0249◎*仏説無量清浄平等覚経 巻*第三
*後漢月*氏国三蔵*支婁迦讖訳
二 Ⅲ ⅺ 光寿無量
【14】◎仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 無量清浄仏の項中の光明は極めて大明なり。 その日月・星辰はみな虚空のなかにありて住止すれども、 またまた廻転運行せず。 また精光あることなく、 その明みな蔽はれてまた現れず。 無量清浄仏の光明は国中を照らし、 および他方仏国を焔照して、 つねに大明にしてつひにまさに冥する時あることなし。
◎●仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、无量清浄仏ノ項中ノ光明ハ極テ大明ナリ。其ノ日月・星辰ハ皆在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止スレドモ、亦不↢復廻転運行セ↡。亦無ク↠有ルコト↢精光↡、其ノ明皆蔽ハレテ不↢復現レ↡。無量清浄仏ノ光明ハ照シ↢国中ヲ↡、及ビ焔↢照シテ他方仏国ヲ↡、常ニ大明ニシテ終ニ無シ↠有ルコト↢当ニ冥スル時↡也。
その国中には一日・二日もあることなし。 十五日・一月もあることなし。 五月・十月もあることなし。 五歳・十歳もあることなし。 百歳・千歳もあることなし。 万歳・億歳・億万歳・十億万歳もあることなし。 百千億万歳もあることなし。 千億億万歳もあることなし。 一劫・十劫もあることなし。 百劫・千劫もあることなし。 万劫・十万劫もあることなし。 千万劫もあることなし。 百千億万劫もあることなし。
●其ノ国中ニハ無シ↠有ルコト↢一日・二日モ↡也。無シ↠有ルコト↢十五日・一月モ↡也。無シ↠有ルコト↢五月・十月モ↡也。無シ↠有ルコト↢五歳・十歳モ↡也。无シ↠有ルコト↢百歳・千歳モ↡也。無シ↠有ルコト↢万歳・億歳・億万歳・十億万歳モ↡也。無シ↠有ルコト↢百千億万歳モ↡也。无シ↠有ルコト↢千億億万歳モ↡也。無シ↠有ルコト↢一劫・十劫モ↡也。無シ↠有ルコト↢百劫・千劫モ↡也。無シ↠有ルコト↢万劫・十万劫モ↡也。無シ↠有ルコト↢千万劫モ↡也。無シ↠有ルコト↢百千億万劫モ↡也。
仏のたまはく、 無量清浄仏の光明は、 光あきらかなること極まりなし。 無量清浄仏の光明は、 却後無数劫の無数劫、 かさねてまた無数劫の無数劫にも、 また計るべからざる劫々無央数にもつひにまさに冥すべき時あることなし。 無量清浄国土および諸天もつひに壊敗する時あることなし。 ゆゑはいかん。 無量清浄仏は寿命極めて長く、 国土もはなはだ好し。 ゆゑによくしかるのみ。 仏のたまはく、 無量清浄仏の尊寿は、 却後無数劫、 つねに央くることなく、 般泥洹の時なし。
●仏言ク、無量清浄仏ノ光明ハ、光明カナルコト無シ↠極リ。无量清浄仏ノ光明ハ、却後無数劫ノ无数劫、重ネテ復無数劫ノ无数劫ニモ、不↠可カラ↢復計ル↡劫劫無央数ニモ終ニ無シ↠有ルコト↢当ニキ↠冥ス時↡也。无量清浄国土及ビ諸天モ終ニ無シ↠有ルコト↢壊敗スル時↡也。所以0250者何ン。無量清浄仏ハ寿命極テ長ク、国土モ甚ダ好シ。故ニ能ク爾ル耳。仏言ク、無量清浄仏ノ尊寿ハ、*劫後無数劫、常ニ*无ク↠央クルコト、無シ↢般泥洹ノ時↡也。
無量清浄仏、 世間において教授し、 意に八方上下のもろもろの無央数の仏国の諸天・人民および蜎飛蠕動の類を過度せんと欲し、 みなその国に往生せしめ、 ことごとく泥洹の道を得しめんと欲す。 その諸有の菩薩となるものは、 みなことごとく作仏せしめんと欲し、 なりをはりてことごとくうたたまた八方上下の諸天・人民および蜎飛蠕動の類を教授せしめ、 みなまたことごとく作仏を得しめんと欲す。
●無量清浄仏於テ↢世間ニ↡教授シ、意ニ欲シ↣*過↢度セムト八方上下ノ諸ノ无央数ノ仏国ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆欲ス↧使メ↣往↢生セ其ノ国ニ↡、悉ク令メムト↞得↢泥洹之道ヲ↡。其ノ諸有ノ作ル↢菩薩ト↡者ハ、皆欲シ↠令メムト↢悉ク作仏セ↡、*作リ已リテ悉ク令メ↣転タ復教↢授セ八方上下ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲ↡、皆復欲ス↠令メムト↣悉ク得↢作仏ヲ↡。
作仏の時、 また無央数の諸天・人民・蠕動の類を教授して、 みな泥洹の道を得て去らしむ。 もろもろの教授すべきところの弟子を展転してまたあひ教授し、 うたたあひ度脱して須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏道を得しむるに至る。
●*作仏ノ時、復教↢授シテ無央数ノ諸天・人民・蠕動之類ヲ↡、皆令ム↧得テ↢泥洹ノ道ヲ↡去ラ↥。諸ノ所ノ↠可キ↢教授ス↡弟子ヲ者展転シテ復相教授シ、転タ相度脱シテ至ル↠令ムルニ↠得↢須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏道ヲ↡。
うたたあひ度脱してみな泥洹の道を得ることことごとくかくのごとくなれども、 無量清浄仏つねにいまだ般泥曰を欲したまはず。 無量清浄仏の脱度したまふところ展転してかくのごとし。 また住すること無数劫の無数劫、 不可復計劫にもつひに般泥洹の時あることなし。
●転タ相度脱シテ皆得ルコト↢泥洹之道ヲ↡悉ク如クナレドモ↠是クノ、無量清浄仏常ニ未ダ↠欲シタマハ↢般*泥曰ヲ↡也。无*量*清浄仏ノ所↢*脱度シタマフ↡展転シテ如シ↠是クノ。復住スルコト無数劫ノ無数劫、不可復計劫ニモ終ニ無シ↠有ルコト↢般泥洹ノ時↡也。
▼八方上下の無央数の諸天・人民・蜎飛蠕動の類、 その無量清浄仏国に生ずるもの、 また勝げて数ふべからず。 もろもろの阿羅漢となりて泥洹の道を得るものもまた無数劫にして、 すべてまた計ふべからず。 無量清浄仏の恩徳、 もろもろの布施したまふところ、 八方上下無窮無極、 甚深大無量にして快善なることいふべからず。
●八方上下ノ無央数ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類、其ノ生ズル↢無量清浄仏国ニ↡者、不↠可カラ↢復勝ゲテ数フ↡。諸ノ作リテ↢阿羅漢ト↡得ル↢泥洹之道ヲ↡者モ亦無央数ニシテ、都テ不↠可カラ↢復計フ↡也。無量清浄仏ノ恩徳、諸ノ所↢布施シタマフ↡、八方上下無窮無極、甚深大無量ニシテ快善ナルコト不↠可カラ↠言フ也。
無量清浄仏の智慧教授、 出したまふところの経道、 八方上下のもろもろの無央数の天上・天下に布告すること、 はなはだ多くして原ねず。 その経巻の数はなはだ大衆にして、 また計ふべからず。 すべて極まりなしと。
●無量清浄仏ノ智慧教授、所ノ↠出シタマフ経道0251、布↢告スルコト八方上下ノ諸ノ無央数ノ天上・天下ニ↡、甚ダ多クシテ不↠原ネ。其ノ経巻ノ数甚ダ大衆ニシテ、不↠可カラ↢復計フ↡。都テ無シト↠極リ也。
仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 なんぢ無量清浄仏の寿命無極の時を知らんと欲するやいなやと。 阿逸菩薩まうさく、 願はくはみなこれを聞知せんと欲すと。
○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、若欲スルヤ↠知ラムト↢無量清浄仏ノ寿命無極ノ時ヲ↡不ヤト也。阿逸菩薩言ク、願クハ皆欲スト↣聞↢知セムト之ヲ↡。
仏のたまはく、 あきらかに聴け、 ことごとく八方上下のもろもろの無央数の仏国のなかの諸天・人民・蜎飛蠕動の類をしてみな人道を得しめ、 ことごとく辟支仏・阿羅漢とならしめて、 ともに坐禅一心にすべてその智慧を合して一となし、 勇猛にともに無量清浄仏の寿命を計り知り、 寿幾千億万劫の歳数を知らんと欲すとも、 みなよく計へ知り無量清浄仏の寿を極むるものあることなしと。
○仏言ク、明カニ聴ケ、悉ク令テ↢八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏国ノ中ノ諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↡皆使メ↠得↢人道ヲ↡、悉ク令メテ↠作ラ↢辟支仏・阿羅漢ト↡、共ニ坐禅一心ニ都テ合シテ↢其ノ智慧ヲ↡為シ↠一ト、勇猛ニ共ニ欲ストモ↧計ヘ↢知リ無量清浄仏ノ寿命ヲ↡、知ラムト↦寿幾千億万劫ノ歳数ヲ↥、皆無シト↠有ルコト↧能ク計ヘ知リ極ムル↢無量清浄仏ノ寿ヲ↡者↥也。
仏のたまはく、 また他方面のおのおの千須弥山の仏国のなかの諸天・人民および蜎飛蠕動の類をして、 みなまた人道を得しめ、 ことごとく辟支仏・阿羅漢とならしめ、 みな坐禅一心ならしめともにその智慧を合してすべて一となし、 勇猛にともに無量清浄仏の国中のもろもろの菩薩・阿羅漢を数へて千億万人か計せんと欲して、 みなよく数ふるものあることなからん。
○仏言ク、復令メ↧他方面ノ各ノ千須弥山ノ仏国ノ中ノ諸天・人民及ビ蜎飛蠕動之類ヲシテ、皆復得↦人道ヲ↥、悉ク令メ↠作ラ↢辟支仏・阿羅漢ト↡、皆令メ↢坐禅一心ナラ↡共ニ合シテ↢其ノ智慧ヲ↡都テ為シ↠一ト、勇猛ニ共ニ欲シテ↧数ヘテ↢無量清浄仏ノ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡計セムト↦千億万人カ↥、皆無カラム↠有ルコト↢能ク数フル者↡也。
仏のたまはく、 無量清浄仏の年寿ははなはだ長久にして浩々なり。 浩々照明として善く、 甚深にして極まりなく底なし。 たれかまさによくそれを信知すべけんものや。 独り仏のみづから知りたまふのみと。
○仏言ク、無量清浄仏ノ年寿ハ甚ダ長久ニシテ*浩浩ナリ。浩浩照明トシテ善ク、甚深ニシテ無ク↠極リ無シ↠底。誰カ当ニケム↣能ク信↢知ス其ヲ↡者乎。独リ仏ノ自ラ知リタマフ耳ト。
阿逸菩薩、 仏の言を聞きてすなはちおほきに歓喜し、 長跪叉手してまうさく、 仏、 無量清浄仏の寿命の甚長、 威神の大、 智慧光明の巍々として快善なることを説きたまふことすなはち独りかくのごときやと。
●阿逸菩薩聞キテ↢仏ノ言ヲ↡*即チ大ニ歓喜シ、長跪叉手シテ言ク、仏説キタマフコト↢無量清浄*仏ノ寿命ノ甚長、威神ノ大、智慧光明ノ巍巍トシテ快善ナルコトヲ↡乃チ独リ如キ↠是クノ乎ト。
仏のたまはく、 無量清浄仏そのしかうして後に至りて般泥洹したまはば、 その*楼亘菩薩すなはちまさに作仏して道智典主を総領し、 世間八方上下に過度せんとするところの諸天・人民・蜎飛蠕動の類を教授して、 仏泥洹の道を得しむ。 その善福徳まさにまた大師無量清浄仏のごとくなることを得べし。 住止すること無央数劫の無央数劫、 不可復計劫の不可復計劫なり。 大師に准法して、 しかうしてすなはち般泥曰す。
