0343仏説ぶっせつだいじょうりょう寿じゅしょうごんきょう かんじょう

西天さいてんやくきょう三蔵さんぞうちょうさんたいこうろくきょう明教うきょうだいしん法賢ほっけんしょうやく

 

序分
  証信序
    六事成就

【1】 かくのごとくわれきたてまつりき。

↠是クノ我聞キタテマツリキ

ひとときぶつ王舎おうしゃじょうじゅせんのうちにましまして、 だい苾芻びっしゅしゅ三万さんまん千人せんにんともなりき。 みな阿羅あらかんだい神通じんずうせり。

一時仏在シテ↢王舎城鷲峰山↡、与↢大苾芻衆三万二千人↡倶ナリキ。皆得↢阿羅漢↡、具セリ↢大神通↡。

そのをば尊者そんじゃにゃきょうちんにょ尊者そんじゃしょう尊者そんじゃしつ比拏ひな尊者そんじゃだいみょう尊者そんじゃばっ多婆たば尊者そんじゃしょうてん尊者そんじゃ離垢りく尊者そんじゃみょう尊者そんじゃらんのう尊者そんじゃきょうぼんだい尊者そんじゃ優楼うるびんしょう尊者そんじゃだいしょう尊者そんじゃしゃ利子りし尊者そんじゃ大目だいもく乾連けんれん尊者そんじゃ摩訶まか旃延せんえん尊者そんじゃ摩訶まか倶絺くち尊者そんじゃ劫賓こうひん尊者そんじゃ摩訶まかそん尊者そんじゃ弥多みた羅尼らに尊者そんじゃ阿那あなりつ尊者そんじゃ尊者そんじゃきん鼻哩びり尊者そんじゃしゅだい尊者そんじゃ嚩帝はくてい尊者そんじゃはく你枳にきのう尊者そんじゃ摩賀まがげい尊者そんじゃ波囉はら野尼やにのう尊者そんじゃはっのう尊者そんじゃなん尊者そんじゃ睺羅ごら尊者そんじゃ善来ぜんらいといひき。 かくのごときらの三万さんまん千人せんにんともなりき。

ヲバヒキ↢尊者阿若憍陳如・尊者馬勝・尊者麼瑟比拏・尊者大名・尊者跋多婆・尊者称天・尊者離垢・尊者妙臂・尊者布闌拏枳曩・尊者憍梵波提・尊者優楼頻螺迦葉・尊者那提迦葉・尊者舎利子・尊者大目乾連・尊者摩訶迦旃延・尊者摩訶倶絺羅・尊者劫賓那・尊者摩訶那・尊者弥多羅尼子・尊者阿那律・尊者喜・尊者緊鼻哩拏・尊者須菩提・尊者哩嚩帝・尊者佉禰囉嚩你枳曩・尊者摩賀囉倪・尊者波囉野尼枳曩・尊者嚩拘隷曩・尊者阿難陀・尊者羅睺羅・尊者善来↡。如↠是クノ三万二千人ナリキ

発起序

【2】 そのとき尊者そんじゃなんすなはちよりちて、 ひとへにみぎかたかたぬぎ、 みぎひざけ、 がっしょうちょうらいして、 ぶつにまうしてまうさく、

時尊者阿難即↠座起チテ、偏↢右↡、右↠地、合掌頂礼シテ、白シテ↠仏

そん如来にょらいおうしょう等覚とうがく諸根しょこん清浄しょうじょうにして、 面色めんしき円満えんまんし、 宝刹ほうせつしょうごんせり。 かくのごときのどくなることをたり。

0344尊・如来・応・正等覚、諸根清浄ニシテ、面色円満、宝刹荘厳セリ。如キノ↠是クノ功徳得タリ↢未曽有ナルコトヲ↡。

いかんがしょぎょう広大こうだい妙行みょうぎょう、 および過去かこらい諸仏しょぶつしょぎょうなる。 ねがはくはために宣説せんぜつしたまへと。

云何所行、広大妙行、過去・未来諸仏所行ナルクハ宣説シタマヘト

ぶつなんげたまはく、 善哉ぜんざい善哉ぜんざい、 なんぢ一切いっさいしゅじょうやくせんがために、 みんこころいだき、 よく如来にょらいみょうへり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、善哉善哉、汝為↣利↢益セムガ一切衆生↡、懐↢慈愍↡、能↢如来微妙之義↡。

