0343◎*仏説大乗無量寿荘厳経 巻*上
*西天*訳経三蔵朝散大夫試光禄卿明教大師*臣法賢奉詔訳
一 序分
Ⅰ 証信序
ⅰ 六事成就
【1】 ◎かくのごとくわれ聞きたてまつりき。
◎○如ク↠是クノ我聞キタテマツリキ。
ひと時仏、 王舎城鷲峰山のうちにましまして、 大苾芻衆三万二千人と倶なりき。 みな阿羅漢を得、 大神通を具せり。
○一時仏在シテ↢王舎城鷲峰山ノ中ニ↡、○与↢大苾芻衆三万二千人↡倶ナリキ。皆得↢阿羅漢ヲ↡、具セリ↢大神通ヲ↡。
その名をば尊者阿若憍陳如・尊者馬勝・尊者麼瑟比拏・尊者大名・尊者跋多婆・尊者称天・尊者離垢・尊者妙臂・尊者布闌拏枳曩・尊者憍梵波提・尊者優楼頻螺迦葉・尊者那提迦葉・尊者舎利子・尊者大目乾連・尊者摩訶迦旃延・尊者摩訶倶絺羅・尊者劫賓那・尊者摩訶那・尊者弥多羅尼子・尊者阿那律・尊者喜・尊者緊鼻哩拏・尊者須菩提・尊者哩嚩帝・尊者佉禰囉嚩你枳曩・尊者摩賀囉倪・尊者波囉野尼枳曩・尊者嚩拘隷曩・尊者阿難陀・尊者羅睺羅・尊者善来といひき。 かくのごときらの三万二千人と倶なりき。
○其ノ名ヲバ曰ヒキ↢尊者阿若憍陳如・尊者馬勝・尊者麼瑟比拏・尊者大名・尊者跋多婆・尊者称天・尊者離垢・尊者妙臂・尊者布闌拏枳曩・尊者憍梵波提・尊者優楼頻螺迦葉・尊者那提迦葉・尊者舎利子・尊者大目乾連・尊者摩訶迦旃延・尊者摩訶倶絺羅・尊者劫賓那・尊者摩訶那・尊者弥多羅尼子・尊者阿那律・尊者喜・尊者緊鼻哩拏・尊者須菩提・尊者哩嚩帝・尊者佉禰囉嚩*你枳曩・尊者摩賀囉倪・尊者波囉野尼枳曩・尊者嚩拘隷曩・尊者阿難陀・尊者羅睺羅・尊者善来ト↡。如キ↠是クノ等ノ三万二千人ト倶ナリキ。
一 Ⅱ 発起序
【2】 その時尊者阿難すなはち座より起ちて、 ひとへに右の肩を袒ぎ、 右の膝を地に著け、 合掌し頂礼して、 仏にまうしてまうさく、
○爾ノ時尊者阿難即チ従リ↠座起チテ、偏ニ袒ギ↢右ノ肩ヲ↡、右ノ膝ヲ著ケ↠地ニ、合掌シ頂礼シテ、白シテ↠仏ニ言ク、
世尊・如来・応・正等覚、 諸根清浄にして、 面色円満し、 宝刹荘厳せり。 かくのごときの功徳未曽有なることを得たり。
○世0344尊・如来・応・正等覚、諸根清浄ニシテ、面色円満シ、宝刹荘厳セリ。如キノ↠是クノ功徳得タリ↢未曽有ナルコトヲ↡。
いかんが所行、 広大の妙行、 および過去・未来の諸仏の所行なる。 願はくはために宣説したまへと。
○云何ガ所行、広大ノ妙行、○及ビ過去・未来ノ諸仏ノ所行ナル。○願クハ為ニ宣説シタマヘト。
仏、 阿難に告げたまはく、 善哉善哉、 なんぢ一切衆生を利益せんがために、 慈愍の心を懐き、 よく如来に微妙の義を問へり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、善哉善哉、○汝為ニ↣利↢益セムガ一切衆生ヲ↡、懐キ↢慈愍ノ心ヲ↡、能ク問リ↢如来ニ微妙之義ヲ↡。
なんぢ、 いまあきらかに聴き、 よくこれを思念せよ。 如来・応供・正遍知、 いまなんぢがために説かんと。
○汝、今諦ニ聴キ、善ク思↢念セヨ之ヲ↡。如来・応供・正遍知、今為ニ↠汝ガ説カムト。
二 正宗分
Ⅰ 菩薩発願
ⅰ 三十八仏
【3】 仏、 阿難に告げたまはく、 過去無量無辺不可思議阿僧祇劫のごとき、 その時仏世尊ましまして世に出現したまへり。 名をば然灯如来・応・正等覚といひき。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、如キ↢過去無量無辺不可思議阿僧祇劫ノ↡、爾ノ時有シテ↢仏世尊↡出↢現シタマヘリ於世ニ↡。名ヲバ曰ヒキ↢然灯如来・応・正等覚ト↡。
かの然灯仏の前にまた世尊ましまして世間に出現したまへり、 鉢囉多波野輸如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 発光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 賛那曩誐囉護如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 須弥劫如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 月面如来となづく。
○彼ノ然灯仏ノ前ニ復有シテ↢世尊↡出↢現シタマヘリ世間ニ↡、名ク↢鉢囉多波野輸如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢発光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢賛那曩誐囉護如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢須弥劫如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢月面如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 無垢面如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 無著如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 竜主如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 日面如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 