大阪府顕証寺蔵御草稿和讃は、 ¬浄土和讃¼ は顕智本と同じく 「大経讃」 に 「冠頭讃」 の第二首が入り、 その上文明本と同じく 「冠頭讃」 二首があるので、 総計百十九首である。 その内、 「現世利益讃」 と 「勢至讃」 の順序は顕智本と同じく、 国宝本・文明本とは逆になっている。
¬高僧和讃¼ は 「結讃」 の二首を欠き、 百十七首である。
¬正像末和讃¼ は文明本と同じ体裁をとり、 総計百十六首である。
すなわち、 和讃の配置・首数、 その他行間の註・頭註を見ると、 この本は文明本にほとんど等しいが、 なお国宝本や顕智本の名残があり、 文明本系の源流をなすものといえよう。 また 「御草稿和讃」 の名目は文明本に対するものと考えられる。/p>