0394◎観経0499定善義 巻第三
沙門*善導集記
一 総評定正宗
Ⅰ 標指
【1】 ◎^これより以下は、 次に△*正宗を弁ず。 すなはちその*十六あり。 また一々の観のなかにつきて、 文に対して*料簡す。 労はしくあらかじめ顕さず。
◎▲従0720リ↠此已下[ハ]、次ニ弁ズ↢正宗ヲ↡。即チ有リ↢其[ノ]十六↡。†還タ就キテ↢一一ノ観ノ中ニ↡、対シテ↠文ニ料簡ス。不↢労シク預メ顕サ↡。
一 Ⅱ 弁定
^いま正宗を定め立すること、 *諸師と同じからず。
~今定メ↢立[ス]ルコト正宗ヲ↡、与↢諸師↡†不↠同ジカラ。
^いまただちにもつて法につきて定めば、 日観の初めの句より下下品下生に至るこのかたは、 これその正宗なり。 日観より以上は多義の不同ありといへども、 この文勢を看るに、 ただこれ*由序なり、 知るべし。
~今直ニ以テ就[キ]テ↠法ニ定†メバ者、従リ↢日観ノ初ノ句↡下至ル↢下品下生ニ↡已来[タ]ハ、是其ノ正宗ナリ。従リ↢日観↡已上[ハ]雖[モ]↠有[リ]ト↢多義ノ不同↡、看ルニ↢此ノ文勢ヲ↡、但是由序也、応シ↠知ル。△
二 別解釈定善
Ⅰ 正釈
ⅰ【日観】
a 標
【2】 ^初めの*日観のなかにつきて、 *先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその五あり。
▲就[キ]テ↢初ノ日観ノ中ニ↡、先[ヅ]挙コ ゲ、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
二 Ⅰ ⅰ b 釈
イ 釈総告総勧文
(一)科節
^一に ▲「仏告韋提」 より下 「想於西方」 に至るこのかたは、 まさしく総じて告げ、 総じて勧むることを明かす。
一[ニ]従リ↢「仏告韋提」↡下至[ル]↢「想於西方ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シ]ク†明ス↢総ジテ告ゲ総ジテ勧ムルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b イ (二)述意
^これは*韋提▲前に弥陀仏国を請じ、 ▲また*正受の行を請ずるに、 如来 (*釈尊) 時に当りてすなはち許してために説きたまふことを明かす。
~此[ハ]明ス↧韋提前ニ請ジ‡↢弥陀仏国ヲ↡、又請ズルニ↢正受之行ヲ↡、如来当[リ]テ↠時ニ即[チ]許シテ為ニ説[キ]タマフコトヲ↥。
・未聞之益
^*ただ機縁いまだ備はらざれば、 行を顕すこといまだあまね0395からざるをもつて、 さらに▲*三福の因を開きて、 もつて*未聞の益をなし、 また如来かさねて告げて*流通を勧発したまふ。 この法聞きがたければ、 広く開悟せしむ。
~†但以[テ]↢機縁未ダレバ↠備ラ顕[ス]コト‡↠行ヲ未ザ ダルヲ↟周カラ、更ニ†開キテ↢三福之因ヲ↡、以[テ]作シ↢未聞之益ヲ↡、△▲又如来重テ告[ゲ]テ勧↢発シタマフ流通ヲ↡。此ノ法難†ク↠聞[キ]、広ク令ム↢開悟セ↡。
二 Ⅰ ⅰ b イ (三)釈文
・告勧
^「▲仏告韋提汝及衆生」 といふは、 これ告勧を明かす。 もし等しく*塵労を出でて仏国に生ずることを求めんと欲せば、 よろしくすべからく意を励ますべし。
▲言フ↢「仏告韋提汝及衆生ト」↡者、此明ス↢告勧ヲ↡。若シ欲セバ↧等シク出デテ↢塵労ヲ↡求メムト↞生[ズル]コトヲ↢仏国ニ↡者、宜シク↢須ベ クシ↠励ス↠意ヲ也。
・衆生散動
^▲「応当専心」 といふ以下は、 これ▲衆生散動して識、 猿猴0500よりも劇しく、 心六塵に遍してしばらくも息むに由なきことを明かす。 ただおもんみれば*境縁一にあらず、 目に触れて*貪を起し想を乱す。 心を三昧に安んずること、 なんぞ得べけん。 *縁を捨て静に託するにあらざるよりは、 相続して心を注めんや。
言フ↢「応当専心ト」↡已下[ハ]、▲此明[ス]↧衆生散動シテ識†劇シク↢猨猴0721ヨリモ↡、心遍シテ↢六塵ニ↡無[キ]コトヲ↞由↢暫モ息ムニ↡。†但以レバ境縁非ズ↠一ニ、触レテ↠目ニ起†シ↠貪ヲ†乱ス↠想ヲ。安ズルコト↢心ヲ三昧ニ↡、何ゾ容↢可†ケム得↡。自リハ↠非†ザル↢捨テ↠縁ヲ託スルニ↟静ニ、相続シテ注メム†ヤ↠心ヲ。
・直指西方
^ただちに▲西方を指すは、 *余の九域を簡ぶ。 ここをもつて身を一にし、 心を一にし、 回向を一にし、 処を一にし、 境界を一にし、 相続を一にし、 帰依を一にし、 正念を一にす。 これを想成就して*正受を得と名づく。 此世・後生、 心に随ひて解脱す。
~直ニ指ス†ハ↢西方ヲ↡、簡[ブ]‡↢余ノ九†域ヲ↡。是ヲ以[テ]一ニシ↠身ヲ、一[ニシ]↠心[ヲ]、一[ニシ]↢廻向ヲ↡、一[ニシ]↠処ヲ、一[ニシ]↢境界ヲ↡、一[ニシ]↢相続ヲ↡、一[ニシ]↢帰依ヲ↡、一[ニ]ス↢正念ヲ↡。是ヲ名ク↣想成就シテ得ト↢正受ヲ↡。†此世・後生‡、随[ヒ]テ↠心ニ解脱ス也。
二 Ⅰ ⅰ b ロ 釈牒所観事文
(一)科節
^二に ▲「云何作想」より下 「皆見日没」 に至るこのかたは、 まさしく所観の事を*牒することを明かす。
二[ニ]従リ↢「云何作想‡」↡下至ル↢「皆見日没ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↠牒スルコトヲ↢所観ノ事ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (二)述意
^これもろもろの衆生等久しく*生死に流れて、 安心を解らず。 西方を指すといへども、 いかんが作意するといふことを知らず。 ゆゑに如来ために反問を生じ疑執を遣除せしめ、 もつて正念の方を示したまふこと0396を明かす。
~此明ス↪諸ノ衆生等久シク流レテ↢生死ニ↡、不↠解ラ↢安心ヲ↡、雖[モ]↠指[ス]ト↢西方ヲ↡、不↠知ラ↢云何ガ作意†スルトイフコトヲ↡、故ニ†使メ↧如来為ニ生ジ↢反問ヲ↡遣↦除セ疑執ヲ↥、以[テ]示†シタマフコトヲ↩正念之方ヲ↨。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (三)釈文
・牒前顕後
^「▲凡作想」 といふは、 これ総じて前の意を牒して、 後の入観の方便を顕すことを明かす。
言フ↢「凡作想ト」↡者、▲此明ス↧総ジテ牒シテ↢前ノ意ヲ↡†顕スコトヲ↦後ノ入観之方便ヲ↥。
・得生之類
^「▲一切衆生」 といふは、 総じて*得生の類を挙ぐ。
言フ↢「一切衆生ト」↡者、▲総ジテ挙グ↢得生之類ヲ↡。
・機堪不堪
^▲「自非↓生盲」 といふ以下は、 これ*機の堪と不堪とを簡ぶことを明かす。
▲言フ↢「自非生盲ト」↡已下[ハ]、此明ス↠簡[ブ]コトヲ↣機ノ堪[ト]与ヲ↢不堪↡。
^「↑*生盲」 といふは、 母胎のなかより出でて、 眼すなはち物を見ざるものを名づけて生盲といふ。 この人には教へて日観をなさしむることを得ず。 日輪の光相を識らざるによるがゆゑなり。
~言[フ]↢「生盲ト」↡者、従[リ]↢母胎ノ中↡出[デテ]、†眼‡即チ不ル↠見↠物ヲ者ヲ名[ケ]テ曰フ↢生盲ト↡。此ノ人ニハ不↠得↣教ヘテ作†サシムルコトヲ↢日観ヲ↡。由ルガ↠不ルニ↠識ラ↢日輪ノ光相ヲ↡故†ナリ。
^生盲を除きて以外、 縁に遇ひて患ふるものには教へて日観をなさしむるに、 ことごとく成就することを得。 いまだ眼を患へざる時、 その日輪の光明等の相を識るによりて、 いま目を患ふといへども、 ただよく日輪等の相を取らしめて、 正念に堅持して時節を限らざれば、 かならず成就することを得。
~除キテ↢生盲ヲ↡以外、遇ヒテ↠縁ニ患フル者ニハ教ヘテ作サシムルニ↢日観[ヲ]↡、尽ク得↢成就スルコトヲ↡。由[リ]テ↣未ザ †ダル↠患ヘ↠†眼ヲ時、識ルニ↢其ノ日輪ノ光明等ノ相ヲ↡、今雖[モ]↠患[フ]ト↠目ヲ、但令メテ↣善ク取ラ↢日輪等ノ相ヲ↡、正念[ニ]堅カタク持シテタモツ 不レバ↠限ラ↢時節ヲ↡、必ズ得↢成就スルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)料簡
(Ⅰ)問
^問ひていはく、 韋提▲上の請には極楽の境を見んと願ず。 如来の許説したまふに及至りて、 すなはち先づ教へて心を住めて日を観ぜしむるは、 なんの意かあるや。
~問[ヒテ]曰[ク]、韋提‡上ノ請ニハ願ズ↠見ムト↢極楽之境ヲ↡。†及↢至リテ如来ノ許ユルシ説[シタマフ]ニ↡、即チ先ヅ教ヘテ†住メテ↠心ヲ観ゼシムルハ↠日ヲ、有ル↢何ノ意カ↡也。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)答
(ⅰ)標挙
^答へていはく、 これに三の意あり。
~答[ヘテ]曰[ク]、此ニ有リ↢三ノ意↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)列釈
(a)知方
^一には衆生をして境を識り心を住めしめんと欲して、 *方を指すことあることあり。 ▼冬夏の両0501時を取らず、 ただ春秋の二際を取る。 その日正東より出でて直西に没す。 弥陀仏国は日没の処に当りて0397、 直西十万億の*刹を超過す。 すなはちこれなり。
~一[ニ]者欲シテ↠令メムト↢衆生ヲシテ識†リ↠境ヲ†住メ↟心ヲ、指スコト↠方ヲ有リ↠在ルコト。不↠取ラ↢冬夏ノ両時ヲ↡、唯取0722ル↢春秋ノ二際キハヲ↡。其ノ日正東ヨリ出[デテ]直西ニ没ス。弥陀仏国[ハ]当[リ]テ↢日没イルノ処ニ↡、†直西超↢過†ス十万億[ノ]刹ヲ↡。即チ是ナリ。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)知業
(イ)総標
^二には衆生をして自の*業障に軽重あることを識知せしめんと欲す。
~二[ニ]者欲ス↠令メムト↤衆生ヲシテ識↣知セ†自ノ業障ニ有[ル]コトヲ↢軽重↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)徴問
^いかんが知ることを得る。
~云何ガ得ル↠知[ル]コトヲ。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)略答
^教へて心を住めて日を観ぜしむるによる。
~由†ル↢教ヘテ†住メテ↠心ヲ観[ゼシムル]ニ↟日ヲ。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)広述
[一]明観相
[Ⅰ]明住心方
[ⅰ]標挙
^▽はじめて心を住めんと欲する時、
~初テ欲スル↠†住メムト↠心ヲ時、
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅰ][ⅱ]弁明
[a]教身威儀
^教へて*跏趺正坐せしむ。 右の脚、 左のの上に着けてほかと斉しくし、 左の足、 右のの上に安きてほかと斉しくし、 左の手、 右の手の上に安きて、 身をして正直ならしめ、 口を合して歯はあひ近づくことなかれ。 舌は上のを柱へよ。 咽喉および鼻中の気道をして宣通せしめんがためのゆゑなり。
~教ヘテ令ム↢跏趺正坐セ↡。△右ノ脚‡著ケテ↢左ノノ上ニ↡与↠外斉シ[クシ]、左ノ足‡安キテ↢右ノノ上ニ↡与↠外斉シ[クシ]、左ノ手‡安[キ]テ↢右ノ手ノ上ニ↡、令メ‡↢身ヲ[シテ]正直ナラ↡、合シテ↠口ヲ歯[ハ]勿レ↢相近ヅクコト↡。舌[ハ]柱ヘヨ↢†上ノヲ↡。為ノ↠令[メム]ガ↢咽喉ノド及ビ†鼻中ノ†気道ヲシテ宣通セ↡故ナリ。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅰ][ⅱ][b]教心作相
^また身の四大の内外ともに空にして、 すべて一物もなしと観ぜしめよ。
又†令メヨ↠観ゼ↣†身ノ四大ノ内外倶ニ空ニシテ、都テ無シト↢一物モ↡。
^身の地大の皮・肉・筋・骨等、 心に想へ。 西方に散向して、 西方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
身之地大†ノ皮カハ・肉・シヽムラ筋スヂ・骨ホネ等‡、心ニ想ヘ。散↢向シテ西方ニ↡、尽スニ↢西方ノ†際ヲ↡、乃至不ト↠見↢一塵之相ヲ↡。
^また想へ。 身の水大の血・汗・津・涙等、 心に想へ。 北方に散向して、 北方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又想ヘ。†身之水大†ノ血チ ・*汗アセ・津ツ ・涙ナミダ等‡、心ニ想ヘ。散↢向シテ北方ニ↡、尽スニ↢北方ノ†際ヲ↡、乃至不[ト]↠見↢一塵之相ヲ↡。
^また想へ。 身の風大東方に散向して、 東方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又†想ヘ。身之風大散↢向シテ東方ニ↡、尽スニ↢東方[ノ]際ヲ↡、乃至不[ト]↠見↢一塵之相ヲ↡。
^また想へ。 身の火大南方に散向して、 南方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又†想ヘ。身之火大散↢向シテ南方ニ↡、尽スニ↢南方[ノ]際ヲ↡、乃至不[ト]↠見↢一塵之相ヲ↡。
^また想へ。 身の空大すなはち十方の虚空と一合して、 乃至一塵不空の相を見ずと。
又想ヘ。身之空大即チ与↢十方ノ虚空↡一合シテ、乃至不[ト]↠見↢一塵不空之相ヲ↡。
^また想へ。 身の五大みな空にして、 ただ識大のみありて*湛然凝住す、 なほ円鏡のごとく、 内外明照にして朗然0398として清浄なりと。
▲又想ヘ。身之五大†皆空ニシテ、唯有[リ]テ↢識大ノミ↡湛フカシ 然 アマネシ凝トヾム住ス、†猶如†ク↢円鏡ノ↡、内外明照ニシテ朗ホガラカ然[トシテ]清浄ナリ[ト]。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅱ]結前生後
^この想をなす時、 乱想除こることを得て、 心やうやく*凝定す。
~作ス↢此ノ想ヲ↡時、乱想得テ↠除コルコトヲ、心漸ク凝定ス。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅲ]正明日観
^しかして後、 徐々として心を転じて、 あきらかに日を観ず。 その*利根のものは一坐にしてすなはち明相現前するを見る。 境の現ずる時に当りて、 あるいは銭の大きさのごとく、 あるいは鏡面の大きさのごとし。
~然シテ後、徐徐トシテ転ジテ↠心[ヲ]、諦ニ観ズ↢於日ヲ↡。△▲其ノ利根ノ者ハ一坐ニ[シテ]即[チ]†見ル↢明相現前スルヲ↡。当[リ]テ↢境[ノ]現ズル時ニ↡、或[イハ]如†ク↢銭ノ大キサノ↡、或[イハ]如シ↢†鏡面ノ大[キ]サノ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]示業相
[Ⅰ]標挙
^この明の上においてすなはちみづから↓業障軽重の相を見る。
~於テ↢此ノ明[ノ]上ニ↡即[チ]自見ル↢業障‡軽重之相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]列明
^▼一には黒0502障、 なほ黒雲の日を障ふるがごとし。 二には黄障、 また黄雲の日を障ふるがごとし。 三には白障、 白雲の日を障ふるがごとし。
~一[ニ]者黒障、猶‡†如シ↢黒雲0723ノ障フルガ↟日ヲ。二[ニ]者黄障、*又†如シ↢黄雲ノ障フルガ↟日ヲ。三[ニ]者白障、如↢似シ白雲ノ障フルガ↟日ヲ。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅲ]釈成
^この日なほ雲の障ふるがごとくなるがゆゑに、 *朗然として顕照することを得ず。 衆生の業障もまたかくのごとし。 浄心の境を*障蔽して、 心をして明照ならしむることあたはず。
~此ノ日猶クナル[ガ]↢雲ノ障†フルガ↡故ニ、不↠得↢朗然トシテ顕照スルコトヲ↡。衆生ノ業障モ亦如シ↠是[ク]ノ。障↢蔽シテ浄心之境ヲ↡、不↠能ハ↠令†ムルコト↢心ヲシテ明照ナラ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三]教懴悔
[Ⅰ]明方法
^行者もしこの相を見ば、 すなはちすべからく道場を*厳飾し、 仏像を安置し、 清浄洗浴し、 浄衣を着し、 また名香を焼きて諸仏・一切*賢聖に表白し、 仏の形像に向かひて、 現在一生に無始よりこのかた、 すなはち身口意業に造るところの十悪・五逆・四重・謗法・闡提等の罪を懴悔すべし。
~行者若シ見バ↢此ノ相ヲ↡、即[チ]須ベ クシ↧厳↢飾シ道場ヲ↡、安↢置シ仏像ヲ↡、清浄‡洗浴シ、著シ↢浄衣ヲ↡、又†焼キ[テ]↢名香ヲ↡表↢白シ諸仏・一切賢聖ニ↡、向[ヒ]テ↢仏ノ形像ニ↡、現在一生ニ懴↦悔ス無始ヨリ已来[タ]、乃チ身口意業†ニ†所ノ↠造ル十悪・五逆・四重・謗法・闡提等ノ罪ヲ↥。
^きはめてすべからく悲涕して涙を雨らし、 深く慚愧を生じて、 うち心髄に徹り、 骨を切りてみづから責むべし。
~極テ須ベ クシ↧悲涕ナクシテ†雨ラシ↠涙ヲ、深ク生ジ[テ]↢慚愧ヲ↡、内†徹リ↢心髄ニ↡、切[リ]テ↠骨ヲ自†責ム↥。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三][Ⅱ]示滅障
^懴悔しをはりて、 還りて前の坐法のごとく安心して境を取れ。 境もし現ずる時は、 前のごとき*三障0399ことごとく除こりて、 所観の浄境朗然として明浄なり。 これを頓に障を滅すと名づく。 あるいは一懴してすなはち尽すものを利根の人と名づく。
~懴悔シ已[リ]テ、還[リ]テ如ク‡↢前ノ坐法ノ↡安心シテ取ル↠境ヲ。境若シ現ズル時ハ、如キ‡↠前ノ三障尽ク除コ[リ]テ、所観ノ浄境朗然[トシテ]明浄ナリ。此ヲ名ク↢頓ニ滅ス‡ト↟障ヲ也。或[イハ]一懴シテ即[チ]尽ス者ヲ‡名ク↢利根ノ人ト↡也。
^あるいは一懴してただ黒障を除き、 あるいは一懴して黄・白等の障を除くことを得。 あるいは一懴してただ白障を除く。 これを*漸除と名づけ、 *頓滅と名づけず。
~或[イ]ハ一懴シテ但除†キ↢黒障ヲ↡、或[イハ]一懴[シテ]得↠除クコトヲ↢黄・白等ノ障ヲ↡。或[イハ]一懴[シテ]但除ク↢白障ヲ↡。此[ヲ]名†ケ↢漸除ト↡、不↠名ケ↢頓滅ト↡也。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三][Ⅲ]結勧誠
^すでにみづから↑業相のかくのごとくなるを識らば、 ただすべからく勤心に懴悔すべし。 日夜三時・六時等にただ憶してすなはち懴することを得るものは、 もつともこれ*上根上行の人なり。 たとへば湯火の身を焼くに、 また覚すればすなはち却るがごとし。 あにいたづらに時を待ち、 処を待ち、 縁を待ち、 人を待ちてまさにはじめて除くべけんや。
~既[ニ]自†識ラバ↢業相ノ如[ク]ナルヲ↟是[ク]ノ、唯須ベ クシ↢勤心ニ懴悔ス↡。日夜三時・六時等[ニ]但憶シテ得ル↢即[チ]懴スルコトヲ↡者ハ、最モ是上根上行ノ人也。譬ヘバ如シ↢湯火ノ焼クニ↠身ヲ、亦†覚スレバ即[チ]却ルガ↡。豈容ケム↢徒ニ待チ↠時ヲ待[チ]↠処ヲ、待[チ]↠縁ヲ待[チ]テ↠人ヲ、方ニ始テ除ク↡也。△
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(c)知光
^三には衆生をして弥陀の依正二報種々の荘厳・光明等の相の内外照曜して、 この日に超過せること百千万倍なることを識知せしめんと欲す。 行者等、 もしかの境の光相を識らずは、 すなはちこの日輪の光明の相を看て、 もしは*行住坐臥に礼念し*憶想0503して、 つねにこの解をなせ。 久しからざるあひだにすなはち定心を得て、 かの浄土の事、 快楽の荘厳を見ん。
▲三[ニ]者欲ス↠†令メムト↧衆生[ヲ]シテ識↦知セ弥陀ノ依正二報種種ノ荘厳光明等ノ相ノ内外照テリ曜シテカヾヤク、超↢過セルコト此ノ日ニ↡百千万倍ナルコトヲ↥。行者†等、若シ†不ハ↠識ラ↢彼ノ境ノ光相ヲ↡者、即[チ]看テ↢此ノ日輪[ノ]光明之相ヲ↡、若[シ]ハ行住坐臥ニ礼念[シ]憶想シテ、常ニ作セ↢此ノ解ヲ↡。不ル↠久[シ]カラ之間ニ即0724チ得テ↢定心ヲ↡、見ム↢彼ノ浄土之事、快楽[ノ]荘厳ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅲ)総結
^この義のためのゆゑに、 世尊先づ教へて日想観をなさしめたまふ。
~為ノ↢此ノ義ノ↡故ニ、世尊先ヅ教ヘテ作サシメタマフ↢日想観ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅰ b ハ 釈正教観察文
(一)科節
^三に ▲「当起想念」より下 「状如懸鼓」 に至るこのかたは、 まさしく教へて観察0400せしむ。
三[ニ]従リ↢「当起想念‡」↡下至[ル]↢「状如懸鼓ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]教ヘテ観察セシム。
二 Ⅰ ⅰ b ハ (二)述意
^これ*身の威儀を正し、 面を西方に向かへて、 境を守りて心を住め、 堅執して移らざれば、 所期みな応ずることを明かす。
~此‡明ス↧正[シ]‡↢身ノ威儀ヲ↡、面ヲ向ヘテ↢西方ニ↡、守リ[テ]↠境ヲ†住メ↠心ヲ、堅執シテ不レバ↠移ラ、所期皆応ズルコトヲ↥。
二 Ⅰ ⅰ b ニ 釈弁観成相文
(一)正釈観成相
(Ⅰ)科節
^四に ▲「既見日已」より下 「明了」 に至るこのかたは、 観成の相を弁ず。
四[ニ]従リ↢「既見日已‡」↡下至[ル]↢「明了ニ」↡已来[タ]ハ、▲弁ズ↢観成ノ相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ニ (一)(Ⅱ)述意
^これ心を標して日を見るに、 想を制し縁を除きて念々に移らざれば、 浄相*了然として現ずることを明かす。
~此明ス↢標シテ↠心ヲ見[ルニ]↠日ヲ、制シ‡↠想ヲ除キテ↠縁ヲ念念ニ不レバ↠移ラ、浄相了然トシテ而現ズルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅰ b ニ (二)弁得失邪正
^▽また行者はじめて定中にありて、 この日を見る時すなはち三昧定楽を得て、 *身心内外融液して不可思議なり。
~又行者初テ在[リ]テ↢†定中ニ↡、見ル↢此ノ日ヲ↡時‡即[チ]得テ↢三昧定楽ヲ↡、身心内外融トヲル液[シテ]不可思議ナリ。
^これを見る時に当りて、 よくすべからく心を摂して、 定をして*上心の貪取を得ざらしむべし。 もし貪心を起せば、 心水すなはち動ず。 心動ずるをもつてのゆゑに浄境すなはち失す。 あるいは動、 あるいは闇、 あるいは黒、 あるいは青・黄・赤・白等の色にして安定することを得ず。
~当[リ]テ↢見ル↠此ヲ時ニ↡、好ク須ベ クシ↣†摂シテ↠心ヲ、令ム↢定ヲシテ不ラ↟得↢上心†ノ貪取‡ヲ↡。若シ起セバ↢貪心ヲ↡、心水即チ動ズ。以[テ]ノ↢心動ズルヲ↡故ニ浄境即[チ]失ス。或[イハ]動或[イハ]闇、或[イハ]黒或[イハ]青・黄・赤・白等ノ色†ニシテ不↠得↢安定スルコトヲ↡。
^この事を見る時すなはちみづから念言せよ。 「これらの境相揺動して安からざることは、 わが貪心の動念によりて、 浄境をして動滅せしむることを致す」 と。 すなはちみづから安心正念にして、 還りてもとより起せば、 動相すなはち除こりて、 静心還りて現ず。 すでにこの過を知らば、 さらに*増上の貪心を起すことを得ざれ。
~見ル↢此ノ事ヲ↡時即[チ]自念言セヨ。此等ノ境相揺動シテ不ルコト↠†安カラ者、由[リ]テ↢我ガ貪心ノ動念ニ↡、致ス[ト]↠使ムルコトヲ↢浄境ヲシテ動滅セ↡。即[チ]自安心正念ニシテ、還[リ]テ†従リ↠本起†セバ、動相即[チ]除コ[リ]テ、静心還[リ]テ現ズ。既[ニ]知†ラバ↢此ノ過ヲ↡、更ニ不レ↠得↠起スコトヲ↢増上ノ貪心ヲ↡也。△
^以下の諸観の邪正得失、 もつぱらこれに同じ。
▲已下ノ諸観ノ邪正得失、†一ラ同ジ↠此ニ也。
^日を観じて日を見るは、 *心境相応す。 名づけて正観となす。 日を観ずるに日を見ずしてすな0401はち余の雑境等を見るは、 心境相応せず。 ゆゑに邪と名づく。
~†観ジテ↠日ヲ見†ルハ↠日ヲ、心境相応ス。名[ケ]テ為ス↢正観ト↡。†観ズルニ↠日ヲ不シテ↠見↠日ヲ乃チ見ルハ↢余ノ雑境等ヲ↡、心境不↢相応セ↡。故ニ名ク↠邪ト也。
二 Ⅰ ⅰ b ニ (三)総結日観由
^これすなはち*娑婆の闇宅には、 事に触れてもつて比方すべきことなし。 ただ朗日の輝を舒ぶるのみありて、 想を寄せて遠く極楽を標す。
~斯乃チ娑婆之闇宅ニハ、触レテ↠事ニ無シ↢以テ比方スベキコト↡。唯有[リ]テ↢朗日ノ舒ブルノミ↟輝ヲ、寄セテ↠想ヲ遠ク標ス↢於極楽ヲ↡。△
二 Ⅰ ⅰ b ホ 釈総結観名文
^五に ▲「是為」より以下は総じて結す。
五[ニ]従リ↢「是為‡」↡已下[ハ]、▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅰ c 結
^上来五句の不同ありといへども、 広く日観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢五句[ノ]不同↡、広[ク]明シ↢日観ヲ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅱ【水観】
a 標
【3】 ^二0504に*水観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその六あり。
▲二0725[ニ]就[キ]テ↢水観ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙コ [ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有リ↢其ノ六↡。
二 Ⅰ ⅱ b 釈
イ 釈総標地体文
(一)正釈
(Ⅰ)科節
^一に ▲「次作水想」より下 「内外映徹」 に至るこのかたは、 総じて地の体を標す。
一[ニ]従リ↢「次作水想‡」↡下至[ル]↢「内外映徹ニ」↡已来[タ]ハ、▲総ジテ標ス↢地ノ体ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)料簡
(ⅰ)料簡所由
(a)水観所由
(イ)正明水観所由
^▼問ひていはく、 前に教へて日を観ぜしむるは、 *業相等を知らしめんがためなり。 ゆゑに日を観ぜしむ。 いまこの観のなかに、 また教へて水を観ぜしむるは、 なんの所以かある。
▲問[ヒテ]曰[ク]、前ニ†教ヘテ観ゼシムルハ↠日ヲ、為ナリ↠知†ラシメム[ガ]↢業相等ヲ↡。故ニ令ム↠観ゼ↠日ヲ。今此ノ観ノ中ニ、又†教ヘテ観ゼシムルハ↠水ヲ、有ル↢何ノ所以カ↡。
^◆答へていはく、 日輪つねに照らし、 もつて極楽の*長暉を表す。 またかの地、 平らかならずして、 この*穢国の*高下に類することを恐る。 ただおもんみれば娑婆の闇宅には、 ただ日のみよくあきらかなり。 この界には丘坑ありていまだ高下なき処あらず。 よく平らかなるものを取らんと欲するに、 水に過ぎたるはなし。 この可平の相を示して、 かの*瑠璃の地に況す。
~答[ヘテ]曰[ク]、日輪常ニ照†シ、以テ表ス↢極楽之長暉ヲ↡。復†恐ル↣彼ノ地不シテ↠平ナラ、類スルコトヲ↢此ノ穢国之高下ニ↡。†但以レバ娑婆[ノ]闇宅ニハ、†唯日ノミ能ク明†カナリ。此[ノ]界[ニ]ハ丘オカ坑アナ †アリテ†未ダ↧無キ↢高下↡之処アラ↥。欲[ス]ルニ↠取ラムト↢能ク平ナル之者ヲ↡、無シ↠過ギタル†ハ↢於水ニ↡。示シテ↢斯ノ可平之相ヲ↡、況タクラブ†ス↢彼ノ瑠璃之地ニ↡也。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)更決相似分斉
^また問ひていはく、 この界の水は湿ひてかつ軟らかなり。 いぶかし、 かの地ま0402たこの水に同ずるや。
~又問[ヒテ]曰[ク]、此ノ界之水[ハ]湿ヒテ而†且ツ軟ナリ。未審、彼ノ地亦†同ズル↢此ノ水ニ↡也。
^答へていはく、 この界の平水、 もつてかの地の等しくして高下なきに対す。
~答[ヘテ]曰[ク]、此ノ界之平水、以テ対ス↣彼ノ地ノ等シ†クシテ無キニ↢高下↡。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)氷想所由
^▲また水を転じて氷となすは、 かの瑠璃の地の内外*映徹せるに対す。 これ弥陀*曠劫に等しく行じて、 *偏なく、 *正習ともに亡じて、 よく*地輪の映徹せるを感ずることを明かす。
~又転ジテ↠水ヲ成ス↠氷ト者、対ス↢彼ノ瑠璃之地[ノ]内外映徹セルニ↡也。此‡明ス↣弥陀曠劫ニ等シク行ジテ、無ク↠偏、正・習倶ニ亡ジテ、能ク感ズルコトヲ↢地輪之映徹セルヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)料簡作法
(a)問
^また問ひていはく、 すでに教へて水を想ひてもつて心を住めしめ、 水を転じてもつて氷となし、 氷を転じてもつて瑠璃地となすといはば、 いかんが作法して境をして現ぜしむる。
