底本は高田派専修寺に蔵せられ、 数の単位 (名目) と十悪とが一葉に記されている。 「数名目」 については、 万以上の桁が墨書で、 億・兆・正・載と摘出されており、 「兆」 の下には、 更に朱筆で 「載」 と記し 「兆載」 と連続して書かれていることから、 ¬大経¼ における法蔵菩薩の修行の 「兆載永劫」 に関する備忘録ではないかと推察される。 また朱筆で書かれた 「載」 の字と、 「億」 と 「兆」 とに付された右左仮名は別筆と見られる。 なお文中の 「支垂」 との記述の意味は不明である。
 「十悪」 については、 十悪の列記であるが、 「綺語」 には 「ウタヲヨミイロヘコトバヲイフ」 との左仮名が示してある。 高田派専修寺蔵 ¬尊号真像銘文¼ 正嘉本末尾や滋賀県光延寺蔵 ¬浄土文類聚鈔¼ 末尾に、 これと同様の記述がある。