●仏言ク、無量清浄仏至リテ↢其ノ然シテ後ニ↡般泥*洹シタマハバ者、其ノ楼亘菩薩便チ当ニ作仏テ総↢領シ道智典0252主ヲ↡、教↧授シテ世間八方上下ニ所ノ↢過度セムトスル↡諸天・人民・蜎飛蠕動之類ヲ↥、皆令ム↠得↢仏泥洹之道ヲ↡。其ノ善福徳当ニシ↠得↣復如クナルコトヲ↢大師無量清浄仏ノ↡。住止スルコト無央数劫ノ無央数劫、不可復計劫ノ不可復計劫ナリ。*准↢法シテ大師ニ↡、爾シテ乃チ般泥曰ス。
その次に*摩訶那鉢菩薩まさにまた作仏して智慧を典主し、 教授を都総して、 過度するところ福徳もまさにまた大師無量清浄仏のごとくなるべし。 止住すること無央数劫にして、 つねにまた般泥洹せず。 展転相承して経道を受くることはなはだあきらかにして、 国土極善なり。 その法かくのごとくにして、 つひに断絶あることなく、 極むべからずと。
●其ノ次ニ摩訶那鉢菩薩当ニ復作仏シテ典↢主シ智慧ヲ↡、都↢総シテ教授ヲ↡、所↢過度スル↡福徳モ当ニシ↣復如クナル↢大師無量清浄仏ノ↡。止住スルコト无央数劫ニシテ、*常ニ復不↢般泥洹セ↡。展転相承シテ受クルコト↢経道ヲ↡*甚ダ明カニシテ、国土極善ナリ。其ノ法如クニシテ↠是クノ、終ニ无ク↠有ルコト↢断絶↡、不ト↠可カラ↠極ム也。
二 Ⅲ ⅻ 国土殊妙
【15】阿難長跪叉手して仏に問ひたてまつりてまうさく、 仏、 無量清浄仏の国中には須弥山あることなしと説きたまはば、 その第一四天王・第二忉利天、 みななんらによりて住止するや。 願はくはこれを聞かんと欲すと。
○阿難長跪叉手シテ問ヒタテマツリテ↠仏ニ言ク、仏説キタマハバ↢无量清浄仏ノ国中ニハ無シト↟有ルコト↢須弥山↡者、其ノ第一四天王・第二忉利天、皆依↢因リテ何等ニ↡住止スル乎。願クハ欲スト↠聞カムト↠之ヲ。
仏、 阿難に告げたまはく、 なんぢ仏所に疑意ありや。 八方上下無窮無極にして辺幅あることなきそのもろもろの天下の大海の水、 一人してこれを升量せんになほ枯尽してその底を得べし。 仏智もまたかくのごとし、 八方上下に無窮無極にして辺幅あることなし。
●仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、若有リ↣疑↢意於仏所ニ↡耶。八方上下無窮无極ニシテ無キ↠有ルコト↢辺幅↡其ノ諸ノ天下ノ大海ノ水、一人シテ*升↢量セムニ之ヲ↡尚可シ↣枯尽シテ得↢其ノ底ヲ↡。仏智モ亦如シ↠是クノ、八方上下ニ無窮无極ニシテ無シ↠有ルコト↢辺幅↡。
仏のたまはく、 わが智慧の知見するところのもろもろの已過去の仏、 わが名字釈迦文仏のごとくなるもの、 また恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 はじめてもろもろの来りて作仏を求めんと欲するもの、 わが名字釈迦文仏のごとくなるもの、 また恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。
●仏言ク、我ガ智慧ノ所ノ↢知見スル↡諸ノ已過去ノ仏、如クナル↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡者、復如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。甫始テ諸ノ来リテ欲スル↠求メムト↢作仏ヲ↡者、如クナル↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡者、復如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。
仏、 正坐してじきに南に向ひ南方を視見したまふに、 いま現在の仏、 わが名字釈迦文仏のごとくなるものも、 また恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 八方上下、 去・来・現在の諸仏、 わが名字釈迦文仏のごとくなるもの、 おのおの十恒水の辺の流沙の一沙を一仏とするがごとし。 その数かくのごとくなるも、 仏みなことごとくあらかじめこれを見知したまふと。
●仏正坐シテ直ニ南ニ向ヒ視↢見シタマフニ南方ヲ↡、今現在ノ仏、*如クナル↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡者モ、復如シ↢恒水ノ辺ノ流沙ノ一0253沙ヲ一仏トスルガ↡。八方上下、去・来・現在ノ諸仏、*如クナル↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡者、各ノ如シ↢十恒水ノ辺ノ流沙ノ一沙ヲ一仏トスルガ↡。其ノ数如クナルモ↠是クノ、仏皆悉ク予メ見↢知シタマフト之ヲ↡。
仏のたまはく、 往昔過去無央数劫よりこのかた、 一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・万億劫・億万劫の劫のなかに仏まします。 もろもろの已過去の仏、 一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万仏のなかに仏ましまして、 仏おのおのみづから名字あり。 名字あひ同類ならざるに、 わが名字のごとくなるものあることなし。 はじめて当来する劫のもろもろの当来の仏、 一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・万億劫・億万劫の劫のなかに一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万仏まします。 なかに仏ましまして、 仏おのおのみづから名字あり。 名字おのおの異にして同じからざるに、 諸仏の名字、 時にすなはち一仏のわが名字釈迦文仏のごとくなるものあるのみ。
●仏言ク、往昔過去无央数劫ヨリ已来タ、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・万億劫・億万劫ノ劫ノ中ニ有ス↠仏。諸ノ已過去ノ仏、一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・億仏・億万仏ノ中ニ有シテ↠仏、仏各各自ラ有リ↢名字↡。名字不ルニ↢相同類ナラ↡、無シ↠有ルコト↧如クナル↢我ガ名字ノ↡者↥。甫始テ当来スル劫ノ諸ノ当来ノ仏、一劫・十劫・百劫・千劫・万劫・億劫・万億劫・億万劫ノ劫ノ中ニ有ス↢一仏・十仏・百仏・千仏・万仏・万億仏・億万仏↡。中ニ有シテ↠仏、仏各ノ自ラ有リ↢名字↡。名字各ノ異ニシテ不ルニ↠同ジカラ、諸仏ノ名字、時ニ乃チ有ル↣一仏ノ如クナルモノ↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡耳。
もろもろの八方上下の無央数の仏国、 いま現在の仏、 次に他方異仏国の一仏国・十仏国・百仏国・千仏国・万仏国・億仏国・万億仏国・億万仏国、 仏国のなかに仏まします。 おのおのみづから名字あり。 名字おのおの異にして多々なるにまた同ずべからずして、 わが名字のごとくなるものあることなし。 八方上下の無央数の諸仏のなかに、 時々にすなはちわが名字釈迦文仏のごとくなるものあるのみ。
●諸ノ八方上下ノ無央数ノ仏国、今現在ノ仏、次ニ他方異仏国ノ一仏国・十仏国・百仏国・千仏国・万仏国・億仏国・万億仏国・億万仏国、仏国ノ中ニ有ス↠仏。各各自ラ有リ↢名字↡。名字各ノ異ニシテ多多ナルニ復不シテ↠可カラ↠同ズ、無シ↠有ルコト↧如クナル↢我ガ名字ノ↡者↥。八方上下ノ無央数ノ諸仏ノ中ニ、時時ニ乃チ有ル↠如クナルモノ↢我ガ名字釈迦文仏ノ↡耳。
八方上下、 去・来・現在、 その中間曠絶甚遠にして、 悠々として無窮無極なり。 仏智亘然としてはなはだあきらかに、 古を採りいまを知り、 前に無窮を知り却に未然を覩る。 あらかじめ知ること極まりなく、 すべてまた計るべからず。 はなはだ無央数なり。 仏の威神尊明にしてみなことごとくこれを知ろしめす。 仏の智慧は道徳と合明し、 すべてよく仏の経道を問ひて窮め極むるものあることなし。 仏の智慧はつひに斗量し尽くすべからずと。
●八方上下、去・来・現在、其ノ中間曠絶甚遠ニシテ、悠悠トシテ无窮无極ナリ。仏智亘然トシテ甚ダ明カニ、*採リ↠古ヲ知リ↠今ヲ、前ニ知リ↢無窮ヲ↡却ニ覩ル↢未然ヲ↡。予メ知ルコト无ク↠極リ、都テ不↠可カラ↢復計ル↡。甚ダ無0254央数ナリ。仏ノ威神尊明ニシテ皆悉ク知ロシメス↠之ヲ。仏ノ智慧ハ道徳ト合明シ、都テ无シ↠有ルコト↧能ク問ヒテ↢仏ノ経道ヲ↡窮テ極ムル者↥。仏ノ智慧ハ終ニ不ト↠可カラ↢斗量シ尽ス↡也。
阿難、 仏の言を聞きてすなはちおほきに恐怖し衣毛みな起つ。 阿難、 仏にまうしてまうさく、 われあへて仏所に疑意あるにあらず。
○阿難聞キテ↢仏ノ言ヲ↡則チ大ニ恐怖シ衣毛皆起ツ。阿難白シテ↠仏ニ言ク、我不ズ↪敢テ有ルニ↣疑↢意於仏所ニ↡也。
仏に問ひたてまつるゆゑは、 他方仏国にみな須弥山あり、 その第一四王天・第二忉利天、 みなこれによりて住止す。 われ恐らくは仏般泥曰の後、 もし諸天・人民もしは比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷ありて、 来りてわれに問はん、 無量清浄仏の国はなにをもつてか独り須弥山なきや、 その第一四王天・第二忉利天、 みななんらによりて住止するやと、 われまさにこれに応ふべし。
●所↢以ハ問ヒタテマツル↟仏ニ者、他方仏国ニ皆有リ↢須弥山↡、其ノ第一*四王天・第二忉利天、皆依↢因リテ之ニ↡住止ス。我恐クハ仏般泥曰ノ後、儻シ有リテ↢諸天・人民若シハ比丘*僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、来リテ問ハム↠我ニ、無量清浄仏ノ国ハ何ヲ以テカ独リ无キヤ↢須弥山↡、其ノ第一四*王天・第二忉利天、皆依↢因リテ何等ニ↡住止スル乎ト、我当ニ応シ↠答フ↠之ニ。
いまわれ仏に問ひたてまつらずは、 仏去りたまひて後、 われまさになんらの語を持ちてこれに答報すべきや。 独り仏のみみづからこれを知りたまふのみ。 その余の人はよくためにこれを解くものあることなからん。 これをもつてのゆゑに仏に問ひたてまつるのみと。
○今我不ハ↠問ヒタテマツラ↠仏ニ者、仏去リタマヒテ後、我当ニキ↧*持チテ↢何等ノ語ヲ↡*答↦報ス之ニ↥乎。独リ仏ノミ自ラ知リタマフ↠之ヲ耳。其ノ余ノ人ハ無カラム↠有ルコト↢能ク為ニ解ク↠之ヲ者↡。以テノ↠是ヲ故ニ問ヒタテマツル↠仏ニ耳ト。
仏のたまはく、 阿難、 なんぢが言は是なり。 第三焔天・第四兜率天上より第七梵天に至るまで、 みななんらによりて住止するやと。
○仏言ク、阿難、若ガ言ハ是也。第三焔天・第四兜率天上ヨリ至ルマデ↢第七梵天ニ↡、皆依↢因リテ何等ニ↡住止スル乎ト。
