0394かんぎょう0499じょうぜん かん第三だいさん

沙門しゃもん*善導ぜんどうしゅう

総評定正宗
  標指

【1】 ^これより以下いげは、 つぎ*正宗しょうしゅうべんず。 すなはちその*じゅうろくあり。 また一々いちいちかんのなかにつきて、 もんたいして*りょうけんす。 わずらはしくあらかじめあらわさず。

0720已下[ハ]、次ベム↢正宗↡。即↢其[ノ]十六↡。キテ↢一一↡、タイシテ↠文料簡イタハシクアラカジ↡。

弁定

^いま正宗しょうしゅうさだりゅうすること、 *しょおなじからず。

今定↢立[ス]ルコトシユ↡、↢諸師↡不↠同ジカラ

^いまただちにもつてほうにつきてさだめば、 日観にっかんはじめのよりしもぼんしょういたるこのかたは、 これその正宗しょうしゅうなり。 日観にっかんよりじょう多義たぎどうありといへども、 この文勢もんせいるに、 ただこれ*じょなり、 るべし。

タヾチ[キ]テ↠法メバ者、従↢日観↡下至↢下品下生↡已来[タ]ハ、是其正宗ナリ。従↢日観↡已上[ハ][モ]↠有[リ]ト不同↡、ルニ↢此セイ↡、但是ジヨナリ↠知

別解釈定善
  正釈
    【日観】
     

【2】 ^はじめの*日観にっかんのなかにつきて、 *げ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのあり。

[キ]テ↢初日観↡、先[ヅ]、次ベム、後。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

二 Ⅰ ⅰ
        釈総告総勧文
          (一)科節

^いち仏告ぶつごうだい」 よりしもそう西方さいほう」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじてげ、 そうじてすすむることをかす。

[ニ]↢「仏告韋提」↡下至[ル]↢「想於西方」↡已来[タ]ハ[シ]ク↢総ジテジテムルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅰ b イ (二)述意

^これは*だいさき弥陀みだ仏国ぶっこくしょうじ、 また*しょうじゅぎょうしょうずるに、 如来にょらい (*釈尊) ときあたりてすなはちゆるしてためにきたまふことをかす。

[ハ]↧韋提前↢弥陀仏国↡、又請ズルニ↢正受↡、如来アタ[リ]テ↠時[チ]ユルシテ[キ]タマフコトヲ↥。

・未聞之益

^*ただえんいまだそなはらざれば、 ぎょうあらわすこといまだあまね0395からざるをもつて、 さらに*三福さんぷくいんひらきて、 もつて*もんやくをなし、 また如来にょらいかさねてげて*ずう勧発かんぽつしたまふ。 このほうきがたければ、 ひろかいせしむ。

但以[テ]↢機縁未レバソナハ[ス]コト↠行ルヲアマネカラ、更キテ↢三福↡、以[テ]↡、又如来カサネ[ゲ]テ勧↢発シタマフ流通↡。此法難↠聞[キ]、広↢開↡。

二 Ⅰ ⅰ b イ (三)釈文

・告勧

^仏告ぶつごうだいにょぎゅうしゅじょう」 といふは、 これ告勧ごうかんかす。 もしひとしく*塵労じんろうでて仏国ぶっこくしょうずることをもとめんとほっせば、 よろしくすべからくこころはげますべし。

↢「仏告韋提汝及衆生」↡、此明↢告勧↡。若ホチセバ↧等シクデテ塵労ヂンラウ↡求メムト↞生[ズル]コトヲ↢仏国ヨロシクスベカラベ  ハゲマ↠意也。

・衆生散動

^応当おうとう専心せんしん」 といふ以下いげは、 これしゅじょう散動さんどうしてしき猿猴えんこう0500よりもはげしく、 しん六塵ろくじんへんしてしばらくもむによしなきことをかす。 ただおもんみれば*きょうえんいちにあらず、 れて*とんおこおもいみだす。 しん三昧さんまいやすんずること、 なんぞべけん。 *えんじょうたくするにあらざるよりは、 相続そうぞくしてしんとどめんや。

↢「応当専心」↡已下[ハ]此明[ス]↧衆生散ドウシテシクヱムコウ0721ヨリモ↡、心ヘムシテ↢六塵↡無[キ]コトヲヨシシバラクムニ↡。オモムミレバキヤウ縁非↠一レテ↠貪↠想。安ズルコト↢心三昧↡、ナン容↢可 ベ ケム↡。リハ↠非ザル↠縁タクスルニジヤウ、相続シテトドメム↠心

・直指西方

^ただちに西方さいほうすは、 *いきえらぶ。 ここをもつていつにし、 しんいつにし、 こういつにし、 しょいつにし、 きょうがいいつにし、 相続そうぞくいつにし、 帰依きえいつにし、 しょうねんいつにす。 これをそうじょうじゅして*しょうじゅづく。 しょうしんしたがひてだつす。

タヾチ↢西方↡、簡[ブ]↡。是[テ]ニシ、一[ニシ]↠心[ヲ]、一[ニシ]↢廻向↡、一[ニシ]↠処、一[ニシ]↢境界↡、一[ニシ]↢相続↡、一[ニシ]↢帰依↡、一[ニ]ス↢正念↡。是↣想成ジユシテ↢正ジユ↡。此世・、随[ヒ]テ↠心解脱也。

二 Ⅰ ⅰ b 釈牒所観事文
          (一)科節

^うんそう」よりしも皆見かいけん日没にちもつ」 にいたるこのかたは、 まさしく所観しょかん*でっすることをかす。

[ニ]↢「云何作想」↡下至↢「皆見日モチ」↡已来[タ]ハ[シク]デウスルコトヲ↢所観↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (二)述意

^これもろもろのしゅじょうとうひさしく*しょうながれて、 安心あんじんさとらず。 西方さいほうすといへども、 いかんが作意さいするといふことをらず。 ゆゑに如来にょらいために反問はんもんしょうしゅう遣除けんじょせしめ、 もつてしょうねんほうしめしたまふこと0396かす。

此明↪諸衆生等久シクナガレテ↢生死↡、サト↢安心[モ]↠指[ス]ト↢西方↡、↠知↢云何スルトイフコトヲ使↧如来為反問ハンモン↡遣↦除シフ↥、以[テ]シメシタマフコトヲ↩正念↨。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (三)釈文

・牒前顕後

^ぼんそう」 といふは、 これそうじてさきこころでっして、 のちにゅうかん方便ほうべんあらわすことをかす。

↢「凡作想」↡此明↧総ジテシテ↢前スコトヲ↦後入観方便↥。

・得生之類

^一切いっさいしゅじょう」 といふは、 そうじて*とくしょうるいぐ。

↢「一切衆生」↡者、ジテ↢得生之ルイ↡。

・機堪不堪

^自非じひしょうもう」 といふ以下いげは、 これ*かんかんとをえらぶことをかす。

↢「自非生マウ」↡已下[ハ]、此明↠簡[ブ]コトヲカン[ト]↢不堪↡。

^*しょうもう」 といふは、 たいのなかよりでて、 まなこすなはちものざるものをづけてしょうもうといふ。 このひとにはおしへて日観にっかんをなさしむることをず。 日輪にちりん光相こうそうらざるによるがゆゑなり。

[フ]↢「生盲」↡者、従[リ]↢母胎中↡出[デテ]↠物[ケ]テ↢生盲↡。此ニハ↠得↣教ヘテサシムルコトヲ↢日観↡。ルガルニ↠識↢日リン光相↡故ナリ

^しょうもうのぞきて以外いげえんひてうれふるものにはおしへて日観にっかんをなさしむるに、 ことごとくじょうじゅすることを。 いまだまなこうれへざるとき、 その日輪にちりんこうみょうとうそうるによりて、 いまうれふといへども、 ただよく日輪にちりんとうそうらしめて、 しょうねんけんしてせつかぎらざれば、 かならずじょうじゅすることを

ノゾキテ↢生盲外、ヒテ↠縁ウレフルモノニハヘテサシムルニ↢日観[ヲ]↡、コトゴト↢成就スルコトヲ↡。[リ]テ↣未ウレ時、ルニ↢其日輪光明等↡、今雖[モ]ウレ[フ]ト↠目、但メテ↢日輪等↡、正念[ニ]ケンカタクシテタモツ レバカギ↢時節↡、必↢成就スルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)料簡
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 だいかみしょうには極楽ごくらくきょうんとがんず。 如来にょらいせつしたまふに及至いたりて、 すなはちおしへてしんとどめてかんぜしむるは、 なんのこころかあるや。

[ヒテ][ク]、韋提ニハムト↢極楽↡。及↢至 イタ リテ如来ユルシ[シタマフ]ニ↡、即ヘテメテ↠心ゼシムルハ↠日、有↢何↡也。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)
              (ⅰ)標挙

^こたへていはく、 これにさんこころあり。

[ヘテ][ク]↢三意↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)列釈
                (a)知方

^いちにはしゅじょうをしてきょうしんとどめしめんとほっして、 *ほうすことあることあり。 とうりょう0501らず、 ただ春秋しゅんじゅうさいる。 そのしょうとうよりでて直西じきさいもっす。 弥陀みだ仏国ぶっこく日没にちもつところあたりて0397直西じきさいじゅう万億まんおく*せつちょうす。 すなはちこれなり。

[ニ]シテメムト↢衆生ヲシテ↠境↟心スコト↠方ルコトトウ↡、タヾ0722↢春秋サイキハ↡。其トウヨリ[デテ]直西ヂキサイモツ。弥陀仏国[ハ]アタ[リ]テ↢日没イル↡、直西超↢過十万億[ノ]セチ↡。即ナリ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)知業
                  (イ)総標

^にはしゅじょうをして*ごっしょう軽重きょうじゅうあることをしきせしめんとほっす。

[ニ]メムト↤衆生ヲシテ識↣知シヤウ[ル]コトヲ↢軽重↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)徴問

^いかんがることをる。

云何 イカン ↠知[ル]コトヲ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)略答

^おしへてしんとどめてかんぜしむるによる。

↢教ヘテメテ↠心[ゼシムル]ニ↟日

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)広述
                    [一]明観相
                      [Ⅰ]明住心方
                        [ⅰ]標挙

^はじめてしんとどめんとほっするとき

スルメムト↠心時、

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅰ][ⅱ]弁明
                          [a]教身威儀

^おしへて*跏趺かふしょうせしむ。 みぎあしひだりももうえけてほかとひとしくし、 ひだりあしみぎももうえきてほかとひとしくし、 ひだりみぎうえきて、 をしてしょうじきならしめ、 くちがっしてはあひちかづくことなかれ。 したうえあごささへよ。 咽喉いんこうおよびちゅうどうをして宣通せんつうせしめんがためのゆゑなり。

ヘテ跏趺カフ↡。ケテ↢左モヽ↠外ヒトシ[クシ]、左キテ↢右モヽ↠外ヒトシ[クシ]、左[キ]テ↢右↡、令↢身ヲ[シテ]正直ナラ↡、ガフシテ↠口[ハ]ナカチカヅクコト↡。舌[ハ]ササヘヨアギ↡。為↠令[メム]ガ咽喉エンコウノド鼻中気道ヲシテセム↡故ナリ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅰ][ⅱ][b]教心作相

^またしんだいないともにくうにして、 すべて一物いちもつもなしとかんぜしめよ。

メヨ↠観四大内外トモクウニシテスベシト↢一物↡。

^しんだいにくきんこつとうしんおもへ。 西方さいほう散向さんこうして、 西方さいほうきわつくすに、 ない一塵いちじんそうずと。

カハニクシヽムラキムスヂコツホネトウ、心オモ。散↢向シテ西方↡、ツクスニ↢西方↡、乃至↠見↢一ヂン↡。

^またおもへ。 しん水大すいだいけつかんしんるいとうしんおもへ。 北方ほっぽう散向さんこうして、 北方ほっぽうきわつくすに、 ない一塵いちじんそうずと。

又想水大クヱツチ カンアセシンルイナミダ、心。散↢向シテ北方↡、尽スニ↢北方↡、乃至[ト]↠見↢一塵之相↡。

^またおもへ。 しん風大ふうだい東方とうぼう散向さんこうして、 東方とうぼうきわつくすに、 ない一塵いちじんそうずと。

。身之風大散↢向シテ東方↡、尽スニ↢東方[ノ]↡、乃至不[ト]↠見↢一塵之相↡。

^またおもへ。 しんだい南方なんぽう散向さんこうして、 南方なんぽうきわつくすに、 ない一塵いちじんそうずと。

。身之火大散↢向シテ南方↡、尽スニ↢南方[ノ]↡、乃至不[ト]↠見↢一塵之相↡。

^またおもへ。 しん空大くうだいすなはち十方じっぽうくう一合いちごうして、 ない一塵いちじんくうそうずと。

又想。身之空大即↢十方虚空↡一合シテ、乃至[ト]↠見↢一塵不空↡。

^またおもへ。 しんだいみなくうにして、 ただ識大しきだいのみありて*湛然たんねん凝住ぎょうじゅうす、 なほえんきょうのごとく、 ない明照みょうしょうにしてろうねん0398として清浄しょうじょうなりと。

又想。身之五大皆空ニシテタヾ[リ]テ↢識大ノミタンフカシ ネン アマネシギヨウトヾムヂユ猶如↢円キヤウ↡、内外明照ニシテラウホガラカ[トシテ]清浄ナリ[ト]

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅱ]結前生後

^このおもいをなすとき乱想らんそうのぞこることをて、 しんやうやく*凝定ぎょうじょうす。

↢此↡時、乱想ノゾコルコトヲ、心ヤウヤギヨウ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[一][Ⅲ]正明日観

^しかしてのち徐々じょじょとしてしんてんじて、 あきらかにかんず。 その*こんのものはいちにしてすなはちみょうそう現前げんぜんするをる。 きょうげんずるときあたりて、 あるいはぜにおおきさのごとく、 あるいはきょうめんおおきさのごとし。

シカウシテ後、徐徐ジヨジヨトシテテンジテ↠心[ヲ]アキラカ↢於日↡。コン一坐ニ[シテ][チ]↢明相現前スルヲ↡。アタ[リ]テキヤウ[ノ]ズル↡、或[イハ]ゼニキサノ↡、或[イハ]鏡面[キ]サノ↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二]示業相
                      [Ⅰ]標挙

^このみょううえにおいてすなはちみづからごっしょう軽重きょうじゅうそうる。

↢此[ノ]↡即[チ]↢業障軽重↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅱ]列明

^いちにはこく0502しょう、 なほ黒雲こくうんふるがごとし。 にはおうしょう、 また黄雲おううんふるがごとし。 さんには白障びゃくしょうびゃくうんふるがごとし。

[ニ]コク障、猶↢黒雲0723フルガ↟日。二[ニ]ワウ障、↢黄雲フルガ↟日。三[ニ]者白障、如↢似 ゴト 白雲フルガ↟日

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[二][Ⅲ]釈成

^このなほくもふるがごとくなるがゆゑに、 *朗然ろうねんとしてけんしょうすることをず。 しゅじょうごっしょうもまたかくのごとし。 じょうしんきょう*しょうへいして、 しんをして明照みょうしょうならしむることあたはず。

ゴトクナル[ガ]クモフルガ↡故↠得↢ラウトシテセウスルコトヲ↡。衆生業障亦如↠是[ク]ノ。障↢ヘイシテ浄心之境↡、↠能↠令ムルコト↢心ヲシテ明照ナラ↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三]教懴悔
                      [Ⅰ]明方法

^ぎょうじゃもしこのそうば、 すなはちすべからくどうじょう*厳飾ごんじきし、 仏像ぶつぞうあんし、 清浄しょうじょう洗浴せんよくし、 じょうじゃくし、 またみょうこうきて諸仏しょぶつ一切いっさい*げんじょう表白ひょうびゃくし、 ぶつぎょうぞうかひて、 現在げんざいいっしょう無始むしよりこのかた、 すなはちしん口意くいごうつくるところのじゅうあくぎゃくじゅう謗法ほうぼう闡提せんだいとうつみさんすべし。

行者若↢此↡、即[チ]スベカラベ  ゴンジキ道場↡、安↢仏像↡、清浄洗浴セムヨクヂヤク↢浄衣↡、又キ[テ]↢名香ヘウビヤク諸仏・一切賢聖↡、向[ヒ]テ↢仏形像↡、現在一生懴↦悔ヨリ已来[タ]、乃身口意業↠造十悪・五逆・四重・謗法・セム提等↥。

^きはめてすべからくていしてなみだあめふらし、 ふかざんしょうじて、 うち心髄しんずいとおり、 ほねりてみづからむべし。

テイナクシテラシナミダ、深ジ[テ]慚愧ザングヰ↡、↢心ズイ↡、[リ]テホネ↥。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三][Ⅱ]示滅障

^さんしをはりて、 かえりてさきほうのごとく安心あんじんしてきょうれ。 きょうもしげんずるときは、 さきのごとき*さんしょう0399ことごとくのぞこりて、 所観しょかん浄境じょうきょう朗然ろうねんとして明浄みょうじょうなり。 これをとんさわりめっすとづく。 あるいは一懴いっさんしてすなはちつくすものをこんひとづく。

懴悔[リ]テカヘ[リ]テサキ坐法↡安心シテ↠境。境若ズル、如↠前三障コトゴトノゾコ[リ]テシヨ浄境ラウ[トシテ]明浄ナリ。此トムサハリ也。或[イハ]ザンシテ[チ]ツク↢利コン↡也。

^あるいは一懴いっさんしてただこくしょうのぞき、 あるいは一懴いっさんしておうびゃくとうさわりのぞくことを。 あるいは一懴いっさんしてただ白障びゃくしょうのぞく。 これを*漸除ぜんじょづけ、 *頓滅とんめつづけず。

[イ]ハ一懴シテ但除コク↡、或[イハ]一懴[シテ]ノゾクコトヲ↢黄・白等↡。或[イハ]一懴[シテ]ノゾ↢白障↡。此[ヲ]漸除ゼンヂヨ↡、↠名頓滅トムヂヨ↡也。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)[三][Ⅲ]結勧誠

^すでにみづから業相ごっそうのかくのごとくなるをらば、 ただすべからく勤心ごんしんさんすべし。 にちさんろくとうにただおくしてすなはちさんすることをるものは、 もつともこれ*じょうこん上行じょうぎょうひとなり。 たとへばとうくに、 またかくすればすなはちるがごとし。 あにいたづらにときち、 ところち、 えんち、 ひとちてまさにはじめてのぞくべけんや。

[ニ]ラバ↢業相[ク]ナルヲ↟是[ク]ノタヾゴン懴悔↡。日夜三時・六時等[ニ]オクシテ↢即[チ]サンスルコトヲモト上根上行人也。タトヘバタウクニ↠身、亦スレバ[チ]ルガ↡。アニケムイタヅラ↠時[チ]↠処、待[チ]↠縁[チ]テ↠人マサハジメノゾ

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅱ)(c)知光

^さんにはしゅじょうをして弥陀みだしょうほう種々しゅじゅしょうごんこうみょうとうそうないしょうようして、 このちょうせることひゃくせん万倍まんばいなることをしきせしめんとほっす。 ぎょうじゃとう、 もしかのきょう光相こうそうらずは、 すなはちこの日輪にちりんこうみょうそうて、 もしは*行住ぎょうじゅう坐臥ざが礼念らいねん*憶想おくそう0503して、 つねにこのをなせ。 ひさしからざるあひだにすなはちじょうしんて、 かのじょうらくしょうごんん。

[ニ]メムト↧衆生[ヲ]シテ識↦知弥陀依正二報種種荘厳光明等内外セウテリヨウシテカヾヤク、超↢過セルコト↡百千万倍ナルコトヲ↥。行者等、若↠識↢彼光相↡者、即[チ]↢此日輪[ノ]光明↡、若[シ]ハ行住坐臥礼念[シ]憶想シテ、常↢此↡。↠久[シ]カラ0724↢定心↡、↢彼浄土、快楽[ノ]荘厳↡。

二 Ⅰ ⅰ b ロ (四)(Ⅱ)(ⅲ)総結

^こののためのゆゑに、 そんおしへて日想にっそうかんをなさしめたまふ。

↢此↡故、世尊先ヘテサシメタマフ↢日想観↡也。

二 Ⅰ ⅰ b 釈正教観察文
          (一)科節

 ^さんとう想念そうねん」よりしもじょう如懸にょげん」 にいたるこのかたは、 まさしくおしへてかんざつ0400せしむ。

[ニ]↢「タウ想念」↡下至[ル]↢「ジヤウクヱン」↡已来[タ]ハ[シク]ヘテ観察セシム

二 Ⅰ ⅰ b ハ (二)述意

^これ*威儀いぎただし、 おもて西方さいほうかへて、 きょうまもりてしんとどめ、 けんしゅうしてうつらざれば、 しょみなおうずることをかす。

↧正[シ]↢身威儀ヰギ↡、ヘテ↢西方↡、マモリ[テ]↠境↠心堅執ケンシフシテレバウツ、所皆応ズルコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅰ b 釈弁観成相文
          (一)正釈観成相
            (Ⅰ)科節

^見日けんにち」よりしも明了みょうりょう」 にいたるこのかたは、 かんじょうそうべんず。

[ニ]↢「見日」↡下至[ル]↢「明了」↡已来[タ]ハベン↢観成↡。

二 Ⅰ ⅰ b ニ (一)(Ⅱ)述意

^これしんひょうしてるに、 おもいせいえんのぞきて念々ねんねんうつらざれば、 じょうそう*りょうねんとしてげんずることをかす。

此明ヘウシテ↠心[ルニ]↠日セイ↠想ノゾキテ↠縁念念レバウツ、浄相了然トシテ而現ズルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅰ b ニ (二)弁得失邪正

^またぎょうじゃはじめてじょうちゅうにありて、 このときすなはち三昧さんまいじょうらくて、 *身心しんしんない融液ゆうえきして不可ふか思議しぎなり。

又行者[リ]テ定中↡、見↢此↡時[チ]↢三昧定楽↡、身心内外ユウトヲルエキ[シテ]不可思議ナリ

^これをときあたりて、 よくすべからくしんせっして、 じょうをして*じょうしん貪取とんしゅざらしむべし。 もし貪心とんしんおこせば、 心水しんすいすなはちどうず。 しんどうずるをもつてのゆゑに浄境じょうきょうすなはちしっす。 あるいはどう、 あるいはあん、 あるいはこく、 あるいはしょうおうしゃくびゃくとういろにしてあんじょうすることをず。

アタ[リ]テ↢見↠此↡、シテ↠心↢定ヲシテ↢上心貪取トムシユ↡。若オコセバ↢貪心↡、心水即ドウ。以[テ]ノ↢心動ズルヲ↡故浄境即[チ]シツ。或[イハ]動或[イハ]闇、或[イハ]黒或[イハ]青・黄・シヤク・白等イロニシテ↠得↢安定スルコトヲ↡。

^このときすなはちみづから念言ねんごんせよ。 「これらのきょうそう揺動ようどうしてやすからざることは、 わが貪心とんしん動念どうねんによりて、 浄境じょうきょうをして動滅どうめつせしむることをいたす」 と。 すなはちみづから安心あんじんしょうねんにして、 かえりてもとよりおこせば、 動相どうそうすなはちのぞこりて、 じょうしんかえりてげんず。 すでにこのとがらば、 さらに*ぞうじょう貪心とんしんおこすことをざれ。

↢此↡時即[チ]念言セヨ。此境相エウシテルコトカラ、由[リ]テ↢我貪心動念↡、致ス[ト]使ムルコトヲ↢浄境ヲシテメツ↡。即[チ]安心正念ニシテ[リ]テ↠本オコセバ、動相即[チ]ノゾコ[リ]テ、静心還[リ]テ。既[ニ]ラバ↢此トガ↡、更↠得↠オコスコトヲゾウ貪心↡也。

^以下いげ諸観しょかんじゃしょう得失とくしつ、 もつぱらこれにおなじ。

已下諸観ジヤ正得シチ↠此也。

^かんじてるは、 *しんきょう相応そうおうす。 づけてしょうかんとなす。 かんずるにずしてすな0401はちぞうきょうとうるは、 しんきょう相応そうおうせず。 ゆゑにじゃづく。

ジテ↠日ルハ↠日、心境相応。名[ケ]テ↢正観↡。ズルニ↠日シテ↠見↠日ルハ雑境等↡、心境↢相応↡。故↠邪也。

二 Ⅰ ⅰ b ニ (三)総結日観由

^これすなはち*しゃ闇宅あんたくには、 れてもつてほうすべきことなし。 ただ朗日ろうにちひかりぶるのみありて、 おもいせてとお極楽ごくらくひょうす。

コレ娑婆之闇タクニハレテ↢以ホウスベキコト↡。タヾ[リ]テラウブルノミヒカリセテ↠想トオヘウ↢於極楽↡。

二 Ⅰ ⅰ b 釈総結観名文

^是為ぜい」より以下いげそうじてけっす。

[ニ]↢「是」↡已下[ハ]ジテケツ

二 Ⅰ ⅰ

^じょうらい五句ごくどうありといへども、 ひろ日観にっかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢五句[ノ]不同↡、広[ク]↢日観↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【水観】
     

【3】 ^0504*水観すいかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのろくあり。

0725[ニ][キ]テ↢水観↡、亦先[ヅ][ゲ]、次、後。即[チ]↢其六↡。

二 Ⅰ ⅱ
        釈総標地体文
          (一)正釈
            (Ⅰ)科節

^いち次作しさ水想すいそう」よりしもない映徹ようてつ」 にいたるこのかたは、 そうじてたいひょうす。

[ニ]↢「作水想」↡下至[ル]↢「内外映徹エイテチ」↡已来[タ]ハジテヘウタイ↡。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)料簡
              (ⅰ)料簡所由
                (a)水観所由
                  (イ)正明水観所由

 ^ひていはく、 さきおしへてかんぜしむるは、 *業相ごっそうとうらしめんがためなり。 ゆゑにかんぜしむ。 いまこのかんのなかに、 またおしへてみずかんぜしむるは、 なんの所以ゆえんかある。

[ヒテ][ク]、前ヘテゼシムルハ↠日、為ナリラシメム[ガ]↢業相等↡。故↠観↠日。今此、又ヘテゼシムルハ↠水、有↢何所以 ユヘ ↡。

^こたへていはく、 日輪にちりんつねにらし、 もつて極楽ごくらく*じょうひょうす。 またかのたいらかならずして、 この*こく*こうるいすることをおそる。 ただおもんみればしゃ闇宅あんたくには、 ただのみよくあきらかなり。 このさかいにはきょうありていまだこうなきところあらず。 よくたいらかなるものをらんとほっするに、 みずぎたるはなし。 このびょうそうしめして、 かの*瑠璃るりきょうす。

[ヘテ][ク]、日リム、以ヘウ↢極楽之長クヰ↡。復↣彼シテタイラカナラルイスルコトヲ↢此穢国之高下↡。オモムミレバ娑婆[ノ]闇宅ニハ唯日ノミカナリ。此[ノ][ニ]ハオカキヤウアナ アリテ↧無↢高下↡之処アラ↥。欲[ス]ルニラムト↢能タイラカナル之者↡、無ギタル↢於水↡。シメシテヒヤウ之相↡、クヰヤウタクラブ↢彼瑠璃之地↡也。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)更決相似分斉

 ^またひていはく、 このさかいみず湿うるおひてかつやわらかなり。 いぶかし、 かの0402たこのみずどうずるや。

又問[ヒテ][ク]、此[ハ]湿ヒテヤハラカナリ未審イブカシ、彼ズル↢此

^こたへていはく、 このさかいびょうすい、 もつてかのひとしくしてこうなきにたいす。

[ヘテ][ク]、此界之ヒヤウ水、以タイ↣彼クシテキニ↢高下↡。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅰ)(b)氷想所由

^またみずてんじてこおりとなすは、 かの瑠璃るりない*映徹ようてつせるにたいす。 これ弥陀みだ*曠劫こうごうひとしくぎょうじて、 *へんなく、 *正習しょうじゅうともにもうじて、 よく*りん映徹ようてつせるをかんずることをかす。

