0452◎観経0538正宗分散善義 巻第四
沙門*善導集記
一 正宗分
Ⅰ 総明大綱
ⅰ 総標【総説】
a 総標大宗
【1】 ◎^これより以下は、 次に三輩散善一門の義を解す。
◎従0759リ↠此已下ハ、▲次ニ解ス↢三輩散善一門之義ヲ↡。
一 Ⅰ ⅰ b 別弁因行
^この義のなかにつきてすなはちその二あり。 一には三福を明かしてもつて正因となす。 二には九品を明かしてもつて正行となす。
~就[キ]テ↢此ノ義ノ中ニ↡即[チ]有リ↢其[ノ]二↡。一[ニハ]明シテ↢三福ヲ↡以テ為ス↢正因ト↡。二[ニハ]明シテ↢九品ヲ↡以テ為ス↢正行ト↡。
一 Ⅰ ⅱ 別釈
a 広明三福正因【三福】
イ 牒
^いま三福といふは、
~今言フ↢三福ト↡者、
一 Ⅰ ⅱ a ロ 釈
(一)明行体不同
・世福
^▲第一の福はすなはちこれ世俗の善根なり。 曽よりこのかたいまだ仏法を聞かず、 ただおのづから*孝養・*仁・義・礼・智・信を行ず。 ゆゑに世俗の善と名づく。
~第一ノ福ハ即[チ]是世俗ノ善根ナリ。曽ヨリ来タ未ズ ダ↠聞カ↢仏法ヲ↡、但自ラ行ズ↢孝養・仁・義・礼・智・信ヲ↡。故ニ名ク↢世俗ノ善ト↡也。
・戒福
^▲第二の福はこれを戒善と名づく。 この戒のなかにつきてすなはち人・天・声聞・菩薩等の戒あり。 そのなかにあるいは*具受・不具受あり、 あるいは*具持・不具持あり。 ただよく回向すればことごとく往生を得。
~第二ノ福†者此ヲ名ク↢戒善ト↡。就キテ↢此ノ戒[ノ]中ニ↡即[チ]有リ↢人・天・声聞・菩薩等ノ戒↡。其ノ中ニ或[イ]ハ有リ↢具受・不具受↡、或[イ]ハ有リ↢具持・不具持↡。但能ク廻向スレバ尽ク得↢往生‡ヲ↡。
・行福
^▲第三の福を名づけて行善となす。 これはこれ*大乗心を発せる凡夫、 みづからよく行を行じ、 兼ねて有縁を勧めて悪を捨て心を持たしめて、 *回して浄土に生ず。
~第三ノ福ヲ†者名[ケ]テ為ス↢行善ト↡。此ハ是発セル↢大乗心ヲ↡凡夫、自ラ能ク行ジ↠行ヲ、兼ネテ勧メテ↢有縁ヲ↡捨テ↠悪ヲ持タシメテ↠心ヲ、†廻シテ生ズ↢浄土ニ↡。
一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)弁受法単複
^またこの三福のなかにつきて、 あるいは一人ひとへに世福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。 あるいは一人ひとへ0453に戒福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。 あるいは一人ひとへに行福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。
~又就[キ]テ↢此[ノ]三福之中ニ↡、或[イハ]有リ↧一人‡単ヒトヘニ行ジテ↢世福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。或[イ]ハ有[リ]↧一人‡単ニ行ジテ↢戒福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ]有[リ]↧一人単ニ行ジテ↢行福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。
^あるいは一人上の二福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。 あるいは一人下の二福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。
~或[イハ]有[リ]↧一人行ジテ↢上ノ二福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ]有[リ]↧一人行ジテ↢下ノ二福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。
^あるいは一人つぶさに三福を行じて、 回してまた生ずることを得るあり。 あるいは人等ありて、 三福ともに行ぜざるものをすなはち十悪・邪見・闡0539提の人と名づく。
~或[イハ]有[リ]↧一人具ニ行ジテ↢三福ヲ↡廻シテ亦得ル↞生[ズルコト]ヲ。或[イハ]有[リテ]↢†人等↡、三福倶ニ不ル↠行ゼ者ヲ即[チ]名ク↢十悪・邪0760見・闡提[ノ]人ト↡也。
一 Ⅰ ⅱ b 略指九品正行
^九品といふは、 文に至りてまさに弁ずべし、 知るべし。 いま略して三福差別の義意を*料簡しをはりぬ。
~言フ↢九品ト↡者、至[リ]テ↠文ニ当ベ ニシ↠弁ズ、応[シ]↠知ル。今略シテ料↢簡シ三福‡差別ノ義‡意ヲ↡竟[リ]ヌ。
一 Ⅱ 別釈文義
ⅰ【上輩観】
a 総料簡【文前料簡】
イ 標
【2】 ^十四に上輩観の行善の文前につきて、 ▽総じて料簡してすなはち▼十一門となす。
▲十四ニ就[キ]テ↢上輩観[ノ]行善ノ文‡前ニ↡、総ジテ料簡シテ即[チ]為ス↢十一門ト↡。
一 Ⅱ ⅰ a ロ 釈
(一)列科目
・告命
^一には総じて*告命を明かす。
~一ニ者総ジテ明ス↢告命ヲ↡。
・弁定其位
^二にはその位を弁定す。
~二ニ者弁↢定ス其ノ位ヲ↡。
・総挙有縁
^三には▼総じて有縁の類を挙ぐ。
~三[ニ]者総ジテ挙グ↢有縁之†類ヲ↡。
・三心正因
^四には▼三心を弁定してもつて正因となす。
~四[ニ]者弁↢定シテ三心ヲ↡以テ為ス↢正因ト↡。
・簡機堪不
^五にはまさしく*機の堪と不堪とを簡ぶことを明かす。
~五[ニ]者正[シク]明ス↠簡ブコトヲ↣機ノ堪ト与ヲ↢不堪↡。
・受法不同
^▽六にはまさしく受法の不同を明かす。
~六[ニ]者正[シク]明ス↢受法ノ不同ヲ↡。
・時節延促
^▽七にはまさしく修業の時節に*延促異なることあることを明かす。
~七[ニ]者正[シク]明ス↢修業ノ時節[ニ]延促有ルコトヲ↟†異ナルコト。
・回行願生
^▽八には所修の行を回して、 弥陀仏国に生ぜんと願ずることを明かす。
~八[ニ]者明[ス]↧廻シテ↢所修ノ行ヲ↡願ズルコトヲ↞†生ゼムト↢弥陀仏国ニ↡。
・迎接去時
^▽九には▼命終の時に臨みて聖来りて*迎接したまふ不同と、 *去時の遅疾とを明かす。
~九[ニ]者明[ス]↧臨ミテ↢命終ノ時ニ↡聖来[リ]テ迎接シタマフ不同[ト]、去サル時ノ遅疾[ト]ヲ↥。
・華開遅疾
^▽十にはかしこに到りて華開くる遅疾の不同を明かす。
~十[ニ]者明[ス]↢到[リ]テ↠彼ニ華開[ク]ル遅疾ノ不同ヲ↡。
・開後得益
^▽十一には華開以後の得益に異なることあることを明か0454す。
~十一[ニ]者明ス↢†華開已後ノ得益ニ有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。
一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)例結余品
(Ⅰ)正例結
^▼いまこの十一門の義は、 九品の文に約対するに、 一々の品のなかにつきてみなこの十一あり。 すなはち*一百番の義となす。 またこの十一門の義は、 上輩の文前につきて、 総じて料簡するもまた得たり。 あるいは中・下輩の文前につきて、 おのおの料簡するもまた得たり。
~今此ノ十一門ノ義者、約↢ヨソヘ対ムカヘスルニ九品之文ニ↡、就[キ]テ↢一一ノ品ノ中ニ↡皆有リ↢此ノ十一↡。即[チ]為ス↢一百番ノ義ト↡也。又此ノ十一門ノ義ハ、就[キ]テ↢上輩ノ文‡前ニ↡、総ジテ料簡スル†モ亦得タリ。或[イハ]就[キ]テ↢中・下輩ノ文‡前ニ↡、各[ノ]料簡スル†モ亦得[タ]リ。
一 Ⅱ ⅰ a ロ (二)(Ⅱ)弁具欠
^また*この義もし文をもつて来し勘ふれば、 すなはち具・不具あり。 *隠顕ありといへども、 もしその道理によらばことごとくみなあるべし。 この因縁のためのゆゑに、 すべからく広開して顕出すべし。 依行するものをして解りやすく識りやすからしめんと欲す。
~又此ノ義若シ以テ↠文ヲ来シ勘†フレバ者、即[チ]有リ↢具・不具↡。雖モ↠有リト↢隠顕↡、若シ拠ラバ↢其ノ道理ニ↡悉ク皆合シ↠有ル。為ノ↢此ノ因縁ノ↡故ニ、須ベ クシ↢†広開シテ顕出ス↡。欲ス↠令メムト↢依行†スル者ヲシテ易ク↠解リ易カラ↟識リ也。
一 Ⅱ ⅰ a ハ 結
^上来十一門の不同ありといへども、 広く上輩三品の義意を料簡しをはりぬ。
~上来‡雖モ↠有リト↢十一門ノ不同↡、広ク料↢簡シ上輩三品ノ義‡意ヲ↡竟[リ]ヌ。△
一 Ⅱ ⅰ b 別解釈
イ 正釈
(一)上上品【上品上生釈】
(Ⅰ)総標
【3】 ^次下に▼先づ上品上生の位のなかにつきて、 また*先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十二あり。
▲次下ニ先ヅ就[キ]テ↢上品上生ノ位ノ中ニ↡、亦先ヅ挙ゲ、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即チ有[リ]↢其[ノ]十二↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)別釈
(ⅰ)告命
^▼一に ▲「仏0540告阿難」 より以下はすなはちならべて二の意を標す。
一[ニ]従リ↢「仏0761告阿難‡」↡已下[ハ]即チ双ベテ標スアラハス↢二ノ意ヲ↡。
^◆一には告命を明かす。
▲一[ニハ]明ス↢告命ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)弁成其位
^▲二にはその位を弁定することを明かす。 これすなはち大乗を修学する上善の凡夫人なり。
▲二[ニハ]明ス↣弁↢定スルコトヲ其ノ位ヲ↡。此即[チ]修↢学スル大乗ヲ↡上善ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅲ)総挙有縁
^◆三に ▲「若有衆生」 より下 「即便往生」 に至るこのかたは、 まさしく総じて*有生の類を挙ぐることを明かす。 すなはちその四あり。
三[ニ]従リ↢「若有衆生」↡下至ル↢「即便往生ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↣総ジテ挙グルコトヲ↢有生之†類ヲ↡。即[チ]有リ↢其[ノ]四↡。
・能信人
^▲一には能信の人を明かす。
▲一[ニ]ハ明ス↢能信之人ヲ↡。
・求願往生
^▲二には往生を求願することを明かす。
▲二[ニハ]明ス↣求↢願スルコトヲ往生ヲ↡。
・発心
^▲三には*発心の多少を明かす。
▲三[ニハ]明ス↢発心ノ多少ヲ↡。
・得生益
^▲四には得生の益を明かす。
▲四[ニハ]明ス↢得生之益ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)三心正因
(a)牒文総科
^◆四に ▲「何等0455為三」 より下 「必生彼国」 に至るこのかたは、 まさしく三心を弁定してもつて正因となすことを明かす。 すなはちその二あり。
四[ニ]従リ↢「何等為三」↡下至ル↢「必生彼国ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧*弁↢定シテ三心ヲ↡以テ†為スコトヲ↦正因ト↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]二↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)別釈文句
(イ)釈自徴
^◆一には世尊、 機に随ひて益を顕したまふこと*意密にして知りがたし、 仏のみづから問ひみづから徴したまふにあらずは、 解を得るに由なきことを明かす。
~一[ニハ]明[ス]↧世尊随[ヒ]テ↠機ニ顕[シ]タマフコト↠益ヲ意密ニシテ難シ↠知リ、非ズハ↢仏[ノ]自ラ問ヒ自ラ徴セメシタマフニ↡、無キコトヲ↞由↠得ルニ↠解ヲ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)釈如来答数
[一]総示
^◆二には如来 (釈尊) 還りてみづから前の三心の数を答へたまふことを明かす。
~二[ニハ]明ス↣如来還[リ]テ自ラ答[ヘ]タマフコトヲ↢前ノ三心之数ヲ↡。△
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二]別釈
[Ⅰ]広釈三心体相
[ⅰ]【至誠心釈】
[a]牒文
【4】 ^▼¬経¼ (観経) にのたまはく、 「▲一には↓至↓誠心」 と。
▲¬経ニ¼云ハク、「一[ニ]者至誠心[ト]」。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]釈義
[イ]釈名
^▼「↑至」 とは真なり、 「↑誠」 とは実なり。
~「至ト」者真ナリ、「誠ト」者実ナリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]解義
ª一º就利他直釈
ªⅠº略示勧誡
ªⅰº勧他力
^▼一切衆生の身口意業所修の*解行、 真実心のうちになすべきことを明かさんと欲す。
~†欲ス↠明[サム]ト↣一切衆生ノ身口意業†所修ノ解行、必ズ†須クキコトヲ↢真実心ノ中ニ作ス↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅠºªⅱº誡自力
^▼外に賢善精進の相を現じ、 内に虚仮を懐くことを得ざれ。
~†不レ↠得↧外ニ現ジ↢賢善精進之相ヲ↡内ニ懐クコトヲ↦虚仮ヲ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡº広弁機法
ªⅰº明機不実
ªaº正明機相
^◆*貪瞋・邪偽・奸詐百端にして、 悪性侵めがたく、 事*蛇蝎に同じきは、 ▼三業を起すといへども名づけて雑毒の善となし、 また虚仮の行と名づく。 真実の業と名づけず。
~貪瞋・邪偽・奸詐百端ニシテ、悪性難†ク↠侵メ、†事同†ジキハ↢蛇蝎ニ↡、雖モ↠起スト↢三業ヲ↡名[ケ]テ為†シ↢雑毒之善ト↡、亦名ク↢虚仮之行ト↡†。†不↠名ケ↢真実ノ業ト↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº重斥自力
^▼もしかくのごとき安心・起行をなすものは、 たとひ▼身心を苦励して、 ▼*日夜十二時急に*走り急になすこと、 *頭燃を救ふがごとくするものも、 すべて雑毒の善と名づく。 ▼この雑毒の行を回して、 かの仏の浄土に生ずることを求めんと欲せば、 これかならず不可なり。
~若シ†作ス↢如キ↠此[ク]ノ安心・起行ヲ↡者ハ、縦使苦↢励シテ身心ヲ↡、日夜十二時‡急ニ†走リ急ニ作†スコト、如ク†スル↠灸フガ↢頭燃ヲ↡者[モ]、衆テ名ク↢雑毒之善ト↡。†欲セバ↧廻シテ↢此ノ雑毒之行ヲ↡求メムト↞生ズルコトヲ↢彼ノ仏ノ浄土ニ↡者、此必ズ†不可也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº顕法真実
^◆なにをもつてのゆゑに。 ▼まさしくかの阿弥陀仏*因中に菩薩の行を行じたまひし時、 すなはち一念0456一刹那に至るまでも、 三業の所修、 みなこれ真実心のうちになしたまひ、 ▼*おほよそ*施為・趣求したまふところ、 またみな↓真実なるによりてなり。
~何ヲ以[テ]ノ故ニ。正[シク]†由[リ]テナリ↧彼ノ阿弥陀仏‡因中ニ行ジタマヒシ↢菩薩ノ行ヲ↡時、†乃チ至ルマデモ↢一念一刹那ニ↡、三業†ノ所修、皆是真実心ノ中ニ作シタマヒ、凡ソ†所↢施為趣求シタマフ↡、亦皆真実ナルニ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二º分二利重弁
ªⅠº標列
^▼また↑真実に二種あり。 一0541には↓*自利真実、 二には*利他真実なり。
~又真実ニ有リ↢二種↡。一[ニ]者自利0762‡真実、二[ニ]者利他‡真実ナリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡº随釈
ªⅰº明自利真実
ªaº明厭離真実
^▼↑自利真実といふは、 また二種あり。
~言[フ]↢自利真実ト↡者、復有リ↢二種↡。
・聖道厭離
^◆ 一には▼真実心のうちに、 自他の諸悪および*穢国等を*制捨して、 行住坐臥に一切の菩薩の諸悪を制捨したまふに同じく、 われもまたかくのごとくならんと想ふなり。
~一[ニ]者真実心ノ中ニ、制↢捨シ[テ]自他ノ諸悪及ビ穢国等ヲ↡、行住坐臥ニ想フ↧同[ジ]ク↣一切ノ菩薩ノ制↢捨†シタマフニ諸悪ヲ↡、我モ亦如クナラムト↞是ノ也。
・聖道欣求
^◆二には真実心のうちに、 自他凡聖等の善を勤修す。
~二[ニ]者真実心ノ中ニ、懃↢修†ス自他‡凡聖等ノ善ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅡºªⅰºªbº明欣求真実
・口業
^◆真実心のうちの口業に、 かの阿弥陀仏および依正二報を讃歎す。 また真実心のうちの口業に、 三界・六道等の自他の依正二報の苦悪の事を*毀厭す。 また一切衆生の三業所為の善を讃歎す。 ▼もし善業にあらずは、 つつしみてこれを遠ざかれ、 また*随喜せざれ。
~真実心ノ中ノ口業ニ、讃↢歎ス‡彼ノ阿弥陀仏及ビ依正二報ヲ↡。又真実心ノ中ノ口業ニ、毀↢厭†ス三界・六道等[ノ]自他ノ依正二報[ノ]苦悪之事ヲ↡。亦讃↢歎ス一切衆生ノ三業所為ノ善ヲ↡。若シ非†ズハ↢善業ニ↡者、†敬ミテ而遠ザカレ↠之ヲ、亦不†レ↢随喜セ↡也。
・身業
^◆また真実心のうちの身業に、 合掌し礼敬して、 *四事等をもつてかの阿弥陀仏および依正二報を供養す。 また真実心のうちの身業に、 この生死三界等の自他の依正二報を軽慢し厭捨す。
~又真実心ノ中ノ身業ニ、合掌[シ]礼敬シテ、四事等ヲ[モテ]供↢養ス彼ノ阿弥陀仏及ビ依正二報†ヲ↡。又真実心ノ中ノ身業[ニ]、軽↢慢[シ]厭↣捨ス此ノ生死三界等ノ自他ノ依正二報ヲ↡。
・意業
^◆また真実心のうちの意業に、 かの阿弥陀仏および依正二報を思想し観察し憶念して、 目の前に現ずるがごとくす。 また真実心のうちの意業に、 この生死三界等の自他の依正二報を軽賎し厭捨す。
~又真実心ノ中ノ意業ニ、思↢想[シ]観↣察[シ]憶↤念†シテ彼ノ阿弥陀仏及[ビ]依正二報ヲ↡、如クス‡↠現ズルガ↢目ノ前ニ↡。又真実心ノ中ノ意業ニ、軽↢賎[シ]厭↣捨†ス此ノ生死三界等ノ自他ノ依正二報ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱº明利他真実
ªaº別明
^▼*不善の三業0457は、 かならずすべからく真実心のうちに捨つべし。 *またもし▼善の三業を起さば、 かならずすべからく真実心のうちになすべし。
~不善[ノ]三業ハ、必ズ†須クシ↢真実心ノ中ニ捨ツ↡。又若シ起†サバ↢善ノ三業ヲ↡者、必ズ†須クシ↢真実心ノ中ニ作ス↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][b][ロ]ª二ºªⅱºªbº総結
^◆*内外明闇を簡ばず、 みなすべからく真実なるべし。
~不↠簡バ↢内外明闇ヲ↡、皆†須クシ↢真実ナル↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅰ][c]結名
^◆ゆゑに至誠心と名づく。
~故ニ名ク↢「至誠心ト」↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]【深心釈】
[a]牒文
【5】 ^「▲二には深心」 と。
~「二[ニ]者深心[ト]」。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b]釈義
[イ]釈名義
[ロ]明信相
ª一º深信機法【二種深信】
ªⅠº標数
^◆「深心」 といふはすなはちこれ深く信ずる心なり。 また二種あり。
~言フ「深心ト」↡者即[チ]是†深ク信ズル之心也。亦有リ↢二種↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡº列釈
ªⅰº明信機
^▼一には▼決定して深く、 自身は現にこれ▼*罪悪生死の凡夫、 *曠劫よりこのかたつねに没しつねに流転して、 ▼*出離の縁あることなしと信ず。
~一[ニ]者決定シテ深ク信ズ↢自身ハ現ニ是罪悪生死ノ凡夫‡、曠劫ヨリ已来[タ]†常ニ没シ常ニ流転シテ、無シト↟有[ル]コト↢出離之縁↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº明信法
^▼二には▼決定して深く、 かの▼阿弥陀仏の、 ▼四十八願は衆生を摂受0542したまふこと、 疑なく慮りなくかの願力に乗じてさだめて往生を得と信ず。
~二[ニ]者決定シテ深ク信ズ↧彼ノ阿弥陀仏ノ四十八願†ハ摂↢受シタマフコト衆生ヲ↡、無†ク↠疑無†ク↠慮0763、乗ジテ↢彼ノ願力ニ↡定メテ得ト↦往生ヲ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª二º深信観経
【6】 ^▼また決定して深く、 釈迦仏、 この ¬*観経¼ の三福・九品・定散二善を説きて、 かの仏の依正二報を証讃して、 人をして欣慕せしめたまふと信ず。
~又決定シテ深ク信ズ↧釈迦仏説[キ]テ↢此ノ¬観経ノ¼三福・九品・定散二善ヲ↡、証↢讃シテ彼ノ仏ノ依正二報ヲ↡、使メタマフ†ト↦人ヲシテ欣ネガヒ慕セネガフ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª三º深信小経
^▼また決定して深く、 ¬*弥陀経¼ のなかに、 十方恒沙の諸仏、 一切の凡夫決定して生ずることを得と証勧したまふと信ず。
~又決定シテ深ク†信ズ↣¬弥陀経ノ¼中ニ、十方恒沙ノ諸仏証↢勧シタマフト一切ノ凡夫決定シテ得ト↟生[ズル]コトヲ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª四º唯信仏語
^▼また深信とは、 仰ぎ願はくは、 一切の行者等、 一心にただ仏語を信じて身命を顧みず、 決定して依行し、 ▼仏の捨てしめたまふをばすなはち捨て、 ▼仏の行ぜしめたまふをばすなはち行じ、 ▼仏の去らしめたまふ処をばすなはち去る。 ▼これを仏教に随順し、 ▼仏意に随順すと名づけ、 ▼これを仏願に随順すと名づく。 ▼これを真の仏弟子と名づく。
~又深信ト者、仰†ギ願ハク[ハ]、一切ノ行者等、一心ニ唯信ジテ↢仏語ヲ↡不↠顧↢身命ヲ↡、決定シテ†依行シ、仏ノ遣メタマフヲ↠捨テ者即チ捨テ、仏ノ遣[メ]タマフヲ↠行ゼ者即[チ]行ジ、仏[ノ]遣[メ]タマフ↠去ラ処ヲバ即チ去ル。是ヲ名†ケ↧随↢順シ仏教ニ↡随↦順スト仏意ニ↥、是ヲ名ク↣随↢順スト仏願ニ↡。是ヲ名ク↢真ノ仏弟子ト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五º依観経信
ªⅠº総標信得
^◆また一切の行者ただ0458よくこの ¬経¼ (観経) によりて深く信じて行ずるものは、 かならず衆生を誤たず。
~又一切ノ行者但能ク依[リ]テ↢此[ノ]¬経ニ¼↡深ク信ジテ行†ズル者ハ、必ズ不↠悞タ↢衆生ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡº別顕可信
ªⅰº略示
^◆なにをもつてのゆゑに。 仏はこれ大悲を満足したまへる人なるがゆゑなり、 *実語したまふがゆゑなり。
~何[ヲ]以[テ]ノ故ニ。仏ハ是†満↢足シタマヘル大悲ヲ↡人ナルガ故†ナリ、実語シタマフガ故†ナリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱº広顕
ªaº挍説人分満
^◆仏を除きて以還は、 *智行いまだ満たず。 その*学地にありて、 *正習の二障ありていまだ除こらざるによりて、 *果願いまだ円かならず。
~除キテ↠仏ヲ已還ハ、智行未ズ ダ↠満タ。在[リ]テ↢其ノ学地ニ↡、†由リテ↧有リテ↢正習[ノ]二障↡未ダルニ↞除コラ、果願未ダ↠円カナラ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbº挍教語虚実
ªイº明因説必要果証
^◆これらの凡聖はたとひ諸仏の教意を測量すれども、 いまだ決了することあたはず。 *平章することありといへども、 かならずすべからく仏証を請じて定となすべし。 ▼もし仏意に称へばすなはち*印可して、 「*如是如是」 とのたまふ。 ▼もし仏意に可はざれば、 すなはち 「なんぢらが所説この義不如是」 とのたまふ。
~此等ノ凡聖ハ縦使測↢量†スレドモ諸仏[ノ]教意ヲ↡、未ズ ダ↠能ハ↢決了スルコト↡。雖モ↠有[リ]ト↢平章アキラムル[スルコト]↡、要ズ須ベ クシ↧請ジテ↢仏証ヲ↡為ス↞定ト也。若シ称†ヘバ↢仏意ニ↡、即チ印可シテ言フ↢如是如是ト↡。若シ不†レバ↠可ハ↢仏意ニ↡者、即[チ]言フ↢†汝等ガ所説是ノ義†不如是ト↡。
^▼印せざるはすなはち*無記・無利・無益の語に同ず。 ▼仏の印可したまふは、 すなはち仏の正教に随順す。 ▼もし仏のあらゆる言説なれば、 ▼すなはちこれ正教・正義・正行・正解・正業・正智なり。
~不ル↠印セ者即[チ]†同ズ↢無記・無利・無益之語ニ↡。仏ノ印可シタマフ者即[チ]随↢順ス仏之正教ニ↡。若シ仏ノ†所有ル言説†ナレバ、即[チ]是正教・正義・正行・正解・正業・正智ナリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅡºªⅱºªbºªロº明果説必不要因証
^◆もしは多、 もしは少、 すべて菩薩・人・天等に問ひて、 その是非を定めざれ。 ▼もし仏の所説なれば、 すなはちこれ*了教なり。 ▼菩薩等の説はことごとく不了教と名づく、 知るべし。
~若[シ]ハ多若[シ]ハ少、衆テ†不レ↧問ヒテ↢菩薩・人・天等ニ↡、定メ↦其ノ是非ヲ↥也。若[シ]仏ノ所説†ナレバ即[チ]是了教ナリ。菩薩等ノ説†ハ尽ク名ク↢不了教ト↡也、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª五ºªⅢº結示勧誡
^◆このゆゑにいまの時、 仰ぎて一切有縁の往生人等を勧む。 ただ0543深く仏語を信じて*専注奉行すべし。 菩薩等の*不相応の教を信用して、 もつて疑礙をなし、 惑を抱きてみ0459づから迷ひ、 往生の大益を廃失すべからず。▼
~是ノ故ニ今ノ時、仰ギテ勧ム↢一切‡有縁ノ往生人等ヲ↡。唯可シ↧深ク信ジテ↢仏0764語ヲ↡専注奉行ス↥。不↠可カラ↧信↢用シテ菩薩等ノ不相応ノ教ヲ↡、以テ為シ‡↢疑礙ヲ↡、抱キ[テ]↠惑ヲ自ラ迷ヒ‡、廃↦失ス往生之大益ヲ↥也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六º建立自心
ªⅠº略示
【7】 ^▼また深心は 「深き信なり」 といふは、 決定して自心を建立して、 教に順じて修行し、 永く疑錯を除きて、 一切の▼*別解・別行・▼*異学・異見・異執のために、 退失し*傾動せられざるなり。
~又深心ハ深キ信ナリ†トイフ者、決定シテ建↢立シ[テ]自心ヲ↡、順ジ[テ]↠教ニ修行シ‡、永ク除キテ↢疑錯ヲ↡、不ル↧為ニ↢一切ノ別解・別行・異学・異見・異執ノ↡之所レ↦退失シ傾動セ↥也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡº広説
ªⅰº問
^▼問ひていはく、 凡夫は智浅く、 *惑障処すること深し。 もし▼解行不同の人多く経論を引きて来りてあひ妨難し、 証して 「一切の罪障の凡夫往生を得ず」 といふに逢はば、 いかんがかの難を*対治して、 信心を成就して、 決定してただちに進みて、 *怯退を生ぜざらんや。
~問[ヒテ]曰[ク]、凡夫[ハ]智浅ク‡、惑障†処スルコト深シ。若シ逢†ハバ↧解行不同ノ人多ク引キテ↢経論ヲ↡†来リテ相†妨難シ、証シテ云†フニ↦一切ノ罪障[ノ]凡夫不ト↞得↢往生‡[ヲ]↡者、云何ガ対↢治シテ彼ノ難ヲ↡、成↢就シテ信心ヲ↡、決定シテ直ニ進ミテ、不ラム↠生ゼ↢怯退ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱº答
ªaº明就人立信【四重破人】
ªイº正明
ˆ一ˇ凡夫
^◆答へていはく、 もし人ありて多く経論を引きて証して 「生ぜず」 といはば、 行者すなはち報へていへ。 「なんぢ経論をもつて来し証して ª生ぜずº といふといへども、 わが意のごときは決定してなんぢが破を受けず。
~答[ヘ]テ曰ク、若シ有[リ]テ↠人多ク引[キ]テ↢経論ヲ↡証シテ云†ハバ↠不ト↠†生ゼ者、行者即[チ]報ヘテ云ヘ。仁者雖モ↧将テ↢経論ヲ↡来シ証シテ噵フト↞不ト↠†生ゼ、如キ↢我[ガ]意ノ↡者決定シテ不↠受ケ↢汝ガ破ヲ↡。
^◆なにをもつてのゆゑに。 しかるにわれまた、 これかのもろもろの経論を信ぜざるにはあらず。 ことごとくみな仰信す。
