※行頭の「一」が太いオレンジの条は、 ¬御一代記¼・¬空善聞書¼・¬実悟旧記¼ に見られないもの。
目録の番号をクリックすると本文にジャンプします。
◎条々目録
一 (1)本尊正教之事
一 (2)他流当流絵像・木像依用事
一 (3)蓮
一 (4)蓮悟に小名号被遊与時之仰事
一 (5)御勧化は別儀なき事
一 (6)仏法も勤の体たらくの事
一 (7)依↢入機↡御勧化あるの事
一 (8)人の心得直るを御悦喜の事
一 (9)人の機をくつろげて御勧化事
一 (10)天王寺土塔会人多被御覧て仰事
一 (11)同行の直をば無事也共可請乞事
一 (12)法敬坊被申同行の詞事
一 (13)仰云為仏法には御辛労共不思召事
一 (14)雖為正儀しげからんこと可停止事
一 (15)仏にも神にも馴ほど無敬事
一 (16)可被立仏法御念力の事
一 (17)仏説に信謗ありとゝけるに無疑事
一 (18)同行の前にての悦は名聞事
一 (19)法敬坊物語云志の深き人事
一 (20)存覚上人御作文物之不審事
一 (21)開山聖人御時の事を伺被申事
一 (22)慶聞坊に被仰ける戒文事
一 (23)
一 (24)無紋の小袖など御嫌の事
一0774 (25)有↠紋小袖上下等御用意事
一 (26)往生は一人一人しのぎの事
一 (27)各機を曖申処に御勧化事
一 (28)おどろかす甲斐の雀の歌事
一 (29)信の上の称名はみな仏恩報謝の事
一 (30)念仏御申の心を法敬に御尋事
一 (31)西国の人安心被申時の仰事
一 (32)人を悪きと仰は信のなき事
一 (33)よき事も悪きになる事
一 (34)人の物を出す時可心得事
一 (35)仏法の座にて物を不↠云は悪事
一 (36)
一 (37)従善被申儀御物語事
一 (38)同善野村儀被申段御物語事
一 (39)蓮
一 (40)同上人廿五年忌に実如御夢想事
一 (41)瞻西上人の摂取不捨の告事
一 (42)冥加を蓮淳・蓮悟尋申御返事
一 (43)蓮悟杉原を取時の仰事
一 (44)兄弟中其外信のなきこと御歎事
一 (45)法敬坊の妻女信のなき段被申事
一 (46)不審と不信との差別事
一 (47)善如・綽如上人御両御代事
一 (48)仏法をば幾度もよく可↠聴と云事
一 (49)仏物を世上事につかふ覚悟事
一 (50)人が信をだにとらば可↠有↢御辛労↡との事
一 (51)名号を被↠遊人に被↠遣時事
一 (52)悪人を御勘気ありても御赦免の事
一 (53)安芸の法眼御赦免事
一 (54)奥州に当流の儀申乱人事
一 (55)御一期は人に信を取せ可↠被↠立↢法
一 (56)御詠歌は為↢法門↡との被↠仰事
一0775 (57)法敬坊に兄弟よと被↠仰の事
一 (58)極楽にまいるは推量に違事
一 (59)蓮悟夢想に連経の事
一 (60)同夢想「御文」事
一 (61)同夢想に家をば麤相成共可↠取↠信由の仰事
一 (62)同夢想に雑行雑修堅く被↠仰事
一 (63)同夢想に一大事との仰られ事
一 (64)同次夜夢想「御文」を肝要と被仰事
一 (65)同行をば可敬の事
一 (66)勤かるがると可↠
一 (67)賀州御門弟
一 (68)法物を
一 (69)法敬は御往生已後可有存命との被仰事
一 (70)御食物の時御恩を無↢御忘↡間
一 (71)無用の事無↢冥加↡子細の事
一 (72)蓮悟夢想に梅干のたとへの事
一 (73)同御病中御夢想存如上人仰の事
一 (74)
一 (75)¬嘆徳文¼に開山の御名を直に不↢読申↡事 以の字事
一 (76)於↠堺「御文」被↢読聞↡事
一 (77)死せよと云死ぬるは有べし、 信は取がたしと被↠仰事
一 (78)秘事秘曲共可↠云事
一 (79)普請・造作を法敬被↢
一 (80)越前国名号の焼て成↠仏事
一 (81)出口の御厨石見申詞を御感の事
一 (82)鳥さしの狂言御感の事
一 (83)開山聖人の仰を守申さるゝ高田坊主顕智の事
一0776 (84)仰を守被↠申嶋田の唯道事
一 (85)蓮如上人母儀事
一 (86)同上人東山の辺御居住の事
一 (87)
一 (88)
一 (89)大谷殿儀山門同心連署の事
一 (90)蓮
一 (91)同御病中御口内御煩の事
一 (92)法敬坊の物語豫慥物語分註↠之事
一 (93)慶聞坊龍玄事
一 (94)聖人御流は安心の儀
一 (95)人々信心一人成共可↠在↢決定↡御満足の事
一 (96)行前
一 (97)何事も仰は可↠成と可↠存事
一 (98)仏法は聴聞にきはまる事
一 (99)望このむ心肝要事
一 (100)人悪き事能成事ある事
一 (101)可↠改↠心は色を立よとの仰事
一 (102)奉法の座にて不↢物云↡不信の故なる事
一 (103)詞にも
一 (104)人の法を悦聞ては猶悦べき事
一 (105)人に「御文」をよみ聴聞させ申も報謝事
一 (106)ぬれたる物の日に干たるにて知↢他
一 (107)決定心の人たふとむは
一 (108)物を被↠下近付られて得↠信
一 (109)心得たると思ふは不↢心得↡の事
一 (110)願生の坊主蓮智信なきを被申入の事
一 (111)或人法敬坊に心得の通被申出の事
一 (112)法敬坊順誓於↢御前↡法儀方は申よき由被申事
一 (113)信を得てはさのみ悪時
一 (114)仏法者の上にも違は有べき事
一 (115)仏恩の嗜と云子細事
一0777 (116)珍物を調て不食のたとへの事
一 (117)弥陀の慈悲にあくべき儀なき事
一 (118)法には身を軽く持御恩をば重く可↠敬事
一 (119)仏法の威力といふ事
一 (120)南无阿弥陀仏の
一 (121)思案の頂上と被仰事
一 (122)偽はいはじよき事はすべきと云事
一 (123)¬安心決定鈔¼被御覧事
一 (124)たふとむ人よりたふときと云事
一 (125)御食物等御用を成るゝ時の事
一 (126)仏法にすかざるは嫌也と被仰事
一 (127)不法の人仏法を病とする事
一 (128)法をばふかく心に可懸事
一 (129)聴聞は毎度宝を給すと存ずる事
一 (130)身あたゝかなれば法を忘るゝ由被↠仰事
一 (131)信あらば心詞柔軟なるべきの事
一 (132)善も悪も思付るは御恩と被仰事
一 (133)人の進上物御衣の下にて
