0087◎▼仏説▼観▼無量寿▼経
*宋元嘉中*畺良耶舎訳
▼(欄外)
一 序分
Ⅰ 証信序
【1】 ◎^▼かくのごとく、 ▼われ聞きたてまつりき。
◎▼如0077ク↠是クノ我聞キタテマツリキ。
一 Ⅱ 発起序
ⅰ 化前序
^▼ひと時、 ▼仏、 ▼*王舎城*耆闍崛山のうちにましまして、 ▼大比丘の衆、 ▼千二百五十人▼と倶なりき。 ▼菩薩三万二千ありき。 *文殊師利法王子を上首とせり。▼
▼一時仏▼在シテ↢王舎*城ノ耆闍崛山ノ中ニ↡、▼与↢大比丘ノ衆千二百五十人↡倶ナリキ。▼菩薩三万二千アリキ、文殊師利法王子ヲ、而モ為ス↢上首ト↡。
一 Ⅱ ⅱ 禁父縁
a 起化処
【2】 ^▼その時、 ▼王舎▼大城に
▼爾ノ時▼王舎大城ニ
一 Ⅱ ⅱ b 闍世因縁
^▼ひとりの▼太子あり、 ▼*阿闍世と名づく。 ▼調達 (*提婆達多) 悪友の教に随順して、
▼有リ↢一ノ▼太子↡、名ク↢▼阿闍世ト↡。随↢順シテ調達悪友之教ニ↡、
一 Ⅱ ⅱ c 闍世禁父
^▼父の王*頻婆娑羅を▼収執し、 ▼幽閉して七重の室内に置き、 もろもろの群臣を制して、 ひとりも往くことを得ざらしむ。
▼収↢執シ▼父ノ王頻婆娑羅ヲ↡、幽閉シテ置キ↢於七重ノ室内ニ↡、制シテ↢諸ノ群臣ヲ↡、一モ不ラシム↠得↠往クコトヲ。
一 Ⅱ ⅱ d 夫人献食
^▼国の大夫人あり、 *韋提希と名づく。 ▼大王を恭敬し、 *澡浴清浄にして、 *酥蜜をもつて*麨に和してもつてその身に塗り、 もろもろの瓔珞のなかに蒲桃の漿を盛れて、 ひそかにもつて王にたてまつる。
▼国ノ大夫人アリ、名ク↢韋提希ト↡。▼恭↢敬シ大王ヲ↡、澡浴清浄ニシテ、以テ↢*酥蜜ヲ↡和シテ↠麨ニ、用テ塗リ↢其ノ身ニ↡、諸ノ瓔珞ノ中ニ、盛レテ↢*蒲桃ノ漿ヲ↡、密ニ以テ上ル↠王ニ。
一 Ⅱ ⅱ e 父王請法
^▼その時に、 ▼大王、 麨を食し漿を飲んで、 水を求めて口を漱ぐ。 ▼口を漱ぎをはりて合掌恭敬し、 耆闍崛山に向かひ、 はるかに世尊を礼して▼この言をなさく、 「▼*大目犍連はこれわが親友なり。 ▼願はくは慈悲を興0088して、 われに八戒を授けたまへ」 と。
爾ノ時ニ大王食シ↠麨ヲ飲ミ↠漿ヲ、求メテ↠水ヲ漱グ↠口ヲ。漱ギ↠口ヲ畢已リテ、合掌シ恭敬シ、向ヒ↢耆闍崛山ニ↡、遥ニ礼シテ↢世尊ヲ↡而作サク↢是ノ言ヲ↡、大目*犍連ハ、是▼吾ガ親友ナリ。願クハ▼興シテ↢慈悲ヲ↡、授ケタマヘト↢我ニ八戒ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ f 父王受法
^▼時に目犍連、 鷹・隼の飛ぶがごとくして、 疾く王の所に至る。 ▼日々にかくのごとくして、 王に八戒を授く。 ▼世尊また、 尊者*富楼那を遣はして王のために法を説かしめたまふ。
時ニ目*犍連如クシテ↢▼鷹・隼ノ飛ブガ↡、疾ク至ル↢王ノ所ニ↡。▼日日ニ如クシテ↠是クノ、授ク↢王ニ八戒ヲ↡。▼世尊亦遣シテ↢尊者富楼那ヲ↡、為ニ↠王ノ説カシメタマフ↠法ヲ。
一 Ⅱ ⅱ g 父王法悦
^▼かくのごときの時のあひだに三七日を経たり。 王、 麨蜜を食し法を聞くことを得るがゆゑに顔色和悦なり。▼
▼如キノ↠是クノ時ノ間ニ、*経タリ↢三七日ヲ↡。王食シ↢麨蜜ヲ↡、得ルガ↠聞クコトヲ↠法ヲ故ニ、顔色和悦ナリ。
一 Ⅱ ⅲ 禁母縁
a 父王猶存
【3】 ^▼時に阿闍世、 守門のものに問はく、 「父の王、 いまになほ存在せりや」 と。
▼時0078ニ阿闍世問ハク↢守門ノ*者ニ↡、父ノ王今者猶存在セリ耶ト。
一 Ⅱ ⅲ b 門家具答
^▼時に守門の人▼まうさく、 「大王、 国の大夫人、 身に麨蜜を塗り、 瓔珞に漿を盛れて、 もつて王にたてまつる。 ▼沙門目連および富楼那、 空より来りて王のために法を説く。 禁制すべからず」 と。
▼時ニ守門ノ*人白シテ言ク、大王、国ノ▼大夫人、身ニ塗リ↢*麨蜜ヲ↡、*瓔珞ニ盛レテ↠漿ヲ、持用上ル↠王ニ。沙門目連及ビ富楼那、従リ↠空而来リテ、為ニ↠王ノ説ク↠法ヲ。不ト↠可カラ↢禁制ス↡。
一 Ⅱ ⅲ c 闍王瞋怒
^▼時に阿闍世、 この語を聞きをはりて、 その母を怒りていはく、 「▼わが母はこれ賊なり。 賊と伴なればなり。 ▼沙門は悪人なり。 *幻惑の呪術をもつて、 この悪王をして多日死せざらしむ」 と。 ▼すなはち利剣を執りて、 その母を害せんと欲す。
▼時ニ阿闍世聞キ↢此ノ語ヲ↡已リテ、怒リテ↢其ノ母ヲ↡曰ク、▼我ガ母ハ是賊ナリ。与↠賊為レバナリ↠伴。▼沙門ハ悪人ナリ。幻惑ノ呪術ヲモテ、令ムレバナリト↢此ノ悪王ヲシテ多日不ラ↟死セ。▼即チ執リテ↢利剣ヲ↡、欲ス↠害セムト↢其ノ母ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ d 二臣切諌
^▼時に▼ひとりの臣あり。 名を▼*月光といふ。 ▼聡明にして多智なり。
▼時ニ有リ↢一ノ臣↡、名ケテ曰フ↢▼月光ト↡。▼聡明ニシテ多智ナリ。
^▼および*耆婆と▼王のために礼をなして▼まうさく、 「大王、 ▼*臣聞く、 ª*毘陀論経º に説かく、 ª▼*劫初よりこのかた▼もろもろの悪王ありて、 ▼国位を貪るがゆゑに▼その父を殺害せること▼一万八千なりº と。 ▼いまだかつ0089て無道に母を害することあるを聞かず。 ▼王いまこの殺逆の事をなさば、 *刹利種を汚さん。 ▼臣聞くに忍びず。 ▼これ*栴陀羅なり。 ▼よろしくここに住すべからず」 と。
▼及↢与耆婆ト↡、為ニ↠王ノ作シテ↠礼ヲ白シテ*言ク、大*王、▼臣聞ク、毘陀論経ニ説カク、▼劫初ヨリ已来タ▼有リテ↢諸ノ悪王↡、▼貪ルガ↢国位ヲ↡故ニ、▼殺↢害セルコト其ノ父ヲ↡、▼一万八千ナリト。▼未ダ↢曽テ聞カ↟有ルヲ↢無道ニ害スルコト↟母ヲ。王今為サバ↢此ノ殺逆之事ヲ↡、▼汚サム↢刹利種ヲ↡。▼臣不↠忍ビ↠聞クニ。▼是*栴陀羅ナリ。▼*不ト↠宜クカラ↠住ス↠此ニ。
^▼時にふたりの大臣、 この語を説きをはりて、 ▼手をもつて剣を按へて*却行して退く。
▼時ニ二ノ大臣説キ↢此ノ語ヲ↡竟リテ、▼以テ↠手ヲ按ジテ↠剣ヲ、却行シテ而退ク。
一 Ⅱ ⅲ e 闍王惶懼
^▼時に阿闍世、 驚怖し▼*惶懼して▼耆婆に告げていはく、 「▼なんぢわがためにせざるや」 と。
時ニ阿闍*世驚怖シ惶懼シテ、告ゲテ↢▼耆婆ニ↡言ク、汝不ル↠為ニセ↠我ガ耶ト。
一 Ⅱ ⅲ f 二臣重諌
^▼耆婆まうさく、 「大王、 つつしんで母を害することなかれ」 と。
▼耆婆白シテ言ク、大王、慎ミテ莫レト↠害スルコト↠母ヲ。
一 Ⅱ ⅲ g 闍王悔恨
^▼王、 この語を聞き、 懴悔して救けんことを求む。 すなはち剣を捨て、 止まりて母を害せず。
▼王聞キ↢此ノ語ヲ↡、懴悔シテ求ム↠救ケムコトヲ。即便チ捨テ↠剣ヲ、止リテ不↠害セ↠母ヲ。
一 Ⅱ ⅲ h 余瞋禁母
^▼*内官に勅語し深宮に閉置して、 また出さしめず。▼
▼勅↢語シ内官ニ↡、閉↢置シテ深宮ニ↡、不↠令メ↢復出サ↡。
一 Ⅱ ⅳ 厭苦縁
a 韋提憔悴
【4】 ^▼時に韋提希、 幽閉せられをはりて愁憂*憔悴す。
▼時ニ韋提希被レ↢幽閉セ↡已リテ、愁憂憔悴ス。
一 Ⅱ ⅳ b 韋提請仏
^▼はるかに耆闍崛山に向かひて、 仏のために礼をなしてこの言をなさく、 「▼如来世尊、 在昔の時、 つねに*阿難を遣はし来らしめて、 われを慰問したまひき。 われいま愁憂す。 ▼世尊は*威重にして、 見たてまつることを得るに由なし。 願はくは目連と尊者阿難を遣はして、 われとあひ見えしめたまへ」 と。
▼遥ニ向ヒテ↢耆闍崛山ニ↡、為ニ↠仏ノ作シテ↠礼ヲ而作サク↢是ノ言ヲ↡、▼如来世尊、在昔之時、恒ニ遣シテ↢阿難ヲ↡来リテ慰↢問セシメタマフ我ヲ↡。我今愁憂ス。▼世尊ハ威重ニシテ、無シ↠由↠得ルニ↠見タテマツルコトヲ。願クハ遣シテ↢目連ト尊者阿難トヲ↡、与↠我相見シメタマヘト。
^▼この語をなしをはりて▼悲泣雨涙して、 はるかに仏に向かひて礼したてまつる。 いまだ頭を挙げざるあひだに、
作シ↢是ノ語ヲ↡已リテ、▼悲泣0079雨涙シテ、遥ニ向ヒテ↠仏ニ礼シタテマツル。未ダル↠挙ゲ↠頭ヲ頃ニ、
一 Ⅱ ⅳ c 世尊降臨
^▼その時世尊、 耆闍崛山にましまして、 韋提希の心の所念を知ろしめして、 すなはち▼大目犍連および阿難に勅して、 空より来らしめ、 ▼仏、 耆闍崛山より没して王宮0090に出でたまふ。
▼爾ノ時世尊在シテ↢耆闍崛山ニ↡、知リタマヒテ↢韋提希ノ心之所念ヲ↡、▼*即チ勅シテ↢大目*犍連及以阿難ニ↡、従リ↠空而来ラシメ、▼仏従リ↢耆闍崛山↡没シテ、於テ↢王宮ニ↡出デタマフ。
^◆時に韋提希、 礼しをはりて頭を挙げ、 ▼世尊▼*釈迦牟尼仏を見たてまつる。 ▼身は*紫金色にして▼百宝の蓮華に坐したまへり。 ▼目連は左に侍り、 阿難は右にあり。 ▼*釈・梵・護世の▼諸天、 虚空のなかにありて、 あまねく天華を雨らしてもつて供養したてまつる。
▼時ニ韋提希礼シ已リテ挙ゲテ↠頭ヲ、▼見タテマツル↢世尊▼釈迦牟尼仏ヲ↡。身ハ▼紫金色ニシテ、坐シタマヘリ↢▼百宝ノ蓮華ニ↡。▼目連ハ侍リ↠左ニ、阿難ハ*在リ↠右ニ。釈・▼梵・護世ノ諸*天、在リテ↢虚空ノ中ニ↡、普ク雨ラシテ↢天華ヲ↡、持用供養シタテマツル。
一 Ⅱ ⅳ d 韋提傷歎
^◆時に韋提希、 仏世尊を見たてまつりて、 ▼みづから瓔珞を絶ち、 ▼身を挙げて地に投げ、 ▼号泣して仏に向かひて▼まうさく、 「世尊、 われ宿、 なんの罪ありてか、 この悪子を生ずる。 ▼世尊また、 なんらの因縁ましましてか、 ▼提婆達多とともに眷属たる。▼
▼時ニ韋提希見タテマツリテ↢仏世尊ヲ↡、▼自ラ絶チ↢*瓔珞ヲ↡、▼挙ゲテ↠身ヲ投ゲ↠地ニ、▼号泣シテ向ヒテ↠仏ニ▼白シテ言ク、世尊、我宿ニ何ノ罪アリテカ生ズル↢此ノ悪子ヲ↡。▼世尊復有シテカ↢何等ノ因縁↡、与↢提婆達多↡、共ニ為ル↢眷属↡。
一 Ⅱ ⅴ 欣浄縁
a 通請所求
【5】^▼*やや、 願はくは世尊、 ▼わがために広く憂悩なき処を説きたまへ。 われまさに往生すべし。 閻浮提の濁悪の世をば楽はざるなり。
▼唯願クハ世尊、為ニ↠我ガ広ク説キタマヘ↧無キ↢憂悩↡処ヲ↥。我当ニシ↢往生ス↡。不ル↠楽ハ↢*閻浮提ノ濁悪ノ世ヲバ↡也。
一 Ⅱ ⅴ b 厭苦欣浄
^▼この濁悪の処は▼地獄・餓鬼・畜生▼盈満し、 ▼不善の聚多し。 ▼願はくは、 われ未来に悪の声を聞かじ、 悪人を見じ。
▼此ノ濁悪ノ処ハ地獄・*餓鬼・畜生盈満シ、▼多シ↢不善ノ聚↡。▼願クハ我未来ニ不ラム↠聞カ↢悪ノ声ヲ↡。不ラム↠見↢悪ノ人ヲ↡。
一 Ⅱ ⅴ c 夫人懴悔
^▼いま世尊に向かひて、 *五体を地に投げ、 哀れみを求めて懴悔す。
▼今向ヒテ↢世尊ニ↡五体ヲ投ゲ↠地ニ求メテ↠哀ミヲ懴悔ス。
一 Ⅱ ⅴ d 通請去行
^▼やや、 願はくは▼*仏日、 ▼われに教へて*清浄業処を観ぜしめたまへ」 と。
▼唯願クハ▼仏日、▼教ヘテ↠我ヲ観ゼシメタマヘト↢於清浄業処ヲ↡。
一 Ⅱ ⅴ e 応請現土【光台現国】
^▼その時世尊、 眉間の光を放ちたまふ。 その光金色なり。 あまねく十方無量の世界を照らし、 還りて仏の頂に住まりて化して金の台となる。 ˆその形はˇ 須弥山の▼ごとし。 十方諸仏の浄妙の国土、 みななかにおいて現ず。
▼爾ノ時世尊放チタマフ↢眉間ノ光ヲ↡。其ノ光金色ナリ。徧ク照シ↢十方無量ノ世界ヲ↡、還リテ住リテ↢仏ノ頂ニ↡、化シテ為ル↢金ノ台ト↡。如シ↢須弥山ノ↡。十方諸仏ノ浄妙ノ国土、皆於テ↠中ニ現ズ。
^あるいは国土あ0091り、 七宝合成せり。 また国土あり、 もつぱらこれ蓮華なり。 また国土あり、 *自在天宮のごとし。 また国土あり、 *玻瓈鏡のごとし。 十方の国土、 みななかにおいて現ず。 かくのごときらの無量の諸仏の国土あり。 *厳顕にして観つべし。 韋提希をして見せしめたまふ。
或イハ有リ↢国土↡、七宝合成セリ。復有リ↢国土↡、純ラ是蓮華ナリ。復有リ↢国土↡、如シ↢自在天宮ノ↡。復有リ↢国土↡、如シ↢*玻瓈鏡ノ↡。十方ノ国土、皆於テ↠中ニ現ズ。有リ↢如キ↠是クノ等ノ無量ノ諸仏ノ国土↡、厳顕ニシテ可0080シ↠観ズ。令メタマフ↢韋提希ヲシテ見セ↡。
一 Ⅱ ⅴ f 感荷仏恩
^▼時に韋提希、 仏にまうしてまうさく、 「世尊、 このもろもろの仏土、 また清浄にしてみな光明ありといへども、
▼時ニ韋提希白シテ↠仏ニ言ク、世尊、是ノ諸ノ仏土、雖モ↣復清浄ニシテ皆有リト↢光明↡、
一 Ⅱ ⅴ g 別選所求
^▼われいま極楽世界の阿弥陀仏の所に生ぜんことを楽ふ。
▼我今楽フ↠生ゼムコトヲ↢極楽世界ノ阿弥陀仏ノ所ニ↡。
一 Ⅱ ⅴ h 別請去行
^▼やや、 願はくは世尊、 ▼われに*思惟を教へたまへ、 ▼われに*正受を教へたまへ」 と。▼
▼唯願クハ世尊、▼教ヘタマヘ↢我ニ思惟ヲ↡、教ヘタマヘト↢我ニ正受ヲ↡。
一 Ⅱ ⅵ 散善顕行縁
a 光益父王
【6】 ^▼その時世尊、 すなはち微笑したまふに、 ▼五色の光ありて仏の口より出づ。 ▼一々の光、 頻婆娑羅の頂を照らす。 ▼その時大王、 幽閉にありといへども心眼障なく、 はるかに世尊を見たてまつりて頭面をもって礼をなし、 ˆ王の心はˇ 自然に増進して阿那含と成る。
▼爾ノ時世尊、▼即便チ微笑シタマフニ、▼有リテ↢五色ノ光↡、従リ↢仏ノ口↡出ヅ。▼一一ノ光照ス↢頻婆娑*羅ノ頂ヲ↡。▼爾ノ時大王雖モ↠在リト↢幽閉ニ↡、心眼無ク↠障、遥ニ見タテマツリテ↢世尊ヲ↡、頭面ヲモテ作シ↠礼ヲ、自然ニ増進シテ成ズ↢阿那含ヲ↡。
一 Ⅱ ⅵ b 答別求行【去此不遠】
【7】 ^▼その時世尊、 韋提希に告げたまはく、 「なんぢいま、 知れりやいなや。 ▼阿弥陀仏、 此を去ること遠からず。 ▼なんぢまさに*繋念して、 ▼あきらかに*かの国の浄業成じたまへるひとを観ずべし。 ▼われいまなんぢがために▼広く*もろもろの譬へを説き、
▼爾ノ時世尊告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝今知ルヤ不ヤ。▼阿弥陀仏去ルコト↠此ヲ不↠遠カラ。▼汝当ニシ↣繋念シテ諦ニ観ズ↢彼ノ国ノ浄業成ジタマヘル者ヲ↡。▼我今為ニ↠汝ガ、広ク説キ↢衆ノ譬ヲ↡、
一 Ⅱ ⅵ c 挙機勧修
^▼また未来世の一切凡夫の、 浄業を修せんと欲はんものをして西方0092極楽国土に生ずることを得しめん。
▼亦令メム↧未来世ノ一切凡夫ノ欲スル↠修セムト↢浄業ヲ↡者ヲシテ得↞生ズルコトヲ↢西方極楽国土ニ↡。
一 Ⅱ ⅵ d 勧修三福
^▼かの国に生ぜんと欲はんものは、 ▼まさに三福を修すべし。
▼欲スル↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、当ニシ↠修ス↢三福ヲ↡。
