1183*0783せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう

【標宗】

^南無なも弥陀みだぶつ おうじょうごうには念仏ねんぶつ*さきす。

1253無阿弥陀仏 往生之業ニハ 念仏

正文
  教相章【二門章】
    標章

【1】 ^どうしゃくぜんしょうどうじょうもんてて、 しょうどうててまさしくじょうするもん

 道綽禅師立テテ↢聖道・浄土二門↡而捨テテ↢聖道↡正シクスル↢浄土↡之文

二 ⅰ 引文
     

 ^ ¬*安楽あんらくしゅう¼ のじょう にいはく、

¬安楽集¼上

^ひていはく、 一切いっさいしゅじょうみなぶっしょうあり。 遠劫おんごうよりこのかたぶつひたてまつるべし。 なにによりてか、 いまにいたるまでなほみづからしょうりんしてたくでざるや。

「問ヒテ、一切衆生皆有↢仏性↡。遠劫ヨリ以来↠値ヒタテマツル↢多仏↡。何テカ、至ルマデ↠今ナホ輪↢廻シテ生死↡不ルヤ↠出↢火宅↡。

二 ⅰ Ⅱ
        標挙二門

^こたへていはく、 だいじょう聖教しょうぎょうによらば、 まことにしゅしょうぼう もつてしょうはらはざるによ。 ここをもつてたくなにものをかなすいちにはいはくしょうどうにはいはくおうじょうじょうなり。

ヘテ、依ラバ↢大乗聖教↡、良↠不ルニ↧得↢二種勝法↡以ハラ↦生死↥。是ルナリ↠出↢火宅↡。何者ヲカ↠二。一ニハ聖道、二ニハ往生浄土ナリ

二 ⅰ Ⅱ b 正示廃立
          (一)顕示興廃
            (Ⅰ)聖道廃退
              (ⅰ)直示

^しょうどう一種いっしゅは、 いまとき しょうしがたし。 いちにはだいしょう (*釈尊)ること遥遠ようおんなるによる。 ふかさとりなるによる。

聖道一種時難↠証。一ニハ↧去レルコト↢大聖↡遥遠ナルニ↥。二ニハ↢理サトリナルニ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)引証

^このゆゑに ¬*だいじゅう がつ1184ぞうきょう¼ にのたまはく、 ªわが末法まっぽうときうち億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅせんに、 いまだ一人いちにんとしてるものあらじº と。

¬大集月蔵経¼云、我末法億々衆生、起↠行セムニ↠道、未↠有↢一人トシテ者↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)浄土興隆
              (ⅰ)直示

^当今とうこん末法まっぽう、 これじょくあくなり。 ただじょう一門いちもんのみありてつうにゅうすべきみちなり。

当今末法、是五濁悪世ナリ。唯有リテ↢浄土一門ノミ↡可↢通入↡路ナリ

二 ⅰ Ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^このゆゑに ¬だいきょう¼ にのたまはく、 ªもししゅじょうありてたとひ0784いっしょうあくつくれども命終みょうじゅうときのぞみてじゅうねん相続そうぞくしてわがみょうしょうせんに、 もししょうずといはば、 しょうがくらじº と。

¬大経¼云、若リテ↢衆生↡縦令 タトヒ 一生造レドモ↠悪、臨ミテ↢命終↡、十念相続シテセムニ↢我名字↡、若トイハバ↠生者不↠取↢正覚↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)重示機法応不
            (Ⅰ)総示

^また一切いっさいしゅじょうすべてみづからはからず。

又復一切衆生不↢自↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)別示
              (ⅰ)聖道不堪
                (a)大乗

^もしだいじょうによらば、 真如しんにょ実相じっそう 第一だいいちくう、 かつていまだしんかず。

ラバ↢大乗↡、真如実相・第一義空曽↠心

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)小乗

^もし小乗しょうじょうろんぜば、 見諦けんたい修道しゅどうしゅにゅうし、 ないごんかん*だんじょうのぞくこと、 道俗どうぞくふことなく、 いまだそのぶん あらず。

ゼバ↢小乗↡、修↢入見諦修道↡、乃至那含・羅漢、断↢五下↡除クコト↢五上↡、无↠問フコト↢道俗↡、未↠有↢其分↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)世善

^たとひ人天にんでんほうあれども、 みなかいじゅうぜんのためによくこのほうまねく。 しかるをとくするもの、 はなはだまれなり。

レドモ↢人天果報↡、皆為↢五戒・十善↡能↢此1254↡。然ルヲ持得スルナリ

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)機法相応

^もしあく造罪ぞうざいろんぜば、 なんぞあらかぜ*あめことならん。 ここをもつて諸仏しょぶつだいすすめてじょうせしめたまふたとひいちぎょうあくつくれども、 ただよくこころけてせんしょうにつねによく念仏ねんぶつば、 一切いっさいしょしょうねんしょうじょして、 さだめておうじょうすることを

ゼバ↢起悪造罪↡、何ナラムアラ↡。是諸仏大慈、勧メテセシメタマフ↢浄土↡。縦使 タトヒ 一形造レドモ↠悪、但能ケテ↠意専精念仏セバ、一切諸障自然消除シテ、定メテ得↢往生スルコトヲ↡。

二 ⅰ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(Ⅲ)結勧

^なんぞりょうずしてすべてしんなきや」

シテ↢思量↡都↢去心↡也。」

二 ⅰ 私釈
      汎明判教
        総標

 ^わたくしにいはく、 ひそかにはかりみれば、 それりっきょうしょうしゅうしたがひて1185どうなり。

、窃ハカリミレバ、夫立教多少、随ヒテ↠宗不同ナリ

二 ⅰ Ⅲ a 列他宗判
          (一)有相宗

^しばらくそうしゅう (*法相宗) のごときは、 *さんきょうてて ˆしゃくそんのˇ 一代いちだい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆるくうちゅうこれなり。

キハ↢有相宗↡、立テテ↢三時教↡而判↢一代聖教↡。所謂有空中是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (二)無相宗

^そうしゅう (*三論宗) のごときは、 *ぞうきょうててもつて一代いちだい聖教しょうぎょうはんず。 いはゆるさつぞうしょうもんぞうこれなり。

キハ↢無相宗↡、立テテ↢二蔵教↡以↢一代聖教↡。所謂菩薩蔵・声聞蔵是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (三)華厳宗

^*ごんしゅうのごときは、 *きょうてて一切いっさいぶっきょうせっす。 いはゆる小乗しょうじょうきょうきょう終教じゅうきょう頓教とんぎょうえんぎょうこれなり。

キハ↢華厳宗↡、立テテ↢五教↡而摂↢一切仏教↡。所謂小乗教・始教・終教・頓教・円教是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (四)法華宗

^ほっしゅう (*天台宗) のごときは、 きょう五味ごみててもつて一切いっさい ぶっきょうせっす。 「*0785きょう」 といふは、 いはゆるぞうつうべつえんこれなり。 「*五味ごみ」 といふは、 いはゆるにゅうらくしょうじゅくだいこれなり。

キハ↢法華宗↡、立テテ↢四教五味↡以↢一切仏教↡。四教トイフ者、所謂蔵・通・別・円是也。五味トイフ者、所謂乳・酪・生・熟・醍醐是也。

二 ⅰ Ⅲ a ロ (五)真言宗

^*真言しんごんしゅうのごときは、 きょうてて一切いっさいせっす。 いはゆるけんぎょうみっきょうこれなり。

キハ↢真言宗↡、立テテ↢二教↡而摂↢一切↡。所謂顕教・密教是也。

二 ⅰ Ⅲ a 挙本宗判
          (一)略明

^いまこの*じょうしゅうは、 もしどうしゃくぜんこころによらば、 もんてて一切いっさいせっす。 いはゆるしょうどうもんじょうもんこれなり。

今此浄土宗者、若ラバ↢道綽禅師↡、立テテ↢二門↡而摂↢一切↡。所謂聖道門・浄土門是也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)立宗名【宗名】
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 それしゅうつることは、 もとごん天台てんだいとう*はっしゅうしゅうにあり。 いまだじょういえにおいてそのしゅうつることかず。 しかるいまじょうしゅうごうする、 なんしょうかあるや。

ヒテ、夫ツルコトハ↢宗↡、本在↢華厳・天臺等八宗・九宗↡。未↠聞↧於↢浄土之家↡立ツルコトヲ↦其↥。然ルヲ今号スル↢浄土宗↡、有↢何証拠↡也。

二 ⅰ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)

^こたへていはく、 じょうしゅう、 そのしょうひとつにあらず。 *がんぎょうの ¬*遊心ゆうしん安楽あんらくどう¼ にいはく、 「じょうしゅうこころもとぼんのためなりねてはしょうにんのためなり」 と。 また*おん (基)1186 ¬*西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「このいっしゅうによる」 と。 また*ざいの ¬*じょうろん¼ にいはく、 「このいっしゅうひそかにようたり」 。 そのしょうかくのごとし。 *たんらず。

ヘテ、浄土宗名、其証非↠一。元暁¬遊心安楽道¼云、「浄土宗意、本為ナリ↢凡夫↡、兼ネテハナリト↢聖人↡。」又慈恩¬西方要決¼云、「依ルト↢此一宗↡。¼又迦才¬浄1255土論¼云、「此之一宗窃リト↢要路↡。」其証如↠此クノ。不↠足↢疑端↡。

二 ⅰ Ⅲ 正釈今意【判教】
        総標二門

 ^ただしょしゅうりっきょうは、 まさしくいまのこころにあらず。 しばらくじょうしゅうにつきてりゃくしてもんかさば、 いちにはしょうどうもんにはじょうもんなり。

諸宗立教、正シク↢今↡。且キテ↢浄土宗↡略シテサバ↢二門↡者、一者聖道門、二者浄土門ナリ

二 ⅰ Ⅲ b 別釈二門
          (一)聖道門
            (Ⅰ)標列

^はじしょうどうもん は、 これにつきてあり。 いち だいじょう 小乗しょうじょうなり

聖道門者、就キテ↠之↠二。一者大乗、二者小乗ナリ

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)
              (ⅰ)大乗

^だいじょうのなかにつきて*顕密けんみつ*権実ごんじつとうどうありといへども、 いまこの ¬しゅう¼ (安楽集)こころ 、 ただ*顕大けんだいおよび*権大ごんだいぞんず。 ゆゑ*りゃくこう迂回うえぎょうあたれり。 これにじゅんてこれをおもふに、 *密大みつだいおよび*実大じつだいぞんずべし。 しかればすなはち、 い0786*真言しんごん*仏心ぶっしん (禅宗)*天台てんだい*ごん*三論さんろん*法相ほっそう*ろん*しょうろん、 これら はっこころまさしくこれにあり、 るべし。

キテ↢大乗↡雖↠有リト↢顕密・権実等不同↡、今此¬集¼意、唯存↢顕大及以 オヨビ 権大↡。故レリ↢歴劫迂廻之行↡。准ジテ↠之フニ↠之、応↠存↢密大及以 オヨビ 実大↡。然レバ今真言・仏心・天臺・華厳・三論・法相・地論・摂論、此等八家之意正シク↠此也、応↠知

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)小乗

^つぎ小乗しょうじょう は、 すべてこれ小乗しょうじょうきょうりつろんのなかにかすところのしょうもん縁覚えんがく*だんわくしょう*にっしょうとくどうなりかみじゅんこれおもへば、 また*しゃ*じょうじつしょ*りっしゅうせっすべのみ

小乗者、総ジテ是小乗経・律・論之中↠明声聞・縁覚、断惑証理、入聖得果之道也。准ジテ↠上ヘバ↠之、亦可↠摂↢倶舎・成実、諸部律宗↡而已。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (一)(Ⅲ)大意

^おほよそこのしょうどうもんたいは、 だいじょうおよび小乗しょうじょうろんぜず。 このしゃかいのなかにおいて、 じょうどうしゅ じょう じょう さんじょうのほかにぶつじょう1187くわ

聖道門大意者、不↠論↢大乗及以 オヨビ 小乗↢此娑婆世界之中↡、修↢四乗↡得↢四乗也。四乗者三乗之外↢仏↡。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)浄土門
            (Ⅰ)標列

^つぎおうじょうじょうもん は、 これにつきてあり。 いちには*まさしくおうじょうじょうかすきょう には*かたわらにおうじょうじょうかすきょうなり。

往生浄土門者、就キテ↠此↠二。一者正シク↢往生浄土↡之教、二者傍↢往生浄土↡之教ナリ

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)正依教【正明往生浄土 浄土三部経】
                (a)正列

^はじめにまさしくおうじょうじょうかすきょうといふは、 いはくさんぎょう一論いちろんこれなり。 「さんぎょう」 と は、 いちには ¬*りょう寿じゅきょう¼、 には ¬*かんりょう寿じゅきょう¼、 さんには ¬*弥陀みだきょう¼ なり。 「一論いちろん」 と は、 *天親てんじんの ¬*おうじょうろん¼ (浄土論) これなり。 あるいはこのさんぎょうして*じょうさんきょうごう

シク↢往生浄土↡之教トイフ者、三経一論是也。三経者、一ニハ¬無量寿経¼、二ニハ¬観無量寿経¼、三ニハ¬阿弥陀経¼也。一論者、天親¬往生論¼是也。或イハシテ↢此三経↡号↢浄土三部経↡也

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)引例

 ^ひていはく、 さんきょうまたそのれいありや。

ヒテ、三部経名亦有↢其例↡乎1256

^こたへていはく、 さんきょうそのれいいちにあらず。

ヘテ、三部経名其例非↠一

^いちには*ほっさん、 いはく ¬*りょうきょう¼・¬*法華ほけきょう¼・¬*げんかんきょう¼ これなり。

者法華三部、謂¬無量義経¼・¬法華経¼・¬普賢観経¼是也。

^には*大日だいにちさん、 いはく ¬*大日だいにちきょう¼・¬*金剛こんごう頂経ちょうきょう¼・¬*しっきょう¼ これなり。

者大日三部、謂¬大日経¼・¬金剛頂経¼・¬蘇悉地経¼是也。

^さんには*ちんこっさん、 いはく ¬法華ほけきょう¼・¬*仁王にんのうきょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼ これなり。

者鎮護国家三部、謂¬法華経¼・¬仁王経¼・¬金光明経¼是也。

^にはろくさん、 いはく ¬*上生じょうしょうきょう¼・¬*しょうきょう¼・¬*じょうぶつきょう¼ こ0787れなり。

者弥勒三部、謂¬上生経¼・¬下生経¼・¬成仏経¼是也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)結示

^いまはただこれ弥陀みださんなり。 ゆゑじょうさんきょうづく 弥陀みださん はこれじょうしょうきょうなり。

今者唯是弥陀三部ナリ。故↢浄土三部経↡也。弥陀三部者是浄土正依経也。

二 ⅰ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)傍依教【傍明往生浄土】

 ^つぎかたわらにおうじょうじょうかすきょうといふは、 ¬*ごん¼・¬ほっ¼・¬*ずい¼・¬*そんしょう¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかすしょきょうこれなり。 また ¬*信論しんろん¼・¬*ほう1188しょうろん¼・¬*十住じゅうじゅう毘婆びば沙論しゃろん¼・¬*しょうだいじょうろん¼ とうのもろもろのおうじょうじょうかす諸論しょろんこれなり。

↢往生浄土↡之教トイフ者、¬華厳¼・¬法華¼・¬随求¼・¬尊勝¼等↢諸往生浄土↡之諸経是也。又¬起信論¼・¬宝性論¼・¬十住毘婆娑論¼・¬摂大乗論¼等↢諸往生浄土↡之諸論是也。

二 ⅰ Ⅲ b 明廃立
          (一)正示集意

 ^おほよそこの ¬しゅう¼ (安楽集) のなかにしょうどうじょうもんつるこころは、 しょうどうててじょうもんらしめんがためなり。 これにつきてゆえあり。 いちにはだいしょう (釈尊)ること遥遠ようおんなるにる。 にはふかさとりなるにる。

¬集¼中ツル↢聖道・浄土二門↡意者、為↠令メムガ↧捨テテ↢聖道↡入↦浄土門↥也。就キテ↠此↢二ユヱ↡。一ニハ↧去レルコト↢大聖↡遥遠ナルニ↥。二ニハ↢理深サトリナルニ↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)挙例
            (Ⅰ)総挙

^このしゅうのなかにもんつることは、 ひと*どうしゃくのみにあらず。 *曇鸞どんらん天台てんだい (*智顗)ざい*おん (基) とうしょみなこのこころあり。

宗之中ツルコト↢二門↡者、独↢道綽ノミニ↡。曇鸞・天臺・迦才・慈恩等諸師皆有↢此意↡。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)別挙
              (ⅰ)正挙鸞師
                (a)引文

^しばらく曇鸞どんらんほっの ¬*おうじょうろんちゅう¼ (上) にいはく、 「つつしみてりゅうじゅさつの ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (易行品)あんずるにいはく、 ªさつ阿毘あびばっもとむるに、 しゅどうあり。 いちにはなんぎょうどうにはぎょうどうなりº

曇鸞法師¬往生論¼云、「謹ミテズルニ↢龍樹菩薩¬十住毘婆¼↡云、菩薩求ムルニ↢阿毘跋致↡有↢二種道↡。一者難行道、二者易行道ナリト

^ªなんぎょうどうº と は、 いはくじょくぶつときおい阿毘あびばっもとむるをなんす。 このなんにすなはちおおくのみちあり。 ほぼさんをいひてもつてしめさん。 いちにはどうしょうぜんさつほうみだる。 にはしょうもん自利じりだい慈悲じひふ。 さんには無顧むこ悪人あくにんしょうとくす。 には顛倒てんどうぜん、 よくぼんぎょうやぶる。 にはただこれりきのみにして0788りきたもなし。 かくのごときるる1189にみなこれなり。 たとへばろくよりぎょうるはすなはちくるしきがごとし。

難行道者、五濁之世↢無仏↡、求ムルヲ↢阿毘跋致↡為↠難。此↢多クノ途↡。粗ヒテ↢五↡以サム↢義意↡。一1257外道相善乱↢菩薩↡。二者声聞自利障↢大慈悲↡。三者无顧悪人破↢他勝徳↡。四者顛倒善果能ヤブ↢梵行↡。五者唯是自力ノミニシテ↢他力↡。如↠斯クノ事、触ルルニ↠目皆是ナリ。譬ヘバ↢陸路ヨリ歩行スルハシキガ↡。

^ªぎょうどうº と は、 いはくただぶつしんずる因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんれば、 ぶつ願力がんりきてすなはちかの清浄しょうじょうおうじょうすることを仏力ぶつりきじゅうして、 すなはちだいじょう正定しょうじょうじゅる。 正定しょうじょうはすなはちこれ阿毘あびばっなり。 たとへばすいよりふねてすなはちらくなるがごとし」

易行道者、謂但以↢信ズル↠仏因縁↡願ズレバ↠生ゼムト↢浄土↡、乗リテ↢仏願力↡便得↣往↢生スルコトヲ清浄↡。仏力住持シテ↢大乗正定之聚↡。正定是阿毘跋致ナリ。譬ヘバシト↢水路ヨリリテ↠船ナルガ↡。」已上

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)会義

^このなかのなんぎょうどうは、 すなはちこれしょうどうもんなり。 ぎょうどう は、 すなはちこれじょうもんなり。 なんぎょうぎょうしょうどうじょう、 そのことばことなりといへども、 そのこころこれおなじ。

難行道者即是聖道門也。易行道者即是浄土門也。難行・易行、聖道・浄土、其言雖↠異ナリト、其意是同

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)列同二師

^天台てんだい (智顗)ざいこれにおなじ、 るべし。

天臺・迦才同↠之、応↠知

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)兼挙慈恩
                (a)引文

^また ¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「あおぎておもんみれば、 しゃ*うんひらけてひろえん やくす。 きょう*随方ずいほうひらけて*ならびに*法潤ほうにんうるふ。 したしく*しょうひてどうさんじょうさとりき。

又¬西方要決¼云、「仰ギテレバ、釈迦ヒラケテ↠運↢有縁↡。教ヒラ↢随方↡並ウル↢法潤↡。親シクヒテ↢聖化↡、道悟リキ↢三乗↡。

^ふくうすく、 いんおろそかなるものをすすめてじょうせしめたまふ。 このごうをなすものは もつぱら弥陀みだねんじ、 一切いっさい 善根ぜんごんめぐらしてかのくにしょうず。 弥陀みだ本願ほんがんちかひてしゃしたまふ。 かみげんしょう*いちぎょうつくし、 しもりんじゅうじゅうねんいたるまで、 ともによくけつじょうしてみなおうじょう

福薄因疎ナルモノヲメテセシメタマフ↢浄土↡。作↡者↢弥陀↡、一切善根、廻ラシテ↢彼↡。弥陀本願誓ヒテシタマフ↢娑婆↡。上尽↢現生一形↡、下至ルマデ↢臨終十念↡、倶決定シテ皆得↢往生↡。」已上

^またおなじきじょにいはく、 「それおもんみれば、 うまれて*ぞうして、 しょう (釈尊)ることこれ1190はるかに、 どうさんじょうあずかりて*かいするにのりなし。 人天にんでんりょう躁動そうどうしてやすからず。 0789ひろこころひろきものは、 よくひさしくしょするにへたり。 もししきおろかにぎょうあさきものは、 おそらくは*ゆうおぼれん かならずすべからくあとしゃとおくしてしん*じょういきましむべし」

又同ジキ後序、「夫レバ、生レテシテ↢像季↡、去ルコト↠聖斯遥、道預リテ↢三乗↡无ノリ↢契悟スルニ↡。人天両位躁動シテ不↠安カラ。智博情弘キモノハ、能ヘタリ↢久シクスルニ↡也。若ヲロカ行浅キモノハ、恐クハレム↢幽途↡。必シト↧遠クシテ↢跡娑婆↡栖マシム↦心浄域↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)会義

^このなかさんじょう はすなはちこれしょうどうもんこころなり。 じょう はすなはちこれじょうもんこころなり。 さんじょうじょうしょうどうじょう、 そのことなりといへども、 そのこころまたおなじ。

三乗者即是聖道門意也。浄土者即是浄1258土門意也。三乗・浄土、聖道・浄土、其名雖↠異ナリト、其意亦同

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)結勧
            (Ⅰ)正示

^じょうしゅう学者がくしゃづすべからくこのむねるべし。 たとひさきよりしょうどうもんがくひと といへども、 もしじょうもん そのこころざしあら、 すべからくしょうどうててじょうすべし。

浄土宗学者、先↠知↡。設↧先ヨリスル↢聖道門↡人↥、浄土門ラバ↢其志↡者、須↧棄テテ↢聖道↡帰↦於浄土↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅱ)引例

^れいするにかの曇鸞どんらんほっろん講説こうせつてて*一向いっこうじょうし、 どうしゃくぜん*はん広業こうごうさしおきてひとへに西方さいほうぎょうひろめしがごとし。

スルニ↧彼曇鸞法師テテ↢四論講説↡一向↢浄土↡、道綽禅師キテ↢涅槃広業↡偏メシガ↦西方↥。

二 ⅰ Ⅲ b ハ (三)(Ⅲ)正結

^じょう賢哲けんてつなほもつてかくのごとし。 末代まつだい愚魯ぐろむしろこれにしたがはざらんや。

上古賢哲猶以↠此クノ末代魯寧ラム↠遵↠之哉。

二 ⅰ Ⅲ 明血脈【師資相承】
        挙例問今

 ^ひていはく、 しょうどうしょしゅう おのおの*師資ししそうじょうあり。 いはく天台てんだいしゅうのごときは、 *もん南岳なんがく (*慧思)天台てんだい (*智顗)*しょうあん*智威ちい*慧威えい*玄朗げんろう*湛然たんねんだいそうじょうせり。 真言しんごんしゅうのごときは、 *大日だいにち如来にょらい*金剛こんごうさっ*りゅうじゅ*りゅう*こん*くうだいそうじょうせり。 自余じよしょしゅう またおのおのそうじょう*けちみゃくあり。

ヒテ、聖道家諸宗各↢師資相承↡。謂↢天臺宗↡者、慧文・南岳・天臺・章安・智威・慧威・玄朗・湛然、次第相承セリ。如↢真言宗↡者、大日如来・金剛薩埵・龍樹・龍智・金智・不空、次第相承セリ。自余宗又各↢相承血脈↡。

^しかる1191にいまいふところのじょうしゅう 師資ししそうじょうけちみゃくありや。

シテ今所↠言浄土宗↢師資相承血脈譜↡乎。

二 ⅰ Ⅲ c 順他答今
          (一)

^こたへていはく、 しょうどう0790けちみゃくのごとくじょうしゅうにまたけちみゃくあり。 ただじょう いっしゅうにおいて*しょまたどうなり。 いはゆるざん*おんほっ*みん三蔵さんぞう*どうしゃく*善導ぜんどうとうこれなり

ヘテ、如↢聖道家血脈↡浄土宗亦有↢血脈↡。但↢浄土一宗↡諸家亦不同ナリ。所謂廬山慧遠法師、慈愍三蔵、道綽・善導等是也。

二 ⅰ Ⅲ c ロ (二)

^いましばらくどうしゃく善導ぜんどういっによりて、 師資ししそうじょうけちみゃくろんぜば、 これにまた*りょうせつあり。 いちには*だい流支るし三蔵さんぞう*ちょうほっ*どうじょうほっ*曇鸞どんらんほっ*大海だいかいぜん*ほうじょうほっじょう、 ¬安楽あんらくしゅう¼ にでたり。 にはだい流支るし三蔵さんぞう曇鸞どんらんほっどうしゃくぜん善導ぜんどうぜん*かんほっ*しょうこうほっじょう*とうそうりょうでんでたり。

今且リテ↢道綽・善導之一家↡、論ゼバ↢師資相承血脈↡者、此亦有↢両説↡。一者菩提流支三蔵・慧寵法師・道場法師・曇鸞法師・大海禅師・法上法師。已上出デタリ↢¬安楽集¼↡者菩提流支三蔵・曇鸞法師・道綽禅師・善導禅師・懐感法師・小康法師。已上出デタリ↢唐宋両伝

二行章】
    標章

【2】 ^善導ぜんどうしょうしょうぞうぎょうてて、 ぞうぎょうてて正行しょうぎょうするもん

 1259善導和尚立テテ正雑二行↡、捨テテ↢雑行↡帰スル↢正行↡之文

二 ⅱ 挙観経疏
      引文
        標列

 ^¬*かんぎょう しょ¼ のだい (*散善義) にいはく、

¬観経疏¼第四

^ぎょうにつきてしんつといふは、 しかもぎょうしゅあり。 いちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり

「就キテ↠行ツトイフ↠信者、然↢二種↡。一者正行、二者雑行ナリ

二 ⅱ Ⅱ a 釈義
          (一)正明
            (Ⅰ)正行
              (ⅰ)五種正行

^正行しょうぎょうといふは、 もつぱら*おうじょうきょうによりてぎょうぎょうずるもの、 これを正行しょうぎょうづく。

↢正行↡者、専リテ↢往生↡行ズル↠行者、是↢正行↡。

^いづれのものかこれや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬*かんぎょう¼・¬*弥陀みだきょう¼・¬りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅし、 一心いっしんにもつぱらそうとどめてかのくにほうしょうごん観察かんざつ 憶念おくねんし、 もしらいせばすなはち1192一心いっしんにもつぱらかのぶつらいし、 もししょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうし、 もし讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす。 これをづけてしょうす。

レノ是也。一心読↢誦¬観経¼・¬弥陀経¼・¬无量寿経¼等↡、一心トドメテ↢思想↡観↢察憶↣念二報荘厳↡、若セバ一心↢彼↡、若口称セバ一心↢彼↡、若讃歎供養セバ一心讃歎供養。是ケテ↠正

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)正助二業

^またこのしょうのなかにつきて、 またしゅあり。

又就キテ↢此↡、復有↢二種↡。

・正業

^いちには一心いっしんもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが せつごんはずねん0791ねんてざるものこれを正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに。

者一心ジテ↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠↢時節久近↡念念↠捨者、是↢正定之業↡。順ズルガ↢彼↡故

・助業

^もし礼誦らいじゅとうによるをすなはちづけて助業じょごうす。

ルヲ↢礼誦等↡即ケテ↢助業↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)雑行

^このしょうじょぎょうのぞきてのほか自余じよ諸善しょぜん ことごとくぞうぎょうづく。

キテノ↢此正助二行已外 ホカ 自余諸善↢雑行↡。

二 ⅱ Ⅱ a ロ (二)判得失

^もしさきしょうじょ ぎょうしゅればしんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごん憶念おくねんえず、 づけてけんなす。 もしのちぞうぎょうぎょうれば、 すなはちしんつねに間断けんだんす。 こうしてしょうずることをべしといへども、 おおぞうぎょうづく

スレバ↢前正助二行↡、心常親近シテ憶念不↠断、名ケテ↢无間↡也。若ズレバ↢後雑行↡、即心常間断。雖↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ、衆クト↢疎雑之行↡也。」

二 ⅱ Ⅱ 私釈
        釈疏文
          (一)総分

 ^わたくしにいはく、 このもんにつきてこころあり。 いちにはおうじょうぎょうそうかす。 にはぎょう*得失とくしつはんず。

、就キテ↢此↡有↢二意↡。一ニハ↢往生行相↡。二ニハ↢二行得失↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)別釈
            (Ⅰ)明往生行相【往生行相】
              (ⅰ)標列二行

^はじめにおうじょうぎょうそうかすといふは、 善導ぜんどうしょうこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもおおきにわかちていちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり

ストイフ↢往生行相↡者、依ラバ↢善導和尚↡、往生行雖↠多シトチテ↠二。一ニハ正行、二ニハ雑行ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別明二行
                (a)明正行【五種正行】
                  (イ)標開合

^はじ正行しょうぎょう は、 これにつきてかいごうあり。 はじかいしゅなしのちごうしゅす。

正行者、付キテ↠之↢開合義↡。初↢五種↡、後↢二種↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)釈開合
                    [一]
                      [Ⅰ]開中合

^はじかいしゅ1193すといふは、 いちには読誦どくじゅ正行しょうぎょうには観察かんざつ正行しょうぎょうさんには礼拝らいはい正行しょうぎょうには称名しょうみょう正行しょうぎょうには讃歎さんだんよう正行しょうぎょうなり。

1260トイフ↢五種↡者、一ニハ読誦正行、二ニハ観察正行、三ニハ礼拝正行、四ニハ称名正行、五ニハ讃嘆供養正行也。

・読誦正行

^第一だいいち読誦どくじゅ正行しょうぎょう は、 もつぱら ¬かんぎょう¼ とう読誦どくじゅするなり。 すなはちもん (散善義) 、 「一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅ といふこれなり。

第一読誦正行者、専読↢誦スル¬観経¼等↡也。即↣「一心読↢誦スト¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼↡」是也。

・観察正行

^だい観察かんざつ正行しょうぎょう は、 もつぱらかのくにしょうほう観察かんざつするなり。 すなはちもん (同) 、 「一心いっしんもつぱらそう0792とどめてかのくにほうしょうごん観察かんざつ憶念おくねん といふこれなり。

第二観察正行者、専観↢察スル依正二報↡也。即↫「一心トドメテ↢思想↡観↩察憶↪念スト二報荘厳↨」是也。

・礼拝正行

^だいさん礼拝らいはい正行しょうぎょう は、 もつぱら弥陀みだらいするなり。 すなはちもん (同) 、 「もしらいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつらい といふこれなり。

第三礼拝正行者、専スル↢弥陀↡也。即↣「若セバ一心スト↢彼↡」是也。

・称名正行

^だい称名しょうみょう正行しょうぎょう は、 もつぱら弥陀みだみょうごうしょうするなり。 すなはちもん (同) 、 「もししょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょう といふこれなり。

第四称名正行者、専スル↢弥陀名号↡也。即↣「若口称セバ一心スト↢彼↡」是也。

・讃嘆供養正行

^だい讃歎さんだんよう正行しょうぎょう は、 もつぱら弥陀みだ讃歎さんだんようするなり。 すなはちもん (同) 、 「もし讃歎さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃歎さんだんようす、 これをづけてしょうす」 といふこれなり。

第五讃歎供養正行者、専讃↢歎供↣養スル弥陀↡也。即↢「若讃歎供養セバ一心讃歎供養、是ケテ↟正」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅱ]開中開

^もし讃歎さんだんようとをかいしてなさば六種ろくしゅ 正行しょうぎょうづくべし。

↣讃歎↢供養↡而為↠二者、可↠名↢六種正行↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[一][Ⅲ]

^いまごうによるがゆゑにしゅといふ。

今依ルガ↢合↡故↢五種↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]
                      [Ⅰ]正明

^つぎごうしゅすといふは、 いちにはしょうごうにはじょ1194ごうなり

トイフ↢二種↡者、一者正業、二者助業ナリ

・正業

^はじ正業しょうごう は、 かみしゅのなかのだい称名しょうみょうをもつて正定しょうじょうごうす。 すなはちもん (散善義) 、 「一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんじて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがせつごんはず念々ねんねんてざるもの、 これを正定しょうじょうごうづく。 かのぶつがんじゅんずるがゆゑに」 といふこれなり。

正業者、以↢上五種之中第四称名↡為↢正定之業↡。即↧「一心ジテ↢弥陀名号↡、行住坐臥不↠問↢時節久近↡念々↠捨者、是↢正定之業↡。順ズルガ↢彼↡故ニト↥」是也。

・助業

^つぎ助業じょごう は、 だいしょうのぞきてのほかの読誦どくじゅとうしゅをもつてしかも助業じょごうす。 すなはちもん (同) 、 「もし礼誦らいじゅとうによるを すなはちづけて助業じょごうなす」 といふこれなり。

助業者、除キテ↢第四口称↡之外、以↢読誦等四種↡而↢助業↡。即↧「若ルヲ↢礼誦等↡即ケテ↦助業↥」是1261也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]料簡

 ^ひていはく、 なんがゆゑぞしゅのなかにひと称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつて正定しょうじょうごうなすや。

ヒテ、何五種之中↢称名念仏↡為↢正定↡乎。

^こたへていはく、 かのぶつがんじゅんずるがゆゑ0793に。 こころいはく、 称名しょうみょう念仏ねんぶつはこれかのぶつ*本願ほんがんぎょうなり。 ゆゑにこれをしゅれば、 かのぶつがんじょうじてかならずおうじょう そのぶつ本願ほんがんしもいたりてるべし。

ヘテ、順ズルガ↢彼↡故。意、称名念仏是彼本願行也。故スレバ↠之者、乗ジテ↢彼↡必↢往生↡也。其本願義、至リテ↠下↠知

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)明雑行【五種雑行】
                  (イ)牒文略釈

 ^つぎぞうぎょう は、 すなはちもん (同) 、 「このしょうじょぎょうのぞきてのほかの自余じよ諸善しょぜんをことごとくぞうぎょうづく といふこれなり。 こころはいはく、 ぞうぎょうりょうなり、 *つぶさにぶるにいとまあらず。

雑行者、即↧「除キテノ↢此正助二行↡已外自余諸善クト↢雑行↥」是也。意、雑行無量ナリ、不↠イトマアラ↢具ブルニ↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)広釈
                    [一]標列

^ただ しばらくしゅ正行しょうぎょう翻対ほんたいして もつてしゅぞうぎょうかすべし いち読誦どくじゅぞうぎょう観察かんざつぞうぎょうさん1195礼拝らいはいぞうぎょう称名しょうみょうぞうぎょう讃歎さんだんようぞうぎょうなり。

翻↢対シテ五種正行↡以スベシ↢五種雑行↡也。一ニハ読誦雑行、二ニハ観察雑行、三ニハ礼拝雑行、四ニハ称名雑行、五ニハ讃歎供養雑行也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]別明

・読誦雑行

^だいいち読誦どくじゅぞうぎょうといふは、 かみの ¬かんぎょう¼ とう*おうじょうじょうきょうのぞきてのほかだい小乗しょうじょう顕密けんみつしょきょうにおいてじゅ読誦どくじゅすることごとく読誦どくじゅぞうぎょうづく。

第一読誦雑行トイフ者、除キテノ↢上¬観経¼等往生浄土↡已外、於↢大小乗顕密諸経↡受持読誦スルヲ↢読誦雑行↡。

・観察雑行

^だい観察かんざつぞうぎょうといふは、 かみ極楽ごくらく*しょうのぞきてのほかの大小だいしょう顕密けんみつ*事理じりかんぎょうみなことごとく観察かんざつぞうぎょうづく。

第二観察雑行トイフ者、除キテノ↢上極楽依正↡已外、大小、顕密、事理観行皆悉↢観察雑行↡。

・礼拝雑行

^だいさん礼拝らいはいぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだ礼拝らいはいするをのぞきてほかの一切いっさいしょぶつさつとうおよびもろもろの*てんとうにおいて礼拝らいはい*恭敬くぎょうすることごとく礼拝らいはいぞうぎょうづく。

第三礼拝雑行トイフ者、除キテノ↣上礼↢拝スルヲ弥陀↡已外、於↢一切諸余仏菩薩等世天等↡礼拝恭敬スルヲ↢礼拝雑行↡。

・称名雑行

^だい称名しょうみょうぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだみょうごうしょうするをのぞきてほかの自余じよ一切いっさいぶつさつとうおよびもろもろのてんとうみょうごうしょうするを ことごとく称名しょうみょうぞうぎょうづく。

第四称名雑行トイフ者、除キテノ↣上スルヲ↢弥陀名号↡已外、称スルヲ↢自余一切仏菩薩等及世天等名号↡悉↢称名雑行↡。

・讃嘆供養雑行

^だい讃歎さんだんようぞうぎょうといふは、 かみ弥陀みだぶつのぞきてのほか一切いっさいしょぶつさつとう0794よびもろもろのてんとうにおいて讃歎さんだんようするを ことごとく讃歎さんだんようぞうぎょうづく。

第五讃歎供養雑行トイフ者、除キテノ↢上弥陀仏↡已外、於↢一切諸余仏菩薩等及世天等↡讃歎供養スルヲ↢讃歎供養雑行↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]摂余

^このほか また布施ふせかいとうりょうぎょうあり。 みな*ぞうぎょうごん摂尽しょうじんすべし。

外亦有↢布施・持1262戒等無量之行↡。皆可↣摂↢尽雑行之言↡。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)判二行得失【二行得失】
              (ⅰ)総標牒文

 ^つぎぎょう得失とくしつはんぜば、 「もしさきしょうじょぎょうしゅればしんつねに ˆ弥陀みだぶつにˇ 親近しんごんして憶念おくねんえず、 づけてけんなす。 もしのちぞうぎょうぎょう1196るは、 すなはちしんつねに間断けんだんす。 こうしてしょうることをべしといへども、 おおぞうぎょうづく」 (散善義) 、 すなはちそのもんなり。

ゼバ↢二行得失↡者、「若スレバ↢前正助二行↡、心常親近シテ憶念不↠断、名ケテ↢無間↡也。若ズルハ↢後雑行↡、即心常間断。雖↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ、衆クト↢疎雑之行↡」、即文也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)標列

^このもんこころあんずるに、 しょうぞうぎょうにつきて*ばん相対そうたいあり。 いちにはしんたい近遠ごんおんたいさんけんけんたいこうこうたいじゅんぞうたいなり。

ズルニ↢此↡、キテ↢正雑二行↡有↢五番相対↡。一ニハ親疎対、二ニハ近遠対、三ニハ有間無間対、四ニハ廻向不廻向対、五ニハ純雑対也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別釈
                  (イ)親疎対

^だいいちしんたいといふは、 づ 「しん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものは弥陀みだぶつにおいてはなはだもつて*親昵しんじつとなすゆゑに ¬しょ¼ (*定善義)かみもんにいはく、 「しゅじょうぎょうおこ*しんにつねにぶつしょうすれば、 ぶつすなはちこれをきこしめす。 につねにぶつらいきょうすれば、 ぶつすなはちしんこれをたまふしん つねにぶつねんずれば、 ぶつすなはちこれをりたまふしゅじょうぶつ憶念おくねんすれば、 ぶつしゅじょう憶念おくねんしたまふ。 彼此ひし三業さんごうあひしゃせず。 ゆゑ親縁しんえんづく

第一親疎対トイフ者、先トイフ者、修スル↢正助二行↡者↢阿弥陀仏親昵↡。故¬疏¼上、「衆生起シテ↠行心口スレバ↠仏、仏即シメス↠之。身礼↢敬スレバ↡、仏即タマフ↠之↠心心常ズレバ↠仏、仏即リタマフ↠之。衆生憶↢念スレバ↡者、仏憶↢念シタマフ衆生↡。彼此三業不↢相捨離↡。故↢親縁↡也。」

^つぎに 「」 といふはぞうぎょうなり。 しゅじょうぶつしょうせざれば、 ぶつすなはちこれをきたまはず。 ぶつらいせざれば、 ぶつすなはちこれをたまはず。 しんぶつねんぜざれば、 ぶつ0795すなはちこれをりたまはず。 しゅじょうぶつ憶念おくねんせざれば、 ぶつしゅじょう憶念おくねんしたまはず。 彼此ひし三業さんごうつねにしゃゆゑにぎょうづく

トイフ者雑行也。衆生不レバ↠称↠仏、仏即不↠聞キタマハ↠之。身レバ↠礼↠仏、仏即不↠見タマハ↠之。心レバ↠念↠仏、仏即不↠知リタマハ↠之。衆生不レバ↣憶↢念↡者、仏不↣憶↢念シタマハ衆生↡。彼此三業捨離。故↢疎行↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)近遠対

^だいごんおんたいといふは、 づ 「ごん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするも1197のは弥陀みだぶつにおいてはなはだもつてちかちかしとなすゆゑに ¬しょ¼ (定善義)かみもんにいはく、 「しゅじょうぶつ んとがんずれば、 ぶつすなはちねんおうじて まえげんざいしたまふゆゑ近縁ごんえんづく

第二近遠対トイフ者、先トイフ者、修スル↢正助二行↡者↢阿弥陀仏↡甚↢隣↡。故¬疏¼上、「衆生願ズレバ↠見ムト↠仏、仏即ジテ↠念現↢在シタマフ↡。故↢近縁↡也。」

^つぎに 「おん」 といふはぞうぎょうなり。 しゅじょうぶつ んとがんざれば、 ぶつすなはちねんおうぜず、 まえげんじたまはず。 ゆゑおんづく 。 ただし親近しんごんこれいちたりといへども、 善導ぜんどうこころ わかちてなす。 そのむね ¬しょ¼ (同)もんえたり。 ゆゑにいましゃくするところなり。

トイフ者雑行也。衆生不レバ↠願↠見ムト↠仏、仏即不↠応↠念、不↠現ジタマハ↢目↡。故↠遠也。但親近義是1263↠似タリト↠一、善導之意分チテ而為↠二。其旨見エタリ↢¬疏¼文↡。故今所↢引スル↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)無間有間対

^だいさんけんけんたいといふは、 づ 「けん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものは 弥陀みだぶつにおいて憶念おくねん間断けんだんせず。 ゆゑに 「づけてけんす」 といふこれなり。

第三無間有間対トイフ者、先無間トイフ者、修スル↢正助二行↡者弥陀仏↡憶念不↢間断↡。故↣「名ケテ↢無間↡」是也。

^つぎに 「けん」 といふは、 ぞうぎょうしゅするものは 弥陀みだぶつにおいて憶念おくねんつねに間断けんだんゆゑに 「しん つねに間断けんだんす」 といふこれなり。

有間トイフ者、修スル↢雑行↡者弥陀仏↡憶念常間断。故↢「心常間断スト↡」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)不廻向廻向対

^だいこうこうたいといふは、 しょうじょぎょうしゅするものは、 たとひべつこうもちゐざれども*ねんおうじょうごうとなる。 ゆゑ¬しょ¼ (*玄義分)かみもんにいはく、 「いまこの ¬かんぎょう¼ のなかじっしょうぶつしょうるは、 すなはちじゅうがん十行じゅうぎょうありてそくせり。 いかんがそくする。 ª南無なもº といふはすなはちこれみょう、 またこれ発願ほつがんこう0796なり。 ª弥陀みだぶつº とい1198ふはすなはちこれそのぎょうなり。 このをもつてのゆゑにかならずおうじょう

第四不廻向廻向対トイフ者、修スル↢正助二行↡者縦令 タトヒ レドモ↠用↢廻向↡自然↢往生↡。故¬疏¼上、「今此¬観経¼中十声称スルハ↠仏、即リテ↢十願十行↡具足セリ。云何具足スル。言↢南無↡者即是帰命、亦是発願廻向之義ナリ。言↢阿弥陀仏↡者即是其ナリ。以↢斯↡故↢往生↡。」

^つぎに 「こう」 といふは、 ぞうぎょうしゅするものは、 かならずこうもちゐるときおうじょういんとなる。 もしこうもちゐざるときおうじょういんとならず。 ゆゑに 「こうしてしょうることをべしといへども」 といふこれなり。

廻向トイフ者、修スル↢雑行↡者、必ヰル↢廻向↡之時↢往生之因↡。若↠用↢廻向↡之時ニハ不↠成↢往生之因↡。故↠「雖モト↠可シト↢廻向シテ得↟生ズルコトヲ」是也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)純雑対
                    [一]正釈

