(55)
▼抑斯当山へ参詣の人々においては、 まづ存知すべき次第三ヶ条在之。
一 諸法・諸宗ともに不可誹謗事。 一0298 諸神・諸仏においてかろしむべからざる事。 一 信心をとりて今度可遂往生事。
右此三ヶ条、 この宗をもて本とせざらん輩は、 当山へ出入かなふべからざるものなり。 そのゆへは去文明第三之比より花洛を出しよりこのかた、 この浪風あらき在所に幽栖をしめて居住せしむる由来は、 无別子細、 北国中の同行達において当流の信心のおもむき更 に以 て无 き↢覚悟 の分↡間、 於↢其信心↡為↠令 ん↢獲得↡のゆへに所↠加↢堪忍 を↡なり。 是 れ併 ら自行化他の道理、 又別しては聖人報謝のためなりとおもふによりてなり。 夫当流の信心といふは、 もろもろの雑行をすてゝ専ら帰 る↢正行 に↡を体とす。 斯信心獲得してのうへのとなふるところの口称念仏は、 仏恩報謝のためなりとこゝろうべきなり。 これすなはち当流の信心具足の行者となづくべきものなり。 あなかしこ、 あなかしこ。