^▼一つには▼父母に孝養し、 ▼師長に奉事し、 ▼慈心にして殺さず、 ▼*十善業を修す。
一ニ者▼孝↢養シ父母ニ↡、▼奉↢事シ師長ニ↡、▼慈心ヲモテ不↠殺サ、▼修ス↢十善業ヲ↡。
^◆二つには▼*三帰を受持し、 ▼*衆戒を具足し、 ▼*威儀を犯さず。
▼二ニ者受↢持シ三帰ヲ↡、▼具↢足シ衆戒ヲ↡、▼不↠犯サ↢威儀ヲ↡。
^◆三つには▼菩提心を発し、 ▼深く*因果を信じ、 ▼*大乗を読誦し、 ▼行者を*勧進す。
▼三ニ者発シ↢菩提心ヲ↡、▼深ク信ジ↢因果ヲ↡、読↢誦シ大乗ヲ↡、勧↢進ス行者ヲ↡。
^▼かくのごときの三事を名づけて浄業とす」 と。
▼如キノ↠此クノ三事ヲ名ケテ為スト↢浄業ト↡。
一 Ⅱ ⅵ e 引聖励凡
^◆仏、 韋提希に告げたまはく、 「なんぢいま、 知れりやいなや。 ▼この三種の業は、 過去・未来・現在、 三世の諸仏の*浄業の正因なり」 と。▼
▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝今知ルヤ不ヤ。此ノ三種ノ業ハ、*過去・未来・現在三世ノ諸仏ノ浄業ノ正因ナリト。
一 Ⅱ ⅶ 定善示観縁
a 勅聴許説
【8】 ^▼仏、 ▼阿難および▼韋提希に告げたまはく、 「あきらかに聴け、 あきらかに聴け、 よくこれを思念せよ。 ▼如来、 いま▼未来世の一切衆生の、 ▼煩悩の賊のために害せらるるもののために、 ▼清浄の業を説かん。
▼仏告ゲタマハク↢阿難▼及ビ韋提希ニ↡、諦ニ聴ケ諦ニ聴ケ、善ク思↢念セヨ之ヲ↡。如来今者、▼為ニ↧未来世ノ一切0081衆生ノ▼為ニ↢煩悩ノ賊ノ↡之*所ルル↠害セ者ノ↥、▼説カム↢清浄ノ業ヲ↡。
一 Ⅱ ⅶ b 問当聖意
^▼善いかな韋提希、 快くこの事を問へり。
▼善哉韋提希、快ク問ヘリ↢此ノ事ヲ↡。
一 Ⅱ ⅶ c 勧持勧説
^◆阿難、 なんぢまさに受持して、 広く多衆のために▼仏語を宣説すべし。
▼阿難、汝当ニシ↧受持シテ広ク為ニ↢多衆ノ↡宣↦説ス▼仏語ヲ↥。
一 Ⅱ ⅶ d 勧修得益
^▼如来、 いま韋提希および未来世の一切衆生を教へて西方極楽世界を観ぜしむ。
▼如来今者、教ヘテ↢韋提希及ビ未来世ノ一切衆生ヲ↡、観ゼシム↢於西方極楽世界ヲ↡。
^◆仏力をもつてのゆゑに、 ▼まさにかの清浄の国土を見ること、 ▼明鏡を執りてみづから面像を見るがごとくなるを得べし。 ▼かの国土の極妙の楽事を見て、 ▼心歓喜するがゆゑに、 ▼時に応じてすなはち無生法忍を得ん」 と。
▼以テノ↢仏力ヲ↡故ニ、当ニシ↠得↠見ルコトヲ↢彼ノ清浄ノ国土ヲ↡。▼如シ↧執リテ↢明鏡ヲ↡自ラ見ルガ↦面像ヲ↥。見テ↢彼ノ国土ノ極妙ノ楽事ヲ↡、▼心歓喜スルガ故ニ、応ジテ↠時ニ即チ得ムト↢無生法忍ヲ↡。
一 Ⅱ ⅶ e 韋提実凡
^▼仏、 韋提0093希に告げたまはく、 「▼なんぢはこれ凡夫なり。 ▼*心想羸劣にして▼いまだ*天眼を得ざれば、 遠く観ることあたはず。 ▼諸仏如来に▼*異の方便ましまして、 なんぢをして見ることを得しむ」 と。
▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝ハ是凡夫ナリ。▼心想羸劣ニシテ▼未ダレバ↠得↢天眼ヲ↡、不↠能ハ↢遠ク観ルコト↡。▼諸仏如来ニ有シテ↢異ノ方便↡、令ムト↢汝ヲシテ得↟見ルコトヲ。
一 Ⅱ ⅶ f 牒恩起問
^▼時に▼韋提希、 仏にまうしてまうさく、 「世尊、 わがごときは、 いま▼仏力をもつてのゆゑにかの国土を見る。
▼時ニ韋提希白シテ↠仏ニ言ク、世尊、如キハ↠我ガ今者以テノ↢仏力ヲ↡故ニ、見ル↢彼ノ国土ヲ↡。
一 Ⅱ ⅶ g 韋提為物
^▼もし仏滅後の▼もろもろの衆生等、 ▼濁悪不善にして▼五苦に逼められん。 ▼いかんしてか、 まさに阿弥陀仏の極楽世界を見たてまつるべき」 と。▼
▼若キハ↢仏滅後ノ諸ノ衆生等ノ↡、▼濁悪不善ニシテ五苦ノ所ナレバ↠逼ムル、云何ガ当ニキト↠見タテマツル↢阿弥陀仏ノ極楽世界ヲ↡。
▼(裏)
二 正宗分
Ⅰ 定善
ⅰ【日観】
a 総告総勧
【9】 ^▼仏、 韋提希に告げたまはく、 「なんぢおよび衆生、 ▼まさに心をもつぱらにし念を一処に繋けて、 ▼西方を想ふべし。
▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、汝及ビ衆生▼応ニ当シ↧専ニシ↠心ヲ、繋ケテ↢念ヲ一処ニ↡、想フ↦於西方ヲ↥。
二 Ⅰ ⅰ b 牒所観事
^▼いかんが想をなす。 ▼おほよそ想をなすといふは、 ▼一切衆生、 ▼*生盲にあらざるよりは、 有目の徒、 みな日没を見よ。▼
▼云何ガ作ス↠想ヲ。▼凡ソ作ストイフ↠想ヲ者、▼一切衆生、▼自リハ↠非ザル↢生盲ニ↡、有目之徒、皆見ヨ↢日没ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ c 正教観察
^▼まさに想念を起し、 正坐し西向し、 あきらかに日を観じ、 心をして*堅住ならしめ、 専想して移らざれば、 日の没せんと欲して、 状、 鼓を懸けたるがごとくなるを見るべし。
▼当ニシ↧起シ↢想念ヲ↡、正坐シ西ニ向ヒ、諦ニ観ジ↢於*日ヲ↡、令メ↢心ヲシテ堅住ナラ↡専想シテ不レバ↠移ラ、見ル↦日ノ欲シテ↠没セムト状如クナルヲ↞懸ケタルガ↠鼓ヲ。
二 Ⅰ ⅰ d 弁観成相
^▼すでに日を見ること已らば、 閉目開目に、 みな明了ならしめよ。
▼既ニ見ルコト↠日ヲ已ラバ、閉目・開目ニ、皆令メヨ↢明了ナラ↡。
二 Ⅰ ⅰ e 総結
^▼これを日想とし、 名づけて初めの観といふ。
▼是ヲ為シ↢日想ト↡、名ケテ曰フ↢初ノ*観ト↡。
二 Ⅰ ⅱ【水観】
a 総標地体
【10】^▼次に水想をなせ。 水の澄清なるを見て、 また明了にして分散の意なからしめよ。
▼*次ニ作セ↢水*想ヲ↡。見テ↢水ノ澄清ナルヲ↡、亦令メヨ↣明了ニシテ無カラ↢分散ノ意↡。
^▼すでに水を見をはりなば、 まさに氷想を起すべし。 氷の*映徹せるを0094見て*瑠璃の想をなせ。
既ニ見↠水ヲ已ラバ、当ニシ↠起ス↢*氷想ヲ↡。見テ↢*氷ノ映徹セルヲ↡、作セ↢*瑠璃ノ想ヲ↡。
^▼この想成じをはりて、 ▼瑠璃地の内外に映徹せるを見ん。
此ノ想成ジ已ラバ、見ヨ↢*瑠璃地ノ内外ニ映徹セルヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b 地下荘厳
^▼下に金剛七宝の金の幢ありて▼瑠璃地を擎ぐ。 ▼その幢、 *八方にして八楞を具足せり。 ▼一々の方面は百宝の所成なり。 ▼一々の宝珠に千の光明あり。 ▼一々の光明、 八万四千色なり。 ▼瑠璃地に映ずること億千の日のごとし。 つぶさに見るべからず。
▼下ニ有リテ↢金剛七宝ノ金0082ノ幢↡、▼擎グ↢*瑠璃地ヲ↡。▼其ノ幢八方ニシテ、八楞ヲ具足セリ。▼一一ノ方面ハ百宝ノ所成ナリ。▼一一ノ宝珠ニ、有リ↢千ノ光明↡。▼一一ノ光明ニ、八万四千色アリテ、▼映ズルコト↢*瑠璃地ニ↡、如シ↢億千ノ日ノ↡。不↠可カラ↢具ニ見ル↡。
二 Ⅰ ⅱ c 地上荘厳
^▼瑠璃地の上に▼黄金の*縄をもつて*雑廁間錯し、 七宝をもつて界ひて*分斉分明なり。
▼*瑠璃地ノ上ニ、以テ↢▼黄金ノ縄ヲ↡、雑廁▼間錯シ、以テ↢七宝ヲ↡界ヒテ、分斉分明ナリ。
二 Ⅰ ⅱ d 空裏荘厳
^▼一々の宝のうちに五百色の光あり。 ▼その光、 華のごとし。 また星月に似たり。 ▼虚空に懸処して光明の台となる。 ▼楼閣千万にして百宝合成す。 ▼台の両辺において、 おのおの百億の*華幢あり。 ▼無量の楽器をもつて荘厳とす。
▼一一ノ宝ノ中ニ、有リ↢五百色ノ光↡。▼其ノ光如シ↠華ノ。又似タリ↢星月ニ↡。▼懸↢処シテ虚空ニ↡、成ル↢光明ノ台ト↡。▼楼閣千万ニシテ、百宝合成ス。▼於テ↢台ノ両辺ニ↡、各ノ有リテ↢百億ノ華幢↡、▼無量ノ楽器↡ヲ、以テ為ス↢荘厳ト↡。
二 Ⅰ ⅱ e 光明説法
^▼*八種の清風、 光明より出でて▼この楽器を鼓つに、 ▼苦・空・無常・無我の音を演説す。
▼八種ノ清風、従リ↢光明↡出デテ、▼鼓ツニ↢此ノ楽器ヲ↡、▼演↢説ス苦・空・無常・無我之音ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ f 総結
^▼これを水想とし、 第二の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢水想ト↡、名ク↢第二ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅲ【地観】
a 結前生後
【11】^▼この想成ずる時、
▼此ノ想成ズル時、
二 Ⅰ ⅲ b 弁観成相
^▼一々にこれを観じて、 ▼きはめて了々ならしめよ。 ▼閉目開目に散失せしめざれ。 ▼ただ睡時を除きて、 つねにこの事を憶へ。
▼一一ニ観ジテ↠之ヲ、▼極メテ令メヨ↢了了ナラ↡。▼閉目・開目ニ、不レ↠令メ↢散失セ↡。▼唯除キテ↢*睡時ヲ↡、恒ニ憶ヘ↢此ノ事ヲ↡。
^▼かくのごとく想ふものを、 名づけてほぼ極楽国地を見るとす。 ▼もし三昧を得ば、 かの国地を見ること了々分明なり。 つぶさに説くべからず。
▼*如ク↠此クノ想セバ者ヲ、名ケテ為ス↣*粗ボ見ルト↢極楽国ノ地ヲ↡。▼若シ得バ↢三昧ヲ↡、見ルコト↢彼ノ国ノ地ヲ↡、了了分明ナリ。不↠可カラ↢具ニ説ク↡。
二 Ⅰ ⅲ c 総結
^▼これを地想とし、 第三の観と名づく」 と。
▼是ヲ為シ↢地想ト↡、名クト↢第三ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅲ d 勧発流通
^▼仏、 阿難に告げたまはく、 「▼なんぢ仏語を持ちて、 未来世の0095一切大衆の、 ▼苦を脱れんと欲はんもののために、 ▼この観地の法を説け。
▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、▼汝持チテ↢仏語ヲ↡、為ニ↢未来世ノ一切大衆ノ▼欲スル↠脱レムト↠苦ヲ者ノ↡、▼説ケ↢是ノ観地ノ法ヲ↡。
二 Ⅰ ⅲ e 顕観利益
^▼もしこの地を観ずるものは、 ▼八十億劫の生死の罪を除き、 ▼身を捨てて他世に▼かならず浄国に生ぜん。 ▼心に疑なきことを得よ。
▼若シ観ズレバ↢是ノ地ヲ↡者ハ、▼除キ↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡、▼捨テテ↠身シテ他世ニ必ズ生ズ↢浄国ニ↡。▼心ニ得ヨ↠無キコトヲ↠疑。
二 Ⅰ ⅲ f 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 ▼もし他観するをば、 名づけて邪観とす」 と。
▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。
二 Ⅰ ⅳ【宝樹観】
a 総挙観名
【12】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「地想成じをはりなば、 次に宝樹を観ぜよ。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、地想成ジ已ラバ、次ニ観ゼヨ↢宝樹ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ b 重牒観名
^▼宝樹を観ずとは、 ▼一々にこれを観じて▼七重の▼*行樹の▼想をなせ。
▼観ズト↢宝樹ヲ↡者、▼一一ニ観ジテ↠之ヲ、作セ↢七0083重ノ行樹ノ想ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ c 樹之体量
^▼一々の樹の高さ八千由旬なり。
▼一一ノ樹ノ高サ、八千由旬ナリ。
二 Ⅰ ⅳ d 宝樹異相
^▼そのもろもろの宝樹、 七宝の華葉具足せざることなし。 ▼一々の華葉、 異なれる宝色をなす。 ▼瑠璃色のなかより金色の光を出し、 玻瓈色のなかより紅色の光を出し、 碼碯色のなかより硨磲の光を出し、 硨磲色のなかより緑真珠の光を出す。 ▼珊瑚・琥珀、 一切の衆宝をもつて映飾とす。
▼其ノ諸ノ宝樹、七宝ノ華葉、無シ↠不ルハ↢具足セ↡。一一ノ華葉、作ス↢異ノ宝色ヲ↡。*瑠璃色ノ中ヨリ出シ↢金色ノ光ヲ↡、*玻瓈色ノ中ヨリ出シ↢紅色ノ光ヲ↡、*碼碯色ノ中ヨリ出シ↢*硨磲ノ光ヲ↡、*硨磲色ノ中ヨリ出シ↢緑真珠ノ光ヲ↡、珊瑚・*琥珀、一切ノ衆宝ヲ、以テ為ス↢映飾ト↡。
二 Ⅰ ⅳ e 空裏荘厳
^▼妙真珠網は、 樹上に*弥覆せり。 ▼一々の樹上に七重の網あり。 ▼一々の網のあひだに五百億の妙華の宮殿あり。 *梵王宮のごとし。 ▼諸天の童子、 自然になかにあり。 ▼一々の童子、 五百億の*釈迦毘楞伽摩尼宝をもつて瓔珞とす。 ▼その摩尼の光、 百由旬を照らす。 ▼なほ百億の日月を和合せるがごとし。 つぶさに名づくべからず。 *衆宝間錯して、 色のなかに上れたるものなり。
▼妙真珠ノ網ハ、弥↢覆セリ樹上ニ↡。一一ノ樹上ニ、有リ↢七重ノ網↡。一一ノ網ノ間ニ、有リ↢五百億ノ妙華ノ宮殿↡。如シ↢梵王宮ノ↡。諸ノ天ノ童子、自然ニ在リ↠中ニ。一一ノ童子ニ、*五百億ノ釈迦毘楞伽摩尼*宝アリテ、以テ為ス↢瓔珞ト↡。其ノ摩尼ノ光、照ス↢百由旬ヲ↡。*猶如シ↣和↢合スルガ百億ノ日月ヲ↡。不↠可カラ↢具ニ名ク↡。衆宝間錯シテ、色ノ中ニ上タル者ナリ。
二 Ⅰ ⅳ f 自然而有
^▼このもろもろ0096の宝樹、 行々あひ当り、 葉々あひ次し。 もろもろの葉のあひだにおいて、 もろもろの妙華を生ず。 華の上に自然に七宝の果あり。
▼此ノ諸ノ宝*樹、行行相当リ、葉葉相次シ、於テ↢衆ノ葉ノ間ニ↡生ズ↢諸ノ妙華ヲ↡、華ノ上ニ自然ニ有リ↢七宝ノ果↡。
二 Ⅰ ⅳ g 華葉色相
^▼一々の樹葉、 *縦広正等にして二十五由旬なり。 ▼その葉、 千色にして百種の画あり。 ▼天の瓔珞のごとし。 ▼もろもろの妙華あり。 閻浮檀金色をなし、 *旋火輪のごとく▼葉のあひだに*婉転す。
▼一一ノ樹葉、縦広正等ニシテ二十五由旬ナリ。其ノ葉千色ニシテ有リ↢百種ノ画↡。如シ↢天ノ*瓔珞ノ↡。有リ↢衆ノ妙華↡。作シ↢閻浮檀金色ヲ↡、如ク↢旋火輪ノ↡*婉↢転ス葉ノ間ニ↡。
二 Ⅰ ⅳ h 菓有徳用
^▼もろもろの果を涌生すること、 ▼*帝釈の瓶のごとし。 ▼大光明あり、 化して幢幡・無量の宝蓋となる。 ▼この宝蓋のなかに三千大千世界の一切の*仏事を映現す。 ▼十方の仏国もまたなかにおいて現ず。
▼*涌↢生スルコト諸ノ果ヲ↡如シ↢帝釈ノ瓶ノ↡。有リ↢大光明↡、化シテ成ル↢幢旛・無量ノ宝蓋ト↡、是ノ宝蓋ノ中ニ映↢現ス三千大千世界ノ一切ノ仏事ヲ↡。十方ノ仏国モ亦於テ↠中ニ現ズ。
