0934おうじょうようしゅう かんちゅう *じん第六だいろくべつ念仏ねんぶつもん

天台てんだい*しゅりょうごんいん沙門しゃもん*源信げんしんせん

二 Ⅳ ⅱ 観察門

【42】^だい観察かんざつもんとは、 初心しょしんかんぎょう深奥じんおうへず。 ¬*十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ (意) にいふがごとし。 「*新発しんぽっさつぶつ色相しきそうねんず」 と。 また*しょきょうのなかに、 初心しょしんにんのためには、 おお相好そうごうどくけり。 このゆゑにいままさに色相しきそうかんしゅすべし。

1095観察門者、初心観行不↠堪↢深奥↡。如↢¬十住毘婆¼云フガ↡。「新発意菩薩ズト↢仏↡。」又諸経、為↢初心↡多ケリ↢相好功徳↡。是今当↠修↢色相↡。

^これをわかちてさんとなす。 いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり*ぎょうしたがひてこれをもちゐるべし。

チテ↠三。一ニハ別相観、二ニハ相観、三ニハ雑略観ナリ。随ヒテ↢意楽↡応↠用ヰル↠之

・別相観

【43】^はじめに*別相べっそうかんとは、 またあり。

別相観者、亦有↠二。

・別相観 ・華座

^*華座けざかんず。

↢花座↡。

^¬*かんぎょう¼ にのたまはく、 「かのぶつかんぜんとおもはば、 まさに想念そうねんおこすべし。 七宝しっぽううえにおいてれんおもいをなし、 そのれん一々いちいちようをしてひゃっぽうしき ˆありとのおもいˇ をなさしめよ。 ˆそのようにˇ 八万はちまんせんみゃくありて、 なほてんのごとし。 みゃく八万はちまんせんひかりあり。 了々りょうりょうぶんみょうにして、 みなることをしめよ。

¬観経¼云、「欲ハバ↠観ゼムト↢彼↡者、当↧起シテ↢想念↢七宝↡作↦蓮花↥。メヨ↣其蓮花一々ヲシテ↢百宝色↡。有リテ↢八万四千脈↡、猶如↢天↡。脈↢八万四千光↡。了々分明ニシテ皆令メヨ↠得↠見ルコトヲ

^ようちいさきものは、 じゅうこうひゃくじゅうじゅんなり。 かくのごときはな八万はちまんせんようあり。 一々いちいちようのあひだに0935ひゃくおく摩尼まに珠王しゅおうありて、 もつて映飾ようじきとなせり。 一々いちいち摩尼まにしゅは、 せんこうみょうはなつ。 そのひかり ˆてんˇ がいのごとくして、 七宝しっぽうごうじょうして、 あまねくうえけり。

花葉縦広二百五十由旬ナリ。如↠是クノ↢八万四千葉↡。一々リテ↢百億摩尼珠王↡、以↢映飾↡。一々摩尼珠↢千光明↡。其光如クシテ↠蓋、七宝合成シテ、遍ケリ↢地↡。

^しゃりょうほう、 もつてそのだいとなせり。 このれんだいは、 八万はちまん金剛こんごうけんしゅくほうぼん摩尼まにほうみょう真珠しんじゅもう、 もつてきょうじきとなせり。 そのだいじょうにおいて、 ねんにしてちゅう宝幢ほうどうあり。 一々いちいち宝幢ほうどうは、 ひゃくせん万億まんおくしゅせんのごとし。 どううえ宝縵ほうまんは、 夜摩やまてんのごとし。 ひゃくおくみょう宝珠ほうしゅありて、 もつて映飾ようじきとなせり。

釈迦毘楞伽宝↢其↡。此蓮花台、八万金剛・甄叔迦宝・梵摩1096尼宝・妙真珠網↢交飾↡。於↢其台上↡自然ニシテシテ↢四柱宝幢↡。一々宝幢クナリ↢百千万億須弥山↡。幢宝縵クナリ↢夜摩天宮↡。有↢五百億微妙宝珠↡↢映飾スルコトヲ↡。

^一々いちいち宝珠ほうしゅ八万はちまんせんひかりあり。 一々いちいちひかり八万はちまんせんしゅ金色こんじきをなす。 一々いちいち金光こんこう、 そのほうにあまねくして、 処々しょしょへんして、 おのおのそうをなす。 あるいは金剛こんごうだいとなり、 あるいは真珠しんじゅもうとなり、 あるいはざっうんとなる。 十方じっぽうめんにおいて、 こころしたがひて変現へんげんしてぶつ施作せさす。 これを華座けざおもいとなす。

一々宝珠↢八万四千光↡。一々光作↢八万四千異種金色↡。一々金光遍クシテ↢其↡処処変化シテ↢異相↡。或イハ↢金剛台↡、或イハ↢真珠網↡、或イハ↢雑花雲↡。於↢十方ゴト↡随ヒテ↠意変現シテ、施↢作仏事↡。是↢花座想↡。

^かくのごときみょうは、 これもと法蔵ほうぞう比丘びく願力がんりきしょじょうなり。 もしかのぶつねんぜんとおもふものは、 まさにづこの華座けざおもいをなすべし。 このおもいをなすときには雑観ざっかんすることをざれ。 みな一々いちいちにこれをかんずべし。 一々いちいちよう一々いちいちしゅ一々いちいちこう一々いちいちだい一々いちいちどう、 みなぶんみょうならしめて、 かがみのなかにみづから面像めんぞうるがごとくせよ。

↠此クノ妙花是本法蔵比丘願力所成ナリ。若ハム↠念ゼムト↢彼↡者、当↣先↢此花座↡。作サム↢此↡時ニハ↠得↢雑観スルコト↡。皆応↢一々↟之。一々葉、一々珠、一々光、一々台、一々幢、皆令↢分明ナラクセヨ↧於ルガ↦面像↥。

^このかんをなすを、 づけてしょうかんとなす。 もしかんするを、 づけて0936邪観じゃかんとなす」 と。

ラム↢此↡者ケテ↢正観↡。若ゼムヲバケテ↢邪観↡。」

じょう、 このそうかんずるものは、 万劫まんごうしょうつみ滅除めつじょして、 ひつじょうしてまさに極楽ごくらくかいうまるべし。

已上観ズル↢此↡者、滅↢除シテ五万劫生死之罪↡、必定シテ↠生↢極楽世界

相好

 ^つぎまさしく相好そうごうかんず。 いはく、 弥陀みだぶつだいうえして、 相好そうごう*炳然へいねんとして、 そのしょうごんしたまへり。

シクゼバ↢相好阿弥陀仏シテ↢花台↡、相好炳然トシテ、荘↢厳シタマヘリ↡。

・相好 1. 頂上肉髻

 ^いちには、 いただきうえ*肉髻にくけいはよくるものなし。 高顕こうけんしゅうえんなること、 なほ*天蓋てんがいのごとし

ニハ肉髻↢能者↡。高顕周円ナルコト猶如↢天蓋↡。

^あるいはひろかんずることをねがふものは、 つぎかんずべし。 かのいただきうえだいこうみょうあり。 せんいろそくせり。 一々いちいちいろは、 八万はちまんせんえだとなり、 一々いちいちえだのなかに八万はちまんせんぶつまします。 ぶついただきうえより、 またこのひかりはなちたまふ。 このひかりあひいで、 すなはちじょうほうりょうかいいたる。 じょうほうかいにおいても、 さつありて、 くものごとくしてくだりて諸仏しょぶつ*にょうしたてまつれり。

イハハム↢広ズルコト↡者、次↠観。彼↢大光明↡。具↢足セリ↡。一々↢八万四千一々↢八万四千化仏↡。化仏ヨリ亦放チタマフ↢此↡。此光相次ギテ、乃上方无量世界マデニス。於↢上方界↡有リテ↢化菩薩↡、如クシテ↠雲而下リテ囲↢遶シタテマツレリ諸仏↡。

^¬*大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「父母ぶもそうじょう*ぎょうして、 肉髻にくけいそうたり」 と云々うんぬん。 もしこのそうにおいてずいしょうずるものは、 千億せんおくこうごくじゅう悪業あくごうじょきゃくして、 さんせず。

¬大集経¼云、「恭↢敬セル父母・師僧・和上↡、得タリ↢肉髻↡」云々。若↢此↡生ズル↢随喜↡者、除↢却シテ千億劫極重悪業↡、不1097↠堕↢三途

・相好 2. 頂上髪毛

 ^には、 いただきうえ八万はちまんせん髪毛ほつもうあり。 みなうえかひてなびき、 みぎめぐりてひたり。 なが*らくすることなく、 また雑乱ぞうらんせず。 こんじょうちゅうみつにして、 香潔こうけつ細軟さいなんなり。

ニハ八万四千髪毛アリ。皆上ヒテナビリテヒタリ。永褫落スルコト亦不↢雑乱↡。紺青稠密ニシテ香潔細軟ナリ

^もしひろかんずることをねがふものは、 かんずべし。 一々いちいちもうよりめぐりて0937ひかりをなせり。 もしこれをぶるときには、 しゅじょうにしてはかりがたし。 しゃくそんかみのごときは、 なが*尼にく楼陀るだしょうじゃよりおういたりて、 しろめぐること*七帀しちそうせり。 りょうひかりあまねくらして、 *こん琉璃るりいろをなし、 いろのなかにぶつあり、 しょうしゅすべからず。 このそうげんじをはりて、 かえりてぶついただきじゅうして、 みぎめぐりて宛転えんでんして、 すなはち*もんとなる。

モシハム↢広ズルコト↡者、応↠観。一々毛孔ヨリリテセリ↢五↡。若ブル↠之ニハ、修長ニシテ↠量キハ釈尊↡、長↢尼楼陀精舎↡至リテ↢父王↡、遶ルコト↠城七帀セリ 無量光普シテ↢紺琉璃↡、色化仏アリ不↠可カラ↢称数↡。現↢此↡已リテリテシテ↢仏↡、右リテ宛転シテ、即蠡文↡。

^¬大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「あくをもつてしゅじょうくわへざるがゆゑに、 髪毛ほつもうこんじょうそうたり」 と。

¬大集¼云、「不ルガ↧以↢悪事↡加↦衆生↥故、得タリ↢髪毛金精↡。」

・相好 3. 髪際有光

 ^さんには、 そのかみきわせんひかりあり。 *間錯けんざくぶんみょうなり。 みなうえかひてなびきて、 もろもろのかみにょうせり。 いただきめぐることそうせり。 てん画師えししょほうのごとし。 *団円だんえんしょうとうにして、 ほそきこといっのごとし。 そのいとのあひだにもろもろのぶつしょうじ、 さつありて、 もつて眷属けんぞくたり。 一切いっさい*色像しきぞうまたなかにおいてゆ。

ニハ↢五千光↡。間錯分明ナリ。皆上ヒテナビキテ囲↢遶セリ↡。遶ルコト↠頂五帀セリ。如↢天画師所作画法↡。団円正等ニシテキコト↢一絲↡。於ゼリ↢諸化仏リテ↢化菩薩↡以↢眷属↡。一切色像亦於↠中

^ひろかんずることをねがふものは、 このかんもちゐるべし。

ハム↢広ズルコト↡者、可↠用ヰル↢此

・相好 4. 広長輪埵

 ^には、 みみあつく、 ひろながくして、 *りんじょうじゅせり。

ニハ耳厚クシテ、輪埵成セリ

^あるいはひろかんずべし。 しちめぐしょうじて、 ひかりすいす。 そのひかりせんいろあり。 いろごとにせんぶつまします。 ぶつごとにせんひかりはなちて、 あまねく十方じっぽうりょうかいらしたまふ。

イハ↢広↡。旋↢生↡、流↢出↡。其アリ。色ゴトニ化仏マシマス。仏ゴトニチテ↢千↡、遍シタマフ↢十方无量世界↡。

^この*随好ずいこう業因ごういんかんがふべし。 ¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ (意) にのたまはく、 「このこうかんずるも0938のは、 八十はちじっこうしょうつみめっし、 後世ごせにはつねに*陀羅だらひと眷属けんぞくたり」 と云々うんぬん下去げこもろもろのやく、 みなまた ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ によりてちゅうす。

随好之業因↠勘。¬観仏三昧経¼云、「観ズル↢此↡者、滅↢八十劫生死之罪後世与↢陀羅尼人↡為リト↢眷属↡」云々。下去諸利益、皆亦依リテ↢¬観仏三昧経¼↡而

・相好 5. 額広平正

 ^には、 ひたいひろ平正びょうしょうにして、 ぎょうそうしゅみょうなり。

ニハ額広シテ平正ニシテ形相殊妙ナリ

^この*こう業因ごういんならびにやくかんがふべし。

業因并利益↠勘

・相好 6. 面輪円満

 ^ろくには、 *面輪めんりん円満えんまんにして、 *光沢こうたく熙怡きいなり。 *たんじょうきょうけつなること、 なほあきつきのごとし。 ならべるまゆ皎浄きょうじょうなること、 *天帝てんたいゆみたり。 そのいろたぐいなくして、 こん琉璃るりひかりあり。

ニハ面輪円満シテ光沢熙怡ナリ。端正皎潔ナルコト猶如↢秋↡。双ベル皎浄ナルコトタリ↢天帝↡。其クシテ↠比、流璃

^きたもとむるものをかんしょうずるがゆゑに、 面輪めんりん円満えんまんなり。 このそうかんずるものは億劫おくこうしょうつみじょきゃくして、 しんしょうじょに、 まのあたり諸仏しょぶつたてまつる。

↢来ムル↡生ズル↢歓喜↡故、面輪円満。観ズル↢此↡者除↢却シテ億劫生死之罪↡、後身生処マノアタリタテマツル↢諸仏

・相好 7. 眉間白毫

 ^しちには、 けん*びゃくごうみぎめぐりて宛転えんでんせり。 にゅうなんなること*覩羅とら綿めんのごとく、 せんびゃくなること*せつえたり。

ニハ眉間白毫右リテ宛転セリ。柔軟ナルコト覩羅綿鮮白ナルコトエタリ↢珂雪↡。

^あるいはつぎひろかんずべし。 これをぶれば、 なおくしてちょうだいなることびゃく琉璃るりつつのごとく、 はなちをはれば、 みぎめぐりて頗梨はりしゅのごとし。 じょうろくぶつびゃくごう*じょうなり。 みぎめぐることけい一寸いっすんしゅう三寸さんすん

イハ↢広↡。舒ブレバ↠之クシテ長大ナルコト↢白琉璃レバリテ↢頗梨珠↡。丈六白毫五丈ナリ。右ルコト経一寸、周囲三寸

^十方じっぽうめんにおいて、 りょうひかりげんずること、 万億まんおくのごとくして、 つぶさにるべからず。 ただひかりのなかに、 もろもろのれんげんず。 かみりょう塵数じんじゅかいぐるまで0939華々けけあひいで、 団円だんえんしょうとうなり。

↢十方1098↡現ズルコト↢无量↡如クシテ↢万億↡、不↠可カラ↢具↡。但於↢諸蓮花↡。上グルマデ↢無量塵数世界↡、花々相次ギテ、団円正等ナリ

^一々いちいちうえに、 いちぶつしたまへり。 相好そうごうしょうごんし、 眷属けんぞくにょうせり。 一々いちいちぶつまたりょうひかりいだし、 一々いちいちひかりのなかにまたりょうぶつまします。 このもろもろのそんは、 ぎょうずるものしゅじゅうするものしゅするものしゅするものしゅにして、 あるいはだいだいき、 あるいはさんじゅうしちほん、 あるいはろっ波羅ぱらみつ、 あるいはもろもろの*不共ふぐほうく。

一々化仏坐シタマヘリ。相好荘厳、眷属囲遶セリ。一々化仏復出タマフ↢无量一々亦无量化仏マシマス。是世尊、行者無数ナリスル者無数ナリスル者無数ナリスル者无数ナリイハ↢大慈大悲イハ↢卅七品イハ六波羅イハ不共↡。

^もしひろかば、 一切いっさいしゅじょうよりじゅうさついたるまで、 またこれをることあたはじ。

カバ者、一切衆生ヨリルマデ↢十地菩薩↡、亦不↠能↠知ルコト↠之

^¬大集だいじっきょう¼ (意) にのたまはく、 「とくかくさず、 そのとく*しょうようして、 このそうたり」 と。 ¬*観仏かんぶつきょう¼ (意) にのたまはく、 「りょうこうよりちゅうしょうじんして身心しんしんおこたることなきこと、 *ねんはらふがごとくして、 ろくさんじゅうしちほんじゅうりき無畏むいだいだいのもろもろのみょうどく勤修ごんしゅして、 このびゃくごうたり。 このそうかんずるものは、 じゅう六億ろくおく那由なゆごうしゃじんしゅこうしょうつみじょきゃくす」 と。

¬大集¼云、「不シテ↠隠↢他↡称↢揚セル↡、得タリト↢此↡。」¬観仏経¼云、「従↢无量劫↡昼夜精進シテ身心无キコト↠懈ルコト、如クシテ↠救フガ↢頭↡勤↢修シテ六度・卅七品・十力・无畏・大慈大悲、諸妙功徳↡、得タリ↢此↡。観ズル↢此↡者、除↢却スト九十六億那由他恒河沙微塵数劫生死之罪↡。」

・相好 8. 牛王眼睫

 ^はちには、 如来にょらい*げんしょうはなほおうのごとし。 こんじょうにしてひとしくととのほりて、 あひ雑乱ぞうらんせず。

ニハ如来眼睫、猶↢牛王↡。紺青ニシテヒトシクホリテ不↢相雑乱↡。

^あるいはつぎひろかんずべし。 じょうにおのおのしょうじて、 ひゃくあり。 *どんひげのごとくして、 にゅうなんにしてあいぎょうすべし。 一々いちいち毛端もうたんよりいちひかりすいす。 頗梨はりいろのごとくして、 かしらめぐること一帀いっそうし、 もつぱらにみょうのもろもろ0940しょうれんしょうず。 一々いちいちだい*梵天ぼんてんのうありて、 しょうしきがいれり。

イハ↢広↡。上下ジテ↢五百毛↡。如クシテ↢優曇花↡柔軟ニシテ↢愛楽↡。一々毛端ヨリ流↢出↡。如クシテ↢頗梨↡、遶ルコト↠頭一帀モハラ↢微妙青蓮花↡。一々華台リテ↢梵天王↡、執レリ↢青色↡。

^¬大集だいじっきょう¼ にのたまはく、 「しんいたしてじょうだいもとめしがゆゑに、 おうしょうそうたり」 と。 ¬だいきょう¼ (*涅槃経) にのたまはく、 「怨憎おんぞう善心ぜんしんをなすがゆゑに」 と。

¬大集¼云、「至シテ↠心ムル↢无上菩提↡故タリ↢牛王↡。」¬大経¼云、「見↢於怨スガ↢於善心↡故ニト。」

・相好 9. 青白眼相

 ^には、 仏眼ぶつげん青白しょうびゃくにしてじょうともにまじろく。 しろきものはびゃくほうぎたり。 あおきものはしょうれんすぐれたり。

ニハ仏眼青白ニシテ上下倶マジロ。白ギタリ↢白宝↡。青レタリ↢青蓮花↡。

^あるいはつぎひろかんずべし。 げんよりこうみょういだしたまふに、 わかれて四支ししとなりて、 あまねく十方じっぽうりょうかいらす。 あおひかりのなかにはあおいろぶつましまし、 しろひかりのなかにはしろいろぶつまします。 この青白しょうびゃくぶつ、 またもろもろの神通じんずうげんじたまふ。

イハ↢広↡。眼ヨリシタマフニ↢光明↡、分レテ↢四支↢十方无量世界↡。於青ニハ↢青化仏↡、於白ニハ↢白化仏↡。此青白化仏復現ジタマフ↢諸神通↡。

^¬大集だいじっきょう¼ (意) にのたまはく、 「しんしゅじゅうし、 しゅじょうあいして、 紺色こんじきそうたり」 と云々うんぬんしょうのあひだにおいても、 このそうかんずるものは、 らいしょうじょに、 げんつねに明浄みょうじょうにして、 眼根げんこんやまいなく、 七劫しちこうしょうつみじょきゃくす。

¬大集経¼云、「修↢集慈心↡、愛↢視シテ衆生↡、得タリ紺色↡」云々。於テモ↢小時↡、観ズル↢此↡者、未来生処、眼常明浄ニシテ、眼根↠病除↢却七劫生死之罪

・相好 10. 鼻修高直

 ^じゅうには、 はなながく、 たかなおくして、 そのあなげんぜず。 たる*こんじょうのごとく、 おうくちばしのごとし。 表裏ほかうち清浄しょうじょうにしてもろもろの*塵翳じんえいなし。 こうみょういだしてあまねく十方じっぽうらし、 へんじて種々しゅじゅりょうぶつをなす。

ニハナガクシテ、其孔不↠現。如↠鋳1099タルガ、如↢鸚鵡↡。ホカウラ清浄ニシテ↢諸塵翳↡。出シテ↢二光明↡遍↢十方↡、変ジテ種々无量仏事↡。

^この随好ずいこうかんずるものは千劫せんごうつみめっし、 らいしょうじょにて上妙じょうみょうこうぎ、 つねに*戒香かいこうをもつて*瓔珞ようらくとなす。

ズル↢此随好↡者↢千劫之罪↡、未来生処↢上妙↡、常↢戒香↡為↢身

・相好 11. 脣色赤好

 ^0941じゅういちには、 くちびるいろしゃくこうなること*びん婆菓ばかのごとし。 じょうあひかなへること、 *はかりのごとくにして厳麗ごんらいなり。

十一ニハ色赤好ナルコト↢頻婆菓↡。上下相カナヒテ量厳麗ナリ

^あるいはつぎひろかんずべし。 団円だんえんこうみょうぶつくちよりでて、 なほひゃくせんあか真珠しんじゅつらぬくがごとくして、 はなびゃくごうかみとのあひだに入出にゅうしゅつす。 かくのごとく展転てんでんして、 *円光えんこうのなかにる。

イハ↢広↡。団円光明従↢仏口↡出デテ、猶如クシテ↢百千真珠↡、入↢出於鼻白毫トノ↠是クノ展転シテ↢円光↡。

^このくちびる随好ずいこうごうとうかんがふべし。

随好業等↠勘

・相好 12. 歯斉浄密

 ^じゅうには、 じゅうは、 ひとしく、 きよみつにしてふかく、 しろきことせつえたり。 つねにこうみょうあり。 そのひかりびゃくにして、 ひと映耀ようようす。

十二ニハヒトシク、浄シゲシテ根深キコトエタリ河雪↡。常↢光明↡。其光紅白ニシテ、映↢耀↡。

^¬*だいきょう¼ (涅槃経) にのたまはく、 「りょうぜつあっ*しんおんして、 じゅうせんびゃく斉密ざいみつなるそうたり」 と云々うんぬん

¬大経¼云、「遠↢離シテ両舌・悪口・恚心↡、得タリ↢歯鮮白斉密ナル↡」云々

・相好 13. 四牙鮮白

 ^じゅうさんには、 きばせんびゃく光潔こうけつにして鋒利ふりなること、 つきのはじめてづるがごとし。

十三ニハ牙鮮白光潔ニシテ鋒利ナルコト、如↢月ヅルガ↡。

^¬だいじゅう¼ にのたまはく、 「しん口意くいきよきがゆゑに、 四牙しげびゃくそうたり」 と云々うんぬん。 このくちびるくちそうかんずるものは、 千劫せんごうつみめっす。

¬大¼云、「身口意浄キガ、得タリ四牙白↡」云々。観ズル↢此脣・口・歯↡者、滅↢二千劫之罪

・相好 14. 広長舌相

 ^じゅうには、 そん舌相ぜっそうは、 うすきよくして、 ひろながし。 よく面輪めんりんおおひて、 ほつきわより、 ない梵天ぼんてんいたる。 そのいろしゃくどうのごとし。

十四ニハ世尊舌相、薄クシテ。能ヒテ↢面輪↡至↢耳髪、乃至梵天マデニス。其色如↢赤銅↡。

^あるいはつぎひろかんずべし。 したうえあり、 なほ*印文いんもんのごとし。 みたまふときしたうごかすに0942色光しきこういだし、 ぶつめぐること七帀しちそうして、 かえりていただきよりる。 あらゆる*神変じんぺんりょうへんなり。

イハ↢広↡。舌アリ、猶如↢印文↡。笑ミタマフニハ、動スニ↠舌↢五色光↡、遶ルコト↠仏七帀シテリテ↠頂入。所有神変無量無辺ナリ

^¬だいじゅう¼ にのたまはく、 「*とがまもりて、 こうじょう舌相ぜっそうたり」 と云々うんぬん。 このそうかんずるものは、 ひゃくおく八万はちまん千劫せんごうつみのぞきて、 他世たせはちじゅうおくぶつふ。

¬大¼云、「護リテ↢口↡得タリ↢広長↡」云々。観ズル↢此↡者、除キテ↢百億八万四千劫↡、他世↢八十億

・相好 15. 舌下宝珠

 ^じゅうには、 したもとりょうへん宝珠ほうしゅあり。 かんちゅうして、 舌根ぜっこんうえしたづ。 諸天しょてんにんじゅうさつもこの舌根ぜっこんなく、 またこのあじはひなし。

十五ニハ両辺↢二宝珠↡。流↢注シテ甘露↢舌根↡。諸天・世人・十地菩薩↢此舌根↡、亦无↢此味↡。

^¬*だい般若はんにゃ¼ にせつあり。 かんがふべし。 ¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「飲食おんじき施与せよするがゆゑに、 じょうそうたり」 と。

¬大般若¼有↢異説↡。可↠勘。¬大経¼云、「飲食施与スルガ、得タリ↢上味↡。」

・相好 16. 瑠璃咽喉

 ^じゅうろくには、 如来にょらい咽喉いんこう*瑠璃るりつつのごとし。 かたちれんかさねたるがごとし。 いだしたまふところのおんじょう*いん和雅わげにして、 ひとしくきこえずといふことなし。 そのこえおおきにふるひて、 なほてんつづみのごとく、 おこしたまふところのごんは、 *均えんきんとして*りょうびんこえのごとし。 *任運にんうんによく大千だいせんかいへんす。 もし*作意さいしたまふときにはりょうへんなり。 しかもしゅじょうせんがために、 るいしたがひて増減ぞうげんせず。

十六ニハ如来咽喉瑠璃↠累ネタルガ↢蓮花↡。所音声詞韻和雅ニシテ、无↠不トイフコト↢等シク↡。其声洪キニヒテ、猶如↢天均トシテ↢伽陵頻↡。任運↢大千世界↡。若作意シタマフニハ无量无辺ナリ。然↠利セムガ↢衆生1100↡、ヒテ↠類不↢増減↡。

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「かのたんあらそはず、 しょうぼうほうぜずして、 *ぼんのんじょうそうたり」 と。 ¬だいじゅう¼ にのたまはく、 「もろもろのしゅじょうにおいて、 つねににゅうなんかたりしがゆゑに」 と0943云々うんぬん

¬大経¼云、「不↠訟↢彼↡、不シテ↠謗↢正法↡、得タリ↢梵音声↡」¬大¼云、「於↢諸衆生↡、常柔軟スルニト」云々

・相好 17. 頚出円光

 ^じゅうしちには、 くびより円光えんこういだしたまふ。 咽喉いんこううえ*点相てんそうありてぶんみょうなり。 一々いちいちてんのなかに一々いちいちひかりいだす。 その一々いちいちひかりさき円光えんこうめぐりて七帀しちそう満足まんぞくして、 衆画しゅかくぶんみょうなり。

十七ニハヨリシタマフ↢円光↡。咽喉リテ↢点相↡分明ナリ。一々↢一々↡。其一々光遶リテ↢前円光↡満↢足シテ七帀↡、衆画分明ナリ

^一々いちいちかくのあひだにみょうれんあり。 うえ七仏しちぶつまします。 一々いちいちぶつにおのおのしちさつありて、 もつてしゃとなせり。 一々いちいちさつにょしゅれり。 そのしゅ金光こんこうあり。 しょうおうしゃくびゃくおよび摩尼まにいろ、 みなことごとくそくして、 諸光しょこうにょうせり。 じょう左右さう、 おのおの一尋いちじんにして、 ぶつくびにょうして、 了々りょうりょうなることのごとし。

一々↢妙蓮花。花↢七仏↡。一々化仏リテ↢七菩薩↡以↢侍者一々菩薩執レリ↢如意珠↡。其金光アリ。青・黄・赤・白及摩尼色皆悉具足シテ、囲↢遶セリ諸光↡。上下・左右各々一尋ニシテ、囲↢遶シテ↡、了々ナルコト

^¬*じょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶく飲食おんじきしゃじょう臥具がぐ、 もろもろのしょうごんものかんして施与せよし、 しん金色こんじきにして、 円光えんこういちじょうなるそうたり」 と。

¬无上依経¼云、「衣服・飲食・車乗・臥具、諸荘厳歓喜シテ施与、得タリ↢身金色ニシテ円光一丈ナル↡。」

・相好 18. 頚出二光

 ^じゅうはちには、 くびよりひかりいだす。 そのひかり万色まんじきありて、 あまねく十方じっぽう一切いっさいかいらす。 このひかりふものはびゃくぶつとなる。 このひかり、 もろもろのびゃくぶつくびらす。 このそうげんずるときぎょうじゃ、 あまねく十方じっぽう一切いっさいのもろもろのびゃくぶつの、 はちくうげてじゅうはちへんをなし、 一々いちいちあししたにみなもんありて、 そのじゅう因縁いんねん宣説せんぜつするをる。

十八ニハヨリ↢二↡。其光万色アリテ、遍↢十方一切世界↡。遇↢此↡者↢辟支仏↡。此光照↢諸辟支仏↡。此相現ズル、行者遍ルニ十方一切辟支仏、擲ゲテ↢鉢虚空↡作↢十八変一々皆有リテ↢文字↡、其字宣↢説十二因縁↡。

・相好 19. 欠瓫骨満

 ^0944じゅうには、 *欠瓫けつぼん骨満こつまんそうあり。 ひかり十方じっぽうらすに、 はくいろをなす。 このひかりふものはしょうもんこころおこす。 このもろもろのしょうもん、 このこうみょうるに、 わかれてじっとなる。 いっせんいろじっせんこうみょうあり。 ひかりごとにぶつまします。 一々いちいちぶつ比丘びくありて、 もつてしゃとなり、 一々いちいち比丘びくはみな、 くうじょう無我むがく。

十九ニハ欠瓫骨満アリ。光照スニ↢十方↡作↢虎魄↡。遇↢此↡者↢声聞↡。是声聞見ルニ↢此光明↡、レテ↢十支↡。一支色、十千光明アリ。光ゴトニ↢化仏↡。一々化仏リテ↢四比丘↡以↢侍者↡、一々比丘皆説↢苦・空・無常・無我↡。

^じょう三種さんしゅは、 ひろかんずることをねがふもの、 これをもちゐるべし。

已上三種、楽↢広ズルコト↡者、応↠用ヰル↠之

・相好 20. 肩項円満

 ^じゅうには、 そんかたうなじ円満えんまんしゅみょうなり。

廿ニハ世尊ウナジ円満殊妙ナリ

^¬*ほっもん¼ (意) にいはく、 「つねにをしてぞうじょうせしめたるがゆゑに、 このそうたり」 と。

¬法花文句¼云、「恒ムル↢施シテ増長↡故、得タリ↢此↡」

・相好 21. 腋下充実

 ^じゅういちには、 如来にょらいわきしたはことごとくみなじゅうじつなり。 紅紫ぐしひかりはなちて、 もろもろのぶつをなし、 しゅじょうやくす。

廿一ニハ如来皆充実ナリ。放チテ↢紅紫↡作↢諸仏事↡、利↢益衆生↡。

^¬じょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「しゅじょうのなかにおいてやくをなし、 しょうごんしゅして、 しんおそるるところなくして、 りょうかた平整びょうしょうにして、 わきしたてるそうたり」 と。

¬无上依経¼云、「於↢衆生↡為↢利益↡、修シテ↢四正勤↡、心クシテ↢所畏↡、得タリ↢両平整ニシテ而腋下満テル↡」

・相好 22. 臂肘明直

 ^じゅうには、 ぶつ*そうちゅう明直みょうちょくにして*円ようえんなること象王ぞうおうはなのごとく、 平立びょうりゅうせるにひざづ。

廿二ニハ双臂1101肘、ヒカラカ円ナルコト↢象王↡、平立セルニ↠膝

^あるいはつぎひろかんずべし。 しゅしょう*千輻せんぷくあやあり。 おのおのひゃくせんひかりはなちてあまねく十方じっぽうらすに、 して金水こんすいとなる。 金水こんすいのなかにいちみょうすいあり、 すいしょういろのごとし。 餓鬼がきねつのぞき、 ちくしょう宿命しゅくみょうさと0945きょうぞうるは獅子ししおうとなり、 獅子しし*こんちょうしょりゅうもまたこんちょうおうる。 このもろもろのちくしょう、 おのおのとうとぶところとて、 しん恐怖くふしょうじて、 がっしょうぎょうす。 ぎょうするをもつてのゆゑに、 命終みょうじゅうしててんうまる。

イハ↢広↡。手掌アヤアリチテ↢百千↡遍スニ↢十方↡、化シテ↢金水↡。金水之中↢一妙水↡、如↢水精↡。餓鬼↠熱、畜生サト↢宿命者為↢師子王師子↢金翅鳥諸竜亦見↢金翅鳥王↡。是畜生各↡、心ジテ↢恐怖↡、合掌恭敬。以テノ↢恭敬スルヲ↡故命終シテ↠天

^¬だいじゅう¼ にのたまはく、 「怖畏ふいあるを救護くごして、 ちゅうようなることをごうじょせしがゆゑに、 *しゅしつそうたり」 と。

¬大¼云、「救↢護セル怖畏アルヲ↡、得↢臂肘ナルコトヲ↢他事業↡佐助、得タリ↢手摩膝↡」

・相好 23. 諸指円満

 ^じゅうさんには、 もろもろのゆび円満えんまんし、 じゅうみつせんじょうにして、 はなはだあいぎょうすべし。 一々いちいちはしに、 おのおの*まんしょうぜり。 そのつめ光潔こうけつなること、 しゃくどうのごとし。

廿三ニハ指円満充密繊長ニシテ、甚↢愛楽↡。於一々ゼリ↢万字↡。其爪光潔ナルコト↢花赤銅↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (*瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろのそんちょうにおいて、 ぎょうし、 礼拝らいはいし、 がっしょうし、 りゅうせしがゆゑに、 ゆびせんじょうなるそうたり」 と。

¬瑜¼云、「於↢諸尊長↡、恭敬礼拝、合掌起立スル、得タリ指繊長ナル↡」

・相好 24. 指間網

 ^じゅうには、 一々いちいちゆびのあひだは、 なほ雁王がんおうのごとく、 ことごとく*網まんもうあり。 金色こんじききょうらくして、 *もん綺画きえおなじ。 *えんごんすぐれたることひゃくせん万億まんおくなり。 そのいろみょうだつにして、 眼界げんかいぎたり。 れるときにはすなはちゆれども、 ゆびおさむればえず。

廿四ニハ一々、猶如↢雁王↡、咸↢網↡。金色交絡シテ、文同↢綺↡。勝レタルコト↢閻浮金↡百千万億ナリ。其色明達ニシテギタリ↢於眼界↡。張レルニハレドモオサムレバ↠指不↠見

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「しょうほうしゅして、 しゅじょう摂取せっしゅせしがゆゑに、 このそうたり」 と。

¬大経¼云、「修シテ↢四摂↡、摂↢取衆生↡故、得タリ↢此↡」

・相好 25. 其手柔軟

 ^じゅうには、 そのにゅうなんなること覩羅とら綿めんのごとくして、 一切いっさいしょうして、 ない0946にともににぎる。

廿五ニハ手柔軟ナルコトクシテ覩羅綿↡、勝↢過シテ一切↡、内外

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「父母ぶも*ちょうの、 もしびょうするに、 みづからをもつてあらのごひ、 そくし、 *あんせしがゆゑに、 手軟しゅなんそうたり」 と。

¬大経¼云、「父母・師長スルニ、自ヲモテノゴ、捉持安摩、得タリ↢手軟↡」

・相好 26. 頷臆広大

 ^じゅうろくには、 そんおとがいむね、 ならびにしんじょうはんの、 よう広大こうだいなること獅子ししおうのごとし。

廿六ニハ世尊オトガヒ・臆并上半、威容広大ナルコト↢師子王↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「もろもろのじょうの、 如法にょほうしょにおいてよくじょうしゅたれども、 しかも助伴じょばんとなりて*まんはなれ、 もろもろの*獷捩こうれいなかりしがゆゑに、 このそうたり」 と。

¬瑜伽¼云、「於↢諸有情如法所作↡能レドモ↢上首↡、而リテ↢助伴↡離↢於我慢↡、无↢諸捩↡故、得タリ↢此↡」

・相好 27. 胸有万字

 ^じゅうしちには、 みむねまんあり。 実相じっそういんづけ、 だいこうみょうはなつ。

廿七ニハ↢万字↡。名実相↢大光明↡。

^あるいはつぎひろかんずべし。 ひかりのなかにりょうひゃくせんのもろもろのありて、 一々いちいちうえりょうぶつまします。 このもろもろのぶつ、 おのおのせんひかりありて、 しゅじょうやくす。 ない、 あまねく十方じっぽうぶついただきる。 ときに、 もろもろのぶつみむねよりひゃくせんひかりいだし、 一々いちいちひかりろっ波羅ぱらみつく。 一々いちいちぶついちにんの、 たんじょうみょうにしてかたちろくのごときをつかはして、 ぎょうじゃあんせしむ。

イハ↢広↡。光リテ↢无量百千花↡、一々↢無量化仏↡。是化仏各リテ↢千光↡、利↢益衆生↡。乃至遍1102↢十方↡。時ヨリタマフ↢百千一々光説↢六波羅蜜↡。一々化仏遣シテ↢一化人端正微妙ニシテカタチキヲ↢弥勒↡、安↢慰セシム行者↡。

^このそうひかりるものは、 じゅう億劫おくこうしょうつみのぞく。

↢此↡者、除↢十二億劫生死之罪

・相好 28. 心紅蓮華

 ^じゅうはちには、 如来にょらい*心相しんそうは、 れんのごとし。 たえなるこんひかり、 もつて*間錯けんざく0947なして、 瑠璃るりつつのごとくして、 かかりてぶつみむねにあり。 がっせず、 かいせず、 団円だんえんなること、 しんのごとし。

廿八ニハ如来心相↢紅蓮花↡。妙ナル紫金↢間錯クシテ瑠璃↡懸リテ↢仏↡。不↠合不↠開、団円ナルコト↠心

^万億まんおくぶつぶつしんのあひだにあそぶ。 またりょう塵数じんじゅぶつぶつしんのなかにましまして、 金剛こんごうだいして、 りょうひかりはなちたまふ。 一々いちいちひかりのなかに、 またりょう塵数じんじゅぶつましまして、 こうじょうしたいだし、 万億まんおくひかりはなちてもろもろのぶつをなしたまふ。

万億化仏遊↢仏↡。又無量塵数化仏在シテ↢仏↡、坐シテ↢金剛台↡、放チタマフ↢無量↡。一々亦有シテ↢無量塵数化仏↡、出↢広長↡、放チテ↢万億↡作シタマフ↢諸仏事↡。

^ぶつしんおもふものは、 じゅう億劫おくこうしょうつみのぞき、 生々しょうじょうりょうさつふことを云々うんぬんひろかんずることをねがふものは、 このかんをなすべし。

↢仏↡者、除↢十二億劫生死之罪生生↠値フコトヲ↢无菩薩↡云々。楽ハム↢広ズルコト↡者↠作↢此

・相好 29. 身皮金色

 ^じゅうには、 そんしんかわは、 みな真金しんこんいろなり。 光潔こうけつ*晃耀こうようすること、 みょう金台こんだいのごとし。 衆宝しゅぼうをもつてしょうごんし、 しゅうんとねがふところなり。

廿九ニハ世尊皆真金ナリ。光潔晃耀スルコトクシテ↢妙金台衆宝ヲモテ荘厳セルガ、衆ナリ↠楽↠見ムト

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「ぶく臥具がぐほどこして、 このそうたり」 と。

¬大経¼云、「施↢衣服・臥具↡、得タリ↢此↡」

・相好 30. 身光無量

 ^さんじゅうには、 身光しんこう任運にんうんさん千界ぜんかいらす。 もし作意さいしたまふときにはりょうへんなり。 しかももろもろのじょう憐愍れんみんせんがためのゆゑに、 ひかりせっしてつねにらしたまふこと、 めんごとにおのおの一尋いちじんなり。

三十ニハ身光任運↢三千界↡。若作意シタマフニハ無量無辺ナリ。然↣憐↢愍セムガ有情↡故、摂シテ↠光シタマフコトゴトニ一尋ナリ

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「こうとうみょうとうをもつてひとほどこして、 このそうたり」 と云々うんぬん大光だいこうかんずるものは、 ただしんることをおこすに、 衆罪しゅざい*じょきゃくすと。

¬大経¼云、「以↢香花・灯明等↡施シテ↠人、得タリ↢此↡」云々。ズル大光↡者、但発スニ↢心ルコト↡、除↢却スト衆罪云々

・相好 31. 身相端厳

 ^0948さんじゅういちには、 そん身相しんそうは、 ながひろくして端厳たんごんなり。

卅一ニハ世尊身相クシテ端厳ナリ

^¬大論だいろん¼ (*大智度論) にいはく、 「そんちょうぎょうし、 迎送こうそうし、 にょうして、 なおくしてひろそうたり」 と云々うんぬん

¬大論¼云、「恭↢敬尊長↡、迎送侍遶スル、得タリ↢身クシテ↡」云々

・相好 32. 体相円満

 ^さんじゅうには、 そん体相たいそうは、 じゅうこうりょうひとしくしてしゅうそう円満えんまんせること、 *尼にくじゅのごとし。

卅二ニハ世尊体相、縦広量等シテ周帀円満セルコト、如↢尼陀樹↡。

^¬だいじゅう¼ (意) にのたまはく、 「つねにしゅじょうすすめて、 三昧さんまいしゅせしめて、 このそうたり」 と。 ¬*報恩ほうおんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「もししゅじょうありて、 *だい調じょうなるを、 よくりょうすることをなせしがゆゑに、 しん*方円ほうえんなるそうたり」 と。

¬大¼云、「常メテ↢衆生↡修セシメタル↢三昧↡、得タリ↢此↡」¬報恩経¼云、「若リテ↢衆生↡、四大不調ナルヲ↢療治スルコトヲ↡故タリ↢身方円ナル↡」

・相好 33. 容儀洪満

 ^さんじゅうさんには、 そんよう洪満こうまんにして端直たんじきなり。

卅三ニハ世尊容儀洪満ニシテ端直ナリ

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「しつびょうのものにおいて、 くつしてせんし、 りょうやくきゅうせしがゆゑに、 しんろうきょくせざるそうたり」 と。

¬¼云、「於↢疾病↡、卑屈シテ瞻侍、給↢施良薬↡故、得タリ↧身不僂曲↡相↥↡」

・相好 34. 陰蔵平満

 ^さんじゅうには、 如来にょらい*陰蔵おんぞうたいらかなること満月まんがつのごとし。 金色こんじきひかりありて、 なほ日輪にちりんのごとく、 金剛こんごううつわのごとく、 ちゅうともにきよし。

卅四ニハ如来陰蔵ナルコト↢満月↡。有リテ↢金色光↡、猶如↢日輪↡、如↢金剛↡、中外倶1103

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「はだかなるをぶくほどこせしがゆゑに、 陰蔵おんぞうそうたり」 と。 ¬だいじゅう¼ にのたまはく、 「とが*ぞうせしがゆゑに」 と。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「おおざんしゅし、 および邪婬じゃいんだんぜしがゆゑに」 と云々うんぬんどうぜん (*善導) のいはく (*観念法門)、 「ぶつののたまはく、 ªもし欲色よくしきとんずることおおきものは、 すなはち如来にょらいおんぞう0949そうおもへば、 欲心よくしんすなはちみ、 ざいしょう除滅じょめつして、 りょうどくたりº」 と。

¬大経¼云、「見↠裸ナルヲ↢衣↡故、得タリ陰蔵↡」¬大¼云、「覆↢蔵↡故ニト。」¬大論¼云、「↢慚愧↡、及↢邪婬ニト云々。道禅師、「仏、若↠貪ルコト↢欲色↡者、即ヘバ↢如来陰蔵↡者、欲心罪障除滅シテ、得タリ↢无量↡。」

・相好 35. 七処充満

 ^さんじゅうには、 そんりょうぞくしゅ掌中しょうちゅううなじおよびならべるかた七処しちしょじゅうまんせり。

卅五ニハ世尊両足、二手掌中、ウナジベル七処充満セリ

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「ぎょうぜしときに、 所珍しょちんものをよくててりんせず、 *福田ふくでんおよび福田ふくでんざりしかば、 しち処満しょまんそうたり」 と。

¬大経¼云、「行ズル↠施之時所珍之物テテ不↠吝↢福田及非福田↡、得タリ↢七処満↡」

・相好 36. 双腨繊円

 ^さんじゅうろくには、 そん*双腨そうせんぜん繊円せんえんなること、 *翳泥えいない仙鹿せんろくおうはぎのごとし。 ひざがしらこうほねの、 盤結ばんけつせるあひだよりもろもろの金光こんこういだす。

卅六ニハ世尊双腨漸次繊円ナルコト、如↢翳泥耶仙鹿王腨膊↡。クサレル盤結セル之間ヨリ↢諸金光↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「みづからしょうぼうにおいて、 じつのごとくしょうじゅし、 ひろにんのためにき、 およびまさしくのためによくきゅう使をなして、 翳泥えいないひざがしらそうたり」 と。

¬瑜¼云、「自↢正法↡如↠実摂受、広↢他↡説、及シク↠他セル↢給使↡、得タリ↢翳泥耶↡」

・相好 37. 跟趺相称

 ^さんじゅうしちには、 そん*足跟そくこんひろなが円満えんまんして、 *あなひらとあひかなひて、 もろもろのじょうすぐれたり。

卅七ニハ世尊足跟円満シテ与↠アナヒラカナヒテレタリ↢諸有情↡。

・相好 38. 足趺修高

 ^さんじゅうはちには、 *そくながたかくして、 なほかめのごとし。 にゅうなんみょうこうにして、 くびすとあひかなへり。

卅八ニハ足趺ナガクシテ猶如↢亀↡。柔軟妙好ニシテ、与↠跟相

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論・意) にいはく、 「そくびょうまんと、 *千輻せんぷくりんと、 せんじょうとのさんそうかんずるごうそうじてよくこんそう感得かんとくす。 これさき三相さんそう依止えじするところなるがゆゑに」 と。

¬瑜¼云、「感ズル↢足下平満、千輻輪、繊長指トノ↡之業、総ジテ感↢得跟趺↡是前三相ナルガ↢依止スル↡故。」

・相好 39. 柔潤毛相

 ^さんじゅうには、 如来にょらいしんぜん左右さうおよびいただきうえに、 おのおの八万はちまんせんあり0950ひたり。 にゅうにんこんじょうにして、 みぎめぐりて宛転えんでんせり。

卅九ニハ如来之身前後左右及以 オヨビ 、各リテ↢八万四千毛↡ヒタリ。柔潤・紺青ニシテリテ宛転セリ

^あるいはつぎひろかんずべし。 一々いちいち毛端もうたんひゃく千万せんまん塵数じんじゅれんあり。 一々いちいちれんりょうぶつしょうじ、 一々いちいちぶつはもろもろのじゅげんじて、 声々しょうしょうあひげること、 なほあめしただるがごとし。

イハ↢広↡。一々毛端↢百千万塵数蓮花↡。一々蓮花セリ↢無量化仏一々化仏タマフ↢諸偈頌声々相次ゲルコト猶如↢雨シタタルガ↡。

^¬じょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのしょうぜんほうしゅして、 ちゅうぼんなく、 つねにぞうじょうせしめて、 身毛しんもううえなびき、 みぎめぐりて宛転えんでんせるそうたり」 と。 ¬*優婆うばそくかいきょう¼ にのたまはく、 「しゃ親近しんごんして、 ねがひてき、 ねがひてろんじ、 きをはりてねがひてしゅし、 ねがひてどうし、 *こくじょせるがゆゑに」 と。

¬無上依経¼云、「修セルコト↢諸勝善↡无↢中・下品↡、恒タル↢増上↡、得タリ↢身毛上、右リテ宛転セル↡」¬優婆塞戒経¼云、親↢近智者↡、楽ヒテヒテ、聞リテヒテ、楽ヒテ↢道路↡、除↢セルガ棘刺↥故ニト。」

・相好 40. 千輻輪文

 ^じゅうには、 そんみあしした千輻せんぷくりんもんあり。 *網轂もうこく衆相しゅそう円満えんまんせざることなし。

四十ニハ世尊千輻輪アリ轂衆相無↠不ルコト↢円満↡。

^¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論) にいはく、 「その父母ぶもにおいて種々しゅじゅようし、 もろもろのじょうのもろもろののうにおいて、 種々しゅじゅ救護くごして、 往来おうらいとう動転どうてんごうによるがゆゑに、 このそうたり」 と云々うんぬん千輻せんぷくりんそうるは、 千劫せんごうごくじゅう悪業あくごうしりぞく。

¬瑜¼云、「於↢其父母↡種々供養、於↢諸有情苦悩↡種種救護シテ、由ルガ↢往来等動転↡故、得タリ↢此↡」云々。見ルハ↢千輻輪↡、↢千劫極重悪業

・相好 41. 足下平満

 ^じゅういちには、 そんみあししたにはびょうまんそうあり。 みょうぜんあんじゅうせること、 なほ*奩底れんていのごとし。 *こうなりといへども、 あしむところにしたがひて、 みなことごとく*たつねんとして、 ひとしくれずといふことなし。

一ニハ世尊ニハ↢平満相↡。妙善安住セルコト猶如↢奩底↡。地↢高下ナリト↡、随ヒテ↢足↟蹈皆悉怛然トシテ、無↠不トイフコト↢等シク↡。

^¬だいきょう¼ (涅槃経・意) にのたまはく、 「かいしてどうぜず、 しんうつらず、 *じつあんじゅうせるがゆゑに、 このそうたり0951」 と云々うんぬん。 そのあしにゅうなんなり。 もろもろのゆびせんじょうなり。 まんもうそくし、 ないにぎとうそう、 および業因ごういんは、 さき手相しゅそうおなじ。

