0161◎讃阿弥陀仏偈
*曇鸞法師作
一 標体
◎^▼南無阿弥陀仏 *釈して無量寿と名づく。 ▲¬経¼ (*大経) に傍へて奉讃す。 また安養ともいふ。
◎南0535無阿弥陀仏 釈シテ名ク↢無量*寿ト↡。傍ヘテ↠¬経ニ¼奉讃ス。亦曰フ↢安養トモ↡
【仏荘厳】
二 正讃
Ⅰ 総讃
1.指方立相
【1】 ^▲現に西方この界を去ること、 *十万億刹の安楽土にまします。
現ニ在ス↧西方去ルコト↢此ノ界ヲ↡ | 十万億刹ノ安楽土ニ↥ |
^▲仏世尊を阿弥陀と号けたてまつる。 われ往生せんと願じて帰命し礼したてまつる。
仏世尊ヲ号ケタテマツル↢阿弥陀ト↡ | 我願ジテ↢往生セムト↡帰命シ礼シタテマツル |
二 Ⅰ 2.嘆弥陀徳
【2】 ^▲成仏よりこのかた十劫を歴たまへり。 ▲寿命まさに量りあることなし。
成仏ヨリ已来タ歴タマヘリ↢十劫ヲ↡ | 寿命方将無シ↠有ルコト↠量リ |
^▲法身の光輪法界にあまねくして、 *世の盲冥を照らす。 ゆゑに*頂礼したてまつる。
法身ノ光輪遍クシテ↢法界ニ↡ | 照ス↢世ノ盲冥ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル |
〔十二光讃〕
二 Ⅱ 別讃
1.無量光 2.真実明
【3】 ^▼智慧の光明量るべからず。 ゆゑに仏をまた▲*無量光と号けたてまつる。
智*恵ノ光明不↠可カラ↠量ル | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢無量光ト↡ |
^*有量の諸相*光暁を蒙る。 このゆゑに▼*真実明を*稽首したてまつる。
有量ノ諸相蒙ル↢光*暁↡ | 是ノ故ニ稽↢首シタテマツル真実明ヲ↡ |
二 Ⅱ 3.無辺光 4.平等覚
【4】 ^▲解脱の光輪限斉なし。 ゆゑに仏をまた▲*無辺光と号けたてまつる。
解脱ノ光輪無シ↢限斉↡ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢無辺光ト↡ |
^0162光触を蒙るもの*有無を離る。 このゆゑに▼*平等覚を稽首したてまつる。
蒙ル↢光触ヲ↡者離ル↢有無ヲ↡ | 是ノ故ニ稽↢首シタテマツル平等覚ヲ↡ |
二 Ⅱ 5.無礙光 6.難思議
【5】 ^▲*光雲*無礙にして虚空のごとし。 ゆゑに仏をまた▲*無礙光と号けたてまつる。
光雲無ニシテ如シ↢虚空ノ↡ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢無光ト↡ |
^一切の*有礙*光沢を蒙る。 このゆゑに▼*難思議を頂礼したてまつる。
0536一切ノ有蒙ル↢光沢ヲ↡ | 是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル難思議ヲ↡ |
二 Ⅱ 7.無対光 8.畢竟依
【6】 ^▲清浄の光明対ぶものあることなし。 ゆゑに仏をまた▲*無対光と号けたてまつる。
清浄ノ光明*無シ↠有ルコト↠対ブモノ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢無対光ト↡ |
^この光に遇ふもの*業繋除こる。 このゆゑに▼*畢竟依を稽首したてまつる。
*遇フ↢斯ノ光ニ↡者業繋除コル | 是ノ故ニ稽↢首シタテマツル畢竟依ヲ↡ |
二 Ⅱ 9.炎王光 10.大応供
【7】 ^▲仏光照曜すること最第一なり。 ゆゑに仏をまた▲*光炎王と号けたてまつる。
仏光照曜スルコト最第一ナリ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢光*炎王ト↡ |
^▲三塗の黒闇*光啓を蒙る。 このゆゑに▼*大応供を頂礼したてまつる。
三塗ノ黒闇蒙ル↢光啓ヲ↡ | 是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル大応供ヲ↡ |
二 Ⅱ 11.清浄光
【8】 ^▲*道光明朗にして、 色超絶したまへり。 ゆゑに仏をまた▲*清浄光と号けたてまつる。
道光明朗ニシテ色超絶シタマヘリ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢清浄光ト↡ |
^▼一たび光照を蒙れば、 罪垢除こりてみな解脱を得。 ゆゑに頂礼したてまつる。
一タビ蒙レバ↢光照ヲ↡罪垢除コリテ | 皆得↢解脱ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 12.歓喜光 13.大安慰
【9】 ^▲慈光はるかに被らしめ、 安楽を施したまふ。 ゆゑに仏をまた▲*歓喜光と号けたてまつる。
慈光*遐ニ被ラシメ施シタマフ↢安楽ヲ↡ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢歓喜光ト↡ |
^光の至るところの処法喜を得。 ▼*大安慰を稽首し頂礼したてまつる。
*光ノ所ノ↠至ル処得↢法喜ヲ↡ | 稽↢首シ頂↣礼シタテマツル大安慰ヲ↡ |
二 Ⅱ 14.智慧光
【016310】 ^▲仏光よく無明の闇を破す。 ゆゑに仏をまた▲*智慧光と号けたてまつる。
仏光能ク破ス↢無明ノ闇ヲ↡ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢智*恵光ト↡ |
^▲一切諸仏・三乗衆、 ことごとくともに歎誉したまへり。 ゆゑに稽首したてまつる。
