0599◎観念0645阿弥陀仏相海三昧功徳法門 一巻
比丘*善導集記
一【三昧行相分】
Ⅰ 標列
【1】 ◎^↓¬*観経¼ によりて観仏三昧の法を明かす一。
◎0871依[リ]テ↢¬観経ニ¼↡明ス↢観仏三昧ノ法ヲ↡一。
↓¬*般舟経¼ によりて念仏三昧の法を明かす二。
依[リ]テ↢¬般舟経ニ¼↡明ス↢念仏三昧ノ法ヲ↡二。
↓*経によりて入道場念仏三昧の法を明かす三。
依[リ]テ↠経ニ明ス↢†入道場念仏三昧ノ法ヲ↡三。
↓経によりて道場内懴悔発願の法を明かす四。
依[リ]テ↠経ニ明ス↢道場内‡懴悔発願ノ法ヲ↡四。
一 Ⅱ 随釈
ⅰ 明観仏法【観仏三昧法】
a 標
【2】 ^↑¬観経¼ によりて観仏三昧の法を明かす。
依[リ]テ↢¬観経ニ¼↡明ス↢観仏三昧ノ法ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b 弁
イ 正明観仏行法
(一)略明
(Ⅰ)標依経
^¬観経¼・¬*観仏三昧海経¼ に出でたり。
出[デ]タリ↢¬観経¼・¬観仏三昧海経ニ¼↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)定観境
^阿弥陀仏の真金色の身、 *円光徹照し端正無比なるを観ずべし。
†観ズベシ↢阿弥陀仏[ノ]真金色ノ身、円光徹照シ、端正無比ナルヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅲ)明観想
^行者等、 一切の時処、 昼夜につねにこの想をなし、 *行住坐臥にもまたこの想をなせ。 つねに意を住めて西に向かひて、 かの*聖衆、 一切の雑宝荘厳等の相に及ぶまで、 目前に対するがごとくせよ、 知るべし。
行者等、一切ノ時処‡、昼夜ニ常ニ作シ↢此ノ想ヲ↡、行*住坐臥ニ[モ]亦作セ↢此[ノ]想ヲ↡。毎常ニ†住メテ↠意ヲ向[ヒ]テ↠西ニ、及[ブ]マデ↢彼ノ聖衆、一切[ノ]雑宝荘厳等ノ相ニ↡、如[ク]セヨ↠対スルガ↢†目前ニ↡、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)広弁
(Ⅰ)明身儀
【3】 ^また行者、 もし坐せんと欲せば、 先づすべからく*結跏趺坐すべし。 左の足0600、 右のの上に安きてほかと斉しくし、 右の足、 左のの上に安きてほかと斉しくせよ。 右の手、 左の手掌のなかに安きて、 二大指の面あひ合せよ。 次に身を端し正坐して、 口を合し、 眼0646を閉ぢよ。 開くに似て開かず、 合するに似て合せざれ。
又行者若[シ]†欲セバ↠坐セムト、先ヅ須クシ↢結跏趺坐ス↡。左ノ足†安キテ↢右ノノ上[ニ]↡与↠外斉[シ]†クシ、右ノ足†安キテ↢左ノノ上ニ↡与↠外斉[シ]†クセヨ。右ノ手†安キテ↢左ノ†手掌ノ中ニ↡、二大指[ノ]面相†合セヨ。次ニ†端シ↠身ヲ正坐シテ、†合シ↠口[ヲ]、閉0872ジヨ↠眼ヲ。似テ↠†開クニ不↠†開カ、似テ↠合スルニ†不レ↠合セ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)明観想
(ⅰ)観仏身
(a)正観相海
1. 頭頂荘厳
^すなはち心眼をもつて、 先づ▼仏の頂上の*螺髻よりこれを観ぜよ。 頭皮は金色をなし、 髪は紺青色をなす。 一髪一螺巻きて頭上にあり。 頭骨は雪色をなして内外明徹す。 脳は*玻瓈色のごとし。
即チ以テ↢心眼ヲ↡、先ヅ従リ↢仏ノ頂上ノ*螺髻↡観ゼヨ↠之ヲ。頭皮[ハ]作シ↢金色ヲ↡、髪ハ作ス↢紺青‡色ヲ↡。一髪一*螺‡巻キテ在[リ]‡↢頭上ニ↡†。頭骨[ハ]作[シ]テ↢雪色ヲ↡内外明徹ス。†脳[ハ]如シ↢玻瓈‡色ノ↡。
^次に脳に十四の脈あり、 一々の脈に十四道の光あり、 髪根の孔よりほかに出でて*髪螺を繞ること*七帀して、 還りて毛端の孔のなかより入ると想へ。
次ニ†想ヘ↧脳ニ有リ↢十四ノ脈↡、一一ノ脈ニ有[リ]↢十四道ノ光↡、従[リ]↢†髪根ノ孔↡出デテ↠外ニ繞‡ルコト↢髪*螺ヲ↡七*帀シテ、還[リ]テ従リ↢毛端ノ孔ノ中↡入ルト↥。
^次に前の光二の眉の毛根の孔のなかより出でてほかに向かふと想へ。
次ニ†想ヘ↧前ノ光‡従[リ]↢二[ノ]眉ノ毛根ノ孔[ノ]中↡出デテ向フト↞外ニ。
2. 額広平正
^次に▼額広くして平正なる相を想へ。
次ニ想ヘ↢†額広クシテ平正ナル相ヲ↡。
3. 眉高長相
^次に眉高くして長き相を想へ。 なほ*初月のごとし。
次ニ想ヘ↢†眉高クシテ而長キ相ヲ↡。由‡如シ↢初月ノ↡。
4. 眉間白毫
^次に▼眉間の*白毫相を想へ。 巻きて眉間にあり、 その毛白く外実内虚にして金色の光を出し、 毛端よりして出でてただちに自身を照らし来る。
次ニ†想ヘ↢眉間[ノ]白毫‡相ヲ↡。巻[キ]テ在リ↢眉間ニ↡、其ノ毛白†ク外実内虚ニシテ出†シ↢金色ノ光ヲ↡、従リシテ↢毛端↡而出デテ直ニ照シ‡↢自身ヲ↡来ル‡。
^¬*観仏三昧経¼ (意) に説きたまふがごとし。 「もし人ありて一須臾のあひだも白毫相を観ずれば、 もしは見、 もしは見ざるも、 すなはち九十六億那由他恒河沙*微塵数劫の生死の重罪を除却す」 と。 つねにこの想をなせば、 はなはだ障を除き罪を滅す。 また無量の功徳を得て、 諸仏歓喜したま0601ふ。
如シ↢¬観仏三昧経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。「若シ有[リ]テ↠人一須臾ノ頃[モ]観ズレバ↢白毫‡相ヲ↡、若[シ]ハ見、若[シ]ハ不†ルモ↠見、即チ除↢却ス[ト]九十六億那由他恒河沙微塵数劫ノ生死ノ重罪ヲ↡。」常ニ作セバ↢此ノ想ヲ↡、太†除キ↠障ヲ滅ス↠罪ヲ。又†得テ↢無量ノ功徳ヲ↡、諸仏歓喜†シタマフ。
5. 二眼広長
^次に▼二の眼広長にして黒白分明なり、 光明徹照すと想へ。
次ニ†想ヘ↢二ノ眼広長[ニ]シテ黒白分明ナリ、光明徹照スト↡。
6. 鼻修高直
^次に▼鼻修く高く直きこと、 鋳たる*金鋌のごとしと想へ。
次ニ†想ヘ↣†鼻修ク高ク直キコト、如シト↢†鋳タル金鋌ノ↡。
7. 面部平満
^次に▼*面部平満にして*唱あることなしと想へ。
次ニ想ヘ↢面部平満[ニ]シテ無シト↟有[ルコト]↢唱↡。
8. 耳輪垂
^次に▼*耳輪垂して孔に七毛あり、 光毛内より出でてあまねく仏身を照らすと想へ。
次ニ†想ヘ↧耳輪垂*シテ孔ニ有[リ]↢七毛↡、光従[リ]↢毛内↡出[デ]テ遍ク照スト↦仏身ヲ↥。
9. 脣色赤好
^次に▼唇色赤好にして光明潤沢なりと想へ。
次ニ†想ヘ↢脣色赤好ニシテ光明潤沢ナリト↡。
10. 歯白斉密
^次に▼歯白く斉密にして、 白きこと*珂月のごとくして内外*映徹すと想へ。
次ニ†想ヘ↧†歯白ク斉密ニシテ、白[キ]コト如[ク]シテ↢珂月ノ↡内外映徹スト↥。
11. 舌薄広長
^次に▼舌薄く広長にして柔軟なりと想へ。 舌根の下に二の道あり、 津液注ぎて咽筒に入りてただちに*心王に入る。
次ニ†想ヘ↢†舌薄ク広長ニシテ柔軟ナリト↡。舌根ノ下ニ有[リ]↢†二ノ道↡、津液注ギテ入†リテ↢咽ノド筒ツヽニ↡直ニ入ル↢心王ニ↡。
^*仏心は紅蓮華のごとし、 開して開せず、 合して合せず。 八万四千の*葉あり、 葉々あひ重なる。 一々の葉に八万四千0647の脈あり、 一々の脈に八万四千の光あり、 一々の光百宝の蓮華をなす。 一々の華の上に一の十地の菩薩あり、 身みな金色なり、 手に香華を持して心王を供養し、 異口同音に心王を歌讃す。
仏心ハ如シ↢紅蓮華ノ↡、開†シテ而不↠開セ、合†シテ而不↠合セ。有リ‡↢八万四千[ノ]葉↡、葉葉相重[ナ]†ル。一一ノ葉ニ有リ‡↢八万四千[ノ]脈0873↡、一一[ノ]脈ニ有リ‡↢八万四千[ノ]光↡、一一[ノ]光作ス↢百宝[ノ]蓮華ヲ↡。一一[ノ]華[ノ]上ニ有リ‡↢一ノ十地ノ菩薩↡、身皆金色ナリ、手ニ持[シ]テ↢香華ヲ↡供↢養†シ心王ヲ↡、異口同音ニ歌↢讃ス心王ヲ↡。
^行者等この想をなす時、 罪障を除滅し無量の功徳を得、 諸仏・菩薩歓喜し、 天神・鬼神も歓喜す。
行者等作ス↢此[ノ]想ヲ↡時、除↢滅シ罪障ヲ↡得↢無量[ノ]功徳ヲ↡、諸仏・菩薩歓喜シ、天神・鬼神[モ]歓喜ス。
12. 咽項肩円
^また心を抽きて上に向かひて、 次に▼咽項の円かなる相、 ▼二の肩の円かなる相を想へ。
又†抽キ[テ]↠心ヲ向[ヒ]テ↠上ニ、次ニ†想ヘ↢咽項ノ円カナル相、二ノ肩ノ円カナル相ヲ↡。
13. 両臂円
^次に▼両臂のく円かなる相を想へ。
次ニ想ヘ↢†両臂ノク円カナル相ヲ↡。
14. 手相荘厳
^次に▼二の手掌平満にして*千輻輪の相あり、 十指繊長にして指間に*網縵の相あり、 甲赤銅の色をなせる相を想へ。
次ニ†想ヘ↧†二ノ手掌平満ニシテ千輻輪ノ相アリ、十指繊長[ニシテ]指間[ニ]網縵ノ相アリ、甲作セル↢赤銅ノ色ヲ↡相ヲ↥。
15. 胸前平満
^また心を抽きて上に向かひて、 次に▼仏の胸前平満の相を0602想へ。 *万徳の字朗然なり。
又†抽キ[テ]↠心ヲ向[ヒテ]↠上[ニ]、次[ニ]†想ヘ↢仏[ノ]胸前平満ノ相ヲ↡。万徳之字朗然ナリ。
16. 腹平不現
^次に*腹平不現の相を想へ。
次ニ†想ヘ↢腹平不現ノ相ヲ↡。
17. 臍円孔深
^次に*臍円孔深の相を想へ。 光明内外につねに照らす。
次ニ†想ヘ↢臍ホゾ円孔深ノ相ヲ↡。光明内外[ニ]常ニ照ス。
18. 陰蔵平満
^次に▼*陰蔵の相を想へ。 平満にしてなほ十五日の夜の月のごとし、 また腹背のごとく平処にして別なし。
次ニ†想ヘ↢陰蔵ノ相ヲ↡。平満[ニ]シテ由‡如シ↢十五*日[ノ]夜ノ月ノ↡、亦如†ク↢腹ハラ背ノセナカ↡平処ニシテ無シ↠別。
^▼仏のたまはく、 「もし男子・女人ありて多く色を貪欲するもの、 すなはち如来の陰蔵の相を想へば、 欲心すなはち止みて、 罪障除滅し無量の功徳を得、 諸仏歓喜し、 天神・鬼神好心をもつて*影護して、 長命安楽にして永く病痛なし」 (観仏三昧経・意) と。
仏†言ク、若シ有[リ]テ↢男子・女人↡多ク†貪↢欲スル色ヲ↡者、即チ想ヘ†バ↢如来ノ陰蔵ノ相ヲ↡者、欲心即チ止ミテ、罪障除滅シ‡得↢無量ノ功徳ヲ↡、諸仏歓喜†シ、天神・鬼神‡好心ヲモテ影護シテ、長命安楽†ニシテ永ク無シ[ト]↢病痛↡。
19. 膝円満
^次に両の、 膝、 膝骨円満なりと想へ。
次ニ†想ヘ↢両ノ†膝・膝骨円満ナリト↡。
20. 鹿王相
^次に▼二の脛鹿王ののごとしと想へ。
次ニ†想ヘ↣二ノ†脛如シト↢鹿王ノ*†ノ↡。
21. 足跟𦟛満
^次に▼二の*足跟象王の鼻のごとしと想へ。
次ニ†想ヘ↣二[ノ]足跟クビス如シト↢象王ノ鼻ノ↡。
22. 足趺平生
^次に▼二の*足趺高きこと亀王の背のごとしと想へ。
次ニ†想ヘ↣二[ノ]足趺高†キコト如シト↢亀王ノ†背ノ↡。
23. 足指網縵
^次に▼足の十指長くして▼指間に網縵あり、 甲赤銅の色をなすと想へ。
次ニ†想ヘ↧足[ノ]†十指長クシテ指間ニ有[リ]↢網縵↡甲作スト↦赤銅ノ色ヲ↥。
24. 結跏趺坐
^次に仏の結跏趺坐の相を想へ。 左の足、 右のの上に安きてほかと斉しくし、 右の足、 左のの上に安きてほかと斉しと。
次ニ†想ヘ↢仏ノ結跏趺坐ノ相ヲ↡。左ノ足†安キテ↢右ノノ上ニ↡与↠外斉シ†クシ、右ノ足†安キテ↢左[ノ][ノ]上[ニ]↡与↠外斉シ[ト]。
25. 足下平満
^次に▼二の足の下平らかにして▼千輻輪相あり、 *輻輞具足し、 みな光明ありてあまねく十方の*刹を照らすと想へ。
次ニ†想ヘ↧二ノ足ノ下平ニシテ有†リ↢千輻輪‡相↡、輻ヤ 輞ヒラ具足シ‡、皆有[リ]テ↢光明↡遍ク照スト↦十方ノ刹ヲ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)結示
^頂上より下足の千輻0648輪相に至るこのかたを、 名づけて 「具足して仏の色身荘厳功徳を観ず」 となす。 これを*順観と名づく。
従[リ]↢頂上↡下至ル↢足ノ千輻輪0874相ニ↡已来タ[ヲ]、名[ケ]テ為ス↣具足シテ観ズト↢仏ノ色身荘厳功徳ヲ↡。是ヲ名ク↢順観ト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)観華座
(a)標挙
【4】 ^また次に*華座の法を想へ。
又次ニ想ヘ↢華座ノ法ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別弁
・華台
^次に華台の相を想へ。
次ニ想ヘ↢華台ノ相ヲ↡。
・華葉
^次に華葉を想へ。 葉々あ0603ひ重なりて八万四千重なり、
次ニ†想ヘ↢華葉ヲ↡。葉葉相重ナ[リ]テ八万四千重ナリ、
・華上宝光
^一々の葉の上に百億の宝王ありて荘厳し、 一々の宝のなかに八万四千の光明ありて、 上仏身を照らすと想へ。
一一ノ葉ノ上ニ†想ヘ↧有[リ]テ↢百億ノ†宝王↡荘厳シ、一一[ノ]宝[ノ]中ニ有[リ]テ↢八万四千ノ光明↡、上照スト↦仏身ヲ↥。
・華茎
^次に宝華の茎八面にして、
次ニ†想ヘ↧宝華ノ茎八面ニシテ、
・茎厳放光
^一々の方面に百千の衆宝をもつて荘厳し、 大光明を放ちて上下ともに照らすと想へ。
一一ノ方面[ニ]百千ノ衆宝ヲモテ荘厳シ、放[チ]テ↢大光明ヲ↡上下倶ニ照スト↥。
・地上光照
^次に華の茎の下宝地により、 地上の衆宝はみな八万四千の光明を放ち、 一々の光明は仏身を照らし、 および十方の六道を照らすと想へ。
次ニ†想ヘ↧華[ノ]*茎ノ下依†リ↢宝地ニ↡、地上ノ衆宝[ハ]皆放†チ↢八万四千[ノ]光明ヲ↡、一一[ノ]光明[ハ]照シ↢仏身ヲ↡、及ビ照スト↦十方[ノ]六道ヲ↥。
・照触自身
^また一切の光明、 行者の自身を照触して来ると想へ。
亦想[ヘ]↧一切ノ光明、照↢触シテ行者ノ自身ヲ↡来ルト↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)結利益
(a)現益
^この想をなす時、 罪障を除滅し無量の功徳を得、 諸仏・菩薩歓喜し、 天神・鬼神もまた喜びて、 日夜に身に随ひて行者を影護す。 行住坐臥につねに安穏を得、 長命富楽にして永く病痛なし。 仏の教に準ずれば、 浄土のなかの事を見ることを得。 もし見ば、 ただみづから知りて人に向かひて説くことを得ざれ。 すなはち大きに罪ありて、 横に悪病・短命の報を招く。
作[ス]↢此[ノ]想ヲ↡時、除↢滅シ罪障ヲ↡†得↢無量ノ功徳ヲ↡、諸仏・菩薩歓喜シ、天神・鬼神モ亦†喜ビテ、日夜ニ随[ヒ]テ↠身ニ影↢護ス行者ヲ↡。行住坐臥ニ常ニ得↢安穏ヲ↡、長命富楽ニシテ永ク無シ↢†病痛↡。準ズレバ↢仏[ノ]教ニ↡、得↠見ルコトヲ↢浄土ノ中ノ事ヲ↡。若シ見バ但自 ラ知[リ]テ不レ↠得↢向[ヒ]テ↠人ニ説クコトヲ↡。即チ大ニ有[リ]テ↠罪、†横ニ招ク↢悪病短命之報ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)(b)当益
^もし教門に順ずれば、 命終の時に臨みて▼阿弥陀仏国に*上品往生す。
若シ順ズレ†バ↢教門ニ↡者、†臨ミテ↢命終ノ時ニ↡†上↢品往↣生ス阿弥陀仏国ニ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅲ)勧要観
^▼かくのごとく上下、 前によりて▼*十六遍観じて、 しかして後心を住めて眉間の白毫に向かひて、 きはめてすべからく心を捉へて正しからしむべし。 さらに雑乱することを得ざれ。 すなはち定心を失して三昧成じがたし、 知るべし。
如[ク]↠是[クノ]上下、依[リ]テ↠前ニ十六遍観ジテ、然シテ後住[メ]テ↠心ヲ向[ヒ]テ↢眉間ノ白毫ニ↡、極テ須クシ↢†捉ヘテ↠心ヲ令ム↟正シカラ。更ニ不レ↠得↢雑乱[スルコト]ヲ↡。†即チ失シテ↢定心ヲ↡三昧難シ↠成ジ、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅳ)結得名
^これを観仏三昧の観法と名づく。
是ヲ名ク↢観仏三昧ノ観法ト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)結顕実義
^一切の時中につねに回すれば浄土に0604生ず。 ただ ¬観経¼ の*十三観によりて、 安心してかならず疑はざることを得よ。
一切[ノ]時中ニ常ニ廻スレバ生[ズ]‡↢浄土ニ↡。但依[リ]テ↢¬観経[ノ]¼十三観ニ↡、安心シテ必ズ得ヨ↠不[ルコ]トヲ↠疑ハ。
一 Ⅱ ⅰ b ロ 重勧念仏易行
【5】 ^またまうさく、 行者浄土に生ぜんと欲せば、 ただすべからく持戒・念仏し、 ¬*弥陀経¼ を誦すべし。 *日別に十五遍すれば二年0649に一万を得、 日別に三十遍すれば一年に一万なり。
又†白サク、行者†欲セバ↠生[ゼ]ムト↢浄土ニ↡、唯須クシ↣†持戒・念仏シ、誦ス↢¬弥陀経ヲ¼↡。日別ニ十五遍スレバ二年ニ得0875↢一万ヲ↡、日別[ニ]三十遍スレバ一年[ニ]一万ナリ。
^▼日別に一万遍仏を念ぜよ。 またすべからく時によりて浄土の荘厳の事を*礼讃すべし。 大きにすべからく精進すべし。 あるいは▼三万・六万・十万を得るものは、 みなこれ上品上生の人なり。 自余の功徳もことごとく回して往生せよ、 知るべし。
日別[ニ]念ゼヨ↢一万遍仏ヲ↡。亦須クシ↣依[リ]テ↠時ニ礼↢讃ス浄土[ノ]荘厳ノ事ヲ↡。大ニ須クシ↢精進ス↡。或[イ]ハ得[ル]↢三万・六万・十万ヲ↡†者ハ、皆是上品上生[ノ]人ナリ。自余ノ功徳[モ]尽ク†廻シテ往生セヨ、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ c 結
^以前は観仏三昧の法を明かす。
已前ハ明ス↢観仏三昧ノ法ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ 明念仏法【念仏三昧法】
a 標
【6】 ^↑¬般舟三昧経¼ の 「*請問品」 (意) に、 七日七夜入道場念仏三昧の法を明かしたまふ。
¬般舟三昧経[ノ]¼「請問品ニ」†明シタマフ↢七日七夜入道場念仏三昧ノ法ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b 弁
イ 略明
(一)標依経
^¬般舟三昧経¼ に出でたり。
出[デタリ]↢¬般舟三昧経[ニ]¼↡
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)正引文
(Ⅰ)標名許説
^「仏、 跋陀和に告げたまはく、 ª三昧あり、 *十方諸仏悉在前立と名づく。 よくこの法を行ぜば、 なんぢの所聞ことごとく得べしº と。
「仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和ニ↡、有リ↢三昧↡、名ク↢十*方諸仏悉在前立ト↡。能ク行ゼバ↢是ノ法ヲ↡、汝†之所*聞悉ク可[シト]↠得也。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)嘆益楽聞
^跋陀和、 仏にまうさく、 ª願はくはためにこれを説きたまへ。 *過度するところ多くして十方を安穏ならしめん。 もろもろの衆生のために*大明相を現じたまへº と。
跋陀和白[サ]ク↠仏ニ、願[ク]ハ為ニ説[キ]タマヘ↠之ヲ。多クシテ↠所↢過度スル↡安↢穏ナラシメム十方ヲ↡。為ニ↢諸ノ衆生ノ↡現[ジ]タマヘ[ト]↢大明相ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)勧修彰徳
^仏、 跋陀和に告げたまはく、 ª三昧あり、 *定意と名づく。 学者つねにまさに守りて習持して、 ま0605た余法に随ふことを得ざるべし。 功徳のなかにもつとも第一なりº」 と。
仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和ニ↡、有[リ]↢三昧↡、名ク↢定意ト↡。学者常ニ当ニシ↢守[リ]テ習持シテ、不ル↟得↣復随[フ]コト[ヲ]↢余法ニ↡。功徳ノ中ニ†最モ第一ナリト。」
一 Ⅱ ⅱ b ロ 広引
(一)明能念修相
(Ⅰ)長行
【7】 ^次に 「行品」 (般舟三昧経・意) にのたまはく、 「仏、 跋陀和菩薩に告げたまはく、 ª疾くこの定を得んと欲せば、 つねに大信を立て法のごとくにこれを行ぜばすなはち得べし。 疑想、 毛髪のごときばかりもあることなかれ。 この定意の法を、 名づけて «菩薩の*超衆行» となす。
次ニ「行品ニ」云ク、「仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和菩薩ニ↡、†欲セバ↣疾ク得ムト↢是ノ定ヲ↡者、常ニ立†テ↢大信ヲ↡†如クニ↠法ノ行ゼ†バ↠之ヲ則チ可シ↠得也。勿レ↠有[ル]コト↧疑*想†如キ↢毛髪ノ↡許モ↥。是ノ定意ノ法ヲ、名[ケ]テ為ス↢菩薩ノ超衆‡行ト↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)偈頌
(ⅰ)明定意法
(a)総示
^*一念を立して この法を信じ
所聞に随ひて *その方を念じ
よろしく念を一にして 諸想を断ずべし
^定信を立して 孤疑することなかれ
精進に行じて *懈怠することなかれ
一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)別顕
(イ)正誡諸念
^想を有と無とに 起すことなかれ
進を念ずることなかれ 退を念ずることなかれ
勿レ↠念ズルコト↠進ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠退ヲ |
^前を念ずることなかれ 後を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠前ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠後ヲ |
左を念ずることなかれ 右を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠左ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠右ヲ |
^無を念ずることなかれ 有を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠無ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠有ヲ |
0606遠を念ずることなかれ 近を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠遠ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠近ヲ |
^痛を念ずることなかれ 痒を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠痛ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠†痒ヲ |
0650飢を念ずることなかれ 渇を念ずることなかれ
0876勿[レ]↠念[ズルコト]↠飢ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠渇ヲ |
^寒を念ずることなかれ 熱を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠寒ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠熱ヲ |
苦を念ずることなかれ 楽を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠苦ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠楽ヲ |
^生を念ずることなかれ 老を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠生ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠老ヲ |
病を念ずることなかれ 死を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠病ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠死ヲ |
^命を念ずることなかれ 寿を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠命ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠寿ヲ |
貧を念ずることなかれ 富を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠貧ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠富ヲ |
^貴を念ずることなかれ 賎を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠貴ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠賎ヲ |
色を念ずることなかれ 欲を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠色ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠欲ヲ |
^小を念ずることなかれ 大を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠小ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠大ヲ |
長を念ずることなかれ 短を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠長ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠短ヲ |
