◎観経等に依って般舟三昧行道を明かす往生讃 一巻
【1】 ^謹んで、 すべての往生をねがう*
^また、 いろいろの*
^もし、 善を行ずる人を聞見したならば、 すなわちその善をもってこれを助けよ。 もし、 教えを行ずる人があるのを聞見したなら、 これを讃めよ。 もし人が行を説くのを聞いたならば、 その行によってこれに順え。 もし、 人のさとりあることを聞いたならば、 そのさとりについてこれを喜べ。
^どういうわけでそうするのかといえば、 みな同じく諸仏をもって師匠とし、 仏法をもって母としてそだてられ、 同じように
^
^迷いのものは悪業にまかせて走り
その造った業によって深坑に堕ちる
^この*
自らを損ない また他の人を損なって
^とこしえに
盲亀が浮べる木に遇うような仏縁はとこしえにない
^行者たちは、 必ず一切の凡夫や*
^問うていう。 すでに三業の清浄なのは、 これが浄土に生れる正因であるというならば、 いかように行業をつとめるのを清浄というのか。
^答えていう。 一切の善くないことは、 自分や他人の身口意の三業において、 すべて断ち切って行わないのを、 これを清浄と名づける。 また自分や他人の身口意の三業に相応するところの善について、 上上の*
^また浄土に生れようとするならば、 必ず自分も励み、 また他人をも勧めて広く浄土の*
【2】 ^また問うていう。 般舟三昧楽とは、 これはどういう意味であるか。
^答えていう。 梵語で般舟といい、 こちら (中国) では翻訳して常行道という。 あるいは七日、 または九十日など、 たえまなく身に行ずることを総じて三業*
【3】 ^般舟三昧の楽しみ
どこへ行ってもただ
清浄に荘厳せられた*
^娑婆を*
^あるいは*
あるいは菩薩のさとりの因を説かれた
^あるいは*
人・法二つの*
鈍根無智なものは悟りがたい
一万劫の間修行して*
^¬*
すなわちこれ
^一日あるいは七日専ら仏名を称えるならば
命が終ってすみやかに*
すなわち不退を得て*
^一万*
しばらくの間にも多くの*
^もしこの娑婆で無生法忍を
六道を回って*
^貪欲・瞋恚はすなわちこれ迷いをへめぐる業である
煩悩がどうして無生法忍を得る因となろうか
^この貪欲・瞋恚に焼かれる苦しみを
走って弥陀の浄土に生れるにしくはない
すみやかに王位を捨てて*
家を出でて道をおさめ*
^ここにおいて四十八願を起され
一々の*
広く平らかに限量なからしめよう
^われさとりを得てその中央に坐し
未来際をつくして衆生を済度しよう
光の至るところはみなその利益をこうむる
^一々の光明は絶えず照らして
念仏往生の人を求めて照らす
^十方諸仏の国に比べて考えるならば
極楽は身を安んずること
【5】 ^般舟三昧の楽しみ
釈迦如来は慈悲のお心深くまします
^本師釈迦仏はあらゆる行を修して
長きにわたって衆生を救われる
^すべての仏たちが衆生のために方便を設けたもうことは
またこの世界に出られた釈迦仏と同様である
^衆生の根機に随って法を説かれ みな利益をこうむり
おのおの
^法門分れて八万四千となるものは
迷いの因果を滅するためである
わずか一声称えるところに罪はみな除かれる
【6】 ^釈迦如来が因位に菩薩の行を修せられた時
すみやかに身も財産も捨てて妙法を求められた
^長時長劫のあいだ
仏の御言葉に随って誓って修行され
^三業に専らたえまなき行をおさめ
誓って無上菩提のさとりを開かれた
^無上のさとりを開かれて
身を百億に分けて衆生を済度された
^仏は一つの
おのおの悟りによって*
^般舟三昧の楽しみ
釈迦如来の教えに随え
【7】 ^仏教は別れて八万四千の法門となっている
これはまさしく衆生の根機に差別があるからである
^わが身を託す常住の処を得たいと思うなら
まず要行を求めて真門に入れ
^*
一万劫の修行をして*
^この世で命の終るまで専ら念仏せよ
命が終ればたちまちに仏が迎えて連れて行かれる
^一たび食事をする間にもなお煩悩がまじわる
どうして一万劫の間も貪瞋の心を起さずにおられようか
^貪欲・瞋恚は人天の果報を得ることをさまたげ
*
念仏や戒行を必ず回向すべきである
^戒行を専らにつとめるなら諸仏はこれを讃めたまい
臨終に
三界六道は永くその名も除かれる
遂に退転せずして*
手に香や華を持って常に供養したてまつる
^一念一時も大衆と共に聴いて
百千の*
その定の中にあって み
^百宝よりできた荘厳は
とこしえに供養して仏の慈恩を報ずる
^久しき間の多くの悪業は智によって滅し
いつの間にか自然にさとりの門に入る
^大小恒河沙劫の長い間も
また指をはじくようなわずかの間である
^このように
さらに何事を貪って浄土を求めないのであろうか
地獄の苦しみを受ける因縁を増すばかりであって
どうしてこれが迷いを出るさとりの因となろうか
*
^父母に孝養を尽さずわが眷属を罵り
地獄に堕ちて逃れる時がないであろう
^曠劫よりこのかた苦海に沈み
西方浄土に入るみ
^たとい人身を得たとしても多く障りがあって
仏の教えを受けつけず かえって疑いを生ずる
^六方の如来は深い慈悲をもって
心を同じくしてみな西方往生を勧められる
^長く病んだり遠くへ行ったりして日をはかられぬから
念仏するにいとまがないという
^このような人は済度しがたい
*
【8】 ^専ら ¬阿弥陀経¼・¬観無量寿経¼ の法を読むがよい
文々句々に西方浄土のことが説かれている
^地下の
^万億の宝の珠は互いに映りあい
