本書は、 本願寺派最大の安心上の騒動であった三業惑乱に際して、 第十九代宗主本如上人が出された消息である。
内容は、 三段に分かれ、 第一段においては、 経論所説の他力の信心を、 親鸞聖人は、 「ふたごころなく疑ひなし」 と無疑の信楽をもって示し、 その信心の相を蓮如上人は、 ¬御文章¼ のなかで、 「後生御たすけ候へとたのみたてまつる」 と教えられたとして、 信楽帰命説が正義であると決択されている。
第二段において、 三業帰命説を異義とし、 信決定の年月の覚不覚を論ずることの誤りであることを指摘される。
第三段においては、 迷心をひるがえして本願真実の他力信心にもとづくよう教化して全体を結ばれる。
前後十年間にわたった三業惑乱の騒動に、 教義上の決着をつけられた消息である。