一切諸仏・三乗衆 | 咸ク共ニ*歎誉シタマヘリ故ニ稽首シタテマツル |
二 Ⅱ 15.不断光
【11】 ^▼光明一切の時にあまねく照らす。 ゆゑに仏をまた▲*不断光と号けたてまつる。
光明一切ノ*時ニ普ク照ス | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢不断光ト↡ |
^▲光力を聞くがゆゑに、 心断えずしてみな往生を得。 ゆゑに頂礼したてまつる。
聞クガ↢光力ヲ↡故ニ心不シテ↠断エ | 皆得↢往生ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 16.難思光
【12】 ^▲その光仏を除きてはよく測るものなし。 ゆゑに仏をまた▲*難思議と号けたてまつる。
其ノ光除キテハ↠仏ヲ莫シ↢能ク測ルモノ↡ | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢難思*議ト↡ |
^十方諸仏往生を歎じ、 その功徳を称したまへり。 ゆゑに稽首したてまつる。
0537十方諸仏*歎ジ↢往生ヲ↡ | 称シタマヘリ↢其ノ功徳ヲ↡故ニ稽首シタテマツル |
二 Ⅱ 17.無称光
【13】 ^▲*神光、 *相を離れたれば、 名づくべからず。 ゆゑに仏をまた▲*無称光と号けたてまつる。
神光離レタレバ↠相ヲ不↠可カラ↠名ク | 故ニ仏ヲ又号ケタテマツル↢無称光ト↡ |
^▲*光によりて成仏したまへば、 光*赫然たり。 諸仏の歎じたまふところなり。 ゆゑに頂礼したてまつる。
因リテ↠光ニ*成仏シタマヘバ光赫然タリ | 諸仏ノ所ナリ↠*歎シタマフ故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 18.超日月光 19.無等等
【016414】 ^▼光明照曜すること日月に過ぎたり。 ゆゑに仏を▲*超日月光と号けたてまつる。
光明照曜スルコト*過ギタリ↢日月ニ↡ | 故ニ仏ヲ号ケタテマツル↢超日月光ト↡ |
^▲釈迦仏歎じたまふもなほ尽きず。 ゆゑにわれ▼*無等等を稽首したてまつる。
釈迦仏*歎シタマフモ尚不↠尽キ | 故ニ我稽↢首シタテマツル無等等ヲ↡ |
【菩薩荘厳】
二 Ⅱ 20.広大会
【15】 ^▲阿弥陀仏の*初会の衆は、 声聞・菩薩の数無量なり。
^神通巧妙にして算ふることあたはず。 このゆゑに▼*広大会を稽首したてまつる。
神通巧妙ニシテ不↠能ハ↠算フルコト | 是ノ故ニ稽↢首シタテマツル広大*会ヲ↡ |
二 Ⅱ 21.大心海
a 浄土の位相を嘆ず
イ 正しく位相を定む
【16】 ^▲安楽の無量の*摩訶薩は、 みなまさに*一生にして仏処を補ふべし。
安楽ノ無量ノ摩訶薩ハ | 咸当ニシ↣一生ニシテ補フ↢仏処ヲ↡ |
二 Ⅱ 21 a ロ 重ねて化益を挙ぐ
^その本願の*大弘誓をもつて、 あまねくもろもろの衆生を*度脱せんと欲するを除く。
除ク↤其ノ本願ノ大弘誓ヲモテ | 普ク欲スルヲ↣度↢脱セムト諸ノ衆生ヲ↡ |
^これらの*宝林功徳聚を、 一心に合掌し頭面をもつて礼したてまつる。
斯等ノ宝林功徳聚ヲ | 一心ニ合掌シ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 21 b 二衆の徳用を嘆ず
【17】 ^▲安楽国土のもろもろの声聞は、 みな光*一尋にして流星のごとし。
安楽国土ノ諸ノ声聞ハ | *皆光一尋ニシテ若シ↢流星ノ↡ |
^菩薩の光輪は四千里にして、 秋の満月の紫金に映ずるがごとし。
菩薩ノ光輪ハ四千里ニシテ | 若シ↣秋ノ満月ノ映ズルガ↢紫金ニ↡ |
^仏の*法蔵を集めて衆生のためにす。 ゆゑにわれ▼*大心海を頂礼したてまつる。
集メテ↢仏ノ法蔵ヲ↡為ニス↢衆生ノ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル大心海ヲ↡ |
二 Ⅱ 21 c 他方の化益を嘆ず
イ 別して二士の悲化を嘆ず
【18】 ^▲また*観世音・*大勢至は、 もろもろの聖衆において最第一なり。
^0165慈光*大千界を照曜し、 仏の左右に侍して*神儀を顕す。
0538慈光照↢曜シ大千界ヲ↡ | 侍シテ↢仏ノ左右ニ↡*顕ス↢神*儀ヲ↡ |
^もろもろの有縁を度してしばらくも息まざること、 大海の潮の時を失せざるがごとし。
度シテ↢諸ノ有縁ヲ↡不ルコト↢暫モ息マ↡ | 如シ↢大海ノ*潮ノ不ルガ↟失セ↠時ヲ |
^かくのごとき大悲 (観音)・大勢至を、 一心に稽首し頭面をもつて礼したてまつる。
如キ↠是クノ大悲・大勢*至ヲ | 一心ニ稽首シ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 21 c ロ 総じて聖衆の二利を嘆ず
【19】 ^▲それ衆生ありて安楽に生ずれば、 ことごとく*三十有二相を具す。
其レ有リテ↢衆生↡生スレバ↢安楽ニ↡ | 悉ク具ス↢三十有二相ヲ↡ |
^▲智慧満足して深法に入る。 *道要を究暢して障礙なし。
智*恵満足シテ入ル↢深法ニ↡ | 究↢暢シテ道要ヲ↡無シ↢障↡ |
^▲*根の利鈍に随ひて忍を成就す。 *三忍乃至不可説なり。
随ヒテ↢根ノ利鈍ニ↡成↢就ス忍ヲ↡ | *三忍乃至不可*説ナリ |
^▲*宿命五通つねに自在にして、 仏に至るまで*雑悪趣に更らず。
宿命五通常ニ自在ニシテ | 至ルマデ↠仏ニ不↠更ラ↢雑悪*趣ニ↡ |
^◆他方の五濁の世に生じて、 示現して同じく大牟尼 (釈尊) のごとくなるを除く。
