0182

標挙

0374りょう寿じゅぶつかんぎょうこころなり

しん発願ほつがんがん じゃじょうじゅ 双樹そうじゅりんおうじょう

弥陀みだきょうこころなり

しんこうがん じょうじゅ なんおうじょう

 

題号

0375けんじょう方便ほうべんしん文類もんるい 六

禿とくしゃく*親鸞しんらんしゅう

門内の方便を明かす
  正しく方便を明かす
    総じて身土を指す【総釈】
     

【1】 ^つつしんでしんあらわさば、

0183↢化身土

一 Ⅰ ⅰ
        仏を指す

^ぶつは ¬*りょう寿じゅぶつかんぎょう¼ のせつのごとし真身しんしんかんぶつこれなり。

↢¬无量寿仏観経¼説↡、真身観仏是也。

一 Ⅰ ⅰ b 土を指す

^*¬*かんぎょう¼ のじょうこれなり。 また ¬*さつ処胎しょたいきょう¼ とうせつのごとし、 すなはちまんがいこれなり。 また ¬*だいりょう寿じゅきょう¼ のせつのごとし、 すなはちじょうたいこれなり

¬観経¼浄土是也。復如↢¬菩薩処胎経¼等↡、即オコタル アナドル界是也。亦如↢¬大无量寿経¼説↡、即疑城胎宮是也。

一 Ⅰ 別して二願を釈す
      第十九願を釈す【要門釈】
        直明【説意出願】
          (一)施権の意を明かす
            (Ⅰ)所被を明かす

【2】 ^しかるに*じょく群萌ぐんもう*あく含識がんしきいまし*じゅうしゅ邪道じゃどうでて、 *半満はんまん権実ごんじつ法門ほうもんるといへどもしんなるものははなはだもつてかたく、 じつなるものははなはだもつてまれなり。 なるものははなはだもつておおく、 なるものははなはだもつてしげし。

ルニ濁世ムラガリ萌、キザスケガラハシガムフウム識、サトル↢九十五種之邪道↡、雖↠入↢半満・権実之法門↡、真ナル、実ナルマレナリ。偽ナルイツハル 、虚ナルシゲ

一 Ⅰ ⅱ a イ (一)(Ⅱ)正しく施権を明かす

^ここをもつてしゃ牟尼むにぶつ福徳ふくとくぞう顕説けんぜつしてぐんじょうかい誘引ゆういん弥陀みだ如来にょらいもと誓願せいがんおこしてあまねく*しょかいしたまふ。

釈迦牟尼仏、顕↢説シテ福徳蔵イウコシラヘ群生海↡、阿弥陀如来、シテ↢誓願↡普シタマフ↢諸有海↡。

一 Ⅰ ⅱ a イ (二)悲願の目を示す
            (Ⅰ)行に約す

^すでにしてがんいます。 しゅしょどくがん (第十九願)づく、

スデシテイマ↢悲願↡。名↢修諸功徳之願↡、

一 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅱ)行信の益を明かす

^またりんじゅう現前げんぜんがんづく、 また現前げんぜんどうしょうがんづく、 また来迎らいこういん0376じょうがんづく

復名↢臨終現前之願↡、復名↢現前導生之願↡、復名↢来迎引接之願↡、

一 Ⅰ ⅱ a イ (二)(Ⅲ)信に約す

^またしん発願ほつがんがんづくべきなり。

亦可↠名↢至心発願之願↡也。

一 Ⅰ ⅱ a 引文
          (一)直ちに諸行往生を顕して誘引の願意を示す
            (Ⅰ)能入の因を明かす
              (ⅰ)因願を出す
                (a)¬大経¼

【3】 ^ここをもつて ¬*だいきょう¼ (上)がん (第十九願) にのたまはく、

¬大経¼願

^たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうだいしんおこし、 もろもろのどくしゅし、 こころいた発願ほつがんしてわがくにしょうぜんとおもはん。 寿じゅじゅうときのぞんで、 たとひ大衆だいしゅにょうしてそのひとまえげんぜずは、 しょうがくらじ」 と。

我得タラムニ↠仏、十方衆生、発↢菩提心↡、修↢諸功徳↡、至↠心発願シテハム↠生ゼム↢我↡。臨↢寿終↡、仮令 タトヒ ↢大衆↡囲遶シテ↦其↠取↢正0184↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅰ)(b)¬悲華経¼

【4】 ^¬*悲華ひけきょう¼ の 「*だいぼん」 にのたまはく、

¬悲華経¼大施品

^ねがはくは、 われのく多羅たらさんみゃくさんだいりをはらんに、 そのりょうへんそう諸仏しょぶつかいしょしゅじょう、 もしのく多羅たらさんみゃくさんだいしんおこし、 もろもろの善根ぜんごんしゅして、 わがかいしょうぜんとおもはんもの、 りんじゅうとき、 われまさに大衆だいしゅにょうして、 そのひとまえげんずべし。 そのひと、 われをて、 すなはちわがまえにしてこころかんん。 われをるをもつてのゆゑに、 もろもろのしょうはなれてすなはちててわがかいらいしょうせしめん」 と。

「願↢阿耨多羅三藐三菩提↡已ラムニ、其无量无辺阿僧祇諸仏世界所有衆生、若↢阿耨多羅三藐三菩提心↡、修シテ↢諸善根↡、欲↠生ゼム↢我、臨終之時、我当↢大衆↡囲メグリシテメグル ↦其↥。其人見↠我、即↢我↡得↢心歓喜↡。以↠見↠我、離レテ↢諸サハリサハル↡、即便テヽ↠身来↢生セシメムト↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)成就を指す

【5】 ^このがん (第十九願) じょうじゅもんは、 すなはち三輩さんぱいもんこれなり、 ¬かんぎょう¼ のじょうさんぼんもんこれなり。

願成就、即三輩トモガラ文是也、¬観経¼定散九品之文是也。

一 Ⅰ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)所入の土を明かす
              (ⅰ)¬大経¼

【6】 ^また ¬だいきょう¼ (上) にのたまはく、

又¬大経¼言

^またりょう寿じゅぶつのそのどうじょうじゅは、 たか0377ひゃくまんなり、 そのもとしゅうじゅうじゅんなり、 ようよもきてじゅうまんなり。 一切いっさい衆宝しゅぼうねんごうじょうせり。 月光がっこう摩尼まにかい輪宝りんぼう衆宝しゅほうおうたるをもつて、 これをしょうごんせり。

「又无量寿仏道場ニワ、高四百万ヨロヅナリ、其本周囲メグリ五十由旬ナリ、枝葉ヨモキテ二十万里ナリ。一切衆宝自然合成セリ。以↢月光摩尼・持海輪宝衆宝之王タルヲ↡而荘↢厳セリ↡。

^なん、 もしかのくに人天にんでん、 このるものはさん法忍ぼうにんん。 ひとつには音響おんこうにんふたつには柔順にゅうじゅんにんつにはしょう法忍ぼうにんなり。 これみなりょう寿じゅぶつじんりきのゆゑに、 本願ほんがんりきのゆゑに、 満足まんぞくがんのゆゑに、 明了みょうりょうがんのゆゑに、 けんがんのゆゑに、 きょうがんのゆゑなりと。

阿難、若人天見↢此三法忍↡。一音響忍、二柔順忍、三无生法忍ナリ皆无量寿仏威神力、本願力、満足タル、明了願、堅カタク固願カタシ 、究竟願ナリト

^また講堂こうどうしょうじゃ殿でん楼観ろうかん、 みな七宝しっぽうをもつてしょうごんし、 ねんじょうせり。 また真珠しんじゅみょうがつ摩尼まに衆宝しゅぼうをもつて、 もつてきょうとす、 そのうえがいせり。

又講堂オコナウ ・精舎モンハラ ・宮殿・楼観、皆七宝ヲモテ荘厳、自然化成セリ。復以↢真珠・明月摩尼衆宝↡、以↢交マジワル ↡、覆↢蓋セリオヽフ ↡。

^ない左右さうにもろもろのよくあり。 じゅうじゅん、 あるいはじゅうさんじゅうないひゃくせんじゅんなり。 じゅうこう深浅じんせんおのおのみな一等いっとうなり。 はっどくすい湛然たんねんとして盈満ようまんせり、 清浄しょうじょう香潔こうけつにしてあじはひかんのごとし」 と。

内外左右↢諸ヨクアムル池↡。十由旬、或イハ二十、三十、乃0185至百千由旬ナリ。縦ヨコサマ広深浅、各皆一等ナリ。八功徳水、タンタヽフルトシテヤウミチセリ、清浄香潔ニシテアザヤカナリアジワイシト↢甘露↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)真仮の得失を対弁して廃立の仏意を示す
            (Ⅰ)経説
              (ⅰ)¬大経¼

【7】 ^またのたまはく (大経・下)

^「ªそれたいしょうのものは、 しょするところの殿でんあるいはひゃくじゅん、 あるいはひゃくじゅんなり。 おのおのそのなかにして、 もろもろのらくくることとうてんじょうのごとし。 またみなねんなりº と。

胎生、所↠処スル宮殿、或イハ百由旬、或イハ五百由旬ナリ。各↢其↡、受クルコト↢諸快楽↡如↢忉利天上↡。亦皆自然ナリ

^そのときに、 慈氏じしさつ (*ろく)ぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 なんのいんなんのえんあつてか、 かのくに人民にんみんたいしょうしょうなるº と。

慈氏菩薩白シテ↠仏サク、世尊、何因何アテカ人民タミ、胎生・化生ナルト

^ぶつ慈氏じしげたまはく、 ªもししゅじょうありて、 0378わくしんをもつてもろもろのどくしゅして、 かのくにしょうぜんとがんぜん。 ぶっ思議しぎ不可ふかしょうだいじょうこうとうりんさいじょうしょうさとらずして、 このしょにおいてわくしてしんぜず。 しかも、 なほ罪福ざいふくしんじて、 善本ぜんぽんしゅじゅうして、 そのくにしょうぜんとがんぜん。

仏告ゲタマハク↢慈氏ウヂニ↡、若↢衆生↡、以↢疑惑↡修シテ↢諸功徳↡、願ゼム↠生ゼム↢彼↡。シテサト↢仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・无等无倫最上勝智↡、於↢此諸智↡疑惑シテ↠信。然ナホジテ↢罪福↡、修↢ツクルシテナラフ 善本↡、願ゼム↠生ゼム↢其↡。

^このもろもろのしゅじょう、 かの殿でんしょうじて、 寿いのちひゃくさい、 つねにぶつたてまつらず、 きょうぼうかず、 さつしょうもんしょうじゅず。 このゆゑにかのこくにはこれをたいしょうといふ。

衆生、生↢彼宮殿↡、寿五百歳、常↠見タテマツラ↠仏↠聞↢経法↡、↢菩薩・声聞聖衆↡。是国土ニハ↢之胎生↡。

^ろくまさにるべし、 かのしょうのものは智慧ちえすぐれたるがゆゑに。 そのたいしょうのものはみな智慧ちえなきなりº と。

弥勒当↠知、彼化生智慧勝タルガ。其胎生皆无キナリ↢智慧↡。

^ぶつろくげたまはく、 ªたとへば転輪てんりんじょうおうのごとし。 七宝しっぽう牢獄ろうごくあり。 種々しゅじゅしょうごん床帳じょうちょうちょうせつし、 もろもろの繒幡ぞうばんけたらん。 もしもろもろのしょうおうつみおうたらん、 すなはちかのごくのうちにれて、 つなぐにこんをもつてせんº と。

仏告ゲタマハ↢弥勒↡、譬↢転輪聖王↡。有ラム↢七宝ラウカタク獄↡。イマシム種種荘厳ハリ↢設マウクジヤウ ユカ ↡、懸タラム↢諸ハタハタ↡。若小王子、得ラム↢罪於王↡、スナワレテ↢彼↡、ツナグニテセム↢金クサリ↡。

^ぶつろくげたまはく、 ªこのもろもろのしゅじょう、 またまたかくのごとし。 ぶっわくするをもつてのゆゑに、 かのたいうまれん。

仏告ゲタマハ↢弥勒↡、此衆生、亦復 マタ ↠是。以↣疑↢惑スルヲ仏智↡故レム↢彼胎宮↡。

^もしこのしゅじょう、 そのもとつみりて、 ふかくみづからしゃくしてかのところはなるることをもとめん。

衆生、リテ↢其↡、深ミヅカクヱクユルクユシテメム↠離ルヽコトヲ↢彼↡。

^ろくまさにるべし、 それさつありてわくしょうぜば、 だいしっすとすº」 と。 以上抄出

弥勒当↠知、其↢菩薩↡生↢疑惑↠失スト↢大利↡。」 已上抄出

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)¬如来会¼

【8】 ^¬*如来にょらい¼ (下) にのたまはく、

¬如0186来会¼言

^ぶつろくげたまはく、 ªもししゅじょうありて0379*疑悔ぎけしたがひて善根ぜんごん積集しゃくじゅうして、 ぶっ*へん思議しぎ*とう*とく*広大こうだい希求けぐせん。 みづからの善根ぜんごんにおいてしんしょうずることあたはず。 この因縁いんねんをもつて、 ひゃくさいにおいて殿でんのうちにじゅうせん。

「仏告ゲタマハ↢弥勒↡、若↢衆生↡、随ヒテ↢於疑悔ツミ↡積ツミ↢集シテ善根↡、希↢マレニセム仏智・普徧智・不思議智・无等智・威徳智・広大智↡。於ミヅカラノ善根↠能↠生ズルコト↠信。以↢此因縁↡、於五百歳セム↢宮殿↡。

^いっ (弥勒)なんぢ*しゅしょうのものをかんずるに、 かれはこうちからによるがゆゑに、 *かのれんのなかにしょうすることをけてけっ趺坐ふざせん。 なんぢ*れつともがらかんずるに、 もろもろのどくしゅじゅうすることあたはず。 ゆゑに*いんなくしてりょう寿じゅぶつ奉事ぶじせん。 このもろもろのひとは、 みなむかしえん疑悔ぎけをなしていたすところなればなりº と。

イチホシイマヽニ、汝観ズルニ↢殊勝智↡、↢広慧↡故、受↣彼化↢生スルコトヲ↡結跏趺座セム。汝観ズルニ↢下劣之 ガラ↡、 ↠能↣修↢習ナラウスルコト功徳↡。故クシテ↠因奉↢事セム无量寿仏↡。是人等、皆シテ↢昔縁疑悔↡所ナレバナリト↠致

^ぶつろくげたまはく、 ªかくのごとし、 かくのごとし。 もし疑悔ぎけしたがひて、 もろもろの善根ぜんごんゑて、 ぶっない広大こうだい希求けぐすることあらん。 みづからの善根ぜんごんにおいてしんしょうずることあたはず。 ぶつみなくによりて*信心しんじんおこすがゆゑに、 かのくにしょうずといへども、 れんのうちにしてしゅつげんすることをず。 かれらのしゅじょう*たいのうちにしょすること、 なほ園苑おんえん殿でんおもいのごとしº」 と。

仏告ゲタマハ↢弥勒↡、如↠是↠是。若ラム↧随↢於疑悔↡、種↢諸善根↡、希↦求スルコト仏智乃至広大智↥。於ミヅカラノ善根↠能↠生ズルコト↠信。由↠聞↢仏ミナ↡起↢信心↡故↠生↢彼クニ↡、↢蓮華↠得↢出現スルコトヲ↡。彼衆生処スルコト↢華胎↡、ナホシトオンソノエンソノ宮殿之↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅲ)¬大経¼

【9】 ^¬だいきょう¼ (下) にのたまはく、

¬大経¼言

^もろもろの小行しょうぎょうさつ、 およびしょうどくしゅじゅうするもの、 しょうすべからず。 みなまさにおうじょうすべし」 と。

「諸少行菩薩、及修↢習スル少功徳↠可↢称計↡。シト↢往生↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅳ)¬如来会¼

【10】^またのたまはく (如来会・下)

^「いはんや、 さつしょう善根ぜんごんによりて0380、 かのくにしょうずるもの、 しょうすべからず」 と。

イハン菩薩、由↢少善根↡、生↢彼↠可↢称計↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)師釈
              (ⅰ)終南
                (a)「定善義」(正しく終南を引く)

【11】^こうみょう (*善導)しゃく (*定善義) にいはく、

光明寺

^はなふくみていまだでず。 あるいは辺界へんがいしょうじ、 あるいはたいせん」 と。

フウガン↠華↠出アルイハ↢辺界↡、或オツセムト↢宮胎↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)憬興¬述文賛¼(更に他師を挙げて助証す)

【12】^*きょうごうのいはく (*述文賛)

憬興師

^ぶっうたがふによりて、 かのくにうまれて、 へんにありといへども、 *しょうかぶらず。 もしたいしょうせば、 よろしくこれをおもつべし」 と。

「由↠疑↢仏智↡、雖ムマ↢彼↦辺地↥、カブ↢聖化↡。若胎生セバヨロシベ シト↢之↡。」

一 Ⅰ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)横川
                (a)¬往生要集¼

【13】^しゅりょうごんいん (*源信) の ¬*ようしゅう¼ (下) に、 かんぜん (*懐感)しゃく (*群疑論)きていはく、

首楞厳¬要集¼引カン禅師↡云

^ふ。 ¬*さつ処胎しょたいきょう¼ のだいかく、 ª^西方さいほうこのえんだいることじゅうおく那由なゆまんがいあり。 こころおこせるしゅじょう*弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとおもふもの、 みなふかまんこくじゃくして、 前進すすんで弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずることあたはず。 おく千万せんまんしゅうとき一人いちにんありて、 よく弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずº と云々うんぬん^この ¬きょう¼ をもつて*じゅんなんするに、 しょうずることをべしやと。

「問。¬菩薩処胎経¼第二カク、西方去コト↢此0187閻浮提↡十二億那由他↢懈慢界↡。 ↠意衆生欲↠生ゼム↢阿弥陀仏国、皆深ツクシテ↢懈慢国土↡、↠能前進 スヽ ムデズルコト↢阿弥陀仏国↡。億千万衆、時↢一人↡、能ズト↢阿弥陀仏国↡云云。以↢此¬経¼↡ジユンナヅラフスルニ、可シヤ↠生ズルコト

^こたふ。 ¬ぐんろん¼ に善導ぜんどうしょうさきもんきて、 このなんしゃくして、 またみづからじょじょうしていはく、 ª^この ¬きょう¼ のしももんにいはく、 «なにをもつてのゆゑに、 みなまんによりてしゅうしんろうならず» と。

。¬群疑論¼引↢善導和尚シテ↢此↡、又ミヅカタスクシテ、此¬経¼下、何マン↡執トルラウカタクナラカタシ↡。

^ここにんぬ、 雑修ざっしゅのものはしゅうしんろう0381ひととす。 ゆゑにまんこくしょうず。 もし雑修ざっしゅせずして、 もつぱらこのごうぎょうぜば、 これすなはちしゅうしんろうにして、 さだめて極楽ごくらくこくしょうぜん。

、雑修之↢執心不牢之人↡。故↢懈慢国也。若シテ↢雑修↡専↢此↡、此即執心牢固ニシテ、定メテゼム↢極楽国↡。

^またほうじょうしょうずるものはきはめてすくなし。 じょうのなかにしょうずるものはすくなからず。 ゆゑに ¬きょう¼ の別説べっせつじつそうせざるなりº」 と。 以上略抄

又報浄土ズル。化浄土ズル不↠カラ。故別説、実↢相違↡也。」 已上略抄

一 Ⅰ ⅱ a 勧誡

【14】^しかれば、 それりょうごんしょう (源信)解義げぎあんずるに、 念仏ねんぶつしょうもん (往生要集・下) のなかに、 だいじゅうはちがん別願べつがんのなかの別願べつがんなりと顕開けんかいしたまへり。 ¬かんぎょう¼ のじょうさんしょは、 ごくじゅう悪人あくにん、 ただ弥陀みだしょうせよと勧励かんれいしたまへるなり。 じょく道俗どうぞくよくみづからおのれが*のうりょうせよとなり、 るべし。

ズルニリヨウ和尚解義ハカラフ↡、念仏証第十八顕↢開シタマヘリ別願中之別願ナリト↡。¬観経¼定散諸機スヽメレイハゲマスシタマヘル極重悪人、唯称セヨト弥陀↡也。濁世道俗、善ミヅカ思↢量セヨト↡也、応↠知

一 Ⅰ ⅱ 二経の隠顕を釈す
        観経の三心を釈す【観経隠顕】
          (一)

【15】^ふ。 ¬*大本だいほん¼ (大経)*三心さんしんと ¬かんぎょう¼ の*三心さんしんいちいかんぞや。

。¬大本¼三心↢¬観経¼三心↡一異云何ゾヤ

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)
            (Ⅰ)正釈
              (ⅰ)例を作りて略釈す
                (a)立例
                  (イ)標挙

^こたふ。 しゃく (善導)によりて ¬りょう寿じゅぶつかんぎょう¼ をあんずれば、 *けんしょう隠密おんみつあり。

。依↢釈家之意↡按ズレ↢¬无量寿仏観経¼↡↢顕彰オンカクスカクス義↡

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ロ)解釈
                    [一]顕を釈す

^けんといふは、 すなはちじょうさん諸善しょぜんあらわし、 三輩さんぱい三心さんしんひらく。 しかるに*ぜん三福さんぷくほう真因しんいんにあらず。 しょ三心さんしんは、 *自利じり各別かくべつにして*利他りた一心いっしんにあらず。 如来にょらい*方便ほうべん*ごんじょう善根ぜんごんなり。 これはこのきょう (観経)なり。 すなはちこれけんなり。

↠顕、即↢定散諸善↡開↢三輩・三心↡。然二善・三福↢報土真因↡。諸機三心、自利各別シテ↢利他一心↡。如来方便、忻ネガヒ慕浄シタフ 善根ナリ¬経¼之意ナリ。即是顕義也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]彰を釈す

^しょうといふは、 如来にょらい0382がんあらわし、 利他りたつうにゅう一心いっしん*えんちょうす。 だっ (*提婆達多)じゃ (*阿闍世)あくぎゃくによりて、 *しゃしょうかいあらわす。 *だい別選べっせんしょうによりて、 弥陀みだだい本願ほんがん開闡かいせんす。 これすなはちこのきょう (観経)おんしょうなり。

↠彰アラハス0188↢如来弘願↡演ノベ↢暢ノブ利他通入一心↡。縁↢達多・闍世悪逆↡、彰↢釈迦スコシキセウヱムモトクワイオモヒ↡。因↢韋提別選正意↡、開↢闡ヒラク弥陀大悲本願↡。¬経¼隠カクス義也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ハ)釈例(¬観経¼「序分」九文、「正宗分」四文、計十三文)

 ^ここをもつて ¬きょう¼ (観経) には、 「きょうかん清浄しょうじょうごっしょ」 といへり。 清浄しょうじょうごっしょ」 といふは、 すなはちこれ本願ほんがんじょうじゅほうなり

¬経ニハ¼言ヘリ↢「教我観於清浄業処」↡。言↢清浄業処、則是本願成就報土也。

^きょうゆい」 といふは、 すなはち方便ほうべんなり。

↢教我思惟オモフ、即方便也。

^きょうしょうじゅ」 といふは、 すなはち金剛こんごう真心しんしんなり。

↢教我正受、即金剛真心也。

^諦観たいかんこくじょうごうじょうしゃ」 といへり、 本願ほんがんじょうじゅじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらいかんすべしとなり。

ヘリ↢「諦観彼国浄業成者」↡、応シト↣観↢知本願成就尽十方无光如来↡也。

^広説こうせつしゅ」 といへり、 すなはちじゅうさんがんこれなり。

ヘリ↢「広説衆」↡、則十三観是也。

^にょぼん心想しんそう羸劣るいれつ」 といへり、 すなはちこれ悪人あくにんおうじょうたることをあらわすなり。

ヘリ↢「汝是凡夫心想ルイオトリ」↡、則是彰ルコトヲ↢悪人往生機↡也。

^諸仏しょぶつ如来にょらい方便ほうべん」 といへり、 すなはちこれじょうさん諸善しょぜん方便ほうべんきょうたることをあらわすなり。

ヘリ↢「諸仏如来有異方便」↡、則是定散諸善ルコトヲ↢方便之教↡也。

^仏力ぶつりきけんこく」 といへり、 これすなはちりきあらわすなり。

ヘリ↢「以仏力故見彼国土」↡、斯乃↢他力之意↡也。

^にゃく仏滅ぶつめつしょしゅじょうとう」 といへり、 すなはちこれらいしゅじょうおうじょうしょうたることをあらわすなり。

ヘリ↢「若仏滅後諸衆生等」↡、即是未来衆生、顕↠為ルコトヲ↢往生正機↡也。

^にゃく合者がっしゃみょうそう」 といへり、 これじょうかんじょうじがたきことをあらわすなり。

ヘリ↢「若有合者名為」↡、是顕↢定観難コトヲ↟成也。

^現身げんしんちゅうとく念仏ねんぶつ三昧ざんまい」 といへり、 すなはちこれじょうかんじょうじゅやくは、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいるをもつてかんやくとす0383ることをあらわす。 すなはち観門かんもんをもつて方便ほうべんきょうとせるなり。

ヘリ↢「於現身中得念仏三昧」↡、即是顕↧定観成就之益 タスク 、以ルヲ↢念仏三昧ルコトヲ↦観↥。即↢観門↢方便之教↡也。

^ほつ三種さんしゅしん即便そくべんおうじょう」 といへり。 また 「復有ぶう三種さんしゅしゅじょう当得とうとくおうじょう」 といへり。 これらのもんによるに、 三輩さんぱいについて、 *三種さんしゅ三心さんしんあり、 また*しゅおうじょうあり

ヘリ↢「発三種心即便往生」↡。又言ヘリ↢「復有三種衆生当得往生」↡。依↢此等↡、就↢三輩↡有↢三種三心↡、復有↢二種往生↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ニ)結成

 ^まことにんぬ、 これいましこの ¬きょう¼ (観経)けんしょう隠密おんみつあることを。

マコト¬経¼有ルコトヲ↢顕彰隠蜜之義↡。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)正答

^きょう (大経・観経) 三心さんしん、 まさにいちだんぜんとす、 よくりょうすべきなり。 ¬だいきょう¼・¬かんぎょう¼、 けんによればなり、 しょうによればいちなりるべし。

二経三心、将ダンゼムト↢一0189↡、応↢善思量↡也。¬大経¼・¬観経¼依レバ↢顕↡異ナリ、依レバ↢彰↡一也、可↠知

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)釈を挙げて広弁す
                (a)引文
                  (イ)「玄義分」二文

・序題門

【16】^しかれば、 こうみょうしょう (善導) のいはく (*玄義分)

光明寺和尚

^しかるにしゃしゅ (釈尊)、 そのしょうによるがゆゑに、 すなはちひろじょう要門ようもんひらく。 安楽あんらく能人のうにん (阿弥陀仏)べっがんけんしょうす。

「然娑婆化主、因↢其コウ↡故、即↢浄土之要門↡。安楽能人顕↢彰別意之弘願↡。

^その要門ようもんとはすなはちこの ¬かんぎょう¼ のじょうさんもんこれなり。 じょうはすなはちおもんぱかりをめてもつてこころらす。 さんはすなはちあくはいしてもつてぜんしゅす。 このぎょうしておうじょうがんせよとなり。

要門¬観経¼定散二門是也。定メテオモンパカリコラ↠心。散ハイシテ↠悪↠善。回シテ↢此二行↡求↢願セヨト往生↡也。

^がんといふは ¬だいきょう¼ のせつのごとし」 といへり。

↢弘願↡者如シトイヘリ↢¬大経¼説↡。」

・宗旨門

【17】^またいはく (玄義分)

又云

^いまこの ¬かんぎょう¼ はすなはち観仏かんぶつ三昧ざんまいをもつてしゅうとす、 また念仏ねんぶつ三昧ざんまいをもつてしゅうとす。 一心いっしんがんしてじょうおうじょうするを0384たいとす。

「今此¬観経¼即↢観仏三昧↠宗、亦以↢念仏三昧↡為↠宗。一心回願シテ往↢生スルヲ浄土↠体

^きょうだいしょうといふは、 うていはく、 このきょうぞうのなかには、 いづれのぞうにかせっする、 きょうのなかには、 いづれのきょうにかおさむるやと。

↢教之大少、問ヒテ、此¬経¼二蔵之中ニハニカスル、二教之中ニハニカオサルヤ

^こたへていはく、 いまこの ¬かんぎょう¼ はさつぞうおさむ。 とんぎょうしょうなり」 と。

ヘテ、今此¬観経¼菩薩蔵。頓教ナリト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)「序分義」二文

・証信序

【18】^またいはく (*序分義)

又云

^また ªにょº といふは、 すなはちこれはほうす、 じょうさんりょうもんなり。 ªº はすなはちさだむることばなり。 ぎょうずればかならずやくす。 これは如来にょらい所説しょせつみこと錯謬しゃくみょうなきことをかす。 ゆゑににょづく。

「又言↢如是、即↠法、定散両門也。是コトバナリ。機、行ズレバ。此↣如来所説ミコトキコトヲ↢錯謬↡。故↢如是↡。

^また ªにょº といふはしゅじょうのごとしとなり。 こころしょぎょうしたがひてぶつすなはちこれをしたまふ。 きょう相応そうおうせるをまたしょうして ªº とす。 ゆゑににょといふ。

又言↠如シト↢衆生↡也。随↢心所楽↡仏即シタマフ↠之。機教相応セルヲ復称イフシテ↠是。故↢如是↡。

^またにょといふは、 如来にょらい所説しょせつかさんとほっす。 ぜんくことはぜんのごとし、 とんくことはとんのごとし。 そうくことはそうのごとし、 くうくことはくうのごとし。

又言↢如是、欲↠明サム↢如来所説↡。説クコトハ↠漸ヤウヤク↠漸、説コトハ↠頓↠頓。説コト↠相↠相、説クコトハ↠空↠空

^人法にんぼうくこと人法にんぼうのごとし天法てんぼうくこと天法てんぼうのごとし。 しょうくことしょうのごとし、 だいくことだいのごとし。

クコト↢人法↡如↢人法↡、説クコト↢天法↡如↢天法↡。説クコト↠小↠小、説クコト↠大↠大

^ぼんくことぼんのごとし、 しょうくことしょうのごとし。 いんくこといんのごとし、 くことのごとし。

クコト↠凡↠凡、説クコト↠聖↠聖。説クコト↠因↠因、説クコト↠果↠果

^くことのごとし、 らくくことらくのごとし。 おんくことおんのごとし、 ごんくことごんのごとし。

クコト↠苦↠苦、説クコト↠楽↠楽。説クコト↠遠↠遠、説クコト↠近↠近

^どうくことどうのごとし、 べつ0385くことべつのごとし。 じょうくことじょうのごとし、 くことのごとし。

クコト↠同↠同、説クコト↠別↠別。説クコト↠浄↠浄、説クコト↠穢↠穢

^一切いっさいほうくこと千差せんじゃ万別まんべつなり。 如来にょらいかん*歴々れきれきりょうねんとして、 こころしたがひてぎょうおこして、 おのおのやくすることおなじからず。 *ごう法然ほうねんとしてすべてしゃくしつなし、 またしょうして ªº とす。 ゆゑににょといふ」 と。

コト↢一切↡千差シナ万別ナリ。如来観知、レキフル歴了然トシテ、随↠心↠行、各タスクスルコト↠同ジカ。業果法然トシテスベシヤクアヤマリ失↡、又称シテ為↠是。故↢如是↡。」

・散善顕行縁

【19】^またいはく (序分義)

又云

^ªよくしょうこくしゃº よりしも ªみょうじょうごうº にいたるまでこのかたは、 まさしく三福さんぷくぎょう勧修かんしゅすることをかす。

「従↢欲生彼国者↡マデ↢名為浄業↡已来タハシク↣勧↢修スルコトヲ三福之行↡。

^これは一切いっさいしゅじょうしゅあることをかす。 ひとつにはじょうふたつにはさんなり。 もし定行じょうぎょうによれば、 すなはちしょうせっするにきず。 これをもつて如来にょらい方便ほうべんして三福さんぷく顕開けんかいして、 もつて散動さんどうこんおうじたまへり」 と。

↣一切衆生コトヲ↢二種↡。一定、二ナリ。若レバ↢定行↡、即スルニ↠生↠尽如来方便シテ顕↢開シテ三福↡、以ジタマヘリト↢散動根機↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ハ)「散善義」

・上上品釈

【20】^またいはく (*散善義)

又云

^また真実しんじつしゅあり。 ひとつには自利じり真実しんじつふたつには利他りた真実しんじつなり。

「又真実↢二種↡。一自利真実、二利他真実ナリ

^自利じり真実しんじつといふは、 またしゅあり。

↢自利真実、復有↢二種↡。

^ひとつには、 真実しんじつしんのうちに自他じた諸悪しょあくおよびこくとう制捨せいしゃして、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがに、 一切いっさいさつ諸悪しょあく制捨せいしゃするにおなじく、 われもまたかくのごとくせんとおもふ。

真実心制↢トヾムシテ自他諸悪及穢国等↡、行住坐臥、想↧同ジク↣一切菩薩制↢捨スルニ諸悪↡、我亦如クセムト↞是也。

^ふたつには、 真実しんじつしんのうちに自他じたぼんしょうとうぜん勤修ごんしゅす。

者真実心懃↢修自他凡聖等↡。

^真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほう讃嘆さんだんす。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 三界さんがい六道ろくどうとう自他じたしょう0386ほうあくえんす。 また一切いっさいしゅじょう三業さんごうしょぜん讃嘆さんだんす。 もし善業ぜんごうにあらずは、 つつしんでこれをとおざかれ、 またずいせざれとなり。

真実心口業讃↢嘆阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心口業クヰソシリエンイトフ三界六道等自他依正二報苦悪之事↡。亦讃↢嘆一切衆生三業所為↡。若↢善業ツツシトオザカレ↠之、亦不レト↢随喜↡也。

^また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 がっしょうらいきょうし、 四事しじとうをもつてかの弥陀みだぶつおよびしょうほうようす。 また真実しんじつしんのうちの身業しんごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうまん厭捨えんしゃす。

又真実心身業、合掌礼敬、四事等ヲモテ供↢養阿弥陀仏及依正二報↡。又真実心身業カロメ↢慢アナドル厭↣捨生死三界等自他依正二報↡。

^また真実しんじつしんのうちのごうに、 かの弥陀みだぶつおよびしょうほうそうかん0387ざつ憶念おくねんして、 まえげんぜるがごとくす。 また真実しんじつしんのうちのごうに、 このしょう三界さんがいとう自他じたしょうほうきょうせん厭捨えんしゃすと。

又真実0191意業思↢想観↣察憶↤念シテ阿弥陀仏及依正二報↡、如クス↠現ゼルガ↢目↡。又真実心意業軽↢センイヤシウス厭↣捨スト生死三界等自他依正二報↡。

 ^またけつじょうして、 しゃぶつ、 この ¬かんぎょう¼ に三福さんぷくぼんじょうさんぜんきて、 かのぶつしょうほうしょうさんしてひとをしてごんせしむと深信じんしんと。

又決定シテ深↧信スト釈迦仏説↢此¬観経¼三福九品・定散二善↡、証↢賛シテ依正二報↡使ムト↦人ヲシテネガイシタウ↥。

^*また深心じんしん深信じんしんとは、 けつじょうして*しんこんりゅうして、 きょうじゅんじてしゅぎょうし、 ながしゃくのぞきて、 一切いっさいべつべつぎょうがくけんしゅうのために退失たいしつきょうどうせられざるなりと。

又深心深信、決定シテ建↢立シテ自心↡、順ジテ↠教修行、永↢疑錯アヤマル↡、不↧為↢一切別解・別行・異学・異見・異執之↡所↦退失クヰヤウカタブク↥也

 ^つぎぎょうについてしんてば、 しかるにぎょうしゅあり。 ひとつには正行しょうぎょうふたつにはぞうぎょうなり。

↠行↠信、然↢二種↡。一正行、二者雑行ナリ

^正行しょうぎょうといふは、 もつぱらおうじょうきょうぎょうによりてぎょうずるものは、 これを正行しょうぎょうづく。

↢正行、専↢往生経↡行ズル、是↢正行↡。

^なにものかこれや。 一心いっしんにもつぱらこの ¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼・¬りょう寿じゅきょう¼ とう読誦どくじゅする。 一心いっしんにかのくにほうしょうごんせんちゅうそう観察かんざつ憶念おくねんする。 もしらいせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつらいする。 もしくちしょうせばすなはち一心いっしんにもつぱらかのぶつしょうせよ。 もし讃嘆さんだんようせばすなはち一心いっしんにもつぱら讃嘆さんだんようする。 これをづけてしょうとす。

是也。一心読↢誦スル¬観経¼・¬弥陀経¼・¬无量寿経¼等↡。一心専↢注トヾム思↣想観↤察憶↯念スル二報荘厳↡。若セバ一心スル↢彼↡。若セバ一心セヨ↢彼↡。若讃嘆供養セバ一心讃嘆供養スル。是↠正

^またこのしょうのなかについて、 またしゅあり。

又就↢此↡、復有↢二種↡。

^ひとつには、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんて、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがせつごんはず、 念々ねんねんてざるものは、 これを正定しょうじょうごうづく、 かの仏願ぶつがんじゅんずるがゆゑに。

者一心専↢念シテ弥陀名号↡、行住坐臥不↠問↢時節久近↡、念念↠捨、是↢正定之業↡、順ルガ↢彼仏願↡故

^もし礼誦らいじゅとうによるは、 すなはちづけて助業じょごうとす。

↢礼誦等↡、即↢助業↡。

^このしょうじょぎょうのぞきて以外いげ自余じよ諸善しょぜんは、 ことごとくぞうぎょうづく。 ^もしさきしょうじょぎょうしゅするは、 こころつねに親近しんごんし、 憶念おくねんえず、 づけてけんとす。 もしのちぞうぎょうぎょうずるは、 すなはちこころつねに間断けんだんす。 こうしてしょうずることをべしといへども、 すべてぞうぎょうづくるなり。

キテ↢此正助二行↡已外自余諸善、悉↢雑行↡。若スルハ↢前正助二行↡、心常シンゴン、憶念↠断、名為↢无間↡也。若ズルハ↢後雑行↡、即心常間断。雖↠可↢回向シテ↟生ズルコト、衆クル↢疎雑之行↡也。

^ゆゑに深心じんしんづく。

0192↢深心↡。

 ^つにはこう発願ほつがんしん

者回向発願心。

^こう発願ほつがんしんといふは、 過去かこおよびこんじょうしん口意くいごうしゅするところのしゅっ善根ぜんごん、 および一切いっさいぼんしょうしん口意くいごうしゅするところのしゅっ善根ぜんごんずいして、 この自他じた所修しょしゅ善根ぜんごんをもつて、 ことごとくみな真実しんじつ深信じんしんしんのうちにこうして、 かのくにしょうぜんとがんず。 ゆゑにこう発願ほつがんしんづくるなり」 と。

↢回向発願心↡者、過去及以今生身口意業↠修スル世・出世善根、及随↢喜シテ一切凡聖身口意業↠修スル世・出世善根↡、以↢此自他所修善根↡、悉皆真実深信回向シテ、願↠生ゼム↢彼↡。故クル↢回向発願心↡也。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ニ)「序分義」二文

・定善

038821】^またいはく (序分義)

又云

^*じょうぜん*かんしめえんなり」 と。

「定善↠観ナリト。」

・散善

【22】^またいはく (序分義)

又云

^*散善さんぜん*ぎょうあらわえんなり」 と。

「散善↠行ナリト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ホ)「散善義」

・結嘆

【23】^またいはく (散善義)

又云

^じょうようひがたし」 と。 文 抄

「浄土之要難シト文 抄

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ヘ)¬礼讃¼二文

・前序

【24】^またいはく (*礼讃)

又云

^¬かんぎょう¼ のせつのごとし。 まづ三心さんしんしてかならずおうじょう。 なんらをかつとする。

「如↢¬観経¼説↡。シテ↢三心↡必↢往生↡。何等ヲカ↠三

^ひとつにはじょうしん。 いはゆる身業しんごうにかのぶつ礼拝らいはいす、 ごうにかのぶつ讃嘆さんだんしょうようす、 ごうにかのぶつ専念せんねん観察かんざつす。 おほよそ三業さんごうおこすに、 かならず真実しんじつもちゐるがゆゑにじょうしんづく

至誠心。↠謂身業礼↢拝↡、口業讃↢嘆称↣揚↡、意業専↢念観↣察↡。凡↢三業↡、必モチヰルガ↢真実↡故↢至誠心↡。

^つにはこう発願ほつがんしんしょ一切いっさい善根ぜんごん、 ことごとくみなしておうじょうがんず、 ゆゑにこう発願ほつがんしんづく。

回向発願心。所作一切善根、悉皆回シテ↢往生↡、故↢回向発願心↡。

^この三心さんしんしてかならずしょうずることをるなり。 もし一心いっしんけぬればすなはちしょうずることをず。 ¬かんぎょう¼ につぶさにくがごとし、 るべしと。

シテ↢此三心↡必↠生ズルコト也。若ケヌレバ↢一心↡即↠得↠生ズルコト。如↢¬観経¼具↡、応シト↠知

 ^またさつすでにしょうまぬかれて、 しょ善法ぜんぽうしてぶっもとむ、 すなはちこれ自利じりなり。 しゅじょうきょうしてらいさいつくす、 すなはちこれ利他りたなり。 しかるにいまときしゅじょう、 ことごとく煩悩ぼんのうのためにばくせられて、 いまだ悪道あくどうしょうとうまぬかれず。 えんしたがひてぎょうおこして、 一切いっさい善根ぜんごんつぶさにすみやかにして0389弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんとがんぜん。 かのくにいたりをはりて、 さらにおそるるところなけん。 かみのごときのしゅねん任運にんうんにして、 自利じり利他りたそくせざることなしと、 るべし」 と。

又菩薩マヌカレテ↢生死↡、所作善法回シテ↢仏果↡、即是自利ナリ。教↢化シテ衆生↡尽↢未来際↡、即是利他ナリ。然衆生、悉↢煩悩↡繋ツナギシバルセラレテ、未マヌカ↢悪道生死等↡。随↠縁シテ↠行、一切善根スミヤカシテ、願0193ゼム↣往↢生ムト阿弥陀仏国↡。到↢彼↡已サラケム↠所↠オソルヽ。如キノ↠上四修、自然任マカセハコブニシテ、自利利他无シト↠不ルコト↢具足↡、応シト↠知。」

・前序

【25】^またいはく (礼讃)