¬大経¼云1104、「持戒シテ不↠動、施心不↠移、安↢住スルガ実語↡故、得タリ↢此↡」云々。其足柔軟ナリ。諸指繊長ナリ。網具足、内外相、及業因↢前手相

・相好 42. 足下一華

 ^じゅうには、 ひろきをねがふものはかんずべし。 そくおよびくびすに、 おのおのいちしょうじ、 もろもろのひかりにょうして十帀じっそう満足まんぞくす。 華々けけあひいで、 一々いちいちうえぶつまします。 一々いちいちぶつじゅうさつをもつてしゃとなして、 一々いちいちさついただき摩尼まにしゅひかりしょうず。

二ニハハム↠広キヲ↠観。足下及セリ↢一囲↢遶シテ↡満↢足十帀↡。花々相次ギテ一々↢五化仏↡。一々化仏五十五菩薩↢侍者↡、一々菩薩↢摩尼珠↡。

^このそうげんずるときに、 ぶつのもろもろのもうより八万はちまんせんさいしょうこうみょうしょうじて、 身光しんこう厳飾ごんじきして、 きはめてあいならしむ。 このひかり一尋いちじんにして、 そのそうしゅなり。 ないほうのもろもろのだいさつ、 これをかんずるときに、 このひかりしたがひてだいなり。

相現ズル、仏毛孔ヨリジテ↢八万四千少光明↡、厳↢飾シテ身光↡極↢可愛ナラ↡。此光一尋ニシテ相衆多ナリ。乃至他方大菩薩観ズル↠此之時、此光随ヒテナリ

 ^このもろもろの相好そうごうぎょうそうやくはいりゅうとう諸文しょもんどうなり。 しかるにいまさんじゅうりゃくそうは、 おおく ¬だい般若はんにゃ¼ による。 *広相こうそう随好ずいこうとおよびもろもろのやくとは、 ¬観仏かんぶつきょう¼ による。

相好行相・利益・癈立等事、諸文不同ナリ。然今卅二略相↢¬大般若¼↡。広相随好利益トハ↢¬観仏経¼↡。

^また*相好そうごうごうに、 その総別そうべつあり。

又相好↢其総別↡。

・相好 ・総因

^総因そういんといふは、 ¬瑜伽ゆが¼ (瑜伽論)じゅうにいはく、 「*はじめ、 *清浄しょうじょうしょうぎょうより、 一切いっさいしょ*だいりょうは、 差別しゃべつすることあることなくして、 よく一切いっさいそうおよび随好ずいこうかんず」 と。

↢総因↡者、¬瑜¼九、「キハ↢清浄勝意楽地↡一切所有菩提資糧、無クシテ↠有ルコト↢差別スルコト↡、能ズト↢一切相及随好↡。」

・相好 ・別因

^別因べついんといふは、 かの ¬ろん¼ (瑜伽論)三種さんしゅあり。

↢別因↡者、彼¬論¼有↢三種↡。

^いちには*ろくじゅういん0952。 つぶさには ¬ろん¼ (瑜伽論)もんのごとし。

者六十二因。具↢¬論¼文↡。

^にはじょうかい。 もしもろもろのさつじょうかいぼんするは、 なほせん人身にんじんをすらることあたはず。 いかにいはんや、 よく*だいじょうそうかんぜんや。

者浄戒。若菩薩毀↢犯スルハ浄戒↡、尚不↠能↠得ルコト↢下賎人身スラ↡。何ゼムヤ↢大丈夫

^さんにはしゅ善修ぜんしゅいち善修ぜんしゅごう*ぜんぎょう方便ほうべんさんにょうやくじょう*とうこうなり。

者四種善修。一善修事業、二善巧方便、三饒益有情、四無倒廻向ナリ

^別因べついんのなかにまたおおくの差別しゃべつあり。 いまはしばらくいんのあひじゅんぜるものをる。

別因之中亦有↢多クノ差別↡。今者 イマ ↢因果相順ゼル↡。

^ぜんだいは、 諸文しょもんまたどうなり。 いまはよろしきにしたがひて、 りてだいとなすなり。 *そうこう間雑けんぞうしてもつて観法かんぽうをなすこと、 またこれ ¬観仏かんぶつきょう¼ のれいなり。 じゅんかんだいは、 だいかくのごとし。 ぎゃくかんは、 これにかえして、 あしよりいただきいたる。

前後次第諸文亦不同ナリ。今者ヒテ↠宜シキニ、取リテ↢次第↡也。相・好間雑シテコト↢観法↡、亦是¬観仏経¼之例也。順観次第大途如↠是クノ。逆観1105シテ↠之↠足至↠頂

^¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、 「まなこぢてることをんには、 心想しんそうちからをもつてせよ。 *了々りょうりょうにしてぶんみょうなること、 ぶつざいのごとくせよ。 このそうかんずといへども、 しゅにすることをざれ。 いちよりおこしてまたいちおもひ、 いちおもひをはればまたいちおもへ。 逆順ぎゃくじゅん反覆ほんぷくすること、 じゅう六反ろっぺんよ。

¬観仏三昧経¼云、「閉ヂテ↠眼ンニハ↠見ルコトヲ、以セヨ↢心想了々ニシテ分明ナルコトクセヨ↢仏在世↡。雖↠観ズト↢是↡不↠得↢衆多ニスルコトヲ↡。従↢一事↡起復想↢一事↡、↢一事↡已リテ復想↢一事↡。逆順反覆スルコト↢十六反↡。

^かくのごとくして、 心想しんそうきはめてみょうならしめ、 しかしてのちに、 しんとどめてねん一処いっしょけよ。 かくのごとくして、 *漸々ぜんぜんしたげてあごかへ、 したをしてまさしくじゅうせしめよ。 七日しちにちて、 しかしてのちに、 身心しんしん安穏あんのんなることをべし」 と。

↠是クノ心想極↢明利ナラ↡、然シテセシメテ↠心ケヨ↢念一処↡。如クシテ↠是クノ漸々ゲテ↠舌アゴ、令メヨ↢舌ヲシテマサシク↡。経↢二七日↡然シテ、身心可シト↠得↢安穏ナルコトヲ↡。」

^どう和尚かしょう (善導) のい0953はく (観念法門・意)、 「じゅう六遍ろっぺんのちには、 しんとどめてびゃくごうそうかんぜよ。 雑乱ぞうらんすることをざれ」 と。

道和尚、「十六遍ニハ、住メテ↠心ジテ↢白毫相レト↠得↢雑乱スルコト↡。」

・総相観

【44】^*総相そうそうかんとは、 ˆさきのごとくˇ 衆宝しゅぼうしょうごん広大こうだいれんかんじ、 つぎ弥陀みだぶつの、 だいうえしたまへるをかんぜよ。 しんいろは、 ひゃくせん万億まんおくえん檀金だんごんのごとし。 しんたかさは、 ろくじゅう万億まんおく那由なゆごうしゃじゅんなり。

相観者、先ゼヨ↢衆宝荘厳広大蓮花ゼヨ↣阿弥陀仏シタマヘルヲ↢花台↡。身↢百千万億閻浮檀金↡。身六十万億那由他恒河沙由旬ナリ

^けんびゃくごうは、 みぎめぐりて婉転えんでんせることしゅせんのごとし。 まなこだい海水かいすいのごとくして、 清白しょうびゃくぶんみょうなり。

眉間白毫、右リテ婉転セルコト↢五須弥山↡。眼クシテ↢四大海水↡、清白分明ナリ

^しんのもろもろのもうよりこうみょう演出えんすいすること、 しゅせんのごとし。 *円光えんこうは、 ひゃくおく大千だいせんかいのごとし。 ひかりのなかにりょうごうしゃぶつましまし、 一々いちいちぶつは、 しゅさつをもつてしゃとなせり。

毛孔ヨリ演↢出スルコト光明↡如↢須弥山↡。円光↢百億大千界↡。光↢無量恒河沙化仏↡一々化仏↢無数菩薩↡為↢侍者↡。

^かくのごとくして八万はちまんせんそうあり。 一々いちいちそうにおのおの八万はちまんせん随好ずいこうあり。 一々いちいちこうにまた八万はちまんせんこうみょうあり。 一々いちいちこうみょうあまねく十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらして、 *摂取せっしゅしててたまはず。 まさにるべし。

クシテ↠是クノ↢八万四千相↡。一々↢八万四千随好↡。一々復有↢八万四千光明↡。一々光明遍シテ↢十方世界念仏衆生↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。当↠知

^一々いちいちそうのなかに、 おのおのしちひゃくていろっぴゃくまんこうみょうして、 *ねん赫奕かくやくとして神徳じんとく巍々ぎぎたること、 金山こんぜんおう大海だいかいのなかにあるがごとし。 りょうぶつさつひかりのなかにじゅうまんして、 おのおの神通じんずうげんじて、 弥陀みだぶつにょうしたてまつれり。 かのぶつ、 かくのごとくりょうどく相好そうごうそくして0954さつしゅのなかにましまして、 しょうぼう演説えんぜつしたまふ。

一々シテ↢七百五倶胝六百万光明↡、熾然赫奕トシテ神徳巍々タルコト↣金山王ルガ↢大海↡。無量化仏1106・菩薩充↢満シテ↡、各各現ジテ↢神通↡、囲↢遶シタテマツレリ弥陀仏↡。彼仏如↠是クノ具↢足シテ無量功徳相好↡、在シテ↢於菩薩衆会之中↡、演↢説シタマフ正法↡。

^ぎょうじゃ、 このときにすべて色相しきそうなく、 *しゅてっだいしょうのもろもろのやまもことごとくげんぜず、 大海だいかいこう土地とち樹林じゅりんもことごとくげんぜず。 てるものは、 ただこれ弥陀みだぶつ相好そうごうかいしゅうへんせるものは、 またこれえん檀金だんごんこうみょうなり。

行者是カツ↢余色相↡須弥・鉄囲、大小不↠現大海・江河・土地・樹林不↠現。溢テル↠目之者但是弥陀仏相好、周↢遍セル世界之者亦是閻浮檀金光明ナリ

^たとへば、 *劫水こうすいの、 かい*まんせるに、 そのなかの万物まんもつ沈没ちんもつしてげんぜず、 *滉瀁こうよう浩汗こうかんとして、 ただおおきなるみずのみをるがごとし。 かのぶつこうみょうもまたかくのごとし。 たか一切いっさいかいうえでて、 相好そうごうこうみょうしょうようせずといふことなし。 ぎょうじゃ心眼しんげんをもつておのがるに、 またかのこうみょうしょしょうのなかにあり。

ヘバ↧劫水弥↢満シテ世界↡其万物沈没シテ不↠現、滉瀁浩汗トシテ唯見ルガ↦大ナルノミ↥。彼光明亦復如↠是クノ。高デテ↢一切世界↡、相好光明靡↠不トイフコト↢照曜↡。行者↢心眼↡見ルニ↢於己↡、亦在於彼光明所照之中↡。

^じょう、 ¬かんぎょう¼・¬*双巻そうかんぎょう¼ (大経)・¬*般舟はんじゅきょう¼・¬大論だいろん¼ (大智度論) とうこころによる。 このかんじょうじてのちねがいしたがひてつぎかんをなせ。

已上依↢¬観経¼・¬双巻経¼・¬般舟経¼・¬大論¼等↡。此観成ジテヒテ↠楽ヒニ↢次

 ^あるいはかんずべし。 かのぶつはこれ*三身さんしん一体いったいしんなり。

イハ↠観。彼是三身一体之身也。

・応化身

^かの一身いっしんにおいて、 るところどうなり。 あるいは*じょうろく、 あるいははっしゃく、 あるいは広大こうだいしんなり。 所現しょげんしんはみな金色こんじきにして、 やくしたまふところはおのおのりょうなり。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 その同一どういつなり。 おうしんなり。

↢彼一身↡所見不同ナリ。或イハ丈六、或イハ八尺、或イハ広大ナリ。所現皆金色ナリ↢利益シタマフ↡各無量ナリ。与↢一切諸仏↡其事同一ナリ応化身

・報身

^また一々いちいち相好そうごうは、 ぼんしょうそのほとりず、 梵天ぼんてんもそのいただきず、 目連もくれんもそのこえきわめず、 ぎょう第一だいいちたいなり。 しょうごんにあらず0955してしょうごんせり。 じゅうりき無畏むい三念さんねんじゅうだい八万はちまんせん三昧さんまいもん八万はちまんせん波羅はらみつもん恒沙ごうじゃ塵数じんじゅ法門ほうもんきょう円満えんまんしたまふ。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 そのこころ同一どういつなり。 報身ほうじん

又一々相好凡聖不↠得↢其梵天不↠見↢其目連不↠窮↢其クシテ形第一ナリ。非ズシテ↢荘厳↡荘厳セリ。十力・四無畏・三念住・大悲、八万四千三昧門、八万四千波羅蜜門、恒沙塵数法門究竟円満シタマヒテ与↢一切諸仏↡其意同一ナリ報身

・法身

^みょうじょう法身ほっしんに、 もろもろの相好そうごうそくせり。 一々いちいち相好そうごうは、 すなはちこれ実相じっそうなり。 実相じっそうは、 法界ほうかいそくしてげんずることなし。 *しょうぜずめっせず、 らいなし。 いちにあらずにあらず、 だんじょうにあらず。 有為うい無為むいのもろもろのどくは、 この法身ほっしんによりてつねに清浄しょうじょうなり。 一切いっさい諸仏しょぶつと、 そのたい同一どういつなり。 法身ほっしん

微妙浄法身具↢足セリ相好↡。一々相好是実相ナリ。実相法界具足シテ↠減ズルコト。不↠生不↠滅、無↢去来↡。不↠一↠異、非↢断常↡。有為・無為1107功徳、依リテ↢此法身↡常清浄ニシテ与↢一切諸仏↡其体同一ナリ法身

^このゆゑにさん十方じっぽう諸仏しょぶつ三身さんしん*もん塵数じんじゅりょう法門ほうもん仏衆ぶっしゅ法海ほうかい*えんにゅう万徳まんどく、 おほよそ*じん法界ほうかいは、 つぶさに弥陀みだ一身いっしんにあり。 じゅうならずおうならず、 またいちにあらず。 じつにもあらずにもあらず、 またにもあらず。 ほんしょう清浄しょうじょうにして、 *心言しんごんみちえたり。 たとへば、 にょしゅのなかに、 たからあるにもあらず、 たからなきにもあらざるがごとし。 仏身ぶっしん万徳まんどくもまたかくのごとし。

三世十方諸仏三身、普門塵数無量法門、仏衆法海円融万徳、凡無尽法界、備↢弥陀一身↡。不↠縦ナラ不↠横ナラ、亦非一異↡。非↠実↠虚、亦非↢有無↡。本性清浄ニシテ心言路絶エタリ。譬ヘバ↢如意珠、非↠有ルニ↠宝ザルガ↟无キニ↠宝。仏身万徳亦復如↠是クノ

^また*おんにゅうかいそくして、 づけて如来にょらいとなすにあらず。 かのもろもろのしゅじょうは、 みなことごとくこれあるがゆゑに、 おんにゅうかいはなれて、 づけて如来にょらいとなすにもあらず。 これをはなれては、 すなはちこれ因縁いんねんほうなるがゆゑに、 そくにもあらず、 またにもあらず。 寂静じゃくじょうにしてただのみあり。

又非↧即シテ↢陰入界↡名ケテルニモ↦如来↥。彼衆生皆悉ルガ↠之故、非↧離レテ↢陰入界↡名ケテルニ↦如来↥。離レテハ↠之是無因縁ナルガ、非↠即ニモ、亦非↠離ニモ。寂静トシテ但有↠名ノミ

^このゆゑにまさに0956るべし。 所観しょかん衆相しゅそうは、 すなはちこれ*三身さんしん即一そくいつ相好そうごうこうみょうなり、 諸仏しょぶつ同体どうたい相好そうごうこうみょうなり、 万徳まんどくえんにゅう相好そうごうこうみょうなり。 しきすなはちこれくうなるがゆゑに、 これを真如しんにょ実相じっそうといふ。 くうすなはちこれしきなるがゆゑに、 これを相好そうごうこうみょうといふ。

↠知。所観衆相、即是三身即一之相好・光明也諸仏同体之相好・光明也万徳円融之相好・光明也。色即是空ナルガ、謂↢之真如実相↡。空即是色ナルガ、謂↢之相好・光明↡。

^*一色いっしき一香いっこうちゅうどうにあらずといふことなし。 *じゅそうぎょうしきもまたかくのごとし。 わがしょ*三道さんどう弥陀みだぶつ万徳まんどくと、 本来ほんらいくうじゃくにして*一体いったい無礙むげなり。 ねがはくはわれぶつて、 しょうぼうおうひとしからん。

一色・一香無ズトイフコト↢中道↡。受想行識亦復如↠是クノ。我所有三道与↢弥陀仏万徳↡、本来空寂ニシテ一体無ナリ。願クハ我得↠仏ヒトシカラム↢聖法↡。

^じょう、 ¬かんぎょう¼・¬*しんかんぎょう¼・¬*金光こんこう明経みょうきょう¼・¬*念仏ねんぶつ三昧ざんまいきょう¼・¬般若はんにゃきょう¼・¬*かん¼ とうこころによる。

已上依↢¬観経¼・¬心地観経¼・¬金光明経¼・¬念仏三昧経¼・¬般若経¼・¬止観¼等

・雑略観

【45】^さん*ぞうりゃくかんとは、 かのぶつけんいちびゃくごうあり。 みぎめぐりて宛転えんでんせること、 しゅのごとし。

雑略者、彼眉間↢一白毫↡。右リテ宛転セルコト↢五須弥↡。

^なかにおいて、 また八万はちまんせんこうあり。 一々いちいちこう八万はちまんせんひかりあり。 そのひかりみょうにして、 衆宝しゅぼういろせり。 そうじてこれをいへば、 しちひゃくていろっ百万ぴゃくまんこうみょうなり。 十方じっぽうめん赫奕かくやくたること、 億千おくせん日月にちがつのごとし。 そのひかりのなかに一切いっさい仏身ぶっしんげんじ、 しゅさつしゅしてにょうせり。 またみょうおといだして、 もろもろの法海ほうかい*せんちょうす。

↠中復有↢八万四好↡。一々↢八万四千光↡。其光微妙ニシテセリ↢衆宝↡。総ジテ而言↠之、七百五倶胝六百万光明ナリ。十方ゴト赫奕タルコト↢億千日月↡。其↢一1108仏身無数菩薩衆会シテ囲遶セリ。復出シテ↢微妙↡宣↢暢法海↡。

^またかの一々いちいちこうみょう、 あまねく十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらして、 摂取せっしゅしててたまはず。 われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども、 煩悩ぼんのうまなこへて、 たてまつることあたはずといへども、 だい0957むことなくして、 つねにわがらしたまふ。

又彼一々光明、遍シテ↢十方世界念仏衆生↡摂取シテ不↠捨テタマハ我亦在↢彼摂取之中煩悩障ヘテ↠眼↠不↠能↠見タテマツルコト、大悲無クシテ↠惓ムコトシタマフ↢我↡。

^あるいはしんおこして極楽ごくらくこくしょうじて、 れんのなかに*けっ趺坐ふざし、 れんがっするおもいをなすべし。 いで、 れんひらくるときに、 尊顔そんげん*瞻仰せんごうしたてまつり、 びゃくごうそうかんず。 とき百色ひゃくしきひかりありて、 きたりてわがらすに、 すなはちりょうぶつさつの、 くうのなかにてるをたてまつる。 みずとり樹林じゅりんおよび諸仏しょぶついだしたまふところのおんじょうは、 みなみょうほうぶと。 かくのごとくそうして、 しんをして*欣悦ごんえつせしめよ。 ねがはくは、 もろもろのしゅじょうとともに安楽あんらくこくおうじょうせん。

イハ↧起シテ↢自心↡生ジテ↢極楽国↡、於蓮華結跏趺坐、作↦蓮華スル↥。ギテ蓮華開クル、瞻↢仰シタテマツリ尊顔↡、観↢白毫、有リテ↢五百色光↡来リテスニ↢我↡、即タテマツル↣無量化仏・菩薩テルヲ↢虚空↡。水・鳥・樹林及与 オヨビ 諸仏音声皆演ブト↢妙法↠是クノ思想シテ、令↢心シテ欣悦ゼヨ↢諸衆生↡往↦生セム安楽国↥。

^じょう、 ¬かんぎょう¼・¬*ごんぎょう¼ とうこころによる。 つぶさには*別巻べっかんにあり。

已上依↢¬観経¼・¬花厳経¼等↡。具ニハ↢別巻

^もし*ごくりゃくねがふものは、 おもふべし。 かのぶつけんびゃくごうそうは、 *旋転せんでんせること、 なほ頗梨はりしゅのごとし。 こうみょうあまねくらしてわれらをおさめたまふ。 ねがはくは、 しゅじょうとともにかのくにうまれんと。

ハム↢極略↡者↠念。彼眉間白毫、旋転セルコト↢頗梨珠↡。光明遍シテメタマフ↢我等↡。願クハ↢衆生↡生レムト↢彼↡。

三想

^もし相好そうごう観念かんねんするにへざることあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいは*いんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて、 一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなり。 ゆゑに種々しゅじゅかんかす。

ラバ↠不ルコト↠堪↣観↢念スルニ相好↡、或イハ↢帰命↡、或イハ↢引摂↡、或イハリテ↢往生↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナリ。故↢種々

^*行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささに、 つねにこのねんをもつてむねのなかにくこと、 してじきおもふがごとくし、 かつしてみずふがごとくせよ。 あるいはこうべげ、 あるいはこえげてしょうせよ。 *外儀げぎことなりとい0958へども、 心念しんねんはつねにぞんぜよ。 念々ねんねん相続そうぞくして、 *寤寐ごびわするることなかれ。

行住坐臥、語黙作々、常↢此↢於胸クシ↢飢シテフガ↟食、如クセヨ↢渇シテフガ↟水。或イハ↠頭↠手、或イハゲテ↠声セヨ↠名。外儀↠異ナリト心念ゼヨ。念々相続シテ、寤寐↠忘ルルコト

 ^ふ。 かのぶつ*真身しんしんは、 これぼん心力しんりきおよぶところにあらず。 ただぞうかんずべし。 なんぞ大身だいしんかんぜん。

。彼真身、非↢是凡夫心力↟及。但応↠観↠像。何ゼム↢大身↡。

^こたふ。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「りょう寿じゅぶつしんりょうへんにして、 これぼん心力しんりきおよぶところにあらず。 しかもかの如来にょらい宿しゅく願力がんりきのゆゑに、 憶想おくそうすることあるものは、 かならずじょうじゅすることをただ仏像ぶつぞうおもふすら、 りょうふく。 いはんやまたぶつそくせる身相しんそうかんぜんをや」 と。

。¬観経¼云、「無量寿仏身量無辺ニシテ↢是凡夫心力↟及。然如来宿願力、有↢憶想スルコト↡者得↢成スルコトヲ↡。但想↢仏像↡得↢無量↡。況復観1109ゼムヲヤト↢仏具足身相↡」

^あきらかにりぬ、 初心しょしんもまた*ぎょうよくしたがひて真身しんしんかんずることをるなり。

カニリヌ初心亦随ヒテ↢楽欲↡得ルナリ↠観ズルコトヲ↢真身↡。

 ^ふ。 いふところの弥陀みだ一身いっしんは、 すなはち一切いっさいぶつしんなりとは、 なんのしょうかある。

。所↠言弥陀一身一切ナリ者、有↢何証拠↡。

^こたふ。 天台てんだいだい (*智顗) のいはく (*十疑論)、 「弥陀みだぶつねんずるは、 すなはち一切いっさいぶつねんずるなり。 ゆゑに ¬ごんぎょう¼ にのたまはく、

。天台大師、「念ズルハ↢阿弥陀仏ズルナリ↢一切仏↡。故¬花厳経¼云

^ª一切いっさい諸仏しょぶつしんは、 すなはちこれ一仏いちぶつしんなり。
一心いっしんなり、 いち智慧ちえなり。 *りき無畏むいもまたしかなりº」 と。

一切諸仏是一仏ナリ
一心ナリ一智慧ナリ力・無畏亦然ナリト

^また ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、 「もし一仏いちぶつゆいすれば、 すなはち一切いっさいぶつたてまつる」 と。

又¬観仏三昧経¼云、「若思↢惟スレバ一仏↡即タテマツルト↢一切↡。」

 ^ふ。 もし諸仏しょぶつ*たいしょう無二むになるがごとく、 念者ねんじゃどくもまたべつなきや。

モシ↢諸仏体性無二ナルガ↡、念者功徳亦無↠別耶。

^こた0959ひとしくして差別しゃべつなし。 ゆゑに ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃきょう¼ のかんにのたまはく、 「一仏いちぶつねんずるは、 どくりょうへんなり。 またりょう諸仏しょぶつどく無二むになり。 不思議ふしぎ仏法ぶっぽうひとしくして分別ふんべつなし。 みな一如いちにょじょうじて*さいしょうがくじょうじ、 ことごとくりょうどくりょう弁才べんざいしたまへり。 かくのごとくして*いちぎょう三昧ざんまいるものは、 ことごとく恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつ法界ほうかいの、 差別しゃべつそうる」 と。

。等シクシテ差別ナリ。故¬文殊般若経¼下巻、「念ズルハ↢一仏↡功徳無量無辺ナリ。亦与↢無量諸仏功徳↡無二ナリ不思議ナリ仏法シクシテ↢分別↡。皆乗ジテ↢一如↡成タマフ↢最正覚シタマヘリ↢無量功徳、無量辨才↡。如クシテ↠是クノ↢一行三昧↡者、尽ルト↢恒沙諸仏法界無差別↡」

 ^ふ。 諸相しょそうどくは、 肉髻にくけい梵音ぼんのんと、 これをさいしょうなりとなす。 いまおおびゃくごうすすむること、 なんのしょうかある。

。諸相功徳、肉髻梵音、是↢最勝ナリト↡。今多ムルコト↢白毫↡有↢何証拠↡耶。

^こたふ。 そのしょうはなはだおおし。 りゃくして*いちりょういださん。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「りょう寿じゅぶつかんずるものは、 いち相好そうごうよりれ。 ただけんびゃくごうかんじて、 きはめて明了みょうりょうならしめよ。 けんびゃくごうるものは、 八万はちまんせん相好そうごうねんにまさにつべし」 と。

。其証甚。略シテサム↢一両↡。¬観経¼云、「観ゼム↢無量寿仏↡者、従↢一相好↡入。但ジテ↢眉間白毫↡、極メヨ↢明了ナラ↡。見↢眉間白毫↡者、八万四千相好自然シト↠見。」

^また ¬観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「如来にょらいりょう相好そうごうまします。 一々いちいちそうのなかに、 八万はちまんせんのもろもろのしょう相好そうごうあり。 かくのごとき相好そうごうは、 びゃくごうしょうぶんどくおよばず。 このゆゑに今日こんにち*らいのもろもろのあくしゅじょうのために、 びゃくごうそうだいこうみょうの、 しょうあく観法かんぽうく。

又¬観仏経¼云、「如来↢無量相好↡。一々八万四千小相好アリ。如↠是クノ相好不↠及↢白毫少分功徳↡。是今日、為↢於来世衆生↡、説↢白毫相慧光明消悪観法↡。

^もし邪見じゃけんごくじゅう悪人あくにんありて、 この観法かんぽう*そうみょうそくすときて、 瞋恨しんごんしんをなさば、 このことわりあることなからん。 たとひいかりをなすとも、 びゃくごうそう0960ひかり、 また覆護ふごせん。

リテ↢邪見極重悪人↡、聞キテ観法1110相貌サバ↢瞋恨↡、無↠有ルコト↢是コトワリ↡。縦使ストモ↠瞋、白毫相光亦復覆護セム

^しばらくこのかば、 三劫さんこうつみのぞき、 しんしょうじょは、 諸仏しょぶつみまえしょうぜん。 かくのごとく、 種々しゅじゅひゃく千億せんおくしゅのもろもろの、 こうみょうみょうきょうがいは、 ことごとくくべからず。 びゃくごうおもときねんにまさにしょうずべし」 と。

カバ↢是コト↡、除カム↢三劫後身レム↢諸仏↡。如↠是クノ種々百千億種光明微妙境界、不↠可カラ↢悉↡。念ハム↢白毫↡時自然↠生。」

^またのたまはく (観仏経)、 「*しんにしてぞうかんずるに、 なほかくのごときりょうどく。 いはんやまたねんけて、 ぶつけんびゃくごうそうひかりかんぜんをや」 と。

又云、「麁心ニシテズルニ↠像、尚得↢如↠是クノ無量功徳↡。況復繋ケテ↠念ゼムヲヤト↢仏眉間白毫相↡。」

^またのたまはく (観仏経)、 「*しゃもんぶつぎょうじゃまえげんじて、 げてのたまはく、 ªなんぢ、 観仏かんぶつ三昧ざんまいりきしゅす。 ゆゑに、 われはんそうちからをもつて、 なんぢに色身しきしんしめして、 なんぢをしてあきらかにかんぜしめん。 なんぢ、 いまぜんしておおかんずることをざれ。 なんぢ、 のちひとおおくもろもろのあくつくれり。 ただけんびゃくごうそうひかりかんぜよ。 このかんをなすときるところのきょうがいは、 かみ所説しょせつのごとしº」 と。 じょう、 これを略抄りゃくしょうす。

又云、「釈迦文仏現ジテ↢行者↡告ゲテ、汝修↢観仏三昧、我以↢涅槃相↡、示シテ↢汝色身↡、令メム↢汝ヲシテ↡。汝今坐禅シテ↠得↢多ズルコト↡。汝後人多レリ↢諸↡。但観ゼヨ↢眉間白毫↡。作ラム↢此↡時↠見境界、如シト↢上キツル已上略↢抄

^かみ所説しょせつ」 とは、 ぶつ種々しゅじゅきょうがいるなり。 もろもろのやくは、 しもべつぎょうおよびやくもんいたりてりぬべし。

所説者、見↢仏種々境界↡也。諸利益、至リテ↢下別時行及利益門↡応↠知リヌ

 ^ふ。 びゃくごう一相いっそうかんずるをもまた三昧さんまいづくるや。

。観ズルヲモ↢白毫一相↡亦名↢三昧↡耶。

^こたふ。 しかなり。 ゆゑに ¬観仏かんぶつきょう¼ のだいにのたまはく、 「もしよくこころけていちもうかんずる、 こ0961ひとづけて*念仏ねんぶつじょうぎょうずとなす。 ぶつねんずるをもつてのゆゑに、 十方じっぽう諸仏しょぶつ、 つねにそのまえちて、 ためにしょうぼうきたまふ。 このひと、 すなはちよくさんのもろもろの如来にょらいしょうずるしゅとなす。 いかにいはんや、 そくしてぶつ色身しきしんねんぜんをや」 と。

。爾ナリ。故¬観仏経¼第九、「若ケテ↠心ズル↢一毛孔↡、是ケテ↠行ズト↢念仏定↡。以テノ↠念ズルヲ↠仏、十方諸仏常チテ↢其↡、為キタマフ↢正法↡。此ヲバ↧能ズル↢三世如来↡種↥。何具足シテゼムヲヤアト↢仏色身↡。」

 ^ふ。 なんがゆゑぞじょうしょうごんかんぜざるや。

。何↠観↢浄土荘厳耶。

^こたふ。 いまこうぎょうへざるもののために、 ただりゃくかんすすむ。 もしかんぜんとおもふものは、 ¬かんぎょう¼ をむべし。 いかにいはんやさき十種じっしゅかしつ。 すなはちこれじょうしょうごんなり。

。今為↧不↠堪↢広行↡之者↥、唯↢略観↡。若ハム↠観ゼムト↠読↢¬観経¼↡。何シツ↢十種事↡。即是浄土荘厳也。

 ^ふ。 なんがゆゑぞ観音かんのんせいかんぜざるや。

。何↠観↢観音・勢至↡耶。

^こたふ。 りゃくせるがゆゑにじゅつせず。 ぶつねんじをはりてのちは、 さつかんずべし。 あるいはみょうごうしょうせよ。 しょうこころしたがへ。

。略セルガ不↠述。念↠仏已後 ノチ 、応↠観↢二菩薩↡。或イハセヨ↢名↡。多少1111↠意

二 Ⅳ ⅱ 回向門

【46】^だいこうもんかすとは、 そくせるもの、 これしんこうなり。

第五スト↢廻向↡者、五義具足セルモノ、是真廻向ナリ

^いちには、 さん一切いっさい善根ぜんごんじゅしゅうすること、 ¬ごんぎょう¼ のこころ

ニハ聚↢集スルコト三世一切善根↡、¬花厳経¼意

^には、 *薩婆さはにゃしん相応そうおうすること、

ニハ薩婆若相応スルコト

^さんには、 この善根ぜんごんをもつて一切いっさいしゅじょうとともにすること、

ニハ↢此善根↡共ニスルコト↢一切衆生↡、

^には、 じょうだいこうすること、

ニハ廻↢向スルコト無上菩提↡、

^には、 *のうしょもつみな*不可ふかとくなりとかんじて、 よく諸法しょほう実相じっそうごうせしむることなり。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) のこころ

ニハジテ↢能施・所施・施物皆不可得ナリト↡、能ムルコトナリ↢諸法実相和合↡。¬大論¼意

^0962れらのによりて、 しんおもひ、 くちにいへ。 しゅするところのどくと、 および*三際さんざい一切いっさい善根ぜんごんとを、 そのいち 自他じた法界ほうかい一切いっさいしゅじょうこうして、 びょうどうやくし、 その つみめっし、 ぜんしょうじて、 ともに極楽ごくらくしょうじて、 *げんぎょうがん速疾そくしつ円満えんまんし、 自他じたおなじくじょうだいしょうして、 *らいさいつくすまでしゅじょうやくし、 そのさん 法界ほうかい*回施えせして、 その だいだいこうするなり。 その

リテ↢此等↡、心。所功徳及以 オヨビ 三際一切善根トヲ 廻↢向自他法界一切衆生↡平等利益セム↠罪ジテ↠善ジテ↢極楽↡普賢行願速疾円満、自他同ジクシテ↢無上菩提↡、尽クスマデ未来際利↢益セム衆生↡。 廻↢施法界↡、 廻↢ルナリ大菩提

 ^ふ。 らいぜんいまだあらず。 なにをもつてかこうする。

。未来善未↠有。以テカ↠何廻向スル

^こたふ。 ¬ごんぎょう¼ に、 *だいさんこう*さつぎょうそうきてのたまはく、 「さん善根ぜんごんをもつて、 所着しょじゃくなく、 そうなくそうはなれて、 ことごとくもつてこうす」 (意) と。

。¬花厳経¼説キテ↢第三廻向行相↡云、「以↢三世善根↡、而シテ↢所著↡、無↠相離レテ↠相、悉廻向スト。」

^¬*かんじょう¼ にしゃくあり。 いちには、 らい善根ぜんごんはいまだあらずといへども、 いまもしがんおこしつれば、 *がんくんじてしゅとなり、 しょうするちからのゆゑに、 らい所修しょしゅ任運にんうんしゅじょうだいとにちゅうこうして、 さらにこうすることをたず。 には、 このきょうのなかによれば、 さつは、 ない一念いちねんぜんしゅするに、 ほっしょうせっするがゆゑに*九世くせへんす。 ゆゑにかの善根ぜんごんをもつてこうすと。

¬刊定記¼有↢二釈↡。一ニハ未来善根↠未↠有、今若シツレバ↠願、願薫シテ↡摂持スル、未来所修任運注↢向シテ衆生菩提トニ↡、不↠待↢更廻向スルコトヲ↡也。二ニハレバ↢此菩薩、乃至修スルニ↢一念↡、摂スルガ↢法性↡故↢於九世↡。故↢彼善根↡廻向スト也。

 ^ふ。 だいに、 いかなるをや薩婆さはにゃ相応そうおうしんづくる。

。第二ナルヲヤクル↢薩婆若相応↡。

^こたふ。 ¬ろん¼ (大智度論) にいはく、 「*のくだいこころ、 すなはちこれ薩婆さはにゃおうずるしんなりと。 ªおう0963º といふは、 しんけて、 われまさにぶつるべしとがんずるなり」 と。

。¬論¼云、「阿耨菩提意、即是応ズル↢薩婆若↡心ナリト。応トイフ者繋↠心、願ズルナリト↢我当シト↟作↠仏。」

 ^ふ。 第三だいさんだいは、 なんがゆゑぞかならず一切いっさいしゅじょうとともにし、 およびじょうだいこうする。

。第三第四、何ニシ↢一切衆生↡、及1112以廻↢向スル无上菩提↡。

^こたふ。 ¬*ろっ波羅ぱらみつきょう¼ にのたまはく、 「いかんぞしょうどくなるや。 方便ほうべんちからをもつて、 しょうぶん布施ふせをもつてこう発願ほつがんすらく、 ª一切いっさいしゅじょうおなじく*じょうしょうとうだいしょうせんº と。 これをもつてどくりょうへんなること、 なほしょううんの、 やうやく法界ほうかいへんするがごとし」 と。 ないいっいっをもつてするもまたしかり。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) のこころまたこれにおなじ。

。¬六波羅蜜経¼云、「云何少施功徳多ナル耶。以↢方便↡、少分布施ヲモテ廻向発願スラク、与↢一切衆生↡同ジクセムト↢無上正等菩提↡。以↠是功徳無量無辺ナルナリ猶如シト↣小雲スルガ↢法界↡。」乃至以↢一花・一菓↡施スルモ亦爾。¬大論¼意亦同↠之

^また ¬*ほうしゃくきょう¼ のじゅうろくにのたまはく、 「さつ摩訶まかさつは、 しょ*しょうのもろもろのみょう善根ぜんごんを、 一切いっさいじょうだいこうして、 この善根ぜんごんをしてひっきょうじてじんならしむ。 たとへば、 しょうすい大海だいかいげつれば、 ない*こうしょうのなかにもくることあることなからんがごとし」 と。

又¬宝積経¼六、「菩薩摩訶薩、所有已生妙善根一切廻↢向シテ無上菩提↡、令↢此善根シテ畢竟ジテ無尽ナラ↡。譬ヘバ↧小水ゲツレバ↢于大海↡、乃至劫焼マデニシテカラムガ↞有ルコト↠尽クルコト。」

^また ¬*だいしょうごんろん¼ のにいはく、

又¬大荘厳論¼偈

^ぎょうじて*みょうしきざいもとめず、 またてん人趣にんしゅかんずることをがんぜざれ、
もつぱらじょうしょうだいもとむれば、 なれどもすなはちりょうふくかんず」 と。

「行ジテ↠施不↠求↢妙色財亦不シテ↠願↠感ゼム↢天人趣
ルハ↢无上勝菩提ナレドモ便ズト↢无量↡」

^ゆゑにもろもろの善根ぜんごんをもつてことごとく仏道ぶつどうこうするなり。

↢諸善根↡尽廻↢向スルナリ仏道↡。

^また ¬大論だいろん¼ (大0964智度論) にいはく、 「たとへば、 *慳貪けんどんにんの、 因縁いんねんなくしては、 ない一銭いっせんをもほどこせず、 *貪慳とんけんしゃくじゅしてただぞうじょうすることをのぞむがごとく、 さつもまたかくのごとし。 福徳ふくとくの、 もしはもしはしょう余事よじにはかへず、 ただあいじゃく積集しゃくじゅうして薩婆さはにゃかふ」 と。

又¬大論¼云、「譬ヘバ↧慳貪クシテハ↢因縁↡、乃至一銭ヲモ不↠施、貪慳積聚シテ但望ムガ↦増長セムコトヲ↥、菩薩亦如↠是クノ。福徳シハ多若シハ少、不↠向↢余事ニハ↡、但愛惜積集シテ↢薩婆若↡。」

 ^ふ。 もししからば、 ただだいこうすべし。 なんがゆゑぞ、 さらにおうじょう極楽ごくらくとはいふ。

。若ラバ唯応↣廻↢向菩提↡。何↢往生極楽トハ↡。

^こたふ。 だいはこれほうなり。 極楽ごくらくはこれほうなり。 もとむる人、 いかんぞせざらんや。 このゆゑにぼんごうにみないはく、 「こうして極楽ごくらくこくしょうぜんとがんす」 と。

。菩提是果報ナリ。極楽是花報ナリ。求↠果之人イカンラム↠期↠花耶。是九品皆云、廻向シテ願↣求ストゼムト↢極楽国↡。

 ^ふ。 発願ほつがんこうとは、 なんの差別しゃべつかある。

。発願廻向トハ↢何差別↡。

^こたふ。 ちかひてもとむるところをする、 これをづけてがんとなす。 しょごうしてかしこに趣向しゅこうする、 これをこうといふ。

。誓スル↡、名ケテ↠之↠願。廻シテ↢所作↡趣↢向スル於彼↡、謂↢之廻向↡。

 ^ふ。 薩婆さはにゃじょうだいと、 差別しゃべつなし。 なんぞわかちてとはなす。

。薩婆若↢無上菩提↡二↢差別↡。何チテ↠二トハ

^こたふ。 ¬ろん¼ (大智度論)こうかすに、 これをわかちてとなせり。 ゆゑにいまこれにじゅんず。 さらに *¬ろん¼ (同)もんかんがへよ。

。¬論¼明スニ↢廻向↡、分チテ↠之↠二。故今順↠之。更カンガヘヨ↢¬論¼文↡。

 ^ふ。 つぎに、 なんがゆゑぞ、 あらゆるかんじて、 ことごとくくうならしむるや0965

。次1113ジテ↢所有↡悉ムル↠空ナラ耶。

^こたふ。 ¬ろん¼ (大智度論) にいはく、 「*じゃくしん*取相しゅそうさつしゅする福徳ふくとくは、 くさよりしょうずるの、 めっすることをべきことやすきがごとし。 もし実相じっそう体得たいとくせるさつの、 だいしんをもつてぎょうずるしゅぎょうは、 することをべきことかたきこと、 みずのなかのの、 よくめっするものなきがごとし」 と。

。¬論¼云、「著心取相菩薩スル福徳、如↢草ヨリズルキガ↟可キコト↠得↠滅スルコトヲ。若体↢得セル実相↡菩薩↢大悲心↡行ズル衆行、難キコト↠可キコト↠得↠破コトヲ、如シト↣水キガ↢能スル者↡。」

 ^ふ。 もししからば、 となへて 「くう所得しょとく」 といふべし。 なんがゆゑぞいま 「回施えせ法界ほうかい」 とはいふ。

。若ラバ↣唱ヘテ↢空无所得↡。何今云↢廻施法界トハ↡。

^こたふ。 じつにはしかるべし。 しかれども、 いまはこく風俗ふうぞくじゅんずるがゆゑに 「法界ほうかい」 といふに、 またすることなし。 しかる所以ゆえんは、 法界ほうかいはすなはちこれ*えんにゅう無作むさ第一だいいちくうなり。 所修しょしゅぜんをもつて*しゅし、 かの第一だいいちくう相応そうおうするを回施えせ法界ほうかいづく。

。理実ニハ↠然。然レドモズルガ↢於国土風俗↡故フニ↢法界↡、理亦無↠違スルコト。所↢以然↡者、法界是円融无作第一義空ナリ。以↢所修↡廻趣、相↢応スルヲ第一義空↡名↢廻施法界↡。

 ^ふ。 さいに、 なんのこころとなへて 「こうだいだい」 といふや。

。最後ヘテ↢廻向大菩提↡耶。

^こたふ。 これはこれ、 薩婆さはにゃ相応そうおうせしむるなり。 これまた*ふうじゅんじて、 これをまつく。 「薩婆さはにゃ」 といふは、 すなはちこれだいなり。 さきの ¬ろん¼ (大智度論)もんのごとし。

。此是令ムル↧与↢薩婆若↡相応↥也。此亦順ジテ↢土風↡、置↢之末後↡。言フハ↢薩婆若↡即是菩提ナリ。如↢前¬論¼文↡。

 ^ふ。 *そうこうにはやくなきや。

。有相廻向↢利益↡耶。

^こたふ。 かみにしばしばろんずるがごとし。 しょうれつはありといへども、 なほやくあり。

。如↢上ズルルガ↡。雖↠有リト↢勝劣↡猶有巨益↡。

^¬大論だいろん¼ (大智度論)だいしちにいふがごとし。 「しょういんだいしょうえん大報だいほうあり。 仏道ぶつどうもとめていちさんじ、 ひとたび ª南無なもぶつº と0966しょうし、 一捻いちねんこうきて、 かならずぶつることをるがごときなり。 いかにいはんや、 もんせんをや。 ª諸法しょほう実相じっそうしょうめつにして、 しょうにもあらず、 めつにもあらざれども、 しかも因縁いんねんごうぎょうずれば、 またしっせざるなりº」 と。

↢¬大論¼第七フガ↡。「有↢小因大果アル小縁大報アル↡。如キナリ↧求メテ↢仏道↡讃↢一偈↡、一タビ↢南無仏↡、キテ↢一捻↡、必ルガ↞作ルコトヲ↠仏。何聞知セムヲヤ。諸法不生・不滅ニシテ、不々生・不々滅、而因縁亦不ルナリ↠失。」

^このもんじんみょうなり。 もとどりのなかのみょうしゅなり。 すなはちりぬ、 われらもぶつになることうたがいなしと。

文深妙ナリ。髻明珠ナリ。則リヌ我等ラムコト↠仏シト↠疑。

^*りゅうじゅそんみょうしたてまつる。 わが心願しんがん証明しょうみょうしたまへ。

帰↢命シタテマツル龍樹尊↡。証↢シタマヘ心願↡。

助念方法

【47】^大文だいもんだいに、 *助念じょねん方法ほうほうといふは、 *一目いちもくあみとりることあたはず、 まんじゅつをもつて観念かんねんたすけて、 おうじょうだいじょうず。 いましちをもつて、 りゃくして方法ほうほうしめさん。 いちには方処ほうしょ供具くぐにはしゅぎょうそうみょうさんにはたいだいにはあく修善しゅぜんにはさん衆罪しゅざいろくにはたい魔事まじしちには総結そうけつようぎょうなり。

大文第五助念方法イフ者、一目之アミ、不↠能↠得ルコト↠鳥、万術ヲモテケテ↢観念↡成↢往生大事↡。今以↢七事↡略シテサム↢方法↡。一ニハ方処供具、二ニハ修行相貌、三ニハ対治懈怠、四1114ニハ止悪修善、五ニハ懴悔衆罪、六ニハ対治魔事、七ニハ総結行要ナリ

二 Ⅴ 方処供具

【48】^第一だいいち*方処ほうしょ供具くぐとは、 *ないともにきよくしていち閑処げんしょめて、 ちからしたがひてこう供具くぐべんぜよ。

第一方処供具者、内外倶クシテメテ↢一閑処↡、随ヒテ↠力ゼヨ↢於香花供具↡。

^もしこうとうけっしょうせることあらば、 ただもつぱらぶつどくじんねんぜよ。

ラバ↣闕↢少セルコト花香等↡、但専ゼヨ↢仏功徳威神↡。

^もししたしく仏像ぶつぞうむかはば、 すべからくとうみょうべんずべし。

シクハバ↢仏像↡、須↢灯明↡。

^もしはるかに西方さいほうかんぜば、 あるいは闇室あんしつもちゐよ。 *かんぜん (*懐感) は闇室あんしつゆるす。

ゼバ↢西方↡、或イハヰヨ↢闇室↡。感禅師暗室

^もしこうするときには、 すべからく ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ のようもんこころによる0967べし。 そのるところのふくりょうへんなり。 煩悩ぼんのうおのづからげんしょうし、 ろくおのづから円満えんまんす。 そのもん*つう所用しょゆうことならず。 ゆゑにさらにしょうせず。

セム↢花香↡時ニハ、須シ ↠依↢¬観仏三昧経¼供養↡。其福無量無辺ナリ。煩悩自減少、六度自円満文不↠異ナラ↢通途所用↡。故不↢更

^もし念珠ねんじゅもちゐんときには、 じょうもとめんとおもはば、 *木槵もくげんもちゐ、 どくおもはば、 *だいない、 あるいはすいしょう*れんとうもちゐよ。 ¬*念珠ねんじゅどくきょう¼ にえたり。

ヰバ↢念珠↡、ハバ↠求メムト↢浄土↡用↢木槵子ハバ↢多功徳↡用ヰヨ↢菩提子乃至或イハ水精・蓮子等↡。エタリ↢¬念珠功徳経¼↡

二 Ⅴ 修行相貌

【49】^だい*しゅぎょうそうみょうとは、 ¬*しょうろん¼ とうによりてしゅそうもちゐよ。

第二修行相貌者、依リテ↢¬摂論¼等↡用ヰヨ↢四修

^いちにはじょうしゅ

者長時修。

^¬要決ようけつ¼ (*西方要決) にいはく、 「しょ発心ほっしんよりすなはちだいいたるまで、 つねに*じょういんをなして、 つひに退転たいてんなかれ」 と。

¬要决¼云、「従↢初発心↡乃菩提マデ、恒シテ↢浄因↡、終レト↢退転↡。」

^善導ぜんどうぜんのいはく (*礼讃)、 「いのちふるをとなして、 ちかひてちゅうせざれ」 と。

導禅師、「畢フルヲ↠命↠期ヒテレト↢中止↡。」

^にはおんじゅうしゅ

者慇重修。

^いはく、 極楽ごくらく*仏法ぶっぽうそうぼうにおいて、 しんにつねに憶念おくねんして、 もつぱらそんじゅうをなせ。

↢極楽仏法僧宝↡心常憶念シテ、専↢尊重↡。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「行住ぎょうじゅう坐臥ざがに、 西方さいほうそむかざれ。 *てい便べんは、 西方さいほうかはざれ」 と。

¬要决¼云、「行住坐臥↠背↢西方↡。啼唾便レト↠向↢西方↡。」

^どう (善導) のいはく (礼讃)、 「おもて西方さいほうかふるものはさいしょうなり。 さきよりかたむけるはたおるるに、 かならずまがれるにしたがふがごとし。 かならずさわりありて西にしかふことおよばずは、 ただ西にしかふおもいをなすにまたたり」 と。