一 (134)万のかなしき事も御恩と御悦事
一 (135)仏法者に近付ては損なき事
一 (136)蓮如上人は権化再誕と云事
一 (137)蓮
一 (138)仏法方万かるがると可有之との被仰事
一 (139)仏法と世体とは嗜によると云事
一 (140)親の遺物をば取て仏法を可信との被仰事
一 (141)信をえずして悦ばんと云は全なき事
一 (142)本寺をば開山聖人の御座所可奉敬事
一 (143)辛労もせで取↠徳と云儀についての事
一0778 (144)我よきになれば御恩を忘るゝ事
一 (145)宿善ありがたしと可↠云事
一 (146)他流は法にあふを宿縁と云事
一 (147)当流には信心の一儀を申立るを法門と云事
一 (148)真宗一流の内に法を謗ずる人の事
一 (149)愚者三人智者一人と云事
一 (150)¬安心決定鈔¼の儀肝要と被↠仰事
一 (151)仏恩をありがたしと可↠存之事
一 (152)家を作らば只
一 (153)当流に奉公する身は有がたき事
一 (154)坊主達我身を教化せぬは浅間敷事
一 (155)道宗に「御文」は取落の儀ありとの仰事
一 (156)法敬坊於↢仏法者前↡語り申は
一 (157)不信の人に大事聖教は如何之仰事
一 (158)懸字をば可↢懸見↡之由仰事
一 (159)是にある身は取はづして可↠成↠
一 (160)高田顕智
一 (161)門徒の人を悪ろくは不↠可↠申のこと事
一 (162)開山御時御門徒を客人と被↠仰事
一 (163)蓮
一 (164)蓮
一 (165)悪人のまねより信心の人のまねすべき事
一 (166)存覚上人は勢至の化身と云事
一 (167)存覚制作は上人の御作を仰崇事
一 (168)同辞世御詠歌事
一 (169)陽陰の気のたとへ宿善の事
一 (170)蓮
一 (171)御病中の間金言被↠仰事
一 (172)同時慶聞坊に被↠仰事
一 (173)経の上不↠置↠物事
一 (174)同常々仰十悪・五逆も廻心の事
一0779 (175)山科の御坊にて仮屋をたゝき被↠上ての仰事
一 (176)信心決定年月日忘たる事
一 (177)善宗 下間駿河入道 事
一 (178)赤尾道宗事 蓮
一 (179)蓮
一 (180)於吉崎御坊幸子坊被申入事
一 (181)幸子坊与法敬坊於相坂申事
一 (182)百四十文御志申女性事
一 (183)同上人極寒御衣装被召替事
一 (184)於江州金森同上人軍勢中被通事
一 (185)本泉寺蓮乗と妹寿尊比丘尼事
一 (186)同蓮乗進退事
一 (187)順如上人事
一 (188)蓮
一 (189)同上人御往生兼被知召事
一 (190)信心決定一念儀蓮悟被得御意事
一 (191)豫夢想事
一 (192)師匠の切檻は可直心得との事
一 (193)本泉寺勝如禅尼事
一 (194)東山本願寺御坊事
一 (195)実如上人多武峯御参詣事
一 (196)実如上人御骨変五色事
一 (197)実如御往生時人々捨身事
一 (198)蓮
一 (199)蓮
一 (200)同上人朝夕御あやまちをも驚思食事
一 (201)春日局後生事
一 (202)深草浄
一 (203)邪法申人不及殺害事
一 (204)実如上人御時御内仁等無殺害事
一 (205)蓮
一 (206)同国の人小石取持事
一 (207)同州人々奉菜事
条々連々聞書 一巻
一 ▲蓮
一 ▲他流には、 名号よりは絵像、 絵像よりは木像と云也。 当流には、 木像よりは絵像、 絵像よりは名号と云也。
一 ▲北殿 御本寺 野村御坊 にて法敬坊に対せられて蓮
一 ▲法印兼縁 本泉寺蓮悟 幼少の時、 二俣にてあまた小名号を申入し時、 信心をやるぞやるぞと被仰候。 信心の体名号にて候よし被仰侍りし也。 今思合候との義に候し。
一 ▲蓮
一 ▲同上人被仰候は、 仏法は勤にてしれ、 ふしはかせもしらで能すると思ふ也。 つとめのふしわろきよしを被仰、 慶聞坊をいつも取つめ被仰つる由候。 それに付て蓮
一 ▲又仰に云、 我は人の機をかゞみ、 人に随て仏法を御きかせ候由被仰候。 何事にも人の数寄なる事をなどを申させられ、
一 ▲ある人に御尋候しは、 そなたの坊主は、 心得のなを0782りたるを嬉く存ずる歟と御尋候へば、 申されたるは、 誠に心得をなをされ、 法義をも心にかけ申され候間、 一段ありがたく嬉敷存候由申され候時被仰候は、 我は猶嬉敷思ふよと被仰候き。
一 ▲おかしき事の能をもさせられ、 仏法に退屈仕候者の心もくつろぎ、 其気をもうしなはれて、 又あたらしく仏法を被仰候き。 寔に善巧方便にて、 難有事也。
一 ▲天王寺の土塔会に、 人の多きを御覧ぜられて被仰候しは、 あれほど多き人どもの皆地獄へおつべし、 不便のことゝ思食さるゝ也。 されどもその中に御門徒の人は仏になるべし、 難在事也取れ仰し也。
一 ▲同行のたとひなき事也とも、 人の申され
一 ▲法敬坊順誓申されけるは、 常には其人の前にてはいはずして、
一 ▲蓮
一 又仰に、 ▲仮令正儀たりとも、 しげからん事をば停止すべき由の仰事なり。 これは仏法方に付ての儀也。 まして世間の儀は停止候はんずる也。 弥増長すべきは信心也と被候候し也。
一 ▲又云、 神にも仏にも、 馴れば手ですべき事を足にてするぞと、 常々被仰候。 如来・上人・善知識にも馴申ほど弥渇仰の心をふかくはこぶべき事なりと被仰し事也。
一 ▲蓮
一 ▲仏説に信謗あるべき由説をき給へり。 信ずる者ばかりにて謗人なくは、 ときをき給ふ事いかゞと思ふべきに、 はや謗ずるもの有うへは、 信ぜんにをひては必ず往生決定との仰せなり。 ¬歎異抄¼ 見歟
一 ▲同行の前にて悦は、 是名聞也。 信の上は一人居て悦べき也。
一 ▲法敬坊の物語云、 或人人々寄合、 雑談ありし半に、 或人風度座を立ける人ありし。
一 ▲野村の御坊南殿にて存覚聖人御作分の聖教の内に不審の義理の事ありて、 蓮悟 本泉寺 、 蓮
一 ▲又或人申されけるは、 開山鸞聖人の御時の事を伺て、 是はいかにとしたる子細候やと申されければ、 に、 我も不知事也。 何事も何事もしらぬ事も、 開山聖人させられ候の義は、 是も不審のやうなる事も其まゝをかれ御事也と、 蓮
一 ▲蓮