又云

^もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんとするものはひゃくときまれいちせんときまれさん

「若↣捨テヽ↠専セムト↢雑業、百マレ↢一二↡、千↢五三↡。

^なにをもつてのゆゑに、 いまし雑縁ぞうえん乱動らんどうす、 しょうねんしっするによるがゆゑに、 ぶつ本願ほんがん相応そうおうせざるがゆゑに、 きょうそうせるがゆゑに、 ぶつじゅんぜざるがゆゑに、 ねん相続そうぞくせざるがゆゑに憶想おくそう間断けんだんするがゆゑに、 がんいんじゅう真実しんじつならざるがゆゑに、 とんしん諸見しょけん煩悩ぼんのうきた間断けんだんするがゆゑに、 ざんさんこころあることなきがゆゑに。

↣雑縁乱動、失スルニ↢正念↡故↢仏本願↡不ルガ↢相応↡故↠教相違セルガ、不ルガ↠順↢仏語↡故、係カクル念不ルガ↢相続↡故、憶想間断スルガ、回願不ルガ↢慇ネムゴロニ重真実ナラ↡故、貪・瞋・諸見煩悩間断スルガ、無キガ↠有コト↢慚ハヂハヅ・懴クイクユ心↡故

^さん三品さんぼんあり。

懴悔↢三品↡。

 ^じょうちゅうなり。

上・中・下ナリ

^じょうぼんさんとは、 もうのうちよりながし、 まなこのうちよりいだすをばじょうぼんさんづく。

上品懴悔、身毛孔ヨリ、眼ヨリ血出スヲ↢上品懴悔↡。

^ちゅうぼんさんとは、 遍身へんしんあつあせもうよりづ、 まなこのうちよりながるるをばちゅうぼんさんづく。

中品懴悔、徧身アツアセ↢毛孔↡出、眼ヨリルヽ↢中品懴悔↡。

^ぼんさんとは、 遍身へんしんとおあつく、 まなこのうちよりなみだづるをばぼんさんづく。

下品懴悔、徧身トオアツ、眼ヨリルヲ↢下品懴悔↡。

^これらの三品さんぼん差別しゃべつありといへども、 これひさしくだつぶん善根ぜんごんゑたるひとなり。 こんじょう0390ほううやまひ、 ひとおもくし、 しんみょうしまずないしょうざいももしさんすれば、 すなはちよく心髄しんずいとおりて、 よくかくのごとくさんすれば、 ごんはず、 しょ重障じゅうしょうみなたちまちに滅尽めつじんせしむることをいたす。

三品、雖↠有↢差別↡、シクタル↢解脱分善根↡人ナリ。致↠使ムルコトヲ↧今生↠法クシ↠人オシ↢身命↡、乃至小罪サンクユスレバリテ↢心髄↡、能↠此スレ↠問↢久近↡、所有重障タチマチ滅尽↥。

^もしかくのごとくせざれば、 たとひにちじゅうきゅうもとむれども、 つひにこれやくなし。 *たごうてなさざるものはんぬべし。 るいけつとうにあたはずといへども、 ただよく*真心しんしん徹到てっとうするものは、 すなはちかみおなじ」 と。

レバ↠如クセ↠此、縦使日夜十二時、急モトムレドモハシル   是無↠益。タガフテ↠知。雖↠能↢流ルイナミダ流血等↡、但能真心徹トホリスルイタル 、即ジト。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ト)¬観念法門¼

・護念縁

【26】^またいはく (*観念法門)

又云

^すべて*雑業ぞうごうぎょうじゃ照摂しょうしょうすとろんぜず」 と。

↠論↣照↢摂スト雑業行者↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(チ)¬法事讃¼

・転経分

【27】^またいはく (*法事讃・下)

0194

^如来にょらいじょくしゅつげんして、 よろしきにしたがひて方便ほうべんして群萌ぐんもうしたまふ。 あるいはもんにしてとくすとき、 あるいはすこしきさとりてさんみょうしょうすとく。

「如来出↢現シテ於五濁ヨロシキニ方便シテシタマフ↢群萌
↢多聞シテ得度スト↣少シキリテスト↢三明

^あるいはふくならべてさわりのぞくとおしへ、 あるいは禅念ぜんねんしてしてりょうせよとおしふ。 種々しゅじゅ法門ほうもんみなだつす」 と。

↢福サイワイメグムベテクト↢禅念シテシテ思量セヨト
種種法門皆解脱スト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(リ)¬般舟讃¼二文

・正讃

【28】^またいはく (*般舟讃)

又云

^万劫まんごうこうしゅせんことまことにつづきがたし。 いち煩悩ぼんのうももたびたびまじはる。
もししゃにして法忍ほうにんしょうせんことをたば、 六道ろくどうにして恒沙ごうじゃこうにもいまだあらじ。

「万劫修セムコト一時煩悩モヽタビタビマジハ
タバ↣娑婆ニシテセムコトヲ↢法忍六道ニシテ恒沙ニモアラ

^門々もんもんどうなるをぜんぎょうづく。 まん0391ごうぎょうしてしょうしょうす。
ひつみょうとしてもつぱら念仏ねんぶつすべし。 しゅいのちゆれば、 ほとけむかてまします。

門門不同ナルヲ↢漸教万劫苦行シテ↢无生
畢命↠期念仏スベシスベカラクレバテマシマス

^一食いちじきときなほひまあり、 いかんが万劫まんごう貪瞋とんじんせざらん。
貪瞋とんじん人天にんでんくるみちふ。 三悪さんまくしゅのうちにやすんず」 と。

一食之時ナホヒマ如何 イカン 万劫不ラム↢貪瞋
貪瞋↧受↢人天↡路三悪・四趣ズト↠身

・定散倶回

【29】^またいはく (般舟讃)

又云

^じょうさんともにして宝国ほうこくれ。 すなはちこれ如来にょらい方便ほうべんなり。
だいはすなはちこれ女人にょにんそう貪瞋とんじんそくぼんくらいなり」 と。

「定散倶シテ↢宝国是如来方便ナリ
韋提是女人貪瞋具足凡夫ナリト

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ヌ)¬論註¼

・真実功徳釈

【30】^¬*ろんちゅう¼ (上) にいはく、

¬論¼曰

^しゅどくそうあり。 ひとつには有漏うろしんよりしょうじてほっしょうじゅんぜず。 いはゆるぼん人天にんでん諸善しょぜん人天にんでんほう、 もしはいん、 もしは、 みなこれ顛倒てんどうす、 みなこれ虚偽こぎなり。 ゆゑにじつどくづく」 と。

「有↢二種功徳相↡。一↢有漏心↡生ジテ↠順↢法性↡。所↠謂凡夫、人天諸善、人天果報、若因若果、皆是顛倒、皆是虚偽ナリヘツラウ 。故クト↢不実功徳↡。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ル)¬安楽集¼二文

・化前の経意

【31】^¬*安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、

¬安楽集¼云

^¬*大集だいじっきょう¼ の ª月蔵がつぞうぶんº をきていはく、 ª^わが末法まっぽうときのなかに、 億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅせんに、 いまだ一人いちにんるものあらじº と。

「引↢¬大集経¼月蔵分↡言ハク、我末法億億衆生、起↠行セムニ↠道、未↠有↢一人↡。

^当今とうこん末法まっぽうなり。 このじょくあくには、 ただじょう一門いちもんありて、 つうにゅうすべきみちなり」 と。

当今末法ナリ。是五濁悪世ニハ、唯有↢浄土一門↡可↢通入0195↡路ナリト。」

・末法

【32】^またいはく (安楽集・下)

又云

^いまだ一万いちまんごうたざるこのかたは、 つね0392にいまだたくまぬかれず、 顛倒てんどうついするがゆゑに。 おのおのこうもちゐることはいたりておもく、 ほうなり」 と。

「未↠満↢一万劫已来 コノカ タハツネマヌカ↢火宅↡、顛倒ツイオツオツスルガ。各イウクウヘツラウラウ。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)釈義
                  (イ)通じて三経を判ず

【33】^しかるに、 いま ¬大本だいほん¼ (大経) によるに、 真実しんじつ方便ほうべんがんちょうほつす。 また ¬かんぎょう¼ には、 方便ほうべん真実しんじつきょうけんしょうす。 ¬しょうほん¼ (小経) には、 ただ真門しんもんひらきて方便ほうべんぜんなし。 ここをもつてさんぎょう真実しんじつは、 せんじゃく本願ほんがんしゅうとするなり。 またさんぎょう方便ほうべんは、 すなはちこれもろもろの善根ぜんごんしゅするをようとするなり。

キヨルニ↢¬大本¼↡、超↢発真実・方便之願↡。亦¬観経ニハ¼顕↢方便・真実之教↡。¬小本ニハ¼唯開↢真門↡無↢方便之善↡。是三経真実、選択本願↠宗也。復三経方便、即是修スルヲ↢諸善根↡為↠要也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)別して観経を釈す
                    [一]今経に就きて釈す
                      [Ⅰ]仏願を挙げて法義を標す

 ^これによりて方便ほうべんがん (第十九願)あんずるに、 ありしんあり、 またぎょうありしんあり。 がんとはすなはちこれりんじゅう現前げんぜんがんなり。 ぎょうとはすなはちこれしゅしょどくぜんなり。 しんとはすなはちこれしん発願ほつがんよくしょうしんなり。

↠此ズルニ↢方便之願↡、有↠仮有↠真、亦有↠行有↠信。願是臨終現前之願也。行是修諸功徳之善也。信是至心・発願・欲生之心也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]開説に真仮有るを示す
                        [ⅰ]方便を明かす

^このがんぎょうしんによりて、 じょう要門ようもん方便ほうべんごん顕開けんかいす。

↢此願之行信↡、顕↢開浄土之要門、方便権仮↡。

^この要門ようもんより*しょうじょぞうさんぎょういだせり。 このしょうじょのなかについて、 専修せんじゅあり雑修ざっしゅあり。 についてしゅあり。 ひとつには*じょうふたつには*さんなり。

↢此要門↡出セリ↢正・助・ タスク 三行↡。就↢此正助↡、有↢専修↡有↢雑修↡。就↠機ハタモノ↢二種↡。一者定機、二者散機也。

^またしゅ三心さんしんあり。 またしゅおうじょうあり。

又有↢二種三心↡。亦有↢二種往生↡。

^しゅ三心さんしんとは、 ひとつにはじょう三心さんしんふたつにはさん三心さんしんなり。 じょうさんしんはすなはち自利じり各別かくべつしんなり。

二種三心、一者定三心、二者散三心ナリ。定散自利各別心也。

^しゅおう0393じょうとは、 ひとつには*そくおうじょうふたつには*便べんおうじょうなり。 便べんおうじょうとはすなはちこれたいしょうへん双樹そうじゅりんおうじょうなり。 そくおうじょうとはすなはちこれほうしょうなり。

二種往生、一者即往生、二者便タヨリ往生ナリ。便往生者即是胎生辺地、双ナラブ樹林下往生也。即往生是報土化生也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]真実を明かす

^またこの ¬きょう¼ (観経)真実しんじつあり。 これすなはち金剛こんごう真心しんしんひらきて、 摂取せっしゅしゃあらわさんとほっす。 しかれば、 じょく*のうしゃ*善逝ぜんぜいしんしんぎょう願心がんしん宣説せんぜつしたまふ。 ほう真因しんいんしんぎょうしょうとするがゆゑなり。

亦此¬経¼有↢真実↡。↢金剛真心↡、欲↠顕サムト↢摂取不0196↡。然濁世能化釈迦善逝、ユク サルノベ↢説シタマフ至心信 楽コノミネガフ之願心↡。報土真因信楽↠正故也。

^ここをもつて ¬だいきょう¼ には 「しんぎょう」 とのたまへり、 如来にょらい誓願せいがんがいまじはることなきがゆゑにしんとのたまへるなり。 ¬かんぎょう¼ には 「深心じんしん」 とけり、 しょ浅信せんしんたいせるがゆゑにじんとのたまへるなり。 ¬しょうほん¼ (小経) には 「一心いっしん」 とのたまへり、 ぎょうまじはることなきがゆゑにいちとのたまへるなり。 また一心いっしんについてじんありせんあり。 じんとは利他りた真実しんじつしんこれなり、 せんとはじょうさん自利じりしんこれなり。

¬大経ニハ¼言ヘリ↢「信楽」↡、如来誓願、疑蓋フタキガ↠雑ルコト↠信也。¬観経ニハ¼説ケリ↢「深心」↡、対スルガムカフ  ↢諸機浅信↡故↠深也。¬小本ニハ¼言ヘリ↢「一心」↡、二行無キガ↠雑ハルコトヘル↠一也。復就↢一心↡有↠深有↠浅。深利他真実之心是也、浅者定散自利之心是也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]一代に就きて釈す
                      [Ⅰ]釈を挙げて意を述ぶ
                        [ⅰ]引文

【34】^しゅう (善導)によるに、 「^こころによりて勝行しょうぎょうおこせり。 もん八万はちまんせんあまれり。 漸頓ぜんとんすなはちおのおのしょかなへり。 えんしたがふものすなはちみなだつかぶる」 (玄義分) といへり。

↢宗師↡、云ヘリ↧「依リテ↠心セリ↢於勝行門余レリ↢八万四千漸頓則カナヒテ↢所宜ヨロ↠縁皆蒙レリ↦解脱↥。」

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅰ][ⅱ]難易・権実の意を述ぶ

^しかるにじょうもつぼんじょうしんしゅしがたし、 *息慮そくりょぎょうしんのゆゑに。 散心さんしんぎょうじがたし、 *廃悪はいあく修善しゅぜんのゆゑに。 0394こをもつて*立相りっそうじゅうしんなほじょうじがたきがゆゑに、 「^たとひ千年せんねん寿じゅつくすとも、 法眼ほうげんいまだかつてひらけず」 (定善義) といへり。

常没凡愚、定心難↠修、息ヤメテ オモンパカリコラス。散心難↠行、廃ステヽ悪修善。是立相住心ナホ↠成ヘリ↧「タトトモ↢千年寿↡、法眼未↥。」

^いかにいはんや、 *そうねんまことにがたし。 ゆゑに、 「^如来にょらいはるかに末代まつだいざいじょくぼんろしめして、 そうしんじゅうすとも、 なほることあたはじと。 いかにいはんや、 そうはなれてもとめば、 じゅつつうなきひとくうしゃてんがごときなり」 (定善義) といへり。

イハン无相離マコト。故ヘリ↩「如来ハルカ↢末代罪濁凡夫↡、立相住心、↠能↠得コト↠相↠事如↧似 ゴト ↢術通↡人↠空テムガ↞舎イヱ。」↨

・門釈

^もん」 といふは、 「もん」 はすなはち八万はちまんせんもんなり、 「」 はすなはち本願ほんがんいちじょうかいなり。

↢門余、門八万四千仮門也、余本願一乗海也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ]詳らかに法相を判ず
                        [ⅰ]聖道門を明かす

【35】^おほよそ*一代いちだいきょうについて、 このかいのうちにして*にっしょうとくするをしょうどうもんづく、 なんぎょうどうといへり。 このもんのなかについて、 だいしょうぜんとんいちじょうじょうさんじょうごんじつけんみつしゅしゅつしゅちょうあり。 すなはちこれりき*利他りたきょう方便ほうべん権門ごんもんどうなり。

↢一代↡、↢此↡入聖得果スルヲ↢聖道門↡、云ヘリ↢難行道↡。就↢此↡、有↢大・小、漸・頓、一乗・二乗・三乗、権・実、顕・密、シユタトサマ出・竪超↡。則是自力利0197他教化地、方便権門之道路也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)[二][Ⅱ][ⅱ]浄土門を明かす

^あんにょうじょうせつにして*にっしょうしょうするをじょうもんづく、 ぎょうどうといへり。 このもんのなかについて、 おうしゅつおうちょうしんぜんとんじょしょうぞうぎょう雑修ざっしゅ専修せんじゅあるなり。

↢安養浄刹↡入聖証果スルヲ↢浄土門↡、云ヘリ↢易行道↡。就↢此↡、有↢横出・横超、仮・真、漸・頓、助正・雑行、雑修・専修↡也。

・正助雑釈

^しょうとはしゅ正行しょうぎょうなり。 じょとはみょうごうのぞきて以外いげ*しゅこれなり。 ぞうぎょうとは、 しょうじょのぞきて以外いげをことごとくぞうぎょうづく。 これすなはちおうしゅつぜん0395ぎょうじょうさん三福さんぷく三輩さんぱいぼんりきもんなり。

者五種正行也。助↢名号↡已外五種是也。雑行、除↢正助↡已外↢雑行↡。横出・漸教、定散・三福、三輩・九品、自力仮門也。

・横超釈

^おうちょうとは、 本願ほんがん憶念おくねんしてりきしんはなる、 これをおうちょうりきづくるなり。 これすなはちせんのなかのせんとんのなかのとんしんのなかのしんじょうのなかのいちじょうなり。 これすなはちしんしゅうなり。 すでに真実しんじつぎょうのなかにあらわしをはんぬ。

横超、憶↢念シテ本願↡離↢自力之心↡、↢横超他力↡也。中之専、頓中之頓、真中之真、乗中之一乗ナリ真宗也。已↢真実行之中↡畢

・雑行釈

【36】^それぞうぎょう雑修ざっしゅ、 そのことばひとつにして、 そのこころこれことなり。 ぞうごんにおいてまんぎょう摂入しょうにゅうす。 正行しょうぎょうたいしてしゅぞうぎょうあり。 ぞうごんは、 にんてんさつとう*ぎょうぞうせるがゆゑにぞうといへり。 もとよりおうじょう因種いんしゅにあらず、 *しんこうぜんなり。 ゆゑにじょうぞうぎょうといふなり。

雑行雑修、其シテコレナリイテ↢雑之言↡摂↢入万行↡。対シテ五正行↡有↢五種雑行↡。雑、人・天・菩薩等解行、雑セルガヘリ↠雑↢往生因種↡、廻心回向之善ナリ。故↢浄土之雑行↡也。

^またぞうぎょうについて、 せんぎょうあり専心せんしんあり、 またぞうぎょうあり雑心ざっしんあり。

復就↢雑行↡、有↢専行↡有↢専心↡、復有↢雑行↡有↢雑心↡。

・専

^せんぎょうとはもつぱら一善いちぜんしゅす、 ゆゑにせんぎょうといふ。 専心せんしんとはこうをもつぱらにするがゆゑに専心せんしんといへり。

専行↢一善↡、故↢専行↡。専心スルガ↢回向↡故ヘリ↢専心↡。

・雑

^ぞうぎょう雑心ざっしんとは、 諸善しょぜんけんぎょうするがゆゑにぞうぎょうといふ、 *じょうさんしんぞうするがゆゑに雑心ざっしんといふなり

雑行雑心者諸善ケンカネテルガ↢雑行↡、定散心雑スルガ↢雑心↡也。

・正助釈

^またしょうじょについて専修せんじゅあり雑修ざっしゅあり。 この雑修ざっしゅについて専心せんしんあり雑心ざっしんあり。

亦就↢正・助↡有↢専修↡有↢雑修↡。就↢此雑修↡有↢専心↡有↢雑心↡。

^専修せんじゅについてしゅあり。 ひとつにはただぶつみょうしょうす、 ふたつにはせんあり。 このぎょうごうについて専心せんしんあり雑心ざっしんあり。 せんとは、 ひとつには専礼せんらいふたつには専読せんどくつには専観せんかんつにはせんしょういつ0396つにはせん讃嘆さんだんなり。 これを専修せんじゅづく。 専修せんじゅ、 そのことばひとつにして、 そのこころこれことなり。 すなはちこれじょう専修せんじゅなり、 またさん専修せんじゅなり。

↢専修↡有↢二種↡。一唯称↢仏名↡、二↢五専↡。就↢此行業↡有↢専心↡0198↢雑心↡。五専、一ニハ専礼、二ニハ専読、三ニハ専観、四ニハ、五ニハ専讃嘆ナリ。是↢五専修↡。専修其シテコレナリ。即是定専修ナリ、復散専修也。

^専心せんしんとは、 正行しょうぎょうをもつぱらにして、 しんなきがゆゑに専心せんしんといふ。 すなはちこれじょう専心せんしんなり、 またこれさん専心せんしんなり。

専心、専↢五正行シテキガ↢二心↡故↢専心↡。即是定専心ナリ、復是散専心也。

^雑修ざっしゅとは、 じょしょうけんぎょうするがゆゑに雑修ざっしゅといふ。

雑修者、助正兼行スルガ↢雑修↡。

^雑心ざっしんとは、 じょうさんしんぞうするがゆゑに雑心ざっしんといふなり、 るべし。

雑心、定散心雑スルガ↢雑心↡也、応↠知

・諸師釈

 ^おほよそじょう一切いっさいしょぎょうにおいて、 しゃくしょう (道綽) は 「まんぎょう(安楽集・下) といひ、 どうしょう (善導) は 「ぞうぎょう(散善義)しょうす。 かんぜん (懐感) は 「しょぎょう(群疑論) といへり。 しんしょう (源信)かんにより、 くうしょうにん (源空)どうしょうによりたまふ。

イテ↢浄土一切諸行↡、綽和尚↢「万行」↡、導和尚↢「雑行」↡。感禅師ヘリ↢「諸行」↡。信和尚レリ↢感師↡。空聖人リタマフ↢導和尚↡也。

^*きょうによりてしゃくひらくにぞうぎょうのなかのぞうぎょう雑心ざっしんぞうぎょう専心せんしんせんぎょう雑心ざっしんあり。 また正行しょうぎょうのなかの専修せんじゅ専心せんしん専修せんじゅ雑心ざっしん雑修ざっしゅ雑心ざっしんは、 これみなへんたいまんがい業因ごういんなり。 ゆゑに極楽ごくらくしょうずといへども三宝さんぼうたてまつらず。 仏心ぶっしんこうみょう雑業ぞうごうぎょうじゃ照摂しょうしょうせざるなり。

リテ↢経家ヒラクニ↢師釈↡、雑行之中雑行雑心・雑行専心・専行雑心。亦正行之中専修専心・専修雑心・雑修雑心辺地・胎宮・懈慢界業因ナリ。故↠生↢極楽タテマツラ↢三宝↡。仏心光明、不↣照↢摂雑業行者↡也。

^りょう誓願せいがん (第十九願) まことにゆえあるかな。 *もんきょうごんしゃく、 これいよいよあきらかなり。

仮令之誓願マコトユヘカナ。仮門之教、忻ネガイ慕之シタフ 釈、イヨイヨアキラ也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)正答

 ^きょう三心さんしんけんによればなり、 しょうによればいちなり。

二経之三心、依レバ↢顕之義↡異也、依レバ↢彰内ニアラハス之義↡一也。

一 Ⅰ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)結答

^三心さんしんいち0397こたへをはんぬ。

三心一異之義、答

一 Ⅰ ⅱ b 小経の一心を釈す【小経隠顕】
          (一)

【37】^またふ。 ¬大本だいほん¼ (大経) と ¬かんぎょう¼ の三心さんしんと、 ¬しょうほん¼ (小経)*一心いっしんと、 いちいかんぞや。

又問。¬大本¼¬観経¼三心↢¬小本¼一心↡、一異云何ゾヤ

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)
            (Ⅰ)正釈
              (ⅰ)正弁
                (a)隠顕有ることを明かす

 ^こたふ。 いま方便ほうべん真門しんもん誓願せいがんについて、 ぎょうありしんあり。 また真実しんじつあり方便ほうべんあり。

。今就↢方便真門0199誓願↡、有↠行有↠信。亦有↢真実↡有↢方便↡。

^がんとはすなはちじきしょ徳本とくほんがんこれなり。 ぎょうとはこれにしゅあり。 ひとつには善本ぜんぽんふたつには徳本とくほんなり。

ジキウヽル諸徳本之願是也。行↢二種↡。一善本、二徳本也。

^しんとはすなはちしんこうよくしょうしんこれなり。 じゅうがんなり ^についてじょうありさんあり。

者即至心・回向・欲生之心是也。廿願也↠機↠定有↠散。

^おうじょうとはこれなんおうじょうこれなり。 ^ぶつとはすなはちしんなり。 ^とはすなはちじょうたいこれなり。

往生此難思往生是也。仏化身ナリ。土者即疑城ミヤコ胎宮是也。

・標挙

^¬かんぎょう¼ に*じゅんするに、 この ¬きょう¼ (小経) にまたけんしょう隠密おんみつあるべし。

ジユンナズラウスルニ¬観経¼↡、此¬経¼亦応↠有↢顕彰隠密之義↡。

・顕義

^けんといふは、 きょう一切いっさいしょぎょうしょうぜん*嫌貶けんべんして善本ぜんぽん徳本とくほん真門しんもんかいし、 自利じり一心いっしんはげましてなんおうじょうすすむ。

↠顕、経家ケンキラフ↢貶シテオトシム 一切諸行少善↡、開↢示善本徳本真門↡、ハゲマシテ↢自利一心↡勧↢難思往生↡。

^ここをもつて ¬きょう¼ (小経) には 「*善根ぜんごんどく福徳ふくとく因縁いんねん」 とき、 しゃく (法事讃・下) には 「^ぼんともにして退たいよ」 といへり。 あるいは 「無過むか念仏ねんぶつおう西方さいほう三念さんねんねんぶつ来迎らいこう(法事讃・意) といへり。

¬経ニハ¼説↢「多善根・多功徳・多福徳因縁」↡、¬釈ニハ¼云ヘリ↣「九品倶ヨト↢不退↡。」或ヘリ↢「無過念仏往西方三念五念仏来迎」↡

^これはこれ、 この ¬きょう¼ (小経)けんしめすなり。 これすなはち真門しんもんのなかの方便ほうべんなり。

コレ¬経¼↢顕↡也。真門中之方便也。

・彰義

^しょうといふは、 しん0398じつ難信なんしんほうあらわす。 これすなはち不可ふか思議しぎ願海がんかい光闡こうせんして、 無礙むげだい信心しんじんかいせしめんとおぼす。

↠彰↢真実難信之法↡。光↢闡シテヒラク 不可思議願海↡、オボ↠令メムト↠帰无大信心海↡。

^まことにすすめ、 すでに恒沙ごうじゃすすめなれば、 しんもまた*恒沙ごうじゃしんなり。 ゆゑに甚難じんなんといへるなり。 しゃく (法事讃・下) に、 「^ただちに弥陀みだぜいかさなれるをもつて、 ぼんねんずればすなはちしょうぜしむることをいたす」 といへり。

マコトスヽ恒沙ナレバ、信亦恒沙ナリ。故ヘル↢甚ハナハダ↡也。¬釈¼云ヘリ↧「直↢弥陀弘誓重レル↡致スト↞使ムルコトヲ↢凡夫念レバ↡」

^これはこれ、 おんしょうひらくなり。

↢隠彰↡也。

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)別して実義を弁ず

・執持一心釈

^¬きょう¼ (小経) に 「しゅう」 とのたまへり。 また 「一心いっしん」 とのたまへり。 ^しゅう」 のごんしん*堅牢けんろうにしててんせざることをあらわすなり。 」 のごんさんしつづくるなり。 ^いち」 のごん無二むにづくるのみことなり。 「しん」 のごん真実しんじつづくるなり。

¬経¼言ヘリ↢「執持」↡。亦言ヘリ↢「一心」↡。執↣心ケンカタクロウカタシシテルコトヲウツリウツル↡也。持↢不散不失↡也。一之言↢无二↡之ミコト也。心之言↢真実↡也。

・無問自説経

^この ¬きょう¼ (小経)だいじょうしゅ多羅たらのなかの*もんせつきょうなり。 しかれば如来にょらいこうしゅつしたまふゆゑは、 恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつしょうしょうただこれにあるなり

¬経¼大乗修多羅中之无問自説経也。爾如来所↣以 ユヘ 興↢出シタマフ0200↡、恒沙諸仏証護マモル正意、唯在↠斯也。

・列祖弘伝

^ここをもつて*四依しえきょうだい*さんちょうじょうしゅうしんしゅう念仏ねんぶつひらきて、 じょくじゃみちびく。

四依弘経大士、三テウ浄土宗師、開↢真宗念仏 チビ↢濁世邪偽イツハル↡。

・三経大綱

^さんぎょう大綱たいこうけんしょう隠密おんみつありといへども、 信心しんじんあらわしてのうにゅうとす。 ゆゑにきょうのはじめに 「にょ」 としょうす。

三経カウツナ、雖↠有↢顕彰隠蜜之義↡、彰シテ↢信心↢能入↡。故↢「如是」↡。

^にょ」 のはすなはちよくしんずるそうなり。 いまさんぎょうあんずるに、 みなもつて金剛こんごう真心しんしん最要さいようとせり。 真心しんしんはすなはちこれだい信心しんじんなり。 だい信心しんじん希有けうさいしょう0399しんみょう清浄しょうじょうなり。 なにをもつてのゆゑに、 だい信心しんじんかいははなはだもつてりがたし、 仏力ぶつりきよりほっするがゆゑに。 真実しんじつ*楽邦らくほうはなはだもつてやすし、 願力がんりきによりてすなはちしょうずるがゆゑなり。

如是之義ズル相也。今按ズルニ↢三経↡、金剛真心↢最要↡。真心是大信心ナリ。大信心希有・最勝・真妙・清浄ナリ。何。大信心海カタハ反↠入↢仏力↡発起スルガ。真実ハウクニ↠往↢願力↡即ズルガナリ

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)結成

^いままさに一心いっしんいちだんぜんとす、 まさにこのなるべしと。

今将↠談ゼムト↢一心一異↡、当シトナル↡也。

一 Ⅰ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)結答

^さんぎょう一心いっしんこたへをはんぬ。

三経一心之義、答

一 Ⅰ ⅱ 第二十願を釈す【真門釈】
        略して勧発す【説意出願】

【38】^それじょく道俗どうぞく、 すみやかに円修えんしゅとく真門しんもんりて、 なんおうじょうねがふべし。

濁世道俗、応スミヤカ↢円修至徳真門↡、願↦難思往生↥。

一 Ⅰ ⅱ c 正しく義を明かす
          (一)直釈

・真門行信

^真門しんもん方便ほうべんにつきて、 善本ぜんぽんあり徳本とくほんあり。 またじょう専心せんしんあり、 またさん専心せんしんあり、 またじょうさん雑心ざっしんあり。

↢真門之方便↡、有↢善本↡有↢徳本↡。復有↢定専心↡、復有↢散専心↡、復有↢定散雑心↡。

^雑心ざっしんとは、 だいしょうぼんしょう一切いっさい善悪ぜんあくおのおの*じょしょう間雑けんぞうしんをもつてみょうごうしょうねんす。 まことに*きょうとんにしてこんぜんなり。 ぎょうせんにしてしん間雑けんぞうす。 ゆゑに雑心ざっしんといふなり

雑心、大小・凡聖・一切善悪、各↢助正間雑↡称↢念名号↡。シテ漸機ナリ。行シテ心者間雑。故↢雑心↡也。

^じょうさん専心せんしんとは、 罪福ざいふくしんずるしんをもつて本願ほんがんりきがんす、 これをりき専心せんしんづくるなり。

定散之専心者、以↧信ズル↢罪福↡心↥願↢求本願力↡、是↢自力之専心↡也。

^善本ぜんぽんとは如来にょらいみょうなり。 このみょう万善まんぜんえんせり一切いっさい善法ぜんぽうもとなり。 ゆゑに善本ぜんぽんといふなり。

善本如来ヨシナリ。此嘉名万善円 セリソナハル ツブサナリ一切善法之本ナリ。故↢善本↡也。

^徳本とくほんとは如来にょらい徳号とくごうなり。 この徳号とくごういっしょうしょうねんするに、 とくじょうまんしゅみなてん十方じっぽうさん徳号とくごうもとなり ゆゑに徳本とくほんといふなり。

徳本如来徳号ナリ。此徳号一声称念スルニ、至徳成満クワワザワイ皆転、十方三世0201徳号之本ナリ。故↢徳本↡也。

・二尊能化

^しかればすなはち、 しゃ牟尼むにぶつは、 どくぞう開演かいえんして十方じっぽうじょくかんしたまふ弥陀みだ如来にょらいはもと*すいちかい 0400すいがんとはじゅうがんなりおこして、 しょぐんじょうかいいんしたまへり。

レバ釈迦牟尼仏、開↢エンシテ功徳蔵↡、勧↢化メグムシタマフ十方濁世↡。阿弥陀如来シテ↢果遂ハタシトゲム之誓果遂之願者廿願也 悲↢引シタマヘリ諸有群生海↡。

・出願

^すでにしてがんいます。 じきしょ徳本とくほんがんづく、 またねん定生じょうしょうがんづく、 また不果ふか遂者すいしゃがんづく、 またしんこうがんづくべきなり。

シテイマ↢悲願↡。名↢植ウヽル諸徳本之願↡、復名↢係カク念定生之願↡、復名↢不果遂者之願↡、亦可↠名↢至心回向之願↡也。

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)引文
            (Ⅰ)通じて上釈を成ず
              (ⅰ)正証
                (a)引経
                  (イ)因願成就を示す
                    [一]¬大経¼三文

・第二十願文

【39】^ここをもつて ¬だいきょう¼ (上)がん (第二十願) にのたまはく、

¬大経¼願ハク

^たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょうわがみょうごうきて、 ねんをわがくにけて、 もろもろの徳本とくほんゑて、 しんいたこうしてわがくにしょうぜんとおもはん。 すいせずはしょうがくらじ」 と。

我得タラムニ↠仏、十方衆生、聞↢我名号↡、係↢念↡、↢諸徳本↡、至↠心回向シテハム↠生ゼム↢我↡。↢果遂ハタシトゲ ↠取↢正覚↡。」

・胎生得失

【40】^またのたまはく (大経・下)

又言ハク

^この*しょにおいてわくしてしんぜず、 しかるになほ罪福ざいふくしんじて、 善本ぜんぽんしゅじゅうして、 そのくにしょうぜんとがんぜん。 このもろもろのしゅじょう、 かの殿でんしょうず」 と。

「於↢此諸智↡疑惑シテ↠信、然ルニナホジテ↢罪福↡、修↢習シテ善本↡、願ゼム↠生ゼム↢其↡。此衆生、生↢彼宮殿↡。」

・果遂の益

【41】^またのたまはく (大経・下)

又言

^もしひと善本ぜんぽんなければ、 このきょうくことをず。 清浄しょうじょうかいたもてるもの、 いまししょうぼうくことをん」 と。

「若人无レバ↢善本↡↠聞コトヲ↢此
清浄タモテル↠戒ムト↠聞コトヲ↢正法↡」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(イ)[二]¬如来会¼

【42】^¬*りょう寿じゅ如来にょらい¼ (上) にのたまはく、

¬無量寿如来会¼言ハク

^もしわれじょうぶつせんに、 りょうこくのなかのしょしゅじょう、 わがかんをきて、 もつておのれが善根ぜんごんとして極楽ごくらくこうせん。 もしうまれずは、 だいらじ」 と。

成仏セムニ、无量国ナカ所有衆生、聞↠説カムヲ↢我↡、以オノレ善根トシテ回↢向セム極楽↡。若↠生↠取↢菩提↡。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(イ)[三]¬平等覚経¼

040143】^¬*びょうどうがくきょう¼ (二) にのたまはく、

¬平等覚経¼言

^このどくあるにあらざるひとは、 このきょうくことをず。 ただ清浄しょうじょうかいたもてるもの、 いましかえりてこのしょうぼうく。

「非↠有ルニ↢是功徳↡人↠聞コトヲ↢是
タモテル↢清浄↢斯正法

^あくきょうまんへいだいとは、 もつて*このほうしんずることかたし。 *宿しゅくときぶつたてまつれるもの、 このみてそんおしえ*ちょうもんせん。

オゴルアナドルオホフ オコタトハオコタル↣以ズルコト↢於此
宿シウタテマツレル↠仏コノミテ聴↢ユリテキクセム信ジテキク世尊

^ひといのちまれべし。 ぶつにましませどもはなはだもうあひがたし。 *しんありていたるべからず。 もし聞見もんけんせばしょうじんしてもとめよ」 と。

人之命ドモ↠世マウア
↢信慧↡↠可0202聞見セバモンハラシテコノム ヨト

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ロ)随自真実を示す
                    [一]¬観経¼

【44】^¬かんぎょう¼ にのたまはく、

¬観経¼言

^ぶつなんげたまはく、 ªなんぢよくこのことばたもて。 このことばたもてといふは、 すなはちこれりょう寿じゅぶつみなたもてとなりº」 と。

「仏告ゲタマハク↢阿難↡、汝↢是↡。持テトイフ↢是、即是持テトナリト↢无量寿仏↡。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(a)(ハ)真門の教相を示す
                    [一]¬小経¼

【45】^¬弥陀みだきょう¼ にのたまはく、

¬阿弥陀経¼言

^しょう善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんをもつて、 かのくにしょうずることをべからず。 弥陀みだぶつくをきて、 みょうごうしゅうせよ」 と。

「不↠可カラ↧以↢少善根福徳因縁↡、↞生ズルコト↢彼↡。聞キテ↠説クヲ↢阿弥陀仏↡執トリセヨト名号。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)引釈
                  (イ)「定善義」

【46】^こうみょうしょう (善導) のいはく (定善義)

光明寺和尚

^自余じよしゅぎょう、 これぜんづくといへども、 もし念仏ねんぶつたくらぶれば、 まつたくきょうにあらざるなり。 このゆゑに、 しょきょうのなかに処々しょしょひろ念仏ねんぶつのうめたり。

「自余衆行雖↠名↢是善↡、若タクラブレ↢念仏マタ↢比ナラブタクラブ也。是諸経処処タリ↢念仏功能↡。

^¬りょう寿じゅきょう¼ のじゅうはちがんのなかのごとき、 ただ弥陀みだみょうごう専念せんねんしてしょうずることをかす。

↢¬无量寿経¼四十八願↡、唯明↧専↢念シテ弥陀名号↡得↞生ズルコト

^また ¬弥陀みだきょう¼ のなかのごとし、 一日いちにち七日しちにち弥陀みだみょうごう専念せんねんしてしょうずる0402ことをと。 ^また十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ証誠しょうじょうむなしからざるなり。

又如↢¬弥陀経¼中↡、一日七日専↢念シテ弥陀名号↠生ズルコト。又十方恒沙諸仏証成不ムナシカラ也。

^またこの ¬きょう¼ (観経)じょうさんもんのなかに、 ただみょうごう専念せんねんしてしょうずることをあらわす。

又此¬経¼定散、唯アラハ↧専↢念シテ名号↡得↞生ズルコト

^このれいひとつにあらざるなり。 ひろ念仏ねんぶつ三昧ざんまいあらわしをはんぬ」 と。

例非↠一也。広↢念仏三昧↡竟ヌト。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ロ)「散善義」三文

【47】^またいはく (散善義)

又云

^またけつじょうして、 ¬弥陀みだきょう¼ のなかに、 十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ一切いっさいぼんしょうかんして、 けつじょうしてしょうずることを深信じんしんせよと。

「又決定シテ深↧信セヨ¬弥陀経¼中、十方恒沙諸仏、証↢勧シテ一切凡夫↡、決定シテ↞生ズルコト

^諸仏しょぶつごんぎょうあひしつしたまはず。 たとひしゃ一切いっさいぼんかんして、 この一身いっしんつくして専念せんねん専修せんじゅして、 しゃみょう以後いごさだめてかのくにうまるるといふは、 すなはち十方じっぽう諸仏しょぶつことごとくみなおなじくめ、 おなじくすすめ、 おなじくしょうしたまふ。 なにをもつてのゆゑに、 同体どうたいだいのゆゑに。 いちぶつしょはすなはちこれ一切いっさいぶつなり、 一切いっさいぶつはすなはちこれいちぶつしょなり。

諸仏言行違失シタマハ↡。縦令 タトヒ 釈迦オシヘテ↢一切凡夫↡、尽シテ↢此一身↡専念専修シテツクロフ、捨スツ命已後定ルヽトイフ↢彼、即十方諸仏悉皆同ジクジクジクシタマフ。何。同体大悲。一仏所化是一切仏ナリ、一切仏0203是一仏所化ナリ

^すなはち ¬弥陀みだきょう¼ のなかにかく、 ªまた一切いっさいぼんすすめて、 一日いちにち七日しちにち一心いっしんにして弥陀みだみょうごう専念せんねんすれば、 さだめておうじょうんº と。

¬弥陀経¼中カク 又勧↢一切凡夫↡、一日七日、一心ニシテ専↢念スレバ弥陀名号↡、定ムト↢往生↡。

^次下つぎしももん (小経・意) にいはく、 ª^十方じっぽうにおのおのごうしゃとう諸仏しょぶつましまして、 おなじくしゃめたまはく、 よくじょくあくあくかい*あくしゅじょうあく煩悩ぼんのう悪邪あくじゃしんさかんなるときにおいて、 弥陀みだみょうごうさんしてしゅじょう勧励かんれいしてしょうねんせしむれば、 かならずおうじょうº と。 ^すなは0403ちそのしょうなり。

次下、十方マシマシテ↢恒河沙等諸仏↡、同ジクメタマハク↢釈迦↡、能↢五濁悪時・悪世界・悪衆生・悪煩悩・悪邪无信ナル↡、指↢賛シテ弥陀名号↡勧↢励シテ衆生↡称念セシムレバ↢往生↡。即証也。

^また十方じっぽうぶつとうしゅじょうしゃ一仏いちぶつ所説しょせつしんぜざらんことを恐畏おそれて、 すなはちともに同心どうしんどうにおのおの舌相ぜっそういだして、 あまねく三千さんぜんかいおおひてじょうじつごんきたまはく、 ª^なんだちしゅじょう、 みなこのしゃ所説しょせつ所讃しょさんしょしょうしんずべし。 一切いっさいぼん罪福ざいふくしょうせつごんはず、 ただよくかみひゃくねんつくし、 しも一日いちにち七日しちにちいたるまで、 一心いっしん弥陀みだみょうごう専念せんねんすれば、 さだめておうじょうること、 かならずうたがいなきなりº と。

又十方仏等、恐↢畏 オソ レテ衆生ラムコトヲ↟信↢釈迦一仏所説↡、即同心同時シテ↢舌相↡、徧↢三千世界↡説キタマハク↢誠実↡、汝等ナンダチ衆生、↠信↢是釈迦所説・所讃・所証↡。一切凡夫、↠問↢罪福多少、時節久近↡、但能↢百年↡、シモルマデ↢一日七日↡、一心専↢念スレバ弥陀名号↡、定ルコト↢往生↡必↠疑也

^このゆゑに一仏いちぶつ所説しょせつは、 一切いっさいぶつおなじくその証誠しょうじょうしたまふなり。 これをにんいてしんつとづくるなり」 と。

一仏所説、一切仏同ジク証↢成シタマフ↡也。此↢就↠人↟信

【48】^またいはく (散善義)