導師、「面↢西方↡者最勝ナリ。如↢樹ルルニフガ↟曲レルニ。必リテ↢事礙↡不レバ↠及↠向フコト西者、但作スニ↢向↠西↡亦得タリ。」

^さんには間修けんしゅ

者无間修。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「いはく、 つねにぶつねんじておうじょうしんをなせ。 一切いっさいときにおいて、 しんにつねにおもたくめ。

¬要決¼云、「謂ジテ↠仏↢往生↡。於↢一切↡心

^たとへば、 ひとありて0968*抄掠しょうりょうせられ、 せんとなりてつぶさに*艱辛かんしんけん。 たちまちに父母ぶもおもひ、 はしりてくにかえらんとほっするに、 *行装ぎょうしょういまだべんぜずして、 なほさとにありてにちゆいし、 堪忍かんにんせず。 ときとしてしばらくもてて*じょうおもはざることなし。 はかりごとをなすことすでにじょうじて、 すなはちかえりてたっすることをて、 父母ぶも親近しんごんし、 ほしいままにかんせんがごとし。

ヘバ↧有リテ↠人被↢他抄掠↡、身為リテ↢下賎↡備ケム↢艱辛↡、1115↢父母↡欲スルニ↢走リテラムト↟国↡、行装未ナホリテ↢他↡日夜思惟、苦不↢堪忍↢時トシテモテテルコト↟念耶嬢↡、為スコトハカリゴトジテ、便リテ↠達スルコトヲ、親↢近父母↡、縦任ホシイママ歓娯セムガ↥、

^ぎょうじゃもまたしかなり。 むかし煩悩ぼんのうによりて善心ぜんしんらんし、 ふく珍財ちんざい、 ならびにみな散失さんしつせり。 ひさしくしょうしずみてせいすること自由じゆならず。 つねにおうのためにしかも*ぼく使となりて、 六道ろくどう*駆馳くちせられ、 身心しんしんせつす。

行者亦爾ナリムカシリテ↢煩悩↡壊↢乱善心↡、福智珍財并皆散失シテシクミテ↢生死↡制シテ不↢自由ナラ↡。恒↢魔王↡而リテ↢僕使↡駆↢馳シテ六道↡、苦↢切身心↡。

^いま善縁ぜんえんひて、 たちまちに弥陀みだ慈父じぶの、 がんたがはずしてぐんじょう*済抜さいばつしたまふことをき、 にち*きょうもうし、 しんおこしてくことをねがふ。 ゆゑに*しょうごんすることまずして、 まさに仏恩ぶっとんねんじて、 *ほうくるをとなして、 しんにつねにねんすべし」 と。

今遇ヒテ↢善縁↡、↧弥陀慈父シテ↠違↢弘願↡済↦抜シタマフコトヲ群生↥、日夜驚忙、発シテ↠心↠往カムコトヲ。所以精勤スルコトシテ↠倦、当シト↧念ジテ↢仏恩↡報クルヲ↠期、心計念↥。」

^どう (善導) のいはく (礼讃)、 「心々しんしん相続そうぞくしてごうをもつてまじへざれ。 また貪瞋とんじんとうをもつてまじへざれ。 したがひておかせば、 したがひてさんせよ。 ねんへだときへだへだてしめずして、 つねに清浄しょうじょうならしめよ」 と。

導師、「心々相続シテ↧以↢余業マジ↥。又不↧以↢貪瞋等↡間↥。随ヒテセバヒテセヨ。不シテ↠令↢隔↠念↠時↟日、常メヨト↢清浄ナラ↡。」

^わたくしにいはく、 にちろく、 あるいはさん二時にじに、 かならず方法ほうほうして、 しょうごんしゅじゅうせよ。 そのしょには*威儀いぎもと0969ず、 方法ほうほうろんぜず、 しんはいすることなくして、 つねにぶつねんずべし。

日夜六時或イハ三時・二時、要シテ↢方法↡精勤修習セヨ。其時処ニハ不↠求↢威儀↡、不↠論↢方法心口クシテ↠癈スルコト、常↠念↠仏

^には無余むよしゅ

者無余修。

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「もつぱら極楽ごくらくもとめて弥陀みだ礼念らいねんせよ。 ただししょごうぎょうぞうせしめざれ。 しょごうは、 *日別にちべつに、 すべからく念仏ねんぶつどくきょうしゅして、 *余課よかとどめざるべし」 と。

¬要決¼云、「専メテ↢極楽↡礼↢念セヨ弥陀↡。但諸余業行↠令↢雑起↡。所作之業日別↢念仏・読経ラム↠留↢余↡耳。」

^どう (善導) のいはく (礼讃)、 「かのぶつみなをもつぱらしょうし、 かのぶつおよび一切いっさいしょうじゅとうをもつぱらねんじ、 もつぱらおもひ、 もつぱららいし、 もつぱらさんじて、 ごうまじへざれ」 と。

導師、「専↢称↡、専↢念↣想↤礼↯讃ゼヨ仏及一切聖衆等レト↠雑↢余業↡。」

 ^ふ。 そのごうは、 なんのしつかある。

。其事業↢何過失↡。

^こたふ。 ¬ほうしゃくきょう¼ のじゅうにのたまはく、 「もしさつありて、 ねがひて*ごうをなし、 *しゅいとなまんを、 おうぜざるところなりとなす。 われかく、 ªこのひとしょうじゅうすº」 と。

。¬宝積経¼九十二、「若リテ↢菩薩↡楽ヒテ↢世業↡営マムヲ↢於衆務↡、為↠所ナリト↠不↠応。我説カク、是スト↢於生死↡。」

^またどうにのたまはく、

又同ジキ

^ろんじょうろんところは、 おおくもろもろの煩悩ぼんのうおこす。
しゃおんすべきこと、 まさにひゃくじゅんるべし」 と。

「戯論諍論↢諸煩悩
1116キコト↢遠離シト ↠去↢百由旬↡」

^自余じよ方法ほうほうは、 つぶさに ¬かん¼ のごとし。

自余方法、具↢¬止観¼↡。

 ^ふ。 もししからば、 ざいにん念仏ねんぶつぎょうへがたし。

。若ラバ在家ケム↠堪↢念仏↡。

^こたふ。 もしぞくにんは、 *えんてがたくは、 ただつねにおもい西方さいほうけて、 じょうしんにしてかのぶつ0970ねんずべし。 ¬*木槵もくげんきょう¼ の*瑠璃るりおうぎょうのごとくせよ。

世俗クハ↠棄↢縁務↡、但常ケテ↢念西方↡、誠心ニシテ↠念↢彼↡。如クセヨ↢¬木槵経¼瑠璃王↡。

^また*ざいの ¬*じょうろん¼ にいはく、 「たとへば、 りゅうくに、 くもすなはちこれにしたがふがごとく、 しんもし西にしけば、 ごうまたこれにしたがふ」 と。

又迦¬浄土論¼云、「譬ヘバ↢竜クニ雲即フガ↟之、心若西ケバ、業亦随フト。」

 ^ふ。 すでにりぬ、 しゅぎょうそうじて*そうありと。 そのしゅぎょうとき用心ようじんいかんぞ。

。既リヌ修行ジテリト↢四相↡。其修行用心云何

^こたふ。 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「もししゅじょうありて、 かのくにうまれんとがんずるものは、 三種さんしゅしんおこして即便すなわちおうじょうす。 いちにはじょうしんには深心じんしんさんにはこう発願ほつがんしんなり」 と。

。¬観経¼云、「若リテ↢衆生↡願ゼム↠生レムト↢彼↡者、発シテ↢三種↡即便往生。一ニハ至誠心、二ニハ深心、三ニハ廻向発願心ナリト。」

^善導ぜんどうぜんのいはく (礼讃)、 「いちじょうしんといふは、 いはく、 礼拝らいはい讃嘆さんだん*念観ねんかん三業さんごうはかならず真実しんじつもちゐるがゆゑなり。

善導禅師、「一至誠心トイフハ、謂礼拝・讃歎・念観三業ヰルガ↢真実↡故ナリ

^深心じんしんといふは、 いはく、 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼんなり。 善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんして、 いまだたくでずとしんし、 いま弥陀みだほん誓願ぜいがんは、 みょうごうしょうすることしもじっしょういっしょうとういたるにおよぶまで、 さだめておうじょうしんして、 ない一念いちねんしんあることなきなり。

深心トイフハ、謂信↧知自身是具↢足セル煩悩↡凡夫ナリ善根薄少ニシテ流↢転シテ三界↡、未↞出↢火宅↡、今信↧知シテ弥陀弘誓願スルコト↢名号↡下至ルマデ↢十声・一声等↡、定メテ↦往生スルコト↥、乃至一念キナリ↠有ルコト↢疑心↡。

^さんこう発願ほつがんしんといふは、 いはく、 しょ一切いっさい善根ぜんごんをことごとくみなこうして、 おうじょうせんとがんずるがゆゑなり。 この三心さんしんすれば、 かならずおうじょうすることを。 もし一心いっしんけぬれば、 すなはちしょうずることをず」 と。 りゃくしてこれをしょうす。 きょうもんじょうぼん上生じょうしょうにありといへども、 ぜん (善0971導) のしゃくのごとくは、 ぼんつうず。 余師よししゃくつぶさにすることあたはず。

廻向発願心トイフハ、謂所作一切善根皆廻向シテ、願ズルガ↢往生セムト↡故。具シテ↢此三心↡必得↢往生スルコトヲ↡。若ケヌレバ↢一心↡、即イヘリ↠得↠生ズルコトヲ。」シテ↢抄↡。経文↠在リト↢上品上生↡、如↢禅師↡者、理通↢九品↡。余師釈不↠能↠具スルコト

^¬*おんじょうおうきょう¼ にのたまはく、 「もしよくふかしんじて狐疑こぎなきものは、 かならず弥陀みだくにおうじょうすることを」 と。

¬鼓音声王経¼云、「若ジテ狐疑↡者、必↣往↢生スルコトヲ阿弥↡。」

^¬はんぎょう¼ にのたまはく、 「のくだい信心しんじんいんとなす。 このだいいんまたりょうなりといへども、 もし信心しんじんきつればすなはちすでにしょうじんしつ」 と。

¬涅槃経¼云、「阿耨菩提信心↠因。是菩提因雖↢復無量ナリト↡、若キツレバ↢信心↡則摂尽シツト。」

^あきらかにりぬ、 どうしゅするにはしんをもつてはじめとなす。

カニリヌスルニハ↠道↠信ハジメ

^また善導ぜんどうしょうのいはく (礼讃・意)、 「もしはにゅうかんおよびねむりのときには、 このがんおこすべし。 もしはし、 もしはちて、 一心いっしんがっしょうして、 まさしくおもて西にしかへて、 じっしょう、 ª弥陀みだぶつ観音かんのんせい・もろもろのさつ清浄しょうじょう大海だいかいしゅº としょうしをはりて、 ぶつさつおよび極楽ごくらくかいそうたてまつらんといふがんおこせ。 すなはちこころしたがひてにゅうかんし、 およびねむりてもることをしんをばいたさざるをのぞく」 と。

又善導和尚、「若シハ入観及リノ↠発↢此↡。若1117シハシハツルニ、一心合掌シテ、正シクヘテ↠西、十声称↢阿弥陀仏、観音・勢至、諸菩薩、清浄大海衆↡竟リテ而発↧見タテマツラムトイフ↢仏・菩薩及極楽界↡之願↥。即ヒテ↠意入観リテモ得↠見ルコトヲクト↠不ルヲ↠至。」

 ^ふ。 ぎょうじゃ*じょうおうじょうねんすること、 そのそう、 なににかたる。

。行者常途計↢念セムコト往生↡、其相似タル↠何ニカ

^こたふ。 さきくところの ¬要決ようけつ¼ (西方要決) に、 本国ほんごくかえらんとおもたとへ、 これそのそうなり。

。前↠引¬要決¼、欲↠帰ラムト↢本国↡之譬、是其相也。

^またしゃくしょう (道綽) の ¬*安楽あんらくしゅう¼ (上) にいはく、 「たとへば、 ひとありて空曠くうこうのはるかなるところにして、 怨賊おんぞくの、 つるぎゆうふるひて、 ただちにきたりてころ0972さんとほっせんに値遇ひなん。 このひとただちにはしるに、 いちかわわたらんとる。 いまだかわいたるにおよばざるに、 すなはちこのねんをなす。 ªわれかわきしいたりては、 ころもぎてやわたるとやせん、 ころもてやおよぐとやせん。 もしころもぎてわたらば、 ただおそらくはいとまなきことを。 もしころもおよがば、 またおそらくはしゅりょうまったくすることかたしº と。 そのときに、 ただ一心いっしんかわわた方便ほうべんをなすことのみありて、 心想しんそう間雑けんぞうすることなからんがごとし。

綽和尚¬安楽集¼云、「譬ヘバ↧有リテ↠人於↢空カナル↡、値↢遇ヒナム怨賊↠剣ヒテ↠勇、直リテセムニ↟殺サムト、此人径シテ、観↠渡ラムト↢一ルニ↠及↠到ルニ↠河、即↢此我至リテハ↢河↡、マシ↢脱ギテヤ↠衣ルコトヲマシ↢著テヤ↠衣オヨコトヲギテ↠衣ラバ、唯恐クハカラムコトヲ↠暇↠衣オヨガバ、復畏クハ首領↠全セムコト但有リテ↣一心スコトノミ↢渡ラム↠河方便↡、无カラムガ↦余心想間雑スルコト↥、

^ぎょうじゃまたしかり。 弥陀みだぶつねんずるときには、 またかのひとわたることをおもふがごとくして、 念々ねんねんにあひいで、 心想しんそう間雑けんぞうすることなし。 あるいはぶつ法身ほっしんおもひ、 あるいはぶつ神力じんりきおもひ、 あるいはぶつ智慧ちえおもひ、 あるいはぶつ毫相ごうそうおもひ、 あるいはぶつ相好そうごうおもひ、 あるいはぶつ本願ほんがんおもへ。 みなしょうすることもまたしかなり。 ただよくもつぱらいたして、 相続そうぞくしてだんぜざるは、 さだめて仏前ぶつぜんうまる」 と。

行者亦爾。念ゼム↢阿弥陀仏↡時ニハ、亦如クシテ↢彼フガ↟渡ラムコトヲ、念々相次ギテ↢余心想間雑スルコト↡。或イハ↢仏法身↡、或イハ↢仏神力↡、或イハ↢仏↡、或イハ↢仏毫相↡、或イハ↢仏相好↡、或イハ↢仏本願↡。称スルコトモ↠名亦爾ナリ。但能シテ、相続シテ↠断、定メテルト↢仏前↡。」

^*がんぎょうこれにおなじ。

元暁師同↠之

 ^ふ。 念仏ねんぶつ三昧ざんまいは、 ただしんねんずとやせん、 またくちとなふとやせん。

。念仏三昧↢唯心ズトヤ↡、為↢亦口フトヤ↡。

^こたふ。 ¬かん¼ のだい(意) にいふがごとし。 「あるいは ˆしょうねんˇ ともにはこび、 あるいはねんのちとなへ、 あるいはとなのちねんじて、 しょうねんあひぎてそく0973ときなし。 声々しょうしょう念々ねんねんただ弥陀みだにあり」 と。

。如↢¬止観¼第二フガ↡。「イハ、或イハ、或イハジテ、唱念相継ギテ↢休息スル時↡。声々念々唯リト↢阿弥陀↡。」

^またかんぜん (懐感) のいはく (*群疑論)、 「¬かんぎょう¼ にのたまはく、 ªこのひとめられて念仏ねんぶついとまあらず。 ぜん教令きょうりょうすらく、 «弥陀みだぶつしょうすべし» と。 かくのごとくしんいたして、 こえをしてえざらしむº と。

又感禅師、「¬観経¼言、是人苦レテ不↠遑アラ↢念仏↡。善友教令スラク、可シト↠称↢阿弥陀仏↡。如シテ↠是クノシテ↠心1118、令メヨ↢声ヲシテ↟絶

^あにのうめられて念想ねんそうじょうじがたきには、 こえをしてえざらしむるに、 しんにすなはちるにあらずや。 いまこのこえいだして、 念仏ねんぶつじょうがくすることもまたかくのごとし。 こえをしてえざらしむれば、 つひに三昧さんまいて、 ぶつしょうじゅ*きょうねんとしてまえにましますをる。

ズヤ↧苦悩↠逼念想難キニハ↠成、令ムルニ↢声ヲシテ↟絶、至心便ルニ↥。今此シテ↠声スルコトモ↢念仏定↡亦復如↠是クノ。令ムレバ↢声ヲシテ↟絶、遂↢三昧↡、見↢仏・聖衆皎然トシテニマシマスヲ↡。

^ゆゑに *¬だいじゅう¼ の ª日蔵にちぞうぶんº にのたまはく、 ª大念だいねん大仏だいぶつる、 しょうねんしょうぶつるº と。 ª大念だいねんº とはだいしょうぶつしょうするなり。 ªしょうねんº とは小声しょうしょうぶつしょうするなり。 これすなはち聖教しょうぎょうなり。 なんのまどひかあらん。

¬大集¼「日蔵分」言、大念↢大仏↡、小念ルト↢小仏↡。大念者大声スル↠仏也。小念者小声スル↠仏也。斯即聖教ナリ。有ラム↢何マドヒ↡哉。

^げんるにすなはちいまのもろもろの修学しゅがくしゃ、 ただすべからくこえはげましてぶつねんずべし。 三昧さんまいじょうじやすし。 小声しょうしょうぶつしょうするに、 つひに*さんおおし。 これすなはち学者がくしゃるところにして、 *にんさとるにあらず」 と。

ルニ修学者、唯須↢励シテ↠声↟仏。三昧易ケム↠成。小声スルニ↠仏、遂↢馳散↡。此乃学者ナリズト↢外人之サトルニ↡矣。」

^じょう、 かの ¬きょう¼ (大集経) にのたまはく、 「ただほっするはしょうほっするはしょうる」 とうと。 しかるにかん (懐感)、 すでに三昧さんまいたり。 かのしゃくするところ、 あおぎてしんずべし。 さらに諸本しょほんかんがへよ。 「しょうねんしょう大念だいねんだい0974る」 のもん、 ¬*日蔵にちぞうきょう¼ のだいでたり。

已上¬経¼、「但欲スルハ↠多見↠多、欲スルハ↠小↠小。然ルニ感師既タリ↢三昧↡。所↠釈スル↢仰ギテ↡。更ヘヨ↢諸本↡。「小念見↠小、大念ルノ↠大」文、出デタリ↢¬日蔵経¼第九

二 Ⅴ 対治懈怠

【50】^だいさん*たいだいとは、 *ぎょうにんごう勇進ゆうしんすることあたはず。 あるいはしん蒙昧もうまいとなり、 あるいはしん*退屈たいくつす。 そのとき種々しゅじゅすぐれたるせてしん勧励かんれいすべし。

第三対治懈怠者、行人不↠能↢恒時勇進スルコト↡。或イハ心蒙昧ナリ、或イハ心退屈。爾↧寄セテ↢種々レタル↡勧↦自心↥。

^あるいはさん苦果くかをもつてじょうどくくらべて、 このねんをなすべし。 「われすでに悪道あくどうにしてこうき。 *無利むりごんすら、 なほよくえたり。 小行しょうぎょうしゅぎょうしてだいんはだいなり。 退屈たいくつをなすべからず」 と。 悪趣あくしゅじょうそう一々いちいちさきのごとし。

イハ↢三途苦果↡比ベテ↢浄土功徳↡、応↠作↢是↡。我已悪道ニシテ↢多劫无利勤苦スラ尚能エタリ。修↢行シテ小行↡得ムハ↢菩提↡大利ナリ。不↠応カラ↢退屈↡。悪趣苦、浄土相、一々↠前

^あるいはおうじょうじょうしゅじょうえんじて、 このねんをなすべし。 「十方じっぽうかいのもろもろのじょう念々ねんねん安楽あんらくこくおうじょうす。 かれすでに*じょうなり。 われもまたしかなり。 みづからかろみて退屈たいくつをなすべからず」 と。 おうじょうにんしもやくもんりょうけんもんのごとし。

イハジテ↢往生浄土衆生↡、応↠作↢是↡。十方世界有情、念々往↢生安楽国↡。彼既丈夫ナリ。我亦爾ナリ。不↠応カラ↣自ミテ↢退屈↡。往生↢下利益門・料簡門

^あるいはぶつみょうどくえんずべし。

イハ↠縁↢仏奇妙功徳↡。

 ^ふ。 なんらのどくぞ。

。何等功徳

^こたふ。 そのりょうなり。 りゃくしてそのようげん。

。其事无ナリ。略シテゲム↢其↡。

・四十八願

^いちにはじゅうはち本願ほんがんねんすべし。

ニハ↣思↢念四十八大願↡。

^また *¬りょう清浄しょうじょうがくきょう¼ にのたまはく、 「弥陀みだぶつかんおん大勢だいせいと、 大願だいがんふねりてしょううみうかびて、 このしゃかいにつきて、 しゅじょうかんして大願だいがんふねせて、 西方さいほうおくけしめたまふ。 もししゅじょうの、 あへて大願だいがんふねらば、 ならびにみなることを。 これは0975これきやすきなり」 と。

又¬無量清浄覚経¼云、「阿弥陀仏与↢観世音・大勢至↡乗ジテ↢大願ウカビテ↢生死↡、就キテ↢此娑婆世界↡、呼↢喚シテ衆生↡令メタマフセテ↢大願1119↡送↦著西方↥。衆生↢大願↡者、並皆得↠去ルコトヲ。」此是易↠往也。

^¬しんかんぎょう¼ のにのたまはく、

¬心地観経¼偈

^しゅじょうしょうかい没在もつざいして、 しゅりんしてづるなし。
善逝ぜんぜいつねにみょうほうふねとなり、 よく*あいりてがんえしめたまふ」 と。

「衆生没↢在シテ生死海輪↢廻シテ五趣↡無↢出ヅル期↡
善逝恒↢妙法リテ↢愛流↡超エシメタマフト↢彼↡」

^おもふべし、 「われ、 いづれのときにかがんふねりてらん」 と。

↠念、我何レノニカジテ↢悲願↡去ラムト

・名号

 ^にはみょうごうどくなり。

ニハ名号功徳ナリ

^¬*ゆいぎょう¼ にのたまふがごとし。 「諸仏しょぶつ色身しきしんそうしゅしょう*かいじょう智慧ちえだつけん*りきしょ不共ふぐほうだいだい威儀いぎしょぎょう、 およびその寿じゅみょう説法せっぽうきょうし、 しゅじょうじょうじゅし、 ぶつこくきよめ、 もろもろの仏法ぶっぽうしたまへること、 ことごとくみな同等どうとうなり。 このゆゑにづけて*さんみゃくさんぶっとなし、 づけて*多陀ただ伽度かどとなし、 づけてぶっとなす。

↢¬維摩経¼言フガ↡。「諸仏色身威相、種性、戒・定・智慧・解脱・知見・力・無所畏・不共之法、大慈大悲、威儀所行、及寿命、説法教化、成↢就衆生↡、浄↢仏国土↡、具シタマヘルコト↢諸仏法↡、悉皆同等ナリ。是ケテ↢三藐三仏陀↡、名ケテ↢多陀阿伽度↡、名ケテ↢仏陀↡。

^なん、 もしわれひろくこのさんかば、 なんぢ*劫寿こうじゅをもつてすとも、 つくしてくることあたはじ。 たとひ三千さんぜん大千だいせんかいのなかにてらんしゅじょうをして、 みななんのごとくもん第一だいいちにして*ねんそうしむとも、 このもろもろのひとも、 こう寿じゅをもつてすともまたくることあたはじ」 と。

阿難、若我広カバ↢此三句↡、汝以テストモ↢劫寿↡不↠能↢尽シテクルコト↡。正使 タトヒ 三千大千世界↠中衆生ヲシテ、皆如↢阿難↡多聞第一ニシテタラム↢念総持人等テストモ↢劫之寿↡亦不↠能↠受クルコト。」

^¬要決ようけつ¼ (西方要決) にいはく、 「¬ゆい¼ にのたまはく、 ªぶつはじめの三号さんごうをば、 ぶつもしひろきたまはば、 なんこうともりょうじゅすることあたはじº と。

¬要決¼云、「¬維¼云、仏三号ヲバ、仏若キタマハバ、阿難経↠劫↠能↢領受スルコト↡。

^¬*じょうじつろん¼ に、 ぶつごうしゃくするに0976*さきごうはみなべつしたがひ、 さきごう*みょうどくそうじて、 ぶつそんとなす。 はじめの三号さんごうかんに、 こうともきわめがたし。 なんりょうするに、 よく*つぶさにしっすることなし。 さらに六号ろくごうくわへて、 もつて仏号ぶつごうせいせりといふ。 *しょうとくすでにまどかなれば、 それをねんずるは大善だいぜんなり」 と。 じょう ¬要決ようけつ¼ (西方要決)。

¬成実論¼釈スルニ↢仏之号↡、前之九号皆従↢別義ジテ↢前九号名義功徳↡為↢仏世尊↡。説カムニ↢初三号↡、歴トモ↠劫。阿難領悟スルニ↢能スルコト↡。更ヘテ↢六号↡、以セリトイフ↢仏↡。勝徳既カナレバ、念ズルハ↠其大善也ナリイヘリ。」已上¬要決¼

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花厳¼偈

^「もしもろもろのしゅじょうありて、 いまだ提心だいしんおこさざらんに、
ひとたびもぶつみなくことをば、 けつじょうしてだい*じょうぜん」 と。

「若リテ↢諸衆生↡ラムニ↠発↢菩提心
タビモテハ↠聞クコトヲ↢仏決定シテムトイヘリ↢菩↡。」

^このねんをなすべし、 「われ、 いますでにぶつ尊号そんごうくことをたり。 ねがはくは、 われまさにぶつりて十方じっぽう諸仏しょぶつのごとくあるべし」 と。

↠作↢是↡、我今既タリ↠聞クコトヲ↢仏尊号↡。願クハシト↣作リテ↠仏クアル↢十方1120↡。

・相好

 ^さんには相好そうごうどくなり。

ニハ相好功徳ナリ

^¬ろっ波羅ぱらみつきょう¼ (意) にのたまはく、 「もろもろのけんにおいて、 あるところのさん一切いっさいしゅじょう*がくがくにん、 およびびゃくぶつ、 かくのごときじょうりょうへんしょどくを、 如来にょらいの一もうどくくらぶるに、 ひゃくせん万分まんぶんがなかにそのいちにもおよばず。 かくのごとき一々いちいち毛端もうたんは、 みな如来にょらいりょうどくより出生しゅっしょうせるところなり。

¬六波羅蜜経¼云、「於↢諸世間↡所↠有三世一切衆生、学・無学人、及辟支仏、如↠是クノ有情無量無辺所有功徳ブルニ↢於如来一毛功徳↡、百千万分不↠及↢其ニモ↡。如↠是クノ一々毛端、皆従↢如来無量功徳↡之所ナリ↢出生セル↡。

^一切いっさい毛端もうたんのあらゆるどくをもつて、 ともにいちほつどくじょうず。 かくのごとくしてぶつみぐし八万はちまんせんなり。 一々いちいちほつ0977のなかに、 おのおのかみのごときどくせり。

一切毛端所有功徳ヲモテ、共↢一功徳↡。如クシテ↠是クノ八万四千ナリ。一々セリ↢如↠上功徳↡。

^かくのごとくごうじゅうして、 ともにいち*随好ずいこうどくじょうず。 一切いっさいこうどくをともにして、 いち*そうどくじょうず。 一切いっさいそうどくごうじゅうしてひゃくせんばいいたりて、 けん毫相ごうそうどくじょうず。

↠是クノ合集シテ↢一随好功徳↡。一功徳ニシテ↢一功徳↡。一功徳合集シテリテ↢百千倍↡、成↢眉間毫相功徳↡。

^そのそう円満えんまんにして、 宛転えんでんしてみぎめぐれること、 *ていほうのごとし。 明浄みょうじょうせんびゃくにして、 あんのなかに、 なほあきらかなるほしのごとくなり。 毫相ごうそうこれをぶれば、 かみ色界しきかい*阿迦あか膩にたてんまでにいたる。 これをけば、 もとのごとくしてまた毫相ごうそうとなりて、 けんじゅうす。 毫相ごうそうどくひゃくせんばいいたりて肉髻にくけいそうじょうず。 かくのごとき肉髻にくけい千倍せんばいどくは、 *梵音ぼんのんじょうそうどくおよばじ」 と。

相円満シテ宛転シテレルコト、如↢頗胝迦宝↡。明浄鮮白ニシテ夜闇之中猶如クナリ↢明カナル↡。毫相舒ブレバ↠之↢色界阿迦膩天マデニ↡。巻ケバ↠之クシテ↠旧復為リテ毫相↡於眉間毫相功徳至リテ↢百千倍↡成↢肉↡。如↠是クノ肉髻千倍功徳、不イヘリ↠及↢梵音声功徳↡。」

^また ¬ほうしゃくきょう¼ にしゅ*校量きょうりょうあり。 学者がくしゃかんがふべし。

又¬宝積経¼有↢無数挍量↡。学者可↠勘

^また ¬*だいじゅう念仏ねんぶつ三昧ざんまいきょう¼ のだいにのたまはく、 「かくのごときかい、 および十方じっぽうりょうへんのもろもろのかいのなかのあらゆるしゅじょう、 たとひことごとくみないちぶつとなりて、 かのもろもろのそんりょうこうて、 みなかえりてぶつ一毛いちもうどくめたまふとも、 つひにまたつくさじ」 と。

又¬大集念仏三昧経¼第五、「如↠此クノ世界及十方無量無辺世界所有衆生仮使 タトヒ 皆一時ナム↠仏世尊経↢无量劫↡皆還リテメタマフトモ↢仏一毛功徳↡、終亦不↠尽。」

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花¼偈

^清浄しょうじょう*もん*せつ塵数じんじゅにして、 ともに如来にょらいいちみょうそうしょうず。
一々いちいち諸相しょそう、 しからずといふことなし。 このゆゑにるもの、 *厭足えんそくすること0978なし」 と。

「清浄慈門刹塵数ニシテ↢如来妙相
一々諸相莫↠不トイフコト↠然者无シト↢厭足スルコト↡」

^このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさにぶつへんどくそうたてまつるべし」 と。

↠作↢是↡、願クハ1121シト↠見タテマツル↢仏无辺功徳↡。

・光明威神

 ^にはこうみょうじんなり。

ニハ光明威神

^いはく、 ¬*びょう等覚どうがくきょう¼ (一) にのたまはく、 「りょう清浄しょうじょうぶつ りょう清浄しょうじょうぶつは、 これ弥陀みだぶつなり。こうみょうは、 最尊さいそん第一だいいちにしてならびなし。 諸仏しょぶつこうみょう、 みなおよばざるところなり。

¬平等覚経¼云、「无量清浄 无量清浄仏者、是阿弥陀ナリ 光明最尊ニシテ第一ニシテ↠比。諸仏光明皆所↠不↠及也。

^あるぶついただきこうみょうしちしゃくらす。 あるぶついちらす。 あるぶつ*あるぶつじゅうじゅうはちじゅうないひゃくまん仏国ぶっこくひゃくまん仏国ぶっこくなり。 八方はっぽうじょう央数おうしゅ諸仏しょぶついただきひかりらしたまふところ、 みなかくのごとし。 りょう清浄しょうじょうぶついただきのなかのこうみょうは、 千万せんまん仏国ぶっこくえんしょうす」 と。

光明↢七尺↡。有↢一里↡。有五里、廿里、里、八十里、乃至百万仏国、二百万仏国ナリ。八方上下无央数諸仏所↠照シタマフ、皆如↠是クノ也。无量清浄仏光明炎スト↢千万仏国↡。」

^じょうしゅ。 わたくしにいはく、 ¬かんぎょう¼ にのたまはく、 「かのぶつ円光えんこうひゃくおく大千だいせんかいのごとし」 と。 この ¬きょう¼ (平等覚経・一) にはのたまはく、 「いただきのなかのひかり千万せんまんぶつくにらす」 と。 きょうこころおなじきのみ。

已上取。私、¬観経¼云、「彼円光シト↢百億大千界↡。」此¬経¼云、「頂光照スト↢千万仏↡。」二経意同

^¬双巻そうかんぎょう¼ (大経)こころ、 これにおなじ。 ¬きょう¼ (同・上) にのたまはく、 「りょう寿じゅぶつじんこうみょうは、 さいしょう第一だいいちにして、 諸仏しょぶつこうみょうおよぶことあたはざるところなり。

¬双巻経¼意同↠之。¬経¼、「无量寿仏威神光明、最勝第一ナリ諸仏光明所ナリ↠不↠能↠及ブコト

^あるいはぶつひかりの、 ひゃくぶつかいあるいは千仏せんぶつかいらすあり。 ようりてこれをいはば、 すなは0979東方とうぼうごうしゃ仏刹ぶっせつらす。 南西なんざい北方ほっぽうゆいじょうもまたかくのごとし。

イハ↣仏↢百仏世界或イハ千仏世界↡。取リテ↠要↠之、乃↢東方恒河沙仏刹↡。南西北方・四維・上下亦復如↠是クノ

^このゆゑにりょう寿じゅぶつを、 りょうこうぶつ辺光へんこうぶつ無礙むげこうぶつ対光たいこうぶつ *玄一げんいちのいはく (無量寿経記)、 ªともにひとしきものなきがゆゑにº と。

無量寿仏↢无量光仏・无辺光仏・无礙光仏・無対光仏 玄一師、无キガ↢与シキモノ↡故ニト

^炎王光えんのうこうぶつ 玄一げんいちのいはく (無量寿経記)、 ªさいしょうざいなるがゆゑにº と。

炎王光仏 玄一師、最勝自在ナルガニト

^清浄しょうじょうこうぶつ いち (玄一) のいはく (無量寿経記)、 ªさんめっするがゆゑにº と。 *きょうごうのいはく (*述文賛)、 ªとん善根ぜんごんしょしょうなるがゆゑにº と。

清浄光仏 、滅スルガ↢三垢↡故ニト。憬興師、无貪善根所生ナルガニト

^かんこうぶつ いちのいはく (無量寿経記)、 ªふものえつするがゆゑにº と。 こう (憬興) のいはく (述文賛)、 ªしんしょしょうなるがゆゑにº と。

歓喜光仏 、遇者悦意スルガニト。興、无瞋所生ナルガニト

^智慧ちえこうぶつ いちのいはく (無量寿経記)、 ª智慧ちえ所発しょほつなるがゆゑにº と。 こういはく (述文賛)、 ª無痴むちしょしょうなるがゆゑにº と。

慧光仏 、智所発ナルガニト。興云、无痴所生ナルガニト

^断光だんこうぶつ いちのいはく (無量寿経記)、 ªごう相続そうぞくのゆゑにº と。

不断光仏 、恒相続ニト

^なんこうぶつしょうこうぶつ いちのいはく (無量寿経記)、 ªしょうたんして、 そのしょつくすべからざるがゆゑにº と。 自余じよみょうりぬべし。 わずらはしくせず。

難思光仏・無称光仏 、不ルガ↠可カラ↣称嘆シテ↢其所有↡故ニト。自余名義↠知リヌ。不↢煩

^ちょう日月にちがっこうぶつごうす。

超日月光仏↡。

^もしさんごんところにありて、 このこうみょうるに、 またのうなく、 寿いのちおわりてのちにはみなだつこうむる。 ただわれのみ、 いまそのこうみょうしょうするにあらず。 一切いっさい諸仏しょぶつまたかくのごとし。

ルニハ↢三途勤苦之処↡、見ルニ↢此光明↡、無↢復苦悩↡、寿終之後ニハ皆蒙↢解脱↡。非↣但我ノミ今称スルノミ↢其光明↡。一切諸仏亦復如↠是クノ

^もししゅじょうありて、 そのこうみょうじんどくきて、 にちしょうせつし、 しんいたしてえざれば、 こころ所願しょがんしたがひて、 そのくにしょうずることをん。 われ、 りょう寿じゅぶつ0980こうみょうじん巍々ぎぎとしてしゅみょうなることをかんに、 ちゅうにして一劫いっこうすとも、 なほつくすことあたはじ」 と。

リテ↢衆生↡聞キテ↢其光明威神1122↡、日夜称説シテ↠心レバ↠断、随ヒテ↢意所願↡得↠生ズルコトヲ↢其↡。我説↢无量寿仏光明威神巍々トシテ殊妙ナルコトヲ↡、昼夜ニシテ一劫ストモ↠能↠尽スコト。」

^じょうしゅ。 ¬びょうどうきょう¼ には、 べっして、 「いただきひかり」 とのたまひ、 ¬かんぎょう¼ には、 そうじて 「こうみょう」 とのたまふ。

已上取意。¬平等経¼別シテ↢「頂」↡、¬観経¼総ジテ↢「光明」↡

^¬*譬喩ひゆきょう¼ のだいさんに、 *しゃもんぶつ光相こうそうかしてのたまはく、 「ぶつ (釈尊) めっしたまひて百年ひゃくねん*いくおうあり。 くにのうちの民庶みんしょぶつ遺典ゆいてんしき。 おうの、 こころしんぜずして念言ねんごんすらく、 ªぶつにいかなるとくの、 ひとえたるものありて、 しかもともにしんをもつぱらにしてそのもんじゅじゅうすらんº と。

¬譬喩経¼第三シテ↢釈迦文仏光相↡云、「仏滅シタマヒテ百年↢阿育王↡。国民庶歌シキ↢仏遺典↡。王シテ↠信念言スラク、仏リテ↢何エタレバカ於人↡、而ニシテ↠信誦↢習スラムト↡。

^すなはち大臣だいじんはく、 ªくにのうちに、 もしぶつたるものありやº と。 こたへてまうさく、 ªくならく、 *波斯はしのくおういもうとしゅっして比丘びくとなれり。 ねん*西垂さいずいにありて、 いひてぶつたりといふº と。

ハク↢大臣↡、国モシリヤト↢見タル↠仏者↡。答ヘテ、聞ナラク、波斯匿王妹出家シテレリ↢比丘尼↡。年在リテ↢西↡、云ヒテフト↠見タリト↠仏

^おうすなはちみづからでて往詣おうげいして、 ひていはく、 ª*道人どうにんぶつたりやいなやº と。 こたへてまうさく、 ªじつにしかりº と。 ひていはく、 ªなんのしゅなることかあるº と。

王即デテ往詣シテ、問ヒテ、道人見タリヤ↠仏不耶。答ヘテ、実リト。問ヒテ、有ルト↢何殊異ナルコトカ↡。

^道人どうにんのいはく、 ªぶつどく巍々ぎぎとしてはかりがたし。 わがせんの、 よくこれをぶるところにあらず。 ほぼいちかば、 殊特しゅどくなることをりぬべし。

道人、仏之功徳巍々トシテ↠量。非↣我↢能ブル↟之。粗説カバ↢一事↡、可↠知リヌ↢殊特ナルコトヲ↡。

^われとき八歳はっさいそんきたりておうりたまひき。 すなはちすすみてみあしらいせしに、 こうべうえこがねかんざしらくしてにあり。 これをもとむるにずして、 その所以ゆえん0981あやしみき。 如来にょらいりたまひしみあしあとに、 千輻せんぷくりんありて、 こうみょうげんじてかがやき、 七日しちにちありてすなはちめっしにき。 *とうには、 こがねかんざし同色どうしきなりき。 ここをもつてえざりき。 ひかりめっしてのちに、 かんざしき。

我時八歳、世尊来リテリタマヒキ↢王宮↡。即ススミテセシニ↠足、頭カムザシ堕落シテ↠地。求ムルニ↠之シテ↠得怪↢其所以↡。如来リタマヘドモリテ↢千輻輪↡、現光明カガヤケリキ七日アリテシニキ。登時ニハカムザシ与↠地同色ナリキ。是リキ↠見。光滅シテカムザシ

^すなはちりき、 殊特しゅどくなることをº と。 おうきてかんして、 しんあきらかにかいしき」 と。

殊特ナリト。王聞キテ歓喜シテ、心アキラカ開悟シキト。」

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花¼偈

^一々いちいちもう光雲こううんげんじて、 あまねくくうへんして、 大音だいおんおこす。
もろもろの*ゆうみょうところらさざるなし。 ごくしゅことごとくげんぜしむ」 と。

「一々毛孔ジテ↢光↢虚空↢大音
幽冥所靡↠不↠照地獄衆苦咸ムト

^このねんをなすべし、 「ねがはくは、 ぶつこうみょう、 われをらして、 しょう*ごうめっしたまへ」 と。

↠作↢是↡、願クハ明照シテ↠我、滅シタマヘト↢生死業苦↡。

・無能害者

 ^には*よくがいするものなし。

ニハ↢能スル者↡。

^¬ほうしゃくきょう¼ のさんじゅうしち (意) にのたまはく、 「*風劫ふうこうおこときには、 大風だいふうあり。 僧伽そうぎゃづく。 かのかぜ、 この三千さんぜんかいしゅてっ、 および*だいしゅう八万はちまん小洲しょうしゅう大山だいせん大海だいかいぐること、 たかひゃく*ぜんないりょうひゃくせんぜんにして、 すでに砕末さいまつしてじんとなす。 またちて、 *えんてんめつす。 ないへんじょうてんのあらゆる殿でんまたみな散滅さんめつす。 すなはちこの0982かぜをもつて如来にょらいころもかんに、 いち毛端もうたんきわをも、 なほうごかすことあたはず。 いかにいはんやころもすみおよびまったころもをや」 と。

¬宝積経¼卅七、「風劫起ニハ↢大風↡。名↢僧伽多↡。彼風挙グルコト↢此三千世界須弥1123・鉄囲、及四大洲、八小洲、大山・大海↡、高百踰繕那、乃至無量百千踰繕那リテシテ↠塵。又撃チテ壊↢滅焔摩天宮↡。乃至遍浄天所有宮殿亦皆散滅。即↢此↡吹カムニ↢如来ミソ毛端、尚不↠能↠動ズルコト。何ミソ角及ミソヲヤトイヘリ者。」

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「諸仏しょぶつ不可ふか思議しぎなることをば、 仮喩たとえをもつてりぬべし。 たとひ一切いっさい十方じっぽうかいしゅじょうみな勢力せいりきあり、 たとひいちありてそこばくの勢力せいりきあらん。 また十方じっぽう一々いちいちしゅじょうちからをしてあくのごとくあらしめたらんに、 ともにぶつがいせんとおもはんに、 なほぶつ一毛いちもうをすらうごかすことあたはじ。 いはんやがいするものあらんや」 と。

¬十住論¼云、「諸仏不可思議ナルコトヲバ仮喩 タト ヲモテ↠知リヌ仮使 タトヒ 一切十方世界衆生皆有↢勢力↡、設リテ↢一魔↡有ラム爾所ソコバク勢力↡。復令↣十方一々衆生ヲシテクアラ↢悪魔ハムニ↢共セムト↟仏、尚不↠能↠動スコト↢仏一毛ヲスラ↡。況ラムヤト↢害スル者↡。」

^ (十住毘婆娑論) にいはく、

^「もしもろもろのけんのなかに、 ぶつがいすることあらんとおもはば、
このみなじょうぜじ。 せつほうじょうじたまへるをもつてなり」 と。

「若世間ハバ↠有ラムト↠害スルコト↠仏
事皆不↠成テナリト↠成ジタマヘルヲ↢不殺↡」

^このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさにぶつ金剛こんごう不壊ふえしんべし」 と。

↠作↢是↡、願クハ我当シト↠得↢仏金剛不壊↡。

・飛行自在

 ^ろくにはぎょうざいなり。

ニハ飛行自在ナリ

^同論どうろんにいはく、 「ぶつくうにおいて、 みあしげ、 みあしろし、 行住ぎょうじゅう坐臥ざがしたまふこと、 みなざいたまへり。 だいしょうもんのごときは、 神通じんずうざいにして、 一日いちにちじゅう三億さんおくひゃくじゅう六万ろくまん六千ろくせん三千さんぜん大千だいせんかいぐ。 かくのごときしょうもんひゃくさいぎたるところをば、 ぶつ一念いちねんぎたまふ。

ジキ¬論¼云、「仏↢虚空↡挙↠足↠足、行住坐臥シタマフコト、皆得タマヘリ↢自在↡。若大声聞神通自在ナルハ一日ルガ五十三億二百九十六万六千三千大千世界↡。如↠是クノ声聞百歳ヲバ↠過ギタル、仏一念ギタマフ

^ないごうのなかのいさごの、 いちいさごいちかわとなして、 このもろもろのごうしゃの、 大劫だいこう0983ぎたるところのこくを、 ぶつ一念いちねんのうちにぎたまふ。 もしたかられんみてらんとほっせば、 すなはちよくじょうべんす。 かくのごとくぎょうすること一切いっさい*無礙むげなり」 と。

乃至恒河ラム↢一恒河沙大劫↠過ギタル国土、仏一念ギタマフ。若セバ↧蹈ミテ↢宝蓮花↡而去ラムト↥、即。如↠是クノ飛行スルコト一切無礙ナリトイヘリ。」

^¬観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「くうにおいて、 みあしげてときに、 千輻せんぷくりんそうよりみな八万はちまんせんれんあめふらす。 かくのごときもろもろの塵数じんじゅぶつましまして、 またくうあゆむ」 と。 以上略抄

¬観仏経¼云、「↢虚空↡挙ゲテ↠足、千輻輪ヨリ皆雨↢八万四千蓮花↡。如↠是クノシテ↢塵数仏↡、亦歩ムトイヘリ↢虚空↡。」 已上略抄

^また 「くうみてきたまへども、 しかも千輻せんぷくりんさいげんず。 えつみょうこう*鉢特はず摩華まけねんじゅつして如来にょらいみあしく。 もしちくしょうしゅ一切いっさいじょう如来にょらいみあしのためにれらるるものは、 しちきわつるまで、 もろもろのらくけ、 命終みょうじゅうのちには、 *善趣ぜんしゅらくかいのなかにおうじょうす」 と。 ¬ほうしゃくきょう¼。

又「蹈ミテ↠空1124キタマヘドモ、而輻輪↢於地際↡。悦意妙香鉢特摩花自然踊出シテ↢如来↡。若畜生趣一切有情、為↢如来↡之所ルル↠触、極ツルマデ↢七夜↡受↢諸快楽命終之後ニハ往↢生スト善趣楽世界↡。」¬宝積経¼

^もしじゅうばんじゃくをもつてしききょうてんよりくだすに、 一万いちまん八千はっせんさんびゃくはちじゅう三年さんねんて、 このいたるべし。 ただちにくだるすらなほしかり。 これをしてりぬべし、 しょうもんぎょう如来にょらいぎょうは、 展転てんでんして不可ふか思議しぎなることを。

↢里盤石↡従↢色究竟天↡下スニ、経↢一万八千三百八十三年↡、到ルベシ↢此↡。直ルスラアリ。推シテ↠之↠知リヌ、声聞飛行、如来飛行展転シテ不可思議ナルコトヲ

^¬ごんぎょう¼ のりんさつ讃仏さんぶつにのたまはく、

¬花厳経¼恵林菩薩讃仏

^ざい神通じんずうりきは、 りょうにしてなん思議じぎなり。
らいもなくまたもなくして、 ほうきてしゅじょうしたまふ」 と。

「自在神通無量ニシテ難思議ナリ
↠来亦無クシテ↠去キテ↠法シタマフト↢衆生↡」

^このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われ神通じんずうて、 諸仏しょぶつ遊戯ゆげせん」 と。

↠作↢是↡、願クハ我得↢神通↡、遊↢戯セムト諸仏↡。

・神通無礙

 ^0984しちには神力じんりき無礙むげなり。

ニハ力無礙ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論・意) にいはく、 「ぶつはよくごうしゃとうかいまっして、 じんのごとくならしめて、 またよくかえりてがっしたまふ。 あるいはまたよくりょうへんそうかいへんじて、 みな金銀こんごんとうとなさしめたまふ。 またよくごうしゃとうかいだい海水かいすいへんじて、 みな*にゅうとうとならしめたまふ」 と。

¬十住論¼云、「仏シテ↢恒河沙等↡、令メテ↠如クナラ↢微塵↡、又能リテシタマフ。或イハ又能ジテ↢無量無辺阿僧祇世界↡、皆令メタマフ↠作↢金・銀等↡。又能ジテ↢恒河沙等世界大海水↡、皆使メタマフト↠為↢乳・蘇等↡。

^¬浄名じょうみょうきょう¼ (維摩経・意) に、 さつ*思議しぎだつきてのたまはく、 「三千さんぜん大千だいせんかいりて、 *とうりんのごとくして、 みぎたなごころのなかにけて、 ぐるにごうしゃかいのほかにぐしたまはん。 そのなかのしゅじょうは、 おのがしょじゅうかくせず、 せじ。 またかえりて本処ほんしょくに、 すべてひとをして往来おうらいそうあらしめじ。 しかもこのかいもとそうは、 もとのごとし。

¬浄名経¼キテ↢菩薩不思議解脱↡云、「断↢取リテ三千大千世界↡、如クシテ↢陶家↡、著ケテ↢右↡、グルニタマハム↢恒河沙世界之外↡。其衆生不↠覚↢不↠知↣己之所住↡。又復還リテクニ↢本処↡、都不↠使↣人ヲシテ↢往来想↡。而シテ世界モト

^またほうごうしゃとう諸仏しょぶつかいにおいて一仏いちぶつりて、 じょうほうごうしゃしゅかいくること、 *しんちていち*棗葉そうようぐるがごとくするも、 わずらはすことなし。 しゅせんをもつて芥子けしのなかにおさめ、 大海だいかいをもつて一毛いちもうるることまたかくのごとし。 そのなかのしゅじょうは、 かくせず、 せじ。 ただすべきものすなはちこれをけんす」 と。

又於↢下方過恒河沙等諸仏世界↡取リテ↢一仏土↡、挙↢著クルコト上方過恒河沙无数世界↡、如クスルモ↧持チテ↢針↡挙グルガ↦一棗葉↥而ワヅラハコト。以↢須弥1125↡納↢芥子↡、以↢四大海↡入ルルコト↢一毛孔↡亦復如↠是クノ。其衆生不↠覚不↠知。唯↠度者乃知↢見スト↡。」