~何ヲ以[テ]ノ故ニ。然†ルニ我亦、不ズ↢是不ルニハ↟信ゼ↢彼ノ諸[ノ]経論ヲ↡。尽ク皆仰信ス。
^◆しかるに仏かの経を説きたまふ時は、 ▼処別・時別・対機別・利益別なり。 またかの経を説きたまふ時は、 すなはち ¬観経¼・¬弥陀経¼ 等を説きたまふ時にあらず。 しかるに仏の説教は*機に備ふ、 時また不同なり。
~然†ルニ仏説キタマ†フ↢彼ノ経ヲ↡時ハ、処別・時別・対機別・利益別ナリ。又説キタマ†フ↢彼ノ経ヲ↡時ハ、即[チ]非ズ↧説[キ]タマフ↢¬観経¼・¬弥陀経¼等ヲ↡時ニ↥。然†ルニ仏[ノ]†説教ハ備フ↠機ニ、時亦†不同ナリ。
^◆かれすなはち通じて人・天・菩薩の解行を説く。 い0460ま ¬観経¼ の定散二善を説きたまふことは、 ただ韋提および仏滅後の五濁・五苦等の一切凡夫のために、 証して ª生ずることを得º とのたまふ。
~彼‡即[チ]通ジテ説ク↢人・天・菩薩之解行ヲ↡。今説[キ]タマフコトハ↢¬観経ノ¼定散二善ヲ↡、唯為ニ↢韋提及ビ仏‡滅後ノ五濁・五苦等ノ一切‡凡夫ノ↡、証シテ言フ↠得ト↠生[ズル]コトヲ。
^◆この因縁のために、 われいま一心にこの仏教によりて決定して奉行す。 たとひなんぢら百千万億ありて ª生ぜずº といふとも、 ただわが▼往生の信心を増長し成就せん」 と。
~為ニ↢此[ノ]因縁ノ↡、我今一心ニ依[リ]テ↢此ノ仏教ニ↡決定シテ奉行ス。縦使†汝等百千万億[アリテ]噵†フトモ↠不ト↠生ゼ者、唯増↢長シ成↣就セム[ト]我[ガ]往生ノ信心ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ二ˇ賢聖
^◆また行者さらに向かひて説きていへ。 「なんぢよく聴け、 われいまなんぢがためにさらに決定の信相を説かん。
~又行者更ニ向ヒテ説キテ言ヘ。仁者善ク聴ケ、我今為ニ↠汝ガ更ニ説カム↢決定ノ信‡相ヲ↡。
^◆たとひ*地前の菩薩・羅漢・*辟支等、 もし0544は一、 もしは多、 乃至、 十方に*遍満して、 みな経論を引きて証して ª生ぜずº といふとも、 ◆われまたいまだ一念の疑心を起さず。 ただわが▼清浄の信心を増長し成就せん。
~縦使地前ノ菩薩・羅漢・辟支等、若[シ]ハ一若[シ]ハ多、乃至0765遍↢満シテ十方ニ↡、皆引[キ]テ↢経論ヲ↡証シテ言†フトモ↠不ト↠生[ゼ]者、我亦†未ダ↠起サ↢一念[ノ]疑心ヲ↡。唯増↢長シ成↣就セム我[ガ]清浄[ノ]信心ヲ↡。
^◆なにをもつてのゆゑに。 仏語は決定成就の了義にして、 一切のために破壊せられざるによるがゆゑなり」 と。
~何[ヲ]以[テ]ノ故ニ。†由ルガ↫仏語ハ決定成就[ノ]了義ニシテ、不ルニ↪為ニ↢一切ノ↡所レ↩破壊セ↨故ナリト。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ三ˇ地上
^◆また行者よく聴け。 ◆たとひ*初地以上十地以来、 もしは一、 もしは多、 乃至、 十方に遍満して、 異口同音にみないはく、 「釈迦仏、 弥陀を指讃し、 三界・六道を*毀呰し、 衆生を勧励し、 ª専心に念仏し、 ▼および余善を修すれば、 この一身を畢へて後必定してかの国に生ずº といふは、 これかならず虚妄なり、 依信すべからず」 と。
~又行者善ク聴ケ。縦使初地已上十地已来、若[シ]ハ一若[シ]ハ多、乃至遍↢満シテ十方ニ↡、異口同音ニ皆†云ク、釈迦仏指↢讃シ弥陀ヲ↡、毀↢呰シ三界・六道ヲ↡、勧↢励シ‡衆生ヲ↡、専心ニ念仏シ、及[ビ]修†スレバ↢余善ヲ↡、畢ヘテ↢此ノ一身ヲ↡後必定シテ生ズトイフ↢彼ノ国ニ↡者、此必[ズ]虚妄ナリ、不[ト]↠可[カラ]↢依信ス↡也。
^◆われこれらの所説を聞くといへども、 また一念の疑心を生ぜず。 ただわが決定▼上上の信心を増0461長し成就せん。
~我雖モ↠聞クト↢此等ノ所説ヲ↡、亦不↠生[ゼ]↢一念[ノ]疑心ヲ↡。唯増↢長シ成↣就セム我[ガ]決定上上ノ信心ヲ↡。
^◆なにをもつてのゆゑに。 ▼すなはち仏語は真実*決了の義なるによるがゆゑなり。 仏はこれ実知・実解・実見・実証にして、 これ疑惑心中の語にあらざるがゆゑなり。 ▼また一切の菩薩の異見・異解のために破壊せられず。 もし実にこれ菩薩ならば、 すべて仏教に違せじ。
~何[ヲ]以[テ]ノ故ニ。乃[チ]由ルガ↢仏語ハ真実決了ノ義ナルニ↡故†ナリ。仏ハ是実知・実解・実見・実証†ニシテ、非ザルガ↢是疑惑心‡中ノ語ニ↡故†ナリ。又不↧為ニ↢一切ノ菩薩[ノ]異見・異解†ノ↡之所レ↦破壊セ↥。若[シ]実ニ是菩薩†ナラバ者、衆テ不↠違セ↢仏教ニ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªイºˆ四ˇ報化
ˆⅠˇ標
^◆またこの事を置く、 行者まさに知るべし。
~又置ク↢此ノ事ヲ↡、行者当ニシ↠知ル。
~ ˆ四ˇˆⅡˇ釈
ˆⅰˇ出離破
^▼たとひ化仏・*報仏、 もしは一、 もしは多、 乃至、 十方に遍満して、 おのおの光を輝かし、 舌を吐きてあまねく十方に覆ひて、 一々に説きてのたまはく、 「釈迦の所説に、 あひ讃めて一切の凡夫を勧発して、 ª専心に念仏し、 および余善を修して、 *回願すればかの浄土に生ずることを得º といふは、 これはこれ虚妄なり、 さだめてこの事なし」 と。
~縦使化仏・報仏、若[シ]ハ一若[シハ]多、乃至遍↢満[シテ]十方ニ↡、各各‡輝カシ↠光[ヲ]、吐キテ↠舌ヲ遍ク覆ヒテ↢十方ニ↡、一一ニ説[キ]テ言ク、釈迦ノ所説ニ、相讃メテ勧↢発シテ一切ノ凡夫ヲ↡、専心ニ念仏シ、及ビ修シテ↢余善ヲ↡廻願†スレバ得†トイフ↠生[ズル]コトヲ↢彼ノ浄土ニ↡者、此ハ是虚妄ナリ、定[メ]テ無シト↢此ノ事↡也。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇ明不受
ˆaˇ総示
^◆われこれらの諸仏の所説を聞くといへども、 ▼*畢竟じて、 一念疑退の心を起してかの仏国に生ずることを得ざることを畏れず。
~我雖モ↠聞クト↢此等ノ諸仏ノ所説ヲ↡、畢竟ジテ、不↧起シテ↢一念疑退之心ヲ↡畏レ↞不†ルコトヲ↠得↠生[ズル]コト[ヲ]↢彼ノ仏‡国ニ↡也。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇ別明
ˆイˇ徴
ˆロˇ釈
(一)立理
(Ⅰ)明仏々平等
^◆なにをもつてのゆゑに。 一仏は一切仏なり、 あらゆる知見・解行・証悟・果位・大悲、 等同にして少しき差別もなし。
~何[ヲ]以[テノ]故ニ。一仏ハ一切仏ナリ、†所有ル知見・解行・証悟・果位・大悲、等同ニシテ無シ↢少シキ‡差別[モ]↡。
^◆このゆゑに一仏の制0545したまふところは、 すなはち一切仏同じく制したまふ。 前仏殺生・十悪等の罪を制断したまひ、 畢竟じて犯さず行ぜざるをば、 すなはち*十善・*十行にして*六度の義に随順すと名づけたまふがごとき、 もし後仏、 出世したまふことあらんに、 あ0462に前の十善を改めて十悪を行ぜしめたまふべけんや。
~是[ノ]故[ニ]一仏ノ所ハ↠制シタマフ、即[チ]一切0766‡仏同[ジ]ク制シタマフ。†如↫似キ前仏制↢断シタマヒ殺生・十悪等ノ罪ヲ↡、畢竟ジテ不↠†犯サ不ルヲ↠行ゼ者、即[チ]名ケタマフ↪十善・十行ニシテ随↩順スト六度之義ニ↨、若[シ]†有ラムニ↢後仏出世シタマフコト↡、豈可ケム↧改メテ↢前ノ十善ヲ↡令†メタマフ↞行ゼ↢十悪ヲ↡也。
^◆この道理をもつて*推験するに、 あきらかに知りぬ、▼ ▼諸仏の言行はあひ違失せざることを。
~以テ↢此[ノ]道理ヲ↡推ヲシ験アキラスルニ、明[カ]ニ知[リ]ヌ、諸仏ノ言行[ハ]不[ルコトヲ]↢相違失セ↡。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(一)(Ⅱ)示二仏同勧
^◆たとひ▼釈迦一切の凡夫を指勧して、 「▼この一身を尽すまで専念専修すれば、 捨命以後さだめてかの国に生ず」 とのたまはば、 ▼すなはち十方の諸仏ことごとくみな同じく讃め、 同じく勧め、 同じく証したまはん。 なにをもつてのゆゑに。 *同体の大悲なるがゆゑなり。 ▼一仏の*所化は、 すなはちこれ一切仏の化なり。 一切仏の化は、 すなはちこれ一仏の所化なり。
~縦令釈迦†指↢勧シテ一切ノ凡夫ヲ↡、尽†スマデ↢此ノ一身ヲ↡専念‡専修スレバ、†捨命已後定[メ]テ†生ズトノタマ†ハバ↢彼ノ国ニ↡者、即[チ]十方ノ諸仏悉[ク]皆同[ジ]ク讃メ、同[ジ]ク勧メ、同[ジ]ク証シタマハム。何[ヲ]以[テノ]故ニ。同体ノ大悲ナルガ故†ナリ。一仏ノ所化ハ即[チ]是一切仏ノ化ナリ。一切仏ノ化ハ即[チ]是一仏ノ所化ナリ。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)引証
(Ⅰ)正引
(ⅰ)依正荘厳分
^◆すなはち ¬弥陀経¼ のなかに説きたまふ。 ▼釈迦極楽の種々の荘厳を讃歎し、
~即[チ]¬弥陀経ノ¼中ニ†説キタマフ。釈迦讃↢歎シ極楽ノ種種[ノ]荘厳ヲ↡、
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅱ)往生行相分
^▲また 「一切の凡夫、 一日七日、 ▼一心にもつぱら弥陀の名号を念ずれば、 ▲さだめて往生を得」 (意) と勧めたまひ、
~又勧メタマヒ↧一切ノ凡夫一日七日一心ニ専[ラ]念スレバ↢弥陀ノ名号ヲ↡、定メテ得ト↦往生ヲ↥、
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅲ)互相讃徳分
^◆次下の文に(小経・意)、 「▲十方におのおの恒河沙等の諸仏ましまして、 同じく釈迦よく五濁悪時、 悪世界、 悪衆生、 悪見、 悪煩悩、 悪邪、 無信の盛りなる時において、 弥陀の名号を指讃して、 ª衆生称念すればかならず往生を得º と勧励したまふを讃じたまふ」 とのたまふは、 すなはちその証なり。
~次下ノ文ニ、†云フハ↱十方ニ各[ノ]有シテ↢恒河沙等ノ諸仏↡、同[ジ]ク讃ジタマフト↫釈迦能[ク]於テ↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪見・悪煩悩・悪邪・無信[ノ]盛ナル時ニ↡、指↢讃シ[テ]弥陀ノ名号ヲ↡、勧↪励シタマフヲ衆生称念スレバ必ズ得ト↩往生ヲ↨、即[チ]其[ノ]証也。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅰ)(ⅳ)諸仏証誠分
^▼また十方の仏等、 衆生の釈迦一仏の所説を信ぜざることを恐畏れて、 すなはちともに同心同時に、 おのおの*舌相を出してあまねく*三千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまふ。 「▼なんぢら衆生0463、 みなこの釈迦の所説・所讃・所証を信ずべし。 一切の凡夫、 罪福の多少、 *時節の久近を問はず、 ただよく上百年を尽し、 下一日七日に至るまで、 一心にもつぱら弥陀の名号を念ずれば、 さだめて往生を得ること、 かならず疑なし」 と。
~又十方[ノ]仏等、恐↢畏レテ衆生ノ不†ルコトヲ↟信ゼ↢釈迦一仏ノ所説ヲ↡、即[チ]共ニ同心同時[ニ]各[ノ]出シテ↢舌相ヲ↡遍ク覆[ヒ]テ↢三千世界ニ↡、説†キタマフ↢誠実ノ言ヲ↡。汝等衆生皆応シ↠信ズ↢是ノ釈迦ノ所説・所讃・所証ヲ↡。一切ノ凡夫不↠問ハ↢罪福ノ多少、時節ノ久近ヲ↡、但能ク上尽シ↢百年ヲ↡下至†ルマデ↢一日七日ニ↡、一心ニ専ラ念[ズ]レバ↢弥陀ノ名号ヲ↡、定[メ]テ得[ルコト]↢往生ヲ↡必[ズ]無シ[ト]↠疑也。
~ ˆ四ˇˆⅡˇˆⅱˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)結証
^◆このゆゑに▼一仏の所説は、 すなはち一切仏同じくその事を*証誠したまふ。
~是ノ故ニ一仏ノ所説†ハ、即[チ]一切‡仏同[ジ]ク証↢誠シタマフ其ノ事0767ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªaºªロº結名【就人立信】
^▼これ0546を*人に就きて信を立つと名づく。▼
~此ヲ名ク↢就キテ↠人ニ立ツト↟信ヲ也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbº【就行立信】
ªイº標目
ªロº正明【正雑二行】
ˆ一ˇ標列
【8】 ^▼次に▼*行に就きて信を立つといふは、 しかるに行に二種あり。 一には↓正行、 二には↓雑行なり。
~次ニ就[キ]テ↠行ニ立[ツ]†トイフ↠信ヲ者、然†ルニ行ニ有リ↢二種↡。一[ニ]者正行、二[ニ]者雑行ナリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][b][ロ]ª六ºªⅡºªⅱºªbºªロºˆ二ˇ随釈
~ ˆⅠˇ明行相
ˆⅰˇ正行
ˆaˇ総示
^◆↑正行といふは、 もつぱら*往生経の行によりて行ずるは、 これを正行と名づく。
~言[フ]↢正行ト↡者、専ラ依[リ]テ↢†往生経ノ行ニ↡行ズル者、是ヲ名ク↢正行ト↡。
~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇ別顕
ˆイˇ開
^▼何者かこれなるや。 ▼一心にもつぱらこの ¬観経¼・¬弥陀経¼・¬*無量寿経¼ 等を読誦し、 一心に専注してかの国の*二報荘厳を思想し観察し憶念し、 もし礼するにはすなはち一心にもつぱらかの仏を礼し、 もし口に称するにはすなはち一心にもつぱらかの仏を称し、 もし讃歎供養するにはすなはち一心にもつぱら讃歎供養す、 これを名づけて正となす。
~何者カ是[ナル]也。一心ニ専[ラ]読↢誦シ此[ノ]¬観経¼・¬弥陀経¼・¬無量寿経¼等ヲ↡、一心ニ専注シテソヽグ思↢想シ観↣察シ憶↤念†シ彼ノ国ノ二報荘厳ヲ↡、若[シ]礼スルニ[ハ]即[チ]一心ニ†専ラ礼シ↢彼[ノ]仏ヲ↡、若[シ]口ニ称[ス]ルニハ即[チ]一心[ニ]専ラ称シ↢彼[ノ]仏ヲ↡、若[シ]讃歎‡供養スルニハ即[チ]一心ニ専ラ讃歎‡供養ス、是ヲ名[ケ]テ為ス↠正[ト]。
~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ合【正助二業】
(一)標
^▼またこの正のなかにつきてまた二種あり。
~又就[キ]テ↢此ノ正ノ中ニ↡復有[リ]↢二種↡。
~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)釈
(Ⅰ)明正業
^▼一には▼一心にもつぱら弥陀の名号を念じて、 行住坐臥に▼時節の久近を問はず念々に捨てざるは、 これを正定の業と名づく、 かの仏の願に順ずるがゆゑなり。
~一[ニ]者一心ニ†専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡、行住坐臥ニ不↠問[ハ]↢時節ノ久近ヲ↡念念ニ不[ル]↠捨テ†者、是ヲ名ク↢正定之業ト↡、順ズルガ↢彼ノ仏‡願ニ↡故†ナリ。
~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅰˇˆbˇˆロˇ(二)(Ⅱ)指助業
^▼もし*礼誦等によるをすなはち名づけて助業となす。
~若[シ]依ルヲ‡↢礼誦等ニ↡即[チ]名[ケ]テ為ス↢助業ト↡。
~ ˆ二ˇˆⅠˇˆⅱˇ雑行
^▼こ0464の正助二行を除きて以外の自余の諸善はことごとく▼↑雑行と名づく。
~除キテ↢此[ノ]正助二行ヲ↡已外†ノ自余ノ諸善†ハ悉ク名ク↢雑行ト↡。
~ ˆ二ˇˆⅡˇ判得失
^◆もし前の正助二行を修すれば、 心つねに ˆ阿弥陀仏にˇ 親近して▼憶念断えず、 名づけて*無間となす。 もし後の雑行を行ずれば、 すなはち▼心つねに*間断す、 ▼回向して生ずることを得べしといへども、 ▼すべて疎雑の行と名づく。
~若[シ]修†スレバ↢前ノ正助二行ヲ↡、心常ニ親近シ[テ]憶念‡不↠断エ、名[ケ]テ為ス↢無間ト↡也。若[シ]行†ズレバ↢後ノ雑行ヲ↡、即[チ]心常ニ間断ス、雖モ↠可シト↢廻向シテ得↟生[ズル]コトヲ、衆テ名ク↢疎雑之行ト↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ][c]結名
^◆ゆゑに深心と名づく。
~故ニ名ク↢「深心ト」↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ]【回向発願心釈】
[a]牒文
【9】 ^▲「三には回向発願心」 と。
~「三[ニ]者廻向発願心[ト]」。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b]釈義
[イ]明自利廻願
^◆「回向発願心」 といふは、 ▼過去および今生の身口意業所修の*世・出世の善根と、 および他の一切*凡聖の身口意業所修の世・出世の善根を随喜せると、 この自他の所修の善根をもつて、 ことごとくみな▼真実の深信の心中に回向して、 かの国に生ぜんと願ず。 ゆゑに回向発願心と名づく。
~言フ↢「廻向発願心ト」↡者、過去及以ビ今生ノ身口意業‡†所修ノ世・出世ノ善根[ト]、及ビ随↢喜†セルト他ノ一切‡凡聖ノ身口意業‡†所修ノ世・出世ノ善根ヲ↡、以テ↢此ノ自他ノ所修[ノ]善根ヲ↡悉ク皆真実ノ†深信ノ心中ニ廻向シテ願ズ↠生[ゼムト]↢彼[ノ]国ニ↡。故ニ名ク↢「廻向発願心ト」↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]明利他廻願
ª一º約往相
ªⅠº略示
^▼また回向発願して生ぜんと願ずるものは、 *かならずすべからく決定真実心のうちに回向し願じて、 ▼*得生の想をなすべし。
~又†廻向発願シテ願ズル↠生ゼムト者ハ必[ズ]須クシ↣決定真実心ノ中ニ廻向シ願ジテ、作ス↢得生ノ想ヲ↡。
^▼この心深信せること金剛のごとくなるによりて、 ▼一切0547の異見・異学・別解・別行の人等のために動乱破壊せられず。 ただこれ決定して一心に捉りて、 正直に進み、 かの人の語を聞きて、 すなはち進退あり、 心に*怯弱を生ずることを得ざれ。 *回顧すれば*道より落ちて、 すなはち往生の大益を失するなり。
~此[ノ]心†深信セルコト由0768[リ]テ↠若クナルニ↢金剛ノ↡、不↧為ニ↢一切ノ異見・異学・別解・別行[ノ]人等ノ↡之所レ↦動乱‡破壊セ↥。唯是決定シテ一心ニ*捉[リ]テ正直[ニ]進†ミ、不レ‡↠†得↧聞[キ]テ↢彼ノ人ノ語ヲ↡即[チ]有[リ]‡↢進退‡↡、心ニ生ズルコトヲ↦怯弱ヲ↥。廻メグリ顧†メグルスレバ落チ[テ]↠†道ヨリ、即[チ]失スル↢往生之大益ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡº広説
ªⅰº法説
ªaº問
【10】^▼問ひていはく、 もし解行不同の邪雑人等ありて、 来りてあひ惑乱し、 ある0465いは種々の疑難を説きて、 「往生を得ず」 といひ、 あるいはいはく、 「▼なんぢら衆生、 曠劫よりこのかたおよび今生の身口意業に、 一切凡聖の身の上においてつぶさに▼十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等の罪を造りて、 いまだ除尽することあたはず。 しかるにこれらの罪は三界の悪道に*繋属す。 いかんぞ一生の修福の念仏をもつてすなはちかの無漏無生の国に入りて、 永く不退の位を証悟することを得んや」 と。
~問[ヒテ]曰[ク]、若[シ]有[リ]テ↢解行不同ノ邪雑‡サダマラズ人†等↡、来[リ]テ相惑乱シ、或[イ]ハ説[キ]テ↢種種ノ疑難ヲ↡、噵ヒ↠不ト↠得↢往生ヲ↡、或[イハ]云ク、汝等衆生曠劫ヨリ已来[タ]及以ビ今生ノ身口意業ニ、於テ↢一切凡聖ノ身ノ上ニ↡具ニ造[リ]テ↢十悪・五逆・四重・謗法・闡提・破戒・破見等ノ罪ヲ↡、未ズ ダ↠能ハ↢除尽スルコト↡。然†ルニ此等之罪ハ繋↢属ス三界[ノ]悪道ニ↡。云何ゾ一生ノ修福[ノ]念仏†ヲモテ即[チ]入[リ]テ↢彼ノ無漏無生之国[ニ]↡、永ク†得ム↣証↢悟スルコト[ヲ]不退[ノ]位ヲ↡也ト。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbº答
ªイº明教行非一
^◆答へていはく、 諸仏の教行、 数*塵沙に越えたり。 *稟識の機縁、 情に随ひて一にあらず。
~答[ヘテ]曰[ク]、諸仏ノ教行、数越エタリ↢塵沙ニ↡。稟識ノ機縁随[ヒ]テ↠情ニ非ズ↠一ニ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªロº明教益多門
^▼たとへば世間の人の眼に見るべく信ずべきがごときは、 明よく闇を破し、 空よく有を含み、 地よく*載養し、 水よく*生潤し、 火よく*成壊するがごときなり。 かくのごとき等の事をことごとく*待対の法と名づく。 すなはち目に見るべし、 千差万別なり。 いかにいはんや仏法不思議の力、 あに種々の益なからんや。
~譬ヘバ如キ↢世間ノ人ノ眼ニ可ク↠見†ル可キガ↟信ズ者、如[キナリ]↢明‡能ク破シ↠闇ヲ、空能ク含ミ↠有ヲ、地能ク載養シ、水能[ク]生潤シ、火能[ク]成壊スルガ↡。如キ↠此[クノ]等ノ事ヲ悉ク名ク↢待対之法ト↡。即[チ]目ニ可シ↠見†ル、千差シナ万別ナリ。何ニ況ヤ仏法不思議之力、豈無カラム↢種種[ノ]益↡也。
^▼随ひて一門を出づれば、 すなはち一煩悩の門を出づ。 ▼随ひて一門に入れば、 すなはち一解脱智慧の門に入る。
~随[ヒ]テ出†ヅレバ↢一門ヲ↡者、即[チ]出[ヅ]↢一煩悩ノ門ヲ↡也。随[ヒ]テ入†レバ↢一門ニ↡者、即[チ]入ル↢一解脱智慧ノ門ニ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªハº明随縁起行
^◆これがために縁に随ひて行を起して、 おのおの解脱を求めよ。
~為ニ↠此ガ随[ヒ]テ↠縁ニ起シテ↠行ヲ、各[ノ]求†メヨ↢解脱ヲ↡。
^▼なんぢ、 なにをもつてかすなはち*有縁の要行にあらざるをもつてわれを障惑するや。 ▼しかるにわが所愛は、 すなはちこれわが有縁の行なり。 すなはちなんぢが所求にあらず。 ▼なんぢ0466が所愛は、 すなはちこれなんぢが有縁の行なり。 またわが所求にあらず。 このゆゑにおのおの*所楽に随ひてその行を修すれば、 かならず疾く解脱を得。
~汝何ヲ以[テ]カ†乃チ†将テ↠非ザルヲ↢有縁之要行ニ↡障↢惑スル[ヤ]於我ヲ↡。然†ルニ我ガ之所愛ハ、即[チ]是我[ガ]有縁之行ナリ。即[チ]非ズ↢汝ガ所求ニ↡。汝ガ之所愛ハ、即[チ]是汝ガ有縁之行ナリ。亦非[ズ]↢我[ガ]所求ニ↡。是[ノ]故ニ各[ノ]随†ヒテ↢所楽ニ↡而修†スレバ↢其[ノ]行ヲ↡者、必[ズ]疾0769ク得↢解脱ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅰºªbºªニº明解行旨異
^▼行0548者まさに知るべし。 もし*解を学せんと欲せば、 *凡より*聖に至り、 すなはち仏果に至るまで、 一切礙なくみな学することを得ん。 ▼もし行を学せんと欲せば、 かならず有縁の法によれ。 少しき功労を用ゐるに多く益を得ればなり。
~行者当ベ ニシ↠知[ル]。若[シ]†欲セバ↠学セムト↠解ヲ、従リ↠凡至リ↠聖[ニ]、†乃チ至ルマデ↢仏果ニ↡、一切†無ク↠礙皆†得ム↠学[ス]ルコトヲ也。若[シ]†欲セバ↠学[セム]ト↠行ヲ者、必[ズ]藉†レ↢有縁之法ニ↡。少シキ用ヰルニ↢功労ヲ↡多ク†得レバ↠益ヲ也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱº譬説【二河譬】
ªaº正説
ªイº標意
【11】^▼また一切の往生人等にまうさく、 いまさらに行者のために▼一の譬喩を説きて、 信心を守護して、 もつて外邪異見の難を防がん。 何者かこれなるや。
~又白†サク↢一切ノ往生人等ニ↡、今更ニ為ニ↢行者ノ↡説[キ]テ↢一ノ†譬喩ヲ↡、守↢護シテ信心ヲ↡以テ防ガム↢外邪異見之難ヲ↡。何者カ是[ナル]也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロº立譬
ˆ一ˇ略喩機法
^▲たとへば、 人ありて西に向かひて百千の里を行かんと欲するがごとし。 忽然として*中路に二の河あるを見る。 ↓一にはこれ火の河、 南にあり。 二にはこれ水の河、 北にあり。 二河おのおの闊さ百歩、 おのおの深くして底なし。 南北辺なし。
~譬[ヘ]バ如[シ]↤有[リ]テ↠人欲スルガ↣向[ヒ]テ↠西ニ行[カ]ムト↢百千之里ヲ↡。忽然トシテ中路†ニ見ル↠有ルヲ↢二ノ河↡。一ニハ是火[ノ]河、在リ↠南[ニ]。二ニハ是水[ノ]河、在リ↠北ニ。二河各[ノ]闊サ百歩、各[ノ]深[ク]シテ無シ↠底。南北‡無シ↠辺。
^▲↓まさしく水火の中間に一の白道あり。 闊さ四五寸ばかりなるべし。 ▼この道↓東の岸より↓西の岸に至るに、 また長さ百歩、 ↓その水の波浪交はり過ぎて道を湿し、 ↓その火炎また来りて道を焼く。 ▼水火あひ交はりて、 つねにして休息することなし。
~正[シク]水火ノ中間ニ有リ↢一ノ白道↡。可シ↢闊サ四五寸許ナル↡。此ノ道従リ↢東ノ岸↡至†ルニ↢西ノ岸ニ↡、亦長[サ]百歩、其ノ水[ノ]波浪†交リ過ギテ湿†シ↠道ヲ、其ノ†火焔亦来[リ]テ焼ク↠道ヲ。水火相交[リ]テ常ニ[シテ]無シ↢休息スルコト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ二ˇ広喩信相
~ ˆⅠˇ喩願生心発
^◆この人すでに↓*空曠のはるかなる処に至るに、 さらに人物なし。 ↓多く群賊・悪獣ありて、 この人の単独なるを見て、 競ひ来りて殺さんと欲す。 この人死を怖れて0467ただちに走りて西に向かふに、
~此ノ人既ニ至ルニ↢空曠ノ迥カナル処ニ↡、更ニ無シ↢人物↡。多ク有リ[テ]↢群賊・悪獣‡↡、見テ↢此ノ人ノ単独ナルヲ↡、競ヒ来[リ]テ欲ス↠殺サムト。此ノ人怖レテ↠死‡ヲ†直ニ走[リ]テ向[フ]ニ↠西ニ、
~ ˆ二ˇˆⅡˇ喩顧機疑法
^◆忽然としてこの大河を見て、 すなはちみづから念言す。 「この河は南北に*辺畔を見ず。 中間に一の白道を見るも、 きはめてこれ狭小なり。 二の岸あひ去ること近しといへども、 なにによりてか行くべき。 今日さだめて死すること疑はず。
~忽然[ト]シテ見テ↢此ノ大河ヲ↡、即[チ]自ラ念言ス†。此ノ河ハ南北ニ不↠見↢辺畔ヲ↡。中間ニ見†ルモ↢一[ノ]白道ヲ↡、極メテ是狭小ナリ。二ノ岸相去[ル]コト雖モ↠近シト、何ニ由[リ]テカ可キ↠行[ク]。今日定[メ]テ死†スルコト不↠疑ハ。
~ ˆ二ˇˆⅢˇ喩苦慮出要
^◆まさしく到り回らんと欲すれば、 群賊・悪獣*漸々に来り逼む。 まさしく南北に避り走らんと欲すれば、 悪獣・毒虫競ひ来りてわれに向かふ。 まさしく西に向かひて道を尋ねて去かんと欲すれば、 またおそらくはこの水火の二河に堕せん」 と。 時に当りて*惶怖することまたいふべからず。
~正[シ]ク欲[ス]レバ↢到リ廻ラムト↡、群賊・悪獣†漸漸ニ来リ逼ム。正[シ]ク欲[ス]レバ↢南北ニ避リ走ラムト↡、悪獣・毒虫競ヒ来[リ]テ向フ↠我ニ。正[シク]欲[ス]レバ↢向[ヒ]テ↠西ニ尋ネテ↠道ヲ而†去カムト↡、復恐クハ†堕セムト↢此[ノ]水火ノ二河ニ↡。†当リテ↠時ニ惶オソレ怖オソル[スルコト]不↢復可カラ↟言フ。
~ ˆ二ˇˆⅣˇ喩機熟分位
^◆すなはちみづから思念す。 「われいま回らばまた死せん。 住まらばまた死せん。 去かばまた死せん。 一種として死を勉れずは、 ↓われ*むしろこの道を尋ねて前に向かひて去かん。 すでにこの道あり。 かならず度るべし」 と。
~即[チ]自ラ思念ス。我今廻†ラバ亦死†セム。†住マラバ亦死†セム。†去カバ亦死†セム。一種トシテ†不↠勉レ↠死ヲ者、我寧ロ尋[ネ]テ↢此[ノ]道ヲ↡向[ヒ]テ↠前ニ而去†カム。既ニ有リ↢此[ノ]道↡。必ズ応↢可[シト]度ル↡。
~ ˆ二ˇˆⅤˇ喩聞名信喜
ˆⅰˇ喩釈迦教命
^◆この念をなす時、 ↓東の岸にたちまち0549人の勧むる声を聞く。 「なんぢ、 ただ決定してこの道を尋ねて行け、 かならず死の難なからん。 もし住まらば、 すなはち死せん」 と。
~作ス↢此[ノ]念[ヲ]↡時、†東ノ岸ニ忽0770チ‡聞ク↢人ノ勧ムル声ヲ↡。†仁者但決定シテ尋[ネ]テ↢此[ノ]道ヲ↡行ケ、必[ズ]無[カ]ラム↢死ノ難↡。若[シ]†住マラバ、即チ死†セム[ト]。
~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅱˇ喩弥陀願意
^▼↓また西の岸の上に人ありて喚ばひていはく、 「なんぢ一心正念にしてただちに来れ。 われよくなんぢを護らん。 すべて水火の難に堕することを畏れざれ」 と。
~又†西ノ岸ノ上ニ有[リ]テ↠人‡喚バヒテ言ク、汝一心‡正念[ニ]シテ†直ニ来レ。我能ク護ラム↠汝[ヲ]。衆テ不レト↠畏レ↠堕[スル]コトヲ↢於水火之難ニ↡。