おのおのすぐれたありさまを現す
^上の衆宝荘厳の地を照らし
いろいろな色を
^自身の光明は紫金色で
足は地面を
^この無生宝国の浄土に生れることができるのは
みなこれ阿弥陀仏の*
^一切の時に妙なるみ法を聞き
煩悩や罪障が起ることがない
手を携え 互いに
^念々のうちに法楽を受けて
たちまちのうちに百千の法門をさとることができる
^大衆よ 心を同じくしこの世界を厭え
仏の願力に乗託すれば阿弥陀仏を見たてまつるであろう
^たちまち思量すれば心髄が痛む
はかりなき昔よりいたずらに疲労して来たことよ
^この身に浄土の法を聞いたことを慶び
身命を惜しまずしてつとめて西方浄土へ往生しよう
^西方浄土は無為の楽しみを受けるところで
天上界や人間世界に比べるものがない
西方浄土の人の一相にも及ばない
身の光はあまねく十方世界を照らす
^世間の帝王より第六天に至るまで
音楽が順次に勝れていることは億万重である
^浄土の宝林の枝が互いに触れあえば
第六天の音楽はその一種にも及ばない
^時によって供養の香風が起り
樹を払うと華が飛んで宝池に落ちる
^童子がこれを取りおわって船とする
^船に乗ってただちに蓮華の会座に入ると
化仏・菩薩が衣を与えて
^おのおのが香華を
おもむろに遠くへ散らせば変じて雲となる
^宝の雲の荘厳はすなわち大地を覆う
そこで宝の
^たまたま往生の善知識に遇って
浄土や弥陀の名を聞くことができて
^仏の願力によって往生して互いに見ると
常にこお国にどとまってまた娑婆に還る必要がない
^
足の下より光を輝かすことは日月に超えすぐれている
^菩薩の集まる数は窮め尽すことができない
おのおのの身光が互いに照らしあう
^新しく往生した人は紫金色に輝き
もろもろの大衆と異なるところがない
^あるいは宝楼に入って大衆の中に坐す
大衆これを見てみな喜ぶ
^いろいろの荘厳は
内外互いに
^足を
三昧や無生法忍を自然にさとる
【9】 ^地上の荘厳はいろいろの宝がまじっている
いろいろな色の互いに
^華台の宝座がいたるところに満ち
思いのままに坐ると光が来たって照らす
^百千の童子や菩薩がたが
おのおの香華を捧げて池に臨んで看る
^あるいは坐りあるいは立って池や
あるいは
^あるいは
あるいは腰のあたりを没しあるいは身に水をかけ注ぐ
^あるいは金の華や百宝の葉を取って
岸の上にいて池を看る人に与える
^千万種の香華を受けて
それらを阿弥陀仏の説法の会座の上に散らす
^散らした華は華蓋と変じ
自然の音楽がめぐること千重である
^宝鳥は声を連ねて清浄な音楽をかなで
一切の見る人は大慈悲の心を起す
^わたしが今この浄土に来たのは仏の願力による
同縁同行の人は
^あまねく
同行は互いに親しんで往生の願いを退転しないでほしい
^専ら ¬阿弥陀経¼・¬観無量寿経¼ などを誦し
仏を礼拝し観察してことごとく回向すべきである
^いつも相続してこれらの行を
死に至るまで専らつとめよ
^一たび弥陀の浄土に至るならば
無上の楽しみを受けすなわち*
^涅槃の
その色を見 香をかぐと罪障が除かれる
^空中に飛んで神通をあらわし
浄土の不思議なことを讃歎する
^あるいは香華を散らして仏を供養し
弥陀の慈恩を報ずる思いが尽きない
^釈迦如来のお力によらなかったならば
弥陀の浄土のいわれをどうして聞くことができようか
^衆生の障りが尽きることを聞いてみな喜び
すみやかにもろもろの悪を断って願うて往生を求めよ
^般舟三昧の楽しみ
誓って今生に仏の教えに順い
^行住坐臥に専ら念仏し
一切の善業をあわせて回向せよ
臨終の時にすなわち金剛の
^一切の時に西方を望んで礼拝し
凡夫と仏との心があい向かうことを表せ
^仏は衆生の心の乱れることを知って
ひとえに正念にして西方に心をかけることを教えられる
^弥陀の浄土の遠い近いを知らない
仏は 「浄土は十万億土を超えている」 とのたもう
^
わずか指をはじくほどの間に浄土の宝池に入る
^ただ嘆かわしいことは衆生が疑ってはならぬことを疑うことである
浄土はわれらを待って拒むことはない
^阿弥陀仏がお救いくださるか否かをいうには及ばぬ
ただ専ら心を向けるか向けないかにある
臨終の時に華蓋がおのずから来たり迎える
^仏に従い蓮華に乗じて宝国に入り
もろもろの大衆を見て無生のさとりを得る
^一々の宝楼に
宝楼の内外の荘厳は知りつくすことができない
^鳥はよい声を出し菩薩は舞い
童子は歓喜して神通をあらわす
^わが娑婆から往生した者のために
種々供養してこれを喜ばせる
^仏は往生人をひきいて浄土を見せしめる
到るところただこれ不思議である
【10】^地上にも虚空にも聖者が
宝珠の
^そよ風がこれを吹いて妙なる響きを出し
その声の中にみな
^浄土の樹を見 波の音を聞いて無生法忍をさとり
童子は華を持ってとりかこみ これを讃嘆する
^弥陀のおそばに立って説法を聞き
^浄土の菩薩たちに随って行くに
すべてこれ無為涅槃界である
^一仏の国ではみな法を聞き
他方世界に遊んでは供養を修する
^浄土にとどまろうと思えばわずか一度の食事でも千劫を超え
わが娑婆の念仏の行者を
^大地を微塵にくだいてもなお数限りがあるが
十方の仏国は窮めることができない
^一々の仏土の荘厳がみな清浄であることは
また極楽のようで異なるところがない
^一切の如来は見て歓喜せられ
菩薩聖衆は
^あらゆる荘厳は極楽のごとく
いろいろな神通をあらわすにさまたげがない
^地上にも虚空にも説法の声があまねく満ち