^さつなほしかり、 いかにいはんや仏力ぶつりきをや。 ゆゑに ¬*諸仏しょぶつきょうがいきょう¼ にのたまはく、 「よく十方じっぽうかいをして一毛いちもうれしめ、 いち0985じんにおいてよくりょうしゅ不可ふかせつかいげんずるに、 一切いっさいしゅじょうまた*迫迮はくさくなし。 りょうしゅ不可ふかせつこう威儀いぎほうを、 よく一念いちねんのうちにおいてげんじ、 一念いちねん威儀いぎほうを、 りょうしゅ不可ふかせつこうのうちにおいてげんず。 かくのごときしょは、 しん*ゆうなく、 ゆいをなさず」 と。

菩薩尚爾、何仏力ヲヤ。故¬度諸仏境界経¼云、「能テム↣十方世界シテ↢一毛孔 ↢一微塵↡能ズルニ↢無量無数不可説世界↡、一切衆生亦無↢迫迮↡。无量无数不可説劫威儀果報↢一念↡現一念威儀果報↢無量無数不可説劫↡現。如↠是クノ↢功用↡↠作↢思↡。」

^¬ごんぎょう¼ の真実しんじつどうさつにのたまはく、

¬花厳経¼真実幢菩薩

^一切いっさいのもろもろの如来にょらいは、 神通じんずうりきざいなり。
ことごとくさんのなかにおいて、 これをもとむるに不可ふかとくなり」 と。

「一切如来神通力自在ナリ
↢三世ムルニ↠之不可得ナリト

^このねんをなすべし、 「われいままたらず、 ぶつ神力じんりきのためにてんぜられて、 いづれのぶつにかあり、 たれのもうにかあるといふことを。 われいづれのときにか、 これをかくすることをん」 と。

↠作↢是↡、我今亦不↠知、為↢仏神力↡転ゼラレテ、在↢何レノ仏土↡、在ラムトイフコトヲ↢誰毛孔↡。我何レノニカ、得ムト↣覚↢知スルコトヲ↡。

・随類化現

 ^はちには*随類ずいるいげんなり。

ニハ随類化現ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論・意) にいふがごとし。 「ぶつ一念いちねんのうちに、 十方じっぽうりょうへんごうしゃとうかいにおいて、 りょう仏身ぶっしんへんしたまふ。 一々いちいちぶつまたよく種々しゅじゅぶつほどこす」 と。 じょう**神境通じんきょうつうなり。

¬十住論¼云フガ。「仏一念、於↢十方无量无辺恒河沙等世界↡、変↢化タマフ無量仏身↡。一々化仏亦能スト↢種々仏事↡。」已上四事神境通

^¬諸仏しょぶつきょうがいきょう¼ にのたまはく、 「如来にょらい所現しょげんゆうなく、 ゆいなし。 しゅじょうしょうしたがひて、 おのづからることどうなり。 じゅうにちよるえんだいひとは、 おのおのつきげんじて、 そのうえにありとるが、 つき作意さいして、 われその0986うえげんぜんとせざるがごとし」 と。

¬度諸仏境界経¼云、「如来所現↢異功用↡、無↢異思惟↡。随ヒテ↢衆生↡自ルコト不同ナリ。如シト↫十五日夜、閻浮提ルガ↣月リト↢其↡、月ルガ↪作意シテ我現ゼムトセ↩其↨。」

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花厳¼偈

^如来にょらい広大こうだいしんは、 *法界ほうかいきょうしたまへり。
このはなれずして、 一切いっさいところへんしたまふ」 と。

「如来広大究↢竟シタマヘリ於法界
シテ↠離↢於此而遍シタマフト↢一切↡」

^またのたまはく (華厳経)

又云

^智慧ちえ甚深じんじんどくかい、 あまねく十方じっぽうりょうくにげんじたまふ。
もろもろのしゅじょうるべきところにしたがひて、 こうみょうあまねくらして法輪ほうりんてんじたまふ」 と。

「智慧甚深功徳海ジタマフ↢十方无量
1126ヒテ↢諸衆生↟応↠見光明遍シテジタマフト↢法輪↡」

^このねんをなすべし、 「ねがはくは、 われまさに*へん法界ほうかいしんたてまつるべし」 と。

↠作↢是↡、願クハ我当シト↠見タテマツル↢遍法界↡。

・天眼明徹

 ^には*天眼てんげんみょうてつなり。

ニハ天眼明徹ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「大力だいりきしょうもん天眼てんげんをもつて*しょうせんこく、 またなかのしゅじょうしょう死時しじる。 しょうりきびゃくぶつじゅうしょうせんこく、 なかのしゅじょうしょう死時しじる。 ちゅうりきびゃくぶつひゃくしょうせんこく、 なかのしゅじょうしょう死時しじる。 大力だいりきびゃくぶつ三千さんぜん大千だいせんこく、 なかのしゅじょうしょう所趣しょしゅる。 諸仏しょぶつそんりょうへん不可ふか思議しぎけんそなはし、 またこのなかのしゅじょうしょう死時しじそなはす」 と。

¬十住論¼云、「大力声聞↢天眼↡見↢小千国土↡、亦見↢中衆生生時・死時↡。小力辟支仏見↢十小千国土↡、見↢中衆生生時・死時↡。中力辟支仏見↢百小千国土↡、見↢中衆生生時・死時↡。大力辟支仏見↢三千大千国土↡、見↢中衆生所趣↡。諸仏世尊ソナハシ↢无量无辺不可思議世間↡、亦見ソナハスト↢是衆生生時・死時↡。」

^¬ごん0987ぎょう¼ のにのたまはく、

¬花厳経¼偈

^仏眼ぶつげん広大こうだいにして辺際へんざいなし。 あまねく十方じっぽうのもろもろのこくたまふ。
そのなかのしゅじょう不可ふかりょうなり。 だい神通じんずうげんじてことごとく*調伏じょうぶくしたまふ」 と。

「仏眼広大ニシテ↢辺際↡タマフ↢十方国土
衆生不可量ナリジテ↢大神通↡悉調伏シタマフト

^このねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 はるかにわが身業しんごうそなはすらん」 と。

↠作↢是↡、今弥陀如来ソナハスラムト↢我身業↡。

・聞声自在

 ^じゅうには*もんしょうざいなり。

ニハ聞声自在ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「たとひ、 ごうしゃとう三千さんぜん大千だいせんかいしゅじょういち発言はつごんし、 またいちひゃくせんじゅがくつくらん。 もしはとおきも、 もしはちかきも、 こころしたがひてよくきたまふ。 もしなかにおいて、 いちおんじょうかんとほっせば、 こころしたがひてくことををばかず。 またへんかいぎたるに、 最細さいさいこえをも、 みなまたくことをたまふ。 もししゅじょうをしてかしめんとほっせば、 よくくことをしめたまふ」 と。

¬十住論¼云、「仮令 タトヒ 恒河沙等三千大千世界衆生一時発言セム又一時ラム↢百千種伎楽↡。若シハシハ、随ヒテ↠意キタマフ。若セバ↣於↠中カムト↢一音声↡、随ヒテ↠意得↠聞クコトヲ、余ヲバ者不↠聞。又過ギタル↢無辺世界↡最細皆亦得タマフ↠聞クコトヲ。若セバ↠令メムト↢衆生ヲシテ↡、能メタマフト↠得↠聞クコトヲ。」

^¬ごんぎょう¼ の文殊もんじゅにのたまはく、

¬花厳¼文殊

^一切いっさいけんのなかのあらゆるもろもろのおんじょうを、
ぶっはみなしたがひてさとりたまふも、 また分別ふんべつあることなし」 と。

「一切世間所有音声
仏智皆随ヒテサトリタマフ亦無シト↠有ルコト↢分別↡」

^0988ねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 さだめてわがしょごうきたまふらん」 と。

↠作↢是↡、今弥陀如来メテキタマフラムト↢我所有語業↡。

・知他心智

 ^じゅういちには*しんなり。

十一ニハ他心ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「ぶつは、 よくりょうへんかい現在げんざいしゅじょうしん、 およびもろもろのぜんじょう所縁しょえんとうりたまひ、 またよく*しきしゅじょうのもろもろのしんりたまふ」 と。

¬十住論¼云、「仏1127リタマ↢无量无辺世界現在衆生心、及染浄所縁等又能リタマフト↢无色衆生↡。」

^¬ごんぎょう¼ の文殊もんじゅにのたまはく、

¬花厳¼文殊

^一切いっさいしゅじょうしん、 あまねくさんにあるを、
如来にょらい一念いちねんにおいて、 一切いっさいことごとくあきらかにたっしたまふ」 と。

「一切衆生ルヲ↢於三世
如来↢一念一切悉カニシタマフト

^このねんをなすべし、 「いま弥陀みだ如来にょらいは、 かならずわがごうりたまふらん」 と。

↢是↡、今弥陀如来リタマフラムト↢我意業↡。

・宿住随念智

 ^じゅうには*宿住しゅくじゅう随念ずいねんなり。

十二ニハ宿住随念智ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆娑論) にいはく、 「ぶつもししんおよび一切いっさいしゅじょうりょうへん宿命しゅくみょう一切いっさいねんぜんとほっせば、 みなことごとくりて、 ごうしゃとうこうらずといふことあることなし。 このひとはいづれのところしょうぜりき、 姓名しょうみょうせん飲食おんじき*しょうらくしょごう所受しょじゅほうしんにはなんのしょぎょうある、 もとはいづこよりきたるといふこと、 かくのごとき0989すなはちよくけんしたまふ」 と。

¬十住論¼云、「仏若セバ↠念ゼムト↢自身及一切衆生无量無辺宿命一切↡、皆悉リテ、无↠有ルコト↠不トイフコト↠知↢過恒河沙等↡。是レノゼリキ姓名・貴賎・飲食・資生・苦楽、所作事業、所受果報、心ニハ所行アル、本イヅコレリトイフコト、如↠是クノ知見シタマフト。」

^ (十住毘婆沙論) にいはく、

¬偈¼云

^宿命しゅくみょうりょうなり。 天眼てんげんけんへんなり。
一切いっさい人天にんでんのなかには、 よくそのかぎりをることなし」 と。

「宿命智無量ナリ天眼見无辺ナリ
一切人天ニハシト↣能ルコト↢其リヲ↡」

^ねんずべし、 「ねがはくはぶつ、 わが宿しゅくごうをして清浄しょうじょうならしめたまへ」 と。

↠念、願クハ仏、令メタマヘ↢我宿業ヲシテ清浄ナラ↡。

・智慧無礙

 ^じゅうさんには*智慧ちえ無礙むげなり。

十三ニハ慧無礙ナリ

^¬ほうしゃくきょう¼ のさんじゅうしちにのたまはく、 「たとひひとありて、 ごうしゃとうかいのあらゆる一切いっさい草木そうもくり、 ことごとくきてすみとなし、 げてほうごうしゃとうかい大海だいかいき、 ひゃく千歳せんざいにして、 つきてもつてこれをりてことごとくすみしるとなしてん。 ぶつ大海だいかいのなかより一々いちいちすみしただりをりて、 分別ふんべつりょうしたまふ。 これはそのかいのかくのごとき草木そうもくの、 その、 そのくき、 そのおおえだ、 そのこえだ葉等ようとうとなりと。

¬宝積経¼卅七、「仮使 タトヒ リテ↠人取↢恒河沙等世界所有一切草木↡、悉キテ↠墨ゲテ↢他方恒河沙等世界大海↡、於↢百千歳↡、就キテ↠之シテム↡。仏従↢大海中↡取リテ↢一々↡分別了知シタマフ。是世界↠是クノ草木根、茎、オホエダ条・花・菓・葉等トナリト↡。

^またもしひとありて、 いち毛端もうたんちてみず一滴いってきうるおして、 ぶつみもとらいして、 このごんをなさく、 ªあへて滴水てきすいをもつて、 もつてあひす。 のちにもしもちゐば、 まさにわれにかえたまふべしº と。 そのときに、 如来にょらいその滴水てきすいりて、 *ごうかわのなかにきたまはんに、 かのかわろう*ぶくのために旋転せんでんせられて、 ごういんちゅうして大海だいかいいたりなん。

モシリテ↠人持チテ↢一毛端↡霑シテ↢水一滴↡、来↢至シテ↡而シテサク↢是↡、敢↢滴水↡、持用 モテ 相寄。後ヰバ者、当シト↢還↟我。爾如来取リテ↢其滴水↡、置キタマハム↢兢シテ↢彼浪廻↡之1128レテ↢旋転↡、和合引注シテリナム↢于大海↡。

^このひとひゃくねんてをはりて、 ぶつにまうしてまうさく、 ªさきせたてまつりし滴水てきすいを、 い0990ふ、 われにかえしたまへº と。 そのときに、 ぶつ一分いちぶん毛端もうたんをもつて、 大海だいかいのうちにけて、 もと水滴すいてきうるおして、 もつてこのひとかえしたまはん」 と。

人満↢百年↡已リテ而白シテ↠仏、先セタテマツリシ滴水今請、還シタマヘト↠我。爾仏以↢一分毛端↡就ケテ↢大海↡、霑シテ↢本水滴↡、用シタマハムト↢是↡。」

^また *¬ろっ波羅ぱらみつきょう¼ にのたまはく、 「りょうごうしゃ十方じっぽうかい草木そうもくを、 ことごとくきて墨灰すみはいとなして、 億載おくさいうみん。 じゅうりきじんみょうにしてしただりをりて、 *がんしょうしめして、 じつのごとく分別ふんべつして、 これ、 それのさかい樹等じゅとうなりとらしめたまへり」 と。

又¬六波羅蜜経¼云、「无量兢河沙十方界草木キテシテ↢墨灰↡、億載歴↢于海↡。十力智深妙ニシテリテ↠滴、示シテ↢含生↡、如↠実分別シテ、知ラシメタマヘリト↢此某樹等ナリト↡。」

^またのたまはく (六波羅蜜経・意)、 「かくのごとき*しゅうおよびもろもろの山王せんのうをもつて紙素しそとなし、 はち大海だいかいみず、 もつてそのすみとなし、 一切いっさい草木そうもくをもつてそのふでとなして、 一切いっさい人天にんでん一劫いっこう書写しょしゃせらんを、 しゃほつ所得しょとく智慧ちえくらぶれば、 じゅうろくぶんがなかにそのいちにもおよばず。

、「如↠是クノ洲及山王↢紙素↡、八大海コレヲモテ↢其↡、一切草木↢其↡、一切人天一劫書写セラムヲブレバ↢舎利弗所得↡、十六分不↠及↢其ニモ↡。

^またこの三千さんぜん大千だいせんかいにおいて、 そのなかのしゅじょうしょ智慧ちえをして、 しゃほつのごとく、 ひとしくしてことなることあることなからしめんに、 さつ*布施ふせ波羅はらみっりょうだつせるしょ智慧ちえは、 かれにぎたることひゃくばいなり。

又於↢此三千大千世界↡、其衆生所有ヲシテ、如シテ↢舎利弗↡、等シクシテカラ↠有ルコト↠異ナルコト菩薩了↢達セル布施波羅蜜多↡所有、過ギタルコト↠彼百倍。

^またこの三千さんぜん大千だいせんかいのあらゆるしゅじょうをして、 みな布施ふせ波羅はらみっ智慧ちえせしめんに、 いちさつ所得しょとく*じょうかい波羅はらみっ智慧ちえおよばず。 ない般若はんにゃもまたかくのごとし。

又此三千大千世界所有衆生ヲシテ、皆具ラムハ↢布施波羅蜜多↡、不↠及↢一菩薩所得浄戒波羅蜜多↡。乃至般若亦復如↠是クノ

^またこの三千さんぜん大千だいせんかいのあらゆるしゅじょうをして、 みなろっ波羅ぱらみつ智慧ちえせしめんに、 いちしょさつ智慧ちえには0991およばず。 ないじゅうまで*展転てんでんして、 かくのごとし。 またこのじゅうさつ智慧ちえは、 なんぢ慈氏じし (弥勒)いっしょうしょさつ智慧ちえくらぶるに、 ひゃくせんぶんがなかにそのいちにもおよばず。

又此三千大千世界所有衆生ヲシテ、皆具ラムハ↢六波羅蜜↡、不↠及↢一初地菩薩ニハ↡。乃至十地マデ展転シテ↠是クノ。又此十地菩薩智恵、比ブルニ↢汝慈氏、一生補処菩薩↡、百千分不↠及↢其ニモ↡。

^この三千さんぜん大千だいせんかい一切いっさいしゅじょうしょ智慧ちえをして、 みな慈氏じしのごとく、 ひとしくしてことなることあることなからしめんに、 かくのごときさつ道場どうじょうして*おん*降伏ごうぶくして、 まさにしょうがくじょうぜんとするしょ智慧ちえは、 ぶつ智慧ちえひゃくせん万分まんぶんにおいてそのいちにもおよばず」 と。

三千大千世界一切衆生所有ヲシテ皆如シテ↢慈氏↡、等シクシテカラ↠有ルコト↠異ナルコト↠是クノ菩薩坐シテ↢於道場↡降↢伏シテ1129↡、将ルニ↠成ムト↢正覚所有、於↢仏百千万分↡不↠及↢其ニモ↡。」

^¬ほうしゃくきょう¼ にのたまはく、 「たとひ、 十方じっぽうりょうへん一切いっさいかいのあらゆるしゅじょうをして、 みなことごとく*ぞくいっしょうさつ智慧ちえじょうじゅせしめんに、 如来にょらいじゅうりきいち*しょしょせんとおもはんに、 ひゃくせん万分まんぶんのそのいちにもおよばず。 *烏波尼うはにしゃぶんのそのいちにもおよばず。 ない*算数さんじゅ譬喩ひゆおよぶことあたはざるところなり」 と。

¬宝積経¼云、「仮使 タトヒ 十方無量無辺一切世界所有衆生ヲシテ、皆悉成↢ラム繋属一菩薩之智ハムニ↠比セムト↢如来十力之一処非所智百千万分、不↠及ニモ↡。 烏波尼沙陀分ニシテ不↠及↢其ニモ↡。乃至算数・譬喩ナリトイヘリ↠不↠能ブコト。」

^¬ごんぎょう¼ のにのたまはく、

¬花厳経¼偈

^如来にょらい甚深じんじんは、 あまねく法界ほうかいりたまふ。
よくさんしたがひててんじて、 のためにみょうどうとなりたまふ」 と。

「如来甚深リタマフ↢於法界
ヒテ↢三世↡転ジテ↠世リタマフト↢明道↡」

^どうきょうみょうさつ讃仏さんぶつにのたまはく、

ジキ¬経¼普明智菩薩讃仏

^一切いっさい諸法しょほうのなかには、 法門ほうもんへんあることなし。
0992*一切いっさいじょうじゅして、 じん法海ほうかいる」 と。

「一切諸法ニハ法門↠有ルコト↠辺
成↢就シテ一切智ルト↢於深法海↡」

^このねんをなすべし、 「弥陀みだ如来にょらいはわが三業さんごうしょうけんしたまふらん。 ねがはくは、 そんのごとくげん第一だいいちじょうなることをん」 と。

↠作↢是↡、弥陀如来照↢見シタマ三業↡。願クハムト↧如↢世尊↡恵眼第一ナルコトヲ↥。

・能調伏心

 ^じゅうには*のう調じょうぶくしんなり。

十四ニハ能調伏心ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 「諸仏しょぶつは、 もしはじょうり、 もしはじょうりたまはずして、 しん*一縁いちえんのなかにけんとおぼせば、 こころごんしたがひてこころのごとくよくじゅうしたまふ。 このえんのなかよりさらにえんじゅうしたまふに、 こころしたがひてよくじゅうしたまふ。

¬十住論¼云、「諸仏シハ↠定、若シハルニ↠入リタマハ↠定、欲セバ↠繋ケムト↢心一縁↡、随ヒテ↢意久近↡如↠意シタマフ。従↢此中↡更シタマフニ↢余↡、随ヒテ↠意シタマフ

^もしぶつ常心じょうしんじゅうしたまへるに、 ひとをしてらざらしめんとおぼせば、 すなはちることあたはず。 たとひ一切いっさいしゅじょうの、 しんをして*だい梵王ぼんのうのごとくならしめ、 だいしょうもんびゃくぶつのごとく、 智慧ちえじょうじゅしてにんしんらんとも、 ぶつ常心じょうしんらんとおもはんに、 もしぶつゆるしたまはずは、 すなはちることあたはじ」 と。

仏住↢常心↡、欲セバ↠令メムト↢人ヲシテ↟知、則不↠能↠知ルコト仮使 タトヒ 一切衆生↢他心↡智ヲシテ、如ナラシメ↢大梵王↡如シテ↢大声聞・辟支仏↡、成↢就シテ↡知ラムトモ↢他人↡、欲ハムラムト↢仏常心↡、若仏不ユルシタマハ、則イヘリ↠能↠知ルコト。」

^ねんずべし、 「ねがはくは、 われをして*仏覚ぶっかく三昧ざんまいしめたまへ」 と。

↠念、願クハメタマヘト↣我ヲシテ得↢仏覚三昧↡。

・常在安慧

 ^じゅうには*じょうざいあんなり。

十五ニハ常在安ナリ

^同論どうろんにいはく、 「諸仏しょぶつ安穏あんのんにして、 つねにおもいうごかしたまはざれども、 つねにしんにあり。 なにをもつてのゆゑに。 *さきりてのちぎょうしょうじ、 こころ所縁しょえんのなかにしたがひて無礙むげぎょうじゅうするがゆゑに。 一切いっさい煩悩ぼんのう0993だんずるがゆゑに。 *どうしょうしゅっせるがゆゑに。

ジキ¬論¼云、「諸仏ニシテシテ↠動↠心。何テノ。先リテシテ行生ヒテ↢意所縁↡住スルガ↢无礙↡故。断1130ズルガ↢一切煩悩↡故。出↢過セルガ動性↡故

^ぶつなんげたまふがごとし。 ªぶつは、 このにおいて*のくだいて、 一切いっさいけんの、 もしはてんぼん沙門しゃもん婆羅ばらもんを、 じんどうをもつてきょうすることあまねくへて*無余むよはんりたまふ。 そのちゅうげんにおいて、 ぶつ*諸受しょじゅにおいて*り、 *じゅうり、 しょうり、 めつろしめす。 *諸想しょそう諸触しょそく諸覚しょかく諸念しょねんにおいてまたり、 じゅうり、 しょうり、 めつろしめす。 あく七年しちねんちゅうまずして、 つねにぶつ*随逐ずいちくするに、 ぶつ*たんず、 ぶつねんあんにあらざるをずº」 と。

↣仏告ゲタマフガ↢阿難↡。仏↢此夜↡得↢阿耨菩提↡、一切世間シハ天・魔・梵・沙門・婆羅門、以↢尽苦↡教化スルコトヘテタマフ↢无余涅槃↡。於↢其中間↡、仏↢諸↡知↠起↠住、知↠生、知メス↠滅。諸想・諸触・諸覚・諸念ヲモ亦知↠起↠住、知↠生、知メス↠滅。悪魔七年昼夜シテ↠息、常随↢スルニ↡、不↠得↢仏↡、不↠見↢仏ルヲ↟在↢安↡。」

^ (十住毘婆沙論) にいはく、

¬偈¼云

^「そのねん大海だいかいのごとくして、 *湛然たんねんとして安穏あんのんにまします。
けんにはほうとして、 よくにょうらんするものあることなし」 と。

「其念如クシテ↢大海湛然トシテ↢安
世間シト↠有ルコト↢法トシテ而能擾乱スル者↡」

^ねんずべし、 「ねがはくはぶつ、 わが*どうなる覚観かくかんしん除滅じょめつしたまへ」 と。

↠念、願クハ仏、除↢滅シタマヘト麁動ナル覚観↡。

・悲念衆生

 ^じゅうろくにはねんしゅじょうなり。

十六ニハシタマフ衆生

^¬*だい般若はんにゃきょう¼ にのたまはく、 「十方じっぽうかいには、 いちじょうとして、 如来にょらいだいらすことあたはざるところなるはなし」 と。

¬大般若経¼云、「十方世界ニハ、無シト↢一有情トシテ如来大悲ナルハ↟不↠能↠照スコト。」

^¬ほうしゃくきょう¼ にのたまはく、 「たとひ、 ごうしゃとう諸仏しょぶつかいぎて、 ただいちしゅじょうも、 このぶつすべきかぎりなるには、 そのとき如来にょらいみづからそのところきて0994、 ために*法要ほうようきて、 それをしてにゅうせしめたまふ」 と。

¬宝積経¼云、「仮使 タトヒ タル↢於兢伽沙等諸仏世界、唯衆生スベキリナルニハ、爾如来ミヅカキテ↢其↡、為キテ↢法要↡、令メタマフト↢其ヲシテ↡。」

^どうきょうにのたまはく、

ジキ¬経¼偈

^いちしゅじょうせんがために、 へん劫海こうかいじゅうして、
それをして調じょうぶくすることをしめたまふ。 だいしんかくのごとし」 と。

「為↠利セムガ↢一衆生シテ↢无辺劫海
メタマフ↣其ヲシテ得↢調伏スルコトヲ大悲心如シト↠是クノ

^¬ごんぎょう¼ の文殊もんじゅ讃仏さんぶつにのたまはく、

¬花厳経¼文殊讃仏

^一々いちいちごくのなかに、 りょうこうて、
しゅじょうせんがためのゆゑに、 よくこのしのびたまふ」 と。

「一々地獄↢於无量劫
↠度セムガ↢衆生↡故シテビタマフト↢是↡」

^¬だいきょう¼ (涅槃経)にのたまはく、

¬大経¼偈

^一切いっさいしゅじょうの、 くるは、 ことごとくこれ如来にょらい一人いちにんなり。
しゅじょうぶつのよくすくひたまふことをらず。 ゆゑに如来にょらいおよびほうそうほうず」 と。

「一切衆生クルハ↢異是如来一人ナリ
衆生不↠知↢仏ヒタマフコトヲズト↢如来及法僧↡」

^¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「ぶつ仏眼ぶつげんをもつて、 一日いちにちいち、 おのおのさん一切いっさいしゅじょうかんじたまふ、 たれかすべきものあらんと。 ときしっせしむることなし」 と。

¬大論¼云、「仏↢仏眼↡一日一夜各三時ジタマフ↢一切衆生↡、誰↠度アラン。无シト↠令ムルコト↠失↠時1131。」

^ある ¬ろん¼ (大智度論・意) にいはく、 「たとへば、 うおははもしねんぜざれば、 すなはち*らんしぬるがごとく、 しゅじょうもまたしかなり。 ぶつもしねんじたまは0995ずは、 善根ぜんごんすなはちしなん」 と。

¬論¼云、「譬ヘバ↢魚母若レバ↠念、子則爛壊シヌルガ衆生亦爾ナリ。仏若↠念ジタマハ、善根シナムト。」

^¬*しょうごんろん¼ のにのたまはく、

¬荘厳論¼偈

^さつしゅじょうねんじて、 これをあいすること骨髄こつずいとおり、
ごうやくせんとおもふ。 なほいっのごときがゆゑに」 と。

「菩薩ジテ↢衆生スルコト↠之↢骨髄
恒時コト↢利益セムト猶如キガ↢一子↡故ニト

^これらのによりて、 あるさんにいはく、

リテ↢此等↡、有懴悔

^父母ぶもあり。 はじめてうまれてすなはち*盲聾もうろうなり。
慈悲じひしん*おんじゅうにして、 てずして養活ようかつす。

「如↧父母↠子レテ便盲聾ナリ
心慇重ニシテシテ↠捨而養活

^父母ぶもざれども、 父母ぶもはつねにんがごとき、
諸仏しょぶつしゅじょうそなはすこと、 なほ*羅睺羅らごらのごとし。
^しゅじょうたてまつらずといへども、 じつ諸仏しょぶつみまえにあり」 と。

レドモ↠見↢父母父母ムガ↞子
諸仏ソナハスコト↢衆生猶如↢羅睺羅
衆生↠不↠見タテマツラリト↢諸仏↡」

^このねんをなすべし、 「弥陀みだ如来にょらいはつねにわがらし、 わが善根ぜんごんねんし、 わがえん観察かんざつしたまふ。 われもしえんじゅくせば、 ときうしなはずして*しょうこうむりなん」 と。

↠作↢是↡、弥陀如来↢我↡、護↢念善根↡、観↢察シタマフ機縁↡。我若機縁熟セバ、不シテ↠失↠時リナムト↠接

・無礙弁舌

 ^じゅうしちには*無礙むげ弁説べんぜつなり。

ニハ無礙弁説ナリ

^¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論) にいふがごとし。 「もしさん千界ぜんかいのあらゆるてんのなかにてらん塵数じんじゅ三千さんぜん大千だいせんかいしゅじょう、 みなしゃほつのごとき、 びゃくぶつのごとき、 みなことごとく智慧ちえ*ぎょうぜつじょうじゅし、 寿じゅみょうかみ0996のごとき塵数じんじゅ大劫だいこうならんに、 このもろもろのひと念処ねんじょせて、 その*ぎょう寿じゅつくすまで如来にょらい問難もんなんせば、 如来にょらいかえりて念処ねんじょをもつてその所問しょもんこたへたまはんに、 ごんかさならず、 ぎょうぜつぐうならん」 と。

¬十住論¼云フガ。「若三千界所有四天下テラム↠中微塵数三千大千界衆生、皆如↢舎利弗↡、如↢辟支仏↡、皆悉成↢慧・楽説↡、寿命↢上塵数大劫ナラム人等、因セテ↢四念処↡尽スマデ↢其形寿↡問↢難如来如来還リテ↢四念処↡答ヘタマハムニ↢其所問↡、言義不↠重ナラ、楽説無窮ナラムト。」

^またいはく (十住毘婆沙論)、 「ぶつきたまふところあるは、 みなやくありてつひに空言くうごんならず。 これまた希有けうなり。 もし一切いっさいしゅじょう智慧ちえ勢力せいりきびゃくぶつのごとくならんに、 このもろもろのしゅじょう、 もしぶつけずして一人いちにんせんとおぼせば、 このことわりあることなからん。 もしこのもろもろのひとときには、 ない色界しきかい*けっ使いち*ごうぶんをもつことあたはず。

又云、「仏ルハ↢所↠説キタマフ↡、皆有リテ↢利益↡終不↢空言ナラ↡。是亦希有ナリ一切衆生力如ラム↢辟支仏衆生若シテ↠承↢仏意↡欲セバ↠度セムト↢一人↡、無↠有ルコト↢是コトワリ↡。若人説ニハ、乃至不↠能↠断ツコト↢無色界結使ヲモ↡。

^もしぶつしゅじょうせんとおぼして、 言説ごんせつしたまふところあれば、 ないどう邪見じゃけん、 もろもろのりゅうしゃとう、 およびぶつせざるものにも、 みなことごとくさとらしめたまふ。 これらもまたよくりょうしゅじょうてんす。 このゆゑに、 ぶつさいじょうどうづけたてまつる」 と。

仏欲シテ↠度セムト↢衆生↡、有レバ↠所↢言説シタマフ↡、乃至外道・邪見、諸竜・夜叉等及↠解↢仏語1132↡者ニモ、皆悉メタマフサト。是等亦能転↢化無量衆生↡。、仏ケタテマツルト↢最上導師↡。」

^ (十住毘婆娑論) にいはく、

¬偈¼

^*問答もんどうのなかにおいて、 ちょうぜつして*倫匹りんぴつなし。
しゅじょうのもろもろの問難もんなんは、 一切いっさいみなやすし。

「於↢四超絶シテ↢倫匹↡
衆生問難一切皆易↠得

^もしさんのうちにおいて、 もろもろの所説しょせつあるは、
0997ごんかならずむなしくもうけたるにあらず、 つねにだいほうあり」 と。

↢三時↢所説↡者
言必↢虚シクケタルニリト↢大果報↡」

^¬ごん¼ のにのたまはく、

¬花¼偈

^諸仏しょぶつ広大こうだいみこえは、 法界ほうかいきこえずといふことなし。
さつはよくりょうして、 よくおんじょうかいる」 と。

「諸仏広大法界↠不トイフコト
菩薩了知シテルト↢音声海↡」

^¬浄名じょうみょうきょう¼ (維摩経)にのたまはく、

¬浄名経¼偈

^ぶつ*一音いっとんをもつてほう演説えんぜつしたまふに、 しゅじょうるいしたがひておのおの
みなおもへり、 そんはそのおなじくしたまふと。 これすなはち*神力じんりき不共ふぐほうなり」 と。

「仏↢一音↡演↢説シタマフニ衆生ヒテ↠類得↠解
皆謂世尊↢其神力不共ナリト

^また *¬譬喩ひゆきょう¼ のだいさんにのたまはく、 「いくおうこころぶつしんぜず。 とき海辺かいへんとりあり、 づけて随ようずいとなす。 そのこえはなはだあいにして、 すこぶる髣髴ほうふつとして、 ぶつおんじょう万分まんぶんいちたることあり。 おう、 そのこえきてかんして、 すなはち*じょうどうこころおこせり。 ちゅう*婇女さいにょおほよそ七千しちせんにんも、 またじょうどうこころおこしてき。 おうはこれよりつひに*三尊さんぞんしんぜり。 とりおんじょうにして、 するところかくのごとし。 いはんや、 しん清浄しょうじょうみょうおんのものにおいてをや」 と。 取意略抄

又¬譬喩経¼第三、「阿育王意不↠信↠仏。時海辺↠鳥、名ケテ↢随↡。其音甚哀和ニシテ、頗髣髴オボツカナクタルコト↢仏音声万分↡。王聞キテ↢其↡歓喜シテ、即セリ↢无上道↡。宮中婇女凡七千、復発シテキ↢无上道↡。王↠是遂ゼリ三尊↡。鳥之音声ニシテ所↠度スル↠是クノ。況テヲ↢至真清浄妙音↡乎。」取意略抄

^ねん0998ずべし、 「われいづれのときにか、 かの弁説べんぜつくことをん」 と。

↠念、我何レノニカムト↠聞クコトヲ↢彼弁説↡。

・観仏法身

 ^じゅうはちには観仏かんぶつ法身ほっしんなり。

十八ニハ仏法身

^文殊もんじゅ師利しりさつのいへるがごとし。 「われ、 如来にょらいかんずるに、 すなはち真如しんにょそうなり。 どうなくなし。 分別ふんべつするところなく分別ふんべつことなることもなし。 方処ほうしょそくせず方処ほうしょせず。 にあらずにあらず、 じょうにあらずだんにあらず。 さんそくせずさんせず。 しょうなくめつなく、 なくらいなく、 ぜんぜんもなく、 不二ふにもなし。 *心言しんごんみちえたり。

↢文殊師利菩薩ヘルガ↡。「我観ズルニ↢如来↡、即真如ナリ。無↠動無↠作。無↠所↢分別スル↡無↠異ナルコトモ↢分別↡。非↠即↢方処↡非↠離↢方処↡。非↠有↠無、非↠常↠断非↠即↢三世↡非↠離↢三世↡。無↠生無↠滅、無↠去無↠来、無↢染・不染↡、无↢二・不二心言路絶エタリ

^もしこれらの真如しんにょそうをもつて如来にょらいかんずるを、 しんぶつたてまつるとづく。 または如来にょらい*らいきょうし、 親近しんごんすとづく。 じつじょうにおいてよくやくをなす」 と。 ¬だい般若はんにゃ¼。

↢此等真如之相↡観ズルヲ↢於如来↡、名↢真タテマツルト↟仏。亦↤礼↢敬親↣近スト如来↡。実↢有情↡能スト↢利1133↡。¬大般若¼

^¬*占察せんざつきょう¼ のかんぞうさつのいはく、 「*一実いちじつきょうがいとは、 いはく、 しゅじょう*心体しんたいは、 もとよりこのかた、 しょうぜずめっせず、 *しょう清浄しょうじょうにして*しょう無礙むげなること、 なほくうのごとし。 分別ふんべつはなれたるがゆゑに、 びょうどうへんしていたらざるところなく、 十方じっぽう円満えんまんす。 きょうして一相いっそうにして、 無二むにべつなり。 へんぜずせず、 ぞうなくげんなし。

¬占察経¼下巻地蔵菩薩、「一実境界者、謂衆生心体↠本已来不↠生不↠滅、自性清浄ナルナリ无障无礙ナルコト猶如↢虚空↡。離レタルガ↢分別↡故、平等普遍シテ↠所↠不トイフ↠至円↢満シテ十方究竟シテ一相ナリ无二无別ナリ。不↠変不↠異、无↠増无↠減。

^一切いっさいしゅじょうしん一切いっさいしょうもんびゃくぶつしん一切いっさいさつしん一切いっさい諸仏しょぶつしんは、 みなおなじくしょうめつ*ぜん寂静じゃくじょう真如しんにょそうなるをもつてのゆゑに。 所以ゆえんはいかん。 一切いっさいの、 しんありて分別ふんべつおこすは、 なほ*げんのごとくして、 *じょうじつあるこ0999となし。

テノ↢一切衆生心、一切声聞・辟支仏心、一切菩薩心、一切諸仏、皆同ジク不生・不滅ナリ、无染寂静ニシテ真如ナルヲ↡故。所以者何。一切リテ↠心起スハ↢分別↡者、猶如クシテ幻化↡无↠有ルコト↢定実↡。

^一切いっさいかいしん形状ぎょうじょうもとむるに、 いっぶんとしてべきものなし。 ただしゅじょうみょうあん*くんじゅう因縁いんねんをもつて、 みだりに*きょうがいげんじて、 *ねんじゃくしょうぜしむ。 いはゆるこのしん、 みづからなりとることあたはずして、 みだりにみづからおもひて、 かくそうおこして、 *しょけいす。 しかもじつにはかくそうあることなし。 この妄心もうしんひっきょうじてたいなく、 けんならざるをもつてのゆゑに」 と。

一切世界ムルニ↢心形状↡、无↢一区トシテシテ↠得者↡。但↢衆生无明痴闇勲習因縁↡、妄ジテ↢境界↡、令↠生↢念著↡。所謂心不シテ↠能↢自ルコト↟无ナリト、妄ヒテ↠有、起↢覚知↡、計↢我・我所↡。而ニハ↠有ルコト↢覚知之想↡。以テノ↣此妄心畢竟ジテ↠体不ルヲ↢可見ナラ↡故ニト。」

^ない広説こうせつしんをもつてこの観念かんねんするを、 さつ最初さいしょ根本こんぽんごうとなせり。

乃至広説。以↢信解↡観↢スルヲ↡、為↢菩薩最初根本業↡也

^この一実いちじつきょうがいは、 すなはちこれ如来にょらい法身ほっしんなり。

一実境界、即是如来ナリ

^¬ごんぎょう¼ の一切いっさいさつにのたまはく、

¬花厳経¼一切慧菩薩

^ほっしょうはもとよりくうじゃくにして、 しゅなくまたけんなし。
しょうくうなるはすなはちこれぶつなり。 りょうすることをべからず」 と。

「法性ヨリ空寂ニシテ↠取亦无↠見
性空ナル是仏ナリ↠可カラ↠得↢思量スルコトヲ↡」

^ねんずべし、 「われいづれのときにか*ほんしょうあらわすことをん」 と。

↠念、我何レノニカムト↠顕スコトヲ↢本有↡。

・総観仏徳

 ^じゅうには*総観そうかん仏徳ぶっとくなり。

十九ニハ総観仏徳ナリ

^げんさつのいふがごとし。 「如来にょらいどくは、 たとひ十方じっぽう一切いっさい諸仏しょぶつ不可ふかせつ仏刹ぶっせつを、 ごく塵数じんじゅこうて、 相続そうぞくして演説えんぜつしたまふとも、 じんすべからず」 (華厳経) と。

↢普賢菩薩フガ↡。「如来功徳仮使 タトヒ 十方一切諸仏、経↢不可仏刹極微塵数↡相続シテ演説シタマフトモ、不↠可カラ↢窮尽↡。」

^また弥陀みだぶつじんごくなることは、 ¬双巻そうかんぎょう¼ (大経・下) にのたまふがごとし。 「りょう寿じゅぶつじんきわまりなし1000十方じっぽうかいりょうへん不可ふか思議しぎ諸仏しょぶつ如来にょらい称歎しょうたんしたまはざることなし」 と。

又阿弥陀仏威神无極ナルコト、如↢¬双巻経¼云フガ↡。「无量寿仏威神无↠極。十方世界1134无量无辺不可思議諸仏如来、莫シト↠不ルコト↢称歎シタマハ↡。」

^りゅうじゅ (十住毘婆沙論) にいはく、

龍樹¬偈¼云

^そんのもろもろのどくは、 りょうすることをべからず。
ひとの、 *しゃくすんをもつてくうはからんに、 つくすべからざるがごとし」 と。

「世尊功徳不↠可カラ↠得↢度量スルコトヲ
シト↧人↢尺寸ラムニ↠空ルガ↞可カラ↠尽

^おなじきさん弥陀みだ (*易行品) にいはく、

ジキ讃弥陀

^諸仏しょぶつりょうこうに、 そのどく讃揚さんようしたまはんに、
なほつくすことあたはじ。 清浄しょうじょうにんみょうしたてまつる」 と。

諸仏无量劫讃↢揚シタマハムニ功徳
猶尚 ナホ 不↠能↠尽スコト帰↢命シタテマツルト清浄↡」

^ねんずべし、 「ねがはくは、 われぶつて、 しょうぼうおうひとしからん」 と。

↠念、願クハ我得↠仏シカラムト↢正法↡。

・欣求教文

 ^じゅうにはごんきょうもんなり。

二十ニハスル

^¬般舟はんじゅきょう¼ にのたまはく、 「*この三昧さんまいは、 ふことをることかたし。 たとひこの三昧さんまいもとめんに、 ひゃくおくこういたり、 ただその名声みょうしょうくことをんとほっすとも、 くことをることあたはじ。 いかにいはんやがくすることをるものをや。 *うたたまたぎょうじてひとおしへんをや」 と。

¬般舟経¼云、「是三昧↠得ルコト↠値フコトヲ正使 タトヒ メムニ↢是三昧↡、至↢百億劫↡但ストモ↠得ムト↠聞クコトヲ↢其名声↡、不↠能↠得ルコト↠聞クコトヲ。何スルコトヲヲヤ。転復行ヘムヲヤト↠人。」

^ (般舟経) にのたまはく、

^「われみづから*おうとき識念しきねんするに、 そのかずろく万歳まんざいそくするまで、
つねにほっしたがひてしゃせざりしに、 はじめより、 この三昧さんまいくことを1001りき。

「我自識↢念スルニ往世数具↢足シテ六万歳
ヒテ↢法師↡不リシニ↢捨離ヨリリキ↠得↠聞クコトヲ↢是三昧

^ぶつましましき。 ごうをば具至ぐしじょうとまうしき。 とき比丘びくありき。 りんづけき。
かのぶつそん*泥洹ないおんのちに、 比丘びくつねにこの三昧さんまいたもちき。

シキ↠仏号ヲバシキ↢具至誠比丘アリキケキ↢和
仏世尊泥洹比丘常チキ↢是三昧

^われときおうくんしゅたりき。 ゆめのなかにこの三昧さんまいくにおよびぬ。
ªりん比丘びくこのきょうたもてりき。 おうまさにしたがひてこの*じょうくべかりきº と。

我時リキ↢王君子種↡オヨビヌ↠聞クニ↢是三昧
隣比丘タモテリキ↢斯王当カリキ↣従ヒテ↢此定意

^ゆめよりめをはりてすなはちきてもとむるに、 すなはち比丘びく三昧さんまいたもてるをつ。
すなはち鬚髪しゅほつのぞきて沙門しゃもんとなりにき。 がくすることはっ千歳せんざいしていちきき。

↠夢覚リテキテムルニタヤス↣比丘テルヲ↢三昧
キテ鬚髪↡作リニキ↢沙門スルコト八千歳シテ一時聞キキ

^そのかずはち万歳まんざいそくするまで、 この比丘びくよう*奉事ぶじしき。
とき因縁いんねんしばしばこうして、 はじめよりいまだかつて一反いっぺんすらくことをざりき。

数具↢足シテ八万歳供↢養奉↣事シキ比丘
因縁数興起シテヨリリキムカシニモ得↢一反スラクコトヲ

^このゆゑに比丘びく比丘尼びくに、 およびしょうしんしょう信女しんにょ
この経法きょうぼうたもてとなんぢらにぞくす。 この三昧さんまいきては受行じゅぎょうせよ。

比丘・比丘尼清信士・清信女
チテ↢是経法↡属汝等ナムダチキテハ↢是三昧↡疾受行セヨ

^1002つねにこれをじゅうせるほっうやまひて、 一劫いっこうそくするまでおこたることをることなかれ。
たとひ億千おくせん*じゅつこうに、 この三昧さんまいもとむるにくことをることかたし。

ヒテ↧習↢持セル↡法師具↢足シテ一劫↡无↠得ルコトオコタルコト
仮使 タトヒ 億千那術劫ムルニ↢是三昧↡難↠得ルコト↠聞クコトヲ

^たとひかいの、 恒沙ごうじゃのごとき、 なかにてらん珍宝ちんぽうをもつて布施ふせせんも、
もしこのいちせつけて*きょうじゅすることあらんには、 どくかれにぎたらん」 と。

設令 タトヒ 世界↢恒沙テラム↠中1135珍宝布施セム
ラム↧受ケテ↢是一偈敬↥誦スルコト功徳過ギタラムト↢於↡」

^¬双巻そうかんぎょう¼ (大経・下) にのたまはく、 「たとひだいありて三千さんぜん大千だいせんかいじゅうまんせりとも、 かならずまさにこれをぎて、 このきょうぼうきて、 かんしんぎょうし、 じゅ読誦どくじゅして、 せつのごとくしゅぎょうすべし。

¬双巻経¼云、「設リテ↢大火↡充↢満セリトモ三千大千世界↡、要↧過ギテ↠此キテ↢是経法↡、歓喜信楽受持読誦、如↠説修行↥。

^所以ゆえんはいかん。 おおさつありてこのきょうかんとほっすとも、 しかもることあたはず。 もししゅじょうありてこのきょうくものは、 じょうどうにおいてつひに退転たいてんせじ。 このゆゑに、 まさに専心せんしんにしてしんじ、 じゅ読誦どくじゅして、 ぎょうずべし」 と。

所以者何。多リテ↢菩薩↡欲ストモ↠聞カムト↢此↡而不↠能↠得ルコト。若リテ↢衆生↡聞カム↢此↡者、於↢无上道↡終不↢退転↡。是、応シト↢専心ニシテ受持↡。」

^このねんをなすべし、 「あるいは*大千だいせんみょうじゅぎ、 あるいは億劫おくこうとも、 ほうもとむべし。 われすでにじん三昧ざんまいぐうせり。 いかんぞ退屈たいくつして勤修ごんしゅせざらん」 と。

↠作↡、或イハ↢大千猛火聚↡、或イハ↢億劫↡応↠求↠法。我既値↢遇セリ深三昧↡。如何退屈シテラムト↢勤修↡。

^ぎょうじゃ、 このもろもろのにおいて、 もしはもしはしょうねがいしたがひて憶念おくねんせよ。 もし憶念おくねんすることあたはずは、 すべか1003らくかんひらきてもんむかひて、 あるいは*けっちゃくし、 あるいは誦詠じゅようし、 あるいはれんし、 あるいはきょうらいすべしちかくは*勤心ごんしん方便ほうべんとなし、 とおくは見仏けんぶつ因縁いんねんむすべ。 おほよそ三業さんごうに、 ぶつきょうがいわするることなかれ。

行者於↢此↡、若シハ多若シハ少、随ヒテ↠楽ヒニ憶念セヨ。若↠能↢憶念スルコト↡、須↢披キテ↠巻ヒテ↠文、或イハ、或イハ誦詠、或イハ恋慕、或イハ敬礼↡。近クハ↢勤心之方便↡、遠クハ↢見仏之因縁↡。凡三業・四儀↠忘ルルコト↢仏境界↡矣。

 ^ふ。 如来にょらいのかくのごとき種々しゅじゅどく信受しんじゅし、 憶念おくねんするは、 なんの*しょうやある。

。信↢受憶↣念スルハ如来↠是クノ種々功徳↡、有↢何勝利↡。

^こたふ。 ¬諸仏しょぶつきょうがいきょう¼ にのたまはく、 「もし十方じっぽうかいじんとう諸仏しょぶつおよびしょうもんしゅにおいて、 ひゃく飲食おんじきみょうてんすること、 日々にちにちはいせずして恒沙ごうじゃこうてて、 かのぶつめつに、 一々いちいちぶつのために、 じっ方界ぽうかい一々いちいちかいにおいて塵数じんじゅとうて、 衆宝しゅぼうをもつてしょうごんし、 種々しゅじゅようすること、 一日いちにちさん日々にちにちはいせずして恒沙ごうじゃこうてて、 またしゅりょうしゅじょうおしへて、 もろもろのようもうけしめんに、 もし一人いちにんありて、 この如来にょらい智慧ちえどく不可ふか思議しぎきょうがいしんぜば、 所得しょとくどくはかれにすぐれたることりょうなり」 と。

。¬度諸仏境界経¼云、「若↢十方世界微塵等諸仏及声聞衆↡、施シテ↢百味飲食、微妙天衣↡、日々シテ、満テテ↢恒沙↡、彼滅後、為↢一々↡、於↢十方界一々世界↡起↢塵数↡、衆宝ヲモテ荘厳、種々供養一日三時スルコト、日々シテテテ↢恒沙↡、復教ヘテ↢无数无量衆生↡設ケシメム↢諸供養リテ↢一人↡信↢此如来慧功徳、不可思議境界↡所得功徳、勝レタルコト↠彼无量ナリト。」

