冠頭讃
^*▼¬*称讃浄土教¼ にのたまはく
0314◎*¬称讃浄土教ニ¼言ハク
*玄奘三蔵の訳なり
玄奘三蔵ノ訳ナリ
^「▲たとひ百千倶胝那由他劫を経て、 それ無量百千倶胝那由他の舌をもつて、 一々の舌の上に無量の声を出してその功徳を讃めんに、 また尽くることあたはじ」 と。 文
「仮使経テ↠於↢百千倶胝那由他劫↡、以テ↢其无量百千倶胝那由他ノ舌ヲ↡、一一ノ舌ノ上ニ出シテ↢无量ノ声ヲ↡讃メムニ↢其ノ功徳ヲ↡、亦不ト↠能ハ↠尽クルコト。」 文
題号
0545◎入出二門偈頌
愚禿*親鸞作
冠註
^*¬*無量寿経論¼一巻 *元魏天竺三蔵 *菩提留支の訳
0315*¬无量寿経論¼一巻 元魏天竺三蔵菩提留支ノ訳
^*婆藪槃豆菩薩の造なり。 婆藪槃豆はこれ梵語なり。
旧訳には天親、 これはこれ訛れるなり。 新訳には世親、 これを正とす。
旧訳ニハ天親此ハ是訛クワ レルナリ | 新訳ニハ世親ナリ是ヲ為↠正ト |
¬優婆提舎願生の偈¼、 宗師これを ¬*浄土論¼ と名づく。
¬優婆提舎願生ノ偈¼ | 宗師是ヲ名ク↢¬浄土論ト¼↡ |
この論をまた ¬往生論¼ といへり。 入出二門、 これより出でたり。
此ノ論ヲ亦曰ヘリ↢¬往生論ト¼↡ | 入出二門従リ↠斯出デタリ |
一 入出二門の他力を明す
Ⅰ【世親章】
ⅰ 願生偈を頌す
a 一心帰命を明す
【1】 ◎^▲世親菩薩 (天親) は、 ▼大乗修多羅真実功徳によりて、
世親菩薩ハ依リテ↢大乗 | 修多羅真実功徳ニ↡ |
^▲一心に尽十方不可思議光如来に帰命せしめたまへり。
一心ニ帰↢命シタマヘリ尽十方 | 不可思議光如来ニ↡ |
一 Ⅰ ⅰ b 所帰の三厳を示す
イ 所帰の徳
^▲無礙の光明は大慈悲なり。 ▲この光明はすなはち諸仏の智なり。
无ノ光明ハ大慈悲ナリ | 斯シ ノ光明ハ即チ諸仏ノ智ナリ |
一 Ⅰ ⅰ b ロ 所帰の三厳
(一)国土荘厳
^▲かの世界を観ずるに▲辺際なし、 究竟せること広大にして虚空のごとし。
観ズルニ↢彼ノ世界ヲ↡无シ↢辺際↡ | 究竟セルコト広大ニシテ如シ↢虚空ノ↡ |
^▲五つには*仏法不思議なり。 ▲このなかの仏土不思議に、
^~二種の不思議力まします。 ▲これは安楽の至徳を示すなり。
有ス↢二種ノ不思議力↡ | 斯ハ示スナリ↢安*養之至徳ヲ↡ |
^▲一つには業力、 いはく法蔵の大願業力に成就せられたり。
0316一ニ者業力謂ク法蔵ノ | 大願業力ニ所レタリ↢成就セ↡ |
^▲二つには正覚の阿弥陀法王の善力に摂持せられたり。
二ニ者正覚ノ阿弥陀 | 法王ノ善力ニ所レタリ↢摂持セ↡ |
一 Ⅰ ⅰ b ロ (二)聖衆荘厳
^▲女人・根欠・*二乗の種、 安楽浄刹に永く生ぜず。
女人・根欠・二乗ノ種 | 安楽浄刹ニハ永ク不↠生ゼ |
^▲如来浄華のもろもろの聖衆は、 *法蔵正覚の華より化生す。
^▲諸機はもとすなはち三三の品なれども、 いまは*一二の殊異なし。
諸機ハ*本則チ三三ノ品ナレドモ | 今ハ无シ↢一二之殊異↡ |
^0546▲同一に念仏して別の道なければなり、 ▲なほ淄澠の一味なるがごとくなり。
同一ニ念仏シテ无ケレバナリ↢別ノ道↡ | 猶↢如キ淄澠ノ一味ナルガ↡也 |
一 Ⅰ ⅰ b ロ (三)仏功徳
^▲かの如来の本願力を観ずるに、 凡愚、 遇うて空しく過ぐるものなし。
観ズルニ↢彼ノ如来ノ本願力ヲ↡ | 凡愚遇フテ无シ↢空シク過グル者↡ |
^▲一心専念すれば、 すみやかに真実功徳の大宝海を満足せしむ。
一心ニ専念スレバ速ニ満↢足セシム | 真実功徳ノ大宝海ヲ↡ |
一 Ⅰ ⅱ 長行によって入出二門を頌す
a 如来の所修を標す
^▲*菩薩は五種の門に入出して、 自利利他の行成就したまへり。
