当麻寺奥院蔵本 (往生院本) は、 鎌倉期の書風をよく伝える謹厳な筆致で書写され、 訓点の一部や頭註に後世の筆があるもののほとんどは本文と同筆である。 奥書に 「元久元年十一月廿八日書写了 願以此功徳 往生一仏土而已」 と書写年紀が記され、 元久元年の 「七箇条制誡」 の後に聖人の許しを得て書写されたものとわかる。 書写名は抹消されて判読できず、 巻尾の 「源空 (花押)」 とある一行は後世の追記である。 なお当本では、 文字の間に付された合符 (竪点) が、 字間の中央に付された語は音読、 左側に付されたものは訓読というように振り分けられている。
体裁は粘葉装一帖、 半葉七行、 一行十五字乃至十八字である。