~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅲˇ喩行者聞信
^◆この人すでにここに遣はし、 かしこに喚ばふを聞きて、 すなは0468ちみづから身心を正当にして、 決定して道を尋ねてただちに進みて、 *疑怯退心を生ぜず。
~此[ノ]人既ニ聞[キ]テ↢此ニ†遣シ彼ニ喚[バ]フヲ↡、即[チ]自ラ†正↢当ニシテ身心ヲ↡、決定シテ尋[ネ]テ↠道ヲ直ニ進ミテ、不↠生ゼ↢疑怯退心ヲ↡。
~ ˆ二ˇˆⅤˇˆⅳˇ喩不受他破
^◆↓あるいは行くこと一分二分するに、 東の岸に群賊等喚ばひていはく、 「なんぢ、 回り来れ。 この道嶮悪にして過ぐることを得ず。 かならず死すること疑はず。 われらすべて悪心をもつてあひ向かふことなし」 と。 この人喚ばふ声を聞くといへどもまた回顧せず。 一心にただちに進みて▼道を念じて行けば、
~或[イ]ハ行クコト一分二分[ス]ルニ、†東ノ岸ニ群賊等喚[バヒ]テ言ク、仁者廻リ来レ。此[ノ]道嶮サカシク悪†ニシテ不†↠得↠過グルコトヲ。必ズ死†スルコト‡不↠疑ハ。我等衆テ無シト↢悪心ヲモテ相向フコト↡。此ノ人雖モ↠聞[ク]ト↢喚[バ]フ声ヲ↡亦不↢†廻顧セ↡。一心ニ直ニ進ミテ念[ジ]テ↠道ヲ而行ケバ、
~ ˆ二ˇˆⅥˇ喩即得往生
^◆↓須臾にすなはち西の岸に到りて、 永くもろもろの難を離る。 善友あひ見えて▼慶楽すること已むことなし。
~須臾ニ即[チ]到[リ]テ↢西[ノ]岸ニ↡、永ク離†ル↢諸[ノ]難ヲ↡。善友相見エテ慶楽スルコト無シ↠已ムコト。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªロºˆ三ˇ結喩
^◆これはこれ喩へなり。
~此ハ是喩也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハº合法
ˆ一ˇ標
^◆次に喩へを合せば、
~次ニ合†セバ↠喩ヲ者、
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇ合
ˆⅠˇ別
・東岸
^◆「↑東の岸」 といふは、 すなはちこの娑婆の火宅に喩ふ。
~言[フ]↢東[ノ]岸ト↡者、即[チ]喩フ↢此ノ娑婆之火宅ニ↡也。
・西岸
^◆「↑西の岸」 といふは、 すなはち極楽の宝国に喩ふ。
~言[フ]↢西[ノ]岸[ト]↡者、即[チ]喩フ↢極楽ノ宝国ニ↡也。
・賊獣
^▼「↑群賊・悪獣詐り親しむ」 といふは、 すなはち衆生の六根・六識・六塵・五陰・四大に喩ふ。
~言フ↢群賊・悪獣詐リ親シムト↡者、即[チ]喩フ↢衆生[ノ]六根・六識・六塵・五陰・四大ニ↡也。
・空沢
^▼「↑無人*空迥の沢」 といふは、 すなはち▼つねに悪友に随ひて真の善知識に値はざるに喩ふ。
~言[フ]↢無人空迥ハルカノノ沢ト↡者、即[チ]喩フ↧常ニ随[ヒ]テ↢悪友ニ↡不ルニ↞値ハ↢真ノ善知識ニ↡也。
・二河
^▼「↑水火二河」 といふは、 すなはち衆生の*貪愛は水のごとく、 *瞋憎は火のごとくなるに喩ふ。
~言[フ]↢水火‡二河ト↡者、即[チ]喩フ↢衆生ノ貪愛ハ如ク↠水ノ、瞋憎ハソネム如[クナ]ルニ↟火ノ也。
・白道
^▼「↑中間の白道四五寸」 といふは、 すなはち▼衆生の▼貪瞋煩悩のなかに、 ▼よく清浄の願往生心を生ずるに喩ふ。 すなはち貪瞋強きによるがゆゑに、 すなはち水火のごとしと喩ふ。 善心*微なるがゆゑに、 白道のごとしと喩ふ。
~言[フ]↢中間ノ白道四五寸ト↡者、即[チ]喩フ↣衆生ノ貪瞋煩悩ノ中ニ能ク生[ズ]ルニ↢清浄ノ願往生‡心ヲ↡也。乃[チ]由ルガ↢貪瞋強キニ↡故ニ即[チ]喩フ↠如シト↢水火ノ↡。善心微スクナシナルガ故ニ喩[フ]↠如シト↢白道ノ↡。
・水波
^◆また0469 「↑水波つねに道を湿す」 といふは、 すなはち*愛心つねに起りて、 よく善心を染汚するに喩ふ。
~又†水波常ニ湿ス†トイフ↠道ヲ者、即[チ]喩フ↣愛心常ニ起[リ]テ能ク染↢汚スルニ善心ヲ↡也。
・火炎
^◆また 「↑火炎つねに道を焼く」 といふは、 すなはち*瞋嫌の心よく功徳の法財を焼くに喩ふ。
~又火焔常ニ焼ク†トイフ↠道ヲ者、即[チ]喩フ↣瞋嫌之心能ク焼クニ↢功徳之法財ヲ↡也。
・向西
^◆「↑人道の上を行きてただちに西に向かふ」 といふは、 すなはち▼もろもろの行業を回してただちに西方に向かふに喩ふ。
~言[フ]↧人行[キ]テ↢道ノ上ヲ↡直ニ向フト↞西ニ者、即[チ]喩フ↧†廻シテ↢諸ノ行業ヲ↡直ニ向フニ↦西方ニ↥也。
・勧遣
^◆「↑東0550の岸に人の声の勧め遣はすを聞きて、 道を尋ねてただちに西に進む」 といふは、 すなはち釈迦すでに滅したまひて、 後の人見たてまつらざれども、 なほ教法ありて尋ぬべきに喩ふ。 すなはちこれを声のごとしと喩ふ。
~言[フ]↧東[ノ]岸0771ニ聞キテ↢人ノ声[ノ]勧メ†遣スヲ↡、尋ネテ↠道ヲ直ニ西ニ進ムト↥者、即[チ]喩フ↧釈迦已ニ滅シタマヒテ、後ノ人不レドモ↠見タテマツラ、由有[リ]テ↢教法↡可キニ↞尋ヌ。即[チ]喩フ↢之ヲ如[シ]ト↟声ノ也。
・喚回
^▼「↑あるいは行くこと一分二分するに群賊等喚ばひ回す」 といふは、 すなはち別解・別行・▼悪見人等*妄りに*見解を説きてたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失するに喩ふ。
~言フ↢或[イ]ハ行クコト一分二分スルニ群賊等喚バヒ廻スト↡者、即[チ]†喩フ↧別解・別行・悪見人等妄リニ説キテ↢見解ヲ↡迭ニ相惑乱シ、及ビ自ラ造[リ]テ↠罪ヲ退失スルニ↥也。
・喚言
^◆「↑西の岸の上に人ありて喚ばふ」 といふは、 すなはち弥陀の願意に喩ふ。
~言[フ]↢西[ノ]岸[ノ]上ニ有[リ]テ↠人喚[バフ]ト↡者、即[チ]喩フ↢弥陀ノ願‡意ニ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªaºªハºˆ二ˇˆⅡˇ通
^◆「↑須臾に西の岸に到りて善友あひ見えて喜ぶ」 といふは、 すなはち衆生久しく生死に沈みて、 曠劫より輪廻し、 迷倒して*みづから纏ひて、 解脱するに由なし。 ▼仰ぎて釈迦*発遣して指して西方に向かはしめたまふことを蒙り、 ▼また弥陀悲心をもつて*招喚したまふによりて、 ▼いま二尊 (釈尊・阿弥陀仏) の意に信順して、 水火の二河を顧みず、 ▼念々に遺るることなく、 かの願力の道に乗じて、 捨命以後0470かの国に生ずることを得て、 仏とあひ見えて慶喜することなんぞ極まらんといふに喩ふ。
~言[フ]↧須臾ニ到[リ]テ↢西[ノ]岸ニ↡善友相見エテ喜ブト↥者、即[チ]喩[フ]↧衆生久[シ]ク沈ミテ↢生死ニ↡、曠劫†ヨリ淪シズム廻シ‡、迷倒シテ自ラ纏ヒテ、無シ↠由↢解脱スルニ↡、仰[ギ]テ蒙リ↣釈迦‡発ヤリ遣ヤルシテ†指シテ向ハシメタマフコトヲ↢西方ニ↡、又藉†リテ↢弥陀‡悲心ヲモテ招喚マネキヨブシタマフニ↡、今信↢順シテ二尊之意ニ↡、不↠顧↢水火ノ二河ヲ↡、念念ニ無†ク↠遺ルルコト、乗ジテ↢彼ノ願力之道ニ↡、†捨命已後得テ↠生[ズル]コトヲ↢彼ノ国ニ↡、与↠仏相見エテ慶喜スルコト何ゾ極ラムトイフニ↥也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª一ºªⅡºªⅱºªbº結勧
【12】^◆また一切の行者、 行住坐臥に三業の所修、 昼夜時節を問ふことなく、 ▼つねにこの解をなしつねにこの想をなすがゆゑに、 回向発願心と名づく。
~又一切ノ行者、行住坐臥[ニ]三業[ノ]†所修、無ク↠問[フ]コト↢昼夜‡時節ヲ↡、常ニ作シ↢此[ノ]解ヲ↡常ニ作ス[ガ]↢此ノ想ヲ↡故ニ、名ク↢「廻向発願心ト」↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅲ][b][ロ]ª二º約還相
^▼また 「回向」 といふは、 かの国に生じをはりて、 還りて大悲を起して、生死に*回入して衆生を教化するをまた回向と名づく。
~又言[フ]↢廻向ト↡者、生[ジ]↢彼[ノ]国ニ↡已[リ]テ、還[リ]テ起シテ↢大悲ヲ↡、†廻↢入シテ生死ニ↡教↢化[ス]ルヲ衆生ヲ↡亦†名ク↢廻向ト↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅳ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]略解必生彼国【三心結釈】
【13】^▲三心すでに具すれば、 ▼*行として成ぜざるはなし。 *願行すでに成じて、 もし生ぜずは、 この処あることなからん。 ◆またこの三心はまた通じて定善の義を摂す、 知るべし。
~三心既[ニ]具[ス]レバ、無シ↢行トシテ不ル†ハ↟成ゼ。願行既ニ成ジテ、若[シ]不†ハ↠生ゼ者、無†カラム↠有[ル]コト↢是ノ処↡也。又此ノ三心ハ亦通ジテ摂ス↢定善之義ヲ↡、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅴ)簡機堪不
【14】^五に ▲「復有三種衆生」より以下は、 まさしく機のよく法を奉け、 教によりて修行するに堪へたるを*簡ぶことを明かす。
五[ニ]従リ↢「復有三種衆生‡」↡已下[ハ]、▲正[シク]†明ス↠簡ブコトヲ↣機ノ堪ヘタルヲ↢能ク奉ケ‡↠法ヲ、依[リ]テ↠教ニ修行スルニ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)受法不同
(a)総標
^六に ▲「何等為三」 より下 「六念」 に至るこのかたは、 まさしく受法の不同を明かす。 すなはちその三あり。
六[ニ]従リ↢「何等為三」↡下至ル↢「六念ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↢受法[ノ]不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)別釈
(イ)明不殺具戒
[一]明慈心不殺
[Ⅰ]標
^▲一には慈心不殺を明かす。
▲一[ニハ]明ス↢†慈心不殺ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ]釈
[ⅰ]明殺業
[a]標
[b]列
^しかるに殺業に多種あり。 あるいは口殺あり、 あるいは身殺あり、 あるいは心殺あり。
▲然†ルニ殺業[ニ]有[リ]↢多種↡。或[イハ]有リ↢口殺↡、或[イハ]有[リ]↢身殺↡、或[イハ]有[リ]↢心殺↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][c]釈
^「口0551殺」 といふは、 処分許可するを名づけて口殺となす。 「身殺」 といふは、 身手等を動かし指授するを名づけて身殺とな0471す。 「心殺」 といふは、 方便を思念して*計校する等を名づけて心殺となす。
~言[フ]↢口殺[ト]↡者0772、処分許可スルヲ名[ケ]テ為ス↢口殺[ト]↡。言[フ]↢身殺[ト]↡者、動シ‡↢身手等ヲ↡指授スルヲ名[ケ]テ為ス↢身殺ト↡。言[フ]↢心殺ト↡者、†思↢念シテ方便ヲ↡計校[スル]等ヲ名[ケテ]為[ス]↢心殺[ト]↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅰ][d]結
^もし殺業を論ぜば四生を簡ばず、 みなよく罪を招きて浄土に生ずることを障ふ。
~若[シ]論ゼバ↢殺業ヲ↡不↠簡バ↢四生ヲ↡、皆能ク招†キテ↠罪ヲ障フ↠生[ズルコトヲ]↢浄土ニ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ]明不殺
[a]総標
^ただ一切の生命において慈心を起すは、 すなはちこれ一切衆生に寿命安楽を施す。
~但於テ↢一切ノ生命ニ↡起ス↢於慈心ヲ↡者、即[チ]是施ス↢一切‡衆生ニ寿命安楽ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][b]別釈
^またこれ最上勝妙の戒なり。 これすなはち上の初福 (世福) の第三の句に 「▲慈心不殺」 といへるに合す。 すなはち止・行の二善あり。 みづから殺せざるがゆゑに止善と名づく。 他を教へて殺せざらしむるがゆゑに行善と名づく。 自他はじめて断ずるを止善と名づけ、 畢竟じて永く除くを行善と名づく。
~亦是最上勝妙ノ戒也。此即[チ]合ス↣上ノ†初福ノ第三ノ句ニ云ヘルニ↢「慈心不殺ト」↡也。即[チ]有[リ]↢止†・行ノ二善↡。自ラ不ルガ↠殺セ故ニ名ク↢止善ト↡。†教ヘテ↠他ヲ不ラシムルガ↠殺セ故ニ名ク↢行善ト↡。自他初テ断ズルヲ名†ケ↢止善ト↡、畢竟ジテ永ク除クヲ名ク↢行善ト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[一][Ⅱ][ⅱ][c]結示
^止・*持の二善ありといへども、 総じて*慈下の行を結成す。
~雖モ↠有[リト]↢止・持ノ二善↡、総ジテ結↢成ス慈下ノ行ヲ↡也。△
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二]釈具足戒行
[Ⅰ]標牒
[Ⅱ]解釈
[ⅰ]標示
^「▲具諸戒行」 といふは、 もし人・天・二乗の器に約すればすなはち*小戒と名づけ、 もし*大心大行の人に約すれば、 すなはち菩薩戒と名づく。
▲言[フ]↢「具諸戒行ト」↡者、若[シ]約スレバ↢人・天・二乗之器ニ↡、即[チ]名†ケ↢小戒ト↡、若[シ]約スレバ↢大心大行之人ニ↡、即[チ]名ク↢菩薩戒ト↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]別指
^この戒もし位をもつて約すれば、 これ上輩三位のものに当れり、 すなはち菩薩戒と名づく。 まさしく人位定まれるによるがゆゑに自然に転成す。 すなはち上の第二福 (戒福) の▲戒分の善根に合す。
~此[ノ]戒若[シ]以テ↠位ヲ約†スレバ者、当†レリ↢†此上輩三位ノ者ニ↡、即[チ]名[ク]↢菩薩戒ト↡。正[シ]ク由ルガ↢人位定[レ]ルニ↡故ニ自然ニ転成ス。即[チ]合[ス]↢上ノ第二福ノ戒分ノ善根ニ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)明読誦大乗
[一]標牒
^▲二には読誦大乗を明かす。
▲二[ニハ]明†サバ↢「読誦大乗ヲ」↡者、
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二]解釈
[Ⅰ]総標
^これ衆生の*性習不同にして、 法を執ることおのおの異なることを明かす。
~此明[ス]↢衆生ノ性習不同[ニ]シテ、†執ルコト↠法ヲ各[ノ]異ナルコトヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]別釈
^前の第一の人は、 ただ慈を修し、 戒を持つをもつて能となす。 次に第二の人は、 ただ読誦大乗をもつて是となす。 しかるに戒はすな0472はちよく五乗・*三仏の機を持ち、 法はすなはち三賢・十地万行の智慧を*薫成す。
~前ノ第一ノ人ハ、但用テ↢修シ↠慈ヲ、†持ツヲ↟戒ヲ為ス↠能ト。次ニ第二ノ人ハ、唯将テ↢読誦大乗[ヲ]↡為ス↠是ト。然ルニ戒ハ即[チ]能[ク]持チ↢五乗・三仏之機ヲ↡、法ハ即[チ]薫↢成†ス三賢・十地万行之智慧ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[二][Ⅲ]結示
^もし徳用をもつて来し比校せば、 おのおの一の能あり。
~若[シ]以テ↢徳用[ヲ]↡来シ比校†セバ者、各[ノ]有[リ]↢一ノ能↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ロ)[三]結貼
^すなはち上の第三福 (行福) の第三の句に 「▲読誦大乗」 といへるに合す。
~即[チ]合ス↣上ノ第三‡福[ノ]第三ノ句ニ云ヘルニ↢「読誦大乗ト」↡也。△
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)釈修行六念
[一]標牒
^▲三には*修行六念を明かす。
▲三[ニハ]明†サバ↢「修行六念ヲ」↡者、
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二]解釈
[Ⅰ]総明
^いはゆる↓仏・↓法・↓僧を念じ、 ↓戒・↓捨・↓天等を念ず。 これまた通じて上の第三福の▲大乗の意義に合す。
~所謂ル念ジ↢仏・法・僧ヲ↡、念ズ↢戒・捨・天等ヲ↡。此亦通ジテ合[ス]↢上ノ第三‡福ノ大乗之意義ニ↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ]別釈
[ⅰ]釈念仏
^「↑念仏」 といふ0552は、 すなはち▼もつぱら阿弥陀仏の口業の功徳、 身業の功徳、 意業の功徳を念ず。 一切の諸仏もまたかくのごとし。
~言[フ]↢念0773仏ト↡者、即[チ]専ラ†念ズ↢阿弥陀仏ノ口業ノ功徳・身業ノ功徳・意業ノ功徳ヲ↡。一切[ノ]諸仏モ亦如シ↠是[クノ]。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅱ]釈念法僧
^また↑一心にもつぱら諸仏所証の法ならびに↑もろもろの眷属の菩薩僧を念じ、
~又一心ニ専[ラ]念ジ↢諸仏所証之法并ニ諸ノ眷属ノ菩薩僧ヲ↡、
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅲ]釈念戒捨
^また↑諸仏の戒を念じ、 および↑過去の諸仏、 現在の菩薩等の、 なしがたきをよくなし、 捨てがたきをよく捨て、 内に捨て外に捨て、 内外に捨つるを念ず。 これらの菩薩ただ法を念ぜんと欲して*身財を惜しまず。 行者等すでにこの事を念知せば、 すなはちすべからくつねに仰ぎて*前賢・後聖を学し、 身命を捨つる意をなすべし。
~又念ジ↢諸仏之戒ヲ↡、及[ビ]念ズ↢過去ノ諸仏、現在ノ菩薩等ノ、難キヲ↠作シ能ク作シ、難キヲ↠捨テ能ク捨テ、†内ニ捨テ外ニ捨[テ]、内外ニ捨ツルヲ↡。此等ノ菩薩但欲シテ↠念ゼムト↠法ヲ不↠惜マ↢身財ヲ↡。行者†等既ニ念↢知†セバ此[ノ]事ヲ↡、即[チ]†須ベ クシ↧常ニ作ス↦仰ギテ学シ↢前賢・後聖ヲ↡、捨ツル↢身命ヲ↡意ヲ↥也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ]釈念天
[a]明所念境
^また 「↑念天」 とはすなはちこれ*最後身十地の菩薩なり。 これらは難行の行すでに過ぎ、 *三祇の劫すでに超え、 万徳の行すでに成じ、 *潅頂の位すでに証せり。
~又念天ト者、即[チ]是最後身十地之菩薩ナリ。此等ハ難行之行已ニ過ギ、三祇之劫已ニ超エ、万徳之行已ニ成ジ、潅頂之位已ニ証セリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅵ)(b)(ハ)[二][Ⅱ][ⅳ][b]示能念意
^行者等すでに念知しをはりなば、 すなはちみづから思念すべし。 ▼わが身は*無際よりこのかた、 他とともに同時に願を発して悪を断じ、 菩薩の道を行じ0473き。 他はことごとく身命を惜しまず。 道を行じ位を進みて、 因円かに果熟して、 聖を証せるもの*大地微塵に踰えたり。 しかるにわれら凡夫、 すなはち今日に至るまで、 *虚然として流浪す。 煩悩悪障は転々してますます多く、 *福慧は微微たること、 *重昏を対して明鏡に臨むがごとし。 たちまちにこの事を*思忖するに、 心驚きて悲歎するに勝へざるものをや。
~行者†等既[ニ]念知シ已[リ]ナバ、即[チ]自ラ思念スベシ。我[ガ]身[ハ]無際ヨリ已来[タ]、共ニ↠他ト同時ニ発シテ↠願ヲ断ジ↠悪ヲ、行ジキ↢菩薩ノ道ヲ↡。他ハ尽ク不↠惜マ↢身命ヲ↡。行ジ↠道ヲ進ミテ↠位†ヲ、因円[カ]ニ果熟シテ、証セル↠聖ヲ者踰エタリ↢於大地微塵ニ↡。然†ルニ我等凡夫、†乃チ至ルマデ↢今日ニ↡、虚然トシテ流浪†ス。煩悩悪障ハ転転シテ†増マス多ク、福慧ハ微微ナルコト、若シ↧対シテ↢重昏†ヲ↡之臨ムガ↦明鏡ニ↥也。忽ニ思↢忖スルニ此ノ事ヲ↡、†不ル↠勝ヘ↢心驚キテ悲歎スルニ↡者ヲ哉。△
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅶ)廻行願生
^七に ▲「回向発願」 より以下は、 まさしくおのおの前の所修の業を回して、 所求の処に向かふことを明かす。
七[ニ]従[リ]↢「廻向発願」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧各各‡†廻シテ↢前ノ所修之業ヲ↡、向†フコトヲ↦所求ノ処ニ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)修時延促
(a)標科目
^八に ▲「具此功徳」 より以下は、 まさしく修行の*時節の延促を明かす。
八[ニ]従[リ]↢「具此功徳」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢修行ノ時節ノ延ノベ促ヲ↡ツヾマリ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)釈文句
(イ)正明修時延促
^▼上*一形を尽し、 ▼下一日・一時・一念等に至る。 あるいは一念・十念より一時・一日・一形に至る。 大意は、 ▼一たび*発心して以後、 ▼誓ひてこの生を畢るまで退転あることなし。 ただ浄土をもつて期となす。
~上尽シ↢一形ヲ↡下至ル↢一日・一時・一念等ニ↡。或[イハ]従[リ]↢一念・十念↡至ル↢一時・一日・一形ニ↡。大意者、一[タ]ビ発心シテ已後、誓[ヒ]テ畢ルマデ↢此ノ生ヲ↡無†シ↠有[ル]コト↢退転↡。唯以テ↢浄土ヲ↡為ス↠期ト。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅷ)(b)(ロ)釈具此功徳
^また 「▲具此0553功徳」 といふは、 あるいは一人にして*上の二を具し、 あるいは一人にして*下の二を具し、 あるいは一人にして三種ことごとく具す。 あるいは人ありて三種分なきを、 名づけて*人の皮を着たる畜生となす、 人と名づくるにあらず。
▲又言[フ]↢「具此功徳ト」↡者0774、或[イハ]一人[ニシテ]具シ↢上ノ二ヲ↡、或[イハ]一人[ニシテ]具[シ]↢下ノ二ヲ↡、或[イハ]一人[ニシテ]三種尽ク具ス。或[イハ]有[リテ]↠人三種無キヲ↠分†者、名[ケ]テ作ス↧著タル↢人ノ皮ヲ↡畜生ト↥、非ズ↠名[ク]ルニ↠人ト也。
^また具三・不具三を問はず、 回すればことごとく往生を得、 知るべし。
~又不↠問[ハ]↢具三・不具三ヲ↡、廻†スレバ尽ク得↢往生ヲ↡、応シ↠知ル。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)迎接不同
(a)総標大科
(b)別分文句
(イ)標数
^九に 「▲生彼国時」 より下 「往生彼国▲」 に至るこのかたは、 まさしく命終の時に臨みて聖来りて迎接したまふ不同と、 去時の0474遅疾とを明かす。 すなはちその十一あり。
九[ニ]従リ↢「生彼国時」↡下至[ル]↢「往生彼国ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧臨[ミ]テ↢命終ノ時ニ↡聖来[リテ]迎接シタマフ不同[ト]、去時[ノ]遅疾[ト]ヲ↥。即[チ]有リ↢其[ノ]十一↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅸ)(b)(ロ)別列
・標所帰国
^▲一には*所帰の国を標定することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣標↢定スルコトヲ所帰之国ヲ↡。
・重顕其行
^▲二にはかさねてその行を顕して、 決定*精勤のものを指し出すことを明かす。 またこれ功徳の強弱を*校量す。
▲二[ニハ]明[ス]↧重テ顕シテ↢其[ノ]行ヲ↡、指シ↦出†スコトヲ決定精マコト懃ノ者ネムゴロニヲ↥。亦是校↢量ス功徳ノ強弱ヲ↡。
・弥陀自来
^▲三には弥陀*化主の身みづから来赴したまふことを明かす。
▲三[ニハ]明ス↢弥陀化主[ノ]身自ラ来赴シタマフコトヲ↡。
・大衆皆従
^▲四には 「観音」 より以下は、 さらに無数の大衆等みな弥陀に従ひて行者を来迎することを顕すことを明かす。
▲四[ニハ]明ス↫「観音[ヨリ]」已下ハ、更ニ顕[ス]コトヲ↪無数ノ大衆等皆従ヒテ↢弥陀ニ↡来↩迎スル[コト]ヲ行者ヲ↨。
・宝宮随衆
^▲五には宝宮、 衆に随ふことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢宝宮随[フ]コトヲ↟衆ニ。
・観音勢志
^▲六にはかさねて観音・勢至ともに金台を執りて、 行者の前に至ることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧重テ観音・勢志共ニ執[リ]テ↢金台ヲ↡、至ルコトヲ↦行者ノ前ニ↥。
・光照行者
^▲七には弥陀光を放ちて行者の身を照らしたまふことを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↣弥陀放[チ]テ↠光ヲ照[シ]タマフコトヲ↢行者之身ヲ↡。
・同時接手
^▲八には仏すでに光を舒べて照らし、 およびすなはち化仏等と同時に手を接したまふことを明かす。
▲八[ニハ]明ス↧仏既ニ舒ベテ↠光ヲ照シ、及ビ即[チ]与↢化仏等↡同時ニ接シタマフコトヲ↞手ヲ。
・同声讃勧
^▲九にはすでに接して台に昇らしめて、 観音等同声に行者の心を讃勧したまふことを明かす。
▲九[ニハ]明[ス]↣既ニ接シテ昇ラシメテ↠台ニ、観音等同声ニ讃↢勧シタマフ[コトヲ]行者之心ヲ↡。
・自見乗台
^▲十にはみづから見れば台に乗じ、 仏に従ふことを明かす。
▲十[ニハ]†明ス↢自[ラ]見レバ乗ジ↠台ニ従フコトヲ↟仏ニ。
・去時遅疾
^▲十一にはまさしく去時の遅疾を明かす。
▲十一[ニハ]正[シク]明[ス]↢去時[ノ]遅疾ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅹ)無華合障
^十に ▲「生彼国」 より以下は、 まさしく金台かしこに到りて、 さらに華合の障なきことを明かす。
十[ニ]従[リ]↢「生彼国」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↣金台到[リ]テ↠彼ニ、更ニ無[キ]コトヲ↢華合之障↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)到彼得益
(a)標大科
^十一に ▲「見仏色身」 より下 「*陀羅尼門」 に至るこのかたは、 まさしく金台到りて後の得益の不同を明かす。 すなはちその三あり。
十一[ニ]従[リ]↢「見仏色身」↡下至ル↢「陀羅尼門ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢金台到[リ]テ後[ノ]†得益ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅺ)(b)釈文句
・得無生忍
^▲一にははじめて妙法を聞きてすなはち無生を悟る。
▲一[ニ]者初テ聞[キ]テ↢妙法ヲ↡即[チ]悟ル↢無生ヲ↡。
・次第授記
^▲二には須臾に歴事して次第に授記せらる。
▲二[ニ]者須臾ニ歴事シテ次第ニ授記セラル。
・更証聞持
^▲三には*本国・*他方に0475してさらに聞持の*二益を証す。
▲三[ニ]者本国他方[ニ]シテ更ニ証ス↢聞持[ノ]二益ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅱ)(ⅻ)総結
^十二に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
十二†ニ従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総[ジ]テ結ス。
一 Ⅱ ⅰ b イ (一)(Ⅲ)結示
^上来十二句の不同ありといへども、 広く上品上生の義を解しをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢十二句ノ不同↡、広[ク]解†シ↢上品上生ノ義ヲ↡竟0775[リヌ]。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)上中品【上品中生釈】
(Ⅰ)総標
【15】^次0554に上品中生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその八あり。