二 Ⅰ ⅳ i 弁観成相
^▼この樹を見をはりて、 ▼またまさに次第に一々にこれを観ずべし。 ▼樹茎・枝葉・華果を観見して、 みな分明ならしめよ。
▼見↢此ノ樹ヲ↡已ラバ、亦当ニシ↢次第ニ一一ニ観ズ↟之ヲ。観↢見シテ樹茎・枝葉・華果ヲ↡、皆令メヨ↢分明ナラ↡。
二 Ⅰ ⅳ j 総結
^▼これを樹想とし、 第四の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢樹想ト↡、名ク↢第四ノ*観ト↡。
二 Ⅰ ⅴ【宝池観】
a 総挙観名
【13】^▼次にまさに水を想ふべし。 水を想ふとは、
▼*次ニ当ニシ↠想フ↠水ヲ。*想フト↠水ヲ者、
二 Ⅰ ⅴ b 池数出処
^▼極楽国土に▼八つの池水あり。 ▼一々の池水は七宝の所成なり。 ▼その宝柔軟なり。 ▼*如意珠王より生じ、
▼極楽国土ニ有リ↢八ノ池水↡。一一ノ池水ハ、七宝ノ所成ニシテ、其ノ宝柔0084軟ナリ。従リ↢如意珠王↡生ジ、
二 Ⅰ ⅴ c 支溜旋還
^▼分れて十四支となる。 ▼一々の支、 七宝の色をなす。 黄金を渠とし、 ▼渠の下にみな雑色の金剛をもつて、 もつて底の沙とす。
▼分レテ為ル↢十四支ト↡。一一ノ支作ス↢七*宝ノ色ヲ↡。黄金ヲ為リ↠渠ト、渠ノ下ニ、皆以テ↢雑色ノ▼金剛ヲ↡、以テ為ス↢底ノ沙ト↡。
二 Ⅰ ⅴ d 水有妙用
^▼一々の水のなかに▼六十億の七宝の蓮華あり。 ▼一々の蓮華、 *団円正等にして十二由旬なり。 ▼その*摩尼水、 華のあひだに流れ注ぎ、 ▼樹を尋りて上下す。
▼一一ノ水ノ中ニ有リ↢六十億ノ七宝ノ蓮華↡。一一ノ蓮華、団円正等ニシテ十二由旬ナリ。其ノ摩尼ノ水流レ↢注ギ華ノ間ニ↡、尋リテ↠樹ヲ上下ス。
二 Ⅰ ⅴ e 水有妙徳
^▼その声微妙にして、 苦・空・無常・無我・諸0097波羅蜜を演説す。 ▼また諸仏の相好を讃歎するものあり。
▼其ノ声微妙ニシテ、演↢説シ苦・空・無常・無我・諸波羅蜜ヲ↡、▼復有リ↧讃↢歎スル諸仏ノ相好ヲ↡者↥。
二 Ⅰ ⅴ f 摩尼神徳
^▼如意珠王より金色微妙の光明を涌出す。 ▼その光、 化して百宝色の鳥となる。 ▼ˆその声ˇ 和鳴哀雅にして、 ▼つねに仏を念じ、 法を念じ、 僧を念ずることを讃ふ。
▼*如意珠王ヨリ、*涌↢出ス金色微妙ノ光明ヲ↡。▼其ノ光、化シテ為ル↢百宝色ノ鳥ト↡、▼和鳴哀雅ニシテ、▼常ニ讃ズ↢念ジ↠仏ヲ念ジ↠法ヲ念ズルコトヲ↟僧ヲ↡。
二 Ⅰ ⅴ g 総結
^▼これを八功徳水想とし、 第五の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢八功徳水想ト↡、名ク↢第五ノ*観ト↡。
二 Ⅰ ⅵ【宝楼観】
a 総挙観名
b 宝楼住処
c 正顕其数
【14】^▼衆宝国土の▼一々の*界上に▼五百億の宝楼閣あり。
▼*衆宝国土ノ▼一一ノ界上ニ、▼有リ↢五百億ノ宝楼*閣↡。
二 Ⅰ ⅵ d 閣内荘厳
^◆その楼閣のうちに、 無量の諸天ありて天の伎楽をなす。
▼其ノ楼閣ノ中ニ、有リテ↢無量ノ諸天↡、作ス↢天ノ伎楽ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ e 楼外荘厳
^▼また楽器ありて虚空に懸処し、 *天の宝幢のごとく、 鼓たざるにおのづから鳴る。
▼又有リテ↢楽器↡、懸↢処シ虚空ニ↡、如ク↢天ノ宝幢ノ↡、不ルニ↠鼓タ自ラ鳴ル。
二 Ⅰ ⅵ f 楽能説法
^▼この衆音のなかに、 みな仏を念じ、 法を念じ、 比丘僧を念ずることを説く。
▼此ノ衆音ノ中ニ、皆説ク↣念ジ↠仏ヲ念ジ↠法ヲ念ズルコトヲ↢比丘僧ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ g 顕観成相
^◆この想成じをはるを、 名づけてほぼ極楽世界の宝樹・宝地・宝池を見るとす。
▼此ノ想成ジ已ルヲ、名ケテ為ス↣*粗ボ見ルト↢極楽世界ノ宝樹・宝地・宝池ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ h 総結
^▼これを*総観想とし、 第六の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢総観想ト↡、名ク↢第六ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅵ i 牒前生後
j 此観利益
^▼もしこれを見るものは、 ▼無量億劫の極重の悪業を除き、 ▼命終の後にかならずかの国に生ず。
▼若シ見レバ↠此ヲ者ハ、▼除キ↢無量*億劫ノ極重ノ悪業ヲ↡、命終之後ニ必ズ生ズ↢彼ノ国ニ↡。
二 Ⅰ ⅵ k 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 もし他観するをば、 名づけて邪観とす」 と。
▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。
二 Ⅰ ⅶ【華座観】
a 勅聴許説
【15】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼あきらかに聴け、 あきらかに聴け、 よくこれを思念せよ。 ▼仏、 まさになんぢがために▼苦悩を除く法を分別し解説すべし。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼諦ニ聴ケ諦ニ聴ケ。善ク思↢念セヨ之ヲ↡。▼*仏当ニシ↫為ニ↠汝ガ分↩別シ解↪説ス除ク↢苦悩ヲ↡法ヲ↨。
二 Ⅰ ⅶ b 勧発流通
^◆なんぢら*憶持して、 広く大衆のために分別し解説すべし」 と。
▼汝等憶持シテ、広ク為ニ↢大衆ノ↡、分別シ解説セヨト。
二 Ⅰ ⅶ c 二尊許応【住立空中尊】
^▼この0098語を説きたまふ時、 ▼*無量寿仏、 ▼空中に住立したまふ。 ▼*観世音・*大勢至、 この二*大士は左右に侍立したまふ。 ▼光明は熾盛にして▼つぶさに見るべからず。 ▼百千の閻浮檀金色も比とすることを得ず。
▼説キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、無量寿仏住↢立シタマフ空中ニ↡。観世音・大勢至、是ノ二大士ハ侍↢立シタマフ左右ニ↡。光明ハ熾盛ニシテ不↠可カラ↢具ニ見ル↡。百千0085ノ閻浮檀金色モ、不↠*得↠為スコトヲ↠比ト。
二 Ⅰ ⅶ d 韋提実凡
^▼時に韋提希、 無量寿仏を見たてまつりをはりて、 *接足作礼して
▼時ニ韋提希見タテマツリ↢無量寿仏ヲ↡已リテ、接足作礼シテ、
二 Ⅰ ⅶ e 仏恩領荷
^▼仏にまうしてまうさく、 「世尊、 われいま仏力によるがゆゑに、 無量寿仏および二菩薩を見たてまつることを得たり。
▼白シテ↠仏ニ言ク、世尊、我今因ルガ↢*仏力ニ↡故ニ、得タリ↠見タテマツルコトヲ↢無量寿仏及ビ二菩薩ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ f 為物置請
^◆未来の衆生まさにいかんしてか、 無量寿仏および二菩薩を観たてまつるべき」 と。
▼未来ノ衆生当ニキト↣云何ガ観タテマツル↢無量寿仏及ビ二菩薩ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ g 総告許説
^▼仏、 韋提希に告げたまはく、 「▼かの仏を観たてまつらんと欲はんものは、 まさに想念を起すべし。
▼仏告ゲタマハク↢韋提希ニ↡、欲スル↠観タテマツラムト↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、当ニシ↠起ス↢想念ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ h 教観方便
^▼七宝の地上において蓮華の想をなせ。
▼於テ↢七宝ノ地上ニ↡、作セ↢蓮華ノ想ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ i 宝華荘厳
^◆その蓮華の一々の葉をして百宝の色 ˆありとの想ˇ をなさしめよ。 ▼ˆその葉にˇ 八万四千の脈あり、 なほ天の画のごとし。 ▼脈に八万四千の光あり、
▼令メヨ↣其ノ蓮華ノ一一ノ▼*葉ヲシテ作サ↢百宝ノ色ニ↡。▼有リ↢八万四千ノ脈↡、猶如シ↢天ノ画ノ↡。▼*脈ニ有リ↢八万四千ノ光↡、
二 Ⅰ ⅶ j 弁観成相
^◆了々分明に、 みな見ることを得しめよ。
▼了了分明ニ、皆令メヨ↠得↠見ルコトヲ。
二 Ⅰ ⅶ k 葉葉荘厳
^▼華葉の小さきは、 縦広二百五十由旬なり。 ▼かくのごときの蓮華に八万四千の葉あり。 ▼一々の葉のあひだにおのおの百億の摩尼珠王ありて、 もつて映飾とす。 ▼一々の摩尼、 千の光明を放つ。 ▼その光 ˆ天ˇ 蓋のごとく七宝合成せり。 ▼あまねく地上を覆へり。
▼華葉ノ小サキ者、縦広二百五十由旬ナリ。如キノ↠是クノ*蓮*華ニ有リ↢八万四*千ノ葉↡。一一ノ葉ノ間ニ*各ノ*有リテ↢百億ノ摩尼珠王↡、以テ為ス↢映飾ト↡。一一ノ摩*尼、放ツ↢千ノ光明ヲ↡。其ノ光如ク↠蓋ノ七宝合成シ、徧ク覆ヘリ↢地上ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ l 台上荘厳
^◆*釈迦毘楞伽宝をもつてその台とす。 この蓮華の台は、 八万の金剛・*甄叔迦宝・*梵摩尼宝・妙真珠網をもつて交飾とす0099。
▼釈迦毘楞*伽宝ヲ、以テ為シ↢其ノ台ト↡、此ノ蓮華ノ台ニ八万ノ金剛・甄叔迦宝・梵摩尼宝・妙真珠ノ網アリテ、以テ為ス↢*交飾ト↡。
二 Ⅰ ⅶ m 幢上荘厳
^▼その台の上において自然にして四柱の*宝幢あり。 ▼一々の宝幢は百千万億の須弥山のごとし。◗^▼幢上の*宝幔は、 *夜摩天宮のごとし。 ▼また五百億の微妙の宝珠ありて、 もつて映飾とす。
▼於テ↢其ノ台ノ上ニ↡、自然ニシテ而有リ↢四柱ノ宝幢↡。一一ノ宝幢ハ、如シ↢百千万億ノ須弥山ノ↡。幢上ノ宝*幔ハ、如シ↢夜摩天宮ノ↡。*有リテ↢五百億ノ微妙ノ宝珠↡、以テ為ス↢映飾ト↡。
二 Ⅰ ⅶ n 珠光徳用
^◆一々の宝珠に八万四千の光あり。 ▼一々の光、 八万四千の異種の金色をなす。◗^▼一々の金色、 その宝土に遍し、 ▼処々に変化して、 おのおの異相をなす。 ▼あるいは金剛の台となり、 あるいは真珠網となり、 あるいは*雑華雲となる。 十方面において、 意に随ひて変現して仏事を施作す。
▼一一ノ宝珠ニ有リ↢八万四千ノ光↡。一一ノ光作ス↢八万四千ノ異種ノ金色ヲ↡。一一ノ金*色徧シ↢其ノ宝土ニ↡、処処ニ変化シテ、各ノ作ス↢異相ヲ↡。或イハ為リ↢金剛ノ台ト↡、或イハ作リ↢真珠ノ網ト↡、或イハ作リ↢雑華雲ト↡、於テ↢十方面ニ↡、随ヒテ↠意ニ変現シテ施↢作ス仏事ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ o 総結
^◆これを華座の想とす、 第七の観と名づく」 と。
▼是ヲ為シ↢華*座ノ想ト↡、名クト↢第七ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅶ p 得成所由
^▼仏、 阿難に告げたまはく、 「▼かくのごときの妙華は、 これもと▼*法蔵比丘の願力の所成なり。
▼仏告ゲタマハク↢阿難↡、如キノ↠此クノ妙華ハ、是本法蔵比丘ノ願力ノ所成0086ナリ。
二 Ⅰ ⅶ q 重顕観儀
^◆もしかの仏を念ぜんと欲はんものは、 まさにまづこの華座の想をなすべし。 この想をなさん時、 *雑観することを得ざれ。 みな一々にこれを観ずべし。 一々の葉・一々の珠・一々の光・一々の台・一々の幢、 みな分明ならしめて、 ▼鏡のなかにおいてみづから面像を見るがごとくせよ。
▼若シ欲セバ↠念ゼムト↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、*当ニシ↣先ヅ作ス↢*此ノ華*座ノ想ヲ↡。作ス↢此ノ想ヲ↡時、不レ↠得↢雑観スルコトヲ↡。皆応シ↢一一ニ観ズ↟之ヲ。*一一ノ葉・一一ノ珠・一一ノ光・一一ノ台・一一ノ幢、皆令メテ↢分明ナラ↡、▼如クセヨ↧於テ↢鏡ノ中ニ↡自ラ見ルガ↦面像ヲ↥。
二 Ⅰ ⅶ r 観成利益
^▼この想成ずるものは、 ▼五万劫の生死の罪を滅除し、 ▼必定してまさに極楽世界に生ずべし。
▼此ノ想成ズレバ者ハ、▼滅↢除シ五*万劫ノ生死之罪ヲ↡、▼必定シテ当ニシ↠生ズ↢極楽世界ニ↡。
二 Ⅰ ⅶ s 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 もし他観するをば、 名づけて邪観とす」 と。
▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為スト↢邪観ト↡。
二 Ⅰ ⅷ【像観】
a 結前生後
【16】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼この事を見をはらば、 次にまさ0100に仏を想ふべし。 ▼ゆゑはいかん。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、見↢此ノ事ヲ↡已ラバ、次ニ当ニシ↠想フ↠仏ヲ。▼所以者何ン。
二 Ⅰ ⅷ b 応心即現【法界身】
^▼諸仏如来は▼これ*法界身なり。 ▼一切衆生の心想のうちに入りたまふ。
▼諸仏如来ハ、是法界身ナリ。▼*入リタマフ↢一切衆生ノ心想ノ中ニ↡。
二 Ⅰ ⅷ c 結勧利益
^▼このゆゑになんぢら心に仏を想ふ時、 ▼この心すなはちこれ ˆ仏のˇ 三十二相・▼八十随形好なれば、 ▼*この心作仏す、 ▼この心これ仏なり。 ▼*諸仏正遍知海は心想より生ず。
▼是ノ故ニ汝等心ニ想フ↠仏ヲ時、是ノ心即チ是三十二相・▼八十随形好ナレバ、▼是ノ心作仏ス。▼是ノ心是仏ナリ。▼諸仏正徧知海ハ従リ↢心想↡生ズ。
二 Ⅰ ⅷ d 勧観彼仏
^▼このゆゑにまさに一心に繋念して、 あきらかにかの仏、 *多陀阿伽度・*阿羅訶・*三藐三仏陀を観ずべし。
▼是ノ故ニ応ニ当シ↣一心ニ繋念シテ、諦ニ観ズ↢彼ノ仏・多陀阿伽度・阿羅*訶・三藐三仏陀ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ e 牒前生後
^▼かの仏を想はんものは、 ▼まづまさに像を想ふべし。
▼想ハム↢彼ノ仏ヲ↡者ハ、▼先ズ当ニシ↠想フ↠像ヲ。
二 Ⅰ ⅷ f 弁観成相