^また ¬ごん¼ のにのたまはく、

又¬花厳¼偈

^如来にょらいざいりきは、 りょうこうにもふことかたし。
もし一念いちねんしんをなすは、 すみやかにじょうどうしょうす」 と。

「如来自在力无量劫1136↠遇フコト
スハ↢一念スト↢无上↡」

^は、 しもやくもんのごとし。

↢下利益門↡。

 ^1004ふ。 ぼんぎょうにんは、 ものひてこころうつる。 なんぞつねに念仏ねんぶつしんおこすことをん。

。凡夫行人ヒテ↠物意移。何↠起スコトヲ↢念仏之心↡。

^こたふ。 かれ、 もしただちにぶつねんずることあたはずは、 事々じじせてそのしん勧発かんぽつすべし。

。彼若↠能直爾 タダチ ズルコト↟仏、応↧寄セテ↢事々↡勧↦発↥。

^いはく、 遊戯ゆげだんしょうときには、 極楽ごくらくかいほう宝林ほうりんのなかにして、 てんにんしょうじゅと、 かくのごとくらくすることをんとねがへ。 もし憂苦うくするときには、 もろもろのしゅじょうとともに、 はなれて極楽ごくらくしょうぜんとねがへ。 もし*尊徳そんとくむかひては、 まさに極楽ごくらくうまれて、 かくのごとくそんつかまつらんとねがふべし。 もしせんば、 まさに極楽ごくらくしょうじて、 どくたぐい*らくせんとねがふべし。

遊戯・談笑ニハ、願↧於↢極楽界宝池宝林↡、与↢天人聖衆↡如シテ↠是クノムト↦娯楽スルコトヲ↥。若憂苦セムニハ、願↧共↢諸衆生↡離レテ↠苦ゼムト↦極楽↥。若ムカヒテハ↢尊徳↡、当↠願↧生レテ↢極楽↡如シテ↠是クノツカマツラムト↦世尊↥。若テハ↢卑賎↡、当↠願↧生ジテ↢極楽↡利↦楽セムト孤独↥。

^おほよそ人畜にんちくるごとに、 つねにこのねんをなすべし、 「ねがはくは、 このしゅじょうとともに安楽あんらくこくおうじょうせん」 と。 もし飲食おんじきするときには、 まさに極楽ごくらくねんみょうじきけんとがんずべし。 ぶく臥具がぐ行住ぎょうじゅう坐臥ざがえんじゅんえん一切いっさいなぞらへてれ。

↠見↢人畜↡、常↠作↢是↡、願クハ↢此衆生↡往↢生セムト安楽国↡。若飲食セムニハ、当↠願↠受ケムト↢極楽自然微妙↡。衣服・臥具、行住坐臥、違縁・順縁、一切准ヘテ

^せてがんをなすこと、 これ ¬ごんぎょう¼ とうれいなり。

セテ↠事スコト↠願、是¬花厳経¼等例也

二 Ⅴ 止悪修善

【51】^だい*あく修善しゅぜんとは、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にのたまはく、 「この念仏ねんぶつ三昧ざんまいを、 もしじょうじゅせんには、 因縁いんねんあり。 いちにはかいぼんには不起ふき邪見じゃけんさんにはしょうきょうまんには不恚ふいしつにはゆうみょうしょうじんして、 ねんはらふがごとくす。

第四止悪修善者、¬観仏三昧経¼云、「此念仏三昧スルコト者有↢五因縁↡。一者持戒不犯。ニハ不起邪見。三者不生憍慢。四者不恚不嫉。五者勇猛精進スルコトクスルナリ↠救ハム↢頭エム↡。

^このぎょうじて、 まさしく諸仏しょぶつみょう色身しきしんねんじて、 しんをして退たいせざらし1005めよ。 またまさにだいじょうきょうてん読誦どくじゅすべし。 このどくをもつて仏力ぶつりきねんずるがゆゑに、 疾々しつしつりょう諸仏しょぶつたてまつることを」 と。

ジテ↢此↡正シクジテ↢諸仏微妙色身↡、令メヨ↢心ヲシテ↟退。亦当↣読↢誦大乗経典↡。以↢此功徳↡念ズルガ↢仏力↡故疾々↠見タテマツルコトヲ↢无量諸仏↡。」

 ^ふ。 この*ろくしゅほうはなんのかあるや。

。此六種↢何↡耶。

・戒

^こたふ。 どうきょうにのたまはく、 じょうかいをもつてのゆゑに、 ぶつ像面ぞうめんたてまつること、 真金しんこんかがみのごとくして、 了々りょうりょうぶんみょうなり」 と。

。同ジキ¬経¼云、「以テノ↢浄戒↡故タテマツルコト↢仏像面↡、如クシテ↢真金↡了々分明ナリト。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「ぶつおうのごとく、 ほうりょうやくのごとく、 そう*せんびょうにんのごとく、 かい服薬ぶくやくきんのごとし」 と。

又¬大論¼云、「仏↢医王1137↢良薬↢瞻病人シト↢服薬禁忌↡。」

^ゆゑにりぬ、 たとひ法薬ほうやくぶくしたりとも、 禁戒きんかいたもたずは、 煩悩ぼんのうびょうげんじょするによしなし。

リヌ、設シタリトモ↢法薬↡、不↠持↢禁戒↡、無↠由↣除↢愈スルニ煩悩病患↡。

^ゆゑに ¬般舟はんじゅきょう¼ にのたまはく、 「かいやぶること、 おおきさ毛髪もうはつのごとくにもすることをざれ」 と。 じょう戒品かいほん

¬般舟経¼云、「不レト↠得↣破ルコト↠戒キサクニモスルコトヲ↢毛髪↡。」已上「戒品」

・邪見憍慢

^¬観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「もし*邪念じゃねんおよび*こうほうおこさば、 まさにるべし、 このひとはこれ*ぞうじょうまんにして、 仏法ぶっぽうめつす。 おおしゅじょうをしてぜんしんおこさしめ、 ごうそうみだり、 あらわして、 しゅうまどはす。 これあくともなり。

¬観仏経¼云、「若↢邪貢高↡、当↠知、此是増上慢ナリ破↢滅↡。多使↣衆生ヲシテ↢不善↢和合僧↡、顕シテ↠異マドハ。是悪魔ナリ

^かくのごとき悪人あくにんは、 またぶつねんずといへども、 かんあじはひをうしなふ。 このひとうまるるところに、 こうをもつてのゆゑに、 つねにしょうにして、 せんいえうまれ、 びん諸衰しょすいりょう悪業あくごう、 もつて*厳飾ごんじきとなす。 かくのごとき種々しゅじゅしゅあくは、 まさにみづからぼうして、 なが1006しょうぜざらしむべし」 と。 じょう邪見じゃけんきょうまん

↠是クノ悪人、雖↢復念ズト↟仏↢甘露↡。此ルル、以テノ↢貢高↡故身恒卑小ナリ↢下賎貧窮諸衰、无量悪業↢厳飾↡。如クノ種々衆多悪事、当シト↣自防護シテ↢永↟生。」已上邪見・憍慢

・瞋恚

^¬ろっ波羅ぱらみつきょう¼ にのたまはく、 「りょうこうのうちにもろもろのぜんしゅぎょうすとも、 *安忍あんにんちからおよび智慧ちえまなこなければ、 一念いちねんしんしょうめつしてなし」 と。

¬六波羅蜜経¼云、「无量劫修↢行ストモ↡、无ケレバ↢安忍力及智慧眼↡一念瞋火焼滅シテシト↠余。」

^またあるところきていはく、 「よくだいそんずること、 いかりにぎたるはなし。 一念いちねん因縁いんねんことごとくてい広劫こうごう所修しょしゅぜん焚滅ぼんめつす。 このゆゑに慇懃おんごんにつねにしゃすべし」 と。

又或キテ、「能ルコト↢大利↡莫↠過ギタルハ↠瞋。一念因縁悉焚↢滅倶胝広劫所修↡。是慇懃捨離スベシト。」

^また ¬*ゆいきょうぎょう¼ にのたまはく、 「どくかすむるぞくは、 しんぎたるはなし」 と。

又¬遺教経¼云、「カスムル↢功徳↡賊シト↠過ギタルハ↢瞋↡。」

^¬だいじゅう¼ の 「月蔵がつぞうぶん(意) に、 しんどくきてのたまはく、 「つねに*げんじょうとあひして、 三昧さんまいくことを」 と。 じょうしん

¬大集¼「月蔵分」説キテ↢无瞋功徳↡云、「常与↢賢聖↡相会シテ↠著コトヲ↢於三昧↡。」已上瞋恚

・嫉妬

^¬双巻そうかんぎょう¼ (大経・下) にのたまはく、 「こんうらみのこころすこしきあひ憎嫉ぞうしつすれども、 後世ごせにはうたたはなはだしくして、 おおきなるあだとなるにいたる」 と。

¬双巻経¼云、「今世ヲモテ相憎嫉スレ、後世ニハハナハダシクシテルト↠成↢大ナル↡。」

^またにん*しっする、 そのつみはなはだおもし。

又嫉↢毀スル他人↡、其罪甚

^また ¬ほうしゃくきょう¼ のじゅういちにのたまふがごとし。 「ぶつ*鹿園ろくおんにましましき。 ときろくじゅうさつあり。 ごっしょうじんじゅうにして、 諸根しょこん闇鈍あんどんなり。 仏足ぶっそくちょうらいしてかんしてなみだながす。 みづからくることあたはず。

又如↢¬宝積経¼九十一フガ↡。「仏在シキ↢施鹿園↡。時↢六十菩薩↡。業障深重ニシテ諸根闇鈍ナリ。頂↢礼シテ仏足↡悲感シテ↠涙。不↠能↢自クルコト↡。

^ときぶつげてのたまはく、 ªなんぢら、 くべし。 またごうしてだい熱悩ねつのうをなすことなかれ。 なんぢ、 むかし*倶留くるそんぶつほうのなかにして、 しゅっしてどうをなせしかども、 みづからもん1007かい頭陀ずだしょうよく執着しゅうじゃくせりき。 とき説法せっぽう比丘びくありき。 もろもろのしんおおく、 みょうもんようありき。 なんぢら、 しっしんをもつて妄言もうごんほうして、 かのしん・もろもろのしゅじょうをして、 ずいじゅんしんなく、 もろもろの善根ぜんごんだんぜしめき。

仏告ゲテ汝等ナムダチ、応↠起1138。勿↣復悲シテスコト↢大熱悩↡。汝ムカシ倶留孫仏↡出家シテレリキ↠道執↢著セリキ聞・持戒・頭陀・少欲↡。時リキ↢二説法比丘↡。多カリキ↢諸親友↡名聞・利養アリキ汝等ナムダチ↢嫉妬↡妄言誹謗シテ、令メキ↧彼親友衆生ヲシテ、无↢随順心↡断↦諸善根↥。

^この悪業あくごうによりて、 ろくじゅうひゃく千歳せんざいのうちに阿鼻あびごくうまれき。 ごういまだきずして、 またじゅうひゃく千歳せんざいのうちに等活とうかつごくうまれ、 またじゅうひゃく千歳せんざいのうちにこくじょうごくうまれ、 またろくじゅうひゃく千歳せんざいのうちにしょうねつごくうまれき。

リテ↢此悪業↡於六十百千歳レキ↢阿鼻地獄↡。余業未シテ↠尽、復於四十百千歳↢等活地獄復於二十百千歳↢黒縄地獄復於六十百千歳レキ↢焼熱地獄↡。

^かしこより歿もっしをはりて、 かえりてにんとなることをて、 ひゃくのうちに*しょうもうにしてなかりき。 在々ざいざいしょしょうしょうねん忘失もうしつ善根ぜんごん*しょうしき。 ぎょうようしゅうけつにして、 ひとんとこのまざりき。 つねにへんうまれて、 びんれつなりき。

↠彼歿リテリテ↠為ルコトヲ↠人、五百世生盲ニシテカリキ↠目。在々所生忘↢失正念↡障↢礙シキ善根↡。形容醜欠ニシテ、人不リキコノ↠見ムト。常レテ↢辺地↡貧窮下劣ナリキ

^ここより歿もっしをはりて、 まつひゃくさいのうちにほうめっせんとほっするときに、 かえりてへんにしてれついえうまれて、 *ぼうとうして、 しょうねん忘失もうしつせん。 たとひぜんしゅせんとほっすとも、 もろもろの*なんおおし。

↠此没リテ、於↢後五百歳↡法欲セム↠滅セムト、還リテ↢辺地↡下劣レテ、匱乏飢凍シテ、忘↢失セム正念↡。設ストモ↠修セムト↠善、多ケム↢諸留難↡。

^ひゃくさいのち悪業あくごうすなはちめっして、 のち弥陀みだぶつ極楽ごくらくかいうまるることをん。 このときに、 かのぶつ、 まさになんぢらがために*のくだいさずけたまふべしº と。

五百歳悪業乃シテ、於↠生ズルコトヲ↢阿弥陀仏極楽世界↡。是、彼仏当シト↧為汝等ナムダチタマフ↦阿耨菩提↥。

^ときにもろもろのさつぶつ所説しょせつきて、 こぞりていよだち、 ふか憂悔うけしょうじて、 すなはちみづからなみだおさめてまうさく、 ªわれ、 今日こんにちより*1008らいさいいたるまで、 もし*さつじょうにんにおいてぼんあらんをて、 そのとが挙露あらわさば、 われらすなはち如来にょらい*おうしたてまつるとせん。

菩薩、聞タマヒ↢仏所説↡、コゾリテイヨダ、深ジテ↢憂悔↡、便メテ↠涙、白、我従↢今日↡至ルマデ↢未来際↡、若↢菩薩乗↡見↠有ラムヲ↢違犯↡挙↢露 アラハ サバ↡、我等即ナム↣欺↢誑シタテマツル如来↡。

^われ、 今日こんにちよりらいさいいたるまで、 もしざいしゅっさつじょうにんの、 よくぎょうをもつて遊戯ゆげかんするをんも、 つひにそのとがうかがもとめずして、 つねにしんきょうしょうじて、 きょうおもいおこさん。

我従↢今日↡至ルマデ↢未来際↡、若↧在家・出家菩薩乗↢欲楽↡遊戯歓娯セム↥、終シテ↣伺↢求ジテ↢信敬↡、起サム↢教師↡。

^われ、 今日こんにちよりらいさいいたるまで、 もしよくその*摧伏さいぶくしてれつおもいをなすこと、 せん陀羅だらおよびけんのごとくせずは、 すなはち如来にょらいおうしたてまつるとせん。 もしかいもん頭陀ずだしょうよくそく一切いっさいどくにおいて、 みづから*炫曜げんようせば、 すなはち如来にょらいおうしたてまつるとせん。 所修しょしゅ*善本ぜんぽんをばみづからおごほこらじ、 所行しょぎょう罪業ざいごうをばざんほつせん。 もししからずは、 すなはち如来にょらいおうしたてまつるとせんº と。

我従↢今日↡至ルマデ↢未来際↡、若1139善能摧↢伏↡、スコト↢下劣↡如クセ旃陀羅及於狗犬↥、則ナム↣欺↢誑シタテマツル如来↡。若↢持戒・多聞・頭陀・少欲知足一切功徳↡身自炫曜セバ、則ナム↣欺↢誑シタテマツル如来↡。所修善本ヲバ不↢自オゴホコ↡、所行罪業ヲバ慚愧発露セム。若↠爾ナム↣欺↢誑シタテマツル如来↡。

^ときぶつさんじてのたまはく、 ªきかな、 きかな。 かくのごときけつじょうしんをもつてせば、 一切いっさいごっしょうみなことごとくしょうめつし、 りょう善根ぜんごんはまたまさにぞうじょうすべしº」 と。

仏讃ジテ、善哉善哉。セバ↢如↠是クノ決定心↡、一切業障皆悉、无量善根亦当シト↢増長↡。」

^このゆゑに ¬大論だいろん¼ (大智度論)にいはく、

¬大論¼偈

^ほう*愛染あいぜんするがゆゑに、 にんほう*毀訾きしするは、
かいぎょうにんなりといへども、 ごくまぬかれず」 と。 じょうしっ

「自法オイテ愛染スルガ毀↢訾スルハ他人
↢持戒行人ナリト↠脱↢地獄↡」 已上嫉妬

・精進

^どう1009ろんにいはく、

ジキ¬論¼偈

^*しょう比丘びくは、 *だいにして悪道あくどうしたり。
ぶつほうくといへども、 なほまたみづからまぬかれざるをもつてなり」 と。

「馬比丘懈怠ニシテシタリ↢悪道
↢見↠仏クト↟法猶亦不ルヲモテナリト↢自マヌカ↡」

^またもししょうじんなくは、 ぎょうじょうじゅすることかたし。 ゆゑに ¬ごんぎょう¼ のにのたまはく、

^*鑚燧さんずいしてもとむるがごとし。 いまだでざるにしばしばやすめば、
せいしたがひてめつす。 だいのものまたしかなり」 と。 じょうしょうじん

又若↢精進↡行難↢成スルコト↡。故¬花厳¼偈

「如↧鑚ムルルニ↠出而数メバ
勢随ヒテ止滅ルガ懈怠亦然ナリト已上精進

・読誦大乗

^読誦どくじゅだいじょうどくりょうなることは、 ¬*金剛こんごう般若はんにゃろん¼ のにいふがごとし。

読誦大乗功徳无量ナルコトハ、如↢¬金剛般若論¼偈フガ↡。

^ふくだいおもむかず。 *よくだいおもむく。
*じつにおいてはりょういんづく。 *においてはしょういんづく」 と。

「福不↠趣↢菩提二能↢菩提
テハ↠実↢了因テハ↠余クト↢生因↡」

^じょう、 ¬観仏かんぶつきょう¼ の*六種ろくしゅほうおわりぬ。 かの ¬きょう¼ (同) にしつしょうじんはつぶさにこれをかず。 ゆゑに、 もんをもつて ¬きょう¼ (同) のこころ釈成しゃくじょうす。

已上¬観仏経¼六種法畢リヌ。彼¬経¼嫉・恚・精進不↢具↟之。故↢余↡釈↢成¬経¼意

^¬般舟はんじゅきょう¼ にまたじゅうあり。 かの ¬きょう¼ (同) にのたまふがごとし。 「もしさつありて*この三昧さんまい学誦がくじゅせば、 じゅうあり。

¬般舟経¼亦有↢十事↡。如↢彼¬経¼フガ↡。「若リテ↢菩薩↡学↢誦セバ三昧↡者、有↢十事↡。

^いちにはにんようしっせざれ。 1010にはことごとくまさにひとあいぎょうし、 ちょうろう孝順きょうじゅんすべし。 さんにはまさに報恩ほうおんおもふべし。 には*もうせずしてほうはなれよ。 にはつねに*乞食こつじきして*しょうけざれ。 ろくにはしょうじんして*経行きょうぎょうせよ。 しちにはちゅう*しゅつすることをざれ。 はちにはつねに布施ふせすることをおもひて、 つひにしみゆることなかれ。 にはふかのなかにりてじゃくするところなかれ。 じゅうにはぜんきょうすること、 ぶつのごとくせよ」 と。

ニハ↣嫉↢妬他人↡。二ニハ↧愛↢敬↡、教↦順於長老↥。三ニハ↠念↢報恩↡。四ニハシテ妄語↡、離ルル↢非法↡。五ニハ乞食シテ↠受↠請。六ニハ精進シテ経行スル。七ニハ昼夜↠得↢臥出スルコトヲ↡。八ニハヒテ↢布施セムコトヲ↡、終↢惜シミユルコト↡。九ニハ1140リテ↡无↢所著↡。十ニハ敬↢事スルコト善師↡如スル↠仏。」

 ^ふ。 ¬般舟はんじゅきょう¼ にまた四々ししじゅうろくしゅほうあり。 ¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ のだいひゃくじゅうしゅほうあり。 ¬念仏ねんぶつ三昧ざんまいきょう¼ に種々しゅじゅほうあり。

。¬般舟経¼亦有↢四々十六法↡。¬十住毘婆¼第九↢百余種法↡。¬念仏三昧経¼有↢種種法↡。

^また ¬ごんぎょう¼ の 「にゅう法界ほっかいぼん」 のにのたまはく、

又¬花厳経¼「入法界品」偈

^「もししんしてきょうまんはなるることあらば、 *発心ほっしんしてすなはち如来にょらいたてまつることをるも、
もし*諂誑てんおうじょうしんあらば、 億劫おくこうじんすれどもぐうすることなからん」 と。

「若↢信解、離レタルハ憍慢発心ツモ↠見タテマツルコトヲ↢如来
ルハ↢諂誑不浄心↡億劫尋求スレドモ↢値遇スルコト↡。」

^¬観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 「ちゅうろく*六法ろっぽうごんぎょうたん*しょうじゅして、 まさにしょうねがふべし。 きょう読誦どくじゅし、 ひろほうきょうぶるをのぞきては、 つひに*無義むぎ宣説せんぜつせざれ。 つねに諸仏しょぶつねんじて、 心々しんしん相続そうぞくせよ。 ない一念いちねんのあひだも1011ぶつざるときあることなし。 しんせんしょうなるがゆゑに、 *仏日ぶつにちはなれず」 と。

¬観仏経¼云、「昼夜六時勤↢行六法↡、端坐正受シテ、当↠楽↢小語↡。キテハ↧読↢誦↡広スル法教↥、終↣宣↢説无義之コト↡。常ジテ↢諸仏↡心々相続セヨ。乃至、无↠有ルコト↢一念之間↠見↠仏時↡。心専精ナルガ↠離↢仏日↡。」

^また ¬*遺日ゆいにち摩尼まにきょう¼ にかく、 「沙門しゃもんの、 牢獄ろうごくするに、 おおくのあり。 あるいはひともとめてようんとほっし、 あるいはおおはつまんとほっし、 あるいは*びゃく厚善こうぜんし、 あるいはつねに愛欲あいよくおもひ、 あるいはこのみて知友ちうきょうけつす」 と。 もんおおくのほうあり、 りゃくしてこれをしょうす。

又¬遺日摩尼経¼説カク、「沙門スルニ↢牢獄↡有↢多クノ事↡。或イハメテ↠人スル↠得ムト↢供養↡、或イハスル衣鉢↡、或イハ与↢白衣↡厚善ナル、或イハズル↢愛欲↡、或イハコノミテ交↢結スト知友↡。」↢多法↡、略シテ

^なんぞいま、 かれらのほうげざるや。

今不↠挙↢彼等↡耶。

^こたふ。 もしひろくこれをいださば、 かえりてぎょうじゃをして退転たいてんしんをなさしめん。 ゆゑにりゃくしてようぐ。

。若サバ↠之、還リテメム↣行者ヲシテ↢退転↡。故シテ↠要

^もしかた十重じゅうじゅうじゅうはちきょうかいたもたば、 かならず念仏ねんぶつ三昧ざんまいじょじょうして、 また任運にんうんぎょうをもとくしつべし。 いはんや六法ろっぽうし、 あるいは十法じっぽうせんに、 いづれのぎょうおさまらざらん。 ゆゑにりゃくしてじゅつせず。 しかも*ごう惑業わくごうは、 ひとをして*かくりょうせしむれども、 ただ無義むぎはそのとがあらわならずして、 つねにしょうどうふ。 よくこれをすべし。

タバ↢十重・八軽戒↡、理必助↢成シテ念仏三昧↡、亦応↣任運持↢得シツヲモ↡。況↢六法↡或イハセムニ↢十法↡、何ラム↠摂マラ。故シテ不↠述。然麁強或業レドモ↢人ヲシテ学了无義コト、其シテ↠顕ナラ、恒↢正道↡。善↠治↠之

^あるいは ¬大論だいろん¼ (大智度論)もんによるべし。 いはく、 「ひとしっして、 へんにともにおこらんがごときに、 いかんぞそのうちに安処あんしょして、 せつせん。 このなかにぶつきたまはく、 ªもししょうもんびゃくぶつくすら、 なほやくごんとなす。 いかにいはんや、 をやº」 と。

イハ↠依↢¬大論¼文↡。、「キニ↢人シテ四辺ラムガ↡、云何安↢処シテ↡語↢説セム↡。此仏説キタマハク、若クスラ↢声聞・辟支仏↡猶為↢无益之言↡。何1141ヲヤト。」

^ぎょうじゃつねにしゃ*しょうにおいてたくおもいしょうじて、 やく1012ち、 相続そうぞくしてぶつねんずべし。

行者常↢娑婆依・↡生ジテ↢火宅↡、絶↢无益コト↡、相続シテズベシ↠仏

 ^ふ。 ¬おうじょうろん¼ (天親の浄土論)念仏ねんぶつぎょうほうきていはく、 「三種さんしゅだいもんそうほうおんせよ。 なんらか三種さんしゅいちには智慧ちえもんによりて、 らくもとめず。 しんの、 しんとんじゃくすることをおんするがゆゑに。 には慈悲じひもんによりて、 一切いっさいしゅじょうく。 *安衆あんしゅしんおんするがゆゑに。 さんには方便ほうべんもんによりて、 一切いっさいしゅじょう憐愍れんみんするしんなり。 しんようぎょうするしんおんするがゆゑに。 これを、 三種さんしゅだいもんそうほうおんすとづくがゆゑに。

。¬往生論¼説キテ↢念仏行法↡云、「遠↢離セヨ三種菩提門相違↡。何等三種。一者依リテ↢智慧門↡、不↠求↢自楽遠↣離スルガ我心貪↢著スルコトヲ自身↡故。二者依リテ↢慈悲門↡、抜↢一切衆生↡。遠↢離スルガ无安↡故。三者依リテ↢方便門↡、憐↢愍スル一切衆生↡心ナリ。遠↧離ルガ供↢養恭↣敬スル自身↡心↥故。是クガ↣遠↢離スト三種菩提門相違↡故

^さつ、 かくのごとき三種さんしゅだいもんそうほうおんして、 三種さんしゅずいじゅんだいもんほう満足まんぞくすることをるがゆゑに。 なんらかさんいちにはぜん清浄しょうじょうしんのためにもろもろのらくもとめざるがゆゑに。 にはあん清浄しょうじょう心。 一切いっさいしゅじょうくがゆゑに。 さんにはらく清浄しょうじょうしん一切いっさいしゅじょうをしてだいだいしむるをもつてのゆゑに。 しゅじょう摂取せっしゅして、 かのこくうまれしむるをもつてのゆゑに。 これを三種さんしゅずいじゅんだいもんほう満足まんぞくすとづく」 と。  このなかに、 なんがゆゑぞ、 かの ¬ろん¼ (浄土論) によらざる。

菩薩遠↢離シテ↠是クノ三種菩提門相違↡、得ルガ↢三種随順菩提門満足スルコトヲ↡故。何等三。一者无染清浄心。不ルガ↣為↠身↢諸↡故。二者安清浄心。抜クガ↢一切衆生↡故。三者楽清浄心。以テノ↠令ムルヲ↣一切衆生ヲシテ得↢大菩提↡故。以テノ↧摂↢取シテ衆生↡生レシムルヲ↦彼国土↥故。是クト↢三種随順菩提門法満足スト↡。」 、何↠依↢彼¬論¼↡。

^こたふ。 さき*四弘しぐのなかに、 *この六法ろっぽうせり。 文言もんごんことなりといへども、 そのくることなし。

。前四弘セリ↢此六法↡。文言雖↠異ナリト、其↠闕クルコト

 ^1013ふ。 ぶつねんずるに、 おのづからつみめっす。 なんぞかならずしもかたかいたもつや。

。念ズルニ↠仏↠罪。何シモ↠戒

^こたふ。 もし一心いっしんねんぜば、 まことにむるところのごとし。 しかも*尽日ひねもすぶつねんぜんも、 しずかにそのじつけんすれば、 じょうしんはこれいちりょう、 そのはみなじょくらんせり。 鹿ししつなぎがたく、 いえはおのづかられたり。 いかにいはんや、 みづからしんをほしいままにせば、 そのあくいくばくぞや。

。若一心ゼバ、誠↠所↠責ムル。然尽日ヒネモスジテ↠仏スレバ↢其↡、浄心是一両、其皆濁乱セリ鹿カセギ↠繋レタリ。何↢恣ニセバ↡、其幾許イクバク乎。

^このゆゑに、 かならずまさにしょうじんして、 じょうかいたもつこと、 なほみょうしゅまもるがごとくすべし。 のちい、 なんぞおよばんや。 よくこれをねんせよ。

、要↧精進シテツコト↢浄戒↡猶如クス↞護ルガ↢明珠↡。後悔何バムヤ。善思↢念セヨ↡。

 ^ふ。 まことにいふところのごとし。 善業ぜんごうはこれこん所学しょがくねがふといへども、 ややもすれば退たいす。 妄心もうしんはこれ永劫ようごうしょじゅういとふといへども、 なほおこる。 すでにしからば、 なんの方便ほうべんをもつてかこれをせん。

。誠↠所↠言善業是今世所学、雖↠欣フトヤヤモスレ退。妄心是永劫1142所習、雖↠厭フト猶起。既ラバテカ↢何方便↡治セム↠之

^こたふ。 そのいちにあらず。 ¬*だい禅門ぜんもん¼ にいふがごとし。 「^いちに、 沈惛ちんこん闇塞あんそくさわりせんには、 *応仏おうぶつ観念かんねんすべし。

。其治非↠一。如↢¬次第禅門¼云フガ↡。「一↢沈惛闇塞↡者、応↣観↢念応仏↡。

^さんじゅうそうのなかに、 したがひていちれ。 あるいはけん毫相ごうそうりて、 ぢてかんぜよ。 もししん闇鈍あんどんにしてはるかにじょうぜんとするにじょうぜずは、 まさにいち*好厳こうごんぎょうぞうむかひて、 一心いっしんそうり、 これをえんじてじょうるべし。 もし明了みょうりょうならずは、 まなこひらきてさらにかんじ、 またさらにぢよ1014

卅二相ヒテ↠一。或イハリテ↢眉間毫相↡閉ヂテ↠目而観ゼヨ。若心闇鈍ニシテハルカゼムトスルニ↠成、当↢一好厳形像↡、一心シテ↠相ゼヨ↠之リテ↠定↢明了ナラ↡、開キテ↠眼、復更ヂヨ↠目

^かくのごとくして一相いっそうること明了みょうりょうならば、 だいにあまねく衆相しゅそうかんじて、 心眼しんげんをしてかいみょうならしめ、 すなはち惛睡こんすい沈闇ちんあんしんせよ。 ぶつどくねんずれば、 すなはちざいしょうのぞく。

クシテ↠是クノルコト↢一相↡明了ニシテ、次第ジテ↢衆相↡、使↢心眼ヲシテ開明ナラ↡、即セヨ↢惛睡沈闇之心↡。念功徳↢罪障↡。

^に、 *悪念あくねんゆいさわりせんには、 *報仏ほうぶつどくねんずべし。

↢悪念思惟↡者、応↠念↢報仏功徳↡。

^しょうねんのうちに、 ぶつじゅうりき四無しむしょじゅうはち不共ふぐ一切いっさいしゅは、 まどかに法界ほうかいらして、 常寂じょうじゃくどうにして、 あまねく色身しきしんげんじて、 一切いっさいやくしたまふどくりょうにして不可ふか思議しぎなることをえんぜよ。 なにをもつてのゆゑに。 この、 ぶつどくねんずるは、 しょう善法ぜんぽう*えんずるなかよりしょうずる*心数しんじゅなれども、 悪念あくねんゆいは、 悪法あくほうえんずるなかよりしょうずる心数しんじゅなり。 ぜんはよくあくするがゆゑに、 報仏ほうぶつねんずべし。

正念之中、縁ゼヨ↧仏十力・四无所畏・十八不共・一切種智カニシテ↢法界↡、常寂不動ニシテ、普↢色身↡、利↢益タマフ一切↡、功徳无量ニシテ不可思議ナルコトヲ↥。何テノ。此ズル功徳勝善法中↡生ズル心数ナリ悪念思惟↧縁ズル↢悪法↡中↥生心数ナリ。善ルガ↠悪↠念↢報仏↡。

^たとへば、 しゅうしょうにんの、 たんじょうだいにんのなかにありては、 すなはちみづから*鄙恥ひちするがごとく、 あくもまたかくのごとし。 善心ぜんしんのなかにありては、 すなはち恥愧ちきしておのづからむ。 ぶつどくえんずれば、 念々ねんねんのうちに一切いっさいさわりめっす。

ヘバ↧醜陋少智之人リテハ↢端正大智↡、即鄙恥スルガ↥、悪亦如↠是クノ。在リテハ↢善心↡、則恥愧シテ。縁ルハ↢仏功徳↡、念々之中↢一切↡。

^さんに、 *きょうがい逼迫ひっぱくさわりせんには、 *法仏ほうぶつねんずべし。

セバ↢境界逼迫↡者、応↠念↢法仏↡。

^法仏ほうぶつとは、 すなはちこれほっしょうなり。 びょうどうにしてしょうめつなり。 ぎょうしきあることなく、 くうじゃく無為むいなり。 無為むいのなかにはすでにきょうがいなし。 何者なにものかこれ逼迫ひっぱくそうならん。 きょうがいくうなることをるがゆゑに、 すなはちこれ*たいなり。

法仏者即是法性ナリ。平等ニシテ不生不滅ナリ。无↠有ルコト↢形色↡、空寂无為ナリ。无為之中ニハ↢境界↡。何者是逼迫之相ナラム。知ルガ↢境界ナルコトヲ↡故、即是対治ナリ

^もしさんじゅう1015そうねんずれば、 すなはちたいにあらず。 なにをもつてのゆゑに。 このひといまだそうえんぜざるときに、 すでにきょうがいのために悩乱のうらんせらる。 しかるをさらにそうらば、 このじゃくによりて、 はそのしんきょうらんす。

ルハ↢卅二相↡即↢対治↡。何テノ。是人未↠縁↠相、已↢境界↡悩1143セラルルヲラバ↠相者、因リテ↢此↡魔狂↢乱↡。

^いまくうかんじてそうすれば、 もろもろのきょうがいのぞき、 しんきてぶつねんずれば、 どくりょうにしてすなはちじゅうざいめっす」 と。

今観ジテ↠空スレバ↠相↢諸境界キテ↠心ズレバ↠仏功徳无量ニシテスト↢重罪↡。

^*別相べっそうもかくのごとし。 いまさん*つうくわへん。

別相↠是クノ。今加ヘム↢三↡。

^いちには、 よく*わくおこることをしょうして、 そのしんきょうかくして、 煩悩ぼんのうしゃくすること、 悪賊あくぞくるがごとくし、 三業さんごうぼうすること、 はちささぐるがごとくせよ。

ニハシテ↢惑ルコトヲ↡、驚↢覚シテ↡、呵↢スルコト煩悩↡如クシルガ↢悪賊↡、防↢護スルコト三業↡如クセヨササグルガ↢油鉢↡。

^¬ろっ波羅ぱらみつきょう¼ にのたまふがごとし。 「けっ趺坐ふざしてしょうねん観察かんざつし、 だいしんをもつて屋宅おくたくとなし、 智慧ちえをもつてつづみとなし、 *かくつえをもつてこれをたたちて、 もろもろの煩悩ぼんのうげよ。 ªなんぢら、 まさにるべし、 もろもろの煩悩ぼんのうぞく妄想もうぞうよりしょうず。 わが法王ほうおういえぜんおこることあり。 なんぢがしょにあらず。 なんぢ、 よろしくすみやかにづべし。 もしときでずは、 まさになんぢがいのちつべしº と。

↢¬六波羅蜜経¼云フガ↡。「結跏趺坐シテ正念観察、以↢大悲心↡而シテ↢屋宅↡、智ヲモテ↠鼓、以↢覚悟↡而扣チテ↡、告ゲヨ↢諸煩悩↡。汝等、当↠知、諸煩悩妄想↡生。我法王↢善事ルコト↡。非↢汝所為↡。汝宜↢速↡。若↢時↡当シト↠断↢汝↡。

^かくのごとくげをはるに、 もろもろの煩悩ぼんのうぞくは、 いでおのづから散滅さんめつす。 つぎしんにおいて、 よくぼうおこして、 放逸ほういつすべからず」 と。

↠是クノルニ、諸煩悩ギテ。次↢自身↡善シテ↢防護↡不↠応カラ↢放逸↡。」

^また ¬*さつ処胎しょたいきょう¼ のにのたまはく、

又¬菩薩処胎経¼偈

^1016「かの犯罪ぼんざいにんの、 満鉢まんぱちささして、
もしつること一渧いったいをもせば、 つみ*だいびゃく交入きょうにゅうせん。

「如↧彼犯罪↢持シテ満鉢
ツルコト↠油一渧モセバ罪交↢入大僻

^左右さうがくをなせども、 おそれて顧視こじせざるがごとし。
さつ*じょうかんしゅするには、 *しゅう金剛こんごうのごとく、

左右ドモ↢伎楽レテ↠死ルガ↦顧視
菩薩シテ↢浄観執意如↢金剛

^毀誉きよおよび悩乱のうらんに、 しん*きょうどうせず。
くう本来ほんらいじょうにして、 彼此ひしちゅうげんもなしとす」 と。

毀誉及悩乱心意不↢傾動
スト↣空本来浄ニシテシト↢彼此中間↡」

 ^には、 つうじて*四句しくもちゐて、 一切いっさい煩悩ぼんのう根源こんげんすいせよ。 いはく、 この煩悩ぼんのうは、 *しんによりてしょうずとやせん、 *えんによりてしょうずとやせん、 ともしょうずとやせん、 はなれてしょうずとやせん。

ニハジテヰテ↢四句↡、推↢求セヨ一切煩悩根源↡。謂煩悩モシリテ↠心モシリテ↠縁モシモシレテ

^もししんによりてしょうぜば、 さらにえんたじ。 あるいは*もう*かくにおいても、 貪瞋とんじんしょうずべし。

リテ↠心ゼバ者、更不↠待↠縁。或イハテモ↢亀毛・兎角↡応↠生↢貪瞋↡。

^もしえんによりてしょうぜば、 しんもちゐざるべし。 あるいはねむれるひとをして煩悩ぼんのうしょうぜしむべし。

リテ↠縁ゼバ者、応↠不↠用↠心。或イハムベシ↣眠レルヲシテ↢於煩悩↡。

^もしともしょうずとせば、 いまだせざるとき、 おのおのなくして、 ときに、 いづくんぞあらん。 たとへばいさごがっすといへども、 なきがごとし。 あるいは*しんきょうともにがっするに、 なんぞ煩悩ぼんのうしょうぜざるときある。

ナラ者、未ルトキ↠共ニシテンゾラム。譬ヘバ↢二↠合ストキガ↟油ルトキニ心境倶スルニナン↧不↠生↢煩悩↡時↥。

^もしはなれてしょうずとせば、 すでにしんはなえんはなれたり、 なんぞたちまちに煩悩ぼんのうしょうぜん。 あるいはくうはなれたり。 つねに1017煩悩ぼんのうしょうずべし。

1144ナラ者、既↠心↠縁ナンタチマチゼム↢煩悩↡。或イハ虚空離レタリ↠二↣常↢煩悩↡。

^種々しゅじゅ観察かんざつするに、 すでにじつしょうなし。 よりてきたるところなく、 またるところなし。 うちにあらず、 ほかにあらず、 またちゅうげんにあらず。 すべて処所しょしょなく、 みなげんのごとし。 ただ*惑心わくしんのみにあらず、 *観心かんじんもまたしかなり。 かくのごとくすいするに、 惑心わくしんおのづからめっす。

種々観察スルニ、既↢実生↡。无ケレバ↠所↢従ヒテ↡亦无↠所↠去。非↠内↠外、亦非↢中間↡。都↢処所↡、皆如クシテナリ。非↢唯惑心ノミニ↡、観心亦爾ナリ。如↠是クノ推求スルニ、惑心自

^ゆゑに ¬しんかんぎょう¼ のにのたまはく、

¬心地観経¼偈

^「かくのごとき*心法しんぽうはもとよりにあらず、 ぼんしゅうめいして非無ひむなりとおもへり。
もしよくしん*たいしょうくうなることをかんずれば、 *わくしょうしょうぜずしてすなはちだつす」 と。

「如↠是クノ心法ヨリ↠有凡夫執迷シテヘリ↢非无ナリト
ルハ↢心体性ナルコトヲ惑障不シテ↠生便スト

^また ¬*ちゅうろん¼ の第一だいいちにいはく、

又¬中論¼第一

^諸法しょほうよりしょうぜず、 またよりもしょうぜず。
ならずいんならず。 このゆゑにしょうなりといふことをりぬ」 と。

「諸法不↢自ヨリ亦不↢従リモ↠他生
不↠共ナラ不↢无因ナラリヌト↢无生ナリトイフコトヲ↡」

^このによりて、 おおくの四句しくもちゐるべし。

↧依リテ↢此↡用ヰル↦多クノ四句↥。

^さんには、 ねんずべし、 「いま、 わが惑心わくしんそくせる八万はちまんせん*塵労じんろうもんと、 かの弥陀みだぶつそくしたまへる八万はちまんせん*波羅はらみつもんとは、 本来ほんらいくうじゃくにして、 *一体いったい無礙むげなり。 貪欲とんよくはすなはちこれどうなり。 1018またかくのごとし。 みずこおりとの、 しょうことなるところにあらざるがごとし。

者応↠念、今我惑心八万四千塵労門↡。弥陀仏ニハシタマヘ八万四千波羅蜜門。本来空寂ニシテ一体无ナリ。貪欲是道ナリ。恚・痴亦如↠是クノ。如クナリ氷性ザルガ↢異ナル↡。

^ゆゑにきょうにのたまはく、 ª煩悩ぼんのうだいたい無二むになり。 しょうはんしょにあらずº と。

¬経¼云、「煩悩・菩提体无二ナリ。生死・涅槃ズトイヘリ↢異↡。」

^われいま、 いまだ*智火ちかぶんあらざるがゆゑに、 煩悩ぼんのうこおりきてどくみずとなすことあたはず。 ねがはくはぶつ、 われを*哀愍あいみんして、 その所得しょとくほうのごとく、 *じょうりきをもつてしょうごんし、 これをもつてだつせしめたまへ」 と。 かくのごとくねんじをはりて、 こえげてぶつねんじて、 救護くごへ。

我今未ルガ↠有↢智火分↡故、不↠能↧解キテ↢煩悩↡成スコト↦功徳↥。願クハ仏哀↢愍タマヘキハ↢其所得↡定恵力ヲモテ荘厳タマヘリ↠此メタマフベシ↢解脱↡。如↠是クノリテ、挙ゲテ↠声ジテ↠仏而請↢救護↡。

^¬かん¼ にいふがごとし。 「ひとおもきをくに、 りきにてすすまずは、 かたわらのじょりて、 すなはちかろげらるるがごとく、 ぎょうにんもまたしかなり。 しんよわくしてさわりはらふことあたはずは、 しょうしてふに、 悪縁あくえんすることあたはず」 と。

↢¬止観¼云フガ↡。「如↧人クニ↠重キヲ自力ニテレバスス、仮リテ↢傍救助↡、則ルルガ↦軽↥行人亦爾ナリ。心弱クシテ↠能↠排フコト↠障、称↠名フニ↠護、悪縁不↠能スルコト。」

^もしわくしんおおひて*通別つうべつたいしゅせんとほっせしめずは、 すべからくそのこころりて、 つねにしんとなりて、 しんとせざるべし。

惑覆ヒテ↠心↠令↠欲↠修セムト↢通・別対治↡、須↧知リテ↢其↡、常リテ↢心↡、不↞師トセ↢於心↡。

 ^ふ。 もしかいのもの、 三昧さんまいじょうぜずは、 いかんぞ、 ¬観仏かんぶつきょう¼ に、 「この観仏かんぶつ三昧ざんまいは、 これ一切いっさいしゅじょうの、 つみおかせるもののくすりかいのもののまもりなり」 とのたまへるや。

。若破戒三昧不↠成、云何1145¬観仏経¼云ヘル↢「此観仏三昧是一切衆生セル↠罪薬、破戒ナリト」↡

^こたふ。 かい以後いごに、 さきつみめっせんがために一心いっしんぶつねんず。 これがためにくすりづく。 もしつねにぼんせば、 三昧さんまいじょうじがたし。

。破戒已後↠滅セムガ↢前↡一心↠仏↠此↠薬。若毀犯セバ、三昧難ケム↠成

二 Ⅴ 懴悔衆罪

101952】^だい*さん衆罪しゅざいとは、 *もし煩悩ぼんのうのためにそのしん迷乱めいらんして禁戒きんかいやぶらば、 ぐさずしてさんようしゅうすべし。

第五懴悔衆罪者、設煩悩迷↢乱スルガヤブラバ↢禁戒↡者、応↣不シテ↠過グサ↠日イソギ↢懴悔↡。

^¬だいきょう¼ (涅槃経)じゅうにのたまふがごとし。 「もしつみおおへば、 つみすなはちぞうじょうす。 *ほつさんすれば、 つみすなはちしょうめつす」 と。

↢¬大経¼十九フガ↡。「若ヘバ↠罪者罪則増長。発露懴悔スレバ罪即消滅スト。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論・意) にいはく、 「しんあくいずしてぶつんとほっせば、 このことわりあることなからん」 と。

又¬大論¼云、「身シテ↠悔セバ↠見ムト↠仏、无ムト↠有ルコト↢是コトワリ↡。」

^*懴法さんぽういちにあらず。 ねがいしたがひてこれをしゅせよ。 あるいはたいげ、 遍身へんしんあせながして弥陀みだぶつみょうし、 けんびゃくごうそうねんじ、 ほつていきゅうして、 このねんをなすべし、 「過去かこ空王くうおうぶつけんびゃくごうそうを、 弥陀みだそんらいきょうして、 つみめっして、 いまぶつたまへり。 われいま弥陀みだらいすることは、 またまさにまたかくのごとくなるべし」 と。

懴法非↠一。随ヒテ↠楽ヒニセヨ↠之イハ五体↠地シテシテ↠汗、帰↢命弥陀仏↡、念↢眉間白毫↡、発露涕泣シテ、応↠作↡、過去空王仏眉間白毫相弥陀尊礼シテ、滅シテ↠罪今得タマヘリ↠仏。我今スルコト↢弥↡、亦当シト↢復如↟是

^すべからくつみそうしたがひて、 ぶつひかりあいしょうすべし。 いはく、 「*檀光だんこうはなちては*慳蔽けんぺいつみめっしたまへ。 戒光かいこうはなちてはきんつみめっしたまへ。 忍辱にんにくひかりはなちてはしんつみめっしたまへ。 しょうじんひかりはなちてはだいつみめっしたまへ。 ぜんじょうひかりはなちては散乱さんらんつみめっしたまへ。 智慧ちえひかりはなちてはわくつみめっしたまへ」 と。

↧随ヒテ↢罪↡哀↦請↥。謂チテハ↢檀光↡滅シタマヘ↢慳↡。放チテハ↢戒光↡滅シタマヘ↢毀禁↡。放チテハ↢忍辱↡滅シタマヘ↢瞋恚↡。放チテハ↢精進↡滅シタマヘ↢懈↡。放チテハ↢禅定↡滅シタマヘ↢散乱↡。放チテハ↢智↡滅シタマヘト↢愚↡。

^かくのごとくして、 一日いちにちもしは七日しちにちいたらば、 ひゃくせんごう煩悩ぼんのう重障じゅうしょうのぞきてん。 あるいはしゅのあひだも、 ぜん入定にゅうじょうしてぶつびゃくごうねんじ、 しん1020して*了々りょうりょうならしめ、 びゅうらんおもいなく、 ぶんみょうにまさしくじゅうしてこころけてまざれば、 じゅうろくおく那由なゆとうこうしょうつみじょきゃくす。 あるいは一心いっしんにかのぶつ*神呪じんじゅねんずること、 一返いっぺんすればよくじゅうぎゃくめっし、 七返しちへんすればよく根本こんぽんつみめっす。 ¬*儀軌ぎき¼ にづ。

クシテ一日ヨリシハルマデセ↢七日↡、除キテム↢百千煩悩重障↡。或イハ須臾坐禅入定シテ↢仏白毫↡、令↣心ヲシテ了々ニシテカラ謬乱想↡、分明シクシテケテ↠意レバ↠息、除↢却九十六億那由他等生死之罪↡。或イハ一心レバ↢彼神呪↡、一↢四重・五逆↢根1146本之罪↡。↢¬儀軌¼↡

^あるいはまた ¬しんかんぎょう¼ に、 *さんかしてのたまはく、

イハ復¬心地観経¼明シテ↢理懴悔↡云

^一切いっさいのもろもろのつみは、 しょうみな*にょなり。 顛倒てんどう因縁いんねん妄心もうしんよりおこる。
かくのごとき罪相ざいそう本来ほんらいくうなり。 さんのなかにるところなし。

「一切性皆如ナリ顛倒因縁ヲモテ妄心ヨリ
↠是クノ罪相本来モトヨリナリ三世之中↠所↠得

^うちにあらずほかにあらずちゅうげんにあらず。 *しょうそう如々にょにょにしてともにどうなり。
真如しんにょみょう*みょうごんつ。 ただしょうのみありてよく通達つうだつす。

↠内↠外↢中間性相如々ニシテ不動ナリ
真如妙理ナリエタリ↢名言リテ↢聖智ノミ↡能通達

^にあらずにあらず有無うむにあらず。 有無うむにあらざるにあらず。 *みょうそうはなれ、
法界ほうかいしゅうへんしてしょうめつなく、 諸仏しょぶつ本来ほんらい同一どういつたいなり。

↠有↠无↢有无↠不ザルニ↢有无↡離タリ↢名相
周↢遍シテ法界↡无↢生滅↡諸仏本来モトヨリ同一体ナリ

^ただねがはくは諸仏しょぶつ加護かごれて、 よく一切いっさい顛倒てんどうしんめっしたまへ。
ねがはくはわれはや*しんしょうみなもとさとりて、 すみやかに如来にょらいじょうどうしょうせん」 と。

クハ諸仏垂レテ↢加護シタマヘ↢一切顛倒
クハ我早リテ↢真性セムトイヘリ↢如来无上道↡。」

 ^1021ふ。 ただにぶつ観念かんねんするに、 すでによくつみめっす。 なんがゆゑぞ、 さらにさんしゅするや。

観↢念スルニ↡、既↠罪。何スル↢理懴悔↡耶。

^こたふ。 たれかはいふ、 一々いちいちにこれをしゅせよとは。 ただぎょうしたがふべし。 いかにいはんや、 もろもろのざいしょうくうにしてしょなしとかんずるは、 すなはちこれ真実しんじつ念仏ねんぶつ三昧ざんまいなり。