菩薩ハ入↢出シテ五種ノ門ヲ↡ | 自利利他ノ行成就シタマヘリ |
^▲不可思議兆載劫に、 ▲漸次に五種の門を成就したまへり。
不可思議兆載劫ニ | 漸次ニ成↢就シタマヘリ五種ノ門ヲ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b 正しく入出二門を明す
イ 標
^▲なんらをか名づけて五念門とすると。 礼と讃と作願と観察と回となり。
何等ヲカ名ケテ為ルト↢五念門ト↡ | 礼ト讃ト作願ト観察ト廻トナリ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ 五門を釈す
(一)入門
(Ⅰ)釈
(ⅰ)礼拝門
^▲いかんが礼拝する。 身業に礼したまひき。 阿弥陀仏正遍知の、
云何ガ礼拝スル身業ニ礼シタマヒキ | 阿弥陀仏正徧知ノ |
^▲もろもろの群生を善巧方便して、 ▲安楽国に生ぜん意をなさしめたまふがゆゑなり。
善↢巧方↣便シテ諸ノ群生ヲ↡ | 為サシメタマフガ↧生ゼム↢安楽国ニ↡意ヲ↥故ナリ |
^▲すなはちこれを入第一門と名づく。 ▲またこれを名づけて近門に入るとす。
即チ是ヲ名ク↠入ルト↢第一門ニ↡ | 亦是ヲ名ケテ為↠入ルト↢近門ニ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)讃嘆門
^▲いかんが讃嘆する。 口業に讃じたまひき。 名義に随順して仏名を称せしめ、
0317云何ガ讃嘆スル口業ヲシテ讃ジタマヒキ | 随↢順シテ名義ニ↡称セシム↢仏名ヲ↡ |
^▲如来の光明智相によりて、 実のごとく修し相応せんと欲ふがゆゑなり。
依リテ↢如来ノ光明智相ニ↡ | 欲スガ↢如ク↠実ノ修シ相応セシメムト↡故ニ |
^▲すなはちこれ無礙光如来の、 摂取選択の本願なるがゆゑなり。
^▲これを名づけて入第二門とす。 ▲すなはち*大会衆の数に入ることを獲るなり。
是ヲ名ケテ為↠入ルト↢第二門ニ↡ | 即チ獲ルナリ↠入ルコトヲ↢大会衆ノ数ニ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅲ)作願門
^▲いかんが作願する。 心につねに願じたまひき。 一心専念してかしこに生れんと願0547ぜしむ。
云何ガ作願スル心ニ常ニ願ジタマヒキ | 一心ニ専念シテ願ゼシム↠生レムト↠彼ニ |
^▲蓮華蔵世界に入ることを得て、 ▲実のごとく奢摩他を修せんと欲はしむ。
得↠入ルコトヲ↢蓮華蔵世界ニ↡ | 欲スナリ↣如ク↠実ノ修セシメムト↢奢*摩他ヲ↡ |
^▲これを名づけて入第三門とす。 ▲またこれを名づけて宅門に入るとす。
是ヲ名ケテ為↠入ルト↢第三門ニ↡ | 亦是ヲ名ケテ為↠入ルト↢宅門ニ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅳ)観察門
^▲いかんが観察する。 智慧をして観ぜしめたまひき。 正念にかしこを観じて、 ▲実のごとく、
云何ガ観察スル智慧ヲシテ観ジタマヒキ | 正念ニ観ゼシムルハ↠彼ヲ欲スガ↣如ク↠実ノ |
^~毘婆舎那を修行せしめんと欲ふがゆゑに。
^▲かの所に到ることを得れば、 すなはち、
| 得レバ↠到ルコトヲ↢彼ノ所ニ↡則チ受↢用ス |
^~種々無量の法味の楽を受用せしむ。 ▲すなはちこれを入第四門と名づく。
種種无量ノ法味ノ楽ヲ↡ | 即チ是ヲ名ク↠入ルト↢第四門ニ↡ |
^▲またこれを名づけて屋門に入るとす。
一 Ⅰ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)結示
^菩薩の修行成就とは、
