一五(240)、浄土初学抄
▲浄土初学抄 第十五 源空作
¬往生要集¼ 上巻 極楽証拠門にいはく、 「問ふ。 十方に浄土あり。 なんぞただ極楽に生ぜんと願ずるや。 答ふ。 天台大師いはく、 諸経論の処々にただ衆生を勧めてひとへに阿弥陀仏を念じ、 西方極楽世界を求めしむ。 ¬無量寿経¼・¬観経¼・¬往生論¼ 等の数十余部の経論の文、 慇懃に指授して西方に生ぜよと勧む。 これをもつてひとへに念ずるなりと。 以上 大師一切の経論を披閲したまふこと、 およそ十五遍。 知るべし、 所述信ぜざるはあるべからず」 と。 云々
¬往生要集¼ 上巻 極楽証拠門ニ云、「問。十方ニ有リ↢浄土↡。何ゾ唯願ズルヤ↠生↢極楽ニ↡耶。答。天臺大師云、諸経論ノ処処ニ唯勧テ↢衆生ヲ↡偏ニ念ジ↢阿弥陀仏↡、令↠求↢西方極楽世界ヲ↡。¬無量寿経¼・¬観経¼・¬往生論¼等ノ数十余部ノ経論ノ文、慇懃ニ指授0241シテ勧↠生ヨト↢西方ニ↡。是以偏ニ念ズル也。已上 大師披↢閲タマフコト一切経論ヲ↡、凡ソ十五遍。応↠知、所述不↠可↠不↠信。」云云
¬十疑¼ の第四の疑のなかにいはく、 「弥陀仏に別に大悲の四十八願ありて、 衆生を摂引したまふ。 また ¬観経¼ にいはく、 阿弥陀仏に八万四千の相まします。 一々の相に、 八万四千の好ありて、 一々に八万四千の光明を放ちたまふ。 あまねく十方世界を照らし、 念仏の衆生を摂取して捨てたまはず。 もし念ずることあらば、 機感あひ応じ、 決定して生ずることを得。
¬十疑ノ¼第四ノ疑ノ中云、「弥陀仏ニ別ニ有↢大悲ノ四十八願↡、摂↢引シタマフ衆生↡。又¬観経¼云、阿弥陀仏ニ有↢八万四千ノ相↡。一一相、有↢八万四千好↡、一一放↢八万四千ノ光明ヲ↡。遍ク照↢十方世界ヲ↡、念仏ノ衆生ヲ摂取シテ不↠捨。若有↠念コト者、機感相応ジ、決定シテ得↠生。
また ¬阿弥陀経¼・¬大無量寿経¼・¬鼓音声陀羅尼経¼ 等にいはく、 釈迦仏この経を説きたまふ時、 みな十方世界におのおの恒沙の諸仏ましまして、 その舌相を舒べあまねく三千大千世界に覆ひて、 一切衆生阿弥陀仏を念ずれば、 仏の本願の大悲願力に乗ずるがゆゑに、 決定して極楽世界に生ずることを得と証誠したまふ。 まさに知るべし、 阿弥陀仏とこの世界と、 ひとへに因縁あり。
又¬阿弥陀経¼・¬大無量寿経¼・¬鼓音声陀羅尼経¼等ニ云、釈迦仏説↢此経↡時、皆有↢十方世界ニ各恒沙ノ諸仏↡、舒↢其ノ舌相↡遍覆↢三千大千世界ニ↡、証↧誠シタマフ一切衆生念ズレバ↢阿弥陀仏ヲ↡、乗↢仏本願大悲願力ニ↡故、決定シテ得↞生↢極楽世界ニ↡。当↠知、阿弥陀仏与↢此世界↡、偏有↢因縁↡。
なにをもつてのゆゑに知ることを得る。 ¬無量寿経¼ にいはく、 末世法滅の時、 ことにこの経を留めて百年世にあり、 衆生を摂引して、 かの国に往生せしむ。 ゆゑに知りぬ弥陀とこの世界の極悪の衆生と、 ひとへに因縁ありと。 その余の諸仏、 一切の浄土は、 一経両経に略して往生を勧むることありといへども、 阿弥陀仏国を処々の経論に慇懃丁寧に往生を勧むるにはしかず」 と。 以上取意。 ¬往生要集¼ のなかを見るべし
何以故得↠知。¬無量寿経¼云、末世法滅之時、特ニ留↢此経ヲ↡百年在↠世、摂↢引衆生↡、往↢生彼ノ国↡。故知弥陀ト与↢此世界ノ極悪ノ衆生↡、偏有↢因縁↡。其ノ余ノ諸仏、一切ノ浄土ハ、雖↠有↣一経両経ニ略シテ勧コト↢往生ヲ↡、不↠如カ↣阿弥陀仏国ヲ処処経論ニ慇懃丁寧ニ勧ニハ↢往生ヲ↡。」已上取意。可見¬往生要集¼中
わたくしにいはく、 唐土の懐感・わが朝の恵心、 往生の行において大いに分ちて二となす。 一には念仏往生、 二には諸行往生なり。 念仏往生とは 云々。
私云、唐土ノ懐感・我朝ノ恵心、於↢往生ノ行ニ↡大ニ分テ為↠二。一ニハ者念仏往生、二ニハ者諸行往生也。念仏往生ト者 云云。
諸行往生とは、 ¬往生要集¼ (巻下) にいはく、 「いまわたくしにいはく、 諸経の行業、 総じてこれを論ぜば、 ¬梵網¼ の戒品を出でず。 別してこれを論ずれば、 六度を出でず。
諸行往生ト者、¬往生要集ニ¼云、「今私0242云、諸経ノ行業、総而論↠之者、不↠出↢¬梵網ノ¼戒品↡。別而論↠之者、不↠出↢六度↡。
委しくその相を明かすに、 その十三あり。 一には財・法等の施。 二には三帰・五戒・八戒・十戒等の多少の戒行。 三には忍辱。 四には精進。 五には禅定。 六には般若 第一義空を信じるこれなり。 七には発菩提心。 八には修行六念 念仏・法・僧・戒・捨・天、 これを六念といふ。 十六想観またこれを出でず。 九には読誦大乗。 十には守護仏法。 十一には孝養父母奉事師長。 十二には憍慢を生ぜず。 十三には利養に染せず」 と。 以上 ¬往生要集¼
委明ニ↢其相↡、有↢其ノ十三↡。一者財・法等ノ施。二ニハ者三帰・五戒・八戒・十戒等ノ多少ノ戒行。三者忍辱。四者精進。五者禅定。六者般若 信↢第一義空↡是也。七者発菩提心。八者修行六念 念仏・法・僧・戒・捨・天、謂↢之ヲ六念ト↡。十六想観亦不↠出↠之。九者読誦大乗。十ニハ者守護仏法。十一ニハ者孝養父母奉事師長。十二ニハ者不↠生↢憍慢↡。十三者不↠染↢利養ニ↡。」已上¬往生要集¼