又云

^しかるに仏願ぶつがんのぞむには、 ただしょうねんすすめ、 みなしょうせしむ。 おうじょうきことは、 雑散ぞうさんごうにはおなじからず。 このきょうおよびしょのなかに処々しょしょひろたんずるがごときは、 すすめてみなしょうせしむるを、 まさに要益ようやくとせんとするなり、 るべし」 と。

「然ノゾムニ↢仏願、唯勧↢正念↡称セシム↠名。往生キコトハ不↠同カラ↢雑散之業ニハ↡。如キハ↢此経及処処ズルガ↡、勧ムルヲ↠称↠名ムト↢要益↡也、応シト↠知。」

【49】^またいはく (散善義)

又云

^ª仏告ぶつごうなん汝好にょこう是語ぜごº より以下いげは、 まさしく弥陀みだみょうごうぞくして、 だいずうすることをかすかみよりこのかたじょうさんりょうもんやくくといへども、 ぶつ本願ほんがんのぞまんには、 しゅじょうをして一向いっこう0404もつぱら弥陀みだぶつみなしょうするにあり」 と。

↢仏告阿難汝好持是語↡已下、正シク↧付↢嘱シテ弥陀名号↡、流↦通スルコトヲハルカニ↥。上ヨリ↠説↢定散両門之益↡、ノゾマムニハ↢仏本願↡、在リト↣衆生ヲシテ一向スルニ↢弥陀仏↡。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ハ)¬法事讃¼三文

【50】^またいはく (法事讃・下)

0204

^極楽ごくらく無為むいはんかいなり。 随縁ずいえん雑善ぞうぜんおそらくはしょうじがたし。 ゆゑに如来にょらい (釈尊) 要法ようぼうえらびて、 おしへて弥陀みだねんぜしめてもつぱらにしてまたもつぱらならしめたまへり」 と。

「極楽无為涅槃ナリ随縁雑善オソラクハ↠生
使メタマヘリト↧如来選↢要法エテゼシメテ↢弥陀↡専ラニシテ復専ナラ↥」

【51】^またいはく (法事讃・下)

又云

^こうきなんとほっするときじょくさかんなり。 しゅじょう邪見じゃけんにしてはなはだしんじがたし。 もつぱらにしてもつぱらなれとじゅして西さいせしめしにのために破壊はえせられてかえりてもとのごとし。

「劫ホツスルキナム時五濁サカリナリ衆生邪見ニシテ↠信
ニシテナレト指授シテサヅク セシメシニ↢西路↠他破壊セラレテモト

^曠劫こうごうよりこのかたつねにかくのごとし。 これこんじょうにはじめてみづからさとるにあらず。 まさしくよき強縁ごうえんはざるによりて、 りんしてとくしがたからしむることをいたす」 と。

曠劫ヨリ已来 コノカ ↠此今生ミヅカサトルニ
シク↠不ルニ↠遇強縁スト↠使ルコトヲ↣輪回シテカラ↢得度↡」

【52】^またいはく (法事讃・下)

又云

^種々しゅじゅ法門ほうもんみなだつすれども、 念仏ねんぶつして西方さいほうくにぎたるはなし。 かみいちぎょうつくし、 じゅうねん三念さんねんねんいたるまで、 ぶつ来迎らいこうしたまふ。 ただちに弥陀みだぜいかさなれるをもつて、 ぼんねんずればすなはちしょうぜしむることをいたす」 と。

「種種法門皆解脱スレドモギタルハ↣念仏シテ↢西方
上尽↢一形↡至マデ↢十念・三念・五念↡仏来迎シタマフ
↢弥陀弘誓カサナレルヲスト↠使ルコトヲ↢凡夫念ズレバ↡」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ニ)¬般舟讃¼

【53】^またいはく (般舟讃)

又云

^一切いっさい如来にょらい方便ほうべんもうけたまふこと、 また今日こんにちしゃそんおなじ。 したがひてほうくにみなやくかぶる。 おのおの悟解ごげしんもん0405れと。

「一切如来マウケタマフコト↢方便亦同↢今日釈迦尊
↠機↠法↠益↢悟解↡入レト↢真門

^ぶっきょうもんにして八万はちまんなり。 まさしくしゅじょうどうなるがためなり。 安身あんしん常住じょうじゅうところもとめんとおもはば、 まづようぎょうもとめて真門しんもんれ」 と。

仏教多門ニシテ八万四ナリシクナリ↢衆生機不同ナルガ
ハヾモトメムト↢安身常住↢要行↡入レト↢真門↡」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅰ)(b)(ホ)¬礼讃¼

【54】^またいはく、 *しょうの ¬*礼懴らいさん¼ のもんにいはく、 こうみょう(善導) の ¬礼讃らいさん¼ なり

又云 智昇師¬礼懴儀¼文、光明寺¬礼賛¼也

^それこのごろ、 みづから諸方しょほう道俗どうぞく見聞けんもんするに、 ぎょうどうにして専雑せんぞうあり。 ただこころをもつぱらにしてなさしむれば、 じゅうはすなはちじゅうながらしょうず。 ぞうしゅするはしんならざれば、 せんがなかにひとりもなし」 と。

ソレ比日コノゴロミヅカ見↢聞スルニ諸方道俗↡、解行不同ニシテ↠異。但使ムレ↢専ニシテ↠意、十ナガラ。修スルハ↠雑↢至心ナラ、千シト。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)追釈
                (a)元照¬阿弥陀経義疏¼

【55】^*がんじょうりっの ¬*弥陀みだきょうしょ¼ にいはく、

元照律師¬弥陀経義疏¼云

^如来にょらいみょうこうすぐれたることをかさんとほっす。 まづぜんへんしてしょう善根ぜんごんとす。 いはゆる布施ふせかいりゅう造像ぞうぞう礼誦らいじゅぜん懴念さんねんぎょう一切いっさい福業ふくごう、 もししょうしんなければ、 こうがんするにみなしょうぜんとす。 おうじょういんにあらず。 もしこのきょうによりてみょうごうしゅうせば、 けつじょうしておうじょうせん。 すなはちんぬ、 称名しょうみょうはこれ善根ぜんごん福徳ふくとくなりと。

「如来欲↠明ムト↢持名功勝タルコトヲ↡。シテオトシム↢余善↢少善根↡。↠謂布施・持戒・立寺・造ツクル像・礼ジユヨム・座禅・懴クユ念・苦行、一切福業、若0205レバ↢正信↡、回向願求スルニ↢少善↡。非↢往生↡。若↢此↡執↢持セバ名号↡、決定シテ往生セム。即、称名多善根・多福徳也

^むかしこのをなしし、 ひとなほ遅疑ちぎしき。 ちか*じょうようせききょう本文ほんもんて、 みょうせり。 はじめて深信じんしんいだく。 かれにいはく、 ^ª善男ぜんなんぜん女人にょにん弥陀みだぶつくをきて、 一心いっしんにしてみだれず、 みょうごうせんしょうせよ。 称名しょうみょうをもつてのゆゑに、 諸罪しょざいしょうめつす。 すなはちこれどく善根ぜんごん福徳ふくとく因縁いんねんなりº」 と。

シヽ↢此↡、人ナホオソシシキジヤウヤウセキアラハス本文↡、理コトハリミヤウカナイセリカナフ イダ↢深信↡。、善男子・善女人、聞↠説↢阿弥陀仏↡、一心ニシテ↠乱、専↢称セヨ名号↡。以テノ↢称名↡故諸罪消滅。即多功徳・多善根・多福徳因縁ナリト。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)孤山¬阿弥陀経義疏¼

040656】^*ざんの ¬しょ¼ (*阿弥陀経義疏) にいはく、

¬疏¼云

^ªしゅうみょうごうº とは、 ªしゅうº はいはくしゅうじゅなり、 ªº はいはくじゅうなり。 信力しんりきのゆゑにしゅうじゅこころにあり、 念力ねんりきのゆゑにじゅうしてわすれず」 と。

「執持名号、執トリウクナリ、持住持ナリ。信力執受在↠心、念力住持シテ↠忘。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)別して真実を詳らかにす
              (ⅰ)経説
                (a)¬大経¼

【57】^¬大本だいほん¼ (大経・下) にのたまはく、

¬大本¼言ハク

^如来にょらいこうもうあひがたくたてまつりがたし。 諸仏しょぶつきょうどうがたくきがたし。 さつしょうぼうしょ波羅はらみつくことをることまたかたし。 ぜんしきひ、 ほうきよくぎょうずること、 これまたかたしとす。 もしこのきょうきてしんぎょうじゅすること、 なんのなかのなん、 これにぎてかたきはなけん。

「如来興世、難マウア↠見タテマツリ。諸仏経道、難↠得難。菩薩勝法、諸波羅蜜、得コト↠聞コトヲ亦難↢善知識↡、↠法ズルコト、此亦↠難シト。若↡信楽受持スルコト、難中之難无ケム↢過↠此↡。

^このゆゑにわがほうかくのごとくなしき、 かくのごとくく、 かくのごとくおしふ。 まさにしんじゅんしてほうのごとくしゅぎょうすべし」 と。

法如↠是シキ、如↠是、如↠是。応シト↢当信順シテ↠法修行↡。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)¬涅槃経¼(正因の義を詳らかにす)

・迦葉品(1)

【58】^¬*はんぎょう¼ (*迦葉品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言

^きょうのなかにくがごとし。 一切いっさい*ぼんぎょういんぜんしきなり。 一切いっさいぼんぎょういんりょうなりといへども、 ぜんしきけばすなはちすでに*しょうじんしぬ。 わが所説しょせつのごとし、 一切いっさいあくぎょう邪見じゃけんなり。 一切いっさいあくぎょういんりょうなりといへども、 もし邪見じゃけんけばすなはちすでにしょうじんしぬ。 あるいはかく、 のく多羅たらさんみゃくさんだい信心しんじんいんとす。 これだいいんまたりょうなりといへども、 もし信心しんじんけばすなはちすでにしょうじんしぬ」 と。

「如↢経↡。一切梵行善知識ナリ。一切梵行因雖↢无量ナリト↡、説ケバ↢善知識↡則スデ摂尽シヌ。如↢我所説↡、一切悪行邪見ナリ。一切悪行因雖↢无量ナリト↡、若ケバ↢邪見↡則摂尽シヌ。或カク、阿耨多羅三藐三菩提信心0206↠因菩提因雖无量ナリト↡、若ケバ↢信心↡則摂尽シヌト。」

・迦葉品(2)

040759】^またのたまはく (涅槃経・迦葉品)

又言

^善男ぜんなんしんしゅあり。 ひとつには*しんふたつには*なり。 かくのごときのひと、 またしんありといへども、 すいにあたはざる、 このゆゑにづけてしんそくとす。

「善男子、信↢二種↡。一信、二者求ナリ。如↠是之人、雖↢復有↟信不↠能スイ モトメ ↡、是↢信不具足↡。

^しんにまたしゅあり。 ひとつには*もんよりしょうず、 ふたつには*よりしょうず。 このひと信心しんじんもんよりしてしょうじてよりしょうぜざる、 このゆゑにづけてしんそくとす。

復有↢二種↡。一↠聞生、二ニハ↠思生。是信心、従↠聞シテジテ↢従↠思生↡、是↢信不具足↡。

^またしゅあり。 ひとつには*どうあることをしんず、 ふたつには*得者とくしゃしんず。 このひと信心しんじん、 ただどうあることをしんじて、 すべて得道とくどうひとあることをしんぜず、 これをづけてしんそくとす。

復有↢二種↡。一ニハ↠有コトヲ↠道、二↢得者↡。是信心、唯信ジテ↠有コトヲ↠道、スベ↠信↠有コトヲ↢得道之人↡、是↢信不具足↡。

^またしゅあり。 ひとつにはしんしょうふたつには信邪しんじゃなり。 いんあり、 仏法ぶっぽうそうありといはん、 これをしんしょうづく。 いんなく、 *三宝さんぼうしょうことなりといひて、 もろもろのじゃ*らんとうしんずる、 これを信邪しんじゃづく。 このひと仏法ぶっぽう僧宝そうぼうしんずといへども、 *三宝さんぼう同一どういつしょうそうしんぜず。 いんしんずといへども得者とくしゃしんぜず。 このゆゑにづけてしんそくとす。 このひとそくしんじょうじゅすと。

復有↢二種↡。一者信正、二者信邪ナリ。言ハム↧有↢因果↡有↦仏法僧↥、是↢信正↡。言↢因果三宝性異ナリト、信ズル↢諸邪語、ラン那等↡、是↢信邪↡。是人雖↠信ズト↢仏法僧宝↡、↠信↢三宝同一性相↡。雖↠信ズト↢因果↠信↢得者↡。是↢信不具足↡。是人成↢就スト不具足信↡。

^善男ぜんなんつのぜんあり、 あくぎゃくとくせん。 なんらをかつとする。

善男子、有↢四善事↡、グヰヤク↢得ウ  ル セム悪果↡。何等ヲカ↠四

^ひとつには*しょうのためのゆゑにきょうてん読誦どくじゅす。

↢勝他↡故読↢誦経典↡。

^ふたつには*ようのためのゆゑに禁戒きんかいじゅせん。

↢利↡故受↢持セム禁戒↡。

^つには*ぞくのためのゆゑにして布施ふせぎょうぜん。

者為↢他属↡故シテゼム↢布施↡。

^つには*そう非非ひひ想処そうしょのためのゆゑに*ねん0408ゆいせん。

↢非想非非想処↡故繋念思惟セムオモフ 

^このつのぜんあくほうん。 もしひとかくのごときの四事しじしゅじゅうせん、 これを、 もっしてもっしをはりてかえりてづ、 でをはりてかえりてもっすとづく。 なんがゆゑぞもつづくる、 さんねがふがゆゑに。 なんがゆゑぞしゅつづくる、 *みょうるをもつてのゆゑに。 みょうはすなはちこれ*かいじょうくなり。 なにをもつてのゆゑにかえりてしゅつもつするや。 邪見じゃけんぞうじょうきょうまんしょうずるがゆゑに。

善事↢悪果報↡。若人修↢習セムナラフ ↠是四事↡、是↢没シテ、出↡。何↠没、楽フガ↢三有↡故。何↠出、以↠見↠明。明クナリ↢戒・施・定↡。何出没スルヤ増↢長邪見↡生ズルガ↢憍慢↡故

^このゆゑに、 われきょうのなかにおいてかく、

↢経カク↠偈

^ªもししゅじょうありて、 しょこのんで、 のために善悪ぜんあくごうぞうする。 このひとはんどう迷失めいしつするなり。 これを*ざんしゅつげんもつづく。

0207↢衆生↡楽↢諸有↠有造↢作スル善悪
メイマドヒスルナリ涅槃道ザンシバラク出還復没

^黒闇こくあんしょうかいぎょうじて、 だつといへども、 煩悩ぼんのうぞうするは、 このひとかえりてあくほうく。 これをざんしゅつげんもつづくº と。

ジテ↢於黒闇生死海↠得↢解脱↡雑スルハ↢煩悩
人還↢悪果報クト↢蹔出還復没

 ^如来にょらいにすなはちしゅはんあり。 ひとつには有為ういふたつには無為むいなり。 有為ういはん*じょうらくじょうなし、 無為むいはんじょうらくじょうあり。

如来↢二種涅槃↡。一者有為、二者无為ナリ。有為涅槃ナリ楽我浄无為涅槃ナリ有↢常楽我浄↡

^このひとふかくこの*しゅかいともにぜんありとしんず。 このゆゑにづけてかいそくとなす。 このひとしんかい二事にじせず、 所修しょしゅもんもまたそくなり。

↢常人↡深ゼム↣是二種戒倶果↡↠戒戒不具足、是↠具↢信・戒二事↡、所多聞ニシテ亦不具足ナリ

^いかなるをかづけてもんそくとする。 如来にょらい所説しょせつじゅうきょうなり、 ただろくしんじていまだろくしんぜず。 このゆゑにづけてもんそくとす。

云何ルヲカ↢聞不具足↡。如来所説十二部経ナリ、唯信ジテ↢六部↡未↠信↢六部↡。是↢聞不具足↡。

^またこのろくきょうじゅすといへども、 *読誦どくじゅ0409あたはずしてのためにせつするは、 やくするところなけん。 このゆゑにづけてもんそくとす。

↣復受↢持スト六部↡、シテ↠能↢読ヨミヨム↡為↠他スルハ、无ケム↠所↢利益スル↡。是↢聞不具足↡。

^またこのろくきょうけをはりて、 ろんのためのゆゑに、 しょうのためのゆゑに、 ようのためのゆゑに、 *しょのためのゆゑに、 *どくじゅせつせん。 このゆゑにづけてもんそくとす」 と。

又復受↢是六部↡已、為↢論議↡故、為↢勝他↡故、為↢利養↡故、為↢諸有↡故、持 読コヽロエヨムナリウカベヨムナリセム。是↢聞不具足↡。」

・徳王品

【60】^またのたまはく (涅槃経・*徳王品)

又言

^善男ぜんなん第一だいいち真実しんじつぜんしきは、 いはゆるさつ諸仏しょぶつなり。 ^そん、 なにをもつてのゆゑに、 ^つねに三種さんしゅ*ぜん調じょうをもつてのゆゑなり。 なんらをかつとする。 ひとつには*ひっきょうなんふたつには*ひっきょうしゃくつには*なんしゃくなり。 このをもつてのゆゑに、 さつ諸仏しょぶつはすなはちこれ真実しんじつぜんしきなり。

「善男子、第一真実善知識↠謂菩薩・諸仏ナリ。世尊、何↢三種善調トヽノフナリ。何等ヲカ↠三。一畢竟 ナンヤハラカナリ語、二畢竟セメシヤク セム 、三軟語呵責ナリ。以↢是↡故菩薩・諸仏是真実善知識也。

^またつぎ善男ぜんなんぶつおよびさつだいとするがゆゑに、 ぜんしきづく。 なにをもつてのゆゑに、 やまいりてくすりる、 やまいおうじてくすりさずくるがゆゑに。 たとへばりょう*八種はっしゅじゅつのごとし。 まづびょうそうかんず。 そう三種さんしゅあり。 なんらをかつとする。 いはくふうねつすいなり。 *ふうびょうひとにはこれに*蘇油そゆさずく。 *ねつびょうひとにはこれに*しゃくみつさずく。 *すいびょうひとにはこれに*きょうとうさずく。 びょうこんるをもつてくすりさずくるに、 ゆることを。 ゆゑにりょうづく。

復次0208善男子、仏及菩薩ルガ↢大医↡故↢善知識↡。何リテ↠病↠薬、応ジテ↠病サヅクルガ↠薬。譬ラウ八種↡。先↢病相↡。相↢三種↡。何等ヲカ↠三。謂風・熱・水ナリ。風病之人ニハ↢之↡。熱病之人ニハ↢之石蜜↡。水病之人ニハ↢之キヤクタウ↡。以↠知↢病根↡授クルニ↠薬ユルコトヲ。故↢良医↡。

^ぶつおよびさつもまたまたかくのごとし。 もろもろのぼん0410やまいるに三種さんしゅあり。 ひとつには貪欲とんよくふたつにはしんつには愚痴ぐちなり。 貪欲とんよくやまいにはおしへて*骨相こっそうかんぜしむ。 しんやまいには慈悲じひそうかんぜしむ。 愚痴ぐちやまいには*じゅう縁相えんそうかんぜしむ。 このをもつてのゆゑに諸仏しょぶつさつぜんしきづく。

仏及菩薩亦復如↠是。知↢諸凡夫↡有↢三種↡。一者貪欲、二者瞋恚、三者愚痴ナリ。貪欲ヘテゼシム↢骨相↡。瞋恚ゼシム↢慈悲↡。愚痴ゼシム↢十二縁相↡。以↢是↡故諸仏・菩薩↢善知識↡。

^善男ぜんなん、 たとへばせんのよくひとするがゆゑにだいせんづくるがごとし。 諸仏しょぶつさつもまたまたかくのごとし。 もろもろのしゅじょうをしてしょう大海だいかいす。 このをもつてのゆゑにぜんしきづく」 と。

善男子、譬↣船師↠人ルガ↢大船師↡。諸仏・菩薩亦復如↠是。度↢諸衆生ヲシテ生死大海↡。以↢是↡故クト↢善知識↡。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(c)¬華厳経¼(前を結び後を生ず)

・入法界品(1)

【61】^¬*ごんぎょう¼ (*入法界品・唐訳) にのたまはく、

¬華厳経¼言

^なんぢぜんしきねんずるに、 われをめる、 父母ぶものごとし。 われをやしなふ、 にゅうのごとし。 だいぶんぞうじょうす、

「汝念ズルニ↢善知識↠我↢父母
シナ↠我↢乳母増↢長提分

^しゅうしつりょうするがごとし。 てんかんそそぐがごとし。 しょうどうしめすがごとし。 つきじょうりんてんずるがごとし」 と。

↣医↢療スルガシチヤマヒ↣天ソヽシヤグガ↢甘露
↣日スガオシフ ↢正道↣月ウツルズルガ↢浄輪↡」

・入法界品(2)

【62】^またのたまはく (華厳経・入法界品・唐訳)

又言

^如来にょらいだい慈悲じひけんしゅつげんして、 あまねくもろもろのしゅじょうのために、 *じょう法輪ほうりんてんじたまふ。

「如来大慈悲出↢現シテ於世間
↢諸衆生ジタマフ↢无上法輪

^如来にょらいしゅこうごんせしことはしゅじょうのためなり。 いかんぞもろもろのけん、 よくだいおんほうぜん」 と。

如来无数劫ツトムセシコトハナリ↢衆生
云何世間ゼムト↢大師↡」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)師釈(仏恩を明かして報謝を勧む)
                (a)¬般舟讃¼

【63】^こうみょうしょう (善導) のいはく (般舟讃)

光明寺和尚

^ただうらむらくは、 しゅ0411じょううたがふまじきをうたがふことを。 じょう対面たいめんしてあひたがはず。 弥陀みだしょうしょうとをろんずることなかれ。 こころ専心せんしんにしてするとせざるとにあり。

タヾウラムラクハ衆生コトヲマジキヲ↠疑浄土対面シテタガ
↠論ズルコト↢弥陀不摂トヲ意在↢専心ニシテスルト↟回

^あるいはいはく、 きょうよりぶっいたるまで、 じょうごうぶつめておんほうぜん。 弥陀みだぜいちからかぶらずは、 いづれのときいづれのこうにかしゃでん、

ハクケフマデ↢仏果長劫↠仏ゼム↢慈恩
0209↠蒙↢弥陀弘誓時何ニカ↢娑婆

^いかんしてか今日こんにち宝国ほうこくいたることをせん。 まことにこれしゃほんちからなり。 もしほんしきすすめにあらずは、 弥陀みだじょういかんしてからん。

イカンシテカマツセム↣今日至コトヲ↢宝国是娑婆本師ナリ
ズハ↢本師知識弥陀浄土云何シテカラム

^じょうしょうずることをおんほうぜよ」 と。

↠生ズルコト↢浄土↡報ゼヨト↢慈恩↡」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)¬礼讃¼

【64】^またいはく (礼讃)

又云

^ぶつみよにはなはだもうあひがたし。 ひとしんあることかたし。 たまたま希有けうほうくこと、 これまたもつともかたしとす。

「仏ニハマウア人有コト↢信慧↡難
タマタマコト↢希有此復モト↠難シト

^みづからしんじ、 ひとおしへてしんぜしむること、 かたきなかにうたたまたかたし。 だいひろ*しょうほっの ¬*さん¼ のもんなり あまねくするは、 まことに仏恩ぶっとんほうずるになる」 と。

↠人ゼシムルコトウタマタ
大悲弘スルハルト↠報ズル↢仏恩↡」
字 知昇法師¬懴儀¼文也

一 Ⅰ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)¬法事讃¼二文

【65】^またいはく (法事讃・下)

又云

^*帰去来いざいなんきょうにはとどまるべからず。 ぶつしたがひて*ほんせよ。 *本国ほんごくかえりぬれば、 一切いっさいぎょうがんねんじょうず。

帰去来 イザイナム 他郷ニハ不↠可カラトヾマ
シタガヒテ↠仏セヨ↢本家↡還リヌレバ↢本国一切行願自然

^悲喜ひきまじはりながる。 ふかくみづからはかるに、 しゃぶつかいによらずは、 弥陀みだみょうがんいづ0412れのときにかかんぶつおんなひても、 じつほうじがたし」 と。

カナシミヨロコブマジワハカルニ↠因↢釈迦仏開悟
弥陀名願何ニカカムニナヒテモ↢仏慈恩↡実シト↠報

【66】^またいはく (法事讃・下)

又云

^十方じっぽう六道ろくどうおなじくこれりんしてきわなし、 循々しゅんじゅんとしてあいしずみてかいしずむ。 仏道ぶつどう人身にんじんがたくしていますでにたり。 じょうきがたくしていますでにけり。 信心しんじんおこしがたくしていますでにおこせり」 と。

「十方六道、同ジク輪回シテキワシウナガクトシテ↢愛波↢苦海↡。仏道人身難クシテ↠得今已タリ。浄土難クシテ今已ケリ。信心難クシテ↠発今已セリト。」

一 Ⅰ ⅱ c ロ (三)結誡

・真門四失

【67】^まことにんぬ、 専修せんじゅにして雑心ざっしんなるものはだいきょうしんず。 ゆゑにしゅう (善導) は、 「^かの仏恩ぶっとん念報ねんぽうすることなし。 *ごうぎょうをなすといへどもこころきょうまんしょうず。 つねにみょう相応そうおうするがゆゑに、 にんおのづからおおひてどうぎょうぜんしき親近しんごんせざるがゆゑに、 このみて雑縁ぞうえんちかづきておうじょう正行しょうぎょうしょうしょうするがゆゑに(礼讃) といへり。

専修シテ雑心ナル↢大慶喜心↡。故宗師ヘリ↧「無↣念↢報スルコト仏恩↠作スト↢業行↡心↢軽カロメアナドル↢名利↡相応スルガ、人我 ノヅカヒテルガ↣親↢近同行・善知識↡故コノミテヅキテ↢雑縁↡自↢障障↣他スルガ往生正行↡故ニト」↥。

・悲嘆述懐

 ^かなしきかな、 *しょうぼん*さいよりこのかたじょしょう間雑けんぞうじょうさんしんぞうするがゆゑに、 しゅっそのなし。 みづからてんりんはかるに、 *じんごうちょうすれども、 仏願ぶつがんりきしがたく、 大信だいしんかいりがたし。 まことに*しょうすべし、 ふかたんすべし。

シキカナ、垢障凡愚、自↢従无際↡已来 コノカ 助正間雑、定散心雑スルガ出離无↢其期↡。ミヅカハカルニ↢流転輪回↡、超↢過スレドモ微塵劫↡、ガタ↠帰↢仏願力↡、ガタ↠入大信海↡。良シヤウナゲキナゲク↡、深↢悲0210ナゲク↡。

・自力念仏の失

^おほよそだいしょうしょうにん一切いっさい善人ぜんにん本願ほんがんごうをもつておのれが善根ぜんごんとするがゆゑに しんしょうずることあたはずぶっさとらず0413*かのいんこんりゅうせることをりょうすることあたはざるゆゑに、 ほうることなきなり。

大小聖人・一切善人、以↢本願ヨシガウルガオノレ善根↡故↠能↠生ズルコト↠信↠了↢仏智↡。不↠能↤了↣知スルコト建↢立セルコトヲ↡故↠入コト↢報土↡也。

自喜を申べて結す
    所得の法を明かす【三願転入】

【68】^ここをもつて禿とくしゃくらん*論主ろんじゅ解義げぎあおぎ、 *しゅうかんによりて、 ひさしく*まんぎょう諸善しょぜんもんでて、 なが双樹そうじゅりんおうじょうはな*善本ぜんぽん徳本とくほん真門しんもんにゅうして、 ひとへになんおうじょうしんおこしき。

愚禿釈鸞、仰↢論主解義↡、依↢宗師勧化↡、久シク↢万行諸善之仮門↡、永↢双樹林下之往生↡。回↢入シテ善本徳本真門↡、偏シキ↢難思往生之心↡。

^しかるにいまことに方便ほうべん真門しんもんでて、 *せんじゃく願海がんかい*てんにゅうせり。 すみやかになんおうじょうしんはなれて、 なん思議じぎおうじょうげんとほっす。 すいちかい (第二十願)、 まことにゆえあるかな。

ルニコトヒトリ↢方便真門↡転↢入セリ選択願海↡。レテ↢難思往生オモゲムト↢難思 議ハカラフ往生↡。果遂之誓、良ユヘカナ

一 Ⅱ 所得を伝ふることを明かす

^ここにひさしく願海がんかいりて、 ふか仏恩ぶっとんれり。 とく報謝ほうしゃせんがために、 しんしゅう簡要かんようひろうて、 ごうじょう不可ふか思議しぎ徳海とくかいしょうねんす。 いよいよこれをあいし、 ことにこれをちょうだいするなり。

ココシク↢願海↡深レリ↢仏恩↡。為↣報↢シヤムクフ至徳↡、ヒロフテ↢真宗カン↡恒ツネ称↢念不可思議徳海↡。イヨイヨ喜↢愛↡、コト頂↢イタヾキダイスルイタヾク↡也。

一 Ⅱ 去就の所を示す【結説総勧】
      法義の通塞を明かす

【69】^まことにんぬ、 しょうどうしょきょうは、 *ざいしょうぼうのためにして、 まつたく*像末ぞうまつ*法滅ほうめつ時機じきにあらず。 すでにときしっそむけるなり。

聖道諸教、為↢在世・正法シテマタ↢像末・法滅之時機↡。已↠時ソムケル↠機也。

^じょうしんしゅうは、 ざいしょうぼう像末ぞうまつ法滅ほうめつじょくあく群萌ぐんもうひとしくいんしたまふをや。

浄土真宗、在世・正法、像末・法滅、濁悪群萌、ヒトシク悲引シタマフヲ

一 Ⅱ ⅲ 説人の是非を明かす

【70】^ここをもつてきょうによりてしゃくひらきたるに、 「説人せつにん差別しゃべつべんぜば、 おほよそしょきょうせつしゅぎず。 ひとつには仏説ぶっせつふたつにはしょう0414せつつには天仙てんせんせつつにはじんせついつつにはへんせつなり」 (玄義分) と。 しかれば、 しゅ所説しょせつ信用しんようにたらず。 このさんぎょうはすなはちだいしょう (釈尊)せつなり。

リテ↢経家ヒラキタルニ↢師釈↡、「ワキマウ↢説人差別、凡諸経起説↠過↢五種↡。一仏説、二者聖弟子説、三者天仙説、四者鬼神説、五者変化説ナリ。」爾四種所説↢信用↡。斯三経大聖自説也。

一 Ⅱ ⅲ 所依の正不を明かす(¬大智度論¼)

【71】^¬大論だいろん¼ (*大智度論)四依しえしゃくしていはく、

¬大論¼釈シテ↢四依↡云

^*はんりなんとせしとき、 もろもろの比丘びくかたりたまはく、 ª今日こんにちより*ほうりて*にんらざるべし、 *りて*らざるべし、 *りて*しきらざるべし*りょうきょうりて*りょうらざるべし。

「欲セシ↠入リナムト↢涅槃、語リタマハク↢諸比丘↡、従↢今日↡応↢依↠法↟依0211↠人、応↢依↠義↟依↠語、応↢依↠智↟依↠識、応↧依↢了義経↡不↞依↢不了義↡。

^ほうるとは、 ほう*じゅう二部にぶあり、 このほうしたがふべし、 にんしたがふべからず。

ルト↠法、法↢十二部↡、応↠随↢此↡、↠応↠随↠人

^るとは、 のなかに好悪こうあく罪福ざいふくじつあらそふことなし、 ゆゑにはすでにたり、 にあらざるなり。 ひと*ゆびをもつて*つきおしふ、 もつてわれをきょうす、 ゆびかんしてつきざるがごとし。 ひとかたりていはん、 «われゆびをもつてつきおしふ、 なんぢをしてこれをらしむ、 なんぢなんぞゆびて、 しかうしてつきざるや» と。 これまたかくのごとし。 ゆびとす、 にあらざるなり。 これをもつてのゆゑに、 るべからず。

、義アラソフコト↢好悪・罪福・虚実↡、故コトバタリ↠義、義↠語也。如↧人以↠指オシ↠月示↢教↡、カンミルミルルガ↠月。人語リテハム、我以↠指オシ↠月↢汝ヲシテ↟之、汝何ユビシテルヤト視↠月亦如↠是。語↢義ユビ↡、語↠義也。以↠此↠応↠語

^るとは、 はよく善悪ぜんあく*籌量ちゅうりょう分別ふんべつす。 しきはつねにらくもとむ、 *しょうように入らず。 このゆゑにしきるべからずといへり。

、智チウハカライ分↣別善悪↡。識サトル↠楽↠入↢正要↡。是ヘリ↢不↡。

^りょうきょうるとは、 一切いっさいにん0415ます、 ぶつ第一だいいちなり。 一切いっさいしょきょうしょのなかに仏法ぶっぽう第一だいいちなり。 一切いっさいしゅのなかに*比丘びくそう第一だいいちなりº と。

了義経イマ↢一切智人↡仏第一ナリ。一切諸経書フミ仏法第一ナリ。一切衆比丘僧第一ナリ

^ぶっしゅじょうを、 ぶつこれをじゅうざいとしたまへり、 見仏けんぶつ善根ぜんごんゑざるひとなり」 と。

无仏世衆生、仏為シタマヘリ↢此重罪↡、不↢見仏善根↡人ナリト。」

【72】^しかれば、 *末代まつだい道俗どうぞく、 よく四依しえりてほうしゅすべきなりと。

末代道俗、善↧知↢四依↡修↞法

門外の仮偽を簡ぶ
  総標

【73】^しかるにしょうしんきょうによつて*とく伝説でんせつひらく。 しょうどうじょうしん顕開けんかいして、 じゃ*しゅうきょうきょうかい

リテ↢正真教意↢古徳ツタウ↡。顕↢開シテ聖道・浄土真仮↡、教↢カイイマシム邪 偽イツワル異執外教↡。

別弁
    真仮を弁ず【聖道釈】
      聖浄二門の通塞を分別す【二門通塞】
        略示

^如来にょらいはんだい*勘決かんけつしてしょうぞう末法まっぽう*さいかいす。

カンカンガフシテサダム 如来涅槃之時代↡開↢示正像末法ムネキワ↡。

二 Ⅱ ⅰ a 引文
          (一)¬安楽集¼四文

・第五大門

【74】^ここをもつて*げんちゅうしゃくしょう (道綽) のいはく (安楽集・下)

玄忠寺綽和尚

^しかるに修道しゅどうしん相続そうぞくしてえずして、 一万いちまんごうてはじめて退たいくらいしょうす。 当今とうこんぼんげん信想しんそうきょうもうづく、 またみょうといへり、 またじょうじゅづく、 またぼんづく。 いまだたくでず。

「然修道之身、相ゾクツグシテシテ↠絶、逕↢一万劫↡始↢不退↡。当今凡夫↢信想軽毛亦曰ヘリ↢仮名↡、亦名↢不定聚↡、亦名↢外凡夫↡。未↠出↢火宅↡。

^なにをもつてることをんと、 ¬*さつ瓔珞ようらくきょう¼ によりて、 つぶさににゅうどうぎょうべんずるに、 ほうなるがゆゑになんぎょうどうづく」 と。

ムト↠知コトヲ、拠↢¬菩薩瓔珞経¼↡、具ベンワキマフズルニ↢入道行位↡、法爾ナルガ0212クト↢難行道↡。」

・第一大門

【75】^またいはく (安楽集・上)

又云

^きょうこうしょかして、 やくかぶらしめてじょうかんすることあらば、 もしきょうそむけば、 しゅしがたく0416りがたし。

「有↧明シテ↢教コウオコル所由↡、ヤクヨル↠時カブラシメテ↠機勧↦帰スルコト浄土、若ソムケバ、難↠修↠入

^¬*しょうぼうねんぎょう¼ にいはく、

¬正法念経¼云

^ªぎょうじゃ一心いっしんどうもとめんとき、 つねにまさにとき方便ほうべんとを観察かんざつすべし。 もしときざれば方便ほうべんなし。 これをづけてしつとす、 づけず。

行者一心メム↠道↣観↢察方便トヲ
レバ↠得↠時↢方便↡↠失↠名↠利

^いかんとならば、

トナラ

^湿うるおへるりてもつてもとめんに、 べからず、 ときにあらざるがゆゑに。 もしれたるたきぎりてもつてみずもとめんに、 みずべからず、 なきがごときのゆゑにº と。

キノリテ湿ウルホヘル↡以メム↠火↠可カラ↠得非ルガ↠時
リテレタルタキヾ↡以モトムル↠水水不↠可カラ↠得無キガ↞智故ニト

^¬*だいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ にのたまはく (大集経)、 ª^ぶつめつのち第一だいいちひゃくねんには、 わがもろもろの弟子でしまなぶことけんなることをん。 だいひゃくねんにはじょうまなぶことけんなることをん。 第三だいさんひゃくねんにはもん読誦どくじゅまなぶことけんなることをん。 だいひゃくねんにはとうぞうりゅうし、 ふくしゅし、 さんすることけんなることをん。 だいひゃくねんにはびゃくほう隠滞おんたいしておおじょうじゅあらん、 すこしき善法ぜんぼうありてけんなることをんº と。

¬大集月蔵経¼云、仏滅度第一五百年ニハ弟子、マナブコト↠慧↢堅カタクカタシナルコト↡。第二五百年ニハコト↠定↢堅固ナルコトヲ↡。第三五百年ニハコト↢多聞・読誦↡得↢堅固ナルコトヲ↡。第四五百年ニハ造↢立タウ↡修↠福、懴悔ルコト↢堅固ナルコト↡。第五五百年ニハ白法隠カクレタイシテトヾマルラムジヤウアラソフジユウタフスコシキ↢善法↡得↢堅固ナルコト↡。

^いまときしゅじょうはかるに、 すなはちぶつりたまひてのちだいひゃくねんあたれり。 まさしくこれさんし、 ふくしゅし、 ぶつみょうごうしょうすべきときのものなり。 一念いちねん弥陀みだぶつしょうするに、 すなはちよくはちじゅうおくこうしょうつみじょきゃくせん。 一念いちねんすでにしかなり。 いはんやじょうねんしゅするは、 すなはちこれつねにさんするひとなり」 と。

ルニ↢今衆生↡、即レリ↢仏去タマヒテ↠世第四五百年↡。正シク是懴悔↠福、応↠称↢仏名号↡時ナリ。一念称スルニ↢阿弥陀仏↡、即除↢却セム八十億劫生死之罪↡。一念スデナリイハムスルハ↢常念↡、即是恒懴悔スル人也。」

・第六大門

041776】^またいはく (安楽集・下)

又云

^きょうじゅうめつべんぜば、 いはく、 しゃ牟尼むにぶつ一代いちだいしょうぼうひゃくねん像法ぞうぼういっ千年せんねん末法まっぽう一万いちまんねんには、 しゅじょうげんき、 しょきょうことごとくめっせん。 如来にょらいつうしょうしゅじょうあいして、 こときょうとどめてじゅうせんことひゃくねんならん」 と。

ワキマフ↢経住滅、謂釈迦牟尼仏一代、正法五百年、像法一千年、末法一万年ニハ、衆生ゲム、諸経悉セム。如来悲↢哀シテツウイタムヤク衆生↡、コト↢此↡止住セムコト百年ナラムト。」

・第三大門

【77】^またいはく (安楽集・上)

0213

^¬大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 ª^わが末法まっぽうときのなかの億々おくおくしゅじょうぎょうおこどうしゅせんに、 いまだ一人いちにんるものあらじº と。

「¬大集経¼云、我末法億億衆生、起↠行セムニ↠道、未↠有↢一人↡。

^当今とうこん末法まっぽうにしてこれじょくあくなり。 ただじょう一門いちもんのみありてつうにゅうすべきみちなり」 と。

当今末法ニシテ是五濁悪世ナリ。唯有↢浄土一門ノミ↡可↢通入↡路ナリト。」

二 Ⅱ ⅰ 末法弘化の宗軌を顕示す【三時開遮】
        上を承けて道俗を誡む

【78】^しかれば、 あくじょくぐんじょう末代まつだいさいらず、 そう威儀いぎそしいまとき道俗どうぞく、 おのれがぶんりょうせよ。

穢悪濁世群生、不↠知↢末代旨際↡、ソシ↢僧尼威儀↡。今道俗思↢量セヨ↡。

二 Ⅱ ⅰ b 弘化の宗軌を顕す
          (一)先づ末法の年時を定む

【79】^さんきょうあんずれば、 *如来にょらいはつはんだいかんがふるに、 *しゅうだいしゅ*ぼくおう*じゅう三年さんねんみずのえさるあたれり。 そのみずのえさるよりわが*元仁げんにん元年がんねん 元仁げんにんとは*堀川ほりかわいんいみな茂仁もちひと聖代せいだいなり きのえさるいたるまで、 *せんいっぴゃくしちじゅう三歳さんさいなり。 また ¬*賢劫げんごうきょう¼・¬*仁王にんのうぎょう¼・¬*はん¼ とうせつによるに、 すでにもつて末法まっぽうりて*ろっぴゃくしちじゅう三歳さんさいなり

↢三時カンガフルニ↢如来ハチ涅槃時代↡、当レリ↢周第五ボク王五十一年ミヅノヘ↡。従↢其壬申↡至マデ↢我元仁元年 元仁者後堀河院茂仁聖代也 キノヘ↡、二千一百八十三歳也。又依↢¬賢劫経¼・¬仁王経¼・¬涅槃¼等↡、已↢末法↡六百八十三歳也。

二 Ⅱ ⅰ b ロ (二)¬末法燈明記¼を引きて正しく顕す

041880】^¬*末法まっぽうとうみょう¼ *さいちょう製作せいさくえつするにいはく、

ヒラキエチミルスルニ¬末法灯明記¼↡ 最澄製作

^「それ*一如いちにょ範衛はんえいしてもつてながすものは*法王ほうおう^*かい光宅こうたくしてもつてふうるるものは*仁王にんのうなり。 ^しかればすなはち、 仁王にんのう法王ほうおう、 たがひにあらわれて*ものかいし、 *真諦しんたい俗諦ぞくたいたがひによりてきょうひろむ。 このゆゑに*玄籍げんせき*だいち、 *ゆうてんてり。

ハンサカフエイマモルシテ一如↡以↠化法王、光↢宅シテ四海↡以ズル↠風仁王ナリ。然仁王・法王タガヒアラワ↠物、真諦・俗諦タガヒヒロ↠教所以コノユヱニヨシセキフダ↢宇イヱ↡、イウイチテリ↢天下↡。

