塵点じんでんごう*済衆さいしゅにんいだけり。 *芥子けし*捨身しゃしんところにあらざることなし。 *悲智ひちろくせっしてもつてのこすことなし。 *ないりょうざいもとむるにしたごうてかならずおうず。 えんじゅくし、 ぎょうまんこうなり、 いちまどかに三身さんしんしょうす。 万徳まんどくすべて*四字しじあらわる」 と。

「一乗シヤウトナフ、終コトゴト↢楽ハウクニ↡。万行円修、最勝ユヅ↢果号↡。↠因↠願↠志キワ↠行ヂンデンシルスイダケリサイタスク衆之仁アワレミ↡。無ルコト↢捨身之処↡。悲智六度摂化シテノコスコト。内外両財シタガ↠求ムル。機エンジユク、行満功成、一時↢於三身↡。万徳スベアラハルト↢於四字↡。」

4.至徳具徳

【51】^またいはく (阿弥陀経義疏)

又云

^「いはんやわが弥陀みだをもつて*ものせっしたまふ。 ここをもつてみみくちじゅするに、 へんしょうとく*識心しきしん*らんにゅうす。 なが仏種ぶっしゅとなりてとんおくこうじゅうざいのぞき、 じょうだい獲証ぎゃくしょうす。 まことにんぬ、 しょう善根ぜんごんにあらず、 これどくなり」 と。

イハン弥陀↠名シタマフ↠物ヨムスルニ、无辺聖徳ラン↢ トル ミルトモ識心↡。永リテ↢仏種↡頓 トシ ニワカニ↢億劫重罪↡、ギヤク ウル ↢証カナウ无上菩提↡。↢少善根↡、是多功徳也。」

5.臨終勝益

018152】^またいはく (阿弥陀経義疏)

又云

^しょうねんのなかに、 凡人ぼんにんりんじゅう*識神しきじんあるじなし。 善悪ぜんあく業種ごうしゅ発現ほつげんせざることなし。 あるいは悪念あくねんおこし、 あるいは邪見じゃけんおこし、 あるいは*れんしょうじ、 あるいは猖狂しょうきょう悪相あくそうほっせん。 もつぱらみな顛倒てんどういんづくるにあらずや。 さきぶつじゅしてつみめっし、 さわりのぞこり、 じょうごううちくんじ、 こうほかせっして、 まぬからくることいっせつのあひだなり。 *しももんしょうすすむ、 そのここにあり」 と。

「正念、凡人臨終、識神无。善悪業種無↠不ルコト↢発現↡。或↢悪念↡、或↢邪見↡、或 ケ ツナグ レン↡、シタウ コウトモセムシヤウクワウクルウ悪相↡。非ズヤモハクルニ↢顛倒↡。前ジユシテ↠仏罪滅コリ、浄業内、慈光外シテ ヌカ↠苦コト↠楽一刹那ナリ。下↠生、其利在リト↠此。」

6.古釈勧信

【53】^(元照観経義疏)

^*うんほっ 天竺てんじくじゅんしき のいはく、 ª^ただあんにょうじょうごう*捷真せっしんなり、 しゅすべし。 もししゅありて、 またすみやかにみょうし、 ながぎゃくじゅうあく重軽じゅうきょうとうつみめっせんとおもはば、 まさにこのほうしゅすべし。 ^*だいしょう戒体かいたいとおくまた清浄しょうじょうなることをしめ、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいしめ、 さつしょ波羅はらみつじょうじゅせんとおもはば、 まさにこのほうがくすべし。

「慈0045雲法師 天竺寺遵式、唯安養浄業セチトシナリ、可↠修。若↢四衆↡、欲ハヾ ヤカ↢无明↡、永セムト↦五逆・十悪重軽等↥、当↠修↢此↡。欲ハヾシメ↢大小戒体、遠復清浄ナルコトヲ↡、シメ↢念仏三昧↡、成↦ 就セムトツク ナルトモ菩薩諸波羅蜜↥、当↠学↢此↡。

^*りんじゅうにもろもろの怖畏ふいはなれしめ、 身心しんしんあんにしてしゅしょう現前げんぜんし、 授手じゅしゅしょういんせらるることを、 はじめて*塵労じんろうはなれてすなはち退たいいたり、 じょうごうず、 すなはちしょうんとおもはば、 まさにこのほうとうがくすべしº と。 ^*けんほうによくしたがふことなからんや。

ハヾ↧臨終レシメ↢諸オソレ オソル↡、身心安快ニシテ衆聖現前、授サヅケ手接引セラルルコトヲ↥、初メテレテ↢塵労イタワシ↡便↢不退↡、↢長劫↡、即ムト↩无生↨、当↠学↢此法等↡。古賢カシコシ法語ラムシタガフコト

^じょうもん綱要こうよう略標りゃくひょうす。 自余じよつくさず、 くはしくしゃくもんにあり。

已上五門、略↢ヘウアラハスカウツナ↡。自余ツククワシク↢釈文↡。

^¬*開元かいげん0182蔵録ぞうろく¼ をあんずるに、 この ¬きょう¼ におほよそりょうやくあり。 前本ぜんぽんはすでにもうじぬ。 いまのほんはすなはち*畺良きょうりょうしゃやくなり。 ¬*僧伝そうでん¼ にいはく、 ª畺良きょうりょうしゃはここにはしょうといふ。*そうげんはじめに、 *きょうおうはじめたり。 *文帝ぶんていのときº」 と。

ズルニ↢¬開グヱン蔵録シルス¼↡、此¬経¼凡↢両ヤク↡。前本ジヌ。今キヤウ邪舎ナリ。¬僧伝¼云、畺良邪舎コヽニハ↢時称↡。ソウ元嘉メニハジメタリ↢于キヤウオウムラ↡。文帝ノトキ。」

7.結嘆 ・遵式

【54】^*うん じゅんしきなりさんにいはく、

慈雲 遵式也

^*りょうのなかのりょうなり。 *円頓えんどんのなかの円頓えんどんなり」 と。

「了義了義ナリ円頓円頓ナリト

7.結嘆 ・元照

【55】^だい がんじょうりっなり となへていはく (元照観経義疏)

大智 元照律師也 トナヘテ

^*円頓えんどんいちじょうなり。 じゅんいつにしてぞうなし」 と。

「円頓一乗ナリモハラニシテシトザウ

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ヘ)戒度¬観経義疏正観記¼

・仏名万徳

【56】^りっしゅう*かい がんじょう弟子でしなり のいはく (*正観記)

律宗戒度 元照之弟子也

^ぶつみょうはすなはちこれこうんで*薫修くんじゅし、 その万徳まんどくる、 すべて四字しじあらわる。 このゆゑにこれをしょうするにやくること、 あさきにあらず」 と。

「仏名ンデ↠劫薫修↢其万徳↡、↢四字↡。是ルニ↠之ルコト↠益ズトアサキニ。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ト)用欽二文

1.功徳具足

【57】^*りっしゅう*用欽ようきん がんじょう弟子でしなり のいはく、

律宗用欽ヨウキム 元照之弟子也

^「いまもしわがしんをもつていちぶつごうしょうねんすれば、 すなはちいんよりいたるまで、 りょうどくそくせざることなし」 と。

「今若↢我心口↡称↢念スレバ一仏ヨキ↡、則↠因至マデ↠果、无量功徳无シト↠不ルコト↢具足↡。」

2.不思議功徳

【58】^またいはく、

0046

^一切いっさい諸仏しょぶつ*じんごう実相じっそうりょうして、 *一切いっさいざるがゆゑに、 *そう大願だいがんおこして、 *しゅするに妙行みょうぎょうじゅうすることなし。 しょうするに0183だいることなし。 じゅうするにこくしょうごんするにあらず。 げんずるに神通じんずう神通じんずうなきがゆゑに、 *舌相ぜっそう大千だいせんにあまねくしてせつせつしめす。 ゆゑにこのきょう勧信かんしんせしむ。 あにこころおもひ、 くちはかるべけんや。

「一切諸仏、歴↢微塵劫↡了↢悟シテ実相↡、不ルガ↢一切↡故、発シテ↢无相大願↡、修スルニ↠住ルコト↢妙行↡。証スルニ↠得コト↢菩提↡。住スルニ↣荘↢厳スルニ国土↡。現ズルニキガ↢神通之神通↡故、舌相アマネクシテ↢於大千シメ↢无説之説↡。故勧↢信セシム↡。アニケム↢心ハカ

^わたくしにいはく、 諸仏しょぶつ思議しぎどくしゅ弥陀みだ*ほうしょうごんおさむ。 *みょうぎょうほうはかの諸仏しょぶつのなかに、 またすべからく弥陀みだおさむべきなり」 と。

ワタクシ諸仏不思議功徳、須臾オサ↢弥陀二報荘厳↡。持名行法諸仏、亦須↢於弥陀↡也。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(チ)嘉祥¬観経義疏¼

・無量功徳

【59】^三論さんろん祖師そし*じょうのいはく (*観経義疏)

三論祖師嘉ジヤウ

^ふ。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいはなにによりてか、 よくかくのごときざいめっすることをるやと。 ^していはく、 ぶつりょうどくいます。 ぶつりょうどくねんずるがゆゑに、 りょうつみめっすることをしむ」 と。

「問。念仏三昧テカ、能↠滅スルコトヲ↢如↠此多罪シテサトス 、仏イマ↢无量功徳↡。念ズルガ↢仏无量功徳↡故シムト↠滅スルコトヲ↢无量↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(リ)法位¬大経義疏¼

・称名称徳

【60】^法相ほっそう祖師そし*ほうのいはく (*大経義疏)

法相祖師法位

^諸仏しょぶつはみなとくほどこす。 しょうするはすなはちとくしょうするなり。 とくよくつみめっふくしょうず。 もまたかくのごとし。 もしぶつみょうしんずれば、 よくぜんしょうあくめっすることけつじょうしてうたがいなし。 称名しょうみょうおうじょうこれなんのまどひかあらんや」 と。

「諸仏皆徳ホドコス↠名。称スルハ↠名スルナリ↠徳。徳能↠罪↠福。名亦如↠是。若レバ↢仏名↡、能↠善スルコト↠悪決定シテ。称名往生此有ラムヤト↢何マドヒ↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅴ)(a)(ヌ)飛錫¬念仏三昧宝王論¼

・三昧王

【61】^ぜんしゅう*しゃくのいはく (*念仏三昧宝王論)

禅宗シヤク

^念仏ねんぶつ三昧ざんまいぜん、 これさいじょうなり。 まんぎょう元首げんしゅなるがゆゑに、 三昧さんまいおうといふ」 と。

「念仏三昧善、コレ最上ナリ。万行ハジメ カウベナルガ、曰フト↢三昧王↡焉。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅵ)横川引意(¬往生要集¼四文)
                (a)念仏証拠門

1.衆機斉入

018462】^¬*おうじょうようしゅう¼ (下) にいはく、

¬往生要集¼云

^¬双巻そうかんぎょう¼ (大経・下)三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかるにつうじてみな ª一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつº といへり。

「¬サウ巻経¼三パイトモガラ之業、雖↠有↢浅深↡、然ルニジテ皆云ヘリ↢一向専念无量寿仏↡。

^つにじゅうはちがんのなかに、 念仏ねんぶつもんにおいてべっしてひとつのがんおこしてのたまはく、 ªないじゅうねん にゃくしょうじゃ しゅしょうがくº と。

四十八願、於↢念仏門↡別シテシテ↢一↡云ハク、乃至十念若0047不生者不取正覚

^つに ¬かんぎょう¼ には ªごくじゅう悪人あくにん方便ほうべんなし。 ただ弥陀みだしょうして極楽ごくらくしょうずることをº」 と。

¬観経ニハ¼極重悪人无↢他方便↡。唯称シテ↢弥陀↠生ズルコト↢極楽↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅵ)(b)正修念仏門

2-1.六種功徳

【63】^またいはく (往生要集・上)

又云

^¬*しんかんぎょう¼ の六種ろくしゅどくによるべし。 ひとつにはじょうだいどくでんふたつにはじょうだい恩徳おんどくつにはそくそくおよびそくしゅじょうのなかのそんなり。 つにはきはめてぐうしがたきこと、 どんのごとし。 いつつにはひと三千さんぜん大千だいせんかいでたまふ。 つにはしゅっけん*どく円満えんまんせり。 つぶさにかくのごときらの六種ろくしゅどくによる。 つねによく一切いっさいしゅじょうやくしたまふ」 と。

「応↠依↢¬心地観経¼↡六種功徳↡。一ニハ无上大功徳田、二ニハ无上大恩徳、三ニハ无足タル・二足及以 オヨビ 衆生ナリ。四キコトアフ↡如↢優曇華↡。五タマフ↢三千大千界↡。六世・出世間功徳円満セリ。義依ツブサ↠此六種功徳↡。常利↢益シタマフト一切衆生↡。」

2-2.六応念

【64】^この六種ろくしゅどくによりてしんしょう (*源信) のいはく (往生要集・上)

↢此六種功徳↡、信和尚

^ひとつにはねんずべし、 *いっしょう南無なもぶつかいじょう仏道ぶつどうのゆゑに、 われじょうどくでんみょうらいしたてまつる

「一ニハ↠念、一称南无仏皆已成仏道帰↢命シタテマツル↣无上功徳田↡。

^ふたつにはねんずべし、 げんをもつてしゅじょうそなはすこと、 びょうどうにしていっのごとし。 ゆゑにわれごくだい慈悲じひみょうらいしたてまつる。

↠念、慈眼ヲモテミソナハスコト↢衆生↡、平等ニシテ↢一子↡。故帰↢命シタテマツル↣極大慈悲母↡。

^つにはねん0185ずべし、 十方じっぽうしょだい弥陀みだそんぎょうしたてまつるがゆゑに、 われ*じょうりょうぞくそんみょうらいしたてまつる。

↠念、十方諸大士恭↢敬シタテマツルガ弥陀尊ユヘ帰↢命シタテマツル↣无上両足尊↡。

^つにはねんずべし、 ひとたびぶつみょうくことをること、 どんよりもぎたり。 ゆゑにわれ*極難ごくなんぐうしゃみょうらいしたてまつる。

↠念、一タビコト↠聞コトヲ↢仏名↡、過ギタリリモ↢優曇華↡。故帰↢命シタテマツル↣極難値遇者↡。

^いつつにはねんずべし、 いっぴゃくていかいにはそんならんででたまはず。 ゆゑにわれ希有けう大法だいほうほうみょうらいしたてまつる。

↠念、一百倶テイニハ二尊ナラビヤウンデデタマハ↡。故我帰↢命シタテマツル↣希有大法王↡。

^つにはねんずべし、 仏法ぶっぽう衆徳しゅとくかいさんおなじく一体いったいなり。 ゆゑにわれ*えんにゅう万徳まんどくそんみょうらいしたてまつる」 と。

↠念、仏法衆徳海三世同ジク一体ナリ。故帰↢命シタテマツルト↣円万徳尊↡。」

3.一念大利

【65】^またいはく (往生要集・上)

