0919大般涅槃経要文

・寿命品

¬大般涅槃経¼巻第一

寿じゅみょうぼん第一だいいち (北本巻一寿命本) にのたまはく、 「かくのごとくわれけり、 あるときぶつ拘尸くしじょうりきしょう阿利あり跋提ばつだいがわほとりしゃ双樹そうじゅあいだにましましき。

「寿命品」第一言、「如是我聞、一時仏在拘尸那城力士生地阿利羅跋提河辺娑羅双樹間。

(北本巻二寿命本) すなはちじゅんのためにきてのたまはく、 ª一切いっさいもろもろのけんくるものみなす。 寿じゅみょうりょうなりといへどもかならずまさにくることあるべし。 それさかりなるものはかならずおとろふることあり、 合會あふものべつあり、 しょうねんなれどもひさしくとどまらず、 さかりなるいろやまいおかさる。 いのちのためにまれ、 ほうじょうのものあることなし。 諸王しょおうざいれども勢力せいりき等双とうそうなけむ。 一切いっさいみなせんどうす。 寿じゅみょうもまたかくのごとし。 しゅりんきわなし、 てんしてそくなけむ。 三界さんがいみなじょうなり、 しょたのしみあることなし。 ほんしょうそうちかづくことあれば、 一切いっさいみなくうなりº」 と。

即為↢純陀↡而説↠偈ノタマハク

一切諸世間 生モノ皆帰↠死 寿命雖↢無量↡ナリト 要必當↠有↠尽コト

サカリナルモノハ↠衰コト 合會アフモノ↢別離↡ シヤウネンサカムナルトシナレドモ↢久シクトヾマ↡ サカリナルイロオカ

↠死 無↠有コト↢法常↡ 諸王得レドモ↢自在↡ 勢力ケム↢等双

一切皆セムウツリオゴク 寿命亦如↠是 衆苦輪無キハ  流転シテケム↢休息↡

三界无常ナリ 諸有無↠有コトタノシミ 有レバチカヅクコト↢本性↡ 一切空无ナリ

・師子吼品1

だい (北本巻二七師子吼品) にのたまはく、 「師子ししさつまうさく、 ªそんしょうよくそくなん差別しゃべつかあるやº と。

第四ノタマハク、「師子吼菩薩マフサク、世尊、少欲・知足有ルヤ↢何差別↡。

ª善男ぜんなんしょうよくもとめずらず、 そくしょうときこころこんせず。 しょうよくすこしき所欲しょよくあり、 そくはただほうのためにこころつかへてしゅうのうせざるなり。

善男子、少欲↠求↠取、知足↠少之時、心クヱウラミ↡。少欲シキ↢所欲↡、知足但為↠法ツカヘテ↠心ルナリシフウレエ↡。

善男ぜんなんよくさんあり。 いちには悪欲あくよくには大欲だいよくさんには欲欲よくよくなり。

善男子、欲↠三。一悪欲、二大欲、0920欲欲ナリ

悪欲あくよくは、 もし比丘びくありてこころ貪欲とんよくしょうず、 一切いっさい大衆だいしゅじょうしゅとなりて一切いっさいそうをしてわがあと随逐ずいちくせしめんとおもふ、 もろもろの四部しぶをしてことごとくみなわれをようぎょう讃歎さんだんそんじゅうせしめんと、 われをさきとしてしゅのためにほうかしめむ、 みな一切いっさいわが信受しんじゅせしめん、 また国王こくおう大臣だいじんちょうじゃ、 みなわれをぎょうせしめん、 われおほきにぶく飲食おんじき臥具がぐやく上妙じょうみょう屋宅たくおくしめんと。 しょうのためのよく、 これを悪欲あくよくづく。

悪欲、若↢比丘↡心↢貪欲↡、オモリテ↢一切大衆上首↡令メムト↪一切僧随↩逐↨、令メムト↰諸四部悉皆供↢養恭↣敬讃↤歎尊↯重、令メム↧我トシテ↢四衆↡説↞法、皆令メム↣一切信↢受↡、亦令メム↣国王・大臣・長者、皆恭↢敬我↡、令メムト レ↢衣服・飲食・臥具・医薬・上妙屋宅↡。為↢生死↡欲、是↢悪欲↡。

いかんが大欲だいよく、 もし比丘びくありて欲心よくしんしょうず、 いかんがまさに四部しぶしゅうことごとくみなわれしょじゅうない十住じゅうじゅうのく多羅たらさんみゃくさんだいたり、 阿羅あらかんないしゅおん、 われぜんない無礙むげたりとらしめて、 ようをなすべし、 これを大欲だいよくづく。

云何 イカン 大欲、若↢比丘↡生↢於欲心↡、云何当↮令メテ↫四部之衆悉皆知↢初住地乃至十住↡、タリ↢阿耨多羅三藐三菩提↡、↢阿羅漢果乃至須陀洹果↡、我タリト↩四禅乃至四無智↨、↭於利養↬、是↢大欲↡。

欲欲よくよくは、 もし比丘びくありて、 梵天ぼんてんてん在天ざいてん転輪てんりんじょうおう、 もしはせつ、 もしは婆羅ばらもんうまれてみなざいむとおもふ、 ようのためにするがゆゑに、 これを欲欲よくよくづく。

欲欲、若↢比丘↡、オモ↧生レテ↢梵天・魔天・自在天・転輪聖王、若シハ刹利、若婆羅門↡皆得ムト↦自在↥、為ニスルガ↢利養↡故、是↢欲欲↡。

もしこの三種さんしゅ悪欲あくよくのためにがいせられざるは、 これをしょうよくづく。 よくづけてじゅうあいとす。 かくのごときのじゅうあいあることなき、 これをしょうよくづく。 いまだきたらざる所欲しょよくもとめざる、 これをしょうよくづく。 じゃくせざる、 これをそくづく。 ぎょうもとめざる、 これをしょうよくづく。 しゃくじゅせざる、 これをそくづく。

↢是三種悪欲之↡↞害、是↢少欲↡。欲者名↢二十五愛↡。無↠有コト↢如キノ↠是二十五愛↡、是↢少欲↡。不↠求↢未↠来所欲之事↡、是↢少欲↡。↠著、是↢知足↡。不↠求↢恭敬↡、是↢少欲↡。↢積聚↡、是↢知足↡。

善男ぜんなん、 またしょうよくありそくづけず、 そくありしょうよくづけず、 やくしょうよくやくそくあり、 そくならずしょうよくならざるあり。 しょうよくはいはくしゅおんなり、 そくはいはくびゃくぶつなり、 しょうよくそくはいはく阿羅あらかんなり、 しょうよく不知ふちそくはいはゆるさつなり。

善男子、亦有↢少欲↡↠名↢知足↡、有↢知足↡↠名↢少欲↡、有↢亦少欲亦知足↡、有↢知足ナラ↡不↦少欲ナラ↥。少欲須陀洹ナリ、知足謂辟支仏ナリ、少欲知足者謂阿羅漢ナリ、不少欲不知足菩薩ナリ

善男ぜんなんしょうよくそくにまたしゅあり。 いちぜんぜんなり。 ぜんはいはゆるぼんなり、 ぜんしょうにんさつなり。 一切いっさいしょうにんどうといへどもみづからしょうせつせず、 しょうせつせざるゆゑにこころ悔恨かいこんせず、 これをそくづく。

善男子0921、少欲知足復有↢二種↡。一者善、二者不善ナリ。不善凡夫ナリ、善聖人・菩薩。一切聖人、雖↠得道果ミヅカ称説↡、不↢称説↡故↢悔恨↡、是↢知足↡。

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつだいじょうだいはんぎょうしゅじゅうしてぶっしょうんとおもふ、 このゆゑにしょうよくそくしゅじゅうすº と。

善男子、菩薩摩訶薩修↢習シテ大乗大涅槃経オモ↠見↢仏性↡、是修↢習スト少欲知足↡。

またはんづけてしゅうしょとす。 なにをもつてのゆゑに。 だい暴河ぼがただよふことあたはざるがゆゑに。 なんらをかとする。

又涅槃洲渚シウシヨ↡。何以故。四大暴河不ルガ↠能↠タヾヨフコト故。何ヲカ↠四

またつぎ善男ぜんなんしゅっにんしゅやまいあり、 このゆゑに沙門しゃもんず。 なんらかびょう、 いはく悪欲あくよくなり。 いちにはのためのよくにはじきのためのよくさんには臥具がぐのためのよくにはのためのよくなり。 これを悪欲あくよくづく。 これしゅっやまいなり。 りょうやくありてよくこのやまいりょうす。 いはく糞掃ふんぞうはよく比丘びく悪欲あくよくをなすをす、 乞食こつじきはよくじき悪欲あくよくをなすをす、 じゅはよく臥具がぐ悪欲あくよくす、 身心しんしん寂静じゃくじょうなるはよく比丘びくのための悪欲あくよくす。 このやくをもつてこのびょうのぞく、 これを聖行しょうぎょうづく。 かくのごときの聖行しょうぎょう、 すなはちづけてしょうよくそくとすることをるなり。

復次善男子、出家之人↢四種病↡、是↠得↢四沙門果↡。何四病、四悪欲ナリ。一ニハ↠衣欲、二ニハ↠食欲、三ニハ↢臥具↡欲、四ニハ↠有ナリ。是↢四悪欲↡。出家ナリ。有↢四良薬↡能↢是↡。謂糞掃フンザウ↣比丘スヲ↢衣悪欲↡、乞食スヲ↢食悪欲↡、樹下↢臥具悪欲↡、身心寂静ナル↢比丘↠有悪欲↡。以↢是四薬↡除↢是四病↡、是↢聖行↡。如キノ↠是聖行、則ルナリ↣名コトヲ↢少欲知足↡。

一切いっさい覚者かくしゃづけてぶっしょうとす。 十住じゅうじゅうさつづけて一切いっさいかくとすることをざるがゆゑに、 このゆゑにるといへども明了みょうりょうならず。 善男ぜんなんけんしゅあり。 いちには眼見げんけんには聞見もんけんなり。 諸仏しょぶつそんぶっしょうみそなはす、 たなごころのうちにおいて阿摩あまろくるがごとし。 十住じゅうじゅうさつぶっしょう聞見もんけんすれどもことさらに了々りょうりょうならず。 十住じゅうじゅうさつはただよくみづからさだめてのく多羅たらさんみゃくさんだいんことをりて、 一切いっさいしゅじょうことごとくぶっしょうありとることあたはず。

一切覚者↢仏性↡。十住菩薩ルガ↣名コトヲ↢一切覚↡故、是↠見↢明了ナラ↡。善男子、見↢二種↡。一眼見、二聞見ナリ。諸仏世尊ミソナハ↢仏性↡、如↧於↢掌↡観ルガ↦阿摩勒菓↥。十住菩薩聞↢見スレドモ仏性 サラ↢了了ナラ↡。十住菩薩タヾミヅカ↣定ムコトヲ↢阿耨多羅三藐三菩提↡↠能↠知コト↣一切衆生悉↢仏性↡。

善男ぜんなん、 また眼見げんけんあり、 諸仏しょぶつ如来にょらいなり、 十住じゅうじゅうさつぶっしょう眼見げんけんし、 また聞見もんけんあり、 一切いっさいしゅじょうない九地くじまではぶっしょう聞見もんけんす、 さつはもし一切いっさいしゅじょうことごとくぶっしょうありとけども、 こころしんしょうぜざれば聞見もんけんづけずº と。

善男子、復有↢眼見↡、諸仏如来ナリ、十住0922菩薩眼↢見仏性↡、復有↢聞見↡、一切衆生乃至九地マデハ聞↢見仏性↡、菩薩ケドモ↣一切衆生悉↢仏性↡、心レバ↠生↠信↠名↢聞見↡。