除ク↧生ジテ↢他方ノ五濁ノ世ニ↡ | 示現シテ同ジテ如クナルヲ↦大牟尼ノ↥ |
^安楽国に生じて大利を成ず。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
*生ジテ↢安楽国ニ↡成ズ↢大*利ヲ↡ | 是ノ故ニ至シテ↠心ヲ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 22.無上尊
a 神力の不測を明す
【20】 ^▲安楽の菩薩は仏の*神を承けて、 一念のあひだに十方に詣る。
安楽ノ菩薩ハ承ケテ↢仏ノ神ヲ↡ | 於テ↢一*念ノ頃ニ↡*詣ル↢十方ニ↡ |
^算数すべからざる仏世界にして、 もろもろの如来を恭敬し供養したてまつ0166る。
不ル↠可カラ↢算数ス↡仏世界ニシテ | 恭↢敬シ供↣養シタテマツル諸ノ如来ヲ↡ |
^▲華・香・*伎楽、 念に従ひて現じ、 *宝蓋・*幢幡、 意に随ひて出づ。
花・香・伎楽従ヒテ↠念ニ現ジ | 宝蓋・幢幡随ヒテ↠意ニ出ヅ |
^珍奇なること世に絶れてよく名づくることなし。 散華して殊勝の宝を供養したてまつれば、
珍奇ナルコト絶レテ↠世ニ無シ↢能ク名クルコト↡ | 散花シテ供↢養シタテマツレバ殊*星ノ宝ヲ↡ |
^▲化して*華蓋となり、 光*晃耀し、 香気あまねく薫じてあまねからざるはなし。
化シテ成リ↢花蓋ト↡光晃耀シ | 香気普ク薫ジテ莫シ↠不ルハ↠*周カラ |
^華蓋の小なるものも四百里なり。 すなはちあまねく*一仏界を覆ふことあり。
0539花蓋ノ小ナル者モ四百里ナリ | 乃チ有リ↣遍ク覆フコト↢一仏界ヲ↡ |
^その前後に随ひて次いで化し去る。 ▲このもろもろの菩薩みな*欣悦す。
随ヒテ↢其ノ前後ニ↡次ギテ化シ*去ル | 是ノ諸ノ菩薩僉欣悦ス |
^虚空のなかにおいて天楽を奏し、 徳を*雅讃し、 *仏慧を頌揚す。
於テ↢虚空ノ中ニ↡奏シ↢天楽ヲ↡ | 雅↢讃シ徳ヲ↡頌↢揚ス仏*恵ヲ↡ |
^▲経法を聴受して供養しをはりて、 いまだ食せざる前に虚に騰りて還る。
聴↢受シテ経法ヲ↡供養シ已リテ | 未ダル↠食セ之前ニ騰リテ↠虚ニ還ル |
^▼*神力自在にして測るべからず。 ゆゑにわれ▼*無上道を頂礼したてまつる。
神力自在ニシテ不↠可カラ↠測ル | 故ニ我頂↢礼シタテマツル無上*道ヲ↡ |
二 Ⅱ 22 b 智徳の無辺を嘆ず
【21】 ^▲安楽仏国のもろもろの菩薩、 それ宣説すべきことは智慧に随ふ。
安楽仏国ノ諸ノ菩薩 | 夫レ可キコトハ↢宣説ス↡随フ↢智*恵ニ↡ |
^▲おのが万物において*我所を亡ず。 浄きこと蓮華の塵を受けざるがごとし。
於テ↢己ガ万物ニ↡亡ズ↢我所ヲ↡ | 浄キコト若シ↢蓮花ノ不ルガ↟受ケ↠塵ヲ |
^◆往来進止汎べる舟のごとし。 *利安を務めとなして*適莫を捨つ。
往来進止若シ↢汎ベル舟ノ↡ | 利安ヲ為シテ↠務ト捨ツ↢適莫ヲ↡ |
^0167かれもおのれも空のごとくして*二想を断ず。 ▼智慧の炬を燃して長夜を照らす。
彼モ己モ猶クシテ↠空ノ断ズ↢二想ヲ↡ | 燃シテ↢智*恵ノ炬ヲ↡照ス↢長夜ヲ↡ |
^▲*三明六通みなすでに足れり。 菩薩の万行心眼を貫く。
^かくのごとき功徳辺量なし。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
如キ↠是クノ功徳無シ↢辺量↡ | 是ノ故ニ至シテ↠心ヲ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 23.平等力
a 果徳の平等を嘆ず
【22】 ^▲安楽の声聞・菩薩衆、 人天、 智慧ことごとく洞達せり。
^身相の荘厳殊異なし。 ただ*他方に順ずるがゆゑに名を列ぬ。
身相ノ荘厳無シ↢殊異↡ | 但順ズルガ↢他方ニ↡故ニ*列ヌ↠名ヲ |
^▲顔容端正にして比ぶべきなし。 *精微妙躯にして人天にあらず。
顔容端正ニシテ無シ↠可キ↠比ブ | 精微妙躯ニシテ非ズ↢人天ニ↡ |
^虚無の身無極の体なり。 このゆゑに▼*平等力を頂礼したてまつる。
0540虚無之身無極ノ体ナリ | 是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル平等*力ヲ↡ |
二 Ⅱ 23 b 因行の平等を嘆ず
イ 行者に約す
【23】 ^▲敢みてよく安楽国に生ずることを得れば、 みなことごとく正定聚に住す。
敢ミテ能ク得レバ↠生ズルコトヲ↢安楽国ニ↡ | 皆悉ク住ス↢於正定聚ニ↡ |
^*邪定・不定その国になし。 諸仏ことごとく讃じたまふ。 ゆゑに頂礼したてまつる。
*邪定・不定其ノ国ニ無シ | 諸仏咸ク讃ジタマフ故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 23 b ロ 仏力に約す
【24】 ^▲*あらゆるもの、 阿弥陀の徳号を聞きて、 信心歓喜して聞くところを慶び、
諸聞キテ↢阿弥陀ノ徳号ヲ↡ | 信心歓喜シテ慶ビ↠所ヲ↠聞ク |
^すなはち一念に曁ぶまで心を至すもの、 回向して生ぜんと願ずればみな生0168ずることを得。
乃チ曁ブマデ↢一念ニ↡至ス↠心ヲ者 | 廻向シテ願ズレバ↠生ゼムト皆得↠*生ズルコトヲ |
^ただ五逆と*謗正法とを除く。 ゆゑにわれ頂礼して往生を願ず。
唯除ク↢五逆ト謗正法トヲ↡ | 故ニ我頂礼シテ願ズ↢往生ヲ↡ |
二 Ⅱ 24.大心力
a 身相の殊勝を嘆ず
【25】 ^▲安楽の菩薩・声聞の輩、 この世界において比方なし。