▲次[ニ]就[キテ]↢上品中生ノ位[ノ]中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]八↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)別釈
(ⅰ)総標位名
^一に ▲「上品中生者」 より以下は、 総じて位の名を挙ぐ。 すなはちこれ大乗次善の凡夫人なり。
一[ニ]従[リ]↢「上品中生者」↡已下ハ、▲総ジテ挙[グ]↢位[ノ]名[ヲ]↡。即[チ]是大乗次善[ノ]凡夫人也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)廻業指西
^二に ▲「不必受持」 より下 「生彼国」 に至るこのかたは、 まさしく△第六・△第七・△第八門のなかの、 所修の業を回して、 西方を定め指すことを明かす。 すなはちその四あり。
二[ニ]従[リ]↢「不必受持」↡下至[ル]↢「生彼国[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧第六・第七・第八門ノ中ノ†廻シテ↢所修ノ業ヲ↡、定メ↦指スコトヲ西方ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・受法不定
^▲一には受法不定にして、 あるいは読誦を得、 読誦を得ざることを明かす。
▲一[ニハ]†明ス↧受法不定ニシテ、或[イ]ハ得↢読誦ヲ↡、不ルコトヲ↞得↢読誦ヲ↡。
・善解空義
^▲二には▼よく大乗の空の義を解することを明かす。 あるいは諸法は一切みな空にして生死・無為もまた空なり。 *凡聖・明闇もまた空なり。 世間の六道、 出世間の三賢・十聖等、 もしその*体性に望むれば畢竟じて不二なりと聴聞す。 この説を聞くといへども、 その心坦然として疑滞を生ぜず。
▲二[ニハ]明[ス]↣善ク解スルコトヲ↢大乗ノ空ノ義ヲ↡。或[イハ]†聴↧聞ス諸法ハ一切皆空ニシテ生死無為モ亦空ナリ、凡聖明闇モ亦空ナリ、世間ノ六道、出世間ノ三賢・十聖等、若[シ]望ムレバ↢其ノ体性ニ↡畢竟ジテ不二ナリト↥。雖[モ]↠聞[ク]ト↢此[ノ]説ヲ↡、其[ノ]心坦然トシテアキラカナリ 不↠生ゼ↢疑滞ヲ↡也。
・深信因果
^▲三には▼深く*世・出世の苦楽二種の因果を信じ、 これらの因果およびもろもろの道理に*疑謗を生ぜざることを明かす。 もし疑謗を生ずれば、 すなはち福行を成ぜず。 世間の果報すらなほ得べからず、 いかにいはんや浄土に生ずることを得んや。 これすなはち第三福 (行福) の▲第二・▲第三0476の句に合す。
▲三[ニハ]†明ス↧深ク信ジ↢世・出世ノ苦楽二種ノ因果ヲ↡、此等ノ因果及[ビ]諸ノ道理ニ不ルコトヲ↞生ゼ↢疑謗ヲ↡。若[シ]生[ズ]レバ↢疑謗ヲ↡、即[チ]不↠成[ゼ]↢福行[ヲ]↡。世間[ノ]果報[スラ]尚不↠可[カラ]↠得、何ニ況ヤ得[ム]ヤ↠生[ズル]コトヲ↢浄土ニ↡。此即[チ]合ス↢第三‡福[ノ]第二・第三ノ句ニ↡也。
・標指所帰
^▲四には前の所業を回して、 *所帰を標指することを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧廻シテ↢前ノ所業ヲ↡、標↦指スルコトヲ所帰ヲ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅲ)主伴来応
^三に ▲「行此行者」 より下 「迎接汝」 に至るこのかたは、 まさしく弥陀、 もろもろの聖衆と台を持して来応したまふことを明かす。 すなはちその五あり。
三[ニ]従[リ]↢「行此行者」↡下至ル↢「迎接汝ニ」↡已来タハ、▲正[シク]明[ス]↧弥陀与↢諸[ノ]聖衆↡、†持シテ↠台ヲ来応†シタマフコトヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・命延不久
^▲一には行者の*命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢行者ノ命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・主伴自来
^▲二には弥陀、 衆とみづから来りたまふことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢弥陀与↠衆自ラ来[リタマフ]コトヲ↡。
・持台至前
^▲三には侍者台を持して行者の前に至ることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣侍者持[シテ]↠台ヲ至[ルコト]ヲ↢行者ノ前ニ↡。
・同声讃歎
^▲四には仏、 聖衆と同声に讃歎して、 ˆ行者のˇ *本所修の業を述べたまふことを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧仏与↢聖衆↡同声ニ讃歎シテ、述†ベタマフコトヲ↦本所修之業ヲ↥。
・我来迎汝
^▲五には仏、 行者の疑を懐くことを恐れたまふがゆゑに、 「われ来りてなんぢを迎ふ」 とのたまふことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧仏恐レ†タマフガ↢行者ノ懐†クコトヲ↟疑ヲ故ニ、言[フコト]ヲ↦我来[リ]テ迎フト↞汝ヲ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅳ)去時遅速
^四に ▲「与千化仏」 より下 「七宝池中」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 衆聖の授手と、 去時の遅疾とを明かす。 すなはちその五あり。
四[ニ]従[リ]↢「与千化仏0776」↡下至[ル]↢「七宝池中ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢第九門[ノ]中ノ衆聖ノ†授手ト、去時ノ遅疾[ト]ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・報化授手
^▲一には弥0555陀、 千の化仏と同時に授手したまふことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↧弥陀与↢千ノ化仏↡同時ニ†授手シタマフコトヲ↥。
・自見坐台
^▲二には行者すでに授手を蒙りてすなはちみづから身を見れば、 すでに身紫金の台に坐することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧行者既[ニ]蒙[リ]テ↢授手ヲ↡即[チ]自[ラ]見レバ↠身ヲ、†已ニ身坐[スルコト]ヲ↦紫金之台ニ↥。
・合掌仰讃
^▲三にはすでにみづから台に坐することを見て、 合掌して仰ぎて弥陀等の衆を讃ずることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣既ニ自ラ見テ↠坐[スルコト]ヲ↠台ニ、合掌シテ仰[ギ]テ讃ズルコト[ヲ]↢弥陀等ノ衆ヲ↡。
・去時遅疾
^▲四にはまさしく去時の遅疾を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢正[シ]ク†去時ノ遅疾ヲ↡。
・住宝池内
^▲五にはかしこに到りて宝池のうちに止住することを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣到[リ]テ↠彼ニ止↢住[スルコト]ヲ宝池之内ニ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅴ)華開時節
^五に ▲「此紫金台」 より以下は、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる時0477節の不同を明かす。
五[ニ]従[リ]↢「此紫金台」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十門ノ中ノ到[リ]テ↠彼ニ華開[ク]ル時節ノ不同ヲ↡。
^行強きによるがゆゑに、 上上はすなはち▲金剛台を得。 行劣なるによるがゆゑに、 上中はすなはち紫金台を得。 ˆ浄土にˇ 生じて宝池にありて宿を経て開くるがごとし。
~由[ル]ガ↢行強キニ↡故ニ、上上ハ即[チ]得↢金剛台ヲ↡。由[ルガ]↢行劣ナルニ↡故ニ、上中ハ即[チ]得↢紫金台ヲ↡。生[ジ]テ在[リ]テ↢宝池ニ↡逕テ↠宿ヲ如シ↠開[ク]ルガ也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益
^六に ▲「仏及菩薩倶時放光」 より下 「得不退転」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益の不同を明かす。 すなはちその五あり。
六[ニ]従[リ]↢「仏及菩薩倶時放光」↡下至ル↢「得不退転[ニ]」↡已来[タ]ハ、▲正[シ]ク明[ス]↢第十一門ノ中ノ華開已後[ノ]†得益ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・仏光照身
^▲一には仏光、 身を照らすことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢仏光照[スコトヲ]↟身[ヲ]。
・目即チ開明
^▲二には行者すでに体を照らすことを蒙りて、 目すなはち開明なることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢行者既[ニ]蒙[リ]テ↠照[ス]コトヲ↠体ヲ、目即[チ]開明[ナルコト]ヲ↡。
・所習還聞
^▲三には人中にして習へるところ、 かしこに到りて衆声の彰すところとなり、 またその法を聞くことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣人中ニシテ所↠習ヘル、到[リ]テ↠彼ニ衆声ノ所[トナリ]↠彰ス、†還タ聞[ク]コトヲ↢其[ノ]法ヲ↡。
・開眼聞法
^▲四にはすでに眼開けて法を聞くことを得て、 すなはち金台より下り、 親しく仏辺に到りて、 歌揚して徳を讃ずることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧既ニ†得テ↢眼開ケテ聞クコトヲ↟法ヲ、即[チ]下[リ]‡↢金台ヨリ↡、親シク到[リ]テ↢仏辺ニ↡、歌揚シテ讃ズルコトヲ↞徳ヲ。
・逕時得忍
^▲五には時を経ること↓七日にして、 すなはち無生を得ることを明かす。
▲五[ニハ]†明ス↣逕ルコト↠時ヲ七日ニシテ、即チ得ルコトヲ↢無生ヲ↡。
^「↑七日」 といふは、 ▼おそらくはこの間の七日なり、 かの国の七日を指すにあらず。 この間に七日を経るは、 かの処にはすなはちこれ一念須臾のあひだなり、 知るべし。
▲言[フ]↢「七日ト」↡者、恐クハ此[ノ]間ノ七日ナリ、†不ズ↠指スニ↢彼[ノ]国ノ七日ヲ↡也。此ノ間ニ逕ル↢於七日ヲ↡者、彼[ノ]処ニハ即[チ]是一念須臾ノ間也、応[シ]↠知[ル]。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益
^七に ▲「応時即能飛至十方」 より下 「現前授記」 に至るこのかたは、 まさしく*他方の得益を明かす。 すなはちその五あり。
七[ニ]従[リ]↢「応時即能飛至十方」↡下至ル↢「現前授記ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢他方ノ得益ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・身至十方
^▲一には身十方に至ることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣身至[ルコトヲ]↢十方ニ↡。
・歴供諸仏
^▲二には一々に諸仏を*歴供することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣一一ニ†歴↢供スルコトヲ諸仏ヲ↡。
・修多三昧
^▲三には多くの三昧を修することを明0478かす。
▲三[ニハ]明[ス]↠修[スルコト]ヲ↢多[ク]ノ三昧ヲ↡。
・延時得忍
^▲四には*延時の得忍を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢†延時ノ得忍ヲ↡。
・現蒙授記
^▲五には一々の仏辺にして現に授記を蒙ることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣一一ノ仏0777辺[ニ]シテ現ニ蒙[ルコト]ヲ↢授記ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅱ)(ⅷ)総結
^八に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
八[ニハ]従[リ]↢「是名」↡已下ハ、▲総ジテ結ス。
一 Ⅱ ⅰ b イ (二)(Ⅲ)結示
^上来八句の不同ありといへども、 広く上品中生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リ]ト↢八句ノ不同↡、広ク解シ↢上品中生ヲ↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)上下品【上品下生釈】
(Ⅰ)総標
【16】^次に上品下生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその八あり。
▲次[ニ]就[キテ]↢上品下生ノ位ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]八↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)別釈
(ⅰ)総挙位名
^一に ▲「上品下生者」 より以下は、 総じて位の名を挙ぐ。 すなはちこれ大乗下善の凡夫人なり。
一[ニ]従[リ]↢「上品下生者」↡已下ハ、▲総ジテ挙グ↢位ノ名ヲ↡。即[チ]是大乗下善ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)受法不同
^二に ▲「亦信因果」 より下 「無上道心」 に至るこのかたは、 まさしく△第六門のなかの、 受法の不同を明かす。 すなはちその三あり。
二[ニ]従[リ]↢「亦信因果」↡下至[ル]↢「無上道心ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第六門ノ中ノ受法ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・因果不定
^▲一には所信の因果不定なることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢所信ノ因果不定[ナルコト]ヲ↡。
^あるいは信じ信ぜず。 ゆゑに名づけて 「亦」 となす。 あるいはまた△前の ˆ上品中生のˇ 深信に同じかるべし。
~或[イハ]信[ジ]不↠信[ゼ]。故[ニ]名[ケ]テ為[ス]↠亦ト。或[イハ]可シ↣亦同[ジ]カル↢前ノ深信ニ↡也。
^また信ずといへども深からず。 善心しばしば退し、 悪法しばしば起る。 これすなはち深く苦楽の因果を信ぜざるによりてなり。 もし深く生死の苦を信ずるものは、 罪業畢竟じてかさねて犯さず。 もし深く浄土無為の楽を信ずるものは、 善心一たび発りて永く退失することなし。
~又雖モ↠信ズト不↠深カラ。善心数退シ、悪法数起ル。此乃[チ]由[リ]テ↠不ルニ↣深ク信ゼ↢苦楽ノ因果ヲ↡也。若[シ]深ク信ズル↢生死ノ苦ヲ↡者ハ、罪業畢竟ジテ不↢重テ†犯サ↡。若[シ]深ク信ズル↢浄土無為ノ楽ヲ↡者ハ、善心一[タ]ビ発[リ]テ永ク無[シ]↢退失スルコト↡也。△
・不謗大乗
^▲二には信間断すといへども、 一切の大乗において疑謗することを得ざることを明かす。 もし疑謗を起さば、 たとひ千仏身を繞りたまふとも、 救ふべきに由なし。
▲二[ニハ]明[ス]↧信雖モ↢間断スト↡、於テ↢一切ノ大乗ニ↡不[ルコト]ヲ↞得↢疑謗スルコトヲ↡。若[シ]起†サバ↢疑謗ヲ↡者、縦使千仏遶†リタマフトモ↠身[ヲ]、無シ↠由↠可キニ↠救フ也。
・諸善無功
^▲三には以上の諸善また功な0479きに似たることを明かす。 ▼ただ一念を発して苦を厭ひ、 ▼諸仏の境界に生じ、 すみやかに菩薩の大悲の願行を満てて、 生死に還り入りて、 あまねく衆生を度せんと楽ふ。 ゆゑに*発菩提心と名づく。 この義△第三福 (行福) のなかにすでに明かしをはりぬ。
▲三[ニハ]明[ス]↣已上ノ諸善似タルコトヲ↢亦無キニ↟功。唯†発シテ↢一念ヲ↡厭ヒ‡↠苦ヲ、楽フ↧生ジ‡↢諸仏ノ境界ニ↡、速ソク ニ満テテ↢菩薩ノ大悲[ノ]願行ヲ↡、†還リ↢入リテ生死ニ↡、普ク度セムト↦衆生ヲ↥。故ニ名ク↢発菩提心ト↡也。此[ノ]義第三‡福ノ中ニ已ニ明シ竟[リ]ヌ。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅲ)廻行願生
^三に 「▲以此功徳」 より以下は、 まさしく△第八門のなかの、 前の正行を回して、 所求の処に向かふことを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「以此功徳」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧第八門ノ中ノ廻シテ↢前ノ正行ヲ↡向[フ]コトヲ↦所求ノ処ニ↥。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅳ)聖来迎接
^四に ▲「行者命欲終時」 より下 「七宝池中」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 臨終に聖来りて迎接したまふと、 去時の遅疾とを明かす。 すなはちその九あり。
四[ニ]従[リ]↢「行者命欲終時」↡下至ル↢「七宝池中ニ」↡已来タ[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門ノ中[ノ]臨終ニ聖来[リ]テ迎接†シタマフト、去時ノ遅疾[ト]ヲ↡。即0778[チ]有[リ]↢其[ノ]九↡。
・命延不久
^▲一には命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・主伴来応
^▲二には弥陀、 もろもろの聖衆と*金華を持して来応したまふことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧弥陀与↢諸[ノ]聖衆↡†持シテ↢金華ヲ↡来応[シタマフ]コトヲ↥。
・報化授手
^▲三には化仏同時に授手したまふことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢化仏同時ニ†授手シタマフコトヲ↡。
・同声等讃
^▲四には聖衆同声に等しく讃ずることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢聖衆同声ニ等[シ]ク讃[ズル]コトヲ↡。
・罪滅発心
^▲五には行者の罪滅するがゆゑに 「清浄」 といひ、 ˆ行者のˇ *本所修を述ぶるがゆゑに0557 「発無上道心」 といふことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧行者[ノ]罪滅[ス]ルガ故ニ云ヒ↢清浄ト↡、†述ブルガ↢本所修ヲ↡故ニ云[フ]コトヲ↦発無上道心ト↥。
・我来迎汝
^▲六には行者*霊儀を覩るといへども、 疑心ありて往生を得ざことを恐る。 このゆゑに聖衆同声に告げて、 「われ来りてなんぢを迎ふ」 といふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧行者雖モ↠覩[ル]ト↢霊儀ヲ↡、疑心ア[リ]テ†恐ル↠不†ルコトヲ↠得↢往生ヲ↡、是[ノ]故ニ聖衆同声ニ告ゲテ、言†フコトヲ↦我来[リ]テ迎フト↞汝[ヲ]。
・自見坐台
^▲七にはすでに告げを蒙り、 およびすなはち自身を見るに、 すでに金華の上に坐して、 *篭々として合することを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↧既[ニ]蒙リ↠告ヲ、及[ビ]即[チ]見ル[ニ]↢自身ヲ↡、已ニ坐シテ↢金華之上ニ↡、篭コモリ篭コモルトシテ而合[スル]コトヲ↥。
・一念即生
^▲八には仏身の後に随ひて0480、 一念にすなはち生ずることを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↧随[ヒ]テ↢仏身ノ後ニ↡、一念ニ即[チ]生[ズルコト]ヲ↥。
・在宝池中
^▲九にはかしこに到りて宝池のなかにあることを明かす。
▲九[ニハ]明[ス]↣到[リ]テ↠彼[ニ]在[ル]コトヲ↢宝池ノ中ニ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅴ)華開不同
^五に ▲「一日一夜」 より以下は、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる時節の不同を明かす。
五[ニ]従[リ]↢「一日一夜」↡已下[ハ]、▲正[シ]ク明[ス]↢第十門ノ中ノ到[リ]テ↠彼[ニ]華開ク[ル]時節ノ不同ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅵ)開後得益
^六に ▲「七日之中」 より下 「皆演妙法」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益の不同を明かす。
六[ニ]従[リ]↢「七日之中」↡下至[ル]↢「皆演妙法ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門ノ中ノ華開已後ノ得益ノ不同ヲ↡。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅶ)他方得益
^七に ▲「遊歴十方」 より下 「住歓喜地」 に至るこのかたは、 まさしく他方の得益を明かす、 また*後益と名づく。
七[ニ]従[リ]↢「遊歴十方」↡下至[ル]↢「住歓喜地[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢他方[ノ]得益[ヲ]↡、亦名[ク]↢後益[ト]↡也。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅱ)(ⅷ)総結
^八に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
八[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下ハ、▲総ジテ結ス。
一 Ⅱ ⅰ b イ (三)(Ⅲ)結示
^上来八句の不同ありといへども、 広く上品下生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢八句ノ不同↡、広[ク]解シ↢上品下生ヲ↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅰ b ロ 結讃【上輩総讃】
(一)正讃
【17】^¬讃¼ にいはく (*礼讃)、
▲¬讃ニ¼云ハク、
^「▼上輩は*上行上根の人なり。 浄土に生ずることを求めて*貪瞋を断ず。
行の差別につきて三品を分つ。 *五門相続して*三因を助く。
「上輩[ハ]上行上根ノ人[ナリ] | 求[メ]テ↠†生ズルコトヲ↢浄土ニ↡断ズ↢貪瞋ヲ↡ |
就[キ]テ↢行ノ差別ニ↡分ツ↢三品ヲ↡ | 五門相続シテ助ク↢三因ヲ↡ |
^一日七日もつぱら精進して、 *畢命に台に乗じて*六塵を出づ。
慶ばしきかな、 逢ひがたくしていま遇ふことを得たり。 永く*無為法性の身を証せん」 と。
一日七日専ラ精マコト進シテスヽム | 畢命ニ乗ジテ↠台ニ出ヅ↢六塵ヲ↡ |
慶シキ哉難クシテ↠逢ヒ今得タリ↠遇フコトヲ | 永ク証セム[ト]↢無為法性[ノ]身ヲ↡」 |
一 Ⅱ ⅰ b ロ (二)総結
^上来三位の不同ありといへども、 総じて上輩一門の義を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総ジテ解シ↢上輩一門之義ヲ↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅱ【中輩観】
a【文前料簡】
【18】^十五に中輩観の行善の文前につきて、 △総じて料簡してすなはち十一門とな0481す。
▲十0779五ニ就[キ]テ↢中輩観[ノ]行善ノ文‡前ニ↡、総ジテ料簡シテ即[チ]為ス↢十一門ト↡。
・告命
^一には総じて告命を明かす。
一[ニ]者総ジテ明[ス]↢告命ヲ↡。
・弁定其位
^二にはまさしくその位を弁定することを明かす。
二[ニ]者正[シク]明[ス]↣弁↢定[スル]コトヲ其ノ位ヲ↡。
・総挙有縁
^三にはまさしく総じて有縁の類を挙ぐることを明かす。
三ニ者正[シク]明ス↣総ジテ挙[グル]コトヲ↢有縁之類ヲ↡。
・弁定三心
^四にはまさしく三心を弁定してもつて0558正因となすことを明かす。
四[ニ]者正[シク]明[ス]↧弁↢定シテ三心ヲ↡以テ為[ス]コトヲ↦正因ト↥。
・簡機堪不
^▽五にはまさしく機の堪と不堪とを簡ぶことを明かす。
五[ニ]者正[シク]明ス↠簡ブコトヲ↣機ノ堪ト与[ヲ]↢不堪↡。
・受法不同
^▽六にはまさしく受法の不同を明かす。
六[ニ]者正[シク]明[ス]↢*受法ノ不同ヲ↡。
・時節延促
^▽七にはまさしく修業の時節に延促異なることあることを明かす。
七[ニ]者正[シク]明ス↢修業ノ時節[ニ]延促有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。
・廻行願生
^▽八にはまさしく所修の行を回して、 弥陀仏国に生ぜんと願ずることを明かす。
八[ニ]者正[シク]明ス↧廻シテヒルガヘシ↢所修ノ行ヲ↡、願[ズル]コトヲ↞生[ゼ]ムト↢弥陀仏国ニ↡。
・迎接去時
^▽九にはまさしく命終の時に臨みて聖来りて迎接したまふ不同と、 去時の遅疾とを明かす。
九[ニ]者正[シク]明ス↧臨[ミ]テ↢命終ノ時ニ↡聖来[リ]テ迎接シタマフ不同[ト]、去時ノ遅疾[ト]ヲ↥。
・華開遅疾
^▽十にはまさしくかしこに到りて華開くる遅疾の不同を明かす。
十[ニ]者正[シク]明[ス]↢到[リ]テ↠彼ニ華開クル遅疾ノ不同ヲ↡。
・開後得益
^▽十一にはまさしく華開以後の得益に異なることあることを明かす。
十一[ニ]者正[シク]明[ス]↢華開已後ノ得益ニ有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。
^上来十一門の不同ありといへども、 広く中輩三品を料簡しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢十一門ノ不同↡、広ク料↢簡シ中輩‡三品ヲ↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅱ b 正釈
イ 中上品【中品上生釈】
(一)総標
【19】^次に中品上生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその八あり。
▲次[ニ]就[キ]テ↢中品上生ノ位ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有リ↢其[ノ]八↡。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)別釈
(Ⅰ)告命
^一に ▲「仏告阿難」 より以下は、 総じて告命を明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡已下ハ、▲総ジテ明ス↢告命ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)弁定其位
^二に ▲「中品上生者」 よりは、 まさしくその位を弁定することを明かす。 すなはちこれ小乗根性の上善の凡夫人なり。
二[ニ]従[リハ]↢「中品上生者」↡、▲正[シク]明[ス]↣弁↢定[スル]コトヲ其[ノ]位ヲ↡。即[チ]是小乗根性[ノ]上善ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)受法不同