師子吼ししくさつ摩訶まかさつまうさく、 ªそん一切いっさいしゅじょう如来にょらい心相しんそうることをることあたはず、 まさにいかんがかんじてることをるべきやº と。

師子吼菩薩摩訶薩言、世尊、一切衆生↠能↠得コト↠知コトヲ↢如来心相↡、当云何 イカン ↟知コトヲ

ª善男ぜんなん一切いっさいしゅじょうじつ如来にょらい心相しんそうることあたはず、 もし観察かんざつしてることをんとおもはば因縁いんねんあり。 いちには眼見げんけんには聞見もんけんなり。 もし如来にょらいしょ身業しんごうたてまつらん、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを眼見げんけんづく。 もし如来にょらいしょごうかんぜん、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを聞見もんけんづく。

善男子、一切衆生↠能↠知コト↢如来心相↡、若オモ↢観察ムト↟知コトヲ↢二因縁↡。一眼見、二聞見ナリ。若タテマツラム↢如来所有身業↡、当↠知、是↢如来↡也、是↢眼見↡。若ゼム↢如来所有口業↡、当↠知、是則為↢如来↡也、是↢聞見↡。

もししきみょうること一切いっさいしゅじょうのともにひとしきものなけん、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを眼見げんけんづく。 もしおんじょうみょうさいしょうなるをかん、 しゅじょうしょおんじょうにはおなじからじ、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを聞見もんけんづく。

コト↢色メウ↡一切衆生ケムトモヒトシキ↡、当↠知、是則為↢如来↡也、是↢眼見↡。若カム↢音声微妙最勝ナルヲ↡、↠同ジカラ↢衆生所有音声ニハ↡、当↠知、是則↢如来↡也、是↢聞見↡。

もし如来にょらいしょ神通じんずうんに、 しゅじょうのためとやせん、 ようのためとやせん、 もししゅじょうのためにしてようのためならず、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを眼見げんけんづく。 もし如来にょらいかんずるにしんをもつてしゅじょうかんずるときようのためにき、 しゅじょうのためにかん、 もししゅじょうのためにしてようのためにせず、 まさにるべし、 これすなはち如来にょらいとするなり、 これを聞見もんけんづくº」 と。

ムニ↢如来所作神通↡、トヤ↢衆生↡、トヤ↢利養↡、若ニシテ↢衆生ナラ↢利養↡、当↠知↢如来↡也、是↢眼見↡。若ズルニ↢如来↡以↢他心智↡観ズル↢衆生トキ、為↢利養、為↢衆生カム、若ニシテ↢衆生↠為ニセ↢利養↡、当↠知↢如来↡也、是クト↢聞見↡。」

・如来性品

¬大般だいはつはんぎょう¼ のかんだいじゅう如来にょらいしょうぼんだいしち (北本巻一〇如来性品) にのたまはく、 「そのときそんすなはちきてのたまはく、 ªほんこんほんこんさんほうにこのことわりあることなしº と。

¬大般涅槃経¼巻第十「如来性品」第四之七、「爾世尊即説↠偈ノタマハク

0923本有今無  本無今有  三世有法  無有是處

しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 もし一切いっさいしゅじょうぶっしょうあらば、 ぶつしゅじょうとなんの差別しゃべつかましますや、 かくのごときせつおお過咎かぐあり。 もしもろもろのしゅじょうみなぶっしょうあり、 なんの因縁いんねんのゆゑにしゃほつとうしょうはんをもつてしてはつはんとする、 縁覺えんがくにんちゅうはんにおいてしてはつはんする、 さつにんだいはんにおいてしてはつはんす。 かくのごときらのにん、 もしおなじきぶっしょうなり、 なんがゆゑぞ如來にょらいはんおなじからずしてはつはんするやº と。

迦葉菩薩白シテ↠仏サク、世尊、若一切衆生有↢仏性↡、仏↢衆生↡有マスヤ↢何差別↡、如↠是↢過咎↡。若衆生皆有↢仏性↡、何因縁舍利弗等↢小涅槃般涅槃トスル、縁覺之人於↢中涅槃↡シテ般涅槃スル、菩薩之人於↢大涅槃般涅槃。如↠是人、若ジキ仏性ナリ、何↠同カラ↢如來涅槃シテ般涅槃スルヤ

ª善男ぜんなん諸仏しょぶつそんたまふところのはんは、 もろもろのしょうもん縁覺えんがくるところにはあらず。 このをもつてのゆゑに、 大般だいはつはんづけてぜんとす。 にもしぶつましまさずは、 じょうはんることなからましº と。

善男子、諸仏世尊↠得タマフ涅槃、非↢諸聲聞・縁覺ニハ↟得。以↢是↡故、大般涅槃↢善有↡。世マシマサズハ↠仏、↠無カラ↣二乘得コト↢二涅槃↡。

しょうまたまうさく、 ªこのいかんぞº と。

迦葉復マフサク、是義云何

ぶつのたまはく、 ªりょうへんそうこうに、 いまし一仏いちぶつましましてしゅつげんしてさんじょうかいしたまふ。 善男ぜんなん、 なんぢがふところのごとし、 さつじょう差別しゃべつなくは、 われまづこの如來にょらい密藏みつぞうだいはんなかにおいてすでにそのきたまへり、 ぜんあることなし。 なにをもつてのゆゑに。 もろもろの阿羅あらかんことごとくまさにこのだいはんべきがゆゑに。 このをもつてのゆゑに、 大般だいはつはんひっきょうらくあり、 このゆゑにづけて大般だいはつはんとすº と。

仏言、無量無邊阿僧祇劫マシマシテ↢一仏↡出↢現シテ↟世開↢示シタマフ三乘↡。善男子、如↢汝↟言、菩薩二乘無↢差別↡、我マヅ↢此如來密藏大涅槃↡已キタマヘリ↢其↡、無↠有コト↢善有↡。何。諸阿羅漢悉キガ↠得↢是大涅槃↡故。以↢是↡故、大般涅槃有↢畢竟樂↡、是↢大般涅槃↡。

しょうまうさく、 仏説ぶっせつのごときは、 われいまはじめて差別しゃべつる、 差別しゃべつ、 なにをもつてのゆゑに一切いっさいさつしょうもん縁覺えんがくらいにみなまさに大般だいはつはんすべしº と。

迦葉言サク、如↢仏説今始↢差別之義↡、無差別義、何一切菩薩・聲聞・縁覺、未來之世皆當↠歸↢大般涅槃↡。

ªたとへばしゅ大海だいかいするがごとし、 このゆゑにしょうもん縁覺えんがくにん、 ことごとくづけてじょうとす、 これじょうにあらず。 このをもつてのゆゑに、 また差別しゃべつありまた差別しゃべつなしº と。

↢衆流歸スルガ↢大海↡、是聲聞・縁覺之人、悉↠常、非↢是无常↡。以↢是↡故、亦有↢差別↡亦無シト↢差別↡。

しょうまうさく、 ªいかんがしょう差別しゃべつあるº と。

迦葉0924サク、云何性差別アルト

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなんしょうもんにゅうのごとし、 縁覺えんがくらくのごとし、 さつにん生熟しょうじゅくのごとし、 諸仏しょぶつそんはなほだいのごとし。 このをもつてのゆゑに、 だいはんなかしゅしょうきて差別しゃべつありº と。

ハク、善男子、聲聞↠乳、縁覺↠酪、菩薩之人如↢生熟蘇、諸仏世尊ナホ↢醍醐↡。以↢是↡故、大涅槃↢四種↢差別↡。

しょうまたまうさく、 ª一切いっさいしゅじょうしょうそういかんぞº と。

迦葉復言、一切衆生性相云何 イカン

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなんうしのごとし、 あたらしくにゅうけつしょうず、 いまだぼんしょうわかたず、 もろもろの煩惱ぼんのうぞうすることまたかくのごとしº」 と。

ノタマハク、善男子、如↠牛アタラシク↢乳血↡、未ワカ↢凡夫之性↡、雜スルコト↢諸煩惱亦復 マタ シト↠是。」

・大衆所聞品

また (北本巻一〇大衆所聞品) のたまはく、 「ª一切いっさいこうはかならずきょくあり。 一切いっさい叢林そうりんはかならず樹木じゅもくづく。 一切いっさい女人にょにんはかならず諂曲てんごくおおし。 一切いっさいざいなるはかならず安楽あんらくくº と。

又言、

「一切カウ  必↢廻曲↡ 一切ソウ  必名↢樹木

◗一切女人  必多↢諂曲↡  一切自在ナルハ  必受↢安楽

そのとき文殊もんじゅ師利しりさつ摩訶まかさつ、 すなはちよりちひとへにみぎひじかたぬみぎひざけて、 すすんで仏足ぶっそくらいしてきてまうさく、 ª一切いっさいかわかならずきょくあるにあらず。 一切いっさいはやしことごとく樹木じゅりんづくるにあらず。 一切いっさいにょかならず諂曲てんごくいだくにあらず。 一切いっさいざいなる、 かならずらくけず。

文殊師利菩薩摩訶薩、即ヨリカタヌ↢右ヒヂ↡右ケテ↠地スヽムデ礼↢仏足シテ↠偈サク

◗非↣一切河  必ルニ↢廻曲↡ 非↣一切林  悉クルニ↢樹木

◗非↣一切女  必懐クニ↢諂曲↡ 一切自在ナル  ↢必受↟楽

ぶつ所説しょせつ、 そのあり、 やや哀愍あいみんれてその因縁いんねんきたま。 なにをもつてのゆゑに。 そん、 この三千さんぜん大千だいせんかいにおいてしょあり、 拘耶尼くやにづく、 そのしょかわあり、 たんじきにしてまがらず、 しゃづく、 たとへば縄墨なわすみのごとし、 ただちに西海さいかいる。 このかわそうのごとき、 きょうなかにおいてぶついまだかつてきたまはず。 一切いっさい女人にょにんかならず諂曲てんごくいだくこと、 これまたあり。 なにをもつてのゆゑに。 また女人にょにんあり、 よくかいたもどくじょうじゅせりº」 と。

所説偈、其義有↠余、唯垂↢哀愍↡説キタマフ↢其因縁↡。何。世尊、於↢此三千大千世界↡有↠渚、名拘耶尼クヤニ↡、其↠河、タンニシテマガ、名↢娑婆↡、喩ヘバシテ縄墨ナワスミ↡、直↢西海↡。如↢是↡、於↢余経↡仏未カツキタマハ↡。 一切女人必クコト↢諂曲0925↡、亦有↠余。何。亦有↢女人↡、善↠戒功徳成就セリト。」

・聖行品1

じゅう三巻さんかん (北本巻一四聖行品) にのたまはく、 「どうほうなかじょうらくじょう摂取せっしゅすることあたはず。 善男ぜんなん、 まさにるべし、 心法しんぽうひつじょうしてじょうなり。 またつぎ善男ぜんなんしんしょうなるがゆゑにづけてじょうとす。 いはゆるしょうもんしんしょうなり、 縁覚えんがくしんしょうなり、 諸仏しょぶつしんしょうなり。 一切いっさいどうしん三種さんしゅあり。 いちにはしゅっしんにはざいしんさんにはざいおんしんらく相応そうおうしんなり、 相応そうおうしんなり、 不苦ふくらく相応そうおうしんなり、 貪欲とんよく相応そうおうしんなり、 しん相応そうおうしんなり、 愚痴ぐち相応そうおうしんなり。 一切いっさいどう心相しんそうまたなり、 いはゆる愚痴ぐち相応そうおうしんなり、 わく相応そうおうしんなり、 邪見じゃけん相応そうおうしんなり、 しん威儀いぎそのしんまたなり。」