^好を念ずることなかれ 醜を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠好ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠醜ヲ |
悪を念ずることなかれ 善を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠悪ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠善ヲ |
^0607瞋を念ずることなかれ 喜を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠瞋ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠喜ヲ |
坐を念ずることなかれ 起を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠坐ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠起ヲ |
^行を念ずることなかれ 止を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠行ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠止ヲ |
経を念ずることなかれ 法を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠経ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠法ヲ |
^是を念ずることなかれ 非を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠是ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠非ヲ |
捨を念ずることなかれ 取を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠捨ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠取ヲ |
^想を念ずることなかれ 識を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠想ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠識ヲ |
断を念ずることなかれ 着を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠断ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠著ヲ |
^空を念ずることなかれ 実を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠空ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠実ヲ |
軽を念ずることなかれ 重を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠軽ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠重ヲ |
^難を念ずることなかれ 易を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠難ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠易ヲ |
深を念ずることなかれ 浅を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠深ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠浅ヲ |
^広を念ずることなかれ 狭を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠広ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠狭ヲセバシ |
父を念ずることなかれ 母を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠父ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠母ヲ |
^妻を念ずることなかれ 子を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠妻ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠子ヲ |
0608親を念ずることなかれ 疎を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠親ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠疎ヲ |
^憎を念ずることなかれ 愛を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠憎ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠愛ヲ |
得を念ずることなかれ 失を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠得ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠失ヲ |
^成を念ずることなかれ 敗を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠成ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠敗ヲヤブルヽ |
清を念ずることなかれ 濁を念ずることなかれ
勿[レ]↠念[ズルコト]↠清ヲ | 勿[レ]↠念[ズルコト]↠濁ヲ |
^諸念を断ちて 一期の念
意乱るることなかれ
一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)重勧精勤
^つねに精進にして
歳計することなかれ 日に倦むことなかれ
勿レ↢†歳計スルコト | 勿レ↢日ニ倦[ム]コトオコタルコト↡ |
^*一念を立して *中忽することなかれ
睡眠を除きて その意を精にせよ
一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)明助道行
^つねに独り処して *聚会することなかれ
常ニ独リ処シテ | 勿[レ]↢聚 アツマリ会アフスルコト↡ |
悪人を避け 善友に近づき
^*明師に親しみて 視ること仏のごとくせよ
その志を執りて つねに柔弱なれ
0651^平等を 一切に観ぜよ
0609郷里を避け 親族を遠ざけ
^愛欲を棄てて 清浄を履み
無為を行じて 諸欲を断じ
^乱意を捨てて *定行を習ひ
*文慧を学すること かならず禅のごとくせよ
^*三穢を除き *六入を去れ
*婬色を絶ち 衆愛を離るべし
^財を貪じて 多く畜積することなかれ
*知足を念じて 味を貪ることなかれ
^衆生の命 つつしみて食することなかれ
衣は法のごとくにして *綺飾することなかれ
衣ハ如[クニ]シテ↠法ノ | 勿レ↢綺イロエ飾スルコトクワエカザル↡ |
^*調戯することなかれ 憍慢することなかれ
勿レ↢調トヽノエ戯スルコトタハブルヽ ↡ | 勿レ↢憍慢スルコト↡ |
*自大することなかれ *貢高することなかれ
勿レ↢自大スル[コト]↡ | 勿[レ]↢貢高スル[コト]↡ |
^もし経を説かば まさに法のごとくすべし
身の本を了するに なほ幻のごとし
†了スルニ↢身ノ本ヲ↡ | 由‡如†シ↠幻 グヱン ノ |
^0610*受陰することなかれ *入界することなかれ
*陰は賊のごとし *四は蛇のごとし
^無常となし *怳忽となす
常の主なし *本無なりと了す
^因縁をもつて会し 因縁をもつて散ず
ことごとくこれを了するに 本無なりと知れども
^慈哀を 一切に加へ
貧窮に施し *不還を済ふ
一 Ⅱ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)結
^これを定となす 菩薩行の
至要の慧なり 衆行に超えたりº と
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)明所念現前
(Ⅰ)修行相貌
(ⅰ)承上起下
【8】 ^(般舟三昧経・意) ▼仏、 跋陀和に告げたまはく、 ªこの行法を持てばすなはち三昧を得て、 現在の諸仏ことごとく前にましまして立ちたまふ。
仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和ニ↡、持テバ↢是ノ行法ヲ↡便チ†得テ↢三昧ヲ↡、現在ノ諸仏悉ク在[シ]テ↠前ニ†立チタマフ。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)明其修相
^◆それ比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷ありて、 法のごとく修行せんとせば、 持戒まつたく具し、 独り一処に止まりて西方の阿弥陀仏を念ぜよ。 いま現にかしこにまします。 所聞に随ひてまさに念ずべし。 ここを去ること十万億の*仏刹なり、 その国を*須摩提と名づく0611。
†其有[リ]テ↢比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、如ク↠法ノ修行[セムトセバ]、持戒完ク具シ、†独リ一処ニ止リテ念†ゼヨ↢西方[ノ]阿弥陀仏ヲ↡。今現ニ在†ス↠彼ニ。随[ヒ]テ↢所聞ニ↡当ニシ↠念ズ。去[ル]コト↠此ヲ十万億ノ仏刹ナリ、其ノ国ヲ名ク↢須摩提ト↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)三昧得成
^◆一心にこれを念ずること一日一夜、 もしは七日七夜すべし。 七日を過ぎをはりて後これを見たてまつらん。 たとへば人の夢のうちに見るところのごとし。 昼夜を知らず、 また内外を知らず。 冥きなかにありて*蔽礙するところあるがゆゑに見ざるがごとくにはあらず。
一心ニ念[ズル]コト↠之ヲ一日一夜、若シハ七日七夜スベシ。†過ギ↢七日ヲ↡已リテ後見†タテマツラム↠之ヲ。譬ヘバ†如シ↢人ノ夢ノ中ニ所ノ↟見ル。不↠知ラ↢昼夜ヲ↡、亦不↠知ラ↢内外ヲ↡。不ズ↠由クニハ↧在リテ↢冥キ中ニ↡有ルガ↠所↢蔽礙スル↡故ニ不ルガ↞見。
^◆跋陀和0652、 四衆つねにこの念をなす時、 諸仏の境界のなかのもろもろの大山・須弥山、 そのあらゆる*幽冥の処、 ことごとくために*開避して蔽礙するところなし。 この四衆は天眼を持ちて徹視するにあらず。 天耳を持ちて徹聴するにあらず、 神足を持ちてその仏刹に到るにあらず、 この間において終りてかの間に生ずるにあらず、 すなはちここにおいて坐してこれを見るº と。
跋陀0878和、四衆常ニ作ス↢是ノ念ヲ↡時、諸仏ノ境界ノ中†ノ諸ノ大山・須弥山、其ノ有ル幽冥之処‡、悉ク†為ニ開避シテ無シ↠所↢蔽礙スル↡。是[ノ]四衆[ハ]不ズ↧持[チ]テ↢天眼ヲ↡†徹視スルニ↥。不[ズ]↧持[チ]テ↢天耳†ヲ↡†徹聴スルニ↥。不[ズ]↧持[チ]テ↢神足ヲ↡到ルニ↦其ノ仏刹ニ↥、不[ズ]↧†於テ↢此[ノ]間ニ↡終[リ]テ†生ズルニ↦彼[ノ]間ニ↥、便チ†於テ↠此ニ坐シテ見ルト↠之[ヲ]。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)定中咨決
^◆仏のたまはく、 ª四衆この間の国土にて阿弥陀仏を念ぜよ。 もつぱら念ずるがゆゑにこれを見たてまつることを得。 すなはち問へ。 «いかなる法を持ちてかこの国に生ずることを得る» と。 阿弥陀仏報へてのたまはく、 «来生せんと欲せば、 まさにわが名を念ずべし。 休息することあることなくは、 すなはち来生することを得ん»º と。
仏‡言ク、四衆†於テ↢此[ノ]間ノ国土ニ↡念†ゼヨ↢阿弥陀仏ヲ↡。†専ラ念ズルガ故ニ得↠見[タテマツ]ルコトヲ↠之ヲ。即チ*問[ヘ]。持[チ]テカ↢†何ナル法ヲ↡得ルト↠生[ズル]コトヲ↢此[ノ]国ニ↡。阿弥陀仏報ヘテ言ク、†欲セバ↢来生セムト↡者、当ニシ↠念ズ↢我[ガ]名ヲ↡。莫†クハ↠有ルコト↢休息スルコト↡、即チ†得ム[ト]↢来生[スル]コトヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)今仏重釈
^◆仏のたまはく、 ª専念するがゆゑに往生を得。 つねに、 仏身には三十二相・*八十種好ありて、 巨億の光明徹照し、 *端正無比にして、 菩薩僧のなかにましまして法を説きたまふことを念ずべし。 色を0612壊することなかれ。 なにをもつてのゆゑに。 色を壊せざるがゆゑに、 仏の色身を念ずるによるがゆゑに、 この三昧を得º」 と。
仏言ク、専念スルガ故ニ得↢往生ヲ↡。常ニ念[ズ]ベシ↧仏身†ニハ三十二相・八十種好アリテ、巨億ノ光明徹照シ、端正無比ニシテ、在[シ]テ↢菩薩僧ノ中ニ↡説[キ]タマフ[コト]ヲ↞法ヲ。莫レ↠壊スルコト↠色ヲ。何ヲ以テノ故ニ。不ルガ↠壊[セ]↠†色ヲ故ニ、由ルガ↠念[ズルニ]↢仏ノ色身ヲ↡故ニ、得[ト]↢是ノ三昧ヲ↡。」
一 Ⅱ ⅱ c 結
^◆以上は念仏三昧の法を明かす。
已上[ハ]明ス↢念仏三昧[ノ]法ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ 合示入道場等法
a 正明別時法【入道場法】
イ 択浄舎
【9】 ^↑▼三昧の道場に入らんと欲する時は、 もつぱら仏教の方法によれ。 先づすべからく道場を*料理し、 尊像を安置して、 香湯をもつて*掃灑すべし。 もし仏堂なきも、 浄房あらばまた得たり。 掃灑すること法のごとくし、 一の仏像を取りて西の壁に安置せよ。
†欲スル↠入ラムト↢三昧[ノ]道場ニ↡時[ハ]、†一ラ依†レ↢仏教ノ方法ニ↡。先ヅ須クベ シ↧料↢理シシツラフ‡道場ヲ↡、安↢置シ[テ]尊像ヲ↡、香湯ヲモテ掃灑ス↥。若シ無†キモ↢仏堂↡有ラバ↢浄房↡亦†得タリ。掃灑スルコト如[ク]シ‡↠法ノ、取[リ]テ↢一ノ仏像ヲ↡西ノ壁ニ安置†セヨ。
一 Ⅱ ⅲ a ロ 示時節
^◆行者等、 ▼月の一日より八日に至り、 あるいは八日より十五日に至り、 あるいは十五日より二十三日に至り、 あるいは二十三日より三十日に至るまで、 月を四時に別つは*佳なり。 行者等みづから*家業の軽重を量り、 この時のうちにおいて浄に入りて道を行ぜよ。
行者等従リ↢月ノ一日↡至リ↢八日[ニ]↡、或[イ]ハ従[リ]↢八日↡至リ↢十五日[ニ]↡、或[イハ]従リ↢十五日↡至[リ]↢二十三日[ニ]↡、或[イハ]従[リ]↢二十三日↡至†ルマデ↢三十日ニ↡、†月ヲ別ツハ↢四時ニ↡佳ナリ。行者等自ラ量リ‡↢家業ノ軽重ヲ↡、於テ↢此ノ時ノ中ニ↡†入リテ↠浄ニ行ゼヨ↠道ヲ。
一 Ⅱ ⅲ a ハ 明資用
^◆もしは一日よりすなはち七日に至るまで、 ことごとく浄衣を須ゐ、 *鞋靺もまた新浄なるを須ゐよ。 七日のうちみな、 *一食長斎を須ゐよ。 軟餅・粗飯、 随時の醤菜は*倹素*節量すべし。
若[シ]ハ一日†ヨリ乃チ至ルマデ↢七日ニ↡、尽ク†須ヰ↢浄衣ヲ↡、鞋靺モ亦須[ヰ]ヨ↢新浄[ナル]ヲ↡。七日之中皆、須[ヰ]ヨ↢一食長斎ヲ↡。軟餅・麁飯、随時ノ醤菜†ハ倹素節量スベシ。
一 Ⅱ ⅲ a ニ 正修三昧
^◆道0653場のなかにおいて、 昼夜に心を束ね、 相続して専心に阿弥陀仏を念ぜよ。 心と声と相続して、 ただ坐し、 ただ立し、 七日のあひだ睡眠することを得ざれ。 また時によりて仏を礼し、 経を誦すべからず。 数珠もまた捉るべからず。 ▼ただ合掌して0613仏を念ずと知り、 念々に見仏の想をなせ。
†於テ↢道場ノ中0879ニ↡、昼夜ニ束ネ‡↠心ヲ、相続シテ専心ニ念†ゼヨ↢阿弥陀仏ヲ↡。心ト与↠声相続シテ、唯坐シ、唯立シ‡、七日之間‡不レ↠得↢睡*眠[スルコト]ヲ↡。亦不↠須[カ]ラ↢依[リ]テ↠時ニ†礼シ↠仏ヲ、誦ス↟経ヲ。数珠[モ]亦不↠須[カ]ラ↠捉ル。但†知リ↢合掌シテ念ズト↟仏ヲ、念念ニ作セ↢見仏ノ想ヲ↡。
^◆仏のたまはく、 「阿弥陀仏の真金色の身、 光明徹照し、 端正無比にして、 心眼の前にましますと想念せよ」 と。
仏‡言ク、†想↣念セヨト阿弥陀仏ノ真金色ノ身、光明徹照シ、端正無比ニシテ、在スト↢心眼ノ前ニ↡。
^◆まさしく仏を念ずる時、 もし立せばすなはち立して一万・二万を念じ、 もし坐せばすなはち坐して一万・二万を念ぜよ。 道場のうちにおいては、 頭を交へてひそかに語ることを得ざれ。
正[シ]ク†念ズル↠仏ヲ時、若シ立セバ即チ立シテ念ジ↢一万・二万ヲ↡、若シ坐セバ即チ坐シテ念ゼヨ↢一万・二万ヲ↡。†於テ[ハ]↢道場ノ内ニ↡、不レ↠得↢交ヘテ↠頭ヲ窃ニ†語ルコト[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ a ホ 明懴悔発願
【10】^↑◆昼夜あるいは*三時・六時に、 諸仏、 一切の*賢聖、 *天曹・*地府、 一切の*業道に表白して、 一生よりこのかた*身口意業の所造の衆罪を*発露懴悔せよ。
昼夜‡或[イハ]三時・六時[ニ]、表↢白シテ諸仏、一切[ノ]賢聖、天曹・地府、一切[ノ]業道ニ↡、発↢露懴↣悔†セヨ一生[ヨリ]已来[タ]‡身口意業[ノ]所造ノ衆罪ヲ↡。
^◆事、 実によりて懴悔しをはりて、 また法によりて仏を念ぜよ。 所見の境界はたやすく説くことを得ず。 善ならばみづから知り、 悪ならば懴悔せよ。 酒・肉・*五辛は、 誓ひて願を発して手に捉らざれ、 口に喫らはざれ。 もしこの語に違せば、 すなはち身口にともに悪瘡を着けんと願ぜよ。
†事依[リ]テ↠実[ニ]懴悔シ竟[リ]テ、†還タ依[リ]テ↠法ニ†念ゼヨ↠仏ヲ。所見ノ境界†ハ†不↠得↢輒ク説クコトヲ↡。善[ナラバ]者自[ラ]知リ、悪[ナラバ]者懴悔†セヨ。酒・肉・五辛[ハ]、誓[ヒ]テ†発シテ↠願ヲ手ニ不レ↠捉ラ、口ニ不レ↠喫ハ。若シ違セバ↢此[ノ]語†ニ↡即チ願ゼヨ↣身口[ニ]倶ニ著†ケムト↢悪瘡ヲ↡。
^◆あるいは ¬*阿弥陀経¼ を誦すること十万遍を満たさんと願ぜよ。 日別に仏を念ずること一万遍、 経を誦すること日別に十五遍、 あるいは誦すること二十遍・三十遍、 力の多少に任すべし。 浄土に生ずることを誓ひ、 仏の*摂受を願ぜよ。
或[イハ]†願ゼヨ↧誦[スル]コト↢¬阿弥陀経ヲ¼↡満タサムト↦十万遍ヲ↥。日別ニ†念ズルコト↠仏ヲ一万遍、誦[スル]コト↠経[ヲ]日別ニ十五遍‡、或[イハ]誦[スル]コト二十遍・三十遍、任スベシ↢力ノ多少[ニ]↡。誓ヒ↠生[ズル]コトヲ↢浄土ニ↡、願[ゼ]ヨ↢仏ノ摂受ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ b 因弁終時儀【臨終行儀】
イ 明行儀
【11】^▼また行者等もしは病み、 病まざるも、 命終せんと欲する時、 もつぱら上0614の念仏三昧の法によりて、 身心を正当にして、 面を回らして西に向かへて、 心もまた専注して阿弥陀仏を観想し、 心口相応して声々絶ゆることなく、 決定して往生の想、 *華台の聖衆来りて*迎接する想をなせ。
又行者等若[シ]ハ病ミ、不†ルモ↠病マ、†欲スル↢命終セムト↡時、一[ラ]依[リ]テ↢上ノ念仏三昧ノ法ニ↡、†正↢当ニシテ身心ヲ↡、廻シテ↠面ヲ向[ヘ]テ↠西ニ、心[モ]亦†専注シテ観↢想シ阿弥陀仏ヲ↡、心口相応シ[テ]声声莫†ク↠絶ス[ル]コト、決定シテ†作セ↢往生ノ想、華台ノ聖衆来リテ迎接スル想ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ 験得失
^◆病人もし前の境を見ば、 すなはち看病の人に向かひて説け。 すでに説くを聞きをは0654らば、 すなはち説によりて録記せよ。 また病人もし語ることあたはずは、 看病の人かならずすべからくしばしば病人に問ふべし、 いかなる境界をか見たると。 もし罪相を説かば、 傍人すなはちために念仏し、 助けて同じく懴悔してかならず罪滅せしめよ。 もし罪滅することを得ば、 華台の聖衆念に応じて現前したまはん。 前に準じて抄記すべし。
病人若[シ]見バ↢前ノ境ヲ↡、即チ向[ヒ]テ↢看病ノ人ニ↡説ケ。既ニ聞キ↠説[ク]ヲ已0880†ラバ、即チ依[リ]テ↠説ニ録ロク記セヨ。又病人若シ不†ハ↠能[ハ]↠語[ル]コト者、看病ノ人必ズ須クベ シ↣数数問[フ]↢病人ニ↡、見[タ]ルト↢何ナル境界ヲカ↡。若シ説カバ↢罪相ヲ↡、傍‡人即チ為ニ念仏シテ助ケ、同[ジ]ク懴悔シテ必ズ令メヨ↢罪滅セ↡。若シ得バ↢罪滅[スルコト]ヲ↡、華台[ノ]聖衆応ジテ↠念ニ現前シ†タマハム。準ジテ↠前ニ*抄記†スベシ。
一 Ⅱ ⅲ b ハ 避障縁
^◆また行者等、 *眷属*六親もし来りて看病せば、 酒・肉・五辛を食せる人をあらしむることなかれ。 もしあらば、 かならず病人の辺に向かふことを得ざれ。 すなはち正念を失ひ、 鬼神交乱し、 *病人狂死して三悪道に堕せん。 願はくは行者等よくみづからつつしみて仏教を奉持し、 同じく見仏の因縁をなせ。
又行者等、眷属六親若[シ]来[リ]テ看病セバ、勿レ↠令[ム]ルコト↠有[ラ]↧食†セル↢酒・肉・五辛ヲ↡人ヲ↥。若[シ]有ラバ必ズ不レ↠得↠向[フ]コトヲ↢病人ノ辺ニ↡。即チ†失ヒ↢正念ヲ↡、鬼神交乱シ、病人狂死シテ堕†セム↢三悪道ニ↡。願[ク]ハ行者等好ク自 ラ謹慎ミテ奉↢持シ‡仏教ヲ↡、同[ジ]ク作セ↢見仏ノ因縁ヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ c 結
^以前はこれ入道場および看病人の法用なり。
已前ハ是入道場及ビ看病人ノ法用ナリ。
二【五縁功徳分】
Ⅰ 標章目
【12】^経によりて*五種増上縁の義を明かす一巻。
依[リ]テ↠経ニ明ス↢五種‡増上縁[ノ]義ヲ↡一巻。
二 Ⅱ 釈章門
ⅰ 標経述意
・標経
¬*無量寿経¼ による一。
依ル↢¬無量寿経ニ¼↡一。
0615¬*十六観経¼ による二。
依†ル↢¬十六観経ニ¼↡二。
¬*四紙阿弥陀経¼ による三。
依†ル↢¬四紙[ノ]阿弥陀経ニ¼↡三。
¬*般舟三昧経¼ による四。
依†ル↢¬般舟三昧経ニ¼↡四。
¬*十往生経¼ による五。
依†ル↢¬十往生経ニ¼↡五。
¬*浄土三昧経¼ による六。
依†ル↢¬浄土三昧経ニ¼↡六。
【述意】
【13】^つつしみて釈迦仏の教、 六部の往生経等によりて、 阿弥陀仏を称念して浄土に生ぜんと願ずるもの、 現0655生にすなはち*延年転寿を得て、 *九横の難に遭はざることを顕明す。 一々つぶさには▽下の五縁義のなかに説くがごとし。
謹 ミテ依[リ]テ↢釈迦仏ノ教、六部ノ往生経等ニ↡、顕↧明ス称↢念シテ阿弥陀仏[ヲ]↡願ズル↠†生ゼムト↢浄土ニ↡者、現0881生ニ即チ得テ↢延年転寿ヲ↡、不[ル]コトヲ↞遭ハ↢九横之難ニ↡。一一具ニ[ハ]如シ↢下[ノ]五縁義ノ中ニ説[ク]ガ↡。
二 Ⅱ ⅱ 問答列名
・問
^問ひていはく、 仏、 一切の衆生に菩提心を発して西方の阿弥陀仏国に生ぜんと願ぜよと勧めたまふ。
問[ヒテ]曰[ク]、仏†勧メタマフ↧一切ノ衆生ニ発シテ↢菩提心ヲ↡願ゼヨト↞生ゼムト↢西方[ノ]阿弥陀仏国ニ↡。
^また阿弥陀の像を造りて*称揚・礼拝し、 香華供養し、 日夜観想して絶えざれと勧めたまふ。
又†勧メタマフ↧造[リ]テ↢阿弥陀ノ像ヲ↡称揚礼拝シ、香華供養シ、*日夜‡観想シテ不レト↞絶エ。
^▼またもつぱら弥陀仏の名を念ぜよと勧めたまふに、 一万・二万・三万・五万、 乃至十万するものあり、 あるいは ¬弥陀経¼ を誦せよと勧めたまふに、 十五・二十・三十・五十、 乃至一百して、 十万遍を満つるものあり。
又†勧メタマフニ↣専ラ念[ゼ]ヨト↢弥陀仏ノ名ヲ↡、一万・二万・三万・五万、乃至十万スル者[アリ]、或[イハ]†勧メタマフニ↠誦[セ]ヨト↢¬弥陀経ヲ¼↡、十五・二十・三十・五十、乃至一百シテ、満†ツル↢十万遍ヲ↡者†アリ。
^現生になんの功徳をか得る。 百年捨報の以後、 なんの利益かある。 浄土に生ずることを得やいなや。
現生ニ得[ル]↢†何ノ功徳ヲカ↡。百年捨報ノ†已後、有ル↢†何ノ利益カ↡。得‡ヤ↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡以不ヤ。
・答
^答へていはく、 現生および捨報に決0616定して大功徳利益あり。
答[ヘテ]曰[ク]、現生及ビ捨報ニ決定シテ有リ↢大功徳利益↡。
二 Ⅱ ⅲ 正釈義門
^仏教に准依して△五種の増上利益の因縁を顕明せん。
准↢依シテ仏教ニ↡顕↢明セム五種ノ増上利益ノ因縁ヲ↡。
^一には↓滅罪増上縁、 二には↓護念得長命増上縁、 三には↓見仏増上縁、 四には↓摂生増上縁、 五には↓証生増上縁なり。
一[ニ]者滅罪増上縁、二[ニ]者護念得長命増上縁、三[ニ]者見仏増上縁、四[ニ]者摂生増上縁、五[ニ]者証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ a【滅罪縁】
イ 標章
【14】^↑*滅罪増上縁といふは、
言フ↢滅罪増上縁ト↡者、
二 Ⅱ ⅲ a ロ 釈引
(一)下三品文
・下品上生
^すなはち ¬観経¼ の▲下品上生の人のごときは、 一生つぶさに十悪の重罪を造る。 その人病を得て死せんと欲するに、 善知識の、 教へて弥陀仏を称すること一声せしむるに遇ふ。 ▲すなはち五十億劫の生死の重罪を除滅す。 すなはちこれ現生滅罪増上縁なり。