^だいじゅんぞうたいといふは、 づ 「じゅん」 といふは、 しょうじょぎょうしゅするものもつぱらこれ極楽ごくらくぎょうなり。

第五純雑対トイフ者、先トイフ者、修スル↢正助二行↡者モハ是極楽之行也。

^つぎぞう」 といふは、 これもつぱら極楽ごくらくぎょうにあらず。 人天にんでんおよびさんじょうつうず、 また十方じっぽうじょうつうず。 ゆゑぞうといふ

トイフ者、是モハ↢極楽之行↡。通↢於人天三乗↡、亦通↢於十方浄土↡。故↠雑也。

^しかれば*西方さいほうぎょうじゃ すべからくぞうぎょうてて正行しょうぎょうしゅすべ

レバ者西方行者須↧捨テテ↢雑行↡修↦正行↥也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二]料簡
                      [Ⅰ]

 ^ひていはく、 このじゅんぞう経論きょうろんのなかにおいてそのしょうありや。

ヒテ、此純雑義、於↢経論↡有↢其証拠↡乎。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ]
                        [ⅰ]

^こたへていはく、 だい小乗しょうじょうきょうりつろんのなかにおいてじゅんぞう もんること、 そのれいいちにあらず。

ヘテ、於↢大小乗経・律・論之中↡立ツルコト↢純雑二門↡、其例非↠一

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ]
                          [a]内典
                            [イ]正挙
                              ª一º顕教
                                ªⅠº大乗

^だいじょう はすなはち*八蔵はちぞうのなかにおいてしかも雑蔵ぞうぞうつ。 まさにるべし、 七蔵しちぞうはこれじゅん一蔵いちぞうはこれぞうなり。

大乗↢八蔵之中↡而↢雑蔵↡。当↠知、七蔵1264純、一蔵是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡº小乗
                                  ªⅰº

^小乗しょうじょう はすなはち*ごんのなかにおいて雑含ぞうごんつ。 まさにるべし、 三含さんごんはこれじゅん一含いちごんはこれぞうなり。

小乗↢四含之中↡而立↢雑含↡。当↠知、三含是純、一含是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅱº

^りつにはすなはち*じゅうけんててもつてかいぎょうかす。 そのなかにさきじゅうはこれじゅんのちいちぞうけんなり。

ニハテテ↢二十揵度↡以↢戒行↡。其十九是純、後揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅡºªⅲº

^ろん (*八犍度論) にはすなは1199はちけん諸法しょほうしょうそうかす。 さきしちけんはこれじゅんのちいちはこれぞうけんなり。

ニハテテ↢八揵度↡明↢諸法性相↡。前揵度是純、後是雑揵度也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢº賢聖集
                                  ªⅰº僧伝

^*げんじょうしゅうのなか とうそうりょうでん*じっほうてて高僧こうそうぎょうとくかす。 そのなかさきはこれじゅんのちいちはこれぞうなり。

賢聖集中、唐宋両伝ニハテテ↢十科↡明↢高僧行徳↡。其是純、後是雑科也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª一ºªⅢºªⅱº義章

^ない、 ¬*だいじょうしょう¼ に*じゅ法門ほうもんあり0797さきじゅはこれじゅんのちいちはこれ雑聚ぞうじゅなり。

乃至¬大乗義章¼有↢五聚法門↡。前四聚是純、後是雑聚也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][イ]ª二º密教

^またけんぎょうのみにあらず。 みっきょうのなかにじゅんぞうほうあり。 いはく*さんの ¬*仏法ぶっぽうけちみゃく¼ にいはく、 いちには*胎蔵たいぞうかいまん陀羅だらけちみゃくしゅには*金剛こんごうかいまん陀羅だらけちみゃくしゅさんには*ぞうまん陀羅だらけちみゃくしゅさきしゅはこれじゅんのち一首いっしゅはこれぞうなり。

亦非↢顕教ノミニ↡。密教之中↢純雑法↡。謂山家¬仏法血脈¼云、一ニハ胎蔵界曼陀羅血脈譜一首、二ニハ金剛界曼陀羅血脈譜一首、三ニハ雑曼陀羅血脈譜一首。前二首是純、後一首是雑ナリ

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][a][ロ]結示

^じゅんぞうおおしといへども、 いまりゃくして小分しょうぶんるのみ。 まさにるべし、 じゅんぞうほうしたがひて不定ふじょうなり。 これによりていま善導ぜんどうしょうこころ 、 しばらくじょうぎょうにおいてじゅんぞうろんるなり

純雑之義雖↠多シト、今略シテ↢小分↡而已。当↠知、純雑之義、随ヒテ↠法不定ナリ。因リテ↠茲今善導和尚意、且↢浄土↡論ズル↢純雑↡也。

二 ⅱ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]外典

^ このじゅんぞう*内典ないてんのみにかぎらず、 *てんのなかにそのれいはなはだおおし。 しげことおそれていださず。

純雑義不↠局↢内典ノミニ↡、外典之中例甚。恐レテ↠繁キコトヲ不↠出矣。

二 ⅱ Ⅱ b 決判
          (一)引例讃勧

^ただおうじょうぎょうにおいてぎょうわかつこと 善導ぜんどういっのみにかぎらず。

↢往生↡而分ツコト↢二行↡、不↠限↢善導一師ノミニ↡。

^もしどうしゃくぜんこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもつかねてす。 いち1200にはいはく念仏ねんぶつおうじょうにはいはくまんぎょうおうじょうなり。

ラバ↢道綽禅師↡者、往生行雖↠多シトネテ而為↠二。一ニハ念仏往生、二ニハ万行往生ナリ

^もし*かんぜんこころによらば、 おうじょうぎょうおおしといへどもつかねてす。 いちにはいはく念仏ねんぶつおうじょうにはいはく*しょぎょうおうじょうなり しん (*源信) これにおなじ。

ラバ↢懐感禅師↡、往生行雖↠多シトネテ而為↠二。一ニハ念仏往生、二ニハ諸行往生ナリ恵心同↠之

^かくのごときのさん、 おのおのぎょうてておうじょうぎょうせっす。 はなはだそのむね

キノ↠是クノ三師、各テテ↢二行1265↢往生↡。甚得↢其↡。

二 ⅱ Ⅱ b ロ (二)斥他師

^*自余じよしょはしからず。 ぎょうじゃこれをおもふべし。

自余不↠然。行者応↠思↠之

二 ⅱ 挙礼讃
      引文
        正判得失
          (一)明専修得

 ^¬*おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくして、 ひつみょうなすものは、 じゅうはすなはちじゅうながらしょうひゃくはすなはちひゃくながらしょうず。 なにをもつてのゆゑに。 雑縁ぞうえんしょうねん0798がゆゑに。 ぶつ本願ほんがん相応そうおうするがゆゑに。 きょうせざるがゆゑに。 ぶつずいじゅんするがゆゑ

¬往生礼讃¼云、「若↠上念々相続シテ、畢命↠期、十ナガラ、百ナガラ。何。無↢外雑縁↡得ルガ↢正念↡故。与↢仏本願↡相応スルガ。不ルガ↠違↠教。随↢順スルガ仏語↡故

二 ⅱ Ⅲ a イ (二)明雑修失

^もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさん

スル↣捨テテ↠専セムト↢雑業↡者、百得↢一二↡、千得↢五三↡。

^なにをもつてのゆゑに。 雑縁ぞうえん乱動らんどうしてしょうねんうしなによるがゆゑに。 ぶつ本願ほんがん相応そうおうせざるがゆゑに。 きょうそうするがゆゑに。 ぶつじゅんぜざるがゆゑに。 ねん相続そうぞくせざるがゆゑに。 憶想おくそう間断けんだんるがゆゑに。 がんおんじゅう真実しんじつならざるがゆゑに。 とんしん諸見しょけん煩悩ぼんのうきたりて間断けんだんするがゆゑに。 ざん悔過けか あることなきがゆゑ

ルガ↣雑縁乱動シテフニ↢正念↡故。与↢仏本願↡不ルガ↢相応↡故。与↠教相違スルガ。不ルガ↠順↢仏語↡故。係念不ルガ↢相続↡故。憶想間断スルガ。廻願不ルガ↢慇重真実ナラ↡故。貪瞋諸見煩悩来リテ間断スルガ。無キガ↠有ルコト↢慚愧悔過↡故

^また相続そうぞくしてかのぶつおんほうぜんおもざるがゆゑに。 しんきょうまんしょうて、 ごうぎょうをなすといへどもつねにみょう相応そうおうるがゆゑに。 にんおのづからおおひてどうぎょうぜんしき親近しんごんせざるがゆゑに。 ねがひて雑縁ぞうえんちかづきて、 おうじょう正行しょうぎょうしょう1201しょうするがゆゑなり

又不ルガ↢相続シテ↟報ゼムト↢彼↡故。心ジテ↢軽慢↡、雖↠作スト↢業行↡常与↢名利↡相応スルガ。人我自ヒテルガ↣親↢近同行善知識↡故。楽ヒテヅキテ↢雑縁↡、自↢障障↣他スルガ往生正行↡故ナリ

二 ⅱ Ⅲ a 対衆勧励
          (一)就見聞示

^なにをもつてのゆゑに。 、 このごろみづから諸方しょほう道俗どうぞく見聞けんもんするに、 ぎょうどうなり、 専雑せんぞうあり。 ただこころをもつぱらにしてなすものは、 じゅうはすなはちじゅう しょうず。 ぞうしゅしてしんいたさざるものは、 せんがなかにいちもなし。 このぎょう得失とくしつさきにすでにべんずるがごとし。

。餘比日コノゴロ見↢聞スルニ諸方道俗↡、解行不同ナリ、専雑有↠異。但使 タダ ニシテ↠意十生。修シテ↠雑↠至↠心↠一。此二行得失、如↢前ズルガ↡。

二 ⅱ Ⅲ a ロ (二)正勧励

^あおねがはくは 一切いっさいおうじょうにんとう、 よくみづからおのれがのうりょうせよ。 今身こんじんにかのくにしょうぜんとがん行住ぎょうじゅう坐臥ざがにかならずすべからくしんはげまし、 おのれをこくしてちゅうはいることなかるべしひつみょうなせ。 まさしくいちぎょうにありてしょう似如たれども、 前念ぜんねん命終みょうじゅう0799ねんにすなはちかのくにしょうじて、 じょう永劫ようごうにつねに*無為むい諸楽しょらくく。 ないじょうぶつまでしょうず。 あにこころよにあらずや。 るべし」

クハ一切往生人等善思↢量セヨ↡。今身ゼバ↠生ゼムト↢彼↡者、行住坐臥↢励↠心シテ↠己昼夜カル↟癈スルコト。畢命↠期シクリテ↢一形似↢如タレドモ少苦↡、前念命終シテ後念ジテ↢彼↡、長時永劫↢無為諸楽↡。乃至成仏マデ不↠逕↢生死↡。豈↠快キニ哉。応シト↠知。」

二 ⅱ Ⅲ 私釈

 ^わたくしにいはく、 このもんるに、 いよいよすべからくぞうててせんしゅすべし。 あにひゃくそく百生ひゃくしょう専修せんじゅ正行しょうぎょうてて、 かた*せんちゅういち雑修ざっしゅぞうぎょうしゅうせんや。 ぎょうじゃよくこれをりょうせよ。

1266、見ルニ↢此↡、弥↢捨テテ↠雑↟専。豈テテ↢百即百生専修正行↡、堅セム↢千中無一雑修雑行↡乎。行者能思↢量セヨ↡。

本願章】
    標章

【3】 ^弥陀みだ如来にょらいぎょうをもつておうじょう本願ほんがんとなさず、 ただ念仏ねんぶつをもつておうじょう本願ほんがんとなしたまへるもん

 弥陀如来不↧以↢余行↡為↦往生本願↥、唯以↢念仏↡為タマヘル↢往生本願↡之文

二 ⅲ 引文
      大経

 ^1202¬りょう寿じゅきょう¼ のじょうにのたまはく、 「たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうしんいたしんぎょうして、 わがくにしょうぜんとほっして、 ないじゅうねんせんに、 もししょうぜずといはば、 しょうがくらじ」 (第十八願) と。

¬無量寿経¼上、「設我得タラムニ↠仏、十方衆生、至↠心信楽シテ、欲シテ↠生ゼムト↢我↡、乃至十念セムニ、若トイハバ↠生者、不↠取↢正覚↡。」

二 ⅲ Ⅱ 観念法門

 ^¬*観念かんねん法門ぼうもん¼ にかみもんきていはく、 「もしわれぶつにならんに、 十方じっぽうしゅじょう、 わがくにしょうぜんとがんじて、 わがみょうごうしょうすることしもじっしょういたらんに、 わが願力がんりきりて、 もししょうぜずは、 しょうがくらじ」 と。

¬観念法門¼引キテ↢上↡云、「若我成ラムニ↠仏、十方衆生、願ジテ↠生ゼムト↢我↡、称スルコト↢我↡下至ラムニ↢十声↡、乗リテ↢我願力↡、若↠生者不↠取↢正覚↡。」

二 ⅲ Ⅱ 往生礼讃

 ^¬おうじょう礼讃らいさん¼ におなじきかみもんきていはく、 「ªもしわれぶつにならんに、 十方じっぽうしゅじょうわがみょうごうしょうすることしもじっしょういたるまで、 もししょうぜずは、 しょうがくらじº と。 かのぶついまげん*にましましてぶつになりたまへり。 まさにるべし、 本誓ほんぜいじゅうがんむなしからず、 しゅじょうしょうねんすればかならずおうじょうすることを」 と。

¬往生礼讃¼同ジキキテ↢上↡云、「若我成ラムニ↠仏、十方衆生、称スルコト↢我名号↡下至ルマデ↢十声↡、若↠生者不↠取↢正覚↡。彼仏今現シテ↠世リタマヘリ↠仏。当↠知、本誓重願不↠虚シカラ、衆生称念スレバ↢往生スルコトヲ↡。」

二 ⅲ 私釈
      挙別願選択相
        対総明別【総別二願】

 ^わたくしにいはく、 一切いっさい諸仏しょぶつおのおの*総別そうべつしゅがんあり。 そう」 といふは四弘しぐぜいがんこれなり。 「べつ」 といふは*しゃひゃく大願だいがん*やくじゅうじょうがんとうのごときこれなり。 いまこのじゅうはちがんはこれ弥陀みだ別願べつがんなり。

、一切諸仏各有↢総別二種之願↡。総トイフ者四弘誓願是也。別トイフ者如↢釈迦五百大願、薬師十二上願等↡是也。今此四十八願者是弥陀別願也。

二 ⅲ Ⅲ a 直釈
          (一)発願時処
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 弥陀みだ如来にょらい、 いづれのとき、 いづれのぶつみもとにしてかこのがんおこしたまへるや。

ヒテ、弥陀如来於テカ↢何レノ時何レノ↡而発シタマヘル↢此↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (一)(Ⅱ)引経答

^こたへていはく、 ¬寿じゅきょう¼ (*大経・上) にのたまはく、 「^ぶつ*1203なんげたまはく、 ª乃往ないおう過去かこおんりょう不可ふか思議しぎ央数おうしゅこうに、 *じょうこう如来にょらいこうしゅつしたまひて、 りょうしゅじょうきょうだつして、 みなどうしめて、 すなはちめつりたまへり。 つぎ如来にょらいまします、 づけて光遠こうおんといふ。 つぎしょづく。 かくのごとき諸仏しょぶつ じゅうさんぶつなり。 みなことごとくすでにぎて、

ヘテ1267、¬寿経¼云、「仏告ゲタマハク↢阿難↡、乃往過去久遠無量不可思議無央数劫定光如来興↢出シタマヒテ於世↡、教↢化度↣脱シテ無量衆生↡、皆令メテ↠得↠道、乃リタマヘリ↢滅度↡。次↢如来↡、名ケテ↢光遠↡。↢処世↡。如↠此クノ諸仏 五十三仏也 皆悉ギテ

^そのときつぎぶつまします、 *世自せじ在王ざいおう如来にょらいづく。

↠仏、名↢世自在王如来↡。

^とき国王こくおうあり。 ぶつ説法せっぽうきてしんえついだきて、 いでじょうしょうしんどうこころおこし、 くにおうてて、 ぎょうじて沙門しゃもんとなる。 なづけて*法蔵ほうぞうといふ。 高才こうざい勇哲ゆうてつにしてちょうせり。 世自せじ在王ざいおう如来にょらいみもともうでたまふ。

↢国王↡。聞キテ↢仏説法↡心キテ↢悦予↡、ギテ↢無上正真道↡、棄↠国テテ↠王、行ジテ↢沙門↡。ナヅケテ↢法蔵↡。高才勇哲ニシテ与↠世超異セリ。詣デタマフ↢世自在王如来↡。

^ここに世自せじ在王ざいおうぶつ、 すなはち ˆ法蔵ほうぞう比丘びくのˇ ためにひろひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつせつ人天にんでん善悪ぜんあくこくみょうきて、 その心願しんがんおうじてことごとくこれをげんしたまふ。

世自在王仏、即キテ↢二百一十億諸仏刹土人天之善悪、国土之麁妙↡、応ジテ↢其心願↡悉現↢与シタマフ

^ときにかの比丘びくぶつ所説しょせつごんじょうこくき、 みなことごとくけんして、 えてじょうしゅしょうがんおこす。 そのしん寂静じゃくじょうにして、 こころざししょじゃくなく、 一切いっさいけんによくおよぶものなし。 こうそくしてしょうごん仏国ぶっこく清浄しょうじょうぎょうゆい摂取せっしゅしきº と。

比丘聞↢仏所説厳浄国土↡、皆悉覩見シテ、超エテ↢無上殊勝之願↡。其心寂静ニシテ、志无↢所着↡、一切世間↢能者↡。具↢足シテ五劫↡思↢惟摂↣取シキト荘厳仏国清浄之行↡。

^なんぶつにまうさく、 ªかのぶつこく寿じゅりょういくばくぞやº と。 ぶつののたまはく、 ªそのぶつ寿じゅみょうじゅうこうなり。 ときほうぞう1204比丘びくひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつみょう清浄しょうじょうぎょう摂取せっしゅしきº」 と。

阿難白↠仏、彼国土寿量幾何イクバクゾヤト。仏、其寿命四十二劫ナリ。時法蔵比丘摂↢取シキト二百一十億諸仏妙土清浄之行↡。」

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)明選択義
            (Ⅰ)引異訳経

^¬*だい弥陀みだきょう¼ (上) にのたまはく、 「そのぶつ (世自在王仏) すなはちひゃくいちじゅうおくぶつこくちゅう諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこく好醜こうしゅせんじゃくす。 ˆ法蔵ほうぞう比丘びくの、ˇ しんちゅう所欲しょよくがんせんじゃくせんがためなり。

¬大阿弥陀経¼云、「其仏即選↢択二百一十億国土中諸天人民之善悪、国土之好醜ナリ↣選↢択セムガ心中所欲↡。

^楼夷るいこうぶつ ここには世自せじ在王ざいおうぶつといふ。 きょうきをはりて、 どん摩迦まか ここには法蔵ほうぞうといふ。 すなはちそのしんいつにして、 すなはち天眼てんげんてっしてことごとくみづからひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつこくのなかの諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこく好醜こうしゅすなはちしんちゅう所願しょがんせんじゃくして、 すなはちこのじゅうがんきょう結得けっとくす」 と。 ¬*びょう等覚どうがくきょう¼ またこれにおなじ。

楼夷亘羅仏 ニハ↢世自在王仏↠経リテ、曇摩迦 ニハ↢法蔵 便ニシテ↢其↡、即得↢天眼1268↡、徹視シテ見↢二百一十億諸仏国土諸天人民之善悪、国土之好醜↡、即選↢択シテ心中所願↡、便結↢得スト二十四願経↡。」 ¬平等覚経¼亦復同↠之

二 ⅲ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)釈選択義【選択摂取】

 ^このなか、 せんじゃく」 とはすなはちこれ取捨しゅしゃなり。 いはくひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつじょうのなかにおいて、 人天にんでんあく人天にんでんぜんり、 こくしゅうこくこうるなり。 ¬だい弥陀みだきょう¼ のせんじゃくかくのごとし。 ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経・上)こころまたせんじゃくあり。 いはく、 「ひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつみょう清浄しょうじょうぎょう摂取せっしゅす」 といふこれなり。

中選択者即是取捨義也。謂↢二百一十億諸仏浄土↡、捨↢人天之悪↡取↢人天之善↡、捨↢国土之醜↡取↢国土之好↡也。¬大阿弥陀経¼選択義如↠是クノ。¬双巻経¼意亦有↢選択義↡。謂↣「摂↢取スト二百一十億諸仏妙土清浄之行↡」是也。

^*せんじゃく摂取せっしゅとそのことばことなりといへども、 そのこころこれおなじ。 しかれば清浄しょうじょうぎょうてて、 清浄しょうじょうぎょう1205る。 かみてんにん善悪ぜんあくこくみょう、 そのまたしかなり。 これにじゅんじてるべし。

選択与↢摂取↡其言雖↠異ナリト、其意是同。然レバ者捨テテ↢不清浄↡、取↢清浄之行↡也。上天人之善悪、国土之麁妙、其義亦然ナリ。准ジテ↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)明選択相
            (Ⅰ)総明諸願相
              (ⅰ)就五願明
                (a)明前四願

^それじゅうはちがんやくして、 一往いちおうおのおのせんじゃく摂取せっしゅろんぜば、

シテ↢四十八願↡、一往各ゼバ↢選択摂取之義↡者、

・第一願

^だいいち*さん悪趣まくしゅがんは、 けんするところのひゃくいちじゅうおくのなかにおいて、 あるいはさん悪趣まくしゅあるこくあり。 あるいはさん悪趣まくしゅなきこくあり。 すなはちそのさん悪趣まくしゅあるあくこく選捨せんしゃして、 そのさん悪趣まくしゅなきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第一無三悪趣願者、於所↢覩見↡之二百一十億↥、或イハ↧有↢三悪趣↡之国土↥。或イハ↧無↢三悪趣↡之国土↥。即選↧捨シテ↢三悪趣↡麁悪国土↥、選↧取↢三悪趣↡善妙国土↥。故↢選択1269↡也。

・第二願

^だい*きょう悪趣あくしゅがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいはたとひくにのなかにさん悪道まくどうなしといへども、 そのくに人天にんでん寿いのちおわりてのちに、 そのくによりりてまたさん悪趣まくしゅかえあり。 あるいは悪道あくどうかえらざるあり。 すなはちその悪道あくどうかえあくこく選捨せんしゃして、 その悪道あくどうかえらざるぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第二不更悪趣願者、於↢彼諸仏↡、或イハ↧縦↣国シト↢三悪道↡、其人天寿終リテ之後、従↢其国↡去リテカヘ↢三悪趣↡之土↥。或イハ↧不↠更↢悪↡之土↥。即選↧捨シテ↢悪↡麁悪国土↥、選↧取↠更↢悪↡善妙↥。故↢選択↡也。

・第三願

^だいさん*悉皆しっかい金色こんじきがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいはいちのなかに*おうびゃくるい人天にんでんあるこくあり。 あるいはもつぱら黄金おうごんじきこくあり。 すなはちおうびゃくるいあくこく選捨せんしゃして、 黄金おうごん一色いっしきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第三悉皆金色願者、於↢彼諸仏中↡、或イハ↧一土之中↢黄白二類人天↡之国土↥。或イハモハ黄金色之国土↡。即選↢捨シテ黄白二類麁悪国土↡、選↢取黄金一色善妙国土↡。故↢選択↡也。

・第四願

^だい*無有むう好醜こうしゅがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいは人天にんでんぎょうしき好醜こうしゅどうこくあり。 あるいはぎょうしき一類いちるいにして好醜こうしゅある1206ことなきこくあり。 すなはち好醜こうしゅどうあくこく選捨せんしゃして、 好醜こうしゅあることなきぜんみょうこく選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。

第四無有好醜願者、於↢彼諸仏中↡、或イハ↢人天形色好醜不同之国土↡。或イハ↧形色一類ニシテ↠有ルコト↢好醜↡之国土↥。即選↢捨シテ好醜不同麁悪国土↡、選↧取↠有ルコト↢好醜↡善妙国土↥。故↢選択↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅰ)(b)明十八願

^ないだいじゅうはち*念仏ねんぶつおうじょうがんは、 かの諸仏しょぶつのなかにおいて、 あるいは布施ふせをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはかいをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは忍辱にんにくをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはしょうじんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはぜんじょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは般若はんにゃ 第一だいいちしんずるとうこれなり。 をもつておうじょうぎょうとなすあり。

乃至第十八念仏往生願者、於↢彼↡、或イハ↢布施↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢持戒↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢忍辱↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢精進↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢禅定↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢般若ズル↢第一義↡等是也↢往生↡之土↥。

^あるいはだいしんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいは六念ろくねんをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはきょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはしゅをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはりゅう塔像とうぞう飯食ぼんじき沙門しゃもんおよびきょうよう父母ぶも奉事ぶじちょうとう種々しゅじゅぎょうをもつておのおのおうじょうぎょうとなすこくとうあり。 あるいはもつぱらそのくにぶつみなしょうしておうじょうぎょうとなすあり。

イハ↧以↢菩提心↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢六念↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢持経↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢持呪↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧以↢起立塔像、飯食沙門及以 オヨビ 孝養父母、奉事師長等種々之行↡各↢往生↡之国土等↥。或イハ↧専シテ↢其↡為↢往生↡之土↥。

^かくのごとくいちぎょうをもつて一仏いちぶつはいすることは、 これしばらく一往いちおうなり。 *再往さいおうこれをろんぜば、 そのじょうなり。 あるいは一仏いちぶつのなかに、 ぎょうをもつておうじょうぎょうとなすあり。 あるいはぶつのなかに、 いちぎょうをもつてつう1207おうじょうぎょうとなすあり。 かくのごとくおうじょうぎょう種々しゅじゅどうなり。 つぶさにぶべからず。

↠此クノ↢一行↡配スルコト↢一仏↡者、是且一往之義也。再往論ゼバ↠之、其義不1270ナリ。或イハ↧一仏、以↢多行↡為↢往生↡之土↥。或イハ↧多仏、以↢一行↡通ジテ↢往生↡之土↥。如↠是クノ往生行種々不同ナリ。不↠可カラ↢具↡也。

^すなはちいまさき布施ふせかいないきょうよう父母ぶもとうしょぎょう選捨せんしゃして、 せんしょう仏号ぶつごう選取せんしゅす。 ゆゑにせんじゃくといふ。 しばらくがんやくしてりゃくしてせんじゃくろんずること、 そのかくのごとし。

今選↢捨シテ布施・持戒、乃至孝養父母等諸行↡、選↢取専称仏号↡。故↢選択↡也。且シテ↢五↡略シテズルコト↢選択↡、其義如↠是クノ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅰ)(ⅱ)挙諸願行

^自余じよ諸願しょがんはこれにじゅんじてるべし。

自余諸願ジテ↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)別明生因
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 あまねく諸願しょがんやくしてあく選捨せんしゃぜんみょう選取せんしゅすること、 そのしかるべし。 なんがゆゑぞ、 だいじゅうはちがんに、 一切いっさいしょぎょう選捨せんしゃして、 ただひとへに念仏ねんぶついちぎょう選取せんしゅしておうじょう本願ほんがんとなしたまふや。

ヒテ、普シテ↢諸願↡選↢捨麁悪↡選↢取スルコト善妙↡、其理可↠然。何第十八、選↢捨シテ一切諸行↡、唯偏選↢取シテ念仏一行↡為タマフ↢往生本願↡乎。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)標二義

^こたへていはく、 *しょうはかりがたし。 たやすくすることあたはず。 しかりといへどもいまこころみにをもつてこれをせば、 いちにはしょうれつにはなんなり

ヘテ、聖意難↠測。不↠能タヤススルコト↡。雖↠然リト今試↢二↡解セバ↠之、一者勝劣義、二者難易ナリ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈二義
                  (イ)【勝劣義】
                    [一]

^はじめのしょうれつとは、 念仏ねんぶつはこれしょうぎょうはこれれつなり。

勝劣者、念仏是勝、余行是劣ナリ

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]

^所以ゆえんはいかんとならば、 みょうごうはこれ万徳まんどくするところなり。 しかればすなはち弥陀みだ一仏いちぶつのあらゆる四智しち三身さんしんじゅうりき無畏むいとう一切いっさい*ないしょうどく相好そうごうこうみょう説法せっぽうしょうとう一切いっさい*ゆうどく、 みなことごとく弥陀みだぶつみょうごうのなかにしょうざいせり。 ゆゑにみょうごうどくもつともしょうとなす。 ぎょうはしからず。 お1208のおの一隅いちぐうまもる。 ここをもつてれつとなす。

所以者何ントナラバ、名是万徳之所↠帰スル也。然レバ弥陀一仏所有四智・三身・十力・四無畏等一切内証功徳、相好・光明・説法・利生等一切外用功徳、皆悉摂↢在セリ阿弥陀名号之中↡。故名号功徳最↠勝也。余行不↠然。各↢一隅↡。是↠劣也。

^たとへばけん屋舎おくしゃの、 その屋舎おくしゃみょうのなかにはとう*りょう*てんちゅうとう一切いっさい家具けぐせっせり。 とうりょうとう一々いちいちみょうのなかには一切いっさいせっすることあたはざるがごとし。 これをもつてるべし。

ヘバ↧世間屋舎屋舎名字之中ニハセリ↢棟ハリウツハリ タルキ ハシラ一切家具棟梁等一々名字ニハルガ↞能↠摂スルコト↢一切↡。以↠之↠知

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[三]

^しかればすなはちぶつみょうごうどく一切いっさいどくすぐれたり。 ゆゑにれつててしょうりてもつて本願ほんがんとなしたまへるか。

レバ名号功徳勝レタリ↢余一切功徳↡。故テテ↠劣リテ↠勝タマヘル↢本願↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)【難易義】
                    [一]

^つぎなんとは、 念仏ねんぶつしゅしやすし、 しょぎょうしゅしがたし。

難易者、念仏1271↠修、諸行↠修

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]引文証
                      [Ⅰ]礼讃

^このゆゑに ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「ひていはく、 なんがゆゑぞ、 かんをなさしめずしてただちにもつぱらみょうしょうせしむるは、 なんのこころかあるや。

¬往生礼讃¼云、「問ヒテ、何シテ↠令↠作↠観ムル↣専↢名字↡者、有↢何↡也。

^こたへていはく、 すなはちしゅじょうさわりおもく、 きょうほそしんあらし。 しきあがたましいびて、 かんじょうじゅしがたきによるなり。 ここをもつてだいしょう (釈尊) れんして、 ただちにもつぱらみょうしょうせよとすすめたまふ。 まさしく称名しょうみょうやすきによるがゆゑに、 相続そうぞくしてすなはちしょうず」 と。 以上

ヘテ、乃↣衆生障重、境アガタマシヒビテ、観難キニ↢成就↡也。是大聖悲憐シテ、直メタマフ↣専セヨト↢名字↡。正シクルガ↢称名キニ↡故、相続シテズト。」已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]要集

^また ¬*おうじょうようしゅう¼ (下) に、 「ひていはく、 一切いっさい善業ぜんごうおのおのやくあり、 おのおのおうじょう。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや。

又¬往生要集¼「問ヒテ、一切善業各↢利益↡、各得↢往生唯勧ムルヤ↢念仏一門↡。

^こたへていはく、 いま念仏ねんぶつすすむることは、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょう*しゃせんとにはあらず。 ただこれ男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざが*えらばず、 1209しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんたるは念仏ねんぶつにしかざればなり」 と。 以上

ヘテ、今勧ムルコトハ↢念仏↡、非↣是遮セムトニハ↢余種々妙行↡。只是男女貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修スルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得タルハ↢其便宜↡不レバナリト↠如↢念仏↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]釈其義
                      [Ⅰ]総示

^ゆゑにりぬ、 念仏ねんぶつやすきがゆゑに一切いっさいつうず。 しょぎょうかたきがゆゑにしょつうぜず。 しかればすなはち一切いっさいしゅじょうをしてびょうどうおうじょうせしめんがために、 なんりて、 本願ほんがんとなしたまへるか。

リヌ、念仏キガ↢於一切↡。諸行キガ不↠通↢諸機↡。然レバ↠令メムガ↢一切衆生ヲシテ平等往生↡、捨↠難リテ↠易、為タマヘル↢本願↡歟。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]別示

^もしそれ造像ぞうぞうとうをもつて本願ほんがんとなさば、 びん困乏こんぼうたぐいはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかも富貴ふきのものはすくなく、 貧賎びんせんのものははなはだおおし。

↢造像起塔↡而為↢本願者貧窮困メテタム↢往生↡。然富貴貧賎

^もし智慧ちえ高才こうざいをもつて本願ほんがんとなさば、 どん下智げちのものはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかも智慧ちえのものはすくなく、 愚痴ぐちのものははなはだおおし。

↢智慧高才↡而為↢本願↡者、愚鈍下智メテタム↢往生↡。然愚痴

^もし*もんけんをもつて本願ほんがんとなさば、 しょうもんしょうけんともがらはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかももんのものはすくなく、 しょうもんのものははなはだおおし。

↢多聞多見↡而為↢本願↡者、少聞少見メテタム↢往生↡。然多聞少聞

^もし*かいりつをもつて本願ほんがんとなさば、 かいかいひとはさだめておうじょうのぞみをたん。 しかもかいのものはすくなく、 かいのものははなはだおおし。

↢持戒持律↡而為↢本願↡者、破戒無戒メテタム↢往生↡。然持戒破戒

^自余じよしょぎょうこれにじゅんじてるべし。 まさにるべし、 かみしょぎょうとうをもつて本願ほんがんとなさば、 おうじょうるものはすくなく、 おうじょうせざるものはおおからん。

自余諸行准ジテ↠之↠知。当↠知、以↢上1272行等↡而為↢本願↡者、得↢往生↡者↢往生↡者カラム

^しかればすなはち弥陀みだ如来にょらい法蔵ほうぞう比丘びくむかしびょうどう1210もよおされて、 あまねく一切いっさいせっせんがために、 造像ぞうぞうとうとうしょぎょうをもつておうじょう本願ほんがんとなしたまはず。 ただ称名しょうみょう念仏ねんぶついちぎょうをもつてその本願ほんがんとなしたまへり。

レバ弥陀如来、法蔵比丘之昔被↠催↢平等慈悲↡、普↠摂セムガ↢於一切↡、不↧以↢造像起塔等諸行↡為タマハ↦往生本願↥。唯以↢称名念仏一行↡為タマヘ↢其本願↡也。

二 ⅲ Ⅲ a ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅲ]引文結示

^ゆゑに*ほっしょうぜんの ¬*五会ごえほうさん¼ にいはく、

法照禅師¬五会法事讃¼

^かのぶつ*いんちゅうぜいてたまへり。 きてわれをねんぜばすべて*むかへにきたらん。

びん富貴ふきとをえらばず、 下智げち高才こうざいとをえらばず、

^もんにしてじょうかいたもつをえらばず、 かいにして罪根ざいこんふかきをもえらばず。

ただしんして*おお念仏ねんぶつせば、 よく*りゃくをしてへんじてこがねとなさしめん」 と。

「彼因中テタマヘリ↢弘誓キテ↠名ゼバ↠我ジテヘニラム
不↠簡↣貧窮↢富貴↡不↠簡↣下智↢高才↡
不↠簡↣多聞ニシテツヲ↢浄戒不↠簡↢破戒ニシテ罪根キヲモ
但使 タダ シテ↠心念仏セバメムト↢瓦礫ヲシテジテ↟金

二 ⅲ Ⅲ 決本願成不
       

 ^ひていはく、 一切いっさいさつはそのがんつといへども、 あるいはじょうじゅあり、 またじょうじゅあり。 いぶかし、 法蔵ほうぞうさつじゅうはちがんはすでにじょうじゅすとやなさん、 はたじょうじゅとやなさん。

ヒテ、一切菩薩↠立ツト↢其↡、或イハ↢已成就↡、亦有未成就↡。未審イブカシ、法蔵菩薩四十八願↢成就ストヤ↡、ハタ↢未成就トヤ↡也。

二 ⅲ Ⅲ b 答【誓願成就】
          (一)総答

^こたへていはく、 法蔵ほうぞう誓願せいがん一々いちいちじょうじゅす。

ヘテ、法蔵誓願、一々成就

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)別答
            (Ⅰ)明三願成就

・第一願成就

^いかんとならば、 極楽ごくらくかいのなかにすでにさん悪趣まくしゅなし。 まさにるべし、 これすなはちさん悪趣まくしゅがん (第一願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・上) に、 「またごく餓鬼がきちく1211しょう諸難しょなんしゅなし」 といふこれなり。

トナラバ者、極楽界↢三悪趣↡。当↠知、是即成↢就スル無三悪趣之願↡也。テカ↠知ルコトヲ。即願成就↣「亦無シト↢地獄・餓鬼・畜生、諸難之趣↡」是也。

・第二願成就

^またかのくに人天にんでん寿いのちおわりてのちに、 さん悪趣まくしゅかえることなし。 まさにるべし、 これすなはちきょう悪趣あくしゅがん (第二願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「またかのさつないじょうぶつまで悪趣あくしゅかえらず」 といふこれなり。

又彼人天寿終リテ之後、無カヘルコト↢三悪趣↡。当↠知、是成↢就スル不更悪趣之願↡也。以テカ↠何↠知ルコトヲ。即願成就↢「又彼菩薩、乃至成仏マデ↟更↢悪趣↡」是也。

・第二十一願成就

^また極楽ごくらく人天にんでんすでにもつて一人いちにんとしてさんじゅうそうせずといふことあることなし。 まさにるべし、 これすなはち*さんじゅうそうがん (第二十一願)じょうじゅするなり。 なにをもつてかることをる。 すなはちがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「かのくにうまるるものは、 みなことごとくさんじゅうそうそくす」 といふこれなり。

又極楽人天既↠有ルコト↢一人トシテトイフコト↟具↢三十二相↡。当↠知、是成↢就スル具三十二相↡也。以テカ↠何↠知ルコトヲ。即願成就↧「生1273ルル↢彼↡者、皆悉具↦足スト三十二相↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)別明生因成就
              (ⅰ)例余推知

^かくのごとくはじさん悪趣まくしゅがん (第一願) よりおわ*とくさん法忍ぼうにんがん (第四十八願)いたるまで、 一々いちいち誓願せいがんみなもつてじょうじゅす。 だいじゅうはち念仏ねんぶつおうじょうがん、 あにひとりもつてじょうじゅせざらんや。 しかればすなはち念仏ねんぶつひとみなもつておうじょうす。

↠是クノ↢無三悪趣願↡終ルマデ↢得三法忍↡、一一誓願皆以成就。第十八念仏往生願、豈ラム↢成就↡乎。然レバ念仏之人皆以往生

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)挙成就文

^なにをもつてかることをる。 すなはち念仏ねんぶつおうじょうがんじょうじゅもん (大経・下) に、 「*もろもろのしゅじょうありて、 そのみょうごうきて信心しんじんかんして、 ない一念いちねんしんいたしてこうしてかのくにしょうぜんとがんずれば、 すなはちおうじょう退転たいてんじゅうす」 といふこれなり。

テカ↠何↠知ルコトヲ。即念仏往生願成就↧「諸リテ↢衆生↡、聞キテ↢其名号↡信心歓喜シテ、乃至一念至シテ↠心廻向シテズレバ↠生ゼムト↢彼↡、即↢往生↡住スト↦不退転↥」是也。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)就土況釈

^おほよそじゅう1212はちがんしょうごんじょうは、 華池けち宝閣ほうかく願力がんりきにあらずといふことなし。 なんぞそのなかにおいてひと念仏ねんぶつおうじょうがんわくすべきや。

四十八願荘厳浄土花池・宝閣無↠非ズトイフコト↢願力↡。何↢其↡独↣疑↢惑念仏往生↡乎。

二 ⅲ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)就仏比証

^しかのみならず一々いちいちがんおわりに、 「もししからずは、 しょうがくらじ」 といふ。 しかも弥陀みだぶつぶつになりたまひてよりこのかたいまに十劫じっこうじょうぶつちかいすでにもつてじょうじゅせり。 まさにるべし、 一々いちいちがん*せつすべからず。 ゆゑに善導ぜんどういはく (礼讃)、 「かのぶついまげん*にましましてぶつになりたまへり。 まさにるべし、 本誓ほんぜいじゅうがんむなしからず、 しゅじょうしょうねんすればかならずおうじょう」 と。

加之シカノミナラズ一々↢「若↠爾者不↟取↢正覚↡」。而阿弥陀仏成リタマヒテヨリ↠仏已来於↠今十劫、成仏之誓既成就セリ。当↠知、一々之願不↠可カラ↢虚設↡。故善導云、「彼仏今現シテ↠世リタマヘリ↠仏。当↠知、本誓重願不↠虚シカラ、衆生称念スレバ↢往生↡。」已上

二 ⅲ Ⅲ 釈願文
        正釈
          (一)釈十念
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 ¬きょう¼ (大経・上) には 「じゅうねん」 といふ、 ˆ善導ぜんどうのˇ しゃくには 「じっしょう」 といふ。 ねんしょういかん。

ヒテ、¬経ニハ¼云↢「十念」↡、釈ニハ↢「十声」↡。念声之義如何

二 ⅲ Ⅲ c イ (一)(Ⅱ)答【念声是一】

^こたへていはく、 ねんしょうこれいちなり。 なにをもつてかることをる。 ¬かんぎょう¼ のぼんしょうにのたまはく、 「こえをしてえざらしめて、 じゅうねんそくして、 ª南無なも弥陀みだぶつº としょうせば、 ぶつみなしょうするがゆゑに、 念々ねんねんのうちにおいてはちじゅう億劫おくこうしょうつみのぞく」 と。 いまこのもんによるに、 しょうはこれねんなり、 ねんはすなはちこれしょうなり。 そのこころあきらけし。

ヘテ、念声是一ナリ。何テカ↠知ルコトヲ。¬観経¼下品下生、「令メテ↢声ヲシテ↟絶、具↢足シテ十念↡、称セバ↢南無阿弥陀仏↡、称スルガ↢仏↡故、於↢念々↡除クト↢八十億劫生死之罪↡。」今依ルニ↢此↡、是念ナリ、念是声ナリ。其意明ケシ矣。

^しかのみならず ¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ にのたまはく、 「大念だいねんだいぶつ1213しょうねんしょうぶつる」 と。 かん (*懐感) の ¬しゃく¼ (*群疑論) にいはく、 「大念だいねんといふはだいしょうぶつねんじ、 しょうねんといふは小声しょうしょうぶつねんずるなり」 と。 ゆゑにりぬ、 ねんはすなはちこれしょうなりと。

加之シカノミナラズ¬大集月蔵経¼云、「大念見↢大仏↡、小念ルト↢小仏↡。」感師¬釈¼云1274、「大念トイフ者大声↠仏、小念トイフ小声ズルナリト↠仏。」故リヌ、念是唱也

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)釈乃至
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 ¬きょう¼ (大経・上) には 「ない」 といひ、 ˆ善導ぜんどうのˇ しゃくには 「下至げし」 といふ。 そのこころいかん。

ヒテ、¬経ニハ¼云↢「乃至」↡、釈ニハ↢「下至」↡。其意如何

二 ⅲ Ⅲ c イ (二)(Ⅱ)答【乃下合釈】

^こたへていはく、 ない下至げしとそのこころこれいちなり。 ¬きょう¼ に 「ない」 といふは、 よりしょうかふことばなり。 といふはかみいちぎょうつくすなり。 しょうといふはしもじっしょういっしょうとういたるなり。 しゃくに 「下至げし」 といふは、 とはじょうたいすることばなり。 とはしもじっしょういっしょうとういたるなり。 じょうとはかみいちぎょうつくすなり。

ヘテ、乃至与↢下至↡意是一ナリ。¬経¼云↢「乃至」↡者、従↠多向↠少之言也。多トイフ者上尽↢一形↡也。少トイフ者下至↢十声・一声等↡也。釈↢「下至」↡者、下者対スル↠上之言也。下者下至↢十声・一声等↡也。上者上尽↢一形↡也。

^じょう相対そうたいもんそのれいおおしといへども、 *宿命しゅくみょうつうがん (第五願) にのたまはく (大経・上)、 「たとひわれぶつたらんに、 くにのうちの人天にんでん宿命しゅくみょうらずして、 しもひゃく千億せんおく那由他なゆた諸劫しょこうらざるにいたるといはば、 しょうがくらじ」 と。

上下相対之文其↠多シト、宿命通、「設我得タラムニ↠仏、国人天不シテ↠識↢宿命↡、下至ルトイハバ↠不ルニ↠知↢百千億那由他諸劫↡者、不↠取↢正覚↡。」

^かくのごとく*神通じんずうおよびこうみょう寿じゅみょうとうがんのなかに、 一々いちいちに 「下至げし」 のことばく。 これすなはちよりしょういたり、 をもつてじょうたいするなり。

↠是クノ五神通及以 オヨビ 光明・寿命等、一々↢「下至」之言↡。是則↠多至↠少、以↠下スル↠上之義也。

^かみ八種はっしゅがんれいするに、 いまこのがんの 「ない」 はすなはちこれ下至げしなり。 このゆゑにいま善導ぜんどういんしゃくするところ1214の 「下至げし」 のことば、 そのこころそうせず。

スルニ↢上八種之願↡、今此「乃至」者即是下至也。是今善導↢引釈スル↡「下至」之言、其意不↢相違↡。

二 ⅲ Ⅲ c 因定願名

^ただし善導ぜんどうしょとそのこころどうなり。 *しょしゃくにはべっしてじゅうねんおうじょうがん (第十八願) といふ。 善導ぜんどうひとそうじて念仏ねんぶつおうじょうがんといへり。

