底本は両書ともに高田派専修寺蔵建長八年真仏上人書写本である。 奥書には 「建長八歳丙辰四月十三日書之」 とあり、 真仏上人四十八歳の年にあたる。 金襴の表紙は江戸時代のものである。 別に旧表紙が二枚あり、 旧表紙一は巻首に、 旧表紙二は巻尾に綴じられている。 旧表紙一は中央に 「四十八大願」、 左下に 「釈覚信」 との袖書があるが、 本文とは別筆とされ、 外題も内題と一致しない。 また、 この表紙は損傷が激しいため、 別紙に貼り付けて綴じられている。 袖書にある 「覚信」 については高田の覚信房とする説もあるが、 明らかではない。 一方、 巻尾の旧表紙二は本紙共紙であり、 外題も内題と一致する上、 本文と同筆であることから、 こちらが本来の表紙であったことが窺える。 この表紙の左下には 「釈□証仏性」 との袖書があり、 「釈」 については本文と同筆とみられるが、 「性」 はかなり細い筆致となっている。 また、 二文字目については判読し難く、 文字はやや右寄りに書かれている。 体裁は半葉五行、 一行十二字内外である。
 本書の内容は ¬大経¼ の四十八願の願文が全て引用され、 訓点と朱筆による圏発点が付されており、 一部には分別書方によって朱筆による区切り点が付されている。 願文の内、 十九の願文には上欄に願名が付されており、 中でも第二十願の 「係念我国之願」、 第二十二願の 「摂取不捨之願」、 第三十五願の 「女人成仏之願」 は宗祖の他の聖教には見られない願名である。 また、 第十八願の上欄には 「往相廻向」、 第二十八願の上欄には 「悔慢」 「浄土」 の語が書き入れられている。 ただし、 第十九願の上欄には 「至心発願之願」 とあるのに対し、 第十八願および第二十願の上欄には 「至心信楽之願」 あるいは 「至心廻向之願」 の名が見られず、 生因三願が対照して示されていないことから、 上欄の記述が宗祖によるものかについては疑問が残る。 また、 第三十に願の上欄には本文と同筆で異本に関する註記があることから、 真仏上人が本書を他本と校合されたことが窺われる。