0246安楽あんらくしゅう かん

しゃく*どうしゃくせん

【第四大門】
    標列

【28】^だい大門だいもんのなかに三番さんばん*りょうけんあり。 だいいちちゅうごく (印度)*三蔵さんぞうほっならびに此土しど (中国)*大徳だいとくとうみなともに聖教しょうぎょうじょうしんし、 たんじてじょうするにより、 いまもつてすすめてよらしむ。 だいこの ¬きょう¼ (観経)*しゅうおよびだいじょうしょによるに、 *ぼんしょうしゅにゅうおお念仏ねんぶつ三昧ざんまいかして、 もつて*要門ようもんとなす。 だいさん問答もんどうしゃくして、 念仏ねんぶつしゃ種々しゅじゅのうやくること不可ふか思議しぎなることをあらわす。

0616四大門↢三番料簡↡。第一↧中国三蔵法師并大徳等皆共詳↢審聖教↡、歎ジテスルニ↦浄土↥、今以メテラシム。第二ルニ↢此¬経¼宗及大乗諸部↡、凡聖修入多シテ↢念仏三昧↡、以↢要門↡。第三問答解釈シテ、顕↧念仏者ルコト↢種種功能利益↡不可思議ナルコトヲ↥。

二 Ⅳ 解釈
      師承念仏要門【念仏大徳所行】
       

【29】^だいいち中国ちゅうごくおよび此土しど大徳だいとく所行しょぎょうによるとは、

第一ルト↢中国及以 オヨビ 此土大徳所行↡者、

二 Ⅳ ⅱ a
          (一)師承を挙げて意を叙す

^ (道綽)*えいにしてめんしょうなり。 あにいづくんぞみづからたやすくせんや。 ただおもんみればりゃくひらかんがふるに、 うやまふに*じょうあり。

五翳ニシテ面牆ナリ。豈ンゾタヤスクセムヤ。但以レバ遊歴フルニ、敬フニ↢師承↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)正挙
            (Ⅰ)六師の名徳を列嘆す
              (ⅰ)別嘆

^なんとなれば、 いはく、 ちゅうごくだいじょうほっ流支るし三蔵さんぞう (*菩提流支) あり。

トナレバ者謂中国大乗法師流支三アリ

^つぎ大徳だいとく*みょう*呵避かひするあり、 すなはち*ちょうほっあり。

↣大徳呵↢避スル名利↡、則↢恵寵法師↡。

^つぎ大徳だいとくじんじょう*えんするごとにしょうそうらいちょうかんずるあり、 すなはち*どうじょうほっ0247あり。

↢大徳尋常敷演スルズル↢聖僧来聴↡、則↢道場法師↡。

^つぎ大徳だいとくひかりやわらげてひとみて、 こく (梁・魏) こうするあり、 すなはち*曇鸞どんらんほっあり。

↢大徳ラゲテ↠光ミテ二国慕仰スル↡、則↢曇鸞法師↡。

^つぎ大徳だいとく禅観ぜんかんひとひいでたるあり、 すなはち*大海だいかいぜんあり。

↢大徳禅観デタル↡、則↢大海禅師↡。

^つぎ大徳だいとくそうにしてかいまもるあり、 すなはち*せいちょうじょうとうあり。

↢大徳聡恵ニシテ↟戒、則↢斉朝統↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)総嘆
                (a)嘆人

^しかるにさきろく大徳だいとくは、 *ならびにこれ*たいじんきょう、 これすなはち仏法ぶっぽう綱維こうゆいなり。 ぎょうりんことにしてこんじつまれなり。

ルニ六大徳是二諦神鏡、斯乃仏法綱維ナリ。志行、殊ニシテ↠倫古今0617ナリ

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)嘆法

^みなともにだいじょうじょうしんし、 たんじてじょうす。 すなはちこれじょう要門ようもんなり。

皆共詳↢審大乗↡、歎ジテ↢浄土↡。乃是无上要門也。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)且に終端に就きて徳を顕す
              (ⅰ)

 ^ひていはく、 すでにたんじてじょうす、 すなはちこれ要門ようもんなりといはば、 いまだらず、 これらの諸徳しょとくりんじゅうとき、 みな*霊験れいげんありやいなや。

ヒテ、既ハバ↧歎ジテ↢浄土↡、乃是要門ナリト↥者、未↠知、此等諸徳臨終時、皆有リヤ霊験↡已不 イナ 

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)総じて不虚を略答す

^こたへていはく、 みなあり、 むなしからず。

ヘテ、皆有、不↠虚シカラ

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)別して鸞祖の徳を略明す
                  (イ)先づ平生の徳化を明す
                    [一]自行

^曇鸞どんらんほっのごときは、 *康存こうぞんつねにじょうしゅす。

キハ↢曇鸞法師↡、康存之日常↢浄土↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二]化他
                      [Ⅰ]断疑徳
                        [ⅰ]君子の疑を決す
                          [a]

^またつねに*ぞくくんありて、 きたりてほっしていはく、 「十方じっぽう仏国ぶっこくみなじょうたり、 ほっなんぞすなはちひとこころ西にしとどむる。 あに偏見へんけんしょうにあらずや」 と。

亦毎リテ↢世俗君子↡、来リテシテ↢法師↡曰、十方仏国皆為↢浄土↡、法師何トドムル↠西。豈↢偏見↡也

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅰ][b]

^ほっこたへていはく、 「われすでにぼんにして、 智慧ちえ浅短せんたんなり。 いまだ*地位じいらざれば、 念力ねんりきすべからくひとしくすべけんや。 くさきてうしくに、 つねにすべからくしん*そうりゃくつなぐべきがごとし。 あにほしいままにして、 まつたくするところなきことをんや」 と。

法師対ヘテ、吾既凡夫ニシテ、智恵浅短ナリ。未レバ↠入↢地位↡、念力須ケムヤシクス如↢似 ゴト キテ↠草クニ↠牛、恒キガ↟繋↢心槽櫪↡。豈ムヤト縦放ホシイママニシテ、全キコトヲ↟所↠帰スル

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]衆人の疑を決す

^また*難者なんじゃ紛紜ふんうんたりといへども、 ほっひとけっ0248り。

↢復難者紛紜タリト↡而法師独セリ

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(イ)[二][Ⅱ]生信徳

^ここをもつて一切いっさい*道俗どうぞくふことなく、 ただほっ一面いちめんあひふものは、 もしいまだしょうしんしょうぜざるには、 すすめてしんしょうぜしめ、 もしすでにしょうしんしょうぜるものには、 みなすすめてじょうこくせしむ。

↠問フコト↢一切道俗↡、但与↢法師↡一面相遇、若ルニハ↠生↢正信↡、勧メテ↠生↠信、若ゼル↢正信↡者ニハ、皆勧メテセシム↢浄国↡。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)正しく終時の霊験を明す

^このゆゑにほっ命終みょうじゅうときのぞみて、 てらかたわらの左右さう道俗どうぞく、 みな*ばんいんようずるを、 ことごとく*こう音楽おんがくこうしょうしておうじょうげたまへるをく。

法師臨ミテ↢命終↡、寺左右道俗、皆見↢幡花ズルヲ↟院、尽↣異香・音楽迎接シテゲタマヘルヲ↢往生↡也。

二 Ⅳ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)総じて余師の終端を結す

^大徳だいとく命終みょうじゅうときのぞみて、 みな*徴祥ちょうしょうあり。 もしつぶさにおうじょうそうだんぜんとほっせば、 ならびに不可ふか思議しぎなり。

余之大徳臨ミテ↢命終↡、皆有↢徴祥↡。若セバ↣具ゼムト↢往生之相↡、並不可思議也。

二 Ⅳ ⅱ 諸経念仏要門【諸経所明念仏】
        標章

【30】^だい*此彼しひしょきょうおお念仏ねんぶつ三昧ざんまいかしてしゅうとなすことをかすとは、

第二スト↧此彼諸経シテ↢念仏三昧↡為スコトヲ↞宗者、

二 Ⅳ ⅱ b 引釈
          (一)列分

^なかにつきて八番はちばんあり。 はじめの*一相いっそう三昧ざんまいかし、 のちろくえんにつきそうによりて念仏ねんぶつ三昧ざんまいかす。

キテ↠中↢八番↡。初↢一相三昧↡、後↠縁リテ↠相↢念仏三昧↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)正引
            (Ⅰ)観仏三昧を明す文
              (ⅰ)二種を標す

 ^だいいちに ¬*しゅきょう¼ (意) によるに、 「ぶつけんさつげたまはく、 ª三昧さんまいしゅあり。 いちには一相いっそう三昧ざんまいあり、 には衆相しゅそう三昧ざんまいあり。

第一ルニ↢¬花首経¼↡「仏告ゲタマハク↢堅意菩薩↡、三昧↢二種↡。一者有↢一相三昧↡、二者有↢衆相三昧↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)正しく一相を明す
                (a)修勧相
                  (イ)所観境

^一相いっそう三昧ざんまいとは、 さつあり、 そのかいにその如来にょらいましましてげんにましましてほうきたまふとき、 さつこのぶつそうるに、 もつてげんじてまえにまします。 もしはどうじょうし、 もしは法輪ほうりんてんじ、 大衆だいしゅ*にょうす。

一相三昧者、有↢菩薩↡、聞世界シテ如来↡現シテキタマフト↞法、菩薩取ルニ↢是0618↡、以ジテ↠前。若シハ↢道場↡、若シハ↢法輪↡、大衆囲遶

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(a)(ロ)能観相

^かくのごときそうる。 *諸根しょこん収摂しゅうしょうしてしん*さんせず、 もつぱら一仏いちぶつねんじてこのえんてず。 かくのごときさつは、 如来にょらいそう0249よびかいそうにおいてそうりょうだつし、 つねにかくのごとくかんじ、 かくのごとくぎょうじて、 このえんはなれず。

↢如↠是クノ↡。収↢摂シテ諸根↡心不↢馳散↡、専ジテ↢一仏↡不↠捨↢是↡。如↠是クノ菩薩、於↢如来相及世界↡了↢達无相↡、常↠是クノ、如↠是クノジテ、不↠離↢是↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)観成益
                  (イ)定中益

^このとき仏像ぶつぞうすなはちげんじてまえにましまして、 ためにほうきたまふ。 さつそのときふか*ぎょうしょうじて、 このほうちょうじゅし、 もしはじん、 もしはせん*うたたそんじゅうくわふ。 さつこの三昧さんまいじゅうして、 諸法しょほうはみな*可壊かえそうなりとくをく。 きをはりてじゅして、

仏像即ジテシテ↠前而為キタマフ↠法。菩薩爾時深ジテ↢恭敬↡、聴↢受↡、若シハ深若シハ浅、転↢尊重↡。菩薩住シテ↢是三昧↡、聞↠説クヲ↢諸法皆可壊ナリト↡。聞リテ受持シテ

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(b)(ロ)定起益

^三昧さんまいよりちてよくしゅのためにこのほう演説えんぜつすº と。

↢三昧↡起チテ↢四衆↡演↢説↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)(ⅱ)(c)

^ぶつけんげたまはく、 ªこれをさつ一相いっそう三昧ざんまいもんるとづくº」 と。

仏告ゲタマハク↢堅意↡、是クト↣菩薩ルト↢一相三昧門↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)念仏三昧を明す文
              (ⅰ)

 ^だいに ¬*文殊もんじゅ般若はんにゃ¼ (意) によりて*いちぎょう三昧ざんまいかさば、

第二リテ↢¬文殊般若¼↡明サバ↢一行三昧↡者、

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)
                (a)

^とき*文殊もんじゅ師利しりぶつにまうしてまうさく、 ªそんいかなるをかづけていちぎょう三昧ざんまいとなすº と。

文殊師利白シテ↠仏、世尊、云何ナルヲカケテ↢一行三昧↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)

^ぶつのたまはく、 ªいちぎょう三昧ざんまいとは、 もし善男ぜんなんぜん女人にょにん*空閑くうげんところにありて、 もろもろのらんて、 ぶつ*方所ほうしょしたがひて端身たんじんしょうこうにして、 *そうみょうらず、 しん一仏いちぶつけてもつぱらみょうしょうしてねんずることそくなくは、 すなはちこのねんのうちによくげんらいさん諸仏しょぶつたてまつるべし。 なにをもつてのゆゑに。 一仏いちぶつねんずるどくりょうへんにして、 すなはちりょう諸仏しょぶつどく無二むになればなり。

仏言、一行三昧者若善男子・善女人応↧在リテ↢空↡、捨↢諸乱意↡、随ヒテ↢仏方所↡端身正向ニシテ、不↠取↢相貌↡、繋ケテ↢心一仏↡専シテ↢名字↡念ズルコトクハ↢休息↡、即タテマツル↦過・現・未来三世諸仏↥。何テノ。念ズル一仏↡功徳无量无辺ニシテ、即与↢无量諸仏功徳↡无二ナレバナリ

^これをさついちぎょう三昧ざんまいづくº」 と。

クト↢菩薩一行三昧↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)念仏冥益の文
              (ⅰ)文を括りて示す

 ^0250だいさん¬*はんぎょう¼ によるに、 ぶつのたまはく、 「もしひとただよくしんいたしてつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすれば、 十方じっぽう諸仏しょぶつつねにこのひとそなはすこと、 げんまえにましますがごとし」 と。

第三ルニ↢¬涅槃経¼↡、仏言、若人但能シテ↠心スレバ↢念仏三昧↡者、十方諸仏恒ソナハスコト↢此↡如シト↢現スガ↟前

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)正しく文を引く

^このゆゑに ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつ*しょうさつげたまはく、 ªもし善男ぜんなんぜん女人にょにんありてつねによくしんいたしもつぱら念仏ねんぶつするものは、 もしは山林せんりんにもあれ、 もしは*聚落じゅらくにもあれ、 もしはちゅう、 もしは、 もしは、 もしはに、 諸仏しょぶつそんつねにこのひとそなはすこと、 まえげんずるがごとし。 つねにこのひとじゅうしてけたまふº」 と。

¬涅槃経¼云、「仏告ゲタマハク↢迦葉菩薩↡、若リテ↢善男子・善女人↡常↠心念仏スル、若シハ↢山林ニモ↡若シハ↢聚落ニモ↡、若シハ昼若シハ夜、若シハ0619シハ、諸仏世尊常ソナハスコト↢此↡如↠現ズルガ↡。恒与↢此人↡而シテケタマフト↠施。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)諸行念仏の得失を明す文
              (ⅰ)並べて二行を挙ぐ
                (a)万行の回生を明す

 ^だいに ¬*かんぎょう¼ およびしょによるに、 所修しょしゅまんぎょうただよく*がんしてみなしょうぜざるはなし。

第四ルニ↢¬観経¼及諸部↡、所修万行但能廻願シテ↠不ルハ↢皆生↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅰ)(b)念仏の為要を示す

^しかるに念仏ねんぶつ一門いちもん、 もつてようとなす。

ルニ念仏門、将↢要路↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)特に念仏の得を明す
                (a)両益を標す

^なんとなれば、 聖教しょうぎょう*しんりょうするにじゅうりょうやくあればなり。 もしぜんしょうぎょうおこさんとほっすれば、 すなはちあまねく*しょぬ。 もしあくめっしてわざわいしょうすれば、 すなはちそうじて諸障しょしょうす。

トナレバ者審↢量スルニ聖教↡有レバナリ↢始終両益↡。若スレバ↢生↠善サムト↟行、則↢諸度↡。若シテ↠悪スレバ↠災、則ジテ↢諸障↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)
                  (イ)始益

^ゆゑにしもに ¬きょう¼ (観経・意) にのたまはく、 念仏ねんぶつしゅじょう摂取せっしゅしててたまはず、 寿いのちきてかならずしょうず」 と。 これを*やくづく。

¬経¼云、「念仏衆生摂取シテ不↠捨テタマハ、寿尽キテズト。」此↢始益↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅱ)(b)(ロ)終益

^*じゅうやくといふは、 ¬*観音かんのんじゅきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「弥陀みだぶつじゅうしたまふことじょうにして*ちょうさい永劫ようごうなるも、 まためつしたまふことあり。 *はつはんとき、 た0251*観音かんのん*せいのみありて、 安楽あんらく*じゅうして十方じっぽう*しょういんしたまふ。 そのぶつめつまたじゅうせつ等同とうどうなり。 しかるにかのくにしゅじょう一切いっさいぶつ*けんしたてまつるものあることなし。

↢終益↡者、依ルニ↢¬観音授記経¼↡云、「阿弥陀仏住シタマフコト↠世長久ニシテ兆載永劫ナルモ、亦有↢滅度シタマフコト↡。般涅槃時、唯有リテ↢観音・勢至ノミ↡、住↢持シテ安楽↡接↢引シタマフ十方↡。其滅度亦与↢住世時節↡等同ナリ。然ルニ衆生一切无↠有ルコト↧覩↢見シタテマツル↡者↥。

^ただ*一向いっこうにもつぱら弥陀みだぶつねんじておうじょうするもののみありて、 つねに弥陀みだげんにましましてめっしたまはざるをる」 と。 これすなはちこれその*じゅうやくなり。

唯有リテ↧一向ジテ↢阿弥陀仏↡往生スルノミ↥、常ルト↢弥陀現シテルヲ↟滅シタマハ。」此即是其終時益也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅲ)万行の失を決す

^しゅするところの*ぎょうこうしてみなしょうずるも、 そんめつるとざるとあり。

↠修スル余行、廻向シテ皆生ズルモ、世尊滅度↢覩ルトルト覩。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅳ)(ⅳ)結勧

^後代こうだいすすめてしんりょうして遠益おんやくうるおさしむ。

メテ↢後代↡審量シテ使↢遠益↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)念仏正因を決する文
              (ⅰ)修相

 ^だいに ¬*般舟はんじゅきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「ときばつ陀和だわさつあり、 このこく弥陀みだぶつましますときて、 しばしばねんく。

第五ルニ↢¬般舟経¼↡云、「時↢跋陀和菩薩↡、於↢此国土↡聞キテ↠有スト↢阿弥陀仏↡、数数係↠念

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅱ)行益
                (a)仏を見て咨嗟す

^このねんによるがゆゑに弥陀みだぶつたてまつる。 すでにぶつたてまつりをはりて、 すなはちしたがひて啓問けいもんすらく、 ªまさにいかなるほうぎょうじてか、 かのくにしょうずることをべきº と。

ルガ↢是↡故タテマツル↢阿弥陀仏↡。既タテマツリ↠仏リテ、即ヒテ啓問スラク、当↧行ジテカ↢何ナル↡得↞生ズルコトヲ↢彼↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅱ)(b)仏生因を決す

^そのとき弥陀みだぶつ、 このさつかたりてのたまはく、 ªわがくにらいしょうせんとほっせば、 つねにわがねんじてそくあることなかれ。 かくのごとくして、 わがこくらいしょうすることをん。

時阿弥陀仏語リテ↢是菩薩↡言、欲セバ↣来↢生セムト↡者、常ジテ↢我↡莫↠有ルコト↢休息↡。如クシテ↠是クノ、得↣来↢生スルコトヲ国土↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅴ)(ⅲ)重ねて方便を教ふ

^まさに仏身ぶっしんさんじゅうそうことごとくみなそくして、 こうみょうてっしょう*たんじょう無比むひなるをねんずべしº」 と。

シト↠念↢仏身三十二相悉皆具足シテ、光明徹照端正无比ナルヲ↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)徳を具す故須く常念すべきを明す文
              (ⅰ)

 ^第六だいろく¬*だい智度ちどろん¼ (意) によるに三番さんばんしゃくあり。

0620ルニ↢¬大智度論¼↡有↢三番解釈↡。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)
                (a)無上法王

^だいいちぶつはこれじょうほうおう0252にして、 さつ法臣ほうしんたり。 とうとぶところおもくするところはただぶつそんなり。 このゆゑにまさにつねに念仏ねんぶつすべし。

「第一是无上法王ニシテ、菩薩↢法臣↡。所↠尊↠重クスル唯仏世尊ナリ。是↢常念仏↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)(b)報恩

^だいにもろもろのさつありてみづからいはく、 ªわれ*曠劫こうごうよりこのかた、 そんちょうようこうむることをたり。 われらが法身ほっしん*しん*だい慈悲じひしんぜんじょう智慧ちえりょう*ぎょうがんぶつによりてじょうずることをたり。 報恩ほうおんのためのゆゑに、 つねにぶつちかづかんとがんず。 また大臣だいじんおうおんちょうこうむりて、 つねにそのあるじおもふがごとしº と。

