0123◎仏*説阿弥陀*三*耶三仏薩楼仏檀過度人道経 *巻上
呉月*支*国*居士*支謙訳
一 序分
Ⅰ 証信序
ⅰ 六事成就
【1】 ◎仏、 *羅閲祇*耆闍崛山のうちにましましき。
◎○仏在シキ↢羅閲祇耆闍崛山ノ中ニ↡。
時に摩訶比丘僧万二千人ありて、 みな浄潔一種類にしてみな阿羅漢なり。
○時ニ有リテ↢摩訶比丘*僧万二千人↡、皆浄潔一種類ニシテ皆阿羅漢ナリ。
賢者*拘隣・賢者*抜智致・賢者*摩訶那弥・賢者合尸・賢者須満日・賢者*維末抵・賢者不迺・賢者迦為抜抵・賢者*憂為迦葉・賢者*那履迦葉・賢者*那翼迦葉・賢者*舎利弗・賢者*摩訶目揵連・賢者*摩訶迦葉・賢者*摩訶迦旃延・賢者摩訶掲質・賢者*摩訶拘私・賢者摩訶梵提・賢者邠提文陀弗・賢者*阿難律・賢者難提・賢者脾抵・賢者須楓・賢者蠡越・賢者*摩訶羅倪・賢者摩訶波羅延・賢者*波鳩蠡・賢者難持・賢者満楓蠡・賢者蔡掲・賢者厲越、 かくのごときのもろもろの比丘僧、 はなはだ衆多にして数千億万人なり。 ことごとくこれ菩薩・阿羅漢なり。 無央数にしてまた計ふべからず、 すべてともに大会して坐す。 みな賢者なりき。
○賢者拘隣・賢者抜智致・賢者摩訶那弥・賢者*合尸・賢者須満日・賢者維末*抵・賢者不*迺・賢者迦為*抜*抵・賢者憂為迦葉・賢者那履迦葉・賢者那翼迦葉・賢者舎利弗・賢者摩訶目揵連・賢者摩訶迦葉・賢者摩訶迦*旃延・賢者摩訶掲質・賢者摩訶拘私・賢者摩訶梵提・賢者邠提文陀弗・賢者阿難律・賢者難提・賢者*脾*抵・賢者須楓・賢者*蠡越・賢者摩訶羅倪・賢者摩訶波羅延・賢者波鳩*蠡・賢者難*持・賢者満楓*蠡・賢者蔡掲・賢者*厲越、如キノ↠是クノ諸ノ比丘僧、甚ダ衆多ニシテ数千億万人ナリ。悉ク諸菩薩・阿羅*漢ナリ。無央数ニシテ不↠可カラ↢復計フ↡、都テ共ニ大会シテ坐ス。皆賢者也キ。
一 Ⅱ 発起序
時に仏、 坐息して正道を思念したまふに、 面に九色の光ありて数千百変す。 光色はなはだ大明なり。
○時ニ仏坐息シテ思↢念シタマフニ正道ヲ↡、面ニ有リテ↢九色ノ光↡数千百変ス。光色0124甚ダ大明ナリ。
阿難すなはち起ちてあらためて袈裟を被ひ、 前みて頭面をもつて仏足に著けて、 すなはち長跪叉手して、 仏に問ひたてまつりてまうさく、
○阿難即チ起チテ更メテ被ヒ↢袈裟ヲ↡、前ミテ以テ↢頭面ヲ↡著ケテ↢仏足ニ↡、*即チ長跪叉手シテ、問ヒタテマツリテ↠仏ニ言ク、
今日仏の面の光色、 なにをもつてか時々に更変してあきらかなることすなはちしかるや。 いま仏の面の光精、 数千百色にして上下明好なることいましかくのごとくなる。 われ仏に侍へたてまつりてよりこのかた、 いまだかつて仏の面の今日の色のごとくなるものあることを見たてまつらず。 われいまだかつて三耶三仏の光明威神のすなはちしかるを見たてまつらず。
○今日仏ノ面ノ光色、何ヲ以テカ時時ニ更変シテ明カナルコト乃チ爾ル乎。今仏ノ面ノ光精、数千百色ニシテ上下明好ナルコト乃シ如クナル↠是クノ。我侍ヘタテマツリテヨリ↠仏ニ已来タ、未ダ↫曽テ見タテマツラ↪仏ノ面ノ有ルコトヲ↩如クナル↢今日ノ色ノ↡者↨。我未ダ↣曽テ見タテマツラ↢三*耶三仏ノ光明威神ノ乃チ爾ルヲ↡。
独りまさに意あるべし。 願はくはこれを聞かんと欲すと。
○独リ当ニシ↠有ル↠意。願クハ欲スト↠聞カムト↠之ヲ。
仏のたまはく、 賢者阿難、 もろもろの天神ありてなんぢに教ふるや、 もしは諸仏のなんぢに教へていまわれに問はしむるものなるや。 なんぢみづから善意より出でて仏に問ふやと。
○仏言ク、賢者阿難、有リテ↢諸ノ天神↡教フルヤ↠汝ニ、若シハ諸仏ノ教ヘテ↠汝ニ今問ハシムル↠我ニ者ナル耶。汝自ラ従リ↢善意↡出デテ問フ↠仏ニ耶ト。
阿難仏にまうしてまうさく、 もろもろの天神ありてわれに教ふることなく、 また諸仏のわれに教へて仏に問はしむることもなし。 われみづから善心によりて仏意を知りて仏に問いたてまつるのみ。
○阿難白シテ↠仏ニ言ク、無ク↧有リテ↢諸ノ天神↡教フルコト↞我ニ、亦無シ↢諸仏ノ教ヘテ↠我ニ*令ムルコトモ↟問ハ↠仏ニ也。我自ラ従リテ↢善心ニ↡知リテ↢仏意ヲ↡問ヒタテマツル↠仏ニ*爾。
仏の坐起・行来・出入ごとに、 至到せんと欲するところ、 まさに作為するところ、 もろもろの教勅するところのものは、 われすなはち仏意のごとし。
●毎ニ↢仏ノ坐起・行来・出入↡、所↠欲スル↢至*到セムト↡、当ニ所↢作為スル↡、諸ノ所ノ↢教勅スル↡者ハ、我輒チ*如シ↢仏意ノ↡。
いま仏独りまさにもろもろの已過去の仏・もろもろの当来の仏・もしは他方仏国のいま現在の仏を念じ、 独り展転してあひ思念したまふべし。 ゆゑに仏の面色光明すなはちしかるのみと。
○今仏独リ当ニシ↧念ジ↢諸ノ已過去ノ仏・諸ノ当来ノ仏・若シハ他方仏国ノ今現在ノ仏ヲ↡、独リ展転シテ相思念シタマフ↥。故ニ仏ノ面色光明乃チ爾ル耳ト。
仏のたまはく、 善いかな善いかな、 賢者阿難、 なんぢが問へるところのものは、 甚深にしておほきに快く度脱するところ多し。 なんぢが仏に問へるものは、 一天下の阿羅漢・辟支仏を供養し諸天・人民および蜎飛蠕動の類に布施して劫を累ぬるに勝るること百千億万倍なりと。
○仏言ク、善哉善哉、賢者阿難、汝ガ所ノ↠問ヘル者ハ、甚深ニシテ大ニ快ク多シ↠所↢度脱スル↡。若ガ問ヘル↠仏ニ者ハ、勝ルルコト↧於供↢養シ一天下ノ阿羅漢・辟*支仏ヲ↡布↢施シテ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ニ↡累ヌルニ↞劫ヲ百千億万倍也ト。
仏のたまはく、 阿難、 いま諸天・世間の帝王・人民および蜎飛蠕動の類、 なんぢみなこれを度脱すと。
○仏言ク、阿難、今諸天・世間ノ帝王・人民及ビ蜎飛蠕動之類、汝皆度↢脱スト之ヲ↡。
仏のたまはく、 仏は威神はなはだ重くして当りがたし。 なんぢが問えるところのものは甚深なり。 なんぢすなはち仏所に慈心ありて、 諸天・帝王・人民もしは比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷を哀れむことおほきに善し。 まさになんぢみなこれを過度すべしと。
○仏言ク、仏ハ威神甚ダ重クシテ難シ↠当リ也。汝ガ所ノ↠問ヘル者ハ甚深ナリ。汝乃チ慈↢心アリテ於仏所ニ↡、哀ムコト↢諸天・帝王・人民若シハ比丘僧・比丘尼0125・優婆塞・優婆夷ヲ↡*大ニ善シ。当ニシト↣爾皆過↢度ス之ヲ↡。
仏、 阿難に語りたまはく、 世間に優曇樹あり、 ただ実のみありて華あることなし、 天下に仏ましますは、 すなはち華ありて出づるがごときのみ。 世間に仏ましますははなはだ値ふことを得がたし。 いまわれ天下に出でて仏となれり。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、如キ↧世間ニ有リ↢優曇樹↡、但有リテ↠実ノミ無シ↠有ルコト↠華也、天下ニ有スハ↠仏、乃チ有リテ↠華出ヅルガ↥耳。世間ニ有スハ↠仏甚ダ難シ↠得↠値フコトヲ也。今我出デテ↢於天下ニ↡作レリ↠仏ト。
なんぢ大徳ありて聖明善心にしてあらかじめ仏意を知るに、 なんぢみだりに仏辺にありて仏に侍へずと。
●若有リテ↢大徳↡聖明善心ニシテ予メ知ルニ↢仏意ヲ↡、若不ト↧妄ニ在リテ↢仏辺ニ↡侍ヘ↞仏ニ也。
二 正宗分
Ⅰ 菩薩発願
ⅰ 三十四仏
【2】 仏、 阿難に告げたまはく、 前の已過去の事、 摩訶僧祇よりこのかたその劫無央数にしてまた計ふべからず、 そなはちその時過去の仏ましましき、 提和竭羅と名づく。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、前ノ*已過去ノ事、摩訶僧祇ヨリ已来タ其ノ劫無央数ニシテ不↠可カラ↢復計フ↡、乃チ爾ノ時有シキ↢過去ノ仏↡、名ク↢提和竭羅ト↡。
次にまた仏まします、 旃陀倚と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 須摩扶劫波薩多と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 維末楼と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 阿難那利と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
○次ニ復有ス↠仏、名ク↢*旃陀倚ト↡。*已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢須摩扶劫波薩多ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢維末楼ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢阿難那利ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 那竭脾と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 者梨倶遰波羅夜蔡と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 弥離倶楼と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 軷陀尼と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 朱蹄波と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク↢那竭脾ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク*者梨倶*遰波羅夜蔡ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢弥離倶楼ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢軷陀尼ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢朱蹄波ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 凡扶抵と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 堕楼勒耶と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 旃陀扈斯と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 須耶惟于沙と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 拘還弥鉢摩耆と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク↢凡扶*抵ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢堕楼勒*耶ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢*旃陀扈斯ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢須*耶惟于沙ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢拘還弥鉢摩耆ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 屍利滑攱と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 摩訶那提と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 耆頭摩提と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 羅隣祇離と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 兪楼倶路蔡と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク↢*屍利*滑攱ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢摩訶那提ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢耆頭摩提ト↡。已ニ過0126ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢羅隣祇離ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢兪楼倶路蔡ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 満呼群尼鉢賓䫛と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 旃陀遬臾抜和沙と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 旃陀蔡拘岑と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 潘波蠡頻尼と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 軷波惒斯と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク↢満呼群尼鉢賓䫛ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢*旃陀遬臾*抜和沙ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢*旃陀蔡拘岑ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢潘波*蠡頻尼ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢軷波惒斯ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 阿術祇陀掲蠡と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 勿署提と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 質夜蔡と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 曇摩和提と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 篩耶維䫛質と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク阿術祇陀掲*蠡ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢勿*署提ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢質夜蔡ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢曇摩和提ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢篩*耶維䫛質ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。
次にまた仏まします、 楼耶帯と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 僧迦羅弥楼迦帯と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。 次にまた仏まします、 曇昧摩提阿維難提と名づく。 すでに過ぎ去りたまひき。
~次ニ復有ス↠仏、名ク↢楼*耶帯ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢僧迦羅弥楼迦帯ト↡。已ニ過ギ去リタマヒキ。次ニ復有ス↠仏、名ク↢曇昧摩提阿維難提ト↡。○已ニ過ギ去リタマヒキ。
仏、 阿難に告げたまはく、 次にまた仏ましましき、 楼夷亘羅と名づく。 世間にましまして教授したまふ。 寿四十二劫なり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、次ニ復有シキ↠仏、名ク↢楼夷亘羅ト↡。○在シテ↢世間ニ↡教授シタマフ。寿四十二劫ナリ。
二 Ⅰ ⅱ 菩薩選択
すなはちその時世に大国王あり。 王、 仏の経道を聞き心すなはち歓喜し開解して、 すなはち国を棄て王を捐てて、 行じて沙門となり、 曇摩迦と字く。 菩薩道をなして人となり高才、 智慧勇猛にして、 世の人と絶異せり。
○乃チ爾ノ時世ニ有リ↢大国王↡。王聞キ↢仏ノ経道ヲ↡心即チ歓喜シ開解シテ、便チ棄テ↠国ヲ捐テテ↠王ヲ、行ジテ作リ↢沙門ト↡、字ク↢曇摩迦ト↡。作シテ↢菩薩道ヲ↡為リ↠人ト高才、智慧勇猛ニシテ、与↢世ノ人↡絶異セリ。
往きて楼夷亘羅仏のみもとに到りて、 前みて仏のために礼をなし、 却きて長跪叉手し、
○往キテ到リテ↢楼夷亘羅仏ノ所ニ↡、前ミテ為ニ↠仏ノ作シ↠礼ヲ、*却キテ長跪叉手シ、
仏にまうしてまうさく、 われ仏を求めんと欲して菩薩道をなさん。
○白シテ↠仏ニ言ク、我欲シテ↠求メムト↠仏ヲ為サム↢菩薩道ヲ↡。
われ後に作仏せしめん時、 八方上下のもろもろの無央数の仏のなかにおいて最尊智慧勇猛にして、
○令メム↢我後ニ作仏セ↡時、於テ↢八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏ノ中ニ↡最尊智慧勇猛ニシテ、
▼頭中の光明は仏の光明のごとく焔照するところ極まりなく、
○頭中ノ光明ハ如ク↢仏ノ光明ノ↡所↢*焔照スル↡無ク↠極リ、
所居の国土は自然の七宝極めておのづから軟好ならん。
○所居ノ国土ハ自然ノ七宝極0127テ自ラ*軟好ナラム。
われ後に作仏せしめん時、 名字を教授して、 みな八方上下の無央数の仏国に聞こえて、 わが名字を聞知せざるものなからん。
○令メム↢我後ニ作仏セ↡時、教↢授シテ名字ヲ↡、皆聞エテ↢八方上下ノ无央数ノ仏国ニ↡、莫ラム↧不ル↣聞↢知セ我ガ名字ヲ↡者↥。
もろもろの無央数の天・人民および蜎飛蠕動の類、 もろもろのわが国に来生するもの、 ことごとくみな菩薩・阿羅漢にならしむること無央数にして、 すべて諸仏の国に勝れん。
○諸ノ無央数ノ天・人民及ビ蜎飛蠕動之類、諸ノ来↢生スル我ガ国ニ↡者、悉ク皆令ムルコト↠作ラ↢菩薩・阿羅漢ニ↡无央数ニシテ、都テ勝レム↢諸仏ノ国ニ↡。
かくのごときものはむしろ得べけんやいなやと。
○如キ↠是クノ者ハ寧ロ可ケムヤ↠得不ヤト。
仏、 阿難に語りたまはく、 その楼夷亘羅仏その高明の所願の快善なるを知りて、 すなはち曇摩迦菩薩のために経を説きてのたまはく、
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、其ノ楼夷亘羅仏知リテ↢其ノ高明ノ所願ノ快善ナルヲ↡、即チ為ニ↢曇摩迦菩薩ノ↡説キテ↠経ヲ言ク、
たとへば天下大海の水、 一人にしてこれを斗量せんに、 一劫にして止まずは、 なほ枯尽して空しからしめその底埿を得べきがごとし。 人至心に道を求めんに、 いかんがまさに得べからざらん。 求索し精進して休止せざれば、 かならずまさに心中所欲の願を得べきのみと。
○譬ヘバ如シ↫天下大海ノ水、一人ニシテ*斗↢量セムニ之ヲ↡、一劫ニシテ不ハ↠止マ、尚可キガ↪枯尽シテ令メ↠空シカラ得↩其ノ底埿ヲ↨。人至心ニ求メムニ↠道ヲ、可如ガ当ニ不ラム↠可カラ↠得乎。求索シ精進シテ不レバ↢休止セ↡、会ズ当ニキ↠得↢心中所欲ノ願ヲ↡*爾ト。
曇摩迦菩薩、 楼夷亘羅仏の経を説きたまふことかくのごとくなるを聞きて、 すなはちおほきに歓喜し踊躍す。
●曇摩迦菩薩聞キテ↢楼夷亘羅仏ノ説キタマフコト↠経ヲ如クナルヲ↟是クノ、即チ大ニ歓喜シ踊躍ス。
▼その仏すなはち二百一十億の仏国土のなかの諸天・人民の善悪、 国土の好醜を選択して、 ために心中所欲の願を選択せしむ。
○其ノ仏即チ選↢択シテ二百一十億ノ仏国土ノ中ノ諸天・人民之善悪、国土之好醜ヲ↡、為ニ選↢択セシム心中所欲ノ願ヲ↡。
◆楼夷亘羅仏、 経を説きたまふことをはりて、 曇摩迦すなはちその心を一にして、 すなはち天眼を得て徹視してことごとくみづから二百一十億の諸仏国のなかの諸天・人民の善悪、 国土の好醜を見て、
○*夷亘羅仏説キタマフコト↠経ヲ竟リテ、曇摩迦便チ一ニシテ↢其ノ心ヲ↡、即チ得テ↢天眼ヲ↡徹視テ悉ク自ラ見テ↢二百一十億ノ諸仏国ノ中ノ諸天・人民之善悪、国土之好醜ヲ↡、
◆すなはち心中の所願を選択して、 すなはちこの二十四願経を結得し、
○即チ選↢択シテ心中ノ所願ヲ↡、便チ*結↢得シ是ノ二十四願*経ヲ↡、
すなはちこれを奉行すること精進勇猛にして、 勤苦し求索す。
○則チ奉↢行スルコト之ヲ↡精進勇猛ニシテ、勤苦シ求索ス。
かくのごとくなること無央数劫なり。
○如クナルコト↠是クノ無央数劫ナリ。
師事し供養するところのもろもろの已過去の仏もまた無央数なり。
●所ノ↢師事シ供養スル↡*諸ノ*已過去ノ仏モ亦无央数ナリ。