十三巻言、「外道↠能↣摂↢取スルコト常楽我浄↡。善男子、当↠知、心法必定シテ无常ナリ。復次善男子、心性異ナルガ↢无常↡。↠謂声聞心性異ナリ、縁覚心性異ナリ、諸仏心性異ナリ。一切外道↢三種↡。一出家心、二在家心、三在家遠離心。楽相応心異ナリ、苦相応心異ナリ、不苦不楽相応心異ナリ、貪欲相応心異ナリ、瞋恚相応心異ナリ、愚痴相応心異ナリ。一切外道心相亦異ナリ、所↠謂愚痴相応心異ナリ、疑惑相応心異ナリ、邪見相応心異ナリ、進止威儀其心亦異ナリ。」

・聖行品2

じゅうかん (北本巻一四聖行品) にのたまはく、 「善男ぜんなん諸仏しょぶつそんみことしゅあり。 いちには世語せごにはしゅっなり。 善男ぜんなん如来にょらいもろもろのしょうもん縁覚えんがくのために世語せごきたまふ、 もろもろのさつのためにしゅっきたまふ。 善男ぜんなん、 このもろもろの大衆だいしゅにまたしゅあり。 いちには小乗しょうじょうもとむ、 にはだいじょうもとむ。 われむかし波羅奈はらなじょうにして、 もろもろのしょうもんのために法輪ほうりんてんず。 いまはじめてこの拘尸那くしなじょうにして、 もろもろのさつのためにだい法輪ほうりんてんじたまふ。

十四巻言ハク、「善男子、諸仏世尊ミコト↢二種↡。一世語、二ニハ出世ナリ。善男子、如来為↢諸声聞・縁覚↡説キタマフ↢於世語↡、為↢諸菩薩↡説キタマフ↢出世↡。善男子、是大衆復有↢二種↡。一者求↢小乗↡、二者求↢大乗↡。昔日 ムカシ 波羅奈城↡、為↢諸声聞↡転↢法輪↡。↢此拘尸那城↡、為↢諸菩薩↡転ジタマフ↢大法輪↡。

またつぎ善男ぜんなん、 またにんあり。 ちゅうこんじょうこんなり。 ちゅうこんにんのために波羅奈はらなにして、 法輪ほうりんてんず。 じょうこんにんにんちゅう象王ぞうおうしょうさつのためにこの拘尸那くしなじょうにして、 だい法輪ほうりんてんず。 善男ぜんなん0926ごくこんのものには如来にょらいつひにために法輪ほうりんてんぜず、 ごくこんのものはすなはち一闡いっせんだいなり。

復次善男子、復有↢二人↡。中根・上根ナリ。為↢中根↢波羅奈↡、転↢法輪↡。為↢上根人中象王迦葉菩薩等↢此拘尸那城↡、転↢大法輪↡。善男0926子、極下根ニハ如来終↣為↢法輪↡、極下根即一闡提ナリ

またつぎ善男ぜんなん仏道ぶつどうもとむるもの、 またしゅあり。 いちにはちゅうしょうじんにはじょうしょうじんなり。 波羅奈はらなにして、 ちゅうしょうじんのために法輪ほうりんてんじたまふ。 いまこのけん拘尸那くしなじょうにして、 じょうしょうじんのためにだい法輪ほうりんてんじたまふ。

復次善男子、求ムル↢仏道、復有↢二種↡。一中精進、二ニハ上精進ナリ↢波羅奈↡、為↢中精進↡転ジタマフ↢法輪↡。今↢此間拘尸那城↡、為↢上精進↡転ジタマフ↢大法輪↡。

善男ぜんなんあくしゅあり。 いちにはしゅにはにんちゅうなり。 にんちゅう三種さんしゅあくあり。 いちには一闡いっせんだいにはほう方等ほうどうきょうてんさんにはぼんじゅうきんなり。

善男子、悪↢二種↡。一阿修羅、二人中ナリ。人中↢三種悪↡。一一闡提、二誹謗方等経典、三犯四重禁ナリ

善男ぜんなん、 こののうちにじゅうせるもろもろのさつとう、 つひにかくのごときあくなかすることをおそれず、 また沙門しゃもん婆羅ばらもんどう邪見じゃけんてんじゅん おそれず、 またじゅう五有ごうくることをおそれず。 このゆゑにこのしょづく。

善男子、住セル↢是↡諸菩薩等、ツイオソ↠堕コトヲ↢如↠是↡、亦復↢沙門・婆羅門・外道邪見・天魔波旬↡、亦復↠畏↠受コトヲ↢二十五有↡。是↢無所畏↡。

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつ無畏むいじゅうして、 じゅう三昧ざんまいじゅう五有ごうす。

善男子、菩薩摩訶薩住シテ↢无畏地↡、得↢二十五三昧↡壊↢二十五有↡。

善男ぜんなん無垢むく三昧ざんまいてよくごくす、 退たい三昧ざんまいることありてよくちくしょうす、 しんぎょう三昧ざんまいることあればよく餓鬼がきす、 かん三昧ざんまいることあればよくしゅす、 日光にっこう三昧ざんまいることあればよくほつだいつ、

善男子、得↢无垢三昧↡能↢地獄↡、有↠得コト↢无退三昧↡能↢畜生↡、有レバ↠得コト↢心楽三昧↡能↢餓鬼↡、有レバ↠得コト↢歓喜三昧↡能↢阿修羅↡、有レバ↠得コト↢日光三昧↡能↢弗婆提↡、

月光がっこう三昧ざんまいることあればよくじゃつ、 熱炎ねつえん三昧ざんまいることあればよくうつたんおつつ、 如幻にょげん三昧ざんまいることあればよくえんだいつ、 一切いっさいほうどう三昧ざんまいることあればよくだい天処てんしょつ、 難伏なんぶく三昧ざんまいることあればよくさんじゅうさん天処てんしょつ、

レバ↠得コト↢月光三昧↡能ジヤ↡、有レバ↠得コト↢熱炎三昧↡能ウツタン↡、有レバ↠得コト↢如幻三昧↡能↢閻浮提↡、有レバ↠得コト↢一切法不動三昧↡能↢四大天処↡、有レバ↠得コト↢難伏三昧↡能↢三十三天処↡、

えつ三昧ざんまいることあればよくえんてんつ、 しょうしき三昧ざんまいることあればよくじゅつてんつ、 黄色おうしき三昧ざんまいることあればよく楽天らくてんつ、 しゃくしき三昧ざんまいることあればよく他化たけざいてん0927つ、 びゃくしき三昧ざんまいることあればよく初禅しょぜんつ、

レバ↠得コト↢悦意三昧↡能↢炎摩天↡、有↠得↢青色三昧↡能↢兜術天、有↠得↢黄色三昧↡能↢化楽天↡、有レバ↠得コト↢赤色三昧↡能↢他化自在天0927↡、有レバ↠得コト↢白色三昧↡能↢初禅↡、

種々しゅじゅ三昧さんまいることあればよくだい梵王ぼんのうつ、 そう三昧ざんまいることあればよくぜんつ、 らいおん三昧ざんまいることあればよく三禅さんぜんつ、 ちゅう三昧ざんまいることあればよくぜんつ、 にょくう三昧ざんまいることあればよくそうつ、

レバ↠得コト↢種種三昧↡能↢大梵王↡、有↠得コト↢双三昧↡能↢二禅↡、有レバ↠得コトライ音三昧↡能↢三禅↡、有↠得コト↢注雨三昧↡能↢四禅↡、有レバ↠得コト↢如虚空三昧↡能↢無想↡、

照鏡しょうきょう三昧ざんまいることあればよくじょう阿那あなごんつ、 無礙むげ三昧ざんまいることあればよく空処くうしょつ、 じょう三昧ざんまいることあればよく識処しきしょつ、 らく三昧ざんまいることあればよくようしょつ、 三昧ざんまいることあればよくそう非々ひひ想処そうしょつ。

有↠得↢照鏡三昧↡能↢浄居阿那含↡、有↠得コト↢无三昧↡能↢空処↡、有↠得↢常三昧↡能↢識処↡、有レバ↠得コト↢楽三昧↡能↢不用処↡、有↠得↢我三昧↡能↢非想非非想処↡。

善男ぜんなん、 これをさつじゅう三昧ざんまいじゅう五有ごうつとづく。 善男ぜんなん、 かくのごときじゅう三昧ざんまいしょ三昧ざんまいおうづく」 と。

善男子、是↧菩薩↢二十五三昧↡断ツト↦二十五有↥。善男子、如↠是二十五三昧クト↢諸三昧↡。」

・梵行品1

じゅうかん (北本巻一五梵行品) にのたまはく、 「なんらをかづけてじゅきょうとすると。 きょうりつにあるがごとし。 如来にょらいきたまふとき、 もろもろの大人だいにんのためにぶつべつく。 なんぢいっらいおうあるべし、 づけてじょうきゃといはん。 まさにこのにして仏道ぶつどうるべし、 ごうしてろくといはん。 これをじゅきょうづく。 なんらをかづけて伽陀かだきょうとするやと。 しゅ多羅たらおよびもろもろの戒律かいりつのぞきて、 そのせつあり、 四句しくなり。 いはゆる ª諸悪しょあくつくることなし、 諸善しょぜんぎょうすべし。 みづからそのきよくする、 これ諸仏しょぶつおしえなりº」 と。

十五巻言、「ヲカルト↢授記経↡。如↠有↢経律↡。如来説タマフ、為↢諸大人↡受↢仏記莂↡。汝阿逸多未来有ルベシ↠王、名ハムジヤウキヤ↡。当↢是世↡シテ↦仏道↥、号シテハムト↢弥勒↡。是↢授記経↡。ヲカ伽陀カダ。除キテ↢修多羅及諸戒律↡、其↠説、四句之偈ナリ↠謂

諸悪莫↠作コト  諸善奉行スベシ  自浄クスル↢其諸仏ナリト

・梵行品2

じゅう七巻しちかん (北本巻一七梵行品) にのたまはく、 「しょうまたまうさく、 ªそん第一だいいちたいをまたづけてどうとす、 まただいづく、 またはんづくº」 と。

十七巻言、「迦葉復言、世尊、第一義諦亦名↠道、亦名↢菩提↡、亦名↢涅槃↡。」

・徳王品1

巻第かんだいじゅうこう徳王とくおうさつぼん」、 だいじゅう (北本第二五徳王品) にのたまはく、 「善男ぜんなん第一だいいち真実しんじつぜんしきは、 いはゆるさつ諸仏しょぶつなり。 そん、 なにをもつてのゆゑに。 つねに三種さんしゅ善調ぜんどうをもつてのゆゑに。 なんらかさんとする。 いちにはひっきょうなんにはひっきょうしゃくさんにはなんしゃくなり。 このをもつてのゆゑに、 さつ諸仏しょぶつすなはちこれ真実しんじつぜんしきなりと。

0928第二十五「高貴徳王菩薩品」、第十之五言、「善男子、第ヰチ真実善知識↠謂菩薩・諸仏ナリ。世尊、何。常↢三種善調御↡故。何↠三。一畢竟ナンヤハラカナルコトバ、二畢竟 イサカヒシヤクセム 、三軟語呵責ナリ。以↢是↡故、菩薩・諸仏即是真実善知識ナリ

善男ぜんなん、 いかんがさつ除断じょだんする。 いはゆるおんしきじゅそうぎょう識所しきしょなり。 おんといふはそのいかん。 いはくよくしゅじょうをしてしょう相続そうぞくせしむ、 じゅうたんはなれずして分散ぶんさん聚合じゅごうしてさんせっせらる、 その義理ぎりもとむるにさとり不可ふかとくなり。 このもろもろのをもつてのゆゑにづけておんとす。 さつ摩訶まかさつ色陰しきおんるといへどもそのそうず。 なにをもつてのゆゑに。 十色じっしきなかにおいてそのしょうすいするにことごとく不可ふかとくなり、 かいのためのゆゑにきてのたまはく、 陰受おんじゅをなすにひゃくはちあり、 受陰じゅおんるといへどもはじめに受相じゅそうなし。 なにをもつてのゆゑに。 じゅひゃくはちなりといへどもじょうじつなし。 このゆゑにさつ受陰じゅおんず。 そうぎょう識等しきとうもまたかくのごとし。