第二リテ↢諸菩薩↡自、我従↢曠劫↡以来、得タリ↠蒙ルコトヲ↢世尊長養↡。我等法身・智身・大慈悲身、禅定・智慧、无量行願、由リテ↠仏タリ↠成ズルコトヲ。為↢報恩↡故、常↠近ヅカムト↠仏。亦如シト↧大臣蒙リテ↢王恩寵↡、常フガ↦其↥。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅵ)(ⅱ)(c)念仏三昧徳

^だいさんにもろもろのさつありてまたこのごんをなさく、 ªわれ*いんにおいて、 *あくしきひて*般若はんにゃほうして悪道あくどうして、 りょうこうたり。 ぎょうしゅすといへども、 いまだづることをることあたはず。 ^のちいち*ぜんしきへんによるに、 われをおしへて念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうぜしむ。 そのときにすなはちよくしょしょう*あわり、 まさにだつたり。 この大益だいやくあるがゆゑに、 がんじてぶつはなれずº」 と。

第三リテ↢諸菩薩↡復作サク↢是↡、我於↢因地↡、遇ヒテ↢悪知識↡誹↢謗シテ般若シテ↢於悪道↡、経タリ↢无量劫↡。雖↠修スト↢余行↡、未↠能↠得ルコト↠出ヅルコトヲ。後↢一時↡依ルニ↢善知識↡、教ヘテ↠我ゼシム↢念仏三昧↡。其↢遣諸障↡、方タリ↢解脱↡。有ルガ↢斯大益↡故ジテ↠離↠仏。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)見仏に勝益有るを示す文
              (ⅰ)平生堅誓相

 ^第七だいしちに ¬*ごんぎょう¼ によるにのたまはく、

第七ルニ↢¬花厳経¼↡云

^「むしろりょうこうにおいて、 つぶさに一切いっさいくとも、
つひに、 如来にょらいとおざかりてざいりきたてまつらざることなからん」 と。

「寧↢无量劫クトモ↢一切
カラムト↧遠ザカリテ↢如来ルコト↞覩タテマツラ↢自在力↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)(ⅱ)臨終必見益

^またのたまはく (華厳経)

又云

0253^念仏ねんぶつ三昧ざんまいはかならずぶつたてまつり、 命終みょうじゅうのち仏前ぶつぜんしょうず。
かのりんじゅうては念仏ねんぶつすすめ、 また尊像そんぞうしめして*せんぎょうせしめよ」 と。

「念仏三昧タテマツリ↠仏命終之後↢仏前
テハ↢彼臨終↡勧↢念仏又示シテ↢尊像↡令メヨト↢瞻敬↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅶ)(ⅲ)深契離倒益

^また (華厳経・意)*善財ぜんざいどうぜんしきもとめて*徳雲どくうん比丘びくところいたりてまうさく、 ªだいいかんがさつどうしゅして*げんぎょうするやº と。

又善財童子求メテ↢善知識イタリテ↢功徳雲比丘↡白シテ、「大師云何シテ↢菩薩↡帰スル↢普賢↡也

^このとき比丘びく善財ぜんざいげていはく、 ªわれそん智慧ちえかいのなかにおいてただ一法いっぽうる。 いはく念仏ねんぶつ三昧ざんまいもんなり。 なんとなれば、 この三昧さんまいもんのなかにおいて、 ことごとくよく一切いっさい諸仏しょぶつおよびその眷属けんぞくごんじょう*仏刹ぶっせつけんして、 よくしゅじょうをして顛倒てんどうおんせしむ。

時比丘告ゲテ↢善財↡曰、我於↢世尊慧海↡唯知↢一法↡。謂念仏三昧門ナリ。何トナレバ者於↢此三昧門↡、悉覩↢見シテ一切諸仏及眷属、厳浄仏刹↡、能↣衆生ヲシテ遠↢離顛倒↡。

^念仏ねんぶつ三昧ざんまいもんは、 さいきょうがいのなかにおいて一切いっさいぶつざいきょうがい*諸劫しょこう顛倒てんどう念仏ねんぶつ三昧ざんまいもんはよく一切いっさい仏刹ぶっせつおこすに、 よくするものなし。 あまねく諸仏しょぶつたてまつりて、 *さん顛倒てんどうº と。

念仏三昧門者、於↢微細境界↡見0621↢一切自在境界↡、得↢諸劫不顛倒↡。念仏三昧門者、能スニ↢一切仏刹↡、无↢能スル者↡。普タテマツリテ↢諸仏↡、得↢三世不顛倒↡。

^とき徳雲どくうん比丘びく善財ぜんざいげていはく、 ª仏法ぶっぽう深海じんかい広大こうだいへんなり。 わがるところは、 ただこのいち念仏ねんぶつ三昧ざんまいもんたるのみ。 みょうきょうがいしゅりょうしゅっして、 われいまだらざるところなりº」 と。

功徳雲比丘告ゲテ↢善財↡言、仏法深海広大无辺ナリ。我所↠知者、唯得タルノミ↢此念仏三昧門↡。余妙境界出↢過シテ数量↡、我所↠未↠知。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)見仏諸国を明す文
              (ⅰ)八法を標す
                (a)正しく標す

 ^第八だいはちに ¬*かいりゅうおうきょう¼ (意) によるに、 「ときかいりゅうおうぶつにまうしてまうさく、 ªそん弟子でし弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんともとむ。 まさにいかなるぎょうしゅしてか、 かの0254しょうずることをべきº と。

第八ルニ↢¬海竜王経¼↡、「時海竜王白シテ↠仏、世尊、弟子求↠生ゼムト↢阿弥陀仏国↡。当↧修シテカ↢何ナル↡得↞生ズルコトヲ↢彼↡。

^ぶつりゅうおうげたまはく、 ªもしかのくにしょうぜんとほっせば、 まさに八法はっぽうぎょうずべし。 なんらをかはちとなす。 いちにはつねに諸仏しょぶつねんず。 には如来にょらいようす。 さんにはそん*しゃす。 にはぶつぎょうぞうつくりてもろもろのどくしゅす。 にはしておうじょうがんず。 ろくにはしん*こうにゃくならず。 しちには一心いっしんしょうじんす。 はちにはぶつ*しょうもとむº と。

仏告ゲタマハク↢竜王↡、若セバ↠生ゼムト↢彼↡者、当↠行↢八法↡。何等ヲカ↠八。一者常↢諸仏↡。二者供↢養如来↡。三者咨↢嗟世尊↡。四者作リテ↢仏形像↡修↢諸功徳↡。五者廻シテ↢往生↡。六者心不↢怯弱ナラ↡。七者一心精進。八者求ムト↢仏↡。

^ぶつりゅうおうげたまはく、 ª一切いっさいしゅじょうこの八法はっぽうすれば、 つねにぶつはなれずº」 と。

仏告ゲタマハク↢竜王↡、一切衆生具スレバ↢斯八法↡、常↠離↠仏也。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅰ)(b)具欠を分別す

 ^ひていはく、 八法はっぽうせずとも、 仏前ぶつぜんしょうぶつはなれざることをやいなや。

ヒテ、不トモ↠具↢八法↡、得↧生↢仏前↡不ルコトヲ↞離↠仏

^こたへていはく、 しょうずることをることうたがはず。 なにをもつてかることをる。 ぶつ、 ¬*宝雲ほううんぎょう¼ をきたまひしときのごとし。 また*十行じゅうぎょうそくしてじょうしょうずることをて、 つねにぶつはなれざることをかしたまへり。

ヘテ、得ルコト↠生ズルコトヲ不↠疑。何テカ↠知ルコトヲ。如↧仏説キタマヒシ↢¬宝雲経¼↡時↥。亦明シタマヘリ↧十行具足シテ↠生ズルコトヲ↢浄土↡、常ルコトヲ↞離↠仏

^とき除蓋じょがいしょうさつありてぶつにまうさく、 ª十行じゅうぎょうせずしてしょうずることをやいなやº と。 ぶつのたまはく、 ªしょうずることを。 ただよく十行じゅうぎょうのなかにいちぎょうそくしてくることなければ、 ぎょうもことごとく清浄しょうじょうづく。 うたがいいたすことなかれº」 (意) と。

「時リテ↢除蓋障菩薩↡白サク↠仏、不シテ↠具↢十行↡得↠生ズルコトヲ已不 イナ 。仏言、得↠生ズルコトヲ。但能十行之中一行具足シテケレバ↠闕クルコト、余之九行↢清浄↡。勿レト↠致スコト↠疑也。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅱ)類を引く
                (a)汎く四法を明す

^また ¬*大樹だいじゅきん陀羅だらおうきょう¼ (意) にのたまはく、 「さつしゅほうぎょうじてつねに仏前ぶつぜんはなれず。 なんらをかとなす。 いちにはみづから善法ぜんぽうしゅ0255しゅじょうすすめて、 みなおうじょうして如来にょらいたてまつるこころをなさしむ。 にはみづからすすすすめてしょうぼうくことをねがはしむ。 さんにはみづからすすすすめてだいしんおこさしむ。 には一向いっこうこころざしをもつぱらにして念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうず。

又¬大樹陀羅王経¼云、「菩薩ジテ↢四種↡常不↠離↢仏前↡。何等ヲカ↠四。一者自↢善法↡兼ネテメテ↢衆生↡、皆作サシム↧往生シテタテマツル↢如来↡意↥。二0622メテ↠他ハシム↠聞クコトヲ↢正法↡。三者自メテ↠他サシム↢菩提心↡。四者一向ニシテ↠志↢念仏三昧↡。

^このぎょうすれば、 一切いっさいしょうじょつねに仏前ぶつぜんにありて諸仏しょぶつはなれず」 と。

スレバ↢此↡、一切生処常リテ↢仏前↡不↠離↢諸仏↡。」

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅱ)(b)偏に第四を証す

^また ¬きょう¼ (大樹緊陀羅王経・意) にのたまはく、 「ぶつさつぎょうほうきたまふに、 さんじゅううつわあり。 なんとなれば、 布施ふせはこれだいうつわ忍辱にんにくはこれたんじょううつわかいはこれしょうしんうつわぎゃくきょうはこれ*刀山とうせん剣樹けんじゅ鑊湯かくとううつわ*ほつだいしんはこれじょうぶつうつわ、 つねによく念仏ねんぶつしてじょうおうじょうするはこれ見仏けんぶつうつわなり」 と。

又¬経¼云、「仏説キタマフニ↢菩薩行法↡、有↢三十二器↡。何トナレバ者布施是大富器、忍辱是端政器、持戒是聖身器、五逆不孝是刀山・剣樹・鑊湯器、発菩提心是成仏器、常念仏シテ往↢生スルハ浄土↡是見仏ナリト。」

^りゃくしてろくもんげてべず。 聖教しょうぎょうすでにしかり。 ぎょうじゃしょうぜんとがんぜば、 なんぞつねに念仏ねんぶつせざらんや。

シテゲテ↢六門↡余者不↠述。聖教既。行者願ゼバ↠生ゼムト、何ラム↢常念仏↡也。

二 Ⅳ ⅱ b ロ (二)(Ⅷ)(ⅲ)念仏に結帰す

^また ¬*月灯がっとう三昧さんまいきょう¼ によるにのたまはく、

又依ルニ↢¬月灯三昧経¼↡云

^ぶつ相好そうごうおよびとくぎょうねんじ、 よく諸根しょこんをして乱動らんどうせざらしめ、
しん迷惑めいわくなくほうがっして、 くことをれば、 ること大海だいかいのごとし。

「念↢仏相好及徳行使↣諸根ヲシテ↢乱動
↢迷惑↡与↠法合シテレバ↠聞クコトヲ、得ルコト↠智↢大海

^しゃこの三昧さんまいじゅうして、 ねんせっしてぎょうずれば、 *経行きょうぎょうのところにおいて、
よく千億せんおくのもろもろの如来にょらいたてまつり、 またりょう恒沙ごうじゃぶつひたてまつる」 と。

智者住シテ↢於是三昧シテ↠念ズレバ、於↢経行
タテマツリ↢千億如来亦値ヒタテマツルト↢无量恒沙↡」

二 Ⅳ ⅱ 念仏の得益を釈顕す【念仏三昧利益】
       

025631】^だいさん問答もんどうしゃくして、 念仏ねんぶつ三昧ざんまい種々しゅじゅやくあることをあらわすに、 そのばんあり。

第三問答解釈シテ、顕スニ↣念仏三昧ルコトヲ↢種種利益↡、有↢其五番↡。

二 Ⅳ ⅱ c 問答
          (一)一番問答
            (Ⅰ)

 ^だいいちひていはく、 いまつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすといはば、 なほ三昧さんまいぎょうぜざるや。

第一ヒテ、今云ハバ↣常スト↢念仏三昧↡、ナホ↠行↢余三昧↡也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)

^こたへていはく、 いまじょうねんといへども、 また三昧さんまいぎょうぜずとはいはず。 ただ念仏ねんぶつ三昧ざんまいぎょうずることおおきがゆゑなり。 ゆゑにじょうねんといふ。 まつたく三昧さんまいぎょうぜずといふにはあらず。

ヘテ、今言ヘドモ↢常念↡、亦不↠言↠不トハ↠行↢余三昧↡。但行ズルコト↢念仏三昧↡多キガナリ。故↢常念↡。非↠謂フニハ↢全↟行↢余三昧↡也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (二)二番問答
            (Ⅰ)

 ^だいひていはく、 もしつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすることをすすめば、 三昧さんまいとよく*階降かいごうありやいなや。

第二ヒテ、若メバ↣常スルコトヲ↢念仏三昧↡、与↢余三昧↡能リヤ↢階降↡以不 イナ

二 Ⅳ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)

^こたへていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまい*しょうそう不可ふか思議しぎなり。 これいかんがる。

ヘテ、念仏三昧勝相不可思議ナリ。此云何

^¬*摩訶まかえん¼ のなかにきていふがごとし。 「もろもろの三昧さんまい三昧さんまいならざるにはあらず。

↢¬摩訶衍¼中キテフガ↡。「諸0623昧、非↠不ルニハ↢三昧ナラ↡。

^なにをもつてのゆゑに。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくとんのぞきてしんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくしんのぞきてとんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよくのぞきて貪瞋とんしんのぞくことあたはず。 あるいは三昧さんまいあり、 ただよく現在げんざいさわりのぞきて過去かこらい一切いっさいしょしょうのぞくことあたはず。

テノイハ↢三昧↡、但能キテ↠貪不↠能↠除クコト↢瞋痴↡。或イハ↢三昧↡、但キテ↠瞋不↠能↠除クコト↢痴貪↡。或イハ↢三昧↡、但能キテ↠痴不↠能↠除クコト↢貪瞋↡。或イハ↢三昧↡、但能キテ↢現在↡不↠能↠除クコト↢過去・未来一切諸障↡。

^もしよくつねに念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅすれば、 現在げんざい過去かこらいふことなく一切いっさい諸障しょしょうことごとくみなのぞこる」 と。

スレバ↢念仏三昧↡、无↠問フコト↢現在・過去・未来↡一切諸障悉皆除コルト也。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)三番問答
            (Ⅰ)

 ^0257だいさんひていはく、 念仏ねんぶつ三昧ざんまいすでによくさわりのぞふくること*功利くりだいならば、 いぶかし、 またよくぎょうじゃ*やくしてとし寿じゅやくせしむやいなや。

第三ヒテ、念仏三昧既↠障ルコト↠福功利大ナラバ者、未審イブカシ、亦能資↢益シテ行者↡使ムヤ↢延↠年↟寿以不 イナ

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)
              (ⅰ)直答

^こたへていはく、 かならずるなり。

ヘテルナリ

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)引証
                (イ)惟無三昧経

^なんとなれば、 ¬*ゆい三昧さんまいきょう¼ にのたまふがごとし。 「きょうだいにんあり。 あにいんしんず。 おとうと信心しんじんなし、 しかもよく*相法そうほうさとれり。 ちなみにそのかがみのなかにみづからめんじょうるに、 そうすでにげんじて七日しちにちぐさじ。 ときしゃありてきてぶつはしむ。

トナレバ者如↢¬惟无三昧経¼云フガ↡。「有↢兄弟二人↡。兄↢因果↡。弟↢信心↡、而能善レリ↢相法↡。因ルニ↢面上↡、死相已ジテ不↠過グサ↢七日↡。時リテ↢智者↡往キテハシム↠仏

^ぶつときこたへてのたまはく、 ª七日しちにちといふはならず。 もしよく一心いっしん念仏ねんぶつかいしゅせば、 あるいはなんすることをんº と。 すなはちきょうによりて*ねんす。 とき六日ろくにちいたりてすなはち二鬼にきあり、 きたりてみみにその念仏ねんぶつこえきてつひによく前進すすむことなし。 かえりてえんおうぐ。 えんおうふだもとむ。 ふだすでにしるしていはく、 ªかい念仏ねんぶつどくによりて*第三だいさん炎天えんでんしょうずº」 と。

仏時ヘテ、七日トイフハ不↠虚ナラ。若一心念仏セバ↠戒、或イハムト↠度スルコトヲ↠難尋即 スナハ リテ↠教繋念。時リテ↢六日↡即↢二鬼↡、来リテキテ↢其念仏之声↡竟↢能前進 スス ムコト↡。還リテ↢閻羅王↡。閻羅王索符已シルシテ、由リテ↢持戒・念仏功徳↡生ズト↢第三炎天↡。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(ロ)譬喩経

^また ¬*譬喩ひゆきょう¼ のなかに、 「いちちょうじゃあり、 罪福ざいふくしんぜず、 としすでにじゅう、 たちまちによるゆめらく、 *せっふだもときたりて、 これをらんとほっしてじゅうにちぐさじと。

又¬譬喩経¼中、「有↢一長者↡、不↠信罪福↡、年已五十、忽夜夢ラク殺鬼↠符リテ、欲シテ↠取ラムト↠之↠過グサ↢十日↡。

^そのひとねむめて*こうすることつねにあらず。 あけいたりて*そう求覓もとめてゆめうらなはしむ。 *ちょうつくりていはく、 ªせっあり、 かならずあひがいせんとほっす、 じゅうにちぐさじº と。 そのひとこうする0258ことつねにばいす。 ぶついたりてしょうす。

人眠メテ惶怖スルコト↠常。至リテ↠明求↢覓 モト メテ相師↡占ハシム↠夢。師作リテ↢卦兆↡云、有殺鬼↡、必↢相害セムト↡、不↠過グサ↢十日↡。其人惶怖スルコト↠常イタリテ↠仏求請

^ぶつときこたへてのたまはく、 ªもしこれをはらはんとほっせば、 いまより以去いここころをもつぱらにして念仏ねんぶつし、 かいたもち、 こうき、 ともしびともし、 *繒幡ぞうばんがいけ、 三宝さんぼう*信向しんこうせば、 このまぬかるべしº と。

仏時ヘテ、若セバ↠攘ハムト↠此、従↠今已去専ニシテ↠意念仏、持↠戒0624、焼↠香、然↠灯、懸↢繒幡蓋↡、信↢向セバ三宝↡、可シトマヌカ↢此↡。

^すなはちこのほうによりて専心せんしん信向しんこうす。 せっもんいたりてどくしゅするを、 つひにがいすることあたはず。 すなはちれり。 そのひとこのどくによりて寿いのちひゃくねんてて、 しててんしょうずることをたり。

リテ↢此↡専心信向殺鬼到リテ↠門見↠修スルヲ↢功徳↡、遂不↠能↠害スルコト鬼即レリ。其人縁リテ↢斯↡寿満テテ↢百年↡、死シテタリ↠生ズルコトヲ↠天

^またいち長者ちょうじゃあり、 づけてしゅうといふ。 かい退たいしてぶつかえし、 げんあっのこれをつをこうむる」 と。

復有↢一長者↡、名ケテ↢執持↡。退シテ↠戒↠仏、現ルト↢悪鬼ツヲ↟之。」

二 Ⅳ ⅱ c ロ (四)四番問答
            (Ⅰ)

 ^だいひていはく、 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいはただよくしょしょう*たいし、 ただ*ほうのみをまねくや、 またよくとお*しゅっ*じょうだいかんずやいなや。

第四ヒテ、此念仏三昧但能対↢治諸障↡、唯招クヤ↢世報ノミヲ↡、亦能ズヤ↢出世无上菩提以不 イナ

二 Ⅳ ⅱ c ロ (四)(Ⅱ)

^こたへていはく、 るなり。 なんとなれば、 ¬ごんぎょう¼ の 「じゅうぼん」 にのたまふがごとし。 はじしょよりすなはちじゅういたるまで一々いちいちのなかにおいて、 みな*にゅうぎょうどう*まんどく*已不いふじゅうどうとをきをはりて、 すなはちみなけっしてのたまはく、 「このもろもろのさつぎょうしゅすといへども、 みな念仏ねんぶつ念法ねんぽう念僧ねんそうはなれず。 *上妙じょうみょうがくをもつて三宝さんぼうようす」 (意) と。