その声を聞いてみなさとりを得る
^般舟三昧の楽しみ
念仏を相続して師恩を報ぜよ
^銭財を施して功徳を積んでも
*
^あまねく衆生に教えて念仏せしめ
自分や他人の功徳をあわせて回向せよ
^心を
独り三界を超えて
^臨終には仏の華台が至るのを見て
たちまちに宝池の会座に入る
^蓮華の大衆はみな歓喜し
清浄な衣を与えて意のままに着させる
^菩薩や声聞が
一たび仏を礼拝すると無生をさとる
^阿弥陀仏がもろもろの仏弟子に告げていわれる
「極楽と かの三界とはどのようであるか」 と
^新しく往生した者はみな答えようと思うが
合掌しながら涙にむせんで言うことができない
^娑婆の長い苦しみを免れることができて
今日弥陀仏を見たてまつることはひとえに釈迦如来の御恩である
^般舟三昧の楽しみ
仏のお言葉に順随すれば阿弥陀仏を見たてまつる
^あまねく共に往生せんとする
同行は互いに親しんで離れてはならない
^父母妻子は百千万あろうとも
これはさとりのよい因縁ではない
^念々に互いにまといあって悪道に入る
分かれて別々な
毛で
^慶ばしいことには人間に生れて尊い法を聞き
すみやかに迷いの境界を捨てて弥陀の本国に帰ることである
^如来とあい
菩薩や声聞と会うこともまたそうである
^あるいは連れだって遊行し林に入って眺め
あるいは華台に坐し また
地面も虚空も光が互いに照らしおうている
^そこで神通をあらわしてあまねく仏国に至り
処々に無数の法会を供養する
^一々の大会は人の入るに随い
入る処ただ
その三昧を出ないで種々の神通をあらわす
^神通によって一々の仏会に到り
その会その会に法を聴いて無生をさとる
^般舟三昧の楽しみ
極楽は身をおくのに
^黄金の
真珠の宝閣が百千に並んでいる
^重々の羅網が互いに映りあってかがやき
宝縄が互いに交わって鈴や
^昼夜に香風が時々これを動かして
その声がいずれも三宝の名を讃えている
^かの国の衆生は心眼がすぐれて
一を聞いて百千の法門をさとる
^般舟三昧の楽しみ
処々に身をおくに浄土にしくはない
^多くの童子と共に空に遊び戯れ
手には香華を散じて心に仏を供養する
一切の荘厳の光もみなそのようである
^あるいは楽器を奏でて仏を供養するに
化仏は慈悲をもってはるかに*
^同じく浄土に生れた
華に乗じてただちに虚空の説法の会座に入る
^会座の数は無億数で
彼此互いに往来するのにさまたげがない
^一切の時に常に法を説いておられる
それを見聞し歓喜すれば罪がみな除かれる
^弥陀仏も聖衆もみな金色の御身で
光と光とあい照らして心を知り合う
みなこれは阿弥陀仏の願力によって成就されたのである
^地上にも虚空にも人が遍満し
神通の転変するのを自然に知る
^あるいは華の楼や宝の雲の
あるいは化現の鳥が声を連ねて法音を奏で
^法音が響き
かの浄土の人天はそれを聞いてすなわち悟る
^一劫・多劫・長時劫の長い間
ただ法の楽しみを受けることは思い
【11】^般舟三昧の楽しみ
極楽荘厳の門はことごとく開かれている
^あまねく願う 縁あって同じく念仏する行者よ
専心にしてただちに浄土に入ることを疑ってはならぬ
^一たび弥陀の安養浄土に到れば
浄土は元来これわが阿弥陀法王の家である
菩薩の
^あるいは歩みあるいは坐するにもみなみ法を聞き
あるいは去りあるいは来るのにいずれも
^あるいは宝池に入って身の
あるいは乾いた岸辺の宝沙の中にいる
^水を
その声の中にもっぱら慈悲の法を説いている
^功徳の水は清く澄んで千万里もあり
宝沙はすき
^四方の岸の荘厳は七宝をまじえており
宝池の底に
^その色はみな異なり光を輝かし照らしている
宝樹は華を飛ばして水中に落ち
【12】^樹々は
^根や茎・枝・葉は七宝をまじえ
一々の宝より無数の光を流している
^そよ風が起るとき互いに触れ合う音は
第六天の音楽もとても比べものにならない
^化仏菩薩の多くの方々が
一々の樹の下でさとりの声を聴く
【13】^般舟三昧の楽しみ
一たび浄土に入れば退くことなくさとりに至る
^宝地は
一々の宝から百千の光を出している
^一々の光が宝の台座となり
光が変じて百千億の楼をあらわすのである
^化現の天童子はその数を窮めることができない
すべてこれは念仏往生の人である
^あるいは宝の台座に登り宝楼の中で遊び
飢えず渇かず湛然として常住である
^あるいは光明の百宝の宮殿に入り
まさしく大会につらなって弥陀を讃めたてまつる
^あるいは言う 今から仏果を得るまで
ながく仏の徳をたたえて慈恩を報じよう
^阿弥陀仏の弘い誓いのお力を蒙らなかったならば
いずれのときに娑婆を出ることができようか
^浄土に至ってからはいつも法の楽しみがあって
遂に十悪の声を聞かない
^眼には如来を見たてまつり耳には法を聞き
身は常に仏につき従って喜びまた悲しむ
^どうして今日浄土に至ることを期することができようか
^もし本師釈迦仏の勧めによらなかったならば
弥陀の浄土にどうして入ることができようか
^般舟三昧の楽しみ
浄土に生れて師恩を報ぜよ
^あまねく有縁の僧俗たちに勧める
かならず心を専らにして仏の教えを行ぜよ
^心を専らにして仏名を称え経を
浄土の荘厳を礼拝し讃嘆して乱れることなく
^行住坐臥に心相続すれば
極楽の荘厳は自然に見られる
^あるいは憶想しあるいは観察して罪障を除くことは
みなこれ阿弥陀仏の*
^仏のお力によるから三昧が成就し
三昧が成就して心眼が開けると
^諸仏の境界であって凡夫の境界を越えている
ただ知って自分を