又云

^*波利はりしっじゅはな一日いちにちころもくんずるに、 *瞻蔔せんぶく*波師迦はしか千歳せんざいくんずといへども、 およぶことあたはざるところなり」 と。

「波利シチ多樹、一日薫ズルニ↠衣センミル蔔華・波師迦華、雖↢千歳薫ズト↡、所0048ナリ↠不↠能↠及ブコト。」

4.悪機得生

【66】^またいはく (往生要集・下)

又云

^一斤いっこんせきじゅう、 よく千斤せんごんあかがねへんじてこがねとなす。

「如↧一コンジフ、能ジテ↢千斤アカガネ↠金

^雪山せっせんくさあり、 づけて忍辱にんにくとす。 うしもしじきすればすなはちだい

雪山↠草、名↢忍辱スレダイ

^尸利しりしゃ昴星ぼうせいればすなはちじついだすがごとし」 と。

利沙見レババウセイ↡則スガ↦菓ハナ↥。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)吉水引意(¬選択集¼二文)
                (a)正しく集文を引く

1.念仏為本

【67】^¬*せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう¼ *源空げんくうしゅう にいはく、

¬選択本願念仏集¼ 源空集

^南無なも弥陀みだおうじょうごう念仏ねんぶつほんとす」 と。

「南无阿弥陀仏 往生之業念仏↠本

2.三選之文

【68】^またいはく (選択集)

又云

^それすみやかにしょうはなれんとおもはば、 しゅ0186しょうぼうのなかに、 しばらくしょうどうもんさしおきて、 えらんでじょうもんれ。 じょうもんらんとおもはば、 しょうぞうぎょうのなかに、 しばらくもろもろのぞうぎょうなげうちて、 えらんで正行しょうぎょうすべし。 正行しょうぎょうしゅせんとおもはば、 しょうじょごうのなかに、 なほ助業じょごうかたわらにして、 えらんで正定しょうじょうをもつぱらにすべし。

カニハヾ↠離ムト↢生死↡、二種勝法シバラサシオキテ↢聖道門↡、選↢浄土門↡。欲ハヾ↠入ラム↢浄土門↡、正雑二行ナゲウチテ↢諸雑行↡、選↠帰↢正行↡。欲ハヾ↠修セムト↢於正行↡、正助二業ナホカタワラニシテ↢於助業↡、選↠専↢正定↡。

^正定しょうじょうごうとはすなはちこれぶつみなしょうするなり。 称名しょうみょうはかならずしょうずることをぶつ本願ほんがんによるがゆゑに」 と。

正定之業是称スルナリ↢仏↡。称名↠生ズルコト。依ルガ↢仏本願↡故ニト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(b)略釈

【69】^あきらかにんぬ、 これ*ぼんしょうりきぎょうにあらず。 ゆゑにこうぎょうづくるなり

是非↢凡聖自力之行↡。故↢不回向之行↡也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(c)勧帰
                  (イ)正勧

・念仏成仏釈

^*だいしょうしょうにん重軽じゅうきょう悪人あくにん、 みなおなじくひとしくせんじゃくだい宝海ほうかいして念仏ねんぶつじょうぶつすべし。

大小聖人・重軽悪人、ジクヒトシク↧帰シテ↢選択大宝海↡念仏成仏↥。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅶ)(c)(ロ)引証(¬論註¼)

・同一念仏

【70】^ここをもつて ¬ろんちゅう¼ (下) にいはく、

¬論¼曰

^かの安楽あんらくこくは、 弥陀みだ如来にょらいしょうがくじょうしょうするところにあらざることなし。 同一どういつ念仏ねんぶつしてべつみちなきがゆゑに」 とのたまへり。

「彼安楽国土↠非ザルコト↣阿弥陀如来正覚浄華之所↢化生スル↡。同一念仏シテキガ↢別道↡故ニトノタマヘリ。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)釈成
              (ⅰ)行信の利益を明かす【行信利益】

1.正説

【71】^しかれば、 真実しんじつぎょうしんれば、 こころかんおおきがゆゑに、 これをかんづく。 これをしょたとふることは、 しょしょうじゃ、 なほ睡眠すいめんらんなれどもじゅういたらずいかにいはんや十方じっぽうぐんじょうかいこのぎょうしん0187みょうすれば摂取せっしゅしててたまはず。 ゆゑに弥陀みだぶつづけたてまつると。 これをりきといふ。

↢真実行信、心キガ↢歓喜↡故↢歓喜地↡。是ルコト↢初果、初果聖者、ナホ睡眠ナレドモ↠至↢二十九有↡。 ハン十方群生海、帰↢命スレ0049行信摂取シテ不↠捨テタマハ。故ケタテマツルト↢阿弥陀仏↡。是↢他力↡。

2.引証

^ここをもつてりゅうじゅだいは 「*そくにゅうひつじょう(易行品) といへり。 曇鸞どんらんだいは 「*にゅう正定しょうじょうじゅじゅ(論註・上) といへり。 あおいでこれをたのむべし。 もつぱらこれをぎょうずべきなり。

龍樹大士ヘリ↢「即時入必定」↡。曇鸞大師ヘリ↢「入正定聚之数」↡。仰イデタノ↠斯。専↠行↠斯也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)行信の交際を弁ず【両重因縁

1.正釈

【72】^まことにんぬ、 *徳号とくごう慈父じぶましまさずは*のうしょういんけなん。 こうみょう悲母ひもましまさずは*しょしょうえんそむきなん。 能所のうじょ因縁いんねんごうすべしといへども、 信心しんじん*業識ごっしきにあらずはこうみょういたることなし。 真実しんじつしん業識ごっしき、 これすなはち内因ないいんとす。 こうみょうみょう父母ぶも、 これすなはちえんとす。 ない因縁いんねんごうしてほう真身しんしんとくしょうす。

マシマサズ↢徳号慈父↡能生クヱチケナムマシマサズ↢光明悲母↡所生ソムキナム。能所因縁雖↠可↢和合↡、非ズハ↢信心業識↡无↠到コト↢光明土↡。真実信業識、↢内因↡。光明・名父母、斯則為↢外縁↡。内外因縁和合シテ得↢証報土真身↡。

2.引証

^ゆゑにしゅう (善導) は、 「こうみょうみょうごうをもつて十方じっぽうせっしたまふ、 ただ信心しんじんをしてねんせしむ」 (礼讃) とのたまへり。 ^また 「念仏ねんぶつじょうぶつこれしんしゅう(*五会法事讃) といへり。 ^また 「しんしゅうひがたし」 (*散善義) といへるをや、 ^るべしと。

宗師ヘリ↧「以↢光明・名号↡摂↢化シタマフ十方↡、但使ムト↦信心ヲシテ求念。」又云ヘリ↢「念仏成仏是真宗」↡、又云ルヲ↢「真宗ガタシト↟遇、可シト↠知

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)行信一念を明かす【行一念釈】
                (a)総標

【73】^おほよそ往相おうそうこうぎょうしんについて、 ぎょうにすなはち一念いちねんあり、 またしん一念いちねんあり。

イテ↢往相回向行信↡、行↢一念↡、亦信↢一念↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)別釈
                  (イ)正しく一念を釈す
                    [一]正釈
                      [Ⅰ]直釈

^ぎょう一念いちねんといふは、 いはく、 称名しょうみょう遍数へんじゅについてせんじゃくぎょうごく顕開けんかいす。

↢行之一念↢称名徧数↡顕↢開選択易行至極↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ]出文
                        [ⅰ]正出
                          [a]¬大経¼

018874】^ゆゑに ¬*大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

¬大本¼言

^ぶつろくかたりたまはく、 ªそれかのぶつみょうごうくことをて、 かんやくしてない一念いちねんせんことあらん。 まさにるべし、 このひとだいとす。 すなはちこれじょうどくそくするなりº」 と。

「仏語リタマハク↢弥勒↡、ラム↧得↠聞クコト↢彼名号↡、歓喜踊躍シテ乃至一念セムコト↥。当↠知、此↠得↢大利↡。則是具↢足スルナリト无上功徳↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][b][d](終南)

【75】^こうみょうしょう (善導) は 「下至げし一念いちねん(散善義・意) といへり。 また 「いっしょう一念いちねん(礼讃) といへり。 また 「専心せんしん専念せんねん(散善義・意) といへり。

光明寺和尚ヘリ↢「下至一念」↡。又云ヘリ↢「一声一念」↡。又云ヘリ↢「専心専念」↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][e]¬集諸経礼懴儀¼

【76】^しょうの ¬*しゅうしょきょう礼懴らいさん¼ のかんにいはく、

0050昇師¬集諸経礼懴儀¼下巻

^深心じんしんはすなはちこれ真実しんじつ信心しんじんなりしんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼん善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんしてたくでずとしんす。 いま弥陀みだほんぜいがんは、 みょうごうしょうすること*下至げしじっしょうもんとうおよぶまで、 さだめておうじょうしむとしんして一念いちねんいたるにおよぶまでしんあることなし。 ゆゑに深心じんしんづく」 と。

「深心是真実信心ナリ。信↧知自身是具↢足セル煩悩↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転シテ三界↞出↢火宅↡。信↪知シテ弥陀本弘誓願オヨブマデ↧称スルコト↢名号↡下至十聞等↥、定シムト↩往生↨、及マデ↠至↢一念↡无↠有コト↢疑心↡。故クト↢深心↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]解釈
                          [a]乃至を釈す

【77】^¬きょう¼ (大経)ない」 といひ、 しゃく (散善義) に 「下至げし」 といへり。 ないそのことばことなりといへども、 そのこころこれひとつなり。 ^またないとは*いっ包容ほうようことばなり

↢「乃至」↡、釈ヘリ↢「下至」↡。乃下其↠異ナリト、其コレ一也。復乃至一多ハウカヌヨウイルヽコトバナリ

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]大利無上を釈す

^だい」 といふはしょうたいせるのことばなり。じょう」 といふはじょうたいせるのことばなり。 まことにんぬ、 だいじょういちじょう真実しんじつやく0189なり。 しょうじょうはすなはちこれ八万はちまんせんもんなり。

↢大利セル↢小利↡之ナリ。言↢无上セル↢有上↡之言也。マコト大利无上一乗真実之利益也。小利有上是八万四千カリニ門也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][c]一念を釈す

^しゃく (散善義) に 「専心せんしん」 といへるはすなはち一心いっしんなり、 しんなきことをあらわすなり。 専念せんねん」 といへるはすなはちいちぎょうなり、 ぎょうなきことをあらわすなり。

ヘル↢専心一心ナリアラハ↠无キコトヲ↢二心↡也。云ヘル↢専念一行ナリ、形ハス↠无キコトヲ↢二行↡也。

^いまろくぞくの 「一念いちねん」 はすなはちこれいっしょうなり。 いっしょうすなはちこれ一念いちねんなり。 一念いちねんすなはちこれいちぎょうなり。 いちぎょうすなはちこれ正行しょうぎょうなり。 正行しょうぎょうすなはちこれしょうごうなり。 しょうごうすなはちこれしょうねんなり。 しょうねんすなはちこれ念仏ねんぶつなり。 すなはちこれ南無なも弥陀みだぶつなり。

今弥勒付嘱之一念是一声ナリ。一声即是一念ナリ。一念即是一行ナリ。一行即是正行ナリ。正行即是正業ナリ。正業即是正念ナリ。正念即是念仏ナリ。則是南无阿弥陀仏也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(イ)[二]結嘆

【78】^しかれば、 だい願船がんせんじょうじてこうみょう広海こうかいうかびぬればとくかぜしずかにしゅなみてんず。 すなはちみょうあんし、 すみやかにりょうこうみょういたりてだいはつはんしょうす、 げんとくしたがふなり、 るべしと。

ジテ↢大悲願船ウカビヌレバ↢光明広海↡、至徳シヅカクワワザワイ。即↢无明↡、 ヤカ↢无量光明土↡証↢大般涅槃↡、シタガジユン↢普賢之徳↡也、可シト↠知

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)(ロ)因みに十念を釈す

【79】^¬安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、

¬安楽集¼云

^じゅうねん相続そうぞくとは、 これ*しょうじゃひとつのかずならくのみ。 すなはちよくねんみ、 おもいらして他事たじえんぜざれば、 業道ごうどうじょうべんせしめてすなはちみぬ。 また*いたわしくこれがしゅせざれと。 またいはく、 もしぎょうひとねんは、 おおくこれによるべし。 もしぎょうひとねんは、 かずする、 また。 これまた聖教しょうぎょうによるなり」 と。

「十念相続、是聖者之名ナラクノミ。即↠念コラシテ↠思0051レバ↠縁↢他事↡、使メテ↢業道成スナハチ便スナハミヌ。亦不レトイタハシク↢之ハシ↡也。又、若久行、多↠依↠此。若ハジメ、記スル↠数。此亦依ルナリト↢聖教↡。」

一 Ⅰ ⅱ b 結示

019080】^これすなはち真実しんじつぎょうあらわ明証みょうしょうなり。

斯乃↢真実↡明証ナリ

一 Ⅰ ⅱ 結嘆

^まことにんぬ、 せんじゃく摂取せっしゅ本願ほんがんちょう希有けう勝行しょうぎょう*えんにゅうしんみょうしょうぼうごく無礙むげだいぎょうなり、 るべしと。

マコト選択摂取之本願、超世希有之勝行、円融真妙之正法、至極无之大行也、可シト↠知

要義を追釈する【追釈】
    他力を釈す【他力釈】
      正標

【81】^りきといふは如来にょらい本願ほんがんりきなり。

↢他力如来本願力也。

一 Ⅱ ⅰ 引証
        ¬論註¼利行満足章
          (一) 略明

・標示本願力

【82】^¬論¼ (論註・下) にいはく、

¬論¼曰

^本願ほんがんりきといふは、 *だいさつ法身ほっしんのなかにして、 つねに三昧さんまいにましまして、 種々しゅじゅしん種々しゅじゅ神通じんずう種々しゅじゅ説法せっぽうげんじたまふことをしめす。 みな本願ほんがんりきよりおこるをもつてなり。 たとへば、 しゅきんするものなしといへども、 しかもいんぎょくねんなるがごとし。 これをきょう*だいどくそうづく。

「言↢本願力↧大菩薩↢法身↡、常シテ↢三昧↡而ジタマフコトヲ↦種種身、種種神通、種種説法↥。皆以テナリ↢本願力ヨリ↡。譬↧阿修羅↠无ウツスル↡、而音曲自然ナルガ↥。是↢教化地第五功徳相↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二) 広釈
            (Ⅰ) 仏の修成を弁ず

