専修寺蔵真仏上人書写本は、 表紙中央に本文と同筆で 「入出二門偈頌文」 とあり、 左下に 「釈信証之」 の袖書がある。 また表紙右上には小さく 「入出二□」、 さらに 「ゴクラクムヰネチハンガイ ズイエン」 と判読される墨書がある。 表紙見返には ¬称讃浄土経¼ の文を四行で記す。 これは国宝本 ¬浄土和讃¼ (高田派専修寺蔵) にも同様のものが見られ、 両者の関係性が窺われるところである。 本文と同じ料紙である裏表紙には、 中央に 「念仏者疑問」、 左下に 「平□真之」 と墨書して抹消したものを上下逆さに綴じている。 巻首と巻尾には 「高田専修寺」 の墨印がある。 真仏上人書写本は、 その袖書から 「信証本」 と呼ばれ、 従来宗祖真筆本とされていたが、 その後の筆跡研究の進展によって、 高田の真仏上人の筆になるものとされた。 「建長八歳丙辰三月廿三日書写之」 の奥書を有し、 宗祖の在世中に書写された現存最古の書写本である。 本文は、 右仮名が多く、 朱筆にて顕発点が付されており、 付加された内容が数多く見られることが大きな特徴としてあげられる。 すなわち、 撰号の 「釈」 の一字、 巻頭の 「无量寿経論一巻」 との一行と本文冒頭の 「婆薮槃豆菩薩」 等の四行八句、 本文中の 「曇鸞和尚 大巌寺」 「道綽禅師 玄中寺」 「善導大師 光明寺」 との三師の標示、 「泥中生仏正覚華 斯示如来本弘誓」 との二句一行は他の書写本にはない。
 体裁は半葉五行、 一行二句である。