いまわたくしに問ひていはく、 天台の ¬十疑¼ の意、 念仏・諸行のなかには、 いづれをか往生の行と明かせるや。 答へていはく、 わたくしに ¬十疑¼ の文を見るに、 一部のなかに、 二十余所念仏往生の詞あり、 諸行往生の文なし、 ゆゑに知りぬ天台の御意、 往生門においては念仏をもつて行となして、 余行をもつて因とすることなしと見えたり。 五大部の章疏の外に、 別に ¬十疑論¼ を作り往生極楽の行は念仏門なりと釈するなり。
今私問云、天臺¬十疑ノ¼意、念仏・諸行之中ニハ、何ヲカ明↢往生之行ト↡哉。答云、私見ニ↢¬十疑ノ¼文↡、一部之中ニ、二十余所有↢念仏往生之詞↡、無↢諸行往生之文↡。故ニ知天臺ノ御意、見エタリ↧於↢往生門ニ↡者以↢念仏↡為シテ↠行ト、無ト↦以↢余行↡為↞因ト。五大部章疏之外ニ、別ニ作↢¬十疑論¼↡釈↢往生極楽ノ行ハ念仏門ナリト↡也。
五大部の章疏のなかに、 小分弥陀極楽の事ありといへども、 往生の解行に備へがたし。 また大師の御意、 往生極楽をもつて本意として勧めず、 往生を勧むることは、 別に ¬十疑論¼ を作りて往生を勧め念仏を釈するなり。 しかれば往生のためには、 本宗の人なりといへどもこの ¬十疑¼ の文を学び、 念仏の法門を学ぶべきなり。
五大部章疏ノ中ニ、小分雖↠有↢弥陀極楽之事↡、難↠備ヘ↢往生ノ解行ニ↡。又大師ノ御意、以↢往生極楽↡不↧為↢本意ト↡而勧↥、勧コトハ↢往生ヲ↡者、別ニ作↢¬十疑論ヲ¼↡勧↢往生ヲ↡釈↢念仏ヲ↡也。然者為ニハ↢往生ノ↡者、雖↢本宗ノ人ナリト↡学↢此ノ¬十疑ノ¼文↡、可↠学↢念仏ノ法門↡也。
これわたくしの意にあらず、 恵心の御意なり。 ¬往生要集¼ の極楽証拠に ¬十疑¼ を引きて釈成するなり。 また下の念仏相応の文に ¬十疑論¼ を列ぬ。
非↢是私ノ意ニ↡、恵心ノ御意也。¬往生要集ノ¼極楽証拠ニ引テ↢¬十疑ヲ¼↡而釈成也。又下0243ノ念仏相応ノ文ニ列ヌ↢¬十疑論ヲ¼↡。
また法相宗の意かくのごとし。 慈恩大師百本の章疏を作るといへども、 そのなかに別して ¬西方要決¼ 一巻を作りて、 自他の往生を勧むるなり。 しかればかの宗の人往生を期し西方を求めんものは、 ¬要訣¼ を学して往生の行を知るべきなり、 これわたくしの義にあらず、 恵心の ¬往生要集¼ のなかに釈せり。 もししからずんば、 上足の基師あに別して ¬西方要決¼ 一巻を作りて、 十の勝劣を立てて自他を勧めんや。 下の念仏相応の文に ¬西方要訣¼ を出だす、 ¬十疑¼ のごとし。
又法相宗ノ意如↠此。慈恩大師雖↠作↢百本ノ章疏↡、其中ニ別シテ作テ↢¬西方要決¼一巻↡、勧↢自他ノ往生↡也。然者彼ノ宗ノ人期↢往生↡求↢西方↡者ハ、学シテ↢¬要訣¼↡可↠知↢往生ノ行↡也。非↢是私ノ義ニ↡、恵心ノ¬往生要集ノ¼中ニ釈セリ。若不ンバ↠然者、上足ノ基師豈別シテ作テ↢¬西方要決¼一巻↡、立テヽ↢十ノ勝劣ヲ↡勧ン↢自他ヲ↡耶。下ノ念仏相応ノ文ニ出↢¬西方要訣ヲ¼↡、如↢¬十疑¼↡。
また三論宗またかくのごとし。 ¬中¼・¬百¼・¬門¼ の疏を作るといへども、 往生の義はかれによらず。 しかればかの宗の先達律師永観 ¬十因¼ を作りて但念仏往生の旨を勧む。 その後珍海また ¬決定往生集¼ を作りて念仏往生を演ぶるなり。 かの宗の後輩、 たれの人かこれに背かんや。
又三論宗亦如↠是。雖↠作↢¬中¼・¬百¼・¬門ノ¼疏ヲ↡、往生之義ハ不↠依↠彼。然者彼ノ宗ノ先達律師永観作↢¬十因¼↡勧↢但念仏往生之旨ヲ↡。其後珍海又作↢¬決定往生集ヲ¼演↢念仏往生↡也。彼ノ宗ノ後輩、誰ノ人背ンヤ↠之ニ耶。
また真言宗かくのごとし。 不空三蔵 ¬阿弥陀儀軌¼ を作りて念仏三昧往生の旨を宣ぶ。 ただし念仏の行相顕宗とその意少し異なることあり。 弥陀の大小の神呪は、 みなこれ句々ごとに阿弭栗多の詞あり、 これすなはち句々に弥陀を唱ふる意なり。 これ密教の念仏の義なり。 もし阿弭栗多の句なくんば、 たとひ甘露の句を誦すといへども、 その験なきや。
又真言宗如↠此。不空三蔵作↢¬阿弥陀儀軌¼↡宣↢念仏三昧往生ノ旨↡。但シ念仏行相与↢顕宗↡其ノ意少シ有↠異也。弥陀ノ大小ノ神呪ハ、皆是毎↢句句↡有↢阿弭栗多之詞↡、是則句句ニ唱↢弥陀↡之意也。是密教念仏之義也。若無ンバ↢阿弭栗多ノ句↡者、縦ヒ雖↠誦↢甘露之句↡、無↢其験↡哉。
花厳宗 この宗は杜順・智儼・法蔵・澄観、 これをもつて祖師となす
花厳宗 此宗ハ杜順・智儼・法蔵・澄観、以↠之為↢祖師ト↡
¬花厳経¼ 六十巻 十法行。 ¬法界観門¼ 一巻 杜順。 ¬捜玄記¼ 五巻 智儼。 ¬探玄記¼ 二十巻、 ¬教義分斉章¼ 三巻、 ¬金師子章¼ 一巻、 ¬指帰¼ 一巻、 ¬花厳三昧観門¼ 一巻、 ¬普賢観行法門¼ 一巻、 ¬花蔵世界観門¼ 一巻、 ¬花厳策林¼ 一巻、 ¬花厳妄尽還源観¼ 一巻、 ¬心経疏¼ 一巻、 ¬梵網経疏¼ 三巻、 ¬起信論疏¼ 三巻、 同 ¬別記¼ 一巻、 ¬十二門論疏¼ 一巻、 ¬法界無差別論疏¼ 一巻 以上法蔵述。
