0427◎十二礼
・略讃
【1】 ^▼*天・人に恭敬せられたまふ、 阿弥陀仙*両足尊を*稽首したてまつる。
稽↧首シタテマツル天・人ニ所レタマフ↢恭敬セ↡ | 阿弥陀仙両足尊ヲ↥ |
かの微妙の安楽国にましまして、 無量の*仏子衆に*囲繞せられたまへり。
在シテ↢彼ノ微妙ノ安楽国ニ↡ | 無量ノ仏子衆ニ囲遶セラレタマヘリ |
・広讃 ・正報 ・両足尊 ・智定悲智を嘆じて礼す
【2】 ^金色の身、 浄くして、 *山王のごとし。 *奢摩他の行は、 象の歩むがごとし。
金色ノ身浄クシテ如シ↢山王ノ↡ | 奢摩他ノ行ハ如シ↢象ノ歩ムガ↡ |
両目の浄きこと、 青蓮華のごとし。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
両目ノ浄キコト若シ↢青蓮華ノ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
【3】 ^▼面よく*円浄なること満月のごとし。 威光はなほ千の日月のごとし。
面善ク円浄ナルコト如シ↢満月ノ↡ | 威光ハ猶如シ↢千ノ日月ノ↡ |
声は*天鼓と*倶翅羅のごとし。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
声ハ如シ↢天鼓ト倶翅羅ノ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・両足尊 ・内外伏摂に就いて礼す ・外相の折伏に就いて礼す
【4】 ^▼観音頂戴の冠中に住したまふ。 種々の妙相、 宝をもつて荘厳せり。
観音頂戴ノ冠中ニ住シタマフ | 種種ノ妙相宝ヲモテ荘厳セリ |
よく*外道と魔との憍慢を伏す。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
能ク伏ス↢外道ト魔トノ憍慢ヲ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・両足尊 ・内外伏摂に就いて礼す ・内徳の摂受に約して礼す
【5】 ^*無比・無垢にして、 広く清浄なり。 *衆徳皎潔なること虚空のごとし。
無比・無垢ニシテ広ク清浄ナリ | 衆徳皎潔ナルコト如シ↢虚空ノ↡ |
所作の*利益に自在を得たまへり。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
所作ノ利益ニ得タマヘリ↢自在ヲ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・仏住在 ・仏の在由をもって礼す
【6】 ^十方に*名の聞ゆる菩薩衆、 無量の諸魔、 つねに讃歎す。
0428十方ニ名ノ聞ユル菩薩衆 | 無量ノ諸魔常ニ讃歎ス |
もろもろの衆生のために、 願力をもつて住したまふ。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
為ニ↢諸ノ衆生ノ↡願力ヲモテ住シタマフ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・仏住在 ・仏の在相を嘆じて礼す
【7】 ^▼金を底とし、 宝を間へたる池に生ぜる華、 善根の成ぜるところの*妙台座あり。
金ヲ底トシ宝ヲ間ハリタル池ニ生ゼル華 | 善根ノ所ノ↠成ゼル妙台座ナリ |
かの座の上にして山王のごとし。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
於テ↢彼ノ座ノ上ニ↡如シ↢山王ノ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・衆生囲繞 ・繞敬相を叙して礼す
【8】 ^▼十方より来れるところのもろもろの*仏子、 神通を顕現して安楽に至り、
十方ヨリ所ノ↠来レル諸ノ仏子 | 顕↢現シテ神通ヲ↡至リ↢安楽ニ↡ |
尊顔を*瞻仰してつねに*恭敬す。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
瞻↢仰シテ尊顔ヲ↡常ニ恭敬ス | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・正報 ・衆生囲繞 ・その所以を示して礼す
【9】 ^▼*諸有は無常・無我等なり。 また*水月・電の影・露のごとし。
所有ハ無常・無我等ナリ | 亦如シ↢水月・電・影・露ノ↡ |
衆のために法を説くに*名字なし。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
為ニ↠衆ノ説キタマフ↣法ニ無キコトヲ↢名字↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・依報 ・国土の安楽を讃じて礼す
【10】^かの尊の*仏刹には悪の名なし。 また、 *女人と悪道との怖れなし。
彼ノ尊ノ仏刹ニハ無シ↢悪ノ名↡ | 亦無シ↢女人ト悪道トノ怖レ↡ |
衆人、 心を至してかの尊を敬ふ。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
衆人至シテ↠心ヲ敬ヒタテマツル↢彼ノ尊ヲ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・広讃 ・依報 ・国土の微妙を嘆じて礼す
【11】^▼かの尊の*無量方便の境には、 *諸趣と*悪知識あることなし。
彼ノ尊ノ無量方便ノ境ニハ | 無シ↠有ルコト↢諸趣ト悪知識ト↡ |
往生すれば、 退せずして菩提に至る。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を頂礼したてまつる。
往生スレバ不シテ↠退セ至ル↢菩提ニ↡ | 故ニ我頂↢礼シタテマツル弥陀尊ヲ↡ |
・回向
【12】^▼われ、 かの尊の功徳の事を説くに、 衆善無辺にして海水のごとし。
我説ケリ↢彼ノ尊ノ功徳ノ事ヲ↡ | 衆善無辺ニシテ如シ↢海水ノ↡ |
獲るところの善根清浄なれば、 衆生に*回施してかの国に生ぜしめん。
所ノ↠獲ル善根清浄ナル者 | 廻↢施シテ衆生ニ↡生ゼシメム↢彼ノ国ニ↡ |
天人 浄土の聖衆を他方世界に順じて、 天とか人と呼ぶのみで、 実の天でも人でもない。
仏子衆 仏弟子たち。 ここでは浄土の菩薩衆のこと。
円浄 浄く円満なこと。
無比無垢 比較するものもなく、 けがれもなく。
衆徳皎潔 いろいろのすぐれた性質やはたらきが、 清らかに澄みわたること。
名の聞ゆる 名声が伝わっている。
妙台座 すぐれてたくみな台座。
仏子 ここでは菩薩を指す。
名字なし すべては因縁によって生起して仮に存在するもので、 概念的にとらえられたような実体はないという空の道理のこと。
無量方便の境 阿弥陀仏の浄土のこと。 阿弥陀仏の量り知れない慈悲のてだてによって仕上げられた世界。