^三に ▲「若有衆生」 より下 「無衆過患」 に至るこのかたは、 まさしく△第五・△第六門のなかの、 受法の不同を明かす。 す0482なはちその四あり。
三[ニ]従[リ]↢「若有衆生」↡下至ル↢「無衆過患ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢第五・第六門ノ中ノ受法ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・簡機堪不
^▲一には機の堪と不堪とを簡ぶことを明かす。
▲一[ニハ]明ス↠簡[ブ]コトヲ↣機ノ堪ト与ヲ↢不堪↡。
・受持小乗
^▲二には小乗の斎戒等を受持することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣受↢持スルコトヲ小乗[ノ]斎戒等ヲ↡。
・小戒不消
^▲三には▼小戒の力微にして五逆の罪を消さざることを明かす。
▲三[ニハ]明ス↧小戒[ノ]力微ニシテ不ルコトヲ↞消サ↢五逆之罪ヲ↡。
・余改悔
^▲四には小戒等を持ちて犯すことあることを得ずといへども、 もし*余あらば、 つねにすべからく*改悔してかならず清浄ならしむべきことを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↫雖モ↧持[チ]テ↢小戒等ヲ↡不ト↞得↠有[ル]コトヲ↠†犯スコト、†設有[ラ]バ↢余トガ↡、恒ニ須ベ クキコトヲ↪改悔シテ必ズ令ム↩清浄ナラ↨。
^これすなはち▲上の第二の戒善の福に合す。 しかるに修戒の時は、 あるいはこれ終身、 あるいは一年・一月・一日・一夜・一時等なり。 この時また不定なり。 大意はみな畢命を期となして毀犯することを得ず。
~此即[チ]合ス↢上ノ第二ノ戒善之福ニ↡也。然†ルニ修戒ノ時ハ、或[イ]ハ是終身、或[イ]ハ一年・一月・一日・一夜・一時等0780ナリ。此ノ時亦不定ナリ。大意ハ皆畢命ヲ為シテ↠期ト不↠得↢毀犯スルコトヲ↡也。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅳ)廻行願生
^四に ▲「以此善根回向」 より以下は、 まさしく△第八門のなかの、 所修の業を回して所求の処に向かふことを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「以此善根廻向」↡已下ハ、▲正[シク]明[ス]↧第八門[ノ]中ノ廻シテ↢所修ノ業ヲ↡、向[フコト]ヲ↦所求ノ処ニ↥。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅴ)迎接去時
^五に ▲「臨命終時」 より下0559 「極楽世界」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 終時に聖来りて迎接したまふ不同と、 去時の遅疾とを明かす。 すなはちその六あり。
五[ニ]従[リ]↢「臨命終時」↡下至ル↢「極楽世界ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門ノ中ノ†終時ニ聖来[リ]テ迎接シタマフ不同[ト]、去時ノ遅疾[ト]ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・命延不久
^▲一には命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・無有菩薩
^▲二には弥陀、 比丘衆と来りて、 菩薩あることなきことを明かす。 これ小乗の根性なるによりて、 また小根の衆を感ぜり。
▲二[ニハ]明[ス]↧弥陀与↢比丘衆↡来[リ]テ、無[キコト]ヲ↞有[ル]コト↢菩薩↡。由[リ]テ↢是小乗[ノ]根性[ナ]ルニ↡、†還タ感†ゼリ↢小根之衆ヲ↡也。
・光照行者
^▲三には仏、 金光を放ちて行者の身を照らしたまふことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧仏放[チ]テ↢金光ヲ↡照[シタマフコト]ヲ↦行者ノ身ヲ↥。
・讃離衆苦
^▲四には仏、 ために法を説き、 また出家は多衆の苦、 種々の俗縁・家業・王官・*長征・*遠防等を離るることを讃ずることを明かす。 「な0483んぢいま出家して*四輩に仰がれ、 万事憂へず。 *迥然として自在にして、 *去住障なし。 これがために*道業を修することを得」 と。 このゆゑに讃じて 「▲衆苦を離る」 とのたまふ。
▲四[ニハ]明[ス]↤仏為ニ説キ↠法ヲ、又讃[ズルコト]ヲ↣出家†ハ離ルルコトヲ↢†多衆ノ苦、種種ノ俗縁・家業・王官ノ長征シエタグ 遠トオク防フセグ等ヲ↡。汝今出家シテ†仰ガレ↢於四輩ニ↡、万事不↠憂ヘ。迥然カルカナリ トシテ自在†ニシテ、去住‡無シ↠障。為ニ↠此ガ得[ト]↠修[スル]コトヲ↢道業ヲ↡。是[ノ]故[ニ]†讃ジテ云†フ↠離ルト↢衆苦ヲ↡也。
・自見坐台
^▲五には行者すでに見聞しをはりて欣喜に勝へず。 すなはちみづから身を見ればすでに*華台に坐し、 頭を低れて仏を礼することを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧行者既[ニ]見聞シ已[リ]テ不↠勝ヘ↢欣憙ニ↡、即[チ]自ラ†見レバ↠身ヲ已ニ坐†シ↢華台ニ↡、低テイレテ↠頭ツブヲ礼[スル]コトヲ↞仏ヲ。
・挙頭在彼
^▲六には行者頭を低るることここにありて、 頭を挙げをはればかの国にあることを明かす。
▲六[ニハ]†明[ス]↧行者低ルルコト↠頭ヲ在[リ]テ↠此ニ、挙[ゲ]↠頭ヲ已レバ在ルコトヲ↦彼[ノ]国ニ↥也。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅵ)華開遅速
^六に ▲「蓮華尋開」 よりは、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる遅疾の不同を明かす。
六[ニ]従リ↢「蓮華尋開‡」↡者、▲正[シク]明[ス]↢第十門ノ中ノ到[リ]テ↠彼ニ華開クル遅疾トシノ不同ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅶ)開後得益
^七に ▲「当華敷時」 より下 「八解脱」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益の不同を明かす。 すなはちその三あり。
七[ニ]従[リ]↢「当華敷時」↡下至ル↢「八解脱ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中ノ華開已後ノ得益ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・華開
^▲一には宝華たちまち発くることを明かす。 これ戒行精強なるによるがゆゑなり。
▲一[ニハ]明[ス]↢宝華†尋チ発クルコトヲ↡。此由ルガ↢戒行精強ナルニ↡故†也。
・聞法
^▲二には法音同じく四諦の徳を讃ずることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣法音同[ジ]ク讃[ズル]コトヲ↢四諦之徳ヲ↡。
・獲果
^▲三にはかしこに到りて四諦を説くを聞きて、 すなはち羅漢の果を獲ることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧到[リ]テ↠彼[ニ]聞[キ]テ↠説クヲ↢四諦ヲ↡、即[チ]獲ルコトヲ↦羅漢之果ヲ↥。
・釈義
^「▲羅漢」 といふは、 ここには無生といひ、 また無着といふ。 因亡ずるがゆゑに無生なり。 果喪するがゆゑに無着なり。
▲言フ↢「羅漢ト」↡者、此ニハ云†ヒ↢無生ト↡、亦云[フ]↢無著ト↡。因亡ズルガ故ニ無生ナリ。果喪ホロブスルガ故ニ無著ナリ。
^「▲三明」 といふは、 宿命明・天眼明・漏尽明なり。
~言[フ]↢「三明ト」↡者、宿命0781明・天眼明・漏尽明也。
^「▲八解脱」 といふは、 *内有色外観色は一の解脱なり。 *内無色外観色は二の解脱なり。 *不浄相は三の解脱なり。 *四空とおよび*滅尽と総じて0484八を成ず。
~言[フ]↢「八解脱ト」↡者、内有色外観色[ハ]†一ノ解脱ナリ。内無色外観色[ハ]二ノ解脱ナリ。不浄相[ハ]三ノ解脱ナリ。四空ト及ビ滅尽ト総ジテ†成ズ↠八ヲ也。△
一 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅷ)総結
^八に ▲「是0560名」 より以下は、 総じて結す。
八[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総[ジテ]結ス。
一 Ⅱ ⅱ b イ(三)結示
^上来八句の不同ありといへども、 広く中品上生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢八句[ノ]不同↡、広ク解シ↢中品上生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅱ b ロ 中中品【中品中生釈】
(一)総標
【20】^次に中品中生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその七あり。
▲次[ニ]就[キ]テ↢中品中生ノ位ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)別釈
(Ⅰ)弁位
^一に ▲「中品中生者」 よりは、 総じて行の名を挙げてその位を弁定す。 すなはちこれ小乗下善の凡夫人なり。
一[ニ]従†リハ↢「中品中生者」↡、▲総ジテ挙[ゲ]テ↢行ノ名ヲ↡弁↢定ス其[ノ]位[ヲ]↡。即[チ]是小乗下善ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)機法
^二に ▲「若有衆生」 より下 「威儀無欠」 に至るこのかたは、 まさしく△第五・△六・△七門のなかの、 簡機・時分・受法等の不同を明かす。 すなはちその三あり。
二[ニ]従[リ]↢「若有衆生」↡下至ル↢「威儀無欠ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢第五・六・七門ノ中ノ簡機・時分・受法等ノ不同ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・持八戒斎
^▲一には八戒斎を受持することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣受↢持[スルコト]ヲ八戒斎ヲ↡。
・持沙弥戒
^▲二には沙弥戒を受持することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣受↢持[スルコト]ヲ沙弥戒ヲ↡。
・持具足戒
^▲三には具足戒を受持することを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣受↢持[スルコト]ヲ具足戒ヲ↡。
^この三品の戒はみな同じく一日一夜なり。 清浄にして犯すことなく、 すなはち軽罪に至るまでも、 極重の過を犯すがごとくし、 三業の*威儀に失あらしめず。 これすなはち上の▲第二の福 (戒福) に合す、 知るべし。
~此[ノ]三品ノ戒ハ皆同[ジ]ク一日一夜[ナリ]。清浄ニシテ無†ク↠†犯スコト、†乃チ至ルマデモ↢軽罪ニ↡、如ク[シ]↠†犯スガ↢極重之過ヲ↡、三業ノ威儀ニ不↠令メ↠有ラ↠†失也。此即[チ]合ス↢上ノ第二ノ福ニ↡、応[シ]↠知[ル]。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)廻向
^三に ▲「以此功徳」 より以下は、 まさしく所修の業を回して、 所求の処に向かふことを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「以此功徳」↡已下ハ、▲正[シク]明[ス]↧廻シテ↢所修ノ業ヲ↡、向[フコト]ヲ↦所求[ノ]処ニ↥。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)迎接
^四に ▲「戒香熏修」 より下 「七宝池中」▲ に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 行者の終時に聖来りて迎接したまふと、 去時の遅疾とを明かす。 すなはちその八あり。
四[ニ]従[リ]↢「戒香熏修」↡下至ル↢「七宝池中[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門ノ中ノ行者[ノ]†終時ニ聖来[リ]テ迎接†シタマフト、去時ノ遅疾トキ[ト]ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]八↡。
・命延不久
^▲一には命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・与諸比丘
^▲二には弥0485陀、 もろもろの比丘衆と来りたまふことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧弥陀与↢諸[ノ]比丘衆↡来[リタマフコト]ヲ↥。
・光照行者
^▲三には仏、 金光を放ちて行者の身を照らしたまふことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧仏放[チ]テ↢金光ヲ↡照[シタマフコト]ヲ↦行者[ノ]身ヲ↥。
・持華来現
^▲四には比丘、 華を持して来現することを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢比丘†持シテ↠華ヲ来現[スル]コトヲ↡。
・行者聞讃
^▲五には行者みづから空声等の讃を見聞することを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣行者自[ラ]見↢聞[スル]コトヲ空声等ノ讃ヲ↡。
・深信仏語
^▲六には仏讃じて、 「なんぢ深く仏語を信じ、 随順して疑ふことなし。 ゆゑに来りてなんぢを迎ふ」 とのたまふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧仏讃[ジ]テ、言フ[コト]ヲ↦汝深ク信ジ↢仏語ヲ↡、随順シテ無シ‡↠†疑フコト、故ニ来[リ]テ迎[フト]↞汝[ヲ]。
・坐華華合
^▲七にはすでに仏讃を蒙りてすなはち見るに、 みづから*華座に坐す。 坐しをはれば、 華合することを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↧既[ニ]蒙[リ]テ↢仏0782讃ヲ↡即[チ]†見ルニ、自ラ坐ス↢華座[ニ]↡、坐シ已†レバ、華合[スルコトヲ]↥。
・入西宝池
^▲八には華すでに合しをはりて、 すなはち西方宝池のうちに入ることを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↣華既ニ合[シ]已†リテ、即[チ]入[ルコトヲ]↢西方宝池之内ニ↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)華開
^五に ▲「経於七日」 より以下は、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる時節の不同を明かす。
五[ニ]従[リ]↢「経於七日」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十門[ノ]中[ノ]到[リテ]↠彼[ニ]華開クル時節ノ不同ヲ↡。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)得益
^六に ▲「華既敷已」 より下0561 「成羅漢」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益の不同を明かす。 すなはちその四あり。
六[ニ]従[リ]↢「華既敷†已」↡下至ル↢「成羅漢[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中[ノ]華開已後[ノ]得益[ノ]不同[ヲ]↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・華開見仏
^▲一には華開けて仏を見たてまつることを明かす。
▲一ニハ明[ス]↢華開[ケ]テ見[タテマツルコトヲ]↟仏[ヲ]。
・合掌讃仏
^▲二には合掌して仏を讃ずることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢合掌[シテ]讃[ズルコトヲ]↟仏[ヲ]。
・聞法得果
^▲三には法を聞きて*初果を得ることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣聞[キテ]↠法[ヲ]得[ルコトヲ]↢於初果[ヲ]↡。
・逕時得成
^▲四には半劫を経をはりてまさに羅漢となることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧経↢半劫ヲ↡已[リテ]方ニ成ルコトヲ↦羅漢[ト]↥。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)総結
^七に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
七[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総ジテ結ス。
一 Ⅱ ⅱ b ロ (三)結示
^上来七句の不同ありといへども、 広く中品中生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]解シ↢中品中生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅱ b ハ 中下品【中品下生釈】
(一)総標
【21】^次に中品下生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 す0486なはちその七あり。
▲次ニ就キテ↢中品下生[ノ]位[ノ]中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有リ↢其[ノ]七↡。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)別釈
(Ⅰ)弁位
^一に ▲「中品下生」 より以下は、 まさしく総じて行の名を挙げて、 その位を弁定することを明かす。 すなはちこれ世善上福の凡夫人なり。
一†ニ従リ↢「中品下生」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧総ジテ挙[ゲ]テ↢行[ノ]名[ヲ]↡弁↦定スルコトヲ其[ノ]位[ヲ]↥。即[チ]是世善上福ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅱ)機法
^二に ▲「若有善男子」 より下 「行世仁慈」 に至るこのかたは、 まさしく△第五・△第六門のなかの、 簡機・受法の不同を明かす。 すなはちその四あり。
二[ニ]従[リ]↢「若有善男子」↡下至[ル]↢「行世仁慈[ニ]」↡已来タハ、▲正[シク]明[ス]↢第五・第六門[ノ]中[ノ]簡機・授法ノ不同[ヲ]↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・簡機
^▲一には簡機を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢簡機[ヲ]↡。
・孝養奉順
^▲二には▼父母に孝養し、 *六親に奉順することを明かす。 すなはち上の初福 (世福) の▲第一・▲第二の句に合す。
▲二[ニハ]明[ス]↧孝↢養[シ]父母ニ↡、奉↦順スルコトヲ六親ニ↥。即[チ]合[ス]↢上[ノ]初福[ノ]第一・第二[ノ]句ニ↡。
・性調柔善
^▲三にはこの人、 性調ほり柔善にして自他を簡ばず、 *物の苦に遭へるを見て慈敬を起すことを明かす。
~三[ニハ]明[ス]↧此[ノ]人性†調ホリ柔善ニシテ不↠簡バ↢自他ヲ↡、見[テ]↢物ノ遭ヘルヲ↟苦ニ起スコトヲ↦於慈敬ヲ↥。
・不聞仏法
^四にはまさしくこの品の人かつて仏法を見聞せず、 また*悕求することを解らず、 ただみづから孝養を行ずることを明かす、 知るべし。
~四[ニハ]正[シク]明[ス]↧此[ノ]品之人不↣曽テ見↢聞セ仏法ヲ↡、亦不↠解ラ↢悕求[スルコト]ヲ↡、但自ラ行[ズル]コトヲ↦孝養ヲ↥也、応[シ]↠知ル。△
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅲ)遇法
^三に ▲「此人命欲終時」 より下 「四十八願」 に至るこのかたは、 まさしく△第八門のなかの、 臨終に仏法に遇逢ふ時節の*分斉を明かす。
三[ニ]従[リ]↢「此人命欲終時」↡下至ル↢「四十八願[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧第八門[ノ]中[ノ]臨終ニ†遇↢逢フ仏法ニ↡時節ノ分斉ヲ↥。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅳ)得生
^四に ▲「聞此事已」 より下 「極楽世界」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 得生の益と去時の遅疾とを明かす。
四[ニ][ニ]従リ↢「聞此事已」↡下至[ル]↢「極楽世0783界ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門[ノ]中[ノ]得生之益[ト]、去時[ノ]遅疾[ト]ヲ↡也。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅴ)開不
^五に ▲「生経七日」 よりは、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華の開と不開とを異となすことを明かす。
五[ニ]従リ↢「生経七日[ト]」↡者、▲正[シク]明[ス]↢第十門[ノ]中ノ到[リテ]↠彼[ニ]華[ノ]開ト不開[トヲ]為スコトヲ↟異†ト。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅵ)得益
^六に ▲「遇観世音」 より下0562 「成羅漢」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益の不同を明かす。 すなはちその三あり。
六[ニ]従[リ]↢「遇観世音」↡下至[ル]↢「成羅漢[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中[ノ]華開已後[ノ]得益ノ不同[ヲ]↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・逕時得遇
^▲一0487には時を経て以後、 観音・大勢に遇ひたてまつることを得ることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢逕テ↠時ヲ已後、得ルコトヲ↟遇ヒタテマツルコトヲ↢観音・大勢ニ↡。
・逢聖聞法
^▲二にはすでに二聖 (観音・勢至) に逢ひたてまつりて、 妙法を聞くことを得ることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧既ニ逢ヒ[タテマツリ]テ↢二聖ニ↡、得[ルコト]ヲ↞聞[クコトヲ]↢妙法ヲ↡。
・逕時得成
^▲三には一小劫を経て以後、 はじめて羅漢を悟ることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧逕テ↢一小劫ヲ↡已後、始テ悟ルコトヲ↦羅漢ヲ↥也。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (二)(Ⅶ)総結
^七に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
七[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下ハ、▲総ジテ結ス。
一 Ⅱ ⅱ b ハ (三)結示
^上来七句の不同ありといへども、 広く中品下生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リ]ト↢七句[ノ]不同↡、広[ク]解シ↢中品下生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅱ c 結讃【中輩総讃】
【22】^¬讃¼ にいはく (礼讃)、
▲¬讃ニ¼云[ク]、
^「▼中輩は*中行中根の人なり。 一日の斎戒をもつて金蓮に処す。
父母に孝養せるを教へて回向せしめ、 ために西方快楽の因と説く。
「中輩[ハ]中行中根ノ人[ナリ] | 一日ノ斎戒†ヲモテ処ス↢金蓮ニ↡ |
孝↢養セルヲ父母ニ↡教ヘテ廻向セシ†メ | 為ニ説ク↢西方快楽[ノ]因ヲ↡ |
^仏、 声聞衆と来り取りて、 ただちに弥陀の華座の辺に到る。
百宝の華に篭りて七日を経。 三品の蓮開けて*小真を証す」 と。
仏与↢声聞衆↡来[リ]‡取[リ]テ | 直ニ到†ル↢弥陀[ノ]華座ノ辺ニ↡ |
百宝ノ華ニ篭[リ]テ経↢七日ヲ↡ | 三品†ノ蓮開[ケ]テ証ス[ト]↢小真ヲ↡」 |
一 Ⅱ ⅱ d 総結
^上来三位の不同ありといへども、 総じて中輩一門の義を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総[ジテ]解シ↢中輩一門之義[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅲ【下輩観】
a【文前料簡】
【23】^十六に下輩観の善悪二行の文前につきて、 △料簡してすなはち十一門となす。
▲十六ニ就[キ]テ↢下輩観ノ善悪二行ノ文‡前ニ↡、料簡シテ即[チ]為ス↢十一門ト↡。
・告命
^一には総じて告命を明かす。
一[ニ]者総ジテ明[ス]↢告命ヲ↡。
・弁定其位
^二にはその位を弁定す。
二[ニ]者弁↢定ス其[ノ]位[ヲ]↡。
・総挙有縁
^三には総じて有縁の生類を挙ぐ。
三[ニ]者総[ジテ]挙グ↢有縁[ノ]生類ヲ↡。
・弁定三心
^四には三心を弁定してもつて正因となす。
四[ニ]者弁↢定[シテ]三心[ヲ]↡以テ為[ス]↢正因[ト]↡。
・簡機堪不
^▽五には機の堪と不堪とを簡ぶ。
五[ニ]者簡ブ↣機ノ堪ト与[ヲ]↢不堪↡。
・受法不同
^▽六には苦楽の二法を受くる不同を明かす。
六[ニ]者明[ス]↧受クル↢苦楽[ノ]二法ヲ↡不同ヲ↥。
・時節延促
^七には修業の時節に延促異な0488ることあることを明かす。
七[ニ]者明[ス]↢修業[ノ]時節[ニ]延促有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。
・廻行願生
^八には所修の行を回して、 所求の処に向かふことを明かす。
八[ニ]者明[ス]↧†廻シテ↢所修[ノ]行[ヲ]↡向†フコトヲ↦所求[ノ]処ニ↥。
・迎接去時
^▽九には臨終の時聖来りて迎接したまふ不同と、 去時の遅疾とを明かす。
九[ニ]者明[ス]↢臨終ノ時聖来[リテ]迎接シタマフ不同0784[ト]、去時[ノ]遅疾[トヲ]↡。
・華開遅疾
^▽十にはかしこに到りて華開くる遅疾の不同を明かす。
十[ニ]者明[ス]↢到[リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。
・開後得益
^▽十一には華開以後の得益に異なることあることを明かす。
十一[ニ]者明[ス]↢華開已後[ノ]得益ニ有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。
^上来十一門の不同ありといへども、 総じて下輩の三位を料簡しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢十一門[ノ]不同↡、総[ジテ]料↢簡シ下輩[ノ]三位ヲ↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅲ b 正釈
