0123ぶっせつ阿弥陀あみださん三仏さんぶつ薩楼さるぶつだん過度かど人道にんどうきょう かんじょう

がっこく居士こじけんやく

 

序分
  証信序
    六事成就

【1】 ぶつ*えつ*しゃ崛山くっせんのうちにましましき。

仏在シキ↢羅閲祇耆闍崛山↡。

とき摩訶まか比丘びくそうまん千人せんにんありて、 みなじょうけついち種類しゅるいにしてみな阿羅あらかんなり。

リテ↢摩訶比丘僧万二千人↡、皆浄潔一種類ニシテ皆阿羅漢ナリ

賢者けんじゃ*りん賢者けんじゃ*ばっ智致ちち賢者けんじゃ*摩訶まか那弥なみ賢者けんじゃごう賢者けんじゃしゅまんにち賢者けんじゃ*ゆいたい賢者けんじゃない賢者けんじゃ迦為かい抜抵ばったい賢者けんじゃ*憂為ういしょう賢者けんじゃ*那履なりしょう賢者けんじゃ*よくしょう賢者けんじゃ*しゃほつ賢者けんじゃ*摩訶まかもく揵連けんれん賢者けんじゃ*摩訶まかしょう賢者けんじゃ*摩訶まか旃延せんえん賢者けんじゃ摩訶まかけいしつ賢者けんじゃ*摩訶まか拘私くし賢者けんじゃ摩訶まか梵提ぼんだい賢者けんじゃ邠提ふんだいもんほつ賢者けんじゃ*なんりつ賢者けんじゃ難提なんだい賢者けんじゃけんたい賢者けんじゃ須楓しゅふう賢者けんじゃおつ賢者けんじゃ*摩訶まかげい賢者けんじゃ摩訶まか波羅はらえん賢者けんじゃ*波鳩はく賢者けんじゃなん賢者けんじゃまんふう賢者けんじゃさいけい賢者けんじゃ厲越らいおつ、 かくのごときのもろもろの比丘びくそう、 はなはだしゅにしてしゅ千億せんおく万人まんにんなり。 ことごとくこれさつ阿羅あらかんなり。 央数おうしゅにしてまたかぞふべからず、 すべてともにだいしてす。 みな賢者けんじゃなりき。

賢者拘隣・賢者抜智致・賢者摩訶那弥・賢者合尸・賢者須満日・賢者維末抵・賢者不迺・賢者迦為抵・賢者憂為迦葉・賢者那履迦葉・賢者那翼迦葉・賢者舎利弗・賢者摩訶目揵連・賢者摩訶迦葉・賢者摩訶迦旃延・賢者摩訶掲質・賢者摩訶拘私・賢者摩訶梵提・賢者邠提文陀弗・賢者阿難律・賢者難提・賢者脾抵・賢者須楓・賢者蠡越・賢者摩訶羅倪・賢者摩訶波羅延・賢者波鳩蠡・賢者難持・賢者満楓蠡・賢者蔡掲・賢者厲越、如キノ↠是クノ比丘僧、甚衆多ニシテ数千億万人ナリ。悉コレ菩薩・阿羅ナリ。無央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡、都大会シテ。皆賢者也

発起序

ときぶつそくしてしょうどうねんしたまふに、 おもてしきひかりありてしゅせんひゃっぺんす。 光色こうじきはなはだだいみょうなり。

仏坐息シテ思↢念シタマフニ正道↡、面リテ↢九色光↡数千百変。光色0124大明ナリ

なんすなはちちてあらためて袈裟けさおおひ、 すすみてめんをもつて仏足ぶっそくけて、 すなはちじょう叉手しゃしゅして、 ぶつひたてまつりてまうさく、

阿難即チテメテ↢袈裟↡、前ミテ↢頭面↡著ケテ↢仏足↡、長跪叉手シテ、問ヒタテマツリテ↠仏

今日こんにちぶつおもて光色こうじき、 なにをもつてか時々じじきょうへんしてあきらかなることすなはちしかるや。 いまぶつおもてこうしょうしゅせんひゃくじきにしてじょうみょうこうなることいましかくのごとくなる。 われぶつつかへたてまつりてよりこのかた、 いまだかつてぶつおもて今日こんにちしきのごとくなるものあることをたてまつらず。 われいまだかつてさん三仏さんぶつこうみょうじんのすなはちしかるをたてまつらず。

今日仏光色、何テカ時時更変シテカナルコト乎。今仏光精、数千百色ニシテ上下明好ナルコトクナル↠是クノ。我侍ヘタテマツリテヨリ↠仏已来、未↫曽タテマツラ↪仏ルコトヲ↩如クナル↢今日↡者↨。我未↣曽タテマツラ↢三耶三仏光明威神ルヲ↡。

ひとりまさにこころあるべし。 ねがはくはこれをかんとほっすと。

↠有↠意。願クハスト↠聞カムト↠之

ぶつのたまはく、 賢者けんじゃなん、 もろもろの天神てんじんありてなんぢにおしふるや、 もしは諸仏しょぶつのなんぢにおしへていまわれにはしむるものなるや。 なんぢみづからぜんよりでてぶつふやと。

仏言、賢者阿難、有リテ↢諸天神↡教フルヤ↠汝、若シハ諸仏ヘテ↠汝今問ハシムル↠我ナル耶。汝自↢善意↡出デテ↠仏

なんぶつにまうしてまうさく、 もろもろの天神てんじんありてわれにおしふることなく、 また諸仏しょぶつのわれにおしへてぶつはしむることもなし。 われみづから善心ぜんしんによりてぶつりてぶついたてまつるのみ。

阿難白シテ↠仏、無↧有リテ↢諸天神↡教フルコト↞我、亦無↢諸仏ヘテ↠我ムルコトモ↟問↠仏也。我自リテ↢善心↡知リテ↢仏意↡問ヒタテマツル↠仏爾。

ぶつ坐起ざきぎょうらい出入しゅつにゅうごとに、 とうせんとほっするところ、 まさに作為さいするところ、 もろもろの教勅きょうちょくするところのものは、 われすなはちぶつのごとし。

↢仏坐起・行来・出入↡、所↠欲スル↢至セムト↡、当所↢作為スル↡、諸↢教勅スル↡者、我輒↢仏意↡。

いまぶつひとりまさにもろもろの過去かこぶつ・もろもろの当来とうらいぶつ・もしはほう仏国ぶっこくのいま現在げんざいぶつねんじ、 ひと展転てんでんしてあひねんしたまふべし。 ゆゑにぶつ面色めんじきこうみょうすなはちしかるのみと。

今仏独↧念↢諸已過去仏・諸当来仏・若シハ他方仏国今現在↡、独展転シテ相思念シタマフ↥。故面色光明乃

ぶつのたまはく、 いかないかな、 賢者けんじゃなん、 なんぢがへるところのものは、 甚深じんじんにしておほきにこころよだつするところおおし。 なんぢがぶつへるものは、 いちてん阿羅あらかんびゃくぶつよう諸天しょてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい布施ふせしてこうかさぬるにすぐるることひゃく千億せんおく万倍まんばいなりと。

仏言、善哉善哉、賢者阿難、汝↠問ヘル、甚深ニシテ↠所↢度脱スル↡。若ヘル↠仏、勝ルルコト↧於供↢養一天下阿羅漢・辟支仏↡布↢施シテ諸天・人民及蜎飛蠕動之類↡累ヌルニ↞劫百千億万倍也

ぶつのたまはく、 なん、 いま諸天しょてんけん帝王たいおう人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい、 なんぢみなこれをだつすと。

仏言、阿難、今諸天・世間帝王・人民及蜎飛蠕動之類、汝皆度↢脱スト↡。

ぶつのたまはく、 ぶつじんはなはだおもくしてあたりがたし。 なんぢがえるところのものは甚深じんじんなり。 なんぢすなはち仏所ぶっしょしんありて、 諸天しょてん帝王たいおう人民にんみんもしは比丘びくそう比丘びく優婆うばそく優婆うばあわれむことおほきにし。 まさになんぢみなこれを過度かどすべしと。

仏言、仏威神甚クシテ↠当也。汝↠問ヘル甚深ナリ。汝乃慈↢心アリテ於仏所↡、哀ムコト↢諸天・帝王・人民若シハ比丘僧・比丘尼0125・優婆塞・優婆夷。当シト↣爾皆過↢度↡。

ぶつなんかたりたまはく、 けんどんじゅあり、 ただのみありてはなあることなし、 てんぶつましますは、 すなはちはなありてづるがごときのみ。 けんぶつましますははなはだふことをがたし。 いまわれてんでてぶつとなれり。

仏語リタマハク↢阿難↡、如↧世間↢優曇樹↡、但有リテ↠実ノミ↠有ルコト↠華也、天下スハ↠仏、乃リテ↠華出ヅルガ↥耳。世間スハ↠仏甚↠得↠値フコトヲ也。今我出デテ↢於天下↡作レリ↠仏

なんぢ大徳だいとくありて聖明しょうみょう善心ぜんしんにしてあらかじめぶつるに、 なんぢみだりに仏辺ぶっぺんにありてぶつつかへずと。

若有リテ↢大徳↡聖明善心ニシテルニ↢仏意↡、若不↧妄リテ↢仏辺↡侍↞仏也。

正宗分
  菩薩発願
    三十四仏

【2】 ぶつなんげたまはく、 さき過去かこ摩訶まかそうよりこのかたそのこう央数おうしゅにしてまたかぞふべからず、 そなはちそのとき過去かこぶつましましき、 だいがつづく。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、前已過去事、摩訶僧祇ヨリ已来劫無央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡、乃時有シキ↢過去仏↡、名↢提和竭羅↡。

つぎにまたぶつまします、 せん陀倚だいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 しゅこうさっづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 ゆい末楼まるづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 なん那利なりづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名旃陀倚↡。リタマヒキ。次復有↠仏、名↢須摩扶劫波薩多↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢維末楼↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢阿難那利↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 かつづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 しゃ梨倶りくてい波羅はらさいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 弥離みりづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 ばつ陀尼だにづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 朱蹄しゅだいづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名↢那竭脾↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名者梨倶遰波羅夜蔡↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢弥離倶楼↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢軷陀尼↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢朱蹄波↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 ぼんたいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 ろくづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 せん扈斯こしづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 しゅゆいしゃづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 げんづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名↢凡扶↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢堕楼勒↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名旃陀扈斯↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢須耶惟于沙↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢拘還弥鉢摩耆↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 屍利しりこつづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 摩訶まかだいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 耆頭ぎずだいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 りん祇離ぎりづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 倶路くろさいづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名屍利滑攱↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢摩訶那提↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢耆頭摩提↡。已0126リタマヒキ。次復有↠仏、名↢羅隣祇離↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢兪楼倶路蔡↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 まんぐんひんこうづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 せんそくばつしゃづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 せんさいじんづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 はんびんづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 はつづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名↢満呼群尼鉢賓䫛↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名旃陀遬臾抜和沙↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名旃陀蔡拘岑↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢潘波蠡頻尼↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢軷波惒斯↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 じゅつ祇陀ぎだけいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 もつ署提しょだいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 しつさいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 どん摩和まわだいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 篩耶しやゆい䫛質こうしつづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名阿術祇陀掲↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢勿署提↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢質夜蔡↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢曇摩和提↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢篩耶維䫛質↡。已リタマヒキ

つぎにまたぶつまします、 たいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 そう羅弥らみたいづく。 すでにりたまひき。 つぎにまたぶつまします、 曇昧どんまいだいゆい難提なんだいづく。 すでにりたまひき。

復有↠仏、名↢楼耶帯↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢僧迦羅弥楼迦帯↡。已リタマヒキ。次復有↠仏、名↢曇昧摩提阿維難提↡。リタマヒキ

ぶつなんげたまはく、 つぎにまたぶつましましき、 楼夷るいこうづく。 けんにましましてきょうじゅしたまふ。 寿いのちじゅうこうなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、次復有シキ↠仏、名↢楼夷亘羅↡。シテ↢世間↡教授シタマフ。寿四十二劫ナリ

二 Ⅰ 菩薩選択

すなはちそのときだい国王こくおうあり。 おうぶつきょうどうこころすなはちかんかいして、 すなはちくにおうてて、 ぎょうじて沙門しゃもんとなり、 どん摩迦まかなづく。 さつどうをなしてひととなり高才こうざい智慧ちえゆうみょうにして、 ひとぜつせり。

時世↢大国王↡。王聞↢仏経道↡心即歓喜開解シテ、便↠国テテ↠王、行ジテ↢沙門↡、ナヅ↢曇摩迦↡。作シテ↢菩薩道↡為↠人高才、智慧勇猛ニシテ、与↢世人↡絶異セリ

きて楼夷るいこうぶつのみもとにいたりて、 すすみてぶつのためにらいをなし、 しりぞきてじょう叉手しゃしゅし、

キテリテ↢楼夷亘羅仏↡、前ミテ↠仏↠礼キテ長跪叉手

ぶつにまうしてまうさく、 われぶつもとめんとほっしてさつどうをなさん。

シテ↠仏、我欲シテ↠求メムト↠仏サム↢菩薩道↡。

われのちぶつせしめんとき八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅぶつのなかにおいて最尊さいそん智慧ちえゆうみょうにして、

メム↢我後作仏↡時、於↢八方上下無央数↡最尊智慧勇猛ニシテ

ちゅうこうみょうぶつこうみょうのごとくえんしょうするところきわまりなく、

頭中光明↢仏光明↡所↢焔照スル↡無↠極

しょこくねん七宝しっぽうきわめておのづから軟好なんこうならん。

所居国土自然七宝極0127軟好ナラム

われのちぶつせしめんときみょうきょうじゅして、 みな八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくこえて、 わがみょうもんせざるものなからん。

メム↢我後作仏↡時、教↢授シテ名字↡、皆聞エテ↢八方上下无央数仏国↡、莫ラム↧不↣聞↢知名字↡者↥。

もろもろの央数おうしゅてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい、 もろもろのわがくにらいしょうするもの、 ことごとくみなさつ阿羅あらかんにならしむること央数おうしゅにして、 すべて諸仏しょぶつくにすぐれん。

無央数天・人民及蜎飛蠕動之類、諸来↢生スル↡者、悉皆令ムルコト↠作↢菩薩・阿羅漢↡无央数ニシテ、都レム↢諸仏↡。

かくのごときものはむしろべけんやいなやと。

↠是クノケムヤ↠得不ヤト

ぶつなんかたりたまはく、 その楼夷るいこうぶつそのこうみょう所願しょがんぜんなるをりて、 すなはちどん摩迦まかさつのためにきょうきてのたまはく、

仏語リタマハク↢阿難↡、其楼夷亘羅仏知リテ↢其高明所願快善ナルヲ↡、即↢曇摩迦菩薩↡説キテ↠経

たとへばてん大海だいかいみず一人いちにんにしてこれをりょうせんに、 一劫いっこうにしてまずは、 なほじんしてむなしからしめその底埿たいでいべきがごとし。 ひとしんどうもとめんに、 いかんがまさにべからざらん。 しゃくしょうじんして休止くしせざれば、 かならずまさにしんちゅう所欲しょよくがんべきのみと。

ヘバ↫天下大海水、一人ニシテ斗↢量セムニ↡、一劫ニシテ↠止、尚可キガ↪枯尽シテ↠空シカラ得↩其底埿↨。人至心メムニ↠道、可如ラム↠可カラ↠得乎。求索精進シテレバ↢休止↡、会↠得↢心中所欲

どん摩迦まかさつ楼夷るいこうぶつきょうきたまふことかくのごとくなるをきて、 すなはちおほきにかんやくす。

曇摩迦菩薩聞キテ↢楼夷亘羅仏キタマフコト↠経クナルヲ↟是クノ、即歓喜踊躍

そのぶつすなはちひゃくいちじゅうおく仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこくこうしゅせんじゃくして、 ためにしんちゅう所欲しょよくがんせんじゃくせしむ。

仏即選↢択シテ二百一十億仏国土諸天・人民之善悪、国土之好醜↡、為選↢択セシム心中所欲↡。

楼夷るいこうぶつきょうきたまふことをはりて、 どん摩迦まかすなはちそのこころいつにして、 すなはち天眼てんげんてっしてことごとくみづからひゃくいちじゅうおくしょ仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみん善悪ぜんあくこくこうしゅて、

夷亘羅仏説キタマフコト↠経リテ、曇摩迦便ニシテ↢其↡、即↢天眼↡徹視↢二百一十億諸仏国諸天・人民之善悪、国土之好醜↡、

すなはちしんちゅう所願しょがんせんじゃくして、 すなはちこのじゅうがんきょう結得けっとくし、

選↢択シテ心中所願↡、便結↢得二十四願↡、

すなはちこれをぎょうすることしょうじんゆうみょうにして、 ごんしゃくす。

奉↢行スルコト↡精進勇猛ニシテ、勤苦求索

かくのごとくなること央数おうしゅこうなり。

クナルコト↠是クノ無央数劫ナリ

師事しじようするところのもろもろの過去かこぶつもまた央数おうしゅなり。

↢師事供養スル已過去亦无央数ナリ

そのどん摩迦まかさつそのしかうしてのちいたりてみづからいたしてぶつするをて、 弥陀みだぶつづく。 最尊さいそん智慧ちえゆうみょうにしてこうみょうならびなし。 いま現在げんざいしょこくはなはだぜんなり。 ほう仏国ぶっこくにありて、 八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいきょうじゅするに、 憂苦うく過度かどだつするをざるはなしと。

曇摩迦菩薩至リテ↢其シテ↡自シテ↢作仏スルヲ↡、名↢阿弥陀仏↡。最尊智慧勇猛ニシテ光明無↠比。今現在所居国土甚快善ナリ。在リテ↢他0128異仏国↡、教↢授スルニ八方上下無央数天・人民及蜎飛蠕動之類↡、莫シト↠不ルハ↠得↤過↢度解↣脱スルヲ憂苦↡。

二 Ⅰ 二十四願

【3】 ぶつなんかたりたまはく、 弥陀みだぶつさつたりしとき、 つねにこのじゅうがんぎょうして、 珍宝ちんぽうのごとくあいじゅう保持ほじしんし、 しょうぜんにしてこれにしたがふ。 しゅちょうぜつ卓然たくぜんとしてあり。 みなよくおよぶものあることなしと。

仏語リタマハク↢阿難↡、阿弥陀仏為リシ↢菩薩↡時、常奉↢行シテ二十四願↡、珍宝ノゴトク愛重保持恭慎、精禅ニシテ↠之。与↠衆超絶卓然トシテ↠異。皆無シト↠有ルコト↢能者↡。