^十方の如来はそれぞれ舌を
*
^弥陀が往生人を迎えて大会に入り
そこで六道*
^「あるいは人天の果報を得ることがあっても
飢餓困苦しあるいは体に
^そのとき阿弥陀仏および聖衆がたは
往生人が苦しみを述べるのを聞いてみな
^弥陀はもろもろの仏子に告げていわれる
「自ら業因を造り自ら報いを受けるのだから他を
^般舟三昧の楽しみ
変りない浄土にはとこしえに憂いはない
^涅槃・快楽・
貪欲・瞋恚の*
^百宝の蓮華台に意のままに坐し
坐するところには聖衆が数限りなく
^童子は供養し声聞はほめたたえ
鳥は空を百千遍とめぐってさえずる
^一たび坐り一たび立つわずかの間に
数限りない今までの業がことごとく除かれる
^あるいは清浄な衣を散らして地面を覆い
衣の上に互いに宝の華香を散らす
^聖衆たちが歩く時 その上を踏むと
衣や華が体に触れて*
^内も外も透きとおって明鏡のようであり
煩悩はついに起ることがない
^念々にただ浄き三昧を増し
*
^般舟三昧の楽しみ
煩悩はとこしえに絶えてあいおかすことがない
あるいは紫金でできた宝地があり
^あるいはまた黄金でできた宝地があり
あるいは透きとおる*
^あるいは千宝をもってかざられた宝地があり
あるいはさらに無数の宝でできた宝地がある
^一々の色の光が互いに輝いてあい照らし
十方より来た者はみなその上を歩く
^行くもとどまるも
公のことも私のこともすべて憂いがない
^あるいは百千の神通を現じて
すべての会座をあまねく回って供養する
^あるいは香雲の千宝の蓋をなして
この雲のうちから香華を雨ふらす
^種々の荘厳が
いたるところに不思議をあらわす
^般舟三昧の楽しみ
命おわってすぐに
^宝樹・宝林の列はいたるところに満ちている
一々の林樹はことごとくかざられてある
^根と根とあい対し 茎と茎もむかいあう
枝と枝とがあいしたがい
^節と節とがあいめぐり 葉と葉と互いに次第している
華と華とあい向かい 果も互いに対している
^光明は輝いて自他の国を照らし
照らすところ
^光がよく不思議のことを現す
すべてこれは弥陀の願力のなすところである
^林樹の行列の間には宝の
一々の界には宝楼が互いにあいまじわっている
^重々の羅網は清浄な音楽をかなで
ほとりなき楼内の人を供養する
【14】^般舟三昧の楽しみ
身命が終るまで仏前に生れることを期せよ
^たちまちにかの浄土の楽しみを考えると
誰でも往生できることを疑ってはならぬ
^金剛無漏の荘厳の大地は
明らかにあい照らすこと千の日輪よりも超えすぐれている
^弥陀の願力の荘厳の地には
^一つの大宝王の蓮華ができている
^
一つの葉には百千億の*
^一々の摩尼珠の光には千の色があり
上には虚空を照らして天蓋を作り現している
^八万の金剛が台の上に布かれ
真珠の宝網が華を覆うて包んでいる
^四本の
^すぐれた真金色の功徳の御身を顕していられる
^一たび華台に坐してはいまだかつて動かれることなく
いついつまでも衆生を済度される
^あまねく衆生にすすめる いつも憶念して
行住坐臥に心に常に仏を見たてまつることを
^仏身は円満であって背相がなく
十方から往生する人々はみな正面に
^すべての者が浄土を願い心を傾け相続して念ぜよ
そうすれば有縁の人の心眼の前に現れたもうであろう
^浄土の不思議のことを見ることができるのは
みなこれ仏力が遥かに*
一々の荘厳はまた阿弥陀仏のようである
^四本の
宝の
^三つの蓮華のみがはるかに衆座に超えすぐれ
阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩の三身が対坐して最も尊くまします
^本国や他方世界の菩薩がたは
すべての時に
^このような大海塵沙のごとき広大な会座に
衆生は往生してその中に入るのである
^これは口で述べるだけで かしこに生れるのではなく
かならず専ら身命を惜しまず行ずるからである
【15】^幾重にも重なる宝楼は人間が造ったものではない
宝幢や樹林もまたみなそうである
^
そよ風がしばらくそれに触れると浄らかな音楽をかなでる
^法の響きが心にそそぎ毛孔に入って
そこで恒河沙の三昧の門をさとるのである
^一々の
あるいは開きあるいは合している
^人は無数であるいは坐りあるいは立って互いに招き喚びあい
競って香華を取って互いに供養する
^あるいは語りあるいは笑って身も心も楽しみ
娑婆世界の念仏の同行人を思う
^そこでおのおのが誓いをおこし はるかに加被して
心を西方にとどめて退かずすべて浄土に来るように
^一たび浄土に到ればすなわち清虚の楽しみを受ける
清虚はすなわちこれ涅槃の因である
^わが心が衆生を憶念することをあらわして
おのおの半座を分けて往生人に与える
^共に仏道を行ずるものは連れだって十方世界に遊ぶ
十方世界はすなわちこれ如来の国である
^一々の仏国に無数の説法の会座がある
菩薩は身を分ってそれらの会座で法を聞き供養する
^諸仏の慈悲のみ光のお照らしを蒙ることを得
頂をなでられ記別を受けて
^
本国に帰ろうと思えばたちまち帰る
^
本国も他方もまた別がない
^すべてがこれ涅槃平等の
諸仏の智慧もまた同様である
^般舟三昧の楽しみ
到る処すべてこれ法王の家である
^供養しおわって記別を受け安楽浄土に還り
無量の
^多くの数限りない菩薩がたと共に
虚空に遍満して来たりて供養する
^あるいは衣や華を散らせば変じて天蓋となり
あるいは音楽を奏でると変じて雲となる
^その現れた
一食をとる間に安楽国に到ると