阿難のたまはく、 この諸天はみな自然に虚空のなかにありて住止す。 よるところなし。
○阿難言ク、是ノ諸天ハ皆自然ニ在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止ス。無シ↠所↢依因ル↡也。
仏のたまはく、 無量清浄仏の国に、 須弥山あることなきはまたかくのごとし。 第一四王天・第二忉利天、 みな自然に虚空のなかにありて住止するによるところなし。 仏のたまはく、 仏の威神はなはだ重し。 自在に所欲のごとく作為し、 意になすところあらんと欲すること、 あらかじめ計らず。 この諸天すらみなつねに自然に虚空のなかにありて住止す。 いかにいはんや仏の威神尊重にして、 作為せんと欲するところに自在なるをやと。
○仏言ク、無量清浄仏ノ国ニ、無キ↠有ルコト↢須弥山↡者亦如シ↠是クノ。第一四王天・第二忉利天、皆自然ニ在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止スルニ無シ↠所↢依因ル↡也。仏言ク、仏ノ威神甚ダ重シ。自在ニ所欲ノゴトク作為シ、意ニ欲スルコト↠有ラムト↠所↠作ス、不↢予メ計ラ↡也。是ノ諸天スラ皆常ニ自然ニ在リテ↢虚空ノ中ニ↡住止ス。何ニ況ヤ仏ノ威神尊重ニシテ、自↢在ナルヲ所ニ↟欲スル↢作為セムト↡乎ト。
阿難、 仏の言を聞きてすなはちおほきに歓喜し、 長跪叉手してまうさく、 仏の智慧は八方上下、 去・来・現在の事を知りたまふこと、 無窮無極にして辺幅あることなし。 はなはだ高大妙絶、 快善極明にして好甚なること比びなし。 威神尊重にして当るべからずと。
●0255阿難聞キテ↢仏ノ言ヲ↡則チ大ニ歓喜シ、長跪叉手シテ言ク、仏ノ智慧ハ知リタマフコト↢八方上下、去・来・現在之事ヲ↡、无窮無極ニシテ无シ↠有ルコト↢辺幅↡。甚ダ高大妙絶、快善極明ニシテ好甚ナルコト無シ↠比。威神尊重ニシテ不ト↠可カラ↠当ル也。
二 Ⅳ 往生因果
ⅰ 衆生往生
【16】仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 それ世間の人民もしは善男子・善女人、 無量清浄仏国に往生せんと欲願するものに三輩あり、 功徳をなすに大小あり、 うたたあひ及ぶことあたはず。
○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、其レ世間ノ人民若シハ善男子・善女人、欲↣願スル往↢生セムト無量清浄仏国ニ↡者ニ有リ↢三輩↡、作スニ↢功徳ヲ↡有リ↢大小↡、転タ不↠能ハ↢相及ブコト↡。
仏のたまはく、 なんらをか三輩となす。 その最上の第一輩とは、 まさに家を去り妻子を捨て愛欲を断じ行じて沙門となり、 無為の道に就きてまさに菩薩道をなし、 六波羅蜜経を奉行するものなり。 沙門となりてまさに経戒を虧失せず、 慈心をもつて精進しまさに瞋怒せず、 まさに女人と交通せず、 斎戒清浄にして心に貪慕するところなく、 至精に願じて無量清浄仏国に生ぜんと欲し、 まさに念じて至心にして断絶せざれば、
○仏言ク、何等ヲカ為ス↢三輩ト↡。其ノ最上ノ第一輩ト者、当ニ去リ↠家ヲ捨テ↢妻子ヲ↡断ジ↢愛欲ヲ↡行ジテ作リ↢沙門ト↡、就キテ↢無為ノ道ニ↡当ニ作シ↢菩薩道ヲ↡、奉↢行スル六波羅蜜経ヲ↡者ナリ。作リテ↢沙門ト↡不↣当ニ虧↢失セ経戒ヲ↡、慈心ヲモテ精進シ不↢当ニ瞋怒セ↡、不↧当ニ与↢女人↡交通セ↥、斎戒清浄ニシテ心ニ無ク↠所↢貪慕スル↡、至精ニ願ジテ欲シ↠生ゼムト↢無量清浄仏国ニ↡、当ニ念ジテ至心ニシテ不レバ↢断絶セ↡者、
その人すなはち今世に道を求むる時、 すなはちみづからその臥睡のなかにおいて、 夢に無量清浄仏およびもろもろの菩薩・阿羅漢を見たてまつり、 その人寿命終らんと欲する時、 無量清浄仏すなはちみづからもろもろの菩薩・阿羅漢とともに翻飛行してこれを迎ふ。
○其ノ人便チ今世ニ求ムル↠道ヲ時、則チ自ラ於テ↢其ノ臥睡ノ中ニ↡、夢ニ見タテマツリ↢無量清浄仏及ビ諸ノ菩薩・阿羅漢ヲ↡、其ノ人寿命欲スル↠終ラムト時、无量清浄仏則チ自ラ与↢諸ノ菩薩・阿羅漢↡共ニ翻飛行シテ迎フ↠之ヲ。
すなはち無量清浄仏国に往生し、 すなはち七宝水池の蓮華のなかより化生して、 すなはち自然に身を受け、 長大してすなはち阿惟越致の菩薩となり、 すなはちもろもろの菩薩とともに番輩飛行して八方上下のもろもろの無央数の仏を供養したてまつり、 すなはち智慧勇猛にして、 楽ひて経道を聴き、 その心歓喜す。 所居の七宝の舎宅虚空のなかにありて、 ほしいままにその意に随ひて所欲のごとくありて作為して、 無量清浄仏を去ること近しと。
○則チ往↢生シ無量清浄仏国ニ↡、便チ於リ↢七宝水池ノ蓮華ノ中↡化生シテ、則チ自然ニ受ケ↠身ヲ、長大シテ則チ作リ↢阿惟越致ノ菩薩ト↡、便則チ与↢諸ノ菩薩↡共ニ*番輩飛行シテ供↢養シタテマツリ八方上下ノ諸ノ無央数ノ仏ヲ↡、則チ智慧勇猛ニシテ、楽ヒテ聴キ↢経道ヲ↡、其ノ心歓楽ス。所居ノ七宝ノ舎宅在リテ↢虚空ノ中ニ↡、恣0256ニ随ヒテ↢其ノ意ニ↡在リテ↢所欲ノゴトク↡作為シテ、去ルコト↢無量清浄仏ヲ↡近シト。
仏のたまはく、 もろもろの無量清浄仏国に往生せんと欲するもの、 精進して経戒を持ち、 かくのごときの上法を奉行すれば、 無量清浄仏国に往生するもの、 衆のために尊敬せらるることを得べし。 これを上の第一輩となすと。
○仏言ク、諸ノ欲スル↣往↢生セムト無量清浄仏国ニ↡者、精進シテ持チ↢経戒ヲ↡、奉↢行スレバ如キノ↠是クノ上法ヲ↡者、往↢生スル無量清浄仏国ニ↡者、可シ↠得↣為ニ↠衆ノ所ルルコトヲ↢尊敬セ↡。是ヲ為スト↢上ノ第一輩ト↡。
【17】仏のたまはく、 その中輩とは、 その人願じて無量清浄仏国に往生せんと欲するに、 家を去て妻子を捨て愛欲を断じ行じて沙門となることあたはざるものといへども、
○仏言ク、其ノ中輩ト者、其ノ人願ジテ欲スルニ↣往↢生セムト无量清浄仏国ニ↡、雖モ↩不ル↠能ハ↧去リテ↠家ヲ捨テ↢妻子ヲ↡断ジ↢愛欲ヲ↡行ジテ作ルコト↦沙門ト↥者ト↨、
まさに経戒を持ちて虧失を得ることなく、 ますます分檀布施をなして、 つねに仏語の深きことを信受し、 まさに至誠忠信をなして、 沙門に飯食せしめ、 しかうして仏寺を作り塔を起て、 香を焼き華を散らし灯を然し、 雑繒綵を懸く。 かくのごときの法のもの、 適貪するところなく、 まさに瞋怒せず、 斎戒清浄に、 慈心をもつて精進し、 欲念を断じて、
○当ニ持チテ↢経戒ヲ↡无ク↠得ルコト↢虧失ヲ↡、益マス作シテ↢分檀布施ヲ↡、*常ニ信↢受シ仏語ノ深キコトヲ↡、当ニ作シテ↢至誠忠信ヲ↡、飯↢食セシメ沙門ニ↡、而シテ作リ↢仏寺ヲ↡起テ↠塔ヲ、焼キ↠香ヲ散ラシ↠華ヲ然シ↠灯ヲ、懸ク↢雑繒綵ヲ↡。如キノ↠是クノ法ノ者、無ク↠所↢適貪スル↡、不↢当ニ瞋怒セ↡、斎戒清浄ニ、慈心ヲモテ精進シ、断ジテ↢欲念ヲ↡、
無量清浄仏国に往生せんと欲して、 一日一夜断絶せざれば、
○欲シテ↣往↢生セムト無量清浄仏国ニ↡、一日一夜不レバ↢断絶セ↡者、
その人今世において、 また臥睡夢中において無量清浄仏を見たてまつり、 その人寿尽きんと欲する時、 無量清浄仏すなはち化してその人をしてみづから無量清浄仏および国土を見しめたまふ。 無量清浄仏国に往生するものは、 智慧勇猛なることを得べしと。
○其ノ人於テ↢今世ニ↡、亦復於テ↢臥睡夢中ニ↡見タテマツリ↢無量清浄仏ヲ↡、其ノ人寿欲スル↠尽キムト時、无量清浄仏則チ化シテ令メタマフ↣其ノ人ヲシテ自ラ見↢無量清浄仏及ビ国土ヲ↡。往↢生スル无量清浄仏国ニ↡者ハ、可シト↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。
仏のたまはく、 その人施与を奉行することかくのごとし。 もしそれしかうして後なかごろまた悔いて、 心中に狐疑して、 分檀布施し諸善をなせば後世にその福を得ることを信ぜず、 無量清浄仏国あることを信ぜず、 その国中に往生することを信ぜず。 しかればその人念を続けて絶たざるに、 しばらくは信じしばらくは信ぜずして、 意志猶予して専拠するところなしといへども、 続けてその善願を結するを本と名づくれば、 続けて往生することを得。
●仏言ク、其ノ人奉↢行スルコト施与ヲ↡如シ↠是クノ者。若シ其レ然シテ後中ゴロ復悔イテ、心中ニ狐疑シテ、不↠信ゼ↧分檀布施シ作セバ↢諸善ヲ↡後世ニ得ルコトヲ↦其ノ福ヲ↥、不↠信ゼ↠有ルコトヲ↢无量清浄仏国↡、不↠信ゼ↣往↢生スルコトヲ其ノ国中ニ↡。雖モ↢爾レバ其ノ人続ケテ↠念ヲ不ルニ↠絶タ、蹔クハ信ジ暫クハ不シテ↠信ゼ、意志猶予シテ無シト↟所↢専拠スル↡、続ケテ結スルヲ↢其ノ善願ヲ↡*名クレバ↠本ト、続ケテ得↢往生スルコトヲ↡。
その人寿命病みて終らんと欲する時、 無量清浄仏すなはちみづから化して形像となり、 その人をして目にみづからこれを見しめたまふ。 口にまたいふことあたはざれども、 すなはち心中に歓喜し踊躍して、 意に念言すらく、 われますます斎して善をなすことを知らざりしを悔ゆ、 いままさに無量清浄仏国に生ずべしと。 その人すなはち心中に悔過す。 悔過すれば過差えて少くるも、 また及ぶところなし。 その人寿命終尽するに、 すなはち無量清浄仏国に生ずれども、 無量清浄仏の所に前み至ることを得ることあたはず。
●其ノ人寿命病ミテ欲スル↠終ラムト時、无量清浄0257仏則チ自ラ化シテ作リ↢形像ト↡、令メタマフ↢其ノ人ヲシテ目ニ自ラ見↟之ヲ。口ニ不レドモ↠能ハ↢復言フコト↡、便チ心中ニ歓喜シ踊躍シテ、意ニ念言スラク、我悔ユ↠不リシヲ↠知ラ↢益マス斎シテ作スコトヲ↟善ヲ、今当ニシト↠生ズ↢无量清浄仏国ニ↡。其ノ人則チ心中ニ悔過ス。悔過スレバ者過差エテ少クルモ、無シ↠所↢*復及ブ↡。其ノ人寿命終尽スルニ、則チ生ズレドモ↢無量清浄仏国ニ↡、不↠能ハ↠得ルコト↣前ミ至ルコトヲ↢无量清浄仏ノ所ニ↡。
すなはち道に無量清浄仏の国界の辺の自然七宝の城を見て、 心中にすなはちおほきに歓喜し、 道にその城中に止まる。 すなはち七宝の水池の蓮華のなかより化生して、 すなはち身を受け自然に長大す。 城中にあることこの間において五百歳なり。 その城の広縦おのおの二千里、 城中にもまた七宝の舎宅あり。
●便チ道ニ見テ↢無量清浄仏ノ国界ノ辺ノ自然七宝ノ城ヲ↡、心中ニ便チ大ニ歓喜シ、道ニ止ル↢其ノ城中ニ↡。則チ於リ↢七宝ノ水池ノ蓮華ノ中↡化生シテ、則チ受ケ↠身ヲ自然ニ長大ス。在ルコト↢城中ニ↡於テ↢是ノ間ニ↡五百歳ナリ。其ノ城ノ広縦各ノ二千里、城中ニモ亦有リ↢七宝ノ舎宅↡。
舎宅のなかに自然に内外にみな七宝の浴池あり。 浴池のなかにもまた自然の華ありて繞れり。 浴池の上にまた七宝樹ありて重なり行び、 みなまた五つの音声をなせり。 その飲食する時は前にまた自然の食あり、 百味を具したる食なり。 所欲のごとくありて得。 その人城中において快楽あり。 その城中たとへば第二忉利天上の自然のもののごとし。