イ 下上品【下品上生釈】
(一)総標
【24】^次0563に下品上生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその九あり。
▲次[ニ]就[キテ]↢下品上生[ノ]位[ノ]中[ニ]↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結[ス]。即[チ]有[リ]↢其[ノ]九↡。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)別釈
(Ⅰ)告命
^一に ▲「仏告阿難」 より以下は、 まさしく告命を明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢告命↡[ヲ]。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅱ)弁位
^二に ▲「下品上生者」 よりは、 まさしくその位を弁定することを明かす。 ▼すなはちこれ十悪を造る軽罪の凡夫人なり。
二[ニ]従†リハ↢「下品上生者」↡、▲正[シク]明[ス]↣弁↢定[スルコトヲ]其[ノ]位[ヲ]↡。即[チ]是造ル↢十悪ヲ↡軽罪ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅲ)簡機
^三に ▲「或有衆生」 より下 「無有慚愧」 に至るこのかたは、 まさしく△第五門のなかの、 簡機に、 一生以来の造悪の軽重の相を挙出することを明かす。 すなはちその五あり。
三[ニ]従[リ]↢「或有衆生」↡下至[ル]↢「無有慚愧[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣第五門[ノ]中[ノ]†簡機ニ、†挙↢出スルコトヲ一生已来ノ造悪[ノ]軽重之相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・総挙悪機
^▲一には総じて造悪の機を挙ぐることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣総[ジテ]挙[グル]コトヲ↢造悪之機[ヲ]↡。
・造作衆悪
^▲二には衆悪を造作することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣造↢作スルコトヲ衆悪[ヲ]↡。
・不謗大乗
^▲三には衆罪を作るといへども、 大乗において誹謗を生ぜざることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧雖モ↠作ルト↢衆罪[ヲ]↡、於[テ]↢諸[ノ]大乗[ニ]↡不ルコトヲ↞生ゼ↢誹謗ヲ↡。
・重牒悪人
^▲四にはかさねて造悪の人を*牒して、 智者の類にあらざることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧†重テ牒シテ↢造悪之人ヲ↡、非ザルコトヲ↦智者之類ニ↥也。
・造悪無愧
^▲五にはこれらの愚人衆罪を造るといへども、 総じて*愧心を生ぜざることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧此等[ノ]愚人雖[モ]↠造ルト↢衆罪[ヲ]↡、総[ジテ]不ルコトヲ↠生[ゼ]↦愧心ヲ↥。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅳ)遇法
^四に ▲「命0489欲終時」 より下 「生死之罪」 に至るこのかたは、 まさしく造悪の人等臨終に善に遇ひて法を聞くことを明かす。 すなはちその六あり。
四[ニ]従[リ]↢「命欲終時」↡下至ル↢「生死之罪[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢造悪ノ人†等臨終ニ遇ヒテ↠善ニ聞[ク]コトヲ↟法[ヲ]。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・命延不久
^▲一には命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・忽遇知識
^▲二にはたちまちに*往生の善知識に遇ふことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣忽ニ遇フコトヲ↢往生ノ善知識ニ↡。
・為讃衆経
^▲三には善人、 ために衆経を讃ずることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣善人、為ニ讃[ズルコトヲ]↢衆経[ヲ]↡。
・聞経功力
^▲四にはすでに経を聞く功力、 罪を除くこと千劫なることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢已ニ聞[ク]↠経[ヲ]功力、除[ク]コト↠罪ヲ千劫ナルコトヲ↡。
・教称名号
^▲五には智者教を転じて、 弥陀の号を称念せしむることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣智者†転ジテ↠教ヲ、称↢念セシムルコトヲ弥陀之号ヲ↡。
・称名除罪
^▲六には弥陀の名を称するをもつてのゆゑに、 罪を除くこと五百万劫なることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧以[テ]ノ↠称[スルヲ]↢弥陀[ノ]名[ヲ]↡故ニ、除[ク]コト↠罪ヲ五百万劫ナルコトヲ↥。
・料簡
【25】^▼問ひていはく、 なんがゆゑぞ、 経を聞くこと*十二部なるには、 ただ罪を除くこと千劫、 仏を称すること一声するには、 すなはち罪を除くこと五百万劫なるは、 なんの意ぞや。
▲問[ヒテ]曰[ク]、何[ガ]故[ゾ]、聞[ク]コト↠経[ヲ]十二部†ナルニハ、但除[クコト]↠罪[ヲ]千劫、称[スル]コト↠仏[ヲ]一声†スルニハ、即[チ]除[クコト]↠罪[ヲ]五百万劫ナル†者、何[ノ]意ゾ也。
^◆答へていはく、 造罪の人障重くして、 加ふるに死苦の来り逼むるをもつてす。 善人多経を説くといへども、 *餐受の心浮散す。 心散ずるによるがゆゑに、 罪を除くことやや軽し。 また仏名はこれ一なれば、 すなはちよく散を摂してもつて心を住む。 また教へて正念に名を称せしむ。 *心重きによるがゆゑに、 すなはちよく罪を除くこと多劫なり。
~答[ヘテ]曰[ク]、造罪之人障重[ク]シテ、加フルニ以[テス]↢死苦ノ来リ逼ムルヲ↡。善人雖[モ]↠説[ク]ト↢†多経ヲ↡、餐アヂハウ0785受之心浮散ス。由ルガ↢心散[ズ]ルニ↡故ニ、除[クコト]↠罪[ヲ]稍軽シ。又仏名[ハ]是一†ナレバ、即[チ]能[ク]摂シテ↠散ヲ以テ†住ム↠心[ヲ]。復教ヘテ令ム↢正念ニ称セ↟名ヲ。由[ル]ガ↢心重キニ↡故ニ、即[チ]能[ク]除[クコト]↠罪[ヲ]多劫也。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅴ)来迎
【26】^五に ▲「爾時彼仏」 より下0564 「生宝池中」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門0490のなかの、 終時の*化衆の来迎と、 去時の遅疾とを明かす。 すなはちその六あり。
五[ニ]従リ↢「爾時彼仏」↡下至ル↢「生宝池中[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門[ノ]中[ノ]†終時ノ化衆[ノ]来迎†ト、去時[ノ]遅疾[トヲ]↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・遣化来現
^▲一には行者まさしく名を称する時、 かの弥陀すなはち化衆を遣はして声に応じて来現せしめたまふことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↧行者正[シク]称[スル]↠名[ヲ]時、彼ノ弥陀即[チ]遣シテ↢化衆ヲ↡応[ジテ]↠声ニ来現[セシメタマフコトヲ]↥。
・同讃行人
^▲二には化衆すでに身現じてすなはち同じく行人を讃じたまふことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣化衆既已ニ身現ジテ即[チ]同[ジ]ク讃[ジタマフ]コトヲ↢行人[ヲ]↡。
・但述称功
^▲三には▼所聞の*化讃、 ただ称仏の功を述べて、 「われ来りてなんぢを迎ふ」 とのたまひて*聞経の事を論ぜざることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧所聞[ノ]化讃但†述ベテ↢称仏之功†ヲ↡、「我来[リテ]迎†フトノタマヒテ↠汝[ヲ]」不ルコトヲ↞論[ゼ]↢聞経之事ヲ↡。
^▼しかるに仏の願意に望むれば、 ただ勧めて正念に名を称せしむ。 往生の義、 疾きこと*雑散の業に同じからず。 この ¬経¼ (観経) および*諸部のなかのごとき、 処々に広く歎じて、 勧めて名を称せしむ。 まさに*要益となすなり、 知るべし。
▲然†ルニ†望ムレバ↢仏ノ願意ニ↡者、唯勧メテ正念[ニ]称[セ]シム↠名ヲ。往生[ノ]義‡疾キコト不↠†同ジカラ↢雑散之業ニ‡↡。如キ↢此ノ¬経¼及[ビ]諸部ノ中ノ↡、処処ニ広[ク]歎ジテ、勧メテ令ム†↠称[セ]↠名[ヲ]。将ニ為ス↢要益ト↡也、応[シ]↠知[ル]。
・光明遍室
^▲四にはすでに化衆の告げを蒙り、 およびすなはち光明の室に遍するを見ることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧既ニ蒙リ↢化衆ノ告ヲ↡、及[ビ]即[チ]見[ル]コトヲ↦光明[ノ]遍スルヲ↞室ニ。
・報命尋終
^▲五にはすでに光照を蒙りて、 *報命すなはち終ることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧既ニ蒙[リ]テ↢光照ヲ↡、報命†尋チ終ルコトヲ↥。
・乗華生池
^▲六には華に乗じ、 仏に従ひて宝池のなかに生ずることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↣乗ジ‡↠華ニ、従[ヒ]テ↠仏ニ生[ズル]コトヲ↢宝池[ノ]中[ニ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅵ)華開
^六に ▲「経七日」 より以下は、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる遅疾の不同を明かす。
六[ニ]従[リ]↢「経七日」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十門[ノ]中ノ到[リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅶ)得益
^七に ▲「当華敷時」 より下 「得入初地」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益に異なることあることを明かす。 すなはちその五あり。
七[ニ]従[リ]↢「当華敷時」↡下至[ル]↢「得入初地ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中[ノ]華開已後[ノ]得益[ニ]有[ルコトヲ]↟†異ナルコト。即[チ]有リ↢其[ノ]五↡。
・二尊放光
^▲一には観音等先づ*神光を放つことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣観音等先ヅ放ツコトヲ↢神光[ヲ]↡。
・聖赴華側
^▲二には ˆ観音等のˇ 身、 行者0491の宝華の側に赴くことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣身赴クコトヲ↢行者[ノ]宝華之側ニ↡。
・為説宿教
^▲三にはために前生所聞の教を説くことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣為ニ説[ク]コトヲ↢前生所聞之教ヲ↡。
・領解発心
^▲四には行者聞きをはりて領解し発心することを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢行者聞キ已[リ]テ領解シ発心スルコトヲ↡。
・逕時得証
^▲五には遠く多劫を経て、 *百法の位に証臨することを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧遠ク逕テ↢多劫ヲ↡、証↦臨スルコトヲ百法之位ニ↥也。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅷ)総結
^八に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
八[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総[ジテ]結ス。
一 Ⅱ ⅲ b イ (二)(Ⅸ)挙益
^九に ▲「得聞仏名」 より以下は、 かさねて行者の益を挙ぐ。 ただ念仏のみ独り往生を得るにあらず。 ▼法・僧通念するもまた去くことを得。
九[ニ]従[リ]↢「得聞仏名」↡已下[ハ]、▲重テ挙グ↢行者0786之益[ヲ]↡。非ズ↣但†念仏ノミ独リ得ルニ↢往生ヲ↡。法・僧通念†スルモ亦得↠†去クコトヲ也。
一 Ⅱ ⅲ b イ (三)結示
^上来九句の不同ありといへども、 広く下品上生を解しをはりぬ。
上来雖モ↠有[リ]ト↢九句[ノ]不同↡、広[ク]解[シ]↢下品上生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅲ b ロ 下中品【下品中生釈】
(一)総標
【27】^次0565に下品中生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその七あり。
▲次[ニ]就[キテ]↢下品中生[ノ]位[ノ]中[ニ]↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁[ジ]、後[ニ]結[ス]。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)別釈
(Ⅰ)総明告命
^一に ▲「仏告阿難」 より以下は、 総じて告命を明かす。
一[ニ]従リ↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、▲総[ジテ]明[ス]↢告命[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅱ)弁定其位
^二に ▲「下品中生者」 よりは、 まさしくその位を弁定することを明かす。 すなはちこれ破戒次罪の凡夫人なり。
二[ニ]従リ[ハ]↢「下品中生者」↡、▲正[シク]明[ス]↣弁↢定スルコトヲ其[ノ]位[ヲ]↡。即[チ]是破戒次罪ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅲ)簡機
^三に ▲「或有衆生」 より下 「応堕地獄」 に至るこのかたは、 まさしく△第五・△第六門のなかの、 簡機と造業とを明かす。 すなはちその七あり。
三[ニ]従リ↢「或有衆生」↡下至ル↢「応堕地獄ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第五・第六門[ノ]中[ノ]簡機[ト]造業[ト]ヲ↡。即[チ]有リ↢其[ノ]七↡。
・総挙悪機
^▲一には総じて造悪の機を挙ぐることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣総ジテ挙[グルコトヲ]↢造悪之機ヲ↡。
・多犯諸戒
^▲二には多く諸戒を犯すことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣多ク犯スコトヲ↢諸戒ヲ↡。
・偸盗僧物
^▲三には*僧物を*偸盗することを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣偸↢盗スルコトヲ僧物ヲ↡。
・邪命説法
^▲四には*邪命説法を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢邪命説法[ヲ]↡。
・総無愧心
^▲五には総じて愧心なきことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣総[ジテ]無[キ]コトヲ↢愧心↡。
・兼造衆罪
^▲六には衆罪を兼ね造り、 内には心に悪を発し、 外にはすなはち身口に悪をなすことを明かす。 すでに自身不善な0492れば、 また見るものみな憎む。 ゆゑに 「もろもろの悪心をもつてみづから荘厳す」 といふ。
▲六[ニハ]明[ス]↧†兼ネ↢造リ衆罪ヲ↡、内[ニ]ハ心ニ発シ↠悪ヲ、外[ニ]ハ即[チ]身口[ニ]為スコトヲ↞悪[ヲ]。既[ニ]自身不善ナレバ、又見[ル]者皆憎ム。故ニ云フ↢†諸ノ悪心ヲモテ自ラ荘厳スト↡也。
・定入地獄
^▲七にはこの罪状を験むるに、 さだめて地獄に入るべきことを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↧験ムルニ↢斯ノ罪状ヲ↡、定メテ入ルベキコトヲ↦地獄ニ↥。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅳ)善悪来迎
^四に ▲「命欲終時」 より下 「即得往生」 に至るこのかたは、 まさしく△第九門のなかの、 終時の*善悪来迎することを明かす。 すなはちその九あり。
四[ニ]従[リ]↢「命欲終時」↡下至ル↢「即得往生[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第九門[ノ]中[ノ]†終時ノ善悪来迎スルコトヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]九↡。
・命延不久
^▲一には罪人の命延久しからざることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢罪人ノ命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・獄火来現
^▲二には獄火来現することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢獄火‡来現[スルコト]ヲ↡。
・遇善知識
^▲三にはまさしく火現ずる時、 善知識に遇ふことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣正[シク]火現[ズ]ル時、遇フコトヲ↢善知識ニ↡。
・為説弥陀
^▲四には善人、 ために弥陀の功徳を説くことを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↣善人為[ニ]説[ク]コトヲ↢弥陀[ノ]功徳ヲ↡。
・除罪多劫
^▲五には▼罪人すでに弥陀の名号を聞きて、 すなはち罪を除くこと多劫なることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧罪人既[ニ]聞[キ]テ↢弥陀[ノ]名号[ヲ]↡、即[チ]除[ク]コト↠罪[ヲ]多劫[ナル]コトヲ↥。
・火変為風
^▲六にはすでに罪滅を蒙りて、 火変じて風となることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧既[ニ]蒙[リテ]↢罪滅ヲ↡、火変ジテ為ルコトヲ↞風ト。
・天華来応
^▲七には天華風に随ひて来応して、 目の前に羅列することを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↣天華随[ヒテ]↠風[ニ]来応シテ、羅↢列スルコトヲ目ノ前ニ↡。
・化衆来迎
^▲八には化衆来迎することを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↢化衆来迎スルコトヲ↡。
・去時遅疾
^▲九には去時の遅疾を明かす。
▲九[ニハ]明[ス]↢去時[ノ]遅疾トシ[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅴ)華開不同
^五に ▲「七宝池中」 より下 「六劫」 に至るこのかたは、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる時節の不同を明かす。
五[ニ]従[リ]↢「七宝池中」↡下至ル↢「六劫ニ」↡已来[タハ]、▲正0787[シク]明[ス]↢第十門[ノ]中[ノ]到[リテ]↠彼[ニ]華開[クル]時節[ノ]不同[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅵ)開後得益
^六に ▲「蓮華乃敷」 より下 「発無上道心」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益に異なることあることを明かす。 すなはちその三あり。
六[ニ]従[リ]↢「蓮華乃敷」↡下至[ル]↢「発無上道心[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中[ノ]華開已後[ノ]得益[ニ]有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・華開安慰
^▲一には華すでに0566開けをはりて、 観音等*梵声をもつて安慰することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢華既[ニ]開[ケ]已[リテ]、観音等梵声ヲモテ安慰スルコトヲ↡。
・為説妙典
^▲二にはために甚深の妙典を説0493くことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣為[ニ]説[クコトヲ]↢甚深ノ妙典ヲ↡。
・領解発心
^▲三には行者領解し、 発心することを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢行者領解シ‡発心スルコトヲ↡。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (二)(Ⅶ)総結
^七に ▲「是名」 より以下は、 総じて結す。
七[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総ジテ結ス。
一 Ⅱ ⅲ b ロ (三)結示
^上来七句の不同ありといへども、 広く下品中生を解しをはりぬ。
上来雖モ↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]解シ↢下品中生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅲ b ハ 下下品【下品下生釈】
(一)総標
【28】^次に下品下生の位のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその七あり。
▲次[ニ]就[キテ]↢下品下生[ノ]位[ノ]中[ニ]↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次ニ弁[ジ]、後[ニ]結ス。即[チ]有リ↢其ノ七↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)別釈
(Ⅰ)告命
^一に ▲「仏告阿難」 より以下は、 総じて告命を明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、▲総[ジテ]明[ス]↢告命[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅱ)弁位
^二に ▲「下品下生者」 よりは、 まさしくその位を弁定することを明かす。 すなはちこれつぶさに五逆等を造れる重罪の凡夫人なり。
二[ニ]従†リハ↢「下品下生者」↡、▲正[シク]明[ス]↣弁↢定[スルコトヲ]其[ノ]位ヲ↡。即[チ]是具ニ造レル↢五逆等ヲ↡重罪ノ凡夫人也。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅲ)簡機造悪
^三に ▲「或有衆生」 より下 「受苦無窮」 に至るこのかたは、 まさしく△第五・△第六門のなかの、 簡機と造悪の軽重の相とを明かす。 すなはちその七あり。
三[ニ]従[リ]↢「或有衆生」↡下至ル↢「受苦無窮ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第五・第六門[ノ]中[ノ]簡機†ト造悪[トノ]軽重之相[ト]ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
・明造悪機
^▲一には造悪の機を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢造悪之機[ヲ]↡。
・挙不善名
^▲二には総じて不善の名を挙ぐることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣総[ジテ]挙グルコトヲ↢不善之名ヲ↡。
・簡罪軽重
^▲三には罪の軽重を簡ぶことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↠簡ブコトヲ↢罪ノ軽重ヲ↡。
・総結衆悪
^▲四には総じて衆悪を結して、 智人の業にあらずといふことを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧†総ジテ結シテ↢衆悪ヲ↡、非†ズトイフコトヲ↦智人之業ニ↥。
・造悪既多
^▲五には悪を造ることすでに多ければ、 罪また軽きにあらざることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢造ルコト↠悪[ヲ]既[ニ]多ケレバ、罪亦非ザルコトヲ↟軽キニ。
・果報必苦
^▲六には業としてその報を受けざるはあらず、 因としてその果を受けざるはあらず。 因業すでにこれ楽にあらず、 果報いづくんぞよく苦ならざらんといふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧非ズ↢業トシテ不ル†ハ↟受ケ↢其[ノ]報ヲ↡、†非ズ↢因トシテ不ルハ↟受ケ↢其ノ果ヲ↡、因業既ニ非ズ↢是楽ニ↡、果報*烏ンゾ能[ク]不ラムトイフコトヲ↞苦ナラ也。
・酬報未窮
^▲七には造悪の因すでに具して、 *酬報の劫いまだ窮まらざることを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↢造悪之因既[ニ]具シテ、†酬報之劫未ザ ダルコトヲ↟窮ラ。
・料簡
【049429】^▼問ひていはく、 四十八願のなかの ˆ第十八願のˇ ごときは、 ▲ただ五逆と誹謗正法とを除きて、 往生を得しめず。 いまこの ¬観経¼ の下品下生のなかには、 謗法を簡びて五逆を摂せるは、 なんの意かあるや。
▲問[ヒテ]曰[ク]、如キハ↢四十八願[ノ]中ノ↡、唯除キテ↢五逆[ト]誹ソシリ謗ソシル正法トヲ↡、不↠得シメ↢往生[ヲ]↡。今此[ノ]¬観経[ノ]¼下品下生[ノ]中[ニハ]、簡ビテ↢謗法[ヲ]↡摂†セル↢五逆[ヲ]↡者、有[ル]↢何[ノ]意カ↡也。
【抑止門釈】
^◆答へていはく、 この義仰ぎて*抑止門のなかにつきて解せん。
~答[ヘテ]曰[ク]、此0788[ノ]義仰[ギ]テ就[キ]テ↢抑止門ノ中ニ↡解†セム。
・抑止門釈 ・本願
^◆四十八願のなかの ˆ第十八願のˇ ごとき、 謗法と五逆とを除くことは、 しかるにこの二業その障極重なり。 衆生もし造ればただちに*阿鼻に入り、 *歴劫周慞して出づべきに由なし。 ただ如来それ0567この二の過を造ることを恐れて、 方便して止めて 「往生を得ず」 とのたまへり。 またこれ摂せざるにはあらず。
~如[キ]↢四十八願[ノ]中ノ↡、除†クコト↢謗法ト五逆トヲ↡者、然†ルニ此‡之二業其[ノ]障†極重ナリ。衆生若[シ]造レバ直ニ入[リ]‡↢阿鼻ニ↡、†歴劫周慞 アハツ †シテ無シ↠由↠可キニ↠出[ヅ]。但如来恐レテ↣其レ造†ルコトヲ↢斯ノ二[ノ]過ヲ↡、方便シテ†止メテ言†ヘリ↠不ト↠得↢往生ヲ↡。亦不ズ↢是不ルニハ↟摂セ也。