テンジテ↠水コホリタイ↢彼瑠璃之地[ノ]内外映徹エイテツセルニ↡也。↣弥陀クワウヒトシクジテヘム、正・ジフトモマウジテ、能カムズルコトヲ↢地リン之映徹セルヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)料簡作法
                (a)

 ^またひていはく、 すでにおしへてみずおもひてもつてしんとどめしめ、 みずてんじてもつてこおりとなし、 こおりてんじてもつて瑠璃るりとなすといはば、 いかんがほうしてきょうをしてげんぜしむる。

又問[ヒテ][ク]スデヘテオモヒテ↠水メシメ[テ]↠心テンジテ↠水コホリ、転ジテ↠氷ストイハバ瑠璃ルリ↡者、云何シテ而令ムル↢境[ヲシテ]↡。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)
                  (イ)正教観作法
                    [一]明住心威儀

^こたへていはく、 *じゅうしん威儀いぎのごときは、 もつぱらさき日観にっかんのなかのほうおなじ。

[ヘテ][ク]ゴトキハ↢住身[ノ]威儀↡、↢前日観↡。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]明住心作法
                      [Ⅰ]標意

^またみずかんじてもつてじょうしんらんとほっせば、 かえりてすべからくそうきょうたいしてかんずべし。 すなはちじょうべきことやすし。

セバ↣観ジテ↠水ラムト↢定心↡者、還[リテ]タイシテ↢相之境↡而観↥。即[チ]ヤスキコト↠定

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]正明

^ぎょうじゃとうじょうしょにおいていちわんみずりて、 ゆかまえうえきてよくこれにたしり、 しんゆかうえにありてし、 けんて、 いちしろものまめばかりのおおきさのごとくなるをけて、 こうべおもてみずうえのぞめて、 一心いっしんにこのしろところらして、 さらにえんすることなかれ。

行者等↢静処[リ]テ↢一ワン↡、キテユカマヘ↢盛↡、シン[リ]テ↢床、当[ノ]↡、ケテ↣一[ク]ナルヲマメバカリキサノ↡、カウベノゾメテ↢面↡、一心テラ↡、更ナカスルコト↡。

^またみずはじにありてろうとどまらざるとき、 おもてのぞめてこれをかんずるに、 面像めんぞう0505ず。

又水ハジメ[リ]テラウルトキ↠住マラノゾメテ↠面ズルニ↠之↠見↢メン↡。

^かんをなすことまざれば、 *漸々ぜんぜんおもてげんず。 はじめのとき面相めんそうとどまらずして、 たちまちにながく、 たちまちにみじかく、 た0403ちまちにひろく、 たちまちにせまく、 たちまちにえ、 えず。

0726スコト↠観レバ漸漸ゼムゼムメンシテマラタチマチナガタチマチミジカタチマチヒロタチマチセバタチマチ不↠見

^このそうげんずるとき、 さらにすべからく極細ごくさい用心ようじんすべし。 ひさしからざるあひだにすいさいにして、 どうずるにどうぜず、 面相めんそうやうやくあきらかにげんずることを面上めんじょうげんとうるといへども、 またいまだるをもちゐず、 またさまたぐるをもちゐず。 ただ身心しんしんをほしいままにして、 ありとりてることなかれ。

相現ズル、更極細ゴクサイコマカナリヨウ↡。↠久[シ]カラアヒダナミニシテコマカナリドウズルニ↠動、面相ヤウヤ↢明カニ[ズ]ルコトヲ↡。雖[モ]↠見[ル]ト↢面上眼・↡、亦↠須↠取ルヲ、亦不↠須↠妨グルヲタヾホシキマヽニシテ↢身心↡、リテ↠有ルトルコト也。

^ただしろところりて*了々りょうりょうにこれをかんじて、 しょうねんしゅして、 *しつえんせしむることなかれ。 これをときあたりて、 しんやうやくとどまることをて、 すいしょう*湛然たんねんなり。

[リ]テ↡了了アキラカニジテ↠之、正念シユシテ、勿ムルコト失意↡。当[リ]テ↢見↠此↡、心ヤウヤマルコトヲ、水性タムナリ

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)約譬教用心
                    [一]標意

^またぎょうじゃとうしんのなかのみずろうとどまらざることをしきせんとほっせば、 ただこのみずどうどうそうかんじて、 すなはちしんきょうげんげんみょうあんそうれ。

又行者等セバ↣識↢知セムト自心ラウルコトヲマラ者、タヾジテ↢此ドウ不動↡、即[チ]↢自心現不現・明闇↡也。

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[二]譬説

^またみずしずかなるときち、 いちこめばかりなるをりて、 すいじょうててまかせてこれをみずのなかにぐれば、 そのすいすなはちどうじてわんのうちにへんす。 おもてうえのぞめてこれをるに、 そのしろきものすなはちどうず。

↢水シヅカナル↡、[リ]テバカリ[ナル]ヲ↡、当テ[テ]↢水上マカセテグレバ↢之↡、其水波即[チ]0727ジテヘム↢於ワム↡。ノゾメテウヘルニ↠之、其モノ

^さらにまめばかりなるをけてこれをみずぐるに、 なみさらにだいにして、 めんじょうしろきもの、 あるいはえ、 えず。 ないなつめとう、 これをみずぐるに、 そのなみ*うたただいにして、 めんじょうしろきものおよびしんめんそうじてみな隠没おんもつしてげんぜず。 みずどうずるによるがゆゑな0404り。

ケテマメバカリ[ナル]ヲグルニ↢之↡、ナミニシテメン[キ]、或[イ]ハ。乃至ナツメ等、投[グ]ルニ↢之於水↡、其ウタニシテ、面上[キ]頭面、ソウジテ隠没オンモツシテ↠現ルガ↢水ズルニユヘナリ

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[三]合法

^わん」 といふはすなはちしんたとふ。 「みず」 といふはすなはちしんすいたとふ。 ろう」 といふはすなはち乱想らんそう煩悩ぼんのうたとふ。漸々ぜんぜんろうむ」 といふは、 すなはちこれ衆縁しゅえん*制捨せいしゃして、 しんいっきょうとどむるなり。

ワンタト↢身↡也。言↠水[チ]心水↡也。言[フ]ラウ[フ]乱想ラムサウ[ノ]煩悩↡也。言[フ]ゼン波浪ムト、即[チ]セイ↢捨シテステヽ衆縁↡、ムル↢心一境↡也。

^みずしずかにしてきょうげんず」 といふは、 すなはちこれ*能縁のうえんしんみだるることなければ、 *所縁しょえんきょうどうぜず、 ない*恬怕てんぱくにしてしょそう*顕然けんねんなり。 また*さいそうおよび*そうあれば、 心水しんすいすなはちどうず。 心水しんすいすでにどうずれば、 静境じゃくきょうすなはちしっす。 また*細塵さいじんおよび*じん、 これを寂静じゃくじょうみずのなか0506ぐるに、 そのみずろうすなはちどうず。

[フ]↢水シヅカニシテ境現ズト、即[チ]ノウケレバミダル[ル]コト、所縁不↠動、内外恬怕タンパクシヅカナリニシテ相顕然ナリ。又細想サイサウサウアレバ、心水即[チ]。心水ズレバジヤウシヅカ境即[チ]シツ。又 細コマカナリジンチリ及以 オヨビ ジングルニ↢之ジヤク↡、其波浪即[チ]

二 Ⅰ ⅱ b イ (一)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)[四]結成

^またぎょうじゃとうただこのみずどうどうそうて、 すなはちしんじゅうじゅうれ。 またきょうげんしつしつじゃしょうとう、 もつぱらさき日観にっかんおなじ。

又行者等タヾ↢此動・不動↡、即[チ]住・不住↡也。又境現シチ不失・ジヤ正等、↢前日観↡也。

二 Ⅰ ⅱ b イ (二)偈讃

 ^また天親てんじんさん (*浄土論) にいはく、

かのかいそうかんずるに、 三界さんがいどうしょうせり。
きょうしてくうのごとく、 広大こうだいにして辺際へんざいなし」 と。

又天親シタシサン

「観ズルニ↢彼世界勝↢過セリ三界[ノ]
究竟シテ↢虚空広大ニシテシ[ト]↢辺際↡」

^これすなはちそうじてかのくにぶんりょうかす。

[チ]ソウジテ↢彼ブン也。

二 Ⅰ ⅱ b 釈地下荘厳文
          (一)正釈

^下有げう金剛こんごう七宝しっぽう」よりしも不可ふかけん」 にいたるこのかたは、 まさしく地下じげしょうごんかす。 すなはちそのしちあり。

[ニ]↢「下有金剛七宝」↡下至↢「不可」↡已来[タ]ハ[シ]ク↢地下荘厳↡。即[チ]↢其七↡。

・幢

^いちには*どうたいひとしくこれ無漏むろ金剛こんごうなることをかす。

[ニハ]ドウタイヒトシク無漏ムロ[ノ]金剛ナルコトヲ↡。

・擎

^にはささ0405てあひ顕映けんようせるしょうごんかす。

[ニハ]サヽゲテエイテリセル荘厳↡。

・方楞

^さんには*ほうりょうそくして円相えんそうにあらざることをあらわすことをかす。

[ニハ]ホウリヨウカド ツブサシテタレリ スコトヲ↟非ザルコトヲ円相エムサウ↡。

・百宝

^にはひゃっぽうごうじょうして、 りょう*塵沙じんじゃでたることをかす。

[ニハ]↣百宝合成シテ、量出[デ]タルコトヲ塵沙ヂンジヤ↡。

・千光

^にはたから千光せんこういだして、 ひかりへんきわにあまねきことをかす。

[ニハ]タカラシテ↢千光↡、アマネシユ キコトヲ↦無辺↥。

・異色

^ろくにはひかりしきおおくしていろほうらし、 したがひて変現へんげんし、 ときとしてやくせざることなきことをかす。

[ニハ]↧光クシテ色↡色テラ↢他方↡、随[ヒ]テ↠機変現キコトヲトキトシテルコト↞益也。

・衆光

^しちには衆光しゅこういろさんじて日輪にちりん映絶ようぜつし、 *新往しんおうのものこれをてにはかに*しゅうしつしがたきことをかす。

[ニハ][ス]↧衆光サムジテイロエイゼツリム↡、シム↠之ニハカガタキコトヲ周悉シユシチ↥。

二 Ⅰ ⅱ b ロ (二)偈讃

^¬さん¼ にいはく (*礼讃)

地下じげしょうごん七宝しっぽうどうりょうへんしゅおくなり。
八方はっぽう八面はちめんひゃっぽうをもつてじょうず。 かれをればしょうねんさとる。
しょう宝国ほうこくながじょうたり。 一々いちいちたからしゅひかりながす。
ぎょうじゃしんかたむけてつねにたいして、 *じんやくして西方さいほうれ」 と。

¬サム¼云

「地下[ノ]荘厳七宝[ノ]ハタボコ無量無辺ニシテ無数億ナリ
八方八面ニシテ百宝ヲモテゼリレバミルニ ↠彼無生自然
無生宝国永↠常一一宝流↢無数
行者傾カタブケテ↠心シ[テ]↠目アゲテ↠神アガリシテオドル レ[ト]ル  ↢西方

^また*さんにいはく、

西方さいほう*寂静じゃくじょう無為むいらくなり。 ひっきょうしょうようして有無うむはなれたり。
だいしんくんじて法界ほうかいあそぶ。 わかちて*ものすることひとしくしてことなることなし。

あるいは神通じんずうげんじてほうき、 あるいは相好そうごうげんじて*無余むよる。
0406変現へんげんしょうごんこころしたがひてづ。 *ぐんじょうるものつみみなのぞこる」 と。

又讃ジテ

西方[ハ]ジヤク無為ナリヒツ逍遥セウエウシテ[レ]タリ↢有無
大悲クムジテ↠心↢法界[チ]テ↠身スルコト↠物ヒトシクシテナルコト
[イハ]ジテ↢神通↡而↠法[イハ]ジテ↢相好↡入↢無
変現荘厳随[ヒ]テ↠意群生見ノゾコル[ト]

^また*さんにいはく、

*帰去来いざいなん*きょうにはとどまるべからず。
曠劫こうごうよりこのかたてんして、 六道ろくどうことごとくみなたり。
いたところらくなし、 ただ0507しゅうたんこえく。
この*生平しょうびょうへてのちかのはんみやこらん」 と。

又讃[ジテ][ク]

帰去来イザイナムキヤウニハカラトヾマ
曠劫ヨリコノカ流転シテ六道コトゴトタリ
イタラクタヾシウウレエタム
ヘテ↢此生平↡後ラムト↢彼0728涅槃ミヤコジヤウ

二 Ⅰ ⅱ b 釈地上荘厳文
          (一)正釈
            (Ⅰ)科節

^さん瑠璃るりじょう」よりしも分斉ぶんざいぶんみょう」 にいたるこのかたは、 まさしくじょうしょうごん*けんぴょうしゅしょうなることをかす。

[ニ]↢「瑠璃地上」↡下至[ル]↢「分斉ブンザイキハ分明」↡已来[タ]ハ[シ]ク↢地上荘厳顕ペウシユナルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ハ (一)(Ⅱ)述意

^これ*依持えじえんじょうかす。 七宝しっぽうりんとうはこれ*のう瑠璃るりほうはこれ*しょなり。 はこれ*のうだいじゅとうはこれ*しょなり。 これ弥陀みだ*いんぎょうしゅうせるによりて、 *感報かんぽうをしてえんみょうならしむることをいたす。 明浄みょうじょうはすなはち無漏むろたいとなす。

依持エヂ円浄↡。七宝池林等ノウ瑠璃ルリ所依ナリ。地ダイジユ所持ナリ[リ]テ↢弥陀イムシユセルニ↡、致使ムルコトヲカン[ヲシテ]円明ナラ↡。明浄[チ]↠体也。

二 Ⅰ ⅱ b ハ (二)偈讃

^さんにいはく、

^ほうしょうごんりょうなし。 処々しょしょこうみょう十方じっぽうらす。
宝閣ほうかくだいみな遍満へんまんす。 *雑色ざっしき玲瓏れいろうとしてはかるべきことかたし。
宝雲ほううん宝蓋ほうがいくうのぞみておおひ、 しょうじゅつうしてたがひに往来おうらいす。
宝幢ほうどう幡蓋ばんがいふうしたがひててんじ、 宝楽ほうがくふくみてねんおうじてめぐる。

ジテ

宝地荘厳無量↡処処光明照↢十方[ヲ]
カク・華ダイ遍満ヘンマン雑色ザツシキレイリヨウトシテガタキコトハカ
ウン・宝ガイノゾミテオホ聖衆飛通シテタガヒ往来
バムハタ・幡蓋随[ヒ]テ↠風テンメグルガクミテ↠輝ジテ↠念

^0407わくたいしてしょうずるもの、 はないまだひらけず。 がっしょう*篭々ろうろうたること*たいしょするにたとふ。
うちに*法楽ほうらくけて微苦みくなし。 さわりきてしゅはなおのづからひらく。
もく精明しょうみょうにして金色こんじきなり。 さつ徐々じょじょとしてほうさずく。
ひかりたいるるに*三忍さんにんじょうずることを。 すなはちぶつたてまつらんとほっして金台こんだいよりくだる。
*法侶ほうりょむか*だいる。 尊顔そんげん*瞻仰せんごうして*善哉ぜんざいさんず」 と。

タイシテトヾマルワク↡生ズルモノハナヒラ合掌篭篭ロウロウタルコトタト↠処スルニ↠胎
ケテ↢法楽↡無微苦ミクサワリキテシユ ヅカラ
モクシヤウタマシヒニシテ身金色ナリ菩薩徐徐ジヨジヨヤウヤクトシテサヅ↢宝衣
ルルニタイ↠成ズルコトヲ↢三忍[チ]シテ↠見[タテマツラム]ト↠仏↢金台ヨリ
リヨトモ↢大セムマボリシテアフグ ゲンミカヲズ[ト]↢善ザイ

二 Ⅰ ⅱ b ハ (三)追釈

^こんじょう」 といふ以下いげは、 まさしく黄金おうごんみちとなし、 かたちこんじょうたることをかす。

↢「金ジヨウ」↡已下[シク]↣黄金↠道、状似タルコトヲ↢金縄↡也。

^あるいは雑宝ざっぽうをもつてとなし、 瑠璃るりみちとなせり。 あるいは瑠璃るりをもつてとなし、 白玉びゃくぎょくみちとなせり。 あるいはこんびゃくごんをもつてとなし、 ひゃっぽうみちとなせり。 あるいは不可ふかせつたからをもつてとなし、 また不可ふかせつたからをもつてみちとなせり。 あるいは千万せんまんぼうをもつてとなし、 三宝さんぽうみちとなせり。

[イハ][テ]ザツ↡為↠地瑠璃ルリセリ↠道。或[イハ][テ]↢瑠璃↡為↠地ハクタマセリ↠道。或[イハ][テ]金・白ゴム↡為↠地、百宝[セ]リ↠道。或[イハ][テ]↢不可説↡為↠地[テ]↢不可説↡作[セ]リ↠道。或[イハ][テ]↢千万宝↡為↠地、二三宝[セ]リ↠道

^かくのごとくうたたあひ*間雑けんぞうし、 うたたともにごうじょうし、 うたたあひしょうようし、 うたたあひ顕発けんぽつして、 光々こうこう色々しきしきおのおのどうにして、 雑乱ぞうらんすることなし。

↠是[ク]ノウタ間雑ケンザフウタトモ合成、転[タ]照曜セウヨウ、転[タ]ポツシテ光光クワウクワウ色色シキシキ各各不同ニシテ雑乱ザフラム[スルコト]↡。

^ぎょうじゃとうただ金道こんどうのみありて、 0508ほうみちとなすことなしといふことなかれ。

行者等ナカ↠言フコトタヾ[リ]テ↢金道ノミ↡而シト余宝スコト↞道也。

二 Ⅰ ⅱ b 釈空裏荘厳文
          (一)科節

^一一いちいちほう0408ちゅうひゃく色光しきこう」よりしもがっ以為いいしょうごん」 にいたるこのかたは、 まさしく*くうしょうごんかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ]↢「一一宝中有五百色光」↡下0729[ル]↢「ガク為荘厳」↡已来[タ]ハ[シク]空裏クリ荘厳↡。即↢其六↡。

・多光

^いちにはたからこういだすことをかす。

[ニハ][ス]↣宝出[ス]コトヲ↢多光↡。

・光相

^にはたとへをもつてそのそうあらわすことをかす。

[ニハ][ス]タトヒヲモテスコトヲ↢其↡。

・光台

^さんにはひかりへんじてだいとなることをかす。

[ニハ][ス]↢光ヘンジテルコトヲ

・光楼

^にはひかりへんじて楼閣ろうかくとなることをかす。

[ニハ][ス]↣光変ジテ[ル]コトヲ↢於楼閣ロウカク↡。

・光幢

^にはひかりへんじてどうとなることをかす。

[ニハ][ス]↣光変ジテ[ルコト]ヲ↢於華幢クヱドウ↡。

・光楽

^ろくにはひかりへんじて宝楽ほうがくこえとなることをかす。

[ニハ][ス]↣光変ジテ[ルコト]ヲ↢於宝楽コエ↡。

二 Ⅰ ⅱ b ニ (二)釈義

^またじょう雑宝ざっぽう一々いちいちにおのおのひゃくしきひかりいだす。 一々いちいち色光しきこうかみくうちゅうきていち光台こうだいとなる。 一々いちいちだいのなかに宝楼ほうろう千万せんまんなり。 おのおのいちさんない不可ふかせつたからをもつて、 もつてしょうごんごうじょうをなすことをかす。

↧地上ザツ宝、一一オノオノ↢五百シキ一一色光、カミキテ↢空中↢一光台一一宝楼千万ナリ[テ]↢一・二・三・四乃至不可説↡、以スコトヲ↦荘厳合成↥也。

^にょ華又けうにょしょうがつ」 といふは、 ぶつ慈悲じひをもつてひとらざることをおそれたまふがゆゑに、 たとへをりてもつてこれをあらわす。

[フ]↢「如華シヤウ」↡、仏以[テ]↢慈悲オソレタマフガ↢人ルコトヲ[リ]テタトヘ↠之

^だいりょうへんかくひゃくおくどう」 といふは、 ほうしゅにしてこうみょうりょうなり。 一々いちいちひかりひとしくして光台こうだいとなりて、 くうちゅう遍満へんまんす。 ぎょうじゃとう行住ぎょうじゅう坐臥ざがにつねにこのおもいをなせ。

[フ]↢「台両辺各有百億華幢」↡宝地衆ニシテ光明無量[ナリ]。一一光等[シク]シテ[リ]テ↢光台↡、ヘンマム空中↡。行者等行住坐臥↢此↡。

二 Ⅰ ⅱ b 釈楽音説法文
          (一)正釈

^八種はっしゅしょうふう」よりしも無我むがおん」 にいたるこのかたは、 まさしくひかり楽音がくおんへんじ、 てんじて説法せっぽうそうじょうずといふことをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ]↢「八種清風」↡下至[ル]↢「無我オム」↡已来[タ]ハ[シク][ス]ヒカリ楽音ガクオム↡、テンジテズ[トイフ]コトヲ↦説法↥。即↢其三↡。

・八風

^いちには*八風はっぷうひかりよりづることをかす。

[ニハ][ス]↢八風従而出[ヅ]ルコトヲ↡。

・鼓楽

^には風光ふうこうすなはちでて、 すなはちがくこえおこすことをかす。

[ニハ][ス]↢風光即デテ、即ガクオコスコトヲ↟音

・説法

^さんには*とう*しん恒沙ごうじゃとうほう0409顕説けんぜつすることをかす。

[ニハ][ス]↣顕↢説スルコトヲタフ・四真、ゴウ沙等↡。

二 Ⅰ ⅱ b ホ (二)偈讃

^さん (浄土論・意) にいはく、

安楽あんらくこく清浄しょうじょうにして、 つねに無垢むくりんてんず。
一念いちねんおよびいちに、 もろもろのぐんじょうやくす。
ぶつのもろもろのどくさんずるに、 分別ふんべつしんあることなし。
よくすみやかにどくだい宝海ほうかい満足まんぞくせしむ」 と。

「安楽国清浄ニシテテム↢無リム
一念及一時利↢益群生
[ズル]ニ↢仏功徳[ヲ]↠有[ル]コト↢分ベチ心↡
ム[ト]スミヤカ満↢足功徳大宝海↡」

二 Ⅰ ⅱ b 釈総結観名文

^ろくに 「是為ぜい」よりしもそうじてけっす。

[ニ]↢「」↡下ソウジテクヱチムスブ

二 Ⅰ ⅱ

^じょうらいろっどうありといへども、 ひろ水観すいかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢六句不同↡、広[シ]↢水観↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【地観】
     

【4】 ^さん0509*想観そうかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][キ]テ↢地想観↡、亦先、次ベム、後。即↢其六↡。

二 Ⅰ ⅲ
        釈結前生後文

^いちそうじょう」よりは、 まさしくさきけっのちしょうずることをかす。

[ニ]↢「想成」↡0730[シク]ケチサキズルコトヲ↟後

二 Ⅰ ⅲ b 釈弁観成相文
          (一)科解

^一一いちいちかん」よりしも不可ふかせつ」 にいたるこのかたは、 まさしくかんじょうそうべんずることをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ]↢「一一観」↡下至[ル]↢「不可」↡已来[タ]ハ[シク]ベンズルコトヲ↢観成↡。即↢其六↡。

・心標一境

^いちにはしんいっきょうひょうして、 *総雑そうぞうしてこれをかんずることをざれといふことをかす。

[ニハ][ス]↧心ヘウシテ↢一境↡、レトイフコト[ヲ]総雑ソウザフシテズルコトヲ↟之

・必令明了

^にはすでにいっきょうをもつぱらにすれば、 きょうすなはち現前げんぜんす。 すでに現前げんぜんすることをれば、 かならず明了みょうりょうならしむることをかす。

[ニハ]スデ[ニ]スレバ↢一境↡、境即ゼンレバ↢現前スルコトヲ↡、必ムルコトヲ↦明了ナラ↥。

・守令莫失

^さんにはきょうすでにしんげんずれば、 ひらくにまもりてしっすることなからしむることをかす。

[ニハ][ス]↢境既ズレバ↠心[ク]ニ↠目マモ[リ]テムルコトヲカラシツスルコト

・憶持不捨

^には威儀いぎ0410ちゅうつねにねんじて、 ただすいのぞきて*おくしててざることをかす。

[ニハ][ス]四威儀[ニ]チウ夜常ジテタヾノゾキテスイオクシテルコトヲ↞捨[テ]

・凝心不絶

^にはしんらすことえざれば、 すなはちじょうそうることをかす。 これを想心そうしんちゅうけんづく、 なほ*覚想かくそうあるがゆゑなり。

[ニハ][ス]コラスコト↠心レバ、即[ル]コトヲ↢浄土↡。此↢想心ケン↡、ナホ[ル]ガ↢覚想↡故ナリ

・正受相応

^ろくには想心そうしんやうやくにして覚念かくねんたちまちにのぞこり、 *しょうじゅ相応そうおうして三昧さんまいしょうし、 しんにかのきょう*みょうる、 なにによりてかつぶさにかんやといふことをかす。

[ニハ][ス]↧想心ヤウヤニシテ覚念チニノゾコリ、正ジユ相応シテ↢於三昧↡、真↢彼↡、ナニ[リ]テ[カ]ツブサ[カムヤ]トイフコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅲ b ロ (二)結勧

^これすなはちひろくしてへんなり。 宝幢ほうどういちにあらず。 衆珍しゅちんいろかがやかして、 転変てんぺんいよいよおおし。 ここをもつて ˆぶつはˇ ものすすめてしんかたむけ、 つねにたいするがごとくならしむ。

コレクシテナリ。宝幢非↠一。衆チムカヾヤカシ[テ]イロ転変テムペンイヨイヨオホ。是[テ]スヽメテモノカタブ↠心、恒ゴトクナラシムスルガ

二 Ⅰ ⅲ b 釈総結観名文

^さん是為ぜい」よりしもそうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ソウジテ

二 Ⅰ ⅲ b 釈勧発流通文

^に 「仏告ぶつごうなん」よりしもせつかんほう」 にいたるこのかたは、 まさしく*ずう勧発かんぽつして、 えんしたがひてひろかしむることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「説是観地法」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧勧↢発シテ流通↡、随[ヒ]テ↠縁カシムルコトヲ↥。即↢其四↡。

・告命

^いちには*ごうみょうかす。

[ニハ][ス]ガウ[ヲ]↡。

・勧持仏語

^にはぶつかんして、 ひろらい大衆だいしゅのためにさきかんやくかしむることをかす。

[ニハ][ス]↧勧↢シテ仏語↡、広↢未来大衆↡説[カシムル]コトヲサキ観地↥。

・急為説之

^さんにはくるにしんずるにへたるを*えらび、 このしゃしょうはっ五苦ごくさん悪道まくどうとうつることをんとほっして、 きてすなはちしんぎょうするものには、 しんみょうしまず、 きゅうにためにこれをけといふことをかす。

[ニハ][ス]↧簡↢機クルニヘタルヲ↟信ズルニ、欲シテムトツルコトヲ↢此[ノ]娑婆生死之・五苦・三アクマク苦等↡、キテ信行スルニハオシ↢身命↡、キウケトイフコトヲ↞之

^もし一人いちにんててしょうづることをれば、 これをしん仏恩ぶっとんほうずとづく。 なにをもつて0411のゆゑに。 諸仏しょぶつでて種々しゅじゅ方便ほうべんをもつてしゅじょうかんしたまふは、 ただあくせいふくしゅ0510して、 人天にんでんらくけしめんとほっするにはあらざればなり。

レバ↣一人[モ]テテ↠苦[ヅル]コトヲ↢生死↡者、是ズト↢仏オン↡。何テノ。諸仏出デテ↠世種種方便ヲモテ勧↢化シタマフ衆生ザレバ↠欲スルニハ↤直令メムトセイ↠悪シテ↠福↢人天ラク↡也。