。誰カハ、一々セヨトハ↠之。但随フベシ↢意楽↡。何、観ズルハ↣衆罪性ニシテシト↢所有↡、即是真実念仏三昧ナリ

^¬ごん¼ のにのたまふがごとし。

↢¬花厳¼偈フガ↡。

^現在げんざい*ごうにあらず。 らいもまたしかなり。
一切いっさいほうそうなる、 これすなはちぶつ*真体しんたいなり」 と。

「現在↢和合去来亦復然ナリ
一切无相ナル是即ナリト

^また ¬*仏蔵ぶつぞうきょう¼ の 「念仏ねんぶつぼん(意) にのたまはく、 「しょなしとるをづけて念仏ねんぶつとなし、 諸法しょほう実相じっそうるをづけて念仏ねんぶつとなす。 分別ふんべつあることなく、 しゅなくしゃなき、 これしん念仏ねんぶつなり」 と。

又¬仏蔵経¼「念仏品」云、「見ルヲ↠无シト↢所有↡名ケテ↢念仏↡、見ルヲ↢諸法実相↡名ケテ↢念仏↡。无↠有ルコト↢分別↡、无↠取无↠捨、是真念仏ナリト。」

^しょくうそうとうかんも、 これにじゅんじてみな念仏ねんぶつ三昧ざんまい摂入しょうにゅうすべし。

諸余空・无相等、准ジテ↠之皆応↣摂↢入念仏三昧↡。

 ^ふ。 かくのごときさんはなんの*しょうとくかある。

。如↠是クノ懴悔勝徳↡。

^こたふ。 ¬しんかんぎょう¼ のにのたまはく、

。¬心地観経¼偈

^ざいはよく煩悩ぼんのういんまねき、 しゅっもまた清浄しょうじょうかいやぶる。
もしよくほうのごとくさんするものは、 あらゆる煩悩ぼんのうことごとくみなのぞこる。

「在家↢煩悩出家亦破↢清浄
↠法懴悔スル所有煩悩悉皆除コル

^1022さんはよく三界さんがいごくで、 さんはよくだいはなひらき、
さんぶつ*大円だいえんきょうさんはよく*宝所ほうしょいたる」 と。

懴悔↢三界懴悔↢菩提
↢仏大円鏡懴悔ルト↢於宝所↡」

 ^ふ。 このなかに何者なにものをかさいしょうなりとなすや。

。此何者ヲカ↢最勝ナリト↡耶1147

^こたふ。 もし一人いちにんやくせば、 じゅんずるをすぐれたりとなす。 もし*ほんはんぜば、 *さんすぐれたりとなす。

。若↢一人↡順ズルヲ↠機↠勝レタリト。若汎爾ズルニハ↠勝レタリト

^ゆゑに ¬*如来にょらい密蔵みつぞうきょう¼ のかんに、 ぶつしょうげてのたまはく、 「もししょうぜんをも、 もしそれけんじゅうし、 けんしゅうし、 けんじゃくせば、 一切いっさいわれきて、 これをづけてぼんとなす。

¬如来秘密蔵経¼下巻、仏告ゲテ↢迦葉↡言、「若少不善ヲモ堅住、堅執、堅著スレ、一切我説キテケテ↠之↠犯

^しょう五無ごむけんざいをも、 もしけんじゅうし、 けんしゅうし、 けんじゃくしてけんをなさざるものをば、 われ、 かれをきて、 づけていひてぼんとなさず。 いはんやまた、 *しょうぜん業道ごうどうをや。

迦葉、五无間罪ヲモ↣堅住、堅執、堅著シテ↢於見↡者ヲバ、我不↢説キテ↠彼ケテ↟犯。況復余少不善業道ヲヤ

^しょう、 われはぜんほうをもつてだいるにあらず。 また善法ぜんぽうをもつてだいるにあらず。 煩悩ぼんのう因縁いんねんよりしょうずと解知げちするを、 だいづく。

迦葉、我↧以↢不善↡而シテルニ↦菩提↥。亦不↧以↢善↡而シテルニ↦菩提↥。 解↧知スルヲ煩悩↢因縁↡生ズト↥名↠得↢菩提↡。

^しょう、 いかなるをか、 因縁いんねんよりしょうずるところの煩悩ぼんのう解知げちすとはなす。 これ*しょうなくしておこほうは、 これしょうほうなりと解知げちす。 かくのごとく解知げちするを、 だいづく」 と。

迦葉、云何ナルヲカ↧解↦知ストハ↢因縁↡所↠生ズル煩悩↥。解↧知ルナリ是无↢自性↡是无生ナリト↥。如↠是クノ解知スルヲ、名クト↠得↢菩提↡。」

^また ¬*けつじょう毘尼びにきょう¼ (意) にのたまはく、 「だいじょうのなかにおいて*ほっしゅぎょうするに、 *初分しょぶんとき所犯しょぼんかいあるに、 ちゅうぶんにおいて一切いっさいしんはなれずは、 かくのごときさつ*戒身かいしん1023せず。 もしちゅうぶん所犯しょぼんかいあるに、 ぶんにおいて一切いっさいしんはなれずは、 かくのごときさつ戒身かいしんせず。

又¬決定毘尼経¼云、「於↢大乗↡発起修行スルニ、日初分ルニ↢所犯戒↡、於↢日中分↡不レバ↠離↢一切智↡、如↠是クノ菩薩戒身不↠壊中分ルニ↢所犯戒↡、於↢日後分↡不レバ↠離↢一切智↡、如↠是クノ菩薩戒身不↠壊

^もしぶん所犯しょぼんかいあるに、 初分しょぶんにおいて一切いっさいしんはなれずは、 かくのごときさつ戒身かいしんせず。 このをもつてのゆゑに、 さつじょうにん*開遮かいしゃかいたもてば、 たとひ所犯しょぼんありとも、 失念しつねんしてみだりに憂悔うけしょうじて、 みづからそのしんなやますべからず。 しょうもんじょうにおいては所犯しょぼんあるものをば、 すなはちしょうもんじょうかい破壊はえしつとなす」 と。

後分ルニ↢所犯戒↡、於↢日初分↡不レバ↠離↢一切智↡、如↠是クノ菩薩戒身不↠壊。以テノ↢是↡故、菩薩乗ツニ↢開遮↡、設リトモ↢所犯↡、不↠応カラ↧失念シテジテ↢憂悔↡、自マス↦其↥。於テハ↢声聞乗↡有↢所犯↡者ヲバ、便↣破↢壊シツト声聞浄戒↡。」

^一切いっさいしん」 とは、 しょせつなぞらへば、 これ第一だいいちくう相応そうおうしんなり。 あるいはこれ*ぶつしゅがんするしんなるべし。

一切智者、准ヘバ↢余処↡、是第一義空相応也。或イハ↧是願↢求スル種智↡心ナル↥也。

 ^ふ。 もしさんしゅするに、 よく衆罪しゅざいめっせば、 いかんぞ ¬大論だいろん¼ (大智度論)じゅうろくに、 「*戒律かいりつのなかのかいは、 またさいなりといへども、 さんすればすなはち清浄しょうじょうなり。 じゅう善戒ぜんかいおかせば、 またさんすといへども、 さん悪道まくどうつみのぞこらず」 とはいひ、 また ¬*じゅうりんぎょう¼ (意)かく、 「*じゅうあく輪罪りんざいつくれるは、 一切いっさい諸仏しょぶつすくひたまはざるところなり」 とはいへる。

。若スルニ↢懴悔↡能セバ↢衆罪↡、云何¬大論¼六ヘル↧「戒律、雖↢復細1148ナリト↡、懴シツレ清浄ナリ。犯シツレ↢十善戒↡、雖↢復懴悔スト↡、三悪道罪不トハ↞除コラ又¬十輪経¼説カク、「造レルハ↢十悪輪罪↡、一切諸仏之所ナリトハイヘル↠不↠救ヒタマハ。」

^こたふ。 ¬かんぎょう¼ には、 じゅうねんしてよくぎゃくめっし、 ¬観仏かんぶつきょう¼ には、 ぶつ一相いっそうねんずればよくじゅうあくぎゃくめっし、 ¬だいきょう¼ (涅槃経) には、 闍王じゃおうせっつみ懴除さんじょし、 ¬*般若はんにゃきょう¼ には1024読誦どくじゅせつすればよく三界さんがいしゅじょう殺害せつがいせるつみめっして、 悪趣あくしゅせず、 ¬ごんぎょう¼ には、 げんがんじゅするに、 一念いちねんによくじゅうあくぎゃくめっすと。

。¬観経ニハ¼十念↢五逆¬観仏経ニハ¼念ズレバ↢仏一相↡能↢十悪・五逆¬大経ニハ¼闍王懴↢除セリ殺父之罪¬般若経ニハ¼読誦・解スレバシテ↧殺↢害セル三界衆生↡之罪↥、不↠堕↢悪趣¬花厳経ニハ¼誦スルニ↢普賢↡一念↢十悪・五逆↡。

^あきらかにりぬ、 だいじょう実説じっせつは、 つみめっせずといふことなし。 しからば、 この ¬ろん¼ (大智度論)もんは、 あるいはこれ*てんじゅうきょうじゅにしてまつたくけざるにあらざるを、 これを 「のぞこらず」 とづけ、 あるいはこれ*随転ずいてんもんせつならん。

カニリヌ大乗実説↠不トイフコト↠滅↠罪。然¬論¼文、或イハ是転重軽受シテザルヲ↢全ルニ↟受、名クルナリ↢之イハ是随転理門之説

^またかんぜん (懐感)、 ¬じゅうりんぎょう¼ をしていはく (群疑論)、 「如来にょらい*みつつみおどさしめんとおぼすなり」 といへり。

又感禅師会シテ↢¬十輪経¼↡云、「如来密意欲スナリト↠令メムトオド」等イヘリ

^は、 しもりょうけん念仏ねんぶつ相門そうもんのごとし。 これらはみなこれ*べつさんなり。 しかもぎょうじゃはつねにまさにさんしゅすべし。 ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいふがごとし。 「さつはかならず、 すべからくちゅうろくに、 さんずいかんじょうさんしゅすべし」 と。

↢下料簡念仏相門↡。此等皆是別時懴悔ナリ。然行者↠修↢三事↡。如↢¬大論¼云フガ↡。「菩薩シト↣昼夜六時↢懴悔・随喜・勧請三事↡。」

^念門ねんもんのうちに、 礼拝らいはいつぎに、 このしゅすべし。

五念門、礼拝之次↠修↢此↡。

^¬*十住じゅうじゅうしゃ¼ のさんにいはく、

¬十住婆¼懴悔

^十方じっぽうりょうぶつは、 るところ、 きたまはずといふことなし。
われいまことごとくみまえにして、 もろもろの*黒悪こくあくほつす。

「十方无量知无↠不トイフコト↠尽キタマハ
我今悉↠前発↢露黒悪

^三々さんさんがっしてしゅあり、 さん煩悩ぼんのうよりおこる。
今身こんじんもしは前身ぜんしんの、 このつみをことごとくさんす。

三々合九種アリ↢三煩悩↡起
今身若シハ前身懴悔

^1025さん悪道まくどうのなかにして、 もし業報ごうほうくべからんをば、
ねがはくは今身こんじんつぐのひて、 悪道あくどうりてはけじ」 と。

↢三悪道カラムヲバ↠受↢業報
クハ↢今身ツグヒテ↧入リテハ↢悪道↡受↥」

^三々さんさんがっしてしゅあり」 とは、 しん口意くいにおのおの*げんしょうごうあり。 「さん煩悩ぼんのうよりおこる」 とは、 三界さんがい煩悩ぼんのうなり。

三々合シテ九種アリ者、身口意↢現業↡。従↢三煩悩↡起ルト者、三煩悩

^かんじょう (十住毘婆沙論) にいはく、

勧請

^十方じっぽう一切いっさいぶつの、 現在げんざいぶつになりたまへるものを、
われひたてまつる。 法輪ほうりんてんじて、 もろもろのしゅじょう安楽あんらくならしめたまへと。

「十方一切現在リタマヘル↠仏
我請ヒタテマツルジテ↢法輪安↢楽ナラシメタマヘト衆生

^十方じっぽう一切いっさいぶつ、 もし寿じゅみょうてんとほっしたまはば、
われいまめんをもつてらいして、 かんじょうしてひさしくじゅうせしめたてまつらん」 と。

十方1149シタマハムヲ↠捨テムト↢寿命
我今頭面シテ勧請シテメタテマツラムト↢久シク↡」

^ずい (十住毘婆娑論) にいはく、

随喜

^「あらゆる布施ふせふくも、 かい修禅しゅぜんぎょうも、
しん口意くいよりしょうず。 *らいこんしょの、

「所有布施スル
↢身口意↡生ズル去来今所有

^さんじょう習行じゅうぎょうするひとと、 さんじょうそくするものと、
一切いっさいぼんとのふくを、 みなしたがひてかんせん」 と。

習↢行スル三乗↡人具↢足三乗↡者
一切凡夫皆随ヒテ歓喜

^また*常行じょうぎょう三昧ざんまいほっ三昧ざんまい*真言しんごんきょうとうに、 みなおのおのもんあり。 こころしたがひてこれ1026もちゐよ。

又常行三昧・法花三昧・真言教等皆各↠文。随ヒテ↠意ヰヨ↠之

^もしりゃくねがはば、 ¬*ろくさつ本願ほんがんぎょう¼ のいちによるべし。 ¬きょう¼ (同) にのたまはく、 「^ぶつなんかたりたまはく、 ªろくさつもとどうもとめたまひしときに、 もくしゅそくしんみょう珍宝ちんぽうじょうおうさい、 およびこくたもちて、 布施ふせしてひとあたへ、 もつて仏道ぶつどうじょうぜしにはあらず。 ただ*善権ぜんごん安楽あんらくぎょうをもつて、 じょうしょうしんどういたすことをたりº と。

ハバ↠略者、可↠依↢¬弥勒菩薩本願経¼一偈↡。¬経¼云、「仏語リタマハク↢阿難↡、弥勒菩薩本求メタマヒシ↠道、不↧持チテ↢耳・鼻・頭・目・手・足・身命・珍宝・城邑・妻子及以 オヨビ 国土↡、布施シテ↠人レル↦仏道↥。但以↢善権安楽之行↡得タリト↠致コトヲ↢无上正真之↡。

^なんぶつにまうさく、 ªろくさつは、 なんの善権ぜんごんをもつてか、 仏道ぶつどういたすことをたるº と。

阿難白サク↠仏、弥勒菩薩テカ↢何↡得タルト↠致コトヲ↢仏道↡。

^ぶつなんかたりたまはく、 ªろくさつは、 ちゅうにおのおのたび、 *しょう束体そくたいし、 あざへ、 みぎひざけて、 十方じっぽうかひてきていはく、

仏語タマハク↢阿難↡、弥勒菩薩昼夜タビ正衣束体アザ↠手ケテ↠地、向ヒテ↢於十方↡説キテ↠偈

^«われ一切いっさいとがいて、 もろもろの*道徳どうとくかしたまへとすすめ、
みょうして諸仏しょぶつらいしたてまつる。 *じょうしめたまへ»º と。

我悔イテ↢一切↠明シタマヘト↢衆道徳
帰命シテシタテマツル↢諸仏メタマヘト↠得↢无上

^ぶつなんかたりたまはく、 ªろくさつは、 この善権ぜんごんをもつてじょうしょうしんの道をたりº」 と。

仏語リタマハク↢阿難↡、弥勒菩薩↢是↡得タリトイヘリ↢於无上正真之道↡。」

 ^ふ。 このさんかんじょうとうしゅするに、 いくばくのふくをかる。

。修スルニ↢此懴悔勧請等↡、得幾処イクバクヲカ↡。

^こたふ。 ¬十住じゅうじゅうろん¼ (十住毘婆沙論)にいはく、

。¬十住論¼偈

^「もしいちのうちにおいてせんに、 福徳ふくとくかたちあらば、
1027ごうしゃかいも、 すなはちおのづから容受ようじゅせじ」 と。

「若テセムニ↢一時福徳有ラバ↠形者
恒河沙世界↢容受↡」

二 Ⅴ 対治魔事

【53】^だいろく*たい魔事まじとは、

第六対治魔事者、

^ふ、 種々しゅじゅ魔事まじよくしょうどうふ。 あるいはびょうげんおこさしめ、 あるいは観念かんねんうしなはしめ、 あるいは邪法じゃほうしむ。

。種々魔事能↢正道↡。或イハ↠発↢病患↡、或イハ↠失↢観念↡、或イハ↠得↢邪法↡。

^いはゆる、 もしは*けんもしは*けん、 もしは明了みょうりょうもしは昏闇こんあん、 もしは*じゃじょうもしは*攀縁へんえん、 もしはもしは、 もしはもしはらく、 もしはもしはふく、 もしはあくもしはぜん、 もしはひとにくみもしはれんじゃくし、 もしはこころつよくもしはこころやわらかなり。 かくのごときの、 もしはぎたる、 もしはおよばざるは、 みなこれ魔事まじなり。 ことごとくしょうどうふ。 なにをもつてかこれをたいする。

所謂シハ見若シハ見、若シハ明了若シハ昏闇、若シハ邪定若シハ1150縁、若シハ悲若シハニマレ、若シハ苦若シハニマレ、若シハ禍若シハニマレ、若シハ悪若シハニマレ、若シハ人若シハ恋著ニマレ、若シハ心強シハ心軟ニマレ↠是クノシハギタルシハルハ↠及、皆是魔事ナリ。悉↢正道↡。何テカ対↢治スル↡。

^こたふ。 どうおおしといへども、 いまただ念仏ねんぶついちによるべし。 このなかにまたあり。

。治道雖↠多シト今但応↠依↢念仏↡。此亦有↢事・理↡。

 ^いちねんとは、 ごんぎょう相応そうおうして一心いっしんぶつねんずるときに、 もろもろのあく*沮壊そえすることあたはず。

者、言行相応シテ一心ズル↠仏、諸悪魔不↠能↢俎壊スルコト↡。

 ^ふ。 なんがゆゑぞせざる。

。何↠壊

^こたふ。 ぶつねんしたまふがゆゑに、 ほうりきのゆゑに、 沮壊そえすることあたはず。

。仏護念シタマフガ威力不↠能↢俎壊スルコト↡。

^¬だい般若はんにゃ¼ に、 魔事まじたいするに、 番々ばんばんほういだせるがごとし。 そのなかにのたまはく、 「いちには、 いふところのごとくみなことごとくよくなす、 には、 諸仏しょぶつのためにつねにねんせらる」 と。

↧¬大般若¼対↢治スルニ魔事↡出セルガ↦番々二法↥。其、「一ニハ↠所↠言皆悉ニハ↢諸仏↡常ルナリ↢護念セラルルコトヲ↡。」

^また1028 ¬般舟はんじゅきょう¼ にのたまはく、 「もし*閲叉えつしゃじんの、 ひと*ぜんやぶり、 ひとねんうばはんも、 たとひこのさつやぶらんとほっせば、 つひにやぶることあたはじ」 と。

又¬般舟経¼云、「若閲叉・鬼神ヤブ↢人↡奪フモノ↢人↡、設セバヤブラムト↢是菩薩↡者終↠能ヤブルコト。」

^しもやくもんのごとし。

↢下利益門↡。

 ^ねんとは、 ¬かん¼ のだいはちにいふがごとし。 「かいにょ仏界ぶっかいにょとは、 一如いちにょにしてにょなし。 びょうどう一相いっそうなりとりて、 をもつてうれひとなし、 ぶつをもつてよろこびとなさず、 これを*実際じっさいく。

者、如↢¬止観¼第八フガ↡。「知ヌレバ↧魔界、仏界トハ、一如ニシテ↢二如↡平等一相ナリト↥、不↢以↠魔ウレ、以↠仏ヨロコビ↢之実際↡。

^かいすなはち仏界ぶっかいなり。 しかもしゅじょうらずして仏界ぶっかいまよひて、 よこさまかいおこし、 だいのなかにおいて、 しかも煩悩ぼんのうしょうず。 このゆゑにおこして、 しゅじょうをしてかいにおいて仏界ぶっかいそくし、 煩悩ぼんのうにおいてだいそくせしめんとおもふ。 このゆゑに慈悲じひおこす」 と。

魔界即仏界ナリ。而ルヲ衆生シテ↠知ヒテ仏界↡横↢魔界↡、於↢菩提↡而↢煩悩↡。是シテ↠悲、欲↠令メムト↧衆生ヲシテ↢魔界↡即↢仏界↡、於↢煩悩↡即↦菩提↥。是スト↢慈↡。」

^このねんをなすべし、 「かい仏界ぶっかいおよび自他じたかいおなじくくうなり、 そうなり。 この諸法しょほうそう、 これすなはちぶつ*真体しんたいなり。 まさにるべし、 かいすなはちこれ仏身ぶっしんなり、 またすなはちわがなり。 無二むになるがゆゑに。 しかるを、 もろもろのしゅじょう妄想もうぞうゆめいまだめず。 *一実いちじつそうさとらずして、 是非ぜひおもいしょうじてどうりんす。 ねがはくは、 しゅじょうをしてびょうどうらしめん」 と。

↠作↢是↡、魔界・仏界及自他界同ジクナリ无相ナリ。此諸法无相是即真体ナリ。当↠知、魔界即是仏身ナリ、亦即ナリ。理无二ナルガ。而ルヲ衆生妄想夢未シテ↠覚シテサト↢一実↡、生ジテ↢是非↡輪↢廻五道↡。願クハメムト↣衆生ヲシテ↢平等1151↡。

^かくのごとく、 ふか*えんだいおこして、 ぶつみょう色身しきしんかんずといへども、 *三空さんくうもん1029りて執着しゅうじゃくすべからず。 熱金ねつこんがんの、 いろたえなることをるといへども、 るべからざるがごとし。 いはんや、 においてじゃくしょうじ、 まんしょうぜんや。 このかんをなすときに、 沮壊そえせず。

↠是クノシテ↢无縁大悲↡、↠観ズト↢仏妙色身↡、入リテ↢三空↡不↠応カラ↢執著↡。如↧熱金丸↠見ルト↢色ナルコトヲ↡、不ルガ↞可カラ↢手↢余↡生↠著ゼムヤ↠慢。作↢是↡時魔不↢俎壊↡。

^ゆゑに ¬だい般若はんにゃきょう¼ に、 またそのきてのたまはく、 「いちには諸法しょほうはみな*ひっきょうくうなりとかんじ、 には一切いっさいじょうしゃせず」 と。

¬大般若経¼亦説キテ↢其↡云、「一ニハズル↢諸法皆畢竟空ナリト↡、二ニハルナリ↣棄↢捨一切有情↡。」

^また ¬大論だいろん¼ (大智度論) にいはく、 「じゅうにゅうはみなこれ*もうなり。 *おうにしてじつならず。 このなかにおいて*六種ろくしゅしきしょうずるも、 またこれもうにしておうなり。 何者なにものかこれじつ。 ただ不二ふにほうあるのみ。 げんもなくしきもなく、 なく法等ほうとうもなきが、 これをじつづく。 しゅじょうをしてじゅうにゅうはなれしめんがゆゑに、 つねに種々しゅじゅ因縁いんねんをもつてこの不二ふにほうく」 と。

又¬大論¼云、「十二入皆是魔網ナリニシテ不↠実ナラ。於↢此↡生ルモ↢六種↡、亦是魔網ニシテナリ。何者是実。唯不二ナリ。无↠眼↠色↠意无キガ↢法等↡、是↠実。令メムガ↣衆生ヲシテ↢十二入↡故、常↢種々因縁↡説クト↢是不二↡。」

 ^ふ。 なんがゆゑぞ、 くうかんずるに、 便たよりをざる。

。何ズルニ↠空、魔不↠得↠便

^こたふ。 かの ¬ろん¼ (大智度論) にいはく、 「一切いっさいほうのなかにみな*じゃくせず。 じゃくせざるがゆゑに*さくなし。 さくなきがゆゑに、 、 その便たよりをることあたはず。 たとへば、 ひときずなきときには、 *毒屑どくせつのなかにすといへども、 どくまたらず。 もししょうそうあらば、 すなはちぬるがごとし」 と。

¬論¼云、「一切皆不↠著。不ルガ↠著↢違錯↡。无キガ↢違錯↡故魔不↠能↠得ルコト↢其便↡。譬ヘバ、如シト↧人キトキニハ↠瘡、雖↠臥スト↢毒屑↡、毒亦不↠入ラバ↢小瘡↡、則ヌルガ↥。」

^また ¬大集だいじつきょう¼ の 「月蔵がつぞうぶん」 のなかに、 他化たけてんおう提心だいしんおこし、 けて、 がんおこしていはく、 「われら、 現在げんざいらい1030のもろもろのぶつ弟子でしの、 第一だいいち相応そうおうしてじゅうするものをねんして、 きゅうようせん。 もしわがおしえじゅんぜずしてぎょうじゃ悩乱のうらんせば、 すなはちかのたぐいをして種々しゅじゅやまいしめ、 神通じんずう退失たいしつせしめん」 と。

又¬大集経¼「月蔵分」中、他化天魔王発↢菩提心↡、受ケテ↠記、発シテ↠願、「我等護↧念シテ現在・未来仏弟子与↢第一義↡相応シテセム↥、供給供養セム。若シテ↠順↢我↡悩↢乱セバ行者↡、即メムト↧彼ヲシテシメ↢種々↡、退↦失神通↥。」

^あきらかにりぬ、 *じつ便たよりをず、 *ごんねんするのみ。 さきしゅはみなしょうあり。 ゆゑにさらにしょしょしゃくかず。

カニリヌ、実不↠得↠便護念ラク耳。前二種皆有↢証拠↡。故不↣更↢諸師所釈↡。

二 Ⅴ 総結要行

【54】^だいしち*総結そうけつようぎょうとは、

第七総結要行者、

^ふ、 かみ諸門しょもんのなかにぶるところすでにおおし。 いまだらず、 いづれのごうをかおうじょうようとなす。

諸門所↠陳ブル↠知レノヲカ↢往生↡。

^こたふ。 だい提心だいしんと、 *三業さんごうまもると、 ふかしんじ、 まこといたして、 つねぶつねんずとは、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず。 いはんやまた、 のもろもろの妙行みょうぎょうせらんをや。

1152。大菩提心アリテ↢三業↡、深ニシテ↠仏、随ヒテ↠願決定シテ↢極楽↡。況復具セラムヲヤ↢余妙行↡。

 ^ふ。 なんがゆゑぞ、 これらをおうじょうようとなす。

。何此等↢往生↡。

^こたふ。 提心だいしんは、 さきにつぶさにしゃくするがごとし。 三業さんごうじゅうあくはよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし。 *おうじょうごう念仏ねんぶつほんとなす。 その念仏ねんぶつしんは、 かならずすべからくのごとくすべし。 ゆゑに深信じんしんじょうじょうねんさんす。

。菩提心↢前スルガ↡。三業重悪↢正道↡。故↠護↠之。往生之業念仏↠本。其念仏↠如クス↠理。故↢深信・至誠・常念↡。

^じょうねんさんやくあり。 ざいのいふがごとし。 「いちには諸悪しょあく*覚観かくかんひっきょうじてしょうぜず。 またごっしょうしょうすることをには善根ぜんごんぞうじょうし、 また見仏けんぶつ因縁いんねんうることをさん1031には*くんじゅうじゅくして、 命終みょうじゅうときのぞみて、 しょうねん現前げんぜんす」 (浄土論) と。

常念↢三益↡。如↢迦才フガ↡、「一者諸覚観畢竟ジテ不↠生。亦得↠消スルコトヲ↢於業障↡。二者善根増長、亦得↠種ウルコトヲ↢於見仏因縁↡。三者薫習熟利シテ、臨命終正念現前。」

^ごうがんによりててんず。 ゆゑに随願ずいがんおうじょうといふ。

リテ↠願。故↢随願往生↡。

^そうじてこれをいへば、 三業さんごうまもるは、 これ*ぜんなり。 ぶつしょうねんするは、 これ*ぎょうぜんなり。 提心だいしんおよびがんは、 このぜんじょす。 ゆゑにこれらのほうおうじょうようとなす。 そのむねきょうろんでたり。 これをつぶさにすることあたはず。

ジテ而言ヘバ↠之、護ルハ↢三業↡是ナリ。称↢念スルハ↡是行ナリ。菩提心及扶↢助↡。故此等↢往生↡。其旨出デタリ↢経論↡。不↠能↠具ニスルコト↠之

別時念仏

【55】^大文だいもんだいろくに、 *べつ念仏ねんぶつといふは、 あり。 はじめには*じんじょうべつぎょうかす。 つぎには*りんじゅうぎょうかす

大文第六別時念仏イフ者、有↠二。初↢尋常別行↡。次↢臨終行儀↡。

二 Ⅵ 尋常別行

【56】^第一だいいちじんじょうべつぎょうとは、 日々にちにちぎょうほうにおいてつねに勇進ゆうしんすることあたはず。 ゆゑに、 ときありてべつぎょうしゅすべし。 あるいはいち三日さんにちない七日しちにち、 あるいはじゅうにちないじゅうにちねがいしたがひてこれをしゅせよ。

第一尋常別行者、於↢日々行法↡不↠能↢常勇進スルコト↡。故↣有リテ↠時修↢別時↡。或イハ一・二・三日乃至七日、或イハ十日乃至九十日、随ヒテ↠楽ヒニセヨ↠之

^いふところの 「一日いちにちない七日しちにち」 とは、 どうしょう (善導) の ¬観念かんねんもん¼ (観念法門) にいはく、 「^¬*般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ に、 ªぶつばつ陀和だわげたまはく、 «このぎょうほうたもてば、 すなはち三昧さんまい現在げんざい諸仏しょぶつ、 ことごとくまえにましましてちたまふ。

↠言一日乃至七者、導和尚¬観念門¼云、「¬般舟三昧経¼、仏告ゲタマハク↢跋陀和↡、持↢是行法↡便↢三昧現在スルコトヲ、諸仏悉シテ↠前チタマハム

^それ比丘びく比丘びく優婆うばそく優婆うばありて、 ほうのごとく、 かいまつたくし、 ひと一処いっしょとどまりて、 西方さいほう弥陀みだぶつ、 いまげんにかしこにましますとおもへ。 所聞しょもんしたがひてまさにねんずべし1032。 ここをることじゅう万億まんおく仏刹ぶっせつなり、 そのくに*しゅだいづく。

リテ↢比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷↡、如↠法持戒マタ、独一処リテ、念↢西方阿弥陀仏、今現スト↟彼。随ヒテ↢所聞1153↡当↠念。去ルコト↠此十万億仏刹ナリ、其↢須摩提↡。

^一心いっしんにこれをねんずること、 一日いちにちいち、 もしは七日しちにちしちせよ。 七日しちにちぎてより以後のちに、 これをたてまつること、 たとへばゆめのうちにるところのごとくせん。 ちゅうらず、 またないらず、 みょうのなかにありてへいするところあるによるがゆゑに、 ざるにあらず。

一心ズルコト↠之一日一夜、若シハ七日七夜セヨ。過ギテヨリ↢七日已後 ノチ 、見タテマツルコト↠之、譬ヘバクセム↢夢↟見。不↠知↢昼夜↡、亦不↠知↢内外↡、不↧由リテルニ↢冥↡有↠所↢弊礙スル↡故ルニ↞見。

^ばつ陀和だわしゅつねにこのねんをなすときに、 諸仏しょぶつきょうがいのなかのもろもろの大山だいせんしゅせん、 それゆうみょうなることあるところ、 ことごとく*かいびゃくすることをなして、 へいするところなからん。 このしゅは、 天眼てんげんちてもとおるにあらず、 てんちてもとおくにあらず、 神足じんそくちてもその仏刹ぶっせついたるにあらず、 このけんおわりて、 かのけんにもうまるるにあらずして、 すなはちここにしてこれをるなり» と。

跋陀和、四衆常↢是諸仏境界大山・須弥山、其有↢幽冥ナルコト↡之処、悉開闢スルコトヲ↡、无↠所↢弊礙スル↡。是四衆不↧持チテモ↢天眼↡徹ルニアラ↥、不↧持チテモ↢天耳↡徹↥、不↧持チテモ↢神足↡到↦其仏刹↥、不ズシテ↧於リテルニ↦彼ニモ↥、便↠此ナガラ↠之

^ぶつののたまはく、 «しゅ、 このけんこくにして、 弥陀みだぶつねんずること、 ねんをもつぱらにするがゆゑに、 これをたてまつることを。 すなはちへ、 "なんのほうたもちてか、 このくにうまるることをる" と。 弥陀みだぶつほうじてのたまはく、 "らいしょうせんとおもはば、 つねにわがねんじてそくすることをることなかれ。 すなはちらいしょうすることをてん"» と。

、四衆於↢此国土↡、念ズルコト↢阿弥陀仏↡専ニスルガ↠念、得↠見タテマツルコトヲ↠之ハク、持チテカ↢何↡得↠生ルルコトヲ↢此↡。阿弥陀仏報ジテ、欲↢来生セムト↡者、常ジテ↢我↡莫↠得ルコト↢休息スルコトヲ↡。即テムト↢来生スルコトヲ↡。

^ぶつののたまはく、 «ねんをもつぱらにするがゆゑにおうじょうすることを。 まさにねん1033べし、 仏身ぶっしんにはさんじゅうそうはちじゅう種好しゅこうありて、 おくこうみょうてっしょうし、 たんじょう無比むひにして、 さつそうのなかにましましてほうきたまふことを。 しきすることなかれ。 なにをもつてのゆゑに。 しきせざるがゆゑに、 ぶつ色身しきしんおもふによるがゆゑに、 この三昧さんまい»º と。

ニスルガ↠念トイフハ↢往生スルコトヲ↠念仏身卅二相八十種好アリテ、巨億光明徹照、端正无ニシテ、在シテ↢菩薩僧↡説キタマフコトヲ。莫↠壊スルコト↠色。何テノ。不ルガ↠壊↠色、由ルガ↠念フニ↢仏色身↡故↢是三昧↡。

^念仏ねんぶつ三昧ざんまいほうかす。

↢念仏三昧↡。

^このもんはかの ¬きょう¼ (般舟三昧経) の ªぎょうぼんº のなかにあり。 もしめてぶつずは、 ゆめのうちにこれをんといへり。

↢彼¬経¼「行品」中↡。若メテ↠見↠仏、於ムトイヘリ↠之

^三昧さんまいどうじょうらんとおもときには、 もつぱらぶっきょう方法ほうほうによりて、 づすべからくどうじょうりょうし、 尊像そんぞうあんし、 香湯こうとうをもつて掃灑そうしゃすべし。 もし仏堂ぶつどうなきも、 きよぼうあらば、 またたり。 掃灑そうしゃすることほうのごとくして、 いち仏像ぶつぞうりて西にしかべあんせよ。

ハム↠入ラムト↢三昧道場↡時ニハ、一ニハリテ↢仏教方法↡先↧料↢理道場↡、安↢置尊像↡、香ヲモテサイ↥。若↢仏堂↡、有↢浄↡亦得タリ。掃灑スルコトシテ、取リテ↢一仏像↡西安置セヨ

^ぎょうじゃとうつき一日いちにちより八日はちにちいたり、 あるいは八日はちにちよりじゅうにちいたり、 あるいはじゅうにちよりじゅう三日さんにちいたり、 あるいはじゅう三日さんにちよりさんじゅうにちいたるまで、 月別つきべつ四時しじするはし。 ぎょうじゃとう、 みづからごう軽重きょうじゅうはかりて、 このときのうちにおいて浄行じょうぎょうどうれ。

行者等従↢月一日↡至↢八日↡、或イハ↢八日↡至↢十五日↡、或イハ↢十五日↡至↢廿三日↡、或イハ↢廿三日↡至ルマデセヨ↢卅日月別1154四時スルハ。行者等、自リテ↢家業軽重↡、於↢此↡入↢浄行↡。

^もしは一日いちにちない七日しちにち、 ことごとくじょうもちゐよ、 鞋靺かいまつもまたしんじょうなるをもちゐよ。 七日しちにちのうちは、 みなすべからく*一食いちじきじょうさいすべし。 やわらかなるもちあらいいずいしょうさいけんせつりょうせよ。

シハ一日乃至七日尽ヰヨ↢浄衣↡、鞋靺亦須ヰヨ↢新浄ナル↡。七日之中皆須↢一食長斎↡。軟カナル餠、麁飯、随時菜倹素節量セヨ

^どうじょうのなかにして、 ちゅうしんたばね、 相続そうぞくしてもつぱら弥陀みだぶつねんぜよ1034しんしょう相続そうぞくして、 ただし、 ただりゅうして、 七日しちにちのうち睡眠すいめんざれ。 またときによりて、 ぶつらいきょうじゅすべからざれ。 じゅをもまたるべからず。 ただがっしょうしてぶつねんずとり、 念々ねんねん見仏けんぶつおもいをなせ。

↢道場↡昼夜シテ↠心相続シテゼヨ↢阿弥陀仏↡。心与↠声相続セヨセヨ七日之内↠得↢睡眠↡。亦不↠須カラ↢依リテ↠時↠仏↟経。数珠ヲモ亦不↠須カラ。但知↢合掌シテルコトヲ↟仏、念々↢見仏↡。

^ぶつののたまはく、 ª弥陀みだぶつ真金しんこんじきしんに、 こうみょうてっしょうし、 たんじょう無比むひにして、 心眼しんげんまえにましますと想念そうねんせよº と。

想↣念セヨト阿弥陀仏真金色光明徹照、端正无比ニシテ、在スト↢心眼↡。

^まさしくぶつねんずるときには、 もしたばすなはちちて一万いちまんまんねんぜよ。 もしせばすなはちして一万いちまんまんねんぜよ。 どうじょうのうちにして、 こうべまじへてひそかにかたらふことをじ。

シクゼム↠仏ニハ、若タバチテゼヨ↢一万・二万↡。若セバシテゼヨ↢一万・二万↡。於↢道場↡不↠得↢交ヘテ↠頭ラフコトヲ↡。

^ちゅうあるいはさんろくに、 諸仏しょぶつ一切いっさいげんじょう天曹てんそう地府じふ一切いっさい業道ごうどう表白ひょうびゃくして、 いっしょうしんしん口意くいごう所造しょぞうのもろもろのつみほつさんせよ。

昼夜或イハ三時・六時、表↢白シテ諸仏、一切賢聖、天曹・地府、一切業道↡、発↢露懴↣悔セヨ一生己身身口意業所造↡。

^事々じじじつによりてさんしをはりて、 かえりてほうによりてぶつねんぜよ。 所見しょけんきょうがいは、 たやすくくことをざれ。 ぜんならばみづかられ。 あくならばさんせよ。 しゅにくしんは、 きはめてがんおこして、 らざれ、 くちはざれ。 もしこのたがはば、 すなはちしんにともに悪瘡あくそうけんとがんぜよ。

事々、依リテ↠実懴悔リテリテリテ↠法ゼヨ↠仏。所見境界↠得↢タヤスクコトヲ↡。善ナラバ者自。悪ナラバ者懴悔セヨ。酒・肉・五辛、極シテ↠願↠捉、口↠喫。若ハバ↢此↡、即ゼヨ↣身口ムト↢悪瘡↡。

^がんじて ¬弥陀みだきょう¼ をじゅすることじゅう万遍まんべんてよ。 日別にちべつぶつねんずることいち万遍まんべんせよ。 きょうじゅすること日別にちべつじゅうへんせよ。 あるいはじゅすること十遍じっぺんさん十遍じっぺんせよ。 ちからしょうまかせよ。 じょううまれんとちかひ、 ぶつ1035しょうじゅしたまへとがんぜよ。

ジテスルコト↢¬阿弥陀経¼↡満テヨ↢十万遍↡。日別ズルコト↠仏一万遍セヨ。誦スルコト↠経日別十五遍セヨ。或イハスルコト廿遍・卅遍セヨ。任セヨ↢力多少↡。誓↠生レムト↢浄土↡、願ゼヨ↢仏摂受シタマヘト↡。

^またもろもろのぎょうじゃにまうさく、 ただこんじょうにち相続そうぞくして、 もつぱら弥陀みだぶつねんじ、 もつぱら ¬弥陀みだきょう¼ をじゅし、 じょうしょうじゅしょうごんとをしょうようし、 礼讃らいさんして、 しょうずることをねがはんとほっするものは、

又白サク↢諸行者↡、但欲↫今生日夜相続シテゼム↢弥陀仏↡、専セム↢¬弥陀経¼↡、称↩揚礼↪讃セムコトヲ浄土聖衆荘厳↨。ゼム↠生レムト

^三昧さんまいどうじょうることをのぞきて、 日別にちべつ弥陀みだぶつねんずること一万いちまんして、 いのちおわるまで相続そうぞくせば、 すなはち弥陀みだ*ねんこうむり、 ざいしょうのぞくことをん。 またぶつしょうじゅとつねにきたりてねんすることをこうむらん。 すでにねんこうむりなば、 すなはちとしべ、 てんじて長命じょうみょう安楽あんらくなることをん。

キテ↠入ルコトヲ↢三1155昧道場↡、日別ズルコト↢弥陀仏↡一万シテ、畢ルマデ↠命相続セバ者、即↢弥陀↡、得↠除クコトヲ↢罪障↡。又蒙ラム↧仏与↢聖衆↡常リテ護念スルコトヲ↥。既リナバ↢護念↡、↢延↠年ジテニシテ安楽ナルコトヲ↡。

^因縁いんねん一々いちいちは、 つぶさに ¬*譬喩ひゆきょう¼・¬*ゆい三昧さんまいきょう¼・¬*じょう三昧さんまいきょう¼ とうくがごとし。

因縁一々↢¬譬喩経¼・¬惟无三昧経¼・¬浄度三昧経¼等クガ↡。

^また ¬観仏かんぶつきょう¼ にのたまはく、 ªもしもろもろの比丘びく比丘びく、 もしはなんにょにん*根本こんぽんざいじゅうあくとうつみぎゃくつみおかし、 およびだいじょうそしらんに、 かくのごときもろもろの人、 もしよくさんして、 にちろく身心しんしんまず、 たいとうずること、 大山だいせんくずるるがごとくし、 ごうきゅうしてなみだあめふらし、 がっしょうしてぶつかひて、 ぶつけんびゃくごうそうひかりねんずること、 一日いちにちより七日しちにちいたらば、 さきしゅつみきょうなることをべし。

又¬観仏経¼云、若比丘・比丘尼、若シハ男・女人犯セラム↢四根本罪、十悪等罪、五逆↡、及ラム↢大乗↠是クノ人若懴悔シテ、日夜六時シテ身心不↠息、五体↠地クシ↢大山ルルガ↡、号泣↠涙、合掌シテヒテ↠仏、念ズルコト↢仏眉間白毫相↡一日ヨリラバ↢七日↡、前四種↠得↢軽微ナルコトヲ↡。

^びゃくごうかんぜんに、 あんにしてえずは、 とうのうちにりて、 ぞうけんびゃくごうかんずべし。 一日いちにちより三日さんにちいたるまで、 がっしょうしてていきゅうせよº」 と。

ゼムニ↢白毫↡、ニシテ↠見者、応↧入リテ↢塔↡観↦像眉間↥。一日ヨリルマデ↢三日↡合掌シテ啼泣セヨト。」

^じょう、 ¬かん1036ねんもん¼ (観念法門) のもんよりこれを略抄りゃくしょうす。

已上¬観念門¼ヨリ略↢抄

^¬だい般若はんにゃ¼ のひゃくろくじゅうはちに、 七日しちにちぎょうかしてのたまはく、 「もし善男ぜんなんぜん女人にょにんとうしんわくなく、 七日しちにちのうちにおいて、 澡浴そうよく清浄しょうじょうにして、 しんじょうころもこうをもつてようし、 一心いっしんにまさしくさき所説しょせつのごとき、 如来にょらいどくおよびだいじんねんぜば、 そのとき如来にょらい慈悲じひをもつてねんし、 しんげんじてせしめたまひ、 *がんをして満足まんぞくせしめたまふ。 もしこうとうけっしょうせることあらば、 ただ一心いっしんどくじんねんぜよ。 まさに命終みょうじゅうせんとするときに、 かならずぶつたてまつることをん」 と。

¬大般若¼五百六十八シテ↢七日↡云、「若善男子・善女人等心シテ↠疑イハ↢七日↡、澡浴清浄ニシテ、著↢新浄↡、花香ヲモテ供養、一心シクゼバ↢如所説如来功徳及大威神↡、爾如来慈悲ヲモテ護念、現ジテ↠身メタマヒ↠見便ヲシテ満足セム。若ラバ↣闕↢少セルコト花香等↡、但一心ゼヨ↢功徳威神↡。将↢命終セムト↡時ムト↠見タテマツルコトヲ↠仏。」

^さき所説しょせつどく」 といふは、 如来にょらいだいだい説法せっぽう無礙むげじょうりょと、 一念いちねんによく*へんるいしんげんずると、 天眼てんげんてんしん*失念しつねん*無漏むろ離垢りくと、 *とく一切いっさいほうざいびょうどうとうどくじんなり。

↢前所説功徳等↡者、如来大慈大悲説法无礙静慮、一念ズルト↢无辺類↡、天眼天耳他心智无失念无漏離垢、得一切法自在平等等功徳威神也。

^¬*だいじゅうげんきょう¼ にまた七日しちにちぎょうあり。 つぎやくのなかにくがごとし。

¬大集1156護経¼亦有↢七日行↡。如↢次利益クガ↡。

^またざいの ¬じょうろん¼ にいはく、 「しゃくぜん (*道綽) 、 ¬きょう¼ (*木槵子経)もんかんがたるに、 ªただよくぶつねんずること一心いっしんみだれずして、 ひゃくまんべん以去いこつるものは、 さだめておうじょうすることをº と。 またしゃくぜん、 ¬*しょう弥陀みだきょう¼ の七日しちにち念仏ねんぶつによりて、 ひゃくまんべんかんがたるなり。 このゆゑに、 ¬大集だいじつきょう¼・¬*やくきょう¼・¬しょう弥陀みだきょう¼ にみな七日しちにち念仏ねんぶつすすめたる1037は、 このこころあきらかなり」 と。 じょうざい

又迦才¬浄土論¼云、「綽禅師カンガ↢得タルニ¬経¼文↡、但能ズルコト↠仏一心ニシテシテ↠乱、得ツル↢百万遍已去↡者メテ↢往生スルコトヲ↡。又綽禅師依リテ↢¬小阿弥陀経¼、七日ズルニ↢得百万↡也。是¬大集経¼・¬薬師経¼・¬小阿弥陀経¼↡皆勧メタル↢七日念仏↡者、此意明カナリト矣」已上迦才

^いふところのじゅうにちぎょうとは、 ¬*おんじょうきょう¼・¬びょう等覚どうがくきょう¼ にでたり。 つぎやくもんいたりてまさにるべし。

↠言十日者、出デタリ↢¬鼓音声経¼・¬平等覚経¼↡。至リテ↢次利益門↡当↠知

^いふところのじゅうにちぎょうとは、 ¬かん¼ のだいにいはく、

↠言九十日者、¬止観¼第二

^*常行じょうぎょう三昧ざんまいとは、 づは方法ほうほうかす。 つぎには勧修かんしゅかす。

「常行三昧者、先ヅハ↢方法↡。次ニハ↢勧修↡。

^方法ほうほうとは、 *しん開遮かいしゃ*説黙せつもく*かんなり。 このほうは ¬般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ にでたり。 ˆ般舟はんじゅをˇ *ほんじて ªぶつりゅうº となす。 ぶつりゅうさんあり。 いちにはぶつりきには三昧さんまいりきさんにはぎょうじゃほんどくりきなり。 よくじょうのなかにして、 十方じっぽう現在げんざいぶつ、 そのまえにありてちたまへりとること、 みょうげんにんの、 しょうほしるがごとし。 十方じっぽうぶつたてまつることも、 またかくのごとくおおし。 ゆゑにぶつりゅう三昧ざんまいづく。

方法者身開遮、口説黙、意止観ナリ。此デタリ↢¬般舟三昧経¼↡。ジテ↢仏立↡。仏立アリ。一ニハ威力、二ニハ三昧力、三ニハ行者本功徳力ナリ。能↢定↡、見コト↧十方現在仏在リテ↢其↡立チタマヘリト↥、如↢明カナル清夜ルガ↟星。見タテマツルコト↢十方↡、亦如↠是クノ。故↢仏立三昧↡。

^¬十住じゅうじゅう毘婆びばしゃ¼ のにいはく、

¬十住毘婆¼偈

^ªこの三昧さんまい*住処じゅうしょに、 しょうちゅうとの差別しゃべつあり。
かくのごとき種々しゅじゅそう、 またすべからくろんすべしº と。

三昧住処トノ差別アリ
↠是クノ種々亦応シトイヘリ↢須論議

^ªじゅうしょº とは、 あるいは*初禅しょぜんさんちゅうげんとにおいて、 この勢力せいりきおこし、 よく三昧さんまいしょうず。 ゆゑにじゅうしょづく。 初禅しょぜんしょうなり、 ぜんちゅうなり、 さんなり。 あるいはしょうじゅうするをしょうづく。 あるいはかいることしょうなり1038。 あるいはぶつたてまつることしょうなり。 ゆゑにしょうづく。 ちゅうとまたかくのごとし。

住処者、或イハ↢初禅・二・三・四中間トニ↡、発↢是勢力↡能↢三昧↡。故↢住処↡。初禅ナリ、二禅ナリ、三・四ナリ。或イハ小時スルヲ↠少。或イハルコト↢世界↡少ナリ。或イハタテマツルコト↠仏ナリ。故↠少。中亦如↠是クノ

^には*常行じょうぎょうかいす。 このほうぎょうずるときには、 *あくしきおよびにん親属しんぞくきょうれ。 つねにひとしょして、 にんもうしてしゃくするところあることをざれ。 つねに乞食こつじきして*べっしょうけざれ。

ニハ↢常行↡。行ゼム↢此↡時ニハ↢悪知識及痴人・親属・郷里↡。常処止シテ、不↠得↧悕↢望シテ他人↡有ルコトヲ↞所↢求索スル↡。常乞食シテ↠受1157↢別請↡。

^どうじょう厳飾ごんじきして、 もろもろの供具くぐ香餚こうこうかんそなへよ。 その盥沐かんもくし、 左右さう出入しゅつにゅうぶくあらたへよ。 ただもつぱら*ぎょうせんし、 じゅうにちいちとなせ。

