0003◎十住毘婆娑論 巻第五
聖者*龍樹造*後秦*亀茲国*三蔵*鳩摩羅什訳
易行品 第九
一 発問
Ⅰ 弁由【総説】
ⅰ 標指
【1】 ◎^問ひていはく、 この*阿惟越致の菩薩の*初事は*先に説くがごとし。
◎問0407ヒテ曰ク、是ノ阿惟越致ノ菩薩ノ初事ハ如シ↢先ニ説クガ↡。
一 Ⅰ ⅱ 正明
a 略して転進の相を明す
^阿惟越致地に至るには、 もろもろの難行を行じ、 久しくしてすなはち得べし。
至ルニ↢阿惟越致地ニ↡者、行ジ↢諸ノ難行ヲ↡、久シクシテ乃チ可シ↠得。
一 Ⅰ ⅱ b 具に敗壊の難を説く
イ 標挙略釈
^あるいは声聞・辟支仏地に堕す。 もししからばこれ大衰患なり。
或イハ堕ス↢声聞・辟支仏地ニ↡。若シ爾ラバ者是大衰患ナリ。
一 Ⅰ ⅱ b ロ 引証具述
^¬*助道法¼ のなかに説くがごとし。
如シ↢¬助道法ノ¼中ニ説クガ↡。
^「▼もし声聞地、 および辟支仏地に堕するは、
これを菩薩の死と名づく。 すなはち一切の利を失す。
^もし地獄に堕するも、 かくのごとき畏れを生ぜず。
若シ堕スルモ↢於地獄ニ↡ | 不↠生ゼ↢如キ↠是クノ畏ヲ↡ |
もし二乗地に堕すれば、 すなはち大怖畏となす。
^地獄のなかに堕するも、 *畢竟じて仏に至ることを得。
堕スルモ↢於地獄ノ中ニ↡ | 畢竟ジテ得↠至ルコトヲ↠仏ニ |
0004もし二乗地に堕すれば、 畢竟じて仏道を*遮す。
^仏みづから ¬経¼ (清浄毘尼方広経) のなかにおいて、 かくのごとき事を解説したまふ。
仏自ラ於テ↢¬経ノ¼中ニ↡ | 解↢説シタマフ如キ↠是クノ事ヲ↡ |
人の寿を貪るもの、 首を斬らんとすればすなはち大きに畏るるがごとく、
如ク↢人ノ貪ル↠寿ヲ者 | 斬ラムトスレバ↠首ヲ則チ大ニ畏ルルガ↡ |
^菩薩もまたかくのごとし。 もし声聞地、
および辟支仏地においては、 大怖畏を生ずべし」 と。
一 Ⅱ 正請
^このゆゑに、 もし諸仏の所説に、 易行道にして疾く阿惟越致地に至ることを得る方便あらば、 願はくはためにこれを説きたまへと。
是ノ故ニ若シ諸仏ノ所説ニ、有ラバ↧易行道ニシテ疾ク得ル↠至ルコトヲ↢阿惟越致地ニ↡方便↥者、願クハ為ニ説キタマヘト↠之ヲ。
二 起説
Ⅰ 呵問
ⅰ直呵
【2】 ^答へていはく、 なんぢが所説のごときは、 これ*儜弱怯劣にして*大心あることなし。 これ*丈夫志幹の言にあらず。
答ヘテ曰ク、如キハ↢汝ガ所説ノ↡、是儜弱怯劣ニシテ無シ↠有ルコト↢大心↡。非ズ↢是丈夫志幹之言ニ↡也。
二 Ⅰ ⅱ 示由
a 徴
b 釈
イ 直示
^なにをもつてのゆゑに。 もし人願を発して阿耨多羅三藐三菩提を求めんと欲して、 いまだ阿惟越致を得ずは、 その中間において身命を惜しまず、 昼夜精進して*頭燃を救ふがごとくすべし。
何ヲ以テノ故ニ。若シ人発シテ↠願ヲ欲シテ↠求メムト↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡、未ダハ↠得↢阿0408惟越致ヲ↡、於テ↢其ノ中間ニ↡応シ↧不↠惜マ↢身命ヲ↡、昼夜精進シテ如クス↞救フガ↢頭燃ヲ↡。
二 Ⅰ ⅱ b ロ 引証
^¬*助道¼ のなかに説くがごとし。
如シ↢¬助道ノ¼中ニ説クガ↡。
^「菩薩いまだ阿惟越致地に至ることを得ずは、
つねに*勤精進して、 なほ頭燃を救ひ、
^0005*重担を荷負するがごとくすべし。 菩提を求むるためのゆゑに、
つねに勤精進して、 懈怠の心を生ぜざるべし。
^声聞乗・辟支仏乗を求むるもののごときは、
ただおのが利を成ぜんがためにするも、 つねに勤精進すべし。
但為ニスルモ↠成ゼムガ↢己ガ利ヲ↡ | 常ニ応シ↢勤精進ス↡ |
^いかにいはんや菩薩のみづから度し、 またかれを度せんとするにおいてをや。
何ニ況ヤ於テヲヤ↢菩*薩ノ | 自ラ度シ、亦度セムトスルニ↟彼ヲ |
この二乗の人よりも、 億倍して精進すべし」 と。
二 Ⅰ ⅱ b ハ 結成
^大乗を行ずるものには、 仏かくのごとく説きたまへり。 「願を発して仏道を求むるは三千大千世界を挙ぐるよりも重し」 と。
行ズル↢大乗ヲ↡者ニハ、仏如ク↠是クノ説キタマヘリ。発シテ↠願ヲ求ムルハ↢仏道ヲ↡重シト↣於挙グルヨリモ↢三千大千世界ヲ↡。
二 Ⅰ ⅲ 結呵
a 問辞を挙ぐ
^なんぢ、 阿惟越致地はこの法はなはだ難し。 久しくしてすなはち得べし。 もし易行道にして疾く阿惟越致地に至ることを得るありやといふは、
汝言フ↣阿惟越致地ハ是ノ法甚ダ難シ、久シクシテ乃チ可シ↠得、若シ有リヤト↢易行道ニシテ疾ク得ル↟至ルコトヲ↢阿惟越致地ニ↡者、
二 Ⅰ ⅲ b 過失を結す
^これすなはち*怯弱下劣の言なり。 これ*大人志幹の説にあらず。
是乃チ怯弱下劣之言ナリ。非ズ↢是大人志幹之説ニ↡。
二 Ⅱ 許説
ⅰ 先許
^なんぢ、 もしかならずこの方便を聞かんと欲せば、 いままさにこれを説くべし。
汝若シ必ズ欲セバ↠聞カムト↢此ノ方便ヲ↡、今当ニシ↠説ク↠之ヲ。
二 Ⅱ ⅱ 正しく易行を説く
a 大判二行分
イ 法説
【3】 ^▼仏法に無量の門あり。
仏法ニ有リ↢无量ノ門↡。
二 Ⅱ ⅱ a ロ 譬説【難易二道】
^▼世間の道に難あり易あり。 ▼*陸道の歩行はすなはち苦しく、 ▼*水道の乗船はすなはち楽しきがごとし。
如シ↢世間ノ道ニ有リ↠難有リ↠易、陸道ノ歩行ハ則チ苦シク、水道ノ乗船ハ則チ楽シキガ↡。
二 Ⅱ ⅱ a ハ 合法
^◆菩薩の道もまたかくのごとし。 あるいは勤行精進のものあり、 あ0006るいは*信方便易行をもつて疾く阿惟越致に至るものあり。
菩薩ノ道モ亦如シ↠是クノ。或イハ有リ↢勤行精進ノモノ↡、或イハ有リ↧以テ↢信方便易行ヲ↡疾ク至ル↢*阿惟越*致ニ↡者↥。
二 Ⅱ ⅱ b 唯説易行分
イ 先づ十仏易行を挙ぐ【十方十仏章】
(一)偈頌略示
【4】 ^偈に説くがごとし。
如シ↢偈ニ説クガ↡。
^▼東方▽善徳仏、 南▽栴檀徳仏、
*西▽無量明仏、 北方▽相徳仏、
^東南▽無憂徳、 西南▽宝施仏、
西北▽華徳仏、 東北▽*三行仏、
^下方▽明徳仏、 上方▽広衆徳、
かくのごときもろもろの世尊、 いま現に十方にまします。
^▼もし人疾く不退転地に至らんと欲せば、
▼*恭敬心をもつて、 *執持して名号を称すべしと。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)長行広弁
(Ⅰ)総明
【5】 ^◆もし菩薩▼この身において阿惟越致地に至ることを得て、 阿耨多羅三藐三菩提を成就せんと欲せば、 まさにこの十方諸仏を念じ、 その名号を称すべし。
若0409シ菩薩欲セバ↧於テ↢此ノ身ニ↡得テ↠至ルコトヲ↢阿惟越致地ニ↡、成↦*就セムト阿耨多羅三藐三菩提ヲ↥者、応ニ当シ↧念ジ↢是ノ十方諸仏ヲ↡、称ス↦其ノ名号ヲ↥。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)別顕
(ⅰ)別証
(a)経品を指す
^◆¬*宝月童子所問経¼ の 「阿惟越致品」 のなかに説きたまふがごとし。
如シ↢¬宝月童子所問経ノ¼「阿惟越致品ノ」中ニ説キタマフガ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)説相を挙ぐ
(イ)善徳を明す
[一]国土功徳
[Ⅰ]方所を明す
^「仏、 宝月に告げたまはく、 ª東方ここを去ること無量無辺不可思議恒河沙等の仏土を過0007ぎて
「仏告ゲタマハク↢宝月ニ↡、東方去ルコト↠此ヲ過ギテ↢无量無辺不可思議恒河沙等ノ仏土ヲ↡
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[一][Ⅱ]国名を明す
^世界あり。 無憂と名づく。
有リ↢世界↡。名ク↢无憂ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[一][Ⅲ]地樹荘厳を明す