その曇摩迦菩薩そのしかうして後に至りてみづから致して作仏するを得て、 阿弥陀仏と名づく。 最尊智慧勇猛にして光明比びなし。 いま現在の所居の国土はなはだ快善なり。 他方の異仏国にありて、 八方上下のもろもろの無央数の天・人民および蜎飛蠕動の類を教授するに、 憂苦を過度し解脱するを得ざるはなしと。
●其ノ曇摩迦菩薩至リテ↢其ノ然シテ後ニ↡自ラ致シテ得テ↢作仏スルヲ↡、名ク↢阿弥陀仏ト↡。最尊智慧勇猛ニシテ光明無シ↠比。今現在ノ所居ノ国土甚ダ快善ナリ。在リテ↢他0128方ノ異仏国ニ↡、教↢授スルニ八方上下ノ諸ノ無央数ノ天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡、莫シト↠不ルハ↠得↤過↢度シ解↣脱スルヲ憂苦ヲ↡。
二 Ⅰ ⅲ 二十四願
【3】 仏、 阿難に語りたまはく、 阿弥陀仏菩薩たりし時、 つねにこの二十四願を奉行して、 珍宝のごとく愛重し保持し恭慎し、 精禅にしてこれに従ふ。 衆と超絶し卓然として異あり。 みなよく及ぶものあることなしと。
●仏語リタマハク↢阿難ニ↡、阿弥陀仏為リシ↢菩薩↡時、常ニ奉↢行シテ是ノ二十四願ヲ↡、珍宝ノゴトク愛重シ保持シ恭慎シ、精禅ニシテ*従フ↠之ニ。与↠衆超絶シ卓然トシテ有リ↠異。皆無シト↠有ルコト↢能ク及ブ者↡。
仏のたまはく、 なにをか二十四願となすと。
●仏言ク、*何ヲカ為スト↢二十四願ト↡。
第一に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中に泥犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動の類あることなからしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第一ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↢我ガ国中ニ无カラ↟有ルコト↢泥*犁・禽獣・薜荔・蜎飛蠕動之類↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中に婦人あることなからしめん。 女人ありてわが国中に来生せんと欲せば、 すなはち男子とならん。 もろもろの無央数の天・人民・蜎飛蠕動の類、 わが国に来生せんものは、 みな七宝水池の蓮華のうちより化生し、 長大してみな菩薩・阿羅漢にならんもの、 すべて無央数ならん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第二ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↢我ガ国中ニ无カラ↟有ルコト↢婦人↡。女人アリテ欲セバ↣来↢生セムト我ガ国中ニ↡者、即チ作ラム↢男子ト↡。諸ノ無央数ノ天・人民・蜎飛蠕動之類、来↢生セム我ガ国ニ↡者ハ、皆於リ↢七宝水池ノ蓮華ノ中↡化生シ、長大シテ皆作ラムモノ↢菩薩・阿羅漢ニ↡、都テ无央数ナラム。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第三に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国土をして自然の七宝広縦にして甚大、 曠蕩にして極まりなく、 おのづから軟好に、 所居の舎宅・被服・飲食はすべてみな自然にして、 たとへば第六天王の所居の処のごとくならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第三ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ国土ヲシテ自然ノ七宝広縦ニシテ甚大、曠蕩ニシテ無ク↠極リ、*自ラ軟好ニ、所居ノ舎宅・被服・飲食ハ都テ皆自然ニシテ、*比ヘバ如クナラ↢第六天王ノ所居ノ処ノ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
▼第四に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが名字をしてみな八方上下の無央数の仏国に聞こえしめん。 みな諸仏をしておのおの比丘僧の大坐のなかにおいて、 わが功徳・国土の善を説かしめん。 諸天・人民・蜎飛蠕動の類、 わが名字を聞きて慈心をもつて歓喜し踊躍せざるものなく、 みなわが国に来生せしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第0129四ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ名字ヲシテ皆聞エ↢八方上下ノ無央数ノ仏国ニ↡。皆令メム↧諸仏ヲシテ各ノ於テ↢比丘僧ノ大坐ノ中ニ↡、説カ↦我ガ功徳・国土之善ヲ↥。諸天・人民・蜎飛蠕動之類、聞テ↢我ガ名字ヲ↡莫ク↧不ル↢慈心ヲモテ歓喜シ踊躍セ↡者↥、皆令メム↣来↢生セ我ガ国ニ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第五に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 八方上下のもろもろの無央数の天・人民および蜎飛蠕動の類をして、 もし前世に悪をなすに、 わが名字を聞きてわが国に来生せんと欲せば、 すなはち反政し、 みづから悔過して、 道のために善をなし、 すなはち経戒を持して、 願じてわが国に生れんと欲して断絶せざらしめむ。 寿終りてみな泥犁・禽獣・薜荔に復らずして、 すなはちわが国に生れて心の所願にあらしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第五ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧八方上下ノ諸ノ無央数ノ天・人民*及ビ蜎飛蠕動之類ヲシテ、若シ前世ニ作スニ↠悪ヲ、聞キテ↢我ガ名字ヲ↡欲セバ↣来↢生セムト我ガ国ニ↡者、即便チ*反*政シ、自ラ悔過シテ、為ニ↠道ノ作シ↠善ヲ、便チ持シテ↢経戒ヲ↡、願ジテ欲シテ↠生レムト↢我ガ国ニ↡不ラ↦断絶セ↥。寿終リテ皆令メム↧不シテ↠復ラ↢泥*犁・禽獣・薜荔ニ↡、即チ生レテ↢我ガ国ニ↡在ラ↦心ノ所願ニ↥。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第六に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 八方上下の無央数の仏国の諸天・人民、 もしは善男子・善女人をして、 わが国に来生せんと欲せば、 われを用ふるがゆゑにますます善をなし、 もしは分檀布施し、 塔を遶りて香を焼き、 花を散じ灯を然し、 雑繒綵を懸け沙門に飯食せしめ、 塔を起て寺を作り、 愛欲を断じて、 斎戒清浄にして、 一心にわれを念じ、 昼夜一日断絶せざれば、 みなわが国に来生せしめ菩薩とならしめむ。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
●第六ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸天・人民、若シハ善男子・善女人ヲシテ、欲セバ↣来↢生セムト我ガ国ニ↡、用フルガ↠我ヲ故ニ益マス作シ↠善ヲ、若シハ分檀布施シ、遶リテ↠塔ヲ焼キ↠香ヲ、散ジ↠花ヲ然シ↠灯ヲ、懸ケ↢雑繒綵ヲ↡飯↢食セシメ沙門ニ↡、起チ↠塔ヲ作リ↠寺ヲ、断ジテ↢愛欲ヲ↡、*斎戒清浄ニシテ、一心ニ念ジ↠我ヲ、昼夜一日不レバ↢断絶セ↡、皆令メ↣来↢生セ我ガ国ニ↡作ラ↦菩薩ト↥。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第七に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 八方上下の無央数の仏国の諸天・人民、 もしは善男子・善女人をして、 菩薩道をなすことありて六波羅蜜経を奉行し、 もしは沙門となりて経戒を毀らず、 愛欲を断じ斎戒清浄にして、 一心に念じてわが国に生れんと欲し昼夜に断絶せざらんに、 もしその人寿終らんと欲する時、 ▼われすなはちもろもろの菩薩・阿羅漢とともに飛行してこれを迎へて、 すなはちわが国に来生し、 すなはち阿惟越致の菩薩となりて智慧勇猛ならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第七ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸天・人民、若シハ善男子0130・善女人ヲシテ、有リテ↠作スコト↢菩薩道ヲ↡奉↢行シ六波羅蜜経ヲ↡、若シハ作リテ↢沙門ト↡不↠毀ラ↢経戒ヲ↡、断ジ↢愛欲ヲ↡斎戒清浄ニシテ、一心ニ念ジテ欲シ↠生レムト↢我ガ国ニ↡昼夜ニ不ラムニ↢断絶セ↡、若シ其ノ人寿欲スル↠終ラムト時、我即チ与↢諸ノ菩薩・阿羅漢↡共ニ飛行シテ迎ヘテ↠之ヲ、即チ来↢生シ我ガ国ニ↡、則チ作リテ↢阿惟越致ノ菩薩ト↡智慧勇猛ナラ↥。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第八に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩、 他方仏国に到りて生ぜんと欲せしめば、 みな泥犁・禽獣・薜荔に更らざらしめて、 みな▼仏道を得しめむ。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第八ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メバ↧我ガ国中ノ諸ノ菩薩、欲セ↦到リテ↢他方仏国ニ↡*生ゼムト↥、皆令メテ↠不ラ↠更ラ↢泥*犁・禽獣・薜荔ニ↡、皆令メム↠得↢仏道ヲ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第九に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 面目みな端正に浄潔姝好にして、 ことごとく同一の色に、 すべて一種類なることみな第六天人のごとくならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第九ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、面目皆端正ニ浄潔*姝好ニシテ、悉ク同一ノ色ニ、都テ一種類ナルコト*皆如クナラ↢第六天人ノ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 みな同一の心に、 所念所欲の言はあらかじめ意をあひ知らしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ国*中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆同一ノ心ニ、所念*所欲ノ言者*予メ相↢知ラ意ヲ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十一に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 みな淫泆の心あることなく、 つひに婦女を念ずる意なく、 つひに瞋怒・愚痴のものあることなからしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十一ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↩我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆無ク↠有ルコト↢淫泆之心↡、終ニ无ク↧念ズル↢婦女ヲ↡意↥、終ニ無ラ↝有ルコト↢瞋怒・*愚痴ノ者↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終0131ニ不ト↢作仏セ↡。
第十二に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 みな心にあひ敬愛せしめて、 つひにあひ嫉み憎むものなからしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
●第十二ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆令メテ↢心ニ相敬愛セ↡、終ニ无カラ↦相嫉ミ憎ム者↥。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十三に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩をして、 ともに八方上下の無央数の諸仏を供養せんと欲するに、 みな飛行してすなはち到り、 自然万種のものを得んと欲せば、 すなはちみな前にありて、 持用して諸仏を供養せしめ、 ことごとくみな遍して以後、 日いまだ中ならざる時、 すなはち飛行してわが国に還らしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十三ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↪我ガ国中ノ諸ノ菩薩ヲシテ、欲スルニ↣共ニ供↢養セムト八方上下ノ無央数ノ諸仏ヲ↡、皆令メ↧飛行シテ即チ到リ、欲セバ↠得ムト↢自然万種之物ヲ↡、即チ皆在リテ↠前ニ持用シテ供↦養セ諸仏ヲ↥、悉ク皆遍シテ已後、日未ダル↠中ナラ時、即チ飛行シテ還ラ↩我ガ国ニ↨。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十四に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢、 飯せんと欲する時、 すなはちみな自然の七宝の鉢のなかに自然の百味の飯食ありて前にあり、 食しをはらば自然に去らしめむ。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
●第十四ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢、欲スル↠飯セムト時、即チ皆自然ノ七宝ノ鉢ノ中ニ有リテ↢自然ノ百味ノ飯食↡在リ↠前ニ、食シ已ラバ自然ニ去ラ↥。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十五に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩の身をして、 みな紫磨金色・三十二相・八十種好ならしめ、 みな仏のごとくならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十五ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メ↢我ガ国中ノ諸ノ菩薩ノ身ヲシテ、皆紫磨金色・三十二相・八十種好ナラ↡、皆令メム↠如クナラ↠仏ノ。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十六に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 語は三百の鍾の声のごとく、 経を説き道を行ずることもみな仏のごとくならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十六ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↧我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、語者如ク↢三百ノ鍾ノ声ノ↡、説キ↠経ヲ行ズルコトモ↠道ヲ皆如クナラ↞仏ノ。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十七に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 われあきらかに視あきらかに聴きて、 飛行すること十倍諸仏に勝れしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第0132十七ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我洞ニ視徹ニ聴キテ、飛行スルコト十倍勝レ↢於諸仏ニ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十八に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが智慧をして経を説き道を行ずること、 諸仏に十倍ならしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
●第十八ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ智慧ヲシテ説キ↠経ヲ行ズルコト↠道ヲ、十↢*倍ナラ於諸仏ニ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第十九に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 八方上下の無央数の仏国の諸天・人民・蜎飛蠕動の類をして、 みな人道を得てことごとく辟支仏・阿羅漢とならしめて、 みな坐禅一心に、 ともに計り数へてわが年寿幾千億万劫歳数なるを知らんと欲するに、 みなよく極めて寿を知るものあることなからしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第十九ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令テ↢八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆令メテ↧得テ↢人道ヲ↡悉ク作ラ↦辟*支仏・阿羅漢ト↥、皆坐禅一心ニ、共ニ欲スルニ↣計リ数ヘテ知ラムト↢我ガ年寿幾千億万劫歳数ナルヲ↡、皆令メム↠無カラ↠有ルコト↢能ク極テ知ル↠寿ヲ者↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二十に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 八方上下のおのおの千億仏国のなかの諸天・人民・蜎飛蠕動の類をして、 みな辟支仏・阿羅漢とならしめて、 みな坐禅一心に、 ともにわが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢を計り数へて幾千億万人あることを知らんと欲するに、 みなよく数を知るものあることなからしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第二十ニ願ズラク者、使メム↢某作仏セ↡時、令テ↢八方上下ノ各ノ千億仏国ノ中ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆令メテ↠作ラ↢辟*支仏・阿羅漢ト↡、皆坐禅一心ニ、共ニ欲スルニ↧計リ↢数ヘテ我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡知ラムト↞有ルコトヲ↢幾千億万人↡、皆令メム↠无カラ↠有ルコト↢能ク知ル↠数ヲ者↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二十一に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 寿命無央数劫ならしめん。この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第二十一ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↢我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、寿命無央数劫ナラ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二十二に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 みな智慧勇猛にして、 みづから前世の億万劫の時を知り、 宿命に作すところの善悪、 かへりて極まりなきことを知り、 みな十方、 去・来・現在の事を洞視し徹知せしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第0133二十二ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↫我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆智慧勇猛ニシテ、自ラ知リ↢前世ノ億万劫ノ時ヲ↡、宿命ニ所ノ↠作ス善悪、却テ知リ↠無キコトヲ↠極リ、皆洞↩視シ*徹↪知セ十方、去・来・現在之事ヲ↨。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二十三に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが国中のもろもろの菩薩・阿羅漢をして、 みな智慧勇猛にして、 頂中にみな光明あらしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第二十三ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メム↣我ガ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲシテ、皆智慧勇猛ニシテ、頂中ニ皆有ラ↢光明↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
