四十八誓願 解説
 本書の内容は ¬大経¼ の四十八願の願文が全て引用され、 訓点と朱筆による圏発点が付されており、 一部には分別書方によって朱筆による区切り点が付されている。 願文の内、 十九の願文には上欄に願名が付されており、 中でも第二十願の 「係念我国之願」、 第二十二願の 「摂取不捨之願」、 第三十五願の 「女人成仏之願」 は宗祖の他の聖教には見られない願名である。 また、 第十八願の上欄には 「往相廻向」、 第二十八願の上欄には 「悔慢」 「浄土」 の語が書き入れられている。 ただし、 第十九願の上欄には 「至心発願之願」 とあるのに対し、 第十八願および第二十願の上欄には 「至心信楽之願」 あるいは 「至心廻向之願」 の名が見られず、 生因三願が対照して示されていないことから、 上欄の記述が宗祖によるものかについては疑問が残る。 また、 第三十二願の上欄には本文と同筆で異本に関する註記があることから、 真仏上人が本書を他本と校合されたことが窺われる。