^その地平坦にして七宝をもつて合成し、 *紫磨金縷をもつてその界に交絡せり。 宝樹羅列して、 もつて荘厳となす。
其ノ地平坦ニシテ七宝ヲモテ合成シ、紫磨金縷ヲモテ交↢絡セリ*其ノ界ニ↡。宝樹羅列シテ、以テ為ス↢荘厳ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[一][Ⅳ]諸難なきを明す
^地獄・畜生・餓鬼・阿修羅道およびもろもろの*難処あることなし。
无シ↠有ルコト↢地獄・畜生・餓鬼・阿修羅道及ビ諸ノ難処↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[一][Ⅴ]清浄無垢を明す
^清浄にして穢れなく、 沙礫・瓦石・山陵・*堆阜・深坑・*幽壑あることなし。 天よりつねに華を雨らして、 もつてその地に布けり。
清浄ニシテ无ク↠穢レ、無シ↠有ルコト↢沙礫・瓦石・山陵・*堆阜・深坑・幽壑↡。天ヨリ常ニ雨ラシテ↠華ヲ、以テ布ケリ↢其ノ地ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]仏功徳
[Ⅰ]体徳
[ⅰ]化主
^時に世に仏まします。 号して善徳如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊といふ。
時ニ世ニ有ス↠仏。号シテ曰フ↢善徳如来・応*供・正遍知・明行足・善逝・世間解・无上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅱ]眷属
^大菩薩衆恭敬し*囲繞す。
大菩薩衆恭敬シ囲繞ス。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅲ]身相
^身相の光色大金山を燃やすがごとく、 *大珍宝聚のごとし。
身相ノ光色如ク↠燃スガ↢大金山ヲ↡、如シ↢大珍宝聚ノ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅳ]説法
^もろもろの大衆のために広く正法を説きたまふ。 ^*初・中・後よく辞あり義あり。 所説雑はらず。 具足し、 清浄にして、 如実にして失せず。 なにをか失せずといふ。 *地・水・火・風を失せず、 欲界・色界・無色界を失せず、 *色・受・想・行・識を失せざるなり。
為ニ↢諸ノ大衆ノ↡*広ク説キタマフ↢正法ヲ↡。初・中・後善ク有リ↠辭有リ↠義。所説不↠雑ラ。具足シ清浄ニシテ、如実ニシテ不↠失セ。何ヲカ謂フ↢不ト↠失セ。不↠失セ↢地・水・火・風ヲ↡、不↠失セ↢欲界・色界・无色界ヲ↡、不ルナリ↠失セ↢色・受・想・行・識ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅴ]住世
^宝月、 この仏成道よりこのかた六十億劫を過ぎたまへり。 またその仏国は昼夜異なることなし。 ただこの間の閻浮提の日月歳数をもつてかの*劫寿を説く。
宝月、是ノ仏成*道ヨリ已来タ過ギタマヘリ↢六十億劫ヲ↡。又其ノ仏国ハ昼夜无シ↠異ナルコト。但以テ↢此ノ間ノ閻浮提ノ日月歳数ヲ↡説ク↢彼ノ劫寿ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅰ][ⅵ]光明
^その仏の光明つねに世界を照らしたまふ。
其ノ仏ノ光明常ニ照シタマフ↢世界ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]化用
[ⅰ]自国得益
^一の説法において、 無量無辺千万億阿僧祇の衆生をして無生法忍に住せしめ、 この人数に倍して*初忍・第二・第三忍に住することを得しめたまふ。
於テ↢一ノ説法ニ↡、令メタマフ↧無量无辺千万億阿僧祇ノ衆生ヲシテ住セシメ↢无生法忍ニ↡、倍シテ↢此ノ人数ニ↡得↞住スルコトヲ↢初忍・第二・第三忍ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ]他国得益
[a]触光得忍
^宝月、 その0008仏の本願力のゆゑに、 もし他方の衆生ありて、 先仏の所においてもろもろの善根を種ゑんに、 この仏ただ光明をもつて身に触れたまふに、 すなはち無生法忍を得。
宝月、其ノ仏ノ本願力ノ故ニ、若シ有リテ↢他0410方ノ衆生↡、於テ↢先仏ノ所ニ↡種エムニ↢諸ノ善根ヲ↡、是ノ仏但以テ↢光明ヲ↡触レタマフニ↠身ニ、即チ得↢无生法忍ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ][ⅱ][b]聞名不退
^宝月、 もし善男子・善女人ありてこの仏の名を聞きてよく信受するものは、 すなはち阿耨多羅三藐三菩提を退せずº」 と。
宝月、若シ善男子・善女人アリテ聞キテ↢是ノ仏ノ名ヲ↡能ク信受スル者ハ、即チ不ト↠退セ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。」
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)九仏を例す
^*余の九仏の事みなまたかくのごとし。
余ノ九仏ノ事皆亦如シ↠是クノ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)解説
(a)標
^いままさに諸仏の名号および国土の名号を解説すべし。
今当ニシ↣解↢説ス諸仏ノ名号及ビ国土ノ名号ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)釈
(イ)東方善徳仏
^「△善徳」 といふは、 その徳淳善にしてただ安楽のみあり。 諸天・竜神の福徳の、 衆生を惑悩するがごときにはあらず。
「善徳トイフ」者、其ノ徳淳善ニシテ但有リ↢安楽ノミ↡。非ズ↠如キニハ↣諸天・竜神ノ福徳ノ*惑悩スルガ↢衆生ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ロ)南方栴檀徳仏
^「△栴檀徳」 といふは、 南方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 歓喜と名づく。 仏を栴檀徳と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 たとへば*栴檀の香ばしくして清涼なるがごとく、 かの仏の名称遠く聞ゆること、 香の流布するがごとし。 衆生の三毒の火熱を滅除して清涼なることを得しむ。
「栴檀徳トイフ」者、南方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡。名ク↢歓喜ト↡、仏ヲ号ス↢栴檀徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。譬ヘバ如ク↢栴檀ノ香バシクシテ而清涼ナルガ↡、彼ノ仏ノ名称遠ク聞ユルコト如シ↢香ノ流布スルガ↡。滅↢除シテ衆生ノ三毒ノ火熱ヲ↡令ム↠得↢清涼ナルコトヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ハ)西方無量明仏
^「△無量明仏」 といふは、 西方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 *善と名づく。 仏を無量明と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏の身光および智慧明照にして無量無辺なり。