第二十四に願ずらく、 それがし作仏せしめん時、 わが頂中の光明絶好にして、 日月の明に勝るること百千億万倍ならしめ、 諸仏の光明に絶勝し、 もろもろの無央数の天下幽冥の処を焔照して、 みなまさに大明なるべし。 諸天・人民・蜎飛蠕動の類、 ▼わが光明を見て慈心をもつて善をなさざるものなく、 みなわが国に来生せしめん。 この願を得ばすなはち作仏せん。 この願を得ずはつひに作仏せじと。
○第二十四ニ願ズラク、使メム↢某作仏セ↡時、令メ↧我ガ頂中ノ光明絶好ニシテ、勝ルルコト↢於日月之明ニ↡百千億万倍ナラ↥、絶↢勝シ諸仏ノ光明ニ↡、焔↢照シテ諸ノ无央数ノ天下幽冥之処ヲ↡、皆当ニシ↢大明ナル↡。諸天・人民・蜎飛蠕動之類、見テ↢我ガ光明↡莫ク↧不ル↢慈心ヲモテ作サ↟善ヲ者↥、皆令メム↣来↢生セ我ガ国ニ↡。得バ↢是ノ願ヲ↡乃チ作仏セム。不ハ↠得↢是ノ願ヲ↡終ニ不ト↢作仏セ↡。
二 Ⅱ 菩薩修行
【4】 仏、 阿難に告げたまはく、 阿弥陀の菩薩たりし時、 つねにこの二十四願を奉行し、
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、阿弥陀ノ為リシ↢菩薩↡時、常ニ奉↢行シ是ノ二十四願ヲ↡、
分檀布施して道禁を犯さず、 忍辱・精進・一心・智慧をもつて志願つねに勇猛に、 経法を毀らず求索して懈らず、
○分檀布施シテ不↠犯サ↢道*禁ヲ↡、忍辱・精進・一心・智慧ヲモテ志願常ニ勇猛ニ、不↠毀ラ↢経法ヲ↡求索シテ不↠懈ラ、
つねに独りにして国を棄て王を捐てて、 財色を絶去し、 精明に求願して適莫するところなく、
○毎ニ独リニシテ棄テ↠国ヲ捐テテ↠王ヲ、絶↢去シ財色ヲ↡、精明ニ求願シテ無ク↠所↢適莫スル↡、
功を積み徳を累ぬること無央数劫にして、 いまみづから作仏を致し、 ことごとくみなこれを得てその功を亡はずと。
○積ミ↠功ヲ累ヌルコト↠徳ヲ無央数劫ニシテ、今自ラ致シ↢作仏ヲ↡、悉ク皆得テ↠之ヲ不ト↠亡ハ↢其ノ功ヲ↡也。
二 Ⅲ 弥陀果徳
ⅰ 光明無量
▼仏のたまはく、 阿弥陀仏の光明は、 最尊第一にして比びなし。 諸仏の光明のみな及ばざるところなり。
○仏言ク、阿弥陀仏ノ光明ハ、最尊第一ニシテ無シ↠比。諸仏ノ光明ノ皆所↠不ル↠及バ也。
◆八方上下の無央数の諸仏のなかに、 仏の頂中の光明七丈を照らすあり、 仏の頂中の光明一里を照らすあり、 仏の頂中の光明二里を照らすあり、 仏の頂中の光明五里を照らすあり、 仏の頂中の光明十里を照らすあり、 仏の頂中の光明二十里を照らすあり、 仏の頂中の光明四十里を照らすあり、 仏の頂中の光明八十里を照らすあり、 仏の頂中の光明百六十里を照らすあり、 仏の頂中の光明三百二十里を照らすあり、 仏の頂中の光明六百四十里を照らすあり、 仏の頂中の光明千三百里を照らすあり、 仏の頂中の光明二千六百里を照らすあり、 仏の頂中の光明五千二百里を照らすあり、 仏の頂中の光明万四百里を照らすあり、 仏の頂中の光明二万一千里を照らすあり、 仏の頂中の光明四万二千里を照らすあり、 仏の頂中の光明八万四千里を照らすあり、 仏の頂中の光明十七万里を照らすあり、 仏の頂中の光明三十五万里を照らすあり、 仏の頂中の光明七十万里を照らすあり、 仏の頂中の光明百五十万里を照らすあり、 仏の頂中の光明三百万里を照らすあり、 仏の頂中の光明六百万里を照らすあり、
○八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ中ニ、有リ↣仏ノ頂中ノ光0134明照ス↢七*丈ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢一里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢五里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢四十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢八十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢百六十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢三百二十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢六百四十里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢千三百里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢*二千六百里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢*五千二百里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢*万四百里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二万一千里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢四万二千里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢八万四千里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢十七万里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢三十五万里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢七十万里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢百五十万里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢三百万里ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢六百万里ヲ↡、
仏の頂中の光明一仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明両仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明四仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明八仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明十五仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明三十仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明六十仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明百二十仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明二百四十仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明五百仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明二千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明四千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明八千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明万六千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明三万二千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明六万四千仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明十三万仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明二十六万仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明五十万仏国を照らすあり、 仏の頂中の光明百万仏国を照らすあり、 ▼仏の頂中の光明二百万仏国を照らすありと。
~有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢一仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢両仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢四仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢八仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢十五仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢三十仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢六十仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢百二十仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二百四0135十仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢五百仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢四千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢八千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢万六千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢三万二千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢六万四千仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢十三万仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二十六万仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢五十万仏国ヲ↡、有リ↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢百万仏国ヲ↡、有リト↣仏ノ頂中ノ光明照ス↢二百万仏国ヲ↡。
◆仏のたまはく、 もろもろの八方上下の無央数の仏の頂中の光明の焔照するところみなかくのごとし。 阿弥陀仏の頂中の光明の焔照するところ千万仏国なり。
●仏言ク、諸ノ八方上下ノ無央数ノ仏ノ頂中ノ光明ノ所↢*焔照スル↡皆如シ↠是クノ也。阿弥陀仏ノ頂中ノ光明ノ所↢*焔照スル↡千万仏国ナリ。
◆諸仏の光明の照らすところ近遠あるゆゑはいかんとなれば、 もとそれ前世宿命に、 道を求めて菩薩たりし時、 所願の功徳おのおのおのづから大小あり、 それしかうして後に至りて作仏せん時、 おのおのみづからこれを得たり。
●所↣以諸仏ノ光明ノ所ニ↠照ス有ル↢近遠↡者何トナレバ、本其レ前世宿命ニ、求メテ↠道ヲ為リシ↢菩薩↡時、所願ノ功徳各ノ自ラ有リ↢大小↡、至リテ↢其レ然シテ後ニ↡作仏セム時、各ノ自ラ得タリ↠之ヲ。
◆このゆゑに光明をしてうたた同等ならざらしむ。 諸仏の威神同等なるのみ。 自在に意の所欲のごとく作為して、 あらかじめ計らず。 阿弥陀仏の光明の照らすところ最大なり。 諸仏の光明みな及ぶことあたはざるところなり。
●是ノ故ニ令ム↣光明ヲシテ転タ不ラ↢同等ナラ↡。諸仏ノ威神同等ナル*爾。自在ニ意ノ所欲ノゴトク作為シテ、不↢*予メ計ラ↡。阿弥陀仏ノ光明ノ所↠照ス最大ナリ。諸仏ノ光明皆所↠不ル↠能ハ↠及ブコト也。
【5】 ◆仏、 阿弥陀仏の光明の極善なることを称誉したまふ。 阿弥陀仏の光明は極善にして善のなかの明好なり。 はなはだ快きこと比びなく絶殊無極なり。 阿弥陀仏の光明は清潔にして、 瑕穢なく欠減なし。 阿弥陀仏の光明は姝好にして日月の明に勝るること百千億万倍なり。 諸仏の光明のなかの極明なり。 光明のなかの極好なり。 光明のなかの極雄傑なり。 光明のなかの快善なり。 諸仏のなかの王なり。 光明のなかの極尊なり。 光明のなかの最明無極なり。
○仏称↢誉シタマフ阿弥陀仏ノ光明ノ極善ナルコトヲ↡。阿弥陀仏ノ光明ハ極善ニシテ善ノ中ノ明好ナリ。甚ダ快キコト無ク↠比絶殊无極也。阿弥陀仏ノ光明ハ清*潔ニシテ、無ク↢瑕穢↡無シ↢欠減↡也。阿弥陀仏0136ノ光明ハ*姝好ニシテ勝ルルコト↢於日月之明ニ↡百千億万倍ナリ。諸仏ノ光明ノ中之極明也。光明ノ中之極好也。光明ノ中之極雄*傑也。光明ノ中之快善也。諸仏ノ中之王也。光明ノ中之極尊也。光明ノ中之最明無極也。
◆もろもろの無数天下の幽冥の処を焔照するに、 みなつねに大明なり。 諸有の人民・蜎飛蠕動の類、 阿弥陀仏の光明を見ざることなし。 見たてまつれば慈心をもつて歓喜せざるものなし。
○焔↢照スルニ諸ノ無数天下ノ幽冥之処ヲ↡、皆常ニ大明ナリ。諸有ノ人民・蜎飛蠕*動之類、莫シ↠不ルコト↠見↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡也。見タテマツレバ者莫シ↧不ル↢慈心ヲモテ歓喜セ↡者↥。
◆世間諸有の淫泆・瞋怒・愚痴のもの、 阿弥陀仏の光明を見たてまつりて善をなさざるはなし。 もろもろの泥犁・禽獣・薜荔、 考掠勤苦の処にありて、 阿弥陀仏の光明の至れるを見たてまつれば、 みな休止しまた治せずして死して後に憂苦を解脱することを得ざるものなし。
○世間諸有ノ淫泆・瞋怒・愚痴ノ者、見タテマツリテ↢阿弥陀仏ノ光明ヲ↡莫シ↠不ルハ↠作サ↠善ヲ也。諸ノ在リテ↢泥*犁・禽獣・薜荔、*考掠勤苦之処ニ↡、見タテマツレバ↢阿弥陀仏ノ光明ノ至レルヲ↡、皆休止シ不シテ↢復治セ↡死シテ後ニ莫シ↧不ル↠得↣解↢脱スルコトヲ憂苦ヲ↡者↥也。
▼阿弥陀仏の光明の名は八方上下無窮無極無央数の諸仏の国に聞かしめたまふ。 諸天・人民聞知せざることなし。 聞知せんもの度脱せざるはなしと。
○阿弥陀仏ノ光明ノ名ハ聞カシメタマフ↢八方上下無窮无極無央数ノ諸仏ノ国ニ↡。諸天・人民莫シ↠不ルコト↢聞知セ↡。聞知セム者莫シト↠不ルハ↢度脱セ↡也。
◆仏のたまはく、 独りわれのみ阿弥陀仏の光明を称誉するにあらず。 八方上下無央数の仏・辟支仏・菩薩・阿羅漢の称誉するところ、 みなかくのごとしと。
○仏言ク、不ズ↣独リ我ノミ称↢誉スルニ阿弥陀仏ノ光明ヲ↡也。八方上下無央数ノ仏・辟*支仏・菩薩・阿羅漢ノ所↢称誉スル↡、皆如シト↠是クノ。
◆仏のたまはく、 ▼それ人民、 善男子・善女人ありて阿弥陀仏の声を聞きて、 光明を称誉して朝暮につねにその光明の好しきを称誉して、 至心にして断絶せざれば、 心の所願のごとくにありて、 阿弥陀仏国に往生して、もろもろの菩薩・阿羅漢ために尊敬せらるることを得べし。
○仏言ク、其レ有リテ↢人民、善男子・善女人↡聞キテ↢阿弥陀仏ノ声ヲ↡、称↢誉シテ光明ヲ↡朝暮ニ常ニ称↢誉シテ其ノ光明ノ好マシキヲ↡、至心ニシテ不レバ↢断絶セ↡、在リテ↢心ノ所願ノゴトクニ↡、往↢生シテ阿弥陀仏国ニ↡、可シ↠得↧為ニ↢衆ノ菩薩・阿羅漢ノ↡所ルルコトヲ↦尊敬セ↥。
もしそれしかうして後作仏せば、 またまさにまた八方上下のもろもろの無央数の仏・辟支仏・菩薩・阿羅漢のために光明を称誉せらるることかくのごとくなるべし。 すなはちもろもろの比丘僧のもろもろの菩薩・阿羅漢、 もろもろの天・帝王・人民、 これを聞きてみな歓喜し踊躍して、 讃歎せざるものなからんと。
○若シ其レ然シテ後作仏セバ者、亦当ニシ↧復為ニ↢八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏・辟*支仏・菩薩・阿羅漢ノ↡所ルルコト↣称↢誉セ光明ヲ↡如クナル↞是ノ也。即チ衆ノ比丘僧ノ諸ノ菩0137薩・阿羅漢、諸ノ天・帝王・人民、聞キテ↠之ヲ皆歓喜シ踊躍シテ、莫カラムト↧不ル↢讃歎セ↡者↥。
仏のたまはく、 われ阿弥陀仏の光明の姝好巍巍なるをいひ、 快善なることを称誉すること昼夜一劫すれどもなほいまだ竟らず。 われただなんぢらがためにすこしくこれを説くのみと。
○仏言ク、我道ヒ↢阿弥陀仏ノ光明ノ*姝好巍巍ナルヲ↡、称↢誉スルコト快善ナルコトヲ↡昼夜一劫スレドモ尚未ダ↠竟ラ也。我但為ニ↢若曹ガ↡小シク説ク↠之ヲ耳ト。
二 Ⅲ ⅱ 阿闍世聞願利益
【6】 仏、 阿弥陀仏の菩薩たりしとき求索してこの二十四願を得たまふことを説きたまふ。 時に阿闇世王太子五百の長者迦羅越の子とおのおの一つの金華蓋を持ちて、 ともに仏所に到り、 前みてために仏に礼をなす。 頭面をもつて仏足に著けて、 みな金華蓋を持ちて前みて仏にたてまつりをはりて、 ことごとく却き一面に坐して経を聴けり。
●仏説キタマフ↧阿弥陀仏ノ為リシトキ↢菩薩↡求索シテ得タマフコトヲ↦是ノ二十四願ヲ↥。時ニ阿闇世王太子与↢五百ノ長者迦羅越ノ子↡各ノ持チテ↢一ノ金華蓋ヲ↡、倶ニ到リ↢仏所ニ↡、前ミテ為ニ*作ス↠礼ヲ↠仏ニ。以テ↢頭面ヲ↡著ケテ↢仏足ニ↡、皆持チテ↢金華蓋ヲ↡前ミテ上リ↠仏ニ已リテ、悉ク却キ坐シテ↢一面ニ↡聴ケリ↠経ヲ。
阿闇世王太子および五百の長者子、 阿弥陀仏の二十四願を聞きて、 みなおほきに歓喜し踊躍して、 心中にともに願じていはく、 われら後に作仏せん時、 みな阿弥陀仏のごとくならしむと。
●阿闇世王太子及ビ五百ノ長者子、聞キテ↢阿弥陀仏ノ二十四願ヲ↡、皆大ニ歓喜シ踊躍シテ、心中ニ倶ニ願ジテ言ク、令ムト↣我等後ニ作仏セム時、皆如クナラ↢阿弥陀仏ノ↡。
仏すなはちこれを知ろしめして、 もろもろの比丘僧に告げたまはく、 この阿闇世王太子および五百の長者子、 あと無数劫を却りて、 みなまさに作仏して阿弥陀仏のごとくなるべしと。
●仏即チ知ロシメシテ↠之ヲ、告ゲタマハク↢諸ノ比丘僧ニ↡、是ノ阿闍世王太子及ビ五百ノ長者子、却リテ↢後无数劫ヲ↡、皆当ニシト↣作仏シテ如クナル↢阿弥陀仏ノ↡。
仏のたまはく、 この阿闇世王太子および五百の長者子、 菩薩道に住してよりこのかた、 無央数劫にみなおのおの四百億仏を供養しをはりて、 いままた来りてわれを供養せり。 阿闇世王太子および五百の長者子、 皆前世に迦葉仏の時、 わがために弟子となれり。 いまみなまたここに会してともにあひ値へるなりと。 すなはちもろもろの比丘僧仏の言を聞きてみな踊躍してかはるがはる歓喜せざるものなからんと。
●仏言ク、是ノ阿闍世王太子及ビ五百ノ長者子、住シテヨリ↢菩薩道ニ↡已来タ、無央数劫ニ皆各ノ供↢養シ四百億仏ヲ↡已リテ、今復来リテ供↢養セリ我ヲ↡。阿闍世王太子及ビ五百ノ長者*子、皆前世ニ迦葉仏ノ時、為ニ↠我ガ作レリ↢弟子ト↡。今皆復会シテ↠是ニ共ニ相値ヘル也ト。*則チ諸ノ比丘僧聞キテ↢仏ノ言ヲ↡皆踊躍シテ莫カラムト↧不ル↢代之歓喜セ↡者↥。
二 Ⅲ ⅲ 十劫成道
【7】 仏、 阿難に告げたまはく、 阿弥陀作仏してよりこのかた、 およそ▼十小劫なり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、阿弥陀作仏シテヨリ已来タ、凡ソ十小劫ナリ。
二 Ⅲ ⅳ 国土功徳
所居の国土を*須摩題と名づく。 まさしく西方にあり。 この閻浮提の地界を去ること千億万須弥山仏国なり。
○所居ノ国土ヲ名ク↢須摩題ト↡。正ク在リ↢西0138方ニ↡。去ルコト↢是ノ閻浮提ノ地界ヲ↡千億万須弥山仏国ナリ。
その国の地はみな自然の七宝なり。 その一宝は白銀、 二宝は黄金、 三宝は水精、 四宝は琉璃、 五宝は珊瑚、 六宝は琥珀、 七宝は車なり。 これを七宝となす。 みなもつておのづからともに地となり、 曠蕩にして甚大無極なり。
○其ノ国ノ地ハ皆自然ノ七宝ナリ。其ノ一宝者白銀、二宝者黄金、三宝者水精、四宝者琉璃、五宝者珊瑚、六宝者*琥珀、七宝者*車*ナリ。是ヲ為ス↢七宝ト↡。皆以テ自ラ共ニ為リ↠地ト、曠蕩ニシテ甚大無極ナリ。