・抑止門釈 ・今経
^◆また下品下生のなかに、 五逆を取りて謗法を除くは、 それ五逆はすでに作れり、 捨てて流転せしむべからず。 還りて大悲を発して摂取して往生せしむ。 しかるに謗法の罪はいまだ為らず。 また止めて 「もし謗法を起さば、 すなはち生ずることを得ず」 とのたまふ。 これは未造業につきて解す。 もし造らば、 還りて摂して生ずることを得しめん。
~又下品下生[ノ]中ニ、取[リ]テ↢五逆[ヲ]↡除†ク↢謗法ヲ↡者、其五逆ハ已ニ作レリ。不↠可カラ↣捨テテ令ム↢流転セ↡。還[リ]テ発シテ↢大悲ヲ↡摂取シテ往生セシム。然ルニ謗法之罪†ハ未ズ ダ↠為ラ。又†止メテ言フ↧若[シ]起†サバ↢謗法ヲ↡、即[チ]不ト↞得↠生[ズル]コトヲ。此ハ就[キ]テ↢未造業ニ↡而解ス也。若[シ]造ラバ、還リテ摂シテ得†シメム↠生[ズル]コトヲ。
^◆かしこに生ずることを得といへども、 華合して多劫を経。 これらの罪人華のうちにある時、 三種の障あり。 一には仏およびもろもろの聖衆を見ることを得ず。 二には正法を聴聞することを得ず。 三には*歴事供養することを得ず。
~雖モ↠†得ト↠生[ズル]コトヲ↠彼ニ、華合[シテ]逕↢於多劫ヲ↡。此等ノ罪人在ル↢華[ノ]内[ニ]↡時、有リ↢三種[ノ]障↡。一[ニ]者不↠得↠見[ル]コトヲ↢仏及[ビ]諸[ノ]聖衆[ヲ]↡。二[ニ]者不↠得↣聴↢聞スルコトヲ正法ヲ↡。三[ニ]者不↠得↢歴事供養スルコトヲ↡。
^◆これを除きて以外はさらにもろ0495もろの苦なし。 *経にのたまはく、 「なほ比丘の*三禅に入れる楽のごとし」 と、 知るべし。 華のなかにありて多劫開けずといへども、 阿鼻地獄のなかにして、 長時永劫にもろもろの苦痛を受くるに勝れざるべけんや。 この義抑止門につきて解しをはりぬ。
~除[キ]テ↠此[ヲ]已外[ハ]更ニ無シ↢諸ノ苦↡。¬経[ニ]¼云ク、「猶如シ[ト]↧比丘ノ入レル↢三禅ニ↡之楽ノ↥也、」応[シ]↠知[ル]。雖モ↧在[リ]テ↢華[ノ]中[ニ]↡多劫不ト↞開ケ、可ケム↠不ル↠勝レ↣阿鼻地獄之中ニシテ、長時永劫ニ受クルニ↢諸ノ苦痛ヲ↡也。此[ノ]義就キテ↢抑止門ニ↡解シ竟[リ]ヌ。△
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅳ)念仏利益
【30】^四に ▲「如此愚人」 より下 「*生死之罪」 に至るこのかたは、 まさしく法を聞き仏を念じて、 *現益を蒙ることを得ることを明かす。 すなはちその十あり。
四[ニ]従リ↢「如此愚人」↡下至ル↢「生死之罪[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢聞[キ]↠法[ヲ]念[ジテ]↠仏[ヲ]得[ル]コトヲ↟蒙ルコトヲ↢現益ヲ↡。即[チ]有リ↢其[ノ]十↡。
・重牒悪人
^▲一にはかさねて造悪の人を牒することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣重[テ]牒スルコトヲ↢造悪之人[ヲ]↡。
・命延不久
^▲二には命延久しからざることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢命延†不ルコトヲ↟久シカラ。
・遇善知識
^▲三には臨終に善知識に遇ふことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣臨終ニ遇フコトヲ↢善知識ニ↡。
・教令念仏
^▲四には善人安慰して教へて仏を念ぜしむることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢善人安慰コシラフシテ教ヘテ令ムルコトヲ↟念ゼ↠仏[ヲ]。
・死苦来逼
^▲五には罪人死苦来り逼めて、 仏名を念ずることを得るに由なきことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢罪人死苦来リ逼メテ、無[キ]コトヲ↟由↠得ルニ↠念[ズル]コト[ヲ]↢仏名ヲ↡。
【転教口称】
^▲六には善友苦しみて*失念すと知りて、 教を転じて口に弥陀の名号を称せしむることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧善友知[リ]テ↢苦[シミテ]†失念スト↡、†転ジテ↠教ヲ口ニ称[セシムル]コトヲ↦弥陀[ノ]名号[ヲ]↥。
・称名無間
^▲七には念数の多少、 声々間なきことを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↢念数ノ 多オホクモ 少、スクナクモ声声無[キコトヲ]↟間。
・除罪多劫
^▲八には罪を除くこと多劫なることを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↢除[ク]コト↠罪[ヲ]多0789劫ナルコトヲ↡。
・臨終正念
^▲九には臨終正念にしてすなはち金華来応することあることを明かす。
▲九[ニハ]明[ス]↣臨終正念[ニ]シテ即[チ]有[ル]コトヲ↢金華来応スルコト↡。
・直到極楽
^▲十には去時の遅疾、 ただちに所帰の国に到ることを明かす。
▲十[ニハ]†明[ス]↣去時ノ遅疾、直ニ到ルコトヲ↢所帰之国ニ↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅴ)華開不同
^五に ▲「於蓮華中満十二劫」 より以下は、 まさしく△第十門のなかの、 かしこに到りて華開くる遅疾の不0568同を明かす。
五[ニ]従リ↢「於蓮華中満十二劫」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十門[ノ]中ノ到[リテ]↠彼[ニ]華開[クル]遅疾[ノ]不同[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅵ)開後得益
^六0496に ▲「観音大勢」 より下 「発菩提心」 に至るこのかたは、 まさしく△第十一門のなかの、 華開以後の得益に異なることあることを明かす。 すなはちその三あり。
六[ニ]従[リ]↢「観音大勢」↡下至ル↢「発菩提心[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢第十一門[ノ]中[ノ]華開已後[ノ]得益[ニ]有[ル]コトヲ↟†異ナルコト。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・為宣妙法
^▲一には二聖 (観音・勢至)、 ために甚深の妙法を宣べたまふことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣二聖、為ニ宣†ベタマフコトヲ↢甚深[ノ]妙法[ヲ]↡。
・除罪歓喜
^▲二には罪を除きて歓喜することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢除キ[テ]↠罪[ヲ]歓喜スルコトヲ↡。
・後発勝心
^▲三には後に*勝心を発すことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣後ニ発スコトヲ↢勝心[ヲ]↡。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (二)(Ⅶ)総結
^七に 「▲是名」 より以下は、 総じて結す。
七[ニ]従[リ]↢「是名」↡已下[ハ]、▲総[ジテ]結[ス]。
一 Ⅱ ⅲ b ハ (三)結示
^上来七句の不同ありといへども、 広く下品下生を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]解シ↢下品下生[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅱ ⅲ c 結讃【下輩総讃】
【31】^¬讃¼ にいはく (礼讃)、
▲¬讃ニ¼云ク、
^「▼下輩は*下行下根の人なり。 十悪・五逆等の貪瞋と、
四重と*偸僧と*謗正法と、 いまだかつて慚愧して前のを悔いず。
「下輩[ハ]下行下根[ノ]人[ナリ] | 十悪・五逆等ノ貪瞋[ト] |
|
四重ト偸僧ト謗正法ト | 未ズ ダ↣曽テ慚愧シテ悔イ↢前ノツミヲ↡ |
^終時に苦相、 雲のごとくに集まり、 地獄の猛火罪人の前にあり。
たちまちに往生の善知識の、 急に勧めてもつぱらかの仏の名を称せしむるに遇ふ。
†終時ニ苦‡相如クニ↠雲ノ集†リ | 地獄ノ猛火罪人ノ前ニアリ |
忽ニ†遇フ↣往生ノ善知識ノ | 急ニ勧メテ専ラ称セシムルニ↢彼[ノ]仏ノ名ヲ↡ |
^化仏・菩薩声を尋ねて到りたまふ。 一念心を傾くれば宝蓮に入る。
*三華障重くして多劫に開く。 時にはじめて菩提の因を発す」 と。
化仏・菩薩尋ネテ↠声ヲ到リタマフ | 一念傾クレバ↠心[ヲ]入ル↢宝蓮[ニ]↡ |
三華障重[ク]シテ開ク↢多劫ニ↡ | 于↠時始テ発ス[ト]↢菩提[ノ]因ヲ↡」 |
一 Ⅱ ⅲ d 総結
^上来三位の不同ありといへども、 総じて下輩一門の義を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢三位[ノ]不同↡、総ジテ解シ↢下輩一門之義[ヲ]↡竟[リヌ]。
一 Ⅲ 並結二善
【049732】^前には十三観を明かしてもつて 「定善」 となす。 すなはちこれ*韋提の致請にして、 如来 (釈尊) すでに答へたまふ。 後には三福・九品を明かして、 名づけて 「散善」 となす。 これ仏 (釈尊) の自説なり。 定散両門ありて異なることありといへども、 総じて正宗分を解しをはりぬ。
▲前ニハ明シテ↢十三観ヲ↡以[テ]為[ス]↢定善[ト]↡。即[チ]是韋提[ノ]†致請ニシテ、如来已ニ答ヘタマフ。後ニハ明シテ↢三福・九品[ヲ]↡、名[ケ]テ為[ス]↢散善[ト]↡。是仏ノ自説ナリ。†雖モ↧有リテ↢定散両門↡有リト↞異ナルコト、総ジテ解シ↢正宗分[ヲ]↡竟[リヌ]。
二【得益分】
Ⅰ 総標
Ⅱ 別釈
ⅰ 標数
【33】^三に△得益分のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁ず。 すなはちその七あり。
▲三[ニ]就[キ]テ↢得益分[ノ]中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次[ニ]弁ズ。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
二 Ⅱ ⅱ 随釈
a 牒前文
^初めに 「▲説是語」 といふは、 まさしく総じて前の文を牒して後の得益の相を生ずることを明かす。
初ニ言フ↢「説是語ト」↡者、▲正[シク]明[ス]↧総0790ジテ牒タヽムシテ↢前ノ文ヲ↡生[ズル]コトヲ↦後ノ得益之相ヲ↥。
二 Ⅱ ⅱ b 明能聞人
^二に ▲「韋提」 より以下は、 まさしくよく法を聞く人を明かす。
二[ニ]従[リ]↢「韋提」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢能[ク]聞ク↠法[ヲ]人ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ c 光台見土
^三に ▲「応時即見極楽」 より以下は、 まさしく夫人等▲上の光台のなかにおいて極楽の相を見ることを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「応時即見極楽」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧夫人等‡於テ↢上ノ光台[ノ]中ニ↡見[ル]コトヲ↦極楽之相ヲ↥。
二 Ⅱ ⅱ d 七観得益
^四0569に ▲「得見仏身及二菩薩」 より以下は、 まさしく夫人▲第七観 (華座観) の初めにおいて無量寿仏を見たてまつりし時、 すなはち*無生の益を得ることを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「得見仏身及二菩薩」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧夫人於テ↢第七観ノ初ニ↡見タテマツリシ↢無量寿仏ヲ↡時、即[チ]得ルコトヲ↦無生之益ヲ↥。
二 Ⅱ ⅱ e 侍女発心
^五に ▲「侍女」 より以下は、 まさしくこの勝相を覩て、 おのおの*無上の心を発して浄土に生ぜんと求むることを明かす。
五[ニ]従[リ]↢「侍女」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧覩テ↢斯ノ勝相ヲ↡、各ノ発シテ↢無上之心ヲ↡求ムルコトヲ↞†生ゼムト↢浄土ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ f 蒙記獲定
^六に ▲「世尊悉記」 より以下は、 まさしく侍女*尊記を蒙ることを得て、 みなかの国に生じてすなはち現前三昧を獲ることを明かす。
六[ニ]従[リ]↢「世尊悉記」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧侍女得テ↠蒙[ル]コトヲ↢尊記ヲ↡、皆†生ジテ↢彼[ノ]国ニ↡即[チ]†獲ルコトヲ↦現前三昧ヲ↥。
二 Ⅱ ⅱ g 諸天発心
イ 総標
^七に ▲「無量諸天」 より以下は、 まさしく▲前の*厭苦の縁のなかに、 *釈・梵・*護世の諸天等、 仏 (釈尊) に従ひ0498て王宮にして空に臨みて法を聴くことを明かす。
七[ニ]従[リ]↢「無量諸天」↡已下[ハ]、▲正[シク]†明[ス]↢前ノ厭苦ノ縁ノ中ニ、釈・梵・護世ノ諸天等‡、従[ヒ]テ↠仏[ニ]王宮ニシテ臨ミテ↠†空ニ聴クコトヲ↟法ヲ。
二 Ⅱ ⅱ g ロ 別釈
(一)挙例見聞
^あるいは釈迦*毫光の転変を見、 あるいは弥陀金色の霊儀を見、 あるいは九品往生の殊異を聞き、 あるいは*定散両門ともに摂することを聞き、 あるいは善悪の行斉しく帰することを聞き、 あるいは西方浄土、 目に対して遠きにあらざることを聞き、 あるいは一生専精に志を決すれば永く生死と流を分つことを聞く。
~或[イ]ハ見↢釈迦‡毫光ノ転変ヲ↡、或[イ]ハ見↢弥陀金色ノ霊儀ヲ↡、或[イハ]聞キ↢九品往生ノ殊異ヲ↡、或[イハ]聞キ↢定散両門倶ニ摂スルコトヲ↡、或[イハ]聞キ↢善悪之行斉シク帰スルコトヲ↡、或[イハ]聞キ↢西方浄土対シテ↠目ニ非ザルコトヲ↟遠キニ、或[イハ]聞ク↧一生専精ニ†決スレバ↠志ヲ永ク与↢生死↡分ツコトヲ↞流ヲ。
二 Ⅱ ⅱ g ロ (二)結示得益
^これらの諸天すでに如来 (釈尊) の広く*希奇の益を説きたまふを聞きて、 おのおの無上の心を発す。 これすなはち仏はこれ聖中の極なり。 語を発したまへば経となり、 *凡惑の類*餐を蒙る。 よくこれを聞くものをして益を獲しむ。
~此等ノ諸天既[ニ]聞キ[テ]↣如来ノ広ク説[キ]タマフヲ↢希奇之益ヲ↡、各[ノ]発ス↢無上之心ヲ↡。斯乃[チ]仏ハ是聖中之極ナリ。発†シタマヘバ↠語ヲ†成リ↠経ト、凡惑之類蒙†ル↠餐ヲ。能[ク]使ム↢聞†クモノヲシテ↠之ヲ獲↟益ヲ。△
二 Ⅲ 結示
^上来七句の不同ありといへども、 広く得益分を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広ク解シ↢得益分[ヲ]↡竟[リヌ]。
三【流通分】
Ⅰ 弁二分開合
【34】^四に次に▲流通分を明かす。 なかに二あり。 一には*王宮の流通を明かす。 二には*耆闍の流通を明かす。
▲四[ニ]次[ニ]明†ス↢流通分[ヲ]↡。於テ↠中[ニ]有[リ]↠二。一[ニハ]明†ス↢王宮[ノ]流通ヲ↡。二[ニハ]明ス↢耆闍[ノ]流通ヲ↡。
三 Ⅱ 約開釈文
^いま先づ王宮の流通分のなかにつきてすなはちその七あり。
▲今先ヅ就キテ↢王宮[ノ]流通分ノ中ニ↡、即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
三 Ⅱ ⅰ 請発由
^一に ▲「爾時阿難」 より以下は、 まさしく請発の由を明かす。
▲一[ニ]従[リ]↢「爾時阿難」↡已下[ハ]、正[シク]明[ス]↢請発之0791†由ヲ↡。
三 Ⅱ ⅱ 経名得益
^二に ▲「仏告阿難」 より以下は、 まさしく如来*依正を双べ標し、 もつて経の名を立て、 またよく経によりて行を起せば、 三障の雲おのづから巻くことを明かして、 前の初めの問の 「▲云何名此経」 の一句に答ふ。
▲二[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、正[シク]明[シテ]↧如来[ノ]†双ベ↢標シ依正[ヲ]↡、以テ立テ↢経ノ名ヲ↡、又能[ク]依[リ]テ↠経[ニ]起セバ↠行ヲ、三障之雲自ラ巻クコトヲ↥、答[フ]↢前ノ初ノ†問ノ「云何名此経ノ」一句†ニ↡。
三 Ⅱ ⅲ 答前後問
^三に ▲「汝0570当受持」 より以下は、 前の0499後の問の 「▲云何受持」 の一句に答ふ。
▲三[ニ]従[リ]↢「汝当受持」↡已下[ハ]、答[フ]↢前ノ後ノ問ノ「云何受持[ノ]」一句†ニ↡。
三 Ⅱ ⅳ 比挍顕勝
^四に ▲「行此三昧者」 より下 「何況憶念」 に至るこのかたは、 まさしく*比校*顕勝して、 人を勧めて奉行せしむることを明かす。 すなはちその四あり。
▲四[ニ]従[リ]↢「行此三昧者」↡下至[ル]↢「何況憶念ニ」↡已来[タハ]、正[シク]明[ス]↢比校‡†顕勝シテ、勧メテ↠人ヲ奉行†セシムルコトヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・標定善
^▲一には総じて定善を標してもつて三昧の名を立つることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↧総[ジテ]標シテ↢定善[ヲ]↡以テ立ツルコトヲ↦三昧之名ヲ↥。
・見三身
^▲二には観によりて修行して、 すなはち三身を見る益を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧依[リ]テ↠観[ニ]修行シテ、即[チ]見ル↢三身ヲ↡之益ヲ↥。
・能行機
^▲三にはかさねてよく教を行ずる機を拳ぐることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣重テ†挙グルコトヲ↢能[ク]行ズル↠教ヲ之機ヲ↡。
・勧帰依
^▲四にはまさしく比校顕勝して、 ただ三身の号を聞くすらなほ多劫の*罪を滅す、 いかにいはんや正念に帰依して証を獲ざらんやといふことを明かす。
▲四[ニハ]正[シク]†明ス↧比校顕勝シテ、但聞クスラ↢三身之号ヲ↡尚滅ス↢多劫[ノ]罪トガヲ↡、何ニ況ヤ正念[ニ]帰依シテ而不ラムヤトイフコトヲ↞獲↠証ヲ也。
三 Ⅱ ⅴ 念仏超絶
^五に ▲「若念仏者」 より下 「生諸仏家」 に至るこのかたは、 まさしく▼念仏三昧の*功能超絶して、 実に*雑善をもつて比類となすことを得るにあらざることを顕す。 すなはちその五あり。
五[ニ]従[リ]↢「若念仏者」↡下至[ル]↢「生諸仏家ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]顕ス↣念仏三昧ノ功能超絶シテ、実ニ非ザルコトヲ↢雑善ヲ[モテ]得ルニ↟†為スコトヲ↢比類ト↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・専念弥陀
^▲一にはもつぱら弥陀仏の名を念ずることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣専[ラ]念[ズルコトヲ]↢弥陀仏[ノ]名[ヲ]↡。
・讃能念人
^▲二には能念の人を指讃することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣†指↢讃スルコトヲ能念之人ヲ↡。
・喩分陀利
^▲三にはもしよく相続して念仏するものは、 この人はなはだ*希有なりとなす、 さらに物としてもつてこれに方ぶべきなし。 ゆゑに*分陀利を引きて喩へとなすことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧若[シ]能[ク]相続シテ†念仏スル者ハ、此[ノ]人‡甚ダ為ス↢希有ナリト↡、更[ニ]無シ↣物トシテ可キ↢以テ方ブ↟之ニ、故ニ引キテ↢分陀利ヲ↡†為スコトヲ↞喩ト。
・喩分陀利 【五種嘉誉】
^▼「分陀利」 といふは、 人中の好華と名づけ、 また希有華と名づけ、 また人中の上上華と名づけ、 また人中の妙好華と名づく。 この華相伝して*蔡華と名づくるこれなり。 ▼もし念仏するものは、 すなは0500ちこれ▼人中の好人なり、 人中の妙好人なり、 人中の上上人なり、 人中の希有人なり、 人中の最勝人なり。
▲言[フ]↢「分陀利[ト]」↡者、名†ケ↢人中[ノ]好華ト↡、亦‡名†ケ↢希有華ト↡、亦名[ケ]↢人中[ノ]上上華ト↡、亦名[ク]↢人中[ノ]妙好華[ト]↡。此ノ華相伝シテ名[クル]↢蔡アラヒ華トシキミ↡是[ナリ]。若[シ]†念仏スル者ハ、即[チ]是人中[ノ]好人ナリ、人中[ノ]妙好人ナリ、人中[ノ]上上人ナリ、人中[ノ]希有人ナリ、人中[ノ]最勝人也。
・二尊常随
^▲四には▼もつぱら弥陀の名を念ずるものは、 すなはち観音・勢至つねに随ひて*影護したまふこと、 また親友*知識のごとくなることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧専ラ念[ズ]ル↢弥陀[ノ]名ヲ↡者ハ、即[チ]観音・勢至常ニ随ヒ[テ]影護シタマフコト、亦如クナルコトヲ↦親友知識ノ↥也。
・当益
^▲五には今生にすでにこの益を蒙りて、 捨命してすなはち*諸仏の家に入ることを明かす。 すなはち浄土これなり。 かしこに到りて、 長時に法を聞き、 歴事供養して、 *因円かに果満ず。 道場の座、 あにはるかならんや。
▲五[ニハ]明[ス]↧今生ニ既ニ蒙†リテ↢此ノ益ヲ↡、†捨命シテ即0792[チ]入[ル]コトヲ↦諸仏之家ニ↥。即[チ]浄土是也。到[リ]テ↠彼[ニ]、長時ニ聞キ↠法[ヲ]、歴事供養シテ、因円[カ]ニ果満ズ。道場之座、豈賖ナラムヤ。
三 Ⅱ ⅵ 付属流通【付属釈】
^六に ▲「仏告阿難汝好持是語」 より以下は、 まさしく弥陀0571の名号を付属して、 *遐代に流通せしめたまふことを明かす。 ▼上来定散両門の益を説くといへども、 ▼*仏の本願に望むるに、 意、 衆生をして▼一向にもつぱら弥陀仏の名を称せしむるにあり。
六[ニ]従[リ]↢「仏告阿難汝好持是語」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧付↢属シテ弥陀[ノ]名号[ヲ]↡、流↦通†セシメタマフコトヲ於遐代[ニ]↥。上来雖[モ]↠説[ク]ト↢定散両門之益[ヲ]↡、望†ムルニ↢仏[ノ]†本願ニ↡、意在リ↣衆生ヲシテ一向ニ専[ラ]称セシムルニ↢弥陀仏[ノ]名[ヲ]↡。
三 Ⅱ ⅶ 遇餐意躍
^七に ▲「仏説此語時」 より以下は、 まさしく*能請・能伝等の、 いまだ聞かざるところを聞き、 いまだ見ざるところを見、 たまたま甘露を餐して、 *喜躍してもつてみづから勝ふることなきことを明かす。
七[ニ]従[リ]↢「仏説此語時」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧能請能伝等[ノ]、聞キ↠所ヲ↠未ザ ダル↠聞カ、見‡↠所ヲ↠未ザ ダル↠見、†遇マ餐シテ↢甘露ヲ↡、憙オドロキ躍オドルシテ無[キ]コトヲ↦以テ自ラ†勝フルコト↥也。
三 Ⅲ 結王宮流通分
^上来七句の不同ありといへども、 広く王宮の流通分を解しをはりぬ。
~上来雖[モ]↠有[リト]↢七句[ノ]不同↡、広[ク]解[シ]↢王宮[ノ]流通分[ヲ]↡竟[リヌ]。
四 耆闍分【耆闍会】
【35】^五に△*耆闍会のなかにつきて、 またその三あり。
▲五[ニ]就[キテ]↢耆闍会ノ中ニ↡、亦有[リ]↢其[ノ]三↡。
四 Ⅰ 序分
^一に ▲「爾時世尊」 より以下は、 耆闍の序分を明かす。
一[ニ]従[リ]↢「爾時世尊」↡已下[ハ]、▲明[ス]↢耆闍[ノ]序分[ヲ]↡。
四 Ⅱ 正宗分
^二に ▲「爾時阿難」 より以下は、 耆闍の正宗分を明0501かす。
二[ニ]従[リ]↢「爾時阿難」↡已下[ハ]、▲明[ス]↢耆闍[ノ]正宗分[ヲ]↡。
四 Ⅲ 流通分
^三に ▲「無量諸天」 より以下は、 耆闍の流通分を明かす。
三[ニ]従[リ]↢「無量諸天」↡已下[ハ]、▲明[ス]↢耆闍[ノ]流通分[ヲ]↡。
^上来三義の不同ありといへども、 総じて耆闍分を明かしをはりぬ。
~上来雖[モ]↠有[リト]↢三義[ノ]不同↡、総[ジテ]明シ↢耆闍分[ヲ]↡竟[リヌ]。
○結科【総結】
・序分
【36】^△初めに ▲「如是我聞」 より下 「云何見極楽世界」▲ に至るこのかたは、 序分を明かす。
▲初[ニ]従[リ]↢「如是我聞」↡下至[ル]↢「云何見極楽世界[ニ]」↡已来[タハ]、明[ス]↢序分[ヲ]↡。
・正宗分
^二に▲日観より下下品下生▲に至るこのかたは、 正宗分を明かす。
~二[ニ]従[リ]↢日観↡下至[ル]↢下品下生[ニ]↡已来[タハ]、明[ス]↢正宗分[ヲ]↡。
・得益分
^三に ▲「説是語時」 より下 「諸天発心」▲ に至るこのかたは、 得益分を明かす。
~三[ニ]従[リ]↢「説是語時」↡下至[ル]↢「諸天発心[ニ]」↡已来[タハ]、明[ス]↢得益分[ヲ]↡。
・流通分
^四に ▲「爾時阿難」 より下 「韋提等歓喜」▲ に至るこのかたは、 王宮の流通分を明かす。
~四[ニ]従[リ]↢「爾時阿難」↡下至[ル]↢韋提等歓喜[ニ]↡已来[タハ]、明[ス]↢王宮[ノ]流通分[ヲ]↡。
・耆闍分
^五に ▲「爾時世尊」 より下 「作礼而退」▲ に至るこのかたは、 総じて耆闍分を明かす。
~五[ニ]従[リ]↢「爾時世尊」↡下至[ル]↢「作礼而退ニ」↡已来[タハ]、総ジテ明[ス]↢耆闍分[ヲ]↡。
^上来五分の不同ありといへども、 総じて ¬観経¼ 一部の文義を解しをはりぬ。
~上来*雖[モ]↠有[リト]↢五分[ノ]不同↡、総ジテ解シ↢¬観経¼一部ノ文義[ヲ]↡竟[リヌ]。△
○【結嘆】
【37】^ひそかにおもんみれば、 ▼真宗遇ひがたく、 ▼浄土の要逢ひがたし。
▲窃0793ニ以レバ、真宗叵ク↠†遇ヒ、浄土之要難シ↠逢ヒ。
^ˆ釈尊はˇ *五趣をして斉しく生ぜしめんと欲す。 ここをもつて勧めて後代に聞かしむ。 ただ如来の*神力*転変無方なり。 *隠顕機に随ひて王宮にひそかに化す。 ここにおいて耆闍の聖衆、 小智0572疑を懐く。 仏 (釈尊)、 後に山 (*耆闍崛山) に還りたまふに、 委況を闚はず。
~欲ス↠使メムト↢五趣ヲシテ斉シク†生ゼ↡。是ヲ以テ勧メテ聞カシム↢於後代ニ↡。但‡如来ノ神力転変無方ナリ。隠顕随[ヒ]テ↠機ニ王宮ニ密ニ化ス。†於テ↠是ニ耆闍ノ聖衆、小智懐ク↠疑ヲ。仏後ニ還リタマフニ↠山ニ、弗↠†闚ハ↢委況クワシカラズヲ↡。
^時に阿難、 ために王宮の化、 定散両門を宣ぶ。 異衆これによりて同じく聞きて、 奉行して頂戴せざるはなし。
~†於テ↠時ニ阿難、為ニ宣ブ↢王宮之化、定散両門ヲ↡。異衆因[リ]テ↠此ニ同[ジ]ク聞[キ]テ、莫シ↠†不ルハ↢奉行シテウケタマハリ而頂イタヾキ戴セ↡イタヾク。△
◎後序【後跋】
【050238】^▼敬ひて一切有縁の*知識等にまうす。 ▲余はすでにこれ生死の凡夫なり。 智慧浅短なり。 しかるに仏教*幽微なれば、 あへてたやすく異解を生ぜず。 つひにすなはち心を標し願を結して、 *霊験を請求す。 まさに心を造すべし。*尽虚空遍法界の一切の三宝、 釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・観音・勢至、 かの土のもろもろの菩薩大海衆および一切の荘厳相等に南無し帰命したてまつる。
▲敬[ヒ]テ白ス↢一切有縁ノ知識等ニ↡。餘[ハ]既ニ是生死ノ凡夫ナリ。智慧浅短ナリ。然ルニ仏教幽微ミ †ナレバ、不↣敢テ輒ク生ゼ↢異解ヲ↡。遂ニ即[チ]標†シ↠心ヲ結シテ↠願ヲ、請↢求†ス霊験ヲ↡。方ニ可シ↠†造ス↠心ヲ。†南↢無シ帰↣命シタテマツル尽虚空遍法界[ノ]一切[ノ]三宝、釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・観音・勢至、彼[ノ]土ノ諸[ノ]菩薩大海衆及[ビ]一切ノ荘厳相等ニ↡。