ぶつのたまはく、 なにをかじゅうがんとなすと。

仏言ヲカスト↢二十四願↡。

第一だいいちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうないきんじゅう薜荔へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあることなからしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第一ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↢我国中カラ↟有ルコト↢泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうにんあることなからしめん。 女人にょにんありてわがこくちゅうらいしょうせんとほっせば、 すなはちなんとならん。 もろもろの央数おうしゅてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐい、 わがくにらいしょうせんものは、 みな七宝しっぽうすいれんのうちよりしょうし、 ちょうだいしてみなさつ阿羅あらかんにならんもの、 すべて央数おうしゅならん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第二ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↢我国中カラ↟有ルコト↢婦人↡。女人アリテセバ↣来↢生セムト国中↡者、即ラム↢男子↡。諸無央数天・人民・蜎飛蠕動之類、来↢生セム↡者、皆於↢七宝水池蓮華中↡化生、長大シテ皆作ラムモノ↢菩薩・阿羅漢↡、都无央数ナラム。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

第三だいさんがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくをしてねん七宝しっぽうこうじゅうにして甚大じんだい曠蕩こうとうにしてきわまりなく、 おのづから軟好なんこうに、 しょ舎宅しゃたくぶく飲食おんじきはすべてみなねんにして、 たとへば第六だいろく天王てんのうしょところのごとくならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第三ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我国土ヲシテ自然七宝広縦ニシテ甚大、曠蕩ニシテ↠極軟好、所居舎宅・被服・飲食皆自然ニシテヘバクナラ↢第六天王所居↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがみょうをしてみな八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくこえしめん。 みな諸仏しょぶつをしておのおの比丘びくそうだいのなかにおいて、 わがどくこくぜんかしめん。 諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐい、 わがみょうきてしんをもつてかんやくせざるものなく、 みなわがくにらいしょうせしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

0129ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我名字ヲシテ皆聞↢八方上下無央数仏国↡。皆令メム↧諸仏ヲシテ↢比丘僧大坐↡、説↦我功徳・国土之善↥。諸天・人民・蜎飛蠕動之類、聞↢我名字↡莫↧不↢慈心ヲモテ歓喜踊躍↡者↥、皆令メム↣来↢生↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいがんずらく、 それがしぶつせしめんとき八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいをして、 もしぜんあくをなすに、 わがみょうきてわがくにらいしょうせんとほっせば、 すなはちほんしょうし、 みづから悔過けかして、 どうのためにぜんをなし、 すなはちきょうかいして、 がんじてわがくにうまれんとほっして断絶だんぜつせざらしめむ。 寿いのちおわりてみなないきんじゅう薜荔へいれいかえらずして、 すなはちわがくにうまれてこころ所願しょがんにあらしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第五ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧八方上下無央数天・人民蜎飛蠕動之類ヲシテ、若前世スニ↠悪、聞キテ↢我名字↡欲セバ↣来↢生セムト↡者、即便、自悔過シテ、為↠道↠善、便シテ↢経戒↡、願ジテシテ↠生レムト↢我↡不↦断絶↥。寿終リテ皆令メム↧不シテ↠復↢泥犁・禽獣・薜荔↡、即レテ↢我↡在↦心所願↥。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

第六だいろくがんずらく、 それがしぶつせしめんとき八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこく諸天しょてん人民にんみん、 もしは善男ぜんなんぜん女人にょにんをして、 わがくにらいしょうせんとほっせば、 われをもちふるがゆゑにますますぜんをなし、 もしは分檀ぶんだん布施ふせし、 とうめぐりてこうき、 はなさんともしびともし、 ざつ繒綵ぞうさい沙門しゃもん飯食ぼんじきせしめ、 とうてらつくり、 愛欲あいよくだんじて、 斎戒さいかい清浄しょうじょうにして、 一心いっしんにわれをねんじ、 ちゅう一日いちにち断絶だんぜつせざれば、 みなわがくにらいしょうせしめさつとならしめむ。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第六ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧八方上下無央数仏国諸天・人民、若シハ善男子・善女人ヲシテ、欲セバ↣来↢生セムト↡、用フルガ↠我マス↠善、若シハ分檀布施、遶リテ↠塔↠香、散↠花トモ↠灯、懸↢雑繒綵↡飯↢食セシメ沙門↡、起↠塔↠寺、断ジテ↢愛欲↡、斎戒清浄ニシテ、一心↠我、昼夜一日不レバ↢断絶↡、皆令↣来↢生↡作↦菩薩↥。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

第七だいしちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこく諸天しょてん人民にんみん、 もしは善男ぜんなんぜん女人にょにんをして、 さつどうをなすことありてろっ波羅ぱらみつきょうぎょうし、 もしは沙門しゃもんとなりてきょうかいやぶらず、 愛欲あいよくだん斎戒さいかい清浄しょうじょうにして、 一心いっしんねんじてわがくにうまれんとほっちゅう断絶だんぜつせざらんに、 もしそのひと寿いのちおわらんとほっするときわれすなはちもろもろのさつ阿羅あらかんとともにぎょうしてこれをむかへて、 すなはちわがくにらいしょうし、 すなはちゆいおっさつとなりて智慧ちえゆうみょうならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第七ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧八方上下無央数仏国諸天・人民、若シハ善男子0130・善女人ヲシテ、有リテ↠作スコト↢菩薩道↡奉↢行六波羅蜜経↡、若シハリテ↢沙門↡不↠毀↢経戒↡、断↢愛欲↡斎戒清浄ニシテ、一心ジテ↠生レムト↢我↡昼夜ラムニ↢断絶↡、若人寿欲スル↠終ラムト時、我即与↢諸菩薩・阿羅漢↡共飛行シテヘテ↠之、即来↢生↡、則リテ↢阿惟越致菩薩↡智慧勇猛ナラ↥。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

第八だいはちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつほう仏国ぶっこくいたりてしょうぜんとほっせしめば、 みなないきんじゅう薜荔へいれいかえらざらしめて、 みな仏道ぶつどうしめむ。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第八ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メバ↧我国中菩薩、欲↦到リテ↢他方仏国ゼムト↥、皆令メテ↠不↠更↢泥犁・禽獣・薜荔↡、皆令メム↠得↢仏道↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 面目めんもくみなたんじょうじょうけつ姝好しゅこうにして、 ことごとく同一どういつしきに、 すべていち種類しゅるいなることみな第六だいろく天人てんにんのごとくならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第九ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、面目皆端正浄潔姝好ニシテ、悉同一、都一種類ナルコト皆如クナラ↢第六天人↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 みな同一どういつしんに、 所念しょねん所欲しょよくごんはあらかじめこころをあひらしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆同一、所念所欲言者相↢知↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅういちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 みな淫泆いんいつしんあることなく、 つひににょねんずるこころなく、 つひにしん愚痴ぐちのものあることなからしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十一ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↩我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆無↠有ルコト↢淫泆之心↡、終↧念ズル↢婦女↡意↥、終↝有ルコト↢瞋怒・愚痴者↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終0131↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 みなこころにあひきょうあいせしめて、 つひにあひねたにくむものなからしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十二ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆令メテ↢心相敬愛↡、終カラ↦相嫉者↥。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうさんがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつをして、 ともに八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつようせんとほっするに、 みなぎょうしてすなはちいたり、 ねん万種まんじゅのものをんとほっせば、 すなはちみなまえにありて、 ゆうして諸仏しょぶつようせしめ、 ことごとくみなへんして以後いごいまだちゅうならざるとき、 すなはちぎょうしてわがくにかえらしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十三ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↪我国中菩薩ヲシテ、欲スルニ↣共供↢養セムト八方上下無央数諸仏↡、皆令↧飛行シテ、欲セバ↠得ムト↢自然万種之物↡、即皆在リテ↠前持用シテ供↦養諸仏↥、悉皆遍シテ已後、日未↠中ナラ時、即飛行シテ↩我↨。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんぼんせんとほっするとき、 すなはちみなねん七宝しっぽうはちのなかにねんひゃく飯食ぼんじきありてまえにあり、 じきしをはらばねんらしめむ。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十四ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧我国中菩薩・阿羅漢、欲スル↠飯セムト時、即皆自然七宝リテ↢自然百味飯食↡在↠前、食ラバ自然↥。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつしんをして、 みな紫磨しま金色こんじきさんじゅうそうはちじゅう種好しゅこうならしめ、 みなぶつのごとくならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十五ズラク、使メム↢某作仏↡時、令↢我国中菩薩ヲシテ、皆紫磨金色・三十二相・八十種好ナラ↡、皆令メム↠如クナラ↠仏。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうろくがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 さんびゃくかねこえのごとく、 きょうどうぎょうずることもみなぶつのごとくならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十六ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↧我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、語者如↢三百↡、説↠経ズルコトモ↠道皆如クナラ↞仏。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうしちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 われあきらかにあきらかにきて、 ぎょうすることじゅうばい諸仏しょぶつすぐれしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

0132十七ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我アキラカアキラカキテ、飛行スルコト十倍勝↢於諸仏↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうはちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わが智慧ちえをしてきょうどうぎょうずること、 諸仏しょぶつじゅうばいならしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十八ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我智慧ヲシテ↠経ズルコト↠道、十↢ナラ於諸仏↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこく諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいをして、 みな人道にんどうてことごとくびゃくぶつ阿羅あらかんとならしめて、 みなぜん一心いっしんに、 ともにはかかぞへてわが年寿ねんじゅ幾千いくせん億万おくまんこう歳数さいしゅなるをらんとほっするに、 みなよくきわめて寿じゅるものあることなからしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第十九ズラク、使メム↢某作仏↡時、令↢八方上下無央数仏国諸天・人民・蜎飛蠕動之類↡、皆令メテ↧得↢人道↡悉↦辟支仏・阿羅漢↥、皆坐禅一心、共スルニ↣計ヘテラムト↢我年寿幾千億万劫歳数ナルヲ↡、皆令メム↠無カラ↠有ルコト↢能↠寿者↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき八方はっぽうじょうのおのおの千億せんおく仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいをして、 みなびゃくぶつ阿羅あらかんとならしめて、 みなぜん一心いっしんに、 ともにわがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんはかかぞへて幾千いくせん億万おくまんにんあることをらんとほっするに、 みなよくかずるものあることなからしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第二十ズラク者、使メム↢某作仏↡時、令↢八方上下千億仏国諸天・人民・蜎飛蠕動之類↡、皆令メテ↠作↢辟支仏・阿羅漢↡、皆坐禅一心、共スルニ↧計↢数ヘテ国中菩薩・阿羅漢↡知ラムト↞有ルコトヲ↢幾千億万人↡、皆令メム↠无カラ↠有ルコト↢能↠数者↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅういちがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 寿じゅみょう央数おうしゅこうならしめん。このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第二十一ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↢我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、寿命無央数劫ナラ↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 みな智慧ちえゆうみょうにして、 みづからぜん億万おくまんこうときり、 宿命しゅくみょうすところの善悪ぜんあく、 かへりてきわまりなきことをり、 みな十方じっぽうらい現在げんざいどうてっせしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

0133二十二ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↫我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆智慧勇猛ニシテ、自↢前世億万劫↡、宿命↠作善悪、却↠無キコトヲ↠極、皆洞↩視徹↪知十方、去・来・現在之事↨。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうさんがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わがこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんをして、 みな智慧ちえゆうみょうにして、 頂中ちょうちゅうにみなこうみょうあらしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第二十三ズラク、使メム↢某作仏↡時、令メム↣我国中菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆智慧勇猛ニシテ、頂中皆有↢光明↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

だいじゅうがんずらく、 それがしぶつせしめんとき、 わが頂中ちょうちゅうこうみょう絶好ぜっこうにして、 日月にちがつみょうすぐるることひゃく千億せんおく万倍まんばいならしめ、 諸仏しょぶつこうみょうぜっしょうし、 もろもろの央数おうしゅてんゆうみょうところえんしょうして、 みなまさにだいみょうなるべし。 諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいわがこうみょうしんをもつてぜんをなさざるものなく、 みなわがくにらいしょうせしめん。 このがんばすなはちぶつせん。 このがんずはつひにぶつせじと。

第二十四ズラク、使メム↢某作仏↡時、令↧我頂中光明絶好ニシテ、勝ルルコト↢於日月之明↡百千億万倍ナラ↥、絶↢勝諸仏光明↡、焔↢照シテ无央数天下幽冥之処↡、皆当↢大明ナル↡。諸天・人民・蜎飛蠕動之類、見↢我光明↡莫↧不↢慈心ヲモテ↟善者↥、皆令メム↣来↢生↡。得↢是↡乃作仏セム。不↠得↢是↡終↢作仏↡。

菩薩修行

【4】 ぶつなんげたまはく、 弥陀みださつたりしとき、 つねにこのじゅうがんぎょうし、

仏告ゲタマハク↢阿難↡、阿弥陀リシ↢菩薩↡時、常奉↢行二十四願↡、

分檀ぶんだん布施ふせして道禁どうきんおかさず、 忍辱にんにくしょうじん一心いっしん智慧ちえをもつてがんつねにゆうみょうに、 きょうぼうそしらずしゃくしておこたらず、

分檀布施シテ不↠犯↢道↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ志願常勇猛、不↠毀↢経法↡求索シテ不↠懈

つねにひとりにしてくにおうてて、 財色ざいしきぜっし、 精明しょうみょうがんしてちゃくまくするところなく、

リニシテ↠国テテ↠王、絶↢去財色↡、精明求願シテ↠所↢適莫スル↡、

こうとくかさぬること央数おうしゅこうにして、 いまみづからぶついたし、 ことごとくみなこれをてそのこううしなはずと。

↠功ヌルコト↠徳無央数劫ニシテ、今自↢作仏↡、悉皆得↠之↠亡↢其↡也。

弥陀果徳
    光明無量

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつこうみょうは、 最尊さいそん第一だいいちにしてならびなし。 諸仏しょぶつこうみょうのみなおよばざるところなり。

仏言、阿弥陀仏光明、最尊第一ニシテ↠比。諸仏光明皆所↠不↠及也。

八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつのなかに、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうしちじょうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょういちらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう五里ごりらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうはちじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくろくじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうさんびゃくじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうろっぴゃくじゅうらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせんさんびゃくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせんろっぴゃくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせんひゃくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうまんひゃくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうまん一千いっせんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうまんせんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう八万はちまんせんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅうしちまんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうさんじゅうまんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうしちじゅうまんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくじゅうまんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうさんびゃくまんらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうろっぴゃくまんらすあり、

八方上下無央数諸仏、有↣仏頂中0134明照↢七↡、有↣仏頂中光明照↢一里↡、有↣仏頂中光明照↢二里↡、有↣仏頂中光明照↢五里↡、有↣仏頂中光明照↢十里↡、有↣仏頂中光明照↢二十里↡、有↣仏頂中光明照↢四十里↡、有↣仏頂中光明照↢八十里↡、有↣仏頂中光明照↢百六十里↡、有↣仏頂中光明照↢三百二十里↡、有↣仏頂中光明照↢六百四十里↡、有↣仏頂中光明照↢千三百里↡、有↣仏頂中光明照二千六百里↡、有↣仏頂中光明照五千二百里↡、有↣仏頂中光明照万四百里↡、有↣仏頂中光明照↢二万一千里↡、有↣仏頂中光明照↢四万二千里↡、有↣仏頂中光明照↢八万四千里↡、有↣仏頂中光明照↢十七万里↡、有↣仏頂中光明照↢三十五万里↡、有↣仏頂中光明照↢七十万里↡、有↣仏頂中光明照↢百五十万里↡、有↣仏頂中光明照↢三百万里↡、有↣仏頂中光明照↢六百万里↡、

ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょういち仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうりょう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうはち仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうさんじゅう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうろくじゅう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくじゅう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくじゅう仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃく仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう八千はっせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうまん六千ろくせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう三万さんまんせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょう六万ろくまんせん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅう三万さんまん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅう六万ろくまん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうじゅうまん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくまん仏国ぶっこくらすあり、 ぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうひゃくまん仏国ぶっこくらすありと。

↣仏頂中光明照↢一仏国↡、有↣仏頂中光明照↢両仏国↡、有↣仏頂中光明照↢四仏国↡、有↣仏頂中光明照↢八仏国↡、有↣仏頂中光明照↢十五仏国↡、有↣仏頂中光明照↢三十仏国↡、有↣仏頂中光明照↢六十仏国↡、有↣仏頂中光明照↢百二十仏国↡、有↣仏頂中光明照↢二百四0135十仏国↡、有↣仏頂中光明照↢五百仏国↡、有↣仏頂中光明照↢千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢二千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢四千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢八千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢万六千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢三万二千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢六万四千仏国↡、有↣仏頂中光明照↢十三万仏国↡、有↣仏頂中光明照↢二十六万仏国↡、有↣仏頂中光明照↢五十万仏国↡、有↣仏頂中光明照↢百万仏国↡、有リト↣仏頂中光明照↢二百万仏国↡。

ぶつのたまはく、 もろもろの八方はっぽうじょう央数おうしゅぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうえんしょうするところみなかくのごとし。 弥陀みだぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうえんしょうするところ千万せんまん仏国ぶっこくなり。

仏言、諸八方上下無央数頂中光明所↢焔照スル↡皆如↠是クノ也。阿弥陀仏頂中光明所↢焔照スル↡千万仏国ナリ

諸仏しょぶつこうみょうらすところ近遠ごんおんあるゆゑはいかんとなれば、 もとそれぜん宿命しゅくみょうに、 どうもとめてさつたりしとき所願しょがんどくおのおのおのづからだいしょうあり、 それしかうしてのちいたりてぶつせんとき、 おのおのみづからこれをたり。

所↣以諸仏光明↠照↢近遠↡者何トナレバ、本其前世宿命、求メテ↠道リシ↢菩薩↡時、所願功徳各↢大小↡、至リテ↢其シテ↡作仏セム時、各タリ↠之

このゆゑにこうみょうをしてうたた同等どうとうならざらしむ。 諸仏しょぶつじん同等どうとうなるのみ。 ざいこころ所欲しょよくのごとく作為さいして、 あらかじめはからず。 弥陀みだぶつこうみょうらすところ最大さいだいなり。 諸仏しょぶつこうみょうみなおよぶことあたはざるところなり。