「无量明仏トイフ」者、西方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢*善ト↡。仏ヲ号ス↢无量明ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏ノ身光*及ビ智慧明炤ニシテ无量无辺ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ニ)北方相徳仏
^「△相徳仏」 といふは、 北方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 ▽不可動と名づく。 仏を相徳と名づく。 いま現にまし0009まして法を説きたまふ。 その仏の福徳高顕なること、 なほ*幢相のごとし。
「相徳仏トイフ」者、北方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢不可動ト↡。仏ヲ名ク↢相徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏ノ福徳高顕ナルコト猶如シ↢幢相ノ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ホ)東南無憂徳仏
^「△無憂徳」 といふは、 東南方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 月明と名づく。 仏を無憂徳と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏の*神徳もろもろの天・人をして憂愁あることなからしむ。
「無憂徳トイフ」者、東南方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢月明ト↡。仏ヲ号ス↢无憂徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏ノ神徳令ム↢諸ノ天・人ヲシテ无カラ↟有ルコト↢憂愁↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ヘ)西南宝施仏
^「△宝施仏」 といふは、 西南方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 衆相と名づく。 仏を宝施と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏もろもろの無漏の*根・力・覚・道等の宝をもつてつねに衆生に施す。
「宝施仏トイフ」者、西南方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢衆相ト↡。仏ヲ*号ス↢宝施ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏以テ↢諸ノ无漏ノ根・力・覚・道等ノ宝ヲ↡常ニ施0411ス↢衆生ニ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ト)西北華徳仏
^「△華徳仏」 といふは、 西北方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 衆音と名づく。 仏を華徳と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏の色身、 なほ妙華のごとく、 その徳無量なり。
「華徳仏トイフ」者、西北方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢衆音ト↡。仏ヲ号ス↢華徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏ノ色身、猶如ク↢妙華ノ↡、其ノ徳无量ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(チ)東北三乗行仏
^「△三乗行仏」 といふは、 東北方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 安穏と名づく。 仏を三乗行と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏つねに声聞の行、 辟支仏の行、 もろもろの菩薩の行を説きたまふ。 ある人いはく、 「上・中・下の精進を説くがゆゑに、 号して三乗行となす」 と。
「三乗行*仏トイフ」者、東北方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢安*隠ト↡。仏ヲ号ス↢三乗行ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏常ニ説キタマフ↢声聞ノ行・辟支仏ノ行・諸ノ菩薩ノ行ヲ↡。有ル人言ク、説クガ↢上・中・下ノ精進ヲ↡故ニ、号シテ為スト↢三乗行ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(リ)下方明徳仏
^「△明徳仏」 といふは、 下方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 ▽広大と名づく。 仏を0010明徳と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 明とは身明・智慧明・宝樹光明に名づく。 この三種の明つねに世間を照らす。
「明徳仏トイフ」者、下方去ルコト↠此ヲ無量无辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢広大ト↡。仏ヲ号ス↢明徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。明トハ名ク↢身明・智慧明・宝樹光明ニ↡。是ノ三種ノ明常ニ照ス↢世間ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)(ヌ)上方広衆徳仏
^「△広衆徳」 といふは、 上方ここを去ること無量無辺恒河沙等の仏土にして世界あり、 衆月と名づく。 仏を広衆徳と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。 その仏の弟子福徳広大なるがゆゑに広衆徳と号す。
「広衆徳トイフ」者、上方去ルコト↠此ヲ无量無辺恒河沙等ノ仏土ニシテ有リ↢世界↡、名ク↢衆月ト↡。仏ヲ号ス↢広衆徳ト↡。今現ニ在シテ説キタマフ↠法ヲ。其ノ仏ノ*弟子福徳広大ナルガ故ニ、号ス↢広衆徳ト↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (二)(Ⅲ)結示
^いまこの十方の仏、 善徳を初めとなし、 広衆徳を後となす。 もし人一心にその名号を称すれば、 すなはち阿耨多羅三藐三菩提を退せざることを得。
*今是ノ十方ノ仏善徳ヲ為シ↠初ト、広衆徳ヲ為ス↠後ト。若シ人一心ニ称スレバ↢其ノ名号ヲ↡、即チ得↠不ルコトヲ↠退セ↢於阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)重頌礼讃
(Ⅰ)標挙
【6】 ^偈に説くがごとし。
*如シ↢偈ニ説クガ↡。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)正讃
(ⅰ)総讃
^もし人ありてこの諸仏の名を説くを聞くことを得れば、
若シ有リテ↠人得レバ↠聞クコトヲ↠ | 説クヲ↢是ノ諸仏ノ名ヲ↡ |
すなはち無量の徳を得。 宝月のために説きたまふがごとし。
即チ得↢无量ノ徳ヲ↡ | 如シ↧為ニ↢宝月ノ↡説キタマフガ↥ |
^われこの諸仏を礼したてまつる。 いま現に十方にまします。
我礼シタテマツル↢是ノ諸仏ヲ↡ | 今現ニ在ス↢十方ニ↡ |