一 ▲敵の陣にともす火を、 火にてなきとは思はず。 いかなる人なりとも、 御詞のとほりを申、 御詞をよみ申さば、 信仰し、 うけたまはる人は信をうべき事なりと 云々。
一 又云、 ▲蓮
一 ▲又紋のある小袖をさせられ、 めさるべきとて御座敷のさほに被懸て
一 ▲往生は一人一人のしのぎ也。 一人一人仏法を信じて後生をたすかる事也。 余所ごとの様に思ふこと思へば、 我身をしらぬ事也と被仰也。 円如も此儀常々仰也。
一 ▲南殿にて人々寄合、 心中を何かとあつかひ申所へ、 蓮
一 ▲仰に又曰、「おどろかす甲斐こそなけれむら雀 耳なれぬればなるこにぞ
0786(29)
一 ▲或人南殿にて起ざまに、 何心なく念仏を申されければ、 きこしめされて、 何と思て念仏をば申たるぞと御尋ありければ、 ふと何となく申たると申ければ、 仰云、 信のうへには何ともあれ、 念仏申すは報謝となるなりと存ずべし。 皆仏恩になる也と仰也。
一 ▲同南殿にてのうれんを打あげられて御出候とて、 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と被仰候て、 法敬は此心しりたる歟と御尋ありければ、 何とも存ぜずと申されければ、 是は我を御たすけ候、 御嬉しやたふとやと申す心よと仰事ありき。
一 ▲又西国の人、 安心の一とほりを被申入ければ、 御返事に申され候ごとく心中候はゞ、 それが肝要よと被仰侍りき。
一 ▲又信をとらぬによりて人はわろきぞ。 たゞ信をとれと被仰候き。 善知識のわろきと被仰候は、 信のなき事をわろきと被仰也。 或人を、 蓮
一 ▲又仰云、 よき事をしたるがわろき事あり、 わろき事をしたるがよき事あり。 よき事をしても、 我は法儀に付て好事をしたると思ひ、 我と思心あれば悪き也。 あしき事をしても、 心中をひるがへし本願に帰すれば、 わろき事をしたるがよき道理になる由被仰侍りき。 又云、 まいらせ心がわろき也と被仰候き。
一 ▲又仰云、 思よらぬ人が分に過て物を出し候はゞ、 一0787は子細あるべきと思べし。 我心ならひに人に物を出せばうれしく思程に、 何ぞ用を云べきと思ふ時は、 人が左様にする也と被仰き。
一 ▲世間の物語ある座敷にては、 結句法義の事を云事もあり。 左様の段は人なみたるべし。 心には由断あるべからず。 又は仏法の讃談など云時、 一向に物をいはざる事大なる違なり。 仏法讃嘆とあらん時は、 いかにも心中をのこさず、 相ひ互に信不信の儀を、 談合すべき事なりと仰事也。
一 ▲金森の従善に、 或人申されけるは、 此間は、 さこそ徒然に御入候らんと申ければ、 善申されしは、 我身は八十に余まで徒然と云事をしらず。 その故は弥陀の御恩のありがたき程を存じ、 又和讃・聖教等を拝見申候へば、 心面白し、 又たふとき事充満するゆへに、 徒然なることを更に不知と申されき。
一 ▲従善申され候とて、 蓮
一 ▲蓮
一 ▲蓮
一 ▲大永三年三月始比、 蓮
一 ▲雲居寺の瞻西上人といひし人は、 摂取不捨の事を不知とて、 本尊に向居てねぶり居て、 驚き立んとせられしが、 我衣のすをを本尊の阿弥陀仏ふまへありて、 立いでんとせしがさもせられざりければ、 其時摂取不捨と云ことばさとりしられたりと、 蓮
一 ▲蓮
一 ▲同上人御存生の時、 和泉の堺にて椙原を皆々買徳ありけるに、 蓮悟も取侍りしを聞召て、 加様の物は我方にもある物を、 無用の買事よと被仰の時、 蓮悟、 自物にて取申たると答申さるゝの処に、 被仰けるは、 それは我物か、 悉く仏物也、 如来・聖人の御用にもるゝ事有べからずとぞ被仰侍ける。
一 ▲蓮
一 ▲法敬坊に、 或人不審せらるゝ事候き。 是程仏法に御心をも入られ候に、 法敬坊の
0790(46)
一 ▲蓮
一 ▲善如上人・綽如上人両御代の事、 蓮
-此二幅の御影をも焼せらるべきにて被取出候つるが、 いかゞ思食召つるやらん、 表紙に書付を、 よし・わろしとあそばされて、 取て置せられ候事を今思案候へば、 御代の内さへ加様に御違候。 ましていはんや我等式者は違事
-又よし・わろしとあそばされ候事、 悪と計あそばされ候へば、 先代の御事にて候を左候へば、 いかゞと被思召、 加様にあそばされ候事にて候と被仰けると也。 又前々住上人の御時、 あまた直近の旁ちがひ申事候し。 弥一大事の儀候。 仏法方の事をば、 心をとゞめて細々人にとひ申心得べきの由被仰事に候き。
一 ▲仏法に厭足なければ、 法の不思議を聞といへり 文字いかん。 同上人の仰云、 たとへば世上に我数寄このむ事をば知ても知ても、 猶能しり度おもひ有て、 人に問、 いく度も数奇の道をば聞もの也。 猶仏法の事おば、 幾度きゝてもあかぬ事也。 知ても知ても存じたき事也。 仏法の道をば、 たびたび人に問きはめ増信すべき事なる由被仰也。
0791(49)
一 ▲世間へつかふ事は、 仏物を徒にする事よと、 おそろしく思ふべし。 さりながら仏法の方へはいか程も物をあかぬ道理なり。 それは又報謝にも成べしと也。
一 ▲堺にて蓮
一 ▲同堺の御坊に蓮
一 ▲蓮如上人は、 何たる者もあはれみ給、 不便に被思食候。 大罪人とて人をころし候事、 一段かなしみ御
一 ▲安芸法眼蓮崇、 加賀国をくつがへし、 曲言に就て、 御門徒をはなされ候。 蓮
一 ▲奥州に御流の儀を申まぎらかされ候人を聞召れて、 蓮
一 ▲又仰云、 御身の一生涯御沙汰候事は、 皆々仏法にて、 御方便の御調法のみにて侍りて、 人に信をとらせらるべき御はかりごとばかり也と被仰事也。
一 ▲同御病中に被仰云、 今我云ことは金言也。 かまへてかまへて、 能々心得よと被仰き。 又御詠歌の事は、 一字につゞくるにてこそあれ。 是みな法門にてあるぞと仰有けり。
一 ▲又順誓に対し被仰事には、 法敬とは兄弟よと仰られけり。 法敬坊被申事には、 是は冥加もなき御事と被申侍れば、 蓮
一 ▲又南殿の山水の庭の縁の牀の上にて各へ被仰事には、 物を思ひたるより大きにちがうと云は、 極楽へ参りての事也。 爰にて推量しつゝありがたやたうとやと思ふには、 物の数にてもなし。 彼土に生じての歓喜は、 ことのはもたえたる事よと被仰し事也。 尤さこそと難在事也。
一 ▲文亀三年正月十五日の夜、 蓮悟 本泉寺 夢に蓮