●舎宅ノ中ニ自然ニ内*外ニ皆有リ↢七宝ノ浴池↡。浴池ノ中ニモ亦有リテ↢自然ノ華↡繞レリ。浴池ノ上ニ亦有リテ↢七宝樹↡重ナリ行ビ、皆復作セリ↢五ノ音声ヲ↡。其ノ飲食スル時ハ前ニ亦有リ↢自然ノ食↡、具シタル↢百味ヲ↡食ナリ。在リテ↢所欲ノゴトク↡得。其ノ人於テ↢城中ニ↡快楽アリ。其ノ城中比ヘバ如シ↢第二忉利天上ノ自然之物ノ↡。
▼その人城中より出づることを得ることあたはず。 また無量清浄仏を見たてまつることを得ることあたはず、 ただその光明を見たてまつりて、 心中にみづから悔責し踊躍して喜ぶのみ。 また経を聞くことを得ることあたはず。 またもろもろの比丘僧を見ることを得ることあたはず。 また無量清浄仏の国中のもろもろの菩薩・阿羅漢の状貌はなんらの類なるかを見知することを得ることあたはず。 その人すなはちかくのごとくして小適なるのみ。
●其ノ人於リ↢城中↡不↠能ハ↠得ルコト↠出ヅルコトヲ。復不↠能ハ↠得ルコト↠見タテマツルコトヲ↢無量清浄仏ヲ↡、但見タテマツリテ↢其ノ光明ヲ↡、心中ニ自ラ悔責シ踊躍シテ喜ブ耳。亦復不↠能ハ↠得ルコト↠聞クコトヲ↠経ヲ。亦復不↠能ハ↠得ルコト↠見ルコトヲ↢諸ノ比丘僧ヲ↡。亦復不↠能ハ↠得ルコト↣見↢知スルコトヲ無量清浄仏ノ国中ノ諸ノ菩薩・阿羅漢ノ状貌ハ何等ノ類ナルカヲ↡。其ノ人若チ如クシテ↢是比ノ↡而小適ナル耳。
仏またしからしむるにあらず、 身のもろもろの所作、 自然にこれを得るなり。 みな心にみづから趣向して道にその城中に入りしなり。 その人もと宿命に道を求めし時、 心口おのおの異にして言念誠なく、 仏経を狐疑して、 またこれを信向せず、 まさに自然に悪道のなかに入るべし。 無量清浄仏哀愍して、 威神をもつてこれを引きて去らしめたまふのみ。
●仏亦不ズ↠使ムルニ↠爾ラ、身ノ諸ノ所作、自然ニ得ルナリ↠之ヲ。皆心ニ自ラ趣向シテ道ニ入リシナリ↢其ノ城中ニ↡。其ノ人本宿0258命ニ求メシ↠道ヲ時、心口各ノ異ニシテ言念無ク↠誠、狐↢疑シテ仏経ヲ↡、復不↣信↢向セ之ヲ↡、当ニシ↣自然ニ入ル↢悪道ノ中ニ↡。無量清浄仏哀愍シテ、威神ヲモテ引キテ↠之ヲ去ラシメタマフ耳。
その人城中において五百歳にして、 すなはち出でて無量清浄仏の所に往至して経を聞くことを得るも、 心開解せず、 またもろもろの菩薩・阿羅漢の比丘僧のなかにありて、 経を聴きてもつて去ることを得ず。 所居の処の舎宅地にありて、 舎宅をして意に随ひて高大にして虚空のなかにあらしむることあたはず。 また無量清浄仏を去ることはなはだおほきに遠くして、 無量清浄仏に近附したてまつることを得ることあたはず。 その人智慧あきらかならず、 経を知ることもまた少なくして、 心歓楽せず、 意開解せず。
●其ノ人於テ↢城中ニ↡五百歳ニシテ、乃チ得ルモ↧出デテ往↢至シテ無量清浄仏ノ所ニ↡聞クコトヲ↞経ヲ、心不↢開解セ↡、亦復不↠得↧在リテ↢諸ノ菩薩・阿羅漢ノ比丘僧ノ中ニ↡、聴キテ↠経ヲ以テ去ルコトヲ↥。所居ノ処ノ舎宅在リテ↠地ニ、不↠能ハ↠令ムルコト↣舎宅ヲシテ随ヒテ↠意ニ高大ニシテ在ラ↢虚空ノ中ニ↡。復去ルコト↢無量清浄仏ヲ↡甚ダ大ニ遠クシテ、不↠能ハ↠得ルコト↣近↢附シタテマツルコトヲ无量清浄仏ニ↡。其ノ人智慧不↠明カナラ、知ルコトモ↠経ヲ復少クシテ、心不↢歓楽セ↡、意不↢開解セ↡。
その人久々にまたみづからまさに智慧開解して経を知ること明健勇猛なるべくして、 心まさに歓楽すべし。 次いでまさにまた上の第一輩のごとくなるべし。 ゆゑはいかん。 その人ただその前世宿命に道を求めし時、 おほきに斎戒を持たず、 経法を虧失し、 心意狐疑なるによりて、 仏語を信ぜず、 仏経の深きことを信ぜず、 分檀布施して善をなせば後世にその福を得べきことを信ぜず、 また中悔して無量清浄仏に往生することを信ぜざるによりて、 徳をなすこと至心ならず、 これをもつてのゆゑに第二の中輩となすと。
●其ノ人久久ニ亦自ラ当ニクシテ↢智慧開解シテ*知ルコト↠経ヲ明健勇猛ナル↡、心当ニシ↢歓楽ス↡。次イデ当ニシ↣復如クナル↢上ノ第一輩ノ↡。所以者何ン。其ノ人但坐リテ↧其ノ前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時、不↣大ニ持タ↢斎戒ヲ↡、虧↢失シ経法ヲ↡、心意狐疑ナルニ↥、不↠信ゼ↢仏語ヲ↡、不↠信ゼ↢仏経ノ深キコトヲ↡、不↠信ゼ↢分檀布施シテ作セバ↠善ヲ後世ニ当キコトヲ↟得↢其ノ福ヲ↡、復坐リテ↢中悔シテ不ルニ↟信ゼ↣往↢生スルコトヲ无量清浄仏国ニ↡、*作スコト↠徳ヲ不↢至心ナラ↡、用テノ↠是ヲ故ニ為スト↢第二ノ中輩ト↡。
【18】仏のたまはく、 その三輩とは、 その人願じて無量清浄仏国に生ぜんと欲すれども、 もしは分檀布施を用ゐるところなく、 また香を焼き華を散らし灯を然し、 繒綵を懸け、 仏寺を作り塔を起て、 沙門に飲食せしむることあたはざるものは、 まさに愛欲を断じて貪慕するところなく、 慈心をもつて精進し、 まさに瞋怒せず、 斎戒清浄なるべし。
○仏言ク、其ノ三輩ト者、其ノ人願ジテ欲スレドモ↠生ゼムト↢无量清浄仏国ニ↡、若シハ無ク↠所↠用ヰル↢分檀布施ヲ↡、亦不ル↠能ハ↧焼キ↠香ヲ散ラシ↠華ヲ然シ↠灯ヲ、懸ケ↢繒綵ヲ↡、作リ↢仏寺ヲ↡起テ↠塔ヲ、飲↦食セシムルコト沙門ニ↥者ハ、○当ニ断ジテ↢愛欲ヲ↡无ク↠所↢貪慕スル↡、慈心ヲモテ精進シ、不↢当ニ瞋怒セ↡、斎戒清浄ナルベシ。
かくのごときの清浄なるもの、 まさに一心に念じて無量清浄仏国に生ぜんと欲し、 昼夜十日断絶せざれば、 寿終りてすなはち無量清浄仏国に往生して、 また尊極にして智慧勇猛なるべしと。
○如キノ↠是クノ清浄ナル者、当ニ一心ニ念0259ジテ欲シ↠生ゼムト↢無量清浄仏国ニ↡、昼夜十日不レバ↢断絶セ↡者、○寿終リテ則チ往↢生シテ無量清浄仏国ニ↡、可シト↢復尊極ニシテ智慧勇猛ナル↡。
仏のたまはく、 その人これをなして已後、 もしまたなかごろ悔ゆる心をなして、 意に狐疑を用ゐて、 善をなせば後世にまさにその福を得べきことを信ぜず、 無量清浄仏国に往生することを信ぜず。 その人しかりといへども、 続いて往生することを得。 その人の寿命病みて終らんと欲する時、 無量清浄仏すなはちその人をして臥睡夢中において無量清浄仏の国土を見せしめたまふ。
●仏言ク、其ノ人作シテ↠是ヲ已後、若シ復中ゴロ作シテ↢悔ユル心ヲ↡、意ニ用ヰテ↢狐疑ヲ↡、不↠信ゼ↢作セバ↠善ヲ後世ニ当ニキコトヲ↟得↢其ノ福ヲ↡、不↠信ゼ↣往↢生スルコトヲ無量清浄仏国ニ↡。其ノ人雖モ↠爾リト、続テ得↢往生スルコトヲ↡。其ノ人ノ寿命病ミテ欲スル↠終ラムト時、无量清浄仏則チ令メタマフ↧其ノ人ヲシテ於テ↢臥睡夢中ニ↡見↦無量清浄仏ノ国土ヲ↥。
その人心中に歓喜し、 意にみづから念言すらく、 われますます善をなすべきことを知らざりしを悔ゆ。 いままさに無量清浄仏国に生ずべしと。 その人ただ心にこれを念じて口にまたいふことあたはざれども、 すなはちみづから悔過す。 悔過すれば、 過差へて減少きも、 悔ゆるものまた及ぶところなし。 その人命終するに、 すなはち無量清浄仏国に生ずるも、 前み至ることを得ることあたはず。
●其ノ人心中ニ歓喜シ、意ニ自ラ念言スラク、我悔ユ↠不リシヲ↠知ラ↢益マス作スベキコトヲ↟善ヲ。今当ニシト↠生ズ↢无量清浄仏国ニ↡。其ノ人但心ニ念ジテ↠是ヲ口ニ不レドモ↠能ハ↢復言フコト↡、則チ自ラ悔過ス。悔過スレバ者、過差エテ減少キモ、悔ユル者无シ↠所↢復及ブ↡。其ノ人命終スルニ、則チ生ズルモ↢無量清浄仏国ニ↡、不↠能ハ↠得ルコト↢前ミ至ルコトヲ↡。
すなはち道に二千里の七宝の城を見て、 心中に独り歓喜し、 すなはちそのなかに止まりて、 また▼七宝の水池の蓮華のなかより化生し、 すなはち自然に長大す。 その城もまた前の城の法のごとく、 第二忉利天上の自然のもののごとし。 その人また城中において五百歳なり。 五百歳竟りてすなはち出づることを得て、 無量清浄仏の所に至り、 心中におほきに歓喜す。
●便チ道ニ見テ↢二千里ノ七宝ノ城ヲ↡、心中ニ独リ歓喜シ、便チ止リテ↢其ノ中ニ↡、復於リ↢七宝ノ水*池ノ蓮華ノ中↡化生シ、則チ自然ニ長大ス。其ノ城モ亦復如ク↢前ノ城ノ法ノ↡、*比シ↢第二忉利天上ノ自然之物ノ↡。其ノ人亦復於テ↢城中ニ↡五百歳ナリ。五百歳竟リテ乃チ得テ↠出ヅルコトヲ、至リ↢无量清浄仏ノ所ニ↡、心中ニ大ニ歓喜ス。
▼その人経を聴聞すれども、 心開解せず、 意歓喜せず、 智慧あきらかならず、 経を知ることまた少なし。 所居の舎宅地にありて、 舎宅をして意に随ひて高大にして虚空のなかにあらしむることあたはず。 また無量清浄仏を去ることまたこれ第二輩の狐疑のもののごとし。
●其ノ人聴↢聞スレドモ経ヲ↡、心不↢開解セ↡、意不↢歓喜セ↡、智慧不↠明カナラ、知ルコト↠経ヲ復少シ。所居ノ舎宅在リテ↠地ニ、不↠能ハ↠令ムルコト↣舎宅ヲシテ随ヒテ↠意ニ高大ニシテ在ラ↢虚空ノ中ニ↡。復去ルコト↢無量清浄仏ヲ↡亦復如シ↢*是第二輩ノ狐疑ノ者ノ↡。
その人久々にまたまさに智慧開解して経を知ること勇猛なるべくして、 心まさに歓楽すべし。 次いで上の第一輩のごとし。 ゆゑはいかん。 みな前世宿命に道を求めし時、 中悔狐疑し、 しばらくは信じしばらくは信ぜず、 善をなせば後その福徳を得ることを信ぜざるによりて、 みな自然にこれを得るのみ。 その功徳に鉉・不鉉することあるに随ひて、 おのおの自然に趣向す。 経を説き道を行ずること卓徳万殊にして、 超えてあひ及ばず。
●其ノ人久久ニ亦当ニクシテ↢智慧開解シテ知ルコト↠経ヲ勇猛ナル↡、心当ニシ↢歓*楽ス↡。次イデ如シ↢上ノ第一輩ノ↡也。所以0260者何ン。皆坐リテ↢前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時、中悔狐疑シ、暫クハ信ジ暫クハ不↠信ゼ、不ルニ↟信ゼ↣作セバ↠善ヲ後得ルコトヲ↢其ノ福徳ヲ↡、皆自然ニ得ル↠之ヲ耳。随ヒテ↣其ノ功徳ニ有ルニ↢鉉・不鉉スルコト↡、各ノ自然ニ趣向ス。説キ↠経ヲ行ズルコト↠道ヲ卓徳万殊ニシテ、超エテ不↢相及バ↡。
仏のたまはく、 それ求めて菩薩道をなして▼無量清浄仏国に生ぜんと欲するものは、 それしかうして後みなまさに阿惟越致の菩薩を得べし。 阿惟越致の菩薩は、 みなまさに三十二相・紫磨金色・八十種好あるべし。
○仏言ク、其レ欲スル↧求メテ作シテ↢菩薩道ヲ↡生ゼムト↦無量清浄仏国ニ↥者ハ、其レ然シテ後皆当ニシ↠得↢阿惟越致ノ菩薩ヲ↡。阿惟越致ノ菩薩者、皆当ニシ↠有ル↢三十二相・紫磨金色・八十種好↡。
みなまさに作仏して心の所願に随ふべし。 欲するがごとくありて、 何方の仏国において作仏し、 つひに泥犁・禽獣・薜荔に更らず。