なんぢ、 いまあきらかにき、 よくこれをねんせよ。 如来にょらいおうしょうへん、 いまなんぢがためにかんと。

汝、今諦、善思↢念セヨ↡。如来・応供・正遍知、今為↠汝カムト

正宗分
  菩薩発願
    三十八仏

【3】 ぶつなんげたまはく、 過去かこりょうへん不可ふか思議しぎそうこうのごとき、 そのときぶつそんましましてしゅつげんしたまへり。 をば然灯ねんとう如来にょらいおうしょう等覚とうがくといひき。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、如↢過去無量無辺不可思議阿僧祇劫↡、爾時有シテ↢仏世尊↡出↢現シタマヘリ於世↡。名ヲバヒキ↢然灯如来・応・正等覚↡。

かの然灯ねんとうぶつまえにまたそんましましてけんしゅつげんしたまへり、 鉢囉はら波野はやしゅ如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 発光はっこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 さんのう誐囉がら如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 しゅこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 月面がつめん如来にょらいとなづく。

然灯仏復有シテ↢世尊↡出↢現シタマヘリ世間↡、名↢鉢囉多波野輸如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢発光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢賛那曩誐囉護如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢須弥劫如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢月面如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 無垢むくめん如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 じゃく如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 りゅうしゅ如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 日面にちめん如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 山響せんこう音王おんおう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢無垢面如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢無著如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢竜主如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢日面如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢山響音王如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 しゅ弥峰みぶ如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 金蔵こんぞう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 こう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 どう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 瑠璃るりこう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢須弥峰如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢金蔵如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢火光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢不動地如来↡。又彼0345シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢瑠璃光如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 月王がつおう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 日音にっとん如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 さんしょうごん如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 きっしょう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 かいざい通王つうおう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢月王如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢日音如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢散華荘厳如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢吉祥峰如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢持海慧自在通王如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 こう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 大香だいこう象光ぞうこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 一切いっさい如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 ゆうみょう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 宝光ほうこう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢施光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢大香象光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢離一切垢如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢勇猛峰如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢宝光如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 どく得通とくつう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 にち月光がっこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 さいじょう瑠璃るりこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 慧花えけ開心かいしんぎょう出生しゅっしょう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 だいりん通王つうおう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢持多徳得通如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢過日月光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢最上瑠璃光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢慧花開心行出生如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢大華林通王如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 いち月光がっこう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 みょう黒暗こくあん如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 真珠しんじゅさんがい如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 さんじょうほうざいおう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 師子ししかいざいおう如来にょらいとなづく。 またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 梵音ぼんのんじょうざいおう如来にょらいとなづく。

又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢一月光如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢破無明黒暗如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢真珠珊瑚蓋如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢三乗法自在王如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢師子海峰自在王如来↡。又彼シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢梵音声自在王如来↡。

またかのぶつまえぶつましましてでたまへり、 ざいおう如来にょらいおうしょう等覚とうがく明行みょうぎょうそく善逝ぜんぜいけんじょう調じょうじょう天人てんにんぶつそんづく。

又彼0346シテ↠仏出デタマヘリ↠世、名↢世自在王如来・応・正等覚・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊↡。

しかうしてほうちゅうにおいていち苾芻びっしゅあり、 をばほうといふ。 しん第一だいいちみょう第一だいいちしゅぎょう第一だいいちしょうじん第一だいいち智慧ちえ第一だいいちだいじょう第一だいいちなり。

シテ↢法中↡有↢一苾芻↡、名ヲバ↢作法↡。信解第一、明記第一、修行第一、精進第一、智慧第一、大乗第一ナリ

二 Ⅰ 讃仏偈

そのとき苾芻びっしゅみづからの本処ほんじょはなれて仏前ぶつぜんらいげいし、 めんをもつて礼足らいそくし、 一面いちめんにおいてち、 すなはち伽他かだをもつてぶつ面色めんしき端厳たんごんなるをたんじ、 また広大こうだい誓願せいがんおこし、 じゅしていはく、

