正徳寺本は、 左訓が一箇所にしかなく、 本文には、 「則斯无光如来 摂取選択本願故」 の脱文や 「本則」 が 「即是」、 「曇鸞註」 が 「曇鸞釈」、 「仏力」 が 「他力」 となるなど、 他の書写本とは共通しない独自の異同があるが、 全般的には蓮如上人書写本に共通する点を多く含んでいることから同系統の書写本であるといわれる。 また、 旧表紙中央の 「入出二門偈頌」、 巻末の 「愚禿八十歳/三月四日/書之/南无阿弥陀仏」 との奥書は、 本文と同筆であるものの、 異時筆である可能性があり、 書写原本にあったものかどうか検討の余地があると考えられる。
 体裁は半葉五行、 一行二句である。