0090、往生要集略料簡

おうじょうようしゅうりゃくりょうけん第八だいはち  源空げんくう

じょ (要集巻上) にいはく、 「このゆゑに念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろんもんあつむ。 これをひらきこれをしゅするに、 さとりやすくぎょうじやすし」 と。

、「是↢念仏一門↡、聊↢経論↡。披↠之ルニ↠之、易↠覚易シト↠行。」

わたくしにいはく、 それじょはあらかじめりゃくしていちおうべて、 もつてないがんしめす。 しかればじょのなかにすでに 「念仏ねんぶつ一門いちもんによる」 といへり。 あきらかにりぬこの ¬しゅう¼ のこころは、 しょぎょうをもつておうじょうようとなさず、 まさしく念仏ねんぶつをもつてようとなすことを。 かくのごとく処々しょしょおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす

、夫アラカジシテ↢於一部奥旨↡、以↢部内元意↡。然ヘリ↠「依ルト↢念仏一門↡。」明¬集¼意、以↢諸行↡不↠為↢往生↡、正↢念仏↡為コトヲ↠要也。如↠之処処多以↢念仏↡為↢往生

そのもんいちにあらず。 総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「おうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす」 と。 また念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にいはく、 「ただちにおうじょうようべんずるにおお念仏ねんぶつといふにはしかず」 と。 また (要集巻下) いはく、 「あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなすことを」 と。 ゆゑに諸業しょごうだいもんいたりてわづかにこれをかすといへども、 慇懃おんごんにあらず、 また勧進かんじんなし。 おのおのぎょうよくにんずるのみ。

文非↠一。総結要行、「往生之業ニハ念仏スト↠本。」又念仏証拠門、「不↠如↧直ズルニ↢往生↡多ニハ↦念仏↥。」又云、「明契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。」所以諸業↢第九門↡纔雖↠明↠之、不↢慇懃↡、又無↢勧進↡。任ズル↢各楽欲而已ノミ

観察かんざつもん (要集巻中) にいはく、 「初心しょしんかんぎょう深奥じんおうへずんば、 ないこのゆゑにまさに色相しきそうかんしゅすべし。 これにわかちてさんとなす。 いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり。 ぎょうしたがひてこれをもちゐるべし。 はじめに別相べっそうかんとは 総相そうそうかんとは さんぞうりゃくかんとは 。 もし相好そうごう観念かんねんするにへざるものあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいはいんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなるがゆゑに種々しゅじゅかんかす

観察門、「初心観行不ンバ↠堪↢深奥↡、乃至是↠修↢色相観↡。此為↠三。一ニハ別相観、二ニハ総相観、三雑略観也。随↢意楽↡応↠用↠之。初別相観トハ 。二総相観トハ 。三雑略観トハ 。若ラバ↠不ルモノ↠堪↣観↢念スルニ相好↡、或↢帰命↡、或↢引摂↡、或↢往生↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナルガ明↢種種観

行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささ、 つねにこのねんをもつて胸中きょうちゅうきて、 してじきおもふがごとく、 かっしてみずふがごとくせよ。 あるいはていしゅにも、 あるいはこえげて称名しょうみょうせよ。 外儀げぎことなりといへども心念しんねんはつねにぞんじて、 念々ねんねん相続そうぞくし、 寤寐ごびわするることなかれ。

行住坐臥、語黙作作、常↢此↡在↢於胸中↡、如↢飢↟食、如セヨ↢渇シテ↟水。或低頭挙手ニモ、或挙↠声0091セヨ。外儀雖↠異心念ジテ、念念相続、寤寐莫↠忘。

わたくしにいはく、 これすなはちこの ¬しゅう¼ の肝心かんじんなり、 ぎょうじゃよくこころとどむべし。

則此¬集¼肝心ナリ也、行者能可↠留↠心。

総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「ふ。 かみ諸門しょもんのなかにぶるところすでにおおし。 いまだらずいづれのごうをもつてかおうじょうようとするや。 こたふ。 だい提心だいしんあつて三業さんごうまもり、 深信じんしんじょうにしてつねに念仏ねんぶつすれば、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず。 いはんやまたのもろもろの妙行みょうぎょうせんをや」 と。