与↢諸師↡其意不同ナリ。諸師之釈ニハシテ↢十念往↡。善導独ジテヘリ↢念仏往↡。

^しょべっしてじゅうねんおうじょうがんといふは、 そのこころすなはちあまねからず。 しかる所以ゆえんは、 かみいちぎょうて、 しも一念いちねんつるゆゑなり。 善導ぜんどうそうじて念仏ねんぶつおうじょうがんといふは、 そのこころすなはちあまねし。 しかる所以ゆえんは、 かみいちぎょうり、 しも一念いちねんるゆゑなり。

諸師シテ↢十念往生↡者、其意即不↠周カラ也。所↢以然↡者、上捨↢一形↡、下捨ツル↢一念↡之故也。善導ジテ↢念仏往生↡者、其意即也。所↢以然↡者、上取↢一形↡、下取↢一念↡之故也。

三輩章】
    標章

【4】 ^三輩さんぱい念仏ねんぶつおうじょうもん

 1275三輩念仏往生之文

二 ⅳ 引文
      総標

 ^ぶつなんげたまはく、 ª十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしかのくにしょうぜんとがんずることあるに、 おほよそ三輩さんぱいあり。

「仏告ゲタマハク↢阿難↡、十方世界諸天人民、其ルニ↢至↠心ズルコト↟生ゼムト↢彼↡、凡↢三輩↡。

二 ⅳ Ⅱ 別説
        上輩

^そのじょうはいは、 いえよくてしかも沙門しゃもんとなりて、 だいしんおこして一向いっこうにもつぱらりょう寿じゅぶつねんじ、 もろもろのどくしゅしてかのくにうまれんとねがふ。

上輩者、捨↠家↠欲リテ↢沙門↡、発シテ↢菩提心↡一向↢無量寿仏↡、修シテ↢諸功徳↡願↠生ゼムト↢彼↡。

^これらのしゅじょうは、 寿いのちおわときのぞみて、 りょう寿じゅぶつ、 もろもろの大衆だいしゅとそのひとまえげんじて、 すなはちかのぶつしたがひてそのくにおうじょうして、 すなはち七宝しっぽうはなのなかにおいてねんしょうして退転たいてんじゅうす。 智慧ちえゆうみょう神通じんずうざいなり。

此等衆生ミテ↢寿終↡、無量寿仏与↢諸大衆↡現ジテ↢其↡、即ヒテ↢彼↡往↢生シテ↡、便↢七宝↡自然化生シテ↢不退転↡。智慧勇猛、神通自在ナリ

^このゆゑになん、 それしゅじょうありてこんにお1215いてりょう寿じゅぶつたてまつらんとおもはば、 じょうだいしんおこし、 どくしゅぎょうしかのくにしょうぜんとがんずべしº と。

阿難、其リテ↢衆生↡欲ハバ↧於↢今世↡見タテマツラムト↦無量寿仏↥、応シト↧発↢無上菩提之心↡、修↢行功徳↡願↞生ゼムト↢彼↡。

二 ⅳ Ⅱ b 中輩

 ^ぶつなんかたりたまはく、 ªそのちゅうはいは、 十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしてかのくにしょうぜんとがんずることあるに、 ぎょうじて沙門しゃもんとなることあたはずといへども、 おおきにどくしゅし、

リタマハク↢阿難↡、其中輩者、十方世界諸天人民、其ルニ↢至シテ↠心ズルコト↟生ゼムト↢彼↡、雖↠不↠能↣行ジテルコト↢沙門↡、大↢功徳↡、

^まさにじょうだいしんおこして、 一向いっこうにもつぱらりょう寿じゅぶつねんじ、 しょうぜんしゅし、 斎戒さいかい奉持ぶじし、 塔像とうぞうりゅうし、 沙門しゃもん飯食ぼんじきせしめ、 ぞうけ、 とうともし、 さんじ、 こうき、 これをもつてこうしてかのくにしょうぜんとがんずべし。

↧発シテ↢無上菩提之心↡、一向↢無量寿仏↡、多少修↠善、奉↢持斎戒↡、起↢立塔像↡、飯↢食セシメ沙門↡、懸↠繒↠灯、散↠華↠香、以↠此廻向シテ↞生ゼムト↢彼↡。

^そのひとおわりにのぞみて、 りょう寿じゅぶつそのしんげんして、 こうみょう相好そうごうつぶさに真仏しんぶつのごとし。 もろもろの大衆だいしゅとそのひとまえげんじたまふ。 すなはちぶつしたがひてそのくにおうじょうして、 退転たいてんじゅうす。 どく智慧ちえいでじょうはいのもののごとしº と。

人臨ミテ↠終、無量寿仏化↢現シテ↡、光明相好具↢真仏↡。与↢諸大衆↡現ジタマフ↢其↡。即ヒテ↢化仏↡往↢生シテ↡、住↢不退転↡。功徳智慧次イデシト↢上輩↡也。

二 ⅳ Ⅱ b 下輩

 ^ぶつなんげたまはく、 ªそのはいは、 十方じっぽうかい諸天しょてん人民にんみん、 それしんいたしてかのくにしょうぜんとほっすることあるに、 たとひもろもろのどくをなすことあたはずとも、

仏告ゲタマハク↢阿難↡、其下輩者、十方世界諸天人民、其ルニ↢至シテ↠心スルコト↟生ゼムト↢彼↡、1276仮使 タトヒ トモ↠能↠作スコト↢諸功徳↡、

^まさにじょうだいしんおこして、 一向いっこうこころをもつぱらにして、 ないじゅうねんりょう寿じゅぶつねんじて、 そのくにしょうぜんとがんずべし。 もし深法じんぽうかんしんぎょう1216して、 わくしょうぜず、 ない一念いちねんかのぶつねんじ、 じょうしんをもつてそのくにしょうぜんとがんず。

↧発シテ↢無上菩提之心↡、一向ニシテ↠意、乃至十念念ジテ↢无量寿仏↡、願↞生ゼムト↢其↡。若↢深法↡歓喜信楽シテ不↠生↢疑惑↡、乃至一念念↢於彼↡、以↢至誠心↡願↠生ゼムト↢其↡。

^このひとおわりにのぞみて、 *ゆめにかのぶつて、 またおうじょうすることをどく智慧ちえいでちゅうはいのもののごとしº」 (大経・下) と。

人臨ミテ↠終、夢↢彼↡、亦得↢往生スルコトヲ↡。功徳智慧次イデシト↢中輩↡也。」

二 ⅳ 私釈
      示三輩念仏
        総明
          (一)

 ^わたくしにひていはく、 じょうはいもんのなかに、 念仏ねんぶつのほかにまたしゃよくとうぎょうありちゅうはいもんのなかに、 またりゅう塔像とうぞうとうぎょうあり。 はいもんのなかに、 まただいしんとうぎょうあり。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつおうじょうといふや。

ヒテ、上輩、念仏之外亦有↢捨家棄欲等余行↡。中輩、亦有↢起立塔像等余行↡。下輩、亦有↢菩提心等余行↡。何唯云↢念仏往生↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a イ (二)

^こたへていはく、 善導ぜんどうしょう¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「またこの ¬きょう¼ (大経)かんはじめにのたまはく、 ªぶつ (釈尊)一切いっさいしゅじょうこんじょうどうきたまふに、 じょうちゅうあり。 そのこんじょうしたがひて、 ぶつ、 みなもつぱらりょう寿じゅぶつみなねんぜよとすすめたまふ。 そのひといのちおわらんとほっするときぶつ (阿弥陀仏)しょうじゅとみづからきたりてこうしょうしたまひて、 ことごとくおうじょうしめたまふº」 と。

ヘテ、善導和尚¬観念法門¼云、「又此¬経¼下巻、仏説キタマフニ↢一切衆生根性不同↡、有↢上中下↡。随ヒテ↢其根性↡、仏皆勧メタマフ↣専ゼヨト↢無量寿仏↡。其人命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自リテ迎接シタマヒテ、尽シメタマフト↢往生↡。」

^このしゃくこころによるに、 三輩さんぱいともに念仏ねんぶつおうじょうといふ。

ルニ↢此↡、三輩共↢念仏往生↡也。

二 ⅳ Ⅲ a 別具釈
          (一)

 ^ひていはく、 このしゃくいまださきなんしゃせず。 なんぞぎょうててただ念仏ねんぶつといふや。

ヒテ、此釈未↠遮↢前↡。何テテ↢余行↡唯云↢念仏↡乎。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)
            (Ⅰ)正示三義
              (ⅰ)総標

^こたへていはく、 これにさんこころあり。 いちにはしょぎょうはいして念仏ねんぶつせしめんがためにしかもしょぎょうく。 には念仏ねんぶつじょじょうせんがために1217しかもしょぎょうく。 さんには念仏ねんぶつしょぎょうもんやくして、 おのおの三品さんぼんてんがためにしかもしょぎょうく。

ヘテ↢三意↡。一ニハ↧癈シテ↢諸行↡帰セシメムガ↦於念仏↥而↢諸行↡也。二ニハ↣助↢成セムガ念仏↡而↢諸行↡也。三ニハシテ↢念仏・諸行二門↡、各↠立テムガ↢三品↡而↢諸行↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)別釈
                (a)【廃立】
                  (イ)

 ^いちに、 しょぎょうはいして念仏ねんぶつせしめんがためにしかもしょぎょうくといふは、

↧廃↢諸行↡帰セシメムガ↦於念仏↥而クトイフ↢諸行↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)
                    [一]引証述義

^善導ぜんどうの ¬かんぎょうしょ¼ (散善義) のなかに、 「かみよりこのかたじょうさんりょうもんやくくといへども、 ぶつ本願ほんがんのぞむるに、 こころしゅじょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり」 といふしゃくこころじゅんじて、 しばらくこれをせば、 じょうはいのなかにだいしんとうぎょうくといへども、 かみ本願ほんがん (第十八願)のぞむるに、 こころただしゅじょうをしてもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり。

ジテ↫善導¬観経疏¼、「上ヨリコノカ↠説クト↢定散両門之益↡、望ムルニ↢仏本願↡、意在リト↪衆1277ヲシテ一向セシムルニ↩弥陀仏↨」之釈↬、且セバ↠之者、上輩之中↠説クト↢菩提心等余行↡、望ムルニ↢上本願↡、意唯在↣衆生ヲシテセシムルニ↢弥陀↡。

^しかるに本願ほんがんのなかにさらにぎょうなし。 三輩さんぱいともにかみ本願ほんがんによるがゆゑに、 「一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつ(大経・下) といふ。

ルニ本願↢余行↡。三輩共ルガ↢上本願↡故、云↢「一向専念無量寿仏」↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]約一向言

^一向いっこう」 はこう三向さんこうとうたいすることばなり。

「一向」者対スル↢二向三向等↡之言也。

^れいするに*かのじく (印度)さんあるがごとし。 いち一向いっこうだいじょう、 このてらのなかには小乗しょうじょうがくすることなし。 一向いっこう小乗しょうじょう、 このてらのなかにはだいじょうがくすることなし。 さんだいしょうけんぎょう、 このてらのなかにはだいしょうがくす。 ゆゑにけんぎょうといふ。 まさにるべし、 だいしょうりょうには一向いっこうことばあり。 けんぎょうてらには一向いっこうことばなし。

スルニ↣彼五竺ルガ三寺↡。一者一向大乗寺、此寺之中ニハ↠学スルコト↢小乗↡。二者一向小乗寺、此寺之中ニハ↠学スルコト↢大乗↡。三者大小兼行寺、此寺之中ニハ大小兼。故↢兼行寺↡。当↠知、大小両寺ニハ↢一向言↡。兼行之寺ニハ↢一向言↡。

^いまこの ¬きょう¼ (大経・下1218) のなかの一向いっこうもまたしかなり。 もし念仏ねんぶつのほかにまたぎょうくわへば、 すなはち一向いっこうにあらず。 もしてらじゅんぜばけんぎょうといふべし。 すでに一向いっこうといふ、 ねざることあきらけし。

今此¬経¼中一向亦然ナリ。若念仏亦加ヘバ↢余行↡、即↢一向↡。若ゼバ↠寺者可↠云↢兼行↡。既↢一向↡、不ルコト↠兼↠余ケシ矣。

^すでにさきぎょうくといへども、 のちに 「一向いっこう専念せんねん」 といふ。 あきらかにりぬ、 しょぎょうはいしてただ念仏ねんぶつもちゐるがゆゑに一向いっこうといふ。 もししからずは一向いっこうことばもつとももつて*しがたきか。

↠説クト↢余行↡、後↢一向専念↡。明リヌ、癈シテ↢諸行↡唯用ヰルガ↢念仏↡故↢一向↡。若者一向之言最↠消歟。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)【助正】
                  (イ)

 ^に、 念仏ねんぶつじょじょうせんがためにこのしょぎょうくとは、 これにまたこころあり。 いちには*同類どうるい善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつじょじょうす。 には*るい善根ぜんごんをもつて念仏ねんぶつじょじょうす。

↣助↢成セムガ念仏↡説クト↢此諸行↡者、此亦有↢二意↡。一ニハ↢同類善根↡助↢成念仏↡。二ニハ↢異類善根↡助↢成念仏↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)
                    [一]明同類

^はじめに同類どうるいじょじょうとは、 善導ぜんどうしょうの ¬かんぎょうしょ¼ (散善義) のなかに、 しゅじょぎょうげて念仏ねんぶついちぎょうじょじょうすこれなり。 つぶさにかみしょうぞうぎょうのなかにくがごとし。

同類助成者、善導和尚¬観経¼中、挙ゲテ↢五種助行↡助↢成念仏一行↡是也。具↢上正雑二行之中クガ↡。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明異類

^つぎるいじょじょうとは、

異類助成者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ]上輩

^じょうはいにつきてしょうじょろんぜば、 「一向いっこうにもつぱらりょう寿じゅぶつねんず」 (大経・下) とはこれ正行しょうぎょうなり、 またこれ*所助しょじょなり。 いえよく沙門しゃもんとなりて、 だいしんおこす」 (大経・下) とうはこれじょぎょうなり、 またこれ*能助のうじょなり。

キテ↢上輩↡而論ゼバ↢正助↡者、「一向ズト↢無量寿仏↡」者是正行也、亦1278是所助也。「捨↠家↠欲而作リテ↢沙門↡、発↢菩提心」等者是助行也、亦是能助也。

^いはくおうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす。 ゆゑに一向いっこう念仏ねんぶつしゅせんがために、 「いえよく1219沙門しゃもんとなりて、 まただいしんおこす」 (大経・下) とうなり。 就中なかんずくしゅっ発心ほっしんとうは、 しばらく*しょしゅつおよび*初発しょほつす。 念仏ねんぶつはこれ*じょう退たいぎょう、 むしろ念仏ねんぶつぼうすべけんや。

往生之業ニハ念仏↠本。故↣一向セムガ↢念仏↡、捨↠家↠欲而作リテ↢沙門↡、又発↢菩提心↡等也。就中ナカンヅク出家発心等者、且↢初出及以 オヨビ 初発↡。念仏是長時不退之行、寧ベケ↣妨↢念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]中輩

^ちゅうはいのなかに、 またりゅう塔像とうぞう懸繒げんぞう燃灯ねんとうさんしょうこうとうしょぎょうあり。 これすなはち念仏ねんぶつじょじょうなり。 そのむね ¬おうじょうようしゅう¼ (中)えたり。 いはく助念じょねん方法ほうほうのなかの方処ほうしょ供具くぐとうこれなり。

中輩之中、亦有↢起立塔像・懸繒・燃灯・散花・焼香等諸行↡。是則念仏助成也。其旨見エタリ↢¬往生要集¼↡。謂助念方法方処供具等是也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]下輩

^はいのなかに、 また発心ほっしんあり、 また念仏ねんぶつあり。 じょしょうさきじゅんじてるべし。

下輩之中、亦有↢発心↡、亦有↢念仏↡。助正之義准ジテ↠前↠知

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)【傍正】
                  (イ)

 ^さんに、 念仏ねんぶつしょぎょうやくして、 おのおの三品さんぼんてんがためにしかもしょぎょうくといふは、

シテ↢念仏・諸行↡、各↠立テムガ↢三品↡而クトイフハ↢諸行↡者、

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)
                    [一]念仏三品

^念仏ねんぶつやくして三品さんぼんつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかに、 つうじてみな 「一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつ(大経・下) といふ。 これすなはち念仏ねんぶつもんやくしてその三品さんぼんつ。 ゆゑに ¬おうじょうようしゅう¼ (下)念仏ねんぶつしょうもんにいはく、 「¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな ª一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつº といふ」 と。 かん (懐感) これにおなじ。

シテ↢念仏↡立ツト↢三品↡者、謂三輩、通ジテ皆云↢「一向専念無量寿仏」↡。是則シテ↢念仏門↡立↢其三品↡也。故¬往生要集¼念仏証拠門、「¬双巻経¼三輩之業、雖↠有リト↢浅深↡、然ジテ皆云フト↢一向専念無量寿仏↡。」 感師同

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)(ロ)[二]諸行三品

^つぎしょぎょうもんやくして三品さんぼんつとは、 いはくこの三輩さんぱいのなかにつうじてみなだいしんとうしょぎょうあり。 これすなはちしょぎょうやくしてその三品さんぼんつ。 ゆゑに ¬おうじょう1220ようしゅう¼ (下)しょぎょうおうじょうもんにいはく、 「¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)三輩さんぱいまたこれをでず」 と。

シテ↢諸行門↡立ツト↢三品↡者、謂三輩ジテ皆有↢菩提心等諸行↡。是則シテ↢諸行↡立↢其三品↡也。故¬往生要集¼諸行往生門、「¬双巻経¼三輩亦不↠出↠此。」

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)結示

 ^おほよそかくのごときのさんどうありといへども、 ともにこれ一向いっこう念仏ねんぶつのための所以ゆえんなり。

キノ↠此クノ三義雖↠有リト↢不同↡、共是所↣以為↢一向念仏↡也。

^はじめのはすなはちこれはいりゅうのためにく。 いはくしょぎょうはいせんがためにく、 念仏ねんぶつりゅうせんがためにく。 つぎはすなはちこれじょしょうのためにく。 いはく念仏ねんぶつしょうごうたすけんがためにしょぎょう助業じょごうく。 のちはすなはちこれぼうしょうのためにく。 いはく念仏ねんぶつしょぎょうもんくといへども、 念仏ねんぶつをもつてしょうとなし、 しょぎょうをもつてぼうとなす。

是為↢癈立↡而説。謂1279↠癈セムガ而説、念仏↠立テムガ而説。次是為↢助正↡而説。謂↠助ケムガ↢念仏之正業↡而説↢諸行之助業↡。後是為↢傍正↡而説。謂↠説クト↢念仏・諸行二門↡、以↢念仏↡而為↠正、以↢諸行↡而為↠傍

^ゆゑに三輩さんぱいつうじてみな念仏ねんぶつといふ。

↢三輩通ジテ皆念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)決判

^ただしこれらのさん*殿最でんさいりがたし。 ふ、 もろもろの学者がくしゃ取捨しゅしゃこころにあり。 いまもし善導ぜんどうによらば、 はじ(廃立) をもつてしょうとなすのみ。

此等三義殿最難↠知。請、諸学者、取捨在↠心。今若ラバ↢善導↡、以↠初↠正耳。

二 ⅳ Ⅲ 示二経旨同【輩品開合】
       

 ^ひていはく、 三輩さんぱいごうみな念仏ねんぶつといふ。 そのしかるべし。 ただし ¬かんぎょう¼ のぼんと ¬寿じゅきょう¼ (大経)三輩さんぱいと、 もとこれ*開合かいごうなり。 もししからば、 なんぞ ¬寿じゅきょう¼ の三輩さんぱいのなかにはみな念仏ねんぶつといひ、 ¬かんぎょう¼ のぼんいたりてじょうちゅうほんには念仏ねんぶつかず、 ぼんいたりてはじめて念仏ねんぶつ1221くや。

ヒテ、三輩之業皆云↢念仏↡。其義可↠然。但¬観経¼九品与↢¬寿経¼三輩↡、本是開合異也。若ラバ者、何¬寿経¼三輩之中ニハ皆云↢念仏↡、至リテ↢¬観経¼九品↡上中二品ニハ不↠説↢念仏↡、至リテ↢下品↡始↢念仏↡也。

二 ⅳ Ⅲ b
          (一)

^こたへていはく、 これにあり。

ヘテ、此↢二義↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)
            (Ⅰ)縦答

^いちには*問端もんたんにいふがごとく、 ¬双巻そうかん¼ (大経)三輩さんぱいと ¬かんぎょう¼ のぼんとは開合かいごうならば、 これをもつてるべし、 ぼんのなかにみな念仏ねんぶつあるべし。 いかんがることをる。 三輩さんぱいのなかにみな念仏ねんぶつあり。 ぼんのなかなんぞ念仏ねんぶつなからんや。

ニハ問端フガ↡、¬双巻¼三輩¬観経¼九品トハ開合ナラバ者、以↠此↠知、九品之中皆可↠有↢念仏↡。云何↠知ルコトヲ。三輩之中皆有↢念仏↡。九品之中盍カラム↢念仏↡乎。

^ゆゑに ¬おうじょうようしゅう¼ (下) にいはく、 「ふ。 念仏ねんぶつぎょうぼんのなかにおいてこれいづれのほんしょうぞや。 こたふ。 もしせつのごとくぎょうぜば、 上上じょうじょうあたれり。 かくのごとくそのしょうれつしたがひてぼんわかつべし。 しかるに ¬きょう¼ (観経)くところのぼんぎょうごうはこれ一端いったんしめす。 じつりょうなり」 と。 ゆゑにりぬ、 念仏ねんぶつまたぼんつうずべしといふことを。

¬往生要集¼云、「問。念仏之行於↢九品↡是何レノゾヤ。答。若↠説ゼバ、理当レリ↢上々↡。如↠是クノヒテ↢其勝劣↡応↠分↢九品↡。然ルニ¬経¼所↠説九品行業是示↢一端↡。理実無量ナリト。」 リヌ、念仏亦可シトイフコトヲ↠通↢九品↡。

二 ⅳ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)奪答

^には ¬かんぎょう¼ のこころはじひろじょうさんぎょうきて、 あまねく*しゅとうず。 のちにはじょうさんぜんはいして、 念仏ねんぶついちぎょうす。 いはゆる 「汝好にょこう是語ぜごとうもんこれなり。 そのしもにつぶさにぶるがごとし。 ゆゑにりぬ、 ぼんぎょうはただ念仏ねんぶつにありといふことを。

ニハ¬観経¼之意初キテ↢定散之行↡、普↢衆機↡。後ニハシテ↢定散二善↡、帰↢念仏一行↡。所謂「汝好持是語」等之文是也。其義如↢下1280ブルガ↡。故リヌ、九品之行唯在リトイフコトヲ↢念仏↡矣。

利益章】
    標章

【5】 ^念仏ねんぶつやくもん

 念仏利益之文

二 ⅴ 引文
      大経

 ^1222¬りょう寿じゅきょう¼ のにのたまはく、 「ぶつろくかたりたまはく、 ªそれかのぶつみょうごうくことをることありて、 かんやくし、 ない一念いちねんせん。 まさにるべし、 このひとだいとなす。 すなはちこれじょうどくそくすº」 と。

¬無量寿経¼下、「仏語リタマハク↢弥勒↡、其リテ↠得ルコト↠聞クコトヲ↢彼名号↡、歓喜踊躍、乃至一念セム。当↠知、此↠得↢大利↡。則是具↢足スト無上功徳↡。」

二 ⅴ Ⅱ 礼讃

 ^善導ぜんどう¬礼讃らいさん¼ にいはく、

善導¬礼讃¼云

^それかの弥陀みだぶつみょうごうくことをることありて、

かんして一念いちねんいたすもの、 みなまさにかしこにしょうずることをべし」 と。

「其リテ↠得ルコト↠聞クコトヲ↢彼弥陀仏名号
歓喜シテスモノ↢一念皆当シト↠得↠生ズルコトヲ↠彼

二 ⅴ 私釈
      独讃所以
       

 ^わたくしにひていはく、 かみ三輩さんぱいもんじゅんずるに、 念仏ねんぶつのほかにだいしんとうどくぐ。 なんぞかれらのどくめずして、 ただひと念仏ねんぶつどくむるや。

ヒテ、准ズルニ↢上三輩↡、念仏之外↢菩提心功徳↡。何シテ↠歎↢彼等功徳↡、唯独ムル↢念仏功徳↡乎。

二 ⅴ Ⅲ a

^こたへていはく、 しょうはかりがたし。 さだめてふかこころあらんか。 しばらく善導ぜんどういちによりてしかもこれをいはば、 もとそれぶつはまさしくただちにただ念仏ねんぶつぎょうかんとほっすといへども、 したがひて一往いちおうだいしんとうしょぎょうきて、 三輩さんぱい浅深せんじんどう分別ふんべつす。

ヘテ、聖意難↠測。定メテラムカ↢深意↡。且リテ↢善導一意↡而ハバ↠之者、モト仏意シク↠欲スト↠説カムト↢唯念仏之↡、随ヒテ↠機一往説キテ↢菩提心等諸行↡、分↢別三輩浅深不同↡。

^しかるをいましょぎょうにおいてはすでにててめたまはず。 きてろんずべからざるものなり。 ただ念仏ねんぶついちぎょうにつきてすでにえらびて讃歎さんだんす。 おもひて分別ふんべつすべきものなり。

ルヲ今於↢諸行↡者既テテ而不↠歎メタマハ。置キテ而不↠可カラ↠論者也。唯就キテ↢念仏一行↡既ビテ而讃歎。思ヒテ↢分別↡者也。

二 ⅴ Ⅲ 明念仏三輩
        標列

^もし念仏ねんぶつやくして三輩さんぱい分別ふんべつせば、 これにこころあり。 いちには観念かんねん浅深せんじんしたがひて1223これを分別ふんべつす。 には念仏ねんぶつしょうをもつてこれを分別ふんべつす。

シテ↢念仏↡分↢別セバ三輩↡、此↢二意↡。一ニハヒテ↢観念浅深↡而分↢別↡。二ニハ↢念仏多少↡而分↢別↡。

二 ⅴ Ⅲ b 随釈
          (一)約観念浅深

^浅深せんじんかみくところのごとし。 「もしせつのごとくぎょうぜば、 上上じょうじょうあたれり」 (往生要集・下) と、 これなり。

浅深者如↢上。「若↠説ゼバ、理当レリト↢上上↡」是也。

二 ⅴ Ⅲ b ロ (二)約口称多少

^つぎしょうは、 はいもんのなかにすでにじゅうねんない一念いちねんかずあり。 じょうちゅうりょうはいはこれにじゅんじてしたがひてぞうすべし。 ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「日別にちべつ念仏ねんぶついち万遍まんべん、 またすべからくときによりてじょうしょうごん礼讃らいさんすべし。 はなはだしょうじんすべし。 あるいは三万さんまん六万ろくまんじゅうまんるものは、 みなこれじょうぼん上生じょうしょうひとなり」 と。

多少者、下輩↢十念乃至一念数↡。上中1281両輩ジテ↠此ヒテスベシ。¬観念法門¼云、「日別仏一万遍、亦須↣依リテ↠時礼↢讃浄土↡。ハナハ↢精進↡。或イハ↢三万・六万・十万↡者、皆是上品上生ナリト。」

^まさにるべし、 三万さんまんじょうはこれじょうぼん上生じょうしょうごう三万さんまん以去いこじょうぼん以下いげごうなり。 すでに念数ねんじゅしょうしたがひて*ほん分別ふんべつすることこれあきらけし。

↠知、三万已上是上品上生業、三万已上品已下ナリ。既ヒテ↢念数多少↡分↢別スルコト品位↡是明ケシ矣。

二 ⅴ Ⅲ 就文示
        釈経文
          (一)一念

^いまこの 「一念いちねん」 といふは、 これかみ念仏ねんぶつがんじょうじゅ (第十八願成就文) のなかにいふところの一念いちねんはいのなかにかすところの一念いちねんとをす。 がんじょうじゅもんのなかに一念いちねんといふといへども、 いまだどくだいかず。 またはいもんのなかに一念いちねんといふといへども、 またどくだいかず。 この ˆ通分ずうぶんのˇ 一念いちねんいたりて、 きてだいとなし、 めてじょうとなす。 まさにるべし、 これかみ一念いちねんす。

今此↢「一念」↡者、是指↣上念仏願成就之中↠言一念↢下輩之中↠明一念↡也。願成就↠云フト↢一念↡、↠説↢功徳大利↡。又下輩↠云フト↢一念↡、亦不↠説↢功徳大利↡。至リテ↢此一念↡、説キテ↢大利↡、歎メテ↢無上↡。当↠知、是指↢上一念↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (二)大利【大利無上】

^この 「だい」 とはこれしょうたいすることばなり。 しかればすなはちだいしんとうしょぎょう1224をもつてしょうとなし、 ない一念いちねんをもつてだいとなす。

大利者是対スル↢小利↡之言也。然レバ↢菩提心等諸行↡而為↢小利↡、以↢乃至一念↡而為↢大利↡也。

二 ⅴ Ⅲ c イ (三)無上

^また 「じょうどく」 とはこれじょうたいすることばなり。 ぎょうをもつてじょうとなし、 念仏ねんぶつをもつてじょうとなす。

又「無上功徳」者是対スル↢有上↡之言也。以↢余行↡而為↢有上↡、以↢念仏↡而為↢無上↡也。

^すでに一念いちねんをもつていちじょうとなす。 まさにるべし、 じゅうねんをもつてじゅうじょうとなし、 またひゃくねんをもつてひゃくじょうとなし、 また千念せんねんをもつてせんじょうとなす。 かくのごとく*展転てんでんしてしょうよりいたる。 念仏ねんぶつ恒沙ごうじゃなれば、 じょうどくまた恒沙ごうじゃなるべし。 かくのごとくるべし。

↢一念↡為↢一無上↡。当、以↢十念↡為↢十無上↡、又以↢百念↡為↢百無上↡、又以↢千念↡為↢千無上↡。如↠是クノ展転シテ↠少至↠多。念仏恒沙ナレバ無上功徳復応↢恒沙ナル↡。如↠是クノ↠知

二 ⅴ Ⅲ c 結勧

^しかればもろもろのおうじょうがんせんひとなんぞじょうだい念仏ねんぶつはいして、 あながちにじょうしょうぎょうしゅせんや

レバ者諸願↢求セム往生↡之人、何シテ↢無上大利念仏↡、強チニセム↢有上小利余行↡乎。

特留念仏章【特留章】
    標章

【6】 ^*末法まっぽう万年まんねんのちぎょうことごとくめっし、 こと念仏ねんぶつとどめたまふもん

 末法万年余行悉、特メタマフ↢念仏之文

二 ⅵ 引文

 ^¬りょう寿じゅきょう¼ のかんにのたまはく、 「当来とうらいきょうどう滅尽めつじんせんに、 われ慈悲じひをもつて哀愍あいみんして、 ことにこのきょうとどめてじゅうすることひゃくさいならしめん。 それしゅじょうありてこのきょうふもの、 こころ所願しょがんしたがひてみなとくすべし」 と。

¬無1282量寿経¼下巻、「当来之世経道滅尽セムニ、我以↢慈悲↡哀愍シテ、特メテ↢此↡止住スル百歳ナラシメム。其リテ↢衆生↡値ハム↡者、随ヒテ↢意所願↡皆可シト↢得度↡。」

二 ⅵ 私釈
      釈特留念仏義
        特留文意
          (一)

 ^わたくしにひていはく、 ¬きょう¼ (大経・下) にただ 「どくきょうじゅうひゃくさい」 といひて、 まつたくいまだ 「どく念仏ねんぶつじゅうひゃくさい」 といはず。 しかるにいま1225なんぞ 「どく念仏ねんぶつ」 といふや。

ヒテ、¬経¼唯云ヒテ↢「特留此経止住百歳」↡、↠云↢「特留念仏止住百歳」↡。然ルニ今何↢「特留念」哉。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)
            (Ⅰ)直釈

^こたへていはく、 このきょう*せんずるところまつたく念仏ねんぶつにあり。 そのむねさきえたり。 ふたたいだすにあたはず。 善導ぜんどうかんしん (源信) とうこころまたかくのごとし。 しかればすなはちこのきょうの 「じゅう」 は、 すなはち念仏ねんぶつじゅうなり。

ヘテ、此所↠詮ズル↢念仏↡。其旨見ヘタリ↠前。不↠能↢再スニ↡。善導・懐感・恵心等意亦復如↠是クノ。然レバ「止住」者、即念仏止住也。

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅱ)挙由

^しかる所以ゆえんは、 このきょうだいしんことばありといへども、 いまだだいしん*ぎょうそうかず。 またかいことばありといへども、 いまだかいぎょうそうかず。 しかるにだいしんぎょうそうくことはひろく ¬*だいしんぎょう¼ とうにあり。 かのきょうさきめっしなば、 だいしんぎょうなにによりてかこれをしゅせん。 またかいぎょうそうくことはひろ*だいしょう戒律かいりつにあり。 かの戒律かいりつさきめっしなば、 かいぎょうなにによりてかこれをしゅせん。 自余じよしょぎょうこれにじゅんじてるべし。

所↢以然↡者、此↠有リト↢菩提心之言↡、未↠説↢菩提心之行相↡。又雖↠有リト↢持戒之言↡、未↠説↢持戒之行相↡。而ルニクコト↢菩提心行相者広↢¬菩提心経¼等↡。彼経先シナバ、菩提心之行何リテカセム↠之。又説クコト↢持戒行相↡者広↢大小戒律↡。彼戒律先シナバ、持戒之行何リテカセム↠之。自余諸行准ジテ↠之↠知

二 ⅵ Ⅲ a イ (二)(Ⅲ)引証

^ゆゑに善導ぜんどうしょうの ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にこのもんしゃくしていはく、

万年まんねん三宝さんぼうめっしなば、 この ¬きょう¼ (大経) じゅうすることひゃくねんあらん。 そのとききて一念いちねんせん、 みなまさにかしこにしょうずることをべし」 と。

善導和尚¬往生礼讃¼釈シテ↢此↡云、「万年三宝滅シナバ、此¬経¼住スルコト百年アラム。爾キテ一念セム、皆当シト↠得↠生ズルコトヲ↠彼。」

二 ⅵ Ⅲ a 教行住滅
          (一)標列

 ^またこのもんしゃくするにりゃくしてこころあり。 いちには*しょうどうじょうきょうじゅうめつぜんには十方じっぽう西方さいほうきょうじゅうめつぜんさんにはそつ西方さいほうきょうじゅうめつ1226ぜんには念仏ねんぶつしょぎょうぎょうじゅうめつぜんなり。

又釈スルニ↢此↡略シテ↢四意↡。一者聖道・浄土二教住滅前後、二者十方・西方二教住滅前後、三者兜率・西方二教住滅前後、四者念仏・諸行二行住滅前後也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)随釈
            (Ⅰ)聖道浄土相対

^いちしょうどうじょうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはくしょうどうもんしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 じょうもんのこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 しょうどうえん浅薄せんぱくにして、 じょうえん深厚じんこうなりといふことを。

道・浄土二教住滅前後トイフ者、謂聖道門諸経、故1283↢「経道滅尽」↡。浄土門ヒトマル、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、聖道機縁浅薄ニシテ、浄土機縁深厚也トイフコトヲ

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅱ)十方西方相対

^十方じっぽう西方さいほうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはく*十方じっぽうじょうおうじょうしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 西方さいほうじょうおうじょうはこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 十方じっぽうじょうえん浅薄せんぱくにして、 西方さいほうじょうえん深厚じんこうなり。

十方・西方二教住滅前後トイフ者、謂十方浄土往生諸教先、故↢「経道滅尽」↡。西方浄土往生経特マル、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、十方浄土機縁浅薄ニシテ、西方浄土機縁深厚也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅲ)兜率西方相対

^さんそつ西方さいほうきょうじゅうめつぜんといふは、 いはく ¬*上生じょうしょう¼・¬*しん¼ とう上生じょうしょうそつしょきょうさきめっ、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 おうじょう西方さいほうのこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 そつちかしといへどもえんあさく、 極楽ごくらくとおしといへどもえんふかし。

兜率・西方二教住滅前後トイフ者、謂¬上生¼・¬心地¼等上生兜率諸教、故↢「経道滅尽」↡。往生西方経特マル、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、兜率↠近シト縁浅、極楽↠遠シト縁深也。

二 ⅵ Ⅲ a ロ (二)(Ⅳ)念仏諸行相対

^念仏ねんぶつしょぎょうぎょうじゅうめつぜんといふは、 しょぎょうおうじょうしょきょうさきめっす、 ゆゑに 「きょうどう滅尽めつじん」 といふ。 念仏ねんぶつおうじょうはこのきょうひととどまる、 ゆゑに 「じゅうひゃくさい」 といふ。 まさにるべし、 しょぎょうおうじょうえんもつともあさく、 念仏ねんぶつおうじょうえんはなはだふかし。

念仏・諸行二行住滅前後トイフ者、諸行往生諸教、故↢「経道滅尽」↡。念仏往生経特マル、故↢「止住百歳」↡也。当↠知、諸行往生機縁最、念仏往生機縁甚也。

^しかのみならず、 しょぎょうおうじょうえん1227すくなく、 念仏ねんぶつおうじょうえんおおし。 またしょぎょうおうじょうちか末法まっぽう万年まんねんときかぎる。 念仏ねんぶつおうじょうとお法滅ほうめつひゃくさいうるふ。

加之シカノミナラズ、諸行往生縁少、念仏往生縁多。又諸行往生↢末法万年之時↡。念仏往生ウル↢法滅百歳之代↡也。

二 ⅵ Ⅲ a 明釈尊悲懐
          (一)

 ^ひていはく、 すでに 「われ慈悲じひをもつて哀愍あいみんして、 ことにこのきょうとどめてじゅうすることひゃくさいならん」 (大経・下) といふ。 もししからばしゃくそん慈悲じひをもつてしかも経教きょうきょうとどめたまはんに、 いづれのきょういづれのきょうか、 しかもとどまらざらんや。 しかるをなんぞきょうとどめずして、 ただこのきょうとどめたまふや。

ヒテ、既↧「我以↢慈悲↡哀愍シテ、特メテ↢此↡止住スルコト百歳ナラムト」↥。若ラバ者釈尊以↢慈悲↡而メタマハムニ↢経教↡、レノ経何レノ、而ラム↠留マラ也。而ルヲシテ↠留↢余経↡、唯留メタマフ↢此↡乎。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)
            (Ⅰ)

^こたへていはく、 たとひいづれのきょうとどむといへども、 べっしていっきょうさば、 またこのなんらじ。 ただことにこのきょうとどむる、 そのふかこころあるか。

ヘテ、縦↠留ムト↢何レノ↡、別シテサバ↢一経↡者、亦不↠避↢此↡。但1284ムル↢此↡、有↢其意↡歟。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)正述

^もし善導ぜんどうしょうこころによらば、 このきょうのなかにすでに弥陀みだ如来にょらい念仏ねんぶつおうじょう本願ほんがん (第十八願)けり。 しゃ慈悲じひをもつて念仏ねんぶつとどめんがために、 ことにこのきょうとどめたまふ。 きょうのなかにはいまだ弥陀みだ如来にょらい念仏ねんぶつおうじょう本願ほんがんかず。 ゆゑにしゃくそん慈悲じひをもつてこれをとどめたまはず。

ラバ↢善導和尚↡者、此経之中ケリ↢弥陀如来念仏往生本願↡。釈迦慈悲ヲモテ↠留メムガ↢念仏↡、殊メタマフ↢此↡。余経之中ニハ↠説↢弥陀如来念仏往生本願↡。故釈尊慈悲而不↠留メタマハ↠之也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅱ)通伏疑

^おほよそじゅうはちがんみな本願ほんがんなりといへども、 こと念仏ねんぶつをもつておうじょう*のりとなす。 ゆゑに善導ぜんどうしゃくしていはく (*法事讃・上)

四十八願皆雖↢本願ナリト↡、殊↢念仏↡為↢往生↡。故善導釈シテ

^ぜいもんおおくしてじゅうはちなれども、 ひとへに念仏ねんぶつあらわしてもつともした1228しとなす。

ひとよくぶつ (阿弥陀仏)ねんずれば、 ぶつかえりてねんじたまふ。 専心せんしんぶつおもへば、 ぶつひとりたまふ」 と。

「弘誓多クシテ↠門四十八ナレドモアラハシテ↢念仏↡最↠親シト
人能ズレバ↠仏仏還リテジタマフ専心ヘバ↠仏仏知リタマフト↠人

 ^ゆゑにりぬ、 じゅうはちがんのなかに、 すでに念仏ねんぶつおうじょうがん (第十八願) をもつて本願ほんがんちゅうおうとなすといふことを

リヌ、四十八願之中、既↢念仏往生之願↡而為トイフコトヲ↢本願中之王↡也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)結示
                (a)正結

^ここをもつてしゃ慈悲じひことにこのきょうをもつてじゅうすることひゃくさいするなり。

慈悲、特↢此↡止住スルコト百歳スル也。

二 ⅵ Ⅲ a ハ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)引例

^れいするに、 かの ¬かんりょう寿じゅきょう¼ のなかに、 じょうさんぎょうぞくせずして、 ただひと念仏ねんぶつぎょうぞくしたまふがごとし。 これすなはちかの仏願ぶつがんじゅんずるがゆゑに、 念仏ねんぶついちぎょうぞくす。

スルニ↧彼¬観無量寿経¼中、不シテ↣付↢属定散之行↡、唯付↦属シタマフガ念仏之行↥。是即ズルガ↢彼仏願↡之故、付↢属念仏一行↡也。

二 ⅵ Ⅲ 益布三時

 ^ひていはく、 ひゃくさいのあひだ念仏ねんぶつとどむべきこと、 そのしかるべし。 この念仏ねんぶつぎょうは、 ただ*かの時機じきこうむらしむとやなさん、 はた*しょう像末ぞうまつつうずとやなさん。

ヒテ、百歳之間可キコト↠留メム↢念仏↡、其理可↠然。此念仏、唯為↠被ラシムトヤ↢彼時機↡、ハタ↠通ズトヤ↢於正像末之機↡也。

^こたへていはく、 ひろしょうぞう末法まっぽうつうずべし。 のちげていますすむ。 そのるべし。

ヘテ、広↠通↢於正像末法↡。挙ゲテ↠後↠今。其義応↠知

光明摂取章【摂取章】
    標章

【7】 ^弥陀みだこうみょうぎょうのものをらさず、 ただ念仏ねんぶつぎょうじゃ*摂取せっしゅするもん

 弥陀光明不↠照↢余行↡、唯摂↢取スル念仏行者之文

二 ⅶ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「りょう寿じゅぶつ八万はちまんせんそうあり。 一々いちいちそうはち1229まんせんずいぎょうこうあり。 一々いちいちこう八万はちまんせんこうみょうあり。 一々いちいちこうみょうあまねく十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらし、 摂取せっしゅしててたまはず」 と。

¬観無量寿経¼云、「無量寿仏↢八万四千相↡。一々↢八万四千随形好↡。一々↢八万四千光明↡。一々光明遍↢十方世界念仏1285↡、摂取シテ↠捨テタマハ。」

二 ⅶ Ⅱ 定善義
        分文釈義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (定善義) にいはく、 「ªりょう寿じゅぶつº よりしも ª摂取せっしゅしゃº にいたるまでよりこのかたは、 まさしくしん別相べっそうかんずるに、 ひかりえんやくすることをかす。 すなはちそのあり。 いちにはそうしょうかし、 にはこうしょうかし、 さんにはひかりしょうかし、 にはひかりらす遠近おんごんかし、 にはひかりおよぶところのところ、 ひとへにしょうやくこうむることをかす。

ジキ¬疏¼云、「従↢無量寿仏↡下至ルマデヨリ↢摂取不捨↡已来タハ、正シク↧観ズルニ↢身別相↡、光益スルコトヲ↦有縁↥。即↢其五↡。一ニハ↢相多少↡、二ニハ↢好多少↡、三ニハ↢光多少↡、四ニハ↢光遠近↡、五ニハ↣光↠及処、偏ルコトヲ↢摂益↡。

二 ⅶ Ⅱ b 料簡
          (一)

^ひていはく、 つぶさにしゅぎょうしゅしてただよくこうすれば、 みなおうじょう。 なにをもつてかぶつひかりあまねくらすにただ念仏ねんぶつしゃせっする、 なんのこころかあるや。

ヒテ、備シテ↢衆行↡但能廻向スレバ、皆得↢往生↡。何テカ光普スニ唯摂スル↢念仏者↡、有↢何↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)
            (Ⅰ)約三縁

^こたへていはく、 これにさんあり。

ヘテ、此↢三義↡。

・親縁

^いちには親縁しんえんかす。 しゅじょうぎょうおこしてくちにつねにぶつしょうすれば、 ぶつすなはちこれをきたまふ。 につねにぶつらいきょうすれば、 ぶつすなはちこれをたまふ。 しんにつねにぶつねんずれば、 ぶつすなはちこれをりたまふ。 しゅじょうぶつ憶念おくねんすれば、 ぶつまたしゅじょう憶念おくねんしたまふ。 彼此ひし三業さんごうあひしゃせず。 ゆゑに親縁しんえんづく。