^人天にんでんらくはなほ電光でんこうのごとし。 しゅにすなはちてて、 かえりて三悪さんまくりてじょうく。 この因縁いんねんのために、 ただすすめてすなはちじょうしょうずることをもとめて*じょうだいかはしめたまふ。 このゆゑにいまのとき*えん、 あひすすめてちかひてじょうしょうぜしむるは、 すなはち諸仏しょぶつ本願ほんがんこころかなふ。

人天ナホデムイナビカリ↡。須臾テテ、還[リ]テ[リ]テ↢三悪↡長0731↠苦。為↢此因縁↡、但勧メテ[チ]メタマフ↧求[メ]テ↠生[ズル]コトヲ↢浄土ムカ↦無上菩提↥。是有縁、メテチカ[ヒ]テゼシムル↢浄土、即[チ]カナ↢諸仏本願↡也。

^もししんぎょうねがはざるものは、 ¬*清浄しょうじょうがくきょう¼ (四意) にのたまふがごとし。 「もしひとありてじょう法門ほうもんくをきて、 けどもかざるがごとく、 れどもざるがごとくなるは、 まさにるべし、 これらははじめてさん悪道まくどうよりきたりて、 ざいしょういまだきず。 これがために*信向しんこうすることなきのみ。 ぶつのたまはく、 ªわれかく、 このひとはいまだだつべからずº」 と。

ネガ↢信行、如↢¬清浄覚経¼云[フ]ガ↡。「若[リテ]↠人聞[キ]テ↠説[ク]ヲ↢浄土法門↡、ケドモルガ↠聞[カ]、見レドモ[ク]ナルハ↠不[ル]ガ、当↠知ハジメ↢三悪道↡来[リ]テ、罪障未↠此↢信向[スルコト]耳。仏カク、此[ハ][ト]カラ↢解脱↡也。」

^この ¬きょう¼ (平等覚経・四意) にまたのたまはく、 「*もしひとじょう法門ほうもんくをき、 きてすなはち悲喜ひきまじはりながれ、 為竪いよだつものは、 まさにるべし、 このひと過去かこにすでにかつてこのほうしゅじゅうして、 いまかさねてくことをてすなはちかんしょうじ、 しょうねんしゅぎょうしてかならずしょうずることを」 と。

¬経¼又云、「若人聞[キ]↠説[ク]ヲ↢浄土法門↡、キテ[チ]悲喜ヒキマジハナガ、身為竪イヨダ[ハ]、当↠知[ル]、此[ハ]過去カツシユジフシテ↡、今カサネ[ク]コトヲ↡即↢歓喜↡、正念修行シテ[ト]↠生[ズ]ルコトヲ也。

・教観住心

^にはまさしくおしへてほうかんじてもつてしんとど0412しむることをかす。

[ニハ][ス]↧正[シ]クヘテジテ↢宝地↡以メシムコトヲ↞心也。

二 Ⅰ ⅲ b 釈顕観利益文

^にゃくかん是地ぜじしゃ」よりしも心得しんとく無疑むぎ」 にいたるこのかたは、 まさしくかんやくあらわすことをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「若観是地者」↡下至[ル]↢「心得無」↡已来[タ]ハ[シク]↠顕[ス]コトヲ↢観利益↡。即[チ][リ]↢其四↡。

・指法

^いちにはほうすことをかす。 ただほうかんじてきょうろんぜず。

[ニ]ハスコトヲ↠法タヾジテ↢宝地ロン↡。

・除罪

^には無漏むろほうかんずるによりて、 よく有漏うろこうつみのぞくことをかす。

[ニハ][ス][リ]テ↠観ズルニ↢無漏之宝地↡、能[ク]コトヲ↦有↥也。

・必生浄土

^さんには捨身しゃしん以後いごかならずじょうしょうずることをかす。

[ニハ][ス]捨身已後必ズルコトヲ↢浄土↡。

・不得雑疑

^にはいんしゅすることしょうねんにして、 うたがいまじふることをざれといふことをかす。

[ニハ]スルコト↠因正念ニシテレトイフコトヲマジフルコトヲ

^おうじょうといへども、 はなふくまれていまだでず。 あるいは*辺界へんがいしょうじ、 あるいは*たいす。

↢往生↡、フクマレテ↠華↠出。或[イハ]↢辺界↡、或[イハ]↢宮胎↡。

^あるいはだいさつ (観音)*かい三昧ざんまいりたまふによりてしょうすなはちのぞこり*宮華くけ開発かいほつ身相しんそう*顕然けんねんなり。 *法侶ほうりょたずさ*ぶつあそばしむ。 これすなはちしんとどめてほうるに、 すなはち*宿障しゅくしょう*罪ざいけんめっす。 がんぎょうごうすでにまどかにして、 いのちきてかざることをうたがふことなし。

[イハ][リ]テ↣大悲菩薩[ノ]リタマフニ↢開華三昧シヤウノゾコ[リ]、宮華開発身相顕然ナリ。法リヨタヅサアソバシム↢於仏↡。コレトドメテ↠心ルニ↢於宝地↡、即[チ]宿シユクケントガ↡。願行業已[カ]ニシテイノチキテ↠疑[フ]コトルコトヲ

^いますでにこの0511*しょうやくる、 さらにすすめてじゃしょうべんせしむ。

勝益↡、更メテベムワキマヘシルセシムジヤ↡。

二 Ⅰ ⅲ b 釈弁観邪正文

^ろくに 「作是さぜかん」より以下いげは、 まさしくかんじゃしょうべんずることをかす。 じゃしょうさき日観にっかんのなかにすでにけり。

[ニ][リ]↢「作是観」↡已下[ハ][シク][ス]ベムズルコトヲ↢観邪正↡。邪正0732サキ日観ケリ

二 Ⅰ ⅲ

^じょうらいろっどうありといへども、 ひろかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢六句不同↡、広↢地観↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【宝樹観】
     

【5】 ^*宝樹ほうじゅかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなは0413ちそのじゅうあり。

[ニ][キ]テ↢宝樹観↡、亦先[ヅ][ゲ]、次、後。即[チ]↢其十↡。

二 Ⅰ ⅳ
        釈仏告等文

^いち仏告ぶつごうなん」よりしもかん宝樹ほうじゅ」 にいたるこのかたは、 まさしくごうみょうしてそうじてかんげて、 さきけっしてのちしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「観宝樹」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧告命シテソウジテゲ[テ]↢観↡、結シ[テ]↠前ズルコトヲ↟後

二 Ⅰ ⅳ b 釈観宝樹等文
          (一)科節

^に 「かん宝樹ほうじゅ」 といふは、 かさねてかんでつす。

[ニ]↢「観宝樹」↡デツタヽム↢観[ノ]↡也。

二 Ⅰ ⅳ b ロ (二)述意

^一一いちいちかん」 といふ以下いげは、 のちかんそうしょうじてまさしく*そくおしふ。 これ弥陀みだじょうこく広闊こうかつにしてへんなることをかす。 宝樹ほうじゅ宝林ほうりん、 あに七行しちごうをもつてりょうとなさんや。

↢「一一観」↡已下ジテ↢後[ノ]↡正[シク]↢儀ソク↡。此↢弥陀[ノ]浄国広クワツ[ニシテ]無辺ナルコトヲ↡。宝樹・宝林、アニ[テ]↢七行[ヲ]サム↠量

二 Ⅰ ⅳ b ロ (三)釈文

・七重

^いま 「*しちじゅう」 といふは、 あるいは一樹いちじゅあり、 黄金おうごんとなし、 こんくきとなし、 びゃくごんえだとなし、 のうこえだとなし、 さんとなし、 白玉びゃくぎょくはなとなし、 真珠しんじゅこのみとなす。 かくのごときしちじゅうたがひにこんきょうないとうをなせば、 七々しちしちじゅうじゅうなり。

今言↢「七重」↡、或[イハ]↢一樹↡、黄金クキ、白ゴンエダナウコエダサムハクハナ、真ジユコノミ。如↠是[ク]ノ七重タガヒセバコンキヤウ乃至華・クワ↡、七七四十九ヂウナリ

^あるいは一宝いっぽう一樹いちじゅとなすもの、 あるいはさんないひゃくせん万億まんおく不可ふかせつたから一樹いちじゅとなすものあり。 この、 ¬*弥陀みだきょう¼ のなかにすでにひろろんじをはりぬ。 ゆゑにしちじゅうづく。

[イ]ハ↧一宝[ヲ]↢一ジユ↡者、或[イ]ハ二・三・四乃至百千万億不可説↢一樹↡者↥。義¬弥陀経義¼中ロン[リ]ヌ。故↢七重↡也。

・行

^ごう」 といふは、 かのくに林樹りんじゅおおしといへども、 *行々ごうごうしょうじきにして雑乱ぞうらんなし。

↢「行」↡、彼林樹雖[モ]↠多シト、行行 シヤウトヽノヲリヂキニシテナヲシ  而無雑乱ザフラム↡。

・想

^そう」 といふは、 いまだ*真観しんかんならひてざいしんしたがはざれば、 かならず*そうによりてもつてしんとどめて、 まさによくやくしょうす。

↢「サフ」↡、未レバナラヒテ↢真観↡自在↞心カナラ[リ]テ↡以メテ↠心マサ↠益也。

二 Ⅰ ⅳ b 釈明樹体量文
          (一)科節

^さん一一いちいち」よりしもじゅん」 にいたるこのかたは、 まさしくじゅたいりょうとをかす。

[ニ]↢「一一」↡下至[ル]↢「ジユン」↡已来[タ]ハ[シク][ト][ト]ヲ↡。

二 Ⅰ ⅳ b ハ (二)述意

^これもろもろのほうりんじゅ、 みな弥陀みだ無漏むろしんちゅうよりしゅつすることをかす。 仏心ぶっしん0414無漏むろなるによるがゆゑに、 そのじゅまたこれ無漏むろなり。

此明[ス]↧諸宝林樹、皆従↢弥陀無漏心中↡スルコトヲ↥。ルガ↢仏心是無ナルニ↡故、其無漏ナリ

二 Ⅰ ⅳ b ハ (三)述讃

^さん (浄土論) にいはく、

しょうどうだい慈悲じひしゅっ善根ぜんごんよりしょうず。
じょう0512こうみょう満足まんぞくせること、 かがみ日月にちがつりんとのごとし」 と。

「正道大慈悲出世善根ヨリ
浄光明[ノ]満足セルコトシ[ト]カヾミ日月リムトノ↡」

二 Ⅰ ⅳ b ハ (四)釈量

^りょう」 といふは、 一々いちいちじゅたかさんじゅうまんなり。 またろうのものなく、 また小生しょうしょうのものなく、 またしょしょうぜんちょうのものなし。 することすなはちどうにたちまちにおこりて、 りょうしゅ等斉とうざいなり。 なんのこころぞしかるとならば、 かのさかいくらいこれ無漏むろしょうさかいなり。 あにしょうぜんちょうあらんや。

↠量、一一三十二万ナリ。亦↢老0733↡、亦無↢小生↡、亦無シヨゼム↡。スルコトオコル   同時チニオコリテ、量シユザイナリナニ[ノ]シカルトナラバ者、彼クラヰ無漏無生サカヒナリアニラム↢生ゼム義↡

二 Ⅰ ⅳ b 釈雑樹雑厳飾文
          (一)科節

^しょ宝樹ほうじゅ」 よりしも以為いい映飾ようじき」 にいたるこのかたは、 まさしく*雑樹ぞうじゅ雑厳ぞうごん雑飾ぞうじきそうかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「諸宝樹」↡下至[ル]↢「以為映飾エイジキカザル」↡已来[タハ][シク][ス]ザフ樹・雑ゴム・雑マジヘジキカザル↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・華葉

^いちには林樹りんじゅよう間雑けんぞうしてどうなることをかす。

[ニハ]↢林樹エウ間雑ケンザフ[シテ]不同ナルコトヲ↡。

・根茎枝条菓

^には一々いちいちこんきょうじょうとうみな衆宝しゅぼうせることをかす。

[ニハ]↣一一コンキヤウデウクワセルコトヲ↢衆宝↡。

・転相間雑

^さんには一々いちいちよううたたたがひにどうにして、 *瑠璃るりいろのなかより金色こんじきひかりいだす。 かくのごとくうたたあひ間雑けんぞうすることをかす。

[ニハ][ス]↧一一エウウタタガヒ不同ニシテ瑠璃ルリイロヨリ↢金色↠是[ク]ノウタ間雑ケンザフスルコトヲ↥。

・雑宝厳飾

^にはさらに一切いっさい雑宝ざっぽうをもつてこれを厳飾ごんじきせることをかす。

[ニハ][ス]↧更↢一切雑宝↡而厳↦ジキセルコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅳ b ニ (二)述讃

^またさん (浄土論) にいはく、

もろもろの珍宝ちんぽうしょうそなへて、 みょうしょうごんそくせり。
無垢むく光炎こうえんさかりにして、 明浄みょうじょうにしてけんかがやかす」 と。

ソナヘテ↢諸チン具↢足セリ妙荘厳
エンサカリニシテ明浄ニシテカス[ト]↢世間↡」

^0415*さんにいはく、

弥陀みだじょうこく宝樹ほうじゅおおし。
めんじょうれて、 てんかかめぐれり。
*宝雲ほううんがいふくみ、 *ちょうこえつらね、
*旋転せんでんしてくうのぞみ、 法音ほうおんそうして*る。
*ほうしょうじゅひびきをきてもつてしんひらき、
*本国ほんごく能人のうにんかたちさとりる」 と。

又讃ジテ

弥陀浄国宝樹オホ
メンレテコエダ天衣カヽメグレリ
ウンフクガイ化鳥ツラ↠声
旋転センデムシ[テ]↠空ソウシテ↢法音↡而入
聖衆キテヒヾキ↠心
本国能人カタチル[ト]サトリ

二 Ⅰ ⅳ b 釈明樹上荘厳文

^みょう真珠しんじゅもう」 よりしもしき中上ちゅうじょうしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくじゅじょうくうしょうごんそうかす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][リ]↢「妙真ジユマウ」↡下至[ル]↢「色中上者」↡已来[タ]ハ[シク]↢樹上[ノ]ウチ荘厳↡。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

・珠網

^いちには*珠網しゅもうくうのぞみてじゅおおへることをかす。

[ニハ][ス]珠網ジユマウノゾミテオホヘルコトヲ

・網有多重

^にはあみじゅうあることをかす。

[ニハ][ス]↣網[ル]コトヲ↢多重↡。

・宮殿

^さんには殿でんしょうかす。

[ニハ][ス]↢宮殿多少↡。

・童子

^には一々いちいちないにもろもろのどうおおきことをかす。

[ニハ][ス]↣一一ナイキコトヲ↢諸ドウ↡。

・服珠瓔珞

^にはどうたま*瓔珞ようらくぶくせることをかす。

[ニハ][ス]↣童子ブクセルコトヲタマ瓔珞ヤウラク↡。

・瓔珞光照

^ろくには瓔珞ようらくこうしょう遠近おんごんかす。

[ニハ][ス]↢瓔珞光照遠近↡。

・光超上色

^しちにはひかりじょうしきえたることをかす。

[ニハ]↣光超エタルコトヲ↢上色↡。

二 Ⅰ ⅳ b 釈此諸宝樹等文

^ろくしょ宝林ほうりん」よりしも七宝しっぽう」 にいたるこのかたは、 その林樹りんじゅおおしといへども0513雑乱ぞうらんなく、 じつひらくるときうちよりでざることをかす。 これすなはち*法蔵ほうぞういんふかくして、 ねんにしてあらしむることをいた0416す。

[ニ][リ]↢「此諸宝林」↡下至[ル]↢「有七宝クワ」↡已来[タ]ハ↧其林樹雖↠多[シ]ト而無↢雑乱↡、華実開クル時不ルコトヲ↦従↠内出↥。コレ法蔵[ノ]イムクシテ、致使ムルコトヲ↢自然ニシテ↡。

二 Ⅰ ⅳ b 釈明華葉色相文

^しち一一いちいち樹葉じゅよう」よりしも婉転えんでん葉間ようけん」 にいたるこのかたは、 まさしくよう色相しきそうどうなることをかす。 すなはちそのあり。

0734[ニ][リ]↢「一一樹エウ」↡下至[ル]↢「婉転エンデムエウ」↡已来[タ]ハ[シク]↢華葉シキ[ノ]不同ナルコトヲ↡。即[チ]↢其五↡。

・葉量

^いちにはようりょうだいしょうひとしくして差別しゃべつなきことをかす。

[ニハ]エウ大小等[シ]クシテ[キ]コトヲシヤ別↡。

・光色

^にはようより光色こうしきいだしょうかす。

[ニハ][ス]↧葉ヨリ↢光色↡多少↥。

・喩顕

^さんにはうたがひてらざることをおそれて、 たとへをりてもつてあらわすに、 *てん瓔珞ようらくのごとしといふことをかす。

[ニハ][ス]オソレテウタガ[ヒ]テルコトヲ[リ]テタトヒスニ、如シトイフコトヲ↦天瓔珞↥。

・妙華

^にはようみょうありて、 いろ*天金てんごんし、 かたち*りんたとふることをかす。

[ニハ][ス]エウリ[テ]妙華↡、色↢天金↡、カタチフルコトヲ↦火リム↥。

・婉転

^にはたがひにあひけんしょうして、 ようのあひだに婉転えんでんすることをかす。

[ニハ][ス]タガヒ顕照シテエンデムスルコトヲエウ↡。

二 Ⅰ ⅳ b 釈明菓徳用文

^はちしょうしょ」 よりしもやくちゅうげん」 にいたるこのかたは、 まさしくこのみ思議しぎ徳用とくゆうそうあることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ]↢「ワク生諸クワ」↡下至[ル]↢「亦於中現」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣菓[ル]コトヲ↢不思議ユウ相↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・自然湧出

^いちにはほうしょうずるときねんじゅつすることをかす。

[ニハ][ス]宝菓ズル時、自然スルコトヲ↡。

・菓相

^にはたとへをりてもつてこのみそうひょうすることをかす。

[ニハ][ス][リ]テヘウスルコトヲコノミ↡。

・神光

^さんにはこのみ*神光じんこうありて、 して幡蓋ばんがいとなることをかす。

[ニハ][ス]↧菓[リ]テ↢神光↡、化シテルコトヲ幡蓋バムガイ↥。

・宝蓋

^には宝蓋ほうがいえんみょうにして、 うちに*三千さんぜんさかいげんずるに、 *しょうごん種々しゅじゅそうげんずることをかす。

[ニハ][ス]↧宝蓋エンニシテ、内ズルニ↢三千↡、依正ゴム種種相現ズルコトヲ↥。

・十方浄土

^には十方じっぽうじょうあまねくがいのなかにげんじて、 かのくに人天にんでん*けんせざるはなきことをかす。

[ニハ][ス]↧十方[ノ]浄土普ジテ↢蓋↡、彼人天キコトヲルハ↡。

^またこのじゅりょういよいよたかく、 *じゅうこういよいよひろく、 華菓けかしゅにして、 *神変じんぺんいちにあらず。 いちじゅすでにしかり。 かのくに*遍満へんまんせるあらゆるしょじゅこのみしゅにして、 ことごとくみなかくのごとし、 るべし。 いっ0417さいぎょうじゃ行住ぎょうじゅう坐臥ざがにつねにこのおもいをなせ。

又此イヨイヨジユウイヨイヨヒロ、華菓衆多ニシテ、神変非↠一。一樹既シカヘン↢満セル所有諸樹コノミ衆多ニシテコトゴト皆如↠此[ク]ノ。一切行者、行住坐臥↢此↡。

二 Ⅰ ⅳ b 弁観成相

^けんじゅ」よりしも分明ぶんみょう」 にいたるこのかたは、 観成かんじょうそうべんず。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「見此樹」↡下至[ル]↢「分明」↡已来[タ]ハ↢観成↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・結観成相

^いちにはかんじょうそうけっすることをかす。

[ニハ]ケチスルコトヲ↢観成↡。

・次第観之

^にはだいにこれをかんじて、 雑乱ぞうらんすることをざれといふことをかす。

[ニハ]↢次第ジテ↠之レトイフコトヲ↟得↢雑乱スルコトヲ↡。

・無不明了

^さんには一々いちいちしんおこしてきょうとどめて、 樹根じゅこんかんじ、 つぎきょうないおもひ、 つぎ*もう*とをおもひ、 つぎどう瓔珞ようらくとをおもひ、 つぎようりょう華菓けか光色こうしきおもひ、 つぎ幡蓋ばんがいひろ*ぶつ0514げんずることをおもひ、 すでによく一々いちいちだいにこれをかんずるものは、 明了みょうりょうならざるはなきことをかす。

[ニハ]↧一一オコシテ↠心メテ↠境、先↢樹コム↡、次キヤウ乃至華菓↡、次マウ[ト][ト]ヲ↡、次↢童子瓔珞[ト]ヲ↡、次エウ量・華菓[ノ]↡、次↣幡蓋[ニ]ズルコトヲ↢仏↡、既[ク]一一次第ズル↠之、無キコトヲ↞不ルハ↢明了ナラ↡也。

二 Ⅰ ⅳ b 釈総結文

^じゅう是為ぜい」よりしもそうじてけっす。 これすなはち宝樹ほうじゅひかりつらぬ、 *もうれんくう*殿でんあり。 はな千色せんじきわかち、 このみほうげんず。

[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ソウジテコレ宝樹ツラ0735ヒカリ網簾殿アリ。華↢千色↡、コノミ↢他方↡。

二 Ⅰ ⅳ

^じょうらいじっどうありといへども、 ひろ宝樹ほうじゅかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢十句不同↡、広[ク]↢宝樹観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【宝池観】
     

【6】 ^*ほうかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][キ]テ↢宝池観↡、亦先[ゲ]、次ベン、後。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

二 Ⅰ ⅴ
        釈総挙観名文
          (一)科節

^いちとう想水そうすい」より以下いげは、 そうじてかんぐ。 すなはちこれさきでつしてのちしょうず。 これ宝樹ほうじゅ*しょうなりといへども、 もしすいなくは、 またいまだこうづけざることをかす。

↢「当想水」↡已下[ハ]ジテ↢観↡。即[チ]デフシ[テ]サキ↠後。此[ス]↧宝樹雖セイナリト、若クハ↢池水↡、亦未ルコトヲ↞名カウ

二 Ⅰ ⅴ b イ (二)述意

^いちにはかいむなしくせざらしめんがため、 にはほうしょうごんせんがためなり。 こののためのゆゑに、 この*池渠ちこかん0418あり。

[ニ]ハラシメムガムナクセ↢世界↡、二[ニハ]ナリ↣荘↢厳セムガ依報↡。為↢斯↡故、有↢此ミゾ観↡也。

二 Ⅰ ⅴ b 釈明池数出処文
          (一)科釈

^極楽ごくらくこく」 よりしもにょ珠王しゅおうしょう」 にいたるこのかたは、 まさしくしゅかし、 ならびにしゅっしょべんず。 すなはちそのあり。

[ニ]↢「極楽国土」↡下至[ル]↢「如意珠王生」↡已来[タ]ハ[シク]シユイケノカズ↡、ナラビベン↢出処↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・所帰

^いちには*しょくにひょうすることをかす。

[ニハ]ヘウスルコトヲ所帰↡。

・八池

^にはいけ八数はっしゅあることをかす。

[ニハ]イケルコトヲ↢八数之↡。

・宝水

^さんには一々いちいちがん七宝しっぽうをもつてごうじょうせることをかす。 まさしく宝光ほうこう映徹ようてつつうしょうするによりて、 八徳はっとくみず雑宝ざっぽういろ一同いちどうなり。 ゆゑに宝水ほうすいづく。

[ニハ][ス]↢一一ガムキシ七宝[ヲモテ]合成セルコトヲ↡。正[シ]ク[リ]テ↢宝光エイテリテツトヲルセウスルニ↡、八徳ミヅ一↢同ナリ雑宝[ニ]↡。故↢宝水↡也。

・衆宝柔軟

^にはこのもろもろの衆宝しゅぼうたいしょう柔軟にゅうなんなることをかす。

[ニハ][ス]↢是衆宝体性柔軟ニウナムヤハラカナリナルコトヲ↡。

・如意水

^にははっみずみなにょほうのなかよりでて、 すなはちにょすいづくることをかす。

[ニハ][ス]↧八ミヅ↢如意宝中↡デテ、即クルコトヲ↦如意水↥。

二 Ⅰ ⅴ b ロ (二)因弁

^このみずにすなはち*八種はっしゅとくあり。 いちには清浄しょうじょう潤沢にんたく、 すなはちこれ*しきにゅうしょうなり。 にはくさからず、 すなはちこれ*こうにゅうしょうなり。 さんにはかろし。 にはすずし。 にはやわらかなり、 すなはちこれ*そくにゅうしょうなり。 ろくにはうまし、 これ*にゅうしょうなり。 しちにはとき調適じょうちゃくす。 はちにはみをはりてうれひなし、 これ*ほうにゅうしょうなり。 この八徳はっとくはすでに ¬*弥陀みだ¼ のなかにありてひろきをはりぬ。

[チ]↢八種徳↡。一[ニ]者清浄潤沢ニムタク、即シキセフナリ。二[ニ]クサカラ、即[チ]カウナリ。三[ニ]カロ。四[ニ]スヾ。五[ニ]ヤハラカナリ、即ソクフルヽナリ。六[ニ]ウマナリ。七[ニ]調デウチヤク。八[ニ][リ]テウレヘ法入ナリ。此八徳之義[ハ][リ]テ↢¬弥陀義¼中↡広[キ][リ]ヌ

二 Ⅰ ⅴ b ロ (三)偈讃

^また*さんにいはく、

極楽ごくらくしょうごんあんにょうこくには、 八徳はっとくほうなが0515れて遍満へんまんせり。
がんひかりふくみて七宝しっぽうまじへ、 水色すいしきぶんみょうにして宝光ほうこうようず。
たいしょうにゅうなんにして堅触けんそくなし。 さつおもむろにきて宝香ほうこうさんず。
0419宝香ほうこう宝雲ほううん宝蓋ほうがいとなり、 宝蓋ほうがいくうのぞみて宝幢ほうどうおおふ。

又讃ジテ

極楽荘厳安養国ニハ八徳宝池ナガレテ遍満セリ
ガムフクミテヒカリマジ↢七宝水色分明ニシテエイ↢宝光
体性柔軟ニシテケムカタクソクフルヽ0736キテサム↢宝香
宝香・宝雲↢宝蓋宝蓋ノゾミテオヽ↢宝幢

宝幢ほうどうごん宝殿ほうでんかこめり。 宝殿ほうでんほうりょう珠網しゅもうる。
宝網ほうもう*宝楽ほうがくせんじゅうてんじ、 したがひて*ほうろう讃歎さんだんす。
一々いちいちろうぶつあり。 恒沙ごうじゃしょうじゅしてりょうす。
ねがはくはこの*えんつねに憶念おくねんして、 しゃみょうしておなじくかの法堂ほうどうしょうぜん」 と。

宝幢厳儀メリ↢宝殿宝殿[ノ]リヤウ↢珠網
宝網宝楽千重[ヒ]テ↠機サム↢歎宝宮ロウ
一一宮楼[ニ]↢仏恒沙聖衆シテ
クハ有縁常憶念シテ捨命シテ[ジ]クゼム[ト]↢彼ダウ

二 Ⅰ ⅴ b 釈明異溜分注文

^さんふんじゅう」よりしも以為いい底沙たいしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくいけわかれて*ことにし、 *旋還せんげんしてみだるることなきことをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「分為十四」↡下至[ル]↢「テイ」↡已来[タ]ハ[シク][ス]イケワカレテニシ[ヲ]センメグリグヱンシテ[キ]コトヲミダルルコト。即[チ][リ]↢其三↡。

・渠数

^いちには*しゅしょうかす。

[ニハ][ス]ミゾ多少[ヲ]↡。

・渠岸

^には一々いちいちがん黄金おうごんいろをなすことをかす。

[ニハ][ス]↣一一ガムスコトヲ↢黄金↡。

・底沙

^さんには渠下こげ底沙たいしゃ雑宝ざっぽういろをなすことをかす。 金剛こんごう」 といふはすなはちこれ無漏むろたいなり。

[ニハ][ス]テイ沙作[ス]コトヲザフ↡。言↢「金剛」↡[チ]ナリ

二 Ⅰ ⅴ b 釈明水用文

^一一いちいちすいちゅう」よりしも尋樹じんじゅじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくみず思議しぎ*ゆうあることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「一一水中」↡下至↢「ジム樹上下」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣水[ル]コトヲ↢不思議用↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・渠名

