往生論註　二巻｡ 曇鸞どんらん大師の著｡ 詳しくは ¬無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ註ちゅう¼ と題され､ ¬浄じょう土ど論ろん註ちゅう¼ とも､ また ¬無む量りょう寿じゅ経きょう論ろん註ちゅう¼ とも呼ばれ､ あるいは略して ¬論ろん註ちゅう¼､ ¬註ちゅう論ろん¼ とも称される｡
　天親てんじん菩ぼ薩さつの ¬浄じょう土ど論ろん¼ (¬無む量りょう寿じゅ経きょう優婆うば提舎だいしゃ願がん生しょう偈げ¼ とも ¬往おう生じょう論ろん¼ ともいう) に註解を施したものである｡ 本書は ¬浄土論¼ の註釈書として代表的なものであるが､ その ¬浄土論¼ は韻文いんぶんで書かれた偈げ頌じゅと散文で書かれた長じょう行ごうとの二部から成っている｡ ¬往生論註¼ はこれを上下二巻に分けて､ 上巻ではその偈頌の部分を註釈し､ 下巻では長行の部分を註釈している｡
　ことに上巻では偈頌を釈するのに､ ¬浄土論¼ の長行にあらわされた礼拝らいはい､ 讃嘆さんだん､ 作さ願がん､ 観察かんざつ､ 回え向こうの五ご念門ねんもん行ぎょうを配当して釈し､ また下巻では長行を(1)願がん偈げ大たい意い､ (2)起き観かん生しょう信しん､ (3)観かん行ぎょう体相たいそう (観察かんざつ体相たいそう)､ (4)浄入じょうにゅう願心がんしん､ (5)善ぜん巧ぎょう摂せっ化け､ (6)障しょう菩ぼ提だい門もん (離り菩ぼ提だい障しょう)､ (7)順じゅん菩ぼ提だい門もん､ (8)名みょう義ぎ摂対せったい､ (9)願がん事じ成じょう就じゅ､ (10)利り行ぎょう満足まんぞくという十科の章に分けて解釈されている｡ そこには阿弥陀如来とその浄土の因果の徳用とくゆうを説き､ 衆しゅ生じょう往生の因果もまた阿弥陀如来の本願力によって成就せしめられるという他力の法義が示されている｡ 七祖聖教の一｡