総結要行、「問。上諸門所↠陳既。未↠知何業ヲ以カルヤ↢往生↡。答。大菩提心アテ↢三業↡、深信至誠ニシテ念仏スレバ、随↠願決定シテ↢極楽↡。況復具ンヲヤ↢余妙行↡。」

わたくしにいはく、 はじめのといこころは、 「かみ諸門しょもん」 とは、 えんとうもんすなり。 「ぶるところすでにおおし」 とは、 えんななつあり、 ごんとおあり、 しょうふたつあり、 しょうしゅいつつあり、 助念じょねんななつあり。 かくのごときの諸門しょもんのなかに、 ぶるところすでにもつておおし、 いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとするとふなり。

、初者、「上諸門トハ」者、指↢厭離等五門↡也。「所↠陳既」者、厭離有↠七、欣求有↠十、証拠有↠二、正修有↠五、助念↠七。如↠是諸門、所↠陳既、未↠知何業ヲカルト↢往生↡問也。

つぎこたえこころは、 しばらくといじゅんじて七法しちほうえらびて、 もつておうじょうようとするなり。 かみもんのなかに、 えんごんしょう三門さんもんようにあらず、 ゆゑにててらず。 「だい提心だいしん」 とは、 かみしょうしゅ念仏ねんぶつもんのなかに念門ねんもんあり、 そのなかに願門がんもんるなり。 「三業さんごう」 とは、 かみあく衆善しゅぜんのなかにあくへんるなり。

者、且ジテ↠問↢七法↡、以↢往生↡也。上五門、厭離・欣求・証拠三門非↠要、故不↠取。「大菩提心トハ」者、上正修念仏門有↢五念門↡、其↢作願門↡也。「護三業」者、上止悪衆善↢止悪↡也。

ふ。 あくのなかに十重じゅうじゅうじゅうはちきょうあり、 ともにこれをるか。 こたふ。 しからず、 まさしく十重じゅうじゅうるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) にいはく、 「三業さんごうじゅうあくよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし」 と。

問。止悪↢十重・四十八軽↡、共ルカ↠之歟。答。不↠然、正↢十重↡也。故、「三業重悪能↢正道↡。故須↠護」。

深信じんしん」 とは、 かみしゅぎょうそうみょうのなかに、 しゅ三心さんしんあり、 三心さんしんのなかに深信じんしんる。 「じょう」 とは、 じょうしんるなり。 「つねに」 とは、 しゅのなかに間修けんしゅるなり。 「念仏ねんぶつ」 とは、 かみねんのなかに観察かんざつもんるなり。

「深信トハ」者、上修行相貌、有↢四修・三心↡、三心↢深信↡。「至誠トハ」者、取↢至誠心↡也。「常トハ」者、四修↢無間修↡也。「念仏トハ」者、上五念之中ルナリ↢観察門↡也。

ふ。 観察かんざつもんのなかに、 しょうねんあり、 観念かんねんあり。 まさしくいづれのねんをやるや。 こたふ。 しょうねんるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) にいはく、 「ぶつしょうねんするこれぎょうぜんなり」 と。

問。観察門、有↢称念↡、有↢観念↡。正ルヤ↢何ヲヤ↡乎0092。答。取↢称念↡也。故、「称↢念スル行善ナリト。」

随願ずいがん」 とは、 かみ三心さんしんのなかにこう発願ほつがんしんるなり。 ゆゑに 「だい提心だいしん三業さんごう深信じんしんじょうじょう念仏ねんぶつ随願ずいがんけつじょうしょう極楽ごくらく」 といふ。

「随願トハ」者、上三心↢廻向発願心↡也。故云↢「大菩提心護三業、深信至誠常念仏、随願決定生極楽」↡也。

このなか、 といじゅんじてようえらぶといへども、 これしばらく助念じょねんもんこころなり、 この ¬しゅう¼ のしょうにあらざるなり。

中准ジテ↠問雖↠簡↢要否↡、助念門ナリ也、非↢此¬集¼正意↡也。

ふ。 なにをもつてかることをる、 しょうにあらずとは。 こたふ。 かみあく衆善しゅぜんのなか (要集巻中) にいはく、 「ふ。 念仏ねんぶつすればおのづからつみめっすと。 なんぞかならずしもかたかいせむるや。 こたふ。 もし一心いっしんねんぜば、 まことにむるところのごとし。 しかるに尽日じんじつ念仏ねんぶつしてしずかにそのじつけんするに、 じょうしんいちりょう、 そのはみなじょくらんなり。 ないこのゆゑにかならずまさにしょうじんかいすることなほしみょうしゅまもるがごとくすべし」 と。 ゆゑにりぬ如説にょせつ念仏ねんぶつせば、 かならずしもかいとうすべからず。

