祐誓寺蔵本は、 源空聖人並びに宗祖が在世中に開版されたもので、 刊記には 「依法上人勧進為自他平等往生浄土殊/疑信心終書写功/建仁第四暦初月下旬候/通議大夫藤原朝臣伊経」 とあり、 建仁四 (1204) 年の刊本であることが知られる。 現存する浄土教関係の刊本の中で最古のものであり、 刊記に示される版下の筆者である藤原伊経という人物は歌人・能書家として知られ、 経文の文字はこの時代版経の白眉と称される。 巻上・巻下両本の初めの内題の下には 「高山寺」 の朱印がある。 体裁は一紙目のみ二十三行、 二紙目以降は二十五行で、 一行十七字である。