^ここにそうそっして*天網てんもうり、 して*げんあおぐ。 いまだ*寧処ねいしょいとまあらず。

コヽ愚僧等率シテ↢天マウ↡、シテゲンイツクシキクワシナワイ。未イトマアラミヤウヤスシ↡。

^しかるにほうさんあり、 ひとまた三品さんぼんなり。 *せいむねときによりて興替こうたいす。 さんもんひとしたがつて取捨しゅしゃす。 それ*さんうん*減衰げんすいおなじからず。 *後五ごご慧悟えごまたことなり。 あにいちによつてすくはんや、 いちについてたださんや。

↢三時↡、人亦三品ナリ。化制之ムネ↠時オコシクヰソシル讃之文シタガ↠人取捨ウンハコブゲンオトロヘスイオトロフ↠同ジカラ。後五之機、慧悟又異ナリアニ↢一ミチスクハムヤ、就↢一理タダシヤウサム

^ゆゑにしょう像末ぞうまつさいつまびらかにして、 こころみに*破持はじそうあらわさん。 なかにおいてさんあり。 はじめにはしょう像末ぞうまつけっす。 つぎ破持はじそうさだむ。 のちきょうげてれいす。

ツバヒラカニシテ↢正像末之旨際↡、コヽロミサム↢破タモチ僧之事↡。於↠中0214↠三。初ニハサダム正像末↡。次↢破持僧↡。後↠教レイタクラブ

 ^はじめにしょう像末ぞうまつけっするに、 諸説しょせついだすことおなじからず。 しばらく一説いっせつじゅっせん。

スルニ↢正像末↡、出コト↢諸説↠同ジカラシバラズチノブセム↢一説↡。

^だいじょう*、 ¬賢劫げんごうきょう¼ をきていはく、 ª^ぶつはんのちしょうぼうひゃくねん像法ぞうぼういっ千年せんねんならん。 このせんひゃくねんのちしゃほう滅尽めつじんせんº と。 ^末法まっぽうをいはず。 所説しょせつなずらふるに、 はっきょうしたがはずしてだいなるがゆゑに、 ほうきょうぞうせず。 ゆゑにかれによらず。

大乗、引↢¬賢劫経¼↡言、仏涅槃後、正法五百年、像法一千年ナラム。此千五百年後、釈迦法滅尽セムト↠言↢末法↡。ナヅラフルニ↢余所説↡、尼シタガ↢八敬シテ懈怠ナルガキヤウサラニ↡。故↠依↠彼

^また ¬はんぎょう¼ に、 ª^末法まっぽうのなかにおいてじゅうまんだい0419さつしゅましまして、 ほうたもちてめっせずº と。 ^これはじょうによるがゆゑにまたおなじからず。

又¬涅槃経¼、於↢末法↡有シテ↢十二万大菩薩衆↡、持↠法↠滅。此↢上位↡故↠同ジカラ

 ^ふ。 もししからば、 せんひゃくねんのうちのぎょういかんぞや。

。若千五百年之内行事云何ゾヤ

 ^こたふ。 ¬*だいじゅつきょう¼ によるに、 ª^ぶつはんのちはじめのひゃくねんには、 *だいしょうとう*しちげんじょうそうだいしょうぼうたもちてめっせず、 ひゃくねんのちしょうぼう滅尽めつじんせんと。

。依↢¬大ジユチ¼↡、仏涅槃五百年ニハ、大迦葉等七賢カシコシ聖僧、次第↢正法↠滅、五百年後、正法滅尽セムト

^ろっぴゃくねんいたりてのちじゅうしゅどうきおおこらん。 *みょうでてもろもろのどうぶくせん。

↢六百年↡後、九十五種外道キオラムミヤウ↠世セムシタガフ ↢諸外道↡。

^しちひゃくねんのうちに、 *りゅうじゅでて邪見じゃけんはたぼこくだかん。

七百年、龍樹出↠世クダカム↢邪見↡。

^はっぴゃくねんにおいて、 比丘びく*じゅういつにして、 わづかにいち*どうるものあらん。

↢八百年↡、比丘ジユウイチホシキマヽニシテワヅカマレニ一二有ラム↠得ルモノ↢道果↡。

^ひゃくねんいたりて、 比丘びくとし、 とせん。

↢九百年↡、 奴オトコジユシヤ↢比丘↡、 オウナジウシヤ↠尼

^いっ千年せんねんのうちに、 *じょうかんかん、 しんしてほっせじ。

一千年カム↢不浄観↡、瞋恚シテ↠欲

^せんいっぴゃくねんに、 *そうじゅせん、 そう*毘尼びにほうせん。

千一百年、僧尼 ムコトリ ジユセムヨメトリ、毀↢謗セム僧毘尼↡。

^せんひゃくねんに、 しょそうとうともにそくあらん。

千二百年、諸僧尼等倶ラム↢子息↡。

^せんさんびゃくねんに、 袈裟けさへんじてしろからん。

千三百年、袈裟変ジテカラム

^せんひゃくねんに、 *四部しぶ弟子でしみなりょうのごとし、 三宝さんぼうもつらん。

千四百年、四部弟子皆如レウカリ↡、ラム↢三宝物↡。

^ここにいはく、 せんひゃくねん*せんこくにふたりのそうありて、 たがひに是非ぜひおこしてつひに殺害せつがいせん、 よつてきょうぼうりゅうぐうおさまるなりº と。

、千五百年セン弥国↢二僧↡、互タガヒシテ↢是非ツイ殺害セム教法オサマ↢於竜宮↡也

^¬はん¼ のじゅうはちおよび ¬仁王にんのう¼ とうにまたこのもんあり。

¬涅槃¼十八及¬仁王¼等復有↢此文↡。

^これらのきょうもんなずらふるに、 せんひゃくねんのちかいじょうあることなき0420なり。

ナズラフルニ↢此等経文↡、千五百年後、無↠有コト↢戒・定・慧↡也。

^ゆゑに ¬大集だいじっきょう¼ のじゅういちにいはく、 ª^わがめつのちはじめのひゃくねんには、 もろもろの比丘びくとうわがしょうぼうにおいて*だつけんならん。 はじめにしょうるをづけてだつとす。 つぎひゃくねんには、 *ぜんじょうけんならん。 つぎひゃくねんには、 *もんけんならん。 つぎひゃくねんには、 *ぞうけんならん。 のちひゃくねんには、 *とうじょうけんならん、 *びゃくほう隠没おんもつせんº と云々うんぬん

¬大0215集経¼五十一、我滅度後、初五百年ニハ、諸比丘等於↢我正法↡解脱堅固ナラムルヲ↢聖果↡名為↢解脱↡。五百年ニハ、禅定堅固ナラム。次五百年ニハ、多聞堅固ナラム。次五百年ニハ、造寺堅固ナラム。後五百年ニハトウタヽカフジヤウアラソフ堅固ナラム。白法隠没セムト云云。

^このはじめの三分さんぶんひゃくねんは、 いでのごとくかいじょう三法さんぽうけんじゅうすることをん。 すなはちかみくところのしょうぼうひゃくねん像法ぞうぼう一千いっせん二時にじこれなり。 ^ぞう以後いごは、 ならびにこれ末法まっぽうなり。

意、初五百年、如デノ戒・定・慧三法、堅固↠住スルコトヲ。即↠引正法五百年、像法一千二時是也。造寺已後ナラビ是末法ナリ

^ゆゑにの ¬*般若はんにゃしゃく¼ にいはく、 ª^しょうぼうひゃくねん像法ぞうぼういっ千年せんねん、 このせんひゃくねんのちしょうぼう滅尽めつじんせんº と。 ^ゆゑにんぬ、 以後いごはこれ末法まっぽうぞくす。

¬般若会¼云、正法五百年、像法一千年、此千五百年後之正法滅尽セムト。故已後是属↢末法↡。

 ^ふ。 もししからば、 いまは、 まさしくいづれのときにかあたれるや。

。若、正シクルヤ↢何ニカ↡。

 ^こたふ。 めつ年代ねんだいせつありといへども、 しばらくりょうせつぐ。

。滅後年代雖↠有↢多説↡、シバラ↢両説↡。

^ひとつには*ほうじょうとう、 ¬*しゅう¼ のせつによりていはく、 ^ぶつだいしゅ*ぼくおうまんじゅう三年さんねんみずのえさるあたりてにゅうめつしたまふと。 ^もしこのせつによらば、 そのみずのえさるよりわが*えんりゃくじゅうねんかのとのみいたるまで、 一千いっせんしちひゃくじっさいなり。

ニハ法上師等、依↢¬シウ¼説↡言、仏当第五ボク王満五十一年ミズノヘサル↡入滅シタマフト。若↢此↡、従↢其壬申↡至マデ↢我延暦二十年 トノ↡、一千七百五十歳ナリ

^ふたつには*ちょうぼうとうの ¬*春秋しゅんじゅう¼ によらば、 ^ぶつしゅうだいじゅうしゅ*きょうおうはんねんみずのえあたりてにゅうめつしたまふ。 ^0421しこのせつによらば、 そのみずのえよりわがえんりゃくじゅうねんかのとのいたるまで、 一千いっせんひゃく十歳じっさいなり。

ニハ長房等、依¬春秋¼↡、仏当シウ第二十クヰヤウ王班四年ミヅノヘ↡入滅シタマフ。若↢此↡、従↢其壬子↡至マデ↢我延暦二十年↡、一千四百十歳ナリ

^ゆゑにいまときのごときは、 これ像法ぞうぼう最末さいまつときなり。 かのときぎょうすでに末法まっぽうどうぜり。

キハ↢今↡、像法最末時也。彼行事ゼリ↢末法↡。

^しかればすなはち、 末法まっぽうのなかにおいては、 ただごんきょうのみありて行証ぎょうしょうなけん。 もし戒法かいほうあらばかいあるべし。 すでに戒法かいほうなし、 いづれのかいせんによりてかかいあらんや。 かいなほなし。 いかにいはんやかいをや。 ゆゑに ¬だいじゅう¼ にいはく、 ª^ぶつはんのちかいくにたんº と云々うんぬん

テハ↢末法↡、但有↢言教ノミケム↢行証↡。若戒法↡可↠有↢破戒↡。既↢戒法↡、由テカ↠破セムニ↢何↡而有ラムヤ↢破戒↡。破戒ナホ。何持戒ヲヤ。故¬大集¼云、仏涅槃後、無戒タムトクニ云云。

 ^ふ。 しょきょうりつのなかに、 ひろかいせいしてしゅうることをゆるさず。 かいなほしかなり。 いかにいはんやかいをや。 しかるにいまかさねて末法まっぽうろんずるに、 かいなし。 あにかさなくして、 みづからもつていたまんや。

。諸経律、広シテ↢破0216ユル↠入コトヲ↠衆。破戒尚爾ナリ。何無戒ヲヤ。而今重ネテズルニ↢末法↡、無↠戒。アニシテカサキズイタマム

 ^こたふ。 このしからず。 しょうぞう末法まっぽうしょぎょうひろしょきょうせたり。 ない道俗どうぞくたれか*ふうせざらん。 あにしん*邪活じゃかつとんして、 こくしょうぼう隠蔽おんぺいせんや。

。此↠然。正像末法所有行事、広セタリ↢諸経↡。内外道俗タレラムヒラクフウミル↡。貪↢求シテ自身クワチ↡、隠↢ペイセム持国之正法

^ただし、 いまろんずるところの末法まっぽうには、 ただ*みょう比丘びくのみあらん。 このみょう真宝しんぽうとせん。 *福田ふくでんなからんや。 たとひ末法まっぽうのなかにかいあらば、 すでにこれ怪異けいなり、 いちとらあらんがごとし。 これたれかしんずべきや。

今所↠論ズル末法ニハ、唯有ラム↢名字比丘ノミ↡。此名字↢世↡。無ラムヤ↢福田↡。設末法↢持戒↡クヱアヤシミナリ、如↢市ラムガトラキヤ↠信

 ^ふ。 しょう像末ぞうまつ、 すでにしゅきょうえたり。 末法まっぽうみょう真宝しんぽうとせんこ0422とは、 しょうてんでたりや。

。正像末事、已タリ↢衆経↡。末法名字ムコトハ↢世真宝↡、出タリヤ↢聖典↡。

 ^こたふ。 ¬だいじゅう¼ のだいにいはく、 ª^たとへば真金しんこん*無価むげたからとするがごとし。 もし真金しんこんなくは、 しろがね無価むげたからとす。 もししろがねなくは、 鍮石ちゅうしゃくほう無価むげとす。 もしほうなくは、 赤白しゃくびゃくどうてつびゃくろうえんしゃく無価むげとす。

。¬大集¼第九、譬↣真金↢無アタイ↡。若↢真金↡、銀↢無↡。若↠銀チウ石・偽宝為↢無価↡。若クハ↢偽宝↡、赤白 ドウアカガネ・ 鉄クロガネ・白ラウエンナマリ・錫為↢無価↡。

^かくのごとき一切いっさいけんたからなれども、 仏法ぶっぽう無価むげなり。 もし仏宝ぶっぽうましまさずは、 縁覚えんがくじょうなり。 もし縁覚えんがくなくは、 かんじょうなり。 もしかんなくは、 げんじょうしゅもつてじょうなり。

↠是クノ一切世間ナレドモ仏法無価ナリ。若マシマサズ↢仏宝↡、縁覚無上ナリ。若クハ↢縁覚↡、羅漢無上ナリ。若クハ↢羅漢↡、余賢聖衆以無上ナリ

^もしげんじょうしゅなくは、 *とくじょうぼんもつてじょうとす。 もしとくじょうぼんなくは、 じょうかいをもつてじょうとす。 もしじょうかいなくは、 *かい比丘びくをもつてじょうとす。

クハ↢余賢聖衆↡、得定凡夫以為↢無上↡。若クハ↢得定凡夫↡、浄持戒↢無上↡。若クハ↢浄持戒↡、モラス比丘↢無上↡。

^もしかいなくは、 剃除たいじょ鬚髪しゅほつして袈裟けさたるみょう比丘びくじょうたからとす。

クハ↢漏戒↡、剃除鬚髪シテタル↢袈裟↡名字比丘↢無上↡。

^*じゅうしゅどうするに、 もつとも第一だいいちとす。 くべし、 もののためのはじめの福田ふくでんなり。 なにをもつてのゆゑに、 よくしんやぶしゅじょう怖畏ふいするところなるがゆゑに。 *護持ごじ養育よういくして、 このひとあんすることあらんは、 ひさしからずして*にんんº と。 以上経文

スルニ↢余九十五種異道↡、モト↢第一↡。応↠受↢世アタフ↡、為↠物福田ナリ。何↢能↡衆生、所ナルガオソレスルオソル ↡故。有ラムハ↣護持イクシテ安↢置スルコトシテ↠久シカムト↢忍地↡。 已上経文

^このもんのなかにはちじゅう無価むげあり。 いはゆる如来にょらい縁覚えんがくしょうもんおよび*ぜんさんとくじょうぼんかいかいかいみょう、 それいでのごとし、 づけてしょう像末ぞうまつとき無価むげたからとするなり。 はじめの0423しょうぼうつぎつは像法ぞうぼうのちひとつは末法まっぽうなり。 これによりてあきらかにんぬ、 かいかいことごとくこれ真宝しんぽうなり。

↢八重無価↡。所↠謂如来、縁覚・声聞及前三果、得0217凡夫、持戒・破戒・無戒名字、如↢其↡、名↢正像末之時無価↡也。初正法時、次像法時、後末法時ナリ。由↠此破戒・無戒コトゴト是真宝ナリ

 ^ふ。 してさきもんるに、 かいみょう真宝しんぽうならざることなし。 なんがゆゑぞ ¬はん¼ と ¬大集だいじっきょう¼ に、 ª^国王こくおう大臣だいじんかいそうすれば、 くに*三災さんさいおこり、 つひにごくしょうずº と。 ^かいなほしかなり。 いかにいはんやかいをや。 しかるに如来にょらいひとつのかいにおいて、 あるいはそしり、 あるいはむ。 あにいっしょうせつ*りょうはんとがあるをや。

シテシタガフルニ↢前↡、破戒名字、莫↠不ルコト↢真宝ナラ↡。何¬涅槃¼¬大集経¼、国王・大臣、供アタフスレバ↢破戒↡、国↢三サイワザワイツイズト↢地獄↡。破戒尚爾ナリ。何無戒ヲヤ。而爾如来於↢一破戒↡、或ソシアニ一聖之説ヲヤ↢両ハンコトワルトガ↡。

 ^こたふ。 このしからず。 ¬はん¼ とうきょうに、 しばらくしょうぼうかいせいす、 ぞう末代まつだい比丘びくにはあらず。 そのおなじといへども、 ときあり。 ときしたがひて*せいす。 これだいしょう (釈尊)むねなり。 ゆゑにそんにおいてりょうはんとがましまさず。

。此↠然。¬涅槃¼等シバラセイ↢正法之破戒↡、非↢像・末代之比丘ニハ↡。其名雖↠同ジト、而時↠異。随↠時ユルス。是大聖ムネナリ。於↢世尊マシマサズ↢両判トガ↡。

 ^ふ。 もししからばなにをもつてからん、 ¬はん¼ とうきょうは、 ただしょうぼうしょかいせいして、 像末ぞうまつそうにあらずとは。

。若ラバテカ↠何ラム、¬涅槃¼等、但制↢止シテ正法所有破戒↡、非ズトハ↢像末↡。

 ^こたふ。 くところの ¬だいじゅう¼ 所説しょせつはちじゅう真宝しんぽうのごとし、 これそのしょうなり。 みなときあたりて無価むげとなすゆゑに。

。如↢所↠引¬大集¼所説八重真宝↡、是其証也。皆為↢当↠時無価↡故

^ただししょうぼうの時のかい比丘びくは、 清浄しょうじょうしゅけがす。 ゆゑにぶつかた禁制きんぜいしてしゅうれず。

正法破戒比丘ケガ↢清浄衆↡。故カタキンイマシムシテ↠入↠衆

^しかるゆゑは、 ¬はん¼ の第三だいさんにのた0424まはく、 ª^如来にょらいいまじょうしょうぼうをもつて、 諸王しょおう大臣だいじんさいしょう比丘びく比丘びくぞくしたまへり。 かいあつてしょうぼうそしるものは、 おうおよび大臣だいじん四部しぶしゅう、 まさに*苦治くちすべし。 かくのごときの王臣おうしんとうりょうどくん。 これわが弟子でしなり、 しんしょうもんなり。 ふくることりょうならんº と。

所↢以 ユヱ 、¬涅槃¼第三、如来今以↢无上正法↡、付↢嘱シタマヘリ諸王・大臣・宰相・比丘・比丘尼↡。 ↢破戒↡毀↢正法、王及大臣、四部衆、応↢当苦治↡。如↠是王臣等、得↢无量功徳↡。 是我弟子ナリ、真声聞也。得コト↠福无量ナラム

^かくのごときの制文せいもんほう往々おうおうしゅなり。 みなこれしょうぼうかすところの制文せいもんなり。 像末ぞうまつきょうにあらず。

↠是制文法、往往衆多ナリ。皆是正法所↠明之制文ナリ。非↢像末↡。

^しかるゆゑは、 ぞう末法まっぽうにはしょうぼうぎょうぜざれば、 ほうとしてそしるべきなし。 なにをかほうづけん。 かいとしてすべきなし。 たれをかかいづけん。 またそのとき大王だいおうぎょうとしてまもるべきなし。 なにによりてか三災さんさいいだし、 およびかいしっせんや。 また像末ぞうまつにはしょうひとなし。 いかんぞ*しょうちょうせらるることをかさん。

所↢以 ユヘ 、像・末法ニハレバ↠行↢正法↡、無↢法トシテソシ。何ヲカケム↢毀法↡。無↢戒トシテ0218↟破。誰ヲカケム↢破戒↡。又其時大王無↢行シテマモ。由テカ↠何↢三災↡、及於失セムヤ↢戒慧↡。又像末ニハ↢証果人↡。如何↠被ルヽコトヲ↣聴↢護二聖↡。

^ゆゑにんぬ、 かみ所説しょせつはみなしょうぼうかいあるときにやくして、 かいあるがゆゑなり。

所説ヤクヨルシテ↧正法↢持戒↡時↥、有ルガ↢破戒↡故ナリ

 ^つぎ像法ぞうぼう千年せんねんのうちに、 はじめのひゃくねんにはかいやうやくげんじ、 かいやうやくぞうせん。 かいぎょうありといへどもしょうなし。

像法千年、初五百年ニハ持戒漸、破戒漸セム。雖↠有リト↢戒行↡而無↢証果↡。

^ゆゑに ¬はん¼ のしちにのたまはく、 ª^*しょうさつぶつにまうしてまうさく、 «そんぶつ所説しょせつのごときは*しゅあり。 もし所説しょせつおよびぶつ所説しょせつ、 われまさにいかんしてか分別ふんべつすることを0425き。 もろもろのしゅじょうありてぎょう随逐ずいちくせん。 また仏説ぶっせつずいじゅんすることあらば、 かくのごときらのともがら、 またいかんがらん» と。

¬涅槃¼七、迦葉菩薩白シテ↠仏サク、世尊、如キハ↢仏所説↡有↢四種魔↡。若所説及所説、我当↣云何シテ得↢分別スルコトヲ↡。有↢諸衆生↡随↢チクセムシタガフ魔行↡。復有↣随↢順スルコト仏説、如↠是クノトモガラ復云何ンガラムト

^ぶつしょうげたまはく、 «われはんしてしちひゃくさいのちに、 これ*じゅんやうやくおこりて、 まさにしきりにわがしょうぼうすべし。 たとへばりょうほうぶくせんがごとし。 じゅんもまたまたかくのごとし。 比丘びくぞう比丘びくぞう優婆うばそく優婆夷うばいぞうとならんこと、 またまたかくのごとしと。

仏告ゲタマハク↢迦葉↡、我涅槃シテ七百歳ジユン、当シキリヤブル↢我之正法↡。譬↣猟カリセムガ↢法衣↡。魔波旬亦復如↠是。作ラムコト↢比丘像・比丘尼像・優婆塞・優婆夷像↡、亦復如シト↠是

^"もろもろの比丘びく奴婢ぬひぼく使ようぞうない銅鉄どうてつふくだいしょう銅盤どうばん所須しょしゅのものを受畜じゅちくし、 耕田こうでん種植しゅじき販売はんばいやくして、 穀米こくまいもうくることをゆるすと。 かくのごときのしゅぶつだいのゆゑにしゅじょう憐愍れんみんしてみなたくわふることをゆるさん" と。 かくのごときのきょうりつは、 ことごとくこれせつなり»º と云々うんぬん

ユルスト↧諸比丘、ジユチクタクワウボク使、牛・羊・象・馬、乃至 ドウアカガネ テチクロガネコクカマチヤウカナエ、大小銅盤、所シユモチヰル之物↡、カウツクル田・種タネ、販ワカツバイウルイチヤクシテカウル マウチヨクルコトヲコクコメマイコメ↥。如↠是衆事、仏大悲憐↢アハレミシテアハレム衆生↡皆ユルサムタクワウルコトヲ。如キノ↠是クノ経律、悉魔説ナリト云云。

^すでに ªしちひゃくさいのちじゅんやうやくおこらんº といへり。 ゆゑにんぬ、 かのとき比丘びく、 やうやく*はちじょうもつ貪畜とんちくせんと。 この妄説もうせつをなさん、 すなはちこれともがらなり。 これらのきょうのなかにあきらかに年代ねんだいして、 つぶさにぎょうけり。 さらにうたがふべからず。 それ一文いちもんぐ、 みなじゅんせよ。

ヘリ↢七百歳波旬漸ラムト↡。故比丘、漸貪↢ムサボリチクセムタクワウ 八不浄物↡。作サム↢此妄説↡、即是魔トモガラル  也。此シテ↢年代↡、具ケリ↢行事↡。↠可カラ↡。↢一文↡、余皆ジユンナズラヘ セヨ

 ^つぎ像法ぞうぼうのちなかばはかいげんしょうし、 かい巨多こたならん。 ゆゑに ¬はん¼ のろくにの0426たまはく、

像法ナカバ持戒ゲンオトロヘ、破戒ナラム。故¬涅槃¼六

^また ¬*じゅうりん¼ にのたまはく、 ª^もしわがほうによりてしゅっしてあくぎょうぞうせん。 これ沙門しゃもんにあらずしてみづから沙門しゃもんしょうし、 また*ぼんぎょうにあらずしてみづからぼんぎょうしょうせん。

又¬十リン¼言ハク、若0219↢我↡出家シテ造↢作セム悪行↡。ズシテ↢沙門↡自↢沙門↡、亦非ズシテ↢梵行↡自セム↢梵行↡。

^かくのごときの比丘びく、 よく一切いっさいてんりゅうしゃ一切いっさい善法ぜんぽうどく*伏蔵ぶくぞうかいして、 しゅじょうぜんしきとならん。 しょうよくそくならずといへども、 剃除たいじょ鬚髪しゅほつして、 法服ほうぶくじゃくせん。 この因縁いんねんをもつてのゆゑに、 よくしゅじょうのために善根ぜんごんぞうじょうせん。 もろもろのてんにんにおいて善道ぜんどうかいせん。 ない

↠是比丘、能開↢示シテ一切天・竜・夜叉、一切善法功徳伏蔵↡、ラム↢衆生善知識↡。雖↢少欲知足ナラ↡、剃除鬚髪シテキル↢著キルセム法服↡。以↢是因縁↡故↢衆生↡増↢長セム善根↡。於↢諸天・人↡開↢示セム善道↡。乃至

^かい比丘びく、 これせるひとなりといへども、 しかもかいさい*おうのごとし。 これするものといへども、 ひとことさらにこれをる。 また*麝香じゃこうのちゆうあるがごとしº と云々うんぬん

破戒比丘雖セルナリト↡、而アマル才如タカラ ↢牛黄↡。此雖↠死スルモノト、而人 サラ↠之。亦如ジヤカウノチユウ云云。

^すでに ª*迦羅からりんのなかにひとつの*ちん頭迦ずかじゅありº といへり。 これは像運ぞううんすでにおとろへて、 かいじょくにわづかにいちかい比丘びくあらんにたとふるなり。

ヘリ↣迦羅林↢一チン樹↡。此フルナリ↣像ウンハコブオトロヘテ、破戒濁世ワヅカ キン ラムニ↢一二持戒比丘↡。

^またいはく、 ªかい比丘びく、 これせるひとなりといへども、 なほ麝香じゃこうしてゆうあるがごとし、 しゅじょうぜんしきとなるº と。 あきらかにんぬ、 このときやうやくかいゆるして福田ふくでんとす。 さきの ¬だいじゅう¼ におなじ。

又云、破戒比丘、雖セルナリト↡、猶如↢麝香シテ↟用、為ルト↢衆生善知識↡。明時漸ユルシテ↢破戒↢世福田↡。同↢前¬大集¼↡。

 ^つぎぞうのちは、 まつたくこれかいなし。 ぶつうんろしめして、 末俗まつぞくすくはんがためにみょうそうめて福田ふくでんとしたまへり。

像季スエマタ是無↠戒。仏 シメシテ↢時運↡、為スクハムガ↢末俗↡讃↢名字タマヘリ↢世福田↡。

^また ¬だいじゅう¼ のじゅう0427にのたまはく、 ª^もしのちまっに、 わがほうのなかにおいて鬚髪しゅほつ剃除たいじょし、 袈裟けさたらんみょう比丘びく、 もし*檀越だんおつありてしゃようをせば、 りょうふくんº と。

又¬大集¼五十二、若末世、於↢我↡剃ソル除鬚ヒゲカミ、身タラム↢袈裟↡名字比丘、若ダンオチ↡捨テバ↢於供養、得ムト↢無量↡。

^また ¬*げんきょう¼ にのたまはく、 ª^もし檀越だんおつしょうらいまっほうきんとせんになんなんとして、 まさしくつまたくわへ、 わきばさましめんにんじょうみょう僧衆そうしゅ、 まさにらいきょうせんこと、 *しゃほつ*だい目連もくれんとうのごとくすべしº と。

又¬賢愚経¼言、若壇越、将マサニ来末世ムニ↠尽キム、正シク使メムタクハ↠妻ワキバサ↟子四人以上名字僧衆、応シト↣当礼敬セムコトクス↢舎利弗・大目連等↡。

^*またのたまはく、 ª^もしかいちょうし、 袈裟けさたるをることなからん、 つみ万億まんおく仏身ぶっしんよりいだすにおなじからん。 もししゅじょうありて、 わがほうのために剃除たいじょ鬚髪しゅほつ袈裟けさぶくせんは、 たとひかいたもたずとも、 かれらはことごとくすでに*はんいんのためにいんせらるるなりº と。

又云、若チヤウ ウチ ノル破戒↡、無ラム↠知コト↣身タルヲ↢袈裟↡、罪ジカラム↠出スニ↢万億仏身ヨリ↡。若↢衆生↡、為↢我↡剃除鬚髪、被キル↢服キルセムハ袈裟↡、設トモ↠持↠戒、彼涅槃↢印オシテ之↡所ルヽ↠印

^¬*だいきょう¼ にのたまはく、 ª^ぶつなんげたまはく、 «しょうらいにおいてほう滅尽めつじんせんとほっせんとき、 まさに比丘びく比丘びくありて、 わがほうのなかにおいてしゅったらんもの、 おのれがひじきて、 ともにぎょうしてかのしゅよりしゅいたらん。 わがほうのなかにおいて*ぼんぎょうをなさん。 かれらさけ因縁いんねんたりといへども、 この*賢劫げんごうのなかにおいて、 まさに千仏せんぶつましましてこうしゅつしたまはんに、 わが弟子でしとなるべし。

¬大0220悲経¼云、仏告ゲタマハク↢阿難↡、於↢将来世↡法欲セム↢滅尽セムト↡時、当↢比丘・比丘尼↡、於↢我↡得タラムモノ↢出家↡、オノレ↢児遊行シテ酒家ヨリラム↢酒家↡。於↢我サム↢非梵行↡。彼リト↢酒因縁↡、於↢此賢劫↡、当シテ↢千仏↡興オコリシタマハムニ、我↦弟子↥。

^つぎのち*ろくまさにわがところぐべし。 ないさい*盧至るし如来にょらいまで、 かくのごときだいになんぢまさに0428るべし、

弥勒当↢我↡。乃至最後至如来マデ、如↠是クノ次第汝応↢当↡、

^なんわがほうのなかにおいて、 ただしょうのみこれ沙門しゃもんにして沙門しゃもんぎょうけがし、 みづから沙門しゃもんしょうせん、 かたち沙門しゃもんひさしく袈裟けさじゃくすることあらしめんは、 賢劫げんごうにおいてろくしゅとしてない盧至るし如来にょらいまで、 かのもろもろの沙門しゃもん、 かくのごときのぶつみもとにして、 *無余むよはんにおいてだいはんることをん。 ゆいあることなけん。

阿難、於↢我↡、但使メム↫性是沙門汚↢沙門ニシテセム↢沙門↡、形↢沙門ヒサシク↪被↩著スルコト袈裟、於↢賢劫↡弥勒↠首乃至盧至如来マデ、彼沙門、如↠是クノミモトニシテ、於↢无余涅槃↡次第↠入コトヲ↢涅槃↡。無ケム↠有コトノコリ余↡アマル

^なにをもつてのゆゑに、 かくのごとき一切いっさい沙門しゃもんのなかに、 ないひとたびぶつみなしょうし、 ひとたびしんしょうぜんもの、 しょどくつひにせつならじ。 われぶっをもつて法界ほうかいしきするがゆゑなり»º と云々うんぬん

。如来一切沙門、乃至一タビ↢仏ミナ↡、一タビゼム↠信、所作功徳終↢虚設マウナラク ↡。↢仏智シキハカリスルガ法界ナリト云云。

^これらのしょきょうに、 みな年代ねんだいしてしょうらいまっみょう比丘びくそんとす。 もししょうぼうとき制文せいもんをもつて、 末法まっぽうみょうそうせいせんは、 きょうあひそむき、 人法にんぼうがっせず。 これによりて ¬*りつ¼ にいはく、 ª^せいせいするは、 すなはちさんみょうだんず。 せつするところこれつみありº と。

諸経、皆指シテ↢年代↡将来末世名字比丘↢世尊師↡。若↢正法トヾム↡、而制↢末法世名字、教機、人法不↠合。由↠此¬律¼云、制↢非制、則↢三明↡。所↢記シルシスル↡是有リト↠罪。

^このかみきょうきて配当はいとうしをはんぬ。

↠経アテアツ已訖 オハ

 ^のちきょうげてれいせば、 末法まっぽうほうとしてしょうぼう毀壊きえし、 *三業さんごうしるしなし。 *四儀しぎそむくことあらん。 しばらく ¬*像法ぞうぼうけつきょう¼ にのたまふがごとし。 ^また ¬*ゆいきょうぎょう¼ にのたまはく、 ^また ¬*ほうぎょうきょう¼ にのたまはく、 ^¬*鹿ろく子母しもきょう¼ にのたまはく、 ^また ¬*仁王にんのうぎょう¼ にのたまはく、 」 と。 以上略抄

↠教レイ、末法法爾トシテ正法クヰソシリヤブル、三業無シルシ。四儀有ラムソムクコトシバラカツガツ↢¬像法決疑経¼云 又¬ユイ教経¼云 又¬法行経¼云 ¬鹿ロク子母経¼云 又¬仁王経¼云已上

 

  0221

顕浄土方便化身土文類六 愚禿釈親鸞集

二 Ⅱ 真偽を弁ず【外教釈】
      標牒【勘決邪偽】

042981】^それもろもろのしゅ多羅たらによつて、 しん勘決かんけつして、 きょうじゃしゅうきょうかいせば、

夫拠↢諸修多羅↡、カン↢決シテ真偽↡、教↢誡外教邪偽異執

二 Ⅱ ⅱ 引文
       
          (一)¬涅槃経¼(仏に帰依する者は余の諸天神に帰依せざることを明かす)

【82】^¬はんぎょう¼ (如来性品) にのたまはく、

¬涅槃経¼言ハク

^ぶつ帰依きえせば、 つひにまたそののもろもろの天神てんじん帰依きえせざれ」 と。

「帰↢依↟仏、終レトマタ帰↢依天神↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (二)¬般舟三昧経¼(涅槃に入れば則ち密に弥陀の三昧を結して以て一代の真正と為すことを成ず)

【83】^¬*般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、

¬般舟三昧経¼言ハク

^優婆夷うばい、 この三昧さんまいきてまなばんとほっせんものは、 みづからぶつみょうし、 ほうみょうし、 比丘びくそうみょうせよ。 どうつかふることをざれ、 てんはいすることをざれ、 じんまつることをざれ、 きちりょうにちることをざれ」 となり。

「優婆夷聞↢是三昧↡欲セムバムト帰↢命↡、帰↢命↡帰↢命セヨ比丘僧↡。不ツカフルコトヲ↢余道↡、不↠拝スルコトヲ↠天、不↠祠コトヲ↢鬼神↡、不レトナリ↠視コトヲ↢吉良日↡。」

【84】^またのたまはく (般舟三昧経)

又言ハク

^優婆夷うばい三昧さんまいまなばんとほっせば、 てんはいじん祠祀ししすることをざれ」 となり。

「優婆夷欲↠学バム↢三昧レトナリ↣拝↠天祠↢スルコトヲ↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)¬大集経¼
            (Ⅰ)日蔵
              (ⅰ)「魔王波旬星宿品」(総じて天等の体を示す)

【85】^¬*だいじょうだい方等ほうどう日蔵にちぞうきょう¼ かん第八だいはちおうじゅん星宿しょうしゅくぼん第八だいはちにのたまはく (大集経)

¬大乗大方等日蔵経¼巻第八「魔王波旬星宿品」第八之二

^ªそのときに、 *佉盧かるしっ天衆てんしゅげていはまく、 «このもろもろのがつとう、 おのおの*しゅとうあり。 なんぢしゅしゅじょうさいすべし。 なにものをかつとする。 じょうにんしょりゅうしゃない*かつとうたすく。 かくのごときのたぐい、 みなことごとくこれをたすけん。 われもろもろのしゅじょう安楽あんらくするをもつてのゆゑ0430に、 *星宿しょうしゅく布置ふちす。 おのおの*ぶんない*摸呼羅まこらとうあり。 またみなつぶさにかん。 そのこく方面ほうめんところしたがひて、 しょごうずいじゅんぞうじょうせん» と。

「爾シチ↢天衆↡言ハク、是月等、各↢主タウ↡。汝可↣救↢済四種衆生↡。ヲカ↠四タスケム↢地上人・諸竜・夜叉乃至カチ↡。如↠斯クノ類、皆悉ケム↠之↣安↢楽スル衆生↡故、布↢置星宿↡。各↢分部乃至時等↡。カム。随↢其国土方面之処↡、所作事業、随順増長セム

^佉盧かるしっ大衆だいしゅまえにしてたなごころあわせてきていはまく、 «かくのごとき日月にちがつねんだいしょう星宿しょうしゅくあんす。 なにものをかづけてろくありとするや。 しょうがつがつ暄暖けんだんづく。 三月さんがつがつしゅづく。 がつ六月ろくがつこうなり。 七月しちがつ八月はちがつ物欲もつよくじゅくなり。 がつじゅうがつ寒涼かんれいなり。 じゅうゆう一月いちがつがっしてじゅうがつ大雪だいせつなり。 これじゅうがつわかつてろくとす。

佉盧虱↢大衆0222↡合↠掌ハマク、如↠是安↢置日月・年時、大小星宿シウ↡。モノヲカイウ六時。正月・二月エンクワン↡。三月・四月↢種作時↡。五月・六月カウ雨時ナリ。七月・八月物欲熟時ナリ。九月・十月カンレイ之時ナリ。十イウ一月、合シテ十二月大雪之時ナリ十二月↢六時↡。

^まただい星宿しょうしゅくそのかずつあり。 いはゆる*さいしょう*けいこく*ちんしょう*太白たいはく*しんしょうにちがつ*荷羅睺からごしょうなり。 また*しょう星宿しょうしゅくじゅうはちあり。 いはゆるぼうよりいたるまでのしょ宿しゅくこれなり。 われかくのごときだいあんをなす、 そのほうきをはんぬ。 なんだち、 みなすべからくまた、 またくべし。 一切いっさい大衆だいしゅこころにおいていかん。 わがくところのほう、 そのなりやいなや。 じゅうはち宿しゅくおよび*はちだいしょうしょぎょう諸業しょごう、 なんぢらくするやいなや。 とやせん、 とやせん。 よろしくおのおの宣説せんぜつすべし» と。

又大星宿シウカズ↠八。サイシヤウケイコク・鎮星・タイ白・シン星・日・月・ナリ。又小星宿シウ↢二十八↡。↠謂バウマデノ諸宿是也。ワレ↢如↠是クノ次第安置↡、説↢其↡已汝等ナンダチ皆須↢亦亦聞↡。一切大衆於↠意云何 イカン 。我↠置法、其コレアラ二十八宿及八大星所行諸業、汝喜楽タメニセ↢各宣説↡。

^そのとき一切いっさい天人てんにん仙人せんにんしゅりゅうおよび*きん那羅ならとう、 みなことごとくたなごころあわせて、 ことごとくこのごんをなさく、 «いま大仙だいせんのごときは、 てん0431にんのあひだにおいてもつともそんじゅうとす。 ないしょりゅうおよびしゅ、 よくすぐれたるものなけん。 智慧ちえ慈悲じひもつとも第一だいいちとす。 りょうこうにおいてわすれず、 一切いっさいしゅじょう憐愍れんみんするがゆゑに、 福報ふくほう誓願せいがんちをはりてどくうみのごとし。 よく過去かこ現在げんざい当来とうらい一切いっさいしょ天人てんにんのあひだをるに、 かくのごときの智慧ちえのものあることなし。 かくのごときの*法用ほうゆうにちせつおよび*迦羅からだいしょう星宿しょうしゅく*月半がつはん*月満がつまん*年満ねんまん法用ほうゆう、 さらにしゅじょうよくこのほうをなすことなけん。 みなことごとくずいしわれらを安楽あんらくにす。 いかな大徳だいとくしゅじょう安穏あんのんす» と。

一切天人・仙人・阿修羅・竜及キン那羅等、↠掌、咸サク↢是↡、如キハ↢今大仙↡、於↢天人アヒダモト↢尊重↡。乃至諸竜及阿修羅、無ケム↢能レタルモノ↡。智慧・慈悲最為↢第一↡。於↢無量劫ワス、憐↢愍スルガ一切衆生↡故↢福報↡、誓願満功徳如↠海。能ルニ↢過去・現在・当来一切諸事、天人之間↡、無↠有コト↢如キノ↠是智慧之↡。如↠是クノ法用、日夜・刹那及迦羅時、大小星宿、月半・月満・年満法用、更ケム↣衆生能コト↢是↡。随喜安楽ナラム我等カナ大徳、安↢衆生↡。

^このとき佉盧かるしっ仙人せんにん、 またこのごんをなさく、 «このじゅうがつ一年いちねんじゅう、 かくのごとく方便ほうべんす。 だいしょうしょうとうせつほう、 みなすでにきをはんぬ。

佉盧虱仙人、復0223サク↢是↡、此十二月一年始終、如↠此クノ方便。大小星等、刹那時法、

^またまた*てん大王だいおうしゅせん方面ほうめんしょあんす、 おのおの一王いちおうく。 このもろもろの方所ほうしょにして、 おのおのしゅじょうりょうす。 北方ほっぽう天王てんのう*沙門しゃもんづく。 これそのかいのうちにおおしゃあり。 南方なんぽう天王てんのう*毘留びる荼倶だくづく。 これそのかいのうちにおお*はんあり。 西方さいほう天王てんのう*毘留びる博叉はくしゃづく。 これそのかいのうちにおおしょりゅうあり。 東方とうぼう天王てんのう*だい頭隷ずらづく。 これそのかいのうちに*乾闥けんだつおおし。

又復安↣置四天大王↢須弥山四方面シヨ↡、各↢一王↡。是方所ニシテ、各↢衆生↡。北方天王↢毘沙門↡。是其↢夜叉↡。南方天王↢毘↡。ハン↡。西方天王↢毘留博叉↡。↢諸竜↡。東方天王↢題頭↡。ケン闥婆↡。

^*ほうゆいみなことごとく一切いっさい*しょおよびもろもろの*じょうおうようす。 また0432じんいてこれをしゅせしむ» と。

四方四維擁↢護一切シヨヲウ↡。亦置↢鬼神守↢護セシム↡。

^そのときに、 *佉盧かるしっ仙人せんにん諸天しょてんりゅうしゃしゅきん那羅なら摩睺まご羅伽らがにんにんとう一切いっさい大衆だいしゅにおいて、 みな «いかな» としょうして、 かんりょうなることをなす。 このときに、 てんりゅうしゃしゅとうにち佉盧かるしっようす。