問。以↠何得↠知コトヲ、非トハ↢正意↡。答。上止悪衆善、「問。念仏スレバスト↠罪。何シモセムルヤ↠戒。答。若一心ゼバ、誠↠所↠責。然尽日念仏シテルニ↢其↡、浄心一両、其皆濁乱ナリ。乃至是精進スルコト↠戒クス↠護↢明珠↡。」故如説念仏セバ、必シモ不↠可↠具↢持戒等↡矣。

念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にいはく、 「一切いっさい善業しょぜんおのおのやくあり、 おのおのおうじょうべし。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや。

念仏証拠門、「一切善業各有↢利益↡、各得ベシ↢往生↡。何唯勧ルヤ↢念仏一門↡乎。

こたふ。 いま念仏ねんぶつすすむること、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょうしゃするにはあらず。 ただこれ、 男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざがえらばず、 しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんること念仏ねんぶつにはしかず。

答。今勧コト↢念仏↡、非↣是遮ニハ↢余種種妙行↡。只、男女・貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修スルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得コト↢其便宜↡不↠如↢念仏ニハ↡。

¬木槵もくげんきょう¼ なんこく瑠璃るりおう

¬木槵経¼ 、難陀国波瑠璃王

いはんやまたもろもろの聖教しょうぎょうのなかに、 おお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。 そのもんはなはだおおし。 りゃくしてじゅうもんいださん。

復諸聖教、多↢念仏↡為↢往生↡。其文甚多。略シテ↢十文↡。

いちには ¬占察せんざつきょう¼ のかんに、 もしひとほう現在げんざいじょうこくうまれんとおもはば、 まさにかのかいぶつみょうしたがひて、 こころをもつぱらにして誦念じゅねんすべし。 一心いっしんらんなることかみ観察かんざつのごとくなれば、 かのぶつじょうこくうまるることをて、 善根ぜんごんぞうじょうして、 退たいじょうず。 にょじょう観察かんざつとは 云々

ニハ¬占察経¼下巻、若人欲↠生ント↢他方現在浄国↡者、応↧当↢彼世界之仏名字↡、専ニシテ↠意誦念↥。一心不乱ナルコトナレバ↢上観察↡者、得↠生コトヲ↢彼浄国↡、善根増長シテ、成↢不退↡。如上観察トハ者 云云

に ¬双巻そうかんぎょう¼ の三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな一向いっこう専念せんねんりょう寿仏じゅぶつといへり。

¬双巻経¼三輩0093業雖↠有↢浅深↡、然ジテヘリ↢一向専念無量寿仏↡。

さんにはじゅう八願はちがんのなかに念仏ねんぶつもんにおいてべっして一願いちがんおこしてないじゅうねんにゃくしょうじゃしゅしょうがくといへり。

ニハ四十八願↢念仏門↡別シテシテ↢一願↡云ヘリ↢乃至十念、若不生者、不取正覚↡。

は ¬かんぎょう¼ にいはく、 ごくじゅう悪人あくにん

¬観経¼云、極重悪人

どう ¬きょう¼ にいはく、 にゃくよくしん

同¬経¼云、若欲至心

ろくどう ¬きょう¼ にいはく、 こうみょうへんじょう

同¬経¼云、光明遍照

しちは ¬弥陀みだきょう¼ にいはく、 不可ふかしょう善根ぜんごん

¬阿弥陀経¼云、不可以少善根

はちは ¬般舟はんじゅきょう¼ にいはく、 弥陀みだぶつののたまはく、 欲来よくらいしょうこく

八¬般舟経¼云、阿弥陀仏ハク、欲来生我国

は ¬おん声経じょうきょう¼ にいはく、 にゃくしゅじょう

九¬鼓音声経¼云、若有衆生

じゅうに ¬おうじょうろん¼ にいはく、 かのぶつしょうどく観念かんねんするをもつておうじょうごうとなす。

¬往生論¼云、以↣観↢念スルヲ依正功徳↡為↢往生↡。

このなかに、 ¬かんぎょう¼ の下下げげぼん・¬弥陀みだきょう¼・¬おん声経じょうきょう¼、 ともにみょうごうねんずるをもつておうじょうごうとなす。 いかにいはんや相好そうごうどく観念かんねんせんや。