¬花0244厳経¼六十巻 十法行。¬法界観門¼一巻 杜順。¬捜玄記¼五巻 智儼。¬探玄記¼二十巻、¬教義分斉章¼三巻、¬金師子章¼一巻、¬指帰¼一巻、¬花厳三昧観門¼一巻、¬普賢観行法門¼一巻、¬花蔵世界観門¼一巻、¬花厳策林¼一巻、¬花厳妄尽還源観¼一巻、¬心経疏¼一巻、¬梵網経疏¼三巻、¬起信論疏¼三巻、同¬別記¼一巻、¬十二門論疏¼一巻、¬法界無差別論疏¼一巻 已上法蔵述。
¬新訳花厳経¼ 八十巻 十法行。 ¬新訳花厳経疏¼ 二十巻、 ¬随疏演義鈔¼ 四十巻。 ¬四十花厳経¼ 十法行。 ¬貞観新記花厳経疏¼ 十巻、 ¬花厳法界玄鏡¼ 一巻、 ¬花厳綱要¼ 三巻、 ¬花厳略策¼ 一巻、 ¬行願品別行疏¼ 一巻、 ¬三聖円融観門¼ 一巻、 ¬十二因縁観門¼ 一巻、 ¬五薀観門¼ 一巻、 ¬答皇太子所問心要¼ 一巻、 ¬花厳刹海変相讃¼ 一首、 ¬答複礼法師頌¼ 一首、 ¬澄道頌¼ 一首 以上澄観述、 ¬円宗文類¼ に出づ。
¬新訳花厳経¼八十巻 十法行。¬新訳花厳経疏¼二十巻、¬随疏演義鈔¼四十巻。¬四十花厳経¼ 十法行。¬貞観新記花厳経疏¼十巻、¬花厳法界玄鏡¼一巻、¬花厳綱要¼三巻、¬花厳略策¼一巻、¬行願品別行疏¼一巻、¬三聖円融観門¼一巻、¬十二因縁観門¼一巻、¬五薀観門¼一巻、¬答皇太子所問心要¼一巻、¬花厳刹海変相讃¼一首、¬答複礼法師頌¼一首、¬澄道頌¼一首 已上澄観述、出↢¬円宗文類¼↡。
この宗章疏多しといへども、 その要を取るに、 これに過ぎず。 これらの法門のなかに、 五教・十宗・十玄・六相等の法門、 文義広博なりといへども往生極楽を演べず。 しかれば西方の指南にあらざるなり。
此宗章疏雖↠多、取ニ↢其要ヲ↡、不↠過↠之ニ。此等ノ法門ノ中ニ、五教・十宗・十玄・六相等ノ法門、雖↢文義広博↡不↠演↢往生極楽ヲ↡。然者非↢西方之指南↡也。
天台宗
天臺宗
¬妙法蓮花経¼ 八巻 羅什訳。 ¬法花玄義¼ 十巻 天台、 同 ¬釈籤¼ 十巻 妙楽。 同 ¬文句¼ 十巻 天台、 同 ¬文句記¼ 十巻 妙楽。 ¬摩訶止観¼ 十巻 天台 同 ¬輔行伝弘決¼ 十巻。 ¬禅門修証¼ 十巻、 ¬観心論¼ 一巻。 ¬維摩経玄疏¼ 六巻、 同経 ¬略疏¼ 十巻。 ¬四教義¼ 十二巻、 ¬三観義¼ 二巻。 ¬涅槃経疏¼ 十五巻、 同 ¬玄義¼ 一巻、 同 ¬金錍論¼ 一巻。 ¬金光明経疏¼ 一巻、 同経 ¬玄義¼ 一巻。 ¬花厳経骨目¼ 二巻 以上妙楽。
¬妙0245法蓮花経¼八巻 羅什訳。¬法花玄義¼十巻 天臺、同¬釈籤¼十巻 妙楽。同¬文句¼十巻 天臺、同¬文句記¼十巻 妙楽。¬摩訶止観¼十巻 天臺 同¬輔行伝弘決¼十巻。¬禅門修証¼十巻、¬観心論¼一巻。¬維摩経玄疏¼六巻、同経¬略疏¼十巻。¬四教義¼十二巻、¬三観義¼二巻。¬涅槃経疏¼十五巻、同¬玄義¼一巻、同¬金錍論¼一巻。¬金光明経疏¼一巻、同経¬玄義¼一巻。¬花厳経骨目¼二巻 已上妙楽。
¬梵網経義記¼ 二巻、 ¬請観音経疏¼ 一巻、 ¬観無量寿経疏¼ 一巻、 ¬阿弥陀経疏¼ 一巻、 ¬阿弥陀十疑論¼ 一巻 以上天台。
¬梵網経義記¼二巻、¬請観音経疏¼一巻、¬観無量寿経疏¼一巻、¬阿弥陀経疏¼一巻、¬阿弥陀十疑論¼一巻 已上天臺。
以上延暦寺玄日の ¬録¼ に出づ。
已上出↢延暦寺玄日ノ¬録ニ¼↡。
この宗の章疏多しといへども、 その要これを過ぎず。 これらの章疏文義広博なりといへども、 要を取るに教観の二門を過ぎず。 教はすなはち四教五味をもつて要となし、 観はすなはち三観六即をもつて宗となす。 往生極楽の旨は、 別して ¬観経の疏¼・¬十疑¼ 等のなかにあり 云々。
此宗ノ章疏雖↠多、其要不↠過↠之。此等ノ章疏雖↢文義広博↡、取ニ↠要不↠過↢教観ノ二門↡。教ハ則以↢四教五味↡為↠要ト、観ハ則以↢三観六即↡為↠宗ト。往生極楽之旨ハ者、別シテ在リ↢¬観経ノ疏¼・¬十疑¼等ノ中ニ↡ 云云。
三論宗 智証大師いはく、 「三論空性宗なり、 羅什および吉蔵法師をもつて高祖となすなり」 と。 云々
三論宗 智証大師云、「三論空性宗ナリ、以↢羅什及吉蔵法師↡而為↢高祖↡也。」云云
¬法花¼ 八巻 十法行。 ¬法花経疏¼ 十二巻、 同経 ¬新選疏¼ 六巻、 同経 ¬統略¼ 三巻、 同経 ¬遊意¼ 一巻、 ¬法花論疏¼ 三巻。 ¬涅槃経疏¼ 二十巻。 ¬維摩経略疏¼ 五巻、 同経 ¬広疏¼ 六巻。 ¬勝鬘経宝崛¼ 三巻。 ¬仁王経疏¼ 二巻。 ¬金剛般若経疏¼ 四巻。 ¬金光明教疏¼ 一巻。 ¬大品般若経略疏¼ 四巻、 同経 ¬広疏¼ 十巻、 同経 ¬遊意¼ 一巻。 ¬観無量寿経疏¼ 一巻。 ¬無量寿経疏¼ 一巻。 ¬盂蘭盆経疏¼ 一巻。 ¬弥勒経遊意¼ 一巻。
¬法花¼八巻 十法行。¬法花経疏¼十二巻、同経¬新選疏¼六巻、同経¬統略¼三巻、同経¬遊意¼一巻、¬法花論疏¼三巻。¬涅槃経疏¼二十巻。¬維摩経略疏0246¼五巻、同経¬広疏¼六巻。¬勝鬘経宝崛¼三巻。¬仁王経疏¼二巻。¬金剛般若経疏¼四巻。¬金光明教疏¼一巻。¬大品般若経略疏¼四巻、同経¬広疏¼十巻、同経¬遊意¼一巻。¬観無量寿経疏¼一巻。¬無量寿経疏¼一巻。¬盂蘭盆経疏¼一巻。¬弥勒経遊意¼一巻。