ヘテ、得ルナリ。何トナレバ者如↢¬花厳経¼「十地品」云フガ↡。始↢初地↡乃ルマデ↢十地↡於↢一一↡、皆説↢入地加行道地満功徳利已不住道トヲ↡訖リテ、即皆結シテ、「是菩薩雖↠修スト↢余行↡、皆不↠離↢念仏・念法・念僧↡上妙楽具ヲモテ供↢養スト三宝↡。」

^このもんしょうをもつてることを。 もろもろのさつとう、 すなはち*じょういたるまで、 つねに念仏ねんぶつ念法ねんぽう念僧ねんそうがくして0259、 まさによくりょうぎょうがんじょうじゅしてどくかいつ。 いかにいはんやじょうぼんじょうしょうぜんともとめて念仏ねんぶつがくせざらんや。 なにをもつてのゆゑに。 この念仏ねんぶつ三昧ざんまいはすなはち一切いっさいしょうろくする*つうぎょう*つうばんなるがゆゑなり。

↢斯文証↡得↠知ルコトヲ。諸菩薩等、乃ルマデ↢上地↡、シテ↢念仏・念法・念僧↡、方成↢就シテ无量行願↡満↢功徳海↡。何二乗・凡夫求メテ↠生ゼムト↢浄土↡不ラム↢念仏↡也。何テノ。此念仏三昧スル↢一切四摂・六度↡通行、ナルガナリ

二 Ⅳ ⅱ c ロ (五)五番問答
            (Ⅰ)

 ^だいひていはく、 しょじょうさつは、 ぶつおなじく真如しんにょしょうするをもつてぶっしょうずとづく。 みづからよくぶつりてしゅじょう*済運さいうんす。 なんぞさらに念仏ねんぶつ三昧ざんまいがくしてぶつたてまつらんとがんずるをもちゐんや。

第五ヒテ、初地已上菩薩、与↠仏同ジクスルヲモテ↢真如之理↡名↠生ズト↢仏家↡。自リテ↠仏済↢運衆生↡。何ヰム↧更シテ↢念仏三昧↡願ズルヲ↞見タテマツラムト↠仏也。

二 Ⅳ ⅱ c ロ (五)(Ⅱ)

^こたへていはく、 その真如しんにょろんずるに、 広大こうだいへんにしてくうひとし。 そのりょうりがたし。 たとへばいちおおきなる闇室あんしつに、 もし一灯いっとうとうともせば、 そのみょうあまねしといへども、 なほやみとなすがごとし。 やうやくとういたれば、 だいみょうづくといへども、 あに日光にっこうおよばんや。 さつしょしょうは、 *地々じじあひのぞむるにおのづから階降かいごうありといへども、 あにぶつあきらかなるがごとくなるにくらぶることをんや。

ヘテ、論ズルニ↢其真如↡、広大无辺ニシテ与↢虚空↡等。其量難↠知。譬ヘバ↧一ナル闇室、若セバ↢一灯・二灯↡、其明雖↠遍シト、猶為スガ↞闇也。漸レバ↢多灯↡、雖↠名クト↢大明↡、豈バムヤ↢日光↡。菩薩所証、雖0625↣地地相望ムルニリト↢階降↡、豈↠比ブルコトヲ↣仏クナルニ↢日カナルガ↡也。

【第五大門】
    標列

【32】^だい大門だいもんのなかにばんりょうけんあり。 だいいちあまねく修道しゅどう*延促えんそくかして、 すみやかに退たいしめんとほっす。 だい*此彼しひ禅観ぜんかん*きょうして*おうすすむ。 だいさん此彼しひじょうきょう、 また*無漏むろづけてきょうす。 だい聖教しょうぎょうきて*証成しょうじょうし、 後代こうだいすすめてしんしょうくことをもとめしむ。

第五大門↢四番料簡↡。第一シテ↢修道延促↡、欲↠令メムト↣速獲↢不退↡。第二此彼禅観比シテ。第三此彼浄穢二境、亦名ケテ↢漏・无漏↡比挍。第四キテ↢聖教↡証成、勧メテ↢後代↡生↠信メシム↠往クコトヲ

二 Ⅴ 解釈
      【修道延促】
       

026033】^だいいちあまねく修道しゅどう延促えんそくかすとは、 なかにつきてあり。 いちには修道しゅどう延促えんそくかし、 には問答もんどうしゃくす。

第一スト↢修道延促↡者、就キテ↠中↠二。一ニハ↢修道延促↡、二ニハ問答解釈

二 Ⅴ ⅱ a
          (一)延促を明す
            (Ⅰ)歎身
              (ⅰ)

^いち延促えんそくかすとは、 ただ一切いっさいしゅじょういとひてらくもとめ、 *ばくおそれて*もとめざるはなし。 みなはやじょうだいしょうせんとほっせば、 づすべからくだいしんおこすをしゅとなすべし。 このしんりがたく、 おこしがたし。 たとひこのしん発得ほっとくすとも、 *きょうによるに、 つひに、 すべからくじっしゅぎょう、 いはゆる*しん*しん*ねん*かい*じょう**しゃ*ほう*発願ほつがん*こうしゅして、 だい進詣しんげいすべし

スト↢延促↡者、但一切衆生莫↠不ルハ↢厭ヒテ↠苦↠楽、畏レテ↠縛↟解。皆欲セバ↣早セムト↢无上菩提↡者、先↧発スヲ↢菩提心↡為↞首。此心難↠識↠起縦令 タトヒ 発↢得ストモ↡、依ルニ↠経↧修シテ↢十種行、謂ハユル信・進・念・戒・定・恵・捨・護法・発願・廻向↡進↦詣菩提↥。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅰ)(ⅱ)不堪

^しかるに修道しゅどう相続そうぞくしてえずして、 いち万劫まんごうてはじめて退たいくらいしょうす。 当今とうこんぼんげん*信想しんそうきょうもうづけ、 または*みょうといひ、 またはじょうじゅづけ、 または*ぼんづく。 いまだたくでず。

ルニ修道之身相続シテシテ↠絶、逕↢一万劫↡始↢不退↡。当今凡夫↢信想軽毛↡、亦↢仮名↡、亦↢不定聚↡、亦↢外凡夫↡。未↠出↢火宅↡。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)経証
              (ⅰ)菩薩瓔珞経

^なにをもつてかることをる。 ¬*さつ瓔珞ようらくきょう¼ によりてつぶさに*にゅうどうぎょうべんずるに、 *ほうなるがゆゑになんぎょうどうづく。

テカ↠知ルコトヲ。拠リテ↢¬菩薩瓔珞経¼↡具ズルニ↢入道行位↡、法爾ナルガ↢難行道↡。

^またただおもんみれば一劫いっこうのうちの受身じゅしんしょうすらなほかぞるべからず、 いはんやいち万劫まんごうのうちにいたづらにつうしょうくるをや。 もしよくあきらかにぶっきょうしんじてじょうしょうぜんとがんずれば、 寿いのちちょうたんしたがひて、 *いちぎょうにすなはちいたりてくらい退たいかなふ。 この修道しゅどういち万劫まんごうこうひとしくす。 もろもろのぶっとう、 なんぞりょうせずしてなんててもと0261ざらんや。

又但以レバ一劫之中受身生死スラ尚不↠可カラ↢数一万劫クルヲヤ↢痛焼↡。若カニジテ↢仏経↡願ズレバ↠生ゼムト↢浄土↡、随ヒテ↢寿長短↡、一形リテカナ↢不退↡。与↢此修道一万劫↡斉シクス↠功。諸仏子等、何シテ↢思量↡不ラム↢捨テテ↠難↟易也。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)倶舎論

^¬*しゃろん¼ のなかにまたなんぎょうぎょうしゅどうかすがごとし。

↣¬倶舎論¼中亦明スガ↢難行・易行0626二種之道↡。

^なんぎょうとは、 ¬ろん¼ (菩薩瓔珞経・意)きていふがごとし。 「三大さんだいそうこうにおいて、 一々いちいちこうのうちに、 みな*ふくりょうろっ波羅ぱらみつ一切いっさいしょぎょう一々いちいちぎょうごうにみなひゃくまんなんぎょうどうありて、 はじめていちつ」 と。 これなんぎょうどうなり。

難行者、如↢¬論¼説キテフガ↡。「於↢三大阿僧祇劫↡、一一、皆具↢福智資糧六波羅蜜一切諸行↡。一一行業皆有リテ↢百万難行之道↡、始ツト↢一位↡。」是難行道也。

^ぎょうどうとは、 すなはちかの ¬ろん¼ (菩薩瓔珞経・意) にいはく、 「もしべつ方便ほうべんあるによりてだつすることあるをぎょうどうづく」 と。

易行道者、即¬論¼云、「若リテ↣別ルニ↢方便↡有ルヲ↢解脱スルコト↡者名クト↢易行道↡也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (一)(Ⅲ)結勧

^いますでにすすめて極楽ごくらくせしむ。 一切いっさいぎょうごうことごとくかしこにこうして、 ただよくせんなれば、 寿いのちきてかならずしょうず。 かのくにしょうずることをれば、 すなはちきょうして清涼しょうりょうなり。 あにぎょうどうづけざるべけんや。 すべからくこのこころるべし。

今既メテセシム↢極楽↡。一切行業悉廻↢向シテ↡、但能専至ナレバ、寿尽キテ。得レバ↠生ズルコトヲ↢彼↡、即究竟シテ清涼ナリ。豈ケムヤ↠不↠名↢易行之道↡。須↠知↢此↡也。

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)問答
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 すでにじょうおうじょうせんとがんずれば、 この寿いのちくるにしたがひてすなはちおうじょうといふは、 聖教しょうぎょうしょうありやいなや。

ヒテ、既↧願ズレバ↣往↢生セムト浄土↡、随ヒテ↢此寿尽クルニ↡即↦往生↥者、有リヤ↢聖教証↡不

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)

^こたへていはく、 しちばんあり。 みなきょうろんきて証成しょうじょうせん。

ヘテ、有↢七番↡。皆引キテ↢経論↡証成セム

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)引経
                (a)大経
                  (イ)正引

^いちには ¬*だいきょう¼ (下・意) によるにのたまはく、 「ぶつ*なんげたまはく、 ªそれしゅじょうありて、 こんにおいてりょう寿仏じゅぶつたてまつらんとほっせば、 じょうだいしんおこどくしゅぎょうしてかのくにしょうぜんとがんずべし。 すなはちおうじょうるがゆゑなりº」 と。

ニハルニ↢¬大経¼↡云、「仏告ゲタマハク↢阿難↡、其有リテ↢衆生↡、欲セバ↧於↢今世↡見タテマツラムト↦无量寿仏↥者、応↧発↢无上菩提之心↡修↢行シテ功徳↡願↞生ゼムト↢彼↡。即ルガ↢往生↡故ナリト。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)釈引

^¬だいきょうさん¼ にいはく (*0262阿弥陀仏偈)

¬大経¼云

^もし弥陀みだ*徳号とくごうきて、 かん讃仰さんごうし、 しん帰依きえすれば、
しも一念いちねんいたるまでだい。 すなはちどくほうそくすとなす。

「若キテ↢阿弥歓喜讃仰心帰依スレバ
下至ルマデ↢一念↡得↢大利↣具↢足スト功徳

^たとひ大千だいせんかいてらんをも、 またただちにぎてぶつくべし。
弥陀みだけば、 また退しりぞかず。 このゆゑにしんいたして稽首けいしゅらいしたてまつる」 と。

テラム↢大千世界↡火ヲモ亦応↣直ギテ↢仏
ケバ↢阿弥陀↡、不↢復退シテ↠心稽首シタテマツルト

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)観経

^には ¬かんぎょう¼ (意) によるに、 ぼんのうちにみなのたまはく、 「臨終りんじゅう正念しょうねんにしてすなはちおうじょう」 と。

ニハルニ↢¬観経¼↡、九品之内皆言、「臨終正念ニシテ↢往生↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(c)起信論

^さんには ¬*しんろん¼ (意) によるにいはく、 「もろもろのしゅじょうおしへて真如しんにょびょうどう*一実いちじつかんぜよとすすむ。 また*ほっさつあり、 そのしんなんにゃくにして、 みづからつねに諸仏しょぶつひたてまつりて*しんじょうようすることあたはずとおもひ、 こころ退たいせんとほっするものには、 まさにるべし、 如来にょらい*しょう方便ほうべんましまして信心しんじんしょうしたまふ。

ニハルニ↢¬起信論¼↡云、「教ヘテ↢諸衆生↡勧↠観ゼヨト↢真如平等一実↡。亦↢始発意菩薩↡、其心軟弱ニシテ、自↠不↠能↧常ヒタテマツリテ↢諸仏↡親承供養スルコト↥、意欲スル↠退セムトニハ、当↠知、如来0627シテ↢勝方便↡摂↢護シタマフ信心↡。

^いはく、 こころをもつぱらにしてぶつねんずる因縁いんねんをもつて、 がんしたがひておうじょうす。 つねにぶつたてまつるをもつてのゆゑに、 なが悪道あくどうはなる」 と。

↢専ニシテ↠意ズル因縁↡、随ヒテ↠願往生。以テノ↢常タテマツルヲ↟仏ルト↢悪道↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(d)鼓音陀羅尼経

^には ¬*おん陀羅尼だらにきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「そのときそん、 もろもろの比丘びくげたまはく、 ªわれまさになんぢがために演説えんぜつすべし。 西さい0263ほう安楽あんらくかいにいまげんぶつまします。 弥陀みだなづけたてまつる。

ニハルニ↢¬鼓音陀羅尼経¼↡云、「爾時世尊告ゲタマハク↢諸比丘↡、我当↢為↠汝演説↡。西方安楽世界今現↠仏。ナヅケタテマツル↢阿弥陀↡。

^もししゅありて、 よくまさしくかのぶつみょうごうじゅし、 そのしんけんにして憶念おくねんしてわすれざることじゅうにちじゅう散乱さんらん除捨じょしゃして*しょうごんして念仏ねんぶつ三昧ざんまいしゅじゅうし、 もしよく念々ねんねんえざらしむれば、 じゅうにちのうちにかならずかの弥陀みだぶつたてまつることをて、 みなおうじょうº」 と。

リテ↢四衆↡、能シク受↢持名号↡、堅↢固ニシテ↡憶念シテルコト十日十夜、除↢シテ散乱↡精懃シテ修↢習念仏三昧↡、若ムレバ↢念念↟絶、十日之中↠見タテマツルコトヲ↢彼阿弥陀仏↡、皆得↢往生↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(e)法鼓経

^には ¬*ほっきょう¼ によるにのたまはく、 「もしひとりんじゅうときねんをなすことあたはざれども、 ただかのほうぶつましますとりておうじょうこころをなせば、 またおうじょう」 と。

ニハルニ↢¬法鼓経¼↡云、「若人臨終之時レドモ↠能↠作スコト↠念、但知リテ↢彼スト↟仏作セバ↢往生↡、亦得↢往生↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(f)十方随願往生経

^六には ¬*十方じっぽう随願ずいがんおうじょうきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「もしおわりにのぞおよびてごくすることあらんに、 いえのうちの眷属けんぞくその亡者もうじゃのために念仏ねんぶつしおよび*転誦てんじゅ*斎福さいふくすれば、 亡者もうじゃすなはちごくよりでてじょうおうじょう。 いはんやその現在げんざいにみづからよく修念しゅねんせば、 なにをもつてかおうじょうすることをざるものあらんや」 と。

ニハ↢¬十方随願往生経¼云フガ↡。「若ラムニ↣臨↠終ビテ↠死スルコト↢地獄↡、家眷属為↢其亡者↡念仏転誦斎福スレバ、亡者則デテ↢地獄ヨリ↡往↢生浄土↡。況現在修念セバ、何テカ↠得↢往生スルコトヲ↡者アラム。」

^このゆゑにかの ¬きょう¼ (十方随願往生経・意) にのたまはく、 「現在げんざい眷属けんぞく亡者もうじゃのために*追福ついふくすれば、 遠人おんにんかれいするにさだめてじきるがごとし」 と。

¬経¼云、「現在眷属為↢亡者↡追福スレバ、如シトカレイスルニ↢遠人↡定メテルガ↞食也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)諸経
                  (イ)大法鼓経

^だいしちにはひろしょきょうきて証成しょうじょうす。 ^¬*だいほっきょう¼ にきたまふがごとし。 「もし善男ぜんなんぜん女人にょにんつねによくこころけて諸仏しょぶつみょうごうしょうねんすれば、 十方じっぽう諸仏しょぶつ一切いっさい*げんじょうつねにこのひとることまえ0264げんずるがごとし。 このゆゑにこのきょうだいほっづく。 まさにるべし、 このひと十方じっぽうじょうがんしたがひておうじょうす」 と。

第七ニハキテ↢諸経↡証成。如↢¬大法鼓経¼説キタマフガ↡。「若善男子・善女人常ケテ↠意称↢念スレバ諸仏名号↡者、十方諸仏・一切賢聖常ルコト↢此↡如↠現ズルガ↡。是↢大法鼓↡。当↠知、此十方浄土ヒテ↠願往生スト。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ロ)大悲経

^また ¬*だいきょう¼ (意) にのたまはく、 「なにをかづけてだいとなす。 もしもつぱら念仏ねんぶつ相続そうぞくしてえざるものは、 その命終みょうじゅうしたがひてさだめて安楽あんらくしょうず。 もしよく*展転てんでんしてあひすすめて念仏ねんぶつぎょうずるものは、 まさにるべし、 これらをことごとくだいぎょうずるひとづく」 と。

又¬大悲経¼云、「何ヲカケテ↢大悲↡。若念仏相続シテ↠断、随ヒテ↢其命終↡定メテ↢安楽↡。若0628展転シテ相勧メテズル↢念仏↡者、当↠知、此等クト↧行ズル↢大悲↡人↥也。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ハ)涅槃経

^このゆゑに ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつ大王だいおうげたまはく、 ªたとひだいぞうひらきて一月ひとつきのうちに一切いっさいしゅじょう布施ふせすとも、 所得しょとくどくひとありてぶつしょうするいっどくにしかず。 まえぎたること*校量きょうりょうすべからずº」 と。

¬涅槃経¼云、「仏告ゲタマハク↢大王↡、仮令 タトヒ キテ↢大庫蔵↡一月之中布↢施ストモ一切衆生↡、所得功徳、不↠如↢有リテ↠人称スル一口功徳↡。過ギタルコト↠前↠可カラ↢挍量↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ニ)増一阿含経

^また ¬*増一ぞういつごんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「ぶつなんげたまはく、 ªそれしゅじょうありて、 いちえんだいひとぶく飲食おんじき臥具がぐ湯薬とうやくようせんに、 所得しょとくどく、 むしろおおしとなすやいなやº と。 なんぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 はなはだおおしはなはだおおし、 かぞはかるべからずº と。

又¬増一阿含経¼云、「仏告ゲタマハク↢阿難↡其有リテ↢衆生↡、供↢養セムニ一閻浮提衣服・飲食・臥具・湯薬↡、所得功徳、寧スヤ↠多シト。阿難白シテ↠仏、世尊、甚、不↠可カラ↢数↡。

^ぶつなんげたまはく、 ªもししゅじょうありて善心ぜんしん相続そうぞくしてぶつみょうごうしょうすること、 ひとたびにゅうしぼるあひだのごとくせんに、 所得しょとくどくうえぎたることはかるべからず。 よくはかるものあることなしº」 と。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、若リテ↢衆生↡善心相続シテスルコト↢仏名号↡、如クセムニ↧一タビシボ↢牛乳アヒダ↥、所功徳過ギタルコト↠上不↠可カラ↠量。无シト↠有ルコト↢能者↡。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(g)(ホ)大品経

^¬*大品だいぼんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「もしひと*散心さんしん念仏ねんぶつすれば、 す0265なはちおわるにいたるまでそのふくきず。 もしひとさん念仏ねんぶつすれば、 すなはちおわるにいたるまでそのふくきず」 と。

¬大品経¼云、「若人散心念仏スレバ、乃ルマデ↠畢ルニ↠苦福不↠尽。若人散花念仏スレバ、乃ルマデ↠畢ルニ↠苦福不↠尽。」

二 Ⅴ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)

^ゆゑにりぬ、 念仏ねんぶつだいなること不可ふか思議しぎなり。 ¬*じゅうおう生経じょうきょう¼、 しょだいじょうきょうとう、 ならびにもんしょうあり、 つぶさにくべからず。