^いちにはべつしてみぞして、 かのしょうごんそうあらわすことをかす。

[ニハ][ス]ベチシテシテミゾ↡、顕スコトヲ↦彼荘厳↥。

・宝華

^にはないほうしょうかす。

[ニハ][ス]宝華多少↡。

・華量

^さんにはりょうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢華量大小↡。

・宝水

^には*摩尼まにほうすいはなのあひだにちゅうすることをかす。

[ニハ][ス]摩尼マニ宝水シユスルコトヲ↡。

・尋樹

^には宝水ほうすいみぞよりでてもろもろの宝樹ほうじゅたずねて、 じょうするにさわりなし。 ゆゑににょすいづくることをかす。

[ニハ][ス]↧宝水ミゾデテタヅネテ↢諸宝樹↡、上下スルニ↠礙[ク]ルコトヲ↦如意水↥也。

二 Ⅰ ⅴ b 釈明水徳文

^しょうみょう」 よりしもしょ0420ぶつ相好そうごうしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくみず不可ふか思議しぎとくあることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ]↢「声微妙」↡下至[ル]↢「諸仏相好者」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣水[ル]コトヲ↢不可思議徳↡。即[チ][リ]↢其二↡。

・妙声

^いちには宝水ほうすいはなのあひだにちゅうして、 *微波みはあひるるにすなはち妙声みょうしょういだし、 こえのなかにみなみょうほうくことをかす。

[ニハ][ス]↧宝水華シユシテチヰサシナミルルニ↢妙声↡、声皆説[ク]コトヲ↦妙法↥。

・妙法

^には宝水ほうすいきしのぼりて、 じゅじょうようとうたずねて、 あるいはのぼり、 あるいはくだり、 ちゅうげんにあひるるにみな妙声みょうしょういだし、 こえのなかにみなみょうほうく。 あるいはしゅじょうきてさつだいかく0516どうして、 すすめてかしめ、 あるいは*人天にんでんとうほうき、 あるいは*じょうとうほうき、 あるいは*ぜんじょうとうほうき、 あるいは*ぶつ三身さんしんとうほうくことをかす。

[ニハ][ス]↧宝水リテキシタヅネ[テ]デウ・華・エウクワ↡、或[イハ]ノボ[イハ]、中間ルルニ↢妙声↡、声↢妙法[イハ][キ]テ↢衆生↡覚↢ドウシテ菩薩大悲↡、勧メテ、或[イハ]↢人天等[ヲ]↡、或[イハ][キ]↢二乗等[ヲ]↡、或[イハ][キ]前・地0737上等[ヲ]↡、或[イハ]クコトヲ↦仏地三身等↥。

二 Ⅰ ⅴ b 釈明摩尼神徳文

^ろくにょ珠王しゅおう」よりしも念仏ねんぶっ法僧ぽうそう」 にいたるこのかたは、 まさしく摩尼まにおお*神徳じんとくあることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「如意珠王」↡下至[ル]↢「念仏法僧」↡已来[タハ][シク][ス]摩尼マニ[ル]コトヲ↢神徳↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・金光

^いちには珠王しゅおうのうちより金光こんこういだすことをかす。

[ニハ][ス]↣珠ヨリスコトヲ↢金光↡。

・化鳥

^にはひかりしてひゃっぽうとりとなることをかす。

[ニハ][ス]↣光化[シテ]ルコトヲ↢百宝之トリ↡。

・鳥声

^さんには鳥声ちょうしょう*あいにしててんがくも、 もつてほうすることなきことをかす。

[ニハ][ス]テウアヒアワレミ ウタウニシテガク、無[キ]コトヲ↢以ハウスルコト↡。

・讃歎

^には*ほうちょうこえつらねてどうしょう*ねんぶっぽうそう讃歎さんだんすることをかす。

[ニハ][ス]↣宝鳥ツラネテ↠音同声サム↢歎スルコトヲ念仏法ソウ↡。

・釈仏

^しかるに 「ぶつ」 はこれしゅじょうじょうだいなり。 じゃのぞきてしょうかはしむ。

シカルニ衆生無上大師ナリノゾキテジヤムカハシ↠正

・釈法

^ほう」 はこれしゅじょうじょう良薬りょうやくなり。 よく煩悩ぼんのう毒病どくびょうだんじて法身ほっしん清浄しょうじょうならしむ。

衆生無上良薬ラウヤク[ナリ]。能ダムジテ↢煩悩ビヤウ↡法身清浄ナラシム

・釈僧

^そう」 はこれしゅじょうじょう*福田ふくでんなり。 ただしんかたむけて*0421ろうはばからざれば、 *じょう依果えかねんねんおうじて*所須しょしゅしかもいたる。

ソウ是衆生無上福田ナリ但使 タダ カタブケテ↠心四事シジレバハヾカラウ↡、五ジヨウ依果自然ジテ↠念シユ[モ]

^その宝珠ほうしゅさきには*はちみずしょうじ、 のちには種々しゅじゅ金光こんこういだす。 ただあんこんのぞくのみにあらず、 いたところによくぶつほどこす。

宝珠、サキニ[ハ]↢八↡、後ニ[ハ]↢種種金光↡。非↠闇ノゾクノミニコムクラシイタ↢仏事↡。

二 Ⅰ ⅴ b 釈総結文

^しち是為ぜい」よりしもそうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ジテ

二 Ⅰ ⅴ

^じょうらいしちどうありといへども、 ひろほうかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢七句不同↡、広[ク][シ]↢宝池観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【宝楼観】
     

【7】 ^ろく*宝楼ほうろうかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅういちあり。

[ニ][キテ]↢宝楼観↡、亦先[ゲ]、次、後。即[チ]↢其[ノ]十一↡。

二 Ⅰ ⅵ
        釈総挙観名文

^はじめに 「衆宝しゅぼうこく」 といふは、 すなはちこれそうじてかんげて、 さきでつしてのちしょうず。

[ニ]↢「衆宝国土」↡、即[チ]ソウジテゲテ↢観[ノ]↡、デツシ[テ]サキ↠後

^これじょうほうかんちゅうすることありといへども、 もし宝楼ほうろうかくなくは、 またいまだしょうとなさざることをかす。 これがためにほうしょうごん種々しゅじゅえんす。

[ス]↧浄土[モ]↠有[リ]ト↢宝流クワンソヽギシユソヽグスルコト↡、若クハ↢宝楼・宮カク↡、亦未ルコトヲセイ。為↠此依報[ノ]荘厳種種ソナフ[ス]也。

二 Ⅰ ⅵ b 釈明宝楼住処文

^に 「一一いちいちかいじょう」 といふは、 まさしく宝楼ほうろうじゅうしょかす。 かいかのくにへんすれば、 ろうまたぐうなり。

[ニ]↢「一一界上」↡者、[シ]ク↢宝楼住処↡。地界遍スレバ↢於彼↡、楼亦無窮也。

二 Ⅰ ⅵ b 釈正顕其数文

^さんに 「ひゃくおく」 といふは、 まさしくそのかずあらわす。 一界いっかいうえすでにしかり。 かのくに遍満へんまんしてまたみなかくのごとし、 るべし。

[ニ][フ]↢「有五百億」↡者、[シ]ク↢其↡。一界シカヘン↢満シテ↡亦皆如[シ]↠是[クノ]↠知

二 Ⅰ ⅵ b 釈明閣内荘厳文

^ろう0517かくちゅう」よりしもてんがく」 にいたるこのかたは、 まさしく閣内かくないしょうごんかす。

[ニ]↢「カク」↡下至[ル]↢「作天ガク」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢閣内荘厳↡。

二 Ⅰ ⅵ b 釈明楼外荘厳文

^又有ううがっ」よりしもみょう」 にいたるこのかたは、 まさしくろうしょうごんかす。 *宝楽ほうがくくうびて、 こえ*ほうこうながす。 ちゅうろくてん宝幢ほうどうのごとく、 おもいなくしてじょうず。

[ニ][リ]↢「又有ウウガク」↡下0738[ル]↢「不ミヤウ」↡已[タ]ハ[シク][ス]↢楼外荘厳↡。宝ガクビ[テ]、声ナガ↢法カウヒヾキ↡。昼夜六時↢天宝幢↡、クシテオモヒ↢自事↡也。

二 Ⅰ ⅵ b 釈楽有説法能文

^ろく衆音しゅおんちゅう」よりしも0422ねん比丘びくそう」 にいたるこのかたは、 まさしく*がくしきなしといへども、 すなはち説法せっぽう*のうあることをかす。

[ニ][リ]↢「衆音中」↡下至[ル]↢「念比丘ビクソウ」↡已来[タ]ハ[シク][ス]ガク[ニ][モ]↠無[シ]トシキ、即[チ][ル]コトヲ↢説法ノウ↡。

二 Ⅰ ⅵ b 釈顕観成相文

^しちそうじょう」 よりしもほう」 にいたるこのかたは、 まさしくかんじょうそうあらわすことをかす。 これしんをもつぱらにしてきょうとどめ、 宝楼ほうろうんとねがひて、 *剋念こくねんしてうつらざれば、 かみよりのしょうごんそうじてげんずることをかす。

[ニ][リ]↢「此想成已」↡下至[ル]↢「宝池」↡已来[タハ][シク]↠顕スコトヲ↢観成↡。此[ス][ニ]シテ↠心↠境ネガヒテ↠見[ム]ト↢宝楼↡、シテレバウツリノ荘厳総ジテズルコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅵ b 釈総結文

^はち是為ぜい」 よりしもそうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ジテ

二 Ⅰ ⅵ b 釈牒前生後文

^にゃくけんしゃ」よりは、 さきかんそうでつしてのちやくしょうず。

[ニ][リハ]↢「若見此者」↡、デツシテサキ↡生↢後利益↡。

二 Ⅰ ⅵ b 釈必往無疑文

^じゅうじょりょう」よりしもしょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしくほうによりて観察かんざつすれば、 さわりのぞくことこうなり。 しん清浄しょうじょうにしてぶつ本心ほんしんかなひ、 捨身しゃしんして他世たせにかならずくことうたがいなきことをかす。

[ニ][リ]↢「除無量」↡下至[ル]↢「生彼国」↡已来[タ]ハ[シク][ス][リ]テ↠法観察スレバノゾクコトサハリ多劫ナリ清浄ニシテカナ↢仏本心↡、捨身シテ他世クコト[キ]コトヲ

二 Ⅰ ⅵ b 釈弁観邪正文

^じゅういち作是さぜ観者かんしゃ」 よりしも邪観じゃかん」 にいたるこのかたは、 かんじゃしょうそうべんず。

十一[ニ][リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「邪観」↡已来[タハ]ベム↢観邪正↡。

二 Ⅰ ⅵ

^じょうらいじゅういっどうありといへども、 ひろ宝楼ほうろうかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢十一句不同↡、広[ク][シ]↢宝楼観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【華座観】
     

【8】 ^しち*華座けざかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうあり。

[ニ][キテ]↢華座観↡、亦先[ヅ][ゲ]、次[ジ]、後。即[チ]↢其[ノ]十九↡。

二 Ⅰ ⅶ
        釈勅聴許説文

^いち仏告ぶつごうなん」よりしもじょのうほう」 にいたるこのかたは、 まさしく*勅聴ちょくちょうせつしたまふことをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「除苦悩法」↡已来[タ]ハ[シク][ス]チヨクチヤウキヽ ユルシ[シタマフコト]ヲ↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・告命

^いちには*にんごうみょうすることをかす。

[ニハ][ス]↣告↢命スルコトヲ二人↡。

・勅聴

^にはちょくしてかしめ、 これをしてあきらかにけ、 しょうねんしゅぎょうせしむることをかす。

[ニハ][ス]シテカシメムルコト[ヲ]↢之ヲシテアキラカ、正念修行↡。

・許説

^さんにはぶつために華座けざ観法かんぽうきたまふ。 た0423だよくしんとどめて縁念えんねんすれば、 ざいのぞこることをることをかす。

[ニハ][ス]↧仏為キタマフ↢華座観法但能トヾメテ↠心エムスレバ、罪ルコトヲ↞除コルコトヲ

二 Ⅰ ⅶ b 釈勧発流通文
          (一)科節

^汝等にょとうおく」よりしもせつ」 にいたるこのかたは、 まさしく*ずう勧発かんぽつ0518したまふことをかす。

[ニ][リ]↢「汝等憶」↡下至[ル]↢「セチ」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣勧↢発シタマフコトヲ流通↡。

二 Ⅰ ⅶ b ロ (二)述意

^これ観法かんぽう深要じんようにして、 すみやかに*じょうもつすくふ。 しゅじょう妄愛もうあい迷心めいしんをもつて六道ろくどうひょうす。 なんぢこのかんたもちて処々しょしょ観修かんしゅし、 あまねくもんすることをしめ、 おなじくだつのぼらしめよといふことをかす。

此明[ス]↧観法[ハ]深要ニシテカニスク常没衆生、妄愛マウアイメイ[ヲモテ]ヘウタヾヨイナガル六道タモ0739[チ]テ↢此↡処処観修、普シメ↢知聞スルコトヲ↡、同[ジ]クノボラシメヨトイフコトヲ↦解脱↥。

二 Ⅰ ⅶ b 釈弥陀応現文

^さんせつ是語ぜご」よりしもとく為比いひ」 にいたるこのかたは、 まさしくしゃしゅ (釈尊)もののためのゆゑにおもい西方さいほうとどめしめ、 安楽あんらくそん (阿弥陀仏)*じょうるがゆゑにすなはち東域とういき (娑婆)*影臨ようりんしたまふことをかす。

[ニ][リ]↢「説是語時」↡下至[ル]↢「不得為」↡已来[タハ][シク]↧娑婆化主[ハ]モノトヾメシメ西方↡、安楽慈尊[ハ]ルガ影↦臨シタマフコトヲトウヰキ↥。

^これすなはち*そんおうことなることなし。 ただ*隠顕おんけんことなることあるは、 まさしく*ぼくたぐい万差まんじゃなるによりてたがひに*えいしょうたらしむることをいたす。

コレ二尊ハカリゴトオウカナウ↠異ナルコト直以 タダ 隠顕有ルハ↠殊ナルコト、正[シク][リ]テボクスナヲタグヒマムヨロヅジヤシヤナルニ↡致使ムルコトヲタガヒエイシヤウ↡。

^せつ是語ぜご」 といふはまさしくかす、 このこころのなかにつきてすなはちそのしちあり。

[フ]↢「説是語時」↡[シ]ク、就[キ]テ↢此↡即[チ][リ]↢其七↡。

・時

^いちにはにん告勧ごうかんするときかす。

[ニハ][ス]↧告↢勧スル二人↡時↥也。

・弥陀応現

^には弥陀みだこえおうじてすなはちげんじ、 おうじょうることをしょうしたまふことをかす。

[ニハ]↢弥陀応ジテ↠声、証シタマフコトヲ↟得ルコトヲ↢往生↡也。

・住立空中尊

^さんには弥陀みだくうにましましてりゅうしたまふは、 ただしんめぐらししょうねんにしてわがくにしょうぜんとがんずれば、 ちどころにすなはちしょうずることをることをかす。

[ニハ]↧弥陀シテ↠空シタマフ但使 タダ ↠心正念ニシテズレバゼムト↢我[ガ]↡、タチドコロ[チ]ルコトヲ↞生[ズル]コトヲ也。

 ^0424ひていはく、 仏徳ぶっとく尊高そんこうなり、 *ちょうねんとして*きょうすべからず。 すでによく本願ほんがんてずして来応らいおうせるだいしゃなれば、 なんがゆゑぞ*たんして*おもむかざるや。

[ヒテ][ク]、仏徳尊高ナリカラテウトシテキヤウ↡。既[シテ]↠捨[テ]↢本願来応セル大悲者ナレバナムタムシテオモム↟機

^こたへていはく、 これ如来にょらい (阿弥陀仏) べつ*みつましますことをかす。

[ヘテ][ク]、此[ス]↣如来ベチ[ス]コトヲミチ意↡。

^ただおもんみればしゃかいなり。 雑悪ぞうあくおなじくして、 はっあひく。 ややもすればほんじょうじ、 いつわしたしみてみをふくむ。 六賊ろくぞくつねにしたがひて、 三悪さんまく*きょう臨々りんりんとしてりなんとほっす。 もしあしげてもつてまよひをすくはずは、 *ごうろうなにによりてかまぬかるることをん。 こののためのゆゑに、 *ちながらりてすなはちく。 たんしてもつておもむくにおよばざるなり。

タヾオモムミレバ娑婆[ハ]苦界ナリザフ[ジ]クシテ八苦ヤヤモスレバヘム↡、イツハシタシミテフクエミ。六ゾクヒテ、三悪キヤウ臨臨リムリムトシテ↠入リナムト。若ゲテ↠足スクマドヒゴウラウナニ[リ]テカマヌカルルコトヲ。為↡故チナガラ[リ]テ[チ]↠及↢端坐シテクニ↟機也。

・侍者

 ^には観音かんのんせいもつてしゃとなし、 しゅなきことをひょうすることをかす。

[ニハ][ス]↧観音・勢至以↡、ヘウスルコトヲ↞無[キ]コトヲ衆↡也。

・光明踰盛

^には*三尊さんぞん身心しんしん*えんじょうにして、 こうみょういよいよさかりなることをかす。

[ニハ][ス]↢三尊身心円浄ニシテ、光明イヨイヨサカリナルコトヲ↡也。

・朗照十方

^ろくには仏身ぶっしんこうみょうほがらかにして十方じっぽうらす。 しょうぼん、 なんぞよくつぶさにんといふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏身光明ホガラカニシテテラ↢十方アカシヤウ凡夫、ナムツブサムトイフコトヲ↥。

・無漏光

^しちには仏身ぶっしん無漏むろなれば、 ひかりもまたおなじくしかなり。 あに有漏うろ天金てんごん0519をもつてこれにほうせんといふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏身無ナレバ、光[モ]亦同[ジ]クシカナリアニ↢有天金↦方セム[トイフ]コトヲ↥也。

二 Ⅰ ⅶ b 釈見仏得益文
          (一)科節

^だいけんりょう」よりしもらい」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじつにこれ*ぼん女質にょぜつなり、 いふべきにらず。 ただおもんみれば*しょうりきみょうして、 かのぶつげんじたまふとき0425*稽首けいしゅすることをこうむることをることをかす。

[ニ][リ]↢「時韋提希見無量」↡下至[ル]↢「作礼」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢韋提0740[ハ]ボムゼツスガタナリ不↠キニ↠言レバ聖力ミヤウクラキシテ、彼仏現ジタマフ時、得ルコトヲカウムルコトヲツクシユカウベヲ[スルコト]ヲ↡。

二 Ⅰ ⅶ b ニ (二)述意

^これすなはちじょにはじょうこくのぞみて、 たんしてもつてみづからふることなし。 いまはすなはちまさしく弥陀みだたてまつりて、 さらにますますしんひらけて*にんさとる。

コレジヨニハノゾミテ↢浄国↡、タムシテ↢以フルコト↡。今[ハ][シク]タテマツリテ↢弥陀↡、更マスマス心開ケテサト↠忍

二 Ⅰ ⅶ b 釈領荷仏恩文
          (一)科節

^びゃくぶつごん」 よりしもぎゅうさつ」 にいたるこのかたは、 まさしくにん仏恩ぶっとん*りょうし、 もののためにうたがいべてのちといしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「白仏言」↡下至[ル]↢「及二菩薩」↡已来[タ]ハ[シク]↧夫人リヤウアヅカリニナフオム↡、為ベテズルコトヲ↦於後↥。

二 Ⅰ ⅶ b ホ (二)述意

^これにんこころは、 ぶつ (釈尊) いまげんにましませば、 そんねんこうむりて弥陀みだたてまつることをるも、 ぶつめつしゅじょうはいかにしてかたてまつるべきといふことをかす。

[ス]↧夫人、仏マシマセバカウム[リ]テ↢尊↡得ルモタテマツルコトヲ弥陀↡、仏滅後衆生云何 イカ ニシテカキトイフコトヲ↞見タテマツル也。

二 Ⅰ ⅶ b 釈為物置請文

^ろくらいしゅじょう」よりしもぎゅうさつ」 にいたるこのかたは、 それにんもののためにしょうもうけて、 おのれにおなじくしむることをかす。

[ニ][リ]↢「未来衆生」↡下至[ル]↢「及二菩薩」↡已来[タ]ハ[ス]其夫人為モノマウケテシヤウ使ムルコトヲ↢同[ジ]クオノレ↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈総告許説文
          (一)科節

【9】 ^しち仏告ぶつごうだい」よりしもとう想念そうねん」 にいたるこのかたは、 まさしく*総告そうごうせつごんかす。

[ニ][リ]↢「仏告韋提」↡下至[ル]↢「当想念」↡已来[タ]ハ[シク][ス]総告許説之言↡。

二 Ⅰ ⅶ b ト (二)問答

 ^ひていはく、 にんしょうもうくるは、 おのれにつうじてしょうのためにす。 如来にょらいしゅうとうしたまふに及至いたりては、 ただだいしてしょうつうぜざるや。

[ヒテ][ク]、夫人マウクル↠請、通ジテ↠己ニス↠生及↢至 イタ [リ]テ[ハ]如来酬答シタマフニ↡、但シテ↢韋提↠通↠生也。

^こたへていはく、 仏身ぶっしんのぞみてほうき、 もつて*とうず。 しょうぜざるすら、 なほみづからあまねくひろめたまふ。 なんぞべつしてしてひとしくそなへざることをろんぜん。 ただもんりゃく0426もつてのゆゑになし。 ねてこれがためにするしんかならずあり。

[ヘテ][ク]、仏身ノゾミテ↠化[キ]↠法、以トウ↠機ルスラ↠請ナホヒロメタマフナムロンゼム↣別シテシテ而不ルコトヲヒトシクソナ↡。但以[テ]ノ↢文略↡故。兼ネテニスル↠之心必也。

二 Ⅰ ⅶ b 釈教観方便文
          (一)科節

 ^はち七宝しっぽうじょう」 よりしもそう」 にいたるこのかたは、 まさしくかん方便ほうべんおしふることをかす。

[ニ][リ]↢「七宝地上」↡下至[ル]↢「華想」↡已来[タ]ハ[シク]↠教フルコトヲ↢観方便↡。

二 Ⅰ ⅶ b チ (二)問答

 ^ひていはく、 しゅじょう*盲闇もうあんにして、 おもいひてろうす。 たいしてくらきこと夜遊やゆするがごとし。 とお浄境じょうきょうひょうするに、 なにによりてか*つくすべき。

[ヒテ][ク]、衆生盲闇マウアムニシテヒテ↠想ラウイタハシクタイシテクラミヤウコトゴトヨルユウアソブスルガ↡。トヲヘウス[ルニ]↢浄境↡、ナニ[リ]テカ

^こたへていはく、 もししゅじょう*わくしょう動念どうねんのぞまば、 いたづらにみづからろうせん。 あおぎて*しょうりきのはるかにするをたのめば、 所観しょかん、 みなしむることをいたす。

[ヘテ][ク]、若ノゾマバ↢衆生ワクドウ↡、イタヅラツカレラウイタムセムアオギテメバ↢聖力[ノ]ハルカスルヲ↡、致↠使[ム]ルコトヲ↢所観皆見↡。

・修観作法

^いかんがほうしてしんとどめてることをしむるや。 ほうせんとほっせば、 もろもろのぎょうじゃとうぶつ0520ぞうまえにおいてしんいたしてさんして、 所造しょぞうつみはつし、 きはめてざんしょうじ、 きゅうしてなみだながせ。

云何シテメテ↠心ムル↠見[ル]コトヲ也。セバ↢作法セムト↡者、諸行者等先↢仏像シテ↠心懴悔シテ、発ヒラキアラハスザウ↡、極メテザムハヂハヅ↡、悲キウシテ↠涙

^悔過けかすることすでにおわりて、 またしんしゃぶつ十方じっぽう恒沙ごうじゃとうぶつしょうじ、 またかの弥陀みだ本願ほんがんねんじていへ。 「弟子でし某甲それがしとうしょうもうにしてつみおもく、 *障隔しょうきゃくことわりふかし。 ねがはくはぶつ慈悲じひをもつてしょうじゅねんし、 *じゅかいせしめて、 所観しょかんきょうねがはくはじょうじゅすることをしめたまへ。 いまたちまちにしんみょうて、 あおぎて弥陀みだぞくす。 けんけんと、 みなこれ仏恩ぶっとんりきなり」 と。

クヱクワスルコトオハ[リ]テ、又心口シヤウ↢釈0741迦仏・十方恒沙等↡、又念ジテ↢彼弥陀本願。弟子某甲ソレガシ等生マウニシテオモ障隔処深。願クハ慈悲[ヲモテ]摂受ジユ開悟セシメテ、所観之境、願クハシメタマヘ↢成就スルコトヲ↡。今チニ↢身命↡、アオギテゾクス[]↢弥陀↡。見↢不見↡、皆オムナリ[ト]

^このをいひをはりて、 さらにまたしんいたしてさんしをはりて、 すなは0427じょうしょかひて、 おもて西方さいほうかへて*しょう跏趺かふすること、 もつぱらさきほうおなじ。 すでにしんとどめをはりなば徐々じょじょしんてんじ、 かのほう雑色ざっしきぶんみょうなるをおもへ。

↢此[リ]テ、更シテ↠心懴悔竟已 ヲハ [リ]テ、即[チ][ヒ]テ↢静処↡、オモテヘテ↢西方↡正坐跏趺カフスルコト↢前↡。既↠心オハ[リ]ナバ徐徐ジヨジヨ↠心↢彼宝地雑色分明ナルヲ↡。

^はじめておもはんにはきょう乱想らんそうすることをざれ、 すなはちじょうがたし。 ただ方寸ほうすんいっしゃくとうかんぜよ。 あるいは一日いちにちにち三日さんにち、 あるいはろく七日しちにち、 あるいは一月いちがつ一年いちねん三年さんねんとうにちふことなく、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがしん口意くいごうつねにじょうがっせよ。

ハムニハ↣乱↢想スルコト[ヲ]多境↡、即[チ]カタ↠定タヾゼヨ方寸ホウスン・一尺等↡。或[イハ]一日・二日・三日、或[イハ]四・五・六・七日、或[イハ]一月・一年・二・三年等、フコト↢日夜↡、行住坐臥[ニ]身口意業常↠定ガフセヨ

^ただまんともにてて、 なほしつ聾盲ろうもうにんのごとくなれば、 このじょうかならずすなはちやすし。 もしかくのごとくならざれば、 三業さんごうえんしたがひててんじ、 じょうそうなみひてぶ。 たとひ千年せんねん寿じゅつくせども、 *法眼ほうげんいまだかつてひらけず。

唯万トモテテナホナレバシツウシナウレウミヽシヰマウメシヰ↡者、此定必ヤス。若レバ↠如クナラ↠是[ク]ノ、三ゴフ[ヒ]テ↠縁テム、定想ヒテ↠波タトツクセドモ↢千年寿↡、法眼未カツ↡。

^もししんじょうときは、 あるいはみょうそうげんずることあり、 あるいはほうとう種々しゅじゅぶんみょうなる思議しぎのものをるべし。 しゅけんあり。 いちには想見そうけん。 なほ*かくあるがゆゑに、 浄境じょうきょうるといへどもいまだおお明了みょうりょうならず。 にはもしないかくめっしてすなはち*しょうじゅ三昧ざんまいれば、 るところの浄境じょうきょうすなはち想見そうけん*きょうをなすことをるにあらず。