・法体成就 ・二利満足 ・入

 ^ªさつ*しゅもんりて、 自利じりぎょうじょうじゅしたまへりとるべしº と。 ªじょうじゅº とは、 いはく自利じり満足まんぞくせるなり。 ªおうº といふは、 いはく自利じりによるがゆゑにすなはちよく利他りたす。 これ自利じりにあたはずしてよく利他りたするにはあらざるなりとるべし。

菩薩↢四種↡自利行成就シタマヘリト、応↠知。成就、謂自利満足セル也。応知トイフ、謂↠知↩由↢自利↡故利他↠能↢自利シテ利他スルニハ↥也↨。

・法体成就 ・二利満足 ・出

 ^ªさつ*だいもんでてこうやくぎょうじょうじゅしたまへりとるべしº と。 ªじょうじゅº とは、 いはくこういんをもつてきょうしょうす。 もしはいん、 もしは0191いちとして利他りたにあたはざることあることなきなり。 ªおうº といふは、 いはく利他りたによるがゆゑにすなはちよく自利じりす、 これ利他りたにあたはずしてよく自利じりするにはあらざるなりとるべし。

菩薩↢第五門↡廻向利益他行成就シタマヘリト、応↠知。成就、謂↢回向↡証↢教化地↡。若因若果、无↠有コト↢一事トシテルコト↟能↢利他↡也。応知トイフ、謂↠知↧由↢利他↡故自利、非ザルナリト↦是↠能↢利他シテ自利スルニハ↥也。

・法体成就 ・成就菩提

 ^ªさつはかくのごときもんぎょうしゅして、 自利じり利他りたして、 すみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅすることをたまへるがゆゑにº と。 ぶつ所得しょとくほうを、 づけてのく多羅たらさんみゃくさんだいとす。 このだいたまへるをもつてのゆゑに、 づけてぶつとす。 いま ª速得そくとくのく多羅たらさんみゃくさんだいº といへるは、 これはやくぶつになることをたまへるなり。

菩薩↠是シテ↢五門↡、自利利他シテ、速タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提↡故。仏所得、名↢阿耨多羅三藐三菩提↡。以テノ↠得タマヘルヲ↢此0052菩提↡故、名為↠仏。今言ヘルハ↢速得阿耨多羅三藐三菩提↡、是得タマヘル↢早コトヲ↟仏也。

^ªº をばづく、 ªのく多羅たらº をばじょうづく、 ªさんみゃくº をばしょうづく、 ªさんº をばへんづく、 ªだいº をばどうづく、 ねてこれをやくして、 づけて ªじょうしょうへんどうº とす。

ヲバ↠无、耨多羅ヲバ↠上、三藐ヲバ↠正、三ヲバ↠徧アマネシ、菩提ヲバ↠道ヤクシテ↠之、名↢无上正徧道↡。

^ªじょうº は、 いふこころは、 このどうきわめ、 しょうつくすこと、 さらにぎたるひとなけん。 なにをもつてかこれをいはば、 ªしょうº をもつてのゆゑに。

无上イフココロ道、キワ↠理スコト↠性、更ケム↢過タルヒト↡。何ハヾ↠之、以↠正

^ªしょうº はしょうなり。 法相ほっそうのごとくしてるがゆゑに、 しょうしてしょうとす。 ほっしょうそうなきゆゑにしょう無知むちなり。

正者聖智也。如↢法相シテルガ、称シテ↢正智↡。法性↠相故聖智无知也。

^ªへんº にしゅあり。 ひとつにはしょうしん、 あまねく一切いっさいほうろしめす。 ふたつには法身ほっしん、 あまねく法界ほうかいてり。 もしは、 もしはこころへんせざることなき0192なり。

↢二種↡。一聖心、徧シロシメ↢一切↡。二法身、徧テリ↢法界↡。若身若心、无↠不ルコト↠徧也。

^ªどうº は無礙むげどうなり。 ¬きょう¼ (*華厳経) にいはく、 ª十方じっぽう無礙むげにん一道いちどうよりしょうでたまへりº と。 ª一道いちどうº はいち無礙むげどうなり。 ª無礙むげº は、 いはく、 しょうすなはちこれはんなりとるなり。 かくのごときらのにゅう不二ふに法門ほうもん無礙むげそうなり。

道者无道也。¬経¼言、十方无人、一道ヨリデタマヘリ↢生死↡。一道、一无道也。无、謂ルナリ↢生死即是涅槃ナリト↡。如↠是クノ入不二法門无相也。

・往還因果 ・問

 ^うていはく、 なんの因縁いんねんありてか ª速得そくとくじょうじゅのく多羅たらさんみゃくさんだいº といへるやと。

ヒテ、有テカ↢何因縁↡言ヘルヤ↢速得成就阿耨多羅三藐三菩提↡。

・往還因果 ・答 ・引論

 ^こたへていはく、 ¬ろん¼ (浄土論) に ªもんぎょうしゅしてもつて自利じり利他りたじょうじゅしたまへるがゆゑにº といへり。

ヘテ、¬論¼言ヘリ↧修シテ↢五門↡以自利利他成就シタマヘルガニト↥。

一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ) 本願力を釈す

・往還因果 ・答 ・略標

^しかるにまこともともとむれば、 弥陀みだ如来にょらいぞうじょうえんとするなり。

マコトレバ↢其↡、阿弥陀如来ルナリ↢増上縁↡。

・往還因果 ・答 ・弁名

^他利たり利他りたと、 だんずるに左右さうあり。 もしぶつよりしていはば、 よろしく利他りたといふべし。 しゅじょうよりしていはば、 よろしく他利たりといふべし。 いままさに仏力ぶつりきだんぜんとす、 このゆゑに利他りたをもつてこれをいふ。 まさにるべし、 このこころなり。

他利↢利他↡、談ズルニ↢左右↡。若オノヅカシテハヾヨロシクシ ↠言↢利他↡。オノヅカ衆生シテハヾ、宜シクシ ↠言↢他利↡。今将ス  ↠談ゼムト↢仏力↡、是↢利他↡言↠之。当↠知、此意也。

・往還因果 ・答 ・反顕

^おほよそこれかのじょうしょうずると、 およびかのさつにんてんおこすところのしょぎょうは、 みな弥陀みだ如来にょらい本願ほんがんりきによるがゆゑに。 なにをもつてこれをいはば、 もし仏力ぶつりきにあらずは、 じゅうはちがんすなはちこれいたづらにもうけたまへらん。

ルト↢彼浄土↡、及菩薩・人・天諸行、皆ルガ↢阿弥陀如来本願力↡故。何ハヾ↠之、若ズハ↢仏力↡、四十八願便イタヅラマウケタマヘラム

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証

^いまひとしく三願さんがんりて、 もつてこころしょうせん。

ヒトシク↢三願↡、用セム↢義↡。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第十八願

 ^0193(第十八願) にのたまはく、 ªたとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうこころいたしんぎょうしてわがくにしょうぜんとおもうて、 ないじゅうねんせん。 もしうまれずは、 しょうがくらじと。 ただぎゃくほうしょうぼうとをばのぞくº と。

、設我得ラムニ↠仏、十方衆生、至↠心信楽シテフテ↠生ゼム↢我↡、乃至十0053セム。若↠生↠取↢正覚↡。唯除クト↢五逆誹謗正法トヲバ↡。

^仏願ぶつがんりきによるがゆゑにじゅうねん念仏ねんぶつしてすなはちおうじょうおうじょうるがゆゑに、 すなはち三界さんがい輪転りんでんまぬかる。 輪転りんでんなきがゆゑに、 このゆゑにすみやかなることをひとつのしょうなり。

↢仏願力↡故十念念仏シテ便↢往生↡。得↢往生↡故マヌカ↢三界輪転之事↡。无キガ↢輪転↡故所以コノユヘニ↠速ナルコトヲ証也。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第十一願

 ^(第十一願) にのたまはく、 ªたとひわれぶつたらんに、 くにのうちの人天にんでんじょうじゅじゅうし、 かならずめついたらずは、 しょうがくらじº と。

、設我得タラムニ↠仏、国ウチ人天、↧住↢定聚↡必↦滅度↠取↢正覚↡。

^仏願ぶつがんりきによるがゆゑに正定しょうじょうじゅじゅうせん。 正定しょうじょうじゅじゅうせるがゆゑにかならずめついたらん。 もろもろのぶくなんなし、 このゆゑにすみやかなることをふたつのしょうなり。

↢仏願力↡故セム↢正定聚↡。住セルガ↢正定聚↡故ラム↢滅度↡。无↢諸カヘル ブクシタガフ之難↡、所以コノユヘニ↠速ナルコトヲ証也。

・往還因果 ・答 ・引証(三願的証) ・第二十二願

 ^(第二十二願) にのたまはく、 ªたとひわれぶつたらんに、 ほうぶつのもろもろのさつしゅ、 わがくにらいしょうして、 きょうしてかならずいっしょうしょいたらしめん。 その本願ほんがんざいしょしゅじょうのためのゆゑに、 ぜいよろいて、 徳本とくほんしゃくるいし、 一切いっさいだつして、 諸仏しょぶつくにあそび、 さつぎょうしゅして、 十方じっぽう諸仏しょぶつ如来にょらいようし、 恒沙ごうじゃりょうしゅじょうかいしてじょうしょうしんどうりゅうせしめんをばのぞく。 *じょうりん超出ちょうしゅつし、 しょぎょう現前げんぜんし、 げんとくしゅじゅうせん。 もししからず0194は、 しょうがくらじº と。

、設我得タラムニ↠仏、他方仏土菩薩衆、来↢生シテ↡、究竟シテラシメム↢一生補処↡。除↧其本願自在所化、為↢衆生↡故↢弘誓ガイヨロイ↡、積↢累徳本↡、度↢脱シテ一切↡、遊↢諸仏↡、修シテ↢菩薩↡、供↢養十方諸仏如来↡、開↢化シテ恒砂无量衆生↡使メムヲバ↞立↢无上正真之道↡。超↢出常倫↡、諸地之行現前、修↢習セム普賢之徳↡。若↠爾↠取↢正覚↡。

^仏願ぶつがんりきによるがゆゑに、 じょうりん超出ちょうしゅつし、 しょぎょう現前げんぜんし、 げんとくしゅじゅうせん。 じょうりん超出ちょうしゅつし、 しょぎょう現前げんぜんするをもつてのゆゑに、 このゆゑにすみやかなることをつのしょうなり。

↢仏願力↡故超↢出常倫トモガラ↡、諸地之行現前、修↢習セム普賢之徳↡。以↧超↢出常倫↡、諸地之行現前スルヲ↥故所以コノユヘニ↠速ナルコト証也。

・往還因果 ・答 ・結成

^これをもつてりきすいするにぞうじょうえんとす。 しからざることをんやと。

↠斯而推スルニオシテオモフ↢他力↢増上縁↡。得↠不ルコトヲ↠然

・往還因果 ・答 ・例示

 ^まさにまたれいきてりきりきそうしめすべし。 ひとさんおそるるがゆゑに禁戒きんかいじゅす。 禁戒きんかいじゅするがゆゑによくぜんじょうしゅす。 ぜんじょうしゅすをもつてのゆゑに神通じんずうしゅじゅうす。 神通じんずうをもつてのゆゑによくてんあそぶがごとし。 かくのごときらをづけてりきとす。

↣復引レイシメ↢自力・他力↡。如↧人オソルルガ↢三塗↡故受↢持キムイマシメ受↢持スルガ禁戒↡故↢禅定↠修↢禅定↡故修↢ジフ神通↢神通↡故↦四天下↥。如↠是↢自力↡。

^またれっまたがつてのぼらざれども、 転輪てんりんのうくにしたがへば、 すなはちくうじょうじててんあそぶにしょうするところなきがごとし。 かくのごときらをづけてりきとす。

又如レチオトルマタガ クワ レドモノボシタガヘバ↢転輪王クニ↡、便ジテ↢虚空↡遊ブニ↢四天下↡无キガ↢障スル↡。如↠是0054↢他力↡。

一 Ⅱ ⅰ b イ (三) 結勧

^おろかなるかなのち学者がくしゃりきじょうずべきをきてまさに信心しんじんしょうずべし。 みづからきょくぶん (きょく、 せばし、 ちかし、 かぎる) することなかれ」 と。

ナルカナ後之学者、聞↢他力キヲ↟乗↠生↢信心↡。勿レトミヅカキヨク 局字 古玉反 セバシ チカシ カギルスルコト↡也。」

一 Ⅱ ⅰ b 元照¬観経義疏¼

【83】^がんじょうりっのいはく (観経義疏)

元照律師

^「あるいは*このほうにしてわくしんしょうすれば、 すなはちりきはこぶがゆゑに、 *だいしょうしょきょうだんず。 あるいはほうきてほうどうさとるは、 すべからくりきたのむべきがゆゑに、 おうじょうじょう0195く。 彼此ひしことなりといへども方便ほうべんにあらざることなし。 しんさとらしめんとなり」 と。

「或↢此↡破↠惑スレバ↠真、則ハコブガ↢自力↡故、談↢大小諸経↡。或↢他方↠法ルハ↠道、須キガタノ↢他力↡故、説↢往生浄土↡。彼此雖↠異ナリト↠非ルコト↢方便↡。令メムトナリト↠悟↢自心↡。」

一 Ⅱ 一乗海を釈す【一乗海釈】
      正釈
        牒標

【84】^いちじょうかい」 といふは、

↢一乗海

一 Ⅱ ⅱ a 釈義
          (一)一乗を釈す
            (Ⅰ)直釈
              (ⅰ)異名を会合す

^いちじょう」 はだいじょうなり。 だいじょう*ぶつじょうなり。

一乗大乗ナリ。大乗仏乗ナリ

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)一乗の力を釈す

^いちじょうるはのく多羅たらさんみゃくさんだいるなり。 のくだいはすなはちこれはんがいなり。 はんがいはすなはちこれ*きょう法身ほっしんなり。 きょう法身ほっしんるはすなはちいちじょうきょうするなり。 *如来にょらいましまさず、 法身ほっしんましまさず。 如来にょらいはすなはち法身ほっしんなり。 いちじょうきょうするはすなはちこれ*へんだんなり。

↢一乗ルナリ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。阿耨菩提是涅槃界ナリ。涅槃界是究竟法身ナリ。得↢究竟法身究↢竟スルナリ一乗↡。マシマサズコト如来↡、マシマサズコト法身↡。如来法身ナリ。究↢竟スル一乗是无辺不断ナリ

