盧山寺蔵本は、 最古の原型を保ち、 諸所の添削の跡や複数の手跡から草稿本とされる。 題号と標宗の二十一字は聖人の筆蹟とされ、 本文の第一章から第三章の 「能令瓦礫変成金」 までは安楽房遵西、 同章の 「問曰一切菩薩」 から第十二章までは真観房感西、 第十三章から第十六章の 「如経法応知 已上」 までは善恵房証空、 結嘆の 「静以善導」 以下は感西の執筆とされる。 本文は概ね白文であるが、 一部には訓点が付されている。
体裁は冊子装一帖、 半葉七行、 一行十五字乃至二十字である。 もとは粘葉装で、 江戸時代初期に冊子装に改められたという。