リヌ念仏利大ナルコト不可思議也。¬十往生経¼、諸大乗経等、並↢文証↡、不↠可カラ↢具↡也。

二 Ⅴ ⅱ 【禅観難易】
       

【34】^だいつぎ此彼しひ禅観ぜんかんきょうしておうじょうすすむることをかすとは、

第二スト↣此彼禅観比挍シテムルコトヲ↢往生↡者、

二 Ⅴ ⅱ b
          (一)穢境禅定の劣
            (Ⅰ)乱想

^ただこのほうきょうにして、 乱想らんそうありてりがたし。

但此穢境ニシテ、乱想アリテ↠入

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)味染

^たとひ修得しゅとくするも、 ただ*じょうおお*ぜんよろこぶ。

就令 タトヒ 修得スルモ、唯獲↢事定↡多↢味染↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅲ)退転

^またただよく*業報ごうほうしょうぶくし、 *じょうかい寿いのちきぬればおお退たいす。

又復但能↢業報↡、上界寿尽キヌレバ退

二 Ⅴ ⅱ b ロ (一)(Ⅳ)引論

^このゆゑに ¬智度ちどろん¼ にいはく、

¬智度論¼云

^もんかいぜんとは、 いまだ無漏むろほうざれば、
このどくありといへども、 このいまだたのむべからず」 と。

「多聞持戒トハレバ↠得↢无漏法
↠有リト↢此功徳↡事未↠可カラタノ

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)西方定観の勝

^もし西にしかひてしゅじゅうせんとほっせば、 *きょうこうじょうにして、 *じょうかんじょうじやすし。 つみのぞくことこうにして、 ながさだまりすみやかにすすみてきょうして清涼しょうりょうなり。 ¬だいきょう¼ にひろきたまふがごとし。

セバ↢向ヒテ↠西修習セムト↡、事境光浄ニシテ定観易↠成。除クコト↠罪多劫ニシテ、永ミテ究竟0629シテ清涼ナリ。如↢¬大経¼広キタマフガ↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (三)此界色天との比校
            (Ⅰ)

 ^ひていはく、 もし西方さいほうきょうがいしょうにしてぜんじょうをなしてかんずべくは、 このさかい*色天しきてんよわくしてぜんじょうをなしてまねくべからざるや。

ヒテ、若西方境界勝ニシテクハ↧為シテ↢禅定↡感↥、此色天クシテルヤ↠応カラ↧為シテ↢禅定↡招↥。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)
              (ⅰ)因の該通

^こたへていはく、 もししゅじょういん0266ろんぜば、 *彼此ひし該通がいつうす。

ヘテ、若ゼバ↢修定↡、該↢通於彼此↡。

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)西方果の勝

^しかるにかのさかいくらいこれ退たいにして、 ならびにりきたもつあり。 このゆゑにきてしょうとなす。

ルニ位是不退ニシテ↢他力↡。是キテ↠勝

二 Ⅴ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)色天果の劣

^このところはまたじょうしゅするにこくすといへども、 ただ*ぶんいんのみありて、 けてりきせっすることなし。 ごうくれば、 退たいすることをまぬかれず。 これにつきてしかずとく。

↢復修スルニ↠定スト↡、但有リテ↢自分ノミ↡、闕ケテ↢他力スルコト↡。業尽クレバ、不↠マヌカ↠退スルコトヲ。就キテ↠此↠不↠如

二 Ⅴ ⅱ 【此彼浄穢】
       

【35】^だいさん此彼しひじょうきょうをまた無漏むろづくるによるとは、

第三ルト↣此彼浄穢二境亦名クルニ↢漏・无漏↡者、

二 Ⅴ ⅱ c
          (一)此土有漏相

^もしこのところきょうがいろんずれば、 たださんきょう山澗せんけんしゃこく水旱すいがん暴風ぼうふう悪触あくそく雷電らいでん礰へきれきろうどくじゅう悪賊あくぞくあく荒乱こうらんさん三災さんさいはいあり。

ズレバ↢此境界↡、唯有↢三塗・丘坑・山澗・沙鹵・蕀刺・水旱・暴風・悪触・雷電・礰・虎狼・毒獣・悪賊・悪子・荒乱・破散・三災・敗壊↡。

^しょうぼうかたろんずれば、 三毒さんどく八倒はっとう憂悲うひしっびょうたんみょうかつ寒熱かんねつあり。 つねに*みょうがい追逐ついちくするところとなる。 ふかあくすべし。 つぶさにくべからず。 ゆゑに有漏うろづく。 ふかいとふべし。

↢論ズレバ正報↡、三毒・八倒・憂悲・嫉妬・多病・短命・飢渇・寒熱アリ。常伺命害鬼之所↢追逐スル↡。深↢穢悪↡。不↠可カラ↢具↡。故↢有漏↡。深↠厭也。

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)彼土無漏相
            (Ⅰ)総讃

^かのくにおうじょうするはしょうなりとは、 ¬だいきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「十方じっぽう人天にんでんただかのくにしょうずれば、 みな種々しゅじゅやくざるはなし」 と。

往↢生スルハ↡勝ナリト者、拠ルニ↢¬大経¼↡云、「十方人天但生ズレバ↢彼↡者、莫シト↠不ルハ↣皆獲↢種種利益↡也。」

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)受楽

^なんとなれば、 ひとたびかのくにしょうずれば、 けばすなはち金蓮こんれんあしささげ、 すればすなはちほうけ、 づればすなはちたいしゃくまえにあり、 ればすなはち梵王ぼんのうしりえしたがふ。 一切いっさいしょうじゅはわれと親朋しんぼうなり。 弥陀みだぶつはわがだいたり。 宝樹ほうじゅ宝林ほうりんしたにはこころまかせて*こうしょうし、 *はっとくいけのな0267かには*じんあそばせあしそそぐ。 かたちはすなはち金色こんじきおなじく、 寿いのちはすなはちいのちぶつひとし。

トナレバ者一タビズレバ↢彼↡者、行ケバ金蓮捧↠足、坐スレバ宝座承↠躯、出ヅレバ帝釈在↠前、入レバ梵王従↠後。一切聖衆与↠我親朋ナリ。阿弥陀仏↢我大師↡。宝樹・宝林之下ニハセテ↠意翺翔、八徳ニハバセ↠神↠足。形身同ジク↢金色↡、寿命与↠仏斉

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅲ)行楽

^がくすればすなはち衆門しゅもんならすすみ、 とどまればすなはち*たいゆうす。 十方じっぽう*済運さいうんすればすなはちだい神通じんずうじょうじ、 *えんあんすればざんにすなはち*さん空門くうもんす。 あそべばすなはち*はっしょうり、 いたればすなはち*だいはんいたる。

スレバ衆門、止レバ二諦虚融。十方済運スレバ↢大神通↡、晏安スレバ暫時↢三空門↡。遊ベバ↢八正之路↡、至レバ0630↢大涅↡。

二 Ⅴ ⅱ c ロ (二)(Ⅳ)結勧

^一切いっさいしゅじょうただかのくにいたれば、 みなこのやくしょうす。 なんぞりょうせずしてすみやかにかざらんや。

一切衆生但至レバ↢彼↡者、皆証↢此↡。何シテ↢思量↡不ラム↢速↡也。

二 Ⅴ ⅱ 【引証勧信】
       

【36】^だい聖教しょうぎょうきて証成しょうじょうし、 後代こうだいすすめてしんしょうくことをがんせしむとは、

第四キテ↢聖教↡証成、勧メテ↢後代↡生↠信求↢願セシムトクコトヲ↡者、

二 Ⅴ ⅱ d
          (一)生信

^¬*観仏かんぶつ三昧ざんまいきょう¼ (意) によるにのたまはく、 「そのとき*ちゅう十方じっぽう諸仏しょぶつましまして、 おのおの*だいのなかにおいて*けっ趺坐ふざしてくうちゅうげんじたまふ。 東方とうぼう善徳ぜんとく如来にょらいしゅとなして、 大衆だいしゅげてのたまはく、 ªなんぢらまさにるべし、 われ過去かこりょうときおもふに、 ぶつましましき、 ほうとくじょうおうづけたてまつる。 かのぶつでたまふとき、 また今日こんにちのごとくさんじょうほうきたまふ。

ルニ↢¬観仏三昧経¼↡云、「爾時会中シテ↢十方諸仏↡、各↢花台↡結跏趺坐シテ↢空中↡現ジタマフ。東方善徳如来シテ↠首、告ゲテ↢大衆↡言、汝等当↠知、我念フニ↢過去无量世↡、有シキ↠仏名ケタテマツル↢宝威徳上王↡。彼仏出デタマフ時、亦如↢今日↡説キタマフ↢三乗↡。

^かのぶつめつまつのなかにいち比丘びくありて、 弟子でしにん*仏塔ぶっとう往詣おうげいして仏像ぶつぞう礼拝らいはいするに、 いち宝像ほうぞう厳顕ごんけんにしてかんずべきをる。 かんじをはりてきょうらいして、 にあきらかにこれをかんず。 おのおのいちきて、 もつて讃歎さんだんをなす。 寿いのち*しゅ0268たんしたがひてかく命終みょうじゅうす。 すでに命終みょうじゅうしをはりてすなはち仏前ぶつぜんしょうず。

滅後末世之中リテ↢一比丘↡、↢弟子九人↡往↢詣シテ仏塔↡礼↢拝スルニ仏像↡、見↢一宝像厳顕ニシテキヲ↟観。観リテ敬礼シテ、目↠之。各キテ↢一偈↡、用↢讃歎↡。随ヒテ↢寿修短↡各自命終命終リテ↢仏前↡。

^これより以後いごつねにりょう諸仏しょぶつぐうすることをて、 諸仏しょぶつみもとにおいてひろ*ぼんぎょうしゅして念仏ねんぶつ三昧ざんまいかい。 すでにこれををはりて諸仏しょぶつ現前げんぜんにすなはち*じゅあたへたまふ。 十方じっぽうめんにおいてこころしたがひてぶつる。

↠此已後恒↣値↢遇スルコトヲ无量諸仏↡、於↢諸仏↡広シテ↢梵行↡得↢念仏三昧海↡。得↠此リテ諸仏現前ヘタマフ↢授記↡。↢十方↡随ヒテ↠意↠仏

^東方とうぼう善徳ぜんとくぶつとはすなはちわがこれなり。 *自余じよほう諸仏しょぶつはすなはちこれ本昔むかし弟子でしにんこれなり。 じゅうぶつそんとうらいし、 いちをもつてさんずるによるがゆゑにぶつとなることをたり。 あに異人ことひとならんや、 われら十方じっぽうぶつこれなりº と。

東方善徳仏者即身是ナリ。自余九方諸仏者即是本昔弟子九人是ナリ十仏世尊ルガ↠塔一偈ヲモテズルニ↡故タリ↣成ルコトヲ↡。豈異人ナラム乎、我等十方仏是ナリト

二 Ⅴ ⅱ d ロ (二)願往(念仏三昧を勧む)

^このとき十方じっぽう諸仏しょぶつくうよりくだりてせんこうみょうはなち、 色身しきしん*びゃく毫相ごうそうひかり顕現けんげんして、 おのおのみなしゃぶつゆかす。 なんげてのたまはく、 ªなんぢるや、 *しゃもんぶつしゅしょうじんひゃくせんぎょうをもつてぶつ智慧ちえもとめてこの報得ほうとくしたまへり。 いまなんぢがためにきたまふ。 なんぢぶつたもちて、 らいてんりゅう大衆だいしゅ*弟子でしのために、 観仏かんぶつ相好そうごうおよび念仏ねんぶつ三昧ざんまいくべしº と。

時十方諸仏従↠空而下リテ↢千光明↡、顕↢現シテ色身白豪相↡、各各皆坐↢釈迦仏↡。告ゲテ↢阿難↡言汝知ルヤ、釈迦文仏无数精進、百0631苦行ヲモテメテ↢仏↡報↢得シタマヘリ↡。今為↠汝キタマフ。汝持チテ↢仏語↡、為↢未来世天・竜・大衆・四部弟子↡、説クベシト↢観仏相好及念仏三昧↡。

^このきをはりて、 しかるのちしゃもんぶつ問訊もんじんす。 問訊もんじんしをはりておのおの本国ほんごくかえりたまへり」 と。

↢是↡已リテ、然問↢訊釈迦文仏↡。問訊訖已 ヲハ リテリタマフト↢本国↡。」

【第六大門】
    標列

【37】^だいろく大門だいもんのなかに三番さんばんりょうけんあり。 だいいち十方じっぽうじょうともにきたしてきょうす。 だい0269*すいす。 だいさんきょうじゅうめつべんず。

第六大門↢三番料簡↡。第一十方浄土共シテ比挍。第二義推。第三↢経住滅↡。

二 Ⅵ 解釈
      【十方西方比校】
       

【38】^だいいち十方じっぽうじょうともにきたしてきょうすとは、 その三番さんばんあり。

第一十方浄土共シテ比挍スト者、有↢其三番↡。

二 Ⅵ ⅱ a
          (一)娑婆有縁

^いちには ¬*随願ずいがんおうじょうきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「十方じっぽう仏国ぶっこくみなことごとくごんじょうなり。 がんしたがひてならびにおうじょう。 しかりといへども、 ことごとく西方さいほうりょう寿じゅこくにはしかず。 なんのこころをもつてか、 かくのごとくなる。 ただ弥陀みだぶつ観音かんのん大勢だいせいさき*発心ほっしんしたまひしとき*このさかいよりりたまへり。 このしゅじょうにおいてひとへにこれえんあり。 このゆゑにしゃ処々しょしょ*たんしたまふ」 と。

ニハ↢¬随願往生経¼云フガ↡。「十方仏国皆悉厳浄ナリヒテ↠願得↢往生↡。雖↠然リト不↠如↢西方无量寿国ニハ↡。何ヲモテカクナル↠此クノ。但阿弥陀仏与↢観音・大勢至↡先発心シタマヒシ時、従↢此界↡去リタマヘリ。於↢此衆生↡偏是有↠縁。是釈迦処処歎帰シタマフト。」

二 Ⅵ ⅱ a ロ (二)法蔵願取

^には ¬だいきょう¼ (上・意) によるに、 「*法蔵ほうぞうさつ*いんちゅう*にょうおうぶつみもとにおいて、 つぶさに*がんおこしてもろもろのじょうりたまふときぶつ、 ためにひゃくいちじゅうおく諸仏しょぶつ*せつてんにん善悪ぜんあくこく*しょうきて、 ことごとくげんじてこれをあたへたまふ。 とき法蔵ほうぞうさつがんじて西方さいほうりてじょうぶつしたまひ、 いまげんにかしこにまします」 と。 これしょうなり。

ニハルニ↢¬大経¼↡、「法蔵菩薩因中↢世饒王仏↡、具シテ↢弘願↡取リタマフ↢諸浄土↡。時仏為キテ↢二百一十億諸仏刹土天・人善悪、国土精麁↡、悉ジテヘタマフ↠之。於↠時法蔵菩薩願ジテリテ↢西方↡成仏シタマヒ今現スト↠彼。」是二証也。

二 Ⅵ ⅱ a ロ (三)偉大請楽

^さんにはこの ¬かんぎょう¼ (意) のなかによるに、 「*だいにんまたじょうふ。 如来にょらい (釈尊) 光台こうだいにために十方じっぽう一切いっさいじょうげんじたまふ。 だいにんぶつにまうしてまうさく、 ªこの諸仏しょぶつまた清浄しょうじょうにしてみなこうみょうありといへども、 われいま極楽ごくらくかい弥陀みだぶつみもとしょうぜんとねがふº」 と。 これそのさん0270しょうなり。

ニハルニ¬観経¼中↡、「韋提夫人復↢浄土↡。如来光ジタマフ↢十方一切浄土↡。韋提夫人白シテ↠仏、此諸仏土雖↣復清浄ニシテ皆有リト↢光明↡、我今楽フト↠生ゼムト↢極楽世界阿弥陀仏↡。」是其0632ナリ

二 Ⅵ ⅱ a

^ゆゑにりぬ、 もろもろのじょうのなかに安楽あんらくかいさいしょうなり。

リヌ浄土安楽世界最勝也。

二 Ⅵ ⅱ 【義推】
       

【39】^だいすいすとは、

第二義推スト者、

二 Ⅵ ⅱ b 問答
          (一)

^ひていはく、 なんがゆゑぞかならずおもて西にしかへてして*らいねんかんするをもちゐる。

ヒテ、何ヰル↢面ヘテ↠西シテ礼念観スルヲ↡者。

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)
            (Ⅰ)正答

^こたへていはく、 えんだいには、 づるところしょうづけ、 もっするところづくといふをもつて、 死地しじによるに*じんみょうしゅにゅうそのそう*助便じょべんなり。 このゆゑに法蔵ほうぞうさつがんじてじょうぶつし、 西にしにありてしゅじょう*しょうしたまふ。 してかんらいねんとうによるに、 おもてぶつかふるはこれれいしたがふ。

ヘテ、以↣閻浮提ニハフヲ↢日ヅル↠生、没スルクト↟死、藉ルニ↢於死地↡神明趣入相助便ナリ。是法蔵菩薩願ジテ成仏、在リテ↠西悲↢接シタマフ衆生↡。由ルニシテ観礼念等↡、面フル↠仏者是随↢世礼儀↡。

^もしこれしょうにんならば、 ほうざいなることを*方所ほうしょべんぜず。 ただぼんひと身心しんしんあひしたがふ。 もしほうかはば、 西にしくことかならずかたからん。

是聖人ナラバ、得↢飛報自在ナルコトヲ↡不↠辨↢方所↡。但凡夫之人身心相随。若ハバ↢余方↡、西クコトカラム

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)智度論

^このゆゑに ¬智度ちどろん¼ (意) にいはく、 「いち比丘びくあり、 康存こうぞん ¬*弥陀みだきょう¼ をじゅし、 および般若はんにゃ波羅はらみつねんじ、 命終みょうじゅうのぞみて弟子でしげていはく、 ª弥陀みだぶつ、 もろもろのしょうじゅといまわがまえにましますº と。 がっしょう帰依きえしてしゅしゃみょうす。

¬智度論¼云、「有↢一比丘↡、康存之日誦↢¬阿弥陀経¼↡、及↢般若波羅蜜↡、臨ミテ↢命↡告ゲテ↢弟子↡言、阿弥陀仏与↢諸聖衆↡今在スト↢我↡。合掌帰依シテ須臾捨命

^ここにおいて弟子でしそうほうによりてをもつてかばねくに、 一切いっさいくれども、 ただ舌根ぜっこん一種いっしゅありてもとせず。 つひにすなはちおさりてとうててようす」 と。

↠是弟子依リテ↢火葬↡以↠火クニ↠屍、一切焼クレドモ、唯有リテ↢舌根一種↡与↠本不↠異。遂リテテテ↠塔供養スト。」

^*りゅうじゅさつしゃくしていはく (大智度論・意)、 「¬弥陀みだきょう¼ をじゅするがゆゑに、 ここをもつておわりになんなんとするに、 ぶつみづから来迎らいこうし、 般若はんにゃ波羅はらみつ0271ねんずるがゆゑに、 ゆゑに舌根ぜっこんきず」 と。 このもんをもつてしょうす。 ゆゑにりぬ、 一切いっさいぎょうごうただよくこうするにかざるはなし。

龍樹菩薩釈シテ、「誦スルガ↢¬阿弥陀経¼↡故、是ナンナムトスルニ↠終、仏自来迎ズルガ↢般若波羅蜜↡故、所以舌根不↠尽。」以↢斯↡証。故リヌ一切行業但能廻向スルニ↠不ルハ↠往也。

二 Ⅵ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)須弥四域経

^ゆゑに ¬*しゅいききょう¼ にのたまはく、 「てんはじめてひらくるとき、 いまだにちがつしょうしんあらず。 たとひ天人てんにんらいすることあれども、 ただうなじひかりをもつてしょうようす。 そのとき人民にんみんおおのうしょうず。

¬須弥四域経¼云、「天地初クル之時、未↠有↢日月・星辰↡。縦レドモ↢天人来下スルコト↡、但用ウナジ↡照用。爾時人民多↢苦悩↡。

^ここにおいて弥陀みだぶつさつつかはす。 いち*宝応ほうおうしょうづけ、 *宝吉ほうきっしょうづく。 すなはち*ぶく*じょこれなり。 このさつともにあひ*ちゅうして*だいしち梵天ぼんてんうえかひて、 その七宝しっぽうりてこのさかいらいして、 にちがつしょうしん*じゅうはっ宿しゅくつくり、 もつててんらしてその四時しじ春秋しゅんじゅうとうさだむ。

