底本は本派本願寺に蔵せられ、 「道綽禅師略伝」 等と同時期のものとされる。 内容は、 烏龍山に道場を建立し、 後に 「後善導」 と称された少康法師の伝記と、 善導大師の教化を受け称名しつつ捨身往生を遂げた屠児宝蔵の伝記とを集めたものである。 成覚房幸西の編纂とされる ¬唐朝京師善導和尚類聚伝¼ の抄出とみられる。 また少康法師の示寂については紙背にも記載がある。 本断簡は、 文中の 「孩孺螘慕」 の部分の左右に音訓が付されている他は一切訓点がないことから、 一字ごとに音訓や圏発点が付してある 「曇摩伽菩薩文」 や 「震旦国十四代」 等とは異なり、 宗祖自身の手控えであったと考えられる。