時苾芻離レテ↢自ラノ本処↡来↢詣仏前↡、頭面ヲモテ礼足、於↢一面↡立、即↢伽↡嘆↢仏面色端厳ナルヲ↡、復発↢広大誓願↡、頌シテ

 如来にょらいみょうしき端厳たんごんなり 一切いっさいけんひとしきものあることなし

如来微妙色端厳ナリ一切世間↠有ルコト↠等シキモノ

 こうみょうりょうにして十方じっぽうらす 日月にちがつしゅもみなかがやきをかくせり

光明無量ニシテ↢十方日月・火珠カクセ↠曜

 ねがはくはわれぶつ清浄しょうじょうこえ 法音ほうおんあまねくへんかいおよぼし

クハ我得↢仏清浄法音普ボシ↢無辺界

 かいじょうしょうじんもん宣揚せんようし 甚深じんじんみょうほう通達つうだつせん

宣↢揚戒・定・精進通↢達セム甚深微妙

 智慧ちえ広大こうだいにしてふかきことうみのごとく 内心ないしん清浄しょうじょうにして塵労じんろうぜっ

智慧広大ニシテキコト↠海内心清浄ニシテ↢塵労

 へん悪趣あくしゅもんちょうし すみやかにだいきょうきしいたらん

超↢過無辺悪趣ラム↢菩提究竟

 また過去かこりょうぶつのごとく こうあまねくしゅじょうかいらし

亦如↢過去無量威光普↢衆生界

 かのぐんじょうだいどうとなり ろうだつして安隠あんのんならしめ

↢彼群生大導師度↢脱シテ老・死↡令↢安隠ナラ

 つねに布施ふせおよびかいにん・ しょうじんじょうろっ波羅ぱらぎょうじて

ジテ↢布施及戒・忍・精進・定・慧六波羅

 未度みどじょうをしてすることをしめ 已度いどのものをしてじょうぶつせしむ

0347未度有情ヲシテ↠得↠度スルコトヲ已度之者ヲシテ使↢成仏

 われ一切いっさいをもつて ひゃくせんてい那由なゆ

我以↢一切↡伸↣供↢養百千倶胝那由他

 ごう沙数しゃしゅぶつそんようべ われをしてじゃくめつじょうじゅせしめたまへ

恒河沙数仏世尊メタマヘ↣我ヲシテ成↢就寂滅

 また十方じっぽう諸仏しょぶつせつあらんに つねにこうみょうはなちて一切いっさいらし

復有ラムニ↢十方諸仏刹↡チテ↢光明↡照↢一切

 しゅしょうしょうごん等倫とうりんなからん ねがはくはわれじょうじゅして群品ぐんぼんせん

殊勝荘厳無カラム↢等倫↡クハ我成就シテセム↢群品

 あらゆるへんかいちゅうの 諸趣しょしゅりんするしゅじょうるい

所有無辺世界中輪↢廻スル諸趣↡衆生

 すみやかにわがくにしょうじてらくけ ひさしからずしてともにじょうどうじょうぜん

ジテ↢我↡受↢快楽シテ↠久シカラゼム↢無上道

 ねがはくはわれしょうじんしてつねにけつじょうし つねにしんめぐらしじょうかん

クハ我精進シテ決定メグラ↢慈心↡抜カム↢有情

 阿鼻あびしゅじょうつくすとも おこすところのぜいながえざらんと

↢尽ストモ阿鼻衆生↠発弘誓ラムト↠断

二 Ⅰ 思惟摂取

【4】 そのときそんなんげてのたまはく、 かのほう苾芻びっしゅこのきをはりて、 ざいおう如来にょらいにまうさく、 われいまのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこし、 じょうしょうとうしょうがくぎょうす。