↠定[ヲ]、或[イハ]↢明相現ズルコト↡、或[イハ]↣先↢宝地等種種分明ナル不思議↡。有↢二種見↡。一[ニ]者想見。猶有ルガ↢知覚↡故、雖[モ]↠見[ル]ト↢浄境↡未↢多明了ナラ↡。二[ニ]者若内外覚滅シテ[チ]レバ↢正受三昧↡、↠見浄境即↢想見ルニ↟為スコトヲ↢比校↡也。

二 Ⅰ ⅶ b 釈法華荘厳文
          (一)科節

 ^りょうれん」よりしも八万はちまん千光せんこう」 にいたるこのかたは、 まさしくほう種々しゅじゅしょうごんあることをかす。 すなはちその0521さんあり。

[ニ]↢「リヤウ蓮華」↡下至[ル]↢「八万四千光」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣宝華[ル]コトヲ↢種種[ノ]荘厳↡。即[チ][リ]↢其[ノ]三↡。

・華葉

^いちには一々いちいちよう衆宝しゅぼういろ0428そなへたることをかす。

[ニ]ハ[ス]↣一一ヱウソナヘタルコトヲ↢衆宝[ノ]↡。

・宝脈

^には一々いちいちようしゅほうみゃくあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一[ニ][ル]コトヲ↢衆ミヤクスヂ ↡。

・光色

^さんには一々いちいちみゃくしゅ光色こうしきあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一[ル]コトヲ↢衆多光色↡。

二 Ⅰ ⅶ b リ (二)述意

・総標次第

^これぎょうじゃをしてしんとどめて一々いちいちにこれをおもはしめて、 ことごとく心眼しんげんをしてることをしむ。

0742メテ↢行者ヲシテメテ↠心一一↟之コトゴト↢心眼ヲシテ↟見[ル]コトヲ

・正明観相

^すでにようをはりなば、 つぎようのあひだの衆宝しゅぼうおもひ、 つぎたからよりこういだすに、 ひかり宝蓋ほうがいとなることをおもひ、 つぎだいだいじょう衆宝しゅぼうおよび珠網しゅもうとうおもひ、 つぎだいじょう*ちゅう宝幢ほうどうおもひ、 つぎどうじょう*宝幔ほうまんおもひ、 つぎまんじょう宝珠ほうしゅこうみょう雑色ざっしきにしてくう遍満へんまんして、 おのおのそうげんずることをおもへ。

見↢華ヱウ↡已[リ]ナバ、次衆宝↡、次[ヨリ]スニ↡光ルコトヲ↦宝蓋↥、次↢華ダイダイ衆宝及珠網等↡、次↢台上チウ宝幢↡、次↢幢上マン↡、次↧幔上宝珠光明雑色[ニシテ]ヘム↢満シテ↡、オノオノズルコトヲ↥。

・観成義相

^かくのごとくだい一々いちいちしんとどめててざれば、 ひさしからざるあひだにすなはちじょうしん。 すでにじょうしんれば、 かのもろもろのしょうごん一切いっさい顕現けんげんす、 るべし。

↠是[ク]ノ次第一一メテ↠心レバ↠捨[テ]↠久[シ]カラ之間[チ]↢定心↡。既レバ↢定心↡、彼荘厳一切顕現↠知[ル]

二 Ⅰ ⅶ b 釈弁観成相文

^じゅう了了りょうりょう」よりしもかんじょうそうべんず。

[ニ][リ]↢「了了」↡下ベン↢観成↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈華葉荘厳文

^じゅういちようしょうしゃ」よりしもへんじょう」 にいたるこのかたは、 まさしく*葉々ようよう種々しゅじゅしょうごんあることをかす。 すなはちそのろくあり。

十一[ニ][リ]↢「華葉小者」↡下至[ル]↢「遍地上」↡已来[タ]ハ[シク][ス]葉葉ヱウヱウ[ニ][ル]コトヲ↢種種荘厳↡。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・華葉大小

^いちにはようだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢華葉大小↡。

・華葉多少

^にはようしょうかす。

[ニハ][ス]↢華葉多少↡。

・葉間珠映

^さんには葉間ようけん珠映しゅようしょうかす。

[ニハ]↢葉間[ノ]珠映[ノ]多少↡。

・珠有千光

^にはたま千光せんこうあることをかす。

[ニハ]↣珠ルコトヲ↢千光↡。

・変成宝蓋

^には一々いちいちたまひかりへんじて宝蓋ほうがいとなることをかす。

[ニハ]↣一一タマヒカリヘンジテルコトヲ↢宝蓋↡。

・変成上下

^ろくには宝蓋ほうがいかみくうらし、 しもほうおおふことをかす。

[ニハ][ス]↧宝蓋、カミテラ↢虚空↡、下オホフコトヲ↦宝地↥。

二 Ⅰ ⅶ b 釈台上荘厳文

^じゅうしゃりょう」よりしも以為いいきょうじき」 にいたるこのかたは、 まさしくだいじょうしょう0429ごんそうかす。

十二[ニ][リ]↢「釈迦レウリヨウ」↡下至[ル]↢「以為ケウマジヘジキカザル」↡已来[タハ][シク][ス]ダイ荘厳↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈幢上荘厳文

^じゅうさん於其おごだいじょう」 よりしもみょう宝珠ほうしゅ以為いい映飾ようじき」 にいたるこのかたは、 まさしくどうじょうしょうごんそうかす。 すなはちそのあり。

十三[ニ][リ]↢「其台上」↡下至[ル]↢「妙宝シユ為映ジキカザル」↡已来[タハ][シク][ス]幢上荘厳↡。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・四幢

^いちにはだいじょうにおのづから*どうあることをかす。

[ニハ][ス]↣台上オノヅカラ[ル]コトヲ↢四幢↡。

・体量

^にはどうたいりょうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢幢体量大小↡。

・宝幔

^さんには幢上どうじょうにおのづから宝幔ほうまんありて、 かたち*てんたることをかす。

[ニハ][ス]↧幢上 カラ[リ]テ↢宝マム↡、カタチタルコトヲ↦天宮↥。

・宝珠

^にはどうじょうにおのづからしゅ宝珠ほうしゅありて、 こう映飾ようじきすることをかす。

[ニハ][ス]↧幢上 カラ[リ]テ↢衆多宝珠↡、クヰカヾヤク映飾エイジキスルコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅶ b 釈珠光徳用文

^じゅう一一いちいち宝珠ほうしゅ」よりしも施作せさ0522ぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしく珠光しゅこう思議しぎ徳用とくゆうそうあることをかす。 すなはちそのあり。

十四[ニ][リ]↢「一一宝珠」↡下至[ル]↢「作仏」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↣珠光[ル]コトヲ↢不思議徳用相↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・多光

^いちには一々いちいちたまこうあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一タマ[ル]コトヲ↢多光↡。

・異色

^には一々いちいちひかりおのおのしきをなすことをかす。

[ニハ][ス]↣一一ヒカリオノオノスコトヲ↡。

・遍於宝土

^さんには一々いちいち光色こうしきほうへんすることをかす。

[ニハ][ス]↣一0743光色ヘンスルコトヲ↢於宝土↡。

・異種荘厳

^にはひかりいたるところのところ、 おのおのしゅしょうごんをなすことをかす。

[ニハ][ス]↣光[ノ]↠至オノオノ[ス]コトヲ↢異種荘厳↡。

・遍満十方

^にはあるいは金台こんだい珠網しゅもううん宝楽ほうがくとなりて十方じっぽう遍満へんまんすることをかす。

[ニハ][ス]↧或[イハ][リ]テ↢金台・珠網・華雲・宝ガク↡遍↦満スルコトヲ十方↥。

二 Ⅰ ⅶ b 釈総結観名文

^じゅう是為ぜい」 よりしもそうじてかんけっす。

十五[ニ][リ]↢「是為」↡下ジテ↢観↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈願力所成文

^じゅうろく仏告ぶつごうなん」 よりしも比丘びく願力がんりきしょじょう」 にいたるこのかたは、 まさしく*華座けざとくじょうしょかす。

十六[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至↢「比丘願力所成」↡已来[タハ][シク][ス]↢華座得成↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈重顕観儀文

^じゅうしちにゃく欲念よくねん仏者ぶつしゃ」よりしもけん面像めんぞう」 にいたるこのかたは、 まさしくかさねて*かんあらわすことをかす。 さきのごとくだいしんとどめて雑乱ぞうらんすることをざれ。

十七[ニ][リ]↢「若欲念仏者」↡下至[ル]↢「見面像」↡已来[タ]ハ[シク][ス]カサネスコトヲ↢観[ノ]↡。如↠前メテ↠心↢雑マジハリミダルスルコトヲ↡也。

二 Ⅰ ⅶ b 釈結観成相文

^じゅうはちそうじょうしゃ」よりしもしょう極楽ごくらくかい」 にいたるこのかた0430は、 まさしくかんじょうそうけっすることをかす。 すなはちやくあり。

十八[ニ][リ]↢「想成者」↡下至[ル]↢「生極楽世界」↡已来[タハ][シク][ス]↠結スルコトヲ↢観成↡。即[チ]益↡。

・除罪

^いちには除罪じょざいやくかす。

[ニ]ハ↢除罪[ノ]↡。

・得生

^にはとくしょうやくかす。

[ニハ][ス]↢得生↡。

二 Ⅰ ⅶ b 釈弁観邪正文
          (一)科節

^じゅう作是さぜ観者かんしゃ」 よりしもみょう邪観じゃかん」 にいたるこのかたは、 まさしくかんじゃしょうそうべんずることをかす。

十九[ニ][リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「名為邪観」↡已来[タハ][シク][ス]ベムズルコトヲ↢観ジヤ↡。

二 Ⅰ ⅶ b ツ (二)略頌

^これすなはちはなほうにより、 ようちんまじへ、 うてな*どうみがき、 ひかりぶつほどこす。

コレハナ[ハ]↢宝地↡、[ハ]マジチン↡、ウテナ[ハ]ミガ↢四幢↡、光[ハ]ホドコ↢仏事↡。

二 Ⅰ ⅶ

^じょうらいじゅうどうありといへども、 ひろ華座けざかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢十九句不同↡、広[ク]↢華座観↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【像観】
     

【10】^はち*像観ぞうかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうさんあり。

[ニ][キテ]ザウ↡、亦先[ゲ]、次ベム、後。即[チ]↢其[ノ]十三↡。

二 Ⅰ ⅷ
        釈結前生後文

^いち仏告ぶつごうなん」 よりしもとう想仏そうぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしくさきけっし、 のちしょうずることをかす。 「しょしゃ」 といふは、 これそのといなり。 ぶつおもふべき所以ゆえんはいかんとなり。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「当想仏」↡已来[タハ][シク][ス]↠前ズルコトヲ↟後。言[フ]↢「所以者何」↡ナリ所↢以↟想↠仏イカン[トナリ]

二 Ⅰ ⅷ b 釈応心即現文
          (一)科節

^諸仏しょぶつ如来にょらい」 よりしも心想しんそうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしく諸仏しょぶつだいˆしゅじょうのˇ しんおうじてすなはちげんじたまふことをかす。 このしょうやくあるがゆゑに、 なんぢをすすめてこれをおもはしむ。

[ニ][リ]↢「諸仏如来」↡下至[ル]↢「心想中」↡已来[タハ][シク][ス]↢諸仏、応ジテ↠心[チ]ジタマフコトヲ↡。有[ル]ガ勝益↡故、勧メテナンヂハシム↠之

二 Ⅰ ⅷ b ロ (二)問答

 ^ひていはく、 だいかみしょうにはただ弥陀みだ0523す。 いぶかし、 如来にょらい (釈尊) いまそうじて諸仏しょぶつげたまふ、 なんのこころかあるや。

[ヒテ][ク]、韋提[ノ]ニハタヾ↢弥陀↡。未審イブカシ、如来ソウジテゲタマフ↢諸仏↡、有ナン

^こたへていはく、 諸仏しょぶつ三身さんしんおなじくしょうし、 *悲智ひちまどかなること等斉とうざいにしてなく、 *端身たんじんいちにして*影現ようげんすること*ほうなり。 こころえんおもむとき法界ほうかいのぞむことをあらわさんとほっす。

[ヘテ][ク]、欲↠顕サムト↧諸仏三身同0744[ジ]ク[ノ]クワマドカナルコトザイ ヒトシ ニシテ↠二、タム身一坐ニシテヤウカゲスルコト無方ナリコヽロオモム↢有縁↡時、ノゾムコトヲ↦法界↥。

二 Ⅰ ⅷ b ロ (三)釈文

・是法界身【法界身義】

 ^0431法界ほうかい」 といふはさんあり。 いちにはしんへんするがゆゑに法界ほうかいす。 にはしんへんするがゆゑに法界ほうかいす。 さんには*しょうなきがゆゑに法界ほうかいす。 まさしくはしんいたるによるがゆゑに、 しんまたしたがひていたる。 しんしんしたがふがゆゑに 「法界ほうかいしん」 といふ。

↢「法界」↡[リ]↢三義↡。一[ニ]ヘムスルガ↢法界↡。二[ニ]身遍スルガ↢法界↡。三[ニ]キガシヤウサワリ↡故↢法界↡。正[シ]クハルガ↢心イタルニ↡故身亦随[ヒ]テフガ↢於心↡故↢「是法界身」↡也。

^法界ほうかい」 といふはこれ*しょきょう、 すなはちしゅじょうかいなり。 「しん」 といふはこれ*のうしん、 すなはち諸仏しょぶつしんなり。

↢「法界」↡所化境、即衆生界ナリ。言↢「身」↡能化身、即諸仏ナリ

・入衆生心想中

^にゅうしゅじょう心想しんそうちゅう」 といふは、 すなはちしゅじょうねんおこして諸仏しょぶつたてまつらんとがんずるによりて、 ぶつすなはち*無礙むげをもつてり、 すなはちよくかの想心そうしんのうちにりてげんじたまふ。 ただもろもろのぎょうじゃ、 もしは想念そうねんのうち、 もしはじょうのうちにぶつたてまつるは、 すなはちこのじょうずるなり。

↢「ニウ衆生心想中」↡[リ]テ↢衆生オコシテ↠念ズルニ↟見[タテマツラ]ムト↢諸仏↡、仏即↢無サハリ、即リテ↢彼想心↡現[ジ]タマフ但諸行者、若シハ想念中、若[シ]ハユメタテマツル↠仏、即ズルナリ

二 Ⅰ ⅷ b 釈結勧利益文
          (一)科節

^さん是故ぜこ汝等にょとう」よりしもじゅう心想しんそうしょう」 にいたるこのかたは、 まさしくやく結勧けつかんすることをかす。

[ニ][リ]↢「是故汝等」↡下至[ル]↢「ジユ心想生」↡已来[タハ][シク]↣結↢勧スルコトヲ利益↡。

二 Ⅰ ⅷ b ハ (二)述意

^これしんひょうしてぶつおもふことをかす。 ただ*ぶつをなしていただきよりあしいたるまでしんおもひててず、 一々いちいちにこれをかんじてしばらくもそくすることなかれ。 あるいは*ちょうそうおもひ、 あるいはけん*びゃくごうないそく*千輪せんりんそうおもへ。 このおもいをなすとき仏像ぶつぞう端厳たんごんにして相好そうごうそくし、 りょうねんとしてげんじたまふ。

[ス]ヘウシテ↠心フコトヲ↟仏。但シテ↢仏イタヾキ[ル]マデ↠足[ヒ]テ↠捨[テ]、一一ジテ↠之カレシバラクヤスミヤスムスルコト↡。或[イハ]チヤウ↡、或[イハ]ガウ乃至ソクリム↡。↢此↡時、仏像 タムウルハシゴムイツクシニシテ相好具足了然アキラカナリシテ而現ジタマフ

二 Ⅰ ⅷ b ハ (三)釈文

・是心即是

^すなはちしん一々いちいちそうえんずるによるがゆゑに、 すなはち一々いちいちそうげんず。 しんもしえんぜずは衆相しゅそうるべからず。 ただしんそうすれ0432ば、 すなはちしんおうじてげんず。 ゆゑに 「心即しんそくさんじゅうそう」 といふ。

ルガ↣心エムズルニ↢一一↡故、即[チ]一一相現。心若エン衆相カラ↠見スレバジテカナウ ↠心而現。故↢「是心即是三十二相」↡也。

・八十随形好

^はちじゅうずいぎょうこう」 といふは、 *仏相ぶっそうすでにげんずれば、 *衆好しゅこうみなしたがふ。 これまさしく如来にょらいもろもろの想者そうしゃおしへてそくしてかんぜしめたまふことをかす。

↢「八十随形好」↡仏相既ズレバ、衆好也。[シク]↧如来教ヘテ↢諸想者↡具足シテゼシメタマフコトヲ↥也。

・是心作仏

^しんぶつ」 といふは0524信心しんじんによりてそうえんずるはのごとし。

↢「是心作仏」↡[リ]テ信心ズルハ↠相↠作也。

・是心是仏

^しんぶつ」 といふは、 しんよくぶつおもへば、 おもいによりて仏身ぶっしんげんず。 すなはちこのしんぶつなり。 このしんはなれてほかにさらにぶつなければなり。

↢「是心是仏」↡心能ヘバ↠仏[リ]テ↠想仏身而現。即0745心仏ナリハナレテ↢此[ノ]↡外ケレバ仏↡者ナリ

・諸仏正遍知

^諸仏しょぶつしょうへん」 といふは、 これ諸仏しょぶつ*円満えんまんしょうて、 作意さい作意さいとつねによくあまねく法界ほうかいしんりたまへり。 ただよくおもいをなせば、 すなはちなんぢが心想しんそうしたがひてげんじたまふこと、 しょうずるがごとしといふことをかす。

↢「諸仏正遍知」↡[ス]↧諸仏[ハ]↢円マンシヤウ礙智ゲチ↡、作意サイ不作意アマネリタマヘリ↢法界之心但能セバ↠想、即[チ]ヒテナムヂ心想[ニ]↡而現[ジ]タマフコト似↦如 ゴト シトイフコトヲズルガ↥也。

二 Ⅰ ⅷ b ハ (四)簡非

・標異解

^あるいはぎょうじゃありて、 この一門いちもんをもつて*唯識ゆいしき法身ほっしんかんとなし、 あるいは*しょう清浄しょうじょうぶっしょうかんとなすは、 そのこころはなはだあやまれり。 えてしょうぶんもあひたることなし。

[イハ][リ]テ↢行者↡、↢此一門ユイ識法身↡、或[イハ]性清浄仏性、其ハナハアヤマレリエテ少分セウブンタルコト↡也。

・牒経文

^すでにそうおもへといひてさんじゅうそうりゅうせるは、 *真如しんにょ法界ほうかいしんならば、 あにそうありてえんずべく、 しんありてるべけんや。 しかも法身ほっしんしきにして眼対げんたいぜっす。 さらにるいとしてならぶべきなし。 ゆゑにくうりてもつて法身ほっしんたいたとふ。

ヒテ↠想ヘトザウ↢立セル三十二相、真如法界[ナラバ]アニ[リ]テ↠相而↠縁、有[リ]テ↠身而ケムシカ法身無色ニシテ↢於眼対ゲンタイ↡。更ルイトシテナラ。故[リ]テ↢虚空↡以タト↢法身↡也。

・示今経〔指方立相〕

^またいまこの*観門かんもんひとしくただ*ほうそうてて、 しんとどめてきょうらしむ。 そうじて*そうねんかさず。

又今此観門シクタヾ↠方テ[テ]↠相メテ↠心ラシム↠境[ヲ]ジテアカ↢無相↡也。

・示所由

^にょ0433らい (釈尊) はるかに末代まつだいざいじょくぼんそうててしんとどむるすらなほることあたはず、 いかにいはんやそうはなれてもとむるは、 *じゅつつうなきひとくうしてしゃつるがごとしとりたまへり。

如来ハルカリタマヘリ末代マツダイ罪濁凡夫[ノ]テ[テ]↠相スルスラ↠心ナホ不↠能ルコト、何 ハムハナレテ↠相モトムル如↦似 ゴト シトジユツツウ↡人シテ↠空ツルガ↞舎也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈展転教観文

【11】^是故ぜこ応当おうとう」よりしも三仏さんぶっ」 にいたるこのかたは、 まさしくさきのごとき所益しょやくせんちゅうすればかならずじょうず、 *展転てんでんしてあひおしへ、 すすめて*かのぶつかんぜしむることをかす。

[ニ][リ]↢「是故応当」↡下至↢「三仏陀」↡已来[タ]ハ[シク]↣如↠前所益、専注スレバテンシテ、勧メテゼシムルコトヲ↢彼↡也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈想彼仏者等文

^そうぶつ」よりはさきでつしてのちしょうず。 「先当せんとう想像そうぞう」 といふは所観しょかんきょうさだむ。

[ニ][リ]↢「想彼仏」↡デツシ[テ]↠前↠後。言↢「セム当想ザウ」↡↢所観↡。

二 Ⅰ ⅷ b 釈弁観成相文

^ろく閉目へいもく開目かいもく」よりしも如観にょかん掌中しょうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくかんじょうそうべんずることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「ヘイ目開目」↡下至[ル]↢「如観シヤウ」↡已来[タハ][シク]↠弁ズルコトヲ↢観成↡。即[チ][リ]↢其四↡。

・金像

^いちには威儀いぎまなこ開合かいごういち金像こんぞうること、 まえげんずるがごとくに、 つねにこのおもいをなせといふことをかす。

[ニハ]↧身四威儀、マナコガウルコト↢一金像↡、ゴトク↠現ズル↢目↡常セトイフコトヲ↦此↥。

・華座

^0525にはすでによくぞうかんずれば、 ぞうすなはちすべからくしょあるべし。 すなはちさき華座けざおもひ、 ぞううえにましましてしたまふとおもへといふことをかす。

[ニハ]スデズレバ↠像、像即[チ]↠有↢坐処↡[チ]↢前華座↡、想ヘトイフコトヲ↦像マシマシテウヘ而坐シタマフト↥。

・心眼即開

^さんにはぞうせるを想見そうけんしをはりて、 心眼しんげんすなはちひらくることをかす。

[ニハ][ス]↧想↢見0746セルヲ[リ]テ、心眼即[チ]ク[ル]コトヲ↥。

・了然無礙

^には心眼しんげんすでにひらけて、 すなはち金像こんぞうおよびかの極楽ごくらくのもろもろのしょうごんるに、 じょうくうりょうねんとしてさわりなきことをかす。

[ニハ][ス]↧心眼既ケテ[チ]ルニ↢金像及極楽荘厳↡、上・虚空了然トシテ[キ]コトヲサワリ

^またぞうかんずるじゅうしんほうはもつぱらさきせつのごとし。 いただきよりいち0434いちにこれをおもへ。 めん毫相ごうそうげんいんこうけんしゅを。 またしんきてうえかひてきょうふくざいおんきょうしつせんそくじっ*千輪せんりんとうおもへ。 一々いちいちにこれをおもひて、 かみよりしもかふをじゅんかんづけ、 しも千輪せんりんよりかみかふをぎゃくかんづく。

又観ズル↠像住心モハ↢前↡。一一↠之毫相・眼・鼻・口・耳・咽ノドクヰヤウウナジ ケンカタヒヂシユ。又キテ↠心ヒテムネフクハラサイホゾオムキヤウハギ シツヒザハクヒザガハラソク、十・千リン↡。一一ヒテ↠之フヲ↠下↢順観↡、従[リ]↢下リム↡向フヲ↠上ギヤク↡。

^かくのごとく逆順ぎゃくじゅんしんとどむれば、 ひさしからずしてかならずじょうずることを。 また仏身ぶっしんおよび華座けざほうとうもかならずすべからくじょう通観つうかんすべし。 しかもじゅうさんがんのなかに、 このほうほう金像こんぞうとうかんもつともようなり。 もしひとおしへんとほっせば、 すなはちこのほうおしへよ。 ただこの一法いっぽうじょうじぬれば、 かんすなはちねんにあきらかなり。

↠是[ク]ノ逆順[ニ]ムレバ↠心シテ↠久[シ]カラ↠成ズルコトヲ也。又仏身及華座・宝地等[モ]↢上下通観↡。シカ十三観宝地・宝華・金像等モトエウナリ。若セバ↠教ヘムト↠人、即[チ]ヘヨ↢此↡。但此一法成ヌレバ者、[ノ]観即[チ]自然ラカ也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈結前生後文

^しちけん」より以下いげは、 かみ像身ぞうしんかんけつじょうして、 のち*さつかんしょうず。

[ニ][リ]↢「見此」↡已下ケチ↢成シテ像身観↡、生↢後二菩薩↡也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈明二身観文

^はちとうきょういち大蓮だいれん」よりしも坐右ざう華座けざ」 にいたるこのかたは、 まさしくかみ*三身さんしんかんじょうじてのち*しんかんしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「キヤウ作一大蓮華」↡下至[ル]↢「坐右ザウ華座」↡已来[タハ][シク][ス]↧成ジテ↢上三身観↡生ズルコトヲ↦後身観↥。

^このさつ (観音・勢至)かんぜんとほっするものは、 もつぱらぶつかんずるほうのごとくすべし。

スル↠観ゼムト↢此二菩薩↡者クスベシ↢観ズル↠仏↡也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈明多身観文

^そうじょう」よりしも遍満へんまんこく」 にいたるこのかたは、 まさしくかみしんかんけつじょうして、 のち説法せっぽうそうしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「此想成時」↡下至[ル]↢「遍満彼国」↡已来[タハ][シク][ス]↧結↢成シテ身観↡生[ズル]コトヲ↦後説法↥。

^これもろもろのぎょうじゃとう行住ぎょうじゅう坐臥ざがにつねにかのくに一切いっさい宝樹ほうじゅ一切いっさい宝楼ほうろうとうえんずることをかす。 もしは礼念らいねんし、 もしは観想かんそうして、 つ0435ねにこのをなせ。

[ス]↣諸行者等行住坐臥エムズルコトヲ↢彼一切宝樹、一切宝楼・華[・]池等↡。若[シ]ハ礼念、若[シ]ハ観想シテ、常↢此↡也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈明説法相文

^じゅうそうじょう」よりしもおく持不じふしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくじょうによりて極楽ごくらく0526しょうごんることを、 また一切いっさいしょうごんみなよくみょうほうくをくことをかす。

[ニ][リ]↢「想成時」↡下至[ル]↢「憶不捨」↡已来[タハ][シク][ス][リ]テ↠定↠見[ル]コトヲ↢極楽荘厳↡、又クコトヲ↪一切[ノ]荘厳[ク]ヲ↩於妙法↨。

^すでにこれを見聞けんもんしをはりて、 つねにたもちてしっすることなきをじょうしんまもるとづく。

見↢聞↡已[リ]テ、恒タモ[チ]テキヲスルコトマモ0747ルト↢定心↡也。

二 Ⅰ ⅷ b 釈弁観邪正文

^じゅういちに 「りょうしゅ多羅たらごう」よりしもけん極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 かんじゃしょうそうべんず。

十一[ニ][リ]↢「リヤウ修多羅ガフ」↡下至[ル]↢「見極楽世界」↡已来[タ]ハベン↢観邪正↡。

二 Ⅰ ⅷ b 釈総結観名文

^じゅう是為ぜい」 よりしもそうじてけっす。

十二[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ソウジテ

二 Ⅰ ⅷ b 釈明観利益文

^じゅうさん作是さぜ観者かんしゃ」 よりしもとく念仏ねんぶつ三昧ざんまい」 にいたるこのかたは、 まさしく剋念こくねんしてかんしゅすれば、 げんやくこうむることをかす。 これすなはちぐんじょうさわりおもくして、 真仏しんぶつかんかなひがたし。 ここをもつてだいしょう (釈尊) あわれみをれて、 しばらくしんぎょうぞうとどめしめたまふ。

十三[ニ][リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「得念仏三昧」↡已来[タハ][シク][ス]コク[シテ]スレバ↠観、現カウブルコトヲ↢利益↡。グムサハリクシテ、真仏ガタカナ。是大聖レテアハレミシバラメタマフ↠注↢心カタチスガタ↡。

二 Ⅰ ⅷ

^じょうらいじゅうさんどうありといへども、 ひろ像観ぞうかんかしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢十三句不同↡、広[ク]↢像観↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【真身観】
     