山響音王如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢無垢面如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢無著如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢竜主如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢日面如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢山響音王如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 須弥峰如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 金蔵如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 火光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 不動地如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 瑠璃光如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢須弥峰如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢金蔵如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢火光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢不動地如来ト↡。又彼0345ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢瑠璃光如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 月王如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 日音如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 散華荘厳如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 吉祥峰如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 持海慧自在通王如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢月王如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢日音如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢散華荘厳如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢吉祥峰如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢持海慧自在通王如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 施光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 大香象光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 離一切垢如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 勇猛峰如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 宝光如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢施光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢大香象光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢離一切垢如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢勇猛峰如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢宝光如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 持多徳得通如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 過日月光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 最上瑠璃光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 慧花開心行出生如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 大華林通王如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢持多徳得通如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢過日月光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢最上瑠璃光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢慧花開心行出生如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢大華林通王如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 一月光如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 破無明黒暗如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 真珠珊瑚蓋如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 三乗法自在王如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 師子海峰自在王如来となづく。 またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 梵音声自在王如来となづく。
~又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢一月光如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢破無明黒暗如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢真珠珊瑚蓋如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢三乗法自在王如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢師子海峰自在王如来ト↡。又彼ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢梵音声自在王如来ト↡。
またかの仏の前に仏ましまして世に出でたまへり、 世自在王如来・応・正等覚・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と名づく。
○又彼0346ノ仏ノ前ニ有シテ↠仏出デタマヘリ↠世ニ、名ク↢世自在王如来・応・正等覚・明行足・善逝・世間解・無上*士・調御丈夫・天人師・仏・世尊ト↡。
しかうして法中において一の苾芻あり、 名をば作法といふ。 信解第一、 明記第一、 修行第一、 精進第一、 智慧第一、 大乗第一なり。
○而シテ於テ↢法中ニ↡有リ↢一ノ苾芻↡、名ヲバ曰フ↢作法ト↡。信解第一、明記第一、修行第一、精進第一、智慧第一、大乗第一ナリ。
二 Ⅰ ⅱ 讃仏偈
その時苾芻みづからの本処を離れて仏前に来詣し、 頭面をもつて礼足し、 一面において立ち、 すなはち伽他をもつて仏の面色端厳なるを嘆じ、 また広大の誓願を発し、 頌していはく、
○爾ノ時苾芻離レテ↢自ラノ本処ヲ↡来↢詣シ仏前ニ↡、頭面ヲモテ礼足シ、於テ↢一面ニ↡立チ、即チ以テ↢伽*他ヲ↡嘆ジ↢仏ノ面色端厳ナルヲ↡、復発シ↢広大ノ誓願ヲ↡、頌シテ曰ク、
如来微妙の色端厳なり 一切世間に等しきものあることなし
○如来微妙ノ色端厳ナリ | ○一切世間ニ無シ↠有ルコト↠等シキモノ |
光明無量にして十方を照らす 日月・火珠もみな曜きを暱せり
○光明無量ニシテ照ス↢十方ヲ↡ | ○日月・火珠モ○皆*暱リ↠曜ヲ |
願はくはわれ仏の清浄の声を得 法音あまねく無辺界に及ぼし
○願クハ我得↢仏ノ清浄ノ声ヲ↡ | ~法音普ク及ボシ↢無辺界ニ↡ |
戒・定・精進の門を宣揚し 甚深微妙の法に通達せん
○宣↢揚シ戒・定・精進ノ門ヲ↡ | ○通↢達セム甚深微妙ノ法ニ↡ |
智慧広大にして深きこと海のごとく 内心清浄にして塵労を絶し
○智慧広大ニシテ深キコト如ク↠海ノ | ○内心清浄ニシテ絶シ↢塵労ヲ↡ |
無辺の悪趣の門を超過し すみやかに菩提究竟の岸に到らん
○超↢過シ無辺ノ悪趣ノ門ヲ↡ | ~速ニ到ラム↢菩提究竟ノ岸ニ↡ |
また過去無量の仏のごとく 威光あまねく衆生界を照らし
○亦如ク↢過去無量ノ仏ノ↡ | ○威光普ク照シ↢衆生界ヲ↡ |
かの群生の大導師となり 老・死を度脱して安隠ならしめ
○為リ↢彼ノ群生ノ大導師ト↡ | ○度↢脱シテ老・死ヲ↡令メ↢安隠ナラ↡ |
つねに布施および戒・忍・ 精進・定・慧の六波羅を行じて
○常ニ行ジテ↢布施及ビ戒・忍・ | ○精進・定・慧ノ六波羅ヲ↡ |
未度の有情をして度することを得しめ 已度のものをして成仏せしむ
○0347未度ノ有情ヲシテ令メ↠得↠度スルコトヲ | ~已度之者ヲシテ使ム↢成仏セ↡ |
われ一切をもつて 百千倶胝那由他
恒河沙数の仏世尊に供養を伸べ われをして寂滅の果を成就せしめたまへ
○恒河沙数ノ仏世尊ニ↡ | ○令メタマヘ↣我ヲシテ成↢就セ寂滅ノ果ヲ↡ |
また十方諸仏の刹あらんに つねに光明を放ちて一切を照らし
○復有ラムニ↢十方諸仏ノ刹↡ | ○恒ニ放チテ↢光明ヲ↡照シ↢一切ヲ↡ |
殊勝の荘厳等倫なからん 願はくはわれ成就して群品を利せん
○殊勝ノ荘厳無カラム↢等倫↡ | ○願クハ我成就シテ利セム↢群品ヲ↡ |
あらゆる無辺世界中の 諸趣を輪廻する衆生の類
すみやかにわが刹に生じて快楽を受け 久しからずしてともに無上道を成ぜん
○速ニ生ジテ↢我ガ刹ニ↡受ケ↢快楽ヲ↡ | ~不シテ↠久シカラ倶ニ成ゼム↢無上道ヲ↡ |
願はくはわれ精進してつねに決定し つねに慈心を運らし有情を抜かん
○願クハ我精進シテ恒ニ決定シ | ~常ニ運シ↢慈心ヲ↡抜カム↢有情ヲ↡ |
阿鼻の苦の衆生を度し尽すとも 発すところの弘誓は永く断えざらんと
○度シ↢尽ストモ阿鼻ノ苦ノ衆生ヲ↡ | ~所ノ↠発ス弘誓ハ永ク不ラムト↠断エ |