、¬観経¼下下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経¼、倶↠念ズルヲ↢名号↡為↢往生↡。何況観↢念センヤ相好功徳↡耶。

ふ。 ぎょうむしろ勧進かんじんもんなからんや。

問。余行寧ランヤ↢勧進文↡耶。

こたふ。 そのぎょうほうは、 ちなみにかのほう種々しゅじゅどくかす。 そのなかにみづからおうじょうくに、 ただちにおうじょうようべんずるに、 おお念仏ねんぶつといふにはしかず。 いかにいはんやぶつみづからすでにまさにわれをとのたまはんをや。 またぶつこうみょうぎょうにん摂取せっしゅすといはず。

答。其余行、因明↢彼法種種功徳↡。其クニ↢往生之事↡、不↠如↧直ズルニ↢往生之要↡、多ニハ↦念仏↥。何仏自既言↢当我↡乎。亦不↠云↣仏光明摂↢取スト余行↡。

これらのもんぶんみょうなり。 なんぞかさねてうたがいしょうぜんや。

此等文分明ナリ也。何ンヤ↠疑耶。

ふ。 しょきょうくところしたがひて万品まんぼんなり。 なんぞ管見かんけんをもつて一文いちもんしゅうするや。

問。諸経所↠説↠機万品ナリ。何以↢管見↡執ルヤ↢一文↡耶。

こたふ。 みょうさつの ¬だいじょうしんろん¼ にいはく、 またつぎに、 しゅじょうはじめてこのほうがくして、 そのしんこうにゃくにしてじょうじゅすべきことかたからんと懼畏くいして、 こころ退たいせんとおもはば、 まさにるべし、 如来にょらいしょう方便ほうべんありて信心しんじんしょうしたまふ。 したがひてこころをもつぱらにして念仏ねんぶつする因縁いんねんをもつて、 がんしたがひてほうじょうおうじょうすることを

答。馬鳴菩薩¬大乗起信論¼云、復次、衆生初学シテ↢此法↡、其心怯弱ニシテ懼↢畏シテント↟可↢成就↡、意↠退者、当↠知、如来↢勝方便↡摂↢護タマフ信心↡。随↢専シテ↠意念仏スル因縁↡、随↠願得↣往↢生他方浄土↡。

しゅ多羅たらくがごとし。 もしひと西方さいほう弥陀みだぶつ専念せんねんして、 しょ善業ぜんごうこうして、 かのかいしょうぜんとがんすれば、 すなはちおうじょうと。

如↢修多羅↡。若人専↢念シテ西方阿弥陀仏↡、所作善業廻向シテ、願↣求レバ↢彼世界↡、即得↢往生0094↡。

あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなすことを。 もししからずんば、 四依しえさつすなはちじんにあらず。

契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。若不ンバ↠爾者、四依菩薩即非↢理尽↡。

わたくしにいはく、 このなかに三番さんばん問答もんどうあり。

私云、此↢三番問答↡。

はじめのといこころつべし。 このなかに 「かん」 のことばはまさしくかみ観察かんざつもん (要集巻中) のなかの 「行住ぎょうじゅう座臥ざがとうもんすなり。 そのゆゑはあまねくいちまつたずぬるに、 慇懃おんごん勧進かんじんはただ観察かんざつもんり。 ところにまつたくざるところなり。

↠見。此「勧」詞↢上観察門「行住座臥」等↡也。其ルニ↢一部始末↡、慇懃勧進只在↢観察門↡。余処ナリ↠不↠見也。

こたえのなかに二義にぎあり。 いちにはなんぎょうぎょうしょぎょうしゅしがたく、 念仏ねんぶつしゅしやすし。 にはしょうぶんぶん、 いはくしょぎょう勧進かんじんはなはだすくなし、 念仏ねんぶつしょきょうおおくこれを勧進かんじんす。