一 ▲同夢云、 同年極月廿八日夜、 蓮
一 ▲又翌年極月廿九日夜の夢に云、 蓮
一 ▲又夢云、 近年、 大永三年正月朔日夜、 野村の御坊南殿にて蓮如上人仰云、 仏法の事種々被仰候て後に、 田舎には雑行雑修の方を、 堅申付べしと被仰と覚侍りしと 云々。
一 ▲同夢云、 大永六年正月五日夜、 蓮
一 ▲次の夜の夢に云、 蓮
私曰、 加様に夢等をしるす事、 蓮如上人御逝去の後なれば、 彼御一言をも大切に存候へば、 加様に注之申也。 夢想に告被仰事の金言なるあまり、 まことの仰と存ずる条、 是を注侍り。 誠の夢想とは如此の条々也。 総別妄想なりけれど、 権者の御覧ずる儀と、 如此又権者の御告は霊夢とも瑞夢とも申べし。加様に権者の被告知ところの夢想、 幾度も可州置事也 此六ヶ条蓮悟被注置候事を書付侍る也。
一 ▲蓮
一 ▲同仰云、 雨雪もふり、 又炎天の時分は、 言など長0795々敷は不可然、 はやくかるがると
一 ▲将軍家常徳院殿 義尚 よりの儀にて、 賀州一国の一揆等、 御門弟の衆を御門徒を放さるべき由、 度々仰事ありき 文明四之比。 賀州居住兄弟中も召上られき。 蓮
一 ▲蓮
一 ▲法敬坊、 大坂の御坊へ被参候処、 蓮
一 ▲蓮
一 ▲蓮
一 ▲享禄二年十二月十八日の夜、 蓮悟夢に、 蓮
一 ▲同蓮
一 ▲同正月廿五日に、 蓮淳 顕証寺・蓮悟 本泉寺 両人に対せられ被仰候は、 前住存如上人より御代を譲被申てより以来の事共、 種々被仰、 御一身の御安心のとおりを0797御物語ありけり。 一念に弥陀をたのみ御申候て往生は一定と思召され候。 それに付て、 前住の御恩にて、 今日まで我と思ふ心を持候はぬがうれしく候と被仰候き。 各も誠に有がたくも、 又は驚入申候き。 我人、 加様に心得申てこそ、 他力の信心決定申たるにてはあるべく候へ。 弥一大事までの儀に候と申侍き。
一 ▲¬嘆徳の文¼ に、 親鸞聖人と申せば、 その恐あるゆへに、 祖師聖人とよみ候。 又は開山聖人ともよみ申も、 をそれを存ずる子細にてありと被仰侍りき。
▲唯聖人と直に申せば、 聊爾なり。 又親鸞と申も、 聊爾歟。 開山とは、 略しては申べき歟との事に候。 たゞ開山聖人と申てよく候との事にて候き。
▲¬嘆徳文¼ に、 「以て弘誓に託す」 と申ことを、 「以て」 を抜てよまず候と 云々。 以の字近繁と云心歟
一 ▲蓮
一 ▲又仰云、 只今なりとも、 我、 しねといはゞ、 死ぬる者は有べく候。 信をとる者はあるまじきと被仰候と 云々。
0798(78)
一 ▲同又仰云、 大坂の御坊にての事也。 各に対せられて被仰云、 一念に凡夫の往生をとぐる事は秘事・秘曲にてはなき歟と仰侍りしと 云々。
-▲此信の御釈には 「長生不死の神方、 欣浄厭穢の妙述」 (信巻) とのたまへり。 聖人のたまへる也と被仰事。
一 ▲又普請・造作のありし時、 法敬坊申され候は、 何も不思議に、 御眺望等も御上手に御座候由を申され候へば、 蓮
一 蓮
一 河内国出口村の坊は、
一 前住存如上人二十五年忌 文明十三 山科にて御沙汰ありけり。 御仏事一七日結願の已後に四日申楽の能ありし時、 狂言にさい鳥さし鳥をさゝんと心を入まゝに、 身に著したる衣装もみなみなぬぎてやり、 腰の刀脇指もみなみなやりたるも覚ず、 鳥さし鳥をにがしたるあげくに身のはだかんる事を思付て侍る。 此狂言を二日めに仕りたるを蓮
一 開山聖人は船きらひにて御座し也。 舟には乗まじき物なりと被仰けり。 然すを高田専修寺顕智仰をまもりて、 都への上下にも舟に不被乗侍りし也。 舟にてわたらで不叶所にては被乗侍りつらんなれど、 総じては乗まじきと、 仰を心中に、 何事も守り申されし人也と、 蓮
一 賀州嶋田村に唯道とて、 仏法を心に入し人ありしが、 蓮
一 ▲蓮
-▲上人六歳のとき、 我は是にあるべき身にあらずとて、 応永廿七年十二月廿八日、 東山の御坊
-▲其比江州石山の観世音は石山にはましまさぬといへる支証、 明鏡なる事の侍るを、 寺家の人々語りけるこそ不思議なれ。 其後かの六歳寿像は、 石山観音堂の内陣にかゝりてありけりと、 各申伝たる事の子細あり。 不思議なりし事共也。 彼御母儀は、 東山の御坊にて例式女房達の様にぞおはしけると、 人々語あひけり。
一 ▲蓮
-▲朝夕の事も万御不辨に限なかりけり。 存如上人の御内家とても、 只五人也。 御小者に0801竹若といひし者の侍りしを、 時々御やとひありて召仕はれ、 一年に代物五十疋つかはさるべき御約束にて、 終に疋共不被遣、 やうやう十疋計とやらんは被遣けり。 やさしき者にて、 御用を聞侍りき。 召仕はるゝ人は一人もなし。
-▲御衣装は紙
-▲御息は皆所々へ里やしなひにておはしけり。 順如 願成就院殿 ばかりぞ御そばには
-▲朝夕の供御なども沙汰の限なる体なり。 御汁御一人の分まいりたりしに、 湯水を入のべて、 一度入れ共不↠足ば、 又入々ありければ、 只水の如くなるを、 御汁としてきこしめす、 言語道断のあさましき物をきこしめす。 加様のしたてなる人、 今の世にいづくにかあるべき。
-如此の事は我も不↢忘奉↡覚申。 加様に御苦労ありて、 今我人、 心安の活計安穏にある事は難↠有事と、 末代までも蓮
一 ▲江州
一 同其比は大谷殿にては御方と申也。 ▲一日に一度御食物は参る日もあり、 又一向にきこしめし物のなかりつる日もありし也。 龍玄、 京へ出られ、 油など少宛調法ありたる事也。 油など無時は、 小原木・黒木などを被焼、 聖教などあそばされ、 又月夜などにも被遊ける也。 ¬教行信証¼ は十六歳御時六日に被請取侍とぞ承る。
一 ▲仏法繁昌あるによりて、 山門衆いきどほり申出し、 一乱をこり、 一宗可成敗の及沙汰しかども、 種々理あつかひありて、 弥陀の本願の意趣をきかれ、 終には被聞分、 十六谷衆不可有疎略之旨、 以連署被申、 相静訖。 其砌は開山聖人御影堂等大津の御坊にすゑ被申、 三井寺大津衆徒同心被申故也。 其後越前へ御下向ありて、 吉崎の御坊御建立、 賀州其外近国仏法ひろまる。 其後安芸法眼悪行により、 賀州及大乱て、 御上洛ありては、 出口の坊に御居住。 其已後山科郷野村里の御坊は御建立也。
-▲蓮
一 ▲蓮