↣光明ヲシテ↢同等ナラ↡。諸仏威神同等ナル爾。自在所欲ノゴトク作為シテ、不↢↡。阿弥陀仏光明所↠照最大ナリ。諸仏光明皆所↠不↠能↠及ブコト也。

【5】 ぶつ弥陀みだぶつこうみょう極善ごくぜんなることをしょうしたまふ。 弥陀みだぶつこうみょう極善ごくぜんにしてぜんのなかのみょうこうなり。 はなはだこころよきことならびなく絶殊ぜっしゅごくなり。 弥陀みだぶつこうみょうしょうけつにして、 瑕穢かえなく欠減けつげんなし。 弥陀みだぶつこうみょう姝好しゅこうにして日月にちがつみょうすぐるることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。 諸仏しょぶつこうみょうのなかのごくみょうなり。 こうみょうのなかの極好ごくこうなり。 こうみょうのなかのごく雄傑おうけつなり。 こうみょうのなかのぜんなり。 諸仏しょぶつのなかのおうなり。 こうみょうのなかの極尊ごくそんなり。 こうみょうのなかのさいみょうごくなり。

仏称↢誉シタマフ阿弥陀仏光明極善ナルコトヲ↡。阿弥陀仏光明極善ニシテ明好ナリ。甚キコト↠比絶殊无極也。阿弥陀仏光明ニシテ、無↢瑕穢↡無↢欠減↡也。阿弥陀仏0136光明姝好ニシテルルコト↢於日月之明↡百千億万倍ナリ。諸仏光明中之極明也。光明中之極好也。光明中之極雄傑也。光明中之快善也。諸仏中之王也。光明中之極尊也。光明中之最明無極也。

もろもろのしゅてんゆうみょうところえんしょうするに、 みなつねにだいみょうなり。 しょ人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐい弥陀みだぶつこうみょうざることなし。 たてまつればしんをもつてかんせざるものなし。

焔↢照スルニ無数天下幽冥之処↡、皆常大明ナリ。諸有人民・蜎飛蠕動之類、莫↠不ルコト↠見↢阿弥陀仏光明↡也。見タテマツレバ者莫↧不↢慈心ヲモテ歓喜↡者↥。

けんしょ淫泆いんいつしん愚痴ぐちのもの、 弥陀みだぶつこうみょうたてまつりてぜんをなさざるはなし。 もろもろのないきんじゅう薜荔へいれきこうりょうごんところにありて、 弥陀みだぶつこうみょういたれるをたてまつれば、 みな休止くししまたせずしてしてのち憂苦うくだつすることをざるものなし。

世間諸有淫泆・瞋怒・愚痴者、見タテマツリテ↢阿弥陀仏光明↡莫↠不ルハ↠作↠善也。諸リテ↢泥犁・禽獣・薜荔、考掠勤苦之処↡、見タテマツレバ↢阿弥陀仏光明レルヲ↡、皆休止シテ↢復治↡死シテ↧不↠得↣解↢脱スルコトヲ憂苦↡者↥也。

弥陀みだぶつこうみょうみな八方はっぽうじょうぐうごく央数おうしゅ諸仏しょぶつくにかしめたまふ。 諸天しょてん人民にんみんもんせざることなし。 もんせんものだつせざるはなしと。

阿弥陀仏光明カシメタマフ↢八方上下無窮无極無央数諸仏↡。諸天・人民莫↠不ルコト↢聞知↡。聞知セム者莫シト↠不ルハ↢度脱↡也。

ぶつのたまはく、 ひとりわれのみ弥陀みだぶつこうみょうしょうするにあらず。 八方はっぽうじょう央数おうしゅぶつびゃくぶつさつ阿羅あらかんしょうするところ、 みなかくのごとしと。

仏言、不↣独ノミ称↢誉スルニ阿弥陀仏光明↡也。八方上下無央数仏・辟支仏・菩薩・阿羅漢所↢称誉スル↡、皆如シト↠是クノ

ぶつのたまはく、 それ人民にんみん善男ぜんなんぜん女人にょにんありて弥陀みだぶつみなきて、 こうみょうしょうしてちょうにつねにそのこうみょうこのましきをしょうして、 しんにして断絶だんぜつせざれば、 こころ所願しょがんのごとくにありて、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうしてもろもろのさつ阿羅あらかんためにそんきょうせらるることをべし。

仏言、其リテ↢人民、善男子・善女人↡聞キテ↢阿弥陀仏↡、称↢誉シテ光明↡朝暮称↢誉シテ光明マシキヲ↡、至心ニシテレバ↢断絶↡、在リテ↢心所願ノゴトクニ↡、往↢生シテ阿弥陀仏国↡、可↠得↧為↢衆菩薩・阿羅漢↡所ルルコトヲ↦尊敬↥。

もしそれしかうしてのちぶつせば、 またまさにまた八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅぶつびゃくぶつさつ阿羅あらかんのためにこうみょうしょうせらるることかくのごとくなるべし。 すなはちもろもろの比丘びくそうのもろもろのさつ阿羅あらかん、 もろもろのてん帝王たいおう人民にんみん、 これをきてみなかんやくして、 讃歎さんだんせざるものなからんと。

シテ後作仏セバ者、亦当↧復為↢八方上下無央数仏・辟支仏・菩薩・阿羅漢↡所ルルコト↣称↢誉光明↡如クナル↞是也。即比丘僧0137薩・阿羅漢、諸天・帝王・人民、聞キテ↠之皆歓喜踊躍シテ、莫カラムト↧不↢讃歎↡者↥。

ぶつのたまはく、 われ弥陀みだぶつこうみょう姝好しゅこう巍巍ぎぎなるをいひ、 ぜんなることをしょうすることちゅう一劫いっこうすれどもなほいまだおわらず。 われただなんぢらがためにすこしくこれをくのみと。

仏言、我道↢阿弥陀仏光明姝好巍巍ナルヲ↡、称↢誉スルコト快善ナルコトヲ↡昼夜一劫スレドモ尚未↠竟也。我但為ナンヂ↡小シク↠之

二 Ⅲ 阿闍世聞願利益

【6】 ぶつ弥陀みだぶつさつたりしときしゃくしてこのじゅうがんたまふことをきたまふ。 ときじゃおうたいひゃくちょうじゃ迦羅からおつとおのおのひとつのこんがいちて、 ともに仏所ぶっしょいたり、 すすみてためにぶつらいをなす。 めんをもつて仏足ぶっそくけて、 みなこんがいちてすすみてぶつにたてまつりをはりて、 ことごとくしりぞ一面いちめんしてきょうけり。

仏説キタマフ↧阿弥陀仏リシトキ↢菩薩↡求索シテタマフコトヲ↦是二十四願↥。時阿闇世王太子与↢五百長者迦羅越子↡各チテ↢一金華蓋↡、倶↢仏所↡、前ミテ↠礼↠仏。以↢頭面↡著ケテ↢仏足↡、皆持チテ↢金華蓋↡前ミテタテマツ↠仏リテ、悉シテ↢一面↡聴ケリ↠経

じゃおうたいおよびひゃくちょうじゃ弥陀みだぶつじゅうがんきて、 みなおほきにかんやくして、 しんちゅうにともにがんじていはく、 われらのちぶつせんとき、 みな弥陀みだぶつのごとくならしむと。

阿闇世王太子及五百長者子、聞キテ↢阿弥陀仏二十四願↡、皆大歓喜踊躍シテ、心中ジテ、令ムト↣我等後作仏セム時、皆如クナラ↢阿弥陀仏↡。

ぶつすなはちこれをろしめして、 もろもろの比丘びくそうげたまはく、 このじゃおうたいおよびひゃくちょうじゃ、 あとしゅこうりて、 みなまさにぶつして弥陀みだぶつのごとくなるべしと。

仏即ロシメシテ↠之、告ゲタマハク↢諸比丘僧↡、是阿闍世王太子及五百長者子、却リテ↢後无数劫↡、皆当シト↣作仏シテクナル↢阿弥陀仏↡。

ぶつのたまはく、 このじゃおうたいおよびひゃくちょうじゃさつどうじゅうしてよりこのかた、 央数おうしゅこうにみなおのおのひゃくおくぶつようしをはりて、 いままたきたりてわれをようせり。 じゃおうたいおよびひゃくちょうじゃみなぜんしょうぶつとき、 わがために弟子でしとなれり。 いまみなまたここにしてともにあひへるなりと。 すなはちもろもろの比丘びくそうぶつことばきてみなやくしてかはるがはるかんせざるものなからんと。

仏言、是阿闍世王太子及五百長者子、住シテヨリ↢菩薩道↡已来、無央数劫皆各供↢養四百億仏↡已リテ、今復来リテ供↢養セリ↡。阿闍世王太子及五百長者子、皆前世迦葉仏時、為↠我レリ↢弟子↡。今皆復会シテ↠是相値ヘル比丘僧聞キテ↢仏↡皆踊躍シテカラムト↧不カハルガハル之歓喜↡者↥。

二 Ⅲ 十劫成道

【7】 ぶつなんげたまはく、 弥陀みだぶつしてよりこのかた、 およそじゅうしょうこうなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、阿弥陀作仏シテヨリ已来、凡十小劫ナリ

二 Ⅲ 国土功徳

しょこく*しゅだいづく。 まさしく西方さいほうにあり。 このえんだいかいること千億せんおくまんしゅせん仏国ぶっこくなり。

所居国土↢須摩題↡。正↢西0138↡。去ルコト↢是閻浮提地界↡千億万須弥山仏国ナリ

そのくにはみなねん七宝しっぽうなり。 その一宝いっぽうびゃくごんほう黄金おうごん三宝さんぼうすいしょうほう琉璃るりほうさん六宝ろっぽうはく七宝しちほうしゃなり。 これを七宝しっぽうとなす。 みなもつておのづからともにとなり、 曠蕩こうとうにして甚大じんだいごくなり。

皆自然七宝ナリ。其一宝者白銀、二宝者黄金、三宝者水精、四宝者琉璃、五宝者珊瑚、六宝者琥珀、七宝者ナリ。是↢七宝↡。皆以↠地、曠蕩ニシテ甚大無極ナリ

みなおのづからあひまじわりてうたたあひ入中にゅうちゅうす。 おのおのおのづから焜煌こんこうとしてみょうまじへ、 きわめておのづから軟好なんこうにしてはなはだうるわしきことならびなし。 その七宝しっぽうはもろもろの八方はっぽうじょう衆宝しゅほうのなかのしょうねんごうにしてそのしょうなるのみ。 そのたからはみなたとへば第六だいろくてんじょう七宝しっぽうのごとし。

皆自相参リテ相入中。各焜煌トシテ↠明、極軟好ニシテシキコト↠比。其七宝八方上下衆宝精味、自然合会ニシテ化生ナル耳。其タトヘバ第六天上之七宝ノゴトシ也。

そのこくちゅうにはしゅせんあることなく、 その日月にちがつしょうしん第一だいいち天王てんのうだいとうてん、 みなくうのなかにあり。 そのこくには大海だいかいあることなく、 またしょう海水かいすいもあることなく、 またこう恒水ごうすいもなし。 また山林せんりん渓谷けいこくもあることなく、 ゆうみょうところもあることなし。 そのくに七宝しっぽうはみな平正びょうしょうなり。

国中ニハ↠有ルコト↢須弥山↡、其日月・星辰、第一四天王・第二忉利天、皆在↢虚空↡。其国土ニハ↠有ルコト↢大海↡、亦无↠有ルコト↢小海水↡、亦無↢江河・恒水↡也。亦無↠有ルコト↢山林・渓谷↡、無↠有ルコト↢幽冥之処↡。其七宝皆平正ナリ

ないきんじゅう薜茘へいれいけん蠕動ねんどうたぐいあることなく、 *須倫しゅりん・もろもろのりゅうじんあることなし。

↠有ルコト↢泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類↡、無↠有ルコト↢阿須倫・諸竜・鬼神↡。

つひにてんときなく、 またしゅんしゅうとうあることなく、 また大寒だいかんなくまた大熱だいねつなし。 つねに調じょう中適ちゅうちゃくにしてはなはだぜんなることならびなし。

↢天雨時↡、亦无↠有ルコト↢春夏秋冬↡、亦無↢大寒↡亦無↢大熱↡。常和調中適ニシテ快善ナルコト↠比。

みなねん万種まんじゅものあり、 ひゃく飯食おんじきこころるところあらんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 もちひざるところのものはすなはちねんる。 たとへば第六だいろくてんじょうねんもののごとし。 ほしいままにねんにすなはちみなこころしたがふ。

皆有↢自然万種之物、百味飯食↡、意セバ↠有ラムト↠所↠得、即自然↠前。所↠不↠用自然タトヘバ↢第六天上自然之物↡。恣若ホシイママ自然皆随↠意

そのくにのうちにはことごとくもろもろのさつ阿羅あらかんのみにしてにょあることなし。 寿じゅみょう央数おうしゅこうなり。 女人にょにんおうじょうすればすなはちしてなんとなる。 ただもろもろのさつ阿羅あらかんのみありて央数おうしゅなり。

ニハ菩薩・阿羅漢ノミニシテ↠有ルコト↢婦女↡。寿命无央数劫ナリ。女人往生スレバシテ↢男子↡。但有リテ↢諸菩薩・阿羅漢ノミ↡無央数ナリ

ことごとくみなあきらかにあきらかにき、 ことごとくはるかにあひ、 はるかにあひ瞻望せんもうし、 はるかにあひしょうく。 ことごとくみなどうぜんなるものをもとむ。

アキラカアキラカ、悉0139相見、遥相瞻望、遥相聞↢語声↡。悉皆求↢道ナル↡。

同一どういつ種類しゅるいにして、 にんあることなし。 そのもろもろのさつ阿羅あらかん面目めんもくはみなたんじょうにしてじょうけつ絶好ぜっこうなり。 ことごとく同一どういつしきにして、 ひとへにしゅうあくなるものあることなし。

同一種類ニシテ、無↠有ルコト↢異人↡。其菩薩・阿羅漢面目皆端正ニシテ浄潔絶好ナリ。悉同一ニシテ、無↠有ルコト↢偏醜悪ナル者↡也。

もろもろのさつ阿羅あらかんはみなざいみょうがちなり。 みなねんころもる。 しんちゅうねんずるところは道徳どうとくなり。 そのかたはんとほっするに、 みなあらかじめこころ念言ねんごんするところをあひる。 つねにしょうき、 かたるところはすなはちきょうどうきて他余たよあくかず。 そのごん音響おんこうさんびゃくかねこえのごとし。

菩薩・阿羅漢皆才猛黠慧ナリ。皆衣↢自然之衣↡。心中↠念ズル道徳ナリ。其スルニ↢語ハムト↡、皆相↣知↢念言スル↡。常↢正事↡、所↠語キテ↢経道不↠説↢他余之悪↡。其語言音響如↢三百↡。

みなあひきょうあいしてあひ嫉憎しつぞうするものなし。 みなちょうようじょうせんをもつてこれをいふ。 をもつてしらいにかなひて、 うたたあひきょうすることあにのごとくおとうとのごとし。 にんをもつてしみみだりにどうせず。 ごんかいにかなひて、 うたたあひ教令きょうりょうしてあひらいせず、 うたたあひじょうじゅして、 みなこころじょうけつにしてとんするところなく、 つひにしん淫泆いんいつしん愚痴ぐちたいなく、 邪心じゃしんにしてにょおもこころあることなし。

皆相敬愛シテ↢相嫉憎スル者↡。皆以↢長幼・上下・先後↡言↠之。以テシ↠義カナヒテ↠礼、転相敬事スルコト↠兄↠弟。以テシ↠仁↠義不↢妄動作↡。言語カナヒテ、転相教令シテ不↢相違戻↡、転相承受シテ、皆心浄潔ニシテ↠所↢貪慕スル↡、終↢瞋怒・淫泆之心、愚痴之態↡、无↠有ルコト↧邪心ニシテ↢婦女↡意↥。

ことごとくみな智慧ちえゆうみょうしん歓楽かんらくしてきょうどう好喜このみ、 みづからぜんよりじゅうらいするところのしょう億万おくまんこうとき宿命しゅくみょう善悪ぜんあく存亡ぞんもうり、 現在げんざいもかへりてることきわまりなし。

皆智慧勇猛和心歓シテ好↢経道↡、自↧前世ヨリ↢従来スル↡生、億万劫宿命善悪・存亡↥、現在コト↠極

二 Ⅲ 講堂宝池荘厳

弥陀みだぶつきょうじゅしたまふべきところの講堂こうどうしょうじゃ、 みなまたねん七宝しっぽうなり。 こんごんすいしょう琉璃るりびゃくごくはくしゃ、 おのづからともにあひじょうず。 はなはだしゅみょう好絶こうぜつにしてならびなし。

阿弥陀仏↠可↢教授シタマフ↡講堂・精舎、皆復自然七宝ナリ。金・銀・水精・琉璃・白玉・珀・車、自相成。甚姝明好絶ニシテ↠比。

またつくるものなくじゅうらいするところをらず。 きたるものなくまたじゅうするところもなし。 弥陀みだぶつがんじたまふところのとくおもければなり。 そのひとぜんをなすゆゑにきょうろんかたきょうどうぎょうずるに、 こうそのなかにねんしょうするのみ。

亦無↢作者↡不↠知↠所↢従来スル↡。亦無↢持者↡亦无↠所↢従去スル↡。阿弥陀仏↠願ジタマフ徳重ケレバナリ。其人作↠善↠経↠義↠経ズルニ↠道講会其自然化生スル爾。

その講堂こうどうしょうじゃにはみなまた七宝しっぽう楼観ろうかんらんじゅんあり。 またこんごんすいしょう琉璃るりびゃくごくはくしゃをもつて瓔珞ようらくとなし、 またびゃくじゅみょう月珠がつしゅ摩尼まにしゅをもつてきょうとなしてそのうえがいす。 みなおのづからいつつのおんじょうをなす。 はなはだこのましきことならびなし。

講堂・精舎ニハ皆復有↢七宝楼観・欄楯↡。復以↢金・銀・水精・琉璃・白玉・0140車↡為瓔珞↡、復以↢白珠・明月珠・摩尼珠↡為シテ↢交露↡覆↢蓋↡。皆自↢五音声↡。甚シキコト↠比。

もろもろのさつ阿羅あらかんしょ舎宅しゃたくみなまた七宝しっぽうをもつてす。 こんごんすいしょう琉璃るりさんはくしゃのうしょうしうたたともにあひじょうず。 その舎宅しゃたくにことごとくおのおの七宝しっぽう楼観ろうかんらんじゅんあり。 またこんごんすいしょう琉璃るりびゃくごくはくしゃをもつて瓔珞ようらくとなし、 またびゃくじゅみょう月珠がつしゅ摩尼まにしゅをもつてきょうとなしてそのうえがいす。 みなおのおのまたおのづからいつつのおんじょうをなせり。

菩薩・阿羅漢所居舎宅皆復以テス↢七宝↡。金・銀・水精・琉璃・珊瑚・珀・車・瑙化生相成。其舎宅↢七宝楼観・欄楯↡。復以↢金・銀・水精・琉璃・白玉・珀・車↡為瓔珞↡、復以↢白珠・明月珠・摩尼珠↡為シテ↢交露↡覆↢蓋↡。皆各復自セリ↢五音声↡。