^安楽の衆聖たちは遥かに見て
これは他方の同行人であると知り
^おのおの
導いてただちに弥陀の説法の会座に入らせる
^他方の菩薩は同じく仏を礼し
華を持って仏を百千重にとりかこむ
^あるいは香華を散じて浄らかな音楽を奏で
また神通をあらわして虚空に満ち
^光と光はあい照らして仏を供養し
異口同音に極楽を讃嘆する
^弥陀仏はその時に慶びの
その御身より放つ光明があまねく十方世界を照らす
^放つところの不思議の光は尽きることなく
その光が還ってまた弥陀の会座を照らす
^照らしおわって光が仏の頂上より入ると
大衆はみな記別を授けられる光であることを知る
^また光が収まりおわらないうちに弥陀仏はほほえんで
あまねく大衆に告げられる 「専心に聴けよ
^我は今そなたたちに
久しからずしてすべて成仏するであろう」 と
^本から浄土にいる者も他方から生れた者も
遭い難い尊い法を得たことを慶ぶ
【16】^永き娑婆の苦難を免れることは
とりわけ釈尊のお導きの御恩である
^種々のおはからい巧みなてだてをもって
^一切の善根は回向して往生を得る利益はあるが
専ら弥陀の名号を弥えるにしくはない
^念々に称名して常に懴悔せよ
人よく仏を念ずるならば仏もまた知ってくださる
^衆生と弥陀と互いに憶念しその
すなわちこれ衆生のもっともすぐれた力である
^「ただ心を浄くさえすればここがすべて浄土である」
という他の人の言葉を信用してはならない
^もしここが同じく諸仏の国であるというならば
どういうわけで六道のものが生れたり死んだりするのか
【17】^とげ・いばらの林は三界に満ち
山河や大地も同じくみな高低がある
^水・陸・虚空に生きるものの心は
同じように無明煩悩があり貪欲・瞋恚をいだく
^念々に財や色を貪り求めて苦しみ
^盛んなる火は四面同時に起り
業の風の吹くに従って苦の中に落ちる
^火の最もはげしい地獄の四門の外に
門のいずれにも八万四千の
^一々の隔の中に人々が到れば
無数の責め道具がその中にある
^罪人の身体から煙炎が起り
飛輪・刀剣が縦横に身に入る
^すべての地獄に同じくこの苦しみがある
いずれの時にこの苦しみの止むことがあろうか
^般舟三昧の楽しみ
三途はとこしえに絶えてその名さえもないことを願う
^七重の鉄城に七重の網があり
幾重にも重なった城の内に鉄の林樹がある
^樹々の
その葉や華や
^飛輪が上に踊り上ってはまた下におちる
^重々の門のほとりに八万の釜があり
とけた銅や鉄の汁が沸くこと泉のようである
^沸き
ただちに門の外千由旬にとどく
^四門の四道より罪人が入ってくると
門は開かれ業火が出てこれを迎える
^燃えさかる鉄汁は流れて人の膝を没し
触れるところたちまちに煙や炎が起る
^牛頭の獄卒が道の
大地が震動してその声は天雷のようである
^罪人はこれを聞いてはらわたが裂け
鉄虫・鉄鳥が争い来たってこれをくらう
^鉄丸や刀剣が空中から降り
とけた銅や鉄の汁が身の上に注ぐ
^鉄城の門から四万里も離れていても
必ずその中を通って行かせて避けるところがない
^その行くことは風よりも早く
たちまちに七重の門に入る
^般舟三昧の楽しみ
専心に念仏して貪欲・瞋恚を断ぜねばならぬ
^この七重の鉄門の中に入れば
また
^罪人がみな入りおわれば鉄門はみな閉ざされる
罪人の身が地獄に満ちみちても互いに妨げない
^一たびそこに堕ちれば八万長時劫である
みなこれ仏法を破った罪の因縁による
^三宝を謗り他人の善を妨害すると
またこの大*
^たわむれ笑って造る罪も多劫の苦しみを受ける
仏のみ心を尊重せずして人の
^慎んで心を軽々しくしてほしいままに三業の悪を造ってはならない
業道は明らかであって欺くことはできない
^般舟三昧の楽しみ
ただちに迷いの業道を裁ち切って西方に入れ
^七重の鉄城のそれぞれの門の外に
鉄の
^火炎や刀輪がその口から出て
またみな流れて罪人の上に注ぐ
^四
また煙火を人身の上に雨ふらす
みな
^熱鉄の地面の上に無窮の苦しみがある
罪人はあるいは臥したりあるいは歩き走る
^この一大劫の尽きるとき
眼に東門の城外に清らかな林泉があるのが見える
^罪人は同時に東に向って走り
まさに到達せんとする時に門は閉じてしまう
^こういうように四門にさまようこと半劫である
鉄の網が身をひきかけることはいばらの林のようである
^上には鷹がいて人間の肉を
地面には銅の
^地上にも虚空にも避けるところがない
動けばすなわち責め道具がいよいよ多い
【18】^般舟三昧の楽しみ
この苦しみを説くのを聞くさえ心がくだける
^父母に孝養を尽さず三宝を罵れば
臨終の時に地獄の火が自ら迎えに来る
またこういうように地獄の中に堕ちる
^生きものを殺し他の生きものの肉を食べるものは
命終ればただちに地獄の火の中に入る
^人の殺害をみて喜び方法をめぐらし殺害を許可するものは
前に説くより倍の苦しみを受けるのである
^三宝物や他人のものを盗めば
一たび地獄に堕ちてまたそこから逃れる時がない
^父母や六親のものを
またこのような地獄に堕ちる
^般舟三昧の楽しみ
身も財産も惜しまないで常に人に恵み施せ
^師僧をけがし清浄の行をやぶるものは
地獄に沈んで
^衆生や眷属をけがせば
定んで地獄に入って長劫の苦しみを受けるであろう
^たとい人間に生れても去勢される報いがあり
六親がともに住んでも互いに
^般舟三昧の楽しみ
願わくはよこしまな心を断って清浄の行を修めんことを
^三宝や衆生の類をあざむきだますと