-▲先年御修行の時、 御わらんづ御足にくい入申跡、 御足にありしを、 常に取出され、 各にみせられ、 加様に我は辛労をして仏法を立べきと門徒のため身命を捨たるぞと、 常々御物語ありし事也。
一 ▲蓮
-然ば一人なり共信をえば、 可為御満足也。 今は又極楽の教主と成ましまして、 衆生の信のなき事猶ふかくかなしみ給べき者也。
-▲又同時の仰にも、 哀々、 一人成共信心をとりたると聞て、 老の
一 法敬坊順誓物語ありしを愚老たしかに聞侍りし。 蓮
0804(93)
一 慶聞坊龍玄と云は、 蓮
一 ▲聖人 親鸞 の御流はたのむ一念の所肝要なり。
一 ▲同上人の仰に、 一人なり共人の信を取たる事を聞召たきとの御持言に被仰也。 御一生の間は、 人に信をとらせたき被思食候と 云云。
一 ▲
0805(97)
一 ▲善知識の仰なり共、 成まじとは思べからざる事、 何たる事なり共、 仰ならば可↠成と可↠存也。 凡夫の身が仏に成上は、 さてあまじきとは不可存事也。 然ば赤尾道宗 越中国五ヶ山内 申さるゝは、 近江の水海を一人してうめよと仰なりとも、 畏たると可申候。 ならぬ事共可成と存ずる由を被申事也。
一 ▲「いたりて堅きは石也、 至てやわらかなるは水也、 水よく石を
一 ▲又仰云、 信決定の人をみて、 あのごとく成ではと思へば成ぞと被仰候。 あの如くに成てこそと思すつること、 浅間敷事也。 仏法には身を捨てのぞみ求る心より、 信をば
一 ▲人のわろき事は能見也。 我身のわろき事は不↠覚もの也。 我身にしられてわろしとしらば、 能々わろければこそ身に知候とは覚て、 心中を可↠改也。 只人の云事をば可↢信用↡也。 我わろき事は不↠覚物也と被仰き。
一 ▲心中を改候はんと申人、 何をも違候と申され候は、 万わろき事をうめて加様に申られ候也。 色を立て、 きわ0806を立て申出てこそ可↠改事なれ。 詮ずるところ、 人の直らるゝを聞て、 我もなをるべきと思て、 我
一 ▲仏法の物語の時、 物を申さぬは、 信のなき故也。 我心にたくみ案じて申すべきやうに思へり。 余所なる物を尋出す様也。 心に嬉しき事は其まゝに悦ぶなり。
一 ▲又仰云、 一心決定のうへに、 弥陀の御たすけありたると云は、
一 ▲人に仏法の儀を語りよろこばれば、 我は其人の悦人よりも猶悦びたうとむべき也。 仏智を伝申により、 加様に存ぜらるゝ事と也と思て、 仏智の御方をふかく難↠有悦べき也と被仰也。
一 ▲「御文」 をよみて人に聴聞させ候とも、 報謝と存ずべし。 一句一言も信の上より申せば、 人の信用もあり、 又報謝とも成也と被仰事也。
一 ▲又仰云、 弥陀の光明は、 たとへばぬれたる物を
0807(107)
一 ▲信決定の人は誰によらず、 先みれば則たうとく成候。 是則仏智のありがたき程を存ずべき也と被仰き。
一 ▲或は人酒をもたまはいり、 物をも被↠下て、 人を近付らるゝは、 仏法を仰きかせられ、 信を取せらるべき為なりと仰事成。 是則報謝と思召るゝとの被↠仰事にて侍りき。
一 ▲又仰に云、 仏法を心得たと思ふは心えぬ也。 心得ぬと思ふは心得たる也。 弥陀の御たすけ有べき事のたふとさよと思ふが、 心得たる也。 少も心得たると思事は有まじき事也と被仰候きと 云云。 ¬口伝鈔¼ (巻上) 云、 「さればこの機のうへにたもつところの弥陀の仏智をつのらせぬよりほかは、 凡夫いかでか往生の得生の得分あるべきや」 といへり。
一 ▲賀州江沼郡
一 ▲或人心中の
一 ▲順誓 法敬坊 申され候しは、 仏法の物語を申すに、 影私にて申段は、 何たるわろき事をか申すべきと存じ候へば、 脇の下より汗がたり候。 蓮
一 又仰云、 ▲信のうへはさのみわろき事は有間敷候。 或は人の
一 ▲仏法者の少しのちがひを
一 ▲仏恩を
一 ▲重宝の珍物を調へ経営をしてもてなせ共、 食せざればその詮なし。 同行寄合讃嘆すれども、 信をとる人なければ、 珍物を
0809(117)
一 ▲物にあく事はあれ共、 仏に成ことゝ弥陀の御恩を喜び、 あきたる事なし。 焼も失もせぬ重物は、 南无阿弥陀仏也。 然ば弥陀の広大の御慈悲は殊勝也。 信ある人を見るさへたふとし。 能々の御慈悲なりと被仰き。
一 ▲信決定の人は、 仏法の方へは身をかろく持べし。 仏法の御恩をばをもくうやまうべき由被仰たる事也。
一 ▲仏法者は法の威力にて成事也。 威力にてなくは不可成と被仰候。 されば仏法をば、 学匠・物しりは云立ず。 たゞ一文不知の身も、 信のある人は仏智を加へらるゝ故に、 仏力にてあれば、 人も信を取也。 此故に聖教よみとて、 然も我はと思ふ人の、 仏法を云たてたる事なしと被仰き。 只何しらねども、 信心定得の人は仏よりいはせらるゝ間、 きく人も信を取ぞと被仰候。
一 ▲弥陀をたのめば南無阿弥陀仏の
一 ▲思案の頂上と申べきは、 弥陀如来の五劫思惟の本願にすぎたる事はなし。 此思案の道理に同心せば、 仏になるべし。 同心申とて別儀なし。 只機法一体の道理なりと仰事ありき。
一 ▲人はそらごと申さじと嗜むを、 随分とこそ思へ。 心0810に
一 ▲¬安心決定鈔¼ の事、 四十余年の間御披見候へ共、 御覧じあかれぬの由被仰侍り。 又金をほり出すやうなる聖教也と被仰事ありき。
一 ▲法敬申されしは、
一 ▲供御々膳を御覧ぜられても、 人は食しかぬる物を
一 ▲仏法をすかざるがゆへに嗜候はずと、 空善申され候へば、 蓮
一 ▲不法の人は仏法を違例にするぞと被仰き。 仏法の讃嘆あれば、 あら気づまりや、 とく
一 ▲或人、 今生の事を心に入るほど、 仏法を心に悦
一 ▲又或人云、 毎日毎日に、 「御文」 の御金言を聴聞させられ候事は、 宝を
一 ▲身あたゝかなれば、 眠りきざし候、 浅間敷こと也。 その覚悟にて身をも涼くもち、 眠をさますべき也。 身随意なれば、 仏法・世法ともにをこたり、 多く無沙汰・油断あり。 此義一大事なりと、 蓮
一 ▲信を得たらば、 同行にあらく物も申まじき也、
一 ▲万事に付て、 善ことを思付は御恩也、 悪事をだに思付るも御恩也。 捨も取も、
一 ▲蓮
一 ▲仏法には、 万かなしきも、 かなはぬに付ても、 何事0812に付ても、 後生のたすかるべきことをおもへば、 悦び多き也。 これ仏恩と被↢思食↡との仰事也。
