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▼抑今月廿八日は開山聖人遷化之御正忌として、 往古より毎年をいはず、 此一七ヶ日之念仏勤行その退転なく、 報恩謝徳之忠勤をぬきいづるところなり。
-而る
-たゞ人まねばかりにして、 名門のこゝろをかまへて、 そこばくの大義をおこし、 はるばるの遠路をしのぎ、 此寒天に上洛をいたすといふとも、 誠以 「水入て垢をちず」 といへる
-しかりといへどもたとひ今日までも其こゝろわろくして未安心之人ならば、 則ち当座にをいてその不審をいたし、 その真実の信心をとらんとおもふべし。
-たゞ座帯にあつまりて、 无言之体にて悪心をも改悔廻心せずして
-あなかしこ、 あなかしこ。
文明十三年十一月廿四日
▼このこと葉 かきをく筆の 跡をみて 法のこゝろの ありもとぞせよ