二 Ⅰ ⅲ 思惟摂取
【4】 その時世尊、 阿難に告げてのたまはく、 かの作法苾芻この偈を説きをはりて、 世自在王如来にまうさく、 われいま阿耨多羅三藐三菩提心を発し、 無上正等正覚を楽求す。
○爾ノ時世尊告ゲテ↢阿難ニ↡言ク、彼ノ作法苾芻説キ↢是ノ偈ヲ↡已リテ、白サク↢世自在王如来ニ↡、我今発シ↢阿耨多羅三藐三菩提心ヲ↡、楽↢求ス無上正等正覚ヲ↡。
やや願はくは世尊、 もろもろの仏刹の功徳荘厳を説きたまへ。 もしわれ聞くことを得ば、 つねにみづから厳土の行を修持せんと。
○唯願クハ世尊、説キタマヘ↢諸ノ仏刹ノ功徳荘厳ヲ↡。若シ我得バ↠聞クコトヲ、恒ニ自ラ修↢持セムト厳土之行ヲ↡。
その時世自在王如来、 作法苾芻に告げてのたまはく、 なんぢみづから思惟せよ、 いかなる方便を修してかよく仏刹の荘厳を成就せんと。
○爾ノ時世自在王如来告ゲテ↢作法苾芻ニ↡言ク、汝自ラ思惟セヨ、修シテカ↢何ナル方便ヲ↡而能ク成↢就セムト仏刹ノ荘厳ヲ↡。
苾芻まうしてまうさく、 われ智慧微浅にして、 厳刹の行を了知することあたはず。 如来・応・正遍知、 願はくはために諸仏刹土の荘厳の事を宣説したまへと。
○苾芻白シテ言ク、我智慧微浅ニシテ、不↠能ハ↣了↢知スルコト厳刹之行ヲ↡。如来・応・正遍知、願クハ為ニ宣↢説0348シタマヘト諸仏刹土ノ荘厳之事ヲ↡。
時に世自在王如来、 すなはちために八十四百千倶胝那由他の仏刹の功徳荘厳の広大円満の相を宣説したまふに、 一劫を経てまさに究竟すべし。
○時ニ世自在王如来、即チ為ニ宣↢説シタマフニ八十四百千倶胝那*由仏刹ノ功徳荘厳ノ広大円満之相ヲ↡、●経テ↢於一劫ヲ↡方ニ可シ↢究竟ス↡。
その時阿難この事を聞きをはりて、 仏にまうしてまうさく、 世尊、 かの世自在王仏の寿量の長短いかんぞ土を説きて一劫を経ると。
○爾ノ時阿難聞キ↢是ノ事ヲ↡已リテ、白シテ↠仏ニ言ク、世尊、彼ノ世自在王仏ノ寿量ノ長短云何ゾ説キテ↠*土ヲ経ルト↢於一劫ヲ↡。
仏、 阿難に告げたまはく、 かの仏の寿命満四十劫なり。
○仏告ゲタマハク↢阿難ニ↡、彼ノ仏ノ寿命満四十劫ナリ。
阿難、 かの作法苾芻仏の所説の八十四百千倶胝那由他の仏刹の功徳荘厳の事を聞きて、 明了に通達すること一仏刹のごとし。
○阿難、彼ノ作法苾芻聞キテ↢仏ノ所説ノ八十四百千倶胝那由他ノ仏刹ノ功徳荘厳之事ヲ↡、明了ニ通達スルコト如シ↢一仏刹ノ↡。
即時に会中にして頭面をもつて礼足し、 仏を辞して退き、 一つの静処に往きて独坐し、 功徳を修習して仏刹を荘厳せんことを思惟し大誓願を発して五劫を経たり。
○即時ニ会中ニシテ頭面ヲモテ礼足シ、辞シテ↠仏ヲ而退キ、往キテ↢一ノ静*処ニ↡独坐シ、思↧惟シ修↢習シテ功徳ヲ↡荘↦厳セムコトヲ仏刹ヲ↥発シテ↢大誓願ヲ↡○経タリ↢於五劫ヲ↡。
その時作法苾芻また世自在王如来の所に詣り、 五体を地に投げて世尊の足を礼したてまつる。 礼しをはりて合掌し仏にまうしてまうさく、 世尊、 かくのごときの八十四百千倶胝那由他の仏刹の功徳荘厳の所行の行願、 われいま成就せりと。
○爾ノ時作法苾芻復詣リ↢世自在王如来ノ所ニ↡、五体ヲ投ゲテ↠地ニ礼シタテマツル↢世尊ノ足ヲ↡。礼シ已リテ合掌シ白シテ↠仏ニ言ク、世尊、如キノ↠是クノ八十四百千倶胝那由他ノ仏刹ノ功徳荘厳ノ所行ノ行願、我今成就セリト。
時に世自在王如来、 苾芻に告げてのたまはく、 善哉善哉、 なんぢの行願、 思惟究竟せり。 いままさにこれ時なり、 衆のために解説せよ。 時に諸菩薩この法を聞きをはらば大善利を得て、 よく仏刹において修習し荘厳せんと。
○時ニ世自在王如来告ゲテ↢苾芻ニ↡言ク、善哉善哉、汝之行願、思惟究竟セリ。今正ニ是時ナリ、為ニ↠衆ノ解説セヨ。時ニ諸菩薩聞キ↢是ノ法ヲ↡已ラバ得テ↢大善利ヲ↡、能ク於テ↢仏刹ニ↡修習シ荘厳セムト。
二 Ⅰ ⅳ 三十六願
【5】 その時作法苾芻、 仏の聖旨を聞きて、 ひとへに右の肩を袒ぎ、 右の膝を地に著け、 合掌して仏に向かひて、 すなはちために宣説す。
○爾ノ時作法苾芻聞キテ↢仏ノ聖旨ヲ↡、偏ニ袒ギ↢右ノ肩ヲ↡、右ノ膝ヲ著ケ↠地ニ、合掌シテ向ヒテ↠仏ニ、即チ為ニ宣説ス。
一 世尊、 われ誓言を発せり、 願はくは世尊のごとく阿耨多羅三藐三菩提を証得せんに、 所居の仏刹、 無量不可思議の功徳荘厳を具足して、 あらゆる一切衆生および焔摩羅界、 三悪道のなかの地獄・餓鬼・畜生、 みなわが刹に生じてわが法化を受け、 久しからずしてことごとく阿耨多羅三藐三菩提を成じて、 一切みな身真金色なることを得ん。
○世尊、我発セリ↢誓言ヲ↡、願クハ如ク↢世尊ノ↡証↢得セムニ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、所居ノ仏刹、具0349↢足シテ無量不可思議ノ功徳荘厳ヲ↡、所有ル一切衆生及ビ焔摩羅界、三悪道ノ中ノ地獄・餓鬼・畜生、皆生ジテ↢我ガ刹ニ↡受ケ↢我ガ法化ヲ↡、不シテ↠久シカラ悉ク成ジテ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、一切皆得ム↢身真金色ナルコトヲ↡。
二 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 十方世界のあらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 諸仏土の人天の衆のごとく、 分別を遠離し諸根寂静にして、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、十方世界ノ所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、如ク↢諸仏土ノ人天之衆ノ↡、遠↢離シ分別ヲ↡諸根寂静ニシテ、悉ク皆令メム↠得↢阿羅多羅三藐三菩提ヲ↡。
