専修寺蔵正嘉二年親鸞聖人真筆本 (正嘉本) は、 高田派第十八代円遵上人の命を受け、 寛政七 (1795) 年に開版されるまで、 一般に普及していない孤本の状態にあった。 したがって現在に至るまで書写本の存在も確認されていない。
正嘉本は、 旧表紙一には両巻共に左上に 「尊号真像銘文 二巻之内」 とあり、 本巻には 「釈顕智」 との押紙が貼られている。 この押紙の筆跡が顕智上人のものとみられることから、 正嘉本は顕智上人の伝持本であったとされている。 また本巻・末巻共に旧表紙一見返に貼紙がある。 本巻は右上に 「墨付四拾四枚 寛文四年辰/六月十八日に改る」 とあり、 末巻には右上に 「墨付三拾二枚 寛文四年辰/六月十八日に改る」 とあり、 中央には 「御墨附二枚/外に題号壹枚/又外に十二類生/之細小切一枚そふ/延享二乙丑天/十一月二日/改之」 とある。 旧表紙二には宗祖筆で 「尊号銘文 本」、 あるいは 「尊号銘文 末」 とそれぞれ書かれてあり、 巻首の首題の下と巻尾には共に 「高田派専修寺」 の黒印がある。
正嘉本は二十一文を所釈に挙げるが、 本巻には ¬大経¼ の三文、 ¬首楞厳経¼ の一文、 ¬十住毘婆娑論¼ の一文、 浄土論¼ の二文、 迦才の一文、 智栄の一文、 善導大師の三文、 太子礼讃の二文がある。 末巻には、 源信和尚の一文、 劉官 (隆寛) の源空聖人讃一文、 源空聖人の三文、 聖覚法印の一文、 宗祖ご自身の一文があるという構成である。 また源空聖人の部分に 「十二類生」 に関する貼紙があるが、 別筆である。 なお巻末には ¬華厳経¼ の偈文とその釈文、 及び焼法門誦文と十悪が記されているが、 これも別筆である。 また現在は、 旧表紙一の上に表紙があり、 円遵上人とされる筆で 「尊号真像銘文 本」、 あるいは 「尊号真像銘文 末」 と墨書されている。
体裁は半葉六行、 一行十五字であり、 振り仮名、 四声点、 句点、 標示等が朱書されている。