時世尊告ゲテ↢阿難↡言、彼作法苾芻説↢是↡已リテ、白サク↢世自在王如来↡、我今発↢阿耨多羅三藐三菩提心↡、楽↢求無上正等正覚↡。

ややねがはくはそん、 もろもろの仏刹ぶっせつどくしょうごんきたまへ。 もしわれくことをば、 つねにみづからごんぎょうしゅせんと。

唯願クハ世尊、説キタマヘ↢諸仏刹功徳荘厳↡。若我得↠聞クコトヲ、恒修↢持セムト厳土之行↡。

そのときざいおう如来にょらいほう苾芻びっしゅげてのたまはく、 なんぢみづからゆいせよ、 いかなる方便ほうべんしゅしてかよく仏刹ぶっせつしょうごんじょうじゅせんと。

時世自在王如来告ゲテ↢作法苾芻↡言、汝自思惟セヨ、修シテカ↢何ナル方便↡而能成↢就セムト仏刹荘厳↡。

苾芻びっしゅまうしてまうさく、 われ智慧ちえせんにして、 厳刹ごんせつぎょうりょうすることあたはず。 如来にょらいおうしょうへんねがはくはために諸仏しょぶつせつしょうごん宣説せんぜつしたまへと。

苾芻白シテ、我智慧微浅ニシテ、不↠能↣了↢知スルコト厳刹之行↡。如来・応・正遍知、願クハ宣↢説0348シタマヘト諸仏刹土荘厳之事↡。

ときざいおう如来にょらい、 すなはちためにはちじゅうひゃくせんてい那由なゆ仏刹ぶっせつどくしょうごん広大こうだい円満えんまんそう宣説せんぜつしたまふに、 一劫いっこうてまさにきょうすべし。

世自在王如来、即宣↢説シタマフニ八十四百千倶胝那由仏刹功徳荘厳広大円満之相↡、↢於一劫↡方↢究竟↡。

そのときなんこのきをはりて、 ぶつにまうしてまうさく、 そん、 かのざい王仏おうぶつ寿じゅりょうちょうたんいかんぞきて一劫いっこうると。

時阿難聞↢是↡已リテ、白シテ↠仏、世尊、彼世自在王仏寿量長短云何キテルト↢於一劫↡。

ぶつなんげたまはく、 かのぶつ寿じゅみょうまん十劫じっこうなり。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、彼寿命満四十劫ナリ

なん、 かのほう苾芻びっしゅぶつ所説しょせつはちじゅうひゃくせんてい那由なゆ仏刹ぶっせつどくしょうごんきて、 明了みょうりょう通達つうだつすることいち仏刹ぶっせつのごとし。

阿難、彼作法苾芻聞キテ↢仏所説八十四百千倶胝那由他仏刹功徳荘厳之事↡、明了通達スルコト↢一仏刹↡。

そくちゅうにしてめんをもつて礼足らいそくし、 ぶつして退しりぞき、 ひとつのじょうしょきてどくし、 どくしゅじゅうして仏刹ぶっせつしょうごんせんことをゆいだい誓願せいがんおこしてこうたり。

即時会中ニシテ頭面ヲモテ礼足、辞シテ↠仏而退、往キテ↢一↡独坐、思↧惟修↢習シテ功徳↡荘↦厳セムコトヲ仏刹↥発シテ↢大誓願タリ↢於五劫↡。

そのときほう苾芻びっしゅまたざいおう如来にょらいみもといたり、 たいげてそんみあしらいしたてまつる。 らいしをはりてがっしょうぶつにまうしてまうさく、 そん、 かくのごときのはちじゅうひゃくせんてい那由なゆ仏刹ぶっせつどくしょうごんしょぎょうぎょうがん、 われいまじょうじゅせりと。

時作法苾芻復詣↢世自在王如来↡、五体ゲテ↠地シタテマツル↢世尊↡。礼リテ合掌シテ↠仏、世尊、如キノ↠是クノ八十四百千倶胝那由他仏刹功徳荘厳所行行願、我今成就セリト

ときざいおう如来にょらい苾芻びっしゅげてのたまはく、 善哉ぜんざい善哉ぜんざい、 なんぢのぎょうがんゆいきょうせり。 いままさにこれときなり、 しゅのためにせつせよ。 ときしょさつこのほうきをはらば大善だいぜんて、 よく仏刹ぶっせつにおいてしゅじゅうしょうごんせんと。