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅲ)対弁・出体

^だいじょうじょうさんじょうあることなし。 じょうさんじょういちじょうらしめんとなり。 いちじょうはすなはち第一だいいちじょうなり。 ただこれ*誓願せいがん一仏いちぶつじょうなり。

大乗↠有コト↢二乗・三乗↡。二乗・三乗ラシメムトナリ↢於一乗↡。一乗第一義乗ナリ。唯是誓願一仏乗也。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)引文
              (ⅰ)正引
                (a)¬涅槃経¼四文

1.聖行品

【85】^¬*はんぎょう¼ (*聖行品) にのたまはく、

¬涅槃経¼

^善男ぜんなん*実諦じったいづけてだいじょうといふ。 だいじょうにあらざるは実諦じったいづけず。 善男ぜんなん実諦じったいはこれぶつ所説しょせつなり。 所説しょせつにあらず。 もしこれせつ仏説ぶっせつにあらざれば、 実諦じったいづけず。 善男ぜんなん実諦じったい一道いちどう清浄しょうじょうにしてふたつあることなし」 と。

「善男子、実諦↢大乗↡。非↢大乗↠名↢実諦↡。善男子、実諦是仏所説ナリ。非↢魔所説↡。若是魔説レバ↢仏説↠名↢実諦↡。善男子、実諦一道清ニシテニシテシト↠有コト↠二也。」

2.徳王品

【86】^またのたまはく、 (涅槃経・*徳王品)

又言

^「いかんがさつ一実いちじつしんじゅんする。 さつ一切いっさいしゅじょうをしてみな一道いちどうせしむとりょうするなり。 一道いちどうはいはくだいじょうなり0196諸仏しょぶつさつしゅじょうのためのゆゑに、 これをわかちてつとす。 このゆゑにさつ*ぎゃくしんじゅんす」 と。

云何 ン菩薩信↢順スル一実↡。菩薩了↣知スルナリ一切衆生ヲシテ皆帰セシムト↢一道0055↡。一道大乗也。諸仏・菩薩為↢衆生↡故、分↠之↠三。是菩薩信↢順スト不逆↡。」

3.師子吼品(畢竟)

【87】^またのたまはく (涅槃経・*師子吼品)

又言

^善男ぜんなんひっきょうしゅあり。 ひとつには*しょうごんひっきょうふたつには*きょうひっきょうなり。 ひとつには*けんひっきょうふたつには*しゅっひっきょうなり。 しょうごんひっきょうろっ波羅ぱらみつなり。 きょうひっきょう一切いっさいしゅじょうるところのいちじょうなり。

「善男子、畢竟↢二種↡。一荘厳畢竟、二者究竟畢竟ナリ。一世間畢竟、二者出世畢竟ナリ。荘厳畢竟六波羅蜜ナリ。究竟畢竟一切衆生所↠得一乗ナリ

^いちじょうづけてぶっしょうとす。 このをもつてのゆゑに、 われ一切いっさいしゅじょうしつぶっしょうくなり。 一切いっさいしゅじょうことごとくいちじょうあり。 みょうおおへるをもつてのゆゑに、 ることをることあたはず」 と。

一乗↢仏性↡。以↢是↡故我説クナリ↢一切衆生悉有仏性↡。一切衆生悉↢一乗↡。以↢无明覆ヘルヲ↡故↠能↠得ルコ↠見コトヲ。」

4.師子吼品(一非)

【88】^またのたまはく (涅槃経・獅子吼品)

又言ハク

^「いかんがいちとする。 一切いっさいしゅじょうことごとくいちじょうなるがゆゑに。 いかんがいちなる。 さんじょうくがゆゑに。 いかんがいち非非ひひいちなる。 *しゅほうなるがゆゑなり」 と。

「云何↠一。一切衆生悉一乗ナルガ云何 イカン 非一ナル。説クガ↢三乗↡故云何 ン非一・非非一ナル。无数ナルガナリト。」

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)¬華厳経¼

【89】^¬*ごんぎょう¼ (*明難品・晋訳) にのたまはく、

¬華厳経¼言

^*文殊もんじゅほうはつねにしかなり。 *法王ほうおうはただ一法いっぽうなり。 一切いっさい無礙むげにん一道いちどうよりしょうでたまへり。

「文殊シカナリ法王唯一法ナリ
一切无人一道ヨリデタマヘリ↢生死

^一切いっさい諸仏しょぶつしん、 ただこれいち法身ほっしんなり。 一心いっしんいち智慧ちえなり。 *りき無畏むいもまたしかなり」 と。

一切諸仏唯是一法身ナリ
一心一智慧ナリ力・无畏亦然ナリト

一 Ⅱ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)示意

【90】^しかれば、 これらのかくは、 みなもつてあんにょう*じょうせつだい仏願ぶつがんなん0197とくなり。

覚悟サトリ、皆以安養浄刹之大利、仏願難思之至徳也。

一 Ⅱ ⅱ a ロ (二)海を釈す

【91】^かい」 といふは、 おんよりこのかた、 ぼんしょう所修しょしゅ*雑修ざっしゅ雑善ぞうぜん川水せんすいてんじ、 ぎゃくほう闡提せんだい恒沙ごうじゃみょう海水かいすいてんじて、 本願ほんがんだい智慧ちえ真実しんじつ恒沙ごうじゃ万徳まんどくだい宝海ほうかいすいとなる。 これをうみのごときにたとふるなり。 まことにんぬ、 *きょうきて 「煩悩ぼんのうこおりけてどくみずとなる」 とのたまへるがごとし。

↠海↢久遠↡已来コノカタ↢凡聖所修雑修雑善川水↡、転ジテ↢逆謗闡提恒沙无明海水↡、成↢本願大悲智慧真実恒沙万徳大宝海水↡。喩↢之キニ↟海也。↤経ヘルガ↣「煩悩ケテルト↢功徳↡。」

 ^願海がんかいじょう雑善ぞうぜん*ちゅうがい宿やどさず。 いかにいはんや人天にんでん虚仮こけじゃ善業ぜんごう雑毒ぞうどく雑心ざっしんがい宿やどさんや。

願海宿ヤド0056↢二乗雑善中下屍骸カバネ↡。何宿↢人天虚仮邪偽イツワル善業、雑毒雑心屍骸

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)引証
            (Ⅰ)¬大経¼

【92】^ゆゑに ¬大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

¬大本¼言

^しょうもんあるいはさつ、 よくしょうしんきわむることなし。 たとへばうまれてよりめしひたるものの、 いてひと開導かいどうせんとおもはんがごとし。

「声聞或菩薩↣能ムルコト↢聖心
ムマレテメシヒタルモノヽハムガイテ開↢導セムト

^如来にょらい智慧ちえかいは、 深広じんこうにして涯底がいたいなし。 じょうはかるところにあらず。 ただぶつのみひとりあきらかにさとりたまへり」 と。

如来智慧海深広ニシテ↢涯底↡
二乗↠所ハカ唯仏ノミリタマヘリト

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅱ)¬論註¼二文

1.不虚作住持功徳

【93】^¬じょうろん¼ (論註・下) にいはく、

¬浄土論¼曰

^ªなにものかしょうごん*虚作こさじゅうどくじょうじゅに、 «^ぶつ本願ほんがんりきかんずるに、 もうおうてむなしくぐるものなし。 よくすみやかにどくだい宝海ほうかい満足まんぞくせしむ» といへるがゆゑにº とのたまへり。

荘厳不虚作住持功徳成就、偈ヘリ↧観ズルニ↢仏本願力↡、遇↢空者↡トイヘルガ↣速満↢足功徳大宝海↡故ニト↥。

 ^ª虚作こさじゅうどくじょうじゅº とは、 けだしこれ弥陀みだ如来にょらい本願ほんがんりきなり。 いままさ0198りゃくして虚作こさそうじゅうにあたはざるをしめして、 もつてかの虚作こさじゅうあらわす。

不虚作住持功徳成就ケダ阿弥陀如来本願力也。今当シテシテ↢虚空之相ルヲ↟能↢住持↡、用↢彼不虚作住持之義↡。

^いふところの虚作こさじゅうは、 もと法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんと、 今日こんにち弥陀みだ如来にょらいざい神力じんりきとによる。 がんもつてりきじょうず、 りきもつてがんく。 がんねんならず、 りきせつならず。 力願りきがんあひかのうて、 ひっきょうじてたがはず。 ゆゑにじょうじゅといふ」 と。

不虚作住持、依法蔵菩薩四十八願、今日阿弥陀如来自在神力トニ↡。願以↠力、力以↠願。願↢徒イタヅラ ナラシカラシム↡、力↢虚設マウクナラ↡。力願カナフテ畢竟ジテタガ。故↢成就↡。」

2.大衆功徳

【94】^またいはく (論註・上)

又曰

^ªかいº とは、 いふこころは、 ぶつ一切いっさいしゅ深広じんこうにしてきしなしじょう雑善ぞうぜんちゅうがい宿やどさず、 これをうみのごとしとたとふ。 このゆゑに、 ª^天人てんにんどうしゅ 清浄しょうじょうかいしょうº (浄土論) といへり。

「海イフココロ一切種智深広ニシテキシ宿ヤド↢二乗雑善中下屍骸↡、喩ルカ↢之シト↟海。是ヘリ↢天人不動衆清浄智海生↡。

^ªどうº とは、 いふこころは、 かのてんにん*だいじょうこんじょうじゅしてきょうどうすべからざるなり」 と。

不動イフココロ天・人、成↢就シテ大乗根↡不↠可↢傾動↡也。」

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅲ)「玄義分」

【95】^こうみょう (善導) のいはく (玄義分)

光明師

^われさつぞうとんぎょういちじょうかいとによる」 と。

「我依↢菩薩蔵頓教一乗海トニ↡」

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅳ)「般舟讃」

【96】^またいはく (般舟讃)

0057

^¬瓔珞ようらくきょう¼ のなかにはぜんぎょうけり。 万劫まんごうこうしゅして退たいしょうす。 ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とうせつは、 すなはちこれとんぎょうなり、 だいぞうなり」 と。

「¬瓔珞経¼中ニハケリ↢漸教万劫シテ↠功↢不退
¬観経¼・¬弥陀経¼等是頓教ナリ 菩提蔵ナリト

一 Ⅱ ⅱ a ロ (三)(Ⅴ)¬楽邦文類¼

019997】^¬楽邦らくほう文類もんるい¼ にいはく、

¬楽邦文類¼云

^*宗暁しゅうぎょうぜんのいはく、 ª*還丹かんたんいちりゅうくろがねへんじてこがねす。 しん一言いちごん悪業あくごうてんじて善業ぜんごうすº」 と。

「宗禅師クワン反タンリフジテ↠鉄↠金。真理一言ジテ↢悪業↡成スト↢善業↡。」

一 Ⅱ ⅱ 対顕【二経二機対】
        教に約す
          (一)対論して勝を顕す

【98】^しかるにきょうについて念仏ねんぶつ諸善しょぜんきょう対論たいろんするに、 1なんたい2頓漸とんぜんたい3横竪おうじゅたい*4超渉ちょうしょうたい5順逆じゅんぎゃくたい6だいしょうたい7しょうたい8しょうれつたい9しんたい10近遠ごんおんたい

↠教念仏諸善比ケウタクラブ対論スルニ、有↢難易対ムカフ、頓タチマチ ヤウヤク対、横ジユタヽサマ対、超セウヤウヤク対、順逆サカサマ対、大小対、多少対、勝劣オトル対、親ウトキ対、近遠対、

11深浅じんせんたい12ごうにゃくたい13重軽じゅうきょうたい14こうきょうたい15じゅんぞうたい*16きょうたい*17しょうたい*18通別つうべつたい19退たい退たいたい*20直弁じきべんいんみょうたい

深浅アサキ対、ガウコハク ヨハシ対、重軽カロシ対、広ケウセバシ対、純モハラ雑対、径スヽナリ メグル対、セフトシ オソシ対、通カヨウ ワカツ対、不退退シリゾク対、直マサシクワキマウ チナミ明対、

21みょうごうじょうさんたい*22じんじんたい*23かんかんたい24けんけんたい25だんだんたい26相続そうぞくぞくたい*27じょうじょうたい28じょうじょうたい*29思議しぎたい*30いんぎょうとくたい

名号定散対、理コトハリ ツクス非理尽対、勧スヽム無勧対、無間ヒマ間対、断タツ不断対、相続ツク不続対、无上有上対、上上下下対、思不思議対、因行果徳対、

*31せつせつたい*32こうたい33不護ふごたい34しょうしょうたい35さんさんたい36ぞくぞくたい*37りょう了教りょうきょうたい*38かんかんたい39せんせんたい40しんたい

自説他説対、回不回向対、護マモル不護対、証不証対、讃不讃対、付ツク不嘱対、了不了教対、機ハタモノ タヘタリ不堪対、選不選対、真仮カリナリ対、

41仏滅ぶつめつめつたい*42法滅ほうめつ不利ふりたい43りきりきたい*44がんがんたい45しょうしょうたい*46入定にゅうじょうじゅにゅうたい*47ほうたいあり。 ^このかくのごとし。

仏滅不滅対、法滅利不利対、自力他力対、有願無願対、摂不摂対、入定聚不入対、報化対↡。斯義如↠斯

一 Ⅱ ⅱ b イ (二)一乗に帰結す

^しかるに本願ほんがんいちじょうかいあんずるに、 えんにゅう満足まんぞく極速ごくそく無礙むげ*絶対ぜったい不二ふにきょうなり

ズルニ↢本願一乗海↡、円融トホル満足タル極速トシ无ゼチ対不二之教也。

一 Ⅱ ⅱ b 機に約す
          (一)対論して勝を顕す

【99】^またについて対論たいろんするに、 1しんたい*2善悪ぜんあくたい3しょうじゃたい4是非ぜひたい5じったい6しんたい7じょうたい8どんたい9*奢促しゃそくたい10豪賎ごうせんたい*11みょうあんたいあり。 ^このかくのごとし。

0058↠機対論スルニ、有↢信疑対、善悪対、正邪対、是非対、実虚対、真グヰイツワル対、浄穢対、利トシ ニブシ対、奢オソシトシ対、豪賎対、明闇対↡。斯義如↠斯

一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)一乗に帰結す

^しかるにいちじょうかいあんずるに、 金剛こんごう信心しんじん絶対ぜったい0200なりるべし。

ズルニ↢一乗海之機↡、金剛信心絶対不二之機也↠知

一 Ⅱ ⅱ 嘆徳【一乗嘆徳】
        略明
          (一)正明

【100】^うやまつて一切いっさいおうじょうにんとうにまうさく、 ぜいいちじょうかいは、 無礙むげへんさいしょうじんみょう不可ふかせつ不可ふかしょう不可ふか思議しぎとくじょうじゅしたまへり