弥陀みだぶつ講堂こうどうしょうじゃおよびもろもろのさつ阿羅あらかんしょ舎宅しゃたくのうち、 ない処々しょしょに、 みなまたねんせんよくあり。

阿弥陀仏講堂・精舎及菩薩・阿羅漢所居舎宅中、内外処処、皆復有↢自然流泉・浴池↡。

みなねん七宝しっぽうとともにしょうじて、 こんごんすいしょう琉璃るりはくしゃ、 うたたともにあひじょうず。 じゅんこんいけにはその水底すいたいすなびゃくごんなり。 じゅんびゃくごんいけにはその水底すいたいすな黄金おうごんなり。 じゅんすいしょういけにはその水底すいたいすな琉璃るりなり。 じゅん琉璃るりいけにはその水底すいたいすなすいしょうなり。 じゅんさんいけにはその水底すいたいすなはくなり。 じゅんはくいけにはその水底すいたいすなさんなり。 じゅんしゃいけにはその水底すいたいすなのうなり。 じゅんのういけにはその水底すいたいすなしゃなり。 じゅんびゃくごくいけにはその水底すいたいすな紫磨しまこんなり。 じゅん紫磨しまこんいけにはその水底すいたいすなは<びゃくごくなり。

皆与↢自然七宝↡倶ジテ、金・銀・水精・琉璃・珀・車、転相成。淳金者其水底白銀也。淳白銀者其水底黄金也。淳水精者其水底琉璃也。淳琉璃者其水底水精也。淳珊瑚者其水底珀也。淳者其水底珊瑚也。淳車者其水底瑙也。淳者其水底車也。淳白玉者其水底紫磨金也。淳紫磨金者其水底白玉也。

なかにまたりょうほうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんなり。

復有↧両宝↢一池↡者↥。其水底金・銀也。

なかにまた三宝さんぽうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんすいしょうなり。

復有↧三宝↢一池↡者↥。其水底金・銀・水精也。

なかにまたほうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんすいしょう琉璃るりなり。

復有↧四宝↢一池↡者↥。其水底金・銀・水0141精・琉璃也。

なかにほうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんすいしょう琉璃るりさんなり。

↧五宝↢一池↡者↥。其水底金・銀・水精・琉璃・珊瑚也。

なかに六宝ろっぽうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんすいしょう琉璃るりさんはくなり。

↧六宝↢一池↡者↥。其水底金・銀・水精・琉璃・珊瑚・珀也。

なかに七宝しっぽうのともにいっをなすものあり。 その水底すいたいすなこんごんすいしょう琉璃るりさんはくしゃなり。

↧七宝↢一池↡者↥。其水底金・銀・水精・琉璃・珊瑚・珀・車也。

なかによくながじゅうなるものあり、 ながはちじゅうなるものあり、 ながひゃくろくじゅうなるものあり、 ながさnびゃくじゅうなるものあり、 ながろっぴゃくじゅうなるものあり、 ながせんひゃくはちじゅうなるものあり、 ながせんひゃくろくじゅうなるものあり、 ながせんいっぴゃくじゅうなるものあり、 ながまんひゃくじゅうなるものあり、 ながまんひゃくはちじゅうなるものあり。

↢浴池四十里ナル者↡、有↢長八十里ナル者↡、有↢長百六十里ナル者↡、有↢長三百二十里ナル者↡、有↢長六百四十里ナル者↡、有↢長千二百八十里ナル者↡、有↢長二千五百六十里ナル者↡、有↢長五千一百二十里ナル者↡、有↢長万二百四十里ナル者↡、有↢長二万四百八十里ナル者↡。

そのいけじゅうこうまさにひとし。 このいけはみなもろもろのさつ阿羅あらかんのつねによくすべきところのいけなりと。

縦広適池者皆諸菩薩・阿羅漢↠可↠浴ナリト

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつよくながさはまん八千はっせんひろさもまたまん八千はっせんなり。 そのいけはみな七宝しっぽうをもつてうたたともにあひじょうず。 その水底すいたいすなびゃくじゅみょう月珠がつしゅ摩尼まにしゅなり。

仏言弥陀仏浴池サハ四万八千里、広サモ亦四万八千里ナリ。其皆以↢七宝↡転相成。其水底白珠・明月珠・摩尼珠也。

弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんよくのなかのみずはみなきよらかにして香潔こうけつなり。

阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢浴池カニシテ香潔ナリ

いけのなかにはみなこうありてことごとくねんしょうず。 ひゃくしゅはな種々しゅじゅいろことにして、 しきこうえだみな千葉せんようなり。 はなはだかぐわしきことならびなし。 かおりいふべからず。 そのはなはまたけんはなにあらず、 またてんじょうはなにもあらず。 このこうはすべて八方はっぽうじょうのもろもろのこうのなかのしょうなり。 ねんしょうするのみ。 そのちゅうみずぎょうしてうたたあひかんちゅうす。 そのみずぎょうもまたおそからずはやからず、 みなまたいつつのおんじょうをなせりと。

ニハ皆有リテ↢香華↡悉自然。百種華種種異ニシテ↠色、色異香華、枝皆千ナリ。甚シキコト↠比也。香不↠可カラ↠言。其華者亦非↢世間之華↡、復非↢天上之ニモ↡。此華香八方上下華香精也。自然化生スル耳。其池中水流行シテ相潅注。其流行亦不↠遅カラ不↠カラ、皆復作セリト↢五音声↡。

二 Ⅲ 眷属荘厳

【8】 ぶつのたまはく、 八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこく諸天しょてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいにして、 もろもろの弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずるものは、 みな七宝しっぽうすいれんのうちよりしょうし、 すなはちねんちょうだいす。 またにゅうようのものなく、 みなねん飲食おんじきじきす。

0142、八方上下無央数仏国諸天・人民及蜎飛蠕動之類ニシテ、諸ズル↢阿弥陀仏国↡者、皆於↢七宝水池蓮華中↡化生、便自然長大。亦無↢乳養之者↡、皆食↢自然之飲食↡。

その身体しんたいもまたけんにん身体しんたいにあらず、 またてんじょうにん身体しんたいにもあらず、 みな衆善しゅぜんとくみてことごとくねん虚無こむしんごくたいけ、 はなはだ姝好しゅこうにしてならびなしと。

身体亦非↢世間人之身体↡、亦非↢天上人之身体ニモ↡、皆ミテ↢衆善之徳↡悉↢自然虚無之身・無極之体↡、甚姝好ニシテシト↠比。

ぶつなんかたりたまはく、 けんびん乞丐こつがいにんのごときは、 帝王たいおうほとりにありてじゅうせしめば、 その面目めんもく形状ぎょうじょう、 なんぞ帝王たいおう面目めんもくぎょうるい顔色げんしきるいするやいなやと。

仏語リタマハク↢阿難↡、如キハ↢世間貧窮・乞丐人↡、令メバ↧在リテ↢帝王↡住↥者、其面目・形状、寧スルヤ↢帝王面目・形類・顔色↡不ヤト

なんまうさく、 たとひおうをして帝王たいおうほとりにありてじゅうせしめば、 その面目めんもく形状ぎょうじょうはなはだしゅうあくにしてこのましからずして、 帝王たいおうにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

阿難言仮使 タトヒ 王子ヲシテリテ↢帝王↡住セシメバ者、其面目・形状甚醜悪ニシテシテ↠好シカラ、不ルコト↠如↢帝王↡百千億万倍也。

ゆゑはいかん。 乞人こつにんびん困極こんごくにして飲食おんじきつねにしく、 いまだつねにじきあらず。 ときにすでに悪食あくじきすら飽食ほうじきることあたはず。 じきわづかにいのちささへ、 骨節こっせつあひとうちゅうしてもつてみづからきゅうすることなし。 つねにとぼしくしてたくわえあることなし。 飢餓きが寒凍かんとうしょうじゅしゅうせり。

所以者何。乞人貧窮困極ニシテ飲食常シク、未↢美食↡。時スラ不↠能↠得ルコト↢飽食↡。食ワヅカ↠命、骨節相撐拄シテ↢以スルコト↡。常シクシテ↠有ルコト↠儲。飢餓寒凍、怔忪愁苦セリ

ただぜんひととなりしとき愚痴ぐち無智むちなるにより、 慳貪けんどんにしてあいしてぜんをなしひろくあいして施与せよすることをがえんぜず、 ただいたづらにんことをほっして、 飲食おんじきとんじゃくひと嗜美じみじきし、 たいしてのちほうしょうることをしんぜず、 またぜんをなして後世ごせにまさにそのふくべきことをしんぜず。 蒙悾もうくう抵佷たいごうにしてますます衆悪しゅあくをなす。

↢前世リシトキ↠人愚痴・無智ナルニ↡、慳貪ニシテ不↠肯↢慈哀シテ↠善シテ施与スルコトヲ↡、但欲シテイタヅラムコトヲ↡、貪↢惜飲食↡独↢嗜美↡、不↠信↣施貸シテルコトヲ↢報償↡、復不↠信↢作シテ↠善後世キコトヲ↟得↢其↡。蒙抵佷ニシテマス↢衆悪↡。

かくのごとくして寿いのちおわ財物ざいもつじんしゃくす。 もとより恩徳おんどくなく恃怙じこするところなし。 悪道あくどうのうちにりてこれによりてかなふ。 しかうしてのちでてだつすることをて、 こんじょうひととなり、 せんとなりて、 びんのためにとなり、 しひてひとかたちたれどもじょうるいはなはだみにくく、 衣被えびへいして、 ひとりむなしくどくりゅうしてぎょうたいおおはず、 乞丐こつがいしてくるのみ。 かんこんし、 面目めんもく羸劣るいれつにしてひとしきるいせず。 そのぜんのなすところによりてその殃罰おうばつけ、 しゅしめしてこれをしむるに、 たれもあわれむものなし。 どうえんせられぼくしょうしゅし、 黒醜こくしゅ悪極あくごくにしてひとおよばざるのみ。

クシテ↠是クノ寿終財物尽索ヨリ↢恩徳↡无↠所↢恃怙スル↡。入リテ↢悪道リテ↠之↠苦。然シテ↢出デテ解脱スルコトヲ↡、今生↠人、作リテ↢於下賎↡、為↢貧家↡作↠子、強ヒテタレドモ↢人↡状類甚、衣被弊壊シテ、単シク独立シテ不↠蔽↢形体↡、乞丐シテクル0143。飢寒困苦、面目羸劣ニシテ不↠類↢人↡。リテ↢其前世身之所↟作↢其殃罰↡、示シテ↠衆シムルニ↠之、莫者↡。棄↢捐セラレ市道↡暴露痟痩、黒醜悪極ニシテ↠及↠人耳。

帝王たいおうにんちゅう独尊どくそんにして最好さいこうなるゆゑはいかん。 みなそのぜんひととなりしときぜんをなしきょうどう信受しんじゅおんとくほどこし、 ひろくあいしてしたがにんにしてよろこびてあたへ、 飲食おんじきむさぼらず、 しゅとこれをともにして、 けんじゃくするところなくすべてしょうなし。

所↢以帝王人中独尊ニシテ最好ナル↡者何。皆其前世リシ↠人時、作↠善信↢受経道↡布↠恩↠徳、博シテ↠義慈仁ニシテビテ、不↠貪↢飲食↡、与↠衆共ニシテ↠之、無↠所↢遣惜スル↡都↢違争↡。

その善福ぜんぷく寿いのちおわりてとくしたがひて悪道あくどうかえらず、 こんじょうひととなりおうしょうずることをねんそんにしてひとおうとなり、 人民にんみん典主てんしゅ攬制らんせいしその雄傑おうけつとなる。

↢其善福↡寿終リテ徳随ヒテ不↠更↢悪道↡、今生↠人得↠生ズルコトヲ↢王家↡。自然尊貴ニシテトナリ、典↢主攬↣制人民↡為↢其↡。

面目めんもくけつびゃくげん好色こうじきにして身体しんたいたんじょうなり。 しゅにともにきょうせられ、 じきこうこころしたがこころにほしいままにして、 ねがひの所欲しょよくのごとく、 ねんまえにありてすべてしょうなし。 にんちゅうにおいて姝好しゅこうにしてうれひなく、 らくにして面目めんもく光沢こうたくなり。 ゆゑにすなはちしかるのみと。

面目潔白和顔好色ニシテ身体端正ナリ。衆敬事セラレ、美食・好衣随↠心ニシテ↠意、若↢楽ヒノ所欲↡、自然リテ↠前↢違争↡。於↢人中↡姝好ニシテ↟憂、快楽ニシテ面目光沢ナリ。故

ぶつなんげたまはく、 なんぢがことばなり。 帝王たいおうにんちゅうにおいてこのましくすべきものなしといへども、 まさに*しゃおつおうほとりにありてじゅうせしめば、 そのめんぎょうるいはなはだしゅうあくにしてこのましからざること、 たとへば乞人こつにん帝王たいおうほとりにありてじゅうするがごとくなるべきのみ。 その帝王たいおう面目めんもくなほまたしゃおつおう面色めんしき姝好しゅこうなるにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、若言是也。帝王↧於↢人中↡好シクシト↦比スベキ者↥、当メバ↧在リテ↢遮迦越王↡住↥者、其面形類甚醜悪ニシテルコト↠好シカラタトヘバクナルベキ↧乞人リテ↢帝王↡住スルガ↥耳。其帝王面目尚復不ルコト↠如↢遮迦越王面色姝好ナルニ↡百千億万倍ナリ

しゃおつおうのごときはてんにおいてへてこのましきことならびなきも、 まさにだい天王てんのうほとりにありてじゅうせしめば、 そのおもてはなはだみにくくしてこのましからざること、 なほまたたいしゃく面類めんるいたんじょうにして姝好しゅこうなるにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

キハ↢遮迦越王↡於↢天下↡絶エテシキコトキモ↠比、当メバ↧在リテ↢第二天王↡住↥者、其面甚クシテルコト↠好シカラ、尚復不ルコト↠如↢帝釈面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリ

てんたいしゃくのごときも第六だいろく天王てんのうほとりにありてじゅうせしめば、 その面類めんるいはなはだみにくくしてこのましからざること、 なほまた第六だいろく天王てんのう面類めんるいたんじょうにして姝好しゅこうなるにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

キモ↢天帝釈↡令メバ↧在リテ↢第六天王↡住↥者、其面類甚クシテルコト↠好シカラ、尚復不ルコト↠如↢第六天王面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリ

第六だいろく天王てんのうのごときも弥陀みだ仏国ぶっこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんほとりにありてじゅうせしめば、 そのおもてはなはだみにくくしてなほまた弥陀みだ仏国ぶっこくちゅうさつ阿羅あらかん面類めんるいたんじょうにして姝好しゅこうなるにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなりと。

キモ↢第六天王↡令0144メバ↧在リテ↢阿弥陀仏国中菩薩・阿羅漢↡住↥者、其面甚クシテ尚復不ルコト↠如↢阿弥陀仏国中菩薩・阿羅漢面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリト

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろのさつ阿羅あらかん面類めんるいはことごとくみなたんじょうにしてえてこのましきことならびなし。 泥洹ないおんどうちかし。

仏言、阿弥陀仏国菩薩・阿羅漢面類皆端正ニシテエテシキコト↠比。チカ↢於泥洹之道↡。

二 Ⅲ 宝樹荘厳

弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかん講堂こうどうしょうじゃしょところ舎宅しゃたくのうち、 ないよくほとりにみな七宝しっぽうじゅあり。 なかにじゅん金樹こんじゅじゅん銀樹ごんじゅじゅんすいしょうじゅじゅん琉璃るりじゅじゅんびゃくごくじゅじゅんさんじゅじゅんはくじゅじゅんしゃじゅありて、 種々しゅじゅにおのおのおのづからごうするなり。

阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢講堂・精舎、所居舎宅中、内外浴池皆有↢七宝樹↡。中リテ↢淳金樹・淳銀樹・淳水精樹・淳琉璃樹・淳白玉樹・淳珊瑚樹・淳珀樹・淳車樹↡、種種異行スルナリ

なかにりょうほうのともに一樹いちじゅとなるものあり。

↧両宝↢一樹↡者↥。

銀樹ごんじゅには銀根ごんこんこんきょうごん金葉こんようごん金実こんじつあり。 金樹こんじゅには金根こんこんごんきょうこんごんようこんごんじつあり。

銀樹ニハ銀根・金茎・銀枝・金葉・銀華・金実アリ。金樹者金根・銀茎・金枝・銀葉・金華・銀実アリ

すいしょうじゅにはすいしょうこん琉璃るりきょうすいしょう琉璃るりようすいしょう琉璃るりじつあり。 琉璃るりじゅには琉璃るりこんすいしょうきょう琉璃るりすいしょうよう琉璃るりすいしょうじつあり。 このほうともに一樹いちじゅとなるなり。

水精樹者水精根・琉璃茎・水精枝・琉璃葉・水精華・琉璃実アリ。琉璃樹者琉璃根・水精茎・琉璃枝・水精葉・琉璃華・水精実アリ。是二宝共ルナリ↢一樹↡。

なかにまたほうのともに一樹いちじゅとなるものあり。 すいしょうじゅにはすいしょうこん琉璃るりきょうこんごんようすいしょう琉璃るりじつあり。 琉璃るりじゅには琉璃るりこんすいしょうきょうこんごんようすいしょう琉璃るりじつあり。 このほうじゅうたたともにあひじょうじておのおのおのづからごうするなり。

復有↧四宝↢一樹↡者↥。水精樹ニハ水精根・琉璃茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実アリ。琉璃樹者琉璃根・水精茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実アリ。是四宝樹転相成ジテ異行スルナリ

なかにまたほうのともに一樹いちじゅとなるものあり。 銀樹ごんじゅにはごんこんこんきょうすいしょう琉璃るりようごんこんじつあり。 金樹こんじゅにはこんこんごんきょうすいしょう琉璃るりようさんごんじつあり。 すいしょうじゅにはすいしょうこん琉璃るりきょうさんごんようこん琉璃るりじつあり。 琉璃るりじゅには琉璃るりこんさんきょうすいしょうこんようごんさんじつあり。 さんじゅにはさんこん琉璃るりきょうすいしょうこんようごん琉璃るりじつあり。 このほうともに一樹いちじゅとなる。 おのおのおのづからごうするなり。

復有↧五宝↢一樹↡者↥。銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・銀華・金実アリ。金樹者金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・銀実アリ。水精樹者水精根・琉璃茎・珊瑚0145枝・銀葉・金華・琉璃実アリ。琉璃樹者琉璃根・珊瑚茎・水精枝・金葉・銀華・珊瑚実アリ。珊瑚樹者珊瑚根・琉璃茎・水精枝・金葉・銀華・琉璃実アリ。是五宝共↢一樹↡。各異行スルナリ

