二一(1025)、浄土宗大意
▲また浄土宗の大意とオホゴゝロ て、 おしえさせたまひしやうは、 三宝滅尽の時なりといふとも、 十念すればまた往生す。 いかにいはむや、 三宝流行のよにむまれて、 五逆おもつくらざるわれら、 弥陀の名号を称念せむに、 往生うたがふべからず。 またいはく、 浄土宗のこゝろは、 聖道・浄土の二門をたてゝ、 一代の諸教をおさむ。 聖道門といふは、 娑婆の*得道なり。 自力断惑出離生死の教なるがゆへに、 凡夫のために修しがたし、 行じがたし。 浄土門といふは、 極楽の*得道なり。 他力断惑往生浄土門なるがゆへに、 凡夫のためには修しやすく、 行じやすし。 その行とい1026ふは、 ひとへに凡夫のためにおしえたまふところの願行なるがゆへなり。
▼総じてこれをいへば、 五説の中には仏説也、 *四土の中には報土也、 三身の中には二身也、 三宝の中には仏宝也、 *四乗の中には仏乗なり、 二教の中には頓教也、 *二蔵の中には菩薩蔵也、 二行の中には正行なり、 二超の中には横超也、 二縁の中には有縁の行なり、 二住の中には*止住也、 *思不思の中には不思議なり。 またいはく、 聖道門の修行は、 智慧をきわめて生死をはなれ、 浄土門の修行は、 愚痴にかへりて極楽にむまると 云云。
得道 左 ネチハンノサトリナリ
得道 左 ネチハンノサトリヲジヤウドニシテヒラクナリ
四土 左 ホフシンホウジンオウジンクヱノドナリ
四乗 左 シヤウモンエンガクボサチブチジヨウナリ
二蔵 左 シヤウモンザウボサチザウナリ
止住 左 ヨゲウハカクレテコノホフハトヾマルトイフコヽロナ□
思不思 左 カシギハホトケノホカノヨノモノヽコヽロナリ