佉盧虱仙人、↧於↢諸天・竜・夜叉・阿修羅・緊那羅・摩睺羅伽・人・非人等一切大衆↡、皆称シテカナ歓喜無量ナルコトヲ↥。天・竜・夜叉・阿修羅等、日夜供↢養佉盧虱↡。

^つぎにまたのちりょうぎて、 また仙人せんにんあらん、 りきづく。 しゅつげんして、 またさらにべっして、 もろもろの星宿しょうしゅくしょう大月だいがつほうせつようりゃくかんº と。

↢無量世↡、マタラム↢仙人↡、ナヅケム↢伽力↡。出↢現シテ於世↡、復更シテ、説↢置カム星宿、小大月法、時節要略↡。

^そのときに、 しょりゅう*佉羅から氐山ていせんしょうにんじゅうしょにありて、 *こう仙人せんにんそんじゅう*ぎょうせん、 そのりゅうりきつくしてこれをようせん」 と。 以上抄出

諸竜、在↢佉羅テイ山聖人住処↡、尊↢重恭↣敬セム光味仙人↡、ツク 竜力供↢養セムト↡。」 已上抄出

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅰ)(ⅱ)「念仏三昧品」(一心に帰仏して天神等を拝せざるの相を顕し、魔の害を加へざるはただこの行者のみなることを示す)

【86】^¬*日蔵にちぞうきょう¼ かんだい念仏ねんぶつ三昧ざんまいぼんだいじゅうにのたまはく (大集経)

¬日蔵経¼巻第九念仏三昧品」第十

^そのときに、 *じゅん、 このきをはるに、 かのしゅうのなかにひとりのにょあり、 づけて*あんとす。 このにょは、 むかし過去かこにおいてもろもろの徳本とくほんゑたりき。

「爾波旬説↢是↡已、彼衆之中魔女↡、名為↢離暗↡。此魔女ムカシ↢過去↡植ヘタリキ↢衆徳本↡。

^このせつをなしていはまく、 ª沙門しゃもん*どんづけて福徳ふくとくしょうす。 もししゅじょうありて、 ぶつみなくことを一心いっしん帰依きえせん、 一切いっさいしょ、 かのしゅじょうにおいてあくくわふることあたはず。 いかにいはんやぶつたてまつり、 まのあたほうかんひと種々しゅじゅ方便ほうべん慧解えげ深広じんこうならん。 たとひ千万せんまんおく一切いっさいぐん、 つひにしゅ0433がいをなすことをることあたはず。 如来にょらいいまはんどうひらきたまへり。 にょ、 かしこにきてぶつ帰依きえせんとほっすº と。

シテ↢是↡言ハマク、沙門瞿曇↢福徳↡。若↢衆生↡、得↠聞コトヲ↢仏↡一心帰依セム、一切諸魔0224、於↢彼衆生↠能↠加フルコト↠悪。何タテマツリ↠仏マノアタリカム↠法人、種種方便慧解深広ナラム タト千万億一切魔軍、ツヒ↠能↠得コト↢須臾コトヲ↟害。如来今者 イマ キタマヘリ↢涅槃道↡。女 ↣往↠彼帰↢依セムト↟仏。

^すなはちそのちちのためにしてきていはまく、 ª^さん諸仏しょぶつほう修学しゅがくして、 一切いっさいしゅじょうだつせん。 よく諸法しょほうにおいてざい当来とうらいねがはくはわれかえりてぶつのごとくならんº と。

↢其シテ↠偈ハマク

修↢学シテ三世諸仏度↢脱セム一切衆生
↢諸法↢自在当来クナラムト↠仏

 ^そのときに、 あん、 このきをはるに、 ちちおうのうちのひゃくにょまい眷属けんぞく一切いっさいみなだいしんほっせしむ。

離暗説↢是↡已ルニ、父ワウ五百魔女、マイ眷属、一切セシム↢菩提之心↡。

^このときに、 おう、 そのみやのうちのひゃく諸女しょにょ、 みなぶつしてだいしんほっせしむるをるに、 おおきに瞋忿しんふん怖畏ふいしゅうすと。

魔王見ルニ↧其五百諸女、皆帰シテ↢於仏↡発セシムルヲ↦菩提心↥、スト↢大忿フン・怖畏・憂愁↡。

^このときに、 ひゃくのもろもろのにょとう、 またじゅんのためにしてきていはまく、

五百魔女等、マタ↢波旬シテ↠偈マク

^ªもししゅじょうありて、 ぶつすれば、 かのひとせんおくおそれず。 いかにいはんやしょうながれせんとおもふ。 *無為むいはんきしいたらん。

↢衆生↡帰スレ↠仏↢千億
オモ↠度セムト↢生死ラム↢無為涅槃キシ

^もしよくいちこうをもつて、 三宝さんぼう仏法ぶっぽうそうさんすることありて、 けんゆうみょうしんおこさん。 一切いっさいしゅすることあたはじ。

リテ↧能↢一香華持↦散スルコト三宝仏法僧
サム↢於堅固勇猛一切衆魔↠能↠壊スルコト

^われら過去かこりょうあく一切いっさいまためっしてあることなけん。 じょう専心せんしんぶつしたてまつりをはらば、 さだめて*のくだいんº と。

我等過去無量一切亦滅シテケム↠有コト↠余
至誠専心シタテマツリ↠仏オハラバサダメムト↢阿耨菩提

 ^そのときに、 おう、 このきをはりて、 おおきにしん怖畏ふいして、 こころ0434がし、 しょうすいしゅうして、 ひとみやのうちにす。

0225魔王↢是↡已リテシテ↢大キニ瞋恚・怖畏↡、コガ↠心セウスイ憂愁シテ、独↢宮↡。

^このときに、 こうさつ摩訶まかさつぶつ説法せっぽうきて、 一切いっさいしゅじょうことごとく*攀縁へんえんはなれ、 *ぼんぎょうしむと。

光味菩薩摩訶薩、聞↢仏説法↡、一切衆生コトゴトヘン↡、シムト↢四梵行↡。

^ªきよ洗浴せんよくし、 *鮮潔せんけつころもて、 菜食さいじき*ちょうさいして、 からくさきものを*だんすることなかるべし。 寂静じゃくじょうしょにして、 どうじょうしょうごんしてしょうねん*けっし、 あるいはぎょうじ、 あるいはして、 ぶつ身相しんそうねんじて乱心らんしんせしむることなかれ。 さらにえんし、 そのねんずることなかれ。 あるいは一日いちにち、 あるいは七日しちにちごうをなさざれ。 しん念仏ねんぶつすれば、 ないぶつたてまつる。 しょうねんしょうたてまつり、 大念だいねんだいたてまつる。 ないりょうねんぶつ色身しきしんりょうへんなるをたてまつらんº」 と。

↧浄洗浴センケチ↡、サイ食長サイシテナカダンスルコトカラクサキモノヲ↡。↢寂静処↡、荘↢厳シテ道場↡正念結跏、或シテ、念ジテ↢仏身相↡無↠使ムルコト↢乱心↡。更ナカ↣他縁ズルコト↢其↡。或一日夜、或イハ七日夜、不↠作↢余↡。至心念仏スレバ、乃至タテマツル↠仏。小念テマツリ↠小、大念タテマツル↠大。乃至無量タテマツラムト↢仏色身無量無辺ナル↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅰ)(ⅲ)「護塔品」(魔王と諸眷属との仏法に帰することを明かす)

【87】^¬日蔵にちぞうきょう¼ のかんだいじゅうとうぼんだいじゅうさんにのたまはく (大集経)

¬日蔵経¼巻第十「護塔品」第十三

^ときじゅん、 その眷属けんぞくはちじゅうおくしゅと、 ぜん*にょうして仏所ぶっしょおうせしむ。 いたりをはりて、 *接足せっそくしてそんちょうらいしたてまつる。

「時魔波旬↢其眷属八十億衆↡、前後囲遶シテ往↢セシム仏所↡。到接足シテ頂↢礼シタテマツル世尊↡。

^かくのごときのかく、

カク↢如↠是クノ↡、

^ªさん諸仏しょぶつだい慈悲じひ、 わがらいけたまへ、 一切いっさいつみさんせしむ。 ほうそうほうもまたまたしかなり。 しん帰依きえしたてまつるにあることなし。

三世諸仏大慈悲ケタマヘ↢我↡懴セシム↢一切ツミ
法・僧二宝亦復シカナリ至心帰依シタマヘルニ↠有コト↠異

^ねがはくは、 われ今日こんにちどうようぎょうそんじゅうしたてまつるところなり。 もろもろのあく0435ながつくしてまたしょうぜじ。 寿いのちつくすまで如来にょらいほう帰依きえせんº と。

今日ナリ↯供↢養恭↣敬尊↤重シタマヘ導師
シテツクスマデ↠寿帰↢依セムト如来

 ^ときじゅん、 このきをはりて、 ぶつにまうしてまうさく、 ªそん如来にょらいわれおよびもろもろのしゅじょうにおいて、 びょうどう無二むにしんにしてつねにかんし、 慈悲じひ*含忍がんにんせんº と。

魔波旬、説↢是↡已、白シテ↠仏マフサク、世尊、如来於↢我及衆生↡、平等無二ニシテ歓喜、慈悲ガムセムト

^ぶつののたまはく、 ªかくのごとしº と。

ノタマハク、如↠是

^ときじゅんおおきにかんしょうじて、 清浄しょうじょうしんおこす。 かさねて仏前ぶつぜんにして接足せっそくちょうらいし、 *みぎめぐることさんぞうしてぎょうがっしょうして、 しりぞきて一面いちめんじゅうして、 そん*瞻仰せんごうしたてまつるに、 こころ*厭足えんそくなし」 と。 以上抄出

魔波旬生ジテ↢大歓喜↡、発↢清浄↡。重ネテ0226↢仏前↡接足頂礼、右コト三帀シテ恭敬合掌シテシリゾキテシテ↢一面↡、瞻↢仰シタテマツルニ世尊↡、心シト↢厭足↡。」 已上抄出

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)月藏
              
(ⅰ)「諸悪鬼神得敬信品」(人の仏に帰して益を得ることを説きて、鬼神をして之を聞きて帰仏得益せしむ)

【88】^¬*だい方等ほうどうだいじゅう月蔵がつぞうきょう¼ かんだい諸悪しょあくじんとくきょうしんぼん第八だいはちじょうにのたまはく (大集経)

¬大方等大集月蔵経¼巻第五「諸悪鬼神得敬信品」第八

^もろもろの*仁者にんしゃ、 かの邪見じゃけんおんする因縁いんねんにおいて、 十種じっしゅどくん。 なんらをかじゅうとする。

「諸仁者、於↧彼遠↢離スル邪見↡因縁↥、↢十種功徳↡。何ヲカ↠十

^ひとつにはしんしょうにゅうぜんにして伴侶はんりょけんりょうならん。

者心性ニシテ伴侶賢良ナラム

^ふたつには業報ごうほうないだつみょうあることをしんじて、 もろもろのあくおこさず。

者信ジテ↠有コトヲ↢業報乃至ダチ命↡、↢諸↡。

^つには三宝さんぼうきょうして天神てんじんしんぜず。

者帰↢敬シテ三宝↠信↢天神↡。

^つには*しょうけんさい日月にちがつきっきょうえらばず。

者得↢於正見エラ↢歳次日月クヰヨウ↡。

^いつつにはつねに人天にんでんしょうじてもろもろの悪道あくどうはなる。

↢人天↡離↢諸悪道↡。

^つには賢善けんぜんしんあきらかなることをひとさんせしむ。

↢賢善心明カナルコトヲ↡人讃誉セシム

^ななつにはぞくててつねに*しょうどうもとめん。

テヽ↢世俗↡常メム↢聖道↡。

^つには*だんじょうけんはなれて*因縁いんねんほうしんず。

者離↢断・常見↡信↢因縁↡。

^ここのつにはつねにしょうしん0436正行しょうぎょうしょう発心ほっしんひととともにあひあつまりはん。

者常↢正信・正行・正発心人↡共アヒアツマハム

^とおには*善道ぜんどうしょうずることをしむ。

シム↠生ズルコトヲ↢善道↡。

^この邪見じゃけんおんする善根ぜんごんをもつて、 のく多羅たらさんみゃくさんだいこうせん、 このひとすみやかにろっ波羅ぱらみつまんぜん、 ぜんじょうぶつにしてしょうがくらん。 だいをはりて、 かのぶつにして、 どく智慧ちえ一切いっさい善根ぜんごんしゅじょうしょうごんせん。 そのくにらいしょうして天神てんじんしんぜず、 悪道あくどうおそれをはなれて、 かしこにして命終みょうじゅうしてかえりて善道ぜんどうしょうぜん」 と。

↧是遠↢離スル邪見↡善根↥、廻↢向セム阿耨多羅三藐三菩提↡、是人速ゼム↢六波羅蜜↡、↢善浄仏土↡シテラム↢正覚↡。↢菩提↡已↢彼仏土↡、功徳・智慧・一切善根、荘↢厳セム衆生↡。来↢生シテ↠信↢天神↡、離↢悪道↡、命終シテゼムト↢善道↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)「諸悪鬼神得敬信品」(邪悪を信ずる者は悪報を得ることを明かす)

【89】^¬月蔵がつぞうきょう¼ かん第六だいろく諸悪しょあくじんとくきょうしんぼん第八だいはちにのたまはく (大集経)

¬月蔵経¼巻第六「諸悪鬼神得敬信品」第八

^ぶつしゅっはなはだかたし。 ほうそうもまたまたかたし。 しゅじょうじょうしんかたし。 諸難しょなんはなるることまたかたし。

「仏出世甚法・僧亦復難
衆生浄信難ルヽコト↢諸難↡亦難

^しゅじょう哀愍あいみんすることかたし。 *そく第一だいいちかたし。 しょうぼうくことをることかたし。 よくしゅすること第一だいいちかたし。

0227哀↢愍スルコト衆生↡難知足第一
コト↠聞コトヲ↢正法↡難スルコト第一

^かたきをることをびょうどうなれば、 においてつねにらくく。 この*じゅうびょうどうしょは、 しゃつねにすみやかにらん。

↠知ルコトヲ↠難平等ナレバ↠世↠楽
十平等処智者常ラム

 ^そのときに、 そん、 かのもろもろのあくじんしゅのなかにしてほうきたまふときに、 ªかのもろもろのあくじんしゅのなかにして、 かのあくじんは、 むかし仏法ぶっぽうにおいてけつじょうしんをなせりしかども、 かれのちときにおいてあくしきちかづきてこころとが0437る。 この因縁いんねんをもつてあくじんうまるº」 と。

世尊↢彼悪鬼神衆↡説キタマフ↠法↢彼悪鬼神衆↡、彼悪鬼神ムカシ↢仏法セリシカドモ↢決定↡、カレイテ↢後チカヅキテ↢悪知識↡心↢他トガ↡。以↢是因縁↡生ルト↢悪鬼神↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅲ)「諸天王護持品」(諸天神等に帰依せずと雖も自ら擁護有ることを顕すに在り)

【90】^¬だい方等ほうどう大集だいじっきょう¼ かん第六だいろく月蔵がつぞうぶん」 のなかに 「諸天しょてんのう護持ごじぼんだいにのたまはく (大集経)

¬大方等大集経¼巻第六「月蔵分」中「諸天王護持品」第九

^そのときに、 そんけんしめすがゆゑに、 しゃかいしゅだい梵天ぼんてんのううてのたまはく、 ªこのてんに、 これたれかよく護持ごじ養育よういくをなすº と。

「爾世尊示スガ↢世間↡故フテ↢娑婆世界主大梵天王、此四天下スト↢護持養育↡。

 ^ときしゃかいしゅだい梵天ぼんてんのうかくのごときのごんをなさく、 ª*大徳だいとく婆伽ばが*そつ天王てんのうりょうひゃくせんそつてんとともに*ほく鬱単うったんおつ護持ごじ養育よういくせしむ。

娑婆世界主大梵天王サク↢如キノ↠是クノ↡、大徳婆伽婆、兜率陀天王、トモ↢無量百千兜率陀天子↡護↢持養↣育セシムホクウツタンオチ↡。

^*他化たけざい天王てんのうりょうひゃくせん他化たけざいてんとともに*とうほつだい護持ごじ養育よういくせしむ。

他化自在天王、共↢無量百千他化自在天子↡護↢持養↣育セシム東弗婆提↡。

^*らく天王てんのうりょうひゃくせんらくてんとともに*なんえんだい護持ごじ養育よういくせしむ。

化楽天王、共↢無量百千化楽天子↡護↢持養↣育セシム南閻浮提↡。

^*しゅ夜摩やま天王てんのうりょうひゃくせんしゅ夜摩やまてんとともに*西さい瞿陀尼くだに護持ごじ養育よういくせしむ。

須夜摩天王、共↢無量百千須夜摩天子↡護↢持養↣育セシム西瞿陀尼↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが*沙門しゃもん天王てんのうりょうひゃくせんしょしゃしゅとともにほく鬱単うったんおつ護持ごじ養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、毘沙門天王、共↢無量百千諸夜叉衆↡護↢持養↣育セシム北鬱単越↡。

^*だい頭頼ずら天王てんのうりょうひゃくせん乾闥けんだつしゅとともにとうほつだい護持ごじ養育よういくせしむ。

提頭頼天王、共↢無量百千乾闥婆衆↡護↢持養↣育セシム東弗婆提↡。

^*毘楼びるろく天王てんのうりょうひゃくせんはんしゅとともになんえんだい護持ごじ養育よういくせしむ。

毘楼勒天王、共↢無量百0228↡護↢持養↣育セシム南閻浮提↡。

^*毘楼びる博叉はくしゃ天王てんのうりょうひゃくせんりゅうしゅとともに西さい瞿陀尼くだに護持ごじ養育よういくせしむ。

毘楼博叉天王、共↢無量百千竜衆↡護↢持養↣育セシム西瞿陀尼↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが*天仙てんせんしち宿しゅく*三曜さんよう*三天さんてん童女どうにょほく鬱単うったんおつ護持ごじ養育よういくせしむ。 か0438天仙てんせんしち宿しゅくきょしつへきけいろうなり。 三曜さんようちんしょうさいしょう熒惑けいこくしょうなり。 三天さんてん童女どうにょはん弥那みな迷沙めいしゃなり。

大徳婆伽婆、天仙七宿シウ・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム北鬱単越↡。彼天仙七宿キヨクヰシチヘキケイロウナリ。三曜鎮星・歳星・ケイコクナリ。三天童女者鳩槃・弥那・迷沙ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かの天仙てんせんしち宿しゅくのなかにきょしつさん宿しゅくはこれちんしょう*きょうなり、 はんはこれ*しんなり。 へきけい宿しゅくはこれさいしょうきょうなり、 弥那みなはこれしんなり。 ろう宿しゅくはこれ熒惑けいこくきょうなり、 迷沙めいしゃはこれしんなり。

大徳婆伽婆、彼天仙七宿キヨクヰシチ三宿是鎮星土境ナリ、鳩槃シムナリ。壁・ケイ二宿是歳星土境ナリ、弥那是辰ナリロウ・胃二宿是熒コク土境ナリ、迷沙是辰ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かくのごとき天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょほく鬱単うったんおつ護持ごじ養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、如↠是天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム北鬱単越↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょとうほつだい護持ごじ養育よういくせしむ。 かの天仙てんせんしち宿しゅくぼうひつしんせいりゅうなり。 三曜さんよう太白たいはくしょうさいしょうがつなり。 三天さんてん童女どうにょ毘利びりしゃちゅうかつ迦かたなり。

大徳婆伽婆、天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム東弗婆提↡。彼天仙七宿者バウヒチシムセイクヰリウナリ。三曜太白星・歳星・月ナリ。三天童女毘利沙・弥チウ那・カチナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かの天仙てんせんしち宿しゅくのなかに、 ぼうひつ宿しゅくはこれ太白たいはくきょうなり、 毘利びりしゃはこれしんなり。 しんせいさん宿しゅくはこれさいしょうきょうなり、 ちゅうはこれしんなり。 りゅう宿しゅくはこれがつきょうなり、 かつ迦かたはこれしんなり。

大徳婆伽婆、彼天仙七宿バウ・畢二宿是太白土境ナリ、毘利沙是辰ナリシムセイ三宿是歳星土境ナリ、弥チウ是辰ナリ。鬼・柳二宿是月土境ナリカチ迦迦是辰ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かくのごとき天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょとうほつだい護持ごじ養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、如↠是クノ天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム東弗婆提↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょなんえんだい護持ごじ養育よういくせしむ。 かの天仙てんせんしち宿しゅくせいちょうよくしんかくこうていなり。 三曜さんようにちしんしょう太白たいはくしょうなり0439三天さんてん童女どうにょしゃくにゃ兜羅とらなり。

大徳婆伽婆、天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム南閻浮提↡。彼天仙七宿者セイチヤウヨクシムカクカウテイナリ。三曜者日・辰星・太白0229ナリ。三天童女シヤク・迦ニヤ・兜羅ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かの天仙てんせんしち宿しゅくのなかに、 せいちょうよくはこれにちきょうなり、 しゃくはこれしんなり。 しんかく宿しゅくはこれしんしょうきょうなり、 にゃはこれしんなり。 こうてい宿しゅくはこれ太白たいはくきょうなり、 兜羅とらはこれしんなり。

大徳婆伽婆、彼天仙七宿、星・張・翼是日土境ナリシヤク是辰ナリ。軫・角二宿是辰星土境ナリ、迦ニヤ是辰ナリカウテイ二宿是太白土境ナリ、兜羅是辰ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かくのごとき天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょなんえんだい護持ごじ養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、如↠是クノ天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム南閻浮提↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが、 かの天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょ西さい瞿陀尼くだに護持ごじ養育よういくせしむ。 かの天仙てんせんしち宿しゅくぼうしんぎゅうじょなり。 三曜さんよう熒惑けいこくしょうさいしょうちんしょうなり。 三天さんてん童女どうにょ毘離びり支迦しかだん伽羅からなり。

大徳婆伽婆、彼天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム西瞿陀尼↡。彼天仙七宿バウシムギウヂヨナリ。三曜者熒惑星・歳星・鎮星ナリ。三天童女者毘離支迦・婆・摩伽羅ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かの天仙てんせんしち宿しゅくのなかに、 ぼうしん宿しゅくはこれ熒惑けいこくきょうなり、 毘離びり支迦しかはこれしんなり。 さん宿しゅくはこれさいしょうきょうなり、 だんはこれしんなり。 ぎゅうじょ宿しゅくはこれちんしょうきょうなり、 伽羅からはこれしんなり。

大徳婆伽婆、彼天仙七宿、房・心二宿是熒惑土境ナリ、毘利支迦是辰ナリ。尾・箕・斗三宿是歳星土境ナリ是辰ナリ。牛・女二宿是鎮星土境ナリ、摩伽羅是辰ナリ

^大徳だいとく婆伽ばが、 かくのごときの天仙てんせんしち宿しゅく三曜さんよう三天さんてん童女どうにょ西さい瞿陀尼くだに護持ごじ養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、如↠是クノ天仙七宿・三曜・三天童女、護↢持養↣育セシム西瞿陀尼↡。

 ^大徳だいとく婆伽ばが、 このてんなんえんだいはもつともしゅしょうなりとす。 なにをもつてのゆゑに、 えんだいひと勇健ゆうごんそうにして、 *ぼんぎょうぶつ相応そうおうす。 婆伽ばが、 なかにおいてしゅっしたまふ。 このゆゑにだい天王てんのう、 ここに倍増ばいぞうしてこのえんだい0440養育よういくせしむ。

大徳婆伽婆、此四天下南閻浮提↢殊勝ナリト↡。何。閻浮提勇健ソウニシテ、梵行相↢応↡。婆伽婆於イテ↠中出世シタマフ。是四大天王、コヽ倍増シテ護↢持養↣育セシム閻浮提↡。

^*じゅうろく大国だいこくあり。 いはく、 おう伽摩かま伽陀かだこくぼう伽摩かま伽陀かだこくはんこくだいこくなり。 このつの大国だいこくは、 沙門しゃもん天王てんのうしゃしゅにょうして護持ごじ養育よういくせしむ。

↢十六大国↡。イハアウ伽摩伽陀国・傍伽摩伽陀国・阿槃多国・支提国ナリ。此大国、毘沙門天王、↢夜叉衆↡囲遶シテ護持養育セシム

^迦尸かしこく都薩羅とさらこくしゃこく摩羅まらこく、 このつの大国だいこくは、 だい頭頼ずら天王てんのう乾闥けんだつしゅにょうして護持ごじ養育よういくせしむ。

国・都薩羅国・婆シヤ国・摩羅国、此大国、提頭頼0230天王、与↢乾闥婆衆↡囲遶シテ護持養育セシム

^鳩羅婆くらばこく毘時びじこく槃遮はんしゃこく疎那そなこく、 このつの大国だいこくは、 毘楼びる勒叉ろくしゃ天王てんのうはんしゅにょうして護持ごじ養育よういくせしむ。

鳩羅婆国・毘時国・槃シヤ羅国・疎那国、此大国、毘楼勒叉天王、↢鳩槃衆↡囲遶シテ護持養育セシム

^湿しゅうこく蘇摩そまこく蘇羅そらたこく甘満かんまん闍国しゃこく、 このつの大国だいこくは、 毘楼びる博叉はくしゃ天王てんのう、 もろもろのりゅうしゅにょうして護持ごじ養育よういくせしむ。

湿シツ婆国・摩国・蘇羅国・甘満闍国、此大国、毘楼博叉天王、↢諸竜衆↡囲遶シテ護持養育セシム

 ^大徳だいとく婆伽ばが過去かこ天仙てんせんこのてん護持ごじ養育よういくせしがゆゑに、 またみなかくのごときぶんあんせしむ。

大徳婆伽婆、過去天仙護↢持養↣育セシガ四天下↡故、亦皆如↠是分布安セシム

^のちにおいてそのこくじょうおう村落そんらくとう園林おんりんじゅ*塚間ちょけん山谷せんこくこうせん*はくないかいちゅうほう*てんしたがひて、 かの*らんしょうたいしょう湿しっしょうしょうにおいて、 もろもろのりゅうしゃせつ餓鬼がき舎遮しゃしゃたん迦かたたんとう、 かのなかにしょうじて、 かのところげんじゅうして、 ぞくするところなし、 おしえけず。

↠後↢其国土、城オウムラシユ落・塔寺・園林・樹下・チヨツカ間・山谷・曠野・河センハク、乃至、海中宝・天↡、於イテ↢彼ランカイゴ生・胎生・湿生・化生↡、諸竜・夜叉・羅刹・餓鬼・毘舎遮・富単那・迦富単那等、生ジテ↢彼ナカ↡、還↢シテ↡、無↠所↢繋属スル↡、オシヘ↡。

^このゆゑにねがはくはぶつ、 このえんだい一切いっさいこくにおいて、 かのもろもろのじんぶんあんしたまへ。 護持ごじのためのゆゑに、 一切いっさいのもろもろのしゅじょうまもらんがためのゆゑに。 われらこのせつにおいてずい0441せんとおもふº と。

仏、於イテ↢此閻浮提一切国土↡、彼鬼神、分布安置↢護持↠護ラム↢一切衆生↡故。我等於イテ↢此↡欲フト↢随喜セムト↡。

 ^ぶつののたまはく、 ªかくのごとし、 *大梵だいぼん、 なんぢが所説しょせつのごとしº と。 ^そのときに、 そんかさねてこのかさんとおぼしめして、 きてのたまはく、

ノタマハク、如↠是大梵、如シト↢汝所説↡。爾世尊オボシメ↣重ムト↢此↠偈ノタマハク

^ªけんげんするがゆゑに、 どう梵王ぼんのうはまく、 «このてんにおいて、 たれか護持ごじ養育よういくせん» と。 ^かくのごとき*てんぼん、 «諸天しょてんのうしゅとして、 そつ他化たけてんらくしゅ夜摩やま

示↢現スルガ世間↡故導師問ハマク↢梵王
イテ↢此四天下護持養育セムト
↠是クノ天師梵諸天王↠首
兜率・他化天化楽・須夜摩

^よくかくのごときてんを、 護持ごじ養育よういくせしむ。 おうおよび眷属けんぞく、 またまたよく護持ごじせしむ。 ^じゅうはっ宿しゅくとう、 およびじゅうしんじゅうてん童女どうにょてん護持ごじせしむ» と。

護↢持養↣育セシム↠此四天下
四王及眷属亦復能護持セシム
0231二十八宿等及以 オヨビ 十二辰
十二天童女護↢持セシム四天下

^そのしょしょうところしたがひて、 りゅうせつとうおしえけずは、 かしこにおいてかえつてをなさしむ。 ^天神てんじんとう差別しゃべつして、 ねがはくはぶつぶんせしめたまへ。 しゅじょう憐愍れんみんせんがゆゑに、 しょうぼうともしび*ねんならしむº と。

↢其所生竜・鬼・羅刹等
↠受↢他↠於カシコサシム↠護
天神等差別シテジテメタマヘ↢分布
憐↢愍セムガ衆生↡故熾↢然ナラシム正法

 ^そのときに、 ぶつ*月蔵がつぞうさつ摩訶まかさつげてのたまはく、 ª*りょう清浄しょうじょうよ、 この賢劫げんごうはじ人寿にんじゅ万歳まんざいとき*鳩留くるそんぶつしゅっこうしたまひき。 かのぶつりょうそうおく那由他なゆたひゃくせんしゅじょうのために*しょうして、 *しょうぼうりん輪転りんでんせしむ。 うて悪道あくどうして、 善道ぜんどうおよびだつあんせしむ。

仏告↢月蔵菩薩摩訶薩ノタマハクスルニ清浄、此賢劫ハジメ人寿四万歳時、鳩留孫仏出↢興シタマヒキ於世↡。彼仏為↢無量阿僧祇億那由他百千↡廻シテ↢生死↡、輪↢転セシム正法輪↡。フテシテ↢悪道↡、安↢置セシム善道及解脱↡。

^かのぶつ、 このだいてんをもつて、 しゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのう他化たけざい天王てんのうらく天王てんのうそつ天王てんのうしゅ0442夜摩やま天王てんのうとうぞくせしむ。 護持ごじのゆゑに、 養育よういくのゆゑに、 しゅじょう憐愍れんみんするがゆゑに、 三宝さんぼうしゅをして断絶だんぜつせざらしめんがゆゑに、 ねんならんがゆゑに、 *しょう*しゅじょうしょう*しょうぼうしょうひさしくじゅうせしめぞうじょうせんがゆゑに、 もろもろのしゅじょうをしてさん悪道まくどうそくせしめんがゆゑに、 さん善道ぜんどう趣向しゅこうせんがゆゑに、 てんをもつて大梵だいぼんおよびもろもろの天王てんのうぞくせしむ。

仏以↢此四大天下↡、付↢嘱セシム娑婆世界主大梵天王・他化自在天王・化楽天王・兜率陀天王・須夜摩天王等↡。護持、養育ムガ衆生↡故メムガ↣三宝ヲシテ↢断絶↡故、熾然ナラムガ、地精気、衆生精気、正法精気、久シクセシメ増長セムガ、令メムガ↣諸衆生ヲシテ休↢息三悪道↡故、趣↢向セムガ三善道↡故、以↢四天下↡付↢嘱セシム大梵及天王↡。

 ^かくのごときぜんこうき、 もろもろの天人てんにんき、 一切いっさい善業ぜんごうびゃくほう尽滅じんめつして、 大悪だいあくもろもろの煩悩ぼんのうにゃくぞうじょうせん。

↠是漸次、諸天人、一切善業白法尽滅シテ、増↢長セム大悪諸煩悩ニヤク↡。

^人寿にんじゅさん万歳まんざいとき*拘那くなごん牟尼むにぶつしゅっこうしたまはん。 かのぶつ、 このだいてんをもつて、 しゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのう他化たけざい天王てんのうないだい天王てんのう、 およびもろもろの眷属けんぞくぞくしたまふ。 護持ごじ養育よういくのゆゑに、 ない一切いっさいしゅじょうをしてさん悪道まくどうそくしてさん善道ぜんどう趣向しゅこうせしめんがゆゑに、 このてんをもつて大梵だいぼんおよび諸天しょてんおうぞくしたまへり。

人寿三万歳時、拘那含牟尼仏、出↢興シタマハム↟世。彼仏以↢此四大天下↡、付↢嘱シタマフ娑婆世界主大梵天王・他化自在天王乃至四大天王、及眷属↡。護持養育乃至令メムガ↧一切衆生ヲシテ休↢息シテ三悪道↡趣↦向三善0232↥故、以↢此四天下↡付↢嘱シタマ大梵及諸天王↡。

 ^かくのごときだいこうき、 もろもろの天人てんにんき、 びゃくほうまたきて、 大悪だいあくもろもろの煩悩ぼんのうにゃくぞうじょうせん。

↠是次第、諸天人、白法亦キテ、増↢長セム大悪諸煩悩溺↡。

^人寿にんじゅ万歳まんざいとき*しょう如来にょらいしゅっこうしたまふ。 かのぶつ、 このだいてんをもつて、 しゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのう他化たけざい天王てんのうらく天王てんのうそつ天王てんのうしゅ夜摩やま天王てんのう*きょう尸迦しかたいしゃく天王てんのうとう、 およびもろも0443ろの眷属けんぞくぞくしたまへり。 護持ごじ養育よういくのゆゑに、 ない一切いっさいしゅじょうをしてさん悪道まくどうそくせしめ、 さん善道ぜんどう趣向しゅこうせしめんがゆゑに。 かのしょうぶつ、 このてんをもつて、 大梵だいぼん天王てんのうとうぞくし、 およびもろもろの天仙てんせんしゅ七曜しちようじゅうてん童女どうにょじゅう宿しゅくとうしたまへり。 護持ごじのゆゑに、 養育よういくのゆゑに。

人寿二万歳時、迦葉如来出↢興シタマフ於世↡。彼仏以↢此四大天下↡、付↢嘱シタマヘリ娑婆世界主大梵天王・他化自在天王・化楽天王・兜率陀天王・須夜摩天王・カウ迦帝釈・四天王等、及眷属↡。護持養育、乃至令メムガ↧一切衆生ヲシテ休↢息セシメ三悪道↡趣↦向三善道↥故。彼迦葉仏以↢此四天下↡、付↢嘱大梵・四天王等↡、及タマヘリ↢諸天仙衆・七曜・十二天童女・二十八宿等↡。護持、養育

 ^りょう清浄しょうじょうよ、 かくのごときだいに、 いまこうじょく煩悩ぼんのうじょくしゅじょうじょく大悪だいあく煩悩ぼんのうじょくとうじょうあくとき人寿にんじゅひゃくさいいたりて、 一切いっさいびゃくほうき、 一切いっさい諸悪しょあく闇翳あんえいならん。 けんはたとへば海水かいすいいちにして*大鹹だいかんなるがごとし、 だい煩悩ぼんのうあじはひ遍満へんまんせん。 しゅう悪党あくとうどくり、 をそのたなごころらん、 ともにあひ殺害せつがいせん。

スルニ清浄、如↠是次第、至ルマデ↢今劫濁・煩悩濁・衆生濁・大悪煩悩濁・闘諍悪世トキ、人寿百歳↡、一切白法、一切諸悪アンクラクエイナラムカスカナリ。世間↢海水一味ニシテカムナルガシハイシ ↡、大煩悩味遍↢満セム於世↡。集会タウアツマル↢髑髏↡、血ラム↢其↡、共殺害セム

^かくのごときのあくしゅじょうのなかに、 われいまだいじゅしゅっしてはじめてしょうがくれり。 *だい波利はりもろもろのしょうにんじきけて、 かれらがためのゆゑに、 このえんだいをもつててんりゅう乾闥けんだつはんしゃとうぶんせしむ。 護持ごじ養育よういくのゆゑに。

↠是衆生、我今出↢世シテ菩提樹下↡初レリ↢正覚↡。提謂ヒトナリ波利ヒトナリシヤウ↡為↡故↢此閻浮提↡分↢布セシム天・竜・乾闥婆・鳩槃荼・夜叉等↡。護持養育

 ^これをもつてだいじゅう十方じっぽうしょぶつ一切いっさい無余むよさつ摩訶まかさつとう、 ことごとくここにらいじゅうせん。 ないこのしゃぶつにおいて、 そのところひゃくおく日月にちがつひゃくおくてんひゃくおく大海だいかいひゃくおくてっせんだいてっせんひゃくおくしゅせんひゃくおく*0444しゅじょうひゃくおくだい天王てんのうひゃくおくさんじゅうさんてんないひゃくおくそう非非ひひ想処そうしょ、 かくのごときのかずりゃくせり。 しゃぶつ、 われこのところにしてぶつをなす。

↠是大集十方所有仏土、一切無余菩薩摩訶薩等、悉来↢集セムコヽ↡。乃至於イテ↢此娑婆仏土↡、其百億日月、百億四天下、百億四大海、百億0233囲山・大鉄囲山、百億須弥山、百億四阿修羅城、百億四大天王、百億三十三天、乃至百億非想非非想処、如↠是セリ↠数。娑婆仏土、我↢是処↡シテ↢仏事↡。

^ないしゃぶつしょのもろもろのぼん天王てんのうおよびもろもろの眷属けんぞく天王てんのう他化たけざい天王てんのうらく天王てんのうそつ天王てんのうしゅ夜摩やま天王てんのうたいしゃく天王てんのうだい天王てんのうしゅおうりゅうおうしゃおうせつおう乾闥けんだつおうきん那羅ならおう迦楼羅かるらおう摩睺まご羅伽らがおうはんおう餓鬼がきおう舎遮しゃしゃおうたんおう迦かたたんおうとうにおいて、 ことごとくまさに眷属けんぞくとしてここにだいじゅうせり。 ほうかんためのゆゑに。

乃至於↢娑婆仏土所有梵天王及眷属、魔天王・他化自在天王・化楽天王・兜率陀天王・須夜摩天王・帝釈天王・四大天王・阿修羅王・竜王・夜叉王・羅刹王・乾闥婆王・緊那羅王・迦楼羅王・摩睺羅伽王・鳩槃荼王・餓鬼王・毘舎遮王・富単那王・迦富単那王等↡、悉↢眷属コヽ大集セリ。為↠聞カム↠法

^ないここにしゃぶつしょのもろもろのさつ摩訶まかさつとうおよびもろもろのしょうもん一切いっさいなく、 ことごとくここにらいじゅうせり。 聞法もんぼうのためのゆゑに。 われいまこのしょしゅう大衆だいしゅのために甚深じんじん仏法ぶっぽうけんせしむ。 またけんまもらんがためのゆゑに、 このえんだいしょしゅうじんをもつてぶんあんす。 護持ごじ養育よういくすべしº と。

乃至コヽ娑婆仏土所有菩薩摩訶薩等及声聞、一切無↠余悉来↢集セリ↡。為↢聞法↡故↢此所集大衆↡顕↢示セシム甚深仏法↡。復為↠護ラム↢世間↡故↢此閻浮提所集鬼神↡分布安置。護持養育スベシト

 ^そのときに、 そん、 またしゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのううてのたまはく、 ª過去かこ諸仏しょぶつ、 このだいてんをもつて、 かつてたれにぞくして護持ごじ養育よういくをなさしめたまふぞº と。

世尊復問↢娑婆世界主大梵天王ノタマハク、過去諸仏、以↢此四大天下↡、曽付↢嘱シテメタマフゾト↠作↢護持養育↡。

^ときしゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのうまうさく、 ª過去かこ諸仏しょぶつ、 このてんをもつて、 かつてわれおよびきょう尸迦しかぞくしたまへりき。 護持ごじすることをなさ0445しめたまふ。 しかるにわれとがありて、 おのれがおよびたいしゃくあらわさず、 ただしょ天王てんのうおよび宿しゅくようしんしょうせしむ、 護持ごじ養育よういくすべしº と。

娑婆世界主大梵天王マフサク、過去諸仏、以↢此四天下↡、曽付↢嘱シタマヘリキ憍尸迦↡。タマフ↠作↢護持スルコトヲ我有リヤ↠失イナオノレ帝釈↡、但称セシム↢諸余天王及宿・曜・辰↡、護持養育スベシト

^そのときに、 しゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのうおよびきょう尸迦しかたいしゃく仏足ぶっそくちょうらいしてこのごんをなさく、 ª大徳だいとく婆伽ばが*大徳だいとくしゅ伽陀がた、 われいまとがしゃすべし。 われしょうのごとくして愚痴ぐち無智むちにして、 如来にょらいみまえにして*みづから称名しょうみょうせざらんや。

娑婆世界主大梵天王及憍尸迦帝釈0234、頂↢礼仏足↢是↡、大徳婆伽婆、大徳修伽陀、スベシ↠過。我如クシテ↢小児↡愚痴無智ニシテ↢如来ミマヘ↡不ラムヤミヅカ称名↡。

^大徳だいとく婆伽ばが、 ややねがはくは*容恕ようじょしたまへ。 大徳だいとくしゅ伽陀がた、 ややねがはくは容恕ようじょしたまへ。 諸来しょらい大衆だいしゅ、 またねがはくは容恕ようじょしたまへ。

大徳婆伽婆、ヤヽジヨシタマヘ。大徳修伽陀、ヤヽ容恕シタマヘ。諸来大衆、亦願容恕シタマヘ

^われきょうがいにおいて言説ごんせつ教令きょうりょうす。 ざいところ護持ごじ養育よういくすべし。 ないもろもろのしゅじょうをして善道ぜんどうおもむかしめんがゆゑに。

我於イテ↢境界↡言説教令。得↢自在↡護持養育スベシ。乃至令メムガ↣諸衆生ヲシテ↢善道↡故

^われらむかし鳩留くるそんぶつのみもとにして、 すでに教勅きょうちょくけたまはりて、 ない三宝さんぼうしゅをしてすでにねんならしむ。

我等ムカシ↢鳩留孫仏ノミモトニ↡、已ケタマリテ↢教勅↡、乃至↣三宝ヲシテ↢熾然↡。

^拘那くなごん牟尼むにぶつしょうぶつみもとにして、 われ教勅きょうちょくけたまはりしこと、 またかくのごとし。 三宝さんぼうしゅにおいてすでにねんごろにしてねんならしむ。 しょうしゅじょうしょう*しょうぼうあじはひだいしょうひさしくじゅうしてぞうじょうせしむるがゆゑに。