なかに六宝ろっぽうのともに一樹いちじゅとなるものあり。 銀樹ごんじゅにはごんこんこんきょうすいしょう琉璃るりようさんはくじつあり。 金樹こんじゅにはこんこんごんきょうすいしょう琉璃るりようはくさんじつあり。 すいしょうじゅにはすいしょうこん琉璃るりきょうさんはくようごんこんじつあり。 琉璃るりじゅには琉璃るりこんさんきょうはくすいしょうようこんごんじつあり。 この六宝ろっぽうじゅうたたともにあひじょうじて、 おのおのおのづからごうするなり。

↧六宝↢一樹↡者↥。銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・珀実アリ。金樹者金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・珀華・珊瑚実アリ。水精樹者水精根・琉璃茎・珊瑚枝・珀葉・銀華・金実アリ。琉璃樹者琉璃根・珊瑚茎・珀枝・水精葉・金華・銀実アリ。是六宝樹相成ジテ、各異行スルナリ

なかにまた七宝しっぽうのともに一樹いちじゅとなるものあり。

復有↧七宝↢一樹↡者↥。

銀樹ごんじゅにはごんこんこんきょうすいしょう琉璃るりようさんはくじつあり。

銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・珀実アリ

金樹こんじゅにはこんこんすいしょうきょう琉璃るりさんようはくごんじつあり。

金樹者金根・水精茎・琉璃枝・珊瑚葉・珀華・銀実アリ

すいしょうじゅにはすいしょうこん琉璃るりきょうさんはくようしゃびゃくごくじつあり。

水精樹者水精根・琉璃茎・珊瑚枝・珀葉・車華・白玉実アリ

さんじゅにはさんこんはくきょうびゃくごく琉璃るりようしゃみょう月珠がつしゅじつあり。

珊瑚樹者珊瑚根・珀茎・白玉枝・琉璃葉・車華・明月珠実アリ

はくじゅにははくこんびゃくごくきょうさん琉璃るりようすいしょうこんじつあり。

珀樹珀根・白玉茎・珊瑚枝・琉璃葉・水精華・金実アリ

びゃくごくじゅにはびゃくごくこんしゃきょうさんはくようこん摩尼まにしゅじつあり。

白玉樹者白玉根・車茎・珊瑚枝・珀葉・金華・摩尼殊実アリ

この七宝しっぽうじゅうたたともにあひじょうじて、 種々しゅじゅにおのおのおのづからごうするなり。 行々ごうごうあひひ、 茎々きょうきょうおのづからあひじゅんじ、 枝々ししおのづからあひひ、 葉々ようようおのづからあひむかひ、 華々けけおのづからあひのぞみ、 実々じつじつおのづからあひあたれりと。

七宝樹転相成ジテ、種種ルナリ。行行相値、茎茎自相准、枝枝自相値、葉葉自相向、華華自相望、実実相当レリト

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつとう講堂こうどうしょうじゃのうち、 ない七宝しっぽうよくへんじょうめぐれるもろもろの七宝しっぽうじゅ、 およびもろもろのさつ阿羅あらかん七宝しっぽう舎宅しゃたくのうち、 ない七宝しっぽうよくへんめぐれるもろもろの七宝しっぽうじゅしゅせんひゃくじゅうならぶ。 みなおのおのかくのごとし。

仏言、阿弥陀仏講堂・精舎中、内外七宝浴池レル↢辺上↡諸七宝樹、及菩薩・阿羅漢七宝舎宅中、内外0146浴池レル↢池辺↡諸七宝樹、数千百ナラ。皆各↠是クノ

おのおのおのづからいつつのおんじょうをなす。 おんじょうのはなはだこのましきことならびなしと。

↢五音声↡。音声シキコトシト↠比也。

二 Ⅲ 楽音荘厳

【9】 ぶつなんげたまはく、 けん帝王たいおうひゃくしゅがくおんじょうあるがごときは、 しゃおつおうのもろもろのがくおんじょうこのましきにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。 しゃおつおう万種まんじゅがくおんじょうのごときも、 なほまただいとうてんじょうのもろもろのがくひとつのおんじょうにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。 とうてんじょう万種まんじゅがくこえのごときも、 なほまた第六だいろくてんじょうひとつのおんじょうこのましきにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。 第六だいろくてんじょう万種まんじゅ音楽おんがくこえのごときも、 なほまた弥陀みだ仏国ぶっこくちゅう七宝しっぽうじゅひとつのおんじょうこのましきにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、如キハ↣世間帝王ルガ↢百種伎楽音声↡、不ルコト↠如↢遮迦越王伎楽音声シキニ↡百千億万倍ナリ。如キモ↢遮迦越王万種伎楽音声↡、尚復不ルコト↠如↢第二忉利天上伎楽音声↡百千億万倍ナリ。如キモ↢忉利天上万種伎楽之声↡、尚復不ルコト↠如↢第六天上音声シキニ↡百千億万倍ナリ。如キモ↢第六天上万種音楽之声↡、尚復不ルコト↠如↢阿弥陀仏国中七宝樹音声シキニ↡百千億万倍ナリ

弥陀みだ仏国ぶっこくのなかにまた万種まんじゅねんがくあり、 はなはだたのしきこときわまりなし。

阿弥陀仏国亦有↢万種自然伎楽↡、甚シキコト↠極

弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんよくせんとほっするときには、 すなはちおのおのみづからその七宝しっぽうのなかにりてよくすべし。 もろもろのさつ阿羅あらかんこころみずをしてあしひたさしめんとほっせば、 みずすなはちあしひたす。 こころみずをしてひざいたらしめんとほっせば、 みずすなはちひざいたる。 こころみずをしてこしいたらしめんとほっせば、 みずすなはちこしいたる。 こころみずをしてわきいたらしめんとほっせば、 みずすなはちわきいたる。 こころみずをしてくびいたらしめんとほっせば、 みずすなはちくびいたる。 こころみずをしておのづからうえそそがしめんとほっせば、 みずすなはちおのづからうえそそぐ。 こころみずをして還復げんぶくすることもとのごとくならしめんとほっせば、 みずすなはちかえりてまたもとのごとし。 ほしいままにこころ所欲しょよくこうしたがふと。

阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢、欲スル↠浴セムトニハ、便↧入リテ↢其七宝池↡浴↥。諸菩薩・阿羅漢、意セバ↠令メムト↢水ヲシテヒタ↟足、水即↠足。意セバ↠令メムト↢水ヲシテ↟膝、水即↠膝。意セバ↠令メムト↢水ヲシテ↟腰、水即↠腰。意セバ↠令メムト↢水ヲシテ、水即。意セバ↠令メムト↢水ヲシテ↟頚、水即↠頚。意セバ↠令メムト↣水ヲシテ↢身↡、水即↢身↡。意セバ↠令メムト↢水ヲシテ還復スルコトクナラモト、水即リテ復如↠故恣若ホシイママフト↢意所欲好喜↡。

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかん、 みなよくしをはりて、 ことごとくみづからひとつのだいれんうえにおいてすればすなはちほうよりねん乱風らんぷうおこる。 その乱風らんぷうはまたけんかぜにあらず、 またてんじょうかぜにもあらず。 すべて八方はっぽうじょう衆風しゅふうのなかのしょうねんごうしてしょうするのみ。 さむからずあつからず、 つねに調じょう中適ちゅうちゃくなり。 はなはだ清涼しょうりょうにしてこのましきことならびなし。 おもむろにおこりておそからずはやからず、 まさにちゅうたり。

仏言、阿弥陀及菩薩・阿羅漢、皆浴0147リテ、悉↢一大蓮華↡坐スレバ四方ヨリ自然乱風起。其乱風者亦非↢世間之風↡、亦非↢天上之風ニモ↡。都八方上下衆風精、自然合会シテ化生スル耳。不↠寒カラ不↠熱カラ、常和調中適ナリ。甚清涼ニシテシキコト↠比也。徐リテ不↠遅カラ不↠カラ、適タリ↢中宜↡。

七宝しっぽうじゅくにみないつつのおんじょうをなす。

↢七宝樹↡皆作↢五音声↡。

七宝しっぽうじゅはなをもつてことごとくそのこくちゅうおおへり。 みなぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなしたがひてつるにみなあつすんなり。 きわめておのづから軟好なんこうなることならびなし。

↢七宝樹↡悉ヘリ↢其国中↡。皆散↢仏及菩薩・阿羅漢↡。華随ヒテツルニ↠地皆厚四寸ナリ。極軟好ナルコト↠比。

すなはちねん乱風らんぷうきて、 しぼめるはなことごとくねんる。 すなはちまたほうよりねん乱風らんぷう七宝しっぽうじゅけば、 じゅみなまたいつつのおんじょうをなして、 じゅはなみなねんぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなすこしくしぼみてつればすなはちねんる。 すなはちまたほうより乱風らんぷうおこりて七宝しっぽうじゅきかくのごとくすることへんなり。

自然乱風吹キテ、萎メル華悉自然。即復四方ヨリ自然乱風吹ケバ↢七宝樹↡、樹皆復作シテ↢五音声↡、樹華皆自然↢仏及菩薩・阿羅漢↡。華小シクミテツレバ↠地自然。即復四方ヨリ乱風起リテ↢七宝樹↡如クスルコト↠是クノナリ

もろもろのさつ阿羅あらかんのなかに、 ただきょうかんとほっするものあり、 なかにただ音楽おんがくかんとほっするものあり、 なかにただこうがんとほっするものあり、 きょうくことをほっせざるものあり、 音楽おんがくこえくことをほっせざるものあり、 こうぐことをほっせざるものあり。 そのかんとほっするところのものはすなはちひとりこれをき、 くことをほっせざるものはすなはちひとかず。 こころほっするところにしたがひてらくしそのがんたがはざるなり。

菩薩・阿羅漢、有↢但欲スル↠聞カムト↠経者↡、中↧但欲スル↠聞カムト↢音楽↡者↥、中↧但欲スルガムト↢華香↡者↥、有↢不↠欲↠聞クコトヲ↠経者↡、有↧不↠欲↠聞クコトヲ↢音楽↡者↥、有↧不↠欲↠聞グコトヲ↢華香↡者↥。其↠欲スル↠聞カムト輒即↠之、不↠欲↠聞クコトヲ不↠聞。随ヒテ↟欲スル喜楽↠違↢其↡也。

よくしをはればおのおのみづからる。

レバ

ぎょうどうするなかににありてきょうこうずるもの、 きょうじゅするもの、 きょうくもの、 きょうじゅするもの、 きょうくもの、 きょうねんずるもの、 どうおもふもの、 ぜんするもの、 経行きょうぎょうするものあり。

行道スル↧在リテ↠地ズル↠経者、誦スル↠経者、説↠経者、口↢受スル↡者、聴↠経者、念ズル↠経者、思↠道者、坐禅スル者、経行スル者↥。

なかにくうのなかにありてきょうこうずるもの、 きょうじゅするもの、 きょうくもの、 きょうじゅするもの、 きょうくもの、 きょうねんずるもの、 どうおもふもの、 ぜん一心いっしんなるもの、 経行きょうぎょうするものあり。

↧在リテ↢虚空↡講ズル↠経者、誦スル↠経者、説↠経者、口↢受スル↡者、聴↠経者、念ズル↠経者、思↠道者、坐禅一心ナル者、経行スル者↥。

いまだしゅおんどうざるものはすなはちしゅおんどう、 いまだ斯陀しだごんどうざるものはすなはち斯陀しだごんどう、 いまだ阿那あなごんどうざるものはすなはち阿那あなごんどう、 いまだ阿羅あらかんどうざるものはすなはち阿羅あらかんどう、 いまだゆいおっさつざるものはすなはちゆいおっるなり。

↠得↢須陀洹道0148↡者得↢須陀洹道↡、未↠得↢斯陀含道↡者得↢斯陀含道↡、未↠得↢阿那含道↡者得↢阿那含道↡、未↠得↢阿羅漢道↡者得↢阿羅漢道↡、未↠得↢阿惟越致菩薩↡者ルナリ↢阿惟越致↡。

おのおのみづからきょうどうぎょうじて、 ことごとくみなどうて、 かんやくせざるものなし。

↠経ジテ↠道、悉皆得↠道、莫↧不↢歓喜踊躍↡者↥也。

二 Ⅲ 供養諸仏

もろもろのさつのなかに、 こころ八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつようせんとほっするものあらば、 すなはちみなともにすすみてぶつのためにらいをなしぶつにまうさく、 きて八方はっぽうじょう央数おうしゅぶつようしたまはんと。 ぶつすなはちこれをねんしてすなはちかしめたまふ。 もろもろのさつのみなおほきにかんするもの、 しゅ千億せんおく万人まんにん央数おうしゅにしてまたかぞふべからず。 みなまさに智慧ちえゆうみょうにして、 おのおのみづから幡輩ほんぱいしてび、 あひひてともにびて、 すなはち八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつみもといたり、 みなすすみて諸仏しょぶつのためにらいをなして、 すなはちようすべし。

菩薩、有ラバ↤意スルモノ↣供↢養セムト八方上下無央数諸仏↡、即皆倶ミテ↠仏↠礼サク↠仏、辞キテ供↢養シタマハムト八方上下無央数↡。仏即然↢可シテ↡即使メタマフ↠行。諸菩薩皆大歓喜スルモノ、数千億万人無央数ニシテ不↠可カラ↢復計↡。皆当↧智慧勇猛ニシテ、各幡輩シテ、相追ヒテ倶共 トモ ビテ、則↢八方上下央数諸仏↡、皆前ミテ↢諸仏↡作シテ↠礼、即便供養↥。

こころ万種まんじゅねんのもののまえにあるをんとほっせば、 すなはちねんひゃくしゅ雑色ざっしきはなひゃくしゅざつ繒綵ぞうさいひゃくしゅ*こういく七宝しっぽうとう万種まんじゅがくことごとくみなまえにあり。

セバ↠得ムト↢万種自然之物ルヲ↟前、即自然百種雑色華・百種雑繒綵・百種劫波育衣・七宝灯火・万種伎楽悉皆在↠前

そのこう万種まんじゅねんのものは、 またけんのものにあらず、 またてんじょうのものにあらず。 この万種まんじゅのものはすべて八方はっぽうじょうしゅねんごうしてしょうするのみ。 こころんとほっせばすなはちねんしょうし、 こころもちゐざらんとせばすなはち化去けこす。 もろもろのさつすなはちともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんようす。 辺傍へんぼうぜんにょうしゅうそうす。 こころ所欲しょよくのごとくありてすなはちみないたる。 このときあたりてらくいふべからず。

華香万種自然之物、亦非↢世間之物↡、亦非↢天上之物↡也。是万種八方上下衆、自然合会シテ化生スル耳。意セバ↠得ムト者即自然化生、意ラムトセバ↠用者即化去。諸菩薩便シテ供↢養諸仏及菩薩・阿羅漢↡。辺傍・前後廻繞周帀。在リテ↢意所欲ノゴトク即輒スナハチ皆至。当リテ↢是之時↡快楽不↠可カラ↠言也。

もろもろのさつこころにおのおのじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 すなはちくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 はなはなはだぐはしくこのまし。 すこしくしぼみてつれば、 すなはちねん乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意セバ↠得ムト↢四十里↡、即自然↠前。便↢虚空↡、共0149シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。華甚シク。小シクミテツレバ↠地、即自然乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたはちじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなみなまたくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 すなはちねん乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩、意復欲セバ↠得ムト↢八十里↡、即自然↠前。共シテ↢諸仏及諸菩薩・阿羅漢↡。華皆復在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、即自然乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたひゃくろくじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 すなはちくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなみなまたくうのなかにおいてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 すなはちねん乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢百六十里↡、即自然↠前。便↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。華皆復於↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、即自然乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたさんびゃくじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 またくうのなかにおいて、 して諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなくうのなかにおいてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 すなはちねん乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢三百二十里↡、即自然↠前。復於↢虚空↡、持シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。華於↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、即自然乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたろっぴゃくじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 またもつて諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうねんきてしぼめるはなる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢六百四十里↡、即自然↠前。復以↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風自然キテメル華去

もろもろのさつこころにおのおのまたせんひゃくはちじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうねんに吹しぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢千二百八十里↡、即自然↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風自然キテメル華悉

もろもろのさつこころにおのおのまたせんひゃくろくじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢二千五百六十里↡、即自然↠前。復於↢虚空↡、共0150シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたせんいっぴゃくじゅうはなんとほっせば、 すなはちねんまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢五千一百二十里↡、即自然↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたまんひゃくじゅうはなんとほっせば、 すなはちみなねんまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢万二百四十里↡、即皆自然↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたまんひゃくはちじゅうはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢二万四百八十里↡、即皆在↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢五万里↡、即皆在↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたじゅうまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 もろもろのさつまたくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢十万里↡、即皆在↠前。諸菩薩復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたじゅうまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢二十万里↡、即皆在↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。小シクミテ0151レバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたじゅうまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢四十万里↡、即皆在↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのまたはちじゅうまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 またくうのなかにおいて、 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 みなくうのなかにありてくだむかふ。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意復欲セバ↠得ムト↢八十万里↡、即皆在↠前。復於↢虚空↡、共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。皆在リテ↢虚空↡下。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのひゃくろくじゅうまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきてしぼめるはなことごとくねんる。

菩薩意セバ↠得ムト↢百六十万里↡、即皆在↠前。共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華悉自然

もろもろのさつこころにおのおのさんびゃくまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 すこしくしぼみてつれば、 乱風らんぷうきて萎華ねんる。

菩薩意セバ↠得ムト↢三百万里↡、即皆在↠前。共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。小シクミテツレバ↠地、乱風吹キテメル華自然

もろもろのさつこころにおのおのろっぴゃくまんはなんとほっせば、 すなはちみなまえにあり。 ともにして諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。

菩薩意セバ↠得ムト↢六百万里↡、即皆在↠前。共シテ↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。

はなすべてねんがっしていっとなる。 はなしょうたんにしてまどかにしゅうそうし、 おのおのまさにひとし。 はなうたたさきばいして、 はなきわめておのづから軟好なんこうにして、 さきはなすぐるることしゅせんひゃくばいなり。 色々しきじきこうぐはしきこといふべからず。

華都自然シテ↢一華↡。華正端ニシテカニ周帀。華転シテ↠前、華極軟好ニシテ、勝ルルコト↢於前↡数千百倍ナリ。色色異香、香シキコト不↠可カラ↠言

もろもろのさつみなおほきにかんして、 ともにくうのなかにおいておほきにともに衆音しゅおんねんがくをなして、 諸仏しょぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんたのしましむ。 このときあたりてらくいふべからず。 もろもろのさつみなことごとくしりぞしてきょうく。 きょうきをはりてすなはちことごとくじゅしてつうかさねてきょうどうり、 ますます智慧ちえあきらかなり。