マフサク↢一切往生人等↡、弘誓一乗海、成↢就シタマヘリ无无辺最モトモ勝深妙不可説不可称不可思議至徳↡。

一 Ⅱ ⅱ c イ (二)所由

^なにをもつてのゆゑに、 誓願せいがん不可ふか思議しぎなるがゆゑに。

。誓願不可思議ナルガ

一 Ⅱ ⅱ c 広嘆

1がんはたとへばたいくうのごとし、 もろもろのみょうどくこうへんなるがゆゑに。

悲願↢太虚空↡、諸妙功徳広无辺ナルガ

2なほ大車だいしゃのごとし、 あまねくよくもろもろのぼんしょう運載うんさいするがゆゑに。

ナホ↢大車↡、普運↢ハコブノルスルガ凡聖↡故

3なほみょうれんのごとし、 一切いっさいけんほうぜんせられざるがゆゑに。

猶如↢妙蓮華↡、不ルガ↠染ソムセラレ↢一切世間↡故

4*善見ぜんけん薬王やくおうのごとし、 よく一切いっさい煩悩ぼんのうやまいするがゆゑに。

↢善見薬王↡、能スル↢一切煩悩↡故

5なほけんのごとし、 よく一切いっさいきょうまんよろいつがゆゑに。

猶如↢利剣↡、能ツガ↢一切驕慢ガイカブト↡故

6*ゆうしょうどうのごとし、 よく一切いっさいのもろもろのぐんぶくするがゆゑに。

↢勇タケシ将幢ハタボコ、能スルガシタガフ ↢一切魔軍↡故

7なほ利鋸りこのごとし、 よく一切いっさいみょうるがゆゑに。

猶如↢利ノコギリ↡、能ルガ↢一切无明↡故

8なほ利斧りふのごとし、 よく一切いっさいしょえだるがゆゑに。

猶如↢利オノ↡、能ルガ↢一切諸苦↡故

9ぜんしきのごとし、 一切いっさいしょうばくくがゆゑに。

↢善知識↡、クガ↢一切生死バクシバル↡故

10なほどうのごとし、 よくぼん*しゅつようどうらしむるがゆゑに。

猶如↢導師↡、善ルガ↠知↢凡夫出要↡故

11なほせんのごとし、 智慧ちえみずいだしてじんすることなきがゆゑに。

猶如ワク イヅミ↡、出シテ↢智慧↡无キガ↢窮キワメスルコト↡故

12なほれんのごとし、 一切いっさいのもろもろのざいぜんせられざるがゆゑに。

猶如↢蓮華↡、不ルガゼンセラレ↢一切罪垢アカ↡故

13なほ疾風しっぷうのごとし、 よく一切いっさいしょしょうきりさんずるがゆゑに。

猶如↢疾トキ↡、能ズルガ↢一切諸障キリ↡故

14なほ好蜜こうみつのごとし、 一切いっさいどくあじ0201ひを円満えんまんせるがゆゑに。

猶如↢好蜜↡、円↢満セルガ一切功徳↡故

15なほしょうどうのごとし、 もろもろのぐんじょうをしてじょうらしむるがゆゑに。

猶如↢正道↡、令ルガ↣諸群生ヲシテ↢智城ミヤコ↡故

16なほしゃくのごとし、 本願ほんがんいんふがゆゑに。

猶如↢磁石↡、フガ↢本願↡故

17えんだんごんのごとし、 一切いっさい有為ういぜん映奪ようだつするがゆゑに。

↢閻浮檀金↡、エイカヾヤキ ダツウバフスルガ一切有為↡故

18なほ*伏蔵ぶくぞうのごとし、 よく一切いっさい諸仏しょぶつほうせっするがゆゑに。

猶如↢伏蔵↡、能スルガ↢一切諸仏↡故0059

19なほだいのごとし、 さん十方じっぽう一切いっさい如来にょらい出生しゅっしょうするがゆゑに。

猶如↢大地↡、三世十方一切如来出生スルガ

20日輪にちりんひかりのごとし、 一切いっさいぼんあんしてしんぎょう出生しゅっしょうするがゆゑに。

↢日輪↡、破シテ↢一切凡愚オロカナリ↡出↢生スルガ信楽↡故

21なほ君王くんのうのごとし、 一切いっさい上乗じょうじょうにん勝出しょうしゅつせるがゆゑに。

猶如↢君王↡、勝↢出セルガ一切上乗人↡故

22なほげんのごとし、 一切いっさいもろもろのぼんしょう訓導くんどうするがゆゑに。

猶如ゲムキビシ↡、クンオシヘ↢導スルガミチビク 一切諸凡聖↡故

23なほ悲母ひものごとし、 一切いっさいぼんしょうほう真実しんじついん長生じょうしょうするがゆゑに。

ナホ↢悲母↡、長↢生ルガ一切凡聖報土真実↡故

24なほにゅうのごとし、 一切いっさい善悪ぜんあくおうじょうにん養育よういくしゅしたまふがゆゑに。

猶如↢乳母↡、養↢イク守↣護シタマフガ一切善悪往生人↡故

25なほだいのごとし、 よく一切いっさいおうじょうたもつがゆゑに。

猶如↢大地↡、能ツガ↢一切往生↡故

26なほ大水だいすいのごとし、 よく一切いっさい煩悩ぼんのうあかすすぐがゆゑに。

猶如↢大水↡、能ソヽグガ↢一切煩悩アカ↡故

27なほだいのごとし、 よく一切いっさい諸見しょけんたきぎくがゆゑに。

猶如↢大火↡、能クガ↢一切諸見タキヾ↡故

28なほ大風だいふうのごとし、 あまねくけんぎょうぜしめてふるところなきがゆゑに。

猶如↢大風↡、普ゼシメテ↢世間↡无キガ↠所↠

一 Ⅱ ⅱ c 結勧

^よくさんばくしろいだして、 よくじゅうもんづ。 よく真実しんじつほうしめ、 よくじゃしょうどうべんず。 よく愚痴ぐちかいかわかして、 よく願海がんかいにゅうせしむ。 一切いっさいせんじょうぜしめて、 もろもろのぐんじょうかい0202うかぶ。 ふくぞう円満えんまん方便ほうべんぞう開顕かいけんせしむ。 まことに奉持ぶじすべし、 ことにちょうだいすべきなり。

↢三有繋ツナギ シバル↡、能↢二十五有↡。能シメ↢真実報土↡、能ワキマフ邪正道路↡。能カワカ ガチ シテ↢愚痴海↡、能流↢入セシム願海↡。乗ゼシメテ↢一切智船↡、ウカ↢諸群生海↡。円↢満福智蔵↡、開↢顕セシム方便蔵↡。良↢奉持ウケタマハルコトヒトリ↢頂イタヾキ ダイイタヾク↡也。

偈頌
  序説【偈前序説】
    経意を述ぶ
      総標

【101】^おほよそ誓願せいがんについて真実しんじつぎょうしんあり、 また方便ほうべんぎょうしんあり。

↢誓願↡有↢真実行信↡、亦有↢方便行信↡。

二 Ⅰ ⅰ 別明
        正明

^その真実しんじつぎょうがんは、 諸仏しょぶつ称名しょうみょうがん (第十七願) なり。 その真実しんじつしんがんは、 しんしんぎょうがん (第十八願) なり。 これすなはちせんじゃく本願ほんがんぎょうしんなり。 そのはすなはち一切いっさい善悪ぜんあくだいしょうぼんなり。 おうじょうはすなはちなん思議じぎおうじょうなり。 ぶつはすなはち報仏ほうぶつほうなり。

真実願者、諸仏称名ナリ。其真実、至心信楽ナリ選択本願之行信也。一切善悪大小凡愚也。往生難思議ハカラフ往生也。仏土報仏・報土也。

二 Ⅰ ⅰ b 結示

^これすなはち誓願せいがん不可ふか思議しぎ一実いちじつ真如しんにょかいなり。 ¬だいりょう寿じゅきょう¼ のしゅうりきしんしゅうしょうなり。

誓願不可思議一実真如海ナリ。¬大无量寿経¼之宗ムネ、他力真宗之正意也。

二 Ⅰ 釈文を引く

 ^ここをもつておん報徳ほうとくのためにしゅう (曇鸞)しゃく (論註・上)ひらきたるにのたまはく、 「^それさつぶつす。 こう父母ぶもし、 ちゅうしん君后くんこうして、 どうじょうおのれにあらず、 しゅつもつかならずゆえあるがごとし。 おんりてとくほうよろしくまづけいすべし。 また所願しょがんかろからず、 もし如来にょらいじんしたまはずは、 まさになにをもつてかたっせんとする。 神力じんりきこつす、 このゆゑにあおいでぐ」 とのたまへり。

0060↢知恩メグム報徳ヒラキタルニ↢宗師↡言、「菩薩↠仏。如↧孝子之帰↢父母↡、忠コヽロザシ之帰シテヨリタノムコウ↡、動 静シヅカナリオノレ、出没必ヨシアルガ↥。知↠恩↠徳、理ヨロシクシ ↢先ケイヒラク↡。又所願↠軽カラ、若如来シタマハ↢威神↡、↢何テカサトルセムト↡。乞コウ↢加クワウ神力↡、所以コノユヘニグトノタマヘリ。」

二 Ⅰ 造意を明かす

 ^しかれば、 だいしょう (釈尊)*真言しんごんし、 *たいしゃくえっして、 仏恩ぶっとんじん0203のんなるをしんして、 「しょうしん念仏ねんぶつ」 をつくりていはく、