三 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 十方世界のあらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 大神通を得、 一念を経るあひだに百千倶胝那由他の仏刹を周遍し巡歴して、 諸仏を供養し深く善本を植え、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、十方世界ノ所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、得↢大神通ヲ↡、経ル↢一念ヲ↡中ニ周↢遍シ巡↣歴シテ百千倶胝那由他ノ仏刹ヲ↡、供↢養シ諸仏ヲ↡深ク植エ↢善本ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
四 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切みな宿命通を得て、 よく百千倶胝那由他劫の過去の事を観察し、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、一切皆得テ↢宿*命通ヲ↡、能善ク観↢察シ百千倶胝那由他劫ノ過去之事ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
五 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切みな清浄天眼を得て、 よく百千倶胝那由他世界の麁細の色相を見、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、一切皆得テ↢清浄*天眼ヲ↡、能ク見↢百千倶胝那由他世界ノ麁細ノ色相ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿*耨多羅三藐0350三菩提ヲ↡。
六 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切みな他心通を得て、 よく百千倶胝那由他衆の心・心所の法を了知し、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、一切皆得テ↢他*心通ヲ↡、善能ク了↢知シ百千倶胝那由他衆ノ心・心所ノ法ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿*耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
七 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切みな正信位に住することを得て、 顛倒の想を離れ堅固に修習し、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、一切皆得テ↠住スルコトヲ↢正信位ニ↡、離レ↢顛倒ノ想ヲ↡堅固ニ修習シ、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
八 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 所修の正行の善根無量にして、 円寂界に徧して、 しかも間断なく、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、所修ノ正行ノ善根無量ニシテ、徧シテ↢円寂界ニ↡、而モ無ク↢間断↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
九 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 声聞・縁覚の位に住すといへども、 百千倶胝那由他の宝刹の内に往きて、 あまねく仏事をなし、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
●世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、雖モ↠住スト↢声聞・縁覚之位ニ↡、往キテ↢百千倶胝那由他ノ宝刹之内ニ↡、徧ク作シ↢仏事ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一〇 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切みな無辺の光明を得て、 しかもよく百千倶胝那由他の諸仏刹土を照曜し、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、一切皆得テ↢無辺ノ光明ヲ↡、而モ能ク照↢曜シ百千倶胝那由他ノ諸仏刹土ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一一 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 命中夭せず、 寿百千倶胝那由他劫にして、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世0351尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、命不↢中夭セ↡、寿百千倶胝那由他劫ニシテ、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一二 