みなおのづからあひ参りてうたたあひ入中す。 おのおのおのづから焜煌として明を参へ、 極めておのづから軟好にしてはなはだ姝しきこと比びなし。 その七宝の地はもろもろの八方上下の衆宝のなかの精味、 自然の合会にしてその化生なるのみ。 その宝はみなたとへば第六天上の七宝のごとし。
○皆自ラ相参リテ転タ相入中ス。各ノ自ラ焜煌トシテ参ヘ↠明ヲ、極テ自ラ軟好ニシテ甚ダ姝シキコト無シ↠比。其ノ七宝ノ地ハ諸ノ八方上下ノ衆宝ノ中ノ精味、自然ノ合会ニシテ其ノ化生ナル耳。其ノ宝ハ皆比ヘバ第六天上之七宝ノゴトシ也。
その国中には須弥山あることなく、 その日月・星辰、 第一四天王・第二忉利天、 みな虚空のなかにあり。 その国土には大海あることなく、 また小海水もあることなく、 また江河・恒水もなし。 また山林・渓谷もあることなく、 幽冥の処もあることなし。 その国の七宝の地はみな平正なり。
○其ノ国中ニハ無ク↠有ルコト↢須弥山↡、其ノ日月・星辰、第一四天王・第二忉利天、皆在リ↢虚空ノ中ニ↡。其ノ国土ニハ無ク↠有ルコト↢大海↡、亦无ク↠有ルコト↢小海水モ↡、亦無シ↢江河・恒水モ↡也。亦無ク↠有ルコト↢山林・渓谷モ↡、無シ↠有ルコト↢幽冥之処モ↡。其ノ国ノ七宝ノ地ハ皆平正ナリ。
泥犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動の類あることなく、 *阿須倫・もろもろの竜・鬼神あることなし。
○無ク↠有ルコト↢泥*犁・禽獣・薜茘・蜎飛蠕動之類↡、無シ↠有ルコト↢阿須*倫・諸ノ竜・鬼神↡。
つひに天雨の時なく、 また春夏秋冬あることなく、 また大寒なくまた大熱なし。 つねに和調中適にしてはなはだ快善なること比びなし。
○終ニ无ク↢天雨ノ時↡、亦无ク↠有ルコト↢春夏秋冬↡、亦無ク↢大寒↡亦無シ↢大熱↡。常ニ和調中適ニシテ甚ダ快善ナルコト無シ↠比。
みな自然万種の物あり、 百味の飯食、 意に得るところあらんと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 用ひざるところのものはすなはち自然に去る。 たとへば第六天上の自然の物のごとし。 ほしいままに自然にすなはちみな意に随ふ。
○皆有リ↢自然万種之物、百味ノ飯食↡、意ニ欲セバ↠有ラムト↠所↠得ル、即チ自然ニ在リ↠前ニ。所ノ↠不ル↠用ヒ者ハ即チ自然ニ去ル。比ヘバ如シ↢第六天上ノ自然之物ノ↡。恣若ニ自然ニ即チ皆随フ↠意ニ。
その国のうちにはことごとくもろもろの菩薩・阿羅漢のみにして婦女あることなし。 寿命も無央数劫なり。 女人往生すればすなはち化して男子となる。 ただもろもろの菩薩・阿羅漢のみありて無央数なり。
●其ノ国ノ*中ニハ悉ク諸ノ菩薩・阿羅漢ノミニシテ無シ↠有ルコト↢婦女↡。寿命モ无央数劫ナリ。女人往生スレバ即チ化シテ*作ル↢男子ト↡。但有リテ↢諸ノ菩薩・阿羅漢ノミ↡無央数ナリ。
ことごとくみなあきらかに視あきらかに聴き、 ことごとくはるかにあひ見、 はるかにあひ瞻望し、 はるかにあひ語声を聞く。 ことごとくみな道の善なるものを求む。
○悉ク皆洞ニ視徹ニ聴キ、悉ク遥0139ニ相見、遥ニ相瞻望シ、遥ニ相聞ク↢語声ヲ↡。悉ク皆求ム↢道ノ善ナル者ヲ↡。
同一種類にして、 異人あることなし。 そのもろもろの菩薩・阿羅漢の面目はみな端正にして浄潔絶好なり。 ことごとく同一の色にして、 ひとへに醜悪なるものあることなし。
○同一種類ニシテ、無シ↠有ルコト↢異人↡。其ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ面目ハ皆端正ニシテ浄潔絶好ナリ。悉ク同一ノ色ニシテ、無シ↠有ルコト↢偏ニ醜悪ナル者↡也。
もろもろの菩薩・阿羅漢はみな才猛黠慧なり。 みな自然の衣を衣る。 心中に念ずるところは道徳なり。 その語り言はんと欲するに、 みなあらかじめ意に念言するところをあひ知る。 つねに正事を説き、 語るところはすなはち経道を説きて他余の悪を説かず。 その語言の音響三百の鍾の声のごとし。
○諸ノ菩薩・阿羅漢ハ皆才猛黠慧ナリ。皆衣ル↢自然之衣ヲ↡。心中ニ所ハ↠念ズル道徳ナリ。其ノ欲スルニ↢語リ言ハムト↡、皆*予メ相↣知ル意ニ所ヲ↢念言スル↡。常ニ説キ↢正事ヲ↡、所ハ↠語ル輒チ説キテ↢経道ヲ↡*不↠説カ↢他余之悪ヲ↡。其ノ語言ノ音響如シ↢三百ノ鍾ノ声ノ↡。
みなあひ敬愛してあひ嫉憎するものなし。 みな長幼・上下・先後をもつてこれをいふ。 義をもつてし礼にかなひて、 うたたあひ敬事すること兄のごとく弟のごとし。 仁をもつてし義を履みみだりに動作せず。 言語誡にかなひて、 うたたあひ教令してあひ違戻せず、 うたたあひ承受して、 みな心浄潔にして貪慕するところなく、 つひに瞋怒・淫泆の心、 愚痴の態なく、 邪心にして婦女を念ふ意あることなし。
○皆相敬愛シテ無シ↢相嫉憎スル者↡。皆以テ↢長幼・上下・先後ヲ↡言フ↠之ヲ。以テシ↠義ヲ如ヒテ↠礼ニ、転タ相敬事スルコト如ク↠兄ノ如シ↠弟ノ。以テシ↠仁ヲ履ミ↠義ヲ不↢妄ニ動作セ↡。言語如ヒテ↠*誡ニ、転タ相教令シテ不↢相違戻セ↡、転タ相承受シテ、皆心浄潔ニシテ无ク↠所↢貪慕スル↡、終ニ*無ク↢瞋怒・淫泆之心、愚痴之*態↡、无シ↠有ルコト↧邪心ニシテ念フ↢婦女ヲ↡意↥。
ことごとくみな智慧勇猛に和心歓楽して経道を好喜み、 みづから前世より従来するところの生、 億万劫の時の宿命の善悪・存亡を知り、 現在もかへりて知ること極まりなし。
●悉ク皆智慧勇猛ニ和心歓*楽シテ好↢*喜ミ経道ヲ↡、自ラ知リ↧前世ヨリ所ノ↢従来スル↡生、億万劫ノ時ノ宿命ノ善悪・存亡ヲ↥、現在モ却テ知コト無シ↠極リ。
二 Ⅲ ⅴ 講堂宝池荘厳
阿弥陀仏の教授したまふべきところの講堂・精舎、 みなまた自然の七宝なり。 金・銀・水精・琉璃・白玉・虎珀・車、 おのづからともにあひ成ず。 はなはだ姝明好絶にして比びなし。
○阿弥陀仏ノ所ノ↠可キ↢教授シタマフ↡講堂・精舎、皆復自然ノ七宝ナリ。金・銀・水精・琉璃・白玉・*虎*珀・*車、自ラ共ニ相成ズ。甚ダ姝明好絶ニシテ無シ↠比。
また作るものなく従来するところを知らず。 持ち来るものなくまた従去するところもなし。 阿弥陀仏の願じたまふところの徳重ければなり。 その人善をなすゆゑに経を論じ義を語り経を説き道を行ずるに、 講会そのなかに自然に化生するのみ。
●亦無ク↢作ル者↡不↠知ラ↠所ヲ↢従来スル↡。亦無ク↢持チ来ル者↡亦无シ↠所モ↢従去スル↡。阿弥陀仏ノ所ノ↠願ジタマフ徳重ケレバナリ。其ノ人作ス↠善ヲ故ニ論ジ↠経ヲ語リ↠義ヲ説キ↠経ヲ行ズルニ↠道ヲ、*講会其ノ中ニ自然ニ化生スル*爾。
その講堂・精舎にはみなまた七宝の楼観・欄楯あり。 また金・銀・水精・琉璃・白玉・虎珀・車をもつて瓔珞となし、 また白珠・明月珠・摩尼珠をもつて交露となしてその上に覆蓋す。 みなおのづから五つの音声をなす。 はなはだ好しきこと比びなし。
●其ノ講堂・精舎ニハ皆復有リ↢七宝ノ楼観・欄楯↡。復以テ↢金・銀・水精・琉璃・白玉・*虎*珀0140・*車ヲ↡為シ↢*瓔珞ト↡、○復以テ↢白珠・明月珠・摩尼珠ヲ↡為シテ↢交露ト↡覆↢蓋ス其ノ上ニ↡。皆自ラ作ス↢五ノ音声ヲ↡。甚ダ好シキコト無シ↠比。
もろもろの菩薩・阿羅漢の所居の舎宅みなまた七宝をもつてす。 金・銀・水精・琉璃・珊瑚・虎珀・車・馬瑙化生しうたたともにあひ成ず。 その舎宅にことごとくおのおの七宝の楼観・欄楯あり。 また金・銀・水精・琉璃・白玉・虎珀・車をもつて瓔珞となし、 また白珠・明月珠・摩尼珠をもつて交露となしてその上に覆蓋す。 みなおのおのまたおのづから五つの音声をなせり。
●諸ノ菩薩・阿羅漢ノ所居ノ舎宅皆復以テス↢七宝ヲ↡。金・銀・水精・琉璃・珊瑚・*虎*珀・*車・*馬*瑙化生シ転タ共ニ相成ズ。其ノ舎宅ニ悉ク各ノ有リ↢七宝ノ楼観・欄楯↡。復以テ↢金・銀・水精・琉璃・白玉・*虎*珀・*車ヲ↡為シ↢*瓔珞ト↡、復以テ↢白珠・明月珠・摩尼珠ヲ↡為シテ↢交露ト↡覆↢蓋ス其ノ上ニ↡。皆各ノ復自ラ作セリ↢五ノ音声ヲ↡。
阿弥陀仏の講堂・精舎およびもろもろの菩薩・阿羅漢の所居の舎宅のうち、 ▼内外処々に、 みなまた自然の流泉・浴池あり。
○阿弥陀仏ノ講堂・精舎及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ所居ノ舎宅ノ中、内外処処ニ、皆復有リ↢自然ノ流泉・浴池↡。
みな自然の七宝とともに生じて、 金・銀・水精・琉璃・虎珀・車、 うたたともにあひ成ず。 淳金の池にはその水底の沙は白銀なり。 淳白銀の池にはその水底の沙は黄金なり。 淳水精の池にはその水底の沙は琉璃なり。 淳琉璃の池にはその水底の沙は水精なり。 淳珊瑚の池にはその水底の沙は虎珀なり。 淳虎珀の池にはその水底の沙は珊瑚なり。 淳車の池にはその水底の沙は馬瑙なり。 淳馬瑙の池にはその水底の沙は車なり。 淳白玉の池にはその水底の沙は紫磨金なり。 淳紫磨金の池にはその水底の沙は<白玉なり。
○皆与↢自然ノ七宝↡倶ニ生ジテ、金・銀・水精・琉璃・*虎*珀・*車、転タ共ニ相成ズ。淳金ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ白銀也。淳白銀ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ黄金也。淳水精ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ琉璃也。淳琉璃ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ水精也。淳珊瑚ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ*虎*珀也。淳*虎*珀ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ珊瑚也。淳*車ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ*馬*瑙也。淳*馬*瑙ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ*車也。淳白玉ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ紫磨金也。淳紫磨金ノ池ニ者其ノ水底ノ沙ハ白玉也。
なかにまた両宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀なり。
○中ニ復有リ↧両宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀也。
なかにまた三宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀・水精なり。
○中ニ復有リ↧三宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀・水精也。
なかにまた四宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀・水精・琉璃なり。
●中ニ復有リ↧四宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀・水0141精・琉璃也。
なかに五宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀・水精・琉璃・珊瑚なり。
●中ニ有リ↧五宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀・水精・琉璃・珊瑚也。
なかに六宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀・水精・琉璃・珊瑚・虎珀なり。
●中ニ有リ↧六宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀・水精・琉璃・珊瑚・*虎*珀也。
なかに七宝のともに一池をなすものあり。 その水底の沙は金・銀・水精・琉璃・珊瑚・虎珀・車なり。
○中ニ有リ↧七宝ノ共ニ作ス↢一池ヲ↡者↥。其ノ水底ノ沙ハ金・銀・水精・琉璃・珊瑚・*虎*珀・*車也。
なかに浴池の長さ四十里なるものあり、 長さ八十里なるものあり、 長さ百六十里なるものあり、 長さ三百二十里なるものあり、 長さ六百四十里なるものあり、 長さ千二百八十里なるものあり、 長さ二千五百六十里なるものあり、 長さ五千一百二十里なるものあり、 長さ万二百四十里なるものあり、 長さ二万四百八十里なるものあり。
○中ニ有リ↢浴池ノ長サ四十里ナル者↡、有リ↢長サ八十里ナル者↡、有リ↢長サ百六十里ナル者↡、有リ↢長サ三百二十里ナル者↡、有リ↢長サ六百四十里ナル者↡、有リ↢長サ千二百八十里ナル者↡、有リ↢長サ二千五百六十里ナル者↡、有リ↢長サ五千一百二十里ナル者↡、有リ↢長サ万二百四十里ナル者↡、有リ↢長サ二万四百八十里ナル者↡。
その池の縦広まさに等し。 この池はみなもろもろの菩薩・阿羅漢のつねに浴すべきところの池なりと。
○其ノ池ノ縦広適ニ等シ。●是ノ池者皆諸ノ菩薩・阿羅漢ノ常ニ所ノ↠可キ↠浴ス池ナリト。
仏のたまはく、 弥陀仏の浴池の長さは四万八千里、 広さもまた四万八千里なり。 その池はみな七宝をもつてうたたともにあひ成ず。 その水底の沙は白珠・明月珠・摩尼珠なり。
●仏言ク、*弥陀仏ノ浴池ノ長サハ四万八千里、広サモ亦四万八千里ナリ。其ノ池ハ皆以テ↢七宝ヲ↡転タ共ニ相成ズ。其ノ水底ノ沙ハ白珠・明月珠・摩尼珠也。
阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の浴池のなかの水はみな清らかにして香潔なり。
○阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ浴池ノ中ノ水ハ皆*清カニシテ香潔ナリ。
池のなかにはみな香華ありてことごとく自然に生ず。 百種の華種々に色を異にして、 色異の香華、 枝みな千葉なり。 はなはだ香わしきこと比びなし。 香いふべからず。 その華はまた世間の華にあらず、 また天上の華にもあらず。 この華香はすべて八方上下のもろもろの華香のなかの精なり。 自然に化生するのみ。 その池中の水流行してうたたあひ潅注す。 その水の流行もまた遅からず駃からず、 みなまた五つの音声をなせりと。
○*池ノ中ニハ皆有リテ↢香華↡悉ク自然ニ生ズ。百種ノ華種種異ニシテ↠色ヲ、色異ノ香華、枝皆千*葉ナリ。甚ダ香シキコト無シ↠比也。香不↠可カラ↠言フ。其ノ華者亦非ズ↢世間之華ニ↡、復非ズ↢天上之*華ニモ↡。此ノ華香ハ都テ八方上下ノ衆ノ華香ノ中ノ精也。自然ニ化生スル耳。其ノ池中ノ水流行シテ転タ相潅注ス。其ノ水ノ流行モ亦不↠遅カラ不↠*駃カラ、皆復作セリト↢五ノ音声ヲ↡。
二 Ⅲ ⅵ 眷属荘厳
【8】 仏のたまはく、 八方上下の無央数の仏国の諸天・人民および蜎飛蠕動の類にして、 もろもろの阿弥陀仏国に生ずるものは、 みな七宝の水池の蓮華のうちより化生し、 すなはち自然に長大す。 また乳養のものなく、 みな自然の飲食を食す。
○仏0142言ク、八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ニシテ、諸ノ生ズル↢阿弥陀仏国ニ↡者ハ、皆於リ↢七宝ノ水池ノ蓮華ノ中↡化生シ、便チ自然ニ長大ス。亦無ク↢乳養之者↡、皆食ス↢自然之飲食ヲ↡。
その身体もまた世間の人の身体にあらず、 また天上の人の身体にもあらず、 みな衆善の徳を積みてことごとく自然虚無の身・無極の体を受け、 はなはだ姝好にして比びなしと。
○其ノ身体モ亦非ズ↢世間ノ人之身体ニ↡、亦非ズ↢天上ノ人之身体ニモ↡、皆*積ミテ↢衆善之徳ヲ↡悉ク受ケ↢自然虚無之身・無極之体ヲ↡、甚ダ姝好ニシテ無シト↠比。
仏、 阿難に語りたまはく、 世間の貧窮・乞丐人のごときは、 帝王の辺にありて住せしめば、 その面目・形状、 なんぞ帝王の面目・形類・顔色に類するやいなやと。
○仏語リタマハク↢阿難ニ↡、如キハ↢世間ノ貧窮・乞丐人ノ↡、令メバ↧在リテ↢帝王ノ辺ニ↡住セ↥者、其ノ面目・形状、寧ゾ類スルヤ↢帝王ノ面目・形*類・顔色ニ↡不ヤト。
阿難まうさく、 たとひ王子をして帝王の辺にありて住せしめば、 その面目・形状はなはだ醜悪にして好しからずして、 帝王にしかざること百千億万倍なり。
○阿難言ク、仮使*王子ヲシテ在リテ↢帝王ノ辺ニ↡住セシメバ者、其ノ面目・形状甚ダ醜悪ニシテ不シテ↠好シカラ、不ルコト↠如カ↢帝王ニ↡百千億万*倍也。
ゆゑはいかん。 乞人は貧窮困極にして飲食つねに悪しく、 いまだつねに美食あらず。 時にすでに悪食すら飽食を得ることあたはず。 食わづかに命を支へ、 骨節あひ撐拄してもつてみづから給することなし。 つねに乏しくして儲あることなし。 飢餓寒凍、 怔忪愁苦せり。
○所以者何ン。乞人ハ貧窮困極ニシテ飲食常ニ悪シク、未ダ↣*常ニ有ラ↢美食↡。時ニ既ニ悪*食スラ不↠能ハ↠得ルコト↢飽食ヲ↡。食纔ニ*支ヘ↠命ヲ、骨節相撐拄シテ無シ↢以テ自ラ給スルコト↡。常ニ乏シクシテ無シ↠有ルコト↠儲。飢餓寒凍、*怔忪愁苦セリ。
ただ前世に人となりしとき愚痴・無智なるにより、 慳貪にして慈哀して善をなしひろく愛して施与することを肯ぜず、 ただいたづらに得んことを欲して、 飲食を貪惜し独り嗜美を食し、 施貸して後に報償を得ることを信ぜず、 また善をなして後世にまさにその福を得べきことを信ぜず。 蒙悾抵佷にしてますます衆悪をなす。
○但坐リ↢前世ニ為リシトキ↠人ト愚痴・無智ナルニ↡、慳貪ニシテ不↠肯ゼ↢慈哀シテ為シ↠善ヲ博ク愛シテ施与スルコトヲ↡、但欲シテ↢唐ニ得ムコトヲ↡、貪↢惜シ飲食ヲ↡独リ食シ↢嗜美ヲ↡、不↠信ゼ↣施貸シテ後ニ得ルコトヲ↢報償ヲ↡、復不↠信ゼ↢作シテ↠善ヲ後世ニ当ニキコトヲ↟得↢其ノ福ヲ↡。蒙*悾*抵佷ニシテ益マス作ス↢衆悪ヲ↡。
かくのごとくして寿終り財物尽索す。 もとより恩徳なく恃怙するところなし。 悪道のうちに入りてこれによりて苦に適ふ。 しかうして後に出でて解脱することを得て、 今生に人となり、 下賎となりて、 貧家のために子となり、 しひて人の形に像たれども状類はなはだ醜く、 衣被弊壊して、 ひとりむなしく独立して形体を蔽はず、 乞丐して生くるのみ。 飢寒困苦し、 面目羸劣にして人の色に類せず。 その前世の身のなすところによりてその殃罰を受け、 衆に示してこれを見しむるに、 たれも哀れむものなし。 市道に棄捐せられ暴露痟痩し、 黒醜悪極にして人に及ばざるのみ。
○如クシテ↠是クノ寿終リ財物尽索ス。*素ヨリ無ク↢恩徳↡无シ↠所↢恃怙スル↡。入リテ↢悪道ノ中ニ↡坐リテ↠之ニ適フ↠苦ニ。然シテ後ニ得テ↢出デテ解脱スルコトヲ↡、今生ニ為リ↠人ト、作リテ↢於下賎ト↡、為ニ↢貧家ノ↡作リ↠子ト、強ヒテ像タレドモ↢人ノ形ニ↡状類甚ダ醜ク、衣被弊壊シテ、単リ空シク独立シテ不↠蔽ハ↢形体ヲ↡、乞丐シテ生クル耳0143。飢寒困苦シ、面目羸劣ニシテ不↠類セ↢人ノ色ニ↡。坐リテ↢其ノ前世ノ身之所ニ↟作ス受ケ↢其ノ殃罰ヲ↡、示シテ↠衆ニ見シムルニ↠之ヲ、莫シ↢*誰モ哀ム者↡。棄↢捐セラレ市道ニ↡暴露*痟痩シ、黒醜悪極ニシテ不ル↠及バ↠人ニ耳。
帝王の人中の独尊にして最好なるゆゑはいかん。 みなその前世に人となりし時、 善をなし経道を信受し恩を布き徳を施し、 ひろく愛して義に順ひ慈仁にして憙びて与へ、 飲食を貪らず、 衆とこれを共にして、 遣惜するところなくすべて違争なし。
○所↢以帝王ノ人中ノ独尊ニシテ最好ナル↡者何ン。皆其ノ前世ニ為リシ↠人ト時、作シ↠善ヲ信↢受シ経道ヲ↡布キ↠恩ヲ施シ↠徳ヲ、博ク愛シテ順ヒ↠義ニ慈仁ニシテ憙ビテ与ヘ、不↠貪ラ↢飲食ヲ↡、与↠衆共ニシテ↠之ヲ、無ク↠所↢*遣惜スル↡都テ無シ↢違争↡。
その善福を得て寿終りて徳随ひて悪道に更らず、 今生に人となり王家に生ずることを得。 自然に尊貴にして独り王となり、 人民を典主し攬制しその雄傑となる。
○得テ↢其ノ善福ヲ↡寿終リテ徳随ヒテ不↠更ラ↢悪道ニ↡、今生ニ為リ↠人ト得↠生ズルコトヲ↢王家ニ↡。自然ニ尊貴ニシテ独リ王トナリ、典↢主シ攬↣制シ人民ヲ↡為ル↢其ノ雄*傑ト↡。
面目潔白に和顔好色にして身体端正なり。 衆にともに敬事せられ、 美食・好衣心に随ひ意にほしいままにして、 楽ひの所欲のごとく、 自然に前にありてすべて違争なし。 人中において姝好にして憂ひなく、 快楽にして面目光沢なり。 ゆゑにすなはちしかるのみと。
○面目潔白ニ和顔好色ニシテ身体端正ナリ。衆ニ共ニ敬事セラレ、美食・好衣随ヒ↠心ニ恣ニシテ↠意ニ、若ク↢楽ヒノ所欲ノ↡、自然ニ在リテ↠前ニ都テ無シ↢違争↡。於テ↢人中ニ↡姝好ニシテ無ク↟憂、快楽ニシテ面目光沢ナリ。故ニ乃チ爾ル耳ト。
仏、 阿難に告げたまはく、 なんぢが言是なり。 帝王は人中において好しく比すべきものなしといへども、 まさに*遮迦越王の辺にありて住せしめば、 その面形類はなはだ醜悪にして好しからざること、 たとへば乞人の帝王の辺にありて住するがごとくなるべきのみ。 その帝王の面目なほまた遮迦越王の面色の姝好なるにしかざること百千億万倍なり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若ガ言是也。帝王ハ雖モ↧於テ↢人中ニ↡好シク無シト↦比スベキ者↥、当ニ令メバ↧在リテ↢遮迦越王ノ辺ニ↡住セ↥者、其ノ面形類甚ダ醜悪ニシテ不ルコト↠好シカラ、比ヘバ如クナルベキ↧乞人ノ在リテ↢帝王ノ辺ニ↡住スルガ↥耳。其ノ帝王ノ面目尚復不ルコト↠如カ↢遮迦越王ノ面色ノ姝好ナルニ↡百千*億万倍ナリ。
遮迦越王のごときは天下において絶へて好しきこと比びなきも、 まさに第二天王の辺にありて住せしめば、 その面はなはだ醜くして好しからざること、 なほまた帝釈の面類端正にして姝好なるにしかざること百千億万倍なり。