善男子、云何 イカン 菩薩除↢断スル五事↡。↠謂五陰、色・受・想・行・識所ナリ。言↠陰イカンゾ。謂↢衆生ヲシテ生死相続↡、シテ↠離↢重担ニナフ↡分散聚合シテ三世↠摂、求ムルニ↢其義理サトリ不可得ナリ。以↢是↡故↠陰。菩薩摩訶薩雖↠見↢色陰↠見↢其↡。何。於↢十色スイ↢求スルニ↡悉不可得ナリ、為↢世界↡故ハクスニ↢陰受↡有↢百八↡、雖↠見↢受陰↡初↢受相↡。何。受↢百八ナリト↡理無↢定実↡。是菩薩↢受陰↡。想・行・識等亦復 マタ ↠是

さつ摩訶まかさつふかおんる、 これ煩悩ぼんのうしょうずる根本こんぽんなり。 このをもつてのゆゑに方便ほうべんしてだんぜしむ。

菩薩摩訶薩深↢五陰↡、ズル↢煩悩↡之根本也。以↢是↡故方便シテ↠断

いかんぞさつ五事ごじおんする。 いはゆるけんなり。 なんらをかとする。 いちには身見しんけんには辺見へんけんさんには邪見じゃけんには戒取かいしゅけんには見取けんしゅなり。 このけんによりてろくじゅうけんしょうず、 この諸見しょけんによりてしょうえず。 このゆゑにさつこれをふせぎてちかづかず。

云何菩薩遠↢離スル五事↡。↠謂五見ナリヲカ↠五。一身見、二辺見、三邪見、四戒取見、五見取ナリ。因↢是五見↡生↢六十二見↡、因↢是諸見↡生死↠絶。是菩薩フセギテ↠之チカヅ

いかんがさつろくじょうじゅする。 いはくろく念処ねんじょなり。 なんらかろくとする。 いちには念仏ねんぶつには念法ねんぽうさんには念僧ねんそうには念天ねんてんにはねんろくには念戒ねんかいなり。 これをさつろくじょうじゅすとづくるなり。

云何 ン菩薩成↢就スル六事↡。ハク六念処ナリ。何↠六。一念仏、二念法、三念僧、四念天、五念施、六0929念戒ナリ。是クルナリ↣菩薩成↢就スト六事↡。

さつ一法いっぽうしゅす。 いかんがさつ四事しじ親近しんごんする。 いはくりょうしんなり。 なんらかとする。 いちにはだいにはだいさんにはだいには大捨だいしゃなり。 このしんによりてよくりょうへんしゅじょうをして提心だいしんほっせしむ。 このゆゑにさつしん親近しんごんせしむ。 いかんがさつ一実いちじつしんじゅんする。 さつりょうするに一切いっさいしゅじょうはみな一道いちどうせしめんとなり。 一道いちどうはいはくだいじょうなり。 いはくぶつさつしゅじょうのためのゆゑにこれをわかちてさんとす。 このゆゑにさつぎゃくしんじゅんするなり」 と。 已上抄出

菩薩守↢護一法↡。云何 ン菩薩親↢近スル四事↡。謂ハク四無量心ナリ。何↠四。一大慈、二大悲、三大喜、四大捨ナリ。因↢是四心↡能↣無量無辺衆生ヲシテ↢菩提心↡。是菩薩繋心親近セシム云何 ン菩薩信↢順スル一実↡。菩薩了知スルニ一切衆生セシメムトナリ↢一道↡。一道大乗也。謂仏・菩薩為↢衆生↡故↠之↠三。是菩薩信↢順スルナリト不逆↡。」已上抄出

・徳王品2

じゅう七巻しちかん (北本巻二六徳王品) にのたまはく、 「善男ぜんなん一闡いっせんしんづく、 だい不具ふぐづく。 不具ふぐしんのゆゑに一闡いっせんだいづく。 一闡いっせんじょうづく、 だい不具ふぐづく。 じょう不具ふぐのゆゑに一闡いっせんだいづく」 と。

二十七巻言、「善男子、一闡↠信、提↢不具↡。不具信↢一闡提↡。 一闡↠定、提↢不具↡。定不具↢一闡提↡。」

・師子吼品2

じゅう八巻はっかん (北本巻二八師子吼品) にのたまはく、 「またいんあり、 いはくしょうぼうくなり。 ちょうしょうぼうといふはこれまたいんあり、 いはくぜんちかづくなり。 ぜんちかづくといふはこれまたいんあり、 いはゆる信心しんじんなり。 信心しんじんといふはこれまたいんあり、 いんしゅあり。 いちにはちょうほうにはゆいなり。 善男ぜんなん信心しんじんちょうほうによる、 ちょうほう信心しんじんによる。 かくのごときほう亦因やくいん亦因やくいんいんなり、 やくやくなり。

二十八巻言、「亦有↠因、謂ナリ↢正法↡。聴正法トイフ亦有↠因、謂ヅクナリ↢善友↡。近クトイフ↢善友亦有↠因、↠謂信心ナリ。有信心トイフ亦有↠因、因↢二種↡。一聴法、二ニハ思惟ナリ。善男子、信心↢於聴法↡、聴法↠於↢信心↡。如↠是二法亦因亦因ナリ、亦果亦果ナリ

善男ぜんなんいんしゅあり。 いちにはしょういんにはりょういんなり。 よくほうしょうずるはこれをしょういんづく、 ともしびのよくものりょうするがごとし、 ゆゑにりょういんづく。 煩悩ぼんのう諸結しょけつこれをしょういんづく、 しゅじょう父母ぶもこれをりょういんづく。 こくとうのごとしこれをしょういんづく、 すいふんとうこれをりょういんづく。

善男子、因↢二種↡。一生因、二了因ナリ。能ズル↠法↢生因↡、如↢灯スルガ↟物、故↢了因↡。煩悩諸結是↢生因↡、衆生父母是↢了因↡。如コク子等↡是↢生因↡、地・水・フンクソ等是↢了因↡。

善男ぜんなん、 たとへばひとありふでかみすみあり、 ごうすればじょうじてこのかみなかにもとあることなし、 もとなきをもつてのゆゑにえんしてじょうずるがごとし。

善男子、譬ヘバ↧有↠人有↢筆・紙・墨↡、和合スレバ成↠字ジテ0930↠有コト↠字、以↡故仮縁シテズルガ↥。

善男ぜんなん、 たとへばしゅじょうじきによりてみょう、 しかるにこのじきなかじつみょうあることなし、 もしもとみょうあらばいまだじきせざるときにもじきこれみょうなるべきがごとし。 善男ぜんなん一切いっさい諸法しょほう、 もとしょうあることなし、 このをもつてのゆゑにわれこのかく、 ªほんこんほんこんさんほうにこのことわりあることなしº と。 善男ぜんなん一切いっさい諸法しょほう因縁いんねんのゆゑにしょうず、 因縁いんねんのゆゑにめっす。

善男子、譬如↣衆生↠食↠命、而↠有コト↠命、若ラバ↠命未↠食ニモキガ↢是命ナル↡。善男子、一切諸法、↠有コト↠性、以↢是義↡故我カク↢是↡、
  本無今有 本有今無 三世有法 無有是処
善男子、一切諸法因縁、因縁

もろもろのさつだい退転たいてんせしむるに、 また六法ろっぽうありてだいしんす。 なんらかろくとする。 いちにはほうおしむ、 にはもろもろのしゅじょうにおいて善心ぜんしんおこす、 さんにはあく親近しんごんする、 にはしょうじんつとめざる、 にはだいきょうまんなる、 ろくにはごうようするなり。 かくのごとき六法ろっぽうすなはちよくだいしんす。

ムルニ↣諸菩薩退↢転菩提↡、復有↢六法↡壊↢菩提心↡。何↠六。一オシ↠法、二↢諸衆生↡起↢不善心↡、三親↢近スル悪友↡、四↠勤↢精進↡、五自大憍慢ナル、六ヰヤウイトナムスルナリ世業。如↠是六法則破↢壊菩提之心↡。

善男ぜんなん、 またほうあり、 だいしん退たいす。 なんらかとする。 いちにはこのみてどうにありてづ、 にはだいしんしゅせざる、 さんにはこのみてほっざいもとむる、 にはつねに楽処らくしょにしてしょうにある、 にはじゅう二部にぶきょうじゅ読誦どくじゅ書写しょしゃせつすることをよろこばざる、 これをほうづく。 だいしん退たいするにまたほうあり、 だいしん退たいす。 なんらかとする。 いちにはよくとんぎょうする、 には三宝さんぼうぎょうそんじゅうすることあたはざるなり。 かくのごときらのもろもろ因縁いんねんをもつてのゆゑにだいしん退たいするなり」 と。

善男子、復有↢五法↡、退↢菩提心↡。何等↠五。一コノミテ↢外道↡出、二↠修↢大慈↡、三コノミテムル↢法師過罪↡、四楽処ニシテ↢生死↡、五ヨロコ↰受↢持読↣誦書↤写解↯説スルコトヲ十二部経↡、是↢五法↡。退スルニ↢菩提心↡復有↢二法↡、退↢菩提心↡。↠二。一トンゲウスル五欲↡、二ルナリ↠能↤恭↢敬尊↣重スルコト三宝↡。以↢如↠是因縁↡故退スルナリ↢菩提心↡。」

・師子吼品3

巻第かんだいさんじゅういち師子ししさつぼん」 のだいじゅういち (北本巻三一師子吼品) にのたまはく、 「師子ししまうさく、 ªそんきょうなかくがごとし、 もし毘婆びばしゃよく煩悩ぼんのうす、 なんのゆゑぞまたしゃ摩他またしゅするやº と。

巻第三十一「師子吼菩薩品」第十一之五言、「師子吼マフサク、世尊、如↢経↡、若毘婆舎那能↢煩悩↡、何復修スル↢奢摩他

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなん、 なんぢ毘婆びばしゃ煩悩ぼんのうすとはば、 このしからず。 なにをもつてのゆゑに。 智慧ちえあるときはすなはち煩悩ぼんのうなし、 煩悩ぼんのうあるときはすなはち智慧ちえなし、 いかんして毘婆びばしゃよく煩悩ぼんのうすとはんや。

ハク、善男0931子、↣毘婆舎那破スト↢煩悩、是↠然。何。有↢智慧↡則無↢煩悩↡、有↢煩悩↡↢智慧↡、云何 イカン シテハムヤ↣毘婆舎那能スト↢煩悩↡。

善男ぜんなん、 たとへばみょうなるときあんなし、 あんなるときみょうなきがごとし。 もしあるがきていはく、 みょうよくあんす、 このことわりあることなけん。

善男子、譬ヘバ↢明ナル↠闇、闇ナル↟明。若ルガキテハク、明能↠闇、無ケム↠有コト↢是↡。

善男ぜんなん、 たれか智慧ちえありたれか煩悩ぼんのうありて智慧ちえよく煩悩ぼんのうすとふ。 もしそれなくはすなはちするところなけん。

善男子、↢智慧↡↢煩悩↡↣智慧能スト↢煩悩↡。モシソレケム↠破スル

善男ぜんなん、 もし智慧ちえよく煩悩ぼんのうすとふはいたらんためのゆゑなり、 いたらざるゆゑにす、 もしするにいたらざるはぼんなり、 しゅじょうすなはちよくすべし、 もしいたるがゆゑにせばはじめねんすべし、 もしはじめねんせずはのちにまたせじ、 もしはじめいたらばすなはちすべし、 これすなはちいたらざらん、 いかんがきて智慧ちえよくすとふや、 もしとうとうとよくすとはば、 このしからず。 またつぎ毘婆びばしゃ煩悩ぼんのうせば、 ひとりよくすとせん、 ともにことさらにすとやせんº と。