菩薩皆大歓喜シテ、倶↢虚空↡大シテ↢衆音自然伎楽↡、楽マシム↢諸仏及菩薩・阿羅漢↡。当リテ↢此之時↡快楽不↠可カラ↠言。諸菩薩皆悉シテ↠経。聴↠経リテ諷誦シテネテ↢経道↡、益マスカナリ↢智慧↡。

すなはちもろもろの仏国ぶっこくのなかに第一だいいちてんじょうよりさんじゅう三天さんてんじょういたるまでのもろもろの天人てんにん、 みなともにてんじょう万種まんじゅねんのものをして、 きたくだりてもろもろのさつ阿羅あらかんようす。 天人てんにんみなまたくうのなかにおいておほきにともに衆音しゅおんがくをなせり。

仏国↢第一四天0152上↡至ルマデノ↢三十三天上↡諸天人、皆共シテ↢天上万種自然之物↡、来リテ供↢養菩薩・阿羅漢↡。天人皆復於↢虚空↡大セリ↢衆音伎楽↡。

もろもろの天人てんにんさききたれるもの、 うたたりてのちきたるものをく。 のちきたれるものうたたまたようすることさきのごとくして、 たがひにかいす。

天人レル者、転リテ↢後↡。後レル者転復供養スルコトクシテ↠前更相 タガヒ 開避

もろもろの天人てんにんかんきょうきておほきにともに音楽おんがくをなす。 このときあたりてらくきわまりなし。

天人歓喜キテ↠経↢音楽↡。当リテ↢是↡快楽無↠極

もろもろのさつようきょうきをはりて、 すなはちみなちてぶつのためにらいをなしてる。 すなはちまた八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつみもといたり、 ようしてきょうくこと、 みなおのおのさきのごとし。

菩薩供養↠経訖竟 ヲハ リテ、便皆起チテ↠仏シテ↠礼而去。即復飛↢到八方上下無央数諸仏↡、供養シテクコト↠経、皆各↠前

ことごとくへんして以後いごのいまだちゅうならざるとき、 おのおのびてそのくにかえり、 弥陀みだぶつのためにらいをなして、 みなしりぞしてきょうきをはりておほきにかんす。

シテ已後、日↠中ナラ時、各ビテ↢其↡、為↢阿弥陀仏↡作シテ↠礼、皆却シテ↠経リテ歓喜

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんじきせんとほっするときはすなはちねん七宝しっぽうつくえこういくけいじょう、 もつてとなる。 ぶつおよびさつみなせば、 まえにことごとくねん七宝しっぽうはちあり。 なかにひゃく飲食おんじきあり。 飲食おんじきまたけんるいせず、 またてんじょうのものにもあらず。 このひゃく飲食おんじき八方はっぽうじょうのもろもろのねん飲食おんじきのなかのしょうにして、 はなはだこうにしてならびなし。 ねんしょうするのみ。 甜酢てんさくんとほっせば所欲しょよくのごとくありて

仏言、阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢、欲スル↠食セムト自然七宝机・劫波育・罽畳、以↠座。仏及菩薩皆坐セバ、前↢自然七宝鉢↡。↢百味飲食↡。飲食者亦不↠類↢世間↡、亦非↢天上ノモノニモ↡。此百味飲食八方上下自然飲食精味ニシテ、甚香美ニシテ↠比。自然化生スル耳。欲セバ↠得ムト↢甜↡在リテ↢所欲ノゴトク↡得。

もろもろのさつ阿羅あらかんのなかに、 金鉢こんぱちんとほっするものあり、 銀鉢ごんぱちんとほっするものあり、 すいしょうはちんとほっするものあり、 さんはちんとほっするものあり、 はくはちんとほっするものあり、 びゃくごくしゃはちんとほっするものあり、 のうはちんとほっするものあり、 みょうがつはちんとほっするものあり、 摩尼まにしゅはちんとほっするものあり、 紫磨しまこんはちんとほっするものあり、 こころしたがひてすなはちいたる。 またじゅうらいするところもなく、 またようするものもなし。 ねんしょうするのみ。

菩薩・阿羅漢、有↧欲スル↠得ムト↢金鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢銀鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢水精鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢珊瑚鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト虎珀鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢白玉鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト車鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト馬瑙鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢明月珠鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢摩尼珠鉢↡者↥、有↧欲スル↠得ムト↢紫磨金鉢↡者↥、随ヒテ↠意。亦無↠所↢従来0153スル↡、亦無↢供養スル↡。自然化生スル耳。

もろもろのさつ阿羅あらかんみなじきするに、 じきもまたおおからずまたすくなからずことごとくびょうどうなり。 またあくをいはず、 またうまきをもつてのゆゑによろこばず。 じきしをはればもろもろのぼんはちつくえ、 みなねんし、 じきせんとほっするときはすなはちまたしょうするのみ。 もろもろのさつ阿羅あらかんみなこころじょうけつにして、 飲食おんじきするところはただもつてりきをなすのみ。 みなねんしょうさんじんして化去けこすと。

菩薩・阿羅漢皆食スルニ、食亦不↠多カラ亦不↠少カラ平等ナリ。亦不↠言↢美悪↡、亦不↢以テノ↠美↡。食レバ飯具・鉢・机・座、皆自然化去、欲スル↠食セムト復化生スル爾。諸菩薩・阿羅漢皆心浄潔ニシテ、所飲食スル↡但用↢気力爾。皆自然消散摩尽シテ化去スト

二 Ⅲ 聖衆無量

【10】ぶつなんげたまはく、 弥陀みだぶつもろもろのさつ阿羅あらかんのためにきょうきたまふとき、 すべてことごとくおほきに講堂こうどううえす。 もろもろのさつ阿羅あらかんおよび諸天しょてん人民にんみん央数おうしゅにして、 すべてまたかぞふべからず、 みな弥陀みだぶつみもといたりてぶつのためにらいをなし、 しりぞしてきょうく。 そのぶつひろどうだいきょうきたまふ。 みなことごとくもんしてかんやくしてこころかいせざるものなし。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、阿弥陀仏為↢諸菩薩・阿羅漢↡説キタマフ↠経時、都↢講堂↡。諸菩薩・阿羅漢及諸天・人民無央数ニシテ、都不↠可カラ↢復計↡、皆飛↢到リテ阿弥陀仏↡為↠仏↠礼、却シテ↠経。其仏広キタマフ↢道智大経↡。皆悉聞知シテ↧不↢歓喜踊躍シテ開解↡者↥。

すなはちほうよりねん乱風らんぷうおこりて七宝しっぽうじゅくに、 みないつつのおんじょうをなせり。 七宝しっぽうじゅはなそのくにがいし、 みなくうのなかにありてくだむかふ。 そのはなかおり一国いっこくのうちにへんして、 みな弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんうえさんず。 はなちてみなあつすんなり。 すこしくしぼめばすなはち乱風らんぷうきてしぼめるはなねんる。 ほう乱風らんぷう七宝しっぽうじゅはなくことかくのごとくへんす。

四方ヨリ自然乱風起リテクニ↢七宝樹↡、皆作セリ↢五音声↡。七宝樹華覆↢蓋↡、皆在リテ↢虚空↡下。其華之香遍シテ↢一国↡、皆散↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢↡。華堕チテ↠地皆厚四寸ナリ。小ククメバ乱風吹キテメル華自然。四方乱風吹クコト↢七宝樹↡如↠是クノ

すなはち第一だいいち天王てんのうだいとうてんじょうよりさんじゅう三天さんてんじょういたるまでの、 もろもろの天人てんにんみなてんじょう万種まんじゅねんものひゃくしゅ雑色ざっしきひゃくしゅ雑香ざっこうひゃくしゅざつ繒綵ぞうさいひゃくしゅこういくじょう万種まんじゅがくのうたたばいしてこのましくあひすぐるるをち、 おのおのちてきたくだり、 弥陀みだぶつのためにらいをなして、 ぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんようす。 もろもろの天人てんにんみなまたおほきにがくをなして、 弥陀みだぶつおよびもろもろのさつ阿羅あらかんたのしましむ。このときあたりてらくいふべからず。 諸天しょてんたがひにかいす。 のちきたるものうたたまたようすることさきのごとし。

第一四天王・第二忉利天上ヨリルマデノ↢三十三天上↡、諸天人皆持↢天上万種自然之物・百種雑色華・百種雑香・百種雑繒綵・百種劫波育畳衣・万種伎楽シテシク相勝ルルヲ↡、各チテ、為↢阿弥陀仏↡作シテ↠礼、供↢養仏及菩薩・阿羅漢↡。諸0154人皆復大シテ↢伎楽↡、楽マシム↢阿弥陀仏及菩薩・阿羅漢↡。当リテ↢是↡快楽不↠可カラ↠言。諸天更相 タガヒ 開避。後者転復供養スルコト↠前

すなはち東方とうぼう央数おうしゅ仏国ぶっこく、 そのかずまたかぞふべからず、 恒水ごうすいほとりしゃいっしゃ一仏いちぶつとするがごとし。 そのかずかくのごとき諸仏しょぶつ、 おのおのもろもろのさつ央数おうしゅにしてまたかぞふべからざるをつかはすに、 みな弥陀みだぶつみもといたり、 らいをなしきょうき、 みなおほきにかんし、 ことごとくちてためにらいをなしてる。

東方無央数仏国、其数不↠可カラ↢復計↡、如↢恒水流沙一沙一仏トスルガ↡。其数如↠是クノ諸仏、各スニ↢諸菩薩无央数ニシテルヲ↟可カラ↢復計↡、皆飛↢到阿弥陀仏↡、作↠礼↠経、皆大歓喜、悉チテシテ↠礼

西方さいほう北方ほっぽう南方なんぽうかく諸仏しょぶつ、 そのかずおのおの恒水ごうすいほとりしゃのごとし。 おのおのもろもろのさつ央数おうしゅなるをつかすに、 弥陀みだぶつみもといたり、 らいをなしきょうくことまたまたかくのごとし。

西方・北方・南方・四角諸仏、其数各↢恒水流沙↡。各スニ↢諸菩薩無央数ナルヲ↡、飛↢到阿弥陀仏↡、作↠礼クコト↠経亦復如↠是クノ

すなはちほうじょうほう諸仏しょぶつ、 そのかずおのおの恒水ごうすいほとりしゃのごとし。 みなもろもろのさつのすべてまたかぞふべからざるをつかはすに、 弥陀みだぶつみもといたり、 らいをなしきょうき、 たがひにかいす。 かくのごとくしてつひにぜつするときなしと。

下方・上方諸仏、其数各↢恒水流沙↡。皆遣スニ↢諸菩薩ルヲ↟可カラ↢復計↡、飛↢到阿弥陀仏↡、作↠礼↠経更相 タガヒ 開避。如クシテ↠是クノシト↢休絶スル時↡也。

ぶつのたまはく、 諸仏しょぶつ恒水ごうすいほとりしゃをもつてかずとなすゆゑは、 八方はっぽうじょう央数おうしゅぶつ甚大じんだいしゅにして、 すべておのおのまたかぞふべからざるがゆゑに、 恒水ごうすいほとりしゃをもつてかずとなすのみと。

仏言、所↧以諸仏以↢恒水流沙↡為↞数者、八方上下無央数仏、甚大衆多ニシテ、都ルガカラ↢復計↡故、以↢恒水流沙↡為↠数

【11】ぶつなんかたりたまはく、 弥陀みだぶつもろもろのさつ阿羅あらかんのためにきょうきをはるに、 諸天しょてん人民にんみんのなかに、 いまだどうざるものあればすなはちどう、 いまだしゅおんざるものはすなはちしゅおん、 いまだ斯陀しだごんざるものはすなはち斯陀しだごん、 いまだ阿那あなごんざるものはすなはち阿那あなごん、 いまだ阿羅あらかんざるものはすなはち阿羅あらかん、 いまだゆいおっさつざるものはすなはちゆいおっさつ

仏語リタマハク↢阿難↡、阿弥陀仏為↢諸菩薩・阿羅漢↡説↠経ルニ、諸天・人民、有レバ↢未↠得↠道者↡即得↠道、未↠得↢須陀洹↡者得↢須陀洹↡、未↠得↢斯陀含↡者得↢斯陀含↡、未↠得↢阿那含↡者得↢阿那含↡、未↠得↢阿羅漢↡者得↢阿羅漢↡、未↠得↢阿惟越致菩薩↡者得↢阿惟越致菩薩↡。

弥陀みだぶつすなはちその宿命しゅくみょうときどうもとむるこころがんするところのだいしょうしたがひ、 ずいにためにきょうきてこれにじゅして、 すなはちかいしみなことごとくみょうしむ。 おのおのみづからねがふところのきょうどうこうし、 らくせざるはなし。 これをじゅじゅうするものは、 みづからじゅつうして、 えんごくなり。

阿弥陀仏輒↧其宿命0155ムル↠道↢憙願スル↡大小↥、随意キテ授↢与シテ↡、即↣疾開解得↢皆悉明慧↡。各好↢喜↠願経道↡、莫↠不ルハ↢喜楽↡。誦↢習スル↡者、自諷誦通利シテ、无厭無極ナリ

もろもろのさつ阿羅あらかんのなかにきょうじゅするものあり、 そのこえさんびゃくかねこえのごとし。 なかにきょうくものあり、 疾風しっぷう暴雨ぼうときのごとし。 かくのごとく一劫いっこうくすともつひにおこたときなし。 みなことごとく智慧ちえゆうみょうに、 身体しんたいきょう便べんにして、 つひに痛痒つうようきわまるときなし。 ぎょう坐起ざき、 ことごとくみな才健さいごんゆうみょうなり。

菩薩・阿羅漢↢誦スル↠経者↡、其音如↢三百↡。中↢説↠経者↡、如↢疾風暴雨↡。如↠是クノストモ↢一竟終 ツヒ ↢懈時↡。皆悉智慧勇猛、身体軽便ニシテ、終↢痛痒極時↡。行歩坐起、悉皆才健勇猛ナリ

師子ししちゅうおうのごときは深山じんせんのなかにありて趣向しゅこうするところあるとき、 あへてあたるものあることなし。 なんこころあることなく、 こころ作為さいするところのごとくにありてあらかじめはかるべからざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。 このみょう師子ししちゅうおうひゃく千億せんおく万倍まんばいすとも、 なほまたわがだい弟子でし摩訶まかもく揵連けんれんゆうみょうなるにしかざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

キハ↢師子中↡在リテ↢深山↡有↠所↢趣向スル↡時、無↠有ルコト↢敢者↡。無↠有ルコト↢疑難之意↡、在リテ↣心ノゴトクニ↢作為スル↡不ルコト↠可カラ↡百千億万倍ナリ。是猛師子中王、百千億万倍ストモ、尚復不ルコト↠如↢我第二弟子摩訶目揵連勇猛ナルニ↡百千億万倍ナリ

摩訶まかもく揵連けんれんのごときは諸国しょこくさつ阿羅あらかんのなかにおいてもつともならびなしとなす。 ぎょうしん智慧ちえゆうみょうに、 あきらかにあきらかにき、 八方はっぽうじょうらい現在げんざいることひゃく千億せんおく万倍まんばいなるを、 ともにがっしていち智慧ちえとなして、 まさに弥陀みだ仏国ぶっこくのなかのもろもろのかんほとりにあらしめんに、 そのとくなほまたおよばざることひゃく千億せんおく万倍まんばいなるべしと。

キハ↢摩訶目揵連↡於↢諸国菩薩・阿羅漢↡最↠无シト↠比。飛行進止智慧勇猛アキラカアキラカ、知ルコト↢八方上下、去・来・現在之事↡百千億万倍ナルヲ、共シテシテ↢一智慧↡、当シト↧令メムニ↠在↢阿弥陀仏国羅漢↡、其徳尚復不ルコト↠及百千億万倍ナル↥。

いつさつすなはちちてすすみてじょう叉手しゃしゅし、 ぶつひたてまつりてまうさく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのなかのもろもろの阿羅あらかん、 むしろすこぶるはつ泥洹ないおんるものありやなしや。 ねがはくはこれをかんとほっすと。 ぶつのたまはく、 もしらんとほっせば、 かくのごときてんほし、 なんぢこれをるやいなやと。 いつさつまうさく、 ややしかなり、 これをると。 ぶつのたまはく、 わがだい弟子でし摩訶まかもく揵連けんれんのごとき、 てんじょうのぼいっちゅういちあまねくかぞへてほし幾枚いくまいかあるをらんとするも、 このてんほしはなはだしゅにして、 かぞふることをべからざること、 なほまたひゃく千億せんおく万倍まんばいなるはこれほしなり。

阿逸菩薩即チテミテ長跪叉手、問ヒタテマツリテ↠仏、阿弥陀仏国阿羅漢、寧リヤ↢般泥洹者↡無シヤ。願クハスト↠聞カムト↠之。仏言、若セバ↠知ラムト者、如↠是クノ四天下星、若見ルヤ↠之ヤト。阿逸菩薩言、唯然ナリ、見ルト↠之。仏言、如↢我第二弟子摩訶目揵連↡、飛↢上天上↡一昼一夜0156ヘテラムトスルモ↣星有ルヲ↢幾枚↡、此四天下星甚衆多ニシテ、不ルモノ↠可カラ↠得↠計フルコトヲ、尚復百千億万倍ナルハ是星也。

てん大海だいかいみずのごときは一渧いったいげんらば、 むしろよく海水かいすいためにげんじてしょうなりとらしむるやいなやと。 こたへてまうさく、 ひゃく千億せんおくまんこくげんるとも、 なほげんじてしょうなりとらしむることあたはずと。

キハ↢天下大海↡減↢去ラバ↡、寧ムルヤ↢海水為ジテ↟少ナリト不耶。対ヘテ、減↢去ルトモ百千億万斗石↡、尚不↠能↠令ムルコト↢減ジテ↟少ナリト也。

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろの阿羅あらかんのなかに、 はつ泥洹ないおんるものありといへども、 大海だいかいいち渧水たいすいげんずるがごときのみ。 ざいするもろもろの阿羅あらかんのためにげんじてしょうなりとらしむることあたはずと。

仏言、阿弥陀仏国阿羅漢、雖↠有リト↢般泥洹者↡、如↣大海ズルガ↢一渧水爾。不↠能↠令ムルコト↢在スル阿羅漢為ジテ↟少ナリト也。

ぶつのたまはく、 大海だいかいいち渓水けいすいげんらば、 むしろげんじてしょうならしむるやいなや。 こたへてまうさく、 ひゃく千億せんおくまん渓水けいすいげんるとも、 なほげんじてしょうなりとることあたはずと。

