林松院文庫本は、 兵庫県教行寺蔵の名塩本の祖本と目される室町時代末期の書写本である。 装丁は、 元折本綴であったものが後に巻子本に改装されている。 箱書中央に 「文明十ノ□ 如勝尼」 とあり、 如勝尼所縁のものと考えられている。 当本には、 ¬夏御文章¼ が三帖目と四帖目とに重複して収録されている。 このうち第三帖所収本には年紀を持ち、 一方、 第四帖所収本は無年紀で異本校合も見られない。 前者の体裁は半葉八行、 一行二十字内外、 劫者の体裁は半葉七行、 一行十八字内外である。