それ名を称することあれば、 すなはち不退転を得。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)別讃
(a)東方善徳仏
^東方に無憂界あり、 その仏を△善徳と号す。
*色相金山のごとし。 名の聞ゆること*辺際なし。
^もし人名を聞けば、 すなはち不退転を得。
0011われいま合掌し礼したてまつる。 願はくはことごとく憂悩を除きたまへ。
我今合掌シ礼シタテマツル | 願クハ悉ク除キタマヘ↢憂悩ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(b)南方栴檀徳仏
^南方に歓喜界あり、 仏を△栴檀徳と号す。
面の浄きこと満月のごとし。 光明量りあることなし。
面ノ浄キコト如シ↢満月ノ↡ | 光明无シ↠有ルコト↠量リ |
^よくもろもろの衆生の三毒の熱悩を滅したまふ。
名を聞くもの不退を得。 このゆゑに▼*稽首し礼したてまつる。
聞クモノ↠名ヲ得↢不退ヲ↡ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(c)西方無量明仏
^▼西方に善世界あり、 仏を△無量明と号す。
身光・智慧あきらかにして、 照らすところ辺際なし。
^その名を聞くことあれば、 すなはち不退転を得。
われいま稽首し礼したてまつる。 願はくは生死の際を尽したまへ。
我今稽首シ礼シタテマツル | 願クハ尽シタマヘ↢生死ノ際ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(d)北方相徳仏
^北方に△*無動界あり、 仏を号して△相徳となす。
身にもろもろの*相好を具し、 もつてみづから荘厳し、
^*魔怨の衆を*摧破し、 よくもろもろの人天を化したまふ。
摧↢破シ魔怨ノ衆ヲ↡ | 善ク化シタマフ↢諸ノ*人天ヲ↡ |
名を聞けば不退を得。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
聞ケバ↠名ヲ得↢不退ヲ↡ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(e)東南無憂仏
^東南の月明界に、 仏ましまして△無憂と号す。
光明日月に喩へ、 遇ふもの煩悩を滅す。
^0012つねに衆のために法を説き、 もろもろの*内外の苦を除きたまふ。
常ニ為ニ↠衆ノ説キ↠法ヲ | 除キタマフ↢諸ノ内外ノ苦ヲ↡ |
十方の仏称讃したまふ。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(f)西南宝施仏
^西南に衆相界あり、 仏を号して△宝施となす。
つねにもろもろの*法宝をもつて、 広く一切に施したまふ。
^諸天頭面をもつて礼して、 *宝冠足下にあり。
われいま五体をもつて、 宝施尊を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(g)西北華徳仏
^西北に衆音界あり、 仏を号して△華徳となす。
世界にもろもろの宝樹ありて、 *妙法音を演出す。
^つねに*七覚の華をもつて、 衆生を荘厳す。
*白毫相月のごとし。 われいま頭面をもつて礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(h)東北三乗行仏
^東北の安穏界、 諸宝をもつて合成するところなり。
仏を△三乗行と号す。 無量の相をもつて身を厳りたまふ。
仏ヲ号ス↢三乗行ト↡ | 无量ノ相ヲモテ厳リタマフ↠身ヲ |
^智慧の光無量にして、 よく無明の闇を破したまへば、
0413智慧ノ光无量ニシテ | 能ク破シタマヘバ↢无明ノ闇ヲ↡ |
衆生に憂悩なし。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(i)上方広衆徳仏
^上方の衆月界、 衆宝をもつて荘厳するところなり。
0013大徳の声聞衆、 菩薩量りあることなし。
^諸聖のなかの獅子なり。 号して△広衆徳とのたまふ。
諸魔の怖畏するところなり。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
諸魔ノ所ナリ↢怖畏スル↡ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅱ)(j)下方明徳仏
^下方に△*広世界あり、 仏を号して△明徳となす。
身相妙にして、 *閻浮檀金山に超絶す。
^つねに智慧の日をもつて、 もろもろの善根の華を開きたまふ。
常ニ以テ↢智慧ノ日ヲ↡ | 開キタマフ↢諸ノ善根ノ華ヲ↡ |
宝土はなはだ広大なり。 われはるかに稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b イ (三)(Ⅱ)(ⅲ)結讃
^▼過去無数劫に、 仏ましまして▼*海徳と号す。
このもろもろの現在の仏、 みなかれに従ひて願を発せり。
^◆寿命量りあることなし。 光明照らして極まりなし。
国土はなはだ清浄なり。 名を聞けばさだめて仏に作る。
^いま現に十方にましまして、 十力を具足し成じたまふ。
今現ニ在シテ↢十方ニ↡ | 具↢足シ成ジタマフ↣十力ヲ↡ |
このゆゑに人天のなかの最尊を稽首し礼したてまつると。
是ノ故ニ稽↢首シ礼シタテマツル↣ | 人天ノ中ノ最尊ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ 更に阿弥陀仏等の易行を開く【百七仏章】
(一)問
【7】 ^▼問ひていはく、 ただこの十仏の名号を聞きて、 執持して心に在けば、 すなはち阿耨多羅三藐三菩提を退せざることを得。 さらに余仏・余菩薩の名ましま0014して、 阿惟越致に至ることを得となすや。
問ヒテ曰ク、但聞キテ↢是ノ十仏ノ名号ヲ↡、執持シテ在ケバ↠心ニ、便チ得↠不ルコトヲ↠退セ↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。為ス↧更ニ有シテ↢余仏・余菩薩ノ名↡、得ト↞至ルコトヲ↢阿惟越致ニ↡耶。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)答
(Ⅰ)総答
【8】 ^◆答へていはく、 ▼*阿弥陀等の仏およびもろもろの大菩薩、 名を称し一心に念ずれば、 また不退転を得。 ◆また*阿弥陀等の諸仏ましまして、 また恭敬礼拝し、 その名号を称すべし。
答ヘテ曰ク、阿弥陀等ノ仏及ビ諸ノ大菩薩、称シ↠名ヲ一心ニ念ズレバ、亦得↢不退転ヲ↡。*更タ有シテ↢阿弥陀等ノ諸仏↡、亦応シ↣恭敬礼拝シ、称ス↢其ノ名号ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)別答
(ⅰ)正しく弥陀の易行を明す【弥陀章】
(a)長行
(イ)所讃の法体を挙ぐ
【9】 ^◆いままさにつぶさに説くべし。 1無量寿仏・
今当ニシ↢具ニ説ク↡。无量寿仏・
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)本願成就
[一]諸仏称名
[Ⅰ]諸仏を挙ぐ
^▼2世自在王仏・3師子意仏・4法意仏・5梵相仏・6世相仏・7世妙仏・8慈悲仏・9世王仏・10人王仏・
世自在王仏・師子意仏・法意仏・梵相仏・世相仏・世妙仏・慈悲仏・世王仏・人王仏・
^11月徳仏・12宝徳仏・13相徳仏・14大相仏・15珠蓋仏・16師子鬘仏・17破無明仏・18智華仏・19多摩羅跋栴檀香仏・20持大功徳仏・
月徳仏・宝徳仏・相徳仏・大相仏・*珠0414蓋仏・師子鬘仏・破无明仏・智華仏・多摩羅跋栴檀香仏・持大功徳仏・
^21雨七宝仏・22超勇仏・23離瞋恨仏・24大荘厳仏・25無相仏・26宝蔵仏・27徳頂仏・28多伽羅香仏・29栴檀香仏・30蓮華香仏・
