本書は、 延徳元 (1489) 年八月に蓮如上人が隠居されてから、 明応八 (1499) 年三月二十五日に往生されるまでの日常の言行と葬儀及び中陰の様子とを百七十一箇条にわたり記録したものである。 本書の編者は、 蓮如上人の門弟であった法専坊空善である。 生没年は未詳であるが、 蓮如上人が示寂された後には第九代実如上人に仕えている。 本書は、 本来三冊本であったと考えられており、 その中巻は早くに独立して伝えられている。 そして、 この一冊本から抄出されたのが ¬蓮如上人御一代記聞書¼ (真宗法要本) の第一条から第四四条までのうち第五条を除く四十三箇条である。 本書は、 空善が蓮如上人の存命中に側に仕えていて聞いた言行や諸記録を内容にもつことから付会的要素が少ないことが指摘されている。 なお、 万延元 (1860) 年に刊行された ¬空善日記¼ とは、 本書を元に編纂されたものである。