【12】^*真身しんしんかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうあり。

[ニ][キ]テ↢真身観↡、亦先[ゲ]、次[ジ]、後。即[チ][リ]↢其[ノ]十二↡。

二 Ⅰ ⅸ
        釈結前生後文

^いち仏告ぶつごうなん」 よりしも身相しんそうこうみょう」 にいたるこのかたは、 まさしくごうみょうしてさき像観ぞうかんけつじょうして、 のち真身しんしんかんしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「身相光明」↡已来[タハ][シク][ス]↧告命シテ結↢成シテ像観↡、生[ズル]コトヲ↦後真身↥也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈明身色文

^なんとう」 よりしも金色こんじき」 にいたるこのかたは、 まさしく真仏しんぶつ身相しんそう天金てんごんいろえたることをあらわすことをかす。

[ニ][リ]↢「阿難当知」↡下至[ル]↢「金色」↡已来[タハ][シク]↠顕スコトヲ↣真仏身相エタルコトヲ↢天金イロ↡也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈明身量文

^さん仏身ぶっしんこうろくじゅう」よりしもじゅん」 に0436いたるこのかたは、 まさしくしんりょうだいしょうかす。

[ニ][リ]↢「仏身高六十」↡下至[ル]↢「ジユン」↡已来[タハ][シク][ス]↢身量大小↡。

二 Ⅰ ⅸ b 釈総観身相文

^けん」 よりしもさつしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじて身相しんそうかんずることをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][リ]↢「間」↡下至[ル]↢「菩薩為」↡已来[タハ][シク][ス]ソウジテズルコトヲ↢身相↡。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・毫相

^いちには毫相ごうそうだいしょうかす。

[ニハ][ス]ガウ大小↡。

・眼相

^には眼相げんそうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢眼相大小↡。

・毛孔光

^さんにはもうこうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢毛大小↡。

・円光

^には円光えんこうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢円光大小[ヲ]↡。

・化仏

^にはぶつしょうかす。

[ニハ][ス]↢化仏多少[ヲ]↡。

・侍者

^ろくにはしゃしょうかす。

[ニハ][ス]↢侍者多少[ヲ]↡。

二 Ⅰ ⅸ b 釈明別相光益文
          (一)解釈文相

^りょう寿じゅぶつ」よりしも摂取せっしゅしゃ」 にいたるこのかたは、 まさしくしん*別相べっそうかんずるに、 ひかり*えんやくすることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「無量寿仏」↡下至[ル]↢「摂取不捨」↡已来[タハ][シク][ス]↧観ズルニ別相↡、光益スルコトヲ↦有縁↥。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・相

^いちにはそうしょうかす。

[ニハ][ス]↢相多少↡。

・好

^にはこうしょうかす。

[ニハ][ス]↢好多少[ヲ↡。

・光

^さんにはひかりしょう0527かす。

[ニハ][ス]↢光[ノ]多少[ヲ]↡。

・光照

^にはこうしょう遠近おんごんかす。

[ニハ][ス]↢光照遠近↡。

・蒙摂益

^にはひかりおよぶところのところ、 ひとへに*しょうやくこうむることをかす。

[ニハ][ス]↣光↠及トコロヒトヘカウブルコトヲ↢摂益↡。

二 Ⅰ ⅸ b ホ (二)料簡義意

 ^ひていはく、 つぶさにしゅぎょうしゅして、 ただよくこうすればみなおうじょう。 なにをもつてかぶっこうあまねくらすにただ念仏ねんぶつのもののみをせっする、 なんのこころかあるや。

[ヒテ][ク]ツブサシユ0748シテ↢衆行↡、但能廻向スレバ↢往生↡。何テカ光普テラスニタヾセフスル念仏ノミヲ↡、有ナニ[ノ]↡也。

三縁釈

^こたへていはく、 これにさんあり。

[ヘテ][ク]↢三義↡。

・三縁釈 ・親縁

^いちには親縁しんえんかす。 しゅじょうぎょうおこしてくちにつねにぶつしょうすれば、 ぶつすなはちこれをきたまふ。 につねにぶつ*らいきょうすれば、 ぶつすなはちこれをたまふ。 しんにつねにぶつねんずれば、 ぶつすなはちこれをりたまふ。 しゅじょうぶつ憶念おくねんすれば、 ぶつもまたしゅじょう憶念おくねんしたまふ。 *0437三業さんごうあひしゃせず。 ゆゑに親縁しんえんづく。

[ニハ][ス]シム↡。衆生オコシテ↠行シヨウスレバ↠仏、仏即[チ]キタマフ↠之。身礼↢敬スレバ↡、仏即[チ]タマフ↠之。心ズレバ↠仏[ヲ]、仏即[チ]リタマフ↠之。衆生憶↢念スレバ↡者、仏[モ]亦憶↢念シタマフ衆生↡。彼此ヒシ[ノ]三業シヤ↡。故↢親縁↡也。

・三縁釈 ・近縁

^には近縁ごんえんかす。 しゅじょうぶつたてまつらんとがんずれば、 ぶつすなはちねんおうじてげんじてまえにまします。 ゆゑに近縁ごんえんづく。

[ニハ][ス]ゴム↡。衆生願ズレバ↠見[タテマツラム]ト↠仏、仏即[チ]ジテ↠念ジテマシマ↢目↡。故↢近縁↡也。

・三縁釈 ・増長縁

^さんにはぞうじょうえんかす。 しゅじょう称念しょうねんすれば、 すなはちこうつみのぞく。 いのちおわらんとほっするときぶつしょうじゅとみづからきたりて*こうしょうしたまふ。 *しょ邪業じゃごうもよくふるものなし。 ゆゑにぞうじょうえんづく。

[ニハ][ス]ゾウ上縁↡。衆生称念スレバ、即[チ]↢多劫↡。命欲スルオハラムト時、仏↢聖衆↡[リ]テ迎接カウセウシタマフ。諸邪業[モ]↢能フル↡。故↢増上縁↡也。

・念仏三昧

^自余じよ衆行しゅぎょうはこれぜんづくといへども、 もし念仏ねんぶつくらぶれば、 まつたくきょうにあらず。 このゆゑに諸経しょきょうのなかに処々しょしょひろ念仏ねんぶつ*のうめたり。

自余ジヨ衆行[モ]↠名クト↡、若クラブレバ↢念仏↡者マタケウタクラブ↡也。是諸経[ノ]処処シヨシヨヒロメタリ↢念仏↡。

^¬りょう寿じゅきょう¼ のじゅうはちがんのなかのごときは、 ただもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをかす。

キ[ハ]↢¬無量寿経¼四十八願↡、タヾジテ↢弥陀名号↡得ズルコトヲ

^また ¬弥陀みだきょう¼ のなかのごときは、 一日いちにち七日しちにちもつぱら弥陀みだみょうごうねんじてしょうずることをと。 また十方じっぽう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ*証誠しょうじょうむなしからずと。

又如[キハ]↢¬弥陀経¼中↡、一日七日ジテ↢弥陀名号[ト]ズルコトヲ。又十方恒沙諸仏証誠[ト]↠虚シカラ也。

^またこの ¬きょう¼ (観経)じょうさんもんのなかに、 ただもつぱらみょうごうねんじてしょうずることをひょうせり。

又此¬経¼定散モンタヾヘウセリジテ↢名号↡得↞生[ズル]コトヲ

^このれいいちにあらず。 ひろ念仏ねんぶつ三昧ざんまいあらわしをはりぬ。

レイ↠一也。広↢念仏三昧↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ ⅸ b 釈結少顕多文

【13】^ろくこう相好そうごう」より以下いげは、 しょうけっしてあらわす。 たやすくかんぜんとほっするものは、 *しゅうしつすることをなしがたし。

[ニ][リ]↢「光相好」↡已下[ハ]ケチシテ↠少↠多タヤススル↠観ゼムトガタシユシツスルコト[ヲ]↡。

二 Ⅰ ⅸ b 釈勧憶想見文

^しち但当たんとう憶想おくそう」より以下いげは、 まさしくしょうごんみょうにして*ぼんきょうしゅっせることをかす。 いまだまえしょうせずとい0438へども、 ただまさに憶想おくそうして心眼しんげんをしてたてまつらしむべし。

[ニ][リ]↢「タム当憶想」↡已下[ハ][シク][ス]↣荘厳ニシテ出↢過セルコトヲ凡境↡。↠未↠証↡、タヾ↣憶想シテ↢心眼[ヲ]シテタテマツラ↡也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈明観益得成文

^はちけん此事しじしゃ」よりしも0528しょうしょしゅじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくこうあらわれてしっせず、 かんやくじょうずることをることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「見此事シジ」↡下至[ル]↢「セフ諸衆生」↡已来[タ]ハ[シク][ス]クウコウアラハレテ↠失、観ルコトヲ↟成ズルコトヲ。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・見十方諸仏

^いちにはかんによりて十方じっぽう諸仏しょぶつたてまつることをることをかす。

[ニハ][ス]0749[リ]テ↠観[ル]コトヲ↟見[タテマツル]コトヲ↢十方諸仏↡。

・成念仏三昧

^には諸仏しょぶつたてまつるをもつてのゆゑに、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいけつじょうすることをかす。

[ニハ][ス]↧以[テ]ノ↠見[タテマツル]ヲ↢諸仏↡故、結↦成スルコトヲ念仏三昧↥。

・観一切仏身

^さんにはただ一仏いちぶつかんじてすなはち一切いっさい仏身ぶっしんかんずることをかす。

[ニハ][ス]↧但観ジテ↢一仏↡即[チ]ズルコトヲ↦一切仏身↥也。

・即見仏心

^には仏身ぶっしんたてまつるによるがゆゑに、 すなはち仏心ぶっしんたてまつることをかす。

[ニハ][ス]ルガ↠見[タテマツル]ニ↢仏身↡故、即[チ][タテマツル]コトヲ↦仏心↥也。

・普摂一切

^には仏心ぶっしん慈悲じひたいとなし、 このびょうどうだいをもつてあまねく一切いっさいせっしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧仏心者慈悲↠体、以[テ]↢此平等↡普セフシタマフコトヲ↦一切↥也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈明得生益文

^作此さし観者かんしゃ」よりしもとくしょうにん」 にいたるこのかたは、 まさしく捨身しゃしんして他世たせにかしこにしょうずるやくることをかす。

[ニ][リ]↢「作此観者」↡下至↢「得無生忍」↡已来[タ]ハ[シク][ス]捨身シテ他世ルコトヲズルカシコ↡也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈結勧修観利益文

^じゅう是故ぜこしゃ」よりしも現前げんぜんじゅ」 にいたるこのかたは、 かさねて修観しゅかんやく結勧けっかんすることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「是智者」↡下至[ル]↢「現前ジユ」↡已来[タハ][ス]↣結↢勧スルコトヲ修観利益↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・簡能修観人

^いちには*のうしゅかんひとえらいだすことをかす。

[ニハ][ス]エラ↢出スコトヲ能修観↡。

・観無量寿仏

^にはしんをもつぱらにしてあきらかにりょう寿じゅぶつかんずることをかす。

[ニハ][ス]↣専[ニ]シテ↠心アキラカズルコトヲ↢無量寿仏↡。

・衆相自然現

^さんには相好そうごうしゅなり。 *総雑そうぞうしてかんずることをず。 ただびゃくごう一相いっそうかんずることをかす。 ただびゃくごうたてまつることをれば、 一切いっさい衆相しゅそうねんげんず。

[ニハ][ス]↧相好衆多ナリ総雑ソウザフシテ而観[ズル]コトヲ唯観[ズル]コトヲビヤクガウ一相↥。タヾレバ↠見[タテマツル]コトヲ↢白毫↡者、一切衆相自然而現也。

・見十方仏

^にはすでに弥陀みだたて0439まつれば、 すなはち十方じっぽうぶつたてまつることをかす。

[ニハ][ス]↧既タテマツレバ↢弥陀↡、即[チ][タテマツル]コトヲ↦十方[ヲ]↥也。

・得蒙授記

^にはすでに諸仏しょぶつたてまつれば、 すなはち定中じょうちゅうにおいてじゅこうむることをることをかす。

[ニハ][ス]↧既[タテマツ]レバ↢諸仏↡、即[チ]↢定中ルコトヲカウブルコトヲジユ↡也。

二 Ⅰ ⅸ b 釈総結文

^じゅういち是為ぜい遍観へんかん」 より以下いげそうじてけっす。

十一[ニ][リ]↢「是為ヘム観」↡已下[ハ]ソウジテ

二 Ⅰ ⅸ b 釈弁観邪正文

^じゅう作此さしかん」 より以下いげは、 まさしくかんじゃしょうそうべんずることをかす。

十二[ニ][リ]↢「作此観」↡已下[ハ][シク][ス]ベムズルコトヲ↢観邪正↡。

^これすなはち*しんぎょうりょうとおくして、 *ごうせんのごとし。 *震響しんこうしたがひ、 ひかり*しきうるおす。 ˆしゃくそんはˇ *含霊がんれいをしてみょうし、 ちゅうそうしてのこりなく、 ぶつ (阿弥陀仏)*ほんじょうじてひとしくかのくにのぞましめんとほっす。

コレ真形量トオク[シテ]ガウゴト↢五山↡。震響シムカウ[ヒ]↠機ウルホ↢有識↡。欲使メムト含霊ガムレイヲシテ帰命チユシテノコジヨウジテ↢仏グウヒトシクノゾ↦彼↥。

二 Ⅰ ⅸ

^じょうらいじゅうどうありといへども、 ひろ真身しんしんかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢十二句不同↡、広[ク][シ]↢真身観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【観音観】
     

【14】^じゅう*観音かんのんかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうあり。

[ニ][キテ]↢観音観↡、亦先、次、後。即[チ][リ]↢其[ノ]十五↡。

二 Ⅰ ⅹ
        釈結前生後文

^いち仏告ぶつごうなん」 よりしも0529さつ」 にいたるこのかたは、 まさしくさき真身しんしんかんけつじょうして、 のちさつかんしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「菩薩[ニ]」↡已来[タ]ハ[シク][ス]ケツ↢成シテ真身観↡、生ズルコトヲ↦後菩薩観↥。

二 Ⅰ ⅹ b 釈総標身相文

^さつしんじょう」よりしもかいちゅうげん」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじて身相しんそうひょうすることをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][リ]↢「菩薩0750身長」↡下至↢「皆中現」↡已来[タハ][シク][ス]ソウジテヘウスルコトヲ↢身相↡。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・身量

^いちにはしんりょうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢身量大小↡。

・身色

^には身色しんじきぶつおなじからざることをかす。

[ニハ][ス]↢身色↠仏ルコトヲ↟同ジカラ

・肉髻

^さんには*肉髻にくけいぶつ*けいおなじからざることをかす。

[ニハ]↧肉髻与↢仏螺髻↡不ルコトヲ↞同ジカラ

・円光

^には円光えんこうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢円光大小↡。

・侍者

^にはぶつしゃしょうかす。

[ニハ][ス]↢化仏[ノ]多少↡。

・五道衆生

^ろくには0440身光しんこうにあまねく*どうしゅじょうげんずることをかす。

[ニハ][ス]↣身光[ズ]ルコトヲ↢五道衆生↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈冠内化仏文

^さん頂上ちょうじょうりょう」 よりしもじゅうじゅん」 にいたるこのかたは、 まさしく*天冠てんがんのうちのぶつしゅかす。

[ニ][リ]↢「チヤウリヨウレウ 」↡下至[ル]↢「二十五由旬[ニ]」↡已来[タハ][シク][ス]↢天グワン化仏[ノ]シユ↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈明面色文

^観音かんのん」 より以下いげは、 まさしく面色めんしき身色しんしきおなじからざることをかす。

[ニ][リ]↢「観音」↡已下[ハ][シク][ス]メン[ト]↢身色↡不[ル]コトヲ↞同[ジカ]ラ

二 Ⅰ ⅹ b 釈毫光転変文

^けん」 よりしもれんしき」 にいたるこのかたは、 まさしく*毫光ごうこう転変てんぺんして十方じっぽう遍満へんまんし、 化侍けじいよいよおおくしてさらにれんいろすることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「間」↡下至[ル]↢「蓮華色」↡已来[タハ][シク][ス]ガウテムシテ遍↢満十方↡、化イヨイヨ[ク]シテスルコトヲ紅蓮グウレン↥。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

・七宝色

^いちには毫相ごうそう七宝しっぽういろをなすことをかす。

[ニハ][ス]ガウ相作[ス]コトヲ↢七宝↡。

・毫光

^には毫光ごうこうしょうかす。

[ニハ][ス]↢毫光多少[ヲ]↡。

・化仏

^さんにはひかりぶつましますしょうかす。

[ニハ][ス]↧光マシマ↢化仏↡多少↥。

・侍者

^にはしゃしょうかす。

[ニハ][ス]↢侍者多少↡。

・変現

^には化侍けじ変現へんげんして十方じっぽう遍満へんまんすることをかす。

[ニハ][ス]↣化変現シテ遍↢満スルコトヲ十方↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈明光瓔文

^ろくはちじゅうおくこうみょう」よりしもしょうごん」 にいたるこのかたは、 まさしくぶくせる*光瓔こうよう衆宝しゅぼうにあらざることをかす。

[ニ][リ]↢「有八十億光明」↡下至[ル]↢「荘厳」↡已来[タハ][シク][ス]セルヤウザルコトヲ↢衆宝↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈明手用文

^しちしゅしょうひゃくおく」 よりしもしょういんしゅじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくみて慈悲じひゆうあることをかす。 すなはちそのろくあり。

[ニ][リ]↢「シユシヤウ五百億」↡下至[ル]↢「接引セウイム衆生」↡已来[タハ][シク][ス][ル]コトヲ↢慈悲用↡也。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

・雑蓮色

^いちにはしゅしょう雑蓮ぞうれんいろをなすことをかす。

[ニハ][ス]↣手掌[ス]コトヲザフ↡。

・印文

^には一々いちいちゆびはし八万はちまん印文いんもんあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一ユビハシ[ル]コトヲ↢八万印文イムモン↡。

・八万余色

^さんには一々いちいちもん八万はちまんいろあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一[ニ][ル]コトヲ↢八万イロ↡。

・八万余光

^には一々いちいちいろ八万はちまんひかりあることをかす。

[ニハ][ス]↣一一[ル]コトヲ↢八万余↡。

・光体柔軟

^には光体こうたいにゅうなんにしてひとしく一切いっさいらすことをかす。

[ニハ][ス]↣光体柔軟ヤハラカニシテヒトシクテラスコトヲ↢一切↡。

・接引有縁

^ろくにはこの宝光ほうこうみてをもつてえんしょういんしたまふことをかす。

[ニハ][ス]↧以[テ]↢此宝光セウインシタマフコトヲ有縁↥也。

二 Ⅰ ⅹ b 釈明足用文

^はち0441そく」 よりしもまく不弥ふみ0530まん」 にいたるこのかたは、 まさしくあし徳用とくゆうそうあることをかす。

[ニ][リ]↢「足時」↡下至[ル]↢「マクマム」↡已来[タハ][シク][ス]アシ[ル]コトヲ↢徳用相↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈指同仏文

^其余ごよ身相しんそう」 より以下いげしてぶつ ˆのそうˇどうず。

[ニ][リ]↢「其身相」↡已下シテ↢於仏↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈二相有虧文

^じゅうゆい頂上ちょうじょう」 よりしもぎゅうそん」 にいたるこのかたは、 まさしく*師徒しとくらいべつにして、 *がんいまだまどかならず。 *そうをしてけたることあらしむることをいたして、 そくすることをひょうすることをかす。

0751[ニ][リ]↢「唯頂上」↡下至[ル]↢「不及世尊」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧師クラヰベチニシテ、果願未↠円[カナ]ラ、致シテ使ムルコトヲ↢二相ヲシテケタルコトヘウスルコトヲスルコト[ヲ]↢不足之地↡也。

二 Ⅰ ⅹ b 釈総結文

^じゅういち是為ぜい」 よりしもそうじてけっす。

十一[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]ソウジテ

二 Ⅰ ⅹ b 釈結前生後文

^じゅう仏告ぶつごうなん」 よりしもとう作是さぜかん」 にいたるこのかたは、 まさしくかさねてさきもんけっし、 そののちやくしょうずることをかす。

十二[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡下至[ル]↢「当作是観」↡已来[タハ][シク][ス]カサネ↢前↡、生[ズル]コトヲ↦其[ノ]↥。

二 Ⅰ ⅹ b 釈勧観利益文

^じゅうさん作是さぜ観者かんしゃ」 よりしもきょう諦観たいかん」 にいたるこのかたは、 まさしくかんやくすすむることをかす。

十三[ニ][リ]↢「作是観者」↡下至[ル]↢「クヰヤウタイ」↡已来[タハ][シク]↠勧ムルコトヲ↢観利益↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈重顕観儀文

^じゅうにゃく欲観よくかん観音かんのん」 よりしも如観にょかん掌中しょうちゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくかさねて*かんあらわしてものすすめ、 しんかたむけて*りょうやくうるおさしむることをかす。

十四[ニ][リ]↢「若有欲観観音」↡下至[ル]↢「如観シヤウ」↡已来[タハ][シク][ス]↧重↢観↡、勧↠物カタブケテ↠心使ムルコトヲウルヲ両益↡。

二 Ⅰ ⅹ b 釈弁観邪正文

^じゅう作是さぜかん」 より以下いげは、 まさしくかんじゃしょうそうべんずることをかす。

十五[ニ][リ]↢「作是観」↡已下[シク]ベムズルコトヲ↢観邪正↡。

^これすなはち観音かんのんがんおもくして十方じっぽう影現ようげんし、 宝手ほうしゅひかりとどめてしたがひていんじょうしたまふ。

コレ観音願オモクシテ影↢現十方↡、宝シユトヾメテヒカリ[ヒ]テ↠機引接イムセウシタマフ

二 Ⅰ ⅹ

^じょうらいじゅうどうありといへども、 ひろ観音かんのんかんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢十五句不同↡、広[ク][シ]↢観音観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【勢至観】
     

【15】^じゅういち*せいかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅうさんあり。

十一[ニ][キ]テ↢勢至観↡、亦先、次、後。即[チ][リ]↢其[ノ]十三↡。

二 Ⅰ ⅺ
        釈総挙観名文

^いちかん大勢だいせい」 より以下いげは、 そうじてかんぐ。

[ニ][リ]↢「観大勢至」↡已下ソウジテ↢観↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈弁観相文

^0442さつしんりょうだいしょう」 より以下いげは、 つぎかんそうべんず。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「菩薩身量大小」↡已下[ニ]ベム↢観↡。即[チ][リ]↢其[ノ]五↡。

^いちにはしんりょう観音かんのん等類とうるいすることをかす。

[ニハ][ス]↣身量等↢類スルコトヲ観音↡。

^には身色しんじき観音かんのん等類とうるいすることをかす。

[ニハ][ス]↣身色等↢類[スル]コトヲ観音↡。

^さんには面相めんそう観音かんのん等類とうるいすることをかす。

[ニハ][ス]メム相等↢類[スル]コトヲ観音↡。

^には身光しんこう相好そうごう観音かんのん等類とうるいすることをかす。

[ニハ][ス]↣身光・相好等↢類[スルコトヲ]観音↡。

^には毫相ごうそうひかりべて転変てんぺんすること観音かんのん等類とうるいすることをかす。

[ニハ][ス]ガウベテ↠光転変[スル]コト等↢類[スルコトヲ]観音↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈明円光不同文

^さん円光えんこう面各めんかくひゃくじゅうじゅん」 より以下いげは、 まさしく円光えんこうとう観音かんのんおなじからざるそう0531かす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「円光面カク百二十五由旬」↡已下[ハ][シク][ス]↧円光↠同[ジカ]ラ↢観音↡之相↥。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・円光

^いちには円光えんこうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢円光[ノ]大小[ヲ]↡。

・光照

^にはこうしょう遠近おんごんかす。

[ニハ][ス]↢光照遠近↡。

・化仏

^さんにはぶつしょうかす。

[ニハ][ス]↢化仏多少↡。

・侍者

^にはぶつしゃしょうかす。

[ニハ][ス]↢化仏0752[ノ]多少[ヲ]↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈明身光照益文

^しんこうみょう」 よりしもみょう大勢だいせい」 にいたるこのかたは、 まさしく身光しんこうとおそなへてえんしょうやくし、 ひとしくほうおよび、 みなこんいろをなすことをかす。 すなはちそのはちあり。

[ニ][リ]↢「身光明」↡下至[ル]↢「名大勢至」↡已来[タハ][シク][ス]↧身光トオソナヘ[テ]照↢益有縁↡、等シク↢他方↡、皆作[ス]コトヲ↥。即[チ][リ]↢其[ノ]八↡。

・総別

^いちには身光しんこう総別そうべつどうかす。

[ニハ][ス]↢身光総別ソウベチ不同↡。

・光照

^には光照こうしょう遠近おんごんかす。

[ニハ][ス]↢光照遠近↡。

・光触

^さんにはひかりるるところのところ、 みなこんいろをなすことをかす。

[ニハ][ス]↣光ルル[ス]コトヲ↢紫金之色↡。

・有縁者得覩

^にはただせい宿しゅくごうえんあるもののみすなはちこのひかりそくすることをることをかす。

[ニハ][ス]タヾ↢勢志↡宿業有↠縁[ノミ][ル]コトヲミルソクスルコトヲ↨。

・見諸仏身光

^にはただ一毛いちもうひかりれば、 すなはちよくおお諸仏しょぶつ浄妙じょうみょう身光しんこうることをかす。 これすなはちしょうげてもつてやくあらわして、 これをぎょうずるものをして*しん渇仰かつごうして、 にゅうかんしてもつてこれをしょうせしめ0443んとほっす。

[ニハ][ス]↧但見レバ↢一モウ↡、即[ル]コトヲ↦諸仏浄妙身光↥。ゲテ↠少シ[テ]↢多益↡、欲使メムト↢行ズル↠之ヲシテネガフ渇仰カツガウアウグシテ、入観シテ↟之

・依光以立名

^ろくにはひかりによりてもつてつることをかす。

[ニハ][ス][リ]テ↠光[ツ]ルコトヲ↟名

・光之体用

^しちにはひかり*たいゆうかす。 すなはち無漏むろたいとなすがゆゑに智慧ちえこうづく。 またよく十方じっぽう三悪さんまく除息じょそくするをじょうりきづく。 すなはちゆうとなす。

[ニハ][ス]↢光之タイ↡。即[チ]無漏ムロス[ガ]↠体↢智慧サトル↡。又能ヂヨソクスルヲ十方三悪↡名↢無上力↡。即[チ]↠用也。

・依徳立名

^はちには大勢だいせいづくることは、 これすなはちとくによりてつることをかす。

[ニハ][ス]↧名クルコト↢大勢[チ][リ]テ↠徳[ツ]ルコトヲ↞名也。

二 Ⅰ ⅺ b 釈明天冠荘厳文

^さつ天冠てんがん」よりしもかいちゅうげん」 にいたるこのかたは、 まさしく*天冠てんがんしょうごんそう観音かんのんおなじからざることをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「菩薩天クワ カブリ」↡下至[ル]↢「皆於中現」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧天冠荘厳相、↢観音↡ルコトヲ↞同ジカラ。即[リ]↢其[ノ]四↡。

・冠上宝華

^いちにはかんじょうほうしょうかす。

[ニハ][ス]冠上宝華多少↡。

・華上宝台

^には一々いちいちじょう宝台ほうだいしょうかす。

[ニハ][ス]↢一一華上宝台多少↡。

・台中映現

^さんには一々いちいちだいのなかに十方じっぽう諸仏しょぶつじょう映現ようげんすることをかす。

[ニハ][ス]↣一一エイ↢現スルコトヲ十方諸仏浄土↡。

・都無増減

^にはほうげんずれども、 彼此ひしすべて増減ぞうげんなきことをかす。

[ニハ][ス]↣他方土現[ズ]レドモ彼此ヒシスベキコトヲ増減ゾウゲム↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈肉髻宝瓶文