^▼閉目開目に一つの宝像の閻浮檀金色のごとくにして、 ▼かの華上に坐せるを見よ。 ^▼像の坐せるを見をはらば、 心眼開くることを得て、 ▼了々分明に極楽国の七宝荘厳の宝地・宝池・宝樹行列し、 諸天の宝幔その上に弥覆し、 衆宝の*羅網、 虚空のなかに満てるを見ん。 かくのごときの事を見ること、 きはめて明了にして、 掌のうちを観るがごとくならしめよ。
▼閉目・開目ニ、見ヨ↧一ノ宝像ノ如クニシテ↢閻浮檀金色ノ↡、坐スルヲ↦彼ノ華上ニ↥。*見↢*像ノ坐スルヲ↡已ラバ、心眼得テ↠開クルコトヲ、了了分明ニ見ム↧極楽国ノ七宝荘厳ノ宝地・宝池・宝樹行列シ、諸ノ天ノ宝*幔弥↢覆シ*其ノ上ニ↡、衆宝ノ羅網満テルヲ↦虚空ノ中ニ↥。見ルコト↢如キノ↠此クノ事ヲ↡、極メテ令メヨ↢明了ニシテ如クナラ↟観ルガ↢掌ノ中ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ g 結上生後
h 二菩薩観
^▼この事を見をはらば、 ▼またまさにさらに一つの大蓮華をなして仏の左辺におくべし。 前の蓮華のごとくして等しくして異あることなし。 また一つの大蓮華をなして仏の右辺におけ。 ▼一つの観世音菩薩の像、 左の華座に坐すと想へ。 また金光を放つこと、 前の ˆ仏のˇ ごとくして異なし。 ▼一つの大勢至菩薩の像、 右の華座に坐すと想へ。
▼見↢此ノ事ヲ↡已ラバ、▼復当ニシ↧更ニ作シテ↢一ノ大蓮華ヲ↡在ク↦仏ノ左辺ニ↥。如クシテ↢前ノ蓮華ノ↡、等シクシテ無シ↠有ルコト↠異ルコト。復作シテ↢一ノ大蓮華ヲ↡在ケ↢仏ノ右辺ニ↡。想ヘ↣一ノ観世音菩薩ノ像ノ、坐スト↢*左ノ華座ニ↡。亦*放ツコト↢金*光ヲ↡、如クシテ↠前ノ無シ↠異ルコト。想ヘ↣一ノ大勢至菩薩ノ像ノ、坐スト↢*右ノ華座ニ↡。
二 Ⅰ ⅷ i 成多身観
^◆この想成ずる時、 仏・菩薩の像はみな光明を放つ0101。 その光金色にしてもろもろの宝樹を照らす。 ▼一々の樹下にまた三つの蓮華あり。 もろもろの蓮華の上におのおの一仏二菩薩の像ましまして、 かの国に遍満す。
▼此ノ想成0087ズル時、仏・菩薩ノ像ハ、皆放ツ↢*光明ヲ↡。其ノ光金色ニシテ照ス↢諸ノ宝樹ヲ↡。一一ノ樹下ニ*復有リ↢三ノ蓮華↡。諸ノ蓮華ノ上ニ、各ノ有リテ↢一仏・二菩薩ノ像↡、徧↢満ス彼ノ国ニ↡。
二 Ⅰ ⅷ j 因定得見
^▼この想成ずる時、 行者まさに水流・光明およびもろもろの宝樹・*鳧・雁・*鴛鴦のみな妙法を説くを聞くべし。 *出定・*入定につねに妙法を聞く。◗^行者の ˆ入定中にˇ 聞きしところのもの、 出定の時憶持して捨てず、
▼此ノ想成ズル時、行者当ニシ↠聞ク↣水流・光明、及ビ諸ノ宝樹・鳧・鴈・鴛鴦ノ皆説クヲ↢妙法ヲ↡。出定・入定ニ、恒ニ聞ク↢妙法ヲ↡。行者ノ所ハ↠聞ケル、出定之時憶持シテ不↠捨テ、
二 Ⅰ ⅷ k 弁観邪正
^▼*修多羅と合せしめよ。 もし合せざるをば、 名づけて妄想とす。▼もし合することあるをば、 名づけて粗想に極楽世界を見るとす。
▼令メヨ↧与↢修多羅↡合セ↥。若シ不ハ↠合セ者、名ケテ為ス↢妄想ト↡。若シ*有ラバ↠合スルコト者、名ケテ為ス↣麁想ニ見ルト↢極楽世界ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ l 総結
^▼これを像想とし、 第八の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢*像想ト↡、名ク↢第八ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅷ m 現蒙利益
^▼この観をなすものは、 無量億劫の生死の罪を除き、 ▼現身のなかにおいて念仏三昧を得ん」 と。
▼作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、除キ↢無量億劫ノ生死之罪ヲ↡、於テ↢現身ノ中ニ↡得ント↢念仏三*昧ヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ【真身観】
a 告命生後
【17】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「この想成じをはらば、 次にまさにさらに無量寿仏の身相と光明とを観ずべし。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、此ノ想成ジ已ラバ、次ニ当ニシ↣更ニ観ジタテマツル↢無量寿仏ノ身相ト光明トヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ b 真仏身相
^▼阿難まさに知るべし、 ▼無量寿仏の身は百千万億の夜摩天の閻浮檀金色のごとし。
▼阿難、当ニシ↠知ル、無量寿仏ノ身ハ如シ↢百千万億ノ夜摩天ノ閻浮檀金色ノ↡。
二 Ⅰ ⅸ c 身量大小
^▼仏身の高さ六十万億那由他恒河沙由旬なり。
▼仏身ノ高サ、六十万億那由他恒河沙由旬ナリ。
二 Ⅰ ⅸ d 総観身相
^▼眉間の*白毫は、 右に旋りて婉転して、 ˆ大きさˇ 五つの須弥山のごとし。 ▼仏眼は*四大海水のごとし。 *青白分明なり。 ▼身のもろもろの毛孔より光明を演出す。 ˆ大きさˇ 須弥山のごとし。
▼眉間ノ白毫ハ、▼右ニ旋リテ*婉転シテ、如シ↢五ノ須弥山ノ↡。▼仏*眼ハ如ク↢四大海水ノ↡、*青白分明ナリ。▼身ノ諸ノ毛孔ヨリ演↢出スルコト光明ヲ↡、如シ↢須弥山ノ↡。
^▼かの仏の*円光は、 ˆ広さˇ 百0102億の三千大千世界のごとし。 ▼円光のなかにおいて、 百万億那由他恒河沙の化仏まします。 ▼一々の化仏にまた衆多無数の化菩薩ありて、 もつて侍者たり。
▼彼ノ仏ノ円光ハ如シ↢百億ノ三千大千世界ノ↡。▼於テ↢円光ノ中ニ↡、有ス↢百万億那由他恒河沙ノ化仏↡。▼一一ノ化仏ニ亦有リテ↢衆多無数ノ化菩薩↡、以テ為リ↢侍者↡。
二 Ⅰ ⅸ e 光益有縁【摂取不捨】
^▼無量寿仏に八万四千の相まします。 ▼一々の相におのおの八万四千の随形好あり。 ▼一々の好にまた八万四千の光明あり。 ▼一々の▼光明は、 あまねく十方世界を照らし、 ▼念仏の衆生を▼*摂取して捨てたまはず。
▼無量寿仏ニ有ス↢▼八万四千ノ相↡。▼一一ノ*相ニ、各ノ有リ↢八万四千ノ随形好↡。▼一一ノ*好ニ復有リ↢八万四千ノ光明↡。▼一一ノ光明ハ、▼徧ク照シ↢十方世界ノ念仏ノ衆生ヲ↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。
二 Ⅰ ⅸ f 結少顕多
g 荘厳微妙
^▼その光明と相好と、 および化仏とは、 つぶさに説くべからず。 ▼ただまさに*憶想して、 心眼をして見たてまつらしむべし。
▼其ノ光*明ト相好ト及与0088化仏トハ、不↠可カラ↢具ニ説ク↡。▼但当ニシ↣憶想シテ、令ム↢心*眼ヲシテ見タテマツラ↡。
二 Ⅰ ⅸ h 観益得成
^◆この事を見るものは、 すなはち十方の一切の諸仏を見たてまつる。 ▼諸仏を見たてまつるをもつてのゆゑに念仏三昧と名づく。◗^▼この観をなすをば、 一切の仏身を観ずと名づく。 ▼仏身を観ずるをもつてのゆゑにまた仏心を見たてまつる。 ▼仏心とは大慈悲これなり。 ▼*無縁の慈をもつてもろもろの衆生を摂したまふ。
▼見ル↢此ノ事ヲ↡者ハ、▼即チ見タテマツル↢十方ノ一切ノ諸仏ヲ↡。▼以テノ↠見タテマツルヲ↢諸仏ヲ↡故ニ、名ク↢念仏三昧ト↡。▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者、名ク↠観ズト↢一切ノ仏身ヲ↡。▼以テノ↠観ズルヲ↢仏身ヲ↡故ニ亦見タテマツル↢仏心ヲ↡。▼*仏心ト者大慈悲是ナリ。以テ↢無縁ノ慈ヲ↡摂ス↢諸ノ衆生ヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ i 得生彼益
^▼この観をなすものは、 ▼身を捨てて他世に諸仏の前に生じて無生忍を得ん。
▼作セバ↢此ノ観ヲ↡者ハ、捨↠身シテ他世ニ生ジテ↢諸仏ノ前ニ↡、得ン↢無生忍ヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ j 結勧利益
^▼このゆゑに▼智者▼まさに心を繋けて、 あきらかに無量寿仏を観ずべし。
▼是ノ故ニ▼智者、▼応ニ当シ↣繋ケテ↠心ヲ、諦ニ観ジタテマツル↢無量寿仏ヲ↡。
^▼無量寿仏を観ぜんものは、 ˆ仏のˇ 一つの相好より入れ。 ただ眉間の白毫を観じて、 きはめて明了ならしめよ。 ▼眉間の白毫を見たてまつれば、 八万四千の0103相好、 自然にまさに現ずべし。
▼観ジタテマツラム↢無量寿仏ヲ↡者ハ、*従リ↢一ノ相好↡入レ。但観ジテ↢眉間ノ白毫ヲ↡極メテ令メヨ↢明了ナラ↡。見タテマツレバ↢眉間ノ白*毫ヲ↡者、八万四千ノ相好、自然ニ当ニシ↠*現ズ。
^◆無量寿仏を見たてまつれば、 すなはち十方無量の諸仏を見たてまつる。 ^▼無量の諸仏を見たてまつることを得るがゆゑに、 諸仏は現前に授記したまふ。
▼見タテマツレバ↢無量寿仏ヲ↡者、即チ見タテマツル↢十方無量ノ諸仏ヲ↡。▼得ルガ↠見タテマツルコトヲ↢無量ノ諸仏ヲ↡故ニ、諸仏ハ現前ニ*授記シタマフ。
二 Ⅰ ⅸ k 総結
^◆これをあまねく*一切の色身を観ずる想とし、 第九の観と名づく。
▼是ヲ為シ↧徧ク観ズル↢一切ノ色*身ヲ↡*想ト↥、名ク↢第九ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅸ l 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 もし他観するをば、 名づけて邪観とす」 と。
▼作サバ↢*此ノ観ヲ↡者名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者名ケテ為スト↢邪観ト↡。
二 Ⅰ ⅹ【観音観】
a 結前生後
【18】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「無量寿仏を見たてまつること、 了々分明なること已りて、 次にまたまさに観世音菩薩を観ずべし。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、見タテマツルコト↢無量寿仏ヲ↡、了了分明ナルコト已ラバ、次ニ*復当ニシ↠観ジタテマツル↢観世音菩薩ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ b 総標身相
^▼この菩薩、 身の長八十万億那由他由旬なり。 ▼身は紫金色なり。 ▼頂に*肉髻あり。 ▽項に円光あり。 *面おのおの百千由旬なり。
▼此ノ菩薩、▼身ノ長八十*万億那由*他由旬ナリ。▼身ハ紫金色ナリ。▼頂ニ有リ↢肉髻↡、▼項ニ有リテ↢円光↡、面各ノ百千由旬ナリ。
^▽その円光のなかに五百の化仏ましまして、 釈迦牟尼仏のごとし。 ▽一々の化仏に五百の化菩薩と無量の諸天ありて、 もつて侍者たり。
▼其ノ円光ノ中ニ有シテ↢五百ノ化仏↡、如シ↢釈迦牟尼*仏ノ↡。一一ノ化仏ニ有リテ↢五百ノ*化菩薩ト無量ノ諸天↡、以テ為リ↢侍者↡。
^▼*挙身の光のなかに五道の衆生の一切の色相、 みななかにおいて現ず。
▼挙身ノ光ノ中ニ五道ノ衆生ノ一切ノ色相アリテ、皆於テ↠中ニ現ズ。
二 Ⅰ ⅹ c 天冠殊異
^▽頂上に*毘楞伽摩尼宝あり、 もつて*天冠とす。 その天冠のなかに、 ひとりの*立化仏まします。 高さ二十五由旬なり。
▼頂上ニ毘楞伽摩*尼宝アリテ、以テ為ス↢天冠ト↡。其ノ天冠ノ中ニ有シテ↢一ノ立化仏↡、高サ二十五由旬ナリ。
二 Ⅰ ⅹ d 身色不同
^▼観世音菩薩の面は、 閻浮檀金色のごとし。
▼観世音菩薩ノ面ハ、如シ↢閻浮檀金色ノ↡。
二 Ⅰ ⅹ e 毫光転変
^▼眉間の*毫相に七宝の色を備へ、 ▼八万四千種の光明を流出す。 ▼一々の光明に、 無量無数百千の化仏まします。 ▼一々の化仏は、 無数の化菩薩を0104もつて侍者とす。 ▼変現自在にして十方世界に満てり。 たとへば紅蓮華色のごとし。
▼眉間ノ毫0089相ニ備ヘ↢七宝ノ色ヲ↡▼流↢出ス八万四千種ノ光明ヲ↡。▼一一ノ光明ニ有ス↢無量無数百千ノ化仏↡。▼一一ノ化仏ニ無数ノ化菩薩アリテ、以テ為リ↢侍者↡。▼変現自在ニシテ満テリ↢十方*世界ニ↡。*譬ヘバ如シ↢紅蓮華色ノ↡。
二 Ⅰ ⅹ f 身服光瓔
^▼八十億の光明ありて、 もつて瓔珞とす。 その瓔珞のなかに、 あまねく一切のもろもろの荘厳の事を現ず。
▼有リテ↢八十*億ノ光明↡、以テ為ス↢瓔珞ト↡。其ノ瓔珞ノ中ニ普ク現ズ↢一切ノ諸ノ荘厳ノ事ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ g 手有慈用
^▼手掌に五百億の雑蓮華色をなす。 ▼手の十指の端、 一々の指の端に八万四千の画あり。 なほ*印文のごとし。 ▼一々の画に八万四千色あり。 ▼一々の色に八万四千の光あり。 ▼その光柔軟にしてあまねく一切を照らし、 ▼この宝手をもつて衆生を*接引したまふ。
▼手掌ニ作シ↢▼五百億ノ雑蓮華色ヲ↡、手ノ十指ノ端、▼一一ノ指ノ端ニ有リ↢八万四千ノ画↡。猶如シ↢印文ノ↡。▼一一ノ画ニ有リ↢八万四千ノ色↡。▼一一ノ色ニ有リ↢八万四千ノ光↡。▼其ノ光柔軟ニシテ普ク照シ↢一切ヲ↡、▼以テ↢此ノ宝手ヲ↡接↢引シタマフ衆生ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ h 足有徳用
^▽足を挙げたまふ時、 足の下に*千輻輪の相あり、 自然に化して五百億の光明の台となる。 足を下ろしたまふ時、 *金剛摩尼の華あり、 一切に布散して*弥満せずといふことなし。
▼挙ゲタマフ↠足ヲ時、足ノ下ニ有リテ↢千輻輪ノ相↡、自然ニ化シテ成ル↢五百億ノ光明ノ台ト↡。下ゲタマフ↠足ヲ時、有リテ↢金剛摩尼ノ華↡、布↢散シテ一切ニ↡莫シ↠不ルハ↢弥満セ↡。
二 Ⅰ ⅹ i 指同於仏
j 師徒位別
^▼その余の身相・*衆好、 具足せること仏のごとくして異なし。 ▼ただ頂上の肉髻および*無見頂の相、 世尊に及ばず。
▼其ノ*余ノ身相・衆好具足セルコト如クシテ↠仏ノ無シ↠異ルコト。▼唯頂上ノ肉髻及ビ無見頂ノ相ノミ、不↠及バ↢世尊ニ↡。
二 Ⅰ ⅹ k 総結
^▼これを観世音菩薩の真実色身を観ずる想とし、 第十の観と名づく」 と。
▼是ヲ為シ↧観ズル↢観世音菩薩ノ真実色身ヲ↡*想ト↥、名クト↢第十ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅹ l 生其後益