世自在王如来告ゲテ↢苾芻↡言、善哉善哉、汝之行願、思惟究竟セリ。今正是時ナリ、為↠衆解説セヨ。時諸菩薩聞↢是↡已ラバ↢大善利↡、能↢仏刹↡修習荘厳セムト

二 Ⅰ 三十六願

【5】 そのときほう苾芻びっしゅぶつしょうきて、 ひとへにみぎかたかたぬぎ、 みぎひざけ、 がっしょうしてぶつかひて、 すなはちために宣説せんぜつす。

時作法苾芻聞キテ↢仏聖旨↡、偏↢右↡、右↠地、合掌シテヒテ↠仏、即宣説

そん、 われ誓言せいごんおこせり、 ねがはくはそんのごとくのく多羅たらさんみゃくさんだいしょうとくせんに、 しょ仏刹ぶっせつりょう不可ふか思議しぎどくしょうごんそくして、 あらゆる一切いっさいしゅじょうおよびえん摩羅まらかいさん悪道まくどうのなかのごく餓鬼がきちくしょう、 みなわがくにしょうじてわがほうけ、 ひさしからずしてことごとくのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじて、 一切いっさいみなしん金色こんじきなることをん。

世尊、我発セリ↢誓言↡、願クハ↢世尊↡証↢得セムニ阿耨多羅三藐三菩提↡、所居仏刹、具0349↢足シテ無量不可思議功徳荘厳↡、所有一切衆生及焔摩羅界、三悪道地獄・餓鬼・畜生、皆生ジテ↢我↡受↢我法化↡、不シテ↠久シカラジテ↢阿耨多羅三藐三菩提↡、一切皆得↢身真金色ナルコトヲ↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 十方じっぽうかいのあらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 諸仏しょぶつ人天にんでんしゅのごとく、 分別ふんべつおん諸根しょこん寂静じゃくじょうにして、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、十方世界所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、如↢諸仏土人天之衆↡、遠↢離分別↡諸根寂静ニシテ皆令メム↠得↢阿羅多羅三藐三菩提

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 十方じっぽうかいのあらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 だい神通じんずう一念いちねんるあひだにひゃくせんてい那由なゆ仏刹ぶっせつしゅうへん巡歴じゅんりゃくして、 諸仏しょぶつようふか善本ぜんぽんえ、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、十方世界所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、得↢大神通↡、経↢一念アヒダ周↢遍巡↣歴シテ百千倶胝那由他仏刹↡、供↢養諸仏↡深↢善本↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいみな宿命しゅくみょうつうて、 よくひゃくせんてい那由なゆこう過去かこ観察かんざつし、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、一切皆得↢宿命通↡、能善観↢察百千倶胝那由他劫過去之事↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいみな清浄しょうじょう天眼てんげんて、 よくひゃくせんてい那由なゆかいさい色相しきそう、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、一切皆得↢清浄天眼↡、能見↢百千倶胝那由他世界麁細色相↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐0350三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいみな心通しんつうて、 よくひゃくせんてい那由なゆしゅしん心所しんじょほうりょうし、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、一切皆得↢他心通↡、善能了↢知百千倶胝那由他衆心・心所↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいみなしょうしんじゅうすることをて、 顛倒てんどうおもいはなけんしゅじゅうし、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、一切皆得↠住スルコトヲ↢正信位↡、離↢顛倒↡堅固修習、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 所修しょしゅ正行しょうぎょう善根ぜんごんりょうにして、 えんじゃくかいへんして、 しかも間断けんだんなく、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、所修正行善根無量ニシテ、徧シテ↢円寂界↡、而↢間断↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 しょうもん縁覚えんがくくらいじゅうすといへども、 ひゃくせんてい那由なゆ宝刹ほうせつうちきて、 あまねくぶつをなし、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、雖↠住スト↢声聞・縁覚之位↡、往キテ↢百千倶胝那由他宝刹之内↡、徧↢仏事↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一〇 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいみなへんこうみょうて、 しかもよくひゃくせんてい那由なゆ諸仏しょぶつせつしょうようし、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、一切皆得↢無辺光明↡、而照↢曜百千倶胝那由他諸仏刹土↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一一 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 いのちちゅうようせず、 寿いのちひゃくせんてい那由なゆこうにして、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