命終って地獄に堕ちて逃れる時がない
八万の地獄をすべて経めぐる
^他人の三宝について
命終って舌を抜かれる地獄に堕ちる
【19】^あまねく衆生にすすめる 身口意の三業を護って
行住坐臥に弥陀を念じ
^一切の時に地獄の苦しみを憶うて
強い往生の心を起せよ
^誓って三途の業を作ってはならない
人天の楽報もまた心にかけず
^たちまちに地獄の長い苦しみを憶って
しばらくも浄土の安楽のことを忘れてはならない
^安楽仏国は
ついに身を
【20】^般舟三昧の楽しみ
ただ仏の一道のみ独り清らかである
^浄土の荘厳は尽くることがなく
十方より往生する者もまたきわまりがない
^千劫・万劫・恒河沙劫にも
すべての往生人を妨げることがない
^十方世界の衆生はいまだかつて減らず
弥陀仏国もまた増すことがない
^弥陀の願力はその慈悲に随って大であり
四種の荘厳はあまねくみなそなわっている
^三明六通は常に自在であって
あまねく衆生の心想の中に入られる
^仏身の相好は衆生の観想により
その念に随って真金の仏身を現したもう
^真金はすなわちこれ弥陀の
*
^その相好はいよいよ多くて八万四千である
その一々の光明は十方世界を照らす
^余の行者を照らさず
ただ念仏の行者を求めて照らされる
^万行をともに回向してみな往生を得るが
念仏の一行が最も尊い
一日乃至七日の念仏にすぎたるものはない
^命終ろうとする時に聖衆が現れて
ただちに華台に坐して浄土に至る
^沢山な清浄なる聖衆がたは
はるかに往生人を見てみな歓ぶ
【21】^観音菩薩の相好は阿弥陀仏と異なるところがなく
慈悲をもって苦しみを救われるのに最もすぐれている
^般舟三昧の楽しみ
師教にそむかないで阿弥陀仏を念ぜよ
^苦を救いたもうのに遥かに世界は別であるけれども
衆生が急に念ずればその時に応じて来られる
^あるいは声聞や菩薩の
衆生の願いに随って済度される
^悲心は苦を抜いて三界を超えさせ
慈心は楽を与えて涅槃を期せしめる
^衆生の機類に随って現れる身が異なり
六道に身を分けてその時の衆生を済度する
^礼拝し称名し観ずれば身の罪障を除かれる
これは深き慈悲の発願である
^一切の時にあらゆる世界を縁じ
六道をおさめて身中に現される
^眼に見 耳に聞き 心に衆生のことを思い
衆生の称える声を尋ねて*
^天冠の化仏は高さ千里であって
弥陀の恩を報ずるために常に頂戴していられる
その色ごとに八万四千の光がある
^その一々の光明に化仏・菩薩がたがいられ
極楽界にみちて神通をあらわしている
^身は紫金色の光明を放ち
内外に透きとおることは明鏡のようである
^すべて光明は瓔珞のようで
全身にまとうて鈴や
^両手はほそく
^常にこの手をもって衆生を導かれる
み足を挙げると*
み足を
^本国でも他方でも歩んだり坐ったりされるところ
これに触れるものはすなわち無生法忍を悟る
^初地以前のものも初地以上のものも元より無二で
根機の利鈍によってさとりの位を増す
^念々のうちに常に
その功徳を行じないのにまさに悟りを得るのである
^般舟三昧の楽しみ
命終るまで同じく往生を願うものは誓って退いてはならない
^浄土はこのように逍遥快楽の地である
それなのに何事を貪って往生を求めないのか
^苦を救うのに身を分けて平等に化益する
化益しおわってみな弥陀のみ国へ送る
^われらはことごとく大悲の力を蒙っている
身を砕き慚謝して慈恩を報ぜよ
^般舟三昧の楽しみ
観音菩薩が導いて弥陀仏にまみえさせる
【22】^勢至菩薩の威光は大である
身色相好などは観音菩薩と等しい
^身から放つ光明はよろずの世界に行きわたり
その照らすところはみな同じく紫金色である
^有縁の衆生はそのお照らしを蒙り
智慧を増して安楽国に生れる
^いただくところの華の冠は瓔珞を垂れ
^勢至菩薩が歩まれる時には法界を震わし
その震動するところに蓮華が自然に咲き出る
^その蓮華の荘厳は極楽と同じい
すべての仏国もみなそうである
^坐られる時まず阿弥陀仏の国を動かし
そののち上下の無量の国々を震わす
^一々の国に分身が集まっている
みなこれは弥陀三尊の化身である
^化現の仏や観音菩薩・勢至菩薩が集まって
極楽の上空を塞ぐ
^おのおの百宝の蓮華座に坐り
声をそろえて妙なる法を説かれる
^極楽の衆生は見聞の益があって
普通の諸地の菩薩に超えてさとる
^大いに利益を集めようと多くの人々が
法を聴き供養して諸劫を経る
^このゆえにかの国を極楽と名づける
あまねくすすめる 同じく往生を願う人たちが常に憶念するように
【23】^一切の時に西方に向って
心に阿弥陀仏の御身を見たてまつろうと想え
^地上の荘厳は数限りなく
宝楼や林樹はみな瓔珞を垂れている
ただちに蓮華の池の大会に集まり
^華の中に入ることを想え また華が合することを想え
そこで華が開けて仏身を見たてまつると想え
^阿弥陀仏を見たてまつるに雑色の光があり
その光が来たってそれぞれ自身を照らすと想え
^また自身が慈光に照らされると想え
そしておぼろに心眼が開けると想え
^虚空の化仏がたを見ると想え
林樹が清浄なる音楽を奏で
^水鳥・流波が妙なる法を説くのを聞くと想え
心を専注して観想を成就せしめよ
^観想が成就すると宝国が現じ
すなわち化仏が来たって加被せられることを得る
^観音菩薩・勢至菩薩は無数の身を示して
常にこの行人の
【24】^般舟三昧の楽しみ
心を専らにして仏を想えば見たてまつることは疑いない
^仏は衆生の迷いが久しく無明の障りが重くて