▲即チ如キハ↢¬観経[ノ]¼下品上生[ノ]人ノ↡、一生具ニ造ル↢十悪ノ重罪ヲ↡。其ノ人得テ↠病ヲ欲スルニ↠死セムト、遇†フ↧善知識ノ教[ヘ]テ称スルコト↢弥陀仏ヲ↡一声セシムルニ↥。即チ除↢滅ス五十億劫[ノ]生死[ノ]重罪[ヲ]↡。即[チ]是現生滅罪増上縁[ナリ]。
・下品中生
^また▲
又如キハ↢下品中生ノ人ノ↡、一生具ツブサニ造ル↢仏法ノ中ノ罪ヲ↡。破シ↠斎ヲ破シ↠戒ヲ、食↢用シテ仏法僧物ヲ↡†不↠生ゼ↢*懴愧ヲ↡。其ノ人得エテ↠病ヲ欲[ス]ルニ↠死セムト、地獄ノ衆火一時ニ倶ニ至ル。遇†フ↣善知識ノ為ニ説クニ↢弥陀0882仏ノ身相功徳、国土ノ荘厳ヲ↡。罪人聞キキ已 ハ[リ]テ即チ除[キ]‡↢八十億劫[ノ]生死之罪ヲ↡、地獄即チ滅ス。亦是 レ現生滅罪増上縁[ナリ]。
・下品下生
^また▲下げ品ぼん下げ生しょうの人ひとのごときは、 一いっ生しょうつぶさに*五ご逆ぎゃく極ごく重じゅうの罪つみを造つくる。 地じ獄ごくを*経歴きょうりゃくして苦くを受うくること窮きわまりなし。 罪人ざいにん病やまいを得えて死しせんと欲ほっするに、 善ぜん知ぢ識しき0617の、 教おしへて弥陀みだ仏ぶつの名みなを称しょうすること十じっ声しょうせしむるに遇あふ。 ▲声々しょうしょうのうちにおいて八はち十じゅう億おく劫こうの生しょう死じの重じゅう罪ざいを除滅じょめつす。 これまたこれ現げん生しょう滅罪めつざい増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如キハ↢下品下生[ノ]人ノ↡、一生具ニ造†ル↢五逆極重之罪ヲ↡。経↢歴シテ地獄†ヲ↡受[ク]ルコト↠*苦ヲ無†シ↠窮リ。罪人得テ↠病ヲ欲[ス]ルニ↠死セムト、遇[フ]↧善知識ノ、教オシヘテ称[ス]ルコト↢弥陀仏[ノ]名ヲ↡十声セシムルニ↥。於テ↢声声ノ中ニ↡除↢滅ス八十億劫ノ生死ノ重罪ヲ↡。此 レ亦 タ是 レ現生滅罪増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ a ロ (二)観想滅罪文
・依変起想
【15】^またもし人ひとありて、 ¬観かん経ぎょう¼ 等とうによりて*浄じょう土ど荘しょう厳ごんの変へんを画が造ぞうして、 日にち夜やに宝ほう地じを観想かんそうすれば、 現げん生しょうに念々ねんねんに八はち十じゅう億おく劫こうの生しょう死じの罪つみを除滅じょめつす。
又若シ有[リ]テ↠人、依[リ]テ↢¬観経¼等ニ↡画ヱ↢造†シテ浄土‡荘厳[ノ]変ヲ↡、日夜ニ観↢想スレ†バ宝地ヲ↡者、現生ニ念念ニ除↢滅ス八十億劫[ノ]生死†之罪ヲ↡。
・就境修観 ・宝樹観等
^また経きょうによりて変へんを画えがき、 宝樹ほうじゅ・宝ほう池ち・宝楼ほうろうの荘しょう厳ごんを観想かんそうすれば、 現げん生しょうに無む量りょう億おく阿あ僧そう祇ぎ劫こうの生しょう死じの罪つみを除滅じょめつす。
又依[リ]テ↠経ニ画ヱシ↠変ヲ、観↢想スレ†バ宝樹・宝池・宝楼[ノ]荘厳ヲ↡者、現生ニ除↢滅ス無量億*阿僧祇劫ノ生死之罪ヲ↡。
・就境修観 ・華座荘厳観
^また*華座けざ荘しょう厳ごん観かんによりて、 日にち夜やに観想かんそうすれば、 現げん生しょうに念々ねんねんに五ご十じゅう億おく劫こうの生しょう死じの罪つみを除滅じょめつす。
又依[リ]テ↢華座荘厳‡観ニ↡、日夜ニ観想スレ†バ者、現生ニ念念ニ除↢滅ス五十億劫[ノ]生死之罪ヲ↡。
・就境修観 ・像観等
^また経きょうによりて*像観ぞうかん・*真身しんしん観かん、 *観音かんのん・勢せい至し等とうの観かんを観想かんそうすれば、 現げん生しょうに念々ねんねんのうちにおいて無む量りょう億おく劫こうの生しょう死じの罪つみを除滅じょめつす。
又依[リ]テ↠経ニ観↢想スレバ像観・真身観・観音・勢至等ノ観ヲ↡、現生ニ於テ↢念念ノ中ニ↡除↢滅ス無量億劫[ノ]生死之罪ヲ↡。
^上かみの所引しょいんのごときは、 ならびにこれ現げん生しょう滅罪めつざい増ぞう上じょう縁えんなり。
如キハ↢上ノ所引ノ↡、並ニ是 レ現生滅罪増上縁ナリ。
二 Ⅱ ⅲ b【護念縁】
イ 標章
【16】^0657また▼↑*護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんといふは、
又0883言フ↢護念増上縁ト↡者ハ、
二 Ⅱ ⅲ b ロ 釈引
(一)観経普観文
^すなはち*第だい十じゅう二にの観かん (観経・意) のなかに説ときてのたまふがごとし。 「もし人ひとありて、 一切いっさいの時じ処しょ、 日にち夜やに心しんを至いたして弥陀みだの浄じょう土どの*二に報ほう荘しょう厳ごんを観想かんそうし、 もしは見み、 見みざるも、 ▲無む量りょう寿じゅ仏ぶつ無む数しゅの化け仏ぶつを化作けさし、 観音かんのん・大だい勢せい至しまた無む数しゅの化け身しんをなして、 つねにこの行ぎょう人にんの所ところに来らい至ししたまふ」 と0618。 またこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
即チ如シ↢第十二ノ観ノ中ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。若シ有[リ]テ↠人、一切ノ時処、日夜ニ至シテ↠心ヲ観↢想シ‡弥陀[ノ]浄土ノ二報荘厳ヲ↡、若シハ見ミ、不ルモ↠見、無量寿仏†化↢作シ無数ノ化仏ヲ↡、観音・大勢至‡亦作シテ↢無数[ノ]化身ヲ↡、常ニ来↢至†シタマフト此[ノ]行人之所ニ↡。亦是現生護念増上縁ナリ。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (二)流通文
^▼また ¬観かん経ぎょう¼ (意) の下しもの文もんのごとし。 「もし人ひとありて、 心しんを至いたしてつねに阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを念ねんずれば、 ▲観音かんのん・勢せい至しつねに行ぎょう人にんのために*勝しょう友う知ち識しきとなりて*随逐ずいちく影よう護ごしたまふ」 と。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
又如†シ↢¬観経ノ¼下ノ文ノ↡。「若シ*有[リ]テ↠人至シテ↠心ヲ常ニ念ズレバ↢阿弥陀仏及ビ二菩薩ヲ↡、観音・勢至常ニ与タメニ↢行人ノ↡、作ナ[リ]テ↢勝友知識ト↡、随逐チク影護†シタマフト。」此 レ亦 タ是 レ現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (三)真身観文
^また第だい九くの*真身しんしん観かん (観経・意) に説ときてのたまふがごとし。 「弥陀みだ仏ぶつは金色こんじきの身しんなり。 *毫相ごうそうの光こう明みょうあまねく十方じっぽうの衆しゅ生じょうを照てらす。 身みの毛もう孔くの光ひかりまたあまねく衆しゅ生じょうを照てらす。 *円光えんこうまたあまねく衆しゅ生じょうを照てらす。 八はち万まん四し千せんの相好そうごう等とうの光ひかりまたあまねく衆しゅ生じょうを照てらす。
▲又如†シ↢第九[ノ]真身観ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「弥陀仏ハ金色ノ身ナリ。毫相ノ光明遍ク照ス↢十方ノ衆生ヲ↡。身ノ毛孔ノ光 リ亦 タ遍ク照ス↢衆生ヲ↡。円光亦 タ遍ク照ス↢衆生ヲ↡。八万四千ノ相好等ノ光 リ亦 タ遍ク照ス↢衆生ヲ↡。
^▼また前さきのごとき身相しんそう等とうの光ひかり、 一々いちいちにあまねく十方じっぽう世せ界かいを照てらすに、 ▲ただもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんずる衆しゅ生じょうのみありて、 ▼かの仏ぶつの心光しんこうつねにこの人を照てらして、 *摂しょう護ごして捨すてたまはず」 と。 ▼総そうじて*余よの雑業ぞうごうの行ぎょう者じゃを照摂しょうしょうすることを論ろんぜず。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
又†如キ↠前ノ身相等ノ光 リ一一ニ遍ク照ス†ニ↢十方世界ヲ↡、但 ダ有[リ]テ↧†専ラ念ズル↢阿弥陀仏ヲ↡衆生ノミ↥、彼ノ仏ノ心光常ニ照[シ]テ↢是ノ人ヲ↡、摂護シテ不ズ[ト]↠捨ステ[タマハ]。」総ジテ不↠論[ゼ]↣照↢摂[スルコトヲ]余ノ雑業ノ行者ヲ↡。此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (四)十往生経文
【17】^▼また ¬十じゅう往おう生じょう経きょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。 「仏ぶつ、 山海さんかい慧え菩ぼ薩さつおよび*阿あ難なんに告つげたまはく、 ªもし人ひとありてもつぱら西方さいほうの阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうを願がんずれば、 われいまより以去いこ、 ▲つねに*二に十じゅう五ごの菩ぼ薩さつをして行ぎょう者じゃを影よう護ごせしめて、 悪あく鬼き・悪神あくじんをして行ぎょう者じゃを悩乱のうらんせしめず、 日にち夜やにつねに安穏あんのんなることを得えしむ0619º」 と。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えん0658なり。
又如†シ↢¬十往生経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢山海慧菩薩及以 オヨビ 阿難ニ↡、若シ有[リ]テ↠人†専ラ念ジテ↢西方ノ阿弥陀仏ヲ↡†願ズレバ↢往生ヲ↡者、我 レ従リ↠今已去、常ニ使メテ↣二十五[ノ]菩薩ヲシテ影↢護セ行者ヲ↡、不↠令メ↣悪鬼・悪神ヲシテ悩↢乱セ行者ヲ↡、日夜ニ常ニ†得シムト↢安穏[ナルコト]ヲ↡。」此 レ亦 タ是 レ現生護念増上0884縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (五)弥陀経文
【18】^▼また ¬弥陀みだ経きょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。 「もし男なん子し・女人にょにんありて、 七日しちにち七しち夜やおよび一生しょうを尽つくして、 一心いっしんにもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて往おう生じょうを願がんずれば、 ▲この人ひと、 つねに六方ろっぽう恒ごう河が沙しゃ等とうの仏ぶつ、 ともに来きたりて護ご念ねんしたまふことを得う。 ゆゑに護ご念ねん経ぎょうと名なづく」 と。 護ご念ねん経ぎょうの意こころは、 またもろもろの*悪あく鬼き神じんをして*便たよりを得えしめず、 また横おう病びょう、 横おう死し、 横おうに厄難やくなんあることなく、 一切いっさいの災さい障しょう自じ然ねんに消しょう散さんす。 至し心しんならざるを除のぞく。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如†シ↢¬弥陀経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。「若シ有[リ]テ↢男子・女人↡、七日七夜、及[ビ]尽シテ↢一生ヲ↡、一心ニ†専ラ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡願ズレ†バ↢往生ヲ↡者、此ノ人、常ニ得ウ↢六方恒河沙等ノ仏共ニ来[リ]テ護念†シタマフコトヲ↡。故ニ名ク[ト]↢護念経ト↡。」護念経ノ意 ロ者ハ、亦不↠令メ↢諸ノ悪鬼神ヲシテ得↟便タヨリヲ、亦無[ク]↣横病・横死、横ニ有[ル]コト↢厄難↡、一切[ノ]災障自然ニ消散ス。除ク↠†不ルヲ↢至心ナラ↡。此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (六)般舟経文
【19】^▼また ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ の 「行ぎょう品ぼん」 (意) のなかに説ときてのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 跋ばつ陀だ和わに告つげたまはく、 ªもし人ひとありて、 七日しちにち七しち夜や道どう場じょうのうちにありて、 諸しょ縁えんの事じを捨すて、 睡すい臥がを除じょ去こし、 一心いっしんにもつぱら阿あ弥陀みだ仏ぶつの真しん金色こんじきの身しんを念ねんじて、 あるいは一日いちにち・三日さんにち・七日しちにち、 あるいは二に七日しちにち・五ご・六ろく・七しち七日しちにち、 あるいは百ひゃく日にちに至いたり、 あるいは一いっ生しょうを尽つくして、 心しんを至いたして観仏かんぶつし、 および口く称しょう心念しんねんすれば、 仏ぶつすなはち摂しょう受じゅしたまふº」 と。 すでに摂しょう受じゅを蒙こうむる。 さだめて知しりぬ、 罪つみ滅めっして浄じょう土どに生しょうずることを得う。
又如†シ↢¬般舟三昧経ノ¼「行品ノ」中ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和ニ↡、若シ有[リ]テ↠人、七日七夜在[リ]テ↢道場ノ内ニ↡、捨テ‡↢†諸縁ノ事ヲ↡、除↢去シ‡睡臥ヲ↡、一心ニ†専ラ念ジテ↢阿弥陀仏[ノ]真金色ノ身ヲ↡、或[イ]ハ一日・三日・七日、或[イ]ハ二七日・五・六・七七日、或[イ]ハ至リ↢百日ニ↡、或[イハ]尽シテ↢一生ヲ↡、†至シテ↠心ヲ観仏シ、及[ビ]口称・心念スレ†バ者、仏即チ摂受[シ]タマフ[ト]。」既ニ蒙†ル↢摂受ヲ↡。定[メ]テ知[リ]ヌ、罪ツミ滅シテ得ウ‡↠生[ズル]コトヲ↢浄土ニ↡。
^「▼仏ぶつのたまはく、 ªもし人ひともつぱらこの念ねん弥陀みだ仏ぶつ三昧ざんまいを行ぎょうずれば、 つねに一切いっさいの諸天しょてんおよび*四し天てん大王だいおう・竜りゅう神じん八はち部ぶの随逐ずいちく影よう護ごし、 *愛あい0620楽ぎょう相見そうけんすることを得えて、 永ながくもろもろの悪あく鬼き神じん、 災さい障しょう・厄難やくなんをもつて横よこさまに悩乱のうらんを加くわふることなしº」 (般舟三昧経・意) と。 つぶさに 「*護持ごじ品ぼん」 のなかに説ときたまふがごとし。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
「仏‡言ク、若シ人専ラ行ズレ†バ↢此ノ念弥陀仏三昧ヲ↡者、常ニ†得テ↢一切[ノ]諸天及[ビ]四天大王・竜神八部[ノ]随逐影護[シ]愛楽相見スルコトヲ↡、永ク無†シト↣諸[ノ]悪鬼神、災障・厄難ヲモテ横ニ加[フ]ルコト↢悩乱ヲ↡。」具ニ如シ↢「護持品ノ」中ニ説[キタマフ]ガ↡。此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (七)潅頂経文
【20】^▼また ¬*潅かん頂じょう経ぎょう¼ によるに、 第だい三巻かん (意) に説ときてのたまはく、 「もし人ひと*三さん帰き*五ご戒かいを受じゅ持じすれば、 仏ぶつ、 *天帝てんたいに勅しょくしたまはく、 ªなんぢ、 天神てんじん六ろく十じゅう一いち人にんを差つかはして日にち夜や年月ねんがつに受戒じゅかいの人ひとを随逐ずいちくし守しゅ護ごして、 もろもろの悪あく鬼き神じん0659をして横よこさまにあひ悩害のうがいすることを獲えしむることなかれº」 と。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
又依†ルニ↢¬潅*頂経ニ¼↡、第三巻ニ説[キ]テ云ク、「若[シ]人受↢持スレ†バ三帰・五戒ヲ↡者、仏勅†シタマハク↢天帝ニ↡、汝 ヂ†差ツカハ0885シテ↢天*神六十一人ヲ↡日夜年月ニ随↢逐[シ]守↣護シテ受戒之人ヲ↡、勿レト↠令[ム]ルコト↠獲↢諸[ノ]悪鬼神ヲシテ横ニ相 ヒ悩害スルコトヲ↡。」此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (八)浄土三昧経文
【21】^▼また ¬*浄じょう度ど三昧さんまい経きょう¼ に説ときてのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 瓶びょう沙しゃ (*頻婆娑羅) 大王だいおうに告つげたまはく、 ªもし男なん子し・女人にょにんありて、 月々つきづきの*六ろく斎日さいにちおよび*八はち王日おうにちにおいて、 天曹てんそう・地府じふ、 一切いっさいの業道ごうどうに向むかひて、 しばしば過とがを首あらわして斎戒さいかいを受じゅ持じすれば、 仏ぶつ、 *六ろく欲天よくてん王のうに勅ちょくしたまはく、 «おのおの二に十じゅう五ごの善神ぜんじんを差つかはして、 つねに来きたりて持じ戒かいの人ひとを随逐ずいちくし守しゅ護ごせしむ。 またもろもろの悪あく鬼き神じんの横よこさまに来きたりて悩害のうがいすることあらしめず。 また横おう病びょう・死し亡もう・災さい障しょうなく、 つねに安穏あんのんを得えしむ»º」 と。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
又如シ↢¬浄度三昧経[ニ]¼説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢瓶ビヤウ沙大王ニ↡、若シ有[リ]テ↢男子・女人↡、於テ↢月月ノ六斎日及[ビ]八王日ニ↡、向[ヒ]テ↢天曹サウ・地府、一切[ノ]業道ニ↡、数数シバシバ首アラハシテ↠過トガヲ受↢持スレ†バ斎戒ヲ↡者、仏勅†シタマハク↢六欲天王ニ↡、各[ノ]差ツカハシテ↢二十五ノ善神ヲ↡、常ニ来[リ]テ随↢逐[シ]守↣護[セシム]持戒之人ヲ↡。亦不↠令メ↠有ラ↢諸ノ悪鬼神†ノ横ニ来[リ]テ悩害スルコト‡↡。亦無ク↢横病・死*亡・災障↡、常ニ得シ†ムト↢安穏ヲ↡。」此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ b ロ (九)承上重述文
【062122】^▼またもろもろの行ぎょう者じゃにまうさく、 ただ今こん生じょうに日にち夜や相続そうぞくしてもつぱら弥陀みだ仏ぶつを念ねんじ、 もつぱら ¬弥陀みだ経きょう¼ を誦じゅし、 浄じょう土どの聖しょう衆じゅ・荘しょう厳ごんを称しょう揚ようし礼讃らいさんして生しょうずることを願がんぜんと欲ほっするものにして、 日別にちべつに経きょうを誦じゅすること十じゅう五ご遍へん、 二に十じゅう・三さん十じっ遍ぺん以い上じょうのもの、 あるいは誦じゅすること四し十じゅう・五ご十じゅう・百ひゃっ遍ぺん以い上じょうのものは、 願がんじて十じゅう万遍まんべんを満みたせ。
又白[サ]ク↢諸ノ行者ニ↡、但 ダ欲†スル↧今生[ニ]日夜相続シテ専ラ念ジ↢弥陀仏ヲ↡、専ラ誦シ↢¬弥陀経ヲ¼↡、称↢揚[シ]礼↣讃シテ浄土[ノ]聖衆荘厳ヲ↡願ゼムト↞生[ズルコト]ヲ者モノ[ニシテ]、日別ニ†誦スルコト↠経ヲ十五*遍、二十・三十遍已上ノ者モノ、或[イ]ハ誦[スル]コト四十・五十・百遍已上ノ者 ノ[ハ]、願ジテ満†タセ↢十万遍ヲ↡。
^また弥陀みだの浄じょう土どの依え正しょう二に報ほうの荘しょう厳ごんを称しょう揚ようし礼讃らいさんし、 また▼三昧さんまいの道どう場じょうに入いるを除のぞきて、 日別にちべつに弥陀みだ仏ぶつを念ねんずること一万いちまんして、 *畢ひつ命みょう相続そうぞくするものは、 すなはち弥陀みだの加か念ねんを蒙こうむりて罪ざい障しょうを除のぞくことを得う。 また仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとつねに来きたりて護ご念ねんしたまふことを蒙こうむる。 すでに護ご念ねんを蒙こうむりぬれば、 すなはち延年えんねん転寿てんじゅ、 長命じょうみょう安楽あんらくなることを得う。
又称↢揚[シ]礼↣讃シ弥陀[ノ]浄土ノ依正二報[ノ]荘厳ヲ↡、又除[キ]テ↠入ルヲ↢三昧[ノ]道場ニ↡、日別ニ念[ズル]コト↢弥陀仏ヲ↡一万シテ、畢命相続スル者モノハ、即チ蒙[リ]テ↢弥陀ノ加念ヲ↡得↠除[ク]コトヲ↢罪障ヲ↡。又蒙ル↧仏与ト↢聖衆↡常ニ来[リ]テ護念[シタマフ]コトヲ↥。既ニ蒙[リ]ヌレバ↢護念ヲ↡、即チ得↢延年転寿、長命安楽ナルコトヲ↡。
^◆因縁いんねんの一々いちいちつぶさには ¬*譬喩ひゆ経きょう¼・¬*惟ゆい無む三昧さんまい経きょう¼・¬浄じょう度ど三昧さんまい経きょう¼ 等とうに説ときたまふがごとし。 これまたこれ現げん生しょう護ご念ねん増ぞう上じょう縁えんなり。
因縁[ノ]一一具ニ[ハ]如シ↢¬譬喩経¼・¬惟無三昧経¼・¬浄度三昧経¼等ニ説[キタマフ]ガ↡。此亦是現生護念増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ c【見仏縁】
イ 標章
【23】^また↑*見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんといふは、
又0886言フ↢見仏三昧増上縁ト↡者ハ、
二 Ⅱ ⅲ c ロ 正釈
(一)総釈見仏義
(Ⅰ)先出経証
^すなはち ¬観かん経ぎょう¼ (意) に説ときてのたまふがごとし。 「▲*摩竭まが提だい国こく王おうの夫ぶ人にんを韋い0660提だい希けと名なづく。 ▲つねに宮く内ないにありて、 つねに仏ぶつ (釈尊) を見みたてまつらんと願がんじて、 ▲はるかに耆ぎ闍しゃ崛山くっせんに向むかひて、 ▲悲ひ泣きゅうして敬きょう礼らいす。 ▲仏ぶつはるかに念ねんを知しりて、 すなはち耆ぎ山せんより没もっして王おう宮ぐに出しゅつ現げんしたま0622ふ。
即チ如シ↢¬観経ニ¼説[キ]テ云[フ]ガ↡。「摩竭提国‡王ノ夫人[ヲ]名ク↢韋提希ト↡。毎ニ在リ[テ]↢宮内ニ↡、願ジテ↢常ニ†見タテマツラムト↟仏ヲ、遥ニ向[ヒ]テ↢耆闍崛山ニ↡、悲泣シテ敬礼ス。仏遥 カニ†知リテ↠念ヲ、即チ於ヨリ↢耆山↡†没シテ王宮ニ出現†シタマフ。
^◆夫ぶ人にんすでに頭こうべを挙あげてすなはち世せ尊そんを見みたてまつるに、 身み紫し金色こんじきにして宝ほう蓮れん華げに坐ざしたまひ、 目連もくれん・阿あ難なん左右さうに*立りゅう侍じし、 釈しゃく・梵ぼん空くうに臨のぞみて華けを散さんじて供く養ようす。 ◆夫ぶ人にん、 仏ぶつを見みたてまつりて、 身みを挙あげて地じに投なげ、 号ごう泣きゅうして▲仏ぶつに向むかひて哀あわれみを求もとめて懴さん悔げす。 ◆ªただ願ねがはくは如来にょらい (釈尊)、 われを教おしへて清浄しょうじょう業処ごっしょを観かんぜしめたまへº」 と。
夫人已ニ挙[ゲ]テ↠頭ヲ即チ見タテマツル†ニ↢世尊ヲ↡、身紫金色ニシテ坐シ†タマヒ↢宝蓮華ニ↡、目連・阿難立↢侍†シ左右ニ↡、釈・梵臨[ミ]テ↠空ニ散ジテ↠華ヲ供養[ス]。夫人見タテマツリテ↠仏ヲ挙[ゲ]テ↠身ヲ投†ゲ↠地ニ、号泣シテ向[ヒ]テ↠仏ニ†求メテ↠哀ミヲ懴悔ス。唯願クハ如来、†教ヘテ↠我ヲ観ゼシメタマヘト↢於清浄業処ヲ↡。」
二 Ⅱ ⅲ c ロ (一)(Ⅱ)正釈申
・就文総示
^またこの経証きょうしょうのごときは、 ただ夫ぶ人にんのみ心しん至いたりて見仏けんぶつするにあらず、 また未み来らいの凡ぼん夫ぶのために教おしえを起おこせり。 ただ心しんに見みたてまつらんと願がんずるものありて、 もつぱら夫ぶ人にんによりて心しんを至いたして仏ぶつを憶おくすれば、 さだめて見みたてまつること疑うたがいなし。 これすなはちこれ弥陀みだ仏ぶつの↓三念さんねん願力がんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつせしめたまふことを得う。
又如キハ↢此ノ経証ノ↡、非[ズ]↢†直夫人[ノミ]心‡至[リ]テ見仏スルニ↡、亦与タメニ↢未来ノ凡夫ノ↡起†セリ↠教ヲ。†但使 タダ 有リテ↢心ニ願ズル↠見タテマツラムト者↡、一ラ依[リ]テ↢夫人ニ↡至[シ]テ↠心ヲ憶スレバ↠仏ヲ、定[メ]テ見[タテマツル]コト無シ↠疑 ヒ。此 レ即チ是弥陀仏ノ三念願力‡外ニ加スルガ故ニ得ウ↠令[メタマフ]コトヲ↢見仏セ↡。
・別出三力
^↑▽三力さんりきといふは、 すなはち ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ (意) に説ときてのたまふがごとし。 「▼一いちには大だい誓願せいがん力りきをもつて念ねんを加かしたまふがゆゑに見仏けんぶつすることを得う。 二にには三昧さんまい定じょう力りきをもつて念ねんを加かしたまふがゆゑに見仏けんぶつすることを得う。 三さんには本ほん功く徳どく力りきをもつて念ねんを加かしたまふがゆゑに見仏けんぶつすることを得う」 と。
▲言[フ]↢三力ト↡者ハ、即チ如シ↢¬般舟三昧経[ニ]¼説[キ]テ云[フ]ガ↡。一[ニ]者以テ↢大誓願力ヲ↡†加シタマフガ↠念ヲ故ニ得ウ↢見仏[スルコト]ヲ↡。二[ニ]者以テ↢三昧定力ヲ↡†加シタマフガ↠念ヲ故ニ得↢見仏[スルコト]ヲ↡。三[ニ]者以テ↢本功徳力ヲ↡†加シタマフガ↠念ヲ故ニ得ト↢見仏[スルコト]ヲ↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (一)(Ⅲ)例下文
^以下いげの見仏けんぶつ縁えんのなかも、 この義ぎに例同れいどうす。 ゆゑに見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
已下ノ見仏縁ノ中モ、例↢同ス此ノ義ニ↡。故ニ名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)別引経証
(Ⅰ)問答略示