^▼仏、 阿難に告げたまはく、 「もし観世音菩薩を観ぜんと欲することあらんものは、 まさにこの観をなすべし。
▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若シ*有ラバ↠欲スルコト↠観ジタテマツラムト↢観世音菩薩ヲ↡*者ハ、当ニシ↠作ス↢是ノ観ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ m 勧観利益
^▼この観をなすものはもろもろの禍に遇はず、 *業障を浄除し、 無数劫の生死の罪を除く。 かくのごときの菩薩は、 ただその名を聞くだに無量の福を獲。 いかにいはんやあきらかに観ぜんをや。
▼作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、不↠遇ハ↢諸ノ禍ニ↡、浄↢除シ業障ヲ↡、*除ク↢無数劫ノ生死之罪ヲ↡。如キノ↠此クノ菩薩ハ、但聞クスラ↢其ノ名ヲ↡獲↢無量ノ福ヲ↡。何ニ況ヤ諦ニ観ズルヲヤ。
二 Ⅰ ⅹ n 重顕観儀
^▼もし観世音菩薩を観ぜんと欲することあらんものは、 まづ頂上の0105肉髻を観じ、 次に天冠を観ぜよ。 その余の衆相、 また次第にこれを観じて、 また明了なること、 掌のうちを観るがごとくならしめよ。
▼若シ有ラバ↠欲スルコト↠観ジタテマツラムト↢観世音菩薩ヲ↡者ハ、*先ヅ観ジ↢頂上ノ肉髻ヲ↡、次ニ観ゼヨ↢天冠ヲ↡。其ノ余ノ衆相モ亦次第ニ観ジテ↠之ヲ、*亦令メヨ↢明了ニシテ如クナラ↟観ルガ↢掌ノ中ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ o 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 もし他観するをば、 名づけて邪観とす。
▼作サバ↢是ノ観ヲ↡者名ケテ為ス↢正観ト↡。若シ他観セバ者名ケテ為ス↢邪観ト↡。
二 Ⅰ ⅺ【勢至観】
a 総挙観名
【19】^▼次にまた大勢至菩薩を観ずべし。
▼*次0090ニ*復応シ↠観ジタテマツル↢大勢至菩薩ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ b 弁観相
c 不同相
^▼この菩薩の身量の大小は、 また観世音のごとし。 △円光の*面は、 おのおの百二十五由旬なり。 △二百五十由旬を照らす。
▼此ノ菩薩ノ身量ノ大小ハ、亦如シ↢観世音ノ↡。▼円光ノ面ハ▼*各ノ百二十五由旬ニシテ、▼照ス↢二百五十由旬ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ d 身光照益
^▼挙身の光明は▼十方国を照らし、 ▼紫金色をなす。 ▼有縁の衆生は、 みなことごとく見ることを得。
▼挙身ノ光明ハ照シ↢▼十方国ヲ↡、作ス↢▼紫金色ヲ↡。▼有縁ノ衆生ハ皆悉ク得↠見ルコトヲ。
^◆ただこの菩薩の一毛孔の光を見れば、 すなはち十方無量の諸仏の浄妙の光明を見る。 ▼このゆゑにこの菩薩を号けて*無辺光と名づく。 ▼智慧の光をもつてあまねく一切を照らして、 三塗を離れしむるに無上力を得たまへり。 ▼このゆゑにこの菩薩を号けて大勢至と名づく。
▼但見レバ↢此ノ菩薩ノ一毛孔ノ光ヲ↡、即チ見ル↢十方無量ノ諸仏ノ浄妙ノ光明ヲ↡。▼是ノ故ニ号シテ↢此ノ菩薩ヲ↡名ク↢無辺光ト↡。▼以テ↢智慧ノ光ヲ↡普ク照シテ↢一切ヲ↡、令ムルニ↠離レ↢三塗ヲ↡得タマヘリ↢無上力ヲ↡。▼是ノ故ニ号シテ↢此ノ菩薩ヲ↡名ク↢大勢至ト↡。
二 Ⅰ ⅺ e 天冠荘厳
^△この菩薩の天冠に五百の宝華あり。 ▼一々の宝華に五百の宝台あり。 ▼一々の台のうちに十方諸仏の浄妙の国土の*広長の相、 ▼みななかにおいて現ず。
▼此ノ菩薩ノ天冠ニ有リ↢五百ノ*宝華↡。▼一一ノ宝華ニ有リ↢五百ノ宝台↡。▼一一ノ台ノ中ニ、十方諸仏ノ浄妙ノ国土ノ広長之相、▼皆於テ↠中ニ現ズ。
二 Ⅰ ⅺ f 肉髻宝瓶
^▼頂上の肉髻は*鉢頭摩華のごとし。 肉髻の上において一つの宝瓶あり。 もろもろの光明を盛れて、 あまねく仏事を現ず。
▼頂上ノ肉髻ハ如シ↢鉢頭摩華ノ↡。於テ↢肉髻ノ上ニ↡有リ↢一ノ宝瓶↡。盛レテ↢諸ノ光明ヲ↡、普ク現ズ↢仏事ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ g 指同観音
^▼余のもろもろの身相は、 観世音のごとく、 等しくして異あることなし。
▼余ノ諸ノ身相ハ如ク↢観世音ノ↡、等シクシテ無シ↠有ルコト↠異ルコト。
二 Ⅰ ⅺ h 行相
^△この菩薩行きたまふ時、 ▼十方世界は一切震動す。 ▼地の動く処に当り0106て五百億の宝華あり。 ▼一々の宝華の荘厳、 *高く顕れて極楽世界のごとし。
▼此ノ菩薩ノ行キタマフ時、▼十方世界ハ一切*震動ス。▼当リテ↢地ノ動ク処ニ↡*有リ↢五百億ノ宝華↡。▼一一ノ宝華ノ荘厳、高ク顕レテ如シ↢極楽世界ノ↡。
二 Ⅰ ⅺ i 坐相
^△この菩薩、 坐したまふ時、 ▼七宝の国土一時に動揺し、 ▼下方の金光仏の*刹より乃至上方の光明王仏の刹まで ▼ˆ及びˇ、 ^その*中間において▼無量塵数の分身の無量寿仏、 分身の観世音・大勢至、 みなことごとく極楽国土に雲集したまふ。 ▼空中に*側塞して蓮華座に坐し、 ▼妙法を演説して▼苦の衆生を度したまふ。
▼此ノ菩薩ノ坐シタマフ時、▼七宝ノ国土一時ニ動揺シ、▼従リ↢下方ノ金光仏ノ刹↡、乃チ至ルマデ↢上方ノ光明王仏ノ刹ニ↡、▼於テ↢其ノ中間ニ↡無量塵数ノ分身ノ無量寿仏、分身ノ観世音・大勢至、皆悉ク雲↢集シタマヒ極楽国土↡、▼*側↢塞シテ空中ニ↡坐シ↢蓮華座ニ↡、▼演↢説シテ妙法ヲ↡度シタマフ↢苦ノ衆生ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ j 弁観邪正
^▼この観をなすをば、 名づけて正観とす。 もし他観するをば、 名づけて邪観とす。 大勢至菩薩を見たてまつる。 これを大勢至の色身を観ずる想とし、 第十一の観と名づく。
▼作サバ↢此ノ観ヲ↡者、名ケテ為ス↢*正観ト↡。若シ他観セバ者、名ケテ為ス↢邪観ト↡。見タテマツル↢大勢至菩薩ヲ↡、是ヲ為シ↧観ズル↢大勢至ノ色身ヲ↡*想ト↥、*名ク↢第十一ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅺ k 修観利益
^▼この菩薩を観ずるものは、 ▼無数劫阿僧祇の生死の罪を除く。
▼観ジタテマツレバ↢此ノ菩薩ヲ↡者ハ、除ク↢無*数劫阿僧0091祇ノ生死之罪ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ l 重生後益
^▼この観をなすものは*胞胎に処せず、 つねに諸仏の浄妙の国土に遊ぶ。
▼作セバ↢是ノ観ヲ↡者ハ、不↠処セ胞胎ニ↡、常ニ遊ブ↢諸仏ノ浄妙ノ国土ニ↡。
二 Ⅰ ⅺ m 弁観成相
^▼この観成じをはるをば、 名づけて*具足して観世音・大勢至を観ずとす。
▼此ノ観成ジ已ルヲバ、名ケテ為ス↣具足シテ観ズト↢観世*音・大勢*至ヲ↡。
二 Ⅰ ⅻ【普観】
a 牒前生後
b 凝心入観
【20】^▼この事を見る時、 ▼まさに*自心を起して▼西方極楽世界に生じて、 ▼蓮華のなかにして*結跏趺坐し、 ^▼蓮華の合する想をなし、 ▼蓮華の開くる想をなすべし。
▼*見ル↢此ノ事ヲ↡時、▼当ニシ↧起シテ↢*自心ヲ↡、▼生ジテ↢於西方極楽世界ニ↡、▼於テ↢蓮華ノ中ニ↡結*跏趺坐シ、▼作シ↢蓮華ノ合スル想ヲ↡、▼作ス↦蓮華ノ開クル*想ヲ↥。
^▼蓮華の開くる時、 五百色の光あり。 来りて身を照らし、 ▼ˆ心のˇ 眼目開くと想へ。 ▼仏・菩薩の虚空のなかに満てるを見ると想へ。 ▼水・鳥・樹林、 および諸仏の所出の音声、 みな妙法を演ぶ ˆと想へˇ。
▼蓮華ノ開クル時有リ↢五百色ノ光↡。来リテ照スト↠身ヲ想ヘ。↢▼眼目開クト↡。想ヘ。↤▼見ルト↣仏・菩薩ノ満チタマヘルヲ↢虚空ノ中ニ↡。▼水・鳥・樹林及与諸仏ノ所出ノ音声、皆演ベテ↢妙法ヲ↡、
二 Ⅰ ⅻ c 無遺常憶
^▼十二部経と合して、 ^出定の時 ˆ想0107をˇ 憶持して失はざれ。
▼与↢十二部経↡合ス。*出定*之時、憶持シテ不レ↠失セ。
二 Ⅰ ⅻ d 観成之益
^▼この事を見をはるを無量寿仏の極楽世界を見ると名づく。
▼見↢此ノ事ヲ↡已ルヲ、名ク↠見ルト↢無量寿仏ノ極楽世界ヲ↡。
二 Ⅰ ⅻ e 総結
^▼これを普観想とし、 第十二の観と名づく。
▼是ヲ為シ↢普観想ト↡、名ク↢第十二ノ観ト↡。
二 Ⅰ ⅻ f 弥陀護念
^▼無量寿仏の化身無数にして、 観世音・大勢至とともに、 ▼つねにこの行人の所に来至したまふ」 と。
▼無量寿仏ノ化身無数ニシテ、与トモニ↢観世*音・大勢至↡*常ニ来↢至シタマフト此ノ行人之*所ニ↡。
二 Ⅰ ⅼ【雑想観】
a 告命結勧
b 観像表真
【21】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼もし心を至して西方に生ぜんと欲せんものは、 ▼まづまさに一つの*丈六の像、 池水の上にましますを観ずべし。
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、若シ欲セバ↣至シテ↠心ヲ生ゼムト↢西方ニ↡者ハ、▼先ヅ当ニシ↠観ズ↣於一ノ丈六ノ像ノ在ルヲ↢池水ノ上ニ↡。
二 Ⅰ ⅼ c 勧観於小
^▼先の所説のごとき、 ▼無量寿仏の身量は無辺にして、 これ凡夫の心力の及ぶところにあらず。
▼如キ↢先ノ所説ノ↡無量寿仏ノ身量ハ無辺ニシテ、非ズ↢是凡夫ノ心力ノ所ニ↟及ブ。
二 Ⅰ ⅼ d 凡小聖寛
^▼しかるを、 かの如来の*宿願力のゆゑに憶想することあらば、 かならず成就することを得。
▼然ニ彼ノ如来ノ宿願力ノ故ニ、有レバ↢憶想スルコト↡者必ズ得↢成就スルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅼ e 比校顕勝
^▼ただ仏像を想ふに無量の福を得。 いかにいはんや仏の具足せる身相を観ぜんをや。
▼但想フスラ↢仏像ヲ↡得↢無量ノ福ヲ↡。*何ニ況ヤ観ズルヲヤ↢仏ノ具足セル身*相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅼ f 仏像大小
^▼阿弥陀仏は神通▼如意にして、 十方の国において変現自在なり。 ▼あるいは大身を現じて虚空のなかに満ち、 あるいは小身を現じて丈六、 八尺なり。
▼阿弥陀仏ハ▼神通如意ニシテ、於テ↢十方ノ国ニ↡変現自在ナリ。▼或イハ現ジタマヒテ↢大身ヲ↡満チ↢虚空ノ中ニ↡、或イハ現ジタマヒテ↢小身ヲ↡丈六八尺ナリ。
二 Ⅰ ⅼ g 光相無異
^▼所現の形は、 みな真金色なり。 円光の化仏および宝蓮華は、 上の所説のごとし。
▼所現之形ハ皆真金色ナリ。円光ノ化仏及ビ宝蓮華ハ如シ↢上ノ所説ノ↡。
二 Ⅰ ⅼ h 指同前観
^▼観世音菩薩および大勢至、 一切処において身同じ。
▼観世音菩薩及ビ大勢至、於テ↢一切処ニ↡身同ジ。
二 Ⅰ ⅼ i 勧観二別
^▼衆生ただ*首相を観て、 これ観世音なりと知り、 これ大勢至なりと知る。
▼衆生但観0092テ↢首相ヲ↡、知リ↢是観世音ナリト↡、知ル↢是大勢至ナリト↡。
二 Ⅰ ⅼ j 三尊相随
^▼この二菩薩、 阿弥陀仏を助けてあまねく一切を化したまふ。
▼此ノ二菩薩助ケテ↢阿弥陀仏ヲ↡普ク化シタマフ↢一切ヲ↡。
二 Ⅰ ⅼ k 総結
^▼これを雑想観とし、 第十三の観と名づく」 と。
▼是ヲ為シ↢雑*想観ト↡、名クト↢第十三ノ*観ト↡。
▼(欄外)
二 Ⅱ 散善
ⅽ 上輩
a 上上品
イ 告命
ロ 位
【010822】^▼仏0331、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼上品上生といふは、
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提*希ニ↡、▼上品上生トイフ者、
二 Ⅱ ⅽ a ハ 有縁
^▼もし衆生ありて、 ▼かの国に生ぜんと願ずるものは、 ▼三種の心を発して▼*即便往生す。
▼若シ有リテ↢衆生↡▼願ズル↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡者ハ、▼発シテ↢三種ノ心ヲ↡▼即便チ往生ス。
二 Ⅱ ⅽ a ニ 三心
^▼なんらをか三つとする。 ▼一つには至誠心、 ▼二つには▼深心、 ▼三つには回向発願心なり。 ▼三心を具するものは、 かならずかの国に生ず。
▼何等ヲカ為ス↠三ト。▼一ニ者至誠心、二ニ者深心、三ニ者廻向発願心ナリ。具スル↢三心ヲ↡者ハ必ズ生ズ↢彼ノ国ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ a ホ 機
^▼また三種の衆生ありて、 まさに往生を得べし。
▼復有リテ↢三種ノ衆生↡、当ニシ↠得↢往生ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ a ヘ 受法
^◆なんらをか三つとする。 ▼一つには慈心にして殺さず、 ▼もろもろの*戒行を具す。 ▼二つには大乗方等経典を読誦す。 ▼三つには六念を修行す。
▼何等ヲカ為ス↠三ト。▼一ニ者慈心ヲモテ不↠殺サ、▼具ス↢諸ノ戒行ヲ↡。▼二ニ者読↢誦ス大乗ノ方等経典ヲ↡。▼三ニ者修↢行ス六念ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ a ト 回向
チ 時節
^◆回向発願してかの国に生ぜんと願ず。 ▼この功徳を具すること、 ▼一日乃至七日してすなはち往生を得。
▼廻向発願シテ*願ズ↠生ゼムト↢*彼ノ国ニ↡。▼具スルコト↢此ノ功徳ヲ↡一日乃至七日シテ即チ得↢往生ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ a リ-1 迎接
^▼かの国に生ずる時、 ▼この人、 ▼精進勇猛なるがゆゑに、 ▼阿弥陀如来は、 ▼観世音・大勢至・無数の化仏・百千の比丘・声聞の大衆・無数の諸天・▼七宝の宮殿とともに ˆ現前すˇ。 ▼観世音菩薩は▼金剛の台を執りて、 大勢至菩薩とともに行者の前に至りたまふ。
▼生ズル↢彼ノ国ニ↡時、▼此ノ人精進勇*猛ナルガ故ニ、▼阿弥陀如来ハ与トモニ↢▼観世*音・大勢至、無数ノ化仏、百千ノ比丘・声聞ノ大衆、無*数ノ諸天、▼七宝ノ宮殿↡、▼観世音菩薩ハ執リテ↢金剛ノ台ヲ↡、与トモニ↢大勢至菩薩↡、至リタマフ↢行者ノ前ニ↡。