↠是阿弥陀仏遣↢二菩薩↡。一↢宝応声↡、二↢宝吉祥↡。即羲・女媧是ナリ。此二菩薩共相籌議0633シテヒテ↢第七梵天↡、取リテ↢其七宝↡来↢至シテ↡、造↢日月・星辰二十八宿↡、以シテ↢天下↡定↢其四時春秋冬夏↡。

^ときさつともにあひいひていはく、 ªにちがつしょうしんじゅうはっ宿しゅく西にし所以ゆえんは、 一切いっさい諸天しょてん人民にんみんことごとくともに弥陀みだぶつ稽首けいしゅしたてまつれº となり。 ここをもつてにちがつしょうしんみなことごとくしんかたむけてかしこにかふ。 ゆゑに西にしながる」 と。

二菩薩共相謂ヒテ、所↢以日月・星辰二十八宿西↡者、一切諸天人民尽稽↢首シタテマツレトナリ阿弥陀仏↡。是日月・星辰皆悉ケテ↠心↠彼。故西也。」

二 Ⅵ ⅱ 【経教住滅】
        引経

【40】^だいさんきょうじゅうめつべんずとは、 いはく、 「*しゃ牟尼むにぶつ一代いちだいしょうぼうひゃくねん像法ぞうぼういっ千年せんねん末法まっぽういち万年まんねんには、 しゅじょうげんき、 しょきょうことごとくめっす。 如来にょらいつうしょうしゅじょうあいして、 ことにこのきょうとどめてじゅうすることひゃくねんならん」 (大経・下意0272) と。

第三ズト↢経住滅↡者、謂「釈迦牟尼仏一代、正法五百年、像法一千年、末法一万年ニハ、衆生、諸経悉。如来悲↢哀シテ痛焼衆生↡特メテ↢此↡止住スルコト百年ナラムト。」

二 Ⅵ ⅱ c 釈成

^このもんをもつてしょうす。 ゆゑにりぬ、 かのくにはこれじょうなりといへども、 しかも*たいじょうつうず。 *そうそうるはまさにじょうしょうずべし。 ぼんたくにして一向いっこうそうじょうじておうじょうするなり。

↢斯↡証。故リヌ↢是浄土ナリト↡、然体通↢上下↡。知ルハ↢相无相↡当↠生↢上位↡。凡夫火宅ニシテ一向ジテ↠相往生スル也。

【第七大門】
    標列

【41】^だいしち大門だいもんのなかに両番りょうばんりょうけんあり。 第一だいいちもんのなかに*此彼しひ取相しゅそう*ばく*だつりょうけんす。 だいつぎ此彼しひ修道しゅどうこうもちゐるに軽重きょうじゅうありて、 ほうるにしんあることをかし、 ことさらにすすめてかしこにかはしむ。

第七大門↢両番料簡↡。第一門此彼取相料↢簡縛・脱↡。第二↢此彼修道ヰルニ↠功軽重アリテ而獲ルニ↠報真偽アルコトヲ↡、故ラニメテハシム↠彼

二 Ⅶ 解釈
      【此彼取相縛脱】
       

【42】^だいいち此彼しひ取相しゅそうばくだつりょうけんすとは、

第一此彼取相料↢簡スト縛・脱↡者、

二 Ⅶ ⅱ a
          (一)総釈

^もし西方さいほうじょうそうらば、 だつ、 もつぱら極楽ごくらくけて、 げんひらけてほがらかなり。 もしこのほうそうらば、 ただもうぎょうもう厄縛やくばく憂怖うふのみあり。

ラバ↢西方浄相↡、疾得↢解脱↡、モハケテ↢極楽↡、智眼開キテカナリ。若ラバ↢此穢相↡、唯有妄楽・痴盲・厄縛・憂怖ノミ↡。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)別釈
            (Ⅰ)出難

 ^ひていはく、 だいじょうしょきょうによるに、 みな 「そうはすなはちこれしゅつ要道ようどうなり、 そうしゅう*拘礙くげするは*塵累じんるいまぬかれず」 といへり。 いましゅじょうすすめてじょうねがはしむ、 このいかん。

ヒテ、依ルニ↢大乗諸経↡、皆云ヘリ↢「无相是出離要道ナリ、執↠相拘礙スルハマヌカ↢塵↡。」今勧メテ↢衆生↡捨↠穢ハシム↠浄、是義云何

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)正答

^こたへていはく、 このるいせず。 なんとなれば、 おほよそそうしゅあり。 いちには*じんよくきょうにおいて妄愛もうあい貪染とんぜんしてきょうしたがひて執着しゅうじゃくす。 これらのこのそう、 これをづけてばくとなす。 にはぶつどくあいしてじょうしょうぜんとがんず。 これそうなりといふといへども、 づけてだつとなす。

ヘテ、此義不↠類。何トナレバ者凡↢二種↡。一者於0634欲境↡妄愛貪染シテヒテ↠境執着。此等相、名ケテ↠之↠縛。二者愛シテ↢仏功徳↡願↠生ゼムト↢浄土↡。雖↠言フト↢是相ナリト↡、名ケテ↢解脱↡。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)引証
              (ⅰ)十地経

^なにを0273もつてかることをる。 ¬*じゅうきょう¼ (意) にのたまふがごとし。 「しょさつ、 なほみづから*たい別観べっかんしてしんはげまして作意さいす。 さきにはそうによりてもとめ、 おわりにはすなはちそうなり。 もつてやうやく増進ぞうしんしてだいだいたいす。 *しちじゅうしんつくして*相心そうしんはじめてむ。 その*はちりてそうぜっす。 まさにゆうづく」 と。

テカ↠知ルコトヲ。如↢¬十地経¼云フガ↡。「初地菩薩、尚自別↢観シテ二諦↡厲シテ↠心作意。先ニハリテ↠相、終ニハ无相ナリ。以増進シテ↢大菩提↡。尽シテ↢七地終心↡相心始。入リテ↢其八地↡絶↢於相求↡。方クト↢无功用↡也。」

^このゆゑに ¬ろん¼ (*十地経論・意) にいはく、 「しちげん悪貪あくとんさわりとなし、 *善貪ぜんとんとなす。 はちじょう善貪ぜんとんさわりとなし、 とんとなす」 と。 いはんやいまじょうしょうぜんとがんずるは、 げんにこれ*ぼんなり。 所修しょしゅ善根ぜんごんみなぶつどくあいするよりしょうず。 あにこればくならんや。

¬論¼云、「七地已還悪貪↠障、善貪↠治。八地已上善貪↠障、无貪スト↠治。」況今願ズルハ↠生ゼムト↢浄土↡、現是外凡ナリ。所修善根皆従↠愛スル↢仏功徳↡生。豈是縛ナラム也。

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)(ⅱ)涅槃経

^ゆゑに ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「一切いっさいしゅじょうしゅあいあり。 いちには善愛ぜんあいには善愛ぜんあいなり。 善愛ぜんあいはただのみこれをもとめ、 善法ぜんぽうあいしょさつこれをもとむ」 と。

¬涅槃経¼云、「一切衆生↢二種愛↡。一者善愛、二者不善愛ナリ。不善愛者唯愚ノミ↠之、善法愛者諸菩薩求ムト↠是。」

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅲ)(ⅲ)論註

^ゆゑに ¬じょうろん¼ (*論註・下意) にいはく、 「観仏かんぶつこく清浄しょうじょうしょうじゅしゅじょうだいじょうるいぎょう願取がんしゅぶつ土味どみひっきょうじゅう不虚作ふこさ、 かくのごときりょう仏道ぶつどうあり」 と。

¬浄土論¼云、「観仏国土清浄味・摂受衆生大乗味・類事起行願取仏土味・畢竟住持不虚作味、有リト↢如↠是クノ无量仏道味↡。」

二 Ⅶ ⅱ a ロ (二)(Ⅳ)結成

^ゆゑにこれそうるといへども、 しゅうばくあたるにあらず。 またかのじょうにいふところのそうとは、 すなはちこれ無漏むろそう実相じっそうそうなり。

↢是取ルト↟相、非↠当ルニ↢執縛↡也。又彼浄土↠言者、即是无漏相、実相相也。

二 Ⅶ ⅱ 【此彼修道】
       

【43】^だいだんのなかに此彼しひ修道しゅどうこうもちゐるに軽重きょうじゅうありて、 ほうるにしん0274あることをかすとは、

第二段スト↢此彼修道ヰルニ↠功軽重アリテ而獲ルニ↠報真偽アルコトヲ↡者、

二 Ⅶ ⅱ b
          (一)総釈

^もし発心ほっしんして西にしせんとほっするものは、 ひとへにしょうらいかんねんとうをもつて、 寿いのちちょうたんしたがひて、 命終みょうじゅうときのぞめば*光台こうだいこうしょうして、 くかのほういたりてくらい退たいかなふ。

スル↢発心シテセムト西、単少時礼観念等↡、随ヒテ↢寿長短↡、臨メバ↢命終↡光台迎接シテ、迅リテ↢彼↡位0635カナ↢不退↡。

二 Ⅶ ⅱ b ロ (二)別釈
            (Ⅰ)不退転

^このゆゑに ¬だいきょう¼ (上・意) にのたまはく、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうして、 もしつひにめついたらずしてさらに退転たいてんあらば、 しょうがくらじ」 (第十一願) と。 このほう多時たじにつぶさに*かいにんしんじょうしゅして、 いまだいち万劫まんごうたざるよりこのかたは、 つねにいまだたくまぬかれず、 顛倒てんどうついす。 ゆゑにこうもちゐることはいたりておもく、 ほうることはなりとづく。

¬大経¼云、「十方人天来↢生シテ↡、若シテ↣畢↢滅度↡更ラバ↢退転↡者、不↠取↢正覚↡。」此多時シテ↢施・戒・忍・進・定・恵↡、未ルヨリ↠満↢一万劫↡已来タハ、恒↠免↢火宅↡、顛倒。故↢用ヰルコトハ↠功リテ、獲ルコトハ↠報ナリト也↡。

二 Ⅶ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)横截

^¬だいきょう¼ (下・意) にまたのたまはく、 「わがくにしょうずるものはよこさま悪趣あくしゅる」 と。

¬大経¼復云、「生ズル↢我↡者ルト↢五悪趣↡。」

^いまこれは弥陀みだじょうせつ約対やくたいして、 しゃどうひとしく悪趣あくしゅづく。 ごく餓鬼がきちくしょうじゅんあくしょなれば、 づけて悪趣あくしゅとなす。 しゃ人天にんでん*雑業ぞうごう所向しょこうなれば、 また悪趣あくしゅづく。

今此約↢対シテ弥陀浄刹↡、娑婆五道シク↢悪趣↡。地獄・餓鬼・畜生純悪所帰ナレバ、名ケテ↢悪趣↡。娑婆人天雑業所向ナレバ、亦名↢悪趣↡。

^もしこのほう*しゅ断除だんじょによらば、 *見惑けんわくだんじてさんいんはなれ、 さんめっす。 のち*修惑しゅわくだんじて人天にんでんいんはなれ、 人天にんでんつ。 これみなぜん断除だんじょすれば、 横截おうぜつづけず。

ラバ↢此修治断除↡、先ジテ↢見惑↡離↢三塗↡、滅↢三塗↡。後ジテ↢修惑↡離↢人天↡、絶↢人天↡。此皆漸次断除スレバ、不↠名↢横截↡。

^もし弥陀みだじょうこくおうじょうすることをれば、 しゃどういちにたちまちにつ。

レバ↣往↢生スルコトヲ弥陀浄国↡、娑婆五道一時チニ

^ゆゑに 「横截おうぜつ悪趣あくしゅ」 とづくるはそのるなり。 「あく0275しゅ然閉ねんぺい(同・下) とはそのいんづるなり。 これしょかす。 「しょうどう窮極ぐうごく(同・下) とはその所得しょとくあらわすなり。

クル↢「横截五悪趣」↡者截↢其↡也。「悪趣自然閉」者閉ヅル↢其↡也。此明↢所離↡。「昇道无窮極」者彰スナリ↢其所得↡。

^もしよく作意さいがんして西にしかへば、 かみいちぎょうつくしもじゅうねんいたるまで、 みなかざるはなし。 ひとたびかのくにいたればすなはち正定しょうじょうじゅりて、 ここにしてどうしゅするいち万劫まんごうこうひとしくす。

作意廻願シテヘバ↠西、上尽↢一形↡下至ルマデ↢十念↡无↠不ルハ↢皆往↡。一タビレバ↢彼↡即リテ↢正定聚↡、与↢此ニシテスル↠道一万劫↡斉シクス↠功也。

【第八大門】
    標列

【44】^第八だいはち大門だいもんのなかに三番さんばんりょうけんあり。 だいいちりゃくしてしょきょうげてきたしょうして、 すすめてここをててかしこをねがはしむ。 だい弥陀みだしゃぶつきょうす。 だいさんおうじょうこころしゃくす。

第八大門↢三番料簡↡。第一シテゲテ↢諸経↡来シテメテテテ↠此ハシム↠彼。第二弥陀・釈迦二仏比挍。第三↢往生↡。

二 Ⅷ 解釈
      【経論勧説】
       

【45】^だいいちりゃくしてもろもろのだいじょうきょうげてきたしょうして、 みなすすめてここをててかしこをねがはしむとは、

第一シテゲテ↢諸大乗経↡来シテ皆勧メテテテ↠此ハシムト↠彼者、

二 Ⅷ ⅱa
          (一)大経

^いちにはいはく*しゃ崛山くっせんせつ、 ¬*だいきょう¼ かん

ニハ耆闍崛山説、¬大経0636¼二巻。

二 Ⅷ ⅱa ロ (二)観経

^には ¬*かんぎょう¼ いち*おうしゃりょうしょうせつなり。

ニハ¬観経¼一部、王宮・耆闍両会正説ナリ

二 Ⅷ ⅱa ロ (三)小経

^さんには ¬しょうかんりょう寿じゅきょう¼ (*小経)*しゃ一説いっせつ

ニハ¬少巻无量寿経¼、舎衛一説。

二 Ⅷ ⅱa ロ (四)十方随願往生経

^にはまた ¬*十方じっぽう随願ずいがんおうじょうきょう¼ の明証みょうしょうあり。

ニハ復有↢¬十方随願往生経¼明証↡。

二 Ⅷ ⅱa ロ (五)無量清浄覚経

^にはまた ¬*りょう清浄しょうじょうがくきょう¼ かんいちしょうせつあり。

ニハ復有↢¬无量清浄覚経¼二巻一会正説↡。

二 Ⅷ ⅱa ロ (六)十往生経

^ろくにはさらに ¬*じゅうおうじょうきょう¼ 一巻いっかんあり。

ニハ↢¬十往生経¼一巻↡。

二 Ⅷ ⅱa

^しょだいじょうきょうろん*さんするところおおし。 ¬*しょう観音かんのん¼・¬*大品だいぼんぎょう¼ とうのごとし。 また*りゅうじゅ天親てんじんとうろんのごとし。 *歎勧たんかんいちにあらず。 ほうじょうはみなかくのごと0276丁寧ていねいならず。

諸余大乗経論指讃スル処多。如↢¬請観音¼・¬大品経¼等↡。又如↢龍樹・天親↡。歎勧非↠一。余方浄土皆不↢如↠此クノ丁寧ナラ↡。

二 Ⅷ ⅱ 【二尊比校】
       

【46】^だい弥陀みだしゃぶつきょうすとは、

第二弥陀・釈迦二仏比挍スト者、

二 Ⅷ ⅱ b
          (一)釈迦仮相
            (Ⅰ)住世の短

^いはく、 このぶつしゃ如来にょらいはちじゅうねんとどまりてしばらくげんじてすなはちりたまひ、 りてかえりたまはず。 *とう諸天しょてんするに、 一日いちにちにもいたらず。

仏釈迦如来、八十年住マリテ↠世ジテリタマヒ、去リテ而不↠返リタマハ。比スルニ↢於忉利諸天↡、不↠至↢一日ニモ↡。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)救縁の弱

^またしゃざいえんまたよわし。

又釈迦在時救縁亦弱

二 Ⅷ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅰ)例証

^しゃこくにしてひと現患げんげんすくひたまへるとうのごとし。 なんとなれば、 ときしゃこく人民にんみんしゅあくびょうへり。 いちにはまなこあかきことのごとし。 にはりょうみみよりうみいだす。 さんにははなのなかよりながす。 にはしたつぐみてこえなし。 にはらふところのものしてじゅうとなる。 六識ろくしき閉塞へいそくせることなほ酔人すいにんのごとし。

キナリ↧毘舎離国ニシテヒタマヘル↢人現患↡等↥。何トナレバ者時毘舎離国人民遭ヘリ↢五種悪病↡。一者眼赤キコト↠血。二者両ヨリ↠膿。三者鼻ヨリ↠血。四者舌噤ミテ↠声。五者所↠食之物化シテ↢麁渋↡。六識閉塞セルコト猶如↢酔人↡。

^しゃあり、 あるいはこつ拏迦羅なからづく。 おもてくろきことすみのごとくしてげんあり、 狗牙くげうえでてひとしょうふ。 りょう*耆婆ぎばそのどうじゅつつくすも、 すくふことあたはざるところなり。

↢五野叉↡、イハ↢訖拏迦羅↡。面キコトクシテ↠墨而有↢五眼↡、狗牙上デテ↢人精気↡。良医耆婆尽スモ↢其道術↡、ナリ↠不↠能↠救フコト

^とき月蓋がつがいちょうじゃあり。 しゅとなりて病人びょうにん*りょうし、 みなきたりてぶつして*こうべたたきてあわれみをもとむ。 そのときそんりょう*みんおこして、 びょうにんげてのたまはく、 「西方さいほう弥陀みだぶつかんおんだいせいさつまします。 なんぢら一心いっしんがっしょうしてたてまつらんともとめよ」 と。

↢月蓋長者↡。為リテ↠首部↢領病人↡、皆来リテシテ↠仏キテ↠頭↠哀ミヲ。爾時世尊起シテ↢无量悲愍↡、告ゲテ↢病人↡曰、西方↢阿弥陀仏・観世音・大勢至菩薩↡。汝等一心合掌シテメヨト↠見タテマツラムト

^ここにおいて大衆だいしゅみなぶつすすめにしたがひて、 がっしょうしてあわれみをもとむ。 そのときかのぶつだいこうみょうはなちて、 観音かんのん大勢だいせいいち0277にともにいたりて*だい神呪じんじゅきたまふに、 一切いっさいびょうみなことごとくしょうじょして、 びょうふくすることもとのごとし。

↠是大衆皆従ヒテ↢仏↡、合掌シテ↠哀ミヲ。爾0637時彼仏放チテ↢大光明↡、観音・大勢一時リテキタマフニ↢大神呪↡、一切病苦皆悉消除シテ、平復スルコトモト

二 Ⅷ ⅱ b ロ (二)釈迦真意

^しかるにぶつ (阿弥陀仏・釈尊)*神力じんりきまた斉等ざいとうなるべし。 ただしゃ如来にょらいおのがのうべたまはずして、 ことさらにかの ˆ弥陀みだぶつのˇ ちょうあらわして、 一切いっさいしゅじょうをしてひとしくせざるはなからしめんとほっす。 このゆゑにしゃ処々しょしょˆ阿弥陀だみだぶつをˇ たんじてせしめたまへり。 すべからくこのこころるべし。

ルニ二仏神力応↢亦斉等ナル↡。但釈迦如来不シテ↠申ベタマハ↢己↡、故ラニシテ↢彼↡、欲↠使メムト↢一切衆生ヲシテカラ↟不ルハ↢斉シク↡。是釈迦処処ジテセシメタマヘリ。須↠知↢此↡也。

二 Ⅷ ⅱ b ロ (二)(Ⅰ)鸞師領解

^このゆゑに曇鸞どんらんほっこころただして西にしす。 ゆゑに ¬だいきょう¼ にへてさんしていはく (讃阿弥陀仏偈)

鸞法師正シテ↠意↠西。故ヘテ↢¬大¼↡奉シテ

^安楽あんらくしょうもんさつしゅ人天にんでん智慧ちえことごとく洞達どうだつせり。
身相しんそうしょうごんしゅなし。 ただほうじゅんずるがゆゑにわかつ。
顔容げんようたんじょうにしてくらぶべきなし。 しょうみょうにして人天にんでんにあらず。
虚無こむしんごくたいなり。 このゆゑにびょう等力どうりきちょうらいしたてまつる」 と。