~又問[ヒテ]曰[ク]、既ニ教ヘテ想ヒテ↠水ヲ以テ†住メシメ[テ]↠心ヲ、転ジテ↠水ヲ以テ成シ↠氷ト、転ジテ↠氷ヲ以テ成†ストイハバ↢瑠璃‡地ト↡者、云何ガ作法シテ而令†ムル↢境[ヲシテ]現ゼ↡。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)答
(イ)正教観作法
[一]明住心威儀
^答へていはく、 *住身の威儀のごときは、 もつぱら△前の日観のなかの法に同じ。
~答[ヘテ]曰[ク]、若キハ↢住身[ノ]威儀ノ↡、†一ラ同ジ↢前ノ日観ノ中ノ法ニ↡。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]明住心作法
[Ⅰ]標意
^また水を観じてもつて定心を取らんと欲せば、 還りてすべからく相似の境に対して観ずべし。 すなはち定を得べきこと易し。
~又†欲セバ↣観ジテ↠水ヲ以テ取ラムト↢定心ヲ↡者、還[リテ]須ベ クシ↧対シテ↢相似之境ニ↡而観ズ↥。即[チ]易シ↠可キコト↠得↠定ヲ。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]正明
^行者等静処において一↓椀に↓水を取りて、 床の前の地の上に着きてよくこれに満たし盛り、 自身は床の上にありて坐し、 自の眉間に当て、 一の白き物の豆ばかりの大きさのごとくなるを着けて、 頭を低れ面を水の上に臨めて、 一心にこの白き処を照らし看て、 さらに異縁することなかれ。
~行者等†於テ↢静処ニ↡取[リ]テ↢一椀†ニ水ヲ↡、†著キテ↢床ノ前ノ地ノ上ニ↡好ク†満シ↢盛リ‡之ニ↡、自身ハ在[リ]テ↢床ノ上ニ↡坐シ‡、当テ↢†自[ノ]眉間ニ↡、著ケテ↣一ノ白キ物ノ如[ク]ナルヲ↢豆許ノ大キサノ↡、低レ↠頭ヲ臨メテ↢面ヲ水ノ上ニ↡、一心ニ照シ↢看テ此ノ白キ処ヲ↡、更ニ莫レ↢異縁スルコト↡。
^また水初め地にありて↓波浪住まらざるとき、 面を臨めてこれを観ずるに、 面像0505を見ず。
~又水初‡在[リ]テ↠地ニ波浪†不ルトキ↠住マラ、臨メテ↠面†ヲ†観ズルニ↠之ヲ、不↠見↢面像ヲ↡。
^観をなすこと休まざれば、 ↓*漸々に面現ず。 初めの時面相住まらずして、 たちまちに長く、 たちまちに短く、 た0403ちまちに寛く、 たちまちに狭く、 たちまちに見え、 見えず。
~†為0726スコト↠観ヲ不レバ↠休マ、漸漸ニ面現ズ。初ノ時面相不シテ↠†住マラ、乍ニ長ク乍ニ短ク、乍ニ寛ク乍ニ狭ク、乍ニ見エ不↠見エ。
^この相現ずる時、 さらにすべからく極細に用心すべし。 久しからざるあひだに水波微細にして、 動ずるに似て動ぜず、 ↓面相やうやくあきらかに現ずることを得。 面上の眼・耳・鼻・口等を見るといへども、 またいまだ取るを須ゐず、 また妨ぐるを須ゐず。 ただ身心をほしいままにして、 ありと知りて取ることなかれ。
~此ノ相現ズル時‡、更ニ須ベ クシ↢極細ニコマカナリ用心ス↡。不ル↠久[シ]カラ之間ニ水波ナミ微細ニシテコマカナリ、似テ↠動ズルニ不↠動ゼ、面相漸ク得↢明カニ現[ズ]ルコトヲ↡。雖[モ]↠見[ル]ト↢面上ノ眼・耳・鼻・口等ヲ↡、亦†未ダ↠須ヰ↠取ルヲ、亦†不↠須ヰ↠妨グルヲ。但縦ニシテ↢身心ヲ↡、†知リテ↠有†ルト勿レ↠取ルコト也。
^ただ白き処を取りて*了々にこれを観じて、 正念に守護して、 *失意異縁せしむることなかれ。 これを見る時に当りて、 心やうやく住まることを得て、 水性*湛然なり。
~唯取[リ]テ↢†白キ処ヲ↡了了ニアキラカニ観ジテ↠之ヲ、正念ニ守護シテ、勿レ↠令ムルコト↢†失意異縁セ↡。当[リ]テ↢見ル↠此ヲ時ニ↡、心漸ク得テ↠†住マルコトヲ、水性湛然也。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)約譬教用心
[一]標意
^また行者等自心のなかの水の波浪住まらざることを識知せんと欲せば、 ただこの水の動不動の相を観じて、 すなはち自心の境の現不現・明闇の相を知れ。
~又行者等†欲セバ↣識↢知セムト自心ノ中ノ水ノ波浪不ルコトヲ↟†住マラ者、但観ジテ↢此ノ水ノ動不動之相ヲ↡、即[チ]知レ↢自心ノ境ノ現不現・明闇之相ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]譬説
^また水の静かなる時を待ち、 一の米ばかりなるを取りて、 水上に当てて手に信せてこれを水のなかに投ぐれば、 その水波すなはち動じて椀のうちに遍す。 自の面上に臨めてこれを観るに、 その白きものすなはち動ず。
~又待チ↢水ノ静ナル時ヲ↡、取[リ]テ↢†一ノ米許[ナル]ヲ↡、当テ[テ]↢水上ニ↡信セテ↠手ニ投グレバ↢之ヲ水ノ中ニ↡、其ノ†水波即[チ]†動0727ジテ遍ス↢於椀ノ内ニ↡。†自ノ面臨メテ↠上ニ観ルニ↠之ヲ、其ノ白キ者即チ動ズ。
^さらに豆ばかりなるを着けてこれを水に投ぐるに、 波さらに大にして、 面上の白きもの、 あるいは見え、 見えず。 乃至棗等、 これを水に投ぐるに、 その波*うたた大にして、 面上の白きものおよび自身の頭面、 総じてみな隠没して現ぜず。 水の動ずるによるがゆゑな0404り。
~更ニ著ケテ↢豆許[ナル]ヲ↡投グルニ↢之ヲ水ニ↡、波更ニ大ニシテ、面上ノ白[キ]者、或[イ]ハ見エ不↠見エ。乃至棗等、投[グ]ルニ↢之ヲ於水ニ↡、其ノ波転タ大ニシテ、面上ノ白[キ]者及ビ自身ノ頭面、総ジテ皆隠没シテ不↠現ゼ。猶ルガ↢水ノ動ズルニ↡故也。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]合法
^「↑椀」 といふはすなはち身器に喩ふ。 「↑水」 といふはすなはち自の心水に喩ふ。 「↑波浪」 といふはすなはち乱想の煩悩に喩ふ。 「↑漸々に波浪息む」 といふは、 すなはちこれ衆縁を*制捨して、 心を一境に住むるなり。
~言フ↠椀ト者即チ喩†フ↢身器ニ↡也。言フ↠水ト者即[チ]喩†フ↢†自ノ心水ニ↡也。言[フ]↢波浪ト↡者即チ喩[フ]↢乱想[ノ]煩悩ニ↡也。言[フ]↢漸漸ニ波浪†息ムト↡者、即[チ]是制↢捨シテステヽ衆縁ヲ↡、†住ムル↢心ヲ一境ニ↡也。
^「↑水静かにして境現ず」 といふは、 すなはちこれ*能縁の心乱るることなければ、 *所縁の境動ぜず、 内外*恬怕にして所求の相*顕然なり。 また*細想および*粗想あれば、 心水すなはち動ず。 心水すでに動ずれば、 静境すなはち失す。 また*細塵および*粗塵、 これを寂静の水のなか0506に投ぐるに、 その水の波浪すなはち動ず。
~言[フ]↢水静ニシテ境現ズト↡者、即[チ]是能縁之心無†ケレバ↠乱ル[ル]コト、所縁之境†不↠動ゼ、内外恬怕シヅカナリニシテ所求之相顕然ナリ。又細想及ビ麁想アレバ、心水即[チ]動ズ。心水†既ニ動ズレバ、静シヅカ境即[チ]失ス。又 細コマカナリ塵チリ及以麁塵、投グルニ↢之ヲ寂静ノ水ノ中ニ↡、其ノ水ノ波浪即[チ]動ズ。
二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[四]結成
^また行者等ただこの水の動不動の相を看て、 すなはち自心の住不住を識れ。 また境現の失不失・邪正等、 もつぱら△前の日観に同じ。
~又行者等但看テ↢此ノ水ノ動・不動ノ相ヲ↡、即[チ]識†レ↢自心ノ住・不住ヲ↡也。又境現ノ失不失・邪正等、†一ラ同ジ↢前ノ日観ニ↡也。
二 Ⅰ ⅱ b イ (二)偈讃
^また天親の讃 (*浄土論) にいはく、
「▲かの世界の相を観ずるに、 三界の道に勝過せり。
◆究竟して虚空のごとく、 広大にして辺際なし」 と。
~又天親ノシタシ讃ニ云ク、
「観ズルニ↢彼ノ世界ノ相ヲ↡ | 勝↢過セリ三界[ノ]道ニ↡ |
究竟シテ如†ク↢虚空ノ↡ | 広大ニシテ無シ[ト]↢辺際↡」 |
^これすなはち総じてかの国の地の分量を明かす。
~此即[チ]総ジテ明ス↢彼ノ国ノ地之分量ヲ↡†也。△
二 Ⅰ ⅱ b ロ 釈地下荘厳文
(一)正釈
^二に ▲「下有金剛七宝」より下 「不可具見」 に至るこのかたは、 まさしく地下の荘厳を明かす。 すなはちその七あり。
二[ニ]従リ↢「下有金剛七宝‡」↡下至ル↢「不可具見ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シ]ク明ス↢地下ノ荘厳ヲ↡。即[チ]有リ↢其ノ七↡。
・幢
^▲一には*幢の体等しくこれ無漏の金剛なることを明かす。
▲一[ニハ]明ス↢幢ノ体等シク是無漏[ノ]金剛ナルコトヲ↡。
・擎
^▲二には地を擎げ0405てあひ顕映せる荘厳を明かす。
▲二[ニハ]明ス↢擎ゲテ↠地ヲ相顕映テリ†セル荘厳ヲ↡。
・方楞
^▲三には*方楞具足して円相にあらざることを表すことを明かす。
▲三[ニハ]明ス↢方楞カド 具ツブサ足シテタレリ †表スコトヲ↟非ザルコトヲ↢円相ニ↡。
・百宝
^▲四には百宝合成して、 量*塵沙に出でたることを明かす。
▲四[ニハ]明ス↣百宝合成シテ、量出[デ]タルコトヲ↢塵沙ニ↡。
・千光
^▲五には宝千光を出して、 光無辺の際にあまねきことを明かす。
▲五[ニハ]明ス↧宝出シテ↢千光ヲ↡、光周シユ キコトヲ↦無辺之†際ニ↥。
・異色
^▲六には光に異色多くして色他方を照らし、 機に随ひて変現し、 時として益せざることなきことを明かす。
▲六[ニハ]明ス↧光ニ多クシテ↢異色↡色照シ‡↢他方ヲ↡、随[ヒ]テ↠機ニ変現シ、無キコトヲ↦時トシテ†不ルコト↞益セ也。
・衆光
^▲七には衆光彩を散じて日輪を映絶し、 *新往のものこれを覩てにはかに*周悉しがたきことを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↧衆光散ジテ↠彩ヲ映↢絶†シ日輪ヲ↡、新往ノ者覩テ↠之ヲ卒ニ難キコトヲ↦周悉シ↥。
二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)偈讃
^¬讃¼ にいはく (*礼讃)、
「▼地下の荘厳七宝の幢、 無量無辺無数億なり。
八方八面百宝をもつて成ず。 かれを見れば無生自然に悟る。
無生の宝国永く常たり。 一々の宝無数の光を流す。
行者心を傾けてつねに目に対して、 *神を騰げ踊躍して西方に入れ」 と。
▲¬讃ニ¼云ク、
「地下[ノ]荘厳七宝[ノ]幢ハタボコ | 無量無辺ニシテ無数億ナリ |
八方八面ニシテ百宝ヲモテ成ズゼリ | 見レバミルニ ↠彼ヲ無生自然ニ悟ル |
無生ノ宝国永ク為リ↠常 | 一一ノ宝流ス↢無数ノ光ヲ↡ |
行者傾カタブケテ↠心ヲ常ニ対シ[テ]↠目ニ | 騰ゲアゲテ↠神ヲ踊アガリ躍シテオドル 入レ[ト]ル ↢西方ニ↡ |
^また*讃にいはく、
▼「西方は*寂静無為の楽なり。 ▼畢竟逍遥して有無を離れたり。
▼大悲、 心に薫じて法界に遊ぶ。 身を分ちて*物を利すること等しくして殊なることなし。
▼あるいは神通を現じて法を説き、 あるいは相好を現じて*無余に入る。
0406▼変現の荘厳意に随ひて出づ。 ▼*群生見るもの罪みな除こる」 と。
▲又讃†ジテ云ク、
西方[ハ]寂静‡無為ノ†楽ナリ | 畢竟逍遥シテ離[レ]タリ↢有無ヲ↡ |
大悲薫ジテ↠心ニ遊†ブ↢法界ニ↡ | 分[チ]テ↠身ヲ利スルコト↠物ヲ等シクシテ無シ↠†殊ナルコト |
或[イハ]現ジテ↢神通ヲ↡而説キ↠法ヲ | 或[イハ]現ジテ↢相好ヲ↡入ル↢無余ニ↡ |
変現ノ荘厳随[ヒ]テ↠意ニ出ヅ | 群生見ル者罪皆除コル[ト] |
^◆また*讃にいはく、
「▼*帰去来、 ▼*魔郷には停まるべからず。
▼曠劫よりこのかた流転して、 六道ことごとくみな経たり。
▼到る処に余の楽なし、 ▼ただ0507愁歎の声を聞く。
▼この*生平を畢へて後、 ▼かの涅槃の城に入らん」 と。
▲又讃[ジテ]云[ク]、
†帰去来 | 魔郷ニハ不↠可カラ↠停ル |
曠劫ヨリ来タ流転シテ | 六道尽ク皆*経タリ |
到ル処ニ‡無シ↢余ノ楽↡ | 唯聞ク↢愁ウレエ歎ノ声ヲ‡↡ |
畢ヘテ↢此ノ生平ヲ↡後 | 入ラムト↢彼0728ノ涅槃ノ城ジヤウニ↡ |
二 Ⅰ ⅱ b ハ 釈地上荘厳文
(一)正釈
(Ⅰ)科節
^三に ▲「瑠璃地上」より下 「分斉分明」 に至るこのかたは、 まさしく地上の荘厳*顕標殊勝なることを明かす。
三[ニ]従リ↢「瑠璃地上‡」↡下至[ル]↢「分斉キハ分明ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シ]ク明ス↢地上ノ荘厳顕標殊勝ナルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)述意
^これ*依持円浄を明かす。 七宝の池林等はこれ*能依、 瑠璃の宝地はこれ*所依なり。 地はこれ*能持、 池・台・樹等はこれ*所持なり。 これ弥陀の*因行周備せるによりて、 *感報をして円明ならしむることを致す。 明浄の義はすなはち無漏を体となす。
~此‡明ス↢依持円浄‡ヲ↡。七宝ノ池林等ハ是能依‡、瑠璃ノ宝地ハ是所依ナリ。地ハ是能持、池・台・樹等ハ是所持ナリ。此由[リ]テ↢弥陀ノ因行周備セルニ↡、致ス↠使ムルコトヲ↢感報[ヲシテ]円明ナラ↡。明浄之義ハ即[チ]無漏ヲ為ス↠体ト也。
二 Ⅰ ⅱ b ハ (二)偈讃
^讃にいはく、
^「宝地の荘厳比量なし。 処々の光明十方を照らす。
宝閣・華台みな遍満す。 *雑色玲瓏として量るべきこと難し。
宝雲・宝蓋、 空に臨みて覆ひ、 聖衆飛通してたがひに往来す。
宝幢・幡蓋、 風に随ひて転じ、 宝楽輝を含みて念に応じて回る。
▲讃†ジテ云ク、
宝地ノ荘厳無シ↢比量↡ | 処処ノ光明照ス↢十方[ヲ]↡ |
宝閣・華台皆遍満ス | 雑色*玲瓏トシテ難シ↠可キコト↠量ル |
宝雲・宝蓋臨ミテ↠†空ニ覆ヒ | 聖衆†飛通シテ互ニ往来ス |
宝幢ハタ・幡蓋随[ヒ]テ↠風ニ転ジメグル | 宝楽†含ミテ↠輝ヲ応ジテ↠念ニ廻ル |
^0407▼惑疑を帯して生ずるもの、 華いまだ発けず。 合掌*篭々たること*胎に処するに喩ふ。
うちに*法楽を受けて微苦なし。 障尽きて須臾に華おのづから開く。
耳目精明にして身金色なり。 菩薩徐々として宝衣を授く。
光体に触るるに*三忍を成ずることを得。 すなはち仏を見たてまつらんと欲して金台より下る。
*法侶迎へ将て*大会に入る。 尊顔を*瞻仰して*善哉と讃ず」 と。
帯シテトヾマル↢惑疑ヲ↡生ズルモノ‡華ズ 未ダ↠発ケ | 合掌‡篭篭タルコト喩フ↠処スルニ↠胎ニ |
内ニ受ケテ↢法楽ヲ↡無シ↢微苦↡ | 障尽キテ須臾ニ華自開ク |
耳目精タマシヒ明ニシテ身金色ナリ | 菩薩徐徐ヤウヤクトシテ授ク↢宝衣ヲ↡ |
光触ルルニ↠体ニ得↠成ズルコトヲ↢三忍ヲ↡ | 即[チ]欲シテ↠見[タテマツラム]ト↠仏ヲ†下ル↢金台ヨリ↡ |
法侶トモ迎ヘ‡将テ入ル↢大会ニ↡ | 瞻↢マボリ仰シテアフグ 尊顔ヲミカヲ↡†讃ズ[ト]↢善哉ト↡△ |
二 Ⅰ ⅱ b ハ (三)追釈
^▲「金縄」 といふ以下は、 まさしく黄金を道となし、 状金縄に似たることを明かす。
言フ↢「金縄ト」↡已下ハ、▲正[シク]明ス↣黄金ヲ†作シ↠道ト、状似タルコトヲ↢金縄ニ↡也。
^あるいは雑宝をもつて地となし、 瑠璃を道となせり。 あるいは瑠璃をもつて地となし、 白玉を道となせり。 あるいは紫金・白銀をもつて地となし、 百宝を道となせり。 あるいは不可説の宝をもつて地となし、 また不可説の宝をもつて道となせり。 あるいは千万宝をもつて地となし、 二・三宝を道となせり。
或[イハ]以[テ]↢雑宝ヲ↡為シ‡↠地ト、瑠璃ヲ作†セリ↠道ト。或[イハ]以[テ]↢瑠璃ヲ↡為シ‡↠地ト、白玉タマヲ作セリ↠道ト。或[イハ]以[テ]↢紫金・白銀ヲ↡為シ‡↠地ト、百宝ヲ作[セ]リ↠道ト。或[イハ]以[テ]↢不可説ノ宝ヲ↡為シ‡↠地ト、†還タ以[テ]↢不可説ノ宝ヲ↡作[セ]リ↠道ト。或[イハ]以[テ]↢千万宝ヲ↡為シ‡↠地ト、二三宝ヲ作[セ]リ↠道ト。
^かくのごとくうたたあひ*間雑し、 うたたともに合成し、 うたたあひ照曜し、 うたたあひ顕発して、 光々色々おのおの不同にして、 雑乱することなし。
如ク↠是[ク]ノ転タ相間雑シ‡、転タ共ニ合成シ、転[タ]相照曜シ、転[タ]相顕発シテ、光光色色†各各不同ニシテ而無シ↢雑乱[スルコト]↡。
^行者等ただ金道のみありて、 余0508宝を道となすことなしといふことなかれ。
▲行者等莫レ↠言フコト↧但有[リ]テ↢金道ノミ↡而無シト↦†余宝ヲ†作スコト↞道ト也。
二 Ⅰ ⅱ b ニ 釈空裏荘厳文
(一)科節
^四に ▲「一一宝0408中有五百色光」より下 「楽器以為荘厳」 に至るこのかたは、 まさしく*空裏の荘厳を明かす。 すなはちその六あり。
四[ニ]従リ↢「一一宝中有五百色光‡」↡下0729至[ル]↢「楽器以為荘厳ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↢空裏ノ荘厳ヲ↡。即チ有リ↢其ノ六↡。
・多光
^▲一には宝多光を出すことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣宝出[ス]コトヲ↢多光ヲ↡。
・光相
^▲二には喩へをもつてその相を顕すことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣喩ヲモテ顕スコトヲ↢其ノ相ヲ↡。
・光台
^▲三には光変じて台となることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢光変ジテ成ルコトヲ↟†台ト。
・光楼
^▲四には光変じて楼閣となることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↣光変ジテ成[ル]コトヲ↢於楼閣ト↡。
・光幢
^▲五には光変じて華幢となることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣光変ジテ成[ルコト]ヲ↢於華幢ト↡。
・光楽
^▲六には光変じて宝楽の音となることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↣光変ジテ成[ルコト]ヲ↢於宝楽之音ト↡。
二 Ⅰ ⅱ b ニ (二)釈義
^また地上の雑宝、 一々におのおの五百色の光を出す。 一々の色光上空中に湧きて一の光台となる。 一々の台のなかに宝楼千万なり。 おのおの一・二・三・四、 乃至不可説の宝をもつて、 もつて荘厳合成をなすことを明かす。
▲又†明ス↧地上ノ雑宝、一一ニ各出ス↢五百色ノ光ヲ↡、一一ノ色光、上*†湧キテ↢空中ニ↡作ル↢一ノ光台ト↡、一一ノ台ノ中ニ宝楼千万ナリ、各以[テ]↢一・二・三・四乃至不可説ノ宝ヲ↡、以テ為スコトヲ↦荘厳合成ヲ↥也。
^「▲如華又如星月」 といふは、 仏慈悲をもつて人の識らざることを畏れたまふがゆゑに、 喩へを借りてもつてこれを顕す。
~言[フ]↢「如華又如星月ト」↡者、仏以[テ]↢慈悲ヲ↡畏レタマフガ↢人ノ不ルコトヲ↟識ラ故ニ、借[リ]テ↠喩ヲ以テ顕ス↠之ヲ。
^「▲於台両辺各有百億華幢」 といふは、 宝地衆多にして光明無量なり。 一々の光等しく化して光台となりて、 空中に遍満す。 行者等行住坐臥につねにこの想をなせ。
言[フ]↢「於台両辺各有百億華幢ト」↡者、▲宝地衆多ニシテ光明無量[ナリ]。一一ノ光等[シク]化シテ作[リ]テ↢光台ト↡、遍↢満ス空中ニ↡。行者等行住坐臥ニ常ニ作セ↢此ノ想ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b ホ 釈楽音説法文
(一)正釈
^五に ▲「八種清風」より下 「無我之音」 に至るこのかたは、 まさしく光、 楽音と変じ、 転じて説法の相を成ずといふことを明かす。 すなはちその三あり。
五[ニ]従リ↢「八種清風‡」↡下至[ル]↢「無我之音ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧光変ジ‡↢楽音ト↡、転ジテ†成ズ[トイフ]コトヲ↦説法之相ヲ↥。即チ有リ↢其ノ三↡。
・八風
^▲一には*八風光より出づることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢八風従リ↠光而出[ヅ]ルコトヲ↡。
・鼓楽
^▲二には風光すなはち出でて、 すなはち楽を鼓ち音を発すことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢風光即チ出デテ、即チ鼓チ↠楽ヲ発スコトヲ↟音ヲ。
・説法
^▲三には*四倒・*四真、 恒沙等の法0409を顕説することを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣顕↢説スルコトヲ四*倒・四真、恒沙等ノ法ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b ホ (二)偈讃
^讃 (浄土論・意) にいはく、
「▲安楽国は清浄にして、 つねに無垢の輪を転ず。
▲一念および一時に、 ▲もろもろの群生を利益す。
▲仏のもろもろの功徳を讃ずるに、 分別の心あることなし。
▲よくすみやかに功徳の大宝海を満足せしむ」 と。
▲讃ニ云ク、
「安楽国ハ清浄ニシテ | 常ニ転ズ↢無垢ノ輪ヲ↡ |
一念及ビ一時ニ | 利↢益ス諸ノ群生ヲ↡ |
讃[ズル]ニ↢仏ノ諸ノ功徳[ヲ]↡ | 無シ↠有[ル]コト↢分別ノ心↡ |
能ク令ム[ト]↣速ニ満↢足セ | 功徳ノ大宝海ヲ↡」 |
二 Ⅰ ⅱ b ヘ 釈総結観名文
^六に 「▲是為」より下は総じて結す。
六[ニ]従リ↢「是為‡」↡下ハ▲総ジテ結ムスブス。
二 Ⅰ ⅱ c 結
^上来六句の不同ありといへども、 広く水観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢六句ノ不同↡、広ク明[シ]↢水観ヲ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅲ【地観】
a 標
【4】 ^三0509に*地想観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその六あり。
▲三[ニ]就[キ]テ↢地想観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙ゲ、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即チ有リ↢其ノ六↡。
二 Ⅰ ⅲ b 釈
イ 釈結前生後文
^一に ▲「此想成時」よりは、 まさしく前を結し後を生ずることを明かす。
一[ニ]従リ↢「此想成時‡」↡者0730、▲正[シク]明ス↢結シ↠前ヲ生ズルコトヲ↟後ヲ。
二 Ⅰ ⅲ b ロ 釈弁観成相文
(一)科解
^二に ▲「一一観之」より下 「不可具説」 に至るこのかたは、 まさしく観成の相を弁ずることを明かす。 すなはちその六あり。
二[ニ]従リ↢「一一観之‡」↡下至[ル]↢「不可具説ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↠弁ズルコトヲ↢観成ノ相ヲ↡。即チ有リ↢其ノ六↡。
・心標一境
^▲一には心に一境を標して、 *総雑してこれを観ずることを得ざれといふことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↧心ニ標シテ↢一境ヲ↡、†不レトイフコト[ヲ]↞得↢総雑シテ観ズルコトヲ↟之ヲ。
・必令明了
^▲二にはすでに一境をもつぱらにすれば、 境すなはち現前す。 すでに現前することを得れば、 かならず明了ならしむることを明かす。
▲二[ニハ]明ス↧既ニ専[ニ]スレバ↢一境ヲ↡、境即チ現前ス、既ニ得レバ↢現前スルコトヲ↡、必ズ令ムルコトヲ↦明了ナラ↥。
・守令莫失
^▲三には境すでに心に現ずれば、 目を閉ぢ目を開くに守りて失することなからしむることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢境既ニ現ズレバ↠心ニ、閉ヂ↠目ヲ開[ク]ニ↠目ヲ守[リ]テ令ムルコトヲ↟莫カラ↠失スルコト。
・憶持不捨
^▲四には身の四威儀に0410昼夜つねに念じて、 ただ睡時を除きて*憶持して捨てざることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧身ノ四威儀[ニ]昼夜常ニ念ジテ、唯除キテ↢睡時ヲ↡憶持シテ不ルコトヲ↞捨[テ]。
・凝心不絶
^▲五には心を凝らすこと絶えざれば、 すなはち浄土の相を見ることを明かす。 これを想心中の見と名づく、 なほ*覚想あるがゆゑなり。
▲五[ニハ]明[ス]↣凝スコト↠心ヲ不レバ↠絶エ、即チ見[ル]コトヲ↢浄土之相ヲ↡。此ヲ名ク↢想心‡中ノ見ト↡、猶有[ル]ガ↢覚想↡故†ナリ。
・正受相応
^▲六には想心やうやく微にして覚念たちまちに除こり、 *正受相応して三昧を証し、 真にかの境の*微妙の事を見る、 なにによりてかつぶさに説かんやといふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧想心漸ク微ニシテ覚念†頓チニ除コリ、正受‡相応シテ証シ↢於三昧ヲ↡、真ニ見ル↢彼ノ境ノ微妙之事ヲ↡、何ニ由[リ]テ[カ]具ニ説[カムヤ]トイフコトヲ↥。
二 Ⅰ ⅲ b ロ (二)結勧
^これすなはち地広くして無辺なり。 宝幢一にあらず。 衆珍彩を曜かして、 転変いよいよ多し。 ここをもつて ˆ仏はˇ 物を勧めて心を傾け、 つねに目に対するがごとくならしむ。
~斯乃チ地広クシテ無辺ナリ。宝幢非ズ↠一ニ。衆珍曜カシ[テ]↠彩ヲ、転変弥多シ。是ヲ以[テ]勧メテ↠物ヲ傾ケ‡↠心ヲ、恒ニ如†クナラシム↠†対スルガ↠†目ニ。
二 Ⅰ ⅲ b ハ 釈総結観名文
^三に ▲「是為」より下は総じて結す。
三[ニ]従[リ]↢「是為‡」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅲ b ニ 釈勧発流通文
^四に 「▲仏告阿難」より下 「説是観地法」 に至るこのかたは、 まさしく*流通を勧発して、 縁に随ひて広く説かしむることを明かす。 すなはちその四あり。
四[ニ]従[リ]↢「仏告阿難‡」↡下至[ル]↢「説是観地法ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧勧↢発シテ流通ヲ↡、随[ヒ]テ↠縁ニ広ク説カシムルコトヲ↥。即チ有リ↢其ノ四↡。
・告命
^▲一には*告命を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢告命[ヲ]↡。
・勧持仏語
^▲二には仏語を勧持して、 広く未来の大衆のために前の観地の益を説かしむることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧勧↢持シテ仏語ヲ↡、広ク為ニ↢未来ノ大衆ノ↡説[カシムル]コトヲ↦前ノ観地之益ヲ↥。
・急為説之
^▲三には機の受くるに堪へ信ずるに堪へたるを*簡び、 この娑婆生死の身の八苦・五苦・三悪道の苦等を捨つることを得んと欲して、 聞きてすなはち信行するものには、 身命を惜しまず、 急にためにこれを説けといふことを明かす。
▲三[ニハ]†明[ス]↧簡†ビ↢機ノ堪ヘ↠受クルニ堪ヘタルヲ↟信ズルニ、欲シテ↠得ムト↠捨ツルコトヲ↢此[ノ]娑婆生死之身ノ八苦・五苦・三悪マク道ノ苦等ヲ↡、▲聞キテ即チ信行†スル者ニハ、不↠惜マ↢身命ヲ↡、急ニ為ニ説ケトイフコトヲ↞之ヲ。
^もし一人も苦を捨てて生死を出づることを得れば、 これを真に仏恩を報ずと名づく。 なにをもつて0411のゆゑに。 諸仏世に出でて種々の方便をもつて衆生を勧化したまふは、 ただ悪を制し福を修0510して、 人天の楽を受けしめんと欲するにはあらざればなり。
~若シ†得レバ↣一人[モ]捨テテ↠苦ヲ出[ヅル]コトヲ↢生死ヲ↡者、是ヲ名ク↣†真ニ報ズト↢仏恩ヲ↡。何ヲ以テノ故ニ。諸仏出デテ↠世ニ種種ノ方便ヲモテ勧↢化シタマフ衆生ヲ↡者、†不ザレバ↠欲スルニハ↤直令メムト↣制シ↠悪ヲ修シテ↠福ヲ、受ケ↢人天ノ楽ヲ↡也。
^▼人天の楽はなほ電光のごとし。 須臾にすなはち捨てて、 還りて三悪に入りて長時に苦を受く。 この因縁のために、 ただ勧めてすなはち浄土に生ずることを求めて*無上菩提に向かはしめたまふ。 このゆゑに▼いまの時の*有縁、 あひ勧めて誓ひて浄土に生ぜしむるは、 すなはち諸仏の本願の意に称ふ。
~人天之楽ハ猶如シ↢電光イナビカリノ↡。須臾ニ即チ†捨テテ、還[リ]テ入[リ]テ↢三悪ニ↡長0731時ニ受ク↠苦ヲ。為ニ↢此ノ因縁ノ↡、但勧メテ即[チ]令†メタマフ↧求[メ]テ↠生[ズル]コトヲ↢浄土ニ↡向ハ↦無上菩提ニ↥。是ノ故ニ今ノ時ノ有縁、相勧メテ誓[ヒ]テ生ゼシムル↢浄土ニ↡者、即[チ]称フ↢諸仏ノ本願ノ意ニ↡也。