安楽ノ菩薩・声聞ノ輩 | 於テ↢此ノ世界ニ↡无シ↢比方↡ |
^▼釈迦*無礙の大弁才をもつて、 もろもろの仮令を設けて少分を示し、
釈迦無ノ大*辨才ヲモテ | 設ケテ↢諸ノ仮令ヲ↡示シ↢少分ヲ↡ |
^◆*最賎の乞人を帝王に並べ、 帝王をまた*金輪王に比ぶ。
最賎ノ乞人ヲ並ベ↢帝王ニ↡ | 帝王ヲ*復比ブ↢金輪*王ニ↡ |
^かくのごとく*展転して*六天に至る。 次第してあひ形すことみな始めのごとし。
如ク↠是クノ展*転シテ至ル↢六天ニ↡ | 次第シテ相形スコト皆如シ↠*始ノ |
^◆*天の色像をもつてかれに喩ふるに、 千万億倍すともその類にあらず。
以テ↢天ノ色像ヲ↡喩フルニ↢於彼ニ↡ | 千万億倍ストモ非ズ↢其ノ類ニ↡ |
二 Ⅱ 24 b 願心荘厳を嘆ず
^▼みなこれ*法蔵願力のなせるなり。 ▼*大心力を稽首し頂礼したてまつる。
皆是法蔵願力ノ*為セルナリ | 稽↢首シ頂↣礼シタテマツル大心力ヲ↡ |
二 Ⅱ 25.無称仏
a 資具の自在を嘆ず
【26】 ^▲天・人一切須むるところあれば、 欲に称はざるはなし。 念に応じて至る。
*天人一切有レバ↠所↠須ムル | 无シ↠不ルハ↢称ハ↠*欲ニ応ジテ↠念ニ至ル↡ |
^一宝・二宝・無量宝、 心に随ひて*受用の具を化造す。
一宝・二宝・無量宝 | 随ヒテ↠心ニ化↢造ス受用ノ具ヲ↡ |
^堂宇・飲食ことごとくかくのごとし。 ゆゑにわれ▼*無称仏を稽首したてまつる。
0541*堂宇・飲食悉ク如シ↠此クノ | 故ニ我稽↢首シタテマツル無称仏ヲ↡ |
二 Ⅱ 25 b 受用の自在を嘆ず
【27】 ^▲もろもろの往生するもの、 ことごとく清浄の色身を具足して、 比ぶべきなし。
諸ノ往生スル者悉ク具↢足シテ | 清浄ノ色身ヲ↡无シ↠可キ↠比ブ |
^0169神通功徳および宮殿・服飾の荘厳は六天のごとし。
^▲*応器の宝鉢自然に至り、 *百味の嘉餚たちまちすでに満つ。
^▲色を見、 香りを聞き、 意に食せんとすれば、 忽然として飽足し*適悦を受く。
見↠色ヲ聞キ↠香ヲ*意ニ為レバ↠食セムト | 忽然トシテ飽足シ受ク↢適悦ヲ↡ |
^味はふところ清浄にして*着するところなし。 事已れば化し去り、 須むればまた現ず。
所↠味フ清浄ニシテ無シ↠所↠著スル | 事已レバ化シ去リ*須ムレバ復現ズ |
^▲*晏安たる快楽は*泥洹に次し。 このゆゑに心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
*晏安タル快楽ハ次シ↢泥洹ニ↡ | 是ノ故ニ至シテ↠心ヲ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 26.婆伽婆
a 三世往生
【28】 ^▲十方仏土の菩薩衆およびもろもろの比丘、 安楽に生ずるもの、
^無量無数にして計るべからず。 *已生・今生・当もまたしかなり。
無量無数ニシテ不↠可カラ↠計ル | 已生・今生・当モ亦然ナリ |
^みなかつて無量の仏を供養し、 百千堅固の法を*摂取す。
皆曽テ供↢養シ無量ノ仏ヲ↡ | 摂↢取ス百千堅固ノ法ヲ↡ |
^かくのごとき*大士ことごとく往生す。 このゆゑに阿弥陀を頂礼したてまつる。
如キ↠是クノ大士悉ク往生ス | 是ノ故ニ頂↢礼シタテマツル阿弥陀ヲ↡ |
二 Ⅱ 26 b 聞信大利
【29】 ^▲もし阿弥陀仏の号を聞きて、 歓喜し讃仰し、 心帰依すれば、
若シ聞キテ↢阿弥陀*仏ノ号ヲ↡ | 歓喜シ讃仰シ心帰依スレバ |
^下一念に至るまで大利を得。 すなはち功徳の宝を具足すとなす。
下至ルマデ↢一念ニ↡得↢大利ヲ↡ | 則チ為ス↣具↢足スト功徳ノ宝ヲ↡ |
二 Ⅱ 26 c 求方専志
^0170▲たとひ*大千世界に満てらん火をも、 またただちに過ぎて仏の名を聞くべし。
設ヒ満テラム↢大千世界ニ↡火ヲモ | 亦応シ↣直ニ過ギテ聞ク↢仏ノ名ヲ↡ |
^阿弥陀を聞けば、 また*退かず。 このゆゑに心を至して稽首し礼したてまつる。
0542聞ケバ↢阿弥陀ヲ↡不↢復退カ↡ | 是ノ故ニ至シテ↠心ヲ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 26 d 東方往生
【30】 ^▲*神力無極の阿弥陀は、 十方無量の仏の歎じたまふところなり。
神力無極ノ阿弥陀ハ | 十方无量ノ仏ノ所ナリ↠歎ジタマフ |
^東方恒沙の諸仏の国、 菩薩無数にしてみな*往覲す。
二 Ⅱ 26 e 九方亦然
^◆また安楽国の菩薩・声聞・もろもろの大衆を供養し、
^*経法を聴受して*道化を宣ぶ。 ▼*自余の九方もまたかくのごとし。
聴↢受シテ経法ヲ↡宣ブ↢道化ヲ↡ | 自余ノ九方モ亦如シ↠是クノ |
^*釈迦如来、 ▲*偈を説きて、 無量の功徳を頌したまふ。 ゆゑに頂礼したてまつる。
釈迦如来説キテ↠偈ヲ頌シタマフ↢ | 無量ノ功徳ヲ↡故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 26 f 観仏儀式
【31】 ^▲諸来の無量菩薩衆、 *徳本を殖ゑんがために虔恭を致す。
諸来ノ無量菩薩衆 | 為ニ↠*殖ヱムガ↢徳本ヲ↡致ス↢虔*恭ヲ↡ |
^あるいは天楽を奏して仏を歌歎し、 あるいは仏慧の世間を照らすを頌す。
或イハ奏シテ↢*天楽ヲ↡歌↢歎シ仏ヲ↡ | 或イハ頌ス↣仏*恵ノ照スヲ↢世間ヲ↡ |
^あるいは天の華・衣をもつて供養し、 あるいは浄土を覩て*等願を興す。
