龍谷大学蔵建長五年刊本は、 刊記に 「建長五年在歳癸丑四月肇雕九月畢功 願主道妙」 とあり、 建長五年、 道妙の発願により刊行され、 続く刊記には 「今以送唐本開版鏤印」 とあることから、 翻刻の際、 遣宋本を底本としたことが知られる。 当本は本願寺に古くより伝来した一本であり、 ¬存覚袖日記¼ に記される ¬往生要集¼ と、 紙数や調巻、 体裁が一致することから、 存覚上人所覧本とする説もある。
 体裁は粘葉装六帖、 半葉六行、 一行十七字である。 摺写の状態は鮮明で、 初刷りに近いのではないかと思われる。 全帖にわたって墨書で訓点が付加されている。 なお、 建長五年刊本は三重県津市の西来寺ほかに数本現存している。