^もし信行を楽はざるものは、 ¬*清浄覚経¼ (四意) にのたまふがごとし。 「▲もし人ありて浄土の法門を説くを聞きて、 聞けども聞かざるがごとく、 見れども見ざるがごとくなるは、 まさに知るべし、 これらははじめて三悪道より来りて、 罪障いまだ尽きず。 これがために*信向することなきのみ。 仏のたまはく、 ªわれ説かく、 この人はいまだ解脱を得べからずº」 と。
~若シ不ル↠楽ハ↢信行ヲ↡†者ハ、如†シ↢¬清浄覚経ニ¼云[フ]ガ↡。「若シ有[リテ]↠人聞[キ]テ↠説[ク]ヲ↢浄土ノ法門ヲ↡、聞ケドモ如ク‡↠不ルガ↠聞[カ]、見†レドモ如[ク]†ナルハ↠不[ル]ガ↠見、当ニシ↠知ル、此等ハ始テ従リ↢三悪道↡来[リ]テ、罪障未ズ ダ↠尽キ。†為ニ↠此ガ無†キ↢信向[スルコト]↡†耳。仏‡言‡ク、我説†カク、此ノ人[ハ]未ズ ダ[ト]↠可カラ↠得↢解脱ヲ↡也。」
^この ¬経¼ (平等覚経・四意) にまたのたまはく、 「▲*もし人浄土の法門を説くを聞き、 聞きてすなはち悲喜交はり流れ、 身の毛為竪つものは、 まさに知るべし、 この人は▼過去にすでにかつてこの法を修習して、 いまかさねて聞くことを得てすなはち歓喜を生じ、 正念に修行してかならず生ずることを得」 と。
~此ノ¬経ニ¼又云ク、「若シ人聞[キ]↠説[ク]ヲ↢浄土ノ法門ヲ↡、聞キテ即[チ]悲喜交リ流レ、身ノ毛為竪ツ者[ハ]、当ベ ニシ↠知[ル]、此ノ人[ハ]過去ニ已ニ曽テ修↢習シテ此ノ法ヲ↡、今得テ↢重テ聞[ク]コトヲ↡即チ生ジ↢歓喜ヲ↡、正念ニ修行シテ必ズ得[ト]↠生[ズ]ルコトヲ也。△」
・教観住心
^▲四にはまさしく教へて宝地を観じてもつて心を住め0412しむることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧正[シ]ク教ヘテ観ジテ↢宝地ヲ↡以テ†住メシムルコトヲ↞心ヲ也。
二 Ⅰ ⅲ b ホ 釈顕観利益文
^五に ▲「若観是地者」より下 「心得無疑」 に至るこのかたは、 まさしく観の利益を顕すことを明かす。 すなはちその四あり。
五[ニ]従[リ]↢「若観是地者‡」↡下至[ル]↢「心得無疑ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↠顕[ス]コトヲ↢観ノ利益ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其ノ四↡。
・指法
^▲一には法を指すことを明かす。 ただ宝地を観じて余境を論ぜず。
▲一[ニ]ハ明ス↠指スコトヲ↠法ヲ。唯観ジテ↢宝地ヲ↡不↠論ゼ↢余境ヲ↡。
・除罪
^▲二には無漏の宝地を観ずるによりて、 よく有漏多劫の罪を除くことを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧因[リ]テ↠観ズルニ↢無漏之宝地ヲ↡、能ク除[ク]コトヲ↦有漏‡多劫ノ罪ヲ↥也。
・必生浄土
^▲三には捨身以後かならず浄土に生ずることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣†捨身已後必ズ生ズルコトヲ↢浄土ニ↡。
・不得雑疑
^▲四には因を修すること正念にして、 疑を雑ふることを得ざれといふことを明かす。
▲四[ニハ]明ス↢†修スルコト↠因ヲ正念ニシテ不†レトイフコトヲ↟得↠雑フルコトヲ↠疑ヲ。
^往生を得といへども、 ▼華に含まれていまだ出でず。 あるいは*辺界に生じ、 あるいは▼*宮胎に堕す。
~雖モ↠得ト↢往生ヲ↡、含マレテ↠華ニ†未ダ↠出デ。或[イハ]生ジ↢辺界ニ↡、或[イハ]堕ス↢宮胎ニ↡。
^あるいは大悲菩薩 (観音) の*開華三昧に入りたまふによりて疑障すなはち除こり、 *宮華開発し身相*顕然なり。 *法侶携へ将て*仏会に遊ばしむ。 これすなはち心を注めて宝地を見るに、 すなはち*宿障の*罪を滅す。 願行の業すでに円かにして、 命尽きて往かざることを疑ふことなし。
~或[イハ]因[リ]テ↣大悲‡菩薩[ノ]入リタマフニ↢開華三昧ニ↡疑障乃チ除コ[リ]‡、宮華開発シ身相顕然ナリ。法侶携ヘ将テ遊バシム↢於仏会ニ↡。斯乃チ注メテ↠心ヲ見ルニ↢於宝地ヲ↡、即[チ]滅ス↢宿障ノ罪トガヲ↡。願行之業已ニ円[カ]ニシテ、命尽キテ無シ↠疑[フ]コト↠不ルコトヲ↠往カ。
^いますでにこの0511*勝益を覩る、 さらに勧めて邪正を弁知せしむ。
~今既ニ*覩ル↢斯ノ勝益ヲ↡、更ニ勧メテ弁↢ワキマヘ知シルセシム邪正ヲ↡。△
二 Ⅰ ⅲ b ヘ 釈弁観邪正文
^六に 「▲作是観」より以下は、 まさしく観の邪正を弁ずることを明かす。 邪正の義は△前の日観のなかにすでに説けり。
六[ニ]従[リ]↢「作是観‡」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↠弁ズルコトヲ↢観ノ邪正ヲ↡。邪正0732ノ義者前ノ日観ノ中ニ已ニ説†ケリ。
二 Ⅰ ⅲ c 結
^上来六句の不同ありといへども、 広く地観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢六句ノ不同↡、広ク明シ↢地観ヲ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅳ【宝樹観】
a 標
【5】 ^四に*宝樹観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなは0413ちその十あり。
▲四[ニ]就[キ]テ↢宝樹観ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有リ↢其ノ†十↡。
二 Ⅰ ⅳ b 釈
イ 釈仏告等文
^一に ▲「仏告阿難」より下 「次観宝樹」 に至るこのかたは、 まさしく告命して総じて観の名を挙げて、 前を結して後を生ずることを明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難‡」↡下至[ル]↢「次観宝樹ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧告命シテ総ジテ挙ゲ[テ]↢観ノ名ヲ↡、結シ[テ]↠前ヲ生ズルコトヲ↟後ヲ。
二 Ⅰ ⅳ b ロ 釈観宝樹等文
(一)科節
^二に 「▲観宝樹」 といふは、 かさねて観の名を牒す。
二[ニ]言フ↢「観宝樹ト」↡者、▲重テ牒タヽム†ス↢観[ノ]名ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)述意
^▲「一一観之」 といふ以下は、 後の観の相を生じてまさしく*儀則を教ふ。 これ弥陀の浄国広闊にして無辺なることを明かす。 宝樹・宝林、 あに七行をもつて量となさんや。
言フ↢「一一観之ト」↡已下ハ、▲生ジテ↢後ノ観[ノ]相ヲ↡正[シク]教フ↢儀則ヲ↡。此‡明ス↢弥陀[ノ]浄国広闊[ニシテ]無辺ナルコトヲ↡。宝樹・宝林、豈以[テ]↢七行[ヲ]↡†為サム↠量ト也。
二 Ⅰ ⅳ b ロ (三)釈文
・七重
^いま 「▲*七重」 といふは、 あるいは一樹あり、 黄金を根となし、 紫金を茎となし、 白銀を枝となし、 碼碯を条となし、 珊瑚を葉となし、 白玉を華となし、 真珠を菓となす。 かくのごとき七重たがひに根・茎、 乃至華・菓等をなせば、 七々四十九重なり。
~今言フ↢「七重ト」↡者、或[イハ]有リ↢一樹↡、黄金ヲ為シ↠根ト、紫金ヲ為シ↠茎ト、白銀ヲ為シ↠枝ト、碼碯ヲ為シ↠条ト、珊瑚ヲ為シ↠葉ト、白玉ヲ為シ↠華ト、真珠ヲ為ス↠菓ト。如†キ↠是[ク]ノ七重互ニ為†セバ↢根・茎乃至華・菓等ヲ↡、七七四十九重也。
^あるいは一宝を一樹となすもの、 あるいは二・三・四、 乃至百千万億不可説の宝を一樹となすものあり。 この義、 ¬*弥陀経義¼ のなかにすでに広く論じをはりぬ。 ゆゑに七重と名づく。
或[イ]ハ†有リ↧一宝[ヲ]為†ス↢一樹ト↡者、或[イ]ハ二・三・四乃至百千万億不可説ノ宝ヲ為†ス↢一樹ト↡者↥。▲此ノ義¬弥陀経義ノ¼中ニ已ニ広ク論ジ竟[リ]ヌ。故ニ名†ク↢七重ト↡也。
・行
^「▲行」 といふは、 かの国の林樹多しといへども、 *行々整直にして雑乱なし。
~言フ↢「行ト」↡者、彼ノ国ノ林樹雖[モ]↠多シト、行行 整トヽノヲリ直ニシテナヲシ 而無シ↢雑乱↡。
・想
^「▲想」 といふは、 いまだ*真観を閑ひて自在に心に随はざれば、 かならず*仮想によりてもつて心を住めて、 まさによく益を証す。
~言フ↢「想ト」↡者、未ザ ダレバ↧閑ヒテ↢真観ヲ↡自在ニ随ハ↞心ニ、要ズ藉[リ]テ↢仮想ニ↡以テ†住メテ↠心ヲ、方ニ能ク証†ス↠益ヲ也。△
二 Ⅰ ⅳ b ハ 釈明樹体量文
(一)科節
^三に ▲「一一」より下 「由旬」 に至るこのかたは、 まさしく樹の体と↓量とを明かす。
三[ニ]従リ↢「一一‡」↡下至[ル]↢「由旬ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↢†樹之体[ト]量[ト]ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ b ハ (二)述意
^これもろもろの宝林樹、 みな弥陀無漏の心中より流出することを明かす。 仏心こ0414れ無漏なるによるがゆゑに、 その樹またこれ無漏なり。
~†此明[ス]↧諸ノ†宝林樹、皆従リ↢弥陀†無漏ノ心中↡流出スルコトヲ↥。由ルガ↢仏心是無漏ナルニ↡故ニ、其ノ樹‡亦是無漏也。
二 Ⅰ ⅳ b ハ (三)述讃
^讃 (浄土論) にいはく、
「▲正道の大慈悲、 出世の善根より生ず。
◆浄0512光明の満足せること、 鏡と日月輪とのごとし」 と。
~讃ニ云ク、
「正道ノ大慈悲 | 出世ノ善根ヨリ生ズ |
浄光明[ノ]満足†セルコト | 如シ[ト]↢鏡ト日月輪トノ↡」△ |
二 Ⅰ ⅳ b ハ (四)釈量
^「↑量」 といふは、 一々の樹の高さ三十二万里なり。 また老死のものなく、 また小生のものなく、 また初生漸長のものなし。 起することすなはち同時にたちまちに起りて、 量数等斉なり。 なんの意ぞしかるとならば、 かの界は位これ無漏無生の界なり。 あに生死漸長の義あらんや。
▲言フ↠量ト者、一一ノ樹ノ高サ三十二万里ナリ。亦無ク↢老死0733ノ者↡、亦無†ク↢小生ノ者↡、亦無シ↢初生漸長ノ者↡。起スルコトオコル 即チ同時ニ†頓チニ起リテ、量数等斉ナリ。何[ノ]意ゾ†然ルトナラバ者、彼ノ界ハ位是無漏無生之界ナリ。豈有ラム↢生死漸長之義↡也。
二 Ⅰ ⅳ b ニ 釈雑樹雑厳飾文
(一)科節
^四に ▲「其諸宝樹」 より下 「以為映飾」 に至るこのかたは、 まさしく*雑樹・雑厳・雑飾の異相を明かす。 すなはちその四あり。
四[ニ]従[リ]↢「其諸宝樹‡」↡下至[ル]↢「以為映飾ニカザル」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢雑樹・雑厳・雑マジヘ飾ノカザル異相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・華葉
^▲一には林樹の華葉間雑して不同なることを明かす。
一[ニハ]明†ス↢林樹ノ華葉間雑[シテ]不同ナルコトヲ↡。
・根茎枝条菓
^▲二には一々の根・茎・枝・条・菓等みな衆宝を具せることを明かす。
二[ニハ]明ス↣一一ノ根・茎・枝・条・菓等皆具セルコトヲ↢衆宝ヲ↡。
・転相間雑
^▲三には一々の華葉うたたたがひに不同にして、 *瑠璃の色のなかより金色の光を出す。 かくのごとくうたたあひ間雑することを明かす。
三[ニハ]明[ス]↧一一ノ華葉転タ互ニ不同ニシテ、瑠璃ノ色ノ中ヨリ‡出ス↢金色ノ光ヲ↡、如ク↠是[ク]ノ転タ相間雑†スルコトヲ↥。
・雑宝厳飾
^▲四にはさらに一切の雑宝をもつてこれを厳飾せることを明かす。
四[ニハ]明[ス]↧更ニ将テ↢一切ノ雑宝ヲ↡而厳↦飾セルコトヲ之ヲ↥。
二 Ⅰ ⅳ b ニ (二)述讃
^また讃 (浄土論) にいはく、
「▲もろもろの珍宝の性を備へて、 妙荘厳を具足せり。
◆無垢の光炎熾りにして、 明浄にして世間を曜かす」 と。
又▲讃ニ云ク、
「備ヘテ↢諸ノ珍宝ノ性ヲ↡ | 具↢足セリ妙荘厳ヲ↡ |
無垢ノ光炎熾†ニシテ | 明浄ニシテ†曜カス[ト]↢世間ヲ↡」 |
^ま0415た*讃にいはく、
「弥陀の浄国、 宝樹多し。
四面に条を垂れて、 天衣挂り繞れり。
▼*宝雲蓋を含み、 *化鳥声を連ね、
▼*旋転して空に臨み、 法音を奏して*会に入る。
*他方の聖衆、 響きを聴きてもつて心を開き、
*本国の能人、 形を見て悟を取る」 と。
▲又讃†ジテ云ク、
弥陀ノ浄国‡ | 宝樹多シ |
四面ニ垂レテ↠†条ヲ | 天衣挂リ遶レリ |
宝雲含ミ↠蓋ヲ | 化鳥連ネ‡↠声ヲ |
旋転シ[テ]臨ミ‡↠空ニ | 奏シテ↢法音ヲ↡而入ル↠会ニ |
他方ノ聖衆‡ | 聴キテ↠響ヲ以テ開キ↠心ヲ |
本国ノ能人‡ | 見テ↠形ヲ而取ル[ト]↠悟ヲ |
二 Ⅰ ⅳ b ホ 釈明樹上荘厳文
^五に ▲「妙真珠網」 より下 「色中上者」 に至るこのかたは、 まさしく樹上の空裏の荘厳の相を明かす。 すなはちその七あり。
五[ニ]従[リ]↢「妙真珠網」↡下至[ル]↢「色中上者ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↢樹上[ノ]空裏ウチノ荘厳ノ相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
・珠網
^▲一には*珠網空に臨みて樹を覆へることを明かす。
一[ニハ]明[ス]↢珠網臨ミテ↠†空ニ覆†ヘルコトヲ↟†樹ヲ。
・網有多重
^▲二には網に多重あることを明かす。
二[ニハ]明[ス]↣網ニ有[ル]コトヲ↢多重↡。
・宮殿
^▲三には宮殿の多少を明かす。
三[ニハ]明[ス]↢宮殿ノ多少ヲ↡。
・童子
^▲四には一々の宮内にもろもろの童子多きことを明かす。
四[ニハ]明[ス]↣一一ノ宮内ニ多キコトヲ↢諸ノ童子↡。
・服珠瓔珞
^▲五には童子の身に珠の*瓔珞を服せることを明かす。
五[ニハ]明[ス]↣童子ノ身ニ服セルコトヲ↢珠ノ瓔珞ヲ↡。
・瓔珞光照
^▲六には瓔珞の光照の遠近を明かす。
六[ニハ]†明[ス]↢瓔珞ノ光照ノ遠近ヲ↡。
・光超上色
^▲七には光上色に超えたることを明かす。
七[ニハ]†明ス↣光超エタルコトヲ↢上色ニ↡。
二 Ⅰ ⅳ b ヘ 釈此諸宝樹等文
^六に ▲「此諸宝林」より下 「有七宝菓」 に至るこのかたは、 その林樹多しといへども0513雑乱なく、 華実開くる時うちより出でざることを明かす。 これすなはち*法蔵の因深くして、 自然にしてあらしむることを致0416す。
六[ニ]従[リ]↢「此諸宝林‡」↡下至[ル]↢「有七宝菓ニ」↡已来[タ]ハ、▲†明ス↧其ノ林樹雖モ↠多[シ]ト而無ク↢雑乱↡、華実開クル時不ルコトヲ↦従リ↠内出デ↥。斯乃チ法蔵[ノ]因深クシテ、致ス↠使ムルコトヲ↢自然ニシテ而有ラ↡。
二 Ⅰ ⅳ b ト 釈明華葉色相文
^七に ▲「一一樹葉」より下 「婉転葉間」 に至るこのかたは、 まさしく華葉の色相の不同なることを明かす。 すなはちその五あり。
七0734[ニ]従[リ]↢「一一樹葉‡」↡下至[ル]↢「婉転葉間ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↢華葉ノ色相[ノ]不同ナルコトヲ↡。即[チ]有リ↢其ノ五↡。
・葉量
^▲一には葉量の大小等しくして差別なきことを明かす。
一[ニハ]明†ス↣葉量ノ大小等[シ]クシテ無[キ]コトヲ↢差別↡。
・光色
^▲二には葉より光色を出す多少を明かす。
二[ニハ]明[ス]↧葉†ヨリ出ス↢光色ヲ↡多少ヲ↥。
・喩顕
^▲三には疑ひて識らざることを恐れて、 喩へを借りてもつて顕すに、 *天の瓔珞のごとしといふことを明かす。
三[ニハ]明[ス]↧恐レテ↢疑[ヒ]テ不†ルコトヲ↟†識ラ、借[リ]テ↠喩ヲ以テ顕スニ、如†シトイフコトヲ↦天ノ瓔珞ノ↥。
・妙華
^▲四には葉に妙華ありて、 色*天金に比し、 相*火輪に喩ふることを明かす。
四[ニハ]明[ス]↧葉ニ有リ[テ]↢†*妙華↡、色比シ↢天金ニ↡、†相喩フルコトヲ↦火輪ニ↥。
・婉転
^▲五にはたがひにあひ顕照して、 葉のあひだに婉転することを明かす。
五[ニハ]明[ス]↣迭ニ相顕照シテ、婉↢転スルコトヲ葉ノ間ニ↡。
二 Ⅰ ⅳ b チ 釈明菓徳用文
^八に ▲「湧生諸菓」 より下 「亦於中現」 に至るこのかたは、 まさしく菓に不思議の徳用の相あることを明かす。 すなはちその五あり。
八[ニ]従リ↢「*湧ワク生諸菓」↡下至[ル]↢「亦於中現ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣菓ニ有[ル]コトヲ↢不思議ノ徳用之相↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・自然湧出
^▲一には宝菓の生ずる時、 自然に湧出することを明かす。
一[ニハ]明[ス]↢†宝菓ノ生ズル時、自然ニ*湧出スルコトヲ↡。
・菓相
^▲二には喩へを借りてもつて菓の相を標することを明かす。
二[ニハ]明[ス]↣借[リ]テ↠喩ヲ以テ標スルコトヲ↢菓ノ相ヲ↡。
・神光
^▲三には菓に*神光ありて、 化して幡蓋となることを明かす。
三[ニハ]明[ス]↧菓ニ有[リ]テ↢神光↡、化シテ†成ルコトヲ↦幡蓋ト↥。
・宝蓋
^▲四には宝蓋円明にして、 うちに*三千の界を現ずるに、 *依正の二厳種々の相現ずることを明かす。
四[ニハ]明[ス]↧宝蓋円明ニシテ、内ニ現ズルニ↢三千之界ヲ↡、依正ノ二厳種種ノ相現ズルコトヲ↥。
・十方浄土
^▲五には十方の浄土あまねく蓋のなかに現じて、 かの国の人天*覩見せざるはなきことを明かす。
五[ニハ]明[ス]↧十方[ノ]浄土普ク現ジテ↢蓋ノ中ニ↡、彼ノ国ノ人天無キコトヲ↞†不ルハ↢*覩見セ↡。
^またこの樹の量いよいよ高く、 *縦広いよいよ闊く、 華菓衆多にして、 *神変一にあらず。 一の樹すでにしかり。 かの国に*遍満せるあらゆる諸樹の菓衆多にして、 ことごとくみなかくのごとし、 知るべし。 一0417切の行者、 行住坐臥につねにこの想をなせ。
又此ノ樹ノ量弥高ク、縦広弥闊ク、華菓衆多ニシテ、神変非ズ↠一ニ。一ノ樹既ニ然‡リ。遍↢満セル彼ノ国ニ↡†所有ル†諸樹之菓衆多†ニシテ、尽ク皆如シ↠此[ク]ノ、応シ↠知ル。一切ノ行者、行住坐臥ニ常ニ作セ↢此ノ想ヲ↡。
二 Ⅰ ⅳ b リ 弁観成相
^九に ▲「見此樹已」より下 「分明」 に至るこのかたは、 観成の相を弁ず。 すなはちその三あり。
九[ニ]従[リ]↢「見此樹已‡」↡下至[ル]↢「分明ニ」↡已来[タ]ハ、▲弁ズ↢観成ノ相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・結観成相
^▲一には観成の相を結することを明かす。
一[ニハ]明ス↠結スルコトヲ↢観成ノ相ヲ↡。
・次第観之
^▲二には次第にこれを観じて、 雑乱することを得ざれといふことを明かす。
二[ニハ]明ス↢次第ニ観ジテ↠之ヲ不†レトイフコトヲ↟得↢雑乱スルコトヲ↡。
・無不明了
^▲三には一々に心を起して境に住めて、 先づ樹根を観じ、 次に茎・枝、 乃至華・菓を想ひ、 次に*網と*宮とを想ひ、 次に童子と瓔珞とを想ひ、 次に葉の量・華菓の光色を想ひ、 次に幡蓋に広く*仏事0514を現ずることを想ひ、 すでによく一々に次第にこれを観ずるものは、 明了ならざるはなきことを明かす。
三[ニハ]†明ス↧一一ニ起シテ↠心ヲ住メテ↠境ニ、先ヅ観ジ↢樹根ヲ↡、次ニ想ヒ↢茎枝乃至華菓ヲ↡、次ニ想ヒ↢網[ト]宮[ト]ヲ↡、次ニ想ヒ↢童子†ト瓔珞[ト]ヲ↡、次ニ想ヒ↢葉ノ量・華菓[ノ]光色ヲ↡、次ニ想†ヒ↣幡蓋[ニ]広ク現ズルコトヲ↢仏事ヲ↡、既ニ能[ク]一一ニ次第ニ†観ズル↠之ヲ者ハ、無キコトヲ↞不ルハ↢明了ナラ↡也。
二 Ⅰ ⅳ b ヌ 釈総結文
^十に ▲「是為」より下は総じて結す。 これすなはち宝樹暉を連ぬ、 *網簾の空に*殿あり。 華千色を分ち、 菓他方を現ず。
十[ニ]従[リ]↢「是為‡」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。斯乃チ宝樹連0735†ヌ↠暉ヲ、†網簾ノ空ニ殿アリ。華†分チ↢千色ヲ↡、菓現ズ↢他方†ニ↡。
二 Ⅰ ⅳ c 結
^上来十句の不同ありといへども、 広く宝樹観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢十句ノ不同↡、広[ク]明シ↢宝樹観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅴ【宝池観】
a 標
【6】 ^五に*宝池観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその七あり。
▲五[ニ]就[キ]テ↢宝池観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
二 Ⅰ ⅴ b 釈
イ 釈総挙観名文
(一)科節
^一に ▲「次当想水」より以下は、 総じて観の名を挙ぐ。 すなはちこれ前を牒して後を生ず。 これ▼宝樹*精なりといへども、 もし池水なくは、 またいまだ好と名づけざることを明かす。
一†ニ従リ↢「次当想水‡」↡已下[ハ]、▲総ジテ挙グ↢観ノ名ヲ↡。即[チ]是牒シ[テ]↠前ヲ生ズ↠後ヲ。此‡明[ス]↧宝樹雖モ↠精ナリト、若シ無クハ↢池水↡、亦未ザ ダルコトヲ↞名ケ↠好ト。
二 Ⅰ ⅴ b イ (二)述意
^◆一には世界を空しくせざらしめんがため、 二には依報を荘厳せんがためなり。 この義のためのゆゑに、 この*池渠の観0418あり。
~一[ニ]ハ為↠不ラシメムガ↠空シ†クセ↢世界ヲ↡、二[ニハ]為ナリ↣荘↢厳セムガ依報ヲ↡。為ノ↢斯ノ義ノ↡故ニ、有リ↢此ノ池渠ミゾノ観↡也。
二 Ⅰ ⅴ b ロ 釈明池数出処文
(一)科釈
^二に ▲「極楽国土」 より下 「如意珠王生」 に至るこのかたは、 まさしく池数を明かし、 ならびに出処を弁ず。 すなはちその五あり。
二[ニ]従リ↢「極楽国土」↡下至[ル]↢「如意珠王生ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明シ↢池数ヲイケノカズ↡、并ニ弁ズ↢出処ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・所帰
^▲一には*所帰の国を標指することを明かす。
一[ニハ]明ス↣標↢指スルコトヲ所帰之国ヲ↡。
・八池
^▲二には池に八数の名あることを明かす。
二[ニハ]明†ス↣池ニ有ルコトヲ↢八数之名↡。
・宝水
^▲三には一々の池岸七宝をもつて合成せることを明かす。 まさしく宝光映徹し通照するによりて、 ↓八徳の水雑宝の色に一同なり。 ゆゑに宝水と名づく。
三[ニハ]明[ス]↢一一ノ池岸キシ七宝[ヲモテ]合成セルコトヲ↡。正[シ]ク由[リ]テ↢宝光映テリ徹シトヲル通照スルニ↡、八徳之水一↢同ナリ雑宝之色[ニ]↡。故ニ名ク↢宝水ト↡也。
・衆宝柔軟
^▲四にはこのもろもろの衆宝体性柔軟なることを明かす。
四[ニハ]明[ス]↢是ノ諸ノ衆宝体性柔軟ヤハラカナリナルコトヲ↡。
・如意水
^▲五には八池の水みな如意宝のなかより出でて、 すなはち如意水と名づくることを明かす。
五[ニハ]明[ス]↧八池之水皆従リ↢如意宝ノ中↡†出デテ、即チ名クルコトヲ↦如意水ト↥。
二 Ⅰ ⅴ b ロ (二)因弁
^この水にすなはち↑*八種の徳あり。 ▼一には清浄潤沢、 すなはちこれ*色入の摂なり。 二には臭からず、 すなはちこれ*香入の摂なり。 三には軽し。 四には冷し。 五には軟らかなり、 すなはちこれ*触入の摂なり。 六には美し、 これ*味入の摂なり。 七には飲む時調適す。 八には飲みをはりて患ひなし、 これ*法入の摂なり。 この八徳の義はすでに ¬*弥陀義¼ のなかにありて広く説きをはりぬ。
▲此ノ水ニ即[チ]有リ↢八種之徳↡。一[ニ]者清浄潤沢、即チ是色入ノ摂ナリ。二[ニ]者不↠臭カラ、即[チ]是香入ノ摂ナリ。三[ニ]者軽シ。四[ニ]者冷シ。五[ニ]者軟カナリ、即チ是触フルヽ入ノ摂ナリ。六[ニ]者†美シ、是味入ノ摂ナリ。七[ニ]者飲ム時調適ス。八[ニ]者飲ミ已[リ]テ無シ↠患、是法入ノ摂ナリ。此ノ八徳之義[ハ]已ニ在[リ]テ↢¬弥陀義ノ¼中ニ↡広ク説[キ]竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅴ b ロ (三)偈讃
^また*讃にいはく、
「極楽荘厳安養国には、 八徳の宝池流0515れて遍満せり。
四岸暉を含みて七宝を間へ、 水色分明にして宝光に映ず。
体性柔軟にして堅触なし。 菩薩おもむろに行きて宝香を散ず。
0419宝香・宝雲、 宝蓋となり、 宝蓋空に臨みて宝幢を覆ふ。
~又讃†ジテ云ク、
極楽‡荘厳‡安養国ニハ | 八徳ノ宝池流レテ遍満セリ |
四岸含ミテ↠暉ヲ間ヘ↢七宝ヲ↡ | 水色分明ニシテ映ズ↢宝光ニ↡ |
体性柔軟ニシテ無シ↢堅カタク触↡フルヽ | 菩0736薩†徐ニ行キテ散ズ↢宝香ヲ↡ |
宝香・宝雲成†リ↢宝蓋ト↡ | 宝蓋臨ミテ↠†空ニ覆フ↢宝幢†ヲ↡ |
宝幢の厳儀、 宝殿を囲めり。 宝殿の宝鈴、 珠網に垂る。
宝網の*宝楽千重に転じ、 機に随ひて*宝宮楼を讃歎す。
一々の宮楼に仏会あり。 恒沙の聖衆坐して思量す。
願はくはこの*有縁つねに憶念して、 捨命して同じくかの法堂に生ぜん」 と。
宝幢ノ厳儀†囲メリ↢宝殿ヲ↡ | 宝殿[ノ]宝鈴‡垂†ル↢珠網†ニ↡ |
宝網ノ宝楽千重ニ転†ジ | 随[ヒ]テ↠機ニ讃↢歎ス宝宮楼ヲ↡ |
一一ノ宮楼[ニ]有リ↢仏会↡ | 恒沙ノ聖衆坐シテ思量ス |
願クハ此ノ有縁常ニ憶念シテ | †捨命シテ同[ジ]ク†生ゼム[ト]↢彼ノ法堂ニ↡△ |
二 Ⅰ ⅴ b ハ 釈明異溜分注文
^三に ▲「分為十四支」より下 「以為底沙」 に至るこのかたは、 まさしく池分れて*溜を異にし、 *旋還して乱るることなきことを明かす。 すなはちその三あり。
三[ニ]従[リ]↢「分為十四支‡」↡下至[ル]↢「以為底沙ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢池分レテ異ニシ‡↠†溜[ヲ]、旋メグリ還シテ無[キ]コトヲ↟乱ルルコト。即[チ]有[リ]↢其ノ三↡。
・渠数
^▲一には*渠数の多少を明かす。
一[ニハ]明[ス]↢渠ミゾ数ノ多少[ヲ]↡。
・渠岸
^▲二には一々の渠岸黄金の色をなすことを明かす。
二[ニハ]明[ス]↣一一ノ渠岸作スコトヲ↢黄金ノ色ヲ↡。
・底沙
^▲三には渠下の底沙雑宝の色をなすことを明かす。 ▼「金剛」 といふはすなはちこれ無漏の体なり。
三[ニハ]明[ス]↣渠下ノ底沙作[ス]コトヲ↢雑宝ノ色ヲ↡。言フ↢「金剛ト」↡者▲即[チ]是無漏之体也。
二 Ⅰ ⅴ b ニ 釈明水用文
^四に ▲「一一水中」より下 「尋樹上下」 に至るこのかたは、 まさしく水に不思議の*用あることを明かす。 すなはちその五あり。
四[ニ]従[リ]↢「一一水中‡」↡下至ル↢「尋樹上下ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣水ニ有[ル]コトヲ↢不思議ノ用↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・渠名
^▲一には別して渠の名を指して、 かの荘厳の相を顕すことを明かす。
一[ニハ]明[ス]↧別シテ指シテ↢渠ノ名ヲ↡、顕スコトヲ↦彼ノ荘厳之相ヲ↥。
・宝華
^▲二には渠内の宝華の多少を明かす。
二[ニハ]明[ス]↢渠内ノ宝華ノ多少ヲ↡。
・華量
^▲三には華量の大小を明かす。
三[ニハ]明[ス]↢華量ノ大小ヲ↡。
・宝水
^▲四には*摩尼の宝水、 華のあひだに流注することを明かす。
四[ニハ]明[ス]↣†摩尼ノ宝水流↢注スルコトヲ華ノ間ニ↡。
・尋樹
^▲五には宝水渠より出でてもろもろの宝樹を尋ねて、 上下するに礙なし。 ゆゑに如意水と名づくることを明かす。
五[ニハ]明[ス]↧宝水従リ↠渠而出デテ尋ネテ↢諸ノ宝樹ヲ↡、上下スルニ†無シ↠礙、故ニ名[ク]ルコトヲ↦如意水ト↥也。
二 Ⅰ ⅴ b ホ 釈明水徳文
^五に ▲「其声微妙」 より下 「諸0420仏相好者」 に至るこのかたは、 まさしく水に不可思議の徳あることを明かす。 すなはちその二あり。
五[ニ]従リ↢「其声微妙‡」↡下至[ル]↢「諸仏相好者ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣水ニ有[ル]コトヲ↢不可思議ノ徳↡。即[チ]有[リ]↢其ノ二↡。
・妙声
^▲一には宝水華のあひだに流注して、 *微波あひ触るるにすなはち妙声を出し、 声のなかにみな妙法を説くことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↧宝水華ノ間ニ流注シテ、 微チヰサシ波ナミ相触†ルルニ即チ出シ‡↢妙声ヲ↡、声ノ中ニ皆説[ク]コトヲ↦妙法ヲ↥。