^▲四種は入の功徳を成就したまへり、 自利の行を成就したまへりと、 知るべし。
四種ハ成↢就シタマフ入ノ功徳ヲ↡ | 自利ノ行ヲ成就シタマフト応シ↠知ル |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)出門
(Ⅰ)釈
(ⅰ)如来の所修
^▲第五は出の功徳を成就したまへり。 菩薩の出第五門は、
第五ニ成↢就シタマフ出ノ功徳ヲ↡ | 菩薩ノ出第五門トイフ者 |
^▲いかんが回向する。 心に作願したまひき。 苦悩の一切衆を捨てずして、
云何ガ廻向シタマフ心ニ作願シタマヒキ | 不レバ↠捨テタマハ↢苦悩ノ一切衆ヲ↡ |
^▲回向を首めとして、 大悲心を成就することを得たまへるがゆゑに、 功徳を施したまふなり。
0318廻向ヲ為テ↠首ト得タマヘルガ↣成↢就スルコトヲ | 大悲心ヲ↡故ニ施シタマフナリ↢功徳ヲ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)廻施衆生の廻向
^▲かの土に生れをはりて、 すみやかに疾く奢摩他・毘婆舎那・
生ジ↢彼ノ土ニ↡已リテ速ニ疾ニ得↢ | 奢摩他・毘婆舎那・ |
^0548~*巧方便力成就することを得をはりて、 生死の園・煩悩の林に入りて、
功方便力成就スルコトヲ↡已リテ | 入リテ↢生死ノ園・煩悩ノ林ニ↡ |
^▲応化身を示し、 神通に遊ぶ、 教化地に至りて群生を利せしむ。
示シ↢応化身ヲ↡遊ビテ↢神通ニ↡ | 至リテ↢教化地ニ↡利シタマフ↢群生ヲ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)出功徳を決定する
^▲すなはちこれを出第五門と名づく。 ▲園林遊戯地門に入るなり。
即チ是ヲ名ク↢出第五門ト↡ | 入ルナリ↢園林遊戯地門ニ↡ |
一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)結示
^▲本願力の回向をもつてのゆゑに、 ▲利他の行成就したまへりと、 知るべし。
以テノ↢本願力ノ廻向ヲ↡故ニ | 利他ノ行成就シタマヘリト応シ↠知ル |
一 Ⅰ ⅱ c 如来の所修を結ぶ
イ 発願
^▲無礙光仏、 因地の時、 ▲この弘誓を発し、 この願を建てたまふ。
无光仏因*地ノ時 | 発シ↢斯ノ弘誓ヲ↡建テタマヒキ↢此ノ願ヲ↡ |
一 Ⅰ ⅱ c ロ 修行
^▲菩薩すでに智慧心を成じ、 方便心・無障心を成じ、
^▲妙楽勝真心を成就して、
一 Ⅰ ⅱ c ハ 果を成ず
^▲すみやかに無上道を成就することを得たまへるなり。
^▲自利と利他との功徳を成ずる、 すなはちこれを名づけて入出門とすとのたまへり。
成ジタマフ↢自利ト利他トノ功徳ヲ↡ | 則チ是ヲ名ケテ為トノタマヘリ↢入出門ト↡ |
一 Ⅱ【曇鸞章】
ⅰ 釈主を出す
【2】 ^*婆藪槃頭菩薩 (天親) の ¬論¼ (浄土論)、 *本師*曇鸞和尚註したまへり。
*曇鸞和尚 大巌寺
婆藪*盤豆菩薩ノ¬論¼ | 本師曇鸞和尚*註シタマヘリ |
一 Ⅱ ⅱ 他力を釈す
a 他利利他を標す
^▲願力成就を五念と名づく、 ▲仏をしていはばよろしく*利他といふべし。
願力成就ヲ名ク↢五念ト↡ | 仏ヲ而言ハヾ宜ベ クシ↠言フ↢利他ト↡ |
^▲衆生をしていはば*他利といふべし。 まさに知るべし、 いままさに仏力を談ぜんとす。
衆生ヲ而言ハヾ言フベシ↢他利ト↡ | 当ベ ニシ↠知ル今将ス ニ↠談ゼムト↢*仏力ヲ↡ |
一 Ⅱ ⅱ b 釈
イ 正説
(一)まず一心正因を明す
^▲如実修行相応といふは、 名義と*光明と随順するなり。
