1227◎領0219解文
◎▼*もろもろの雑行雑修自力のこころをふりすてて、 一心に阿弥陀如来、 われらが今度の一大事の後生、 *御たすけ候へとたのみまうして候ふ。
*たのむ一念のとき、 往生一定御たすけ治定と存じ、 このうへの称名は、 御恩報謝と存じよろこびまうし候ふ。
*この御ことわり聴聞申しわけ候ふこと、 御開山聖人 (*親鸞) 御出世の御恩、 次第相承の善知識のあさからざる御勧化の御恩と、 ありがたく存じ候ふ。
*このうへは定めおかせらるる御掟、 一期をかぎりまもりまうすべく候ふ。
本願寺釈*法如 (花押)
右領解出言の文は、 信証院*蓮如師の定めおかせらるるところなり。 真宗念仏行者、 1228すでに一念帰命、 信心発得せる領解の相状なり。 このゆゑに古今一宗の道俗、 時々仏祖前にしてこの安心を出言し、 みづからの領解の謬りなきことを敬白するなり。
しかるにこのごろその後生の一大事を*軽忽し、 みづからたしかに弥陀をたのみたる一念の領解もなく、 またこの領解文をも*記得せざる類あり。 あるいは記得し出言しながら、 ▲心口各異にして慚愧せざるのものあり。 はなはだ悲歎すべきところなり。
こひねがはくは一宗の道俗、 この出言のごとく、 一念帰命の本源をあやまらず*如実相応して、 すみやかに一大事の往生を遂ぐべきものなり。
このゆゑにいまひめおきし蓮師 (蓮如) の真蹟を模写し印刻して、 家ごとに伝へ、 戸ごとに授けて、 永く浄土真宗一味の正意を得せしめんと思ふものなり。
*天明七丁未年四月 釈*文如これを識す (花押)
底本は龍谷大学蔵天明七年法如上人証判本ˆ聖典全書の対校本Ⓐ。 全書の底本は大阪府光善寺蔵伝蓮如上人書写ˇ。
もろもろの… この一段は安心を顕す。
御たすけ候へとたのみ 「御たすけ候へ」 は 「たすけたまへ」 に同じ。 →
たすけたまへ、
たのむ
たのむ一念… この一段は報謝を顕す。
この御ことわり… この一段は師徳を述べる。
このうへは… この一段は法度を守るべきことを明かす。