【24】^問とひていはく、 夫ぶ人にんは福力ふくりき強ごう勝しょうにして、 仏ぶつの加か念ねんを蒙こうむるがゆゑに見仏けんぶつす。 末まっ0623法ぽうの衆しゅ生じょうは*罪ざいけん深じん重じゅうなり、 なにによりてか夫ぶ人にんと同例どうれいすることを得えん。 またこの義ぎは甚深じんじん広大こうだいなり。 一々いちいちにつぶさに仏ぶつ経きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとなせ。
問[ヒテ]曰[ク]、夫人[ハ]福力強勝ニシテ、蒙ルガ↢仏ノ加念ヲ↡故ニ見仏ス。末法ノ衆生ハ罪深重ナリ、何 ニニ由[リ]テカ得ム↧与ト↢夫人↡同例ドウレイスルコトヲ↥。又此ノ義者ハ甚深広大ナリ。一一ニ具ニ引[キ]テ↢仏経ヲ↡以テ†為セ↢明証ト↡。
^答こたへていはく、 仏ぶつはこれ*三達さんだつの聖しょう人にん、 *六通ろくつう無む障しょうなり。 機きを観かんじて教おしえを備そなへ、 浅深せんじんを択えらびたまはず。 ただまことに帰きすれば、 なんぞ見みたてまつらざることを疑うたがはん。
答[ヘテ]曰[ク]、仏ハ是 レ三達ノ聖人、六通無障ナリ。観ジテ↠機ヲ備ソナ†ヘ↠教ヲ、不↠択†ビタマハ↢浅深ヲ↡。†但使 タダ 帰スレバ↠誠ニ、何ゾ疑ハム↠不0887†ルコトヲ↠見タテマツラ。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)広引諸文
(ⅰ)観於西方文
^すなはち ¬観かん経ぎょう¼ (意) の下しもに説ときてのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 韋い提だいを讃さんじたまはく、 ª快こころよくこの事じを問とへり。 ◆阿あ難なん、受じゅ持じして広ひろく多た0661衆しゅのために仏ぶつ語ごを宣説せんぜつすべし。 ◆如来にょらい (釈尊) いま韋い提だい希けおよび未み来らい世せの一切いっさい衆しゅ生じょうを教おしへて西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいを観かんぜしむ。 ◆仏願ぶつがん力りきをもつてのゆゑにかの国こく土どを見みること、 明鏡みょうきょうを執とりてみづから面像めんぞうを見みるがごとくならんº」 と。
即チ如シ↢¬観経ノ¼下ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏†讃ジタマハク↢韋提ヲ↡、快 ヨク問ヘリ↢此ノ事ヲ↡。阿難、†受持シテ広ク為 メニ↢多衆ノ↡宣↢説スベシ仏語ヲ↡。如来今者 イマ 教[ヘ]テ↢韋提希及[ビ]未来世ノ一切衆生ヲ↡観ゼシ†ム↢於西方極楽世界[ヲ]↡。以テノ↢仏‡願力ヲ↡故ニ見ル†コト↢彼[ノ]国土ヲ↡、如[クナ]ラム[ト]↧執[リ]テ↢明鏡ヲ↡自ラ見[ル]ガ↦面像ヲ↥。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつすることを得う。 ゆゑに見仏けんぶつ浄じょう土ど三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是 レ弥陀仏[ノ]三力‡外ニ加スルガ故ニ得↢見仏[スルコト]ヲ↡。故ニ名[ク]↢見仏浄土三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)見彼国土文
【25】^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ªなんぢはこれ凡ぼん夫ぶにして心想しんそうまた劣れつなり、 遠とおく見みることあたはず。 諸仏しょぶつ如来にょらいに*善ぜん方便ほうべんましまして、 なんぢらをして見みしむることを致いたすº と。 ◆夫ぶ人にん、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ªわれいま仏力ぶつりきによるがゆゑにかの国こく土どを見みたてまつる。 ◆仏ぶつ0624滅めつ後ごのもろもろの衆しゅ生じょう等とうのごときは、 濁じょく悪あく不ふ善ぜんにして五苦ごくに逼せめらる。 いかんが極楽ごくらく世せ界かいを見みることを得えんº と。
又如シ↢下ノ¬経ニ¼云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢韋提ニ↡、汝ハ是 レ凡夫†ニシテ心想又劣ナリ、不↠能ハ↢遠ク見ルコト↡。致ス[ト]↠使[ム]ルコトヲ↧諸仏如来†ニ有マシマシテ↢*善方便↡、令シテ↢汝等ヲ↡見‡↥。夫人白[シ]テ↠仏ニ言ク、我今因ルガ↢仏力ニ↡故ニ見[タテマツ]ル↢彼[ノ]国土ヲ↡。†若キハ↢仏滅後ノ諸ノ衆生等ノ↡、濁悪不善ニシテ五苦ニ所†ル↠逼セメ。云何†ガ†得ム[ト]↠見ミルコトヲ↢極楽世界ヲ↡。
^◆仏ぶつすなはち告つげてのたまはく、 ª韋い提だい、 なんぢおよび衆しゅ生じょう、 専心せんしんに念おもいを計かけて、 西方さいほうの*瑠璃るり地下じげの一切いっさいの*宝幢ほうどう、 地じ上じょうの衆宝しゅぼう、 室内しつないの荘しょう厳ごん等とうを想おもふべしº」 と。 専心せんしんに意こころを注とどむれば、 また上かみの夫ぶ人にんに同どうじて見みることを得うべし。
仏即チ†告[ゲ]テ言ク、韋提、汝及ビ衆生専心ニ†計ケテ↠念ヲ、想[フ]ベシ[ト]↢於西方[ノ]瑠璃地下[ノ]一切[ノ]宝幢、*地上[ノ]衆宝、室内ノ荘厳等ヲ↡。専心[ニ]†注ムレバ↠意ヲ、亦†同ジテ↢上ノ夫人ニ↡†得ベシ↠見[ル]コトヲ。
^すなはちのたまはく (観経・意)、 「▲一々いちいちにこれを観かんじてきはめて了々りょうりょうならしめよ。 閉目へいもく開目かいもくにみな見みることを得えしむ。 ◆ かくのごとく想おもふものを名なづけて粗そ見けんとなす。 これを*覚想かくそう中ちゅうの見けんといふ。 ゆゑに粗そ見けんといふ。 ▼もし定じょう心しん三昧ざんまいおよび▼口く称しょう三昧ざんまいを得うれば、 心眼しんげんすなはち開ひらけてかの浄じょう土どの一切いっさいの荘しょう厳ごんを見みること、 説とくとも窮ぐ尽じんすることなし」 と。
即チ云ク、一一ニ観ジテ↠之ヲ極 メテ令メヨ↢了了ナラ↡。閉目開目[ニ]皆 ナ令[ム]↠得↠見[ル]コトヲ。如ク↠此[ク]ノ想フ者モノヲ名[ケ]テ為ス↢†粗見ト↡。此ヲ謂イフ↢覚想‡中ノ見ト↡。故ニ云[フ]↢粗見ト↡。▲若[シ]†得レバ↢定心三昧及[ビ]*口称三昧ヲ↡者、*心眼即[チ]開[ケ]テ見ルコト↢彼ノ浄土ノ一切[ノ]荘厳ヲ↡、説トクトモ無†シ[ト]↢窮尽スルコト↡也。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 一切いっさいの凡ぼん夫ぶただ心しんを傾かたむくれば、 さだめて見けんの義ぎあり、 知しるべし。 たとひ見聞けんもんのものありとも、 *驚きょう怪けするを須もちゐず。 なにをもつてのゆゑに。 すなはち弥陀みだ仏ぶつの△三昧さんまい力りきほかに加かするによるがゆゑに見みることを得う。 ゆゑに見仏けんぶつ浄じょう土ど三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
~又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。一切ノ凡夫†但使 タダ 傾クレバ↠心ヲ、定メテ有リ↢見ノ義↡、応シ↠知ル。設タトヒ有[リ]トモ↢見聞ノ者モノ↡、不↠†須ヰ↢驚怪スルヲ↡也。何ヲ以[テ]ノ故ニ。乃チ由ル[ガ]↢弥0888陀仏[ノ]三昧力‡外ニ加スルニ↡故ニ得↠見[ルコト]ヲ。故ニ名[ク]↢見仏浄土三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)得見無量寿文
【26】^0662また下しもの華座けざ観かん (観経・意) のなかに説ときてのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 阿あ難なん・韋い提だいに告つげたまはく、 ª▲仏ぶつまさになんぢがために苦く悩のうを除のぞく法ほうを説とくべし。 ◆な0625んぢまさに広ひろく大衆だいしゅのために分別ふんべつし解げ説せつすべしº と。 ◆この語ごを説ときたまふ時とき、 無む量りょう寿じゅ仏ぶつ、 観音かんのん・勢せい至し声こえに応おうじて来現らいげんして空くう中ちゅうに住立じゅうりゅうしたまふ。
又如†シ↢下[ノ]華座観ノ中ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難・韋提ニ↡、仏当ニシ↧為ニ↠汝ガ説ク↦除ク↢*苦悩ヲ↡法ヲ↥。汝 ヂ当ニシ[ト]↧広ク為ニ↢大衆ノ↡分別シ解説ス↥。説†キタマフ↢是ノ語ヲ↡時、無量寿仏、観音・勢至応ジテ↠声ニ来現シテ住↢立†シタマフ空中ニ↡。
^▲韋い提だい見みたてまつりてすなはち礼らいす。 礼らいしをはりて◆釈しゃ迦か仏ぶつにまうしてまうさく、 ªわれいま仏力ぶつりきによるがゆゑに無む量りょう寿じゅ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを見みたてまつることを得えたり。 ◆仏滅ぶつめつ後ごのもろもろの衆しゅ生じょう等とうのごときは、 いかんが阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを観見かんけんしたてまつるべきº と。
韋提見[タテマツリ]テ即チ礼ス。礼シ已 ハ[リ]テ白[シ]テ↢釈迦仏ニ↡言ク、我 レ今 マ因[ル]ガ↢仏力ニ↡故ニ得エタリ↠見[タテマツル]コトヲ↢無量寿仏及ビ二菩薩ヲ↡。†若キハ↢仏滅後ノ諸ノ衆生等ノ↡、云何†ガ観↢見シタテマツルベキ[ト]阿弥陀仏及[ビ]二菩薩ヲ↡。
^◆仏ぶつすなはち告つげてのたまはく、 ªなんぢおよび衆しゅ生じょうかの仏ぶつを観みたてまつらんと欲ほっせば、 まさに想念そうねんを起おこすべし。 ◆七宝しっぽうの地じの上うえに蓮れん華げの想おもいをなせ。 ▲華け想そう成じょうじをはりなば、 次つぎにまさに仏ぶつ (阿弥陀仏) を想おもふべし。 ▲仏ぶつを想おもふ時とき、 この心しんすなはち三さん十じゅう二に相そうになると想おもへ。 頂上ちょうじょうより下しも*跏趺坐かふざに至いたるこのかた、 *一々いちいちの身分しんぶんまたみなこれを想おもへ。 心想しんそうに随したがひて、 時ときに仏身ぶっしんすなはち現げんずº」 と。
仏即チ告[ゲ]テ言ク、汝 ヂ及ビ衆生†欲セバ↠観[タテマツラ]ムト↢彼[ノ]仏ヲ↡者、当ニシ↠起ス↢想念ヲ↡。七宝ノ地ノ上ニ作[セ]↢蓮華ノ想ヲ↡。華想成ジ已[リ]ナバ、次ニ当ニシ↠想フ↠仏ヲ。想フ↠仏ヲ時、是ノ心即チ想ヘ↠作ナルト↢三十二相ニ↡。従ヨリ↢頂上↡下 モ至ル↢跏趺坐ニ↡已来タ、一一ノ身分亦皆想ヘ↠之ヲ。†随ヒテ↢心想ニ↡、時ニ仏身即チ現ズ[ト]。」
^これはこれ弥陀みだの△三力さんりきほかに加かしてすなはち見仏けんぶつすることを得う。 また見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
此 レハ是レ弥陀[ノ]三力‡外ニ加シテ即チ得↢見仏[スルコト]ヲ↡。亦名ク↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)先当想像文
【27】^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲かの仏ぶつを想おもふものは、 先まづまさに像ぞうを想おもふべし。 ◆一いちの金像こんぞうを見みるに、 かの華け上じょうに坐ざしたまへり。 すでに想見そうけんしをはりて、 心眼しんげんすなはち開ひらき、 了々りょうりょう分ぶん明みょうにかの国くにの一切いっさいの荘しょう厳ごんを見みる0626に及およぶ」 と。 これまたこれ弥陀みだの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつす。 ゆゑに見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又如[シ]↢下[ノ]¬経ニ¼云[フ]ガ↡。「想[フ]↢彼[ノ]仏ヲ↡者 ノ[ハ]、先ヅ当ニシ↠想フ↠像ヲ。見ルニ↢一ノ金像ヲ↡、坐†シタマヘリ↢彼[ノ]華上ニ↡。既ニ想見シ已 ハ[リ]テ、心眼即チ開†キ、了了分明ニ†及ブト↠見ルニ↢彼[ノ]国ノ一切[ノ]荘厳ヲ↡。」此亦是弥陀[ノ]三力‡外ニ加スル†ガ故ニ見仏ス。故ニ名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅴ)次想二菩薩等文
^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲次つぎに二に菩ぼ薩さつ (観音・勢至) およびもろもろの光こう明みょうを想おもへ。 了々りょうりょうとして見みる。 ▲この事じを見みる時とき、 行ぎょう者じゃすなはち三昧さんまい定じょう中ちゅうにおいて、 まさに水すい流る・光こう明みょう・荘しょう厳ごん等とうの説法せっぽうの声こえを聞きくべし。 出定しゅつじょう・入定にゅうじょうに、 行ぎょう者じゃつねに妙みょう法ほうを聞きく」 と。 これまたこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつす。 ゆゑに見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう0663縁えんと名なづく。
又如[シ]↢下[ノ]¬経ニ¼云[フ]ガ↡。「次ニ想ヘ↢二菩薩及ビ諸ノ光明ヲ↡。了了†トシテ而見ル。見ル↢此[ノ]事ヲ↡時、行者即チ於テ↢三昧定‡中ニ↡、当ニシ↠聞キク↢水流・光明・荘厳等ノ説法之声ヲ↡。出定・入定†ニ、行者0889常ニ聞ク[ト]↢妙法ヲ↡。」此亦是弥陀仏ノ三力‡外ニ加スル[ガ]故ニ見仏ス。故ニ名ク↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅵ)真身観文
【28】^また下しもの真身しんしん観かん (観経・意) のなかに説ときてのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª像観ぞうかん成じょうじをはりて、 次つぎにさらに無む量りょう寿じゅ仏ぶつの身しんの真しん金色こんじき、 眉み間けんの毫相ごうそう、 円光えんこうの化け仏ぶつおよび相好そうごう等とうの光ひかりを観かんずべし。 ▲ただまさに憶想おくそうして、 心眼しんげんをもつて見みたてまつらしむべし。 ◆見みをはりて、 すなはち十方じっぽう一切いっさいの諸仏しょぶつを見みたてまつる。 ゆゑに念仏ねんぶつ三昧ざんまいと名なづくº」 と。
又如[シ]↢下ノ真身観ノ中ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難ニ↡、像観成ジ已[リ]テ、次ニ更ニ観ズベシ↢無量寿仏ノ身[ノ]真金色‡、眉間[ノ]毫相、円光[ノ]化仏及[ビ]相好等ノ光ヲ↡。但当ニシ↣憶想シテ[、]令シム↢心眼ヲ†モテ見タテマツラ↡。見已[リ]テ、即チ見[タテマツ]ル↢十方一切ノ諸仏ヲ↡。故ニ名[クト]↢念仏三昧ト↡。」
^この文もんをもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつす。 ゆゑに見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
以テ↢此[ノ]文ヲ↡証ス。亦是弥陀仏ノ三力‡外ニ加スル[ガ]故ニ見仏ス。故ニ名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅶ)但観白毫文
^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「仏ぶつのたまはく、 ª▲このゆゑに智ち者しゃ一心いっしんにあきらかに無む量りょう寿じゅ仏ぶつを観かんぜば、 ◆一いちの相好そうごうより入いれ。 ただ眉み間けんの白びゃく毫ごう0627を観かんじてきはめて明了みょうりょうならしむれば、 八はち万まん四し千せんの相好そうごう自じ然ねんにこれを見みる。 ◆見みをはりて、 すなはち十方じっぽう一切いっさいの諸仏しょぶつを見みたてまつる。 諸仏しょぶつの前みまえにおいて次し第だいに授じゅ記きせらるº」 と。
又如シ↢下[ノ]¬経[ニ]¼云[フ]ガ↡。「仏‡言ク、是ノ故ニ智者一心ニ諦アキラカニ観†ゼバ↢無量寿仏ヲ↡、従リ↢†一ノ相好↡入レ。但観ジテ↢眉間ノ白毫ヲ↡極 メテ令ムレ†バ↢明了ナラ↡者、八万四千ノ相好自然ニ見ル↠之ヲ。見已[リ]テ、即チ見[タテマツ]ル↢十方一切[ノ]諸仏ヲ↡。†於テ↢諸仏ノ前ニ↡次第ニ授記セラル[ト]。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに、 凡ぼん夫ぶをして専心せんしんに想おもはしむることを得うれば、 さだめて見仏けんぶつすることを得う。 また見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是弥陀仏[ノ]三力‡外ニ加スル[ガ]故ニ、得ウレ†バ↠令ムルコトヲ↢凡夫[ヲシテ]専心ニ想オモハ↡者、定サダメテ得↢見仏[スルコト]ヲ↡。亦名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅷ)定散見仏文
【29】^また*観音かんのん・勢せい至し・普ふ・雑ぞう等とうの観かん、 および下しもの九く品ぼんの人ひとのごとし。 「一いっ生しょう起き行ぎょうしすなはち七日しちにち・一日いちにち、 十じっ声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるまで、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき仏ぶつを見みたてまつらんと願がんずるもの、 もしは現げん生しょうにすなはち善ぜん知ぢ識しきに遇あひ、 行ぎょう人にんみづからよく心しん口くに弥陀みだ仏ぶつを称しょう念ねんすれば、 ▲仏ぶつ、 すなはち聖しょう衆じゅ・華け台だいと来現らいげんしたまふ。 行ぎょう人にん、 仏ぶつを見みたてまつり、 また聖しょう衆じゅ・華け台だい等とうを見みん」 (観経・意) と。
又如[シ]↢観音・勢至・普・雑等ノ観、及[ビ]下ノ九品ノ人ノ↡。「一生起行シ†乃チ至ルマデ↢七日・一日、十声・一声等ニ↡、†命欲スル↠終ラムト時願ズル↠†見タテマツラムト↠仏ヲ者モノ、若シ[ハ]現生ニ†乃チ遇†ヒ↢善知識ニ↡、行人自ラ能ク心口ニ称↢念スレバ弥陀仏ヲ↡、仏即チ†与↢聖衆・華台↡来現シタマフ。行人†見タテマツリ↠仏ヲ、亦見0890†ム[ト]↢聖衆†・華台等ヲ↡。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつすることを得う。 ゆゑに見仏けんぶつ0664三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是弥陀仏ノ三力‡外ニ加スル[ガ]故ニ得ウ↢見仏[スルコト]ヲ↡。故ニ名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅸ)観経流通文
【30】^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªこの経きょうを観かん極楽ごくらく国こく土ど無む量りょう寿じゅ仏ぶつ及ぎゅう観かん世ぜ音おん大だい勢せい至し菩ぼ薩さつ経きょうと名なづく。 ◆なんぢまさに受じゅ持じして忘失もうしつせしむることなかるべし。 この三昧さんまいを行ぎょうずるものは、 現身げんしんに無む0628量りょう寿じゅ仏ぶつおよび二に菩ぼ薩さつを見みたてまつることを得うº」 と。
又如[シ]↢下[ノ]¬経ニ¼云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難ニ↡、此[ノ]経ヲ名ク↢観極楽国土無量寿仏及観世音大勢至菩薩経ト↡。汝 ヂ当ニシ↢受持シテ無[カ]ル↟令[ム]ルコト↢忘失セ↡。行†ズル↢此[ノ]三昧ヲ↡者ハ、現身ニ得[ト]↠見タテマツルコトヲ↢無量寿仏及[ビ]二菩薩ヲ↡。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりきほかに加かして、 凡ぼん夫ぶの念ねんずるものをして*自じの三さん心力しんりきに乗じょうずるがゆゑに見仏けんぶつすることを得えしむることを致いたす。 ▼*至し誠じょう心しん・信心しんじん・願心がんしんを内因ないいんとなし、 また弥陀みだの*三種さんしゅの願力がんりきを藉かりてもつて外げ縁えんとなす。 外げ内ないの因縁いんねん和わ合ごうするがゆゑにすなはち見仏けんぶつすることを得う。 ゆゑに見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是弥陀仏ノ三力‡外ニ加†シテ、致イタス↠†使ムルコトヲ↧凡夫ノ念ズル者ヲシテ乗ズルガ↢†自ノ三心力ニ↡故ニ得↦見仏スルコトヲ↥。至誠心・信心・願心ヲ為シ↢内因ト↡、又†藉リテ↢弥陀ノ三種ノ願力ヲ↡以[テ]為†ス↢外縁[ト]↡。外内[ノ]因縁和合スルガ故ニ即チ得↢見仏[スルコト]ヲ↡。故ニ名[ク]↢見仏三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅹ)般舟経文
・行品文
【31】^また ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「仏ぶつ、 跋ばつ陀だ和わ菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ª三昧さんまいあり、 *十方じっぽう諸仏しょぶつ悉在しつざい前ぜん立りゅうと名なづく。 もし疾とくこの三昧さんまいを得えんと欲ほっするものは、 つねにまさに守まもりて習じゅう持じして疑ぎ想そう毛髪もうはつのごときばかりもあることを得えざるべし。
又如[シ]↢¬般舟三昧経[ニ]¼云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和菩薩ニ↡、有アリ↢三昧↡、名[ク]↢十方諸仏悉在前立ト↡。若シ†欲スル↣疾トク得エムト↢是ノ三昧ヲ↡者ハ、常ニ当ニシ↢†守リテ習持シテ不ル↟得↠†有ルコトヲ↧疑想如キ↢毛髪ノ↡許バカリモ↥。
^もし比丘びく・比丘びく尼に・優婆うば塞そく・優婆うば夷いこの三昧さんまいを行ぎょう学がくせんと欲ほっするものは、 七日しちにち七しち夜や睡眠すいめんを除じょ去こして、 もろもろの乱想らんそうを捨すて、 独ひとり一処いっしょに止とどまりて、 西方さいほうの阿あ弥陀みだ仏ぶつの身しん、 真しん金色こんじきにして三さん十じゅう二に相そうあり、 光こう明みょう徹てっ照しょうして端たん正じょう無比むひなるを念ねんずべしº と。 一心いっしんに観想かんそうして心念しんねん口く称しょうし、 念々ねんねんに絶たえざるものは、 仏ぶつのたまはく、 ª七日しちにち以後いごにこれを見みるº と。
若シ比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷†欲スル↣行↢学セムト是ノ三昧ヲ↡者ハ、七日七夜除↢去シテ睡眠ヲ↡、捨テ‡↢諸[ノ]乱想ヲ↡、独ヒトリ一処ニ止 マ[リ]テ、念[ズ]ベシ[ト]↢西方[ノ]阿弥陀仏†ノ身、真金色ニシテ三十二相アリ、光明徹照シテ端正無比ナルヲ↡。一心ニ観想シテ心念口称[シ]、念念ニ不ル↠絶エ者モノハ、仏‡言ク、七日已後ニ見ル[ト]↠之ヲ。
・四事品文
^たとへば人ひとありて夜よる星宿しょうしゅくを観みるがごとし。 一いっ星しょうすなはちこれ一仏いちぶつなり。 もし四し衆しゅありてこの観かんをなさば、 一切いっさいの星ほしを見みるがごとく、 すなはち一切いっさいの仏ぶつを見みたてまつらん」 と。
譬ヘバ如シ↣有[リ]テ↠人夜観[ル]ガ↢星宿ヲ↡。一星‡即チ是 レ一仏ナリ。若シ有[リ]テ↢四衆↡作0891†サ†バ↢是[ノ]観ヲ↡者、見ミルガゴトク‡↢一切[ノ]星ヲ↡、即チ見タテマツ†ラム[ト]↢一切ノ仏ヲ↡。」
・結証
^またこの経きょう0629をもつて証しょうす。 またこれ弥陀みだ仏ぶつの△三力さんりき0665ほかに加かするがゆゑに見仏けんぶつす。 ▼「三昧さんまい」 といふは、 すなはちこれ念仏ねんぶつの行ぎょう人にん心しん口くに称しょう念ねんしてさらに雑想ざっそうなく、 念々ねんねん心しんを住とどめ声々しょうしょう相続そうぞくすれば、 心眼しんげんすなはち開ひらけて、 かの仏ぶつ*了りょう然ねんとして現げんじたまふを見みたてまつることを得う。 すなはち名なづけて定じょうとなし、 また三昧さんまいと名なづく。 まさしく見仏けんぶつする時とき、 また聖しょう衆じゅおよびもろもろの荘しょう厳ごんを見みる。 ゆゑに見仏けんぶつ浄じょう土ど三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是弥陀仏ノ三力‡外ニ加スル[ガ]故ニ見仏ス。▲言[フ]↢三昧ト↡者ハ、即チ是 レ念仏ノ行人心口ニ称念シテ更ニ無ク↢雑想↡、念念‡住[メ]‡↠心ヲ声声相続スレバ、心眼即[チ]開[ケ]テ、得↠見[タテマツル]コトヲ↢彼ノ仏‡了然トシテ而現ジタマフヲ↡。即チ名[ケ]テ為†シ↠定ト、亦名[ク]↢三昧ト↡。正[シ]ク見仏†スル時、亦見ル↢聖衆及[ビ]諸ノ荘厳ヲ↡。故ニ名[ク]↢見仏浄土三昧増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅺ)月灯三昧経文
【32】^また ¬*月灯がっとう三昧ざんまい経きょう¼ にのたまふがごとし。
又如シ↢¬月灯三昧経ニ¼云[フ]ガ↡。
^「仏ぶつの相好そうごうおよび徳とく行ぎょうを念ねんじて よく*諸根しょこんをして乱動らんどうせざらしめ
「念ジテ↢仏ノ相好及ビ徳行ヲ↡ | 能ク使シメ‡↣諸根[ヲ]シテ不ラ↢乱動セ↡ |