・妙法
^▲二には宝水岸に上りて、 樹の枝・条・華・葉・菓等を尋ねて、 あるいは上り、 あるいは下り、 中間にあひ触るるにみな妙声を出し、 声のなかにみな妙法を説く。 あるいは衆生の苦事を説きて菩薩の大悲を覚0516動して、 勧めて他を引かしめ、 あるいは*人天等の法を説き、 あるいは*二乗等の法を説き、 あるいは*地前・地上等の法を説き、 あるいは*仏地三身等の法を説くことを明かす。
▲二[ニハ]†明[ス]↧宝水†上リテ↠岸ニ、尋ネ[テ]↢†樹ノ枝・条・華・葉・菓等ヲ↡、或[イハ]上リ或[イハ]下リ、中間ニ相触†ルルニ皆出シ↢妙声ヲ↡、声ノ中ニ皆説ク↢妙法ヲ↡、或[イハ]説[キ]テ↢衆生ノ苦‡事ヲ↡覚↢動シテ菩薩ノ大悲ヲ↡、勧メテ令メ↠†引カ↠他ヲ、或[イハ]説キ↢人天等ノ法[ヲ]↡、或[イハ]説[キ]↢二乗等ノ法[ヲ]↡、或[イハ]説[キ]↢地前・地0737上等ノ法[ヲ]↡、或[イハ]説クコトヲ↦仏地三身等ノ法ヲ↥。
二 Ⅰ ⅴ b ヘ 釈明摩尼神徳文
^六に ▲「如意珠王」より下 「念仏法僧」 に至るこのかたは、 まさしく摩尼多く*神徳あることを明かす。 すなはちその四あり。
六[ニ]従[リ]↢「如意珠王‡」↡下至[ル]↢「念仏法僧ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣摩尼多ク有[ル]コトヲ↢神徳↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・金光
^▲一には珠王のうちより金光を出すことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣珠*王ノ内ヨリ出スコトヲ↢金光ヲ↡。
・化鳥
^▲二には光化して百宝の鳥となることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣光化[シテ]作ルコトヲ↢百宝之鳥ト↡。
・鳥声
^▲三には鳥声*哀雅にして天の楽も、 もつて比方することなきことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣鳥声 哀アワレミ 雅ウタウニシテ天ノ楽モ、無[キ]コトヲ↢以テ比方スルコト↡。
・讃歎
^▲四には*宝鳥音を連ねて同声に*念↓仏↓法↓僧を讃歎することを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↣宝鳥連ネテ↠音ヲ同声ニ讃↢歎スルコトヲ念仏法僧ヲ↡。
・釈仏
^しかるに 「↑仏」 はこれ衆生無上の大師なり。 邪を除きて正に向かはしむ。
~然ルニ仏ハ是衆生無上ノ大師ナリ。除キテ↠邪ヲ向ハシ†ム↠正ニ。
・釈法
^「↑法」 はこれ衆生無上の良薬なり。 よく煩悩の毒病を断じて法身清浄ならしむ。
~法ハ是衆生無上ノ良薬[ナリ]。能ク断ジテ↢煩悩ノ毒病ヲ↡法身清浄†ナラシム。
・釈僧
^「↑僧」 はこれ衆生無上の*福田なり。 ただ心を傾けて*四事0421疲労を憚らざれば、 *五乗の依果自然に念に応じて*所須しかも至る。
~僧ハ是衆生‡無上ノ福田ナリ。†但使傾ケテ↠心ヲ四事不レバ↠憚ラ↢疲労ヲ↡、五乗ノ依果自然ニ応ジテ↠念ニ所須而[モ]至ル。
^その宝珠、 前には*八味の水を生じ、 後には種々の金光を出す。 ただ闇を破し昏を除くのみにあらず、 到る処によく仏事を施す。
~其ノ宝珠、前ニ[ハ]生ジ↢八味之水ヲ↡、後ニ[ハ]出ス↢種種ノ金光ヲ↡。非ズ↢†直破シ↠闇ヲ除クノミニ↟昏ヲクラシ、到ル処ニ能ク†施ス↢仏事ヲ↡。△
二 Ⅰ ⅴ b ト 釈総結文
^七に ▲「是為」より下は総じて結す。
七[ニ]従[リ]↢「是為‡」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅴ c 結
^上来七句の不同ありといへども、 広く宝池観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢七句ノ不同↡、広[ク]明[シ]↢宝池観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅵ【宝楼観】
a 標
【7】 ^六に*宝楼観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十一あり。
▲六[ニ]就[キテ]↢宝楼観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有リ↢其[ノ]十一↡。
二 Ⅰ ⅵ b 釈
イ 釈総挙観名文
^初めに 「▲衆宝国土」 といふは、 すなはちこれ総じて観の名を挙げて、 前を牒して後を生ず。
初[ニ]言フ↢「衆宝国土ト」↡者、即[チ]是総ジテ挙ゲテ↢観[ノ]名ヲ↡、牒シ[テ]↠前ヲ生ズ↠後ヲ。
^これ▼浄土に宝流潅注することありといへども、 もし宝楼・宮閣なくは、 またいまだ精となさざることを明かす。 これがために依報の荘厳種々に円備す。
▲此‡明[ス]↧浄土ニ雖[モ]↠有[リ]ト↢宝流潅ソヽギ注ソヽグスルコト↡、若シ無クハ↢宝楼・宮閣↡、亦未ザ ダルコトヲ↞†為サ↠精ト。為ニ↠此ガ依報[ノ]荘厳種種ニ円備ソナフ[ス]†也。
二 Ⅰ ⅵ b ロ 釈明宝楼住処文
^二に 「▲一一界上」 といふは、 まさしく宝楼の住処を明かす。 地界かの国に遍すれば、 楼また無窮なり。
二[ニ]言フ↢「一一界上ト」↡者、▲正[シ]ク†明ス↢宝楼ノ住処ヲ↡。地界遍スレバ↢於彼ノ国ニ↡、楼亦無窮也。
二 Ⅰ ⅵ b ハ 釈正顕其数文
^三に 「▲有五百億」 といふは、 まさしくその数を顕す。 一界の上すでにしかり。 かの国に遍満してまたみなかくのごとし、 知るべし。
三[ニ]言[フ]↢「有五百億ト」↡者、▲正[シ]ク顕ス↢其ノ数ヲ↡。一界之上既ニ然‡リ。遍↢満シテ彼ノ国ニ↡亦皆如[シ]↠是[クノ]、応シ↠知ル。
二 Ⅰ ⅵ b ニ 釈明閣内荘厳文
^四に ▲「其楼0517閣中」より下 「作天伎楽」 に至るこのかたは、 まさしく閣内の荘厳を明かす。
四[ニ]従リ↢「其楼閣中‡」↡下至[ル]↢「作天伎楽ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢閣内ノ荘厳ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ b ホ 釈明楼外荘厳文
^五に ▲「又有楽器」より下 「不鼓自鳴」 に至るこのかたは、 まさしく▼楼外の荘厳を明かす。 *宝楽空に飛びて、 声*法響を流す。 昼夜六時に天の宝幢のごとく、 思なくして自事を成ず。
五[ニ]従[リ]↢「又有楽器‡」↡下0738至[ル]↢「不鼓自鳴ニ」↡已*来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢楼外ノ荘厳ヲ↡。宝楽飛ビ[テ]↠†空ニ、声流ス↢法響ヲヒヾキ↡。昼夜六時ニ如†ク↢天ノ宝幢ノ↡、無クシテ↠思†成ズ↢自事ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅵ b ヘ 釈楽有説法能文
^六に ▲「此衆音中」より下0422 「念比丘僧」 に至るこのかたは、 まさしく*楽に識なしといへども、 すなはち説法の*能あることを明かす。
六[ニ]従[リ]↢「此衆音中‡」↡下至[ル]↢「念比丘僧ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣楽[ニ]雖[モ]↠無[シ]ト↠識、即[チ]有[ル]コトヲ↢説法之能↡。
二 Ⅰ ⅵ b ト 釈顕観成相文
^七に ▲「此想成已」 より下 「宝池」 に至るこのかたは、 まさしく観成の相を顕すことを明かす。 これ心をもつぱらにして境に住め、 宝楼を見んと悕ひて、 *剋念して移らざれば、 上よりの荘厳総じて現ずることを明かす。
七[ニ]従[リ]↢「此想成†已」↡下至[ル]↢「宝池ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↠顕スコトヲ↢観成ノ相ヲ↡。此‡明[ス]↧専[ニ]シテ↠心ヲ†住メ↠境ニ、悕ヒテ↠見[ム]ト↢宝楼ヲ↡、†剋シテ↠念ヲ不レバ↠移ラ、自リノ↠上荘厳総ジテ現ズルコトヲ↥。
二 Ⅰ ⅵ b チ 釈総結文
^八に ▲「是為」 より下は総じて結す。
八[ニ]従[リ]↢「是為‡」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅵ b リ 釈牒前生後文
^九に ▲「若見此者」よりは、 前の観の相を牒して後の利益を生ず。
九[ニ]従[リハ]↢「若見此†者」↡、▲牒シテ↢前ノ観ノ相ヲ↡生ズ↢後ノ利益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ b ヌ 釈必往無疑文
^十に ▲「除無量」より下 「生彼国」 に至るこのかたは、 まさしく法によりて観察すれば、 障を除くこと多劫なり。 身器清浄にして仏の本心に応ひ、 捨身して他世にかならず往くこと疑なきことを明かす。
十[ニ]従[リ]↢「除無量‡」↡下至[ル]↢「生彼国ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧依[リ]テ↠法ニ観察スレバ、除クコト↠障ヲ多劫ナリ、身器清浄ニシテ†応ヒ↢仏ノ本心ニ↡、†捨身シテ他世ニ必ズ往クコト無[キ]コトヲ↞疑。
二 Ⅰ ⅵ b ル 釈弁観邪正文
^十一に ▲「作是観者」 より下 「邪観」 に至るこのかたは、 観の邪正の相を弁ず。
十一[ニ]従[リ]↢「作是観者‡」↡下至[ル]↢「邪観ニ」↡已来[タハ]、▲弁ズ↢観ノ邪正之相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅵ c 結
^上来十一句の不同ありといへども、 広く宝楼観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢十一句ノ不同↡、広[ク]明[シ]↢宝楼観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅶ【華座観】
a 標
【8】 ^七に*華座観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十九あり。
▲七[ニ]就[キテ]↢華座観ノ中ニ↡、亦先[ヅ]挙[ゲ]、次ニ弁[ジ]、後ニ結ス。即[チ]有リ↢其[ノ]十九↡。
二 Ⅰ ⅶ b 釈
イ 釈勅聴許説文
^一に ▲「仏告阿難」より下 「除苦悩法」 に至るこのかたは、 まさしく*勅聴許説したまふことを明かす。 すなはちその三あり。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難‡」↡下至[ル]↢「除苦悩法ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢勅聴キヽ 許ユルシ説[シタマフコト]ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・告命
^▲一には*二人に告命することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣告↢命スルコトヲ二人ニ↡。
・勅聴
^▲二には勅して聴かしめ、 これをしてあきらかに受け、 正念に修行せしむることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣†勅シテ聴カシメ、令†ムルコト[ヲ]↢之ヲシテ諦ニ受ケ‡、正念ニ修行セ↡。
・許説
^▲三には仏ために華座の観法を説きたまふ。 た0423だよく心を住めて縁念すれば、 罪苦除こることを得ることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧仏為ニ説キタマフ↢華座ノ観法ヲ↡、但能ク住メテ↠心ヲ縁念スレバ、罪苦得ルコトヲ↞除†コルコトヲ。
二 Ⅰ ⅶ b ロ 釈勧発流通文
(一)科節
^二に ▲「汝等憶持」より下 「解説」 に至るこのかたは、 まさしく*流通を勧発0518したまふことを明かす。
二[ニ]従[リ]↢「汝等憶持‡」↡下至[ル]↢「解説ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣勧↢発†シタマフコトヲ流通ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ロ (二)述意
^これ観法は深要にして、 すみやかに*常没を救ふ。 衆生、 妄愛の迷心をもつて六道に漂流す。 なんぢこの観を持ちて処々に観修し、 あまねく知聞することを得しめ、 同じく解脱に昇らしめよといふことを明かす。
▲此明[ス]↧観法[ハ]深要†ニシテ、†急カニ救フ↢†常没ヲ↡、衆生、*妄愛ノ迷心[ヲモテ]漂↢タヾヨイ流スナガル六道ニ↡、汝持0739[チ]テ↢此ノ観ヲ↡処処ニ観修シ‡、普ク得†シメ↢知聞スルコトヲ↡、同[ジ]ク昇†ラシメヨトイフコトヲ↦解脱ニ↥。
二 Ⅰ ⅶ b ハ 釈弥陀応現文
^三に ▲「説是語時」より下 「不得為比」 に至るこのかたは、 まさしく娑婆の化主 (釈尊) は物のためのゆゑに想を西方に住めしめ、 安楽の慈尊 (阿弥陀仏) は*情を知るがゆゑにすなはち東域 (娑婆) に*影臨したまふことを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「説是語時‡」↡下至[ル]↢「不得為比ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↧娑婆ノ化主[ハ]為ノ↠物ノ故ニ住†メシメ↢想ヲ西方ニ↡、安楽ノ慈尊[ハ]知ルガ↠†情ヲ故ニ則チ†影↦臨シタマフコトヲ東域ニ↥。
^これすなはち*二尊の許応異なることなし。 ただ*隠顕殊なることあるは、 まさしく*器朴の類万差なるによりてたがひに*郢・匠たらしむることを致す。
~斯乃チ二尊ノ*許ハカリゴト応カナウ無シ↠異イ ナルコト。†直以隠顕有ルハ↠殊ナルコト、正[シク]由[リ]テ↢器朴スナヲ之類万ヨロヅ差シヤナルニ↡致ス↠使ムルコトヲ↣互ニ為ラ↢郢匠↡。
^「説是語時」 といふはまさしく明かす、 この意のなかにつきてすなはちその七あり。
▲言[フ]↢「説是語時ト」↡者正[シ]ク明ス、就[キ]テ↢此ノ意ノ中ニ↡即[チ]有[リ]↢其ノ七↡。
・時
^▲一には二人に告勧する時を明かす。
~一[ニハ]明[ス]↧告↢勧スル二人†ニ↡時ヲ↥也。
・弥陀応現
^▲二には弥陀▼声に応じてすなはち現じ、 往生を得ることを証したまふことを明かす。
~二[ニハ]†明ス↢弥陀応ジテ↠声ニ即チ現ジ、証シタマフコトヲ↟得ルコトヲ↢往生ヲ↡也。
・住立空中尊
^▲三には弥陀空にましまして立したまふは、 ただ心を回らし正念にしてわが国に生ぜんと願ずれば、 立ちどころにすなはち生ずることを得ることを明かす。
~三[ニハ]†明ス↧弥陀在シテ↠空ニ而†立シタマフ者、†但使廻シ‡↠心ヲ正念ニシテ願ズレバ↠†生ゼムト↢我[ガ]国ニ↡、立ニ即[チ]得ルコトヲ↞生[ズル]コトヲ也。
^0424問ひていはく、 仏徳尊高なり、 *輒然として*軽挙すべからず。 すでによく本願を捨てずして来応せる大悲者なれば、 なんがゆゑぞ*端坐して*機に赴かざるや。
~問[ヒテ]曰[ク]、仏徳尊高ナリ、不↠可カラ↢輒然トシテ軽挙ス↡。既ニ能ク不[シテ]↠捨[テ]↢本願ヲ↡†来応セル大悲者ナレバ、何ガ故ゾ不ル↢端坐†シテ而赴カ↟機ニ也。
^答へていはく、 これ如来 (阿弥陀仏) 別に*密意ましますことを明かす。
~答[ヘテ]曰[ク]、此‡明[ス]↣如来別ニ有[ス]コトヲ↢密意↡。
^ただおもんみれば娑婆は苦界なり。 雑悪同じく居して、 八苦あひ焼く。 ややもすれば違返を成じ、 詐り親しみて笑みを含む。 六賊つねに随ひて、 三悪の*火坑臨々として入りなんと欲す。 もし足を挙げてもつて迷ひを救はずは、 *業繋の牢なにによりてか勉るることを得ん。 この義のためのゆゑに、 *立ちながら撮りてすなはち行く。 端坐してもつて機に赴くに及ばざるなり。
~但以レバ娑婆[ハ]苦界ナリ。雑悪‡同[ジ]ク居シテ八苦相焼ク。動レバ†成ジ↢違返ヲ↡、詐リ親†ミテ含ム↠笑ヲ。六賊常ニ随ヒテ、三悪ノ火坑臨臨トシテ欲ス↠入†リナムト。若シ不ハ↢挙ゲテ↠足ヲ以テ救ハ↟迷ヲ、業繋之牢何ニ由[リ]テカ得ム↠勉ルルコトヲ。為ノ↢斯ノ義ノ↡故ニ、立チナガラ撮[リ]テ即[チ]行ク。†不ル↠及バ↢端坐シテ以テ赴クニ↟機ニ也。
・侍者
^▲四には観音・勢至もつて侍者となし、 余衆なきことを表することを明かす。
~四[ニハ]明[ス]↧観音・勢至以テ為シ‡↢侍者ト↡、表スルコトヲ↞無[キ]コトヲ↢余‡衆↡也。
・光明踰盛
^▲五には*三尊身心*円浄にして、 光明いよいよ盛りなることを明かす。
~五[ニハ]明[ス]↢三尊身心円浄ニシテ、光明踰盛リナルコトヲ↡也。
・朗照十方
^▲六には仏身の光明朗らかにして十方を照らす。 垢障の凡夫、 なんぞよくつぶさに覩んといふことを明かす。
~六[ニハ]明[ス]↧仏身ノ光明朗カニシテ照ス↢十方ヲ↡、垢アカ障ノ凡夫、何ゾ能ク具ニ覩ムトイフコトヲ↥。
・無漏光
^▲七には仏身無漏なれば、 光もまた同じくしかなり。 あに有漏の天金0519をもつてこれに比方せんといふことを明かす。
~七[ニハ]明[ス]↧仏身無漏ナレバ、光[モ]亦同[ジ]ク然ナリ、豈将テ↢有漏之天金ヲ↡比↦方セム[トイフ]コトヲ之ニ↥也。△
二 Ⅰ ⅶ b ニ 釈見仏得益文
(一)科節
^四に ▲「時韋提希見無量」より下 「作礼」 に至るこのかたは、 まさしく韋提は実にこれ*垢凡の女質なり、 いふべきに足らず。 ただおもんみれば*聖力冥に加して、 かの仏現じたまふ時0425、 *稽首することを蒙ることを得ることを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「時韋提希見無量‡」↡下至[ル]↢「作礼ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢韋提0740[ハ]実ニ是垢凡ノ女質スガタナリ、†不↠足ラ↠可キニ↠言フ、†但以レバ聖力冥クラキニ加シテ、彼ノ仏現ジタマフ時、得ルコトヲ↟蒙ルコトヲ↢稽ツク首カウベヲ[スルコト]ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ニ (二)述意
^これすなはち▲序には浄国に臨みて、 喜歎してもつてみづから勝ふることなし。 いまはすなはちまさしく弥陀を覩たてまつりて、 さらにますます心開けて*忍を悟る。
~斯乃チ序ニハ臨†ミテ↢浄国ニ↡、喜歎シテ無シ↢以テ自勝†フルコト↡。今[ハ]乃チ正[シク]覩タテマツリテ↢弥陀ヲ↡、更ニ益心開ケテ悟ル↠忍ヲ。
二 Ⅰ ⅶ b ホ 釈領荷仏恩文
(一)科節
^五に ▲「白仏言」 より下 「及二菩薩」 に至るこのかたは、 まさしく夫人仏恩を*領荷し、 物のために疑を陳べて後の問を生ずることを明かす。
五[ニ]従[リ]↢「白仏言」↡下至[ル]↢「及二菩薩ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明ス↧夫人領↢アヅカリ荷シニナフ‡仏恩ヲ↡、為ニ↠物ノ†陳ベテ↠疑ヲ生ズルコトヲ↦於後ノ†問ヲ↥。
二 Ⅰ ⅶ b ホ (二)述意
^これ夫人の意は、 仏 (釈尊) いま現にましませば、 尊の加念を蒙りて弥陀を覩たてまつることを得るも、 仏滅後の衆生はいかにしてか見たてまつるべきといふことを明かす。
~此‡明[ス]↧夫人ノ意者、仏今現ニ在セバ、蒙[リ]テ↢尊ノ加念ヲ↡得†ルモ↠覩タテマツルコトヲ↢†弥陀ヲ↡、仏滅後ノ衆生ハ云何ニシテカ可キトイフコトヲ↞見タテマツル也。
二 Ⅰ ⅶ b ヘ 釈為物置請文
^六に ▲「未来衆生」より下 「及二菩薩」 に至るこのかたは、 それ夫人物のために請を置けて、 おのれに同じく見しむることを明かす。
六[ニ]従[リ]↢「未来衆生‡」↡下至[ル]↢「及二菩薩ニ」↡已来[タ]ハ、▲明[ス]↣†其夫人為ニ↠物ノ置ケテ↠請ヲ、使ムルコトヲ↢同[ジ]ク↠己ニ見‡↡。
二 Ⅰ ⅶ b ト 釈総告許説文
(一)科節
【9】 ^七に ▲「仏告韋提」より下 「当起想念」 に至るこのかたは、 まさしく*総告許説の言を明かす。
七[ニ]従[リ]↢「仏告韋提‡」↡下至[ル]↢「当起想念ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢†総告許説之言ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ト (二)問答
^問ひていはく、 夫人の請を置くるは、 おのれに通じて生のためにす。 如来の酬答したまふに及至りては、 ただ韋提を指して生に通ぜざるや。
~問[ヒテ]曰[ク]、夫人置クル†ハ↠請ヲ、通ジテ↠己ニ為ニス↠生ノ。及↢至[リ]テ[ハ]如来ノ†酬答シタマフニ↡、但指シテ↢韋提ヲ↡不†ル↠通ゼ↠生ニ也。
^答へていはく、 仏身化に臨みて法を説き、 もつて機に*逗ず。 請ぜざるすら、 なほみづからあまねく弘めたまふ。 なんぞ別して指して等しく備へざることを論ぜん。 ただ文略を0426もつてのゆゑになし。 兼ねてこれがためにする心かならずあり。
~答[ヘテ]曰[ク]、仏身臨†ミテ↠化ニ説[キ]‡↠法ヲ、以テ逗†ズ↠機ニ。不ルスラ↠請ゼ尚自普ク弘メタマフ。何ゾ†論ゼム↣別シテ指シテ而不ルコトヲ↢等シク備ビ ヘ↡。但以[テ]ノ↢文略‡ヲ↡故ニ†無シ。兼ネテ為ニスル↠之ガ心必ズ有リ†也。△
二 Ⅰ ⅶ b チ 釈教観方便文
(一)科節
^八に ▲「七宝地上」 より下 「華想」 に至るこのかたは、 まさしく観の方便を教ふることを明かす。
八[ニ]従[リ]↢「七宝地上」↡下至[ル]↢「華想ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]†明ス↠教フルコトヲ↢観ノ方便ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b チ (二)問答
^問ひていはく、 衆生*盲闇にして、 想を逐ひて労を増す。 目に対して冥きこと夜遊するがごとし。 遠く浄境を標するに、 なにによりてか*悉すべき。
▲問[ヒテ]曰[ク]、衆生盲闇†ニシテ、†逐ヒテ↠想ヲ増ス↠労ヲ。イタハシク対シテ↠目ニ冥キミヤウコト若シ↢夜ヨル遊アソブスルガ↡。遠ク標ス[ルニ]↢浄境ヲ↡、何ニ由[リ]テカ可キ↠†悉ス。
^答へていはく、 もし衆生の*惑障動念に望まば、 いたづらにみづから疲労せん。 仰ぎて*聖力のはるかに加するを憑めば、 所観、 みな見しむることを致す。
~答[ヘテ]曰[ク]、若シ望†マバ↢衆生ノ惑障動念ニ↡、徒ニ自疲ツカレ労イタム†セム。仰ギテ†憑メバ↢聖力[ノ]遥ニ加スルヲ↡、致ス↠使[ム]ルコトヲ↢所観‡皆見‡↡。
・修観作法
^いかんが作法して心を住めて見ることを得しむるや。 作法せんと欲せば、 もろもろの行者等先づ仏0520像の前において心を至して懴悔して、 所造の罪を発露し、 きはめて慚愧を生じ、 悲泣して涙を流せ。
~云何ガ作法シテ†住メテ↠心ヲ而令ムル↠得‡↠見[ル]コトヲ也。†欲セバ↢作法セムト↡者、諸ノ行者等先ヅ†於テ↢仏像ノ前ニ↡†至シテ↠心ヲ懴悔シテ、発ヒラキ↢露シアラハス所造之罪ヲ↡、極メテ生ジ↢慚ハヂ愧ハヅヲ↡、悲泣シテ流†セ↠涙ヲ。
^悔過することすでに竟りて、 また心口に釈迦仏・十方恒沙等の仏を請じ、 またかの弥陀の本願を念じていへ。 「弟子某甲等生盲にして罪重く、 *障隔処深し。 願はくは仏の慈悲をもつて摂受護念し、 *指授し開悟せしめて、 所観の境、 願はくは成就することを得しめたまへ。 いまたちまちに身命を捨て、 仰ぎて弥陀に属す。 見と不見と、 みなこれ仏恩の力なり」 と。
~悔過スルコト既ニ竟[リ]テ、又心口ニ請ジ↢釈0741迦仏・十方恒沙等ノ仏ヲ↡、又念ジテ↢彼ノ弥陀ノ本願ヲ↡言ヘ。弟子†某甲等生盲ニシテ罪重ク、†障隔†処深シ。願クハ仏ノ慈悲[ヲモテ]摂受護念シ‡、†指授シ開悟セシメテ、所観之境、願クハ得シメタマヘ↢成就スルコトヲ↡。今†頓チニ捨テ↢身命ヲ↡、仰ギテ属ス[ト]↢弥陀ニ↡。見ト†以↢不見↡、皆是仏恩ノ†力ナリ[ト]。
^この語をいひをはりて、 さらにまた心を至して懴悔しをはりて、 ▼すなは0427ち静処に向かひて、 面を西方に向かへて*正坐跏趺すること、 もつぱら△前の法に同じ。 すでに心を住めをはりなば徐々に心を転じ、 かの宝地の雑色分明なるを想へ。
~噵ヒ↢此ノ語ヲ↡已[リ]テ、更ニ復†至シテ↠心ヲ懴悔シ竟已[リ]テ、即[チ]向[ヒ]テ↢静処ニ↡、面ヲ向ヘテ↢西方ニ↡正坐跏趺スルコト、†一ラ同ジ↢前ノ法ニ↡。既ニ†住メ↠心ヲ已[リ]ナバ徐徐†ニ転ジ‡↠心ヲ、†想ヘ↢彼ノ宝地ノ雑色分明ナルヲ↡。
^▽はじめて想はんには多境を乱想することを得ざれ、 すなはち定を得がたし。 ただ方寸・一尺等を観ぜよ。 あるいは一日・二日・三日、 あるいは四・五・六・七日、 あるいは一月・一年・二・三年等、 日夜を問ふことなく、 行住坐臥に身口意業つねに定と合せよ。
~初テ想ハムニハ不レ↠得↣乱↢想スルコト[ヲ]多境†ヲ↡、即[チ]難シ↠得↠定ヲ。唯観ゼヨ↢方寸・一尺等ヲ↡。或[イハ]一日・二日・三日、或[イハ]四・五・六・七日、或[イハ]一月・一年・二・三年等、無ク↠問フコト↢日夜ヲ↡、行住坐臥[ニ]身口意業常ニ与↠定合セヨ。
^◆ただ万事ともに捨てて、 なほ失意・聾盲・痴人のごとくなれば、 この定かならずすなはち得やすし。 もしかくのごとくならざれば、 三業縁に随ひて転じ、 定想波を逐ひて飛ぶ。 ▼たとひ千年の寿を尽せども、 *法眼いまだかつて開けず。
~唯万事倶ニ捨テテ、†由如ク†ナレバ↢失ウシナウ意・聾ミヽシヰ盲・メシヰ痴人ノ↡者、此ノ定必ズ即チ易シ↠得。若シ不レバ↠如クナラ↠是[ク]ノ、三業随[ヒ]テ↠縁ニ転ジ、定想†逐ヒテ↠波ヲ飛ブ。縦ヒ尽セドモ↢千年ノ寿ヲ↡、法眼未ズ ダ↢曽テ開ケ↡。
^◆もし心に定を得る時は、 あるいは先づ明相現ずることあり、 あるいは先づ宝地等の種々に分明なる不思議のものを見るべし。 二種の見あり。 一には想見。 なほ*知覚あるがゆゑに、 浄境を見るといへどもいまだ多く明了ならず。 二にはもし内外の覚滅してすなはち*正受三昧に入れば、 見るところの浄境すなはち想見の*比校をなすことを得るにあらず。
~若シ心ニ得ル↠定[ヲ]時ハ、或[イハ]先ヅ有リ↢明相現ズルコト↡、或[イハ]可シ↣先ズ見ル↢宝地等ノ種種ニ分明ナル不思議ノ者ヲ↡。有リ↢二種ノ見↡。一[ニ]者想見。†猶有ルガ↢知覚↡故ニ、雖[モ]↠見[ル]ト↢浄境ヲ↡未ズ ダ↢多ク明了ナラ↡。二[ニ]者若シ内外ノ覚滅シテ即[チ]入レバ↢正受三昧ニ↡、所ノ↠見ル浄境即チ†非ズ↢想見ノ得ルニ↟為スコトヲ↢比校ヲ↡也。△
二 Ⅰ ⅶ b リ 釈法華荘厳文
(一)科節
^九に ▲「令其蓮華」より下 「八万四千光」 に至るこのかたは、 まさしく宝華に種々の荘厳あることを明かす。 すなはちその0521三あり。
九[ニ]従リ↢「令其蓮華‡」↡下至[ル]↢「八万四千光ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣宝華ニ有[ル]コトヲ↢種種[ノ]荘厳↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]三↡。
・華葉
^▲一には一々の華葉衆宝の色0428を備へたることを明かす。
▲一[ニ]ハ明[ス]↣一一ノ華葉備ビ ヘタルコトヲ↢衆宝[ノ]色ヲ↡。
・宝脈
^▲二には一々の葉に衆多の宝脈あることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣一一ノ†葉[ニ]有[ル]コトヲ↢衆多ノ宝脈スヂ ↡。
・光色
^▲三には一々の脈に衆多の光色あることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣一一ノ†脈ニ有[ル]コトヲ↢衆多ノ光色↡。
二 Ⅰ ⅶ b リ (二)述意
・総標次第
^これ行者をして心を住めて一々にこれを想はしめて、 ことごとく心眼をして見ることを得しむ。
此‡†令0742メテ↢行者ヲシテ住メテ↠心ヲ一一ニ想ハ↟之ヲ、悉ク令ム↢心眼ヲシテ得‡↟見[ル]コトヲ。
・正明観相
^すでに華葉を見をはりなば、 次に葉のあひだの衆宝を想ひ、 次に宝より多光を出すに、 光宝蓋となることを想ひ、 次に華台・台上の衆宝および珠網等を想ひ、 次に台上の*四柱の宝幢を想ひ、 次に幢上の*宝幔を想ひ、 次に幔上の宝珠光明雑色にして虚空に遍満して、 おのおの異相を現ずることを想へ。