拘那含牟尼仏・迦葉仏 モトニシテケタマハリシコト↢教勅↡、亦如↠是。於イテ↢三宝↡已ネムゴロニシテ熾然ナラシム。地、衆生精気、正法味醍醐精気、久増長セシムルガ

^またわがごときも、 いまそんみもとにして、 教勅きょうちょくちょうじゅし、 おのれがきょうがいにおいて、 言説ごんせつ教令きょうりょうす。

亦如キモ↠我イマ↢世尊ミモト↡、頂↢受教勅シテ境界↡、言説教令

^ざいところて、 一切いっさいとうじょうごんそくせしめ、 ない三宝さんぼうしゅ断絶だんぜつせざらしむるがゆゑ0446に、 三種さんしゅしょうひさしくじゅうしてぞうじょうせしむるがゆゑに、 あくぎょうしゅじょう*しゃしょうしてぎょうほうしゅじょうようするがゆゑに、 しゅじょうをしてさん悪道まくどうそくせしめ、 さん善道ぜんどう趣向しゅこうするがゆゑに、 仏法ぶっぽうをしてひさしくじゅうせんことをしめんがためのゆゑに、 ねんごろに護持ごじをなすº と。

↢自在↡、休↢息セシメ一切闘諍・飢饉↡、乃至令ルガ↣三宝↢断絶↡故、三種精気久シクシテ増長セシムルガシヤ↣障シテ悪行衆生↡護↢養スルガ行法衆生↡故、休↢息セシメ衆生ヲシテ三悪道↡、趣↢向スルガ三善道↡故、為↠令メムガ↣仏法ヲシテ↢久シクセムコトヲ↡故ネンゴロスト↢護持↡。

 ^ぶつののたまはく、 ªいかないかな、 *みょうじょう、 なんぢかくのごとくなるべしº と。

ノタマハク、善カナカナ、妙丈夫、シト↠如クナル↠是クノ

^そのときに、 ぶつひゃくおく大梵だいぼん天王てんのうげてのたまはく、 ªしょぎょうほうほうじゅうほうじゅんじてあく厭捨えんしゃせんものは、 いまことごとくなんだちがのうちにぞくす。 なんだち*賢首けんじゅひゃくおくてん各々かくかくきょうがいにおいて言説ごんせつ教令きょうりょうす。

仏告↢百億大梵天王ノタマハク、所有行法住↠法ジテ↠法厭↢捨セム今悉付↢嘱汝等ナンダチウチ↡。汝ダチ賢首、於↢百億四天下各各境界↡言説教令

^ざいところて、 しょしゅじょう弊悪へいあくこう悩害のうがいにおいてみんあることなし。 後世ごせおそれをかんぜずして、 *せつしんおよび婆羅ばらもんしゃしゅこころ触悩そくのうせん、 ないちくしょうこころ触悩そくのうせん。 かくのごときせっしょうをなす因縁いんねんない邪見じゃけんをなす因縁いんねん、 そのしょしたがひて非時ひじふうあらん。 ないしょうしゅじょうしょうしょうぼうしょう損減そんげん因縁いんねんをなさしめば、 なんぢ*しゃして善法ぜんぽうじゅうせしむべし。

↢自在↡、所有衆生、弊悪・クワウ・悩害、於↠他↠有コト↢慈愍↡。不シテ↠観↢後世↡、触↢悩セム刹利心及婆羅門・毘舎・首0235↡、乃至触↢悩セム畜生↡。如↠是↢殺生↡因縁乃至↢邪見↡因縁、随↢其所作↡非時風雨アラム乃至令↣地精気、衆生精気、正法精気、↢損減因縁、汝↢遮止シテ↟住↢善法↡。

^もししゅじょうありて、 ぜんんとおもはんもの、 ほうんとおもはんもの、 しょうがんせんとおもはんもの、 *だん婆羅ばらみつしゅぎょうすることあらんところのもの、 ないはん0447にゃ波羅はらみつしゅぎょうせんもの、 しょぎょうほうほうじゅうせんしゅじょう、 およびぎょうほうのためにいとなまんもの、 かのもろもろのしゅじょう、 なんだちまさに護持ごじ養育よういくすべし。

↢衆生↡、オモハム↠得↠善、欲ハム↠得↠法、欲ハム↠度セムト↢生死彼岸、所↠有ラム↣修↢行スルコト檀波羅蜜、乃至修↢行セム般若波羅蜜、所有行法住セム↠法衆生、及↢行法↡営マム↠事、彼衆生、汝等ナンダチ↢当護持養育↡。

^もししゅじょうありて、 じゅ読誦どくじゅして、 のために演説えんぜつし、 種々しゅじゅきょうろんせつせん。 なんだちまさに*かのもろもろのしゅじょう*ねん方便ほうべんして*けんりきべし。 所聞しょもんりてわすれず、 諸法しょほうそうしんしてしょうはなれしめ、 はっしょうどうしゅして*三昧さんまいこん相応そうおうせん。

↢衆生↡、受持読誦シテ、為↠他演説、種種解↢説セム経論↡。汝ダチ↢彼衆生↡念持方便シテ↦堅固力↥。入↢所聞↠忘、智↢信シテ諸法↠離↢生死↡、修シテ↢八聖道↡三昧根相応セム

^もししゅじょうありて、 なんぢがきょうがいにおいてほうじゅうせん。 しゃ摩他また毘婆びばしゃだい方便ほうべんしてもろもろの三昧さんまい相応そうおうして、 ねんごろに*三種さんしゅだいしゅじゅうせんともとめんもの、 なんだちまさに*しゃしょうじゅして、 ねんごろに*しゃをなして、 ぼうしょうせしむることなかるべし。

↢衆生↡、於↢汝境界↡住セム↠法、奢摩他・毘婆舎那、次第方便シテ↢諸三昧↡相応シテネムゴロメム↣修↢習セムト三種菩提、汝ダチ↧当遮護摂受シテ、勤シテ↢捨施↡、勿↞令ムルコトボウ↡。

^もししゅじょうありて、 その飲食おんじきぶく臥具がぐほどこし、 びょうげん因縁いんねん湯薬とうやくせんもの、 なんだちまさにかのしゅをして五利ごりぞうじょうせしむべし。 なんらをかいつつとする。 ひとつには寿じゅぞうじょうせん、 ふたつにはざいぞうじょうせん、 つにはらくぞうじょうせん、 つにはぜんぎょうぞうじょうせん、 いつつにはぞうじょうするなり。

↢衆生↡、施↢其飲食・衣服・臥具↡、病患因縁セム↢湯薬、汝ダチ↣当↢彼施主ヲシテ五利増長↡。何ヲカ↠五。一寿増長セム、二財増長セム、三楽増長セム、四善行増長セム、五慧増長スルナリ

^なんだちじょうやく安楽あんらくん。 この因縁いんねんをもつて、 なんだちよくろっ波羅ぱらみつてん、 ひさしからずして一切いっさいしゅじょうずることをんº と。

ダチ長夜↢利ヤク安楽↡。以↢是因縁↡、汝ダチ↢六波羅蜜↡、シテ↠久シカ↠成ズルコトヲ↢一切種智↡。

 ^0448ときしゃかいしゅ大梵だいぼん天王てんのうしゅとして、 ひゃくおくのもろもろのぼん天王てんのうとともに、 ことごとくこのごんをなさく、 ªかくのごとし、 かくのごとし。 大徳だいとく婆伽ばが、 われらおのおのにおのれがきょうがい弊悪へいあくこう悩害のうがいにおいて、 においてみんこころなく、 後世ごせおそれをかんぜざらん。 ないわれまさにしゃしょうし、 かのしゅのために*五事ごじぞうじょうすべしº と。

娑婆世界主大梵天王↠首、共↢百億梵天王↡、コトゴトサク↢是↡、如↠是0236↠是。大徳婆伽婆、我各各イテ境界、弊悪・麁獷・悩害↡、於イテ↠他↢慈愍心↡、不ラム↠観↢後世↡、乃至シト↧遮障↢彼施主↡増↦長五事↥。

^ぶつののたまはく、 ªいかないかな、 なんぢかくのごとくなるべしº と。

ハク、善哉善哉、汝応↠如クナル↠是クノ

^そのときに、 また一切いっさいさつ摩訶まかさつ一切いっさいしょだいしょうもん一切いっさいてんりゅう竜、 ない一切いっさいにんにんとうありて、 めてまうさく、 ªいかないかな、 *だいおうみょう、 なんだちかくのごときほうひさしくじゅうすることを、 もろもろのしゅじょうをして悪道あくどうはなるることを、 すみやかに善道ぜんどうおもむかしめんº と。

復有↢一切菩薩摩訶薩、一切諸大声聞、一切天・竜、乃至一切人・非人等↡、讃サク、善哉善哉、大雄猛士、汝ダチ↠是クノ↢久シクスルコトヲ↡、メムト↧諸衆生ヲシテ↠離ルヽコトヲ↢悪道↡、速↦善道↥。

 ^そのときに、 そんかさねてこのかさんとおぼしめして、 きてのたまはく、

世尊オボシメ↣重カナラムト↢此↠偈ノタマハク

^ªわれ、 月蔵がつぞうげていはく、 この賢劫げんごうはじめにりて、 *鳩留くるぶつぼんとうてんぞくしたまふ。

我告↢月蔵↡言ハク↢此賢劫
留仏付↢嘱シタマフ梵等四天下

^諸悪しょあくしゃしょうするがゆゑに、 しょうぼうまなこねんならしむ。 もろもろのあくしゃし、 ぎょうほうのものを護持ごじし、

遮↢障スルガ諸悪↡故熾↢然ナラシム正法
捨↢離悪事護↢持行法

^三宝さんぼうしゅたず、 *さんしょうぞうじょう、 もろもろの悪趣あくしゅそくし、 もろもろの善道ぜんどうかへしむ。

↢三宝増↢長三精気
休↢息悪趣↠向↢諸善道

^拘那くなごん牟尼むに、 まただい梵王ぼんのう他化たけらくてんない天王てんのうぞくしたまふ。

拘那含牟尼復嘱シタマフ↢大梵王
他化・化楽天乃至四天王

^つぎのちしょうぶつ、 ま0449ぼん天王てんのうらくとうてんたいしゃく護世ごせおう

次後迦葉仏復嘱シタマフ↢梵天王
化楽等四天帝釈・護世王

^過去かこのもろもろの天仙てんせんぞくしたまふ。 もろもろのけんのためのゆゑに、 もろもろの*よう宿しゅくあんして、 護持ごじ養育よういくせしめたまへり。

過去天仙↢諸世間↡故
安↢置シテ宿シウメタマヘリ↢護持養育

^じょくあくいたりて、 びゃくほう尽滅じんめつせんとき、 われ*独覚どっかくじょうにして、 人民にんみんあんまもらん。

↢濁悪世↡白法尽滅セム
独覚無上ニシテ安↢置ラム↣人民

^いま大衆だいしゅまえにして、 しばしばわれを悩乱のうらんせん。 まさに説法せっぽう*つべし。 われをたもつて護持ごじせしめよ。

イマ↢大衆シバシバ悩↢乱セム
↣当↢説法↠我メヨ↢護持

^十方じっぽうのもろもろのさつ一切いっさいことごとくらいじゅうせん。 天王てんのうもまたこのしゃぶっこくきたらしめん。

0237十方菩薩一切悉来集セム
天王亦来ラシメム娑婆仏国土

^われだい梵王ぼんのうはく、 «たれかむかし護持ごじせしもの» と。 たいしゃく大梵だいぼんてん天王てんのう指示しじす。

我問ハク↢大梵王ムカシ護持
帝釈・大梵天指↢示天王

^ときしゃく梵王ぼんのうとがどうしゃしていはまく、 «われらおうところところとして、 一切いっさいあくしゃしょう

於時釈・梵王シテトガ導師↡言ハマク
シテ↢王遮↢障一切

^三宝さんぼうしゅねんならしめ、 さんしょうぞうじょうせん。 諸悪しょあくともしゃしょうして、 ぜん朋党ほうとう護持ごじせしむ»º」 と。 以上抄出

熾↢然ナラシメ三宝増↢長セム三精気
遮↢障シテ諸悪トモホウ護↢持セシムトホウ↡」 已上抄出

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅳ)「諸魔得敬信品」(護持の誓いを発すべきを明かす)

【91】^¬月蔵がつぞうきょう¼ かん第七だいしちしょとくきょうしんぼんだいじゅうにのたまはく (大集経)

¬月ザウキヤウ¼巻第七「諸魔得敬信品」第十

^そのときに、 またひゃくおくしょあり。 ともにどうよりしてちて、 がっしょうしてぶつかひたてまつりて、 仏足ぶっそくちょうらいしてぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 われらまたまさにだいゆうみょうおこしてぶつしょうぼう護持ごじ養育よういくして、 三宝さんぼうしゅねんならしめて、 ひさしくけんじゅうせしむ。 いましょうしゅじょうしょうほうしょう、 み0450なことごとくぞうじょうせしむべし。 もしそんしょうもん弟子でしありて、 ほうじゅうほうじゅんじて三業さんごう相応そうおうしてしゅぎょうせば、 われらみなことごとく護持ごじ養育よういくして、 一切いっさい*所須しょしゅとぼしきところなからしめんº と。

「爾復有↢百億諸魔↡。倶共 トモ 同時↠座シテ、合掌シテムカヒタテマツリテ↠仏、頂↢礼仏足シテ↠仏サク、世尊、我亦当↧発シテ↢大勇猛↡護↢持養↣育シテ仏之正法↡、サカリナラシメテ三宝↡、久シクセシム↢於世間精気タマシイ、衆生精気、法精気、皆悉増長セシム↥。若↢世尊、声聞弟子↡、住↠法ジテ↠法三業相応修行、我皆悉護持養育シテ、一切所須モチヰルメムト↠无↠所↠トモシキ

 ^ªこのしゃかいにして、 はじ賢劫げんごうりしとき*拘楼くるそん如来にょらい、 すでにてん^たいしゃくぼん天王てんのうそくせしめて、 護持ごじ養育よういくせしむ。 三宝さんぼうしゅねんならしめ、 さんしょうぞうじょうせしめたまひき。

↢此娑婆界リシ↢賢劫↡時
拘楼如来セシメテ↢於四
帝釈・梵天王護持↢養育
熾↢燃ナラシメ三宝増↢長セシメタマヒキ三精気

^拘那くなごん牟尼むに、 またてんぼんしゃく諸天しょてんのうぞくして、 護持ごじ養育よういくせしむ。 ^しょうもまたかくのごとし、 すでにてんぼんしゃく護世ごせおうぞくして、 ぎょうほうのひとを護持ごじせしめき。

拘那含牟尼亦嘱シテ↢四天下
梵・釈・諸天王護持↢養育
迦葉亦如↠是シテ↢四天下
梵・釈・護世王護↢持セシメキ行法ヒト

^過去かこしょ仙衆せんしゅ、 およびしょ天仙てんせんしょうしんもろもろの宿しゅくよう、 またぞくぶんせしめき。 ^われじょくでて、 もろもろのあだ降伏ごうぶくして、 だいしゅうをなして、 ぶつしょうぼう顕現けんげんせしむ。

過去諸仙ヒジリ及以 オヨビ 諸天仙
星辰諸宿シウ亦嘱メキ↢分布
0238我出デヽ↢五濁世降↢伏
シテ↢大集会顕↢現セシム正法

^一切いっさい諸天しょてんしゅ、 ことごとくともにぶつにまうしてまうさく、 «われらおうところところにして、 みなしょうぼう護持ごじし、 ^三宝さんぼうしゅねんならしめ、 さんしょうぞうじょうせしめん。 もろもろのびょうやくごんおよびとうじょうめしめん»º」 と。 乃至略出

一切諸天衆シテ↠仏サク
ニシテ↢王護↢持正法
熾↢燃ナラシメ三宝増↢長セシメム三精気
メムト↢諸ヤク飢饉及闘諍↡」 乃至

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅴ)「提頭頼大王護持品」(四王の護持を誓ふことを明かす)

【92】^だい頭頼ずら天王てんのう護持ごじぼん」 にのたまはく (大集経)

「提頭頼天王護持品」云

^ぶつののたまはく、 ª*にってん*がってん、 なんぢわがほうにおいて護持ごじ養育よういくせば、 なんぢちょう寿じゅにしてもろ0451もろの衰患すいげんなからしめんº と。

「仏ノタマハク日天子・月天子、汝於↢我↡護持養育セバ、令メムト長寿ニシテ↢諸スイグヱンオトロフ

^そのときに、 またひゃくおくだい頭頼ずら天王てんのうひゃくおく毘楼びる勒叉ろくしゃ天王てんのうひゃくおく毘楼びる博叉はくしゃ天王てんのうひゃくおく沙門しゃもん天王てんのうあり。 かれらどうに、 および眷属けんぞくよりしてちて、 ぶくしょうし、 がっしょうきょうらいして、 かくのごときのごんをなさく、 ª大徳だいとく婆伽ばが、 われらおのおのおのれがてんにして、 ねんごろに仏法ぶっぽう護持ごじ養育よういくすることをなさん。 三宝さんぼうしゅねんとしてひさしくじゅうし、 三種さんしゅしょうみなことごとくぞうじょうせしめんº と。

復有↢百億提頭頼天王、百億毘楼勒叉天王、百億毘楼博叉天王、百億毘沙門天王↡。等同時、及↢眷属↡従↠座シテシヤウツクロフ ツクロフ衣服↡、合掌敬礼シテ、作↢如↠是クノ↡、大徳婆伽婆、我各各オノレ↡、ネムゴロサム↤護↢持養↣育スルコト仏法↡。令メムト↢三宝タネトシテ、三種精気増長↡。

^ªわれいままたじょうしゅ沙門しゃもん天王てんのう同心どうしんに、 このえんだい北方ほっぽうとの諸仏しょぶつほう護持ごじすº」 と。 以上略出

↢上首毘沙門天王↡同心護↢持スト閻浮提北方諸仏↡。 已上略出

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅵ)「忍辱品」(仏法を護持せば福報無量なることを明かし、帰仏者を損悩せば則ち堕獄の重罪を得ることを明かす)

【93】^¬月蔵がつぞうきょう¼ かん第八だいはち忍辱にんにくぼんだいじゅうろくにのたまはく (大集経)

¬月蔵経¼巻第八「忍辱品」第十六

^ぶつののたまはく、 ªかくのごとし、 かくのごとし。 なんぢがいふところのごとし。

「仏ハク、如↠是クノ↠是クノ。如↢汝↟言

^*もしおのれがいとらくもとむるをあいすることあらん、 まさに諸仏しょぶつしょうぼう護持ごじすべし。 これよりまさにりょう福報ふくとくべし。

ラム↠愛スルコト↠苦ルヲ↟楽、応↣当護↢持諸仏正法↡。従↠此当↠得↢無量福報↡。

^もししゅじょうありて、 わがためにしゅっし、 鬚髪しゅほつ剃除たいじょして袈裟けさぶくせん。 たとひかいたもたざらん、 かれらことごとくすでにはんいんのためにいんせらるるなり。

↢衆生↡、為↠我出家、剃↢除シテ鬚髪↡被↢服セム袈裟↡。設ラム↠持↠戒↢涅槃印之↡ルヽ↠印也。

^もしまたしゅっしてかいたもたざらんもの、 ほうをもつてして悩乱のうらんをなし、 にく毀呰きしせん、 *をもつてとうじょう*ちょうばくし、 *しゃくせつすることあらん。 もしはつうばひ、 および種々しゅじゅしょう0452うばはんもの、 このひとすなはちさん諸仏しょぶつ真実しんじつ報身ほうじんするなり。 すなはち一切いっさい天人てんにん眼目げんもくはらふなり。

復出家シテラム↠持↠戒モノ、有ラム↧以↢非法シテ↢悩乱↡、罵辱クヰソシリ0239セムソシル 、以↠手刀杖チヤウバクシヤククダキキルスルコト↥。若ウバ↢衣鉢↡、及ウバハム↢種種資生、是スルナリ↢三世諸仏真実報身↡。則ハラフナリ↢一切天人眼目↡。

^このひと諸仏しょぶつしょしょうぼう三宝さんぼうしゅ隠没おんもつせんとおもふがためのゆゑに、 *もろもろの天人てんにんをしてやくざらしむ。 ごくせんゆゑに、 さん悪道まくどうぞうじょう盈満ようまんをなすなりº」 と。

人為↠欲フガ↣隠↢没セムト諸仏所有正法三宝↡故↢諸天人ヲシテ↟得↢利益↡。堕セム↢地獄↡故スナリト↢三悪道増長盈満↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅶ)「忍辱品」(諸天善鬼神の仏弟子を擁護することを明かす)

 ^(大集経) ^「そのときに、 また一切いっさいてんりゅうない一切いっさい迦かたたんにんにんとうありて、 みなことごとくがっしょうしてかくのごときのごんをなさく、 ªわれら、 ぶつ一切いっさいしょうもん弟子でしないもしまた禁戒きんかいたもたざれども、 鬚髪しゅほつ剃除たいじょ袈裟けさかたんものにおいて、 ちょうおもいをなさん。 護持ごじ養育よういくしてもろもろの所須しょしゅあたへてぼうしょうなからしめん。

又言「爾復有↢一切天・竜、乃至一切迦富タン・人・非人等↡、皆悉合掌シテサク↢如↠是クノ↡、我等於イテ↧仏一切声聞弟子、乃至若レドモ↠持キム↡、剃ソル↢除ヒゲ↢袈裟カタ↥、作サム↢師長↡。護持養育シテアタヘテ↢諸所須モチヰル↡令メム↠無カラボフ少↡。

^もしてんりゅうない迦かたたんとう、 その悩乱のうらんをなし、 ない悪心あくしんをしてまなこをもつてこれをば、 われらことごとくともに、 かのてんりゅうたんとうしょ諸相しょそう欠減けつげんしゅうならしめん。 かれをしてまたわれらとともにじゅうし、 ともにじきあたふることをざらしめん。 またまた同処どうしょにしてしょうじ。 かくのごとく擯罰ひんばつせんº」 と。

天・竜乃至迦富単那等、作↢其悩乱↡、乃至悪心ヲシテ↠眼↠之、我等悉メム↢彼天・竜・富単那等、所有諸相クヱチカケオトルシユミニクシナラミニクシ↡。メム↣彼ヲシテアタフルコトヲ↢我等↡。亦復↢同処ニシテタワブレセウワラフ↡。如↠是 ヒンオイヽダスバチウツセムト。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (四)¬華厳経¼(諸文を総括して非法の行を誡む)

【94】^またのたまはく (華厳経・十地品・晋訳)

又言

^占相せんそうはなれてしょうけんしゅじゅうせしめ、 けつじょうしてふか罪福ざいふく因縁いんねんしんずべし」 と。

「離セムウラ相↡修↢習セシメ正見↡、決定シテズベシト↢罪福因縁↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (五)¬首楞厳経¼(鬼神に近づくべからざることを示す)

045395】^¬*しゅりょうごんぎょう¼ にのたまはく、

¬首楞厳経¼言

^「かれらの*しょ、 かのもろもろの*じん、 かれらの*群邪ぐんじゃ、 またしゅありて、 *おのおのみづからいはん。 じょうどうりて、 わがめつのち末法まっぽうのなかに、 このみんおおからん、 このじんおおからん、 この妖邪ようじゃおおからん。 けんじょうにして、 ぜんしきとなつてもろもろのしゅじょうをして*愛見あいけんあなおとさしめん。 だいみちしっし、 *詃惑げんわくしきにして、 おそらくはこころしっせしめん。 *しょところに、 そのいえ耗散もうさんして、 愛見あいけんとなりて如来にょらいしゅしっせん」 と。

「彼等諸魔、彼鬼神、彼群邪、亦有衆↡、各各ミヅカハム。成↢无上道↡、我滅度後末法之中、多カラム↢此魔民↡、多ラム↢此鬼神↡、多ラム↢此エウホロブ邪↡。熾↢盛サカリニシテ世間↡、↢善知識↡令メム↣諸衆生ヲシテオト↢愛見アナ↡。失↢菩提↡、グヱンクルイ惑無マドウ ニシテオソラ0240クハメム↠失↠心。所過之処、其モウチルシテ、成↢愛見↡失セムト↢如来↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (六)¬潅頂経¼(三十六神の守護を明かして鬼神を祀ることの非なるを示す)

【96】^¬*かんじょうぎょう¼ にのたまはく、

¬潅頂経¼言

^さんじゅうろく神王しんのうまんおく恒沙ごうじゃじん眷属けんぞくとして、 そうかく*ばんかわりて、 さんくるひとをまも」 と。

「三十六部神王、万億恒沙鬼神クヱン↡、カク↠相オモヒカハリテ、護ルト↧受クル↢三帰ヒト↥。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (七)¬地蔵十輪経¼二文(外道に帰することを遠離すべきことを明かし、邪神を祭る者は罪を得ることを明かす)

【97】^¬*ぞうじゅうりんぎょう¼ にのたまはく、

¬地蔵十輪経¼言

^「つぶさにまさしく帰依きえして、 一切いっさいもうしゅうきっきょうおんせんものは、 つひに邪神じゃしんどう帰依きえせざれ」 と。

「具シク帰依シテ、遠↢離セムモノハ一切妄執吉凶↡、終レト↣帰↢依邪神・外↡。」

【98】^またのたまはく (十輪経)

又言

^「あるいは種々しゅじゅに、 もしはしょうもしはきっきょうそうしゅうして、 じんまつりて、 ごくじゅう大罪だいざい悪業あくごうしょうじ、 *けんざいちかづく。 かくのごときのひと、 もしいまだかくのごときの大罪だいざい悪業あくごうさん除滅じょめつせずは、 しゅっしておよび*かいけしめざらんも、 もしはしゅっしてあるいはかいけしめんも、 すなはちつみん」 と。

「或シテ↢種種少若多、吉凶之相↡、マツリテ↢鬼神↡、 而生↢極重大罪悪業↡、近ヅク↢无間罪↡。如↠是クノヒト、若↤懴↢悔除↣滅キノ↠是クノ大罪悪業↡、不ラムモ↠令↣出家シテ↢具戒↡、若メムモ↣出家シテ↢具戒↡、即便ムト↠罪。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (八)¬福徳三昧経¼・¬薬師経¼初文(余道・余天を拝せざることを記す)

045499】^¬*じゅう一切いっさい福徳ふくとく三昧ざんまいきょう¼ のなかにのたまはく、

¬集一切福徳三昧経¼中

^*じょうかはざれ、 てんらいせざれ」 と。

「不↠向↢余乗↡不レト↠礼↢余天↡。」

【100】^¬*本願ほんがんやくきょう¼ にのたまはく、

¬本願薬師経¼言

^もしじょうしん善男ぜんなんぜん女人にょにんとうありて、 ない*じんぎょうまでにてんつかへざれ」 と。

「若↢浄信善男子・善女人等↡、乃至尽形マデニレトツカ↢余天↡。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (九)¬薬師経¼(外道の妄説を信ずれば現当の重罪を得ることを明かす)

【101】^またのたまはく (本願薬師経)

又言

^またけんじゃどう*妖ようげつ妄説もうせつしんじて、 ふくすなはちしょうぜん。 おそらくはややもすればこころみづからただしからず、 卜問ぼくもんしてわざわいもとめ、 種々しゅじゅしゅじょうころさん。 神明しんめいそうし、 もろもろの*もうりょうばうて、 福祐ふくゆうしょうこつし、 延年えんねんねがはんとするに、 つひにることあたはず。 愚痴ぐち迷惑めいわくしてじゃしんじ、 倒見とうけんしてつひにおうせしめ、 ごくりてしゅつあることなけん。

「又信ジテ↢世間邪魔・外道・エウホロブホロブ 妄説↡、クワワザワイサイワイ便ゼムクハヤヽモスレタヾシカラ↡、ボクウラシテモト↠禍、殺↢種種衆生↡。解↢サトスソウマフス神明↡、ヨバフテ↢諸マウリヤウ↡、請↢ウケコウコチコウ↡、欲スルニネガハムトエン↡、終↠能↠得コト。愚痴迷マドイシテ↠邪タウシテツイ↢横死↡、入↢於地獄↡無ケム↠有コト↢出期↡。

^つには、 よこさま毒薬どくやく*厭祷えんとう呪咀じゅしょし、 *起屍きしとうのためにちゅうがいせらる」 と。 以上抄出

↢毒薬・厭イトイタウイノルジユノリシヨノル、起タツ シニカバネ鬼等ルト↢中アタルソコナウ。」 抄出已上

二 Ⅱ ⅱ b イ (十)¬菩薩戒経¼(鬼神を礼すべからざるの意を彰す)

【102】^¬*さつかいきょう¼ にのたまはく、

¬菩0241薩戒経¼言

^しゅっひとほうは、 国王こくおうかひて礼拝らいはいせず、 父母ぶもかひて礼拝らいはいせず、 六親ろくしんつかへず、 じんらいせず」 と。

「出家↧向↢国王↡礼拝↥、↧向↢父母↡礼拝↥、六親ツカ、鬼神↠礼。」

二 Ⅱ ⅱ b イ (士)¬仏本行集経¼(捨邪帰正はすべからく三迦葉の如くなるべきことを示す)

【103】^¬*ぶつほんぎょうじっきょう¼ *じゃくっやくだいじゅうかん優婆うば斯那しなぼん」 にのたまはく、

¬仏本行集経¼ 闍那崛多 第四十二巻「優婆斯那品

^「そのときに、 かの*さんしょうきょうだいにひとりの*外甥がいせい*けいぼんあり。 そのぼん0455優婆うば斯那しなづく。

「爾三迦葉兄弟↢一セイオイ 甥字 モトヾリ モトヾリ梵志↡。其梵志↢優婆斯那↡。

^つねにひゃくじゅうけいぼん弟子でしとともに仙道せんどう修学しゅがくしき。 かれその*きゅうしょう三人さんにんくに、 もろもろの弟子でし、 かの*だい沙門しゃもんへん往詣おうげいして、 きゅう鬚髪しゅほつ剃除たいじょし、 袈裟けさると。 をはりて、 きゅうかひてきていはく、

↢二百五十螺髻梵志弟子↡修↢学シキ仙道↡。クニ↢其キウオヂ 舅字 迦葉三人↡、諸弟子、往↢詣シテ於彼大沙門↡、阿舅剃↢除鬚髪↡、ルト↢袈裟衣↡。↠舅↠偈

^ªきゅうとうむなしくまつることひゃくねん、 またまたむなしくかのぎょうしゅしき。 今日こんにちおなじくこのほうつること、 なほじゃふるかわぐがごとくするをやº と。

舅等虚シクマツルコト↠火百年亦復空シクシキ↢彼苦行
今日同ジクツルコト↢於此ナホクスルヲヤ↣蛇グガ↢於フル

 ^そのときに、 かのきゅうしょう三人さんにんおなじくともにをもつて、 その外甥がいせい優婆うば斯那しなほうじてかくのごときのごんをなさく、

舅迦葉三人、同ジク↠偈、報ジテ↢其外甥優婆斯那↡作サク↢如キノ↠是クノ↡、

^ªわれらむかしむなしくじんまつりて、 またまたいたづらにぎょうしゅしき。 われら今日こんにちこのほうつること、 まことにじゃふるかわぐがごとくすº」 と。

我等シクマツリテ↢火神亦復イタヅラシキ↢於苦行
我等今日捨ツルコト↢此クストジヤグガ↢於フル↡」

二 Ⅱ ⅱ b
          (一)馬鳴¬起信論¼(他の緇徒の魔の為に誑惑せられて出離を失することを誡む)

【104】^¬*信論しんろん¼ にいはく、

¬起信論¼曰

^「あるいはしゅじょうありて、 善根ぜんごんりきなければ、 すなはちしょどうじんのために*誑惑おうわくせらる。 もしはちゅうにしてかたちげんじて恐怖くふせしむ、 あるいはたんじょう男女なんにょとうそうげんず。 まさに唯心ゆいしんきょうがいねんずべし、 すなはちめっしてつひにのうをなさず。

「或イハ↢衆生↡、無レバ↢善根力↡、則↢諸魔・外道・鬼神↢誑惑↡。若↢座中↡現ジテ↠形オソレオソルセシム、或↢端タヾシ イツクシキトモ男女等↡。当↠念↢唯心境界↡、則シテ↠悩ナヤミヲ

^あるいは天像てんぞうさつぞうげんじ、 また如来にょらいぞう相好そうごうそくせるをなして、 もしは陀羅尼だらにき、 もしは布施ふせかい忍辱にんにくしょうじん0456ぜんじょう智慧ちえき、 あるいはびょうどうくうそうがんおんしんいん無果むかひっきょうくうじゃく、 これしんはんなりとかん。

↢天像・菩薩像↡、亦作シテ↢如来像相好具足セルヲ↡、若↢陀羅尼↡、若0242↢布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧↡、或カム↢平等、空・无相・無願、無怨無親、無因無果、畢竟空寂、涅槃ナリト↡。

^あるいはひとをして宿命しゅくみょう過去かこらしめ、 またらいる。 しん弁才べんざい無礙むげならしむ。 よくしゅじょうをしてけんみょうとんじゃくせしむ。

↣人ヲシテ宿シウ命過去之事↡、亦知↢未来之事↡。↢他心智↡、弁ワキマウ才無ナラシム。能↣衆生ヲシテ貪↢著世間名利之事↡。

^またひとをしてしばしばいかり、 しばしばよろこばしめ、 *しょうじょうならひならしむ。 あるいはおおあいし、 おおねむり、 宿やどることおおく、 おおやまいす、 そのこころだいなり。

↧使↢人ヲシテシバシバシバシバヨロコ↡、性无常ナラヒジユンナラ↥。或慈愛、多ネブ、多宿ヤド、多。其心懈怠ナリ

^あるいはにはかにしょうじんおこして、 のちにはすなはちはいす。 しんしょうじてうたがいおおく、 おもんぱかおおし。

ニハカシテ↢精進↡、後ニハ便ハイ。生ジテ↢於不信↡多↠疑多オモンパカリ

^あるいはもとの勝行しょうぎょうてて、 さらに雑業ぞうごうしゅせしめ、 もしは世事せじじゃくせしめ、 種々しゅじゅ*牽纏けんでんせらる。

テヽ↢本勝行↡、セシメ↢雑業↡、若ツクセシメ↢世事↡、種種ケンヒキデンマツウセラル

^またよくひとをしてもろもろの三昧さんまいしょうぶんそうせるをしむ。 みなこれどう所得しょとくなり、 しん三昧さんまいにあらず。

亦能使↣人ヲシテ得↢諸三昧少分相アヒニタリセルヲ↡。皆是外道所得ナリ、非↢真三昧↡。

^あるいはまたひとをして、 もしは一日いちにち、 もしはにち、 もしは三日さんにちない七日しちにち定中じょうちゅうじゅうしてねんこう飲食おんじきしむ。 身心しんしんちゃくえつして、 ゑずかわかず、 ひとをしてあいじゃくせしむ。

復令↧人ヲシテ一日、若二日、若三日、乃至七日、住シテ↢於定中↦自然ヨシ飲食↥。身心 チヤクスナハチ マサニトモ タマタマトモシテ、不↠不↠カハ、使↢人ヲシテ愛著↡。

^あるいはまたひとをしてじき*分斉ぶんざいなからしむ、 たちまちおおく、 たちまちすくなくして、 顔色げんしきへんす。

イハ亦令↣人ヲシテカラ↢分斉キワ↡。タチマサ クシテ、顔色変カハル

^このをもつてのゆゑに、 ぎょうじゃつねに智慧ちえをして観察かんざつして、 このこころをして邪網じゃもうせしむることなかるべし。 まさにつとめてしょうねんにして、 らずじゃくせずして、 すなは0457ちよくこのもろもろのごっしょうおんすべし。 るべし、 どうしょ三昧さんまいは、 みな*見愛けんあいまんこころはなれずけんみょうぎょうとんじゃくするがゆゑなり」 と。

↢是↡故行者常↢智慧ヲシテ観察シテ、勿カル↟令ムルコト↣此ヲシテ↢於邪マウアミ↡。当ツトメ正念ニシテ、不↠取シテ↠著、則遠↢離業障↡。応↠知外道所有三昧、皆↠離↢見愛我慢アナドル之心↡。貪↢著スルガ世間名利恭敬↡故ナリト。」

二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)法琳¬弁正論¼一三文(一を以て諸を例し人をして自余の道は此に類することを知らしむ)

【105】^¬*べんしょうろん¼ *法琳ほうりんせん にいはく、

¬弁正論¼ 法琳

^*じゅうきゅうしんへんとうす、 *どうじゅうきゅうめい

イウキウ シムイマシム篇、ツラヌタフコタフモヽ道士十異九ジユツ

 ^*いちにいはく、 ª^*たいじょう老君ろうくんは、 *しん*げんびょうぎょくじょたくして、 えきひらきてうまれたり。 しゃ牟尼むには、 たい摩耶まやにんせて、 きょうひらきてでたりº と。

一異

老君タクツクシテ↢神タマシイ玄妙玉女↡、ヒラ↢左エキタリ

0243迦牟尼セテ↢胎ハラム邪夫人↡、ヒライウケフタリト

 ^*ないいちにいはく、 ª老君ろうくんじょうたがひ、 牧女ぼくじょたくしてひだりよりづ。 そんしたがひて、 せいによりてみぎよりでたまふº と。

一喩

老君タガ↠常↢牧女ヨリ

世尊↠化、因セイヨリタマフト

 ^*かいのいはく、 ªりょ景裕けいゆう戴詵たいしん処玄しょげん*かい千文せんぶん、 およびりょう元帝げんていしゅう弘政こうせい*こうるいあんずるにいはく、 たいじょうつあり、 いはく*三皇さんこうおよび*ぎょうしゅんこれなり。

開士、案ルニリヨケイタイシン処玄等カイ五千文、及グヱンテイ・周コウセイ義類↡云、太上↠四、謂三皇及ゲウシユン是也。

^いふこころは、 じょうにこの大徳だいとくくんあり、 万民ばんみんかみのぞめり。 ゆゑにたいじょうといふなり。 *郭荘かくそうがいはく、 «ときにこれをけんとするところのものをくんとす。 *ざいしょうせられざるものをしんとす» と。

イフコヽロ上古↢此大徳之君↡、ノゾメリ↢万民↡。故↢太上↡也。クワク、時↠賢カシコシトスル↠君ザイ↠称セラレ↠世↠臣

^ろうていにあらず、 こうにあらず、 しゅかぎりにあらず。 いづれの典拠てんきょありてか、 たやすくたいじょうしょうするや。

老子非↠帝↠皇、不↠在↢四種之カギリ↡。テカ↢何テンフミキヨヨル↡、タヤススル↢太上

^どうが ¬*げんびょう¼ および ¬ちゅうたい¼・¬朱韜しゅとうぎょくさつ¼ とうけい、 ならびに ¬しゅっさい¼ を0458かんがふるにいはく、 ろうはこれ李母りぼめるところ、 げんびょうぎょくじょありといはず。 すでに正説せいせつにあらず、 もつともかりびゅうだんなり。

カンガフルニ↢道家¬玄妙¼及¬中胎¼・¬シユタウ王礼¼等ケイ、并¬出ソク¼↡云、老所↠生↠云↠有↢玄妙玉女↡。既セイ↡、尤カリベウ談也。

^¬*仙人せんにんぎょくろく¼ にいはく、 «^仙人せんにんさいなし、 ぎょくじょなし。 女形じょけいけたりといへども、 つひにさんせず» と。 ^もしこのずいあらば、 まことにとすべしといふ。 いづれぞせん、 ¬*史記しき¼ にもぶんなし、 ¬*しゅうしょ¼ にせず。 きょもとめてじつめば、 きょうぼうのもののことばしんずるならくのみと。

¬仙人玉ロクシルス¼云、仙人サイ、玉女↠夫。雖↠受タリト↢女ケイ↡、畢竟 ツイ ↠産。若ズイヨシ↡、誠↠可↠嘉ヨシトスイヅレ、¬ニモ¼無↠文、¬シウシヨ¼不↠サイ。求↠虚メバ↠実、信ズルキヨウイツワリバウメシイ之言ナラクノミ

^¬*らい¼ にいはく、 «^かん退しりぞきてくらいなきものはせんす» と。

¬礼¼云退シリゾキテ↠官↠位センウツル 

^¬*ろん¼ にいはく、 «^*じんれいにあらざるなり» と。

¬論語¼云、左ジン者非↠礼

^もしひだりをもつてみぎすぐるとせんは、 どう行道こうどうするに、 なんぞひだりめぐらずしてみぎかえつてめぐるや。 くにしょうしょにみないはく、 «みぎのごとし» と。 ならびにてんじょうしたがふなり。 º と。

↠左ルトセム↠右、道行道ルニ、何↢左メグシテ↠右メグ。国セフセンジナリ皆云、如↠右ナラビシタガ↢天之常↡也

 ^四異しいにいはく、 ª^老君ろうくん*文王ぶんのう*隆周りゅうしゅうそうたり。 しゃ*荘王そうおうとき*罽賓けいひんきょうしゅたりº と。

0244四異

老君文王之日、リウシウソウ師↡。

釈迦サウ王之時、ケイヒン之教主↡。

 ^ない四喩しゆにいはく、 ª*伯陽はくようしょくしょうしんり、 かたじけなく*ぞうあたれり。 文王ぶんのうにあらず、 また隆周りゅうしゅうにあらず。 牟尼むには、 くらいたいして、 特尊どくそんしょうしたまへり。 *しょうおう盛年せいねんあたれり、 えんきょうしゅたりº と。

四喩

ヤウシヨクツカサ↢小臣↡、カタジケナアタレリ↢蔵吏クニノカミナリ。不↠↢文王之↡、亦非↢隆周之師↡。

牟尼位居シテ↢太子↡、身証シタマタマヘリドク↡。当レリセウ王之セイサカリ↡、リト↢閻浮教主↡。

 ^ろくにいはく、 ª^老君ろうくんこうして、 はじ*しゅうぶんより*こうきゅうときおわれり0459しゃははじめてじょうぼんいえせいして、 わが荘王そうおうあたれりº と。

六異

老君カウシテクダル ↠世、始↢周文之日↡オハレリ↢于孔キウ之時↡。

釈迦↢生シテハジメ於浄ボムイヰ之家↡、当レリ↢我荘王之世↡。

 ^ないろくにいはく、 ª*しょう*桓王かんのう丁卯ていぼうとしうまれて、 *景王けいおうじんとしおわる。 こうきゅうときふといへども、 *しょうでず。 *調じょう*しょうおう甲寅こういんとしたんじて、 *穆王ぼくおう壬申じんしんとしおわる。 これじょうぼん*いんたり。 もと荘王そうおうさきでたまへりº と。