一 ▲仏法者になれ近付て、 損は一つもなし。 何たるおかしきこと、 狂言にもし、 是非ともに心底に仏法あるべしと思ほど、 我方に可↠有↢徳多↡也と被仰けり。
一 ▲蓮
一 ▲蓮
一 ▲蓮
一 ▲又仰云、 仏法と世体とは嗜によると、 対句に
一 ▲同上人、 本泉寺蓮悟に物を被↠下候の時、 無↢冥加↡の由被↠申固辞候へば、 仰に云、 つかはれ候物をば、 只とりて信をよくとれ。 信なくは冥加なきとて仏物を受0813ぬ
一 ▲信を
一 ▲蓮
一 ▲人の辛労もせで徳を取上品は、 弥陀をたのみて仏になるに過たる事なしと被仰き。
一 ▲皆人毎によき事を云もし、 働もする事あれば、 真俗ともにそれを、 我よき者にはやなりて、 其心にて御恩の方をば打忘れて、 我心本になるによりて、 冥加につきて、 世間・仏法悪心必々出来するなり。 一大事也と被仰ける也。
一 ▲蓮
一 ▲又言、 他宗には法に会たるを宿縁と云、 当流には信を取ことを宿善と云。 信心をうる事肝要也。 されば此御をしへには群機をもらさぬゆへに、 弥陀の教をば弘教とも云なり。
一 ▲法門を申すに、 当流の心は信心の一儀を申披き立たる事、 肝要なりと被↠仰き。
一 ▲一流真宗の内にて法をそしり、 わろさまに云人あり。 是を思に、 他宗・他門の事は是非なし。 一宗の中に加様の人もあるに、 我等宿善ありてこの法を信ずる身のたふとさよと思ふべしと被仰候き。
一 ▲「愚者三人に智者一人」 とて、 何事も談合すれば面白ことのあるぞと、 実如上人へ御申候。 是又仏法の方には弥肝要の御金言なりと 云云。
一 ▲大坂の御坊にて各へ対せられ被↠仰候しは、 此間申しゝ事は、¬安心決定鈔¼ の儀かたはしを被仰候の由也。 然者、 当流の儀は、 ¬安心決定鈔¼ の儀くれぐれ肝要也と被仰たる事也と 云云。
一 ▲仏恩がと申すは聞にくき也。 又聊爾なり。 仏恩を難↠有存候と申すは、 聞よく候の由被仰候と物語き。 「御文」 がと申すも同前。 「御文」 聴聞申て、 ありがたく候など申てよき由の沙汰、 其砌の各申事に候き。 仏法方の儀はいかにも尊敬可申事にて候よし、 とりどりの被仰事に侍りき。
一 ▲蓮
一 ▲同仰に云、 いかやうの人にて候共、 仏法の家に奉公し候はゞ、 昨日までは他宗にて候とも、 今日ははや仏法の御
一 ▲坊主達は人をさへ勧化せられ候に、 我を勧化せられぬは浅間敷事なりと被仰けり。
一 ▲赤尾道宗、 蓮
一 ▲法敬坊申されしは、 仏法をかたるに、 志の人を前にをきて語候へば、
一 ▲又仰に云、 信もなき人の大事の聖教を所持候人は、 をさなき者につるぎをもたせ候
一 ▲蓮
一 ▲同仰に云、 是の内に居て聴聞する身は、 とりはづしたらば仏になるべきよと被仰候き。 誠にありがたき仰と、 各被申侍りき。
一 ▲開山聖人の御時、 高田の 二代目歟 顕智と申は上洛の時、 申され候しは、 今度は既に御目にかゝるまじきと存知候処に、 不思議に懸御目候と被申ければ、 それは如何と被仰侍ければ、 今度船路にて難風にあひ申、 迷惑仕候由申しかば、 聖人の仰に、 それならば船には乗らるまじき物をと被仰侍りしに、 其後は御詞の末なればとて、 一期、 船に乗れず候き。
-又同人
一 ▲蓮
一 ▲開山は、 一大事の御客人と申は門徒衆の人々なりと被↠仰けると御物語ありきと 云云。
一 ▲御門徒の人々上洛せられ候の時、 御対面あるべきとては、 寒天には酒のかんを能々せよ、 路次のさむさを忘られ候様にと被↢仰付↡、 餅を煮させられしを召寄ら0817れ、 味を御覧られんと少きこしめされ、 味のあしきをば曲言の由被↠仰付↡、 塩の不足なるも不↠可↠然、 からきも曲言の由堅被↢仰付↡侍りき。 炎天の時分は、 酒のかんをよくひやせと堅く被↢仰付↡き。 又参入の人の事を、 遅く申入るも一段曲言の由被仰付、 門徒の人々を遅く披露候事大きに曲言の由、 時々被仰で侍りきと承る。
一 ▲蓮
-▼三度まで御企ありけるに、 始は御かちにてわららんづの跡もつき申す也。 二度めには、 はや仏法ひろまり、 国々在々所々の衆も馬をまいらせてければ、 馬にて大略御下向也。 三度めには、 吉崎の御坊より越中の瑞泉寺まで御下向の処、 国中の人々多集参り、 瑞泉寺にて悲智人に御対面もならず。 人多押れて死する間、 前の野に仮
-加様に蓮
一 ▲同上人仰に云、 悪人のまねをすべきより、 信心決定の人のまねをせよと、 切々常々被仰し事なりき。
0818(166)
一 ▲存覚上人は大勢至の化身也と 云云。 然に ¬六要鈔¼ (第三意) には或は 「三心の字訓その外、 勘得せず」 とあそばし候。 誠に聖意はかりがたき旨をあらはし、 自力を捨て他力を仰本意にも叶申候ものをや。 加様の事が名誉にて明匠御作意候と 云云。
一 ▲註を顕され候事、 自身の智解を
一 ▲存覚御辞世の御詠歌に云、 「今はゝや一夜の夢と
一 ▲陽気・陰気とてあり。 されば陽気をうる花は早く開く也、 陰気とて日影の花は遅くさくなり。 加様に宿善も遅速あり。 されば已今当の往生あり。 弥陀の光明にあひて、 はやくひらくる人もあり、 遅くひらくる人もあり。 兎に角に、 信不信ともに仏法を心に入て聴聞すべき也と 云云。 已今当の事、 蓮
一 ▲蓮
一 ▲同上人、 近年御病中に被仰事には、 何事も今いふ事は金言なり。 心をとめて能聞べき由被仰候つると、 各物語候き也。
一 ▲御病中に慶聞坊をめして仰られしは、 御身には不思議なる事があるぞ、 気を取なをして可↠被↠仰と仰られけると 云云。 三月十八日の事歟、
一 蓮
一 同仰云、 つみは十悪五逆の者も、 廻心すれば皆往生すべし、 油断なるものは往生すべからず、 能々心にかくべき也とぞ被仰ける。
一 蓮
一 信心決定の人ありけるが、 弥陀をたのみたてまつりし其年、 又月日時をも
一 蓮如上人めしつかはれし駿河入道 下間筑前八男 善宗と云しは、 若年よりも久第一奉公に心をかけ、 類なかりき。 然るに仏法に心をかけ、 後生を一大事とのみ思し仁也。 蓮如上人毎夜御寝なりては、 面の座敷に傍輩をもねさせて、 一人灯下にて聖教・「御文」 等拝見数尅して、 同志人あれば法儀の談合をし、 夜ふくるまでもありがたき旨讃嘆せられけり。 上人御往生ありては出家し、 御葬の御供申されたり。 老年に成ては