既ニ見↢華葉ヲ↡已[リ]ナバ、次ニ想ヒ↢†葉ノ間ノ衆宝ヲ↡、次ニ想†ヒ↧宝[ヨリ]出スニ↢多光ヲ↡光成ルコトヲ↦宝蓋ト↥、次ニ想†ヒ↢華台・台上ノ衆宝及ビ*珠網等ヲ↡、次ニ想ヒ↢台上ノ四柱ノ宝幢ヲ↡、次ニ想†ヒ↢幢上ノ宝幔ヲ↡、次ニ想ヘ↧幔上ノ宝珠光明雑色[ニシテ]遍↢満シテ虚空ニ↡、各現ズルコトヲ↦異相ヲ↥。
・観成義相
^かくのごとく次第に一々に心を住めて捨てざれば、 久しからざるあひだにすなはち定心を得。 すでに定心を得れば、 かのもろもろの荘厳一切顕現す、 知るべし。
如ク↠是[ク]ノ次第ニ一一ニ†住メテ↠心ヲ不レバ↠捨[テ]、不ル↠久[シ]カラ之間ニ即[チ]得↢定心ヲ↡。既ニ†得レバ↢定心ヲ↡、彼ノ諸ノ荘厳一切顕現ス、応シ↠知[ル]。
二 Ⅰ ⅶ b ヌ 釈弁観成相文
^十に ▲「了了」より下は観成の相を弁ず。
十[ニ]従[リ]↢「了了‡」↡下ハ▲弁ズ↢観成ノ相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ル 釈華葉荘厳文
^十一に ▲「華葉小者」より下 「遍覆地上」 に至るこのかたは、 まさしく*葉々に種々の荘厳あることを明かす。 すなはちその六あり。
十一[ニ]従[リ]↢「華葉小者‡」↡下至[ル]↢「遍覆地上ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣*葉葉[ニ]有[ル]コトヲ↢種種ノ荘厳↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・華葉大小
^▲一には華葉の大小を明かす。
一[ニハ]明[ス]↢華葉ノ大小ヲ↡。
・華葉多少
^▲二には華葉の多少を明かす。
二[ニハ]明[ス]↢華葉ノ多少ヲ↡。
・葉間珠映
^▲三には葉間の珠映の多少を明かす。
三[ニハ]明†ス↢葉間[ノ]珠映[ノ]多少ヲ↡。
・珠有千光
^▲四には珠に千光あることを明かす。
四[ニハ]†明ス↣珠ニ有ルコトヲ↢千光↡。
・変成宝蓋
^▲五には一々の珠の光変じて宝蓋となることを明かす。
五[ニハ]明ス↣一一ノ珠ノ光変ジテ成ルコトヲ↢宝蓋ト↡。
・変成上下
^▲六には宝蓋上虚空を照らし、 下宝地を覆ふことを明かす。
六[ニハ]明[ス]↧宝蓋、上照シ↢虚空ヲ↡、下覆フコトヲ↦宝地ヲ↥。
二 Ⅰ ⅶ b ヲ 釈台上荘厳文
^十二に ▲「釈迦毘楞伽」より下 「以為交飾」 に至るこのかたは、 まさしく台上の荘0429厳の相を明かす。
十二[ニ]従[リ]↢「釈迦毘楞リヨウ伽‡」↡下至[ル]↢「以為交マジヘ飾ニカザル」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢台上ノ荘厳之相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ワ 釈幢上荘厳文
^十三に ▲「於其台上」 より下 「妙宝珠以為映飾」 に至るこのかたは、 まさしく幢上の荘厳の相を明かす。 すなはちその四あり。
十三[ニ]従[リ]↢「於其台上‡」↡下至[ル]↢「妙宝珠以為映飾ニカザル」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢†幢上ノ荘厳之相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・四幢
^▲一には台上におのづから*四幢あることを明かす。
一[ニハ]明[ス]↣台上ニ自有[ル]コトヲ↢四幢↡。
・体量
^▲二には幢の体量の大小を明かす。
二[ニハ]明[ス]↢幢之体量ノ大小ヲ↡。
・宝幔
^▲三には幢上におのづから宝幔ありて、 状*天宮に似たることを明かす。
三[ニハ]明[ス]↧幢上ニ自有[リ]テ↢宝幔↡、状似タルコトヲ↦天宮ニ↥。
・宝珠
^▲四には幢上におのづから衆多の宝珠ありて、 輝光映飾することを明かす。
四[ニハ]明[ス]↧幢上ニ自有[リ]テ↢衆多ノ宝珠↡、輝光カヾヤク映飾スルコトヲ↥。
二 Ⅰ ⅶ b カ 釈珠光徳用文
^十四に ▲「一一宝珠」より下 「施作0522仏事」 に至るこのかたは、 まさしく珠光に不思議の徳用の相あることを明かす。 すなはちその五あり。
十四[ニ]従[リ]↢「一一宝珠‡」↡下至[ル]↢「施作仏事ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣珠光ニ有[ル]コトヲ↢不思議ノ徳用之相↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・多光
^▲一には一々の珠に多光あることを明かす。
一[ニハ]明[ス]↣一一ノ珠ニ有[ル]コトヲ↢多光↡。
・異色
^▲二には一々の光おのおの異色をなすことを明かす。
二[ニハ]明[ス]↣一一ノ光各作スコトヲ↢異色ヲ↡。
・遍於宝土
^▲三には一々の光色宝土に遍することを明かす。
三[ニハ]明[ス]↣一0743一ノ光色遍スルコトヲ↢於宝土ニ↡。
・異種荘厳
^▲四には光の至るところの処、 おのおの異種の荘厳をなすことを明かす。
四[ニハ]明[ス]↣光ノ所[ノ]↠至ル処、各作[ス]コトヲ↢異種ノ荘厳ヲ↡。
・遍満十方
^▲五にはあるいは金台・珠網・華雲・宝楽となりて十方に遍満することを明かす。
五[ニハ]明[ス]↧或[イハ]作[リ]テ↢金台・珠網・華雲・宝楽ト↡遍↦満スルコトヲ十方ニ↥。
二 Ⅰ ⅶ b ヨ 釈総結観名文
^十五に ▲「是為」 より下は総じて観の名を結す。
十五[ニ]従[リ]↢「是為」↡下ハ▲総ジテ結ス↢観ノ名ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b タ 釈願力所成文
^十六に ▲「仏告阿難」 より下 「比丘願力所成」 に至るこのかたは、 まさしく*華座得成の所由を明かす。
十六[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡下至ル↢「比丘願力所成ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢華座得成ノ所由ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b レ 釈重顕観儀文
^十七に ▲「若欲念彼仏者」より下 「自見面像」 に至るこのかたは、 まさしくかさねて*観の儀を顕すことを明かす。 △前のごとく次第に心を住めて雑乱することを得ざれ。
十七[ニ]従[リ]↢「若欲念彼仏者‡」↡下至[ル]↢「自見面像ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣重テ顕スコトヲ↢観[ノ]儀ヲ↡。如ク↠前ノ次第ニ†住メテ↠心ヲ不レ↠得↢雑マジハリ乱ミダルスルコトヲ↡也。
二 Ⅰ ⅶ b ソ 釈結観成相文
^十八に ▲「此想成者」より下 「生極楽世界」 に至るこのかた0430は、 まさしく観成の相を結することを明かす。 すなはち二の益あり。
十八[ニ]従[リ]↢「此想成者‡」↡下至[ル]↢「生極楽世界ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↠結スルコトヲ↢観成ノ相ヲ↡。即[チ]有リ↢†二ノ益↡。
・除罪
^▲一には除罪の益を明かす。
▲一[ニ]ハ明†ス↢除罪[ノ]益ヲ↡。
・得生
^▲二には得生の益を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢得生ノ益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ツ 釈弁観邪正文
(一)科節
^十九に ▲「作是観者」 より下 「名為邪観」 に至るこのかたは、 まさしく観の邪正の相を弁ずることを明かす。
十九[ニ]従[リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「名為邪観ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↠弁ズルコトヲ↢観ノ邪正ノ相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ b ツ (二)略頌
^これすなはち華は宝地により、 葉は奇珍を間へ、 台は*四幢を瑩き、 光は仏事を施す。
~斯乃チ華[ハ]依リ↢宝地ニ↡、†葉[ハ]間ヘ↢奇珍ヲ↡、台[ハ]瑩キ↢四幢ヲ↡、光[ハ]施ス↢仏事ヲ↡。
二 Ⅰ ⅶ c 結
^上来十九句の不同ありといへども、 広く華座観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢十九句ノ不同↡、広[ク]明シ↢華座観ヲ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅷ【像観】
a 標
【10】^八に*像観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十三あり。
▲八[ニ]就[キテ]↢像観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有リ↢其[ノ]十三↡。
二 Ⅰ ⅷ b 釈
イ 釈結前生後文
^一に ▲「仏告阿難」 より下 「次当想仏」 に至るこのかたは、 まさしく前を結し、 後を生ずることを明かす。 「▲所以者何」 といふは、 これその問なり。 仏を想ふべき所以はいかんとなり。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「次当想仏ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢†結シ↠前ヲ生ズルコトヲ↟後ヲ。言[フ]↢「所以者何ト」↡者、▲是其ノ†問也。†所↢以†須キ↟想フ↠仏ヲ者何ン[トナリ]。
二 Ⅰ ⅷ b ロ 釈応心即現文
(一)科節
^二に ▲「諸仏如来」 より下 「心想中」 に至るこのかたは、 まさしく諸仏の大慈、 ˆ衆生のˇ 心に応じてすなはち現じたまふことを明かす。 この勝益あるがゆゑに、 なんぢを勧めてこれを想はしむ。
二[ニ]従[リ]↢「諸仏如来」↡下至[ル]↢「心想中ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢諸仏ノ大慈、応ジテ↠心ニ即[チ]現ジタマフコトヲ↡。有[ル]ガ↢斯ノ勝益↡故ニ、勧メテ↠汝ヲ想ハシム↠之ヲ。
二 Ⅰ ⅷ b ロ (二)問答
^問ひていはく、 韋提の▲上の請にはただ弥陀を指0523す。 いぶかし、 如来 (釈尊) いま総じて諸仏を挙げたまふ、 なんの意かあるや。
~問[ヒテ]曰[ク]、韋提[ノ]†上ノ請ニハ唯指ス↢弥陀ヲ↡。未審、如来今総ジテ挙ゲタマフ↢諸仏ヲ↡、有ル↢何ノ意カ↡也。
^答へていはく、 諸仏は三身同じく証し、 *悲智の果円かなること等斉にして二なく、 *端身一坐にして*影現すること*無方なり。 意、 有縁に赴く時、 ↓法界に臨むことを顕さんと欲す。
~答[ヘテ]曰[ク]、欲ス↠顕サムト↧諸仏†ハ三身同0744[ジ]ク証シ、悲・智[ノ]果円ナルコト等斉 ヒトシ ニシテ†無ク↠二、端身一坐ニシテ影カゲ現スルコト無方ナリ、意赴ク↢有縁ニ↡時、臨ムコトヲ↦法界ニ↥。△
二 Ⅰ ⅷ b ロ (三)釈文
・是法界身【法界身義】
^0431「↑法界」 といふは三義あり。 一には心遍するがゆゑに法界を解す。 二には身遍するがゆゑに法界を解す。 三には*障礙なきがゆゑに法界を解す。 まさしくは心到るによるがゆゑに、 身また随ひて到る。 身は心に随ふがゆゑに 「▲是↓法界↓身」 といふ。
▲言フ↢「法界ト」↡者有[リ]↢三‡義↡。一[ニ]者心遍スルガ故ニ†解ス↢法界ヲ↡。二[ニ]者†身遍スルガ故ニ†解ス↢法界ヲ↡。三[ニ]者無キガ↢障礙サワリ↡故ニ†解ス↢法界ヲ↡。正[シ]クハ由ルガ↢心到ルニ↡故ニ、†身亦随[ヒ]テ到ル。†身ハ随フガ↢於心ニ↡故ニ言フ↢「是法界身ト」↡†也。
^▼「↑法界」 といふはこれ*所化の境、 すなはち衆生界なり。 「↑身」 といふはこれ*能化の身、 すなはち諸仏の身なり。
~言フ↢「法界ト」↡者是所化之境、即チ衆生界也。言フ↢「身ト」↡者是能化之身、即チ諸仏ノ身也。
・入衆生心想中
^「▲入衆生心想中」 といふは、 すなはち衆生念を起して諸仏を見たてまつらんと願ずるによりて、 仏すなはち*無礙智をもつて知り、 すなはちよくかの想心のうちに入りて現じたまふ。 ただもろもろの行者、 もしは想念のうち、 もしは夢定のうちに仏を見たてまつるは、 すなはちこの義を成ずるなり。
言フ↢「入衆生心想中ト」↡者、▲乃チ由[リ]テ↢衆生起シテ↠念ヲ願ズルニ↟見[タテマツラ]ムト↢諸仏ヲ↡、*仏即チ以テ↢無礙サハリ‡智ヲ↡†知リ、即チ能ク入リテ↢彼ノ想心ノ中ニ↡現[ジ]タマフ。†但諸ノ行者、若シハ想念ノ中、若[シ]ハ夢ユメ定ノ中ニ見タテマツル↠仏ヲ者、即チ成ズル↢斯ノ義ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b ハ 釈結勧利益文
(一)科節
^三に ▲「是故汝等」より下 「従心想生」 に至るこのかたは、 まさしく利益を結勧することを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「是故汝等‡」↡下至[ル]↢「従心想生ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↣結↢勧スルコトヲ利益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ b ハ (二)述意
^これ▽心を標して仏を想ふことを明かす。 ただ*仏解をなして頂より足に至るまで心に想ひて捨てず、 一々にこれを観じてしばらくも休息することなかれ。 あるいは*頂相を想ひ、 あるいは眉間の*白毫乃至足下*千輪の相を想へ。 この想をなす時、 仏像端厳にして相好具足し、 了然として現じたまふ。
▲此明[ス]↢標シテ↠心ヲ想フコトヲ↟仏ヲ。但作シテ↢仏解ヲ↡従リ↠頂至[ル]マデ↠足ニ心ニ想[ヒ]テ不↠捨[テ]、一一ニ観ジテ↠之ヲ無カレ↢暫モ休ヤスミ息ヤスムスルコト↡。或[イハ]想ヒ↢頂相ヲ↡、或[イハ]想ヘ↢眉間ノ白毫乃至足下‡千輪之相ヲ↡。作ス↢此ノ想ヲ↡時、仏像 端ウルハシ厳イツクシニシテ相好具足シ了然†トアキラカナリシテ而現†ジタマフ。
二 Ⅰ ⅷ b ハ (三)釈文
・是心即是
^すなはち心一々の相を縁ずるによるがゆゑに、 すなはち一々の相現ず。 心もし縁ぜずは衆相見るべからず。 ただ自心に想作すれ0432ば、 すなはち心に応じて現ず。 ゆゑに 「▲是心即是三十二相」 といふ。
乃チ由ルガ↣心縁ズルニ↢一一ノ相†ヲ↡故ニ、即[チ]一一ノ相現ズ。心若シ不ハ↠縁ゼ衆相不↠可カラ↠見ル。†但自心ニ想作スレバ即チ応ジテカナウ ↠心ニ而現ズ。故ニ言フ↢「是心即是三十二相ト」↡†也。
・八十随形好
^「▲八十随形好」 といふは、 *仏相すでに現ずれば、 *衆好みな随ふ。 これまさしく如来もろもろの想者を教へて具足して観ぜしめたまふことを明かす。
言フ↢「八十随形好ト」↡者、▲仏相既ニ現ズレバ、衆好皆随フ†也。此正[シク]明ス↧如来教ヘテ↢諸ノ想者ヲ↡具足シテ観ゼシメタマフコトヲ↥也。
・是心作仏
^「▲是心作仏」 といふは0524、 自の信心によりて相を縁ずるは作のごとし。
言フ↢「是心作仏ト」↡者、▲依[リ]テ↢†自ノ信心ニ↡†縁ズルハ↠相ヲ†如シ↠作ノ也。
・是心是仏
^「▲是心是仏」 といふは、 心よく仏を想へば、 想によりて仏身現ず。 すなはち▼この心仏なり。 この心を離れてほかにさらに異仏なければなり。
言フ↢「是心是仏ト」↡者、▲心能ク想ヘバ↠仏ヲ、依[リ]テ↠想ニ仏身而現ズ。即0745チ†是ノ心仏也。離レテ↢此[ノ]心ヲ↡外ニ更ニ無†ケレバ↢異仏↡者也。
・諸仏正遍知
^「▲諸仏正遍知」 といふは、 これ諸仏は*円満無障礙智を得て、 作意と不作意とつねによくあまねく法界の心を知りたまへり。 ただよく想をなせば、 すなはちなんぢが心想に従ひて現じたまふこと、 生ずるがごとしといふことを明かす。
言フ↢「諸仏正遍知ト」↡者、▲此‡明[ス]↧諸仏[ハ]得テ↢円満‡無障礙智ヲ↡、作意ト不作意ト‡常ニ能ク遍ク†知リタマヘリ↢法界之心ヲ↡、†但能ク作セバ↠想ヲ、即[チ]†従ヒテ↢汝ガ心想[ニ]↡而現[ジ]タマフコト、似↦如シトイフコトヲ生ズルガ↥也。
二 Ⅰ ⅷ b ハ (四)簡非
・標異解
^あるいは行者ありて、 この一門の義をもつて*唯識法身の観となし、 あるいは*自性清浄仏性の観となすは、 その意はなはだ錯れり。 絶えて少分もあひ似たることなし。
▲或[イハ]有[リ]テ↢行者↡、将テ↢此ノ一門之義ヲ↡作シ↢唯識法身之観†ト↡、或[イハ]作ス↢自性清浄仏性ノ観†ト↡者、其ノ意甚ダ錯レリ。絶エテ無シ↢少分モ相似タルコト↡也。
・牒経文
^すでに像を想へといひて三十二相を仮立せるは、 *真如法界の身ならば、 あに相ありて縁ずべく、 身ありて取るべけんや。 しかも法身は無色にして眼対を絶す。 さらに類として方ぶべきなし。 ゆゑに虚空を取りてもつて法身の体に喩ふ。
~既ニ言ヒテ↠想ヘト↠像ヲ仮↢立セル三十二相ヲ↡者、真如法界ノ身[ナラバ]、豈有[リ]テ↠相而可ク↠縁ズ、有[リ]テ↠身而可ケム↠取ル也。然モ法身ハ†無色ニシテ†絶ス↢於眼対ヲ↡。更ニ無シ↢類トシテ可キ‡↟方ブ。故ニ取[リ]テ↢虚空ヲ↡以テ喩フ↢法身之体ニ↡也。
・示今経〔指方立相〕
^▼またいまこの*観門は等しくただ*方を指し相を立てて、 心を住めて境を取らしむ。 総じて*無相離念を明かさず。
~又今此ノ観門ハ等シク唯指シ↠方ヲ立テ[テ]↠相ヲ、†住メテ↠心ヲ而取ラシム↠境[ヲ]。†総ジテ不↠明サ↢無相離念ヲ↡也。
・示所由
^▼如0433来 (釈尊) はるかに末代罪濁の凡夫の相を立てて心を住むるすらなほ得ることあたはず、 いかにいはんや相を離れて事を求むるは、 *術通なき人の空に居して舎を立つるがごとしと知りたまへり。
~如来懸ニ知リタマヘリ↧末代罪濁ノ凡夫[ノ]立テ[テ]↠相ヲ†住スルスラ↠心ヲ尚†不↠能ハ↠得ルコト、何ニ況ヤ離レテ↠相ヲ而求†ムル↠事ヲ者、如↦似シト無キ↢術通↡人ノ居シテ↠空ニ立†ツルガ↞舎ヲ也。△
二 Ⅰ ⅷ b ニ 釈展転教観文
【11】^四に ▲「是故応当」より下 「三仏陀」 に至るこのかたは、 まさしく前のごとき所益、 専注すればかならず成ず、 *展転してあひ教へ、 勧めて*かの仏を観ぜしむることを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「是故応当‡」↡下至ル↢「三仏陀ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]†明ス↣如キ↠前ノ所益、専注スレバ必ズ成ズ、展転シテ相教ヘ、勧メテ観ゼシムルコトヲ↢彼ノ仏ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b ホ 釈想彼仏者等文
^五に ▲「想彼仏」よりは前を牒して後を生ず。 「▲先当想像」 といふは所観の境を定む。
五[ニ]従[リ]↢「想彼仏‡」↡者▲牒シ[テ]↠前ヲ生ズ↠後ヲ。言フ↢「先当想像ト」↡者▲定ム↢所観ノ境ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ b ヘ 釈弁観成相文
^六に ▲「閉目開目」より下 「如観掌中」 に至るこのかたは、 まさしく観成の相を弁ずることを明かす。 すなはちその四あり。
六[ニ]従[リ]↢「閉目開目‡」↡下至[ル]↢「如観掌中ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↠弁ズルコトヲ↢観成ノ相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其ノ四↡。
・金像
^▲一には身の四威儀、 眼の開合に一の金像を見ること、 目の前に現ずるがごとくに、 つねにこの想をなせといふことを明かす。
一[ニハ]†明ス↧身ノ四威儀、眼之開合ニ見ルコト↢一ノ金像ヲ↡、似ニ↠現ズルガ↢目ノ前ニ↡常ニ作セトイフコトヲ↦此ノ想ヲ↥。
・華座
^▲二0525にはすでによく像を観ずれば、 像すなはちすべからく坐処あるべし。 すなはち▲前の華座を想ひ、 像上にましまして坐したまふと想へといふことを明かす。
二[ニハ]†明ス↧既ニ能ク観ズレバ↠像ヲ、像即[チ]須クシ↠有ル↢坐処↡、即[チ]想ヒ↢前ノ華座ヲ↡、想ヘトイフコトヲ↦像在シテ↠上ニ而坐シタマフト↥。
・心眼即開
^▲三には像の坐せるを想見しをはりて、 心眼すなはち開くることを明かす。
三[ニハ]明[ス]↧想↢見0746シ像ノ坐セルヲ↡已[リ]テ、心眼即[チ]開ク[ル]コトヲ↥。
・了然無礙
^▲四には心眼すでに開けて、 すなはち金像およびかの極楽のもろもろの荘厳の事を見るに、 地上・虚空了然として礙なきことを明かす。
四[ニハ]明[ス]↧心眼既ニ開ケテ即[チ]見ルニ↢金像及ビ彼ノ極楽ノ諸ノ荘厳ノ事ヲ↡、地上・虚空了然トシテ無[キ]コトヲ↞礙。
^▼また像を観ずる住心の法はもつぱら△前の説のごとし。 頂より一0434々にこれを想へ。 面の眉・毫相・眼・鼻・口・耳・咽・項・肩・臂・手・指を。 また心を抽きて上に向かひて胸・腹・臍・陰・脛・膝・・足・十指・*千輪等を想へ。 一々にこれを想ひて、 上より下に向かふを順観と名づけ、 下の千輪より上に向かふを逆観と名づく。
▲又観ズル↠像ヲ住心之法ハ一ラ如シ↢前ノ説ノ↡。従リ↠頂一一ニ想ヘ↠之ヲ†。†面ノ眉ノ毫相・眼・鼻・口・耳・咽ノド・項ウナジ ・肩カタ・臂ヒヂ・手・指ヲ。又†抽キテ↠心ヲ向†ヒテ↠†上ニ†想ヘ↢胸ムネ・腹ハラ・臍ホゾ・陰・脛ハギ ・膝ヒザ・ヒザガハラ・足、十指・千輪等ヲ↡。一一ニ想†ヒテ↠之ヲ、従リ↠上向†フヲ↠下ニ名†ケ↢順観ト↡、従[リ]↢下ノ千輪↡向†フヲ↠上ニ名ク↢逆観ト↡。
^◆かくのごとく逆順に心を住むれば、 久しからずしてかならず成ずることを得。 また仏身および華座・宝地等もかならずすべからく上下通観すべし。 しかも▼十三観のなかに、 この宝地・宝華・金像等の観もつとも要なり。 もし人を教へんと欲せば、 すなはちこの法を教へよ。 ただこの一法成じぬれば、 余の観すなはち自然にあきらかなり。
~如ク↠是[ク]ノ逆順[ニ]†住ムレバ↠心ヲ、不シテ↠久[シ]カラ必ズ得↠成ズルコトヲ也。又仏身及ビ華座・宝地等[モ]必ズ須ベ クシ↢上下通観ス↡。然モ十三観ノ中ニ、†此ノ宝地・宝華・金像等ノ観最モ要ナリ。若シ†欲セバ↠教ヘムト↠人†ヲ、即[チ]教ヘヨ↢此ノ法ヲ↡。但此ノ一法成ジ†ヌレバ者、余[ノ]観即[チ]自然ニ†了ラカ也。
二 Ⅰ ⅷ b ト 釈結前生後文
^七に ▲「見此」より以下は、 上の像身観を結成して、 後の*二菩薩観を生ず。
七[ニ]従[リ]↢「見此」↡†已下ハ、▲結↢成シテ上ノ像身観ヲ↡、生ズ↢後ノ二菩薩‡観ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b チ 釈明二身観文
^八に ▲「復当更作一大蓮華」より下 「坐右華座」 に至るこのかたは、 まさしく上の*三身観を成じて後の*多身観を生ずることを明かす。
八[ニ]従[リ]↢「復当更作一大蓮華‡」↡下至[ル]↢「坐右華座ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧成ジテ↢上ノ三身観ヲ↡生ズルコトヲ↦後ノ多身観ヲ↥。
^この二菩薩 (観音・勢至) を観ぜんと欲するものは、 もつぱら仏を観ずる法のごとくすべし。
~†欲スル↠観ゼムト↢此ノ二菩薩ヲ↡者ハ、一ラ如クスベシ↢観ズル↠仏ヲ法ノ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b リ 釈明多身観文
^九に ▲「此想成時」より下 「遍満彼国」 に至るこのかたは、 まさしく上の多身観を結成して、 後の説法の相を生ずることを明かす。
九[ニ]従[リ]↢「此想成時‡」↡下至[ル]↢「遍満彼国‡ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧結↢成シテ上ノ多身観ヲ↡生[ズル]コトヲ↦後ノ説法ノ相ヲ↥。
^これもろもろの行者等、 行住坐臥につねにかの国の一切の宝樹、 一切の宝楼、 華、 池等を縁ずることを明かす。 もしは礼念し、 もしは観想して、 つ0435ねにこの解をなせ。
~此‡明[ス]↣諸ノ行者等行住坐臥ニ常ニ縁ズルコトヲ↢彼ノ国ノ一切ノ宝樹†、一切ノ宝楼・華[・]池等ヲ↡。若[シ]ハ礼念シ‡、若[シ]ハ観想シテ、常ニ作セ↢此ノ解ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b ヌ 釈明説法相文
^十に ▲「此想成時」より下 「憶持不捨」 に至るこのかたは、 まさしく定によりて極楽0526の荘厳を見ることを得、 また一切の荘厳みなよく妙法を説くを聞くことを明かす。
十[ニ]従[リ]↢「此想成時‡」↡下至[ル]↢「憶持不捨ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↫因[リ]テ↠定ニ得↠見[ル]コトヲ↢極楽ノ荘厳ヲ↡、又聞クコトヲ↪一切[ノ]荘厳皆能ク説[ク]ヲ↩於妙法ヲ↨。
^すでにこれを見聞しをはりて、 つねに持ちて失することなきを定心を守ると名づく。
~既ニ見↢聞シ此ヲ↡已[リ]テ、恒ニ持[チ]テ莫キヲ↠†失スルコト名ク↠守0747ルト↢定心ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅷ b ル 釈弁観邪正文
^十一に 「▲令与修多羅合」より下 「見極楽世界」 に至るこのかたは、 観の邪正の相を弁ず。
十一[ニ]従[リ]↢「令与修多羅合‡」↡下至[ル]↢「見極楽世界ニ」↡已来[タ]ハ、▲弁ズ↢観ノ邪正之相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅷ b ヲ 釈総結観名文
^十二に ▲「是為」 より下は総じて結す。
十二[ニ]従[リ]↢「是為」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅷ b ワ 釈明観利益文
^十三に ▲「作是観者」 より下 「得念仏三昧」 に至るこのかたは、 ▼まさしく剋念して観を修すれば、 現に利益を蒙ることを明かす。 ▼これすなはち群生障重くして、 真仏の観階ひがたし。 ここをもつて大聖 (釈尊) 哀れみを垂れて、 しばらく心を形像に注めしめたまふ。
十三[ニ]従[リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「得念仏三昧ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣剋念[シテ]†修スレバ↠観ヲ、現ニ蒙ルコトヲ↢利益ヲ↡。斯乃チ群生障重クシテ、真仏之観難シ↠階ヒ。是ヲ以テ大聖垂レテ↠哀ヲ、且ク遣メタマフ↠注メ↢心ヲ形カタチ像ニスガタ↡。
二 Ⅰ ⅷ c 結
^上来十三句の不同ありといへども、 広く像観を明かしをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢十三句ノ不同↡、広[ク]明シ↢像観ヲ↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅸ【真身観】
a 標
【12】^九に*真身観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十二あり。
▲九[ニ]就[キ]テ↢真身観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁[ジ]、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]十二↡。
二 Ⅰ ⅸ b 釈
イ 釈結前生後文
^一に ▲「仏告阿難」 より下 「身相光明」 に至るこのかたは、 まさしく告命して前の像観を結成して、 後の真身の観を生ずることを明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「身相光明ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧告命シテ結↢成シテ前ノ像観ヲ↡、生[ズル]コトヲ↦後ノ真身之観ヲ↥也。
二 Ⅰ ⅸ b ロ 釈明身色文
^二に ▲「阿難当知」 より下 「金色」 に至るこのかたは、 まさしく真仏の身相天金の色に踰えたることを顕すことを明かす。