雨七宝仏・超勇仏・離瞋恨仏・大荘厳仏・无相仏・宝蔵仏・徳頂仏・多伽羅香仏・栴檀香仏・蓮華香仏・
^31荘厳道路仏・32竜蓋仏・33雨華仏・34散華仏・35華光明仏・36日音声仏・37蔽日月仏・38琉璃蔵仏・39梵音仏・40浄明仏・
荘厳道路仏・竜蓋仏・雨華仏・散華仏・華光明仏・日音声仏・蔽日月仏・琉璃蔵仏・梵音仏・浄明仏・
^41金蔵仏・42須弥頂仏・43山王仏・44音声自在仏・45浄眼仏・46月明仏・47如須弥山仏・48日月仏・49得衆仏・50*華生仏・
金蔵仏・須弥頂仏・山王仏・音声自在仏・浄眼仏・月明仏・如須弥山仏・日月仏・得衆仏・華*生仏・
^51梵音説仏・52世主仏・53師子行仏・54妙法意師子吼仏・55珠宝蓋珊瑚色仏・56破痴愛闇仏・57水月仏・58衆華仏・59開智慧仏・60持雑宝仏・
梵音説仏・世主仏・師子行仏・妙法意師子吼仏・珠宝蓋珊瑚色仏・破痴愛闇仏・水月仏・衆華仏・開智慧仏・持雑宝仏・
^61菩提仏・62華超出仏・63真琉璃明仏・64蔽日明仏・65持大功徳仏・66得正慧仏・67勇健仏・68離諂曲仏・69除悪根栽仏・70大香仏・
菩提仏・華超出仏・真琉璃明仏・蔽日明仏・持大功徳仏・得正慧仏・勇健仏・離諂曲仏・除悪根栽仏・大香仏・
^71*道映仏・72水光仏・73海雲慧遊仏・74徳頂華仏・75華荘厳仏・76日音声仏0015・77月勝仏・78琉璃仏・79梵声仏・80光明仏・
道*映仏・水*光仏・海雲慧遊仏・徳頂華仏・華荘厳仏・日音声仏・月勝仏・琉璃仏・梵声仏・光明仏・
^81金蔵仏・82山頂仏・83山王仏・84音王仏・85竜勝仏・86無染仏・87浄面仏・88月面仏・89如須弥仏・90栴檀香仏・
金蔵仏・山頂仏・山王仏・音王仏・竜勝仏・无染仏・浄面仏・月面仏・如須弥仏・栴檀香仏・
^91威勢仏・92燃灯仏・93難勝仏・94宝徳仏・95喜音仏・96光明仏・97竜勝仏・98離垢明仏・99師子仏・100王王仏・
威勢仏・燃灯仏・難勝仏・宝徳仏・喜音仏・光明仏・竜勝仏・離垢明仏・師子仏・*王王仏・
^101力勝仏・102*華歯仏・103無畏明仏・104香頂仏・105普賢仏・106普華仏・107宝相仏なり。
力勝仏・華*歯仏・无畏明仏・香頂仏・普賢仏・普華仏・宝相仏ナリ。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[一][Ⅱ]称念を結示す
^▼*このもろもろの仏世尊現に十方の清浄世界にまします。 みな名を称し憶念すべし。
是ノ諸ノ仏世尊現ニ在ス↢十方ノ清浄世0415界ニ↡。皆称シ↠名ヲ憶念スベシ。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二]念仏往生
[Ⅰ]前を承けて正しく明す
【10】^▼阿弥陀仏の本願はかくのごとし、 「もし人われを念じ名を称してみづから帰すれば、 ▼すなはち▼*必定に入りて阿耨多羅三藐三菩提を得」 と。
阿弥陀仏ノ本願ハ如シ↠是クノ、若シ人念ジ↠我ヲ称シテ↠名ヲ自ラ帰スレバ、即チ入リテ↢必定ニ↡得ト↢阿耨多羅三藐三菩提ヲ↡。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(a)(ロ)[二][Ⅱ]前を承けて下を起す
^▼このゆゑにつねに憶念すべし。
是ノ故ニ常ニ応シ↢憶念ス↡。
【11】^◆偈をもつて ˆ阿弥陀仏をˇ 称讃せん。
以テ↠偈ヲ称讃セム。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)偈讃
(イ)総嘆
[一]本仏の果徳を嘆ず
^◆*無量光明慧あり、 身は*真金山のごとし。
われいま身口意をもつて、 合掌し稽首し礼したてまつる。
^金色の妙光明、 あまねくもろもろの世界に流れて、
*物に随ひてその色を増す。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
随ヒテ↠物ニ*増ス↢其ノ色ヲ↡ 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二]衆生の因果を嘆ず
[Ⅰ]果の頓極を嘆ず
^▼もし人命終の時に、 かの国に生ずることを得れば、
若シ人命終ノ時ニ | 得レバ↠生ズルコトヲ↢彼ノ国ニ↡者 |
すなはち無量の徳を具す。 このゆゑに▼われ帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(イ)[二][Ⅱ]因の速成を嘆ず〔即時入必定〕
^0016▼人よくこの仏の無量力威徳を念ずれば、
▼即時に必定に入る。 このゆゑにわれつねに念じたてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)別嘆
[一]聖衆に約して国の徳を嘆ず
[Ⅰ]人天
[ⅰ]応化自在
^かの国の人命終して、 たとひもろもろの苦を受くべきも、
悪地獄に堕せず。 このゆゑに▼帰命し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅱ]快楽無退
^▼もし人かの国に生ずれば、 つひに*三趣および阿修羅に堕せず。
われいま帰命し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅲ]身相無異
^▼人天の身相同じくして、 なほ*金山の頂のごとし。
*諸勝の所帰の処なり。 このゆゑに頭面をもつて礼したてまつる。
諸勝ノ所帰ノ処ナリ | 是ノ故ニ頭面ヲモテ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅰ][ⅳ]六通無礙
^◆それかの国に生ずることあれば、 *天眼耳通を具して、
其レ有レバ↠生ズルコト↢彼ノ国ニ↡ | 具シテ↢天眼・耳通ヲ↡ |
十方にあまねく*無礙なり。 聖中の尊を稽首したてまつる。
^◆その国のもろもろの衆生は、 *神変および*心通、
また*宿命智を具す。 このゆゑに帰命し礼したてまつる。
^かの国土に生ずれば、 *我なく我所なし。
*彼此の心を生ぜず。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
不↠生ゼ↢彼此ノ心ヲ↡ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅱ]声聞
[ⅰ]果を挙げ称讃す
[a]外相に約す
^▼三界の獄を超出して、 目は*蓮華葉のごとし。
0017声聞衆無量なり。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅰ][b]内徳に約す
^かの国のもろもろの衆生、 その性みな柔和にして、
自然に十善を行ず。 衆聖の王 (阿弥陀仏) を稽首したてまつる。
自然ニ行ズ↢十善ヲ↡ | 稽↢首シタテマツル衆聖ノ*王ヲ↡ |
^善より*浄明を生ずること、 無量無辺数にして、
0416従リ↠善生ズルコト↢浄明ヲ↡ | 无量無辺数ニシテ |
*二足のなかの第一なり。 このゆゑにわれ帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅱ][ⅱ]因を挙げ結成す
^▼もし人仏に作らんと願じて、 心に阿弥陀を念ずれば、
若シ人願ジテ↠作ラムト↠仏ニ | 心ニ念ズレバ↢阿弥陀ヲ↡ |
時に応じてために身を現したまふ。 このゆゑにわれ、
応ジテ↠時ニ為ニ現シタマフ↠身ヲ | 是ノ故ニ我帰↢命シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅲ]菩薩
[ⅰ]果を挙げ称讃す
^◆かの仏の本願力を帰命したてまつる。 十方のもろもろの菩薩、