-山科の御坊にて聊なる部屋に宿す。 暁ちかく成て老眼はやくさめて常に夜を残す身と成ては、
-奇特殊勝の仏法者也。 是併蓮如の御勧化によりたる事也。 永正 年 月 日七十 歳に往生す。 必安楽の教主たるべき事うたがひなき仁也。
一 越中州赤尾道宗と云は、 蓮
-▼或時七月中旬比に上洛し、 日暮て御坊へまいり、 南殿へまいりけるに、 折節奏者は下間駿河入道 五郎左衛門と云時也、 蓮
-月さやかにて庭は昼のごとし、 御座間はくらし。 いづくに御座あるとも不知くらかりけるに、 道宗心に思やう、 遙久拝顔し奉らず、 哀れ御尊顔を見奉らばやとは思けれども、 ともし火ともされず、 おがみ奉んと思へどもくらし。 御前のとおりに忝、 御礼申しければ、 此炎天に大儀によくのぼりたる由被↠仰、 忝くて頭を上おがみ奉ければ、 御座敷光明赫奕と御すがたをもあきらかに拝し奉りしありがたさよと、 其時の事常々ぞ道宗はかたり申侍りき。
-道宗は永正十三年
一 蓮如上人の光明のこと度々おがみ侍りし由、 亡母真如院蓮能禅尼の御物語ありしは、 御寝なりて仏法の儀被仰御悦ありし時は、 座敷かゞやき光明ある事は常の事にて候とぞ、 御物語ありける。
一 蓮
一 山科の御坊には蓮
一 蓮
-すなはち主に駿河尋られければ、 この女性、 御不審尤にて候。 是は我身麻絲を持まいらせ候まゝ、 絲にして一かせ宛売まいらせ候初尾を一銭宛とりをき申て百四十銭に成候を、 其まゝ進上すと語る。 其由すなはち披露ありければ、 事外に御感ありて、 其の女性を召て被↠仰けるは、 これは一段の志也。 なんぢは此間に只一度来たれども、 百四十度如来と開山聖人へは参りけり。 殊勝の志とて、 難↠在むねを仰られければ、 この女性も歓喜の泪に袖をしぼりてぞかへりける。 ありがたかりける事共なり。
0823(183)
一 ▼蓮
一 古へ応仁・寛正の比の事歟、 東山大谷の本願寺の御坊に日花門を立られしを、 山門左は有べからずと押寄焼はらひけるより、 蓮如上人は江州へ御下向ありて、 所々径徊しましますに、
-当宗を偏執の輩の多き比、 彼道場を可成敗の企ありて、 或暁より押寄、 其勢三百余人なりしに、 取まはし一人ももらさず討取らんと下知して侍りしに、 蓮如上人は折節その道場に御座て、 木像の本尊を、 めしたりし御衣をぬがせ給ひ裹ませ給ひて、 かいいだきはしり出させ給ふ。 白昼なれ共一人も討もらすべかりし事なりしかども、 敵陣の中へはしり出させ給ふを見付たてまつる人もなし、 御供の人も御跡につきて出られける。 見付る人もなく無事に隣の里御退ありし事なり。
-奇代不思議の事なり、 とりどりに申沙汰せし事なり。 此事かくれなく、 人々もとりどりに申たりしに、 其時近所にありて是を見て、 蓮如上人はたゞ人にましまさずと取沙汰ありき。 其比
一
一 本泉寺法印兼鎮 法名蓮乗 願成就院弟 は兄弟の中にも無↢比類↡正直に律儀名誉の人也。 「天に背ぐゝまり地にぬき足す」 といへる本文のごとく、 いづくにても頭をさげて足をとを聞たる人もなく、 常住身体不増不滅のありさま成き。 浄住坊にて独居住の所にても、 衣をぬがず、 じやうろくかゝず、 片膝を立て昼夜聖教ばかり披見し、 夜は子丑の剋まで灯のもとにて向↢聖教↡披見し、 暁は寅卯剋已前より仏前にあて仏法の一義ばかり讃嘆せし也。
-本願寺の御坊にては、 縁廊下端計をつたひあるかれ、 中をば亡父尊老御通の路とて、 中をば聊も不被踏侍りし也。 如此覚悟事にて侍る間、 国中隣国近付衆信のなき一生の間歎にて、 其を違例とせらるゝ事にて、 二十五年の間所労候。 一向無機心に御成候しが、 往生ちかくなりて、 五、 六日前より本心に成て、 安心の一儀等堅固に物語候。 往生ありし其後、 往生奇瑞共繁多也。
一 順如上人 願成就院蓮乗兄 実名光助法印 本願寺住持十年ばかり御持候歟、 蓮
一 蓮
一 明応七年の冬、 大坂にて御法談に、 われは明年三月に往生すべしと被仰侍りしが、 又は御詠歌にも 「明応八年往生こそすれ」 と下句にあそばされける事なり。 兼て御往生の時剋をしろしめされけり。 同三月廿四日、 我わ明日往生すべしと仰事ありしまゝ、 さては明日御往生と人々も覚悟せられて、 明日はまいるべしと各覚悟し侍りしに、 不被参人も侍りしと、 人の物語ありし事あり。 是は仰を信ぜられざりし人也。
一 一念の信心決定の事、 人々申あつかはれ侍りける時、 蓮悟 本泉寺 蓮
一 豫実悟十八歳の秋、 腫物を相煩侍て、
-又其後能洲府中にて煩たりける時、 又往生と0826と覚悟し侍りし夢に、 蓮
-其後、 又河内国茨田郡門真庄に侍りし夢想を見侍ける。 永禄十年 月 日、 蓮
-豫八歳にして別れ奉る事也。 度々御教化とおぼえて、 夢想を見奉事あり、 則別紙に注侍りき。 歓喜のあまり如此注置侍り、 外見努々不可在之。
一 善知識の仰に違ふ事ありて、 御勘気をかうぶる人は、 不可往生と云事歴然也。 而れども子細にもよるべき歟。 信あらば仰にも違ふべからず、 又は人の申成により候はゞ、 往生にさはりは不可有也。
-昔法然聖人の御時、 熊谷次郎直実入道 蒲生法師 同行の人に名号を聖人のあそばし下されしを、 ほしき由まうして、 押てばひ取たりしを、 曲言の由被仰て御切檻ありし時、 蓮生法師なげきかなしみ、 後生もむなしかるべしとて歎被↠申ける時、 聖人の仰に云、 源空が中をたがひたるとて、 何事に後生のむなしかるべきぞ、 坊主の弟子を切檻し
-其謂は、 一度本願に帰しつゝ弥陀をたのみ奉る信心は、 仏よりさづけ給心也、 たのむ衆生の心は、 弥陀如来の心光に摂取したまふてすて給ふべからず。 坊主の勘気をかうぶりたるとて、 信心を御取かへし有べき歟とぞおほせらる。 真の信なくは、 坊主の勘気なくとても地獄におつべし、 能々心得べしとぞ被0827↠仰ける。
-能々此道理分別すべき事也。