^ろく頂上ちょうじょう肉髻にくけい」 よりしもげんぶつ」 にいたるこのかたは、 まさしく肉髻にくけいほうびょうそうかす。

[ニ][リ]↢「頂上ニチ」↡下至[ル]↢「普現仏」↡已来[タハ][シク][ス]ニチ[ノ]ビヤウ↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈指同観音文

^しちしょ身相しんそう」 より以下いげして観音かんのんどうず。

[ニ][リ]↢「諸身相」↡已下シテ↢観音↡也。

二 Ⅰ ⅺ b 釈行不同相文

^はちさつぎょう」 よりしもにょ極楽ごくらくかい」 にいたるこのかたは、 まさしくぎょう0532じたまふに観音かんのんおなじからざるそうかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「菩薩行時」↡下至[ル]↢「如極楽世界」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧行ジタマフニ↢観音↡↠同[ジカ]ラ↥。即[チ][リ]↢其[ノ]四↡。

・行不同相

^いちにはぎょうどうそうかす。

[ニハ][ス]↢行不同↡。

・震動遠近相

^には震動しんどう遠近おんごんそうかす。

[ニハ][ス]シム遠近↡。

・華現多

^さんには震動しんどうするところのところはなげんずることおおきことをかす。

[ニハ][ス]↢震動0753スルハナ[ズ]ルコトオホキコトヲ↥。

・華高而顕

^には所現しょげんはなたかくしてかつあらわれ、 おおくのもろもろの*瑩飾ようじきもつて極楽ごくらくしょうごんるいすることをかす。

[ニハ][ス]↣所現之ハナクシテ、多クノ瑩飾以[ス]ルコトヲ↢極楽荘厳↡也。

二 Ⅰ ⅺ b 釈明坐不同相文
          (一)科釈

^0444さつ坐時ざじ」 よりしも度苦どくしゅじょう」 にいたるこのかたは、 まさしくしたまふに観音かんのんおなじからざるそうかす。 すなはちそのしちあり。

[ニ][リ]↢「此菩薩坐時」↡下至[ル]↢「度衆生」↡已来[タ]ハ[シク][ス]シタマフニ↠同[ジ]カラ↢観音↡相↥。即[チ][リ]↢其[ノ]七↡。

・坐相

^いちにはするそうかす。

[ニハ]スル↡。

・先動本国相

^には本国ほんごくどうずるそうかす。

[ニハ][ス]↧先ズル↢本国↡相↥。

・動他方相

^さんにはつぎほうどうずる遠近おんごんそうかす。

[ニハ][ス]↧次[ズ]ル↢他方↡遠近↥。

・動下上相

^にはじょう仏刹ぶっせつ動揺どうようするしょうそうかす。

[ニハ][ス]↧動↢エウスル下上セツ↡多少↥。

・分身雲集相

^には弥陀みだ観音かんのんとう分身ぶんしんうんじゅうするそうかす。

[ニハ][ス]↢弥陀・観音等分身雲集ウムジユスル↡。

・臨空側塞

^ろくにはくうのぞみて側塞しきそくしてみなほうしたまふことをかす。

[ニハ][ス]ノゾミテ↠空側塞ソクソクシテ皆坐[シタマフ]コトヲ↢宝華↡。

・臨空側塞

^しちには分身ぶんしん説法せっぽうおのおの*しょおうずることをかす。

[ニハ][ス]↣分身説法オノオノズルコトヲシヨ↡。

二 Ⅰ ⅺ b リ (二)料簡

 ^ひていはく、 ¬弥陀みだきょう¼ にのたまはく、 「かのくにしゅじょうしゅあることなし。 ただもろもろのらくく。 ゆゑに極楽ごくらくづく」 と。 なんがゆゑぞ、 この ¬きょう¼ (観経)分身ぶんしんほうきてすなはちすとのたまへるはなんのこころかあるや。

[ヒテ][ク]、¬弥陀経[ニ]¼云[ク]、「彼衆生無↠有[ル]コト↢衆苦↡。タヾ↢諸↡。故クト↢極楽↡。」ナン¬経¼分身説[キ]テ↠法ヘルスト↠苦者、有↢何

^こたへていはく、 いまらくといふはしゅあり。 いちには三界さんがいのなかのらくにはじょうのなかのらくなり。

[ヘテ][ク][リ]↢二種↡。一者三界[ノ]苦楽、二者浄土苦楽[ナリ]

^三界さんがいらくといふは、 はすなはちさんはっとうらくはすなはち人天にんでんよく放逸ほういつばくとうらくなり。 これらくといふといへども、 しかもこれだいなり。 かならずつひに一念いちねん真実しんじつらくあることなし。

↢三界[ノ]苦楽、苦[チ]・八等、ラク[チ]人天[ノ]ヨク放逸ハウイチバクナリ↠言[フ]ト↡、シカナリ。必ツイ↠有[ル]コト↢一念真実楽↡也。

^じょうらくといふは、 はすなはち*ぜん*じょうのぞめてとなし、 じょうぜんのぞめてらくとなす。 *下智げちしょう*じょうしょうのぞめてとなし、 じょうしょう下智げちしょうのぞめてらくとなす。 こ0445れいいちぐるにるべし。

↢浄土[ノ]苦楽ゼンノゾメテ↢地上↡為↠苦、地上メテ↢地前↡為↠楽。下智証メテ↢上智証↡為↠苦、上智証[メ]テ↢下智証↡為↠楽。此レイグルニ↠一也。

^いま 「度苦どくしゅじょう」 といふは、 ただ下位げいすすめてじょうのぼらしめ、 しょうてんじて上証じょうしょうしめんがためなり。 もとしょかなふをすなはちづけてらくとなす。 ゆゑに度苦どくといふ。 もししからずは、 じょうのなかの一切いっさいしょうにん0533はみな無漏むろをもつてたいとなし、 だいゆうとなす。 ひっきょう常住じょうじゅうにして*分段ぶんだんしょうめつはなれたり。 さらになんのにつきてかづけてとなさんや。

↢「度苦ドク衆生」↡タヾナリスヽメテ↢下ノボ↢上位↡、テムジテ↢下証↡令メムガ↢上証↡。カナフヲ↢本↡即[チ][ケテ][ス]↠楽。故↢度苦↡也。若[シ][ハ]シカ者、浄土之中一切聖人無漏ムロ↡為↠体、大悲↠用ヒチ竟常住ニシテハナレタリ↢於分段ブンダン之生滅↡。更キテカ↢何↡名0754ケテサム↠苦也。

二 Ⅰ ⅺ b 釈弁邪正分斉文

 ^じゅう作此さし観者かんしゃ」よりしもじゅういちかん」 にいたるこのかたは、 まさしくかんじゃしょうべんじ、 そうじて*分斉ぶんざいけっすることをかす。

[ニ][リ]↢「作此観者」↡下至[ル]↢「十一観」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧弁↢観邪正ソウジテ[ス]ルコトヲ↦分斉↥。

二 Ⅰ ⅺ b 釈明観利益文

^じゅういちかんさつしゃ」 より以下いげは、 まさしく修観しゅかんやくつみのぞくことこうなることをかす。

十一[ニ][リ]↢「観此菩薩者」↡已下[ハ][シク][ス]シユ利益除[ク]コト多劫ナルコトヲ↡。

二 Ⅰ ⅺ b 釈重明利益文

^じゅう作此さし観者かんしゃ」 よりしも浄妙じょうみょうこく」 にいたるこのかたは、 まさしくそうじてさきもんけっし、 かさねてのちやくしょうずることをかす。

十二[ニ][リ]↢「作此観者」↡下至[ル]↢「浄妙国土」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↧総ジテ↢前↡、重[ズ]ルコトヲ↦後↥。

二 Ⅰ ⅺ b 釈牒二身弁観成文

^じゅうさんかんじょう」 より以下いげは、 まさしくそうじてしんでつしてかんじょうそうべんずることをかす。

十三[ニ][リ]↢「此観成」↡已下[ハ][シク][ス]↧総ジテデツシテ↢二身↡弁[ズ]ルコトヲ↦観成↥。

^これすなはちせいたかくして、 したまふにこくゆるがし、 よく分身ぶんしんをしてうんじゅうして、 ほうべて*しょうせしむ。 なが*胞胎ほうたいちてつねに法界ほうかいあそばしむ。

斯乃クシテ、坐シタマフニガシ↡、能使↢分身ヲシテ雲集シテベテ↠法↟生ナガチテハウヱナ 胎ハラミハラムバシム↢法界↡。

二 Ⅰ ⅺ

^じょうらいじゅうさんどうありといへども、 ひろせいかんしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リト]↢十三句不同↡、広[ク]↢勢至観↡竟[リヌ]

二 Ⅰ 【普観】
     

【16】^じゅう*かんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなは0446ちそのろくあり。

十二[キ]テ↢普観↡、亦先[ゲ]、次、後。即[チ][リ]↢其[ノ]六↡。

二 Ⅰ ⅻ
        釈牒前生後文

^いちけん此事しじ」 より以下いげは、 まさしくさきでつしてのちしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「見此事シジ時」↡已下[ハ][シク][ス]デウシテ↠前[ズル]コトヲ↟後

二 Ⅰ ⅻ b 釈明作自生想文

^とうしん」 よりしも皆演かいえんみょうほう」 にいたるこのかたは、 まさしくしんらしかんりて、 すなはちつねに*おうじょうおもいをなすことをかす。 すなはちそのあり。

[ニ][リ]↢「当自心」↡下至[ル]↢「皆エン妙法」↡已来[タ]ハ[シク][ス]コラ↠心[リ]テ↠観、即[チ][ニ][ス]コトヲ自往生↡。即[チ][リ]↢其[ノ]九↡。

・自生想

^いちには*しょうおもいかす。

[ニハ][ス]自生↡。

・向西想

^には西にしかふおもいかす。

[ニハ][ス]ムカ↠西↡。

・坐華想

^さんにははなするおもいかす。

[ニハ][ス]スル↠華↡。

・華合想

^にははながっするおもいかす。

[ニハ][ス]↢華スル↡。

・華開想

^にははなひらくるおもいかす。

[ニハ][ス]↢華クル↡。

・照身想

^ろくには宝光ほうこうきたりてらすおもいかす。

[ニハ][ス]↢宝光キタ[リ]テ↠身↡。

・眼開想

^しちにはすでにこうしょうこうむりて、 まなこひらくるおもいをなすことをかす。

[ニハ][ス]↧既カウブ[リ]テ光照↡、スコトヲマナコクル↥。

・見仏想

^はちには眼目げんもくすでにひらけて、 ぶつさつたてまつるおもいをなすことをかす。

[ニハ][ス]↧眼目スデケテ、作スコトヲ↦見[タテマツ]ル↢仏・菩薩↡想↥。

・聞法想

^にはほうおもいかす。

[ニハ][ス]↢聞↠法↡。

二 Ⅰ ⅻ b 釈明定散守心文

^さんじゅうきょうごう」 よりしもしつ」 にいたるこのかたは、 まさしくじょうさんわするることなく、 しんまもりてつねにおくすることをかす。

[ニ][リ]↢「十二経合」↡下至[ル]↢「シツ」↡已来[タ]ハ[シク][ス]↢定散ワスルルコトマモ[リ]テ↠心スルコトヲ↡。

^いちにはすなはち観心かんしん明浄みょうじょうなり。 にはすなはち諸悪しょあくしょうぜず。 うち法楽ほうらく相応そうおうし、 そとにすなはち*さん0534じゃさわりなきによりてなり。

[ニハ][チ]観心明浄ナリ。二[ニハ][チ]諸悪↠生[リ]テナリ↧内↢法楽↡相応、外[チ]キニ↦三ジヤサハリ↥。

二 Ⅰ ⅻ b 釈明観成益文

^けん此事しじ」 より以下いげかんじょうやくかす。

[ニ][リ]↢「見此事」↡已下[ス]↢観成↡。

二 Ⅰ ⅻ b 釈総結観名文

^是為ぜい」 よりしもそうじてけっす。

[ニ][リ]↢「是為」↡下[ハ]0755ジテ

二 Ⅰ ⅻ b 釈明護念益文

^ろくりょう寿じゅ」 よりしもじょうらい至此ししぎょうにんしょ」 にいたるこのかたは、 まさしくかさねて能観のうかんひとげて、 すなはち弥陀みだとう*三身さんしんねんやくこうむることをかす。

[ニ][リ]↢「無量寿」↡下至[ル]↢「常来至此シシ行人」↡已来[タハ][シク][ス]ゲテ↢能観↡、即[チ]カブルコトヲ↦弥陀等三身↥。

^これすなはちぐんじょうねんとどめて西方さいほう*しょうごんんとがんずれば0447了々りょうりょうにつねにまなこるがごとし。

コレグントドメテ↠念ズレバ↠見[ム]ト↢西方依正二ゴン↡、了了ルガ↡。

二 Ⅰ ⅻ

^じょうらいろっどうありといへども、 ひろかんしをはりぬ。

上来雖[モ]↠有[リト]↢六句不同↡、広[ク]↢普観[ヲ]↡竟[リ]ヌ

二 Ⅰ 【雑想観】
     

【17】^じゅうさん*雑想ざっそうかんのなかにつきて、 またげ、 つぎべんじ、 のちけっす。 すなはちそのじゅういちあり。

十三[ニ][キ]テザフ想観↡、亦先[ゲ]、次、後。即[チ][リ]↢其[ノ]十一↡。

二 Ⅰ ⅼ
        釈告命結勧生後文

^いち仏告ぶつごうなん」 より以下いげは、 まさしく*ごうみょう結勧けっかんしてのちしょうずることをかす。

[ニ][リ]↢「仏告阿難」↡已下[ハ][シク][ス]↢告命結勧シテズルコトヲ↟後

二 Ⅰ ⅼ b 釈明観像想水文

^せん当観とうかんいちじょうろく」 より以下いげは、 まさしく*ぞうかんじてもつて*しんひょうし、 みずおもひてもつてひょうすることをかす。

[ニ][リ]↢「セン当観ヂヤウ六」↡已下[ハ][シク][ス]↢観ジテザフヘウ↠真、想ヒテミヅスルコトヲ↟地

^これはこれ如来にょらいもろもろのしゅじょうおしへてきょうへ、 しんてんじてかんらしめたまふ。 あるいはすいはなうえにましまし、 あるいはほう宝閣ほうかくのうちにましまし、 あるいは宝林ほうりん宝樹ほうじゅもとにましまし、 あるいは宝台ほうだい宝殿ほうでんのなかにましまし、 あるいはくう宝雲ほううんがいのうちにまします。 かくのごときところ一々いちいちしんとどめてこれをおもひて、 みなぶつおもいをなさしむ。 *きょうあひかなひてじょうずることをやすからしめんがためのゆゑなり。

如来教ヘテ↢諸衆生↠境、転ジテ↠心ラシメタマフ↠観。或[イハ][ノ][ノ]↡、或[イハ]↢宝宮・宝カク↡、或[イハ]↢宝林・宝樹↡、或[イハ]↢宝ダイ・宝殿デン↡、或[イハ]↢虚空・宝ウム・華ガイ↡。如[キ]↠是[クノ]一一トドメテ↠心[ヒ]テ↠之サシム↢化仏↡。為メム[ガ]↢機境カナヒテヤスカラズルコト[ヲ]ユヘナリ

二 Ⅰ ⅼ b 釈真観難成文

^さん如先にょせん所説しょせつ」 よりしも心力しんりきしょぎゅう」 にいたるこのかたは、 まさしくきょうだいしんしょうにしてにはかにじょうじゅしがたし。 *しょうしょうして、 すすめてしょうかんぜしむることをいたすことをかす。

[ニ][リ]↢「如セン所説」↡下至[ル]↢「非心力所及」↡已来[タハ][シク][ス]↧境大ニシテニハカガタ↢成就イタスコトヲ使ムルコトヲ↣聖意悲シヤウイタムシテ、勧メテ↢於小↡。

二 Ⅰ ⅼ b 釈明願力得成文

^ねん如来にょらい」 よりしも必得ひっとくじょうじゅ」 にいたるこのかたは、 まさしく凡心ぼんしん狭小きょうしょうにして、 *聖量しょうりょういよいよひろ0448く、 おもいとどむるによしなし。 じょうじゅしがたきことをおそれたまふことをかす。

[ニ][リ]↢「然如来」↡下至[ル]↢「必得成就」↡已来[タハ][シク][ス]ボムケツニシテ、聖量イヨイヨヒロトヾムルニ↠想ヨシオソレタマフコトヲガタキコトヲ↢成就↡。

^これすなはちしょうをもつてのゆゑにじょうじがたきにあらず、 だいによるがゆゑにげんぜざるにあらず。 ただこれ弥陀みだがんおもくして、 *想者そうしゃをしてみなじょうぜしむることをいたす。

アラ↢以[テ]ノ↠小キニ↟成↢由ルガ↠大ルニ↟現弥陀オモクシテ、致使ムルコトヲ↢想者ヲシテ皆成↡。

二 Ⅰ ⅼ b 釈明比校顕勝文

^但想たんそう仏像ぶつぞう」 よりしも0535そく身相しんそう」 にいたるこのかたは、 まさしくきょうして*しょうあらわすことをかす。

[ニ][リ]↢「タン想仏像」↡下至[ル]↢「具足身相」↡已来[タ]ハ[シク][ス]ケウシテスコトヲ

^ぞうおもふすらなほおのづからふくることりょうなり、 いかにいはんや真仏しんぶつかんずるもののやくこうさらにはなはだし。

[フ]スラ↠像ナホ[ル]コト↠福無量ナリ、何ズル↢於真仏↡者0756↠益コウハナハダシ

二 Ⅰ ⅼ b 釈明大小皆真文

^ろく弥陀みだ」 よりしもじょうろくはっしゃく」 にいたるこのかたは、 まさしくよく所観しょかん仏像ぶつぞうかんずるに、 しんだいしょうありといへども、 あきらかにみなこれしんなることをかす。 すなはちそのさんあり。

[ニ][リ]↢「阿弥陀」↡下至[ル]↢「丈六八尺」↡已来[タハ][シク]↧能ズルニ↢所観仏像↡雖↣身リト↢大小↡、明カニ皆是真ナルコトヲ↥。即[チ]↢其[ノ]三↡。

・随意遍周

^いちには弥陀みだ*身通しんつう無礙むげにして、 こころしたがひて*へんしゅうすることをかす。

[ニハ][ス]↢弥陀[ノ]ツウニシテ、随[ヒ]テ↠意遍周ヘンシユスルコトヲ↡。

^にょ」 といふはしゅあり。 いちにはしゅじょうこころのごとし。 かの心念しんねんしたがひてみなおうじてこれを*す。 には弥陀みだこころのごとし。 *げんまどかにらし、 *六通ろくつうざいにして、 すべきものをそなはして、 一念いちねんのうちにぜんなくなく、 身心しんしんひとしくおもむき、 三輪さんりんをもつてかいせしめて、 おのおのやくすることおなじからず。

[フ]↢「如意」↡[リ]↢二種↡。一[ニ]者如↢衆生↡。随[ヒ]テ↢彼心念↡皆応ジテ↠之。二[ニ]者如↢弥陀之意↡。五眼円カニテラ、六通自在ニシテソナハシテ↢機↡、一念之中↠前無↠後、身心ヒトシクオモム、三リム[ヲモテ]セシメテオノオノスルコト不↠同ジカラ也。

・現大小身

^にはあるいは大身だいしんげんじ、 あるいはしょうしんげんずることをかす。

[ニハ][ス]↧或[イハ]↢大身↡、或[イハ][ズル]コトヲ↦小身↥。

・皆作金色

^さんにはしんりょうだいしょうありといへども、 みな真金しんこんいろをなすことをかす。 これすなはちそのじゃ0449しょうさだむ。

[ニハ][ス]↧身量[モ]↠有[リ]ト↢大小↡、皆スコトヲ↦真金↥。[チ]↢其邪正↡也。

二 Ⅰ ⅼ b 釈明光相与真斉文

^しち所現しょげんぎょう」 より以下いげは、 まさしくだいしょうことなることありといへども、 光相こうそうすなはちしんことなることなきことをかす。

[ニ][リ]↢「所現形」↡已下[ハ][シク][ス]↧身[モ]↢大小有[リ]トナルコト、光相即[チ]↠真キコトヲナルコト

二 Ⅰ ⅼ b 釈指同前観文

^はちかんおんさつ」 より以下いげは、 まさしくしてさきかんどうずることをかす。 ぶつだいなれば*しゃまただいなり。 ぶつしょうなればしゃまたしょうなり。

[ニ][リ]↢「観世音菩薩」↡已下[ハ][シク][ス]シテズルコトヲ↢前↡。仏大ナレバ者亦大ナリ。仏小[ナ]レバ者亦小[ナリ]

二 Ⅰ ⅼ b 釈初観二別文

^しゅじょう但観たんかん首相しゅそう」 より以下いげは、 まさしくすすめてべつなることをかんぜしむることをかす。 いかんがべつなる。 観音かんのんしゅうえにはいちちたまへる*ぶつましまし、 せいしゅうえにはいちほうびょうあり。

[ニ][リ]↢「衆生タンシユ相」↡已下[ハ][シク][ス]↣勧メテゼシムルコトヲ↢二別[ナルコト]ヲ↡。云何二別[ナル]。観音シユニハ↢一[チ]タマヘル化仏↡、勢シユ之上ニハ↢一ビヤウ↡。

二 Ⅰ ⅼ b 釈明二士助化文

^じゅうさつ」 より以下いげは、 まさしく弥陀みだ観音かんのんせいとう宿しゅくがんえんおもく、 ちかいおなじくして、 あくててひとしくだいいたるまで、 *影響ようこうのごとくあひしたがひて*ほうやくすることをかす。

[ニ][リ]↢「此二菩薩」↡已下[ハ][シク][ス]↧弥陀・観音・勢志等宿シウ[ノ]オモチカヒ[ジ]クシテテ[テ]↠悪シクルマデ↢菩提↡、ヤウカゲ カウ ヒヾキノゴトクヒ[テ]方化益スルコトヲ↥。

二 Ⅰ ⅼ b 釈総結観名文

^じゅういち是為ぜい」 よりしもそうじてけっす。

十一[ニ][リ]↢「是為」↡下ジテ

二 Ⅰ ⅼ

^じょうらいじゅういっどうありといへども、 ひろ雑想ざっそうかんしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢十一句不同↡、広[ク]ザフ想観↡竟[リヌ]

総結
    結酬請義

 ^かみ0536日観にっかんよりしも雑想ざっそうかんいたるこのかたは、 そうじてそんさきだいだいしょうに、 「きょうゆいしょうじゅ」 といへるりょうこたへたまふことをかす。

↢日観↡下至[ル]↢雑想観↡已来[タハ]ソウジテ↧世尊答ヘタマフコトヲ韋提ダイ、云[ヘル]↢「教我0757ユイ正受」↡リヤウ↥。

二 Ⅱ 総讃結示

【18】^そうじてさんじていはく、

ジテサンジテ

^はじめに日観にっかんおしへて昏闇こんあんのぞかしめ、 みずおもひてこおりとなして内心ないしんきよむ。
地下じげ*金幢こんどうあひ*映発ようほつし、 じょうしょうごん億万おくまんじゅうなり。

ヘテ↢日観ノゾカシメコンクラシヤミヒテ↠水シテコホリキヨナイ
地下ヂゲ金幢映発エイホチ地上荘厳億万ヂウナリ

^0450宝雲ほううん宝蓋ほうがいくうのぞみててんじ、 人天にんでん音楽おんがくたがひにあひげり。
宝樹ほうじゅようれてこのみ間雑けんぞうし、 いけ*徳水とくすいながしてはなのなかにそそぐ。

ウム・宝ガイノゾミテ↠空テム人天音楽オムガクタガヒゲリ
宝樹レテ間↢雑イケナガシテ↢徳水ソヽハナ

^宝楼ほうろう宝閣ほうかくみなあひせっし、 光々こうこうあひらしてひとしくしてかげなし。
*さんひとりはるかにしゅえ、 *どう*まんけて*網珠もうじゅつらなれり。

ロウ・宝カクセウミチビク光光テラシテシクシテ
三華ヒトハルカニ↢衆四幢ケテマン網珠マウシユツラナレリ

^*稟識ほんじきしんまよひてなほいまださとらず、 しんとどぞうかんずるに、 しずかにかしこにしたまふ。
一念いちねんしんひらけて真仏しんぶつたてまつる。 身光しんこう相好そうごううたたいよいよおおし。

ホン[ノ]マドヒテナヲサト↠心ズルニザウシヅカシタマフ
一念心開ケテ[タテマツ]ル↢真仏身光相好ウタイヨイヨ

^すくひたまふ観音かんのん法界ほうかいえんじ、 ときとしてへんじてしゃらざるはなし。
せいこうよく震動しんどうし、 えんしたがひて照摂しょうしょうして弥陀みだせしむ。

スクヒタマフ観音縁↢法界↤時トシテルハヘンジテ↢娑婆
威光能震動[ヒ]テ↠縁照摂セウセフシテセシム↢弥陀

^帰去来いざいなん極楽ごくらくやすんずるにじつにこれしょうなり。
しょうねん西にししてはなふくむとおもへ。 ぶつしょうごんたてまつるに説法せっぽうこえあり。

帰去来 イザイナム 極楽ズルニ↠身セイナリ
正念西クヰシテハナフクムトタテマツルニ↢仏荘厳↡説法アリ

^またしゅじょうありてしん*わくたいして、 しん上境じょうきょうえんずるにじょうじがたきことをおそれて、
如来にょらい*漸観ぜんかんひらかしむることをいたす。 華池けち*じょうろくとうこんぎょう

マタ[リ]テ↢衆生↡心タイシテワクズルニ↢真上境レテガタキコトヲ↠成
使ムルコトヲ↣如来開↢漸観[ノ]丈六等[ノ]金形

^*変現へんげんりょうだいしょうありといへども、 もの時宜じぎおうじてじょうす。
0451あまねく*どうしょうしきとうすすむ。 専心せんしん念仏ねんぶつして西にしかひてかたむけ。

変現レイ↢大小アリトジテモノ時宜ジギ↡度↢有ジヤウ
スヽ↢同生知識等専心念仏シテムカ[ヒ]テ↠西カタブ

二 Ⅱ 重結定善

【19】^またさきしょうのなかにつきて、 はじ日観にっかんよりしも華座けざかんいたるこのかたはそうじてほうかし、 像観ぞうかんよりしも雑想ざっそうかんいたるこのかたはそうじてしょうぼうかす。

又就[キ]テ↢前↡、ハジ↢日観↡下至↢華↡已来[タ]ハ、総ジテ↢依報↡、二[ニ]ザウ観↡下至[ル]↢雑想観↡已来[タ]ハ、総ジテ[ス]↢正報↡。

^じょうらいしょうほうどうありといへども、 ひろじょうぜんいち0537もんかしをはりぬ。

上来[モ]↠有[リ]ト↢依正二報不同↡、広[ク]↢定善一門↡竟[リ]ヌ

かんぎょうじょうぜん かん第三だいさん

 

