清浄華院蔵本は、 浄土三部経が四巻本として揃った書写本では現存最古のものである。 平安時代の書写本とみられ、 鎌倉時代以前における浄土経典流伝の姿をうかがう上で重要視される。 当本の ¬阿弥陀経¼ 紙背には、 清浄華院の第十一世良秀の筆になる 「清浄花院之由記」 があり、 その内容から当本は叡空によって書写され、 坂本迎摂院から清浄華院に移されたことが知られる。 金罫が施され、 上下の欄外に金銀切箔が野毛散しにされた装飾経であり、 訓点等の記入はない。 体裁は各巻の第一紙のみ二十四行、 他はすべて二十五行、 一行十七字である。 なお、 装丁あるいは奥書等からみて、 四巻が一揃いの本であることは間違いないが、 ¬大経¼ 巻下のみは別筆である。