一 本泉寺勝如尼公とまうすは、 玄眞法印四女、 時芸法印孫也、 宣祐法印室。 兼鎮僧都病気によりて、 廿余年の間悉皆住持代として、 諸事はからひたりき。 世間・仏法共、 寺内の事は申に不及、 加賀一箇国事も、 此尼公のはからひにて、 国中他宗の寺々へ音信ありて、 不断国中他門寺々衆音信共にて、 威勢も無限、 富貴自在にして、 仏法興隆の人也。 蓮
-文明の比、 蓮
-さらば音信申すべからずとの他言を被↠申、 御中を被↠直侍りしが、 蓮
-其息女の如秀禅尼 兼鎮女中 も、 をとらぬ仏法者不思議の人也と、 実如上人は常々御物語ありける事也。
一 古へ本願寺の御坊は東山なり。 青蓮院の門跡の御近所なり、 いまに草坊あり。 巧如上人・存如上人・蓮如上人の御代までの御坊也。 蓮如上人若くましましき比までは、 此御坊に御座ありき事也。 巧如上人の廿五回0828忌も、 東山にてましましきと見たり。
-彼東山の御坊の指図を慶聞坊は覚られけるを、 顕証寺旬連の所望によりせられけるを、 拙者も若年にて写置侍りしかども、 享禄の乱に失侍る也。
-凡阿弥陀堂ばかりは覚ける間、 注侍るなり。 内は九間なり、 向は東の方一間六尺の縁に、 三尺の小縁あり、 其外の三方は、 三尺の小縁までなり。 内陣のたゝみ、 まはり敷にて侍りしなり。
-御影堂も、 内陣の大きさは九間にて、 畳まはりじき、 野村にてのも同き也。 脇の押板も二間なり。 霜月報恩講に御絵伝かけらる。 押板野村にてのも同き也。 下檀はたゞ東の方へ二間也。 已上、 五間四面の御堂也。 其外は三尺の小縁四方にありけると也。
-御亭もちいさく、 其分量指図おぼえず。 御亭と御堂との間に廊下ある中程に
-総じて御坊中もせばくちいさく、 当時はそれ程ちいさき坊は、 一家中の諸国の坊にも有間敷よし沙汰にて侍りき。 御坊中の後の方に女中方の御入候つれども、 いづ方に女方衆御入候ともみえず、 人あるともなく、 さびさびと御入候つるなどゝ、 其折節の事、 慶聞坊龍玄は物語候ひし事なり。
一 実如上人、 永正年中の初比の事にて侍りしに、 忍びて大和国多武峯、 毎年十月十五日六日の能を見物あるべきとて御越ありしに、 不思議の事侍りけり。
-彼峯の坊中--院と申に縁ありて、 御越ありし彼の坊主の夢想をみる、 大織冠をば檀山大明神と申すより示現をかうぶる。 彼候仁と覚しき人、 彼--院に申さるゝ事は、 此度の
-其後は内々さぐりきゝて、 御
一 同実如上人御往生の時、 越中国女性、 仏法に志ふかき人ありけり。 御葬送にあひたてつり、 御骨をとり頚にかけて下りけり。 越前の州五本と云所にとゞまりて侍りけり。
-此在所は当流の門人一人もなき所なりしに、 彼女房それをばしらで、 みな当流の人なるべしと思ひて、 彼宿の亭主の妻に、 御骨を少わけて出し、 これは山科本願寺の上人の御骨にて候といひて出しけり。 亭主の妻は、 何心なく上人御骨といひける程に請取たれども、 骨といひけるほど、 いさゝかいまいま敷こゝちにて、 家のそとに藁がきに指をき侍りけり。 程ふるまゝに、 此亭の妻も忘れにけり。
-さる程に、 その隣の里人、 五本村に光物ありといひて、 毎夜各とがめつゝ申沙汰しければ、 或人見付出て、 五本の宿のうしろにひかる物ありとて、 夜ごとに人々出て、 この円光を見付て、 宿の亭主に所をさして云けるに、 彼御骨の事を思出て、 さる事の有けるよと思いでゝ、 御骨を見ければ、 五色になりて、 夜ごとに円光の立ほどに、 奇特不思議也と申て、 近所の当流の人々に語つゝ、 彼五本村衆あまた当流の門人とぞ成にける。
一 同実如上人大永五年二月二日御往生を歎き、 山科ち0830かき所の人、 仏法に志ふかき人、 あまた身をなげて死する人五、 六人あり。 越前の人二人、 賀州に六人、 已上十三人身を海河へなげ入て死せり。 不思議なりし事也。
一 蓮
一 ▲
一 ▼蓮
一 同上人、 将軍家の上臘春日の局と申は、 摂津守姫、 代0831々祗候の事なり。 実如の妹、 愚老などが姉の妙秀と申せしを幼少の時より養育せし人也。 然ば蓮
一 同上人、 深草の里の浄
-蓮
一 法門申違たる人を生害させらるゝ事、 近年これあり、 前代は承不及事なり。 蓮
-先釈迦如来の御時は、 御弟子達のあまた相論の侍りしかども、 双方を如来いづれも御領納の事あり。 其故は、 さとりたるとさとらざるとの二つ0832にて各別に法を聞なりとて、 いづれも曲言どもの宣ざりしとかや。
-法然聖人御弟子、 又如此。 立川流とて邪偽を立て勧化せし也、 是又御成敗ありたる事なし。
-いづれの御代にも邪義・邪法を申さるゝ人ありか共、 邪見にその人を殺害せられたりつ云事、 注されたる物にも不拝見、 承も不及也。 蓮
-或人其仁を成敗し殺害に及べき由申人ありしに、 蓮
-されば蓮
一 蓮
一 江州の何れの
-此禅門、 夜などに風の吹ことあれば、 夜もすがらおきて、 剰海道ちかく出て、 わらなを急ないて侍りけり。 或人此入道の縄をいそごなひけるを不審しければ、 其此城州山科に御本寺はありける時なり、 風ふけば、 御本寺様に何く歟吹やぶり侍らんと存ずれば、 心許なく存じ侍る也と申されけり。
-又海道へ出たるは何事ぞと問ければ、 御本寺様の御左右何事かましますと承りたくて、 海道へ出て侍るなりと云、 夜明ければ、 縄を背負て山科殿へのぼり進上申、 板びさしなどの損じたる所を、 結付なんどせられけり。 志の人の覚悟は殊勝なる事と申あひ侍りき。
一 同国に志の人侍りき。 山科殿へまいるとて、 路すがらあるきあるき、 袂へ小石の栗又は
一 同国より志の人ありて、 菜を作て春秋山科殿へ持せてまいらせけるが、 しばし我も食せずして、 はやまいりつきて、 上々にもきこしめしてこそす覧とおぼえし日数を勘てのちに、 我宿にてその菜の類をば食せられけり。 尤志の殊勝なる事と、 其比人々の沙汰ありし事也。
-其比より、 江州には畠作する人々、 菜の初尾とて0834、 在々所々より菜をまいらせけり。 雑事のしばらく御用に、 其比申せし二
右此条々者、 蓮如上人御時之儀、 宿老衆兄弟中各御物語御等、 先年注置処、 享保乱皆失畢。 然而其内一帖計、 聊或人持来令見之間、 則書加之。 一字一点不可在虚説。 仍子孫之外不可及被見者也。
*天正二年 甲戌 十一月三日書納之 苾蒭兼俊 (九十二歳)
(花押)書之