0351尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、命不↢中夭↡、寿百千倶胝那由他劫ニシテ、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一二 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 ぜんなく、 りょうしゅ諸仏しょぶつせつみょうごうそうぎょうなるをきても、 しょうさんするところなく、 しかもほうすることなく、 身心しんしんどうにして、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、無↢不善名↡、聞キテモ↢無量無数諸仏刹土無名・無号・無相・無形ナルヲ↡、無↠所↢称讃スル↡、而↢疑謗スルコト↡、身心不動ニシテ、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一三 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうわがくにしょうぜんことをもとめ、 わがみょうごうねんじて、 じょうしんおこし、 けん退たいならん。 かの命終みょうじゅうときわれしゅ苾芻びっしゅまえげんにょうせられて来迎らいこうせしめむ。 かのひとしゅのあひだをてわがくにしょうずることをて、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生求↠生ゼムコトヲ↢我↡、念ジテ↢吾名号↡、発↢志誠心↡、堅固不退ナラム。彼命終時、我令メム↢無数苾芻↠前囲繞セラレテ来迎↡。彼人経↢須臾↡得↠生ズルコトヲ↢我↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一四 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽうりょうへんしゅかい一切いっさいしゅじょう、 わがみょうごうきて、 だいしんおこし、 もろもろの善根ぜんごんえて、 こころしたがひて諸仏しょぶつせつしょうぜんことをもとめんに、 しょうずといふことなく、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方無量無辺無数世界一切衆生、聞キテ↢吾名号↡、発↢菩提心↡、種エテ↢諸善根↡、随ヒテ↠意メムニ↠生ゼムコトヲ↢諸仏刹土↡、無↠不トイフコト↠得↠生、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一五 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 みなさんじゅうしゅだいじょうそうして、 いっしょうのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、皆具シテ↢三十二種大丈夫↡、一生メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一六 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめん、 もし大願だいがんありて、 いまだじょうぶつほっせず、 さつとなるものをば、 われりきをもつてかれをして一切いっさいしゅじょうきょうしてみな信心しんじんおこさしめ、 だいぎょうげんぎょうじゃくめつぎょうじょうぼんぎょうさいしょうぎょうおよび一切いっさいぜんぎょうしゅして、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテメム↠生↢我↡、若リテ↢大願↡、未↠欲↢成仏0352↡、為↢菩薩↡者ヲバ、我以↢威力↡令↧彼ヲシテ教↢化シテ一切衆生↡皆発↦信心↥、修シテ↢菩提行・普賢行・寂滅行・浄梵行・最勝行及一切善行↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一七 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうをしてわがくにしょうぜしめ、 一切いっさいところにおいてりょうひゃくせんてい那由なゆ諸仏しょぶつじょうようして、 もろもろの善根ぜんごんえて、 こころしょしたがひてがんたさずといふことなく、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生ヲシテ↠生↢我↡、於↢一切↡承↢事供↣養シテ無量百千倶胝那由他諸仏↡、種エテ↢諸善根↡、随ヒテ↢意所求↡無↠不トイフコト↠満↠願、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一八 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがせつのなかのあらゆるさつ、 みな一切いっさい智慧ちえじょうじゅすることをて、 よく諸法しょほうようだんじ、 ひさしからずしてすみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうぜん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我刹土所有菩薩、皆得↣成↢就スルコトヲ一切智慧↡、善↢諸法秘要之義↡、不シテ↠久シカラゼム↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

一九 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつゆうみょうしんおこし、 だい神通じんずうめぐらし、 りょうへんしゅかいしょ仏刹ぶっせつのなかにき、 真珠しんじゅ瓔珞ようらく宝蓋ほうがい幢幡どうばんぶく臥具がぐ飲食おんじき湯薬とうやくこうがくをもつてようじょうし、 してだいもとめ、 すみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅすることをん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹菩薩、発↢勇猛↡、メグラ↢大神通↡、往↢無量無辺無数世界諸仏刹↡、以↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽↡供養承事、廻シテ↢菩提↡、速↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提↡。

