龍谷大学蔵書写本は、 表紙左上に 「近曾被犯病雨」 とあるが、 これは本文冒頭部分をもって外題としたもので、 内題・撰号をともに欠いている。 また、 奥書末尾には制作の年紀を示す 「永禄十載十二月廿二日書之/欣求浄土沙門顕誓」、 書写の年紀を示す 「于時天正拾四 丙戌 九月下旬奉写…法橋」 との記述が見られる。 ¬光闡百首¼ の自筆本は現存しないが、 その成立が永禄十年であったことを考えると、 天正十四 (1586) 年の書写は成立からわずか十九年後のことであり、 天正十四年本は原状態を伝えているものとみられる。 しかし、 この天正十四年本は、 大正二 (1913) 年に補修されているものの虫損などによる破損が著しく、 判読不能な箇所が少なくない。 そこで本聖典では、 妻木直良氏旧蔵文政三年書写本を底本とした ¬仏教古典叢書¼ (中央出版株式会社、 1933) 所収本によって適宜補っている。