善男子、若フハ↣智慧能スト↢煩悩↡為↠到ラムナリ、破不↠到、若↠到↠破スルニ凡夫ナリ、衆生則応↢能↡、若ルガ↠破、若↠破↠破、若ラバ便破スベシ、是則不ラム↠到云何 イカン フヤ↢智慧能スト↡、若↧到↢不到↡而能スト、是↠然。復次毘婆舎那破↢煩悩↢独スト↡、ムト↢伴コトサラストヤ↡。

ª善男ぜんなん一切いっさい諸法しょほうしゅめつあり。 いちにはしょうめつにはひっきょうめつなり。 もししょうめつは、 いかんして智慧ちえよくめっすとのたまふや。 もし智慧ちえよく煩悩ぼんのうめっすとふはものくがごとし、 このしからず。 なにをもつてのゆゑに。 ものくにすなはちじんあるがごとし。 智慧ちえもししからばじんのあるべし。 おのするがごとし、 するところに智慧ちえるべし。 もししからばなんぞるべきことあらん。 もしよく煩悩ぼんのうはなれしめば、 かくのごとき煩悩ぼんのうしょげんずべし。

善男子、一切諸法↢二種滅↡。一ニハ性滅、二ニハ畢竟滅ナリ。若性滅云何 イカン シテノタマフヤ↢智慧能スト↡。若フハ↣智慧能スト↢煩悩↡如↢火クガ↟物、是シカ。何。如クニ↠物ルガジム↡。智慧若ラバ↠有↢余燼↡。如オノスルガ↟樹、破スル↠見↢智慧↡。若ラバラム↢何コト↟見↠慧。若↢煩悩ハナ、如↠是煩悩応↢余処現↡。

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつほうそくしてよくおほきにやくす。 いちにはじょうにはなり。 善男ぜんなんさつ摩訶まかさつこのほうしゅすればよくおほきにやくす。

善男子、菩薩摩訶薩具↢足シテ二法↡能利益。一ニハ定、二ニハナリ 善男子、菩薩摩訶薩修レバ↢是二法↡能利益

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつこのほうしゅしてこん調じょうしょうしゅかんにんす。

善男子、菩薩摩訶薩修シテ↢是二法調デウトヽノエ五根カン↢忍タエシノブ衆苦0932↡。

つねにそのこころせっして放逸ほういつせしめず、 ようのためにほうぎょうぜしめず。 きゃくじん煩悩ぼんのうけがすことあたはざるところなり、 諸邪しょじゃけんまどわすところたらず、 つねによくもろもろのあく覚観かくかんおんす、 ひさしからずしてのく多羅たらさんみゃくさんだいじょうじゅせん、 しゅじょうじょうじゅやくせんとおもふがゆゑなり。

シテ↢其↠令↢放逸↡、↧為↢利養↡行↢非法↡。客塵ヨウジン煩悩所ナリ↠不↠能↠汚コト↢諸邪異見マドワ、常遠↢離悪覚観↡、シテ↠久成↢就セム阿耨多羅三藐三菩提↡、為↠欲フガ↤成↢就利↣益セムト衆生ナリ

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつこのほうしゅするに、 とう暴風ぼふすいどうすることあたはざることしゅせんのごとし、 ふうすいするところたりといへどもどうぜしむることあたはず。

善男子、菩薩摩訶薩修スルニ↢是二法↡、四倒暴風不ルコト↠能スイフクドウスルコト↡如↢須弥山↡、雖リト↣四風之スイツヾミスル↠能↠令コト↠動

善男ぜんなん、 もしさつ摩訶まかさつありてよくじょう慧時えじる、 これをさつ摩訶まかさつだいどうぎょうずとづくº と。 師子ししまうさく、 ªそん、 いかんがさつ非時ひじるº と。

善男子、若↢菩薩摩訶薩↡↢定時・慧時↡、是↣菩薩摩訶薩行ズト↢菩提道↡。師子吼サク、世尊、云何菩薩知ルト↢時・非時↡。

ª善男ぜんなんさつ摩訶まかさつらくくるによりてだいきょうまんしょうず、 あるいは説法せっぽうによりてきょうまんしょうず、 あるいはしょうじんによりてきょうまんしょうず、 あるいはさとりよく問答もんどうするときによりてきょうまんしょうず、 あるいはあくしき親近しんごんするによるがゆゑにきょうまんしょうず、 あるいは布施ふせしょじゅうものによりてきょうまんしょうず、 あるいはけん善法ぜんぽうどくとによりてきょうまんしょうず、 あるいはけんごうにんぎょうせらるるによるがゆゑにきょうまんしょうず。 まさにすべし、 そのときによろしくしゅせずしてよろしくじょうしゅすべし、 これをさつ非時ひじるとづく。 もしさつごんしゅしょうじんあれどもいまだやくはんらくず、 ざるをもつてのゆゑにしんしょうず、 鈍根どんこんをもつてのゆゑにじょう諸根しょこんしょ煩悩ぼんのう勢力せいりきさかりなるを調じょうぶくすることあたはざるがゆゑに、 みづから戒律かいりつうたがひて羸損るいそんあるがゆゑに。 まさにるべし、 そのときによろしくじょうしゅせずしてよろしくしゅすべし、 これをさつ非時ひじるとづく。

善男子、菩薩摩訶薩↠受クル↠楽↢大憍慢↡、或↢説法↢憍慢↡、或↢精進↢憍慢↡、或↢解↠義問答スル↢憍慢↡、或↣親↢近スルニ悪知識↡故而生↢憍慢↡、或↢布施所重之物↢憍慢↡、或↢世間善法功徳トニ↢憍慢↡、或ルガ↣世間ガウ貴之人ルニ↢恭敬↡故而生↢憍慢↡。当↠知、爾時シテ↢宜シク↟智シク↠修↠定、是↣菩薩ルト↢時・非時↡。若レドモ↢菩薩勤修精進↡未↠得↢利益涅槃之楽↡、以↠不↠得故↢悔心↡、以ドン根↡故ルガ↠能調デウ↢伏スルコト五情諸根諸垢煩悩勢力盛ナルヲ↡故、自ウタガ↢戒律↡有ルガ羸損ルイソン↡故。当↠知、爾時シテ↢宜シク修↟定シク↠修↠智、是↣菩薩知ルト↢時・非時↡。

善男ぜんなん、 もしさつじょうほうびょうどうならざることあらば、 まさにるべし、 そのときによろしくしゃしゅすべからず、 ほうもしひとしくはすなはちよろしくこれをしゅすべし、 これをさつ非時ひじるとづく。

善男子、若↣菩薩定慧二法不ルコト↢平等ナラ、当↠知、爾時0933↠宜シクカラ↠修↠捨、二法若シクハ則宜シクシ ↠修↠之、是↣菩薩知ルト↢時・非時↡。

善男ぜんなん、 もしさつありてじょうしゅじゅうせんに、 煩悩ぼんのうおこさば、 まさにるべし、 そのときよろしくしゃしゅすべからず、 よろしくじゅう二部にぶきょう読誦どくじゅ書写しょしゃせつ念仏ねんぶつ念法ねんぽう念僧ねんそう念戒ねんかい念天ねんてん念捨ねんしゃすべし、 これをしゃしゅすとづ。

善男子、若↢菩薩↡修↢習セムニ定慧↡、起↢煩悩、当↠知、爾時↠宜シクカラ↠修↠捨、宜シク↯読↢誦書↣写解↤説十二部経・念仏・念法・念僧・念戒・念天・念捨、是↠修スト↠捨

善男ぜんなんぶつじゅうりきなか業力ごうりきもつともふかし。 善男ぜんなん、 もろもろのしゅじょうありて、 業縁ごうえんなかにおいて、 こころかるくしてしんぜざらん、 かれをせんがためのゆゑにかくのごときのせつすなり。

善男子、仏十力業力最トモフカ。善男子、有↢諸衆生↡、於↢業縁↡、心軽クシテラム↠信↠度セムガ↠彼スナリ↢如↠是↡。

善男ぜんなん一切いっさいごうきょうありじゅうあり。 軽重きょうじゅうごう、 またおのおのあり。 いちにはけつじょうにはじょうなり。 善男ぜんなん、 あるいはひとありていはく、 悪業あくごうなしと。 もし悪業あくごうさだめてありといはば、 いかんが気嘘けこせん陀羅だらてんしょうずることをん、 鴦崛おうくつ摩羅まらだつ。 このをもつてのゆゑに、 まさにるべし、 ごうじょうじょうることあり、 われかくのごときの邪見じゃけん除断じょだんせんがためのゆゑにきょうなかにおいてかくのごときのけり、 一切いっさいごうざることなしと。

善男子、一切作業↠軽有↠重。軽重二業、復各↠二。一決定、二不定ナリ。善男子、或↠人言、悪業シト↠果。若↢悪業定↟果云何 イカン 気嘘旃陀羅而↠生コトヲ↠天、鴦崛摩羅↢解脱↡。以↢是↡故、当↠知、作業↢定↠果不定コト↟果↣除↢断セムガキノ↠是邪見↡故↢経↡説ケリ↢如↠是語↡、一切作業無↠不ルコト↠果

善男ぜんなん、 あるいはじゅうごうあり、 かるくなすことを、 あるいはきょうごうあり、 おもくなすことをべし。 一切いっさいにんただ愚智ぐちあるに、 このゆゑにまさにるべし、 一切いっさいごうことごとくさだめてるにあらず、 さだめてずといへどもまたざるにあらず。

善男子、或↢重業↡、可↠作コトヲ↠軽、或↢軽業↡、可↠作コトヲ↠重。非↣一切人タヾ↢愚智↡、是↠知、非↢一切業悉ルニ↟果、雖↢定亦非↠不ルニ

善男ぜんなん一切いっさいしゅじょうにおよそしゅあり。 いちにはにんには愚痴ぐちなり。 有智うちにん智慧ちえちからをもつてよくごくごくじゅうごうをしてげんかるけしむ、 愚痴ぐちにんげんきょうごうをしてごくにしておもくº と。

善男子、一切衆生↢二種↡。一智人、二愚痴ナリ。有智之人↢智慧↡能↢地獄極重之業ヲシテ現世↡、愚痴之人現世軽業ヲシテ地獄ニシテ

師子吼ししくまうさく、 ªそん、 もしかくのごときならば、 すなはち清浄しょうじょうぼんぎょうおよびだつもとむべからずº と。

師子吼言、世尊、若キナラ↠是、則↠応↠求↢清浄梵行及解脱↡。

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなん、 もし一切いっさいごうさだめてば、 すなはちぼんぎょうだつもとむべからず、 じょうをもつてのゆゑにすなはちぼんぎょうおよびだつしゅせよ。

ノタマハク、善男子、若一切業定↠果、則↠応↠求↢梵行解0934↡、以↢不定↡故セヨ↢梵行及解脱↡。

善男ぜんなん、 もしよく一切いっさい悪業あくごうおんせば、 すなはちぜんん、 もし善業ぜんごうとおざからば、 すなはちあくん。 もし一切いっさいごうさだめてば、 すなはちもとめてしょうどうしゅじゅうすべからず、 もしどうしゅせず、 すなはちだつなけん。 一切いっさいしょうにんどうしゅするゆゑは、 じょうごうしてきょうほうんためのゆゑなり。 じょうごうほうなきがゆゑに、 もしいっさいごうさだめてば、 すなはちもとめてしょうどうしゅじゅうすべからず、 もしひとしょうどうしゅじゅうすることをおんしてだつば、 このことわりあることなけん。 だつはんずは、 またこのことわりなけん。