「安楽声聞・菩薩衆・人・天、智恵洞達セリ
身相荘厳无↢殊異↡但順ズルガ↢他方↡故↠名
顔容端正ニシテ↠可↠比精微妙躯ニシテ↢人天
虚无之身无極ナリ頂↢礼シタテマツルト平等力↡」

二 Ⅷ ⅱ 【往生意趣】
       

【47】^だいさんおうじょうこころしゃくすとは、 なかにつきてあり。 いちにはおうじょうこころしゃくし、 には問答もんどうしゃくす。

第三スト↢往生↡者、就キテ↠中↠二。一ニハ↢往生↡、二ニハ問答解釈

二 Ⅷ ⅱ c
          (一)往生の意
            (Ⅰ)

 ^だいいちひていはく、 いまじょうしょうぜんとがんず、 いまだらず、 なんのこころをかなすや。

第一ヒテ、今願↠生ゼムト↢浄土↡、未↠知、作スヤ↢何ヲカ↡也。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (一)(Ⅱ)

^こたへていはく、 ただ自利じり利他りたじょうじ、 *もつ深広じんこうならんとほっじっ0278しん三賢さんげんよりしょうぼう*しょうじゅして、 不二ふにかいし、 ぶっしょうけんしょうし、 あきらかに実相じっそうさとる。 *かんしょうしん有無うむたいいんせんじゅうれつ*三忍さんにん*三道さんどう*金剛こんごう無礙むげだいはんしょうす。 だいじょうひろはこびてげんときじゅうせんとほっす。 へんしょうかいつくさんがためのゆゑなり。

ヘテ、只欲↧疾↢自利・利他↡、利物深広ナラムト↥。十信・三賢ヨリ摂↢受シテ正法↡、契↢会不二↡、見↢証仏性↡、明カニサト↢実相↡。観照暉心、有无二諦、因果先後、十地優劣、三忍三道、金剛无礙ニシテ↢大涅槃↡。大乗寛ビテ↢无限セムト↡。為↠尽サムガ无辺生死海↡故ナリ

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)問答解釈

 ^とい三番さんばんあり。

↢三番↡。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅰ)

^ひていはく、 じょうしょうぜんとがんずるは、 もつほっするにすとは、 もししからば、 *所抜しょばつしゅじょうはいまげんにここにあり、 すでによくこのしん発得ほっとくすれば、 ただここにありてしゅじょうくべし。 なにによりてかこのしんをはりて、 じょうしょうぜんとがんずる。 しゅじょうててみづからだいらくもとむるに似如たり。

ヒテ、願ズルハ↠生ゼムト↢浄土↡、擬スト↠欲スルニ↢利物↡者、若ラバ、所抜衆生今現↠此、已発↢得スレバ↡、只応↣在リテ↠此↢苦衆生↡。何リテカ得↢此↡竟リテ、先ズル↠生ゼムト↢浄土↡。似タリテテ↢衆生↡自ムルニ↦菩0638↥也。

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅱ)答1

^こたへていはく、 このるいせず。 なんとなれば、 ¬智度ちどろん¼ (意) にいふがごとし。 「たとへばにんともに父母ぶも眷属けんぞく深淵じんえん没在もつざいするをるに、 一人いちにんはただちにきてちからつくしてこれをすくふ。 ちからおよばざるところなればあひともにもっす。 一人いちにんははるかにはしりていち舟船しゅせんおもむき、 きたりてさいしょうするに、 ならびになんづることをるがごとし。

ヘテ、此義不↠類。何トナレバ者如↢¬智度論¼云フガ↡。「譬ヘバ↧二人ルニ↣父母眷属没↢在スルヲ深淵↡、一人キテシテ↠力↠之ナレバ↠不与倶 トモ 一人リテ↢一舟船↡、乗リテ済接スルニ、並ルガ↞出ヅルコトヲ↠難

^さつもまたしかなり。 もしいまだ発心ほっしんせざるときは、 しょうてんすることしゅじょうべつなり。 ただすでにだいしんおこときは、 がんじてじょうおうじょうし、 だいふねりて*無礙むげ弁才べんざいじょうじてしょう0279うみり、 しゅじょう済運さいうんす」 と。

菩薩亦爾ナリ。若↢発心↡時、生死流転スルコト与↢衆生↡无別ナリ。但已↢菩提心↡時、先ジテ往↢生浄土↡、取リテ↢大悲↡乗ジテ↢无礙↡入↢生死↡、済↢運スト衆生↡。」

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅲ)答2

^に ¬大論だいろん¼ (大智度論・意) にまたいはく、 「さつじょうしょうじてだい神通じんずうし、 弁才べんざい無礙むげにしてしゅじょうきょうするときも、 なほしゅじょうをしてぜんしょうあくめっし、 *どうくらいすすめて、 さつこころかなはしむることあたはず。 もしすなはち穢土えどにありて抜済ばっさいするものは、 けてこのやくなし。 にわとりめてみずるるがごとし。 あによく湿うるおはざらんや」 と。

¬大論¼復云、「菩薩生ジテ↢浄土↡具↢大神通↡、弁才无ニシテ教↢化スル衆生↡時、尚不↠能↠令ムルコト↣衆生ヲシテ↠善↠悪、増↠道メテ↠位、称↢菩薩↡。若リテ↢穢土↡抜済スル、闕ケテ↢此益↡。如↢似 ゴト メテ↠鶏ルルガ↟水。豈ラム↠湿。」

二 Ⅷ ⅱ c ロ (二)(Ⅳ)答3

^さんに ¬だいきょうさん¼ にいはく(讃阿弥陀仏偈・意)

¬大¼云

^安楽あんらく仏国ぶつこくのもろもろのさつ、 それ宣説せんぜつすべきことは智慧ちえしたがふ。
おのが万物まんもつにおいてしょもうず。 きよきことれんちりけざるがごとし。

「安楽仏国菩薩キコトハ↢宣説↡随↢智
↢己万物↢我所キコト↢蓮花ルガ↟受↠塵

^往来おうらいしんうかべるふねのごとし。 あんつとめとなしてちゃくまくつ。
かれもおのれもくうのごとくしてそうだんず。 智慧ちえともしびともしてじょうらす。

往来進止若ウカベル利安シテ↠務↢適莫
クシテ↠空↢二想シテ↢智↡昭↢長夜

^さんみょう六通ろくつうみなすでにれり。 さつまんぎょう心眼しんげんかんず。
かくのごときどく辺量へんりょうなし。 このゆゑにしんいたしてかしこにしょうぜんとがんず」 と。

三明六通皆已レリ菩薩万行観↢心眼
↠是クノ功徳无↢辺量↡シテ↠心ズト↠生ゼムト↠彼

【第九大門】
    標列

【48】^だい大門だいもんのなかにりょうばんりょうけんあり。 だいいちらく善悪ぜんあく相対そうたいす。 だい*彼此ひし0280寿じゅみょうちょうたんかしてきょうす。

第九大門↢両番料簡↡。第一苦楽善悪相対。第二シテ↢彼此寿命長短↡比挍

二 Ⅸ 解釈
      【苦楽善悪】
       

【49】^初段しょだんのなかにつきてあり。 いちにはらく善悪ぜんあく相対そうたいす。 には ¬だいきょう¼ をきてしょうとなす。

キテ↢初段↡有↠二。一ニハ苦楽善悪相対。二ニハキテ↢¬大経¼↡為↠証

二 Ⅸ ⅱ a
          (一)苦楽善悪相対

^はじめにらく善悪ぜんあく相対そうたいすといふは、 このしゃかいにありてはらくほうありといへども、 つねにもつてらくすくなくおおし。 おもきはすなはちさんにしてつうしょうし、 かろきはすなはち人天にんでんにしてとうひょうしつびょうあひつづきてつらなりそそぎ、 *遠劫おんごうよりこのかたゆるときあることなし。 たとひ人天にんでんしょうらくありとも、 なほ泡沫ほうまつ電光でんこうのすみやかにおこりすみやかにめっするがごとし。 このゆゑにづけてゆい唯悪ゆいあくとなす。

↢苦楽善悪0639相対スト↡者、在リテハ↢此娑婆世界↡雖↠有リト↢苦楽二報↡、恒。重キハ三塗ニシテ痛焼、軽キハ人天ニシテ刀兵・疾病相続キテナリ、遠劫ヨリ已来↠有ルコト↢断ユル時↡。縦リトモ↢人天少楽↡、猶如↢泡沫・電光スルガ↡。是ケテ↢唯苦唯悪↡。

^弥陀みだじょうこくすいちょう樹林じゅりんつねに法音ほうおんきて、 あきらかに*どうきょうぶ。 *清白しょうびゃくそくしてよくにゅうせしむ。

弥陀浄国水・鳥・樹林常キテ↢法音↡、明カニ↢道教↡。具↢足シテ清白↡能↢悟入↡。

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)引証

^聖教しょうぎょうきてしょうとなすとは、

キテ↢聖教↡為スト↠証者、

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅰ)浄土論

^¬*じょうろん¼ (意) にいはく、 「十方じっぽう人天にんでん、 かのくにしょうずるものは、 すなはち*じょうしんさつ無二むになり。 じょうしんさつ、 すなはちじょうさつ*ひっきょうじておなじく*じゃく滅忍めつにん。 ゆゑにさらに退転たいてんせず」 と。

¬浄土論¼云、「十方人天生ズル↢彼↡者、即与↢浄心菩薩↡无二ナリ。浄心菩薩即与↢上地菩薩↡畢竟ジテジク得↢寂滅忍↡。故↢退転↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)大経

^また ¬だいきょう¼ のじゅうはちがんくなかにばん大益だいやくあり。

又引↢¬大経¼四十八願↡中↢五番大益↡。

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)第三願

^だいいちに ¬だいきょう¼ (上・意) にのたまはく、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうすることあらんに、 ことごとくしん金色こんじきならずは、 しょうがくらじ」 (第三願) と。

第一¬大経¼云、「有ラムニ↣十方人天来↢生スルコト↡、不↢悉真金色ナラ↡者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)第四願

^にのたまはく (大経・上意)、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうして、 もしぎょうしき0281どうにして好醜こうしゅあらば、 しょうがくらじ」 (第四願) と。

、「十方人天来↢生シテ↡、若形色不同ニシテラバ↢好醜↡者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)第五願

^さんにのたまはく (大経・上意)、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうして*宿命しゅくみょうず、 しもひゃくせんおく那由他なゆた諸劫しょこうらざるにいたらば、 しょうがくらじ」 (第五願) と。

、「十方人天来↢生シテ↡不↠得↢宿命智↡、下至ラバ↠不ルニ↠知↢百千億那由他諸劫↡者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅳ)第七願

^にのたまはく (大経・上意)、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうして*てんつうず、 しもひゃくせんおく那由他なゆた諸仏しょぶつ所説しょせつかず、 ことごとくじゅせざるにいたらば、 しょうがくらじ」 (第七願) と。

、「十方人天来↢生シテ↡不↠得↢天耳通↡、下至ラバ↧不↠聞↢百千億那由他諸仏所説↡、不ルニ↦悉受持↥者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅸ ⅱ a ロ (二)(Ⅱ)(ⅴ)第八願

^にのたまはく (大経・上意)、 「十方じっぽう人天にんでん、 わがくにらいしょうして*しんず、 しもひゃくせんおく那由他なゆたしょ仏国ぶっこくのうちのしゅじょう心念しんねんらざるにいたらば、 しょうがくらじ」 (第八願) と。

、「十方人天来↢生シテ↡不↠得↢他心智↡、下至ラバ↠不ルニ↠知↢百千億那由他諸仏国衆生心念↡者不↠取↢正覚↡。」

二 Ⅸ ⅱ a

^かのくにやくろんぜんとほっするに、 つぶさにぶべきことかたし。 ただまさにしょうぜんとがんずべし。 かならず不可ふか思議しぎなり。 このゆゑにかのほう唯善ゆいぜん唯楽ゆいらくにして、 なくあくなし。

スルニ↠論ゼムト↢彼利益之事↡、難↠可キコト↢具↡。但当↠願↠生ゼムト。必不可思議ナリ。是0640唯善唯楽ニシテ↠苦无↠悪也。

二 Ⅸ ⅱ 【寿命長短】
       

【50】^だい寿じゅみょうちょうたんかすとは、

第二スト↢寿命長短↡者、

二 Ⅸ ⅱ b
          (一)此方寿命の短促
            (Ⅰ)正釈

^このほう寿じゅみょうだいひゃくねんぎず。 ひゃくねんのうちすこしきはづるも、 おおくはげんず。 あるいはしょうねん夭喪ようそうし、 ないどうにしてもうず。 あるいはまた*胞胎ほうたいにしてしょうす。 なんのこころかしかるとならば、 まことにしゅじょういんつくときぞうなるによる。 ここをもつてほうくることまた斉同ざいどうなることをず。

寿命大期不↠過↢百年↡。百年之内少ヅルモ、多クハ。或イハ生年夭喪、乃至童子ニシテ身亡。或イハ胞胎ニシテ傷堕。何ルトナラバ者、良↢衆生作↠因時雑ナルニ↡。是クルコト↠報亦不↠得↢斉同ナルコトヲ↡也。

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)涅槃経

^このゆゑに ¬はんぎょう¼ (意) にのたまはく、 「*ごうとき*こくなればほう0282またこくなり。 ごうとき*びゃくなればほうまたびゃくなり。 *じょうぞうまたしかなり」 と。

¬涅槃経¼云、「作業時黒ナレバ果報亦黒ナリ。作業時白ナレバ果報亦白ナリ。浄雑亦爾ナリト。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅱ)浄度菩薩経1

^また ¬*じょうさつきょう¼ によるにのたまはく、 「人寿にんじゅひゃくさいなるも、 よるそのなかばをす。 すなはちこれじゅうねんげんきゃくす。 じゅうねんのうちにつきて、 じゅうらいはいまだ善悪ぜんあくらず、 はちじゅう以去いこ昏耄こんもうれつなり、 ゆゑにろうく。 おのづからこのほかはただじゅうねんあり。

又拠ルニ↢¬浄度菩薩経¼↡云、「人寿百歳ナルモ夜消↢其↡。即是減↢五十年↡也。就キテ↢五十年↡、十五已来↠知↢善悪↡、八十已去昏耄虚劣ナリ、故↢老苦↡。自此之外唯有↢十五年↡。

^うちにありて、 ほかにはすなはち王官おうかん逼迫ひっぱくして*長征じょうしょう*遠防おんぼうし、 あるいはつながれて牢獄ろうごくにあり、 うちはすなはちもんきっきょうしゅまとはれ、 *煢々けいげい忪々しゅじゅとしてつねにもとむるにらず。

リテ↢於中↡、外ニハ王官逼迫シテ長征遠防、或イハガレテ↢牢獄↡、内門戸吉凶衆事ハレ、煢煢忪忪トシテムルニ不↠足

^かくのごとく推計すいけいするに、 いくばくのときありてか*道業どうごうしゅすることをべけんや。 かくのごとくりょうするに、 あにかなしまざらんや。 なんぞいとはざることをんや」 と。

↠斯クノ推計スルニ、可ケムヤ↧有リテカ↢幾クノ時↡得↞修スルコトヲ↢道業↡。↠此クノ思量スルニ、豈ラム↠哀シマ哉。何ムヤト↠不ルコトヲ↠厭。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)(ⅲ)浄度菩薩経2

^またかの ¬きょう¼ (浄度菩薩経) にのたまはく、 「ひとけんしょうじておほよそ一日いちにちいちるに、 八億はちおく千万せんまんねんあり。 *一念いちねんあくおこせばいち悪身あくしんけ、 じゅうねんあくおもへばじっしょう悪身あくしんひゃくねんあくおもへばいっぴゃく悪身あくしんく。 いちしゅじょういちぎょうのうちをはかるに、 ひゃくねんあくおもへば、 あくすなはち*三千さんぜんこく遍満へんまんしてその悪身あくしんく。 悪法あくほうすでにしかり。

又彼¬経¼云、「人生ジテ↢世間↡凡ルニ↢一日一夜↡、有↢八億四千万念↡。一念起セバ↠悪↢一悪身↡、十念念ヘバ↠悪得↢十生悪身↡、百念念ヘバ↠悪↢一百悪身↡。計ルニ↢一衆生一形之中↡、百年念ヘバ↠悪、悪即遍↢満シテ三千国土↡受↢其悪身↡。悪法既

^善法ぜんぽうもまたしかなり。 一念いちねんぜんおこせばいち善身ぜんしんけ、 ひゃくねんぜんおもへばいっぴゃく善身ぜんしんく。 いちしゅじょういちぎょうのうちをはかるに、 ひゃくねんぜんおもへば、 三千さんぜんこく善身ぜんしんまたつ。 もし0283じゅうねんねん弥陀みだぶつねんじ、 あるいはねんいたることをれば、 のちりょう寿じゅこくうまれ、 すなはちじょう法身ほっしんくること恒沙ごうじゃじんにして不可ふか思議しぎなり」 と。

善法亦然ナリ。一念起セバ↠善↢一善身↡、百念念ヘバ↠善↢一百善身↡。計ルニ↢一衆生一形之中↡、百年念ヘバ↠善、三0641千国土善身亦満。若レバ↧十年・五年念↢阿弥陀仏↡、或イハルコトヲ↦多年↥、後↢无量寿国↡、即クルコト↢浄土法身↡恒沙无尽ニシテ不可思議也。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)浄国寿命の長遠
            (Ⅰ)正釈

^いますでに穢土えど短促たんそくにして、 みょうほうとおからず。 もし弥陀みだ浄国じょうこくしょうずれば、 寿じゅみょうじょうおんにして不可ふか思議しぎなり。

今既穢土短促ニシテ、命報不↠遠カラ。若ズレバ↢阿弥陀浄国↡、寿命長遠ニシテ不可思議ナリ

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)引証
              (ⅰ)小経

^このゆゑに ¬*りょう寿じゅきょう¼ にのたまはく、 「ぶつ*しゃほつげたまはく、 ªかのぶつをなんがゆゑぞ弥陀みだなづくる。 しゃほつ十方じっぽう人天にんでん、 かのくにおうじょうするものは、 寿じゅみょうじょうおんにしておくひゃくせんこうなり。 ぶつ同等どうとうなるがゆゑに弥陀みだなづくº」 と。 おのおのよろしくこのだいなることをはかりて、 みなかんとがんずべし。

¬无量寿経¼云、「仏告ゲタマハク↢舎利弗↡、彼ナヅクル↢阿弥陀↡。舎利弗、十方人天往↢生スル↡者、寿命長遠ニシテ億百千劫ナリ。与↠仏同等ナルガナヅクト↢阿弥陀↡。各シク↧量リテ↢此ナルコトヲ↡、皆願カムト也。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)善王皇帝尊経

^また ¬*善王ぜんのう皇帝こうていそんぎょう¼ にのたまはく、 「それひとありて、 どうがくして西方さいほう弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせんと念欲ねんよくするものは、 憶念おくねんすることちゅう一日いちにち、 もしはにち、 あるいは三日さんにち、 もしはにち、 もしはにち六日ろくにち七日しちにちいたるべし。

又¬善王皇帝尊経¼云、「其リテ↠人、シテ↠道念↣欲スル往↢生セムト西方阿弥陀仏国↡者、憶念スルコト昼夜一日、若シハ二日、或イハ三日、若シハ四日、若シハ五日、至ルベシ↢六日・七日↡。

^もしまたなかにおいてげんせんとほっするものは、 われこの善王ぜんのうどくくをくべし。 いのちきんとほっするときはちさつありて、 みなことごとくきたりてこのひとむかり、 西方さいほう弥陀みだ仏国ぶっこくのうちにいたりて、 つひにとどまることをざらん」 と。

復於↠中スル↢還悔セムト↡者、聞クベシ↣我説クヲ↢是善王功徳↡。命欲スル↠尽キムト時、有リテ↢八菩薩↡、皆悉リテ↢取↡、到リテ↢西方阿弥陀仏国↡、終ラムト↠得↠止マルコトヲ。」

二 Ⅸ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅲ)讃弥陀偈

^これより以下いげ、 また ¬だいきょう¼ (讃阿弥陀仏偈)きてしょうとなす。 ¬さん¼ にいはく (同・意)

↠此已下、又引キテ↢¬大経¼↡為↠証。¬讃¼云

0284^それしゅじょうありて安楽あんらくしょうずれば、 ことごとくさんじゅうそうす。
智慧ちえ満足まんぞくして深法じんぼうる。 道要どうようちょうしてしょうなし。