0319如実修行相応トイフ者 | 随↣順スルナリ名義ト与↢光明↡ |
^0549▲この信心をもつて一心と名づく。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)証を示す
^▲煩悩成就せる凡夫人、
^~煩悩を断ぜずして涅槃を得、 ▲すなはちこれ安楽自然の徳なり。
不シテ↠断ゼ↢煩悩ヲ↡得シム↢涅槃ヲ↡ | 則チ斯安楽自然ノ徳ナリ |
一 Ⅱ ⅱ b ロ 喩説
^▲淤泥華といふは、 ¬経¼ (*維摩経) に説いてのたまはく、 高原の陸地には蓮を生ぜず。
淤ケガル泥華トイフ者¬経ニ¼説キテ言ハク | 高原ノ陸地ニハ不↠生ゼ↠蓮ヲ |
^~卑湿の淤泥に蓮華を生ずと。 これは凡夫、 煩悩の泥のうちにありて、
卑湿ノ淤泥ニ生ズト↢蓮華ヲ↡ | 此ハ喩フルナリ↧凡夫在リテ↢煩悩ノ |
^~仏の正覚の華を生ずるに喩ふるなり。
一 Ⅱ ⅱ c 他力を結ぶ
^▲これは如来の本弘誓
^~不可思議力を示す。 すなはちこれ入出二門を他力と名づくとのたまへり。
不可思議力ヲ↡即チ是 | 入出二門ヲ名クトノタマヘリ↢他力ト↡ |
二 助顕
Ⅰ【道綽章】
ⅰ 釈主
【3】 ^*道綽和尚、 解釈していはく、
*道綽禅師 玄中寺
二 Ⅰ ⅱ 二道
a 聖道難証
^▲¬*月蔵経¼ にのたまはく、 わが末法に、
^~行を起し道を修せんに、 一切の衆、 いまだ一人も獲得するものあらじと。
起シ↠行ヲ修セムニ↠道ヲ一切ノ衆 | 未 ジ ダト↠有ラ↢一人モ獲得ノ者↡ |
^▲ここにありて心を起して行を立つるは、 すなはちこれ聖道なり、 自力と名づく。
在リテ↠此ニ起シテ↠心ヲ立テム↠行ヲ者 | 則チ*此聖道ナリ名ク↢自力ト↡ |
二 Ⅰ ⅱ b 浄土易行
イ 約時被機
(一)末代
^▲当今は末法にしてこれ五濁なり。 ただ浄土のみありて通入すべしと。
当今ハ末法ニシテ是五濁ナリ | 唯有リテ↢浄土ノミ↡可シト↢通入ス↡ |
二 Ⅰ ⅱ b イ (二)機実
^▲今の時、 悪を起し衆罪を造る、 恒常なること暴風駛雨のごとし。
今ノ時起シ↠悪ヲ造ルコト↢衆罪ヲ↡ | 恒常ニシテ如シ↢暴風駛雨ノ↡ |
二 Ⅰ ⅱ b ロ 浄土の法
(一)本願
^▲本弘誓願に名を称せしむるは、 これ穢濁悪の衆生のためなり。
本弘誓願ニ令ムルハ↠称セ↠名ヲ | 是為ナリ↢穢濁悪ノ衆生ノ↡ |
^▲ここをもつて諸仏、 浄土を勧めたまへり。
二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)一心帰命
^▲たとひ一生悪業を造れども、
^▲三信相応すればこれ一心なり。 一心は淳心なれば如実と名づく。
三信相応セムハ是一心ナリ | 一心ハ淳心ナレバ名ク↢如実ト↡ |
^0550▲もし生ぜずは、 この*処なけん。
二 Ⅰ ⅱ b ロ (三)証
^▲かならず安楽国に往生を得れば、
^▲生死すなはちこれ大涅槃なり、
二 Ⅰ ⅱ b ハ 易行他力を結ぶ
^▲すなはち易行道なり、 他力と名づくと。
二 Ⅱ【善導章】
ⅰ 釈主
【4】 ^*善導和尚、 義解していはく、
*善導禅師 光明寺
二 Ⅱ ⅱ 念仏の法義
a 教を示す
^▲念仏成仏する、 これ真宗なり。
^▲すなはちこれを名づけて一乗海とす、 ▲すなはちこれをまた菩提蔵と名づく。
即チ是ヲ名ケテ為↢一乗海ト↡ | 即チ是ヲ亦名ク↢菩提蔵ト↡ |
^▲すなはちこれ*円教のなかの円教なり、 すなはちこれ頓教のなかの頓教なり。
即チ是円教ノ中ノ円*教ナリ | 即チ是頓教ノ中ノ頓教ナリ |
二 Ⅱ ⅱ b 念仏成仏
イ 信を出す
(一)難信
^▲真宗に遇ひがたし、 ▲信を得ること難し。 ▲難のなかの難、 これに過ぎたるはなし。