厳↢飾シテ道場↡備ヘヨ↢諸供具・香餚・甘菓↡。盥↢沐↡、左右出入↢換ヘヨ衣服↡。唯ニシテ行旋九十日↢一期↡。

^*みょうの、 *ないりつによくして、 よく*ぼうしょう開除かいじょするをもちゐよ。 所聞しょもん三昧さんまいところにおいて、 そんたてまつるがごとくにし、 けんせず、 せず、 たんちょうざれ。 まさににくきて、 ようすべし。 いはんやまたのものをや。 じょうすること、 ぼくだいつかまつるがごとくせよ。 もしにおいてあくをなすときには、 この三昧さんまいもとむるに、 つひにることかたし。

ヰヨ↧明カナルクシテ↢内外↡能開↦除スルヲ妨障↥。於↢所聞三昧↡如クニシ↠視タテマツルガ↢世尊↡、不↠嫌不↠恚、不↠見↢短・長↡。↧割キテ↢肌肉↡供↦養↥。況復余ノモノヲ耶。承↢事セムコト↡如クセヨ↣僕ツカマツルガ↢大家↡。若↠師ストキニハ↠悪、求ムルニ↢是三昧↡終ケム↠得ルコト

^*外護げごの、 ははやしなふがごときをもち*どうぎょうの、 ともにけんわたるがごときをもちゐよ。

↣外護キヲ↢母フガ↟子ヰヨ↣同行キヲ↢共ルガ↟嶮

^すべからくようし、 誓願せいがんすべし。 わが筋骨きんこつをしてちせしむとも、 この三昧さんまいがくせんにずは、 つひにそくせずと。 大信だいしんおこさば、 よくやぶるものなからん。 だいしょうじんおこさば、 よくおよぶものなからん。 しょにゅうはよくおよぶものなからん。

↢要誓願↡。使ムトモ↢我筋骨ヲシテチセ↡、学セムニ↢是三昧↡不↠得、終シテ↢休息↢大信↢能者↡。起↢大精進↢能者↡。所入↢能オヨ者↡。

^つねにぜんとともにしたがへ。 三月さんがつ終竟おわるま1039で、 *けん想欲そうよくおもふこと、 *だんのあひだのごとくすることをざれ。 三月さんがつ終竟おわるまで、 しゅつすることだんのあひだのごときもざれ。 三月さんがつ終竟おわるまで、 ぎょうじてそくすることをざれ。 *じき左右さうをばのぞく。 ひとのためにきょうかんに、 じきのぞむことをざれ。

↢善師↡従セヨ終竟 ツヒ 三月、不↠得↧念フコト↢世間想欲↡如クスルコトヲ↦弾指アヒダ↥。三月終竟 ツヒ 、不↠得↣臥出スルコトキモ↢弾指↡。終竟 ツヒ 三月、行ジテ↠得↢休息コトヲ↡。↢坐食・左右ヲバ↡。為↠人カムニ↠経、不↠得↠望ムコトヲ↢衣食↡。

^¬しゃ¼ (十住毘婆沙論)にいはく、

¬婆¼偈

^ªぜんしき親近しんごんし、 しょうじんしてだいなく、
智慧ちえはなはだ堅牢けんろうにして、 信力しんりきみだりにどうずることなかれº と。

親↢近善知識精進シテ↢懈怠↡
智慧甚堅牢ニシテ信力无クス↢妄ズルコト

^説黙せつもくとは、 じゅうにちしんにはつねにぎょうじてそくすることなく、 じゅうにちにはつねに弥陀みだぶつみなとなへてそくすることなく、 じゅうにちしんにはつねに弥陀みだぶつねんじたてまつりてそくすることなかれ。

説黙者、九十日身ジテキナリ↢休息スルコト九十日口ニハフルコト↢阿弥陀仏↡无↢休息スルコト↡、九十日心ジマツリテ阿弥陀仏↡无↢休息スルコト↡。

^あるいはしょうねんとともにめぐらし、 あるいはねんのちとなへ、 あるいはとなのちねんぜよ。 しょうねんあひぎてそくするときなかれ。 もし弥陀みだとなふるは、 すなはちこれ十方じっぽうぶつとなへたてまつるとどくひとし。 ただもつぱら弥陀みだをもつて法門ほうもんしゅとなす。 ようげてこれをいはば、 歩々ぶぶ声々しょうしょう念々ねんねん、 ただ弥陀みだぶつにあり。

イハメグラシ、或イハ、或イハゼヨ。唱・念相継ギテ↢休息スル時↡。若フルハ↢弥陀↡即是唱ヘタテマツルト↢十方↡功徳等。但専↢弥陀↡為↢法門↡。挙ゲテ↠要ハバ↠之、歩々・声々・念々唯↢阿弥陀仏↡。

^かんろんずとは、 西方さいほう弥陀みだぶつねんぜよ。 ここをることじゅう万億まんおく仏刹ぶっせつにして、 ほうほう宝樹ほうじゅ宝堂ほうどうにましまして、 もろもろのさつちゅうおうしてきょうきたまふ。 さんがつ1040つねにぶつねんぜよ。

ゼバ↢止観↡者、念西1158阿弥陀仏リタマヘルコト↠此十万億仏刹アリ、在シテ↢宝地・宝池・宝樹・宝堂、衆菩薩中央シテキタマフ。三月常ゼヨ↠仏

^いかんがねんずる。 さんじゅうそうねんず。 あしした*千輻せんぷくりんそうより、 一々いちいち*ぎゃくえんじて、 諸相しょそうない*けんちょうねんじ、 また*ちょうそうより*じゅんえんじて、 すなはち千輻輪せんぷくりんいたるべし。 われをしてまたこのそうおよばしめたまへと。 またねんぜよ、 われまさにしんよりやぶつん、 しんよりやぶつんと。

云何ズル。念↢卅二↡。従↢足千輻輪相↡一一ジテゼヨ↢諸相↡。乃至无見頂マデニス。亦応↧従↢頂相↡順↥。千輻輪マデニメタマヘト↣我ヲシテオヨ↢是↡。又念、我当リヤ↠心得↠仏、従リヤ↠身得↠仏

^ぶつをば、 しんもちゐてもず、 もちゐてもず。 しんもちゐてもぶつしきず。 しきもちゐてもぶつしんず。 なにをもつてのゆゑに。 しんといはば、 ぶつにはしんなし。 しきといはば、 ぶつにはしきなし。 ゆゑにしきしんもちゐても*さんだいべからず。

ヲバ不↢用ヰテモ↠心↡、不↢用ヰテモ↥。不↣用ヰテモ↠心得↢仏↡。不↣用ヰテモ↠色得↢仏↡。何テノ。心トイハバ者、仏ニハ↠心。色トイハバ者、仏ニハ↠色。故不↧用ヰテモ↢色心↡得ベカラ↦三菩提↥。

^ぶつ*しきすでにき、 ない*しきもすでにきたまへり。 ぶつ諸説しょせつじんをば、 これにんらず、 しゃ*暁了ぎょうりょうす。 しんもちゐてもぶつず、 智慧ちえもちゐてもぶつず。 なにをもつてのゆゑに。 智慧ちえもとむるにべからず、 みづから*もとむるに、 つひにべからざればなり。 また所見しょけんなし。 一切いっさいほうはもとよりしょなし。 もともとぜっす。 それいち

色已、乃至識タマヘリ。仏ヲバキタマフセリト者是痴人不↠知、智者暁了。不↧用ヰテモ↢身口↡得↞仏、不ラムコトヲ↧用ヰテモ↢智↡得↞仏テノ。智慧ヲモテモトムルニナルヲモテナリムルニ↠我ツヒナリ。亦无↢所見↡。一切ヨリ↢所有↡。壊↠本↠本

^ゆめ七宝しっぽうて、 親属しんぞくありて歓楽かんらくするも、 めをはりてひておもふに、 いづれのところにあるといふことをらざるがごとく、 かくのごとくにしてぶつねんず。

↧夢ルトモ↢七宝アリ、親属アリ勧楽スト、覚リテヒテズル、不ルガ↞知↠在ルトイフコトヲ↢何レノ↡、如クニシテ↠是クノ↠仏

^また*しゃにょありて須門しゅもんづく。 これをきてしんよろこぶ。 夜夢やむしたがふ。 めをはりてこれをおもふに、 かれもきたらずわれもかず、 しか1041らく*宛然えんねんなり。 まさにかくのごとくしてぶつねんじたてまつるべし。

又舎衛リテ↠女名↢須門↡。聞キテ↠之。夜夢ニミル↠事。覚リテフニ、彼不↠来不↠往、而楽事宛然ナリ。当↢如クシテ↠是クノジタテマツル↟仏

^ひとおおきなるさわくに、 かつしてゆめじきるも、 めをはりてはらむなし。 みづから一切いっさいのあらゆるほうみなゆめのごとしとおもふがごとく、 まさにかくのごとくぶつねんじたてまつるべし。 しばしばねんじてそくすることをることなかれ。

↧人クニ↢大ナル↡飢渇シテ↢美食↡、覚リテ腹空フガ↦一切所有法皆如シト↞夢、当↢如↠是クノジタテマツル↟仏。数々念ジテ↠得ルコト↢休息スルコトヲ↡。

^このねんもちゐて、 まさに弥陀みだぶつくにうまるべし。 これを如想にょそうねんづく。 ひとたからをもつて瑠璃るりうえするに、 かげそのなかにげんずるがごとく、 また比丘びくの、 ほねかんずるに、 ほねより種々しゅじゅひかりおこすがごとく、 これたもちてきたるものなく、 またこのほねあることもなし。 これこころのなせるのみ。 かがみのなかのぞうの、 ほかよりもきたらず、 うちよりもしょうぜず、 かがみきよきをもつてのゆゑに、 おのづからそのかたちるがごとし。

ヰテ↢是↡当↠生↢阿弥陀仏↡。是↢如想↡。如↧人以↠宝スルニ瑠璃↡影現ズルガ↦其↥、亦如↣比丘ズルニ↠骨ヨリスガ↢種々↡、此无↢持チテ1159亦无↠有ルコト↢是骨↡。是意耳。如↧鏡不↢外ヨリモ↡、不↢中ヨリモ↡、以テノ↢鏡浄キヲ↡故ルガ↦其↥。

^*ぎょうにんしき清浄しょうじょうなれば、 あらゆるもの清浄しょうじょうなり。 ぶつたてまつらんとおもへば、 すなはちぶつたてまつる。 ればすなはちひ、 へばすなはちこたへたまふ。 きょうきて、 おおきにかんす。 それ

行人、色清浄ナレバ所有者清浄ナリ。欲ヘバ↠見タテマツラムト↠仏タテマツル↠仏。見レバヘバヘタマフ。聞キテ↠経歓喜

^みづからねんず。 ぶつはいづれのところよりかきたりたまふ、 われもまたいたるところなし。 わが所念しょねんをもつて、 すなはちるなり。 しんぶつる。 しんみづからしんるは、 仏心ぶっしんるなり。 この仏心ぶっしんは、 これわがしんぶつるなり。

リカ↢何レノ所↡来リタマフ、我亦无↠所↠至。我所念ヲモテルナリ。心作↠仏心自ルハ↠心ルナリ↢仏心↡。是仏心是我心見ルナリ↠仏

^しんはみづからしんらず、 しんはみづからしんず。 しんそう1042あるをばとなし、 しんそうなきはこれ*泥洹ないおんなり。 このほうしめすべきものなし。 みなねんしょなり。 たとひねんありとも、 またしょなくしてくうなりとりょうするのみ。 それさん

不↢自↟心、心不↢自見↟心。心ルヲバ↠想為↠痴、心キハ想是泥洹ナリ。是キニ↢可↠示者↡皆念所為ナリ。設リトモ↠念、亦了ラク↧无クシテ↢所有↡空ナリト↥耳。

^ (般舟三昧経) にのたまはく、

^ªしんしんらず。 しんありてしんず。
しんそうおこすは、 すなはちなり。 そうなきは、 すなはち泥洹ないおんなり。

心者不↠知↠心リテ↠心不↠見↠心
スハ↠想ナリキハ↠想即泥洹ナリ

^諸仏しょぶつしんよりだつたまふ。 しんなければ、 清浄しょうじょうづく。
どう鮮潔せんけつにしてしきけず。 これをさとることあるものは*大道だいどうじょうずº と。

諸仏↠心得タマフ↢解脱心者无↠垢名↢清浄
五道鮮潔ニシテ不↠受↠色サトルコト↠此ズト↢大道

^これを*仏印ぶついんづく。 所貪しょとんなく、 所着しょじゃくなく、 しょなく、 所想しょそうなく、 しょき、 所欲しょよくく。 りてしょうずるところなく、 めっすべきところなく、 はいするところなし。 どうようどうもとなり。 このいんは、 じょうすることあたはず、 いかにいはんやをや。

↢仏印↡。无↠所スル、无↠所スル、无↢所求↡、无↢所想↡所有尽、所欲尽。无↠所↢従ヒテズル↡、無↠所↠可↠滅↠所↢壊敗スル↡。道要、道ナリ。是二乗不↠能↠壊スルコト、何耶。

^¬しゃ¼ (十住毘婆沙論)かさく、 ª*新発しんぽっさつぶつ色相しきそう*相体そうたい相業そうごうそう相用そうゆうねんじて、 勢力せいりきつぎぶつ*じゅう不共ふぐほうねんじて、 しんちゅう勢力せいりきつぎ*実相じっそうぶつねんじて、 じょう勢力せいりき。 しかもしきほうとのしんじゃくせずº と。

¬婆¼明サク、新発意菩薩先ジテ↢仏色相、相体・相業・相果・相用↡得↢下勢力↡。次ジテ↢仏不共↡心得↢中勢力↡。次ジテ↢実相↡得↢上勢力↡。而↠著↢色トノ二身↡。

^ (十住毘婆娑論) にいはく、

^ª色身しきしんとんじゃくせず、 法身ほっしんにもまたじゃくせず。
1043よく一切いっさいほうは、 ようじゃくなることくうのごとしとるº と。

不↣貪↢著色身法身ニモ亦不↠著
ルト↣一切永寂ナルコトシト↢虚空

^勧修かんしゅをいはば、 もしひと智慧ちえ大海だいかいのごとくにして、 よくわがためにたるものなからしめ、 ここにして、 神通じんずうはこばずしてことごとく諸仏しょぶつたてまつり、 ことごとく所説しょせつき、 ことごとくよくじゅすることをんとおもはば、 つねに三昧さんまいぎょうぜよ。 もろもろのどくにおいて、 もつとも第一だいいちなりとなす。

勧修ヲイハバ者、若人欲ハバ↠得ムト↧智慧如クシテ↢大海↡令↠无カラ↢能↠我↠師者↡、於シテシテメグラ↢神通↡悉タテマツリ↢諸仏↡、悉↢所説↡、悉1160スルコトヲ↥者、常ゼヨ↢三昧↡。於↢諸功徳↡最↢第一ナリト↡。

^この三昧さんまいはこれ諸仏しょぶつははなり、 ぶつまなこなり、 ぶつちちなり、 しょうだいははなり。 一切いっさいのもろもろの如来にょらいは、 このほうよりしょうじたまふ。

三昧是諸仏ナリ、仏ナリ、仏ナリ、無生大悲ナリ。一切如来↢是二法↡生ジタマフ

^大千だいせんおよび草木そうもくくだきてちりとなし、 一塵いちじんいち仏刹ぶっせつとなして、 そこばくのかいのなかにてるたからをもつて布施ふせせんは、 そのふくはなはだおおし。 この三昧さんまいきてきょうせず、 せざらんにはしかじ。 いはんやしんじてじゅし、 読誦どくじゅしてひとのためにかんをや。 いはんやじょうしんしゅじゅうすること、 にゅうしぼるがあひだのごとくせんをや。 いはんやよくこの三昧さんまいじょうぜんをや。 ゆゑにりょうへんなり。

キテ↢大千地及草木↡為↠塵、一塵↢一仏刹テルソコバク世界↡宝ヰテ布施セムハ、其福甚。不↠如↧聞キテ↢此三昧↡不↠驚ラムニハ↞畏。況受持読誦↠人カムヲヤ。況定心修習スルコトクセムヲヤシボルガ↢牛乳アヒダ↥。況ゼムヲヤ↢是三昧↡。故无量無ナリ

^¬しゃ¼ (十住毘婆沙論) にいはく、 ª*こうかんぞくおんどくりゅうじゅう衆病しゅびょう、 このひとおかすといはば、 このことわりあることなからん。 このひとはつねに*てんりゅうはち諸仏しょぶつのために、 みなともにねんしょうさんせらる。 みなともにんとほっして、 ともにそのところきたらんº と。

¬婆¼云、劫火・官・賊・怨・毒・竜・獣・衆病侵ストイハバ↢是↡者、无↠有ルコト↢是コトワリ↡。此↢天竜八部、諸仏↡皆共護念称讃セラル。皆共シテ↠見ムト、共ラムト↢其↡。

^もしこの三昧さんまいかみ1044のごときばんどくきて、 みなずいすること、 さん諸仏しょぶつさつのみなずいしたまふがごとくならんに、 またかみばんどくまさる。 もしかくのごときほうしゅせざるは、 りょうじゅうほううしなひ、 人天にんでんこれがために憂悲うひす。 *おうにんの、 栴檀せんだんりてがさざらんがごとく、 *でんの、 摩尼まにしゅをもつていちうしふるがごとし」 と。 云々うんぬん

キテ↢此三昧↠上四番功徳↡皆随喜セマク、三世諸仏・菩薩皆随喜シタマフ復勝レリ↢上四番功徳↡。若ルハ↠修↢如↠是クノ↡失↢无量重宝人天為↠之憂悲。如↧齆鼻リテ↢栴檀↡而不ラムガ、如シト↧田家↢摩尼珠フルガ↦一頭↥」

^ばんどく」 とは、 ¬*けつ¼ にいはく、 「またばんほうあり。 いちにはきょうせざること、 には信受しんじゅすること、 さんにはじょうしんしゅすること、 にはよくじょうじゅすることなり」 と。

「四番功徳」者、¬弘決¼云、「又有↢四番果報↡。一ニハルコト↠驚、二ニハ信受スルコト、三ニハ定心スルコト、四ニハスルコトナリ

二 Ⅵ 臨終行儀

【57】^だいりんじゅうぎょうとは、 ぎょうかし、 つぎ勧念かんねんかす。

第二臨終行儀者、先↢行事↡、次勧念↡。

・行事

^はじめにぎょうとは、 ¬*分律ぶんりつしょう¼ の*せんびょうそうじゅうへんに、 *ちゅうごく本伝ほんでんきていはく、 「*おん西北せいほくすみ日光にっこうもっするところじょういんとなせり。 もしびょうしゃあれば、 あんしてなかにく。 おほよそ*貪染とんぜんしょうずるものは、 本房ほんぼうのうちのはつしゅて、 おおれんじゃくしょうじ、 しん*厭背えんばいなきをもつてのゆゑに、 せいして別処べっしょいたらしむるなり。 どうじょうなづくるなり。 きたるものはきはめておおく、 還反かえるものはいちなり。 につきてもとめ、 専心せんしんほうねんず。

行事者、¬四分律¼瞻病送終、引キテ↢中国本伝↡云、「祇洹西北日光スル↢无常院↡。若レバ↢病者↡安置シテ↠中。以テノ↧凡ジテ↢貪染↡、見↢本房衣鉢・衆具↡、多↢恋著↡无キヲ↦心厭背↥故、制シテメテ↠至↢別処ナヅクルナリ↢无常↡。来、還ルコト一二ナリ。即シテ↠事1161シテムトシテニシテゼムコトヲ

^そのどうのうちに、 いちりゅうぞうけり。 金薄こんぱくをもつてこれにり、 おもて西方さいほうかへたり。 そのぞうみぎげ、 ひだり1045のなかには、 いち*さいはたの、 あしれてけるをけたり。 まさにびょうしゃやすんじてぞうしりえき、 ひだりはたあしりて、 ぶつしたがひてぶつじょうせつこころをなさしむべし。 せんびょうのひとは、 こうはならしてびょうしゃしょうごんし、 ない、 もし尿にょう吐唾とだあれば、 あるにしたがひてこれをのぞく」 と。

ケリ↢一立像↡。金薄ヲモテレリ↠之ヘタリ↢西方↡。其、左ケタリ↢一五綵脚垂レテ↠地↧安ジテ↢病者↢像之後↡、左リテ↢幡↡、作サシム↦従ヒテ↠仏↢仏浄刹↡之意↥。瞻病↠香シテ↠花荘↢厳病者↡、乃至若レバ屎尿・吐唾↡、随ヒテ↠有ルニハラ↠之。」

^*あるせつには 「仏像ぶつぞうひがしけ、 びょうしゃまえく」 と。 わたくしにいはく、 もし別処べっしょなくは、 ただびょうしゃをしておもて西にしかへしめて、 こうはなさんじて、 種々しゅじゅ勧進かんじんせよ。 あるいは、 端厳たんごん仏像ぶつぞうしむべし。

或説ニハ、「仏像↠東、病者↠前。」、若ケレバ↢別処↡、但令メテ↢病者ヲシテ西、焼↠香ジテ↠花、種々勧進セヨ。或イハ↠令↠見↢端厳仏像

^どうしょう (善導) のいはく (観念法門)、 「ぎょうじゃとう、 もしはやまいし、 やまいせざらんも、 いのちおわらんとほっするときには、 もつぱらかみ念仏ねんぶつ三昧ざんまいほうによりて、 身心しんしんしょうとうにして、 おもてめぐらして西にしかへ、 しんまたせんちゅうして弥陀みだぶつ観想かんそうし、 しん相応そうおうして声々しょうしょうゆることなく、 けつじょうしておうじょうおもい*だいしょうじゅきたりてこうしょうするおもいをなせ。

導和尚、「行者等若ラム↠病、欲セム↢命終ムト↡時ニハ、一リテ↢上念仏三昧↡、正ナホクシテ身心↡廻シテ↠面↠西、心亦専注シテ観↢想スベシ阿弥陀仏心口相応シテ声々莫↠絶ユルコト決定シテ↢往生想、華台聖衆来リテ迎接スル↡。

^びょうにんもしまえきょうば、 すなはちかんびょうにんかひてけ。 すでにくをきをはらば、 すなはちせつによりてろくせよ。 またびょうにん、 もしかたることあたはずは、 かんびょうしゃかならずすべからくしばしばびょうにんふべし、 なんのきょうがいをかたると。 もしつみそうかば、 かたわらのひとすなはちためにぶつねんじ、 たすけておなじくさんして、 かならずつみめっせしめよ。 もしつみめっするこ1046とをば、 だいしょうじゅねんおうじて現前げんぜんせん。 まえなぞらへてしょうせよ。

病人若↢前↡、則ヒテ↢看病↡説。既↠説クヲリテ、即リテ↠説録記セヨ。又病人若↠能↠語ルコト、看病者必↣数々問↢病人↡、見ルト↢何境界ヲカ↡。若カバ↢罪↡、傍人即↠仏ケテジク懴悔シテ、必メヨ↢罪↡。若テハ↢罪滅スルコトヲ↡、花台聖衆応ジテ↠念現前セム。准ヘテ↠前抄記セヨ

^またぎょうじゃ眷属けんぞく六親ろくしん、 もしきたりてやまいば、 しゅにくしんらへるひとをあらしむることなかれ。 もしあらば、 かならずびょうにんほとりかふことをざれ。 すなはちしょうねんうしなひ、 じんきょうらんし、 びょうにんきょうして、 さん悪道まくどうしなん。 ねがはくはぎょうじゃ、 よくみづから謹慎きんしんしてぶっきょう奉持ぶじして、 おなじく見仏けんぶつ因縁いんねんをなせ」 と。

又行者等眷属・六親若リテ↠病、勿↠令ムルコト↠有↧食ラヘル↢酒・肉・五辛↡人↥。若ラバ↠得↠向コトヲ↢病人↡。即↢正念↡、鬼神交乱、病人狂死シテシナム↢三悪道↡。願クハ行者等好謹慎シテ奉↢持シテ仏教↡、同ジクセト↢見仏因縁↡。」

^おうじょうおもいこうしょうおもいをなすこと、 そのしかるべし。

スコト↢往生想・迎接↡其理可↠然

^¬大論だいろん¼ (大智度論) に、 *神変じんぺん作意さいきていふがごとし。 「そうることおおきがゆゑに、 みずむことのごとし。 みずそうることおおきがゆゑに、 ることみずのごとし。 そうることおおきがゆゑに、 よりえんとういだす」 と。

↧¬大論¼説キテ↢神変作意↡云フガ↥。「取ルコト↢地↡多キガ、履ムコト↠水↠地。取ルコト↢水↡多キガ、入1162ルコト↠地↠水。取ルコト↢火↡多キガ、身ヨリスト↢煙火等↡。」

^あきらかにりぬ、 しょにおいて、 かのそうときには、 よくそのたすけてじょうじゅすることをるなり。 ただりんじゅうのみにあらず。 じんじょうもこれになぞらへよ。

カニリヌ↢所求↡取↢彼↡時ニハ、能ケテ↢其↡而シテルナリ↢成スルコトヲ↡。非↢唯臨終ノミニ↡。尋常ヘヨ↠之

^しゃくしょう (道綽) のいはく (安楽集・上)、 「じゅうねん相続そうぞくすることはかたからざるがごときにたり。 しかれども、 もろもろのぼんしん野馬やめのごとく、 しき猿猴えんこうよりもはなはだしく、 六塵ろくじんちょうして、 なんぞかつてじょうそくせんや。 おのおの、 すべからくよろしく信心しんじんいたし、 あらかじめみづから剋念こくねんし、 積習しゃくじゅうして*しょうじょうじ、 善根ぜんごんをしてけん1047ならしむべし。

綽和尚、「十念相続スルコトハレドモ↠若キニ↠不ルガ↠難カラ凡夫、心↢野馬ハナハダ↢猨猴ヨリモ↡、馳↢騁六塵停息セムヤ。各↧宜↢信心↡、剋念、使↦積習シテ↠性、善根シテ堅固ナラ↥也。

^ぶつ (釈尊)大王だいおうげたまへるがごとし。 ªひとぜんぎょうめば、 するときに悪念あくねんなし。 さきよりかたむけるはたおるるに、 かならずまがれるにしたがふがごとしº (大智度論) と。

↣仏告ゲタマヘルガ↢大王↡。人積ルハ↢善行↡死スルトキ↢悪念↡。如シト↢樹ヨリケルルルニフガ↟曲レルニ也。

^もし*刀風とうふうひとたびいたれば、 ひゃっあつまる。 もしならいさきよりあらずは、 ねんなんぞべんずべけんや。 おのおのよろしくどう*さんと、 あらかじめ*言要ごんようむすびて、 命終みょうじゅうときのぞみて、 たがひにあひかいぎょうし、 ために弥陀みだみょうごうしょうし、 極楽ごくらくうまるることをがんじて、 声々しょうしょうあひいでじゅうねんじょうぜしむべし」 と。

刀風一タビレバモモチシビイタ↠身。若ヨリレバ↠在ココロ念何ケムヤ。各同志三五シテ、預ビテ↢言要↡臨マム↢命終タガヒ相開、為↢弥陀名号↡、願ジテ↠生レムコトヲ↢極楽↡、声々相次ギテ使メヨ↠成↢十念↡。」

^いふところの 「じゅうねん」 といふは、 おおくのしゃくありといへども、 しかも一心いっしん十返じっぺん南無なも弥陀みだぶつ」 としょうねんする、 これをじゅうねんといふ。 このきょうもんじゅんぜり。 しもりょうけんのごとし。

↠言「十念トイフハ」、雖↠有リト↢多釈↡、然一心シテ返称↢念スル南无阿弥陀仏↡、謂↢之十念↡。此義順ゼリ↢経↡。余↢下料簡↡。

・観念

 ^つぎりんじゅう勧念かんねんとは、 ぜんどうぎょうのそのこころざしあるものは、 ぶっきょうじゅんずるがために、 しゅじょうせんがために、 善根ぜんごんのために、 結縁けちえんのために、 やまいまんはじめよりやまいゆかきたりてひて、 さいわひに勧進かんじんれよ。

臨終勧念者、善友・同行ラム↢其志↡者、為↠順ズルガ↢仏教↡、為↠利セムガ↢衆生↡、↢善根↡、為↢結縁↡、従↢染ヤマヒ初↡来リテトブラ↡、幸レヨ↢勧進↡矣。

^ただ勧誘かんゆうおもむきは、 ひとこころにあるべし。 いましばらくしんのために、 そのことばむすびていはく、 *ぶっ年来としごろのあひだ、 このさかいもうとどめて、 ただ*西方さいほうごうしゅす。 就中なかんずく、 もとよりするところは、 これりんじゅうじゅうねんなり。 いますでにやまいゆかしぬ。 おそれざるべからず1048

但勧誘之趣、応↠在↢人↡。今且↢自身↡結ビテ↢其↡云、仏子、年来トシゴロ之間止メテ↢此希望↡唯↢西方↡。就キテヨリ↠期セシ、是臨終十念ナリ。今既シヌ↢病↡。不↠可カラ↠不ハアル↠恐

^すべからくぢ、 たなごころあわせて、 一心いっしんせいすべし。 ぶつ相好そうごうにあらざるよりは、 しきることなかれ。 ぶつ法音ほうおんにあらざるよりは、 こえくことなかれ。 ぶつ正教しょうきょうにあらざるよりは、 くことなかれ。 おうじょうにあらざるよりは、 おもふことなかれ。

↢閉↠目セテ↠掌、一心シテ誓期↡。自リハ↠非↢仏相好↡、勿↠見ルコト↢余↡。自リハ↠非↢仏法音↡、勿↠聞クコト↢余↡。自リハ↠非↢仏正教↡、勿↠説クコト↢余↡。自リハ↠非↢往生↡、勿↠思1163フコト↢余↡。

^かくのごとくして、 ない命終みょうじゅうのちに、 ほう蓮台れんだいうえして、 弥陀みだぶつしりえしたがひ、 しょうじゅにょうして、 じゅう万億まんおくこくぐるあひだをもまたかくのごとくして、 きょうがいえんずることなかれ。 ただ極楽ごくらくかい七宝しっぽういけのなかにいたりて、 はじめてげ、 たなごころあわせて、 弥陀みだ尊容そんようたてまつり、 甚深じんじん法音ほうおんき、 諸仏しょぶつどくこうぎ、 ほう禅悦ぜんえつあじはひをめ、 *かいしょうじゅちょうらいし、 げんぎょうがんにゅうすべし。

シテ↠是クノ乃至命終之後、坐シテ↢宝蓮台↡、従↢弥陀仏↡、聖衆囲遶シテ、過ギム↢十万億↡間ヲモ亦復如クシテ↠是クノ、勿↠縁ズルコト↢余境界↡。唯リテ↢極楽世界七宝↡、始↧挙↠目セテ↠掌、見タテマツリ↢弥陀尊容↡、聞↢甚深法音↡、↢諸仏功徳↡、嘗↢法喜・禅悦↡、頂↢礼海会聖衆↡、悟↦入普賢行願↥。

^いまじゅうあり。 まさにしんいつにしてき、 しんいつにしておもふべし。 一々いちいちねんごとにしんをなすことなかれ。

今有↢十事↡。応↢一ニシテ↠心、一ニシテ↠心↡。毎↢一々念↡莫スコト↢疑心↡。

 ^いちにはだいじょう*じっおこしてしょうらいるべし。

ニハ↧発シテ↢大乗実智↡知↦生死由来↥。

^¬*だい円覚えんがくきょう¼ のにのたまふがごとし。

↢¬大円覚経¼偈フガ↡。

^一切いっさいのもろもろのしゅじょうの、 無始むしまぼろしみょうは、
みなもろもろの如来にょらいの、 *円覚えんがくしんよりこんりゅうせり」 と。

「一切衆生无始无明
皆従↢諸如来円覚心↡建立セリト

^1049さにるべし、 しょうそくはんなり、 煩悩ぼんのうそくだいなり、 えんにゅう無礙むげにして無二むにべつなり。 しかるを一念いちねん妄心もうしんによりて、 しょうさかいりにしよりこのかた、 みょうやまいめしひられて、 ひさしく*本覚ほんがくどうわすれたり。 ただ諸法しょほうはもとよりこのかた、 つねにおのづからじゃくめつそうなり。 まぼろしのごとくしてさだまれるしょうなし。 しんしたがひて転変てんぺんす。

↠知、生死即涅槃ナリ煩悩即菩提ナリ円融无礙ニシテ无二无別ナリ。而ルヲリテ↢一念妄心↡入リニシヨリ↢生死コノカ、无明レテ↠盲シクワスレタリ↢本覚↡。但諸法↠本コノカ寂滅ナリ。如クシテ↠幻↢定マレル性↡。随ヒテ↠心而転変

^このゆゑに、 ぶっ三宝さんぼうねんじたてまつりて、 じゃひるがえしてしょうすべし。 しかもぶつはこれおうなり、 ほうはこれりょうやくなり、 そうはこれせんびょうにんなり。 みょうやまいのぞき、 しょうけんまなこひらき、 本覚ほんがくどうしめして、 じょういんじょうすることは、 仏法ぶっぽうそうにしくはなし。

仏子応↧念ジタテマツリテ↢三宝↡、翻シテ↠邪↞正。然是医王ナリ是良薬ナリ是瞻病人ナリ。除↢无明↡、開↢正見↡、示シテ↢本覚↡引↢スルコトハ浄土↡、无↠如クハ↢仏法僧↡。

^このゆゑに、 ぶっだいおうおもいをなして、 一心いっしんぶつねんじたてまつるべし。 「南無なもさん十方じっぽう一切いっさい諸仏しょぶつ南無なもほんしゃ牟尼むにぶつ南無なもやく琉璃るりこうぶつ」 と。 三念さんねんじょう南無なも弥陀みだぶつ」 と。 じゅうねんじょう

仏子、先シテ↢大医王↡一心シテジタテマツル↞仏南无三世十方一切諸仏、南无本師釈迦牟尼仏、南无薬師琉璃光三念已上 南无阿弥陀十念已上

^つぎみょうりょうやくおもいしょうじて、 一心いっしんほうねんずべし。 「南無なもさん*ぶつ摩訶まか般若はんにゃ波羅はらみつ南無なもびょうどうだいみょうほうれんきょう南無なも*八万はちまんじゅう一切いっさいしょうぼう」 と。

↧生ジテ↢妙良薬↡一心↞法。南无三世仏母摩訶般若波羅蜜、南无平等大慧妙法蓮花経1164、南无八万十二一切正法

^つぎ*随逐ずいちくねんおもいしょうじて、 一心いっしんそうねんずべし。 「南無なもかんおんさつ南無なも大勢だいせいさつ南無なもげんさつ南無なも文殊もんじゅ師利しりさつ南無なもろくさつ南無なもぞうさつ南無なもりゅうじゅさつ南無なもさん十方じっぽう一切いっさいしょうじゅ南無なも極楽ごくらくかい一切いっさい三宝さんぼう南無なもさん十方じっぽう一切いっさい三宝さんぼう」 と。

↧生ジテ↢随逐護念↡一心↞僧。南无観世音菩薩、南无大勢至菩薩、南无普賢菩薩、南无文殊師利菩薩、南无弥勒菩薩、南无地蔵菩薩、南无龍樹菩薩、南无三世十方一切聖衆、南无極楽界会一切三宝、南无三世十方一切三宝

^三念さんねんじょう、 あるいは1050よろしきにしたがひて、 同音どうおん助念じょねんせよ。 あるいは鐘声しょうしょうかしめて、 しょうねんぞうせしめよ。 下去げこはこれにじゅんぜよ。

三念已上、或イハヒテ↠宜シキニ、同音助念セヨ。或イハメテ↠聞↢鐘声↡、増セシメヨ↢正念↡。下去ゼヨ↠之

 ^には*ほっしょうびょうどうなりといへども、 また仮有けうはなれず。

ニハ法性↢平等ナリト↡、亦不↠離↢仮有↡。

^弥陀みだぶつののたまふがごとし。

↢弥陀仏フガ↡。

^諸法しょほうしょうは、 一切いっさいくう無我むがなりと通達つうだつして、
もつぱらじょうぶつもとむれば、 かならずかくのごときじょうせつじょうず」 (*大経・下) と。

「通↢達シテ諸法一切空无我ナリト
浄仏土ズト↢如↠是クノ浄刹↡」

^ゆゑにじょうおうじょうせんがために、 づこのさかいえんすべし。 いまこのしゃかいは、 これ悪業あくごう所感しょかんなり、 しゅ本源ほんげんなり。 しょうろうびょう輪転りんでんしてきわなし。 三界さんがい極縛ごくばくにしていちたのしむべきことなし。 もしこのときにおいてこれをえんせずは、 まさにいづれのしょうにかりんはなるべけんや。

↣往↢生セムガ浄土↡、先↣厭↢離↡。今此娑婆世界是悪業所感ナリ、衆苦本源也。生老病死輪転シテ↠際。三界極縛ニシテ↢一キコト↟楽。若↢此↡不↣厭↢離↡、当ケム↣於何レノニカ↢輪廻↡耶。

^しかも弥陀みだぶつには不可ふか思議しぎりきまします。 もし一心いっしんみなしょうすれば、 念々ねんねんのうちに、 はちじゅう億劫おくこうしょうじゅうざいめっしたまふ。 このゆゑに、 いままさに一心いっしんにかのぶつねんじて、 このかいはなるべし。

阿弥陀仏ニハ↢不可思議威力↡。若一心スレバ↠名、念念之中シタマフ↢八十億劫生死重罪↡。是今当↧一心シテジテ↢彼↡離↦此苦界↥。

^このおもいをなすべし、 「ねがはくは弥陀みだぶつけつじょうしてわれを抜済ばっさいしたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつそのじゅうねんじょう信心しんじんいきおひのくるをて、 つぎすす1051べし。 あるいはくわへてさつ (観音・勢至) をしょうせよ。 下去げこはこれにじゅんず。

↠作↢是↡。願クハ阿弥陀仏、決定シテ抜↢済シタマヘト↡。南无阿弥陀仏。レバ↢其十念以信心↡、応↠勧↢次↡。イハヘテセヨ↢二菩薩↡。下去↠之

 ^さんにはじょうごんすべし。

ニハ↣欣↢求浄土↡。

^西方さいほう極楽ごくらくは、 これだいじょう善根ぜんごんさかい無苦むくのうところなり。 ひとたび蓮胎れんたいたくしぬれば、 ながしょうはなれ、 まなこには弥陀みだしょうようたてまつり、 みみにはじんみょう尊教そんきょうく。 一切いっさいらくそくせずといふことなし。

西方極楽、是大乗善根界、无苦无悩ナリ。一タビシヌレバ↢蓮胎↡永↢生死ニハタテマツリ↢弥陀之聖容↡、耳ニハ↢深妙之尊教↡。一切快楽无↠不トイフコト↢具足↡。

^もしひとりんじゅうときに、 たび弥陀みだぶつねんずれば、 けつじょうしてかの安楽あんらくこくおうじょうす。 ぶっ、 いまたまたま人身にんじんたり、 またぶっきょうへり。 なほ*一眼いちげんかめの、 うきあなへるがごとし。 もしこのときにおいて、 おうじょうすることをずは、 かえりて三悪さんまく八難はちなんのなかにして、 ほうくことなほかたし。 いかにいはんや、 おうじょうをや。 ゆゑに、 一心いっしんにかのぶつしょうねんしたてまつるべし。

人臨終タビズレバ↢弥陀仏↡、決定シテ往↢生安楽国↡。仏子1165今適タリ↢人身↡、亦値ヘリ↢仏教↡。猶↣一眼ヘルガ↢浮木↡。若↢此↡不↠得↢往生スルコトヲ↡、還リテシテ↢三悪・八難之中↡、聞クコト↠法尚難ケム。何往生ヲヤ。故↣一心シテ称↢念シタテマツル↡。

^このねんをなすべし、 「ねがはくはぶつ今日こんにちけつじょうして、 われを*いんじょうして、 極楽ごくらくおうじょうせしめたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠作↢是↡、願クハ仏、今日決定シテ引接シテ、於↠我往↢生セシメタマヘト極楽↡。南无阿弥陀仏

 ^にはおほよそかのくにおうじょうせんとおもふものは、 すべからくそのごうもとむべし。

ニハハム↣往↢生セムト↡者、須↠求↢其↡。

^かのぶつ本願ほんがん (第二十願) にのたまふがごとし。 「たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょう、 わがみょうごうきて、 おもいをわがくにけて、 もろもろのとくほんゑて、 しんいたしてこうして、 わがくにうまれんとほっせん。 はたげずは、 しょうがく1052らじ」 (大経・上) と。

↢彼本願フガ↡。「設我得タラムニ↠仏、十方衆生、聞キテ↢我名号↡、係ケテ↢念↡、殖↢諸↡、至シテ↠心廻向シテセム↠生レムト↢我トイハバ↢果↡者、不↠取↢正覚↡。」

^ぶっいっしょうのあひだ、 ひとへに西方さいほうごうしゅす。 所修しょしゅごうおおしといへども、 するところはただ極楽ごくらくなり。 いますべからくかさねて三際さんざい一切いっさい善根ぜんごんじゅしゅうして、 ことごとく極楽ごくらくこうすべし。

仏子一生之間偏↢西方↡。所修業雖↠多シト、所↠期スル極楽ナリ。今須↧重ネテ聚↢集シテ三際一切善根↡、尽廻↦向極楽↥。

^このおもいをなすべし、 「ねがはくは、 わがしょ一切いっさい善根ぜんごんりきによりて、 今日こんにちけつじょうして極楽ごくらくおうじょうせん」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠作↢是↡、願クハリテ↢我所有一切善根力↡、今日決定シテ往↢生セムト極楽↡。南无阿弥陀仏

 ^にはまた本願ほんがん (第十九願) にのたまはく、 「たとひわれぶつたらんに、 十方じっぽうしゅじょう提心だいしんおこして、 もろもろのどくしゅして、 しんがんおこして、 わがくにうまれんとほっせん。 寿じゅじゅうときのぞみて、 たとひ大衆だいしゅにょうして、 そのひとまえげんぜずは、 しょうがくらじ」 (大経・上) と。

ニハ又本願、「設我得タラムニ↠仏、十方衆生、発シテ↢菩提心↡、修シテ↢諸功徳↡、至心シテ↠願、欲セム↠生レムト↢我ミテ↢寿終↡、仮令 タトヒ トイハバ↧与↢大衆↡囲遶シテ↦其↥者、不↠取↢正覚↡。」

^ぶっひさしくすでに提心だいしんおこし、 およびもろもろの善根ぜんごんをもつて極楽ごくらくこうせり。 いますべからくかさねて提心だいしんおこして、 かのぶつねんじたてまつるべし。

仏子久シク↢菩提心↡、及善根ヲモテ廻↢向セリ極楽↡。今須↧重ネテシテ↢菩提心↡念ジタテマツル↦彼↥。

^このおもいをなすべし、 「ねがはくはわれ、 一切いっさいしゅじょうやくせんがために、 今日こんにちけつじょうして極楽ごくらくおうじょうせん」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠作↢此↡、願クハ我為↣利↢セムガ一切衆生↡、今日決定シテ往↢生セムト極楽↡。南无阿弥陀仏

 ^ろくにはすでにりぬ。 ぶっはもとよりこのかた、 おうじょうごうせり。 いますべからくもつぱら弥陀みだ如来にょらいねんじて、 ごうをしてぞうじょうならしむべし。

ニハリヌ。仏子ヨリコノカセリ↢往生↡。今須↧専ジテ↢弥陀如来↡、令↦業ヲシテ盛↥ナラ

^しかも、 かの1053ぶつどくりょうへんにして、 つぶさにくべからず。 いまげん十方じっぽうにまします、 おのおのごうしゃとう諸仏しょぶつ、 つねにかのぶつどくしょうさんしたまふ。 かくのごとくしょうさんしたまふこと、 たとひ恒沙ごうじゃこうとも、 つひにじんすべからず。 ぶっそうじて一心いっしんにかのぶつどくみょうすべし。

功徳无量无辺ニシテ不↠可カラ↢具↡。今現十方、各恒河沙等諸仏恒常 ツネ 称↢讃シタマフ功徳↡。如↠是1166クノ称讃シタマフコト、設トモ↢恒沙劫↡終不↠可カラ↢窮尽↡。仏子総ジテ↣一心帰↢命功徳↡。

^おもふべし、 「われいま、 一念いちねんのうちに、 ことごとくもつて弥陀みだ如来にょらい一切いっさい万徳まんどくみょうす」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠念、我今一シテ、尽帰↢命スト弥陀如来一切万徳↡。南无阿弥陀仏

 ^しちにはぶっ弥陀みだぶついち色相しきそうねんじて、 しんをしていっきょうじゅうせしむべし。

ニハ仏子応↫念ジテ弥陀仏色相↡令↪心ヲシテ↩一境↨。

^いはく、 かのぶつ色身しきしんえん檀金だんごんのごとし。 とく巍々ぎぎたること金山こんぜんおうのごとく、 りょう相好そうごうをもつて、 そのしょうごんせり。 そのなかにけんびゃくごうは、 みぎめぐりて婉転えんでんせることしゅのごとし。 しちひゃくていろっひゃくまんこうみょうねん赫奕かくやくたること億千おくせん日月にちがつのごとし。

色身クシテ↢閻浮檀金威徳巍々タルコト↢金山王無量相好ヲモテ荘↢厳セリ↡。其眉間白毫リテ婉転セルコト、如五須弥↡。七百五倶胝六百万光明、熾然赫奕タルコト↢億千日月↡。

^これすなはち無漏むろ万徳まんどくじょうじゅしたまへるところ、 大定だいじょう智悲ちひすいせるところなり。 しゅのあひだも、 このそうおもへば、 よくじゅうろくおく那由なゆごうしゃ塵数じんしゅこうしょうじゅうざいめっす。 このゆゑに、 いままさにかのそう憶念おくねんして、 けつじょうして罪業ざいごう滅除めつじょすべし。

是即无漏万徳之所↢成シタマヘル↡、大定智悲之所↢流出セル↡也。須臾之間ヘバ↢此↡者、能↢九十六億那由他恒河沙微塵数劫生死重罪↡。是今当↧憶↢念シテ↡決定シテ滅↦除罪業↥。

^このおもいをなすべし、 「ねがはくはびゃくごうそうひかり、 わがもろもろのつみめっしたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠作↢此↡、願クハ白毫相光滅シタマヘト↢我↡。南无阿弥陀仏

 ^はちにはかのびゃくごうそうのそこばくのこうみょうは、 つねに十方じっぽうかい念仏ねんぶつしゅじょうらし1054て、 *摂取せっしゅしててたまはず。 まさにるべし、 だいこうみょうけつじょうしてきたりてらしたまふらん。

ニハ白毫相若干ソコバク光明、常シテ↢十方世界念仏衆生↡、摂取シテ不↠捨テタマハ。当↠知、大悲光明決定シテリテシタマフラム

^¬ごん¼ のにのたまふがごとし。

↢¬花¼偈フガ↡。

^「またこうみょうはなちたまふを見仏けんぶつづく。 かのひかり命終みょうじゅうのものをかくせしめたまふ。
念仏ねんぶつ三昧ざんまいをしてかならずぶつたてまつり、 命終みょうじゅうのち仏前ぶつぜんうまる」 と。

「又放チタマフヲ↢光明↡名↢見仏覚↢悟セシメタマフ命終
念仏三昧ヲシテタテマツリ↠仏命終之後ルト↢仏前↡」

^ゆゑにいまこのおもいをなすべし、 「ねがはくは弥陀みだぶつ清浄しょうじょうひかりはなちて、 はるかにわがしんらしたまひ、 わがしんかくして、 *きょうがいたいとうしょうとの三種さんしゅあいてんじて、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいじょうじゅして極楽ごくらくおうじょうすることをしめたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

今応↠作↢是↡、願クハ弥陀仏放チテ↢清浄↡、遥シタマヒ↢我↡、覚↢悟シテ↡、転ジテ↢境界自体当生トノ三種↡、令メタマヘト↠得↣念仏三昧成就シテ往↢生スルコトヲ極楽↡。南无阿弥陀仏

 ^には弥陀みだ如来にょらいは、 ただひかりをもつてはるかにらしたまふのみにあらず。 みづから観音かんのんせいとつねにきたりてぎょうじゃようしたまふ。 いかにいはんや、 父母ぶもやまいにおいては、 そのしんひとへにおもし。 ˆぶつはˇ ほっしょうやまうごかし、 しょううみりたまふ。 まさにるべし、 このときに、 ぶつだいこうみょうはなちて、 もろもろのしょうじゅとともにきたりて、 *いんじょうようしたまふらん。 わくしょうあひへだてて、 たてまつることあたはずといへども、 だいがんうたがふべからず。 けつじょうしてこのしつ来入らいにゅう1055たまふらん。

ニハ弥陀如来↢唯↠光シタマフノミニ↡。自与↢観音・勢至↡常リテ擁↢護シタマフ行者↡。何、父母テハ↢病↡其1167心偏。動↢法性↡、入リタマフ↢生死↡。当↠知、是仏放チテ↢大光明↡、与↢諸聖衆↡倶リテ引接擁護シタマフラム或障相隔テテ↠不↠能↠見タテマツルコト、大悲願不↠可カラ↠疑。決定シテ来↢入シタマフラム↡。

^ゆゑにぶっ、 このおもいをなすべし、 「ねがはくはぶつだいこうみょうはなちて、 観音かんのんせいとともにきたりて、 けつじょうして来迎らいこうし、 いんじょうして極楽ごくらくおうじょうせしめたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつじょうだいしちはちじょうは、 つねに勧誘かんゆうすべし。 そのじょうは、 時々じじ、 これをもちゐよ。

仏子応↠作↢是↡、願クハ仏放チテ↢大光明与↢観音・勢至↡倶リテ、決定シテ来迎引接シテ往↢生セシメタマヘト極楽↡。南无阿弥陀仏 已上第七・八・九条、常↢勧誘↡。其、時々用ヰヨ↠之

^もし病者びょうしゃりき、 やうやく羸劣るいれつなるときには、 いふべし、 「ぶつ観音かんのんせいりょうしょうじゅとともにきたりて、 宝蓮台ほうれんだいささげて、 ぶっいんじょうしたまふらん」 と。