○如キハ↢遮迦越王ノ↡於テ↢天下ニ↡絶エテ好シキコト無キモ↠比、当ニ令メバ↧在リテ↢第二天王ノ辺ニ↡住セ↥者、其ノ面甚ダ醜クシテ不ルコト↠好シカラ、尚復不ルコト↠如カ↢帝釈ノ面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリ。
天帝釈のごときも第六天王の辺にありて住せしめば、 その面類はなはだ醜くして好しからざること、 なほまた第六天王の面類端正にして姝好なるにしかざること百千億万倍なり。
○如キモ↢天帝釈ノ↡令メバ↧在リテ↢第六天王ノ辺ニ↡住セ↥者、其ノ面類甚ダ醜クシテ不ルコト↠好シカラ、尚復不ルコト↠如カ↢第六天王ノ面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリ。
第六天王のごときも阿弥陀仏国中のもろもろの菩薩・阿羅漢の辺にありて住せしめば、 その面はなはだ醜くしてなほまた阿弥陀仏国中の菩薩・阿羅漢の面類端正にして姝好なるにしかざること百千億万倍なりと。
○如キモ↢第六*天王ノ↡令0144メバ↧在リテ↢阿弥陀仏国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ辺ニ↡住セ↥者、其ノ面甚ダ醜クシテ尚復不ルコト↠如カ↢阿弥陀仏国中ノ菩薩・阿羅漢ノ面類端正ニシテ姝好ナルニ↡百千億万倍ナリト。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国のもろもろの菩薩・阿羅漢の面類はことごとくみな端正にして絶えて好しきこと比びなし。 泥洹の道に次し。
●仏言ク、阿弥陀仏国ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ面類ハ悉ク皆端正ニシテ絶エテ好シキコト無シ↠比。○次シ↢於泥洹之道ニ↡。
二 Ⅲ ⅶ 宝樹荘厳
阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の講堂・精舎、 所居の処の舎宅のうち、 内外の浴池の上にみな七宝樹あり。 なかに淳金樹・淳銀樹・淳水精樹・淳琉璃樹・淳白玉樹・淳珊瑚樹・淳虎珀樹・淳車樹ありて、 種々におのおのおのづから異行するなり。
○阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ講堂・精舎、所居ノ処ノ舎宅ノ中、内外ノ浴池ノ上ニ皆有リ↢七宝樹↡。中ニ有リテ↢淳金樹・淳銀樹・淳水精樹・淳琉璃樹・淳白玉樹・淳珊瑚樹・淳*琥*珀樹・淳*車樹↡、種種ニ各ノ自ラ異行スルナリ。
なかに両宝のともに一樹となるものあり。
○中ニ有リ↧両宝ノ共ニ作ル↢一樹ト↡者↥。
銀樹には銀根・金茎・銀枝・金葉・銀華・金実あり。 金樹には金根・銀茎・金枝・銀葉・金華・銀実あり。
○銀樹ニハ銀根・金茎・銀枝・金葉・銀華・金実アリ。金樹ニ者金根・銀茎・金枝・銀葉・金華・銀実アリ。
水精樹には水精根・琉璃茎・水精枝・琉璃葉・水精華・琉璃実あり。 琉璃樹には琉璃根・水精茎・琉璃枝・水精葉・琉璃華・水精実あり。 この二宝ともに一樹となるなり。
○水精樹ニ者水精根・琉璃茎・水精枝・琉璃葉・水精華・琉璃実アリ。琉璃樹ニ者琉璃根・水精茎・琉璃枝・水精葉・琉璃華・水精実アリ。是ノ二宝共ニ作ルナリ↢一樹ト↡。
なかにまた四宝のともに一樹となるものあり。 水精樹には水精根・琉璃茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実あり。 琉璃樹には琉璃根・水精茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実あり。 この四宝樹うたたともにあひ成じておのおのおのづから異行するなり。
●中ニ復有リ↧四宝ノ共ニ作ル↢一樹ト↡者↥。水精樹ニハ水精根・琉璃茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実アリ。琉璃樹ニ者琉璃根・水精茎・金枝・銀葉・水精華・琉璃実アリ。是ノ四宝樹転タ共ニ相成ジテ各ノ自ラ異行スルナリ。
なかにまた五宝のともに一樹となるものあり。 銀樹には銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・銀華・金実あり。 金樹には金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・銀実あり。 水精樹には水精根・琉璃茎・珊瑚枝・銀葉・金華・琉璃実あり。 琉璃樹には琉璃根・珊瑚茎・水精枝・金葉・銀華・珊瑚実あり。 珊瑚樹には珊瑚根・琉璃茎・水精枝・金葉・銀華・琉璃実あり。 この五宝ともに一樹となる。 おのおのおのづから異行するなり。
●中ニ復有リ↧五宝ノ共ニ作ル↢一樹ト↡者↥。*銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・銀華・金実アリ。金樹ニ者金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・銀実アリ。水精樹ニ者水精根・琉璃茎・珊瑚0145枝・銀葉・金華・琉璃実アリ。琉璃樹ニ者琉璃根・珊瑚茎・水精枝・金葉・銀華・珊瑚実アリ。珊瑚樹ニ者珊瑚根・琉璃茎・水精枝・金葉・銀華・琉璃実アリ。是ノ五宝共ニ作ル↢一樹ト↡。各ノ自ラ異行スルナリ。
なかに六宝のともに一樹となるものあり。 銀樹には銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・虎珀実あり。 金樹には金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・虎珀華・珊瑚実あり。 水精樹には水精根・琉璃茎・珊瑚枝・虎珀葉・銀華・金実あり。 琉璃樹には琉璃根・珊瑚茎・虎珀枝・水精葉・金華・銀実あり。 この六宝樹うたたともにあひ成じて、 おのおのおのづから異行するなり。
●*中ニ有リ↧六宝ノ共ニ作ル↢一樹ト↡者↥。銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・*虎*珀実アリ。金樹ニ者金根・銀茎・水精枝・琉璃葉・*虎*珀華・珊瑚実アリ。水精樹ニ者水精根・琉璃茎・珊瑚枝・*虎*珀葉・銀華・金実アリ。琉璃樹ニ者琉璃根・珊瑚茎・*虎*珀枝・水精葉・金華・銀実アリ。是ノ六宝樹*転タ共ニ相成ジテ、各ノ自ラ異行スルナリ。
なかにまた七宝のともに一樹となるものあり。
●中ニ復有リ↧七宝ノ共ニ作ル↢一樹ト↡者↥。
銀樹には銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・虎珀実あり。
○銀樹ニハ銀根・金茎・水精枝・琉璃葉・珊瑚華・*虎*珀実アリ。
金樹には金根・水精茎・琉璃枝・珊瑚葉・虎珀華・銀実あり。
○金樹ニ者金根・水精茎・琉璃枝・珊瑚葉・*虎*珀華・銀実アリ。
水精樹には水精根・琉璃茎・珊瑚枝・虎珀葉・車華・白玉実あり。
○水精樹ニ者水精根・琉璃茎・珊瑚枝・*虎*珀葉・*車華・白玉実アリ。
珊瑚樹には珊瑚根・虎珀茎・白玉枝・琉璃葉・車華・明月珠実あり。
○珊瑚樹ニ者珊瑚根・*虎*珀茎・白玉枝・琉璃葉・*車華・明月珠実アリ。
虎珀樹には虎珀根・白玉茎・珊瑚枝・琉璃葉・水精華・金実あり。
○*虎*珀樹ニ者*虎*珀根・白玉茎・珊瑚枝・琉璃葉・水精華・金実アリ。
白玉樹には白玉根・車茎・珊瑚枝・虎珀葉・金華・摩尼殊実あり。
○白玉樹ニ者白玉根・*車茎・珊瑚枝・*虎*珀葉・金華・摩尼殊実アリ。
この七宝樹うたたともにあひ成じて、 種々におのおのおのづから異行するなり。 行々あひ値ひ、 茎々おのづからあひ准じ、 枝々おのづからあひ値ひ、 葉々おのづからあひ向ひ、 華々おのづからあひ望み、 実々おのづからあひ当れりと。
○是ノ七宝樹転タ共ニ相成ジテ、種種ニ各ノ自ラ異*行ルナリ。行行相値ヒ、茎茎自ラ相准ジ、枝枝自ラ相値ヒ、葉葉自ラ相向ヒ、華華自ラ相望ミ、実実*自ラ相当レリト。
仏のたまはく、 阿弥陀仏の当の講堂・精舎のうち、 内外の七宝の浴池の辺上を繞れるもろもろの七宝樹、 およびもろもろの菩薩・阿羅漢の七宝の舎宅のうち、 内外の七宝の浴池の池辺を繞れるもろもろの七宝樹、 数千百重に行ぶ。 みなおのおのかくのごとし。
●仏言ク、阿弥陀仏ノ当ノ講堂・精舎ノ中、内外ノ七宝ノ浴池ノ繞レル↢辺上ヲ↡諸ノ七宝樹、及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ七宝ノ舎宅ノ中、内外ノ七0146宝ノ浴池ノ繞レル↢池辺ヲ↡諸ノ七宝樹、数千百*重ニ行ブ。皆各ノ如シ↠是クノ。
おのおのおのづから五つの音声をなす。 音声のはなはだ好しきこと比びなしと。
○各ノ自ラ作ス↢五ノ音声ヲ↡。音声ノ甚ダ好シキコト无シト↠比*也。
二 Ⅲ ⅷ 楽音荘厳
【9】 仏、 阿難に告げたまはく、 世間の帝王の百種の伎楽の音声あるがごときは、 遮迦越王のもろもろの伎楽の音声の好しきにしかざること百千億万倍なり。 遮迦越王の万種の伎楽の音声のごときも、 なほまた第二忉利天上のもろもろの伎楽の一つの音声にしかざること百千億万倍なり。 忉利天上の万種の伎楽の声のごときも、 なほまた第六天上の一つの音声の好しきにしかざること百千億万倍なり。 第六天上の万種の音楽の声のごときも、 なほまた阿弥陀仏国中の七宝樹の一つの音声の好しきにしかざること百千億万倍なり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、如キハ↣世間ノ帝王ノ有ルガ↢百種ノ伎楽ノ音声↡、不ルコト↠如カ↢遮迦越王ノ諸ノ伎楽ノ音声ノ好シキニ↡百千億万倍ナリ。如キモ↢遮迦越王ノ万種ノ伎楽ノ音声ノ↡、尚復不ルコト↠如カ↢第二忉利天上ノ諸ノ伎楽ノ一ノ音声ニ↡百千億万倍ナリ。如キモ↢忉利天上ノ万種ノ伎楽之声ノ↡、尚復不ルコト↠如カ↢第六天上ノ一ノ音声ノ好シキニ↡百千億万倍ナリ。如キモ↢第六天上ノ万種ノ音楽之声ノ↡、尚復不ルコト↠如カ↢阿弥陀仏国中ノ七宝樹ノ一ノ音声ノ好シキニ↡百千億万倍ナリ。
阿弥陀仏国のなかにまた万種自然の伎楽あり、 はなはだ楽しきこと極まりなし。
○阿弥陀仏国ノ中ニ亦有リ↢万種自然ノ伎楽↡、甚ダ楽シキコト無シ↠極リ。
阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢、 浴せんと欲する時には、 すなはちおのおのみづからその七宝池のなかに入りて浴すべし。 もろもろの菩薩・阿羅漢、 意に水をして足を没さしめんと欲せば、 水すなはち足を没す。 意に水をして膝に至らしめんと欲せば、 水すなはち膝に至る。 意に水をして腰に至らしめんと欲せば、 水すなはち腰に至る。 意に水をして腋に至らしめんと欲せば、 水すなはち腋に至る。 意に水をして頚に至らしめんと欲せば、 水すなはち頚に至る。 意に水をしておのづから身の上に潅がしめんと欲せば、 水すなはちおのづから身の上に潅ぐ。 意に水をして還復することもとのごとくならしめんと欲せば、 水すなはち還りてまたもとのごとし。 ほしいままに意の所欲好喜に随ふと。
○阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢、欲スル↠浴セムト時ニハ、便チ各ノ自ラ可シ↧入リテ↢其ノ七宝池ノ中ニ↡浴ス↥。諸ノ菩薩・阿羅漢、意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ没サ↟足ヲ、水即チ没ス↠足ヲ。意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ至ラ↟膝ニ、水即チ至ル↠膝ニ。意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ至ラ↟腰ニ、水即チ至ル↠腰ニ。意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ至ラ↟*腋ニ、水即チ至ル↠*腋ニ。意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ至ラ↟頚ニ、水即チ至ル↠頚ニ。意ニ欲セバ↠令メムト↣水ヲシテ自ラ潅ガ↢身ノ上ニ↡、水即チ自ラ潅グ↢身ノ上ニ↡。意ニ欲セバ↠令メムト↢水ヲシテ還復スルコト如クナラ↟故ノ、水即チ還リテ復如シ↠故ノ。恣若ニ随フト↢意ノ所欲好喜ニ↡。
仏のたまはく、 阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢、 みな浴しをはりて、 ことごとくみづから一つの大蓮華の上において坐すればすなはち四方より自然の乱風起る。 その乱風はまた世間の風にあらず、 また天上の風にもあらず。 すべて八方上下の衆風のなかの精、 自然に合会して化生するのみ。 寒からず熱からず、 つねに和調中適なり。 はなはだ清涼にして好しきこと比びなし。 おもむろに起りて遅からず駃からず、 まさに中宜を得たり。
○仏言ク、阿弥陀及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢、皆浴シ已0147リテ、悉ク自ラ於テ↢一ノ大蓮華ノ上ニ↡坐スレバ即チ四方ヨリ自然ノ乱風起ル。其ノ乱風者亦非ズ↢世間之風ニ↡、亦非ズ↢天上之風ニモ↡。都テ八方上下ノ衆風ノ中ノ精、自然ニ合会シテ化生スル耳。不↠寒カラ不↠熱カラ、常ニ和調中適ナリ。甚ダ清涼ニシテ好シキコト無シ↠比也。徐ニ起リテ不↠遅カラ不↠*駃カラ、適ニ得タリ↢中宜ヲ↡。
七宝樹を吹くにみな五つの音声をなす。
○吹ニ↢七宝樹ヲ↡皆作ス↢五ノ音声ヲ↡。
七宝樹の華をもつてことごとくその国中に覆へり。 みな仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華随ひて地に堕つるにみな厚さ四寸なり。 極めておのづから軟好なること比びなし。
○以テ↢七宝樹ノ華ヲ↡悉ク覆ヘリ↢其ノ国中ニ↡。皆散ズ↢仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華随ヒテ*堕ツルニ↠地ニ皆厚サ四寸ナリ。極テ自ラ軟好ナルコト無シ↠比。
すなはち自然の乱風吹きて、 萎める華ことごとく自然に去る。 すなはちまた四方より自然の乱風七宝樹を吹けば、 樹みなまた五つの音声をなして、 樹の華みな自然に仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華小しく萎みて地に堕つればすなはち自然に去る。 すなはちまた四方より乱風起りて七宝樹を吹きかくのごとくすること四反なり。
○即チ自然ノ乱風吹キテ、萎メル華悉ク自然ニ去ル。即チ復四方ヨリ自然ノ乱風吹ケバ↢七宝樹ヲ↡、樹皆復作シテ↢五ノ音声ヲ↡、樹ノ華皆自然ニ散ズ↢仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ即チ自然ニ去ル。即チ復四方ヨリ乱風起リテ吹キ↢七宝樹ヲ↡如クスルコト↠是クノ四*反ナリ。
もろもろの菩薩・阿羅漢のなかに、 ただ経を聞かんと欲するものあり、 なかにただ音楽を聞かんと欲するものあり、 なかにただ華香を聞がんと欲するものあり、 経を聞くことを欲せざるものあり、 音楽の声を聞くことを欲せざるものあり、 華香を聞ぐことを欲せざるものあり。 その聞かんと欲するところのものはすなはち独りこれを聞き、 聞くことを欲せざるものはすなはち独り聞かず。 意の欲するところに随ひて喜楽しその願に違はざるなり。
●諸ノ菩薩・阿羅漢ノ中ニ、有リ↢但欲スル↠聞カムト↠経ヲ者↡、中ニ有リ↧但欲スル↠聞カムト↢音楽ヲ↡者↥、中ニ有リ↧但欲スル↠聞ガムト↢華香ヲ↡者↥、有リ↢不ル↠欲セ↠聞クコトヲ↠経ヲ者↡、有リ↧不ル↠欲セ↠聞クコトヲ↢音楽ノ声ヲ↡者↥、有リ↧不ル↠欲セ↠聞グコトヲ↢華香ヲ↡者↥。其ノ所ノ↠欲スル↠聞カムト者ハ輒即チ独リ聞キ↠之ヲ、不ル↠欲セ↠聞クコトヲ者ハ則チ独リ不↠聞カ。随ヒテ↢*意ノ所ニ↟欲スル喜楽シ不ル↠違ハ↢其ノ願ニ↡也。
浴しをはればおのおのみづから去る。
●浴シ訖レバ各ノ自ラ去ル。
行道するなかに地にありて経を講ずるもの、 経を誦するもの、 経を説くもの、 経を口受するもの、 経を聴くもの、 経を念ずるもの、 道を思ふもの、 坐禅するもの、 経行するものあり。
●行道スル中ニ有リ↧在リテ↠地ニ講ズル↠経ヲ者、誦スル↠経ヲ者、説ク↠経ヲ者、口↢受スル経ヲ↡者、聴ク↠経ヲ者、念ズル↠経ヲ者、思フ↠道ヲ者、坐禅スル者、経行スル者↥。
なかに虚空のなかにありて経を講ずるもの、 経を誦するもの、 経を説くもの、 経を口受するもの、 経を聴くもの、 経を念ずるもの、 道を思ふもの、 坐禅一心なるもの、 経行するものあり。
●中ニ有リ↧在リテ↢虚空ノ中ニ↡講ズル↠経ヲ者、誦スル↠経ヲ者、説ク↠経ヲ者、口↢受スル経ヲ↡者、聴ク↠経ヲ者、念ズル↠経ヲ者、思フ↠道ヲ者、坐禅一心ナル者、経行スル者↥。
いまだ須陀洹道を得ざるものはすなはち須陀洹道を得、 いまだ斯陀含道を得ざるものはすなはち斯陀含道を得、 いまだ阿那含道を得ざるものはすなはち阿那含道を得、 いまだ阿羅漢道を得ざるものはすなはち阿羅漢道を得、 いまだ阿惟越致の菩薩を得ざるものはすなはち阿惟越致を得るなり。
●未ダル↠得↢須陀洹道0148ヲ↡者ハ即チ得↢須陀洹道ヲ↡、未ダル↠得↢斯陀含道ヲ↡者ハ即チ得↢斯陀含道ヲ↡、未ダル↠得↢阿那含道ヲ↡者ハ即チ得↢阿那含道ヲ↡、未ダル↠得↢阿羅漢道ヲ↡者ハ即チ得↢阿羅漢道ヲ↡、未ダル↠得↢阿惟越致ノ菩薩ヲ↡者ハ即チ得ルナリ↢阿惟越致ヲ↡。
おのおのみづから経を説き道を行じて、 ことごとくみな道を得て、 歓喜し踊躍せざるものなし。
●各ノ自ラ説キ↠経ヲ行ジテ↠道ヲ、悉ク皆得テ↠道ヲ、莫シ↧不ル↢歓喜シ踊躍セ↡者↥也。
二 Ⅲ ⅸ 供養諸仏
もろもろの菩薩のなかに、 意に八方上下の無央数の諸仏を供養せんと欲するものあらば、 すなはちみなともに前みて仏のために礼をなし仏にまうさく、 辞し行きて八方上下の無央数の仏を供養したまはんと。 仏すなはちこれを然可してすなはち行かしめたまふ。 もろもろの菩薩のみなおほきに歓喜するもの、 数千億万人無央数にしてまた計ふべからず。 みなまさに智慧勇猛にして、 おのおのみづから幡輩して飛び、 あひ追ひてともに散り飛びて、 すなはち八方上下の無央数の諸仏の所に到り、 みな前みて諸仏のために礼をなして、 すなはち供養すべし。
○諸ノ菩薩ノ中ニ、有ラバ↤意ニ欲スルモノ↣供↢養セムト八方上下ノ無央数ノ諸仏ヲ↡、即チ皆倶ニ前ミテ為ニ↠仏ノ作シ↠礼ヲ白サク↠仏ニ、辞シ行キテ供↢養シタマハムト八方上下ノ無央数ノ仏ヲ↡。仏即チ然↢可シテ之ヲ↡即チ使メタマフ↠行カ。諸ノ菩薩ノ皆大ニ歓喜スルモノ、数千億万人無央数ニシテ不↠可カラ↢復計フ↡。皆当ニシ↧智慧勇猛ニシテ、各ノ自ラ*幡輩シテ飛ビ、相追ヒテ倶共ニ散リ飛ビテ、則チ到リ↢八方上下ノ無*央数ノ諸仏ノ所ニ↡、皆前ミテ為ニ↢諸仏ノ↡作シテ↠礼ヲ、即便チ供養ス↥。
意に万種自然のものの前にあるを得んと欲せば、 すなはち自然百種の雑色の華・百種の雑繒綵・百種の*劫波育衣・七宝の灯火・万種の伎楽ことごとくみな前にあり。
○意ニ欲セバ↠得ムト↢万種自然之物ノ在ルヲ↟前ニ、即チ自然百種ノ雑色ノ華・百種ノ雑繒綵・百種ノ劫波育衣・七宝ノ灯火・万種ノ伎楽悉ク皆在リ↠前ニ。
その華香の万種自然のものは、 また世間のものにあらず、 また天上のものにあらず。 この万種のものはすべて八方上下の衆、 自然に合会して化生するのみ。 意に得んと欲せばすなはち自然に化生し、 意に用ゐざらんとせばすなはち化去す。 もろもろの菩薩すなはちともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を供養す。 辺傍・前後廻繞し周帀す。 意の所欲のごとくありてすなはちみな至る。 この時に当りて快楽いふべからず。
○其ノ華香ノ万種自然之物ハ、亦非ズ↢世間之物ニ↡、亦非ズ↢天上之物ニ↡也。是ノ万種ノ物ハ都テ八方上下ノ衆、自然ニ合会シテ化生スル耳。意ニ欲セバ↠得ムト者即チ自然ニ化生シ、意ニ不ラムトセバ↠用ヰ者即チ化去ス。諸ノ菩薩便チ共ニ持シテ供↢養ス諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。辺*傍・前後廻繞シ*周帀ス。在リテ↢意ノ所欲ノゴトク↡即輒皆至ル。当リテ↢是之時ニ↡快楽不↠可カラ↠言フ也。