^▼阿弥陀仏は、 大光明を放ちて行者の身を照らし、 ▼もろもろの菩薩とともに手を授けて*迎接したまふ。 ▼観世音・大勢至は、 無数の菩薩とともに行者を讃歎して、 その心を勧進したまふ。
▼阿弥陀仏ハ放チテ↢大光明ヲ↡照シ↢行者ノ身ヲ↡、▼与トモニ↢諸ノ菩薩↡授ケテ↠手ヲ迎接シタマフ。▼観世音・大勢至ハ与トモニ↢無数ノ菩薩↡讃↢歎シテ行者ヲ↡、勧↢進シタマフ其ノ心ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ a リ-2 去時
^▼行0332者見をはりて歓喜踊躍し、 みづからその身を見れば、 金剛の台に乗ぜり。 仏の後に随従して、 ▼*弾指のあひだのごとくに、 かの国に往生す。▼
▼行者見已リテ歓喜踊躍シ、自ラ見レバ↢其ノ身ヲ↡、乗ジ↢金剛ノ台ニ↡、随↢従シテ仏ノ後ニ↡、▼如クニ↢弾指ノ頃ノ↡往↢生ス彼ノ国ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ a ヌ 華開
ル 得益
^▼か0109の国に生じをはりて、 ▼仏の色身の衆相具足せるを見、 もろもろの菩薩の色相具足せるを見る。 光明の宝林、 妙法を演説す。 聞きをはりて▼すなはち無生法忍を悟る。
▼生ジ↢彼ノ国ニ↡已リテ、▼見↢仏ノ色身ノ衆相具足スルヲ↡、見タテマツル↢諸ノ菩薩ノ色相具足スルヲ↡。光明ノ宝林▼演↢説ルニ妙法ヲ↡、聞キ已リテ即チ悟ル↢無生法忍ヲ↡。
^▼須臾のあひだを経て諸仏に*歴事し、 十方界に遍して、 諸仏の前において次第に授記せらる。 ▼本国に還り到りて無量百千の*陀羅尼門を得。
▼*経テ↢須臾ノ間ヲ↡歴↢事シタテマツリ諸仏ニ↡、徧シテ↢十方界ニ↡、於テ↢諸0093仏ノ前ニ↡次第ニ*授記セラル。▼還リテ*到リテ↢本国ニ↡、得↢無量百千ノ陀羅尼門ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ a ヲ 総結
^▼これを上品上生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢上品上生ノ者ト↡。
二 Ⅱ ⅽ b 上中品
イ 位
【23】^▼上品中生といふは、
▼上品中生トイフ者、
二 Ⅱ ⅽ b ロ 回向
^▼かならずしも方等経典を受持し読誦せざれども、 ▼よく義趣を解り、 ▼第一義において心驚動せず。 ▼深く因果を信じて大乗を謗らず。 ▼この功徳をもつて回向して極楽国に生ぜんと願求す。
▼不レドモ↤必ズシモ受↢持シ読↣誦セ方等経典ヲ↡、▼善ク解シテ↢義趣ヲ↡、於テ↢第一義ニ↡心不↢驚動セ↡。▼深ク信ジテ↢因果ヲ↡不↠謗ラ↢大乗ヲ↡。▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ b ハ 迎接
^▼この行を行ずるもの、 ▼命終らんとする時、 ▼阿弥陀仏は、 観世音・大勢至・無量の大衆とともに眷属 に*囲繞せられて、 ▼紫金の台を持たしめて、 行者の前に至りたまひ、 ▼讃めてのたまはく、 ª*法子、 なんぢ大乗を行じ第一義を解る。 ▼このゆゑに、 われいま来りてなんぢを迎接すº と。
▼行ズル↢此ノ行ヲ↡者ノ▼命欲スル↠終ラムト時、▼阿弥陀仏ハ与トモニ↢観世*音・大勢至、無量ノ大衆ノ↡眷属↡ニ囲繞セラレテ、▼持タシメテ↢紫金ノ台ヲ↡至リタマヒ↢行者ノ前ニ↡、▼讃ジテ言ク、法子、汝行ジ↢大乗ヲ↡解ス↢第一義ヲ↡。▼是ノ故ニ我今来リテ迎↢接スト汝ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ b ニ 去時
^▼千の化仏とともに一時に手を授けたまふ。 ^▼行者みづから見れば紫金の台に坐せり。 ▼合掌*叉手して諸仏を讃歎したてまつる。 ▼*一念のあひだのごとくに、 ▼すなはちかの国の七宝の池のなかに生ず。
▼与トモニ↢千ノ化仏↡一時ニ授ケタマフ↠手ヲ。▼行者自ラ見レバ、坐ス↢紫金ノ台ニ↡。▼合掌シ叉手シテ讃↢歎シタテマツリ諸仏ヲ↡、▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、▼即チ生ズ↢彼ノ国ノ七宝ノ池ノ中ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ b ホ 華開
^▼この紫金の台は大宝華のごとし。 ▼*宿を経てすなはち開く。 行者の身は紫磨金色になれり0110。 足0333の下にまた七宝の蓮華あり。
▼此ノ紫金ノ台ハ如シ↢大宝華ノ↡。経テ↠宿ヲ*則チ開ク。行者ノ身ハ作レリ↢紫磨金色ト↡、足ノ下ニ亦有リ↢七宝ノ蓮華↡。
二 Ⅱ ⅽ b ヘ 得益
^▼仏および菩薩、 *倶時に光明を放ちて行者の身を照らしたまふに、 ▼目すなはち開けてあきらかなり。 ▼*前の宿習によりて、 あまねく ˆ浄土のˇ もろもろの声を聞くに、 もつぱら甚深の第一義諦を説く。 ▼すなはち金台より下りて、 仏を礼し合掌して世尊を讃歎したてまつる。
▼仏及ビ菩薩、倶*時ニ放チテ↢光*明ヲ↡照シタマフニ↢行者ノ身ヲ↡、▼目即チ開ケテ明カナリ。▼因リテ↢前ノ宿習ニ↡普ク聞クニ↢衆ノ声ヲ↡、純ラ説ク↢甚深ノ第一義諦ヲ↡。▼即チ下リテ↢金台ヨリ↡、礼シ↠仏ヲ合掌シテ讃↢歎シタテマツル世尊ヲ↡。
^▼七日を経て、 時に応じてすなはち阿耨多羅三藐三菩提において不退転を得。
▼経テ↢於七日ヲ↡、応ジテ↠時ニ即チ於テ↢阿耨多羅三藐三菩提ニ↡得↢不退転ヲ↡、
二 Ⅱ ⅽ b ト 他方得益
^▼時に応じてすなはちよく飛行トビユキテして、 あまねく十方に至り▼諸仏に歴事す。 ▼諸仏の所にしてもろもろの三昧を修す。 ▼一小劫を経て無生忍を得、 ▼現前に授記せらる。
▼応ジテ↠時ニ即チ能ク飛*行シテ、徧ク至リ↢十方ニ↡▼*歴↢事シタテマツリ諸仏ニ↡、於テ↢諸仏ノ所ニ↡▼修ス↢諸ノ三昧ヲ↡。▼経テ↢一小劫ヲ↡得↢無*生忍ヲ↡、▼現前ニ*授記セラル。
二 Ⅱ ⅽ b チ 総結
^▼これを上品中生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢上品中生ノ者ト↡。
二 Ⅱ ⅽ c 上下品
イ 位
【24】^▼上品下生といふは、
▼上品下生トイフ者、
二 Ⅱ ⅽ c ロ 受法
^▼また因果を信じ▼大乗を謗らず。 ▼ただ*無上道心を発す。
▼亦信ジ↢因果ヲ↡▼不↠謗ラ↢大乗ヲ↡、▼但発シ↢無上道心ヲ↡、
二 Ⅱ ⅽ c ハ 回向
▼この功徳をもつて回向して極楽国に生ぜんと願求す。
▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願0094↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ c ニ-1 迎接
^▼行者命終らんとする時に、 ▼阿弥陀仏、 および観世音・大勢至、 もろもろの眷属とともに金蓮華を持たしめて、 ▼五百の化仏を化作してこの人を来迎したまふ。 ▼五百の化仏は、 一時に手を授けて讃めてのたまはく、 ▼ª法子、 なんぢいま清浄にして無上道心を発せり。 ▼われ来りてなんぢを迎ふº と。
▼*行者ノ命欲スル↠終ラムト時ニ、▼阿弥陀仏及ビ観世*音・大勢至ハ、与トモニ↢諸ノ*眷属↡持タシメテ↢金ノ蓮華ヲ↡、化↢作シテ五百ノ*化仏ヲ↡来リテ迎ヘタマフ↢此人ヲ↡。▼五百ノ化仏ハ、一時ニ授ケテ↠手ヲ、▼讃ジテ言ク、法子、汝今▼清浄ニシテ発セリ↢無上道心ヲ↡。▼我来リテ迎フト↠汝ヲ。
二 Ⅱ ⅽ c ニ-2 去時
^▼この事を見る時、 すなはちみづから身を見れば金蓮華に坐す。 坐しをはれば華合す。 ▼世尊の後に随ひて、 ▼すなはち▼七0111宝の池のなかに往生することを得 。
▼見ル↢此ノ事ヲ↡時、即チ自ラ見レバ↠身ヲ、坐ス↢金ノ蓮華ニ↡。坐シ已レバ華合シ、▼随ヒテ↢世尊ノ後ニ↡、▼即チ得↣往↢生スルコトヲ七宝ノ池ノ中ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ c ホ 華開
ヘ 得益
^▼一日一夜にして蓮華すなはち開け、 ▼七日のうちにすなはち仏を見たてまつることを得。 仏0334身を見たてまつるといへども、 もろもろの相好において心明了ならず。 三七日の後において、 すなはち了々に見たてまつる。 もろもろの音声を聞くにみな妙法を演ぶ。
▼一日一夜ニシテ蓮華乃チ開ケ、▼七日之中ニ乃チ得↠見タテマツルコトヲ↠仏ヲ。雖モ↠見タテマツルト↢仏身ヲ↡、於テ↢衆ノ相好ニ↡心不↢明了ナラ↡。於テ↢三七日ノ後ニ↡、乃チ了了ニ見タテマツル。聞クニ↢衆ノ音声ヲ↡皆演ブ↢妙法ヲ↡。
二 Ⅱ ⅽ c ト 他方得益
^▼十方に遊歴して諸仏を供養す。 諸仏の前にして甚深の法を聞く。 ▽三小劫を経て*百法明門を得、 歓喜地に住す。
▼遊↢歴シテ十方ニ↡供↢養シタテマツリ諸仏ヲ↡、於テ↢諸仏ノ前ニ↡聞ク↢甚深ノ法ヲ↡。経テ↢三小劫ヲ↡得↢百法明門ヲ↡、住ス↢歓喜地ニ↡。
二 Ⅱ ⅽ c チ 総結
^▼これを上品下生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢上品下生ノ者ト↡。
^これを上輩生想と名づけ、 第十四の観と名づく」 と。
是ヲ名ケ↢上輩生想ト↡、名クト↢第十四ノ*観ト↡。
▼(欄外)
二 Ⅱ ⅾ 中輩
a 中上品
イ 告命
ロ 位
【25】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼中品上生といふは、
▼*仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼中品上生トイフ者、
二 Ⅱ ⅾ a ハ 受法
^▼もし衆生ありて、 ▼五戒を受持し、 ▼八戒斎を持ち、 諸戒を修行して、 ▼五逆を造らず、 ▼もろもろの*過患なからん。
▼若シ有リテ↢衆生↡▼受↢持シ五戒ヲ↡、持チ↢八戒斎ヲ↡、修↢行シテ諸戒ヲ↡▼不↠造ラ↢五逆ヲ↡、▼無カラム↢衆ノ過*患↡。
二 Ⅱ ⅾ a ニ 回向
^▼この善根をもつて回向して西方極楽世界に生ぜんと願求す。
▼以テ↢此ノ善根ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢於西方極楽世界ニ↡。
二 Ⅱ ⅾ a ホ-1 迎接
^▼命終る時に臨みて、 ▼阿弥陀仏は、 もろもろの比丘とともに眷属 に囲繞せられて、 ▼金色の光を放ちて、 その人の所に至る。 ▼苦・空・無常・無我を演説し、 出家の▼衆苦を離るることを得ることを讃歎したまふ。
▼*臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、▼阿弥陀仏ハ与トモニ↢諸ノ比丘↡・眷属↡ニ囲繞セラレテ、▼放チテ↢金色ノ光ヲ↡至リタマヒ↢其ノ人ノ所ニ↡、▼演↢説シ苦・空・無常・無我ヲ↡、讃↢歎シタマフ出家ノ得ルコトヲ↟離ルルコトヲ↢衆苦ヲ↡。
二 Ⅱ ⅾ a ホ-2 去時
^▼行者、 見をはりて心大きに歓喜す。 みづから己身を見れば蓮華の台に坐せり。 *長跪合掌して仏のために礼をなす。 ▼いまだ頭を挙げざるあひだに、 すなはち極楽世界に往生0112することを得て、
▼行者見已リテ、心大ニ歓喜ス。自ラ見レバ↢己身ヲ↡、坐ス↢蓮華ノ台ニ↡。長跪合掌シテ為ニ↠仏ノ作ス↠礼ヲ。▼未ダル↠挙ゲ↠頭ヲ頃ニ、即チ得テ↣往↢生スルコトヲ極楽世界ニ↡、
二 Ⅱ ⅾ a ヘ 華開
ト 得益
^▼蓮華すなはち開く。 ▼華の敷くる時に当りて、 ▼もろもろの音声を聞くに四諦を讃歎す。 時に応じて▼すなはち▼阿羅漢道を得。 ▼*三明六通ありて▼八解脱を具す。
▼蓮華尋チ開ク。▼当リテ↢華ノ敷クル時ニ↡、▼聞クニ↢衆ノ音声ヲ↡讃↢歎ス四諦ヲ↡。▼応ジテ↠時ニ即チ得↢阿0095羅漢道ヲ↡。三明・六通アリテ具ス↢八解脱ヲ↡。
二 Ⅱ ⅾ a チ 総結
^▼こ0335れを中品上生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢中品上生ノ者ト↡。
二 Ⅱ ⅾ b 中中品
イ 位
【26】^▼中品中生といふは、
▼中品中生トイフ者、
二 Ⅱ ⅾ b ロ 受法
^▼もし衆生ありて、 ▼もしは一日一夜に八戒斎を受持し、 ▼もしは一日一夜に沙弥戒を持ち、 ▼もしは一日一夜に具足戒を持ちて、 威儀欠くることなし。
▼若シ有リテ↢衆生↡、▼若シハ一日一夜ニ*受↢持シ八戒斎ヲ↡、▼若シハ一日一夜ニ持チ↢沙弥戒ヲ↡、▼若シハ一日一夜ニ持チテ↢具足戒ヲ↡、威儀無カラム↠欠クルコト。
二 Ⅱ ⅾ b ハ 回向
^▼この功徳をもつて回向して極楽国に生ぜんと願求す。
▼以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻向シテ願↣求ス生ゼムト↢極楽国ニ↡。
二 Ⅱ ⅾ b ニ-1 迎接
^▼*戒香の熏修せる、 かくのごときの行者は、 ▼命終らんとする時、 ▼阿弥陀仏の、 もろもろの眷属とともに▼金色の光を放ち 、 ▼七宝の蓮華を持たしめて、 行者の前に至りたまふを見る。
▼戒香ノ熏修セル如キノ↠此クノ行者ハ、▼命欲スル↠終ラムト時、▼見ル↧阿弥陀仏ノ与トモニ↢諸ノ眷属↡、▼放チ↢金色ノ光ヲ↡▼持タシメテ↢七宝ノ蓮華ヲ↡、至リタマフヲ↦行者ノ前ニ↥。
^▼行者みづから聞けば、 空中に声ありて讃めてのたまはく、 ▼ª善男子、 なんぢがごときは善人なり。 三世の諸仏の教に随順するがゆゑに、 われ来りてなんぢを迎ふº と。
▼行者自ラ聞ケバ、空中ニ有リテ↠声▼讃ジテ言ク、善男子、如キハ↠汝ガ善人ナリ。随↢順スルガ三世ノ諸仏ノ教ニ↡故ニ、我来リテ迎フト↠汝ヲ。
二 Ⅱ ⅾ b ニ-2 去時
^▼行者みづから見れば、 蓮華の上に坐せり。 蓮華すなはち合し、 ▼西方極楽世界に生じて宝池のなかにあり。▼
▼行者自ラ見レバ、坐ス↢蓮華ノ上ニ↡。▼蓮華即チ合シ、生ジテ↢於西方極楽世界ニ↡在リ↢宝池ノ中ニ↡。
二 Ⅱ ⅾ b ホ 華開
^▼七日を経て蓮華すなはち敷く。
▼経テ↢於七日ヲ↡蓮華乃チ敷ク。
二 Ⅱ ⅾ b ヘ 得益
^▼華すでに敷けをはりて目を開き、 ▼合掌して世尊を讃歎したてまつり、 ▼法を聞きて歓喜し 、 ▼須陀洹を得、 ▼半劫を経をはりて阿羅漢と成る。
▼華既ニ敷ケ已リテ開キ↠目ヲ、▼合掌シテ讃↢歎シタテマツリ世尊ヲ↡、▼聞キテ↠法ヲ歓喜シ、得↢須陀洹ヲ↡、▼経↢半劫ヲ↡已リテ成ズ↢阿羅漢ヲ↡。
二 Ⅱ ⅾ b ト 総結
^▼これを中品中生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢中品中生ノ者ト↡。