ニハ↢親縁↡。衆生起シテ↠行スレバ↠仏、仏即キタマフ↠之。身礼↢敬スレバ仏↡仏即タマフ↠之。心ズレバ↠仏、仏即リタマフ↠之。衆生憶↢念スレバ↡者、仏亦憶↢念シタマフ衆生↡。彼此三業不↢相捨離↡。故↢親縁↡也。

・近縁

^には近縁ごんえんかす。 しゅじょうぶつんとがんずれば、 ぶつすなはちねんおうじてげんじてまえにまします。 ゆゑに近縁ごんえんづく。

ニハ↢近縁↡。衆生願ズレバ↠見ムト↠仏、仏即ジテ↠念ジテ↢目↡。故↢近縁↡也。

・増上縁

^さんにはぞうじょうえんかす。 しゅ1230じょうしょうねんすれば、 すなはちこうつみのぞきて、 いのちおわらんとほっするときぶつしょうじゅとみづからきたりてこうしょうしたまふ。 もろもろの邪業じゃごうよくふるものなし。 ゆゑにぞうじょうえんづく。

ニハ↢増上縁↡。衆生称念スレバ、即キテ↢多劫↡、命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自リテ迎接シタマフ。諸邪業繋无↢能フル者↡。故↢増上縁↡也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)比況証成

^自余じよしゅぎょうはこれぜんづくといへども、 もし念仏ねんぶつくらぶれば、 まつたくきょうにあらず。 このゆゑに、 しょきょうのなかに処々しょしょひろ念仏ねんぶつのうむ。

自余↠名クト↢是善↡、若ブレバ↢念仏↡者、全↢比挍↡也。是、諸経処々↢念仏功能↡。

^¬りょう寿じゅきょう¼ のじゅうはちがんのなかのごときは、 ただもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをかす。

キハ↢¬无量寿経¼四十八願↡、唯明↧専ジテ↢弥陀名号↡得↞生ズルコトヲ

^また ¬弥陀みだきょう¼ のなかのごときは、 一日いちにち七日しちにちもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをと。 また十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつむなしからずと証誠しょうじょうしたまふ。

又如キハ↢¬弥陀経¼中↡、一日七日専ジテ↢弥陀名号↡得↠生ズルコトヲ。又十方恒沙諸仏証↢シタマフ↟虚シカラ也。

^またこの ¬きょう¼ (観経)じょうさんもんのなかには、 ただもつぱらみょうごうねんじてしょうずることをあらわせり。

又此¬経¼定散ニハ、唯アラハセリ↧専ジテ↢名号↡得↞生ズルコトヲ

^このれいいちにあらず。

例非↠一也。

二 ⅶ Ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)総結

^ひろ念仏ねんぶつ三昧ざんまいあらわしをはりぬ」 と。

↢念仏1286三昧リヌト。」

二 ⅶ Ⅱ 観念法門

 ^¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「またさきのごときの身相しんそうとうひかり一々いちいちあまねく十方じっぽうかいらすに、 ただもつぱら弥陀みだぶつねんずるしゅじょうのみありて、 かのぶつ心光しんこうつねにこのひとらして、 しょうしててたまはず。 すべて雑業ぞうごうぎょうじゃ照摂しょうしょうすることをばろんぜず」 と。

¬観念法門¼云、「又如キノ↠前身相等光一々遍スニ↢十方世界↡、但有リテ↧専ズル↢阿弥陀仏↡衆生ノミ↥、彼心光常シテ↢是↡、摂護シテ不↠捨テタマハ。総↠論↣照↢摂スルコトヲバ雑業行者↡。」

二 ⅶ 私釈
     

 ^わたくしにひていはく、 ぶつこうみょうただ念仏ねんぶつしゃらして、 ぎょうのものを1231らさざるはなんのこころかあるや。

ヒテ、仏光明唯照シテ↢念仏者↡、不ルハ↠照↢余行↡、有↢何↡乎。

二 ⅶ Ⅲ
       

^こたへていはく、 するにあり。

ヘテ、解スルニ↢二義↡。

二 ⅶ Ⅲ b
          (一)就義解
            (Ⅰ)約三縁

^いちには親縁しんえんとうさんもんのごとし。

者親縁等義、如↠文

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)約本願
              (ⅰ)正明

^には本願ほんがん、 いはくぎょう本願ほんがんにあらざるがゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまはず。 念仏ねんぶつはこれ本願ほんがんのゆゑに、 これを照摂しょうしょうしたまふ。

者本願義、謂余行ザルガ↢本願↡故、不↣照↢摂シタマハ↡。念仏是本願、照↢摂シタマフ↡。

二 ⅶ Ⅲ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)引証

^ゆゑに善導ぜんどうしょうの ¬*ろく礼讃らいさん¼ にいはく、

善導和尚¬六時礼讃¼云

^弥陀みだ身色しんじき金山こんぜんのごとし。 相好そうごうこうみょう十方じっぽうらす。

ただぶつねんずるのみありて*こうしょうこうむる。 まさにるべし、 本願ほんがんもつともこわしとなす」 と。

「弥陀身色↢金山相好光明↢十方
唯有リテ↠念ズルノミ↠仏↢光↠知、本願最コハシト

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)就文解
            (Ⅰ)牒文

 ^またくところのもん (定善義) のなかに、 「自余じよ衆善しゅぜんすいみょうぜんにゃく念仏ねんぶつしゃぜんきょう」 といふは、

又所、言↢「自余衆善雖名是善若比念仏者全非比挍也」者、

二 ⅶ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)随釈

^こころのいはく、 これじょうもんしょぎょうやくしてろんするところなり。 念仏ねんぶつはこれすでにひゃくいちじゅうおくのなかに選取せんしゅするところの*妙行みょうぎょうなり。 しょぎょうはこれすでにひゃくいちじゅうおくのなかに選捨せんしゃするところの*ぎょうなり。 ゆゑに 「ぜんきょう」 といふ。 また念仏ねんぶつはこれ*本願ほんがんぎょうなり。 しょぎょうはこれ本願ほんがんにあらず。 ゆゑに 「ぜんきょう」 といふ。

、是約シテ↢浄土門諸行↡而所↢比論スル↡也。念仏是既二百一十億↢選取スル↡妙行也。諸行是既二百一十億↢選捨スル↡麁行也。故↢「全非比挍也」↡。又念仏是本願ナリ。諸行是非↢本願↡。故↢「全非比挍也」↡。

三心章】
    標章

【8】 0800^念仏ねんぶつぎょうじゃかならず三心さんしんそくすべきもん

 念仏行者必↣具↢足三心↡之

二 ⅷ 引文
      観経

 ^1232¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「もししゅじょうありてかのくにしょうんとがんずるものは、 三種さんしゅしんおこして即便すなわちおうじょうしなんなんらをかさんなすいちにはじょうしんには深心じんしんさんにはこう発願ほつがんしんなり。 三心さんしんすればかならずかのくにしょうず」

¬観1287無量寿経¼云、「若リテ↢衆生↡願ズル↠生ゼムト↢彼↡者、発シテ↢三種↡即便往生シナム。何等ヲカ↠三。一者至誠心、二者深心、三者廻向発願心ナリ。具スレバ↢三心↡者必ズト↢彼↡。」

二 ⅷ Ⅱ 疏文
        別釈三心
          (一)至誠心
            (Ⅰ)

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「^¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 ªいちにはじょうしんº

ジキ¬疏¼云、「¬経¼云、一者至誠心

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)釈義
              (ⅰ)出字訓

^ªº はしんなり。 ªじょうº はじつなり。

至者真ナリ。誠者実ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)広釈
                (a)初約弘願
                  (イ)約機受相
                    [一]正示真実

^一切いっさいしゅじょうしん口意くいごうしゅするところぎょう*かならず真実しんじつしんのうちになすべきことをかさんとほっ

↠明サムト↣一切衆生身口意業↠修スル解行、必キコトヲ↢真実心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]誡虚仮
                      [Ⅰ]正誡

^ほか 賢善けんぜんしょうじんそうげんうち虚仮こけいだくことをざれ貪瞋とんじんじゃかんひゃくたんにしてあくしょうおかがたし。 蛇蝎じゃかつおなじ。 三業さんごうおこすといへどもづけて雑毒ぞうどくぜんまた虚仮こけぎょうづく真実しんじつごうづけず。

↠得↧外↢賢善精進之相↡、内クコトヲ↦虚仮↥。貪瞋・邪偽・奸詐百端ニシテ悪性難↠侵。事同↢蛇蝎↡。雖↠起スト↢三業↡名ケテ↢雑毒之善↡。亦名↢虚仮之行↡。不↠名↢真実↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二][Ⅱ]示過失

^もしかくのごと安心あんじんぎょうをなば、 たとひ身心しんしんれいしてにちじゅう きゅう*はしきゅうになしてねんはらふがごとくすとも、 す0801べて雑毒ぞうどくぜんづく。 この雑毒ぞうどくぎょうめぐしてかのぶつじょうしょうずることをもとんとほっせば、 これかならず不可ふかなり。

セバ↢如↠此クノ安心・起行↡者、縦使 タトヒ 苦↢励シテ身心↡、日夜十二時急シテ、如クストモ↠灸フガ↢頭燃↡者、衆↢雑毒之善↡。欲セバ↧廻シテ↢此雑毒之行↡、求メムト↞生ズルコトヲ↢彼浄土↡者、此必不可也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)顕示所由

^なにをもつてのゆゑ。 まさしくかの弥陀みだぶついんちゅうさつぎょうぎょうじたまひしときない一念いちねんいちせつも、 三業さんごうしゅするところ、 みなこれ真実しんじつしんうちになした1233まひしによりてなり。 *おほよそ施為せいしゅするところ、 またみな真実しんじつるべし

。正シクテナリ↧彼阿弥陀仏因中ジタマヒシ↢菩薩↡時、乃至一念一刹那、三業所↠修スル、皆是真実心シタマヒシニ↥。凡所↢施為・趣求スル↡、亦皆真実ナルベシ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約二利
                  (イ)標列

^また真実しんじつしゅあり。 いちには自利じり真実しんじつには利他りた真実しんじつなり。

又真実↢二種↡。一者自利真実、二者利他真実ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)随釈
                    [一]明自利真実
                      [Ⅰ]標数

^自利じり真実しんじつといふは、 またしゅあり。

↢自利真実↡者、復有↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]
                        [ⅰ]明厭離真実

^いちには真実しんじつしんのうちに、 自他じた諸悪しょあくおよびこくとう制捨せいしゃして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざが一切いっさいさつ諸悪しょあく制捨せいしゃするにおなじく、 われもまたかくのごとくならんとおもふなりには真実しんじつしんのうちに、 自他じたぼんしょうとうぜん勤修ごんしゅして、

者真実心、制↢捨シテ自他諸悪及穢国等↡、行住坐臥↧同ジク↣一切菩薩制↢捨スルニ諸悪↡、我亦如クナラムト↞是也。二者真実心、勤↢修シテ自他凡聖等↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]明欣求真実

・口業

^真実しんじつしんうちに、 ごうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほう讃歎さんだんし、 また真実しんじつしんうちに、 ごうをもつて三界さんがい六道ろくどうとう自他じたしょうほうあくえんし、 また一切いっさいしゅじょう三業さんごうしょぜん讃歎さんだん善業ぜんごうにあらざるをばつつしみてこれをとおざかれ、 またずいせざれ。

真実心1288、口業ヲモテ讃↢歎阿弥陀仏及依正二報↡、又真実心、口業ヲモテ毀↢厭三界・六道等自他依正二報苦悪之事↡、亦讃↢歎一切衆生三業所為↡。ザルヲバ↢善業↡者敬而ツツシミザカレ↠之、亦不↢随喜↡也。

・身業

^また真実しんじつしんのうちに、 身業しんごうをもつて合掌がっしょうらいきょう 四事しじとうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうようす。 また真実しんじつしんうちに、 身業しんごうをもつてこのしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうまん厭捨えんしゃし、

又真実心、身業ヲモテ合掌礼敬、四事等ヲモテ供↢養阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心、身業ヲモテ軽↢慢厭↣捨生死三界等自他依正二報↡、

・意業

^また真実しんじつしんうちに、 ごうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうそう観察かんざつ憶念おくねんして0802目前もくぜんげんずるがごとくにし、 また真実しんじつしんのうちに、 ごうをもつてこのしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうせん厭捨えんしゃし、

又真実心、意業ヲモテ思↢想観↣察憶↤念シテ阿弥陀仏及依正二報↡、如クニシ↠現ズルガ↢目前↡、又真実心、意業ヲモテ軽↢賎厭↣捨生死三界等自他依正二報↡、

二 ⅷ Ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明利他真実

^*ぜん三業さんごうをば かならずすべからく真実しんじつしんのうちにべし。 *またもしぜん三業さんごうおこ、 かならず1234すべからく真実しんじつしんのうちになすべし。 ないみょうあんえらばず、 みなすべからく真実しんじつなるべし。 ゆゑに じょうしんづく。

不善三業ヲバ↢真実心↡。又若サバ↢善三業↡者、必↢真実心↡。不↠簡↢内外明↡、皆須↢真実ナル↡。故↢至誠心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)深心
            (Ⅰ)牒文

 ^ªには深心じんしんº

者深心

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)釈名
              (ⅱ)正釈
                (a)標数

^ª深心じんしんº といふはすなはちこれ深信じんしんしんなり。 またしゅあり。

↢深心↡者即是深信之心也。亦有↢二種↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)
                  (イ)明機深信

^いちにはけつじょうしてふかく、 しんげんにこれ罪悪ざいあくしょうぼん 曠劫こうごうよりこのかたつねにもっしつねにてんして、 しゅつえんあることなしとしんず。

者決定シテ、信↢自身是罪悪生死凡夫、曠劫ヨリ已来流転シテ、无シト↟有ルコト↢出離之縁↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)明法深信
                    [一]正明

^にはけつじょうしてふかく、 かの弥陀みだぶつじゅうはちがんをもつてしゅじょうしょうじゅたまふことうたがいなくおもんぱかりなくかの願力がんりきてさだめておうじょうしんず。

者決定シテ、信↧彼阿弥陀仏、四十八願ヲモテ摂↢受シタマフコト衆生↡、无↠疑リテ↢彼願力↡定メテ↦往生↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]広示信相
                      [Ⅰ]深信仏説

^またけつじょうしてふかく、 しゃぶつこの ¬かんぎょう¼ の三福さんぷくぼんじょうさんぜんきて、 かのぶつしょうほうしょうさんして、 ひとをしてごんせしめたまふしんず。

又決定シテ、信↧釈迦仏キテ↢此¬観経¼三福・九品・定散二善↡、証↢讃シテ依正二報↡、使メタマフヲ↦人ヲシテ欣慕↥。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]深信仏証

^またけつじょうしてふかく、 ¬弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ 一切いっさいぼんしょうかんしたまふけつじょうしてしょうることをしんず。

又決定シテ、信↧¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏証↢勧シタマフ一切凡夫↡、決定シテ↞生ズルコトヲ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]重成前義
                        [ⅰ]随順三仏

^また深信じんしんは、 あおねがはくは、 一切いっさいぎょうじゃとう一心いっしんただぶつしん身命しんみょうかえりみず、 けつじょうして*よりぎょうじて、 ぶつてしめたまふをばすなはちて、 ぶつぎょうぜしめたまふをばすなはちぎょうじ、 ぶつ0803らしめたまふところをばすなはちる。 これをぶっきょうずいじゅんし、 ぶつずいじゅんすとけ、 これを仏願ぶつがんずいじゅんすとづく。 これをしんぶつ弟子でしづく。

又深信者、仰クハ一切1289行者等、一心唯信ジテ↢仏語↡不↠顧↢身命↡決定シテジテ、仏メタマフヲ↠捨者即、仏メタマフヲ↠行者即、仏メタマフ↠去ヲバ。是↧随↢順仏教随↦順スト仏意↥、是↣随↢順スト仏願↡。是↢真仏弟子↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ]審観経信相
                          [a]略示

^また一切いっさいぎょうじゃ ただよくこの ¬きょう¼ (観経) によりて1235深信じんしんしてぎょうずるものは、 かならずしゅじょうあやま

又一切行者但能リテ↢此¬経¼↡深信シテズル、必不↠悞↢衆生↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b]広明
                            [イ]総明因果満未満

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつはこれ満足まんぞくだいにんなるがゆゑに。 じつゆゑに。 ぶつのぞきてよりこのかた ぎょういまだたずして、 そのがくにあり正習しょうじゅう しょうありていまだのぞかず、 がんいまだまどかならざるによりて

。仏是満足大悲ナルガ。実語。除キテヨリ↠仏已還コノカタ智行未シテ↠満、在リテ↢其学地↡、由↧有リテ↢正習二障↡未↠除、果願未ルニ↞円カナラ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ロ]別示因人了不了

^これらのぼんしょうはたとひ諸仏しょぶつきょうしきりょうすれども、 いまだ けつりょうすることあたはず。 平章びょうしょうすることありといへども、 かならずすべからくぶつしょうしょうじてじょうなすべし。 もしぶつみこころかなへば すなはちいんしてªにょにょº とのたまふ。 もしぶつみこころかなはざれば、 すなはち ªなんぢらの所説しょせつこのにょº とのたまふ。

此等凡聖縦使 タトヒ 測↢量スレドモ諸仏教意↡、未↠能↢決了スルコト↡。雖↠有リト↢平章スルコト↡、要↧請ジテ↢仏↡為↞定也。若カナヘバ↢仏↡即印可シテ、言↢如是如是↡。若レバカナ↢仏↡者、即↢汝等所説、是義不如是↡。

^いんしたまはざるは、 すなはち無記むき無利むりやくおなじ。 ぶついんしたまふは、 すなはちぶつ正教しょうきょうずいじゅん

↠印シタマハ者、即↢无記・无利・无益之語↡。仏印可シタマフ者、即随↢順ルナリ仏之正教↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ハ]示仏説了義

^もしぶつあらゆる言説ごんせつは、 すなはちこれ正教しょうきょうしょう正行しょうぎょうしょうしょうごうしょうなり。 もしは、 もしはしょうもろもろのさつにんてんとうはず、 その是非ぜひさだ

所有言説、即是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ。若シハ多若シハ少、衆不↠問↢菩薩・人・天等↡定↢其是非↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][b][ニ]決判

^もしぶつ所説しょせつすなはちこれ了教りょうきょうなりさつとうせつことごとく了教りょうきょうづく るべし。

所説、即是了教ナリ。菩薩等、尽↢不了教↡也、応↠知

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅲ][ⅱ][c]勧誡行者

^このゆゑにい0804まのときあおぎて一切いっさいえんおうじょうにんとうすすむ。 ただふかぶつしんじてせんちゅうぎょうすべし。 さつとう相応そうおうきょう信用しんようして、 もつて疑礙ぎげをなし、 まどいだみづからまよおうじょう大益だいやくはい1236しつすべから

時、仰ギテ↢一切有縁往生人等↡。唯可↧深ジテ↢仏語↡専注奉行↥。不↠可カラ↧信↢用シテ菩薩等不相応↡、以↢疑礙↡、抱惑自シテ、癈↦失往生之大益

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]建立信相
                      [Ⅰ]略明

^また深心じんしんは ª深信じんしんなりº と は、 けつじょうしてしんこんりゅうして、 きょうじゅんじてしゅぎょうながさくのぞきて、 一切いっさいべつべつぎょうがくけんしゅうのために、 退失たいしつきょうどうせられざるなり。

又深心深信ナリト者、決定シテ建↢立シテ自心↡、順ジテ↠教修行シテ、永キテ↢疑錯↡、不↧為↢一切別解・別行・異学・異見・異執↡之、所↦退失傾動↥。也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ]広明
                        [ⅰ]就人立信
                          [a]

^ひていはく、 ぼんあさく、 わくしょうところふかし。 もしぎょうどうひとおおきょうろんきたりてあひ妨難ぼうなんし、 しょうして ª一切いっさいざいしょうぼんおうじょう ずº といふにんに、 いかんがかのなんたいして、 信心しんじんじょうじゅけつじょうしてじきすすみて怯退こうたいしょうぜざらんや。

ヒテ1290、凡夫智浅惑障処深。若ハムニ↧解行不同、多キテ↢経↡来リテゲテシテフニ↦一切罪障凡夫不↞得↢往生↡者、云何対↢治シテ↡、成↢就シテ信心↡、決定シテミテ、不ラム↠生怯退↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]
                            [イ]正明
                              ª一º第一重
                                ªⅠº牒難標不受

^こたへていはく、 もしひとありて おおきょうろんしょうきて、 ªしょうずº といはば、 ぎょうじゃすなはちこたへていへ、 ªなんぢ、 きょうろんをもつてきたしょうして «しょうず» といふといへども、 わがこころのごときはけつじょうしてなんぢが

ヘテ、若リテ↠人多キテ↢経論↡、云ハバ↠不↠生者、行者即ヘテ仁者 ナンヂ ↢経論↡来シテフト↞不↠生、如↢我↡者決定シテ不↠受↢汝↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡº広述道理
                                  ªⅰº標己正信

^なにをもつてのゆゑに。 しかもわれまた、 これかのもろもろのきょうろんしんぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信ごうしん

。然我亦不↢是不ルニハ↟信↢彼経論↡。尽皆仰信

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅱº二門経論不同

^しかるぶつかのきょうきたまふときしょべつに、 べつに、 たいべつに、 やくべつなり。 またかのきょうきたまとき、 すなはち ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とうきたまふときにあらず。 しかるにぶつせっきょうは、 ととのひてときまた0805どうなり。

ルニ仏説キタマフ↢彼↡時、処別、時、対機別、利益別ナリ。又説キタマフ↢彼↡時、即↧説キタマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等↡時↥。然ルニ説教トトノヒテ↠機時亦不同ナリ

^かれ すなはちつうじてにんてんさつぎょうく。 いま ¬かんぎょう¼ のじょうさんぜんくは、 ただだいおよびぶつめつじょく五苦ごく一切いっさい ぼんのために、 しょうして «しょうずるこ1237とを» とのたまふ。

彼即ジテ↢人・天・菩薩之解行↡。今説クハ↢¬観経¼定散二善↡、唯為↢韋提及滅後五濁・五苦等一切凡夫↡、証シテ↠得↠生ズルコトヲ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª一ºªⅡºªⅲº釈成

^この因縁いんねんのために、 われいま一心いっしんにこのぶっきょうによりてけつじょうして奉行ぶぎょうす。 たとひなんぢらひゃく千万億せんまんおくありて «しょうず» といふとも、 ただわがおうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせんº

↢此因縁↡、我今一心リテ↢此仏教↡決定シテ奉行縦使 タトヒ 汝等百千万億アリテフトモ↠不↠生者、唯増↢長成↣就セムト往生信心↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二º第二重
                                ªⅠº標起

^またぎょうじゃさらにかひてきていへ。 ªなんぢよくけ。 われいまなんぢがためにまたけつじょう信相しんそうかん。

又行者更ヒテキテ仁者 ナンヂ 。我今為↠汝カム↢決定信相↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひぜんさつかんびゃくぶつとう、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 みなきょうろんしょうきて «しょうぜず» といはば、

縦使 タトヒ 地前菩薩・羅漢・辟支仏等、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方↡、皆引キテ↢経論↡言ハバ↠不↠生者、

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅱº標不受

^われまたいまだ一念いちねんしんおこさじ。 ただわが清浄しょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

我亦未↠起↢一念疑心↡。唯増↢長成↣就セム清浄信心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª二ºªⅡºªⅲº釈所由

^なにをもつてのゆゑに。 ぶつけつじょうじょうじゅりょうにして、 一切いっさいのために破壊はえせられざるによるがゆゑにº

。由↫仏語決定成就了義ニシテ、不ルニ↪為↢一切↡所↩破壊↨故ニト

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三º第三重
                                ªⅠº

^またぎょうじゃよくけ。

又行者善

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひしょじょうじゅうらい、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 異口いく同音どうおんにみないはく、 ªしゃぶつ弥陀みださんし、 三界さんがい六道ろくどう毀呰きししゅじょう勧励かんれい 、 «専心せんしん念仏ねんぶつ、 および ぜんしゅして、 この一身いっしんのちひつじょうしてかのくにしょう» といふは、 これはかならずもうなり、 しんべからずº と

縦使 タトヒ 初地已上十地已来、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方1291↡、異口同音皆云、釈迦仏指↢讃弥陀↡、毀↢呰シテ三界・六道↡、勧↢励衆生↡、専心念仏、及シテ↢余善↡、畢ヘテ↢此一身↡後必定シテズトイフ↢彼↡者、此虚妄ナリ、不↠可カラ↢依信↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅱº標不受

^われこれらの所説しょせつくといへども、 また一念いちねんしんしょうずして、 ただわがけつじょう0806して上上じょうじょう信心しんじんぞうじょうじょうじゅせん。

我雖↠聞クト↢此等所説↡、亦不シテ↠生↢一念疑心↡、唯増↢長成↣就セム決定シテ上々信心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª三ºªⅡºªⅲº釈所由

^なにをもつてのゆゑに。 すなはちぶつ真実しんじつけつりょうなるによるがゆゑに。 ぶつはこれじっじつ1238実見じっけんじっしょうにして、 これわくしんちゅうにあらざるがゆゑに。 また一切いっさいさつけん異解いげのために破壊はえせられず。 もしじつにこれさつならば おおぶっきょうたがはじ。

。乃ルガ↢仏語真実決了ナルニ↡故。仏是実知・実解・実見・実証ニシテ、非ザルガ↢是疑惑心中↡故。又不↧為↢一切菩薩異見・異解↡之所↦破壊↥。若是菩薩ナラバ者衆不↠違↢仏教↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四º第四重
                                ªⅠº

^またこのぎょうじゃまさにるべし。

又置↢此↡。行者当↠知

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡº
                                  ªⅰº仮設難破

^たとひぶつ報仏ほうぶつ、 もしはいち、 もしはない十方じっぽう遍満へんまんして、 おのおのひかりかがやかし したきて、 あまねく十方じっぽう おおひて、 一々いちいちきてのたまはく、 ªしゃ所説しょせつあひ 一切いっさいぼん勧発かんぽつして、 «専心せんしん念仏ねんぶつし、 およびぜんしゅして、 がんしてかのじょうしょうることを» といふは、 これはこれもうなり、 さだめてこのº と

縦使 タトヒ 化仏・報仏、若シハ一若シハ多、乃至遍↢満シテ十方↡、各カシ↠光、吐キテ↠舌ヒテ↢十方↡、一々キテ、釈迦所説相讃、勧↢発シテ一切凡夫↡、専心念仏、及シテ↢余善↡、廻願シテトイフ↠生ズルコトヲ浄土↡者、此是虚妄ナリ、定メテシト↢此事↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅱº標不受

^われこれらの諸仏しょぶつ所説しょせつくといへども、 ひっきょうじて一念いちねん退たいしんおこして、 かの仏国ぶっこくしょうることをずとおそれじ

我雖↠聞クト↢此等諸仏所説↡、畢竟ジテ不↧起シテ↢一念疑退之心↡、畏↞不↠得↠ズルコトヲ↢彼仏国↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲº釈所由
                                    ªaº約通門
                                      ªイº諸仏等同

^なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつ一切いっさいぶつなり。 あらゆるけんぎょうしょう果位かいだい等同とうどうにしてすこ差別しゃべつなし。

。一仏一切仏ナリ。所有知見・解行・証悟・果位・大悲、等同ニシテ↢少シキ差別↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªロº引例

^このゆゑに一仏いちぶつせいしたまふところは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくせいしたまふ。 前仏ぜんぶつせっしょうじゅうあくとうつみ制断せいだんしたまふがごとく、 ひっきょうじてぼんせずぎょうざるは、 すなはちじゅうぜん十行じゅうぎょうづけろくずいじゅん 。 もしぶつあり0807んに、 あにさきじゅうぜんあらためてじゅうあくぎょうぜしむべけんや。

一仏↠制シタマフ、即一切仏同ジクシタマフ如↣似 ゴト 前仏制↢断シタマフガ殺生・十悪等↡、畢竟ジテ不↠犯↠行者、即↢十善・十行↡、随↢順六度之義↡。若リテ↢後仏↡出デムニ↠世、豈ケム↧改メテ↢前十善↡令↞行↢十悪↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªaºªハº結示

^このどうをもつて推験すいげんるに、 あきらかにりぬ。 諸仏しょぶつごんぎょうはあひしつせず。

↢此道理↡推験スルニ、明リヌ、諸仏言行不↢相違失↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbº約別門
                                      ªイº正明

^たとひしゃ1239一切いっさいぼんすすめて、 ªこの一身いっしんつくして専念せんねん 専修せんじゅして、 いのち 以後のちさだめてかのくにしょうº といふは、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつ ことごとくみなおなじくおなじくすすめ、 おなじくしょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに。 同体どうたいだいのゆゑに。 一仏いちぶつしょは、 すなはちこれ一切いっさいぶつなり。 一切いっさいぶつは、 すなはちこれ一仏いちぶつしょなり。

縦令 タトヒ 釈迦指↢勧一切1292凡夫↡、尽シテ↢此一身↡専念専修シテ、捨テテ↠命已後メテズトイフ↢彼↡者、即十方諸仏悉皆同ジクジクジクシタマフ。何。同体大悲。一仏所化是一切ナリ。一切是一仏所化ナリ

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロº引証
                                        ˆ一ˇ同讃

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにきたまはく、 しゃ極楽ごくらく種々しゅじゅしょうごん讃歎さんだんし、 また一切いっさい ぼんすすめて、 ª一日いちにち七日しちにち一心いっしんもつぱら弥陀みだみょうごうねんて、 さだめておうじょう しめたまふº

¬弥陀経¼中、釈迦讃↢歎極楽種々荘厳↡、又勧メテ↢一切凡夫↡、一日七日一心ジテ↢弥陀名号↡、定メテシメタマフト↢往生↡。

^次下つぎしももん (小経)のたまはく、 ª十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃめて、 よくじょくあくあくかいあくしゅじょうあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかりなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんして、 しゅじょう勧励かんれいて、 «しょうねんすればかならずおうじょう »º と すなはちそのしょうなり。

次下、十方シテ↢恒河沙等諸仏↡、同ジクメテ↢釈迦↡、能↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪煩悩・悪邪・无信ナル↡、指↢讃シテ弥陀名号↡勧↢励シテ衆生↡、称念スレバ↢往生↡。即証也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªロºˆ二ˇ同証

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざことを恐畏くいして、 すなはちともに同心どうしんどうにおのおの舌相ぜっそういだして、 あまねく三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんきたまふ。 ªなんぢらしゅ0808じょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょうせつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくしも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしんもつぱら1240みょうごうねんれば、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいº

又十方仏等、恐↢畏シテ衆生ラムコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時シテ↢舌相↡、遍ヒテ↢三千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。汝等ナムダチ衆生、皆応↠信↢是釈迦所説・所讃・所証↡。一切凡夫、不↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能上尽シテ↢百年↡、下至ルマデ↢一日七日↡一心ズレバ↢弥陀名号↡、定メテルコト↢往生↡、必シト↠疑也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][イ]ª四ºªⅡºªⅲºªbºªハº結示

^このゆゑに一仏いちぶつ所説しょせつは、 すなはち一切いっさいぶつおなじくその証誠しょうじょうしたまふ

一仏所説、即一切仏同ジク証↢誠シタマフ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅰ][b][ロ]結文

^これを*にんきてしんつとづく。

↢就キテ↠人ツト↟信也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三][Ⅱ][ⅱ]就行立信

^つぎぎょうきてしんつと は、 しかるにぎょうしゅあり。 いちには正行しょうぎょうにはぞうぎょうなり 云々うんぬん さきぎょうのなかにくところのごとし。 しげきをおそれてせず。 ひとこころ

キテ↠行ツト↠信者、然ルニ↢二種↡。一者正行、二者雑行ナリ云々。如↢前二行之中↟引。恐レテ不↠載。見人得↠意

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)回向発願心
            (Ⅰ)牒文

 ^さんには ªこう発願ほつがんしんº

者廻向発願心

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)随釈
              (ⅰ)約要門

^ªこう発願ほつがんしんº といふは、 過去かこおよびこんじょうしん口意くいごうしゅするところのしゅっ善根ぜんごん、 および一切いっさいぼんしょうしん口意くいごうしゅするところのしゅっ善根ぜんごんずいして、 この自他じた所修しょしゅ善根ぜんごんをもつて、 ことごとくみな真実しんじつ深信じんしんしんのうちにこうして、 かのくにしょうぜんとがんゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

↢廻向発願心↡者、過去及以 オヨビ 今生身口意業↠修スル世・出世善根、及随↢喜シテ一切凡聖身口意業↠修スル世・出世1293↡、以↢此自他所修善根↡、悉皆真実深信廻向シテ、願↠生ゼムト↢彼↡。故↢廻向発願心↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)約弘願
                (a)約往相
                  (イ)広明
                    [一]出体

^また*こう発願ほつがんは、 *かならずすべからくけつじょう真実しんじつしんのうちにこうして、 とくしょうおもいがんべし。

又廻向発者、必↣決定真実心廻向シテ、願↢作得生↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]功徳

^このしんふかしんずること なほ 金剛こんごうのごとく 一切いっさいけんがくべつべつぎょうにんとうのために動乱どうらん破壊はえせられず。 ただこれけつじょうして一心いっしんりて、 しょうじきすすみて、 かのひときて、 すなはち進退しんたい ありて、 しんこうにゃくしょうじて、 回顧えこしてどう0809ちて、 すなはちおうじょう大益だいやくうしなふことをざれ

心深ズルコトナホ↢金剛↡、不↧為↢一切異見・異学・別解・別行人等↡之所↦動乱破壊↥。唯是決定シテ一心リテ、正直ミテ、不↠得↧聞キテ↢彼↡、即リテ↢進退↡、心ジテ↢怯弱↡、廻顧シテチテ↠道、即スルコトヲ↦往生之大益↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三]料簡
                      [Ⅰ]

^ひていはく、 もしぎょうどう邪雑じゃぞうにんとうありて、 きたりてあ1241惑乱わくらんして、 種々しゅじゅなんきて、 ªおうじょう ずº といひ、 あるいはいはん、 ªなんぢらしゅじょう曠劫こうごうよりこのかたおよびこんじょうしん口意くいごうに、 一切いっさいぼんしょうしんうえにおいてつぶさにじゅうあくぎゃくじゅう謗法ほうぼう闡提せんだいかいけんとうつみつくりて、 いまだ除尽じょじんすることあたはず。 しかこれらのつみ三界さんがい悪道あくどうぞく。 いかんぞいっしょう修福しゅふく念仏ねんぶつをもつて、 すなはちかの無漏むろしょうくにまいりて、 なが退たいくらいしょうすることをんやº

ヒテ、若リテ↢解行不同邪雑人等↡来リテ相惑乱シテキテ↢種々疑難↡、噵↠不↠得↢往生↡、或イハハム汝等ナムダチ衆生、曠劫ヨリ已来及以 オヨビ 今生身口意業、於↢一切凡聖↡具リテ↢十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等↡、未↠能↢除尽スルコト↡。然此等之罪繋↢属三界悪道↡。云何一生修福念仏ヲモテ、即マヰリテ↢彼无漏无生之国↡、永↣証↢悟スルコトヲ不退↡也

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ]
                        [ⅰ]法説
                          [a]総標

^こたへていはく、 諸仏しょぶつ教行きょうぎょうかず塵沙じんじゃえたり。 稟識ほんじきえんこころしたがひていちにあらず。

ヘテ、諸仏教行、数越エタリ↢塵沙↡。稟識機縁随ヒテ↠情↠一

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][b]引例比況

^たとへばけんひとまなこつべくしんじつべきがごときは、 みょうよくあんし、 くうよくがんよく載養さいようみずよくしょうにんよくじょうするがごとし。 かくのごとき、 ことごとく待対たいたいほうづく。 すなはちべし。 千差せんじゃ万別まんべつなり。 いかにいはんや 仏法ぶっぽう思議しぎちから、 あに種々しゅじゅやくなからんや。

ヘバ↢世間↠見キガ↟信者、如↢明↠闇、空↠有、地載養、水生潤、火成壊スルガ↡。如↠此クノ事悉↢待対之法↡。即↠見。千差万別ナリ。何仏法不思議之力豈カラム↢種々益↡也。

^したがひていちもんよりといふは、 すなはちいち煩悩ぼんのうもんよりづるなり。 したがひていちもんよりるといふは、 すなはちいちだつ智慧ちえもんよりるなり。 これがためにえんしたがぎょうおこして、 おのおのだつもとむ。

ヒテヅトイフ↢一ヨリ↡者、即ヅル↢一煩悩ヨリ↡也。随ヒテルトイフ↢一ヨリ↡者、即↢一解脱智ヨリ↡也。為↠此ヒテ↠縁シテ↠行、各↢解脱↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][c]遮偏見難

^0810んぢ、 なにをもつてかすなはちえん にあらざるようぎょうをもつてわれをしょうわくする。 しかわがあいするところは、 すなはちこれわが1242えんぎょうなり。 すなはちなんぢがしょにあらず。 なんぢがあいするところは、 すなはちこれなんぢがえんぎょうなり。 またわがしょにあらず。 このゆゑに しょぎょうしたがひて そのぎょうしゅれば、 かならずだつ

汝何テカ1294↧非ザル↢有縁↡之要行↥障↢惑スル於我↡。然之所↠愛スル是我有縁之行ナリ。即↢汝所求↡。汝之所↠愛スル、即是汝有縁之行ナリ。亦非↢我所求↡。是ヒテ↢所楽↡而修スレバ↢其↡者、必↢解脱↡也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅰ][d]約解行分別

^ぎょうじゃまさにるべし。 もしがくんとおもはば、 ぼんよりしょういたるまでないぶっまで、 一切いっさい無礙むげみながくすることを。 もしぎょうがくんとおもはば、 かならずえんほうによれ。 すこしきろうもちゐるにおおやく

行者当↠知。若ハバ↠学セムト↠解、従↠凡至ルマデ↠聖、乃至仏果マデ、一切无礙皆得↠学スルコトヲ也。若ハバ↠学セムト↠行者必↢有縁之法↡。少シキヰルニ↢功労↡多↠益

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ]譬説
                          [a]用譬意許

 ^また一切いっさいおうじょうにんとうにまうす。 いまさらにぎょうじゃのためにいち譬喩ひゆきて、 信心しんじんしゅして、 もつてじゃけんなんふせがん。 なんものかこれや。

又白↢一切往生人等↡。今更↢行者↡説キテ↢一譬喩↡、守↢護シテ信心↡、以ガム↢外邪異見之難↡。何是也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b]正宗
                            [イ]譬文

^たとへば、 ひとありて西にしかひてひゃくせんかんとほっるに、 忽然こつねんとしてちゅうかわあり。 いち はこれかわみなみにあり。 はこれみずかわきたにあり。 二河にがおのおのひろひゃく、 おのおのふかそこ南北なんぼく ほとりなし。

ヘバ↧有リテ↠人欲スルニ↣向ヒテ↠西カムト↢百千之里↡、忽然トシテ↢二河↡。一是火河在↠南。二是水河在↠北。二河ヒロ百歩、各↠底、南北无↠辺。

^まさしくすいちゅうげんいちびゃくどうあり。 ひろ すんばかりなるべし。 このみちひがしきしより西にしきしいたるまで、 またながひゃく、 そのみずろう きょうみち湿うるおす。 そのほのお 0811きたりてみちく。 すいあひまじはりてつねにそくすることなし。

シク水火中間↢一道↡。可ヒロ四五寸バカリナル↡。此道従↢東岸↡至ルマデ↢西↡、亦長百歩、其波浪交過シテ湿↠道。其燄亦来リテ↠道。水火相交リテ↢休息スルコト↡。

^このひとすでに空曠くうこうのはるかなるところいたるに、 さらに人物にんもつし。 おお群賊ぐんぞくあくじゅうのみあり。 このひと単独たんどくなるを1243きおきたりてころさんとほっ。 このひとおそれてじきはしりて 西にしかふに、 忽然こつねんとしてこのたいる。 すなはちみづから念言ねんごんすらく、 ªこのかわ南北なんぼく辺畔へんぱんず。 ちゅうげんいちびゃくどうる。 きはめてこれ狭少きょうしょうなり。 ふたつのきしあひることちかしといへども、 なにによりてかくべき。 今日こんにちさだめてすることうたがはず。

人既ルニ↢空曠ナル↡、更↢人物↡。多↢群賊・悪獣ノミ↡。見↢此単独ナルヲ↡、競リテ↠殺サムト。此人怖レテ↠死リテフニ↠西忽然トシテ↢此大河↡。即念言スラク、此河南北不↠見↢辺畔↡。中間白道↡。極是狭少ナリ。二岸相去ルコト↠近シト、何テカ↠行。今日定メテスルコト不↠疑

^まさしくいたかえらんとほっれば、 群賊ぐんぞくあくじゅう漸々ぜんぜんきたむ。 まさしく南北なんぼくはしらんとほっれば、 あくじゅうどくちゅうきおきたりてわれにかふ。 まさしく西にしかひてみちたずねてらんとほっれば、 またおそらくはこのすい二河にがすることをº ときあたりてこうすることまたいふべからず。

シクスレバ↢到カヘラムト↡、群賊・悪獣漸々。正シクスレバ↢南北ラムト↡、悪獣・毒虫競リテ↠我。正シクスレバ↢向ヒテ↠西ネテ↠道而去ラムト↡、復恐クハチラムコトヲト↢此1295二河↡。当リテ↠時惶怖スルコト不↢復可カラ↟言

^すなはちみづからねんすらく、 ªわれいまかえるともまたなん。 じゅうすともまたなん。 るともまたん。 一種いっしゅとしてまぬかじ。 われ*むしろこのみちたずねてさきかひてらん。 すでにこのみちあり。 かならずわたるべしº

思念スラク、我今カヘルトモ亦死ナムストモ亦死ナムルトモ亦死ナム。一種トシテ不↠マヌカ↠死者。我寧ネテ↢此↡向ヒテ↠前而去ラム。既↢此道↡。必応↢可シト↡。

^このねんをなときに、 ひがしきしにたちまちにひとすすむるこえく。 ªなんぢ、 ただけつじょうしてこのみちたずねてけ。 かならずなんなからん。 もしじゅう0812せばすなはち なんº

↢此↡時、東↢人ムル↡。仁者 ナンヂ 但決定シテネテ↢此↡行。必↢死難↡。若セバナムト

^また西にしきしうえひとありて、 ばひていはく、 ªなんぢ一心いっしんしょうねん じききたれ。 われよくなんぢをまもらん。 すべてすいなんすることをおそれざれº

又西リテ↠人、喚ヒテ、汝一心正念。我能ラム↠汝。衆レト↠畏↠堕チムコトヲ↢於水火之難↡。

^このひとすでにこ1244こに、 かしこにばふをきて、 すなはちみづからまさしく身心しんしんあたりて、 けつじょうして みちたずねてじきすすみてこう退心たいしんしょうぜず。

人既キテ↢此フヲ↡、即シクリテ↢身心↡、決定シテネテ↠道ミテ不↠生↢疑怯退心↡。

^あるいはくこと一分いちぶんぶんするに、 ひがしきし群賊ぐんぞくばひていはく、 ªなんぢかえきたれ。 このみち 嶮悪けんあくにしてぐることをじ。 かならずすることうたがはず。 われら すべて悪心あくしんをもつてあひかふことなしº と。 このひとばふこえくといへども、 また回顧えこず。 一心いっしんじきすすみてみちねんじてくにしゅにすなはち西にしきしいたりて、 なが諸難しょなんはなれて、 ぜんあひきょうらく むことなきがごとし。

イハクコト一分二分ルニ、東群賊等喚ヒテ仁者 ナンヂ カヘ。此道嶮悪ニシテ不↠得↠過グルコトヲ。必セムコト不↠疑。我等衆シト↢悪心ヲモテ相向フコト↡。此人雖↠聞クト↢喚↡亦不↢廻顧↡。一心ミテジテ↠道而行クニ、須臾リテ↢西↡、永レテ↢諸難↡、善友相見慶楽无キガ↞已ムコト

^これはこれたとへなり。

是喩也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三][Ⅱ][ⅱ][b][ロ]合文

 ^つぎたとへをがっせば、 ªひがしきしº といふは、 すなはちこのしゃ たくたと

セバ↠喩者、言↢東↡者、即↢此娑婆之火宅↡也。

^ª西にしきしº といふは、 すなはち極楽ごくらく宝国ほうこくたと

↢西↡者、即↢極宝国↡也。

^ª群賊ぐんぞくあくじゅういつわしたしむº といふは、 すなはちしゅじょう六根ろっこん六識ろくしき六塵ろくじんおんだいたと

↢群賊・悪獣詐シムト↡者、即↢衆生六根・六識・六塵・五陰・四大↡也。

^ªひとなきくうきょうさわº といふは、 すなはちつねにあくしたがひてしんぜんしきはざるにたと

↢无↠人空迥↡者、即↧常ヒテ↢悪友↡不ルニ↞値↢真善知識↡也。

^ªすい二河にがº といふは、 すなはちしゅじょう貪愛とんないみず0813ごとし、 瞋憎しんぞうのごとしとたとふるなり。

↢水火二河↡者、即フル↢衆生貪愛↠水、瞋シト↟火也。

^ªちゅうげんびゃくどう しごすんなるº といふは、 すなはちしゅじょう貪瞋とんじん煩悩ぼんのうのなかに、 よく清浄しょうじょうがんおうじょうしんしょうずるにたと 。 すなはち貪瞋とんじんこわきによる1245がゆゑに、 すなはちすいのごとしとたとふ。 善心ぜんしんなるがゆゑに、 びゃくどうのごとしとたと