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 不善の名なく、 無量無数の諸仏刹土の無名・無号・無相・無形なるを聞きても、 称讃するところなく、 しかも疑謗することなく、 身心不動にして、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、無ク↢不善ノ名↡、聞キテモ↢無量無数ノ諸仏刹土ノ無名・無号・無相・無形ナルヲ↡、無ク↠所↢称讃スル↡、而モ無ク↢疑謗スルコト↡、身心不動ニシテ、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一三 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生わが刹に生ぜんことを求め、 わが名号を念じて、 志誠心を発し、 堅固不退ならん。 かの命終の時、 ▼われ無数の苾芻と前に現じ囲繞せられて来迎せしめむ。 かの人須臾のあひだを経てわが刹に生ずることを得て、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生求メ↠生ゼムコトヲ↢我ガ刹ニ↡、念ジテ↢吾ガ名号ヲ↡、発シ↢志誠心ヲ↡、堅固不退ナラム。彼ノ命終ノ時、我令メム↢無数ノ苾芻ト現ジ↠前ニ囲繞セラレテ来迎セ↡。彼ノ人経テ↢須臾ノ間ヲ↡得テ↠生ズルコトヲ↢我ガ刹ニ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一四 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる十方無量無辺無数世界の一切衆生、 わが名号を聞きて、 菩提心を発し、 もろもろの善根を種えて、 意に随ひて諸仏刹土に生ぜんことを求めんに、 生を得ずといふことなく、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル十方無量無辺無数世界ノ一切ノ衆生、聞キテ↢吾ガ名号ヲ↡、発シ↢菩提心ヲ↡、種エテ↢諸ノ善根ヲ↡、随ヒテ↠意ニ求メムニ↠生ゼムコトヲ↢諸仏刹土ニ↡、無ク↠不トイフコト↠得↠生ヲ、悉ク皆令メム↠得↢*阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一五 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 みな三十二種大丈夫の相を具して、 一生に阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、皆具シテ↢三十二種大丈夫ノ相ヲ↡、一生ニ令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一六 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめん、 もし大願ありて、 いまだ成仏を欲せず、 菩薩となるものをば、 われ威力をもつてかれをして一切衆生を教化してみな信心を発さしめ、 菩提の行・普賢の行・寂滅の行・浄梵の行・最勝の行および一切の善行を修して、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メム↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、若シ有リテ↢大願↡、未ダ↠欲セ↢成仏0352ヲ↡、為ル↢菩薩ト↡者ヲバ、我以テ↢威力ヲ↡令メ↧彼ヲシテ教↢化シテ一切衆生ヲ↡皆発サ↦信心ヲ↥、修シテ↢菩提ノ行・普賢ノ行・寂滅ノ行・浄梵ノ行・最勝ノ行及ビ一切ノ善行ヲ↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一七 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生をしてわが刹に生ぜしめ、 一切の処において無量百千倶胝那由他の諸仏を承事し供養して、 もろもろの善根を種えて、 意の所求に随ひて願を満たさずといふことなく、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生ヲシテ令メ↠生ゼ↢我ガ刹ニ↡、於テ↢一切ノ処ニ↡承↢事シ供↣養シテ無量百千倶胝那由他ノ諸仏ニ↡、種エテ↢諸ノ善根ヲ↡、随ヒテ↢意ノ所求ニ↡無ク↠不トイフコト↠満サ↠願ヲ、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一八 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが刹土のなかのあらゆる菩薩、 みな一切智慧を成就することを得て、 よく諸法秘要の義を談じ、 久しからずしてすみやかに阿耨多羅三藐三菩提を成ぜん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ刹土ノ中ノ所有ル菩薩、皆得テ↣成↢就スルコトヲ一切智慧ヲ↡、善ク談ジ↢諸法秘要之義ヲ↡、不シテ↠久シカラ速ニ成ゼム↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