仏言、大海減↢去ラバ一渓水↡、寧ムルヤ↢減ジテナラ↡不ヤト。対ヘテ、減↢去ルトモ百千億万渓水↡、尚不↠能↢減ジテルコト↟少ナリト也。

ぶつのたまはく、 大海だいかいいち恒水ごうすいげんぜば、 むしろよくげんじてしょうなりとらしむるやいなやと。 こたへてまうさく、 ひゃく千億せんおくまん恒水ごうすいげんるとも、 げんじてしょうなりとらしむることあたはずと。

仏言、減ゼバ↢大海一恒水↡、寧ムルヤ↢減ジテ↟少ナリトヤト。対ヘテ、減↢去ルトモ百千億万恒水↡、不↠能↠令ムルコト↢減ジテ↟少ナリト也。

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろの阿羅あらかんはつ泥洹ないおんるものも央数おうしゅなり。 そのるもののあらたにどうるものもまた央数おうしゅなり。 すべて増減ぞうげんをなさずと。

仏言、阿弥陀仏国阿羅漢、般泥洹無央数ナリ。其↠道亦無央数ナリ。都↠為↢増減↡也。

ぶつのたまはく、 てん諸水しょすいをしてすべてだい海水かいすいのなかににゅうせしめんに、 むしろよく海水かいすいをしてぞうならしむるやいなやと。 こたへてまうさく、 ぞうならしむることあたはず。 ゆゑはいかん。 この大海だいかいてん諸水しょすい衆善しゅぜんのなかのおうなり。 ゆゑによくしかるのみと。

仏言、令メムニ↣天下諸水ヲシテ流↢入大海水↡、寧ムルヤ↢海水ヲシテ増多ナラ↡不ヤト。対ヘテ、不↠能↠令ムルコト↢増多ナラ↡也。所以者何。是大海↢天下諸水衆善王↡。故

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくもまたかくのごとし。 ことごとく八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこくのもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいをしてすべておうじょうせしめんに、 甚大じんだいしゅにしてまたかぞふべからざれども、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろのさつ阿羅あらかん、 もろもろの比丘びくそう、 ことさらにつねのごとく一法いっぽうにしてことにぞうをなさず。

仏言、阿弥陀仏国亦如↠是クノ。悉メムニ↢八方上下無央数仏国無央数天・人民・蜎飛蠕動之類ヲシテ往生↡、甚大衆多ニシテレドモ↠可カラ↢復計↡、阿弥陀仏国菩薩・阿羅漢、衆比丘僧、故ラニ↠常一法ニシテ不↣↢増多↡。

ゆゑはいかん。 弥陀みだ仏国ぶっこくさいにして八方はっぽうじょう央数おうしゅのもろもろの仏国ぶっこくのなかの衆善しゅぜんおうなり、 しょ仏国ぶっこくちゅうおうなり、 しょ仏国ぶっこくちゅうたからなり、 しょ仏国ぶっこくちゅう寿いのちごくじょうなり、 しょ仏国ぶっこくちゅう衆傑しゅけつなり、 しょ仏国ぶっこくちゅう広大こうだいなり、 しょ仏国ぶっこくちゅうみやこなればなり、 ねん無為むいにして、 さいみょうこう甚楽じんらくごくなり。

所以者何。阿弥陀仏国レバナリ↢最快ニシテ八方上下無央数仏国0157衆善之王ナリ、諸仏国中之雄ナリ、諸仏国中之ナリ、諸仏国中寿之極長久也、諸仏国中之衆傑也、諸仏国中之広大也、諸仏国中之都↡、自然之無為ニシテ、最快明好、甚楽之無極ナリ

ゆゑはいかん。 弥陀みだぶつ、 もとさつたりしとき所願しょがんゆうみょうしょうじんにしておこたらずとくかさねていたすところなるがゆゑによくしかるのみと。

所以者何。阿弥陀仏、本為リシ↢菩薩↡時、所願勇猛精進ニシテ不↠ネテ↠徳ナルガ↠致

いつさつすなはちおほきにかんじょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつ弥陀みだぶつこくぜんみょうこう最姝さいしゅ無比むひなるをきたまふこと、 すなはちひとりしかるやと。

阿逸菩薩即歓喜長跪叉手シテ、仏説キタマフコト↢阿弥陀仏国土快善明好最姝無比ナルヲ↡、乃

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこくのもろもろのさつ阿羅あらかんしょ七宝しっぽう舎宅しゃたくのなかに、 くうのなかにあるものあり、 にあるものあり。 なかに舎宅しゃたくをしてもつともたかからしめんとほっするものあらば、 舎宅しゃたくすなはちたかし。 なかに舎宅しゃたくをしてもつともだいならしめんとほっするものあらば、 舎宅しゃたくすなはちだいなり。 なかに舎宅しゃたくをしてくうのなかにあらしめんとほっするものあらば、 舎宅しゃたくすなはちくうのなかにあり。 みなねんこころしたが作為さいするところのごとくにあり。

仏言、阿弥陀仏国菩薩・阿羅漢所居七宝舎宅、有↧在↢虚空↡者↥、有↢在↠地者↡。中ラバ↧欲スル↠令メムト↢舎宅ヲシテカラ↡者↥、舎宅即。中ラバ↧欲スル↠令メムト↢舎宅ヲシテナラ↡者↥、舎宅即ナリ。中ラバ↧欲スル↠令メムト↣舎宅ヲシテ↢虚空↡者↥、舎宅即↢虚空↡。皆自然↠意↠所ノゴトクニ↢作為スル↡。

なかにことに舎宅しゃたくをしてこころしたがはしむることあたはざるものあり。 ゆゑはいかん。 なかによく舎宅しゃたくをしてこころしたがはしむることあるものは、 みなこれぜん宿命しゅくみょうどうもとむるときしんをもつてしょうじんしますますもろもろのぜんをなしてとくおもきがいたすところなり。 なかにことにあたはざるものは、 みなこれぜん宿命しゅくみょうどうもとむるときしんをもつてしょうじんしますますもろもろのぜんをなさずとくうすきがいたすところなり。

↧殊↠能↠令ムルコト↢舎宅ヲシテ↟意者↥。所以者何。中↣能ムルコト↢舎宅ヲシテ↟意、皆是前世宿命ムル↠道時、慈心ヲモテ精進マスシテ↢諸↡徳重キガナリ↠致。中ルハ↢殊↠能者↡、皆是前世宿命ムル↠道時、不↣慈心ヲモテ精進マス↢諸↡徳薄キガナリ↠致

その衣被えひ飯食おんじきするところはともにねんびょうどうなれども、 とくだいしょうあれば、 そのゆうみょうなるものをべっし、 しゅをしてこれをしむるのみと。

↢衣被飯食スル↡倶自然平等ナレドモ、徳レバ大小↡、別↢知勇猛ナルモノヲ↡、令ムル↢衆ヲシテ見↟之

ぶつのたまはく、 もし第六だいろく天王てんのうしょところるやいなやと。 ややしかなり、 これをると。

仏言、若見ルヤ↢第六天王所居↡不ヤト。唯然ナリ、見ルト↠之

ぶつのたまはく、 弥陀みだ仏国ぶっこく講堂こうどう舎宅しゃたく、 すべてまた第六だいろく天王てんのうしょところすぐるることひゃく千億せんおく万倍まんばいなり。

仏言、阿弥陀仏国講堂・舎宅、都復勝ルルコト↢第六天王所居↡百千億万倍ナリ

もろもろのさつ阿羅あらかん、 ことごとくみなあきらかにあきらかにき、 八方はっぽうじょうらい現在げんざい、 またしゅてんじょうてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいしんねんずるところの善悪ぜんあくくちにいはんとほっするところをけんす。 みないづれのとしいづれのこうだつ人道にんどう弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうすべきことをり、 さつ阿羅あらかんになるべきことをり、 みなあらかじめこれをれり。

菩薩0158・阿羅漢、悉アキラカアキラカ、見↢知八方上下、去・来・現在之事、復無数天上・天下人民及蜎飛蠕動之類、心意↠念ズル善悪、口↟欲スル↠言ハムト。皆知↠当キコトヲ↧何歳何得↢度脱↡得↢人道↡、往↦生阿弥陀仏国↥、知↠当キコトヲ↠作↢菩薩・阿羅漢↡、皆レリ↠之

もろもろのさつ阿羅あらかん頂中ちょうちゅうに、 みなことごとくおのづからこうみょうありてらすところだいしょうあり。

菩薩・阿羅漢頂中、皆リテ↢光明↡所↠照↢大小↡。

もろもろのさつのなかに、 最尊さいそんりょうさつありて、 つねにぶつ左右さうにありて坐侍ざじしてしょうろんし、 ぶつつねにこのりょうさつとともにたいして、 八方はっぽうじょうらい現在げんざいしたまふ。 もしこのりょうさつをして八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつみもといたらしめんとほっせば、 すなはちぎょうしてこころ所欲しょよくしたがひて至到いたる。 ぎょうはやきことぶつのごとく、 ゆうみょうなることならびなし。

菩薩、有リテ↢最尊両菩薩↡、リテ↢仏左右↡坐侍シテ正論、仏常与↢是両菩薩↡共対坐シテ、議シタマフ↢八方上下、去・来・現在之事↡。若セバ↠使メムト↣是両菩薩ヲシテ↢八方上下無央数諸仏↡、即便飛行シテヒテ↢心所欲至到 イタ 。飛行キコト↠仏、勇猛ナルコト↠比。

そのひとりのさつをば*あうこうづけ、 そのひとりのさつをば*摩訶まかはつづく。 こうみょう智慧ちえもつとも第一だいいちなり。 頂中ちょうちゅうこうみょうはおのおのほうせんしゅせん仏国ぶっこくのうちをえんしょうして、 つねにだいみょうなり。 そのもろもろのさつ頂中ちょうちゅうこうみょうはおのおの千億せんおくまんらし、 もろもろの阿羅あらかん頂中ちょうちゅうこうみょうは、 おのおのしちじょうらすと。

菩薩ヲバ楼亘↡、其菩薩ヲバ↢摩訶那鉢↡。光明・智慧最第一ナリ。頂中光明焔↢照シテ他方千須弥山仏国↡、常大明ナリ。其菩薩頂中光明千億万里↡、諸阿羅漢頂中光明、各スト↢七↡。

ぶつのたまはく、 けん人民にんみんもしは善男ぜんなんぜん女人にょにん、 もしきゅう県官けんかん恐怖くふするものあらば、 ただみづからこのあうこうさつ摩訶まかはつさつみもとみょうせよ。 だつざるものなからんと。

仏言、世間人民若シハ善男子・善女人、若ラバ↧急恐↢怖スル県官↡者↥、但自帰↢命セヨ楼亘菩薩・摩訶那鉢菩薩↡。無カラムト↧不↠得↢解脱↡者↥。

二 Ⅲ 光寿無量

【12】ぶついつさつげたまはく、 弥陀みだぶつ頂中ちょうちゅうこうみょうきわめてだいこうみょうなり。 その日月にちがつしょうしんはみなくうのなかにありてじゅうすれども、 またてんうんぎょうすべからず。 またしょうこうあることなく、 そのみょうみなおおはれてまたあらわれず。 ぶつこうみょうこくちゅうらし、 およびほう仏国ぶっこくえんしょうして、 つねにだいみょうにしてつひにみょうするときあることなし。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、阿弥陀仏頂中光明光明ナリ。其日月星辰皆在リテ↢虚空↡住止スレドモ、不↠可カラ↢復廻転運行↡。亦無↠有ルコト↢精光↡、其明皆蔽ハレテ不↢復アラハ↡。仏0159↢国中↡、及焔↢照シテ他方仏国↡、常大明ニシテ↠有ルコト↢冥スル時↡。

そのくに一日いちにちにちもあることなく、 またにちじゅうにちもなく、 またじゅうにち一月いちがつもなく、 またがつじゅうがつさい十歳じっさいもなく、 またひゃくさい千歳せんざいもなく、 また万歳まんざい億万おくまんざいもなく、 ひゃく千億せんおく万歳まんざいもなく、 一劫いっこう十劫じっこうひゃくこう千劫せんごうもあることなく、 万劫まんごうひゃく万劫まんごうもなく、 千万せんまんごうひゃく億万おくまんごうもなし。

国無↠有ルコト↢一日・二日↡、亦無↢五日・十日↡、亦無↢十五日・一月↡、亦無↢五月・十月・五歳・十歳↡、亦無↢百歳・千歳↡、亦無↢万歳・億万歳↡、無↢百千億万歳↡、無↠有ルコト↢一劫・十劫・百劫・千劫↡、無↢万劫・百万劫↡、無↢千万劫・百億万劫↡。

弥陀みだぶつこうみょうはあきらかなることきわまりあることなし。 きゃくしゅこうしゅこうかさねてまたしゅこうしゅこう央数おうしゅにもつひにまさにみょうすべきときあることなく、 こくおよび諸天しょてんもつひにはいするときなし。 ゆゑはいかん。 弥陀みだぶつ寿じゅみょうきわめてながく、 こくもはなはだし。 ゆゑによくしかるのみ。 そのぶつ尊寿そんじゅは、 きゃくしゅこうにも、 かさねてまたしゅこうにも、 なほいまだはつ泥洹ないおんもとめず。

阿弥陀仏光明カナルコト↠有ルコト↠極却後無数劫无数劫、重ネテ復無数劫无数劫、無央数ニモ↠有ルコト↢当↠冥時↡、国土及諸天↢壊敗スル時↡。所以者何。阿弥陀仏寿命極、国土。故耳。其尊寿却後无数劫ニモ、重ネテ復無数劫ニモ、尚未モト↢般泥洹↡也。

けんにおいてきょうじゅし、 こころ八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅ仏国ぶっこく諸天しょてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐい過度かどせんとほっし、 みなそのくにおうじょうせしめ、 ことごとく泥洹ないおんどうしめんとほっす。 そのさつとなるものは、 みなことごとくぶつせしめんとほっし、 ぶつしをはりてうたたまた八方はっぽうじょう諸天しょてん人民にんみんおよびけん蠕動ねんどうたぐいきょうじゅせしめ、 みなまたぶつせしめんとほっす。

↢世間↡教授、意↣過↢度セムト八方上下無央数仏国諸天・人民及蜎飛蠕動之類↡、皆欲↧使↣往↢生↡、悉メムト↞得↢泥洹之道↡。其↢菩薩↡者、皆欲↠令メムト↢悉作仏↡、作仏リテ復教↢授セシメ八方上下諸天・人民及蜎飛蠕動之類↡、皆復欲↠令メムト↢作仏↡。

ぶつしをはりてまたもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいきょうじゅして、 みな泥洹ないおんどうらしむ。 もろもろのきょうじゅすべき弟子でし展転てんでんしてまたあひきょうじゅし、 うたたあひだつしてしゅおん斯陀しだごん阿那あなごん阿羅あらかんびゃく仏道ぶつどうしむるにいたる。

作仏リテ復教↢授シテ无央数天・人民・蜎飛蠕動之類↡、皆令↧得↢泥洹↡去↥。諸↢教授↡弟子者展転シテ復相教授、転相度脱シテ↠令ムルニ↠得↢須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏道↡。

うたたあひだつしてみな泥洹ないおんどうることことごとくかくのごとくなれども、 なほいまだはつ泥洹ないおんほっしたまはず。 弥陀みだぶつだつしたまふところ展転てんでんしてかくのごとし。 またじゅうすることしゅこうしゅこう不可ふか復計ぶけこうにもつひにはつ泥洹ないおんときなし。

相度脱シテ皆得ルコト↢泥洹之道↡悉クナレドモ↠是クノ、尚未↠欲シタマハ↢般泥洹↡。阿弥陀仏所↢度0160シタマフ↡展転シテ↠是クノ。復住止スルコト無数劫无数劫、不可復計劫ニモ↢般泥洹時↡。

八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐい、 その弥陀みだ仏国ぶっこくしょうじてまさにぶつすべきもの、 またあげてかぞふべからず。 もろもろの阿羅あらかんとなりて泥洹ないおんどうるものもまた央数おうしゅにして、 すべてまたかぞふべからず。

八方上下無央数天・人民・蜎飛蠕動之類、其ジテ↢阿弥陀仏国↡当↢作仏↡者、不↠可カラ↢復勝ゲテ↡。諸リテ↢阿羅漢↡得↢泥洹↡者亦无央数ニシテ、都不↠可カラ↢復計↡。

弥陀みだぶつ恩徳おんどく、 もろもろの布施ふせしたまふところ、 八方はっぽうじょうぐうごく甚深じんじんりょうにしてぜんなることいふべからず。 その智慧ちえきょうじゅいだしたまふところのきょうどう八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅてんじょうてんこくすること、 はなはだだずねず。 そのきょうかんかずはなはだしゅにして、 またかぞふべからず。 すべてきわまりあることなしと。

阿弥陀仏恩徳、諸所↢布施シタマフ↡、八方上下無窮无極、甚深無量ニシテ快善ナルコト不↠可カラ↠言。其智慧教授、所↠出シタマフ経道、布↢告スルコト八方上下無央数天上・天下↡、甚不↠タヅ也。其経巻数甚衆多ニシテ、不↠可カラ↢復計↡。都シト↠有ルコト↠極

ぶついつさつげたまはく、 なんぢ弥陀みだぶつ寿じゅみょうごくときらんとほっするやいなやと。 こたへてまうさく、 ねがはくはみなこれをもんせんとほっすと。

仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩↡、若欲スルヤ↠知ラムト↢阿弥陀仏寿命無極↡不ヤト。対ヘテ、願クハ皆欲スト↣聞↢知セムト↡。

ぶつのたまはく、 あきらかにけ、 ことごとく八方はっぽうじょうのもろもろの央数おうしゅ仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいをしてみな人道にんどうしめ、 ことごとくびゃくぶつ阿羅あらかんとならしめて、 ともにぜん一心いっしんにすべてその智慧ちえがっしてひとつとなし、 ゆうみょうにともに弥陀みだぶつ寿じゅみょう幾千いくせん億万おくまんこう歳数さいしゅかぞらんとほっすとも、 みなよくかぞるものあることなし。

仏言、明カニ、悉↢八方上下無央数仏国諸天・人民・蜎飛蠕動之類↡皆使↠得↢人道↡、悉メテ↠作↢辟支仏・阿羅漢↡、共坐禅一心シテ↢其智慧↡為↠一、勇猛ストモ↣計↢知ラムト阿弥陀仏寿命幾千億万劫歳数↡、皆無↠有ルコト↢能者↡。