或イハ以テ↢天ノ花・衣ヲ↡供養シ | 或イハ覩テ↢浄土ヲ↡興ス↢等願ヲ↡ |
^▲かくのごとき聖衆ことごとく現前し、 *八梵声をもつて*仏記を授くるを蒙る。
如キ↠是クノ聖衆悉ク現前シ | 蒙ル↣八梵声ヲモテ授クルヲ↢仏記ヲ↡ |
^0171一切の菩薩願行を増す。 ゆゑにわれ▼*婆伽婆を頂礼したてまつる。
一切ノ菩薩増ス↢願行ヲ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル婆伽婆ヲ↡ |
二 Ⅱ 27.講堂
【32】 ^▲聖主世尊 (阿弥陀仏) 説法の時、 大衆七宝の堂に雲集す。
^仏の開示を聴きてことごとく悟入し、 歓喜充遍してみな*道を得。
聴キテ↢仏ノ開示ヲ↡咸ク悟入シ | 歓喜充遍シテ皆得↠道ヲ |
^▲時に四面より清風起り、 宝樹を撃動して妙響を出す。
于↠時四面ヨリ起リ↢清風↡ | 撃↢動シテ宝樹ヲ↡出ス↢妙響ヲ↡ |
^*和韻清徹にして*糸竹に過ぎ、 *金石に踰えて倫比なし。
0543和韻清徹ニシテ*過ギ↢絲竹ニ | 踰エテ↢於金石ニ↡无シ↢倫比↡ |
^天華*繽紛として香風を逐ひ、 自然の供養つねにして息まず。
天花繽紛トシテ*逐ヒ↢香風ヲ↡ | 自然ノ供養常ニシテ不↠息マ |
^諸天また天の華香を持し、 百千の伎楽もつて敬ひを致す。
諸天復持シ↢天ノ*花・香ヲ↡ | 百千ノ伎楽用テ致ス↠敬ヲ |
^かくのごとき功徳三宝の聚なり。 ゆゑにわれ想を運らして▼*講堂を礼したてまつる。
如キ↠是クノ功徳三宝ノ*聚ナリ | 故ニ我運ラシテ↠想ヲ礼シタテマツル↢講堂ヲ↡ |
【国土荘厳】
二 Ⅱ 28.清浄大摂受
【33】 ^▼妙土広大にして*数限を超ゆ。 自然の七宝をもつて合成するところなり。
妙土広大ニシテ超ユ↢*数限ヲ↡ | 自然ノ七宝ヲモテ所ナリ↢合*成スル↡ |
^仏の本願力より荘厳起る。 ▼*清浄大摂受を稽首したてまつる。
仏ノ本願力ヨリ荘厳起ル | 稽↢首シタテマツル清浄大摂受ヲ↡ |
二 Ⅱ 29.不可思議尊
【34】 ^▲世界光曜すること妙にして殊絶す。 適悦晏安として*四時なし。
世界光曜スルコト妙ニシテ殊絶ス | 適悦*晏安トシテ無シ↢四時↡ |
^自利他利の力円満したまふ。 *方便巧荘厳を帰命したてまつる。
自利*他利ノ力円満シタマフ | 帰↢命シタテマツル方便巧荘厳ヲ↡ |
^▲宝地澄静にして平らかなること掌のごとく、 山・川・陵・谷の阻あることなし。
宝地澄静ニシテ平ナルコト如ク↠掌ノ | 無シ↠有ルコト↢山川・陵谷ノ阻↡ |
^0172もし仏の神力をもつて須むればすなはち見る。 ▼*不可思議尊を稽首したてまつる。
若シ仏ノ神力ヲモテ須ムレバ則チ見ル | 稽↢首シタテマツル不可思*議尊ヲ↡ |
二 Ⅱ 30.道場樹
a 道樹徳相
【35】 ^▲*道樹の高さ四百万里、 周囲由旬五千あり。
^枝葉布くこと里二十万なり。 自然の衆宝をもつて合成するところなり。
枝葉布クコト里二十万ナリ | 自然ノ衆宝ヲモテ所ナリ↢合成スル↡ |
^*月光摩尼・*海輪宝、 衆宝の王をもつて荘厳す。
^*周帀してあひだに垂るる宝の*瓔珞は、 百千万種の色に変異す。
周帀シテ垂ルル↠間ニ宝ノ瓔珞ハ | 百千万種ノ色ニ変異ス |
^光焔照曜すること*千日に超え、 *無極の宝網その上に覆へり。
0544光*焔照曜スルコト超エ↢千日ニ↡ | 無極ノ宝網覆ヘリ↢其ノ上ニ↡ |
^一切の荘厳随ひて応現す。 ▼*道場樹を稽首し頂礼したてまつる。
一切ノ荘厳随ヒテ応現ス | 稽↢首シ頂↣礼シタテマツル道場樹ヲ↡ |
二 Ⅱ 30 b 出声説法
【36】 ^▲微風、 樹を吹きて法音を出し、 あまねく十方諸仏の*刹に流る。
微風吹キテ↠樹ヲ出シ↢法音ヲ↡ | 普ク流ル↢十方諸仏ノ刹ニ↡ |
^この音を聞くもの*深法忍を得、 仏道を成ずるに至るまで苦に遭はず。
聞クモノ↢斯ノ音ヲ↡得↢深法忍ヲ↡ | 至ルマデ↠成ズルニ↢仏道ヲ↡不↠遭ハ↠苦ニ |
^神力広大にして量るべからず。 道場樹を稽首し頂礼したてまつる。
神力広大ニシテ不↠可カラ↠量ル | 稽↢首シ頂↣礼シタテマツル道場樹ヲ↡ |
二 Ⅱ 30 c 縁樹利益
【37】 ^▲樹香・樹色・樹音声・樹触・樹味および樹法、
^*六情遇へば*法忍を得。 ゆゑにわれ道場樹を頂礼したてまつる。
六情遇ヘバ者得↢法忍ヲ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル道場樹ヲ↡ |
二 Ⅱ 31.真無量
【38】 ^▲道場樹の六根に対するを蒙り、 すなはち成仏に至るまで根清徹なり。
蒙リ↣道場樹ノ対スルヲ↢六根ニ↡ | 乃チ至ルマデ↢成仏ニ↡根清徹ナリ |
^▲*音響・柔順・無生忍、 力の浅深に随ひてことごとく証を得。
音響・柔順・無生忍 | 随ヒテ↢力ノ浅深ニ↡咸ク得↠*証ヲ |
^0173▲この樹の威徳の由来するところ、 みなこれ如来 (阿弥陀仏) *五種の力なり。
^神力と本願および満足と、 明了と堅固と究竟願となり。
^慈悲方便称るべからず。 ▼*真無量を帰命し稽首したてまつる。
慈悲・方便不↠可カラ↠称ル | 帰↢命シ稽↣首シタテマツル真无量ヲ↡ |
二 Ⅱ 32.清浄楽
a 樹音の最勝を嘆ず
【39】 ^▲世の帝王より六天に至るまで、 音楽うたた妙にして八種あり。
従リ↢世ノ帝王↡至ルマデ↢六天ニ↡ | 音楽転タ妙ニシテ有リ↢八*種↡ |
^展転して勝るること千億万倍、 宝樹の音の麗しきこと倍してまたしかなり。