善男子、若遠↢離セバ一切悪業↡、則得↢善果↡、若トオザカラバ↢善業↡、則↢悪果↡。若一切業定↠果、則カラ↣求修↢習聖道↡、若↠修↠道、則ケム↢解脱↡。一切聖人所↢以 ユヘ スル↟道、為↧壊シテ↢定業↡得↦軽報ナリ。不定之業キガ↢果報↡故、若一切業定↠果、則↠応↣求修↢習聖道↡、若人遠↣離シテ修↢習スルコトヲ聖道↢解脱、無ケム↠有コト↢是 ハリ↡。↢解脱↦涅槃、亦無ケム↢是↡。

善男ぜんなん、 もし一切いっさいごうさだめてば、 いっしょじゅんぜんごう、 まさにながすでにつねに安楽あんらくくべし。 いっしょいんじゅう悪業あくごう、 またながくすでにだいのうごうくべし。 もししからばすなはちどうしゅするだつはんひとなけん。

善男子、若一切業定↠果、一世所作ジユン善之業、↣当↢安楽↡。一世所作イン悪業、亦↣永↢大苦悩業果↡。若ラバ則無ケム↢修スル↠道解脱涅槃人↡。

善男ぜんなんごうしゅあり。 じょうともつてじょうとなり。 じょうごうあり。 いちにはほうじょうにはじょうなり。 あるいはほうじょうありてじょうなり、 えんがっすればすなはちく。 あるいは二時にじく。 いはゆる現受げんじゅしょうじゅじゅなり。

善男子、業↢二種↡。定不定トナリ。定業↠二。一報定、二時定ナリ。或↢報定↡不定ナリ、縁合スレバ則受。或二時↠謂現受・生受・後受ナリ

善男ぜんなん、 もしじょうしん善悪ぜんあくとうごうす、 しおはりてふか信心しんじんかんしょうぜん。 もし誓願せいがんおこして三宝さんぼうようす、 これをじょうごうづく。

善男子、若定心↢善悪等↡、作ゼム↢信心歓喜↡。若シテ↢誓願↡供↢養三宝↡、是↢定業↡。

善男ぜんなんしゃ善根ぜんごんふかかたくしてどうじがたし、 このゆゑによくじゅうごうをしてきょうにならしむ。 愚痴ぐちにんぜんふかあつくして、 よくきょうごうをしてじゅうほうになさしむ。 このをもつてのゆゑに、 一切いっさい諸業しょごうけつじょうづけず。 さつ摩訶まかさつごくごうなけれども、 しゅじょうのためのゆゑにだい誓願せいがんおこしてごくなかしょうず。

善男子、智者善根深カタクシテ↠動、是↢重業ヲシテ↟軽。愚痴之人不善深クシテ、能↣軽業シテ↢重報↡。以↢是↡故、一切諸業↠名↢決定↡。菩薩摩訶薩ケレドモ↢地獄業↡、為↢衆生↡故シテ↢大誓願↡生↢地獄↡。

善男ぜんなんおうじゃくしゅじょう寿いのちひゃくねんとき恒沙ごうじゃしゅじょうごくほうく。 われこれをおはりてすなはち大願だいがんおこして、 ごくく。 さつそのときに、 じつにこのごうなけれども、 しゅじょうのためのゆゑにごくく。 われそのときにおいて、 ごくなかにありてりょうさいて、 もろもろの罪人ざいにんのためにじゅう二部にぶきょう広開こうかい分別ふんべつす。 諸人しょにんきおはりてあくほうしてごくむなしからしむ、 一闡いっせんだいのぞく、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらずのちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、往昔衆生寿百年時、恒沙衆生受↢地獄0935↡。↠是即発シテ↢大願↡、受↢地獄↡。菩薩爾、実ケレドモ↢是業↡、為↢衆生↡受↢地獄↡。↢爾↡、在↢地獄↡経↢無量歳↡、為↢諸罪人↡広↢開分↣別十二部経↡。諸人↢悪果報↢地獄ムナシカラ↡、除↢一闡提↡、是↧菩薩摩訶薩非↢現生クト↦是悪業↥。

またつぎ善男ぜんなん、 この賢劫げんごうなかりょうしゅじょうちくしょうなかして悪業あくごうく。 われこれをおはりてまた誓願せいがんおこしてほうしゅじょうせんとおもふがためのゆゑなり、 あるいはしょう鹿ろく鴿こうこうりゅうこんちょうぎょべつじゃとなる。

復次善男子、是賢劫無量衆生堕シテ↢畜生↡受↢悪業果↡。我↠是復発シテ↢誓願↡為↠欲フガ↣説↠法ムト↢衆生↡故ナリ、或シヤウカモシヽ鹿 ロク カノシヽ・羆クマ・鴿ハト・獼猴・竜・金翅鳥・魚・ ベチ ウミノカメウサギ・蛇・牛・馬之身↡。

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつじつにかくのごときのちくしょう悪業あくごうなけれども、 だい願力がんりきをもつてしゅじょうのためのゆゑにげんにこのけしむ、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、菩薩摩訶薩ケレドモ↢如↠是畜生悪業↡、以↢大願力↡為↢衆生↡故ケシム↢是↡、是↧菩薩摩訶薩非ドモ↢現生↡後クト↦是悪業↥。

またつぎ善男ぜんなん、 この賢劫げんごうなかに、 またりょうへんしゅじょうありて餓鬼がきなかしょうず。 寿じゅみょうりょうひゃくせん万歳まんざいなり。 そのかみかつて漿しょうすいかず、 いはんやまたまなこむことをんや。 あるいはまたこういたりてとなる、 これを悪業あくごうほうづく。

復次善男子、是賢劫、復有↢無量無辺衆生↡生↢餓鬼↡。寿命無量百千万歳ナリソノカミカツテ↢漿水之名↡、況マナコ↠飲コトヲ復降雨至↠身↠火、是↢悪業果報↡。

善男ぜんなんさつ摩訶まかさつじつにかくのごときのもろもろの悪業あくごうなけれども、 しゅじょうしてだつしめんがためのゆゑに、 誓願せいがんおこしてかくのごときのく、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。 われ賢劫げんごうしょうにおいて、 ぞく劫盗ごうとうとなる。 さつじつにかくのごときの悪業あくごうなけれども、 しゅじょうしてだつしめんがためのゆゑに、 大願だいがんりきをもつてかくのごときのく、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、菩薩摩訶薩ケレドモ↢如↠是諸悪業果↡、為↠化シテ↢衆生↡令メムガ↢解脱↥故、発シテ↢誓願↡受↢如↠是↡、是↧菩薩摩訶薩非↢現生↡後クト↦是悪業↥。 我於↢賢劫生↡、↢賊劫盗↡。菩薩実レドモ↢如↠是悪業↡、為↧度シテ↢衆生↡令メムガ↢解脱↡、以↢大願力↡受↢如↠是↡、是↧菩薩摩訶薩非レドモ↢現生↡後クト↦是悪業↥。

善男ぜんなん、 この賢劫げんごうなかにまたへんしょうじておお貪欲とんよくしん愚痴ぐちをなす、 ほう習行じゅうぎょうして三宝さんぼう後世ごせほうしんぜず、 父母ぶも親老しんろうきゅう長宿ちょうしゅくぎょうすることあたはず。 善男ぜんなんさつそのときじつにこのごうなけれども、 しゅじょうをしてだつしめんがためのゆゑに、 大願だいがんりきをもつてしてそのなかしょうず、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、是賢劫0936↢辺地↡多↢貪欲・瞋恚・愚痴↡、習↢行シテ非法↠信↢三宝後世果報↡、↠能↣恭↢敬スルコト父母・親老・耆キウフルシフルシ・長宿↡。善男子、菩薩爾レドモ↢是業↡、為↠令メムガ↣衆生ヲシテ↢解脱↡故、以↢大願力シテ↢其↡、是↧菩薩摩訶薩非レドモ↢現生↡後クト↦是悪業↥。

善男ぜんなん、 この賢劫げんごうなかにまた女身にょしん悪身あくしん貪身とんしん瞋身しんしんしんしんけんしんげんしんおうしんてんがいしんく。 善男ぜんなんさつそのときにまたこのごうなけれども、 ただしゅじょうをしてだつしめんがためのゆゑに、 大願だいがんりきをもつてそのなかがんしょうす、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、是賢劫復受↢女身・悪身・貪ムサボリ身・瞋イカル身・オロカ身・ネタミ身・ケンヲシム身・グヱンマボロシ身・ワウクルウ身・テンシバリガイオホフ マトフ之身↡。善男子、菩薩爾亦無レドモ↢是業↡、但為↣衆生シメムガ↢解脱↡故、以↢大願力↡願↢生↡、是↧菩薩摩訶薩非レドモ↢現生↡後クト↦是悪業↥。

善男ぜんなん、 われ賢劫げんごうにおいて黄門こうもんしんこんこんおよびじょうこんく。 善男ぜんなんさつ摩訶まかさつじつにかくのごときのもろもろの悪身あくしんごうなけれども、 しゅじょうをしてだつしめんがためのゆゑに、 大願だいがんりきをもつてそのなかがんしょうす、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、↢賢劫↡受↢黄門身、無根・二根及不定根↡。善男子、菩薩摩訶薩レドモ↢如キノ↠是諸悪身業↡、為↠令ムガ↣衆生ヲシテ↢解脱↡故、以↢大願力↡願↢生↡、是↧菩薩摩訶薩非↢現生↡後クト↦是悪業↥。

善男ぜんなん、 われ賢劫げんごうにおいて、 またどうけんほうならひ、 そのほう無施むせ無祠むし信受しんじゅすれば、 無施むせほうなり、 善悪ぜんあくごうなければ、 善悪ぜんあくごうほうなり。 現在げんざいおよびらいなけれども、 無此むし無彼むひしょうにんあることなくへんしんなし、 どうはんなけん。 善男ぜんなんさつじつにかくのごときの悪業あくごうなけれども、 ただしゅじょうをしてだつしめんがために、 大願だいがんりきをもつてこの邪法じゃほうく、 これをさつ摩訶まかさつげんしょうにあらざれどものちにこの悪業あくごうくとづく。

善男子、↢賢劫↡、復ナラ↢外道尼乾子↡、信↢受スレバ其法無施無↡、無施ナリ、無ケレバ↢善悪業↡、無善悪業ナリ。無レドモ↢現在世及未来世↡、無此無彼、無↠有コト↢聖人↡無↢変化身↡、ケム↢道涅槃↡。善男子、菩薩実ドモ↢如↠是悪業↡、但為↢衆生ヲシテメムガ↟得↢解脱↡、以↢大願力↡受↢是邪法↡、是↧菩薩摩訶薩非レドモ↢現生↡後↦是悪業↥。

善男ぜんなん、 われおもふにおうじゃくだいだっとともにしょうしゅたり。 おのおのみづからひゃくしょうにんありて、 やくのためのゆゑに大海だいかいなかいたりて珍宝ちんぽうさいしゅしき、 あく業縁ごうえんのゆゑにみちにして暴風ぼふ船舫せんぼうすいせしにへりき、 伴党ばんとうじんしき。 そのときにわれだいだっせつほうちょう寿じゅえんのゆゑに、 かぜのためにかれてともにろくいたる。 ときだいだっほうとんじゃくしてだい憂苦うくしょうじて、 こえおこしてていこくす。 われときかたりてだいだっはく «すべからく啼哭ていこくすべからず» と。 だいだっすなはちわれにかたりてはまく、 «あきらかにきあきらかにきたまへ»º」 と。

善男子、我念フニ往昔↢提婆達多↡倶リテ↢商主↡。各各自有リテ↢五百商人↡、為↢利益↡故↢大海0937サイサグリシユトルシキ珍宝↡、悪業縁ニシテヘリキ↣暴風吹↢破セシニ船舫↡、伴党バンタウ死尽シキ。爾時↢提婆達多↡不殺果報、長寿、為↢陸地↡。時提婆達多トムザクオシムシテクワ↡生ジテ↢大↡、発シテ↠声テイサケビコクナク。我時カタリテ↢提婆達多 カラ↢啼哭↡。提婆達多即カタリテ↠我マク、諦キタマヘト。」