↢中間白道四五寸ナルト↡者、即↢衆生貪瞋煩悩ズルニ↢清浄願往生↡也。乃ルガ↢貪瞋キハキニ↡故↠如シト↢水火↡。善心ナルガ↠如シト↢白道↡。

^また ªすいつねにみち湿うるおすº といふは、 すなはち愛心あいしんつねにおこりて、 よく善心ぜんしんぜんするにたと

又水波常湿ストイフ↠道1296者、即↣愛心常リテ染↢汚スルニ善心↡也。

^また ªえんつねにみちくº といふは、 すなはち瞋嫌しんけんしんよくどく法財ほうざいくにたと

又火燄常クトイフ↠道者、即↣瞋嫌之心能クニ↢功徳之法財↡也。

^ªひとみちうえきてじき西にしかふº といふは、 すなはちもろもろのぎょうごうして じき西方さいほうかふにたと

↧人キテ↢道↡直フト↞西者、即↧廻シテ↢諸行業↡直フニ↦西方↥也。

^ªひがしきしひとこえすすきて、 みちたずねてじき西にしすすむº といふは、 すなはちしゃすでにめっして、 のちひとたてまつらざれども、 なほきょうぼう ありてたずぬべきにたと 。 すなはちれをこえのごとしとたとふるなり。

↧東キテ↢人ルヲ↡尋ネテ↠道西ムト↥者、即↧釈迦シテ人不レドモ↠見タテマツラナホリテ↢教法↡可キニ↞尋。即フル↢之シト↟声也。

^ªあるいはくこと一分いちぶんぶんするに群賊ぐんぞくかえすº といふは、 すなはちべつべつぎょう悪見あくけん にんとうの、 *みだりにけんてたがひにあひ惑乱わくらんし、 およびみづからつみつくりて退失たいしつたと

↢或イハクコト一分二分スルニ群賊等喚カヘスト↡者、即↧別解・別行・悪見人等、妄キテ↢見解タガヒ相惑乱、及リテ↠罪退失スルニ↥也。

^ª西にしきしうえひとありてばふº といふは、 すなはち弥陀みだがんたと

↢西リテ↠人喚フト↡者、即↢弥陀願意↡也。

^ªしゅ西にしきしいたりてぜんあひよろこぶº といふは0814、 すなはちしゅじょうひさしくしょうしずみて、 曠劫こうごうりんし、 迷倒めいとうしてみづからまつわて、 だつするによしなきにあおぎてしゃ発遣はっけんして、 さして西方さいほうこうしたまふことをこうむり、 また弥陀みだしんをもつて招喚しょうかんしたまふによりて、 いまそん (釈尊・阿弥陀仏)みこころしんじゅんして、 すい1246二河にがかえりみず、 念々ねんねんわするることなく、 かの願力がんりきどうて、 いのちてをはりてのちかのくにしょうずることをて、 ぶつとあひまみきょう なんぞきわまらんたとふるなり

↧須臾リテ↢西↡善友相見ブト↥者、即フル↧衆生久シクミテ↢生死↡、曠劫淪廻、迷シテ、无キニ↠由↢解脱スルニ↡、仰ギテ↣釈迦発遣シテ指↢向シタマフコトヲ西方↡、又藉リテ↢弥陀悲心ヲモテ招喚シタマフニ↡、今信↢順シテ二尊之意↡、不↠顧↢水火二河↡、念々ワスルルコト、乗リテ↢彼願力之道↡、捨↠命リテ↠生ズルコトヲ↢彼↡、与↠仏相マミエテ慶喜何ラムト↥也。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)結名義

 ^また一切いっさいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざが 三業さんごうしゅするところ、 ちゅうせつふことなく、 つねにこのをなしつねにこのおもいをなすゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

又一切行者、行住坐臥三業所↠修スル、无↠問フコト↢昼夜時節↡、常↢此↡常スガ↢此↡故、名↢廻向発願心↡。

二 ⅷ Ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)約還相

^また ªこうº といふは、 かのくにしょうじをはりて、 かえりてだいおこして、 しょうにゅうしてしゅじょうきょうるをまたこうづく。

又言↢廻向↡者、生↢彼↡已リテ、還リテシテ↢大悲↡、廻↢入シテ生死↡教↢化スルヲ衆生↡亦↢廻向↡也。

二 ⅷ Ⅱ b 結三心示功能
          (一)因果具成

 ^三心さんしんすでに すれば、 ぎょうとしてじょうぜずといふことなし。 がんぎょうすでにじょうじて、 もししょうぜず、 このことわりあることなからん。

三心既スレバ、无↢行トシテトイフコト↟成。願行既ジテ↠生者、无↠有ルコト↢是コトワリ↡也。

二 ⅷ Ⅱ b ロ (二)通摂定善

^またこの三心さんしん またつうじてじょうぜんせっるべし」

又此三心亦通ジテ↢定善之義↡、応シト↠知。」

二 ⅷ Ⅱ 礼讃
       

 ^¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「ひていはく、 いまひとすすめておうじょうせしめんとおもはば、 いまだらず、 いかんが安心あんじんぎょうしてごうをなして、 さだめてかのこくおうじょうすることをや。

¬往1297生礼讃¼云、「問ヒテ、今欲ハバ↢勧メテ↠人往生セシメムト↡者、未↠知若為 イカン 安心・起行シテシテカ↠業、定メテ↣往↢生スルコトヲ国土↡也。

二 ⅷ Ⅱ c

^こたへていはく、 かならずじょうこくおうじょうんとおもはば、 ¬かんぎょう¼ せつ0815ごときは、 三心さんしんすればかならずおうじょうなんらをかさんなす

ヘテ、必ハバ往↢生セムト浄国↡者、如↢¬観経¼説↡者、具スレバ↢三心者必得↢往生↡。何等ヲカ↠三

^いちにはじょうしん、 いはゆる身業しんごうをもつてかのぶつ礼拝らいはいし、 ごうをもつ1247かのぶつ讃歎さんだんしょうようし、 ごうをもつてかのぶつ専念せんねん 観察かんざつ *おほよそ三業さんごうおこすに、 かならずすべからく真実しんじつなるべし。 ゆゑにじょうしんづく。

者至誠心、所謂身業ヲモテ礼↢拝↡、口業ヲモテ讃↢歎称↣揚↡、意業ヲモテ専↢念観↣察↡。凡スニ↢三業↡必↢真実ナル↡。故↢至誠心↡。

^には深心じんしん、 すなはちこれ真実しんじつ信心しんじんをもつて、 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼん善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんして たくでずとしんし、 いま弥陀みだほんぜいがん みょうごうしょうすることしもじっしょういっしょうとういたるにおよぶまで さだめておうじょうしんして、 ない一念いちねんしんあることなし。 ゆゑ深心じんしんづく。

者深心、即是真実信心ヲモテ、信↧知自身是具↢足セル煩悩↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転シテ三界↡不↞出↢火宅↡、今信↪知シテ弥陀本弘誓願、及ブマデ↧称スルコト↢名号↡下至ルニ↦十声一声等↥定メテ↩往生↨、乃至一念↠有ルコト↢疑心↡。故↢深心↡。

^さんにはこう発願ほつがんしんしょ一切いっさい善根ぜんごんことごとくみなおうじょうがんゆゑこう発願ほつがんしんづく。

者廻向発願心、所作一切善根悉皆廻願↢往生↡。故↢廻向発願心↡。

^この三心さんしんすれば、 かならずしょうずること *もし一心いっしんけぬれば、 すなはちしょうることをず。 ¬かんぎょう¼ につぶさにくがごとし、 るべし」

スレバ↢此三心↡必ズルコトヲ也、若ケヌレバ↢一心↡即不↠得↠生ズルコトヲ。如↢¬観経¼具クガ↡。応シト。」

二 ⅷ 私釈
      総釈

 ^わたくしにいはく、 くところの三心さんしん これぎょうじゃ*ようなり。 所以ゆえんいかんぞ。 ¬きょう¼ (観経) にはすなはち、 「三心さんしんしゃひつしょうこく」 といふ。 あきらかにりぬ、 さん すればかならずしょうることをべし 。 ¬しゃく¼ (礼讃) にはすなはち、 「若少にゃくしょう一心いっしんそくとくしょう」 といふ。 あ0816きらかにりぬ、 いちけぬればこれさらに不可ふかなり 。 これによりて極楽ごくらくうまんとおもはんひと、 まつたく三心さんしんそくすべ

、所↠引三心者是行者至要也。所以者何ンゾ¬経ニハ¼則、云↢「具三心者必生彼国」↡。明リヌ、具スレバ↠三↠得↠生ズルコトヲ。¬釈ニハ¼則↢「若少一心即不得生」↡。明リヌ、一ケヌレバ是更不可ナリ。因リテ↠茲ハム↠生ゼムト↢極楽↡之人↣具↢足三心↡也。

二 ⅷ Ⅲ 別釈
        至誠心
          (一)総指

^そのなかに 「じょうしん」 と はこれ真実しんじつしんなり。 そ1248そう、 かのもん (散善義) のごとし。

「至誠心」者是真実心也。其相如↢彼↡。

二 ⅷ Ⅲ b イ (二)別示【内外相翻】

^ただほか賢善けんぜんしょうじんそうげんうち虚仮こけいだといふはないたいすることばなり。 いはくそう内心ないしん調じょうこころなり。 すなはちこれないなり。 けんといふたいすることばなり。 いはくはこれけん ないはすなはちなり。 ぜんあくたいすることばなり。 いはくはこれぜん ないはすなはちあくなり。 しょうじんだいたいすることばなり。 いはくにはしょうじんそうしめ ないにはすなはちだいしんいだ。 もしそれ*ほんないたくわへば、 まことに*しゅつようそなべし。

「外↢賢善精進↡、内クトイフ↢虚仮↡」者、外者対スル↠内之辞也。謂外相与↢内心↡不調之意1298ナリ。即是外智、内愚也。賢トイフ者対スル↠愚言也。謂是賢、内愚也。善者対スル↠悪之辞也。謂是善、内ナリ。精進者対スル↢懈怠↡之言也。謂ニハ↢精進↡、内ニハ↢懈怠↡也。若ジテ↠外ヘバ↠内者、マコト↠備↢出要↡。

^うち虚仮こけいだく」 とは、 ないたいすることばなり。 いはく内心ないしんそう調じょうこころなり。 すなはちこれないじつなり。 じつたいすることばなり。 いはくないじつなるものなり。 しんたいすることばなり。 いはくない しんなり。 もしそれ*ないほんそとほどこさば、 またしゅつようりぬべし。

「内クト↢虚仮↡」、内者対スル↠外之辞也。謂内心与↢外相↡不調之意ナリ。即是内虚、外実也。虚者対スル↠実言也。虚、外ナル者也。仮者対スル↠真之辞也。謂仮、外真也。若ジテ↠内ホドコサバ↠外者、亦可↠足リヌ↢出要↡。

二 ⅷ Ⅲ b 深心【信疑決判】

^つぎに 「深心じんしん」 と は、 いはく深信じんしんしんなり。 まさにるべし、 *しょういえにはうたがい0817をもつてしょなしはんみやこにはしんをもつてのうにゅう ゆゑ いましゅ信心しんじんこんりゅうして、 ぼんおうじょうけつじょうするものなり。

「深心」者、謂深信之ナリ。当↠知、生死之家ニハ↠疑↢所止↡、涅槃之ミヤコニハ↠信↢能入↡。故今建↢立シテ二種信心↡、決↢定スル九品往生↡者也。

^またこのなかに 一切いっさいべつべつぎょうがくけんとうといふは、 これしょうどうもんぎょうがくけん 。 その1249はすなはちこれじょうもんこころなり。 もんにありてるべし。 あきらかにりぬ、 善導ぜんどうこころまたこのもんでず。

又此↢「一切別解・別行・異学・異見等↡者、是指↢聖道門解行学見↡也。其是浄土門ナリ。在リテ↠文↠見。明リヌ、善導之意亦不↠出↢此二門↡也。

二 ⅷ Ⅲ b 廻向発願心

^こう発願ほつがんしんべつしゃくつべからず。 ぎょうじゃこれをるべし。

廻向発願心之義、不↠可カラ↠俟↢別↡。行者応↠知↠之

二 ⅷ Ⅲ 料簡通局

^この三心さんしん そうてこれをいば、 もろもろのぎょうほうつうず。 べっしてこれをいば、 おうじょうぎょうにあり。 いまつうげてべつせっす。 こころすなはちあまねし。 ぎょうじゃよく用心ようじんして、 あへて*忽諸こっしょせしむることなかれ。

三心者総ジテ而言ヘバ↠之、通↢諸行法↡。別シテ而言ヘバ↠之、在↢往生↡。今挙ゲテ↠通↠別。意即矣。行者能用心シテ、敢↠令ムコト↢忽↡。

四修章】
    標章

【9】 ^念仏ねんぶつぎょうじゃしゅほうぎょうゆうすべきもん

 念仏行者可↣行↢用四修↡之文

二 ⅸ 引文
      礼讃
       

 ^善導ぜんどう ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「また しゅほうかんぎょう何者なにものをかなす

1299¬往生礼讃¼云、「又勧↢行四修↡。何者ヲカ↠四

二 ⅸ Ⅱ a

^いちにはぎょうしゅ。 いはゆるかのぶつおよび 一切いっさいしょうじゅとうぎょう礼拝らいはいす。 ゆゑぎょうしゅづく。 ひつみょうしてちかひてちゅうせざ、 すなはちこれじょうしゅなり。

者恭敬修。所謂恭↢敬礼↣拝一切聖衆等↡。故↢恭敬修↡。畢ルヲ命為↠期ヒテ↢中止↡、即是長時修ナリ

^には無余むよしゅいはゆるもつぱらかのぶつみなしょう専念せんねん専想せんそうもつぱらかのぶつおよび一切いっさいしょうじゅとう礼讃らいさんして、 ごうまじへず。 ゆゑ0818無余むよしゅづく。 ひつみょうしてちかひてちゅうせざ、 すなはちこれじょうしゅなり。

者無余修。所謂シテ↢彼↡専念専想、専礼↢シテ仏及一切聖衆等↡、不↠雑↢余業↡。故↢無余修↡。畢命↠期ヒテ↢中止↡、即是長時修ナリ

^さんにはけんしゅいはゆる相続そうぞくしてぎょう 礼拝らいはいし、 称名しょうみょう 讃歎さんだんし、 憶念おくねん 観察かんざつし、 こう発願ほつがんし、 心々しんしん1250相続そうぞくしてごうをもつてきたまじへず。 ゆゑけんしゅづく。 また貪瞋とんじん煩悩ぼんのうをもつてきたまじへず。 ぼんせんしたがしたがひてさんせよ。 ねんへだときへだへだてずつねに清浄しょうじょうならしめよ。 またけんしゅづく。 ひつみょうしてちかひてちゅうせざすなはちこれじょうしゅなり」 と。

者無間修。所謂相続シテ恭敬礼拝、称名讃歎、憶念観察、廻向発願、心々相続シテ不↧以↢余業↡来↥。故↢無間修↡。又不↧以↢貪瞋煩悩↡来マジ↥。随↠犯セムニ、随ヒテセヨ不↢隔↠念↠時↟日。常使メヨ↢清浄ナラ↡。亦名↢無間修↡。畢命↠期ヒテ↢中止↡、即是長時修ナリト。」

二 ⅸ Ⅱ 西方要決
       

 ^¬西方さいほう要決ようけつ¼ にいはく、 「ただしゅしゅしてもつてしょうごうす。

¬西方要決¼云、「但修シテ↢四修↡以↢正業↡。

二 ⅸ Ⅱ b
          (一)長時修

^いちにはじょうしゅ*しょ発心ほっしんよりすなはちだいいたまで、 つねに*じょういんをなしてつひに退転たいてん なし。

者長時修。従↢初発心↡乃菩提マデ、恒シテ↢浄因↡終↢退転↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (二)恭敬修

^にはぎょうしゅ。 これにまたあり。

者恭敬修。此復有↠五。

^いちにはえんしょうにんうやまふ。 いはく行住ぎょうじゅう坐臥ざが西方さいほうそむかず、 *てい便べん西方さいほうかはず。

ニハ↢有縁聖人↡。謂行住坐臥不↠背↢西方↡、涕唾便痢、不↠向↢西方↡也。

^にはえん*ぞうきょううやまふ。 いはく西方さいほう弥陀みだ*像変ぞうへんつく ひろつくることあたはずは、 ただ一仏いちぶつさつ (阿弥陀仏・観音・勢至)つくことまたたり きょう は ¬弥陀みだきょう¼ とうしきふくろれて、 みづからおしへよ。 このきょう ぞうしつのなかにあんして、 ろく*礼懴らいさんし、 こうをもつてようし、 ことにそんじゅうをなせ。

者敬↢有縁像教↡。謂↢西方弥陀像変↡。不↠能↢広ルコト↡、但作ルコト↢一仏二菩薩↡亦得タリ。教者¬弥陀経¼等五色レテ、自ヘヨ↠他此之経像安↢置シテ↡、六時礼懴花香ヲモテ供養、特↢尊重↡。

^さんにはえんぜんしきうやまふ。 いはくじょうきょう0819ものは、 もしはせんじゅんじゅうじゅんよりこのかた 、 ならびにすべからく敬重きょうじゅう親近しんごんようすべし。 *別学べつがくのものにはそうきょうしんおこせ。 おのれとどうざるをば、 ただふかうやまふことれ。 もしきょうまんしょうば、 つみ1251こときわまりなし。 ゆゑにすべからくすべてうやまふべし。 すなはちぎょうしょう のぞ

者敬↢有縁善知識↡。謂ブル↢浄土↡者、若シハ千由旬十由旬1300ヨリ已来、並↢敬重親近供養↡。別学之者ニハジテ↢敬心↡。与↠己不ルヲバ↠同↢深フコトヲ↡也。若ゼバ↢軽慢↡、得ルコト↠罪↠窮。故↢総↡。即↢行障↡。

^には同縁どうえんともうやまふ。 いはくおなじくごうしゅするものなり。 みづから さわりおもくしてどくごう じょうぜずといへども、 かならずともによりてまさによくぎょうをなせば、 あやうきをたすやくすくふ。 助力じょりきあひたす同伴どうはん善縁ぜんえんふかくあひじゅう

者敬↢同縁↡。謂ジクスル↠業ナリ。自↢障重クシテ独業不↟成、要リテ↢良↡方セバ↠行、扶↠危キヲ。助力タスケテ、同伴善縁深相保重

^には三宝さんぼううやまふ。 *同体どうたい*別相べっそうならびにふかうやまふべし。 つぶさにしるすことあたはず。 あさぎょうじゃ*しゅすることをはたさざるためなりじゅう三宝さんぼう は、 いまの浅識せんしきのためにだい因縁いんねんをなす。 いまほぼ*りょうけんべし

者敬↢三宝↡。同体・別相並↢深↡。不↠能↢具スコト↡。為ナリ↢浅行者↟果↢依修スルコトヲ↡。住持三宝者、与↢今浅識↡作↢大因縁↡。今粗料簡スベシ

^仏宝ぶっぽうといふは、 いはく*だんり、 *かんばたひ、 *しつこんようたまちりばめ、 *ぞううつし、 いしつちけずる。 この霊像れいぞうことにそんじょうすべし。 しばらくかたちたてまつれば、 つみえてふくす。 もししょうまんしょうずれば、 あくじょうぜんもう。 ただし尊容そんようおもふに、 まさに真仏しんぶつべし。

↢仏↡者、謂↠檀カンバタ、素質金容、チリバ↠玉ウツ、磨↠石、削↠土。此之霊像特↢尊承↡。蹔爾シバラクタテマツレバ↠形、罪消エテ↠福。若ズレバ↢少慢↡、長↠悪。但フニ↢尊容↡当↠見↢真仏↡。

^法宝ほうぼうといふは、 さんじょうきょう*法界ほうかいしょなり。 みょう所詮しょせん、 よ0820*えんしょうず。 ゆゑにすべからくちんぎょうすべし。 もつておこもといなり。 そんぎょうしょうしゃしてつねにじょうしつやすぜよ。 箱篋はこたくわへて、 ならびにごんきょうすべし。 読誦どくじゅときは、 身手しんしゅしょうけつなれ

↢法宝↡者、三乗教旨、法界所流ナリ。名句所詮能↢解縁↡。故↢珍仰↡。以ナリ抄↢写シテ尊経↡恒ンゼヨ↢浄室↡。箱篋 ハコ ヘテ、並↢厳敬↡。読誦之時身手清潔ナレ

^僧宝そうぼうといふは、 しょうそうさつかいともがらなり。 とうしんうやまひをおこせ。 慢想まんそうしょうずることなかれ。

↢僧宝↡者、聖僧・菩薩・破戒之トモガラナリ。等心↠敬。勿↠生ズルコト↢慢想↡。

二 ⅸ Ⅱ b ロ (三)無間修

^さんにはけんしゅいはくつねに念仏ねんぶつおうじょうしんをなす いっ1252さい においてしんにつねにおもたくめ。

者無間修。謂念仏シテ↢往生↡。於↢一切時↡心

^たとへばひとありて抄掠しょうりょうせられ せんとなりてつぶさに艱辛かんしんけんに、 たちまちに父母ぶもおもひてくにはしかえることをほっ行装ぎょうしょういまだべんぜず。 なほきょうにありて、 にちゆいして、 しのぶるにへずときとしてしばらくもててじょうねんぜざることなきが、 はかりごとをなすことすでにじょうじて、 すなはちかえりてたっすることをて、 父母ぶも親近しんごんしてほしいままにかんするがごとし。

ヘバ↧有リテ↠人被↢他抄掠↡、身為リテ↢下賎↡備ケムニ↢艱辛↡、忽ヒテ↢父母↡欲↣走↢帰ラムコトヲ↡、行装未ナホリテ↢他↡、日夜思惟シテ、苦不↠堪↠忍ブルニキガ↢時トシテクモテテルコト↟念↢耶嬢↡、為スコト↠計ジテ、便リテ↠達スルコトヲ、親↢近シテ父母縦任ホシキママ歓娯スルガ↥。

^ぎょうじゃもまたしかなり。 往因おういん煩悩ぼんのう 善心ぜんしんらんし、 ふく珍財ちんざいならびにみな散失さんしつして、 ひさしくしょうながて、 せいするに自由じゆならず。 つねにおうのためにぼく使となりて、 六道ろくどう駆馳くち 身心しんしんせつす。

行者ナリ。往因煩悩壊↢乱1301善心↡、福智財並皆散失シテ、久シクレテ↢生死↡、制スルニ不↢自由ナラ↡。恒↢魔王↡而作リテ↢僕使↡、駆↢馳六道↡苦↢切身心↡。

^いま善縁ぜんえんひて、 たちまちに弥陀みだ慈父じぶがんたがはずぐんじょう済抜さいばつしたまふことをきて、 にちきょうもうて、 しんおこしてかんとねが。 このゆゑにしょうごん0821してずして、 まさに仏恩ぶっとんねんずべし。 *ほうつくして、 しん つねにはかおもふべし。

今遇ヒテ↢善縁↡、忽キテ↧弥陀慈父不↠違↢弘願↡済↦抜シタマフコトヲ群生↥、日夜驚忙シテ、発シテ↠心↠往カムト所以コノユヱ精懃シテシテ↠倦、当↠念↢仏恩↡。報スヲ↠期心恒フベシ

二 ⅸ Ⅱ b ロ (四)無余修

^には無余むよしゅ。 いはくもつぱら極楽ごくらくもとめて弥陀みだ礼念らいねんするなり。 ただしょごうぎょうぞうせしめざれ。 しょごう日別にちべつにすべからく念仏ねんぶつじゅきょうしゅすべし。 余課よかとどめざるのみ」 と。

者无余修。謂メテ↢極楽↡礼↢念スルナリ弥陀↡。但諸余業行不↠令↢雑起↡。所作之業、日別↠修↢念仏誦経↡。不↠留↢余課↡耳。」

二 ⅸ 私釈
      厭煩

 ^わたくしにいはく、 しゅもん べし。 しげきをおそれてせず。

、四修之文可↠見。恐レテ↠繁而不↠解

二 ⅸ Ⅲ 釈要義
       

^ただぜんもん1253のなかに、 すでにしゅといひて、 ただ三修さんしゅのみあり。 もしはそのもんだっるか、 もしはそのこころあるか。

前文、既ヒテ↢四修↡、唯有↢三修ノミ↡。若シハセルカ↢其↡、若シハルカ↢其意↡也。

二 ⅸ Ⅲ b

^さらに脱文だつもん あらず。 そのふかこころゆうするなり。 なにをもつてかることをしゅ は、 いちにはじょうしゅにはおんじゅうしゅさんには無余むよしゅにはけんしゅなり。 しかるにはじめのじょうをもつて、 ただこれのち三修さんしゅ通用つうゆう

↢脱文↡。有スル↡也。テカ↠知ルコトヲ。四修者、一ニハ長時修、二ニハ慇重修、三ニハ無余修、四ニハ無間修也。而ルニ↢初長時↡、只是通↢用三修↡也。

^いはくおんじゅうもし退たいせば、 おんじゅうぎょうすなはちじょうずべからず。 無余むよもし退たいせば、 無余むよぎょうすなはちじょうずべからず。 けんもし退たいせば、 けんしゅ すなはちじょうずべからず。 この三修さんしゅぎょうじょうじゅせしめんがために、 みなじょうをもつて三修さんしゅぞくして、 つうじてしゅせしむるところなり。

慇重若退セバ、慇重之行即不↠可カラ↠成。無余若退セバ、無余之行即不↠可カラ↠成。無間若退セバ、無間之修即不↠可カラ↠成。為↠使メムガ↣成↢就三修↡、皆以↢長時↡属シテ↢於三修↡、所↠令ムル↢通ジテ↡也。

^ゆゑ三修さんしゅしもにみなけっして 、 「ひつみょう為期いごせいちゅう そくじょうしゅ (礼讃) といふこれなり。 れいするにかのしょうじん*五度ごどつうずるがごとのみ

三修之下皆結シテ、云↢「畢命為期誓不中止即是長時修」↡是也。例スルニ↣彼精進ズルガ↢於余五度↡而已。

化仏讃嘆章【化讃章】
    標章

【10】0822^弥陀みだぶつ来迎らいこうして、 *もんきょうぜん讃歎さんだんせずして、 ただ念仏ねんぶつぎょう讃歎さんだんしたまふもん

 弥陀化仏来迎シテ、不シテ↣讃↢歎聞経之善↡、唯讃↢歎シタマフ念仏之行之文

二 ⅹ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「あるいはしゅじょうありてもろもろの悪業あくごうつく 方等ほうどうきょうてんほうせずといへども、 かくのごときのにんおお衆悪しゅあくつくりてざん1254ることなし。

¬観1302無量寿経¼云、「或イハリテ↢衆生↡作↢衆悪業↡、雖↠不↣誹↢謗方等経典↡、如キノ↠此クノ愚人、多リテ↢衆悪↡無↠有ルコト↢慚愧↡。

^いのちおわらんとほっときぜんしき、 ためにだいじょうじゅうきょう首題しゅだいみょうむるにはん。 かくのごときのしょきょう をもつてのゆゑに、 千劫せんごうごくじゅう悪業あくごうじょきゃくす。 しゃまたおしへて、 たなごころあわあざへて ª南無なも弥陀みだぶつº としょうせしむぶつみなしょうするがゆゑに、 じゅう億劫おくこうしょうつみのぞく。

命欲スル↠終ラムト時、遇ハム↣善知識ムルニ↢大乗十二部経首題名字↡。以↠聞クヲ↢如キノ↠是クノ諸経↡故、除↢却千劫極重悪業↡。智者復教ヘテ、合↠掌アザヘテ↠手セシム↢南無阿弥陀仏↡。称スルガ↢仏↡故↢五十億劫生死之罪↡。

^そのときかのぶつ、 すなはちぶつかんおん大勢だいせいつかはして、 ぎょうじゃまえいたらしめ ˆぶつとうのˇ めてのたまはく、 ªぜんなんなんぢぶつみょうしょうするがゆゑにもろもろのつみしょうめつすれば、 われきたりてなんぢをむかふº」 と。

時彼仏、即シテ↢化仏・化観世音・化大勢至↡、至ラシメ↢行者↡、讃メテ、善男子、汝称スルガ↢仏名↡故罪消滅スレバ、我来リテフト。」

二 ⅹ Ⅱ 散善義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「くところさん、 ただしょうぶつこうべて、 ªわれきたりてなんぢをむかふº と もんきょうろんぜず。

ジキ¬疏¼云、「所↠聞化讃、但述ベテ↢称仏之功↡、我来リテフト↠汝、不↠論↢聞経之事↡。

^しかるにぶつがんのぞれば、 ただすすめてしょうねん みなしょうせしむ。 おうじょうきこと雑散ぞうさんごうおなじからず。 の ¬きょう¼ (観経) およびしょのなかのごとき処々しょしょひろたんじて、 すすめてみなしょうせしむまさに要益ようやくなするべし」 と。

ルニムレバ↢仏願意↡者、唯ススメ正念セシム↠名。往生義、疾キコト不↠同ジカラ↢雑散之業↡。如↢此¬経¼及諸部↡、処々ジテメテ↠称↠名。将↢要益↡也、応シト↠知。」

二 ⅹ 私釈
      釈讃嘆有無

 ^0823わたくしにいはく、 もんきょうぜん これ本願ほんがんにあらず。 *雑業ぞうごうゆゑにぶつめたまはず。 念仏ねんぶつぎょうはこれ本願ほんがんしょうごうゆゑに、 ぶつ讃歎さんだんしたまふ。

、聞経之善是非↢本願↡。雑業化仏不↠讃メタマハ。念仏之行是本願正業、化仏讃歎シタマフ

二 ⅹ Ⅲ 約滅罪多少

^しかのみならず、 もんきょう念仏ねんぶつ滅罪めつざいしょうどうなり。 ¬かんぎょう しょ¼ (散善義) にいは1255く、 「ひていはく、 なんがゆゑぞ、 きょうくことじゅうなるに、 ただつみのぞくこと千劫せんごうぶつしょうすることいっしょうするには、 すなはちつみのぞくことひゃく万劫まんごうなるは、 なんのこころぞや。

加之シカノミナラズ聞経↢念仏↡滅罪多少不同也。¬観経疏¼云、「問ヒテ、何クコト↠経十二部ナルニ、但除クコト↠罪千劫、称スルコト↠仏一声スルニハ、即クコト↠罪五百万劫ナル者、何也。

^こたへていはく、 造罪ぞうざいひとさわりおもくして、 くわるに死苦しくきたむるをもつてす。 善人ぜんにんきょうくといへども、 餐受さんじゅしんさんす。 しんさんずるによるがゆゑに、 つみのぞくことややかろし。 またぶつみょうはこれいちれば、 すなはちよくさんせっしてもつてしんじゅうせしむ。 またおしへてしょうねん みなしょうせしむ。 しんおもきによるがゆゑに、 すなはちよくつみのぞくことこうなり」

ヘテ、造罪之人障重クシテ、加フルニテス↢死苦来ムルヲ↡。善人雖↠説クト↢多経↡、餐受之心浮散。由ルガ↢心散ズルニ↡故、除クコト↠罪ヤヤ。又仏名是一ナレバ、即1303シテ↠散セシム↠心。復教ヘテ↢正念↟名。由ルガ↢心重キニ↡故、即クコト↠罪多劫也。」

約対讃嘆章【讃嘆念仏章】
    標章

【11】^*雑善ぞうぜん約対やくたいして念仏ねんぶつ讃歎さんだんするもん

 約↢対シテ雑善↡讃↢歎スル念仏↡之文

二 ⅺ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「もしぶつねんずるもの 、 まさにるべし、 このひとすなはちこれにんちゅうふん陀利だりなり。 かんおんさつ大勢だいせいさつ、 そのしょうとなる。 まさにどうじょうして諸仏しょぶついえうまべし」

¬観無量寿経¼云、「若ゼム↠仏者、当↠知、此是人中分陀利華ナリ。観世音菩薩・大勢至菩薩為↢其勝友↡。当シト↧坐シテ↢道場↡生↦諸仏↥。」

二 ⅺ Ⅱ 散善義

^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「ªにゃく念仏ねんぶつしゃº といふよりしも ªしょう諸仏しょぶつº にいたまでよりこのかたは0824、 まさしく念仏ねんぶつ三昧ざんまいのうちょうぜつして、 じつ雑善ぞうぜんるいなすことをるにあらざる1256ことをあらわす。 すなはちそあり。

ジキ¬疏¼云、「従↢若念仏者トイフ↡下至ルマデヨリ↢生諸仏家↡已来タハ、正シク↣念仏三昧功能超絶シテ、実ザルコトヲ↢雑善ルニ↟為コトヲ↢比類↡。即↢其五↡。

^いちにはもつぱら弥陀みだぶつみょうねんずることをし、 には能念のうねんひとることをし、 さんにはもしよく相続そうぞくして念仏ねんぶつれば、 このひとはなはだ希有けうとなし、 さらにものとしてもつてこれにならぶべきことなきことをかす。 ゆゑにふん陀利だりきてたとへとす。

ニハ↣専ズルコトヲ↢弥陀仏名↡、二ニハ↠讃ムルコトヲ↢能念之人↡、三ニハ↫若相続シテ念仏スレバ者、人甚↢希有↡、更キコトヲ↪物トシテキコト↩以ナラ↝之。故キテ↢分陀利↡為↠喩

^ªふん陀利だりº といふは、 にんちゅうこう、 また希有けう、 またにんちゅう上上じょうじょう、 またにんちゅうみょうこうづく。 このはな相伝そうでんしてさいづく。 この念仏ねんぶつのものは、 すなはちこれにんちゅう好人こうにんなり、 にんちゅうみょう好人こうにんなり、 にんちゅう上上じょうじょうにんなり、 にんちゅう希有けうにんなり、 にんちゅうさいしょうにんなり。

↢分陀利↡者、名↢人中好花↡、亦名↢希有花↡、亦名人中上々花↡、亦名↢人中妙好花↡。此花相伝シテ↢蔡花↡。念仏、即是人中好人ナリ、人妙好人ナリ、人中上々人ナリ、人中希有人ナリ、人中最勝人也。

^にはもつぱら弥陀みだみなねんれば、 すなはち観音かんのんせいつねにしたがひてようしたまふこと、 またしんしきのごとくなることをかす。 にはこんじょうにすでにこのやくこうむりて、 いのちすなはち諸仏しょぶついえることをかす。 すなはちじょうこれなり。 かしこにいた じょうほうきてりゃくようす。 いんまどかにまんどうじょう、 あにおそらんや」

ニハ↧専ズレバ↢弥陀↡者、即観音・勢至常ヒテ影護シタマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識↥也。五ニハ↧今生リテ↡、捨テテ↠命ルコトヲ↦諸仏之家↥。即浄土是也。到↠彼長時キテ↠法歴事供養。因円カニ果満。道場之座、豈ヲソカラムヤト↥。」

二 ⅺ 私釈
      釈約対雑善
       

 ^わたくしにひていはく、 ¬きょう¼ (観経)、 「もしぶつねんずるもの、 まさにるべし、 このにんとうといふは、 ただ念仏ねんぶつしゃやくして これを讃歎さんだんす。 しゃくいえ (善導) なんのこころありてか、 「じつ雑善ぞうぜんるい0825なすことるにあら1257ず」 (散善義) といひて、 雑善ぞうぜん相対そうたいしてひと念仏ねんぶつるや。

ヒテ、¬経ニハ¼云フハ↢「若ゼム↠仏者、当↠知、此人」等↡、唯約シテ↢念仏者↡而讃↢歎1304↡。釈家有リテカ↢何意↡、云ヒテ↣「実ズト↢雑善ルニ↟為コトヲ↢比類↡」、相↢対シテ雑善↡独ムル↢念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ a

^こたへていはく、 もんのなかにかくれたりといへども、 これあきけし所以ゆえんは、 この ¬きょう¼ (観経) すでにじょうさん諸善しょぜんならびに念仏ねんぶつぎょうきて、 そのなかにおいてひと念仏ねんぶつひょうしてふん陀利だりたとふ。 雑善ぞうぜんたいするにあらずは、 いかんがよく念仏ねんぶつこうぜんしょぎょうえたることをあらわさん。

ヘテ、文↠隠レタリト、義意是明ケシ。所↢以知↡者、此¬経¼既キテ↢定散諸善并念仏↡而於↢其シテ↢念仏↡喩芬陀利↡。非ズハ↠待スルニ↢雑善↡云何サム↣念仏エタルコトヲ↢余善諸行↡。

二 ⅺ Ⅲ 釈讃嘆念仏
        正示
          (一)【五種嘉誉】

^しかればすなはち 念仏ねんぶつしゃはすなはちこれにんちゅう好人こうにん」 と は、 これあくたいして むるところなり。 「にんちゅうみょう好人こうにん」 といふは、 これあくたいして しょうするところなり。 「にんちゅう上上じょうじょうにん」 といふは、 これ下下げげたいしてむるところなり。 「にんちゅう希有けうにん」 といふは、 これじょうたいして むるところなり。 「にんちゅうさいしょうにん」 といふは、 これ最劣さいれつたいして むるところなり。

レバ「念仏者是人中好人」者、是待シテ↠悪而所↠ムル也。言↢「人中妙好人」↡者、是待シテ↢麁悪↡而所↠称スル也。言↢「人中上々人」↡者、是待シテ↢下々↡而所↠讃ムル也。言↢「人中希有人」↡者、是待シテ↢常有↡而所↠歎ムル也。言↢「人中最勝人」↡者、是待シテ↢最劣↡而所↠褒ムル也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)料簡
            (Ⅰ)示通九品
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 すでに念仏ねんぶつをもつて上上じょうじょうけば、 なんがゆゑぞ、 上上じょうじょうぼんのなかにかずして下下げげぼんいたりて 念仏ねんぶつくや。

ヒテ、既↢念仏↡名ケバ↢上上者、シテ↠説↢上々品↡至リテ↢下々品↡而説↢念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)
                (a)正宗

^こたへていはく、 あにさきにいはずや。 念仏ねんぶつぎょうひろぼんわたるとすなはちさきくところの ¬おうじょうようしゅう¼ (下) 、 「そのしょうれつしたがひてぼんわかつべし」 といこれなり。

ヘテ、豈↠云念仏之行ルト↢九品↡。即↠引¬往生要集¼云↧「随ヒテ↢其勝劣↡応シト↞分↢九品↡」是也。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)示功徳超絶
                  (イ)正釈

^しかのみならずぼんしょうはこれぎゃくじゅうざいひとなり。 しかるによく1258ぎゃくざい除滅じょめつすること、 ぎょう0826へざるところなり。 ただ念仏ねんぶつちからのみありて、 よくじゅうざいめっするにへたり。 ゆゑ*極悪ごくあくさいひとのために極善ごくぜんさいじょうほうくところなり。

加之シカノミナラズ下品下生是五逆重罪之人也。而ルニ除↢滅スルコト逆罪↡、所ナリ↠不↠堪↢余行↡。唯有リテ↢念仏之力ノミ↡、能ヘタリ↠滅スルニ↢於重罪↡。故↢極悪最下之人ナリ↠説↢極善最上之法↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)引例
                    [一]約顕教
                      [Ⅰ]正引

^れいするに、 かの*みょう淵源えんげんやまい は、 *ちゅうどうぞうくすりにあらずはすなはちすることあたはざるがごとし。

スルニ↧彼無明淵源之病、非ズハ↢中道府蔵之薬↡即ルガ↞能↠治スルコト

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]会釈

^いまこのぎゃく重病じゅうびょう淵源えんげんなり。 またこの念仏ねんぶつ霊薬れいやくぞうなり。 このくすりにあらずは、 なんぞこのやまいせん。

今此五逆重病淵源ナリ。亦此念仏霊薬府蔵ナリ。非ズハ↢此↡者、何セム↢此↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]約密教
                      [Ⅰ]正引

^ゆゑ*弘法こうぼうだい¬*きょうろん¼ に、 ¬*ろっ波羅ぱらみつきょう¼ をきていはく、 「だいさん法宝ほうぼうといふは、 いはゆる過去かこ りょう諸仏しょぶつ 所説しょせつしょうぼう、 およびわがいまの所説しょせつなり。 いはゆる八万はちまんせんのもろもろの*みょうほううんなり。

弘法大師¬二教論¼引キテ↢¬六波羅蜜経1305¼↡云、「第三法宝トイフ者、所謂過去無量諸仏所説正法、及所説ナリ。所謂八万四千妙法ナリ

^ないえんしゅじょう調じょうぶく純熟じゅんじゅくして、 *なんとう諸大しょだい弟子でしをしてひとたびみみきてみなことごとくおくせしむせっしてぶんす。 いちには*素そたらんには*毘奈びなさんには*阿毘あびだつには*般若はんにゃ波羅はらみっには*陀羅だらもんなり

乃至調↢伏純↣熟シテ有縁衆生↡而令↧阿難陀等諸大弟子ヲシテ、一タビキテ↢於耳↡皆悉憶持↥。摂シテ↢五分↡。一ニハ纜、二ニハ毘奈耶、三ニハ阿毘達磨、四ニハ般若波羅蜜多、五ニハ陀羅尼門ナリ

^この*しゅぞうじょうきょうしてすべきところにしたがひて、 ためにこれをく。 もしかのじょう山林せんりんしょせんとねがひて、 つねに*げんじゃくして*じょうりょしゅするものには、 しかもかれために素そた纜蔵らんぞうく。

五種教↢化シテ有情↡、随ヒテ↠所↠応↠度而為↠之。若有情楽ヒテ↠処セムト↢山林↡、常シテ閑寂↡修セム↢静慮↡者ニハ、而↠彼↢素纜蔵↡。

^もしかのじょう *威儀いぎねがならひ、 しょうぼう護持ごじいちごうしてじゅうすることを1259めんには、 しかもかれために毘奈びなぞうく。

有情楽↢習威儀↡、護↢持シテ正法↡、一味和合シテメムニハ↠得↢久住スルコトヲ↡、而↠彼↢毘奈耶蔵↡。

^もしかのじょう 0827しょうぼうねがひてき、 *しょうそう分別ふんべつし、 *じゅんかんけんかくして甚深じんじんきょうせんには、 しかもかれために阿毘あびだつぞうく。

有情楽ヒテ↢説正法↡、分↢別性相↡、循環研覈シテ究↢竟セムニハ甚深↡、而↠彼↢阿毘達磨蔵↡。

^もしかのじょう だいじょう真実しんじつ智慧ちえねがなら*ほう執着しゅうじゃく分別ふんべつはなれんには、 しかもかれために般若はんにゃ波羅はらみっぞうく。

有情楽↢習シテ大乗真実↡、離レムニハ↢於我法執著分別↡、而↠彼↢般若波羅蜜多蔵↡。

^もしかのじょう*かいきょう*調じょうぶく*対法たいほう*般若はんにゃ じゅすることあたはずあるいはまたじょう、 もろもろの悪業あくごうつくらん。 *じゅう*はちじゅう*五無ごむ間罪けんざい*ほう方等ほうどうきょう*一闡いっせんだいとう種々しゅじゅじゅうざいしょうめつすることをめ、 すみやかにだつ はんさとらしめんには、 しかもかれためにもろもろの陀羅だらぞうく。

有情不↠能↣受↢持スルコト契経・調伏・対法・般若↡、或イハ復有情造ラム↢諸悪業↡。四重・八重・五無間罪・謗方等経・一闡提等種々重罪ヲシテ使↠得↢銷滅スルコトヲ解脱ラシメムニハ↢涅槃↡、而↠彼↢諸陀羅尼蔵↡。

^このぞうは、 たとへば*にゅうらくしょうじゅくおよびみょうだいのごとし。 かいきょうにゅうのごと調じょうぶくらくのごと対法たいほう きょうはかのしょうのごとだいじょう般若はんにゃなほじゅくのごと*そうもん はたとへばだいのごとし。

五蔵、譬ヘバ↢乳・酪・生蘇・蘇及妙醍醐↡。契経↠乳、調伏↠酪、対法教者如↢彼↡、大乗般若シハ猶如↢熟↡、総持門者譬ヘバ↢醍醐↡。

^だいあじはひ にゅうらくのなかにみょう第一だいいちなり。 よくしょびょうのぞきて、 もろもろのじょうをして身心しんしん安楽あんらくならしむ。 そうもん かいきょうとうのなかにもつとも第一だいいちす。 よくじゅうざいのぞき、 もろもろのしゅじょうをしてしょうだつすみやかにはん安楽あんらく 法身ほっしんしょうせしむ

醍醐之味1306乳・酪・微妙第一ナリ。能キテ↢諸病↡、令↢諸有情ヲシテ身心安楽ナラ↡。総持門者契経等↢第一↡。能↢重罪↡、令ムト↧諸衆生ヲシテ解↢脱シテ生死↡速↦涅槃安楽法身↥。」

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]会釈

^このなか 五無ごむけんざい はこれぎゃくざいなり。 すなは1260だいみょうやくにあらずは、 五無ごむけんやまいはなはだりょうしがたしとす。 念仏ねんぶつもまたしかなり。 おうじょうきょうのなかに 念仏ねんぶつ三昧ざんまいはこれそうのごと、 また0828だいのごとし。 もし念仏ねんぶつ三昧ざんまいだいくすりにあらずは、 ぎゃくじんじゅうやまいははなはだしがたしとす、 るべし。