○皆当ニシ↣作仏シテ随フ↢心ノ所願ニ↡。在リテ↠欲スルガゴトク、於テ↢何方ノ仏国ニ↡作仏シ、終ニ不↠更ラ↢泥*犁・禽獣・薜荔ニ↡。
それ精進し道を求むるに随ひて、 早晩の事々同等なるのみ。 道を求めて休まずは、 かならずまさにこれを得てその所欲の願を失せずと。
●随ヒテ↢其レ精進シ求ムルニ↟道ヲ、早晩之事事同等ナル耳。求メテ↠道ヲ不ハ↠休マ、会ズ当ニ得テ↠之ヲ不ト↠失セ↢其ノ所欲ノ願ヲ↡也。
【19】仏、 阿逸菩薩等の諸天・帝王・人民に告げたまはく、 われみななんぢらに語る。 もろもろの無量清浄仏国に生ぜんと欲して、 おほきに精進しもつぱら経戒を持つことあたはざるものなりといへども、 おほきにかならずまさに善をなすべし。 一には殺生することを得ざれ。 二には盗窃することを得ざれ。 三には淫妷にして他人の婦女を犯愛することを得ざれ。 四には調欺することを得ざれ。 五には飲酒することを得ざれ。 六には両舌することを得ざれ。 七には悪口することを得ざれ。 八には妄言することを得ざれ。 九には嫉妬することを得ざれ。 十には貪欲することを得ざれ。 心に慳惜するところあることを得ざれ。 瞋怒することを得ざれ。 愚痴なることを得ざれ。 心の嗜欲に随ふことを得ざれ。 心中に中悔することを得ざれ。 狐疑することを得ざれ。
●仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等ノ諸天・帝王・人民ニ↡、我皆語ル↢若曹ニ↡。諸ノ欲シテ↠生ゼムト↢無量清浄仏国ニ↡、雖モ↧不ル↠能ハ↣大ニ精進シ禅ラ持ツコト↢経戒ヲ↡者ナリト↥、大ニ要ズ当ニシ↠作ス↠善ヲ。一ニ者不レ↠得↢殺生スルコトヲ↡。二ニ者不レ↠得↢盗窃スルコトヲ↡。三ニ者不レ↠得↢淫*妷ニシテ犯↢愛スルコトヲ他人ノ婦女ヲ↡。四ニ者不レ↠得↢調欺スルコトヲ↡。五ニ者不レ↠得↢飲酒スルコトヲ↡。六ニ者不レ↠得↢両舌スルコトヲ↡。七ニ者不レ↠得↢悪口スルコトヲ↡。八ニ者不レ↠得↢妄言スルコトヲ↡。九ニ者不レ↠得↢嫉妬スルコトヲ↡。十ニ者不レ↠得↢貪欲スルコトヲ↡。不レ↠得↢心ニ有ルコトヲ↟所↢慳惜スル↡。不レ↠得↢瞋怒スルコトヲ↡。不レ↠得↢愚痴ナルコトヲ↡。不レ↠得↠随フコトヲ↢心ノ嗜欲ニ↡。不レ↠得↢心中ニ中悔スルコトヲ↡。不レ↠得↢狐疑スルコトヲ↡。
まさに孝順をなすべし。 まさに至誠忠信をなすべし。 まさに仏の経語の深きことを受くることをなすべし。 まさに善をなせば後世にその福を得ることを信ずべし。 かくのごときその法を奉持して虧失せざるものは、 心の所願のごとくありて無量清浄仏国に往生することを得べし。 ▼かならずまさに斎戒し一心清浄にして、 昼夜につねに念じ、 無量清浄仏の国に往生せんと欲して、 十日十夜断絶せざるべし。 われみなこれを慈愍してことごとく無量清浄仏の国に生ぜしめんと。
●当ニシ↠作ス↢孝順ヲ↡。当ニシ↠作ス↢至誠忠信ヲ↡。当ニシ↠作ス↠受クルコトヲ↢仏ノ経語ノ深キコトヲ↡。当ニシ↠信ズ↣作セバ↠善ヲ後世ニ得ルコトヲ↢其ノ福0261ヲ↡。奉↢持シテ如キ↠是クノ其ノ法ヲ↡不ル↢虧失セ↡者ハ、在リテ↢心ノ所願ノゴトク↡可シ↠得↣往↢生スルコトヲ無量清浄仏国ニ↡。至要ズ当ニシ↧斎戒シ一心清浄ニシテ、昼夜ニ常ニ念ジ、欲シテ↣往↢生セムト無量清浄仏ノ国ニ↡、十日十夜不ル↦断絶セ↥。我皆慈↢*愍シテ之ヲ↡悉ク令メムト↠生ゼ↢無量清浄仏ノ国ニ↡。
仏のたまはく、 世間の人もつて賢明に慕ひ及ばんことを欲すれども、 家に居て善を修し道をなさんもの、 妻子とともに居し、 恩好愛欲のなかにありて憂念し、 もしは多く家事怱務にして、 おほきに斎戒し一心清浄なるに暇あらず。 家を離るることを得ることあたはずといへども空閑の時ありて、 みづから心意を端正にし、 諸善を念じ、 専精に道を行ずること十日十夜すれば殊なり、 もししかうすることあたはずは、 みづから思惟し熟計すべし。
●仏言ク、世間ノ人欲スレドモ↣以テ慕ヒ↢及バムコトヲ賢明ニ↡、居テ↠家ニ修シ↠善ヲ為サム↠道ヲ者、与↢妻子↡共ニ居シ、在リテ↢恩好愛欲之中ニ↡憂念シ、若シハ多ク家事怱務ニシテ、不↠暇アラ↢大ニ斎戒シ一心清浄ナルニ↡。雖モ↠不ト↠能ハ↠得ルコト↠離ルルコトヲ↠家ヲ有リテ↢空閑ノ時↡、自ラ端↢正ニシ心意ヲ↡、念ジ↢諸善ヲ↡、専精ニ行ズルコト↠道ヲ十日十夜スレバ殊ナリ、使シ不ハ↠能ハ↠爾スルコト、自ラ思惟シ熟計スベシ。
身を度脱せんと欲するもの、 下まさに念を絶ち憂ひを去るべく、 家事を念ずることなかれ。 女人と同床することなかれ。 みづから身心を端正にして愛欲を断じ、 一心に斎戒清浄にして、 意を至して無量清浄仏の国に生ぜんと念じて一日一夜断絶せざれば、 寿終りてみなその国に往生することを得、 七宝の浴池の蓮華のなかにありて化生して、 智慧勇猛なることを得べし。 所居の七宝の舎宅、 自在にその意の所欲のごとく作為して、 次いで上の第一輩のごとくなるべしと。
●欲スル↣度↢脱セムト身ヲ↡者、下当ニク↢絶チ↠念ヲ去ル↟憂ヲ、勿レ↠念ズルコト↢家事ヲ↡。莫レ↧与↢女人↡同床スルコト↥。自ラ端↢正ニシテ身心ヲ↡断ジ↢愛欲ヲ↡、一心ニ斎戒清浄ニシテ、至テ↠意ヲ念ジテ↠生ゼムト↢無量清浄仏ノ国ニ↡一日一夜不レバ↢断絶セ↡者、寿終リテ皆得↣往↢生スルコトヲ其ノ国ニ↡、在リテ↢七宝ノ浴池ノ蓮華ノ中ニ↡化生シテ、可シ↠得↢智慧勇猛ナルコトヲ↡。所居ノ七宝ノ舎宅、自在ニ其ノ意ノ所欲ノゴトク作為シテ、可シト↣次イデ如クナル↢上ノ第一輩ノ↡。
仏、 阿逸菩薩に語りてのたまはく、 もろもろの八方上下の無央数の諸天・人民・比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷の、 その無量清浄仏の国に往生する衆等大会、 みなともに七宝の浴池のなかにおいてす。
●仏語リテ↢阿逸菩薩ニ↡言ク、諸ノ八方上下ノ無央数ノ諸天・人民・比丘僧・比丘尼・優婆塞・優婆夷ノ、其ノ往↢生スル無量清浄仏ノ国ニ↡衆等大会、皆共ニ於テス↢七宝ノ浴池ノ中ニ↡。
すべてともに人々はことごとくみづから一の大蓮華の上に坐して、 みなみづから道徳の善を陳ぶ。 人々おのおのみづからその前世宿命に道を求めし時の経戒を持ちてなすところの善法、 従来するところの生の本末、 その好喜むところの経道、 経を知れる智慧、 施行するところの功徳を説き、 上より下に次ぎてうたたみな遍す。
●都テ共ニ人人ハ悉ク自ラ於↢一ノ大蓮華ノ上↡坐シテ、皆自ラ陳ブ↢道徳ノ善ヲ↡。人人*各ノ自ラ説キ↧其ノ前世宿命ニ求メシ↠道ヲ時ノ持チテ↢経戒ヲ↡所ノ↠作ス善法、所ノ↢従来スル↡生ノ本末、其ノ所ノ↢好喜ム↡経0262道、知レル↠経ヲ智慧、所ノ↢施行スル↡功徳ヲ↥、従リ↠上次ギテ↠下ニ転タ皆遍ス。
もつて経を知るに明・不明あり、 深浅・大小あり、 徳に優劣・厚薄ありて、 自然の道として、 才能智慧猛健を別知す。 衆はあひ観照し、 礼義和順して、 みなみづから歓喜し踊躍す。 智慧に勇猛あるに、 おのおのあひ属逮ばずと。
●以テ知ルニ↠経ヲ有リ↢明・不明↡、有リ↢深浅・大小↡、徳ニ有リテ↢優劣・厚薄↡、自然之道トシテ、別↢知ス才能智慧猛健ヲ↡。衆ハ相観照シ、礼義和順シテ、皆自ラ歓喜シ踊躍ス。智慧ニ有ルニ↢勇猛↡、各ノ不ト↢相属逮バ↡。
仏のたまはく、 その人殊にあらかじめますます徳をなし善をなすことをせず、 軽戯しこれを信ぜず、 しかうして徙倚し懈怠なれば、 ために用ゐてしかるべく、 時に至りて都集りて経を説き道を行ずれども、 自然に迫促せられて応答遅晩なり。 道智卓殊超絶にして才妙高猛なれども、 独り辺羸において事に臨みてすなはち悔ゆ。 悔ゆればすでに出づるも、 その後にまさにまたなんの益かあらん。 ただ心中悷して等しからんと慕及するのみと。
●仏言ク、其ノ人殊ニ不↢予メ益マス作シ↠徳ヲ為スコトヲセ↟善ヲ、軽*戯シ不↠信ゼ↠之ヲ、然シテ徙倚シ懈怠ナレバ、為ニ用ヰテ可ク↠爾ル、至リテ↠時ニ都集リテ説キ↠経ヲ行ズレドモ↠道ヲ、自然ニ迫促セラレテ応答遅晩ナリ。道智卓殊超絶ニシテ才妙高猛ナレドモ、独リ於テ↢辺羸ニ↡臨ミテ↠事ニ乃チ悔ユ。悔ユレバ者已ニ出ヅルモ、其ノ*後ニ当ニ復何ノ益カアラム。但心*中*悷シテ慕↢及スル等シカラムト↡耳ト。*
【20】仏のたまはく、 無量清浄仏の国のもろもろの菩薩・阿羅漢衆等の大道聚会は、 みづから都集りて、 心を拘め意を制し、 身を端しくし行ひを正しくし、 遊戯洞達して、 ともにあひ随ひて飛行し幡輩出入す。 供養すること極まりなく、 歓心をもつて喜楽して、 楽みてともに経を観じ道を行じ、 和好し文を習ひ、 才猛く智慧あり。 志は虚空のごとくにして精進して求願し、 心つひにまた中廻せず意つひにまた転ぜず、 つひに懈極の時あることなし。
●*仏言ク、无量清浄仏ノ国ノ諸ノ菩薩・阿羅漢衆等ノ大道聚会ハ、自ラ都集リテ、拘メ↠心ヲ制シ↠意ヲ、端シクシ↠身ヲ正シクシ↠行ヲ、遊戯洞達シテ、倶ニ相随ヒテ飛行シ*幡輩出入ス。供養スルコト無ク↠極リ、歓心ヲモテ喜楽シテ、楽ミテ共ニ観ジ↠経ヲ行ジ↠道ヲ、和好シ文ヲ習ヒ、才猛ク智慧アリ。志ハ若クニシテ↢虚空ノ↡精進シテ求願シ、心終ニ不↢復中*廻セ↡意終ニ不↢復転ゼ↡、終ニ無シ↠有ルコト↢懈極ノ時↡。
道を求むるに外は遅緩のごとくなりといへども内は独り駃く急疾にして、 容々として虚空のごとく、 中適にその中を得て中表相応す。 自然に厳整に、 撿斂端直に、 身心浄潔にして、 愛欲あれども適貪するところあることなく、 衆悪瑕穢あることなし。 その志願みな安定し殊好にして、 増欠減なし。
●雖モ↣求ムルニ↠道ヲ外ハ若クナリト↢遅緩ノ↡内ハ独リ*駃ク急疾ニシテ、容容トシテ虚空ノゴトク、中適ニ得テ↢其ノ中ヲ↡中表相応ス。自然ニ厳整ニ、撿斂端直ニ、身心浄潔ニシテ、无ク↧有レドモ↢愛欲↡有ルコト↞所↢適貪スル↡、無シ↠有ルコト↢衆悪瑕穢↡。其ノ志願皆安定シ殊好ニシテ、無シ↢増欠減↡。
道を求むるに和正にして、 誤りて邪に傾かず。 道法を准望し、 経に随ひ令に約し、 あへて違失蹉跌せず。 縄墨のごとし。 八方上下に遊びて辺幅あることなく、 自在に所欲のごとく至到すること無窮無極なり。 咸然に道をなし、 恢廓に慕及し、 曠蕩に道を念じて、 他の念なく、 憂思あることなし。 自然無為、 虚無空立、 淡安無欲にして、 徳をなし願を善くし、 心を尽くして求索して、 哀みを含みて慈愍し、 精進して中も表も礼義にすべて合す。
●求ムルニ↠道ヲ和正ニシテ、不↢*誤リテ傾カ↟邪ニ。准↢望シ道法ヲ↡、随ヒ↠経ニ約シ↠令ニ、不↢敢テ違失蹉跌0263セ↡。若シ↢於縄墨ノ↡。遊ビテ↢於八方上下ニ↡無ク↠有ルコト↢辺幅↡、自在ニ所欲ノゴトク至到スルコト無窮无極ナリ。*咸然ニ為シ↠道ヲ、恢廓ニ慕及シ、曠蕩ニ念ジテ↠道ヲ、无ク↢他之念↡、無シ↠有ルコト↢憂思↡。自然無為、虚無空立、淡安无欲ニシテ、作シ↠徳ヲ善クシ↠願ヲ、尽シテ↠心ヲ求索シテ、含ミテ↠哀ヲ慈愍シ、精進シテ中モ表モ礼義ニ都テ合ス。