二 Ⅱ ⅾ c 中下品
イ 位
【011327】^▼中品下生といふは、
▼中品下生トイフ者、
二 Ⅱ ⅾ c ロ 受法
^▼もし善男子・善女人ありて、 ▼父母に孝養し、 ▼世の仁慈を行ぜん。
▼若シ有リテ↢善男子・善女人↡、▼孝↢養シ父母ニ↡、行ジテ↢世ノ仁*慈ヲ↡、
二 Ⅱ ⅾ c ハ 時節
^▼この人命終らんとする時、 善知識の、 それがために広く阿弥陀仏の国土の楽事を説き、 また▼法蔵比丘の四十八願を説くに遇はん。
▼此ノ人命欲スル↠終ラムト時、遇ハム↧善知識ノ為ニ↠其ガ広ク説キ↢阿弥陀仏ノ国土ノ楽事ヲ↡、亦説クニ↦法蔵比丘ノ四十*八願ヲ↥。
二 Ⅱ ⅾ c ニ 去時
^▼この事を聞きをはりて、 すなはち0336命終る。 ▼たとへば*壮士の臂を屈伸カヾムルするあひだのごとくに、 すなはち西方極楽世界に生ず。
▼聞キ↢此ノ事ヲ↡已リテ、尋即チ命終ス。譬ヘバ如クニ↧壮士ノ屈↢*伸スル臂ヲ↡頃ノ↥、即チ生ズ↢西方極楽世界ニ↡。
二 Ⅱ ⅾ c ホ 華開
ヘ 得益
^▼生じて七日を経て、 ▼観世音および大勢至に遇ひて▼法を聞きて歓喜し、 ▼一小劫を経て阿羅漢と成る。
▼*生ジテ経テ↢七*日ヲ↡、▼遇ヒテ↢観世音及ビ大勢至ニ↡、▼聞キテ↠法ヲ歓*喜シ、▼*経テ↢一小劫ヲ↡成ズ↢阿羅漢ヲ↡。
二 Ⅱ ⅾ c ト 総結
^▼これを中品下生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢中品下生ノ者ト↡。
^これを中輩生想と名づけ、 第十五の観と名づく」 と。
是ヲ名ケ↢中*輩生想ト↡、名クト↢第十五ノ*観ト↡。
▼(欄外)
二 Ⅱ ⅿ 下輩
a 下上品
イ 告命
ロ 位
【28】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼下品上生といふは、
▼仏0096告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品上生トイフ者、
二 Ⅱ ⅿ a ハ 機
^▼あるいは衆生ありて、 ▼もろもろの悪業を作らん。 ▼方等経典を*誹謗せずといへども、 ▼かくのごときの愚人、 ▼多く衆悪を造りて慚愧あることなけん。
▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼作リ↢衆ノ悪業ヲ↡、▼雖モ↠不ト↣誹↢謗セ方等経典ヲ↡、▼如キノ↠此クノ愚人、▼多ク造リテ↢*衆悪ヲ↡無クシテ↠有ルコト↢慚愧↡、
二 Ⅱ ⅿ a ニ 受法
^▼命終らんとする時、 ▼善知識の、 ▼ために大乗十二部経の*首題名字を讃ずるに遇はん。 ▼かくのごときの諸経の名を聞くをもつてのゆゑに、 千劫の極重の悪業を除却す。 ▼*智者また教へて、 合掌叉手して南無阿弥陀仏と称せしむ。 ▼仏名を称するがゆゑに、 ▼五十億劫の生死の罪を除く。
▼命欲スル↠終ラムト時、▼遇ハム↣善知識ノ▼為ニ*讃ズルニ↢大乗十二部経ノ首題ノ名字ヲ↡。▼以テノ↠聞クヲ↢如キノ↠是クノ諸経ノ名ヲ↡故ニ、除↢却ス千劫ノ極重ノ悪業ヲ↡。▼智者復教ヘテ合掌シ叉手シテ、称セシム↢南無阿弥陀仏ト↡。▼称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ除ク↢五十億劫ノ生死之罪ヲ↡。
二 Ⅱ ⅿ a ホ-1 迎接
^▼その時 かの仏、 すなはち▼化仏・化観世音・化大勢至を遣はして行者の前に至らしめ、 ▼ˆ化仏等のˇ 讃めてのたまはく、 ▼ª善0114男子、 ▼なんぢ仏名を称するがゆゑにもろもろの罪消滅す。 われ来りてなんぢを迎ふº と。 ▼この語をなしをはりて、 行者すなはち化仏の光明の、 その室に遍満せるを見たてまつる。
▼爾ノ時彼ノ仏、即チ遣シテ↢化仏・化観世音・化大勢至ヲ↡▼至ラシメ↢行者ノ前ニ↡、讃ジテ言ク、▼*善男*子、汝称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ諸ノ罪消滅ス。我来リテ迎フト↠汝ヲ。▼作シ↢是ノ語ヲ↡*已ルニ、行者即チ見タテマツル↣化仏ノ光明ノ徧↢満スルヲ其ノ室ニ↡。
二 Ⅱ ⅿ a ホ-2 去時
^▼見をはりて歓喜してすなはち命終る。 ▼宝蓮華に乗じ、 化仏の後に随ひて宝池のなかに生ず。
▼見已リテ歓喜シテ即便チ命終シ、▼乗ジ↢宝蓮華ニ↡、随ヒテ↢化仏ノ後ニ↡生ズ↢宝池ノ中ニ↡。
二 Ⅱ ⅿ a ヘ 華開
^▼七0337七日を経て蓮華すなはち敷く。
▼経テ↢七七日ヲ↡蓮華乃チ敷ク。
二 Ⅱ ⅿ a ト 得益
^▼華の敷くる時に当りて、 ▼大悲観世音菩薩および大勢至、 大光明を放ちて▼その人の前に住して、 ▼ために甚深の十二部経を説きたまふ。
▼当リテ↢華ノ敷クル時ニ↡、▼大悲ノ観世音菩薩及ビ大勢*至、放チテ↢大光明ヲ↡▼住シテ↢其ノ人ノ前ニ↡、▼為ニ説キタマフ↢甚深ノ十二部経ヲ↡。
^◆聞きをはりて信解して、 無上道心を発す。 △十小劫を経て百法明門を具し、 *初地に入ることを得。
▼聞キ已リテ信解シテ、発シ↢無上道心ヲ↡、▼経テ↢十小劫ヲ↡具シ↢百法明門ヲ↡、得↠入ルコトヲ↢初地ニ↡。
二 Ⅱ ⅿ a チ 総結
^▼これを下品上生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢下品上生ノ者ト↡。
二 Ⅱ ⅿ a リ 挙益
^▼仏名・法名を聞き、 および僧名を聞くことを得。 ▼三宝の名を聞きて、 すなはち往生を得」 と。
▼*得ルモ↧聞キ↢仏名・法名ヲ↡及ビ聞キ↢僧名ヲ↡、聞クコトヲ↦三宝ノ名ヲ↥、即チ得ト↢往生ヲ↡。
▼(欄外)
二 Ⅱ ⅿ b 下中品
イ 告命
ロ 位
【29】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼下品中生といふは、
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品中生トイフ者、
二 Ⅱ ⅿ b ハ 機
^▼あるいは衆生ありて、 ▼五戒・八戒および具足戒を毀犯ヤブリオカスせん。 ▼かくのごときの愚人、 *僧祇物を偸み、 現前僧物を盗み、 ▼*不浄説法して、 ▼慚愧あることなく、 ▼もろもろの悪業をもつてみづから荘厳す。 ▼かくのごときの罪人、 悪業をもつてのゆゑに▼地獄に堕すべし。
▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼毀↢犯セム五戒・八戒及ビ具足戒ヲ↡。如キノ↠此クノ愚人、▼偸ミ↢僧祇物ヲ↡、盗ミ↢現前僧物ヲ↡、▼不浄説法シテ▼無ク↠有ルコト↢慚愧↡、▼以テ↢諸ノ悪*業ヲ↡而自ラ荘厳ス。如キノ↠此クノ▼罪人、以テノ↢悪業ヲ↡故ニ応シ↠堕ス↢地獄ニ↡。
二 Ⅱ ⅿ b ニ 去時
^▼命終らんとする時、 ▼地獄の*衆火、 一時にともに至る。 ▼善知識の、 ▼大慈悲をもつて、 ▼ために阿弥陀仏の十力威徳を説き、 広くかの仏の光0115明神力を説き、 また*戒・定・慧・解脱・解脱知見を讃ずるに遇はん。
▼命欲スル↠終ラムト時、▼地獄ノ衆火0097、一時ニ倶ニ至ルモ、▼遇ハム↧善知識ノ▼以テ↢大慈*悲ヲ↡*為ニ説キ↢阿弥陀仏ノ十力威徳ヲ↡、広ク*説キ↢彼ノ仏ノ光明神力ヲ↡、亦讃ズルニ↦戒・定・慧・解脱・解脱知見ヲ↥。
^▼この人、 聞きをはりて八十億劫の生死の罪を除く。 ▼地獄の▼猛火、 化して清涼の風となり 、 ▼もろもろの天華を吹く。 ▼華の上にみな▼化仏・菩薩ましまして、 この人を迎接したまふ。 ▼一念のあひだ0338のごとくに、 すなはち往生を得。
▼此ノ人聞キ已リテ除ク↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。▼地獄ノ猛火、化シテ為リ↢*清涼ノ風ト↡、▼吹ク↢諸ノ天華ヲ↡。▼華ノ上ニハ皆有シテ↢化仏・菩薩↡、迎↢接ス此ノ人ヲ↡。▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、即チ得↣往↢生ヲ。
二 Ⅱ ⅿ b ホ 華開
ヘ 得益
^▼七宝の池のなかの蓮華のうちにして▼六劫を経て▼蓮華すなはち敷けん。 華の敷くる時に当りて、 観世音・大勢至、 *梵音声をもつてかの人を安慰し、 ▼ために大乗甚深の経典を説きたまふ。 ▼この法を聞きをはりて、 時に応じてすなはち無上道心を発す。
▼七宝ノ池ノ中ノ蓮華之内ニシテ経テ↢於六劫ヲ↡▼蓮華乃チ敷ク。*当リテ↢華ノ敷クル時ニ↡、観世音・大勢至以テ↢梵音声ヲ↡安↢慰シ彼ノ人ヲ↡、▼為ニ説キタマフ↢大乗甚深ノ経典ヲ↡。▼聞キ↢此ノ法ヲ↡已リテ、応ジテ↠時ニ即チ発ス↢無上道心ヲ↡。
二 Ⅱ ⅿ b ト 総結
^▼これを下品中生のものと名づく」 と。
▼是ヲ名ク↢下品中生ノ者ト↡。
▼(欄外)
二 Ⅱ ⅿ c 下下品
イ 告命
ロ 位
【30】^▼仏、 阿難および韋提希に告げたまはく、 「▼下品下生といふは、
▼仏告ゲタマハク↢阿難及ビ韋提希ニ↡、▼下品下生トイフ者、
二 Ⅱ ⅿ c ハ 機
^▼あるいは衆生ありて、 ▼不善業たる▼五逆・十悪を作り、 もろもろの不善を具せん。 ▼かくのごときの愚人、 ▼悪業をもつてのゆゑに▼悪道に堕し、 ▼多劫を*経歴して苦を受くること 窮まりなかるべし。
▼或イハ有リテ↢衆生↡、▼作リ↢不善業タル▼五逆・十悪ヲ↡、具セム↢諸ノ不善ヲ↡。▼如キノ↠此クノ愚人、▼以テノ↢悪業ヲ↡故ニ▼応シ↧堕シ↢悪道ニ↡、▼経↢歴シテ多劫ヲ↡受クルコト↠苦ヲ無カル↞窮リ。
二 Ⅱ ⅿ c ニ-1 受法
^◆かくのごときの愚人、 ▼命終らんとする時に臨みて、 ▼善知識の、 ▼種々に安慰して、 ために妙法を説き、 ▼教へて念仏せしむるに遇はん。 ▼この人、 苦に逼められて念仏するに遑あらず。 ▼善友、 告げていはく、 ª▼なんぢもし念ずる あたはずは、 ▼まさに無量寿仏 ˆの名ˇ を称すべしº と。
▼如キノ↠此クノ愚人▼臨ミテ↢命終ノ時ニ↡、▼遇ハム↧善知識ノ▼種種ニ安慰シテ為ニ説キ↢妙法ヲ↡、教ヘテ令ムルニ↦念仏セ↥。▼*此ノ人苦ニ逼メラレテ不↠遑アラ↢念仏スルニ↡。▼善友告ゲテ言ク、汝若シ不ハ↠能ハ↠*念ズルコト者、応ニシト↠*称ス↢無量寿仏ト↡。
^◆かく0116のごとく心を至して、 ▼声をして絶えざらしめて、 ▼十念を具足して南無阿弥陀仏と称せしむ。 ▼仏名を称するがゆゑに、 念々のなかにおいて八十億劫の生死の罪を除く。
▼如ク↠是クノ至シテ↠心ヲ、令メテ↢声ヲシテ不ラ↟絶エ、具↢足シテ十念ヲ↡称スレバ↢南無阿弥陀仏ト↡、▼称スルガ↢仏名ヲ↡故ニ、於テ↢念念ノ中ニ↡除ク↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。
二 Ⅱ ⅿ c ニ-2 去時
^▼命終る時、 ▼金蓮華を見るに、 なほ日輪のごとくしてその人の前に住せん。 ▼一念のあひだのごとくに、 ▼すなはち極楽世界に往生することを得。
▼命終ル之*時、見ルニ↢↧金ノ蓮華ノ↡猶如クシテ↢日輪ノ↡住スルヲ↦其ノ人ノ前↥、▼如クニ↢一念ノ頃ノ↡、即チ得↣*往↢生スルコトヲ極楽世界ニ↡。
二 Ⅱ ⅿ c ホ 華開
^◆蓮華のなかにして▼十二大劫を満てて、 蓮華ま0339さに開く。
▼於テ↢蓮華ノ中ニ↡満テテ↢十二大劫ヲ↡、蓮華方ニ*開ク。
二 Ⅱ ⅿ c ヘ 得益
^◆観世音・大勢至、 大悲の音声をもつて、 それがために広く*諸法実相・罪を除滅するの法を説きたまふ。 ▼聞きをはりて歓喜し、 ▼時に応じてすなはち菩提の心を発さん。
▼*観世*音・大勢至、以テ↢大悲ノ音声ヲ↡、*為ニ↠其ガ広ク説キタマフ↧*諸法実相除↢滅スルノ罪ヲ↡法ヲ↥。▼聞キ已リテ歓喜0098シ、▼応ジテ↠時ニ即チ発ス↢菩提之心ヲ↡。
二 Ⅱ ⅿ c ト 総結
^◆これを下品下生のものと名づく。
▼是ヲ名ク↢下品下生ノ者ト↡。
▼(欄外)
^これを下輩生想と名づけ、 第十六の観と名づく」 と。▼
是ヲ名ケ↢下輩生想ト↡、名ク↢第十六ノ観ト↡。
▼(欄外)
三 得益分
Ⅰ 牒前生後
Ⅱ 明能聞人
Ⅲ 見極楽相
【31】^▼この語を説きたまふ時、 ▼韋提希、 五百の侍女とともに仏の所説を聞き、 ▼時に応じてすなはち極楽世界の広長の相を見たてまつる。
▼*説キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、▼韋提希与トモニ↢五百ノ侍女↡聞キタテマツリ↢仏ノ所説ヲ↡、▼応ジテ↠時ニ即チ見タテマツル↢極楽世界ノ広長之相ヲ↡。
三 Ⅳ 得無生益
^▼*仏身および二菩薩を見たてまつることを得て、 心に歓喜を生じて未曽有なりと歎ず。 *廓然として大悟して無生忍を得たり。
▼得テ↠見タテマツルコトヲ↢仏身及ビ二菩薩ヲ↡、心ニ生ジテ↢歓喜ヲ↡歎ジ↢未曽有ナリト↡、*廓然トシテ大悟シテ*得タリ↢無生忍ヲ↡。
三 Ⅴ 侍女発心
^▼五百の侍女、 阿耨多羅三藐三菩提心を発して、 かの国に生ぜんと願ず。
▼五百ノ侍女発シテ↢阿耨多羅三藐三菩提心ヲ↡、願ズ↠生ゼムト↢彼ノ国ニ↡。
三 Ⅵ 侍女授記
^▼世尊、 ことごとく、 「みなまさに往生すべし 。 かの国に生じをはりて、 *諸仏現前三昧を得ん」 と記したまへり。
▼世尊悉ク記シタマヒ↧皆当ニシ↢往生ス↡、生ジ↢彼ノ国ニ↡*已リテ得ムト↦諸仏現前三昧ヲ↥、
三 Ⅶ 諸天聞法
^▼無量の諸天、 無上道心を発せり。▼
▼無量ノ諸天モ発セリ↢無上道心ヲ↡。
四 流通分(王宮流通)
Ⅰ 阿難請発
【011732】^▼その時 阿難、 すなはち座より起ち 、 前みて仏にまうしてまうさく、 「世尊、 まさに▼いかんがこの経を名づくべき。 ▼この法の要をば、 まさに▼いかんが受持すべき」 と。
▼爾ノ時阿難、即チ従リ↠座起チ、*前ミテ白シテ↠仏ニ言ク、世尊、当ニキ↣何ガ名ク↢此ノ経ヲ↡。此ノ法之要ヲバ、当ニキト↢云何ガ受持ス↡。
四 Ⅱ 正説経名
^▼仏、 阿難に告げたまはく、 「この経をば ª 極楽国土・無量寿仏・観世音菩薩・大勢至菩薩を観ずº と名づく。 また ▼ª業障を浄除し諸仏の前に生ずº と名づく。
▼仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、此ノ経ヲバ名ケ↠観ズト↢極楽国土・無量寿仏・観世音菩薩・大勢至菩薩ヲ↡、亦名ク↧浄↢除シ業障ヲ↡生ズト↦諸仏ノ前ニ↥。
四 Ⅲ 汝当受持
^◆なんぢまさに受持すべし。 忘失せしむることなかれ。
▼汝当ニシ↢受持ス↡。無レ↠令ムルコト↢忘失セ↡。