¬中観論¼ 四巻 十法行、 ¬中観論疏¼ 十巻。 ¬百論¼ 二巻 十法行、 ¬百論疏¼ 三巻。 ¬十二門論¼ 一巻 十法行、 ¬十二門論疏¼ 二巻、 ¬十二門論略疏¼ 一巻。 ¬註論玄¼ 一巻。 ¬三論序疏¼ 一巻。 ¬二諦章¼ 三巻。 ¬大乗玄¼ 五巻。 ¬浄名玄¼ 八巻。 ¬法花玄論¼ 十巻。
¬中観論¼四巻 十法行、¬中観論疏¼十巻。¬百論¼二巻 十法行、¬百論疏¼三巻。¬十二門論¼一巻 十法行、¬十二門論疏¼二巻、¬十二門論略疏¼一巻。¬註論玄¼一巻。¬三論序疏¼一巻。¬二諦章¼三巻。¬大乗玄¼五巻。¬浄名玄¼八巻。¬法花玄論¼十巻。
以上吉蔵、 元興寺の安遠律師の ¬録¼ に出づ。
已上吉蔵、出↢元興寺ノ安遠律師ノ¬録ニ¼↡。
この宗の章疏多しといへども、 要を取るにこれを過ぎず。 このなかに ¬観経¼・¬双巻経¼ の ¬疏¼ のなかに、 往生の旨を明かすといへども、 その義委しからず。 ただ八不中道・二諦方言・四仮四中・無依無得の旨を明かす。 これらの義門、 ただ三祇成仏の旨を明かして、 往生極楽の義を宗とせず 云々。
此宗ノ章疏雖↠多、取↠要不↠過↠之。此中ニ¬観経¼・¬双巻経ノ¼¬疏ノ¼中ニ、雖↠明↢往生之旨↡、其ノ義不↠委。只明↢八不中道・二諦方言・四仮四中・無依無得之旨ヲ↡。此等ノ義門、只明シテ↢三祇成仏之旨ヲ↡、不↠宗トセ↢往生極楽之義ヲ↡ 云云。
法相宗 智証大師いはく、 「唯識法相宗は、 慈恩三蔵をもつておよび弘道法師をもつて高祖とするなり」 と。 云々
法相宗 智証大師云、「唯識法相宗ハ、以↢慈恩三蔵↡及以↢弘道法師↡而為↢高祖ト↡也。」云云
¬能断金剛般若波羅蜜多経¼ 一巻、 ¬金剛般若会釈¼ 一巻。 ¬六門陀羅尼経¼ 一巻、 ¬六門陀羅尼経疏¼ 一巻。 ¬般若理趣経¼ 一巻、 ¬般若理趣分述賛¼ 三巻。 ¬説無垢称経¼ 六巻、 ¬無垢称経疏¼ 六巻。 ¬般若心経¼ 一巻、 ¬般若心経疏¼ 二巻。 ¬妙法蓮花経¼ 八巻、 ¬法花玄賛¼ 十巻。 ¬弥勒上生経¼ 一巻、 同経 ¬疏¼ 二巻。 ¬西方要決¼ 一巻 以上規師。 ¬法花義決¼ 一巻 恵沼、 同経 ¬摂釈¼ 四巻 智周、 同経 ¬決釈記¼ 八巻 宗俊。 ¬金光明最勝王経¼ 十巻、 同経 ¬疏¼ 六巻 恵沼。 ¬十一面神呪心経¼ 一巻、 同経 ¬疏¼ 一巻 恵沼。 ¬梵網経疏¼ 五巻 智周 以上大乗経疏。
¬能断金剛般若波羅蜜多経¼一巻、¬金剛般若会釈¼一巻。¬六門陀羅尼経¼一巻、¬六門陀羅尼経疏¼一巻。¬般若理趣経¼一巻、¬般若理趣0247分述賛¼三巻。¬説無垢称経¼六巻、¬無垢称経疏¼六巻。¬般若心経¼一巻、¬般若心経疏¼二巻。¬妙法蓮花経¼八巻、¬法花玄賛¼十巻。¬弥勒上生経¼一巻、同経¬疏¼二巻。¬西方要決¼一巻 已上規師。¬法花義決¼一巻 恵沼、同経¬摂釈¼四巻 智周、同経¬決釈記¼八巻 宗俊。¬金光明最勝王経¼十巻、同経¬疏¼六巻 恵沼。¬十一面神呪心経¼一巻、同経¬疏¼一巻 恵沼。¬梵網経疏¼五巻 智周 已上大乗経疏。
¬瑜伽論¼ 百巻 弥勒菩薩造 玄奘訳、 ¬瑜伽論鈔¼ 十六巻 規師。 ¬大乗百法明門論¼ 一巻 世親造 玄奘訳、 ¬百法論玄賛¼ 一巻 規。 ¬摂大乗論鈔¼ 十巻 同。 ¬大乗阿鞞達摩集論¼ 七巻 十法行、 ¬対法論鈔¼ 七巻 基。 ¬辨中辺論¼ 三巻 十法行、 同 ¬疏¼ 三巻 基。 ¬唯識二十論¼ 一巻 十法行、 同論 ¬疏¼ 二巻 基。 ¬成唯識¼ 十巻 十法行、 ¬三十唯識論疏¼ 十巻 基、 同論 ¬枢要¼ 一巻 同、 同論 ¬別鈔¼ 五巻 同、 同論 ¬了義灯¼ 七巻 恵沼、 同論 ¬演秘¼ 七巻 智周。 ¬宗輪論疏¼ 一巻 基。 ¬大乗法苑林章¼ 七巻 同。 ¬入道章¼ 一巻 智周。
¬瑜伽論¼百巻 弥勒菩薩造 玄奘訳、¬瑜伽論鈔¼十六巻 規師。¬大乗百法明門論¼一巻 世親造 玄奘訳、¬百法論玄賛¼一巻 規。¬摂大乗論鈔¼十巻 同。¬大乗阿鞞達摩集論¼七巻 十法行、¬対法論鈔¼七巻 基。¬辨中辺論¼三巻 十法行、同¬疏¼三巻 基。¬唯識二十論¼一巻 十法行、同論¬疏¼二巻 基。¬成唯識¼十巻 十法行、¬三十唯識論疏¼十巻 基、同論¬枢要¼一巻 同、同論¬別鈔¼五巻 同、同論¬了義灯¼七巻 恵沼、同論¬演秘¼七巻 智周。¬宗輪論疏¼一巻 基。¬大乗法苑林章¼七巻 同。¬入道章¼一巻 智周。
以上東大寺平祚の ¬録¼ に出づ。
已上出↢東大寺平祚¬録¼↡。
この宗の章疏多しといへども、 要するところこれに過ぎず。 慈恩大師百部の章疏を作るといへども、 十支のなかに、 法幢の一支をもつて ¬唯識論¼ を成じてその宗となす。 ゆゑに唯識法師と号す。 ただしこの論のなかには、 唯識の三性・十地因果・行位を明かし、 相大乗を了して往生極楽の旨を明かさず。 ゆゑにこの ¬唯識論¼ および五分十支を学せん人は、 かならずしも往生極楽の道を知らず。 この宗の極楽の道を知らんと欲するもの、 法相宗の懐感法師の ¬群疑論¼ ならびに慈恩大師の ¬西方要決¼ を学べきなり。