来りて供養し法を聴く。 このゆゑにわれ稽首したてまつる。
^▼かの土のもろもろの菩薩は、 もろもろの相好を具足し、
もつてみづから身を荘厳す。 われいま帰命し礼したてまつる。
^▼かのもろもろの大菩薩、 *日々三時に、
十方の仏を供養したてまつる。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
供↢養シタテマツル十方ノ仏ヲ↡ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[一][Ⅲ][ⅱ]因を挙げ結成す
^▼もし人善根を種うるも、 疑へばすなはち華開けず。
▼信心清浄なれば、 華開けてすなはち仏を見たてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[二]結して仏徳に帰す
^0018▼十方現在の仏、 種々の因縁をもつて、
かの仏の功徳を歎じたまふ。 われいま帰命し礼したてまつる。
歎ジタマフ↢彼ノ仏ノ功徳ヲ↡ | 我今帰命シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[三]上を結して下を起す
^その土はなはだ*厳飾にして、 かの*もろもろの天宮に殊なり、
功徳はなはだ深厚なり。 このゆゑに仏足を礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四]直に仏徳を嘆ず
[Ⅰ]自利円満
[ⅰ]果徳清浄
^▼仏足の*千輻輪は、 柔軟にして蓮華の色あり。
見るものみな歓喜す。 頭面をもつて仏足を礼したてまつる。
^◆眉間の白毫の光は、 なほ清浄なる月のごとし。
面の光色を増益す。 頭面をもつて仏足を礼したてまつる。
増↢益ス面ノ光色ヲ↡ | 頭面ヲモテ礼シタテマツル↢仏足ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四][Ⅰ][ⅱ]因行奇特
^本仏道を求むる時、 もろもろの奇妙の事を行じたまふ。
諸経の所説のごとし。 頭面をもつて稽首し礼したてまつる。
如シ↢諸経ノ所説ノ↡ | 頭面ヲモテ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四][Ⅱ]他利円満
[ⅰ]能化利益
^▼かの仏の言説したまふところ、 もろもろの罪根を破除す。
美言にして益するところ多し。 われいま稽首し礼したてまつる。
美言ニシテ多シ↠所↠益スル | 我今稽首シ礼シタテマツル |
^この美言の説をもつて、 もろもろの*着楽の病を救ひたまふ。
以テ↢此ノ美言ノ説ヲ↡ | 救ヒタマフ↢諸ノ著楽ノ病ヲ↡ |
すでに度しいまなほ度したまふ。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
已ニ度シ今猶度シタマフ | 是ノ故ニ稽首シ礼シタテマツル |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四][Ⅱ][ⅱ]所化咸帰
^人天のなかの最尊なり。 諸天頭面をもつて礼し、
0019七宝の冠足を摩づ。 このゆゑにわれ帰命したてまつる。
^▼一切の賢聖衆、 およびもろもろの人天衆、
ことごとくみなともに帰命す。 このゆゑにわれもまた礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四][Ⅲ]結して別徳を嘆ず
[ⅰ]譬喩を合して別致を示す
^▼かの*八道の船に乗じて、 よく*難度海を度したまふ。
乗ジテ↢彼ノ八道ノ船ニ↡ | 能ク度シタマフ↢難度海ヲ↡ |
みづから度しまたかれを度したまふ。 われ▼*自在者を礼したてまつる。
自ラ度シ亦度シタマフ↠彼ヲ | 我礼シタテマツル↢自在*者ヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ロ)[四][Ⅲ][ⅱ]劫讃を挙げて尊高を結す
^▼諸仏無量劫に、 その功徳を讃揚せんに、
なほ尽すことあたはず。 ▼*清浄人を帰命したてまつる。
猶尚不↠能ハ↠尽スコト | 帰↢命シタテマツル清浄人ニ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)結嘆
[一]称讃を結して自利を願ず
^◆われいままたかくのごとく、 ▼無量の徳を称讃す。
この福の因縁をもつて、 願はくは仏つねにわれを念じたまへ。
以テ↢是ノ福ノ因縁ヲ↡ | 願クハ仏常ニ念ジタマヘ↠我ヲ |
^わが今・先世における福徳、 もしは大小、
願はくはわれ仏の所において、 心つねに清浄なることを得ん。
願クハ我於テ↢仏ノ所ニ↡ | 心常ニ得ム↢清浄ナルコトヲ↡ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅰ)(b)(ハ)[二]所得を挙げて利他を結す
^▼この福の因縁をもつて、 獲るところの上妙の徳、
願はくはもろもろの衆生の類も、 みなまたことごとくまさに得べしと。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)傍に諸仏菩薩を明す
(a)諸仏
(イ)此土出現仏【過未八仏章】
【12】^また*▽*1毘婆尸仏・▽*2尸棄仏・▽*3毘首婆伏仏・▽*4拘楼珊提仏・▽*5迦那迦牟尼仏・▽*6迦葉仏・▽*7釈迦牟尼仏および未来世の▽*8弥勒仏を念ずべし。 みな憶念し礼拝すべし。 偈を0020もつて称讃せん。
又亦応シ↠念ズ↢毘婆尸仏・尸棄仏・毘首婆*伏仏・拘楼珊*提仏・迦那迦牟尼仏・迦葉仏・釈迦牟尼仏及ビ未来世ノ弥勒仏ヲ↡。皆応シ↢憶念シ礼拝ス↡。以テ↠偈ヲ称讃セム。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[一]毘婆尸仏
^△毘婆尸世尊、 無憂道樹の下にして、
*一切智を成就して、 微妙のもろもろの功徳あり。
^まさしく世間を観じ、 その心解脱を得たまふ。
われいま五体をもつて、 無上尊を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[二]尸棄仏
^△尸棄仏世尊、 分陀利道場樹の下にましまして坐し、
菩提を成就したまふ。
^身色比あることなし。 燃ゆる*紫金山のごとし。
われいまみづから三界の無上尊を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[三]毘首婆仏
^△*毘首婆世尊、 *娑羅樹の下に坐し、
自然に一切の妙智慧に通達することを得たまふ。
^もろもろの人天のなかにおいて、 第一にして比あることなし。
0418於テ↢諸ノ人天ノ中ニ↡ | 第一ニシテ无シ↠有ルコト↠*比 |
このゆゑにわれ一切最勝尊を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[四]迦求村大仏
^△*迦求村大仏は、 阿耨多羅三藐三菩提を、
*尸利沙樹の下に得たまひて、
^0021大智慧を成就し、 永く生死を脱したまふ。
われいま第一無比尊を帰命し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[五]迦那含牟尼仏
^△*迦那含牟尼、 大聖無上尊、
優曇鉢樹の下にして、 仏道を成就し得て、
^一切法は無量にして辺あることなしと通達したまふ。
通↢達シタマフ一切法ハ | 无量ニシテ無シト↟有ルコト↠辺 |
このゆゑにわれ第一無上尊を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[六]迦葉仏
^△迦葉仏世尊、 眼は双蓮華のごとし。