展転シテ勝ルルコト*千億万倍 | 宝樹ノ音ノ麗シキコト倍シテ亦然ナリ |
二 Ⅱ 32 b 楽音の自然を嘆ず
^▲また自然の妙なる伎楽あり。 法音清和にして*心神を悦ばしめ、
0545復有リ↢自然ノ妙ナル伎楽↡ | 法音清和ニシテ悦バシメ↢心神ヲ↡ |
^*哀婉雅亮にして十方に超ゆ。 ゆゑにわれ▼*清浄楽を稽首したてまつる。
哀婉雅亮ニシテ超ユ↢十方ニ↡ | 故ニ我稽↢首シタテマツル清浄*楽ヲ↡ |
二 Ⅱ 33.本願功徳聚
【40】 ^▲七宝の樹林世界にあまねし。 光耀鮮明にしてあひ映発す。
^華・菓・枝・葉たがひになる。 ▼*本願功徳聚を稽首したてまつる。
花・菓・枝・葉更互ニ為ル | 稽↢首シタテマツル本願功徳聚ヲ↡ |
二 Ⅱ 34.清浄薫
【41】 ^▲清風時々に宝樹を吹くに、 *五の音声を出して宮商和す。
清風時*時ニ吹クニ↢宝樹ヲ↡ | 出シテ↢五ノ音声ヲ↡宮商和ス |
^微妙の雅曲自然に成ず。 ゆゑにわれ▼*清浄勲を頂礼したてまつる。
微妙ノ雅曲自然ニ成ズ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル清浄*勲ヲ↡ |
二 Ⅱ 35.功徳蔵
a 総じて国界の広大を嘆ず
b 別して界内の衆徳を嘆ず
イ 宝網
【42】 ^▲その土広大にして崖際なく、 ▲衆宝の*羅網あまねく上に覆へり。
其ノ土広大ニシテ无ク↢崖際↡ | 衆宝ノ羅網遍ク覆ヘリ↠上ニ |
^*金縷珠璣、 奇異の珍、 不可名の宝をもつて*校飾となす。
金縷・*殊璣奇異ノ珍 | 不可名ノ宝ヲモテ為ス↢挍飾ト↡ |
二 Ⅱ 35 b ロ 宝鈴
^▲四面に周帀して宝鈴を垂る。 調風吹き動かして妙法を出す。
周↢帀シテ四面ニ↡垂ル↢宝鈴ヲ↡ | 調風吹キ*動カシテ出ス↢妙法ヲ↡ |
二 Ⅱ 35 b ハ 徳香
^0174▲和雅の徳香つねに流布せり。 聞くもの*塵労の習起らず。
^この風身に触るれば快楽を受くること、 比丘の*滅尽定を得るがごとし。
此ノ風触ルレバ↠身ニ受クルコト↢快楽ヲ↡ | 如シ↣比丘ノ得ルガ↢滅尽定ヲ↡ |
二 Ⅱ 35 b ニ 散華
^▲風吹きて華を散らし、 仏土に満つ。 色の次第に随ひて雑乱せず。
風吹キテ散シ↠花ヲ満ツ↢仏土ニ↡ | 随ヒテ↢色ノ次第ニ↡不↢雑乱セ↡ |
^華質柔軟にして*列芬芳たり。 足その上を履むに下ること四指。
花質柔軟ニシテ*列芬芳タリ | 足履ムニ↢其ノ上ヲ↡下ルコト四*指 |
^足を挙ぐる時に随ひてまた故のごとし。 用ゐをはれば地開け、 没して遺ることなし。
随ヒテ↢挙グル↠足ヲ時ニ↡還リテ如シ↠故ノ | *用ヰ訖レバ地開ケ*没シテ無シ↠遺ルコト |
^その時節に随ひて華*六返す。 *不可議の報なり。 ゆゑに頂礼したてまつる。
0546随ヒテ↢其ノ時節ニ↡花六*返ス | 不*可*議ノ報ナリ故ニ頂礼シタテマツル |
二 Ⅱ 35 b ホ 宝蓮
(一)華葉五色
【43】 ^▲衆宝の蓮華世界に盈つ。 一々の華に百千億の葉あり。
^その葉の光明の色無量なり。 朱・紫・紅・緑五色に間はり、
其ノ*葉ノ光明ノ色無量ナリ | 朱・紫・紅・緑間リ↢五色ニ↡ |
^*煒燁煥爛として日光より曜く。 このゆゑに一心に稽首し礼したてまつる。
煒燁煥爛トシテ曜ク↢日光ヨリ↡ | 是ノ故ニ一心ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 35 b ホ (二)華光出仏
【44】 ^▲一々の華のなかより出すところの光、 三十六百有千億なり。
^一々の華のなかに仏身あり。 多少また出すところの光のごとし。
一一ノ*花ノ中ニ有リ↢仏身↡ | 多少亦如シ↢所ノ↠出ス光ノ↡ |
^▼仏身の相好金山のごとし。 一々また百千の光を放ち、
^あまねく十方のために妙法を説き、 おのおの衆生を仏道に安んず。
普ク為ニ↢十方ノ↡説キ↢妙法ヲ↡ | 各ノ安ズ↢衆生ヲ於仏道ニ↡ |
^かくのごとき神力辺量なし。 ゆゑにわれ阿弥陀を帰命したてまつる。
如キ↠是クノ神力无シ↢辺量 | 故ニ我帰↢命シタテマツル阿弥陀ヲ↡ |
二 Ⅱ 35 b ヘ 殿閣
【017545】 ^▲楼閣・殿堂工の造にあらず。 七宝の彫綺化してなるところなり。
楼閣・殿堂非ズ↢工ノ造ニ↡ | 七宝ノ*彫綺化シテ所ナリ↠成ル |
二 Ⅱ 35 b ト 浴池
^*明月・*珠璫、 *交露の縵あり。 ▲おのおの浴池あり、 形あひ称ふ。
明月・*殊璫交露ノ*漫アリ | 各ノ有リ↢浴池↡*形相称フ |
^▲八功徳の水池のなかに満てり。 色味香潔にして甘露のごとし。
八功徳ノ水満テリ↢池ノ中ニ↡ | 色味香潔ニシテ如シ↢甘露ノ↡ |
^▲黄金の池には白銀の沙あり。 七宝の池の沙たがひにかくのごとし。
黄金ノ池ニ者白銀ノ沙アリ | 七宝ノ池ノ沙互ニ如シ↠此クノ |
^▲池岸の香樹上に垂れ布き、 *栴檀*芬馥としてつねに馨りを流す。
池岸ノ香樹垂レ↢布キ上ニ↡ | *栴檀芬馥トシテ常ニ流ス↠*馨ヲ |
^天華*彩璨として映飾をなす。 水上*熠燿として景雲のごとし。
0547天花*彩璨トシテ為ス↢映飾ヲ↡ | 水上熠燿トシテ若シ↢景雲ノ↡ |
^▼*無漏の依果、 思議しがたし。 このゆゑに▼*功徳蔵を稽首したてまつる。
無漏ノ依果難シ↢思*議シ↡ | 是ノ故ニ稽↢首シタテマツル功徳蔵ヲ↡ |
二 Ⅱ 36.無極尊
a 宝池の水相を嘆ず
【46】 ^▲菩薩・声聞宝池に入れば、 意に随ひて浅深欲するところのごとし。