病者気力漸々ヤウヤク羸劣ラムニハ、応↠云、仏与↢観音・勢至、无量聖衆↡倶リテササゲテ↢宝蓮台而引↢シタマフラムト↡。

 ^じゅうにはまさしくおわりにのぞときにいふべし、 「ぶっるやいなや。 ただいまはすなはちこれさいしんなり。 りんじゅう一念いちねんひゃくねんごうすぐれり。 もしこのせつぎなば、 しょうじょいちじょうしぬべし。 いままさしくこれそのときなり。 まさに一心いっしんぶつねんじて、 けつじょうして西方さいほう極楽ごくらくみょうじょう*はっどくのうちの、 七宝しっぽう蓮台れんだいうえおうじょうすべし」 と。

ニハシク↠終↠云仏子知ルヤ但今是最後心也。臨終一念レリ↢百年↡。若↢此刹那↡、生処応一定シヌ↡。今正シク是其ナリ。当シト↣一心シテジテ↠仏、決定シテ往↢生西方極楽微妙浄土八功徳池、七宝蓮台↡。

^このおもいをなすべし、 「如来にょらい本誓ほんぜい一毫いちごうあやまることなし。 ねがはくはぶつけつじょうしてわれをいんじょうしたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

↠作↢是↡、如来本誓一毫↠謬ルコト。願クハ仏、決定シテ引↢シタマヘト於我↡。南无阿弥陀仏

^あるいは漸々ぜんぜんりゃくりて、 おもふべし、 ねがはくはぶつ、 かならずいんじょうしたまへ」 と。 南無なも弥陀みだぶつ

イハ漸々リテ↠略↠念、願クハ仏必引摂シタマヘト南无阿弥陀仏

^かくのごとくびょうしゃしきて、 その所応しょおうずいじゅんして、 ただ*いちをもつてさいねんとなし、 しゅなることをざれ。 そのことばしんは、 ことにようすべ1056し。 びょうしゃをして*攀縁へんえんをなさしむることなかれ。

↠是クノ↢病者気色↡、随↢順シテ所応↡、但以↢一↡為↢最↠得↢衆多ナルコトヲ↡。其進止↢殊用意↡。勿↠令ムルコト↣病者ヲシテ於攀縁↡矣。

 ^はく、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ にくがごとし。 「ぶつなんげたまはく、 ªもししゅじょうありて、 ちちころし、 ははがいし、 六親ろくしん*にくせらん。 このつみつくれるものは、 命終みょうじゅうときに、 あかがねくちりてじゅうはちくるます。 かたち金車こんしゃのごとし。 宝蓋ほうがいうえにありて、 一切いっさいえんは、 してぎょくにょとなる。 罪人ざいにんはるかにて、 しんかんしょうじて、 «われなかにかんとほっす» と。

、如↢¬観仏三昧経¼説クガ↡。「仏告ゲタマハク↢阿難↡、若リテ↢衆生↡、殺↠父↠母、罵↢辱セラム六親↡。作レル↢是↡者、命終之時、銅狗張リテ↠口↢十八↡。カタチクシテ↢金車宝蓋ケリ↠上一切火焔シテ↢玉女↡。罪人遥ジテ↢歓喜↡、我欲スト↠往カムト↠中

^風刀ふうとうくるときに、 かんきゅうにしてこえうしなひ、 «むしろこうて、 くるまうえにありて、 してゆるにみづからあぶられん» と。 このおもいをなしをはりて、 すなはち命終みょうじゅうす。 かくのあひだに、 すでに金車こんしゃしぬ。 ぎょくにょかえりまばれば、 みなてっりて、 そのるº」 と。

1168刀解寒急ニシテ↠声↢好火↡、在リテ↢車↡、坐シテキテアブムト。作↢是↡已リテ即便命終。揮攉之間↢金車↡。顧マバレバ玉女↡、皆リテ↢鉄斧ルト↡。」

^またのたまはく (観仏三昧経)、 「またしゅじょうありて、 じゅうきんおかし、 むなしく*しんらひ、 ほう邪見じゃけんにして、 いんらず、 般若はんにゃがくすることをだんじ、 十方じっぽうぶつそしり、 *そうもつぬすみ、 *婬妷いんいつどうにして、 じょうかいのもろもろの比丘びくまいしんしゃくひつりゃくして、 さんすることをらず、 所親しょしんにくし、 もろもろのあくつくれる、 このひと罪報ざいほう命終みょうじゅうときのぞみて、 風刀ふうとうくに、 *えんじょうなること、 *じょうこうむるがごとし。

又言、「復有リテ↢衆生↡犯↢四重禁↡、虚シク↢信施↡、誹謗・邪見ニシテ不↠識↢因果↡、断↠学スルコトヲ↢般若↡、毀↢十方↡、偸↢僧祇物↡、婬妷无道ニシテ逼↢略シテ浄戒比丘尼、姉妹・親↡、不↠知懴愧スルコトヲ↡、毀↢辱所親↡、造レル↢衆悪事↡、此罪報、臨ミテ↢命終↡風刀解クニ坐不定ナルコト↠被ルガ↢杖↡。

^そのしん荒越こうおつして、 きょうおもいおこし、 おのがしつたく1057れば、 男女なんにょだいしょう一切いっさいは、 みなこれじょうものなり。 尿にょうくさところにして、 ほかにようせん。 そのときに、 罪人ざいにんすなはちこのをなしていはく、 ªなんぞ、 このところじょうかくおよび山林せんりんの、 われをして遊戯ゆげせしむるものなくして、 すなはちかくのごときじょうもつのあひだにしょせるやº と。

荒越↢痴狂↡、見↢己室宅男女・大少一切皆是不浄之物ナリ。屎尿シテ盈↢流セム于外↡。爾罪人即シテ↢是↡云、何↣好城廓及山林使ムルモノ↢吾ヲシテ遊戯↡、乃セルコトヲヤト↢如↠此クノ浄物↡。

^このをなしをはるに、 獄卒ごくそつせつおおきなる鉄叉てっしゃをもつて、 阿鼻あびごくおよびもろもろの刀山とうせんささげて、 して宝樹ほうじゅおよび清涼しょうりょういけとなす。 えんして金葉こんようれんとなり、 もろもろのてつくちばしあるむしは、 してがんとなる。 ごくいたこえは、 ようおんのごとし。 罪人ざいにんきをはりて、 ªかくのごときところに、 われまさになかにあそぶべしº とおもふ。 ねんじをはりて、 いでときだいれんせん」 と。

↢是↡已ルニ、獄率・羅刹以↢大ナル鉄叉ササゲテ↢阿鼻地獄及刀山↡、化シテサム↢宝樹及清涼↡。火焔シテラム↢金葉蓮花アルシテラム↢鳧・雁地獄クアラム↢詠歌↡。罪人聞リテ、如↠此クノ吾当シトオモフ↠遊↠中。念リテセムト↢大蓮花↡。」

^いかんぞるや、 今日こんにちれんきたむかふること、 これ火華かけにあらずとは。

ルヤ、今日蓮花フルコトズトハ↢是火花↡。

^こたふ。 かんしょう (懐感)しゃくしていはく (群疑論)、 「をもつてのゆゑに、 *しゃにあらずといふことをる。 いちにはぎょうをもつて、 にはそうをもつて、 さんにはをもつて、 にはぶつをもつてなり。 この四義しぎ火華かけことなり。

スラク感和尚シテ、「以テノ↢四↡故↠非ズトイフコトヲ↢火車↡。一ニハ↠行、二ニハ↠相、三ニハ↠語、四ニハテナリ↠仏。此四義異ナリ↢火華↡。

^いちぎょうをもつてとは、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ に、 ª罪人ざいにんつみつくりて、 じゅうきんおかし、 ない所親しょしんにくしてº とけども、 悔過けかをなさず、 ぜんの、 おしへてぶつねんぜしむるにもはざ1058るがゆゑに、 所見しょけんはなはこれごくすがたなり。 いまこのぼんとう三人さんにんは、 またうまれてよりこのかた、 つみつくれりといへども、 おわりのときに、 ぜんしきひて、 しんいたしてぶつねんず。 ぶつねんずるをもつてのゆゑに、 こうつみめっして、 しょうどくじょうじて、 ほうのなかのはなきたむかふることを感得かんとくす。 あにさきはなおなじからんや。

テト↠行者、¬観仏三昧経¼説カク罪人リテ↠罪、犯↢四重禁↡、乃至毀↢辱シテ所親↡、不↠↢悔過↡、不ルガ↠遇↢善1169ヘテムルニモ↟念↠仏、所見是地獄ナルナリ。今此下品等三人、雖↢復生レテヨリコノカレリト↟罪、終ヒテ↢善知識↡、至シテ↠心↠仏。以テノ↢念↡故シテ↢多劫↡、成ジテ↢勝功徳↡、感↢得宝池花来フルコトヲ↡。豈ジカラム↢前↡也。

^そうといふは、 かの ¬きょう¼ (観仏経) に、 ª風刀ふうとうくに、 えんさだまらず、 たつこうむるがごとし。 そのしん荒越こうおつして、 きょうおもいおこす。 おのが室宅しつたくれば、 男女なんにょだいしょう一切いっさいは、 みなこれじょうものなり。 尿にょうくさところにして、 ほかにようせんº とけども、 いまこれは、 ぶつねんじて、 身心しんしん安穏あんのんにして、 悪想あくそうすべてめっしぬ。 ただしょうじゅ*こうあることをぐ。 ゆゑにるいせざるなり。

トイフ者、彼カク風刀解キテ↠身偃臥不↠定マラ、如↠被ルガ↢楚↡。其荒越シテ↢狂痴↡。見室宅男女・大少一切皆是不浄之物ナリ屎尿シテ盈↢流于外今此ズルニハ↠仏、身心安シテ、悪想都シヌ。唯見↢聖衆↠有ルコトヲ↢異香↡。故↠類也。

^さんといふは、 かの ¬きょう¼ (観仏経) のなかに、 ªごくいたこえは、 ようおんのごとし。 罪人ざいにんきをはりて、 «かくのごときところに、 われまさになかにあそぶべし»º とけども、 ¬かんぎょう¼ のなかに、 たたへてのたまはく、 ª善男ぜんなん、 なんぢ、 ぶつみなしょうするがゆゑに、 もろもろのつみしょうめつして、 われきたりてなんぢをむかふº と。 かれ (観仏経) はこれようおんなり。 これ (観経)滅罪めつざいぶ。 おんすでにべつなり。 ゆゑにどうなり。

トイフ者、彼¬経¼中カク地獄↢詠歌↡。罪人聞リテ、如↠此クノ吾当シトイフ↠遊↠中¬観経¼中ジテ、善男子、汝称スルガ↢仏↡故罪消滅シテ、我来リテフトイフ↠汝。彼是詠歌之音ナリ。此↢滅罪之語↡。二音既ナリ。故不同也。

^ぶつといふは、 かの ¬きょう¼ (観仏経)1059、 ª一切いっさいえんは、 してぎょくにょとなる。 罪人ざいにんはるかにて、 しんかんしょうじて、 «われなかにかんとおもふ» と。 金車こんしゃしをはりて、 ぎょくにょかえりまばれば、 みなてっりて、 そのるº と。 ¬かんぎょう¼ に、 ªそのときに、 かのぶつ、 すなはちぶつかんおん大勢だいせいつかはして、 ぎょうじゃまえいたらしむº とのたまへり。

トイフ者、¬経イハク¼一切火焔シテ↢玉女↡。罪人遥ジテ↢歓喜↡、我欲ヒテ↠往カムト↠中↢金車↡已リテ、顧マバレバ玉女↡、皆リテ↢鉄斧↡折↢截イヘリ↡。¬観経¼言仏即シテ↢化仏・化観世音・化大勢至↡、至シムトイヘリ↢行者↡。

^このをもつて、 なぞらへてれ。 れん来迎らいこうすること、 ¬観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ のせつにはどうぜず」 と。

↢此↡准ヘテ。蓮花スルコト↠同↢¬観仏三昧経¼説ニハ↡。」

^かんびょうにんは、 よくこのそうさとりて、 しばしばびょうしゃしょのもろもろのひて、 さきぎょうによりて種々しゅじゅきょうせよ。

看病之人、能サトリテ↢此↡、数ヒテ↢病者所有↡、依リテ↢前行儀↡種々教化セヨ

おうじょうようしゅう かんちゅう

 

延書の底本は京都府青蓮院蔵承安元年書写本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし訓はかなり異なり、 対校諸本によるか。
尽第六別時念仏門 本書の巻中が大文第六の別時念仏までであるという意。
諸経 以下の第四観察かんざつもんに引用される経典を指す。
別相観 仏の華座および仏身の相好の一々を観想すること。
尼楼陀精舎 (釈尊の生国) の南にあった庭園。 釈尊がここで父王のために法を説いたので、 精舎 (僧院の意) の語を付して呼ばれる。
七帀 七周。
紺琉璃 琉璃は青色の宝玉で、 瑠璃とも書く。
輪埵 円く盛り上がった耳たぶ。
陀羅尼の人 陀羅尼だらにをたもつ人。
 随形好ずいぎょうこうのこと。
光沢熙怡 つややかで柔和なこと。
端正皎潔 よくととのって、 きよらかに澄みわたっていること。
五丈 諸本には 「長丈五」 とある。 丈五は一丈五尺。
不共の法 じゅうはち不共ふぐほうのこと。
のを、 香に喩えていう。
量りのごとくにして 天秤のようにつりあいがとれているという意。
大経 底本 (青蓮院本) には 「大集経」 とある。
口の四の過 もうりょうぜつあっ綺語きごごうの四悪。
大般若 底本 (青蓮院本) には 「大集般若」 とある。
詞韻和雅 言葉の響きが柔和・優雅であること。
迦陵頻 りょうびんのこと。
梵音声 仏のきよらかな声。
点相 梵字の伊字の三点に似た形。 「∵」 の形のこと。
欠瓫骨満 のどぼとけの突起がないという意。 あるいは両肩のくぼみがないという意か。
双臂肘 両ひじ。
円 まるみを帯びていること。
千輻の理 千の放射状の (車輪の輻) のような模様。 せん輻輪ぷくりんそうのこと。
手摩膝の相 手がひざにまでとどく相。
文綺画に同じ 文様はあやぎぬの画と同じ。
閻浮金 →えん檀金だんごん
心相 心臓のありさま。
除却すと 底本 (青蓮院本) には下に 「云々」 の二字がある。
四大不調 病気のこと。 身体を構成するすいふうの四大が調和しないと病気になるという。
方円 完全に円満であること。
双腨 両足のふくらはぎ。
翳泥耶仙鹿王 翳泥耶は梵語アイネーヤ (aineya) の音写。 鹿のこと。
 足の甲。
棘刺 いばら・とげ。
網轂 網は異本には 「輞」 (車の輪) とある。 轂は車のこしき。
 異本には 「坦」 とある。
広相と随好 仏のすぐれた形相の特徴のうち顕著なもの (広相) と微細なもの (随好)。 →相好そうごう
相好の業 相好を得るための業因。
 底本 (青蓮院本) には 「如」 とある。
清浄勝意楽地 ¬瑜伽ゆがろん¼ で菩薩の修道階位を七地に分けるうちの第三のじょうしん十地じゅうじの位ではしょに相当する。
菩提の資糧 さとりに至るためのもととなる善根ぜんごんどく
六十二の因 父母にようをし、 じょうを救護する、 尊長を敬い礼拝らいはいする、 などの六十二種の善因。
大丈夫 立派な人。 ここでは仏のこと。
善巧方便 たくみな手段、 方法。
無倒回向 真如しんにょほっしょうの理にかなったなにものにもとらわれない回向。
相好間雑して 広相と随好とをまじえて。
総相観 仏身の全体を観想すること。
摂取して… →摂取せっしゅしゃ
熾然赫奕 さかんに光り暉くさま。
須弥鉄囲 しゅせんてっせん
滉瀁浩汗 水が満ちひろがったさま。
三身一体の身 法・報・応の三身さんしんどくをそなえた身体。
生ぜず滅せず… 以下の八種の否定はりゅうじゅ菩薩の ¬中論¼ によったもので、 八不とよばれる。
普門塵数 普門はすべて、 あらゆるの意。 塵数は無数の意。
無尽の法界 すべての存在世界。
心言の路絶えたり 思慮や言語を超えている。
三身即一 法・報・応の三身さんしんがそのまま一であるとの意。
一色一香… すべてのものはことごとくちゅうどう実相じっそうの理のあらわれであるという意。 天台てんだい大師智顗ちぎの ¬摩訶まかかん¼ に見える語。
受想行識 おん (五蘊ごうん) のうちの精神面の四。
一体無礙 さわりなく一つに融けあっていること。
雑略観 種々の相好そうごうを略して白毫相びゃくごうそう (眉間にある白色の旋毛) のみを観想すること。
別巻 源信げんしんしょう撰 ¬弥陀みだぶつびゃく毫観ごうかん¼ のこと。
極略 きわめて簡略な観想のこと。
行住坐臥語黙作々 歩く、 とどまる、 すわる、 す、 話す、 黙る。 いかなる場合にもの意。
力無畏 じゅうりきしょじゅうはち不共ふぐほうの全体を指す。
能施所施 能施は施し与える人、 所施は施しを受ける人。
三際 前際 (過去)・中際 (現在)・さい (未来)。 さんに同じ。
未来際を尽すまで 未来永劫に。
第三の回向 三種回向 (だいこうしゅじょうこう実際じっさいこう) のうちの第三、 実際回向のこと。 →こう
菩薩 底本 (青蓮院本) には 「菩提」 とある。
願薫じて種となり 願の香りが移り付いて善根ぜんごんの種になるという意。
九世 ごん教学では、 過去・現在・未来の三世におのおの三世を認めて九世とし、 それらが一つに融合しているという。
無上正等菩提 のく三藐さんみゃく三菩提さんぼだいに同じ。
大荘厳論 現存の ¬大荘厳だいしょうごんろん¼ に該当する文はない。 道世どうせい編の ¬しょきょうようしゅう¼ 巻十に引く ¬だいさつぞうきょう¼ の文によったものか。
妙色財 すぐれた容色と財物。
貪慳積聚して むさぼり、 ものおしみをして (財を) 集めて。
論の文 ¬だい智度ちどろん¼ 巻四六に記す問答の第十を指すものか。
円融無作 無差別平等で、 一切の作為を超え離れていること。
土風に… 日本の仏事法会では、 回向の次第を 「回施えせ法界ほうかい」 「こうだいだい」 の順とする。
有相の回向 差別の相にとらわれた回向。
一目の羅… 目の一つしかない網では鳥を捕らえることはできない。 天台てんだい大師の ¬摩訶まかかん¼ 巻五にもとづく語。
内外 心と身体。
感禅師は… ¬ぐんろん¼ 巻七に見える説。
通途の所用 通常、 用いられるもの。
摂論等 ¬しょうだいじょうろん¼ 巻八、 ¬舎論しゃろん¼ 巻二十七など。
他に抄掠せられ 他人にさらわれて。
報の尽くるを期となして 現在のこの身 (報) が尽きるまでという意。
余課を留めざるべし 課は一日に行うべき仕事を定め置くこと。 念仏と読経以外はこの課に入れないようにせよという意。
瑠璃王の行 政務のために修行に専念できない瑠璃王 (波瑠璃王) は、 釈尊の教えによって、 常に木槵子むくろじの数珠を携え、 戦場にあっても仏を念じつづけたという。
四の相 しゅの相。
念観 専念に観察かんざつすること。
外人 余他の人。
行人 (念仏ねんぶつ三昧ざんまいの) 行者。
無利の勤苦 なんの利益もない苦しい勤め。
無量清浄覚経に… 引用は ¬りょう清浄しょうじょうびょう等覚どうがくきょう¼ 巻二の文にもとづいたざいの ¬浄土論¼ 巻下の文。
戒定智慧解脱知見 戒・定・慧・解脱・解脱知見のぶん法身ほっしんのこと。
力無所畏不共の法 十力じゅうりきしょを始めとするじゅう八不共法はちふぐほうのこと。
劫寿 一劫の寿命。
前の九号 如来の十号のうち仏世尊以外の九号。 →にょらいじゅうごう
つぶさに悉する 完全に理解するの意。
成ぜんと 諸本には次下に細註で 「首楞厳経しゅりょうごんきょうの文は下の料簡門りょうけんもんのごとし」 とある。
学無学の人 仏道においてなお学ぶべき余地を残す (がく) 者と、 もはや学ぶべきことのない (がく) 者。
 仏のすぐれた形相の特徴のうちの顕著なもの。 →相好そうごう
梵音声 仏のきよらかな声。
慈門 慈悲心のどく
刹塵数 刹は梵語クシェートラ (kṣetra) の音写で国 (土) の意。 国土をじんにしたほど数が多いということ。
ある仏 底本 (青蓮院本) には 「仏」 の字なし。
道人 仏道を修める人。
登時 その時。
よく害するものなし 仏は何者によってもそこなわれることがないという意。
閻魔天宮 閻魔天は夜摩やまてんに同じ。
善趣の楽世界 六道のうちの地獄・餓鬼がきちくしょうを悪趣、 悪世界というのに対し、 天・人・しゅを善趣、 楽世界という。
乳蘇 牛乳を精製してつくった生蘇しょうそ熟蘇じゅくそ
陶家の輪 陶器をつくるためのろく
棗葉 なつめの葉。
随類化現 しゅじょうこん (素質能力) に応じて姿を現すこと。
四事 能害者のうがいしゃぎょうざいじんりき無礙むげ随類ずいるいげんの四。
神境通 神足じんそくつうに同じ。
法界を究竟し 存在世界のすべてにゆきわたり。
遍法界の身 存在世界に遍満している身体。
天眼明徹 三世十方のすべてを明らかに見通すこと。
小千国土 一しゅせん世界を千集めたもの。 →三千さんぜん大千だいせんかい
聞声自在 しゅじょうの声を自由自在に聞きわけること。
知他心智 他人の心のありさまを明らかに知る智慧ちえしん
無色 三界の一の色界しきかいのこと。
宿住随念智 過去世のありさまを自在に知る智慧。 宿命しゅくみょう
智慧無礙 智慧のはたらきが自由自在であること。
六波羅蜜経に… 引用は ¬六波羅蜜経¼ の文ではなく、 ¬だいほうしゃくきょう¼ 巻三十七の文。
四洲 だいしゅうに同じ。
布施波羅蜜多 ろっ波羅ぱらみつのうちの布施ふせ
浄戒波羅蜜多 ろっ波羅ぱらみつのうちのかい
繋属一生の菩薩 一生いっしょうしょの菩薩に同じ。
処非所智 理にかなうことと背くことを明瞭に知る
烏波尼沙陀分 烏波尼沙陀は梵語ウパニシャッド (upaniṣad) の音写。 数の極少の意。
能調伏心 思いのとおりに心を制御する能力。
一縁 ひとつの対象。
大梵王 →梵天ぼんてん
仏覚三昧 仏のようなさとりの境地。
常在安慧 つねに安らぎの智慧ちえに住していること。
先に知りて (真実の理を) すでにさとって。
動性 動揺する性質。
無余涅槃 ここでは仏のにゅうめつの意。
諸受 さまざまな感受作用。
起・住 起は生起、 住は存続。
諸想諸触諸覚諸念 想は感受したものを表象すること、 触は接触感覚、 覚はものごとを推し測る心、 念は記憶作用。
 欠点。 短所。
粗動なる覚観の心 粗雑で動揺する覚想の心。 覚はものごとを推し測る心、 観は覚よりも細密に尋ね知る心。
盲聾 →補註10
 迎接こうしょう。 迎えとって浄土に導き入れること。
無礙弁舌 自由自在に教えを説く能力。
四の問答 四記答のこと。 他人の問に対して答える四つの形式。 直ちに肯定する一向いっこう、 問を分析して、 一々いちいちに諾否を与える分別ふんべつ、 反問して問意を確認し答える反詰はんきつ、 答えるべきものでない問を捨て置くしゃの四をいう。
神力不共の法 仏のみにそなわる不思議なじんりきの徳。
比喩経の… 引用に該当する文は現行の ¬比喩ひゆきょう¼ に見出せない。
無上道の意 この上ないさとりを求める心。 だいしんに同じ。
心言の路絶えたり 思慮や言語を超えている。
一実境界 一如いちにょびょうどうで真実なるさとりの世界。 →一実いちじつ
無障無礙 いかなるさまたげもないこと。
無染寂静 煩悩ぼんのうのけがれがなく絶対の平安であること。
我我所 固定的な自己と自己に所属するものがあるという誤った見解。
本有の性 本来具えている真如しんにょほっしょうの性質。
総観仏徳 総じて仏のどくを観ずること。
尺寸 ものさし。
この三昧 はん舟三昧じゅざんまいのこと。 この三昧が成就すれば、 十方の諸仏が行者の前に立ち現れるという。
定意 はん舟三昧じゅざんまいの異名。
大千の猛火聚 三千大千世界に満ちわたる猛火のかたまり。
勤心の方便 心をはげますためのてだて。
六種の法 かい不犯ふぼん等の五事に読誦どくじゅだいじょうを加えていう。
邪念 底本 (青蓮院本) には 「邪命」 とある。
匱乏飢凍して 貧窮し、 飢えて寒さにふるえて。
阿耨菩提の記を授け →じゅ
馬井 馬師めし井宿しょうしゅく (満宿) のこと。 釈尊在世当時、 徒党を組んで、 いつも誤った行いをした六人の比丘のうちの二人。
 経を読誦することと、 説きひろめること。
実に… 法身ほっしんを明らかにさとる智慧ちえ (了因) と名づけるという意。
余に… 報身ほうじん応身おうじんを生みだすもと (生因) と名づけるという意。
六種の法 →六法ろっぽう
この三昧 はん舟三昧じゅざんまいのこと。
 特別の招待。
諂誑不浄の心 他人にへつらいあざむく、 煩悩ぼんのうにけがれた心。
白衣と厚善し 白衣は在俗者のこと。 在俗者と親しくつきあい。
粗強の惑業 あらあらしい煩悩ぼんのう
覚了 底本 (青蓮院本) には 「学了」 とある。
無安衆の心 無安しゅじょうの心。 衆生を安らかにすることのない心。
四弘 →四弘しぐ誓願ぜいがん
この六法 遠離貪着自身心・遠離無安衆心・遠離供養恭敬自身心・無染清浄心・安清浄心・楽清浄心の六。
好厳の形像 厳かですぐれた仏像。
悪念思惟の障 悪しき思念の障。
 ¬次第禅門¼ の原文によって 「縁」 の字を付け加えた。
心数 心のはたらき。
境界逼迫の障 対象の世界がきたり迫って、 心のはたらきが閉塞すること。
別相の治 個々の煩悩ぼんのうを対治する方法。
通の治 煩悩を総括して対治する方法。
大僻 死刑。
執意 (浄観を修する) 心構え。
四句 →四句しく分別ふんべつ
心・縁 内なる心・外なる縁。
心境 心と外境 (外縁)。
波羅蜜門 ここではさとりに至った仏のどく智慧ちえのこと。
一体無礙 さわりなく一つに融けあっていること。
智火の分 智慧ちえの火の持ち分。
通別の対治 煩悩を総括して対治する方法 (通治) と個々の煩悩を対治する方法 (別治)。
もし 底本 (青蓮院本) には 「設若」 とあるが、 「若」 はえん
理の懴悔 理は事 (具体的な事物) に対する語で、 普遍的な真理の意。 罪業が本来くう不可得であることを体得するための懴悔。
真性の源 真如しんにょほっしょうの根源。
和合 因縁いんねんごう。 因と縁が結び合っていること。
真体 真実なるすがた。
大円鏡 →大円だいえんきょう
宝所 仏のさとりの世界を宝のある場所に喩えていう。
汎爾 一般的。 通常。
理の懴 理のさん。 理は事 (具体的な事物) に対する語で、 普遍的な真理の意。 罪業が本来くう不可得であることを体得するための懴悔。
少不善の業道 わずかな不善の行為。
発起 だいしんをおこすこと。
日の初分 日の初分を朝、 中分を昼、 後分を夜とする。
戒身 戒体のこと。 受戒じゅかいによって得られる防悪の力用。 これを戒の本質とする。
開遮の戒 戒のうち許されるもの (開) と禁じられるもの (遮)。
仏の種智 一切いっさい種智しゅちのこと。
戒律のなかの戒 遮戒しゃかいのこと。 必要に応じて仏が特に制止した戒。 これに対して、 仏の制止にかかわらず、 本来罪となるものをいましめたのを性戒しょうかいという。
十悪輪罪 一切の善根ぜんごんを破壊するという十種の悪業。 ¬地蔵じぞう十輪経じゅうりんぎょう¼ の原文には、 十悪輪、 十種悪輪とある。
般若経 ¬しゅ般若はんにゃきょう¼ のこと。
転重軽受 重い罪を転じて軽く受けること。
随転理門 真実理門の対。 こん (素質能力) に応じて説かれた方便の法門。
別時の懴悔 特別に期間を定めて行う懴悔の方法。
黒悪を発露す 罪をあらわに告白する。
現生後業 ①順現じゅんげん受業じゅごう (現世の業の報を現世で受ける)、 ②順次じゅんじ受業じゅごう 。(次生で報を受ける)、 ③順後じゅんご受業じゅごう (第三生以後に報を受ける) の三時業のこと。
去来今 過去・未来・現在。
常行三昧法華三昧 天台てんだい大師智顗ちぎ (538-597) の ¬摩訶まかかん¼ に説かれる四種三昧のうちの二種。 ¬般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ によって、 九十日間、 阿弥陀仏を唱念し、 その像の周囲を不断に回り歩く行法を常行三昧といい、 ¬法華ほけきょう¼ によって、 二十一日間、 坐禅と行道 (仏座の周囲を回り歩く) を繰り返す半行半座の行法を法華三昧という。
真言教 みっきょうのこと。
善権安楽の行 ぜんぎょう方便ほうべん (たくみなてだて) による心安らかな修行。 「善権」 は異本に 「善根」 とある。
正衣束体 衣服をただして、 体をととのえること。
道徳 仏法の正しい徳。
無上の慧 この上ない仏のさとりの智慧ちえ
有の見・無の見 けんけん。 両極端に偏った誤った見解。
 底本 (青蓮院本) には 「神」 とある。
三空の門 →さんだつもん
六種の識 六識ろくしきのこと。
 執着すること。
毒屑 毒の粉末。
実の魔・権の魔 本来の魔と仮に魔のすがたを現しているもの。
三業を護る 戒によってしん口意くい三業さんごうをまもりつつしむという意。
往生の業は念仏を本となす 「本」 は宗要、 かなめの意。 法然上人はこの文によって ¬選択集¼ (親鸞聖人伝授本) の標宗ひょうしゅうの文を記された。
薫習熟利 薫習は香気を移すように他のものにその性質を移し付けること。 ここでは念仏行が次第に心にしみついてゆくことをいう。
止の善 止善。 悪を制止すること。 行善の対。
行の善 行善。 積極的に善を行うこと。 止善の対。
尋常の別行 平生へいぜいに特定の期日を定めて行う念仏。
臨終の行儀 臨終時に行う念仏の作法。
加念 底本 (青蓮院本) には 「加命」 とある。
四根本罪 四重禁しじゅうきんのこと。
願を…たまふ ¬般若経はんにゃきょう¼ の原文に 「使願満足」 とあるのによった。 底本 (青蓮院本) には 「便願満足」 (すなはち願満足せん) とある。
無辺類の身 数限りない種類の身体。
無失念 失われることのない記憶力。
無漏離垢 煩悩ぼんのうのけがれを離れていること。
得一切法自在平等 すべてのものにおいて自由自在・平等無差別であること。
身の開遮 身業に許されることと禁じられること。
口の説黙 口にすべきことと黙すべきこと。
意の止観 心の中で観じてはならないこと (止) と、 観じなければならないこと (観)。
翻じて 翻訳して。
住処 「仏の威力・三昧さんまいりきほんどくりき」 がそなわった状態。
初禅二三四 ぜんのこと。
別請 特別の招待。
内外の律 内外は大乗・小乗の意。 または内心・外相の意か。 律は教団の生活規則のこと。
妨障を開除する (仏道修行の) さまたげをとり除く。
世間の想欲 俗世間の想いや願望。
坐食左右 食事と大小便。
逆に縁じ 仏の相好を下から上の順に観想してゆき。
頂相 けんちょうに同じ。
順に縁じ 仏の相好を上から下の順に観想してゆき。
三菩提 のく多羅たら三藐三さんみゃくさんだいの略。
色・識 色・受・想・行・識のおん (うん)。
行人 (常行じょうぎょう三昧ざんまいの) 行者。
仏印 仏の真髄。 印はけつじょうして変ることがないという意。
相体相業相果相用 色相の本体。 色相成就の業因。 その業因の果としての色相そのもの。 色相のはたらき。
四十の不共の法 仏にのみそなわっている四十種類の特質。 通常は十八の不共法を立てる。 →十八じゅうはち不共ふぐほう
実相の仏 法身ほっしんのこと。 しんにょ実相そのものである仏身。
鼻の人 鼻を病む人。
瞻病送終の篇 看病や葬送について説いた部分。
中国の本伝 がんじょうの ¬ぶんりつ行事鈔ぎょうじしょう資持記しじき¼ では、 ¬ろく檀経だんぎょう¼ にいう 「別伝」 を指すとする。
五綵の幡 五色の布。
ある説 道世どうせい編の ¬法苑珠ほうおんじゅりん¼ 巻九五、 ¬諸経要集¼ 巻十九に記す説か。
華台の聖衆 れんの台にのった浄土の菩薩たち。
神変の作意 心の不思議なはたらき。
 (善なる) 性質。
三五 三人にしても五人にしても。
言要を結びて 約束して。
仏子 以下、 臨終の念仏行者に対しては、 「仏子」 という言葉で呼びかける。
法喜禅悦 教えを聞くよろこびやぜんじょうのよろこび。
海会 海のように広大な説法の会座。
仏母 般若はんにゃ波羅はらみつは三世の諸仏を生む母であるから仏母という。
八万十二 八万四千の法門 (無量の教え) とじゅう二部にぶきょう
随逐護念 聖者がつねにつきしたがって、 悪鬼悪神等から行者をまもるということ。
法性は… 真如しんにょほっしょうは無差別平等であるけれども、 仮の差別相を離れたものではない。
一眼の亀の… 大海中に住む一眼の亀が、 百年に一度、 海上に顔を出し、 そこに流れてきた板のあなに出遇うことが極めて困難であるように、 仏法に遇うこともきわめて難しいという意。
摂取して… →摂取せっしゅしゃ
境界と… →三愛さんあい
引接擁護 行者を浄土へ導きまもること。
八功徳池 はっどくすいの浴池。
一の事 「願はくは仏、 かならずいんじょうしたまへ」 の句。
攀縁 外界の事物による心の乱れ。
偃坐 諸本によって 「偃」 の字を補う。 偃坐はすも坐すもの意。
火車 「火華」 の誤りか。 ¬ぐんろん¼ の原文では 「火華」 とある。
底本は◎京都府青蓮院蔵承安元年書写本。 Ⓐ神奈川県最明寺蔵平安時代書写本、 Ⓑ大阪府出口順得氏蔵建保四年刊本(上巻本末)、 愛知県専光寺蔵建保四年刊本(中巻本末・下巻本末)、 Ⓒ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)建長五年刊本、 Ⓓ龍谷大学蔵(写字台旧蔵)室町時代刊本、 Ⓔ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 なお、 別の読み方がされている右訓は割愛した。
→ⒷⒸ
→ⒷⒸ相[云云]
→ⒹⒺ
→ⒸⒹ
→Ⓑ
→Ⓔ各[各]
→ⒶⒷⒹⒺ
→Ⓐ釈[迦]
→ⒶⒷⒸ
→Ⓐ
 ⒷⒸになし
→Ⓓ
→Ⓐ
→ⒹⒺ十[億]
→ⒹⒺ
 Ⓔになし
→Ⓐ注[之]→Ⓓ
→Ⓔ
 Ⓓになし
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
→ⒸⒹ→Ⓔ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓐ放[光]
五丈→ⒶⒷⒸⒹⒺ長丈五
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒹⒺ或[説]
→Ⓒ密[説]
→ⒹⒺ或[説]
→Ⓒ法[説]
 Ⓑになし
→Ⓓ
→ⒶⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹ
 Ⓑになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ求[於]
→ⒶⒷⒸⒹ
→Ⓐ紺[青]
 Ⓐになし
 ◎チャウ テイ と上欄註記
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓑ珞[也]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→◎大[集]
云々 ⒶⒹⒺになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→ⒸⒹⒺ集[経]
→ⒶⒸ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓒ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ集[経]
→ⒶⒷⒹⒺ
→◎大[集]
→ⒹⒺ
→ⒷⒸ
→ⒶⒹⒺ集[経]
→Ⓔ
→ⒹⒺ[光]分
→Ⓔ
平整→Ⓓ十衆
→Ⓐ相[之]
→Ⓔ
→ⒷⒸⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒸⒹⒺ集[経]
→Ⓐ
 Ⓓになし
→Ⓐ相[之]
→Ⓔ
→ⒹⒺ大[集]
→ⒷⒸ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓔ
→Ⓓ
→Ⓓ
 Ⓓになし
→Ⓐ
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓔ
→ⒹⒺ集[経]
→Ⓓ
 ◎と上欄註記→Ⓐ
 ⒷⒸになし
→ⒷⒸ陰[馬]
→ⒹⒺ
 ⒷⒸになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ即[止]
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ徳[也]
→ⒹⒺ
→Ⓔ
→Ⓐ→Ⓒ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓑ相[之]
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸになし
→Ⓔ
→ⒹⒺ
→ⒷⒸ
→ⒶⒹ→Ⓔ
→Ⓓ
→ⒶⒹⒺ[除]却
→ⒷⒸ
→Ⓔ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓔになし
→Ⓐ
→ⒷⒸⒹⒺ者[也]
想一事→ⒹⒺ一事想
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→◎
→ⒶⒷⒸⒹⒺ観[如前]
 Ⓔになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓔ
 ⒹⒺになし
 Ⓐになし
→Ⓓ
 Ⓐになし
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒺ一[非]
→Ⓔ
→ⒹⒺ三[悪]
→Ⓐ千[相]
 ⒷⒸになし
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ即[是]
無量 ⒹⒺになし
→ⒷⒸ
已上 ⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸ→ⒹⒺ
 ⒹⒺになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
 ⒷⒸになし
→Ⓐ向[无上]
→Ⓔ善[根] ⒶⒷⒸⒹになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
任運→Ⓒ住蓮
云々 ⒶⒹⒺになし
→ⒷⒸ
 ⒹⒺになし
已上 ◎「若」の上に割書
云々 ⒹⒺになし
→Ⓔ
→◎Ⓓ
 Ⓑになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
行要→Ⓒ要行
→Ⓑ→Ⓒ
香花→ⒶⒷⒸⒹⒺ花香
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
25字→Ⓐ専用木槵子菩提子
→Ⓔ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓔ
→Ⓔ
→ⒹⒺ導[禅]
西→ⒶⒷⒸⒹⒺ西[方]
→Ⓐ
→Ⓔ帰[本]
→Ⓐ→ⒷⒸ
云々 ⒶⒹⒺになし
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓔ
云々 Ⓐになし
 ⒹⒺになし
 Ⓐになし
→Ⓐ才[師]
浄土論 Ⓐになし
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹⒺ之[云々]
 Ⓐになし
 ⒹⒺになし
→ⒶⒹ
→ⒹⒺ陀[仏]
→ⒷⒸ心[云々]
綽和尚 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓐ
→ⒷⒸ
→Ⓐ
→Ⓔ
→Ⓐ
→Ⓐ至[心]
已上→Ⓐ云々
→ⒶⒷⒸⒹⒺ或[唱念]
 Ⓐになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓐになし
30字 Ⓐになし
云但→ⒷⒸⒹⒺ但云
→ⒷⒸⒹⒺ等[云々]
→ⒷⒸ彼[之]
→ⒹⒺ信[受]
15字 ⒷⒸになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
問何等功徳答其事无量 ⒶⒷⒸⒹになし
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓓになし
→Ⓐ若[有]
→Ⓐ[又]心
→Ⓐ岸[已上]
→Ⓐ
已上 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ摩[経]
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸⒹⒺ提[首楞厳経文如下料簡門]
→Ⓐ当[得]
→ⒹⒺ三[仏]
→ⒹⒺ切[随]
 Ⓐになし
→Ⓐ
→ⒹⒺ
→ⒶⒹ
→Ⓐ髻[相]
 Ⓐになし
→Ⓐ
云々→ⒶⒷⒸⒹⒺ已上
→ⒷⒸ厳[経]
14字 ⒷⒸになし
 Ⓐになし
 ⒹⒺになし
→ⒹⒺ仏[也]
→ⒷⒸⒹⒺ有[仏]
→◎
意同之経 ⒹⒺになし
→Ⓐ云[云]
→Ⓐ
炎王光→Ⓐ光炎王
 ⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒹⒺ
→Ⓐになし
→ⒹⒺ等[覚]
→ⒹⒺ光[明]
→Ⓐ
→ⒸⒹⒺ
略抄 Ⓐになし
→ⒶⒹⒺ厳[経]
→Ⓐ
→ⒹⒺ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓒ
→Ⓔ
→ⒷⒸⒹ
→ⒷⒸⒹⒺ者[已上]
→ⒷⒸ
14字 ⒷⒸになし
→Ⓔ
→Ⓐ[或]於[仏]
→Ⓓ
→ⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
14字 ⒷⒸになし
→ⒹⒺ
→ⒸⒹ
→Ⓐ界[皆]
→Ⓓ
→Ⓐ説[諸仏]
 Ⓐになし
40字 ◎別筆補記 ⒷⒸになし
→◎
→Ⓓ→Ⓔ
→ⒶⒹⒺ無[所]
菩薩尚爾何況仏力故 Ⓐになし
26字 ◎別筆補記
→Ⓓ
→Ⓔ
→ⒷⒸ惟[云々]
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ我[於]
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒷⒸ施[作]
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓐ
→Ⓐ死[時]
聞声→Ⓔ声聞
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒹⒺ別[已上]
所有 ⒶⒹになし
 ⒶⒹⒺになし
→ⒷⒸ達[已上]
 Ⓐになし
→Ⓐ
応念願仏令我宿業清浄 ⒷⒸになし
→ⒶⒹⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸ
 Ⓐになし
→ⒶⒸ
→Ⓔ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
44字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓔ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒹ
→ⒷⒸⒹⒺ生[補処]
菩薩 ⒷⒸになし
 ⒶⒷⒸになし
 Ⓐになし
→ⒶⒷⒸ及[已上]
→ⒹⒺ
13字→Ⓐ応念
→ⒷⒸ念[今]→ⒹⒺ念[願今]
如来 ⒹⒺになし
 Ⓐになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒹⒺ
→Ⓐ
兢伽→ⒹⒺ恒河
→Ⓓ
[又]同
→ⒹⒺ
 Ⓐになし
→ⒹⒺ被[引]
→ⒹⒺ七[仏]
→Ⓔ
 ⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ千[世]
→ⒶⒹ
→ⒶⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ力[皆]
→ⒶⒹⒺ
→ⒷⒸ
→ⒹⒺ云[問]
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ厳[経]
→Ⓐ
→ⒹⒺ
→ⒷⒸ音[声]
→Ⓓ
 ◎と右傍註記
→Ⓔ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓔ
→ⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ身[也]
→ⒶⒷⒸ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ説[不可説]
→Ⓐ
応念願我得仏斉正法王 ⒷⒸになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→ⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸ
鬚髪→ⒶⒹⒺ髪鬚鬚→ⒷⒸ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ彼[已上]
→Ⓐ誦[如説]→ⒸⒹⒺ誦[如説修]
→ⒹⒺ
 Ⓐになし
→Ⓐ→Ⓓ
種々→Ⓐ種之
→ⒶⒹ
→Ⓐ
→ⒷⒸ道[云々]
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ二[者]
疾々→ⒹⒺ速疾
已上 ⒷⒸになし
→Ⓔ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
 Ⓐになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒹⒺ衆[生]
→Ⓔ
→Ⓔ
33字 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒹⒺ恚[又或処説云能損大利莫過瞋一念因縁悉焚滅倶胝広劫所修善是故慇懃常捨離]
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓔ
→ⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒸⒹ
→Ⓓ
→ⒷⒸ
 ⒹⒺになし
→ⒹⒺ以[則]
→ⒹⒺ
→Ⓐ菩薩(と右傍註記)
→Ⓐ
 ⒷⒸになし
火求→ⒶⒷⒸⒹⒺ求火
→Ⓔ
→Ⓐ嫉[妬]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒹ
→ⒷⒸ
種法→ⒹⒺ法種
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓐ
→Ⓐ→Ⓓ
 ⒹⒺになし
何今→Ⓐ今何→ⒹⒺ問今何
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
不顕→ⒹⒺ顕不
 ⒹⒺになし
→Ⓓ
已上→ⒷⒸ云々
→Ⓑ
→Ⓔ
→ⒶⒹⒺ
→Ⓔ衆[生]
 Ⓐになし
→ⒶⒹⒺ具[足]
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹ勝[縁]
→ⒶⒹⒺ
→ⒷⒸ人[之]
→ⒷⒸ
→ⒶⒹⒺ
→ⒹⒺ
→ⒶⒹ
 ⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
応常→ⒹⒺ常応
→ⒹⒺ脱[云々] Ⓐと右傍註記
→ⒹⒺ
→ⒹⒺ
→ⒷⒸⒹⒺ処[云々]
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒹⒺ口[意]
→Ⓐ懴[悔]
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸⒺになし
→ⒷⒸ
→Ⓑ
→Ⓐ礼[敬]
→ⒹⒺ陀[仏]
→Ⓔ
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒹⒺ是[若]
→Ⓐ
→ⒶⒹⒺ→ⒷⒸ
→Ⓐ
→ⒹⒺ
→Ⓔ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓓ
→ⒹⒺ悔[能]
→Ⓔ
云々 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→Ⓐ
→ⒶⒺ
26字 ◎別筆補記
→Ⓔ
 ⒶⒹⒺになし
→Ⓐ可[云]
 Ⓑになし
→Ⓒ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
各有 Ⓐになし
→Ⓔ
→ⒶⒹⒺ後[自作教也(ⒹⒺ使)見(ⒹⒺ見作)随喜也]
 Ⓐになし
→Ⓐ界[三毒三品]→ⒹⒺ苛三毒三品
 ⒶⒺになし
→Ⓓになし
→Ⓐ
→Ⓔ
→Ⓐ道[已上]
 Ⓓになし
→Ⓐ
→ⒷⒸ悪[事]
→ⒶⒷⒸ善[事]
閲叉→Ⓔ又
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ中[云々]
→Ⓓ二[中]
→Ⓔ
 Ⓑになし
→ⒶⒷⒹⒺ
→ⒹⒺ法[已上]
→Ⓐ彼[大]
→Ⓑ
→Ⓔ
→ⒶⒺ
→ⒹⒺ
→Ⓐ日[法]
観念門 ⒹⒺになし
→ⒹⒺ
→Ⓔ
 ◎になし
→Ⓑ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ湯[掃]
 ⒹⒺになし
→ⒷⒸ
己身→Ⓔ已来
→Ⓒ
30字→◎↧延↠年ジテ↢長命↡安楽因縁↥。一々↢¬比喩経¼・¬惟无三昧経¼・¬浄度三昧経¼等クガ↡。
→Ⓓ命[多]
 Ⓐと右傍註記
→Ⓔ
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸ
→Ⓓ ⒷⒸⒺになし
 ⒶⒹⒺになし
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
便→ⒶⒷⒸⒺ使
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓒ
→Ⓔ
 ⒷⒸになし
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒹⒺ
→Ⓓ
→ⒹⒺ
三月終竟→Ⓐ終竟三月
 ⒷⒸになし
→ⒹⒺ[心]身
→ⒹⒺ
→Ⓐ
→Ⓐ
→ⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ又[如]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒹⒺ
→ⒹⒺ
→ⒹⒺ有[念]
→ⒷⒸⒹ
→ⒹⒺ
→Ⓐ
→ⒶⒹⒺ
→ⒶⒷ
→ⒶⒹⒺ
 ⒹⒺになし
→ⒶⒹⒺ
→Ⓐ
屎尿→ⒷⒸ尿屎
西→ⒶⒷⒸ西[方]
→Ⓓ
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒶⒹ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ
→Ⓓ
→ⒷⒸⒹⒺ
→Ⓐ随[典]
 ◎と上欄註記→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→Ⓒ→Ⓔ
→Ⓓ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
為善根為結縁 Ⓓになし
→ⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸ蓮[華]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ土[之]
→Ⓐ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
仏子応→ⒷⒸ応仏子
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
南无三世十方一切諸仏 ⒷⒸになし
→ⒶⒷⒸ
→ⒷⒸ仏[南无三世十方一切諸仏]
 Ⓐになし
→Ⓐ
→◎Ⓐ
浄仏→◎仏浄
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒹⒺ
 Ⓓになし
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
 ◎になし
或加称二菩薩 ⒷⒸになし
 ⒶⒹになし
→◎
→Ⓔ
→ⒷⒸ
→Ⓓ
→ⒹⒺ念[之]
→ⒹⒺ[阿]弥
 ⒹⒺになし
→Ⓐ
 ⒷⒸになし
→Ⓐ厳[経]
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
与観音勢至倶来 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
引接 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
19字 ⒹⒺ33字後の下にあり
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸⒺ条[事]
 ⒶⒷⒸⒹⒺになし
→ⒹⒺ
 Ⓓになし
→Ⓔ
→Ⓔ ⒶⒷⒹになし
 ⒶⒹになし
→ⒷⒸ
 ⒶⒹⒺになし
→◎応[応]
→ⒹⒺ後[一]
→ⒷⒸ
→ⒹⒺ
→Ⓔ
→ⒶⒹⒺ
→ⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒶⒷⒸⒹⒺ身[偃]
→ⒹⒺ
使→Ⓓ便
 Ⓓになし
→Ⓔ
 Ⓓになし
→◎Ⓐ
屎尿→ⒷⒸ尿屎
→ⒶⒷⒸⒹⒺ
→ⒷⒸ
讃言→ⒶⒷⒸⒹⒺ言讃
→ⒷⒸ
→ⒷⒸ
→Ⓓ