(146)
▼当流念仏行者の安心決定せしむるすがたをたづぬるに、 南无阿弥陀仏の六字のこゝろをよくよくしりたるをもて、 安心決定ともまた真実信心の行者ともなづくべきものなり。 そのゆへはいかんといふに、 たとへば人ありて、 われらごときのあさましき一生造悪の罪障の身なれども、 阿弥陀仏御たすけさふらへとふかく一念にたのみたてまつらんものをば、 かならず十人も百人も、 みなことごとく御たすけさふらふべきものなり。 これさらにうたがふこゝろあるべからず。 かやうにやすくたのむ一念の力にて御たすけさふらふことのたふとさうれしさをおもはゞ、 行住座臥に念仏まふすべきものなり。 あなかしこ、 あなかしこ。
明応五年七月十四日