此ノ宗ノ章疏雖↠多、所↠要不↠過↠之。慈恩大師雖↠作↢百部ノ章疏↡、十支之中ニ、以0248↢法幢之一支ヲ↡成ジテ↢¬唯識論ヲ¼↡為↢其宗ト↡。故号↢唯識法師ト↡。只此論中ニハ、明↢唯識ノ三性・十地因果・行位↡、了↢相大乗ヲ↡而不↠明↢往生極楽之旨ヲ↡。故学↢此¬唯識論¼及ビ五分十支↡之人者、不↣必シモ知↢往生極楽之道↡。欲↠知↢此宗ノ極楽之道↡者、可↠学↢法相宗ノ懐感法師ノ¬群疑論¼慈恩大師ノ¬西方要決ヲ¼↡也。
地論宗
地論宗
これに両家あり。 一には南地、 二には北地。 南地には恵光をもつて祖師となす、 北地には道寵をもつて祖師となす。 恵光につきて十人の大弟子あり。
南
宝意三蔵┬恵光─上統─浄影寺の恵遠 恵光律師の孫弟子
└僧範─道憑 等これなり
北
菩提流支三蔵─道寵
此ニ有↢両家↡。一ニハ者南地、二ニハ者北地。南地ニハ者以↢恵光ヲ↡而為↢祖師ト↡、北地ニハ者以↢道寵↡而為↢祖師ト↡。就↢恵光ニ↡有↢十人ノ大弟子↡。
宝意三蔵┬恵光─上統─浄影寺ノ恵遠 恵光律師之孫弟子
└僧範─道憑 等是也
菩提流支三蔵─道寵
¬花厳経疏¼ 七巻、 ¬涅槃経疏¼ 十巻、 ¬無量寿経疏¼ 一巻、 ¬観無量寿経疏¼ 一巻、 ¬維摩経疏¼、 ¬勝鬘経疏¼、 ¬温室経疏¼、 ¬十地論疏¼ 七巻、 ¬大乗義章¼ 十四巻 以上慧遠。 ¬続高僧伝¼ (巻八) にいはく、 「章疏五十余巻」 と。 云々
¬花厳経疏¼七巻、¬涅槃経疏¼十巻、¬無量寿経疏¼一巻、¬観無量寿経疏¼一巻、¬維摩経疏¼、¬勝鬘経疏¼、¬温室経疏¼、¬十地論疏¼七巻、¬大乗義章¼十四巻 已上慧遠。¬続高僧伝¼云、「章疏五十余巻。」云云
日本には三論宗の人この宗を兼学す、 立てて別宗とせず。 浄影大師は、 みづから都率を欣ひてすでに都率に生ず。 門徒を遺誡して、 都率の業を修せしむ。 これによりて ¬観経の疏¼ 等を造るといへども、 慇懃に西方を勧めず。 これすなはちおのが欲せざるところ人に施すことなかれとは、 このいひか。
日0249本ニハ三論宗ノ人兼↢学ス此宗ヲ↡、立テヽ而不↠為↢別宗ト↡。浄影大師ハ者、自欣テ↢都率ヲ↡既ニ生ズ↢都率ニ↡。遺↢誡シテ門徒ヲ↡、令↠修↢都率之業ヲ↡。因テ↠茲雖↠造↢¬観経ノ疏¼等ヲ↡、慇懃ニ不↠勧メ↢西方ヲ↡。是則己ガ所↠不↠欲勿レト↠施コト↢於人ニ↡者、此ノ謂歟。
ただし談ずるところは、 教証の二道、 六相円融等の法門なり。 六相とは、 総・別・同・異・成・壊の六相なり。 また ¬大乗義章¼ のなかに、 多く四宗をもつて法門の浅深を釈す。 四宗とは、 一には立性宗、 二には破性宗、 三には破相宗、 四には顕実宗なり。 立性宗とは、 毘曇の意なり。 破性宗とは、 成実の意なり。 破相とは、 もろもろの大乗の空無相の義なり。 顕実とは、 真如法界随縁の義なり。
但所↠談者、教証二道、六相円融等ノ法門也。六相ト者、総・別・同・異・成・壊之六相也。又¬大乗義章¼之中ニ、多以↢四宗↡釈↢法門ノ浅深ヲ↡。四宗トハ者、一ニハ立性宗、二ニハ破性宗、三ニハ破相宗、四ニハ顕実宗也。立性宗ト者、毘曇ノ意也。破性宗ト者、成実ノ意也。破相ト者、諸ノ大乗ノ空無相ノ義也。顕実トハ者、真如法界随縁之義也。
摂論宗
摂論宗
これに南北両家あり。 南地とは真諦三蔵および法泰をもつて祖師となす。 北地とは曇遷禅師をもつて祖師となす。 また地論の浄影大師、 曇遷に随ひて ¬摂論¼ を稟く。
南
真諦三蔵─法泰─静崇
智愷─僧宗─僧忍─法唯
北
曇遷─恵休─恵遠─浄業
此ニ有↢南北両家↡。南地トハ者以↢真諦三蔵及ビ法泰↡而為↢祖師↡也。北地ト者以↢曇遷禅師↡而以↢祖師↡也。又地論ノ浄影大師、随テ↢曇遷ニ↡稟ク↢¬摂論ヲ¼↡。
真諦三蔵─法泰─静崇
智愷─僧宗─僧忍─法唯
曇遷─恵休─恵遠─浄業
¬摂論疏¼ 二十五巻 真諦と智愷ともにこれを選す 云々、 同論 ¬疏¼ 六巻 静崇、 ¬雑心疏¼ 五巻 同人。
¬摂論疏¼二十五巻 真諦与智愷共選↠之 云云、同論¬疏¼六巻 静崇、¬雑心疏¼五巻 同人。
この宗の意は、 依正等の十種の勝相、 諸法唯心の旨を明かす。 梁の代に ¬摂論¼ この土に来りて後百年の間、 多く浄土の業を修せず。 これすなはちこの ¬論¼ の別時意趣の文を会することかたきによりてなり。 この文消通の後、 浄土を修すもの多し。 わたくしにいはく、 ある人いはく、 摂論宗の人は ¬西方要決¼ によりて往生を願求すべしと。 その旨別紙に見えたり。
此0250宗ノ意ハ者、明ス↢依正等ノ十種ノ勝相、諸法唯心之旨ヲ↡。梁ノ代ニ¬摂論¼来テ↢此土ニ↡後百年之間、多不↠修↢浄土之業ヲ↡。此即依テナリ↠難キニ↠会コト↢此ノ¬論ノ¼別時意趣ノ之文ヲ↡也。此文消通之後、修↢浄土↡者多シ矣。私ニ云、或人云、摂論宗ノ人ハ依テ↢¬西方要決ニ¼↡可ト↠願↢求ス往生ヲ↡也。其ノ旨見タリ↢別紙ニ↡。
大乗律宗 伝教大師の所立なり
大乗律宗 伝教大師所立也
¬菩薩地持経¼ 十巻、 ¬梵網経¼ 二巻。
総じて大乗律二十七部五十五巻、 つぶさに目録のごとし。