↢大聖真言↡、エチミルシテ↢大祖オホヂ解釈↡、信↢知シテ仏恩深遠ナルヲ↡、作↢「正信念仏偈」↡曰

正讃【正信偈

1.総讃

【102】 ^りょう寿じゅ如来にょらいみょうし、 不可ふか思議しぎこう南無なもしたてまつる。

帰↢命无量寿如来南↢无シタテマツル不可思議光

2.依経段 a.弥陀章 ・因願

^法蔵ほうぞうさついんのとき、 ざいおうぶつみもとにましまして

法蔵菩薩因位↢世自在王仏ミモト

^諸仏しょぶつじょういんこく人天にんでん善悪ぜんあくけんして、

覩↢見シテ諸仏浄土国土人天之善悪

^じょうしゅしょうがんこんりゅうし、 希有けうだいぜいちょうほつせり。

建↢立ハジメナス无上殊勝超↢発セリ希有大弘誓

^こうこれをゆいして*しょうじゅす。 かさねてちかふらくは、 名声みょうしょう十方じっぽうきこえんと。

五劫思↢惟シテ↡摂受チカフラクハ名声キコエムト↢十方

2.依経段 a.弥陀章 ・果成

^あまねくりょうへんこう無礙むげたい光炎こうえんのう

チテ↢无量・无辺光无・无対・光炎王

^清浄しょうじょうかん智慧ちえこうだんなんしょうこう

清浄・歓喜・智慧光不断・難思・无称光

^ちょうにち月光がっこうはなちて*塵刹じんせつらす。 一切いっさいぐんじょうこうしょうかぶる。

超日月光↡照チリヂンクニ一切ムラガル生蒙↢光照

^本願ほんがんみょうごう正定しょうじょうごうなり。 しんしんぎょうがん (第十八願)いんとす。

本願名号正定ナリ至心信楽↠因

^*等覚とうがくだいはんしょうすることは、 ひっめつがん (第十一願) じょうじゅなり。

0061↢等覚↡証スルコトハ↢大涅槃必至滅度願成就ナリ

2.依経段 b.釈迦章 ・出世本懐

^如来にょらいこうしゅつしたまふゆゑは、 ただ弥陀みだ本願ほんがんかいかんとなり。

如来所↣以 ユヘ 興↢オコスシタマフ唯説ムトナリ弥陀本願海

^じょくあくぐんじょうかい如来にょらい如実にょじつみことしんずべし。

五濁悪時群生海↠信如来如実

2.依経段 b.釈迦章 ・一念大利

^よく*一念いちねんあいしんほっすれば煩悩ぼんのうだんぜずしてはんるなり

スレバ↢一念喜愛シテ↠断↢煩悩ルナリ↢涅槃

^ぼんしょうぎゃくほうひとしく*にゅうすれば 衆水しゅすいうみりていちなるがごとし。

凡聖・逆謗ヒトシク回入レバ↢衆水入↠海一味ナルガ

2.依経段 b.釈迦章 ・光摂益

^0204摂取せっしゅ心光しんこう、 つねにしょうしたまふ。 すでによくみょうあんすといへども、

摂取心光常照護シタマフ↠破スト↢无明

^貪愛とんない瞋憎しんぞううん、 つねに*真実しんじつ信心しんじんてんおおへり。

貪愛・瞋憎之雲霧キリヘリ↢真実信心

^たとへば日光にっこううんおおはるれども、 うんしたあきらかにしてやみなきがごとし。

↧日オホハルレドモ↢雲霧雲霧之シタニシテキガ

2.依経段 b.釈迦章 ・信心勝利

^しんうやまおおきにきょうすれば、 すなはち*おう*悪趣あくしゅちょうぜつす。

見敬大慶超↢ゼチキル五悪

^一切いっさい善悪ぜんあく*ぼんにん如来にょらいぜいがん聞信もんしんすれば、

一切善悪凡夫人聞↢信スレバ如来弘誓願

^ぶつ*広大こうだいしょうのひととのたまへり。 このひとふん陀利だりづく

仏言ヘリ↢広大勝解↢分陀利華

2.依経段 b.釈迦章 ・慈悲教誡

^弥陀みだぶつ本願ほんがん念仏ねんぶつは、 邪見じゃけんきょうまんあくしゅじょう

弥陀仏本願念仏邪見・驕オゴル アナドル悪衆生

^*しんぎょうじゅすることはなはだもつてかたし。 なんのなかのなんこれにぎたるはなし。

信楽受持スルコト中之難无↠過タルハ↠斯

3.依釈段 a.総嘆

^いん西天さいてんろんちゅう (中国)日域じちいき (日本)高僧こうそう

イン度西天之論家・日域サカイ之高僧

^だいしょう (釈尊) *こうしょうあらわし、 如来にょらい本誓ほんぜいおうぜることをかす。

0062↢大聖興世正意↢如来本誓応ゼルコトヲ↟機

3.依釈段 b.七祖 ・龍樹

^しゃ如来にょらい*りょうせんにして、 しゅうのためにごうみょうしたまはく

釈迦如来楞伽山ニシテ↠衆告命オホセシタマハク南天竺

^なん天竺てんじく (南印度)*りゅうじゅだい世にでて、 ことごとくよく*有無うむけん*さい0205ん。

龍樹大士出↢於世摧↢クダクセム有無

^だいじょうじょうほう宣説せんぜつし、 かんしょうして安楽あんらくしょうぜんと。

ノブ↢説大乗无上シテ↢歓喜地↡生ゼムト↢安楽

^なんぎょうろくくるしきことをけんして、 ぎょう水道すいどうたのしきことをしんぎょうせしむ。

顕↢示シテ難行陸路苦キコトヲ信↢楽セシム易行水道楽キコトヲ

^弥陀みだぶつ本願ほんがん憶念おくねんすれば、 ねんそくときひつじょうる。

憶↢念スレバ弥陀仏本願自然トキ↢必定

^ただよくつねに如来にょらいみなしょうして、 だいぜいおんほうずべしといへり。

唯能シテ↢如来ミナシトイヘリ↠報↢大悲弘誓

3.依釈段 b.七祖 ・天親

^*天親てんじんさつ ¬論¼ (*浄土論)つくりてかく、 無礙むげこう如来にょらいみょうしたてまつる。

天親菩薩造リテ↠¬論¼カク帰↢命シタテマツル无光如来

^しゅ多羅たらによりて真実しんじつあらわして、 おうちょうだい誓願せいがん光闡こうせんす。

↢修多羅↡顕シテ↢真実光↢闡ヒラク横超大誓願

^ひろ本願ほんがんりきこうによりて、 ぐんじょうせんがために一心いっしんあらわす。

↢本願力回向↠度ムガ↢群生アラハ↢一心

^どくだい宝海ほうかいにゅうすれば、 かならず*だいしゅかずることを

帰↢入スレバ功徳大宝海↠入コトヲ↢大会衆

^れんぞうかいいたることをれば、 すなはち真如しんにょほっしょうしんしょうせしむと。

レバ↠至コトヲ↢蓮華蔵世界セシムト↢真如法性

^煩悩ぼんのうはやしあそんで神通じんずうげんじ、 しょうそのりておうしめすといへり。

↢煩悩↡現↢神通↢生死オンソノ↡示ストイヘリ↢応化

3.依釈段 b.七祖 ・曇鸞

^*ほん*曇鸞どんらんは、 *りょうてん、 つねにらん (曇鸞)ところかひてさつらいしたてまつる。

本師曇鸞天子↢鸞↡菩薩シタテマツル

^*三蔵さんぞう流支るし*浄教じょうきょうさずけしかば、 せんぎょうぼんじょうして楽邦らくほうしたまひき。

0063三蔵流支サヅケシカバ↢浄教ボムヤク↢焼シテ仙経↡帰シタマヒキ↢楽邦

^0206天親てんじんさつ¬ろん¼ (浄土論)ちゅうして、 ほういん誓願せいがんあらわす。

天親菩薩¬論¼チユツウ シルスシテ報土因果顕↢誓願

^往還おうげんこうりきによる。 正定しょうじょういんはただ信心しんじんなり。

往還カヘル回向↢他力正定之イン唯信心ナリ

^惑染わくぜんぼん信心しんじんほっすれば、 しょうすなはちはんなりとしょうせしむ。

惑染凡夫信心発スレバ証↢知セシム生死即涅槃ナリト

^かならずりょうこうみょういたれば、 *しょしゅじょうみなあまねくすといへり。

レバ↢无量光明土諸有衆生皆普ストイヘリ

3.依釈段 b.七祖 ・道綽

^*どうしゃく*しょうどうしょうしがたきことをけっして、 ただ*じょうつうにゅうすべきことをかす。

道綽決シテサダム ↢聖道キコトヲ↟証唯明↣浄土キコトヲ↢通入

^万善まんぜんりき勤修ごんしゅへんす。 円満えんまん徳号とくごうせんしょうすすむ。

万善自力ヘンオトシム勤修円満徳号勧↢専称

^さん三信さんしんおしえ慇懃おんごんにして、 *像末ぞうまつ法滅ほうめつおなじくいんす。

三不三信オシヘオムネムゴロニシテ像末・法滅同ジクカナシミ

^いっしょうあくつくれども、 ぜいもうあひぬればあんにょうかいいたりてみょうしょうせしむといへり。

一生造レドモ↠悪マウアヒヌレバ↢弘誓↢安養界↡証セシムトイヘリ↢妙果

3.依釈段 b.七祖 ・善導

^*善導ぜんどうひとぶつしょうをあきらかにせり。 じょうさんぎゃくあくとを*矜哀こうあいして

善導独↢仏正意コウオホキニシテ定散↢逆悪↡

^*こうみょうみょうごう因縁いんねんあらわす。 本願ほんがんだいかいかいにゅうすれば、

光明・名号顕↢因ネン開↢入スレバ本願大智海

^ぎょうじゃまさしく金剛こんごうしんけしめ、 きょう一念いちねん相応そうおうしてのち

行者正シクケシメ↢金剛心慶喜一念相応シテ

^*だいひとしく三忍さんにんすなはちほっしょうじょうらくしょうせしむといへり。

↢韋提↡ヒトシク↢三忍セシムトイヘリ↢法性之常楽

3.依釈段 b.七祖 ・源信

^*源信げんしんひろ一代いちだいきょうひらきて、 ひとへにあんにょうして一切いっさいすすむ。

源信広↢一代シテ↢安養↡勧↢一切

^0207*専雑せんぞうしゅうしん浅深せんじんはんじて、 ほう二土にどまさしくべんりゅうせり。

0064専雑執心ハンジテ↢浅深報化二土正シクワキマヘセリ

^ごくじゅう悪人あくにんはただぶつしょうすべし。 われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども、

極重悪人唯称スベシ↠仏我亦在レドモ↢彼摂取

^煩悩ぼんのうまなこ*へてたてまつらずといへども、 だい*ものうきことなくしてつねにわれをらしたまふといへり。

煩悩障↠眼↠見タテマツラ大悲モノウキコトシタマフトイヘリ↠我

3.依釈段 b.七祖 ・源空

^ほん*源空げんくうは、 ぶっきょうにあきらかにして、 善悪ぜんあくぼんにん憐愍れんみんせしむ。

本師源空カニシテ↢仏教レン↢愍 アワレム セシム善悪凡夫人

^しんしゅう教証きょうしょう*へんしゅうおこす。 せんじゃく本願ほんがんあくひろむ。

真宗教証興オコス↢片州選択本願ヒロ↢悪世

^しょう輪転りんでんいえ還来かえることは、 けっするに*じょうをもつて*しょとす。

還↢来 カヘル コトハ生死輪転スルニ↢疑情↢所止

^すみやかに寂静じゃくじょう無為むいみやこることは、 かならず信心しんじんをもつて*のうにゅうとすといへり。

ヤカルコトハ↢寂静无為ミヤコ↢信心トイヘリ↢能入

3.依釈段 c.結勧

^きょう*だい*しゅうとうへんごくじょくあく*じょうさいしたまふ。

弘経大士・宗師等ジヨウ↢済シタマフ无辺極濁悪

^道俗どうぞく*しゅともに同心どうしんに、 ただこの高僧こうそうせつしんずべしと。

道俗時衆共同心シト↠信↢斯高僧

 ^ろくじゅうぎょうすでにおわりぬ。       いっぴゃくじっなり。

 六十ゴウリヌ 一百二十句ナリ

けん0208じょう真実しんじつぎょう文類もんるい 二

 

