真筆本は、 宗祖の代表的な筆とされる書写本であり、 上末と下末には、 本文と同じ料紙に宗祖が外題を記した旧表紙がある。 特に上末の左下には 「釈真仏」 との袖書があり、 真仏上人に与えられたものと考えられている。 また、 室町時代のものとみられる後補表紙が上本を除いた五冊にある。 書写年時は解説で述べられている通りで、 本文には、 朱墨の筆を用いて右左訓・返点・声点 (顕発点)・註記等が全体にわたり精微に施されている。 また、 近年、 修復の際に、 現在の布表紙裏面に点糊止めされた宗祖真筆の 「西方指南抄/釈正証」 との断簡をはじめとした四点が発見されている。