延書の底本は高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
正宗 正宗しょうしゅうぶんのこと。
十六 じょうぜん十三観、 散善さんぜん三観の計十六観をいう。
諸師 じょうようおん (523-592)、 天台てんだい大師智顗ちぎ (538-597)、 嘉祥かじょう大師吉蔵きちぞう (549-623) などを指す。
日観 日想にっそうかんの略。
先づ挙げ… まず観の名を挙げ、 次に解釈し、 終りに文を結ぶ。 善導ぜんどう大師は定善十三観のすべてにこの三科があるとする。
正受の行 三昧さんまいを得るための行法で、 ここでは定善の行法のこと。
ただ機縁… (定善の行法だけでは) 教えを受けるべき者のすべてをおさめ尽すことができないので。
三福の因 往生の因であるところの散善さんぜん三福さんぷくの行。
未聞の益 いままでに聞いたことのないすぐれたやく
流通を勧発し 教えの伝持流布を勧め。
境縁 外界に認識知覚される対象のこと。
縁を捨て静に託する 心を乱す境縁を離れて、 静かなところに安んずること。
余の九域 東・南・北・東南・西南・西北・東北・上・下の九つの方角。
正受を得 三昧さんまいを成就すること。
得生の類 往生浄土を得る機類。
機の堪と不堪とを簡ぶ 行者が行ずるにえるか堪えないかを区別するという意。
 西方。
跏趺正坐 けっ趺坐ふざに同じ。
湛然凝住 いささかの動揺もなく、 静かにとどまっているさま。
利根のもの 素質能力のすぐれた者。
朗然として… あきらかに照らすことができない。
漸除 (ごっしょうを) 漸次に滅除すること。
頓滅 (業障を) すみやかに滅除すること。
上根上行の人 高度の行を修める根機のすぐれた人。 →こん
身の威儀を正し けっ趺坐ふざし。
身心内外融液して 身 (外) と心 (内) とがとけあって、 安楽になることをいう。
上心の貪取 禅定ぜんじょう心の中のむさぼりの心。
増上の貪心 「上心の貪取」 に同じ。
心境相応す 観ずる心と観の対象とが完全に合致する。
娑婆の闇宅 しゃ世界をみょうの闇におおわれた家に喩えていう。
水観 水想すいそうかんの略。
業相 ごっしょう軽重の相。
瑠璃の地 青色の宝石でできた大地。
 かたより。
地輪 大地の意。
住身の威儀 身をたもつ作法。 跏趺かふしょうの作法。
失意異縁 他事に心を移してしょうねんを失うこと。
能縁の心 行者の観ずる心。
所縁の境 観によって現れるところの境界。
細想・粗想 心の動きの微細なものと粗雑なもの。
細塵・粗塵 しきしょうこうそくほうの六塵 (六境) によって生じる心の乱れの微細なものと粗雑なもの。
 浄土の大地を支える宝でできた柱。
方楞具足して 方は側面、 楞は角の意。 ¬観経¼ に 「八方八楞具足」 とあるのをうける。 宝幢が八角柱の形をなしているということ。
新往のもの 新たに浄土に往生した者。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬ほう事讃じさん¼ ¬般舟讃はんじゅさん¼ にみられる。
寂静無為の楽 煩悩ぼんのうを滅し尽した生滅変化のない絶対のさとりの世界。 浄土のこと。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬ほう事讃じさん¼ ¬礼讃らいさん¼ ¬般舟讃はんじゅさん¼ にみられる。
依持円浄 地と地上のしょうごんとが相離れずまどかに成立しているさまを依 (能依・所依) と持 (能持・所持) の観点からいうもの。 十八円浄の一。
能依 依るもの。
所依 依られるもの。
能持 保持するもの。
所持 保持されるもの。
因行周備 いんの修行が完全無欠であること。
雑色玲瓏 種々の色彩が美しく光り輝くさま。
 母の胎内。
法侶 ここでは浄土の聖者のこと。
総雑して… すべてを一緒にまじえて観じてはならない。
正受相応 観ずる心と観の対象とが完全に合致した状態をいう。
流通を勧発して 教えの伝持流布を勧めて。
簡び 区別して。
有縁 (往生浄土の教えに) 縁ある人々。
もし人浄土の… 引用文と同様の義は ¬大阿弥陀経¼ (下) および ¬大経¼ にみられる。
iv>
法侶 仏法のなかま。 ここは浄土の聖者のこと。
儀則 (観想の) 方法のこと。
七重… 七重は元来、 七列の意。 善導ぜんどう大師はこれを根・茎・枝・条・葉・華・菓の七が具足していることと解釈する。
行々整直… 規則正しく並んで乱れがない。
真観 真実の観法。 三昧さんまいを成就した観法。
仮想 真観に対し、 三昧成就以前の思惟分別をはたらかせる段階の観法。
雑樹雑厳雑飾 ここでの雑は種々様々の意。 種々の樹が様々にかざられているさま。
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬はん舟讃じゅさん¼ にみられる。
宝雲蓋を含み 宝の雲が (宝樹の上を) 蓋のようにおおって。
他方の聖衆 他方の世界より来訪した菩薩衆。
本国の能人 極楽に往生する人々 (菩薩衆) のこと。
法蔵の因 法蔵ほうぞうさついんの誓願。
天の瓔珞 諸天が身に着けている瓔珞 (宝玉をつらねた装身具)。
三千の界 三千さんぜん大千だいせんかいのこと。
依正の二厳 しょうほうの荘厳。
 宝樹の上空にひろがる真珠の網。
 宮殿。
殿 宮殿。
所帰の国を… 帰するところの国土 (の名) を挙げて示す。
八種の徳 →はっどくすい
色入の摂 視覚におさまるという意。
香入の摂 臭覚におさまるという意。
触入の摂 触覚におさまるという意。
味入の摂 味覚におさまるという意。
法入の摂 意識におさまるという意。
弥陀義 ¬弥陀みだきょう¼ のこと。
讃にいはく この讃文は ¬弥陀経義¼ によったものか。
宝楽 宝網より流れ出る音楽。
宝宮楼 宝でできた宮殿・楼閣ろうかく
 支流のこと。
 渠は支流の意。 宝池より流れ出る支流。
摩尼の宝水 摩尼まに珠より流れ出る水。 如意水のこと。
人天等の法 かいじゅうぜんなどの教え。
二乗等の法 たい十二じゅうにいんねん等の教え。
地前地上等の法 しょ以前、 初地以上の菩薩の教え。 ろっ波羅ぱらみつ等の教え。
仏地三身等の法 仏の境界であるところの三身 (ほっしん報身ほうじん応身おうじん) 等の教え。
念仏法僧 仏法僧の三宝を憶念すること。
五乗の依果 五乗は人・天・しょうもん縁覚えんがく・菩薩のこと。 依果は業によって報われた環境世界。
八味の水 はっどくすいのこと。
宝楽 空中の音楽。
楽に識なし 楽器には意識 (こころ) がないという意。
 はたらき。
勅聴許説 (なんだいに) 聴くことを命じ、 (苦悩を除く法を) 説くに至るという意。
二人 阿難と韋提希を指す。
流通を勧発し 教えの伝持流布を勧め。
 (だいの) 心情。
二尊の許応 釈迦仏の許説と阿弥陀仏の応現。
隠顕 ここでは、 一仏が隠れ退き、 他仏が顕れるという意。
器朴 器は完成したうつわ、 朴は未完成のうつわ。 人の素質能力に利鈍があるということの喩え。
 一般にしゅじょう、 人間のこと。 ここではだいを指す。
業繋の牢 悪業によってつなぎとめられた牢獄のようなこの世界のこと。
立ちながら… →立撮りっさつそくぎょう
三尊 阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩。
垢凡の女質 →補註10
 しょう法忍ぼうにんのこと。
総告許説 総じて告げて許して説く。
逗ず 対応する。 「逗」 は目標に合うように与えるの意。
悉す 知り尽す、 見定めるという意。
正受三昧 観ずる心と観の対象とが完全に合致した観想の境地。
四柱の宝幢 蓮華台の四方にある宝でできた柱。
葉々 蓮華のはなびら。
四幢 四柱の宝幢のこと。
天宮 夜摩やまてんの宮殿。
華座得成の所由 華座成就のりどころ。 ¬観経¼ には、 それを 「法蔵比丘びくの願力の所成しょじょうなり」 と説いている。
観の儀 観察かんざつの作法、 方法。
四幢 四柱の宝幢のこと。 れんだいの四方にある宝でできた柱。
悲智の果円かなること 慈悲と智慧ちえよりなる仏果の徳が欠けるところなくそなわっていること。
端身一坐にして 一処に姿勢をととのえてすわったままで。
無方 自由自在であること。
所化の境 教化を受ける境界。
能化の身 教化を行う身体。
無礙智 なにものにもさまたげられることのない円満自在の智慧ちえ
仏解をなし 仏のすがたを心に思いうかべる意。
頂相 無見頂相。 頂上ちょうじょう (成) 肉髻相にくけいそうのこと。
千輪の相 千輻輪相せんぷくりんそうの略。
仏相 仏のさんじゅうそうのこと。 →相好そうごう
衆好 はちじゅう衆好しゅこうのこと。 →相好そうごう
円満無障礙智 円満で無礙自在の智慧ちえ
唯識法身の観 阿弥陀仏の法身が、 自己の識を離れて、 他に存在しないと観ずること。
自性清浄仏性の観 しゅじょうが本来具する仏性は、 煩悩ぼんのうの泥中にあっても、 けがれることなく本質的に清浄であると観ずること。 ここでは、 自性清浄なる自己の仏性を観ずることを阿弥陀仏を観ずることとする説のこと。
真如法界の身 しき無形むぎょう真如しんにょほっしょうの法身。
観門 観察かんざつの法門。 じょうぜん観のこと。
方を指し相を立て →ほう立相りっそう
かの仏 阿弥陀仏。
千輪 千輻輪相せんぷくりんそうの略。
二菩薩観 觀音・勢至を観ずること。
三身観 阿弥陀仏・觀音・勢至を観ずること。
多身観 極楽浄土に遍満する無数の三身を観ずること。
別相 仏身の一部分のすがた。 総相に対す。
有縁 念仏のしゅじょうを指していう。
摂益 摂取せっしゅしゃやくのこと。
諸邪業繋 種々のよこしまな業の障り。
凡境 ぼんの知り得る境界。
能修観の人 観察かんざつを行い得る人。
総雑して… すべてを一緒にまじえて観ずることはできない。
真形量遠くして 阿弥陀仏の真身の量ははなはだ大きいという意。 ¬観経¼ にはその真身を、 六十万億那由なゆごうしゃじゅんと説く。
毫五山のごとし ¬観経¼ に阿弥陀仏の真身のびゃくごうが 「五つのしゅせんのごとし」 と説いていることをうけたもの。
震響 阿弥陀仏の説法の響き。
本弘 ほんぜいがんの略。 阿弥陀仏がいんにおいて弘く一切の衆生を救おうと誓われた願。
天冠のうちの化仏 觀音の頭上の冠にいただく弥陀の立化仏りゅうけぶつ
光瓔 光り輝く瓔珞ようらく
印文 印となる文様。
師徒 師は阿弥陀仏、 徒 (弟子) は觀音を指す。
二相 頂上の肉髻にくけいの相と見頂相けんちょうそうのこと。
両益 現世と来世の二世のやく
悕心渇仰して のどの渇いた人が水を求めるように願い求めて。
体用 体は本体、 用ははたらきのこと。
天冠の… 觀音の天冠には弥陀の立化仏りゅうけぶつ、 勢至の天冠には宝華があり、 肉髻の上に宝瓶ほうびょうがあると ¬観経¼ には説かれている。
所宜に応ず こん (素質能力) に相応する。
地前・地上 菩薩の修道階位のうち、 しょ以前を地前、 それ以上を地上という。
下智証・上智証 下智証は十地のうちの七地以下の位、 上智証はそれ以上の位をいう。 →十地じゅうじ
分段の生滅 分段ぶんだんしょうのこと。
 しゅじょうのこと。
自往生の想・自生の想 みずからが往生する想い。
三邪の障 しん口意くいの三業の悪の障りのこと。
三身 阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩を指す。
依正二厳 しょう二報にほうの荘厳。
告命結勧 (なんだいに) 告げて、 (じょうぜん十三観を) 結び勧めること。
 像身。 一丈六尺の阿弥陀仏の像。
 真身。
機境 行者のこん (素質能力) と観察かんざつの対象のこと。
聖量 仏身の量をいう。
度す さいする。 迷いの世界 (此岸) のしゅじょうをさとりの世界 (彼岸) にわたすこと。
想者 観察かんざつの行者。
 勝益しょうやく。 すぐれたやく
身通無礙 仏身の神通じんずうが自在であること。
遍周 あまねく出現するという意。
侍者 常に仏に随侍ずいじする者。 脇士きょうじに同じ。 阿弥陀仏の脇士は觀音・勢至である。
化仏 阿弥陀仏の化仏。
影響 かげひびきのこと。
遊方化益 十方の世界を訪れて、 教化利益を施すこと。
 幔幕。
網珠 珠網に同じ。 宝珠をちりばめた飾りあみ。
漸観 順序を立てて次第に観察かんざつする方法のこと。
丈六 一丈六尺の仏像のこと。 一丈六尺は人間の身長八尺 (周尺) の倍量。
変現の霊儀 現れ出るところの尊いすがた。
底本は◎高田派専修寺蔵鎌倉時代刊本[ただし訓は○浄聖全三巻の宗祖加点本と全同ではなく大幅に標準化されているため、 相違を†、 加を‡、 減を [ ] で示した]。 Ⓐ大谷大学蔵鎌倉時代刊本、 Ⓑ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 ª全部対校º 辯→Ⓒ辨
→Ⓑ
→Ⓑ
→Ⓒ
玲瓏→ⒶⒷⒸ朎朧
→Ⓒ
→ⒶⒷⒸ
→◎Ⓐ
→ⒷⒸ
→Ⓑ
→Ⓒ
→Ⓑ
→Ⓒ
→Ⓒ
→◎Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓒ
 ◎ⒶⒷになし
 ◎ⒶⒷになし
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
→○[カヘ][リ]テ
→○カヘ[リ]テ
不↠同ジカラ→○不同ナリ
メバ→○
↢総ジテジテムルコトヲ↡。→○↠総ジテ。告↢総ジテ[ム]ルコトヲ↡、
→○タヾ
→○
→○ケレバ
シク→○ハナハダシク
↠貪→○↠貪
↠想。安ズルコト↢心三昧→○乱想安心三昧
ケム→○
ザル→○
→○
→○
ナリ
→○クヰヤウサカイ
此世→○
ト云
[ト]云
スル→○セム
使↧…生↢…↡遣↦除…↥→○使メテ↣…生↢…↡↠除[カ]↢…↡
シタマフ→○
→○セム
→○
サシムル→○
ナリ→○
→○リシ
及↢至 イタ リテ…↡→○↢至[リ]テ…↡
→○
→○
→○
直西→○タヾチ西
→○スル
→○
…。→○[リ]テ…、
→○
鼻中→○ハナ
気道→○イキ
メヨ↠観↣…四大…無シト↢一物↡。→○↠観↢…四大。…クシテ↢一物↡、
→○
→○
→○サイノゾコル
→○サイ
。身之風大→○↢身之フウ↡。
。身之火大→○↢身之火大↡。
皆空→○カイ
→○ナホ
→○
↢明相現前スルヲ→○明相現ゼン
鏡面→○
↢黒雲フルガ↟日→○クシテ↢黒雲↠日
↢黄雲フルガ↟日→○[ク]シテ↢黄雲↡障[フ]↠日
如↢似 ゴト 白雲フルガ↟日→○如↢似 ゴト クシテ白雲↡障[フ]↠日[ヲ]
フル→○ヘタル
ムル→○メム
→○
→○
↠造→○ザウ
→○
→○トホ
→○
シテ
→○
→○
ラバ→○サトリナバ
スレバ→○サトリヌレバ
メムト↧…識↦知…相…百千万倍ナルコトヲ→○メムト↣…識↢知[セ]…相↡。…百千万倍ナリ
→○
↠識…者→○サト
クシテ
定中→○
→○オサ
→○
スルコト
ニシテ→○ナルハ
カラ→○アン
↠本→○シタガ[ヒ]テ↠本[ニ]
セバ→○
ラバ→○ムナバ
↠此→○一↢同ナリ
ジテ→○ルニ
ルハ→○レバ
ズル→○
ヘテゼシムルハ↠日→○[フ]ルハ↠観ゼヨト↠日
ラシメム→○ラム
ヘテゼシムルハ↠水→○↠観ゼヨト↠水
→○
→○[ラ]クハ
→○タヾ
カナリ→○[カ]ニ
アリテ→○ニシテ
↧無↢高下↡之処アラ↥。→○↢高下↡之
→○モノ
…也→○スル…也
…也→○スルナリ
→○マタ
ズル→○[ジ]カラム
クシテ→○
ストイハバ…者→○
ムル→○メム
↢…↡→○一↢同ナリ…↡
セバ…者→○オモ
→○
→○
→○
ルトキ↠住マラ→○ヂユ
→○
スコト↠観→○ルコト
↠須↠取ルヲ→○レバカラ↠取
不↠須↠妨グルヲ→○↠須カラサマタ
→○
→○
白処→○シロ[キ]
失意→○シツ↠意
マル→○スル
→○ベイ
水波→○ナミ
→○オゴ
…也→○フルナリ
心水→○自心
→○ソク
ムル→○セシムル
ケレバ→○
→○レバ
→○スナワ
…也→○ナリ
→○ナリ
セル→○スル
→○ヘウスル
→○ト云
ジテ→○
ニシテ
→○ミヤコ
→○
ナルコト→○シユ
帰去来イザイナム→○カヘリナム去来 イザヤ
ノミ
ナルコト
→○ソラ
飛通シテ→○トバシテ↠通
ミテ↠輝→○ガムジテフクム ヒカリ
ノゴトクシテ
→○
→○メラル
…、状→○セルカタチ
セリ…。→○…、
各各→○各各カクカク
余宝→○
→○
→○ウテナ ダイ
↧…出↢…↡、…為スコトヲ↦荘厳合成→○↣出スコトヲ↢…↡。…セリ↢荘厳合成スルコトヲ
→○ユウアガリ
→○
レトイフコトヲ↞得→○ルコト[ヲ]シメ
→○トム
クナラシム→○
スル→○ムカヘル
→○ブニ
…欲シテ↠…苦等↡、…説ケトイフコトヲ→○[ス]…欲[ス]ルコトヲ↞…苦等↡。…
レバ…者→○シメタレバ
→○マコト
ザレバ↠欲スルニハ↤直令メムト↣…↢…↡→○タヾチメムトハ↣…↢…↡
テテ→○[ツ]レバ
メタマフ→○
→○
…。→○…、
ニシ
レドモ→○[ル]トモ
ナルハ→○ニスルハ
↠此→○為↠此
→○
→○マクノミ
マハ
カク→○
メシム→○セシムル
捨身已後→○↠身
スルコト↠因→○イム
レトイフ→○
…。→○レバ…、
ケリ→○イツ
→○トヲ
サム→○
→○セル
…者、…者↥→○モノ↥、…アリ
…也→○クルナリ
→○ウヘキ
→○
→○
無漏心中→○
セルコト→○ニシテ
ルトナラバ→○シカルトナラ
…。→○…、
スル→○セル
ニシテ→○ナリ
カス→○テラ
→○コエダ
→○
ヘル→○
→○ウエキ
↢…光照遠近→○[ス]↣…光テラスコトヲ↢遠近
↣光超エタルコトヲ↢上色→○[ス]↢光テウイロナルコトヲ
↧…無↢雑乱↡、…不ルコトヲ↦…→○[ス]↣…キコトヲ↢雑乱↡、…↢…[デ]
ヨリ→○
→○ラム
→○サト
シトイフ→○クナル
↢…妙華↡、色→○↢…妙華シキ↡、
カタチフルコトヲ→○↦喩[フル]コトヲ
宝菓→○コノミ
→○ズル
ルハ→○ト云コト
所有→○所有
→○
レトイフ→○
↧…住メテ↠…、…無キコトヲ↞不ルハ→○↢…住スルコトヲ↟…。…無ト云コト…
→○
…、→○…。
ズル…者→○ズレ
→○
網簾殿アリ→○マウアミスグレタリ殿
↢千色→○↢千色
→○
→○
クセ→○カラ
デテ→○[ヅ]レバ
ウマ→○
セル
→○ヤウヤ
→○ソラ
メリ→○メグ
→○レタリ
→○
捨命シテ→○テヽ↠命
ゼム→○[ゼ]シム
→○シタヽリ
摩尼宝水→○摩尼マニミヅ
↠礙、故→○ナルガ
…出↢妙声↡、…説クコトヲ仏地三身等→○[ス]…出[ス]コトヲ↦妙声↥。…説仏地三身等[ヲ]
ルルニ→○レテ
リテ→○アガ
→○
→○イム
…。→○…、
ナラシム→○ナリ
→○タヾチ
→○
→○
↢宝楼住処↡。地界遍スレバ↢於彼↡、楼亦無窮→○[ス]↧宝楼住処、地界ヘンシテ↢彼↡、ロウ亦無グウナルコトヲ
→○
…、→○…。
↢自事→○
↢「此想成已」↡下→○従↢「此想成ト云」↡已下
シテ↠念→○コクシテ
リハ↢「若見此者」↡→○[リハ]↢「若見此[ト]云」↡
カナ→○ジテ
捨身シテ→○テヽ↠身
シテカシメ→○勅聴シテ
コル→○
シタマフ→○スル
ニシテ→○ナリ
カニ→○キウ
常没↡、衆生→○スク常没衆生↡、
シメ→○
ラシメヨトイフ→○
メシメ→○ムル
→○コヽロ
影臨シタマフ→○カゲノゾ
直以 タダ 隠顕ルハ↠殊ナルコト→○タヾチ[テ]隠顕[ル]コトヲシユ
↢…現、証シタマフコトヲ↟得ルコトヲ↢…↡→○[ス]↣…現ジ下ヘバ証↢得スルコトヲ…↡
↧…得ルコトヲ↞…→○[ス]…得↠…
シタマフ→○チ下ヘル
但使 タダ →○但使 タヾシ
→○
来応セル大悲者ナレバ→○キタ[リ]テ↢大悲
シテ→○シテ
→○
ミテ→○ムニ
リナム→○ラム
…也→○…也
↢…不↠…、…得ルコトヲ↟…→○↢…ルコトヲ↟…。…↠…
ミテ→○ムデ
フル→○ユル
→○チム
→○モム
ルモ→○タリ
↢弥陀↡、仏→○↢弥陀仏↡、
→○
総告許説→○ジテユル↠説
酬答→○酬答 コタ 
→○ラム
ミテ→○ムデ
→○シ下
ゼム↣別シテシテ而不ルコトヲ↢…↡→○ロンジテベツシテスコトヲ↡而ラム↢…↡
。兼ネテニスル→○ネテニスルコト
→○
↠教フルコトヲ↢観方便→○[ス]↢教フル↠観方便
ヒテ↠想→○シタガヒテ↠想
→○シツ
マバ→○ムレバ
セム→○シナム
メバ↢…→○
シテ↠心→○至心
…。→○…、
某甲ソレガシ→○カウソレガシ
障隔→○サハリヘダテヽ
→○トコロ
指授開悟セシメテ、所観之境→○ジユ開↣セシメテ所観
↢不見↡→○トヲ
→○
→○トシテ
宝地雑色分明ナルヲ→○宝地↡、雑色ザフシキ分明ナリ
ナホ→○ナホシ
ナレバ…者→○ナレ
ヒテ↠波→○シタガヒテナミノゴトクニ
猶有ルガ↢知覚↡故→○ゴト↠有[ル]ガ覚↡、故
↢想見ルニスコトヲ↢比校→○↢想見↡、ムヤスコトヲケウ
→○
→○スヂ
メテ↢行者ヲシテメテ↠心一一↟之→○↢行者↡住セシメテ↠心一一ヘバ↠之
…、→○ウベシ…。
→○セシメ
→○
↣珠ルコトヲ↢千光↡→○[ス]↢珠有千光
幢上→○ウヘ
→○
↠前ズルコトヲ↟後→○[ス]結前ケチゼン
→○モン
所↢以…者→○所↢以 ユヘ …者
→○スベカベ ラクキ 
→○ズル
→○
↠二→○無二ナリ
→○サト
、即→○リ下ヘリ↢即[ク]↡。
トシテ→○シテ
ジタマフ→○
→○
ズルハ↠相→○エムスレバ
↠作→○ナリ
→○
ケレバ…者→○
↧…リタマヘリ法界之心↡、…似↦如 ゴト シトイフコトヲズルガ→○[ス]↧…リ下ヘルコトヲ法界之心↥。…似タリ↠如クニ↠生ズルガ
ヒテ→○
→○
無色ニシテ→○↠色
→○ヘタリ
コト
ジテ→○ベテ
スル→○セシムル
→○
ツル→○テム
↣如↠前所益、専注スレバ、…ゼシムルコトヲ→○[ス]↧如↢前所益↡、専注シテズレバ、…ゼシムルコトヲ
↧…見ルコト↢…↡、ゴトク↠現ズル↢…↡…作セトイフコトヲ↦…↥→○↣…見ルコトヲ↢…↡、タリ↠現ズルニ↢…↡。…↢…↡
↧…観ズレバ…、…須…、…想↢前華座↡、想ヘトイフコトヲ↦…坐シタマフト→○[ス]↢…観…、…キコトヲ…。…想、前華座↢…坐[シ]下コトヲ
→○
面眉毫相→○面眉毫相
キテ→○ヌキイ
→○
→○
↢…→○、…
→○
→○フル
→○
→○
セバ→○ハヾ
ヌレバ→○ヌレ
ラカ→○サト
「見此」↡已→○「見此ト云」↡
スル…者→○
→○
スル→○ワスルヽ
スレバ↠観→○修観シテ
スルコト
念仏ノミ→○念仏者
礼↢敬スレバ→○スレバ↠敬[ヒ]↠仏
スレバ…者→○スレ
→○
ブレバ…者→○ブレ
→○セリ
ジテ↢…↡→○専↢念シテ…↡
ズル→○ルヽ
セリ→○
スル…者→○
タテマツラ→○
→○
→○イハ
シタマフ→○スル
→○
能修観→○能修観人
レバ…者→○ツレ
→○
↢…ルコトヲ↟同ジカラ→○↢…不同ナルコトヲ
↧肉髻与↢仏螺髻↡不ルコトヲ↞同ジカラ→○[ス]ニク螺髻ラケ不同ナルコトヲ
セル→○身服
シタマフ→○スル
→○
↠勧ムルコトヲ↢観利益→○スヽムル↠観利益
→○
影↢現…↡→○カゲ↢…↡
シタマフ→○スルコトヲ
→○シク
↢光照遠近→○[ス]テラスコトヲ↢遠近
照↢益…↡、等シク→○照↢益スル…↡ヒトシ
↢他方→○ニシテ
与↢勢志↡宿業→○↢勢宿業シウゴフ
レバ→○ルハ
ズル→○ゼム
↧…不ルコトヲ↞同ジカラ→○↧…不同ナルコトヲ
冠上→○カブリ
シテ↢…↡→○シテドウ…↡
→○ジ下ニ
↣…、多クノ瑩飾…スルコトヲ極楽荘厳→○[ス]↧…、多クシテ↢諸ケイミガキシヨクカザル↡…スルコトヲ極楽荘厳
→○マタ
ヘルスト↠苦→○ヘルスト↢苦シヤ
→○ニハ
→○ムヌ
サム→○
「此観成」↡已下→○「此観成已」↡下
シタマフ→○スル
ガシ→○ウゴカシ
使↢…雲集シテ、…利↟…。→○使↢…雲集↡、…利↠…、
→○
→○
自生→○ズル
光照→○スコト
↢「見此事」↡已→○↢「見此事ト云」↡
トド→○セシメ
↠境→○キヤウ
ラシメタマフ↠観→○入観シ下
→○
→○[リ]
→○[リ]
サシム→○
ズル→○
→○チヰサ
↢由ルガ↠大ルニ↟現→○ルガ↠大↠現
→○タルコト
↧能ズルニ↢所観仏像↡…、明カニ…↥→○[ス]↢能観↡、所観仏像…、明[ス]↢…↡
→○シ下
ソナハシ→○
セシメ→○
不↠同ジカラ→○不同ナリ
…也→○ムルナリ
ナルコト→○
ズル→○ジキ
ルマデ→○[リ]テ
ノゴトク→○シテ
スル→○シ下
↧世尊答ヘタマフコトヲ↦…↥→○、世尊答ヘ下フ↧…↥
→○シヤウジテ
→○タマ
間↢雑→○マジマジコノミ
→○クモリ
タリ
ズルニ→○
シタマフ→○セシム
→○
ヒタマフ→○
ルハ→○ト云コト
セシム→○
帰去来 イザイナム →○帰↢去カヘンナム来↡ イザハヤ
ズルニ→○ヤスクス…、
→○マコト
ムト→○フクムデオモヘバ
タテマツルニ↢仏荘厳↡説法→○↢仏↡荘厳説法
レテ→○オソラクハ
→○カラム
ムル→○メ下
アリ→○ナリ