^▼某、 いまこの ¬観経¼ の要義を出して、 *古今を楷定せんと欲す。 もし三世の諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等の大悲の願意に称はば、 願はくは夢のうちにおいて、 上の所願のごとき一切の境界の諸相を見ることを得しめたまへ。 仏像の前において願を結しをはりて、 *日別に ¬阿弥陀経¼ を誦すること三遍、 阿弥陀仏を念ずること三万遍、 心を至して発願す。
~某今†欲ス↧出シテ↢此ノ¬観経ノ¼要義ヲ↡、楷↦定 アキラメ セムト古今ヲ↥。若シ称†ハバ↢三世[ノ]諸仏・釈迦仏・阿弥陀仏等[ノ]大悲[ノ]願意ニ↡者、願[ク]ハ†於テ↢夢ノ中ニ↡、得†シメタマヘ↠見[ル]コトヲ↧如キ↢上ノ所願ノ↡一切ノ境界[ノ]諸相ヲ↥。†於テ↢仏像ノ前ニ↡†結シ↠願ヲ已†リテ、日別ニ†誦スルコト↢¬阿弥陀経ヲ¼↡三*遍、†念ズルコト↢阿弥陀仏ヲ↡三万*遍、至シ[テ]↠心†ヲ発願ス。
^◆すなはち当夜において西方の空中に、 上のごとき諸相の境界ことごとくみな顕現するを見る。 雑色の宝山百重千重なり。 種々の光明、 下、 地を照らすに、 地、 金色のごとし。 なかに諸仏・菩薩ましまして、 あるいは坐し、 あるいは立し、 あるいは語し、 あるいは黙す。 あるいは身手を動じ、 あるいは住して動ぜざるものあり。 すでにこの相を見て、 合掌して立ちて観ず。 やや久しくしてすなはち覚めぬ。 覚めをはりて*欣喜に勝へず。
~即[チ]於テ↢当夜ニ↡、†見ル↢西方ノ空中ニ、如キ‡↠上ノ諸相[ノ]境界悉ク皆顕現スルヲ↡。雑色ノ宝山百重千重ナリ。種種[ノ]光明、下、照スニ↢於地ヲ↡、地如シ↢金色ノ↡。中[ニ]有[シ]テ↢諸仏・菩薩↡、或[イハ]坐シ或[イハ]立シ、或[イハ]語シ或[イハ]黙ス。或[イハ]動ジ↢身手ヲ↡、或[イハ]住シテ不ル↠動ゼ者アリ。既[ニ]見[テ]↢此[ノ]相[ヲ]↡合掌シテ立[チ]テ†観ズ。量久シクシテ乃チ覚メヌ。覚メ已[リ]テ不↠勝ヘ↢欣喜ニ↡。
^◆すなはち ˆこ0503の観経のˇ *義門を条録す。 これより以後、 毎夜の夢のうちにつねに一の僧ありて、 来りて*玄義の科文を指授す。 すでに了りて、 さらにまた見えず。
~†於ニ即チ条↢録ス義門0794ヲ↡。自リ↠此已後、毎夜[ノ]夢ノ中ニ常ニ有[リ]テ↢†一ノ僧↡而来[リ]テ指↢授ス*†玄義ノ科文ヲ↡。既ニ了†リテ、更ニ不↢復見エ↡†。
^◆後の時に*脱本しをはりて、 またさらに心を至して七日を要期して、 日別に ¬阿弥陀経¼ を誦すること十遍、 阿0573弥陀仏を念ずること三万遍、 *初夜・後夜にかの仏の国土の荘厳等の相を観想して、 誠心に帰命することもつぱら上の法のごとくす。
~後ノ時ニ†脱本シ竟已リテ、復更ニ至シ[テ]↠心ヲ要↢期シテ七日ヲ↡、日別ニ誦スルコト↢¬阿弥陀経[ヲ]¼↡十*遍、念[ズル]コト↢阿弥陀仏[ヲ]↡三万*遍、初夜・後夜ニ観↢想シ[テ]彼[ノ]仏[ノ]国土ノ荘厳等ノ相[ヲ]↡、†誠心ニ帰命スルコト一ラ如クス↢上ノ法ノ↡。
^◆当夜にすなはち見らく、 *三具の磑輪、 道の辺に独り転ず。 たちまちに一人ありて、 白き駱駝に乗りて前に来りて見えて勧む。 「師まさにつとめて決定して往生すべし、 退転をなすことなかれ。 この界は穢悪にして苦多し。 労しく*貪楽せざれ」 と。 答へていはく、 「大きに賢者の*好心の視誨を蒙れり。 某、 畢命を期となして、 あへて*懈慢の心を生ぜず」 と。 云々
~当夜†ニ即[チ]見ラク、三具ノ磑輪、道ノ辺[ニ]独リ転ズ。忽ニ有[リ]テ↢一人↡、乗[リ]テ↢白キ駱駝ニロダトイフ↡来[リ]テ↠前ニ†見エテ勧ム‡。師当ベ ニシ↢†努力テ決定シテ往生ス↡、莫レ↠作スコト↢退転ヲ↡。此ノ界ハ穢悪ニシテ多シ↠苦。不レ[ト]↢労シク貪楽セ↡。答[ヘ]テ言ク、大ニ蒙†レリ↢賢者ノ好心ノ視誨ヲ↡。某畢命ヲ為シテ↠期ト、†不ト↣敢テ生ゼ↢於懈慢之心ヲ↡。云云
^▲第二夜に見らく、 阿弥陀仏の身は真金色にして、 七宝樹の下、 金蓮華の上にましまして坐したまへり。 十僧囲繞して、 またおのおの一の宝樹の下に坐せり。 仏樹の上にすなはち天衣ありて、 挂り繞れり。 面を正しくし西に向かへて、 合掌して坐して観ず。
~第二夜ニ見ラク、阿弥陀仏ノ身[ハ]真金‡色ニシテ、在シテ↢七宝‡樹ノ下‡、金蓮華[ノ]上[ニ]↡坐シタマヘリ。十僧囲遶シテ、亦各[ノ]坐セリ↢一ノ宝樹[ノ]下ニ↡。仏樹ノ上ニ‡乃[チ]有[リ]テ↢天衣↡、挂リ繞レリ。正シクシ↠面ヲ向[ヘ]テ↠西ニ、合掌シテ坐シテ観ズ。
^◆第三夜に見らく、 両の*幢杆きはめて大きに高く顕れて、 幡懸りて五色なり。 道路縦横にして、 人観ること礙なし。
~第三夜ニ見ラク、両ノ幢杆極メテ大ニ高ク顕レテ、幡懸[リ]テ五色ナリ。道路縦横ニシテ、人観ルコト無シ↠礙。
^◆すでにこの相を得をはりて、 すなはち休止して七日に至ら0504ず。
~既ニ得↢此ノ相ヲ↡已[リ]テ、即便[チ]休止シテ不↠至ラ↢七日[ニ]↡。
^◆上来のあらゆる*霊相は、 本心、 物のためにして己身のためにせず。 すでにこの相を蒙れり。 あへて*隠蔵せず、 *つつしみてもつて義の後に申べ呈して、 聞くことを末代に被らしむ。 願はくは*含霊のこれを聞くものをして信を生ぜしめ、 *有識の覩るものをして西に帰せしめん。
~上来[ノ]†所有ル霊相者、本心為[ニ]シテ↠物ノ不↠為ニセ↢己身ノ↡。既[ニ]蒙レリ↢此[ノ]相ヲ↡。不↢敢テ隠蔵セ↡、謹ミテ以テ†申ベ↢呈シテ義ノ後ニ↡、被ラシム↢聞クコトヲ於*末代ニ↡。願[ク]ハ†使メム↢含霊ノ聞クモノヲシテ↠之ヲ生ゼシメ↠信ヲ、有識[ノ]覩ル者ヲシテ西ニ帰セ↡。
^◆この功徳をもつて衆生に*回施す。 ことごとく菩提心を発して、 慈心をもつてあひ向かひ、 仏眼をもつてあひ看、 菩提まで眷属として真の善知識となりて、 同じく浄国に帰し、 ともに仏道を成ぜん。
~以テ↢此ノ功徳ヲ↡廻↢施ス衆生ニ↡。悉ク発シテ↢菩提心ヲ↡、慈心[ヲ]モテ相向ヒ、仏眼ヲモテ相看、菩提マデ眷属トシテ作リ[テ]↢真ノ善知識ト↡、同[ジ]ク帰シ‡↢浄国ニ↡、共ニ†成ゼム↢仏道ヲ↡。
^◆この義すでに証を請ひて定めをはりぬ。 ▼一句一字加減すべからず。 写さんと欲するものは、 もつぱら経法のごとくすべし、 知るべし。
~此ノ義已ニ請ヒテ↠証ヲ定メ竟[リ]ヌ。一句一字不↠可カラ↢加減ス↡。†欲スル↠写サムト者ハ、一ラ如クスベシ↢経法ノ↡、応[シ]↠知[ル]。△
観0574経正宗分散善義 巻第四
延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
仁義礼智信 儒教に説く五種の倫理徳目。
五常のこと。
具受不具受 五戒のすべてを受けることと、 その一部分を受けること。
具持不具持 戒のすべてをたもつことと、 その一部分をたもつこと。
この義… 十一門の義は、 九品それぞれの文についてみると、 すべてそろっているものと、 そろっていないものとがあるということ。
隠顕 文の表に顕れたものと裏に隠れたもの。 善導大師の隠顕は、 ともに真実の説意で、 親鸞聖人が 「化身土文類」 でいわれるような真仮 (真実・方便) を分別する意味ではない。
先づ挙げ… まず九品各位の名を挙げ、 次にその相を述べ、 終りに文を結ぶ。善導大師は九品のすべてにこの三科があるとする。
有生の類 往生を得る機類。
発心 至誠心・深心・回向発願心の三心をおこすこと。
かならず…得ざれ 親鸞聖人は 「かならず真実心のうちになしたまへるを須ゐんことを明かさんと欲ふ。外に賢善精進の相を現ずることを得ざれ、 内に虚仮を懐いて」 (信文類訓) と読まれた。
貪瞋邪偽奸詐百端 むさぼり、 いかり、 よこしまな心、 いつわりの心が無数にあり、 絶えず起ること。
走り 親鸞聖人は 「走め」 (信文類訓) と読まれた。
おほよそ…真実なるに 親鸞聖人は 「おほよそ施したまふところ趣求をなす。 またみな真実なり」 (信文類訓) と読み、 如来の回施された真実をもちい (受領し) て、 浄土を趣求 (願生) するという意味に転じられた。
施為趣求 衆生に施しを行う利他 (施為) と、 さとりを求める自利 (趣求) のこと。
不善の…捨つべし 親鸞聖人は 「不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるを須ゐよ」 (信文類訓) と読まれた。
またもし善の…名づく 親鸞聖人は 「またもし善の三業を起さば、 かならず真実心のうちになしたまへるを須ゐて、 内外明闇を簡ばず、 みな真実を須ゐるがゆゑに至誠心と名づく」 (信文類訓) と読まれた。
如是如是 そのとおりそのとおり。
専注奉行 心を専一にして行 (念仏) を修すること。
不相応の教 仏の意にかなわない教え。
処別 場所が異なっていること。
対機別 教えの対象となる人の資質や能力が異なっていること。
機に備ふ 教えの対象となる人の資質や能力にあわせる。
地前の菩薩 初地の位以前の菩薩。 菩薩五十二位の修道階位のうち
十地の階位以前の
十信・
十住・
十行・
十回向の四十位を指していう。 →
菩薩
初地以上十地以来 第一
歓喜地から第十
法雲地までの十地の菩薩。 →
菩薩
舌相を出して 仏の説くところが虚妄でないという証誠の意を示す。
往生経 ¬大経¼ ¬観経¼ ¬小経¼ を指す。
礼誦等 五正行のうちの称名以外の
行業。
読誦・
観察・
礼拝・
讃嘆供養の
助業をいう。
世出世の善根 世間の善 (
世福) と出世間の善 (
戒福・
行福) のこと。 →
三福
かならず…想をなすべし 親鸞聖人は 「かならず決定して真実心のうちに回向したまへる願を須ゐて得生の想をなせ」 (信文類訓) と読まれた。
得生の想 かならず浄土に往生できるという想い。
道より落ちて 白道より退転して。 「道に落ちて」 と読めば、 悪道に落ちるという意になる。
有縁の要行 自分の素質能力にかなった肝要な方法。
凡・聖 凡夫、 聖者。
空曠のはるかなる処 なにもなくてどこまでも広がっている場所。
むしろ 原漢文は 「寧」 の字。 親鸞聖人は 「やすく」 (信文類訓) と読まれた。
空迥の沢 広々とした野原のこと。
微 かすか。
妄りに…喩ふ 親鸞聖人は 「妄りに見解をもってたがひにあひ惑乱し、 およびみづから罪を造りて退失すと説くに喩ふるなり」 (信文類訓) と読まれた。
簡ぶ 区別する。
持 行善のこと。
慈下の行 下を慈しむ行為。
大心大行 大乗の心、 大乗の行。
前賢後聖 前世 (過去) の賢者や後世 (未来) の尊い聖者・菩薩たち。
三祇の劫 三大阿僧祇劫のこと。 菩薩が修行して仏になるまでに経なければならないというきわめて長い時間をいう。
潅頂の位 菩薩の第十地の位。 菩薩が第十地に入るとき、 諸仏がその頂に甘露 (香水) を潅いで法王の職を授けるしるしとするところから潅頂という。
大地微塵 大地を微塵 (物質の最小単位) にくだいたほどの数という意。
時節の延促 時間の長短。
上の二 慈心不殺と読誦大乗。
下の二 読誦大乗と修行六念。
所帰の国を… 帰するところの浄土を定めること。
凡聖明闇 凡夫と聖者、 智者と愚者のこと。
所帰 西方の浄土のこと。
本所修の業 往生する以前に修めた善根功徳。
他方の得益 極楽以外の世界で得る利益のこと。
延時の得忍 後の時に無生法忍を得ることを指す。
本所修 本所修の業のこと。 往生する以前に修めた善根功徳。
霊儀 (仏聖者来迎の) 尊いありさま。
後益 往生後に得る利益。
上行上根の人 高度の行を修める
根機のすぐれた人。
無為法性の身 すべての限定を超えたさとりの身。
。
去住 ゆくもとどまるもの意。
内有色外観色 内身の貪りを除くために、 外界の不浄を観じ内身の貪りの心を離れる禅定。 八解脱の第一。
内無色外観色 内身への貪りはないが、 さらに外界の不浄を観じて、 貪りの心を捨てることを一層堅固にする禅定。 八解脱の第二。
不浄相 不浄相を除いて浄色を観じ、 貪りの心を離れる禅定で、 普通は浄解脱という。 八解脱の第三。
四空 無色界の四種の禅定。 空無辺処定・識無辺処定・無所有処定・非想非非想処定のこと。
滅尽 滅尽定。 心のはたらきをすべて滅し尽した禅定。
中行中根の人 中度の行を修める
根機の中程度の人。
小真 小乗のさとり。
往生の善知識 往生浄土を勧める
善知識。 以下の善人・智者もこれに同じ。
心重きによるがゆゑに 心が落ち着き、 統一されているので。
諸部 ¬大経¼ ¬小経¼ およびその他諸々の大乗経を指す。
善悪来迎 下品中生者は臨終に地獄の苦相が現れ、 次いで聖者の来迎があるので、 善 (楽) 悪 (苦) 来迎という。
酬報の劫… 悪業の報いを受ける時がきわまりないこと。
抑止門 抑止はおさえとどめること。 謗法・五逆は重罪であるから、 衆生がこれを犯さないようにおさえとどめて説かれた法門。
歴劫周慞 幾劫にもわたって苦しみうろたえること。
経にのたまはく ¬悲華経¼ ¬涅槃経¼ ¬報恩経¼ および ¬観仏経¼ からの取意の文とみられる。
生死之罪 実際にはもう二文あとの「極楽世界」。
現益 現前に受ける利益。
勝心 菩提心のこと。
下行下根の人 悪を行う根機の劣った人。 →
根機
韋提の致請 韋提希の懇請のこと。
尊記 釈尊による往生の保証。
厭苦の縁 序文の発起序の一段。 韋提希が苦悩の穢土を厭う因縁。
希奇の益 すぐれた利益。
餐を蒙る (教えを) 受け入れる。
王宮の流通 仏が王舎城宮で阿難と韋提希のために説法した会座での付属のこと。
耆闍の流通 阿難が耆闍崛山の大衆のために再説した会座での付属のこと。
因円かに果満ず 成仏の因果が満足する。
仏の本願に望むるに意 「仏の本願の意を望まんには」 と読む説もある。 この場合の 「意」 は本願に属すが、 本文の場合は釈尊の意となる。
能請能伝 法を請うものと、 法を伝えるもの。 ここでは、 能請は韋提希、 能伝は阿難を指す。
耆闍会 耆闍分。 阿難が耆闍崛山の大衆のために王宮での説法を再説した会座。
転変無方 自由自在で定まりのないこと。
隠顕 ここでは、 人に応じて仏のすがたが隠れたり現れたりするという意。
知識 ここでは同行、 法友の意。
義門 ¬観経¼ の法義を明らかに領解するための教義の分類のこと。
玄義の科文 奥深い教義についての科文、 科段のこと。 また 「玄義・科文」 と読んで、 「玄義分」 と 「文義分」 (序分義・定善義・散善義) のこととする説もある。
初夜後夜 初夜は午後八時頃、 後夜は午前四時頃。 両者をあわせて、夜を通じてというほどの意。
三具の磑輪 三つの石臼。 釈尊の転法輪の相 (三転法輪)、 定散・念仏・来迎の三、 弥陀の身口意の三業、 至誠心・深心・回向発願心の三心などに当てる説がある。
好心の視誨 好意のこもった教え。 好意ある教訓。
つつしみて… (上の霊相のことは) 謹んで ¬観経疏¼ の末尾に書き添えて、 末代の者にまで聞かせたい。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
弁→Ⓒ辨
捉→Ⓒ投
受→Ⓒ授
烏→Ⓒ焉
雖→◎難
遍→Ⓒ徧
玄→Ⓐ言
末→Ⓐ未
者→○ヲ者
○スルコト
者→○者
廻シ→○廻シ
○ノ
有リテ↢人等↡、三福倶ニ不ル↠行ゼ者ヲ→○有↢人等ノ三福倶ニ不ル↠行ゼ者↡、
類→○類
異ナルコト→○異
異ナルコト→○異
生ゼ→○生レ
華開→○華開ケテ
モ→○ニ
フレバ者→○ウレ者
広開シテ顕出ス→○広ク開キ顕シテ出ス
スル→○セム
○ニ
○ト云
為ス→○為ル
欲ス→○欲ス
所修ノ→○ニ所ノ↠修スル
須クキコトヲ↢…作ス↡→○須ヰムコトヲ↢…作シ下シヲ↡
不レ↠得↧…現ジ↢…↡…懐クコトヲ↦…↥→○不レ↠得↣…現ズルコトヲ↢…↡、…懐ケレバナリ↢…↡
ク→○シ
○事
ジキハ…、→○ジ…。
シ→○ス
。→○、
不…也→○不ル…也
作ス…者ハ→○作サ…者
走リ→○走メ
スコト→○シテ
スル→○ナル
欲セバ↧…求メムト↞生ズルコトヲ↢…↡者→○欲セム↧…求↦生セント…↥者ハ
不可→○不ル↠可ハ
由リテナリ↧…作シタマヒ、…真実ナルニ↥→○由[リ]テナリ↧…作シ下シニ↥。…真実ナリ
乃チ至ルマデモ↢…ニ↡→○乃至…
ノ所修→○ニ所↠修スル
所↢施為趣求シタマフ↡→○所↠施シ玉為ス↢趣求ヲ↡
シタマフ→○スル
ス…。→○シ…、
○ベシ
ズハ…者→○ザル…者
敬ミテ→○敬[ヒ]テ
レ…也→○ル…也
ヲ→○ニ
シテ→○スルコト
須クシ↢…捨ツ↡。→○須ヰ↢…捨テ下ヘルヲ↡、
サバ…者→○サ…者
須クシ↢…作ス↡。→○須ヰテ↢…作シ下ヘルヲ↡、
須クシ↢真実ナル↡。故ニ→○須ヰルガ↢真実ヲ↡故ニ
深ク信ズル之→○深信之
○ナリ
常ニ没シ常ニ流転シテ→○常没常流転シテ
ハ→○ヲモテ
ト→○コトヲ
信ズ↣…証↢勧シタマフト…凡夫…得ト↟…→○信ズ↧…証↢勧シタマフ…凡夫ヲ↡、…得ト↞…
ギ→○イデ
依行シ→○依リ行ジテ
ケ→○ク
ズル者ハ→○ズレ者
満↢足シタマヘル大悲ヲ↡→○満足大悲ノ
ナリ→○ニ
由リテ↧有リテ↢…↡未ダルニ↞除コラ、果願未[ズ]ダ↠円カナラ。→○由リテ↠有ルニ↢…↡未ズ ダ↠除コラ↢果願↡。未ザ ダルコト↠円[カ]ナラ、
スレドモ→○ストモ
ヘ→○ヒヌレ
レバ…者→○レ…者
汝等→○汝等
↢…不如是ト↡→○↣…不ト↢如是ナラ↡
同ズ→○同ジ
所有ル→○所有ノ
ナレバ→○ハ
不レ↧問ヒテ↢…ニ↡、定メ↦…↥→○不↠問ハ↢…ヲ↡、定ム↢…↡
ハ→○ヲバ
○テ
トイフ者→○ト者
○シテ
処スルコト→○処
ハバ…者→○[ハ]…者
来リテ→○来シ
妨難シ、証シテ→○妨ムデ難証シテ
フ→○ハム
ハバ…者→○ハ…者
ルニ→○モ
フ→○ヒシ
説教ハ→○説[キ]下コト↠教ヲ
不同ナリ→○不↠同[ジカラ]
○ハ
汝等→○汝等
フトモ…者→○ハ…者
未[ズ]ダ→○未ジ ダ
由ルガ↫…了義ニシテ、不ルニ↪…所レ↩破壊セ↨故ナリト→○由テ↢…了義ナルニ↡、不ルガ↧…所レ↦破壊セ↥故ニ
云ク、…生ズトイフ↢…↡者→○云コト↧、…生ルト↧…↥者
スレバ→○シテ
ニシテ→○ナリ
ノ↡之→○之↡
ナラバ者→○ナラ者
トイフ…者→○ト…者
ルコトヲ→○ラムト
如↫似キ前仏制↢断シタマヒ…↡、…名ケタマフ↪十善・十行ニシテ随↩順スト…↨、→○如↣似ク前仏ノ制↢断シ下ガ…↡、…名[ク]↢十善・十行ト↡、随↢順ス…↡。
犯サ→○犯セ
有ラムニ↢後仏出世シタマフコト↡→○有シテ↢後仏↡出[デ]テ↠世ニ
メタマフ→○ム
指↢勧シ→○指シ↢勧メ
スマデ→○[シ]テ
○シ
捨命→○捨テヽ↠命ヲ
生ズ→○生ル
ハバ…者→○フ…者
説キタマフ。…/…勧メタマヒ↧一切ノ凡夫…得ト↦往生ヲ↥、→○説ク↧…/…勧メテ↢一切ノ凡夫ヲ↡…得ト↦往生ヲ↥。
云フハ↱…讃ジタマフト↫…、勧↪励シタマフヲ衆生称念スレバ必ズ得ト↩往生ヲ↨→○云ク、…讃メ下フ↧…勧↢励シテ衆生ヲ↡称念スレバ必ズ得ト↦往生ヲ↥
ル→○ラム
キタマフ…。→○[キ]テ…、
ルマデ→○[リ]テ
ハ→○ヲバ
トイフ…者→○ト…者
依リテ↢往生経ノ行ニ↡行ズル者→○依[リ]テ↢往生ノ経ニ↡行ズル↠行ヲ者
シ…、→○ス…。
専ラ礼シ↢…↡→○専↢礼シ…↡
専ラ念ジテ↢…↡→○専↢念シテ↢…↡
者→○者ヲ
○バ
ノ→○ハ
ハ→○ヲバ
スレバ→○[ス]ルハ
ズレバ→○[ズ]ルハ
者
セルト→○シテ
深信ノ心中→○深信心ノ中
廻向発願シテ願ズル↠生ゼムト者ハ→○廻向発願願生ト者
深信セル→○深ク信[ズル]
ミ→○ムデ
○ト
得↧…生ズルコトヲ↦…↥。…失スル↢…↡→○得↧…生ジ↢…↡、…失ウコトヲ↦…↥
スレバ→○シテ
道ヨリ→○道ニ
等→○等
ヲモテ→○シテ
得ム→○得ルヤ
ル→○ツ
ヅレバ…者→○[ヅ]ル…者
レバ…者→○ルト…者
メヨ→○[ム]ベシ
乃チ→○乃
将テ↠非ザルヲ↢有縁之要行ニ↡→○将テ↧非ザル↢有縁之要ニ↡行ヲ↥
<ヒテ…而→○フ…而
スレバ…者→○スル…者
欲セ→○欲ハ
乃チ至ルマデ↢仏果ニ↡→○乃至仏果
無ク↠礙→○無礙ニ
得ム→○得ベシ
欲セバ…者→○欲[ハ]…者
レ→○ルベシ
得レバ…也→○得…也
サク→○ス
譬喩→○譬喩
ニ見ル↠有ルヲ↢…↡→○ヲ見レバ有リ↢…↡
ルニ→○[リ]テ
交リ過ギ→○交マジハル過シ
火焔→○火ノ焔
○ノミ
○セムコト
直→○直
。→○ラク、
ルモ→○テ
スル→○セム
漸漸ニ→○漸漸
去カム→○去ラム
堕セムト→○堕チムコトヲ
当リテ↠時ニ→○当時ノ
ラバ→○ルトモ
セム→○ナム
住マラバ→○住ストモ
去カバ→○去[ク]トモ
不…者→○不レ…者
カム→○[キ]ナム
東ノ岸→○東岸
仁者→○仁者
住マラ→○住セ
西ノ岸→○西岸
遣シ→○遣リ
正↢当ニシテ…ヲ→○正[シ]ク当テ↢…ニ
東ノ岸ニ→○東岸ノ
ニシテ→○ナリ、
…。→○シテ…、
スル→○セム
○ヲ
廻顧セ→○廻リカヘリ顧
ル…。→○レテ…、
セバ…者→○セ…者
水波→○水ノ波
廻シ→○廻シ
遣ス→○遣ル
喩フ↧…説キテ↢…見解ヲ↡…退失スルニ↥→○喩フ↣…説クニ↢…↡。…退失スト
ヨリ→○ニ
↣…指シテ向ハシメタマフコトヲ↢…↡→○↣…指シ↢向[ハ]シメタマフコトヲ…↡
リテ→○ル
ク→○[ケ]レバ
所修→○所↠修スル
廻↢入シテ…↡→○廻[リ]テ入[リ]テ↢…↡
名ク↢廻向ト↡→○名[ケテ]廻向ト云
ハ→○コト
ハ…者→○…者
カラム→○ケム
明ス↠簡ブコトヲ↣機ノ堪ヘタルヲ↢能ク…修行スルニ↡→○明[ス]↧簡ビ↢機ノ堪能ヲ↡…修行[ス]ルコトヲ↥
慈心不殺ヲ→○慈心シテ不ルコトヲ↠殺セ
思↢念シテ方便ヲ↡→○思念方便
キテ…→○ク…、
初→○初ノ
・→○ト
教ヘテ↠他ヲ不ラシムルガ↠殺セ→○教[フル]ガ↢他ニ不殺ヲ↡
ケ…、→○ク…。
スレバ者→○セ者
レリ→○[リ]テ
此→○此ノ
執ルコト→○執シテ
持ツヲ↟戒ヲ→○持戒ヲ↡
セバ者→○セ者
サバ…者→○ス…者
念ズ↢阿弥陀仏ノ口業ノ功徳・身業ノ功徳・意業ノ功徳ヲ↡→○念ズルナリ↢阿弥陀仏ヲ↡。…アリ
内→○内
等→○等
セ→○シナ
須クシ↧…作ス↦仰ギテ学シ↢前賢・後聖ヲ↡、…意ヲ↥→○須ベ クシ↫…作ス↪仰↩学スルコトヲ前賢・後聖ノ、…意ヲ↨
乃チ至ルマデ↢今日ニ↡→○乃至今日マデ↡
ス。→○シ、
増マス多ク→○増多ニ
不ル↠勝ヘ↢心驚キテ悲歎スルニ↡→○不シテ↠勝ヘ↠心ニ驚キテ悲歎スル
フコト→○フル
シ…。→○ク…、
者→○者
スレ→○セ
スコト→○スル
明ス↢…見レバ乗ジ↠台ニ従フコトヲ↟…→○明ス↧…見テ↢乗台ヲ↡従フコトヲ↞…
得益ノ不同→○得ルコト↠益[ヲ]不同ナルコト
ニ→○ハ
シ→○[ス]コト
明ス↧受法不定ニシテ、…不ルコトヲ↞…→○明[ス]↢受法不定ヲ↡、…不↠…
聴↧聞ス…皆空ニシテ…不二ナリト↥→○聴↢聞ス…皆空ヲ↡。…不二ナリ
明ス↧…信ジ↢…因果ヲ↡、…不ルコトヲ↞生ゼ↢…↡→○明[ス]↣…信[ズルコト]ヲ↢…因果ヲ↡、…不↠生ゼ↢…↡
持シ→○持[チ]
シタマフ→○スル
不ルコトヲ↟久シカラ→○不久ヲ↡
ベタマフ→○ブル
タマフガ…故ニ→○テ…故ニ
ク→○カン
授手ト、→○授ケ↠手ヲ
↧…授手シタマフコトヲ↥→○↧…授[ケタマフコ]トヲ↞手ヲ
已ニ身→○己身
去時→○去ル時
得益ノ→○得[ル]コト↠益ヲ
還タ→○還[リ]テ
得テ↢眼開ケテ聞クコトヲ↟法ヲ→○得テ↢眼開ヲ↡聞キ↠法[ヲ]
明ス↣逕ルコト↠時ヲ七日ニシテ、…得ルコトヲ↢…↡→○明ス↧逕テ↢時ニ七日ヲ↡、…得[ルコト]ヲ↦…↥
不ズ↠指スニ→○不↠指サ
歴↢供スル…↡→○歴テ↢供スル…↡
↢延時ノ得忍ヲ↡→○↢延ベテ↠時ヲ得[ルコトヲ]↟忍ヲ↡
サバ…者→○セ…者
リタマフ→○ル
発シテ↢一念ヲ↡…、楽フ↧…度セムト↦衆生ヲ↥→○発ス↫一念…、楽フコト[ヲ]↪…度[セ]ムト↩衆生ヲ↨
還リ↢入リテ…↡→○還[リ]テ入[リ]テ↢…↡
シタマフト、→○シタマフ
授手シタマフコトヲ↡→○授クルコトヲ↟手ヲ
述ブル→○述スル
恐ル↠→○恐[ラ]クハ
ル→○ラム
フ→○[ヒ]下[フ]
生ズルコトヲ→○生レムト
犯スコト→○犯
設→○設
終時ニ→○終ル時
ゼリ→○ズ
ハ→○ノ
多衆ノ苦、…等ヲ↡→○多ノ衆苦ヲ↡、…等ナリ
仰ガレ→○仰シテ
ニシテ→○ナリ
讃ジ→○讃メ
フ↠離ルト↢衆苦ヲ↡→○フ↢離衆苦ト↡
見レバ↠身ヲ→○見レバ身ハ
シ→○セリ
明ス↧…低ルルコト↠頭ヲ…在ルコトヲ↦…↥→○明[ス]↣…低頭スルコトハ…在ルコトヲ↢…↡
尋チ→○尋イデ
也→○ニ也
ヒ→○フ
一→○一ツ
成ズ→○成ル
リハ↢「…者」↡→○リ↢「…」↡者
犯スコト→○犯ボム
乃チ至ルマデモ↢軽罪ニ↡→○乃至軽罪マデ
犯ス→○犯スル
失→○失
終時ニ→○終ル時
シタマフト、→○シ
疑フコト→○疑
見ルニ、…坐ス↢…↡→○見[ル]↣…坐[ス]コトヲ↢…↡
レバ→○[リ]テ
リテ→○レバ
「華既敷已」↡下→○「華既敷」↡已下
調ホリ柔善ニシテ→○調トヽノヲリ 柔ヤハラカナリニシテ善ク
遇↢逢フ→○遇ヒ↢逢フ
ト→○ヲ
ヲモテ→○ニ
メ→○ム
ル→○リ下
ノ→○ニ
フ→○ウル
リハ↢「…者」↡→○[リ]↢「…」↡者
簡機ニ、→○簡ブニ↠機ヲ
挙↢出スル→○挙ゲ↢出ス
重テ牒シテ↢→○重↢牒シテタヽム
転ジテ↠教ヲ→○転ジテ教ヘテ
ナル→○スル
スルニハ→○スレバ
者→○ニ者
多→○多クノ
ナレバ→○ナリ
住ム→○住セシム
終時ノ→○終ル時
ト→○シ
述ベ→○述シ
フトノタマヒテ…→○[フ]ト云…、
望ムレバ↢仏ノ願意ニ↡者→○望マムニ↢仏願ノ意ヲ↡者
同ジカラ→○同ゼ
…。将ニ→○ルヲ…将テ
尋チ→○尋イデスナハチ
↣…念仏ノミ独リ…↢…↡→○↧…念[ジ]テ↢仏独ヲ↡…↦…↥
スルモ→○シテ
去ク→○去ル
兼ネ↢造リ→○兼ネテ造[リ]テ↢
諸ノ悪心ヲモテ自ラ荘厳スト→○諸悪心自荘厳ト
終時→○終ル時
リハ↢「…者」↡→○[リ]↢「…」↡者
ト→○ノ
総ジテ結シテ↢→○総↢結シテ
ズトイフ→○ザル
ハ→○ニ
明ス↧…非ズ↢因トシテ不ルハ↟…、…不ラムトイフコトヲ↞苦ナラ→○明[ス]↧…非ザルコトヲ↦因トシテ不ルニ↞…。…不ラム↠苦ナラ
酬報→○酬ウル↠報ヲ
セル→○スル
セム→○ス
クコト→○ケル
極重ナリ→○極メテ重シ
歴劫→○歴テ劫ヲ
シテ→○ス、
ル→○ラム
止→○止
ヘリ→○フ
ク→○ケル
ハ→○ヲ
止→○止
サ→○セ
シメム→○シム
得→○得シム
失念スト→○失スト念ヲ
転ジテ↠教ヲ→○転ジテ教ヘテ
明ス↣去時ノ遅疾、直ニ到ルコトヲ↢…↡→○明[ス]↤去時遅↣オソキ疾トキ[ヲ]直ニ到ル↢…↡
ベタマフ→○ブル
終時ニ→○終ル時
リ→○ル
遇フ↣…善知識ノ…称セシムルニ↢…↡→○遇ハン↢…善知識ニ↡ …称スルニ↢…↡
致請ニシテ→○致シテ↠請ヲ
雖モ↧有リテ↢定散両門↡有リト↞異ナルコト→○雖モ↠有[リト]↢定散両門↡有[ル]コト↟異
獲ル→○獲ン
明ス↢…聴クコトヲ↟…。/…。/…発ス↢…↡→○明[ス]↪…聴ク↠…、/…、/…発スコトヲ↩…↨
空→○空
決スレバ↠志ヲ→○決志シテ
シタマヘバ→○スニ
成リ↠経ト→○成ズレバ↠経ヲ
ル…。→○リテ…、
クモノヲシテ→○[キ]テ
ス…。→○サバ…、
由→○由
双ベ↢標シ→○双ベテ標シテ↢
問→○問
ニ→○ヲ
顕勝シテ→○顕シテ↠勝ヲ
セシムル→○スル
明ス↣…挙グルコトヲ↢…行ズル↠教ヲ之機ヲ↡→○明[ス]↧…挙グル↢…行[ズ]ルコトヲ↟教ヲ之機ヲ↥
明ス↧比校顕勝シテ、但聞クスラ↢三身之号ヲ↡…不ラムヤトイフコトヲ↞獲…也→○明[ス]↢比校シテ顕スコトヲ↟勝ヲ。但シ聞クニ↢三身之号ヲ↡…不ラム↠獲…也
指↢讃スル→○指シ↢讃ズル
念仏スル→○念[ズ]ル仏[ヲ]
念仏スル→○念ズル仏[ヲ]
リテ→○レバ
捨命シテ→○捨テヽ命ヲ
セシメタマフ→○セム
ムルニ→○マムニハ
本願ニ↡、意→○本願ノ意ヲ↡
○ル
遇マ餐シテ→○遇ウテ↠餐ナムスルニ
勝フル→○勝ユル
逢→○逢
生ゼ↡。是ヲ→○生ゼ↟是ヲ。
於テ↠是ニ→○於↠是
闚ハ→○闚
於テ↠時ニ→○於↠時
不ルハ→○不ト云コト
ナレバ→○ナリ
シ…→○ス…。
ス…。→○シテ…
造ス↠心ヲ→○造心ス
南↢無シ帰↣命シタテマツル→○南無[シテ]帰↢命シ上ル
欲ス→○欲フ
於テ→○於テ
シメタマヘ→○ン
結シ→○結ビ
リテ、→○[リ]ヌ。
誦スルコト↢¬阿弥陀経ヲ¼↡三遍→○誦シ↢¬阿弥陀経¼三遍ヲ↡
念ズルコト↢阿弥陀仏ヲ↡三万遍→○念ジ↢阿弥陀仏三万遍ヲ↡
見ル↢…空中ニ、…顕現スルヲ↡→○見ルニ↢…空中ヲ↡、…顕現ス
観ズ→○観ル
於ニ即チ→○於則[チ]
一→○一
玄義ノ科文ヲ↡。→○玄義ヲ↡。科文
リテ→○ルニ
脱本シ竟已リテ、→○脱セムコトヲ本ヲ。竟已ニ
誠心ニ…如クス↢…↡→○誠ズ↣心ニ…如ク↢…↡
ニ→○マタ
見エ→○見
○ラク
努力テ→○努力
レリ→○[リ]ヌ
不ト→○不
申ベ↢呈シテ義ノ後ニ↡、被ラシム↢聞クコトヲ…↡→○申ベ呈ス、義ヲモテ後ニ被ム↠聞カ↢…↡
使メム↢含霊ノ聞クモノヲシテ↠之ヲ生ゼシメ↠…覩ル者ヲシテ…帰セ↡→○使メム↢含霊ヲシテ聞キテ↠之ヲ生ゼ↟…覩[ル]者ハ…帰セシメム
成ゼム→○成ラム
欲スル→○欲ハム