*弱拘楼陀樹の下において仏道を成ず。
^三界に畏るるところなし。 行歩すること象王のごとし。
われいまみづから無極尊を帰命し稽首したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[七]釈迦牟尼仏
^△釈迦牟尼仏、 阿輸陀樹の下にして、
*魔の怨敵を*降伏し、 *無上道を成就したまふ。
^面貌満月のごとく、 清浄にして*瑕塵なし。
われいま勇猛第一尊を稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(イ)[八]弥勒仏
^*当来の△弥勒仏、 那伽樹の下に坐して、
0022広大の心を成就し、 自然に仏道を得たまはん。
^功徳はなはだ堅牢にして、 よく勝るるものあることなからん。
功徳甚ダ堅牢ニシテ | 莫カラム↣能ク有ルコト↢勝ルル者↡ |
このゆゑにわれみづから無比妙法王に帰したてまつると。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)他方現在仏【東方八仏章】
【13】^また▽1徳勝仏・▽2普明仏・▽3勝敵仏・▽4-1王相仏・4-2相王仏・▽5無量功徳明自在王仏・▽6薬王無閡仏・▽7宝遊行仏・▽8-1宝華仏・8-2安住仏・8-3山王仏まします。 また憶念し恭敬し礼拝すべし。 偈をもつて称讃せん。
復有ス↢徳勝仏・普明仏・勝敵仏・王相仏・相王仏・无量功徳明自在王仏・薬王無閡仏・宝遊行仏・宝華仏・安住仏・山王仏↡。亦応シ↢憶念シ恭敬シ礼拝ス↡。以テ↠偈ヲ称讃セム。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[一]徳勝仏
^無勝世界のなかに、 仏ましまして△徳勝と号す。
われいまおよび法宝・*僧宝を稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[二]普明仏
^随意喜世界に、 仏ましまして△普明と号す。
われいまみづからおよび法宝・僧宝を帰命したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[三]勝敵仏
^普賢世界のなかに、 仏ましまして△勝敵と号す。
われいまおよび法宝・僧宝を帰命し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[四]王幢相仏
^善浄集世界あり、 仏を△王幢相と号す。
われいまおよび法宝・僧宝を稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[五]無量功徳明仏
^離垢集世界の△無量功徳明、
0023十方に自在なり。 このゆゑに稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[六]無礙薬王仏
^不誑世界のなかの△無礙薬王仏、
われいま頭面をもつておよび法宝・僧宝を礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[七]宝遊行仏
^*今集世界のなかの仏を△宝遊行と号す。
われいま頭面をもつておよび法宝・僧宝を礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)[八]安立山王仏
^美音界の△宝華安立山王仏、
われいま頭面をもつておよび法宝・僧宝を礼したてまつる。
^いまこのもろもろの如来、 住して東方界にまします。
われ恭敬の心をもつて*称揚し帰命し礼したてまつる。
^ただ願はくはもろもろの如来、 深く加するに*慈愍をもつてし、
身を現じてわが前にましまして、 みな目をして見ることを得しめたまへと。
現ジテ↠身ヲ在シテ↢我ガ前ニ↡ | 皆令メタマヘト↢*目ヲシテ得↟見ルコトヲ |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ロ)(ハ)総三世仏【三世諸仏章】
【14】^また次に過去・未来・現在の諸仏、 ことごとく総じて念じ恭敬し礼拝すべし。 偈をもつて称讃せん。
復次ニ過去・未来・現在ノ諸仏、尽ク応シ↢総ジテ*念ジ恭敬シ礼拝ス↡。以テ↠偈ヲ称讃セム。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[一]過去仏
^過去世の諸仏、 もろもろの*魔怨を降伏し、
大智慧力をもつて、 広く衆生を利す。
^0024かの時のもろもろの衆生、 心を尽してみな供養し、
恭敬して称揚す。 このゆゑに頭面をもつて礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[二]現在仏
^現在十方界の*不可計の諸仏、
その数恒沙に過ぐ。 無量にして辺あることなし。
^もろもろの衆生を慈愍し、 つねに*妙法輪を転じたまへり。
0420慈↢愍シ諸ノ衆生ヲ↡ | 常ニ転ジタマヘリ↢妙法輪ヲ↡ |
このゆゑにわれ恭敬し、 帰命し稽首し礼したてまつる。
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(a)(ハ)[三]未来仏
^未来世の諸仏、 *身色金山のごとく、
光明量りあることなし。 衆相みづから荘厳す。
^出世して衆生を度し、 まさに涅槃に入りたまふべし。
出世シテ度シ↢衆生ヲ↡ | 当ニシ↠入リタマフ↢於涅槃ニ↡ |
かくのごときもろもろの世尊、 われいま頭面をもつて礼したてまつると。
如キ↠是クノ諸ノ世尊 | 我今頭面ヲモテ礼シタテマツルト |
二 Ⅱ ⅱ b ロ (二)(Ⅱ)(ⅱ)(b)菩薩【諸大菩薩章】
【15】 ^▼またもろもろの大菩薩を憶念すべし。
復応シ↣憶↢念ス諸ノ大菩薩ヲ↡。
^1善意菩薩・2善眼菩薩・3聞月菩薩・4尸毘王菩薩・5一切勝菩薩・6知大地菩薩・7大薬菩薩・8鳩舎菩薩・9阿離念弥菩薩・10頂生王菩薩・
善意菩薩・善眼菩薩・聞月菩薩・尸毘王菩薩・一切勝菩薩・知大地菩薩・大薬菩薩・鳩舎菩薩・阿離念弥菩薩・頂生王菩薩・
^11喜見菩薩・12鬱多羅菩薩・13薩和檀菩薩・14長寿王菩薩・15羼提菩薩・16韋藍菩薩・17睒菩薩・18月蓋菩薩・19明首菩薩・20法首菩薩・
喜見菩薩・鬱多羅菩薩・*薩和檀菩薩・長寿王菩薩・羼提菩薩・韋藍菩薩・睒菩薩・月蓋菩薩・明首菩薩・法首菩薩・
^21*成利菩薩・22弥勒菩薩なり。
*成利菩薩・弥勒菩薩ナリ。
^また23金剛蔵菩薩・24金剛首菩薩・25無垢蔵菩薩・26無垢称菩薩・27除疑菩薩・28無垢徳菩薩0025・29網明菩薩・30無量明菩薩・
復有ス↢金剛蔵菩薩・金剛首菩薩・无垢蔵菩薩・无垢称菩薩・除疑菩薩・无垢徳菩薩・網明菩薩・無量明菩薩・
^31大明菩薩・32無尽意菩薩・33意王菩薩・34無辺意菩薩・35日音菩薩・36月音菩薩・37美音菩薩・38美音声菩薩・39大音声菩薩・40堅精進菩薩・
大明菩薩・无尽意菩薩・意王菩薩・無辺意菩薩・日音菩薩・月音菩薩・美音菩薩・美音声菩薩・大音声菩薩・堅精進菩薩・
^41常堅菩薩・42堅発菩薩・43*荘厳王菩薩・44常悲菩薩・45常不軽菩薩・46法上菩薩・47法意菩薩・48法喜菩薩・49法首菩薩・50法積菩薩・
常堅菩薩・堅発菩薩・*荘厳王菩薩・常悲菩薩・常不軽菩薩・法上菩薩・法意菩薩・法喜菩薩・法首菩薩・法積菩薩・
^51発精進菩薩・52智慧菩薩・53浄威徳菩薩・54那羅延菩薩・55善思惟菩薩・56法思惟菩薩・57跋陀波羅菩薩・58法益菩薩・59高徳菩薩・60師子遊行菩薩・
発精進菩薩・智慧菩薩・浄威徳菩薩・那羅延菩薩・善思惟菩薩・法思惟菩薩・跋陀*波羅菩薩・法益菩薩・高徳菩薩・師子0421遊行菩薩・
^61喜根菩薩・62上宝月菩薩・63不虚徳菩薩・64竜徳菩薩・65文殊師利菩薩・66妙音菩薩・67雲音菩薩・68勝意菩薩・69照明菩薩・70勇衆菩薩・
