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▼そもそもたゞいまこのあなたのひろ縁にきたりあつまる0466ひとびとは、 なにの要ありてかよなよなにかぎりあつまるぞとおもふに、 おほよす仏法の次第聴聞のこゝろざし歟。 そのほかはなにの所用ぞや。 そのこゝろざしならば、 安心の肝要のこゝろえのやうをかたるべし。 それをよくよく耳にたもちて、 われわれのいへいへへかへるべし。 それ当流の安心といふは、 なにのやうもなく一向に弥陀如来このたびの後生御たすけ候へとひしとたのまんひとびとは、 みなともに極楽に往生すべきことうたがひなし。 たゞしもろもろの雑行のこゝろをふりすてゝ、 一心にかたまりて弥陀をたのまば、 十人も百人もことごとく報土に往生せんこと一定にてあるべし。 この分をよくよくこゝろえわけてみなみなかへりたまふべし。 あなかしこ、 あなかしこ。
明応七年九月 日