有↢二義↡。一ニハ難行・易行、諸行難↠修、念仏↠修。二ニハ者少分・多分、謂諸行勧進甚、念仏諸経多勧↢進↡。

つぎ問答もんどうのなかに、 といこころりぬべし。 こたえのなかにさんあり。 いちにはいんみょう直弁じきべんしょぎょうはもつぱらおうじょうのためにこれをかず、 念仏ねんぶつはもつぱらおうじょうのためにえらびてこれをく。 にはせつせつ、 いはくしょぎょう弥陀みだ如来にょらいみづからまさにこれをしゅすべしとかず、 念仏ねんぶつはみづからまさにわれねんずべしとく。 さん摂取せっしゅ摂取せっしゅ、 いはくしょぎょうしゅするものは仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまはず、 念仏ねんぶつおこなはるものは仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまふ。

次問答、問意可↠知。答有↢三義↡。一ニハ者因明・直弁、諸行↢往生↡不↠説↠之、念仏↢往生↡選↠之。二ニハ者自説・不自説、謂諸行阿弥陀如来不↢自説↟当修↠之、念仏自説↠当↠念↠我。三摂取・不摂取、謂↢諸行仏光不↣摂↢取タマハ之↡、行ハル↢念仏仏光摂↢取タマフ↡。

つぎ問答もんどうのなかに、 といこころべし。 こたえのなかにいちあり。 如来にょらいずい四依しえじんなり、 いはくしょぎょうしゃ如来にょらいしゅじょうしたがひてこれをきたまふ、 念仏ねんぶつ四依しえさつつくしてこれをすすむ。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のほんなり。 くわしくこれをおもふべし。

次問答シテ、問↠得。答↢一義↡。如来随機、四依理尽ナリ、謂諸行釈迦如来随↢衆生↡説タマフ↠之、念仏四依菩薩尽シテ↠理↠之則此¬集¼本意ナリ也。委↠思↠之

おうじょうかい (要集巻下) にいはく、 「ふ。 もしぼんやからおうじょうといはば、 いかんぞ、 近代ごんだいかのくににおいてもとむるものは千万せんまんなれども、 るものはいちもなきや。

往生階位、「問。若凡下輩得イハヾ↢往生↡、云何、近代於↢彼↡求千万ナレドモ、得キヤ↢一二↡。

こたふ。 しゃくしょういはく、 信心しんじんふかからず、 もしはぞんじもしはもうぜるゆゑに。 信心しんじんいちならず、 けつじょうせざるがゆゑに。 信心しんじん相続そうぞくせず、 ねんへだつるがゆゑに。 この相応そうおうせざれば、 おうじょうすることあたはず。 もし三心さんしんしておうじょうせずといはば、 このことわりあることなし。

答。綽和尚云、信心不↠深、若存若ゼル。信心不↠一ナラ、不決定↡故。信心不↢相続↡、念間ルガ故。此レバ↢相応↡者、不↠能↢往生スルコト↡。若具シテ↢三心↡不0095トイハヾ↢往生↡者、無↠有コト↢是↡。

どうしょういはく、 もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくしてひつみょうとするものは、 じゅうはすなはちじっしょうし、 ひゃくはすなはち百生ひゃくしょうす。 もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさんかみのごときといふはらいさんとうもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅすなり

導和尚云、若能如↠上念念相続シテ畢命↠期、十即十生、百即百生。若スル↣捨テヽ↠専ント↢雑業、百時得↢一二↡、千↢三五↡。↢如上↡者指↢礼・讃等五門、至誠等三心、長時等四修↡也

わたくしにいはく、 しんつくしておうじょうとくさだめたまふことは、 どうしょう専修せんじゅぞうぎょうもんをもつてなんとなせり。 また処々しょしょおおくかのしゃくもちゆ、 つべし。 しかればすなはちしんもちゐるやからは、 かならず善導ぜんどうすべきか。

、恵心尽シテ↠理タマフコトハ↢往生得否↡、以↢導和尚専修雑行↡為セリ↢指南↡也。又処処↢彼↡、可↠見。然レバ則用↢恵心↡之輩、必可↠帰↢善導↡哉矣。

 

内容はほぼ 「往生要集料簡」 に同じ。 異なる箇所はそのまま 「往生要集釈」[略]中、 総結要行の二重の釈の初重に相応する。