六喩

迦葉クワンテイヒノトバウトシ↡、終↢景王 ジンミヅノエムマ之年↡。雖フトオワル ↢孔丘之時↡、不↠出キヨワウナリシヤウ之世↡。

調御タンジテムマル ↢昭王カウイントラ之年↡、終↢穆王ジンシンサル之歳↡。是↢浄ボムイヰインタネ↡。タマヘリ↢荘王之↡。

 ^かいのいはく、 ªこうしゅういたりて、 *ろうたんれいふ。 ここに ¬史記しき¼ につぶさにあらわる。 文王ぶんのうたること、 すなはちてんしょうなし。 しゅうすえでたり、 そのことたずぬべし。 しゅうはじめにありしごときはぶんせずº と。

0245コウ子至↠周、見↢老タン↠礼コヽ¬¼ルコト↢文王師↡、則テンフミ証↡。出タリ↢於周スエ↡、其事可タヅ↡。ブン不↠

 ^しちにいはく、 ª^老君ろうくんはじめてしゅうだいうまれて、 のち*りゅうく。 じゅうはからず、 方所ほうしょることなし。 しゃ西国さいこく (印度)しょうじて、 かの*だいおわりぬ。 弟子でしむねち、 *ぐんおおきにさけぶº と。

七異

老君↢周↡、クマクレリウ↡。不↠ハカ↢始終↡、↠知コト↢方所↡。

釈迦ジテ↢於西国↡、終リヌ↢彼提河↡。弟子 タヽク グンアツマリアツマルサケ

 ^ないしちにいはく、 ªろう頼郷らいけいうまれて、 かいほうむらる。 *秦佚しんいつちょうつまびらかにす。 *遁天とんてんけいにあり。 どんはかのおうでて、 この*鵠樹こくじゅかくれたまふ。 *漢明かんめいつたはりて、 ひそかに*蘭台らんだいしょにましますº と。

七喩

老子↢於ケイ↡、ハブサウラル↢於クワイ↡。ツマビラカニスシンイチテウトブラフセメトンノガル天之ケイ↡。

瞿曇↢彼王宮↡、レタマフ↢慈ツルジユ↡。ツタワリテ↢乎カン明之世↡、ヒソカマシマランダイ之書↡。

 ^かいのいはく、 ª¬そう¼ の内篇ないへんにいはく、 «^老耼ろうたんして秦佚しんいつとむらふ。 ここにたびさけんでづ。 弟子でしあやしんでふ。 "*ふうともがらにあらざるか" と。 ^秦佚しんいついはく0460、 "さきにわれりておさなきものをるに、 これをこくす、 そのちちこくするがごとく、 老者ろうしゃこれをこくす、 そのこくするがごとし。 いにしえはこれを遁天とんてんけいといふ。 はじめはおもへらく、 そのひとなりと、 しかるにいまなり"» と。

開士、¬荘子¼内ヘン、老タンシンイチトブラタビサケ。弟子アヤシムデ。非↢夫子之トモガラシンイチサキ吾入オサナ↡、コクナク↠之↠哭スル↢其↡、老者哭↠之↠哭スルガ↢其↡。イニシヘ↢之トンノガル天之ケイカタチ↡。以為オモヘラク人也、而今非也

^とんいんなり、 てん免縛べんばくなり、 けいしんなり。 いふこころは、 はじろうをもつて*免縛べんばくけいせんとす、 いますなはちなり。 ああ、 その諂曲てんごくしてひとこころる。 ゆゑにまぬかれず。 わがともにあらずº と。

隠也、天者ベンマヌカルバク也、形者身也。イフコヽロ始以↢老子↢免縛形之仙↡、今則非也。アヽナゲクイツハレルテンフミ↢人之↡。コトサラ不↠マヌカ↠死。非ズト↢我トモ↡。

 ^ないじゅうとうす、 じゅう

十喩答十異。

 ^しょうより左右さうことなるいちないしょうよりしょうれつあり。

0246↠生左右異一。内↠生有↢勝劣↡。

 ^ないさとしていはく、 ªじんはすなはち*戎狄じゅてきとうとむところ、 *右命ゆうめいちゅうとうとむところとす。

サトシテ、左ジム ジユニシノエビス テキキタノエビス所↠尊、右命為↢中クワタト

^ゆゑに ¬*春秋しゅんじゅう¼ にいはく、 «^*ちょうけいめいなし、 *介卿かいけいはこれあり、 *またひだりにあらざるや» と。

¬春秋¼云チヨウケイ↠命、カイ↠之、不ザル↢亦左

^¬史記しき¼ にいはく、 «^*りんしょうじょこうおおきにして、 くらい*れんみぎにあり、 ˆ廉頗ˇ これをづ» と。

¬¼云ジヨ功大キニシテ、位在↡、↠之

^またいはく、 «^*ちょうしょうしんみぎにしてひだりにす。 *犀首さいしゅしょうかんみぎにしてひだりにす» と。 ^けだしいはく、 便たよりならざるなり。

又云、張儀相右シンシテニスグヰシユシヤウシテニス↠魏。蓋、不便タヨリナラ

^¬らい¼ にいはく、 «^*どう乱群らんぐんをばこれをころす» と。 ^あにみぎまさりてひだりおとれるにあらずや。

¬礼¼云、左道ランヲバ↠之アニ↢右マサルニ

^*こうひつが ¬*こうでん¼ にいはく、 «^ろう*しょうじんすい0461みなみいえとす。 *常樅じょうしょう師事しじす。 じょうやまいあるにおよんで、 *李耳りじきてやまいふ» と。

ヒチ¬高士伝¼云、老子之相人、イエトス水之キタ↡。ヒト↢事シヨウ↡。及↢常子有ヤマフ耳往↠疾

^ここに*康けいこうのいはく、 «^李耳りじ*けんしたがつてせんじゅつまなぶ» と。 ^*たいこうしゅうしょかんがふるに、 ろうえきひらいてうまるといはず。 すでにまさしくでたることなし、 しょうしんすべからざることあきらけし。

コヽケイカウ、李耳ケンキウ仙之ジユツ↡。ハイスツスルニシウグワ↡、不↠云↧老子ヒライテ↢左エキ↡生↥。既↢正タルコト↡、不ルコト↠可カラシヨウ↡明矣。

^あきらかにんぬ、 *ふる*かんあやつるは、 けだしぶんせん*五気ごき三光さんこうは、 まことに陰陽いんようはじめなり。 ここをもつてしゃくもんにはみぎてんずること、 また人用じんようたす*張陵ちょうりょうどう、 まことにてんじょうたがふ。 いかんとなれば、 しゃえんおこして、 *有機うきしょうおうず、 そのあとかたるなり。

アキラカフルクワンホコ アヤツレバ↠翰フデケダ之先、五・三光マコト陰陽之ハジメナリ。是釈門ニハズルコトマタタノシクス↢人用↡。チヤウリヤウ左道ニス、信ゲキ↡。トナレ釈迦↢无縁之慈↡、ヰヨウ↢有機之メス↡、語↢其アト↡也。

 ^それしゃくは、 てんじょうてん介然かいぜんとして、 そのそんきょす。 三界さんがい六道ろくどう*たくとしてそのびょうすº と。

釈氏者、天上天下カイトシテキヨ↢其↡。三界六道、タクトシテシカラシムスイ↢其↡。

 ^ろんにいはく、 ª^老君ろうくんはんとなす、 ただこうただちゅうすくひとす、 きわあいきわむ。 ここをもつてせいきょうながつたへ、 ひゃくおうあらたまらず、 *玄風げんぷうながかぶらしめてばんたがふことなし。 このゆゑにくにおさいえおさむるに、 じょうぜんたり*かいしょくたり。

外論、老君作ハンノリタヾカウチウコヽロザシスク↠世↠人、極↠慈↠愛。是セイコヱカウハク王不↠アラタ、玄ハルカ風長カブラシメテ万古无タガフコト所以コノユヱニオサ↠国ルニ↠家、常然タリカイカナウシヨクノリ タリ

^*釈教しゃくきょうしんて、 じんならずこうならず。 闍王じゃおう (*阿闍世) ちちころせる、 ほんじてとがなしとく。 調じょうだつ (*提婆達多) あにつみることをくことな0462し。 これをもつてぼんみちびく、 さらにあくすことをなす。 これをもつてのりとする、 なんぞよくぜんしょうぜんや。 ^これげきじゅんじゅうなりº と。

。釈ケウ↠義↠親、不↠仁ナラアハレミ 不↠孝ナラ。闍王殺セル↠父ホンジテヒルガヘス↠無シトトガ。調達アニ得↠罪。以0247↠此ビク↠凡スコトヲ↠悪↠斯ノリハントスル↠世、何ムヤ↠善逆順之異、十也

 ^ないにいはく、 ªはすなはち道徳どうとくいやしうするところれいちゅうしんうすきよりしょうず。 *じんひっそしり、 大孝たいこう*不匱ふきそんす。

内喩オシヘ、義道徳所↠イヤシウスルレイ↢忠信之ウスキヨリ↡。ソシ↢於ヒチカタシ↡、大カウ↢乎不クヰ↡。

^しかうしてきょうむこうてうたわらふ、 ちゅうかたちたがふ。 のぞんでほとぎたたく、 *ぞくおしえにあらず。 *げんじょうははしてかんりてうたふ。 こうまつりたすけてそしらず。 *そうするとき*こうとむらふ、 四子ししあひわらふ。 *そうす、 ほとぎたたきてうたふなり。

シテクヰヨウウタワラ、乖タガフ↢中夏之カタチ↡。臨タヽホトギカハラ、非クワゾクオシヘ↡。 ジヤウ、母死ノルクワンヒツギ歌。孔子助↠祭ソシサウスルトキコウトブラ、四子。而コウ子時タスケテマツワラ。荘子タヽホトギ也。

^ゆゑにこれをおしふるにこうをもつてす、 てんじんたるをけいするゆゑなり。 これをおしふるにちゅうをもつてす、 てん人君じんくんたるをけいするなり。 万国ばんこくあまねし、 すなはち*明辟めいへきいたれるなり。 じんかいあらわす、 まことに聖王せいおう巨孝きょこうなり。

ルニ↠之カウオシフ所↤以 ユヘ ケイスルウヤマフ↣天下之ルヲ↢人父↡也。教ルニ↠之テス↠忠ネムゴロ所以スル↣天下之ルヲ↢人君↡也。クワアマネ↢万国↡乃メイヘキ之至ルナリ。仁アラハ↢于四海↡、実セイ王之ナリ

^ぶっきょうにのたまはく、 «^*識体しきたい六趣ろくしゅりんす、 父母ふぼにあらざるなし。 しょう三界さんがい変易へんやくす、 たれか怨親おんしんわきまへん» と。

ケイハクシヨクテイリンクワイ六趣↡、無アラザル↢父母↡。生死エキヤク三界タレエムオンアダシタシ↡。

^またのたまはく、 «^みょうげんおおふ、 しょうのなかに来往らいおうす。 往来おうらいしてしょす、 さらにたがひに父子ふしたり。 怨親おんしんしばしばしきたり、 しきしばしば怨親おんしんたり» と。

又言明覆ケイガン↡、セイ↡。往来之所作、更タガヒ↢父子↡。エンシバシバ↢知識↡、知識シバシバリト↢怨親↡。

^ここをもつて沙門しゃもんぞくててしんおもむく。 *庶類しょるい*てんしょくひとしうす。 えいててどうく。 *がん*しんひとしとす。 あまねくただしきこころぎょうじて、 あまねくしたしきこころざし0463ひとしくす。

沙門捨シヨクオモム↠真ヒトシウスシヨルイ於天属↡。テヽエイサカヘ↠道シトガムオノレ↡。 ジテ之心之志

^またどう*しょうとうとぶ、 なんぢは恩愛おんないおもくす。 ほうびょうどうとうとぶ、 なんぢは怨親おんしんえらぶ。 あにまどひにあらずや。 *勢競せいけいしんわする、 *ぶんことかす、 *斉桓せいかん*ぼくこれそのともがらなり。 もつてせいそしらんとおもふ、 あにあやまれるにあらずや。

マタタト↢清↡、ソレナンヂハクス↢恩愛↡。法↢平等↡、ソレナンヂハキラハムヤエンアダシタシ↡。アニ↠惑セイヨソオイ ケイアラソイワス↠親、文事、セイクワンボクトモガラ也。オモ↢以ソシラムト↟聖アニ↠謬アヤマレルニ

^なんぢがどうれつじゅうなりº と。

ナンヂガ道之劣、十也

 ^ª*こうべてして、 ¬*しゅいききょう¼ にいはく、 «おうしょうさつふくとす、 きっしょうさつじょとす» と。 *しゅんぷうはじめにり、 *三聖さんせいことばてて、 ¬*くうじゃく所問しょもんぎょう¼ にいはく、 «しょうろうとす、 儒童じゅどうこうとす、 こうじょう*顔回がんかいとす» と。 *ぎょうすえおこす。 *玄虚げんきょちゅういちむね*こう*ろうそのだんさかりにす しょ礼楽れいがくぶん*しゅう*こうそのきょうたかくす。

二皇スベクワ¬シユ弥四イキ¼云、応声菩薩為↢伏↡、吉祥菩薩↢女クワ↡也。 テイ風之↡、三聖立テヽ↠言¬空寂所問経¼云、迦葉為↢老子↡、ジユ為↢孔子↡、光浄ガンクワイ↡也。 オコゲウスエ↡。 玄ハルカナリキヨ沖一之ムネ、黄・老ニス↢其オシフ↡。詩シヨ礼楽之文、シウコウタカクス↢其↡。

^けんをあきらかにし、 しつまもる、 すなはちせいのぼるの階梯かいていなり。 *さんじょう人天にんでん*由漸ゆうぜんとす。 けだしみょうぶつかなふ、 *正弁せいべんきょくだんにあらずや。 なほどう*おんりょうとぶらふに、 ほうおしまどひて*えんきわむることなし。 *しん兎馬とめふ。 わたるをりて浅深せんじんはからず。

ニシケムネンゴロニマモシチスガタ、乃ノボ↠聖カイハシテイハシナリ。三・五ジヤウ↢人天之由ゼン↡。ケダミヤウカスカニカナ0248↢於仏↡、非ズヤ↢正弁キヨク↡。ソシ↢道オンオシリヨウミヽシヰ↡、オシマドイテ↠方カレキワムルコトエン↡。問↡。知ワタルヲ而不↠ハカ↢浅深↡。

^これによりてだんずるに、 いんしゅう釈教しゃくきょうのよろしくこうすべきところにあらざるなり。 なほえん耀ひかりかがやかす、 どうただしくしてることあたはず。 迅雷じんらいふるつ、 懦夫だふみみりてくことあたはず。

リテ↠斯而談ズルルニインシウ之世ザル↢釈カウヨロシベ カウ也。猶炎威ヨソオイカヾヤカ耀ヒカリ、童子不↠能↢正シク↠目シテコト↡。ジントシ ライイカヅチフルヤハラカナリ不↠能↠耳クコト↡。

^ここをもつて河池かちうかぶ、 しょうおう*しんたんずることをおそ*雲霓うんげいいろへんじ、 穆后ぼくこう*せい0464うしなはんことをよろこぶ。 ¬*しゅうしょ異記いき¼ にいはく、 «しょうおうじゅうねんがつようこう泉水せんすいことごとくはんちょうせり。 *穆王ぼくおうじゅうさんねんがつじゅうにち暴風ぼうふうおこりて樹木じゅもくれ、 てんくもり、 くもくろし、 白虹はくこうかいあり» と。

ウカセウオソ↢於タンズルコトヲ↟神。雲ゲイヘン↠色ボクコウヨロコウシナハムコトヲセイ¬周書異記¼云、昭王廿四年四月八日江河セン水悉ハンウカビチヤウセリミナギル 。穆王五十年二月十五日暴アラキジユクモ、有↢白コウクヱアヤシミ也。

^あによく*そうえてけ、 *雪嶺せつれいえてまこといたさんや。 ¬*浄名じょうみょう¼ にいはく、 «これ盲者もうじゃあやまちにして日月じつげつとがにあらず» と。 たまたまその*鑿竅さくかくべんきわめんとおもふ、 おそらくは*吾子ごし混沌こんとんせいいたむ。 なんぢのるところにあらず。 そのもういちなりº と。

エテソウキナリ↡而↠化エテレイミネ↡而イタサムヤマコト。¬浄名¼云、是盲メシヒマウアヘリ、非ズト↢日月トガ↡。タマタマキワメムト↢其シヤク ホル ゲキアキラカナリ之弁↡、恐イタコントム之性↡。非ソレ↟知。其盲、一也

 ^ないには像塔ぞうとう建造けんぞうす、

ニハ建↢造像塔↡指オシフル二。

 ^ª漢明かんめいより以下いかせいりょうおわるまで、 おうこう*守牧しゅぼく*しょうしんにょ、 および比丘びく比丘びくとうみょうしょうかんじ、 くに神光じんこうるもの、 おほよそひゃくにん

↢漢明↡已下、マデ↢于セイリヤウ、王・公・シウボク、清信士女、及比丘・比丘尼等、冥カナフ↢至聖↡、国↢神光、凡二百余人。

^*あと万山ばんざん*耀ひかりとくうかべ、 *清台せいたいもと満月まんげつかたち*雍門ようもんほか相輪そうりんかげるがごときにいたりては、 *南平なんぺい瑞像ずいぞうよう*文宣ぶんせんゆめせいかんず。 *蕭后そうこうひとたび剋成こくせいし、 *宋皇そうこうたびしてらず。 そのれい、 はなはだおおし、 つぶさにぶべからず。 あになんぢがもくをもつてかの*りょうきらはんや。

テハ↠如キニ↧見↢アト万山↡、浮耀ヒカリトクミゾナリ↡、清台之モト覩↢満月之容カタチ↡、ヰヨウ門之外ルガ↦相輪之↥、南平↢応ズイヨキ↡、文宣↢夢於聖キバ↡。サウワウコウキサキタビタウウルソウ皇四タビウツス不↠。其レイオヽ、不↠可カラ↡。ナムヂ之無目↡而キラハム↢彼之イウレイ

^しかるにとくとしてそなはらざるものなし、 これをいひてはんとす。 どうとしてつうぜざるものなし、 これをづけてだいとす。 としてあまねからざるものなし、 これをしょうしてぶっ0465とす。 このかんをもつてかの梵言ぼんごんやくす、 すなはち彼此ひしぶつしょうねんとしてしんずべきなり。

ルニトシテ↢不ソナハラ↡、謂↠之為↢ネイ↡。道トシテ↢不トウ↡、名↠之為↢菩テイ↡。智トシテ↢不アマネカラ↡、称シテ↠之為↢仏陀↡。以↢此ギヨ↡訳ツクリツタウ0249梵言↡、則彼此之仏、照然トシテ↠信也。

^なにをもつてかこれをかすとならば、 それぶっかんには大覚だいかくといふだいをばかんには大道だいどうといふはんかんには無為むいといふなり。 しかるに吾子ごししゅうじつだいんで、 大道だいどうはすなはちだいごうなることをらず。 かたち大覚だいかくきょうけて、 いまだ大覚だいかくは、 すなはちぶっやくみょうなることをならはず。

テカストナラバ↠之仏陀ニハ↢大覚↡也、菩提ニハ↢大道↡也、涅槃ニハ↡也。而吾子シフヒネモスンデ↢菩提之地↡、不↠知↢大道↡、菩提異号ナルコトヲ也。ケテ↢形於大覚之境↡、未ナラ↢大覚↡、仏陀之訳名ナルコトヲ也。

^ゆゑに*そうしゅういはく、 «^また大覚だいかくあれば、 のちにそのだいるなり» と。

シウマタ↢大覚↡、而後↢其大夢↡也

^*かくちゅうにいはく、 «^かく聖人せいじんなり。 いふこころは、 うれこころにあるはみなゆめなり» と。

カクチウシルス、覚者聖人也。イフコヽロウレヘグヱンコヽロ皆夢也

^ちゅうにいはく、 «^ふう*ゆうと、 いまだいふことをわすれて*しんすることあたはず、 ゆゑに大覚だいかくにあらざるなり» と。

、夫子↢子↡、未↠能ワスレテ↠言フコトヲ而神カイスルコト↡、故ザル↢大覚↡也

^くんのいはく、 «こうきゅうだん、 ここにまたきぬ» と。

君子コウキウ之談、コヽ亦尽矣。

^はん寂照じゃくしょうしきとしてさとるべからず、 としてるべからず、 すなはちげんえて*しんぎょうめっす。 ゆゑにことばわするるなり。 法身ほっしんはすなはち*三点さんてんとくじょうずるところ、 *しょうぜんとして*るいなり。 ゆゑにだつしょうす。 これそのしんとして*患息げんそくするなり。 ふうせいなりといへども、 はるかにもつてこうぶつゆずれり。

ネイセキ照、不↠可カラ↢識シヨクトシテサト↡、不↠可カラ↢智シテ↡、則ゲンギヨ心行滅。故ルヽ↠言也。法身三点シルス・四徳之所↠成ズルセウゼントシテルイナリカサナル 。故カイ↡。神解シテグヱンスル也。↠聖ナリトユヅレリ↢功↡。

^いかんとなれば、 *劉向りゅうきょうが ¬*きゅうろく¼ をあんずるにいはく、 «^ぶっきょうちゅうつたはりていっぴゃくじゅうねんのちろうまさに*せんぶんけり» と。 ^しかるに0466*しゅうろうと、 ならびにぶっきょう所説しょせつる。 ごんきょう往々おうおうたり、 かんがへつべしº と。

何者イ トナレバズルニリウタカシキヤウ¬古キウフルシリヨクシルス¼↡云、仏リウ於中夏↡一百五十年ノチ、老子ケリト↢五千文↡。然↠老、並ビニ↢仏経↡。ゲンカウ往往タリ、可カンガヘツ

 ^¬*しょうぼうねんぎょう¼ にのたまはく、 ª^ひとかいたもたざれば、 諸天しょてんげんしょうし、 しゅさかりなり。 ぜんりゅうちからなし、 あくりゅうちからあり。 あくりゅうちからあれば、 すなはち霜雹そうはくくだして非時ひじ暴風ぼうふうしつありて、 こくみのらず、 疾疫しつやくきそおこり、 人民じんみんごんす、 たがひにあひ残害ざんがいす。

¬正法念経¼云、人不レバ↠持↠戒、諸天減オトル阿修羅盛ナリ。善竜無↠力、悪竜有↠力。悪竜有レバ↠力、スナワクダシテシヤウハウアラレ↡非時暴風疾雨アリテ、五穀不↠ミノシチヤク、人民ゴンタガヒザンコロス

^もしひとかいたもてば、 おお諸天しょてんこう増足ぞうそくす。 しゅげんしょうし、 あくりゅうちからなし、 ぜんりゅうちからあり。 ぜんりゅうちからあれば、 ふうときじゅんじ、 *四気しきちょうなり。 かんくだりて稔穀ねんこくゆたかなり、 人民じんみん安楽あんらくにしてへいしゅうそくす。 疾疫しつやくぎょうぜざるなりº と。

人持テバ↠戒、多諸天増↢足タル威光↡。修羅減オトル悪竜無↠力、善竜有↠力。善竜有レバ↠力、風雨順↠時、四気和チヤウノブ ナリ。甘雨降ネイコメコクユタカフ ナリ、人民安0250ニシテツワモノクワホコ センタヽカフソクヤム。疾疫不↠行

 ^くんいはく、 ª^どう ¬だいしょう隠書いんしょ¼・¬じょう真書しんしょ¼ とうにいはく、 «^*じょう大道だいどうくんじゅうちょうきょくたいてんのうち、 ぎょくけいうえ七宝しっぽうだいきんしょうぎょくにあり。 仙童せんどうぎょくじょえいするところ、 さんじゅうさんてん三界さんがいほかじゅうす» と。

君子曰、道士¬大セウイン書¼・¬元上真書¼等上大道君↢五十五ヂウキヨク大羅天、玉京之ウヘ、七宝台、金シヤウツクエ↡。センドウギヨクヂヨ之所↢ヱイスル↡、住スト↢卅天三界之外↡。

^¬神泉しんせんがく¼ をあんずるにいはく、 «^*大道だいどう天尊てんそんは、 太玄たいげんぎょくこうしゅう金真きんしんぐん天保てんぽうけん元明げんめいけいていす。 わざわいおよばざるところなり» と。

ルニ↢¬神仙五ガクオカシルス¼↡云、大道天尊、治↢大玄ミヤコ、玉光州、金真之グヰンコホリ、天保之クヱンアガタ、元明之ケイサトテイ志之サト↡。ワザワイサイ ナリ↠不↠及

^¬霊書れいしょけい¼ にいはく、 «^たいはこれおくまんせんひゃくじゅうちょうてんじょうてんなり» と。

¬レイシヨケイ¼云、大羅是五億五万五千五百五十五ヂウ天之上天也

^¬がく¼ にいはく、 «^とはみやこなり。 たいじょう大道だいどうどうのなかのどう*神明しんめい君最くんさいせいまもりて大玄たいげんり» と。

¬五岳オカ¼云、都ミヤコ也。太上大道、道之中道、神明君サイスグル、守セイシヅカニ↢太玄之都↡。

^¬諸天しょてん内音ないいん¼ にいはく、 «^てん諸仙しょせんろうつづみらす。 ぎょくけい0467*ちょうあんして、 もつて道君どうくんたのしましむ»º と。

¬諸天内イン¼云、天↢諸仙↡ナラロウイヱ都之ツヾミ↡。朝↢アンシテシヅカニキヤウ↡、以タノシマシムト↢道君↡。

 ^どうぐるところのけいあんずるに、 みないはく、 ª宋人そうじん*りくしゅうせいによりて一千いっせんひゃくじゅうはちかんつらねたりº と。 もと雑書ざっしょ*しょなし。 しかるにどういまつらぬるに、 すなはちせんじっかんあり。 そのなかにおおく ¬漢書かんじょ芸文げいもん¼ のりて、 みだりにはっぴゃくはちじゅうかんしるしてどう経論けいろんとす。

ズルニ↢道士↠上↡、皆云、依ソウ人陸シウナガシセイ↡而ツラネタリ↢一千二百廿ジヽウケン↡。モト↢雑書、諸子之名↡。而道士今列ルニ、乃↢二千四十巻↡。其↢¬漢書ゲイ文志¼↡、ミダリシテ↢八百八十四巻↢道経論↡。

 ^陶朱とうしゅあんずれば、 すなはちこれ*范蠡はんれいなり。 まのあたえつおう*勾践こうせんつかへて、 君臣くんしんことごとくとらはれて、 尿にょうんで、 またもつてはなはだし。 また范蠡はんれいは、 せいころさる。 ちちすでにへんじゅつあらば、 なんぞもつてへんしてこれをまぬかるることあたはざらん。

タウシユハンレイナリマノアタツカヘテ↢越コウセン↡、君臣悉トラハレテ↢於↡、フンンデ尿ネウ、亦以ダシ矣。又復ハンレイ之子コロ↢於セイ↡。父既ラバクワ之術↡、何ラム↠能↢変化シテマヌカルヽコト↟之

^¬造立ぞうりつてん¼ をあんずるにしょうすらく、 ªろう*幽王ゆうおう皇后こうごうはらのなかに託生たくせいすº と。 すなはちこれ幽王ゆうおうなり。 また ª*ちゅうたりº と。 またこれ幽王ゆうおうしんなり。 ¬*化胡かこけい¼ にいはく、 ªろうかんにありては*東方とうぼうさくとすº と。 もしあきらかにしからば、 んぬ、 幽王ゆうおう*犬戎けんじゅのためにころさる。 あにくんあいしてしんあたへて、 くんをしてせざらしめざるべけんや。

ズル↢¬造立天地¼↡称スラク、老子タク↢生イウゴウ↡。即是幽王之子ナリ。又チウ↡。復0251是幽王之臣ナリ。¬化¼言、老子在テハ↠漢↢東方サク↡。若アキラカシカ、幽王為↢犬ジユ↠殺アニケム↠不↧愛シテ↢君父アタヘテ↢神符↡、↦君父ヲシテ↞死

 ^りくしゅうせい目録もくろくす、 すでに正本せいほんなし。 なんぞあやまりのはなはだしきをや。 しかるにしゅうせいをなすこと、 すでにこれたいなり。 いま ¬げんろく¼ またこれ0468ちゅうなり」 と。

↢陸シウセイ目録↡、既↢正本↡。何アヤマリハナハダシキヲ。然修静スコトスデ是大グヰナリアヤマリ 。今¬玄都録¼復是偽中之偽イツワルナリ矣。」

二 Ⅱ ⅱ b ロ (三)法琳¬弁正論¼二文(邪正を決判し捨機を勧む)

【106】^またいはく (弁正論)

又云

^¬だいきょう¼ (涅槃経) のなかにかく、 ª^どうじゅうろくしゅあり、 ただぶつ一道いちどうこれ正道せいどうなり、 そのじゅうしゅにおいてはみなこれどうなりº と。

「¬大経¼中カク、道↢九十六種↡、唯仏一道是於テハ↢正道ナリ、其キウ十五シヨウ↡皆是外道ナリ

^ちんどうててもつて如来にょらいつかふ。 もし公卿こうけいありて、 よくこのちかいらんものは、 おのおのだいしんおこすべし。 ろうしゅうこうこうとう、 これ如来にょらい弟子でしとしてをなすといへども、 すでにじゃなり。 ただこれけんぜんなり、 ぼんへだててしょうとなすことあたはず。 公卿こうけいひゃっかん侯王こうおう宗室そうしつ、 よろしくかえしんき、 じゃしょうるべし。

チンワレテヽ↢外道↡以ツカ↢如来↡。若↢公卿↡、能ラム↢此、各↠発↢菩薩↡。老子・シウコウコウ子等、雖↢是如来弟子シテスト↟化ナリタヾ是世間之善ナリ、不↠能ヘダテヽ↠凡コト↟聖。公卿・百官・コウ王・ソウ室、宜カヘ↠偽イツワリ↠真、捨↠邪↟正

^ゆゑに経教きょうきょう、 ¬*じょう実論じつろん¼ にきていはく、 ª^もしどうつかへてしんおもく、 仏法ぶっぽうしんかろし、 すなはちこれ邪見じゃけんなり。 *もししん一等いっとうなる、 これ*無記むきにして善悪ぜんあくあたらずº と。 ぶつつかへてしんこわくしてろうしんすくなくは、 すなはちこれしょうしんなり。 しょうといふは、 しょうはこれひょうともにきよく、 垢穢くえ惑累わくるいみなつくす、 しんはこれしょうしんじてじゃならざるがゆゑに、 しょうしんぶつ弟子でしといふ。 そのひとしくみな邪見じゃけんなり、 しょうしんしょうすることをざるなり。

経教、¬成実論¼説、若↢外道↡心重、仏法心軽、即是邪見ナリ。若心一等ナル、是无記ニシテアタ。若善悪↡。↠仏コハクシテカウ心少、乃是清信ナリ。言↠清、清是表ウラ、垢アカ穢惑ケガレ カサナル皆尽、信是信ジテ↠正↠邪ナラ↢清信仏弟子↡。其ヒトシク皆邪見ナリ、不↠得↠称スルコトヲ↢清信↡也。

 ^ろう邪風じゃふうててほうしんきょう入流にゅうりゅうせよとなり」 と。 以上抄出

テヽ↢老子之邪風入↢流セヨトナリ法之真教↡。」 已上抄出

二 Ⅱ ⅱ b
          (一)¬法事讃¼(邪を信ずる者は現生に悪報を受くることを明かす)

0469107】^こうみょうしょう (善導) のいはく (法事讃・下)

光明寺和尚

^じょうほう諸仏しょぶつ恒沙ごうじゃのごとし。 かえりて舌相ぜっそうべたまふことは、 しゃ*じゅうあく*ぎゃくおおほうし、 じゃしんじ、 つかへ、 しん*かしめて、 ^みだりにおもひておんもとめてふくあらんとおもへば、 さいしょうよこさまにうたたいよいよおおし。 連年れんねんやまいしょうちんす。 *みみしめしあしれ、 る、 ^神明しんめいしょうしてこのほうるもののためなり。 いかんぞてて弥陀みだねんぜざらん」 と。

「上方諸仏如↢恒沙ベタマフコトハ↢舌相ナリ↧娑婆
十悪・五0252逆多疑謗↠邪ツカ↠鬼カシメテ↢神魔
ミダリ↠恩ヘバ↠有ラムト↠福ワザワイクワワザワイウタヽイヨイヨ
連年↢病於床ユカマクラミヽシメシアシ
ジヨウ ウケ ↢事ツカヘシテ神明↡得ルモノヽ↦此如何 イカン ムトテヽ↢弥陀↡」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (二)智顗¬法界次第¼(三宝に帰することを勧め余道に事ふることを誡む)

【108】^*天台てんだいの ¬*法界ほうかいだい¼ にいはく、

天臺¬法界次第¼云

^ひとつにはぶつ帰依きえす。 ¬きょう¼ (涅槃経) にのたまはく、 ª^ぶつ帰依きえせんもの、 つひにまたそののもろもろの天神てんじん帰依きえせざれº と。 ^またのたまはく、 ª^ぶつ帰依きえせんもの、 つひに悪趣あくしゅちずº といへり。

「一ニハ帰↢依↡。¬経¼云、帰↢依セム於仏レトカヘマタ帰↢依外天神↡也。又云、帰↢依セム↢悪趣↡云ヘリ

^ふたつにはほう帰依きえす。 いはく、 ªだいしょう所説しょせつ、 もしはきょうもしは帰依きえしゅじゅうせよº となり。

帰↢依↡。謂大聖所説、若教若理、帰依修習ナラフセヨト也。

^つにはそう帰依きえす。 いはく、 ªこころいえでたるさんじょう正行しょうぎょうともするがゆゑにº と。 ¬きょう¼ (涅槃経) にのたまはく、 ª^ながくまたかえつて、 そののもろもろのどう帰依きえせざるなりº」 と。

帰↢依↡。謂スルガ↢心出デタル↠家三乗正行之伴↡故。¬経¼云、永ルナリトマタカヘ帰↢依外道↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (三)宗暁¬楽邦文類¼(祭祀の法は真正に非ざることを明かす)

【109】^*うんだいのいはく (*楽邦文類)

慈雲大師

^「しかるにさいほうは、 天竺てんじく (印度) には*韋陀いだ支那しな (中国) にはてんといへり。 すでにいまだのがれず、 しんろんずれ0470ぞくこしらふる権方ごんぼうなり」 と。

「然サイマツリマツル 、天竺ニハ韋陀、支那ニハトイヘリ。既ノガ↢於世↡、論ズレバ↠真コシラフル↠俗之権方ナリト。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (四)諦観¬天台四教儀¼(人趣の尊敬すべからざることを明かす)

【110】^高麗こうらい*かんほっのいはく (*天台四教儀)

ライ観法師

^餓鬼がきどうぼんには闍黎しゃれい。 このどうまた諸趣しょしゅへんす。 福徳ふくとくあるものは山林せんりんちょびょうじんとなる。 福徳ふくとくなきものは、 じょうしょし、 飲食おんじきず、 つねにべんちょうく。 かわふさうみふさぎて、 くることりょうなり。 諂誑てんおうしんなり。 ぼんぎゃくじゅうあくつくりて、 このどうしんかんず」 と。

「餓鬼道、梵語ニハシヤレイ多。此道亦徧ミツ↢諸趣↡。有↢福徳↡↢山林チヨツカ↡。無↢福徳↡、居↢不浄処↡、↢飲食↡、常ベンムチチヤウウツ ↡。フサ↠河フサギテ↠海、受ルコト↠苦無量ナリテンヘツラフクルフ心意ナリ。作↢下品五逆・十悪↡、感ウクズト↢此↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (五)神智¬天台四教儀集解¼(祭祀する所を尊敬すべからざることを明かす)

【111】^*じんほっしゃくしていはく (*天台四教儀集解)

神智法師釈シテ

^餓鬼がきどうはつねにゑたるをといふ、 とはなり。 ¬*尸子しし¼ にいはく、 ªいにしえにんづけてにんとす。 また人神じんしんといひ、 じんといふº と。 かたちあるいはひとたり、 あるいはけだものとうのごとし。 ^こころしょうじきならざれば、 づけて諂誑てんおうとす」 と。

「餓鬼道ヘタルヲ↠餓、鬼之言カバネ¬子¼曰 シヘ者名人死↢帰人↡。又↠鬼、地神フト↠祇マコト也。 タチタリ↠人、或ジユケダモノ ↡。心0253レバ↢正直ナラ↡、名↢諂誑↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (六)大智(元照)¬盂蘭盆経疏新記¼(鬼神を尊敬すべからざることを明かす)

【112】^*だいりっのいはく (*盂蘭盆経疏新記)

大智律師

^じんはいはくじんなり。 すべてしゅてんしゅごくおさむ」 と。

「神鬼神ナリスベオサムト↢四趣、天・修・鬼・獄↡。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (七)戒度¬観経扶新論¼(悪道に摂っせられる所の鬼神を尊敬すべからざることを明かす)

【113】^*りっのいはく (*観経扶新論)

度律師

^はすなはち悪道あくどうしょしゅうなり」 と。

「魔悪道シユナリト。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (八)智顗¬摩訶止観¼(神魔を尊敬すべからざることを明かす)

【114】^¬かん¼ (*摩訶止観)魔事まじきょうにいはく、

¬止観¼魔事境

^ふたつに発相ほっそうかさば、 管属かんぞくつうじて、 みなしょうしてとす。 くわしく枝異しいたずぬれば、 三種さんしゅでず。 ひと0471には*まんちょうふたつには*時媚じみつには*魔羅まらなり。 三種さんしゅ発相ほっそう各々かくかくどうなり」 と。

「二スニ↢魔発相、通ジテ↢管属↡皆称シテ↠魔クワシタヅヌレバ↢枝異↡、↠出↢三種↡。一マン悵鬼、二鬼、三者魔羅鬼ナリ。三種発相、各各不同ナリト。」

二 Ⅱ ⅱ b ハ (九)¬往生要集¼(決して魔神を尊むべからざることを明かす)

【115】^源信げんしん、 ¬かん¼ によりていはく (*往生要集・中意)

源信依リテ↢¬止観¼云

^煩悩ぼんのうによりてだいさまたぐるなり。 びょうあくおこみょうこんうば(意) と。

「魔者依リテ↢煩悩↡而サマタグルナリ↢菩提↡。鬼者起↢病悪ウバ↢命根↡。」

二 Ⅱ ⅱ b 外典
          (一)¬論語¼(外典を挙げて例と為し以て勧誡す)

【116】^¬ろん¼ にいはく、

¬論語¼云

^*季路きろはく、 ªじんつかへんかº と。 ^のいはく、 ªつかふることあたはず。 ひといづくんぞよくじんつかへんやº」 と。 以上抄出

ハクツカヘムカト↢鬼神↡。子↠能↠事フルコト。人イズクンゾヘムヤト↢鬼神↡。」 已上抄出

後抜

禀承に宗有ることを明かす
  師の弘化を明かす

【117】^ひそかにおもんみれば、 しょうどうしょきょう行証ぎょうしょうひさしくすたれ、 じょうしんしゅうしょうどういまさかんなり

ヒソカオモンミレバ、聖道行証久シクスタ、浄土真宗証道今盛ナリ

^しかるにしょしゃくもんきょうくらくしてしんもんらず、 らく儒林じゅりんぎょうまよひてじゃしょうどうわきまふることなし。 ここをもつて、 *興福こうぶくがくじょう天皇てんのう *ばのいんごうす、 いみな尊成たかひら きんじょう *つち御門みかどのいんごうす、 いみな為仁ためひと 聖暦せいれき*じょうげんひのとのうとし*仲春ちゅうしゅん上旬じょうじゅんこう奏達そうたつす。

諸寺釈門、クラ↠教シテケイ不↠知↢真仮↡、ラクミヤコミヤコ ジユ林、ゾクガクシヤウナリマド↠行フルコト↢邪正道路↡。斯興福寺ソウマフス

ノチ鳥羽トバ

太上天皇 イミナ尊成ゼイ

土御門0254

今上 為仁タメヒト 聖暦セイレキジヨウヒノトノ歳仲春上旬之候カタチ↡。

^しゅじょうしんほうそむし、 忿いかりをうらみをむすぶ。 これによりて、 しんしゅうこうりゅうたい*源空げんくうほっならびにもんはいざいかんがへず、 *みだりがはしくざいつみす。 あるいはそうあらためて姓名しょうみょうたもうておんしょす。 はそのひとつなり。

主上臣下、ソムハウタガフ↠義、成↠忿イカリ↠怨ウラミ。因コレ真宗興隆オホヂ源空法師并門徒カズノ輩、トモガラカムガ↢罪クワシナワイ↡、ミダリガハシツミ↢死罪↡。或アラタメテ↢僧儀タマフテ↢姓名↡処↢遠流↡。ワレ一也。

^しかれば、 すでにそうにあらずぞくにあらず。 このゆゑに禿とく0472をもつてしょうとす くう (源空) ならびに弟子でし諸方しょほうへんしゅうつみしてねん*居諸きょしょたりき。

↠僧↠俗。是禿トクカブロナリ↠姓。空師并弟子ツミシテ↢諸方辺州タリキ↢五年キヨ↡。

^皇帝こうてい *佐渡さどのいんいみな守成もりなり 聖代せいだい*けんりゃくかのとのひつじとし*げつ中旬ちゅうじゅんだい七日しちにちに、 ちょくめんかぶりて入洛じゅらくして以後いごくう (源空)洛陽らくようひがしやま西にしふもと*とり部野べのきたほとり*大谷おおたにたまひき。 *おなじきねんみずのえさる*寅月いんがつじゅんだいにち*うまのときにゅうめつしたまふ。 ずいしょうすべからず。 *別伝べつでんえたり。

  皇帝 イミナモリシウ セイ代、ケンカノトノヒツジ歳子月中旬第七日、蒙↢ 勅メンジフシテ已後、空居タマヒキ↢洛陽東山西フモト、鳥部野、大谷↡。同ジキ二年壬申イン下旬第五日午時入滅シタマフヨシズイヨシ↠可カラ↢称計↡。見タリ↢別伝↡。

自の禀承を明かす

【118】^しかるに禿とくしゃくらん*建仁けんにんかのとのとりれきぞうぎょうてて本願ほんがん*げんきゅうきのとのうしとし*恩恕おんじょかぶりて ¬せんじゃく¼ (*選択集)しょしきおなじきとし*しょ中旬ちゅうじゅんだいにちに、 せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう」 の内題ないだい、 ならびに 「南無なも弥陀みだぶつ おうじょうごう 念仏ねんぶつほん」 と 「しゃくのしゃくくう」 のと、 くう真筆しんぴつをもつて、 これをかしめたまひき。