もろもろの菩薩意におのおの四十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 すなはち虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏および菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 華はなはだ香ぐはしく好し。 小しく萎みて地に堕つれば、 すなはち自然の乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ欲セバ↠得ムト↢四十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。便チ於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持0149シテ散ズ↢諸仏及ビ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。華甚ダ香シク好シ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、即チ自然ノ乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩、 意におのおのまた八十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華みなまた虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 すなはち自然の乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩、意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢八十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。共ニ持シテ散ズ↢諸ノ仏及ビ諸菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華皆復在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、即チ自然ノ乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた百六十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 すなはち虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華みなまた虚空のなかにおいて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 すなはち自然の乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢百六十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。便チ於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華皆復於テ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、即チ自然ノ乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた三百二十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 また虚空のなかにおいて、 持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華虚空のなかにおいて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 すなはち自然の乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢三百二十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華於テ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、即チ自然ノ乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた六百四十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 またもつて諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風自然に吹きて萎める華去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢六百四十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。復以テ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風自然ニ吹キテ萎メル華去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた千二百八十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風自然に吹萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢千二百八十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風自然ニ吹キテ萎メル華悉ク自*然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた二千五百六十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢二千五百六十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共0150ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた五千一百二十里の華を得んと欲せば、 すなはち自然に前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢五千一百二十里ノ華ヲ↡、即チ自然ニ在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた万二百四十里の華を得んと欲せば、 すなはちみな自然に前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢万二百四十里ノ華ヲ↡、即チ皆自然ニ在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた二万四百八十里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢二万四百八十里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた五万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢五万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた十万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 もろもろの菩薩また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢十万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。諸ノ菩薩復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた二十万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢二十万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。小シク萎ミテ堕0151レバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた四十万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢四十万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおのまた八十万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 また虚空のなかにおいて、 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ復欲セバ↠得ムト↢八十万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。復於テ↢虚空ノ中ニ↡、共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおの百六十万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎める華ことごとく自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ欲セバ↠得ムト↢百六十万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル華悉ク自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおの三百万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 小しく萎みて地に堕つれば、 乱風吹きて萎華自然に去る。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ欲セバ↠得ムト↢三百万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。小シク萎ミテ堕ツレバ↠地ニ、乱風吹キテ萎メル*華自然ニ去ル。
もろもろの菩薩意におのおの六百万里の華を得んと欲せば、 すなはちみな前にあり。 ともに持して諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。
●諸ノ菩薩意ニ各ノ欲セバ↠得ムト↢六百万里ノ華ヲ↡、即チ皆在リ↠前ニ。共ニ持シテ散ズ↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。
華すべて自然に合して一華となる。 華正端にしてまどかに周帀し、 おのおのまさに等し。 華うたた前に倍して、 華極めておのづから軟好にして、 前の華に勝るること数千百倍なり。 色々の異香、 香ぐはしきこといふべからず。
○*華都テ自然ニ合シテ為ル↢一華ト↡。華正端ニシテ円カニ周帀シ、*各ノ適ニ等シ。華転タ倍シテ↠前ニ、華極テ自ラ軟好ニシテ、勝ルルコト↢於前ノ華ニ↡数千百倍ナリ。色色ノ異香、香シキコト不↠可カラ↠言フ。
もろもろの菩薩みなおほきに歓喜して、 ともに虚空のなかにおいておほきにともに衆音自然の伎楽をなして、 諸仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を楽しましむ。 この時に当りて快楽いふべからず。 もろもろの菩薩みなことごとく却き坐して経を聴く。 経を聴きをはりてすなはちことごとく諷誦して通じ重ねて経道を知り、 ますます智慧あきらかなり。
○諸ノ菩薩皆大ニ歓喜シテ、倶ニ於テ↢虚空ノ中ニ↡大ニ共ニ作シテ↢衆音自然ノ伎楽ヲ↡、楽マシム↢諸仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。当リテ↢此之時ニ↡快楽不↠可カラ↠言フ。諸ノ菩薩皆悉ク却キ坐シテ聴ク↠経ヲ。聴キ↠経ヲ竟リテ即チ悉ク諷誦シテ通ジ*重ネテ知リ↢経道ヲ↡、益マス明カナリ↢智慧↡。
すなはちもろもろの仏国のなかに第一四天上より三十三天上に至るまでのもろもろの天人、 みなともに天上万種自然のものを持して、 来り下りてもろもろの菩薩・阿羅漢を供養す。 天人みなまた虚空のなかにおいておほきにともに衆音の伎楽をなせり。
●即チ諸ノ仏国ノ中ニ従リ↢第一四天0152上↡至ルマデノ↢三十三天上ニ↡諸ノ天人、皆共ニ持シテ↢天上万種自然之物ヲ↡、来リ下リテ供↢養ス諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。天人皆復於テ↢虚空ノ中ニ↡大ニ共ニ作セリ↢衆音ノ伎楽ヲ↡。
もろもろの天人の前に来れるもの、 うたた去りて後に来るものを避く。 後に来れるものうたたまた供養すること前のごとくして、 たがひに開避す。
●諸ノ天人ノ前ニ来レル者、転タ去リテ避ク↢後ニ来ル者ヲ↡。後ニ来レル者転タ復供養スルコト如クシテ↠前ノ、更相ニ開避ス。
もろもろの天人歓喜し経を聴きておほきにともに音楽をなす。 この時に当りて快楽極まりなし。
●諸ノ天人歓喜シ聴キテ↠経ヲ大ニ共ニ作ス↢音楽ヲ↡。当リテ↢是ノ時ニ↡快楽無シ↠極リ。
もろもろの菩薩供養し経を聴きをはりて、 すなはちみな起ちて仏のために礼をなして去る。 すなはちまた八方上下無央数の諸仏の所に飛び到り、 供養して経を聴くこと、 みなおのおの前のごとし。
●諸ノ菩薩供養シ聴キ↠経ヲ訖竟リテ、便チ皆起チテ為ニ↠仏ノ作シテ↠礼ヲ而去ル。即チ復飛ビ↢到リ八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ所ニ↡、供養シテ聴クコト↠経ヲ、皆各ノ如シ↠前ノ。
ことごとく遍して以後、 日のいまだ中ならざる時、 おのおの飛びてその国に還り、 阿弥陀仏のために礼をなして、 みな却き坐して経を聴きをはりておほきに歓喜す。
○悉ク遍シテ已後、日ノ未ダル↠中ナラ時、各ノ飛ビテ還リ↢其ノ国ニ↡、為ニ↢阿弥陀仏ノ↡作シテ↠礼ヲ、皆却キ坐シテ聴キ↠経ヲ竟リテ大ニ歓喜ス。
仏のたまはく、 阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢、 食せんと欲する時はすなはち自然の七宝の机・劫波育・罽畳、 もつて座となる。 仏および菩薩みな坐せば、 前にことごとく自然七宝の鉢あり。 なかに百味の飲食あり。 飲食また世間に類せず、 また天上のものにもあらず。 この百味の飲食は八方上下のもろもろの自然の飲食のなかの精味にして、 はなはだ香美にして比びなし。 自然に化生するのみ。 甜酢を得んと欲せば所欲のごとくありて得。
○仏言ク、阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢、欲スル↠食セムト時ハ即チ自然ノ七宝ノ*机・劫波育・罽畳、以テ為ル↠座ト。仏及ビ菩薩皆坐セバ、前ニ悉ク有リ↢自然七宝ノ鉢↡。*中ニ有リ↢百味ノ飲食↡。飲食者亦不↠類セ↢世間ニ↡、亦非ズ↢天上ノモノニモ↡。此ノ百味ノ飲食ハ八方上下ノ衆ノ自然ノ飲食ノ中ノ精味ニシテ、甚ダ香美ニシテ無シ↠比。自然ニ化生スル耳。欲セバ↠得ムト↢甜*酢ヲ↡在リテ↢所欲ノゴトク↡得。
もろもろの菩薩・阿羅漢のなかに、 金鉢を得んと欲するものあり、 銀鉢を得んと欲するものあり、 水精鉢を得んと欲するものあり、 珊瑚鉢を得んと欲するものあり、 虎珀鉢を得んと欲するものあり、 白玉車鉢を得んと欲するものあり、 馬瑙鉢を得んと欲するものあり、 明月珠を得んと欲するものあり、 摩尼珠鉢を得んと欲するものあり、 紫磨金鉢を得んと欲するものあり、 意に随ひてすなはち至る。 また従来するところもなく、 また供養するものもなし。 自然に化生するのみ。
○諸ノ菩薩・阿羅漢ノ中ニ、有リ↧欲スル↠得ムト↢金鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢銀鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢水精鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢珊瑚鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢*虎珀鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢白玉鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢*車鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢*馬瑙鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢明月珠鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢摩尼珠鉢ヲ↡者↥、有リ↧欲スル↠得ムト↢紫磨金鉢ヲ↡者↥、随ヒテ↠意ニ即チ至ル。亦無ク↠所モ↢従来0153スル↡、亦無シ↢供養スル者モ↡。自然ニ化生スル耳。
もろもろの菩薩・阿羅漢みな食するに、 食もまた多からずまた少なからずことごとく平等なり。 また美悪をいはず、 また美きをもつてのゆゑに喜ばず。 食しをはればもろもろの飯具・鉢・机・座、 みな自然に化去し、 食せんと欲する時はすなはちまた化生するのみ。 もろもろの菩薩・阿羅漢みな心浄潔にして、 飲食するところはただもつて気力をなすのみ。 みな自然に消散し摩尽して化去すと。
○諸ノ菩薩・阿羅漢皆食スルニ、食モ亦不↠多カラ亦不↠少カラ悉ク平等ナリ。亦不↠言ハ↢美悪ヲ↡、亦不↢以テノ↠美ヲ故ニ喜バ↡。食シ訖レバ諸ノ飯具・鉢・*机・座、*皆自然ニ化去シ、欲スル↠食セムト*時ハ乃チ復化生スル*爾。諸ノ菩薩・阿羅漢皆心浄潔ニシテ、所ハ↢*飲食スル↡但用テ作ス↢気力ヲ↡*爾。皆自然ニ消散シ*摩尽シテ化去スト。
二 Ⅲ ⅹ 聖衆無量
【10】仏、 阿難に告げたまはく、 阿弥陀仏もろもろの菩薩・阿羅漢のために経を説きたまふ時、 すべてことごとくおほきに講堂の上に会す。 もろもろの菩薩・阿羅漢および諸天・人民無央数にして、 すべてまた計ふべからず、 みな阿弥陀仏の所に飛び到りて仏のために礼をなし、 却き坐して経を聴く。 その仏広く道智大経を説きたまふ。 みなことごとく聞知して歓喜し踊躍して心開解せざるものなし。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、阿弥陀仏為ニ↢諸ノ菩薩・阿羅漢ノ↡説キタマフ↠経ヲ時、都テ悉ク大ニ会ス↢講堂ノ上ニ↡。諸ノ菩薩・阿羅漢及ビ諸天・人民無央数ニシテ、都テ不↠可カラ↢復計フ↡、皆飛ビ↢到リテ阿弥陀仏ノ所ニ↡為ニ↠仏ノ作シ↠礼ヲ、却キ坐シテ聴ク↠経ヲ。其ノ仏広ク説キタマフ↢道智大経ヲ↡。皆悉ク聞知シテ莫シ↧不ル↢歓喜シ踊躍シテ心*開解セ↡者↥。
すなはち四方より自然の乱風起りて七宝樹を吹くに、 みな五つの音声をなせり。 七宝樹の華その国に覆蓋し、 みな虚空のなかにありて下り向ふ。 その華の香一国のうちに遍して、 みな阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢の上に散ず。 華地に堕ちてみな厚さ四寸なり。 小しく萎めばすなはち乱風吹きて萎める華自然に去る。 四方の乱風七宝樹の華を吹くことかくのごとく四反す。
○即チ四方ヨリ自然ノ乱風起リテ吹クニ↢七宝樹ヲ↡、皆作セリ↢五ノ音声ヲ↡。七宝樹ノ華覆↢蓋シ其ノ国ニ↡、皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡下リ向フ。其ノ華之香遍シテ↢一国ノ中ニ↡、皆散ズ↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ上ニ↡。華堕チテ↠地ニ皆厚サ四寸ナリ。小クク萎メバ即チ乱風吹キテ萎メル華自然ニ去ル。四方ノ乱風吹クコト↢七宝樹ノ華ヲ↡如ク↠是クノ四*反ス。
すなはち第一四天王・第二忉利天上より三十三天上に至るまでの、 もろもろの天人みな天上の万種自然の物・百種の雑色華・百種の雑香・百種の雑繒綵・百種の劫波育畳衣・万種の伎楽のうたた倍して好しくあひ勝るるを持ち、 おのおの持ちて来り下り、 阿弥陀仏のために礼をなして、 仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を供養す。 もろもろの天人みなまたおほきに伎楽をなして、 阿弥陀仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を楽しましむ。この時に当りて快楽いふべからず。 諸天たがひに開避す。 後に来るものうたたまた供養すること前のごとし。
○即チ第一四天王・第二忉利天上ヨリ至ルマデノ↢三十*三天上ニ↡、諸ノ天人皆持チ↢天上ノ万種自然之物・百種ノ雑色華・百種ノ雑香・百種ノ雑繒綵・百種ノ劫波育畳衣・万種ノ伎楽ノ転タ倍シテ好シク相勝ルルヲ↡、各ノ持チテ来リ下リ、為ニ↢阿弥陀仏ノ↡作シテ↠礼ヲ、供↢養ス仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。諸ノ天0154人皆復大ニ作シテ↢伎楽ヲ↡、楽マシム↢阿弥陀仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡。当リテ↢是ノ時ニ↡快楽不↠可カラ↠言フ。諸天更相ニ開避ス。後ニ来ル者転タ復供養スルコト如シ↠前ノ。
すなはち東方無央数の仏国、 その数また計ふべからず、 恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 その数かくのごとき諸仏、 おのおのもろもろの菩薩の無央数にしてまた計ふべからざるを遣はすに、 みな阿弥陀仏の所に飛び到り、 礼をなし経を聴き、 みなおほきに歓喜し、 ことごとく起ちてために礼をなして如き去る。
○即チ東方無央数ノ仏国、其ノ数不↠可カラ↢復計フ↡、如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。其ノ数如キ↠是クノ諸仏、各ノ遣スニ↢諸ノ菩薩ノ无央数ニシテ不ルヲ↟可カラ↢復計フ↡、皆飛ビ↢到リ阿弥陀仏ノ所ニ↡、作シ↠礼ヲ聴キ↠経ヲ、皆大ニ歓喜シ、悉ク起チテ為ニ作シテ↠礼ヲ*如キ去ル。