「其リテ↢衆生↡生ズレバ↢安楽↢三十有二相
慧満足シテ↢深法究↢暢シテ道要↡无↢障礙↡

^こんどんしたがひてにんじょうじゅす。 三忍さんにんない不可ふかせつなり。
宿命しゅくみょうつうつねにざいにして、 ぶついたるまで雑悪趣ぞうあくしゅかえらず。

ヒテ↢根利鈍↡成↢就三忍乃至不可説ナリ
宿命五通常自在ニシテルマデ↠仏不↠カヘ↢雑悪趣

^ほうじょくしょうじて、 げんしておなじくだい牟尼むに (釈尊) のごとくなるをのぞく。
安楽国あんらくこくしょうじてだいじょうず。 このゆゑにしんいたしてかしこにしょうぜんとがんず」 と。

↧生ジテ↢他方五濁示現シテジククナルヲ↦大牟尼
ジテ↢安楽国↡成↢大利シテ↠心ズト↠生ゼムト↠彼

【第十大門】
    標列

【51】^だいじゅう大門だいもんのなかにりょうばんりょうけんあり。 だいいち¬だいきょう¼ によりてるいきて証誠しょうじょうす。 だいこうしゃくす。

第十大門↢両番料簡↡。第一リテ↢¬大経¼↡引キテ↠類。第二↢廻向0642↡。

二 Ⅹ 解釈
      【引類証誠】
       

【52】^だいいち¬だいきょう¼ によりてるいきて証誠しょうじょうすとは、

第一リテ↢¬大経¼↡引キテ↠類スト者、

二 Ⅹ ⅱ a
          (一)正釈

^十方じっぽう諸仏しょぶつ西方さいほうすることをすすめたまはざるはなく、 十方じっぽうさつおなじくしょうぜざるはなし。 十方じっぽう人天にんでんこころあるはひとしくす。 ゆゑにりぬ、 不可ふか思議しぎなり。

十方諸仏无↠不ルハ↠勧メタマハ↠帰スルコトヲ↢西方↡、十方菩薩无↠不ルハ↢同ジク↡。十方人天、有ルハ↠意斉シク。故リヌ不可思議事也。

二 Ⅹ ⅱ a ロ (二)引証

^このゆゑに ¬だいきょうさん¼ にいはく (讃阿弥陀仏偈)

¬大経¼云

^神力じんりきごく弥陀みだは、 十方じっぽうりょうぶつさんじたまふところなり。
0285東方とうぼう恒沙ごうじゃ諸仏しょぶつくにさつしゅにしてことごとく往覲おうごんす。

「神力无極阿弥陀十方无量ナリ↠讃ジタマフ
東方恒沙諸仏菩薩无数ニシテ往覲

^また安楽国あんらくこくさつしょうもん・もろもろの大衆だいしゅようし、
きょうぼうちょうじゅしてどうぶ。 自余じよほうもまたかくのごとし」 と。

亦復供↢養安楽国菩薩・声聞・諸大衆
聴↢受シテ経法↡宣↢道化自余九方亦如シト↠是クノ

二 Ⅹ ⅱ 【回向釈義】
       

【53】^だいこうしゃくすとは、

第二スト↢廻向↡者、

二 Ⅹ ⅱ b
          (一)正釈
            (Ⅰ)回向の意

^ただ一切いっさいしゅじょうすでにぶっしょうあるをもつて、 人々にんにんみなじょうぶつねがしんあり。 しかれども所修しょしゅぎょうごういまだいち万劫まんごうたざるよりこのかたは、 なほいまだかいでざるによりて、 りんまぬかれず。 このゆゑにしょうじゃこのじょうあわれみて西にしこうするをすすむるは、 大益だいやくじょうぜしめんがためなり。

但以↣一切衆生既ルヲ↢仏性↡、人人皆有↧願↢成仏↡心↥。然レドモリテ↧所修行業未ルヨリ↠満↢一万劫↡已来タハ猶未ルニ↞出↢火界↡、不↠免↢輪廻↡。是聖者愍ミテ↢斯長苦↡勧ムルハ↣廻↢スルヲ西↡、為ナリ↠成ゼシメムガ↢大益↡。

二 Ⅹ ⅱ b ロ (一)(Ⅱ)回向の功

^しかるにこうこうろくえず。 なんらをかろくとなす。

ルニ廻向之功不↠↢於六↡。何等ヲカ↠六

^いちには所修しょしゅ諸業しょごうをもつて弥陀みだこうすれば、 すでにかのくにいたりて、 かえりて*六通ろくつうしゅじょう済運さいうんす。 これすなはち*どうじゅうせざるなり。

者将↢所修諸業↡廻↢向スレバ弥陀↡、既リテ↢彼↡、還リテ↢六通↡済↢運衆生↡。此即↠住↠道也。

^にはいん*してかふ。

ニハシテ↠因↠果

^さんには*してじょうかふ。

ニハシテ↠下↠上

^には*してそくかふ。 これすなはちけんじゅうせざるなり。

ニハシテ↠遅↠速。此即ルナリ↠住↢世↡。

^にはしゅじょう回施えせして、 ねんしてぜんかはしむ。

ニハ廻↢施シテ衆生↡、悲念シテハシム↠善

^ろくには*にゅうして分別ふんべつしんきゃくす。

ニハ廻入シテ去↢却分別之心↡。

^こうこうただこのろくじょうず。

廻向之功只成↢斯↡。

二 Ⅹ ⅱ b ロ (二)引証
            (Ⅰ)大経

^このゆゑに ¬だいきょう¼ (上・意) にのたまはく、 「それしゅじょうありて、 わがくにしょうずるものはねんしょうしんして、 *じょうりんしょぎょう超出ちょうしゅつして、 仏道ぶつどうじょうずるにいたるまでさらに*ぶくなんなし」 (第二0286十二願) と。

¬大経¼云、「其リテ↢衆生↡、生ズル↢我↡者自然勝進シテ、超↢出シテ常倫諸地之行↡、至ルマデ↠成ズルニ↢仏道↡更シト↢廻復之難↡。」

二 Ⅹ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)讃弥陀偈

^ゆゑに ¬だいきょうさん¼ にいはく (讃阿弥陀仏偈)

¬大経¼云

^安楽あんらくさつしょうもんともがら、 このかいにおいてほうなし。
しゃ無礙むげだい弁才べんざいをもつて、 もろもろの仮令たとえもうけてしょうぶんしめし、

「安楽菩薩・声0643↢此世界↡无↢比方↡
釈迦无大弁才ヲモテケテ↢諸仮令 タトヘ ↡示↢少分

^最賎さいせん乞人こつにん帝王たいおうならべ、 帝王たいおうをまた金輪こんりんのうくらぶ。

かくのごとく展転てんでんして六天ろくてんいたる。 だいしてあひるいすることみなはじめのごとし。

最賎乞人↢帝王帝王復比↢金輪王
↠是クノ展転シテ↢六天次第相類スルコト皆如↠始

^てん色像しきぞうをもつてかれにたとふるに、 千万せんまんおくばいすともそのたぐいにあらず。
みなこれ法蔵ほうぞう願力がんりきのなせるなり。 大心だいしんりき稽首けいしゅちょうらいしたてまつる」 と。

↢天色像↡喩フルニ↢於彼千万億倍ストモ↢其
皆是法蔵願力セルナリ稽↢首頂↣礼シタテマツルト大心力↡」

【第十一大門】
    標列

【54】^だいじゅういち大門だいもんのなかにりゃくしてりょうばんりょうけんをなす。 だいいち一切いっさいしゅじょうすすめてぜんしきたくして西にしかふこころをなさしむ。 だい死後しごしょうえんしょうれつあることをべんず。

第十一大門シテ↢両番料簡↡。第一メテ↢一切衆生↡託シテ↢善知識↡作サシム↢向↠西↡。第二死後↢生縁勝劣アルコトヲ↡。

二 Ⅺ 解釈
      【勧託善知識】
       

【55】^だいいちすすめてぜんしきたくすとは、

第一メテスト↢善知↡者、

二 Ⅺ ⅱ a
          (一)善知識の意

^¬*ほっきょう¼ によるに、 しゅじょうのためにぜんしきとなる。 「ほうみょうさつあり。 ぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 いかんがづけてぜんしきとなすやº と。

ルニ↢¬法句経¼↡、与↢衆生↡作↢善知識↡。「有↢宝明菩薩↡。白シテ↠仏、世尊、云何ケテ↢善知識↡也

^ぶつのたまはく、 ªぜんしきはよく深法じんぽうく。 いはく*くうそうがんとなり。 諸法しょほうびょうどうにしてごうなくほうなく、 いんなくなし。 *きょうにょにょ0287にして*実際じっさいじゅうす。 しかるに*ひっきょうくうのなかにおいて、 ねんとして一切いっさい諸法しょほうこんりゅうす。 これをぜんしきとなす。

仏言、善知識者能↢深法↡。謂无相无願トナリ。諸法平等ニシテ↠業无↠報、无↠因无↠果。究竟如如ニシテ↢於実際↡。然ルニ↢畢竟空↡、熾然トシテ建↢立一切諸法↡。是↢善知識↡。

^ぜんしきはこれなんぢが父母ぶもなり、 なんぢらがだいしん養育よういくするがゆゑなり。

善知識者是汝父母ナリ、養↢育スルガ汝等↡故ナリ

^ぜんしきはこれなんぢが眼目げんもくなり、 よく一切いっさい善悪ぜんあくどうるがゆゑなり。

善知識者是汝眼目ナリ、能ルガ↢一切善悪↡故ナリ

^ぜんしきはこれなんぢが大船だいせんなり、 なんぢらを*うんしてしょうかいいだすがゆゑなり。

善知識者是汝大船ナリ、運↢度シテ汝等↡出スガ↢生死海↡故ナリ

^ぜんしきはこれなんぢが*こうじょうなり、 よくなんぢらをきてしょういだすがゆゑなりº」 と。

善知識者是汝絚縄ナリ、能↢抜キテ汝等↡出スガ↢生死↡故也。」

二 Ⅺ ⅱ a ロ (二)勧帰西方

^またすすむ。 しゅじょうのためにぜんしきとなるといへども、 かならずすべからく西にしすべし。 なにをもつてのゆゑに。 このかいとどまれば、 *じゅんきょう多々たたにして退没たいもつありてづることかたきによるがゆゑなり。

又勧。雖↧与↢衆生↡作ルト↦善知識↥、必↠帰↠西。何テノ。由ルガ↧住マレバ↢斯火界↡、違順境多多ニシテ、有リテ↢退没↡難キニ↞出ヅルコト故也。

^このゆゑに*しゃほつここにおいて発心ほっしんしてさつぎょうしゅすること、 すでに六十ろくじっこうたり。 *あくしき乞眼こつげん因縁いんねんひて、 つひにすなはち退転たいてんす。 ゆゑにりぬ、 かいにしてどうしゅすることははなはだかたし。

0644利弗於↠此発心シテスルコト↢菩薩↡、已タリ↢六十劫↡。逢ヒテ↢悪知識乞眼因縁↡、遂退転。故リヌ火界ニシテスルコトハ↠道

^ゆゑにすすめて西方さいほうせしむ。 ひとたびおうじょうれば、 三学さんがくねんしょうしんし、 まんぎょうあまねくそなはる。

メテセシム↢西方↡。一タビレバ↢往生↡、三学自然ルニ勝進、万行普ハル

二 Ⅺ ⅱ a ロ (三)引証

^ゆゑに ¬だいきょう¼ (下・意) にのたまはく、 「弥陀みだじょうこく造悪ぞうあくところ毛髪もうはつばかりのごときもなし」 と。

¬大経¼云、「弥陀浄国シト↣造悪之地如キモ↢毛髪バカリ↡也。」

二 Ⅺ ⅱ 【死後受生勝劣】
       

【56】^だいつぎしゅじょう死後しごじゅしょうしょうれつあることをべんずとは、

第二ズト↢衆生死後受生勝劣アルコトヲ↡者、

二 Ⅺ ⅱ b
          (一)勝劣1

^*このさかいしゅじょう寿いのち0288いのちおわりて、 みな善悪ぜんあくごうじょうぜざるはなし。 つねにみょう獄率ごくそつ妄愛もうあい煩悩ぼんのうのためにあひともにしょうく。 すなはちしゅこうよりこのかた、 いまだめんすることあたはず。

衆生寿尽命終リテ、莫↠不ルハ↣皆乗↢善悪二業↡。恒伺命獄率↡相与↠生。乃↢无数劫↡コノカ、未↠能↢免離スルコト↡。

^もしよくしんしょうじてじょうこうこころはげましてせんしょうなれば、 いのちおわらんとほっするとき弥陀みだぶつ観音かんのんしょうじゅ光台こうだいをもつてぎょうじゃ*こうしょうしたまふ。 かんずいじゅうがっしょうしてうてなじょうじ、 しゅにすなはちいたりてらくならざるはなく、 すなはちじょうぶついたる。

ジテ↠信帰↢向浄土ハゲマシテ↠意専精ナレバ、命欲スル↠終ラムト時、阿弥陀仏与↢観音聖衆↡光台ヲモテ迎↢接シタマフ行者↡。歓喜随従合掌シテ↠台、須臾リテ↠不ルハ↢快楽ナラ↡、乃↢成仏↡。

二 Ⅺ ⅱ b ロ (二)勝劣2

^また一切いっさいしゅじょうごうつくることどうにして、 その三種さんしゅあり。 いはくじょうちゅうなり。 みな*えんいたりてはんらざるはなし。 もしよく*信仏しんぶつ因縁いんねんをもつてじょうしょうぜんとがんじて、 所修しょしゅぎょうごうならびにみなこうすれば、 いのちおわらんとほっするときぶつみづから来迎らいこうして*おうおかされず。

又復一切衆生造ルコト↠業不同ニシテ、有↢其三種↡。謂上・中・下ナリ。莫↠不ルハ↧皆イタリテ↢閻羅↡取。若信仏因縁ヲモテジテ↠生ゼムト↢浄土↡、所修行業並皆廻向スレバ、命欲スル↠終ラムト時、仏自来迎シテ不↠ヲカサレ↢死王↡也。

【第十二大門】
    標列

【57】^だいじゅう大門だいもんのなかに一番いちばんあり。 ¬じゅうおうじょうきょう¼ につきてしょうとなしておうじょうすすむ。

第十二大門↢一番↡。就キテ↢¬十往生経¼↡為シテ↠証↢往生↡也。

二 Ⅻ 解釈
      【総結勧信】
        総勧

^ぶつ (釈尊)弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずることをくに、 もろもろの大衆だいしゅのために観身かんじんしょうねんだつきたまふがごとし。

↧仏説クニ↠生ズルコトヲ↢阿弥陀仏国↡、為↢諸大衆↡説キタマフガ↦観身正念解脱↥。

二 Ⅻ ⅱ a 引証

^¬じゅうおうじょうきょう¼ (意) にのたまはく、 「なんぶつにまうしてまうさく、 ªそん一切いっさいしゅじょう観身かんじんほうはそのいかん。 ただねがはくはこれをきたまへº と。

¬十往生経¼云、「阿難白シテ↠仏、世尊、一切衆生観身之法事云何。唯願クハキタマヘト↠之

^ぶつなんげたまはく、 ªそれ観身かんじんほう東西とうざいかんぜず、 南北なんぼくかんぜず、 *ゆいじょうかんぜず、 くうかんぜず、 *えんかん0289ぜず、 *内縁ないえんかんぜず、 *身色しんじきかんぜず、 *しきしょうかんぜず、 *色像しきぞうかんぜず、 ただ*えんかんず。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、夫観身之法者不↠観↢東西↡、不↠観↢南北↡、不↠観↢四維・上下↡、不↠観↢虚空↡、不↠観↢外縁0645↡、不↠観↢内縁↡、不↠観↢身色↡、不↠観↢色声↡、不↠観↢色像↡、唯観↢无縁↡。

^これをしょうしん観身かんじんほうとなす。 この観身かんじんのぞきて十方じっぽうにあきらかにもとむること在々ざいざい処々しょしょなるも、 さらに別法べっぽうにしてだつることなしº と。

↢正真観身之法↡。除キテ↢是観身↡十方ムルコト在在処処ナルモ、更シト↣別法ニシテ而得ルコト↢解脱↡。

^ぶつまたなんげたまはく、 ªただみづからかんずるに善力ぜんりきねんなり、 しょうねんねんなり、 だつねんなり。

仏復告ゲタマハク↢阿難↡、但自ズルニ↠身善力自然ナリ、正念自然ナリ、解脱自然ナリ

^なにをもつてのゆゑに。 たとへばひとありてしょうじん*直心じきしんにしてしょうだつるがごとし。 かくのごときひとだつもとめざるに、 だつおのづからいたるº と。

テノ。譬ヘバ↣有リテ↠人精進直心ニシテルガ↢正解脱↡。如↠是クノ之人ルニ↠求↢解脱↡、解脱自ルト

^なんまたぶつにまうしてまうさく、 ªそんけんしゅじょうもしかくのごときしょうねんだつあらば、 一切いっさいごく餓鬼がきちくしょうさん悪道まくどうなかるべしº と。

阿難復白シテ↠仏、世尊、世間衆生若ラバ↢如↠是クノ正念解脱↡、応シト↠无カル↢一切地獄・餓鬼・畜生三悪道↡也。

^ぶつなんげたまはく、 ªけんしゅじょうだつず。 なにをもつてのゆゑに。 一切いっさいしゅじょうはみなおおじつすくなきによりて、 いちとしてしょうねんなし。 この因縁いんねんをもつてごくのものはおおく、 だつのものはすくなし。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、世間衆生不↠得↢解脱↡。何テノ。一切衆生皆由リテ↢多↠虚少キニ↟実、无↢一トシテ正念↡。以↢是因縁↡地獄、解脱

^たとへばひとありて、 みづからの父母ぶもおよびそうにおいて、 ほかには孝順きょうじゅんげんうちにはきょういだくがごとく、 ほかにはしょうじんげんうちにはじついだく。 かくのごとき悪人あくにんほういまだいたらずといへども、 さんとおからず、 しょうねんあることなし、 だつずº と。

ヘバ↧有リテ↠人、於↢自ラノ父母及以 オヨビ 師僧↡、外ニハ↢孝順↡内ニハクガ↢不孝↥、外ニハ↢精進↡内ニハ↢不実↡。如↠是クノ悪人報雖↠未、三塗不↠遠カラ、无↠有ルコト↢正念↡、不↠得↢解脱↡。

^なんまたぶつにまうしてまうさく、 ªもしかくのごときものは、 さらになんの善根ぜんごんしゅしてかしょうだつ0290º と。

阿難復白シテ↠仏、若↠是クノ、更シテカ↢何善根↡得ルト↢正解脱↡。

^ぶつなんげたまはく、 ªなんぢいまよくけ。 われいまなんぢがためにかん。 じゅうおうじょうほうありてだつべし。 いかんがじゅうとなす。

仏告ゲタマハク↢阿難↡、汝今善。吾今為↠汝カム。有リテ↢十往生法↡可↠得↢解脱↡。云何↠十

^いちには観身かんじんしょうねんにしてつねにかんいだき、 飲食おんじきぶくをもつてぶつおよびそうほどこせば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者観身正念ニシテ↢歓喜↡、以↢飲食・衣服↡施セバ↢仏及↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^にはしょうねんにしてかんみょうりょうやくをもつていちびょう比丘びくおよび一切いっさいしゅじょうほどこせば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテ↢甘妙良薬↡施セバ↢一病比丘及一切衆生↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^さんにはしょうねんにしていち生命しょうみょうをもがいせずして一切いっさい慈悲じひすれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテシテ↠害↢一生命ヲモ↡慈↢悲スレバ於一切↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^にはしょうねんにしてところしたがひてかいけ、 *じょうをもつてぼんぎょうしゅし、 しんにつねにかんいだけば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテヒテ↢師↡受↠戒、浄恵ヲモテ↢梵0646↡、心常ケバ↢歓喜↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^にはしょうねんにして父母ぶも孝順きょうじゅんし、 *ちょうきょうしてきょうまんしんおこさざれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテ孝↢順於父母↡、敬↢奉シテ於師長↡不レバ↠起↢憍慢↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^ろくにはしょうねんにして僧房そうぼう往詣おうげいし、 とうぎょうし、 ほうきていちさとれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテ往↢詣於僧房↡、恭↢敬於塔寺↡、聞キテ↠法サトレバ↢一義↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^しちにはしょうねんにして一日いちにちいちのうちに*はっ戒斎かいさいじゅしていちをもやぶらざれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテ一日一夜受↢持シテ八戒↡不レバ↠破↠一ヲモ、往↢生阿弥陀仏国↡。