中、五無間罪者是五逆罪也。即ズハ↢醍醐之妙薬↡者、五無間病甚↠難シト↠療。念仏亦然ナリ。往生念仏三昧是如↢総持↡、亦如↢醍醐↡。若ズハ↢念仏三昧醍醐之薬↡者、五逆深重↠難シト↠治、応↠知

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)明滅罪遍
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 もししからばぼん上生じょうしょうはこれじゅうあくきょうざいひとなり。 なんゆゑぞ念仏ねんぶつくや。

ヒテ、若ラバ者下品上生是十悪軽罪之人也。何念仏↡乎。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)

^こたへていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいじゅうざいなほめっす。 いかにいはんやきょうざいをや。 ぎょうはしからず。 あるいはきょうめっしてじゅうめっせざるあり。 あるいはいちして さざるあり。 念仏ねんぶつはしからず。 軽重きょうじゅうめっす、 一切いっさいあまねくす。 たとへば*伽陀かだやくのあまねく一切いっさいやまいするがごとし。 ゆゑ念仏ねんぶつをもつて*おう三昧ざんまい

ヘテ、念仏三昧重罪尚滅。何軽罪哉。余行不↠然。或イハ↢滅シテ↠軽而不↟滅↠重。或イハ↢消↠一而不↟消↠二。念仏不↠然。軽重兼、一切遍。譬ヘバ↣阿伽陀薬スルガ↢一切↡。故↢念仏↡為↢王三昧↡。

二 ⅺ Ⅲ b イ (二)(Ⅲ)明九品一往

^おほよそぼん配当はいとうはこれ一往いちおうなり。 *ぎゃくしん 上上じょうじょうつうず。 *読誦どくじゅ妙行みょうぎょう また下下げげつうず。 じゅうあくきょうざいかいざい おのおのじょうつうじ、 第一だいいちほつだいしん またじょうつうず。 一法いっぽうにおのおのぼんあり。 もしほんやくせば、 すなはち九九くくはちじゅういちぼんなり。

九品配当是一往ナリ。五逆廻心通↢於上々↡。読誦妙行亦通↢下々↡。十悪軽罪、破戒次罪各↢上下↡、解第一義、発菩提心亦通↢上下↡。一法↢九品↡。若セバ↠品九々八十一品也。

^しかのみならずざい (浄土論) のいはく、 「しゅじょうぎょうおこすにすでに千殊せんじゅあり。 おうじょうしてことまた万別まんべつあり」 いちおうもん*ふうしゅう1261おこすことなかれ。

加之シカノミナラズ迦才、「衆生起スニ↠行↢千殊↡。往生シテルコト↠土亦有リト↢万別↡。」見↢一往↡莫↠起スコト↢封執↡。

二 ⅺ Ⅲ b 結示

^そのなかに念仏ねんぶつはこれすなはちしょうぎょうなり。 ゆゑふん陀利だりきて、 もつてその喩譬たとえす。 こころるべし

念仏是即勝行ナリ。故キテ芬陀利↡、以↢其喩譬 タトヘ ↡。意応

二 ⅺ Ⅲ 明念仏勝益
        明種々益

^しかのみならず念仏ねんぶつ ぎょうじゃをば、 観音かんのんせいかげかたちとのごとくしばらくもしゃず。 ぎょうはしからず。 ま0829念仏ねんぶつしゃは、 いのちてをはりてのちけつじょうして極楽ごくらくかいおうじょうす。 ぎょうじょうなり。

加之シカノミナラズ念仏行1307ヲバ観音・勢至、如↢影↟形暫クモ不↢捨離↡。余行不↠爾。又念仏者、捨↠命リテ後決定シテ往↢生極楽世界↡。余行不定ナリ

 ^おほよそ*しゅ嘉誉かよながし、 そん (観音・勢至)ようこうむこれはこれ*現益げんやくなり。 またじょうおうじょうないぶつになる、 これはこれ*当益とうやくなり。

↢五種↡、蒙↢二尊影護↡、是現益也。亦往↢生シテ浄土↡、乃至成↠仏、此是当益也。

二 ⅺ Ⅲ c 明始終両益【始終両益】

^またどうしゃくぜん 念仏ねんぶついちぎょうにおいてじゅうりょうやく¬安楽あんらくしゅう¼ (下) にいはく、 「ª念仏ねんぶつしゅじょう 摂取せっしゅしてたまはず寿いのちきてかならずしょうずº (観経) 。 これをやくづく。

又道綽禅師於↢念仏一行↡立↢始終両益↡。¬安楽集¼云、「念仏衆生摂取シテ不↠捨テタマハ、寿尽キテ。此↢始益↡。

^じゅうやくといふは、 ¬*観音かんのんじゅきょう¼ によるに、 ª弥陀みだぶつじゅうすることじょうにして、 ちょうさい永劫ようごうにまためつしたまふことあり。 はつはんとき、 ただ観音かんのんせいありて、 安楽あんらくじゅうし、 十方じっぽうしょういん。 そのぶつめつまたじゅうせつ等同とうどう。 しかるにかのくにしゅじょう一切いっさいぶつけんするものあることなし。

↢終益↡者、依ルニ↢¬観音授記¼↡、阿弥陀仏住スルコト↠世長久ニシテ、兆載永劫亦有↢滅度シタマフコト↡。般涅槃時、唯有リテ↢観音・勢至↡、住↢持安楽↡、接↢引十方↡。其滅度亦与↢住世↡時節等同ナリ。然ルニ衆生、一切無↠有ルコト覩↢見スル↡者↥。

^ただ一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつねんじておうじょうるもののみありて、 つねに弥陀みだげんにましましてめっしたまはずと1262るº 。 これはすなはちこれそのじゅうやくなり」

唯有リテ↧一向ジテ↢阿弥陀仏↡往生スルノミ↥、常ルト↢弥陀シテ↟滅シタマハ。此是其終益也。」

二 ⅺ Ⅲ c 結上来諸益

^まさにるべし。 念仏ねんぶつはかくのごとき現当げんとう二世にせじゅうりょうやくあり、 るべし。

↠知。念仏↢如↠此クノ現当二世、始終両益↡、応↠知

付属念仏章【念仏付属章】
    標章

【12】0830^しゃくそん じょうさんしょぎょうぞくせず 、 ただ念仏ねんぶつをもつてなんぞくしたまもん

 釈尊不↣付↢属定散諸行↡、唯以↢念仏↡付↢属シタマフ阿難之文

二 ⅻ 引文
      観経

 ^¬かんりょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「ぶつなんげたまはく、 ªなんぢよくこのたもて。 このたもてと は、 すなはちこれりょう寿じゅぶつみなたもてとなりº」

¬観無量寿経¼云、「仏告ゲタマハク↢阿難↡、汝好↢是↡。持テト↢是↡者、即是持テトナリト↢無量寿仏↡。」

二 ⅻ Ⅱ 散善義

 ^どうきょうの ¬しょ¼ (散善義) にいはく、 「ª仏告ぶつごうなん汝好にょこう是語ぜごº といふより以下いげは、 まさしく弥陀みだみょうごうぞくして、 だいずうすることをかす。 かみよりこのかたじょうさんりょうもんやくくといへども、 ぶつ本願ほんがんのぞむるにこころしゅじょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり」 と。

ジキ¬疏¼云、「従↢仏告阿難汝好持是語トイフ↡已下、正シク↧付↢属シテ弥陀名号1308↡流↦通スルコトヲ於遐代↥。上ヨリ↠説クト↢定散両門之益↡、望ムルニ↢仏本願↡、意在リト↣衆生ヲシテ一向セシムルニ↢弥陀仏↡。」

二 ⅻ 私釈
      総標二行

 ^わたくしにいはく、 ¬しょ¼ (散善義)もんあんずるにぎょうあり。 いちにはじょうさんには念仏ねんぶつなり

、案ズルニ↢¬疏¼文↡有↢二行↡。一ニハ定散、二ニハ念仏ナリ

二 ⅻ Ⅲ 別釈
        定散
          (一)標列

^はじめにじょうさんといふはまたわかちてす。 いちじょうぜん散善さんぜんなり

↢定散↡者、又分チテ↠二。一ニハ定善、二ニハ散善ナリ

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)正釈
            (Ⅰ)【定善】
              (ⅰ)列名

^はじじょうぜんにつきて、 そじゅうさんあり。 いちには*日想にっそうかんには*水想すいそうかんさんには*想観そうかんには*宝樹ほうじゅかんには*ほうかんろくには*ほうろうかく1263かんしちには*華座けざかんはちには*像想ぞうそうかん0831*弥陀みだ仏観ぶつかんじゅうには*観音かんのんかんじゅういちには*せいかんじゅうには*おうじょうかんじゅうさんには*雑想ざっそうかんなり。 つぶさに きょうせつごとし。

キテ↢定善↡、有↢其十三↡。一者日想観、二者水想観、三者地想観、四者宝樹観、五者宝池観、六者宝楼閣観、七者花座観、八者像想観、九者阿弥陀仏観、十者観音観、十一者勢至観、十二者普往生観、十三者雑想観ナリ。具↢経説↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)明益

^たとひ ぎょうなしといへども、 あるいはいち、 あるいはその所堪しょかんしたがひてじゅうさんがんしゅしておうじょうべし。 そのむね ¬きょう¼ (観経)えたり。 あへて*りょすることなかれ。

↠無シト↢余行↡、或イハ一或イハ多、随ヒテ↢其所堪↡修シテ↢十三観↡可↠得↢往生↡。其旨見エタリ↢¬経¼↡。敢↢疑慮スルコト↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)【散善】
              (ⅰ)標列

 ^つぎ散善さんぜんにつきてあり。 いちには三福さんぷくにはぼんなり

キテ↢散善↡有↠二。一者三福、二者九品ナリ

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)別釈
                (a)三福
                  (イ)挙経文

^はじ三福さんぷく は、 ¬きょう¼ (観経) にのたまはく、 「いちにはきょうよう父母ぶも奉事ぶじちょうしんせつしゅじゅう善業ぜんごうにはじゅさんそく衆戒しゅかいぼん威儀いぎさんにはほつだいしん深信じんしんいん読誦どくじゅだいじょう勧進かんじんぎょうじゃなり」 以上経文

三福者、¬経¼曰、「一者孝養父母、奉事師長、慈心不殺、修十善業。二者受持三帰、具足衆戒、不犯威儀。三者発菩提心、深信因果、読誦大乗、勧進行者ナリト。」 已上経文

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)随釈
                    [一]世福

・教養父母

^きょうよう父母ぶも」 と は、 これにつきてあり。 いちにはけんきょうようにはしゅっきょうようなり。 けんきょうよう は ¬*こうきょう¼ とうせつのごとし。 しゅっきょうよう *りつちゅう*しょうえん奉事ぶじほうのごとし。

「孝養父母」者、付キテ↠之↠二。一ニハ世間孝養、二ニハ出世孝養也。世間孝養者如↢¬孝経¼等↡。出世孝養者如↢律中生縁↡。

・奉事師長

^奉事ぶじちょう」 と は、 これにつきてまたあり。 いちにはけんちょうにはしゅっちょうなり。 けん じんれいしんとうおしふるなり。 しゅっ しょうどうじょうもんとうおしふるなり。 たとひぎょうなしといへども、 きょうよう奉事ぶじをもつておうじょうごうなすなり。

「奉事師長」者、付キテ↠之又有↠二。一ニハ世間師長、二ニハ出世師長也。世間者教フル↢仁1309・義・礼・智・信等↡師也。出世者教フル↢聖道・浄土二門等↡師也。縦↠無シト↢余行↡、以↢孝養・奉事↡為↢往生↡也。

・慈心不殺修十善業

^しんせつしゅじゅう善業ぜんごう」 と 1264、 これにつきて あり。

「慈心不殺修十善業」者、就キテ↠此↢二義↡。

^いちには はじ しんせつ」 と は、 これ四無しむりょうしんのなかのはじめのりょうなり。 すなはちはじめのいちげてのちさんせっするなり。 たとひぎょうなしといへども、 四無しむりょうしんをもつて0832おうじょうごうなすつぎに 「しゅじゅう善業ぜんごう」 と は、 いちせっしょう偸盗ちゅうとうさん邪婬じゃいんもう綺語きごろくあっしちりょうぜつはちとんしんじゅう邪見じゃけんなり。

者初慈心不殺者、是四無量心慈無量也。即ゲテ↢初↡摂スル↢後↡也。縦↠無シト↢余行↡、以↢四無量心↡為↢往生↡也。次修十善業者、一不殺生、二不偸盗、三者不邪婬、四不妄語、五不綺語、六不悪口、七不両舌、八不貪、九不瞋、十不邪見也。

^には 「しんせつ しゅじゅう善業ぜんごう」 の二句にくがっしていっなすとは、 いはくはじめの 「しんせつ は、 これ四無しむりょうのなかのりょうにはあらず。 これじゅうぜんはじめのせつす。 ゆゑりぬ、 まさしくこれじゅうぜんいっなり。 たとひぎょうなしといへども、 じゅう善業ぜんごうをもつておうじょうごうなす

者合シテ↢慈心不殺修十善業二句↡而為トハ↢一句↡、謂慈心不殺者、是非↢四無量之中慈無量ニハ↡。是指↢十善之初不殺↡。故リヌ、正シク是十善之一句也。縦↠無シト↢余行↡、以↢十善業↡為↢往生↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]戒福

・受持三帰

^じゅさん」 と 仏法ぶっぽうそう帰依きえするなり。 これにつきてあり。 いちだいじょうさん小乗しょうじょうさんなり。

「受持三帰」者、帰↢スル仏法僧↡也。就キテ↠此↠二。一者大乗三帰、二者小乗三帰也。

・具足衆戒

^そく*衆戒しゅかい」 と は、 これに あり。 いちだいじょうかい小乗しょうじょうかいなり。

「具足衆戒」者、↠二。一者大乗戒、二者小乗戒也。

・不犯威儀

^ぼん威儀いぎ」 と は、 これにまたあり。 いちだいじょういはく八万はちまんあり。 小乗しょうじょういはく三千さんぜんあり。

「不犯威儀」者、此亦有↠二。一者大乗、謂↢八万↡。二者小乗、謂↢三千↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[三]行福

・発菩提心

^ほつだいしん」 と は、 しょこころどうなり。

「発菩提心」者、諸師意不同也。

^*天台てんだいにはすなはち*きょうだいしんあり。 いはくぞうつうべつえんこれなり。 つぶさに ¬*かん¼ せつごとし。

天臺ニハ↢四教菩提心↡。謂蔵・通・別・円是也。具ニハ↢¬止観¼説↡。

^*真言しんごんにはすなはち三種さんしゅだいしんあり1265。 いはく*ぎょうがん*しょう*さん摩地まじこれなり。 つぶさに ¬*だい心論しんろん¼ せつごとし。

真言ニハ↢三種菩提心↡。謂行願・勝義・三摩地是也。具ニハ↢¬菩提心論¼説↡。

^*ごんまただいしんあり。 かの ¬*だいしん¼ および ¬*遊心ゆうしん安楽あんらくどう¼ とうせつのごとし。

華厳1310ニハ亦有↢菩提心↡。如↢彼¬菩提心義¼及¬遊心安楽道¼等↡。

^*三論さんろん*法相ほっそうにおのおのだいしんあり。 つぶさにかのしゅうしょうしょとうせつのごとし。

三論・法相↢菩提心↡。具ニハ↢彼章疏等↡。

^0833善導ぜんどうしょしゃくだいしんあり。 つぶさに ¬しょ¼ (観経疏)ぶるがごとし。

又有↢善導所釈菩提心↡。具ニハ↢¬疏¼述ブルガ↡。

^ほつだいしん」 、 そのことばいちなりといへども、 おのおのそのしゅうしたがひてそのどうなり。 しかればすなはち 「だいしん」 のいっひろしょきょうわたり、 あまねく顕密けんみつねたり。 *意気いき博遠はくおんにして*詮測せんしきちゅうばくなり。 ねがはくは もろもろのぎょうじゃいちしゅうしてまんしゃすることなかれ。 もろもろのおうじょうもとむるひと、 おのおのすべからくしゅうだいしんおこすべし。 たとひぎょうなしといへども、 だいしんをもつておうじょうごうなす

発菩提心、其言雖↠一ナリト、各ヒテ↢其↡其義不同ナリ。然レバ菩提心之一句、広↢諸経↡、遍ネタリ↢顕密↡。意気博遠ニシテ詮測沖邈ナリ。願クハ行者、莫↢執シテ↠一スルコト↟万。諸メム↢往生↡之人各↠発↢自宗之菩提心↡。縦↠無シト↢余行↡、以↢菩提心↡為↢往生↡也。

・深信因果

^深信じんしんいん」 と は、 これにつきてあり。 いち けんいん しゅっいんなり。 けんいんは、 すなはち六道ろくどういんなり。 ¬*しょうぼうねんぎょう¼ せつごとし。 しゅっいん は、 すなはち*しょういんなり。 もろもろのだい小乗しょうじょうきょうせつごとし。 もしこのいん ほうをもつてあまねくしょきょうせっば、 しょどうなり。

「深信因果」者、付キテ↠之↠二。一者世間因果、二者出世因果ナリ。世間因果者即六道因果也。如↢¬正法念経¼説↡。出世因果者即四聖因果也。如↢諸大小乗経↡。若↢此因果二法↡遍セバ↢諸経↡者、諸家不同ナリ

^しばらく*天台てんだいによらば、 いはく ¬ごん¼ ぶつさつ しゅいん、 「ごん 1266しょうもん縁覚えんがくじょういん方等ほうどうしょきょう *じょういん般若はんにゃ」 のしょきょう つうべつえんいん、 ¬ほっ¼ 仏因ぶついんぶっ、 ¬はん¼ はまたじょういん

ラバ↢天臺↡、謂華厳者説↢仏・菩薩二種因果↡、阿含者説↢声聞・縁覚二乗因果↡、方等諸経者説↢四乗因果↡也。般若諸経者説↢通・別・円因果↡、法華者説↢仏因仏果↡、涅槃者又説↢四乗因果↡也。

^しかればすなはち 深信じんしんいん」 のことばあまねく一代いちだいつらねたり。 もろもろのおうじょうもとむるひと、 たとひぎょうなしと0834いへども、 深信じんしんいんをもつておうじょうごうすべし。

レバ深信因果之言、遍普 アマネ ツラネタリ於一代↡矣。諸メム↢往生↡之人縦↠無シト↢余行↡、以↢深信因果↡可↠為↢往生↡。

・読誦大乗

^読誦どくじゅだいじょう」 と は、 わかちてとなす。 いち読誦どくじゅだいじょうなり。

「読誦大乗」者、分チテ而為↠二。一者読誦、二者大乗ナリ

^読誦どくじゅ」 とは、 すなはちこれ*しゅほっのなか *転読てんどく*じゅ二師にしげてじゅとうさんあらわ もし*十種じっしゅ ほうぎょうやくせば、 すなはちこれ*どくじゅしゅほうぎょうげて、 書写しょしゃようとう八種はっしゅ ほうぎょうあらわすなり。

読誦者即是五種法師之中挙ゲテ↢転1311読・諷誦二師↡、顕受持等三師↡。若セバ↢十種法行↡者、是挙ゲテ↢披読・諷誦二種法行↡、顕書写・供養等八種法行↡也。

^だいじょうは、 小乗しょうじょうえらことばなり。 べっしていっきょうすに あらず。 つうじて一切いっさいしょだいじょうきょう 。 いはく一切いっさい は、 ぶつひろ一代いちだい 所説しょせつしょだいじょうきょうす。 しか一代いちだい所説しょせつにおいて、 *けつじゅうきょうあり けつじゅうきょうあり。 またけつじゅうきょうにおいて、 あるいはりゅうかくれて *人間にんげん流布るふせざるきょうあり あるいは天竺てんじく (印度)とどまりて、 いまだかん (中国)来到らいとうせざるきょうあり。

者簡↢小乗↡之言也。別シテ↠指スニ↢一経↡。通ジテ↢一切諸大乗経↡。謂一切者、仏意広↢一代所説諸大乗経↡。而↢一代所説↡、有↢已結集経↡↢未結集経↡。又於↢已結集↡、或イハ↧隠レテ↢竜宮↡不↣流↢布人間↡之経↥。或イハ↧留マリテ↢天竺↡未↣来↢到漢地↡之経↥。

^しかるいま翻訳ほんやくしょうらいきょうにつきてこれをろんば、 ¬*貞元ていげんにゅうぞうろく¼ のなかに、 ¬だい般若はんにゃきょう¼ ろっぴゃくかんよりはじめて ¬ほう1267常住じょうじゅうきょう¼ におわるまで、 顕密けんみつだいじょうきょうすべてろっぴゃくさんじゅうしちせんはっぴゃくはちじゅうさんかんなり。 みなすべからく 「読誦どくじゅだいじょう」 のいっせっすべし。

ルニ今就キテ↢翻訳将来之経↡而論ゼバ↠之者、¬貞元入蔵¼中、始メテ↠自↢¬大般若経¼六百巻↡終ルマデ↢于¬法常住経¼↡、顕密大乗経総ジテ六百三十七部二千八百八十三巻也。皆須↠摂↢読誦大乗之一句↡。

^ねがはくは 西方さいほうぎょうじゃ、 おのおのその*ぎょうしたがひて、 あるいは ¬ほっ¼ を読誦どくじゅしてもつておうじょうごうし、 あるいは ¬ごん¼ を読誦どくじゅしてもつておうじょうごうし、 あるいは ¬*しゃ¼・¬*きょうおう¼ および諸尊しょそんほうとうじゅ読誦どくじゅしてもつておうじょうごうし、 あるいは 「般若はんにゃ」・方等ほうどうおよび ¬はんぎょう¼ とうせつし、 書写しょしゃ0835してもつておうじょうごうなせ。 これすなはちじょうしゅうの ¬かんりょう寿じゅきょう¼ のこころなり。

クハ西方行者、各ヒテ↢其意楽↡、或イハ読↢誦シテ法華↡以↢往生↡、或イハ読↢誦シテ華厳↡以↢往生↡、或イハ受↢持読↣誦シテ遮那・教王及以 オヨビ 諸尊法等↡以↢往生↡、或イハ解↢説書↣写シテ般若・方等及以 オヨビ 涅槃経等↡以↢往生↡。是則浄土宗¬観無量寿経¼意也。

 ^ひていはく、 顕密けんみつむねことなり、 なんぞけんのなかにみつせっするや。

ヒテ、顕密旨異ナリ、何スル↠密乎。

^こたへていはく、 これは顕密けんみつむねせっせんといふにはあらず。 ¬貞元ていげんにゅうぞう ろく¼ のなかに、 おなじくこれを だいじょうきょうかぎりにゆゑに 「読誦どくじゅだいじょう」 のいっせっるなり

ヘテ↠云フニハ↠摂セムト↢顕密之旨↡。¬貞元入蔵録¼中、同ジクミテ↠之而入↢大乗経↡。故スル↢読誦大乗一句↡也。

 ^ひていはく、 *ぜんきょうのなかになんぞ ¬ほっ¼ をせっするや。

ヒテ、爾前スル↢¬法華¼↡乎。

^こたへていはく、 いまいふところの 「せつ」 と は、 *ごんじつへんえんとうろんずるにはあらず。 「読誦どくじゅだいじょう」 のことば、 あまねくぜんだいじょう しょきょうつうず。 ぜん は ¬かんぎょう¼ ぜんしょだいじょうきょうこれなり。 *おう以後いごしょだいじょうきょうこれなり。 ただ1268だいじょうといひて権実ごんじつえらぶことなし。 しかればすなはちまさしく ¬ごん¼・方等ほうどう・「般若はんにゃ」・¬ほっ¼・¬はん¼ とうしょだいじょうきょうあたれり。

ヘテ、今所1312↠言者、非↠論ズルニハ↢権・実・偏・円等↡。読誦大乗之言普↢前後大乗諸経↡。前者¬観経¼已前諸大乗経是也。後者王宮已後諸大乗経是也。唯ヒテ↢大↡無↠選ブコト↢権実↡。然レバシクレリ↢華厳・方等・般若・法華・涅槃等諸大乗経↡也。

・勧進行者

^*勧進かんじんぎょうじゃ」 と は、 いはくじょうさん諸善しょぜんおよび念仏ねんぶつ三昧ざんまいとう勧進かんじんするなり。

「勧進行トハ」、謂勧↢進スル定散諸善及念仏三昧等↡也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)九品
                  (イ)

 ^つぎぼん は、 さき*三福さんぷくかいしてぼんごうす。

九品者開シテ↢前三福↡為↢九品↡。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)別明摂属
                    [一]明上三品

・上品上生

^いはくじょうぼん上生じょうしょうのなかに 「しんせつ」 といふは、 すなはちかみふくのなかのだいさんあたつぎに 「しょかいぎょう」 と は、 すなはちかみ戒福かいふくのなかのだいの 「そく衆戒しゅかい」 にあたつぎに 「読誦どくじゅだいじょう」 と は、 すなはちかみぎょうふくのなかのだいさんの 「読誦どくじゅだいじょう」 にあたつぎに 「*しゅ0836ぎょう六念ろくねん」 と は、 すなはちかみだいさんふくのなかのだいさんこころなり。

上品上生↢「慈心不殺」↡者、即↢上世福第三之↡。次「具諸戒行」者、即↢上戒福第二之句「具足衆戒」↡。次「読誦大乗」者、即↢上行福「読誦大乗」↡。次「修行六念」者、即第三第三句之意也。

・上品中生

^じょうぼん中生ちゅうしょうのなかに 「ぜん解義げぎしゅとうといふは、 すなはちこれかみ第三だいさん ふくのなかのだいだいさんこころなり。

上品中生↢「善解義趣」等↡者、即是上第三福第二・第三意也。

・上品下生

^じょうぼんしょうのなかに 「深信じんしんいん *ほつ道心どうしんとうといふは、 すなはちこれかみだいさんふく第一だいいちだいこころなり。

上品下生↢「深信因果・発道心」等↡者、即是上第三第一・第二意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]明中三品

・中品上生

^ちゅうぼん上生じょうしょうのなかに 「じゅかいとうといふは、 すなはちかみだいふくのなかのだいこころなり。

中品上生↢「受持五戒」等↡者、即第二第二意也。

・中品中生

^ちゅうぼん中生ちゅうしょうのなかに 「わく一日いちにちいちじゅはっ戒斎かいさいとうといふは、 またおなじくかみだいふくこころ なり。

中品中生↢「或一日一夜受持八戒斎」等↡者、又同ジク第二福之意也。

・中品下生

^ちゅうぼんしょうのなかに 「きょうよう父母ぶもぎょうにんとうといふは、 すなはちかみはじめのふく第一だいいちだい1269こころなり。

中品下生↢「孝養父母・行世仁慈」等↡者、即第一・第二意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]明下三品

・下品上生

^ぼん上生じょうしょう は、 これじゅうあく罪人ざいにんなり。 りんじゅう一念いちねんつみめっしてしょうることを

下品上生者是十悪罪人也。臨終一念罪滅シテ得↠生1313ズルコトヲ

・下品中生

^ぼん中生ちゅうしょう は、 これかい罪人ざいにんなり。 りんじゅうぶつしょうどくきて、 つみめっしてしょうることを

下品中生者是破戒罪人也。臨終キテ↢仏依正功徳↡、罪滅シテ得↠生ズルコトヲ

・下品下生

^ぼんしょう は、 これぎゃく罪人ざいにんなり。 りんじゅうじゅうねんつみめっしてしょうることを

下品下生者是五逆罪人也。臨終十念罪滅シテ得↠生ズルコトヲ

・下三品

^この三品さんぼんは、 じんじょうときただ悪業あくごう つくりておうじょうもとめずといへども、 りんじゅうときはじめてぜんしきひてすなはちおうじょう。 もしかみ三福さんぷくじゅんぜば、 第三だいさん ふくだいじょうこころなり。

此之三品、尋常之時唯リテ↢悪業↡雖↠不↠求↢往生↡、臨終之時始ヒテ↢善知識↡即得↢往生↡。若ゼバ↢上三福↡者、第三福大乗意也。

二 ⅻ Ⅲ b イ (三)総結

^じょうぜん散善さんぜん 大概たいがいかくのごとし。 もん (散善義) に、 すなはち 「かみよりこのかたじょうさんりょうもんやくくといへども」 といふこれなり。

定善・散善大概如↠此クノ。文↢「上ヨリコノカモト↟説クト↢定散両門之益↡」是也。

二 ⅻ Ⅲ b 【念仏】
          (一)正指其体

 ^つぎ0837念仏ねんぶつ は、 もつぱら弥陀みだぶつみなしょうするこれなり。 念仏ねんぶつ*つねのごとし。

念仏者、専スル↢弥陀仏↡是也。念仏義如↠常

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)釈疏意
            (Ⅰ)正明

^しかるにいま、 「正明しょうみょうぞく弥陀みだみょうごうずうだい(散善義) といふは、 おほよそこの ¬きょう¼ (観経) のなかに、 すでにひろじょうさんしょぎょうくといへども、 すなはちじょうさんをもつてなんぞく後世ごせずうせしめず。 ただ念仏ねんぶつ三昧ざんまいいちぎょうをもつてすなはちなんぞくだいずうせしむ。

ルニ今言↢「正明付属弥陀名号流通於遐代」↡者、凡¬経¼中↠説クト↢定散諸行↡、即↢定散↡不↠令↧付↢属阿難↡流↦通後世↥。唯以↢念仏三昧一行↡即使↧付↢属阿難↡流↦通遐代↥也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)料簡
              (ⅰ)付属有無
                (a)

 ^ひていはく、 なんゆゑぞ じょうさんしょぎょうをもつてぞくずうせざるや。

ヒテ、何↢定散諸行↡而不↢付属流通↡乎。

^もしそれごう浅深せんじんによりてきらひてぞくせずは、 *さんぷく ごうのなかにせんありじんあり。 そ1270浅業せんごう きょうよう父母ぶも奉事ぶじちょうなり。 その深業じんごう そく衆戒しゅかいほつだいしん深信じんしんいん読誦どくじゅだいじょうなり。 すべからく浅業せんごうてて深業じんごうぞくすべし。

リテ↢業浅深↡嫌ヒテ↢付属↡、三福業↠浅有↠深。其浅業者孝養父母・奉事師長也。其深業者具足衆戒・発菩提心・深信因果・読誦大乗也。須↧捨テテ↢浅業↡付↦属深業↥。

^もしかん浅深せんじんによりてきらひてぞくせずは、 じゅうさんがんのなかにせんありじんあり。 その浅観せんかんといふは*日想にっそう*水想すいそうこれなり。 その深観じんかんといふは*かんよりはじめて*雑想ざっそうおわるまで、 すべてじゅういっかんこれなり。 すべからく浅観せんかんてて深観じんかんぞくすべし。

リテ↢観浅深↡嫌ヒテ↢付属↡、十三観↠浅有↠深。其浅観トイフ者日想・水想是也。其深観トイフ者始メテ↠自↢地観↡終ルマデ↢于雑↡、総十一観是也。須↧捨テテ↢浅観↡付↢属深観↡。

^就中なかんずく だいかん、 これ*弥陀みだ仏観ぶつかんなり。 すなはちこれ観仏かんぶつ三昧ざんまいなり。 すべからくじゅうかんてて観仏かんぶつ三昧ざんまいぞくすべ就中なかんずく どうしょの 「げんぶん」 のなかにいはく、 「このきょう観仏かんぶつ三昧ざんまいしゅうなし、 また念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅうす」 。 すでに0838ぎょうをもつていっきょうしゅうす。 なんぞ観仏かんぶつ三昧ざんまいはいして念仏ねんぶつ三昧ざんまいぞくするや。

就中ナカンヅク第九是阿弥陀仏観也。即是観仏1314三昧也。須↧捨テテ↢十二観↡付↦属観仏三昧↥也。就中ナカンヅクジキ¬疏¼玄義分、「観仏三昧↠宗、亦念仏三昧↠宗。」既↢二行↡為↢一経↡。何シテ↢観仏三昧↡而付↢属スル念仏三昧之哉。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)

^こたへていはく、 「ぶつ本願ほんがんのぞむるにこころしゅじょうをして一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつみなしょうせしむるにあり」 (散善義) といふ。 じょうさんしょぎょう本願ほんがんにあらず。 ゆゑにこれをぞくせず。 またそのなかにおいて、 観仏かんぶつ三昧ざんまいしゅしょうぎょう といへども、 ぶつ本願ほんがんにあらず。 ゆゑ ぞくせず。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいはこれぶつ本願ほんがんなるがゆゑに、 もつてこれをぞくす。

ヘテ、云↫「望ムルニ↢仏本願↡、意在リト↪衆生ヲシテ一向セシムルニ↩弥陀仏↨。」定散諸行↢本願↡。故不↣付↢属↡。亦於↢其↡、観仏三昧↢殊勝↡、非↢仏本願↡。故不↢付属↡。念仏三昧是仏本願ナルガ、以付↢属↡。

^ぶつ本願ほんがんのぞむ」 といふは、 ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)じゅうはちがんのなかのだいじゅうはち1271がん

↠「望ムト↢仏本願↡」者、指↢¬双巻経¼四十八願第十八↡也。

^一向いっこうせんしょう」 といふは、 どうきょう三輩さんぱいのなかの 「一向いっこう専念せんねん」 を 本願ほんがん、 つぶさにさきべんずるがごとし。

↢「一向専称」↡者、指↢同¬経¼三輩之中「一向専念」↡也。本願之義具↢前ズルガ↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)明廃立義
                (a)正明
                  (イ)

 ^ひていはく、 もししからば、 なんがゆゑぞただち本願ほんがん念仏ねんぶつぎょうかず わずらはしく本願ほんがんにあらざるじょうさん諸善しょぜんくや。

ヒテ、若ラバ者、何不↠説↢本願念仏↡、煩シク↧非ザル↢本願↡定散諸善↥乎。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)

^こたへていはく、 本願ほんがん 念仏ねんぶつぎょう¬双巻そうかんぎょう¼ (大経) のなかにくわしくすでにこれをく。 ゆゑに かさねてざるのみ。

ヘテ、本願念仏、¬双巻経¼中↠之。故ネテ↠説耳。

^またじょうさんくことは、 念仏ねんぶつぜんちょうしたることをあらわさんがためなり。 もしじょうさんなくは、 なんぞ念仏ねんぶつのことにひいでたることをあらわさんれいするに ¬ほっ¼ の*三説さんせつうえひいでたるがごとし。もし三説さんせつなくは、 なんぞ ¬ほっ¼ 第一だいいち あらわさん。 ゆゑにいまじょうさんはいせんがために 念仏ねんぶつ三昧ざんまいりゅうせんがために く。

又説クコトハ↢定散↡、為ナリ↠顕サムガ↣念仏超↢過シタルコトヲ余善↡。若クハ↢定散↡、何サムヤ↢念仏デタルコトヲ↡。例スルニ↣¬法華¼秀デタルガ↢三説↡。若クハ↢三説↡、何サム↢¬法華¼第一↡。故今定散↠癈セムガ而説、念仏三昧↠立セムガ而説

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)嘆益翻顕
                  (イ)総嘆

^ただしじょうさん諸善しょぜんみなもつて0839はかりがたし。

定散諸善皆用↠測

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)別示
                    [一]定善
                      [Ⅰ]挙益

^おほよそじょうぜんは、 それ*しょうかんかがみけて しょうりんす。 おうじょうがん*たなごころして 速疾そくしつなり。 あるいは一観いっかんちから、 よくこう*罪ざいけんく。 あるいは*おくこう、 つひに三昧さんまい*しょう。 しかればすなはち おうじょうもとむるひと、 よろしく*じょうかんしゅぎょうすべし。

定善者、夫依正之観懸ケテ↠鏡而照臨。往生之願指シテ↠掌而速疾ナリ。或イハ一観之力能↢多劫之罪↡。或イハ具憶之功終得↢三昧之1315勝利↡。然レバメム↢往生↡之人宜↣修↢行定観↡。

^就中なかんずく だい真身しんしんかんこれ観仏かんぶつ三昧ざんまいほうなり。 ぎょうもしじょうじゅば、 すなはち弥陀みだしんたてまつる。 弥陀みだたて1272まつるがゆゑに、 諸仏しょぶつたてまつることを諸仏しょぶつたてまつるがゆゑに、 現前げんぜん*さずらる。 このかんやくもつとも甚深じんじんなり。

就中ナカンヅク第九真身観是観仏三昧之法也。行若成就セバ者、即タテマツル↢弥陀↡。見タテマツルガ↢弥陀↡故得↠見タテマツルコトヲ↢諸仏↡。見タテマツルガ↢諸仏↡故現前ケラル利益最甚深也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]明付属相

^しかるいま ¬かんぎょう¼ の*ずうぶんいたりて、 しゃ如来にょらいなん*ごうみょうしておうじょう*要法ようぼうぞく ずうせしむるちなみに観仏かんぶつほうきらひてなほなんぞくせず、 念仏ねんぶつほうえらびてすなはちもつてなんぞくしたまふ観仏かんぶつ三昧ざんまいほう、 なほもつてぞくしたまはず。 いかにいはんや 日想にっそう水想すいそうとうかんにおいてをや。 しかればすなはち じゅうさん じょうかんみなもつてぞくせざるところのぎょうなり。

ルヲ今至リテ↢¬観経¼流通分↡、釈迦如来告↢命シテ阿難↡因↠使ムル↤付↢属流↣通往生要法↡、嫌ヒテ↢観仏↡尚不↣付↢属阿難↡、ビテ↢念仏↡即付↢属シタマフ阿難↡。観仏三昧之法、尚以不↢付属シタマハ↡。何テヲ↢日想・水想等↡乎。然レバ十三定観、皆以所↠不↢付属↡之行也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅲ]誡世人失

^しかるにひと、 もし観仏かんぶつとうねがひて念仏ねんぶつしゅざるは、 これとお 弥陀みだ本願ほんがんそむくのみにもあらず、 またこれちかくはしゃくそんぞくたがぎょうじゃよろしく*商量しょうりょうすべし。

ルニ人若ヒテ↢観仏等↡不ルハ↠修↢念仏↡、是遠↠乖クノミニモ↢弥陀本願↡、亦是近クハ↢釈尊付属↡。行者宜↢商量↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]散善
                      [Ⅰ]出所貴行

 ^つぎ散善さんぜんのなかに、 だいしょう かいぎょうあり。 みなおもへらく、 かいぎょうじゃはこれ*しん0840ようなり。 かいのものはおうじょうすべからず

散善、有↢大小持戒行↡。世皆以為 オモヘ ラク、持戒行者是入↢真要↡也。破戒之者↠可カラ↢往生↡。

^まただいしんぎょうあり。 ひとみなおもへらく、 だいしんはこれじょう綱要こうようなり。 もしだいしんなくは、 すなはちおうじょうすべからず

又有↢菩提心行↡。人皆以為 オモヘ ラク、菩提心是浄土綱要ナリ。若クハ↢菩提心↡者即↠可カラ↢往生↡。

^また*第一だいいちぎょうあり。 これはこれ*かんなり。 ひとまたおもへらく、 はこれぶつみなもとなり。 はなれて ぶつもとむべか1273らず。 もしかんなくは、 おうじょうすべからず

又有↢解第一義行↡。此是理観也。人亦以為 オモヘ ラク、理是仏ナリ。離レテ↠理不↠可カラ↠求↢仏土↡。若クハ↢理観↡者不↠可カラ↢往生↡。

^また読誦どくじゅだいじょうぎょうあり。 ひとみなおもへらく、 だいじょうきょう読誦どくじゅしてすなはちおうじょうすべし。 もし読誦どくじゅぎょうなくは、 おうじょうすべからず

又有↢読誦大乗行↡。人皆以為 オモヘ ラク、読↢誦シテ大乗経↡即↢往生↡。若クハ↢読誦行↡者不↠可カラ↢往生↡。

^これにつきてあり。 いちきょうしゅなり。 きょう は、 「般若はんにゃ」・¬ほっ¼ とうしょだいじょうきょうするなり。 しゅ *ずい*そんしょう*こうみょう*弥陀みだとうのもろもろの*神呪じんじゅするなり。

キテ↠此↠二。一者持経、二者持呪ナリ。持経者持スル↢般若・法華等諸大乗経↡也。持呪者持1316スル↢随求・尊勝・光明・阿弥陀等神呪↡也。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]誡世人失

^おほよそ*散善さんぜんじゅう一人いちにん、 みなとうとといへども、 そのなかにおいてこの*四箇しかぎょうとうひとことにほっするところのぎょうなり。 これらのぎょうをもつてほとほと念仏ねんぶつおさふ。

散善十一人皆雖↠貴ブト而於↢其四箇、当世之人殊所↠欲スル之行也。以↢此等ホトホト↢念仏↡。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)重示廃立

^つらつらきょうこころたずぬれば、 このしょぎょうをもつてぞく ずうせず。 ただ念仏ねんぶついちぎょうをもつて、 すなはち後世ごせぞく ずうせしむ。 るべし、 しゃくそんしょぎょうぞくたまはざる所以ゆえんは、 すなはちこれ弥陀みだ本願ほんがんにあらざる ゆゑなり。 また念仏ねんぶつぞくする所以ゆえんは、 すなはちこれ弥陀みだ本願ほんがんのゆゑなり。

ツラツラヌレバ↢経↡者、不↧以↢此諸行↡付属流通↥。唯以↢念仏一行↡即使↤付↢属流↣通後世↡。応↠知、釈尊所↤以不↣付↢属シタマハ諸行↡者、即是非ザル↢弥陀本願↡之故也。亦所↣以付↢属スル念仏↡者、即是弥陀本願之故也。

^いままた善導ぜんどうしょうしょぎょうはいして念仏ねんぶつする所以ゆえんは、 すなはち弥陀みだほん0841がんたるうえ 、 またこれしゃくそんぞくぎょうなり。

今又善導和尚、所↧以癈シテ↢諸行↡帰スル↦念仏↥者、即↢弥陀本願↡之上、亦是釈尊付属之行也。

^ゆゑりぬ、 しょぎょうにあらず ときしっ念仏ねんぶつおうじょうあた たり。 感応かんおうあに*唐捐とうえんんや。

リヌ、諸行↠機↠時。念仏往生↠機タリ↠時。感応豈唐捐セム哉。

二 ⅻ Ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(d)結帰仏意【随自随他】

^まさにるべし、 *ずいまえにはしばらくじょうさんもんひらくといへども、 *ずいのち1274にはかえりてじょうさんもんづ。 ひとたびひらきて以後のちながぢざるは、 ただこれ念仏ねんぶつ一門いちもんなり。 弥陀みだ本願ほんがんしゃくそんぞくこころこれにあり。 ぎょうじゃるべし。

↠知、随他之前ニハ↠開クト↢定散↡、随自之後ニハリテ↢定散↡。一タビキテ以後永↠閉者、唯是念仏一門ナリ。弥陀本願、釈尊付属、意在矣。行者応↠知

二 ⅻ Ⅲ b ロ (三)流通遐代

^またこのなかに 「だい」 と は、 ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)こころによらば、 とお末法まっぽう万年まんねんのちひゃくさいとき 。 これすなはちとおげてちかせっするなり。 しかれば、 法滅ほうめつのちなほもつてしかなり。 いかにいはんや末法まっぽうをや。 末法まっぽうすでにしかり。 いかにいはんやしょうぼう像法ぞうぼうをや。

亦此「遐代」者、依ラバ↢¬双巻経¼意↡、遠↢末法万年之後百歳之時↡也。是則ゲテトホキスルチカキ也。然レバ者、法滅之後猶以然也。何末法哉。末法已。何正法・像法哉。

^ゆゑりぬ、 念仏ねんぶつおうじょうみちしょう像末ぞうまつさん、 および*法滅ほうめつひゃくさいときつう

リヌ、念仏往生↢正像末之三時、及法滅百歳之時↡焉。

念仏多善根章【多善根章】
    標釈

【13】^念仏ねんぶつをもつて善根ぜんごんし、 雑善ぞうぜんをもつてしょう善根ぜんごんなすもん

 以↢念仏↡為↢多善根↡、以↢雑善↡為↢少善根↡之文

二 ⅼ 引文
      弥陀経

 ^¬弥陀みだきょう¼ にのたまはく、 「しょう善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんをもつて、 かのくにしょうずることをべからず。

¬阿1317弥陀経¼云、「不↠可カラ↧以↢少善根福徳因縁↡得↞生ズルコトヲ↢彼↡。

^しゃほつ、 もし善男ぜんなんぜん女人にょにんありて、 弥陀みだぶつくをきて、 みょうごうしゅうして、 もしは一日いちにち、 もしはにち、 もしは三日さんにち、 もしはにち、 もしはにち、 もし0842六日ろくにちにち、 もしは七日しちにちしんいつにしてみだらずは、 そのひと命終みょうじゅうときのぞみて、 弥陀みだぶつもろもろのしょうじゅげんじて、 そのまえにましまさん。 このひと*じゅうしん顛倒てんどうせずして、 すなはち弥陀みだぶつ極楽ごくらくこくおうじょうることを1275