西方・北方・南方・四角の諸仏、 その数おのおの恒水の辺の流沙のごとし。 おのおのもろもろの菩薩の無央数なるを遣すに、 阿弥陀仏の所に飛び到り、 礼をなし経を聴くことまたまたかくのごとし。
○西方・○北方・○南方・○四角ノ諸仏、其ノ数各ノ如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ↡。各ノ遣スニ↢諸ノ菩薩ノ無央数ナルヲ↡、飛ビ↢到リ阿弥陀仏ノ所ニ↡、作シ↠礼ヲ聴クコト↠経ヲ亦復如シ↠是クノ。
すなはち下方・上方の諸仏、 その数おのおの恒水の辺の流沙のごとし。 みなもろもろの菩薩のすべてまた計ふべからざるを遣はすに、 阿弥陀仏の所に飛び到り、 礼をなし経を聴き、 たがひに開避す。 かくのごとくしてつひに休絶する時なしと。
○即チ下方・上方ノ諸仏、其ノ数各ノ如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ↡。皆遣スニ↢諸ノ菩薩ノ都テ不ルヲ↟可カラ↢復計フ↡、飛ビ↢到リ阿弥陀仏ノ所ニ↡、作シ↠礼ヲ聴キ↠経ヲ、更相ニ開避ス。如クシテ↠是クノ終ニ无シト↢休絶スル時↡也。
仏のたまはく、 諸仏恒水の辺の流沙をもつて数となすゆゑは、 八方上下の無央数の仏、 甚大衆多にして、 すべておのおのまた計ふべからざるがゆゑに、 恒水の辺の流沙をもつて数となすのみと。
●仏言ク、所↧以諸仏以テ↢恒水ノ辺ノ流沙ヲ↡為ス↞数ト者、八方上下ノ無央数ノ仏、甚大衆多ニシテ、都テ各ノ不ルガ↠*可カラ↢復計フ↡故ニ、以テ↢恒水ノ辺ノ流沙ヲ↡為ス↠数ト耳ト。
【11】仏、 阿難に語りたまはく、 阿弥陀仏もろもろの菩薩・阿羅漢のために経を説きをはるに、 諸天・人民のなかに、 いまだ道を得ざるものあればすなはち道を得、 いまだ須陀洹を得ざるものはすなはち須陀洹を得、 いまだ斯陀含を得ざるものはすなはち斯陀含を得、 いまだ阿那含を得ざるものはすなはち阿那含を得、 いまだ阿羅漢を得ざるものはすなはち阿羅漢を得、 いまだ阿惟越致の菩薩を得ざるものはすなはち阿惟越致の菩薩を得。
●仏語リタマハク↢阿難ニ↡、阿弥陀仏為ニ↢諸ノ菩薩・阿羅漢ノ↡説キ↠経ヲ竟ルニ、諸天・人民ノ中ニ、有レバ↢未ダル↠得↠道ヲ者↡即チ得↠道ヲ、未ダル↠得↢須陀洹ヲ↡者ハ即チ得↢須陀洹ヲ↡、未ダル↠得↢斯陀含ヲ↡者ハ即チ得↢斯陀含ヲ↡、未ダル↠得↢阿那含ヲ↡者ハ即チ得↢阿那含ヲ↡、未ダル↠得↢阿羅漢ヲ↡者ハ即チ得↢阿羅漢ヲ↡、未ダル↠得↢阿惟越致ノ菩薩ヲ↡者ハ即チ得↢阿惟越致ノ菩薩ヲ↡。
阿弥陀仏すなはちその宿命の時に道を求むる心の憙願するところの大小に随ひ、 随意にために経を説きてこれに授与して、 すなはち疾く開解しみなことごとく明慧を得しむ。 おのおのみづから願ふところの経道を好喜し、 喜楽せざるはなし。 これを誦習するものは、 みづから諷誦し通利して、 無厭無極なり。
●阿弥陀仏輒チ随ヒ↧其ノ宿命0155ノ時ニ求ムル↠道ヲ心ノ所ノ↢憙願スル↡大小ニ↥、随意ニ為ニ説キテ↠*経ヲ授↢与シテ之ニ↡、即チ令ム↣疾ク開解シ得↢皆悉ク明慧ヲ↡。各ノ自ラ好↢喜シ所ノ↠願フ経道ヲ↡、莫シ↠不ルハ↢喜楽セ↡。誦↢習スル之ヲ↡者ハ、自ラ諷誦シ*通利シテ、无厭無極ナリ。
もろもろの菩薩・阿羅漢のなかに経を誦するものあり、 その音三百の鐘の声のごとし。 なかに経を説くものあり、 疾風暴雨の時のごとし。 かくのごとく一劫を尽くすともつひに懈り倦む時なし。 みなことごとく智慧勇猛に、 身体軽便にして、 つひに痛痒極まる時なし。 行歩坐起、 ことごとくみな才健勇猛なり。
●諸ノ菩薩・阿羅漢ノ中ニ有リ↢誦スル↠経ヲ者↡、其ノ音如シ↢三百ノ鐘ノ声ノ↡。中ニ有リ↢説ク↠経ヲ者↡、如シ↢疾風暴雨ノ時ノ↡。如ク↠是クノ尽ストモ↢一*劫ヲ↡竟終ニ无シ↢懈リ倦ム時↡。皆悉ク智慧勇猛ニ、身体軽便ニシテ、終ニ无シ↢痛痒極ル時↡。行歩坐起、悉ク皆才健勇猛ナリ。
師子中の王のごときは深山のなかにありて趣向するところある時、 あへて当るものあることなし。 疑難の意あることなく、 心の作為するところのごとくにありてあらかじめ計るべからざること百千億万倍なり。 この猛師子中の王、 百千億万倍すとも、 なほまたわが第二の弟子摩訶目揵連の勇猛なるにしかざること百千億万倍なり。
●如キハ↢師子中ノ王ノ↡在リテ↢深山ノ中ニ↡有ル↠所↢趣向スル↡時、無シ↠有ルコト↢敢テ当ル者↡。無ク↠有ルコト↢疑難之意↡、在リテ↣心ノ所ノゴトクニ↢作為スル↡不ルコト↠可カラ↢*予メ計ル↡百千億万倍ナリ。是ノ猛師子中ノ王、百千億万倍ストモ、尚復不ルコト↠如カ↢我ガ第二ノ弟子摩訶目*揵連ノ勇猛ナルニ↡百千億万倍ナリ。
摩訶目揵連のごときは諸国の菩薩・阿羅漢のなかにおいてもつとも比びなしとなす。 飛行進止智慧勇猛に、 あきらかに視あきらかに聴き、 八方上下、 去・来・現在の事を知ること百千億万倍なるを、 ともに合して一智慧となして、 まさに阿弥陀仏国のなかのもろもろの羅漢の辺にあらしめんに、 その徳なほまた及ばざること百千億万倍なるべしと。
●如キハ↢摩訶目*揵連ノ↡於テ↢諸国ノ菩薩・阿羅漢ノ中ニ↡最モ為ス↠无シト↠比。飛行進止智慧勇猛ニ、洞ニ視徹ニ聴キ、知ルコト↢八方上下、去・来・現在之事ヲ↡百千億万倍ナルヲ、共ニ合シテ為シテ↢一智慧ト↡、当ニシト↧令メムニ↠在ラ↢阿弥陀仏国ノ中ノ諸ノ羅漢ノ辺ニ↡、其ノ徳尚復不ルコト↠及バ百千億万倍ナル↥。
阿逸菩薩すなはち起ちて前みて長跪叉手し、 仏に問ひたてまつりてまうさく、 阿弥陀仏国のなかのもろもろの阿羅漢、 むしろすこぶる般泥洹し去るものありやなしや。 願はくはこれを聞かんと欲すと。 仏のたまはく、 もし知らんと欲せば、 かくのごとき四天下の星、 なんぢこれを見るやいなやと。 阿逸菩薩まうさく、 ややしかなり、 これを見ると。 仏のたまはく、 わが第二の弟子摩訶目揵連のごとき、 天上に飛び上り一昼一夜あまねく数へて星幾枚かあるを知らんとするも、 この四天下の星はなはだ衆多にして、 計ふることを得べからざること、 なほまた百千億万倍なるはこれ星なり。
○阿逸菩薩即チ起チテ前ミテ長跪叉手シ、問ヒタテマツリテ↠仏ニ言ク、阿弥陀仏国ノ中ノ諸ノ阿羅漢、寧ロ頗ル有リヤ↢般泥洹シ去ル者↡無シヤ。願クハ欲スト↠聞カムト↠之ヲ。仏言ク、若シ欲セバ↠知ラムト者、如キ↠是クノ四天下ノ星、若見ルヤ↠之ヲ不ヤト。阿逸菩薩言ク、唯然ナリ、見ルト↠之ヲ。仏言ク、如キ↢我ガ第二ノ弟子摩訶目*揵連ノ↡、飛ビ↢上リ天上ニ↡一昼一夜0156遍ク数ヘテ知ラムトスルモ↣星有ルヲ↢幾枚カ↡、此ノ四天下ノ星甚ダ衆多ニシテ、不ルモノ↠可カラ↠得↠計フルコトヲ、尚復百千億万倍ナルハ是星*也。
天下の大海の水のごときは一渧を減じ去らば、 むしろよく海水ために減じて少なりと知らしむるやいなやと。 対へてまうさく、 百千億万斗石を減じ去るとも、 なほ減じて少なりと知らしむることあたはずと。
○如キハ↢天下ノ大海ノ水ノ↡減ジ↢去ラバ一*渧ヲ↡、寧ロ能ク令ムルヤ↢海水為ニ減ジテ知ラ↟少ナリト不耶ト。対ヘテ曰ク、減ジ↢去ルトモ百千億万斗石ヲ↡、尚不ト↠能ハ↠令ムルコト↢減ジテ知ラ↟少ナリト也。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国のもろもろの阿羅漢のなかに、 般泥洹し去るものありといへども、 大海の一渧水を減ずるがごときのみ。 在するもろもろの阿羅漢のために減じて少なりと知らしむることあたはずと。
●仏言ク、阿弥陀仏国ノ諸ノ阿羅漢ノ中ニ、雖モ↠有リト↢般泥洹シ去ル者↡、如キ↣大海ノ減ズルガ↢一*渧水ヲ↡*爾。不ト↠能ハ↠令ムルコト↢在スル諸ノ阿羅漢為ニ減ジテ知ラ↟少ナリト也。
仏のたまはく、 大海一渓水を減じ去らば、 むしろ減じて少ならしむるやいなや。 対へてまうさく、 百千億万の渓水を減じ去るとも、 なほ減じて少なりと知ることあたはずと。
●仏言ク、大海減ジ↢去ラバ一渓水ヲ↡、寧ロ令ムルヤ↢減ジテ少ナラ↡不ヤト。対ヘテ曰ク、減ジ↢去ルトモ百千億万ノ渓水ヲ↡、尚不ト↠能ハ↢減ジテ知ルコト↟少ナリト也。
仏のたまはく、 大海の一恒水を減ぜば、 むしろよく減じて少なりと知らしむるやいなやと。 対へてまうさく、 百千億万の恒水を減じ去るとも、 減じて少なりと知らしむることあたはずと。
●仏言ク、減ゼバ↢大海ノ一恒水ヲ↡、寧ロ能ク令ムルヤ↢減ジテ知ラ↟少ナリト不ヤト。対ヘテ曰ク、減ジ↢去ルトモ百千億万ノ恒水ヲ↡、不ト↠能ハ↠令ムルコト↢減ジテ知ラ↟少ナリト也。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国のもろもろの阿羅漢、 般泥洹し去るものも無央数なり。 その在るものの新たに道を得るものもまた無央数なり。 すべて増減をなさずと。
●仏言ク、阿弥陀仏国ノ諸ノ阿羅漢、般泥洹シ去ル者モ無央数ナリ。其ノ在ル者ノ新ニ得ル↠道ヲ者モ亦無央数ナリ。都テ不ト↠為サ↢増減ヲ↡也。
仏のたまはく、 天下の諸水をしてすべて大海水のなかに流入せしめんに、 むしろよく海水をして増多ならしむるやいなやと。 対へてまうさく、 増多ならしむることあたはず。 ゆゑはいかん。 この大海は天下の諸水衆善のなかの王なり。 ゆゑによくしかるのみと。
●仏言ク、令メムニ↣天下ノ諸水ヲシテ都テ流↢入セ大海水ノ中ニ↡、寧ロ能ク令ムルヤ↢海水ヲシテ増多ナラ↡不ヤト。対ヘテ曰ク、不↠能ハ↠令ムルコト↢増多ナラ↡也。所以者何ン。是ノ大海ハ為リ↢天下ノ諸水*衆善ノ中ノ王↡。故ニ能ク爾ル耳ト。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国もまたかくのごとし。 ことごとく八方上下の無央数の仏国のもろもろの無央数の天・人民・蜎飛蠕動の類をしてすべて往生せしめんに、 甚大衆多にしてまた計ふべからざれども、 阿弥陀仏国のもろもろの菩薩・阿羅漢、 もろもろの比丘僧、 ことさらに常のごとく一法にしてことに増多をなさず。
●仏言ク、阿弥陀仏国モ亦如シ↠是クノ。悉ク令メムニ↢八方上下ノ無央数ノ仏国ノ諸ノ無央数ノ天・人民・蜎飛蠕動之類ヲシテ都テ往生セ↡、甚大衆多ニシテ不レドモ↠可カラ↢復計フ↡、阿弥陀仏国ノ諸ノ菩薩・阿羅漢、衆ノ比丘僧、故ラニ如ク↠常ノ一法ニシテ不↣*異ニ為サ↢増多ヲ↡。
ゆゑはいかん。 阿弥陀仏国は最快にして八方上下の無央数のもろもろの仏国のなかの衆善の王なり、 諸仏国中の雄なり、 諸仏国中の宝なり、 諸仏国中の寿の極長久なり、 諸仏国中の衆傑なり、 諸仏国中の広大なり、 諸仏国中の都なればなり、 自然の無為にして、 最快明好、 甚楽の無極なり。
●所以者何ン。阿弥陀仏国ハ為レバナリ↢最快ニシテ八方上下ノ無央数ノ諸ノ仏国ノ中0157ノ衆善之王ナリ、諸仏国中之雄ナリ、諸仏国中之*宝ナリ、諸仏国中ノ寿之極長久也、諸仏国中之衆*傑也、諸仏国中之広大也、諸仏国中之都↡、自然之無為ニシテ、最快明好、甚楽之無極ナリ。
ゆゑはいかん。 阿弥陀仏、 もと菩薩たりし時、 所願勇猛精進にして懈らず徳を累ねて致すところなるがゆゑによくしかるのみと。
●所以者何ン。阿弥陀仏、本為リシ↢菩薩↡時、所願勇猛精進ニシテ不↠*懈ラ累ネテ↠徳ヲ所ナルガ↠致ス故ニ能ク爾ル耳ト。
阿逸菩薩すなはちおほきに歓喜し長跪叉手してまうさく、 仏、 阿弥陀仏の国土の快善明好最姝無比なるを説きたまふこと、 すなはち独りしかるやと。
●阿逸菩薩即チ大ニ歓喜シ長跪叉手シテ言ク、仏説キタマフコト↢阿弥陀仏ノ国土ノ快善明好最姝無比ナルヲ↡、乃チ独リ爾ル乎ト。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国のもろもろの菩薩・阿羅漢の所居の七宝の舎宅のなかに、 虚空のなかにあるものあり、 地にあるものあり。 なかに舎宅をしてもつとも高からしめんと欲するものあらば、 舎宅すなはち高し。 なかに舎宅をしてもつとも大ならしめんと欲するものあらば、 舎宅すなはち大なり。 なかに舎宅をして虚空のなかにあらしめんと欲するものあらば、 舎宅すなはち虚空のなかにあり。 みな自然に意に随ひ作為するところのごとくにあり。
●仏言ク、阿弥陀仏国ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ所居ノ七宝ノ舎宅ノ中ニ、有リ↧在ル↢虚空ノ中ニ↡者↥、有リ↢在ル↠地ニ者↡。中ニ有ラバ↧欲スル↠令メムト↢舎宅ヲシテ最モ高カラ↡者↥、舎宅即チ高シ。中ニ有ラバ↧欲スル↠令メムト↢舎宅ヲシテ最モ大ナラ↡者↥、舎宅即チ大ナリ。中ニ有ラバ↧欲スル↠令メムト↣舎宅ヲシテ在ラ↢虚空ノ中ニ↡者↥、舎宅即チ在リ↢虚空ノ中ニ↡。皆自然ニ随ヒ↠意ニ在リ↠所ノゴトクニ↢作為スル↡。
なかにことに舎宅をして意に随はしむることあたはざるものあり。 ゆゑはいかん。 なかによく舎宅をして意に随はしむることあるものは、 みなこれ前世宿命に道を求むる時、 慈心をもつて精進しますますもろもろの善をなして徳重きが致すところなり。 なかにことにあたはざるものは、 みなこれ前世宿命に道を求むる時、 慈心をもつて精進しますますもろもろの善をなさず徳薄きが致すところなり。
●中ニ有リ↧殊ニ不ル↠能ハ↠令ムルコト↢舎宅ヲシテ随ハ↟意ニ者↥。所以者何ン。中ニ有ル↣能ク令ムルコト↢舎宅ヲシテ随ハ↟意ニ者ハ、皆是前世宿命ニ求ムル↠道ヲ時、慈心ヲモテ精進シ益マス作シテ↢諸ノ善ヲ↡徳重キガ所ナリ↠致ス。中ニ有ルハ↢殊ニ不ル↠能ハ者↡、皆是前世宿命ニ求ムル↠道ヲ時、不↣慈心ヲモテ精進シ益マス作サ↢諸ノ善ヲ↡徳薄キガ所ナリ↠致ス。
その衣被し飯食するところはともに自然に平等なれども、 徳に大小あれば、 その勇猛なるものを別知し、 衆をしてこれを見しむるのみと。
●其ノ所ハ↢衣被シ*飯食スル↡倶ニ自然平等ナレドモ、徳ニ有レバ↢*大小↡、別↢知シ其ノ勇猛ナルモノヲ↡、令ムル↢衆ヲシテ見↟之ヲ耳ト。
仏のたまはく、 もし第六天王の所居の処を見るやいなやと。 ややしかなり、 これを見ると。
●仏言ク、若見ルヤ↢第六天王ノ所居ノ処ヲ↡不ヤト。唯然ナリ、見ルト↠之ヲ。
仏のたまはく、 阿弥陀仏国の講堂・舎宅、 すべてまた第六天王の所居の処に勝るること百千億万倍なり。
●仏言ク、阿弥陀仏国ノ講堂・舎宅、都テ復勝ルルコト↢第六天王ノ所居ノ処ニ↡百千億万倍ナリ。
もろもろの菩薩・阿羅漢、 ことごとくみなあきらかに視あきらかに聴き、 八方上下、 去・来・現在の事、 また無数の天上・天下の人民および蜎飛蠕動の類、 心意に念ずるところの善悪、 口にいはんと欲するところを見知す。 みないづれの歳いづれの劫に度脱を得人道を得、 阿弥陀仏国に往生すべきことを知り、 菩薩・阿羅漢になるべきことを知り、 みなあらかじめこれを知れり。
●諸ノ菩薩0158・阿羅漢、悉ク皆洞ニ視徹ニ聴キ、見↢知ス八方上下、去・来・現在之事、復無数ノ天上・天下ノ人民及ビ蜎飛蠕動之類、心意ニ所ノ↠念ズル善悪、口ニ所ヲ↟欲スル↠言ハムト。皆知リ↠当キコトヲ↧何ノ歳何ノ劫ニ得↢度脱ヲ↡得↢人道ヲ↡、往↦生ス阿弥陀仏国ニ↥、知リ↠当キコトヲ↠作ル↢菩薩・阿羅漢ニ↡、皆*予メ知レリ↠之ヲ。
もろもろの菩薩・阿羅漢の頂中に、 みなことごとくおのづから光明ありて照らすところ大小あり。
○諸ノ菩薩・阿羅漢ノ頂中ニ、皆*悉ク自ラ有リテ↢光明↡所↠照ス有リ↢大小↡。
もろもろの菩薩のなかに、 最尊の両菩薩ありて、 つねに仏の左右にありて坐侍して正論し、 仏つねにこの両菩薩とともに対坐して、 八方上下、 去・来・現在の事を議したまふ。 もしこの両菩薩をして八方上下の無央数の諸仏の所に到らしめんと欲せば、 すなはち飛行して心の所欲に随ひて至到る。 飛行の駛く疾きこと仏のごとく、 勇猛なること比びなし。
○諸ノ菩薩ノ中ニ、有リテ↢最尊ノ両菩薩↡、●常ニ在リテ↢仏ノ左右ニ↡坐侍シテ正論シ、仏常ニ与↢是ノ両菩薩↡共ニ対坐シテ、議シタマフ↢八方上下、去・来・現在之事ヲ↡。若シ欲セバ↠使メムト↣是ノ両菩薩ヲシテ到ラ↢八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ所ニ↡、即便チ飛行シテ随ヒテ↢心ノ所欲ニ↡至到ル。飛行ノ*駛ク疾キコト如ク↠仏ノ、勇猛ナルコト無シ↠比。
そのひとりの菩薩をば*楼亘と名づけ、 そのひとりの菩薩をば*摩訶那鉢と名づく。 光明・智慧もつとも第一なり。 頂中の光明はおのおの他方千須弥山の仏国のうちを焔照して、 つねに大明なり。 そのもろもろの菩薩の頂中の光明はおのおの千億万里を照らし、 もろもろの阿羅漢の頂中の光明は、 おのおの七丈を照らすと。
○其ノ一ノ菩薩ヲバ名ケ↢*楼亘ト↡、其ノ一ノ菩薩ヲバ名ク↢摩訶那鉢ト↡。光明・智慧最モ第一ナリ。頂中ノ光明ハ各ノ*焔↢照シテ他方千須弥山ノ仏国ノ中ヲ↡、常ニ大明ナリ。其ノ諸ノ菩薩ノ頂中ノ光明ハ各ノ照シ↢*千億万里ヲ↡、諸ノ阿羅漢ノ頂中ノ光明ハ、各ノ照スト↢七*丈ヲ↡。
仏のたまはく、 世間の人民もしは善男子・善女人、 もし急に県官の事を恐怖するものあらば、 ただみづからこの楼亘菩薩・摩訶那鉢菩薩の所に帰命せよ。 解脱を得ざるものなからんと。
●仏言ク、世間ノ人民若シハ善男子・善女人、若シ有ラバ↧急ニ恐↢怖スル*県官ノ事ヲ↡者↥、但自ラ帰↢命セヨ是ノ*楼亘菩薩・摩訶那鉢菩薩ノ所ニ↡。無カラムト↧不ル↠得↢解脱ヲ↡者↥。
二 Ⅲ ⅺ 光寿無量
【12】仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 阿弥陀仏の頂中の光明は極めて大光明なり。 その日月星辰はみな虚空のなかにありて住止すれども、 また廻転運行すべからず。 また精光あることなく、 その明みな蔽はれてまた見れず。 仏の光明は国中を照らし、 および他方仏国を焔照して、 つねに大明にしてつひに冥する時あることなし。
●仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、阿弥陀仏ノ頂中ノ光明ハ極テ大*光明ナリ。其ノ日月星辰ハ皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止スレドモ、不↠可カラ↢復廻転運行ス↡。亦無ク↠有ルコト↢精光↡、其ノ明皆蔽ハレテ不↢復見レ↡。仏ノ光0159明ハ照シ↢国中ヲ↡、及ビ*焔↢照シテ他方仏国ヲ↡、常ニ大明ニシテ終ニ無シ↠有ルコト↢冥スル時↡。
その国一日・二日もあることなく、 また五日・十日もなく、 また十五日・一月もなく、 また五月・十月・五歳・十歳もなく、 また百歳・千歳もなく、 また万歳・億万歳もなく、 百千億万歳もなく、 一劫・十劫・百劫・千劫もあることなく、 万劫・百万劫もなく、 千万劫・百億万劫もなし。
●其ノ国無ク↠有ルコト↢一日・二日モ↡、亦無ク↢五日・十日モ↡、亦無ク↢十五日・一月モ↡、亦無ク↢五月・十月・五歳・十歳モ↡、亦無ク↢百歳・千歳モ↡、亦無ク↢万歳・億万歳モ↡、無ク↢百千億万歳モ↡、無ク↠有ルコト↢一劫・十劫・百劫・千劫モ↡、無ク↢万劫・百万劫モ↡、無シ↢千万劫・百億万劫モ↡。
阿弥陀仏の光明はあきらかなること極まりあることなし。 却後無数劫の無数劫、 重ねてまた無数劫の無数劫、 無央数にもつひにまさに冥すべき時あることなく、 国土および諸天もつひに壊敗する時なし。 ゆゑはいかん。 阿弥陀仏は寿命極めて長く、 国土もはなはだ好し。 ゆゑによくしかるのみ。 その仏の尊寿は、 却後無数劫にも、 重ねてまた無数劫にも、 なほいまだ般泥洹を央めず。
●阿弥陀仏ノ光明ハ明カナルコト無シ↠有ルコト↠極リ。*却後無数劫ノ无数劫、重ネテ復無数劫ノ无数劫、無央数ニモ終ニ無ク↠有ルコト↢当ニキ↠冥ス時↡、国土及ビ諸天モ終ニ無シ↢壊敗スル時↡。所以者何ン。阿弥陀仏ハ寿命極テ長ク、国土モ甚ダ好シ。故ニ能ク爾ル耳。其ノ仏ノ尊寿ハ、*却後无数劫ニモ、重ネテ復無数劫ニモ、尚未ダ↠*央メ↢般泥洹ヲ↡也。
世間において教授し、 意に八方上下のもろもろの無央数の仏国の諸天・人民および蜎飛蠕動の類を過度せんと欲し、 みなその国に往生せしめ、 ことごとく泥洹の道を得しめんと欲す。 その菩薩となるものは、 みなことごとく作仏せしめんと欲し、 作仏しをはりてうたたまた八方上下の諸天・人民および蜎飛蠕動の類を教授せしめ、 みなまた作仏せしめんと欲す。
●於テ↢世間ニ↡教授シ、意ニ欲シ↣過↢度セムト八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏国ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆欲ス↧使メ↣往↢生セ其ノ国ニ↡、悉ク令メムト↞得↢泥洹之道ヲ↡。其ノ作ル↢菩薩ト↡者ハ、皆欲シ↠令メムト↢悉ク作仏セ↡、作仏シ已リテ転タ復教↢授セシメ八方上下ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆復欲ス↠令メムト↢作仏セ↡。
作仏しをはりてまたもろもろの無央数の天・人民・蜎飛蠕動の類を教授して、 みな泥洹の道を得て去らしむ。 もろもろの教授すべき弟子を展転してまたあひ教授し、 うたたあひ度脱して須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏道を得しむるに至る。
●作仏シ*已リテ復教↢授シテ諸ノ无央数ノ天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆令ム↧得テ↢泥洹ノ道ヲ↡去ラ↥。諸ノ可キ↢教授ス↡弟子ヲ者展転シテ復相教授シ、転タ相度脱シテ至ル↠令ムルニ↠得↢須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏道ヲ↡。