心しんに迷惑めいわくなく法ほうと合がっして 聞きくことを得うれば知ちを得うること大海だいかいのごとし
心ニ無ク↢迷惑↡与↠法合シテ | 得[レ]バ↠聞[ク]コトヲ 得[ル]コト↠知ヲ如シ↢大海ノ↡ |
^智ち者しゃこの三昧さんまいに住じゅうして 念ねんを摂せっして行ぎょうずれば *経行きょうぎょうの所ところにおいて
智者住シテ↢於是ノ三昧[ニ]↡ | †摂シテ↠念ヲ行†ズレバ 於テ↢経行ノ所 ロニ↡ |
よく千億せんおくのもろもろの如来にょらいを見みたてまつり また無む量りょう恒沙ごうじゃの仏ぶつに遇あひたてまつる」 と
能ク見†タテマツリ↢千億ノ諸ノ如来ヲ↡ | 亦遇[ヒ]タテマツル[ト]↢無量恒沙ノ仏ニ↡」 |
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんなり。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是見仏三昧増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅻ)文殊般若経文
【33】^また ¬*文殊もんじゅ波は若にゃ経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「文殊もんじゅ、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ªいかんが*一いち行ぎょう三昧ざんまいと名なづくるº と。 仏ぶつのたまはく、 ªもし男なん子し・女人にょにん*空閑くうげんの処ところにありて、 もろもろの乱らん意いを捨すて、 仏ぶつの*方所ほうしょに随したがひて身みを端ただし正しょう向こうし0630て、 *相そう貌みょうを取とらずもつぱら仏ぶつ名みょうを称しょうして、 念ねん休く息そくすることなければ、 すなはち念ねんのうちにおいてよく過か・現げん・未み来らいの三さん世ぜの諸仏しょぶつを見みたてまつるº」 と。
又如シ↢¬文殊*波若経ニ¼云[フ]ガ↡。「文殊白シテ↠仏ニ言ク、云何ガ名[クルト]↢一行三昧ト↡。仏‡言ク、若シ男子・女人在[リ]テ↢空*閑[ノ]処ニ↡、捨テ↢諸[ノ]乱意ヲ↡、随[ヒ]テ↢仏ノ方所ニ↡端シ‡↠身ヲ†正向シテ、不↠取ラ↢相貌ヲ↡†専ラ称シテ↢仏名ヲ↡、†念無ケレバ↢休息スルコト↡、即チ於テ↢念ノ中ニ↡能ク見[タテマツ]ル[ト]↢過・現・未来ノ三世ノ諸仏ヲ↡。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 すなはちこれ諸仏しょぶつ*同体どうたいの大だい悲ひ、 念力ねんりき*加備かびして見みしめたまふ。 これまたこれ凡ぼん夫ぶの見仏けんぶつ三昧ざんまい増ぞう上じょう縁えんなり。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。即チ是 レ諸仏同体ノ大悲‡、念力‡加備シテ令シ†メタマフ↠見。此 レ亦是 レ凡夫見仏三昧増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d【摂生縁】
イ 標章
【34】^また▼↑*摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんといふは、
又0892言フ↢摂生増上縁ト↡者ハ、
二 Ⅱ ⅲ d ロ 釈引
(一)大経本願文
^◆すなはち *¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (上・意) の四し十じゅう八はち願がんのなかに説ときたまふがごとし。 「仏ぶつのたまはく、 ª▲もしわれ成じょう仏ぶつせんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが国くにに生しょうぜんと願がんじて、 わが*名みょう字じを称しょうすること、 下しも十じっ声しょうに至いたるまで、 わが願力がんりきに乗じょうじて、 もし生しょう0666ぜずは、 正しょう覚がくを取とらじº」 (第十八願) と。 これすなはちこれ往おう生じょうを願がんずる行ぎょう人にん、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 願力がんりき摂せっして往おう生じょうを得えしむ。 ゆゑに摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんと名なづく。
即[チ]如[シ]↢¬無量寿経ノ¼四十八願ノ†中ニ説キタマフガ↡。「仏‡言ク、若シ我 レ成仏セムニ、十方ノ衆生、願ジテ↠†生ゼムト↢我[ガ]国 ニニ↡、称[スル]コト↢我[ガ]名字ヲ↡、下至[ル]マデ↢十声ニ↡、乗ジテ↢我[ガ]願力ニ↡、若シ不ズ†ハ↠†生ゼ者、不ジ[ト]↠取[ラ]↢正覚ヲ↡。」此 レ即チ是 レ願ズル↢往生ヲ↡行人、命 チ欲スル↠終[ラムト]時、願力摂シテ得[シ]†ム↢往生ヲ↡。故ニ名ク↢摂生増上縁ト↡。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (二)皆乗大願等文
^またこの ¬経きょう¼ (大経) の上じょう巻かん (意) にのたまはく、 「▲もし衆しゅ生じょうありて西方さいほうの無む量りょう寿じゅ仏国ぶっこくに生しょうずることを得うるものは、 ▲みな弥陀みだ仏ぶつの大願だいがん等とうの業力ごうりきに乗じょうじて増ぞう上じょう縁えんとなす」 と。 すなはち証しょうとなす。 またこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又此ノ¬経ノ¼上巻ニ云ク、「若シ有[リ]テ↢衆生↡得ル↠生[ズル]コトヲ↢西方ノ無量寿仏‡国ニ↡者モノハ、皆 ナ乗ジテ↢弥陀仏ノ大願等ノ業力ニ↡為スト↢増上縁ト↡。」即チ為ス↠証ト也。亦是摂生増上縁ナリ。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (三)三輩往生文
^▼またこの ¬経きょう¼ (大経) の下げ巻かん (意) の初はじめにのたまはく、 「▲仏ぶつ説ときたまはく、 ª一切いっさい衆しゅ生じょうの*根こん性じょう不ふ同どうにして*上じょう・中ちゅう・下げあり。 その根こん性じょうに随したがひて、 仏ぶつ (釈尊)、 ▲み0631な勧すすめてもつぱら無む量りょう寿じゅ仏ぶつの名みなを念ねんぜしめたまふ。 ▲その人ひと、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつ (阿弥陀仏)、 聖しょう衆じゅとみづから来きたりて迎こう接しょうして、 ことごとく往おう生じょうを得えしむº」 と。 これまたこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又此ノ¬経ノ¼下巻ノ初 メニ云ク、「仏説[キタマハク]、一切衆生ノ根性不同ニシテ有リ↢上・中・下↡。随[ヒ]テ↢其[ノ]根性ニ↡、仏皆勧メテ†専ラ念ゼシメタマフ↢無量寿仏[ノ]名ヲ↡。其ノ人命 チ欲[ス]ル↠終[ラ]ムト時、仏与↢聖衆↡自ラ来[リ]テ迎接シテ、尽ク得シ†ム[ト]↢往生ヲ↡。」此亦是摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (四)観経往生文
【35】^また ¬観かん経ぎょう¼ の第だい十じゅう一いっ観かんおよび下しもの九く品ぼんのごとし。 みなこれ仏ぶつの自じ説せつなり。 *定じょう散さん二に行ぎょうを修しゅする人ひと、 命終みょうじゅうの時とき、 一々いちいちにことごとくこれ▲弥陀みだ世せ尊そん、 みづから聖しょう衆じゅ・華け台だいとともに授手じゅしゅ迎こう接しょうして、 往おう生じょうせしめたまふ。 これまたこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如シ↢¬観経[ノ]¼第十一観及[ビ]下[ノ]九品[ノ]↡。皆是仏ノ自説ナリ。修[ス]ル↢定散‡二行ヲ↡人、命終ノ時、一一ニ尽ク是 レ弥陀世尊、自ラ†与ニ↢聖衆・華台ト↡授手迎接シテ、往生セシ†メタマフ。此亦是摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (五)弥陀経往生文
【36】^また ¬*四紙しし弥陀みだ経きょう¼ (意) のなかに説ときたまふがごとし。 「▲仏ぶつのたまはく、 ªもし男なん子し・女人にょにんありて、 あるいは一日いちにち七日しちにち、 一心いっしんにもつぱら弥陀みだ仏ぶつの名みなを念ねんずれば、 ◆その人ひと、 命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 もろもろの聖しょう衆じゅとみづから来きたり迎こう接しょうして、 すなはち西方さいほう極楽ごくらく世せ界かいに往おう生じょうすることを得えしめたまふº と。 釈しゃ迦か仏ぶつのたまはく、 ªわれこの利りを見みるがゆゑにこの言ごんを説とくº」 と。 すなはち証しょうとなす。 これまたこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如シ↢¬四紙弥陀経ノ¼中ニ説†キタマフガ↡。「仏言ク、若シ有[リテ]↢男子・女人↡、或[イハ]一日・七日、一心ニ†専ラ念ズレバ↢弥陀仏ノ名ヲ↡、其ノ人†命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏与↢諸ノ聖衆↡自ラ来[リ]‡迎接シ†テ、即チ†得0893シメタマフト↣往↢生[スルコト]ヲ西方極楽世界ニ↡。釈迦仏‡言ク、我 レ見ル[ガ]↢是ノ利ヲ↡故ニ説ク[ト]↢此ノ言ヲ↡。」即[チ]†為ス↠証ト也。此亦是摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (六)大経第十九願文
【37】^0667また四し十じゅう八はち願がん (大経・上意) のなかに説ときてのたまふがごとし。 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 菩ぼ提だい心しんを発おこし、 もろもろの功く徳どくを修しゅし、 心しんを0632至いたして発願ほつがんしてわが国くにに生しょうぜんと欲ほっせん。 命終みょうじゅうの時ときに臨のぞみて、 われ大衆だいしゅとその前まえに現げんぜずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第十九願) と。 これまたこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如シ↢四十八願ノ中ニ説[キ]テ云[フ]ガ↡。「設ヒ我 レ得[タラ]ムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、発シ↢菩提心ヲ↡、修シ↢諸ノ功徳ヲ↡、至シテ↠心ヲ発願シテ欲セム↠†生ゼムト↢我[ガ]国ニ↡。臨[ミ]テ↢†命終ノ時ニ↡、我 レ不†ハ↧与↢大衆↡現ゼ↦其ノ前ニ↥者不ジ[ト]↠取ラ↢正覚ヲ↡。」此亦是摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (七)第二十願文
^また下しもの願がん (大経・上意) にのたまふがごとし。 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽうの衆しゅ生じょう、 わが名みょう号ごうを聞ききて、 念おもいをわが国くにに計かけ、 心しんを至いたして回え向こうしてわが国くにに生しょうぜんと願がんぜん。 果か遂すいせずは、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第二十願) と。 これまたこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
▲又如シ↢下[ノ]願ニ云[フ]ガ↡。「設ヒ我 レ得[タラ]ムニ↠仏ヲ、十方ノ衆生、聞[キ]テ↢我ガ名号ヲ↡、†計ケ↢念ヲ我ガ国ニ↡、†至シテ↠心ヲ廻向シテ願[ゼ]ム↠†生ゼムト↢我ガ国ニ↡。不†ハ↢†果遂セ↡者、不ジ[ト]↠取ラ↢正覚ヲ↡。」此亦是摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ d ロ (八)第三十五願文
(Ⅰ)正引
^また下しもの願がん (大経・上意) にのたまふがごとし。 「▲たとひわれ仏ぶつを得えたらんに、 十方じっぽう世せ界かいに、 それ女人にょにんありて、 わが名みょう字じを聞ききて、 歓かん喜ぎ信しん楽ぎょうし、 菩ぼ提だい心しんを発おこして、 女身にょしんを厭えん悪おせん。 命終みょうじゅうの後のちに、 また女身にょしんとならば、 正しょう覚がくを取とらじ」 (第三十五願) と。
▲又如シ↢下[ノ]願[ニ]云[フ]ガ↡。「設ヒ我 レ得[タラ]ムニ↠仏ヲ、十方世界†ニ、其レ有[リ]テ↢女人↡、聞[キ]テ↢我ガ名字ヲ↡、歓喜信楽シ、発シテ↢菩提心ヲ↡、厭↢悪セム女身ヲ↡。命終之後 チニ、復 タ為ラ†バ↢女身ト↡者不ジ[ト]↠取ラ↢正覚ヲ↡。」
二 Ⅱ ⅲ d ロ (八)(Ⅱ)釈義
^義ぎにいはく、 ▼すなはち弥陀みだの本願ほんがん力りきによるがゆゑに、 女人にょにん、 ▼仏ぶつの名みょう号ごうを称しょうすれば、 まさしく命終みょうじゅうの時ときすなはち*女身にょしんを転てんじて男なん子しとなることを得う。 弥陀みだ手てを接せっし、 菩ぼ薩さつ身みを扶たすけて宝ほう華けの上うえに坐ざせしむ。 仏ぶつに随したがひて往おう生じょうし、 仏ぶつの*大だい会えに入いりて無む生しょうを証しょう悟ごす。
義ニ曰ク、乃チ由ルガ↢弥陀[ノ]本願力ニ↡故ニ、女人称[スレ]バ↢仏ノ名号ヲ↡、正[シ]ク命終ノ時‡即チ転ジテ↢女身ヲ↡得ウ↠成ルコトヲ↢男子ト↡。弥陀接シ↠手ヲ、菩薩扶ケテ↠身ヲ坐†セシム↢宝華ノ上ニ↡。随[ヒ]テ↠仏ニ往生シ、入[リ]テ↢仏ノ大会ニ↡証↢悟ス無生ヲ↡。
^▼また一切いっさいの女人にょにんもし弥陀みだの*名みょう願力がんりきによらずは、 千劫せんごう・万劫まんごう・恒ごう河が沙しゃ等とうの劫こうにも、 つひに女身にょしんを転てんずることを得うべからず、 知しるべ0633し。 いまあるいは*道俗どうぞくありて、 女人にょにん浄じょう土どに生しょうずることを得えずといはば、 これはこれ妄説もうせつなり、 信しんずべからず。 またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ摂せっ生しょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又一切ノ女人若[シ]不ズ†ハ↠因ラ↢弥陀ノ名願力ニ↡者、千劫・万劫・恒河沙等ノ劫[ニモ]、終ツイニ不ズ↠可[カ]ラ↠*得↠転ズルコトヲ↢女身ヲ↡、応シ↠知ル。今或[イ]ハ有[リ]テ↢道俗↡、†云ハバ↢女人不ト↟得↠生ズルコトヲ↢浄土ニ↡者、此ハ是 レ妄説ナリ、†不↠可[カ]ラ↠信ズ也。又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是 レ摂生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e【証生縁】
イ 標章
【38】^また↑*証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんといふは、
▲又0894言[フ]↢証生増上縁[ト]↡者ハ、
二 Ⅱ ⅲ e ロ 正釈
(一)総料簡二縁
(Ⅰ)明正為凡夫
(ⅰ)問
^問とひていはく、 いますでに弥陀みだの四し十じゅう八はち願がん、 一切いっさい衆しゅ生じょうを摂せっして浄じょう土どに生しょうずることを得えしむといはば、 いまだ知しらず、 ▽なんらの衆しゅ生じょうを摂せっしてか生しょうずることを得えしむる。 またこれ何人なんぴとか*得とく生しょうを保ほ証しょうするや。
~問[ヒテ]曰[ク]、今既[ニ]†言[ハバ]↧弥陀ノ四十八願、摂シテ↢一切衆生ヲ↡得エシムト↞生ズルコトヲ↢浄土ニ↡者、未ズ ダ↠知ラ、摂シテ[カ]↢何等ノ衆生ヲ↡得シムル↠生ズルコトヲ。又是 レ何ナニ人カ保↢証スル得生ヲ↡也。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)引経答
^答こたへていはく、 すなはち0668 ¬観かん経ぎょう¼ (意) に説ときてのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ªなんぢいま知しるやいなや。 阿あ弥陀みだ仏ぶつ、 ここを去さりたまふこと遠とおからず。 なんぢまさに念おもいを計かけてあきらかにかの国くにを観かんずべし。 浄じょう業ごう成じょうずるものなり。 ◆また未み来らい世せの一切いっさいの凡ぼん夫ぶをして、 西方さいほう極楽ごくらく国こく土どに生しょうずることを得えしめんº」 と。 いまこの経きょうをもつて証しょうす。 ただこれ仏ぶつ滅めつ後ごの凡ぼん夫ぶ、 仏ぶつ願力がんりきに乗じょうじてさだめて往おう生じょうを得う。 すなはちこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
~答[ヘテ]曰[ク]、即[チ]如[シ]↢¬観経ニ¼説[キ]テ云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢韋提ニ↡、汝今知†ルヤ不ヤ。阿弥陀仏去リタマフコト↠此ヲ不↠遠[カ]ラ。汝 ヂ当ニシ↣†計ケテ↠念ヲ諦ニ†観ズ↢彼ノ国ヲ↡。浄業成ズル者ナリ。亦令シ†メム[ト]↢未来世ノ一切ノ凡夫ヲシテ得↟生[ズル]コトヲ↢西方極楽国土ニ↡。」今以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。但是仏滅後ノ凡夫、乗ジテ↢仏願力ニ↡定[メ]テ得↢往生ヲ↡。即チ是 レ証生増上縁[ナリ]。△
二 Ⅱ ⅲ e ロ (一)(Ⅱ)明善悪二性
(ⅰ)問
【39】^また問とひていはく、 釈しゃ迦か教おしえを説ときて衆しゅ生じょうを*示悟じごしたまふ。 ▽なんがゆゑぞ一種いっしゅの仏法ぶっぽうにすなはち信しん不ふ信しんありて、 ともにあひ*譏毀ききするはなんの所以ゆえんかある。
又問[ヒテ]曰[ク]、釈迦†説キテ↠教ヲ示↢悟†シタマフ衆生ヲ↡。何ガ故ゾ一種ノ仏法ニ即[チ]有[リ]テ↢信不信↡、共ニ相 ヒ譏毀スル者ハ有ル↢何[ノ]所以カ↡。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)答
(a)正答
^答こたへていはく、 ▼凡ぼん夫ぶの*機き性しょうにその二に種しゅあり。 一いちには善ぜん性しょう人にん、 二にには悪あく性しょう人にんなり。
答[ヘテ]曰[ク]、凡夫ノ機性ニ有リ↢其ノ二種↡。一[ニ]者善性‡人、二[ニ]者悪性‡人ナリ。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈二性
・善性
^そ0634の善ぜん性しょう人にんとは、 一いちには聞ききてすなはち悪あくを捨すてて善ぜんを行ぎょうずる善人ぜんにん、 二にには邪じゃを捨すてて正しょうを行ぎょうずる善人ぜんにん、 三さんには虚こを捨すてて実じつを行ぎょうずる善人ぜんにん、 四しには非ひを捨すてて是ぜを行ぎょうずる善人ぜんにん、 五ごには偽ぎを捨すてて真しんを行ぎょうずる善人ぜんにんなり。
其ノ善性‡人ト‡ハ、†一ニハ聞[キ]テ即チ捨テテ↠悪ヲ行ズル↠善ヲ善人、二[ニ]者捨テテ↠邪ヲ行ズル↠正ヲ善人、三[ニ]者捨テテ↠虚ヲ行ズル↠実ヲ善人、四[ニ]者捨テテ↠非ヲ行ズル↠是ヲ善人、五[ニ]者捨テテ↠偽ヲ行ズル↠真ヲ善人[ナリ]。
^この五ご種しゅの人ひともしよく仏ぶつに帰きすれば、 すなはちよく自利じり利他りたす。 家いえにありては孝きょうを行ぎょうじ、 ほかにありてはまた他た人にんを利りし、 *望もうにありては信しんを行ぎょうじ、 *朝ちょうにありては君くん子しと名なづけ、 君きみに事つかへてはよく忠ちゅう節せつを尽つくす。 ゆゑに自じ性しょう善人ぜんにんと名なづくるなり。
此[ノ]五種ノ人若シ能ク帰†スレバ↠仏ニ、即チ能ク自利利他ス。在[リ]テハ↠家ニ行ジ↠孝ヲ、在[リ]テハ↠外ニ亦利†シ↢他人ヲ↡、在[リ]テハ↠望ニ行ジ↠信ヲ、在[リ]テハ↠朝ニ名†ケ↢君子ト↡、事ツカ[ヘ]テハ↠君ニ能ク尽ス↢忠節ヲ↡。故ニ名ク[ル]↢自性‡善人ト↡也。
・悪性
^▽悪あく性しょう人にんといふは、 一いちにはすなはち真しんを謗ほうじて偽ぎを行ぎょうずる悪人あくにん、 二にには正しょうを謗ほうじて邪じゃを行ぎょうずる悪人あくにん、 三さんには是ぜを謗ほうじて非ひを行ぎょうずる悪人あくにん、 四しには実じつを謗ほうじて虚こを行ぎょうずる悪人あくにん、 五ごには善ぜんを謗ほうじて悪あくを行ぎょうずる悪人あくにんなり。
言フ↢悪性人ト↡者ハ、一ニハ即チ謗ジテ↠真ヲ行ズル↠偽ヲ悪人、二[ニ]者謗ジテ↠正ヲ行[ズ]ル↠邪ヲ悪人、三[ニ]者謗ジテ↠是ヲ行[ズ]ル↠非ヲ悪人、四[ニ]者謗ジテ↠実ヲ行[ズ]ル↠虚ヲ悪人、五[ニ]者謗ジテ↠善ヲ行[ズ]ル↠悪ヲ悪人[ナリ]。
^またこの五ご種しゅの人ひともし願がんじて仏ぶつに帰きせんと欲ほっするも、 自利じりすることあたはず、 また他た人にんを利りせず。 また家いえにありては不ふ孝きょう、 望もうにありては信しんなく、 朝ちょうにありては小しょう児にと名なづけ、 君きみに事つかへてはすなはちつねに*諂てん佞にょうを懐いだく。 これを不ふ忠ちゅうといふ。 またこの人ひと等ら、 他たの賢徳げんとく善人ぜんにんの身みの上うえにおいて、 ただよく是ぜを敗やぶり非ひを成じょうじ、 ただ他た0669の悪あくのみを見みる。 ゆゑに自じ性しょう悪人あくにんと名なづくるなり。
又此[ノ]五種ノ人若シ†欲スルモ↢願ジテ帰セムト↟仏ニ、不↠能ハ↢自利0895†スルコト↡、亦不↠利セ↢他人ヲ↡。又在[リ]テハ↠家ニ不孝カウ‡、在[リ]テハ↠望ニ無†ク↠信、在[リ]テハ↠朝ニ名 ヅ†ケ↢小児ト↡、事ツカヘテハ↠君ニ則チ常ニ懐イダク↢諂佞テムネイヘツラフヲ↡。謂イフ↢之ヲ不忠ト↡。又此[ノ]人等、於テ↢他ノ賢徳善人ノ身[ノ]上ニ↡、唯能ク敗ヤブリ↠是ゼヲ成†ジ↠非ヲ、但†見ル↢他ノ悪ノミヲ↡。故ニ名ク[ル]↢自性悪人ト↡也。
^また上かみは諸仏しょぶつ・賢げん聖じょうより、 人天にんでん・六道ろくどう一切いっさいの良りょう善ぜんに至いたるまで、 これらの悪人あくにんをば譏そしりて恥ち辱じょくするところなり、 もろもろの有智うちのもの、 知し0635るべし。
又上 ミ[ハ]†至ルマデ↢諸仏・賢聖ヨリ、人天・六道一切ノ良善ニ↡、此等ノ悪人ヲバ所 ロ↢譏ソシリテ恥チ辱ニクスル↡也、諸ノ有智ノ者モノ、応シ↠知シル。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(c)結示
^いま一々いちいちにつぶさに善悪ぜんあく二に性しょうの人ひとを引ひく。 道どう理り*顕然けんねんなり。 △上かみの問といに答こたへをはりぬ。
今一一[ニ]具ツブサニ引ク↢善悪‡二性ノ人ヲ↡。道ダウ理リ顕然ケンゼンナリ。答ヘ↢上 ミノ問†ニ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)別就当縁明
(Ⅰ)十三総告文
【40】^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまはく、 「仏ぶつ、 韋い提だいに告つげたまはく、 ªなんぢおよび衆しゅ生じょう、 専心せんしんに念おもいを一処いっしょに計かけて、 ▲西方さいほうの地下じげの*金幢こんどう、 ▲地じ上じょうの衆宝しゅぼう荘しょう厳ごんを想おもふべしº」 と。 下しも*十じゅう三さん観がんに至いたるこのかたは、 総そうじて上かみの*韋い提だいの二に請しょうに答こたへ、 もつて明証みょうしょうとなす。 ˆ釈しゃく尊そんはˇ ▼善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶをして回え心しんし起き行ぎょうして、 ことごとく往おう生じょうを得えしめんと欲ほっす。 これまたこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又下[ノ]¬経[ニ]¼云ク、「仏告[ゲタマハ]ク↢韋提ニ↡、汝 ヂ及ビ衆生、†専心ニ†計ケテ↢念ヲ一処ニ↡、想[フ]ベシ[ト]↢於西方[ノ]地下[ノ]金幢、地上[ノ]衆宝荘厳ヲ↡。」下 モ至ル↢十三観ニ↡已来[タ]ハ、総ジテ答[ヘ]↢上ノ韋提ノ二請†ニ↡、以テ為†ス↢明証ト↡。欲ス↠使メムト↣善悪ノ凡夫ヲシテ廻心[シ]起行シテ、尽コトゴトク得↢往生ヲ↡。此 レ亦是 レ証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅱ)宝楼観文
^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲衆宝しゅぼう国こく土どに五ご百ひゃく億おくの宝楼ほうろうあり。 ◆その楼閣ろうかくのなかに無む量りょうの天人てんにんありて、 天てんの伎ぎ楽がくをなす。 ▲この衆音しゅおんのなかに、 みな*仏ぶっ法僧ぽうそうを念ねんずることを説とく。 ◆この想おもい成じょうじをはれば、 ▲命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 さだめてかの国くにに生しょうず」 と。 またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又如シ↢下[ノ]¬経[ニ]¼云[フ]ガ↡、「衆*宝国土ニ有アリ↢五百億ノ宝楼↡。其ノ楼閣ノ中ニ有[リ]テ↢無量ノ天人↡、作ス↢天ノ伎楽ヲ↡。此ノ衆音ノ中ニ、皆 ナ説トク↠†念ズルコトヲ↢仏法僧ヲ↡。此[ノ]想成[ジ]已レバ、†命欲スル↠終ラムト時、定[メ]テ生ズ[ト]↢彼[ノ]国 ニニ↡。」又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是 レ証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅲ)華座観文