通洞して違することなく、 和順副称し、 表裏を苞羅し、 過度し解脱して、 あへて泥洹に昇り入り、 ながへに道徳と合明し、 自然にあひ保守す。 快意の滋々真々として、 あきらかに潔白なり。 志願高く無上にして、 清浄定安にして、 静楽の極まりあることなく、 善好なること比びあることなし。 巍々に耀き、 照々して一旦に開達明徹なること、 自然のなかの自然の相、 自然の根本あり。
●通洞シテ無ク↠違スルコト、和順副称シ、苞↢羅シ表裏ヲ↡、過度シ解脱シテ、敢テ昇リ↢入リ於泥洹ニ↡、長ヘニ与↢道徳↡合明シ、自然ニ相保守ス。快意之滋滋真真トシテ、了カニ潔白ナリ。志願高ク无上ニシテ、清浄定安ニシテ、静楽之無ク↠有ルコト↠極リ、善好ナルコト無シ↠有ルコト↠比。巍巍ニ之耀キ、照照シテ*一旦ニ開達明徹ナルコト、自然ノ中ノ自然ノ相、自然之有リ↢根本↡。
自然に五光を成じ九色に至り、 五光より九色に至り、 参り廻転して数百千に更変し、 最勝の自然なり。 自然に七宝を成じ、 横に攬りて万物を成じ、 光精参りあきらかにしてともに出づ。 好しくして甚姝なること極まりあることなし。
●自然ニ成ジ↢五光ヲ↡至リ↢九色ニ↡、五光ヨリ至リ↢九色ニ↡、参リ*廻転テ数百千ニ更変シ、最勝之自然ナリ。自然ニ成ジ↢七宝ヲ↡、横ニ攬リテ成ジ↢万物ヲ↡、光精参リ明カニシテ倶ニ出ヅ。好シクシテ甚*姝ナルコト無シ↠有ルコト↠極リ。
二 Ⅴ 釈迦指勧
ⅰ 浄穢欣厭
その国土はなはだ姝好なることかくのごとし。
○其ノ国土甚ダ*姝好ナルコト若シ↠此クノ。
なんぞつとめて善をなし、 道の自然を念じ、 上下なく洞達して辺幅なきことを著し、 志を虚空のなかに捐てざる。
○何ゾ不ル↪力テ為シ↠善ヲ、念ジ↢道之自然ヲ↡、著シ↧於無ク↢上下↡洞達シテ無キコトヲ↦辺幅↥、捐テ↩志ヲ虚空ノ中ニ↨。
なんぞおのおの精進し努力してみづから求索せざる。
○何ゾ不ル↢各ノ精進シ努力シテ自ラ求索セ↡。
超絶して去つることを得べし。 無量清浄の阿弥陀仏の国に往生すれば、 横に五道を截り、 悪道おのづから閉塞して、 道に昇るに極まりなきに、 往きやすくして人あることなし。 その国土逆違せず、 自然にして牽くに随ふなり。
○可シ↠得↢超絶シテ去ツルコトヲ↡。往↢生スレバ無量清浄ノ阿弥陀仏ノ国ニ↡、横ニ截リ↢於五道ヲ↡、悪道自ラ閉塞シテ、昇ルニ↠道ニ之無キニ↠極リ、○易クシテ↠往キ無シ↠有ルコト↠人。其ノ国土不↢逆違セ↡、自然ニシテ之随フナリ↠牽クニ。
なんぞ世事を棄てて行じて道徳を求めざる。 極長の生にして寿楽に極まりあることなきを得べし。 なんすれぞ世事を用ゐてとしてともに常あることなきを憂へん。
○何ゾ不ル↧棄テテ↢世事ヲ↡行ジテ求メ↦道徳ヲ↥。可シ↠得↢極長ノ生ニシテ寿楽ニ无キヲ↟有ルコト↠極リ。何為ゾ用ヰテ↢世事ヲ↡*トシテ共ニ憂ヘム↠無キヲ↠有ルコト↠常。
世人薄俗にしてともに不急の事を争ふ。
○世人薄俗ニシテ共ニ争フ↢不急之事ヲ↡。
ともにここにおいて劇悪極苦のなかに処して、 身を勤めて治生し用ゐてあひ給活す。 尊となく卑となく、 富となく貧となく、 老となく少となく、 男となく女となく、 みなまさにともに銭財に憂ふ。 有無同然なり。 憂思まさに等しく、 屏営として愁苦し、 念を累ね思慮して、 これのために走使せられ安き時あることなし。
○共ニ於テ↠是ニ処シテ↢劇悪極苦0264之中ニ↡、勤メテ↠身ヲ治生シ用ヰテ相給活ス。无ク↠尊ト無ク↠卑ト、無ク↠富ト無ク↠貧ト、无ク↠老ト無ク↠少ト、无ク↠男ト無ク↠女ト、皆当ニ共ニ憂フ↢銭財ニ↡。有無同然ナリ。憂思適ニ等シク、屏営トシテ愁苦シ、累ネ↠念ヲ思慮シテ、為ニ↠之ノ走使セラレ无シ↠有ルコト↢安キ時↡。
田あれば田に憂へ、 宅あれば宅に憂へ、 牛あれば牛に憂へ、 馬あれば馬に憂へ、 六畜あれば六畜に憂へ、 奴婢あれば奴婢に憂ふ。 衣被・銭財・金銀・宝物、 またともにこれを憂ふ。 思を重ね息を累ねて、 憂念し愁恐を懐く。
○有レバ↠田憂ヘ↠田ニ、有レバ↠宅憂ヘ↠宅ニ、有レバ↠牛憂ヘ↠牛ニ、有レバ↠馬憂ヘ↠馬ニ、有レバ↢六畜↡憂ヘ↢六畜ニ↡、有レバ↢奴婢↡憂フ↢奴婢ニ↡。衣被・銭財・金銀・宝物、復共ニ憂フ↠之ニ。重ネ↠思ヲ累ネテ↠息ヲ、憂念シ懐ク↢愁恐ヲ↡。
横に非常の水火・盗賊・怨家・債主のために漂焼せられ繋がれ唐突せられ没溺せられ、 憂毒怔忪として解くる時あることなし。 憤りを心中に結び、 気を慉めて恚怒し、 病胸腹にありて、 憂苦離れず。 心堅く意固くして、 まさに縦捨することなし。
○横ニ為ニ↢非常ノ水火・*盗賊・怨家・債主ノ↡所レ↢漂焼セ↡*繋ガレ唐突セラレ没溺セラレ、憂毒*怔忪トシテ無シ↠有ルコト↢解クル時↡。結ビ↢憤ヲ心中ニ↡、慉メテ↠気ヲ*恚*怒シ、病在リテ↢胸腹ニ↡、憂苦不↠離レ。心*堅ク意固クシテ、適ニ無シ↢縦捨スルコト↡。
あるいは摧蔵せらるるによりて身命を終へ亡ぼす。 これを棄捐し去りてたれも随ふものなし。
○或イハ坐リテ↢摧蔵セラルルニ↡終ヘ↢亡ボス身命ヲ↡。棄↢捐シ之ヲ↡去リテ莫シ↢誰モ随フ者↡。
尊貴・豪富この憂懼あり。 勤苦することかくのごとし。 もろもろの寒熱を結びて痛みとともに居す。
○尊貴・豪富有リ↢此ノ憂懼↡。勤苦スルコト若シ↠此クノ。結ビテ↢衆ノ寒熱ヲ↡与↠痛ミ共ニ居ス。
小家貧者は窮困乏無なり。 田なければまた憂へて田あらんことを欲し、 宅なければまた憂へて宅あらんことを欲し、 牛なければまた憂へて牛あらんことを欲し、 馬なければまた憂へて馬あらんことを欲し、 六畜なければまた憂へて六畜あらんことを欲し、 奴婢なければまた憂へて奴婢あらんことを欲す。 衣被・銭財・什物・飯食の属、 また憂へてこれあらんことを欲す。
○小家貧者ハ窮困乏無ナリ。无ケレバ↠田亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠田、無ケレバ↠宅亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠宅、無ケレバ↠牛亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠牛、无ケレバ↠馬亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↠馬、無ケレバ↢六畜↡亦憂ヘテ欲シ↠有ラムコトヲ↢六畜↡、無ケレバ↢奴婢↡亦憂ヘテ欲ス↠有ラムコトヲ↢奴婢↡。无ケレバ↢衣被・銭財・什物・飯食之属↡、亦憂ヘテ欲ス↠有ラムコトヲ↠之。
たまたま一つあれば一つを少き、 これあればこれを少きて、 あること斉等ならんことを思ふ。 たまたま小しく具有すればすなはちまた儩尽す。 かくのごときの苦生ず。 まさにまた求索し思想すれども益なかるべし。 時に得ることあたはず。 身心ともに労して坐起安からず、 憂念あひ随ひて勤苦することかくのごとし。 心を焦し恚恨を離れずして独り怒る。
○適タマ有レバ↠一ツ少キ↠一ツヲ、有レバ↠是少キテ↠是ヲ、思フ↢有ルコト斉等ナラムコトヲ↡。適タマ小シク具有スレバ便チ復*儩尽ス。如キノ↠是クノ苦生ズ。当ニシ↢復求索シ思想スレドモ無カル↟益。不↠能ハ↢時ニ得ルコト↡。身心倶ニ労シテ坐起不↠安カラ、憂念相随ヒテ勤苦スルコト若シ↠此クノ。焦シ↠心ヲ不シテ↠離レ↢恚恨ヲ↡独リ怒ル。
またもろもろの寒熱を結びて痛みとともに居す。
○亦結ビテ↢衆ノ寒熱ヲ↡与↠痛ミ共ニ居ス。
ある時はこれによりて身を終へ命を夭ぼす。 また善をなし道をなすを肯ぜず。 寿命尽きて死すれば、 みなまさに独り遠く去るべし。 趣向するところあれども、 善悪の道、 よく知るものなし。
○或ル時ハ坐リテ↠之ニ終ヘ↠身ヲ夭ス↠命ヲ。亦不↠肯ゼ↢作シ↠善ヲ為スヲ↟道0265ヲ。寿命尽キテ死スレバ、皆当ニシ↢独リ遠ク去ル↡。有レドモ↠所↢趣向スル↡、善悪之道、莫シ↢能ク知ル者↡。
ある時は世人、 父子・兄弟・夫婦・家室・中外の親属として、 天地のあひだに居してまさにあひ敬愛すべく、 まさにあひ憎むべからず。 有無まさにあひ給与すべく、 まさに貪ることあるべからず。 言色まさに和してあひ違戻することなかるべし。
○或ル時ハ世人、父子・兄弟・夫婦・家室・中外ノ親属トシテ、居シテ↢天地之間ニ↡当ニク↢相敬愛ス↡、不↠当ニカラ↢相憎ム↡。有无当ニク↢相給与ス↡、不↠当ニカラ↠有ル↠貪ルコト。言色当ニシ↣和シテ莫カル↢相違戻スルコト↡。
あるいはもし心に争ひて恚怒するところあらば、 今世の恨みの意は微にあひ嫉憎すれども、 後世にはうたた劇しくして大怨となるに至る。 ゆゑはいかん。 今世の事、 さらにあひ患害せんと欲して時に臨みて急にあひ破すべからずといへどもしかうして愁毒して憤りを精神に結び、 自然に剋識してあひ離るることを得ず、 みなまさにたがひに生じ値ひてたがひに報復すべければなり。
○或イハ儻シ心ニ争ヒテ有ラバ↠所↢恚怒スル↡、今世ノ恨ノ意ハ微ニ相嫉憎スレドモ、後世ニハ転タ劇シクシテ至ル↠成ルニ↢大怨ト↡。所以者何ン。今世之事、更ニ欲シテ↢相患害セムト↡雖モ↠不ト↣臨ミテ↠時ニ応カラ↢急ニ相破ス↡*然シテ之愁毒シテ結ビ↢憤ヲ精神ニ↡、自然ニ剋識シテ不↠得↢相離ルルコトヲ↡、皆当ニケレバナリ↢対相ニ生ジ値ヒテ更相ニ報復ス↡。
人世間の愛欲のなかにありて、 独り来り独り去る。 死生してまさに行きて苦楽の処に至り趣くべし。 身みづからこれに当りて代るものあることなし。
○人在リテ↢世間ノ愛欲之中ニ↡、独リ来リ独リ去ル。死生シテ当ニシ↣行キテ至リ↢趣ク苦楽之処ニ↡。身自ラ当リテ↠之ニ无シ↠有ルコト↢代ル者↡。
善悪の変化せる殃咎異処にして、 あらかじめ厳待す。 まさに独り昇入すべきに、 遠く他処に到り、 よく見るものなし。 去りていづれの所にあれども、 善悪自然に追逐して往き生ず。 窈々冥々として別離久しく長し。 道路同じからざれば会ひ見ること期なく、 はなはだ難しはなはだ難し、 またあひ値ふことを得んや。
○善悪ノ変化セル殃咎異処ニシテ、宿予メ厳待ス。当ニキニ↢独リ昇入ス↡、遠ク到リ↢他処ニ↡、莫シ↢能ク見ル者↡。去リテ在レドモ↢何ノ所ニ↡、善悪自然ニ追逐シテ*往キ生ズ。窈窈冥冥トシテ別離久シク長シ。道路不レバ↠同ジカラ会ヒ見ルコト無ク↠期、甚ダ難シ甚ダ難シ、復得ムヤ↢相値フコトヲ↡。
なんぞ衆事を棄てて、 おのおの勱めて強健の時、 努力してつとめて善をなしつとめて精進せざる。 度世を求むれば極めて長寿を得べし。 ことに道を求むるを肯ぜずして、 またなにをか須待せんと欲しなにをか楽はんと欲するや。