二[ニ]従[リ]↢「阿難当知」↡下至[ル]↢「金色ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明ス↠顕スコトヲ↣真仏之身相踰エタルコトヲ↢天金之色ニ↡也。
二 Ⅰ ⅸ b ハ 釈明身量文
^三に ▲「仏身高六十」より下 「由旬」 に0436至るこのかたは、 まさしく身量の大小を明かす。
三[ニ]従[リ]↢「仏身高六十‡」↡下至[ル]↢「由旬ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢身量ノ大小ヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ b ニ 釈総観身相文
^四に ▲「眉間」 より下 「菩薩為侍者」 に至るこのかたは、 まさしく総じて身相を観ずることを明かす。 すなはちその六あり。
四[ニ]従[リ]↢「眉間」↡下至[ル]↢「菩薩為侍者ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣総ジテ観ズルコトヲ↢身相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・毫相
^▲一には毫相の大小を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢毫相ノ大小ヲ↡。
・眼相
^▲二には眼相の大小を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢眼相ノ大小ヲ↡。
・毛孔光
^▲三には毛孔光の大小を明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢毛孔光ノ大小ヲ↡。
・円光
^▲四には円光の大小を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢円光ノ大小[ヲ]↡。
・化仏
^▲五には化仏の多少を明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢化仏ノ多少[ヲ]↡。
・侍者
^▲六には侍者の多少を明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↢侍者ノ多少[ヲ]↡。
二 Ⅰ ⅸ b ホ 釈明別相光益文
(一)解釈文相
^五に ▲「無量寿仏」より下 「摂取不捨」 に至るこのかたは、 まさしく身の*別相を観ずるに、 光*有縁を益することを明かす。 すなはちその五あり。
五[ニ]従[リ]↢「無量寿仏‡」↡下至[ル]↢「摂取不捨ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧観ズルニ↢†身ノ別相ヲ↡、光益スルコトヲ↦有縁ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・相
^▲一には相の多少を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢相ノ多少ヲ↡。
・好
^▲二には好の多少を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢好ノ多少[ヲ↡。
・光
^▲三には光の多少0527を明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢光[ノ]多少[ヲ]↡。
・光照
^▲四には▼光照の遠近を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢光照ノ遠近ヲ↡。
・蒙摂益
^▲五には光の及ぶところの処、 ひとへに*摂益を蒙ることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣光ノ所ノ↠及ブ処、偏ニ蒙ルコトヲ↢摂益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅸ b ホ (二)料簡義意
^▼問ひていはく、 つぶさに衆行を修して、 ただよく回向すればみな往生を得。 なにをもつてか仏光あまねく照らすにただ念仏のもののみを摂する、 なんの意かあるや。
▲問[ヒテ]曰[ク]、備ニ修0748シテ↢衆行ヲ↡、但能ク廻向スレバ皆得↢往生‡ヲ↡。何ヲ以テカ仏‡光普ク照スニ唯摂スル↢†念仏ノ者ノミヲ↡、有ル↢何[ノ]意カ↡也。
・三縁釈
^◆答へていはく、 これに三義あり。
~答[ヘテ]曰[ク]、此ニ有リ↢三義↡。
・三縁釈 ・親縁
^◆一には親縁を明かす。 ▼衆生行を起して口につねに仏を称すれば、 仏すなはちこれを聞きたまふ。 身につねに仏を*礼敬すれば、 仏すなはちこれを見たまふ。 心につねに仏を念ずれば、 仏すなはちこれを知りたまふ。 衆生仏を憶念すれば、 仏もまた衆生を憶念したまふ。 ▼*彼0437此の三業あひ捨離せず。 ゆゑに親縁と名づく。
~一[ニハ]明[ス]↢親縁ヲ↡。衆生起シテ↠行ヲ口ニ常ニ称スレバ↠仏ヲ、仏即[チ]聞キタマフ↠之ヲ。身ニ常ニ†礼↢敬スレバ仏ヲ↡、*仏即[チ]見タマフ↠之ヲ。心ニ常ニ念ズレバ↠仏[ヲ]、仏即[チ]知リタマフ↠之ヲ。衆生憶↢念†スレバ仏ヲ↡者、仏[モ]亦憶↢念シタマフ衆生ヲ↡。彼此[ノ]三業不↢相捨離セ↡。故ニ名ク↢親縁ト↡也。
・三縁釈 ・近縁
^◆二には近縁を明かす。 ▼衆生仏を見たてまつらんと願ずれば、 仏すなはち念に応じて現じて目の前にまします。 ゆゑに近縁と名づく。
~二[ニハ]明[ス]↢近縁ヲ↡。衆生願ズレバ↠見[タテマツラム]ト↠仏ヲ、仏即[チ]応ジテ↠念ニ現ジテ在ス↢目ノ前ニ↡。故ニ名ク↢近縁ト↡也。
・三縁釈 ・増長縁
^◆三には増上縁を明かす。 ▼衆生称念すれば、 すなはち多劫の罪を除く。 命終らんと欲する時、 仏、 聖衆とみづから来りて*迎接したまふ。 ▼*諸邪業繋もよく礙ふるものなし。 ゆゑに増上縁と名づく。
~三[ニハ]明[ス]↢増上縁ヲ↡。衆生称念スレバ、即[チ]除ク↢多劫ノ罪ヲ↡。命欲スル↠終ラムト時、仏与↢聖衆↡自来[リ]テ迎接シタマフ†。諸‡邪業繋[モ]無シ↢能ク礙フル者↡。故ニ名ク↢増上縁ト↡也。
・念仏三昧
^▼自余の衆行はこれ善と名づくといへども、 もし念仏に比ぶれば、 まつたく比校にあらず。 このゆゑに諸経のなかに処々に広く念仏の*功能を讃めたり。
~自余ノ衆行‡雖[モ]↠名クト↢是善ト↡、若シ比†ブレバ↢念仏ニ↡者全ク非ズ↢比校タクラブニ↡也。是ノ故ニ諸経[ノ]中ニ処処ニ広ク讃メタリ↢念仏ノ功能ヲ↡。
^▼¬無量寿経¼ の四十八願のなかのごときは、 ▲ただもつぱら弥陀の名号を念じて生ずることを得と明かす。
~如キ[ハ]↢¬無量寿経ノ¼四十八願ノ中ノ↡、唯明†ス↧†専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡得ト↞†生ズルコトヲ。
^◆また ¬弥陀経¼ のなかのごときは、 ▲一日七日もつぱら弥陀の名号を念じて▲生ずることを得と。 また▲十方恒沙の諸仏の*証誠虚しからずと。
~又如[キハ]↢¬弥陀経ノ¼中ノ↡、一日七日専ラ念ジテ↢弥陀ノ名号ヲ↡得[ト]↠†生ズルコトヲ。又十方恒沙ノ諸仏ノ証誠不[ト]↠虚シカラ也。
^▼またこの ¬経¼ (観経) の定散の文のなかに、 ▲ただもつぱら名号を念じて生ずることを得と標せり。
~又此ノ¬経ノ¼定散ノ文ノ中ニ‡、唯標†セリ↧専ラ念ジテ↢名号ヲ↡得ト↞生[ズル]コトヲ。
^◆この例一にあらず。 ◆広く念仏三昧を顕しをはりぬ。
~此ノ例非ズ↠一ニ也。広ク顕シ↢念仏三昧ヲ↡竟[リ]ヌ。△
二 Ⅰ ⅸ b ヘ 釈結少顕多文
【13】^六に ▲「其光相好」より以下は、 少を結して多を顕す。 たやすく観ぜんと欲するものは、 *周悉することをなしがたし。
六[ニ]従[リ]↢「其光相好‡」↡已下[ハ]、▲結シテ↠少ヲ顕ス↠多ヲ。輒ク†欲スル↠観ゼムト者ハ、難シ↠為シ↢周悉スルコト[ヲ]↡。
二 Ⅰ ⅸ b ト 釈勧憶想見文
^七に ▲「但当憶想」より以下は、 まさしく荘厳微妙にして*凡境に出過せることを明かす。 いまだ目の前に証せずとい0438へども、 ただまさに憶想して心眼をして見たてまつらしむべし。
七[ニ]従[リ]↢「但当憶想‡」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↣荘厳微妙ニシテ出↢過セルコトヲ凡境†ニ↡。雖モ↠未ズ ダト↠証セ↢目ノ前ニ↡、但当ベニシ↣憶想シテ令ム↢心眼[ヲ]シテ見†タテマツラ↡也。
二 Ⅰ ⅸ b チ 釈明観益得成文
^八に ▲「見此事者」より下0528 「摂諸衆生」 に至るこのかたは、 まさしく功呈れて失せず、 観の益成ずることを得ることを明かす。 すなはちその五あり。
八[ニ]従[リ]↢「見此事者‡」↡下至[ル]↢「摂諸衆生ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢功コウ呈†レテ不↠失セ、観ノ益得ルコトヲ↟成ズルコトヲ。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・見十方諸仏
^▲一には観によりて十方の諸仏を見たてまつることを得ることを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢因0749[リ]テ↠観ニ得[ル]コトヲ↟見[タテマツル]コトヲ↢十方ノ諸仏ヲ↡。
・成念仏三昧
^▲二には諸仏を見たてまつるをもつてのゆゑに、 念仏三昧を結成することを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧以[テ]ノ↠見[タテマツル]ヲ↢諸仏ヲ↡故ニ、結↦成スルコトヲ念仏三昧ヲ↥。
・観一切仏身
^▲三にはただ一仏を観じてすなはち一切の仏身を観ずることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧但観ジテ↢一仏ヲ↡即[チ]観ズルコトヲ↦一切ノ仏身ヲ↥也。
・即見仏心
^▲四には仏身を見たてまつるによるがゆゑに、 すなはち仏心を見たてまつることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧由ルガ↠見[タテマツル]ニ↢仏身ヲ↡故ニ、即[チ]見[タテマツル]コトヲ↦仏心ヲ↥也。
・普摂一切
^▲五には仏心は慈悲を体となし、 この平等の大慈をもつてあまねく一切を摂したまふことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧仏心ト†者慈悲ヲ為†シ↠体ト、以[テ]↢此ノ平等ノ大慈ヲ↡普ク摂†シタマフコトヲ↦一切ヲ↥也。
二 Ⅰ ⅸ b リ 釈明得生益文
^九に ▲「作此観者」より下 「得無生忍」 に至るこのかたは、 まさしく捨身して他世にかしこに生ずる益を得ることを明かす。
九[ニ]従[リ]↢「作此観者‡」↡下至ル↢「得無生忍ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣†捨身シテ他世ニ†得ルコトヲ↢†生ズル↠彼ニ益ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅸ b ヌ 釈結勧修観利益文
^十に ▲「是故智者」より下 「現前授記」 に至るこのかたは、 かさねて修観の利益を結勧することを明かす。 すなはちその五あり。
十[ニ]従[リ]↢「是故智者‡」↡下至[ル]↢「現前授記ニ」↡已来[タハ]、▲重テ明[ス]↣結↢勧スルコトヲ修観ノ利益ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・簡能修観人
^▲一には*能修観の人を簡び出すことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣簡ビ↢出スコトヲ†能修観ノ人ヲ↡。
・観無量寿仏
^▲二には心をもつぱらにしてあきらかに無量寿仏を観ずることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣専[ニ]シテ↠心ヲ諦ニ観ズルコトヲ↢無量寿仏ヲ↡。
・衆相自然現
^▲三には相好衆多なり。 *総雑して観ずることを得ず。 ただ白毫の一相を観ずることを明かす。 ただ白毫を見たてまつることを得れば、 一切の衆相自然に現ず。
▲三[ニハ]明[ス]↧相好衆多ナリ、不↠得↢総雑シテ而観[ズル]コトヲ↡、唯観[ズル]コトヲ↦白毫ケ ノ一相ヲ↥。但†得レバ↠見[タテマツル]コトヲ↢白毫ケ ヲ↡者、一切ノ衆相自然†ニ而現ズ也。
・見十方仏
^▲四にはすでに弥陀を見たて0439まつれば、 すなはち十方の仏を見たてまつることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↧既ニ見タテマツレバ↢弥陀ヲ↡、即[チ]見[タテマツル]コトヲ↦十方ノ仏[ヲ]↥也。
・得蒙授記
^▲五にはすでに諸仏を見たてまつれば、 すなはち定中において授記を蒙ることを得ることを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↧既ニ見[タテマツ]レバ↢諸仏ヲ↡、即[チ]†於テ↢定中ニ↡得ルコトヲ↞蒙ルコトヲ↢授記ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅸ b ル 釈総結文
^十一に ▲「是為遍観」 より以下は総じて結す。
十一[ニ]従[リ]↢「是為遍観」↡已下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅸ b ヲ 釈弁観邪正文
^十二に ▲「作此観」 より以下は、 まさしく観の邪正の相を弁ずることを明かす。
十二[ニ]従[リ]↢「作此観」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↠弁ズルコトヲ↢観ノ邪正之相ヲ↡。
^これすなはち*真形量遠くして、 *毫五山のごとし。 *震響機に随ひ、 光*有識を沾す。 ˆ釈尊はˇ *含霊をして帰命し、 注想して遺りなく、 仏 (阿弥陀仏) の*本弘に乗じて斉しくかの国に臨ましめんと欲す。
~斯乃チ真形量遠ク[シテ]、毫ケ 若シ↢五山ノ↡。震響随[ヒ]‡↠機ニ、光沾ス↢有識ヲ↡。欲ス↠使メムト↧含霊ヲシテ帰命シ注想シテ無ク↠遺リ、乗ジテ↢仏ノ本弘ニ↡斉シク臨マ↦彼ノ国ニ↥。
二 Ⅰ ⅸ c 結
^上来十二句の不同ありといへども、 広く真身観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢十二句ノ不同↡、広[ク]明[シ]↢真身観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅹ【観音観】
a 標
【14】^十に*観音観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十五あり。
▲十[ニ]就[キテ]↢観音観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙ゲ、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]十五↡。
二 Ⅰ ⅹ b 釈
イ 釈結前生後文
^一に ▲「仏告阿難」 より下0529 「菩薩」 に至るこのかたは、 まさしく前の真身観を結成して、 後の菩薩観を生ずることを明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「菩薩[ニ]」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧結↢成シテ前ノ真身観ヲ↡、生ズルコトヲ↦後ノ菩薩観ヲ↥。
二 Ⅰ ⅹ b ロ 釈総標身相文
^二に ▲「此菩薩身長」より下 「皆於中現」 に至るこのかたは、 まさしく総じて身相を標することを明かす。 すなはちその六あり。
二[ニ]従[リ]↢「此菩薩0750身長‡」↡下至ル↢「皆於中現ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣総ジテ標スルコトヲ↢身相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・身量
^▲一には身量の大小を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢身量ノ大小ヲ↡。
・身色
^▲二には身色、 ▲仏と同じからざることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢身色与↠仏†不ルコトヲ↟同ジカラ。
・肉髻
^▲三には*肉髻、 ▲仏の*螺髻と同じからざることを明かす。
▲三[ニハ]†明ス↧肉髻与↢仏ノ*螺髻↡不ルコトヲ↞同ジカラ。
・円光
^▲四には円光の大小を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢円光ノ大小ヲ↡。
・侍者
^▲五には化仏の侍者の多少を明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢化仏[ノ]侍者ノ多少ヲ↡。
・五道衆生
^▲六には0440身光にあまねく*五道の衆生を現ずることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↣身光ニ普ク現[ズ]ルコトヲ↢五道ノ衆生ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ハ 釈冠内化仏文
^三に ▲「頂上毘楞伽」 より下 「二十五由旬」 に至るこのかたは、 まさしく*天冠のうちの化仏の殊異を明かす。
三[ニ]従[リ]↢「頂上毘楞レウ 伽」↡下至[ル]↢「二十五由旬[ニ]」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢天冠之内ノ化仏[ノ]殊異ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ニ 釈明面色文
^四に ▲「観音」 より以下は、 まさしく面色と▲身色と同じからざることを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「観音」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧面色[ト]与↢身色↡不[ル]コトヲ↞同[ジカ]ラ。
二 Ⅰ ⅹ b ホ 釈毫光転変文
^五に ▲「眉間」 より下 「蓮華色」 に至るこのかたは、 まさしく*毫光転変して十方に遍満し、 化侍いよいよ多くしてさらに紅蓮の色に比することを明かす。 すなはちその五あり。
五[ニ]従[リ]↢「眉間」↡下至[ル]↢「蓮華色ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧毫光転変シテ遍↢満†シ十方ニ↡、化侍弥多[ク]シテ更ニ比スルコトヲ↦紅蓮之色ニ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
・七宝色
^▲一には毫相七宝の色をなすことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣毫相作[ス]コトヲ↢七宝ノ色ヲ↡。
・毫光
^▲二には毫光の多少を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢毫光ノ多少[ヲ]↡。
・化仏
^▲三には光に化仏まします多少を明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧光ニ有ス↢化仏‡↡多少ヲ↥。
・侍者
^▲四には侍者の多少を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢侍者ノ多少ヲ↡。
・変現
^▲五には化侍変現して十方に遍満することを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣化侍変現シテ遍↢満スルコトヲ十方ニ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ヘ 釈明光瓔文
^六に ▲「有八十億光明」より下 「荘厳事」 に至るこのかたは、 まさしく身に服せる*光瓔、 衆宝の作にあらざることを明かす。
六[ニ]従[リ]↢「有八十億光明‡」↡下至[ル]↢「荘厳事ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣†身ニ服セル光瓔非ザルコトヲ↢衆宝ノ作ニ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ト 釈明手用文
^七に ▲「手掌作五百億」 より下 「接引衆生」 に至るこのかたは、 まさしく手に慈悲の用あることを明かす。 すなはちその六あり。
七[ニ]従[リ]↢「手掌作五百億」↡下至[ル]↢「接引衆生ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣手ニ有[ル]コトヲ↢慈悲之用↡也。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
・雑蓮色
^▲一には手掌雑蓮の色をなすことを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣手掌‡作[ス]コトヲ↢雑蓮之色ヲ↡。
・印文
^▲二には一々の指の端に八万の印文あることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↣一一ノ指ノ端ニ有[ル]コトヲ↢八万ノ印文↡。
・八万余色
^▲三には一々の文に八万余の色あることを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣一一ノ文[ニ]有[ル]コトヲ↢八万余ノ色↡。
・八万余光
^▲四には一々の色に八万余の光あることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↣一一ノ色ニ有[ル]コトヲ↢八万余ノ光↡。
・光体柔軟
^▲五には光体柔軟にして等しく一切を照らすことを明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↣光体柔軟ヤハラカニシテ等シク照スコトヲ↢一切ヲ↡。
・接引有縁
^▲六にはこの宝光の手をもつて有縁を接引したまふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↧以[テ]↢此ノ宝光之手ヲ↡接↦引†シタマフコトヲ有縁ヲ↥也。
二 Ⅰ ⅹ b チ 釈明足用文
^八0441に ▲「挙足時」 より下 「莫不弥0530満」 に至るこのかたは、 まさしく足に徳用の相あることを明かす。
八[ニ]従[リ]↢「挙足時」↡下至[ル]↢「莫不弥満‡ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↣足ニ有[ル]コトヲ↢徳用之相↡。
二 Ⅰ ⅹ b リ 釈指同仏文
^九に ▲「其余身相」 より以下は指して仏 ˆの相ˇ に同ず。
九[ニ]従[リ]↢「其余身相」↡已下ハ▲指シテ同ズ↢於仏ニ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ヌ 釈二相有虧文
^十に ▲「唯頂上」 より下 「不及世尊」 に至るこのかたは、 まさしく▼*師徒位別にして、 *果願いまだ円かならず。 *二相をして虧けたることあらしむることを致して、 不足の地に居することを表することを明かす。
十0751[ニ]従[リ]↢「唯頂上」↡下至[ル]↢「不及世尊ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧師徒位別ニシテ、果願未ズ ダ↠円[カナ]ラ、致シテ↠使ムルコトヲ↢二相ヲシテ有ラ↟虧ケタルコト、表スルコトヲ↞居スルコト[ヲ]↢不足之地ニ↡也。
二 Ⅰ ⅹ b ル 釈総結文
^十一に ▲「是為」 より下は総じて結す。
十一[ニ]従[リ]↢「是為」↡下[ハ]▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅹ b ヲ 釈結前生後文
^十二に ▲「仏告阿難」 より下 「当作是観」 に至るこのかたは、 まさしくかさねて前の文を結し、 その後の益を生ずることを明かす。
十二[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「当作是観ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧重テ結シ‡↢前ノ文ヲ↡、生[ズル]コトヲ↦其[ノ]†後ノ益ヲ↥。
二 Ⅰ ⅹ b ワ 釈勧観利益文
^十三に ▲「作是観者」 より下 「何況諦観」 に至るこのかたは、 まさしく観の利益を勧むることを明かす。
十三[ニ]従[リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「何況諦観ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]†明ス↠勧ムルコトヲ↢観ノ利益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅹ b カ 釈重顕観儀文
^十四に ▲「若有欲観観音」 より下 「如観掌中」 に至るこのかたは、 まさしくかさねて*観の儀を顕して物を勧め、 心を傾けて*両益に沾さしむることを明かす。
十四[ニ]従[リ]↢「若有欲観観音」↡下至[ル]↢「如観掌中ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧重テ顕シテ↢観ノ儀ヲ↡、勧メ↠物ヲ傾ケテ↠心ヲ使ムルコトヲ↞沾†サ↢*両益ニ↡。
二 Ⅰ ⅹ b ヨ 釈弁観邪正文
^十五に ▲「作是観」 より以下は、 まさしく観の邪正の相を弁ずることを明かす。
十五[ニ]従[リ]↢「作是観」↡已下ハ、▲正[シク]明ス↠弁ズルコトヲ↢観ノ邪正ノ相ヲ↡。
^これすなはち観音願重くして十方に影現し、 宝手輝を停めて機に随ひて引接したまふ。
~斯乃チ観音願重クシテ†影↢現シ十方ニ↡、宝手停メテ↠輝ヲ随[ヒ]テ↠機ニ引接†シタマフ。
二 Ⅰ ⅹ c 結
^上来十五句の不同ありといへども、 広く観音観を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢十五句ノ不同↡、広[ク]明[シ]↢観音観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅺ【勢至観】
a 標
【15】^十一に*勢至観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十三あり。
▲十一[ニ]就[キ]テ↢勢至観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙コ ゲ、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]十三↡。
二 Ⅰ ⅺ b 釈
イ 釈総挙観名文
^一に ▲「次観大勢至」 より以下は、 総じて観の名を挙ぐ。
一[ニ]従[リ]↢「次観大勢至」↡已下ハ、▲総ジテ挙グ↢観ノ名ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ b ロ 釈弁観相文
^二0442に ▲「此菩薩身量大小」 より以下は、 次に観の相を弁ず。 すなはちその五あり。
二[ニ]従[リ]↢「此菩薩身量大小」↡已下ハ、▲次[ニ]弁ズ↢観ノ相ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]五↡。
^▲一には身量▲観音に等類することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↣身量等↢類スルコトヲ観音ニ↡。
^二には▲身色観音に等類することを明かす。
~二[ニハ]明[ス]↣身色等↢類[スル]コトヲ観音ニ↡。
^三には▲面相観音に等類することを明かす。
~三[ニハ]明[ス]↣面相等↢類[スル]コトヲ観音ニ↡。