菩薩・声聞入レバ↢宝池ニ↡ | 随ヒテ↠意ニ浅深如シ↠所ノ↠欲スル |
^もし身に潅がんと須むれば、 自然に注ぐ。 *旋復せしめんと欲すれば、 水すなはち還る。
若シ須レバ↠潅ガムト↠身ニ自然ニ注グ | 欲スレバ↠令メムト↢旋復セ↡水尋チ還ル |
^▲調和冷暖にして称はざるはなし。 神開け体悦びて、 心垢を蕩かす。
調和冷暖ニシテ无シ↠不ルハ↠称ハ | 神開ケ体悦ビテ蕩ス↢心垢ヲ↡ |
^▲清明澄潔にして形なきがごとし。 宝沙映徹して深からざるがごとし。
清明澄潔ニシテ若シ↠无キガ↠形 | 宝沙映徹シテ如シ↠不ルガ↠深カラ |
^▲*澹淡として回転りてあひ注潅す。 *嬋約容予にして人の神を和らぐ。
澹淡トシテ廻転リテ相注潅ス | *嬋約容*予ニシテ和ラグ↢人ノ神ヲ↡ |
二 Ⅱ 36 b 妙声の説法を嘆ず
^▲微波無量にして妙響を出す。 その所応に随ひて法語を聞く。
微波無量ニシテ出ス↢妙響ヲ↡ | 随ヒテ↢其ノ所応ニ↡*聞ク↢法語ヲ↡ |
^あるいは三宝の妙章を聞き、 あるいは寂静・空・無我を聞き、
或イハ聞キ↢三宝之妙章ヲ↡ | 或イハ聞キ↢寂静・空・無我ヲ↡ |
^あるいは無量の波羅蜜・*力・不共法・諸通慧を聞き、
或イハ聞キ↢無量ノ波羅蜜・ | 力・不共法・*諸通*恵ヲ↡ |
^0176あるいは*無作・無生忍、 乃至*甘露潅頂の法を聞く。
^根の*性欲に随ひてみな歓喜す。 三宝の相と真実の義に順ひて、
随ヒテ↢根ノ性欲ニ↡皆歓喜ス | 順ヒテ↢三宝ノ相ト真実ノ義ニ↡ |
^菩薩・声聞の所行の道、 ここにおいて一切ことごとくつぶさに聞く。
^▲三塗苦難の名永く閉ぢ、 ただ自然快楽の音のみあり。
^このゆゑにその国を安楽と号く。 頭面をもつて▼*無極尊を頂礼したてまつる。
0548是ノ故ニ其ノ国ヲ号ク↢安楽ト↡ 頭面ヲモテ頂↢礼シタテマツル無極尊ヲ↡ |
【結讃】
二 Ⅱ 37.不可思議光
a 先づ相承有源を嘆ず
イ 正嘆
【47】 ^▼*本師*龍樹摩訶薩、 *形を*像始に誕じて*頽綱を理へ、
*本師龍樹摩訶薩 | 誕ジテ↢形ヲ像始ニ↡理ヘ↢頽綱ヲ↡ |
^*邪扇を関閉して正轍を開く。 これ閻浮提の一切の眼なり。
*関↢閉シテ邪*扇ヲ↡開ク↢正*轍ヲ↡ | 是閻浮提ノ一切ノ眼ナリ |
^*伏して承るに尊 (龍樹)、 歓喜地を*悟りて、 阿弥陀に帰して安楽に生ぜり。
*伏シテ承ルニ尊*悟リテ↢歓喜地ヲ↡ | 帰シテ↢阿弥陀ニ↡生ゼリ↢安楽ニ↡ |
二 Ⅱ 47 a ロ 喩嘆
【48】 ^たとへば*龍動けば雲かならず随ふがごとし。 閻浮提に*百卉を放ち舒ぶ。
譬ヘバ如シ↢竜動ケバ雲必ズ随フガ↡ | 閻浮*提ニ放チ↢百卉ヲ↡舒ブ |
^南無慈悲龍樹尊、 心を至し帰命し頭面をもつて礼したてまつる。
南無慈悲龍樹尊 | 至シ↠心ヲ帰命シ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 47 b 自ら遇法歓喜を嘆ず
【49】 ^▼われ無始より三界に循りて、 *虚妄輪のために回転せらる。
我従リ↢无始↡循リテ↢三界ニ↡ | 為ニ↢*虚妄輪ノ↡所ル↢廻転セ↡ |
^一念一時に造るところの業、 足六道に繋がれ三塗に滞まる。
一念一時ニ所ノ↠造ル業 | 足繋ガレ↢六道ニ↡滞ル↢三塗ニ↡ |
^ただ願はくは慈光、 われを護念して、 われをして菩提心を失せざらしめた0177まへ。
唯願クハ慈光護↢念シテ我ヲ↡ | 令メタマヘ↢我ヲシテ不ラ↟失セ↢菩提心ヲ↡ |
二 Ⅱ 47 c 正しく結嘆帰依を明す
^▼わが*仏慧功徳を讃ずる音、 願はくは十方のもろもろの有縁に聞かしめて、
我ガ讃ズル↢*仏*恵功徳ヲ↡*音 | 願クハ聞カシメテ↢十方ノ諸ノ有縁ニ↡ |
^安楽に往生することを得んと欲するもの、 あまねくみな意のごとくにして障礙なからしめん。
欲スル↠得ムト↣往↢生スルコトヲ安楽ニ↡者 | 普ク皆如クニシテ↠意ノ無カラシメム↢障↡ |
^◆あらゆる功徳もしは大少、 一切に*回施してともに往生せん。
所有ル功徳若シハ大少 | 廻↢施シテ一切ニ↡共ニ往生セム |
^▼*不可思議光に南無し、 一心に帰命し稽首して礼したてまつる。
南↢無シ不可思*議光ニ↡ | 一*心ニ*帰命シ稽首シテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ 47 d 重ねて三世同道を嘆ず
【50】 ^▼十方三世の*無量慧、 同じく一如に乗じて正覚を号したまふ。
十方三世ノ無*量*恵 | 同ジク乗ジテ↢一如ニ↡号シタマフ↢正覚ヲ↡ |
^*二智円満して*道平等なり。 *摂化縁に随ふがゆゑに若干なり。
0549二智円満シテ道平等ナリ | 摂化随フガ↠縁ニ故ニ若干ナリ |
^▼われ阿弥陀の浄土に帰するは、 すなはちこれ諸仏の国に帰命するなり。
我帰スルハ↢阿弥陀ノ浄土ニ↡ | 即チ是帰↢命スルナリ諸仏ノ国ニ↡ |
^われ一心をもつて一仏を讃ず。 願はくは*十方無礙人にあまねからん。
我以テ↢一心ヲ↡讃ズ↢一仏ヲ↡ | 願クハ遍カラム↢十方无礙人ニ↡ |
^◆かくのごとき十方無量の仏、 ことごとくおのおの心を至して頭面をもつて礼したてまつる。
如キ↠是クノ十方無量ノ仏 | 咸ク各ノ至シテ↠心ヲ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
讃は一百九十五、 礼は五十一拝。
*讃ハ*一百九十*五 *礼ハ五十一*拝
讃0178阿弥陀仏偈