○何ゾ不ル↧棄テテ↢衆事ヲ↡、各ノ*勱メテ強健ノ時、努力シテ*力テ為シ↠善ヲ*力テ精進セ↥。*求ムレバ↢度世ヲ↡可シ↠得↢極テ長寿ヲ↡。殊ニ不シテ↠肯ゼ↠求ムルヲ↢於道ヲ↡、復欲シ↢何ヲカ須待セムト↡欲スル↢何ヲカ楽ハムト↡乎。
かくのごとき世人、 善をなせば善を得ることを信ぜず、 道をなせば道を得ることを信ぜず、 、 死すれば後世にまた生ずることを信ぜず、 施与すればその福徳を得ることを信ぜず。 すべてこれを信ぜずして、 またもつてこれをしからずと謂へり。 言是あることなし。
○如キ↠是クノ世人、不↠信ゼ↢作セバ↠善ヲ得ルコトヲ↟善ヲ、不↠信ゼ↢為セバ↠道ヲ得ルコトヲ↟道ヲ、不↠信ゼ↢死スレバ後世ニ復生ズルコトヲ↡、不↠信ゼ↣施与スレバ得ルコトヲ↢其ノ福徳ヲ↡。都テ不シテ↠信ゼ↠之ヲ、亦以テ謂ヘリ↢之ヲ不ト↟然ラ。言無シ↠有ルコト↠是。
ただこれによるがゆゑにしばらくみづからこれを見、 たがひに看視して、 前後うたたあひ父の余せる教令を承受す。
○但坐ルガ↠是ニ故ニ且ク自ラ見↠之ヲ、更相ニ看視シテ、前後転タ相承↢受ス父ノ余セル教令ヲ↡。
先人・祖父もとより善をなさず、 もとより道をなさず、 身愚に神闇く、 心塞がり意閉じて、 天道を見ず。 ことによく人の生死して趣向するところあるを見ることあることなく、 またよく知るものなし。 まさに善悪の道を見ることあることなく、 また語るものもあることなし。 ために善悪をなすを用ゐて、 福徳・殃咎・禍罰、 おのおのみづから競ひてこれを作為するも、 用ゐてことに怪しむことあることなし。
○先人・祖父素ヨリ不↠作サ↠善ヲ、本ヨリ不↠為サ↠道0266ヲ、身愚ニ神闇ク、心塞リ意閉ヂテ、不↠見↢天道ヲ↡。殊ニ無ク↠有ルコト↣能ク見ルコト↢人ノ生死シテ有ルヲ↟所↢趣向スル↡、亦莫シ↢能ク知ル者↡。適ニ無ク↠有ルコト↠見ルコト↢善悪之道ヲ↡、復無シ↠有ルコト↢語ル者モ↡。為ニ用ヰテ↠作スヲ↢善悪ヲ↡、福徳・殃咎・禍罰、各ノ自ラ競ヒテ作↢為スルモ之ヲ↡、用ヰテ殊ニ無シ↠有ルコト↠怪ムコト也。
生死の道に至ること、 うたた相続す。 顛倒上下することは無常の根本なり。 みなまさに過ぎ去るべく、 常得すべからず。 教語し開導すれども道を信ずるものは少なし、 みなまさに生死すべくして休止あることなし。
○至ルコト↢於生死之道ニ↡、転タ相続ス。顛倒上下スルコトハ無常ノ根本ナリ。皆当ニク↢過ギ去ル↡、不↠可カラ↢常得ス↡。教語シ開導スレドモ信ズル↠道ヲ者ハ少シ、皆当ニクシテ↢生死ス↡無シ↠有ルコト↢休止↡。
かくのごときたぐひの人は矇冥抵突して経語を信ぜず、 おのおの意を快くせんと欲して、 心に計慮せず、 愛欲に愚痴にして、 道徳を解らず、 瞋怒に迷惑して財色を貪猥す。 これによりて道を得ず、 まさに勤苦の極を更へて、 悪処にありて生じ、 つひに止まりて休息することを得ざるべし。 これを痛むことはなはだ傷むべし。
○如キ↠是クノ曹ノ人ハ*矇冥抵突シテ不↠信ゼ↢経語ヲ↡、各ノ欲シテ↠快クセムト↠意ヲ、心ニ不↢計慮セ↡、愚↢痴ニシテ於愛欲ニ↡、不↠解ラ↢於道徳ヲ↡、迷↢惑シテ於瞋怒ニ↡貪↢*猥ス於財色ヲ↡。坐リテ↠之ニ不↠得↠道ヲ、当ニシ↧*更ヘテ↢勤苦ノ極ヲ↡、在リテ↢於悪処ニ↡生ジ、終ニ不ル↞得↢止リテ休息スルコトヲ↡。痛ムコト↠之ヲ甚ダ可シ↠傷ム。
ある時は家室・中外・父子・兄弟・夫婦、 生死の義に至りて、 たがひに哭涙し、 うたたあひ思慕す。 憂念憤結し、 恩愛繞続し、 心意痛著して、 たがひに顧思す。 昼夜解くる時あることなし。
○或ル時ハ家室・中外・父子・兄弟・夫婦、至リテ↢於生死之義ニ↡、更相ニ哭涙シ、転タ相思慕ス。憂念憤結シ、恩愛繞続シ、心意痛著シテ、対相ニ顧*思ス。昼夜無シ↠有ルコト↢解クル時↡。
道徳を教示すれども、 心開明せず、 恩愛情欲を離れず、 閉塞し蒙々として交錯し覆蔽せらる。 思計して心みづから端正にして世事を決断し、 専精に道を行ずることを得ず。 便旋として至り竟り、 年寿命尽くれども道を得ることあたはずして、 いかんともすべきことなし。
○教↢示スレドモ道徳ヲ↡、心不↢開明セ↡、恩愛情欲ヲ不↠離レ、閉塞シ蒙蒙トシテ交錯シ覆蔽セラル。不↠得↧思計シテ心自ラ端正ニシテ決↢断シ世事ヲ↡、専精ニ行ズルコトヲ↞道ヲ。便旋トシテ至リ竟リ、年寿命尽クレドモ不シテ↠能ハ↠得ルコト↠道ヲ、無シ↠可キコト↢奈何トモス↡。
総猥憒にしてみな愛欲を貪る。 かくのごときの法ありて、 道を解らざるものは多く、 道を得るものは少なし。 世間怱々として聊頼すべきものなし。
○総猥憒ニシテ皆貪ル↢愛欲ヲ↡。如キ↠是クノ之法アリテ、不ル↠解ラ↠道ヲ者ハ多ク、得ル↠道ヲ者ハ少シ。世間怱怱トシテ無シ↠可キモノ↢聊頼ス↡。
尊卑・上下・豪貴・貧富・男女・大小、 おのおのみづから怱務し勤苦して、 みづからおのおの殺毒を懐き、 悪気窈冥として、 惆悵せざるものなし。 ためにみだりに事をなし、 天地に悪逆して仁心道徳に従はず。
○尊卑・上下・豪貴・貧富・男女・大小、各ノ自ラ怱務シ勤苦シテ、躬身各ノ懐キ↢殺毒ヲ↡、悪気*窈冥トシテ、莫シ↠不ルモノ↢惆悵セ↡。為ニ妄ニ作シ↠事ヲ、悪↢逆シテ天地ニ↡不↠従ハ↢仁心0267道徳ニ↡。
非悪にはまづ随ひ、 これに与してほしいままになすところを聴す。 その寿いまだ至らざるに、 すなはちにはかにこれを奪ひて悪道に下り入り、 累世に勤苦し、 展転愁毒して、 数千万億歳出づる期あることなし。 痛みいふべからず、 はなはだ憐愍すべしと。
○非悪ニハ先ヅ随ヒ、与シテ↠之ニ恣ニ聴ス↠所ヲ↠為ス。其ノ寿未ダルニ↠至ラ、便チ頓ニ奪ヒテ↠之ヲ下リ↢入リ悪道ニ↡、累世ニ勤苦シ、展転愁毒シテ、数千万億歳無シ↠有ルコト↢出ヅル期↡。痛ミ不↠可カラ↠言フ、甚ダ可シト↢憐愍ス↡。
二 Ⅴ ⅱ 弥勒領解
【21】仏、 阿逸菩薩ら、 諸天・帝王・人民に告げたまはく、 われみななんぢらに世間の事を語れり。 人これをもつてのゆゑに坐まりて道を得ず。 なんぢらつらつらこれを思惟して、 悪をまさに縦捨してこれを遠離すべし。 その善なるものに従ひて、 まさに堅くこれを持ちてみだりに非をなすことなくますます諸善をなすべし。 大小・多少の愛欲の栄、 みな常得すべからず。 なほまさに別離すべく、 楽ふべきものなし。
○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩等、諸天・帝王・人民ニ↡、我皆語レリ↢若曹ニ世間之事ヲ↡。人用テノ↠是ヲ故ニ坐リテ不↠得↠道ヲ。若曹熟ツラ思↢惟シテ之ヲ↡、悪ヲ者当ニシ↣縦捨シテ遠↢離ス之ヲ↡。従ヒテ↢其ノ善ナル者ニ↡、当ニシ↧堅ク持チテ↠之ヲ勿ク↢*妄ニ為スコト↟非ヲ益マス作ス↦諸善ヲ↥。大小・多少ノ愛欲之栄、皆不↠可カラ↢常得ス↡。猶当ニク↢別離ス↡、无シ↢可キ↠楽フ者↡。
つとめて仏世の時、 それ仏の経語深きことを信愛し、 道徳を奉行するものあらば、 みなこれわが小弟なり。 それはじめて仏の経戒を学ばんと欲することあるものは、 みなこれわが弟子なり。 それ身を出して家を去り妻子を捨てて財色を絶去せんと欲し、 来りて沙門となり、 仏のために比丘とならんと欲するものあらば、 みなこれわが子孫なり。 わが世にははなはだ値ふこと得がたし。
●*勱メテ仏世ノ時、其レ有ラバ↧信↢*愛シ仏ノ経*語深キコトヲ↡、奉↦行スルモノ道徳ヲ↥、皆是我ガ*小弟也。其レ有ル↢甫テ欲スルコト↟学バムト↢仏ノ経戒ヲ↡者ハ、皆是我ガ弟子也。其レ有ラバ↩欲シ↧出シテ↠身ヲ去リ↠家ヲ捨テテ↢妻子ヲ↡絶↦去セムト財色ヲ↥、欲スル↧来リテ作リ↢沙門ト↡、為ニ↠仏ノ作ラムト↦比丘ト↥者↨、皆是我ガ子孫ナリ。我ガ世ニハ甚ダ難シ↠得↠値フコト。
それ願じて無量清浄仏の国に生ぜんと欲するものあらば、 智慧勇猛にして衆のために尊敬せらるることを得べし。 心の欲するところに随ひて経戒を虧負して人の後にあることを得ることなかれ。 もし疑意ありて経を解らざるものは、 また前みて仏に問ひたてまつれ。 仏まさになんぢがためにこれを解くべし。
○其レ有ラバ↧願ジテ欲スル↠生ゼムト↢無量清浄仏ノ国ニ↡者↥、可シ↠得↣智慧勇猛ニシテ為ニ↠衆ノ所ルルコトヲ↢尊敬セ↡。勿レ↠得ルコト↧随ヒテ↢心ノ所ニ↟欲スル虧↢負シテ経戒ヲ↡在ルコトヲ↦人ノ後ニ↥。儻シ有リテ↢疑意↡不ル↠解ラ↠経ヲ者ハ、復前ミテ問ヒタテマツレ↠仏ニ。仏当ニシ↢為ニ↠若ガ解ク↟之ヲ。
【22】阿逸菩薩長跪叉手してまうさく、 仏の威神は尊重にして、 説きたまふところの経は快善なり。
○阿逸菩薩長跪叉手シテ言ク、仏ノ威神ハ尊重ニシテ、所ノ↠説キタマフ経ハ快善ナリ。
われら仏の経語を聴きて、 みな心にこれを貫思す。 世人まことにしかなり、 仏の語りたまふところのごとく異あることなし。 いま仏われらを慈哀して、 天道を開視し、 生路を教語したまふ。 耳目聰明にしてながへに度脱することを得て、 さらに生ずることを得たるがごとし。
○我曹聴キテ↢仏ノ経語ヲ↡、皆心ニ貫↢思ス之ヲ↡。世人実ニ爾ナリ、如ク↢仏ノ所ノ↟語リタマフ無シ↠有ルコト↠異。今仏慈↢哀シテ我曹ヲ↡、開↢*視シ天道ヲ↡、教↢語シタマフ生路ヲ↡。耳目聰明ニシテ長ヘニ得テ↢度脱スルコトヲ↡、若シ↠得タルガ↢更ニ生ズルコトヲ↡。
われら仏の経語を聴きて、 慈心をもつて歓喜し踊躍し開解せざるものなし。 われらおよび諸天・帝王・人民・蜎飛蠕動の類、 みな仏恩を蒙りて憂苦を解脱することを得ざるものなし。 仏のもろもろの教戒ははなはだ深く無極無底なり。
○我曹聴キテ↢仏ノ経語ヲ↡、莫シ↧不0268ル↢慈心ヲモテ歓喜シ踊躍シ開解セ↡者↥。我曹及ビ諸天・帝王・人民・蜎飛蠕動之類、皆蒙リテ↢仏恩ヲ↡無シ↧不ル↠得↣解↢脱スルコトヲ憂苦ヲ↡者↥。仏ノ諸ノ教戒ハ甚ダ深ク無極无底ナリ。
仏の智慧の見知したまふところの八方・上下、 去・来・現在の事は、 無上にして辺幅なし。 仏にははなはだ値ふことを得がたし、 経道ははなはだ聞くことを得がたし。 われらみな仏所に慈心あり。
○仏ノ智慧ノ所ノ↢見知シタマフ↡八方上下、去・来・現在之事ハ、無上ニシテ無シ↢辺幅↡。仏ニハ甚ダ難シ↠得↠値フコトヲ、経道ハ甚ダ難シ↠得↠聞クコトヲ。我曹皆慈↢心アリ於仏所ニ↡。
いまわれら度脱を得ることは、 みなこれ仏前世に道を求めたまひし時、 慊苦し学問し精進して、 致すところの恩徳あまねく覆ひ、 施行するところの福徳の相禄は巍々たればなり。 光明徹照し、 洞虚なること無極にして、 泥洹に開入し、 経典を教授し、 制威し消化して、 八方上下を愍動すること、 無窮无極なり。
○*今我曹得ルコト↢度脱ヲ↡者、皆是仏前世ニ求メタマヒシ↠道ヲ時、*慊苦シ学問シ精進シテ、所ノ↠致ス恩徳普ク覆ヒ、所ノ↢施行スル↡福徳ノ相禄ハ巍巍タレバナリ。光明徹照シ、洞虚ナルコト無極ニシテ、開↢入シ泥洹ニ↡、教↢授シ*経典ヲ↡、制威シ消化シテ、愍↢動スルコト八方上下ヲ↡、無窮无極ナリ。