^四には▲身光・▲相好観音に等類することを明かす。
~四[ニハ]明[ス]↣身光・相好等↢類[スルコトヲ]観音ニ↡。
^五には▲毫相光を舒べて転変すること観音に等類することを明かす。
~五[ニハ]明[ス]↣毫ケ 相舒ベテ↠光ヲ転変[スル]コト等↢類[スルコトヲ]観音ニ↡。
二 Ⅰ ⅺ b ハ 釈明円光不同文
^三に ▲「円光面各百二十五由旬」 より以下は、 まさしく円光等観音に同じからざる相0531を明かす。 すなはちその四あり。
三[ニ]従[リ]↢「円光面各百二十五由旬」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧円光†等不ル↠同[ジカ]ラ↢観音ニ↡之相ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・円光
^▲一には円光の大小を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢円光[ノ]大小[ヲ]↡。
・光照
^▲二には光照の遠近を明かす。
▲二[ニハ]†明[ス]↢光照ノ遠近ヲ↡。
・化仏
^▲三には化仏の多少を明かす。
~三[ニハ]明[ス]↢化仏ノ多少ヲ↡。
・侍者
^▲四には化仏の侍者の多少を明かす。
~四[ニハ]明[ス]↢化仏0752[ノ]侍者ノ多少[ヲ]↡。△
二 Ⅰ ⅺ b ニ 釈明身光照益文
^四に ▲「挙身光明」 より下 「名大勢至」 に至るこのかたは、 まさしく身光遠く備へて有縁を照益し、 等しく他方に及び、 みな紫金の色をなすことを明かす。 すなはちその八あり。
四[ニ]従[リ]↢「挙身光明」↡下至[ル]↢「名大勢至ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧身光遠ク備ヘ[テ]†照↢益シ有縁ヲ↡、等シク†及ビ↢他方ニ↡、皆作[ス]コトヲ↦紫金之色ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]八↡。
・総別
^▲一には身光の総別の不同を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢身光ノ総別ノ不同ヲ↡。
・光照
^▲二には光照の遠近を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢光照ノ遠近ヲ↡。
・光触
^▲三には光の触るるところの処、 みな紫金の色をなすことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣光ノ所ノ↠触ルル処皆作[ス]コトヲ↢紫金之色ヲ↡。
・有縁者得覩
^▲四にはただ勢至と宿業縁あるもののみすなはちこの光を覩触することを得ることを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↫但†与↢勢志↡宿業有ル↠縁者[ノミ]即チ得[ル]コトヲ↪覩ミル↩触スルコトヲ此ノ光ヲ↨。
・見諸仏身光
^▲五にはただ一毛孔の光を見れば、 すなはちよく多く諸仏の浄妙の身光を見ることを明かす。 これすなはち少を挙げてもつて多益を顕して、 これを行ずるものをして*悕心渇仰して、 入観してもつてこれを証せしめ0443んと欲す。
▲五[ニハ]明[ス]↧但見†レバ↢一毛孔ノ光ヲ↡、即チ能ク多ク見[ル]コトヲ↦諸仏ノ浄妙ノ身光ヲ↥。此即チ挙ゲテ↠少ヲ以テ顕シ[テ]↢多益ヲ↡、欲ス↠使メムト↢行†ズル↠之ヲ者ヲシテ悕ネガフ心渇仰アウグシテ、入観シテ以テ証セ↟之ヲ。
・依光以立名
^▲六には光によりてもつて名を立つることを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↢依[リ]テ↠光ニ以テ立[ツ]ルコトヲ↟名ヲ。
・光之体用
^▲七には光の*体・用を明かす。 すなはち無漏を体となすがゆゑに智慧光と名づく。 またよく十方三悪の苦を除息するを無上力と名づく。 すなはち用となす。
▲七[ニハ]明[ス]↢光之体用ヲ↡。即[チ]無漏ヲ為ス[ガ]↠体ト故ニ名ク↢智慧サトル光ト↡。又能ク除↢息スルヲ十方三悪之苦ヲ↡名ク↢無上力ト↡。即[チ]為ス↠用ト也。
・依徳立名
^▲八には大勢至と名づくることは、 これすなはち徳によりて名を立つることを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↧名クルコト↢大勢志ト↡者、此即[チ]依[リ]テ↠徳ニ立[ツ]ルコトヲ↞名ヲ也。
二 Ⅰ ⅺ b ホ 釈明天冠荘厳文
^五に ▲「此菩薩天冠」より下 「皆於中現」 に至るこのかたは、 まさしく*天冠の荘厳の相、 観音と同じからざることを明かす。 すなはちその四あり。
五[ニ]従[リ]↢「此菩薩天冠カブリ‡」↡下至[ル]↢「皆於中現ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧天冠ノ*荘厳之相、与↢観音↡†不ルコトヲ↞同ジカラ。即チ有[リ]↢其[ノ]四↡。
・冠上宝華
^▲一には冠上の宝華の多少を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢†冠上ノ宝華ノ多少ヲ↡。
・華上宝台
^▲二には一々の華上の宝台の多少を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢一一ノ華上ノ宝台ノ多少ヲ↡。
・台中映現
^▲三には一々の台のなかに十方諸仏の浄土を映現することを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↣一一ノ台ノ中ニ映↢現スルコトヲ十方‡諸仏ノ浄土ヲ↡。
・都無増減
^▲四には他方の土現ずれども、 彼此すべて増減なきことを明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↣他方ノ土現[ズ]レドモ、彼此都テ無キコトヲ↢増減↡。
二 Ⅰ ⅺ b ヘ 釈肉髻宝瓶文
^六に ▲「頂上肉髻」 より下 「普現仏事」 に至るこのかたは、 まさしく肉髻の宝瓶の相を明かす。
六[ニ]従[リ]↢「頂上肉髻」↡下至[ル]↢「普現仏事ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢肉髻[ノ]宝瓶之相ヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ b ト 釈指同観音文
^七に ▲「余諸身相」 より以下は指して観音に同ず。
七[ニ]従[リ]↢「余諸身相」↡已下ハ▲†指シテ同ズ↢観音ニ↡也。
二 Ⅰ ⅺ b チ 釈行不同相文
^八に ▲「此菩薩行時」 より下 「如極楽世界」 に至るこのかたは、 まさしく行0532じたまふに観音と同じからざる相を明かす。 すなはちその四あり。
八[ニ]従[リ]↢「此菩薩行時」↡下至[ル]↢「如極楽世界ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧行ジタマフニ与↢観音↡不ル↠同[ジカ]ラ相ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]四↡。
・行不同相
^▲一には行の不同の相を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢行†ノ不同ノ相ヲ↡。
・震動遠近相
^▲二には震動の遠近の相を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢震動ノ遠近ノ相ヲ↡。
・華現多
^▲三には震動するところの処、 華現ずること多きことを明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧所ノ↢震動0753スル↡処‡、華現[ズ]ルコト多キコトヲ↥。
・華高而顕
^▲四には所現の華高くしてかつ顕れ、 多くのもろもろの*瑩飾もつて極楽の荘厳に類することを明かす。
▲四[ニハ]†明[ス]↣所現之華高クシテ而†且ツ顕レ、多クノ諸ノ瑩飾以テ類[ス]ルコトヲ↢極楽ノ荘厳ニ↡也。
二 Ⅰ ⅺ b リ 釈明坐不同相文
(一)科釈
^九0444に ▲「此菩薩坐時」 より下 「度苦衆生」 に至るこのかたは、 まさしく坐したまふに観音に同じからざる相を明かす。 すなはちその七あり。
九[ニ]従[リ]↢「此菩薩坐時」↡下至[ル]↢「度苦衆生ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧坐シタマフニ不ル↠同[ジ]カラ↢観音ニ↡相ヲ↥。即[チ]有[リ]↢其[ノ]七↡。
・坐相
^▲一には坐する相を明かす。
▲一[ニハ]明ス↢坐スル相ヲ↡。
・先動本国相
^▲二には先づ本国を動ずる相を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧先ヅ動ズル↢本国ヲ↡相ヲ↥。
・動他方相
^▲三には次に他方を動ずる遠近の相を明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↧次ニ動[ズ]ル↢他方ヲ↡遠近ノ相ヲ↥。
・動下上相
^▲四には下上の仏刹を動揺する多少の相を明かす。
~四[ニハ]明[ス]↧動↢揺スル下上ノ仏刹ヲ↡多少ノ相ヲ↥。
・分身雲集相
^▲五には弥陀・観音等の分身の雲集する相を明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢弥陀・観音等ノ分身ノ雲集スル相ヲ↡。
・臨空側塞
^▲六には空に臨みて側塞してみな宝華に坐したまふことを明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↣臨ミテ↠空ニ側塞シテ皆坐[シタマフ]コトヲ↢宝華ニ↡。
・臨空側塞
^▲七には分身の説法おのおの*所宜に応ずることを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↣分身ノ説法各応ズルコトヲ↢所宜ニ↡。
二 Ⅰ ⅺ b リ (二)料簡
^▼問ひていはく、 ¬弥陀経¼ にのたまはく、 「▲かの国の衆生衆苦あることなし。 ただもろもろの楽を受く。 ゆゑに極楽と名づく」 と。 なんがゆゑぞ、 この ¬経¼ (観経) に分身、 法を説きてすなはち苦を度すとのたまへるはなんの意かあるや。
~問[ヒテ]曰[ク]、¬弥陀経[ニ]¼云[ク]、「彼ノ国ノ衆生無シ↠有[ル]コト↢衆苦↡。但受ク↢諸ノ楽ヲ↡。故ニ名クト↢極楽ト↡。」何ガ故ゾ此ノ¬経ニ¼分身説[キ]テ↠法ヲ乃チ云ヘル↠†度スト↠苦ヲ者、有ル↢何ノ意カ↡也。
^◆答へていはく、 いま苦楽といふは二種あり。 一には↓三界のなかの苦楽、 二には↓浄土のなかの苦楽なり。
~答[ヘテ]曰[ク]、今言フ↢苦楽ト↡者有[リ]↢二種↡。一†ニ者三界ノ中[ノ]苦楽、二†ニ者浄土ノ中ノ苦楽[ナリ]。
^▼↑三界の苦楽といふは、 苦はすなはち三塗・八苦等、 楽はすなはち人天の五欲・放逸・繋縛等の楽なり。 これ楽といふといへども、 しかもこれ大苦なり。 かならずつひに一念真実の楽あることなし。
~言フ↢三界[ノ]苦楽ト↡者、苦ハ則[チ]三塗・八苦等、楽ハ則[チ]人天[ノ]五欲・放逸・繋縛等ノ楽ナリ。雖モ↠言[フ]ト↢是楽ト↡、然モ是大苦ナリ。必ズ竟ニ無シ↠有[ル]コト↢一念‡真実ノ楽↡也。
^◆↑浄土の苦楽といふは、 苦はすなはち*地前を*地上に望めて苦となし、 地上を地前に望めて楽となす。 *下智証を*上智証に望めて苦となし、 上智証を下智証に望めて楽となす。 こ0445の例一を挙ぐるに知るべし。
~言フ↢浄土[ノ]苦楽ト↡者、苦ハ則チ地前ヲ望メテ↢地上ニ↡為シ↠苦ト、地上ヲ望メテ↢地前ニ↡為ス↠楽ト。下智証ヲ望メテ↢上智証ニ↡為シ↠苦ト、上智証ヲ望[メ]テ↢下智証ニ↡為ス↠楽ト。此ノ例挙グルニ↠一ヲ可シ↠†知ル也。
^◆いま 「▲度苦衆生」 といふは、 ただ下位を進めて上位に昇らしめ、 下証を転じて上証を得しめんがためなり。 本の所求に称ふをすなはち名づけて楽となす。 ゆゑに度苦といふ。 もししからずは、 浄土のなかの一切の聖人0533はみな無漏をもつて体となし、 大悲を用となす。 畢竟常住にして*分段の生滅を離れたり。 さらになんの義につきてか名づけて苦となさんや。
~今言フ↢「度苦衆生ト」↡者、但為ナリ↧進メテ↢下位ヲ↡令メ↠昇ラ↢上位ニ↡、転ジテ↢下証ヲ↡令メムガ↞得↢上証ヲ↡。称フヲ↢本ノ所求ニ↡即[チ]名[ケテ]為[ス]↠楽ト。故ニ言フ↢度苦ト↡也。若[シ]不[ハ]↠然ラ者、浄土之中ノ一切ノ聖人ハ皆以テ↢無漏ヲ↡為シ↠体ト、大悲ヲ為ス↠用ト。畢竟常住ニシテ離レタリ↢於分段之生滅ヲ↡。更ニ就キテカ↢何ノ義ニ↡名0754ケテ†為サム↠苦ト也。△
二 Ⅰ ⅺ b ヌ 釈弁邪正分斉文
^十に ▲「作此観者」より下 「十一観」 に至るこのかたは、 まさしく観の邪正を弁じ、 総じて*分斉を結することを明かす。
十[ニ]従[リ]↢「作此観者‡」↡下至[ル]↢「十一観ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧弁ジ↢観ノ邪正ヲ↡総ジテ結[ス]ルコトヲ↦分斉ヲ↥。
二 Ⅰ ⅺ b ル 釈明観利益文
^十一に ▲「観此菩薩者」 より以下は、 まさしく修観の利益、 罪を除くこと多劫なることを明かす。
十一[ニ]従[リ]↢「観此菩薩者」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢修観ノ利益除[ク]コト↠罪ヲ多劫ナルコトヲ↡。
二 Ⅰ ⅺ b ヲ 釈重明利益文
^十二に ▲「作此観者」 より下 「浄妙国土」 に至るこのかたは、 まさしく総じて前の文を結し、 かさねて後の益を生ずることを明かす。
十二[ニ]従[リ]↢「作此観者」↡下至[ル]↢「浄妙国土ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↧総ジテ結シ↢前ノ文ヲ↡、重テ生[ズ]ルコトヲ↦後ノ益ヲ↥。
二 Ⅰ ⅺ b ワ 釈牒二身弁観成文
^十三に ▲「此観成」 より以下は、 まさしく総じて二身を牒して観成の相を弁ずることを明かす。
十三[ニ]従[リ]↢「此観成†」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧総ジテ牒シテ↢二身ヲ↡弁[ズ]ルコトヲ↦観成ノ相ヲ↥。
^これすなはち勢至、 威高くして、 坐したまふに他国を揺がし、 よく分身をして雲集して、 法を演べて*生を利せしむ。 永く*胞胎を絶ちてつねに法界に遊ばしむ。
斯乃チ勢志‡威高クシテ、坐†シタマフニ†揺ガシ↢他国ヲ↡、能ク†使ム↢分身ヲシテ雲集シテ、演ベテ↠法ヲ利セ↟生ヲ。永ク絶†チテ↢胞ヱナ 胎ヲ↡ハラミハラム常ニ遊バシム↢法界ニ↡。
二 Ⅰ ⅺ c 結
^上来十三句の不同ありといへども、 広く勢至観を解しをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リト]↢十三句ノ不同↡、広[ク]解シ↢勢至観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅰ ⅻ【普観】
a 標
【16】^十二に*普観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなは0446ちその六あり。
▲十二ニ就[キ]テ↢普観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]六↡。
二 Ⅰ ⅻ b 釈
イ 釈牒前生後文
^一に ▲「見此事時」 より以下は、 まさしく前を牒して後を生ずることを明かす。
一[ニ]従[リ]↢「見此事時」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢牒シテ↠前ヲ生[ズル]コトヲ↟後ヲ。
二 Ⅰ ⅻ b ロ 釈明作自生想文
^二に ▲「当起自心」 より下 「皆演妙法」 に至るこのかたは、 まさしく心を凝らし観に入りて、 すなはちつねに*自往生の想をなすことを明かす。 すなはちその九あり。
二[ニ]従[リ]↢「当起自心」↡下至[ル]↢「皆演妙法ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↣凝シ‡↠心ヲ入[リ]テ↠観ニ、即[チ]常[ニ]作[ス]コトヲ↢†自往生ノ想ヲ↡。即[チ]有[リ]↢其[ノ]九↡。
・自生想
^▲一には*自生の想を明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢†自生ノ想ヲ↡。
・向西想
^▲二には西に向かふ想を明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↢向フ↠西ニ想ヲ↡。
・坐華想
^▲三には華に坐する想を明かす。
▲三[ニハ]明[ス]↢坐スル↠華ニ想ヲ↡。
・華合想
^▲四には華の合する想を明かす。
▲四[ニハ]明[ス]↢華ノ合スル想ヲ↡。
・華開想
^▲五には華の開くる想を明かす。
▲五[ニハ]明[ス]↢華ノ開クル想ヲ↡。
・照身想
^▲六には宝光来りて身を照らす想を明かす。
▲六[ニハ]明[ス]↢宝光来[リ]テ照ス↠身ヲ想ヲ↡。
・眼開想
^▲七にはすでに光照を蒙りて、 眼開くる想をなすことを明かす。
▲七[ニハ]明[ス]↧既ニ蒙[リ]テ↢†光照ヲ↡、作スコトヲ↦眼‡開クル想ヲ↥。
・見仏想
^▲八には眼目すでに開けて、 仏・菩薩を見たてまつる想をなすことを明かす。
▲八[ニハ]明[ス]↧眼目既ニ開ケテ、作スコトヲ↦見[タテマツ]ル↢仏・菩薩ヲ↡想ヲ↥。
・聞法想
^▲九には法を聞く想を明かす。
▲九[ニハ]明[ス]↢聞ク↠法ヲ想ヲ↡。
二 Ⅰ ⅻ b ハ 釈明定散守心文
^三に ▲「与十二部経合」 より下 「不失」 に至るこのかたは、 まさしく定散に遺るることなく、 心を守りてつねに憶することを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「与十二部経合」↡下至[ル]↢「不失ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢定散ニ無ク↠遺ルルコト、守[リ]テ↠心ヲ常ニ憶スルコトヲ↡。
^一にはすなはち観心明浄なり。 二にはすなはち諸悪生ぜず。 内に法楽と相応し、 外にすなはち*三0534邪の障なきによりてなり。
~一[ニハ]則[チ]観心明浄ナリ。二[ニハ]則[チ]諸悪不↠生ゼ。由[リ]テナリ↧内ニ与↢法楽↡相応シ、外ニ則[チ]無キニ↦三邪之障↥。
二 Ⅰ ⅻ b ニ 釈明観成益文
^四に ▲「見此事」 より以下は観成の益を明かす。
四[ニ]従[リ]↢「見此事」↡†已下ハ、▲明[ス]↢観成之益ヲ↡。
二 Ⅰ ⅻ b ホ 釈総結観名文
^五に ▲「是為」 より下は総じて結す。
五[ニ]従[リ]↢「是為」↡下[ハ]▲総0755ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅻ b ヘ 釈明護念益文
^六に ▲「無量寿」 より下 「常来至此行人之所」 に至るこのかたは、 まさしくかさねて能観の人を挙げて、 すなはち弥陀等の*三身護念の益を蒙ることを明かす。
六[ニ]従[リ]↢「無量寿」↡下至[ル]↢「常来至此行人之所ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧重テ挙ゲテ↢能観之人ヲ↡、即[チ]蒙ルコトヲ↦弥陀等ノ三身護念之益ヲ↥。
^これすなはち群生念を注めて西方の*依正二厳を見んと願ずれば0447、 了々につねに眼に見るがごとし。
~斯乃チ群生†注メテ↠念ヲ願ズレバ↠見[ム]ト↢西方ノ依正二厳ヲ↡、了了ニ常ニ如シ↢†眼ニ見ルガ↡。
二 Ⅰ ⅻ c 結
^上来六句の不同ありといへども、 広く普観を解しをはりぬ。
上来雖[モ]↠有[リト]↢六句ノ不同↡、広[ク]解シ↢普観[ヲ]↡竟[リ]ヌ。
二 Ⅰ ⅼ【雑想観】
a 標
【17】^十三に*雑想観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその十一あり。
▲十三[ニ]就[キ]テ↢雑想観ノ中ニ↡、亦先ヅ挙[ゲ]、次ニ弁ジ、後ニ結ス。即[チ]有[リ]↢其[ノ]十一↡。
二 Ⅰ ⅼ b 釈
イ 釈告命結勧生後文
^一に ▲「仏告阿難」 より以下は、 まさしく*告命結勧して後を生ずることを明かす。
一[ニ]従[リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢告命結勧シテ生ズルコトヲ↟後ヲ。
二 Ⅰ ⅼ b ロ 釈明観像想水文
^二に ▲「先当観於一丈六」 より以下は、 まさしく*像を観じてもつて*真を表し、 水を想ひてもつて地を表することを明かす。
二[ニ]従[リ]↢「先当観於一丈六」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↢観ジテ↠像ヲ以テ表シ↠真ヲ、想ヒテ↠水ヲ以テ表スルコトヲ↟地ヲ。
^これはこれ如来もろもろの衆生を教へて境を易へ、 心を転じて観に入らしめたまふ。 あるいは池水の華の上にましまし、 あるいは宝宮・宝閣のうちにましまし、 あるいは宝林・宝樹の下にましまし、 あるいは宝台・宝殿のなかにましまし、 あるいは虚空・宝雲・華蓋のうちにまします。 かくのごとき等の処に一々に心を住めてこれを想ひて、 みな化仏の想をなさしむ。 *機・境あひ称ひて成ずることを得やすからしめんがためのゆゑなり。
▲此ハ是如来教ヘテ↢諸ノ衆生ヲ↡†易ヘ↠境ヲ、転ジテ↠心ヲ†入ラシメタマフ↠観ニ。或[イハ]†在シ↢池水[ノ]華[ノ]上ニ↡、或[イハ]†在シ↢宝宮・宝閣ノ内ニ↡、或[イハ]†在シ↢宝林・宝樹ノ下ニ↡、或[イハ]†在シ↢宝台・宝殿ノ中ニ↡、或[イハ]†在ス↢虚空・宝雲・華蓋之内ニ↡。如[キ]↠是[クノ]等ノ処ニ一一ニ住メテ↠心ヲ想[ヒ]テ↠之ヲ、皆作†サシム↢化仏ノ想ヲ↡。為ノ↠令メム[ガ]↢機境相称ヒテ易カラ↟得↠†成ズルコト[ヲ]故也。
二 Ⅰ ⅼ b ハ 釈真観難成文
^三に ▲「如先所説」 より下 「非心力所及」 に至るこのかたは、 まさしく境大に心小にしてにはかに成就しがたし。 *聖意悲傷して、 勧めて小を観ぜしむることを致すことを明かす。
三[ニ]従[リ]↢「如先所説」↡下至[ル]↢「非心力所及ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↧境大ニ心†小ニシテ卒ニ難シ↢成就シ↡、致スコトヲ↞使ムルコトヲ↣聖意悲傷イタムシテ、勧メテ観ゼ↢於小ヲ↡。
二 Ⅰ ⅼ b ニ 釈明願力得成文
^四に ▲「然彼如来」 より下 「必得成就」 に至るこのかたは、 まさしく凡心狭小にして、 *聖量いよいよ寛0448く、 想を注むるに由なし。 成就しがたきことを恐れたまふことを明かす。
四[ニ]従[リ]↢「然彼如来」↡下至[ル]↢「必得成就ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]明[ス]↢凡心狭小ニシテ、聖量弥寛†ク、注ムルニ↠想ヲ無シ↠由、恐レタマフコトヲ↟難キコトヲ↢成就シ↡。
^これすなはち小をもつてのゆゑに成じがたきにあらず、 大によるがゆゑに現ぜざるにあらず。 ただこれ弥陀の願重くして、 *想者をしてみな成ぜしむることを致す。
~斯乃チ不ズ↢以[テ]ノ↠小ヲ故ニ難キニ↟成ジ、†不ズ↢由ルガ↠大ニ故ニ不ルニ↟現ゼ。†直是弥陀ノ願重クシテ、致ス↠使ムルコトヲ↢想者ヲシテ皆成ゼ↡。
二 Ⅰ ⅼ b ホ 釈明比校顕勝文
^五に ▲「但想仏像」 より下 「具0535足身相」 に至るこのかたは、 まさしく比校して*勝を顕すことを明かす。
五[ニ]従[リ]↢「但想仏像」↡下至[ル]↢「具足身相ニ」↡已来[タ]ハ、▲正[シク]明[ス]↢比校シテ顕スコトヲ↟†勝ヲ。
^像を想ふすらなほおのづから福を得ること無量なり、 いかにいはんや真仏を観ずるものの益を得る功さらにはなはだし。
~想[フ]スラ↠像ヲ尚自得[ル]コト↠福ヲ無量ナリ、何ニ況ヤ観ズル↢於真仏ヲ↡者0756ノ得ル↠益ヲ之功更ニ甚ダシ。
二 Ⅰ ⅼ b ヘ 釈明大小皆真文
^六に ▲「阿弥陀」 より下 「丈六八尺」 に至るこのかたは、 まさしくよく所観の仏像を観ずるに、 身に大小ありといへども、 あきらかにみなこれ真なることを明かす。 すなはちその三あり。
六[ニ]従[リ]↢「阿弥陀」↡下至[ル]↢「丈六八尺ニ」↡已来[タハ]、▲正[シク]†明ス↧能ク観ズルニ↢所観ノ仏像ヲ↡雖モ↣身ニ有リト↢大小↡、明カニ皆是真ナルコトヲ↥。即[チ]有リ↢其[ノ]三↡。
・随意遍周
^▲一には弥陀の*身通無礙にして、 意に随ひて*遍周することを明かす。
▲一[ニハ]明[ス]↢弥陀[ノ]身通無礙ニシテ、随[ヒ]テ↠意ニ遍周スルコトヲ↡。
^▼「▲如意」 といふは二種あり。 一には▼衆生の意のごとし。 かの心念に随ひてみな応じてこれを*度す。 二には弥陀の意のごとし。 *五眼円かに照らし、 *六通自在にして、 機の度すべきものを観そなはして、 一念のうちに前なく後なく、 身心等しく赴き、 三輪をもつて開悟せしめて、 おのおの益すること同じからず。
▲言[フ]↢「如意ト」↡者有[リ]↢二種↡。一[ニ]者如シ↢衆生ノ意ノ↡。随[ヒ]テ↢彼ノ心念ニ↡皆応ジテ度†ス↠之ヲ。二[ニ]者如シ↢弥陀之意ノ↡。五眼円カニ照シ、六通自在ニシテ、†観ソナハシテ↢機ノ可キ↠度ス者ヲ↡、一念之中ニ無ク↠前無ク↠後、身心等シク赴キ‡、三輪[ヲモテ]開悟†セシメテ、各益スルコト†不↠同ジカラ也。
・現大小身
^▲二にはあるいは大身を現じ、 あるいは小身を現ずることを明かす。
▲二[ニハ]明[ス]↧或[イハ]現ジ↢大身ヲ↡、或[イハ]現[ズル]コトヲ↦小身ヲ↥。
・皆作金色
^▲三には身量に大小ありといへども、 みな真金の色をなすことを明かす。 これすなはちその邪0449正を定む。
~三[ニハ]明[ス]↧身量ニ雖[モ]↠有[リ]ト↢大小↡、皆作スコトヲ↦真金之色ヲ↥。此即[チ]定†ム↢其ノ邪正ヲ↡也。
二 Ⅰ ⅼ b ト 釈明光相与真斉文
^七に ▲「所現之形」 より以下は、 まさしく身は大小殊なることありといへども、 光相すなはち真と異なることなきことを明かす。
七[ニ]従[リ]↢「所現之形」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧身ハ雖[モ]↢大小有[リ]ト↟†殊ナルコト、光相即[チ]与↠真無キコトヲ↞†異ナルコト。
二 Ⅰ ⅼ b チ 釈指同前観文
^八に ▲「観世音菩薩」 より以下は、 まさしく指して前の観に同ずることを明かす。 仏大なれば*侍者また大なり。 仏小なれば侍者また小なり。
八[ニ]従[リ]↢「観世音菩薩」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↣指シテ†同ズルコトヲ↢前ノ観ニ↡。仏大ナレバ侍者亦大ナリ。仏小[ナ]レバ侍者亦小[ナリ]。
二 Ⅰ ⅼ b リ 釈初観二別文
^九に ▲「衆生但観首相」 より以下は、 まさしく勧めて二別なることを観ぜしむることを明かす。 いかんが二別なる。 観音の頭首の上には一の立ちたまへる*化仏ましまし、 勢至の頭首の上には一の宝瓶あり。
九[ニ]従[リ]↢「衆生但観首相」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↣勧メテ観ゼシムルコトヲ↢二別[ナルコト]ヲ↡。云何ガ二別[ナル]。観音ノ頭首之上ニハ有†シ↢一ノ立[チ]タマヘル化仏↡、勢志ノ頭首之上ニハ有リ↢一ノ宝瓶↡。
二 Ⅰ ⅼ b ヌ 釈明二士助化文
^十に ▲「此二菩薩」 より以下は、 まさしく弥陀・観音・勢至等宿願の縁重く、 誓同じくして、 悪を捨てて等しく菩提に至るまで、 *影響のごとくあひ随ひて*遊方化益することを明かす。
十[ニ]従[リ]↢「此二菩薩」↡已下[ハ]、▲正[シク]明[ス]↧弥陀・観音・勢志等宿願[ノ]縁重ク、誓同[ジ]クシテ捨テ[テ]↠悪ヲ等シク至†ルマデ↢菩提ニ↡、影カゲ響ヒヾキ†ノゴトク相随ヒ[テ]遊方化益†スルコトヲ↥。
二 Ⅰ ⅼ b ル 釈総結観名文
^十一に ▲「是為」 より下は総じて結す。
十一[ニ]従[リ]↢「是為」↡下ハ▲総ジテ結ス。
二 Ⅰ ⅼ c 結
^上来十一句の不同ありといへども、 広く雑想観を解しをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢十一句ノ不同↡、広[ク]解シ↢雑想観ヲ↡竟[リヌ]。
二 Ⅱ 総結
ⅰ 結酬請義
