古写消息
 親鸞聖人の御消息は、 早くから門弟達によって書写されており、 六通が高田派専修寺に所蔵されている。 このうち特に注意すべきものは、 顕智上人 (1226-1310) 書写による二通の御消息である。 一通は、 「しんぼう (善鸞ぜんらん) 義絶状」 であって、 単独で伝わり、 他の消息類と重複しないものである。 げん三 (1305) 年七月に顕智上人が八十歳のとき書写したものであり、 善鸞事件以後四十九年を経てからのものである。 もう一通は、 いわゆる 「ぎゃくとくみょうごうねんほうしょう」 で、 正嘉二年に当時三十歳の顕智上人が、 三条富小路の善法ぜんぽうぼうで親鸞聖人から聞書した法語の写しである。 同文が顕智上人の ¬聞書ききがき¼ や ¬見聞けんもん¼ などにも収録されている。