悟りを開くことがむずかしいことを知りたもう
^仏は大身を観ずることの尽し難いのを恐れたもうて
さらに教えて小身の池中にあることを観ぜしめる
^一つの蓮華に百宝のはなびらがあって
一丈六尺の化仏がその上に坐したもうと想え
^仏身に大小の別はあってもよく障りを除く
観音菩薩・勢至菩薩も同じくそうである
^行住座臥に常に自らつとめるならば
命尽きればたちまちに自然に帰する
^自然はすなわち阿弥陀仏の国である
^たとい百年といっても一日のようである
一日はしばらくである どうしてあてにできようか
専ら*
^一切の時に常にはげむから
臨終には聖衆が自ら来迎してくださる
^観音菩薩・勢至菩薩は華を
同時に手を
^無数の化仏菩薩がたは
頭を
^一念のうちに浄土に到って
そこで仏や菩薩がたを見たてまつる
^浄土の光明や宝林はみな法を説いており
たちまちに無生法忍をさとる
^しばらくの間に他方世界の仏がたにつかえ
一念の間に浄土に帰って無量のさとりを得る
経を誦み念仏し専ら戒をたもつ
^一日乃至七日それぞれの功徳を回向すれば
臨終に聖衆がみな来たり現れる
^観音菩薩・勢至菩薩は華を
行者はそこで紫金の
^千の化仏とともに同時に行者を讃め
仏に従ってしばらくの間に宝池に入る
^一夜のうちに障りが尽きて蓮華が開け
仏を見たてまつって金台より下りようとすると
^まだ地面に着かないうちに華が足を承け
仏は金色の光を
^ただちに阿弥陀仏の前に到って立ち
仏を讃めたてまつること七日にして無生のさとりを得る
^たちまちの間に他方世界の仏がたにつかえ
百千の三昧の法門をさとる
^しばらくの間に三劫を経て
^般舟三昧の楽しみ
持戒や作善をおこたってはならない
^おこたればすなわち迷いに輪廻する業を造る
弥陀の浄土へどうして行かれようか
^熱湯や火が身を焼く時は急に自ら
他人がそれをはらい除くのを待つものはいない
障り重く心
^痛みを覚ればすなわち愚痴の業を断ち
悔心慚愧して安楽国に生れるであろう
^安楽国はすなわち無漏の地であり
凡夫や六道はとこしえにその名さえもない
^般舟三昧の楽しみ
極楽は清浄寂静で
深く因果を信じて非を生ずることがない
^身口意の三業の行に憍慢が多いけれども
ただ無上菩提心を起す
^心を向けて念々に安楽に生れようとするならば
臨終の時に金蓮華が至るのを見る
^五百の化仏 観音菩薩などが
同時に手を
^一念のうちに華に乗じて宝池の内にあり
一日一夜にして蓮華が開く
^華が開いて仏を見たてまつるけれどもわずかな障りがあって
三七日の後に始めて
^耳にいろいろな音声を聴いて心にさとりを得
他方の仏土につかえて成仏の記別を蒙る
^十劫の長い時間もたちまち知らないうちに尽き
進んで百法明門をさとり歓喜地に入る
^般舟三昧の楽しみ
命の尽きるまで疑いを起してはならない
^もし釈迦の
誓って仏語を行じて安楽国に生れよ
^悠々としていて人の言葉を信じてはならない
縁に随い病を治すことはそれぞれの方法によれ
^たちまち
いくら*
是非の我見が
^このような人々には近づいてはならない
近づけば永いあいだ迷いの苦に沈むであろう
^耳を
この身に道を修めて無生のさとりを得よ
^もしこの法のすぐれた利益を聞くならば
身命をかえりみないでかならず往生を求めよ
^もしよく命を惜しまずして専ら行ずるならば
命終ってたちまちに安楽国に生れるであろう
^般舟三昧の楽しみ
念仏はすなわち涅槃に入る門である
あまねく声聞・縁覚の行をまなぶ
^戒律・禅定・慈悲が常に
それを一心に回向して浄土に生れようと願うから
^臨終に化仏や声聞が来られ
七宝の蓮華が行者の前に到る
^仏は光明を放たれて身の頂を照らされ
行者は自身を見れば華台に上っている
^頭を下げて仏を礼拝する時はこの国であるが
頭を挙げればすでに弥陀界に入っている
^かしこに到れば華が開けてやがて仏を見たてまつり
*
^般舟三昧の楽しみ
それぞれの戒を一日一夜
ただちに弥陀の安養国に到る
^臨終に化仏・師僧が現れて
七宝の華が来たって行者の前に到る
^行者はこの華を見て心をおどらせ
すなわち華台に上り仏に随って
^一念の間に浄土に入って
ただちに八功徳水の宝池に入る
^池のうちの蓮華は無億数である
それらはすべて十方から往生した人である
^七日七夜で蓮華が開け
華が開けて仏を見たてまつり*
^般舟三昧の楽しみ
勤修実行して人を欺いてはならない
父母に孝養をつくし人の道を行ずる
^臨終に善知識に
極楽や弥陀の願を説くのに遇う
^説法を聞いて合掌し心を西方に向け
念によってただちに宝池の中に到る
^百宝の蓮台の上に座し
七七日にして蓮華が開く
^蓮華が開けて仏や多くの聖衆を見たてまつり
一劫の後に無生をさとる
^無生はすなわち阿羅漢のさとりである
阿羅漢は心を転じて*
^一たび大乗の心を
ただちに仏果に至るまで退くことはない
^こういうわけで*
「*
^故に大乗の善根界という
永くいやな
^大乗・小乗の凡夫を平等に摂めて
また六道三途の難をのがれしめる
^弥陀の浄土の中に住むことを願えよ
すでに無生を証った者もいまだ証らない者もともに心がしずかである
^般舟三昧の楽しみ
すみやかに生死を超えて娑婆を出でよ
つぶさに十悪を造って他の善はない
^煩悩を増長し ただ
他人が善根を修するのを見てそしりを起す
^このような人がさとり難いのは
まことに悪い知識の悪縁によるからである
^ただ目の前の酒肉を貪ることを知って
地獄にすべての名を記されることを知らない