また方面ほうめんのおのおのせんしゅせん仏国ぶっこくのなかの諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいをして、 みなまた人道にんどうしめ、 ことごとくびゃくぶつ阿羅あらかんとならしめ、 みなぜん一心いっしんならしめその智慧ちえがっしてひとつとなし、 ゆうみょうにともに弥陀みだ仏国ぶっこくちゅうのもろもろのさつ阿羅あらかんかぞへて幾千いくせん億万おくまんにんかあるをらんとほっすとも、 みなよくかずるものあることなからん。

復令↢他方面千須弥山仏国諸天・人民・蜎飛蠕動之類↡、皆復使↠得↢人道↡、悉↠作↢辟支仏・阿羅漢↡、皆令↢坐禅一心ナラ↡合シテ↢其智慧↡為↠一、勇猛ストモ↧数ヘテ↢阿弥陀仏国中菩薩・阿羅漢↡知ラムト↞有ルヲ↢幾千億万人↡、皆無カラム↠有ルコト↢能↠数者↡。

弥陀みだ年寿ねんじゅははなはだじょうなり。 浩々こうこう照々しょうしょうとしてあきらかにく、 甚深じんじんにしてきわまりなくそこなし。 たれかまさによくそれをしんすべけん。 ひとぶつのみづからしんしたまふのみと。

阿弥年寿長久ナリ。浩浩照照トシテカニ、甚深ニシテ0161↠極↠底。ケム↣能知↢信↡者。独信知シタマフ

いつさつぶつことばきておほきにかんし、 じょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつ弥陀みだぶつ寿じゅみょうじんじょうじん尊大そんだい智慧ちえこうみょう巍巍ぎぎとしてぜんなることをきたまふことすなはちひとりかくのごときやと。

阿逸菩薩聞キテ↢仏↡大歓喜、長跪叉手シテ、仏説キタマフコト↢阿弥陀仏寿命甚長、威神尊大、智慧光明巍巍トシテ快善ナルコトヲ↡乃ヤト↠是クノ

ぶつのたまはく、 弥陀みだぶつそのしかうしてのちいたりてはつ泥洹ないおんしたまはば、 そのあうこうさつすなはちまさにぶつしてどう典主てんしゅそうりょうし、 けんおよび八方はっぽうじょう過度かどせんとするところの諸天しょてん人民にんみんけん蠕動ねんどうたぐいきょうじゅして、 みなぶつ泥洹ないおんどうしむ。 そのぜん福徳ふくとくまさにまただい弥陀みだぶつのごとくなるべし。 じゅうすること央数おうしゅこう央数おうしゅこう不可ふか復計ぶけこうなり。 だいじゅんぽうして、 しかうしてすなはちはつ泥洹ないおんす。

仏言、阿弥陀仏至リテ↢其シテ↡般泥洹シタマハバ者、其楼亘菩薩便作仏シテ総↢領道智典主↡、教↧授シテ世間及八方上下↢過度セムトスル↡諸天・人民・蜎飛蠕動之類↥、皆令↠得↢仏泥洹之道↡。其善福徳当↣復如クナル↢大師阿弥陀仏↡。住止スルコト無央数劫無央数劫、不可復計劫ナリ准↢法シテ大師↡、爾シテ般泥洹

そのつぎ摩訶まかはつさつまさにまたぶつして智慧ちえ典主てんしゅし、 きょうじゅそうりょうして、 過度かどするところ福徳ふくとくもまさにまただい弥陀みだぶつのごとくなるべし。 じゅうすること央数おうしゅこうにして、 なほまたはつ泥洹ないおんせず。 展転てんでんそうじょうしてきょうどうくることはなはだあきらかにして、 こく極善ごくぜんなり。 そのほうかくのごとくにして、 つひに断絶だんぜつあることなく、 きわむべからずと。

摩訶那鉢菩薩当復作仏シテ典↢主智慧↡、総↢領シテ教授↡、所↢過度スル↡福徳↣復如クナル↢大師阿弥陀仏↡。止住スルコト無央数劫ニシテ、尚復不↢般泥洹↡。展転相承シテクルコト↢経道↡甚カニシテ、国土極善ナリ。其法如クニシテ↠是クノ、終↠有ルコト↢断絶↡、不↠可カラ↠極也。

二 Ⅲ 国土殊妙

【13】なんじょう叉手しゃしゅしてぶつひたてまつりてまうさく、 弥陀みだぶつこくちゅうにはしゅせんあることなくは、 その第一だいいちてんだいとうてん、 みななんらによりてじゅうするや。 ねがはくはこれをかんとほっすと。

阿難長跪叉手シテヒタテマツリテ↠仏、阿弥陀仏国中ニハクハ↠有ルコト↢須弥山↡、其第一四天・第二忉利天、皆依↢因 ヨリ 何等↡住止スルヤ。願クハスト↠聞カムト↠之

ぶつなんげたまはく、 なんぢ仏所ぶっしょ疑意ぎいありや。 八方はっぽうじょうぐうごくへんりょうのもろもろのてん大海だいかいみず一人いちにんにしてこれをりょうせんになほじんしてその底泥たいでいべし。 ぶっはかくのごとくならずと。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、若有↣疑↢意於仏所↡耶。八方上下無窮无極無辺无天下大海水、一人ニシテ斗↢量セムニ↡尚可↣枯尽シテ得↢底泥↡。仏智↠如クナラ↠是クノ

ぶつのたまはく、 わがけんするところのもろもろの過去かこぶつ、 わがみょうしゃ文仏もんぶつのごときもの、 また恒水ごうすいほとりしゃいっしゃ一仏いちぶつとするがごとし。 もろもろの当来とうらいぶつ、 わがみょうのごときもまた恒水ごうすいほとりしゃのごとし。 はじめてぶつもとめんとほっするもの、 わがみょうのごときもまた恒水ごうすいほとりしゃのごとし。

仏言、我↢見知スル↡諸已過去0162、如↢我名字釈迦文仏↡者、復如↢恒水流沙一沙一仏トスルガ↡。諸当来仏、如キモ↢我名字↡亦如↢恒水流沙↡。ハジスル↠求メムト↢作仏↡者、如キモ↢我名字↡亦如↢恒水流沙↡。

ぶつしょうしてじきにみなみむか南方なんぽうけんしたまふに、 いま現在げんざいぶつ、 わがみょうのごときものもまた恒水ごうすいほとりしゃのごとし。 八方はっぽうじょうらい現在げんざい諸仏しょぶつ、 わがみょうのごときものも、 おのおのじゅう恒水ごうすいほとりしゃ一沙いっしゃ一仏いちぶつとするがごとし。 そのかずかくのごとし。 ぶつみなことごとくあらかじめこれをけんしたまふと。

仏正坐シテ視↢見シタマフニ南方↡、今現在仏、如↢我名字↡者復如↢恒水流沙↡。八方上下、去・来・現在諸仏、如↢我名字↡者、各↢十恒水流沙一沙一仏トスルガ↡。其数如↠是クノ。仏皆悉見↢知シタマフト↡。

ぶつのたまはく、 おうじゃく過去かこしゅこうよりこのかた、 一劫いっこう十劫じっこうひゃくこう千劫せんごう万劫まんごう億劫おくこう億万おくまん億劫おくこうのなかにぶつまします。 もろもろの過去かこぶつ一仏いちぶつじゅうぶつひゃくぶつ千仏せんぶつ万仏まんぶつ億仏おくぶつ億万おくまん億仏おくぶつなり。 おのおのみづからみょうありておなじからず、 わがみょうのごとくなるものあることなし。 はじめて当来とうらいするこうの、 一劫いっこう十劫じっこうひゃくこう千劫せんごう万劫まんごう億劫おくこう億万おくまん億劫おくこうのなかにぶつまします。 一仏いちぶつじゅうぶつひゃくぶつ千仏せんぶつ万仏まんぶつ億仏おくぶつ億万おくまん億仏おくぶつなり。 おのおのみづからみょうありておなじからず。 時々ときどきにすなはち一仏いちぶつのわがみょうのごとくなるものあるのみ。

仏言、往昔過去無数劫ヨリ已来、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万億↠仏。諸已過去仏、一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万億仏ナリリテ↢名字↡不↠同ジカラ、無↠有ルコト↧如クナル↢我名字↡者↥。甫始 ハジメ 当来スル、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万億劫↠仏。一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万億仏ナリ。各各自リテ↢名字↡不↠同ジカラ。時時↣一仏クナルモノ↢我名字↡耳。

もろもろの八方はっぽうじょう央数おうしゅ仏国ぶっこく、 いま現在げんざいぶつつぎほうこくいち仏国ぶっこくじゅう仏国ぶっこくひゃく仏国ぶっこくせん仏国ぶっこくまん仏国ぶっこくおく仏国ぶっこく億万おくまんおく仏国ぶっこくのなかにぶつまします。 おのおのみづからみょうありて多々たたにしてまたおなじからず。 わがみょうのごとくなるものなし。 八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶつのなかに、 時々ときどきにすなはちわがみょうのごとくなるものあるのみ。

八方上下無央数仏国、今現在仏、次他方異国一仏国・十仏国・百仏国・千仏国・万仏国・億仏国・億万億仏国↠仏。リテ↢名字↡多多ニシテ復不↠同ジカラ。無↧如クナル↢我名字↡者↥。八方上下無央数諸仏、時時↠如クナルモノ↢我名字爾。

八方はっぽうじょうらい現在げんざい、 そのちゅうげん曠絶こうぜつ甚遠じんおんにして、 悠々ゆうゆう迢々じょうじょうとして、 ぐうごくなり。 ぶっ亘然こうねんとしてはなはだあきらかに、 いにしえさぐりいまをり、 さきぐうしりえねんる。 あらかじめることきわまりなく、 すべてまたはかるべからず。 はなはだ央数おうしゅなり。 ぶつじんそんみょうにしてみなことごとくこれをろしめす。 ぶつ智慧ちえ道徳どうとくごうみょうし、 すべてよくぶつきょうどうひてきわきわむるものなし。 ぶつ智慧ちえはつひに称量しょうりょうつくすべからずと。

八方上下、去・来・現在、其中間曠絶甚遠ニシテ、悠悠迢迢トシテ、无窮無極ナリ。仏智亘然0163トシテカニ、探↠古↠今、前↢無窮シリヘ↢未然↡。ルコト↠極、都不↠可カラ↢復計↡。甚无央数ナリ。仏威神尊明ニシテ皆悉ロシメス↠之。仏智慧道徳合明、都↧能ヒテ↢仏↡窮ムル者↥。仏智慧↠可カラ↢称量↡也。

なんぶつことばきてすなはちおほきに恐怖くふもうみなちて、 ぶつにまうしてまうさく、 われあへて仏所ぶっしょ疑意ぎいあるにあらず。

阿難聞キテ↢仏↡即恐怖衣毛皆起チテ、白シテ↠仏、我不↤敢ルニ↣疑↢意於仏所↡。

ぶつひたてまつるゆゑは、 ほう仏国ぶっこくにみなしゅせんあり、 第一だいいちてんだいとうてん、 みなこれによりてじゅうす。 われおそらくはぶつはつ泥洹ないおんのち、 もし諸天しょてん人民にんみん、 もしは比丘びくそう比丘びく優婆うばそく優婆うばありて、 きたりてわれにはん、 弥陀みだぶつくにはなにをもつてかひとしゅせんあることなきや、 その第一だいいちてんだいとうてん、 みななんらによりてじゅうするやと、 われまさにこれにこたふべし。

所↢以問ヒタテマツル↟仏者、他方皆有↢須弥山↡、第一四天・第二忉利天、皆依↢因 ヨリ ↡住止。我恐クハ仏般泥洹後、リテ↢諸天・人民、若シハ比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、来リテハム↠我、阿弥陀仏テカキヤ↠有ルコト↢須弥山↡、其第一四天王・第二忉利天、皆依↢因 ヨリ 何等↡住止スルヤト、我当↠答↠之

いまぶつひたてまつらずは、 ぶつりたまひてのち、 まさになんらのことばちてこれに報答ほうとうすべき。 ひとぶつのみづからこれをるのみ。 にんはよくわがためにくものあることなからん。 これをもつてのゆゑにぶつひたてまつるのみと。

今不↠問ヒタテマツラ↠仏者、仏去リタマヒテ後、当↧持チテ↢何等↡報↦答↥。独タマフ↠之爾。カラム↠有ルコト↢能↠我者↡。以テノ↠是ヒタテマツル↠仏

ぶつのたまはく、 なん、 この第三だいさん焔天えんでんだいじゅつてんじょうより第七だいしち梵天ぼんてんいたるまで、 みななんらによりてじゅうするやと。

仏言、阿難、是第三焔天・第四兜術天上ヨリルマデ↢第七梵天↡、皆依↢因 ヨリ 何等↡住止スル

なんまうさく、 この諸天しょてんはみなねんくうのなかにありてじゅうす。 くうのなかにありてじゅうするによるところなし。

阿難言、是諸天皆自然リテ↢虚空↡住。在リテ↢虚空↡住止スルニ↠所↢依因↡。

ぶつじんはなはだおもし。 ねん所欲しょよくのごとく作為さいし、 こころ作為さいするところあらんとほっすること、 あらかじめはからず。 この諸天しょてんすらみななほくうのなかにありてじゅうす。 いかにいはんやぶつじんそんじゅうにして、 作為さいするところあらんとほっするをやと。

威神甚。自然所欲ノゴトク作為、意スルコト↠有ラムト↠所↢作為スル↡、不↢↡。是諸天スラ皆尚在リテ↢虚空↡住止。何威神尊重ニシテ、欲スルヲ↠有ラムト↠所↢作為スル↡耶

なんぶつことばきてすなはちおほきにかんし、 じょう叉手しゃしゅしてまうさく、 ぶつ智慧ちえ八方はっぽうじょうらい現在げんざいりたまふこと、 ぐうごくにして辺幅へんぷくあることなし。 はなはだ高大こうだいみょうぜつぜんごくみょうにして好甚こうじんなることならびなし。 じんそんじゅうにしてあたるべからずと。

阿難聞キテ↢仏↡即歓喜、長跪叉手シテ、仏智慧リタマフコト↢八方上下、去・来・現在之事↡、無窮无0164ニシテルコト↢辺幅↡。甚高大妙絶、快善極明ニシテ好甚ナルコト↠比。威神尊重ニシテ↠可カラ

 

阿弥陀あみだきょう かんじょう

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ正倉院聖語藏本、 Ⓔ高田派専修寺蔵顕智上人書写本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒶⒷⒸⒹⒺ瑠 孤→Ⓔ狐
→Ⓓ説[諸仏]
12字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓓ
 Ⓓになし
→Ⓔ
 ⒶⒷⒸⒺになし
居士→Ⓒ優婆塞 ⒶⒷⒺになし
→ⒶⒷⒸⒺ僧[等]
合尸→Ⓓ舎屍
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒸ→Ⓓ
→Ⓒ
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸ
→Ⓓ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸⒹ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→Ⓔ
→Ⓓ
者梨→Ⓔ耆黎
→ⒶⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓒ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒷⒸ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ却[住]
→Ⓓ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹ[楼]夷
→ⒶⒺ→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓔ(イ本と左傍註記)
→Ⓔ(イ本と左傍註記)
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ何[等]
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ[極]自
→◎
 Ⓔになし
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒹⒺ
17字 ◎Ⓔになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ生[者]
→Ⓔ(と左傍註記)
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓔになし
所欲→Ⓓ欲所
→ⒶⒷⒸⒺ
愚痴→Ⓔ痴愚
→ⒷⒸ倍[勝]
→ⒷⒸ徹[聴]
→ⒶⒷⒸⒹ
→Ⓔ(「本には丈」と左傍註記)
→ⒶⒺ
→Ⓔ「七歟」と右傍註記
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→Ⓓ
ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔと上欄註記
→ⒶⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔ(支歟と右傍註記)
→Ⓔ
作礼仏→ⒶⒷⒸⒹⒺ礼仏作
→ⒶⒷⒸⒹⒺ子[等]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
琥珀→Ⓓ虎魄
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓓになし
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ[終]不
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸ無[有]
 「ワザ」と左傍註記
→ⒶⒺ
→ⒶⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
車→ⒶⒷⒸⒺ硨磲
→ⒶⒷⒸⒺ
瓔珞→Ⓐ纓絡
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
瓔珞→ⒶⒹ纓絡
→ⒶⒷⒺ→Ⓒ
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ[阿]弥
→ⒶⒷⒸⒺ清[浄]
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓓ華[香]
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒺ積[聚]
→ⒶⒷⒸⒺ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
 Ⓓになし
怔忪→Ⓐ征彸→Ⓓ佂伀
→ⒶⒺ
→ⒷⒸ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→◎
億万倍→Ⓓ万億
 ⒶⒷⒸⒹになし
 ⒶⒷⒹⒺになし
銀樹 ◎Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ中[復]
→ⒶⒸⒺ
→Ⓓになし
車→ⒶⒷⒸ硨磲→Ⓔ硨璖
 ◎Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓐ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→Ⓓ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
→Ⓓ
周帀→Ⓓ用所
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ華[悉]
 ⒶⒷⒸⒺになし
 Ⓓになし
→Ⓒ
→ⒶⒷⒸⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ[鉢]中
→ⒶⒷⒸ
馬瑙→ⒶⒷⒸⒺ碼碯
→ⒶⒷⒸⒺになし
 Ⓓになし
→Ⓔ
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ
→◎
→ⒶⒷⒸⒺ
可復→ⒶⒷⒸⒹⒺ復可
→ⒶⒷⒸⒺ経[典]
 Ⓓになし
→Ⓓ
→Ⓒ
→ⒶⒸ
 Ⓔになし
→ⒶⒷⒸⒺ
衆善 ⒶⒷⒸⒺになし
→Ⓓ
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
悉自→ⒶⒷⒸⒹⒺ自悉
→◎Ⓓ使→ⒶⒷ
→◎Ⓓ
→Ⓓ
 Ⓔ尺歟と左傍註記
 Ⓔ懸歟と左傍註記
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒷⒸⒺ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→◎
→ⒶⒷⒸⒺ陀[仏]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ浩[皓皓]
誰当→Ⓒ無有
 Ⓔになし(数歟と左傍註記)
→ⒶⒷⒸⒺ→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒺ
→Ⓓ
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸ劫[劫]→Ⓔ劫[億](之歟と左傍註記)
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒺ各[各]
 Ⓓになし
 Ⓓになし Ⓔ之歟と左傍註記
→ⒶⒷⒸⒺ異[仏]
→ⒶⒷⒸⒺ
迢迢→Ⓓ苔苔
→Ⓓ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒹⒺ国[中]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ[其]余
 Ⓓになし
→ⒶⒷⒸⒺ当[也]
→Ⓒ[仏説]阿