一九 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 勇猛の心を発し、 大神通を運らし、 無量無辺無数の世界の諸仏刹のなかに往き、 真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽をもつて供養し承事し、 回して菩提を求め、 すみやかに阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得ん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所*有ル菩薩、発シ↢勇猛ノ心ヲ↡、運シ↢大神通ヲ↡、往キ↢無量無辺無数ノ世界ノ諸仏刹ノ中ニ↡、以テ↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽ヲ↡供養シ承事シ、廻シテ求メ↢菩提ヲ↡、速ニ得ム↣成↢就スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二〇 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 大道心を発し、 真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽をもつて他方世界の無量無辺の諸仏世尊に承事し供養せんと欲すれども往くことあたはずは、 われその時において、 宿願力をもつて、 かの他方の諸仏世尊をして、 おのおの手臂を舒べてわが刹のなかに至りてこの供養を受けしめ、 かれをしてすみやかに阿耨多羅三藐三菩提を成ぜしめん。
●世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、発シ↢大道心ヲ↡、欲スレドモ↫以テ↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽ヲ↡承↩事シ供↪養セムト他方世0353界ノ無量無辺ノ諸仏世尊ニ↨而不ハ↠能ハ↠往クコト、我於テ↢爾ノ時ニ↡、以テ↢宿願力ヲ↡、令メ↧彼ノ他方ノ諸仏世尊ヲシテ、各ノ舒ベテ↢手臂ヲ↡至リテ↢我ガ刹ノ中ニ↡受ケ↦是ノ供養ヲ↥、令メム↣彼ヲシテ速ニ成ゼ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二一 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 みづからの意楽に随ひてこの界を離れず、 真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽をもつて他方無量の諸仏を供養せんと欲せんに、 また思惟すらく、 もし仏、 臂を展べここに至りて供を受けなば、 諸仏を劬労せしめわれをして益なからしめんと。 この念をなす時、 われ神力をもつて、 この供具をしてみづから他方諸仏の面前に至らしめ一々に供養せしめん。 その時菩薩、 久しからずしてことごとく阿耨多羅三藐三菩提を成ぜん。
●世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、随ヒテ↢自ラノ意楽ニ↡不↠離レ↢此ノ界ヲ↡、欲セムニ↧以テ↢真珠・瓔珞・宝蓋・幢幡・衣服・臥具・飲食・湯薬・香華・伎楽ヲ↡供↦養セムト他方無量ノ諸仏ヲ↥、又復思惟スラク、如シ仏展ベ↠臂ヲ至リテ↠此ニ受ケナバ↠供ヲ、劬↢労セシメ諸仏ヲ↡令メムト↢我ヲシテ無カラ↟益。作ス↢是ノ念ヲ↡時、我以テ↢神力ヲ↡、令メム↧此ノ供具ヲシテ自ラ至ラシメ↢他方諸仏ノ面前ニ↡一一ニ供養セ↥。爾ノ時菩薩、不シテ↠久シカラ悉ク成ゼム↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二二 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 身の長十六由旬にして、 那羅延の力を得、 身相端厳に、 光明照曜し、 善根具足して、 阿耨多羅三藐三菩提を成就せん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、身ノ長十六由旬ニシテ、得↢那羅延ノ力ヲ↡、身相端厳ニ、光明照曜シ、善根具足シテ、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二三 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 もろもろの衆生のために法蔵に通達し、 無辺の一切智慧を安立し、 諸結を断尽して、 ことごとく阿耨多羅三藐三菩提を証成することを得ん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、為ニ↢諸ノ衆生ノ↡通↢達シ法蔵ニ↡、安↢立シ無辺ノ一切智慧ヲ↡、断↢尽シテ諸結ヲ↡、悉ク得ム↣証↢成スルコトヲ阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二四 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 百千倶胝那由他の種々の珍宝をもつて、 香炉を造作し、 下地際より上空界に至るまで、 つねに無価栴檀の香をもつてあまねく薫じて、 十方の諸仏を供養せしめ、 すみやかに阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得しめん。