喜根菩薩・上宝月菩薩・不虚徳菩薩・竜徳菩薩・文殊師利菩薩・妙音菩薩・雲音菩薩・勝意菩薩・照明菩薩・勇衆菩薩・
^71勝衆菩薩・72威儀菩薩・73師子意菩薩・74上意菩薩・75益意菩薩・76*増意菩薩・77宝明菩薩・78慧頂菩薩・79楽説頂菩薩・80有徳菩薩・
勝衆菩薩・威儀菩薩・師子意菩薩・上意菩薩・益意菩薩・増*意菩薩・宝明菩薩・慧頂菩薩・楽説頂菩薩・有徳菩薩・
^81観世自在王菩薩・82陀羅尼自在王菩薩・83大自在王菩薩・84無憂徳菩薩・85不虚見菩薩・86離悪道菩薩・87一切勇健菩薩・88破闇菩薩・89功徳宝菩薩・90華威徳菩薩・
観世自在王菩薩・陀羅尼自在王菩薩・大自在王菩薩・无憂徳菩薩・不虚見菩薩・離悪道菩薩・一切勇健菩薩・破闇菩薩・功徳宝菩薩・花威徳菩薩・
^91金瓔珞明徳菩薩・92離諸陰蓋菩薩・93心無閡菩薩・94一切行浄菩薩・95等見菩薩・96不等見菩薩・97三昧遊戯菩薩・98法自在菩薩・99法相菩薩・100明荘厳菩薩・
金瓔珞明徳菩薩・離諸陰蓋菩薩・心无閡菩薩・一切行浄菩薩・等見菩薩・不等見菩薩・三昧遊戯菩薩・法自在菩薩・法相菩薩・明荘厳菩薩・
^101大荘厳菩薩・102宝頂菩薩・103宝印手菩薩・104常挙手菩薩・105常下手菩薩・106常惨菩薩・107常喜菩薩・108喜王菩薩・109得弁才音声菩薩・110虚空雷音菩薩・
大荘厳菩薩・宝頂菩薩・宝印手菩薩・常挙手菩薩・常下手菩薩・常惨菩薩・常喜菩薩・喜王菩薩・得弁才音声菩薩・虚空雷音菩薩・
^111持宝炬菩薩・112勇施菩薩・113帝網菩薩・114馬光菩薩・115空無閡菩薩・116宝勝菩薩・117天王菩薩・118破魔菩薩・119電徳0026菩薩・120自在菩薩・
持宝炬菩薩・勇施菩薩・帝網菩薩・馬光菩薩・空无閡菩薩・宝勝菩薩・天王菩薩・破魔菩薩・電徳菩薩・自在菩薩・
^121頂相菩薩・122出過菩薩・123師子吼菩薩・124雲蔭菩薩・125能勝菩薩・126山相幢王菩薩・127香象菩薩・128大香象菩薩・129白香象菩薩・130常精進菩薩・
頂相菩薩・出過菩薩・師子吼菩薩・雲蔭菩薩・能勝菩薩・山相*幢王菩薩・香象菩薩・大香象菩薩・白香象菩薩・常精進菩薩・
^131不休息菩薩・132妙生菩薩・133華荘厳菩薩・134観世音菩薩・135得大勢菩薩・136水王菩薩・137山王菩薩・138帝網菩薩・139宝施菩薩・140破魔菩薩・
不休息菩薩・妙生菩薩・華荘厳菩薩0422・観世音菩薩・得大勢菩薩・水王菩薩・山王菩薩・帝網菩薩・宝施菩薩・破魔菩薩・
^141荘厳国土菩薩・142金髻菩薩・143珠髻菩薩、 かくのごとき等のもろもろの大菩薩まします。
荘厳国土菩薩・金髻菩薩・珠髻菩薩、如キ↠是クノ等ノ諸ノ大菩薩↡。
^みな憶念し恭敬し礼拝して阿惟越致地を求むべし。
皆応シ↣憶念シ恭敬シ礼拝シテ求ム↢阿惟越致ヲ↡*地。
延書の底本は高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本ˆ原漢文の底本と同一ˇ。 ただし返点については本派本願寺蔵版によるか。
後秦 中国、 五胡十六国の一 (384-417)。 都は長安。 鳩摩羅什は後秦の第二代国王姚興によって長安に迎えられた。
亀茲国 現新疆ウイグル自治区の天山山脈南麓のクチャ周辺にあった西域古国の一。 鳩摩羅什の出身地。
初事 初地不退に入る方法。
先 「易行品」 の前の 「阿惟越致相品」 第八を指す。
遮す さまたげる。
儜弱怯劣 根機 (素質能力) の劣った弱々しい者。
丈夫志幹 雄々しく堅固な志を持つ者。
助道 ¬助道法¼ のこと。 龍樹菩薩の ¬菩提資糧論¼ をいう。
重担を荷負する 重い荷物をせおう。
怯弱下劣の言 根機 (素質能力) の劣った弱い者の言葉。
大人志幹の説 堅固な志を持つすぐれた人の言葉。
西無量明仏 西方の無量明仏。 阿弥陀仏と同じであるか否かについて古来両説がある。
三行仏 異本には 「三乗行」 とある。
紫磨金縷を… 紫磨金の縄で道の境を区切っている。 紫磨金は紫色を帯びた金のこと。
大珍宝聚 数多くの珍しい財宝の集まり。
初中後… (善徳如来の説法は) 始・中・終の全体を通して、 言葉が適切で、 意義がととのっているという意。
劫寿 劫数。
初忍第二第三忍 ¬大経¼ に説く音響忍・柔順忍・無生法忍と見る説、 ¬仁王経¼ に説く伏忍・信忍・順忍・無生忍・寂滅忍の五忍の前三と見る説などがある。
余の九仏 前出の十方仏のうち、 善徳仏以外の諸仏。
善 異本には 「善解」 とある。
色相金山のごとし 仏のすがたを須弥山に喩えていう。
無動界 長行 (散文) では 「不可動」 と漢訳されている。
内外の苦 心と身体の苦しみ。
宝冠足下にあり 諸天は仏の前にぬかずくので、 頭の宝冠が仏の足もとにあるという意。
妙法音を演出す 妙なる教えの音楽を説きのべる。
広世界 長行 (散文) では 「広大」 と漢訳されている。
徳海 前出の十方十仏の師仏。 阿弥陀仏と同じと見る説もある。
華生仏 諸本には 「華王仏」 とある。
道映仏 諸本には 「道歎仏」 とある。
華歯仏 諸本には 「華園仏」 とある。
真金山・金山 須弥山を真金山とするときには、 金山は
七金山 (須弥山の周囲をかこむ七重の山脈) を指す。
諸勝の所帰の処 浄土の人天の帰依処。 阿弥陀仏のこと。 諸勝は浄土の人天を指していう。
彼此の心 あれこれと差別する心。
蓮華葉 蓮華のはなびら。
二足 二つの足を有する
生類。
人天のこと。
もろもろの… さまざまな天の宮殿よりもすぐれている。
毘首婆世尊 前出箇所では毘首婆伏と音写されている。
迦求村大仏 前出箇所では拘楼珊提と音写されている。
迦那含牟尼 前出箇所では迦那迦牟尼と音写されている。
魔の怨敵 悪魔のこと。 悪魔は人々にあだをなすのでこのようにいう。
今集世界 異本には 「金集世界」 とある。
妙法輪を転じたまへり こよなくすぐれた仏の教えをお説きになった。 仏の説かれた教えは、 衆生の煩悩をうちくだき、 次々とひろまってゆくので、 これを車輪に喩えていう。
身色金山のごとく 仏のすがたを須弥山に喩えていう。
成利菩薩 異本には 「法利菩薩」 とある。
荘厳王菩薩 異本には 「堅荘菩薩」 とある。
増意菩薩 異本には 「増益菩薩」 とある。
底本は◎高麗版(再雕本)¬大蔵経¼所収本。 Ⓐ宋版(思溪版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓑ元版(善寧寺版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓒ明版(万歴版)¬大蔵経¼所収本、 Ⓓ本派本願寺蔵版¬七祖聖教¼所収本と対校。
薩→Ⓓ提
阿惟越致 左Ⓓフタイノクラヰナリ
致→Ⓓ致[地]
行仏→ⒸⒹ乗行
就 ⒶⒷⒸⒹになし
其→ⒶⒷⒸⒹ道
堆→ⒶⒷ埠
供 ⒶⒷⒸになし
広→ⒶⒷⒸⒹ演
道→Ⓓ仏
惑→ⒶⒷⒸⒹ或
善→ⒶⒷⒸⒹ善[解]
及→Ⓓ乃
号→Ⓓ名
仏 Ⓓになし
隠→Ⓓ穏
弟子福→ⒶⒷ福弟子
今 ⒶⒷⒸになし
如→ⒶⒷⒸⒹ如[此]
栴→ⒶⒷ旃
人天→ⒶⒷⒸⒹ天人
喩→ⒶⒷⒸⒹ踰
煩→ⒶⒷⒸⒹ憂
出→Ⓓ説
隠→Ⓓ穏
更有→Ⓓ如是
珠→ⒶⒸⒹ殊
生→ⒶⒷⒸⒹ王
映→ⒶⒷⒸⒹ歎
光→Ⓓ香
王→Ⓒ主
歯→ⒶⒷⒸⒹ園
増→ⒶⒷⒸⒹ示
威→ⒶⒷⒸⒹ功
王→ⒶⒷⒸ主
日→Ⓓ月
甚→ⒶⒷⒸⒹ具
足→ⒶⒷⒸ尼
者→Ⓓ人
伏 ⒶⒷⒸになし
提→Ⓓ提[伽]
観→Ⓓ現
他→ⒶⒷⒸ陀
比→ⒶⒷⒸ上
弱→ⒶⒷⒸ尼
広→ⒶⒷⒸ曠
今→ⒶⒷⒸ金
愍→Ⓓ悲
目→ⒶⒷⒸ自
念→Ⓒ令
薩→ⒶⒷⒸⒹ和
成→ⒶⒷⒸⒹ法
荘厳王→ⒶⒷⒸ堅荘
波→ⒶⒷⒸ婆
意→ⒶⒷⒸⒹ益
幢→ⒶⒷ博
地→ⒶⒷⒸⒹ也