存如上人授与本は、 奥書によると、 「教文類」 には 「宝徳三年 八月十六日/釈存如 (花押)」、 「行文類」 には 「宝徳二年八月一日奉書写畢/右筆蓮如 (花押)」、 「真仏土巻」 には 「宝徳三年 八月十一日奉書写了/右筆蓮如 (花押)」、 「化身土文類末」 には 「宝徳三年 八月十六日/大谷本願寺住持釈存如 (花押)」 とある。 これらの奥書とそれぞれの筆跡から 「教文類」 と 「化身土文類末」 (奥書のみ) が第七代存如上人、 「行文類」 と 「真仏土文類」 が蓮如上人によることが知られ、 それ以外は右筆によるものとされる。 また、 「化身土文類本」 の奥書の前に 「而/加州木越光徳寺住持性乗/依所望無難去所令許与之也」 との記述があり、 更に各冊の表紙右下に存如上人の筆で 「釈性乗」 との袖書があることから、 存如上人が加賀木越光徳寺の性乗へ授与されたものであることが知られる。 この書写本の特徴としては、 漢字や右仮名について貼紙が多いことや、 「化身土文類」 に 「専修者唯称↢念仏名↡離↢自力之心↡」 の一文があることなどが挙げられる。 また、 江戸時代の版本には、 この系統の本が底本として多く用いられており、 広く流布していたことが知られる。
 体裁は半葉六行、 一行十七字内外であり、 「信文類」 と 「化身土文類」 は本末に分冊され、 八冊で構成されている。