^また下しもの ¬経きょう¼ (観経・意) にのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªかくのごとき妙みょう華けはこれ本もと法蔵ほうぞう比丘びくの願力がんりきの所しょ成じょうなり。 ◆もしかの仏ぶつを念ねんぜんと欲ほっせば、 まさに先まづこの華座けざの想おもいをなすべし。 一々いちいちにこれを観かんじてみな分ぶん明みょう0636ならしめよ。 ▲この想おもい成じょうずるものは、 必ひつ定じょうしてまさに極楽ごくらく世せ界かいに生しょうずべしº」 と。 またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又如シ↢下[ノ]¬経ニ¼云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難ニ↡、†如キ↠此クノ妙華ハ是 レ本モト法蔵比丘ノ願力ノ所成ナリ。若シ†欲セ†バ↠念[ゼ]ムト↢彼[ノ]仏ヲ↡者、当ニシ↣先ヅ作ナス↢此ノ華座ノ想ヲ↡。一一ニ観ジテ↠之ヲ皆 ナ令メヨ↢分明ナラ↡。此ノ想成ズル者モノハ、必定シテ当ニシ[ト]↠生ズ↢極楽世界ニ↡。」又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是 レ証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅳ)大経下巻文
【41】^また ¬無む量りょう寿じゅ経きょう¼ (下・意) にのたまふがごとし。 「▲仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªそれ衆しゅ生じょうありてかの国くにに生しょうずるものは、 みなことごとく正定しょうじょうの聚じゅに住じゅうす。 ▲十方じっぽうの諸仏しょぶつみなともにかの仏ぶつを讃歎さんだんしたまふ。 ◆もし衆しゅ生じょうありて、 その名みょう号ごうを聞ききて、 信心しんじん歓かん喜ぎ0670し、 すなはち一念いちねんに至いたるまでせん。 かの国くにに生しょうぜんと願がんずれば、 すなはち往おう生じょうを得えて不ふ退転たいてんに住じゅうすº」 と。 またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又0896如シ↢¬無量寿経ニ¼云[フ]ガ↡。「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難[ニ]↡、其レ有[リ]テ↢衆生↡†生ズル↢彼[ノ]国[ニ]↡者 ノハ、皆 ナ悉ク住ス↢於正定之聚[ニ]↡。十方[ノ]諸仏皆 ナ共ニ讃↢歎†シタマフ彼[ノ]仏ヲ↡。若シ有[リ]テ↢衆生↡、聞[キ]テ↢其[ノ]名号ヲ↡、信心歓喜シ‡、†乃チ至ルマデセム一念ニ。願[ズ]レバ↠生[ゼ]ムト↢彼[ノ]国ニ↡、即チ得テ↢往生ヲ↡住ス[ト]↢不退転ニ↡。」又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅴ)観経九品文
【42】^また ¬観かん経ぎょう¼ の九く品ぼんにのたまふがごとし。 一々いちいちの品ほんのなかに告つぐるところの衆しゅ生じょうは、 みなこれ▼もしは仏ぶつの在ざい世せ、 もしは仏滅ぶつめつ後ごの五ご濁じょくの凡ぼん夫ぶなり。 善ぜん知ぢ識しきの、 勧すすめて信しんを生しょうぜしむるに遇あひて、 持じ戒かい・念仏ねんぶつし、 *誦じゅ経きょう・礼讃らいさんして▲決けつ定じょうして往おう生じょうす。 仏ぶつ願力がんりきをもつてことごとく往おう生じょうを得う。 これまたこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
又如シ↢¬観経ノ¼九品ニ云[フ]ガ↡。一一ノ品ノ中ニ所ノ↠告[グ]ル衆生者ハ、皆 ナ是 レ若[シ]ハ仏[ノ]在世、若[シ]ハ仏滅後ノ五濁ノ凡夫[ナリ]。遇[ヒ]テ↢善知識ノ、勧メテ令[ム]ルニ↟生ゼ↠信ヲ、持戒[シ]念仏[シ]誦経[シ]礼讃シテ、決定[シテ]往生ス。以テ↢仏‡願力ヲ↡尽ク得↢往生ヲ↡。此亦是証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅵ)弥陀経文
(ⅰ)正引
【43】^▼また ¬弥陀みだ経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「六方ろっぽうにおのおの恒ごう河が沙しゃ等とうの諸仏しょぶつましまして、 みな舌したを舒のべてあまねく三千さんぜん世せ界かいに覆おおひて、 誠じょう実じつの言ごんを説ときた0637まはく、 ª▼もしは仏ぶつ (釈尊) の在ざい世せ、 もしは仏滅ぶつめつ後ごの一切いっさいの造罪ぞうざいの凡ぼん夫ぶ、 ただ心しんを回めぐらして阿あ弥陀みだ仏ぶつを念ねんじて、 浄じょう土どに生しょうぜんと願がんずれば、 ▼上かみ百ひゃく年ねんを尽つくし、 下しも七日しちにち・一日いちにち、 十じっ声しょう・三さん声しょう・一いっ声しょう等とうに至いたるまで、 ▲命いのち終おわらんと欲ほっする時とき、 仏ぶつ、 聖しょう衆じゅとみづから来きたり迎こう接しょうして、 すなはち往おう生じょうを得えしむº」 と。
▲又如シ↢¬弥陀経ニ¼云[フ]ガ↡。「六方[ニ]各[ノ]有マシマシテ↢恒河沙等ノ諸仏↡、皆 ナ舒[ベ]テ↠舌ヲ遍ク覆[ヒ]テ↢三千世界ニ↡、説†キタマハク↢誠実ノ言ヲ↡、若[シ]ハ仏[ノ]在世、若[シ]ハ仏滅後ノ一切ノ造罪ノ凡夫、但廻[シ]テ↠心ヲ念ジテ↢阿弥陀仏ヲ↡、願[ズ]レバ↠生[ゼム]ト↢浄土ニ↡、上 ミ尽ツクシ↢百年ヲ↡、下至†ルマデ↢七日・一日、十声・三声・一声等ニ↡、†命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自ラ来[リ]‡迎接シテ、即チ得シム[ト]↢往生ヲ↡。」
^◆上かみの六方ろっぽう等とうの仏ぶつの舒舌じょぜつのごときは、 さだめて凡ぼん夫ぶのために証しょうをなしたまふ。 罪つみ滅めっして生しょうずることを得うと。 ▼もしこの証しょうによりて生しょうずることを得えずは、 六方ろっぽう諸仏しょぶつの舒舌じょぜつ、 一ひとたび口くちより出いでて以後いご、 つひに口くちに還かえり入いらずして、 自じ然ねんに*壊え爛らんせん。 これまたこれ証生しょうしょう増ぞう上じょう縁えんなり。
如キ[ハ]↢上ノ六方等ノ仏[ノ]舒舌ノ↡、定[メ]テ為ニ↢凡夫ノ↡作†シタマフ↠証ヲ。罪滅シテ得ト↠生[ズルコト]ヲ。若シ不†ハ↧依[リ]テ↢此[ノ]証ニ↡得↞生[ズル]コトヲ者、六方‡諸仏ノ†舒舌、一[タ]ビ出デテ↠口ヨリ†已後、終 イニ不シテ↣還リ↢入ラ口ニ↡、自然ニ壊爛セム。此亦是証生増上縁[ナリ]。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)述意
【44】^また敬うやまひて一切いっさいの往おう生じょう人にん等とうにまうす。 もしこの語ごを聞きかば、 すなはち声こえに応おうじて悲かなしみて涙なみだを雨あめふらし、 *連劫れんごう累劫るいこうに▼身みを粉こにし骨ほねを砕くだきて仏恩ぶっとんの由ゆ来らいを報謝ほうしゃして、 *本心ほんしんに称かなふべし。 あにあへてさらに毛髪もうはつも憚はばかる心しんあらんや。
▲又敬[ヒ]テ白†ス↢一切[ノ]往生人等ニ↡。若シ聞カバ↢此[ノ]語ヲ↡、即チ応ジテ↠声ニ悲シミテ†雨ラシ↠涙ナミダヲ、連劫‡累劫ニ‡粉コニシ↠身ヲ砕クダ0897キテ‡↠骨ホネヲ報↢謝シテ仏恩ノ由来ヲ↡、称カナフベシ↢本心ニ↡。豈ニ敢テ更ニ有アラムヤ↢毛髪モ†憚ハヾカル之心↡。
二 Ⅱ ⅲ e ロ (三)結凡聖通入
^またもろもろの行ぎょう人にん等とうにまうす。 一切いっさい罪悪ぞうあくの凡ぼん夫ぶすらなほ罪滅ざいめつを蒙こうむり、 摂せっして生しょうずることを得えしむと証しょうす、 いかにいはんや聖しょう人にん生しょうぜんと願がんじて去ゆ0671くことを得えざらんや。
~又*白†ス↢諸ノ行人等ニ↡。一切罪悪ノ凡夫[スラ]尚 ヲ蒙リ↢罪滅ヲ↡証ス↢摂シテ†得シムト↟生ズルコトヲ、何ニ況ヤ聖人‡願[ジ]テ↠生[ゼムト]†而不ザラム↠得エ↠去ユクコトヲ也ヤ‡。
^上じょう来らい総そうじて前さきの問といに、 「△なんらの衆しゅ生じょうを摂せっしてか浄じょう土どに生しょうずることを得えしむる」 といふことに答こたふ。
~上来‡総ジテ†答フ↧前ノ問ニ、摂シテカ↢何等ノ衆生ヲ↡得シムルトイフコトニ↞生ズルコトヲ↢浄土ニ↡。
二 Ⅲ 総結義
^*五ご種しゅ増ぞう上じょう縁えんの義ぎ竟おわりぬ。
~五種増上縁ノ義竟[リ]ヌ。△
三【結勧修行分】
Ⅰ 総明信謗損益
ⅰ 問
【063845】^問とひていはく、 ▼釈しゃ迦か出しゅつ現げんして五ご濁じょくの凡ぼん夫ぶを度どせんがために、 すなはち慈悲じひをもつて、 *十じゅう悪あくの因いん、 三さん塗ずの苦くを報ほう果かすることを開かい示じしたまひ、 また平びょう等どうの智慧ちえをもつて、 人天にんでん回えして弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうずることを悟ご入にゅうせしめたまふ。 ▼諸しょ経きょうに*頓とん教ぎょうの文もん義ぎ歴然れきねんなり。
問[ヒ]テ曰ク、釈迦出現シテ、為ニ↠度セムガ↢五濁ノ凡夫ヲ↡、即チ以テ↢慈悲ヲ↡、開↣示シ[タマヒ]十悪之因[、]報↢果スルコトヲ三塗之苦ヲ↡、又以テ↢平等[ノ]智慧ヲ↡、悟↣入[セ]シ†メタマフ人天廻シテ生ズルコトヲ↢弥陀仏国ニ↡。諸経ニ頓教ノ文モン義ギ*歴然レキゼン†ナリ。
^▽いますなはち人ひとありて公然こうねんとして信しんぜず、 ともにあひ*誹毀ひきするものは、 いまだ知しらず、 この人ひと現げん生しょうおよび死後しごになんの罪報ざいほうをか得うる。 つぶさに仏ぶっ経きょうを引ひきて、 それがために証しょうをなして*改がい悔けを生しょうじ、 仏ぶつの大だい乗じょうを信しんじ、 回えして浄じょう土どに生しょうぜしめて、 すなはち利り益やくをなせ。
*今乃チ有[リ]テ↠人公然コウゼントシテ不↠信ゼ、共ニ相 ヒ誹毀スル者モノハ、未ダズ ↠知シラ、此ノ人現生及[ビ]死後ニ得ル↢†何ノ罪報ヲ†カ↡。具ニ引[キ]テ↢仏経ヲ↡、与 メニ↠其 レガ作シテ↠*証ヲ令[メ]テ↧生ジ↢改悔ヲ↡、信ジ‡↢仏ノ大乗ヲ↡、廻シテ生ゼ↦浄土ニ↥、即チ†為セ↢利益ヲ↡也。
三 Ⅰ ⅱ 答
a 略答
^答こたへていはく、 仏ぶつ経きょうによりて答こたふれば、 またこの悪人あくにんは△上かみの五ご悪あく性しょう分ぶんのなかにすでに説ときをはるがごとし。
答[ヘテ]曰[ク]、依[リ]テ↢仏経ニ↡答[フレバ]者、又此ノ悪人[ハ]†如シ↢上ノ五悪性分ノ中ニ已ニ説キ竟ルガ↡。
三 Ⅰ ⅱ b 引経
^いまただちに仏ぶつ経きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとなさん。 すなはち ¬十じゅう往おう生じょう経きょう¼ (意) にのたまふがごとし。
今†直ニ引[キ]テ↢仏経ヲ↡以テ†為サム↢明証ト↡。即チ如シ↢¬十往生経ニ¼云[フ]ガ↡。
・勧持勧説
^「仏ぶつ、 山海さんかい慧え菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ªなんぢいま一切いっさい衆しゅ生じょうを度どせんがために、 まさにこの経きょうを受じゅ持じすべしº と。 仏ぶつ、 また山海さんかい慧えに告つげたまはく、 ªこの経きょうを名なづけて*観かん阿あ弥陀みだ仏ぶつ色身しきしん正しょう念ねん解げ脱だつ三昧ざんまい経きょうとなす。 また*度ど諸しょ有流うる生しょう死じ八難はちなん有う縁えん衆しゅ生じょう経きょうと名なづく。 かくのごとく受じゅ持じすべし。
「仏告[ゲタマハ]ク↢山海慧菩薩ニ↡、汝 ヂ今為ニ↠度セムガ↢一切衆生ヲ↡、†応ニ当シト↣受↢持ス是コノ経ヲ↡。仏又告[ゲタマハ]ク↢山海慧ニ↡、是ノ経ヲ名[ケ]テ為ス↢観阿弥陀仏色身正念解脱三昧経ト↡。亦名ク↢度諸有流生死八難有縁衆生経ト↡。如ク↠是[ク]ノ受持スベシ。
・利益広大
^衆しゅ生じょうのいまだ念仏ねんぶつ三昧ざんまいの縁えんあらざるものには、 この経きょうよくために大だい三昧さんまい門もんを開かいすることをなす。 この経きょうよく衆しゅ生じょうのために地じ獄ごくの門もんを閉とづ。 この経きょうよく衆しゅ生じょうのために人ひとを害がい0639する悪あく鬼きを除のぞき*殄滅でんめつして、 *四し向こうことごとくみな安穏あんのんなりº と。 仏ぶつ、 山海さんかい慧えに告つげたまはく、 ªわが所説しょせつのごときは、 その義ぎかくのごとしº と。
衆生ノ未ザ ダル†↠有ラ↢念仏三昧ノ縁↡者ニハ、是コノ経能ク与 メニ作ナス↠†開スルコトヲ↢大三昧門ヲ↡。是ノ経能ク与ニ↢衆生ノ↡閉トヅ↢地獄ノ門ヲ↡。是[ノ]経能ク与ニ↢衆生ノ↡†除キ↢害スル↠人ヲ悪鬼ヲ↡殄滅シテ、四向悉0898ク皆 ナ安穏ナリト。仏告[ゲタマハ]ク↢山海慧ニ↡、如†キハ↢我ガ所説ノ↡、其ノ義如シ↠是[ク]ノ。
・毀謗罪重
^山海さんかい慧え、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª未み来らいの衆しゅ生じょう多おおく誹ひ謗ほうすることあらん。 かくのごとき人ひと、 後のちにおいていかんº と。
山海慧白[シ]テ↠仏ニ言 サク、未来ノ衆生多ク有ア†ラム↢誹謗[スルコト]↡。如†キ↠是[ク]ノ之人於テ↠後ニ云何 カント。
^仏ぶつのたまはく、 ª後のちにおいて閻えん浮ぶ提だいに、 あるいは比丘びく・比丘尼びくに、 もしは男なん、 もしは女にょありて、 この経きょうを読誦どくじゅすることあるを見みて、 あるいはあひ瞋しん恚にし、 心しんに誹ひ謗ほうを懐いだかん。 この謗ほう正しょう法ぼう0672によるがゆゑに、 この人ひと現身げんしんにもろもろの悪あく重病じゅうびょうを得えて、 *身根しんこん具ぐせず。 あるいは聾ろう病びょう・盲もう病びょう・失陰しつおん病びょう・鬼魅きみ・邪じゃ狂きょう・風ふう冷りょう・熱ねつ痔じ・水腫すいしゅ・失心しっしんを得えん。
仏‡言ノタマハク、†於テ↠後ニ*閻浮提ニ、或[イ]ハ有[リ]テ↢比丘・比丘尼、若[シハ]男若[シハ]女↡、見テ↠有[ル]ヲ↣読↢誦スルコト是ノ経ヲ↡、或[イ]ハ相 ヒ瞋恚シ、心ニ懐イダカム↢誹謗ヲ↡。縁ヨルガ↢是ノ謗正法ニ↡故ニ、是ノ人現身ニ得テ↢諸ノ悪重病ヲ↡、身根†不↠具セ。或[イ]ハ得†ム↢聾病・盲病・失陰病・鬼魅・邪狂・風冷・熱痔・水腫・失心ヲ↡。
^かくのごとき等らのもろもろの悪あく重病じゅうびょう、 世々せせに身みにあらん。 かくのごとく苦くを受うけて、 坐臥ざが安やすからず。 大だい小しょう便べん利りまたみな通つうぜず。 生しょうを求もとめ、 死しを求もとむるに得えず。 この経きょうを謗ほうずるがゆゑに、 苦くを受うくることかくのごとし。
如キ↠是[ク]ノ等ラノ諸ノ悪重病、世世ニ在アラム↠身ニ、如ク↠是[ク]ノ受ケテ↠苦ヲ、坐臥‡不ズ↠安カラ。大小便利亦皆 ナ不ズ↠通ゼ。求メ↠生ヲ求†ムルニ↠死ヲ†不↠得。謗ズルガ↢是ノ経ヲ↡故ニ、受ウクルコト↠苦クヲ如シ↠是[クノ]。
^ある時ときは死しして後のちに地じ獄ごくに堕だして八万はちまん劫ごうのうちに大だい苦く悩のうを受うけ、 百ひゃく千せん万まん世ぜにもいまだかつて水食すいじきの名なを聞きかざらん。 この経きょうを謗ほうずるがゆゑに、 罪つみを得うることかくのごとし。
或 ル時ハ†死シテ後ニ†堕シテ↢於地獄ニ↡八万劫ノ中ニ受ケ‡↢大苦悩ヲ↡、百千万世ニ[モ]†未ダラム↣曽テ聞カ↢水食之名ヲ↡。謗ズル[ガ]↢是[ノ]経ヲ↡故ニ、得[ル]コト↠罪ヲ如シ↠是[ク]ノ。
^ある時ときは出いづることを得えて、 生うまれて人にん中ちゅうにあるも、 牛ご・馬め・猪ちょ・羊ようとなりて、 人ひとのために殺ころされて大だい苦く悩のうを受うけん。 この経きょうを謗ほうずるがためのゆゑなり。
或 ル時ハ得テ↠出[ズルコト]ヲ、生[レ]テ在†ルモ↢人中ニ↡、作[リ]テ↢牛ゴ・馬メ・猪チヨ・羊ヤウト↡、為 メニ↠人ノ所テ↠殺サ受ケム↢大苦悩ヲ↡。為ノ↠謗ズル[ガ]↢是[ノ]経ヲ↡故ナリ。
^後のちに人身にんじんを得うるも、 つねに下げ賎せんに生しょうじて百ひゃく千せん0640万まん世ぜにも自じ在ざいを得えず、 百ひゃく千万せんまん世ぜにも三宝さんぼうの名みょう字じを見みざらん。 この経きょうを謗ほうずるがためのゆゑに、 苦くを受うくることかくのごとし。
後ニ得ウ†ルモ↢人身ヲ↡、常ツネニ生ジテ↢下賎ニ↡百千万世ニ[モ]不ズ↠得↢自在ヲ↡、百千万世ニ[モ]†不ラム↠見ミ↢三宝ノ名字ヲ↡。為ノ↠謗[ズ]ル[ガ]↢是ノ経ヲ↡故ニ、受[クル]コト↠苦ヲ如シ↠是[ク]ノ。
・簡弁弘説
^このゆゑに無智むちの人ひとのなかにしてこの経きょうを説とくことなかれ。 正しょう観かん・正しょう念ねんなるかくのごとき人ひとには、 しかして後のちにために説とけ。 *彼此ひしこの経きょうを敬うやまはざれば、 地じ獄ごくに堕だす。 彼此ひし敬重きようじゅうすれば、 正しょう解げ脱だつを得えて阿あ弥陀みだ仏国ぶっこくに往おう生じょうすº」 と。
是ノ故ニ無智ノ人ノ中ニシテ莫レ↠説[ク]コト↢是ノ経ヲ↡。正観・正念[ナル]如†キ↠是[ク]ノ之人[ニハ]、然シテ後 チ[ニ]与 メニ説トケ。彼此不レバ↠敬ウヤマハ↢是ノ経ヲ↡、堕ス†↢於地獄ニ↡。彼此敬重スレバ、得テ↢正解脱ヲ↡往↢生ス[ト]阿弥陀仏国ニ↡。」
三 Ⅰ ⅱ c 結証
^いままたこの経きょうをもつて証しょうす。 ゆゑに知しりぬ、 *毀き敬きょうのもの、 仏ぶっ記きの損益そんやく虚むなしからず、 知しるべし。 つぶさに△前さきの問といに答こたへをはりぬ。
今又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。故ニ知[リ]ヌ、毀敬之者モノ、仏記ノ損益不↠虚シカラ、応シ↠知ル。具 サニ答ヘ↢前サキノ問†ニ↡竟[リ]ヌ。
三 Ⅱ 別勧依経修行
ⅰ 明念仏功能超絶
a 問
【46】^また問とふ。 もし仏滅ぶつめつ後ごの一切いっさい善悪ぜんあくの凡ぼん夫ぶ、 菩ぼ提だい心しんを発おこして弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと願がんずるものは、 日にち夜やに心しんを計かけてこの一いっ生しょうを畢おわるまで、 *称しょう・観かん・礼らい・讃さんし、 香こう華げをもつて阿あ弥陀みだ仏ぶつおよび観音かんのん聖しょう衆じゅ、 浄じょう土どの荘しょう厳ごんを供く養ようし、 念々ねんねんに観想かんそうして、 三昧さんまいあるいは成じょうじ、 いまだ成じょうぜざるものも、 現げん生しょうになんの功く徳どくをか得うる。 つぶさに仏ぶつ経きょうを引ひきてもつて明証みょうしょうとなせ。 修学しゅがくの行ぎょう人にんをして歓かん喜ぎ愛あい楽ぎょうし、 信受しんじゅ奉ぶ行ぎょうせしめんと欲ほっす。
又問フ。若シ仏滅後ノ一切善悪ノ凡夫、発シテ↢菩提心ヲ↡願ズル↠生ゼムト↢弥陀仏国ニ↡者モノ[ハ]、日夜ニ計[カ]0899[ケ]テ↠心ヲ畢ルマデ↢此[ノ]一生ヲ↡、†称・観・礼・讃シ、香華ヲモテ供↢養シ阿弥陀仏及ビ観音聖衆[、]浄土[ノ]荘厳ヲ↡、念念ニ†観想シテ、三昧或[イ]ハ成ジ、未ダザル↠成ゼ者モノ[モ]、現生ニ得ル↢†何ノ功徳ヲ[カ]↡。具 サニ引[キ]テ↢仏経ヲ↡以テ†為セ↢明証ト↡。†欲ス↠令メムト↢修学ノ行人ヲシテ歓喜愛楽[シ][、]信受奉行セ↡。
三 Ⅱ ⅰ b 答
イ 先嘆所問
^答こたへていはく、 快こころよくこの義ぎを問とへり。 ▼すなはちこれ六道ろくどう生しょう死じの因いん行ぎょうを閉絶へいぜつ0673して、 永ながく常じょう楽らく浄じょう土どの*要門ようもんを開ひらく。 ただ弥陀みだの願がんに称かなふのみにあらず、 またすなはち諸仏しょぶつあまねくみな同おなじく慶よろこびたまふ。
答[ヘテ]曰[ク]、快 ヨク問ヘリ↢斯ノ義ヲ↡。即チ是 レ閉↢絶シテ六道生死之因行ヲ↡、永ク開ク↢常楽浄土之要門ヲ↡也。非ズ↢直‡弥陀ノ称カナフノミニ↟願ニ、亦乃[チ]諸仏普ク皆 ナ同[ジ]ク慶 コ†ビタマフ。
三 Ⅱ ⅰ b ロ 正引経証
^いま経きょうにより0641てつぶさに答こたふれば、 ▼すなはち ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。
今依[リ]テ↠経ニ具 サニ答†フレバ者、即[チ]如シ↢¬般舟三昧経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。
・法説
^「仏ぶつ、 跋ばつ陀だ和わ菩ぼ薩さつに告つげたまはく、 ªこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいのなかにおいて、 四事しじの供く養ようあり。 飲食おんじき・衣え服ぶく・臥具がぐ・湯薬とうやくなり。 それを助たすけて歓かん喜ぎせしめよ。 ▼過去かこの諸仏しょぶつもこの念ねん阿あ弥陀みだ仏ぶつ三昧ざんまいを持たもちて、 四事しじをもつて助たすけて歓かん喜ぎせしめてみな成じょう仏ぶつを得えたまへり。 現在げんざい十方じっぽうの諸仏しょぶつもまたこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを持たもちて、 四事しじをもつて助たすけて歓かん喜ぎせしめてみな作さ仏ぶつを得えたまへり。 未み来らいの諸仏しょぶつもまたこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを持たもちて、 四事しじをもつて助たすけて歓かん喜ぎせしめてみな作さ仏ぶつを得えたまふº と。
「仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和菩薩ニ↡、於テ↢是[ノ]念仏三昧ノ中ニ↡、有リ↢四事ノ供養↡。飲食・衣服・臥具・湯薬ナリ。助[ケ]テ↠其ヲ歓喜†セシメヨ。過去ノ諸仏[モ]持タモ[チ]テ↢是[ノ]念阿弥陀仏三昧ヲ↡、四事†ヲモテ助ケテ歓喜セシメテ皆 ナ得†タマヘリ↢成仏ヲ↡。現在十方ノ諸仏[モ]亦持[チ]テ↢是[ノ]念仏三昧ヲ↡、四事†ヲモテ助ケテ歓喜セシメテ皆 ナ†得タマヘリ↢作仏ヲ↡。未来ノ諸仏[モ]亦持[チ]テ↢是ノ念仏三昧ヲ↡、四事†ヲモテ助ケテ歓喜セシメテ皆 ナ得†タマフ[ト]↢作仏ヲ↡。
・譬説
^仏ぶつ、 跋ばつ陀だ和わに告つげたまはく、 ªこの念ねん阿あ弥陀みだ仏ぶつ三昧ざんまい四事しじ助じょ歓かん喜ぎは、 われこの三昧さんまいのなかにおいて、 その少しょう喩ゆを説ときて念仏ねんぶつの功く徳どくに*比ひ校きょうせん。 たとへば人寿にんじゅ百ひゃく歳さいならん、 また生うまれてよりすなはちよく行ぎょう走そうすること老ろうに至いたるまで疾風しっぷうに過すぎたるがごとし。 人ひとありてよくその*道どう里りを計はかるやいなやº と。 跋ばつ陀だ和わまうさく、 ªよく計はかるものなしº と。
仏告[ゲタマハ]ク↢跋陀和ニ↡、是[ノ]念阿弥陀仏三昧四事助歓喜†ハ、我 レ於テ↢是[ノ]三昧ノ中ニ↡、説[キ]テ↢其ノ少喩ユヲ↡†比↢校セム念仏ノ功徳ニ↡。譬ヘバ如†シ↣†人寿百歳ナラム、亦生[レ]テヨリ即チ能ク行走スルコト至[ル]マデ↠老ニ過スギタ†ルガ↢於疾風ニ↡。有[リ]テ↠人能ク計ハカルヤ↢其ノ道里ヲ↡以不 イナ ヤト。跋陀和言 サク、無ナ†シ[ト]↢能ク計ル者モノ↡。
^仏ぶつのたまはく、 ªわれさらになんぢおよびもろもろの菩ぼ薩さつ等とうに語かたる。 もし善ぜん男なん子し・女人にょにん、 この人ひとの行ぎょう処しょ、 なかに*著満ちょまんせる珍宝ちんぽうを取とりてもつて布施ふせするに、 得うるところの功く徳どくは、 人ひとありてこの念ねん阿あ弥陀みだ仏ぶつ三昧ざんまいを聞ききて、 四事しじをもつて供く養ようして助たすけて歓かん喜ぎせしむる功く徳どくにはしかず。 上かみの布施ふせするものに過す0642ぎたること千せん万億まんおく倍ばいなり。 また*比ひ校きょうにあらずº と。
仏言ク、我 レ故 サラニ語ル↢汝 ヂ及ビ諸ノ菩薩等ニ↡。若シ善男子・女人、†取リテ↧是ノ人ノ行処、著↢満セル中ニ↡珍宝ヲ↥以用モテ布施†スルニ、†所ノ↠得ル功徳[ハ]、†不↠如[カ]↧有[リ]テ↠人聞[キ]テ↢是[ノ]念阿弥陀仏三昧ヲ↡、四事†ヲモテ供養シテ助ケテ歓喜セシムル功徳ニハ↥。過スギタルコト↢上カミ0900ノ布施†スル者モノニ↡千万億倍ナリ。亦非ズト↢比校ニ↡。
・因縁説
^仏ぶつのたまはく、 ª乃往ないおう久く遠おん、 *不ふ可計かけ阿あ僧そう祇ぎ劫こうに仏ぶつましましき、 号ごうして私訶しか提だいといひ、 国くにを跋ばつ陀だ和わと名なづく。 転輪てんりん王おうあり、 名なづけて斯し琴きんといふ。 仏所ぶっしょに往おう至ししたてまつる。 仏ぶつ、 王おうの意こころを知しりて、 すなはちためにこの念仏ねんぶつ三昧ざんまい四事しじ助じょ歓かん喜ぎを説ときたまふ。 王おう聞ききて歓かん喜ぎして、 すなはち種々しゅじゅの珍宝ちんぽうを持もちてもつて仏ぶつ0674の上うえに散さんず。 王おうみづから願がんじてまうさく、 «この功く徳どくを持もちて、 十方じっぽうの人天にんでんをしてみな安穏あんのんを得えしめん»º と。