舎利弗、若リテ↢善男子・善女人↡、聞キテ↠説クヲ↢阿弥陀仏↡、執↢持シテ名号↡、若シハ一日、若シハ二日、若シハ三日、若シハ四日、若シハ五日、若シハ六日、若シハ七日、一ニシテ↠心↠乱、其人臨ミテ↢命終↡、阿弥陀仏与↢諸聖衆↡現ジテ、在サム↢其↡。是人終時心不シテ↢顛倒↡、即↣往↢生スルコトヲ阿弥陀仏極楽国土↡。」

二 ⅼ Ⅱ 法事讃

 ^善導ぜんどうこのもんしゃくしていはく (法事讃・下)

善導釈シテ↢此↡云

^極楽ごくらく 無為むいはんさかいにはえんしたが雑善ぞうぜんはおそらくはしょうじがたし。
ゆゑ如来にょらい (釈尊)要法ようぼうえらびて、 おしへて弥陀みだねんぜしむることせんにしてまたせんならしむ

「極楽無為涅槃ニハ↠縁雑善クハ↠生
使↧如来選ビテ↢要法ヘテゼシムルコト↢弥陀↡専ニシテ復専ナラ

^七日しちにちしちしん けんなれじょうぎょうおこすもますますみなしかなり。
おわりにのぞみてしょうじゅはなちてげんじたまふ身心しんしんやくして金蓮こんれんす。

七日七夜心無間ナレ長時スモ↠行皆然ナリ
ミテ↠終聖衆持チテ↠花ジタマフ身心踊躍シテ↢金蓮

^するときにすなはちしょうにん一念いちねんむか仏前ぶつぜん いたる。
法侶ほうりょころもをもつて きおきたりてす。 退たい証得しょうとくして三賢さんげんる」 と。

スル得↢無生忍一念↢仏前
法侶↠衣リテ証↢得シテ不退↡入ルト↢三賢↡」

二 ⅼ 私釈
      釈雑善難生

 ^わたくしにいはく、 「しょう善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんをもつて、 かのくにしょうずることをべからず」 といふは、 しょぞうぎょうはかのくにしょうがたし。 ゆゑに 「随縁ずいえん雑善ぞうぜんなんしょう」 といふ。

、「不トイフ↠可カラ↧以↢少善根福徳因縁↡得↞生ズルコトヲ↢彼↡」者、諸余雑行者難↠生↢彼↡。故↢「随縁雑善恐難生。」

二 ⅼ Ⅲ 釈多少義

^しょう善根ぜんごん 善根ぜんごんたいすることばなり。 しかればすなはち 雑善ぞうぜんはこれしょう善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれ善根ぜんごんなり。

「少善根」者対スル↢多善根↡之言也。然レバ雑善是少善根也、念仏是多善根也。

^ゆゑ*りゅうじょ ¬*じょうもん¼ にいはく、 「*じょうよういしに ¬弥陀みだきょう¼ をれり。 すなはちずい陳仁ちんじんりょうるところかく*清婉せいえんにして ひとおおねがもてあそぶ。 ª一心いっしんらん0843º よりしも1276 、 ª*せんみょうごう称名しょうみょう諸罪しょざいしょうめつそく善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんº といふ*こん伝本でんぽんにこのじゅういちだっり」

龍舒¬浄土文¼云、「襄陽レリ↢¬阿弥陀経¼↡。乃陳仁稜↠書ケル字画、清婉ニシテ人多。自↢一心不乱↡而下、云↢専持名号以称名故諸罪消滅即是多善根1318福徳因縁↡。今世伝本セリト↢此二十一字↡。」

二 ⅼ Ⅲ 兼示余意

^ただしょうあるのみにあらず。 まただいしょうあり いはく雑善ぞうぜんはこれしょう善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれだい善根ぜんごんなり。 またしょうれつあり。 いはく雑善ぞうぜんはこれれつ善根ぜんごんなり、 念仏ねんぶつはこれしょう善根ぜんごんなり。 そのるべし。

↣啻有ノミニ↢多少義↡。亦有↢大小義↡。謂雑善是小善根也、念仏是大善根也。亦有↢勝劣義↡。謂雑善是劣善根也、念仏是勝善根也。其義応↠知

諸仏証誠章【証誠章】
    標章

【14】^六方ろっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつぎょう*証誠しょうじょうせず、 ただ念仏ねんぶつ証誠しょうじょうしたまもん

 六方恒沙諸仏不↣証↢誠余行↡、唯証↢誠シタマフ念仏↡之文

二 ⅽ 引文
      観念法門

 ^善導ぜんどう ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「また ¬弥陀みだきょう¼ にのたまがごとし。 ª六方ろっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 みなしたべてあまねく三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんきたまふ。 «もしはぶつ (釈尊)ざいにもあれ、 もしはぶつめつにもあれ、 一切いっさい造罪ぞうざいぼん、 ただしんして弥陀みだぶつねんじて、 じょうしょうぜんがんじて、 かみひゃくねんつくし、 しも七日しちにち一日いちにちじっしょうさんしょういっしょうとういたるまで、 いのちおわらんとほっときぶつしょうじゅとみづからきたりてこうしょうたまひて、 すなはちおうじょう»º

善導¬観念法門¼云、「又如↢¬弥陀経¼云フガ↡。六方シテ↢恒河沙等諸仏↡、皆舒ベテ↠舌ヒテ↢三千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。若シハ在世ニモアレ、若シハ滅後ニモアレ、一切造罪凡夫、但廻シテ↠心ジテ↢阿弥陀仏↡、願ジテ↠生ゼムト↢浄土↡、上尽↢百年↡下至ルマデ↢七日一日十声三声一声等↡、命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自リテ迎接シタマヒテ、即↢往生↡。

^かみのごとき六方ろっぽうとうぶつしたべて、 さだめてぼんのためにしょうをなしたまふ、 つみめっしてしょうずることをと。 もしこのしょうによりてしょうずるこ1277とを六方ろっぽう 諸仏しょぶつべたまへるしたひとたびくちよりでて以後のち、 つひにくちかえらず0844して、 ねんらんせん」 と。

↠上六方等仏舒ベテ↠舌、定メテ↢凡夫↡作シタマフ↠証、罪滅シテ↠生ズルコトヲ。若↧依リテ↡得↞生ズルコトヲ者、六方諸仏ベタマヘル舌、一タビデテ↠口ヨリ已後終シテ↣還↢入↡、自然壊爛セムト。」

二 ⅽ Ⅱ 往生礼讃

 ^おなじく ¬おうじょう礼讃らいさん¼ に ¬弥陀みだきょう¼ をきていはく、 「東方とうぼうごうしゃのごとき諸仏しょぶつ南西なんざい北方ほっぽうおよびじょう一々いちいちほうごうしゃのごとき諸仏しょぶつ おのおの本国ほんごくにして、 その舌相ぜっそういだして、 あまねく三千さんぜん大千だいせんかいおおひて、 じょうじつごんきたまふ。 ªなんぢらしゅじょう、 みなこの一切いっさい 諸仏しょぶつしょねんぎょうしんずべしº

ジク¬往生礼讃¼引キテ↢¬阿弥陀経¼↡云、「東方↢恒河沙↡等諸仏、南西北方及上下一々↢恒河沙↡等諸仏、各↢本国↡、出シテ↢其舌相↡遍ヒテ↢三千大千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。汝等衆生、皆応シト↠信↢是一切諸仏所護念経↡。

^いかんがねんづくる。 もししゅじょうありて弥陀みだぶつしょうねんすること、 もしは一日いちにちおよび七日しちにちしもじっしょうないいっしょう一念いちねんとういたるまで、 かならずおうじょう この証誠しょうじょうするがゆゑにねんぎょうづく」

云何クル↢護念↡。若リテ↢衆生↡称↢念スルコト阿弥陀仏↡、若シハ一日及七日、下至ルマデ↢十声乃至1319一声一念等↡、必得↢往生↡。証↢誠スルガ↡故クト↢護念経↡。」

二 ⅽ Ⅱ 重引礼讃

 ^またいはく (礼讃)

又云

^六方ろっぽう如来にょらいしたべて、 もつぱらみょうごうしょうして西方さいほういたることをしょうしたまふ。
かしこにいたりてはなひらけて、 みょうほうくにじゅうがんぎょうねんあらわる」 と。

「六方如来舒ベテ↠舌シタマフシテ↢名号↡至ルコトヲ↦西方
リテ↠彼花開ケテクニ↢妙法十地願行自然ルト

二 ⅽ Ⅱ 散善義

 ^おなじく ¬かんぎょう しょ¼ (散善義) に ¬弥陀みだきょう¼ をきていはく、 「また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざことを恐畏くいして、 すなはちともに同心どうしんどう1278に、 おのおの舌相ぜっそういだしてあまねく三千さんぜんかいおおひて、 じょうじつごんたまふ。 ªなんぢらしゅじょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょうせつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるま0845で、 一心いっしんにもつぱら弥陀みだみょうごうねんずれば、 さだめておうじょう ることかならずうたがいº」

ジク¬観経疏¼引キテ↢¬阿弥陀経¼↡云、「又十方仏等、恐↢畏シテ衆生ラムコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時、各シテ↢舌相↡遍ヒテ↢三千世界↡、説キタマフ↢誠実↡。汝等衆生、皆応↠信↢是釈迦所説・所讃・所証↡。一切凡夫、不↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能上尽↢百年↡下至ルマデ↢一日七日↡、一心ズレバ↢弥陀名号↡、定メテルコト↢往生↡必シト↠疑也。」

二 ⅽ Ⅱ 法事讃

 ^おなじく ¬ほうさん¼ (下) にいはく、

ジク¬法事讃¼云

^心々しんしん念仏ねんぶつうたがいしょうずることなかれ 六方ろっぽう如来にょらい むなしからずしょうしたまふ
三業さんごう専心せんしんにして雑乱ぞうらんせざれ百宝ひゃっぽうれんときおうじて

「心々念仏シテ↠生ズルコト↠疑六方如来証シタマフ↢不↠虚シカラ
三業専心ニシテレバ↢雑乱百宝蓮華応ジテ↠時ユト

二 ⅽ Ⅱ 五会讃

 ^ほっしょうぜんの ¬*じょう五会ごえほうさん¼ にいはく、

法照禅師¬浄土五会法事讃¼云

^まんぎょうのなか きゅうよう 迅速じんそくなることじょうもんぎたるはなし。
ただ*ほんこんせつのみにあらず 十方じっぽう諸仏しょぶつともにつたしょうしたまふ」 と。

「万行之中為↢急迅速ナルコト↠過ギタルハ↢浄土門
↢但本師金口ノミニ十方諸仏共シタマフト

二 ⅽ 私釈
      明証局念仏
       

 ^わたくしにひていはく、 なんがゆゑぞ 六方ろっぽう諸仏しょぶつ証誠しょうじょう 、 ただ念仏ねんぶついちぎょうかぎるや。

ヒテ、何六方諸仏証誠、唯局↢念仏一行↡乎。

二 ⅽ Ⅲ a

^こたへていはく、 もし善導ぜんどうこころによらば、 念仏ねんぶつはこれ弥陀みだ本願ほんがんり、 ゆゑにこれを証誠しょうじょうす。 ぎょうはしからず ゆゑにこれなし。

ヘテ、若ラバ↢善導↡、念仏是弥陀本願也、故証↢誠↡。余行不↠爾、故↠之也。

二 ⅽ Ⅲ 明偏在小経
       

 ^1279ひていはく、 もし本願ほんがんによりて念仏ねんぶつ証誠しょうじょうば、 ¬双巻そうかん ¼ (大経)・¬かんぎょう¼ とう念仏ねんぶつとき、 なんぞ証誠しょうじょうざるや。

ヒテ、若1320リテ↢本願↡証↢誠セバ念仏↡者、¬双巻¼・¬観経¼等↢念仏↡之時、何↢証誠↡乎。

二 ⅽ Ⅲ a

^こたへていはく、 するに あり。

ヘテ、解スルニ↢二義↡。

^いちしていはく、 ¬双巻そうかん¼・¬かんぎょう¼ とうのなかに本願ほんがん 念仏ねんぶつといへども、 ねてぎょうかす。 ゆゑに証誠しょうじょうず。 この ¬きょう¼ (小経) のなかに一向いっこうにもつぱら念仏ねんぶつ0846ゆゑにこれを証誠しょうじょうす。

シテ、¬双巻¼・¬観経¼等↠説クト↢本願念仏↡、ネテ↢余行↡。故不↢証誠↡。¬経¼一向モハ↢念仏↡。故証↢誠↡。

^していはく、 かの ¬双巻そうかん ¼ とうのなかに証誠しょうじょうことばなしといへども、 この ¬きょう¼ にすでに証誠しょうじょうあり。 これにれいしてかれをおもふに、 かれらのきょうちゅう (大経・観経) においてところの念仏ねんぶつ 、 また証誠しょうじょうあるべし。 もん この ¬きょう¼ にありといへども、 *かのきょうつうず。

シテ、彼¬双巻¼等↠無シト↢証誠之言↡、¬経¼已↢証誠↡。例シテ↠此フニ↠彼、於↢彼等¬経¼中↡所↠説念仏亦応↠有↢証誠之義↡。文雖↠在リト↢此¬経¼↡、義通↢於彼¬経¼↡。

^ゆゑ天台てんだい (智顗) の ¬*じゅうろん¼ にいはく、 「また ¬弥陀みだきょう¼・¬だいりょう寿じゅきょう¼・¬*おんじょう陀羅尼だらにきょう¼ とうにのたまはく、 ªしゃぶつ きょうきたまときに、 十方じっぽうかいにおのおのごうしゃ諸仏しょぶつましまして、 そ舌相ぜっそうべてあまねく三千さんぜん大千だいせんかいおおひて、 «一切いっさいしゅじょう弥陀みだぶつねんじてぶつ本願ほんがんだい願力がんりきるがゆゑに、 けつじょうして極楽ごくらくかいしょうずることを» と証誠しょうじょうしたまふº」 と。

天臺¬十疑論¼云、「又¬阿弥陀経¼・¬大無量寿経¼・¬鼓音声陀羅尼経¼等、釈迦仏説キタマフ、有シテ↢十方世界恒河沙諸仏↡、舒ベテ↢其舌相↡遍ヒテ↢三千大千世界↡、証↧誠シタマフト一切衆生ジテ↢阿弥陀仏↡乗ルガ↢仏本願大悲願力↡故、決定シテ↞生ズルコトヲ↢極楽世↡。」

諸仏護念章【護念章】
    標章

128015】^六方ろっぽう 諸仏しょぶつ念仏ねんぶつ ぎょうじゃ*ねんしたまふもん

 六方諸仏護↢シタマフ念仏行者之文

二 ⅾ 引文
      観念法門

 ^¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「また ¬弥陀みだきょう¼ にがごとし。 ªもしなん女人にょにんありて、 七日しちにちしちおよびいっしょうつくして、 一心いっしんもつぱら弥陀みだぶつねんおうじょうがんずれば、 このひとつねに六方ろっぽうごうしゃとうぶつ、 ともにきたりてねんしたまふことをゆゑねんぎょうづくº ねん こころは、 またもろもろのあくじんをして便たよりをしめず、 またおうびょうおうおう厄難やくなんあることなく、 一切いっさいさいしょう0847ねんしょうさんしぬしんをばのぞく」 と。

¬観念法門¼云、「又如↢¬弥陀経¼説クガ↡。若リテ男子・女人↡、七日七夜及シテ↢一生↡、一心ジテ↢阿弥陀仏↡願ズレバ↢往生↡者、此得↢六方恒河沙等仏共リテ護念シタマフコトヲ↡。故クト↢護念経↡。護念意者、亦不↠令↢諸悪鬼神ヲシテ得↟便、亦无↣横病横死、横ルコト↢厄難↡、一切災障自然消散シヌ。除クト↢不至ヲバ↡。」

二 ⅾ Ⅱ 往生礼讃

 ^¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「ªもしぶつしょうしておうじょうするものは、 つねに六方ろっぽう恒沙ごうじゃとう諸仏しょぶつのためにねんせらる。 ゆゑねんぎょうづくº (小経) いますでにこのぞうじょう誓願せいがんあり、 たのむべし。 もろもろのぶっとう、 なんぞこころはげまさざらんや」

¬往1321生礼讃¼云、「若シテ↠仏往生スル、常↢六方恒沙等諸仏↡之所↢護念↡。故↢護念経↡。今既増上誓願↡、可↠憑。諸仏子等、何ラム↠励↠意者也。」

二 ⅾ 私釈
     

 ^わたくしにひていはく、 ただ六方ろっぽう如来にょらいのみましまして ぎょうじゃねんしたまふはいかんぞ。

ヒテ、唯有シテ↢六方如来ノミ↡護↢念シタマフハ行者↡如何

二 ⅾ Ⅲ
        自釈

^こたへていはく、 六方ろっぽう如来にょらいのみにかぎらず。 弥陀みだ観音かんのんとうまたきたりてねんしたまふ。

ヘテ、不↠限↢六方如来ノミニハ↡。弥陀・観音等亦来リテ護念シタマフ

二 ⅾ Ⅲ b 引証
          (一) 往生礼讃

^ゆゑ¬おうじょう礼讃らいさん¼ にいはく、 「¬じゅうおうじょうきょう¼ にのたまはく、 ªもししゅじょうありて弥陀みだぶつねんじておうじょうがんずれば、 1281ぶつすなはちじゅうさつつかはして、 ぎょうじゃようたまふ。 もしはぎょう、 もしは、 もしはじゅう、 もしは、 もしはちゅう、 もしは一切いっさいとき一切いっさいところに、 悪神あくじんをしてその便たよりをしめずº

¬往生礼讃¼云、「¬十往生経¼云、若リテ↢衆生↡念ジテ↢阿弥陀仏↡願ズレバ↢往生↡者、彼仏即シテ↢二十五菩薩↡、擁↢護シタマフ行者↡。若シハ行若シハ坐、若シハ住若シハ臥、若シハ昼若シハ夜、一切時一切、不↠令悪神ヲシテ得↢其便↡也。

^また ¬かんぎょう¼ にのたまふがごとし。 ªもし弥陀みだぶつしょうらいねんして、 かのくにおうじょうせんとがんずれば、 かのぶつすなはちしゅぶつしゅ観音かんのんせいさつつかはして、 ぎょうじゃねんしたまふº 。 またさきじゅうさつとう 百重ひゃくじゅうせんじゅうぎょうじゃにょうして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがはず、 一切いっさいしょ、 もしはひる、 もしはよる、 つねにぎょうじゃはなたまはず。

又如↢¬観経¼云フガ↡。若称↢礼↣念シテ阿弥陀仏↡、願ズレバ↣往↢生セムト↡者、彼仏即シテ↢無数化仏、無数化観音・勢至菩薩↡護↢念シタマフト行者↡。復与↢前二十五菩薩等↡百重千重囲↢繞シテ行者↡、不↠問↢行住坐臥↡、一切時処、若シハ昼若シハ夜、常不↠離レタマハ↢行者↡。

^いますでにこのしょうやくあり たのむべし。 ねがはくは 0848ろもろのぎょうじゃ*おのおのすべからくしんくこともとむべし」

今既↢斯勝益↡。可↠憑。願クハ行者、各↢至心クコトヲ。」

二 ⅾ Ⅲ b ロ (二) 観念法門

^また ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ にいはく、 「また ¬かんぎょう¼ のしももんのごとし。 ªもしひとありて、 しんいたしてつねに弥陀みだぶつおよびさつねんずれば、 観音かんのんせいつねにぎょうにんのためにしょうしきとなりて随逐ずいちくようしたまふº」

又¬観念法門¼云、「又如↢¬観経¼下↡。若リテ↠人、至シテ↠心ズレバ↢阿弥陀仏及二菩薩↡、観音・勢至、常↢行人↡作リテ↢勝友・知識↡随逐影護シタマフト。」

^またいはく (観念法門)、 「また ¬般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ の ª*行品ぎょうぼんº のなかにきてのたまがごとし。 ªぶつののたまはく、 «もしひともつぱらこのねん 弥陀みだぶつ三昧ざんまいぎょうずれば、 つねに一切いっさい諸天しょてんおよびてん大王だいおうりゅうじんはち随逐ずいちくようあいぎょう相見そうけんて、 ながくもろ1282もろのあくじんさいしょう厄難やくなん よこさま悩乱のうらんくわることなし»º 。 つぶさに ª*護持ごじぼんº のなかにがごとし」

又云、「又如↢¬般舟三昧経¼行品キテフガ↡。仏、若人専ズレバ↢此念弥陀仏三昧↡者、常↢一切諸天及四天大王・竜神八部随逐影護、愛楽相見↡、永1322シト↣諸悪鬼神、災障・厄難、横フルコト↢悩乱↡。具ニハシト↢護持品クガ↡。」

^またいはく (観念法門)、 「三昧さんまいどうじょうるをのぞきては、 日別にちべつ弥陀みだぶつねんずること一万いちまん いのちるまで相続そうぞくすれば、 すなはち弥陀みだねんこうむりてざいしょうのぞくことを。 またぶつしょうじゅとつねにきたりてねんしたまふことをこうむる。 すでにねんこうむりぬれば、 すなはち延年えんねん転寿てんじゅ」 と。

又云、「除キテハ↠入ルヲ↢三昧道場↡、日別ズルコト↢弥陀仏↡一万、畢ルマデ↠命相続スレバ者即リテ↢弥陀加念↡得↠除クコトヲ↢罪障↡。又蒙↧仏与↢聖衆↡常リテ護念シタマフコトヲ↥。既リヌレバ↢護念↡、即↢延年転寿↡。」

慇懃付属章】
    標章

【16】^しゃ如来にょらい弥陀みだみょうごうをもつて*慇懃おんごんしゃほつとうぞくしたまふもん

 釈迦如来以↢弥陀名号↡慇懃付↢属シタマフ舎利弗等之文

二 ⅿ 引文
      弥陀経

 ^¬弥陀みだきょう¼ にのたまはく、 「ぶつこのきょうきたまふことおわりて、 しゃほつおよびもろもろの比丘びく一切いっさいけんてんにんしゅとうぶつ所説しょせつきて、 かん信受しんじゅして、 らい0849をなして りにき」

¬阿弥陀経¼云、「仏説キタマフコト↢此↡已リテ、舎利弗及比丘、一切世間天・人・阿修羅等、聞キテ↢仏所説↡、歓喜信受シテ、作シテ↠礼而去リニキト。」

二 ⅿ Ⅱ 法事讃

 ^善導ぜんどう ¬ほうさん¼ (下) に、 このもんしゃくしていはく、

善導¬法事讃¼釈シテ↢此↡云

^そんほうきたまふこと、 ときまさにおわりなんとして、 慇懃おんごん弥陀みだみなぞくしたまふ。
じょくぞうとき ほう おおく、 道俗どうぞくあひきらひてくことをもちゐず。

「世尊説キタマフコト↠法時将↠了リナムト慇懃付↢属シタマフ弥陀
五濁増↢疑謗↡道俗相嫌ヒテ不↠用↠聞クコトヲ

^しゅ1283ぎょうすることあるをては瞋毒しんどくおこして、 方便ほうべんして破壊はえきおひてあだしょう
かくのごときしょうもう闡提せんだいともがらとんぎょうめつしてなが沈淪ちんりんす。

テハ↠有ルヲ↢修行スルコト↡起シテ↢瞋毒方便シテ破壊シテヒテ↠怨
↠此クノ生盲闡提毀↢滅シテ頓教↡永沈淪

^だいじんごうちょうすとも、 いまださんはなるることをべからず。
大衆だいしゅ同心どうしんにみな、 あらゆるほうざい因縁いんねんさんせよ」

超↢過ストモ大地微塵劫↠可カラ↠得↠離ルルコトヲ↢三途
大衆同心皆懴↢悔セヨト所有破法罪因縁↡」

二 ⅿ 私釈
      総標

 ^わたくしにいはく、 おほよそさんぎょうこころあんずるに、 しょぎょうのなかに念仏ねんぶつせんじゃくして もつて*旨帰しきなす

、凡ズルニ↢三経↡、諸行之中選↢択シテ念仏↡以為↢旨帰↡。

二 ⅿ Ⅲ 別明【八選択
        大経

^づ ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経) のなかにさんせんじゃくあり。 いちにはせんじゃく本願ほんがんにはせんじゃく讃歎さんだんさんにはせんじゃくきょうなり

¬双巻経¼中↢三選択↡。一ニハ選択本願、二ニハ選択讃歎、三ニハ選択留教ナリ

・選択本願

^いちせんじゃく本願ほんがんといふは、 念仏ねんぶつはこれ法蔵ほうぞう比丘びくひゃくいちじゅうおくのなかにおいてせんじゃくするところのおうじょうぎょうなり。 くわしきむねかみえたり。 ゆゑせんじゃく本願ほんがんといふ。

選択本願トイフ者、念仏是法蔵比丘、於↢二百一十億之中↡所↢選択スル↡往生之行也1323クハシキ旨見エタリ↠上。故↢選択本願↡也。

・選択讃嘆

^せんじゃく讃歎さんだんといふは、 かみ三輩さんぱいのなかにだいしんとうぎょうぐといへども、 しゃすなはちぎょう讃歎さんだんせず、 ただ念仏ねんぶつにおいて讃歎さんだんたまひて、 「じょうどく(大経・下意) とのたまゆゑせんじゃくさん0850だんといふ

選択讃歎トイフ者、上三輩↠挙グト↢菩提心等余行↡、釈迦即不↣讃↢歎余行↡、唯於↢念仏↡而讃歎シタマヒテ↢「無上功徳」↡。故↢選択讃歎↡也。

・選択留教

^さんせんじゃくきょうといふは、 またかみぎょう 諸善しょぜんぐといへども、 しゃせんじゃくしてただ念仏ねんぶつ一法いっぽうとどめたまゆゑせんじゃくきょうといふ。

選択留教トイフ者、又上↠挙グト↢余行諸善↡、釈迦選択シテ唯留メタマフ↢念仏一法↡。故↢選択留教↡也。

二 ⅿ Ⅲ b 観経

^つぎに ¬かんぎょう¼ のなかにまたさんせん1284じゃくあり。 いちにはせんじゃく摂取せっしゅにはせんじゃくさんさんにはせんじゃくぞくなり。

¬観経¼中又有↢三選択↡。一ニハ選択摂取、二ニハ選択化讃、三ニハ選択付属ナリ

・選択摂取

^いちせんじゃく摂取せっしゅといふは、 ¬かんぎょう¼ のなかにじょうさんしょぎょうといへども、 弥陀みだこうみょうただ念仏ねんぶつしゅじょうらして、 摂取せっしゅしててたまはず。 ゆゑせんじゃく摂取せっしゅといふ

選択摂取トイフ者、¬観経¼之中クト↢定散諸行↡、弥陀光明唯照シテ↢念仏衆生↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。故↢選択摂取↡也。

・選択化讃

^せんじゃくさんといふは、 ぼん上生じょうしょうひともんきょうしょうぶつ ぎょうありといへども、 弥陀みだぶつ念仏ねんぶつせんじゃくして、 「汝称にょしょうぶつみょう諸罪しょざいしょうめつ来迎らいこうにょ(観経) とのたまゆゑせんじゃくさんといふ

選択化讃トイフ者、下品上生人、雖↠有リト↢聞経・称仏二行↡、弥陀化仏選↢択シテ念仏↡云↢「汝称仏名故諸罪消滅我来迎汝」↡。故↢選択化讃↡也。

・選択付属

^さんせんじゃくぞくといふは、 またじょうさんしょぎょうかすといへども、 ただひと念仏ねんぶついちぎょうぞくゆゑせんじゃくぞくといふ

選択付属トイフ者、又雖↠明スト↢定散諸行↡、唯独付↢属念仏一行↡。故↢選択付属↡也。

二 ⅿ Ⅲ b 弥陀経

^つぎに ¬弥陀みだきょう¼ のなかにいちせんじゃくあり。 いはゆるせんじゃく証誠しょうじょうなり。

¬阿弥陀経¼中↢一択↡。所謂選択証誠也。

・選択証誠

^すでにしょきょうのなかにおいておおおうじょうしょぎょうくといへども、 六方ろっぽう諸仏しょぶつかのしょぎょうにおいて 証誠しょうじょうせず、 この ¬きょう¼ (小経) のなかにいたりて念仏ねんぶつおうじょうきたまふときに、 六方ろっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ、 おのおのしたべて大千だいせんおおひて、 じつ証誠しょうじょうて、 これを証誠しょうじょうしたまふ。 0851せんじゃく証誠しょうじょうといふ

↢諸経↡多↠説クト↢往生之諸行↡、六方諸仏於↢彼諸行↡而不↢証誠↡、至リテ↢此¬経¼中↡説キタマフトキニ↢念仏往生↡、六方恒沙諸仏、各ベテ↠舌ヒテ↢大千↡、証↢誠シテ↡而証↢誠シタマフ↡。故↢選択証誠↡也。

二 ⅿ Ⅲ b 般舟経

^しかのみならず ¬般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ のなかにまたいちせんじゃくあり。 いはゆるせんじゃくみょうなり。

加之シカノミナラズ¬般舟三昧経¼中又有↢一選択↡。所謂選択我名也。

・選択我名

^弥陀みだみづからきて、 「わがくに来生らいしょうせんとおも、 つねにわがねんじて、 そくせしむることなかれ」 (意)のたまへ1285ゆゑせんじゃくみょうといふ

弥陀自1324キテ、言↧「欲ハバ↣来↢生セムト↡者、常ジテ↢我↡、莫レト↞令ムルコト↢休息↡。」↢選択我名↡也。

二 ⅿ Ⅲ 結上

^本願ほんがん摂取せっしゅみょうさん 、 このはこれ弥陀みだせんじゃくなり。 讃歎さんだんきょうぞく 、 このさんはこれしゃせんじゃくなり。 証誠しょうじょう六方ろっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつせんじゃくなり。 しかればすなはち しゃ弥陀みだおよび十方じっぽうのおのおの恒沙ごうじゃとう諸仏しょぶつ同心どうしん念仏ねんぶついちぎょうせんじゃくしたまぎょうはしからず。 ゆゑりぬ、 さんぎょうともに念仏ねんぶつえら もつて*しゅうなすのみ。

本願・摂取・我名・化讃、此之四者是弥陀選択也。讃歎・留教・付属、此之三者是釈迦選択也。証誠者六方恒沙諸仏之選択也。然レバ釈迦・弥陀及十方恒沙等諸仏、同心選↢択シタマフ念仏一行↡。余行不↠爾。故リヌ、三経共ビテ↢念仏↡以↢宗致↡耳。

総結綱要【総結】
  正述綱要【三選之文】

【17】^*はかりみれば、 それすみやかにしょうはなれんとおもはば、 しゅしょうぼうのなかに、 しばらくしょうどうもんさしおきてえらびてじょうもんるべしじょうもんらんとおもはば、 しょうぞうぎょうのなかに、 しばらくもろもろのぞうぎょうなげすててえらびて正行しょうぎょうすべし。 正行しょうぎょうしゅせんとおもはば、 しょうじょごうのなかに、 なほ助業じょごうかたわらにしてえらびて*正定しょうじょうをもつぱらにすべし。

計也ハカリミレバ、夫ハバ↠離レムト↢生死↡、二種勝法、且キテ↢聖道門↡選ビテルベシ↢浄土門↡。ハバ↠入ラムト↢浄土門↡、正雑二行、且チテ↢諸雑行↡選ビテ↠帰↢正行↡。欲ハバ↠修セムト↢於正行↡、正助二業、猶ニシテ↢於助業↡選ビテ↠専ニス正定↡。

^正定しょうじょうごう は、 すなはちこれぶつみょうしょうするなり。 みなしょうすれば、 かならずしょうずることをぶつ本願ほんがんによるがゆゑなり

正定之業者即是称スルナリ↢仏名↡。称スレバ↠名得↠生ズルコトヲ。依ルガ↢仏本願↡故ナリ

別依善導【後述】
    簡他師
      簡他宗人師
       

【18】^ひていは0852く、 *ごん天台てんだい真言しんごん禅門ぜんもん三論さんろん法相ほっそうしょ、 おのおのじょう1286法門ほうもんしょうしょつく。 なんぞかれらのによらずして、 ただ善導ぜんどうもちゐるや。

ヒテ、華厳・天臺・真言・禅門・三論・法相諸師、各↢浄土法門章疏↡。何シテ↠依↢彼等↡唯1325ヰル↢善導一師↡乎。

三 ⅱ Ⅰ a

^こたへていはく、 かれらのしょおのおのみなじょうしょうしょつくといへども、 じょうをもつてしゅうなさず、 ただしょうどうをもつてそのしゅうす。 ゆゑにかれらのしょによら善導ぜんどうしょうひとえじょうをもつて しゅうして、 しょうどうをもつてしゅうなさず。 ゆゑひとえ善導ぜんどういっ

ヘテ、彼等諸師各皆雖↠造ルト↢浄土章疏↡而不↧以↢浄土↡為↞宗、唯以↢聖道↡而為↢其↡。故↠依↢彼等諸師↡也。善導和尚↢浄土↡而為↠宗而不↧以↢聖道↡為↞宗。故↢善導一師↡也。

三 ⅱ Ⅰ 簡自宗人師
        約三昧発得
          (一)

 ^ひていはく、 じょう祖師そしそのかずまたおおし。 いはくほう*ざい*みん三蔵さんぞうとうこれなり。 なんぞかれらのしょによらずして、 ただ善導ぜんどうもちゐるや。

ヒテ、浄土祖師其数又多。謂弘法寺迦才、慈愍三蔵等是也。何シテ↠依↢彼等諸師↡唯用ヰル↢善導一師↡哉。

三 ⅱ Ⅰ b イ (二)

^こたへていはく、 これらのしょじょうしゅうとすといへども、 いまだ三昧さんまいおこず。 善導ぜんどうしょうはこれ*三昧さんまい発得ほっとくひとなり。 *どうにおいてすでにそのしょうあり。 ゆゑにしばらくこれをもちゐる

ヘテ、此等諸師雖↠宗トスト↢浄土↡、未↠発↢三昧↡。善導和尚是三昧発得之人也。於↠道↢其証↡。故ヰル↠之

三 ⅱ Ⅰ b 約師弟
          (一)

 ^ひていはく、 もし三昧さんまい発得ほっとくによらば、 *かんぜんはまたこれ三昧さんまい発得ほっとくひとなり。 なんぞこれをもちゐざる

ヒテ、若ラバ↢三昧発得↡者、懐感禅師亦是三昧発得之人也。何↠用↠之

三 ⅱ Ⅰ b ロ (二)

^こたへていはく、 善導ぜんどうはこれなり かんはこれ弟子でしなり。 ゆゑによりて弟子でしによら。 いはんや師資しししゃく、 そのそうはなはだおおし。 ゆゑにこれをもちゐず。

ヘテ、善導是師也。懐感是弟子也。故リテ↠師↠依↢弟子↡也。況師資之釈、其相違甚。故不↠用↠之

三 ⅱ Ⅰ b 重約三昧発得
          (一)

 ^ひていはく、 もしによりて弟子でしによらずは、 どうしゃくぜんはこれ善導ぜんどうしょう1287なり。 そもそもまたじょう0853祖師そしなり。 なんぞこれをもちゐざるや。

ヒテ、若リテ↠師↠依↢弟子↡者、道綽禅師者是善導和尚之師也。抑又浄土祖師也。何ルヤ↠用↠之

三 ⅱ Ⅰ b ハ (二)

^こたへていはく、 どうしゃくぜんはこれなりといへども、 いまだ三昧さんまいおこず。 ゆゑにみづからおうじょうとくらずして、 善導ぜんどうひていはく、 「どうしゃく念仏ねんぶつしておうじょうべしいなや」 と。 どう (善導) いっきょうれん*べんぜしめて、 これを仏前ぶつぜんきて、 「*ぎょうどう七日しちにちせんにはなしぼかしずは、 すなはちおうじょう。 これによりて七日しちにちはな*ねんとしてはなおうず。

ヘテ道綽禅師者是雖↠師ナリト、未↠発↢三昧↡。故シテ↠知↢往生得否↡、問ヒテ↢善導↡曰、道綽念仏シテベシヤ↢往生↡否ヤト。導令メテ↢一茎蓮華↡、置キテ↢之仏前↡、行道七日セムニ花不↢萎↡、即ムト↢往生↡。依リテ↠之七日、花果然トシテ花不↢萎黄↡。

^しゃく (道綽) その*深詣じんけいたん ちなみにじょうりてまさにしょうべしやいなやをかんずることをどう (善導) すなはちじょうて、 しゅこたていはく、 「 まさにさんつみさんすべし。 まさにおうじょうすべし いちむかしぶつ尊像そんぞうやすじて、 簷牖のきまどもときて、 みづからは*じんぼうしょせり。 しゅっにん*駆使くししゃくやくす。 さん*おく営造ようぞうしてむしいのちそんしょうす。 、 よろしく十方じっぽう仏前ぶつぜんおい第一だいいちつみさんし、 ほうそうまえおいだいつみさんし、 一切いっさいしゅじょうまえおいだいさんつみさんすべし」 と。

綽歎↢其深詣↡。因↣入リテ↠定ゼムコトヲ↢当シヤ↠得↠生ヤヲ↡。導即リテ↠定、須臾ヘテ、師当↠懴↢三↡。方↢往生↡。一者師ムカシンジテ↢仏尊像↡、在キテ簷牖↡、自ラハセリ↢深房↡。二者駆↢使策↣役出家人↡。三者営↢造シテ屋宇↡損↢傷↡。師宜↧於↢十方仏前↡懴↢第一↡、於↢四方↡懴↢第二↡、於↢一切衆生↡懴↦第三↥。

^しゃくこう (道綽) しずかにむかしとがおもひて、 「みなむなしからず」 といふ。 ここにしんあらひ、 しゃしをはりて、 どう (善導)まみゆ。 すなはちいはく、 「つみめったりのちにまさにびゃくこうありてしょうそくすべ1288し。 これおうじょうそうなり」 と。 じょう、 ¬*しんしゅうおうじょうでん¼。

綽公静カニヒテムカシ↡、皆曰↠不↠虚シカラ。於↠是↠心、悔謝リテマミ↠導。即、師罪滅シタリ矣。後↧有リテ↢白光↡照1326↥。是師往生之相也已上¬新修往生伝¼

三 ⅱ 嘆徳

 ^ここにりぬ。 善導ぜんどうしょうぎょう三昧さんまいおこし、 つとくらいへたり0854ぎょうぼんにあらざることまさにこれあきらけし。 いはんや またときひとことわざにいはく、 「仏法ぶっぽうとうぎょうてよりこのかた、 いまだぜん (善導) のごとじょうとくあるはあらず。 絶倫ぜつりんほまれしょうすべからざるものか」

リヌ。善導和尚者行、発↢三昧↡、ツトヘタリ↢師↡。解行非ザルコト↠凡アキラケシ矣。況又時、仏法東行シテヨリ已来、未↠有↢禅師ノゴトクノ盛徳アルハ↡矣。絶倫之誉不↠可カラ↢得而称↡者歟

^しかのみならず ¬かんぎょう¼ のもんしょ*じょうろくする*きざみ、 すこぶる*霊瑞れいずいかんず。 しばしば*しょうあずかる。 すでにしょうみょうこうむりて、 しかも ¬きょう¼ (観経)*もんつくる。 こぞりて *証定しょうじょうしょ」 としょうす。 ひとこれをとうとぶことぶっ きょうほうのごとくす

加之シカノミナラズ条↢録スル¬観経¼文疏↡之刻、頗↢霊瑞↡。シバシバカル↢聖化↡。既リテ↢聖冥加↡、然↢¬経¼科文↡。コゾリテ↠世而称↢証定↡。人貴ブコト↠之クス↢仏経↡。

三 ⅱ 引疏文

^すなはちかのしょだいかん (散善義)*おくにいはく、 「うやまひて一切いっさい えんしきとうにまうす。 (善導) すでにこれしょうぼんなり。 智慧ちえ浅短せんたんなり。 しかもぶっきょうゆうなり。 あへてたやすく異解いげしょうぜず。 つひにすなはちしんひょうがんむすびて、 霊験れいげんもとて、 まさに造心ぞうしんべし。 じんくうへん法界ほうかい一切いっさい三宝さんぼうしゃ牟尼むにぶつ弥陀みだぶつ観音かんのんせい、 かのもろもろのさつ大海だいかいしゅおよび一切いっさいしょうごんそうとう南無なもみょうしたてまつる。

¬疏¼第四巻、「敬ヒテ↢一切有縁知識等↡。餘是生死凡夫ナリ。智慧浅短ナリ。然仏教幽微ナリ。不↣敢タヤス↢異解↡。遂↠心ビテ↠願、請↢求シテ霊験↡、方↢造心↡。南↢無帰↣命シタテマツル尽虚空遍法界一切三宝、釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・観音・勢至、彼菩薩大海衆及一切荘厳相等↡。

^それがし、 いまこの ¬かんぎょう¼ よういだして、 こんかいじょうせんとほっ。 もしさん諸仏しょぶつしゃぶつ1289弥陀みだぶつとうだいがんかなはば、 ねがはくはゆめのうちにおいて、 かみ 所願しょがんのごとき一切いっさいきょうがい諸相しょそうることをん。 仏像ぶつぞうまえおいがんむすおわりて日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ 三遍さんべんじゅし、 弥陀みだぶつさん万遍まんべんねんじ、 しんいたしてがん0855おこす。

某今欲↧出シテ↢此¬観経¼要義↡、楷↦定セムト古今↥。若カナハバ↢三世諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等大悲願意↡者、願クハ↢夢↡、得↠見ルコトヲ↧如キノ↢上所願↡一切境界諸相↥。於↢仏像↡結ビテ↠願、已リテ日別↢¬阿弥陀経¼三遍↡、念↢阿弥陀仏三万遍↡、至シテ↠心↠願

^すなはちとうにおいて西方さいほうくうちゅうるに、 かみのごときの諸相しょそうきょうがいことごとくみな顕現けんげんす。 雑色ざっしき宝山ほうせん百重ひゃくじゅうせんじゅう して、 種々しゅじゅこうみょう しもらす。 金色こんじきのごとし。 なかに諸仏しょぶつさつましまして、 あるいはし、 あるいはりゅうし、 あるいはし、 あるいはもくし、 あるいは身手しんしゅうごかし、 あるいはじゅうしてどうぜざるものあり。 すでにこのそうて、 がっしょうしてりゅうしてることややひさしくして、 すなはちめぬ。 めをはりてごん へず。

↢当夜↡見ルニ↢西方空中↡、如キノ↠上諸相境界悉皆顕現。雑色宝山百重千重シテ、種々光明、下照↢於地↡。地如↢金色↡。中シテ↢諸仏菩薩↡、或イハ、或イハ、或イハ、或イハ、或イハ↢身1327↡、或イハシテ↠動アリ。既↢此↡、合掌シテシテルコトヤヤシクシテ、乃メヌ。覚リテ不↠↢欣喜↡。

^すなはち ˆかんぎょうのˇ *もんじょうろくす。 これより以後のちまいちゅうつねにひとりそうありて、 きたりて*げんもんじゅすることすでにおわりて、 さらにまたえず。

条↢録義門↡。自此已後、毎夜夢中リテ↢一僧↡而来リテ指↢授スルコト玄義科文↡既リテ、更不↢復見↡。

^のちときほんだっをはりぬ。 またさらにしんいたしてかならず七日しちにち して、 日別にちべつに ¬弥陀みだきょう¼ 十遍じっぺんじゅし、 弥陀みだぶつさん万遍まんべんねんじ、 しょ後夜ごやかのぶつこくしょうごんとうそう観想かんそうして、 じょうしんみょうもつぱらかみほうのごとくす

↠本竟已リヌ。復更シテ↠心シテ↢七日↡、日別↢¬阿弥陀経¼十遍↡、念↢阿弥陀仏三万遍↡、初夜・後夜観↢想シテ国土荘厳等↡、誠心帰命シテクス↢上↡。

^とうにすなはち *さん磑輪がいりんどうほとり1290ひとてんるをたちまちに一人いちにんありて、 しろらくまえきたりて、 まみえてすすª、 まさに*ゆめゆめけつじょうしておうじょうすべし。 退転たいてんをなすことなかれ。 このさかいあくにしておおいたわしくとんぎょうせざれº こたへていはく、 ªおおきに賢者けんじゃ好心こうしん視誨じげこうむ0856ぬ。 それがしひつみょうして、 あへてまんしんしょうº と。

当夜↢三具磑輪ズルヲ↡。忽リテ↢一人↡、乗リテ↢白駱駝↡来リテ↠前、見エテ。師当努力ユメユメ決定シテ往生↡。莫↠作スコト↢退転↡。此穢悪ニシテ↠苦。不レトイタハシク貪楽↡。答ヘテ、大リヌ↢賢者好心視誨↡。某畢命↠期、不↣敢↢於懈慢之心↡。

^だいらく、 弥陀みだぶつしん真金しんこんいろにして、 七宝しっぽうじゅもとこんれんうえにましましてしたまへり。 十僧じっそうにょうして、 またおのおのいち宝樹ほうじゅもとせり。 仏樹ぶつじゅうえ すなはちてんありて、 かかめぐり。 おもてただしくし西にしかへて、 がっしょうしてしてかん