○世0354尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、以テ↢百千倶胝那由他ノ種種ノ珍宝ヲ↡、造↢作シ香*炉ヲ↡、下従リ↢地際↡上至ルマデ↢空界ニ↡、常ニ以テ↢無価栴檀之香ヲ↡普ク薫ジテ、供↢養セシメ十方ノ諸仏ヲ↡、令メム↠得↣速ニ成ズルコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二五 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 所居の仏刹広博厳浄にして、 光瑩なること鏡のごとく、 ことごとくよく無量無辺の一切の仏刹を照見せん。 衆生覩んもの、 希有の心を生じ、 久しからずしてすみやかに阿耨多羅三藐三菩提を成ぜん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所居ノ仏刹広博厳浄ニシテ、光瑩ナルコト如ク↠鏡ノ、悉ク能ク照↢見セム無量無辺ノ一切ノ仏刹ヲ↡。衆生覩ム者、生ジ↢希有ノ心ヲ↡、不シテ↠久シカラ速ニ成ゼム↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二六 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 わが居する宝刹のあらゆる菩薩、 昼夜六時につねに快楽を受くること諸天に過ぎ、 平等総持門に入りて、 身光あまねく無辺世界を照らし、 久しからずして阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得ん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、我ガ居スル宝刹ノ所有ル菩薩、昼夜六時ニ恒ニ受クルコト↢快楽ヲ↡過ギ↢於諸天ニ↡、入リテ↢平等総持門ニ↡、身光普ク照シ↢無辺世界ヲ↡、不シテ↠久シカラ得ム↠成ズルコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二七 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる十方無量無辺無数の世界の一切の女人、 もし女身を厭離するものありて、 わが名号を聞き、 清浄心を発し、 帰依し頂礼せん。 かの人命終してすなはちわが刹に生じ、 男子の身となりて、 ことごとくみな阿耨多羅三藐三菩提を得しめん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル十方無量無辺無数ノ世界ノ一切ノ女人、若シ有リテ↧厭↢離スル女身ヲ↡者↥、聞キ↢我ガ名号ヲ↡、発シ↢清浄心ヲ↡、帰依シ頂礼セム。彼ノ人命終シテ即チ生ジ↢我ガ刹ニ↡、成リテ↢男子ノ身ト↡、悉ク皆令メム↠得↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二八 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる十方無量無辺無数の仏刹の声聞・縁覚、 わが名号を聞きて、 浄戒を修持し、 堅固不退にして、 すみやかに道場に坐し、 阿耨多羅三藐三菩提を成就せん。
●世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル十方無量無辺無数ノ仏刹ノ声聞・縁覚、聞キテ↢我ガ名号ヲ↡、修↢持シ浄戒ヲ↡、堅固不退ニシテ、速ニ坐シ↢道場ニ↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三0355菩提ヲ↡。
二九 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる十方無量無辺不可思議無等の仏刹の一切の菩薩、 わが名号を聞きて、 五体を地に投げて礼拝し帰命せん。 また天上人間一切有情に尊重し恭敬し親近し侍奉せらるることを得て、 功徳を増益し、 阿耨多羅三藐三菩提を成就せん。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル十方無量無辺不可思議無等ノ仏刹ノ一切ノ菩薩、聞キテ↢我ガ名号ヲ↡、五体ヲ投ゲテ↠地ニ礼拝シ帰命セム。復得テ↢天上人間一切有情ニ尊重シ恭敬シ親近シ侍奉セラルルコトヲ↡、増↢益シ功徳ヲ↡、成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
三〇 世尊、 われ菩提を得、 正覚を成じをはらんに、 あらゆる衆生、 浄信心を発し、 もろもろの沙門・婆羅門のために衣を染め衣を洗ひ、 衣を裁ち衣を縫ひ、 修して僧服をなし、 あるいはみづから手づから作り、 あるいは人をして作らしめ、 作りをはりて回向せん。 この人感ずるところの八十一生に、 最上の衣を得て、 身に随ひて豊足し、 最後の身においてわが刹に来生し、 阿耨多羅三藐三菩提を成就せんと。
○世尊、我得↢菩提ヲ↡、成ジ↢正覚ヲ↡已ラムニ、所有ル衆生、発シ↢浄信心ヲ↡、為ニ↢諸ノ沙門・婆羅門ノ↡染メ↠衣ヲ洗ヒ↠衣ヲ、裁チ↠衣ヲ縫ヒ↠衣ヲ、修シテ作シ↢僧服ヲ↡、或ハ自ラ手ヅカラ作リ、或ハ使メ↢人ヲシテ作ラ↡、作リ已リテ廻向セム。是ノ人所ノ↠感ズル八十一生ニ、得テ↢最上ノ衣ヲ↡、随ヒテ↠身ニ豊足シ、於テ↢最後ノ身ニ↡来↢生シ我ガ刹ニ↡、成↢就セムト阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
仏説大乗無量寿荘厳経 巻上
延書は底本の訓点に従って有国が行った(固有名詞の訓は保証できない)。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本、 Ⓐ金版¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓔ¬房山石経(遼金刻経)¼所収本 と対校。
你→ⒸⒹ弥
仏説 Ⓒになし
上→Ⓓ上[中下同巻]
西→Ⓓ[宋]西
訳経 Ⓓになし
臣 Ⓓになし
士→Ⓐ上
他→Ⓒ陀
暱→Ⓒ匿
由→ⒹⒺ由[他]
土→Ⓒ此
処独→Ⓔ独処
命→ⒸⒹ命[智]
天→Ⓒ王
耨→Ⓔ藐
心→ⒸⒹ心[智]
阿→Ⓔ耨
有→Ⓑ存
炉→Ⓒ鑪