¬菩薩地持経¼十巻、¬梵網経¼二巻。
総ジテ大乗律二十七部五十五巻、具如↢目録↡。
¬梵網経義記¼ 二巻 天台、 ¬授菩薩戒儀¼ 一巻 本は妙楽註は智証、 同経 ¬疏¼ 一巻 明昿、 ¬顕戒論¼ 三巻 山家、 同 ¬縁起¼ 二巻 山家、 ¬伝述一心戒文¼ 三巻 光定、 ¬顕揚大戒論¼ 八巻 慈覚、 ¬普通授菩薩戒広釈¼ 三巻 安然、 ¬授如来金剛宝戒式¼ 一巻 延昌、 ¬天台円教菩薩戒相承師資血脈譜¼ 一首。
¬梵網経義記¼二巻 天臺、¬授菩薩戒儀¼一巻 本ハ妙楽註ハ智証、同経¬疏¼一巻 明昿、¬顕戒論¼三巻 山家、同¬縁起¼二巻 山家、¬伝述一心戒文¼三巻 光定、¬顕揚大戒論¼八巻 慈覚、¬普通授菩薩戒広釈¼三巻 安然、¬授如来金剛宝戒式¼一巻 延昌、¬天臺円教菩薩戒相承師資血脈譜¼一首。
「蓮華蔵世界赫奕たる天光師子座上盧遮那仏─逸多菩薩─天竺鳩摩羅什三蔵─霊山聴衆南岳恵思大師─霊山聴衆天台智者大師─章安潅頂大師─縉雲の智威大師─東陽の恵威大師─左渓の玄朗大師─荊渓の湛然大師─琅瑘の道邃大師─大日本国比叡山前入唐受菩薩戒沙門最澄─前入唐受菩薩戒沙門義真 義真も道邃大師の御弟子なり」
「蓮華蔵世界赫奕タル天光師子座上盧遮那仏─逸多菩薩─天竺鳩摩羅什三蔵─霊山聴衆南岳恵思大師─霊山聴衆天臺智者大師─章0251安潅頂大師─縉雲ノ智威大師─東陽ノ恵威大師─左渓ノ玄朗大師─荊渓ノ湛然大師─琅瑘ノ道邃大師─大日本国比叡山前入唐受菩薩戒沙門最澄─前入唐受菩薩戒沙門義真 義真モ道邃大師之御弟子ナリ
この大乗律宗経論章疏のなかに、 往生極楽の旨を明かさず、 ただ成仏得道の義を明かす。 ただし明昿等の ¬疏¼ のなかに、 持戒行徳をもつて極楽に回向することあり、 これすなはち本律の意にあらず。 かたはらに ¬観経¼ 等の意によりて、 戒行をもつて極楽に回向す。 戒律の正意は、 遠く成仏得道を期し、 近くは人中・天上を期す。 その旨本経・本論に見えたり 云々。 ¬禅門章¼ にいはく、 「十重・四十八軽は化城のためならず、 また人天の果報のためならず」 と。
此大乗律宗経論章疏ノ之中ニ、不↠明↢往生極楽之旨ヲ↡、唯明↢成仏得道之義ヲ↡。但明昿等ノ¬疏ノ¼中ニ、以↢持戒行徳ヲ↡有↣回↢向スルコト極楽ニ↡、是則非↢本律ノ意ニ↡。傍ニ依テ↢¬観経¼等ノ意ニ↡、以↢戒行↡而回↢向ス極楽ニ↡也。戒律ノ正意ハ、遠ク期シ↢成仏得道ヲ↡、近クハ期ス↢人中・天上ヲ↡。其ノ旨見タリ↢本経・本論ニ↡ 云云。¬禅門章ニ¼云、「十重・四十八軽不↠為↢化城↡、亦不↠為↢人天果報↡。」
わたくしにいはく、 化城とは二乗なり。
私云、化城ト者二乗也。
真言宗
真言宗
日本国に八家あり、 おのおの師資相承の血脈譜あり 云々。 これに二宗あり。 一には大日宗、 二には金剛頂宗。 大日宗に三部を立てて諸尊を摂す、 金剛頂宗に五部を立てて諸尊を摂す↢ 云々。 三部・五部のなか、 おのおの蓮花部の法あり。 これすなはち弥陀の法たりといへども、 往生浄土の行にあらず、 ただこれ速疾成仏の法なり。 ゆゑに知りぬ両部の大法、 往生極楽をもつて宗とせずといふことを。
日本国ニ有↢八家↡、各有↢師資相承血脈譜↡ 云云。此有↢二宗↡。一ニハ者大日宗、二ニハ者金剛頂宗。大日宗ニ立テヽ↢三部ヲ↡摂ス↢諸尊ヲ↡、金剛頂宗ニ立テヽ↢五部↡摂ス↢諸尊ヲ↡ 云云。三部・五部之中、各有↢蓮花部ノ法↡。是則雖↠為リト↢弥陀之法↡、非↢往0252生浄土之行ニ↡、唯是速疾成仏之法也。故知ヌ両部ノ大法、以↢往生極楽ヲ↡而不↠為↠宗ト。
しかるにもろもろの尊法のなかに、 おのおの往生の法あり。 いはく ¬随求¼・¬尊勝¼・¬無垢浄光¼・¬如意輪¼・¬宝篋¼・¬光明¼・¬阿弥陀¼ の法等、 これなり。 これらの法は、 おのおの一類の機のためにこれを説く、 往生極楽の通方の法にあらず。 もし善導の意に准ぜば、 これらのなかにただ弥陀供養法には、 読誦正行に摂すべし。 その旨前にいふがごとし。 また新訳の阿弥陀の大呪は、 これ旧約の鼓音声陀羅尼なり。 この陀羅尼は、 これ善導和尚の御時披覧するところなり。 ただし本願の行にあらざるゆゑに、 立てて正定の業とせざるなり。
而ニ諸尊法ノ中ニ、各有↢往生之法↡。謂ク¬随求¼・¬尊勝¼・¬無垢浄光¼・¬如意輪¼・¬宝篋¼・¬光明¼・¬阿弥陀ノ¼法等、是也。是等ノ法ハ、各為ニ↢一類ノ機ノ↡而説↠之、非↢往生極楽ノ通方之法ニ↡。若准バ↢善導ノ意ニ↡、此等ノ中ニ唯弥陀供養法ニハ者、可↠摂↢読誦正行ニ↡。其ノ旨如↢前ニ云↡。又新訳ノ阿弥陀ノ大呪ハ、是旧約ノ鼓音声陀羅尼也。此陀羅尼ハ、是善導和尚ノ御時所↢披覧↡也。但非↢本願ノ行ニ↡之故ニ、不↣立テヽ為↢正定之業ト↡也。
成実宗
成実宗
五時を立てて一代を判ず。 これに南北の両家あり。 北地は羅什・僧嵩をもつて祖師となし、 南地は僧糅をもつて祖師となす。
立↢五時↡判↢一代↡。此ニ有↢南北ノ両家↡。北地ハ以↢羅什・僧嵩ヲ↡而為↢祖師ト↡、南地ハ以↢僧糅↡而為↢祖師↡。
¬本論¼ 十六巻 師子覚造 羅什訳、 ¬成実論義¼ 二十巻 恵影、 同 ¬疏¼ 十六巻 道蔵。