うたたあひ度脱してみな泥洹の道を得ることことごとくかくのごとくなれども、 なほいまだ般泥洹を欲したまはず。 阿弥陀仏の度脱したまふところ展転してかくのごとし。 また住止すること無数劫の無数劫、 不可復計劫にもつひに般泥洹の時なし。
●転タ相度脱シテ皆得ルコト↢泥洹之道ヲ↡悉ク如クナレドモ↠是クノ、尚未ダ↠欲シタマハ↢般泥洹ヲ↡。阿弥陀仏ノ所↢度0160脱シタマフ↡展転シテ如シ↠是クノ。復住止スルコト無数劫ノ无数劫、不可復計劫ニモ終ニ無シ↢般泥洹ノ時↡。
八方上下のもろもろの無央数の天・人民・蜎飛蠕動の類、 その阿弥陀仏国に生じてまさに作仏すべきもの、 またあげて数ふべからず。 もろもろの阿羅漢となりて泥洹の道を得るものもまた無央数にして、 すべてまた計ふべからず。
●八方上下ノ諸ノ無央数ノ天・人民・蜎飛蠕動之類、其ノ生ジテ↢阿弥陀仏国ニ↡当ニキ↢作仏ス↡者、不↠可カラ↢復勝ゲテ数フ↡。諸ノ作リテ↢阿羅漢ト↡得ル↢泥洹ノ道ヲ↡者モ亦无央数ニシテ、都テ不↠可カラ↢復計フ↡。
阿弥陀仏の恩徳、 もろもろの布施したまふところ、 八方上下無窮無極、 甚深無量にして快善なることいふべからず。 その智慧教授、 出したまふところの経道、 八方上下のもろもろの無央数の天上・天下に布告すること、 はなはだ原ねず。 その経巻の数はなはだ衆多にして、 また計ふべからず。 すべて極まりあることなしと。
●阿弥陀仏ノ恩徳、諸ノ所↢布施シタマフ↡、八方上下無窮无極、甚深無量ニシテ快善ナルコト不↠可カラ↠言フ。其ノ智慧教授、所ノ↠出シタマフ経道、布↢告スルコト八方上下ノ諸ノ無央数ノ天上・天下ニ↡、甚ダ不↠原ネ也。其ノ経巻ノ数甚ダ衆多ニシテ、不↠可カラ↢復計フ↡。都テ无シト↠有ルコト↠極リ。
仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 なんぢ阿弥陀仏の寿命無極の時を知らんと欲するやいなやと。 対へてまうさく、 願はくはみなこれを聞知せんと欲すと。
○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、若欲スルヤ↠知ラムト↢阿弥陀仏ノ寿命無極ノ時ヲ↡不ヤト。対ヘテ曰ク、願クハ皆欲スト↣聞↢知セムト之ヲ↡。
仏のたまはく、 あきらかに聴け、 ことごとく八方上下のもろもろの無央数の仏国のなかの諸天・人民・蜎飛蠕動の類をしてみな人道を得しめ、 ことごとく辟支仏・阿羅漢とならしめて、 ともに坐禅一心にすべてその智慧を合して一つとなし、 勇猛にともに阿弥陀仏の寿命幾千億万劫の歳数を計へ知らんと欲すとも、 みなよく計へ知るものあることなし。
○仏言ク、明カニ聴ケ、悉ク令テ↢八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏国ノ中ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡皆使メ↠得↢*人道ヲ↡、悉ク令メテ↠作ラ↢辟支仏・阿羅漢ト↡、共ニ坐禅一心ニ都テ合シテ↢其ノ智慧ヲ↡為シ↠一ト、勇猛ニ共ニ欲ストモ↣計ヘ↢知ラムト阿弥陀仏ノ寿命幾千億万劫ノ歳数ヲ↡、皆無シ↠有ルコト↢能ク計ヘ知ル者↡。
また他方面のおのおの千の須弥山の仏国のなかの諸天・人民・蜎飛蠕動の類をして、 みなまた人道を得しめ、 ことごとく辟支仏・阿羅漢とならしめ、 みな坐禅一心ならしめその智慧を合して一つとなし、 勇猛にともに阿弥陀仏国中のもろもろの菩薩・阿羅漢を数へて幾千億万人かあるを知らんと欲すとも、 みなよく数を知るものあることなからん。
○復令テ↢他方面ノ各ノ千須弥山ノ仏国ノ中ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆復使メ↠得↢*人道ヲ↡、悉ク令メ↠作ラ↢辟支仏・阿羅漢ト↡、皆令メ↢坐禅一心ナラ↡合シテ↢其ノ智慧ヲ↡為シ↠一ト、勇猛ニ共ニ欲ストモ↧数ヘテ↢阿弥陀仏国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡知ラムト↞有ルヲ↢幾千億万人カ↡、皆無カラム↠有ルコト↢能ク知ル↠数ヲ者↡。
阿弥陀の年寿ははなはだ長久なり。 浩々照々としてあきらかに善く、 甚深にして極まりなく底なし。 たれかまさによくそれを知信すべけん。 独り仏のみづから信知したまふのみと。
○阿弥*陀ノ年寿ハ甚ダ長久ナリ。浩*浩照照トシテ明カニ善ク、甚深ニシテ无0161ク↠極リ無シ↠底。*誰カ当ニケム↣能ク知↢信ス其ヲ↡者。独リ仏ノ自ラ信知シタマフ*爾ト。
阿逸菩薩、 仏の言を聞きておほきに歓喜し、 長跪叉手してまうさく、 仏、 阿弥陀仏の寿命の甚長、 威神の尊大、 智慧光明の巍巍として快善なることを説きたまふことすなはち独りかくのごときやと。
●阿逸菩薩聞キテ↢仏ノ言ヲ↡大ニ歓喜シ、長跪叉手シテ言ク、仏説キタマフコト↢阿弥陀仏ノ寿命ノ甚長、威神ノ尊大、智慧光明ノ巍巍トシテ快善ナルコトヲ↡乃チ独リ如ヤト↠是クノ。
仏のたまはく、 阿弥陀仏そのしかうして後に至りて般泥洹したまはば、 その楼亘菩薩すなはちまさに作仏して道智典主を総領し、 世間および八方上下に過度せんとするところの諸天・人民・蜎飛蠕動の類を教授して、 みな仏泥洹の道を得しむ。 その善福徳まさにまた大師阿弥陀仏のごとくなるべし。 住止すること無央数劫の無央数劫、 不可復計劫なり。 大師に准法して、 しかうしてすなはち般泥洹す。
●仏言ク、阿弥陀仏至リテ↢其ノ然シテ後ニ↡般泥洹シタマハバ者、其ノ*楼亘菩薩便チ当ニ作仏シテ総↢領シ道智典主ヲ↡、教↧授シテ世間及ビ八方上下ニ所ノ↢過度セムトスル↡諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↥、皆令ム↠得↢仏泥洹之道ヲ↡。其ノ善福徳当ニシ↣復如クナル↢大師阿弥陀仏ノ↡。住止スルコト無央数劫ノ無央*数劫、不可復計劫ナリ。*准↢法シテ大師ニ↡、爾シテ乃チ般泥洹ス。
その次に摩訶那鉢菩薩まさにまた作仏して智慧を典主し、 教授を総領して、 過度するところ福徳もまさにまた大師阿弥陀仏のごとくなるべし。 住止すること無央数劫にして、 なほまた般泥洹せず。 展転相承して経道を受くることはなはだあきらかにして、 国土極善なり。 その法かくのごとくにして、 つひに断絶あることなく、 極むべからずと。
●其ノ次ニ摩訶那鉢菩薩当ニ復作仏シテ典↢主シ智慧ヲ↡、総↢領シテ教授ヲ↡、所↢過度スル↡福徳モ当ニシ↣復如クナル↢大師阿弥陀仏ノ↡。止住スルコト無央数劫ニシテ、尚復不↢般泥洹セ↡。展転相承シテ受クルコト↢経道ヲ↡甚ダ明カニシテ、国土極善ナリ。其ノ法如クニシテ↠是クノ、終ニ無ク↠有ルコト↢断絶↡、不ト↠可カラ↠極ム也。
二 Ⅲ ⅻ 国土殊妙
【13】阿難長跪叉手して仏に問ひたてまつりてまうさく、 阿弥陀仏の国中には須弥山あることなくは、 その第一四天・第二忉利天、 みななんらによりて住止するや。 願はくはこれを聞かんと欲すと。
○阿難長跪叉手シテ問ヒタテマツリテ↠仏ニ言ク、阿弥陀仏ノ国中ニハ無クハ↠有ルコト↢須弥山↡、其ノ第一四天・第二忉利天、皆依↢因テ何等ニ↡住止スルヤ。願クハ欲スト↠聞カムト↠之ヲ。
仏、 阿難に告げたまはく、 なんぢ仏所に疑意ありや。 八方上下無窮無極無辺無量のもろもろの天下の大海の水、 一人にしてこれを斗量せんになほ枯尽してその底泥を得べし。 仏智はかくのごとくならずと。
●仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若有リ↣疑↢意於仏所ニ↡耶。八方上下無窮无極無辺无*量ノ諸ノ天下ノ大海ノ水、一人ニシテ*斗↢量セムニ之ヲ↡尚可シ↣枯尽シテ得↢*其ノ底泥ヲ↡。仏智ハ*不ト↠如クナラ↠是クノ。
仏のたまはく、 わが見知するところのもろもろの已過去の仏、 わが名字釈迦文仏のごときもの、 また恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 もろもろの当来の仏、 わが名字のごときもまた恒水の辺の流沙のごとし。 はじめて作仏を求めんと欲するもの、 わが名字のごときもまた恒水の辺の流沙のごとし。
●仏言ク、我ガ所ノ↢見知スル↡諸ノ已過去ノ仏0162、如キ↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡者、復如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。諸ノ当来ノ仏、如キモ↢我ガ名字ノ↡亦如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ↡。甫*始テ欲スル↠求メムト↢作仏ヲ↡者、如キモ↢我ガ名字ノ↡亦如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ↡。
仏、 正坐してじきに南に向ひ南方を視見したまふに、 いま現在の仏、 わが名字のごときものもまた恒水の辺の流沙のごとし。 八方上下、 去・来・現在の諸仏、 わが名字のごときものも、 おのおの十恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 その数かくのごとし。 仏みなことごとくあらかじめこれを見知したまふと。
●仏正坐シテ直ニ南ニ向ヒ視↢見シタマフニ南方ヲ↡、今現在ノ仏、如キ↢我ガ名字ノ↡者モ復如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ↡。八方上下、去・来・現在ノ諸仏、如キ↢我ガ名字ノ↡者モ、各ノ如シ↢十恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。其ノ数如シ↠是クノ。仏皆悉ク*予メ見↢知シタマフト之ヲ↡。
仏のたまはく、 往昔過去無数劫よりこのかた、 一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万億劫のなかに仏まします。 もろもろの已過去の仏、 一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万億仏なり。 おのおのみづから名字ありて同じからず、 わが名字のごとくなるものあることなし。 はじめて当来する劫の、 一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万億劫のなかに仏まします。 一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万億仏なり。 おのおのみづから名字ありて同じからず。 時々にすなはち一仏のわが名字のごとくなるものあるのみ。
●仏言ク、往昔過*去無数劫ヨリ已来タ、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万億*劫ノ中ニ有ス↠仏。諸ノ已過去ノ仏、一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万*億仏ナリ。*各ノ自ラ有リテ↢名字↡不↠同ジカラ、無シ↠有ルコト↧如クナル↢我ガ名字ノ↡者↥。甫始テ当来スル劫ノ、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・億万*億劫*劫ノ中ニ有ス↠仏。一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万億仏ナリ。各各自ラ有リテ↢名字↡不↠同ジカラ。時時ニ乃チ有ル↣一仏ノ如クナルモノ↢我ガ名字ノ↡耳。
もろもろの八方上下の無央数の仏国、 いま現在の仏、 次に他方異国の一仏国・十仏国・百仏国・千仏国・万仏国・億仏国・億万億仏国のなかに仏まします。 おのおのみづから名字ありて多々にしてまた同じからず。 わが名字のごとくなるものなし。 八方上下の無央数の諸仏のなかに、 時々にすなはちわが名字のごとくなるものあるのみ。
●諸ノ八方上下ノ無央数ノ仏国、今現在ノ仏、次ニ他方*異国ノ一仏国・十仏国・百仏国・千仏国・万仏国・億仏国・億万億仏国ノ中ニ有ス↠仏。*各ノ自ラ有リテ↢名字↡*多多ニシテ復不↠同ジカラ。無シ↧如クナル↢我ガ名字ノ↡者↥。八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ中ニ、時時ニ乃チ有ル↠如クナルモノ↢我ガ名字ノ↡*爾。
八方上下、 去・来・現在、 その中間曠絶甚遠にして、 悠々迢々として、 無窮無極なり。 仏智亘然としてはなはだあきらかに、 古を探りいまを知り、 前に無窮を知り却に未然を覩る。 あらかじめ知ること極まりなく、 すべてまた計るべからず。 はなはだ無央数なり。 仏の威神尊明にしてみなことごとくこれを知ろしめす。 仏の智慧は道徳と合明し、 すべてよく仏の経道を問ひて窮め極むるものなし。 仏の智慧はつひに称量し尽すべからずと。
●八方上下、去・来・現在、其ノ中間曠絶甚遠ニシテ、悠悠*迢迢トシテ、无窮無極ナリ。仏智亘然0163トシテ甚ダ明カニ、探リ↠古ヲ知リ↠今ヲ、前ニ知リ↢無窮ヲ↡却ニ覩ル↢未然ヲ↡。*予メ知ルコト無ク↠極リ、都テ不↠可カラ↢復計フ↡。甚ダ无央数ナリ。仏ノ威神尊明ニシテ皆悉ク知ロシメス↠之ヲ。仏ノ智慧ハ道徳ト合明シ、都テ无シ↧能ク問ヒテ↢仏ノ経*道ヲ↡窮メ極ムル者↥。仏ノ智慧ハ終ニ不ト↠可カラ↢称量シ尽ス↡也。
阿難仏の言を聞きてすなはちおほきに恐怖し衣毛みな起ちて、 仏にまうしてまうさく、 われあへて仏所に疑意あるにあらず。
○阿難聞キテ↢仏ノ言ヲ↡即チ大ニ恐怖シ衣毛皆起チテ、白シテ↠仏ニ言ク、我不ズ↤敢テ有ルニ↣疑↢意於仏所ニ↡。
仏に問ひたてまつるゆゑは、 他方仏国にみな須弥山あり、 第一四天・第二忉利天、 みなこれによりて住止す。 われ恐らくは仏般泥洹の後、 もし諸天・人民、 もしは比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷ありて、 来りてわれに問はん、 阿弥陀仏の国はなにをもつてか独り須弥山あることなきや、 その第一四天・第二忉利天、 みななんらによりて住止するやと、 われまさにこれに答ふべし。
●所↢以問ヒタテマツル↟仏ニ者、他方*仏*国ニ皆有リ↢須弥山↡、第一四天・第二忉利天、皆依↢因テ之ニ↡住止ス。我恐クハ仏般泥洹ノ後、儻シ有リテ↢諸天・人民、若シハ比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、来リテ問ハム↠我ニ、阿弥陀仏ノ国ハ何ヲ以テカ独リ無キヤ↠有ルコト↢須弥山↡、其ノ第一四天王・第二忉利天、皆依↢因テ何等ニ↡住止スルヤト、我当ニ応シ↠答フ↠之ニ。
いま仏に問ひたてまつらずは、 仏去りたまひて後、 まさになんらの語を持ちてこれに報答すべき。 独り仏のみづからこれを知るのみ。 余の人はよくわがために解くものあることなからん。 これをもつてのゆゑに仏に問ひたてまつるのみと。
○今不ハ↠問ヒタテマツラ↠仏ニ者、仏去リタマヒテ後、当ニキ↧持チテ↢何等ノ語ヲ↡報↦答ス之ニ↥。独リ仏ノ自ラ知タマフ↠之ヲ*爾。*余ノ人ハ無カラム↠有ルコト↢能ク為ニ↠我ガ解ク者↡。以テノ↠是ヲ故ニ問ヒタテマツル↠仏ニ耳ト。
仏のたまはく、 阿難、 この第三焔天・第四兜術天上より第七梵天に至るまで、 みななんらによりて住止するやと。
○仏言ク、阿難、是ノ第三*焔天・第四兜術天上ヨリ至ルマデ↢第七梵天ニ↡、皆依↢因テ何等ニ↡住止スル乎ト。
阿難まうさく、 この諸天はみな自然に虚空のなかにありて住す。 虚空のなかにありて住止するによるところなし。
○阿難言ク、是ノ諸天ハ皆自然ニ在リテ↢虚空ノ中ニ↡住ス。在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止スルニ無シ↠所↢依因ル↡。
仏の威神はなはだ重し。 自然に所欲のごとく作為し、 意に作為するところあらんと欲すること、 あらかじめ計らず。 この諸天すらみななほ虚空のなかにありて住止す。 いかにいはんや仏の威神尊重にして、 作為するところあらんと欲するをやと。
○仏ノ威神甚ダ重シ。自然ニ所欲ノゴトク作為シ、意ニ欲スルコト↠有ラムト↠所↢作為スル↡、不↢*予メ計ラ↡。是ノ諸天スラ皆尚在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止ス。何ニ況ヤ仏ノ威神尊重ニシテ、欲スルヲ↠有ラムト↠所↢作為スル↡耶ト。
阿難仏の言を聞きてすなはちおほきに歓喜し、 長跪叉手してまうさく、 仏の智慧は八方上下、 去・来・現在の事を知りたまふこと、 無窮無極にして辺幅あることなし。 はなはだ高大妙絶、 快善極明にして好甚なること比びなし。 威神尊重にして当るべからずと。
●阿難聞キテ↢仏ノ言ヲ↡即チ大ニ歓喜シ、長跪叉手シテ言ク、仏ノ智慧ハ知リタマフコト↢八方上下、去・来・現在之事ヲ↡、無窮无0164極ニシテ無シ↠*有ルコト↢辺幅↡。甚ダ高大妙絶、快善極明ニシテ好甚ナルコト無シ↠比。威神尊重ニシテ不ト↠可カラ↠*当ル。
*阿弥陀経 巻上
延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ正倉院聖語藏本、 Ⓔ高田派専修寺蔵顕智上人書写本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒶⒷⒸⒹⒺ瑠 孤→Ⓔ狐
説→Ⓓ説[諸仏]
三…道12字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
耶→Ⓓ邪
巻 Ⓓになし
支→Ⓔ友
国 ⒶⒷⒸⒺになし
居士→Ⓒ優婆塞 ⒶⒷⒺになし
僧→ⒶⒷⒸⒺ僧[等]
合尸→Ⓓ舎屍
合→ⒶⒷⒸⒺ含
抵→ⒶⒸ坻→Ⓓ丘
迺→Ⓒ乃
抜→Ⓓ者
旃→Ⓓ栴
→Ⓓ甄
蠡→ⒶⒷⒸⒺ螺→Ⓓ黎
蠡→ⒶⒷⒸⒹⒺ螺
持→ⒷⒸ待
厲→Ⓓ属
漢 Ⓓになし
即→ⒶⒷⒸⒹⒺ却
令→ⒷⒸⒹ今
爾→ⒶⒷⒸⒹⒺ耳
到→Ⓓ致
如→ⒷⒸ知
大→Ⓔ太
已→Ⓓ以
者梨→Ⓔ耆黎
者→ⒶⒷⒸ耆
遰→ⒶⒷⒸⒹⒺ遮
抵→Ⓒ坻
屍→ⒶⒷⒸⒺ尸
滑→ⒶⒷⒸⒺ禍
抜→ⒷⒸ軷
署→ⒹⒺ暑
却→ⒶⒷⒸⒹⒺ却[住]
焔→Ⓓ炎
軟→Ⓔ煖
斗→Ⓔ升
夷→ⒶⒷⒸⒹ[楼]夷
結→ⒶⒺ経→Ⓓ径
経→Ⓓ径
諸→Ⓔ已(諸イ本と左傍註記)
已→Ⓔ諸(已イ本と左傍註記)
従→ⒶⒷⒸⒹⒺ行
何→ⒶⒷⒸⒹⒺ何[等]
犁→Ⓓ黎
自→ⒶⒷⒸⒹⒺ[極]自
比→◎皆
及 Ⓔになし
反→ⒶⒷⒸⒺ返
政→ⒶⒷⒸⒹⒺ正
犁→ⒶⒷⒹⒺ黎
斎…令17字 ◎Ⓔになし
生→ⒶⒷⒸⒹⒺ生[者]
姝→Ⓔ殊(姝と左傍註記)
皆→ⒶⒷⒸⒹⒺ比
中 Ⓔになし
所欲→Ⓓ欲所
予→ⒶⒷⒸⒺ預
愚痴→Ⓔ痴愚
倍→ⒷⒸ倍[勝]
徹→ⒷⒸ徹[聴]
禁→ⒶⒷⒸⒹ業
丈→Ⓔ尺(「本には丈」と左傍註記)
二→ⒶⒺ三
五→Ⓔ「七歟」と右傍註記
万→Ⓓ方
焔 ⒶⒷⒸⒺになし
焔→Ⓓ炎
ⒶⒷⒸⒺになし
潔→ⒶⒷⒸⒺ浄
姝→Ⓔ殊と上欄註記
傑→ⒶⒹⒺ桀
動→Ⓐ対
考→ⒶⒷⒸⒺ拷
支→Ⓔ友(支歟と右傍註記)
姝→Ⓔ殊
作礼仏→ⒶⒷⒸⒹⒺ礼仏作
子→ⒶⒷⒸⒹⒺ子[等]
則→ⒶⒷⒸⒹⒺ時
琥珀→Ⓓ虎魄
車→ⒷⒸ硨
→ⒶⒷⒸⒺ磲
倫→ⒶⒷⒸⒹⒺ輪
中 Ⓓになし
作→Ⓓ成
不→ⒶⒷⒸⒹⒺ[終]不
誡→ⒶⒷⒸⒺ誠
無→ⒶⒷⒸ無[有]
態 「ワザ災イ」と左傍註記
楽→ⒶⒺ喜
喜→ⒶⒺ楽
虎→ⒶⒷⒸⒹⒺ琥
珀→Ⓓ魄
車→ⒶⒷⒸⒺ硨磲
講→ⒶⒷⒸⒺ論
瓔珞→Ⓐ纓絡
瓔→Ⓓ絡
馬→ⒶⒷⒸⒺ碼
瑙→ⒶⒷⒸⒹⒺ碯
瓔珞→ⒶⒹ纓絡
馬→ⒶⒷⒺ碼→Ⓒ瑪
瑙→ⒶⒷⒹⒺ碯
弥→ⒶⒷⒸⒺ[阿]弥
清→ⒶⒷⒸⒺ清[浄]
池→Ⓓ浄
葉→ⒶⒷⒸ華
華→Ⓓ華[香]
駃→ⒷⒸ駛
積→ⒶⒷⒸⒺ積[聚]
類→ⒶⒷⒸⒺ状
王 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
倍→Ⓓ億
常→ⒶⒷⒸⒺ嘗
食 Ⓓになし
怔忪→Ⓐ征彸→Ⓓ佂伀
悾→ⒶⒺ控
抵→ⒷⒸ牴
素→Ⓔ索
誰→ⒶⒷⒸⒺ垂
痟→Ⓓ省
遣→◎匱
億万倍→Ⓓ万億
億 ⒶⒷⒸⒹになし
天 ⒶⒷⒹⒺになし
銀樹 ◎Ⓓになし
中→ⒶⒷⒸⒺ中[復]
虎→ⒶⒸⒺ琥
転→Ⓓになし
車→ⒶⒷⒸ硨磲→Ⓔ硨璖
異 ◎Ⓓになし
自 Ⓓになし
重→Ⓐ種
也 ⒶⒷⒸⒺになし
腋→Ⓓ掖
堕→Ⓔ随
反→ⒶⒷⒸⒺ返
意→Ⓔ音
幡→ⒶⒷⒸⒹⒺ翻
央→Ⓓ殃
傍→Ⓓ旁
周帀→Ⓓ用所
然 Ⓓになし
華→ⒶⒷⒸⒺ華[悉]
華 ⒶⒷⒸⒺになし
各 Ⓓになし
重→Ⓒ利
机→ⒶⒷⒸⒺ几
中→ⒶⒷⒸⒺ[鉢]中
酢→ⒶⒷⒸ醋
馬瑙→ⒶⒷⒸⒺ碼碯
皆→ⒶⒷⒸⒺになし
時 Ⓓになし
飲→Ⓔ飯
摩→ⒷⒸ靡
開→Ⓓ聞
反→ⒶⒷⒸⒺ返
三→◎二
如→ⒶⒷⒸⒺ而
可復→ⒶⒷⒸⒹⒺ復可
経→ⒶⒷⒸⒺ経[典]
通 Ⓓになし
劫→Ⓓ切
揵→Ⓒ犍
揵→ⒶⒸ犍
也 Ⓔになし
渧→ⒶⒷⒸⒺ滴
衆善 ⒶⒷⒸⒺになし
異→Ⓓ暴
宝→Ⓓ実
懈→Ⓓ息
飯→ⒶⒷⒸⒹⒺ飲
大→Ⓓ太
悉自→ⒶⒷⒸⒹⒺ自悉
駛→◎Ⓓ使→ⒶⒷ駚
→◎Ⓓ蓋
千→Ⓓ十
丈 Ⓔ尺歟と左傍註記
県 Ⓔ懸歟と左傍註記
光 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
却→ⒷⒸⒺ劫
却→Ⓓ劫
央→ⒷⒸ欲
已→Ⓓ以
人→◎入
陀→ⒶⒷⒸⒺ陀[仏]
浩→ⒶⒷⒸⒹⒺ浩[皓皓]
誰当→Ⓒ無有
数 Ⓔになし(数歟と左傍註記)
准→ⒶⒷⒸⒺ惟→Ⓓ唯
量→ⒶⒷⒸⒹⒺ幅
斗→ⒹⒺ升
其→ⒶⒷⒸⒹⒺ見
不→ⒶⒷⒸⒺ亦
始→Ⓓ如
去 Ⓓになし
劫→ⒶⒷⒸ劫[劫]→Ⓔ劫[億](億に之歟と左傍註記)
億→Ⓓ仏
各→ⒶⒷⒸⒺ各[各]
億 Ⓓになし
劫 Ⓓになし Ⓔ之歟と左傍註記
異→ⒶⒷⒸⒺ異[仏]
多→ⒶⒷⒸⒺ甚
迢迢→Ⓓ苔苔
道→Ⓓ窮
仏→Ⓓ他
国→ⒶⒷⒹⒺ国[中]
余→ⒶⒷⒸⒹⒺ[其]余
有 Ⓓになし
当→ⒶⒷⒸⒺ当[也]
阿→Ⓒ[仏説]阿