^一たび地獄に入って長い苦しみを受ける時に
はじめて人間界の善知識を
^罪人は臨終に重病を得て
こころが
^地獄の相が明らかに眼の前に現れる時
身から白汗が流れ出て手は虚空をつかむ
^このような苦しみを誰がよく救おうか
必ずこれは善知識と弥陀仏の恩によるのである
^手に香爐をとって懴悔させ
合掌して弥陀の名を称えることを教える
^一声称名すれば多くの苦を除き
五百万劫の罪を消す
^化仏・菩薩は称名の声を尋ねて到り
「われは
^行者は仏の光明を見て喜び
すなわち七宝の蓮華の上に坐る
^仏に従ってたちまち浄土にまいり
到ればただちに宝池の中に生れる
^七七日で華開けて仏を見たてまつることができる
観音菩薩・勢至菩薩は慈光をもって照らし
^眼が明らかで心にさとりを得
合掌してはじめて菩提心を
^般舟三昧の楽しみ
三途を
^もし善知識が教えて仏名を称えさせてくださらなかったなら
どうして弥陀の浄土に入ることができようか
戒を破り僧物を盗むなどいろいろの罪を造る
^名聞利養のために法をといて慚愧の心がなく
戒律の因果を破って師僧を打つ
^このような愚かな人は臨終のとき
節々が痛んで
^地獄の猛火がみな来たり
^その時にすなわち善知識が
^大慈悲を発して念仏を教えるのに
そこで地獄の猛火が涼しい風と変る
^清浄な華は風に乗ってひらひらと落ち
化仏菩薩は華に乗ってこられる
^そこで行者は清浄なる華の上に坐り
仏に従ってたちまちに宝池に入る
^障り重くして華が開くのに六劫を経る
華開けてはじめて菩提心を発す
^般舟三昧の楽しみ
身を砕いて慚愧し釈迦の恩を謝せよ
十悪*
^このような愚人は多く罪を造り
地獄を経めぐって窮まる時がない
^臨終にたちまち善知識が
そのために法を説いて安穏ならしめるのに遇う
^臨終に刀風が身をさくとき痛みに堪えず
仏を念ずることを教えるが行者は念ずることができない
^そこで善知識は教えて 「専ら合掌して
弥陀を信じて専ら仏名を称えよ」 という
^声を続けて十念に満つると
その念々に五逆の障りを消す
心をひるがえして念仏すれば罪がみな除かれる
^病者の身心が
眼の前にすなわち金の蓮華が現れ
^その蓮華の光明が行者を照らすと
身も心も歓喜して華台に上る
^華に乗じて一念のうちに仏国に至り
ただちに説法の会座の前の池に入る
^残りの罪がいまだ尽きないから華の中に閉じられ
十二劫を経て後にはじめて華が開く
^華の内に坐しているとき
色界三禅天の楽に超えすぐれている
^般舟三昧の楽しみ
地獄に入ることを免れて金の蓮華に坐せよ
^むしろ金蓮華に閉じられること百千劫であっても
地獄のしばしの苦しみにも及ばない
^観音菩薩・勢至菩薩は慈光をもって照らし
おもむろに心を安んずる法を説いてくださる
^行者は尊い法を聞くことを得て
智慧の法眼が明らかに開く
^法眼が開いて仏の説法の会座を見て
そこで無上菩提心を発す
^あるいは坐しあるいは立ち遊行して観ると
到るところただ説法の声のみを聞く
^身心毛孔ともにみなさとることができる
菩薩や聖衆がたがみな充満している
^みずから神通力をもってかの仏会に入る
その本を憶えばみな娑婆の善知識の御恩である
^もし釈迦仏が念仏をすすめるのでなかったなら
弥陀の浄土を何によって見ることができようか
^心に念じ香華をもってあまねく供養し
長時長劫に仏の慈恩を報ぜよ
^あまねく十方の生死界の人々にすすめる
心を同じくして悪を断じことごとく往生することを
^一たび涅槃常住の国に入ってしまうと
未来永遠にわたって何の憂いがあろうか
^念々のうちに常にさとりを得て
菩薩の十地の行願が自然に成就する
^一地一地に慈悲をもって人を利益することは
仏を師として行うからあやまりなく悟る
一々にくわしく浄土の荘厳のことがらを説いた
^行住坐臥に常に観察せよ
常に観ずると心眼におぼろに浄土を見る
一々回向すればみな往生することができる
散善の一行は釈迦仏がみずから開き説かれた
^定散ともに回向して浄土に入れよ
これは釈迦如来のすぐれた方便である
【35】^韋提希はこれ女人のすがたであり
貪欲・瞋恚を具足した凡夫の位である
^娑婆を厭うて仏国を求めさせると
そこで極楽の荘厳の世界が現れた
^極楽を見ることができて心に歓喜し
さらに阿弥陀仏を見たてまつって無生法忍を成就した
^五百の女官も同じように仏に申しあげる
「誓って同じく安楽国に生れたいと願う」 と
^その時に世尊はみな記別を与えられた
「同じく往生して三昧を証するであろう」 と
^*
また同じく安楽に生れたいと願うた
【36】^あまねく有縁の人々にすすめる 常に念仏して
観音菩薩・勢至菩薩と同学となれ
^もしよく念仏すれば人中の上である
願わくは同じく諸仏の家に生れることを得て
^長時長劫に仏のおそばにいて証りうることを
仏果のさとりはどうして遠いことであろうか
【37】^すべての行者たちに云う。 凡夫は迷いの境界に執着して、 これを厭わずにいてはならぬ。 弥陀の浄土を軽んじてこれを
^仰いでおもうに、 同じく浄土を願う人々よ、 よくみずから考えるがよい。 ^ふりかえって我々の生命を受けた始めを考えてみると、 大空と同時である。 同時にしてしかも
^また釈迦・諸仏が同じようにすすめて、 専ら弥陀を念じ極楽を観想してこの一身が終ったら、 すなわち安楽世界に生れさせてくださる。 まことにとこしえの大きな利益ではないか。 行者よ、 努力し、 つとめてこれを行ぜよ。 常に慚愧の心を
般舟三昧行道の往生讃 一巻