^上0536日観より下雑想観に至るこのかたは、 総じて世尊前の韋提の▲第四の請に、 「教我思惟正受」 といへる両句に答へたまふことを明かす。
▲上従リ↢日観↡下至[ル]↢雑想観ニ↡已来[タハ]、総ジテ†明ス↧世尊答ヘタマフコトヲ↦前†ノ韋提ノ第四†ノ請ニ、云[ヘル]↢「教我0757思惟正受ト」↡両句†ニ↥。
二 Ⅱ ⅱ 総讃結示
【18】^総じて讃じていはく、
▲総ジテ讃ジテ云ク、
^初めに日観を教へて昏闇を除かしめ、 水を想ひて氷となして内心を浄む。
地下の*金幢あひ*映発し、 地上の荘厳億万重なり。
初ニ教ヘテ↢日観ヲ↡除カシメ↢昏クラシ闇ヤミヲ↡ | 想ヒテ↠水ヲ成シテ↠氷ト浄ム↢内心ヲ↡ |
地下ノ金幢相映発†シ | 地上ノ荘厳億万重ナリ |
^0450宝雲・宝蓋空に臨みて転じ、 人天の音楽たがひにあひ尋げり。
宝樹瓔を垂れて菓に間雑し、 池*徳水を流して華のなかに注ぐ。
宝雲・宝蓋臨ミテ↠空ニ転†ジ | 人天ノ音楽互ニ相尋ゲリ |
宝樹垂レテ↠†瓔ヲ†間↢雑シ菓ニ↡ | 池流シテ↢徳水ヲ↡注グ↢華ノ中ニ↡ |
^宝楼・宝閣みなあひ接し、 光々あひ照らして等しくして蔭なし。
*三華独りはるかに衆座に超え、 *四幢、 *縵を承けて*網珠羅なれり。
宝楼・宝閣皆相接†シミチビク | 光光相照シテ等シクシテ無シ↠†蔭 |
三華独リ迥カニ超エ‡↢衆座ニ↡ | 四幢承ケテ↠縵ヲ網珠羅レリ |
^*稟識の心迷ひてなほいまだ暁らず、 心を住め像を観ずるに、 静かにかしこに坐したまふ。
一念心開けて真仏を見たてまつる。 身光・相好うたたいよいよ多し。
稟識[ノ]心迷ヒテ由未ズ ダ↠暁ラ | 住メ‡↠心ヲ観†ズルニ↠像ヲ、静ニ坐†シタマフ↠†彼ニ |
一念‡心開ケテ見[タテマツ]ル↢真仏ヲ↡ | 身光相好転タ弥多シ |
^苦を救ひたまふ観音、 法界を縁じ、 時として変じて娑婆に入らざるはなし。
勢至の威光よく震動し、 縁に随ひて照摂して弥陀に会せしむ。
救†ヒタマフ↠苦ヲ観音縁†ジ↢法界ヲ↡ | 無シ↤時トシテ†不ルハ↣変ジテ入ラ↢娑婆ニ↡ |
勢志ノ威光能ク震動†シ | 随[ヒ]テ↠縁ニ照摂シテ会†セシム↢弥陀ニ↡ |
^帰去来、 極楽は身を安んずるに実にこれ精なり。
正念に西に帰して華含むと想へ。 仏の荘厳を見たてまつるに説法の声あり。
†帰去来 | 極楽ハ†安ズルニ↠身ヲ†実ニ是精ナリ |
正念ニ西ニ帰シテ華†含ムト想ヘ | †見タテマツルニ↢仏ノ荘厳ヲ↡説法ノ声アリ |
^また衆生ありて心に*惑を帯して、 真の上境を縁ずるに成じがたきことを恐れて、
如来*漸観を開かしむることを致す。 華池の*丈六等の金形、
復有[リ]テ↢衆生↡心ニ帯シテ↠惑ヲ | 縁ズルニ↢真ノ上境ヲ↡†恐レテ↠難†キコトヲ↠成ジ |
致ス↠使†ムルコトヲ↣如来開カ↢漸観ヲ↡ | 華池[ノ]丈六等[ノ]金形‡ |
^*変現の霊儀大小ありといへども、 物の時宜に応じて有情を度す。
0451あまねく*同生の知識等を勧む。 専心に念仏して西に向かひて傾け。
変現ノ霊儀雖モ↢大小†アリト↡ | 応ジテ↢物ノ時宜ニ↡度ス↢有情ヲ↡ |
普ク勧ム↢同生ノ知識等ヲ↡ | 専心ニ念仏シテ向[ヒ]テ↠西ニ傾ケ |
二 Ⅱ ⅲ 重結定善
【19】^また前の請のなかにつきて、 初め日観より下華座観に至るこのかたは総じて依報を明かし、 二に像観より下雑想観に至るこのかたは総じて正報を明かす。
~又就[キ]テ↢前ノ請ノ中ニ↡、初メ従リ↢日観↡下至ル↢華座観ニ↡已来[タ]ハ、総ジテ明†シ↢依報ヲ↡、二[ニ]従リ↢像観↡下至[ル]↢雑想観ニ↡已来[タ]ハ、総ジテ明[ス]↢正報ヲ↡。△
^上来依正二報の不同ありといへども、 広く定善一0537門の義を明かしをはりぬ。
上来‡雖[モ]↠有[リ]ト↢依正二報ノ不同↡、広[ク]明シ↢定善一門ノ義ヲ↡竟[リ]ヌ。
観経定善義 巻第三
延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
十六 定善十三観、 散善三観の計十六観をいう。
諸師 浄影寺慧遠 (523-592)、
天台大師
智顗 (538-597)、
嘉祥大師
吉蔵 (549-623) などを指す。
先づ挙げ… まず観の名を挙げ、 次に解釈し、 終りに文を結ぶ。 善導大師は定善十三観のすべてにこの三科があるとする。
正受の行 三昧を得るための行法で、 ここでは定善の行法のこと。
ただ機縁… (定善の行法だけでは) 教えを受けるべき者のすべてをおさめ尽すことができないので。
三福の因 往生の因であるところの
散善三福の行。
未聞の益 いままでに聞いたことのないすぐれた利益。
流通を勧発し 教えの伝持流布を勧め。
境縁 外界に認識知覚される対象のこと。
縁を捨て静に託する 心を乱す境縁を離れて、 静かなところに安んずること。
余の九域 東・南・北・東南・西南・西北・東北・上・下の九つの方角。
正受を得 三昧を成就すること。
得生の類 往生浄土を得る機類。
機の堪と不堪とを簡ぶ 行者が行ずるに堪えるか堪えないかを区別するという意。
方 西方。
湛然凝住 いささかの動揺もなく、 静かにとどまっているさま。
利根のもの 素質能力のすぐれた者。
朗然として… あきらかに照らすことができない。
漸除 (業障を) 漸次に滅除すること。
頓滅 (業障を) すみやかに滅除すること。
上根上行の人 高度の行を修める根機のすぐれた人。 →
根機
身の威儀を正し 結跏趺坐し。
身心内外融液して 身 (外) と心 (内) とがとけあって、 安楽になることをいう。
上心の貪取 禅定心の中のむさぼりの心。
増上の貪心 「上心の貪取」 に同じ。
心境相応す 観ずる心と観の対象とが完全に合致する。
娑婆の闇宅 娑婆世界を
無明の闇におおわれた家に喩えていう。
業相 業障軽重の相。
瑠璃の地 青色の宝石でできた大地。
偏 かたより。
地輪 大地の意。
住身の威儀 身をたもつ作法。 跏趺正坐の作法。
失意異縁 他事に心を移して正念を失うこと。
能縁の心 行者の観ずる心。
所縁の境 観によって現れるところの境界。
細想・粗想 心の動きの微細なものと粗雑なもの。
細塵・粗塵 色・声・香・味・触・法の六塵 (六境) によって生じる心の乱れの微細なものと粗雑なもの。
幢 浄土の大地を支える宝でできた柱。
方楞具足して 方は側面、 楞は角の意。 ¬観経¼ に 「八方八楞具足」 とあるのをうける。 宝幢が八角柱の形をなしているということ。
新往のもの 新たに浄土に往生した者。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬法事讃¼ ¬般舟讃¼ にみられる。
寂静無為の楽 煩悩を滅し尽した生滅変化のない絶対のさとりの世界。 浄土のこと。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬法事讃¼ ¬礼讃¼ ¬般舟讃¼ にみられる。
依持円浄 地と地上の荘厳とが相離れず円かに成立しているさまを依 (能依・所依) と持 (能持・所持) の観点からいうもの。 十八円浄の一。
能依 依るもの。
所依 依られるもの。
能持 保持するもの。
所持 保持されるもの。
因行周備 因位の修行が完全無欠であること。
雑色玲瓏 種々の色彩が美しく光り輝くさま。
胎 母の胎内。
法侶 ここでは浄土の聖者のこと。
総雑して… すべてを一緒にまじえて観じてはならない。
正受相応 観ずる心と観の対象とが完全に合致した状態をいう。
流通を勧発して 教えの伝持流布を勧めて。
簡び 区別して。
有縁 (往生浄土の教えに) 縁ある人々。
もし人浄土の… 引用文と同様の義は ¬大阿弥陀経¼ (下) および ¬大経¼ にみられる。
iv>
法侶 仏法のなかま。 ここは浄土の聖者のこと。
儀則 (観想の) 方法のこと。
七重… 七重は元来、 七列の意。 善導大師はこれを根・茎・枝・条・葉・華・菓の七が具足していることと解釈する。
行々整直… 規則正しく並んで乱れがない。
真観 真実の観法。 三昧を成就した観法。
仮想 真観に対し、 三昧成就以前の思惟分別をはたらかせる段階の観法。
雑樹雑厳雑飾 ここでの雑は種々様々の意。 種々の樹が様々にかざられているさま。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬般舟讃¼ にみられる。
宝雲蓋を含み 宝の雲が (宝樹の上を) 蓋のようにおおって。
他方の聖衆 他方の世界より来訪した菩薩衆。
本国の能人 極楽に往生する人々 (菩薩衆) のこと。
天の瓔珞 諸天が身に着けている瓔珞 (宝玉をつらねた装身具)。
網 宝樹の上空にひろがる真珠の網。
宮 宮殿。
殿 宮殿。
所帰の国を… 帰するところの国土 (の名) を挙げて示す。
色入の摂 視覚におさまるという意。
香入の摂 臭覚におさまるという意。
触入の摂 触覚におさまるという意。
味入の摂 味覚におさまるという意。
法入の摂 意識におさまるという意。
讃にいはく この讃文は ¬弥陀経義¼ によったものか。
宝楽 宝網より流れ出る音楽。
宝宮楼 宝でできた宮殿・楼閣。
溜 支流のこと。
渠 渠は支流の意。 宝池より流れ出る支流。
摩尼の宝水 摩尼珠より流れ出る水。 如意水のこと。
地前地上等の法 初地以前、 初地以上の菩薩の教え。 六波羅蜜等の教え。
仏地三身等の法 仏の境界であるところの三身 (法身・報身・応身) 等の教え。
念仏法僧 仏法僧の三宝を憶念すること。
五乗の依果 五乗は人・天・声聞・縁覚・菩薩のこと。 依果は業によって報われた環境世界。
宝楽 空中の音楽。
楽に識なし 楽器には意識 (こころ) がないという意。
能 はたらき。
勅聴許説 (阿難・韋提希に) 聴くことを命じ、 (苦悩を除く法を) 説くに至るという意。
二人 阿難と韋提希を指す。
流通を勧発し 教えの伝持流布を勧め。
情 (韋提希の) 心情。
二尊の許応 釈迦仏の許説と阿弥陀仏の応現。
隠顕 ここでは、 一仏が隠れ退き、 他仏が顕れるという意。
器朴 器は完成したうつわ、 朴は未完成のうつわ。 人の素質能力に利鈍があるということの喩え。
機 一般に衆生、 人間のこと。 ここでは韋提希を指す。
業繋の牢 悪業によってつなぎとめられた牢獄のようなこの世界のこと。
三尊 阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩。
総告許説 総じて告げて許して説く。
逗ず 対応する。 「逗」 は目標に合うように与えるの意。
悉す 知り尽す、 見定めるという意。
正受三昧 観ずる心と観の対象とが完全に合致した観想の境地。
四柱の宝幢 蓮華台の四方にある宝でできた柱。
葉々 蓮華のはなびら。
四幢 四柱の宝幢のこと。
天宮 夜摩天の宮殿。
華座得成の所由 華座成就の拠りどころ。 ¬観経¼ には、 それを 「法蔵比丘の願力の所成なり」 と説いている。
観の儀 観察の作法、 方法。
四幢 四柱の宝幢のこと。 蓮華台の四方にある宝でできた柱。
悲智の果円かなること 慈悲と智慧よりなる仏果の徳が欠けるところなくそなわっていること。
端身一坐にして 一処に姿勢をととのえてすわったままで。
無方 自由自在であること。
所化の境 教化を受ける境界。
能化の身 教化を行う身体。
無礙智 なにものにもさまたげられることのない円満自在の智慧。
仏解をなし 仏のすがたを心に思いうかべる意。
円満無障礙智 円満で無礙自在の智慧。
唯識法身の観 阿弥陀仏の法身が、 自己の識を離れて、 他に存在しないと観ずること。
自性清浄仏性の観 衆生が本来具する仏性は、 煩悩の泥中にあっても、 けがれることなく本質的に清浄であると観ずること。 ここでは、 自性清浄なる自己の仏性を観ずることを阿弥陀仏を観ずることとする説のこと。
真如法界の身 無色無形の真如法性の法身。
観門 観察の法門。 定善観のこと。
かの仏 阿弥陀仏。
二菩薩観 觀音・勢至を観ずること。
三身観 阿弥陀仏・觀音・勢至を観ずること。
多身観 極楽浄土に遍満する無数の三身を観ずること。
別相 仏身の一部分のすがた。 総相に対す。
有縁 念仏の衆生を指していう。
摂益 摂取不捨の利益のこと。
諸邪業繋 種々のよこしまな業の障り。
凡境 凡夫の知り得る境界。
能修観の人 観察を行い得る人。
総雑して… すべてを一緒にまじえて観ずることはできない。
震響 阿弥陀仏の説法の響き。
本弘 本弘誓願の略。 阿弥陀仏が因位において弘く一切の衆生を救おうと誓われた願。
天冠のうちの化仏 觀音の頭上の冠にいただく弥陀の立化仏。
印文 印となる文様。
師徒 師は阿弥陀仏、 徒 (弟子) は觀音を指す。
二相 頂上の
肉髻の相と
無見頂相のこと。
両益 現世と来世の二世の利益。
悕心渇仰して のどの渇いた人が水を求めるように願い求めて。
体用 体は本体、 用ははたらきのこと。
天冠の… 觀音の天冠には弥陀の立化仏、 勢至の天冠には宝華があり、 肉髻の上に宝瓶があると ¬観経¼ には説かれている。
所宜に応ず 根機 (素質能力) に相応する。
地前・地上 菩薩の修道階位のうち、 初地以前を地前、 それ以上を地上という。
下智証・上智証 下智証は十地のうちの七地以下の位、 上智証はそれ以上の位をいう。 →
十地
生 衆生のこと。
自往生の想・自生の想 みずからが往生する想い。
三邪の障 身口意の三業の悪の障りのこと。
三身 阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩を指す。
告命結勧 (阿難・韋提希に) 告げて、 (定善十三観を) 結び勧めること。
像 像身。 一丈六尺の阿弥陀仏の像。
真 真身。
機境 行者の根機 (素質能力) と観察の対象のこと。
聖量 仏身の量をいう。
度す 済度する。 迷いの世界 (此岸) の衆生をさとりの世界 (彼岸) にわたすこと。
想者 観察の行者。
勝 勝益。 すぐれた利益。
身通無礙 仏身の神通が自在であること。
遍周 あまねく出現するという意。
侍者 常に仏に随侍する者。 脇士に同じ。 阿弥陀仏の脇士は觀音・勢至である。
化仏 阿弥陀仏の化仏。
影響 影や響きのこと。
遊方化益 十方の世界を訪れて、 教化利益を施すこと。
縵 幔幕。
網珠 珠網に同じ。 宝珠をちりばめた飾りあみ。
漸観 順序を立てて次第に観察する方法のこと。
丈六 一丈六尺の仏像のこと。 一丈六尺は人間の身長八尺 (周尺) の倍量。
変現の霊儀 現れ出るところの尊いすがた。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
汗→Ⓑ汚
又→Ⓑ之
経→Ⓒ逕
玲瓏→ⒶⒷⒸ朎朧
湧→Ⓒ涌
倒→ⒶⒷⒸ到
目→◎Ⓐ日
覩→ⒷⒸ観
妙→Ⓑ如
覩→Ⓒ都
王→Ⓑ玉
来→Ⓒ下
妄→Ⓒ忘
許→◎Ⓐ計
珠→Ⓒ衆
葉→Ⓒ華
仏 ◎ⒶⒷになし
仏 ◎ⒶⒷになし
螺→Ⓒ蠃
両→Ⓐ雨
荘→Ⓐ住
還タ→○還[リ]テ
還タ→○還[リ]テ
不↠同ジカラ→○不同ナリ
メバ者→○メ者
明ス↢総ジテ告ゲ総ジテ勧ムルコトヲ↡。→○明ス↠総ジテ。告ゲ↢総ジテ勧[ム]ルコトヲ↡、
○テ
但→○但シ
○ヲ
開キ→○開シ
ク→○ケレバ
劇シク→○劇シク
シ↠貪ヲ→○ス↠貪ヲ。
乱ス↠想ヲ。安ズルコト↢心ヲ三昧ニ↡→○乱想ノ安心三昧
ケム→○キ
ザル→○ズ
ヤ→○ト
ハ→○ニ
○ナリ
域→○域サカイ
此世→○此ノ世
○ニ
○ト云
○[ト]云
スル→○セム
使メ↧…生ジ↢…↡遣↦除セ…↥→○使メテ↣…生ゼ↢…↡遣メ↠除[カ]↢…↡
シタマフ→○ス
顕ス→○顕セム
眼→○眼
サシムル→○ス
ナリ→○ニ
ル→○リシ
○ノ
及↢至リテ…↡→○及ビ↢至[リ]テ…↡
住メ→○住シ
リ→○ル
住メ→○住セ
直西→○直ニ西ニ
ス→○スル
自→○自
ル…。→○[リ]テ…、
上→○上
鼻中→○鼻ノ中
気道→○気ノ道
令メヨ↠観ゼ↣…四大ノ…無シト↢一物モ↡。→○令ム↠観ゼ↢…四大ヲ。…無クシテ↢一物↡、
身→○身
ノ→○ハ
際→○際ノゾコル
際→○際
想ヘ。身之風大→○想ヘ↢身之風大ヲ↡。
想ヘ。身之火大→○想ヘ↢身之火大ヲ↡。
皆空→○皆空
猶→○猶シ
ク→○シ
見ル↢明相現前スルヲ↡→○見テ明相現前ス
鏡面→○鏡ノ面
○シ
如シ↢黒雲ノ障フルガ↟日ヲ→○如クシテ↢黒雲ノ↡障フ↠日ヲ
如シ↢黄雲ノ障フルガ↟日ヲ→○如[ク]シテ↢黄雲ノ↡障[フ]↠日ヲ
如↢似シ白雲ノ障フルガ↟日ヲ→○如↢似クシテ白雲ノ↡障[フ]↠日[ヲ]
フル→○ヘタル
ムル→○メム
焼→○焼
ニ→○ノ
所ノ↠造ル→○所造ノ
雨→○雨
徹リ→○徹シ
責ム→○責ス
○シテ
○ル
○バ
キ→○ク
ケ→○ク
識ラバ→○識リナバ
覚スレバ→○覚リヌレバ
令メムト↧…識↦知セ…相ノ…百千万倍ナルコトヲ↥→○令メムト↣…識↢知[セ]…相ヲ↡。…百千万倍ナリ
等→○等
不ハ↠識ラ…者→○不↠識ラ…者
○ハ
○クシテ
定中→○定ノ中
摂シ→○摂メ
ノ→○ニ
○スルコト
ニシテ→○ナルハ
安カラ→○安ゼ
従リ↠本→○従[ヒ]テ↠本[ニ]
セバ→○ス
ラバ→○ムナバ
一ラ同ジ↠此ニ→○一↢同ナリ此ニ↡
観ジテ→○観ルニ
ルハ→○レバ
観ズル→○観ル
教ヘテ観ゼシムルハ↠日ヲ→○教[フ]ルハ↠観ゼヨト↠日ヲ
ラシメム→○ラム
教ヘテ観ゼシムルハ↠水ヲ→○教フ↠観ゼヨト↠水ヲ
シ→○ス
恐ル↣→○恐[ラ]クハ
唯→○唯シ
カナリ。→○[カ]ニ、
アリテ→○ニシテ
未ダ↧無キ↢高下↡之処アラ↥。→○未ダ無キ↢高下↡之処、
ハ→○モノ
ス…也→○スル…也
ス…也→○スル…也
且ツ→○且
同ズル→○同[ジ]カラム
クシテ→○キ
ストイハバ…者→○サ…者
ムル→○メム
一ラ同ジ↢…↡→○一↢同ナリ…↡
欲セバ…者→○欲ハ…者
於テ→○於テ
著キ→○著ケ
満シ→○満チ
不ルトキ↠住マラ→○不↠住セ
ヲ→○ニ
為スコト↠観ヲ→○為ニ観ルコト
未ダ↠須ヰ↠取ルヲ→○未ザダレバ↠須ベ クカラ↠取ル
不↠須ヰ↠妨グルヲ→○不↠須ベ クカラ↠妨グ
知リ→○知シ
ル→○リ
白処→○白[キ]処
失意→○失シ↠意ヲ
住マル→○住スル
一ノ米→○一米
水波→○水ノ波
動ジ→○動キ
フ…也→○フル…也
自ノ心水→○自心ノ水
息ム→○息ヤ スム
住ムル→○住セシムル
ケレバ→○ク
不→○不レバ
既ニ→○既チ
レ…也→○ル…也
也→○也
セル→○スル
表ス→○表スル
不ル→○不ト云
ジテ→○ニ
○ニシテ
楽→○楽
ブ→○ビ
殊ナルコト→○殊
帰去来→○帰リナム↢去来↡
○ノミ
○ナルコト
空→○空
飛通シテ→○飛シテ↠通ヲ
含ミテ↠輝ヲ→○含ジテフクム ↠輝ヲ
○ノゴトクシテ
下ル→○下リ
讃ズ→○讃メラル
作シ…、状→○作セル…状
セリ…。→○シ…、
各各→○各各
余宝→○余ノ宝
作ス→○作ル
台→○台 ダイ
明ス↧…出ス↢…↡、…為スコトヲ↦荘厳合成ヲ↥→○明ス↣出スコトヲ↢…↡。…為セリ↢荘厳合成スルコトヲ↡
湧キ→○湧シアガリ
成ズ→○成ス
不レトイフコトヲ↞得→○不ルコト[ヲ]↞得シメ
○ト
頓チ→○頓
クナラシム→○シ
対スル→○対ヘル
ビ→○ブニ
明ス↧…欲シテ↠…苦等ヲ↡、…説ケトイフコトヲ↞→○明[ス]↧…欲[ス]ルコトヲ↞…苦等ヲ↡。…説ケ↠
得レバ…者→○得シメタレバ…者
真→○真
不ザレバ↠欲スルニハ↤直令メムト↣…↢…↡→○不↠欲セ↤直ニ令メムトハ↣…↢…↡
捨テテ→○捨[ツ]レバ
メタマフ→○ム
者ハ→○者
シ…。→○ク…、
○ニシ
レドモ→○[ル]トモ
ナルハ→○ニスルハ
為ニ↠此ガ→○為↠此ノ
キ→○シ
耳→○耳
○マハ
カク→○ク
住メシム→○住セシムル
捨身已後→○捨テ↠身ヲ已テ後
修スルコト↠因ヲ→○修因
レトイフ→○ル
未ダ…。→○未ザ ダレバ…、
ケリ→○イツ
十→○十
為サム→○為ム
ス→○セル
有リ↧…者、…者↥→○有リ↧…者↥、…者アリ
ク…也→○クル…也
樹→○樹
此→○此ノ
宝→○宝ノ
無漏ノ心中→○無漏心ノ中
○モ
セルコト→○ニシテ
然ルトナラバ者→○然ルトナラ者
ス…。→○シ…、
スル→○セル
ニシテ→○ナリ
曜カス→○曜ス
条→○条
空→○空
ヘル→○フ
樹ヲ→○樹ニ
明ス↢…光照ノ遠近ヲ↡→○明[ス]↣…光照スコトヲ↢遠近ヲ↡
明ス↣光超エタルコトヲ↢上色ニ↡→○明[ス]↢光超上ノ色ナルコトヲ↡
明ス↧…無ク↢雑乱↡、…不ルコトヲ↦…出デ↥→○明[ス]↣…無キコトヲ↢雑乱↡、…不↢…出[デ]↡
ヨリ→○ノ
ル→○ラム
識ラ→○識ラ
シトイフ→○クナル
↢…妙華↡、色→○↢…妙華色↡、
相喩フルコトヲ↦→○相↦喩[フル]コトヲ
宝菓ノ→○宝ノ菓
成ル→○成ズル
不ルハ→○不ト云コト
○ナ
所有ル→○所有ノ
諸→○諸ノ
レトイフ→○ル
明ス↧…住メテ↠…、…無キコトヲ↞不ルハ…→○明ス↢…住スルコトヲ↟…。…無シ↠不ト云コト…
ト→○ノ
ヒ…、→○ヘ…。
観ズル…者ハ→○観ズレ…者
ヌ→○ネ
網簾ノ空ニ殿アリ→○網アミ簾レタリ空ノ殿ニ
分チ↢千色ヲ↡→○分レ↢千色ニ↡
ニ→○ヲ
ニ→○ハ
クセ→○カラ
出デテ→○出[ヅ]レバ
美シ→○美シ
○セル
徐ニ→○徐ク
空→○空
囲メリ→○囲ル
ル→○レタリ
ジ→○ズ
捨命シテ→○捨テヽ↠命ヲ
生ゼム→○生[ゼ]シム
溜→○溜
摩尼ノ宝水→○摩尼宝ノ水
無シ↠礙、故ニ→○無礙ナルガ故ニ、
明ス↧…出シ↢妙声ヲ↡、…説クコトヲ↦仏地三身等ノ法ヲ↥→○明[ス]↧…出[ス]コトヲ↦妙声ヲ↥。…説ク↢仏地三身等ノ法[ヲ]↡
ルルニ→○レテ
上リテ→○上テ
樹→○樹
引カ→○引ゼ
ム…。→○メ…、
ナラシム→○ナリ
直→○直ニ
施ス→○施ス
為サ→○為
明ス↢宝楼ノ住処ヲ↡。地界遍スレバ↢於彼ノ国ニ↡、楼亦無窮→○明[ス]↧宝楼住処、地界遍シテ↠於↢彼ノ国↡、楼亦無窮ナルコトヲ↥
空→○空
ク…、→○シ…。
成ズ↢自事ヲ↡→○成ス↢自ノ事ヲ↡
従リ↢「此想成已」↡下→○従↢「此想成ト云」↡已下
剋シテ↠念ヲ→○剋念シテ
従リハ↢「若見此者」↡→○従[リハ]↢「若見此[ト]云」↡者
応ヒ→○応ジテ
捨身シテ→○捨テヽ↠身ヲ
勅シテ聴カシメ→○勅聴シテ
コル→○ク
シタマフ→○スル
ニシテ→○ナリ
急カニ→○急ニ
救フ↢常没ヲ↡、衆生→○救ウ↢常没ノ衆生ヲ↡、
シメ→○テ
ラシメヨトイフ→○ル
メシメ→○ムル
情→○情
影臨シタマフ→○影臨ム
直以隠顕有ルハ↠殊ナルコト→○直ニ以[テ]↢隠顕有[ル]コトヲ↟殊
明ス↢…現ジ、証シタマフコトヲ↟得ルコトヲ↢…↡→○明[ス]↣…現ジ下ヘバ証↢得スルコトヲ…↡
明ス↧…得ルコトヲ↞…→○明[ス]…得ル↠…
立シタマフ→○立チ下ヘル
但使→○但使
生ゼ→○生レ
来応セル大悲者ナレバ→○来[リ]テ応ゼ↢大悲ニ↡者
シテ而→○而
成ジ→○成シ
ミテ→○ムニ
リナム→○ラム
不ル…也→○不…也
明ス↢…不↠…、…得ルコトヲ↟…→○明ス↢…不ルコトヲ↟…。…得↠…
ミテ→○ムデ
フル→○ユル
陳ベ→○陳シ
問→○問
ルモ→○タリ
↢弥陀ヲ↡、仏→○↢弥陀仏ヲ↡、
其→○其ノ
○セ
総告許説→○総ジテ告ゲ許ス↠説ヲ
酬答シ→○酬答ヘ
ル→○ラム
ミテ→○ムデ
ズ→○シ下
論ゼム↣別シテ指シテ而不ルコトヲ↢…↡→○論ジテ↢別シテ指スコトヲ↡而不ラム↢…↡
無シ。兼ネテ為ニスル↠之ガ→○無シ↢兼ネテ為ニスルコト↟之ガ。
也→○也
明ス↠教フルコトヲ↢観ノ方便ヲ↡→○明[ス]↢教フル↠観ヲ方便ヲ↡
逐ヒテ↠想ヲ→○逐ヒテ↠想ニ
悉ス→○悉ス
マバ→○ムレバ
セム→○シナム
憑メバ↢…ヲ↡→○憑テ…ニ↡
至シテ↠心ヲ→○至心ニ
セ…。→○シ…、
某甲→○某甲ソレガシ
障隔→○障隔テヽ
処→○処
指授シ開悟セシメテ、所観之境→○指↢授シ開↣悟セシメテ所観之境ヲ↡
以↢不見↡→○以テ↢不見トヲ↡
力→○力
ニ→○トシテ
想ヘ↢彼ノ宝地ノ雑色分明ナルヲ↡→○想ヘ↢彼ノ宝地ヲ↡、雑色分明ナリ
由→○由
ナレバ…者→○ナレ…者
逐ヒテ↠波ヲ→○逐ヒテ波ノゴトクニ
猶有ルガ↢知覚↡故ニ、→○猶シ↠有[ル]ガ↢知覚↡、故ニ
非ズ↢想見ノ得ルニ↟為スコトヲ↢比校ヲ↡也→○非ズ↢想見ニ↡、得ムヤ↠為スコトヲ↢比校ヲ↡也
葉→○葉
脈→○脈
令メテ↢行者ヲシテ住メテ↠心ヲ一一ニ想ハ↟之ヲ→○令テ↢行者ヲ↡住セシメテ↠心ヲ一一ニ想ヘバ↠之ヲ
ヒ…、→○ウベシ…。
住メ→○住セシメ
得→○得ツ
明ス↣珠ニ有ルコトヲ↢千光↡→○明[ス]↢珠有千光ヲ↡
幢上→○幢ノ上
二→○二
明ス↢結シ↠前ヲ生ズルコトヲ↟後ヲ→○明[ス]↢結前生後ヲ↡
問→○問
所↢以…者→○所↢以ハ…者
須キ→○須ベ ラクキ
上ノ請→○上ニ請ズル
ハ→○ノ
無ク↠二→○無二ナリ
解ス→○解ル
知リ、即チ能ク→○知リ下ヘリ↢即チ能[ク]↡。
トシテ而→○ト而
ジタマフ→○ズ
自→○自
縁ズルハ↠相ヲ→○縁相スレバ
如シ↠作ノ也→○如ク↠作ノ也
是ノ→○是
ケレバ…者→○キ…者
明ス↧…知リタマヘリ↢法界之心ヲ↡、…似↦如シトイフコトヲ生ズルガ↥→○明[ス]↧…知リ下ヘルコトヲ↦法界之心ヲ↥。…似タリ↠如クニ↠生ズルガ
従ヒテ→○従リ
ト→○ヲ
無色ニシテ→○無シ↠色
絶ス…ヲ→○絶ヘタリ…ニ
○コト
総ジテ→○総ベテ
住スル→○住セシムル
不→○不
ツル→○テム
明ス↣如キ↠前ノ所益、専注スレバ必ズ成ズ、…観ゼシムルコトヲ↢彼ノ仏ヲ↡→○明[ス]↧如ク↢前ノ所益ノ↡、専注シテ必ズ成ズレバ、…観ゼシムルコトヲ↦彼ノ仏ヲ↥
明ス↧…見ルコト↢…↡、似ニ↠現ズル↢…↡…作セトイフコトヲ↦…↥→○明ス↣…見ルコトヲ↢…↡、似タリ↠現ズルニ↢…↡。…作セ↢…↡
明ス↧…観ズレバ…、…須クシ↠有ル…、…想ヒ↢前ノ華座ヲ↡、想ヘトイフコトヲ↦…坐シタマフト↥→○明[ス]↢…観ズ…、…須ベ クキコトヲ↟有ル…。…想ヘ、前ノ華座ニ想ヘ↢…坐[シ]下コトヲ↡
。→○、
面眉ノ毫相→○面眉毫相
抽キテ→○抽デ
ヒ→○ヘ
上→○上
想ヘ↢…等ヲ↡→○想ヘ、…等ヲ
ヒ→○フ
フ→○フル
住ム→○住ス
此ノ→○此
欲セバ→○欲ハヾ
ヌレバ者→○ヌレ者
了ラカ→○了ル
↢「見此」↡已→○↢「見此已ト云」↡
欲スル…者ハ→○欲ハ…者
、→○・
失スル→○失ルヽ
修スレバ↠観ヲ、→○修観シテ
スルコト
念仏ノ者ノミ→○念仏者
礼↢敬スレバ仏ヲ↡→○礼スレバ↠敬[ヒ]↠仏ヲ
スレバ…者→○スレ…者
。→○ニ、
ブレバ…者→○ブレ…者
ス→○セリ
専ラ念ジテ↢…↡→○専↢念シテ…↡
生ズル→○生ルヽ
セリ→○ス
欲スル…者ハ→○欲ハ…者
タテマツラ→○セ
レ→○シ
者→○者
シタマフ→○スル
得ル→○得ム
能修観ノ人→○能修ノ観人
得レバ…者→○得ツレ…者
ニ而→○而
明ス↢…不ルコトヲ↟同ジカラ→○明ス↢…不同ナルコトヲ↡
明ス↧肉髻与↢仏ノ螺髻↡不ルコトヲ↞同ジカラ→○明[ス]↢肉髻与仏ノ螺髻不同ナルコトヲ↡
身ニ服セル→○身服ノ
シタマフ→○スル
後ノ益→○後益
明ス↠勧ムルコトヲ↢観ノ利益ヲ↡→○明ス↢勧ムル↠観ヲ利益ヲ↡
サ→○ハ
影↢現シ…↡→○影現ジ↢…↡
シタマフ→○スルコトヲ
等→○等シク
明ス↢光照ノ遠近ヲ↡→○明[ス]↣光照スコトヲ↢遠近ヲ↡
照↢益シ…↡、等シク→○照↢益スル…↡等、ヒトシ
及ビ↢他方ニ↡→○及ビ他方ニシテ
与↢勢志↡宿業→○与↢勢志宿業↡
レバ→○ルハ
ズル→○ゼム
↧…不ルコトヲ↞同ジカラ→○↧…不同ナルコトヲ↥
冠上ノ→○冠ノ上
指シテ同ズ↢…↡→○指シテ↢同ズ…↡
ノ→○ジ下ニ
明ス↣…、多クノ諸ノ瑩飾…類スルコトヲ↢極楽ノ荘厳ニ↡→○明[ス]↧…、多クシテ↢諸ノ瑩ミガキ飾カザル↡…類スルコトヲ↦極楽ノ荘厳ニ↥
且ツ→○且
云ヘル↠度スト↠苦ヲ者→○云ヘル↠度スト↢苦者ヲ↡
ニ者→○ニハ者
知ル→○知ムヌ
為サム→○為ム
↢「此観成」↡已下→○↢「此観成已」↡下
シタマフ→○スル
揺ガシ→○揺カシ
使ム↢…雲集シテ、…利セ↟…。→○使メ↢…雲集セ↡、…利シ↠…、
チ→○ヘ
自→○自ノ
自生ノ→○自生ズル
光照→○光ノ照スコト
↢「見此事」↡已→○↢「見此事已ト云」↡
注メ→○注セシメ
易ヘ↠境ヲ→○易境ニ
入ラシメタマフ↠観ニ→○入観シ下
在シ→○在リ
在シ→○在[リ]
在ス→○在[リ]
サシム→○セ
成ズル→○成ル
小ニ→○小ク
不ズ↢由ルガ↠大ニ故ニ不ルニ↟現ゼ→○不ルガ↠由ラ↠大ニ故ニ不↠現ゼ
勝→○勝タルコト
明ス↧能ク観ズルニ↢所観ノ仏像ヲ↡…、明カニ…↥→○明[ス]↢能観ヲ↡、所観ノ仏像…、明[ス]↢…↡
ス→○シ下
観ソナハシ→○観ジ
セシメ→○シ
不↠同ジカラ也→○不同也
ム…也→○ムル…也
異ナルコト→○異
同ズル→○同ジキ
ルマデ→○[リ]テ
ノゴトク→○シテ
スル→○シ下
明ス↧世尊答ヘタマフコトヲ↦…↥→○明シ、世尊答ヘ下フ↧…↥
ノ請ニ→○ニ請ジテ
瓔→○瓔
間↢雑シ菓ニ↡→○間ヘ↢雑フ菓ヲ↡
蔭→○蔭
○タリ
ズルニ→○ジ
シタマフ→○セシム
彼→○彼
ヒタマフ→○フ
不ルハ→○不ト云コト
セシム→○ス
帰去来→○帰↢去来↡
安ズルニ…→○安クス…、
実→○実
含ムト想ヘ→○含ムデ想ヘバ
見タテマツルニ↢仏ノ荘厳ヲ↡説法ノ→○見↢仏ヲ↡荘厳説法ノ
恐レテ↠→○恐ラクハ
キ→○カラム
ムル→○メ下
アリ→○ナリ