二〇 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつだい道心どうしんおこし、 真珠しんじゅ瓔珞ようらく宝蓋ほうがい幢幡どうばんぶく臥具がぐ飲食おんじき湯薬とうやくこうがくをもつてほうかいりょうへん諸仏しょぶつそんじょうようせんとほっすれどもくことあたはずは、 われそのときにおいて、 宿しゅく願力がんりきをもつて、 かのほう諸仏しょぶつそんをして、 おのおのしゅべてわがくにのなかにいたりてこのようけしめ、 かれをしてすみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうぜしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、発↢大道心↡、欲スレドモ↫以↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽↡承↩事供↪養セムト他方世0353無量無辺諸仏世尊↨而不↠能↠往クコト、我於↢爾↡、以↢宿願力↡、令↧彼他方諸仏世尊ヲシテ、各ベテ↢手臂↡至リテ↢我↡受↦是供養↥、令メム↣彼ヲシテ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二一 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつ、 みづからのぎょうしたがひてこのかいはなれず、 真珠しんじゅ瓔珞ようらく宝蓋ほうがい幢幡どうばんぶく臥具がぐ飲食おんじき湯薬とうやくこうがくをもつてほうりょう諸仏しょぶつようせんとほっせんに、 またゆいすらく、 もしぶつひじべここにいたりてけなば、 諸仏しょぶつろうせしめわれをしてやくなからしめんと。 このおもいをなすとき、 われ神力じんりきをもつて、 この供具くぐをしてみづからほう諸仏しょぶつ面前めんぜんいたらしめ一々いちいちようせしめん。 そのときさつひさしからずしてことごとくのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうぜん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、随ヒテ↢自ラノ意楽↡不↠離↢此↡、欲セムニ↧以↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽↡供↦養セムト他方無量諸仏↥、又復思惟スラク仏展↠臂リテ↠此ケナバ↠供、劬↢労セシメ諸仏↡令メムト↢我ヲシテカラ↟益。作↢是↡時、我以↢神力↡、令メム↧此供具ヲシテラシメ↢他方諸仏面前↡一一供養↥。爾時菩薩、不シテ↠久シカラゼム↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二二 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつたけじゅうろくじゅんにして、 那羅ならえんりき身相しんそう端厳たんごんに、 こうみょうしょうようし、 善根ぜんごんそくして、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、身長十六由旬ニシテ、得↢那羅延↡、身相端厳、光明照曜、善根具足シテ、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡。

二三 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつ、 もろもろのしゅじょうのために法蔵ほうぞう通達つうだつし、 へん一切いっさい智慧ちえあんりゅうし、 諸結しょけつ断尽だんじんして、 ことごとくのく多羅たらさんみゃくさんだい証成しょうじょうすることをん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、為↢諸衆生↡通↢達法蔵↡、安↢立無辺一切智慧↡、断↢尽シテ諸結↡、悉↣証↢成スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提↡。

二四 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつひゃくせんてい那由なゆ種々しゅじゅ珍宝ちんぽうをもつて、 こうぞうし、 しもさいよりかみ空界くうかいいたるまで、 つねに無価むげ栴檀せんだんこうをもつてあまねくくんじて、 十方じっぽう諸仏しょぶつようせしめ、 すみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうずることをしめん。