延書の底本は本山蔵本(所謂清書本)ˆ原漢文の校訂本Ⓐˇ。
浄土真実の行… 諸仏讃嘆のみょうごうが往生浄土の真実の行であり、 その名号がせんじゃく本願 (第十八願) の 「乃至十念」 の称名となってあらわれているということを示す。 →補註10
浄土 真跡本では右傍に補記されている。 真仏上人書写本にはない。
本願 真跡本では右傍に補記されている。 真仏上人書写本には 「選択本願之行」 全体がない。
回向 →補註12
もろもろの善法を… みょうごう大行にはあらゆる善根ぜんごんどくがおさまっているということを示す。
極速円満す きわめて速やかに往生の因が満足する。 名号大行のはたらきがすぐれていることを示す。
真如一実の… 名号大行は真如にかなった法であることを示す。 →真如しんにょ一実いちじつ
称揚・咨嗟 讃嘆の意で、 ほめたたえること。
聞ゆるところなくは 聞えないところがあるならという意。
功徳の宝 阿弥陀仏のみょうごうのこと。
まさに無上菩提の因を証すべし 「この誓願せいがんが私 (ほうぞう菩薩) の無上菩提の因となることを証明したまえ」 あるいは 「衆生を無上菩提に至らせるための因を成就するであろう」 という意か。 ただし経の原文では 「無上菩提を証する日に当たりて」 と読む。
上願 すぐれた願。 四十八願のこと。
十力無等尊 仏のこと。 十種の力をそなえたこの上なく等い者の意。 →じゅうりき
心…安楽ならしめんと 通常は 「心あるいはつねに施を行じ、 広く貧窮をすくひ、 もろもろの苦を免れしめ、 世間を利益し、 安楽ならしむるに堪へずは…」 と読む。
常行…施せん 行を修めることができないものに (真実のどくを) 回施えせしようという意。 底本の訓点では 「常行の施にへざらんものに」 と読む。
諸仏 ¬開元かいげんろく¼ 巻三に示された経名にはこの二字がある。 ¬浄土和讃¼ (六十) の異本左訓には、 ¬諸仏阿弥陀…¼ の経名を釈して 「弥陀を諸仏とまうす。 過度人道 (経) のこころなり」 とある。
悪のために… 仏教をそしるためやみょうもんようのためにみょうごうの法を聞くという意か。 あるいは 「悪をなして」 と読み、 悪をなしたことが縁となって名号を聞くという説もある。
阿闍世王太子 じゃ王の太子、 和休わくとする説と、 阿闍世王自身のこととする説とがある。
この法 阿弥陀仏の本願を指す。
信慧… 信心の智慧ちえを得ることはむずかしい。
精進 「このみすすむるなり」 (左訓)
見て…慶ばば 見は聞見のこと。 みょうごうのいわれを聞きひらき、 信を得て法を敬い深く心によろこべば。
大施品 引用の文は 「大施品」 になく 「しょさつほんじゅぼん」 にある。
一切の志願 往生成仏の願を根本とする一切の願。
満てたまふ 「たまふ」 は尊敬の意。 無明を破し、 志願を満たすのは、 阿弥陀仏の力によることをあらわす。
転じて休息と名づく 通常は 「転とは休息に名づく」 と読む。
見諦所断の法 無漏むろをもってたいの道理をみる時に断ちきられる煩悩ぼんのう
一分…歓喜せん 通常は 「一分の毛をもつて大海の水の二三渧のごときを分ち取るがごとし。 苦のすでに滅するは大海の水のごとし。 余のいまだ滅せざるものは二三渧のごときなれば心大いに歓喜す」 と読む。 「渧」 はしずくの意。 親鸞聖人は 「信心の行者は煩悩ぼんのう具足の身であって、 滅した苦しみは、 大海の水の二三滴ほどでしかないが、 それでもなお歓喜する」 という意に転じ、 原文を読み改めた。
天竜… はちじんのうちの四種。
この菩薩所有の… 信心の行者のもつ滅すべき罪苦は、 大海の水のごとくであるが、 本願力によって転ぜられるのであるから、 行者にとっては二三の水渧に等しいという意であろう。
つねに諸仏…行なり 通常は 「つねに諸仏および諸仏の大法と、 必定と稀有の行とを念ず」 と読む。
四十不共法 仏のみにそなわっている四十種のすぐれた特質。
念必定のもろもろの菩薩 他力信心の行者のこと。 通常は 「必定のもろもろの菩薩を念ず」 と読む。
大人法 菩薩の自利利他の法、 あるいは仏のさとりの法の意か。
無礙解脱 無礙道 (無間道) と解脱道。 前者は煩悩ぼんのうを断ずる位、 後者は煩悩を断じ終って無為むいを得る位。
聞見…殊勝と名づく 通常は 「聞見するところありてかならず受けて疑なきに名づく。 増上とは殊勝に名づく」 と読む。
骨体に徹入する 骨身にまでしみとおる。
利事 衆生をやくすること。
慈に三種あり 衆生縁・法縁・無縁の三種の慈悲を指す。 →三縁さんえん
恭敬 つつしみ敬う心。 ここでは他力の信心のこと。
十方諸仏 「易行品」 の原文では、 東方無憂世界の善徳仏をはじめとする十方十仏。 親鸞聖人はそのうち西方善世界の無量明仏のみをここに示している。
いま…かくのごとし 通常は 「いままさにつぶさに説くべし。 無量寿仏・世自在王仏…この諸仏世尊、 現に十方の清浄世界にまします。 みな名を称し憶念おくねんすべし。 阿弥陀仏の本願はかくのごとし」 と読む。 親鸞聖人は 「諸仏はすべて阿弥陀仏のみょうごうを称揚讃嘆する」 という意に転じ、 原文を読み改めた。
真金の山 しゅせんのこと。
修多羅 親鸞聖人は ¬銘文¼ で 「浄土三部経」 のこととする。
願偈総持を説きて 願偈は ¬浄土論¼ の 「願生偈」 のこと。 総持は親鸞聖人の解釈では 「無礙むげこう智慧ちえ」 (¬銘文¼) の意。 阿弥陀仏の智慧を 「願生偈」 として説くということ。
遇うて あいたてまつりて。 「遇ふ」 について ¬一多証文¼ に 「まうあふと申すは、 本願力を信ずるなり」 とある。
四種の門 ねんもんの中のらいはい讃嘆さんだんがん観察かんざつの前四門。
たまへり ¬浄土論¼ の当分は願生行者の自利利他行の成就であるが、 親鸞聖人は法蔵ほうぞう菩薩の自利利他行の成就に転意し、 「たまへり」 と敬語を付した。
第五門 ねんもんの第五、 こうもんのこと。
回向利益他 しゅじょうどくを施して利益を与えること。
心々相続して… 一心帰命の信が持続して他の思い (自力疑心) がまじらないという意。
彼此…顕れたり じゅで 「帰命」 といい、 じょうごうで 「礼拝」 ということによって、 帰命には礼拝の意が含まれ、 如実の礼拝は帰命からあらわれるという信心と礼拝の関係がいよいよ明らかとなる。
説文 ¬説文せつもんかい¼ のこと。 かん許慎きょしんの撰。 中国最古の部首別字書。
のごとく 「…にかなって」 「…のままに」 の意味。
所有なけん 通常は 「しょなし」 と読む。
諸法は…虚空のごとし すべての現象は固有の実体を持つ事物の集合としてあるのではなく、 関係によって仮に生じたものにほかならないから、 不生であり、 くうのようなものである。 →うん
前念と後念と因となる 通常は 「前念は後念のために因となる」 と読む。
一異を…論のなかに 通常は 「一異の門を観ずる論のなかに」 と読む。 「一異の門を観ずる論」 とは、 りゅうじゅ菩薩の ¬中論¼、 あるいは ¬因縁いんねん心論しんろん¼ の異訳 ¬じゅう因縁いんねんろん¼ を指すか。
二諦 真諦しんたい俗諦ぞくたい。 ここでは浄土の種々のしょうごんそうが有色有形のものであることを俗諦といい、 しかもその荘厳相が真如しんにょほっしょうの理にかなって無相であることを真諦という。
作願 しゅじょう救済を願うこと。
首として 第一にして。 中心にして。
得たまへるがゆゑに 通常は 「得んとするがゆゑに」 と読む。 ここでは阿弥陀仏のこうに転意している。
作願して…たまへるなり 通常は 「ともにかの阿弥陀如来の安楽浄土に往生せんと作願するなり」 と読む。
父の王 釈尊の父、 じょうぼんのう
噉する 口にする。 食べる。
搆り 底本には 「搆し」 とある。
十即十生百即百生 十人は十人ながら、 百人は百人ながらみな往生するという意。
正念 ここでは信心のこと。
摂受したまへり 大谷派本願寺蔵本 (坂東本) では 「摂受したまはんと」 とあったのを 「摂受したまふべし」 と改めている。
勝益 すぐれたやく
至心…求めよ 「阿弥陀仏の真実をもちいて」 を意味する読み方。 通常は 「すべからく心を至して往くことを求むべし」 と読む。
八万四 八万四千 (多数の意) の法門。 仏の説いた教法全体のことであるが、 親鸞聖人は 「仮門 (本願の法以外の自力方便の教え)」 の意とする。
随智と滅す 随智は自力の智慧ちえの意か。 通常は 「智にしたがひて滅す」 と読む。
思量巧方便 思慮たくみなてだて。
帰説 「たよりのむといふ」 (右訓) 「よりたのむなり」 (左訓)
帰説 「よりかかるなり」 (左訓)
選択本願 せんじゃく本願ほんがんの行。 みょうごうが 「ないじゅうねん」 の称名しょうみょうとなってあらわれているということを示す。
時剋の極促 時間のきわまり。 聞信の一念に往生浄土の因が定まることをいう。
広略根に随ふ 広く詳しく説くか簡略に説くかは、 教えを受ける者の素質能力にしたがう。
焉に…事として ¬五会ごえほうさん¼ の原文には 「仏事を為し、 願力、 …」 とある。
父の王 釈尊の父、 じょうぼんのう
あに離念に… 念を離れてねんを求めることがどうしてできるであろうか。
 空見くうけんのこと。
労しくせず つとめる必要がない。
喚ばひ 「よばふ」 は呼びつづけるの意。
上華台 すぐれたれんの台座 (うてな)。
帰去来 さあ帰ろう。 とうえんめい (365-427) の 「きょらいのじ」 の中の言葉。 故郷に帰る決意を述べたものであるが、 ここでは浄土に生れたいという意をあらわす。
久塵にあり ながく煩悩ぼんのうの塵にまみれていること。
如来の広説… ¬大経¼ の大綱を示す。
所行所成 法蔵ほうぞう菩薩の願行とその成就のありさま。
所摂所益 阿弥陀仏がしゅじょうを救いとり、 やくするありさま。
またいはく… 以下の ¬悲華ひけきょう¼ と ¬如来にょらい¼ の文は ¬じゅつ文賛もんさん¼ にはない。 おそらく【44】【45】の意を明確にするためにあげたのであろう。
転輪王 阿弥陀仏のいんじょう念王ねんおうのこと。
福智の二厳 福方便と智方便。 ¬述文賛¼ の原文では、 ¬大経¼ 法蔵ほうぞう修行の 「三宝さんぼうぎょうす」 を福方便、 「師長に奉事す」 を智方便とする。
つぶさに…たまへるなり 通常は 「施等のもろもろの聖行を備ふ」 (¬述文賛¼ の原文では、 「生」 は 「聖」 の字) と読む。 ここでは如来こうの意をあらわすために読み改めた。
善によりて…たまへる 通常は 「因の善すでに成ずれば」 と読む。 ここでは如来の徳をあらわすために読み改めた。
往くこと… 原文の 「往誓願」 は通常 「むかしの誓願」 と読む。 ここでは往生は本願力によることをあらわす。
この土 しゃ世界を指す。
無諍王 じょう念王ねんおうのこと。
清晨俛仰の暇を輟めて 明け方のわずかの時間をさいて。
台教の祖師山陰のいはく… 引用の出典不明。 山陰はかいけいざんの北 (現在の中国浙江せっこうしょうこう) の地域。 ここでは慶文けいぶんほっの称。
真応の身 報身ほうじんのこと。 真を法・報の二身、 応を応身とする説もある。
諸大乗 いろいろな大乗経典。
憐憫すべき…したまへり 通常は 「憐憫すべきものとなす」 と読む。
正信法門 慶文の ¬浄土文¼ の中の一篇。
首楞厳 ¬しゅりょうごんぎょう¼ のこと。
摩訶衍論 ¬だいじょうしんろん¼ のこと。
時魅 →時魅じみ
聖の解 みずからしょうじゃになったと思うこと。
大摧邪力 邪悪を打ちくだく大いなる力。
大降魔力 魔を降伏ごうぶくさせる大いなる力。
天眼遠見力 遠くをみとおす天眼通の力。 →ろく神通じんずう
天耳遥聞力 遠くの声を聞きわける天耳通の力。 →ろく神通じんずう
他心徹鑑力 すべての者の心を知りぬく他心通の力。 →ろく神通じんずう
一乗の極唱 一乗教の至極の説法。
済衆の仁 しゅじょうを救済しようとする慈悲の心。
芥子の地 けしの粒ほどの小さな場所。
悲智六度 布施ふせかいにんにくしょうじんぜんじょう智慧ちえの六度 (ろっ波羅ぱらみつ) の中、 前五は慈悲の行、 後一は智慧の行で、 六度は悲智にとうしょうされる。
内外の両財 布施をする財宝を内財と外財に分けたもの。 内財とはみずからの身心をいい、 外財とは物質的な財宝をいう。
四字 阿弥陀仏の四字。
識心 衆生の心。
大小の戒体 大乗戒や小乗戒の戒体かいたい
臨終…得 Ⓐでは 「臨終に得、 もろもろの怖畏を離れしめ、 身心衆聖現前し授手接引せらるることを安快にして」 と返点されている。
古賢の法語 古賢はうんを指す。 以下はがんじょうの語。
宋の元嘉 424-453。 りゅうそうの三代、 文帝ぶんていの年代。
京邑に建めたり 元照の ¬観経義疏¼ の原文では 「建」 は 「達」 となっている。 みやこに来たという意。
慈雲の讃にいはく… 引用は ¬楽邦らくほう文類もんるい¼ 巻四所収の慈雲 「往生浄土決疑門」、 がんじょう ¬観経義疏¼ 所引の慈雲同書の文等によるか。
律宗の用欽のいはく… 【57】【58】の引用は用欽の ¬弥陀みだきょうしょちょうげん¼ の文ともいわれるが、同書は現存しない。
一切を得ざるがゆゑに 一切を固定的な実体として認識しないがために。 あらゆる執着を離れた立場であることを示す。
無相の大願 実体的なすがたはないということをさとって発された願。
修するに…神通なき 通常は 「無住の妙行を修し、 無得の菩提を証し、 非荘厳の国土に住し、 無神通の神通を現ず」 と読む。
舌相を大千にあまねくして 諸仏が舌を出して、 あまねく三千大千世界をおおい、 念仏の教えが真実であることを証明したことをいう。
持名の行法 みょうごうをたもつぎょうごう。 称名のこと。
世出世間の功徳 世間の功徳 (世俗の倫理的な善) と出世間の功徳 (さとりの世界の功徳)。
功徳…による ¬おうじょうようしゅう¼ の現行本は 「功徳円満して、 一切の義の依たり。 かくのごとき等の六種功徳を具して」 となっている。
一称南無仏… 「ひとたび南無仏と称するに、 みなすでに仏道を成ぜり」 ¬法華ほけきょう¼ 「方便品」 の文。
無上両足尊 人の中にあってこの上なく尊い方の意。 阿弥陀仏のこと。
極難値遇者 遇うことがきわめてむずかしい方の意。 阿弥陀仏のこと。
円融万徳尊 完全自在であらゆる徳をそなえた尊い方の意。 阿弥陀仏のこと。
波師迦華 波師迦は梵語ヴァールシカ (vārṣika) の音写。 雨時華と漢訳する。 雨季に咲く香気の強い花。
石汁 錬金術に用いる薬の名。
昴星 スバルのこと。
大小の聖人 大乗の聖者と小乗の聖者。
即時入必定 「即の時に必定に入る」。 信心をぎゃくとくすると同時に、 必ず仏になることに定まったくらいに入ること。
入正定聚之数 「正定聚の数に入る」 ¬論註¼ の原文には 「入大乗正定之聚」 とある。
能生の因・所生の縁 父母を能生と所生に分けたのは、 父は生ませる側 (子種を下す下種)、 母は生ませられる側 (子種をたもち育てる持種) であるという俗説によっている。 また因と縁に分けたのは、 みょうごう正定しょうじょう業因ごういんとなり、 こうみょうせっしゅの外縁となるからである。 ただし光明と名号は別なものではなく、 しばらく因と縁に配当しただけである。
下至十声聞等 高田派専修寺蔵宗祖加点 ¬礼讃らいさん¼ には 「下至十声一声等」 とある。 親鸞聖人は 「聞」 の語を示すために ¬礼讃¼ を直接引用せず、 ¬礼懴らいさん¼ を引用したのであろう。
一多包容の言 一念も他念も包みいれるという意味をあらわす言葉。
聖者 仏のこと。
労しく わずらわしく。
円融真妙の正法 万物一如いちにょという完全にして最高の真理にかなった行法。
大菩薩 ¬論註¼ の当分は、 浄土に往生した菩薩のことであるが、 親鸞聖人は法蔵ほうぞう菩薩のこととみなすから、 以下の引文は 「現じたまふ」 「成就したまへり」 等と、 敬語を付している。
第五の功徳相 五功徳門の第五、 園林おんりん遊戯ゆげもんのこと。
四種の門 ねんもんの中のらいはい讃嘆さんだんがん観察かんざつの前四門。
