十四(542)、 熊谷の入道へつかはす御返事
▲熊谷の入道へつかはす御返事 事第十四
○御文くはしくうけ給はり候ぬ。 か様にまめやかに、 大事におぼしめし候らん。 返々ありがたく候。 ま事にこのたび、 かまへて往生しなんと、 おぼしめしきるべく候。
◇うけがたき人身すでにうけたり、 あひがたき念仏往生の法門にあひたり。 娑婆をいとふ心あり、 極楽をねがふ心おこりたり。 弥陀の本願ふかし、 往生はたなごゝろにあるたび也。 ゆめゆめ御念仏おこたらず、 決定往生のよしを存ぜさせ給ふべく候。 何事もとゞめ候ぬ。
◇九月十六日 源空 ▽