¬本論¼十六巻 師子覚造 羅什訳、¬成実論義¼二十巻 恵影、同¬疏¼十六巻 道蔵。
この宗の意は、 五聚に章を立てて、 四諦に義を明かす。 またこの ¬論¼ に大小の諍あり、 あるは大乗宗となし、 あるは小乗宗となす 云々。 ¬大日経の疏¼ (巻二) にいはく、 「成実の諸宗」 と。 云々 知るべし、 この一論に諸家の不同あり、 たとへば四分三家のごときか。
此ノ宗ノ意者、五聚ニ立テヽ↠章、四諦ニ明↠義ヲ。又此¬論ニ¼有↢大小ノ諍↡、或為↢大乗宗ト↡、或為↢小乗宗ト↡ 云云。¬大日経ノ疏¼云、「成実ノ諸宗。」云云 応↠知、此一論ニ有↢諸家ノ不同↡、例バ如↢四分三家↡歟。
ただしこの ¬論¼ 一部十六巻二百二品、 その中にただ三乗聖道の旨を明かし、 さらに往生極楽の義を明かさず。 また梁朝の三大法師雲と旻と蔵とはみなこれこの宗の人なり。 雲とは、 光宅寺の法雲法師、 ¬法花¼ をよくす。 旻とは、 荘厳寺の僧旻法師なり、 ¬十地¼・¬勝鬘¼ によし。 蔵とは、 開善寺の智蔵法師なり、 ¬涅槃¼ によし。 妙楽大師 (法華文句巻一上釈序品) にいはく、 「梁・陳よりこのかた ¬法花¼ を釈するもの光宅をもつて長とす」 と云々
但此¬論¼一部十六巻二百二品、其中ニ唯明↢三0253乗聖道之旨ヲ↡、更ニ不↠明↢往生極楽之義↡。又梁朝ノ三大法師雲ト旻ト蔵トハ皆是此宗之人也。雲ト者、光宅寺ノ法雲師也、能ス↢于¬法花ヲ¼↡。旻ト者、荘厳寺ノ僧旻法師也、善シ↢于¬十地¼・¬勝鬘ニ¼↡。蔵ト者、開善寺ノ智蔵法師也、善シ↢于¬涅槃ニ¼↡。妙楽大師云、「自リ↢梁・陳↡已来釈スル↢¬法花ヲ¼↡者以↢光宅↡為↠長ト。」云云
倶舎宗
倶舎宗
唐の三蔵ならびに普光をもつて祖師となす。
以↢唐ノ三蔵并普光↡而為↢祖師↡。
¬本論¼ 三十巻 世親菩薩造 玄奘三蔵訳、 同論 ¬記¼ 十五巻 普光。
¬本論¼三十巻 世親菩薩造 玄奘三蔵訳、同論¬記¼十五巻 普光。
¬大宋高僧伝¼ (巻四) 普光の伝にいはく、 「その ¬疏¼ 円暉に至りて、 これを略して十巻とす」 と。
¬大宋高僧伝¼普光ノ伝ニ云、「其¬疏¼至テ↢円暉ニ↡、略シテ↠之為↢十巻ト↡。」
同論 ¬疏¼ 十五巻 法宝。
同論¬疏¼十五巻 法宝。
¬大宋高僧伝¼ (巻四) 法宝の伝にいはく、 「六離合の釈義に至りては、 倶舎宗宝をもつて定量となす 矣。 光・宝往々迦湿弥羅の余師に同ず」 と。 云々 またいはく、 「時に光・宝の二法師は、 什門の融・叡のごとし」 と。
¬大宋高僧伝¼法宝ノ伝云、「至テハ↢六離合ノ釈義ニ↡、倶舎宗以↠宝為↢定量ト↡ 矣。光・宝往往同↢迦湿弥羅余師ニ↡。」云云 又云、「時ニ光・宝二法師ハ者、若シ↢什門之融・叡ノ↡焉。」
¬大乗対倶舎抄¼ (序意) にこの ¬論¼ の大意を釈していはく、 「四舎の幽鍵、 六足の明鑑なり。 諸法の体用、 凡聖の因果、 三十軸の内に辨じ尽す 矣。 印度の学者、 号して聡明論とす、 まことにゆゑあり」 と。 云々
¬大乗対倶舎抄ニ¼釈↢此ノ¬論ノ¼大意ヲ↡云、「四舎ノ幽鍵、六足ノ明鑑也。諸法ノ体用、凡聖ノ因果、三十軸之内辨ジ尽 矣。印度ノ学者、号而為↢聡明論0254ト↡、良ニ有↢所以↡。」云云
またこの ¬論¼ の意は、 声聞の三生六十劫の得道、 独覚の四生百劫の得道、 菩薩の三祇百劫の成仏、 ただ三乗の得道を明かす、 往生極楽の法を説かず。 ¬論¼ すでに往生の法を明かさず、 ゆゑに ¬論¼ を学す人、 往生の道を知らず。 聡明論と名づくといへども、 往生の義においてはなはだ聡明ならず。 巻軸そもそも繁しといへども、 四紙一軸の ¬阿弥陀経¼ にしかざるか。
又此¬論ノ¼意者、声聞ノ三生六十劫ノ得道、独覚ノ四生百劫ノ得道、菩薩ノ三祇百劫ノ成仏、唯明↢三乗ノ得道↡、不↠説↢往生極楽之法ヲ↡。¬論¼既不↠明↢往生之法↡、故学↠¬論ヲ¼之人、不↠知↢往生之道ヲ↡。雖↠名↢聡明論ト↡、於↢往生ノ義ニ↡甚不↢聡明ナラ↡。雖↢巻軸抑繁↡、不↠若カ↢四紙一軸ノ¬阿弥陀経ニ¼歟。
四分律宗 ¬十誦¼・¬僧祗¼ 等の律ありといへども絶えてこれを弘めず 云々
四分律宗 雖↠有↢¬十誦¼・¬僧祗¼等ノ律↡絶テ而不↠弘↠之 云云
¬四分律¼ 四十五巻あるいは六十巻。
この律に三家あり。 一には相州の日光寺の法励 ¬疏¼ 十巻を旧疏と号す 云々。 宗は ¬成実論¼ による、 二には西方太源寺の懐素 ¬開四分律宗記¼ 十巻、 宗は根本説一切有部による、 三には終南山の道宣 ¬行事抄¼ 三巻、 ¬六巻抄¼ これなり。
¬四分律¼四十五巻或六十巻。
此律ニ有↢三家↡。一ニハ者相州ノ日光寺ノ法励 ¬疏¼十巻号↢旧疏↡云云。宗ハ依↢¬成実論ニ¼↡、二ニハ者西方太源寺ノ懐素 ¬開四分律宗記¼十巻、宗ハ依↢根本説一切有部ニ↡、三ニハ者終南山道宣 ¬行事抄¼三巻、¬六巻抄¼是也。
¬諸家教相同異集¼ にいはく、 山王院 「律に両家あり。 一は疏家、 二は鈔家。 今間の律宗は鈔家をもつて高祖となす」 と。