・師子吼品4

三十三巻 (北本巻三二師子吼品) にのたまはく、 「善男ぜんなんだいはんぎょうまたかくのごとし、 不可ふか思議しぎなり。 善男ぜんなん、 たとへば大海だいかいのごとし、 はち不可ふか思議しぎあり。 なんらかはちとする。 いちにはようようふかし、 にはふかくしてそこがたし、 さんには同一どういつかんなり、 にはうしおげんせず、 には種々しゅじゅ宝蔵ほうぞうあり、 ろくには大身だいしんしゅうなかしょうざいしてじゅうす、 しちには死屍しし宿やどさず、 はちには一切いっさいばんだいこれにるにぞうげんなり。

三十三巻言、「善男子、大涅槃経亦復如↠是、不可思議ナリ。善男子、譬ヘバ↢大海↡、有↢八不可思議↡。↠八。一漸漸ヤウヤウ、二クシテ↠底、三同一カンナリ、四ウシホ↢過限↡、五者有↢種種宝蔵↡、六大身衆生在↠中居住、七宿ヤド↢死屍↡、八一切万流・大雨ルニ↠之不増不減ナリ

善男ぜんなん、 やうやうにふかきにさんあり。 なんらかさんとする。 いちにはしゅじょう福力ふくりきなり、 にはかぜしたがふてく、 さんにはすいるがゆゑに、 ないぞうげんなり。 またおのおのさんあり。 このだいはんみょうきょうてんもまたかくのごときはち不思ふしまします。

善男子、漸漸フカキニ↢三事↡。何↠三。一衆生福力ナリ、二シタガ↠風、三河水入ルガ、乃至不増不減ナリ。亦各有↠三。是大涅槃微妙経典亦復如↠是マシマ↢八不思議↡。

いちにはやうやくふかしといふは、 いはゆる優婆うばそくかいしゃかい比丘びくかいさつかいしゅおん斯陀しだごん阿那あなごん阿羅あらかんびゃくぶつさつのく多羅たらさんみゃくさんだいなり。 このはんぎょうにかくのごときほうきたまへり、 これをやうやくふかしとづく、 このゆゑにこのきょう漸漸ぜんぜんじんづく。

ヤウヤシトイフハ、所↠謂優婆塞戒・沙弥戒・比丘戒・菩薩戒・須陀洹果・斯陀含果・阿那含果・阿羅漢果・辟支仏果・菩薩果・阿耨多羅三藐三菩提果。是涅槃経キタマヘリ↢如↠是↡、是↢漸シト↡、是↢漸漸深↡。

にはふかくしてそこがたしといふは、 如来にょらいそんしょうめつにましますとなり。 ぶっしょうありといへどもけつじょうかず、 このゆゑにじんづく。

シテシトイフハ↠得↠底、如来世尊不生不滅ニマシマストナリ↠有↢仏性0938↠説↢決定↡、是↠深

さんにはいちといふは、 一切いっさいしゅじょうおなじくぶっしょうあり、 みなおなじくいちじょうなり、 おなじくいちだつなり、 一因いちいんいっなり、 同一どういつかんなり、 一切いっさいまさにじょうらくじょうべし、 これをいちづく。

一味トイフハ、一切衆生同ジク↢仏性↡、皆同ジク一乗ナリ、同ジク一解脱ナリ、一因一果ナリドウ一甘露ナリ、一切当↢常楽我浄↡、是↢一味↡。

にはちょう不過ふかげんといふは、 かくのごとききょうなかに、 もろもろの比丘びくせいしてはちじょうもつじゅちくすることをしめず。 むしろしんみょうしっするともつひにこれをぼんせず、 これをちょう不過ふかげんづく。

テウウシホクワゲントイフハ、如↠是、制シテ↢諸比丘シメ↣受↢畜スルコトヲ八不浄物↡。 ムシトモ↢身命↡終↠犯↠之、是テウ過限クワゲン↡。

には種々しゅじゅ宝蔵ほうぞうありといふは、 このきょうすなはちこれりょう宝蔵ほうぞうなり。 りょう三昧さんまいなり、 りょう智慧ちえなり、 これを宝蔵ほうぞうづく。

トイフハ↢種種宝蔵↡、是経即無量宝蔵ナリ 無量三昧ナリ、無量智慧ナリ、是↢宝蔵↡。

ろくには大身だいしんしゅじょうしょじゅうしょといふは、 大身だいしんしゅじょうといふは、 いはくぶつさつなり。 だい智慧ちえなるがゆゑにだいしゅじょうづく。 大身だいしんのゆゑに、 大心だいしんのゆゑに、 だいしょうごんのゆゑに、 だい調じょうぶくのゆゑに、 だい方便ほうべんのゆゑに、 だい説法せっぽうのゆゑに、 だい勢力せいりきのゆゑに、 だいしゅのゆゑに、 だい神通じんずうのゆゑに、 だい慈悲じひのゆゑに、 つねにしてへんぜざるがゆゑに、 一切いっさいしゅじょうけいのゆゑに、 一切いっさいもろもろのしゅじょう容受じゅようするがゆゑに、 これを大身だいしんしゅじょうしょところづく。

大身衆生所居住処トイフハ、大身衆生トイフ、謂仏・菩薩ナリ。大智慧ナルガ↢大衆生↡。大身、大心、大荘厳、大調デウ、大方便、大説法、大勢力、大徒衆故、大神通、大慈悲故、常ニシテルガ↠変、一切衆生无クヱ、容↢受スルガ一切諸衆生↡故、是↢大身衆生所居之処↡。

しちには宿しゅく死屍ししといふは、 死屍ししは、 いはく一闡いっせんだいぼんじゅうきんけんざいほう方等ほうどうほう説法せっぽうすると、 ほうとしてほうく、 八種はっしゅじょうもの受畜じゅちくする、 仏物ぶつもつ僧物そうもつこころしたがふてもちいるなり、 あるいは比丘びく比丘びくところにしてほうをなす、 これを死屍ししづく。 このはんぎょうはかくのごときはなる、 このゆゑにづけて宿しゅく死屍ししとす。

不宿死屍トイフハ、死屍、謂一闡提、犯四重禁、五无間罪、誹謗方等、非法説法スルト、法トシテ↢非法↡、受↢畜スル八種不浄之物↡、仏物・僧物シタガ↠意ルナリ、或↢比丘・比丘尼↡作↢非法↡、是↢死屍↡。是涅槃経↢如↠是↡、是↢不宿死屍↡。

はちにはぞうげんといふは、 辺際へんざいなるがゆゑに、 じゅうなきゆゑに、 しきのゆゑに、 非作ひさのゆゑに、 常住じょうじゅうのゆゑに、 しょうめつのゆゑに、 一切いっさいしゅじょうことごとくびょうどうなるがゆゑに、 一切いっさいぶっしょう同一どういつしょうなるがゆゑに、 これを増減ぞうげんづく。

不増不減トイフハ、無辺際ナルガ、无↢始終↡故、非色、非作、常住、不生滅、一切衆生悉平等ナルガ、一切仏性同一性ナルガ、是↢无増減↡。

このゆゑにこのきょうにもかの大海だいかいのごとくはち不思ふしましますなり。

此経ニモ↢彼大海マシマスナリ↢八不思0939議↡。

もろもろのしゅじょうのためにだいく。 このゆゑにしょうなしりょうあることなし。 如来にょらいしゅうのためにぎょうしゅして、 ろくじょうじゅそくまんずるなり。 こころ邪風じゃふうしょするにきょうどうせず。 このゆゑによくすぐれたるだいなり。 しゅじょうつね安楽あんらくんとおもふて、 安楽あんらくいんしゅすることをらず。 如来にょらいよくおしへてしゅじゅうせしめたまふこと、 なほ慈父じぶいっあいするがごとし。 ぶつしゅじょう煩悩ぼんのううれえそなはすに、 しんしたまふことははびょうおもふがごとし」 と。

↢諸衆生↡受↢大苦↡   是↠勝無↠有コト↠量

如来為↠衆シテ↢苦行↡   成↢就具↣足ズルナリ↤六度

心処スルニ↢邪風クヰヤウカタブキ ドウオゴカス↡ 是レタル↠世大士ナリ

衆生常オモ⊂⊃↢安楽↡   ↠知↠修スルコト↢安楽

如来能オシヘテメタマフコト↢修習↡  ナホ↣慈父スルガ↢一子

ミソナハスニ↢衆生煩悩ウレヘ↡   心苦シタマフコト↣母フガ↢病子↡」

・迦葉品1

さんじゅうかん (北本巻三三迦葉品) にのたまはく、 「しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん如来にょらい諸根しょこんりきそくしたまへり、 さだめてぜんしょうまさに善根ぜんごんだんずべしとろしめさん、 なん因縁いんねんをもつてそのしゅっゆるしたまふº と。

三十四巻言、「迦葉菩薩白シテ↠仏サク、世尊、如来具↢足シタマヘリ知諸根力↡、定メテシロシメサム↢善星当シト↟断↢善根↡、以↢何因縁↡聴シタマフ↢其出家↡。

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなん、 われおうじゃくそのかみにおいてしゅっとき、 わがおとうとなんおとうとなん調じょうだっ羅睺らごしたがふ。 かくのごときらのともがら、 みなことごとくわれにしたがひていえどうしゅしき。 われもしぜんしょうしゅっゆるさずは、 そのひとつぎにまさにおうぐことをべし、 そのちからざいにしてまさに仏法ぶっぽうすべし、 この因縁いんねんをもつてわれすなはちそのしゅっ修道しゅどうゆるす。

ハク、善男子、↢往昔↡出家、吾弟難陀↢弟阿難・調デウダチ・子羅睺羅↡。如↠是、皆悉↠我↠家シキ↠道ユル↢善星出家↡、其人次グコトヲ↢王位↡、其自在ニシテ↠壊↢仏法↡、以↢是因縁便聴↢其出家修道↡。

善男ぜんなんぜんしょう比丘びくもしいえでずはまた善根ぜんごんだんぜん、 りょうにおいてすべてやくなけん。 いましゅっしてすでに善根ぜんごんだんずといへども、 よくかいじゅして、 きゅう長宿ちょうしゅくとくひとようぎょうせん、 初禅しょぜんないぜんしゅじゅうせん、 これを善因ぜんいんづく。 かくのごときの善因ぜんいんよく善法ぜんぽうしょうぜん、 善法ぜんぽうすでにしょうぜばよくどうしゅじゅうせん、 すでにどうしゅじゅうせばまさにのく多羅たらさんみゃくさんだい、 このゆゑにわれぜんしょうしゅっゆるせり。

善男子、善星比丘若↠出↠家亦断ゼム↢善根↡、於↢無量世↡都ケム↢利益↡。今出家シテ↠断ズト↢善根↡、能受↢持シテ↡、供↢養恭↣敬セムキウ・長宿・有徳之人↡、修↢習セム初禅乃至四禅↡、是↢善0940因。如↠是善因能ゼム↢善法↡、善法既ゼバ修↢習セム↡、既修↢習セバ↡当↢阿耨多羅三藐三菩提↡、是セリ↢善星出家↡。

善男ぜんなん、 もしわれぜんしょう比丘びくしゅっゆるさずは、 かいけてすなはちわれをしょうして如来にょらいじゅうりきそくすとすることをざらまし。 善男ぜんなん如来にょらいはよくしゅじょうのかくのごとき上中じょうちゅうこんろしめす、 このゆゑにぶつこんりきしょうせしめたてまつるº と。