愚禿釈鸞、建仁カノトノシン イウレキコヨミ↢雑行↢本願↡。元久キノトノウシ歳、↢恩アハレミジヨアハレミカクシキ↢¬選択¼↡。同ジキハジメ中旬第四日、「選択本願念仏集」内題字、并「南无阿弥陀仏往生之業念仏為本↢「釈綽空」字↡、以↢空真筆↡、令メタマヒキ↠書↠之

^おなじきくう真影しんねいもうあずかりて、 図画ずがしたてまつる*おなじきねんうるう七月しちがつじゅんだいにち真影しんねいめいは、 真筆しんぴつをもつて 「南無なも弥陀みだぶつ」 と 「^にゃくじょうぶつ 十方じっぽうしゅじょう しょうみょうごう 下至げしじっしょう にゃくしょうじゃ しゅしょうがく ぶつこん現在げんざいじょうぶつ とう本誓ほんぜいじゅうがん不虚ふこ しゅじょうしょうねん必得ひっとくおうじょう(礼讃)真文しんもんとをかしめたまふ。

ジキ日、空之真エイアヅカリテ マツ↢図カク↡。同ジキ二年ウルフ七月下旬第九日、真エイメイシルシ↢真筆↡令メタマフ↠書↢「南无阿弥陀仏↢「若我成仏十方衆生称我名号下至十声若不生者不者正覚彼仏今現在成仏当知本誓重願不虚衆生称念必得往生」之真文↡。

^またゆめげによ0473りて、 *しゃくくうあらためておなじきひつをもつてかしめたまひをはんぬ。 ほんしょうにん (源空) 今年こんねん*しちしゅんさん御歳おんとしなり。

又依↢夢↡、アラタ0255メテ↢綽空↡、同ジキ日以↢御筆↡令メタマヒ↠書↢名之字↡畢。本師聖人今年七旬コロ御歳也。

 ^¬せんじゃく本願ほんがん念仏ねんぶつしゅう¼ は、 *ぜんじょう博陸はくりく 月輪つきのわ殿どの兼実かねざねほうみょうえんしょう教命こうめいによりてせんじゅうせしむるところなり。 しんしゅう簡要かんよう念仏ねんぶつおう、 これにしょうざいせり。 るものさとやすし。 まことにこれ希有けうさいしょうもんじょう甚深じんじん宝典ほうでんなり。

¬選択本願念仏集¼、依↢禅定博陸 月輪殿兼実カネザネケンジチ法名円カウメイ↡所↠令↢撰集↡也。真宗簡要、念仏アウフカシ義、摂↢在セリ↟斯。見サトマコト希有最勝之クワ文、无上甚深之宝典也。

^としわたわたりて、 そのきょうかぶるのひと千万せんまんなりといへども、 しんといひといひ、 この見写けんしゃるのともがら、 はなはだもつてかたし。 しかるにすでに製作せいさく書写しょしゃし、 真影しんねい図画ずがせり。 これ専念せんねんしょうごうとくなり、 これけつじょうおうじょうしるしなり。

ワタ↠年↠日、↢其教誨↡之人雖↢千万ナリ↡、云↠親ウトキ↢此見写ウツス↡之 モガラ。爾ルニ書↢シヤ製作セイサク↡、図↢画セリ真影↡。是専念正業之徳也、是決定往生之シルシチ  徴字 アラハス 也。

^よりて悲喜ひきなみだおさへてらいえんしるす。

オサヘテ↢悲喜之涙↡註↢由来之縁↡。

製作の由致を述ぶ
  通じて感荷の恩徳を明かす

 ^よろこばしいかな、 *こころぜいぶつて、 おもいなん法海ほうかいながす。 ふか如来にょらい矜哀こうあいりて、 まことにきょう恩厚おんこうあおぐ。 きょういよいよいたり、 こういよいよおもし。

ヨロコバシイカナ↢心仏地↡、流↢念難思法海↡。深リテ↢如来オホキナル↡、アフ↢師教カウアツシ↡。慶喜イヨイヨ、至カウ弥重

別して製作の由致を述ぶ

^これによりて、 しんしゅうせんしょうし、 じょうようひろふ。 ただ仏恩ぶっとんふかきことをおもうて、 人倫じんりんあざけりをぢず。 もしこのしょ見聞けんもんせんもの、 しんじゅんいんとし、 ほうえんとして、 しんぎょう願力がんりきあらわし、 みょうあんにょうあらわさんと

セウ↢真宗↡、ヒロ↢浄土↡。唯念↢仏恩キコトヲ↡、ジンリントモガラアザケリ↡。若見↢聞セム、信順↠因、疑謗↠縁、信楽アラハ↢於願力↡、妙果サムト↢於安養↡矣。

0474119】^¬安楽あんらくしゅう¼ にいはく (上)

¬安楽集¼云

^真言しんごんあつめて、 往益おうやく助修じょしゅせしむ。 いかんとなれば、 さきうまれんものはのちみちびき、 のちうまれんひとはさきとぶらへ、 連続れんぞくぐうにして、 ねがはくは休止くしせざらしめんとほっす。 へんしょうかいつくさんがためのゆゑなり」 と。

↢集メテ真言↡助↢修オコナフセシム往益↡。何トナレ↠使メムト↣前↠後、後ヒトトブラ↠前、連ゾクツグ无窮ニシテ、願↢休ヤム↡。為ツクサムガ↢无辺生死海ナリト。」

【120】^しかれば末代まつだい道俗どうぞくあおいでしんきょうすべきなり、 るべし。

末代道俗、可↢仰信敬↡也、可↠知

【121】^¬ごんぎょう¼ (入法界品・唐訳)にのたまふがごとし。

0256↢¬華厳経¼偈↡。

^もしさつ種々しゅじゅぎょうしゅぎょうするをて、 ぜんぜんしんおこすことありとも、 さつみな摂取せっしゅせん」 と。

「若リトモ↧見↣菩薩修↢行スルヲ種種
コト↦善・不善菩薩皆摂取セムト

けんじょう方便ほうべんしん文類もんるい 六

 

延書の底本は本山蔵本(所謂清書本)ˆ原漢文の校訂本Ⓐˇ。
観経の浄土 ¬観経¼ の定善十三観およびぼん往生の文に説かれる浄土。
大施品 引用の文は 「大施品」 になく 「しょさつほんじゅぼん」 にある。
本の罪 仏智を疑惑した罪。
悔責 くいせめること。
普遍智 一切にあまねく満ちわたる智慧ちえ
無等智 並びなくすぐれた智慧。
威徳智 人間の思いをはるかに超えた、 すぐれた徳をそなえた智慧。
広大智 広く一切を知る智慧。
殊勝智のもの 化生の人は仏の諸智を得るから殊勝智 (ことにすぐれた智慧) の者という。 →しょう
かの蓮華…趺坐せん ¬三経往生文類¼ (広本) では 「かの化生を受く。 蓮華のなかにおいて結跏趺坐す」 と読んでいる。
下劣の輩 たいしょうの人を指す。
因なくして…奉事せん 明信仏智 (明らかに仏智の不思議を信じて疑いのないこと) の正因のないまま無量寿仏にお使えすることになろう。 通常は 「って無量寿仏に奉事したてまつることなし」 と読む。
信心 ここでは自力の信のこと。
聖化の事を被らず 阿弥陀仏の教化、 導きを受けることがない。
 能力。
二善 じょうぜん散善さんぜんのこと。
欣慕浄土の善根 浄土をねがい慕わせるための善根。
釈迦微笑の素懐 だい夫人の別選を聞いて釈尊が微笑したのは、 それに応じて説かれるこの経説が釈尊の本意をあらわすものであることを示す。
韋提別選の正意 韋提希夫人がとくに阿弥陀仏の浄土を選んだ真意。
業果法然… 如来のなす利他の行為とその結果は、 すべて法の道理にかなっていて誤りがない。
また深心の深信とは 高田派専修寺蔵宗祖加点 「散善義」 では 「また深心は深き信なりといふは」 と読んでいる。
自心を建立して 自分の心をしっかりと定め不動のものにして。 ここでは自力の信を確立すること。
定善は…縁なり 「定善示観縁」 は元来 「定善観を示す序分」 の意。 親鸞聖人は訓点を施して 「定善は他力の信心を示す縁」 と転意している。
 ここでは本願力を観知する他力信心の意。 ¬一多証文¼ には 「観」 の字を解釈して 「観は願力をこころにうかべみると申す、 またしるといふこころなり」 とある。
散善は…縁なり 「散善顕行縁」 は元来 「散善行を顕す序文」 の意。 親鸞聖人は訓点を施して 「自力の散善は、 他力念仏を顕す縁」 と転意している。
 他力の念仏のこと。
解脱分 順解脱分のこと。 解脱 (さとり) へと方向づけられた階位。
差うて…知んぬべし 高田派専修寺蔵宗祖加点 ¬らいさん¼ には 「しなさざるものは知るべし」 と読んでいる。 この文は通常 「なさざるもののごとし。 知るべし」 と読む。
真心徹到 真実の信心がたしかに定まること。 ここでは如来こうの真実心がしゅじょうのうえに至りとどいたこと。
正助雑の三行 ここでの正について、 五正行とする説と、 正定しょうじょうごう (称名) とする説とがある。 助は助業じょごう、 雑はぞうぎょう (五正行以外のあらゆるぎょうごう) を指す。
利他教化地… 利他教化地という還相げんそうの位相にある菩薩が、 しゅじょうを真実に導くために仮に用いるのがしょうどうもんの法であるということ。
五種 五正行の中、 第五の讃嘆さんだんようを開いて二種とし、 称名を除いて五種とすると解釈する説、 他力の称名を除いたほかの、 自力心をもって行ずる五正行を五種とすると解釈する説などがある。
解行 知解と修行。 宗義をりょうし行を実践すること。
回心回向の善 ぞうぎょうは元来、 此土しどにっしょう (この世でしょうじゃの位に入る) の行で往生行ではないから、 浄土願生の心をおこし、 往生行となるようにとこうしなければならない善である。
定散心 じょうぜん散善さんぜんを修して往生を願い求める心。 転じて自力心のことをいう。
仮門の教 ¬観経¼ の教説を指していう。
多善根… じょうよう (現在の中国ほく省襄陽) の石碑に刻まれた異本の ¬小経¼ にこの語がある。 →じょうようせっきょう
恒沙の信 ガンジス河の砂ほどに多い諸仏の勧めによってめぐまれた信心。
四依弘経の大士 しゅじょうがよりどころとすべき四種の菩薩。 ここでは浄土真宗を顕彰した祖師たちを指すとみられる。 →四依しえ
三朝浄土の宗師 インド・中国・日本にあらわれて浄土真宗を伝えた祖師たち。 しち高僧こうそうのこと。
助正間雑の心 正定しょうじょうごう助業じょごうのいわれがわからず、 念仏だけでは往生できないと疑い、 助業をはげむ心。 自力疑心のこと。
教は頓… →きょうとんぜん
この法 阿弥陀仏の本願を指す。
聴聞 「ゆりてきく」 (左訓) 「ゆりて」 は 「許されて」 の意。
信慧… 信心の智慧ちえを得ることはむずかしい。
悪衆生 高田派専修寺蔵宗祖加点 「散善義」 にはこの語の後に 「悪見」 の語がある。
礼懴儀 ¬しゅうしょきょう礼懴らいさん¼ のこと。
 教法を信受し理解すること。
 教法のめざすところを一途に求めること。
 教法の言葉を聞くだけで、 そのいわれを知らないこと。
 教法のいわれを十分聞きわけて、 如実に思い知ること。
 さとりへの道。 また、 さとりのこと。
得者 さとりを得た人。
三宝の性異なり 仏法僧の三宝は一体ではなく、 それぞれの本質が異なっている。
三宝同一の性相 仏法僧の三宝はその本質が異ならず、 一体であるということ。
繋念思惟 思いをとどめて心を一つに集中すること。 禅定に同じ。
 ここでは仏道のこと。
戒施定 かい布施ふせ、 禅定のこと。 →ろっ波羅ぱらみつ
暫出還復没 しばらくしょう界を出たとしても結局は生死のなかに沈むことになること。
二種の戒 仏教の正しい戒と仏教以外のよこしまな戒。
読誦に…なけん 通常は 「読誦し、 他のために解説することあたはずは、 利益するところなけん」 と読む。
諸有のため 人天等のほうを得るため。
持読誦説 経典をじゅし、 理解して読み、 記憶して唱え、 他人のために解説すること。
善調御 しゅじょうの心をよくととのえる指導方法。
畢竟軟語 この上なくやさしい言葉。
畢竟呵責 この上なくきびしい誡め。
軟語呵責 やさしい言葉ときびしい誡めとを合せ用いること。
八種の術 治身・治眼・治胎・治小児・治瘡・治毒 (中毒や毒虫にさされたのを治す)・治邪 (邪気鬼病を治す)・知星 (治療に当って星のうごきを知る) の八をいう。
風病・熱病・水病 人体を構成する地水火風の四大のうち、 風大の不調によって風病、 火大の不調によって熱病、 水大の不調によって水病がおこるという。
骨相 身体は白骨を連ねたものにすぎないと観ずる修行法。
十二縁相 じゅう因縁いんねんのこと。
無上法輪 この上ない教えの輪。 仏の教法はしゅじょう煩悩ぼんのうをうちくだき、 次々と広まってゆくので、 車輪に喩える。
懴儀 ¬しゅうしょきょう礼懴らいさん¼ のこと。
本家・本国 阿弥陀仏の浄土を指す。
垢障の凡愚 煩悩ぼんのう悪業あくごうの障りをもった愚かなぼん
かの因を… 阿弥陀仏が浄土往生の因をたてたことを明らかに信知することができないからという意。
論主・宗師 論主はりゅうじゅ天親てんじんの二菩薩、 宗師は曇鸞どんらんだい以下の五祖を指す。
万行諸善の仮門 第じゅう願の法門のこと。 →要門ようもん
善本徳本の真門 第二十願の法門のこと。 →真門しんもん
選択の願海 第十八願のこころ。
転入 転捨てんしゃにゅうのこと。 自力の行と信を捨てて、 本願他力の世界にはいること。
在世正法のためにして 釈尊がこの世にいる時と、 滅後五百年 (千年) 間だけ、 だつの道として有効であるという意。
涅槃に… (釈尊が) この世から去ろうとする時。
 教法。
 教法を説く人。
 教法の本質的意味内容。
 教法の言説表現。
 真実の智慧ちえ
 もう分別ふんべつのこころ。
十二部 じゅう二部にぶきょうのこと。
 「語」 を喩えていう。
 「義」 を喩えていう。
正要 さとりに入るための正しい肝要な道。
末代の道俗 末法の時代の出家と在家の者。 →末法まっぽう
古徳の伝説 古の高徳方が伝え説いたところ。
大集の月蔵経 ¬だいじっきょう¼ の 「月蔵分」 のこと。
如来般涅槃の時代 釈尊が入滅された年代。
周の… 紀元前949年にあたる。
五十三年 底本に 「五十一年」 とあるのを改めた。
後堀川院 後醍醐天皇 (1212-1234。 在位1221-1232)。
二千一百七十三歳 底本に 「二千一百八十三歳」 とあるのを改めた。
六百七十三歳 底本に 「六百八十三歳」 とあるのを改めた。
一如に… 唯一絶対の真実にもとづいて教え導く者は。
四海に… 天下を治めて徳風を垂れる者は。
物を開し 人々を導き。
真諦俗諦 仏法と世俗の法 (王法)。
天網 もと ¬老子¼ の言葉。 天が罪人を捕らえるために張りめぐらす網。 ここではかい僧を戒めるための詔。
寧処に… 心安らかに落ち着いていられない。
三古の運 中国の古い時代を三期に分け、 各期をその時代の聖賢で代表させたもの。 上古はふく、 中古は文王、 下古は孔子とする。
減衰 現行の ¬末法まっぽうとうみょう¼ には 「盛衰」 とある。
後五 仏滅後の二千五百年を五百年ごとに五期に分け、 仏教が次第に衰えていくさまを示したもの。 第一期はだつけん、 第二期はぜんじょうけん、 第三期はもんけん、 第四期はぞうけん、 第五期はとうじょうけんといわれる。
破持僧 かい僧とかい僧のありさま。
大迦葉 摩訶まかしょうのこと。
七賢聖僧 仏滅後に大法を伝え護る七僧。 摩訶まかしょうなん優婆うばきく尸羅しらなん・青蓮花 (華) 眼・牛口・宝天を指す。
道果 阿羅あらかん果のこと。
不浄観 肉体の不浄を観じて煩悩ぼんのうを取り除く観法。 じょう心観しんかんの一。
僧尼嫁娶せん 比丘びくは娶り、 比丘尼は嫁ぐことになるであろう。
解脱堅固 さとりを得ることが確かであること。
禅定堅固 心静かに瞑想する修行がよく行われること。
多聞堅固 仏の教えがよく聞かれ、 よく理解されること。
造寺堅固 寺院の建造が盛んに行われること。
闘諍堅固 自説が他説よりもすぐれているとして、 仏弟子たちの言い争いが盛んになること。
白法隠没 仏の教え (白法) がこの世から姿を消し去ること。
周異 ¬しゅうしょ異記いき¼ のこと。
穆王満五十三年壬申 底本に 「五十一年」 とあるのを改めた。 紀元前949年。
延暦二十年辛巳 801年。
匡王班四年壬子 紀元前609年。
披諷 披はひもとく、 諷は諳んじる。 諳んじて知っているというほどの意。
邪活 比丘びくにあるまじき仕事をして生活すること。
得定の凡夫 有漏うろ (煩悩ぼんのうのある状態) のぜんじょうを修めるぼん
漏戒 戒を漏失して守持しないこと。
九十五種の異道 じゅうしゅどうに同じ。
護持…あらんは 「この人」 は名字の比丘を指す。 通常は 「護持養育して安置することあらば、 この人」 と読む。 この場合の 「この人」 は名字の比丘を護持養育する人。
忍地 無生法忍の地位。 ここでは単にさとりの意。
前三果 しょうもん修道しゅどう階位である預流よる一来いちらいげん阿羅あらかんの四果のうちの前三をいう。 →八輩はっぱい
両判の失 矛盾する二通りの見解を説くという過失。
四部の衆 →しゅ
二聖 しょうもんの四果の階位の中の初果 (預流よる) と第四果 (阿羅あらかん) とする説と、 有学 (前三果) のしょうじゃと無学 (阿羅漢果) の聖者とする説とがある。
四種の魔 ここでは魔が仏に似せて説いた経と律、 およびその経・律を奉ずる人をいう。 通常は五陰魔 (うん魔)・死魔・煩悩ぼんのう魔・天魔を指して四魔という。
またのたまはく 引用の意は ¬大集経¼ 巻五十三、 五十四にみえる。
涅槃の… さとりに入ることを約束されるという意。
非梵行 仏の制戒を破るしょうじょうでない行為。
盧至如来 賢劫に出世する千仏の中の最後の如来。
 ¬分律ぶんりつ¼ のこと。
四儀 威儀いぎのこと。
 さそり。
惑 火星。
鎮星 土星。
太白 金星。
辰星 水星。
荷羅睺星 古代インドで日食・月食をおこすと考えられていた星。
小星宿二十八 古代インドの天文学では、 東にぼうひつしんせいりゅうしち宿しゅく、 南にせいちょうよくしんかくこうていの七宿、 西にぼうしんぎゅうじょの七宿、 北にきょしつへきけいろうの七宿があるとする。
八大星 歳星より荷羅睺星の八星のこと。
法用 星宿の運行や季節等の法則とそのはたらき。
年満 十二ヵ月。
四天大王 →天王てんのう
四方四維 東西南北および東南・東北・西南・西北。
佉盧虱仙人 高麗こうらい版大蔵経は 「佉盧虱仙人」 の後に 「説法已」 の三字がある。 この場合は 「佉盧虱仙人、 法を説きおはりて」 と読む。。
非人 人間以外の天・竜・しゃ・妖鬼などをいう。
佉羅氐山  しゅせんの近くにある山。
離暗 波旬の娘。
鮮潔の衣 袈裟けさのこと。
長斎 午後には食事をとらないという戒めを長く持つこと。
噉する 口にする。 食べる。
結跏 けっ趺坐ふざの略。
大方等大集月蔵経 ¬大集だいじっきょう¼ 「月蔵分」 のこと。
仁者 あなたがた。
聖道 聖 (正) 智。 さとりのこと。
断常見 断見だんけんじょうけん
大徳婆伽婆 釈尊のこと。 →婆伽婆ばがば
兜率陀天王 兜率陀天の天主。 →そつてん
他化自在天王 欲界よくかい六欲天のうちの最高天の主。 →他化たけざいてん
化楽天王 欲界六欲天の第五天の主。 →らくてん
須夜摩天王 欲界六欲天の第三天の主。 →しゅ夜摩やま
天仙七宿 天仙とは佉盧かるしっ仙人のことで、 彼がはじめて星宿辰を配置したので、 天仙七宿という。 七宿とは二十八宿の天体を東西南北の四方に配置すると各七宿となる。 そのうち、 ここは、 北方の七宿のこと。
三曜 曜は大きい星のこと。 四方にそれぞれ三曜を配置する。
三天童女 太陽が一年間運行する黄道を十二分して、 十二の星宿宮とする。 この十二宮を司る童女が、 東西南北に三人ずついると考えた。
土境 分野。 領域。
 十二の星宿宮 (星のやどり) のことで十二支にあたる。
梵行…婆伽婆 通常は 「梵行相応す。 仏、 婆伽婆」 と読む。 梵行は清浄しょうじょうな行の意。
十六の大国 古代インドにあったという十六の国々。
卵生… しゅじょうが生れる四種の形態 (しょう)。
大梵 大梵天王のこと。 →梵天ぼんてんのう
天師梵 天界の師である梵天王。
月蔵菩薩摩訶薩 ¬大集だいじっきょう¼ 「月蔵分」 に対告衆 (仏の説法の相手) として出る菩薩。 西方の月勝世界から眷属けんぞくを率いて来会した。
了知清浄士 「清浄を了知する士」 の意で、 月蔵菩薩を指す。
生死に…悪道に回して 通常は 「生死輪を回して、 正法輪を転じ、 追うて悪道を回して」 と読む。
正法輪 仏の正しい説法はとどまることなくめぐって次々と広まってゆくので、 車輪に喩える。
地の精気 五穀をみのらせる大地のすぐれた力。
衆生の精気 生きとし生けるものの持つ生命力。
正法の精気 仏法僧の三宝さんぽうの持つどく力。
迦葉如来 しょうぶつのこと。
大鹹 塩からいこと。
提謂波利 提謂は梵名トラプシャ (Trapuṣa)、 波利は梵名バッリカ (Bhallika) の音写。 ともに商人の名。 成道後の釈尊に遇い、 食をようして法を聞いたという。 在家信者の最初。
四阿修羅城 須弥山の四面の海中に四大阿修羅王の城があるという。
大徳修伽陀 釈尊のこと。 →しゅ伽陀がた
みづから称名せざらんや 通常は 「みづから名を称せず」 と読み、 自分から名前をいうことができないという意味。
正法の味はひ醍醐の精気 醍醐は牛乳を精製して作ったもの。 最高の美味であり、 最上の薬とされる。 ここでは正法 (仏法僧の三宝さんぽう) のもつどく力を醍醐の味に喩える。
妙丈夫 すぐれた人。 ここでは梵天ぼんてんのうたいしゃくてんのこと。
賢首 賢者の首たるもの。 ここでは大梵天王等を指す。
刹利・婆羅門毘舎首陀 古代インドのしょう制度。 →補註9
かのもろもろの…相応せん 通常は 「かのもろもろの衆生のために念持方便し、 堅固力を得しめ、 所聞不忘智に入りて諸法の相を信ぜしめ、 …三昧の根、 相応せしむべし」 と読む。
念持方便 心が乱れないように思いをかけ、 手だてをめぐらすこと。
堅固力 いかなるものにもさまたげられないかたい力。
三昧の根 さとりに至るはたらきのことで、 信・精進・念・定・慧のこんをさす。
三種の菩提 しょうもん縁覚えんがく・菩薩のさとり。
五事 先に出た五利のこと。
大雄猛士 煩悩ぼんのうの敵を退治するゆうみょうな人。 ここでは大梵天王等を指す。
鳩留仏 鳩留くる孫仏そんぶつのこと。
三精気 地の精気・しゅじょうの精気・正法の精気。 精気とは、 もののうちにひそむすぐれた力。
曜宿 星。 四方に配置された三曜しち宿しゅくなどのこと。
独覚無上 ひとり無上をさとること
捨つ 捨は捨施の意。 説法を施すこと。
拘楼孫如来 鳩留くるそんぶつのこと。
日天子 太陽を神格化したもの。
月天子 月を神格化したもの。
もしおのれが…愛することあらん 通常は 「もしおのれを愛し、 苦を厭ひ楽を求むるものあらば」 と読む。
手をもつて刀杖 通常は 「手、 刀杖をもって」 と読む。
もろもろの天人…盈満をなすなり 高麗こうらい版大蔵経等によれば、 「もろもろの天人をして利益を得ず、 地獄に堕せしむるがゆゑに。 三悪道増長し盈満をなすがゆゑに」 と読む。
諸魔 ¬首楞厳経¼ によれば、 修道しゅどう者が淫欲いんよくを断じないままぜんじょうを修すれば、 すべてみな魔道におちるという。
鬼神 ¬首楞厳経¼ によれば、 修道者がせっしょうを離れずに禅定を修すれば、 すべてみな鬼神になるという。
群邪 ¬首楞厳経¼ によれば、 修道者が盗心を捨てずして禅定を修すれば、 すべてみな邪道におちるという。
おのおの…なりて 通常は 「おのおのみづから無上道をなるといはん」 と読む。
詃惑無識 錯乱して、 識別判断ができなくなること。
所過の処  (魔・じん・妖魔などが) 通るところ。
番に代りて かわるがわる。
尽形まで 生涯を終えるまで。
妖の師 あやしげなことを説いて人の心を惑わすもの。
起屍鬼 死体の中にある一種の気をよびおこして、 人に害を与える鬼神。
螺髻梵志 もとどりを螺 (ほらがい) のように束ねている婆羅門。 ここではどう (火を尊び、 これにようして福を求める異教徒の一派。 拝火外道ともいう) を指す。
 おじ。 次の阿舅は親しみをこめたいい方。
大沙門 釈尊を指す。
性無常の准ひならしむ 通常は 「性、 常準 (准) なからしめ」 と読む。 常準は標準のこと。
分斉 節度。
李道士 ちゅうけいのこと。
外の一異 「十異」 の第一。
玄妙玉女 神々しいたえなる仙女。 老子の母の尊称。
内の一喩 「十喩」 の第一。
開士 ¬べんしょうろん¼ 巻二に仏教側の主張者としてそう開士の号で出る。
解五千文 ¬老子¼ の註釈書。
考義類 ¬老子¼ に関する講義類。
三皇 ふく神農しんのう黄帝こうていの三皇帝。
尭舜 中国古代の伝説上の二人の帝王。 治世の模範とされる。
郭荘 かくしょう (-312。 あざなは子玄) が著した ¬そう¼ の註釈書。
 素質。 才能。
玄妙および…出塞記 いずれも老子伝の一種。
仙人玉録 老子伝の一種。
 ¬らい¼ のこと。
隆周 周王朝が栄えた頃。
罽賓 インド西北部の古国。 ガンダーラまたはカシュミールにあたるという。
伯陽 ろうあざな
周文 周の文王。
迦葉 老子のこと。 ¬しょうじょうほうぎょうきょう¼ ¬くうじゃく所問しょもんぎょう¼ (中国撰述の経典) 等に、 仏弟子の迦葉が中国に生れかわって老子となったという。
桓王丁卯 前714年。
景王壬午 前519年。
姫昌 周の文王のこと。 姫は姓、 昌は名。
調御 釈尊のこと。 仏の十号の一、 調御丈夫の略。
昭王甲寅 前1027年。
穆王壬申 前949年。
 あとつぎ。
流沙 現在の中国西北部にあるタクラマカン砂漠。
提河 中インドにある河。 梵名アジタヴァティー (Ajitavatī)。
群胡 外国人たち。 ここでは中国人からインド人を指していう。
秦佚 秦失とも書く。 そうが創作した人物か。
遁天の形 身体をこの世から隠す仙人の姿。
鵠樹 釈尊がにゅうめつした樹林じゅりんのこと。
漢明 かんの第二代皇帝、 明帝 (在位57-75) のこと。
蘭台 後漢の宮中の書庫。
夫子 老子を指す。
免縛形の仙 世俗のまつわりをのがれ身を隠す仙人。
また左に… 左は 「たがふ」 の意。 原文の 「不亦左」 は 「またたがはずや」 とも読む。
高士伝 古の隠士の列伝。
李耳 老子のこと。
左道乱群 正しくない政治を行って民衆を困らせるもの。
涓子 春秋しゅんじゅう時代、 せいの人。 ¬列仙れっせんでん¼ にその名がみえる。 老子との関係は不明。
太史公 司馬しばせんのこと。
 ほこ (長柄の武器)。
 筆。
五気三光 五気は太易・太初・大始・大素・大極の五。 ¬えき¼ では五気通運するのを天地のはじめとする。 三光は日・月・星のこと。
有機の召 人々の求め。
不匱 富める者。
華俗の訓 中国の習俗。
原壌… 以下の細註の文は ¬べんしょうろん¼ の原文にしたがって書き下した。
明辟 賢明な君主。
識体 心の主体。
天属 肉親。
含気 衆生、 じょうに同じ。
己親 自分の親。
勢競親を遺る 勢力を得ようと争って、 肉親を死に至らしめてしまう。
斉桓 せいの桓公。 春秋しゅんじゅう時代の斉の君主。 異母兄のきゅうを伐って斉侯せいこうとなった。
楚穆 楚の穆王。 春秋時代の楚の成王の子。 父を死に至らしめて王位についた。
三聖 老子・孔子・顔回。
已澆の末 濁った末の世。
玄虚沖一の旨 自己を無にして無為むいねんの道と一になるという教え。
 黄帝こうていのこと。 中国の伝説上の帝王。 度量衡・音律・衣服・幣制などをはじめて確立したという。
 しゅうこうのこと。 名はたん。 周初の名臣。 聖人せいじんとして儒家から尊敬された。
 孔子のこと。
三畏 君子が畏れはばかる三のもの。 天命・大人たいじん・聖人の言。
正弁極談 正しい道理を述べた究極の教説。
神・聖 釈尊のこと。
周書異記 正史に記載されていない周代の異聞を記した書。 現存しない。
穆王五十三年 底本に 「五十二年」 とあるのを改めた。 紀元前949年。
葱河 パミール高原より流れるヤルカンド・カシュガル両河。
雪嶺 雪山せっせん (ヒマラヤ) のこと。
鑿竅の弁を窮めん 細かく論議をつくそう。
吾子 あなた。 君。
清信の士女 仏教の在家信者の男女。
跡を… 道安どうあん作の襄州じょうしゅう檀渓寺の金像は夜になると万山 (現在の中国ほくじょうようにある山) におもむき、 足跡を山にのこしたという。
耀を… 西晋せいしんの建興元年 (313)、 とく (現在のこうしゅうを流れる松江) に石像二体が浮かび上ったという。
清台… かんの明帝の時代、 インドのしょうとうが釈迦像を伝えたので、 明帝はこれを画工に造らせて洛陽らくようの南宮の清涼台に安置したという。 「満月の容」 とは釈迦像のこと。
雍門… 後漢の明帝は雍門 (洛陽の西門) の外に白馬寺を建てたという。 「相輪」 とは仏塔のこと。
南平… しんの南平王は仏像を拝して感応を得たという。
文宣… 北斉ほくせいの文宣帝は聖牙 (仏の歯) の渡来を夢にみたという。
蕭后… 南朝、 せいの大祖高帝 (しょう道成どうせい) は ¬法華ほけきょう¼ を写し、 ¬般若はんにゃきょう¼ をじゅして、 仏像の鋳造に一度で成功したという。
宋皇… りゅうそうの太祖明帝は仏像を鋳造しようとして四度までも失敗したという。
有霊 ずい・霊験があること。
郭が註 かくしょうが加えた ¬荘子¼ の註解。
三点 悉曇しったん文字の 「伊」 字の三点。 三の点が三角の形をなしているので、 不縦不横の相即をあらわすとされ、 法身ほっしん般若はんにゃだつの三徳に喩える。
古旧二録 不詳。
周と老 荘周 (そう) と老子のこと。
無上大道君・大道天尊・神明君最 老子の尊称。
朝晏 安らかに朝廷に集まること、 また、 朝廷で酒宴を開くことか。
諸子 ここでは ¬かん非子ぴし¼・¬なん¼ などを指す。
化胡経 ¬老子化胡経¼ (化胡経は 「けこきょう」 とも 「かこきょう」 ともいう) のこと。 老子がインドで釈迦として再誕し、 じん (インド人) を教化したと説く。
東方朔 前漢ぜんかんの滑稽文学者。 伝説では方士 (神仙の術を行う人) として知られ、 西せいおうの桃を盗食して死ぬことを得ず、 長寿をほしいままにしたという。
もし心一等… 以下の ¬じょう実論じつろん¼ の引文は ¬べんしょうろん¼ の原文にしたがって書き下した。
餧かしめて あがめ供物をして。
聾ひ… →補註14
尸子 こうの著。
度律師 かいのこと。
季路…事へんや 通常は 「季路、 鬼神に事へんことを問ふ。 子のいはく、 いまだ人に事ふることあたはず、 いづくんぞよく鬼神に事へんや」 と読む。 親鸞聖人はこれを読み改めて鬼神につかえてはならない旨を示す。
興福寺の… →興福こうぶくそうじょう
猥りがはしく 無法にも。 当時の上訴文書の慣用語。
別伝 不明。 ¬西方さいほうなんしょう¼ 中末の 「源空げんくうしょうにんにっ」 か。
七旬三 旬は十年の意。
心を… ¬大唐だいとう西域さいいき¼ 巻三の 「心を仏地に樹て、 情を法海に流す」 という文による。
底本は◎真宗大谷派蔵親鸞聖人真筆本。 Ⓐ本派本願寺蔵鎌倉時代写本、 Ⓑ高田派専修寺蔵真仏上人書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵存如上人授与本、 Ⓓ本派本願寺蔵版 と対校。
 Ⓐ「十九 修諸功徳之願 至心発願之願 現前導生之願」と右傍註記 Ⓑ「十九願」と右傍註記
」15字 Ⓑに無し
 ◎「」を「」と上書訂記
→Ⓑ
 ◎「」を「」と上欄訂記
 Ⓐに無し
→Ⓒ云
」20字 ◎上欄補記
 Ⓒに無し
→Ⓒコトハ↠報
→Ⓑ
 Ⓐ「四歟」と右傍註記
→Ⓒ[専修者唯称↢念仏名↡離↢自力之心↡]是
→Ⓒ五[種]
 ◎を抹消しと上欄訂記→ⒷⒹ Ⓐと左傍註記
→Ⓐ
 Ⓐ「」と上欄註記
 ◎「」を「」と上書訂記
廿願也 ◎ⒶⒷ上欄註記
 ◎「」を「」と上書訂記
无 ◎「難思」を「无」と上書訂記
」9字 ◎Ⓑ上欄註記→ⒶⒹ此果遂之願者廿願(Ⓐ上欄註記)→Ⓒ二十願也
→Ⓒ(「」と上欄註記)
 Ⓐ「二十」と右傍註記 Ⓑ「二十願」と右傍註記
 Ⓐ「」と上欄註記
 Ⓑ「二十願」と右傍註記
→Ⓑ
 Ⓑ「」と右傍註記
又云 ◎上欄補記
」14字 ◎Ⓐ上欄註記 ⒷⒸに無し
→Ⓓ Ⓐ雑歟と右傍註記 Ⓑイ本と右傍註記 Ⓒと下欄註記
→Ⓐ
→Ⓒ(「」と上欄註記)
→Ⓑ
→ⒷⒸ[常]楽
→Ⓑ
 Ⓑに無し
→Ⓑ[因]縁
 ◎「」を「」と上書訂記
」10字 ◎ⒶⒷ上欄註記 弘字 Ⓒに無し
→Ⓐ
 Ⓑに無し
今特 ◎二字抹消し「今特」と上書訂記  Ⓒ「已」と右傍註記
 右◎マコトニⒶマサニⒷ「マコトニ」を「コトニ」と訂記
ワキマウ↢説人差別→Ⓐ弁↢ワキマウ差別
→Ⓒ 左Ⓑワキマウ反
→Ⓒ(「」と左傍註記)
→Ⓒ
→Ⓒ
」13字 ◎Ⓐ上欄註記 Ⓑに無し
 ◎湮滅
茂仁 ◎湮滅
 Ⓒ「」と左傍註記
 ◎「」を「」と上書訂記
 Ⓒ「」と右傍註記
→Ⓐ是[像法]
→◎
破戒→Ⓑ戒破
→Ⓑ(「」と上欄註記)
明被 ◎「被明」を「明被」と訂記
→Ⓒ
 ⒶⒷⒹ分冊とせず Ⓒ以下「顕浄土方便化身土文類六本愚禿親鸞」の尾題選号あり
」17字 ⒶⒷⒹに無し
→Ⓒ六[末]
 Ⓑ「末始」と上欄註記
→ⒷⒹ
→ⒷⒸ
 ◎「」を「」と上書訂記
 Ⓑに無し
→Ⓑ(「イ本と上欄註記)
→Ⓑ
 Ⓑ「と上欄註記
 ◎右傍に「大乗大方等」とあるを抹消
 ◎上に一字抹消あり
 ◎「」を「」と上書訂記
 ◎「」を「」と上書訂記
 ◎「」と右傍にあり
 ◎「」と右傍にあり Ⓐ「煗歟」と右傍註記
↠知トヲ↠難平等ナレバ↠世常→Ⓐコト↠知トヲ平等ナレバ↢世常→Ⓑコト↠知コトヲ平等ナレバ↠世
→Ⓑ
 ◎「」を「」と上書訂記
 ◎「」を「」と上書訂記
北鬱単越 ◎「北州也」と左傍註記 ⒶⒹ「コノ[キタ反歟]北州ナリ」と左傍註記
→Ⓑ
 Ⓒ「子」と右傍註記
 ◎「」と右傍訂記 Ⓑ(「歟と上欄註記) Ⓒ「星黒反須陵反」と割註
 Ⓒ「子」と右傍註記
 ◎「」を「」と上欄訂記
 ◎上欄に「」とあるを抹消
 Ⓑに無し
 Ⓑ「人」と右傍註記
→Ⓒ(「」と下欄註記)
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓑ生[輪]
 ◎「」を「」と上書訂記
→Ⓑ憐[愍] Ⓐ下に装入符号あり、 「イ本アリ」と右傍註記
→◎Ⓐ→Ⓑ(「イ無」と左傍註記)
→ⒶⒸ Ⓑ「」と下欄註記
↢提謂ヒトナリ波利ヒトナリシヤウ→Ⓐ受提イハ↢波利ヒトナリ↡諸シヤウ人食セム→Ⓑ受提謂ハク↢波利ヒトナリ↡諸シヤウ人食セム→Ⓒ受提イハ↢波利ヒトナリ↡諸商人食セム
提謂 ◎「経名也」と右傍註記 Ⓓ「経名ナリ」と右傍註記
頂↢受教勅シテ於己レガ境界→Ⓐ頂↢受教勅シテ↡於↢己レガ境界→Ⓒ頂↢受教勅↡於↢己レガ境界→Ⓓ頂↢受教勅↡於↢己レガ境界
今悉付↢嘱汝等ナンダチウチ→Ⓐ↣悉付↢嘱汝等ナンダチウチ→Ⓑメム付↢嘱汝等ナンダチノ中
→ⒶⒷ
→Ⓒ留[孫]
 ◎「」を「」と上書訂記
 ◎「」を「」と上書訂記→ⒶⒷⒹ
 Ⓑ「下」と下欄註記
→Ⓑ
 ◎「」を「」と上欄訂記
 ◎上に「大方等大集」とあるを抹消
→Ⓒ
 Ⓑに無し([第」と右傍註記)
 ◎「」を「」と上書訂記
又言 ◎上欄註記(「」を「」と上書訂記) ⒶⒹに無し→Ⓑ又云 Ⓒ「又月蔵分云」と右傍註記
」20字 ◎に無し
→◎ⒶⒷⒸ
→ⒶⒹ道[已上]
抄出已上→ⒶⒷⒸⒹ已上抄出
闍那崛多訳 ◎Ⓐ上欄註記 ⒷⒸに無し
→Ⓒ言[闍那崛多訳] Ⓑ「闍那崛多訳」と右傍註記
甥字 ◎Ⓐ上欄註記 ⒷⒸⒹに無し
舅字 ◎Ⓐ上欄註記 ⒷⒸⒹに無し
 Ⓑに無し
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓒ在[之]
→Ⓐ
→Ⓑ
謂↢之トンノガル天之ケイ カタチ ↡始メハ以為オモヘラク人也→Ⓐ謂↠之トンノガル天之ケイ カタチ ↢始メハモテオモヘラク人↡也
→Ⓒ
ハイス スツ ルニシウグハ→Ⓒハイス スツ ルニ↢太コウシウグハ
→Ⓐ
タスケマツ→Ⓒケテマツリ
ハンエキヤク三界→ⒶⒹハンエキヤク、三界→Ⓑハンエキ、三界→Ⓒヘンエキ、三界
 ◎右傍註記 ⒶⒷⒸⒹに無し
→Ⓑ([」と左傍註記)
ニス↢其↡詩シヨ礼楽之文→Ⓐサカリニス↢其 オシフ シヨレイガクブン→Ⓑサカリニス↢其オシフシヨレイガクブン
→Ⓒ
→ⒶⒸ𤏙
(「」と左傍註記)
→ⒶⒷⒸⒹ
→Ⓒ
→ⒶⒹ
→ⒶⒷ(「」と上欄註記)
→◎ⒶⒷⒸ
→ⒶⒷ
入↢流セヨトナリ法之真教→ⒶⒹ↢流リウセヨトナリハフシンカウ→Ⓑイラセヨトナリリウハフ之真カウ
 ◎「」を「」と上書訂記し、さらに「无歟」と上欄註記 Ⓒに無し Ⓐ「无歟」と上欄註記
已上 Ⓓに無し
→Ⓒ已上
源信 ◎本紙を切り抜き折り込んだ裏面に補記
↠能↠事コト→Ⓒ↠能↠事コト↠人
教行 ◎「教教」を「教行」と上書訂記
→Ⓒ
→ⒸⒹ
 ◎上に「元年」とあるを抹消
→Ⓒ
…ス」8字 ◎Ⓐ上欄註記 ⒷⒸに無し
→Ⓒ誓[之]
 ◎「」を「」と上書訂記し、さらに「」と上欄註記