延書の底本は龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代末期書写本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版等によるか。
世の盲冥 無明煩悩の衆生を指していう。 →
補註10
光啓 光明によって闇がひらけること。
大弘誓 穢土の衆生をあまねく救い導く広大な誓い。
宝林功徳聚 宝の林のようにすぐれた功徳を集めた聖者たち。 浄土の菩薩のことをいう。
一尋 尋は長さの単位。 両手を左右に広げた時の長さを一尋とする。
法蔵 ここでは自利利他の行の徳という意。
神儀 厳かで気高いすがた。
道要を究暢して さとりの道をきわめて。
根の利鈍 素質能力のすぐれていることと劣っていること。
三忍 音響忍・
柔順忍・
無生法忍の
三宝忍のこと。
宿命五通 宿命通をはじめとする五神通。 五神通は
六神通のうち
漏尽通以外の五のこと。
雑悪趣 種々無量の悪がまじる境界。 地獄・餓鬼・畜生の三悪趣のこと。
一仏界 一仏の教化する世界。 通常一つの三千大千世界であるとされる。
仏慧を頌揚す 仏の智慧をほめたたえる。
我所を亡ず 我執の思いを滅ぼし尽している。
二想 他者・自己の二にとらわれる思い。
他方に… 他の世界になぞらえて、 声聞・菩薩・人天の名を立てているだけで、 実体のないこと。
精微妙躯 不可思議ですぐれた身体。
無礙の大弁才 自由自在なる弁舌の才能。
天の色像 第六天のすがたかたち。
受用の具 衣服・香・華などの品々。
百味の嘉餚 種々さまざまな美食。
着する (美食に) 執着する。
已生今生当 過去に往生したもの・現在に往生しようとするもの・未来に往生するもの。
神力無極 不可思議な力がきわまりないこと。
経法 (阿弥陀仏の説く) 教法。
道化を宣ぶ (阿弥陀仏の教えを十方世界の衆生に) 説いて教化する。
自余の九方 東方以外の南西北・四維・上下の諸仏の国。
偈 ¬大経¼ (下) の 「往覲偈」 のこと。
等願 (阿弥陀仏の浄土と) 等しくしようという願い。
数限を超ゆ 数量による限定を超えている。
無極の宝網 無限にひろがった宝のあみ。
五種の力 次行に示す 「神力」 と 「本願」 を合わせて総とし、 下の四を別として、 五種とする。 →
五種力
金縷珠璣 金の糸・宝珠。
不可議 異本には 「不思議」 とある。
明月 月光摩尼に同じ。
珠璫 宝珠。
交露の縵 宝玉をつらねた幔幕。 宝玉の光が露を交えたように照り映えるので交露という。
無漏の依果 煩悩を離れた世界。
本師 本宗の祖師。
頽綱を理へ おとろえた仏法の綱要をととのえただしたという意。
邪扇を… よこしまな教えを閉ざして、 正しい仏法の道を明らかにしたという意。
悟 異本には 「語」 とある。
龍 龍樹菩薩の 「龍」 の字によせて讃嘆する。
百卉 卉は草木の意。 龍樹菩薩の 「樹」 によせて讃嘆する。
虚妄輪 煩悩虚妄の業を果てしなく回転する車輪に喩えていう。
道平等 (諸仏の) さとりが平等で同一であること。 道はさとり、 菩提の意。
十方無礙人 十方の諸仏を指していう。
底本は◎龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代末期書写本。 Ⓐ京都府来迎院蔵良忍上人手沢本、 Ⓑ大英博物館蔵スタイン本(No.2723)、 Ⓒ龍谷大学蔵赤松文庫所収本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。
寿 ◎になし
恵→Ⓓ慧
暁→Ⓐ照
無→Ⓐ滅
遇…依14字 Ⓐになし
炎→Ⓐ艶
遐→Ⓐ遥
光所至処得法喜 Ⓐになし
歎→Ⓐ讃
時→Ⓐ処
議→ⒶⒹ光
成仏 Ⓐ或イハ炎浄と右傍註記
成→Ⓐ来
過→Ⓐ超
会→Ⓐ依
皆→Ⓐ背
顕→◎頭
儀→Ⓐ通
潮→湖(潮イと上欄註記)
至→Ⓐ力
三→Ⓓ二
説→Ⓓ計
趣 Ⓐ道イと上欄註記
生→Ⓐ[或]生
利→Ⓐ利[如是功徳无辺量]
念→ⒶⒹ食
詣→◎諸
星→Ⓐ生→Ⓓ異
周→◎同
去→Ⓐ生
道→Ⓐ導→Ⓓ尊
列→Ⓐ別
力→Ⓐ身
邪→Ⓒ耶
生→ⒶⒸⒹ住
辨→Ⓓ弁
復→Ⓐ傷
王→Ⓒ主
転→Ⓓ慱
始 Ⓐ次イと下欄註記
為→Ⓐ故(為イと下欄註記)
天→Ⓓ大
欲→◎歎
堂 Ⓐ意イと上に註記
飾→Ⓒ善
意→◎竟
須復→Ⓐ後須
晏→Ⓐ宴
仏→ⒸⒹ徳
皆→ⒶⒸⒹ悉
諸→◎於
殖→Ⓓ植
恭→◎泰
天→Ⓓ音
恵→ⒸⒹ慧
主→◎衆
過→◎ⒸⒹ遏
逐→◎遂
花香→Ⓐ香花
聚→◎衆
数→Ⓒ所
成→Ⓒ成[彼七宝地如此間土石従業力有非人功所造故曰自然]
晏→ⒶⒸⒹ宴
他利→ⒸⒹ利他
他→Ⓐ化
議→Ⓒ誼
囲→ⒶⒸ円
千→ⒶⒹ十
焔→Ⓒ琰
証→Ⓒ道
本→Ⓒ大
種→ⒶⒸⒹ重
千→Ⓓ前
楽→ⒶⒸ果
時 Ⓐになし
勲→Ⓓ薫
殊→ⒶⒸⒹ珠
動→◎勲
列→ⒶⒸⒹ烈
指→◎
用→◎周
没→Ⓐ設
返→ⒶⒸ反
可→ⒶⒸ思
葉→Ⓓ華
花→ⒶⒸⒹ光
彫→Ⓒ雕
漫→ⒶⒸ縵→Ⓓ幔
形→ⒷⒸ刑
栴→Ⓒ旃
馨→◎Ⓐ声
彩→Ⓓ璀
嬋→Ⓐ綽→ⒷⒸ淖→Ⓓ婥
予→ⒷⒸ裕
聞→Ⓐ開
諸→Ⓑ論
恵→ⒷⒸⒹ慧
或…法14字 ⒷⒸになし
本→ⒶⒷⒸ大
関→ⒷⒸ開
扇→ⒷⒸ扉
轍→Ⓐ徹
伏承 左Ⓓシタガヒウケタマワル
悟→Ⓓ語
提→ⒶⒷⒸ檀
虚 Ⓑになし
仏 Ⓒになし
恵→ⒷⒸ慧
音→Ⓐ者
議→ⒷⒸ儀
心→Ⓐ切
帰命稽首 左Ⓓヨル オホセ イタス カウベ
量→ⒷⒸ
讃…拝11字 Ⓓ尾題の後にあり
一→Ⓐ有
五→ⒶⒷⒸ五[行]
礼→ⒶⒷⒸ礼[有]
拝→ⒶⒷⒸ拝[竟]