善男子、若ユル↢善星比丘出家↡、受↠戒ラマシ↤称シテ↠我ルコトヲ↣如来具↢足スト十力↡。 善男子、如来シロシメ↢衆生如↠是上中下根↡、是セシメタテマツル↢仏具知根力↡。

しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん如来にょらいはこの根力こんりきそくしたまへり、 このゆゑによく一切いっさいしゅじょう上中じょうちゅうこんどん差別しゃべつひとしたがこころしたがときしたがふとろしめすがゆゑに如来にょらい諸根しょこんりきづけたてまつるº」 と。 乃至略抄

迦葉菩薩白シテ↠仏サク、世尊、如来具↢足シタマヘリ知根力↡、是シロシメスガ↢一切衆生、上中下根、利鈍差別、随↠人↠意フト↟時ケタテマツルト↢如来知諸根力↡。」乃至略抄

・迦葉品2

さんじゅう七巻しちかん (北本巻三七迦葉品) にのたまはく、 「もしみょうく、 これを無始むししゅうづく。 みょうよりおんにゅうかいとうしょうず。 まづきょうなかにこのせつをなしてのたまはく、 ªわれしんしたがふて しんによりてしんはこぶ、 ゆゑに身心しんしんづく。 しん梵天ぼんてんへんいたるº と。

三十七巻言、「若↢无明漏↡、是↢无始无終↡。↢无明↡生↢陰入界等↡。 マヅ↢経中↡作シテ↢是説↡言ハク、我従フテ↠心↠心ハコ↠身、故↢身心↡。 身至↢梵天↡。

しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん一切いっさいしゅじょうはみな煩悩ぼんのうよりしてほう煩悩ぼんのうといふはいはゆるあくなり。 あくより煩悩ぼんのうしょうずるところなり、 煩悩ぼんのうをまたづけてあくとす。 かくのごとき煩悩ぼんのうにすなはちしゅあり。 いちにはいんにはなり。 いんあくなるがゆゑにあくなり、 あくなるがゆゑにあくなり。 なほ毒樹どくじゅのごとし、 そのどくなるがゆゑにもまたこれどくなり。 いんまたしゅじょうなればまたしゅじょうなり、 いんまた煩悩ぼんのうなればまた煩悩ぼんのうなり。

迦葉菩薩白シテ↠仏サク、世尊、一切衆生↢煩悩↡シテ↢果報↡。↢煩悩↠謂悪也。↠悪煩悩ナリ↠生ズル、煩悩亦名↠悪。如↠是煩悩則有↢二種↡。一ニハ因、二ニハナリ。因悪ナルガ果悪ナリ、果悪ナルガナリ ナホ↢毒樹↡、其ナルガ亦是毒ナリ。因亦衆生ナレバ果亦衆生ナリ、因亦煩悩ナレバ果亦煩悩ナリ

かくのごときのごうはさだめて受報じゅほうところあり、 じゅうあくほうのごときはさだめてごく餓鬼がきちくしょうにあり、 じゅうぜんごうはさだめてにんてんにあり、 じゅうぜんほう上中じょうちゅうあり、 じょう因縁いんねんのゆゑにごくしんく、 ちゅう因縁いんねんのゆゑに畜身ちくしんく、 因縁いんねんのゆゑに餓鬼がきしんくるなり。 人業にんごうじゅうぜんにまたしゅあり。 いちにはにはちゅうさんにはじょうには上上じょうじょうなり。 因縁いんねんのゆゑに欝単うったんおつしょうず、 ちゅう因縁いんねんのゆゑにほつだいしょうず、 じょう因縁いんねんのゆゑに瞿陀くだしょうず、 上上じょうじょう因縁いんねんのゆゑにえんだいしょうずº」 と。

↠是有↢定受報処↡、如キハ↢十悪↡定↢地獄・餓鬼・畜生↡、十善之業↢人・天↡、十不善法↢上中下↡、上因縁↢地獄↡、中0941↢畜身↡、下因縁ルナリ↢餓鬼↡。人業十善復有↢四種↡。一下、二中、三上、四上上ナリ。下因縁欝単ウツタン↡、中因縁↢弗婆提↡、上因縁↢瞿陀尼↡、上上因縁ズト↢閻浮提↡。」

・迦葉品3

さんじゅう八巻はちかんにのたまはく、 「しょうさつぼん (北本巻三八迦葉品) にのたまはく、 「ª善男ぜんなん善欲ぜんよくはすなはちこれ初発しょほつ道心どうしんないのく多羅たらさんみゃくさんだい根本こんぽんなり。 われよくきて根本こんぽんとすと。 善男ぜんなんけん一切いっさい苦悩ぼんのうくにあい根本こんぽんとす、 一切いっさいしつびょう宿しゅくじきほんとす、 一切いっさいだんとうじょうほんとす、 一切いっさいあくもうほんとするがごとしº と。

三十八巻言、「迦葉菩薩品 (北本巻三八迦葉品) ハク、「善男子、善欲初発道心乃至阿耨多羅三藐三菩提之根本也。↠欲↢根本↡。善男子、如↧世間↢一切苦悩↡愛↢根本↡、一切シチ宿食↠本、一切断事闘諍↠本、一切悪事虚妄ルガ↥本

しょうさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん如来にょらいまづこのきょうなかにおいて一切いっさい善法ぜんぽうきたまふに放逸ほういつほんとしたまへり、 いまいましよくきたまふ、 このいかんぞº と。

迦葉菩薩白シテ↠仏、世尊、如来マヅ↢此↡説キタマフニ↢一切善法↡不放逸タマヘリ↠本キタマフ↠欲、是云何 ンゾト

ぶつののたまはく、 ª善男ぜんなん、 もししょういんふに善欲ぜんよくこれなり、 もしりょういんふに放逸ほういつこれなり、 けん一切いっさいくがごときは、 をそのいんとす、 あるいはまたあるがかく、 しょういんとしりょういんとするなり、 このまたしかなりº」 と。

ハク、善男子、若フニ↢生因↡善欲ナリ、若フニ↢了因↡不放逸是ナリ、如↣世間クガ↢一切、子↢其↡、或復有ルガカク、子↢生因ルナリ↢了因↡、是義亦シカナリト

ªひさしくけんにおいてだつたり。 このんでしょうしょすることは慈悲じひのゆゑなり。 天身てんじんおよび人身にんじんげんずと。 慈悲じひ随逐ずいちくすることとくのごとし。 如来にょらいはすなはちこれしゅじょうははなり。 しんはすなはちこれしょうとくなり。 みづからしゅくることしゅじょうねんずればなり。 みんねんずるときこころひず。 しゅじょうのためにごくしょすといへども、 そうおよびしんしょうぜず。 一切いっさいしゅじょうくるはことごとくこれ如来にょらい一人いちにんなり。 如来にょらいはこれだい法聚ほうじゅなり。 このはまたよくしゅじょうしたまふ。 すなはちこれじょうしんだつなり。 だつはすなはちこれだいはんなりº」 と。 已上抄出

シク↢世間↡得タリ↢解脱↡ コノムデスルコトハ↢生死↡慈悲ナリ

↠現ズト↢天身及人身↡   慈悲随逐スルコトトク

如来衆生ナリ    慈心小犢子ナリ

ミヅカクルコト↢衆苦↡念ズレバナリ↢衆生↡ 悲愍ズル

0942↧為↢衆生↡処スト↦地獄↠生↢苦想及悔心

一切衆生クルハ↢異↡  悉如来一人ナリ

如来大法聚ナリ    是亦能シタマフ↢衆生

即是無上真解脱ナリ     解脱大涅槃ナリト已上抄出

業報差別経

¬業報ごうほう差別しゃべつきょう¼ にのたまはく、

¬業報差別経¼言、

「またじゅうごうあり、 よくしゅじょうをしてびょうほうしむ。 なんらかじゅうとする。 じゅうには宿しゅくじき因縁いんねんいまだしょうせずしてまたさらにだんずる、 このじゅうごうをもつてびょうほうと。

「復有↢十業↡、能↣衆生ヲシテ得↢多病↡。ナン↠十宿食因縁未↠消シテ復更ズル、以↢是十業↢多病↡。

またじゅうごうあり、 よくしゅじょうをしてごくほうしむ。 じゅうにはにん恩報おんどくらざる、 このじゅうごうをもつてごくほうしむ。

復有↢十業↡、能↣衆生ヲシテ得↢地獄↡。↠知↢他人恩報↡、以↢是十業↡得シム↢地獄↡。

またじゅうごうあり、 よくしゅじょうをしてちくしょうほうしむ。 じゅうには邪淫じゃいんぎょうずる。

復有↢十業↡、能↣衆生ヲシテ↢畜生↡。ズル↢邪淫之事↡。

またじゅうごうあり、 よくしゅじょうをして餓鬼がきほうしむ。 にはとんおおき、 には悪貪あくとんろくにはしっしちには邪見じゃけんはちには慳吝けんりんしてしょうあいじゃくしてすなはち命終みょうじゅうする。

復有↢十業↡、能↣衆生ヲシテ得↢餓鬼↡。オホ↠貪、五悪貪、六シチ、七邪見、八慳吝ケムリムシテ愛↢著シテ↡即便命終スル

またじゅうごうあり、 よくしゅじょうをしてしゅほうしむ。 にはきょうまんなる、 にはまんなる、 ろくにはぞうじょうまんなる、 しちには大慢だいまんなる、 はちには邪慢じゃまんなる、 には慢慢まんまんなる、 じゅうにはもろもろの一切いっさい善根ぜんごんしてしゅしゅむかふ。 このじゅうごうをもつてしゅじょうをしてしゅほうしめたまふ」 と。

復有↢十業↡、能↣衆生ヲシテ得↢阿修羅↡。憍慢ナル、五我慢ナル、六増上慢ナル、七大慢ナル、八邪慢ナル、九慢慢ナル、十シテ↢諸一切善根ムカ↢修羅趣↡。↢是十業メ⊂⊃↣衆生ヲシテ得↢阿修羅↡。」

金光明経 分別三身品

¬金光こんこう明経みょうきょう¼ だい分別ふんべつ三身さんしんぼん」 にのたまはく、

¬金光明経¼第二「分別三身品」云、

「この法身ほっしんにおいてよく如来にょらい種々しゅじゅごうあらわす。 善男ぜんなん、 このしん因縁いんねんきょうかいしょしょほんる、 なん思議じぎがゆゑに。 もしこのさとれば、 このしんすなはちこれだいじょうなり、 これ如来にょらいしょうなり、 これ如来にょらいぞうなり」 と。

「於0943↢此法身↡能顕↢如来種種事業↡。善男子、是身因縁果依↠本、難思議。若了レバ↢此義↡、是身即是大乗ナリ、是如来性ナリ、是如来蔵ナリ。」

・徳王品3

¬大般だいはつはんぎょう¼ 巻第かんだいじゅういちこうみょうへんじょうこう徳王とくおうさつぼん (北本巻二一徳王品) にのたまはく、 「こうみょうはすなはちこれ念仏ねんぶつなり、 念仏ねんぶつはこれを常住じょうじゅうづく、 常住じょうじゅうほう因縁いんねんしたがはず」 と。

¬大般涅槃経¼巻第二十一「光明遍照高貴徳王菩薩品」云、「光明者即是念仏ナリ、念仏↢常住↡、常住之法↢因縁↡。」

金光明経 滅業障品

¬金光こんこう明経みょうきょう¼ 第三だいさんめつごっしょうぼん」 にのたまはく、

¬金光明経¼第三「滅業障品」云、

法身ほっしん一切いっさい諸法しょほうしょうぞうす。 一切いっさい諸法しょほうには法身ほっしんせっせず」 と。

「法身摂↢蔵一切諸法↡。一切諸法ニハ↠摂↢法身↡。」

 

底本は高田派専修寺蔵親鸞聖人真筆。