¬諸家教相同異集ニ¼云、山王院 「律ニ有↢両家↡。一ハ疏家、二ハ鈔家。今間ノ律宗ハ以↢鈔家ヲ↡為↢高祖ト↡。」
およそ律宗の大意、 戒本・羯磨に出でず。 戒本とはすなはちこれ止悪、 羯磨とはすなはちこれ修善。 この止行の二善をもつて、 遠くは三乗の道果を期し、 近くは人天の果報を期す。 本律の文によるに、 さらに浄土を明かさず。 ゆゑに知りぬ ¬四分律抄¼ の瞻病送終篇に往生極楽を勧む。 これまさしく本律の意にあらず、 かたはらに ¬双巻¼・¬観経¼ 等の意によるなり。 ゆゑに知りぬ戒律をもつて本宗とする人往生を願求せざること、 まことにそのゆゑあるか。
凡ソ律宗ノ大意、不↠出↢戒本・羯磨ニ↡。戒本ト者即是止悪、羯磨ト者即是修善。以↢此ノ止行ノ二善↡、遠クハ期シ↢三乗ノ道果↡、近クハ期ス↢人天ノ果報ヲ↡。依ルニ↢本律ノ文ニ↡、更不↠明↢浄土ヲ↡。故知¬四分律抄ノ¼瞻病送終篇ニ勧↢往生極楽ヲ↡。是正非↢本律ノ意ニ↡、傍0255依ル↢¬双巻¼・¬観経¼等ノ意ニ↡也。故知以↢戒律ヲ↡為ル↢本宗ト↡之人不コト↣願↢求往生ヲ↡、良ニ有↢其ノ所以↡歟。
¬大宋高僧伝¼ 三十巻 賛寧・智輪
¬大宋高僧伝¼三十巻 賛寧・智輪
「訳経篇第一 梵を変じて花となす、 凡に通じて聖に入る。 法輪ここに転じ、 諸仏の師とするところなり。
「訳経篇第一 変↠梵成↠花ト、通↠凡入↠聖。法輪斯ニ転ジ、諸仏ノ所↠師トスル。
義解篇第二 文を尋ねて義を見る、 意を得て言を忘る。 三恵克く全くし、 二依まさに転ずべし。
義解篇第二 尋↠文ヲ見↠義、得テ↠意ヲ忘↠言ヲ。三恵克ク全シ、二依当↠転ズ。
習禅篇第三 修して无念に至る、 善悪すべて亡ず。 その亡ずるところを亡じて、 つねに安楽に住す。
習禅篇第三 修シテ至↢无念ニ↡、善悪都テ亡ズ。亡↢其ノ所ヲ↟亡ズル、常住↢安楽ニ↡。
明律篇第四 厳にして悪を息め、 正にして急に護る。 ますます三業を守ること、 かの金湯に同じ。
明律篇第四 厳ニシテ而息↠悪、正ニシテ而急ニ護ル。嬰守コト↢三業ヲ↡、同↢彼金湯ニ↡。
護法篇第五 家に良吏あり、 守蔵なんぞ虞らん。 法に名師あり、 外にその侮りを禦ぐ。
護法篇第五 家ニ有↢良吏↡、守蔵何虞ン。法有↢名師↡、外禦↢其侮リヲ↡。
感通篇第六 常理に逆ひ、 感じてつひに通ず。 世間を化して、 これを観るに測りがたし。
感通篇第六 逆↢於常理ニ↡、感而遂ニ通ズ。化↢於世間↡、観↠之難↠測。
遺身篇第七 捨を難じて損をなす、 施のなかの第一なり。 穢漏の体をもつて、 金剛身に回す。
遺身篇第七 難ジテ↠捨為↠損、施中第一。以↢穢漏ノ体↡、回↢金剛身ニ↡。
読誦篇第八 十種法師、 これを高大となす。 枸櫞花に染むれば、 果の時瓢赤なり。
読誦篇第八 十種法師、此為↢高大↡。染レバ↢枸櫞花↡、果ノ時瓢赤。
興福篇第九 おのがためにし他のためにす、 福生じ罪滅す。 有為の善、 その利博きかな。
興福篇第九 為ニシ↠己ガ為ニス↠他ノ、福生ジ罪滅ス。有為之善、其利博哉。
雑科篇第十 諸科を統摂し、 同じく高尚に帰す。 唱導の匠、 仏乗を光顕す」 (序) と。
雑科篇第十 統↢摂諸科↡、同帰↢高尚ニ↡。唱導之匠、光↢顕ス仏乗ヲ↡。」
あるいは唐の ¬続高僧伝¼ 義解篇 倶舎・成実・三論・地論・摂論等の諸宗を摂す 云々
或0256唐¬続高僧伝¼義解篇 摂↢倶舎・成実・三論・地論・摂論等ノ諸宗ヲ↡云云
¬大宋高僧伝¼ この篇天台智威以下の諸師、 ならびに法相・花厳・新倶舎・大仏頂等の諸宗これを摂す 云々。
¬大宋高僧伝¼ 此篇天臺智威已下諸師、并法相・花厳・新倶舎・大仏頂等ノ諸宗摂↠之 云云。
¬続高僧伝¼ 習禅篇 これに七家あり
一に僧稠禅師、 二に達磨禅師、 三に道正禅師、 四に三階禅師、 五に恵瓚禅師、 六に南岳恵思禅師、 七に道綽禅師。
¬続高僧伝¼習禅篇 此ニ有↢七家↡
一ニ僧稠禅師、二ニ達磨禅師、三ニ道正禅師、四ニ三階禅師、五ニ恵瓚禅師、六ニ南岳恵思禅師、七ニ道綽禅師。
¬大宋伝¼ の習禅には、 ただ達磨一家の師資相承なり、 余の禅師を列ねず 云々。 ゆゑに知りぬ南岳・天台をもつて ¬唐高僧伝¼ には禅師となし、 ¬大宋伝¼ には法師となす。 一宗のなかに定恵・教観の二門を兼ぬるゆゑに、 禅観の辺に従ひて禅師となし、 教恵の辺に従ひて法師となす 云云。 明律篇は律宗なり。 もし山家によらば、 律を分ちて二となす。 一には大乗律宗、 二には小乗律宗なり。 大小律宗ともにこの一篇に摂す。 ただし三部の高僧伝は、 みなこれ小乗律なり。 大乗律をもつて義解篇となすなり 云云。
¬大宋伝ノ¼習禅ニハ、唯達磨一家師資相承也、不↠列↢余禅師ヲ↡ 云云。故知以↢南岳・天臺↡¬唐高僧伝ニハ¼為↢禅師ト↡、¬大宋伝ニハ¼為↢法師ト↡。一宗之中兼↢定恵・教観之二門ヲ↡故、従テ↢禅観ノ辺ニ↡而為↢禅師ト↡、従テ↢教恵ノ辺ニ↡而為↢法師ト↡ 云云。明律篇ハ律宗也。若依ラバ↢山家ニ↡、分テ↠律為↠二。一ニハ大乗律宗、二ニハ小乗律宗ナリ。大小律宗倶ニ摂↢此ノ一篇ニ↡。但三部ノ高僧伝ハ、皆是小乗律也。以↢大乗律↡而為↢義解篇ト↡也 云云。
浄土初学抄 ▽