真宗ニ叵シ↠遇ヒ難シ↠得ルコト↠信ヲ | 難ノ中之難无ケム↠過ギタルハ↠*斯ニ |
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)廻施の信
^▲釈迦・諸仏、 これ真実慈悲の父母なり。 種々の
釈迦・諸仏ハ是真実 | 慈悲ノ父母ナリ以テ↢種種ノ |
^▲善巧方便をもつて、 われらが無上の真実信を発起せしめたまふ。
善功方便ヲ↡令メタマフ↣発↢起セ | 我等ガ无上ノ真実ノ信ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)信益
^▲煩悩を具足せる凡夫人、 仏願力によりて信を獲得す。
具↢足セル煩悩ヲ↡凡夫人 | 由リテ↢仏願力ニ↡獲↢*摂取ヲ↡ |
^▲この人はすなはち凡数の摂にあらず、 ▲これは人中の分陀利華なり。
斯ノ人ハ即チ非ズ↢凡数ノ摂ニ↡ | 是ハ人中ノ*分陀利華ナリ |
^▲この信は*最勝希有人なり、 この信は*妙好上上人なり。
二 Ⅱ ⅱ b ロ 念仏の証
^▲安楽土に到れば、 かならず自然に、 ▲すなはち法性の常楽を証せしむとのたまへり。
0321到レバ↢安楽土ニ↡必ズ自然ニ | 即チ証ストノタマヘリ↢法性之常楽ヲ↡ |
入0551出二門偈頌
七十四行
愚禿釈親鸞作
延書の底本は本派本願寺蔵蓮如上人書写本ˆ原漢文の対校本Ⓐˇ。
称讃浄土教… この引文は註釈版にない。 聖典全書より有国が書き下した。
無量寿経論… 冒頭の5行は註釈版にない。 聖典全書より有国が書き下した。
二乗の種… 底本には 「二乗の種に」 とある。 二乗は声門・縁覚の小乗、 種は心のこと。 浄土では自利のみを求める小乗の心は決して起きないという意。
法蔵正覚の… 浄土の聖者たちはみな、 法蔵菩薩が成就したさとりの華から生れるという意。
一二の殊異なし 浄土には上品とか下品といった種別がないことを示す。
菩薩は… ここでの菩薩は法蔵菩薩のこと。 入は自利、 出は利他にあたる。
光明智相 光明の本質は智慧であり、 智慧のすがたは光明であることをいったもの。 智慧を本質とする光明が、 十方を照らして衆生の迷いを除く。
大会衆の数に… 浄土で阿弥陀仏が説法する時の集会を広大会と名づけ、 それに参列し聞法する大衆を大会衆という。 ここでは信心の行者が、 現在 (この世) において正定聚に入り、 阿弥陀仏の眷属となることをいう。
功方便力 奢摩他 (止)、 毘婆舎那 (観) によって生ずる利他教化のはたらき。
利他・他利 ¬論註¼ の本文において、 仏の救済を衆生からいえば他 (仏) が利すといい、 仏からいえば他 (衆生) を利すという。 ここでは仏の方から語るので利他というと釈されている。
光明 十方衆生を礙りなく救う尽十方無礙光のいわれ。 光明が名の義でもある。
処 道理。
最勝希有人 この上なくすぐれた功徳をそなえたきわめてまれな人。
妙好上上人 この上なくすぐれて好もしい人。 前項とともに真実信心の行者をほめたたえた言葉。
◎ 底本は◎高田派専修寺蔵建長八年真仏上人書写本。 Ⓐ本派本願寺蔵蓮如上人書写本、 Ⓑ茨城県正徳寺蔵室町時代書写本 と対校。
称…文 ⒶⒷになし
無…出 ⒶⒷになし
養→ⒶⒷ楽
本則→Ⓑ則是
「則…故」14字 Ⓑになし
摩→Ⓐ応(定名と右傍註記)
地→Ⓑ位
曇鸞和尚大巌寺 ⒶⒷになし
盤豆→Ⓐ槃頭→Ⓑ盤頭
註→Ⓑ釈
仏→Ⓑ他
「泥…誓」14字 ⒶⒷになし
道綽禅師玄中寺 ⒶⒷになし
大集→ⒶⒷ月蔵
此→Ⓑ是
者→ⒶⒷ業
善導禅師光明寺 ⒶⒷになし
教→Ⓑ地
斯→ⒶⒷ此
摂取→ⒶⒷ得信
分→Ⓑ芬