仏は師法の尊たり、 群聖に絶して、 すべてよく仏に及ぶものなし。 仏、 八方上下の諸天・帝王・人民のために師となり、 その心の欲願するところの大小に随ひて、 みな道を得しむ。
○仏ハ為リ↢師法ノ尊↡、絶シテ↢群聖ニ↡、都テ无シ↢能ク及ブ↠仏ニ者↡。仏為ニ↢八方上下ノ諸天・帝王・人民ノ↡作リ↠師ト、随ヒテ↧其ノ心ノ所ノ↢欲願スル↡大小ニ↥、皆令ム↠得↠道ヲ。
いまわれら仏とあひ見ゆることを得、 無量清浄仏の声を聞くことを得たり。 われらはなはだ喜びて、 黠慧にして開明なることを得ざるものなしと。
○今我曹得↢与↠仏相見ユルコトヲ↡、得タリ↠聞クコトヲ↢无量清浄仏ノ声ヲ↡。我曹甚ダ喜ビテ、莫シト↧不ル↠得↢黠慧ニシテ開明ナルコトヲ↡者↥。
仏、 阿逸菩薩に告げたまはく、 なんぢが言是なり、 まことにまさにしかるべし。
○仏告ゲタマハク↢阿逸菩薩ニ↡、若ガ言是ナリ、*実ニ当ニシ↠爾ル。
なんぢ仏所に慈心あることおほきに喜ばしきことなり。 実にまさに仏を念ずべし。 天下に久々にしてすなはちまた仏ましますのみ。 いまわれ苦世において仏となり、 出だすところの経道をもつて、 教授洞達にして狐疑を截断し、 心を端しくし行ひを正しくしてもろもろの愛欲を抜き、 衆悪の根本を絶ち、 遊歩するに拘るることなく、 智慧を典総す。 衆道の表裏、 維綱を攬持して、 昭然分明なり。 五道を開示して、 生死と泥洹の道とを決正すと。
○若有ルコト↣慈↢心於仏所ニ↡者大ニ*喜バシキコトナリ。実ニ当ニシ↠念ズ↠仏ヲ。天下ニ久久ニシテ乃チ復有ス↠仏耳。今我於テ↢苦世ニ↡作リ↠仏ト、所ノ↠出ス経道ヲモテ、教授洞達ニシテ截↢断シ狐疑ヲ↡、端シクシ↠心ヲ正シクシテ↠行ヲ抜キ↢諸ノ愛欲ヲ↡、絶チ↢衆悪ノ根本ヲ↡、遊歩スルニ無ク↠拘ルルコト、○典↢総ス智慧ヲ↡。衆道ノ表裏、攬↢持シテ維綱ヲ↡、昭然分明ナリ。開↢*示シテ*五道ヲ↡、決↢正スト生死ト泥洹之道トヲ↡。
仏のたまはく、 なんぢら無数劫よりことかた、 不可復計劫、 なんぢら菩薩道をなして、 諸天・人民および蜎飛蠕動の類を過度せんと欲してよりこのかた、 はなはだ久遠なり。 人なんぢに従ひて道を得て度するもの無央数なり。 泥洹の道を得るに至るものもまた無央数なり。
○仏言ク、若曹従リ↢无数劫↡以来タ、不可復計劫、若*曹作シテ↢菩薩道ヲ↡、欲シテヨリ↣過↢度セムト諸天・人民及ビ蜎0269飛蠕動之類ヲ↡以来タ、甚ダ久遠ナリ。人従ヒテ↠*若ニ得テ↠道ヲ度スル者无央数ナリ。至ル↠得ルニ↢泥洹之道ヲ↡者モ亦無央数ナリ。
なんぢらおよび八方上下の諸天・帝王・人民、 もしは比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、 なんぢら宿命に、 無数劫よりこのかた、 この五道のなかに展転して死生呼嗟し、 たがひに哭涙し、 うたたあひ貪慕し、 憂思愁毒して、 痛苦いふべからず。 今世に至るまで死生絶えずして、 乃至今日、 仏とあひ見えともに会値ひて、 ここにすなはち無量清浄仏の声を聞くことはなはだ快善なるかな。 なんぢらを助けて喜ばん。
○若曹及ビ八方上下ノ諸天・帝王・人民、若シハ比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、若曹宿命ニ、従リ↢无数劫↡以来タ、展↢転シテ是ノ五道ノ中ニ↡*死生呼嗟シ、更相ニ哭涙シ、転タ相貪慕シ、憂思愁毒シテ、痛苦不↠可カラ↠言フ。至ルマデ↢今世ニ↡*死生不シテ↠絶エ、*乃至今日、与↠仏相見エ共ニ会*値ヒテ、是ニ乃チ聞クコト↢無量清浄仏ノ声ヲ↡甚ダ快善ナル哉。助ケテ↢*汝曹ヲ↡喜バム。
またみづから死生の痛痒を厭ふべし。 生るる時ははなはだ痛みはなはだ苦しみて、 はなはだ極まれり。 年長大するに至りてもまた苦しみて、 また極まる。 死する時もまた痛みまた苦しみて、 また極まる。 はなはだ悪臭の処にして浄潔ならずして、 つひに可とするものあることなし。
○亦可シ↣自ラ厭フ↢*死生ノ痛痒ヲ↡。生ルル時ハ*甚ダ痛ミ甚ダ苦ミテ、甚ダ極レリ。至リテモ↢年長*大スルニ↡亦苦ミテ、亦極ル。死スル時モ亦痛ミ亦苦ミテ、亦極ル。*甚ダ悪臭ノ処ニシテ不シテ↢*浄潔ナラ↡、了ニ无シ↠有ルコト↢可トスル者↡。
仏ゆゑにことごとく語りたまふ、 なんぢらまたみづから臭処・悪露を決断すべし。 まんぢらまた心を端しくし身を正しくしてますます諸善をなすべし。 ここにおいてつねに中外を端しくし、 身体を潔浄にし、 心垢を洗除して、 みづからあひ約撿し、 表裏相応して、 言行忠信にせよ。 人よくみづから度脱して、 うたたあひ扶接し、 もろもろの愛欲を抜き、 精明至心にして、 求願して転ぜず、 その善道の根本を結せよ。
○仏故ニ悉ク*語リタマフ、若*曹亦可シ↣自ラ決↢断ス臭処・悪露ヲ↡。若曹亦可シ↣端シクシ↠心ヲ正シクシテ↠身ヲ益マス作ス↢諸善ヲ↡。於テ↠是ニ*常ニ端シクシ↢*中外ヲ↡、潔↢浄ニシ身体ヲ↡、*洗↢除シテ心垢ヲ↡、自ラ相約撿シ、表裏相応シテ、言行忠信ニセヨ。人能ク自ラ度脱シテ、*転タ相*扶接シ、*抜キ↢諸ノ愛欲ヲ↡、精明至心ニシテ、求願シテ不↠転ゼ、結セヨ↢其ノ善道ノ根本ヲ↡。
精進して苦しむといへども一世は須臾のあひだなるのみ。 今世に善をなせば後世に無量清浄仏の国に生じて、 快楽はなはだ極まりなく、 ながへに道と合明す。 しかうしてよく極めてあひ保守し、 ながへに悪道痛痒の憂悩を去り離れ、 勤苦諸悪の根本を抜き、 もろもろの愛欲恩好を断じて、 ながへに無量清浄仏の国に生じて、 またもろもろの痛痒あることなく、 またまたもろもろの悪臭の処あることなく、 またまた勤苦あることなく、 また淫泆・瞋怒・愚痴あることなく、 また憂思・愁毒あることなし。
○雖モ↢精進シテ苦シムト↡一世ハ須臾ノ間ナル耳。今世ニ為セバ↠善ヲ後世ニ生ジテ↢無量清浄仏ノ国ニ↡、快楽甚ダ无ク↠極リ、長ヘニ与↠*道合明ス。然シテ善ク極テ相保*守シ、長ヘニ去リ↢離レ*悪道痛痒之*憂悩ヲ↡、抜キ↢勤苦諸悪ノ根本ヲ↡、断ジテ↢諸ノ愛欲恩好ヲ↡、長ヘニ生ジテ↢无量清浄*仏ノ国ニ↡、亦無ク↠有ルコト↢諸ノ痛痒↡、亦无ク↣復*有ルコト↢諸ノ悪臭ノ処↡、亦无ク↣復有ルコト↢勤苦↡、亦*無ク↢*淫泆・瞋怒・愚0270痴↡、亦*無シ↠有ルコト↢憂思・愁毒↡。
無量清浄仏の国に生じて、 寿一劫・十劫・百劫・千劫・万億劫ならんと欲せば、 おのづからほしいままなり。 もし意に寿無央数劫・不可復計数劫に住止せんと欲せば、 ほしいままに意に随ひてみなこれを得べし。 食せんと欲すも食せざらんとすも、 ほしいままにその意のごとくにすべてことごとく自然にみなこれを得べし。
○生ジテ↢於无量清浄仏ノ国ニ↡、欲セバ↢寿一劫・十劫・百劫・千*劫・万億劫ナラムト↡、自ラ恣ナリ。*若シ意ニ欲セバ↣住↢*止セムト寿無央数劫・不可復*計数劫ニ↡、恣*若ニ随ヒテ↠意ニ皆可シ↠得↠之ヲ。●欲スモ↠食セムト不ラムトスモ↠食セ、恣ニ若クニ↢其ノ意ノ↡都テ悉ク自然ニ皆可シ↠得↠之ヲ。
泥洹の道に次し。 みなおのおのみづから精明に心所欲の願を求索すべし、 狐疑し心に中悔することを得ることなかれ。 往生せんと欲するものは、 その過失によりて、 無量清浄仏国界の辺の自然の七宝の城のなかにありて、 讁せらるること五百歳なるを得ることなかれと。
○次シ↢於泥洹之道ニ↡。皆各ノ自ラ精明ニ求↢索スベシ心所欲ノ願ヲ↡、勿レ↠得ルコト↢狐疑シ心ニ中悔スルコトヲ↡。欲スル↢往生セムト↡者ハ、無レト↠得ルコト↧坐リテ↢其ノ過失ニ↡、在リテ↢无量清浄仏国界ノ辺ノ自然ノ七宝ノ城ノ中ニ↡、*讁セラルルコト五百歳ナルヲ↥。
阿逸菩薩まうさく、 仏の厳明なる重教を受けて、 みなまさに精進して一心に求索すべし。 請はくはこれを奉行してあへて疑怠せずと。
○阿逸菩薩言ク、受ケテ↢仏ノ厳明ナル重教ヲ↡、皆*当ニシ↢精進シテ*一心ニ求索ス↡。請ハクハ奉↢行シテ之ヲ↡不ト↢敢テ*疑怠セ↡。
*仏説無量清浄平等覚経 巻第三
延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ高麗版(初雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本 と対校。 ª全部対校º 琉→ⒷⒸⒹ瑠、 項→ⒷⒸⒹ頂、 虎→ⒷⒸⒹ琥
佛…三13字 Ⓓになし
第三→ⒷⒸ下
後…譯12字 Ⓓになし
氏国→ⒷⒸ支
支 Ⓑになし
劫→Ⓒ却
无→ⒷⒸⒹ未
過→◎Ⓐ適
作→ⒷⒸⒹ作[仏]
作→ⒷⒸⒹ[得]作
泥→ⒷⒸⒹ泥[洹]
量→Ⓐ量[億劫]
清…劫(252頁) Ⓐになし
脱度→ⒷⒸⒹ度脱
浩浩→ⒷⒸⒹ皓皓
即→ⒷⒸⒹ則
仏 ⒷⒸⒹになし
洹→ⒷⒸⒹ曰
准→Ⓐ唯→ⒷⒸⒹ惟
常→Ⓓ当
甚→Ⓐ其
升→ⒷⒸⒹ斗
如→ⒶⒷⒸ而
採→ⒷⒸⒹ探
四→ⒷⒸⒹ四[天]
僧 ⒷⒸⒹになし
王天→Ⓓ天王
持→ⒷⒸⒹ将
答報→ⒷⒸⒹ報答
番→ⒷⒸⒹ翻
常→Ⓓ当
名→ⒸⒹ為
復→◎ⒶⒷ須
外 ⒷⒸⒹになし
知→ⒷⒸ如
作→ⒶⒷⒸ作[功]
池→Ⓐ心
比→ⒷⒸⒹ比[如]
是→ⒷⒸⒹ前
楽→ⒷⒸⒹ喜
犁→Ⓑ黎
妷→Ⓓ泆
愍→ⒷⒸⒹ哀
各→ⒷⒸⒹ名
戯→◎ⒶⒷ虧
後 ⒸⒹになし
中 Ⓓになし
悷→ⒷⒸⒹ戻
Ⓓここで巻中終り、 次行に 仏説無量清浄平等覚経巻中 の尾題あり
巻中終Ⓓ
Ⓓ前に 仏説無量清浄平等覚経巻下/後漢月支三蔵支婁迦讖訳 の首題訳者名あり
幡→ⒷⒸⒹ翻
廻→ⒷⒸⒹ徊
駃→Ⓓ駛
誤→ⒷⒸⒹ信
咸→Ⓐ減
一旦→Ⓒ亙
姝→ⒷⒸⒹ殊
→◎Ⓐ饒
盗→Ⓐ恣
繋唐→ⒷⒸⒹ撃搪
怔→Ⓑ征
恚→◎Ⓐ毒
怒→Ⓑ努
堅→ⒶⒷⒸⒹ慳
儩→ⒶⒷ賜
然→◎Ⓐ殺
往→Ⓑ性
勱→ⒷⒸⒹ励
力 ⒷⒸⒹになし
求→◎Ⓐ来
矇→ⒷⒸ朦
猥→ⒷⒸⒹ狼
更→ⒷⒸ於
思→ⒷⒸⒹ恋
窈→ⒷⒸⒹ冥
妄→Ⓐ忘
勱→Ⓑ励→ⒸⒹ曼
愛→ⒸⒹ受
語→◎ⒶⒷⒸ諸
小弟→ⒷⒸⒹ弟子
視天→ⒸⒹ示大
今→ⒷⒸⒹ念
慊→ⒸⒹ勤
経→Ⓐ攬
実 ⒷⒸⒹになし
喜→ⒷⒸⒹ善
示→Ⓑ視
五 ⒷⒸⒹになし
曹 ⒷⒸⒹになし
若→Ⓒ苦
死生→ⒷⒸⒹ生死
乃至 ⒷⒸⒹになし
値是→ⒷⒸⒹになし
汝→ⒷⒸⒹ若
甚 ⒷⒸⒹになし
大→ⒷⒸⒹ大[亦痛亦苦亦極飢時亦痛亦苦亦極病時亦痛]
浄潔→ⒷⒸⒹ潔浄
語→Ⓐ諸
曹→ⒷⒸⒹ曹[若曹]
常→ⒷⒸⒹ当
中→ⒶⒷⒸ中[表内]
洗→ⒷⒸⒹ洒
転→ⒷⒸⒹ転[自]
扶接→ⒷⒸⒹ接扶
抜→Ⓑ伏
道→ⒶⒷⒸⒹ道[徳]
守 ⒷⒸⒹになし
悪道→ⒷⒸⒹ諸悪
憂悩→ⒷⒸⒹ臭処
仏 ⒷⒸⒹになし
有 ⒷⒸⒹになし
無→ⒶⒷⒸⒹ無[復]
淫→Ⓒ泆
無→ⒷⒸⒹ無[復]
劫→ⒷⒸⒹ劫[万劫億劫]
若 Ⓐになし
止→ⒸⒹ上
計 ⒷⒸⒹになし
若→◎Ⓐ汝
讁→ⒷⒹ適
当 ⒷⒸⒹになし
一心 ⒷⒸⒹになし
疑怠→ⒷⒸⒹ孤疑
佛…三13字 ⒷⒸⒹになし(巻を分けず)