仏言ク、乃往久遠、不可計阿僧祇劫ニ有マシマシキ↠仏、号シテ曰[ヒ]↢私訶シカ提ダイト↡、国ヲ‡名ク↢跋陀和ト↡。有[リ]‡↢転輪王↡、名[ケ]テ曰†フ↢斯シ琴キムト↡。往↢至†シタテマツル仏所ニ↡。仏知[リ]テ↢王ノ意ヲ↡、即チ為 メニ説†キタマフ↢是[ノ]念仏三昧四事助歓喜ヲ↡。王聞[キ]テ歓喜シテ、即チ持[チ]テ↢種種ノ珍宝ヲ↡以テ散ズ↢仏[ノ]上ニ↡。王自ミ [ラ]願ジテ言 サク、持[チ]テ↢是ノ功徳ヲ↡、令メム[ト]↣十方ノ人天ヲシテ皆 ナ得エ↢安穏ヲ↡。
^仏ぶつのたまはく、 ªその王おう終おわりて後のち、 またみづからその家いえに生うまれて太たい子しとなる。 梵ぼん摩ま達だつと名なづく。 時ときに比丘びくあり、 名なづけて珍宝ちんぽうといふ。 つねに*四部しぶの弟子でしのためにこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを説とく。 時ときに王おうこれを聞ききて四事しじをもつて助たすけて歓かん喜ぎせしむ、 すなはち宝物ほうもつをもつて比丘びくの上うえに散さんず。 また衣え服ぶくを持もちてもつてこれを供く養ようす。 王おう、 千人せんにんと比丘びくの所ところにおいて出しゅっ家けして、 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいを学がくすることを求もとめて、 つねに千人せんにんとともにその師しに*承じょう事じす。 八はっ千歳せんざいを経へて日にち夜やに懈おこたることなし。
仏言ク、其ノ王終オハ[リ]テ後 チ、†還タ自ミ [ラ]生[レ]テ↢其ノ家ニ↡作ナル↢太子ト↡†也。名ク↢梵摩達ト↡。時ニ有[リ]↢比丘↡、名[ケ]テ曰フ↢珍宝ト↡。常ツネニ為ニ↢四部ノ弟子ノ↡説ク↢是[ノ]念仏三昧ヲ↡。時[ニ]王聞[キ]テ↠之ヲ四事†ヲモテ助ケテ歓喜セシム、即チ以テ↢宝物ヲ↡散ズ↢比丘ノ上ニ↡。又持[チ]テ↢衣服ヲ↡以テ供↢養ス之ヲ↡。王与ト↢千人↡†於テ↢比丘ノ所 ロニ↡出家シテ、求モトメテ↠学†スルコトヲ↢是[ノ]念仏三昧ヲ↡、常ニ与ト↢千人↡共ニ承↢事†ス其ノ師ニ↡。経テ↢八千歳ヲ↡日夜ニ無ナ†シ↠懈オコタルコト。
^ただ一いち度どこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを聞きくことを得えて、 すなはち高こう明みょう智ちに入いり、 かへりて後のちさらに六万ろくまん八千はっせんの諸仏しょぶつを見みたてまつる。 一々いちいちの仏所ぶっしょにおいてみなこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを聞ききて仏ぶっ果かを成じょうずることを得えたりº と。
唯得テ↣一度聞クコトヲ↢是[ノ]念仏三昧ヲ↡、即ニ入†リ↢高明智ニ↡、†却リテ後ノチ更サラニ見タテマツル↢六万八千ノ諸仏ヲ↡。†於テ↢一一ノ仏所ニ↡皆聞[キ]テ↢是ノ念仏三昧ヲ↡†得タリト↠成[ズル]コトヲ↢仏果ヲ↡。
・重勧求学
^仏ぶつのたまはく、 ªもし人ひと百ひゃく里り・千せん里り・四し千せん0643里りなるも、 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいを聞きかんと欲ほっせばかならず往ゆきてこれを求もとむべし。 いかにいはんや近ちかくして学がくを求もとめざらんものをやº」 と。
仏言ク、若シ人百里・千里・四千里†ナルモ、†欲セバ↠聞カムト↢是[ノ]念仏三昧ヲ↡必ズ往ユキテ求ムベシ↠之ヲ。何ニ況ヤ近クシテ†而不ラム↠†求メ↠学ヲ者モノヲヤト。」
三 Ⅱ ⅰ b ハ 結釈
^またもろもろの往おう生じょう人にん等とうにまうす。 上じょう来らい所引しょいんの仏ぶっ教きょうをもつて明証みょうしょうとなすものなり。 一々いちいちつぶさには 「*四事しじ供く養よう功く徳どく品ぼん」 のなかに説ときたまふがごとし。
又白†ス↢諸ノ往生人等ニ↡。上来†所引ノ仏教ヲ以テ†為ス↢明証ト↡者モノナリ。一一具 サニ[ハ]如シ↢「四事供養‡功徳品ノ」中ニ説[キタマフ]ガ↡。
三 Ⅱ ⅱ 明懴悔滅罪方法
a 問
【47】^問とひていはく、 仏ぶっ教きょうに准じゅん依えして*精しょう勤ごん苦く行ぎょうして、 日にち夜や六ろく時じに礼念らいねん・行ぎょう道どう・観想かんそう・転誦てんじゅし、 斎戒さいかいして一心いっしんに生しょう死じを*厭患えんげんし、 三さん塗ずの苦くを畏おそれて、 この*一いち形ぎょうを畢おへて浄じょう土どの弥陀みだ仏国ぶっこくに生しょうぜんと誓ちかふもの、 またおそらくは*残殃ざんおう尽つきずして、 現げんに十じゅう悪あくと相応そうおうせん。 この障さわりありと覚かくせば、 いかんが除滅じょめつせん。 つぶさに仏ぶつ経きょうを引ひきてその方法ほうほうを示しめせ。
問[ヒテ]曰[ク]、准↢依シテ仏教ニ↡精勤苦行シテ、日夜六時ニ礼念・行道・観想・転誦[シ]、斎戒シテ一心ニ厭↢患シ生死ヲ↡、畏[レ]テ↢三塗ノ苦ヲ↡、†畢ヘテ↢此[ノ]一形[ヲ]↡誓 カ†フ↠生[ゼ]ムト↢浄土[ノ]弥陀仏国ニ↡者モノ、又恐クハ残ゼン殃アウ0901不シテ↠尽ツキ、現ニ与ト↢十悪↡相応セム。覚カク†セバ↠有アリト↢斯ノ障 リ↡者、云何 ン†ガ除滅†セム。具 サニ引[キ]テ↢仏経ヲ↡示 メセ↢其ノ方法ヲ↡。
三 Ⅱ ⅱ b 答
イ 明至誠懴悔相
^答こたへていはく、 仏ぶつ経きょうによりて答こたふれば、 すなはち ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまい海かい経きょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。
答[ヘ]テ曰ク、依[リ]テ↢仏経ニ↡答†フレバ者、即チ如シ↢¬観仏三昧海経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。
^「仏ぶつ、 父ぶ王おうおよびもろもろの大衆だいしゅのために説ときたまふ。 ª過去かこに仏ぶつましましき、 名なづけて空王くうおうといふ。 像法ぞうぼう住じゅう世せの時とき四し比丘びくあり、 戒かいを破はし*重じゅうを犯おかす。 時とき0675に空王くうおう仏ぶつ、 夜よる空くう中ちゅうにおいて声こえを出いだして四し比丘びくに告つげてのたまはく、 «なんぢの犯おかすところを*不可救ふかくと名なづく。 罪つみを滅めっせんと欲ほっせば、 わが塔とう中ちゅうに入いりてわが形ぎょう像ぞうを観かんじて、 心しんを至いたして懴さん悔げすべし、 この罪つみを滅めっすべし» と。
「仏為ニ↢父‡王及ビ諸ノ大衆ノ↡説[キ]タマフ。過去ニ有マシマシキ↠仏、名[ケ]テ曰†フ↢空王ト↡。像法住世ノ時 キ有リ‡↢四‡比丘↡、†破シ↠戒ヲ犯ス↠重ヲ。時ニ空王仏†於テ↢夜空中ニ↡出[シ]テ↠声ヲ告[ゲ]テ↢四比丘ニ↡言ク、汝之†所ヲ↠犯ス名ク↢不可フカ救クト↡。†欲セバ↠滅セムト↠罪ツミヲ者、可シ↧入[リ]テ↢我ガ塔‡中ニ↡†観ジテ↢我ガ形像ヲ↡、至シテ↠心ヲ懴悔ス↥、可シ[ト]↠滅ス↢此[ノ]罪ヲ↡。
^時ときに四し比丘びく万まん事じともに捨すてて、 一心いっしんに教きょうを奉うけて塔とうに入い0644り、 仏像ぶつぞうの前まえにおいてみづから撲うち懴さん悔げすること太山たいせんの崩くずるるがごとく、 地じに*婉転えんでんして号哭ごうこくして、 仏ぶつ (空王仏) に向むかひて日にち夜や相続そうぞくして死しに至いたるを期ごとなす。 捨しゃ命みょう以後いご、 空王くうおう仏ぶっ国こくに生しょうずることを得えたりº」 と。 いまこの経きょうをもつて証しょうす。 行ぎょう者じゃ等とう、 懴さん悔げせんと欲ほっする時とき、 またこの教きょうの法門ほうもんによれ。
時ニ四比丘万事倶ニ捨テテ、一心ニ奉ウケテ↠教ヲ入[リ]‡↠塔ニ、†於テ↢仏像ノ前ニ↡自ミ [ラ]撲ウチ懴悔†スルコト如ク↢*太山ノ崩クヅルルガ↡、婉↢転シテ†於地ニ↡号哭ガウコクシテ、向†ヒテ↠仏ニ日夜‡相続シテ至ルヲ↠死ニ為ス↠期ト。捨命已後、得タリ[ト]↠生[ズル]コトヲ↢空王仏‡国ニ↡。」今以テ↢此[ノ]経ヲ↡†証ス。行者等欲†スル↢懴悔セムト↡時‡、亦依レ↢此ノ*教ノ法門ニ↡。
三 Ⅱ ⅱ b ロ 明由懴滅重罪
^「仏ぶつのたまはく、 ªもしわが滅めつ後ごの仏ぶつのもろもろの弟子でし、 諸悪しょあくを捨しゃ離りし*少しょう語ごの法ほうを楽ねがひて、 日にち夜や六ろく時じに、 よく一いち時じにおいて分わかちて少しょう時じとなして、 少しょう分ぶんのうち、 須しゅ臾ゆのあひだにおいても仏ぶつの白びゃく毫ごうを念ねんずるものは、 もしは見みずとも、 かくのごとき等らの人ひと九く十じゅう六億ろくおく那な由他ゆた恒ごう河が沙しゃ微み塵じん劫ごうの生しょう死じの罪つみを除じょ却きゃくせん。 もしまた人ひとありてこの白びゃく毫ごうを聞ききて、 心しん驚きょう疑ぎせず歓かん喜ぎ信受しんじゅせば、 この人ひとまた八はち十じゅう億おく劫こうの生しょう死じの罪つみを除のぞかん。
「仏‡言ク、若シ我ガ滅後ノ仏ノ諸ノ弟子、捨↢離シ諸悪ヲ↡楽[ヒ]テ↢少語ノ法ヲ↡、日夜六時ニ、能ク於テ↢一時ニ↡分[チ]テ為シテ↢少時ト↡、少分之中‡、於テモ↢須臾ノ間ニ↡念†ズル↢仏ノ白毫ヲ↡者[ハ]、若シ[ハ]不トモ↠見、如†キ↠是[ク]ノ等ラノ人除↢却セム九十六億那由他恒河沙微塵劫ノ生死之罪ヲ↡。若シ復有[リ]テ↠人聞[キ]テ↢是[ノ]白*毫ヲ↡、心不ズ↢驚疑セ↡歓喜信受セバ、此ノ人亦除カム↢八十億劫ノ生死之罪ヲ↡。
^▼もしはもろもろの比丘びく・比丘びく尼に、 もしは男なん・女人にょにん、 *四しの根本こんぽん・十じゅう悪あく等とうの罪つみ、 五ご逆ぎゃく罪ざいおよび*謗ほう大だい乗じょうを犯おかさん。 かくのごとき諸人しょにんもしよく懴さん悔げすること日にち夜や六ろく時じに身心しんしん息やすまず、 五ご体たい地じに投とうずること太山たいせんの崩くずるるがごとく、 号ごう泣きゅうして涙なみだを雨あめふらし、 合がっ掌しょうして仏ぶつに向むかひて、 仏ぶつの眉み間けんの白びゃく毫ごう相そうの光ひかりを念ねんずること一日いちにちより七日しちにちに至いたらば、 前さきの四し種しゅの罪つみ軽きょう微みなることを得うべし。
若シ[ハ]諸ノ比丘・比丘尼、若シハ男・女人、†犯サム↢四[ノ]根本†・十悪等ノ罪、五逆罪及ビ謗大乗ヲ↡。如[キ]‡↠是[ク]ノ諸人若シ能ク懴悔†スルコト日夜六時ニ身心不↠息ヤマ、五体投†ズルコト↠地ニ如ク↢*太山ノ崩[ルル]ガ↡、号泣シテ†雨ラシ↠涙 ダヲ、合掌シテ向[ヒ]テ↠仏ニ、念†ズルコト↢仏[ノ]眉間ノ白0902毫相ノ光ヲ↡一日ヨリ至ラバ↢七日ニ↡、前ノ四種ノ罪可シ↠得ウ↢軽微ナルコトヲ↡。
^◆白びゃく毫ごうを観かんずるに、 闇くらくして見みえずは、 塔とう中ちゅうに入いりて眉み間けんの白びゃく毫ごうを観かんずべし。 一日いちにちより三日さんにちに至いたるまで合がっ掌しょうして0645啼てい泣きゅうせよ。 またしばらく聞きくも、 また三劫さんこうの罪つみを除のぞくº と。
観†ズルニ↢白毫ヲ↡、*闇[ク]シテ†不ハ↠見マミエ者、†応シ↧入[リ]テ↢塔‡中ニ↡観ズ↦眉間ノ白毫ヲ↥。一日ヨリ至[ル]マデ↢三日ニ↡合掌シテ啼泣セヨ。又暫ク聞ク‡モ、亦除クト↢三劫之罪ヲ↡。
^仏ぶつ、 父ぶ王おうに告つげ、 および阿あ難なんに勅ちょくしたまはく、 ªわれいまなんぢがためにことごとく身相しんそう・光こう明みょうを現げんず。 もしは不ふ善ぜん0676心しんあるもの、 もしは仏ぶつの禁戒きんかいを毀やぶるもの、 仏ぶつを見みたてまつることおのおの不ふ同どうなりº と。
仏告ゲ↢父‡王ニ↡、及ビ勅†シタマハク↢阿難ニ↡、吾 レ今為ニ↠汝ガ悉ク現ズ↢身相光明ヲ↡。若シ[ハ]有ル↢不善‡心↡者モノ、若シ[ハ]毀ヤブル↢仏ノ禁戒ヲ↡者‡、見[タテマツル]コト↠仏ヲ各ノ不同ナリ[ト]。
^時ときに五ご百ひゃくの*釈しゃく子し、 仏ぶつの色身しきしんを見みたてまつることなほ*灰け人にんのごとし。 比丘びく千人せんにん、 仏ぶつを見みたてまつることなほ赤しゃく土どのごとし。 十じゅう六ろくの居士こじ、 二に十じゅう四しの女人にょにん、 仏ぶつを見みたてまつること純じゅん黒こくなり。 もろもろの比丘びく尼に、 仏ぶつを見みたてまつること銀色ごんじきのごとし。 時ときにもろもろの四し衆しゅ、 仏ぶつにまうさく、 ªわれいま仏ぶつの妙みょう色しきを見みたてまつらずº と。 みづから頭ず髪はつを抜ぬき、 身みを挙あげ地じに投とうじて、 啼てい泣きゅうして涙なみだを雨あめふらし、 みづから撲うち婉転えんでんす。
時[ニ]五百ノ釈子、見[タテマツル]コト↢仏ノ色身ヲ↡猶ナホ‡如シ↢灰クヱ人ノ↡。比丘千人見[タテマツ]ルコト↠仏ヲ由ナホ‡如シ↢赤土ノ↡。十六ノ居士、二十四[ノ]女人、見[タテマツル]コト↠仏ヲ純黒ナリ。諸[ノ]比丘尼見[タテマツル]コト↠仏ヲ如シ↢銀色ノ↡。時ニ諸ノ四衆白[サ]ク↠仏ニ、我 レ†今者 イマ 不ト↠見[タテマツラ]↢仏ノ妙色ヲ↡。自ミ [ラ]抜ヌ†キ↢頭髪ヲ↡、挙[ゲ]‡↠身ヲ投[ジ]テ↠地ニ、啼泣シテ†雨ラシ↠涙ヲ、自ミ [ラ]撲ウチ婉転ス。
^仏ぶつのたまはく、 ª善ぜん男なん子し、 如来にょらいの出しゅつ現げんはまさしくなんぢらが罪ざい咎ぐを除滅じょめつせんがためなり。 なんぢいま*過去かこの七仏しちぶつを称しょうし、 仏ぶつのために礼らいをなすべし。 なんぢが先せん世ぜ邪見じゃけんの罪つみを説とかん。 なんぢまさにもろもろの大徳だいとく僧衆そうしゅに向むかひて発ほつ露ろ*悔過けかし、 仏ぶつ語ごに随ずい順じゅんして、 仏法ぶっぽう衆しゅのなかにおいて五ご体たい地じに投とうずること太山たいせんの崩くずるるがごとく、 仏ぶつに向むかひて懴さん悔げすべし。 すでに懴さん悔げしをはらば、 心眼しんげん開ひらくることを得えて、 仏ぶつの色身しきしんを見みたてまつりて、 心しん大おおきに歓かん喜ぎせんº と。
仏‡言ク、善男子、如来ノ出現ハ正[シ]ク為 メナリ↣除↢滅セムガ汝等ガ罪咎ヲ↡。汝 ヂ今可シ↧称シ‡↢過去ノ七仏ヲ↡、為ニ↠仏ノ作ス↞礼ヲ。説カム↢汝ガ先世‡邪見之罪ヲ↡。汝 ヂ当ニシ↧向[ヒ]テ↢諸ノ大徳‡僧衆ニ↡†発露悔過シ、随↢順シテ仏語ニ↡、於テ↢仏法衆ノ中ニ↡五体‡投†ズルコト↠地ニ如†ク↢*太山ノ崩[ルル]ガ↡、向[ヒ]テ↠仏ニ懴悔ス↥。既ニ懴悔シ已†ラバ、心眼得テ↠開[クル]コトヲ、見[タテマツリ]テ↢仏ノ色身ヲ↡、心大 キニ歓喜セムト。
^仏ぶつ、 もろもろの比丘びくに告つげたまはく、 ªな0646んぢら先せん世ぜ無む量りょう劫こうの時とき、 邪見じゃけんにして師しを疑うたがひ、 無む戒かいにして虚むなしく*信しん施せを受うけたり。 この因縁いんねんをもつてのゆゑに、 餓鬼がき・地じ獄ごくに堕だして八はち万歳まんざい苦くを受うけ、 いま出いづることを得うといへども、 無む量りょう世せにおいて諸仏しょぶつを見みたてまつらず、 ただ仏ぶつの名みなを聞きくのみ。 いま仏身ぶっしんを見みたてまつること赤しゃく土ど色しきのごとし、 まさしく長たけ五ご尺しゃくなりº と。
仏告[ゲタマハ]ク↢諸ノ比丘ニ↡、汝等ラ先世‡無量劫ノ時 キ、邪見ニシテ疑ヒ↠師ヲ、無戒ニシテ虚シク受†ケタリ↢信施ヲ↡。以テノ↢此[ノ]因縁ヲ↡故ニ、堕シテ↢餓鬼・地獄ニ↡八万歳‡受†ケ↠苦ヲ、今雖 ドモ↠得ト↠出[ヅ]ルコトヲ、於[テ]↢無量世[ニ]↡不↠見[タテマツラ]↢諸仏ヲ↡、但‡聞ク[ノミ]↢仏ノ名ヲ↡。今見[タテマツル]コト↢仏身ヲ↡如シ↢赤土‡色ノ↡、正シク長タケ五尺ナリ[ト]。
^仏ぶつ、 語ごを説ときをはりたまふに、 千せんの比丘びく等とう仏ぶつに向むかひて懴さん悔げし、 五ご体たい地じに投とうずること太山たいせんの崩くずるるがごとく、 悲ひ号ごうして涙なみだを雨あめふらすに、 なほ風かぜ吹ふきて重じゅう雲うん四よもに散さんずるがごとくにして、 *金顔こんげんを顕発けんぽつす。 すでに仏ぶつを見みたてまつりをはりて、 比丘びく歓かん喜ぎし菩ぼ提だい心しんを発おこす。
†仏†説キ↠語ヲ已リタマフニ、千[ノ]比丘等向ヒテ↠仏ニ懴悔†シ、五体‡投†ズルコト↠地ニ如†ク↢*太山ノ崩[ルル]ガ↡、悲号ガウ[シテ]†雨ラスニ↠涙ヲ、猶‡如[クニ]シテ↢風0903‡吹†キテ重雲‡四ヨモニ散ズルガ↡、顕↢発ス金顔ヲ↡。既ニ見†タテマツリ↠仏ヲ已[リ]テ、比丘歓喜シ‡発†ス↢菩提心ヲ↡。
^仏ぶつ、 父ぶ王おうに告つげたまはく、 ªこの千せんの比丘びく*慇懃おんごんに法ほうを求もとめて、 心しんに*懈け息そくなし。 仏ぶつ、 授じゅ記きを与あたへて、 同おなじく南無なも光こう照しょう如来にょらいと号ごうすº」 (意) と。
仏‡告[ゲタマハ]ク↢父‡王ニ↡、此ノ千ノ比丘慇懃オンゴンニ求メテ↠法ヲ、心ニ無シ↢懈息↡。仏与[ヘ]テ↢授記ヲ↡、同[ジ]ク号ス[ト]↢南無光照如来ト↡。」
^以い前ぜんの懴さん悔げの法ほうは ¬観仏かんぶつ三昧ざんまい海かい経きょう¼ の第だい二に・第三だいさん巻かんに出いでたり。
已前ノ懴悔ノ法[ハ]出イデタリ↢¬観仏三昧海経[ノ]¼第二・第三巻ニ↡。
三 Ⅱ ⅱ b ハ 重引三経勧発
(一)観仏経文
【48】^0677¬仏説ぶっせつ観仏かんぶつ三昧ざんまい海かい経きょう¼ 「密みつ行ぎょう品ぼん」 第だい十じゅう二に巻かん第だい十じゅう (意) にのたまはく、
¬仏説観仏三昧海経¼「密行品」第十二巻第十[ニノタマハク]、
^「仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª未み来らいの衆しゅ生じょう、 それこの念仏ねんぶつ三昧ざんまいを得えんとするもの、 仏ぶつのもろもろの相好そうごうを観かんぜんとするもの、 *諸仏しょぶつ現前げんぜん三昧ざんまいを得えんとするものあらば、 まさにこの人ひとに教おしふべし。 身しん口意くいを密みつにして*邪じゃ命みょうを起おこすことなかれ。 *貢く高こうを生しょうず0647ることなかれ。 もし邪じゃ命みょうおよび貢く高こうの法ほうを起おこさば、 まさに知しるべし、 この人ひとはこれ*増ぞう上じょう慢まんなり。 仏法ぶっぽうを破は滅めつし、 多おおく衆しゅ生じょうをして不ふ善ぜん心しんを起おこさしむ。 和わ合ごう僧そうを乱みだして、 *異いを顕あらわし衆しゅうを惑まどはす。 これ悪あく魔まの伴ともなり。
「仏告[ゲタマハ]ク↢阿難ニ↡、未来ノ衆生、其ソレ†有ラバ↧得ムトスル↢是ノ念仏三昧ヲ↡者、観ゼムトスル↢仏ノ諸ノ相好ヲ↡者、得ムトスル↢諸仏現前三昧ヲ↡者↥、当ニシ↠教オシフ↢是ノ人†ニ↡。密[ニ]シテ↢身口意ヲ↡莫レ↠起スコト↢邪命ヲ↡。莫レ↠†生ズルコト↢貢ク高ヲ↡。若シ起オコサバ↢邪命及ビ貢高ノ法ヲ↡、当ニシ↠知ル、此[ノ]人ハ是 レ増上慢ナリ。破↢滅シ仏法ヲ↡、多ク使シム↣衆生ヲシテ起サ↢不善‡心ヲ↡。乱ミダ†シテ↢*和合僧ヲ↡、顕 ハシ↠異ヲ惑マヨハス↠衆ヲ。是 レ悪魔ノ伴ナリ。
^かくのごとき悪人あくにんまた念仏ねんぶつすといへども、 甘かん露ろの味あじはひを失しっす。 この人ひとの生しょう処じょは貢く高こうをもつてのゆゑに、 身みつねに卑ひ小しょうにして下げ賎せんの家いえに生しょうず。 貧びん窮ぐ諸衰しょすいにして無む量りょうの悪業あくごうをもつて厳飾ごんじきとなす。 かくのごとき種々しゅじゅ衆しゅ多たの悪あく事じまさにみづから防ぼう護ごして、 永ながく生しょうぜざらしむべし。 もしかくのごとき邪じゃ命みょうの業ごうを起おこさば、 この邪じゃ命みょうの業ごうはなほ狂きょう象ぞうの蓮れん華げの池いけを壊えするがごとく、 この邪じゃ命みょうの業ごうもまたかくのごとく善根ぜんごんを壊え敗はいせんº と。
如[キ]‡↠是[ク]ノ悪人‡雖モ↢復念仏スト↡、†失ス↢甘露ノ味アヂワヒ[失ス]ヲ↡。此ノ人ノ生処[ハ]以テノ↢貢高ヲ↡故ニ、身恒ニ卑小†ニシテ生ズ↢下賎ノ家ニ↡。貧窮諸衰ニシテ無量ノ悪業ヲ以テ為†ス↢厳飾ト↡。如キ‡↠此[ク]ノ種種衆多ノ悪事当ニシ↣自ミ [ラ]防護シテ[、]令シム↢永ク不ラ↟生ゼ。若シ起†セバ↢如[キ]↠是[クノ]邪命ノ業ヲ↡者、此コノ邪命[ノ]業[ハ]猶‡如†ク↣狂象[ノ]†壊スル[ガ]↢蓮華[ノ]池ヲ↡、此[ノ]邪命[ノ]業モ亦復†如ク↠是クノ壊↢敗†セムト善根ヲ↡。
^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ª念仏ねんぶつすることあるものは、 まさにみづから防ぼう護ごして、 *放逸ほういつせしむることなかるべし。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいの人ひともし防ぼう護ごせずして貢く高こうを生しょうぜば、 邪じゃ命みょうの悪風あくふう憍きょう慢まんの火ひを吹ふきて善法ぜんぽうを焼しょう滅めつせん。 善法ぜんぽうとはいはゆる一切いっさい無む量りょうの禅ぜん定じょう、 もろもろの念仏ねんぶつの法ほうにして、 心想しんそうより生しょうず。 これを功く徳どく蔵ぞうと名なづくº と。
仏告[ゲタマハク]↢阿難ニ↡、有†ル↢念仏スルコト↡者モノハ、当ニシ↢自ミ [ラ]防護シテ勿ル↟令[ム]ルコト↢放逸セ↡。念仏三昧ノ人、若シ不シテ↢防護セ↡†生ゼバ↢貢高ヲ↡者、邪命ノ悪風吹[キ]テ↢憍慢ノ火ヲ↡焼↢滅†セム善法ヲ↡。善法ト†者、†所謂ル一切無量ノ禅定、諸ノ念仏ノ法[ニシテ]、従ヨリ↢心想↡生ズ。是ヲ名クト↢功徳蔵ト↡。
^仏ぶつ、 阿あ難なんに告つげたまはく、 ªこの経きょうを*繋け想そう不ふ動どうと名なづく。 かくのごとく受じゅ持じすべし。 また観仏かんぶつ白びゃく毫ごう相そうと名なづく。 かくのごとく受じゅ持じすべし。 また*逆ぎゃく順じゅん観かん如来にょらい身分しんぶんと名なづけ、 また*一々いちいち毛もう孔く分別ふんべつ如来にょらい身分しんぶんと名なづけ、 また*観かん三さん十じゅう二に相そう八はち0648十じゅう随ずい形ぎょう好こう諸しょ智慧ちえ光こう明みょうと名なづけ、 また観仏かんぶつ三昧ざんまい海かいと名なづけ、 また念仏ねんぶつ三昧ざんまい門もんと名なづけ、 また*諸仏しょぶつ妙みょう華け荘しょう厳ごん色身しきしん経ぎょうと名なづく。 なんぢよく受じゅ0678持じして、 つつしみて忘失もうしつすることなかれº」 と。
仏告[ゲタマハ]ク↢阿難ニ↡、此ノ経ヲ名ク↢繋想不動ト↡。如[ク]↠是[クノ]受持スベシ。亦0904名ク↢観仏白毫相ト↡。如[ク]↠是[クノ]受持スベシ。亦名[ケ]↢逆順観如来身分ト↡、亦名†ケ↢一一毛孔分別如来身分ト↡、亦名†ケ↢観三十二相八十随形好諸智慧光明ト↡、亦名†ケ↢観仏三昧海ト↡、亦名†ケ↢念仏三昧門ト↡、亦名ク↢諸仏妙華荘厳色身経ト↡。汝 ヂ好ク受持シテ、慎ツヽシミテ勿レ[ト]↢忘失マウシチスルコト↡。」
三 Ⅱ ⅱ b ハ (二)大集経文
【49】^また ¬*大集だいじっ経きょう¼ の 「済さい竜りゅう品ぼん」 (意) に説ときたまふがごとし。 「時ときに娑しゃ伽羅から竜りゅう王おう、 仏ぶつを請しょうじて宮くに入いれたてまつりて、 供くを設もうく。 仏ぶつ、 竜りゅうの請しょうを受うけたまふ。 仏ぶつ、 聖しょう衆じゅと食じきしをはりたまへり。 時ときに大だい竜りゅう王おう、 また説法せっぽうを請こふ。 時ときに竜りゅう王おうの太たい子しあり、 名なづけて華け面めんといふ。 みづから仏前ぶつぜんに起たち*四支ししを地じに布しきて、 悲ひ声しょうをもつて懴さん悔げす。 ª過去かこになんの罪業ざいごうを作つくりてかこの竜りゅう身しんを受うけたるº」 と。
又如シ↢¬大集経ノ¼「済竜品ニ」説[キタマフ]ガ↡。「時ニ娑伽羅竜王、請ジテ↠仏ヲ入[レタテマツリ]テ↠宮ニ設マウク↠供ヲ。仏受†ケタマフ↢竜ノ請ヲ↡。仏与↢聖衆↡食シ訖†リタマヘリ。時ニ大竜王†、又†請フ↢説法ヲ↡。時ニ竜王ノ太子アリ、†名ケテ曰フ↢華面ト↡。自[ラ]起[チ]‡↢仏前ニ↡四支ヲ布キテ↠地ニ、悲声ヲモテ懴悔ス。過去ニ作[リ]テカ↢†何ノ罪業ヲ↡受[ケ]タル[ト]↢此ノ竜身ヲ↡。」
^またこの経きょうをもつて証しょうす。 またこれ懴さん悔げ至し誠じょうの方法ほうほうなり、 知しるべし。 一切いっさいの経きょう内ないにみなこの文もんあり。 広ひろく録ろくすべからず。 いま*三さん部ぶの経きょうを略抄りゃくしょうして、 もつて後学こうがくに示しめす。 至し心しんならざるを除のぞく。 なすものはみな知しれ。 仏ぶつは虚こ言ごんしたまはず。
又以テ↢此[ノ]経ヲ↡証ス。亦是懴悔至誠ノ方法ナリ、応[シ]↠知[ル]。一切[ノ]経‡内ニ皆 ナ有アリ↢此ノ文↡。不↠可[カラ]↢広[ク]録ス↡。今略↢*抄シテ三部[ノ]経ヲ↡、以テ示 メス↢後学†ニ↡。除ク↠†不ルヲ↢至心ナラ↡。†作ス者ハ皆 ナ知レ。仏[ハ]不↢虚言†シタマハ↡。
三 Ⅱ ⅱ b ハ (三)木槵経文
【50】^また ¬*木もく槵げん経ぎょう¼ (意) に説ときたまふがごとし。 「^▼時ときに難なん陀だ国こくの王おうあり、 波瑠璃はるりと名なづく。 使つかひをして仏所ぶっしょに来到らいとうせしむ。
又如シ↢¬木槵経ニ¼説[キタマフ]ガ↡。「時ニ有[リ]‡↢難陀国[ノ]王↡、名ク↢波瑠璃ト↡。†遣ム↣使ヲシテ来↢到セ仏所ニ↡。
^*仏足ぶっそくを頂ちょう礼らいして、 仏ぶつにまうしてまうさく、 ª世せ尊そん、 わが国くに辺へん小しょうにして*頻歳ひんざい寇賊こうぞくあり。 *五ご穀こく踊貴ゆきし疫疾えきしつ流る行ぎょうして人民にんみん困こん苦くす。 われつねに安あん臥がすることを得えず。 如来にょらいの*法蔵ほうぞうは多おおく、 ことごとく深じん0649広こうなり。 われ憂務うむありて修しゅ行ぎょうすることを得えず。 ただ願ねがはくは世せ尊そん、 ことに*慈じ愍みんを垂たれてわれに*要法ようぼうを賜たまひ、 われをして日にち夜やに易やすく修しゅ行ぎょうすることを得え、 未み来らい世せのなかに衆しゅ苦くを遠おん離りせしめたまへº と。