0354尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、以↢百千倶胝那由他種種珍宝↡、造↢作↡、下従↢地際↡上至ルマデ↢空界↡、常↢無価栴檀之香↡普ジテ、供↢養セシメ十方諸仏↡、令メム↠得↣速ズルコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二五 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 しょ仏刹ぶっせつ広博こうはくごんじょうにして、 こうようなることかがみのごとく、 ことごとくよくりょうへん一切いっさい仏刹ぶっせつしょうけんせん。 しゅじょうんもの、 希有けうしんしょうじ、 ひさしからずしてすみやかにのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうぜん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所居仏刹広博厳浄ニシテ、光瑩ナルコト↠鏡、悉照↢見セム無量無辺一切仏刹↡。衆生覩者、生↢希有↡、不シテ↠久シカラゼム↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二六 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 わがする宝刹ほうせつのあらゆるさつちゅうろくにつねにらくくること諸天しょてんぎ、 びょうどうそうもんりて、 身光しんこうあまねくへんかいらし、 ひさしからずしてのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうずることをん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、我スル宝刹所有菩薩、昼夜六時クルコト↢快楽↡過↢於諸天↡、入リテ↢平等総持門↡、身光普↢無辺世界↡、不シテ↠久シカラ↠成ズルコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二七 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽうりょうへんしゅかい一切いっさい女人にょにん、 もし女身にょしんえんするものありて、 わがみょうごうき、 清浄しょうじょうしんおこし、 帰依きえちょうらいせん。 かのひと命終みょうじゅうしてすなはちわがくにしょうじ、 なんとなりて、 ことごとくみなのく多羅たらさんみゃくさんだいしめん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方無量無辺無数世界一切女人、若リテ↧厭↢離スル女身↡者↥、聞↢我名号↡、発↢清浄心↡、帰依頂礼セム。彼人命終シテ↢我↡、成リテ↢男子↡、悉皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提↡。

二八 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽうりょうへんしゅ仏刹ぶっせつしょうもん縁覚えんがく、 わがみょうごうきて、 じょうかいしゅし、 けん退たいにして、 すみやかにどうじょうし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方無量無辺無数仏刹声聞・縁覚、聞キテ↢我名号↡、修↢持浄戒↡、堅固不退ニシテ、速↢道場↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三0355菩提↡。

二九 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆる十方じっぽうりょうへん不可ふか思議しぎとう仏刹ぶっせつ一切いっさいさつ、 わがみょうごうきて、 たいげて礼拝らいはいみょうせん。 またてんじょう人間にんげん一切いっさいじょうそんじゅうぎょう親近しんごん侍奉じぶせらるることをて、 どく増益ぞうやくし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有十方無量無辺不可思議無等仏刹一切菩薩、聞キテ↢我名号↡、五体ゲテ↠地礼拝帰命セム。復得↢天上人間一切有情尊重恭敬親近侍奉セラルルコトヲ↡、増↢益功徳↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡。

三〇 そん、 われだいしょうがくじょうじをはらんに、 あらゆるしゅじょうじょう信心しんじんおこし、 もろもろの沙門しゃもん婆羅ばらもんのためにころもころもあらひ、 ころもころもひ、 しゅして僧服そうぶくをなし、 あるいはみづからづからつくり、 あるいはひとをしてつくらしめ、 つくりをはりてこうせん。 このひとかんずるところのはちじゅういちしょうに、 さいじょうころもて、 したがひてそくし、 さいにおいてわがくにらいしょうし、 のく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせんと。

世尊、我得↢菩提↡、成↢正覚↡已ラムニ、所有衆生、発↢浄信心↡、為↢諸沙門・婆羅門↡染↠衣↠衣、裁↠衣↠衣、修シテ↢僧服↡、或ヅカラ、或使↢人ヲシテ↡、作リテ廻向セム。是人所↠感ズル八十一生、得↢最上↡、随ヒテ↠身豊足、於↢最後↡来↢生↡、成↢就セムト阿耨多羅三藐三菩提↡。

 

仏説ぶっせつだいじょうりょう寿じゅしょうごんきょう かんじょう

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓐ金版¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ¬房山石経(遼金刻経)¼所収本 と対校。
→ⒸⒹ
仏説 Ⓒになし
→Ⓓ上[中下同巻]
西→Ⓓ[宋]西
訳経 Ⓓになし
 Ⓓになし
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓒ
→ⒹⒺ由[他]
→Ⓒ
処独→Ⓔ独処
→ⒸⒹ命[智]
→Ⓒ
→Ⓔ
→ⒸⒹ心[智]
→Ⓔ
→Ⓑ
→Ⓒ