^はちにはしょうねんにしてもしよく斎月さいがつ斎日さいにちのうちに房舎ぼうしゃおんしてつねにぜんいたれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテ斎月・斎日遠↢離シテ於房舎↡常イタレバ↢於善師↡、往↢生阿弥陀仏国↡。

^にはしょうねんにしてつねによくじょうかいたもちてぜんじょう勤修ごんしゅし、 ほうまもりてあっせず。 もしよくかくのごとくぎょうずれば、 弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうす。

者正念ニシテチテ↢浄戒↡懃↢修於禅定↡、護リテ↠法不↢悪口↡。若↠是クノズレバ、往↢生阿弥陀仏国↡。

^じゅうにはしょうねんにして、 もし*じょうどうにおいてほうしんおこさず、 しょうじんにしてじょうかいたも0291ち、 また無智むちのものをおしへてこのきょうぼう流布るふし、 りょうしゅじょうきょうす。 かくのごときもろもろのひとは、 ことごとくみなおうじょうº と。

者正念ニシテ、若↢无上道↡不↠起↢誹謗↡、精進ニシテ↢浄戒↡、復教ヘテ↢无智↡流↢布経法↡、教↢化无量↡。如↠是クノ人等皆得↢往生↡。

^そのとき*ちゅういちさつあり、 山海さんかいづく。 ぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 かの弥陀みだこくになんのみょうらくしょうありてか一切いっさいしゅじょうみなかしこにおうじょうせんとがんずるº と。

時会中↢一菩薩↡、名↢山海恵↡。白シテ↠仏、世尊、彼阿弥陀国リテカ↢何妙楽勝事↡一切衆生皆願ズルト↣往↢生セムト↡。

^仏、 山海さんかいさつげたまはく、 ªなんぢいままさにりゅうがっしょうしてただしくし、 西にしかひてしょうねんにして弥陀みだ仏国ぶっこくかんじ、 弥陀みだぶつたてまつらんとがんずべしº と。

仏告ゲタマハク↢山海恵菩薩↡、汝今応シト↧起立合掌シテシクシ↠身ヒテ↠西正念ニシテ↢阿弥陀仏国↡、願↞見タテマツラムト↢阿弥陀仏↡。

^そのとき一切いっさい大衆だいしゅまたみなりゅうがっしょうしてともに弥陀みだぶつかんじたてまつる。 そのとき弥陀みだぶつだい神通じんずうげんじて大光だいこうみょうはなち、 山海さんかいさつしんらしたまふ。

時一切大衆亦皆起立合掌シテジタテマツル↢阿弥陀仏↡。爾時阿弥陀仏現ジテ↢大神通↡放↢大光明↡、照シタマフ↢山海恵菩薩↡。

^そのとき山海さんかいさつとう、 すなはち弥陀みだぶつこくのあらゆるしょうごんみょうこうたてまつるに、 みなことごとく七宝しっぽうなり。 七宝しっぽうやま七宝しっぽうこくあり。 すいちょう樹林じゅりんつねに法音ほうおんき、 かのくにには日々にちにちにつねに法輪ほうりんてんず。 かのくに人民にんみん*外事げじならはず、 まさしく*ないならふ。 くち*方等ほうどうき、 みみ方等ほうどうこえき、 しん方等ほうどうさとる。

時山海恵菩薩等即タテマツルニ↢阿弥陀仏国土所有荘厳妙好之事↡、皆悉七宝ナリ。七宝山、七宝国土アリ。水・鳥・樹林常↢法音↡、彼ニハ日日0647↢法輪↡。彼人民不↠習↢外事↡、正シク↢内事↡。口↢方等↡、耳↢方等↡、心↢方等↡。

^そのとき山海さんかいさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 われらいまかのくに*けんするに、 勝妙しょうみょうやく不可ふか思議しぎなり。 われいまねがはくは一切いっさいしゅじょうことごとくみなおうじょうせんことを。 しかしてのちにわれらも0292またねがはくはかのくにしょうぜんº と。

時山海恵菩薩、白シテ↠仏、世尊、我等今者 イマ 覩↢見スルニ↡、勝妙利益不可思議ナリ。我今願クハ一切衆生悉皆往生セムコトヲ。然シテ我等亦願クハゼムト↢彼↡。

^ぶつこれをしてのたまはく、 ªしょうかんしょうねんせばしょうだつて、 みなことごとくかしこにしょうぜん。 もしぜんなんぜん女人にょにんありてこのきょうしょうしんし、 このきょう*あいぎょうしてしゅじょう勧導かんどうせば、 説者せっしゃちょうしゃもことごとくみな弥陀みだ仏国ぶっこくおうじょうせん。

仏記シテ↠之、正観正念セバ↢正解脱↡、皆悉ゼム↠彼。若リテ↢善男子・善女人↡正↢信↡、愛↢楽シテ↡勧↢導セバ衆生↡、説者聴者皆往↢生セム阿弥陀仏国↡。

^もしかくのごときひとあらば、 われ今日こんにちよりつねに*じゅうさつをしてこのひと護持ごじせしめ、 つねにこのひとをしてびょうなくのうなからしめん。 もしは*にん、 もしは*にん、 その便べんず、 *行住ぎょうじゅう坐臥ざがちゅうふことなく、 つねに安穏あんのんなることをんº と。

ラバ↢如↠是クノ人↡、我従↢今日↡常使↣二十五菩薩ヲシテ護↢持↡、常メム↢是ヲシテ↠病无カラ↡悩。シハ人、若シハ非人、不↠得↢其便↡、行住坐臥↠問フコト↢昼夜↡、常ムト↢安ナルコトヲ↡。

^山海さんかいさつぶつにまうしてまうさく、 ªそん、 われいまそんきょうちょうじゅしてあへてうたがふことあらず。 しかるにしゅじょうあり、 おおほうしてこのきょうしんぜざることあらん。 かくのごときひとは、 のちにおいていかんº と。

山海恵菩薩白シテ↠仏、世尊、我今頂↢受シテ尊教↡不↢敢↟疑フコト。然ルニ↢衆生↡、多ラム↢誹謗シテルコト↟信↢是↡。如↠是クノ之人、於↠後云何

^ぶつ山海さんかいさつげたまはく、 ªのちにおいてえんだいに、 あるいは比丘びく比丘びくありて、 このきょう読誦どくじゅすることあるものをて、 あるいはあひしんしんほういだかん。 この*ほうしょうぼうによるがゆゑに、 このひと現身げんしんのなかに諸悪しょあく重病じゅうびょう*身根しんこん不具ふぐ聾盲ろうもうおん水腫すいしゅ鬼魅きみらいして、 坐臥ざがやすからず、 しょうもとむるにず、 もとむるにず。

仏告ゲタマハク↢山海恵菩薩↡、於↠後閻浮提、或イハリテ↢比丘・比丘尼↡、見↧有↣読↢誦スルコト↡者↥、或イハ相瞋恚カム↢誹謗↡。由ルガ↢是謗正法↡故、是人現身之中来↢致シテ諸悪・重病・身根不具・聾盲・瘖瘂・水腫・鬼魅↡、坐臥不↠安カラ、求ムルニ↠生不↠得、求ムルニ↠死不↠得。

^あるいはすなはちするにいたりてごくし、 はち万劫まんごうのうちにだいのうく。 ひゃくせんまんにいまだかつて水食すいじき0293かず。 ひさしくしてのちづることをれども、 ちょようにありてひとのためにころされてだいごくく。 のちひととなることをれども、 つねにしょうまれ、 ひゃくせんまんにもざいず。 なが三宝さんぼうみょうかず。

イハリテ↠死スルニ↢於地獄↡、八万劫↢大苦悩↡。百千万世↣曽↢水食之名↡。久シクシテレドモ↠出ヅルコトヲ、在リテ↢牛・馬・猪・羊↡為↠人↠殺↢大極苦↡。後レドモ↠為ルコトヲ↠人、常↢下処↡、百0648千万世ニモ不↠得↢自在↡。永不↠聞↢三宝名字↡。

^このゆゑに無智むちしんひとのなかにして、 このきょうくことなかれº」 と。

无智无信ニシテ、莫レト↠説クコト↢是↡也。」

流通

【58】 ^*せんじゅうずうとく、 あまねく一切いっさいほどこして、

だいしんおこし、 おなじくじょうこくこうして、
みなともに仏道ぶつどうじょうぜん。

撰集流通シテ↢於一切
↢菩提心ジク帰↢向シテ浄国
皆共ゼム↢仏道

安楽あんらくしゅう かん

 

 このしゅういち*現行げんこうぼんにつきてかいちょう刻印こくいんせり。 ただ浄教じょうきょうつうぜしめ、 *そうしょううるおさんがためなり。 ただ*とうびゅうぎょつまびらかにしがたし。 しょうほんでんせば、 *後昆こうこん*さんじょうせよ。 ねがはくは、 ない一聞いちもんたぐいをしておなじくぼんえんむすばしめんのみ。

斯集一部、就↢現行本↡開彫刻印。唯為↧通↢浄教↡、沾↦蒼生↥也。但虎唐之謬、魚魯難↠詳正本流伝、後昆刪定。庶使↣乃至一聞之類同結↢九品之縁↡而已。

 *寛元かんげん三年さんねん きのとの *仲秋ちゅうしゅう

願主がんしゅ比丘びく*往成おうじょう

寛元三年 仲秋日

願主比丘往成

 

延書の底本は龍谷大学蔵(写字台旧蔵)寛元三年刊本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
五翳にして面牆なり 五翳は日月の光をおおいかくす五種のもの。 煙・雲・塵・霧・羅睺らごしゅおう (日食・月食を起す阿修羅王)。 面牆は顔をかきねに向けていること。 ともに無知の身という意。 どうしゃくぜんが自らをへりくだっていった言葉。
斉朝の上統 統は大統 (僧官の名)。 北斉ほくせいの大統の地位にあったほうじょう法師のことか。
世俗の君子 とう孝静こうせい帝 (在位534-550) か。
地位 しょの位。
難者紛紜たり 論難する者がさまざまにあったという意。
此彼の諸経 ¬観経¼ および他の諸大乗経。
可壊の相 無常のありさま。
諸度を該ぬ 六度 (ろっ波羅ぱらみつ) 万行を摂めている。
終時の益 終益に同じ。
余行 念仏以外のさまざまな行業ぎょうごう
般若 ここでは仏法の意。
併せ遣り すべて除き。
功徳雲比丘 ¬華厳経¼ 「入法界品」 に説かれる五十三人の善知識の第二。
普賢の行に帰す ここでの帰は帰入するの意。 →げん
諸劫|三世の不顛倒 常住 (しょうめつ変化がなく永久に存在すること) の意。
刀山剣樹鑊湯 刀の山、剣の樹、熱鉄の湯。 地獄を指していう。
摩訶衍 引用は ¬だい智度ちどろん¼ 取意の文。
相法 人相を占う法。
殺鬼 人の命を奪う悪鬼。
卦兆を作り 八卦などをたてて占うこと。
繒幡蓋 絹で作られた幢幡どうばん天蓋てんがい
入地の加行道 じゅうのそれぞれの位に入るための行。
地満の功徳利 十地のそれぞれの位を満たした時に得るどくやく
已不住道 しょから二地、 二地から三地へと進むありさま。
上妙の楽具 すぐれてたえなる楽器。
通の行 ぼんも聖者もすべてみな通じるところの行。
通の伴 いかなる行にも通じて伴う行。 四摂であれ六度であれ、 一切の行は、 念仏を離れてはないという意。
地々 じゅうの各地。
此彼 此土 (穢土えど) と彼土 (浄土)。
 往生浄土。
 だつのこと。
 ¬さつ瓔珞ようらくきょう¼ および ¬仁王にんのうきょう¼ に十種の行が説かれている。
 精進のこと。 →精進しょうじん
 心に保持して忘れないこと。
 施捨。 布施のこと。 →布施ふせ
信想軽毛 信心が薄いことは、 そよ風にも飛ぶ軽い毛のようなものであるという意。
仮名 名ばかりの菩薩。 菩薩の位の最初、 十信じっしんを指す。
外の凡夫 少分の煩悩をも断じていないもの。 またぼんの位とする説もある。
入道行位 さとりに到達するまでの修行の階梯かいてい
法爾 法のごとくあること。 ここでは修行によって一段一段と菩薩の階位を昇らなければならないことを指す。
福智の資糧 福徳と智慧ちえぜんごん。 福徳は六波羅蜜のうちの布施ふせかい忍辱にんにくしょうじんぜんじょうの五をいい、 智慧は第六の般若はんにゃを指す。 →ろっ波羅ぱらみつ
始発意 →しんぽっ
親承供養 親しく仕えてこう等をささげること。
勝方便 すぐれた方法。
法鼓経によるに… ¬ほっきょう¼ の処々の文の意を取ったものとみられる。
大法鼓経に説きたまふ… ¬ほっきょう¼ の処々の文の意を取ったものとみられる。
散心念仏 散乱した心のままで念仏すること。 ¬大品だいぼん般若はんにゃきょう¼ の原文では、 「散」 の字は 「敬」 となっている。
事定 三界さんがいのうちのしきかいに生ずる煩悩ぼんのうに染ったぜんじょう
味染 禅定の味に染まって執着すること。
業報の生を伏し 煩悩に染った禅定の力で欲界よくかいの業報があらわれないようにおさえているという意。
上界 三界のうちの色界しきかい・無色界。
事境 じょうぜんによる所観の境界。
彼此 彼は西方の浄土、 此は諸天を指す。
自分の因 自己のなした業因。
八徳の池 はっどくすいの浴池。
二諦虚融 真諦しんたい俗諦ぞくたいの二諦が対立を離れて不二であること。 →真俗しんぞくたい
三空門 →さんだつもん
八正の路 八正道分はっしょうどうぶんのこと。
大涅槃 大いなる仏のさとり。
自余の九方 東方以外の南西北・ゆい・上下のこと。
この界 しゃ世界を指す。
因中 いんの時。 仏果 (仏のさとり) に至るまでの修行中の期間。
礼念観 礼拝らいはい念仏ねんぶつ観察かんざつすること。
第七の梵天 梵天ぼんてんの住する色界しきかい初禅天しょぜんてん。 六欲天の上にあるので第七天という。
体上下に通ず 往生者の上根・下根すべてかねおさめる。
相無相 相即無相。 すべての事物には固定的なすがたがないという意。
此彼の取相 此土 (穢土えど) の相を取ることと、 彼土 (浄土) の相を取ること。
 だつのこと。
五塵の欲境 よくの境界。
二諦を別観して 真諦しんたいぞくたいを別々に観じて。 →真俗しんぞくたい
七地の終心 七地の最後心。 →じゅう
八地 菩薩の十地の階位の第八地。 →じゅう
善貪 仏のさとりを求めるような善き貪愛とんない
施戒… →ろっ波羅ぱらみつ
修治断除 修行によってぼんのうを対治し、排除すること。
王宮耆闍両会の正説 仏が王舎おうしゃじょうなんだいのために説法したおう宮会ぐえと、阿難がしゃ崛山くっせんの大衆のために王宮会での仏の説法を再説した耆闍会。
龍樹天親等の論 龍樹菩薩の ¬じゅうじゅう毘婆びば娑論しゃろん¼ ¬だいろん¼、天親菩薩の ¬じょうろん¼ などを指す。
忉利 とうてんのこと。
大神呪 不思議な呪文。
他方に… 他の世界になぞらえて、 しょうもん・菩薩・人天の名を立てているだけで、 実体のないこと。
精微妙躯 不可思議ですぐれた身体。
観照の暉心 智慧ちえの光で真実の道理を照らしみる心。
金剛無礙 とうしょうがくの位を指す。
所抜の衆生 救われるところの衆生。
無礙の弁才 自由自在なる弁説の才能。
彼此 彼土 (浄土) と此土 (穢土えど)。
寂滅忍 じゃくめつの境地。
作業の時… →補註6
 悪。
 善。
浄雑 浄は煩悩ぼんのうのけがれのないこと。 雑は善悪の業がまじっていること。
煢々忪々 孤独で頼るものがなく、 恐れて心が乱れ動くこと。
一念悪を起せば… →補註6
三千国土 三千さんぜん大千だいせんかいのこと。
無量寿経 引用は ¬小経¼ の取意の文。
道に住せざる さとりの世界にとどまらない。
回して ふり向けて。
回して ひるがえし捨てて。
常倫諸地の行 菩薩の通常の十地の修行。 →じゅう
空・無相・無願 さん脱門だつもんのこと。
究竟如々 如々はしんにょに同じ。 この上ない真如。
舎利弗… ¬だい智度ちどろん¼ 巻十二に説かれる舎利弗の前生。 →乞眼こつげん因縁いんねん
この界 しゃ世界を指す。
外縁 しきしょうこうそくほう六境ろっきょうのこと。
内縁 げんぜつしん六識ろくしき六根ろっこんのこと。
身色 身体。
色声 声。
外事・内事 文脈からみて、 内事は下の 「方等」、 外事はそれ以外の法のこと。
方等 大いに増広発展させられたの意。 ここでは大乗の法を指す。
人・非人 人間と人間以外の天・竜・しゃなどの鬼神をいう。 →補註8
謗正法 →ほうしょうぼう
身根不具聾盲瘖瘂 →補註10
撰集流通 ¬安楽集¼ を撰述して、 世にひろめるという意。
現行本 現在、世に流布している本。
虎唐の謬魚魯 文字の誤りの意。 虎と唐、 魚と魯は文字がよく似ていて誤りやすいところからいう。
後昆 後世の人。
刪定 (本文を) 改め確定すること。
仲秋 八月のこと。
往成 往成はこの ¬安楽集¼ のほか、 ほう二年 (1248) に ¬おうじょう拾因じゅういん¼、 建長けんちょう二年 (1250) に ¬ぐんろん¼ を版行している。
底本は◎高野山寶壽院蔵鎌倉時代刊本(上巻)/龍谷大学蔵(写字台旧蔵)寛元三年刊本(下巻)。 Ⓐ高野山寶壽院蔵天永三年書写本、 Ⓑ龍谷大学蔵正平二年書写本、 Ⓒ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本 と対校。 全部校訂 →Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓑ「ト云者アリ」と右傍註記
 Ⓑ「ト云者アリ」と右傍註記
→Ⓐ
→Ⓑ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
左右→Ⓐ右方
→Ⓐ
→Ⓐ[亦]菩
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓒ
 Ⓐになし
→Ⓒ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
→◎Ⓑ
→ⒶⒷ
→Ⓐ
 Ⓐになし
願不→Ⓐ不願
→Ⓐ
→ⒶⒷ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ爾[時]
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→ⒶⒸ者[教]
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ簿
→Ⓐ簿 Ⓑになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓒ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ往[生]
→Ⓐ又[来]
→Ⓐ陀[号]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ仏[修]
→◎Ⓑ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓑ
亡者→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓒ
→◎Ⓑ
 Ⓐ久也と左傍註記
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓒ
→Ⓐ
→Ⓐ槃[城]
→Ⓑ
→Ⓒ
→Ⓐ[即]既
 Ⓐになし
→Ⓒ十[方] Ⓑと右傍註記
→Ⓒ
→Ⓐ汝[師]
→ⒶⒷ
→ⒶⒷ[経云]随
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓑ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
一切 Ⓐになし
世界 Ⓐになし
其相→Ⓐ甚想
 Ⓐになし
→Ⓐ陀[佛]
→ⒶⒸ終[時]
→Ⓑ
→Ⓐ无[上]
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ→Ⓒ
→Ⓒ
料簡 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
西→Ⓐ西[方]
→Ⓐ
→Ⓐ
墜堕→Ⓐ堕墜
→Ⓑ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ[皆]勧
→Ⓐ等[得]
 Ⓐになし
→Ⓒ
14字 Ⓐになし
所不能→Ⓐ不能所
→Ⓑ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐ讀歟と右傍註記
→◎
→ⒶⒸ
→Ⓐ
无辺 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ才[口]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→ⒶⒷ
→Ⓑ
 Ⓐになし
 Ⓐになし
諸劫→Ⓐ劫諸
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
 Ⓑになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
一形之中 Ⓐになし
 Ⓐになし
→ⒶⒸ往[生]
→Ⓐ(立也と右傍註記)
→Ⓑ
→Ⓐ
→ⒶⒷ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓒ間[也]
以天→Ⓐ天以
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓐ(提歟と右傍註記)
→Ⓒ
→Ⓑ
→◎ Ⓑと右傍註記
→Ⓐ
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ至[毎皆前相]
→Ⓐ以[世]
 Ⓐになし
→Ⓐ斎[一日一夜中受持]
 Ⓐになし
 Ⓐになし
 Ⓐになし
→Ⓐ
→Ⓐ
→Ⓑ
→Ⓐ聞[有]
→Ⓐ(と右傍註記)