第二ラク、阿弥陀仏真金ニシテ、在シテ↢七宝樹金蓮華↡坐シタマヘリ。十僧囲繞シテ、亦各セリ↢一宝樹↡。仏樹リテ↢天衣↡、カカレリ。正シクシ↠面↠西、合掌シテシテ

^だいさんらく、 ふたつ幢杆はたぼこ おおきにたかあらわれて、 はたしきけたりどうじゅうおう ひとることさわりなし。

第三ラク、両ハタボコレテ、幡懸ケタリ↢五色↡。道路蹤横、人観ルコト↠礙。

^すでにこのそうをはりて、 すなはちして七日しちにちいたらず。

得↢此↡已リテ、即便休止シテ不↠至↢七日↡。

^じょうらいあらゆる霊相れいそうは、 本心ほんしんもののためにしてしんのためにせず。 すでにこのそうこうむれり。 あへて隠蔵おんぞうせず。 *つつしみてもつてあらわして末代まつだいきこえられん。 ねがはくは 含霊がんれいをしてこれをかしめてしんしょうぜししきるもの 西にし

上来所有霊相者、本心、為ニシテ↠物不↠為ニセ↢己身↡。既レリ↡。不↢敢隠蔵↡。謹ミテ↢呈シテ義後↡被レム↠聞↢於末代↡。願クハ使メテ↢含霊ヲシテ↟之ゼシム。有識者西セヨ↡。

^このどくをもつてしゅじょう回施えせして、 ことごとくだいしんおこして、 しんをもつてあひかひ、 仏眼ぶつげんをもつてあ1291ん。 だい眷属けんぞくとしてしんぜんしきとならん。 おなじくじょうこくしてともに仏道ぶつどうじょうん。

↢此功徳↡廻↢施シテ衆生↡、悉シテ↢菩提心↡、慈心ヲモテ相向、仏眼ヲモテ相看1328。菩提眷属トシテラム↢真善知識↡。同ジクシテ↢浄国↡共ゼム↢仏道↡。

^このすでにしょうひてさだめをはりぬ。 いっいちげんすべからず。 うつさんとおも、 もつぱらきょうぼうのごとくすべし。 るべし」

義已ヒテ↠証リヌ。一句一字不↠可カラ↢加減↡。欲ハバ↠写サムト者、一クスベシ↢経法↡。応シト↠知。」

今集興由
    依疏開宗
      嘆入法

 ^しず0857かにおもんみれば、 善導ぜんどうの ¬かんぎょうしょ¼ はこれ*西方さいほうなん*ぎょうじゃ目足もくそくなり。 しかればすなはち西方さいほうぎょうにん、 かならずすべからくちんぎょうすべし。 就中なかんずく まいゆめのうちにそうありて、 げんじゅそう はおそらくはこれ弥陀みだ応現おうげんなり。 しかればいふべし、 この ¬しょ¼ はこれ*弥陀みだ伝説でんせつなり。 いかにいはんや、 大唐だいとうあひつたていはく、 「善導ぜんどうはこれ弥陀みだしんなり」

レバ、善導¬観経疏¼者、是西方指南、行者目足也。然レバ西方行人必↢珍敬↡矣。就中ナカンヅク、毎夜リテ↠僧、指↢授玄義↡。僧者恐クハ弥陀応現ナリ。爾レバ者可、此¬疏¼者是弥陀伝説ナリト大唐相伝シテ、「善導是弥陀化身也」。

^しかればいふべし、 またこのもんはこれ弥陀みだ直説じきせつなり。 すでに うつさんとおも、 もつぱらきょうぼうのごとくせよ(散善義)いふ、 このことばまことなるかなや。 あおぎて*ほんたずぬれば、 じゅうはちがん法王ほうおう (阿弥陀仏) なり。 十劫じっこうしょうがくとなへ、 念仏ねんぶつたのみあり。 して*すいじゃくとぶらへば、 専修せんじゅ念仏ねんぶつどう (善導) なり。 *三昧さんまいしょうじゅおうじょううたがいなし。 *ほんじゃくことなりといへども どうこれいちなり。

レバ者可↠謂、又此是弥陀直説ナリ。既↣「欲ハバ↠写サムト者、一クセヨト↢経法言誠ナルカナ乎。仰ギテタヅヌレバ↢本地↡者、四十八願之法王也。十劫正覚之唱、有↠憑↢于念仏↡。俯シテヘバ↢垂迹↡者、専修念仏之導師也。三昧正受之語、無↠疑↢于往生↡。本迹雖↠異ナリト化導是一也。

三 ⅲ Ⅰ 正明開宗【撰述因縁】

 ^1292ここに*貧道ひんどう (源空)むかしこのてん (観経疏)えつして、 ほぼ*素意そいちどころにぎょうとどめてここに念仏ねんぶつす。 それよりこのかた今日こんにちいたるまで、 *ぎょう化他けたただ念仏ねんぶつ*こととす。 しかるあひだ まれ*しんふものには、 しめすに*西方さいほう通津つうしんをもつて、 たまたまぎょうたずぬるものには、 おしふるに念仏ねんぶつべつぎょうをもつてす。 これをしんずるものはおおく、 しんぜざるものはすくなし。

貧道、昔披↢閲シテ↡、粗↢素意↡。タチドコロトドメテ↢余行ココ↢念仏↡。自↠其已来ルマデ↢于今日↡、自行化他唯コトトス↢念仏↡。然間希↠津ニハ、示スニテシ↢西方通津↡、適ヌル↠行ニハヲシフルニテス↢念仏別行↡。信ズル↠之↠信

三 ⅲ Ⅰ 機教相応

^まさにるべし。 じょうきょう時機じきたた0858きて ぎょううんあた念仏ねんぶつぎょう*水月すいがつかんじて しょうこう

↠知。浄土之教、叩キテ↢時機↡而当レリ↢行運↡也。念仏之行、感ジテ↢水月↡而得タリ↢昇降↡也。

三 ⅲ 依命集記
      明応命

^しかるにいま はからざるに*おおせをこうむしゃするにところなし。 よりていま*なまじひに念仏ねんぶつ要文ようもんあつめて、 あまつさへ念仏ねんぶつようただ*めいかえりみて*びんかえりみず。 これすなはち*ざん無愧むぎのはなはだしきなり。

ルニ今不ルニ↠図↠仰。辞謝スルニトコロ。仍リテナマジヒメテ↢念仏要文↡、アマツサ↢念仏要義↡。唯ミテ↢命旨↡不↠顧↢不敏↡。是1329無慚無愧之甚シキ也。

三 ⅲ Ⅱ 禁他見

^庶幾こいねがはくは ひとたび*高覧こうらんのちかべそこうずみて、 まどまえのこすことなかれ。 おそらくはほうひとをして、 悪道あくどうせしめざらんためなり。

庶幾コヒネガハクハタビ↢高覧↡之後、埋ミテ↢于壁↡、莫↠遺スコト↢窓↡。恐クハ為↠不ラムガ↠令↣破法之人ヲシテ↢於悪道↡也。

せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう

 

1293*げんきゅう元年がんねんじゅういちがつじゅうはちにち書写しょしゃしをはりぬ。
ねがはくはこのどくをもつて、 一仏いちぶつおうじょうせんのみ。

元久元年十一月廿八日書写了 願以此功徳往生一仏土而已

  *元久げんきゅう元年がんねんじゅうがつじゅう七日しちにち

  元久元年十二月廿七日

源 空 (花押)

源空 (花押)

 

延書の底本は奈良県当麻寺奥院蔵元久元年写本(往生院本)ˆ原漢文の底本◎と同一、 訓点ありˇ。 なお、 宗祖加点本と対校し、 相違箇所を赤の点下線(クリックで内容表示)、 減語句を青の点下線で示している。 ただし、 音便を含め訓に違いの出ないものは割愛した。
本願章~摂取章には、 宗祖¬選択集延書¼を欠く。
選択本願念仏集 「行文類」 引用箇所や ¬本山蔵版本¼ では、 題号の下に 「源空集」 の撰号がある。
 宗要、 肝要、 かなめの意。 ¬往生院本(漢文底本◎)¼ ¬ざん本(対抗本Ⓐ)¼ 等は 「先」 となっているが、 親鸞聖人への伝授本は 「本」 となっていた。 「本」 は根本最要の意で、 「先」 と同意。
 異本には 「駛」 とある。
疑端に足らず 疑う余地がない。
顕大 大乗の中の顕教。
権大 大乗の中の権教。
歴劫迂回の行 ながい間かかって回り道をして、 さとりをひらく行法。
密大 大乗の中の密教。
実大 大乗の中の実教。
正しく往生… しょう道門どうもんを捨てて、 ただ往生浄土の法門のみをまさしく説く教。
傍らに往生… 聖道門を説く中に、 その方便法として、 かたわらに往生の行法が説かれている教。
浄土の三部経 じょうさんきょうの呼称は法然ほうねん上人に始まる。
法華の三部 ¬りょうきょう¼ を ¬きょう¼ の開経とし、 ¬げん観経かんぎょう¼ (¬観普賢経¼) を結経とする。
大日の三部 密教でよりどころとする三部の経典。
鎮護国家の三部 当時、 国家安泰を祈るための経典として、 この三部が採用されていた。
運を啓けて 運は好機が至ること。 機縁が熟して釈尊が世に出られたことを示す。
随方に闡けて あらゆるところに広まって。
法潤に霑ふ 法のめぐみをほどこす。
契悟するに方なし さとりに至る方法がない。
涅槃の広業 ¬涅槃経¼ を講ずるという広大な事業。
諸家また不同なり… 中国浄土教をざん流、 みん流、 どうしゃく善導ぜんどう流の三流に分けたもの。 法然ほうねん上人独自の見解である。
両説 法然上人が用いられたのは後者である。
唐宋両伝 道宣どうせん撰の ¬続高僧伝¼ と賛寧さんねい撰の ¬宋高僧伝¼ のこと。 両伝によって六師をあげたのは、 法然聖人の選択によるものである。 浄土宗の相承をいう場合は、 この六師からだいを除いて五祖とすることが多い。
往生の経…行ずる 「往生の経」 は浄土三部経を指す。 「往生経の行によりて行ずる」 と読む異本もある。
本願の行 しゅじょう往生の正定しょうじょうごうとして、 本願に選び定められた行。
つぶさに… くわしく述べることはできない。
往生浄土の経 浄土三部経。
事理 事は具体的な差別の事相、 理は普遍的な平等の理性を指す。
世天 梵天ぼんてんたいしゃくてんなどの天の神々のこと。
雑行の言に摂尽すべし 雑行という言葉の中に含みおさめることができる。
 諸本にはこの字なし。
自然に往生の業となる 称名念仏は本願によって往生行と選定されているので、 しゅじょうが往生のためにこうする必要は全くなく、 称名すればそのままで往生の業因となる。
八蔵 仏の説法を八種に分類したもの。 たいぞうちゅう陰蔵いんぞう摩訶まかえん方等ほうどうぞう・戒律蔵・十住じゅうじゅうさつぞう金剛こんごうぞう・仏蔵・雑蔵ぞうぞう。 ¬さつ処胎しょたいきょう¼ に見える説。
四含 ¬じょうごんぎょう¼ ¬ちゅうごんぎょう¼ ¬増一ぞういつごんぎょう¼ ¬ぞうごんぎょう¼ のこと。 →ごんぎょう
二十の犍度 犍度は章のこと。 教団の生活・儀式などに関する規定を二十章に分類整理したもの。 ¬分律ぶんりつ¼ に説く。
賢聖集 諸種の ¬高僧伝¼ を指していう。
十科の法 訳経・解義げぎしゅうぜんみょうりつ・護法・観通・ゆいしん読誦どくじゅ・興福・雑科。
五聚の法門 教聚・義聚・染聚ぜんじゅ・浄聚・雑聚ぞうじゅ
山家 天台てんだいしゅうのこと。
胎蔵界の曼陀羅 大日だいにち如来の慈悲のはたらきを図示したもの。 ¬大日経¼ にもとづく。 →まん荼羅だら
金剛界の曼陀羅 大日如来の智慧ちえのはたらきを図示したもの。 ¬金剛こんごう頂経ちょうきょう¼ にもとづく。 →まん荼羅だら
雑曼陀羅 大日如来以外の諸尊を中尊とするまん荼羅だら
自余の諸師 じょうようおん (523-592)、 天台てんだい大師智顗ちぎ (538-597)、 じょう大師吉蔵きちぞう (549-623) などを指す。
無為の諸楽 無為むいはんのさまざまな楽しみ。
 ¬選択集¼ 延書のべがき本 (りゃくおう四年本転写本、 存覚ぞんかく上人相伝本) には 「世」 の字を欠く。
総別二種の願 すべての仏に共通する誓願 (総願) とそれぞれの仏菩薩の独自の誓願 (別願)。
釈迦の五百の大願 ¬悲華ひけきょう¼ に見える。
薬師の十二の上願 ¬薬師本願経¼ に見える。
選択と… 「選択」 (取捨の義) と 「摂取」 は本来、 同義であるが、 後者は 「捨」 の義がかくれているので、 通常は取捨の両意に通ずる 「選択」 の語が用いられている。
黄白二類 黄色人と白色人。
 棟をささえる横木。 はり。
 家の棟から軒に掛け渡して屋根をうけている横木。 たるき。
 排すること。
簡ばず 区別しない。
多聞多見 仏の教えを多く見聞して学問があること。
持戒持律 戒律かいりつを堅くたもつこと。
迎へに来らん 親鸞聖人は 「迎えかえらしめん」 (行文類訓) と読まれた。
多く念仏 親鸞聖人は 「多念仏」 (唯信鈔文意) とも読まれ、 勝れた徳をもつ念仏の意とされた。
もろもろの…回向して 親鸞聖人は 「あらゆる衆生、 その名号を聞きて信心歓喜せんこと、 乃至一念せん。 至心に回向したまへり」 (信文類訓) と読まれた。
大集月蔵経 以下の引文は実際には ¬大集だいじっきょう¼ 「日蔵にちぞうぶん」 にある。
宿命通の願 国土の人天がすべて宿命通 (過去の境界を知る智慧ちえ) を得るようにと誓われた願。
五神通…寿命等の願 四十八願の中の第五 (宿命しゅくみょうつうの願)、 第六 (てんげんつうの願)、 第七 (てんつうの願)、 第八 (心通しんつうの願)、 第九 (じんそくつうの願)、 第十二 (こうみょう無量の願)、 第十三 (寿命無量の願)、 第十四 (しょうもん無量の願) を指す。
諸師の釈 こう (八世紀の人) は 「諸縁信楽十念往生題」 (無量寿経論釈) とし、 源信げんしんしょうの師、 りょうげん (912-985) は 「聞名信楽十念定生願」 (極楽浄土九品往生義) としている。
夢に ¬延応版本¼ (右訓)、 ¬本山蔵版本¼ 等では 「夢のごとくに」 と読む。
かの五竺に… でんぎょう大師さいちょう (766または767-822) の ¬さんがくしょうしき¼ ¬顕戒けんかいろん¼ に見える説。
消し 「消す」 は消釈すること。 解釈すること。
同類の善根 正定しょうじょうごうと同じ種類の善根。 正行しょうぎょう (どくじゅ観察かんざつ礼拝らいはい・称名・さんだんよう) のうち前三後一の助業じょごうを指していう。
異類の善根 前三後一以外のさまざまな善根で、 称名念仏を修するための助けとなる行。
所助 (異類の善根によって) 助けられる行。
能助 (称名念仏を) よく助けるところの行。
初出 在家からはじめて出家すること。
初発 はじめてだいしんをおこすこと。
長時不退の行 ながく退転しないで修する行。
開合の異 詳しく説きひらいたのと、 合せ説いたのとの相違。
衆機に逗ず 多くの機類に対応する。 「逗」 は目標に合うように与えるの意。
末法万年の後 行と証が欠けて教えのみがのこる末法の時代が一万年続いた後は、 その教えすらもないほうめつの時に入るという。 →さん
詮ずるところ 説きあらわすところ。
大小の戒律 大乗および小乗の戒律。 ¬瓔珞ようらくきょう¼ のさんじゅじょうかい、 ¬梵網ぼんもうきょう¼ の十重じゅうじゅうじゅうはちきょうかいなどを大乗戒とし、 ¬分律ぶんりつ¼ ¬五分律¼ ¬じゅう誦律じゅりつ¼ などの律蔵に説かれる戒律を小乗戒という。
聖道浄土二教 →しょう道門どうもんじょうもん
十方浄土往生の諸教 ¬十方じっぽう随願ずいがんおうじょうきょう¼ 等の教説を指す。
心地 ¬だいじょうほんじょうしんかんぎょう¼ を指す。 →しんかんぎょう
 規範。 法則。
かの時機 法滅ほうめつの時代の機類。
摂取 せっしゅしゃの意。
光接 異本には 「光摂」 とある。
かならず…得ざれ 親鸞聖人は 「かならず真実心のうちになしたまへるをもちゐんことを明かさんとおもふ。 外に賢善精進の相を現ずることを得ざれ、 内に虚仮を懐いて」 (信文類訓) と読まれた。
走り 親鸞聖人は 「もと」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…真実なるべし 親鸞聖人は 「おほよそ施したまふところ趣求をなす、 またみな真実なり」 (信文類訓) と読まれた。
不善の…捨つべし 親鸞聖人は 「不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるをもちゐよ」 (信文類訓) と読まれた。
またもし善の…名づく 親鸞聖人は 「またもし善の三業を起さば、 かならず真実心のうちになしたまへるをもちゐて、 内外明暗を簡ばず、 みな真実を須ゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (信文類訓) と読まれた。
より行じて 「依行」 を親鸞聖人は 「行によりて」 (信文類訓) と読まれた。
 ここでは勧める人、 釈迦・諸仏を指す。 一説には四重の破人 (念仏の教えを否定する四種の人) を指すという。
回向発願 異本には 「回向発願願生」 また 「回向発願生」 などとある。
かならず…願作すべし 親鸞聖人は 「かならず決定して真実心のうちに回向したまへる願をもちゐて得生の想をなせ」 (信文類訓) と読まれた。
むしろ 原漢文は 「寧」 の字。 親鸞聖人は 「やすく」 (信文類訓) と読まれた。
妄りに…喩ふ 親鸞聖人は 「妄りに見解をもってたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失すと説くに喩ふるなり」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…名づく 親鸞聖人は 「おほよそ三業を起すに、 かならず真実をもちゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (化身土文類訓) と読まれた。
もし一心… 親鸞聖人は ¬唯信鈔文意¼ では、 この文の 「一心」 を三心即一心の一心 (真実信心) と解釈されている。
外を翻じて内に蓄へば 外にあらわす賢善精進のすがたを内にも蓄えて、 心も賢善精進になるならばという意。 賢者は賢者のままに救われるということ。
内を翻じて外に播さば 愚悪なる内の心をあらわして、 外のすがたも愚悪になるならばという意。 愚者は愚者のままに救われるということ。
生死の家には… 生死りんの家にとどまるのは本願を疑うからであり、 さとりの城に入るのは本願を信ずるがゆえである。
 びゃくだん栴檀せんだんなどの香木。
 綾絹あやぎぬ。 斜線模様を織り込んだ絹織物。
素質金容 素質は生地きじのままの像。 金容は金箔をほどこした像。
 織りをつめて細かく織った絹の生地。
法界の所流 法の根源より流れ出たものがら。
報じ尽す 仏恩に報謝するの意。 ¬西方要決¼ の原意は 「報の尽くる」 で、 現在のこの身 (報) が尽きるまでということ。
余の五度 六度 (ろっ波羅ぱらみつ) のうちしょうじん以外の五種のぎょうごう
/ruby>しきのこと。
極悪最下の人 →補註3
無明淵源の病 無明という迷いの根源を、 最も根源的な病に喩えたもの。
中道腑臓の薬 仏法の肝要であるところの中道の教えを、 内臓の重病をなおす妙薬に喩えたもの。
妙法蘊 蘊は積集しゃくじゅうの意。 すばらしい法のあつまり。
般若波羅蜜多 真実の智慧ちえの完成を説く諸種の大乗の教え。
五種の蔵 釈尊一代の教えを五種に分けたもの。 五蔵という。
循環研覈 問答を繰り返して研究を深めてゆくこと。
我法執着 しゅうほうしゅう
契経 素そたらんの漢訳。
調伏 毘奈耶びなやの漢訳。
対法 阿毘あびだつの漢訳。
般若 般若はんにゃ波羅はらみっ蔵のこと。
八重 せっしょうちゅうとういんもうの四重禁に、 女子として慎むべきそくはちふくずい苾蒭びっしゅを加えたもの。 尼の八棄戒 (はち波羅はらざい)。
謗方等経 大乗の経典を誹謗すること。
乳酪… →五味ごみ
総持門 真言しんごんみっきょうのこと。
五逆の回心上上に通ず 下下品に説かれている五逆の回心はまた上上品に通じる。
読誦の… 上上品に説かれている読誦大乗の妙行もまた下下品に通じる。
宝楼閣観 →宝楼ほうろうかん
阿弥陀仏観 →真身しんしんかん
普往生観 →かん
孝経等の… ¬孝経¼ ¬論語¼ 等の儒教典籍に説かれている、 親に仕える法。
 ¬分律ぶんりつ¼ とする説がある。
生縁奉事の法 生れる縁となった父母に仕える法。
衆戒 ¬瓔珞ようらくきょう¼ の三聚さんじゅじょうかい、 ¬梵網ぼんもうきょう¼ の十重じゅうじゅうじゅうはち軽戒きょうかいなどを大乗戒とし、 ¬分律ぶんりつ¼ ¬五分律¼ ¬十誦じゅうじゅりつ¼ などの律蔵に説かれる戒律を小乗戒という。
行願 他をだつさせようとする慈悲の心。
勝義 自らがさとりを得ようとする大智の心。
三摩地 梵語サマーディ (samādhi) の音写。 じょうとうと漢訳する。 心をしょうぶついちにょの境地に専注すること。
意気博遠 意味するところが広く深いこと。
詮測沖邈 おしはかろうとしても、 あまりに茫漠ぼうばく (広大でとりとめがない) としていて把握しがたいこと。
四聖 しょうもん縁覚えんがく・菩薩・仏。 じょうのこと。
天台によらば 天台宗の五時の教判によるならばの意。 五時は仏一代の説法をごん鹿苑ろくおん (ごんぎょう)・方等ほうどう (ゆいぎょうしょうまんぎょう等)・般若はんにゃほっはんの五つに分類したもの。
十種法行 経典を伝授するための十種の方法。 書写・よう・施他・たいちょう・披読・受持・開演・じゅ・思惟・修習しゅじゅうの十。
簡ぶ 区別すること。
已結集 経典としてすでに編集されていること。 →けつじゅう
貞元の入蔵の録 →貞元ていげん釈教しゃくきょうろく
遮那 ¬大日だいにちきょう¼ のこと。
教王 ¬金剛こんごう頂経ちょうきょう¼ のこと。
爾前の経 ¬法華ほけきょう¼ が説かれる以前の教典。
権実偏円 権は一時的な方便として仮に説かれた教え、 実は仏意にかなった究極的な真実の教え、 偏は一辺にかたよった教え、 円は完全円満な教え。 いずれも天台てんだい宗の一代仏教に対する見方である。
王宮 王舎おうしゃじょうの宮殿で説かれた ¬観経¼ のこと。
三福を開して… 三福はさんぜんの行体 (行のものがら) を示したものであり、 九品はそのぎょうごうを修する機 (人) をどくの深浅・罪の軽重にしたがって分類したものであるから、 三福を開くと九品往生の行業となる。
修行六念 六念ろくねんの行を修習すること。
発道心 だいしん (道心) をおこすこと。
常のごとし いつも説いているとおりである。
三福業 福業をもたらす三種の行為。 →三福さんぷく
日想 →日想にっそうかん
水想 →水想すいそうかん
地観 →想観そうかんの略。
雑想 →雑想ざっそうかん
阿弥陀仏観 →真身しんしんかん
三説 せつ今説こんせつ当説とうせつの三。 已説は ¬法華ほけきょう¼ 以前に説かれた経、 今説は ¬法華経¼ と同じ座で説かれた ¬りょうきょう¼、 当説は ¬法華経¼ 以後に説かれた ¬はんぎょう¼ を指す。
依正の観 依報・正報の観法。 じょうぜん十三観のうち日観にっかんより華座けざかんまでが依報の観、 像観ぞうかんより雑想ざっそうかんまでが正報の観である。 →しょうほう
具憶の功 ¬観経¼ に説かれる定善十三種の観法を、 つぶさに憶念することによって得られるどく
真要に入る 諸本では 「入真の要」 (さとりの世界に入るための肝要なもの) とも読む。
光明 光明真言しんごんのこと。 ¬こうみょう真言しんごんぎょう¼ に説かれる大日だいにち如来の真言。
阿弥陀 阿弥陀仏の真言。 ¬りょう寿じゅ儀軌ぎき¼ などに出るものは阿弥陀大呪と呼ばれ、 真言宗三陀羅尼の一となっている。
散善の十一人 散善のぎょうごうが十一種あることをさしていう。 その十一種とは、 ふく四種 (きょうよう父母ぶも奉事師ぶじしちょうしんせつしゅじゅう善業ぜんごう)、 戒福かいふく三種 (じゅさんそく衆戒しゅかいぼん威儀いぎ)、 ぎょうふく四種 (ほつだいしん深信じんしんいん読誦どくじゅだいじょう勧進かんじんぎょうじゃ) である。
四箇の行 かいほつ提心だいしん第一だいいち読誦どくじゅだいじょうの四種の行為。
襄陽の… →じょうようせっきょう
専持名号… 「もつぱら名号をたもつ。 称名をもつてのゆゑに諸罪消滅す。 すなはちこれ多善根福徳の因縁なり。
今世の伝本 現在、 世に流布している後秦こうしん鳩摩羅くまらじゅう訳 ¬阿弥陀経¼ の経本。
本師金口の説 釈尊のじきせつ
かの経 ¬大経¼ ¬観経¼ のこと。
おのおの…求むべし 親鸞聖人は 「おのおの至心をもちゐて往を求めよ」 (行文類訓) と読まれた。
行品 引用に直接、 該当する文は 「行品」 に見出せない。 「擁護品」 の文の取意か。
護持品 「擁護品」 のこと。
はかりみれば… →三選さんせんもん
正定 ¬往生院本¼ にはこの二字を欠く。 諸本によって補う。
華厳天台… 華厳では ¬ゆうしん安楽あんらくどう¼ (伝がんぎょう)、 天台では ¬観経疏¼ (伝智顗ちぎ)、 真言しんごんでは ¬弥陀みだきょう儀規ぎき¼ (くう)、 禅門ぜんもんでは ¬万善まんぜんどうしゅう¼ (かく)、 三論さんろんでは ¬大経疏¼ ¬観経疏¼ (じょう)、 法相ほっそうでは ¬西方さいほう要決ようけつ¼ (伝おん) 等がある。
道において… 道はぎょうどうの意。 行徳の如実であることが証明されていること。
弁ぜしめて 切り分けて。
駆使し策役す つかいまわす。
証定の疏 善導ぜんどう大師の ¬観経疏¼ は、 阿弥陀仏が指授し、 阿弥陀仏の意とするところと同一であると証明された注釈書であるから、 証定の疏 (証によって定められた疏) という。
 末尾。
義門 ¬観経¼ の法義を明らかに領解するための教義の分類のこと。
玄義の科文 奥深い教義についての科文、 科段のこと。 また 「玄義・科文」 と読んで、 「玄義分」 と 「文義分」 (序分義・定善義・散善義) のこととする説もある。
三具の磑輪 三つの石臼。 釈尊のてん法輪ぽうりんの相 (三転法輪)、 じょうさん・念仏・来迎らいこうの三、 弥陀のしん口意くいの三業、 じょうしん深信じんしんこう発願心ほつがんしんの三心などに当てる説がある。
つつしみて… (上の霊相のことは) 謹んで ¬観経疏¼ の末尾に書き添えて、 末代の者にまで聞かせたい。
西方の指南 西方浄土へ教え導くもの。
行者の目足 往生浄土を願う者の目や足となるほど重要なもの。
弥陀の伝説 阿弥陀仏が直接に伝え説かれた教え。
三昧正受の語 三昧を発得された善導ぜんどう大師のことば。
本迹 法然ほうねん上人は阿弥陀仏を本地とし、 善導大師をその垂迹とみられている。
素意 善導ぜんどう大師の本意。
縡とす つとめとする。
津を問ふ 津は渡し場のこと。 しょうの苦海をわたる渡し場をたずねること。
西方の通津 西方浄土に通入する教えが生死海の渡し場であること。
水月を感じて… 水は昇らずして月をうつし、 月は降りることなく水にうつるということ。 水を凡心に、 月を仏心に喩えて、 凡心と仏心が念仏の行によって相応し一体となることを示す。
仰せ 法然上人に帰依きえしていた藤原ふじわらの兼実かねざね (1149-1207) の要請。
命旨 (藤原兼実の) 命。
不敏 愚鈍の身。 法然上人が自らをへりくだっていう。
高覧を経て後 (本書を) 御覧になったのちは。
元久…源空 (花押)  この奥書は、 後世に書き加えられたもの。
底本は◎奈良県当麻寺奥院蔵元久元年写本(往生院本)。 Ⓐ京都府盧山寺蔵鎌倉時代書写本、 Ⓑ京都府法然院蔵延応元年刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵鎌倉時代刊本(上巻)、本派本願寺蔵建長三年刊本(下巻)、 Ⓓ大谷大学蔵鎌倉時代書写本、 Ⓔ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
→ⒹⒺ(Ⓓ草本と右傍註記)
→ⒸⒺ
→Ⓔ[現]是
→◎
 ⒶⒷⒹになし
 Ⓔになし
→Ⓐ乗[也]
 Ⓔになし
→Ⓓ経[是]
 Ⓓになし
 Ⓐになし
 Ⓓになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓒ
→Ⓔ
→Ⓔ謂[於]
→Ⓐ
→Ⓔ
浄土 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓐ
→ⒷⒸⒺ若[於]
→Ⓒ
 Ⓓと右傍註記
→Ⓓ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓔ
→Ⓓ
→Ⓓ仏[名]
→Ⓔ
→◎
 Ⓐになし
→Ⓓ仏[名]
 Ⓓになし
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ但[今]
 Ⓑになし
 Ⓓになし
 Ⓔになし
→Ⓓ
→Ⓐ(と右傍註記)
 Ⓔになし
 Ⓓと右傍註記
 ⒷⒹⒺになし
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓔ仏[亦]
→Ⓔ生[口]
→Ⓔ常[相]
 Ⓔになし
 Ⓓになし
→Ⓒ
→Ⓔ[阿]弥
→ⒷⒺ[阿]弥
不廻向→Ⓓ廻向不
→Ⓓ者[是雑行也翻不廻向謂是者]
→ⒷⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ及[以]
→ⒷⒸⒺ
→ⒷⒸⒺ
→ⒷⒸⒺ一[是]
→Ⓔ
摂往生行 Ⓐになし
諸師不然行者応思之 Ⓐになし
→◎
→Ⓔ[得]相
→Ⓔ[乃]由
悔過→Ⓔ懴悔心
 Ⓓになし
 Ⓓになし
→ⒸⒺ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓔ所[而]
→Ⓔ
人天→Ⓔ天人
→ⒶⒷⒸⒹⒺ[又]大
 Ⓐになし
→◎Ⓓ
 Ⓓになし
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ仏[国]
 Ⓓになし
 Ⓓになし
 Ⓐ念仏勝と左傍註記
→ⒶⒷⒸⒺ号[者]
→Ⓓ仏[之]
其屋舎 ⒷⒺになし
已上 Ⓐになし
→Ⓓ
 Ⓐになし
→Ⓔ
→ⒷⒺ乏[之]
 Ⓓになし
→Ⓐ上[已上]
→Ⓔ
何以→Ⓐ以何
→Ⓓ
往生 Ⓐになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ声[即]
 Ⓐになし
→Ⓒ
→ⒷⒸⒹⒺ
人天→Ⓓ天人
→Ⓐ生[之]
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓒ
→Ⓔ
 Ⓔになし
→Ⓔ中[云]
 ⒷⒸⒺになし
→Ⓐ輩[即]
→ⒷⒺ三[種]
→Ⓓ
→ⒷⒸⒺ
次異類助成者 ⒶⒷⒸⒹになし
→Ⓑ
→Ⓓ
問端云→Ⓐ云問端
→Ⓐ上[文]
→Ⓐ等[諸]
→Ⓔ行[而]
→Ⓓ
 Ⓐになし
→Ⓐ遍[仏]
→Ⓔ厳[事]
→ⒷⒸⒺ去[是]
→Ⓔ
 ⒶⒸⒹになし
→Ⓔ
 Ⓐになし
→Ⓒ→Ⓔ
 ◎になし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ仏[之]
→Ⓔ
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓔ者[謂]
何経 Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓐ
→Ⓐ観[無]
→Ⓒ
→ⒷⒺ末[法]
 Ⓐになし
→ⒷⒹⒺ相[各]
→ⒷⒺ好[復]
 Ⓐになし
→Ⓐ
→ⒶⒸ
 Ⓐになし
→Ⓓ竟[已上]
→Ⓔ
→Ⓒ
→ⒶⒸ国[已上]
 Ⓐになし
→ⒷⒸⒹⒺ[若]非
→ⒷⒸ
二者→Ⓐ者二
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓓになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ論[証]
→◎妨バウ→ⒶⒸⒹ
→Ⓒ
 Ⓐになし
 ⒷⒸⒺになし
 Ⓐになし
→Ⓐ耀
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 ⒶⒷⒸになし
→Ⓐ悪[見]→Ⓔ悪[見悪]
 Ⓐになし
→Ⓒ
→ⒶⒺ願[願生]→ⒷⒸ願[生]
→ⒷⒸⒹⒺ
 Ⓐになし
→ⒷⒸⒹⒺ[或]説
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹⒺ故[各]
 Ⓓになし
→ⒶⒺ路[見]
 Ⓐになし
→Ⓓ
18字 ◎になし
 Ⓐになし
→Ⓓ虫[親]
 Ⓓになし
→Ⓔ
→Ⓐ楽[之]
→ⒶⒺ
 Ⓐになし
→Ⓓ滅[已滅]
→Ⓐ
→ⒷⒸⒺ
→ⒷⒸ
作此想 Ⓐになし
 ◎になし
→Ⓔ
 Ⓔになし
→Ⓔ
 ⒶⒷⒸⒺになし
 ◎ⒶⒸになし
 Ⓓになし
→Ⓓ[往]生
→Ⓐ知[已上]
→Ⓓ知[三]
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪[也]
→ⒷⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ等[者]
 Ⓑは写補
→Ⓐ心[也]
→ⒷⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ及[彼]
→ⒶⒹ
→Ⓔ[専]讃
→ⒶⒸ
→Ⓔ不[令]
→Ⓐ
 Ⓔになし
→Ⓐ
花香→ⒷⒸⒺ香華
 Ⓔになし
十由旬 Ⓐになし
 ⒶⒺになし
→Ⓑ
 Ⓔになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→ⒷⒸⒺ
→ⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸ
→Ⓔ
→Ⓐ
→Ⓓ
→Ⓓ其[甚]
何以→Ⓐ以何
→ⒷⒸⒺ
 Ⓐになし
→Ⓐ汝[文]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 ⒷⒺになし
→Ⓐ家[已上]
→Ⓔ明[指]
人中 Ⓐになし
→ⒷⒺ是[若]
 Ⓐになし
→Ⓐ賖[已上]
→Ⓔ
→Ⓔ
→Ⓐ者[等云々]
 Ⓐになし
→ⒷⒸⒺ
→◎ⒷⒸⒹ ◎蘊聚也蔵也と上欄註記
→ⒷⒹⒺ
→Ⓔ
→◎
→Ⓓ速[得]→Ⓔ速[疾]
→Ⓔ五[法]
→ⒷⒸⒺ
 ◎Ⓓになし
 ◎Ⓓになし→ⒷⒸⒺ
 ⒷⒸⒺになし
 Ⓓになし
→Ⓔ別[也]
→Ⓐ誉[下而所讃也言人中希有人者是待常有而所歎也言人中最勝人者是待最劣而所褒也]
→ⒶⒺ経[云]
→Ⓒ
 Ⓐになし
寿 Ⓐになし
→Ⓐ名[文]
→Ⓐ名[文]
(と右傍註記)
→ⒷⒺ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓔ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ此[亦]
 Ⓓになし
 Ⓐになし
→Ⓐ[余]受
即是→Ⓐ是即
→Ⓐ[余]書
 ◎になし
→ⒷⒺ
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓐ
→Ⓔ乗[而]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ者[者]
 Ⓓになし
→Ⓐ句[慈心不殺也]
→Ⓐ三[之]
 Ⓓになし
 Ⓓになし
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ想[観]
→Ⓐ観[者]
 Ⓔになし
→ⒷⒸ
 Ⓐになし
→Ⓔ
 Ⓓになし
→Ⓔ[而]選
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
随自之後還閉定散門 ◎になし
→Ⓓ
已上→Ⓐ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒷⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓓになし
→Ⓔ[而]兼
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
 Ⓓ
→ⒷⒸⒺ[此]経
大千 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓐ界[文]
 ◎になし
 Ⓐになし
→Ⓓ[善]男
→Ⓐ心[此是亦現生護念増上縁]
→Ⓔ
→Ⓔ
→Ⓑ
→ⒷⒸ悪[鬼]→Ⓔ悪[鬼悪]
→Ⓓ往[生]
13字→◎「レバ↢阿弥陀仏及二菩薩観音勢至
 Ⓐになし
諸行之中 Ⓐになし
→ⒶⒺ云[当知一念]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓓになし
→Ⓐ舒[斎]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓓになし
 Ⓓになし
欲入浄土門 Ⓓになし
正定 ◎Ⓓになし
→Ⓐ[私]問
→Ⓓ
→ⒷⒸ
 ⒷⒺになし
 ⒷⒹⒺになし
→Ⓔ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓓ即[即]
→Ⓑ尽[十方]
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓓ
 Ⓐになし
 Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓔ杆[極]
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ信[者]
 Ⓑになし
弥陀 Ⓓ釋迦と右傍註記
→Ⓓ謂[又]
→Ⓓ(と右傍註記)
 ⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓓ(と右傍註記)
27字 Ⓓになし
 ⒶⒺ
つつしんで
あんずる
まうあふ
るに
りて也
する
もはら
いはく
なか
らむに
むで
むまれ
たもちうる
暴風ぼふ
駛雨しう
すれ
おもひはから
さるユク
こゝろ
おもむ
きかず、
いづれ
にし
(序)
いふ
かるがゆへ
なぞらへ
あく
だい
せう
して
る也
なり
へたる也
いふ
いふは、
といふは、
まさにしるべし、
きやうと云
多途たづ
のこゝろ
さう
をまつ
れば
じよう
たのしき
と云
ひろく
ふものは
すること
すること、
也。
くして
ことを
ざかり、
といふ
ふと
おひて
おひて、
むものは
いわゆる
もん一にあらず。
なに
する也。
する也
するには
くちしようするには
らば
ぐゑ
るは
ことごとく
いはく
専注せんちゆ
いふ
くち
るものは
いま
なり
は、
ことば
たり
けんけん
かうかう
たて
くち
みそなわす
しろしめす
きこしめさ
みそなはさ
しろしめさ
隣近りんごむたり
かるがゆへ
ねがへ
ほとけ
たてまつら
げんじて
まします
ねがは
すと
るが
むまる
じゆん也、
き也
また
ならくのみ
えたり
いのちおわる
ほか
えたる
しちする
しむ
念ぜ
なし
みづからのおもさえ、
人のおもさふる
にして
ながら
ことなること
じ、
ひとり
すでによく
今身いまのみ
かみ
すたる
して、
け、
たのしみ
むまれ
ねがはむ
所修しよしゆ
なしたまへるをもちゐる
おもふ
ずることをえざれ
ければなり
やめ
もとめ
しやうモトメムマレムト
おもはむものは
したまふところ
をなす
するにおなじからむとおもふ。
中の
に、
せむ
もし
ずは
うやまふてしかも
し、
のまへ
せよ。
てたまへるをもちゐ[る]
したまへるをもちゐて、
をもちゐるが
なり
しょうして
すゝめて
むまる
ふかくしんずといふ
いで
唯信ゆいしん
く。
ふかくしん
なるが
ぐゑん
なり。
あり。
よく
すべきなり
なむだちが
かくのごとくならず
ひて、
するなり
しよ
おほく
めむや
めむ
わく
まどふ
ざるなり
ふかくしん
しやく
おなじからざらむ
このむでなんしよう
ただち
しむ
あふいでしん
ところ
とき
ひし
そなえし
とう
なむだち
仁者きみ
さらに
せしめ
おはり
はゞ
よりしん
じ。
われ
みこと
すべて
あまねく
こと
きなり
いふとも、
となり
ざらむことを
となづく
ましまし
おしてかむがふ
おしえ
おは
といへり
さん
専念せんねむ
すゝめはげまし
いふこと、
専念せんねむ
こゝろうべし
ふかき信心しんじむ
してしやうずといふ
がんじて
ひと
にて
ふくみ
これら
えう
もとむるところ
、 しかも
まなば
さはりなく
まなぶ
うるなり
りて、
さく、
たとえ
二のかわ
まじわりすぎ
だう
だう
くして、
やうやく
おちむ
ざれば、
おもひ
さむ
るべし
ことごとく
つかはし
たゞち
なさざれ
なむ
もろもろの
かへりみ
けば
かい
にん
くなるに
ありて
つかはす
たちまち
とく
より
まとふ
たとふるなり。
むかへしむる
る。
おむこゝろ
かれ。
うるにたとふ。
さとり
。 かるが
そく
といはゞ
ごふ
くに
うる
かの
しやう
とく
をもちゐるが
、 いまだ
して往生せむと願ず
往生
うるなり。
となれば、
けし、
生ぜ
ずることをえざれ
ととのはざる
うち
をいたす
えつ
むなしく
まことなるもの
ひるがへし
とゞまるところ
すべ
よう
ぜしむ
なむら
いのちおはる
せん念・専想せんさう専礼せんらい専讃せんさん
ふて
ない
をう
にも
はな
べむ
をば
おなじから
なさ
うやまひ
のさわり
べし
しといへども、
ひとり
良朋らうほう
もろき
ひ、
ちからをたすけて
せんぎやうのものゝために、 はたしてよりしゆせざらむや
おほきに
いろ
きむ
かむばた
みがき
り、
くわん
なせ
まし
ほろぼ
たてまつる
せむずるところ
さとりをしやうずるえんなり
ほちする
あん
箱篋さうけうハコ 
せよ
仏を念じ
ごときの
らむとす
くるしきことたえしのばず
おもはずといふ
し。
めぐり
おどろきいそぎ
願ず
ものうから
而已ならくのみ
さきの
ぬけ
文をぬける
あり
いむ
した
」 といへり。
而已ならくのみ
せば
みな
いひて
諸罪しよざい
おなじき
所聞しよもん
いは
には
するに、
かくのごとき
称名しようみやう
るを、
さん
しばしば
り。
生ず
ぜむ
まこと
れに
のみな
す。
さん
なりとす。
するひと
因円いんゑん果満くわまん
はるかな
しかも
とらのたまふ
嘆ず
のこゝろ
かなり
くるは
ねがふて
ねがひて
まん
をもつて
するに
む。
きやく
つくり
とん
ず。
だいをさとり
だいしむをおこす
すぐれたる
てたまへり
ざれば
したまふ
らむ
える
たとえ
じやうらい
まむには
¬経¼ にとく
たえたるところ
の中
くゐ仏法さう
おさめ
かいコメするコムルナリ 
ずれ
るを
あみヘン
れたり
れり
うまる
せずして
おなじ
におなじき
まむには
ざるが
これを
ぢき
きたまへるが
ずならく
かみ
しりぞ
なること
ごしん
じゆ
によりて
にん
するにあらずや
しんえう
いふな
たもつ
たふとし
よく
せさせ
せり
むなしから
おん
ごん
おはらむ時
しやう
随縁ずいえん
にせよと
ひまなかれ
臨終りむじゆ
まさに
(巻一)
しよ
ぐわ
いまのにつたわる本
へる
ねがふて浄土に生ず。
といふことを
みした
といはゞ
みくち
みこと
なんだち
念したまふところの
かる
きて
て、
仏を念じ
なす
しよう
えむ
ぎやう
したまは
きたまふ
じよう
きたまふし
せん念し
ねがふもの
心をいたさざる
この
ねがは
悪鬼あくくゐ
心をいたして
をう。
あひみむことを愛楽あいげう
をもて
わう
ける
としをのべいのちてんずること
説法せちぽふ
ねむごろ
もの
のもの
のつみ
へり
あかす
したまへり
じやうじちのみことをとき
せちにのたまはく
せんぢやく
すならく
みな
むねシユ
ざる也
ほち
ほちしたまわ
えてむ
すい
てむ
しぼきばま
ることはなはだし
まうでゝしやうによりて、 入ぢやうしてくわんずべし、 しやうずることをうべしやいなやと
にふぢやう
ほう
簷牖ひさし
ふか
の人
ふに
みえて
ぬと
しろきひかり
ほち
ちから
ず、
ひむがしにゆい
せい
せし
じて、
しやう
こころをいたす
しよ
のおむこゝろ
えう
けちぐわん
しむほちぐわんして、
ゆめうち
じゆす。 科文くわもん
ぬき
たてまつること、
みち
らく、
かい
おほくくるし
まふさ
をみたてまつるに、
まつえ
みる
どうハタボコかんサホ
かゝりて五しきなり
そく
す、
をのべあらはすのちに
までに
なら
むもの
相伝さうでん
すべし
こと
さとれり
みち
るなり
あるいは
おのおの
のみ
をのみ
をして
みらく、
いへり、
兼実けむじち博陸はくりく高命かうめいをかぶれり
じゆつせり