頂↢礼シテ仏足ヲ↡、白[シ]テ↠仏ニ言 サク、世尊、我[ガ]国辺小ニシテ頻歳ヒンゼイ寇賊コウゾク[アリ]。五穀コク踊ユ貴シ疫疾ヤクシチ流ル行シテ人民困苦ス。我 レ恒ニ不↠得↢安臥[スルコト]ヲ↡。如来ノ法蔵ハ多ク‡悉ク深広†ナリ。我 レ有[リ]テ↢憂務↡不↠得↢修行スルコトヲ↡。唯願[ク]ハ世尊、特コトニ垂[レ]テ↢慈愍ヲ↡賜[ヒ]‡↢我ニ要法ヲ↡、†使メタマヘト↧我ヲシテ日夜ニ易ク得エ↢修行[スル]コトヲ↡、未来世ノ中ニ遠↦離セ衆苦ヲ↥。
^仏ぶつ、 使つかひに告つげてのたまはく、 ªなんぢが大王だいおうに語かたれ。 もし*煩悩ぼんのう障しょう・報ほう障しょうを滅めっせんと欲ほっせば、 まさに*木槵もくげん子し一いっ百ぴゃく八はちを貫つらぬきて、 もつてつねにみづから随したがふべし。 もしは行ぎょう、 もしは坐ざ、 もしは臥がに、 つねにまさに心しんを至いたして分散ぶんさんの意こころなく、 口くちに*仏ぶっ陀だ・達だつ磨ま・僧そう伽ぎゃの名なを称しょうしてすなはち一いちの木槵もくげん子しを過すぐるべし。
仏告[ゲ]テ↠使ニ言ク、語カタレ↢卿ナンヂ[ガ]大王ニ↡。若シ†欲セバ↠滅セムト↢煩悩障・報障ヲ↡者、当ニシ↧貫ツラヌキテ↢木槵子一百八ヲ↡、以テ常ニ自ミ [ラ]随フ↥。若[シ]ハ行、若[シ]ハ坐、若[シ]ハ臥、恒ニ当ニシ↧至[シ]テ↠心ヲ無0905ク‡↢分散ノ意↡、口ニ称シテ↢仏陀・達ダル磨マ・僧伽ギヤノ名ヲ↡†乃チ†過グル↦一ノ木槵子ヲ↥。
^かくのごとくもしは十じゅう、 もしは二に十じゅう、 もしは百ひゃく、 もしは千せん、 乃ない至し百ひゃく千万せんまんせよ。 もしよく二に十じゅう万遍まんべんを満みてて身心しんしん乱みだれずしてもろもろの*諂曲てんごくなくは、 捨しゃ命みょうして*第三だいさんの炎えん摩ま天てんに生しょうずることを得えて、 衣え食じき自じ然ねんにしてつねに安楽あんらくを受うけん。 百ひゃく八はちの*結業けつごうを除断じょだんすることを得えて、 生しょう死じ0679の流ながれに背そむき涅ね槃はんの道どうに趣おもむきて、 無む上じょうの果かを獲えんº と。
如[ク]↠是[クノ]若[シ]ハ十、若[シ]ハ二十、若[シ]ハ百、若[シ]ハ千、乃至百千万セヨ。若[シ]能ク満テテ↢二十万遍ヲ↡、身心†不シテ↠乱レ†無クハ↢諸ノ諂曲↡者、†捨命シテ得[テ]↠生[ズル]コトヲ↢第三ノ炎摩天ニ↡、衣食自然[ニ]シテ常ニ受ケム↢安楽ヲ↡。得[テ]↣除↢断[スル]コトヲ百八ノ結業ヲ↡、背ソムキ↢生死ノ流†ニ↡趣[キ]テ↢涅槃[ノ]道ニ↡、獲ム[ト]↢無上ノ果ヲ↡。
^使つかひ還かえりて王おうにまうす。 王おう大おおきに歓かん喜ぎして、 頭ず面めんをもつて仏ぶつを礼らいしてはるかに世せ尊そんにまうさく、 ª尊そん教きょうを頂ちょう受じゅして、 われまさに奉ぶ行ぎょうすべしº と。
使 ヒ還[リ]テ啓マウス↠王ニ。王大 キニ歓喜シテ、頭面†ヲモテ礼シテ↠仏ヲ遥ニ白†サク↢世尊ニ↡、頂↢受シテ尊教ヲ↡我 レ当ニシ[ト]↢奉行ス↡。
^すなはち吏り民みんに勅ちょくして木槵もくげん子しを*営弁ようべんして、 もつて千せん具ぐとなし、 六親ろくしん*国こく戚しゃくにみな一いち具ぐを与あたふ。 王おうつねに誦念じゅねんして、 軍旅ぐんりょに親したしむといへどもまた廃捨はいしゃせず。
即チ勅シテ↢吏リ民ミンニ↡営ヰヤウ↢辨ベンシテ木槵子ヲ↡、以テ為†シ↢千具ト↡、六親国戚シヤクニ皆 ナ与アタフ↢一具ヲ↡。王常ニ誦念†シテ、雖 ドモ↠†親シムト↢軍旅グンリヨ イクサ [ニ]↡亦不↢廃捨ハイシヤセ↡。
^またこの念ねんをなす。 ª世せ尊そんの大だい慈じあまねく一切いっさいに応おうず。 も0650しわれこの善ぜんをもつて長ながく苦く海かいに淪しずむことを免まぬかるることを得えば、 如来にょらいまさに現げんじてわがために法ほうを説ときたまふべしº と。
又作ス↢是ノ念ヲ↡。世尊ノ大慈普ク応ズ↢一切ニ↡。若シ我†此ノ善ヲモテ得バ↠免[ルル]コトヲ↣†長ク淪ムコトヲ↢苦海ニ↡、如来当ニシ[ト]↢現ジテ為ニ↠我[ガ]説[キ]タマフ↟法ヲ。
^王おう、 *願がん楽ぎょうをもつて心しんを逼せめて三日さんにち食じきせず。 仏ぶつすなはち身みを現げんじて、 もろもろの聖しょう衆じゅと宮く内ないに来らい入にゅうして、 王おうのために法ほうを説ときたまふ」 と。
王以テ↢願楽ヲ↡、逼セメテ↠心ヲ三日不↠食セ。仏即チ現ジテ↠身ヲ、与ト↢諸ノ聖衆↡†来↢入シテ宮内ニ↡、為ニ↠王ノ説[キ]タマフ[ト]↠法ヲ。」
^またこれをもつて証しょうす。 ただこれ王おうの心しん真実しんじつなれば、 念々ねんねんに障さわり除のぞこり、 仏ぶつ、 罪滅ざいめつを知しりたまひて、 念ねんに応おうじて現げんじたまふ、 知しるべし。
又以テ↠此ヲ証ス。直‡是 レ王ノ心真実ナレバ、念念[ニ]障 リ除コ†リ、仏知[リタマヒ]テ↢罪滅ヲ↡、応ジテ↠念ニ†而現ジタマフ、応シ↠知ル。
観念かんねん阿あ弥陀みだ仏ぶつ相海そうかい三昧さんまい功く徳どく法門ほうもん経ぎょう 一巻いっかん
延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
経 ¬般舟三昧経¼ 等の諸経を指す。
髪螺 髪のうずまき。
七帀 七周。
唱あることなし 言葉でいいあらわせないという意。
耳輪垂して 耳たぶが垂れさがって。
珂月 雪のように白く光る貝。
心王 心臓。
仏心 仏の心臓。
葉 はなびら。
腹平不現 腹が平らで出ていないこと。
臍円孔深 へそがまるくて、 そのあなが深いこと。
上品往生 ¬観経¼に説く
九く品ぼんの往生のうちの上品上生・上品中生・上品下生の三を指す。
十六遍 ¬観仏三昧経¼ に順観・逆観の観想を十六遍反覆すべきことを説いているのを承けていう。
請問品 現行の ¬般舟三昧経¼ (一巻本) では、 「問事品」。
大明相 般舟三昧が成就したありさまを指していう。
定意 般舟三昧の異名。
超衆行 すべての行法に超えすぐれたもの。
一念を立して 専一のおもいをおこして。 あるいは、 真実心をもって、 という意。
その方 西方浄土。
文慧 経典の文を開いて生ずる智慧ちえ。
六入 眼げん・耳に・鼻び・舌ぜつ・身しん・意いの六根ろっこん。 または、 色しき・声しょう・香こう・味み・触そく・法ほうの六ろっ境きょうのこと。 六根を内ないの六入といい、 六境を外げの六入という。
婬色 性欲。
知足を念じて 異本には 「食知足」 (食は足ることを知りて) とある。
受陰 五ご陰おんを受用して、 自我にとらわれること。
怳忽 かりそめのものであること。
不還 迷いの凡ぼん夫ぶの意。
佳 よいこと。
三時六時 三回あるいは六回。
華台の聖衆 蓮れん華げの台にのった浄土の菩薩たち。
勝友知識 正しい道に導くすぐれた友人。
随逐影護 影が形につきしたがうように、 行者の身を離れずまもること。
便り 機会。 関係を持つこと。
愛楽相見 慈愛をもって行者とあいまみえること。
護持品 現行の ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい経きょう¼ では、 「擁護品」。
三帰五戒 仏法僧の三宝に帰依し、
五ご戒かいを受けること。
八王日 立春・春分・立夏・夏至・立秋・秋分・立冬・冬至のこと。 は地節日ともいう。 中国では、 この八日は天地の諸神・陰陽いんようの交代の日とみなされていた。
畢命相続 命がおわるまで行じ続けること。
善方便 すぐれた方法。 異本には 「異方便」 とある。
覚想中の見 精神をはたらかせて浄土のありさまを思いうかべている状態。 三昧さんまいの前段階。
驚怪するを須ゐず (当然のことであるから) 驚きあやしむにおよばない。
一々の身分 仏の三十二相のひとつひとつのすがた。
観音…雑等の観 定善十三観の第十・十一・十二・十三観。 →
定じょう善ぜん
自の三心力 次行の至し誠じょう心しん・信心・願心を指す。
三種の願力 三力 (大誓願力・三昧定力・本功徳力) のこと。
望にありては 野やにあってはの意。
朝にありては 朝廷にあってはの意。
連劫累劫 幾劫をもつらねかさねるほどの長い時間。 →
劫こう
本心 仏のみこころ。
頓教 ここでは往生浄土の法門を指していう。
四向 東西南北の四方。
彼此 誰であっても。
毀敬の… (往生浄土の法門を) そしり破る者と敬いを致す者とについて、 仏が利り益やくを示されることはむなしくない。
比校にあらず 比べものにならない。
四事供養功徳品 一巻本 ¬般舟三昧経¼ 「勧助品」 第七を指す。
重 重罪。
不可救 救うことができない。
少語の法 言葉数を少なくする生活。
謗大乗 大乗の教えをそしること。
釈子 釈迦族の人々。
灰人 灰色の人。
金顔 仏の金色の顔。
繋想不動 想いをかけて動かないという意。
逆順観如来身分 如来の身分を順観・逆観するという意。 順観は如来の身を上から下に観想すること、 逆観はその反対に下から上に観想することをいう。
一々毛孔分別如来身分 ひとつひとつの毛孔に如来の身をみきわめるという意。
諸仏… 諸仏の
妙たえなる華で
色身しきしんをかざる経という意。
頻歳寇賊 毎年のように賊の侵入があること。
五穀踊貴 穀物の値段が高くなること。
木槵子 むくろじの種子。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
住→Ⓑ往
螺→Ⓒ蠃
帀→Ⓒ市
→Ⓒ
日→Ⓑ白
→Ⓒ膊
茎→Ⓑ華
方→Ⓑ万
聞→ⒶⒷⒸ問
想→Ⓒ相
聞→Ⓑ間
狐→ⒷⒸ孤
念→Ⓒ食
問→Ⓑ間
眠→Ⓑ眼
抄→Ⓒ鈔
日→Ⓑ目
懴→Ⓒ慚
苦→Ⓑ若
阿→◎何
有人→Ⓑ右又
頂→Ⓒ項
神→Ⓒ人
亡→Ⓑ士
遍→Ⓒ偏
善→Ⓒ異
地→Ⓒ池
口→Ⓑ曰
心眼→Ⓑ己力
苦→ⒷⒸ若
波→Ⓒ般
閑→Ⓒ間
得転→◎ⒶⒷ転得
宝→Ⓑ実
白→Ⓑ自
歴→Ⓑ所
今→Ⓑ令
証→Ⓑ諸
閻→Ⓑ間
太→Ⓒ大
教→Ⓒ経
毫→◎ⒶⒷ毛
闇→Ⓑ間
太→ⒷⒸ大
和→Ⓑ種
失ス→○失ウシナフ
失→Ⓑ尖
抄→Ⓒ鈔
不シテ↠乱レ→○不乱ニシテ
不→Ⓑ木
↢入道場念仏三昧ノ法ヲ↡→○↠入ルコトヲ↢道場念仏三昧法ニ↡
○ノ
観ズベシ↢…身、円光徹照シ、端正無比ナルヲ↡。→○観ズベシ↢…身[ヲ]↡、…徹ニ↢照シ端正無比ナルヲ↡、
○ニ
住メ→○住シ
目前→○目ノ前
欲セ→○欲ハ
安オキ→○安ジ
クシ→○メ
クセヨ。→○メ、
手掌テノヒラ→○手ノ掌
合セ→○合アハセ
端シ↠身ヲ→○端身
合シ→○合[ハ]セ
開ク→○開スル
開カ→○開セ
不レ→○不[ズ]
○トシテ
○テ
。→○、
脳→○脳ナヅキ
想ヘ↧…入ルト↥→○想ヘ、…入ル
髪根→○髪カミノ根ネ
○レ
想ヘ↧…向フト↞…→○想ヘ、…向フト↠…
額広クシテ平正ナル→○額広平正ノ
眉高クシテ而長キ→○眉高而長ノ
○シ
想ヘ↢…相ヲ↡→○想ヘ、…相[ヲ]
ク→○シ、
シ…、→○ス…。
○テ
○ト
ルモ→○レドモ
除キ↠障ヲ滅ス↠罪ヲ→○除障滅罪ス
得テ→○得ウ
シタマフ→○ス
想ヘ↢…徹照スト↡→○想ヘ、…徹照ス
想ヘ↣…如シト↢…↡→○想ヘ、…如シ↢…↡
鼻修ナガク高ク直キコト→○鼻修高直ニシテ
鋳タル金鋌→○鋳ジユヰモノ金コム鋌ヂヤウ
想ヘ↧…照スト↦…↥→○想ヘ、…照スト↢…↡
想ヘ↢…潤沢ナリト↡→○想ヘ、…潤沢ナリ
想ヘ↧…映徹スト↥→○想ヘ、…映徹スト
歯白ク斉密ニシテ→○歯キ白ハク斉密ザイミチニシテ
想ヘ↢…柔軟ナリト↡→○想ヘ、…柔軟ナリ
舌薄ク広長ニシテ→○舌薄ハク広長ニシテ
↢二ノ道↡、津液→○↢二道ノ津液シムエキ↡
リテ→○ル…、
シテ而→○而シテ
ル→○レリ
シ→○ス
抽キ→○抽ヌキイデ
想ヘ↢…相ヲ↡→○想ヘ、…相ヲ
両臂ノナホク円カナル→○両臂ヒヒヂ円ヨウエンノマリラカナリ
想ヘ↧…相アリ、…相アリ、…相ヲ↥→○想[ヘ]、…相、…相、…相
二ノ手掌テノヒラ平満ニシテ→○二手ノ掌平満セル
想ヘ↢…相ヲ↡→○想[ヘ]、…相
ク…→○シ…、
言ク→○言イハク
貪↢欲スル色ヲ↡→○貪ゼン↢欲色ヲ↡
バ…者→○…者バ
シ、→○ス。
○モ
ニシテ→○ナリ。
想ヘ↢…円満ナリト↡→○想ヘ、…円満セリ
モモ膝→○ヘイモヽ膝シチ
脛[スネ]→○脛ハギ
[コブラ]→○ハギ
キコト→○クシテ
背→○背セナカ
想ヘ↧…作スト↦…↥→○想ヘ、…作セリ↢…↡
十指長クシテ指間→○十指長指ノ間
想ヘ↧…照スト↦…↥→○想ヘ、…照ス↢…↡
リ…、→○ル…。
想ヘ↢華葉ヲ↡。…、→○想ヘ、華葉、…。
想ヘ↧…照スト↦仏身ヲ↥→○想ヘ、…照スト↢仏身ヲ↡
↢…宝王↡荘厳シ→○↢…宝王荘厳↡
想ヘ↧…/…照スト↥→○想ヘ、…/…照ス
想ヘ↧…照スト↦…↥→○想ヘ、…照ス↢…↡
チ…、→○ツ…。
得…、→○得ウ…。
喜ビテ、→○喜ス。
病痛→○病 ヒ痛 ミ
横→○横ワウ
臨ミテ↢命終ノ時ニ↡→○臨命終時ニ
上↢品往↣生ス…↡→○上品ニ往↢生ス…↡
捉ヘテ→○捉ト[リ]テ
即チ失シテ↢…↡→○即↢失シテ…↡
白サク、行者→○白[サ]ク↢行者ニ↡、
持戒・念仏シ→○持[チ]テ↠戒ヲ念ジ↠仏ヲ
者ハ→○者ハ
廻シテ往生セヨ→○廻セヨ↢往生ヲ↡
明シタマフ↢七日七夜入道場念仏三昧ノ法ヲ↡→○明ス↢七日七夜↡、入ル↢道場ノ念仏三昧ノ法ニ↡
之→○ガ之
最モ第一→○最第一
欲セバ…者→○欲ハ…者バ
テ…→○ツ…。
如クニ↠法ノ→○如法ニ
バ…→○ヨ…、
↧…如キ↢毛髪ノ↡許バカリモ↥→○…↣如クモ↢毛髪許バカリノ↡
痒→○痒センカヨシ
断チ→○断ジ
意→○意 ロ
歳計スル→○歳トシニ計ハカル
キ→○ケ
↢…於一切ニ↡→○↣…於ニ↢一切↡
ケ→○カリ
履ミ→○履ネガヒ
畜積スル→○畜タクワエ積ツム
↠貪ルコト↠味ヲ→○↢貪味↡
○ヲ
了スル→○了サトル
シ→○ク
↢受陰スルコト↡→○↠受[クル]コト↠陰インヲ
↢入界スルコト↡→○↠入[ル]コト↠界ニ
ト→○ヲ
了ス↢本無ナリト↡→○了スルニ本無ナリ
了スルニ↠是ヲ→○了スルニ是 レ
知レドモ↢本無ナリト↡→○知[リ]テ↢本無ト↡
加ヘ↢慈哀ヲ 於一切ニ↡→○加[ヘ]テ↢慈哀ヲ↡ 於テ↢一切ニ↡
至要ノ慧ナリ 超エタリト↢衆行ニ↡→○至ノ要慧 超衆ノ行ナリ
立チタマフ→○立ス
其レ→○其ノ
独リ一処ニ止リテ→○独一処止シテ
ゼヨ→○[ズ]ベシ
ス…。→○[ス]ニ…、
過ギ↢…↡已リテ後→○過ギテ↢…↡已後 ノチ
タテマツラム→○ル
如シ↢人ノ夢ノ中ニ所ノ↟見ル。…。不ズ↠由クニハ↧…有ルガ↠…故ニ不ルガ↞見→○如シ↪人夢中ノ所見、…、不ルガ↩由ヨルガ↧…有ルニ↞…故ニ不ルニ↝見
ノ→○ニ
為ニ開避シテ→○為ナシテ↢開キ避ヲ↡
徹視スル→○徹シトホシ視ミル
ヲ→○ニ
徹聴スル→○徹シ聴ク
於テ→○於シテ
生ズル→○生ルヽ
於テ↠此ニ→○於ニ↠此
ゼヨ→○[ズ]ベシ
専ラ念ズル→○専念スル
何ナル→○何ノ
欲セバ…者→○欲ハン…者ハ
クハ→○[カ]レ
得ム→○得ウ
ニハ…アリテ→○ノ…
色→○色 ロ
欲スル→○欲ハム
一ラ→○一ツ
レ…。→○[リ]テ…、
キモ→○クシテ
得タリ。掃灑スルコト→○得↢掃灑セウシヤスルコト、
セヨ→○スベシ
ルマデ→○リ
月ヲ別ツハ↢四時ニ↡佳ナリ→○月別ニ四時佳ヨシ
入リテ↠浄ニ行ゼヨ↠道ヲ→○入レ↢浄行ノ道ニ↡
ヨリ乃チ至ルマデ↢七日ニ↡→○乃至七日
須ヰ↢浄衣ヲ↡、鞋靺モ→○須モチヰヨ↢浄衣鞋靺ヲ↡、
ハ→○、
ゼヨ…。→○[ジ]テ…、
礼シ↠仏ヲ、誦ス↟経ヲ→○礼仏誦経ス
知リ↢合掌シテ念ズト↟仏ヲ、→○知レ↢合掌ヲ↡、念ジテ↠仏ヲ
想↣念セヨト…、端正無比ニシテ、在スト↢…↡→○想↢念シ…端正無比ヲ↡、在ケ↢…↡
念ズル↠仏ヲ→○念仏ノ
語ル→○語モノイフ
事→○事コト
還タ→○還テ
念ゼヨ↠仏ヲ→○念仏セヨ
ハ→○ヲ
不→○不レ
発シテ↠願ヲ→○発願シテ
ニ→○ヲ
ケ→○カ
願ゼヨ↧…満タサムト↦…↥→○願ジテ…満ツベシ↢…↡
念ズルコト↠仏ヲ→○念仏
○ス
ル→○[ラ]ムニ
正↢当ニシテ身心ヲ↡→○正シテ当[リ]↢身心ニ↡
専注シテ観↢想シ…↡→○専↢注観↣想シテ…↡
ク→○[カ]レ
作セ↢往生ノ想、…迎接スル想ヲ↡→○作セヨ↢往生想ヲ↡、…迎↢接スル想ヲ↡
ラバ→○[リ]テ
ハ…者→○…者ハ
タマハム。→○テ、
スベシ→○セヨ
セル→○スル
失ヒ…、→○失ス…。
セム→○ス
ル→○[リ]テ
生ゼ→○生レ
勧メタマフ↧一切ノ衆生ニ…願ゼヨト↞…→○勧[メ]下フ↢一切衆生ヲ↡、…願ゼヨ↠…
勧メタマフ↧…不レト↞…→○勧[メ]下フ、…不レト↠…
勧メタマフニ↣…↢…↡→○勧[メ]テ…↢…↡
勧メタマフニ↠…→○勧[メ]下フ…
ツル→○テン
アリ。→○、
何ノ→○何ナル
已後→○已後ノチ
○ル
フ→○ハン
不→○不ラム
フ→○ハム
ル…。→○[リ]テ…、
シ→○[ケ]ム
シテ…、→○スル…。
之→○ノ之
バ者→○者バ
化↢作シ無数ノ化仏ヲ↡→○、化作無数ノ化仏
○、
シタマフト→○ス
シ…。→○キハ…、
○ノ、
ニ…、→○…。
如キ↠前ノ身相等ノ光→○如キ↢前ノ身相等ノ光 リノ↡、
専ラ念ズル↢…↡→○専↢念スル…↡
専ラ念ジテ↢…↡→○専↢念シテ…↡
願ズレバ…者→○願ズル…者モノ
得シムト→○得
シタマフ→○スル
↠不ルヲ↢至心ナラ↡→○↢不至心ヲ↡
諸縁ノ事→○諸ノ縁事
至シテ↠心ヲ→○至心
ル…。→○リテ…、
○ベシト
得テ…、→○得ウ…。
シト→○ク
ルニ→○[リ]テ
シタマハク…、→○ス…。
差ツカハシテ→○差サシテ
ノ→○ヲシテ
ム→○メヨ
スル→○セム
誦スルコト↠経ヲ→○誦経
タセ…。→○テ…、
↢…見タテマツラムト↟仏ヲ→○↢…見仏ヲ↡
知リ→○知[シロシ]メシ
没シテ王宮ニ→○没シテ↢王宮ニ↡
ニ…、→○…。
タマヒ…、→○下エリ…。
ゲ…、→○グ…。
求メテ↠哀ミヲ→○求哀シ
教ヘテ↠我ヲ観ゼシメタマヘト↢於清浄業処ヲ↡→○教エ下ヘ↢我ニ観シムルコトヲ↟於オ↢清浄ノ業処↡
直[タダ]→○直ニ
セリ→○ス
但使 タダ 有リテ↢…願ズル↠見タテマツラムト者↡、…憶スレバ↠仏ヲ→○但使メヨ↧有[ラ]ム↢…願ズルコト↟見ミ上ラムト者モノハ、…憶オクセ↞仏ヲ
加シタマフガ↠念ヲ→○加念スルガ
加シタマフガ↠念ヲ→○加念[ス]ル
為セ→○為セヨ
ヘ→○フ
ビタマハ→○バ
但使 タダ 帰スレバ↠誠ニ→○但使メヨ↠帰セ↠誠ヲ
ル→○[ラ]ム
讃ジ→○讃メ
受持シテ広ク→○受持シテ↢広ク↡
ム→○メン
コト→○ベシ
ニシテ→○ナリ、
ニ→○ハ
○セ
若キハ↢…ノ↡→○若シ…
ル→○レン
ガ→○シテカ
得ム→○得ウベキ
告ゲテ…、韋提→○告ゲテ↢…韋提ニ↡
計ケテ↠念ヲ→○計念シテ
注ムレバ↠意ヲ→○注意セバ
同ジテ→○同[ジ]ク
得ベシ→○得ム
粗見→○粗ホヾ見[ル]
得レバ…者→○得ツレ…者バ
シ→○ケン
但使 タダ 傾クレバ→○但 ダ使ムレバ↠傾カ ケ
不↠須ヰ↢驚怪スルヲ↡→○不↠須ク[カラ]↢驚怪ス↡
シ…。→○[キ]ハ…、
キタマフ→○ク
若キハ↢…ノ↡→○若シ…ハ
随ヒテ↢…↡、時ニ→○随フ↢…↡時
シタマヘ→○セ
キ、→○ク。
及ブト↠見ルニ→○及見ル
ガ→○ニ
トシテ而→○ト而シテ
ニ、→○ノ
○ナリ
モテ→○シテ
ゼバ…、→○ズベシ…。
一→○一ツ
乃チ至ルマデ↢…ニ↡→○乃至…マデ
命欲スル↠終ラムト時→○命欲終時ニ
↠見タテマツラムト↠仏ヲ→○↢見仏ヲ↡
乃チ→○乃シ
ヒ…、→○ハム…。
与↢聖衆・華台↡→○与ト↢聖衆↡華台ヲ
見タテマツリ↠仏ヲ→○見仏シ
ム→○ル
・→○ノ
ズル…者ハ→○ズレ…者バ
シテ→○[シ]下ヘル
致ス↠使ムルコトヲ↧凡夫ノ念ズル者ヲシテ…得↦見仏スルコトヲ↥→○致ス↠使ムルコトヲ↢凡夫ヲシテ念[ゼ]↡者モノナリ。…得↢見仏ヲ↡
自→○自 ラ
藉[カ]リテ↢…ヲ↡→○藉[ヨ][リ]テ↢…ニ↡
ス…。→○シテ…、
欲スル…者ハ→○欲ハ…者バ
守リテ習持シテ→○守習シ持シテ
有ルコトヲ↧疑想如キ↢毛髪ノ↡許バカリモ↥→○有[ル]コトヲ↢疑想↡、如キモ↢毛髪許ノ↡
ノ身、…相アリ、…無比ナルヲ↡→○ヲ↡。身…相サウマシマス、…無比ナリト
○ハ
サ→○セ
○シテ
ラム→○ル
スル→○ノ
摂シテ↠念ヲ→○摂念シテ
ズレ→○ゼ
タテマツリ→○ム
正向シテ→○正ク向テ
専ラ称シテ↢…↡→○専↢称シ…↡
念→○念ジテ
令メタマフ↠見→○令ム↠見上ラ
中ニ説キタマフガ→○中ノ説ノ
ム→○メ下
専ラ念ゼシメタマフ→○専念[セ]シム
与ニ↢聖衆・華台ト↡授手→○与↢聖衆↡華台ヲ授手シテ
メタマフ→○ム
専ラ念ズレバ↢…↡→○専↢念スレバ…↡
テ→○下フ
得シメタマフ→○得
為ス→○為ル
命終ノ→○命 チ終ラム
ハ→○トイハヾ
計ケ↢念ヲ…ニ↡→○計↢念シテ…ヲ
ハ…者→○ト云…者バ
果遂セ→○果ハタシ遂トゲ
ニ→○ノ
セシム…。→○シテ…、
云ハバ↢…不ト↟…者→○云ク、…不ト云↠…者ハ
不…也→○不ル…也 リ
言ハバ↧…得シムト↞…者、…得シムル↠生ズルコトヲ。…保↢証スル得生ヲ↡也→○言[フ]↧…得エシムト↠…者イフハ、…得シメ↠生ズルコトヲ、…保↦証スルト得生ヲ↥也ヤ
観ズ↢彼ノ国ヲ↡。浄業成ズル者ナリ→○観ズ↢彼国ノ浄業成ゼル者ヲ↡
メム→○ム
説キテ↠教ヲ→○ノ説教
シタマフ→○セシム
○云
一ニハ→○一[タ]ビ
スレバ→○シテハ
ケ→○ク
欲スルモ↢願ジテ帰セムト↟仏ニ→○欲スレドモ↠願ズ↠帰セムト↠仏ニ
スルコト→○ニ
ク→○シ
ジ→○ズ
見ル↢他ノ悪ノミヲ↡。故ニ→○見テ↠他ヲ悪ニクムガ故ニ
至ルマデ↢諸仏・賢聖ヨリ、人天・六道一切ノ良善ニ↡→○至リ↢諸仏・賢聖ニ↡、人天・六道ニテ一切ノ良善
専心ニ→○専ニシ↠心ヲ
計ケテ↢念ヲ→○計↢念シテ
↠念ズルコトヲ↢仏法僧ヲ↡→○↢念仏法僧ヲ↡
如キ↠此クノ→○如[キ]ノ↠此ノ
生ズル→○生ム
乃チ至ルマデセム一念ニ。→○乃至一念シテ、
キタマハク…、→○ク…。
ルマデ→○[リ]テ
舒舌→○舒[ベ]テ舌ヲ
ス…。→○サク…、
雨ラシ→○雨フリ
○ニモ
憚ル之心→○憚ハヾカル之ニ↠心
↢…得シムト↟生ズルコトヲ→○↢…得生セシムト↡
而→○而シカモ
答フ↧前ノ問ニ、摂シテカ↢何等ノ衆生ヲ↡得シムルトイフコトニ↞生ズルコトヲ↢浄土ニ↡。/五種増上縁ノ義→○答ス↢前サキノ問モンノ摂何等衆生得生浄土ノ/五種増上縁ノ義ヲ↡、
ナリ→○タリ
カ→○ヤ
為セ↢…ヲ↡→○為スル↢…ト↡
如シ↢上ノ五悪性分ノ中ニ已ニ説キ竟ルガ↡→○如シ↢上ノ五悪性分ノ中ノ↡已スデニ説キ竟リヌ
直→○直ヂキ
為サム→○為セム
応ニ当シ↣受↢持ス…↡→○応シ↣当マサニ受↢持ス…↡
…者ニハ→○ニ…者ハ
開スル→○開ヒラク
除キ↢害スル↠人ヲ悪鬼ヲ↡殄滅シテ→○除ク↢害人悪鬼殄滅ヲ↡
キ→○ク
ラム→○ルベシ
キ→○クノ
於テ↠後ニ閻浮提ニ→○於テ↢後ニ閻浮提ニ↡
不↠具セ→○不具ナラム
ム…。→○テ…、
ムル→○メン
不[ズ]→○不ジ
死シテ後→○死後
堕シテ↢於地獄ニ↡→○堕オツ↠於ニ↢地獄↡
○ン
未[ザ]ダラム→○未ジ ダ
ルモ→○[リ]テ
ルモ→○レドモ
不ラム→○不[ズ]
↢於…ニ↡→○↠於↢…↡
称・観・礼・讃シ、香華ヲモテ供↢養シ…↡→○称↢観シ礼↣讃シ、香↤華供↯養シ…↡
観想シテ、三昧→○観↢想シテ三昧ヲ↡
欲ス→○欲フ
ビタマフ→○ブ
フレバ者→○エ者バ
セシメヨ→○スベシ
ヲモテ助ケテ歓喜セシメテ→○助歓喜シテ
タマヘリ→○タリ
得タマヘリ→○得ウ
タマフ→○ム
ハ→○シテ
比↢校セム念仏ノ功徳ニ↡→○比校シテ念ゼム↢仏ノ功徳ヲ↡
シ→○キ
人寿→○人ノ寿 チ
ル→○ラム
シ→○ケン
取リテ↧是ノ人ノ行処、著↢満セル中ニ↡珍宝ヲ↥→○取[リ]テ↢是人行処ニ、著ツケテ満ミチララム↠中ニ珍宝ヲ↡
スルニ、→○セム。
所ノ↠得ル→○所得ノ
ヲモテ供養シテ助ケテ歓喜セシムル→○供養助歓喜セム
スル→○ノ
○バ
フ→○ヒキ
シタテマツル→○ス
還タ→○還 エ[リ]テ
也→○也ナリ
ヲモテ助ケテ歓喜セシム→○助歓喜ス
於テ↢比丘ノ所ニ↡出家シテ→○於テ↣比丘所 ロニ↢出家スル↡
却リテ→○却サ[リ]テ
得タリ→○得
ナル→○オ
↠求メ↠学ヲ→○↢求学セ↡
ス→○[サ]ク
所引ノ→○ニ所 ロノ引ク
畢ヘテ↢此ノ一形ヲ↡→○畢ハテ↢此[ノ]一形↡
セバ…者→○セム…者モノハ
ガ→○ヤ
セム→○スベキ
フレバ者→○[エ]者バ
フ→○ヒキ
○キ
破シ↠戒ヲ犯ス↠重ヲ→○破戒犯重ナリ
所ヲ↠犯ス→○所犯ヲ
観ジ→○観ミ
スルコト如ク↢…↡、→○ス、如シ↢…。
↢…於地ニ↡→○↢…於↟地
ヒテ→○[ヒ]上テ
証ス→○証トス
ズル→○ゼム
犯サム→○犯セラム
・→○ノ
スルコト→○シテ
ズルコト→○[ジ]テ
ズルコト→○ジテ
ズル→○ゼン
不ハ↠見マミエ者→○不↠見者ハ
応シ↧…観ズ↦眉間ノ白毫ヲ↥。…啼泣セヨ→○応シ↧…観[ジ]テ↢眉間ノ白毫ヲ↡、…啼泣テイキフス↥
シタマハク→○ス
今者 イマ →○今 マ者ハ
キ→○[ク]ト
発露悔過シ、随↢順シテ仏語ニ↡→○発↢露悔↣過シ随↤順シテ仏語ヲ↡
ズルコト→○[ジ]テ
ラバ→○[リ]ナバ
ケタリ→○[ケ]キ
ケ…、→○[ケ]キ…。
仏→○仏ホトケ
説キ…已リタマフニ→○説[キ]下フコト…已リテ
雨ラスニ↠涙ヲ、→○雨涙ス。
キテ→○クニ
タテマツリ→○ルコト
ス→○シキ
有ラバ↧得ムトスル↢…↡者、観ゼムトスル↢…↡者、得ムトスル↢…↡者↥→○有ラム↠得ルコト↢…↡者モノ、観ゼム↢…↡者モノ、得ム↢…↡者モノ
生ズル→○生ナス
シテ→○リ
ニシテ→○ナリ、
ス→○セリ
セバ…者→○サ…者バ
ク…、→○シ…。
壊スル→○壊ヤブル
如ク↠是クノ→○如シ↠是ノ、
生ゼバ…者→○生ナセ者バ
者→○者イフハ
所謂ル→○所ル↠謂イハユ
ケタマフ→○ク
リタマヘリ。→○[リ]下ヒテモ、
、→○ニ
請フ→○請ズ
名ケテ→○名オバ
↠不ルヲ↢至心ナラ↡→○↢不至心ヲ↡
作ス者ハ→○作者
シタマハ→○セ
遣ム↣使ヲシテ来↢到セ…↡→○遣ツカハシテ↠使ツカヒヲ来↢到セシム…↡
ナリ。→○ナレドモ、
使メタマヘト↧…易ク…、…遠↦離セ衆苦ヲ↥→○使メヨ↢…易ヤスカラ↟…、…遠↢離セム衆苦ヲ>↡
不乱ニ
命ヲ捨テ
欲セバ…者→○欲ハ…者バ
乃チ→○乃シ
過グル→○過スグス
無クハ…者→○無レ…者バ
捨命シテ→○捨テヽ↠命ヲ
ヲモテ→○ニ
サク→○シテ
シテ→○ス
親シム→○親チカヅク
此ノ善ヲモテ→○此善ク
↣長ク淪ムコトヲ↢苦海ニ↡→○↢長淪苦海ヲ↡
来↢入シテ…↡→○来[リ]テ入シテ↢…↡