四 Ⅳ 比挍顕勝
^▼この三昧を行ずるものは、 ▼現身に無量寿仏0340および*二大士を見ることを得。 ^▼もし善男子・善女人、 ▼ただ仏名・二菩薩名を聞くだに、 無量劫の生死の罪を除く。 いかにいはんや憶念せんをや。
▼行ズル↢此ノ三昧ヲ↡者ハ、▼現身ニ得↠見タテマツルコトヲ↢無量寿仏及ビ二大士ヲ↡。▼若シ善男*子・善女人、▼但聞クスラ↢仏名・二菩薩名ヲ↡除ク↢無量劫ノ生死之罪ヲ↡。何ニ況ヤ憶念スルヲヤ。
四 Ⅴ 念仏功能
^▼もし念仏するものは、 ▼まさに知るべし、 この人は▼これ人中の▼分陀利華なり。 ▼観世音菩薩・大勢至菩薩、 その勝友となる。 ▼まさに道場に坐し▼*諸仏の家に生ずべし」 と。
▼若シ念仏スル者ハ、▼当ニシ↠知ル。此ノ*人ハ▼是人中ノ*分陀利華ナリ。▼観世音菩薩・大勢至菩薩、為リ↢其ノ勝友ト↡、▼当ニシト↧坐シテ↢道場ニ↡生ズ↦諸仏ノ家ニ↥。
四 Ⅵ 付属流通【付属持名】
^▼仏、 阿難に告げたまはく、 「▼*なんぢよくこの語を持て。 ▼この語を持てといふは、 すなはちこれ無量寿仏の名を持てとなり」 と。
▼仏0099告ゲタマハク↢阿難ニ↡、汝、*好ク持テ↢是ノ語ヲ↡。持テトイフ↢是ノ語ヲ↡者、即チ*是持テトナリト↢無量寿仏ノ名ヲ↡。
四 Ⅶ 聖衆歓喜
^▼仏、 この語を説きたまふ時、 尊者目犍連・阿難および韋提希等、 仏の所説を聞きたてまつりて、 みな大きに歓喜す。▼
▼仏説キタマフ↢此ノ語ヲ↡時、尊者目*犍連・*阿難及ビ韋提希等聞キタテマツリテ↢仏ノ所説ヲ↡、皆大ニ歓喜ス。
五 耆闍分
Ⅰ 序分
【33】^▼その時に、 世尊、 足虚空を歩みて耆闍崛山に還りたまふ。
▼爾ノ時ニ世尊、足歩ミテ↢虚空ヲ↡還リタマフ↢耆闍崛山ニ↡。
五 Ⅱ 正宗分
^▼その時に、 阿難、 広く大衆のために、 上のごときの事を説くに、
▼爾ノ時ニ阿難、広ク為ニ↢大衆ノ↡説クニ↢如キノ↠上ノ事ヲ↡、
五 Ⅲ 流通分
^▼無量の*諸天および竜・夜叉0118、 仏の所説を聞きたてまつりて、 みな大きに歓喜し 、 仏を礼して退きぬ。▼
▼無量ノ*諸天及ビ*竜・夜叉、聞キタテマツリテ↢仏ノ所説ヲ↡、皆大ニ歓喜シ、礼シテ↠仏ヲ而退キヌ。
▼(欄外)
▼仏説観無量寿経
**康応元年 己巳 八月三日 以聖人御点秘書写之訖
▼(裏)
延書の底本は兵庫県勝福寺蔵本。 なお、 宗祖加点本を元にした延書(末巻のみ)と対校し、 相違箇所を赤の点下線(クリックで内容表示)、 減語句を青の点下線で示している。 ただし、 功祚:功祚などの音の違いは割愛した。
宋元嘉 424-453。 劉宋の三代、 文帝の年代。
漿 汁。
幻惑の呪術 呪文などをとなえて、 人をまどわす魔術。
臣聞く わたくしどもの聞くところでは。
内官 宮中に奉仕する役人。
玻瓈鏡 水晶でできた鏡。
厳顕 おごそかなありさまがはっきりと顕れていること。
かの国の… 「浄業成じたまへるひと」 は、 きよらかな行を完成して仏になった阿弥陀仏のこと。 延書底本には「かの国を観ずべし。 浄業成ずるものなり」とある。 この場合は浄土を観ずることによって往生の業因が成就するという意味になる。
もろもろの譬へ 以下に明かす定善十三観をいう。
因果を信じ 善悪煩悩の因によって迷いの苦果を生じ、 善業の因によってさとりの果を得ると信じるという意。
大乗 大乗教典のこと。
浄業の正因 三世の諸仏が、 仏となるために修行したきよらかな行いを浄業といい、 それがさとりを得るための正しき種であることを正因という。
心想羸劣 心が弱く劣っていること。
八方… 方は側面、 楞は角の意。 幢が八角柱の形をしているということ。
縄 道をまっすぐにひかれた縄に喩える。
雑廁間錯 縦横に交わり合っていること。
梵王宮 色界の
初禅天の王である
梵天の住む宮殿。
衆宝間錯 種々の宝の飾りが互いに入りまじっていること。
縦広正等 長さ広さがすべて等しいこと。
帝釈の瓶 帝釈天の所持する容器で、 求めるものを意のままに出すという。
如意珠王 如意珠は梵語チンター・マニ (cintā-maṇi) の漢訳。 如意宝珠、 無価宝珠、 摩尼宝珠ともいい、 意のままに宝や衣服、 食物を出す徳をもつ宝珠のこと。 あらゆる宝石の王である如意珠。
団円正等 完全な円形で大きさが等しいこと。
界上 境界。 地域。
天の宝幢 兜率天の宝幢大神の楽器。
総観想 浄土のすべてを見る観相の意。 宝楼観を成就する時、 宝樹・宝地・宝池がおのずから一時に見られるので、 宝楼観を総観想という。
梵摩尼宝 梵は
清浄の意。 きよらかな
摩尼宝珠 (如意珠王) のこと。
諸仏正遍知海 正遍知は梵語サムヤック・サンブッダ (samyak-saṃbuddha) の漢訳で、 如来十号の一。 等正覚ともいう。 仏の智慧が広大であることを海に喩えていう。 正しく完全に真理をさとったあらゆる仏の意。
鳧雁 かもとかり。
鴛鴦 おしどり。 鴛は雄、 鴦は雌を指す。
修多羅と合せしめよ 修多羅は梵語スートラ (sūtra) の音写。 経と漢訳する。 経の説に違わぬようにせよ。
青白分明 青い瞳と白い部分とがくっきりとわかれているという意。
一切の色身 阿弥陀仏が
具えている一切の
色身とする説と、 一切諸仏の色身とする説がある。
面 ここでは円光の縦横。 身色不同中、 「観世音菩薩の面」 の 「面」 は顔の意。
挙身の光 身光のこと。 全身をあげて輝いている光。 頭部から放たれる円光に対する。
立化仏 阿弥陀仏の化身。
金剛摩尼の華 無漏 (煩悩のない状態) 堅固なる摩尼宝珠の花。
面 ここでは円光の縦横。
無辺光 阿弥陀仏の十二光の一に無辺光がある。 勢至は阿弥陀仏の徳をあらわす菩薩だから、 この称がある。
広長の相 広大無辺なすがた。
中間 上方から下方に至るすべての国土。
胞胎に処せず 胞胎は母胎内で胎児をつつんでいる膜 (えな) をいい、
胎生のこと。
輪廻の迷いの生存をくりかえす胎生をとらないという意。
具足して ここではあますところなく、 のこらずの意。
自心 みずからが往生する想い。
丈六の像 一丈六尺の阿弥陀仏の像。
宿願力 阿弥陀仏が法蔵菩薩といわれた因位の時に衆生救済のためにおこした本願の力。
首相 頭首のすがた、 特徴。 觀音の天冠には立化仏があり、 勢至の肉髻には宝瓶がある。
即便往生 経文の上でいえば即と便は分けず 「すなはち」 と読むが、 親鸞聖人は、 「即便」 という文字によって、 他力の往生を即往生、 自力による往生を便往生とした。 →
二種の往生
法子 仏法の導きによって生れた子という意味で、 仏弟子のこと。
宿 一夜。
前の宿習 前世において習い身につけたもの。 ここでは生前に第一義諦を解したことをいう。
戒香の熏修せる 持戒の徳が香のように身にそなわっているという意。
壮士の臂… 力のある若者が臂をまげのばしする間にという意で、 きわめてはやいことの喩え。
智者 ここでは善知識をいう。
衆火 もろもろの猛火。
梵音声 清らかな声。
経歴 ここでは流転を繰り返すこと。
仏身および二菩薩 阿弥陀仏の仏身と観音・勢至の二菩薩。
廓然 明るくひらけるさま。 からりと迷いがはれたことをいう。
二大士 観音・勢至の二菩薩。
なんぢ… 「この語を持て」 とは、 阿弥陀仏の名号を常に心にとどめよということで、 阿弥陀仏の名を信じ、 称えよということである。
底本は◎本派本願寺蔵版本。 Ⓐ高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ金版¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓕ京都府清浄華院蔵平安時代書写本、 Ⓖ本派本願寺蔵正平六年書写本 と対校。 なお、 宗祖の¬観経註¼において書き込まれている¬観経疏¼ほかの本文が参照できるようリンクしてある。
城→Ⓑ成
酥→Ⓐ蘇
蒲桃→ⒶⒷ葡萄→Ⓔ蒲萄
犍→Ⓐ乾→ⒷⒸⒹⒻ揵
経→Ⓕ逕
者→Ⓐ人
人→Ⓐ者
麨蜜→Ⓑ蜜麨
瓔珞→Ⓔ纓絡
言 Ⓑになし
王→Ⓑ王[言]
栴→ⒷⒸⒹⒺ旃
不宜住→ⒶⒸⒹⒺ我等不宜復住於
世→Ⓑ世[聞此語已]
即 Ⓑになし
犍→ⒶⒷⒸⒹⒻ揵
在→ⒷⒸⒹⒺ侍
天→Ⓑ天[王等]
閻→Ⓑ閨
餓→Ⓔ饑
玻瓈→ⒶⒻ頗梨→Ⓑ頗黎
羅→ⒶⒷⒸⒹⒺ羅[王]
過→ⒶⒸⒹⒺ[乃是]過
所→Ⓑ所[苦]
日→ⒸⒹⒺ日[欲没之処]
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希初観成已]次
想→Ⓐ想[想見西方一切皆是大水]
氷→ⒷⒻ水
氷→Ⓕ水
瑠→ⒶⒷⒻⒼ琉
瑠→ⒶⒷⒼ琉
瑠→Ⓖ琉
睡→ⒶⒷⒸⒹ食
如此想者→Ⓐ作此観者名為正観若他観者名為邪観仏告阿難及韋提希水想成已
粗→Ⓔ麁
瑠→ⒶⒷⒸ琉
玻瓈→ⒶⒷⒸ頗梨
碼碯→ⒶⒷ馬脳→Ⓕ瑪瑙
硨磲→ⒶⒷⒻ車
琥珀→Ⓕ虎魄
五→ⒶⒷ[有]五
宝 ⒸⒹⒺになし
猶 Ⓑになし
樹→Ⓒ林
瓔→Ⓐ纓
婉→ⒶⒹⒺ宛
涌→ⒶⒷ踊
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希樹想成已]次
想→ⒶⒷⒸⒺ[欲]想
宝→ⒸⒹⒺ宝[妙]
如→ⒶⒷ[従]如
衆→[仏告阿難及韋提希]衆
閣 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
億 Ⓔになし
仏→ⒶⒸⒹⒺ吾
得→ⒶⒷ可
仏→Ⓑ仏[神]
葉→ⒸⒹⒺ葉[上]
脈→Ⓐ[一一]脈→Ⓑ脈[一一]
蓮 Ⓑになし
華→ⒸⒹⒺ華[具]
千→ⒶⒸ千[大]
各 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
有→Ⓑ有[五]
尼→ⒶⒷⒸⒹⒺ尼[珠]
伽→ⒶⒷ伽[摩尼]
交→ⒹⒺ校
幔→ⒶⒷⒻ縵
有→ⒶⒸⒹⒺⒼ[復]有
色→Ⓑ光
座→Ⓒ台
当先作 Ⓒになし
此→Ⓐ此[妙]
座→Ⓒ座[当先作]
一→Ⓑ[一一花]一
万→Ⓐ百億→ⒷⒸⒹⒺ万[億]
入→ⒶⒷⒸ[遍]入
訶→ⒶⒷⒻ呵
見 ⒶⒷになし
像→Ⓐ像[既]→Ⓑ既見
幔→ⒶⒷⒸⒻ縵
其→Ⓐ樹
左→Ⓑ左[蓮]
放→ⒸⒹⒺⒼ作
光→ⒸⒹⒺⒼ色
右→Ⓑ右[蓮]
光明→Ⓐ妙光→Ⓑ金光
復→ⒶⒷⒸⒹⒺⒼ亦
有→ⒶⒷⒹⒺⒼ与→Ⓑ得
像想→ⒶⒷ想像
昧→Ⓐ昧[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
眼→Ⓐ眼[清浄]
青→ⒶⒷ清
相→ⒶⒸⒹⒺ相[中]
好→ⒶⒸⒹⒺ好[中]
明 ⒶⒸⒹⒺになし
眼→ⒶⒷⒸ明
仏→ⒶⒸ[諸]仏
従→Ⓑ[但]従
毫→ⒶⒸⒹⒺ毫[相]
現→ⒶⒷ見
授→ⒶⒷ受
身 ⒶⒷになし
想→ⒷⒺ相
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ是
復当→ⒶⒸⒹⒺ亦応
復→Ⓑ応
万 ⒶⒷになし
他→ⒶⒷ他[恒河沙]
仏 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
化 ⒶⒷになし
尼→Ⓐ尼[妙]
世界 ⒶⒷになし
譬→ⒶⒷⒸⒹⒺ臂
億→ⒶⒸⒹⒺ億[微妙]
余→Ⓖ諸
想→ⒶⒷⒸⒹⒺⒻ相
有 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
者 ⒶⒷになし
除→Ⓑ除[劫]
先→ⒶⒷ[当]先
亦→ⒶⒸⒹⒺ悉
次→Ⓐ[仏告阿難及韋提希]次
復応 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
各→Ⓐ各[二]
宝→Ⓐ宝[蓮]
震→Ⓕ振
有→Ⓐ有[各]
側→ⒹⒺ畟
正観若他観者名為邪 ⒶⒸⒹⒺになし
名第十一観観此菩薩者→ⒶⒸⒹⒺ観此菩薩者名第十一観→Ⓑ観此菩薩者名第十一観観此菩薩已
数→Ⓕ量
音→Ⓐ音[及]
至→Ⓐ至[作此観者名為正観若他観者名為邪観]
見→Ⓐ[仏告阿難及韋提希]見
自心→Ⓐ想作心自見
跏→ⒸⒹⒺ加
想→Ⓑ想[見]
出→ⒶⒸⒹⒺ[若]出
之 ⒶⒸになし
音→ⒶⒸⒹⒺ音[及]
常→Ⓕ当
所→Ⓐ所[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
何況→ⒶⒷⒸⒹⒺ況復
相→Ⓒ想
想観→ⒷⒻ観想
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]→Ⓓ観[仏]
希→Ⓐ希[凡生西方有九品人]
願 ⒶⒷになし
彼→ⒶⒸ彼[仏]
猛→Ⓒ猛[力]
音→ⒶⒸ音[及]
数→ⒶⒷⒸⒹⒺ量
経→Ⓕ逕
授→ⒶⒸⒹⒺ受
到→ⒶⒷⒸⒹⒺ至
則→ⒶⒷⒻ即
時 ⒶⒷになし
明 ⒸⒹⒺⒼになし
行徧 Ⓐになし
歴 Ⓑになし
生→ⒶⒷ生[法]
授→ⒶⒷⒸⒹⒺ受
行→Ⓐ[彼]行
音→ⒶⒸ音[并]
眷属→ⒸⒹⒺ菩薩
化 ⒹⒺになし
観→Ⓐ観[作是観者名為正観若他観者名為邪観]
仏告→Ⓒ復次
患→ⒶⒷ悪
臨→ⒶⒷ[行者]臨
受 ⒶⒸⒹⒺになし
慈→Ⓐ義
八→ⒶⒷⒸ八[大]
伸→ⒶⒷ申
生 ⒸⒹⒺになし
日→ⒸⒹⒺ日[已]
喜→ⒶⒷⒸⒹⒺ喜[得須陀洹]
経→ⒶⒷⒸⒹⒺ過
輩→Ⓑ輩[下]
衆悪→ⒶⒷⒸⒹⒺ悪法
讃→ⒸⒹⒺ説
善→Ⓐ[善哉]善→Ⓑ[善哉善哉]善
子→ⒸⒹⒺ子[以]
已→Ⓔ曰
至→ⒶⒷⒸⒹⒺ至[菩薩]
「得…生」18字 ⒸⒹⒺになし
業→ⒶⒷ法
悲→ⒶⒸⒹⒺ悲[即]
為→ⒶⒸⒹⒺ為[讃]
説→ⒶⒷⒸⒹⒺ讃
清 ⒶⒸになし
当華敷時 ⒷⒸⒹⒺⒼになし
此→ⒶⒷⒸⒹⒺ彼
念→ⒶⒸⒹⒺ念[彼仏]
称→ⒶⒸ称[帰命]
時→Ⓒ後
往→Ⓒ生
開→Ⓓ聞
観→ⒶⒷ[当花敷時]観→Ⓒ[時]観
音→Ⓒ音[及]
為其→ⒶⒸ[即]為其[人]
諸法 ⒶⒸになし
説→ⒶⒷ[爾時世尊]説
廓→ⒶⒷⒸⒹⒺ豁
得→ⒸⒹⒺ逮
已→ⒶⒸⒹⒺ已[獲]
前 ⒸⒹⒺになし
子→ⒶⒷⒸⒹⒺ子[及]
人→ⒶⒷ人[即]→ⒸⒹⒺ人[則]
分→ⒶⒷ芬
好→Ⓒ好[受]
是→Ⓒ是[受]
犍→ⒸⒹⒻ揵 Ⓐになし
阿→ⒶⒸⒹⒺ[尊者]阿
諸→ⒶⒸ人
竜→ⒶⒸ竜[神]
すなはち
殺せ
しむ
だい
、
る
たまふ。
授手
す
す。
ず
ご
諸
ぜん
し
還到し
ずといへ
深信し
謗ぜ
命欲終時に
のため
る。
い
解す
授手す
池中
ひかり
開明
衆声
命欲終時
授手し
なり、
うしろ
、七宝池中にあり
く。
いまし
く
臨命終時に
・
のため
う
聞法
命終す
ふ
て
れり
む。
諸罪
し。
いたる
ち
ふ、
の
る、
すべし。
らん
と
至心
命終の
なをし
除滅罪
に
と記したまふ
観
浄除業障生諸仏前
みやう
ひぬ
。
宗祖加点本による延書〔龍谷大学蔵康応元年書写本〕の奥書。