第五門 ねんもんの第五、 こうもんのこと。
常倫に…現前し 通常は 「常倫諸地の行を超出し、 現前に」 と読む。 常倫はつねなみ、 普通一般の意。
この方 しゃ世界。
底本では 「異なること如来にましまさず、 異なること法身にましまさず」 と訓点されている。
究竟法身 しきぎょうほっしょう真如しんにょそのもの。 法性法身のこと。 →補註1
無辺不断 空間と時間を超越すること。
誓願一仏乗 阿弥陀仏の誓願によって成就された南無阿弥陀仏は、 生きとし生けるものを平等に成仏せしめる絶対唯一の教法であるという意。
実諦 究極的な真実。 真如しんにょ実相じっそうのこと。
不逆に信順す 通常の訓点では 「信順して逆はず」 と読む。 親鸞聖人の訓点によると 「不逆」 は 「一実」 の意。
荘厳畢竟 仏果 (仏のさとり) を得るための因行であるろっ波羅ぱらみつのこと。
究竟畢竟 因果をこえた究極的な真理そのものであるぶっしょうをいう。
世間畢竟・出世畢竟 世間畢竟は荘厳畢竟、 出世畢竟は究竟畢竟を指すという説、 また世間畢竟・出世畢竟は荘厳畢竟を二種に開いたものとする説がある。
無数の法 一とか三といった数であらわせない絶対の法門のことで、 一乗の本質をいう。
文殊の法はつねにしかなり 文殊の法は念仏の教えを指す。 念仏は智慧ちえの法であるから、 智慧を象徴する菩薩である文殊の法としたものか。 通常は 「文殊よ、 法はつねにしかなり」 と読む。
雑修雑善 自力心で修するさまざまな善。
 経名不明。 ¬おうじょうようしゅう¼ の文によるものか。
中下の屍骸 中は縁覚えんがく乗、 下はしょうもん乗。 縁覚・声聞は利他の心を持たない小乗の根性 (性質) だからこれを死骸に喩える。 ただし次の引文では声聞と菩薩を二乗とする。 この場合は果仏に対する因人を指す。
荘厳不虚作住持功徳成就 仏荘厳八種の第八荘厳。 阿弥陀仏の願力はもうなものではなく、 しゅじょうを完全に救いとげるものであるということを示す。
大乗根 大乗の根性。 大乗にふさわしい素質。
菩提蔵 仏のさとりに至る道を説く教え。 さつぞうに同じ。
還丹 錬金術に用いる薬の名。
超渉対 念仏は迷いをとびこえる (超) が、 諸善は歩いて渡る (渉) ようなものである。
径迂対 念仏はさとりを得る近道 (径) であるが、 諸善はまわり道 (迂) である。
通別対 念仏は特別のすぐれた法であるが、 諸善は通常の法である。
捷遅対 念仏ははやく成仏できる法であるが、 諸善はおそい法である。
無上有上対 念仏のやくはこの上ないが、 諸善の利益は限りがある。
了不了教対 念仏は完全な教えであるが、 諸善は不十分な教えである。
直弁因明対 念仏は往生の要行として直ちに説かれたものであるが、 諸善は自力の機に応じて因みに明かされた法である。
思不思議対 念仏はしゅじょうの思議がおよばない尊い法であるが、 諸善は思いはかることのできる法である。
有願無願対 念仏は本願の行であるが、 諸善は本願の行ではない。
理尽非理尽対 念仏は道理を尽すが、 諸善は道理を尽さない。
勧無勧対 念仏は諸仏が勧めるが、 諸善は勧めない。
因行果徳対 念仏は阿弥陀仏の果上の徳がおさまる果分の行であるが、 諸善は仏になるために積む因分の行である。
自説他説対 念仏は阿弥陀仏がみずから往生行として説いたものであるが、 諸善はそうでない。 ¬愚禿鈔¼ では 「自説不説対」 として出る。
入定聚不入対 念仏はこの世で正定しょうじょうじゅの位に入る法であるが、 諸善はそうではない。
回不回向対 念仏はしゅじょうから回向する行ではないが (不回向)、 諸善は衆生から回向する行である (回向)。
機堪不堪対 念仏は衆生のこん (素質能力) に適するが、 諸善は適しない。
法滅利不利対 念仏は法滅 (三宝さんぼう滅尽めつじん) の時代にもやくがあるが、 諸善は利益がない。 ¬愚禿鈔¼ と対応して法滅不滅対 (念仏は滅しないが、 諸善は滅する) 利不利対 (念仏は利益があるが、 諸善は利益がない) の二対のこととする説もある。
報化対 念仏は真実ほうに往生する法であるが、 諸善は方便化土けどに往生する法である。
絶対不二 絶対は比較すべきものがないという意。 不二は唯一無二の意。
奢促対 念仏の行者はすみやかに (促) さとりに至るが、 諸善の行者はおそい (奢)。
善悪対 念仏の行者は本願を信じるから善であるが、 諸善の人はこれを疑うから悪である。
明闇対 念仏の行者は智明であるが、 諸善の行者は無明の闇である。
勇将幢 たいしゃくてんが魔と戦うときのはたぼこ
出要の道 しょうしゅつするためのかなめの道。
大祖の解釈 しち高僧こうそうの論釈。 前の文をうけ、 曇鸞どんらんだいの ¬論註¼ を指すという説もある。
大会衆の数に… 浄土で阿弥陀仏が説法する時の集会を広大会と名づけ、 それに参列し聞法もんぼうする大衆だいしゅを大会集という。 ここでは信心の行者が、 現生においてしょうじょうじゅに入り、 阿弥陀仏の眷属けんぞくとなることをいう。
本師 本宗の祖師。
梁の天子 南朝梁の武帝 (464-549) のこと。 名はしょうえん。 仏教を深く信奉した。
三蔵流支 →だい流支るし
浄教を… ¬ぞく高僧こうそうでん¼ 巻六では ¬観経¼ を授けたとするが、 諸説があって定かではない。
像末法滅… 像法ぞうぼう末法まっぽう法滅ほうめつ (三宝さんぼう滅尽めつじん) の時代を通じて、 本願のみょうごうは人々を救いつづけるという意。
光明名号… 名号はしゅじょうに与えられて信心の因となり、 光明はこの人を照らしまもる縁となるという救済のありさまをいう。
専雑の… 専修せんじゅの者は本願をりたもつ信心が深くけつじょうしているからほうに往生するが、 雑修ざっしゅの者は信心が浅く不決定であるから化土けどにしか往生できないと弁立 (解き明かすこと) されたという意。
障へて さえぎって。
倦きことなく 飽きることなく。 ここでは見捨てることなくという意。
大士 りゅうじゅ菩薩・天親てんじん菩薩を指す。
宗師 曇鸞どんらんだいどうしゃくぜん善導ぜんどう大師・源信げんしんしょう法然ほうねん上人を指す。
底本は◎真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆本。 Ⓐ本派本願寺蔵鎌倉時代写本、 Ⓑ高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵存如上人授与本、 Ⓓ本派本願寺蔵版 と対校。
咨嗟 左ⒶⒷホムルナリ
第十七願 ◎Ⓐ上欄註記(◎別筆) ⒷⒸⒹになし
 Ⓐ諸仏咨嗟之願と右傍註記
咨嗟 左◎ホムルナリⒷ―
究竟 左ⒶⒷキワメキワム
 左ⒶⒷナビク
 左ⒶⒷホドコシ アタフ
 Ⓐ成就行と左傍にあり
証字諸応反験也 ◎Ⓐ上欄註記(但しⒶは前頁に同様の註記及び証字の註記あり) Ⓑになし
→Ⓑ
ラムモノ↢常行↡施セム→ⒶⒷⒸラムモノ↢常行
 左ⒶⒷトモガラ
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左ⒶⒷロウ
12字 ◎上欄註記(別筆) ⒷⒸになし
 左Ⓐシテ
 左◎ムクメクⒷムクメキ
 右ⒶⒷヒ反
 左◎ムクメク
 左Ⓐウゴク
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 ◎上欄補記
 左Ⓑムクメク
 左Ⓐマク反
 左ⒶⒷナカバ
 左Ⓐス
 左ⒶⒷアウ
 左Ⓐクニ反Ⓑクニ
 左ⒶⒷサダメ
→Ⓒ
驕慢 左ⒶⒷオゴリアナドル
 左ⒶⒷボムナウナリ
懈怠 左ⒶⒷオコタリオコタル
聴聞 左ⒶⒷ
親原→Ⓒ親厚
 左Ⓑベシト
 左Ⓑ―
14字→Ⓑ↢安楽国之世界↡至无量光明土
曇無讖→Ⓒ曇無纖
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左ⒶⒷツタヘタマフトナリ
 左ⒶⒷヱ反
已上 Ⓑになし
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左ⒶⒷトガ
 左ⒶⒷトガ
休息 左ⒶⒷヤメヤム
堅牢 左ⒶⒷカタクカタシ
 左ⒶⒷアキラカナリ
 左ⒶミダレガワシⒷミダレガハシ
 Ⓑ若歟と上欄註記
 左ⒶⒷウツル
滋味 左◎コキアヂワイⒷシゲシ コキ アヂワイ
→Ⓑ(と上欄註記)
 左◎サワルⒶサカリⒷサワリ
 左◎ヤブル
 左◎ミダル
 左ⒶⒷサワル
→ⒶⒷⒹ
 左Ⓑエテハ
 左Ⓑベシ
 左ⒶⒷタントシ
→Ⓑ(と上欄註記)
→Ⓑ
 左Ⓑゾ
籌量 左◎ハカラフⒷハカラウコヽロナリ
 左ⒶトヲリⒷトオリ
 左ⒶネンゴロⒷネムゴロ
阿惟越致 左ⒶフタイノクラヰナリⒷ―
 左Ⓐベシ
 Ⓐ「ケシイ本」と左傍註記
 左Ⓐシタテマハ
 左◎アグⒷ―
 左Ⓐシ
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左◎スベテⒷ―
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左◎ヅⒷ―
修醤→◎Ⓐ循醤→Ⓑ修将酉修 左Ⓐシウ
 左◎カヘリミル
衍字口且反楽也 ◎ⒶⒷ上欄註記(但しⒶは前頁にもあり)
衍字 Ⓒになし  左Ⓑエン
 左◎ムネⒷ―
 左Ⓐナル反 フネノホナリⒷフネノホナリ
航字 左◎フナワタシⒶフナワタシ ホナリ ◎Ⓐ上欄註記(但しⒶは前頁にもあり) ⒷⒸになし
 左◎シタガイⒷ―
 左◎モチヰル
 右Ⓑシタマハ 左◎クワウ
 左◎サトル
 左◎コウ
→Ⓒ
11字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
督字→Ⓒ冬毒反 左◎アキラカナリ
他想間雑 左ⒶⒷヨノオモヒヘダテマジズ
 Ⓑ□命事と右上に張紙
 Ⓐ命字病反使也教也道也信也計也召也と上欄註記
 左◎キⒷ―
 左Ⓑウヤマフ
 左◎ヲスⒶⒷオス
17字 ◎上欄註記 ⒶⒷになし
命字 Ⓒになし
 左ⒶⒷアラワル
」32字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
称字 Ⓒになし
→Ⓒ
→Ⓐ俗[也]
→Ⓒ Ⓐイ本と下に註記 
昌孕反昌陵反 Ⓒになし
 右ⒶキタマヘリⒷク
 左◎ヲワルⒶオハルⒷ―
 左◎ケⒷ―
 左◎クワシ Ⓑクワシク
 左ⒶⒷキヨク
 左Ⓐウン
 ◎上欄補記
 左◎フクム
 左◎イツワル
 左ⒶⒷウシナフ
 ◎と上欄訂記 左Ⓑフタ
→Ⓑ[已上]抄
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 左◎ケンⒶⒷケン反
父王 ◎上欄補記
蘭林 左◎ワル キⒷ―
 左ⒶⒷネ
 左◎シユⒷ―
 左◎ナムル クラウⒶナムル クラフ
 左◎クルウⒶクルフⒷクルフナリ
根芽 左ⒶⒷネ クキ
 左ⒶⒷサカリナル
 左◎アラタムⒷアラタムル
 左ⒶⒷヨシ
 左ⒶⒷニガシ
→Ⓑ
 左◎ハカリテⒶハカリテ反Ⓑケシテ反
→Ⓒ一[切] Ⓑと上欄補記
 Ⓐ「イマ字歟」と下欄註記し、 さらに「イ本」と左傍註記
 成就行と左傍にあり
牛羊 左ⒶⒷウシ ヒツジ
驢馬 左ⒶⒷウサギムマ
 左◎マサニⒷ―
 右◎トウ ニⒶイルヽニ トウ反 ニ 左◎ナグルニⒶナグルⒷ―
 左◎カクス
遊行 左ⒶⒷアソビアルク
遮障 左◎サイギルⒶサイギル反 サヘ反 サワル反Ⓑサヘ サワル
 ◎上に一字抹消あり
→Ⓑ也[已上]
 ◎上に一字抹消あり
 左Ⓑニ
→Ⓑ
 Ⓐ成就行と左傍にあり
 Ⓑ「カ」と左傍にあり
 左◎ハゲシⒷ―
光明寺和尚云 ◎右傍補記
又如 ◎上欄補記
 左◎シヅカナリⒶシヅカ
 左◎カタチⒷ―
 左◎コマカニ
 左◎アラシ
 左◎タマシイⒶタマシヰ
 左アワレムⒶアワレミⒷアハレム
」13字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし
由字 Ⓒになし
 左◎サカイⒷ―
 左◎ナル フタヽビ
→Ⓐ
↢无二ナル→Ⓐ↢无ナルナラビ →Ⓑ↠无ナラ→Ⓒ↠无↠二ナルナラビ
 Ⓒと左傍註記
→Ⓑ
 ◎上欄補記
 右Ⓑナヅケタテマツル
 左Ⓑキシ
 左ヘウ
モチヰ↢至心↡求メヨ↠往→Ⓑスベカラ↣至↠心↢求↠往コトヲ
→ⒷⒸ念[経]
 左◎ユカⒷユカ反
 Ⓑになし
19字 Ⓑになし
乗字 Ⓒになし
又宝証反 Ⓒになし
 左Ⓐ―
 左Ⓐオオフ
 ◎上欄補記
…33段末 ◎別筆
 ◎上欄補記
→Ⓑ(と上欄註記)
又云 Ⓒ「二字イ無」と左傍註記
利剣 左ⒶトキツルギⒷトキツクキ
覚字教音 Ⓑになし
覚字 Ⓑになし
 左ⒶⒷタクミナリ
 Ⓒと左傍註記
帰説 右Ⓐタヨリノムトイフ
宣述 左Ⓐセンジュツスルナリ
 左Ⓑノブル
招引 左Ⓐセウイン
招喚 左Ⓑマネキヨビタマフ
 左Ⓑキムルナリ
極促 左Ⓑキワメテトキナリ
 左ⒶⒷアキラカナリ
分極 左ⒶⒷワカチキワムル
綿 Ⓒ連-と左傍註記
 左◎コトワリⒶコトハリ
 左◎コトナリⒶコトハリ
→Ⓐ
 Ⓑ「ミヅカラ」と左傍註記
来迎 Ⓑ十七願来迎と上欄に張紙
 ◎右傍註記
 Ⓑ「ヲ」と左傍註記
 Ⓑ「ニ」と左傍註記
→Ⓒ「
 Ⓒ「と右傍註記
 Ⓒ「と左傍註記
迎来 Ⓑ十八願来迎と上欄に張紙
沈淪 左ⒶⒷシヅム シヅム
 Ⓒ因本疏有此字と左傍註記
→Ⓑ
→Ⓑ
 ◎と上書訂記
呼吸 左ⒶⒷイヅルイキ イルイキ
 左Ⓑカヘラズ
 左ト Ⓐ-
居士 右◎オトコ也Ⓐコ反ジ反 オトコナリⒷ― 左◎ⒶヰルヒトⒷオトコ
元照 Ⓒ観経義疏と左傍註記
憐憫 左アワレミアワレム Ⓑアハレミアハレム
 左コトニ Ⓑ-
 左ミチ
 左カシコシ Ⓑ-
緇素 クロク ソウナリ シロシ オトコナリ
→Ⓒ
↢彼→Ⓑ→ⒷⒸ
来迎 Ⓑ臨終来迎と上欄に張紙
 左ツク Ⓑ-
 左クダク
 左トヲリ
 左カヾム Ⓑヾミ カヾム
 左サワル
 左Ⓑクダク
 Ⓑ耶歟と左傍註記
衆生→Ⓑ不捨
9字 ◎左傍註記 Ⓑになし Ⓐ上欄註記 Ⓒ「云」の下に割註
→Ⓒ
 Ⓑ「シテ歟」と左傍註記
→Ⓒ
 ◎上欄補記
 左ツナグ
 左シタウ コウトモ Ⓑシタウ反コヒ
 左クルウ Ⓐクルフ
天竺寺遵式 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
得…引19字 Ⓐ臨終シメ↢諸怖畏↡、身心安↢快ニシテ衆聖現前、授手接引ラルルコトヲ
→Ⓒ 
遵式也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
大智 Ⓑ元照律師と左傍註記
元照律師也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
 Ⓐ「スルコト イマノ本云」と左傍註記
戒度 Ⓑ元照之弟子と左傍註記
元照之弟子也 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ「云」の下に割註
元照之弟子也 ◎上欄註記 ⒶⒷⒹになし Ⓒ「云」の下に割註
 ◎Ⓐと上欄註記
 ◎と上欄註記
→Ⓑ(「と右傍註記)
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓑ声[一声]
 ⒷⒸになし
→Ⓒ
→Ⓑ
 Ⓑ「オム歟」と左傍註記
聖智无知也→Ⓑ聖智コト
→Ⓑ多(他歟と上欄註記)
他利↠之→Ⓑ他利之→Ⓒ他↢利
 Ⓒ第十八願と右傍註記
 Ⓒ十一願と右傍註記
 Ⓐ廿二と上欄註記 Ⓒ二十二願と右傍註記
以神通 Ⓑになし
14字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑになし Ⓒ古玉反と割註
マシマサズコト如来↡、マシマサズコト法身↡→Ⓑサズ↠異コト↢如来↡、サズ↠異コト↢法身
→Ⓑ
已上 Ⓑになし
 Ⓑ「ユクテ歟」と左傍註記
→Ⓒ
→Ⓒ
 Ⓑ下に装入符号あり、 回不歟と右傍註記
回不 Ⓑになし
→Ⓒ不[付]
→Ⓒ滅[不滅]
 Ⓑになし
名号 ◎浄土名号と上書訂記
如来 ◎釈迦如来と上書訂記
弥陀本願 ◎本願一乗弥陀本願と上書訂記
如来 ◎釈迦如来と上書訂記
→Ⓑ
 ◎と上書訂記→Ⓒ
見敬 ◎大慶見敬と上書訂記
 ⒶⒷⒸⒹ
 ◎と上書訂記
涅槃 Ⓒ菩提と右傍註記
 Ⓒ
 Ⓒと左傍註記